第474回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2025年11月5日(水)10:00~11:39

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、善如委員、原田委員
  • 【事務局】
    小林事務局長、吉田審議官、友行参事官

議事次第

  1. 善如委員プレゼンテーション
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第474回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しており、今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、善如委員、原田委員がテレビ会議システムにて御出席です。

なお一部の委員におかれましては、少し遅れて御参加と伺っております。

本日、山本委員は所用のため御欠席と伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等について事務局より御説明をお願いします。

○江口企画官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は議事次第に記載のとおりです。もし、お手元の資料に不足がございましたら事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 善如委員プレゼンテーション》

○鹿野委員長 本日の議題は善如委員からのプレゼンテーションです。デジタルやAIの進展により、事業者と消費者との関係性において新たな課題が生じています。本日は、こうした状況を踏まえ、善如委員よりデジタルプラットフォームの経済学という観点から、デジタル社会における消費者政策の在り方についてプレゼンテーションをしていただきます。第9次消費者委員会として調査審議を進めるに当たり、委員間で問題意識を共有する機会とすることができればと考えております。

進め方ですが、まず、善如委員に20分程度で御発表いただき、その後、質疑応答・意見交換の時間を40分程度取らせていただくという予定にしております。

それでは、善如委員、よろしくお願いいたします。

○善如委員 よろしくお願いいたします。それでは、この資料に沿って、簡単にですが関心事を発表させていただきたいと思います。

本日は、プラットフォームの経済学という観点から、様々な規制の現状も踏まえて、特に消費者政策に関連しそうなポイントを手短に発表させていただければと思います。

プラットフォームの経済学の研究を私はこれまでやってきました。プラットフォームというのは確立された明確な定義が別にあるわけではなくて、その定義をすること自体にそこまで意味があるかも不透明なのですが、簡単に今日のために言いますと、様々な人々、ユーザーがその場で交流したり、取引したり、様々な経済活動を行うための場、また、その場所の提供者という意味合いでプラットフォームという言葉は使われていると思います。

交流や取引というのは多岐にわたっておりまして、ここに挙げておりますとおり、XやFacebook、Instagramなどのソーシャルメディアプラットフォームや、Amazonや楽天のオンラインモール、オンラインモールのアプリ版といいますか、アプリストアと呼ばれているAppleのApp Storeであったり、GoogleのPlayストアもプラットフォームですし、ホテルや旅行の予約サイトであるBooking.com、Expedia、じゃらん、楽天トラベルなどもそうでしょうし、UberやAirbnbなどのギグエコノミー、シェアリングエコノミーと呼ばれているビジネスの形態でもプラットフォームのビジネスモデルが採用されております。

こういったものに関して広範に我々としてはこれまで研究してきまして、まだ日本ではプラットフォームの経済学に関する体系立ったテキストというものは少ないのですが、現在、経済セミナーというところでプラットフォームの経済学の連載を書きながら、それを素材にテキストとして出そうと思っていますので、また、そちらも参照していただければと思います。なお、プラットフォームの経済学は一橋大学の佐藤進先生との共著で行っておりますが、本日はそれも踏まえながらプラットフォームの経済学という観点から、消費者政策を私の興味・関心の中からお話しさせていただきたいと思います。

ここ数年の間、私の研究の関心事、多岐にわたるというか、あまり統一感もないのですが、もし、一言で言うならばプラットフォームデザイン、もしくはプラットフォームガバナンスと呼ばれている研究の潮流ですが、プラットフォームが取引の場所、交流の場所をどのようにデザインするのか、どのように統治するのかというような研究が求められており、その研究潮流に私も幾つか貢献をさせていただいております。

全部挙げられませんが幾つか代表的なものを挙げますと、価格同等性条項に関する論文が1つ目です。これはプライスパリティなど、いろいろな言葉で呼ばれているかもしれませんが、ホテル予約サイトなどがホテルに対して自社のプラットフォーム上の価格であったり、条件というものを最も望ましいものにしなければならない。

逆に言いますと、ホテルが例えば自社のウェブサイトでより安い価格で部屋を売ってはいけない。自社サイトもそうですし、ほかのいかなるチャンネルにおいてもより好条件を提示してはいけないというような規約を盛り込む、規約に盛り込まなかったとしても、もし、それを破るような売り手がいた場合は、検索の表示順を下げることによって何かしらのペナルティといいますか、罰を与えるような行為が問題視されたりしていましたが、それに関する研究を一つ行いました。どちらかというと、これも競争政策、公取とか、経済産業省とか、そういったところの関心事かなと思います。

2つ目が二刀流プラットフォームによる自己優遇に関する研究です。多くのマーケットプレイスの運営者は取引の場所を運営しているだけではなくて、自らも売り手の1人としてそこで製品を売る場合があります。こういった役割のプラットフォームのことをここでは仮に二刀流プラットフォームと呼ぶことにしましょう。

そういう二刀流のプラットフォームは、運営者という意味では審判のような役割をしながら、売り手という意味ではプレーヤーという役割をしていまして、そういった優越的な地位を活かして自分がプレーヤーとして振る舞うときに自分を優遇するようなことが観察されております。それに関して経済学の観点からどういった問題が生じるのかというものを論じた論文があります。その論文も書きましたし、また、自分の論文だけではなくて、経済学に関する関連研究をサーベイしたものも執筆させていただきました。このサーベイ論文に関しては先ほども紹介しました一橋大学の佐藤進先生と、もう1人、京都産業大学の橘髙先生との共著で行いました。これが2つ目です。

3つ目の点ですがモバイルアプリ経済圏に関する研究です。モバイルアプリ経済圏というのは様々なプレーヤーが様々な役割で生態系を形成しておりますが、その中でも、よりパワーのあるものとしてアプリストア、アプリの売買を仲介するプラットフォームと、広告仲介のプラットフォームが挙げられます。広告仲介のプラットフォームというのは皆さんが何かアプリを開いたときに広告が出てくるかと思いますが、どの広告が誰のアプリ上に表示されるかなどのマッチングを即座にオークションで決めるというような仲介業を行っているものです。

こういったような異業種のプラットフォームが密接に関わり合いながらモバイルアプリの経済圏を形成しているのですが、そういった複雑な状況を少しでも解明することを目指した論文も書きました。これはアプリストアという観点では、先ほどの二刀流プラットフォームの自己優遇に関する論点と同じく、経済産業省のプラットフォーム透明化法に入っていたと思いますが、多分この12月からスマホ法が新しくできますので、アプリストアに関するモニタリングはスマホ法の管轄、公取に移るかと思います。一方、広告仲介のプラットフォーム、デジタル広告のプラットフォームに関しましては依然として透明化法の守備範囲に残るということになっていると聞いております。

次に4点目の論文、これはまだ本当にどこにも出版されていなくて、ワーキングペーパーとして今も研究しているトピックでありますが、プラットフォームの責任に関する研究も最近行っております。責任といっても幅広く、この後、この論文の詳細を御報告させていただこうと思いますが、ここで簡単に申しますと、プラットフォーム、オンラインショッピングモールなどを通じて消費者が購入した何かしらのサードパーティーの製品があったとします。ただし、何かしらの理由でその製品には欠陥・不具合があり、消費者が何かけがをしたりだとか、被害を被った場合、もちろんその不具合を起こした商品の売り手は責任を取られるべきなのでしょうけれども、それを仲介したプラットフォームの責任はいかほどかというような議論が世界中の各地でございまして、それに関する研究の論文です。

この後、より詳細をお話しさせていただきますが、恐らく製造物責任法などが関連してくるかなと思いまして、消費者庁といったところの案件になるかもしれませんが、プラットフォームの経済学という意味では、競争政策や幅広い観点から捉えなければいけない問題だと思っています。

それ以外にも幾つか研究のプロジェクトが進んでいるのですが、まだ形になっていないものであったり、まだ公開できていないものがありますが、現状はこういった研究に興味を持っております。

あと、残り10分ちょっとだと思いますので、後半の時間を使いまして、このプラットフォーム責任に関するワーキングペーパーの内容をごく簡単に、専門家以外にも伝わるように御報告させていただきたいと思っております。

