第76回 食品表示部会 議事録
日時
2025年1月30日(木)16:00~18:31
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- 【委員】
- 今村部会長、中田部会長代理、穐山委員、阿部委員、小川委員、笠岡委員、川口委員、河野委員、菅委員、鈴木委員、田中委員、前田委員、森田委員
- 【消費者庁】
- 井上審議官、清水食品表示課長、坊衛生調査官、京増食品表示調査官、斉藤課長補佐、宇野課長補佐
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官
議事次第
- 開会
- 食品表示基準の一部改正に係る審議
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:103KB)
- 【資料1】 内閣府令案 新旧対照条文(PDF形式:1315KB)
- 【資料2】 栄養強化目的で使用した添加物の表示について(PDF形式:482KB)
- 【資料3】 栄養成分表示に関する改正案について(PDF形式:1198KB)
- 【資料4】 個別品目の表示のルールの見直しについて(PDF形式:2612KB)
- 【資料5】 パブリックコメントで寄せられた主な意見(PDF形式:176KB)
※【資料5】については一部修正がありましたので、1月31日に差し替えしました。
《1.開会 》
○友行参事官 時間となりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様お忙しいところ御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
ただいまから「消費者委員会第76回食品表示部会」を開催いたします。
本日は、今村部会長、中田部会長代理、阿部委員、小川委員、笠岡委員、川口委員、河野委員、菅委員、田中委員、前田委員には会場にて、穐山委員、鈴木委員、森田委員にオンラインで御出席いただいております。なお、御都合により、監物委員が御欠席されておりますが、過半数に達しており、定足数を満たしていることを御報告いたします。
また、本日の議題の対応のため、消費者庁から井上審議官、清水食品表示課長に御出席いただいております。誠にありがとうございます。
本日、報道関係者のみ会議室にて傍聴いただき、一般傍聴者にはYouTubeによりオンラインにて視聴いただいております。
議事録につきましては、後日、消費者委員会のホームページにて掲載いたします。議事録が掲載されるまで、YouTubeでの見逃し動画配信を行います。
次に、本日お配りしております資料は、議事次第に記載しておりますとおり資料1から5、参考資料1と2となっております。
もし不足の資料がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
なお、会議資料の御送付につきまして、誠に遅くなりましたことを消費者委員会事務局としておわび申し上げます。
それでは、ここから、今村部会長、以降の進行をお願いいたします。
《2.食品表示基準の一部改正に係る審議 》
○今村部会長 今村です。今日はよろしくお願いいたします。
本日の議題は、食品表示基準の一部改正についてであります。昨年12月25日に参考資料1のとおり内閣総理大臣から消費者委員会に対し、食品表示基準の一部改正についての諮問がなされました。栄養成分表示についてと個別品目の表示のルールの見直しについてということで、この二つの点について諮問をいただいたわけであります。当部会では、消費者庁から諮問事項について御説明をいただきまして、改正案が適切かどうかの審議を行いたいと思います。
それでは、消費者庁より、パブコメの結果も含めて50分程度で、ちょっとたくさんあるのですけれども、ぜひ時間を50分程度で御説明をお願いしたいと思います。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 消費者庁食品表示課の宇野と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、改正事項の一つ目ですが、栄養強化目的で使用した添加物の表示について御説明をいたします。5月の部会でも御説明をしておりますけれども、加工食品を製造するときに使われた添加物というのは必ず表示義務が課されますが、一部はその表示の省略を認めておりまして、一つが栄養強化目的で使用した添加物となっております。これらについて表示をさせるという方向での食品表示基準改正となっておりまして、資料2の4ページを見ていただきますと、令和元年度の検討会で当時の添加物表示制度の関心事項の中で赤枠で囲っている部分として抽出されておりました。この当時の検討会で、原則全ての加工食品に表示する方向で検討するということがまとめられておりまして、それを踏まえて、資料の5ページ、6ページですが、消費者の意向ですとか事業者への実態調査を行い、それを踏まえた改正となっております。
7ページですけれども、食品表示基準の中で表示を省略することができるという記述を食品表示基準第3条、また別表第4、別表第24の中から削除するという改正となります。
続いて、資料5ですけれども、パブリックコメントで寄せられた主な意見としましては、「2.寄せられた御意見」の中の(1)と3ページの(4)経過措置期間関係の④が栄養強化目的添加物に関する御意見でした。
以上となります。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 続きまして、同じく食品表示課の斉藤から御説明させていただきます。資料3に基づき御説明させていただきます。私からは、栄養成分表示に関する改正案について御説明いたします。
まずは3ページを御覧ください。栄養成分表示に関する改正案ということで主に三つございます。一つは別表第9の関係で、食物繊維における許容差の範囲の見直し及びビタミンB群における測定方法の追加でございます。
ページが飛びまして、8ページをお願いいたします。食物繊維の許容差の範囲について、昨年度、全国7か所の分析機関に協力を仰ぎまして、9種類の栄養成分に関する分析方法の測定誤差の検証を行いました。食物繊維については低含有量である場合、大きな試験間誤差が生じていることが分かりましたので、許容差の範囲の見直し、ゼロと表示することができることを別表第9に規定することを改正予定としております。
9ページをお願いいたします。栄養成分の分析、測定方法及び算出方法について、令和2年に調査事業を実施しまして、ビタミンB群の高速液体クロマトグラフ法については詳細な分析方法、いわゆるバリデーションの確認をした上で追加することとしてはどうかと御意見をいただいておりました。昨年度までにビタミンB群の幾つかについて、高速液体クロマトグラフ法のバリデーションが確認できたので、別表第9に高速液体クロマトグラフ法を規定していくというような改正案となっております。
次に11ページを御覧ください。別表第10関係になります。栄養素等表示基準値が規定されておりますが、昨年、日本人の食事摂取基準(2025年版)が公表されましたので、それを受けて改正をしていくものになります。
実際の改正案が18ページになってございます。こちらに書かれております赤字の部分の案の数字に変えていくという改正でございます。全て食事摂取基準を受けて計算をした値になっております。
マンガンについて、パブリックコメントと当初お送りいたしました諮問の文書から漏れていましたので、併せて御説明させていただきます。マンガンにつきましても、3.8から3.2に変わります。
最後に、栄養強調表示になります。栄養素等表示基準値を改正する際に、最後のページになりますが、栄養素等表示基準値に基づき算出される栄養強調表示の規定、別表第12にございますが、そちらも併せて改正するというものでございます。
パブリックコメントで寄せられた主な意見については資料5をお願いいたします。資料5の「2.寄せられた御意見」の(2)「栄養素等表示基準値等の改正」関係の①から、1枚おめくりいただいて⑤までが栄養素等表示基準値に関する御意見になります。
また、2ページ目に戻っていただいて、栄養素等表示基準の改正の中の⑤のところで誤植がございましたので、修正をお願いいたします。「頻繁な変改正」の「変」が入っておりましたので、「改正により消費者の混乱を招くおそれ」となりますので、その点も補足させていただきます。
最後、繰り返しになりますが、(4)の経過措置期間の⑤についても、栄養素等表示基準値に係る経過措置期間についての御意見が寄せられておりました。
以上でございます。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 引き続き、個別品目ごとの表示ルールの見直しについて、資料4に基づき御説明させていただきます。
個別品目ごとの表示ルールの見直しということなのですけれども、こちらにつきましては、めくっていただきまして1ページ目でございます。基本的には、消費者基本計画工程表におきまして、合理的かつシンプルで分かりやすい食品表示制度の在り方について、国際基準との整合性も踏まえながら、有識者から成る懇談会において順次議論していくとされたことを踏まえまして、消費者庁としましては、食品表示懇談会を立ち上げて、今後の食品表示が目指していく方向性について中長期的な羅針盤となるような制度の大枠を議論したところでございます。
その取りまとめにおきまして、(2)個別品目ごとの表示ルールにつきましては、横断的な基準に合わせる方向で見直すことを基本としつつ、食品ごとの個別の事情や制定の経緯、消費者の要望等を踏まえながら検討していくという取りまとめがされたところでございます。この取りまとめに基づきまして、食品表示懇談会としましては、食品表示懇談会の下に分科会を設けて議論していくという方針になったところでございます。
次のページをお願いいたします。この個別品目ごとのルールの見直しの分科会につきましては、令和6年度から開催しておりまして、品目ごとに業界等からの要望を懇談会において聴取し、具体的な改正内容の検討を行っているところでございます。
次のページをお願いいたします。具体的なメンバー等々はこちらになっておりまして、横断的な基準に合わせる方向で見直すことを基本としつつ、先ほどありましたとおり、食品ごとの個別の事情等々を踏まえながら検討しているところでございます。スケジュール的には、今年度5月から、年内は11月まで終わったところでございます。
次のページをお願いいたします。個別品目ごとの表示ルールの見直しの考え方ということでございます。食品表示基準の別表で規定されている個別品目ごとのルールにつきましては、もともとJAS規格に表示基準があった時代から、まがい物の防止や消費者への情報提供の観点からその役割を果たしてきましたが、全ての加工食品に表示基準が策定されたことから、そもそも個別品目ごとに表示基準を定めておく必要があるのかどうか、時代とともにその役割が終了しているものもあるのではないかというところで見直しているところでございます。その中で、基本的には品目ごとに関係する業界団体からヒアリングを行って、ルールの要否や改正の必要性について検討するという形でございます。
このヒアリングにつきましても、個別品目ごとの表示ルールの事項ごとに必要性の有無を確認し、残す場合、改正する場合は合理的な必要性を確認するという形でやらせていただいております。
次のページをお願いいたします。加工食品の表示基準の変遷でございますけれども、そもそもなぜ個別品目ごとにルールがあるのかというところでございます。こちらにつきましては、昭和25年頃に、JAS法が制定されまして、そのときにJAS規格の一部として表示基準を規定しております。したがいまして、JAS規格ですから品目ごとに規格がありまして、規格がある品目ごとに表示基準があったという形でございます。その後、昭和45年頃から、今までJAS規格の一部、JAS規格品のみ表示基準があったものを、品質表示基準を定めて、基本的にはJAS格付品以外についても表示基準を定めたところでございます。したがいまして、こちらについても、まだこの時代は個別品目ごとに表示基準があったところでございまして、今回見直しているものにつきましては、横断ルールに合わせるということでございますけれども、基本的には横断ルールのほうが後にできているという形でございます。
横断ルールができたのはいつかということでございますけれども、こちらは平成11年でございまして、品質表示基準の対象を全ての農林物資に拡大して、このときに全ての加工食品に表示のルールができたという形でございます。その際に、個別にもともとあったルールをどうするのかということを議論はされているのですけれども、基本的には個別にあったルールはそのまま存置して、個別の食品ルールについてはそのままという形でございます。
その後、平成25年から食品表示の一元化がございまして、食品表示法制定、平成27年に食品表示基準が施行されておりますけれども、その際にも、基本的に個別のルールにつきましては別表に残すという形で今の食品表示基準に統合されているところでございます。
次のページをお願いいたします。こちらにつきましては、食品表示基準、公正競争規約、JAS規格の違いでございます。簡単に説明しますと、食品表示基準というのはそもそも国のルールでございますので、全ての食品関連事業者が遵守する義務表示を規定する制度でございます。したがいまして、食品表示基準に従っていない表示をした場合は罰則等が伴うという形でございます。
次に、公正競争規約につきましては、業界団体が自主的に表示する事項を制定する制度でございますので、公正競争規約に参加している事業者にのみ適用される業界の自主ルールでございます。
最後に、JAS規格につきましては、品質の規格を満たしたものに対してJASマークを付す制度でございますので、あくまで今のJAS規格については、表示の制度ではなくて、品質の規格を定めている制度でございます。
次のページをお願いいたします。このページと次のページが食品表示基準で個別のルールがあるものについて、公正競争規約、JAS規格との関係をまとめた表でございます。このほかにJAS規格だけあるもの、公正競争規約だけあるものもございますけれども、基本的にはこちらの表は、食品表示基準があるものについてまとめているものでございます。
11ページをお願いいたします。こちらにつきまして、個別品目ごとにどういうルールがあるのか、どういう品目があるのかということをまとめた資料でございます。11ページ、12ページでまとめてございます。基本的には、例えば一番上にあるベーコン類でございますと、定義があって、名称に個別のルールがあって、原材料名にも個別のルールがあって、添加物にも個別のルールがある。そのほか内容量については個別のルールはなくて、名称規制という形で個別のルールがある。そのほか表示禁止事項に個別のルールがあるという形で、個別の品目ごとにルールがあるもの、ないものがございます。
