第87回 公共料金等専門調査会 議事録
日時
2025年4月14日(月)10:00~11:55
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- 【専門委員】
- 野村座長、若林座長代理、城所委員、郷野委員、後藤委員、長尾委員、長田委員
- 【国土交通省】
- 鉄道局鉄道サービス政策室 三島室長
鉄道局旅客輸送業務監理室 尾﨑室長 - 【東日本旅客鉄道株式会社】
- 鉄道事業本部モビリティ・サービス部門 熊本執行役員
- 【消費者庁】
- 浪越参事官(公益通報・協働担当)
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官、事務局担当者
議事次第
- 開会・事務連絡
- 東日本旅客鉄道株式会社の運賃改定について
- 事務連絡・閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:94KB)
- 【資料1】 公共料金の改定等について(消費者庁提出資料)(PDF形式:813KB)
- 【資料2】 運賃改定の申請について(国土交通省提出資料)(PDF形式:4737KB)
- 【資料3】 運賃改定の申請について(東日本旅客鉄道株式会社提出資料)(PDF形式:4761KB)
- 【参考資料1】 運賃改定申請内容について(国土交通省提出資料)(PDF形式:204KB)
- 【参考資料2】 パブリックコメントについて(国土交通省提出資料)(PDF形式:2198KB)
- 【参考資料3】 東日本旅客鉄道の鉄道事業における旅客運賃の上限変更案について(消費者庁付議文書)(PDF形式:219KB)
≪1.開会・事務連絡≫
○友行参事官 定刻になりましたので、始めたいと思います。
皆様、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
ただいまより「消費者委員会第87回公共料金等専門調査会」を開催いたします。
本日は、野村座長はじめ、その他の委員の皆様がテレビ会議システムにて御出席でございます。
なお、御都合により太田委員、小野委員、柿沼委員は御欠席されております。
また、本日の議題の説明のため、消費者庁から公益通報・協働担当の浪越参事官に会議室にて御参加いただいております。また、国土交通省から鉄道局の三島鉄道サービス政策室長、尾﨑旅客輸送業務監理室長に会議室にて御参加いただいております。そして、東日本旅客鉄道株式会社から執行役員、鉄道事業本部モビリティ・サービス部門長の熊本大誉様に会議室にて御参加いただいております。
本日はテレビ会議システムを活用して進行いたします。一般傍聴者にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ会議室にて御参加いただいております。議事録については、後日公開いたします。なお、配付資料につきましては、お手元の議事次第下部に記載しております。
それでは、野村座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
≪2.東日本旅客鉄道株式会社の運賃改定について≫
○野村座長 本日はよろしくお願いいたします。
本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れてしまった場合には、復旧するまでの間、座長代理に、座長代理の回線も併せて切れてしまった場合には、事務局に進行をお願いすることといたします。
それでは、本日の議題に入らせていただきます。
本日の議題は「東日本旅客鉄道株式会社の運賃改定について」でございます。
本件は、令和6年12月6日に東日本旅客鉄道株式会社より国土交通大臣に申請されました旅客運賃の上限変更であります。東日本旅客鉄道株式会社に関わる旅客の運賃の上限の変更のうち重要なものにつきましては、物価問題に関する関係閣僚会議に付議をする公共料金等とされております。付議に先立ちまして、参考資料3のとおり、消費者庁より消費者委員会のほうへ意見を求められているところであります。
それでは、議事に入らせていただきます。最初に消費者庁様より、公共料金の改定の流れや公共料金の新規設定・変更の協議に当たってのチェックポイントを簡潔に御説明いただき、その後に国土交通省様と東日本旅客鉄道株式会社様より申請案につきましての御説明をいただきたいと思います。
それでは、最初に消費者庁浪越参事官より5分程度で御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○浪越参事官 消費者庁参事官の浪越でございます。
まず私から、公共料金の改定に当たって消費者庁がどのように関与をし、消費者委員会の皆様に何をお願いしているのかということについて御説明をさせていただきます。
資料に基づいて御説明させていただきます。
右下にページ番号がございますが、まず1ページをお願いいたします。公共料金等の新規設定・変更における消費者庁の関与の概要でございます。
公共料金等の設定・変更等に当たりまして、政府が認可等を行うものでございますが、こちらの新規設定・変更におきましては、通常であれば事業者から所管省庁に申請をし、所管省庁の審議会等に諮問し、答申を受けた上で認可等を行うという流れでございますけれども、関係省庁間の申合せに基づきまして、公共料金改定のうち重要なものにつきましては、所管省庁は認可の前に消費者庁に協議をかけ、消費者庁は内閣府消費者委員会に付議をして御意見を伺った上で、関係閣僚会議に付議をすると。その後、所管省庁は認可を行うという流れになってございます。
その他一定のものにつきましては、所管省庁は消費者庁への協議を行えばいい、消費者庁のみがチェックをした上で所管省庁は認可等を行うという流れになっております。
続きまして、2ページをお願いいたします。先ほど、重要なものとして関係閣僚会議に付議をするものと、一定のものとして消費者庁で協議するものと2つあると申し上げましたけれども、具体的な公共料金の例でございます。
左側が関係閣僚会議に付議するもの、右側が消費者庁協議のみでいいものでございまして、例えば経済産業省関係でございますと、沖縄電力を除く大手電力9社の供給約款料金とありますけれども、いわゆる規制料金につきましては関係閣僚会議に付議をするということになっております。
また、一番下、総務省所管の関係で申し上げますと、①定形郵便物とありますけれども、いわゆる25グラム以下の封書につきましては、料金の上限の変更に当たっては関係閣僚会議に付議をする必要があるとなっております。
一方で、先ほどの規制料金で言うと沖縄電力の規制料金については消費者庁協議でよく、郵便料金で言うと第三種郵便、第四種郵便の料金については消費者庁協議でいいことになっております。
本日消費者委員会で御議論いただくものは赤枠でございますけれども、国土交通省関係の①鉄道運賃でございますが、JR各社や民鉄大手15社といった大手の鉄道会社の旅客運賃の上限の変更のうち、重要なものについては関係閣僚会議に付議をすると。重要なものを除くそれ以外のものにつきましては、消費者庁協議でいいということになってございます。
今回のJR東日本につきましては、鉄道事業のうち最も影響人口が大きいということなどから、消費者庁においては重要なものに当たるということで、関係閣僚会議に付議する必要があると。その前段階として、消費者委員会に付議をするということにしているところでございます。
おめくりいただきまして、3ページをお願いいたします。
関係閣僚会議付議案件、消費者庁協議案件につきましては、いずれも消費者庁においてチェックをしておりますけれども、消費者庁においてのチェックに当たっての基本的な考え方を関係省庁にお示しをしておりまして、消費者に与える影響を十分に考慮するようにということで①から③を確認しております。
①決定過程の透明性の確保ということで、所管省庁の審議会等における審議過程が公表されているかという点をチェックしております。
続いて、②消費者参画の機会の確保として、パブリックコメント等を実施して利用者等の意見を聴取しているかという点や、所管省庁の審議会等において消費者団体等を参画させているか、認可等の後、改定内容に関して消費者に分かりやすく丁寧な説明に努めることとしているかを確認してございます。
最後、③でございますけれども、料金の適正性の確保として、法令等に基づいた適切な料金が算出をされているか。具体的には、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを改定後の収入が超えていないかという点や、不当な便乗値上げになっていないか、賃上げが適正に見込まれているかという点を確認してございます。最後が、所管省庁でつくっている料金の算定基準等がちゃんと公表されているかという点を確認してございます。
おめくりいただきまして、4ページをお願いいたします。
これまでに平成23年度以降、物価問題に関する関係閣僚会議に付議をしているものの一覧を載せておりまして、直近が下のほうになりますけれども、例えば2年前の令和5年5月ですと、大手電力7社の規制料金の改定や、昨年令和6年ですと、定形郵便物等の上限料金の改定に当たって関係閣僚会議に付議をしているところでございます。
最後は、先ほども野村座長から御説明がございましたけれども、参考資料3を御覧いただきますと、4月10日付で消費者庁から消費者委員会に対して、今回、JR東日本の鉄道事業における旅客運賃の上限変更について、これを物価問題に関する関係閣僚会議に付議するに当たって消費者委員会の意見を求めるというお願いをさせていただいているところでございます。
私からの御説明は以上でございます。
○野村座長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、国土交通省様及び東日本旅客鉄道株式会社様より御説明いただきたいと思います。おおよそ40分程度ということでよろしくお願いいたします。
○三島鉄道サービス政策室長 それでは、まず最初に私、国土交通省鉄道局鉄道サービス政策室長の三島より御説明をさせていただきます。
資料2に基づきまして、JR東日本さんの運賃改定について御説明申し上げます。
まず1ページ目でございます。今回の運賃改定の概要でございます。
JR東日本さんから、令和6年12月6日に国土交通大臣に対して運賃改定の申請が行われたところでございます。鉄道運賃につきましては、鉄道事業法に基づきまして鉄道事業者が上限を定め、国土交通大臣の認可を受け、その範囲内で実施運賃の届出をするという制度になってございまして、今回、運賃の上限を変更するという申請が行われたものでございます。
申請によりますと、実施時期は令和8年3月を希望されておりまして、今回の改定については会社発足以来初めての本格改定ということでございます。こちらにつきましては、これまで消費税率の変更に伴う運賃改定は行われておりますが、それ以外での本格的な改定は始めてということでございます。
申請の内容でございますけれども、普通旅客運賃と定期旅客運賃の上限についての変更でございます。