Platform Liabilityということで、プラットフォーム責任に関する研究の潮流がプラットフォームの経済学にもあります。ここでまず大前提としてはっきりさせておきたいことがありますが、そもそも大前提として、粗悪な製品であったり、人をだますことを目的としたようなコンテンツ、製品、そもそもそういうものを流通させる人が悪いというのは大前提としてもちろんあるのですが、現状、それだけでは消費者トラブルが絶えない状況ですので、それが完璧に解決できないのであれば、次善の策としてどういうことが考えられるのかというような研究が幾つか蓄積されています。

責任の問題も様々ありまして、なかなか分類することも簡単ではございませんが、ここではすごく大きく、事前の責任と事後の責任という意味で分けてみたいと思います。

事前の責任というのは、悪質なコンテンツがなくなることはなくて、どこかの隙間から入ってこようとしますが、それが入ってきたとしても消費者の目の触れる前にプラットフォーム事業者はそれを排除するような努力、スクリーニングの技術に投資するだとか、様々な努力が求められる、もし、その努力を怠っていて悪質なコンテンツがたくさんプラットフォームに流入してしまった場合には、何かしらの責任を問われるというような論点があります。

そういったものはコンテンツモデレーションなどと呼ばれていまして、プラットフォームの経済学の分野でも、ある程度研究が蓄積されてきていると思います。もちろん完璧に全てが分かったというわけではありませんが、様々な観点から研究が蓄積されております。

いろいろな研究がありますので、いろいろなメッセージがあるのですが、一言で簡単に要約しますと、プラットフォーム事業者に責任を課して排除させるというのができればもちろんそれが理想的なのですが、副作用としましては、プラットフォームの負担がかなり増えてしまった場合に、その負担を補填するために事業者たちは利用料金といいますか、手数料などに転嫁する可能性があります。手数料がすごく高くなりすぎると、様々な取引であったり、交流というのがなかなか生まれにくくなってしまって、せっかく形成されたネットワークが縮小されてしまうというような副作用も十分に考えられますので、この点は慎重に考えなければなりませんが、理想を言えば責任を課して排除させたほうがいいのではないかというようなことが議論されています。

そういったスタンスというのは、欧州でいえばDSAなどのスタンスにもある程度対応しておりますし、我が国においても経産省のプラットフォームの透明化法も、ある意味でそういうスタンスは持っているはずですし、総務省の情プラ法もそういった観点を含んでいると思っております。

2つ目のタイプが事後の責任に関するものです。何かトラブルが起きてしまった後の話です。トラブルというのも故意に起こったものではなくて、たまたま偶然の不具合でトラブルが起きることだって十分に考えられると思います。もちろん故意で悪意のある人がそういった良くない製品を忍ばせたという可能性もあるかと思いますが、とにかくトラブルが起こってしまった、防げればよかったのですがトラブルが起こってしまった後にどうするかという責任があると思います。

このときに、先ほども言いましたが、トラブルを起こしてしまった商品の売り手というのがもちろん一番先に責任を負うことになると思いますが、プラットフォームも何かしらの責任を肩代わりしたりだとか、追加で補償することが必要なのではないかという議論があり、そこに関する研究というものが少しはあるのですが、かなり限定的です。

次のスライドからお話しする私の研究に加えて、これは私の知っている限りなのですが、ほかに二つ論文があります。一つはHua and Spierという人で、似たような問題を考えております。もう一つが、日本の研究者の方ですが、高知工科大学の安井さんという方がやっている研究と、最後、これからお話しする私、善如の研究、3つが代表的になっておりまして、より直近でサーベイしますと、ほかの研究も多分いろいろ追随してきていると思うのですが、まだまだ少ない状況になっておりまして、プラットフォームの経済学の観点から見ても、どうするべきなのかというのは、まだ確固たる方向性は示されていないのが現状だと思っております。

その中で、今回は私の論文で考えていることを簡単に御紹介させていただいて、この後の議論のベースといいますか、たたき台みたいなものにしていただければと思っています。もちろんそれ以外の論点もあるかと思いますので、一つの論文で全てのことは解決できないので、とりあえず一つの論文の内容を紹介させていただきます。

今日お話ししたいのが、とあるプラットフォームが売り手と買い手の間の取引を仲介しております。これはどんな商品でもいいですし、アプリのようなデジタルコンテンツでもそれなりにフィットするかもしれませんが、イメージしやすいのは物理的なものを想像していただければいいのかなと思います。

プラットフォームは、まず、取引の場所のルールを決めます。様々なルールが考えられるのですが、今は以下の二つを決めるとしましょう。

一つは取引に係る手数料率です。売上げといいますか、1万円で取引が行われたら、そのうちの10パーセントを手数料としてプラットフォームに納めなさい、そういった手数料率です。

あと、補償の割合というその場のルールを決定するとしましょう。LPというのがプラットフォームのLiability、LSというのはセラーのLiabilityと書いていまして、現状、まずはセラーが責任を取らないといけないので、セラーの責任は100パーセントといいますか、全部補償しなければならないというものが基本のベースになっているとは思います。

それに加えて、もしくはそれに代わる形としてプラットフォームがLPという形で、10パーセントだけうちも肩代わりしますというポリシーを掲げてもらってももちろんいいでしょうし、いや、うちは補償しませんという場合はLPがゼロ、そういった場のルールを提供するプラットフォームとしてのスタンスを表明するというようなものだと思っていただければと思います。

売り手たちは、その場に参入して商売をしようとします。いろいろな決定があるかと思いますが、メーンのテーマにフォーカスをするため、価格の決定、プライスのP、安全の投資、これはXと書くことにしますが、安全の投資をたくさんすればするほど不具合を起こす確率、もし、不具合が起こったとしても、その被害も下がるというようなものだと思ってください。製品だと、バッテリーが爆発とか発火したら困るので、それが起きないように投資するだとか、モバイルアプリでいいますと、例えば個人情報が流出しないようにセキュリティーの高さ、セキュリティーに対して投資するのも当てはまるかもしれません。様々なシチュエーションが当てはまるかと思いますが、売り手はそういった投資をするものだとします。

買い手の消費者のほうですが、良いものを安く買いたいと思っている。そんな人たちがたくさんプラットフォームに参加していると考えていただければいいかと思います。

ここでたくさんの結果が得られているのですが、基本的なものを幾つか紹介させていただきます。まず、プラットフォームが責任を持ってくれること自体というのは、そのほかのことが何も変わらないのであれば、社会として、特に消費者として好ましいことが起こります。このスライドにも書いていますが、消費者の被害が仮に100パーセント補償されるケース、売り手が真っ当といいますか、ちゃんとした方々で、ちゃんと100パーセント、何かトラブルがあったら補償しますというケースであっても、プラットフォームが補償に乗り出すということは消費者厚生の観点で好ましいです。

こんな理想的な状況はあまりないかと思うのですが、たとえ一部の売り手が無責任でトラブルが起きても補償せずにどこか逃げてしまったという人もいるかもしれませんが、そういう人がいる場合は、上の結果というのはより強まります。プラットフォームが補償してくれることによって消費者厚生は改善します。これは自然な結果かなと思うかもしれませんが、こういった自然なメカニズムがちゃんと確認されるようになっております。

次に、プラットフォームが補償の責任を取ってくれると、それはいいのでしょうが、実際にプラットフォームがそういう責任を取るインセンティブがあるのかといいますと、そこまで高くありません。責任が増えると、もちろん責任に伴う補償の費用がかかるという直接的な費用増加の影響があるのですが、さらにここで示しているのが、その費用増加がより増幅されるという副作用があります。それは責任をたくさんプラットフォームが取ってしまうと、売り手からすると、どうせプラットフォームが責任を取ってくれるから、もしかしたら、このバッテリーは爆発するかもしれないけれども、1回出荷してしまえというような投資を怠る事業者が一部出てくる可能性がありまして、それが消費者厚生を下げることもありますし、それによってたくさんのトラブルが起きて、更に補償費用が膨れ上がるという負のループみたいなものが起こります。