13ページをお願いいたします。個別の品目一つ一つごとに、どうしていくのかということを分科会で議論していただきまして、第1回から第7回までの議論を行った結果、取りまとまった内容が13ページ、14ページでございます。こちらの中でバツ印があるものについては、項目ごと廃止したもの。三角の場合は、残ってはいますけれども、修正したもの。黒丸は維持しているものでございます。そのほか灰色のところについては、そもそもルールがないものでございます。
こちらについて第1回から第7回までの議論を行った結果を簡単に御説明いたしますと、完全に廃止した品目で、全ての項目を廃止した品目が「調理冷凍食品」、「チルドハンバーグステーキ」、「チルドミートボール」、「チルドぎょうざ類」、「炭酸飲料」、「即席めん」、「うにあえもの」となっております。こちらにつきましては個別の品目ルールそのもの自体を廃止しているものでございます。
そのほか、議論を行った結果、定義、名称は維持したいという要望を上げられた団体が多かったという形でございますので、基本的に定義、名称については維持しているものが多く、完全廃止されているものはあまりなく、一部修正で残っているものや維持しているものが多いという形でございます。
原材料名につきましては、横断ルールであれば、使用した原材料を使用した量が多い順に表示するというようなルールでございますので、横断ルールでも対応可能だということで、基本的に原材料名のルールにつきましては廃止しても問題ないということで、廃止するというところが多くなってございます。
品目の特性に応じて、語句の修正であったり、品目ごとに横断ルールにはない個別の表示事項が定められているものについては、その一部については残したいという意見があったところでございます。
とはいえ、特定の品目だけ義務を課しているものにつきましては、ヒアリング内容等を踏まえまして、横断的な基準に合わせる方向で基本的には整理しているところでございます。
続きまして、15ページを御覧ください。13ページ、14ページのものが現在までに終わったものでございまして、個別品目にルールがあるものは42品目あるのですけれども、15ページのものについてはまだ検討されておらず、残っているところでございます。今回諮問させていただいているところにつきましては、13ページ、14ページに記載させていただいている年内に議論が終わったものになります。この議論が終わったものについて、消費者庁のほうで改正案をまとめさせていただいて、ヒアリング内容に応じた改正案を作成させていただいて、諮問させていただいているという形でございます。もちろん残りにつきましても、今年度3月までと、あと来年度に議論していく予定としているところでございます。
次に16ページをお願いします。具体的にどういう規制があって、残っているものはどういうもの、廃止したものはどういうものかというのを御説明したいと思います。
例えば16ページであれば、維持の例ということで、「みそ」を挙げております。「みそ」につきましては、基本的にルールとしては別表3の定義があって、別表4に名称と原材料名の規定があって、別表5に名称規制がございます。「みそ」につきましては、定義については現状維持でございまして、「みそ」の定義は、次に掲げるものであって、半個体状のものをいう。大豆若しくは大豆及び米、麦等の穀類を蒸煮したものに、米、麦等の穀類を蒸煮してこうじ菌を培養したものを加えたもの又は大豆を蒸煮してこうじ菌を培養したもの若しくはこれに米、麦等の穀類を蒸煮したものを加えたものに食塩を混合し、これを発酵させ、及び熟成させたもの。これに砂糖類、風味原料等を加えたものとなっております。
したがいまして、「みそ」につきましては、大豆が必須原料となっておりまして、大豆を使っていないものは、定義上は「みそ」ではないという整理になっているところでございます。業界からしますと、外国に似たような発酵食品があるのですけれども、大豆を使っていない発酵食品も「みそ」として販売されることは日本の伝統食品としてどうなのかということで、こちらについてはしっかり定義を残した上で、「みそ」の名称と名称規制を維持する。要するに、こちらの名称規制があることによって、定義に当てはまっているもの以外にこの名称が使えないという形でございますので、例えば大豆を使っていない「米みそ」のようなものに対して、「米みそ」という名称を表示することはできないということになります。業界からはそういったルールはしっかり残してほしいという御意見があり、分科会で議論した結果、「みそ」については、定義、名称、名称規制をしっかり残していくという方針になったところでございます。
次のページをお願いいたします。17ページ、「レトルトパウチ食品」の例示でございます。「レトルトパウチ食品」については一部修正、廃止がございます。
「レトルトパウチ食品」は、使用する原材料により表示できる名称が規定されておりますが、同じ原材料を使用していても、レトルトパウチ食品の定義に当てはまらない場合は、横断ルールによって一般的名称を表示することができるため、商品の実態に沿った名称の表示が可能となってございます。
例えば、現在の「レトルトパウチ食品」の定義につきましては、プラスチックフィルム若しくは金属はく又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形状に成形した容器(気密性及び遮光性を有するものに限る。)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものをいうという形でございます。要するに、気密性及び遮光性を有した容器に詰めて、加圧加熱殺菌したものをレトルトパウチ食品と言うという形でございます。
名称の個別のルールとしましては、パスタソースについては「パスタソース」と表示する。ただし、食肉を原材料として使用したものであって臓器及び可食部分、魚肉並びに肉様植たんを使用していないものにあっては、「ミートソース」と表示するという規定がございます。
「レトルトパウチ食品」は、容器によって定義を決めているところでございまして、例えば、レトルトパウチ食品、加圧加熱殺菌している食品につきまして、レトルトパウチ包装、遮光性がある包装と遮光性がない包装というものがございます。遮光性があるものについてはこの定義に当てはまるため、食肉を原材料として使用したものについては、名称は「ミートソース」と表示する必要がございますけれども、遮光性がないもの、いわゆる透明パウチと言われるものですけれども、そういったものにつきましては定義に当てはまらないため、横断ルールが適用され、名称は、一般的な名称で表示することができますので、それに合わせたような表示ができることになります。例えば和風味のミートソースという商品があったとして、基本的にミートソースというものにつきましては、従来のトマトをベースとしたものにひき肉が入っているものというのが一般的な感覚なのかなと思いますけれども、そのようなもの以外のお肉を使ったパスタソースができたとしても、現行の規定であれば「ミートソース」と表示しなければならないという規定になっており、自由度がないところでございます。
そのほか定義につきまして、18ページでございます。現行、「レトルトパウチ食品」については遮光性を有するものに限るという定義になっておりますけれども、食品衛生法の「食品、添加物の規格基準」におきまして、「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」というものが別途ございます。こちらの定義につきましては、食品を気密性のある容器包装に入れ、密封した後、加圧加熱殺菌したものでございます。ただし、内容物が油脂の変敗による品質の低下のおそれのない場合については除くという規定がございまして、②に外包装等により遮光の措置及び容器包装内への酸素の透過を防止する措置が講じられている場合については、容器そのものに遮光性がない場合にあっても、気密性のある容器包装とみなされるとされております。このことによりまして、現行、「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」と「レトルトパウチ食品」の定義が微妙にずれているところでございます。
次のページをお願いいたします。定義がずれていることによって何が起こっているのかということでございます。19ページでございます。「レトルトパウチ食品」というのは、左側の例にあるように、アルミパウチのものが一般的なものでございます。ただ、現在、このアルミパウチのもの自体は電子レンジで使えませんので、アルミレスパウチ、右側の透明パウチのものが商品としては主流となっているところでございます。
先ほどの「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」の定義に当てはまるのは、アルミパウチのもの、アルミレスパウチのもの、両方とも「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」になるのですけれども、「レトルトパウチ食品」の定義においては、左側のアルミパウチのものしか該当しないという形でございます。「レトルトパウチ食品」には、個別の食品表示のルールがございますので、同じ内容物であったとしても、左側のアルミパウチのものと右側のアルミレスパウチのものの表示が異なっているというのが現状でございます。
それを踏まえまして、20ページでございます。業界案としまして、「レトルトパウチ食品」の定義を「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」の定義と合わせてほしいという改正要望がございました。したがいまして、基本的には、「レトルトパウチ食品」の定義を先ほどの「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」の定義と同様の形に修正するということでございます。
別表3の「レトルトパウチ食品」の修正案について、「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」の定義と合わせてほしいという要望があったことについて分科会で議論したところ、この定義については合わすべきだろうという形で議論されているところでございます。
そのほか個別のルールとして、「レトルトパウチ食品」も名称、先ほどのパスタソースのような規定もございましたけれども、そういったものについては廃止するという形でございます。「パスタソース」という名称を決める必要はなく、自由で一般的な名称で表示すればいいのではないかということで廃止するということでございます。「レトルトパウチ食品」には、主にこのような改正が行われているという形でございます。
続きまして、21ページでございます。こちらは廃止の例として「マーガリン類」を挙げさせていただいております。こちらにつきましては廃止の例ということで、「マーガリン」の原材料の規定を廃止したということでございますが、「マーガリン」の定義等々は残ってございます。
「マーガリン」の原材料名につきましては、基本的には、使用した原材料を、次の一及び二の区分により、それぞれ一及び二に定めるところにより表示するという形でございまして、一で油の書き方、二でそれ以外の書き方を定めているのですけれども、一及び二の区分によって、油とそれ以外の多いほうを先に書いて、残りを後に書くというのが、現行の個別のルールになっているところでございます。したがいまして、場合によっては、今の表示自体が横断ルールの原則である重量順になっていないものもございます。そういったものについて、消費者から見ると重量順でないものは分かりにくいのではないかということでございまして、議論した結果、「マーガリン類」の原材料名については、横断ルールに合わせて廃止するという形でございます。
次に、22ページでございます。廃止の例として「パン類」の原材料名を挙げさせていただいております。「パン類」については、使用した原材料を、原材料に占める重量の割合の高いものから順に、「小麦粉」、「食塩」、「砂糖」、「ショートニング」、「シナモン」等とその最も一般的な名称をもって表示する。ここまでは基本的に横断ルールと変わらないのですけれども、「ただし、砂糖その他の砂糖類にあっては「砂糖類」又は「糖類」と、シナモンその他の香辛料にあっては「香辛料」と表示することができる」というただし書きがございます。こちらについては、横断ルールにないルールを採用してございます。例えば、「パン類」の表示例を左側に表示させていただきましたけれども、この個別ルールを適用しますと、「小麦粉、バター、糖類、卵、クリーム、脱脂粉乳、パン酵母、食塩、植物油脂、全粉乳、その他」という形で重量順に書きつつ、砂糖類についてはまとめて糖類とだけ書けるというルールでございます。ただし、横断ルールにおきましては、糖類をまとめて「糖類」とのみ書いていいというルールはございませんので、基本的には、そのほかにもありますけれども、「パン類」については、糖類とのみしか書かれていないのが現状でございます。
したがいまして、横断ルールと比べますと情報量も減っておりますし、そういった点も踏まえまして、業界としては、原材料名については横断ルールで今後やっていくということでございまして、原材料名を廃止するというのが業界の意見でしたので、分科会においても、「パン類」の原材料名については廃止するというところで取りまとめております。
「パン類」の原材料名を廃止することによって、今後どうなるのかというのがパターン①、パターン②でございます。今まで「糖類」とのみしか書かれていなかったものが、例えば「小麦粉、バター、糖類(砂糖、異性化液糖、水あめ)」と表示されたり、糖類でまとめなかった場合については、そのとおりに使われたものをばらして、「小麦粉、バター、砂糖、卵、クリーム、脱脂粉乳、異性化液糖、パン酵母、食塩、植物油脂、水あめ、全粉乳」というような形の表示に変わるということでございます。
続きまして、23ページでございます。こちらについては原材料名の廃止の例として、ぎょうざを挙げさせていただいております。ぎょうざにつきましては、基本的に同じ原材料を用いた製品であっても、現在、保存温度、流通形態によって原材料名の表示方法が異なっているところでございます。例えば冷凍ぎょうざの場合につきましては、調理冷凍食品に該当しますので、個別ルールに従い表示することになってございます。原材料名につきましては、皮以外の原材料と「皮」の重量を比較して重たいほうを先に書いて、軽いほうを後に書くという形でございます。通常、皮より中身の具のほうが重たいですので、要するに皮以外の原材料をまず先に全部書いた上で、皮の原材料を書くというのが冷凍ぎょうざのルールになっています。
