消費者をエンパワーするデジタル技術に関する消費者委員会意見

2024年12月9日
消費者委員会

  1. 消費者委員会は、令和6年12月、消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会から報告書の提出を受けた。本報告書では、検討・実験中のものも含め、消費者をエンパワーするデジタル技術の実例が紹介されている。
  2. (1)デジタル化及び高齢化の進展、(2)フィッシング、フェイク等による消費者への働きかけや生成AIを利用した高度なコンテンツの生成等、事業者の消費者に対する圧倒的な技術的優位性、(3)カウントダウンタイマー等消費者の認知過程への介入、(4)パーソナルデータの取扱いに関する消費者の対応、(5)消費者被害の証拠をデジタル技術で把握記録するという視点への対応のためには、消費者法制度による規律、消費者教育・リテラシーによる対応に加え、デジタル技術を利活用し、消費者をエンパワーしていくという観点は、重要である。
  3. 他方で、本報告書では、消費者をエンパワーする技術の利活用に向けては、いくつかの課題もあることが指摘されている。例えば、(1)デジタル技術を開発提供する事業者の信頼性確保やその技術の品質の担保、(2)デジタル技術が抱え得るリスクへの対応、(3)技術開発・実装に向けたインセンティブの方策、(4)技術の利活用に係る法的責任の整理、(5)パーソナルデータの取扱いに関連して、同意やオプトアウトへの対応等、(6)消費者によるデジタル技術の利活用に向けた支援等である。当委員会としては、関係行政機関において、こうした点について、検討を深めていくべきであると考える。
  4. 事業者は一般的に、消費者に対して圧倒的な技術的優位性を持っている。消費者の認知過程を保護し、選択の自由を阻害せず、自律的な意思決定を支援するため、消費者をデジタル技術によりエンパワーすることが重要な時代になっている。そのため、消費者が事業者に対抗する手段としてのデジタル技術を消費者が受け入れていけるような取組を、今後行っていくことも必要である。当委員会としては、関係行政機関の取組を注視しつつ、引き続き、必要に応じ、本テーマについて調査審議等を行っていく。

以上