こういったものがありまして、プラットフォームは基本的にあまり補償を取りたくないというスタンスになることが分かりました。ですが、誰かが補償してくれないことには、消費者が自分のプラットフォームに来てくれませんので、自分は補償したくない、すなわちプラットフォームの責任はゼロにしたいけれども、売り手にはちゃんときっちりと責任を取らせたいと考えるのがプラットフォームのインセンティブとしてあります。

現実のプラットフォームにおきましては、それを実現するために様々な施策を各事業者がやっているようでして、とあるプラットフォームの場合、何かトラブルがあった場合には、例えば10万円ぐらいだったらプラットフォームが先に消費者に返金とか、補償をしてしまいます。その補償費用というのは後からその売り手の売上げの口座と言うべきか分かりませんが、プラットフォームは決済も管理していますので、口座みたいなところから天引きしておくような仕組みを使って、売り手が少しでも逃げられないようにといいますか、逃げられてもちゃんと補償費用を賄えるような施策は使っているようです。

こういったベースラインをスタートラインとしまして、論文ではさらに法律などの外的な要因で規制が入って、プラットフォームの責任、スモールLと書いていますけれども、それが規制の大文字のL、大文字のLP、例えば法律で50パーセント以上は補償しなければならないとなると、それ以上のポリシーを設定しないといけないのですが、そういった規制をしたときの影響を反実仮想的なものかもしれませんが分析しております。

ここで重要なのは副作用というのがありまして、一番上の1個目のチェックマークで述べたように、プラットフォームが責任を持つことは、仮にほかのものが何も関わらないのであれば望ましいのですが、ほかの意思決定が関わってしまいます。一番大きな変化は何かといいますと、プラットフォームが手数料を引き上げるというような可能性です。補償の費用が高くなってしまいますと、それを補填するために手数料を引き上げざるを得なくなるかもしれません。手数料が引き上がってしまうと、それは売り手にとっての費用の増加を意味しますので、費用が増加した売り手は価格を上げざるを得ないでしょう。そして、安全投資への資金が減ってしまって、投資もおろそかになってしまうかもしれません。

これらの効果は消費者厚生に対して悪い影響を与えますので、こういう副作用を加味して、副作用はネガティブなのですが、このネガティブな副作用と冒頭に紹介したポジティブな直接的な恩恵と比較して、社会全体に対してどのような影響があるのかというのを分析したものになります。

その結果といいますか、そこからの知見を最後のスライドでお話ししたいと思います。時間をオーバーしていますので簡単にいきますと、先ほどのスライドでも説明させていただいたとおり、悪さといいますか、プラットフォーム責任の規制を課したときに、何か悪いことが起こるとすると、先ほど説明した副作用が原因となることがあります。副作用というのは繰り返しになりますが、プラットフォームの費用が膨れ上がってしまって手数料が引き上げられるというような副作用です。もし、規制を導入しなければならないのであれば、これをできるだけ抑えるようにしながら、プラットフォーム責任の規制を導入しなければならないわけです。そもそも規制が要らないというスタンスもあるかもしれません。

その場合、副作用を抑え込むためにはどうしたらいいかと言いますと、まず、手数料が引き上げられてしまうというのは、そのプラットフォームの独占力が高い状況ほどそれが顕著に起きてしまいます。ほかのプラットフォームとの競争が健全に働いておれば、各プラットフォームは確かに補償費用が膨れ上がって手数料を上げたいのだけれども、上げてしまうとライバルとの競争に負けてしまうので、そこまで上げられないという手数料の引き上げが抑制されると想定されます。

すなわち、ここで言いたいことは競争政策、特にプラットフォームの競争政策とセットで、こういうプラットフォーム責任の問題というのは導入されなければいけない。片方だけだと副作用がすごく悪さをしてしまって、期待していた効果が得られないという可能性があるということです。

2つ目ですが、拡張的な分析として、売り手の中には良い人もいれば悪い人もいて、悪い人は何かトラブルが起きたらすぐにとんずらして、また名前を変えて違う事業者として入ってくるような事業者の存在も考えております。このような事業者がいると、副作用のそもそもの理由であった補償費用が膨れ上がってしまうというものが更に顕著になってしまいます。よって、プラットフォームとしては補償の追加的費用がすごくかかってしまうということで、より手数料を引き上げたくなってしまって副作用が増幅してしまうということです。

こういった副作用を抑えながら健全に規制をするためには、そもそも悪質な売り手を排除する仕組みがセットで導入されなければなりません。もちろんプラットフォーム事業者たちも自分の努力の中でコンテンツモデレーションをやっていると思いますが、政策的な観点からも、総務省がやっている情プラ法だとか、消費者庁の名前は忘れましたがプラットフォームの法律があったと思いますが、そういったものもきっちりと実行されるような枠組みの下でやらないと、副作用が増幅してしまう可能性があります。

最後のチェックマークのところですが、私が最近、懸念というほどなのか分かりませんが、考えすぎなのかなと思う部分もあるのですがちょっと心配している部分があります。プラットフォーム規制の多くは一部の巨大な事業者を対象とする場合が多いと思います。恐らくこれは中小の事業者にとっては法律に従うためのコストが高すぎる、モニタリングレポートなどを出したりだとか、コンプライアンスに対応するために法務部門を整備するだとか、そういったものが高すぎてという理由とか、事務方の負担も増えるといういろいろな要因があってそういったことになっていると思います。

例えば今回のような製造物責任に関わるプラットフォーム責任を巨大な事業者のみに課したとします。これは仮定の話です。そうすると、そういった巨大なプラットフォームは法律で強制されているので、それに従いますということで健全なというか、消費者からすると安全な取引環境に思えてしまうわけです。何かあったとしてもプラットフォームが補償してくれるから少し安心できるというようなことが起きるのです。

ところが、そういった巨大事業者に対抗しようとして、近年参入した中小のプラットフォームがいたとしたときに法律の対象になってなかった場合、自分は努力しているはずなのに法律のお墨付きみたいなものがなくて消費者に信用してもらえなくて、なかなか顧客を獲得することができず、参入したはいいが結局撤退を余儀なくされるだとか、そもそもそういった事情を踏まえて参入を諦めてしまうような、将来のイノベーションを抑制してしまうようなことがないのかなというのは、最近プラットフォーム責任に関することだけではなくて、より広い内容に対して働くことだと思いますが、少し懸念を持っております。

考えすぎだと言われれば、そうかなというぐらい考えすぎかもしれませんが、こういった論点も今後プラットフォーム規制などの議論をする中で重要な要素になってくるのではないかと思っておりますので、一つの意見として共有させていただきました。

予定より大分オーバーしてしまいましたが、私からは以上です。

○鹿野委員長 善如委員、ありがとうございました。

これより質疑応答・意見交換をいたしたいと思います。時間が全体として少し押していますが、当初お伝えしたように40分程度、質疑応答の時間を設けたいと思います。

中田委員、お願いします。

○中田委員 善如委員、プラットフォームの視点から消費者政策に関する御示唆のある発表、ありがとうございました。

御説明を伺い、オンライン上に様々なプラットフォームサービスがあることで生活者の利便性の向上や生活の充実がある中で、ただ、そこに悪質な事業者が紛れていて、それらを排除できていないことで脆弱性のある消費者が被害を被り、また、プラットフォームが排除のための追加コストを必要とすることで、そのコストが手数料という形で出店者の追加負担になっているという構造がよく理解できました。

その上で、3点質問させてください。

1点目は、プラットフォーム側の責任に関してですが、プラットフォーム上に存在する悪質な事業者の定義、あるいは手口が一律ではなくて、悪質事業者や粗悪商品の見極めには昨今はAIの活用もあると思いますが、依然として人的リソースやプロセスに係る投資は決して小さくないと理解しました。そのような状況に対して、プラットフォームガバナンスの必要性ということについても言及いただきましたが、事前事後の責任としてプラットフォーム事業者に罰則等を設けて、責任とともにそのような出店を排除することもあるとのことですが、善如委員としては、悪徳事業者の事前事後の排除は短期的にどのような状況や条件が整えば、現実的に可能、効果的であるとお考えであるかということをまず伺いたいと思います。