そのほか、チルドぎょうざ。冷蔵温度帯のぎょうざでございますけれども、こちらにつきましては、「食肉」、「魚肉」、「野菜」、「つなぎ」、「皮」、「その他」で比べて重たい順に書くという形でございます。したがいまして、この例であれば、野菜が一番重たいので野菜がまず来て、その次に皮の重量が来る。その後に食肉、豚肉が来て、そのほかのものが来て、つなぎが来るという形で書かれてございます。
そのほか、調理冷凍食品にもチルドぎょうざ類にも該当しないものについては、横断ルールで表示することになり、使用したものを重量順に書くというルールでございますので、そういった形で重量順に表示されています。
ちなみに、こちらに挙げている例につきましては、全て同様の原材料を使用した同じぎょうざということで資料を作成させていただいておりますので、同じぎょうざなのですが、保存温度帯、流通温度帯によってルールが全く異なっているということでございます。
こちらについては、そもそも保存温度帯によって、要するに冷凍食品かチルドかそれ以外かによって表示ルールが違うことに対する合理的な理由もないですし、逆にそういったことで消費者にとっても分かりにくいであろうということでございまして、調理冷凍食品やチルドぎょうざについては、個別ルールを全て廃止という形で分科会としては取りまとまっているところでございます。
次のページをお願いいたします。24ページは内容量を維持した例でございます。「レトルトパウチ食品」の例でございますけれども、「レトルトパウチ食品」につきましては、内容量に個別のルールがございまして、横断ルールでは、第3条第1項の表の内容量又は固形量及び内容総量の項、こちらが通常の横断ルールでの書き方でございます。横断ルールに定めるほか、ソースを加えたものにあっては、内容重量及びソースを除いた固形量をグラム又はキログラムの単位で、単位を明記して表示するという形でございます。したがいまして、「レトルトパウチ食品」につきましては、ソースを加えたものについては、ソース込みの重量、全ての内容総量と固形量を両方書いてくださいというルールになってございます。
横断ルールでは、固形物に充塡液を加え、缶又は瓶に密封した場合、固形量と内容総量を両方表示するルールになっていますが、一方、「レトルトパウチ食品」のソースについては、充塡液のような表示ルールが明確に定められておりません。ただ、「レトルトパウチ食品」のソースと具が入ったものについては固形量が分からないので、消費者的には、ソースと固形量がどれぐらいなのかということが分かるような形で書かれている方が分かりやすいのではないかということで、こちらについては残すという形で取りまとまりましたので、維持の例として挙げております。したがいまして、「レトルトパウチ食品」の内容量の規定については、存続するという形で取りまとめられております。
続きまして、25ページ、「即席めん」の内容量の例でございます。こちらにつきましては、「即席めん」も内容量を別に定めていたという形でございまして、先ほどと同様に、横断ルールに定めるほか、添付調味料又はかやくを添付したものにあっては、内容重量及びめんの重量をグラムの単位で単位を明記して表示するというルールがあったところでございます。ただ、先ほどの「レトルトパウチ食品」と異なり、「即席めん」については廃止という形でございます。こちらにつきましては、横断ルールにおいては内容重量を記載することのみが規定されておりますけれども、一方、「即席めん」は計量法における特定商品「めん類」に該当しますので、めんの重量におきましては、計量法において必ず記載することが規定されておりますので、そもそも食品表示基準の個別のルールに定めなくても、めんの重量は書かれるという形でございますので、そもそも個別の規定がなくても変わらないのであれば、そもそも個別規定を存置しておく理由はないのではないかということで、廃止という形でございます。こちらについては廃止されても別に特段表示が変わるわけではなく、今までどおりめんの重量は表示されるというということでございます。
続きまして、26ページ、追加的な表示事項の廃止の例として冷凍のえびフライでございます。調理冷凍食品には、冷凍の魚フライについては、個別のルールとして、衣の率が重量の50パーセント、油で揚げたものは60パーセントを超える場合については、衣の率を表示する義務がございます。冷凍の魚フライにこの規定がございますけれども、基本的にはこういった形で衣の率を50パーセント超えたもの、油で揚げたものについては60パーセントを超えたものとなっており、コロッケやいかフライなど微妙に数字が違うものもございますけれども、こういったものについては衣の率を表示するという表示義務がありました。
そのほか、27ページにも追加的な表示事項の廃止の例でぎょうざが挙がってございますけれども、こちらについても調理冷凍食品の冷凍ぎょうざやチルドぎょうざについては皮の率の表示義務がございます。一方で、総菜のぎょうざには表示義務がないという形でございまして、皮の率を書くというようなルールが冷凍ぎょうざやチルドぎょうざにはあったという形でございます。
ただ、こちらにつきましては、先ほども説明しましたけれども、分科会の議論におきまして、そもそもなぜ調理冷凍食品とチルドぎょうざにのみこういったルールがあって、そのほかのものにはないのかという合理的な理由もなく、そもそも基準があったりなかったりするほうが消費者にとっては分かりにくいのではないかということで、調理冷凍食品、チルドぎょうざについては、こういった規定を含めて全て廃止するという形で取りまとまっているところでございます。
次に28ページでございます。こちらも追加的な表示事項の廃止の例で「ハンバーグステーキ」を挙げさせていただいています。「レトルトパウチ食品」のハンバーグは、食肉の重量割合が40パーセント未満である場合、食肉の含有率を表示することが義務付けられているところでございます。端的に申しますと、「レトルトパウチ食品」のハンバーグにつきましては、食肉の割合が40パーセント未満である場合には割合を書いてくださいという個別のルールがあったということです。ただ、ハンバーグですので、基本的には食肉の割合がそもそも40パーセントを下回っているようなものはほとんどありません。こちらに例で挙げさせているのはベビーフードになりますが、こちらにつきましては、食肉だけではなくてほかの食品、バランスを考慮して設計されたベビーフードであることから数値規定を下回るような食品が存在しておりますけれども、通常の食品には見られません。また、そもそもとして40パーセント未満であれば書くというルールなのですけれども、なぜ40なのかというところも規定としてはよく分からないですし、基本的にはほぼないというところと、なぜ「レトルトパウチ食品」にのみこういう規定があるのかもなかなか説明ができないということで、この規定については廃止していくという形でございます。
また、食肉の配合割合自体を規定しておりますが、この規定ができた当初、昭和の時代であれば、そもそも食肉がたくさん入っているほうが品質がいいというところがあったのかもしれませんが、現代において、別に食肉がたくさん入っているから品質がいいというわけでもございませんので、このような時代に合わないような規定については廃止すべきという形で分科会においては取りまとめられたところでございます。
続きまして、29ページ。追加的な表示事項の維持の例としてジャム類でございます。ジャム類につきましては、糖用屈折計の示す値が60ブリックス度以下のものについては、「開封後は、10℃以下で保存すること」等と表示するという個別のルールがございます。簡単に言いますと、糖度が60ブリックス度以下のものについては、開封後は10℃以下で保存してくださいねということを明確に表示してくださいということでございます。こちらにつきましても、基本的にはジャムというのは糖度が高いもの、糖度が60を超えているものが大半でございますけれども、いわゆる低糖度のジャムと言われるものについては60ブリックス度以下のものもございます。そういったものについては、通常、糖度が高ければかび等も生えないのですけれども、かび等も生えたりしますので、開封後は冷蔵でしっかり保存してくださいということを注意喚起する必要があることから、こういった表示義務が課せられております。基本的にこういった消費者の安全に関わるような表示については維持するという形で分科会において取りまとめられておりますので、ジャムの60ブリックス度以下のものについて「開封後は、10℃以下で保存すること」等と表示することについては、維持されているという形でございます。
30ページをお願いいたします。こちらも維持の例ということで、農産物缶詰及び瓶詰の使用上の注意でございます。農産物缶詰及び農産物瓶詰については、使用上の注意として、内面塗装缶以外を使用した缶詰については、「開缶後はガラス等の容器に移し換えること」等と表示するというルールがございます。要するに、内面塗装缶以外の缶詰につきましては、開けたらほかの容器に移してくださいということを表示することを義務付けているところでございます。こちらにつきましては、内面塗装缶以外の缶詰自体を使用したものについてという限定でございます。内面塗装缶以外を使用した缶につきましては、内面が塗装されていませんので、基本的に錫自体がそのままむき出しになっているという形でございます。農産缶におきましては、缶詰製造時に缶詰中の酸素を除去するのですけれども、完全には除去されないために、内容物である果物は、そのまま残っていると酸素により褐変することになるのですが、錫がむき出しであれば、酸化還元作用がありますので、缶詰の中に残っている酸素を錫が先につかまえて酸化してしまいますので、果物の褐変を防ぐことになることから、農産缶については内面塗装缶以外の缶詰を使用しているものが多いという形でございます。ところが、内面塗装缶以外の缶を使用したものについては、缶に入れたままにしておくと、使われている錫が溶出してしまいます。錫は吸収されずそのまま出てきますので、健康に影響があるわけではないのですが、健康に影響がないという言い方はあれですけれども、おなかを壊す等の症状は出ますので、そういった観点から表示が必要であるということで、こちらについても表示は維持する形で取りまとまってございます。
続いて、31ページでございます。「レトルトパウチ食品」には調理方法の表示義務がありますけれども、基本的には廃止の例として挙げさせていただいております。こちらにつきましては、「レトルトパウチ食品」においては、調理方法を表示するという規定がございます。下の例のように書いてございます。ただ、これにつきましては「レトルトパウチ食品」にのみ書かれているものではなく、横断ルールのカレールーであっても、調理方法自体は事業者としては伝えたい内容ですので表示されております。食品表示基準は義務表示の制度でございますので、基本的に義務表示というのは、義務をかけないと事業者が守らないようなことに対して義務をかけるということでございます。義務をかけなくても皆さんが書くようなものについてまで義務表示とする必要性もないのではないかということで、調理方法については廃止という形で取りまとまっているところでございます。
そのほか廃止の例として、農産物缶詰及び瓶詰には大きさの規定などがございまして、こちらにつきましては、1号缶、2号缶、3号缶で大きさによってL、M、S、Tというようなものを書くということでございます。次の33ページに例として書かせていただいておりますけれども、「缶マーク下段に略語で記載(Lは大、Mは中)」という形で、Lと書いてございますが、恐らくこのLと書いていることによってどれぐらいの量が入っているのかということ自体もなかなか消費者としては理解できないと思います。こちらについてはJAS規格があったときのなごりといいますか、流通上の規格の関係として表示しているものですので、表示義務を課す必要はないのではないかというところで、農産物缶詰の追加的表示、大きさの表示については廃止するという形で取りまとまっております。
続きまして、34ページでございます。表示禁止事項の廃止の例ということで、冷凍の牛肉コロッケを挙げさせていただいてございます。冷凍の牛肉コロッケにつきましては、牛肉の含有率が原材料及び添加物に対して8パーセント以上であれば、牛肉の含有率を商品名に併記する必要はないということでございますので、基本的に8パーセント未満の牛肉の含有率の牛肉コロッケについては、牛肉の含有率を商品名に併記する必要があるというルールでございます。
こちらにつきましては、次のページがそのほか、例えばえびコロッケであれば10パーセント、かにコロッケであれば8パーセント、下のほうに行きまして、えびしゅうまいであればあんに対して15パーセントであったり、冷凍のえびぎょうざであればあんに対して15パーセントという規定がございます。ただ、こちらにつきましても、そもそも10、8、15という数字自体の適正性といいますか、根拠自体もよく分からない中で、そもそも調理冷凍食品のみについて規定している合理的な理由もないことから、こういった規定についても廃止で取りまとまったところでございます。
最後に36ページ、表示禁止事項、維持の例について、「ジャム類」でございます。ジャムにつきましては、通常より糖度が低い旨を示す用語。ただし、糖度が55ブリックス度以下のものについて当該糖度を下回らない整数値により「糖度50度」等と併記する場合は、この限りではないというルールがございまして、通常より糖度が低いと示すのであれば、その糖度を書いてくださいというルールがございます。先ほどもありましたけれども、やはり低糖度のものについては基本的にはかびやすい等々の問題もございますし、また、最近であれば低糖度のものを好まれているというところもございますので、これにつきましては、今までどおり低糖度のものについては糖度を書くというルールを存置する形で取りまとまったところでございます。
個別品目のルールの見直しについての説明は以上となります。
続きまして、パブリックコメントでどういった意見が寄せられたのかということでございます。資料5でございます。
資料5の(3)が「個別品目ごとの表示ルールの見直し」関係でございます。賛成意見があったり、反対意見があったり、改正後の取組に関する意見があったりしたところでございます。
そのほか総論的な意見のところ、3ページの⑭につきまして、記載が切れているところがございます。「個別品目の表示ルールに係る今回の改正事項について、施行前又は経過措置期間中に従前の方法で表示したものは、経過措置期間終了後に販売されたもの」で止まっていますけれども、この続きがありまして、「経過措置期間終了後に販売されたものであっても、食品表示法の違反とはならないようにすべき」と書かれております。個別品目のルールにつきましては(3)の個別品目関係に記載されております。
そのほか、経過措置期間関係であれば、4ページの⑥、⑦が個別品目のルールに関する経過措置に対してのパブリックコメントでございます。
そのほか、(5)の④から⑥も個別品目ごとのルールについてのパブリックコメントとなってございます。
私からの説明は以上でございます。
