第483回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2026年3月16日(月)9:58~12:17
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
-
- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、中田委員
- (テレビ会議)大澤委員、小野委員、柿沼委員、善如委員
-
- 【説明者】
- 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
- 消費生活アドバイザー 大石様
- 千葉商科大学サービス創造学部 松本教授
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、吉田審議官、友行参事官
議事次第
- 古川内閣府大臣政務官 御挨拶
- 消費者と事業者の望ましいコミュニケーションの在り方について
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:85KB)
- 【資料1-1】 PIO―NETにおける接客対応に関する消費生活相談(消費者委員会事務局提出資料)(PDF形式:324KB)
- 【資料1-2】 消費者と事業者の望ましいコミュニケーションの在り方について(大石氏提出資料)(PDF形式:872KB)
- 【資料1-3】 消費者と事業者の望ましいコミュニケーションの在り方について(松本教授提出資料)(PDF形式:438KB)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、第483回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理、中田委員、そして私、鹿野が会議室にて出席しており、大澤委員、小野委員、柿沼委員、善如委員がテレビ会議システムにて御出席です。
なお、今村委員、原田委員、山本委員は、本日、所用のため御欠席と伺っております。
《2. 古川内閣府大臣政務官 御挨拶》
○鹿野委員長 本日は、古川内閣府大臣政務官にお越しいただいております。お忙しいところ、誠にありがとうございます。
それでは、古川内閣府大臣政務官より御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。
○古川内閣府大臣政務官 おはようございます。内閣府大臣政務官の古川直季でございます。
消費者委員会の委員の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
高齢化や急速なデジタル化の進展等により、消費者を取り巻く環境が大きく変化する中で、消費者行政には新たな課題が次々と現れております。こうした中で、消費者庁及び消費者委員会の果たさなければいけない役割はますます大きくなっております。
消費者委員会は、独立した第三者機関として、様々な消費者問題に迅速に対応するために、これまで多くの建議や意見表明を行っていると伺っております。委員の皆様には、積極的な御議論をいただき、消費者行政全般についての監視機能を十分に果たすとともに、消費者行政の司令塔である消費者庁の取組を力強く後押ししていただくことをお願い申し上げまして、私からの御挨拶にさせていただきます。
どうぞ本日はよろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 古川政務官からは、激励のお言葉を頂戴しまして、どうもありがとうございました。
政務官におかれましては、この後、御公務がございますので、ここで御退席されます。お忙しいところ、ありがとうございました。
(古川内閣府大臣政務官退室)
《3. 消費者と事業者の望ましいコミュニケーションの在り方について》
○鹿野委員長 それでは、改めて本日の会議の進め方等について事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日も、テレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
本日の議題は、「消費者と事業者の望ましいコミュニケーションの在り方について」です。
令和7年3月に策定された「第5期消費者基本計画」では、「消費者と事業者は、共創・協働して持続可能な社会を形成するパートナーである」とされており、それに先立ち、令和6年4月に委員会で取りまとめた「次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見」の中でも、「消費者と事業者の双方向コミュニケーションを進化させることにより、消費者と事業者の共創・協働の取組を実現し、事業者としての社会的責任を果たすことが必要である」としておりました。
こうした中で、消費者が事業者に電話をかけてもつながりにくい、あるいは問合せ番号の案内を見つけにくいなどのコミュニケーションのミスマッチがうかがわれ、これはトラブルにつながる可能性があります。
その一方で、消費者に対して積極的なコミュニケーションを図ろうとしている事業者もいるということは、当委員会としても承知しているところでございます。
そこで、コミュニケーションに関して双方がどのような課題を抱えているのかについて、関係団体等からヒアリングを行いたいと思います。
本日は、まず事務局から、消費者と事業者とのコミュニケーションのミスマッチに関する事例等を紹介した後、第6次、第7次の消費者委員会の委員を務められた消費生活アドバイザーの大石様と、マーケティングコミュニケーションや広告論を御専門とされている千葉商科大学の松本教授から、現状や課題等について御説明をいただき、それぞれ意見交換を行いたいと思います。
改めて御紹介いたします。
本日は、消費生活アドバイザーの大石様にオンラインで御出席いただいております。また、千葉商科大学サービス創造学部の松本教授に会議室にて御出席いただいております。本日は、お忙しいところ大変ありがとうございます。
本日の進め方ですが、事務局からまず5分程度で先ほどの御報告をした後、大石様から御説明をいただき、それが終了したところで質疑応答・意見交換の時間を40分程度取りたいと思います。その後、松本教授から御説明をいただき、それが終了したところで質疑応答・意見交換の時間を同じく40分程度取らせていただきたいと思います。
それでは、最初に事務局から5分程度で御報告をお願いします。
○友行参事官 それでは、資料1の1を御覧いただけますでしょうか。「PIO-NETにおける接客対応に関する消費生活相談」としております。
備考2のところにありますように、2021年度から2025年度のデータを記載しており、2025年度の受付分につきましては、2026年2月8日までの登録分となっております。
では、2ページ目をお願いいたします。
まず1つ目が、PIO-NETにおける接客対応に関する相談のうち、説明不足や連絡不能に関連する相談件数がどのようになっているかというものでございます。
棒グラフを見ていただきますと、2021年度から始まっておりますが、1,300件程度から1,500件程度の間で横ばいとなっております。
足元でございますけれども、2024年度の1,009件に対し、同じ期間のベースで見てみますと、2025年度に入ってからは1,242件ということになっておりまして、このまま行くと2025年度は2024年度よりも少し件数が増えるのではないかというようなことも想定されるデータとなっております。
備考のところにございますように、このデータについては、PIO-NETの中で説明不足や連絡不能といったキーワードが付与されており、具体的には何らかの理由で事業者と一時的に連絡が取れない事例や、クレーム処理の際に説明が不足していたとする事例を消費者委員会事務局が抽出したデータとなっております。
その中で、まず事例1でございます。
動画サイトを見ていたところ、サーキュレーターの広告が出ました。2台買うと安くなるので2台注文し、クレジットカードで払いましたと。2日前に商品が届いたけれども、とても軽くておもちゃのようだった。広告にあったようなリモコンなどの機能はついておらず、自動で360度回転するはずのものが、手動でしか動かなかったというようなもので、広告の機能とあまりにも違うというような相談内容となっております。
返品を伝えたところ、無料通話アプリに誘導され、返品理由のほか、商品、部品、配送伝票の写真の提出が必要と言われましたが、高齢でこのような複雑な手続は無理である。このような手続をせずに返品に応じてほしい、電話しても話中でつながらないというような御相談が1件目でございます。
例えばとして、事例の2つ目でございます。
こちらは、大手の通販サイトで虫よけのストラップ(3個入り)を購入したところ、1個しか入っていないものが届いた。出品者に問合せフォームを利用して連絡したけれども、通販サイトの返品窓口を案内する回答が届いた。自分は返品したいわけではなくて、あと2個送ってほしいのだが、どうも問合せフォームは機械が対応を行っているようで、言いたいことが伝えられないというような内容となっております。
3ページ目でございます。
2.として、PIO-NET相談における接客対応に関する相談のうち、AI関連の年度別相談件数でございます。
このAI関連の年度別相談件数の中に含まれている相談内容といたしましては、AI人工知能を使用した商品・サービスで、AIを利用していることで苦情が発生している場合、顧客対応にAIを利用している場合も、それに問題があればこのキーワードが振られることになっております。すなわち、AIを使用した商品・サービスによって苦情が発生している場合、顧客対応にAIを利用している場合、両方が含まれているということになっております。
グラフを見ていただきますと、2021年の207件から2025年には774件ということで、相談件数は、全体ボリュームとしては1,000件を超えるほどのものにはなっておりませんけれども、右肩上がりで伸びております。
そのうち、※印が付与されたもの、備考のところにございます。特に顧客対応やカスタマーサービスにAIを利用していることが原因で苦情が発生していると見られる事例を消費者委員会事務局において抽出したものとなっております。この※印がついているものだけを見てみますと、2021年の142件から、2025年、まだ年度が終わっておりませんが、※印で476件というような伸びとなっております。
中の具体的な事例は以下のとおりでございます。
まず事例1でございますが、2週間前からネットがつながらなくなり、AIチャット、有人チャットで連絡しているということでございます。いっそのこと解約しようと思っているが、解約の窓口に電話がつながらないというのが事例1でございます。
事例2でございます。サービスの利用内容詳細を確認しようと問合せをかけているが、AI対応であった。一番最後の4行目の行ですが、オペレーター対応の問合せ先を知りたいという相談内容となっております。
事例3でございます。旅行サイトを通じてホテルを予約したとなっております。旅行会社に問合せをしたいが、問合せができなくて困っているということであります。問合せがチャットになっていて、キャッシュバック手続が進まないということを説明しても却下されてしまう。連絡手段がないことが問題であるというようなことになっております。
PIO-NETに登録されております接客対応に関する消費生活相談について御紹介いたしました。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、大石様、15分程度で、短くて申し訳ありませんけれども、御説明をお願いいたします。
○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会消費生活アドバイザー大石様 鹿野委員長、ありがとうございます。
ただいま御紹介にあずかりました大石と申します。
私が今回お話をさせていただくきっかけとなったのが、実は5年前になりますが、2021年に経済産業省で、消費者・事業者間の円滑なコミュニケーションに関するワーキングというのが開かれまして、その際にオブザーバーで参加していたということもあり、お声をかけていただけたのかと思います。私からは、消費者として現在感じている課題などについてお話しさせていただければと思います。
次のページをお願いいたします。
本日の内容としましては、まず、消費者が事業者とのコミュニケーションで感じている課題、いろいろな内容がありますけれども、これについては順次お話しさせていただきます。
それから、コミュニケーションが重要であるということは分かっているのですが、なかなか消費者はコミュニケーションを取ろうとしない。その理由は何なのかという点。
それから、最後に、先ほど事務局からもいろいろな事例がありましたけれども、消費者が現在事業者に望んでいるコミュニケーションに関する課題についてお話しさせていただければと思います。
では、次のページをお願いいたします。
まず、消費者が事業者とのコミュニケーションで感じている課題、1番目として、自分が必要としている情報になかなかたどり着けないということがあります。現在、各事業者さんは、ホームページなどを充実させて、様々な内容を掲載してくれています。しかも、消費者向けであったり、事業者向けであったり、学生向けであったり、サイトも分けて掲載してくださってはいるのですが、いざ自分がそのホームページの中でこういう情報を知りたいと思っても、なかなかそこにたどり着けないという経験を何度もしています。範囲が広いだけに、ホームページは多層構造になっておりまして、一度入るところを間違えますとどんどんどんどん深い別のところに行ってしまって、また元に戻って見直さなければいけない。そうしているうちに諦めてしまうというようなこともあったりします。
ホームページ全体で探そうとしても分かりにくいので、次、FAQ、Q&Aを見て自分の質問を解決してもらおうと思うのですけれども、これがまた自分が聞きたい内容を的確に文章にしているFAQというのがなかなかなくて、最後までたどり着けないということもあります。