2点目は、それを実現できている海外事例がもしあれば、どのような事例かということ、この点も御教示いただければと思います。

3点目は、消費者の認識とリテラシーの観点ですが、プラットフォーム利用には対面サービスと同様、あるいは場合によってはそれ以上に一定のリスクがあることを前提とした例えばある種の割り切りを含めたリテラシーを消費者に啓発して、学んでいただいて、消費者に利用サービスを取捨選択する力を持っていただくことによる被害を避ける効果はどれほどあるとお考えか。

この3点をお伺いできればと思います。

○鹿野委員長 それでは、善如委員、お願いします。

○善如委員 中田委員、ありがとうございます。3点、うまく答えられるか難しい論点かと思いますが、私の考えを述べさせていただこうと思います。

1つ目の質問の事項ですが、様々なプラットフォームの事業者が、もちろんAIなどの新技術を使いながら悪質なものを見極めたりだとか、それを排除するという努力はされているのだと思います。ここで重要といいますか、私もプレゼン中にもう少し強調すればよかったと思ったのですが、トラブルが起きるときは売り手が必ずしも悪質だとも限らないのです。頑張ってつくっていたのですけれども、0.何パーセントの確率で不具合が起きて、それが消費者に被害を与えてしまったという可能性ももちろんありまして、一概にトラブルが起きたらその事業者は悪質だと言えないと思うのです。

そうなりますと、プラットフォーム事業者がたくさんのアルゴリズムなどの投資をして、それを堅持するような仕組みをつくろうとしても、偶然、不運に起こってしまったものは排除できないという問題がどこかで残ってしまうと思っております。それが私がこの研究を始めた理由といいますか、事前の責任を負わせて検知にたくさん投資させるというのも一つの手だと思いますが、それだけでは全ての問題は解決されないというのがあります。たまたま起こるというものがあります。そのたまたま起こったときに、では、これはたまたまだからしようがないで終わらしてしまったら、その被害者はもうどうしようもないので、そういった被害者の方を救済するためには、事後の責任も考えなければならないのではないかなと思っています。

御質問のお答えにちゃんとなっているか不安ではありますが、そういう意味では、事前の責任と事後の責任をうまく両立するのが非常に重要だと思っております。その上で、事前の責任に関しては幾つか法律ができていますが、事後の責任に関しては法規制を含めて実態が追いついていない状況でございますので、そういったところをより慎重に議論する必要があるのかなと思っています。これが1つ目の御質問への回答になっていればいいのですが、私の意見です。

2つ目が、そういったことに関してうまくいっている海外事例があるかどうかというお話だったと思いますが、私が知る限りはないです。プレゼン中でも少し言及したかもしれませんが、プラットフォーム事業者はそこまで責任を負うというのは、あまり積極的にはならない現状があります。もちろん補償をちゃんとすると大々的にマーケティングすることによって、消費者の安心感だとか、評判を形成するというマーケティング上のメリットなどはあるのかもしれませんが費用はかさみます。

経済学でいうと、被害が起こったとしても、その被害がプラットフォーム事業者の利潤に影響するかといったらそうではないという状況がありまして、そういったものがありますと、プラットフォーム事業者のゴールといいますか、目的というのが、消費者保護を完全に考慮したものにはなりません。当然のことかもしれませんが、そういった状況があるので、ほったらかしにというか、事業者の努力に任せるだけだと、何とも言えないところがあるのかと思っています。

多分、欧州であっても米国であっても、そういったプラットフォーム責任法の改正というのがどこまで進んでいるのか、私も完璧にフォローできていないのですが、ヨーロッパでそれなりに進んでいるというのは聞きましたが、まだその効果が見られる段階までには来ていないと思っています。そういった部分も注意深く見守りながら我が国の対応も考えたほうがいいのではないかなというのが個人的な意見でございます。

3つ目ですが、消費者がリスクを理解しながら割り切って買ったり、取捨選択をするだとか、消費者教育、リテラシーの問題を取り上げていただきました。これは私も発表中に言及すればよかったのですが、少なくとも私の研究はそうですし、プラットフォームの経済学の多くの研究もそうなのですが、消費者というのはある程度洗練されていて、かなり賢い決断ができる人だというようなものが前提として考えられています。

もちろん経済学の中では行動経済学などの分野では消費者が一部合理的な判断ができない状況に陥るというような議論もあるのかと思いますが、プラットフォームの経済学の分野においては、そういった行動経済学的な要素というのは、まだそこまで考慮できていない点がありますので、そういった部分は割り引いてお聞きいただいたほうがよかったかもしれません。消費者がすごく賢かった場合の話を先ほどさせていただいたので、一部脆弱な消費者はもちろんいらっしゃいますから、そういった人のことを考えたときに、そういった方々を重視するのであれば、今日の話とそういった論点の真ん中のどこかに最適解があるはずですので、そういった最適解がどこかというのを探っていく作業が議論の中で行われるべきかと思っています。

回答になっているか分かりませんが、以上3点、回答とさせていただきます。

○中田委員 大変示唆のある御回答をありがとうございました。最後の行動経済学上では消費者というのは賢い選択ができる人たちを前提とされているという点、私たち消費者委員会が考える脆弱性のある消費者と少しギャップがあり、そこの点についても今後の消費者委員会で議論をさせていただければと思いました。

あと、事前の検知については責任に対する法律があるけれども、事後の検知の責任は法的規制が追いついていないといったところで、その点についても今後議論させていただければと思います。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、大澤委員、お願いします。

○大澤委員 善如委員、どうもありがとうございました。

私はプラットフォームの責任は事後・事前両方含めてずっと関心を持って、個人的にはフランス法を比較対象にしていますが、おっしゃるとおり、特に事後のほうに関しては、何か事後的にプラットフォーム事業者に責任を負わせるというのは、まだフランスでも完全にできていないのではないかと認識しています。その上で、今日伺いたいのは、事前規制と事後規制の関係をどのようにバランスを取っていくかということについて、御報告からいろいろ勉強させていただきましたので伺いたいと思います。

まず、事前規制に関しては、例えば事前に悪質なコンテンツをそもそも流通させる人が悪いというのは本当にそのとおりだと思います。他方で、悪質なコンテンツが消費者の目に触れてしまわないように事前にすることはあり得る話だと思います。ただ、その場合、プラットフォーム事業者の負担が非常に、全面的にどの商品・コンテンツについても違法なものかどうかチェックしてくださいというのは恐らく難しい、あるいは不可能に近いのかなと思って、分かりませんが、それも教えていただきたいです。

例えば、これはプラットフォームと言っていいのか私も分かっていないところがあるのですが、いわゆるECサイトの中国のSHEIN、フランスだとSHEINと言っていると思うのですけれども、今、ニュースでも出ているように、いわゆるラブドールをSHEINがECサイトで販売していて、それがフランスのいわゆる消費者保護当局からお叱りを受けて、要は販売禁止という措置を執ると、あれはリアル店舗の出店とかが絡んでいる若干面倒くさいところもあるのですが、とにかくこういう児童ポルノの疑いがあるので禁止ですという形で、要は児童ポルノという違法性の高いもの、特にフランスでは禁止されているので、例えば子供向けに絶対によろしくない商品だったり、あるいは違法商品に絞ってでも、事前にプラットフォーム事業者にそれは排除してくださいということを義務付けることはあり得るのかなと思っているのです。このように商品を限定して事前に排除するということをプラットフォーム事業者にさせることはあり得るのかということを伺いたいと思います。

ただ、おっしゃっていたように、それをやってしまうと、どうせ削除してくれるでしょうということで出品者が無責任に今のように例えば児童ポルノだったり、あるいはそれこそモバイルバッテリー、基準を満たしていないものとかを出してしまって、そういう無責任なことが起きてしまうのはそうだと思います。この場合、出品者が出したものの結局削除されてしまって売れなくなってしまうということは、それはそれでデメリットなのではないかと思っているのですが、そんなことはないのでしょうかというのを伺いたいです。