○今村部会長 御説明ありがとうございました。なかなかの膨大な範囲で、今回最初に私は二つと言いましたけれども、三つですね。添加物の表示についてと栄養成分表示、そして個別品目の表示の三つについて御議論いただくわけでございます。議論としては一括で議論に付したいと思っておりまして、それぞれの委員の先生からの御意見をお願いしたいと思います。
まずは消費者庁の会議で兼務していただいている先生から御意見をいただきたいと思いますけれども、阿部委員、小川委員、田中委員、森田委員が兼務していただいていますので、この順番でコメントをしていただいてから、ほかの委員の御意見をいただければと思っております。
まずは阿部委員からお願いいたします。
○阿部委員 大変丁寧な御説明をありがとうございます。
おおむね食品表示懇談会の中におきましても、今回の改定については大きな反対はなかったと思っております。しかし、大変丁寧に説明していただきました個別品目の表示等については、今回のパブリックコメントを見ましても、個々に関しての意見に対して回答しなければならないことも考えられます。また、私が一番気になっているのは、経過措置期間がパブリックコメントで異なる意見が出ていることです。特に栄養素等基準値につきましては、食事摂取基準が5年ごとの改定で見直しがされているものでございますけれども、栄養業界の代表といたしますと、少なくとも3年が適当だと思っています。しかし、栄養素等基準値ではないですけれども、5年や7年という経過措置が異なるものがあります。経過措置については、業界の方々の御負担なども考えますと慎重にやっていかなければいけないのかなと思いますけれども、パブリックコメントの中でも、消費者がどちらの基準を使っているのか明確にしていただかないとという意見もありましたが、特に栄養素等基準値も含めて経過措置についての検討について消費者庁の御意見がいただけたらと思っております。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
では、まず4人の委員の御意見をいただいてから、消費者庁からもまとめて御回答いただいて、それから各委員の先生方の御意見をいただければと思います。
続いて、小川委員、お願いいたします。
○小川委員 ありがとうございます。小川です。
私の場合は、個別品目ごとの表示のルールの見直しについての委員をさせていただいております。こちらの個別品目ごとの表示のルールの見直しについては、非常に膨大な範囲になっておりますところ、丁寧に御説明していただいてありがとうございました。基本的には、それぞれの品目について、それぞれの業界団体の方々が、事業者の方々の意見も踏まえた上で廃止や維持を検討してくださっていて、横断的な基準に寄せる、あるいは国際基準も踏まえるという方向で考えてくださっていますので、事業者の方々の提案でよろしいというふうに思っております。
一部まだ検討が続いている部分もございまして、そういった項目については、業界団体の方々に、一部ですけれども、もうちょっと見直してほしいといったことも申し上げたところがございます。そういった点は再検討をしていただきつつ、基本的には業界団体で考えていただいた案を採用する方向でよろしいと私自身は考えているところです。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
続きまして、田中委員、お願いいたします。
○田中委員 田中です。よろしくお願いいたします。懇談会のほうで議論した部分と、私の改めての質問などをしていきたいと思っております。
まず、懇談会のほうで、栄養強化については一定のルールの中で決めていくということで、Codexのルールの中でそのようにしていくという説明の中では、懇談会で特に大きな議論はなかったということです。私もそう思います。
それともう一つは、栄養成分表示についての部分ですが、食事摂取基準が5年ごとに改定されていると。その改定に伴って機械的に変わったものだよというようなところだったかと思います。これについても大きな議論はなかったのではないかということです。ただ、私もあのときに言いませんでしたが、栄養素等表示基準値というものは、対象者の人口推計を基にして、18歳以上の性別及び年齢階級別の栄養素の基準値を性別及び年齢階級ごとの総人口により加重平均したというのが資料の17ページにもありますが、これは多分、CodexのNRVsと同じような形で計算されているかと思います。
そもそも食品の摂取というのは基本的に自由になっていますので、対象者には、場合によっては幼児、学童、青年、高齢者といった年齢層もいたり、授乳婦や妊婦も含まれるということ。こういった方々においては、食品摂取基準でもエネルギーや栄養素の摂取の必要量に一定の特徴があるのではないかということを考えると、そういった方々についての調整の必要があるのかなという質問があります。
今ご説明いただいた三つ目については、膨大な内容を個別品目ごとに御説明いただいたことで、懇談会でも大変御苦労された旨の委員からの発言がありました。それと、古くからあるJASの規格については、加工技術とか包装技術が向上したことから、合理的に見直していこうじゃないかという中で議論されていたかと思います。そこで、今、廃止される事項、またはルールを事業者の紳士協定の中で委ねようというふうになったかと思います。そういうところでは、一定の品質の低下が起きたり、おいしくなくなってしまうのではないか、という議論も若干あったかと思います。その辺については、私的には、消費者が決定していくのかなと考えております。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
では、森田委員からウェブ上でコメントいただいて、そして消費者庁からの御回答ということでお願いしたいと思います。
では、森田委員、お願いいたします。
○森田委員 御説明ありがとうございました。一つずつ御意見申し上げたいと思います。
まずは栄養強化目的で使用した添加物の表示につきまして、こちらは方針が決まったのが2019年だったかと思います。検討会のときにその方針が決まって、その後、調査も行われて、その上で国際基準のグローバルにも合わせてきちんと栄養強化のものは表示をしていくということになっておりますので、時間も十分にあり、そして調査期間も十分に、調査もきちんとされているということから、経過措置期間に関しても適切だと思います。それから、実際の表示に関して、今、栄養強化のものが結構増えていまして、パンとかいろいろなものに増えていますので、そういうものに添加物が入っているのか、どういう形で入っているのかというのは、やはりきちんと開示されたほうがいいと思いますので、この点については賛成します。
2点目、栄養成分表示に関する改正案につきまして、こちらは、前回の2020年版では改正されていなかったので、10年ぶりの栄養素等表示基準値の改正と、それから食品表示基準の強調表示ですとかそういうものの改正に全部係ってくるということで、物によってはかなり大きく変わっていく部分なのかなと思っています。例えばビタミンDとかそういうものは、倍までにはいかないですけれども、ビタミンDは5.5から9.0とか、ビタミンB12も2.4から4.0とあります。例えばヨーグルトなんかでも、1日分の鉄分とビタミンB入りみたいなことが書いてある食品も今あります。経過措置期間はあるのですけれども、そのような商品に関して、旧の栄養素等表示基準値によるものなのか、それとも新栄養素等表示基準値によるものなのか、経過措置期間は消費者は分からないことになりますので、Q&Aとかでもいいのですけれども、そこのところは何らかの説明をしていただいたほうがいいのではないかなという意見を持っております。今回の改正に関しては、5年前にやっていなかったということもありますので、きちんと食事摂取基準に合わせてこういうふうに改正していくこと自体は賛成しております。
3点目になりますけれども、個別品目ごとの表示ルールの見直しについてということで、御丁寧な説明をありがとうございました。こちらについては、毎回ヒアリング等でも事業者の方々から、物によって、例えば原材料名は残したいですとか、定義の変更をしたいですとか、いろいろな御意見がありました。やはり多くの事業者団体の方は、これを変えることによって、例えば原材料名を横断に寄せると、やはり表示がまた変わらなくてはいけないのですけれども、もっと長い目で見たときに、横断的な表示に寄せていくことによって、表示の間違いですとか、その間違いによる無駄な自主回収とか、それから消費者の誤解とかが解けていくことになります。個別品目に関しては、例えばパンなんかも変わっていくわけですけれども、もっと将来的なことを見て、原材料名に関しては横断的に寄せていっていただけるということを徐々に御理解いただいたこと感謝申し上げたいと思います。やはり消費者から見ても、多いもの順に並んでいてこれは例外なんだけどというものが多く、食品表示にはあまりにも個別の例外が多いので、その点に関してきちんと理解をしていただいているんだなと思います。
また、意見の中で出てきたのが、衛生事項に関しては今回、あまり検討していないのですけれども、レトルトの容器包装加熱の食品衛生法のほうの規定に合わせるというところがありますが、ほかの部分でも、例えば調理冷凍食品でも、食品衛生法からかかっている個別の規定もいろいろありますので、将来的にはそちらのほうの見直しもしてほしいというような業界団体の意見も多かったです。消費者から見ると、この表示は品質事項で、この表示は衛生事項でというふうに一々分けて見ないので、何でこれだけこういう特別な個別項目が入っているのだろうというのが分からない場合があるかと思います。そういう意味も含めて、できるだけ統一していく方向で見ていっていただければなと思います。
また、冷凍食品のところなのですけれども、ぎょうざのところですね。廃止の事例のところのスライドを出していただいてよろしいでしょうか。こちらは前回の食品表示懇談会からでも問題になっていたところで、個別の品目があることによって、ルールが違うことで分かりにくさが出てきていることと、あと、不公平感もあるということなので、こちらの見直しに関しては妥当なものだと思います。
また、数字の規定に関しても、チルドぎょうざ、冷凍ぎょうざ、それぞれ入っている皮の率ですとか、次の次のスライドのえびフライもですね。そういうものに関しても、やはり残したほうがいいという消費者の意見もありました。けれども、例えば調理冷凍食品だけにそれを残すですとか、それからチルドぎょうざだけに残すというふうになりますと、ほかの品目との不公平感があるということと、それから、そもそも昭和の時代につくられたものなので、当時の品質が悪かった時代においては、こうした細かい数字のルールというのは有効だったと思います。そして、当時はそんなに総菜とかの種類がない時代においては、こうした数字の数値規定というのは一定の品質向上の役割を果たしていたのは確かだと思います。けれども、そういうものに関しては、表示全体をシンプルで分かりやすいものにしていこうという今の流れに対して、廃止をしていってもいいのではないかということで、個々の品目について丁寧に話をしたところです。
また、何でも廃止ではなくて、残すべきところは残すということで、先ほどのおみその事例もありましたけれども、大豆を使ってというようなところで、例えば食文化の話から事業者の方から細かく御説明をいただいて、やはり日本のみそというのは大豆を使うというところでの学習もできましたし、そういう部分では残す。だから、残すべきところというのは、やはりそれなりの細かい説明、きちんとした説明をそれぞれ事業者団体にお聞きした上で、話合いを重ねて、残すもの、廃止するものということを丁寧に議論してきたところです。また、1回目の議論のときには、例えば原材料を残しますとおっしゃられたマーガリンなんかも、後からすぐにきちんと議論をしていただいて、そして2回目には、一番下ですけれども、原材料のところをマルからバツにしていただいたということです。そのとき一回きりの議論ではなくて、やはりもう一回立ち戻って、そこの業界だけではなくてほかの品目との整合性を考えると、そうやってもう一度検討していただいて、将来の表示の分かりやすさを理解していただいているということで、この会では進めています。
このように全部をなくすわけでもなく、分科会の中では丁寧に議論をしてきているというところを御報告申し上げたいと思います。いろいろとまだもっとここは検討してくださいというふうに言っているところもあり、まだ直っていないところももちろんありますけれども、今のところはそのような形で、原材料名ですとかいろいろな名称規制なんかもかなり修正していただいているところは修正して、シンプルになりつつあると思っているところです。
感想になります。ありがとうございました。
○今村部会長 ありがとうございました。
今、4人の委員の先生から御意見、御質問をいただきました。今の内容につきまして、消費者庁からコメントなり、質問の回答なりをまずはお願いしたいと思うのですが。
○消費者庁食品表示課清水課長 まず、阿部委員から経過措置について御意見をいただいたのかなと思います。今日既に諮問させていただいている資料1の最後のページ、146、147ページに経過措置の規定がございまして、2条と2項とありますけれども、令和12年3月31日までに製造されたものについては従前の例によることができるということで、栄養強化目的の添加物の部分と個別品目ルールの部分は5年間という形にさせていただいて、2項の栄養素等表示基準値関連のほうは、令和10年3月31日までに製造され云々、なお従前の例によることができるという3年間という形にさせていただいております。
パブリックコメントにも、今日配付されている資料では後ろのほうの(4)の経過措置期間関係というところで意見が出ています。例えばパブリックコメントの御意見の中では、別表第10「栄養素等表示基準値」及び別表第12「栄養成分の補給ができる旨の表示の基準値」の改正に係る経過措置期間については、配合設計の変更、包材の変更等に時間やコストを要することを踏まえ、3年間ではなく5年間またはそれ以上にすべきといった御意見が出ております。
私どもの考え方としましては、やはり食品の安全ですとか栄養、こういった健康に関する事項につきましては、本来、改正すべき内容があり、改正すべき状況ということであれば、食品関連事業者の方々には速やかに対応していただくべきものと考えております。その上で、包材の切替えなどに時間がかかるということもございますので、こういった改正事項につきましても、通常は2年間程度の経過措置期間を設けさせていただいているところです。ただ、この栄養素等表示基準値関係につきましては、事業者の実行可能性、包材だけでなく、配合設計の変更ですとかそういった御対応もあるということでしたので、2年間ということではなく、今お示ししている案としては3年間ということで案を作成した次第でございます。