それから、先ほどの事例にもありましたけれども、最近特に感じるのは問合せ窓口、特に電話での問合せ窓口番号を掲載していないホームページが大変多いです。これはもしかしたらカスハラですとか、そういういろいろな課題もあって、人員不足もあってチャットポットなどに替えているのかもしれませんが、電話で直接問い合わせたいという消費者にとっては大変不便に感じているところです。
2番目に、ホームページの内容そのものについてです。これがなかなか消費者にとっては分かりにくい、理解しづらいものが多いと。特に専門用語が多く使われていると、途中で諦めてしまうこともありますし、それから何より先ほど広告との違いが大きいという事例がありましたけれども、広告を見て実際に消費者は商品を注文したり申し込むのですけれども、広告やホームページに書いてある内容と実際のサービス内容にギャップがあることもあり、最終的に自分の知りたいことにたどり着けないこともあります。そうしますと、事業者は都合のいいことしかホームページや広告には書いていないのではないかと消費者の不信感につながる要因にもなっているのではないかと思います。
3番目として、問合せ先に関する課題、これは実際に私が経験したことなのですけれども、家庭用のポータブルの太陽光パネルを購入しまして、それをベランダで使っていたのですが、故障して使えなくなってしまった。ですので、どうしたらいいかということで、まずは通販サイトで購入しましたので通販事業者に直接問い合わせました。ところが、メーカーに聞いてもらわないと困るということで、メーカーに問い合わせました。メーカーは、日本のメーカーではあったのですが、製造が海外であり、自分たちは修理ができないので、対応できない、廃棄しかないということで、廃棄はどうしたらいいですかと言うと、これは自治体ごとに違うので、自治体に問い合わせてください。自治体に問い合わせましたら、私の住んでいる自治体は、この太陽光パネルの引き取りをしていないということで、メーカーにもう一度対応を頼んでください。もう一度、今度はメーカーに問い合わせまして、最終的には、新品を購入してくれるのであればそれと引き換えに壊れたパネルを引き取りましょうということで何とかその場は解決したのですが、今使っているパネルがまた故障したらどうなるのかなと心配しているところです。
というように、物には製造から流通、販売、廃棄までのいろいろな段階があるわけですけれども、その商品に関する問題を問い合わせる場合、どこの事業者に問い合わせたらいいのかというところで、大変難しい、ワンストップではいかない難しさがあるということも感じています。
次をお願いいたします。
これも先ほどの事例でいろいろ出てきた中にあったことですけれども、問合せ先、今いろいろなサイトがありますけれども、特に最近増えていると感じるのがチャットボットによる問合せ窓口です。チャットボットによる問合せもかなり増えてはいるのですけれども、私自身も使ってみて、いろいろとハードルを感じています。
まず、チャットボットというのは質問文章を考えて打ち込まなければいけない。それが面倒だなということで、まずそこがハードルになる場合もありますし、それから、実際に質問文章を打ち込んでも、なかなか納得のいく回答が来ない。そうなると同じような質問を繰り返し打ち込むことになるのですが、結局最終的に答えが出なくて、途中で退室するというようなこともあります。
チャットボットは機械ですので当たり前ではあるのですけれども、形式的で機械的な回答が多いために、事業者とコミュニケーションを取っている、行っているという実感が消費者は持てないというのが現状です。
特に高齢者などデジタル機器に苦手意識のある消費者は、最初からチャットボットが出てくると、これは使えないということで諦めて苦情や質問を寄せなくなるということもあるのではないかなと思っています。特にコロナ以降のデジタル社会の急速な進展の中では、脆弱な消費者への対策は、チャットボットでは大変課題として大きいのではないかなと思っています。
近年、AIの急速な発展で、事業者側も問合せ分析を進め、以前に比べれば使いやすくなっているとは思うのですが、最終的に人間による対応が消費者にとっては一番の信頼確保には必要ではないかなと感じているところです。
次をお願いいたします。
問合せ先ということで昔から使われている電話による問合せについても、先ほどの事例にもありましたけれども、いろいろ課題を感じています。
最近は、まずホームページをはじめとして電話番号を掲載しておらず問合せしようとしてもなかなか見つからないということもありますし、いざ電話をかけると、今度はなかなか話し中でつながらない。つながっても、今度はプッシュ番号で何度も選択して行き着かなければいけないというところで、窓口にたどり着くまでに何度もかけ直すことになってしまうことも多々あります。
さらに、電話問合せの場合には、これは有料ですよということがアナウンスされますので、そうなりますと消費者としてはあまり長くかけられないということで、焦ってしまうこともあります。
一番困るのが、何度もかけ直すと、担当者がそのたびに違う。そうすると、担当者ごとに回答が違うので、更に消費者にとっては何を信じていいのか分からなくなるということもあると思います。
これを考えますと、電話担当窓口の方に求められるのは、それぞれの質問に完璧に答えられる能力ではなくて、消費者がきちんと問合せに対して満足が得られるような部署につなぐ仕分け能力、これが窓口の担当には求められるのではないかなと思っています。
最後に、最近これも増えていますSNSや口コミサイト、これははっきり言ってコミュニケーションとは言えないのではないかなと私は思っているのですけれども、なぜかというと、真実でない情報が掲載してあって、それが拡散して炎上することもありますし、それから、書き込んでいる人それぞれの評価基準が曖昧で、もしかしたらアフィリエイトなどのサクラ投稿であるかもしれないということを考えると、参考にすることはあっても、なかなかコミュニケーションにまではつながっていきづらいということがあると思っています。
次をお願いいたします。
ということで、今お話ししてきたようないろいろな課題を感じている、それが直接の要因ではあると思うのですが、さらに、なぜ消費者が事業者とコミュニケーションを取ろうとしないのかという要因を考えたときに、あと2つ挙げられると思います。
1つは、消費者が、自分が発する発信の内容が社会課題の解決に貢献できるということに気づいていないのではないかという点です。よくヒヤリハットということがあって、事故までにはつながらないけれども、いろいろヒヤリとしたことがあった。それを一々事業者に伝える人というのは少ないと思うのですが、実はこれを多く寄せることによって、実際に事故が起こることを未然に防ぐことができるわけです。
しかし、自分たちが意見を出すことに価値があるということになかなか消費者は気づかない。ですので、事業者としては、苦情や意見をきちんと事業活動や商品の改善に活かして、それを消費者に更にきちんと公表するということが必要だと思います。
また、消費者市民社会の担い手として、消費者自身が意見を伝える重要性を認識できるような更なる消費者教育を推し進めることも必要ではないかなと思っています。
それから、もう一点、消費者は自分に生じている問題や状況をなかなか適切に事業者に伝えられないというところがあります。そうなりますと話をつなぐ存在が大変重要になってくるわけで、消費者団体でありますとか消費生活センターの窓口の役割が更に重要になってくると思います。
コミュニケーションの結果を事業者が的確に事業活動や商品改善に活かして、その事実を消費者が認識すれば、事業者や商品を消費者は再評価し、更にその事業者や商品の選択につながるのではないかなと感じているところです。
次をお願いいたします。
最後に、消費者から事業者へ、コミュニケーションに関して望むことを3点申し上げます。
まず1番言いたいのは、やはり問合せ先、相談受付電話番号などは一番目立つところに記載してほしいということです。消費者と積極的にコミュニケーションを行う意思がある事業者であれば、きちんとその窓口を明示してくれると思いますし、さらに商品に自信があるから問合せ番号もはっきり書いてあるということで、事業者や商品への信頼につながりますので、ぜひ問合せ先ははっきりと書いていただきたいと思います。
それから、これも消費者問題としてよく取り上げられる。先ほどの事例にもありましたけれども、解約についてです。特に通販サイトなど、注文はクリック一つで簡単に注文できるのですが、いざ解約しようとするとなかなか解約手続が複雑で、解約できないことが多いと。ですので、解約手続についても消費者にとっては見つけやすく、操作しやすいということが、これは事業者への信頼という意味でも大変重要であると思っています。
最後、繰り返しになりますけれども、消費者の意見や苦情をちゃんと事業者が事業活動に反映し、それを消費者に伝えてほしいということが最後のまとめになります。
消費者が一生懸命事業者に対してフィードバックを送ったとしても、それが反映されなければ意見を言う甲斐はありません。結果を企業活動や商品改善に活かして、さらにそれをきちんと消費者に分かりやすく伝えてくれれば、消費者と事業者の更なる良好なコミュニケーションにつながるのではないかなと思っております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、今から質疑応答、意見交換の時間を、当初申しましたとおり約40分取りたいと思います。いかがでしょうか。
中田委員、お願いします。
○中田委員 大石様、端的で分かりやすい御説明をいただき、ありがとうございます。お話を伺い、考えさせられたことについてコメントをお伝えしたいと思います。
私自身、事業会社でお客様対応を電話でさせていただいたり、コールセンターの立ち上げや運用、品質の管理を行っていたこともあり、事業会社も限られた予算の中でコールセンター人員の採用や育成に苦労している現場も見てきたこともあるので、必ずしも全ての事業者が消費者からの問合せへの対応や対話に消極的ではないと思いますが、本日の御説明を伺いまして、消費者が直面している現状の課題に対して耳を傾け、事業者も対応の改善を真摯に重ねていくことが重要であると改めて感じました。
それと同時に、消費者への対応の姿勢や体制を議論していく上では、企業の姿勢とお客様対応に対するコストのかけ方で幾つかのタイプに分かれていて、それぞれに応じた対策を求めていく必要があるのかなと感じております。
例えば1つの目の最も理想的な事業者は、顧客保護のマインドが浸透していて、予算もオペレーター人材も顧客対応業務に十分かけられる。頻繁に表彰されているような大手企業に多いのではないかと思いますが、そのような企業からは、ぜひ企業とお客様、そして社会、三方よしのアプローチを広く共有していただけるような働きかけができるのではないかと思いました。
2つ目のタイプは、国内の多くの企業がこのような状況下にあるのではないかと思いますが、お客様目線のマインドはあるけれども、それにそれほどコストはかけられない。オペレーター業務の一部をAIで代替して一定の企業努力はしているけれども、それでもその結果として、お客様は必要な情報にたどり着けないとか、専門用語が多くて説明が分かりにくいなどの不便をおかけしているお客様が一定数いること、特に高齢の消費者がどのように感じているかということを十分認識できていない事業者もこの中にはあるのではないかと思います。
このような事業者は、本日の御説明で客観的に消費者が感じていることに気づいていただき、消費者から信頼を得ている優良企業から学んでいただくことで、事業者にとっても、必ずしもコストを大々的にかけずとも、お客様の満足度を向上させる適切なアクションを取り、オペレーション改善につなげていくことができるということを学んでいただけるのではないかと思います。
そして、3つ目のタイプの事業者への対応が私は急務であると思うのですが、商品やサービスを販売したら売りっ放しで対話をする姿勢が全くない。全く連絡不能になってしまったり、被害が出ているのに聞く耳を持たない、対応する姿勢がない。国民生活センターや全国消費者センターに頻繁に通報があるような企業だと思うのですが、そのような企業に対しては、事業会社を特定して、厳しく対処していく必要があると感じております。
消費者と事業者のコミュニケーションの改善を議論していく上では、対話をする姿勢とか抱えている課題の違いによって対応を分けていくということも必要ではないかと私は感じました。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
事業者層も一様でないので、今の御発言では3つの層に分けて、それぞれどういう対応を取っていくべきかということについて御指摘をいただきました。
ほかにいかがでしょう。大石様、何か今の点でありますか。
○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会消費生活アドバイザー大石様 ありがとうございます。
本当におっしゃるとおりで、事業者と一くくりに言えないというか、いろいろな方たちがいらっしゃいます。積極的にコミュニケーションを取ろうとして、それを活かしてくださっている事業者もありますし、3番目におっしゃった、これは本当に消費者問題といいますか、どちらかというとコミュニケーションという文字も知らないそういう事業者なので、これは法的な対処が必要になってくると感じています。
ただ、1つ思いましたのが、2番目のマインドはあるけれどもコストがかけられないという事業者さんのお話ですが、コストというのをどう取るかということで考えたときに、消費者の問合せとか苦情というのは、事業者にとっては大きなヒントにもなる。なので、かえってサイレントマジョリティーではないですけれども、物言わぬ消費者が何も言わずに、商品も買わずに、事業者のファンにもならずに去っていくことを考えると、少しそこに力を入れてでもコミュニケーションをしっかり取ったほうが、最終的には企業にとってはメリットになるということもあるのではないかなと思っております。
