受賞者代表挨拶


第4回みどりの式典 受賞者代表挨拶

黒岩 常祥 立教大学理学研究科特任教授、東京大学名誉教授

 天皇皇后両陛下、ならびにご臨席の皆様、

 新緑が、眩しく輝くこの季節に、天皇皇后両陛下のご臨席のもと、「みどりの学術賞」を授与していただき、また「緑化推進運動功労者」として表彰していただき誠に有難うございました。一同を代表し、一言お礼のご挨拶を申し上げます。

 現在、地球上には2000万種を越える生物が、生息していると言われておりますが、このような生命あふれる地球を作り出し、更に30億年という長い間、その地球環境を維持してきたのは、植物の「みどり」の力であります。

 植物は、太古の昔、藻類として生まれ、海洋に広く繁茂し、その一部は陸地に進出し、草や木、森林となって全世界を覆っています。こうした植物は、光合成により、二酸化炭素を吸収し、地球温暖化を防ぐとともに、酸素と有機物を作り出し、地球上のあらゆる生物の生存を支えています。私たちも、また、これらを水産資源や穀物などの食料、医薬品、バイオエネルギーなどに利用し、さらに「みどり」の景観は、心を豊かにし、和ませてくれます。私たちは、日々、このような「みどり」の力の恩恵に与りながら過ごしております。

 しかしながら、過去2世紀の間、人類は急増する人口を支え、近代社会を発展させるために、大量の樹木を伐採し、また植物が貯めこんできた化石資源を利用し続けてきました。これが温暖化を加速し、「みどり」の地球環境を痛め、砂漠化、海面上昇など、負の事象を招来してきたことは否めません。こうした環境を改善し、「みどり」の持続社会を維持するために、植物の科学と保全の果たす役割は極めて重要です。

 私たち一同は、今日頂いた栄誉を励みとして、今後も地球規模での視点に立った、独創的な、創意工夫に基づいた研究や技術開発を進め、みどりの再生、保全を行い、豊かな地球環境を取り戻していく決意でおります。

 この度、私たちの研究や活動が栄誉を受けることになりましたが、これは、これまで共に励んできた多くの仲間や関係各位のご協力、研究への支援があって初めてできたことであり、この場をおかりして、受賞者、表彰者を代表し、皆様に心よりお礼を申し上げます。

 本日は誠にありがとうございました。