第458回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2025年4月22日(火)10:00~12:35

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、今村委員、大澤委員
    (テレビ会議)小野委員、柿沼委員、中田委員、星野委員
  • 【説明者】
    レスキュー商法被害対策京都弁護団 事務局長 増田弁護士
    一般社団法人日本アフィリエイト協議会 笠井代表理事
    東京大学大学院法学政治学研究科 宍戸教授
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. レスキューサービスに関する消費者問題について
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 おはようございます。

本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、第458回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、大澤委員、今村委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しており、小野委員、柿沼委員、中田委員、星野委員が、テレビ会議システムにて御出席です。

原田委員、山本委員は、御欠席と伺っています。

なお、柿沼委員、中田委員、星野委員は、若干遅れての御参加と伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. レスキューサービスに関する消費者問題について》

○鹿野委員長 本日の最初の議題は「レスキューサービスに関する消費者問題について」です。

トイレの故障、水漏れ、鍵の紛失等、日々の生活の中で困った出来事が突然発生し、自分では対処できないときに、それらを解決するサービス、いわゆるレスキューサービスですが、これに関する消費者トラブルが増加傾向にあります。

本議題に関しては、本年2月18日の第453回本会議、2月28日の第454回本会議及び3月21日の第456回本会議の計3回にわたり、行政、業界団体、事業者、被害対策弁護団からのヒアリングを実施してまいりました。

本日も引き続き、この問題について調査審議を実施したいと思います。

本日は、まず、この問題に関して、消費者の被害救済や集団訴訟、事業者への申入れなどに取り組むレスキュー商法被害対策京都弁護団より、実際の訴訟事例を踏まえて、課題や対応策について御発表いただきます。

続いて、一般社団法人日本アフィリエイト協議会より、アフィリエイト広告分野における業界団体としての立場から、課題認識や団体としての取組内容について御発表いただきます。

そして最後に、有識者として、東京大学大学院法学政治学研究科の宍戸教授より、インターネット広告など、デジタル空間における情報流通の課題等について御発表をいただきたいと思います。

改めて、本日の御発表者を紹介させていただきます。

本日は、会議室において、一般社団法人日本アフィリエイト協議会の笠井代表理事に御出席いただいております。

また、オンラインにて、レスキュー商法被害対策京都弁護団の事務局長でいらっしゃる増田弁護士に御出席いただいております。本日は、お忙しいところ大変ありがとうございます。

なお、東京大学大学院法学政治学研究科の宍戸教授におかれましては、後ほど、オンラインにて御参加予定と伺っております。

本日の進め方ですが、まず、レスキュー商法被害対策京都弁護団、一般社団法人日本アフィリエイト協議会、宍戸教授の順に、それぞれ15分程度で御発表いただき、その後、質疑応答、意見交換の時間を90分程度取らせていただきます。

それでは、最初に、レスキュー商法被害対策京都弁護団の増田弁護士、よろしくお願いいたします。

○レスキュー商法被害対策京都弁護団事務局長増田弁護士 皆さん、どうも初めまして、レスキュー商法の被害対策京都弁護団の事務局長を務めております、弁護士の増田と申します。

それでは、弁護団の方からレスキュー商法被害の問題点と対策について、まず御報告をさせていただきます。

本日報告する内容ですけれども、弁護団の概要と、それから弁護団の方で取り扱いました集団訴訟の詳細について御案内しますのと、本件の問題の根本に関わります、リスティング広告サービスの関係、そして、問題点と必要な対策という形でお話しさせていただきます。

まず、弁護団の概要についてですけれども、これは、当弁護団のウェブサイトです。皆さんに閲覧いただくことができるものですが、2021年1月12日に設立した弁護団でございまして、当初は、主に水回り関係の被害が多かったので、それを対応していましたが、今は水回りに限らず、鍵開けとか、害虫駆除とか、いろいろなレスキュー商法を対応しています。

メンバーは、今、弁護士20名となっているのですけれども、括弧書きであるとおり、9名は福井支部のメンバーということでして、今年の1月から福井のほうでも被害が多発しているということで、もともと一部京都弁護団の方で対応していたこともあったのですが、新しく福井の弁護士会所属のメンバーで、京都弁護団の福井支部という形で立ち上げて一緒にやっていると、こういう形でございます。

それでは、弁護団の方からレスキュー商法被害の問題点と○レスキュー商法被害対策京都弁護団事務対策について、まず御報告をさせていただきます。

主な活動は、実際に相談が来たときに、各弁護士に配転してその委任を受けて実際の被害救済をする、それから、後で述べますような集団訴訟、あるいは事業者への申入れ、あるいはその他広報啓発ということを行っております。

集団訴訟ですけれども「水のトラブル緊急駆付隊」というところの関係の訴訟であります。

これが実際のウェブサイト広告ということでして、訴訟において対象にして証拠として提出しているものですが、ある種、典型的なレスキュー商法でして「1,000円から」という表示があって、このウェブサイトを見て下に電話番号が書いてあるので、その電話をかけると、修理担当業者というものが家にやってきて、その処理担当業者が作業を開始していくのですけれども、最初から料金を幾らで、こういう作業をしますという合意をするというよりは、着手しながら次々に増えていって、最終的には、もう工事をやりましたのでということで、10万円とか、場合によっては、百何十万円という請負工事代金を請求していたと。

当初は、1件1件申入れをして返金を求めてということをしていたのですが、それが非常にたくさん寄せられたのと、そもそも返金対応もされなくなってきたということがありまして、令和3年の8月26日に被害者をまとめて集団提訴という形になりました。

令和3年8月26日に第1次提訴をした後に、ここに書いているとおり、2名、私も同じような被害に遭いましたという方が現れましたので、その2人を追加して、令和4年3月8日に第2次という形で、一緒に審理してくださいという形で提訴したと。

令和6年1月19日に最終の判決ということになっています。

誰を訴えたかということですけれども、順番はこうなっていますけれども、まず一番分かりやすいのは、2番目の、実際に消費者の家にやってきた者、プレーヤーと呼んだりしますけれども、実際に来て作業した者です。

それから、ウェブサイト、先ほどの画面に、一応運営責任者の表示というのがあって、このウェブサイトは、同じなのですけれども、この名称を変えて3つぐらい変わっていったのですけれども、そこに表示されていた者ということです。

それから、その住所地がバーチャルオフィスになっていまして、そのバーチャルオフィスの契約者を調べたので、実は交渉段階でも、このバーチャルオフィスの契約者が窓口になって対応していて、この者が実質的な黒幕と見られる者だったということで、こういった関係者を全て被告にして提訴したというものです。

請求内容として予備的請求は、クーリングオフに基づく原状回復請求ということで、後で述べますとおり、こういうレスキュー商法というのは、基本的に訪問販売に当たりますから、クーリングオフを主張すれば原状回復として、その代金を返せということは言えるはずで、それを予備的請求としているのですが、そもそもこのレスキュー商法というのは、たまたま高くなってしまったとか、十分な説明ができていなかったというレベルではなくて、そもそもウェブサイトに表示された金額でというのを思っていなくて、最初から、そこからかけ離れた費用を請求しようと、こういう意図のもとにやっている行為であると。

したがって、それは社会的相当性を欠く法律行為であって、無効なだけではなくて、不法行為になるということで、被害額に慰謝料と弁護士費用を加えた金額を請求する、これを主位的請求としていました。

第2次提訴は金額が違うだけで、構成は同じです。

今言った不法行為になるのかということで、単に行き過ぎた営業行為なのかということですけれども「基本料金1,000円から」となっているのですが、実際は1,000円で済んでなくて、この被告らの中だと10万円以上になっていて、高いものは165万円とかになっていますから、低いものでも100倍になっているわけです。

1,000円で解決したと全然なっていないわけですから、最初から10万以上を狙っていたわけでしょうと、こういうことです。

それから、請求内容もなのですけれども、費目を見ると、一連の作業を細かく細かく分けて、それに全部お金がかかりますということで計上しているのですね。それは、実際にしていない作業もありますし、作業内容に照らしても過大だし、そもそも何の作業を指しているかもよく分からないということで、とにかく高くなるようにどんどん、これもかかります、あれもかかりますという形で計上していると。

また、この手口は、そもそも修理をやってしまってから請求してしまうという方法であるとか、あるいは火災保険が使えますよという、うそのことを言って契約させてしまうとか、こういった勧誘態様を含めると、社会的相当性を逸脱しているということです。

それから、これはもう既に御議論のことかなと思いますが、こういうレスキュー商法はウェブサイトを見て、消費者が家に来てくださいと言っているという形になっているので、特商法が適用除外とする来訪要請というものに該当するのではないかということが、一応問題になりますが、これは消費者庁のほうでも、Q&A等で示されているとおりでして、広告では安い価格しか示してなくて、来たときには、それとは乖離した高額な請求をすると、こういう場合については、基本的には来訪要請には当たらないと解釈されますから、本件でも来訪要請の適用除外には当たらずに、訪問販売になってクーリングオフできると、こういう主張をしていました。

判決としては、基本的に被害額の、要するに払ってしまった金額と、それから、その1割の弁護士費用というものが認められていて、不法行為に基づく損害賠償というのが認められています。

ただし、慰謝料というのは認められていませんで、これは財産的被害なのでということで、それほど不法行為の一般論からしても、特段弱まったということではなくて、通常どおりの対応をされてしまったということです。

不法行為だということで、クーリングオフではなくて、もう不法行為なのだと、違法な行為なのだということを認定していまして、判決は、このように当初から高額な費用を請求することを企図しということを認定しています。

先ほど私が申し上げたとおり、たまたま高くなってしまったということではなくて、最初から高額な費用を請求しようとして、しかもレスキューの困った状況で、もう作業を進めてしまって、断りづらい状況で、そこにつけ込んで支払わせたのだと、こういう事実関係を認定しているわけです。

それから、先ほど申し上げたとおり、被告は実質的な運営者と、現場に来るプレーヤーと、サイトに名前が挙がっているサイト運営者と、それぞれ挙げていたわけですけれども、これが言わば組織的に行われているのだという前提で、いずれも重要な役割を果たして相互に協力し、補完する関係にあると、こういうことを認めています。

少し誤字がありますけれども、1人だけサイト運営者として名前が挙がっていた人が、私は積極的に名前を出したのではなくて、勝手に名前を使われたのですと、こういう話をして、実際、裁判にも出てきていましたので、その方だけは外して、それ以外の者は全員共同で、こういう不法行為を行ったのだという認定になっています。

だから役割分担をしたので、うちは関係ありませんということは通用しないということになったわけです。

それから、リスティング広告サービスは、少し話が変わりますけれども、このようなレスキュー商法は、先ほど申し上げたように、基本的にウェブサイトを見て、それから、そこに表示された電話をかけて呼んでいると、こういうことなのですけれども、その多くは、グーグル合同会社のグーグルの検索をしたら、上位にスポンサーという形で表示される広告を利用していて、その広告を見て申し込んでしまうと、検索して一番上に表示されるものに申し込んでしまうと、こういうことになっているわけです。

ですので、当弁護団では、その被害相談を受けたときに、これがレスキュー商法の問題のある広告だと分かったときに、グーグルに対して、この広告は問題がある違法なレスキュー商法ですから、広告を止めてくださいと、こういう申入れをして、なおかつ事業者に対しても申入れをすると、こういうことをしています。

実際の文章なのですが、申出書で当弁護団のウェブサイトにも公表していますけれども、これは、グーグル自身が広告ポリシーというのを用意していて、その中で、この料金を見積額から引き上げて脆弱な状態のユーザーや切迫した状況にあるユーザーに不当な請求を行うというものが例示されていました。

ですので、そのポリシー違反ですよと、だから法的な責任以前に、広告ポリシー違反だから停止が求められる、そういう状況にありますよということを御説明して、それに対応してくださいと、広告を停止してくださいということを申入れしています。

しかし、こういう申入れに対しては、回答はないですし、実際申入れをした事業者について、広告がそのまま掲載されているというものもあります。というか、基本的にはこういう掲載停止に対応してもらっていないという認識です。

それから、問題点を整理しますと、このレスキュー商法というのは、本当にいろいろなサービス、水漏れがはしりでしたけれども、害虫駆除や鍵の紛失、それからレッカーとか、それから電気関係も出てきています。困っていて、とにかく早く対応してほしいというところをつけ込むというのが、この手口です。

昔からあるといえばあるのですけれども、昔はマグネットやシールで各戸配布して、それで呼ぶということがありましたけれども、今は先ほど申し上げたようなプラットフォームでの広告ということで、インターネットで集客するというのが増えています。こうすることで、非常に多数の消費者に対して働きかけることが容易にできるわけです。

「1,000円から」という実際の表示とは全然乖離する高額な費用を請求するのですけれども、実際に来てしまっていて、かつ、作業も終えているということで、更に冷静な判断ができない状況なので、そんなものなのかと、その場では思ってしまったりして、その場で対応するというのが非常に難しい事案になっているわけです。