それがその企業に対してのメリットだけではなくて、社会全体がよい方向にも向かうことにもなると思いますので、コストの考え方というのは大変難しいと思うのですけれども、何をコストと取るか、リスクをどう考えるかということも重要かなと思いながらお話をお聞きしておりました。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
中田委員、何かありますか。
○中田委員 大石様、非常に重要な御指摘ありがとうございます。全く同感いたします。
お客様の声を聴き入れて対応することが企業価値の向上にもつながり、かつ、事業会社が社会的な責任を果たしていくことにつながるということについて、ぜひ事業会社の方々にはより一層意識していただければと思います。
ありがとうございます。
○鹿野委員長 ほかはいかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野委員 御説明いただきましてありがとうございました。
事業者のお話もありましたけれども、電話による問合せで、分かりやすいなと思いましたのは、5ページの太字で消費者満足につながる仕分け力というような、事業者の果たすべき役割に関するキーワードが幾つもあって、大変理解が進みました。
私から質問させていただきたいのは、まず個々の企業がやるべきこと、できることがあると思いますが、一方で難しいことも多くて、そうした場合には業界団体が果たす役割も大きいかと思います。つきましては、業界団体が果たすべき役割をお尋ねしたいというのが一つです。
もう一つあるのですが、本日は消費者と事業者との望ましいコミュニケーションの在り方ということで、消費者教育への提言も含めてお話をいただいたわけですが、一方で、消費者委員会で何ができるのかと考えたときに、行政の果たすべき役割についてもぜひ御教授をいただきたく質問させていただきました。
以上でございます。
○鹿野委員長 それでは、大石様、お願いします。
○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会消費生活アドバイザー大石様 御質問ありがとうございます。
業界団体の役割は、特に中小の企業さんの場合には大きいなと思っております。先ほどのお話にもありました大企業は自分で何とかできるとは思うのですけれども、中小の企業になりますと、それぞれ電話対応窓口などをつくって、そこで対応していくというのは難しい。しかも、寄せられる問合せとか苦情というのは共通するものが多いのだろうと思いますので、そういうときには業界団体でまとまって対応していただくということで、消費者にもこれは大変ありがたいことになるのかなと思います。
そのときに問題なのが、業界団体に入ってこないアウトローですよね。結局最終的には、消費者問題を起こすような事業者というのはそういう事業者団体にも入らないということになるのではないかなと思いますので、そこは、先ほどおっしゃった行政の役割という意味で、そういう本当に消費者問題というか事件を起こすような事業者について、行政のほうがしっかりと対応し摘発するなどが必要なのではないかなと思っております。
また、消費者教育も行政が大きな旗振り役となると思います。日本の場合にはなかなか消費者が自分の意見を言うというマインドがないので、せっかく重要なことを思っていても、それを声に出さないとやはり社会に届かないという実情があると思います。その辺りはぜひ消費者教育の中で自立した消費者を育てるということで、頑張っていただければなと思っています。
お答えになっておりますでしょうか。
○小野委員 ありがとうございます。大変よく分かりました。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
小野委員は消費者教育の専門家でもいらっしゃいますので、消費者教育としてもどうあるべきかという問題にも触れていただきました。
それでは、ほかにいかがでしょうか。
大澤委員、お願いします。
○大澤委員 大石様、大変分かりやすい御報告ありがとうございました。いろいろ考えさせられるところがありました。
今、中田委員、小野委員の両委員からも御意見があり、それに対する御回答を伺っていても、非常に興味深く拝聴しておりました。
私のほうからは1点確認というか、具体的にどういうものを想定されているのかという確認、もう一点が、こういう方法というのは今、現に企業は取っているのだろうか。取っているとして、それは実際に消費者にとっても、事業者にとっても、例えばよい手段になり得るのかを確認したいというのが2点目です。
1点目なのですけれども、消費者が自分の苦情というか自分が困っていることを特にチャットとかだと文字で書かなければいけないので、それを伝えたり、あるいは電話でもちゃんと要領よくお話しするのが難しいというのは確かになと思いながら、私も電話があまり得意ではないので、電話で話すときにすごく分かりにくくなっていて、かえって伝わらないなということがあったりして、非常に自分にも思うところがありました。
そのところで、先ほどのお話の中で、消費者が自分が伝えたいことをきちんと整理して伝えられるようにするための消費者センターあるいは消費者団体の役割ということをおっしゃっていたと思います。確かにこの話をつなぐ存在はとても重要ではあって、非常に共感はするのですが、他方で、消費者団体、消費生活センター、非常にマンパワーとしてもなかなか苦しいところもあるかなと思っていまして、具体的にはどういうものを想定されているか、どういうことがあり得るかを伺いたいなと思いました。これが1点目です。
2点目なのですが、一方で、私も中田委員の先ほどのお話にもあるとおり、全ての事業者が消極的なわけでは全くなくて、確かに、ただ、今、現にある問題は人手不足だったりとか、あるいはカスハラ対策で、消費者の意見は聴きたいのだけれども、しかし、カスハラから社員を守らなければいけない。他方で人手不足もあるという中で、かなり消費者とのコミュニケーションを模索している事業者も多いのではないかと私も想像しています。
その中で、私自身がつい本当に先日経験したことで、海外でのことなのですが、フランスの国鉄とトラブルでもないのですけれども、向こうで結構大幅な遅延に巻き込まれたりとかして、補償を受けようと思っていろいろ対応してもらっているところなのですが、補償は受けられることになっているのですけれども、遅延時間が私が実際に受けた時間よりも短いとかいろいろなことがあったものですから、何とかコンタクトを取ろうと思って、私も本当に今日ホームページのどこに書いているか分かりづらいということをおっしゃっていて、本当にそれはそのとおりだなと思ったのですが、なかなか大変だったのですが、見つけたのが、要は電話でというのは、私も日本人なので、電話でいろいろそれこそ意見を整理して、ましてや外国語で話すというのは自信がないので、チャットではなくて、チャットと電話の中間なのでしょうけれども、いわゆるコミュニケーションツール、メッセージツールでWhatsAppというものがあるのですけれども、日本でいうとLINEのことだと思うのですが、そのWhatsAppで向こうの職員が質問に答えてくれますというのがあって、私、たまたまWhatsAppのアカウントを持っているので、それで問合せをしたら結構すぐ返事が返ってきて、それ自体すごくびっくりして、逆に高感度は上がったというところもあるのですが、もともと国鉄はいろいろ問題もあって不信感を持っていたのですけれども、こんなに迅速に対応してくれるならと思って結構助かっていて、問題はまだ解決は実はしていないのですが、今後も解決するために何度も連絡していいからとは言われています。
なので、チャットではなくて本当に向こうに職員がいて、恐らくその方がWhatsApp、日本でいうと消費者からのLINEに対して回答してくれるということをやっていると思うのですが、これだと確かに直接消費者がおしゃべりをするわけではないので、カスハラで例えば消費者からどなられるというリスクもそんなにないだろうと。せいぜい文字で何か言われるだろうということでしょうが、他方で消費者はそれを文字にして書かなければいけないので、それはそれで先ほどの御指摘のようにまとめるのが大変というのがあって、なかなか悩ましい手段だなと思いつつ、割とこれはあり得る手段かなと思ったのですが、もしかするともう日本の事業者でも、例えばLINEとかで対応とかをしている事業者がいるのではないかと思って、そういう中間的な、要はAIチャットではないのだけれども、電話でもなく、そういう意味では24時間、実際に職員が対応してくれる時間はもちろん勤務時間内だというのは明言されていますけれども、極端な話、電話でというのは、私、個人的には電話があまり得意ではないというのもあるのですが、待ち時間が本当に嫌なので、2時間、3時間つながらないみたいな経験もあるので、こういうコミュニケーションツール、ちゃんと有人で対応してくれるコミュニケーションツールというのは割とあり得る話だなと思ったのですが、こういうものは日本企業で実際に取られているのでしょうか。
取られているとして、それは先ほどから出ているいろいろな悩みを解決するツールとしてあり得るのかという、本当に直近で今、巻き込まれているトラブルなのでちょっと気になった次第です。何かヒントになればという気もしましたので。
以上になります。
○鹿野委員長 それでは、大石様、2点お願いします。
○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会消費生活アドバイザー大石様 大澤先生、ありがとうございます。
まず、最初の御質問、消費者団体や消費生活センターの役割ということで、私も実際、NACSという消費者団体に所属しておりまして、こちらは土日の消費生活センターが休みのときに窓口を開いて相談を受け付けております。確かに相談員不足ということは消費生活センターも消費者団体も同じではあるのですが、そこにたくさん情報が寄せられれば、一つ一つということではなくて、マスとして今どういうふうな課題が大きくなろうとしているのかなどは傾向としても分かると思います。一つ一つの消費者の声を具体的に伝えるだけではなくて、数字として、マスとして役に立つということはデータの収集とつながると思いますし。ありえるのではないかなと思っています。そのくらいしか今お答えできることがないのが申し訳ないです。
それから、WhatsAppというのは私自身は知らないのですが、確かに今、すごくAIが進んでいますので、もしかしたらAIが人間と同じように答えてくれるようなものも今後は出てくるのではないかなという気がしています。そうすれば消費者の側としては文章にして打ち込む必要はない。言葉で問い合わせて、それに対してAIになるのでしょうか、言葉で聞き返してくれるということはあるでしょうし、実際にそういうところまで進んでいるという話も聞かなくはないですけれども、ただ、先生が今、直面していらっしゃる直接の問題の解決になるようなお答えは何も持ち合わせておりませんで、本当に申し訳ないのです。ただ、日々進歩しているのは本当に事実だと思っていて、多分AIの対応でかなりの部分は解決できるようになると思うのですが、やはり消費者としては、本当に最終的には人の声といいますか、人との会話といいますか、そういうものに信頼感を最後まで持つというところはあるのかなと思っております。
ただ、先生もおっしゃいましたように、今これだけ人員不足で、企業としてもそこになかなかコストもかけられないというようなことを考えますと、途中のところはAIですとか機械で行ったとして、最後の最後の本当に一番困難なところについては人間が出てくる必要はあるのかなと感じているところです。
ちゃんとしたお答えになっていなくて申し訳ないですけれども、以上です。
○大澤委員 ありがとうございました。
2点目は、私の説明の仕方があまりよくなかったように思っているのですが、恐らく私が今、対応してもらっているのは、向こうにいるのは人だと思います。というのは、最初チャットで相談したら、おっしゃるとおり本当に形式的なことしか返ってこなくて、チャットはチャットでもちろんチャットボットというロボットだと相手がAIだと思うので、24時間対応できますというのはメリットだと思いつつ、本当に形式的なことしか返ってこなくて、結構複雑なトラブルなので、それを幾ら言っても本当に形式的にここのFAQを見てくださいとしか返ってこなくて、ちょっとこれは困るなと思って、最悪電話も辞さないなと思っていたところに、WhatsAppという日本でいうと要するにLINEだと思うのですけれども、多分ですけれども、回答を見ている限りは恐らく向こうにはちゃんと職員がいて、職員が日本でいうとLINEに打ち込んで回答しているのだろうと。電話でもなく、メールでもなくというふうに想像していますので、そうはいっても人は必要なので、何とも言えないところはあるのですが、その意味では、電話といわゆるAIの中間のような感じかなという認識でおります。
私の説明の仕方があまりよくなくて申し訳ないです。
○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会消費生活アドバイザー大石様 とんでもないです。
消費者相談窓口も今、そういう意味では、自宅でも対応できるように、LINEも併用してというようなことも進められていると思いますので、そういう意味で、有人である必要はあるけれども、必ず出社しなければいけないとか、場所が限られるということがないという意味では、割と利用しやすい方向にあるのではないかなと思いますし、先生がおっしゃるように、最終的には人が対応してくれているという安心感は消費者には重要だと思います、ありがとうございました。
○大澤委員 こちらこそ失礼いたしました。
今後の大石様に対する御質問でもあり、今後、この問題を考える上で、既に日本でもLINEで行われているところもあるということを伺って、それはそれで非常に私、個人的にはありがたいなと。文章をまとめるのは大変なのですが、電話がつながらないというのが本当にストレスでもあり、特に大石様もそうでしょうし、ここの委員の皆様もそうですが、皆様忙しいので、電話の前で2時間待つわけにいかないというのがあって、まずAIと行くのではなくというのは、まさにLINEとかWhatsAppのようなメッセンジャーアプリだと思うのですけれども、そういうものがもっと発展するのはいいなと思いながら、今回そういう意味でいい経験をしたなと思っています。