○今村部会長 まず一通り回答をお願いしたいと思います。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 栄養成分に関する御質問について御回答させていただきます。
例えば、パブリックコメントに寄せられた意見の栄養素等表示基準値、(2)の③に該当するような部分です。阿部委員、森田委員から御質問いただいたことかと思います。別表第10に規定します栄養素等表示基準値の改正について、経過措置期間中に、改正の前後、新旧どちらの基準値を用いているのか消費者に誤認がないように図られたいという御意見がございました。そこにつきましては、前回の改正が平成27年度に食品表示基準を制定したタイミングでございました。この際も、新しい基準値と古いものが混在してしまうということから、栄養素等表示基準値(2015年版)等の当時の日本人の食事摂取基準(2015年版)を基にしていることが分かるような表示をすることが望ましい旨を通知しておりました。したがって、今次改定におきましても同様に対応してまいりたいと考えております。
もう一つ、田中委員から御質問いただきました栄養素等表示基準値でございますが、現行、18歳以上の成人を対象とした推奨量等に対する加重平均値を用いるというところでございますが、前回の改正前までは、子供も対象にした設計としておりました。ただし、子供と大人の必要量が違うことから、平成27年度の改正の際に、18歳以上の者に射程を絞って改正を行ったということがございます。
Codexのお話がございましたが、Codexガイドラインの中では、3歳以上を丸めて一つの値にしております。日本も当初そのように設計しておりましたが、やはり全ての年齢階級が一つの値となっているのはよろしくないのではないかということで、平成27年度に18歳以上に射程を絞ったという背景がございました。
この栄養素等表示基準値は、そのまま消費者に見えるように使われるわけではなくて、パーセントで表示されたり、強調表示をするための起点となる基準値となったりしております。少し違う施策になりますが、例えば子供向けに設計された栄養機能食品の場合、次長通知の中に、対象者が子供の場合には、子供の日本人の食事摂取基準の値を使うことができるという規定がございますので、基準値自体は18歳以上ですが、食品関連事業者がつくられた食品自体の対象者が絞られている場合には、日本人の食事摂取基準を引用することができるというような運用になってございます。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
あとはよろしいですか。
では、お願いします。
○消費者庁食品表示課京増食品表示調査官 森田委員のほうから個別表示の件で衛生事項もという話があったと思いますけれども、現在は旧JAS法由来の品質事項について検討しているところです。まだ一巡していませんので、まずは品質事項について検討させていただき、品質事項の検討の進捗状況も見ながら、旧食衛法由来の衛生事項についても検討していければと思っております。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。よろしいですかね。
では、阿部委員が先ほど挙手されていたので、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 御回答いただきありがとうございます。しっかりと経過措置期間についても消費者庁の方がお考えいただいた上で案を提出していただいたということが分かりましたので、私はそれで十分でございます。ありがとうございます。
○今村部会長 ありがとうございます。
では、小川委員、お願いします。
○小川委員 小川です。
まだ個別品目について、品質事項を中心に検討していて一巡していないという御説明をいただきまして、私としても、まだまだこれから根気よく懇談会のほうで検討をしていかなくてはいけないなと襟を正す思いでいるところです。
先ほど申し上げるのを失念してしまったことについて1点だけ質問として。一連の懇談会のなかで、個別品目ごとに見直しの議論をしていた中で、業界団体の方から、今回は維持だけれども、さらに検討を進めていくといったような回答をくださったところもございました。まだ一巡していない段階で気が早いのかもしれませんが、この次の段階をどのように見通されているのか、お伺いしたいです。
○今村部会長 では、消費者庁からお願いします。
○消費者庁食品表示課京増食品表示調査官 まずは一巡させていただいて、そうすると多分、品目間でのでこぼこが見えてくるかと思います。森田委員からも話がありましたけれども、今全部きれいにとまではいっていない部分もありますので、まずそのでこぼこを見て、今後どうするかというのを検討させていただければと思っています。
○今村部会長 ありがとうございます。
田中委員、森田委員、何かコメントは特に。
○田中委員 御説明ありがとうございます。要するに、成人だけでないというような説明を聞いたので、そういったこともしっかり伝えていってもいいかなと思いました。ありがとうございます。
○今村部会長 森田委員、ウェブですけれども、いかがでしょうか。
○森田委員 私のほうも、御説明ありがとうございました。
先ほど栄養素等表示基準の御説明の中で、2015年栄養素等表示基準によるという、要するに古いものを使っているものにはそのように説明をして、新しいものを使う場合は特に、例えば2025年版とかというふうにするわけではなくて、古い場合に2015年版というふうにすることが望ましいというような書きぶりになるということでしょうか。ちょっとその点が、2015年版なのか、2025年版なのかというのを両方とも書くようにすることが望ましいのか、新しいものは特に書かなくてもいいというような感じなのか、教えていただければと思います。
○今村部会長 では、消費者庁からお願いします。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 御質問ありがとうございます。
私から御紹介したのは、平成27年時の対応でございます。当時、新しいものに書いていただく際には、その当時の最新の日本人の食事摂取基準(2015年版)の数字を書くことが望ましいという規定になっておりました。前回のやり方を踏襲するのであれば、2025年版となると考えてございます。
以上です。
○今村部会長 森田委員、いかがでしょうか。
○森田委員 分かりました。ありがとうございます。
○今村部会長 ありがとうございます。
今、4人の委員の先生から御議論をいただきました。それ以外の先生からの御意見をお願いしたいと思います。オンラインの先生は、オンラインで挙手のマークをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
穐山委員、お願いします。
○穐山委員 かなり詳細な御説明をありがとうございました。星薬科大学の穐山です。
まず、栄養強化の添加物の件なのですけれども、栄養強化のときの表示も義務表示ということになるのですが、通常、添加物は用途があると思います。現在、ビタミンCはL-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸パルミチン酸エステルとかがあると思いますけれども、これは基本的に酸化防止剤として入れているものもあります。それに栄養強化目的で入れることもビタミンCと書くのであると、酸化防止目的で入れたものか、栄養強化で入れたものか区別がつかなくなるのではないかなと思います。これはビタミンEも同じかと思うのですけれども、ビタミンEのL-トコフェロール関係ですね。これはこのままでいいですかね。それが質問であります。
あと、栄養成分のほうですけれども、ビタミン関係はたしか任意表示で書かなくてもいいのだけれども、測定法までもかなり厳密に限定されているということで、あと許容値も、ビタミンの中で過剰の摂取はまずいのかもしれないのですが、これは栄養成分なのでもともと入っているビタミンですね。これを告示に細かい検査法までも記載する必要が、任意表示なのにあるのかどうかというのはちょっと疑問に感じました。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
今の点、消費者庁から御回答をお願いします。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 御質問ありがとうございます。
まず、栄養強化目的の添加物のほうですけれども、複数の用途を持つ添加物というのは、穐山委員に言っていただいた以外にもいろいろな種類があるかと思います。どのような目的で使うかというのは事業者の目的によりますので、全部が全部把握できるということではないというところもございます。令和元年度に開催しました添加物表示制度の検討会におきまして、用途名について全て表示するかというようなことも同時に議論をされておりまして、その当時のまとめといたしましては、複数の機能を持つ添加物の用途名は様々あって、消費者が用途について誤認するおそれもあるという懸念がありましたので、現行の制度を維持するということで、現行制度は8個の用途に限って用途名を記載することにしておりますけれども、それ以外については物質名表記のみという現行制度を維持ということでまとめてございます。
○穐山委員 8の中に酸化防止剤は入っていないということですか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 酸化防止剤は入っています。
○穐山委員 そうすると、ビタミンCは酸化防止目的のために入れるのか、栄養強化目的のために入れるのかは区別がつきますでしょうか。酸化防止剤の目的だったら用途を書くということですね。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 おっしゃるとおりです。
○穐山委員 そうしたら、栄養強化のときはそれを書かなくていいという理解でよろしいですか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 はい。
○穐山委員 分かりました。
○今村部会長 今の点、もう一遍確認させてもらいたいのですけれども、両方の意味があることが多いと思うのですが、その場合はどうなるということでしょうか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 両方の用途。
○今村部会長 酸化防止と栄養強化と両方の意味でビタミンCを入れるということは普通だと思うのですけれども、それはどのように書けばよろしいのでしょうか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 酸化防止で使っているときには用途名を書く。
○今村部会長 両方の意味で書く場合には、酸化防止のほうにもビタミンCを書いて、ビタミンCというのを栄養強化として書くという、2回書くということ。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 2回は書かないです。
○今村部会長 するとどうなるのでしょうか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 酸化防止剤(ビタミンC)という表記になるかと思います。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 補足しますと、主にどの用途で使っているかを事業者が判断して、もちろん添加物ですので様々な用途で使えますけれども、主に事業者がどの用途で使うと考えたかによって、事業者の判断で酸化防止のほうがメインであれば酸化防止剤と書きますし、酸化防止ではなくて栄養強化がメインになれば、酸化防止剤という用途名の併記はしないで書かれるという形でございます。
○今村部会長 分かりました。
穐山委員、そこの点はそれでよろしいでしょうか。
○穐山委員 分かりました。了解しました。
もう一つ、栄養成分の件はいかがでしょうか。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 御質問ありがとうございます。
ビタミンB群は確かに任意表示ではあるのですが、任意や推奨、さらに義務の別にかかわらず、ある栄養成分を分析する方法というのは一律に定めるべきだと考えております。実際に分析をしていただいて表示値をつくる食品関連事業者と、地方公共団体が実際にその表示値を確認しにいくときに、この分析方法を用いるというコミュニケーションもございますので、一定の分析方法は定めるべきと考えております。ただし、恐らく先生の御指摘の部分は、食品衛生の分野においてバリデーション、いわゆる妥当性が取れるような分析方法をどんどん許容していくような流れがあるので、そのような運用にしてはどうかという御趣旨かと思いますので、検討してまいりたいと考えております。
○穐山委員 その辺りはいろいろな手法がありますので、そこのバリデーションのプロトコルか何かをお示ししていただいて、いろいろな分析法を使えるようにしていただいたほうが事業者はよろしいかなと考えます。
○今村部会長 私から補足させてもらいますと、食品衛生法の多くは法定の表示については告示で検査法を出すことがあるのですけれども、それ以外は基本的に通知でやっているのですね。それも、法定のやつも検知法がどんどん変わっていくので、できるだけ通知に落とそうとしているような状況があって、それとやり方が大分違うなということなのですけれども、これを告示にしてしまうと、告示しないと次に改定できないという重たさがあるので、そこら辺のところはどうお考えでしょうか。
○消費者庁食品表示課清水課長 いい御意見をいただいたなと思っております。我々としては、どちらかの道だと思うのです。今後速やかに新しい有効な検査法をどんどん追加していくという方に行くか、そもそも検査法自体を書くのはやめてもいいのではないかというようなことかと思いますので、よく検討させていただきたいと思います。
○今村部会長 ありがとうございます。
穐山委員、よろしいですか。
○穐山委員 義務表示の場合は測定法を限定するのは良いかと思いますけれども、任意表示の測定は、ある程度自由度があっていいかなと考えました。
以上です。ありがとうございました。
○今村部会長 ありがとうございます。
多分これは表示違反があっても法律違反にはならないのですけれども、検知法を違うのを使うと法律違反になるというちょっとアンバランスな状態が発生すると思うので、そこはぜひ今後の課題として御検討いただければと思います。
では、ほかの委員の先生からの御意見、御質問をお願いしたいと思います。
では、笠岡委員、お願いします。
○笠岡委員 笠岡です。