他方で、事後規制に関しては、事後規制があるということであっても具体的に言うと、これは2パターンあるのでしょうけれども、例えば消費者に何か問題が起きたときには、プラットフォーム事業者は法的に責任を取ってくださいということを何らかの法律をつくって、そういう事後の責任を課す、あるいはプラットフォーム事業者に補償体制を整えてくれというインセンティブを与えるようなルールをつくるという、ともかく補償費用をプラットフォーム事業者に払わせるという形での事後規制があるというのは、それはそれでプラットフォーム事業者はそうなるのは困るので、補償したくないので、ならないようにするために、事前になるべく悪質なものは排除しておこうというインセンティブを高めることになるのではないかと思っているのです。

ただ、そうすると、おっしゃっているように、補償費用を負担しなくてはいけなくなるので、恐らく手数料などは上がるだろうと私も思います。それはそれで消費者にとって、果たして料金が上がってしまうのがいいかどうかという問題はありますので、消費者にとって料金が高くなってしまう、末端価格が上がってしまうというのと、しかし、何かあったときに補償してもらえるというのが、消費者に2つどちらがいいか、両方あり得るのがいいのでしょうけれども、そういうときに、もし今後、そういう事後責任をプラットフォーム事業者に何らかの形で課すというときに、例えば補償費用を一旦はプラットフォーム事業者が払うのだけれども、必ず売主にその分は求償できるというのですか、補償してもらうということは可能かどうかということです。

私の質問はとても分かりにくいと思うのですが、事後と事前のバランスの取り方について非常に悩ましいと思っていますので、ぜひ教えていただければと思います。

以上になります。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

善如委員、お願いできますか。私も事後の責任については、最後に大澤委員がおっしゃったところですが、仮に被害に遭った消費者に対する関係で、一定の要件の下でプラットフォームが責任を負うとしたとしても、最終的に負担を負うべきものはもともとの問題のある履行について責任がある売主と法的にいえるのであれば、恐らく売主等に対する求償ということは民法ルールとしても考えられるのではないかと考えていました。

しかも、プラットフォームはそこに参入してくる販売業者等のいろいろな情報を把握しており、今日の御発表では後の方で天引きというようなお話もありましたが、お金のやり取りも販売業者とプラットフォームとの間にそもそもあるわけです。消費者が被害回復のため直接その売主等に対して請求するということはもちろんあっていいのですが、プラットフォーマーは、個々の消費者よりある意味で容易にそのような求償ができやすい地位ないし状況にあるのではないかとも思いました。

大澤委員の最後の質問と似たようなことを私も考えていたので、それも含めてお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

○善如委員 ありがとうございます。

では、話題になりましたので、後半の質問のほうからお答えさせていただければと思います。御質問いただいたように、プラットフォーム事業者に全部任せてしまうと、コストがかさ増ししてしまいまして費用に転嫁されて、今まであった健全な取引すら行われなくなるということが考えられまして、その対策として大澤委員もおっしゃっていただいたように、一旦プラットフォームが支払っておくけれども、その分の負担費用というのは、問題を起こした売り手に請求するというようなことが考え得るということで、実際にこれはいろいろなプラットフォーム事業者も採用しているようです。個社名を挙げるべきか分かりませんが、たくさんのプラットフォームがこういった仕組みを採用しているようですが、その請求が難しくなる場合も多いらしいです。

例えば全ての売り手の売上金を一定はプールしておいて、何か起こったときにそこから補償しますというのにしても、売上金の支払いが遅れたと文句を言われることもあるでしょうし、それはそれでまた違う、例えば日本だとプラットフォーム透明化法案で怒られそうな気もしてきます。かといって、プールしておかないと何か起こったときに補償できない。さらに事業者によっては拠点が海外にあったりした場合、プラットフォームが請求しようとしても連絡がつかなくなって法廷にも現れないことがたくさんあるようです。

売上金を幾らプールしていても、それでは全然賄えないような被害が起きたときに、プラットフォーム事業者が、さすがにうちが肩代わりする責任もないですよねということで、消費者の方が泣き寝入りせざるを得ないという事件がたくさんあるようです。そういった事例まで考えますと、プラットフォーム事業者がトラブルを起こした売り手に訴求することさえ徹底すればいいのではないかというのも、もちろんできればそれは理想的なのでしょうが、なかなか実態として難しい現状があるようです。

実際にそういった裁判があって、多分皆さんの方が詳しいと思いますが、アメリカとかでたくさん行われていて、最初の判決だとプラットフォームは責任がないと言っていたのが、後でひっくり返ったりだとか、逆もあるみたいですけれども、裁判の判断も二転三転しているということを受けていますので、なかなか一発で解決する方策はないのかもしれませんが、我々がちゃんと議論をしないといけない点だと考えていまして、今回発表させていただきました。これで答えになっているのか怪しいですが、また追加で聞いていただければと思います。

前半に戻りますと、児童ポルノ的な商品だとか、いろいろなタイプの商品があって、その商品ごとにというお話がたしかあったと思います。

○大澤委員 結局、全部の商品を見て、それが安全かどうかをチェックしてくださいというのは、私は全く素人ですが、私の感触だと、恐らくプラットフォーム事業者にそれを求めるのは酷なのかなと思っています。そうしたときに、例えばまさにフランスで問題になったいわゆる児童ポルノ違反の可能性があるものとか、あるいは本来だったらオンラインで売ってはいけない薬だったり、そういった違法性の高いもの、明確に黒であるものに限定してでも、そういうものを事前に排除してくださいというのはあり得ると思います。

ただ、おっしゃっていたように、それをプラットフォーム事業者に義務として課してしまうと、結局プラットフォーム事業者が全部チェックしてくれて、もし、ちゃんとチェックできなければプラットフォーム事業者の責任になってしまうので売主は何も痛くないというのですか、どうせ削除してくれるのでしょうという話になると理解していたのです。

ただ、売主からすると、結局削除されてしまって売れなくなってしまうというデメリットはあるのではないかと思っていて、そうすると、事前の責任の範囲というのですか、事前にチェックできる範囲を限定してやっていくのは必要なのではないかと思っているのですが、商品を限定するという形でも今のような副作用というのですか、そういうのを何か減らす方法は何かあり得ないのでしょうかという、そういうふわっとした質問でした。失礼しました。

○善如委員 ありがとうございます。

商品というか製品の特質に限定して責任を課すという、僕の記憶が正しければ、欧州のDigital Services Actはたしかそういったものが一部反映されていて、児童ポルノなどのような誰がどう考えてもこれは駄目だろうというような商品は全てのプラットフォーム事業者に適用されて、適用範囲が商品によって違うというような議論があった気がします。

ベリーラージオンラインプラットフォームだけに適用されるものもあれば、ちょっと小さくても全プラットフォームに課される責任というように、段階的に設定されていたような気がしまして、そういったものは確かに一つ考え得るものなのかなと思います。そこまで我々もそうですし、プラットフォームの経済学の分析がなかなか進んでいない現状がありますので、そういった可能性に関して経済学的な観点どういった副作用があるかというのは、現時点でなかなかお答えするのは難しいのかもしれませんが、非常に重要な論点だと思いますので、今後議論させていただければと思います。

○大澤委員 どうもありがとうございました。事前に関しては非常によく分かりました。

事後のほうは、結局、誰がリスクを負担するかという話なのかなという気がしていて、何か粗悪な商品、例えばモバイルバッテリーがプラットフォームで売られていて、それを消費者がプラットフォームで買ったら家でそれが爆発してしまって、消費者がけがをしてしまったというときに、誰がこのリスクを負担するかといったときに、私のような消費者法学者だと、特に消費者が人身被害を被っているときに何も補償がないというのはどうなのかと直感的には思います。

他方で、先ほど出ていましたように、私は売主に一定程度補償費を求償するというのが何かうまくできないかなという気持ちがあるのです。他方で、ただおっしゃっていたように売主が行方不明になってしまうとか、あるいは倒産してしまうとか、そういうことがあり得るので、そういうのに備えて一定程度お金をプールするというのが現に行われているという話だったと思うのですが、何かそこからうまく制度をつくっていけないかなという印象を持ちました。どうもありがとうございました。

