みどりの学術賞選考経過報告

第13回みどりの式典 みどりの学術賞選考経過報告

みどりの学術賞選考委員会委員長 福田 裕穂

 選考委員会を代表し、第13回みどりの学術賞受賞者の選考経過について、御報告申し上げます。

 選考委員会は、「みどり」に関する学術研究に造詣の深い全国の学識経験者約400名の方々に候補者の推薦を依頼し、その結果、大変幅広い研究分野から、約60名の候補者の推薦が得られましたので、推薦のあった方々の業績を、約半年間の期間をかけて慎重に調査・審議し、選考を進めてまいりました。

 その結果、みどりの学術賞受賞者として、公益財団法人 都市緑化機構 代表理事・理事長の輿水肇博士と、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 本部総括調整役(兼)農業情報研究センター主席研究員の矢野昌裕博士の2名を推薦することに決定いたしました。

 輿水博士は、造園緑地の分野で、屋上緑化や埋立地緑化などの都市の人工地盤緑化における技術を確立するとともに、その研究成果が「緑化事業における植栽基盤整備マニュアル」としてまとめられ全国の造園工事のスタンダードとして応用されるなど、わが国の造園緑地分野全体の発展に大きく貢献されました。

 矢野博士は、育種の分野で、イネについて複雑な遺伝子ネットワークの解析に世界に先駆けて取り組み、開花調節の鍵遺伝子など数多くの重要遺伝子を発見し、その研究成果がイネ新品種の開発などに応用されるなど、植物の基礎科学や食料生産の基盤形成に大きく貢献されました。

 いずれも、学術的な観点から極めて優れた業績であり、人類と「みどり」との関わりについて深く追求され、「みどり」を活かして暮らしていく未来を示された研究として高く評価いたしました。

 両博士におかれては、みどりの学術賞受賞を契機として、さらに「みどり」に関する知を深めて頂きますとともに、持続可能な未来社会の基盤となる「みどり」に関する知を国民の方々に一層深めて頂くことを強く期待いたします。

 以上をもちまして、選考経過の報告とさせて頂きます。