その後、冷静になって返金を求めても、脅しのようなことを言われたりとか、そもそも自宅に来られていますから、もう一遍来られると怖いということもありますし、先ほどの百何十万となれば別ですけれども、大体10万円以下ぐらいの被害ということになると、普通に弁護士に依頼しても、そもそも弁護士費用が10万円ぐらいかかってしまったりするので、費用倒れになってしまって依頼できないと。

消費生活センターでクーリングオフの申出を助言、あっせんしてもらうということはあると思いますが、最近は解決するケースもありますけれども、そもそも全く連絡が取れなくなってしまうというケースもあります。

やはり、入口の安価に終われるかのような料金表示というのが問題なのですけれども、これは単なる表示の問題というか、そもそもその料金でやるつもりもないのに表示しているという価格なのです。

先ほどの、例えば集団訴訟のケースでは、これは事業者側の準備書面で書かれていたことですけれども、売上のうち作業員がもらうのは3、4割の程度で、先ほどの実質的な運営者のほうが、広告運営事業者というのは、実質的な運営者の側ということですけれども、それが6、7割持っていくということですから、プレーヤーは、1,000円の作業をしても全然収入にはならないのですね。だから、最初から作業員は、高額な単価で請求しないと自分の手取りがほとんど入らない。この3、4割には、実費も作業員に負担があるということですから、もともと高額な単価でやっていかないと成り立たない商売になっているわけです。

問題は、リスティング広告でして、ほぼレスキュー商法は、このリスティング広告サービスを利用しています。

今、グーグルなどは、サイトでどの業者がどういう広告を出したというのをすぐ検索できるようになっていますけれども、レスキュー商法の事業者を上げると、本当にたくさんの、いろいろな検索でヒットするように、たくさんの広告を出しているというケースが多いです。

そもそもそういう広告を自由に出せて、しかも問題が発覚しても、そのままになっていたりすると、この問題をどうするのかと。

この悪質なレスキュー商法事業者は、その広告の掲載の費用を、デジタルプラットフォーム提供者、リスティング広告サービスの提供者に払っているわけですから、形としては、実質的に、消費者の被害金がリスティング広告サービス提供者に、広告サービスのほうに流れてしまっているという、こういう実態があるわけです。

判決は、先ほどの集団訴訟などでは解決しましたけれども、これは、なかなか回収が上がらない状況で、判決は取ったはいいですけれども、被害金を取り戻すというのは非常に難しいという状況になっています。

まず、やはりこの表示の問題ですね、何円からということで、あくまで何円からなので高くなることもありますという言い訳を許しているわけですけれども、実際は10万円がほとんどという状況にありながら、1,000円という表示をすることが、なぜ許されるのかということでして、やはり実態に即した目安として表示するにしても、そういう形を義務づけなければいけないのではないかと。

それから、このリスティング広告サービスは、やはりそういう行政処分を受けたり、多数の苦情が寄せられているという状況になっても広告が掲載されているという状況があるので、これについては、もう少し厳格に審査、対応をするというのが必要なのではないかなと思いますし、それはハードロー、ソフトロー両面から対応すべきかなと思います。

それから、場合によっては、一定の民事責任を負うべき立場ということもお示しするべきだと思います。

電子商取引には、そういう場合がありますけれども、実質的な関与という要件になっていますので、それだと少しハードルが高過ぎて、もう少しリスティングサービス提供者の注意義務というものを意識した規制が必要かなと思います。

それから、先ほど言ったとおり、被害金の取り戻しができていないので、やはりこれをきっちり取り締まっていかなくてはいけないということがあります。結局、お金がどこかに流れていってしまって、やり得になってしまっていて、しかもその刑事罰もなかなか、特商法違反などでは逮捕されたりしますけれども、詐欺という形で処罰できないケースも多くて、本当に事業者がやればやるほど得になるということになってしまいます。

弁護団では、それを何とか救済しようと取り組んでいますけれども、先ほど申し上げたとおり、1件1件の被害金額は、それほど多くありませんので、ほぼボランティアベースですし、先ほどの集団訴訟の経費などもほとんど弁護団が負担しているような状態で、むしろ赤字と言ってもいいかと思いますが、そういう状況でして、ただ何とかやりましょうということでやっていますけれども、持続可能性が低い取組になってしまいますし、今、京都では、こういう取組をしていますけれども、各地で同じような対応をするとしても、なかなか難しくて、例えば、東京で害虫駆除の事業者が問題であるということで公表されたりすると、東京からたくさんの被害相談が京都に寄せられると、こういうおかしな形になってしまっていますし、やはり根本の解決ということであれば、行政の執行強化、罰則あるいは警察での取締りということが、より実効的になっていくことが必要かなと思っています。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、一般社団法人日本アフィリエイト協議会、笠井代表理事、よろしくお願いします。

○一般社団法人日本アフィリエイト協議会笠井代表理事 一般社団法人日本アフィリエイト協議会代表理事の笠井と申します。本日は、貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。

15分お時間をいただいておりますので、その中で、今日、私のほうからは、インターネット広告、その中でも、先ほどレスキュー商法被害対策京都弁護団の増田先生が言及されておられましたリスティング広告に特化した形で、お話や説明、そして、私が個人的に考える有効と思われる対策も含めて、共有をさせていただければと思っております。

資料は、すみません、事務局のほうに操作をいただきながら、お話をさせていただければと思います。

まず、ページをめくっていただきまして、自己紹介、簡単な業界団体の御紹介として、我々は、一般社団法人日本アフィリエイト協議会といいまして、成果報酬型のアフィリエイトに特化した業界団体です。

それで、ありがたいことに今は、少しこの数字は古いのですが、今期500名を超える個人、法人の会員者の方々に参加いただき、成果報酬型のアフィリエイトの広告を適正に消費者利益、事業者利益を成長、そして、共存するために取り組むという活動を行っている団体です。

ページをめくっていただきまして、その中で、私、笠井が現在代表理事を務めさせていただいているのですが、今日は、すみません、鹿野委員長のほうから冒頭に、アフィリエイトの取組であったり、アフィリエイトの協議会というところを出していただいたのですが、今日私がお話しさせていただく内容は、どちらかというとアフィリエイト寄りではなくて、リスティングであったり、今日被害に遭っている、レスキュー商法の被害に関わっている広告をメインにお話をさせていただければと思います。

と申しますのも、私は、立場的には、日本アフィリエイト協議会の代表理事という立場に就任しておるのですけれども、今からもう26年ほど前に、アフィリエイトを含めた様々なネット広告、それこそ動画の広告であったりとか、SNSの広告であったりとか、インフルエンサーのマーケティングであったりとか、アプリの広告、多種多様なインターネット上の広告業界に携わってきた人間でして、その中で今日は、レスキューサービスの消費者被害に密接に関わるリスティングという分野に特化して、皆さんにぜひお話をさせていただければと思っております。

私自身は、このネット広告の特に消費者被害を生み出すような、不当な虚偽、誇大な広告問題の専門家として日々活動もさせていただいており、現在は、東京都、埼玉県、そして京都府など、都道府県とも連携しながら、各都府県内のネット広告の適正化に向けた活動であったり、それから国センの方や、行政の方と御協力いただきながら、消費者教育、消費者啓発のほうでも、講座を学生向けに実施したりとか、市民向けの勉強会の情報提供をしたりといった活動もさせていただいております。

御興味を持っていただける方は、この資料にURLも添付をしておりますので、後日、資料は内閣府のほうに、消費者委員会のページに公開されると伺っていますので、よろしければ各リンク先を御確認いただけますと幸いです。

めくっていただきまして、その活動の一環として、東京都でやっている「東京デジタルCATS」といったものもシートで説明の添付をさせていただきました。

東京都さんは、非常に専門家の意見も取り入れていただいて、悪質なネット広告を悪用する事業者をどんどん摘発や処分するという活動を、小池都知事のもと、積極的に行ってくださっています。

こういった取組をほかのいろいろな都道府県とも、今、広げて取り組ませていただいているところです。

ページをおめくりいただきまして、御興味を持っていただいた方は、よろしければ、日本アフィリエイト協議会や、私の笠井北斗の名前で検索をいただけましたら、各種会議の報告であったりですとか、議事録であったり、ニュースのページがヒットするかなと思いますので御覧いただけますと幸いです。

では、本題に入っていきます。すみませんが、めくっていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。

今日のテーマでもあります、消費者被害につながってしまっている悪質なレスキュー商法事業者、リスティング広告の説明もこの後少しさせていただきますが、その前に、消費者被害を生み出している悪質な、この場ではよく極悪層とも言われることがありますが、そういった事業者がどんな手口を取っているかというのを、大きな流れでまとめさせていただきました。

そもそも、先ほど増田先生からお話があったように、悪質な事業者というのは、はなからだます気満々で、広告を打ったり、ページをつくっていきます。ですので、広告をクリックやタップして受皿となる自分たちのページでも、1,000円でなどサービスを提供していないのに1,000円と書いたりとか、ランキングがいろいろなところでナンバーワンを取っているとか、行政からお墨つきをもらっているとか、そういった虚偽誇大な表示やダークパターン盛り盛りのページというのをつくる傾向が高いです。

そのページというのをリスティングの広告に出稿するわけです。リスティングの広告というのは、いわゆる検索エンジン、日本の大手では、ヤフーさんやグーグルさんが有名ですが、そういう検索エンジンで消費者が何か調べ物をしたいときに、キーワードを入力し、検索ボタンをクリックすると、検索の結果が表示されます。その検索の結果に調べようと思ったキーワードにマッチした広告というのが、リスト表示をされるのですが、それが、いわゆるリスティング広告と呼ばれる仕組みになっています。

このリスティング広告というのは当然、消費者の意図としては、困った、大変だと、助けが必要だというときには、すぐに検索して、どこに相談したらいいのだろうというのを調べます。そのときに、検索の結果で、より上位のほうに広告枠として表示をさせれば、当然、消費者の目にもとまりやすくなるし、クリックやタップもされやすくなるし、そこでレスキューが必要な人であれば、恐らくそこまでしっかりと考えずに申し込んでしまう可能性があると。しかも、事業者側は、だましやすいような、消費者の誤認を生みやすいようなページをつくっていると、その確率やリスクというのも高まってしまうというのが現状です。

このリスティング広告は、レスキュー商法をやっている事業者が自社で出すこともあれば、先ほどお話にあったような広告代理店を使ってリスティング広告を出稿する場合もあります。後者の場合も、レスキュー商法自称者と広告代理店はがっつりと関わっているので、1つのグループとして見て、私はいいのではないかなと思っています。特にこの悪質商法に関して言うと。

そのリスティング広告を検索エンジンに表示させるために、1クリック当たり幾ら払いますとか、もしくはこういう人たちに広告を出したいというようなターゲティングの設定や予算の設定というのを、広告会社はリスティング広告を出稿する際に行います。実際に消費者がスマホやタブレットやパソコンでキーワードで検索をしたときに、その検索キーワードとターゲティングの設定にマッチしたもの、また、もっと細かく言うと、今日は時間の関係で、すごい仕組みやシステムのところまでは入り込んでいかないのですが、そういうクリック率であったりとか、消費者が今まで見てきたいろいろなページであったりとか様々な要素も絡むのですが、大枠では、入札の広告の単価、幾ら払うよという広告主への単価が高いもの、そしてターゲティングされているものがより上位に表示をされるとなっています。

鍵が開かない、トイレが詰まった、ゴキブリが出たといったレスキューが必要な人たちの検索の結果にリスティング広告というのが表示され、善良な広告主もいると思いますが、上位に表示される広告主の中に悪質なところが混ざっていると、当然それが消費者被害につながってしまうと。

ページをめくっていただきまして、少しここのリスティングについて深掘りをして、お話をさせていただければと思います。

先ほどお話しさせていただきましたとおり、検索したキーワードに応じてリスティング広告が検索の結果に表示されます。それで、キーワード以外にも、例えば、広告を出稿する際に時間帯であったり、検索する人がどこにいるかという場所もしくはパソコンなのかスマホなのかという端末、あとは、過去にそういったレスキュー系のサイトに訪問したかどうかという訪問履歴、こういったものもいろいろとひっくるめて、広告の配信というのを切り分けたり指定することができます。

それで、このリスティング広告には、仕組みとして、検索の結果にいろいろな検索の結果があるので、一部例外はありますが、大まかな部分でお話をさせていただくと、検索の結果に大体スポンサーとか、広告という単語が表示されており、その枠内に表示されているものは、いわゆる広告費を払って検査結果に表示をさせているリスティング広告と呼ばれるものになってきます。

皆さんもよろしければ、スマホやパソコンをお持ちの方は、御自身が興味関心のあるキーワードで、今、検索してみていただければと思います。ただ、広告をクリックしないでください。これは、広告側の人間の勝手なお願いなのですが、広告の中身をクリックされてしまうと、企業は広告費を払わなくてはいけないので、ですので、広告を表示させたら、ぜひここにある右上、例えばグーグルをスマホで検索したら右上の点々、ヤフーの場合には右下にIマーク、インフォメーションアイコンといいますが、ここは、スマホの場合、小指か何かでタップしていただくと、その広告がなぜ表示をされているのかとか、会社によっては、誰がその広告を出稿しているのか、そういった情報を消費者のほうでも容易に把握することが可能になっています。