私からは、今回の改正、私はおおむね賛成なので、意見というより感想になるのかなと思うのですけれども、まず、個別の品質表示基準について、実際に表示を作成する側として感じていることは、その個別ルールの対象となっている食品と、対象とはなっていないけれども、その対象食品と類似している食品との表示の整合性が取れていないなということを感じることがすごく多かったので、同じ食品カテゴリーの似ている食品なのに、同じ陳列棚に隣同士で並んでいるのに、こっちには個別ルールがあって、こっちにはないというのを感じていたので、今回、品目ごとにその個別ルールを廃止するのか、維持していくのか見直しを行って、横断的な義務表示に寄せていくというのはすごく分かりやすい、今後分かりやすいシンプルな表示にしていく、とても必要であると思いました。
もう一つの食事の摂取基準の改定に合わせた栄養成分強調表示の改定についてですが、スーパーマーケットで仕事をしている中で感じているのは、健康管理に重要な情報である栄養成分5項目のうち、特に食塩相当量についてすごくお客様からも問合せが多くて、お客様が知りたい情報であるというのを感じています。例えば、病気療養中で食事制限しなくてはいけなくて、塩分の摂取量の制限がある方など、結構切実な理由でその情報を知りたいというお客様は多いと感じています。
今回の見直しで、資料3の18ページでナトリウムについても現行の2,900mgが2,700mgと減る方向に改正がされていて、19ページにもあるように、塩分控えめの栄養強調表示をしている食品について、パッケージの見直しですとか、食塩の配合量の見直しを行っていかなければいけないのかなと思うのですけれども、資料で質問させていただきたいのが、最後、22ページに栄養強調表示の高い旨の基準値の改正案は添付されているのですけれども、ナトリウムですとか食塩相当量を含む低い旨の強調表示の改正案の資料も知りたいなと思いました。
私からは以上です。
○今村部会長 では、今の点、消費者庁からお願いします。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 御質問ありがとうございます。
今回の栄養素等表示基準の改正で、ナトリウムは下がっていくものになります。食塩相当量換算ですと7.5gだったものを7.0gに下げるというものになります。今回の厚生労働省の公表した日本人の食事摂取基準(2025年版)で下がったわけではなくて、前回の2020年版の時点でナトリウムの目標量は下がっていたので、消費者庁の施策も追いつくように改正をしていきたいというものになっております。
御質問のありました資料3の20ページを御覧いただきたいのですけれども、栄養強調表示のメインとなるものを二つ御紹介いたします。補給ができる旨の表示、または適切な摂取ができる旨の表示がございます。摂ったほうがいいものについては、補給ができる旨の規定があるというものでございまして、食塩については御指摘のとおり、適切な摂取ができる旨の規定になっております。そこは絶対量で決めているものでございますので、栄養素等表示基準値を改正したからといって変わるものではございません。
したがって、今次改定では、減塩の表示をしていただく場合、特に基準値が変わることはございません。
○今村部会長 よろしいですか。
○笠岡委員 ありがとうございます。
○今村部会長 ほかはいかがでしょうか。
菅委員、よろしくお願いします。
○菅委員 管です。今日もよろしくお願いします。
科学的なお話も多いので、そちらのほうは皆さん方の御意見を伺いながら自分の意見をまた考えていきたいと思っていますが、質問が中心になるかもしれませんけれども、幾つか思うところを述べたいと思います。
一つ目の資料2の「栄養強化目的で使用した添加物の表示」については、例外なく共通のルールの下に表示が充実する方向に行くということで理解していますので、特に今現在異論があるわけではないです。
次に資料3の「栄養成分表示に関する改正案について」ですけれども、これは先ほど、パブリックコメントの結果を速報されるのも大変だったと思うのですけれども、資料5の中で食物繊維の許容差の範囲についての御意見が資料5の1ページの2(2)の②にありまして、「誤認可能性」を問題にされるような意見もあるのですけれども、これについてはどのような議論があり、どのようにお考えになるかを教えてほしいと思います。その前提として、食物繊維の有無がやむなき分析限界に近いところで基準を設定してという趣旨は理解するのですけれども、不勉強で申し訳ないのですが、食物繊維の有無がゼロだと思っていたのにゼロじゃなかったということが、どういった方にとっては健康上何がしかのマイナスがあったりするのかどうかといった点について、影響の可能性があるものなのかどうか教えていただけたらと思います。選択時に誤認を生じさせても不都合ということでないならば、あるいは科学的、医学的な意味合いにおいて何がしかこのルールの不都合が発生しないのであれば特に異論を申し上げるつもりはないのですけれども、どういうものなのか確認させてください。
資料3の9ページ以下の「栄養成分等の測定及び算出の方法」等については、私がコメントできる立場ではないので、皆さんの御意見を聞きたいと思っています。
また、栄養成分表示に関する改正案の中の別表第10の「日本人の食事摂取基準(2025年版)の公表を踏まえた栄養素等表示基準値の見直し」についても、同様に、皆さんのご意見を伺って考えたいと思っています。
他方で、別表第12の「栄養素等表示基準値の見直しに伴う、栄養成分の補給ができる旨の表示の基準値の見直し」ということに関連しては、先ほどから既に御意見や御説明が出されているように、経過措置期間の中で旧基準による表示なのか新基準による表示なのかが混在して分からないような形になる混乱を避けるための御努力をしていただけるというお話がありましたし、実際そうであるべきだと思うのですけれども、先ほど森田委員の御質問に対する御回答の中で、新しいものの方に、「2025年版による」ことの表示を推奨するような御趣旨だったと思うのですけれども、逆に、これは必須にするとか義務にまでするわけではないという話になると、いずれにしても混在してしまう問題があるなと思いますのと、新しいものに「2025年版による」旨を付す推奨期間はどのぐらいなのかなと思います。ずっと2025年版だよということを表示しなければならないとするのであれば、もうそれでいいのかもしれないのですけれども、どこかの改版の段階で2025年版だとは言わなくてもいいという判断を事業者の方がなさる時期があるとすれば、それは「経過措置期間中には」というような理解で推奨のアナウンスをされるのか、果たしてそれで十分なのかどうかも含めて、どう考えたらいいのかなというのを疑問に思いました。
それから、資料4の「個別品目ごとの表示ルールの栄養成分表示に関する改正案」については、大変膨大な御説明をいただいてありがとうございます。改正全体の何割ぐらいご説明を聞けたことになるのでしょうか。かなり特徴的なところを教えていただいたのだと思うのですけれども、パブリックコメント募集で具体的な御意見が出されている部分もあるようですので、出された意見を踏まえて、何がしか資料をいただいて御説明いただくべきものを追加していただく必要があるようでしたら資料でお示しいただいたらありがたいなと思っています。
例外を減らして横断的ルールに収れんしていくということについては、例外をなくすものについての「なくしていく方向の理由」についても当然に大事で、そのこと自体、分かりやすく周知してほしいし、各事業者の皆さんの業界の中でも、表示がこう変わりますというような広報を積極的に進めていただけたらいいと思うのですけれども、他方で、今回の見直しで多くの例外がなくなった後に、やはり残すことにしたものについて、今回残した趣旨のようなもの、「なぜ残したのかという理由」をできるだけ消費者に分かりやすく改めて伝えていただく必要があるのではないかなと思いました。
これからの生活をしていくためには、例外として残る表示を改めて正しく理解する機会があったほうがいいと思うので、ぜひ残すほうのものについても広報をしっかりしていただけたらというか、周知啓発をしていただきたいなと思いました。そうした部分の分かりやすい御説明を増やしていただくと、そのこと自体が選択に生かしていける知識になるのではないかなと思います。ですので、廃止の意見募集に対して「存続意見」があるようなものについても、どういうふうに考えたらいいのか改めて議論しなくていいのだろうかと思いました。
あと、形式的な話で言いますと、この資料4をつくっていただくのは大変だったと思うのですけれども、各ページにおいて、図表等を用いられて現行のルールの話を書いていただいているのか、現行から改正に変わったところの話をしているのかというのが、必ずしもぱっと見て分かるわけではないようにも思うページがあるので、できるだけその辺が分かりやすくなると、周知をされるときにいいのではないかと感じました。
最後に、各新ルールの「猶予期間」については、皆さんもう既に御意見が出ていると思うのですけれども、5年も必要なのかというか、例えばようやく猶予期間経過した5年後には2030年新基準ができるため即見直すような感じになってしまうことへの違和感も含めて、もう少し短くならないのかなと思いますし、各猶予期間を統一できないのかなと思います。今回はもうよく検討されて3年と5年ということになっていると思うのですけれども、一般論としても、なるべく早く統一的に変わるような形を目指していただけたらなと思いました。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
幾つか御質問がありましたので、消費者庁からの回答をお願いします。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 御質問ありがとうございます。
まずは栄養成分表示に関するところから二つ御質問いただきましたので、御回答申し上げます。食物繊維の量の表示については食品表示基準において推奨表示に位置づけられているところです。昨年度に調査をした結果、食物繊維の量が低含有である場合に極めて測定誤差が大きくなってしまうことから、義務表示事項の栄養成分等の量と同様に、Codex委員会のガイドラインを参考にしまして、許容差の範囲の見直しと、ゼロと表示することができる規定を追加したいと考えております。
今年度に、消費者庁で表示の実態調査を行ったところ、食物繊維は推奨表示を位置付けているところですが、食物繊維のみを表示している食品は16パーセント程度であったため、現時点で必ずしも全ての食品に食物繊維の量が表示されていないという状況がございます。そのため、分析誤差が生じていて、なかなか低含有量のものが表示できないのであれば、その辺りを規定することで食物繊維の量の表示が増えるのではないかという期待があります。消費者にとっては、実際に食物繊維の量の表示がなされる食品が増えることによって、商品を買っていただく際の選択に資する情報が増えると考えております。
あわせて、どのような消費者が食物繊維に配慮が必要な場合があるかですけれども、病院では低残渣食といって食物繊維を減らした食事を提供しています。例えば大腸炎を有する方が該当するかと思います。しかしながら、食物繊維が、全ての食品に表示されているわけではないので、食物繊維が表示されている食品を増やすといった趣旨では、反対意見もございますが、低含有量の規定である許容差の範囲の見直しと、ゼロと表示することができるような規定を追加したほうがよいと考えてございます。
もう一つ御質問がございました、栄養素等表示基準値を改正した際の経過措置期間において何年版の日本人の食事摂取基準を用いたかというところでございますが、前回、平成27年に次長通知に規定した際には、その経過措置期間であった5年間、周知しておりました。今回も同じような趣旨であれば、経過措置期間が3年であれば3年間になるのではないかと考えております。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
お願いします。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 個別品目の部分については、維持されたものについては、なぜ維持されたのかということを分かりやすく資料にした上で、しっかり周知していただきたいという御趣旨の御意見だと思っておりまして、おっしゃっているとおり、なぜ残っているのか、なぜ残さないといけなかったのかということが分かるような形でしっかり周知していきたいと思ってございます。
そのほか経過措置期間のお話がございました。こちらにつきましては、令和5年度食品表示懇談会におきまして、施行時期や経過措置期間の終了時期を極力合わせるなど、実施時期の予見可能性を高めるための方策を含め、議論するとの基本方針に沿って、その結果として5年というところにしています。予見可能性を高めるための方策というのは、事業者からすると、この改正のためにというのではなくて、基本的に通常の状態においても包材の変更というのは定期的に行われておりますので、その定期的なものに併せて変更ができるような形で、その定期的なものがいつ来るかは分からないですけれども、それなりの期間を取れば、その間に定期的に、この次の容器包装を変えるタイミングでこれを変えようということを事業者が選べるような形になりますので、今回5年というところを示させていただいております。
ただ、先ほどありましたとおり、安全や栄養に関するものについては、やはり食品関連事業者の方に速やかに対応していただくものでございますので、今回の栄養素等表示基準値については3年という形で示させていただいているところでございます。
○今村部会長 菅委員、いかがでしょうか。
○菅委員 ありがとうございます。
栄養成分表示の食物繊維の話については、限界に近いところで難しいところがあるということ自体はもちろん理解させていただいたつもりではあるのですけれども、ゼロと書くということに関しては、ほかの表示の場面でも、どこまでのことをしたらゼロと書いてもいいのかをよく議論することがあるので、今の0.5が本当にゼロと言って問題がないという感覚で捉えていいものかどうかについて、改めて確認したいと思ったところです。
もう一つのほうは、経過期間のことについてもありがとうございます。原料原産地表示のときの議論の中でもしたのですけれども、経過措置期間が長ければ長いほど周知を徹底ないし強化する期間をどこに置くべきなのかというのが定めにくくなりがちだという実感もあるので、そういう意味でも、期間が長くてもタイムリーに周知を頑張っていただきたいと思いました。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
今のゼロと書くことについて、資料を求めているということですか。もうそれは今回は特に必要がないということでしょうか。
○菅委員 求めていないわけではないのですが、何か御説明がいただけるものであるならば、どうして0.5という形になるのかについて、分かりやすくお示しいただけるといいのかなと思います。