改定の内容につきましては、後ほど詳細も御説明いたしますけれども、全体としての値上げ率が7.1パーセント、増収率が5.0パーセント、増収の額といたしましては年881億円の増収ということでございます。
続きまして、運賃改定の主なポイントでございます。
JR東日本の運賃におきましては、幹線、地方交通線、電車特定区間、山手線内の4つのタリフがございますけれども、その中でまず幹線と地方交通線につきましては、普通旅客運賃と通勤定期旅客運賃を改定したいとのことでございます。その上で、電車特定区間と山手線内の運賃タリフを幹線に統合し、結果として運賃のタリフが幹線と地方交通線の2つとなるということでございます。
次に、6か月の通勤定期旅客運賃につきましては、現在は1か月定期の6倍に0.8から0.9の割引率を乗じているということですけれども、その割引率について0.9倍に統一するとのことでございます。
なお、その下ですけれども、通学定期旅客運賃については家計負担を考慮して、幹線と地方交通線については据置きとするということでございますが、先ほど申し上げましたように電車特定区間と山手線内につきましては運賃が幹線に統合されることになりますので、当該区間の通学定期旅客運賃については幹線のものが新たに適用されることとなります。
値上げ率の内訳でございますけれども、普通運賃が7.8パーセント、通勤定期が12.0パーセント、通学定期が4.9パーセントとなってございます。下に表で記載しておりますけれども、このうち右側の表、電車特定区間と山手線内につきましては、現行のバリアフリー料金を含めた額からの値上げ率を掲載しているところでございます。
2ページ目をお願いいたします。運賃改定の背景について御説明いたします。
大きく3点ございまして、1点目が2ページ目でございまして、厳しい経営環境が継続する見込みであるということでございます。コロナ禍を経まして新しい生活様式が定着した結果といたしまして、鉄道利用が減少、左上にグラフもございますけれども、コロナ禍から回復はしてきておりますが、以前の水準までは戻らないだろうということでございます。
加えまして、その下のグラフでございますけれども、沿線人口が今後さらに減少していくことが見込まれております。
また、右上のグラフですけれども、昨今の物価高騰によりまして経費も増加しているということで、労務単価、資材価格、動力費等、全て鉄道事業に必要な経費につきまして、いずれも大きく高騰している状況にございます。
また、人材確保につきましても、採用市場が厳しさを増しており、募集に対しての応募がコロナ前の3割にとどまるということであり、人材確保のためには待遇改善等が必要な状況にあるとのことでございます。
次に3ページ目をお願いいたします。背景の2点目でございます。
施設の改良・保守について、多くの労力と費用が必要となるということでございます。鉄道につきましては、本格的な保守作業は列車が運行していない夜間に行うということでございますので、特に軌道や架線の保守作業が厳しい環境での作業となります。
また、先ほど人材確保の課題に触れましたけれども、人口減少に伴って、鉄道工事に従事する方が2割減少する見込みであるということで、こちらについても人材確保のためには作業環境の改善のための投資が必要であるということでございます。
一方で、安全のためには、耐震補強ですとかATSの改良といった様々な投資を継続して実施していくことが必要でございまして、左下のグラフにもございますが、一貫して安全投資や修繕費が増加傾向にあるということでございます。
次に4ページ目をお願いいたします。背景の3点目でございます。
こちらは資金面でございまして、必要な資金の長期的・安定的な確保が課題であるということでございます。左上のグラフにございますけれども、コロナ後も設備投資は増やしてきておられるところですが、その下のフリーキャッシュフローのところを見ていただきますと、資金繰りというところでは十分な資金を確保できている状況にはないということでございます。
右上のグラフを見ていただきますと、有利子負債についても増加をしているということでございます。
こうした中でも、一番上の箱に記載がございますけれども、多様化するお客様ニーズへの対応ですとかサービスの向上、安全や老朽化、災害対策など、こうしたものへの対応のための設備投資を継続して実施していく必要があり、そのための資金を安定的に確保していくことが課題であるということでございます。
5ページ目をお願いいたします。今ほど設備投資資金の安定的な確保が課題ということで申し上げましたけれども、こちらには投資の例を載せてございます。
後ほどJRさんのほうから具体的な説明があるかと思いますので詳細は割愛させていただきますけれども、ホームドアの整備ですとか羽田アクセス線等の整備によるネットワークの充実、エネルギー・環境対策、事故防止対策、自然災害対策、防犯対策、こういったことに取り組まれていくということでございます。
以上が運賃改定の概要と背景でございまして、次のページからは運賃改定の内容の詳細について御説明いたします。冒頭申し上げましたように、普通旅客運賃と定期旅客運賃の上限の改定の申請となってございます。
まず(1)の普通旅客運賃についてでございます。
幹線と地方交通線につきましては、10キロまでの運賃について4.7パーセントの引上げ、11キロ以上につきましては、600キロメートルまでにつきましては同じく4.7パーセントの引上げでございますが、601キロ以上につきましては据置きということでございます。
また、電車特定区間と山手線内につきましては、先ほども申し上げたように、幹線に統合するということでございます。
3つ目の○でございますけれども、JR他社とまたがる際の運賃につきましては、他の路線との通算の運賃ということになりますけれども、今回の値上げに合わせるために、新たに通算加算方式を導入するということでございます。
(2)の定期旅客運賃につきましては、これも先ほど申し上げたところでございますけれども、6か月の通勤定期につきまして、現行、1か月定期の6倍の0.8から0.9倍となっておるところを、この倍率について0.9倍に統一するということでございまして、これによりまして6か月定期については割引率が平均で約1パーセントの減少となるということでございます。
なお、通学定期につきましては据置きということで、全体としては割引率が約1パーセント増加するということでございますけれども、電車特定区間と山手線内については統合されまして幹線の定期旅客運賃が適用されることとなります。
一番下、(3)のその他運賃・料金というところでございます。
まず1点目として、バリアフリー料金は廃止ということでございますけれども、その後ろに括弧書きで書いておりますように、廃止後におきましてもバリアフリー設備については継続して整備をしていくということでございます。
そのほか新幹線特急料金も含めて料金については改定を行わず、また、オフピーク定期券については、利用可能範囲を拡大して引き続き設定するということでございます。
7ページ目は路線図を参考に掲載しておりますので説明は割愛させていただきまして、8ページをお願いいたします。8ページ以降は具体的な運賃の数字を並べた表になってございます。
8ページは100キロまでのところのものになってございまして、赤枠で囲んでおるところが改定後の運賃となってございます。例えば13キロのところを御覧いただきますと、初乗りが現行150円となっているものが、改定後は160円になるということで、差額は10円となってございます。
右側に対山手線内、対電車特定区間、対幹線ということで、値上げ率と差額を掲載してございますけれども、例えば山手線内とか電車特定区間のところの比較で見ますと、距離によっては値上げ幅が大きくなっているところがございます。
次の9ページにつきましては、先ほどと同じく100キロまでのところの表になってございますけれども、バリアフリー料金を含まないベースのものとなってございます。詳細の説明は割愛をいたします。
次に10ページをお願いいたします。10ページと11ページが通勤定期の表となってございまして、先ほどと同じくバリアフリー料金を含む、含まないで2つ載せているものになります。
10ページで御覧いただきますと、1か月定期につきましては、割引率は据置きでございますけれども、普通運賃が値上げとなってございますので、その分が反映された数字となってございます。6か月につきましては、先に説明したとおり、併せて割引率の見直しもされた数字ということでございます。
1ページ飛ばして12ページをお願いいたします。12ページにつきましては通学定期でございます。
先ほども触れておりますけれども、幹線と地方交通線については据置きでございますが、電車特定区間と山手線内につきましては幹線に統合するのでその結果の数字となってございます。
次に13ページについては、ここまで御説明した値上げの状況をイメージ化したものとなってございます。賃率なども記載をしておりますので、また別途御覧いただければと思います。
14ページからは、改定後の運賃につきまして他社と比較したものを掲載してございます。
大手私鉄、都営地下鉄などとの比較となってございます。グラフのうち太い実線になっておりますのがJRさんの運賃ということで、黄緑色が山手線内、オレンジが電車特定区間、青が幹線の現行の金額、ピンクの点線が改定後の幹線の金額でございます。特に近距離のところを御覧いただきますと、他社との競合区間ということで、太線のところを見ますと他社と比較しても低廉な運賃となっていたところ、今回ピンクの点線まで上げていくということで、改定後の姿がグラフでイメージいただけるかなと思います。
同様に、15ページには21から50キロのもの、16ページから19ページまでは、通勤・通学定期ということで同じものを掲載してございます。個別の説明につきましては時間の関係もございますので割愛させていただきますけれども、運賃水準の事業者間比較ということでまた御確認をいただければと思います。
20ページまで飛ばしていただければと思います。20ページからは、東京駅を起点としました運賃を数字にして掲載をした資料でございます。
20ページが普通運賃でございまして、例えば東京駅から新宿で見ていただきますと、下段が現行で上の段が改定後の運賃となってございまして、新宿で見ると50円のプラスということでございます。
一方で、電車特定区間のエリアの外の辺り、例えば上尾とかを見ていただきますと40円となってございまして、電車特定区間や山手線内のエリアのほうが距離に対しての値上げの額が少し大きくなっているということでございます。
21ページが通勤定期の1か月のもの、22ページが通学定期の1か月のものを同じように記載してございます。
22ページを御覧いただければと思いますけれども、通学定期につきましては、電車特定区間と山手線内を幹線に統合することで少し値上げになるということを申し上げましたけれども、例えば八王子の辺りを見ていただきますと800円ほどの増額になってございますが、エリアの外で見ますと、例えば大月ですとか小田原といったところは現行と同額になっているということでございます。