ですので、中身をクリックしてしまうと、広告主のページに飛んでいくのですけれども、こういったインフォメーションアイコンとか、その他の点々のアイコンをクリックすると、その広告の中身、出している人とか、ターゲティングの設定とか、なぜこれが出ているのか、私の端末で、今、検索すると、レスキュー系のキーワードで調べると、今の現在地、あと、キーワードがマッチするから表示をしているのですよ、株式会社どこどこが出していますよというのが、私の端末には表示されています。

この広告が、よく聞かれるもう一つの質問で、この仕組み自体は悪でも何でもないです。むしろ非常に便利な手法で、消費者からすれば、検索して自分が探しているキーワードにマッチした広告が表示されるわけですから、全く無関心の広告が大量に流れてくるよりは、自分の興味関心のある分野の広告が表示されるので、これは非常に優れた仕組みであると言えます。

ただし、悪用してくる事業者がやはりいて、その人たちが、このリスティングのレスキュー系の緊急性の高いキーワードに、高い広告単価を払っています。広告代理店や広告調査会社がネット上にいろいろと発表する、そういった調査結果を見ると、このリスティング広告、クリック、タップされると、大体1クリック当たり平均単価として広告主は数十円から数百円を払っているよと、表示であったり調査結果を発表している会社が多いです。

この広告単価を調べる方法というのがあるのですけれども、それを少し調べてみると、例えば、トイレが詰まったとか、鍵が開かないとか、車に閉め出されたとか、そういう緊急性の高いレスキュー商法に頼むであろうキーワードの単価というのは、大体1,000円前後とか、高いものになると3,000円以上といったものもあります。

ここで皆さんに少し思い出していただきたいのですが、増田先生がおっしゃるように、1,000円で受けますと書いてあった場合、絶対ペイしないのですね。なぜなら、1クリックした人が、必ず100人が100人とも申し込んだとしても、広告主である事業者は、デジタル広告プラットフォーム、リスティング会社に1クリック当たり3,000円払っているわけですから、1,000円入ってきたところで赤字になっていく、当然人件費もかかるし、車両費もかかるし、工賃もかかるし、いろいろな費用を加味すると、そんな数千円とかで受けられるようなものではないということから、このリスティングで出ている数百円、数千円でサービスの提供ができますよというのは、基本的には、不当表示と言えるのではないか、だからこそ、この判例でも、これは不当なものであるという判決が出たのではないかと私は考えています。

今日の結論として、私がぜひ皆さんにお伝えさせていただきたいのは、これまで、過去3回開催されてまいりました、このレスキュー商法をテーマにした本会議、私は全て拝見をさせていただいたのですけれども、やはりその中で、具体的にどういった対策が講じられるのかというところで、これは、すみません、業界団体としてというよりは、私個人の26年間ネット広告の専門家として、消費者被害をなくすために活動してきた人間としての意見になるのですが、このレスキュー商法の消費者被害をなくす方法、対応策というのは2つです。2つしか、むしろないと思っています。これ以外の方法はないというのが私の個人的な意見です。

1つは、悪質事業者グループを徹底的に処分すること。警察の方や行政の方が、今ある法律をフル活用し、その事業者を徹底的にたたき潰すというのが1つ目。

2つ目は、デジタル広告プラットフォーム、先ほど非常にありがたいのは、増田先生のほうから、デジタル広告プラットフォームに申入れもしたと、でも、なしのつぶてだし、広告も消えないと情報共有いただきました。

その消えない理由は何かというと、この国に法律がないからなのです。デジタル広告プラットフォームに対して法整備、規制ではなくて、まず、広告会社の人間としては、法規制ではなくて、まず、法整備をお願いしたいと考えています。法律で違法な広告や、違法な会社との取引を禁じると。これは、実際に各規約であったりガイドラインでは、基本的に明記をされているのです。でも、日本にはその法律が、デジタル広告プラットフォームに特化して、彼らに対して違法な広告や、違法な会社と取引しては駄目なのだよと、それを続けるのだったら、巨額の罰金を科すよといった法整備を行うことが、まず第1だと私は考えています。その法整備さえあれば、各デジタル広告プラットフォームの優秀なスタッフや社員の人たちが、日本でデジタル広告プラットフォームを名指しした法律ができたから、我々の規約であったりガイドラインに沿って、ちゃんと適切に審査をしましょうとか、ホワイトリストを活用しましょうとか、外部の人を雇い入れて、そこで排除していきましょうと、そういった活動が、多種多様なやり方というのが取れるはずですので、そこはもうプラットフォーム事業者に任せる、その土台となる部分として法整備を行うというのが、まずは最初の一歩として必要ではないかと私は考えております。

悪質な広告を出してくる事業者というのは、決まった手口であったり、グループ、組織でやってきています。ですので、やろうと思えば、簡単に排除することはできます。あえて、簡単にという言葉を私は使います。簡単にできます。消費者被害を生み出しているネット広告をなくすことは簡単にできますので、そのために法整備、違法な広告をちゃんと排除しなさいよといったものを、デジタル広告プラットフォームに課していただくのが、最初の一歩ではないかと考えております。

すみません、15分弱ぐらいかと思いますが、私のほうの発表は以上とさせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

最初の御紹介が一般的な御紹介だったのですけれども、本日のテーマにより即した形でリスティング広告に特化して、その仕組みを丁寧に御説明いただくとともに、最後のほうでは、対策としての御意見、特にデジタル広告プラットフォームに対する法整備がどのように、いかに必要なのかということと、それができるのだという具体的なお考えを示していただきました。ありがとうございます。

それでは、続きまして、東京大学大学院法学政治学研究科の宍戸教授から御発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○東京大学大学院法学政治学研究科宍戸教授 御紹介に預かりました、東京大学の宍戸でございます。

御紹介いただき、ありがとうございます。また、このような場合にお招きをいただき、意見陳述の機会を与えていただき、大変恐縮でございます。私も資料を用意しておりますが、こちらは、私のほうで投影してもよろしいでしょうか。

○鹿野委員長 はい、お願いします。

○東京大学大学院法学政治学研究科宍戸教授 それでは、こちらで15分程度と承知をしておりますので、発表をさせていただきます。

私は憲法の研究者でございまして、消費者問題あるいは消費者法に格段の知見があるわけではございませんけれども、事務局より、レスキューサービスに関して発表するようにという御下命を受けたところでございます。

どういうことかなと思って資料をいろいろ拝見しましたところ、要するに、先ほどお話がございましたけれども、リスティング広告等を含めて、最近のデジタル空間における情報流通の中で、レスキューサービスに関する広告等に起因する被害が起きているということに関してお考えなのであるだろう、私は、このデジタル空間における情報流通に関連して若干考えるところ、あるいは政府の検討に関わるところがございますので、その観点から自由に意見を申し上げればいいものと、合点をいたしましてお話をさせていただきたいと思います。

ただ、その議論の前提といたしまして、私も意見陳述をさせていただいたことがございますけれども、この間、消費者行政において、デジタル空間における様々な問題状況の変化、それから、現在ではパラダイムシフトという形で御議論いただいていることの、言わば一局面としてこの問題が考えられるのではないかということを、釈迦に説法ですが、一言申し上げておきたいと思います。

ですので、有識者懇談会の資料で恐縮でございますけれども、現実の消費者が置かれている課題、例えば左側にあるもの、それから右側ですけれども、国・行政において、この問題で規制者としての役割、支援者としての役割、それから後で申し上げることに関わりますが、例えばこの広告は、あるいはこの広告主はまずいよということをはっきりさせて、関係事業者あるいは消費者の予期を形成し、行動を促すという意味でのトラストアンカーとしての役割等々を、国において果たしていただくということと、また、それを民間団体、消費者側、事業者側それぞれで果たしていただくといった総合的な取組が必要であることの一環として、このレスキューサービスの問題があるのではないかと考えております。

一面においてそのような対応しなければいけない状況をつくっていると同時に、その対応をも可能としているのが、左側のデジタル化がもたらす状況でございまして、特に、先ほども話がありましたけれども、広告プラットフォーム、それから検索サービスということになるだろうと思いますけれども、デジタルプラットフォーマーに一定の規制を課す。その際、直接的な規制もあるだろうと思いますし、自ら適切な規律を行うように求めるといった間接的な規制あるいは共同規制的な手法も含めて検討がなされるべきであるだろう。また、それに対して右下でございますけれども、そのプラットフォーマーによる適切な規律がなされているかどうかについての政府の実効的なコントロールを全体として組み合わせる必要があるだろうということでございます。

それで、ここで問題になるようなデジタルプラットフォームによる情報流通の問題につきましては、他省庁で恐縮でございますが、総務省において、広告に限らず、情報流通一般について、デジタルプラットフォーマーの在り方と、それに対する適切な規律はどうあるべきかということについて若干議論をして、法制度整備等もしてまいりました。

貴委員会におかれましては、山本龍彦委員が、この問題に大変詳しく、総務省の検討にも加わっていただいたところでございますが、簡単に御説明申し上げたいと思います。

まず、第1に、この4月にプロバイダ責任制限法を改めまして、情報流通プラットフォーム対処法が施行されております。

これまでのプロバイダ責任制限法は、左側の免責要件の明確化、それから発信者情報の開示という仕組みを設けていたところでございますけれども、右側の③でございますが、大規模なプラットフォーム事業者等について、これは権利侵害情報のことを念頭に置いているわけでございますけれども、まず、削除を求める被害者からの要望があった場合に、その対応を迅速化することを求めております。

第2に、権利侵害情報と並んで、特定の類型の違法情報につきましては、これは当然表現の自由に関わることでございますので、プラットフォーマーが削除し過ぎても、削除しなくても困るところがあるものですから、その運用状況の透明化を求めるということをしております。

プラットフォーム事業者は、利用者の投稿等において、削除すべきものがあると考えたときには削除しておられるわけですけれども、その削除基準を策定公表することを求めております。

念のため申し上げますと、ある類型の情報を削除することを義務づけるのではなくて、事業者が削除するというのであれば、その削除基準を策定、公表するよう義務づけるものでございます。

ただ、この削除基準は、実際にどういうことを定めればいいのということに当然なると思いますので、3月に総務省においては、権利侵害情報と並んで違法情報についても、こういうものについては削除基準を定めるときには定めてくださいね、削除するときは削除してくださいねというガイドラインをお示ししております。

これは例示でございますけれども、その例示の中で、本日のお話に関わることで申しますと、景表法上の不当表示でありますとか、特定商品取引法上の誇大広告を例示させていただいているところであります。

したがいまして、これらの違法な広告につきましては、プラットフォーム事業者が削除することがあり得ることを前提に、その削除基準の策定などの透明化を求めるというのが、この情報流通プラットフォーム対処法の改正、施行されたものの要請と御理解いただければよろしいかと思います。

さらに続きまして、ここまでは権利侵害情報、違法情報であったわけですけれども、より広く現在デジタル空間で問題になっております、偽情報、誤情報、また、本日のお話にも関わりますけれども、なりすまし型の偽広告等、インターネット上の広告に起因する様々な問題について、情報流通の観点からどう考えるかということについて、検討会を総務省で行ってまいりました。

この詳細を御説明していると時間がなくなりますので、ごく簡単に要点だけ申し上げますと、要するにプラットフォーマーのことだけ見ていては、問題状況は分からない。、やはり情報空間の全体を見て、受信者、発信者、それから伝送を行うプラットフォーム事業者それぞれがどのような役割を果たし、どこに問題があるのかということを検討してきたということでございます。

そこにおいては、山本委員などがよく御指摘されるようなアテンションエコノミー、あるいはフィルターバブルといった問題状況、それからそれを支えている、今のインターネットの広告をベースとするエコシステムの課題について、広く洗い出したところでございます。

右下に消費者団体を挙げさせていただいておりますが、様々なステークホルダーによる課題解決と、そのステークホルダー間の連携を可能とするような基本理念、あるいは総合的な対策の整備とが必要であり、そのような中で情報転送プラットフォーム事業者に対して偽情報、誤情報あるいは問題のある広告への対処を考えていってはどうかという提言でございます。

中身はいろいろあるのでございますけれども、偽情報、誤情報に情報伝送プラットフォームが対応するときに、様々なコンテンツモデレーションの在り方がある。ただ、これは透明性とか比例性をしっかり考えてやっていっていただきたい。そのことを、例えば政府としては求めるといったような規律もあるでしょうし、本日のお話との関係で言いますと、広告の質の確保を通じた情報流通の健全性確保といった観点から、広告の事前審査の確実な実施と実効性の向上、事後的な広告掲載停止措置の透明性の確保等々のことを、今後、プラットフォーム規制として検討してはどうかと議論してきたところでございます。

