受賞者代表挨拶


第11回みどりの式典 受賞者代表挨拶

丸田 頼一 千葉大学名誉教授

 天皇皇后両陛下、ご臨席の皆様

 新緑の美しいこの季節に、天皇皇后両陛下ご臨席のもと、第11回みどりの学術賞を授与していただき、また、緑化推進運動功労者として表彰していただきましたこと、一同を代表してお礼のご挨拶を申し上げます。

 私どもは、それぞれが専門とする分野において国土や都市の緑化に取り組んでまいりましたが、地球環境の保全の観点のみならず、都市のヒートアイランド現象の緩和の面からの努力も大変重要です。
 1901年から2000年までのわが国の気温変化を見ますと、全国の大都市6か所の年間平均気温は、過去100年間で2.5度上昇しており、なかでも東京は3度と高く、ニューヨークですら1.6度であることをふまえますと、我が国の現状は、ヒートアイランド現象というより、熱汚染の表現が適当ではないかと思えるほどです。
 今後、各都市において、ヒートアイランド現象の大幅な緩和に向けて、夏を中心により多くの市民が緑や水からの空気の流れを享受できるように、芝生、水面や樹林等からなる都市のオアシスとも言われる大規模な公園等を市街地周辺に増やし、それらからの蒸発散作用による低減効果に期待することが特に望まれます。

 一方、学術賞受賞者の沈建仁先生は、「光化学系Ⅱ」というタンパク質複合体について、これまで明らかにされていなかった原子レベルでの構造を明らかにすると共に、「光化学系Ⅱ」を模倣した触媒の開発に道を拓くなど、基礎科学としての光合成研究にとどまらず、太陽光エネルギーの人工利用の実現に向けた研究の進展にも大きく貢献されています。

 また、緑化推進運動功労者の皆さんは、それぞれの地域で、長年にわたり、みどり豊かな自然を守り、また作り出すことに努力して来られました。
 私たち一同は、今回の栄誉を励みとして、自然と人間との上手なつきあい方を模索しながら、みどり豊かな自然を守り、創出していくことに尽力する所存です。

 私たちの研究や活動は、多くの方々に支えて頂いたおかげだと思います。この場をお借りして、心よりお礼申し上げます。
 本日は誠にありがとうございました。