どうもありがとうございました。
○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会消費生活アドバイザー大石様 ありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
それでは、柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 柿沼です。
今のチャットボットなのですけれども、日本でも、大手の企業ではありますが、時間とか土日は対応していないというところもありますけれども、有人対応のチャットボットをしている企業もあるようで、そういう表示も見かけます。それから、あとは対応として折り返しお電話するということで、予約を取って、その時間に電話をかけていただくというような窓口もあります。
ただ、そういうところを利用できることや、そういう知識がないと、まずそこにたどり着けないということ。あと、高齢者の場合には全く対応できないというところもありますので、ニーズによって使い分けが必要なのではないかなということで、コメントになります。
それから、LINEについてなのですけれども、LINE相談、消費生活窓口でも消費者庁のほうで実証実験を行いまして、LINEは若い方はよく御利用されているということで、実際に相談を開設したという経緯があるのですけれども、質問しただけで返事がなかったりというようなこともあったりとか、結局相談員が聞きたい内容がなかなか返事が返ってこないというところで難しさを感じたというところもありますので、お伝えをしておきたいなと思います。
それから、FAQについてなのですけれども、FAQは検索をしても検索結果が多過ぎて、回答を探すことができないというところの煩わしさみたいなものもありまして、なかなかその辺りについて難しいなと思っております。
大石様に御質問ですけれども、こういった消費者側からの意見を事業者に伝えるにはどういうツールがあるのかということをまず一つお聞きしたいと思います。行政機関や消費者団体が充実的な立場を取って橋渡しをするということも一つの方法ではあるかと思うのですけれども、やはり難しさを感じていますので、その辺りについて何かヒントがあれば、一つ教えていただきたいなと思います。
それから、電話対応とチャットボットの対応について今回挙げていただいたのですけれども、そのほかの対応がないのかということと、それ以外の対応について、もしも何か課題があれば教えていただきたいなと思います。
3番目なのですけれども、特に対応に緊急を要するものがあります。例えばクレジットカードの不正利用です。とにかく早くカード会社に連絡したいのだけれども、電話が混み合っているとか、電話の窓口がどこにあるのか分からないとか、チャットボットをしても、電話をしてくださいとかいうような形で、結局らせん階段状にくるくる回っていて対応ができないということで、消費生活センターに御相談いただくのですが、不正利用も止めるタイミングによっては、結局は何十万使われた後に止めたとしてもお金を払ってくださいというような事業者もいらっしゃいますので、その辺りの緊急を要するような場合の対応の方法について検討する際に、どういう形で事業者に交渉の方法として投げかけていけばいいのかというところ、その辺りについて教えていただければと思います。
以上です。
○鹿野委員長 お答えいただけますか。
○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会消費生活アドバイザー大石様 御質問ありがとうございます。
私、専門家ではないので、それぞれにきちんとお答えできるかどうか分かりませんけれども、まず1点目、事業者に伝える方法という御質問だったと思うのですが、これは事業者の姿勢にもよると思うのですが、例えば先ほど中田委員がおっしゃったような、大きな本当にきちんと消費者とコミュニケーションを取ろうとしているような事業者であれば、例えばホームページについて何か課題はないですかとか、そういう消費者との座談会を定期的に設けているような事業者もいると聞いています。
ですので、逆に言うと、そういう消費者との座談会ですとか問合せをきちんと真摯に受け止めるような機会や時間を設けている事業者は、消費者の声を聴こうとしているし、しっかりそれも反映させてくれていると思うのですが、そういう姿勢がないという事業者が一番問題で、そことのコミュニケーションをどうしていくかというところが一番難しいですし、そうなってくるとあとは行政が入って、強制的とは言いませんけれども、問題がある点についてそれぞれ事業者に伝えていくというのが、今のところ一番近道になるのではないかなと思ってお話を聞いていました。
それから、2番目のチャットボット、電話、SNS以外のということで、私自身はあまり使ってはいないのですが、先ほど大澤先生がおっしゃったような、確かにLINE相談のようなもの、これは確かにカスハラの問題も起きづらいですし、それから短い文章でいいので、チャットボットに比べて本当に会話のような形で問合せができるという意味では、消費者にとっては大変好ましいツールかなと思いました。
ただ、LINEは一人一人が対応することになるので、さっき私、勝手に消費者相談窓口でLINEの対応がという話をしたのですけれども、あれは実証実験だったということで、まだ実際に相談の窓口の中では活用はされていないということだったのでしょうか。そのような委託事業があったと聞いていたので、実際に使われているというお話をしてしまって、ちょっと間違った情報を伝え失礼しました。確かに問合せを簡単に入れられるけれども、先ほど柿沼さんがおっしゃったように、答えがないとか、それから、一人一人がいろいろな場所で対応しなければいけないというと、人的な確保というのがかなり課題にはなるのだろうとお話をお聞きしていました。ただ、消費者は、ほとんどの方が携帯を持っているので、携帯でLINEのような形でぽんぽんと問い合わせられたら便利には感じるだろうと思った次第です。
それから、3番目です。私も実際クレジットカードの不正使用があって、そのときは逆に事業者のほうから連絡が入りました。あなたの持っているカードの不正使用の疑いがあるということで、確かに使っていないです、ということでした。このように監視をしていて、消費者の側に緊急連絡をしてくれるような事業者であれば本当に問題はないと思うのですが、なかなかそういう対応をしてくれない事業者も多いということですね。そうなってくると、消費者は事業者、カード会社を選ぶというか、そこしかなくなってくるのかなと思います。口コミではないですけれども、カード会社がどういうカード会社で、緊急時の対応、24時間で対応してくれるとか、ちゃんとAIで監視していて、おかしなところがあったらすぐに連絡をくれるところかどうかというのを、消費者はきちんとそれを調べた上で、本当に信頼できるところと契約するということが重要なのだと思います。
一方、先ほどおっしゃった高齢者ですとか、ネットですとかに疎い消費者になってくると、調べること自体も難しくなってくる。言われるままにカードの契約をして、実際にそういう被害に遭ってしまうということが起こるので、そこは特にこの情報社会の中で脆弱な消費者にどう対応していくかというのは、カード会社というかクレジットの世界であっても大きな課題だなと思っています。
解決策というほどではないのですけれども、できるとすれば、まずいろいろなカード会社と契約する前に、消費者側としてはきちんと調べるし、そういう情報を、行政はなかなかこのカード会社は大丈夫ですよ、このカード会社は駄目ですよということは言いづらいとは思うのですけれども、問題が起きているカード会社については、きちんと行政のいろいろな場面で消費者に伝えていくというようなことも必要なのではと思ってお話を聞いていました。
ちゃんとしたお答えになっていないと思いますけれども、感じたまでです。
以上です。
○柿沼委員 御説明いただきましてありがとうございました。
事業者側から、インシデント対応については、事前に消費者側に情報提供しておくことの大切さや、逆を言えば、消費者も先にリサーチをしておくというところの大切さみたいなところも考えさせられました。
ありがとうございます。
○鹿野委員長 予定した時間も近づいてきましたが、最後に黒木委員長代理からお手が挙がっていますので、よろしくお願いします。
○黒木委員長代理 大石さん、どうもありがとうございます。お久しぶりです。
私からお尋ねします。実は、本日のお話は、消費者基本法5条の事業者の責務等に関係すると思います。例えば2項で消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供することや、消費者との取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮することといった責務が定められています。
また、具体的な契約に関しては、消費者契約法3条で事業者の努力義務として、契約条項を明確にすることや、勧誘する際に消費者の年齢などに考慮した上で、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について必要な情報を提供することなど、こういった努力義務が既に定められています。
ところが、今のお話を聞いていくと、なかなかその努力義務が履行されていない場面があるというお話だったと理解しました。
その上で質問なのですが、この努力義務を例えばどういった形で、もう少し拘束性があるようなルールづくりができるのでしょうか。事業者団体において、消費者からの問合せなどについて、マニュアルあるいは統一的なルールのようなものを作っていくということが一つの解決方法としてあり得るのかどうか。その点について、これを全部条文に書き込んでやるというのはあり得ないと思いますが、よりソフトローのレベルで事業者団体と消費者団体などが一定のルールづくりをしていくといったようなことはできないかということについて、ご意見をいただければありがたいと思います。
○鹿野委員長 それでは、大石様、お願いします。
○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会消費生活アドバイザー大石様 ありがとうございます。
私も、これといった解決策というのはなかなか思い浮かばないのですが、最初に中田委員がおっしゃった3つのタイプの事業者というところで考えたときに、2番目の、消費者志向の意識はあるのだけれど、そういうリソースにコストをかけられないような中小の事業者の方たちについては、事業者団体でいろいろなルールを定めてやっていくということは大変有効なのではないかなと思ってお聞きしておりました。
大企業だから全てオーケーというか、きちんとできているとも思いませんけれども、少なくとも社会全体でみれば、中小さらには零細の企業が多い中で、問題が起きているのはどちらかというと、小さいところであったり、アウトローでなかなか業界団体にも入らないようなところだったりだと思いますので、コミュニケーションを取る以前の問題として、法律に違反するようなことをする事業者はきちんと法律で取り締まっていく必要があると思います。それから、先ほど言われた、思いはあるけれどもなかなかリソースが割けないというところについては、業界団体での自主規範みたいなものが有効になるのかなと思います。
消費者にとっての消費者教育もそうですし、事業者にとっても、自分たちが社会の中でどう貢献できるかを模索していく中で、消費者とのコミュニケーションというのは絶対必要なものなのだという意識を持っていただけるよう国の施策をぜひ消費者委員会で進めていただければありがたいです。逃げのような回答になってしまいましたけれども、ぜひ今後も積極的に進めていただければと思います。
ちゃんとしたお答えになっておらず申し訳ありません。
○黒木委員長代理 ありがとうございます。
私たちが考えていかなければいけないことだと思いますので、どういう形で規範化していくか、いわゆる事業者の中の中間層の底上げをしていかなければいけないという点に関しては、意見が一致しました。そのためのモチベーションと、それからリソースをどれくらい割ればどういう形で中間層が対応できるようになるのかということについて、今後検討していく必要があるという御示唆をいただいたと思います。
ありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
予定した時間となりましたので、質疑応答、意見交換は以上としたいと思います。
大石様におかれましては、貴重な御発表、そして意見交換をいただきまして大変ありがとうございました。
続きまして、次の御発表に移りたいと思います。松本教授から20分程度で御説明をお願いします。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 今、御紹介いただきました千葉商科大学の松本と申します。
本日、「消費者と事業者の望ましいコミュニケーションの在り方について」というようなテーマでお呼びしていただいているのですけれども、背景として、私自身がまさにこのテーマに基づいてこれまで研究活動してきたというところは恐らくあるのではないかなと思います。
大きな専門で言うと、既に紹介いただいていますけれども、マーケティングコミュニケーション研究、あるいはもともとは広告研究という、コミュニケーションの1分野である広告というものから入ってきて、今、コミュニケーションの多様化が進んでいますので、幅広くコミュニケーション全般というものを研究しているというところはあるのですけれども、いずれにせよそのような研究をしています。
その中で、私自身が研究を始めた時期はまさにインターネットが普及し始めた2000年代初めの頃で、20年以上たつわけなのですけれども、まさに企業と消費者のコミュニケーションの環境が大きく変化していくさなかで研究活動をしていたところがありますので、今日の冒頭のお話にも出てきましたけれども、インターネットによって企業と消費者が双方向に、相互にコミュニケーションできる環境が以前にも増して、インターネットがある以前よりもより整った、あるいはできるようになってしまったと言ってもいいかもしれませんけれども、そういう環境が生まれたわけです。