以上を踏まえまして、残り時間、ごく簡単にでございますが、御検討いただいているレスキューサービスに関する広告の問題について、私見を申し上げたいと思います。

まず、総論を御覧いただきたいと思います。

デジタル空間の情報流通の健全性の確保につきましては、問題となる情報の発信、流通ごとの違いと、流通基盤であるプラットフォームや受信者のリテラシーのような共通性がございます。

それぞれの規制や政策形成を担う機関の適切な連携が重要であると考えております。また、情報流通の健全性が確保されないことにより、問題となる局面で何が意味のある情報かが分からない、例えばレスキューサービスについて、言わばホワイトな事業者さんと極悪層の事業者の区別が分からないというミクロな弊害にとどまらず、例えば、それがあることによってレスキューサービスを健全なものであっても利用することをちゅうちょするといった事態も起き得るわけです。それを更に一般化していえば、情報や情報流通が信頼できないという根本的な弊害が生じることが懸念されており、それは具体例を申し上げませんが、様々な事例で顕在化しつつある状況であると考えております。

その上ででございますが、今ここでの局面で申しますと、その問題が3層に分かれるのではないかと考えております。

第1は、消費者保護一般のためのデジタルプラットフォーマーへの対応。

第2層は、デジタル広告に関する消費者保護のための対応。

第3に、その中でもレスキューサービスに関する広告に関する対応と、細分化して少し議論を整理していただくといいのではないかと考えております。

一番上の抽象度の高いレイヤーでございますが、一般論として、国家がダイレクトにユーザー間の情報流通の規制をデジタルプラットフォームに義務づけるといったことは、媒介者を通じた検閲たり得るわけでございますし、また、デジタルプラットフォーマーの自主規制に委ねるということであれば、それはまた、私的検閲や競争上の課題を生じさせるわけでございます。

リスティング広告に対して、変な形で、おまえら規制をやれと丸投げすると、自社優遇みたいな問題、競争法上の問題も起きるわけでございます。

他方、ちゃんとやれという義務づけを課すにいたしましても、デジタルプラットフォーマー自身は、このような局面での消費者保護についての高い知見やインセンティブを持ち合わせておりませんので、これは政府等の適切な協働、働きかけ、あるいは誘導が必要であるだろうと思います。

以上が一般でございますが、次にデジタル広告に関する消費者保護のための対応ということで申しますと、まず、デジタル広告一般に関連いたしまして、詐欺、闇バイト、なりすまし、広告主のブランドセーフティ、競争上の問題、あるいは情報流通エコシステム全体への影響等が、様々議論されてきているところでございます。

デジタル空間のエコシステムに、この広告の問題は関わります。もちろん、それでプラットフォーマーは非常に大きな収益を上げていることもあり、そうであればこそ、一定の対応をすべきであると、その社会的責任もあり、義務づけをするということは当然にあり得ると思います。

また、先ほどもお話がございましたが、デジタル広告が消費者の権利を充足するという点への配慮も必要であるだろうと思います。

したがいまして、全体として過不足のない規律が、ハードロー、ソフトロー全体を合わせて実現されることが大事だと思われますが、繰り返しになりますが、デジタルプラットフォーマーには、広告の内容が優良誤認等に該当するかを審査判断する知見がなく、他の機関から提供される情報と組み合わせる必要があるだろうと思います。

ただ、もちろん、言うまでもなくデジタルプラットフォーマーは無力ではなく、媒介配信に関する知見はありますし、様々な取組を現に行っているわけでありまして、これを適切に、繰り返しになりますが、利用する、結びつけるということが大事であるだろうと思います。

また、先ほどのお話に関わりますが、デジタル広告全体の体系的アプローチを担う機関は、これまでのところ存在しておりません。

そうであるがゆえに、例えば、ここで問題になるレスキューサービス、あるいは消費者問題に関する広告の規制といった話と、それから、およそデジタル広告一般に関する、あるいはデジタル広告によって支えられている今の情報流通のシステムをどう考えるかというその全体との相互作用を、各省庁あるいは各ステークホルダーが、いろいろ議論しながら進めていく必要があるだろうと思っております。これが真ん中の層でございます。

その上で最終的な層でございます、レスキューサービスに関するものについて申し上げますと、最終的には、消費者と事業者のフィジカルな接点が、レスキュー自体で来るという接点が問題となるという意味では、デジタル完結する世界に比べれば、従来の消費者保護の局面に回収し得る。その意味では、消費者行政機関あるいは消費者団体の果たしていただくべき役割は大きいだろうと思います。

ただ、もちろん今までと少し問題状況が変わってきているわけでございまして、デジタル完結する空間における情報過多といった消費者の脆弱性というよりも、レスキューサービスを必要とする場面である、鍵がないといった局面という脆弱性に、スマートフォン、あるいは検索サービス、SNSの便利さが結合しているという局面に適切に対処する必要があるのではないかと思います。

これに対してデジタルプラットフォーマーに対応を求めるとすれば、この広告は問題ある、この広告の発信者は問題あるということを公的に判断し、要請等を受けてデジタルプラットフォーマーが、それに依拠して、一定のコンテンツモデレーションを行う、そして、それに対して免責を受けるといった取組を考える必要があるのではないか。

また、レスキューサービスに関する信頼できる広告を優先的に媒介すると、これもコンテンツモデレーションの1種でございますが、そういったことも考えられるべきではないかと思います。

先ほどの強制的な対応ということに関連して申し上げますと、すみません、私現在、個人情報保護委員会の委員を務めておりまして、そういう意味では、消費者委員会の委員の先生方の兄弟とまでは申しませんが、はとこぐらいの関係にはあるかなと思っておりますが、この3月、個人情報保護委員会におきましては、個人情報を違法に掲載するサイト、例えば破産者マップのようなサイトそれ自体に委員会が一定の権限行使を行った場合に、それを検索サイトに表示しないでくださいと個人情報保護委員会として要請するという仕組みを、いわゆる3年ごと見直しの中で、個人情報保護法に入れるというのはどうでしょうかという御提案を公にしたところでございます。

例えば、こういった仕組みも、この局面で考えられるところかなということを、参考までに申し上げておきたいと思います。

すみません、いただいた時間を1分程度超過いたしましたが、私からの説明としては、以上でございます。御清聴ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

短時間に非常に体系だって、全体的なこと、あるいはレイヤーに分けた基本的な考え方などについても、御発表、御提言をいただきました。

それでは、これより質疑応答、意見交換の時間としたいと思います。時間は、少し全体として押しておりますが、当初の予定どおり90分程度でお願いしたいと思います。

なお、宍戸教授におかれましては、12時15分に御退席予定と伺っておりますので、宍戸教授への御質問等は、早めにお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

それでは、大澤委員、お願いします。

○大澤委員 お三方とも大変勉強になる御報告をいただき、ありがとうございました。

私、まず総論としてお三方の御報告を伺って、私の思いというのは、共感するものは、宍戸先生のスライドの20ページにあるところで、一番上のポツのところですけれども、最終的には、消費者と事業者のフィジカルな接点が問題となるというところです。ですので、従来の消費者保護の局面に回収し得るというところが、まず、総論としては共感するところです。

ですので、今からさせていただく質問というのも、もちろんデジタルプラットフォームというのもあるのですが、それ以前に、今回のレスキュー商法のような手口に関して、従来の、例えば消費者契約法、特商法あるいは、もちろん民法も入ります、あるいは景表法、こういったものの対処というのは本当にできないのかということが、まず私の疑問です。これが総論です。

もちろん、ただ一方で、DPFに関しても、やはり法的な枠組みというのがもっと必要なのではないかという意識も持っております。

これを踏まえた上で、お三方の先生に質問をさせていただきたいと思います。

まず、1点目は、増田先生に伺いたいことです。

増田先生に伺いたいことは、私の今の総論に関することで、要は、結局は消費者と事業者が、特にこの密な、例えば深夜に及ぶとか、あるいは消費者が非常に困っている状況で対峙し、そこで高額な値段を提示されて、しかし修理しない限りは、例えばトイレの水詰まりが起きてしまっている状況だと、高いのでやめますというわけにいかないわけなので、そういった状況を踏まえた質問になります。

端的に申し上げますと、今回裁判所は、法行為という規定を使っていますけれども、つけ込み型勧誘を認めたと、増田先生が評価されていますが、仮にそうであるとすると、例えば、これは民法なのか、消費者契約法なのか、はたまた別の法律なのか分からないですけれども、そういうつけ込み型勧誘に関する一般条項を設けるということを考えるのでしょうかという質問です。

仮にそうであるとする場合に、その効果というのが問題になるかなと思います。もちろん民事的な効果というのもあり得るのですが、例えば、もっとより踏み込んだ効果として、例えばそういった一般条項をつくりつつ、具体的に、例えば行政的な制裁だったり刑事罰とか、もっと踏み込んだものが必要なのではないかと、そういうお考えはおありでしょうかということです。

というのは、昨今、新聞でも報道されていますが、トクリュウの詐欺対策について、政府はかなり踏み込んだ対応をしているようです。

それで、トクリュウと、例えば今回のようなレスキュー商法の悪質性は、そんなに違うのだろうかというのが、私が思っているところで、トクリュウに対しては、それこそ履歴等を残すようにということも、かなり踏み込んだことを政府は考えているようですが、このようなレスキュー商法のように、いわゆる取引が介在していると、まさに事業者と消費者のフィジカルな取引が介在すると、例えば、詐欺というのを本当に認定してくれていないような印象が、私はあるのですが、そういった点について、お考えを伺いたいと思っています。

具体的には、例えば、つけ込み型勧誘という一般条項を設けないにしても、例えば、価格に関しては、景表法の二重価格表示とかに当たらないだろうかという疑問がありまして、景表法はもちろんですが、例えば訪問販売だということであれば、特商法による執行というのも、個人的にはあり得るのではないかと、もっと強化すべきではないかと思っているのですが、この辺り、お考えを伺いたいです。

次に、笠井様に伺いたいことなのですが、リスティング広告自体は、悪ではないという点は、私、非常に共感するところがあります。

ですので、こういう広告自体を、リスティング広告が悪だからどうこうという、まず規制をかけましょうということではないと、私も思っております。

伺いたいことというのは、デジタルプラットフォーム規制という規制と言っていいのか分からないのですが、その法整備が必要であるということを最後におっしゃっていまして、私もそれは本当にそのとおりだと思っています。

宍戸先生の御報告の中にもあったと思うのですが、いわゆるガイドラインとか、いわゆるデジタルプラットフォーム事業者の法的拘束力のないものだけで、例えば違法広告とかを調べていくというのは、これは、私的検閲とか、そういったことになり得るというのは、そのとおりだと思いますので、法的枠組みを設ける必要があるというのは、私もそうだと思います。

私の聞き漏らしかもしれませんが、具体的にどういう法整備があるとよいのかというのを、簡単で結構ですので、例えばデジタルプラットフォーマーに何か責任を設けつつ、例えば広く免責を認めるとか、いろいろなやり方があると思うのですが、伺いたいと思っています。

次に、宍戸先生に御質問をさせていただきたいことですが、基本的に今回御報告を伺い、かつスライドも拝見させていただいて、本当に共感するところは非常に大きかったのですが、今の笠井様の御質問にも関わることでもあるのですけれども、そのデジタルプラットフォーマーの法整備というときに、例えば、今回宍戸先生からは、情報流通プラットフォーム対処法について、いろいろ御説明いただいたのですが、この法律は今後、例えば今回のような、いわゆる詐欺的な広告だとか、そういったものにも有効足り得るかどうかという、私、全くの門外漢ですので、この点について伺いたいということです。

つまり、情報流通プラットフォーム対処法は、今回御説明いただいたように、ガイドラインでも景表法の話を出していますので、一般には、私の最初のプロバイダー責任法のイメージですと、いわゆる誹謗中傷のようなもの、SNSの誹謗中傷で被害を受けた人というイメージだったのですが、これが例えば、こういう取引のデジタル広告の流通、その中には当然悪質なものがあるわけですが、こういったものを今後コントロールする上で、この法律がどういう可能性を秘めているかという、すみません、素人なのですが、質問したいと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

お三方にそれぞれ御質問がありましたので、それでは、まず、増田先生にお願いします。

○レスキュー商法被害対策京都弁護団事務局長増田弁護士 まず、つけ込み方の一般条項との関係ですけれども、実際のこの事案については、多くの場合はクーリングオフの主張をして、クーリングオフの期間経過をしていても、契約書面に不備が多いですから、書面不交付などを主張して、法的には返還請求権を認めさせているケースが多いだろうと思いますが、ただ、クーリングオフの書面が整備されていくと、期間経過して救えないというケースが出てきて、その場合に毎回不法行為で損害賠償請求しますかというと、なかなかそこは難しいという中で、消費者契約法で救えるかというと、当てはめが難しいというケースが出てきますから、おっしゃるとおり、パラダイムシフトの専門調査会などでも議論されているかと思いますが、一般条項的な不当勧誘の取消権というのが、こうした問題の救済につながるということはあるだろうと思います。