○善如委員 ありがとうございます。

○鹿野委員長 黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 善如委員、大変面白いと言ったら適当な表現ではないかもしれませんが、興味深い御発表をありがとうございました。大変勉強になりました。

その観点で、既に何回か議論が出ていたかもしれませんが質問させてください。

第8次の消費者委員会で消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会が、報告書をまとめています。その報告書第2章、「デジタル化による技術の進展が消費者の関わる取引環境に与える影響についての基本的な考え方」というまとまった章が立てられています。

その第2章では、多くの論点に言及されており、その全てについてお尋ねすることは難しいのですが、第1に、アーキテクチャーの権力という形で、DPFは自分たちでいろいろな契約関係、支払制度、それも含めて自分たちでそういうような取引環境をまず構成して収益環境をつくっているのである。第2に、今度はDPFを使っている消費者は、知らないうちにプロファイリングをされてレコメンドシステムが機能していて、それによって取引に参加されているのだと、しかも、消費者は、DPFの機能についてよく分かっていない場合も極めて高いというような分析がされています。

そういう意味で、リスティング広告というのは、まさにDPFが使っている一つの収益構造であると思いますし、それに基づいてレコメンドされることによって消費者はその事業者、その売り手がいいのだと思い、アルゴリズムによってそれに誘導されて、そういう売主との間の場をつながれているという関係があるのではないでしょうか。パラシフの専門調査会の報告書を読むと、DPFと消費者との間の関係について、しかも、それがDPFによるレコメンドにより意思形成されているということですから、DPFは単なる中立的な場の支配者ではなく、ある意味では自分たちの広告料金といった収益源をよりアグレッシブに取るためにDPFは機能している部分があると分析され、かつ、それについては消費者というのは、そこをされていることが分からないままに取引環境に参加しているのではないかという分析をされていると私は読んでいます。

そのように考えていったときに、先生の御発表は非常に面白くて、私は経済学については専門的な知識は有していませんが、大変いろいろな意味で面白いなと思って読ませていただいたのです。最初は、そういう観点で考えていったときに、PL法の単なる場の仲介者だというようなことになるのかという、このプラットフォームに責任を負わせると手数料の上昇も関係するかもしれないという点は、確かに経済学的に分析されてそうかもしれません。他方、彼らは、広告料金も取っているのです。そして、悪質事業者はより上位に行くためにリスティング広告とかではワンクリックの高い金額を出している場合も非常に多いという分析もされています。

そうなってくると、場の設定者という立場を越えてアクティブな側面もDPFにはあるわけです。そうすると、事後規制についても、そういう観点で責任を負うということ、こういう法的観点を考えたときの問題点について経済学的に分析するとしたら、どのように考えられるのかということについてお尋ねしたいと思います。それから、ここについて透明化法との関係をおっしゃっていると思います。透明化法については確かに特定事業者が対象となっています。それ以外のところについては、そこで競争政策上、問題が出てくるのではないかという点は大変面白かったのですけれども、透明化法の対象となっている事業者というのは、むしろ収益構造は広告が中心ではないかと思うのです。

そうなってくると、先ほど言ったような形で、いろいろな形の補償とか、事後的な責任とか、そういうような手数料だけではなくて広告収入まで考えたときに、膨大な収益を上げているのは広告収入であると考えれば、事前のチェック、あるいは事後的な補償というのもあり得べしではないかと考えます。消費者は逆に言うと非常に弱い立場というか、脆弱である、今のようなレコメンドシステムということについての理解もしないまま買っているのであるから、より保護されるべきだというパラダイムシフト専門調査会の基調なのです。パラシフ専門調査会の報告書について、もしも、まだお読みではないとしても、もしも、読んでいるとしたら、パラシフ専門調査会の報告書と先生の今回の御発表との関係についても説明いただければありがたいと思いました。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、善如委員、お願いします。

○善如委員 黒木委員、ありがとうございます。

できる限り順番にお答えをさせていただきたいと思います。

最初に、パラダイムシフトの報告書との関連の中で、プラットフォーム事業者というのは単なる場の提供者にとどまらず、アルゴリズムなどを通じて特定の商品を特定の消費者に紹介していることもあります。それを通じて広告の収入を得ている場合によってはあります。そういった場合に、単なる場の提供者の範囲を超えてしまうのではないかというような御指摘だと理解したのですが、それはまさにおっしゃるとおりだと私も思っております。場を提供しているだけで、勝手に悪質な人が売っただけで、私は関係ないですというような言い逃れができるような状況に、特に巨大なプラットフォーム事業者はないのではないかなと思っていまして、その点は黒木委員の御指摘に賛同するところです。

ここに関して、僕もまだ不勉強でよく分かっていないところがあるのですが、そうなりますと、例えばアルゴリズムなどを通じたり、広告枠を通じて商品を積極的に紹介しているプラットフォーム事業者がその責任の一定割合を負わなければならないという、もし、このロジックが成立するとなると、一般の小売店などもどうなるのかなというのが私の中で少し整理がついていない部分です。小売店なども、例えば棚の目立つところというのはスロッティング・アローワンスでしたか、メーカーからお金をもらって、お金をくれたメーカーの商品は目立つところに置きますということをしたり、それがなかったとしても、この商品は結構売れるしマージンも高いから店頭の目立つところに置いておこうみたいなことを一般の実店舗の小売事業者もやっていると思います。

この線引きが非常に難しいと思っていまして、もし、PL法とかでプラットフォーム事業者が一定の責任を負うとなったときに、その波及効果といいますか、我々が最初に議論で念頭に置いてなかった事業者にまで影響が及んだりするのかなというところが懸念というか、私の中で整理ができてなくて、どうすればいいかなというのは、誰かに聞いてみたかったところではございまして、その点、むしろ逆に質問になって申し訳ないのですが、どう考えたらいいのかなというのをこの後、また次回でもいいのですけれども、議論させていただけたらと思っています。

2点目に関しましては、プラットフォーム事業者は、特に巨大なところは広告収入などがメーンになってきたりという御指摘がありました。確かにプラットフォーム透明化法に指定されているアプリストア内やオンラインモールなどは、検索表示順の目立つ場所を広告みたいな感じで特定の事業者に結構な高い値段で売っているという事実もあるらしいです。そういった副収入と言えばいいのか分かりませんが、追加的な収入もたくさん得ているのは事実だと思います。

これは広告に限らず、例えば事業者によっては追加の配送サービスを用意したりだとか、ほかにも様々なアドオンのオプションのサービスを用意していて、たくさんの収入を得ていって、そういったことも加味すると、単なる場の仲介者と言っていいのかという疑問が更に増幅していくという御指摘は、まさに私も賛同するところです。

ただし、こちらに関しましても、プラットフォーム事業者が広告だとか、配送サービスだとか、いろいろな副収入を持っているときにどういったことが起こり得るのか、もう少し具体的に言いますと、私の発表で手数料を上げるという副作用が起こるというお話をしたのですが、プラットフォーム事業者が副収入をたくさん持っているときに、この手数料が上がるという副作用がどのように変わってくるのか。手数料が上がるだけなのか、それとも副収入を持っているから手数料を上げずに済んで、逆に広告料金や配送の手数料が上がるというようなことになるのか。そういったことに関しましても、実はプラットフォームの経済学におきまして、そういったことはあまり分かっていないのが現状です。

最新の研究はそういうところも進んではいるのですが、プレゼン中にその他進行中のプロジェクトがあると私も言及しましたが、そういったプロジェクトの中にそういったものも含まれているのです。まさに現在進行形で我々研究者の中でも研究が進んでいるものですので、こちらに関しましてはまだ答えが出てなくて、この場ではっきりとしたことは申し上げにくいというのが正直なところです。

ただ、こういった議論を通じまして、重要な議論というのは我々の研究にも反映させていただきたいですし、また、研究で新しいことが分かったときには、こういったことが言えそうですということは今後の議論の中でも共有させていただければと思っています。いずれにせよ大変御示唆に富んだ御指摘で、なかなか答えるのに窮するものですが、答えるというよりかは、これから議論させていただければなと思いました。