それから20年以上たち、今やそれがあるのが当たり前なわけなので、当然企業と消費者のコミュニケーションというのは双方向であるということが前提でしょうし、あるいは相互にコミュニケーションをやるというのが求められている。これは事業者にも求められていて、消費者からも求められている、そのような環境があるのだと思います。
いずれにしろ、そのような情報環境の変化の中で、私自身がマーケティングコミュニケーション研究あるいは広告研究をしてきたというバックグラウンドがあるので、今日の話につながっていくのかなと思います。
今日のお話というのは、今、大石様にいただいたお話、私も当然拝聴させていただきましたけれども、多分に重複するところがあるかなとは思います。共通すると言ってもいいかもしれません。
私、立場としては、研究者あるいは学術的な立場ですので、同じような話ではありますけれども、少し視点が俯瞰的な部分はあるのかな、あるいは一般化されたようなところがあるのかなとは思います。その分、具体性に欠けるとも言えるかもしれませんが、いずれにしろ一旦そのような一般化された話として今日の話は進めさせていただければなと思います。
前置きが長くなりましたけれども、ここからは資料に基づいてお話しさせていただきます。
まず、いただいたテーマに関連するものとして1つ目です。事業者におけるコミュニケーションの意義とはということです。そもそも何で事業者はコミュニケーションを消費者とする必要があるのかということです。これはもちろんいろいろ理由はあると思いますけれども、大きく分けると2つに分けられるかなと思います。
1つには、商品あるいはサービスというものを開発していくためには、市場の声を聴く必要があるのだということです。当然出したからそれで終わりではなくて、出した結果として、それが受けたのか、受けていないのか、よかったのか悪かったのか、そのような声を聴いて、次の商品あるいはサービスの改善につなげていくということが企業としては求められているでしょうし、あるいは、それはする必要があるわけです。
この辺りは、学術的にも情報流という言葉であったり、あるいはマーケティングであれば、より端的にマーケティングリサーチというような言葉でその重要性は言われていたりもします。あるいは、そのような声が非常に重要なのだ、そもそも声を聴くことが重要なのだということで、マーケティングの分野においてはブランドコミュニティーというような研究の領域あるいはそのような存在もありまして、自社の顧客とより深く対話をするような場としてのコミュニティーをつくって、その中で新たな商品・サービスへの気づきを得ようではないか。これはまさに消費者と共に商品サービスをつくっていく共創的な、共に創るという意味での共創ですけれども、そのような場を活用するという企業も一部ではありますけれどもあったりもします。
1つ目は、今言ったように声を反映させる、そのようなプロセスとして重要なのだということが一つです。
2つ目としては、消費者にとってです。消費者にとって、企業と、あるいは自分が好きな商品・サービスを扱う事業者と、ということですけれども、コミュニケーションすることは実はうれしいことでもあります。消費者は誰も彼もが別にコミュニケーションを求めているわけではないですけれども、自分が好きな商品・サービス、ファンであると言ったほうがより分かりやすいかもしれませんけれども、そういったような商品・サービスを扱う企業等であれば、当然コミュニケーションして、自分の意見、自分の考えを伝えたいとか、あるいは反映してもらいたい、そのような思いも持っているでしょうし、そういったものを聴いてもらえることだけでうれしいというところがあります。結果的にそれが事業者と消費者との間の良好な関係の構築にもつながっていきます。この辺りもリレーションシップマーケティング、あるいは関係性マーケティングという言葉でもありますけれども、そのような言葉で研究がされていたりもします。
短期的な販売の実現だけではなくて、より長期的な販売を実現するための下地として関係を構築する必要がある。そのためには、相互のコミュニケーションが必要なんだよ、あるいは重要なんだよ、そのようなお話です。
以上のような大きく分ければ2つの点で、事業者と消費者がコミュニケーションする意義というのはあるのかなと思います。
ただ、2つ目の話になってきますけれども、(2)ですが、事業者と消費者がコミュニケーションするといっても、なかなかそれはそんなに簡単にはいかない。だからいろいろ問題も起きているとは思うのですけれども、両者の間でなかなかハードルがあるということです。これはコミュニケーションというものをより本質的に考えれば、この場もまたコミュニケーションの場ではありますが、例えば今この場でも、私、会議室にいますけれども、対面で顔を合わせてこういうふうにお話をさせていただいている委員長、委員の皆様もいらっしゃいますし、一方で、オンライン上でお話を聞いていただいている委員の先生方がいらっしゃると思います。
恐らくここの環境の違いによってもコミュニケーションというのはちょっと違ってくるというのもあります。少し議論がずれるかもしれませんけれども、いずれにせよそのような環境の違いが一つコミュニケーションの在り方に影響していきます。個人と組織というものを考える、組織はこの場合は事業者のことですけれども、それを考えたときには、当然ですけれども、こういうふうに面と向かっていつでもいるわけではありません。当然ですけれども、多くの場合は物理的な距離があるということを考えたときには、何かしらメディアを使ってコミュニケーションせざるを得ない。だったら当然それに難しさが伴ってくる。つまり、物理的なハードルが常に生じてしまうのだというところはあると思います。
もう一つは、心理的な側面でのハードルです。今日も僕自身は皆様と初めましてというところでお話をさせていただいているわけですけれども、当然、家族あるいは友人と話をする場合と、コミュニケーションする場合と、異なるというのは分かる部分だと思います。
同じようにというわけではないですけれども、個人と企業、組織というものがコミュニケーションする場合も、個人間のコミュニケーションとはまた違った心理的なハードルというのもあると思います。これからまた改めてその辺は詳しく説明しますけれども、そのような立場の違いがあれば当然、単純に今どうぞ話してくださいと言われたとしても、急に言われても困っちゃいますというようなところがあるように、立場が違えば話しにくい、単純に話しにくいということもあると思いますし、そもそも話す気がないというところもあるかもしれません。
とにかく個人間で、対面で、今、目の前に人がいて挨拶を交わすような場面と、個人と組織という全く違う立場の主体がコミュニケーションする場合においては、そのコミュニケーションのハードルあるいは課題は違ってくる、困難が伴ってくるということはあり得ることだと思います。
この辺り、もうちょっと深く議論を進めていきたいと思いますけれども、まず1つ目、物理的なハードルの部分です。これが先ほどの大石様の話にも出てきたような部分ですけれども、物理的な側面の課題として、消費者の不満の原因としてよく上がるパターン、まさに先ほどと本当に全く一緒です。どこに問い合わせればいいのか分からない。問合せ先にたどり着くまで延々とFAQを見せられてしまう。あとはインターフェースが最近頻繁に変わるということもありまして、以前はここから行けたのだけれども、場所が変わって分からなくなってしまった。複雑性という話も先ほど出てきたかなと思います。それと共通するところです。
いずれにせよ、そのような問題が出てきている。まさにそもそも物理的な距離があって、コミュニケーションにハードルがあるにもかかわらず、あるいはそれがあるからこそかもしれませんが、こういった問題が生じているということです。
当然こういったようなハードルを解除してコミュニケーションをうまく取るためには、分かりやすいコミュニケーションツール、メディアを提示すること、あるいは操作を容易にすることが大きく求められるのかなと思います。
今、画面上、資料は消えてしまっているようですけれども、話は続けさせていただきます。
そのような物理的な側面のハードルを越えていくことが、まずコミュニケーションを円滑にしていくためには重要かなと思います。
AIに関する話題も先ほど出ていました。AIというのは、こういったような物理的なハードルを越えていくのに役に立つのかということです。一つには、端的に言えば当然役には立つと思います。ただし、AIと人間ができることというのは当然違ってきます。ですので、そこは役割を考えていく必要はあるのだと思います。
逆に、消費者の立場からいったときに、AIに対して何を期待しているのかということを考えたときに、当然ですけれども、これも人間が対応してくれる場合、従業員の方、スタッフの方が対応してくれる場合と、AIに対応してもらえる場合と、期待することは違います。ですので、何を期待しているのか、何を期待していないのかというのは変ですけれども、そういったところを分けて、きちんとツールとして用意するのが大事なのかなと思います。
加えて言うならば、AIだからといって、別に人間に近づける必要はないのだともいえると思います。人肌感みたいな言葉もありますけれども、別にAIを人間にする必要はない、してもいいというか、技術的に可能であればそれは構わないとは思いますが、現時点でAIは別に万能ではないので、そういう意味で言うと、AIはAIにできることをやればいいですし、それは人間である必要はない、人間に近づける必要はない、そういうところはあるのではないかなと思います。
当然、コミュニケーションの目的、事業者に求めるものが違ってきますので、人が対応すべきものは人が対応すべきでしょうし、逆にAIで対応できるものに関しては、もうAIで十分だとも思います。手っ取り早く対応してもらえれば、それはそれで助かるわけですから。難しいものに関しては、あるいは言語化しにくいものに関しては電話のほうがいいでしょうし、あるいは単純なシンプルな定型化されたような質問あるいは確認みたいなものであれば、AIでも十分に、先ほど打ち込むのが大変だみたいな話もありましたけれども、言語化するのもそんなに難しくないのではないかなと思います。
その次にもう一つ、心理的な部分に関しても整理していきたいと思います。
消費者は、当然ですけれども声を上げない消費者がいます。この部分というのは心理的なハードルが関わっているのだろうなと思います。声を上げない消費者というのは大きく分けると2パターンあるかなと思います。2パターンしかないというわけではなくて、大きく分けるととりあえず2パターンかなというところです。
2ページ目、裏面に行きます。
声を上げない消費者を分けてみると、例えば1つ目、声を上げたい、何か気持ちを持っている、だけれども伝えられない人です。これは先ほどの物理的に環境がないからという話ではなくて、伝えたいことはあるのだけれども、なかなか声を出していいのかなというふうにためらってしまうという意味での言いにくさです。本当に聞いてくれるのか、あるいはこれは言っていいのだろうか、あるいは迷惑をかけないだろうかというような気持ちであったり、言い換えると対人緊張という言い方もできますけれども、あるいは、例えば自分の行動、こういった声を上げるという行動が他者に知られてしまうような環境の場合は、当然目立ちたくないとか恥ずかしいという気持ちにもつながっていくと思います。誰かに見られているからこの場では発言を避ける、こういうのは一般的にもよくあることかなと思います。こういうふうに、上げたいけれどもなかなか上げにくいというようなことは心理的な面でも言えることかなと思います。
そして、もう一パターンですけれども、そもそも積極的に声を上げる意思は持っていない、そういう人もいるのではないかなと思います。これは最近、ラーカー、閲覧者というような翻訳もされますけれども、こういう言葉で言われたりもします。サイレントマジョリティーに近い部分でもあるかもしれません。
このようなラーカー、閲覧者、声を上げない人たちというのは、もちろん積極的に声を上げる意思を持っていないので、あまりしゃべることはないのかな、あるいは気持ちは持っていないのかなと思ったりもするのですけれども、別に思いを持っていないわけではないです。声を上げないからといっても無視できない存在だということは間違いないです。
例えばラーカーのように見るだけの人、見ているだけの人だとしても、実は自分の好きな商品あるいはサービスであったら定期的に、本当に積極的に情報収集はしています。声は出さないかもしれませんけれども、情報収集という行為は積極的にやっているという場合は多々あります。そういう場合は、当然ほかの消費者とのやり取り、声を上げる人たちとのやり取りも当然見ているというところもあります。ですので、主体的に声は上げないけれども、実は積極的な部分もあったりはします。加えて、簡単な応答はしたりもします。SNS上でいいねのボタンがあったりもしますけれども、ああいったようなもの、事業者が何か投稿したら、それに対していいねぐらいは押してくれたりということもあったりはします。
このような人たちは、積極的に何か声を上げないというところはあるかもしれませんけれども、思いを持っていないわけでもない、無視できない存在である。場合によってはリアクションが返ってくる場合もあるということを考えたときには、1の人も、あるいは2の人にも関係する部分があるかもしれませんが、企業としては、簡便な方法あるいは他者に知られない方法によってリアクションを収集していく、あるいは声を上げてもらうというような努力をすることによって、コミュニケーションが円滑に進むということもあるのではないかなと思います。
次の話題に行きます。3つ目です。事業者から消費者に対するリアクションの重要性というタイトルをつけていますけれども。