23ページをお願いいたします。
こちらについては中長距離のものでございまして、先ほど新幹線を含めて特急料金については改定なしと申し上げましたけれども、幹線運賃の値上げの分、全体の額が変わっているということでございます。左上のグレーのところで凡例を載せてございますけれども、右側の小さい数字の下のほうが特急料金でございまして、こちらについては変更がなく、上のほうの運賃のところが値上げということで、左側のトータルの数字がそれぞれその分大きくなっているということでございます。また細かいところは別途御覧いただければと思います。
以上が具体的な運賃の改定の内容となってございます。
24ページについては、これまでのスケジュールを載せてございます。
昨年の12月6日に申請を受けておりまして、同月9日からパブリックコメントを行ってございます。パブリックコメントにつきましては同月の23日に締め切りまして、総数として191件の御意見をいただいております。
また、12月16日に運輸審議会に諮問をさせていただいてございまして、今年2月には公聴会が開催されております。運輸審議会におきましては計6回の御審議をいただき、一番下ですけれども、先般4月1日付で運輸審議会のほうから申請どおり認可することが適当である旨の答申をいただいたところでございます。
なお、補足ですけれども、運輸審議会の答申におきましては、国土交通大臣の認可に当たって、今後のテレワークの実施状況やインバウンドなどの旅行需要の動向などにより、想定された需要と実績が乖離する可能性があるため、期限に係る条件を付すことを検討されたいという要望事項ですとか、今般の運賃改定が今後も健全な鉄道事業を持続的に発展させていくために必要であることや、サービスの向上等にも資すること、また、運賃区分の見直しの必要性や合理性について利用者に対し丁寧に説明するよう必要な指導助言を行っていただきたいとの要望事項をいただいているところでございます。
25ページでございます。こちらについては収入原価を載せております。
平年度の原価としては、令和8から10年の3か年を見るということでございまして、収支率につきましては、一番下の欄でございますけれども、3年度合計で99.8パーセントとなってございます。収入が原価を超えない形での申請になっていると承知しております。
次のページをお願いします。
収入の見込みに関しまして、次のページに需要の見通しを掲載してございます。運賃収入につきましては、推定輸送量に運賃を乗じて算出するということでございますけれども、輸送量につきましては、こちらに記載しております右の推計フローに沿って算出をされております。過去の輸送量の実績から、1人1日当たりの乗車回数や1人当たりの県民所得などを用いて回帰式を算出して、その回帰式と平年度の1人当たり県民所得の推計を用いて平年度1人1日当たりの乗車回数を推計した上で、その数値と推計人口によって年度の推計総量の理論値が算出されていると承知しております。その上で、コロナの影響による行動変容ですとか、北陸新幹線の延伸、インバウンド需要、それから値上げによる逸走などの特殊要因を考慮した上で、輸送量の推計値が算出されているものでございます。
27ページ以降は参考資料でございますけれども、27ページは根拠法令であります鉄道事業法の条文を掲載してございます。詳細は割愛をいたします。
28ページにつきましては、いわゆる総括原価方式の説明の資料となってございます。
国土交通大臣は、鉄道事業者が定めた運賃等の上限が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して認可をするということでございます。
原価のうち人件費、経費につきましては、次の29ページに記載をしてございますけれども、ヤードスティック方式と呼ばれる方法によって基準となる標準的なコストを定めておるところでございます。
なお、収入と原価の算定要領についてでございますけれども、30ページをお願いいたします。
算定要領につきまして、令和6年4月1日に改定を行ってございます。改定の主な内容のところでございますけれども、設備投資の促進のために、これまで3年分としておりました将来の減価償却費について、3年を超える期間分を考慮した額を総括原価に計上できることとするということ。それから、国土強靱化など政策的に必要性の高い設備投資につきましては、減価償却費を前倒して総括原価に計上できることとするということ。
(2)ですけれども、人材確保のため、人件費につきまして実績値における上昇率だけでなく、基幹統計等に基づいた伸び率を反映できることとするといった変更を行っておるところでございます。
最後のページは先ほど御説明もいただいたところですけれども、鉄道運賃制度の運賃改定の手続の流れを参考に載せてございます。
少し長くなりましたけれども、私からの説明については以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○野村座長 ありがとうございました。
引き続き、JR東日本様、よろしくお願いいたします。
○熊本執行役員 JR東日本鉄道事業本部モビリティ・サービス部門の熊本と申します。
それでは、資料を使いまして御説明をさせていただきます。一部、国土交通省様からの御説明に少し重なるところがございますけれども、できるだけ簡潔にポイントを絞って御説明をさせていただきます。
こちらの資料につきましては、昨年12月に認可申請プレスを実施した際に補足説明資料として上げさせていただいたものでございます。
次のページにお進みください。
幾つか丸印で目的を記載してございますけれども、まず2番目でございます。安全性とサービス品質の向上、鉄道ネットワークの拡充により御利用の増加につなげるとともに、生産性向上と財務体質の改善などの経営努力を積み重ね、現在も昭和62年、1987年の会社発足時の運賃水準を維持しているものでございます。
続きまして、3点目の○ですけれども、一方で、新しい生活様式の定着に伴う鉄道利用の減少などございまして、厳しい経営環境が継続する見込みとなってございます。
○を1つ飛ばしまして、さらに今後も多様化するお客様ニーズ、安全サービスの維持向上、老朽化した車両・設備の更新などがございまして、設備投資や修繕等を行っていきますけれども、これらに必要な資金を安定的に確保することが困難な状況になっているということでございまして、下段に記載してございますとおり運賃改定をさせていただきたいと認可申請をさせていただいたものでございます。
続きまして、3ページにお進みいただければと思います。今回の運賃改定の主なポイントということで、3つポイントを掲げてございます。
1つ目は、「わかりやすい運賃体系」を実現するということでございまして、先ほど御説明がありましたように弊社は4つの運賃体系を持ってございましたけれども、電車特定区間と山手線内の運賃区分を幹線に統合するということで、幹線と地方交通線の2つの体系になるということでございます。
2つ目としましては、全エリアで運賃改定を行うということです。濃淡はございますけれども、全ての皆様に御負担を頂戴したいということでございます。
3つ目ですけれども、通学定期運賃は家計の負担に配慮するということでございまして、幹線、地方交通線の通学定期については据置きをさせていただいたところでございます。なお、電車特定区間と山手線内につきましては、幹線に統合するためその分値上がりするということでございます。
続きまして、次のページに行っていただきまして4ページでございます。電車特定区間・山手線内と幹線の統合でございます。
電車特定区間・山手線内の運賃は、国鉄時代、1984年以降、競争力のある運賃設定を目的とした首都圏の運賃抑制策として設定されてきたということでございまして、他の私鉄等の競合を考慮したというところで運賃を抑制してきたという背景がございますが、現在では他の鉄道事業者も運賃改定を行ってきて、運賃格差が逆転または縮小しているところでございます。
一方で、山手線内、電車特定区間などの首都圏エリアにつきましては御利用が集中しておりまして、これまでも輸送改善、新車導入、バリアフリー設備等の多額の設備投資を積極的に実施して、安全で安定した輸送・サービスの向上を図ってきたところでございます。
また、これからもこの区間には多額の設備投資がかかるというようなところがございまして、これらの設備投資の維持更新、サービス向上を継続的に行っていく上でも、当該エリアを御利用のお客様に一定程度の御負担をお願いしたいということでございまして、今回、電車特定区間と山手線内の運賃体系につきまして幹線と統合したいということでございます。
続きまして、5ページからは運賃改定の概要でございますけれども、先ほど少し御紹介いただきましたので飛ばしまして、6ページでございます。定期旅客運賃でございます。こちらも記載のとおりでございますが、特に通学定期運賃、大学生につきましては幹線、地方交通線を据え置くということ。それから、高校生は大学生の1割引き、中学生は大学生の3割引き、小学生は中学生の半額ということで、現在もこのとおりにしてございますけれども、こちらについては継続をするということでございます。
その先は運賃改定の概要ということで、幾つか細かい論点を含めて記載がございますので少し端折らせていただきまして、10ページを御覧いただければと存じます。
今回の運賃改定の背景でございますけれども、国鉄改革以降、鉄道の再生と復権に我が社は全力を挙げて取り組んでまいってきた次第でございます。安全性とサービス品質の向上、生産性と財務体質の改善、そして運賃水準に関しては消費税率とかバリアフリー料金、オフピーク定期券などのマイナーチェンジと言うと恐縮ですけれども、変更がございましたが、おおむね水準としては変わらず、これまで約38年間進めてまいりました。
一方で、コロナ禍による経営環境の変化ということで、コロナ以降というところがございますけれども、特に一時的なコロナの落ち込みということよりも、コロナを経て御利用のあるお客様または人々の新しい生活様式が定着してきたというところで、大きくトレンドが変わってきたところでございます。
右下11ページでございますけれども、運賃改定の背景といたしまして、安全な鉄道運行には安全投資、適切なメンテナンスがこれからも必要であるということ。運転事故や輸送障害の発生件数は大幅に減らしてきたというところ。それから、設備の老朽化、自然災害の激甚化、お客様のニーズの多様化もございまして、こういったものに対応していく必要がこれからもあるというところでございます。
右下12ページございますけれども、これはやや社内の業務に資するところではございますが、限られた時間内での作業による工事の長期化というところでございまして、先ほども少し国交省様から御説明がございましたが、列車の運行への影響を最小限とするために、修繕及び設備投資の工事につきましては、多くを終電から初電までの限られた時間内で行ってございます。特に首都圏エリアにおいてはこの時間がかなり短いというところがございまして、今となっては4年前になりますけれども、2021年3月に列車間合いを240分から270分確保させていただきたいということで、初終電の見直しも実施してまいりましたけれども、依然厳しい状況であることには変わりはございません。