以上です。

○黒木委員長代理 善如委員からの御質問については、鹿野先生とか大澤委員がいらっしゃるので、その先生方にお答えいただければと思うのですけれども、小売店と消費者との間に売買契約が成立しているという、すごく当たり前の話なのですが、例えばリコール対象のテレビを売っている小売店があって、そのテレビが火を噴いて家が燃えたとなったら、契約不適合ですから、小売店には賠償請求が可能だと思います。ただ、その後ろにいるメーカーは直接契約がないのにどうやって責任を追及できるのか。資本力が大きい家電量販店は別として、小さなパパママショップだったら責任能力がないので、だからPL法があるという理解を私はしているのですけれども、もし間違っていたら御指摘いただければと思います。

そういうことで、リアルであればこういう形でいけるのが、デジタルになってしまうと誰でも参入でき、どこの人が参入していて、日本語で書いてあるからといって日本人とは限らないという社会ができているので、よりデジタル化の中では消費者問題が複雑になっていると理解しています。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

柿沼委員からお手が挙がっているのですけれども、この時点で一言だけ、発言させてください。製造物責任法について、今、黒木委員長代理が御説明くださったのですけれども、本日御発表いただいた中の副作用ということに関して、製造物責任法の制定過程の議論について関連する議論を私の認識する限りで御紹介したいと思います。製造物責任法が日本においても必要だという議論が起こってから、実際に1994年に制定されるまでに相当長い期間がかかったのです。

恐らく事業者側がかなり反対をされたということも影響したのだと思いますが、その反対の理由の一つとして、製造物責任のような厳格責任を課されることになると、それにより安全性確保のための費用がより多くかかることになって、それが製品の価格等に上乗せされることになるから、全体として消費者等にとって利益にはならないというような一種の副作用論も聞かれました。

しかし、この問題については、市場に安全性を欠く製品が出回り、誰かが欠陥のある製品によって大きな被害を受けたときに、それにもかかわらず被害の回復ができないというようなことになるより、最低限必要な安全性を確保することが日本の市場全体にとって、あるいは製造業も含めた事業者の活動において必要なのだという考え方が次第に共有されてきたのではないかなと私は認識しているところです。

今、プラットフォーム経済がものすごく拡大しているわけです。そこでももちろん、規制の副作用をできるだけ抑えるような工夫は必要でしょうし、最後はバランスの問題かもしれませんが、デジタル市場の安全性確保のための費用をどのように負担していくのかが正面から検討されるべきではないかと思います。費用が少しでも上乗せされたらそれは駄目だということではなく、どういう形で安全な市場をつくっていくのかということを考えるのが重要なのかなと個人的には思っております。

それでは、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。よろしくお願いいたします。

まず、消費者ですけれども、プラットフォーム内のサービスを利用する理由としては、安く買えること、比較検討しやすいこと、何かトラブルがあったらプラットフォーム事業者が対応してくれるという安心感があります。さらに同じグループ内でいろいろなサービスを利用することによってポイントが付与され、そのポイントを使って商品を買うことによって、また新たなポイントが得られるという循環が生まれることで、こうした仕組みによって消費者がプラットフォーム内に抱え込まれているという状況なのかなと私は思うのですけれども、そのような理由からプラットフォーム事業者内のサービスを利用するということだと思います。

ただ、それに対して何かトラブルがあったときに、皆さんからもおっしゃられていたように、場の提供だからということでプラットフォーム事業者が何ら対応しないということで「困っている」と消費生活センターに相談が寄せられたり、あとはトラブルがあった場合、特にオンラインモールですけれども、ある程度の補償がありますが、補償が限定的であったり、補償期間が短期間であって、それを知らなかった消費者が補償が利用できないというような相談が入ってます。

善如委員にお聞きしたいのは、1点目として、善如委員のお考えとして、こういうようなプラットフォーム事業者を利用する消費者に対して、どのような視点から消費者教育を行えばいいのかというのをお伺いしたいと思います。

2点目はオンラインゲームについてです。オンラインゲームの未成年者の高額課金の場合には、オンラインゲームの実際のゲーム会社に申し出ると、いや、私たちは個人の決済の情報を持ち合わせていないので決済プラットフォーム事業者に申し出てくださいということで、オンラインゲーム会社が対応するのは限定的です。そういうプラットフォーム事業者が実際にあるということを御理解いただきたいと思うのですけれども、そういう事業者に対して、結局はプラットフォーム事業者自体が当然利益を得ているのですが、未成年者取消しに対して受けてくれないということが現実に起こっています。

決済プラットフォーム事業者を介してオンラインゲームの課金をした消費者がかなり不利益を被っていることが現実としてあります。プラットフォーム事業者自身も商品を買うときなどに未成年者のチェックを全くしていないところがあるみたいなのです。未成年者が利用するときに、プラットフォーム事業者も未成年者かどうかをきちんと確認する必要があるのではないかなと思っておりますが、その辺りについても何かお考えとかがあれば教えていただきたいと思います。

それから、プラットフォーム事業者は本当に一概に論じることは私は難しいと思うのです。クラウドファンディングのプラットフォーム事業者、オンラインモールの事業者、旅行サイト、それから、SNSの広告だけを提供するプラットフォーム事業者など、いろいろなものがあるかと思うのですけれども、共通点だけではなく、それぞれの領域においてどのような問題があって、特に海外事業者に対して、例えばこのオンラインモールだったらこういう対応をしているとか、旅行サイトだったらこういう対応をしているとか、そういう細かい部分で何か好事例があれば教えていただきたいと思います。

そして、取引透明化法ですけれども、プラットフォーム事業者による取引の透明性とか公平性の向上を目的としていると理解しているのですけれども、加盟店の審査体制の整備とか、それから、透明性レポートの作成とか提出、ホームページ上に掲載するなどが義務付けられていたりとか、経済産業省のホームページにも当然載っていると思います。そういう事業者であっても、何かあって消費生活センターからプラットフォーム事業者に問合せをして、加盟店の連絡先を教えていただいても全然連絡が取れないところが実際には多くあります。その辺りについて今後、何か対応をしていただける方策みたいなもので、善如委員としてお考えがあれば教えていただきたいと思います。

デジタル関係の法律としては2つありまして、透明化法と消費者保護の取引法と2つあるわけですけれども、取引法についてはどのようなプラットフォーム事業者に対しても、そちらの中である程度の法規制みたいなものもあるかと思うのですが、そうはいっても現場においての実効性を全てこの法律で賄うような状況には今置かれていないところが現実ではありますので、その辺りについても善如委員として何かお考えがあれば教えていただければと思います。

以上です。

○善如委員 柿沼委員、どうもありがとうございました。

順番にお答えできる範囲でお答えさせていただきます。

1点目の消費者教育、プラットフォームなどを使われる消費者がたくさんいますが、そういった方々の消費者教育に関してどうすればいいのかという、大変重要ですが非常に難しい質問だと思っております。消費者教育などに関してはあまり専門ではないところがありまして、なかなかこれだという良いアイデアが出てこないのが正直なところです。

多分そういったところ、柿沼委員も含めて、ほかの委員の方々も専門の方がいらっしゃると思いますので、そういった消費者教育に関するこれまでの知見と、私がこれまで研究してきたプラットフォームの経済学に関する知見というのを議論の中で組み合わせながら、そういったものを探っていければいいのかなと思っています。

プラットフォーム側のインセンティブだとか、どういった副作用が起こり得るということに対しては、私たちのようなプラットフォームの経済学を勉強している者のほうが多分いろいろ情報共有できると思うのですが、その中で、そこから生じる消費者問題を克服するために、具体的にどういった教育がいいのかというのは、そこの最後のラストワンマイルといいますか、ワンステップのところの知識が私にはありませんので、これはお答えできなくて、むしろ今後知見をお借りしながら議論できればと思っております。