以上のように、事業者と消費者の間にはハードルが存在して、それを何とか解消すればコミュニケーションは円滑化する可能性はありますが、せっかく声を上げてもらったならば、当然それに対して返していく、消費者に対してもまたリアクションを事業者がしていくということが必要だということがいえます。せっかく消費者が声を上げてもリアクションがなければ、当然消費者の意見を伝える気持ちというのは萎えてしまいます。ですので、消費者に声を上げてもらう、あるいはコミュニケーションしてもらった場合には、それに対してフィードバックをするということもぜひ考えるべきことだと思います。
そのような気持ち、事業者もきちんと返していくのだという気持ちが、相互のコミュニケーションを続けること、続いていくことに寄与しますし、当然それは冒頭にお話ししたとおり事業者と消費者の間の関係構築にもつながっていきます。それは最終的には当然売上げみたいなところでもつながっていくともいえます。
以上、ざっとでしたけれども、おおよそこの辺りまでが相互のコミュニケーションに関するお話です。
最後に、消費者・事業者が気をつけるべき広告表現という形で、ちょっと話題を替えます。
近年、特に広告関連、インターネットの広告といったようなところでいろいろな問題が起きています。あるいは、消費者からのクレームあるいは不平不満につながっている部分があります。それが、例えばなのですけれども、SNSとかインターネットの広告でよくあるパターンですが、あまり良心的な事業者ではない事業者と言ったほうがいいでしょうか。あるいは、直接的には悪意のある事業者と言ってもいいかもしれません。そういったような事業者の出している広告においては、言ってみれば詐欺まがいの広告も多く出ています。例えば多くあるパターンとしては、No.1表示、どこそこの通販サイトでNo.1を取りましたとか、売上げNo.1でしたというような表示とか、あるいは有名な雑誌で取り上げられましたよとか、何とか大学の研究が反映された商品ですよとか、そのような第三者保証のような表現であったり、あるいは、特に身体的な部分が多いのですけれども、コンプレックスを過度にあおる表現、そのようなものが不適切な表現として多く広告上で見られるという場合があります。この辺は、特に昨今の広告全般のイメージの悪さの一因につながっているなということは非常に感じるところです。
これは私自身が関わっている日本通信販売協会広告適正化委員会というところでもまとめられているところ、あるいはそこに参加していて感じているところでもありますけれども、日本通信販売協会は当然通信販売に関する広告をチェックしているのですけれども、やはり通販広告でもそういったような事例は本当に多く見られます。報告書でまとめられているようなことにも通じるところかなと思います。
消費者としては、非常に魅力的に見えるフレーズであったとしても、簡単にそれを信じてはいけない、ちょっと立ち止まって考えるというところは必要なのかなと思います。そして当然、そういったようなコミュニケーションを出す立場の事業者のほうこそ、そういったような姿勢は見直すべきかなと思います。
ここの事業者に関しても、もちろん悪意のある事業者ばかりではなくて、良心的な事業者も多くあるのは承知していますし、だからこそなのですが、良心的な事業者であればあるほどに、こういったようなところは非常に注意すべきことかなと思います。
例えば広告に関して、広告主の団体ですけれども、日本アドバタイザーズ協会による宣言というところにも、そういったような姿勢は表れています。これは広告の定義というところの部分から抜粋したものですけれども、「われわれアドバタイザーは、広告が公益性の一端を担うものであることをここに確認する」とか、「健全かつ信頼に足るもの」「適正かつ透明なもの」であると広告を定義している、あるいは宣言しているわけです。「そして、この理念のもと、すべての人々の人権を尊重し、広告を取り巻く環境がより良く、より豊かになっていくよう努める」、そして最後、「生活者との間に好ましい循環を生み出し、社会と文化の持続的発展に貢献する」、こういうふうに宣言しているわけです。
まさにこれは背後には、なかなかそのようなところが守れていない事業者の存在、あるいはそういったような事業者による広告の存在が意識されているわけです。ですので、それをいきなりすぐに一掃することはなかなか難しいかもしれませんけれども、繰り返しお伝えしたいことは、良心的な企業であればあるほど、あるいは事業者であればあるほどに、そのような何か悪意ある事業者に似たようなコミュニケーションは取るべきではない。どうしても広告は何か売りたいとか伝えたいという思いが強くなると、強い刺激の広告になりがちなのですけれども、そこに関してはきちんと自重するということが大事なのだろうなと思います。当然行き過ぎた表現というのは炎上のリスクにもつながっていきますので、そういう意味でも、リスク管理の観点でも重要な視点だと思います。
健全、信頼、あるいは適正、透明、そんなようなコミュニケーションを通して、消費者との良好な関係構築・維持を目指すべきというのが一番伝えたいところかなと思います。
少し超過しましたけれども、以上、私の報告でした。ありがとうございました。
○鹿野委員長 松本教授、ありがとうございました。
これより質疑応答、意見交換を行いたいと思います。時間は当初お伝えしたように約40分で、12時10分ぐらいまでとしたいと思います。いかがでしょうか。
中田委員、お願いします。
○中田委員 松本先生、大変貴重な提言をいただきありがとうございます。
様々な論点、御指摘があったのですが、私からはAI活用についてコメントさせてください。
松本先生のそもそもチャットがAIだと分かっていれば消費者は人間と同じ対応を期待するわけではないという御指摘に、はっとした気づきがありました。AI対応の特性はどういうものなのか、AI対応はどこまで現時点でできるようになっているのか、また、チャットが何ができて何ができないのか等を事前にしっかり共有して、消費者の期待値コントロールをしておくこともコミュニケーションの円滑化の上で必要なのではないかと感じました。
一方で、事業者サイドは、自社AIサービスは完璧な対応ができないという認識の下で、トラブルが発生した際にタイムリーに検知して、そのような状況に関しては電話等を介して人間が補っていく体制も整えていくことが必要ではないかと感じました。
実際、丁寧に人が全ての問合せに対応していくことの安心感はあると思うのですが、先ほどお伝えしたようなオペレーター人材の採用・育成、そして顧客対応に日々従事しているオペレーターの方々の心理的側面を含めた業務負荷は大変多く、企業としては業務の品質向上と同時に業務効率改善も使命としてはあると思われるので、チャットボットやAIの対応には発展途上による不完全性があり、消費者に満足いただける状況に至っていない場合もあると思うのが現状だと思いますが、AIやチャットボットの活用を止めるのではなくて、技術的な側面の向上も将来的には見込めるので、AIと人が補う対応の仕組みを考えていくことが重要なのではないかと改めて気づきがありましたことをお伝えさせていただきます。
○鹿野委員長 何かコメントがございましたらお願いします。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 ありがとうございます。
おっしゃっていただいたとおり、できること、できないことをきちんと伝えるということ、そしてそれを消費者の側の期待としての管理をするということ、それは非常に重要だなと思います。特に期待、AIだとどこまでできるんだよということをお伝えするということは、非常にシンプルに例えば企業のホームページ上でできることですから、そういったところにはきちんと対応していくことが大事かなと思います。AIでできることはAIでやっていったほうが、消費者にとっても気軽に使えるでしょうし、よほど大きな問題で今すぐ対応してもらわなければ困るとか、あるいは複雑で言語化できないというものに関しては、当然人間のスタッフで補っていくことが必要でしょうけれども、そうでなければAIで十分ですし、繰り返しなのですけれども、AIに期待することというのは、別に人間と同じことを期待しているわけではないので、そこはきちんとコントロールできれば問題ないのかなと思います。
あと、加えていうならば、今お聞きしながらちょっと思ったのですけれども、コミュニケーションあるいは企業のコミュニケーションの在り方というものかもしれませんが、別に常に完璧であるわけではないと言ったほうがいいですかね。常に完璧に対応できるわけでもないですし、常に完全なものであるわけでもない。先ほど言ったとおり、事業者と消費者、個人ですけれども、その間に常にハードルは存在し続けるわけですし、それを埋める物理的なハードルを越える何かしらのツールというのは、日々アップデートされていくわけです。ほんの数年前までは、AIという言葉自体も、我々はそこまで日常的に使ってはいなかったわけですけれども、いろいろな生成AIが出てきたことによって、今や使うことが当たり前までは言わないですけれども、多くなってきている。4から5年前までは本当に考えられなかったことだと思います。
それを考えたときには、また4から5年たったら我々が今、想像しないものが出てきている可能性は当然ありますし、それは当然そのときに使わない手はない、アップデートしていくべきでしょうし、それによって何かしらのハードルがまた除去できるような、解消できるようなものであれば、それはそれでいいのだと思います。
いずれにしろ、ツールができること、できないこと、そういったものを整理した上で、常にコミュニケーションの環境というか、状況をアップデートするというような気持ちを事業者が持っていくというのはとても大事なのかなと思いました。
以上です。ありがとうございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
中田委員、よろしいですか。
○中田委員 事業者と消費者のコミュニケーションは完璧ではないという御発言、まさにそうかなと思いまして、人にしろ、AIにしろ、コミュニケーションは完璧でないかもしれないけれども、傾聴する姿勢があるということが伝わることが重要なのかなというふうにお話を伺って感じました。ありがとうございます。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 ありがとうございます。
傾聴という言葉、本当にそれは重要だと思っています。どちらかというと、これは僕自身の研究のスタンスとか、あるいは少し思い入れの部分にもつながる部分かもしれませんけれども、広告研究から私自身は入ったのですけれども、それは私の先生が広告の研究者だったからというわけなのです。ただ、冒頭お話ししたとおり、2000年前後ぐらいから、95年ぐらいからインターネットが日本でも普及し始めて、2000年以降一気にというところはあったかと思います。
要は、言いたいことは何かというと、2000年以前の広告研究というのは、いわゆるマス広告、テレビとか新聞とか雑誌、ラジオ、この辺りを中心にした研究であり、そういったようなコミュニケーション、マス広告のコミュニケーションはどちらかというと一方向なのです。それに対して、2000年以降は、インターネットを中心に双方向が可能になっていった。そこの大きな違いがあるのだと思います。ですので、双方向であること、その部分をきちんと意識していくことがやはり重要であると。そこの部分が本当に一番ですし、だからこそ、一方向というのは結局伝える、話すなのです。要は事業者が、企業が、消費者に伝える、話すであり、双方向といった場合には、それに対して聴くが入ってくる。だからこそ、双方向のコミュニケーション環境が今は前提となっている状況下においては、今お話しいただいたとおり、まさに傾聴、聴くという姿勢、ここの部分にこそより一層力を入れていく必要がある。
話すに関しては十分研究もしてきましたし、一方で、聴くに関しては恐らく2000年代に入ってからの話だと思いますので、事業者はそこを常に意識すべきことかなと思いました。
すみません。長くしゃべり過ぎました。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 御説明いただきましてありがとうございました。
先ほど中田委員のほうから、事業者を3つに分けて類型にするということなのですけれども、今回は、お話の中で、コミュニケーションの内容とか性質などによっても分類する方法があるのではないかというようなことを述べられていたかと思うのですけれども、事業者と消費者の間には当然、法律にも明記があるとおり、情報の量や質、それから交渉力についても格差があるというところで、コミュニケーション自体が、なかなか消費者が話す内容について事業者に伝わっていかない、難しさもあると思っております。このような場合に、コミュニケーションによっての分類の方法としてどういう方法があるのかということをまず教えていただきたいと思います。
それから、2つ目です。ラーカーという言葉がありましたが、日本人の多くの場合は、発信を控える、いわゆるラーカーという振る舞いを行う傾向が強いのではないかと思います。これは単なる消極性の表れではなくて、日本固有のコミュニケーションの文化が深く影響していると私は考えます。その中には、多少の不利益が生じる可能性があっても、この程度であれば言わなくてもよいというようなことで判断する場合も、消費者契約の中でも少なくないのではないかなと思います。
ただし、そういう発言を控えるラーカーの層こそ実際には最も重要で、質の高い情報を保持している場合があるのではないかとも思っています。ですので、本人が言いたいときに安心して言える環境の整備を構築することが不可欠ではないかということで、先ほどアンケートで回答するという例示がございましたが、そのほかにどのようなことが考えられるのかというのを教えていただきたいと思います。
また、積極的に発信する層とか、必要なときのみに発言する層というのもあるということですけれども、それぞれの層に関しての対応の違い、コミュニケーションの違いをどう考えていけばいいのかというのを2つ目に教えていただきたいと思います。
それから、3つ目です。外国サイトのコミュニケーションとか店頭契約でのコミュニケーションもあるかと思うのですけれども、そういったコミュニケーションについてどのように考えていけばいいのかというのも教えていただければと思います。