それから、行政・刑事罰との関係は、むしろ非常に重要でして、今、申し上げたとおり、民事的にクーリングオフで個別に救済をしていても、救われるのは一部でして、根本は全然解決していませんから、事業者は明らかにそうですけれども、我々弁護士が入ると、なるべく返金対応をして、そこは、トラブルを極大化させずに、ほかで稼ぐという動きをしていますので、根本を断つということであれば、行政・刑事罰というのが必要だろうと思います。

トクリュウとの関係でいっても、先ほど申し上げたプレーヤーと呼ばれる現地に行くような人たちは、非常に年齢的にも若くて、必ずしも専門技術があるような人でもなくてということで考えますと、闇バイトに近いような形で、とにかく人集めをされていると。先ほど言ったとおり、売上の6割、7割もっていかれるということですから、相当吸い上げられているという構造ですので、それはトクリュウにも通じるようなことにも、要するに、ある種違法な行為をやることで、簡単に稼げますよということで人が集められるようなことになりますから、同じような部分があるかなと思いますし、やはり行政処分、刑事罰というのが適正に執行される必要があるかと思います。

特商法違反は、クーリングオフ妨害とかで逮捕しているケースは何件かあるのですけれども、詐欺かというと、なかなか警察が動きにくいところがあって、実際に全くやっていない行為を契約書に書いてあるということであればいいのですけれども、レスキュー商法は、そもそも工事現場の作業内容が十分に説明されていなくて、何をやっているかもよく分からないということがあって、なかなか難しい。

そうすると、特商法違反で刑事処分を受けても、それでもまだ、そういう商法を続けるほうが、うまみがあるということにもなりかねないということがあるので、そこは適切にやはり執行していく必要が、今より、むしろ容易に執行できるといいますか、問題のあるものを捕らえられるようにする必要があるかなと思っています。

○鹿野委員長 続きまして、笠井様、お願いします。

○一般社団法人日本アフィリエイト協議会笠井代表理事 大変貴重な御質問をいただき、誠にありがとうございます。

具体的な法整備について御質問をいただきましたが、どの法律にどういう条文をつけるかといったところは、むしろ私のほうからも法律の専門家である先生方の御知見や御助言を伺いながら進めていただければとは感じておりますが、今日私は、業界団体の代表ではなく、一専門家の立場でお話しさせていただく内容として、この法整備の部分の肝になるのは、シンプルかつスピーディーなことだと私は思っています。

要は、今、私の個人的な見解になりますが、違法な広告だということを認識した上で、そこから手数料を、広告収入を得ているわけですから、法的な責任は問えるのではないかと私は考えています。

でも、今ある日本の法律には、景表法にも、特商法にも、情プラ法にも、デジタル広告プラットフォームという名前が載って、デジタル広告プラットフォームは、違法な広告や、違法の広告会社と取引をしてはいけないと言った文章もないわけですね。

ですので、まずは、どの法律でもいいから、一番早く、所管官庁が違うので、どの法律が一番早くできるか、私は、ここは分からないので、むしろアドバイスをいただきたいのですが、まずは日本の国内の法律の中で、デジタル広告プラットフォームは、違法な広告を排除しなくてはいけないという文章をつけ、それをつけることで、その審査の担当や広告適正化の社内の担当が本国の人間であったり、法務の担当であったり、役員に法律でこういう文章ができたから、我々ももっとちゃんと動きましょうと、外部から来る情報を収集し、適切に対応しましょう、パトロールを強化しましょう、そういった動きにつなげるためにも、最も早く文章化できるところにシンプルで、反対意見が少ないであろう文章を盛り込むということを、私は個人的な意見として、今日は述べさせていただきました。

すみません、お答えになっていないかもしれませんが、以上です。ありがとうございます。

○鹿野委員長 続きまして、宍戸先生、お願いします。

○東京大学大学院法学政治学研究科宍戸教授 大澤委員、御質問ありがとうございます。

御質問は、情プラ法が、ここで問題になる消費者被害の広告あるいはレスキューサービスの広告等について、どういうポテンシャルを用いるかということであろうかと思います。

先ほど申し上げましたとおり、また、委員が的確に御整理いただきましたとおり、情プラ法の本体部分というか、これまでの部分は、誹謗中傷等の権利侵害情報等に関する民事的な民事法の特則でありますとか、発信者情報開示でございましたけれども、今回、行政規律といたしまして、大規模プラットフォーム事業者に対して、運用状況の透明化の規律を課したところでございます。

その中に、先ほど申し上げましたような消費者問題に関わるような情報について、一定の対応をする場合には、ちゃんと削除基準を定めなさい。それから、もう一個言い忘れましたが、それによってどういう対応をしてきたかということを公表しなさいということで、これは何かをしろと直ちに義務づけているわけではないのですけれども、プラットフォーム事業者が、例えば特商法に違反する広告等であると考えて、削除したかという件数自体が出てくるように、基本的にはなるはずでございます。

そうしますと、まずもってプラットフォーム事業者が問題をどのように認識し、どういう対応をしているかということが分かる。実はまずもって、まず問題状況としては、そのこと自体は制度的に担保されたということが、まず第一歩かなと思っております。

そこから先、例えば問題のある広告の削除を義務づける方向に、この法体系が働くかというと、これは直ちには、そうならないのでありまして、日本版DSAとか言われることがございますけれども、例えば、今、お話があったような一定の問題のある広告に対して、例えば、ガバナンス体制の構築等を義務づけるというのは、また別途、この情プラ法を改正するのか、広告に関する規制体系の中で行われるのか、消費者法制の中で行われるのか、その次のアクションだろうと思っております。

ひとまず、私からは以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

大澤委員、何かございますか。

○大澤委員 三先生方、どうもありがとうございました。大変参考になりました。

先ほどの笠井様と、今の宍戸先生の御発言を受けて、違法な広告を排除しなくてはいけないというところまでに行くという話に関連して、先ほどチャットに星野委員から御質問がありまして、非常にそれは興味深い質問だったのですけれども、これは、要するに、多分デジタルプラットフォーム事業者が、要はそういう違法広告を、現状排除しなくてはいけないという条文は、もちろんあるわけではないので、仮にそういう条文をつけたとしたときに、それをデジタルプラットフォーム事業者がやらなかったということになったときに、例えば、不法行為でいうところの幇助責任であったり、いろいろ法的なやり方をかます可能性はあるとしても、それによって広告費をデジタルプラットフォーム事業者は得ているわけなので、その違法な広告費を剥奪して、それを例えば被害者には還元するというか、そういう御質問の御趣旨だと理解をしました。それに対する増田弁護士からの御回答も拝見していて、非常に興味深かったです。

もしかすると、こういうプラットフォーム事業者の不法行為責任、特に幇助責任とか、こういうのを考えるときに、現状は十分ないとしても、例えば、違法な広告を排除する必要があると、排除してくださいとか、いろいろ要件のつくり方は問題になると思うのですが、そういう条文をどこの法律でつくるのかという問題はあるのですが、つくったときに、そうすると幇助責任を肯定しやすくなるとか、そういうのはあるのかなと、何となく思いました。非常に星野委員の御質問と、増田先生の御回答は、非常に興味深かったので、それにも関わるかなと思って、すみません、付け足させていただきました。

三先生方、どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 今日は非常に面白いというか、興味深くて、三賢人からいろいろなお話を聞いたという感じでした。その中で、最初にデジタル関係のことについて、笠井さんにお尋ねしたいんですけど、運用連動型の広告とリスティング広告の関係が、まだよく把握できていません。そこの点について、まず教えていただければと思います。

続いて、内閣府消費者委員会では、今までレスキューサービスに関係するまともな事業者の人たちのお話も聞いてきました。彼らは事業者として誠実に自らの事業を行っていることが分かりましたが、そのような誠実な事業者の努力を無にするような、消費者被害を惹起する連中が出てくることで、自分たちの業界も困っているという話を聞いています。

その関係で、まず三先生方にお尋ねいたします。基本的に「から」表示の意味です。「幾らから」というところが曖昧で、かつ、先ほど言われた運用連動型というか、クリック・バイ・ペイでもいいんですけど、広告主がDPFに支払うべき広告料金との関係で、恐らく経済的に成り立たないような表示があると、こういうものについては、景表法上の有利誤認になるのではないか。あるいは「から」表示の金額で役務が絶対に提供できないのだったら、おとり表示で5条3項3号のおとり表示で運用指針とかを改正することによって、既存の規範の運用或いは解釈として割と簡単に対処できるのではないかということを考えています。

その辺りの景表法上の指針を変えることによって、これがプラットフォーマーのどういう、宍戸先生の判断では、他の機関の情報と組み合わせる必要があるという19ページの言葉にも関係すると思いますけど、例えば景表法の表示に関する3号に関する運用指針が変わることによって、DPFはどのように変わっていくのかということについて、教えていただければと思います。

そして、更に具体的な点について、これは増田先生と、それから宍戸先生に主にお伺いしたいのですが、情プラ法の話はいただきましたけれども、デジタルプラットフォームの透明化法に関してです。このデジプラ透明化法は、ある意味ではBtoBの競争環境整備ということですけど、優良な事業者同士の競争環境を、このデジプラ法では確保するというのも、考え方としてはあり得ると思っています。メディア一体型広告デジタルプラットフォーム運営事業者とか、広告仲介型デジタルプラットフォーム運営事業者は、透明化法で指定DPFになっている事業者もあります。

そうすると、例えば、広告の中に、公正競争規約に従った広告であるということを表示しているところ、あるいは特定の事業者団体の広告指針に従った広告であるということを表示するところというのが、リスティング広告の中で、DPFはよりそれを有利に取り扱うべきであるという指針をつくることができないか、これは、悪質な事業者を情プラ法によって排除するという方法もあると思うんですけど、良い事業者を、例えば透明化法のこの辺りの運用指針の改正によって、より目立つような形で、まともな事業者が広告表示の中で上に上がってくるということは考えられないか、これは、3人の先生方にお尋ねしたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、まず、笠井様から御回答をいただければと思います。よろしくお願いします。

○一般社団法人日本アフィリエイト協議会笠井代表理事 ありがとうございます。

まず、最初の御質問でいただいておりました、運用型広告とそのリスティング広告の関係というところなのですが、インターネット上の広告を大きく分類すると、3つの種類に分けることができます。それが運用型、予約型、そして、アフィリエイトが含まれる成果報酬型ですね。

圧倒的に多い9割近いものが、この運用型広告というものが占めていて、残り10パーセントであったりとか、2パーセントであったりというところが、予約型や成果報酬型になってきます。

このリスティング広告というのは、主にこの運用型の広告の中に入ってきて、いわゆるシステムが入稿されてくる広告や出稿する広告を運用し、ターゲティングし、その中でこのリスティングと広告というものも含まれてくるという部分になります。

それで、私が先ほどお伝えした法整備という部分のデジタル広告プラットフォームという位置づけは、この運用型広告でそういった仕組みを、仲介であったり、提供を整備するシステムといったところでの法整備、ここにはリスティングも含まれるし、SNS広告も含まれるし、アプリの広告や動画の広告なども含まれます。

今、リスティング広告で、レスキュー商法の被害以外にも、ネット広告を起因して、例えば著名人になりすましの投資詐欺の広告被害であったりとか、美容関係の定期購入のトラブルであったりですとか、偽のセキュリティソフトのダウンロードの広告であったりですとか、そういう多種多様な消費者被害をもたらしてしまうネット広告というのが出ていますが、その大半が、皆さん御存じのとおり、こういった運用型の広告の中で、AIシステムが自動的に審査をしていると言っていますが、たくさん表示をされ、消費者が誤認して、もしくはだまされて申し込んでしまうという状況がありますので、ここを変えるためにも、この法整備といったところは、まず必要ではないかというのが、私の見解として付け加えさせていただければと思います。

どうしましょう、次に行って、その後で公正競争規約についてまとめて、それとも、今、私から、続けてよろしいですか、ありがとうございます。

黒木先生が前回か前々回か、この議題を持ち出していただいたときに、私も表示の部分の67番目ぐらいの公正競争規約、アフィリエイト等でもつくれればなということはずっと考えてはいるので、ルールをちゃんとつくって取り組む人たちが、真っ当に評価されるような社会というのがあるべき形だと思います。

その部分で、もし、それこそ内閣府であったり、政府のほうが、こういった公正競争規約であったり、適切なガイドラインに沿って取り組んでいる事業者の広告をちゃんと有利に、強制はできないかもしれませんが、こういったプラットフォームに対して真っ当にやっているところをより優位にポイントを付与するとか、上げるといった仕組みを導入させるような、そういった提言であったり、働きかけをしていただけると、我々としても非常にありがたいですし、今はまだ、協議会もアフィリエイト市場も規模感も小さいので、アフィリエイトというところに特化して言うと、今、足固めをして、いずれはちゃんとしたルールをつくり、それをもっと大きくと思っていますが、現状においては、そこまでの規模感にまだなっていないので、取組を進めているところでありますが、その進めるのと同時に、各広告プラットフォーム会社が、公正競争規約であったり、ガイドラインであったり、そういったルールをちゃんと守る広告主を私たちは評価します、優遇しますといった取組を進めてもらえるのであれば、それは真っ当にやっている事業者にとっては非常に追い風になるので、この議論は、ぜひ進めていただけるとありがたいと個人的には感じています。