また、鉄道を保守する従事員の減少、作業改善の関係、従事員に対しても待遇改善をせねばならないという状況に置かれてございます。
ここからは、これまでの取組とこれからの取組ということで説明をさせていただきます。
右下13ページを御覧いただければと存じます。
まず、これまでの主な取組ということでございまして、安全は当社の最大の経営のプライオリティーということでございまして、安全・安心なインフラを社会のためにということでございます。列車衝突事故防止対策ですとか様々列車運行に対する安全対策をこれまでも実施してきたというところでございます。
右下14ページでございます。
車両の設備投資、老朽取替え及び大規模地震対策ほか、効率的なメンテナンスということでございまして、CBMと記載してございますが、Condition Based Maintenance、状態に応じたメンテナンスを推進していくということも進めてきたところでございます。
続きまして、右下15ページ、快適な都市のためにということでございまして、バリアフリーのためにということでございまして、エレベーター、バリアフリートイレ等々、整備してきているところでございます。
また、Suicaについても、従来は鉄道を御利用になるためには、みどりの窓口あるいは券売機で切符を買っていただくことが必要でございましたけれども、Suicaの登場によって事前に切符を買うということがかなり少なくなってございまして、お客様御自身でも持っていただけるSuicaの板カードまたはモバイルSuica等によって、お手元のデバイスで便利に御利用いただけるようにということで進めてきたところでございます。
右下16ページでございます。
輸送サービスの向上ということでございまして、各種輸送改善、直通運転ですとか、輸送力の増強に伴ってさらに混雑緩和ということを進めてきたところでございます。また、幾つか新駅も設置してきたところでございます。
17ページでございます。
混雑緩和の取組ということで、会社発足当時は200パーセントを超える混雑率だったということでございますけれども、列車の増発または編成長を長くするといったことも繰り返し行いまして、現時点では130パーセント台になってございます。
それから、18ページでございます。
今度、地方創生ということでございますけれども、地方の活性化ということも併せて実施をしてきたところでございまして、のってたのしい列車、観光列車など、そのほか地方を盛り上げるための列車を運行する、または地方線区においても新型車両を投入していく、クルーズトレインなどを実施してきた、また、Suicaについても地方圏内を拡大してきているところでございます。
右下ページ、19ページ、地方創生でございますけれども、連続立体交差による駅のブラッシュアップということで、より便利な、また、魅力ある駅づくりということも進めてきているところでございます。
右下20ページでございますけれども、BRTの運行ということで、東日本大震災で浸水被害を受けた太平洋沿いの路線ではBRTによる早期の復旧を実現してきたところでございます。
右下21ページ、豊かな地球環境のためにということでございまして、カーボンニュートラルの実現への取組ということで、ゼロカーボンチャレンジ、そのほか水素社会実現に向けた取組などを行っているところでございます。
右下22ページでございます。
経営合理化ということでございますけれども、会社発足時は鉄道に関する従業員がおよそ7万2000人いたところでございますが、これを半減以上の3万3000人で現在は対応しているとこでございます。
また、近年における取組としましては、資料に記載しているとおり、2027年度における鉄道事業のオペレーションコストを2019年比で1000億円削減することに取り組んでございまして、現時点では達成できる見通しでございます。
今後というところでございます。右下23ページからということで、安全についてでございます。
今、ホームドア整備を順次進めているところでございますけれども、こちらも着実に進めていく、または事故防止対策、鉄道設備の更新などを行ってまいります。
右下24ページでございます。
快適な都市のためにということで、先日のダイヤ改正から中央線普通車グリーン車サービスを開始してございますけれども、そういったものですとか、そのほか東北新幹線の福島駅アプローチ線、羽田空港アクセス線などの整備を進めているところでございます。
続きまして、25ページでございます。
快適な都市のためということでございまして、渋谷駅、中野駅、品川駅など大きなターミナルの駅について、バリアフリーの設備の整備も進めながら、便利な駅づくりをしてまいります。
また、Suicaの進化によるデジタルプラットフォームということで、さらにSuicaを高度に活用していただきまして、皆様に便利に御利用いただきたいと考えてございます。
右下26ページでございます。
より多くのお客様のシームレスな移動の実現ということで、Suicaをお持ちでないお客様についても、QRコードに対応したシステムを導入していくということで、現在、東北エリアからスタートしているところでございます。
また、混雑緩和の取組ということで、オフピーク定期券を提供してこれまで進めてございますけれども、今後も引き続きこちらについては積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
27ページでございます。
快適な都市のためにということで、先日、まちびらきをさせていただきましたTAKANAWA GATEWAY CITYのように、快適なまちづくりというところも進めてまいります。
また、OIMACHI TRACKSと記載してございますけれども、かつては弊社の社宅があった用地でございますが、こういったところもお客様に便利に使っていただきたい、また、地元の方に便利に使っていただきたいということで開発を進めてございます。
右下28ページでございます。
地方創生ということで、地域特性に応じた生活交通ネットワークの構築ということでございまして、MaaSなど様々なものも導入しながら、地方をさらに便利に使っていただくということを進めてまいります。
また、ローカルスタートアップ企業との共創ということで、弊社だけではなく地元のスタートアップ企業の持続的な成長を支援して、地域のより一層の活性化を進めてまいります。観光についても取り組んでまいります。
右下29ページ、共生社会の実現ということでございまして、精神障害者割引制度についても導入しているところでございます。
また、先ほど申し上げました脱炭素社会への貢献も進めてまいります。
30ページには研究開発活動を記載してございます。
弊社でも研究開発を進めまして、より便利に、より安全に、よりコストダウンに資するというところを鋭意研究開発を進めながら、実用化に向けて取り組んでいるとこでございます。
右下31ページです。
インバウンド需要の拡大ということで、今も十分インバウンドの御利用は増えておりますけれども、政府も掲げております2030年に6000万人まで増加する見通しのインバウンド需要に確実に対応してまいりたいということでございまして、こちらについても取組を進めてまいります。
少しページを飛ばしまして、右下35ページでございます。
設備投資計画ということでございまして、鉄道事業に関わる設備投資について記載してございます。今後5年間を記載してございますけれども、安全と安全投資を除くものということで一部紹介させていただきます。
平均で約4300億円の設備投資をせねばならないというところがございまして、こちらについては引き続きしっかりと取り組んでいかないと、安全で安定した鉄道をお客様に提供することができなくなってしまうということでございます。何とぞ御理解いただければと思います。
36ページ、37ページにはチケットレスの取組がございますが、今日は説明を省略させていただきます。
JR東日本からの説明は以上でございます。
○野村座長 三島様、熊本様、どうもありがとうございました。丁寧な御説明で理解が深まりました。
それでは、ここから質疑応答、意見交換に入らせていただきます。約1時間使いたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。御意見のある方は挙手もしくはチャットでお知らせください。よろしくお願いいたします。
郷野委員、よろしくお願いいたします。
○郷野委員 御丁寧な説明と多くの資料を御準備いただきまして、ありがとうございました。
私からは、資料3のJR東日本様の資料を基に意見と質問を5点ほどさせていただきたいと思います。
1点目、資料2ページに運賃改定の目的とありますが、運賃改定の目的については、業績が好調であるのに運賃を上げるということについて、これまでの取組を踏まえた上で、今後の具体的な取組やJR東日本の中長期的なビジョンを利用者に分かりやすく示していく必要があると考えます。この運賃改定が利用者にとってどのようなメリットをもたらすのか、納得感のある説明が必要だと思います。
2点目、資料3ページに普通運賃7.8パーセント等々の改定率が示されているのですが、これらの値上げ率についてどのような計算式で出されたのか、この数字が出てきた根拠を教えていただきたいというのが1つ。
それから、同じページの通勤・通学定期のことですが、これまでも申し上げてきましたが、賃金が物価上昇に追いついていない現状を鑑みますと、激変緩和措置のようなことを検討していただけないかと思います。
3点目、資料4ページの運賃改定の主なポイントについて、電車特定区間と山手線内の改定率がやはり高く、利用者の負担が大きいと感じております。御説明にもありましたけれども、これまで競争力の確保を目的に運賃が抑制されていたとしても、今回の値上げ幅はとてもインパクトが大きく、なぜ幹線に統合するのか、また、これまでも電車特定区間、山手線内における利便性向上のための設備投資が重点的に実施されていたという御説明がありましたけれども、そういうことを利用者が納得できるような形できちんと説明する必要があると思います。
4点目、資料17ページにえきねっとによるチケットレスサービスについて御紹介がありますが、えきねっとはサービスがたくさん煩雑にあり過ぎて利用しづらいと感じております。今後、サービスのエリアを拡大していくということですが、利用しやすいサービスとしていくためには、将来的にはJRグループ全域で使える分かりやすいサービスを検討してほしいと思います。
最後、資料22ページにこれまでの主な取組ということで、経営の合理化についてお示しいただいているのですが、経営の合理化についてこれまでの経営努力は評価できると思いますが、例えばワンマン運転の拡大については、運行の安全性ですとか従事員の労務負担については懸念があります。それから、みどりの窓口の配置見直しについては、みどりの窓口に行かなくてもいいような効率化を図っていくということでしたけれども、DX化に対応が難しい利用者が置き去りにされないようなサービスが必要だと考えております。