以上です。
○鹿野委員長 お願いします。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 申し訳ないです。1つ目の質問に関して、事業者と消費者の間に格差があるというような話の流れの中で、コミュニケーションのどのようなタイプがあるのかという話だったと思うのですけれども、その質問をもう一度お伝えいただいてもよろしいでしょうか。
○柿沼委員 先ほど、例えば何か紛失をしたときはAI等を使って簡単に検索できるというお話がありましたけれども、そうではないものということだとするとコミュニケーションの分類方法としてはどのようなことがあるのかというのを教えていただければと思います。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 分かりました。
コミュニケーションの全てを分類するのはなかなか難しいとは思いますけれども、1つ現在のレベルにおけるAI技術であればということであれば、定型のもの、あるいは先ほどの言葉をいただければ、言語化しやすいもの、問合せしやすいものは、恐らくAIでの対応はやりやすいのではないか。消費者も十分にAIで満足できるコミュニケーションができるのではないかなと思います。
○柿沼委員 すみません。AIではなく全てに関してということで、ネット以外のコミュニケーションもあるかと思うのですけれども、AIに特化せずに御回答いただければと思います。
中断してしまって申し訳ございません。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 質問に対して、これから話す話も意図が合っているか分かりませんけれども、コミュニケーション全般の目的という観点で例えば整理をしていくと、これが全てというわけでもないですが、これも3つぐらいに分けられるかなとは思っています。
一つには、レベル感はありますけれども、消費者自身が抱えている問題があって、その問題を解決するためにコミュニケーションを求めている、事業者に対して何か解決策を求めている、このような問題解決のためのコミュニケーションは一つあるかなと思います。というか、大半の問合せはこの問題解決に近いかなと。レベル感が先ほどのクレジットカードの紛失みたいな大きな問題もあれば、どの商品を選べばいいのか分からないのような、小さいとは言いませんけれども、商品選択に関わるアドバイスを求めている、そのようなものもあるとは思いますけれども、いずれにしても問題解決というのが大きく一つあるかなと思います。
一方で、消費者側から考えたときには、これはどちらかというと本当に観点が変わりますけれども、事業者に対する貢献行動的なコミュニケーションも存在すると思います。さっき好きな商品・サービスの事業者とはコミュニケーションを取るのがうれしいみたいな話がありましたけれども、要は好きな企業に対して、事業者に対しては、自分も何かしてあげたいというような気持ちを持つというのはあると思います。ですので、何か自分の意見が参考になればなというような気持ちから生まれる貢献行動というのはあるかなと。
あとは、それにも近い部分はあるのですけれども、もうちょっとライトな、そもそも消費者が事業者に対して何かとにかくコミュニケーションを取りたい。本当に雑談ではないですけれども、何か相互にコミュニケーションを取りたい。そのような気持ちでのコミュニケーションも存在すると思います。言い換えれば、交流といったような言葉のほうが合っているかなと思います。これに関しては、ブランドコミュニティーの話がしっくりくるのかなと思います。
消費者としては、情報を収集したい、あるいは事業者の方と何か交流をしたい、そのような目的でのコミュニケーションも存在はすると思います。ただ、これは別に直接的に何か問題を解決したいというものでもないので、よりファン度が高い、あるいはロイヤリティーの高い、そのような消費者から生まれるようなものかなと思います。先ほどの貢献行動に関しても似たようなところがあります。
大きく分けると、自己の問題解決に関するもの、あるいは利他的な気持ちから生まれるような事業者に対する貢献行動、あるいは交流として、これは相互理解と言ったほうがいいですかね。相互の理解を深めるための交流としてのコミュニケーション、この辺りに分けられるのではないかなと思いました。
これが1つ目の質問に対する答えになっていればと思います。
あとは、声を上げないラーカー的な消費者が安心してコミュニケーションが取れるような環境というのは、アンケートのほかに何かあるのかという話ですけれども、正直なところそれほど多く何かあるというわけではないですが、単なるツール的に言えば、アンケートとか、あるいはそれに類するものであれば非常に有効なのではないかなと思います。
大事なことは、匿名性であったり、あるいは自分以外の消費者からはその行為が見られない、知られない、そのようなところは重要かなと思います。先ほどの声を上げない消費者のパターンの1つ目のところに対人緊張とか羞恥という話を挙げましたけれども、そういったような環境が整ったようなツールであれば、それは十分に機能するのではないかなと思います。
あと、加えていうならば、これは事業者の姿勢を示すというところも大事だと思います。つまり、これは言っていいのかなとか、こういうことは伝えるべきなのだろうかと例えば思ったときに、伝えないという判断をしてしまう消費者もたくさんいると思うのですけれども、そもそも企業の姿勢として、あるいは事業者の姿勢として、そういったような声を伝えてください、積極的にそういった声を我々は求めています。表現の仕方はともかくとして、そういったような、我々は聴きたいのですという、先ほど傾聴という話もありましたけれども、傾聴の姿勢というものを明示していく、あらゆるところで明示していくというような積極的な聴く姿勢を示すということも、また安心できる環境にはつながっていくのではないかなと思います。
最後、3つ目もちょっと理解できなかった部分があるのですけれども、どういったようなコミュニケーションについてですか。
○柿沼委員 日本人同士ではなく、例えば外国サイトとのコミュニケーションの取り方や、店頭契約でのコミュニケーションです。今、全体的にお話しいただいたのは、隔地間でのコミュニケーションの取り方だったかと思うのですけれども、店頭契約でのコミュニケーションの方法について教えていただければと思います。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 店頭というのは、直接的な店舗におけるという意味ですよね。分かりました。
店舗においては、直接的に事業者の代表者である従業員あるいはスタッフの方と対面でコミュニケーションする、おおよそ1対1の場合が多いかなと思いますけれども、そういったようなコミュニケーションになると思います。その場合は、正直なところ、物理的なハードルはかなりない、距離が、物理的に目の前にいる相手ですから、そういう意味で言うと、実はコミュニケーションとしてはやりやすさというのはあると思います。
あるいは、その環境は、例えば店頭においても結局ほかのお客さんが身の回りにいる場合は、そのお客さんから自分とその従業員の方のコミュニケーションが見られているという感覚はやはりあるので、例えば見られている環境と個室で話す場合でもコミュニケーションの在り方は変わってくるかなと思います。当然言いにくい、少しプライベートに関わるような情報を話す場合には、身の回りに他者、ほかのお客がいないほうがいいでしょうし、そこまでプライベートな話に踏み込まないのであれば、ほかのお客さんがいる環境でもいいのかもしれません。
いずれにせよ、店頭においてもほかの人からの視線というのは影響してくるので、それについてはコミュニケーションの目的によってコントロールする必要はあるのだろうなと思います。
あとは外国の方ですか。日本人同士のコミュニケーションであれば、当然それはハードルが低いというのはあると思いますし、一方で、外国の方とのコミュニケーションにおいては、もちろん言語の壁があるので、仮に言語的にスムーズな従業員であれば問題はないでしょうけれども、そうでなければやはりそこでもハードルは発生するのではないかなと思います。
加えていうならば、日本で暮らしていて、日本の感覚というものを強く持っている場合、外国の方が持っているバックグラウンドとしてのコミュニケーションに求めるものにずれが生じる。そのずれというのは、別にいいとか悪いとかそういうことではなくて、単純に感覚の違いというのは存在するわけですので、それによるコミュニケーションの問題というのは発生する可能性はあると思います。声を上げる、上げないという話もありますけれども、まさに日本人だからこそ声を上げないというところはきっとあると思います。そこは控えてしまうというところはあると思いますし、一方で、ほかの国あるいはほかの文化の人であれば、積極的に上げるという場合もあるのではないかなと思います。
ですので、文化的な理解というものも、事業者によっては外国の方が多くいらっしゃるとか、あるいは、ある地域の方が多くいらっしゃるということであれば、その地域の方はどういうことを求めているのか、どのような文化的な背景を持っているのか、特にコミュニケーションにおいてはどのようなところに気をつけるべきなのかということに関しては、個人の従業員の立場で対応するのではなくて、きちんと事業者全体として、まずはマニュアルをつくるとか、教育を施すとか、そういったようなところは非常に重要になるのではないかなと思います。
この辺は実際研究でもそういったようなことは言われているので、それをそのままお伝えしたところです。
○鹿野委員長 柿沼委員、よろしいですか。
○柿沼委員 ありがとうございます。
○鹿野委員長 善如委員、お願いします。
○善如委員 よろしくお願いします。神戸大学の善如です。
松本先生、簡潔にまとめていただき、大変分かりやすく、勉強になりました。ありがとうございました。
私から質問したいのが、それぞれの主張はごもっともなのです。それらの根拠といいますか、科学的なエビデンスに関して質問させていただきたいと思っております。
もちろん今日は時間の制約ですとか、オーディエンスが全員専門家であるわけではないということで、かいつまんで御説明していただいたということは重々承知なのですが、いろいろな主張がありました。例えばマーケティングリサーチが重要である、リレーションシップマーケティングとかロイヤリティー向上のためにコミュニケーションを取るということは非常に重要な観点であるという、それはもちろんそうだなというのは分かるのですが、必ずしもそういったよい影響、よい効果というのは、いかなる事業者にでも成り立つのかと言われたら、そんな極論ではないと想像しております。
もちろん業種や業態によって、その効果の大小は変わるでしょうし、置かれている市場環境、競争が激しいだとか、そんなに激しくないだとか、いろいろな要素が絡んでくるとは思うのですが、そういった様々な要因、様々な環境下において、これらのマーケティング的な視点から見たコミュニケーションの望ましさというのが、どのように大小変わってくるのかというのが、研究の分野、特にマーケティングだと思うのですが、マーケティングの分野でどの程度蓄積されているのかなというのを教えていただきたいのがまず1点目の質問です。
2つ目の質問は、1つ目にもよるかと思うのですが、そういった科学的な知見がどのオーディエンスにまで届くようになっているのかということを聞きたいです。すなわち、マーケティングの専門家が論文を読めば分かるという程度にしか広まっていないのか、それとも例えば教科書みたいになっていて、マーケティングを勉強しようとする大学生であったりとか、社会人の方もそうだと思いますが、そういった勉強しようというやる気のある人が頑張って読めば理解できるようなところになっているのか、それとも、よりもっと一般的に様々な消費者であったり事業者にも伝わるようなレベルまでかみ砕いた何かリソースがあるのかどうかというところに関して、御存じのところがあれば教えていただきたいなと思いました。これが2点目で、私から2点質問させていただきたいです。
○鹿野委員長 お願いします。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、今回は時間が限られていたので、あまり背景にあるエビデンスというか、どのような研究があるのかというところまで触れてはいませんけれども、おっしゃるとおり、今回はかなり一般化されたというか、俯瞰的に見たお話として話しているので、事業者によってはそこまで求められていない部分とか事業者というのもあるとは思います。
それが1つ目の質問に対する答えかなと思いますけれども、実は2つ目の質問の答えとこの辺はかなり重複するなと思いながら今、思っていたのですけれども、そもそもこういったような、例えばコミュニケーションを通じて良好な関係を構築するということ、長期的な関係を構築するということ、これはどの程度マーケティングにおいて一般化された話なのかということで言うならば、恐らくこれは現代のマーケティングにおいては基本的な大前提のような議論かなと思います。つまり、幅広くそれは認知されていることかなと思います。
というのは、もちろん販売促進を中心とした議論というものもありますけれども、どちらかというと今のマーケティング、特にマーケティングの定義なんかをひもといていくと、ブランドを構築していくというような話も前提に出てきたりもするわけです。ブランドをつくっていく、長期的なイメージをつくっていくということを考えたときに、それがまず大前提としてあって、そのために様々なマーケティングの施策が展開されていく。つまり、マーケティングというのは、一時的な販売だけを実現するのではなくて、長期的に売れていくような仕組みを考えることなのだと、そのような議論もありますけれども、まさにそれがブランドの議論につながっていくのかなと思います。