以上です。

○鹿野委員長 続きまして、増田先生お願いします。

○レスキュー商法被害対策京都弁護団事務局長増田弁護士 御質問を全部拾っているかということがあるのですけれども、今のレスキュー商法の問題に関しては、先ほど笠井さんの御報告にもあったとおりで、経済的に成り立たないような広告というのがあり得て、それは弁護団としても、有利誤認に当たるようなものだと思っていますし、実際に適格消費者団体などとも連携して差止請求などにもつなげているところですので、それはそうかなと思っているのですけれども、先ほど宍戸先生が御紹介された情プラ法のほうだと、防止措置、停止措置に関して、景表法違反が、要するに対応できるものに挙がっているわけですね。対応できるものに挙がっているので、それに要するに問題のある景品表示法に違反している広告というものについては、情プラ法を背景として、プラットフォーマーは対応できるわけなのですね。

それを放置しているということであれば、先ほど大澤先生がチャットのやり取りのことを指摘いただきましたけれども、要するに問題があるということを認識しながら、それを放置しているということを裏づけることになるわけでして、そういうものがプラットフォーマーの責任追及にもつながって来得るのではないかと思っています。

何かあまり質問に答えているかどうか。

もう一点、ちゃんとやっている事業者を積極的に挙げるべしということについては、一般論としては賛同しますが、今、ダークパターンなども同じような動きが取り組まれているかと思いますけれども、ただ、実際、何がちゃんとした事業者なのかというところには、かなり慎重に考える必要がありまして、問題で、これは駄目ですよということは、挙げやすいと思いますから、そういう規制ないし、ソフトローの方向でこういうのをやってはいけませんとか、こういうことをやっているところを取り上げないようにしてくださいというのは言いやすいと思うのですけれども、先ほど、公正競争規約ということについても、これを満たしているから、積極的に挙げるべしというところまで言えるかというのは、課題が非常に大きいとは思っていまして、別に取り組むことについては、一般論としては賛同しますが、そういう課題があるという問題かなと思っています。

これは、ホワイト認証の一般的な問題だと思いますけれども、先の取組かなという感じはいたします。

○鹿野委員長 それでは、宍戸先生、お願いします。

○東京大学大学院法学政治学研究科宍戸教授 御質問ありがとうございました。2点、御質問をいただいたと思います。

第1点、指針の改定をされることによって、情プラ法の運用上、プラットフォーマーに適切な行動を促す、あるいはそれを問題とする余地があるのではないかということは、今、御指摘いただいたとおりだと、一般論としては思います。

その上で、あえて具体的に問題を落としたときのことを申し上げますと、プラットフォーム事業者にとって、例えば、日本法あるいは日本の制度整備の中で、こういった情報は流通させることに問題があるので、一定の対処をしてくださいということをハードローであれ、ソフトローであれ求める場合に、プラットフォーム事業者は日本国内外の事業者であるを問わず、大量の情報を処理しておりますこととの関係で、基準が正当で明確であることと、その基準を当てはめて、この表現、この情報が問題であるということの当てはめが明確であることとの2点が、ある種の媒体への対処を求める上で、重要なポイントになっていくというのは、様々な局面で、私は感ずるところでございます。

例えば、他省庁の例で申し上げますと、法務省の人権擁護機関が取り組まれる被差別部落等の情報の媒介について対処を求めるといったときに、その考え方はどうなっているのかと、どういう場合がそれに当たるのかということについて、かなり具体的に議論をプラットフォーマー側と政府側でしていかないと、オペレーションができないということがございます。

また、先ほど来問題になっております、様々な問題のあるユーザーの投稿等についてで申しますと、これは警察庁の実施しているものとして、インターネットホットラインセンターがございまして、基準を定めて、この基準に該当する投稿等あるいは動画等は、日本法上違法なものであるので、削除してくださいという要請を行うわけであります。

その要請を受けたプロバイダであったり、プラットフォーマーが、それに対して対処することが期待されているわけでございますけれども、その場合も当然ながら、この当てはめといいますか、基準自体が明確になって考え方が明確になっていることに合わせて、この情報はこういう理由だから、例えば銃器の製造に関して、こういう文言を使って、こういう絵が入っているから、ガイドラインに該当するので削除してくださいということをかなり明確に示さないといけない。

さらに言えば、プラットフォーム事業者がそういった仕組みになっているということが分かっていないといけないわけです。この延長線上で、最終的にはトラステッドフラッガーのような、プラットフォーム事業者にとって、この主体が、こういうプロトコールで、こういう手続で、この内容について言ってきた場合には、信用できるから優先的に対応できるとか、対応すべきであるとかいった取組をすることもあるのですけれども、いずれにしましても、繰り返しになりますが、基準の明確さと当てはめの明確さが求められるところでございます。

その関係で申し上げますと、景表法等の指針を改定して、これが抽象的、概念的には問題のある広告であるということ自体ははっきりさせたとしても、現実にプラットフォーム事業者において、何がそれに当たるのかとか、どういうものがそれに個別に該当するのかについて、そのところまで一歩踏み込んで、例えば消費者行政を所管されるところ、あるいは消費者団体等と、そのプラットフォーマーとの間で、ここだというのがある程度明確にならないと、実際にはオペレーションしにくい。翻って申しますと、プラットフォーム事業者の故意過失を問うということも、更に一段ハードルが上がってくるというところで、そこを詰めていただくということが大事かなと思っております。

今の話との関係で、後段というか、第2段の御質問のところになりますけれども、御指摘は情報流通プラットフォーム対処法以上に、デジタルプラットフォーム取引透明化法も、言わば動員するような形で考えていくべきでないかと、私もそういう議論が適切であろうと思います。

ただ、これも御指摘がありましたとおり、特定の広告ないし広告の主体を優先的に挙げていくということについては、政府がそれを求めていくことは、広告ビジネスの関係上も非常に難しいところがやはりあるのかな、それが経済的合理性があるかということを必ずプラットフォーム事業者は言ってくると思われるところです。

問題のある広告、あるいは問題のある広告を排除するほうが比較的簡単ということであるだろうと思います。

その上で、では、何かないのかということで考えますと、1つは、コンテンツのモデレーションの1つとして、これは優良広告主ですよということを、どこか外の世界で、ある種の業界団体なり、公正競争規約でも結構でございますけれども、あるいは業界団体でもいいですが、枠組みの中で決めて、その表示を広告が出るときに行う。何らかの形で、ここは優良な広告主体であるということが検索に出てくる広告にも、ちゃんと分かるようにすると、逆に、それがついていないところは、必ずしも優良広告主としての認定とか、相場での評価を受けていないということが分かるようにするというやり方で、状況を改善するということはあり得るだろうと思っております。

ただ、それももちろん義務づけられるかどうかというのは、やや難しいところがあるわけですけれども、ある種情報発信の主体の真正性とか評価を、検索とかに結びつけて対応が考えられるのではないか。私のスライドの最後に申し上げたかったのはそういう趣旨でございます。

お答えになっているかどうか分かりませんが、私からは以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

黒木委員長代理。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

非常にクリアな御回答をいただきました。また、ほかの委員の先生方の御質問が終わったときに、時間があれば、また、御質問をさせていただきます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。

御三方の発表内容、大変参考になりました。私、このことにあまり詳しくないので、的外れかもしれませんが、お聞きしたいので、まず、増田先生ですけれども、判決が出て560万ほどの支払いが命じられていますけれども、これは、ちゃんと支払われて回収されているのかということと、実際に、誰が、このお金を払っているのかというのが、もし分かれば教えていただきたいと思います。

それと、宍戸先生にお尋ねしたいのですけれども、今回大規模プラットフォーム事業者の義務というのがかかったということで、その中で削除基準を策定するということが書かれているわけですけれども、通常で考えれば、違法行為の部分については削除するという基準をつくるような気がするのですが、その場合に違法行為が行われている広告を削除しなかった場合、このプラットフォーム事業者に何らかの規制、罰則なり不利益なりがちゃんと課されるようなルールになっているのでしょうかということ。

そして、笠井さんにぜひ教えてもらいたいのですけれども、今の削除基準が策定されて、ある程度罰則ができれば、先ほど御指摘いただいていたようなデジタル広告プラットフォームへの規制にほぼ匹敵するように、私の感覚としては感じたのですけれども、それは、どれぐらい効果のあるものになるのかというのを教えていただければと思います。

以上3点、お願いできればと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、御質問の順番に、増田先生から、お答えいただきたいと思います。お願いします。

○レスキュー商法被害対策京都弁護団事務局長増田弁護士 先ほど御報告の中でも少し触れましたが、非常に回収は困難でして、判決が出たら相手が任意に払ってくれればいいわけですけれども、そうでなければ強制執行をかけなければいけないということで、銀行口座、預金口座の調査であるとか、あるいは財産開示手続などの財産を調査する方法というのは、一応あるにはありますが、なかなかこの種の事案は、いわゆる名義人、被告として挙げられている名義のところには、お金が残っていなくて、恐らくどこかに何らかの方法で流れているか、最初からそっちに行くようになっているということで、いずれにしても回収は難しくて、全く回収できていないわけではありませんが、実はまだ現時点でも、ある調査手続を実行しているという状況であります。結論的には、回収はあまりできていないというところです。

○鹿野委員長 続きまして、宍戸先生に御回答をお願いします。

○東京大学大学院法学政治学研究科宍戸教授 御質問ありがとうございます。

情プラ法は分かりにくい法律でありますので、御説明させていただきたいと思いますが、違法情報を削除しなかったことに対して大規模プラットフォーム事業者等に、一定の行政権限を行使することを認める法律ではございません。そうではありませんで、まずもって違法情報ガイドラインは、プラットフォーム上で情報の発信を行う際に、これらの情報は違法な情報発信に当たるので、発信者において違法なものであるので、プラットフォーム事業者が、そういうものとして削除することができるということをひとまずの前提として、それをやる場合には、ちゃんと基準を定めて、運用状況を透明化しなさいということを求めるもの、逆に言えば、その程度にとどまるものでございます。

もちろん、ちゃんと基準をつくっていないのに削除しているであるとか、運用状況を透明化しないということに対しては、行政権限の発動が当然にありますけれども、何か削除を義務づけるというものではございません。

これがとおり一遍の回答でございますが、更にもう一歩進んで申しますと、私共としては、当然、発信者においてその情報発信が違法であることをそれと知りながら、プラットフォーム事業者がそれを媒介しているという場合に、それは民事・刑事の責任が、共犯的にといいますか、共同不法行為的にですが、プラットフォーム事業者が問われ得るだろう、問われることがあり得るだろう。それは、この情プラ法がというよりは、情プラ法の外でそういうことがあり得るだろう、だから、プラットフォーム事業者においても削除することになるだろうということを念頭に置いて、具体的に違法情報ガイドラインにおいて、それを例示してみたというところでございます。

繰り返しになりますが、情プラ法は、したがいまして、プラットフォーム事業者に一切そういう違法情報を媒介したことの責任がないと免除するものでもなければ、逆に言えば違法情報を媒介したとして、新たに責任を課すものでもない、そのようなもので手続的な規律であると御理解いただければと思います。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、笠井様、お願いします。

○一般社団法人日本アフィリエイト協議会笠井代表理事 今村先生、御質問いただき、ありがとうございます。

罰則の効果というところで、私も同じ意見で、罰則があることによって一定の抑止効果というのはあると思います。

ただ、罰則次第だと思います。海外、例えば、アメリカ、ヨーロッパで、今、裁判も起こっていますけれども、その罰金の金額を見ると、大規模なプラットフォーム事業者に対しては、それこそ数百億、数千億、場合によっては兆を超えるのではないか、みたいな報道もあるぐらいの巨額の罰金を科そうという動きが見えます。

日本もそれぐらいの規模感の罰金、罰則を科すと、だから、違法な広告をちゃんと取り締まることを義務づけるとすれば、抑止力には十分になるかなと。

結局、このレスキュー商法のリスティング広告だけではなくて、あらゆる、いわゆる運用型広告で、消費者被害を発生させている問題で、誰が一番お金をもうけているかというと、残念ながら、このデジタル広告プラットフォームが一番もうかる立場にいるのですね。

というのも、先ほど言ったように、事業者がリスティング広告1クリック3,000円で出しました。彼らにとってのかもを見つけて騙すことができれば売上になるかもしれませんが、何百クリック、何千クリック広告費を払っても、誰も申し込んでくれなければ、当然、広告費の払い損になるわけです。だまされる消費者は当然被害者です。ただ、このスキームの中で損をしないのは、右から左にちゃりんちゃりんとお金を受け取る広告会社になるわけですから、そこに対して厳しい罰則を設ける。