ダイヤ改正等による運行本数の減少についても、首都圏においてはコロナ禍前の利用水準に戻りつつあるのではないかと感じております。これらのサービスの低下とも取れるようなものについては、運賃を上げるのであれば改善を見直していただきたいと思います。
以上です。
○野村座長 ありがとうございました。
お答えいただくのはJR東日本様が中心になるのでしょうか。補足的に国交省様もよろしくお願いいたします。
○熊本執行役員 ただいま5点ほど御質問いただきましたので、幾つかJR東日本から御説明をさせていただきます。
まず、業績が好調なのに運賃を上げるということに対して、中長期ビジョンで分かりやすく、利用者にどのようなメリットがあるのかというお話でございます。確かにコロナからは業績は回復してきたところでございますけれども、昨年度末の鉄道に関する営業収益で申し上げますと約2000億円の黒字でございました。これは2023年度の実績でございまして、2024年度の決算については現在まだ取りまとめができてございませんので、一昨年前になりますけれども、そちらについては約2000億円の営業利益だったということでございます。
一方で、先ほど申し上げましたとおり、これからも4000億円を超えるだけの設備投資をしていかなければならない。そうでなければ、首都圏をはじめとして、これは首都圏だけではないですけれども、安全で安定した鉄道を御提供することができないということでございまして、こちらが今回運賃を上げさせていただきたいと申請をさせていただいた大きな理由でございます。
それに伴って、御利用の皆様にどのようなメリットがあるのかということでございますけれども、もちろん安全、安定レベル、サービスの向上はこれまで以上にレベルを高く上げてまいろうと思いますし、バリアフリーの整備ですとか、いろいろなお客様に使いやすいような鉄道を提供してまいろうと考えてございまして、それは先ほどこれからの取組のところで紹介させていただいたとおりでございます。
特に土木構造物ですとか電気設備というのは、お客様側から目に見えてよくなったなと感じることはなかなか難しいかもしれませんが、しっかりやっていかなければならないこと。また、近年も例えば山手線とか横須賀・総武快速線にはE235系という新しい車両を導入いたしまして、安全性、それからサービスレベルの向上した新車を導入してまいってございますけれども、こういったものを引き続き導入していくということで、こちらは分かりやすく御覧いただけるかなと思ってございます。また、駅が便利になるということも、お客様にとっては分かりやすく御覧いただけるのではないかと思ってございます。
続きまして、改定率がなぜこうなるのかということでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり普通運賃と通勤定期と通学定期がそれぞれの体系でございますから、それぞれを総合しますとこういった改定率上昇になるということでございます。全てを一緒にいたしますと、2ページに記載がございますとおり改定率は7.1パーセントとなりますけれども、3つの区分に分けて説明するとこういうふうになるということでございます。
それから、電車特定区間、山手線内に対して、なぜ幹線に統合するのかというお話でございました。先ほども御説明させていただきましたが、もう少し補足をさせていただきますと、もともと国鉄の運賃は国土の均衡ある発展に資するということで全国一律の体系にあったところ、先ほど申し上げました1984年以降の議論から、首都圏については他交通機関との競合も鑑みて運賃を据え置いた。その後、地方交通線においては幾分負担をいただくということで進めてきたところでございます。
繰り返しの説明になりますけれども、現時点におきましては、山手線内、電車特定区間エリアにつきましては、経費もそうでございますけれども、大きな設備投資もこれまでもかかってきて、これからもかかるということでございまして、応分の負担をお願いしたいということでございますので、幹線に統合したということでございます。仮に山手線内、電車特定区間について運賃の上げ幅を抑制するということを行ってしまいますと、逆にその分、幹線、さらには地方交通線もそうですけれども、そちらがさらに改定率が上がってしまうということがございまして、もともとの趣旨であります鉄道の使命というところを鑑みて、このような体系にさせていただいたところでございます。
それから、激変緩和措置をしていただけないかというお話でございました。これまでも御説明させていただきました今回の増収幅、約881億円と見込んでございますけれども、こちらは当社が安全で安定的、そして健全な鉄道運行を行うために必須な増収額だということでお願いをしてございます。激変緩和ということで仮に抑えるということになりますと、その分、増収額が確保できないので、幹線、その他の皆様方にさらに御負担を強いる形になるということでございまして、こちらは全体的なお客様の利便性等を考慮した関係で、何とぞ今回の形で御理解いただきたいと考えてございます。
続きまして、えきねっとが煩雑で利用しにくいという御意見でございますけれども、こちらについてはまだまだ行き届いていないところがございますこと、おわび申し上げます。鋭意、えきねっとを使いやすくするようにということで改善をしてございます。また、JRグループ全域で使えるようにという御意見でございまして、利用者の皆様の利便性に添うように進めてまいりたいとは思いますけれども、JRグループはそれぞれの状況がございまして、例えば東海道新幹線しか使わないお客様に対してそれなりに使いやすいシステムを構築するということも一つの考えとしてはあろうかと思って、それぞれの会社が切磋琢磨しながら、これまでもより便利になるようにシステムを導入していると承知をしてございます。こちらについては、引き続きJRグループ全体でお客様の利便性向上に対応してまいります。
最後に、経営の合理化ということで、ワンマン運転、安全性とか労務負担というところについてお話をいただきました。先日、弊社初の6両以上の長い編成でのワンマンをスタートしてございますけれども、従業員の労務負担についてもしっかり策を考えてございまして、できるだけ負担が大きくならないようにということで、ATOと言われます自動で列車の制御をするシステムを導入するとか、または指令室から客室に直接通話ができる装置をつけるなどして、ワンマンになったことでその分だけ全て乗務員にしわ寄せが行かないシステムを導入しながら進めているところでございます。
また、窓口に行かなくてもいいような効率化で、DX化に不慣れなお客様への対応ということでございますけれども、御指摘のとおりだと承知をしてございます。
一方で、モバイルSuica定期券といったものを便利に使っていただければ、ますます御利用が拡大できる余地もあろうかと思いますので、より便利なDX化対応するものをお客様に御理解いただきながら、また、まだまだ窓口に行かなければどうしてもできないことを券売機で行うようにできるなどの改修をしつつ、全てのお客様をフォローする形で進めていこうと考えているところでございます。
以上の御説明でございますけれども、よろしいでしょうか。
○野村座長 ありがとうございました。
郷野委員、いかがでしょうか。
○郷野委員 御丁寧に御回答いただきまして、どうもありがとうございました。
利用者に納得感のある説明をしていただきたいのと、あと1点だけ、料金の改定率については、平均して7.8という御回答だったと思うのですけれども、そこではなくて例えば料金の算定基準がどういう算定基準で、どういう計算式でそのパーセンテージ、改定率が出たのかという資料がもしありましたら、次回でも構いませんので教えていただけたらと思いました。
私からは以上です。
○野村座長 ありがとうございました。
熊本様、もし補足でありましたらよろしくお願いいたします。
○熊本執行役員 今ほど最後にいただきました議論につきましては、国土交通省様と調整いたしまして、次回、何か分かるような形でお示しさせていただければと存じます。
○野村座長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
そうしましたら次の質問に移らせていただきます。城所委員、長田委員の順番でよろしくお願いいたします。
城所委員、どうぞ。
○城所委員 城所です。よろしくお願いいたします。
今の郷野委員の御質問とちょっとかぶるところがあって、御回答は前に説明したのでということであれば結構なのですけれども、私からお話しさせていただきたいと思います。
まず第1点は、やはり直近の業績が好調なのに値上げをする理由は何か、その妥当性はあるかということです。先ほどのお話でもありましたが、例えば2024年12月実績値の営業利益は約3000億円です。全体の業績が好調の中、値上げをする妥当性は果たしてどこにあるのでしょうか。2025年3月18日公表のJR東日本の鉄道事業についてという資料がJR東日本さんから出されているのですけれども、そこでも運賃改定を考慮しなくても運輸収入は伸びるという想定になっているわけです。それと今回のどうしても資金が必要だから値上げが必要という説明は結びつかない気がします。
第2点目なのですけれども、さんざん言われていることなのですが、山手線内運賃と電車特定区間を廃止して幹線に統一した上で幹線を値上げするということになれば、山手線内利用者は3段階、電車特定区間利用者は2段階の値上げとなります。運賃構造の単純化という理由は理解できるのですけれども、それ以外の理由は何かあるのでしょうか。もし全体を一律のパーセントで値上げするとなると、全体の値上げ幅はもっと大きくなると思うのです。そうすると一種、山手線内利用者と電車特定区間利用者による幹線、地方交通線利用者に対する隠れた補助金みたいな感じになってしまっている。一体こういうことをする合理的根拠はあるのでしょうか。
例えば直近のJR西日本の運賃改定では、大阪環状線運賃は廃止していますけれども、電車特定区間は維持して、むしろ拡大しています。先ほど山手線内利用者、電車特定区間利用者に対しては応分な負担を求めるということでありましたが、応分の負担を求めるということであれば、それらの路線に対する収支を公開して、理解を求めるべきだと思います。
3点目ですけれども、家計負担を考慮して、幹線、地方交通線の通学定期旅客運賃は据置きとしているのですが、電車特定区間と山手線内利用者の通学定期旅客運賃は幹線への統合により値上げとなります。そうすると電車特定区間、山手線内の通学定期利用者を持つ御家庭の家計負担は考慮しなくていい理由はどこにあるのでしょうか。もしこのまま値上げするのであれば、山手線内運賃と電車特定区間利用者に対しては、数回の運賃改定を経るなどの激変緩和措置が必要ではないのかなと思いました。
4点目、以上のようなことは、もう既に運輸審議会の答申の要望事項として挙げられています。運輸審議会の答申の要望事項にどのようにお応えしていく方針なのかということを今分かっていればお話ししていただきたいなと思います。