というわけで、長期的な販売を実現するというような、あるいは関係を構築していくというような議論というのは、それだけで全てが議論されているわけではないですけれども、マーケティング全般に幅広く認知されている非常に重要な考え方あるいは概念といえると思います。
それはどこまで認知されているのかということでいえば、まず今言ったような長期的な考え方の重要性に関しては、マーケティングのテキストであればほぼ全てに書かれていることですので、その意味では、大学において学生がマーケティング論を真面目に学んでいれば十分に理解できるところかなと思います。
あるいは、そういったようなところに意識が高い方であれば、テキストあるいは文献、ビジネス書も含めていいかもしれませんが、それを通じて幅広く認知されているところかなとは思います。
ただ、当然マーケティングに関して何も勉強していない、触れていないという方にとっては、その部分に関しては全く分からないでしょうし、あるいは、以前のマーケティングの考え方というのは、販売の実現というところに重きが置かれていたので、マーケティングイコール例えば販売促進、プロモーションというようなところで意識を持っている人もまだまだ多くいるのではないかなと思います。
以上、お答えになっているでしょうか。
○善如委員 追加でもう少し質問させていただいてもよろしいでしょうか。
補足になるのですが、こういったコミュニケーションだとか消費者の声、市場の声を聴くというのが、よい影響を事業者にもたらす。それはマーケティングの大前提にもなっているというような御説明だったかと思います。それは確かにそうなのかというふうに私も勉強になったのですが、それをするとプラスの影響があるのだろうけれども、費用を超えるほどの効果があるのかが実際の事業者にとって大事なところかとは思いまして、そういった事業者がかけないといけないコストという面も鑑みて、それでもやはり効果が出てくるというのはこういう業界なのだとか、こういう業種なのだとか、こういう市場環境下にある場合なのだというような、コストも踏まえた議論にもう一歩踏み込んだ上で言いますと、どこまで研究が蓄積されているのかなと。もう一度同じ質問になってしまうのですが、そちらのほうはいかがでしょうか。コストまで考慮した効果検証という意味では。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 正直なところ、マーケティングの研究において私自身が全てを把握しているわけではないので、そういった研究があるかどうかは、あるかもしれないとは思いますけれども、私自身が特に中心的に研究しているのが、消費者心理に基づく研究というところなので、消費者心理に基づいた、今言ったような長期的な効果というものに関しては十分に研究がなされていると思います。そういうのは十分把握しています。
加えていうならば、そういったような長期的な今言ったような関係性構築のためのコミュニケーションというものを行うことが、先ほどちょっとだけ触れましたけれども、単に消費者の満足につながるだけではなくて、例えば売上げという意味で言えば、消費者の購入というところにきちんとつながっていくというようなところも研究はされていますし、加えて、ここの部分が更に重要だと思うのですけれども、単に一度の購入で終わるのではなくて、また次もその事業者から何か購入したいというような気持ちというところにもつながっていくということは、かなり言われていることかなと思います。
ただ、コストの面に関してどの程度かかるのかということに関しては、残念ながら私は今、知識を持ち合わせていないので、直接的にお答えすることは難しいかなと思います。
以上です。
○善如委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 松本教授、本当に分かりやすく教えていただきありがとうございました。
その上で私から質問させていただきます。2ページ目の(3)で、事業者から消費者に対するリアクションの重要性を御指摘いただいています。先ほど、今までは一方的に伝えるだけだったものが、聴くというところまで事業者が来たというお話でした。聴いた後どうするのかということだと思いますが、このリアクションをどういった形で制度設計していくのか、何かお考えがあればお尋ねしたいというのが第1点です。
それから2点目の質問です。(4)の広告表現のところです。御案内のとおり、日本の景品表示法は優良誤認と有利誤認と告示という3本柱の実体規定を設けています。ここに書かれているNo.1表示に関しては、消費者庁の検討会ができて、No.1表示が優良誤認になる可能性がこういう場合はあるかもしれないということを示しています。
そういう形で制度的にも検討されているわけですが、ここから先は消費者委員会でずっと議論しているところです。今の消費者法の問題は、単なる情報量と交渉力の格差だけではありません。消費者の脆弱性を真正面に取り上げなければいけません。具体的に言うと、例えば広告であればパーソナライズドプライシング、ターゲティング広告といったような、マスに向かってではなく、個人にピンポイントで向けた広告というか勧誘で、広告と勧誘が混同したような形です。しかもその人の行動履歴などを見たバイアスに基づく広告あるいは勧誘がなされ、それをDPFのリスティング広告などでより上位に上げたりしながら広告されているという状況です。
そういうものをどう考えるかは、今、委員会の非常に大きな課題になっています。景表法の優良誤認、有利誤認、告示という実体規定を大幅に変えるのはなかなかハードルが高いと思っていまして、公正競争規約という形で対応できないかと考えています。日本アドバタイザーズ協会の広告の定義は非常にすばらしいと思いますが、例えば公正競争規約の中で、パーソナライズドプライシングあるいは消費者の脆弱性を突くような広告を、業界の自主規制の中でこのようなものは駄目だという宣言をしていく形によって、よりいい事業者というブランドが構築されるということを考えていくのはどうかと、先生のお話を聞きながら考えていました。その点について御意見をいただければありがたいです。
以上です。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 ありがとうございます。
最初の質問がリアクションの話だったかと思います。事業者のリアクションをどのように制度設計していくのか。非常に難しいなとは思いますけれども、ここでいう制度設計というのは、どの立場からの制度になりますでしょうか。
○黒木委員長代理 私は、これをしなかったら規制だよと行政が言うのはなかなか難しいと思いますので、まず事業者の自主ルール、すなわちソフトローとしてこのような形でリアクションしていけばどうかということを考えるべきだと思います。いきなり規制当局がそれをやるというのは適切ではないと考えています。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 よく分かりました。ありがとうございます。
常々思うことは、その次の話にもつながっていくところだと思うのですけれども、規制だけではなかなか対応できないというところはあると思います。特に先ほどの議論の中でも思っていたのですけれども、今の議論というか私の今話した話というのは、コミュニケーションを取ることは長期的にはいいよとか、あるいは次の商品・サービスをよりよいものにしていくときに役に立つよ、だから事業者としてやるべきだよねというふうに、その事業者自体が永続性というか継続性を持った経営をするということを前提とした議論なのです。
一方で、そもそも一度きりでいいのだと。ちょっと翻すような話ですけれども、その事業者は一度きりの販売で売り抜けてしまえばいいのだということであれば、当然今まで私がしてきた議論は全て当てはまらなくなってくるわけです。つまり、本当に言葉が悪いですけれども、消費者を一度うまく丸め込んで買ってもらって、あとは売り抜けて、事業としては畳んでしまえばいい。そして、また新しく何か始めればいいという考えに基づけば、全くこれは成り立たないわけです。
そういったような事業者あるいは考えをする方は、残念ながら一定数はいるのではないかなと思いますし、そういった方々に対しては何かしらの規制というのは求められているのだと思います。この辺りは、先ほどの日本通信販売協会の広告適正化委員会の中でもそのようなお話があったかなと、議論の中でも出てきたかなと思います。
ですので、そこは当然規制というのは必要なのですけれども、とはいえ、そういったような事業者ばかりを見ていても問題は解決しないのだと思います。それよりは、大多数であると思いますけれども、良心を持ったごく普通の継続的な経営をまずベースにした、そういったような事業者に対してきちんとコミュニケーションすることの重要性を伝えることなのだと思います。
それは、行政として伝えることももちろんそうでしょうし、それも議論に出ていましたけれども、業界団体としてそういったようなことを伝えること。このようなコミュニケーションはよろしくない、あるいは問題になりますよと。一方で、このようなコミュニケーションというのはよいですよ。これをとにかく業界としてきちんと、業界それぞれの事情もあるでしょうから、それに基づいてきちんとコミュニケーションの在り方を伝えていく、適切なコミュニケーションを伝えていくということがまず大前提なのだろうなと。
だから、制度設計とまでは言いにくいですけれども、まずは各業界の団体において、きちんとその業界におけるコミュニケーションの在り方を議論していただく、検討していただく。そして、それをできれば、例えば日本アドバタイザーズ協会の例がいい例なのかなと思いますけれども、こういった形で宣言として出してもらう。それによって、まずは各業界はある程度方向性は見いだせるのではないかなと思います。
2つ目の質問に関しても、今のが一つ答えなのかなと思いました。
○黒木委員長代理 ありがとうございました。
ただ、ターゲティング広告やパーソナライズドプライシングといった問題をどう捉えるかについて、広告の立場から何か御示唆があれば、一言いただければありがたいです。
○千葉商科大学サービス創造学部松本教授 個々の消費者に対してターゲティングをしていくこと自体は、何も悪いことではないと思います。そこに悪意がなければですけれども。
ただ、悪意が存在して、何か脆弱な消費者に対してということであれば、当然それは問題だと思います。正直そこに尽きるのですけれども、一番の問題は、消費者自身がそういったようなターゲティングされているのだということを知らなかったりすることが問題なのだろうなと思います。企業、事業者は、広告においてより効率を求めますし、そのときには様々なツールを使って、本当に特定の消費者に向けてコミュニケーションを取ろうとする、あるいはネット広告が中心だと思うのですけれども、あれは差し替えが非常に簡単なので、より効果のある表現はどちらだろうみたいな、A/Bテストみたいな形でどんどん効き目のよい、効率の高いものを選択しやっていくということがあると思います。
だから、そのときの広告というのは、どちらかというと人間を人間として見ているというよりは、言葉はあまりよろしくないかもしれませんけれども、生物としてどういうふうな反応をするのかというような観点で見ているような部分はあるのかなと思います。こちらのほうが反応がいい、悪いみたいな形で。そこで当然いいほうを取るわけなのですけれども、それは一つ考えとしては間違ってはいないとは思うのですけれども、これは理想を語る部分ではありますが、そもそもコミュニケーションというものは、相互の理解のためにやっていくものでもあります。仮に販売促進的な広告であったとしても、それは単に刺激を与えて、反応としての売上げを上げていくようなものではなくて、真に商品・サービスがよいものであるから、それについて魅力を伝えて、買ってもらう。それが企業にとっては当然売上げという形に返ってくるわけですけれども、一方で、消費者にとっても幸せにつながっていくという思いを持ってもらいたいとは思います。
その辺が先ほどのコストの話にも関わってくるとは思うのですけれども、なかなかそういうふうな理想論を語れない、語りにくい状況があるというのも承知はしています。ただ、最近、これはまた話が少しずれるかもしれませんけれども、社会における企業の存在意義、社会的存在意義というようなものが非常に重視されてきています。それに対して企業は、例えばパーパスというような形で自社の社会における存在意義を語ったりもしているわけです。
ですので、社会的にそういったような姿勢を示すこととか、あるいはそういったような社会的な存在意義として認められないようなことに対する批判とか、否定的な立場というのは今、世の中あるので、将来的に本当に企業を継続するという前提ですけれども、企業を継続していく、運営していくということに立てば、そういったようなリスクのあることはやらない、あるいはあまりにも強い刺激のあるような広告に向いていかない、そういったものを採用しないということは、リスクとしては考えるべきところなのではないかなと思います。
最後は理念のような話になってしまいますけれども、それが一つ答えかなと思いました。
以上です。
○黒木委員長代理 ありがとうございます。
まさにお答えいただいたという感じでありまして、問いに完璧に答えていただきましてありがとうございました。
○鹿野委員長 本日は、貴重な御報告をいただき、また、御回答いただきまして大変ありがとうございました。
予定の時間を既に経過しておりますので、まだ御質問等があろうかとも思うのですが、今回の議論を以上とさせていただきたいと思います。
本日は、消費生活アドバイザーの大石様、そして千葉商科大学サービス創造学部の松本教授に御出席いただき、貴重な御発表をいただきまして、大変ありがとうございました。本日の議論を踏まえて、引き続き当委員会としては調査審議を進めていきたいと考えております。
御出席いただいた皆様におかれましては、お忙しいところ御対応いただき、大変ありがとうございました。重ねてお礼を申し上げます。
《4. 閉会》
○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。
最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました。
(以上)