みどりの学術賞選考経過報告

第15回みどりの式典 みどりの学術賞選考経過報告

みどりの学術賞選考委員会委員長 横張 真

 選考委員会を代表し、第15回みどりの学術賞受賞者の選考経過について、御報告申し上げます。

 選考委員会は、「みどり」に関する学術研究に造詣の深い全国の学識経験者約430名の方々に候補者の推薦を依頼し、その結果、大変幅広い研究分野から、70名の候補者の推薦が得られました。この70名の方々について、その業績を約半年間の期間をかけて慎重に調査・審議し、選考を進めてまいりました。

 その結果、みどりの学術賞受賞者として、公益財団法人地球環境戦略研究機関理事長の 武内 和彦博士と、公益財団法人かずさDNA研究所副理事長・所長の 田畑 哲之博士の2名を推薦することに決定いたしました。

 武内博士は、地域生態学の分野を確立し、「SATOYAMAイニシアティブ」の主導等を通じ、人間と自然の相互作用により形成された生態系の保全と利用の重要性を国内外に発信するとともに、研究成果を持続的な社会-生態システムの再構築を目指すサステイナビリティ学へと展開し、人間と自然が共存可能な環境づくり活動に大きく貢献されました。

 田畑博士は、分子生物学の分野で、光合成生物としては世界初となるラン藻の全ゲノムを解読され、また国際的なゲノム解読事業への参加等により、作物の多様な遺伝子機能を理解する基盤を築かれ、植物ゲノム情報のデータベースの整備や、環境に与える負荷が低い作物開発等の持続的農業生産系の開発促進に大きく貢献されました。

 いずれも、学術的な観点から極めて優れた業績であるのはもちろんのこと、国民に「みどり」の重要性を伝え、みどり豊かな持続的な社会の形成を導く上で重要な役割を果たした研究として、高く評価いたしました。

 両博士におかれては、みどりの学術賞受賞を契機として、さらに「みどり」に関する知を深めて頂きますとともに、持続可能な未来社会の基盤となる「みどり」に関する知を国民の方々に一層深めて頂くことを強く期待いたします。

 以上をもちまして、選考経過の報告とさせて頂きます。