5番目ですけれども、設備投資が必要なので値上げをするというお話だったのですけれども、要は利用者がどのような便益を受けるかが重要だと思います。例えば2025年1月の日本経済新聞の記事では、最近5年で遅延が激増しているということが示されています。また、コロナの後は減便等もあり混雑が激しくなっています。今回の値上げが遅延、混雑の減少に結びつくかということに対しては、検証が必要ではないかと思います。
6番目ですが、先ほどえきねっとの問題が出ましたけれども、えきねっとの問題というのは、えきねっとを今後より使いやすく改善していくということではなくて、えきねっとを改善していくという理由でみどりの窓口が閉鎖されて長蛇の列となっていることだと思うのです。実際、この4月上旬も、私の近くの駅でも、通学定期を買う列でものすごい行列になっています。果たしてそれがどのように利用者に感じられるのでしょうか。これは、みどりの窓口の廃止による不便さを顧客の側に負担をさせていると言うことができます。確かにみどりの窓口の閉鎖は、人件費が減らせるという側面はありますけれども、顧客の側に不便さを負担させて、新しいシステムを使ってくださいねというのは、それはどうなのかなと思います。
私は海外によく行きます。私は語学の問題がありますのでインターネットで切符を取る方なのですけれども、何かあっても窓口に行けば必ず対応してもらえるし、大きな駅ではどこでも窓口があるという状況なので、どんどんみどりの窓口を削減していくというのは顧客の利便上どうなのかなと少し疑問に思います。
以上です。
○野村座長 ありがとうございました。
そうしましたら熊本様、お答えのほうよろしくお願いいたします。
○熊本執行役員 JR東日本、熊本でございます。
今ほど6点御指摘等をいただきました。
まず1点目、直近の業績が好調なのにということでございましたけれども、単体の決算だけでも鉄道事業だけというふうになりませんので、総括原価方式の中では、鉄道事業に関して収入と原価をバランスさせる。もっと言いますと、先ほど国交省様から御説明がございましたとおり、総収入が総原価を超えない範囲内ということでございます。弊社のホームページにFACT BOOKというものがございます。こちらに鉄道事業に関する指標ということで公表させていただいてございます。こちらでは、先ほど申し上げましたとおり2023年度末では営業利益として2000億円程度ということでございます。今年度は一定程度伸びるところはあるとは思っていますけれども、コロナ前は3500億円ぐらいあったということでございまして、実に約1500億円の減益、率で申し上げますと54パーセントということになります。こういった厳しい状況を踏まえて、今回の運賃改定の申請をさせていただいたということでございます。
2点目、山手線内、電車特定区間の廃止ということでございますけれども、1から10キロのところまでは、山手線内と電車特定区間は同じ体系でございますので、こちらの方については電車特定区間から幹線になるという2段階ということになって、そこから先の方は御指摘のとおり山手線内からは3段階、電車特定区間からは2段階となってございます。
先ほどから申し上げましたとおり、山手線内、電車特定区間の部分の上げ幅に対して一定の抑制をするということとしてしまいますと、幹線部分または地方交通線部分にさらなる負担をお願いしなければならないということがございまして、全体で幹線に統合させていただいたということでございます。
なお、線区別の収支は基本、平均1日の平均通過人員2,000人未満の線区のみ、御利用状況とともに、そちらの営業成績ということで公開させていただいていますけれども、現時点でそれ以外のものは持ち合わせてございませんので、御意見として受け止めてまいります。
それから、激変緩和措置につきましても、先ほどの郷野委員への御回答と同じでございます。
それから、運輸審議会の付議事項にどのようにお応えするかということでございますけれども、2点ございましたが、特に1点の御利用の皆様に理解しやすく納得性のある御説明をということで求められてございます。これまでも運賃改定の必要性ということで御説明させていただいたところでございますけれども、今回の御意見等を踏まえてさらに御理解いただけるよう、弊社の状況ですとか今後の見通しについて説明させていただきたいと思ってございます。
続きまして5点目、コロナの後に減便になっているというようなことでございますけれども、運賃改定をしたのに減便になっているではないかということではございませんで、あくまでもこういった厳しい状況を踏まえて適宜適切なダイヤ設定をしてまいるということでございます。実際、コロナの前は180パーセント以上の混雑率の線区もございましたけれども、現時点ではそこが大分下がってきておりまして、150パーセント、160パーセントというところになってございます。これは先ほど申し上げましたお客様の御利用スタイルの変化だと思ってございます。ただし、部分的に混雑が見受けられるところは、先日のダイヤ改正でも、山手線の朝晩に一部増便をしたというようなところがございまして、そういった適切な形で、過度な負担にならない中で、一方で合理的なダイヤ設定にしていくということでございます。
続きまして最後6点目、えきねっとということでございますけれども、と列ができてしまうということで、お客様に負担をさせているのではないかということについては、昨年の5月に弊社社長から発表させていただいたとおり、みどりの窓口の削減については一時凍結ということで進めてまいりました。そこから、えきねっと及び自動券売機の利便性向上、それから、例えば通学定期におきましては、一旦購入すると卒業年度まで継続で購入できるなどのみどりの窓口に並ばなくてもよい施策を進めてまいっております。お客様の御負担を軽減する措置については、今までも全力で取り組んでいますけれども、これからも取り組んでいくというところでございまして、できるだけお客様に相応のサービスを感じていただけるようにということで努めてまいります。
以上でございます。
○野村座長 ありがとうございました。
城所委員、いかがでしょうか。
○城所委員 追加で1点なのですけれども、今の御説明の中で、山手線内利用者と電車特定区間利用者の収支は持ち合わせていないというお話でしたが、もしそれが本当ならば、先ほどの御説明にあったように、山手線内利用者と電車特定区間利用者に対して応分の負担を求めるという理屈は成立しないと思います。応分の負担を求めるというのであれば、その費用が分かって、それに対する収支が得られるように運賃を設定していますというのならば分かるのですけれども、もしその資料がないということであれば、応分の負担という理屈は使えないと思うのですが、いかがでしょうか。
○野村座長 熊本様、よろしくお願いいたします。
○熊本執行役員 今ほどの御質問に対してお答えを申し上げます。
特に首都圏及び首都圏近傍においては、お客様が様々な路線をお使いになるということで、何かの割り切りで山手線に対してはこれだけの費用がかかって、これだけの収益を生んでいるということはできるかもしれませんけれども、かなりネットワークが複雑に入り組んでいるというところで、各線区別では算定ができないと考えてございます。
なお、在来線全体で申し上げますと、こちらは公表してございますけれども、2023年度末ではトータルで言いますと310億円の営業利益でございますので、全体で見ると相当利益額としては低いところでございます。
応分の負担ということに対して、説明になっていないのではないかということにつきましては、御意見としては受け止めるものではございますけれども、我々としては現時点でこの数字だからということは申し上げられないところもございまして、今日の御回答としては、この御説明で御理解を頂戴したいとお願いする次第でございます。
○野村座長 ありがとうございます。
城所委員、さらに御意見がございましたらよろしくお願いいたします。
○城所委員 理解はできないですけれども、今の説明は受け入れます。
○野村座長 ありがとうございました。
そうしましたら次の質問に移らせていただきます。長田委員、よろしくお願いいたします。
○長田委員 長田でございます。ありがとうございます。
今のお二人の委員の御質問のところに関係してくるのですけれども、まず電車特定区間、山手線内の運賃区分を幹線に統合するという説明、JRさんの3ページのところは、運賃体系を分かりやすくするという御説明が書いてあると思うのですが、それと今のお二人の委員に対する御説明はまた全然別の視点からの御回答をいただいていて、分かりやすくというのは、まず誰が分かりやすいのですかというのを伺おうと思っていたのですけれども、全然説明が違うということは非常に大きな問題ではないかなと思って、指摘をしたいと思います。
そして、いろいろな理由を説明されていましたけれども、そこを利用している人たちに対しての影響がどうなのかという視点が全くないのではないかと思っています。激変緩和措置が必要だという御指摘は私も大賛成で、特に通学定期について、ほかの区間については通学定期は上げませんと説明されていても、電車特定区間、山手線内だけを利用されていた方々にとっては大きな負担増になるわけで、それについてはきちんと配慮をすべきではないかなと思っています。
それともう一つは、これは報道されていますけれども、通信制高校サポート校への通学が通学定期の範囲ではないということになるというような話が出ていて、来年の3月まではこのまま継続するということをJRさんのほうはおっしゃっているわけですけれども、その方たちにとってはもっと大きな増額になるわけで、どうしていくのかということも含めて早めに方針を考えていただいて、私としては通学定期の範囲内に認めるべきだと思っていますし、そういう御配慮をしていただければと思っています。
以上です。
○野村座長 ありがとうございました。
熊本様、よろしくお願いいたします。
○熊本執行役員 JR東日本の熊本でございます。
今ほど、2点ほど御意見を頂戴いたしました。
山手線内、電車特定区間に対して激変緩和措置が必要だと、配慮すべきではないかということでございますけれども、私どもとして何も配慮していないということではございません。ただ、一方で運賃体系としては応分の負担ということでございまして、山手線内、電車特定区間の運賃につきましても幹線に統合するという考え方から、あちらでああいう考え方、こちらはこういう考え方ということには、幹線または地方交通線の御負担をいただいている方からの思いということも考えますと、そういった意味で分かりやすいといいますか、全体的に整合が取れている一つの考え方に基づいて、今回、運賃制度をしてきたというところでございます。
また、先ほど申し上げましたとおり、モバイルSuica通学定期券等を御利用いただくことで、買いやすさ、使いやすさについても、これまでも努力してまいってございますし、これからも努力してまいります。
それから、通信制高校サポート校につきまして、大変御心配をおかけして申し訳なく考えているところでございます。先日、弊社喜㔟より社長会見で御説明させていただきましたけれども、今後お時間をいただいて、関係の省庁とも調整をいただきながら、できる限りこれまで通信制高校サポート校で通学定期で通われていた方々について利便性または御負担を増やさない方向で、なるべく早く調整をしてまいりたいというふうに取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