○今村部会長 それは次回に向けて宿題として持って帰っていただくということでしょうか。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 現時点での情報を今お伝えしようと思います。分析機関によって検出限界値というのは様々設けられております。食物繊維の場合、私が聞き取りした限りでは、0.1gから0.5gに設定している場合が一般的でした。したがって、実行可能性の観点から考えると、0.5gというのは極めて妥当な数字なのではないかと考えております。
○今村部会長 菅委員、いかがでしょうか。
○菅委員 ありがとうございます。御説明は理解いたしました。
○今村部会長 ほかはいかがでしょうか。
では、川口委員、前田委員の順でよろしいでしょうか。
○川口委員 川口でございます。御説明どうもありがとうございました。私もおおむね賛成ですので、感想めいた意見となりますが、幾つかコメントさせてもらいます。
まず、栄養強化目的で使用した添加物の表示につきましては、消費者は省略されていると、もともと原材料にそれが含まれていたものと誤解するので、全ての食品で省略はされないという形になるのはよかったと感じております。
また、資料2の5ページの消費者意向調査でも約55パーセントが表示を求めていて、6ページの実態調査でも事業者の9割以上が省略しないで既に表示しているということですので、今回の内容でよろしいのではと感じております。
続いて、栄養成分表示に関する改正案についてですが、私も食物繊維について菅委員と同じような疑問を持っていたのですが、先ほど検出限界値が0.5ということで理解しました。
16ページの栄養素等表示基準値の改正のところですが、食事摂取基準が変わったら栄養素等表示基準値は直すべきですので、この改正は当然のことかと思っております。
今回、35の栄養成分等の約半分の18が変更となっていますが、表示に直接関係する部分は、実際は22ページの強調表示の21の栄養成分のうちの10の栄養成分の改正になるのではないかなと思います。それぞれ変更の数字をじっくり見たら、60パーセント程度の大きな変更となっている栄養成分は、先ほど森田委員からもありましたビタミンB12とビタミンDであって、ほかの栄養成分につきましては3パーセントから17パーセント程度の変更ということで、これがどれだけ表示に影響するのだろうかと。その基準値のぎりぎりのところで強調表示をされていたのだったら変更しなくてはならないですが、どの程度の数の商品に影響するのかと考えた次第です。大半の商品にとっては、表示には実際はあまり影響しないのではないか、間違った見解かもしれませんが、私自身は感じております。
そういう意味では、改正前後のどちらの基準を用いているかという記載については、私は、限られたスペースでもあるので、あえてそれをわざわざ書く必要がないのではないかと感じていた次第でございます。
あと、正確な栄養成分表示といった意味では、各事業者は根拠資料として定期的に測定して、それに合わせて定期的に改定されているのだと思われます。ですが包材のサイクルが長い商品もあったり、中小企業であったり、そういったところではやはり一定の猶予期間を持って改定すべきというのはごもっともなことです。最初は2年ぐらいだと一度での改版は難しいかもと思っていました。資料4の4ページ目に事業者の負担を考慮して経過措置終了時期を極力そろえるのが望ましいという考えもありますが、3年であれば、強調表示をしている商品を優先的に個別品目表示なども一緒に併せて改定することは実行可能性があるのではないかなと感じています。
あと、資料4の個別品目の表示のルールの見直しについてです。これは皆さんからいろいろコメントもありました。複雑になっていたものを、今回、事業者への丁寧なヒアリングをしてくださり、見直してくださること、大変ありがたく思っております。消費者にとって、同じような商品であっても温度帯とか原材料比率で名称や表示方法、順番などが違っているということは分かりにくかったので、今回の見直しには賛同します。
その中で、一つ質問ですが資料4の15ページで現在検討中の商品群があるとのこと。これがどのぐらいのタイミングでまとまって、経過措置期間がどのようになるのか。現在進行中なのでまだ分からないという回答かもしれませんが、パブコメの中でも完全施行日は統一してもらいたいというコメントもあるので、その辺りはどのように考えていらっしゃるのかなということでございます。
あと、パブコメの中で個別品目表示の26から35ページの比率などの廃止項目についてのコメントが幾つか挙がっています。ただ、廃止になっても任意で記載することは構わないと理解しておりますので、消費者からのニーズなどを十分踏まえて、自主的に表示をしてもらえたらよいと思います。
あと最後に、これもパブコメの中に記載されている内容で、これは各自治体で考えていただく話だとは思うのですが、各自治体で制定されている条例も併せて改正すべきといったコメントが4件挙がっています。それはごもっともなことだと思うので、その辺りも期待したいと思っております。
私からは以上です。どうもありがとうございます。
○今村部会長 ありがとうございます。
今、幾つか御質問もございましたので、回答をお願いします。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 ありがとうございます。
まず、栄養成分表示の御質問だったと思うのですが、栄養強調表示が見直されて、赤く塗った数字の中で大幅に増えていくものはおっしゃるとおりビタミンB12とDになります。ビタミンDについては、日本人の食事摂取基準(2020年版)の際に、基準値の考え方を改めたために、増えたものになります。ビタミンB12については、今回の2025年版の際に、推奨量を定めていたものを目安量に変えたため、それぞれ増えているものになります。
実際にどのぐらい影響があるのか、正確なデータは持ち合わせておりませんが、今年度に実施しました表示の実態調査で、ビタミンDの強調表示をしている食品については、新しい数値になっても基準を超えていくものもあれば、それを超えないような食品もあったという状況ですので、全く影響がないということではございません。
○今村部会長 よろしいですか。お願いします。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 資料4の15ページになります。引き続き残っている品目をどうしていくのかという質問かと思います。残っている品目につきましても、既に1月から議論を開始しておりまして、残っているもの自体、これに挙げているもののヒアリング自体は来年度中に終わらせたいと思ってございます。また、この改正のスケジュールについても今年度と同様の形でできればと思っております。ただ、あくまで議論して決まることですので、全て終われるかどうかというのは議論次第でございますけれども、終われるのであれば、取りあえず一巡したいと思っています。今、前半が終わった部分だと思っていますので、後半の部分についても取りまとめて、来年度にできればと思っています。
それを踏まえまして、経過措置期間の御質問がありましたが、こちらについても基本的には経過措置期間を合わせるという形で、全て12年4月1日という形がいいのかなと思っております。ただ、こちらについてもいろいろな事情等ございますので、議論が終わった後に、経過措置期間としてもどの期間が適当なのかというのをまた議論していきたいと思ってございます。まだ今のところ何か決まっているわけではないですが、残りの品目についても来年度中には議論するということは決まっているところでございます。
○今村部会長 ありがとうございます。
川口委員、いかがですか。
○川口委員 大丈夫です。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 申し訳ございません。条例の話が抜けておりました。条例につきましては、おっしゃっていることは重々理解しておりますが、あくまで自治体の自治事務の範囲の話ですので、消費者庁からのコメントは差し控えさせていただきます。ただ、こういう改正を行っていますということについては、各自治体に周知しておりますので、それを踏まえて自治体のほうで考えていただけると思ってございます。
○川口委員 どうもありがとうございました。
○今村部会長 ありがとうございます。
では、続いて前田委員、そしてウェブ上の鈴木委員の順番でお願いします。
○前田委員 ありがとうございます。前田です。
分かりやすく御説明いただきましてありがとうございました。栄養強化目的で使用した添加物の表示については、現代に合った理にかなっている改正だと思いますので、異論ございません。
それから、個別品目の表示のルールの見直しについては、一つ一つの品目についてとても丁寧な検討をされたと思います。ありがとうございます。合理的な改正ではないかと思い、賛同します。また、御説明や委員の皆様からの補足の御説明等から、国民一人一人にとってとても関わりが深くて身近なことだと思いました。多くの方に知っていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
それから、経過措置期間について、多くの意見があったと思います。栄養成分表示に関する改正案のところは特に重要ではないかと思います。消費者への啓発ということもそうなのですけれども、最終日に製造されたものが消費期限が来るまでは市場に出回るとか、そういった啓発ももちろん大事ですし、それから、いつの時点の表示で商品が出ているかということを知ることも非常に重要だと思いますので、お願いしたいと思います。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございました。今のは御意見として伺ってよろしいですか。
○前田委員 はい。
○今村部会長 では、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 鈴木です。ありがとうございます。
御丁寧な説明をいただきましてありがとうございました。まずは、資料2の栄養強化目的で使用した食品添加物の表示についてですが、これが記載されるようになること自体は非常によいことだと考えております。ただし、記載方法については検討の余地があると感じています。今回の表示対象となる栄養強化を目的とした食品添加物は一括名が存在するものではなく、用途名併記のように用途に物質名を併記する形で表示されるものでもありません。そのため、単純に物質名を記載した場合、消費者にとって分かりやすいかどうかが懸念されます。例えばリボフラビンはビタミンB2ですが、リボフラビン酪酸エステルやリボフラビン-5'-リン酸エステルナトリウムなどの派生物もビタミンB2に含まれます。同様に、エルゴカシフェロールはビタミンDですが、この部会に参加されている専門家であれば理解できるものであっても、一般消費者が長い物質名を幾つも書かれた表示を見て正しく理解できるかという点には不安が残ります。このような観点から、消費者がより分かりやすい形で物質名を記載するルールを検討することが、本来の目的を達するうえで重要ではないかと思っています。
これは一つのアイデアですが、例えば調味料の表示において、一括名の調味料に対してアミノ酸や有機酸などのグループ名を括弧を付して表示するルールがあります。同様に、一般消費者が理解しやすい形で、栄養強化剤などの一括名を新たに設定し、ビタミンやミネラルなどをグループ名として表示する方法も、将来的には検討されても良いのではないかと考えます。これはあくまでアイデアの一つで、御検討いただく必要はありませんが、同じ物質名であっても一般消費者に分かりやすい名称を選んで表示するルールも導入についても検討の余地があるのではないかと思います。
次は、資料3の栄養成分表示の改正についてですが、移行期間に異なる表示が混在する点が非常に気になっていました。そのため、これまでと同様に何年版対応といった形で年次を記載をすることが推奨されると伺い、安心いたしました。一方で、栄養指導を受ける方や、細かな数値を必要とする方にとっては、栄養素の変動が健康に直接影響を及ぼす場合があります。例えば、腎臓病の方にとっては、カリウムの過剰摂取が問題となります。今回は、カリウムの数値自体は変わっていませんが、健康への影響が大きい栄養素の数値が変動した際には、正確な情報を求める方にとって影響が大きくなり得ます。
このような観点から考えると、何年版対応の記載は推奨ではなく、義務とすることも検討すべきではないかと思いました。
資料4の個別品目についてですが、皆様と同様に、非常に緻密かつ慎重に御検討を進めていただいていることに深く感謝しております。これまで、個別に定めのある品目は時代背景やその特性に応じて多様な表示ルールがありました。食品表示行政が消費者庁に一元化されたことで、多様化した表示だけが商品を正しく表すものではなく、時代の変化や消費者のわかりやすさの観点からも、表示を見直せるようになったことは非常に良いことだと考えております。
何より重要なのは消費者が誤解なく表示を理解できることです。例えば、先ほどから出てきているみそのように日本古来の食品で、特別な扱いが必要なものを除けば、なるべく共通の横断的な表示にすることによって、かえって消費者の理解が深まると考えます。業界団体によっては表示の変更が難しいと感じている場合もあるとは思いますが、丁寧な話合いを重ねながら、引き続き進めていただければと思います。
また、先ほど話に出た13ページ、14ページについては本年度で、15ページは来年度の対応ということで、経過措置期間の終了時期は統一されるとのことですが、スタート時期が二つに分かれる点についても気になっています。情報としては早めに上げることで、事業者としては、十分な経過措置期間があり、各々のペースで対応を進められるというお考えだとは思いますが、なぜスタート時期が分かれているのかについて、より明確な説明があると助かります。スタート時期が異なると、経過措置期間が異なるのではないかと事業者が誤解する可能性もありますので、終了時期は統一されているといった運用ルールについて、丁寧に情報発信していただけるとありがたいです。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
幾つか御質問がありましたけれども、消費者庁から御回答をお願いします。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 御質問ありがとうございます。
栄養強化目的で使われた添加物から御回答いたします。一括名表示なども御提案をいただきましたけれども、まず、添加物の表示ルールとしては物質名を基本としておりますが、そのほかにも簡略名ですとか類別名という形の表記も認めておりまして、これは広く一般に知られている名称ということで、分かりやすく表示をするということも認めております。