大半の広告会社は、自主的に審査をしたり、違法な事業者は契約しなかったり、排除をしたり、登録のアカウント時にチェックをしたりということを、法律があるなしにかかわらず、ガイドラインであったり、自主規制の中で取り組んでいます。ですので、そういうことをやっていない事業者にやらせるためにも、最低限の法整備が必要で、そして、そこにインセンティブとして逆インセンティブ、やらなくては損するよと、やらなくては巨額の罰金を諸外国のように払うことになるよ、だからやりましょうねと義務づけていくと、これは非常に効果はあるのではないかと、私は個人的に考えています。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

今村委員、よろしいでしょうか。

○今村委員 ありがとうございます。

宍戸教授に、もう少し教えてもらいたいのですけれども、私、医療系とか、労働系とか、食品系の法律には結構オリエンテーションがあって、そういった世界では、自分たちが決めたルールを守らなかったときに結構重たい処罰が出るような法律体系が多いのですね。

例えば、労働基準法の36協定とかは、自分らが決めた時間を超えた場合、労基法の違反になるとか、食品衛生法の賞味期限とかも、自分たちで決めた基準を超えて売ったら違法になるという、そんな体系になっているのですけれども、この大規模プラットフォームの事業者への義務に、そんな規制をかけていくということの可能性というのは、あり得るものなのでしょうか、その辺のところの感覚が分からないので、教えていただければと思います。

○鹿野委員長 お願いします。

○東京大学大学院法学政治学研究科宍戸教授 それは、もちろんあり得ると思っております。今回の法律は、そこまでいっていないということです。

○今村委員 ありがとうございます。よく分かりました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、中田委員からお手が挙がっていますので、中田委員、お願いします。

○中田委員 詳しい御説明をありがとうございます。

今日は、後半からの参加になってしまい、大変申し訳ございません。もしかしたら既に御説明いただいていることかもしれないのですが、また、そもそも論の御質問になってしまうかもしれませんが、2点御質問させてください。

1点目は、増田先生にお伺いしたいのですが、資料の31ページに問題点の2として、リスティング広告サービス提供者による広告掲載の問題として、不当な表示をする広告について、ほとんど審査を素通りしてしまうという現状の御説明があったのですが、テレビ、新聞等の広告には厳しい広告審査プロセスが設けられて、それが実際に機能している状況がありますが、テレビ、新聞と同様に、公共性が高く、かつ、テレビや新聞が受動的媒体に対して、消費者が能動的に意思や明確な目的意識を持って検索をするという行為を行うデジタルプラットフォーム上の広告において、なぜ審査を素通りするということがまかり通ってしまうとお考えでしょうか。

デジタルプラットフォームのメディアとしての公共性や生活者への影響が、レガシーメディアより軽視されているという社会的認識も背景にあるとお考えでしょうかということが1点でございます。

2点目は、できれば宍戸先生に伺わせていただければと思いますが、今、今村委員もおっしゃいましたけれども、デジタルプラットフォームは、各社自らが掲げる広告掲載基準や広告ポリシーにおいては、不実、不当表示、虚偽表示だけでなくて、有利誤認、優良誤認、詐欺的悪質商法とみなされるもの、またはユーザートラブル情報が複数確認されたクライアントの報告表示や、自主ルールで禁止しているにもかかわらず、これだけ多くのトラブルを起因する広告掲載を継続している理由はどこにあるとお考えでしょうか。

そもそも、影響力の強いデジタルプラットフォーマーが上場企業であったり、大手企業がほとんどの中で、自社が掲げるポリシーに則った運営がされていない、ガバナンスが効いていない状態が放置されていること自体、大変嘆かわしい状況であると思います。

これは、企業ガバナンスとしての要件として求めることでは不十分で、より厳格な新たな法整備や罰則規定等を整備することで、自社が掲げるポリシーを遵守するようにと促す必要があるのかということについて、私、若干疑問も感じるところでもありますが、自社が決めたことを遂行しないのであれば、もう業務停止命令も十分あり得ると感じるのですが、この点について、御見解をお聞かせいただければと思います。

以上2点でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

1点目は、ごめんなさい、聞き漏らしてしまって、どなたに。

○中田委員 増田先生に。

○鹿野委員長 分かりました。

それでは、1点目、増田先生にお願いします。

○レスキュー商法被害対策京都弁護団事務局長増田弁護士 増田です。

御質問のとおりで、レガシー広告といいますか、ネット広告以前の広告審査と、やはり違ってきているということがあって、従前でもテレビ広告と新聞広告と週刊誌、雑誌の広告等で、それぞれ審査のレベルが違うとかということはあり得たのかもしれませんが、それとは全く一線を画すような形で、ある種、我々からすると、ほぼ詐欺に近いような問題がある広告ですら掲載されてしまうということが、より容易になっていると思います。

これは、単純に数というか、申請の仕方の問題が従前と全く違っているのだろうということはあるかと思いますし、EUとかでも、そういう事前審査をどこまでするのかということは、大体問題になって、ある種事前に審査し過ぎると、逆にプラットフォームという環境の中で、競争力を阻害して一部の事業者を守るようなことになるとか、そういう議論までできてしまって、ある種、事前の審査は難しい、できないのだということが、当たり前のような1つの論理になっているような感覚は受けます。

しかし、確かにあらゆるものを詳細に全部見ていくというのはできないのかもしれませんが、今日問題としているような広告について、そこは本当に、もう少し事前で予防できないのかというと、そこはやはり疑問がありまして、もう少し何らかの対応ができるのではないかと思います。

あとは、事後の対応ですね。先ほどもありましたように、情プラ法の中で、情プラ法自体が規制するものではないのですけれども、少なくとも景表法違反については対応しなくてはいけない広告主側の違反行為であるということで、それを発見して対応するという施策を何も取らないでいいのかということについては、やはり疑問が呈されるわけでして、何も取っていないとは申しませんが、やはり実効的になっていないのであれば、実効的な対策が必要なのだろうと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

続きまして、宍戸先生にお願いします。

○東京大学大学院法学政治学研究科宍戸教授 御質問ありがとうございます。

私も違法・有害情報対策との関係で、なぜ自分たちで定めたルールどおりにやってくれないのだということは、何年間もプラットフォーマーの方々と、総務省の場で向き合ってきた側でございますので、大変気持ちは共感するところが多く、賛同するところでございます。

ただ、先ほど申し上げましたが、実際問題として、分かる部分もありまして、1つには先ほど申し上げたことに関わるのですけれども、そのルールにこの表現が当たると、我々は外から見ていて思うのだけれども、本当にそうなのかと、プラットフォーマーの側から言わせると、分からないということが多いということです。当てはめの明確性ということを申しましたけれども、それでございます。それは、自主基準についてもそうですし、法律上の基準についてもそうです。

したがいまして、これは該当するよ、違法だよと政府に言われた、公権的に認定を受けた、あるいは何らかの民間団体での信頼できる主体から言われているにもかかわらず、削除しないとか、もちろんそれもどこまで強制力、あるいは重たい手続を課すかどうかということはありますけれども、それと組み合わせるのが1つポイントかなと思ってきているところがございます。

2点目は、今、これも御指摘がございましたけれども、競争上の問題があることも確かでございます。

競争上の問題、プラットフォーム上でいろいろ広告を出す事業者間の広告出稿についての公平性は、各国も日本も求めているところであり、その観点からすれば、プラットフォーム事業者からすると、特定の広告をどうする、どうしないといった問題について明確な決めがないまま、動きませんということはございます。

しかし、それ以上に、恐らくプラットフォーム事業者にとってより重要なのは、プラットフォーム事業者間の競争の問題であるだろうと思います。

あるプラットフォームの事業者がクリーンな広告の在り方をしようと、そのために広告の審査体制に対して、非常に手間暇を日本市場の中でかけることを行うけれども、他のプラットフォーム事業者は行わないということがあれば、そっちにお客が逃げていくということになるわけでございます。

そういう意味では、実は寡占体制で、例えば検索で2者あるいは3者がいて、それに対して協調的な規律を行うというほうが、むしろやりやすいところはあるのですが、これは競争法の考え方と、消費者保護の考え方の調整とをちゃんとした上で求めるということでないと、うまくいかないことになるだろうと思います。

3点目は、今のお話にも関わりますが、最終的にはプラットフォーム事業者に対して、やはり経済的なインセンティブを与えない限りは、うまくいかないというのは最終的に見えていることでございまして、先ほど課徴金のお話がございましたけれども、1件1件というよりは、全体として報告審査体制を適切に整備し、運用しているか、それがなされているか、なされていないかということを、政府の側にも相当の覚悟とチェック体制が必要だと思いますが、確認した上で、これはやるべきことをやっていないということで、しっかりとした課徴金を課す。そこまで来れば、やはりプラットフォーム事業者も、そこまでの覚悟があるのだったら、こっちはやらざるを得ないねということになるだろうし、逆に言いますと、これまでいろいろな局面で有害情報対策をプラットフォーム事業者に求めてきても、結局そこまで政府なり社会の側に覚悟がないまま、何か口先で、あれやって、これやって、プラットフォーマーはお金を持っているのだからできるでしょうみたいな感じで言ってきているだけだと、とてもとても日本法人の担当者として、本国企業と話をしてそういうことを求められないといったところがあったように思います。

これは、全体として、日本社会、政府のプラットフォーム事業者、国内外を含めてですけれども、向き合い方の問題が、大きいかなと、自戒を込めて考えているところでございます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

中田委員、よろしいですか。

○中田委員 御丁寧な御説明をありがとうございます。

やはり複雑な要因があるということを改めて理解いたしました。

広告等の審査については、例えば、レガシーメディアについては、メディアだけではなくて、中に介在する広告代理店でもかなり厳しく審査をしていることによって、被害が防げているという状況がありますので、デジタルプラットフォーマー上の広告主も数が多いということもあるとは思うのですけれども、ここの捉え方といったところは、より慎重に見ていかなくてはいけないのかなということを思いました。

どうしても問題の本質が捉えられないと、消費者委員会の私たちも議論していても、解決方法が実際の解決につながらないということもあるかと思いまして、自戒の念を込めまして御質問させていただきました。ありがとうございます。

○鹿野委員長 それでは、続きまして、小野委員から質問をお願いします。

○小野委員 小野でございます。

私は、専門が消費者教育ということで法律という観点ではなく、どちらかというと、問題の未然防止とか、早期解決を目指した取組をしているところなのですけれども、今日先生方のお話を、消費者個人では何ができるか、行政と企業である社会は何をしないといけないのかということを考えながら、拝聴させていただいておりました。

後ほど、日本アフィリエイト協議会の笠井代表理事に、御存じであれば、教えていただきたいと思い、発言を続けさせていただきますが、例えば、宍戸教授の18ページのスライドなどでは、消費者保護一般のためとか、デジタル広告あるいはレスキューサービスに関するデジタル広告と、少し整理をしながら、こういった議論を重ねないといけないなということで、大変理解が進みました。

規範的思考に基づいて、意思決定をすることを目指すのが消費者教育だと思うのですけれども、デジタル広告については、例えば、笠井代表理事の7ページにありましたリスティング広告の出稿元と、それからターゲッティング確認方法、これは、早速、大学の授業でも試してみたいと思いました。

また、増田弁護士の御説明で、現場に向かう工事者は若い当事者が多く、利益の3、4割しか受け取らないということでして、これは被害に遭わない教育だけではなくて、加害者というのか、自分が結果的に被害者を生むという立場になり得るということを伝えていくというのも、学校教育でぜひ取り組まないといけないということだと思いました。

笠井代表理事に質問をさせていただきたいと思うのですが、日本アフィリエイト協議会は、どちらかというと意識のあるといいますか、そういった事業者が関わっておられるとは思うのですが、不当な工事業者をも巻き込んだ形で、加害者にならないための情報を届けていくか、そういったことをされているのであれば、そのお取組を、これからということでありましたら、行政ができるヒントをいただいて、私たち委員会で、ある程度提案をしていかなくてはいけませんので、御教示をいただきたく、質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、笠井様、お願いします。

○一般社団法人日本アフィリエイト協議会笠井代表理事 ありがとうございます。

ごめんなさい、お答えになるかどうかは分からないのですが、我々の取組としては、この場でもよく議論されている善良層、中間層、極悪層と事業者を分けていて、中間層が極悪層に、ダークサイドに落ちないように、その人たちを引き上げるという教育を、それこそ日本広告審査機構のJAROさんであったり、通販協会のJADMAさんであったり、先ほどの各都道府県の方や、適格消費者団体の方、そういった方々と一緒に共催したりですとか、協力いただきながら、まさに、小野先生がおっしゃっているような消費者、そして、事業者の教育啓発というのを、今もまさに募集しているのですけれども、24時間365日、アフィリエイトの始め方や、やってはいけないこととか、注意点とか、知っておくべき法律を無料でどこでも学べるよという機会を用意させていただいております。