○野村座長 ありがとうございました。
長田委員、いかがでしょうか。
○長田委員 最初のほうの御説明なのですけれども、なぜそういうお考えがあるのにもかかわらず、資料のところに、ただ分かりやすくしたのだという御説明で通そうとされたのかというのが疑問だなと思っております。
以上です。特に御回答は結構です。
○野村座長 ありがとうございました。
そうしましたら次の質問に移らせていただきます。長尾委員、後藤委員の順番でよろしくお願いいたします。
○長尾委員 後藤委員がお先かなと思いますが。
○野村座長 結構です。長尾委員からどうぞ。
○長尾委員 ありがとうございます。長尾でございます。
御丁寧に御説明いただきましてありがとうございます。
先ほど来、ほかの委員、郷野委員や城所委員、長田委員からも御質問やコメントがありましたように、営業利益あるいは業績が好調であるのに値上げを行っているのはなぜかというところで、収支について資料を頂いておりますのが、今日の資料で言いますと25ページ、差引損益が赤字、収支率が100パーセントを割り込むというような数字が出てきていて、総括原価方式において収入を原価が上回るというような形にはなっているのです。
このような算出になった背景に、今回資料も頂きましたように、30ページにありますように、収入原価算定要領の見直しがされまして、かなり柔軟な形で減価償却費が組み込めるようになったと。従前は3年までの減価償却費を算入していたところ、3年を超える期間分も考慮した額を総括原価に計上できるようになった。もしくは、政策的に必要性の高い設備投資の加速化を図るため、政策的に必要性の高い設備投資に対応する既存設備の減価償却費を前倒しして総括原価へ計上できるようになった。ほかにもいろいろな改定があるようですが、このような要領の見直しによって要は原価のところが大分膨らませられるようになった。それによって、総括原価方式において収支率がマイナスのほうにぶれて値上げができるようになったと理解をしているのですが、従前の要領によると、このような運賃改定がそもそもできなかったのではないか。
このような改定によって運賃の改定ができるようになったということは広くお伝えすべきかなと思いまして、今回資料も頂きましたが、従前の算定要領によるとこうだったと。しかし、改定によってこのようなものが算入できるようになって、それによって原価のところ、とりわけ減価償却費などがこのように膨らんだ。その推移がもう少し資料として分かるようになっていたほうがよろしいのではないかなということでございます。
それと算定要領の変更によって、よく言えば柔軟に、悪く言えばフリーハンドで減価償却費を計上できるようになるというようにも拝見できてしまって、もちろんその使用目的、国土強靱化とか安全対策とかDXとかバリアフリーとかそういうことの目的自体に何ら異論はないのですけれども、それによって計上される設備投資及び減価償却費の適正性についての判断がどのようにされていくのか、どのように透明にされていくのかというところが分かりにくい。そこが透明で、かつ厳正に審査されないと、フリーハンドでどんどん原価が膨らませられて、運賃改定が今後も柔軟にという形でされてしまうのではないかという危惧を持つ。皆さんが持っている懸念を私はそういうふうに読み替えて感じたところでございます。
それからもう一点、運賃改定に伴いまして、JR東日本の旅客営業規則も改定が行われることになった。JR東日本の旅客営業規則は、民法上の定型約款の性質を有すると考えられると。そうすると、定型約款を法的に変更する場合は、民法第548条の4第1項第2号の要件を充足する必要がある。ここに定めてあるような合理性の基準を満たさないと拘束力を要しない変更になると解されている。そして、そのメルクマールとしては、変更の必要性はもちろんのこと、変更後の内容の相当性、相手方、旅客の被る不利益の程度、不利益の軽減措置、そして不利益を振り替える、どこかにスイッチングする可能性、あるいは猶予期間などが合理性に関わってくることになります。
運賃の適正性が仮に審査されたとしても、電車特定区間、山手線内の幹線への統合その他もろもろ含めた大幅な取引条件、サービス提供条件が変更されることがこの定型約款に盛り込まれますので、そこについて、この要件を満たしているかについてどのようにお考えで、どのような条件を満たしていると説明ができるかというところに興味がある。
先ほど来、ほかの委員の方がおっしゃっているような激変緩和措置というのは、私が先ほど申し上げた不利益の程度あるいは不利益の軽減措置というところにも関わってくると思いますし、猶予期間というところに鑑みますと、幅広い、相当に前倒しした変更の周知とか分かりやすい説明というのもそこにも含まれてくるように思われます。
以上です。
○野村座長 ありがとうございました。
そうしましたら大きく2点、熊本様より御回答ください。
○尾﨑旅客輸送業務監理室長 収入原価算定要領の見直しの件につきまして、国土交通省鉄道局旅客輸送業務監理室の尾﨑から御説明申し上げます。
政策的に必要性の高い設備投資は加速化させていかなければならないものということでございますので、設備投資計画の確認等を条件といたしまして、既存の設備投資の未償却残高のうち、前倒しをして減価償却費に加算することができるという制度のほうを改正しているところでございます。具体的には、減価償却費において、各年度46億円ほどこの部分が適用されているところでございます。
また、災害からの復旧というところでございまして、鉄道施設の修繕費用につきましても考慮することができるという制度改正をいたしておりまして、この部分についても考慮されていると承知をいたしてございます。
以上でございます。
○熊本執行役員 JR東日本、熊本から、今ほどの点につきまして、もう少し補足をさせていただきます。
減価償却費について前倒しして認めることができるから、フリーハンドでできてしまうのではないかというような御指摘でございましたけれども、我々としては決してそのようなことではございませんで、こちらに記載のありますような必要な設備投資に関わる減価償却費の一部を前倒しで入れたということでございまして、額で申し上げますと、減価償却費ですと1年間当たり46億円程度入れてございます。トータルの減価償却費が約3000億円であることを鑑みますと、前倒しで入れたというところのボリューム感は相当に小さいと。将来のものを取り込んでやれるような制度改正をしていただいていますけれども、決してだからといって全ての減価償却費を前倒しして入れるということではなく、そういったボリューム感だということで御理解をいただければと存じます。
2つ目の旅客営業規則に関してでございますけれども、御指摘の民法第548条への要件に適合した形で進めるということについては認識をしてございます。今回、山手線内、電車特定区間について、運賃体系が上がるということでございますけれども、先ほど国土交通省様からの資料にございましたが、14ページ等を御覧いただければと思いますけれども、山手線内、電車特定区間でお客様が多く御利用なされるのが15キロのところまでということでございまして、御利用のボリュームといいますか御利用人数については記載がございませんけれども、多くのお客様が御利用になるゾーンにつきましては、今回運賃を見直すとなっても他の交通機関と同等のレベルであるということでございまして、私どもとして著しく不利益を講じさせているものではないと理解をしてございますけれども、受け止めた側からは大きく上がるのだという、そちらにつきましては受け止めているところでございます。
以上でございます。
○野村座長 ありがとうございました。
今の2点に関しまして、長尾委員から御回答に関する御意見はいかがでしょうか。
○長尾委員 コメントのようになってしまうかもしれませんが、46億円という規模も、25ページの差引損益の規模感から、プラスなのかマイナスなのかというところで見ると、決して46億円が与えた影響は小さくないのではないかと感じるところです。少なからず算定要領の変更が与えた影響は大きく、また、時期的に見ても、今回の運賃改定を視野に入れた令和6年4月時点の算定要領の変更であったということは、比較的、自明の事実なのかなという感想は持っております。ここで損益が52、836、913、20と並んでおりますけれども、ボリューム感として与えた影響は小さくないものであったのではないかなと承知はしたところです。
それから、先ほどの民法第548条の4第1項第2号の件ですけれども、この場合の不利益というのは従前の山手線内、電車特定区間を利用していたときの利益と変更後の利益を比較するものであって、他社との比較で不利益とかいう突然他社が出てくるものではないというように承知をしている。要するに従前と改定後の変更によって被る不利益なことを、先ほど来、私もそうですし、ほかの委員の先生方もそこを問題にしておられるのではないかなと思います。
他社が安い、あるいは他社は同水準だからといって、多分その区間に関して山手線あるいは電車特定区間以外の他社を当然のようにスイッチングできるわけではないし、そのスイッチングの可能性も考慮要素になるなと思いますので、ここで他社が同じ水準だというのを不利益だとか不利益軽減だとかのところに持ち出してくるのはやや誤りではないかと認識をしております。
以上です。
○野村座長 ありがとうございました。
このような御意見がございます。熊本様、もし御回答いただけるようであればお願いいたします。
○熊本執行役員 JR東日本の熊本でございます。
今ほどのお話は受け止めて、持ち帰らせていただきます。他社との比較ではないということについては大変失礼をいたしました。
○野村座長 長尾委員、そのような回答でございますので御理解いただきたいと思います。
○長尾委員 ありがとうございました。
○野村座長 そうしましたら後藤委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
○後藤委員 御説明ありがとうございました。
資料3の4ページ目辺りに関連する部分、ちょうど今の長尾委員の御意見にも関係するところになります。負担の濃淡に関する点として、鉄道の社会インフラとしての公共性というものがある一方で、先ほど来、御説明にもありました他社との競合という民営企業としての経営判断という両面がありますので、そこが御説明を分かりにくくしているのではないかという点です。
事業の性質上、致し方ない面もあると理解いたしますし、また、様々なステークホルダーへの配慮が必要という御事情も分かりますけれども、利用者にとっては全ての人に一律の負担とメリットという形でシンプルに簡単な構造というわけではないがゆえに、競合のないところから取る、あるいは逆に取らないという企業としての判断が、投資のための原資として、また、インフラの維持にとって、サービス向上にも結びつくという形で必要だという点を少し分かりにくくしているという気がいたします。
