みどりの学術賞選考経過報告

第16回みどりの式典 みどりの学術賞選考経過報告

みどりの学術賞選考委員会委員長 篠崎 和子

 選考委員会を代表し、第16回みどりの学術賞受賞者の選考経過について、御報告申し上げます。

 選考委員会は、「みどり」に関する学術研究に造詣の深い全国の学識経験者約450名の方々に候補者の推薦を依頼し、その結果、大変幅広い研究分野から、75名の候補者の推薦が得られました。この75名の方々について、その業績を約半年間の期間をかけて慎重に調査・審議し、選考を進めてまいりました。

 その結果、みどりの学術賞受賞者として、龍谷大学 Ryukoku Extension Center 顧問 の 岡田 清孝博士と、京都大学大学院農学研究科教授の北島 薫博士の2名を推薦することに決定いたしました。

 岡田博士は、我が国で最初にシロイヌナズナをモデル植物として研究に取り入れ、植物の様々な生理機構を解明する分子遺伝学の研究手法を確立されました。その成果はイネやトマトなど多様な農作物における形態形成機構の解明や生産性向上に関する研究の確立にも寄与し、農業問題や環境問題の解決につながる植物化学の発展に大きく貢献されました。

 北島博士は、様々な樹種の共存に係る仮説を熱帯林で実証し、森林の更新過程の機能生態学分野において顕著な研究成果をあげられました。また、森林上部の葉の光合成や呼吸量等を世界に先駆けて測定し、熱帯雨林生態系の炭素収支モデルの精度向上に寄与されるなど、植物生態学の立場から地球環境にとって重要な熱帯林の保全に大きく貢献されました。

 いずれも、学術的な観点から極めて優れた業績であるのはもちろんのこと、国民に「みどり」の重要性を伝え、みどり豊かな持続的な社会の形成を導く上で重要な役割を果たした研究として、高く評価いたしました。

 両博士におかれては、みどりの学術賞受賞を契機として、さらに「みどり」に関する知を深めて頂きますとともに、持続可能な未来社会の基盤となる「みどり」に関する知を国民の方々に一層深めて頂くことを強く期待いたします。

 以上をもちまして、選考経過の報告とさせて頂きます。