資料2の5ページを見ていただくとちょうど分かりやすいかなと思いまして、上のほうに例示を二つ出していますけれども、赤字で書いてあるのがビタミンEとかビタミンB2といった表記をしておりまして、こういった表記を認めてございます。栄養強化目的で使う添加物というのは、むしろ事業者さんにとってはあえて添加していて訴求ポイントになりますので、こういった分かりやすい表示をして、消費者にこれを使っていますよというようなことをアピールするところかなと思いますので、実際としては、こういう簡略名や類別名の使用として表示されていることが多いのではないかと考えてございます。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 次に、栄養成分表示に関するところで、例えば前回の2015年版の栄養素等表示基準値を用いた場合には、2015年版である旨を義務的に表示することも検討してはどうかという御意見をいただいたかと存じます。栄養素等表示基準値の基となっている日本人の食事摂取基準は、必ずしも全ての国民に当てはまるものではなく、例えば、ある疾患をお持ちの方においては、医学系学会が出すガイドラインを用いて栄養療法を主治医の下に管理栄養士が栄養アセスメントをしながら進めていくものになっております。必ずしもその数値が全員に当てはまらないため、2015年版なのか、2025年版なのかをしっかり周知するよりは、その含有量の表示を使っていただくことを啓発すべきと思います。趣旨としてはしっかり啓発をしていこうということかと存じますので、御意見として承りたいと思います。
以上です。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 個別品目の部分について、基本的に改正の方向性等については賛成という御意見をいただき、ありがとうございます。最後の経過措置期間のところについてと、あと施行時期について、説明させていただきます。前半部分はこの答申をいただいた後すぐに改正し、残りについては来年度検討して、来年度以降に改正する形になるが、そこがずれるのはいかがなものかという御質問だと思います。こちらにつきましては、パブリックコメントのほうでも3ページの改正時期、⑱の品目ごとに施行時期が分散することを防ぐため、全ての品目の検討が終わった際に一斉に改正すべきという御意見と同様の趣旨かと存じます。こちらにつきましては、個別品目の見直しにつきましては、そもそも検討が終わったものについて改正を先延ばしにする合理的な理由がないことから、検討を終えたものから順次改正を行っております。検討を終えたものについて、全てが終わるのを待っていただくと1年後になってしまい、基本的にこれは個別ルールという形でございますので、今ルールがあるものについては、廃止することが決まっているからといって先に改正、先に表示を変えることはできません。既に検討が終わったものについて、そこを待っていただく必要はないと考えておりますので、包材を変えられるところについては、できるところからやっていただくということだと思ってございます。したがいまして、終わったところから今回、改正して、施行させていただくこととしているところでございます。
また、経過措置期間を合わせるという形でございますので、基本的には、今回の改正分については12年なので5年ありますけれども、来年度分についてはもしかしたら4年になってしまうかもしれませんが、そこを合わせたほうがいいのかどうかについては、引き続き議論を行っていくことになると考えてございます。
○今村部会長 ありがとうございます。
鈴木委員、いかがでしょうか。
○鈴木委員 ありがとうございました。御丁寧に説明いただいて大変よく分かりました。
始めにご説明頂いた栄養強化の物質名についてですが、確かに簡略名や別名など使用できる範囲はあるのですが、実際に栄養強化を行っている事業者知識レベルには大きな差があると感じています。専門的な知識を持つ事業者もいれば、意図せずに栄養強化されたプレミックスを使用したことで結果として製品の栄養強化が図られる事業者もいるのが現状です。こうした状況を踏まえると、消費者にとって分かりやすい表示を実現するために、現在画面に示されている例示のような形で、なるべくシンプルで消費者に分かりやすいような名称を使って表示することを盛り込んでいただけると助かります。正確な物質名を記載することが必ずしも最善とは限らず、難しい物質名をそのまま記載しなければならないと誤認するケースも多々あるため、この点については具体的な例示を積極的に示していただくことで、より分かりやすい表示を目指していただけるとありがたいと思います。
そのほかの点については、先ほどの御説明で理解いたしました。ありがとうございます。
○今村部会長 ありがとうございます。
今のは御意見として伺うということですか。今の点については議論が大分深まっているので、また取りまとめのときにコメントさせていただきたいと思いますけれども、一旦、鈴木委員の議論はこれで終わらせていただいて、あと、河野委員、よろしいですか。
○河野委員 今回の諮問事項につきましては、丁寧な御検討をいただいております。経過措置期間等についてもいろいろ御検討、御配慮いただいているので、おおむね賛同できると考えております。
一方で、経過措置期間は終わりのほうをそろえるという話と、次年度以降も個別品目等の検討が続く。先日のアレルギーのアドバイザリー会議でもあったように、アレルゲンの項目とかの改正事項が増えていくことが予想されておりますので、その辺りは経過措置期間も踏まえて、事業者が、改正事項そのものがいっぱいあると混乱というか、なかなかうっかりしてくるところもあるかもしれませんので、その辺りの理解、把握というところに何かしら御配慮いただけるとありがたいと思います。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。御要望ということで、ありがとうございます。
では、中田委員、お願いします。
○中田部会長代理 説明ありがとうございます。予定の時間も過ぎておりますので、できるだけ簡単に発言をしたいと思います。
今回の改正案については、食品表示懇談会で個別品目ごとに時間をかけて丁寧に御議論をいただいた上でまとめていただいたもので、消費者庁御担当者と懇談会の委員の先生方の御尽力に感謝をまず申し上げます。
私からは、3点目の個別品目ごとの表示ルールの見直しについて、消費者目線での食品の品質に関する情報の分かりやすさ、理解のしやすさの観点からコメントと御質問を申し上げます。
日本の食品表示は諸外国に比べて比較的品質に関する表示が少ないという見方も一部であるようですが、委員の先生方からは、食品全体の品質レベルが上がっているので、そろそろ横断的なシンプルな表示を適用しても問題ないのではないかという御意見もあり、私もその御意見に一理あると考える一方で、今回の個別品目ごとの表示ルール一部廃止によって、消費者が店頭で商品を手に取って、容器包装に表示されている情報を見ても、商品特性の差が視覚的に見極めることが難しくなるケースや、品質の差が伝わらないとすると、企業が設定した価格の正当性が消費者に伝わりにくいケースも発生するのではないかと想定されます。
また、事業者目線では、パブリックコメントにもございましたが、具体的には、えびフライの衣の割合や、ハンバーグステーキやぎょうざの食肉以外の材料の原材料及び添加物に占める重量の割合を企業努力で5割未満に抑えて、提供商品の品質の向上、差別化を図っている企業の企業姿勢の結果が消費者から見えなくなることによって、事業者にとっても品質改善へのインセンティブが薄れるという可能性もなきにしもあらずではないかと思います。そうなると、今回の横断的な共通化の流れの改正が果たして誰のための改正なのかという点に、正直私は若干の疑問を感じております。
その上で、私からの質問としては、今後、今回の改正を含み、もしかしたら全食品の見直しが一巡した後になるのかもしれませんが、消費者と事業者に食品表示が意図したとおりの内容の理解が得られているかの検証、あるいはモニタリングはどのように行われるのか。また、CodexやEUの原材料パーセンテージ表示が全て最適であるということではないと思いますが、消費者が合理的な商品の見極めをする上で、国際的基準であるCodex等との整合性や反映の是非は、どの時期に、どのようなプロセスをもって検討されていく計画であるのか、現在分かっている範囲で御教示いただければと思います。
○今村部会長 では、消費者庁から回答をお願いします。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 御質問ありがとうございます。
まず、そもそも今義務となっている割合表示等がなくなることによって消費者が選択できなくなるのではないかという御質問かと思います。こちらにつきましては、あくまで今は、義務表示となっておりますが、事業者が自分たちが訴求するためにたくさん使用していることを書くこと自体を禁止するわけではなく、商品の差別化を図りたいためにこういう商品ですという形で、たくさん使用していますであったり、そういったことを書くこと自体は任意で自由になっておりますので、そちらの訴求ポイントについては、訴求したいのであれば事業者の方々が自ら書かれる形になると考えております。
そのほか、先ほどの最後の質問につきましては、Codex等にある量的表示について検討することの是非というお話かと思ってございます。もちろん我々は、懇談会におきましても、国際整合性というところについては議論する形になってございます。御質問については、パブリックコメントの2ページ目の⑥に同じような質問がございます。こちらの個別品目の見直しにつきましては、食品表示懇談会の取りまとめにおきまして、大きな方向性として合わせられるところは合わせていくということも示されておりますので、個別品目については品目ごとの経緯や実態を踏まえた検討を行ったところですけれども、今後、品目に共通する課題ということであれば、横断ルールとしてどうしていくのかというところですので、個別品目でどうしていくのかではなくて、横断ルールとして量的表示が必要なのかどうかということを検討する必要があると思っております。今後、懇談会において取り上げて議論していくという形になると考えております。
○今村部会長 中田委員、どうでしょうか。
○中田部会長代理 明快な御回答をありがとうございます。
今回の見直しについて、大きな流れとしては賛成ですが、見直したことによって消費者の理解が著しく限定されるようになっていることが万が一検証された場合には、新たな抜本的な見直し等も御検討いただければと思います。
あと、今、パブリックコメントについて御回答いただいたのですが、消費者庁に一つお願いなのですが、せっかくこれだけ多数のパブリックコメントをいただいておりますので、主要なコメントに対して、できれば次回の部会に資料での御回答をお願いしたいと思うのですが、そのような御対応は可能でしょうか。
○今村部会長 消費者庁のほうはいかがでしょうか。
○消費者庁食品表示課清水課長 食品表示基準に限らず、法令とか省令の改正というときには、その改正案とともにパブリックコメントについてどのように対応したかというのをお示しするのが通例ですので、考え方として、このパブリックコメントでいただいたこの意見についてはこのように考えておりますというようなことは申し上げられるのではないかと思います。
今日もかなりいただいた御意見、御質問の中でかぶっているものについてはできるだけお答えさせていただきましたけれども、答え切れていないもの、今日取り上げられなかったものもありますので、全てについて一定のお答えができるようには、これから3週間で用意させていただきます。
○今村部会長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
では、菅委員、お願いします。
○菅委員 今の点、私も同じようなことを申し上げたいなと思っていたところなので、何がしかの書類になるというか、書面資料になると思っておいていいですか。聞かないと答えていただけないというよりは、ある程度文書の形でお示しいただければと思います。どのような配布のされ方が可能かは御配慮があるのかもしれませんけれども。
○消費者庁食品表示課清水課長 ちょっとそこまで、それは私どもだけで今決められないので、庁内でも相談して、できる限りの対応をしたいと思います。
○今村部会長 ありがとうございます。
全体を通じて、ほかに御意見はいかがでしょうか。
では、今日の議論を私なりにまとめさせていただきますと、今、消費者庁から御提案いただいた改正案については、おおむね委員の先生方の賛同が得られているということで、次回の審議で答申の取りまとめに向けて進めていければと思っております。
それに対して、今回パブコメでいただいたことについて、かなり詳しく御説明いただいていますけれども、それを次回の会議の際に資料として可能なものを出していただけないかというのが今の委員会の状況と考えております。清水課長からも御案内のように、全てが回答できるかということはあるにしても、主だったものだけでも資料として出していただければと思います。
また、今日かなり議論になったのが、添加物の栄養成分の表示について、用途名表示と現物表示をどう書くのかというのは大分議論になったと思うので、実例としてこういうのがあるのではないかというのは、ぜひお願いしたいと。その中で、特に原名で書かれてしまったらどうなるのかということが言われていますので、シアノコバラミンとかと書かれて分かる方がどれだけいるかというようなこともあるので。でも、現状としてはそういう書き方もオーケーだということと、それに対しての対策なども議論ができればと思いますので、パブコメの主な意見、特に複数意見出ているようなお話とか、あと、今日議題になったものや、今の添加物の栄養表示についての資料の作成を次回に向けてお願いできればと思っております。委員会の今日の意見としては、そのような形で進めさせていただいてよろしいでしょうか。
では、今の点について宿題として消費者庁に持って帰っていただいて、次回は、今日の審議内容を踏まえて答申を取りまとめるということで議論として進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
では、今日は30分も時間を超過してしまいましたけれども、大変有意義な議論ができたと思います。消費者庁におかれましては、今日はちょっと宿題が出たと思いますので、その対応をお願いしたいと思います。
何かコメントがあれば。
○消費者庁食品表示課清水課長 分かりました。準備させていただきます。
○今村部会長 ありがとうございます。
では、今日の審議は以上となりますけれども、連絡事項があれば、事務局からお願いします。
《3.閉会 》
○友行参事官 長時間にわたりまして、御熱心に御議論いただき、誠にありがとうございました。
次回の食品表示部会の詳細につきましては、追って御連絡させていただきます。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。本当に長時間の議論をありがとうございました。
(以上)