2点目ですが、オンラインゲームの話を具体例として出されて、未成年の消費者が高額なお金を使ってしまったけれども、未成年なので取消しを頼むがゲーム会社は取り合ってくれないし、プラットフォームにたらい回しされても、プラットフォームも取り合ってくれない場合が多く、プラットフォーム側も未成年者かどうかというのは事前にチェックしていない問題があるというのは、私のこれまでの研究であまり気にしてなかったといいますか、考えきれてなかった部分があります。

というのも、現在のプラットフォームの経済学とかだと、売り手側のスクリーニングといいますか、コンテンツ提供者側のスクリーニングに関する議論は活発なのですが、この事例は買い手側に対するスクリーニングみたいなものかなと捉えました。未成年が買おうとしていたら、プラットフォームがそれを止めるために何かアルゴリズムとかに通してそれを未然に防ぐという議論だと理解しました。そういった観点というのはまだ追いついていない部分がありまして、ただ、売り手をスクリーニングしなければならないと同様に重要な問題であることは揺るぎないと思います。

こういったことも実際に起こっている業界であれば、売り手をスクリーニングするときの効果というのが、買い手側の反対側でも起こりますので、よりその効果は増幅されるのでしょうが、コストが増えるという副作用も増幅されそうな気がしてきまして、ここは個別の事例の現状をお聞きしながらではないと、今の場でお答えを返すのは難しいかと思います。こういった買い手側のスクリーニングに関する様々な事例は、オンラインゲーム以外にもあると思うので、そういったものもいろいろ教えていただけると、こちらとしても次の研究に進む際の問題意識ともなります。大変ありがたい御指摘をありがとうございました。ちょっと考えてみたいと思います。

次に、プラットフォームといいましてもたくさんのタイプがありまして、問題ももちろん違いますし、対応もまちまちで、どういった対応事例があるか、良い事例があったら教えていただきたいということだと思いました。私が知る限り、プラットフォーム事業者は問題の解決にそこまで積極的に乗り出しているかというと、あまりそうではないようなケースのほうをたくさん知っていまして、法律で言われたから、DSAで言われたから対策しないといけないとか、しようがなく対策しているという感じだとか、自発的に消費者問題の解決に乗り出すことによって、それがうまくマーケティングみたいにつながってというような成功事例というものは、今すぐは出てこないですし、あまりないのかもしれません。

根本的なところでプラットフォーム事業者が安全な取引の場をアピールすることによってマーケティング戦略として活用するというのがあまり有効でないということが、何かしらの理由でいろいろな業界では成立してしまっているのかもしれません。それは裏返して言いますと、何かしらの規制によってお尻を叩くといいますか、法律でやれと言う必要があるようなこと、そういったことの裏返しなのかもしれません。こちらに関しても事例をあまり把握しておりませんので、またいろいろ事例を追っていく中で、見つかったら適宜共有させていただければと思います。

最後は、連絡が取れない売り手がいたりとか、その対応でどういうことがいいのかということなのですが、いろいろな法律でプラットフォーム事業者は売り手などの事業者の情報を把握しておいて、何か起こったときに追跡したりだとか、ちゃんと身元が分かるようにしろというのは、いろいろな国でも導入されていると思います。日本においてももちろんそういった法律は導入されていると思うのですが、柿沼委員も問題の指摘をしていただいたように、多分これがうまくいっていないのが諸悪の根源といいますか、ここをちゃんとできれば、いろいろな問題が一気に解決しそうなところかなと思っています。

これがなかなかうまくいっていないというのが、実際に現場でどういった問題があってこれがうまくいっていないのか、もちろんいろいろな理由があると思うのですが、これを慎重にといいますか、丁寧に調べ上げていくことは大変重要なことだと思っています。質問の回答にはなっていないのですが、私は良い案を持っているわけではなくて、ここを丁寧に考えていかないといけないという柿沼委員の意見に賛同します。どうしたらいいのでしょうかというのは、また難しい議論になるかと思いますが、皆さんと一緒にお話ししていきたいと思っております。

お答えになっているか不安なものばかりでしたが、私からは以上です。

○柿沼委員 ありがとうございます。

1点だけ、オンラインゲームのプラットフォーム事業者の在り方についてなのですけれども、通常のプラットフォーム事業者は、当社は提供しているだけだと、あとは加盟店に直接連絡をしてくれというような場合が多いですが、オンラインゲームの決済のプラットフォームだけは、オンラインゲーム業者のほうが決済のプラットフォームのほうに申し出をするようにというような形になっていて、裁量がプラットフォーム事業者のほうにあるわけなのです。

しかしながら、未成年者の場合、今回は取消権の事例をお伝えしましたが、その判断をプラットフォーム事業者が行うのですが、誰が利用したのかというところについての開示などをしていただくことができず、結局は払う以外に方法がないというようなところで、消費者としては大変困っているというような御相談をいただくことが多いので、そのような体制について何か良い案があったらということでお伺いをさせていただきました。今後御検討いただけるということですので、よろしくお願いしたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

時間も随分経過しましたので、それでは、本日の善如委員の御発表に対する質疑応答・意見交換は以上とさせていただきたいと思います。

本日は、善如委員からプラットフォームの経済学という観点から、特に消費者政策に関連する問題を中心に御発表いただき、大変重要な御指摘をいただきました。その中でも、特に欠陥や不具合のある製品やコンテンツの取引に関して、デジタルプラットフォームの事前の責任と事後の責任の考え方について御発表をいただき、意見交換をすることができました。また、特に事後の責任については現時点ではルールが未整備であり、この点を今後も慎重に検討していく必要があるという御指摘をいただきました。

また、事前の責任、ないし違法なものを排除することを考える場合には、プラットフォームの事業者にも検知できるようなものと、そうでないものなど、対象による区別についても検討する必要があるのではないかというような御議論もありました。

また、プラットフォームに関する経済学の議論では、今のところ合理的な消費者像を念頭に置いて議論が行われていて、消費者の抱える脆弱性についてはあまり考慮されているとは言えないということでございました。この点については、当委員会におけるパラダイムシフト専門調査会の報告書も先般出されたところでもございますし、この報告書の内容も踏まえて、更に議論を深める必要があるものと思われます。

それから、プラットフォームがアルゴリズムや広告仲介を通じて単なる場の提供者を超えた役割を果たしていることが多く見られ、そのことを踏まえるべきであるということ、また、コスト計算においてもプラットフォームの広告収入の点まで考慮に入れて検討するべきではないかというような御議論も、特に黒木委員長代理との質疑応答の中で出てきたところでございます。

また、未成年者の保護という観点からのプラットフォームの対応可能性についても意見交換が行われました。

なお、善如委員からはプラットフォームの責任に偏るのではなくて、もう一方で、悪質な売主等の事業者を排除するという効果的な方策が必要だという御指摘もいただきました。この認識は、委員の中でも共有しているものと思われます。

また、現行法でうまくいっていない点の原因を確認して、それについての対策を講じていく必要があるということで、特に最後のほうで柿沼委員の御質問との関係で、そのような議論も出てきたところでございます。

挙げていただいた論点、あるいは質疑応答の中で出てきた論点につきましては委員同士でも認識の共有ができたものと思います。今後、必要に応じて更に調査・審議の実施を検討してまいりたいと思います。

本日は、善如委員には、どうもありがとうございました。


《3. その他》

○鹿野委員長 続いての議題は食品表示部会についてです。

事務局から詳細について御説明をお願いします。

○江口企画官 第471回本会議におきまして、食品表示部会を第8次消費者委員会に引き続き第9次消費者委員会においても設置することを御確認いただき、また、部会長として今村委員が指名されたところでございます。そして、先般、消費者庁及び消費者委員会設置法第10条に基づき、内閣総理大臣より臨時委員が任命されました。そこで、消費者委員会令第1条第2項に基づき、部会に属すべき臨時委員につきまして、このたび参考資料1-1のとおり、委員長から指名をいただきましたので御報告申し上げます。併せて本委員からは委員長指名により中田委員に御参加いただくことになりました。よろしくお願いいたします。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

こちらは御報告ということですが、新たに委員に就任される皆様、そして本委員からは中田委員に御参加いただくことになりましたので中田委員にも、どうぞよろしくお願いいたします。


《4. 閉会》

○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。

○江口企画官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)