ですので、理屈としては、健全な競争が働いて、御説明にもありましたように、生産性の向上やサービス品質の向上に対し健全な競争が働く、そういったものにつながるという、広くは利用者へのよい面がある一方で、値上げがサービス向上のための投資の原資になるという納得感やロジックが、競合ありなしの判断でどのような影響を受けているのか。幹線への統合も含めて、収益ベースで何か影響を受けているのではないか、ゆがめられているのではないかといったような解釈にならないのかということが気になった点です。この辺りの伝え方については、透明性や分かりやすさという視点から、利用者への納得感への配慮がより一層必要な部分ではないかと思います。この点が1点目です。
もう一点が資料2のほうに関連いたしますけれども、5ページ辺りにいろいろな安全対策であるとか環境対策など必要な投資というものが御説明されていまして、社会インフラの再構築、アップグレードしていくというのは多くの人にメリットが波及するものと思いますけれども、利用者には個別の利用パターンや事情がありますので、捉え方もそれぞれかと思います。値上げを原資としたサービス向上の広範なメリットがより具体的な形で伝わるように、様々な媒体によって丁寧な御説明をお願いしたいという点がもう一点です。
それから関連しまして、同じ資料2の3ページのところで、鉄道工事における作業環境の改善は、DX投資の一環に関連してくる部分かと思いますけれども、現場作業員の方の御苦労によって安全や利便性が支えられているといったところにも、値上げの原資によって、利用者のみならず働く人のウェルビーイングのためにもこういった対策が進められていくということは非常に分かりやすい説明になっているかなと思いました。こういった対策を進めていただくのは非常によいことではないかと思いました。
コメントと質問の両方ですが以上です。よろしくお願いいたします。
○野村座長 ありがとうございました。
後藤委員の質問2点に関して、熊本様から御回答をお願いいたします。
○熊本執行役員 JR東日本の熊本でございます。
今回の御説明に当たって、我々がこれまでやってきたことと、今回の運賃改定に伴って今後もやっていくことということで御説明をさせていただいたのですが、直接的にこの運賃改定がどのように役に立つのかということがまだ腹落ちがしづらいというような御意見かと存じます。こちらについてはもっと直接的に御説明をしたほうがよいのかもしれませんので、引き続き説明の仕方についてはブラッシュアップをさせていただきたいと思ってございます。
なお、全ページにわたりまして、山手線内、電車特定区間の皆様にとってはこうとか、幹線、地方交通線の皆様から見るとこうという切り分けを直接はしていないところが、もしかしたらそういうなかなか分かりづらいとなってしまうかもしれませんので、ここの表現につきましては再度持ち帰って勉強したいと存じます。
ただ、これまで御説明したとおり、もともと山手線内、電車特定区間というのは、過去の歴史経緯的に運賃を抑制してきたところであるということ、それから、このエリアに対してはこれまでも、そしてこれからも多額の経費及び設備投資がかかっていくというところがあって、全体的に応分の負担をしていただきたいので幹線に統合したということでございまして、こちらの考え方につきましては変わるところではございません。
御指導ありがとうございます。
○野村座長 後藤委員、いかがでしょうか。
○後藤委員 これまで山手線内といった非常に利用者が多いエリアでは、利用者当たりの費用対効果の点でかなり有利に働いていたところ、今後はもう少し負担をしていくという方向になる、また運賃体系もシンプルにしていくという今回の理屈は理解できますけれども、それが他社との競合があったからそのような状況になっていたということですと、投資の原資との見合いでのメリットと競合があるなしという企業の経営判断の部分が、結局のところどちらなのかという分かりにくさがあるのかなと思いますので、そこは先ほどおっしゃっていただいたとおり少し整理をされて、御説明をよりクリアにしていただきたいと思います。
○野村座長 ありがとうございました。
熊本様、後藤委員の発言の途中にもございましたけれども、社会インフラという公共性と御社の民営企業というお立場、ここがいろいろなトレードオフを招いているかもしれませんが、利用者への御説明を透明性高めて分かりやすく納得感を得られるようにしていただきたいという後藤委員の御意見だと思いますので、今後、その点を重視していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○後藤委員 よろしくお願いいたします。
○野村座長 それでは、次の質問に移らせていただきます。若林委員、よろしくお願いいたします。
○若林座長代理 御説明ありがとうございました。
時間もなくなってきましたので、端的に質問を2点させていただきたいと思います。
やはり皆様が気になっている、もやっとしているのは、値上げの理由とかではなくて、幅というのでしょうか、急激な値上げであるというところが消費者にすごく影響を与えているのではないかという点だと思います。先ほど激変緩和という措置を取ると必要な財源が得られないというような御説明があったかと思いますけれども、例えばシミュレーションとか何らかの検討を行ったのか、それは国土交通省様なのか、あるいはJR様なのか、どちらかでそのような検討は行ったのかというのが1つです。もし行っているのであれば、簡単に結果について教えていただきたいというのが1つ目の質問です。
2つ目は、運輸審議会の要望事項におきまして、要望事項の1番目、鉄道事業法第54条の趣旨に基づいて、期限に係る条件を付すことを検討されたいとありますけれども、これは見直し時期をあらかじめ決定するという趣旨でよろしいのでしょうか。もしそうならば、期限を実際に考えていらっしゃるかどうかということを教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○野村座長 2点に関しまして、熊本様あるいは三島様から御回答をお願いいたします。
○尾﨑旅客輸送業務監理室長 先ほどの運輸審議会での要望事項につきまして御説明を申し上げます。
期限に係る上限をつけることを検討されたいとの要望事項でございますが、文字どおり、いつまで有効な認可ということでございまして、それまでの間に実際のところの需要動向と実績の乖離を確認しろということで、運輸審議会のほうから要望が出されているものと私どもは承知しております。
この条件につきましては、運輸審議会からの要望事項ということでございますが、引き続き私どもは趣旨を踏まえて検討してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○野村座長 ありがとうございます。
1点目に関しまして、いかがでしょうか。
○熊本執行役員 それでは、最初の質問に対して御説明をさせていただきます。
激変緩和措置をやった場合のシミュレーションということでございますけれども、激変緩和というものはどのような形でやるのかによっても額は変わりますので、その部分は出せないのですけれども、少なくともそういった形で運賃の体系を変えるとなりますとシステム改修が必ずかかります。こちらのシステム改修についても、他の件名と合わせて行っていくこともあって一律には出せないのですけれども、オーダーとしては数十億円のオーダーがかかるというものでございまして、そういったものを取り込むことによって、結果的にはさらにまた運賃の上げ幅を上げなければならないということでございます。
また、激変緩和とちょっと違いますけれども、仮に全ての段階で同様に運賃を改定して、そして今回の881億円の増収になろうということで考えましたけれども、そうしますと幹線の改定幅が約2倍になるというところでございまして、こちらも極めて問題が大きいと考えて、山手線内、電車特定区間について幹線の区間に統合するという体系で進めさせていただいているところでございます。
以上でございます。
○野村座長 ありがとうございます。
若林委員、いかがでしょうか。
○若林座長代理 ありがとうございます。
今般の値上げ申請は30年ぶりとお聞きしていますけれども、そこまで頑張られたということについては、消費者にとってはよかった反面、ここに来て必要な財源をということで、値上げということで、消費者にとっては最も苦しい時期にハードヒットというような影響があるかと思います。JRさんの資料で言いますと4ページですけれども、他社の値上がりと比較しての上がり幅というのは非常に大きいものがございます。要望としましては、今後はもう少し長期的な見通しを基に、消費者への影響も考慮して検討いただきたいと思っております。
以上です。
○野村座長 ありがとうございました。
御参加いただいている委員の先生、皆様方から御意見いただいたと思いますが、大丈夫でしょうか。おおよその時間を使っておりますが、もし1つだけということで追加がございましたらお願いいたします。
かなり詳細な意見をいただいたと思います。激変緩和措置を考慮していただければという意見が非常に強かったと思いますが、最後に熊本様から御回答がありましたように、システム改修にも大きなコストがかかってしまうということでございました。
若林委員からもありましたように、JR発足以来、値上げしてこなかった、経営合理化で乗り切ってきたけれども、コロナ以降のライフスタイルの変化、あるいは自然災害の激甚化に対する国土強靱化での投資が必要になっている。さらには水素電車のようなカーボンニュートラルも実行していかなければいけないという、大型設備を使うサービス業であるというところからの値上げかと理解しております。
ただ、皆様も感じているところでございますが、透明度を上げて利用者が納得のいくような御説明を続けていただきたいということで、今回、運輸審議会のほうでも議論されておりますし要望も出てきております点に関しましては、JR東日本様に御対応を小まめに丁寧に続けていただきたいなという感想を持っております。
本日の議論を踏まえまして、当専門調査会でもどのような意見を述べていくかということを引き続き検討してまいります。また御協力をお願いすることになるかと思いますが、その節はよろしくお願いいたします。
それでは、議論がほぼ出尽くしたと理解してよろしいかと思いますので、最後に事務局から事務手続の連絡をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
≪3.事務連絡・閉会≫
○友行参事官 長時間にわたり御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
次回の日程の詳細につきましては、事務局より改めて御連絡させていただきます。
以上です。
○野村座長 本日も国土交通省様、JR東日本様、御協力いただいたこと、感謝しております。
ここで本日の調査会を閉会とさせていただきます。
お忙しいところ、委員の皆様もお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。失礼いたします。
(以上)