ありがたいことに、これをいろいろな消費者相談の現場とか学校教育の中で、日本アフィリエイト協議会が、もうメルアドだけ投げれば、すぐそういった動画が見られるという御案内をいただいているので、一定の消費者教育を、微力ながらお役に立てているかなと思っています。

ただ、問題は、もう一つの極悪層なのです。ここは、もう法律を守りません。覚悟を持って、先ほど宍戸先生のほうから、覚悟を持った日本の取組が必要だという話もありましたが、悪質事業者も覚悟を決めて法律を破っているので、彼らをいかに排除するか、たたき潰すかという取組が必要です。

そのために、我々は、もう何年も前から、消費者庁含めて行政機関との連携を強化し、今日、資料にも掲載させていただいたように、景表法や特商法の執行権限のある都道府県とも、今、3県と連携しながら、我々のほうからも情報提供し、この人たちがブラックリストで、こういう違法な広告を、このプラットフォームに、こんな手口でやっていて、消費者相談センター188から電話が来たときに、このように受け答えをして逃げようとしていると、証拠はこれですといったものをフルパッケージで動画をつくり、それを定期的に相談員の方々であったり、行政の方々であったり、執行権限のある方々に、マスコミの方々に提供して、注意喚起や行政処分であったり、そういう悪質事業者を徹底的にたたき潰すほうをやっていただくといった、両輪のやり方で、今、協議会としては活動をさせていただいております。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

小野委員、よろしいですか。

○小野委員 大変意欲的な取組をされていて、私がフォローしきれていなかったのですが、ぜひ、参考にさせていただきます。ありがとうございました。

○一般社団法人日本アフィリエイト協議会笠井代表理事 ぜひ呼んでいただければ、ボランティアでも無償でも話に行きますので、声をかけてください、よろしくお願いします。

○小野委員 ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかには、それでは、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 増田先生の31ページのリスティング広告サービス提供者による広告掲載の問題の中で言及されている、一定の民事責任を負う立場にあることを明示すべき新規立法や、電子取引の準則による対応という、この一文が非常に気になっていまして、この中身をもう少し教えていただければ幸いです。

具体的に言うと、問題意識としては、日本コーポの最高判例(平成元年9月19日判決民集43巻8号955頁)があります。この日本コーポの最高裁の判例の中では、最終的には、新聞広告事業者は、広告内容の真実性に疑問を抱く特別な事情があって、読者らに不測の損害を及ぼされることを予見し、または予見していた場合には、真実性の調査確認をして、虚偽広告を読者らに提供しない義務があると判示されています。

ところが、リスティング広告は、笠井さんから聞いている限り、かなりアルゴリズムに依拠していて、それも広告内容を審査するよりも、より高額な入札とか検索者の場所が近いかとか、そのようなことに連動するアルゴリズムで広告表示が上に行っているというところであるとすると、彼らの広告内容調査義務というものが、どう考えられるのかという点がよく分からないんです。確かにこれで大もうけしているのは彼らだということで報償責任というのは言えるのかもしれませんけれども、そこを裁判実務の中でどのように民事責任ということをおっしゃりたいのかということについて、教えていただきたいんです。

あと、ここで続けて新規立法や電子取引の準則による対応というところもありますけれども、ここについても詳細を教えていただければありがたいと思います。

そして、この点は、もしかすると、宍戸先生の資料の19頁最後の「デジタル広告全体の体系的アプローチを担う機関は存在せず、個別の課題と全体の相互作用を見据えた調整が必要」という御指摘をどのように理解すべきかという点とも関連するのかもしれません。例えば、何らかの形で司法判断といったものが出て、賠償責任というものが、例えば、アルゴリズムに任せているということは、一種のシステム責任みたいな大きな話に、民事上はなるのかもしれません。しかし、そういうところに違法性があるという判断が出てくると、19ページに書かれている文章というのは、どのようになるのかということも、もしもお時間があったら教えていただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、増田先生、お願いします。

○レスキュー商法被害対策京都弁護団事務局長増田弁護士 なかなか難しいところではあるのですけれども、弁護団として、今後のある種、被害救済を含めた訴訟活動において、どうやって法的構成を立てるのかという問題もありますが、今のこの時点では、プラットフォーマーに対して、どういう責任を理論的に構築し得るかという観点でお答えしたいと思いますけれども、いろいろあるかと思うのですけれども、報償責任を使用者責任などと結びつけて考えていくということであれば、使用者責任も、いわゆる使用関係だけではなくて、委託関係においても客観的に、規範的に考えて拡大すると、使用者責任の拡大的な発想というものもあるかと思いますし、むしろ先ほどから少し出ていますけれども、本来的に対応可能な部分をやっていないというところで、審査の部分であるとか、審査の整備の問題であるとか、あるいはその申出を受けたときに対応しないであるとか、そういった点で過失を構成し得るのかということで、過失による幇助のような形で構成する必要もあろうかと思います。

先ほど黒木委員御自身も御指摘されていましたけれども、こういう場合に、そもそもそういう関与ということで、今の使用者責任とか幇助ということで捉えていくと、プラットフォーマーは、そういうアルゴリズムで自動的にということを、要するにテクノロジーが発展していけばいくほど、関与の程度が薄まっていくということで、使用者責任とか、そういう幇助で捉えにくくなっていくということが出てきて、そうすると、むしろそれは、そういうシステムの構築責任ないし提供責任という形で捉えていくということ、そういうシステムの管理、運営、設置の中で捉えていくということもあるかなと思いますし、さらには、そういうプラットフォーム市場の管理ということもあるかなと思っています。

これは、一般論として、そのシステム責任や、そういうシステム管理の責任というものについては、参考になる裁判例などもあるかなと思っています。

それで、これ以上は、むしろ、それこそ鹿野先生とかの御専門に入っていくのではないかと思いますが、より発展的に考えれば、デジタルプラットフォーマーが独立した、要するに第三者で関係ないというよりも、複合契約的に考えて、複合契約というか、契約の複合性というか、そういった中で関係ない第三者ではないということでの責任構成というのも考えられるかなと思います。

現場で責任追及していくということであれば、最近はメタ社に対する訴訟などもありますけれども、先ほどの情プラ法の関係、宍戸先生から、なかなか基準が明確でないと、なかなか過失を問いにくいというお話もありましたが、そうは言っても我々弁護団としても様々な指摘をしているところで、現実に問題が発生し、なおかつ、それで収入が上がってしまっているという状況の中で、対策がどのように取られるかという点においては、そういう関与者、幇助者としての責任を追及し得るのかなと考えております。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、宍戸先生は、お時間が15分までと伺っていますが、19ページの相互作用を見据えた調整ということについて、黒木委員長代理から言及がありましたので、もし何かございましたら、お願いします。

○東京大学大学院法学政治学研究科宍戸教授 ありがとうございます。できるだけ簡潔に申し上げたいと思います。

まず、第1に日本コーポ事件判決は、私はプラットフォームの前は、放送とか新聞の規制とかを勉強していて、どちらかというと本業はそっちでございますので、いつも議論するのでございますけれども、メディアとしての調査能力がある、そして、そういうものであるとして、読者が新聞を信頼しているという関係性がある種前提になってきたところがあるかと思います。

そうなると、デジタルプラットフォーマーにそういう信頼をみんながしているか、グーグルの検索だから、みんながこの広告を信頼するということがあるかないかと、結局そういった問題に関わってきて、なかなか難しいところが一面においてあろうと思います。

また、その全体と個別ということで申し上げたかったのは、今の局面で申しますと、こういうことでございます。

私ども、今この場では、レスキューサービスに関する広告の問題として議論をするわけですが、プラットフォームあるいはデジタル広告の現場で、そういうラベリングがされて広告が取り扱われているということであれば、規制は書きやすいわけですが、裸で、いわば全部AIによって自動的に選別されたり管理されている情報で、何かそういう特定のラベルをつけることなくぼんぼん広告が表示されたりしている、とりわけ運用型広告についてそうだということになりますと、やはり、コントロールが非常に難しい。プラットフォーマーにとっても、外部からそれをコントロールするのも非常に難しい。

それを、例えばレスキューサービスの広告あるいはこういう類型の広告について何とかしなさいと言うと、そもそものAIのつくり方にひと手間かけろという話になるのだろうと思います。だから、それがなかなか難しいということであるだろうと思います。

ですので、そこをどうするかということですが、先ほど来お話があるように、いわゆるシステミックリスクへの対応をプラットフォーム事業者としてきちんとやってください、こういったリスクはあるはずですねと日本社会として伝える、そのアウトカムにおいて、そのような問題が起きていないかというものの1つとして、レスキューサービスであるとか、より広く言えば、脆弱な消費者に対して変な広告が出ていないかということを求めていくことになるのだろうと思います。そういう規律を求め、規律をしていないのであれば、しっかり対応してくださいということを、民事なり行政法的に追求していくことになるのだと思いますが、その際に、恐らく手がかりになるものがあるとすれば、1つは、もはやこの世界ではやや古い決定になっておりますけれども、平成29年1月31日のグーグルの検索結果削除事件の決定において、アルゴリズムを使って表示をしていることにおいて、その検索事業者自身の表現行為としての性格を有する、そのことが検査結果削除の義務を一定の限度で認める根拠になっていったわけですね。

日本の法源あるいは法素材の中で、手がかりになるものがこの局面であるとすれば、あの決定かと思います。アルゴリズムをつくって、そのアルゴリズムでアウトプットを出しているという以上、それは、あなたの表現行為としての性格を有するのだ、それは検査結果だけではなくて、あちこちインターネット上からクロールして情報を取ってきてつくっているものに比べれば、自分のところに広告として引き入れてやっているわけですので、よりその責任は重たいはずではないのか、アルゴリズムで選別しているにしても、より重たいものなのではないのかといった辺りから議論を詰めていくということが1つ考えられるかなと、御議論を伺っていて感じたところでございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

○黒木委員長代理 もう私は十分でございます。ありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、宍戸先生は、時間の御都合があるところ、ありがとうございました。こちらでは、議論を続けさせていただきたいと思います。

○東京大学大学院法学政治学研究科宍戸教授 それでは、こちらで失礼いたします。

○鹿野委員長 どうもありがとうございました。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。大変勉強になりました。

○鹿野委員長 続きまして、柿沼委員から御質問をいただいておりますが、今、柿沼委員が入室されていらっしゃって、可能であれば、柿沼委員御自身で御質問をいただけますでしょうか。

もし、難しいようでしたら、事前にいただいておりますので、事務局から読み上げさせていただきます。それでは、事務局からお願いします。

○友行参事官 事務局でございます。

柿沼委員から質問をお預かりしております。1つは、増田様への御質問、もう一つの固まりは、笠井様への御質問となっております。

先に増田様への御質問について、そのまま読み上げます。

グーグルに対して、これまで申出を行っているということでございますが、ほかのプラットフォーム事業者にも同様の申出をされていますか。そして、それらの申出により具体的な対応が行われた結果、実際に目に見える効果が確認された事例がございますか。その詳細について、お伺いできればと思います。

例えば、ユーザー保護や透明性向上につながる具体的な施策が実施されたか、また、それによる影響がどのように評価されているのかあれば教えてください。

もう一つございます。本日、御紹介された訴訟結果の中で、クーリングオフによる解決の部分については、特段裁判所などからもお話がなく、その解決が認められなかったということでございますが、消費者相談の現場においては、事業者と話を進める際、クーリングオフの制度が極めて重要な役割を果たしています。今回認められなかった理由について教えてください。

以上2点でございます。

○鹿野委員長 それでは、増田先生、お願いします。

○レスキュー商法被害対策京都弁護団事務局長増田弁護士 申出に関しては、グーグルだけですけれども、基本的には全く何もないところで申出をしているわけではなくて、被害の相談があった案件について申出をしているということです。

それで、今のところレスキュー弁護団のほうで申出をしている件については、グーグルで検索してヒットして被害に遭ったという経緯があったので、その旨、関連する広告の停止を求めているということです。

先ほども御報告の中でも申し上げましたが、それについて回答というものが返ってきたことはありませんし、実際、その申出をした広告がそのままになっているということもありまして、弁護団としては、何か対応をされたという認識はしていないということです。

2点目ですけれども、クーリングオフが認められなかったわけではありませんでして、主位的に不法行為という形で請求して、予備的にクーリングオフを主張していて、なおかつ不法行為については、被害金額だけではなくて、不法行為の場合は、被害額の1割相当の弁護士費用が認められるということが、実務の運用としてありますので、その弁護士費用と、それから慰謝料も載せて請求していたということで、そちらの主位的請求のほうが認容されていたので、予備的請求の判断に至っていないと、ただそれだけのことであります。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

友行参事官、どうぞ。

○友行参事官 事務局でございます。

もう一つ、柿沼委員から御質問をお預かりしておりまして、笠井様へ御質問をお預かりしております。3点ございます。

本日の御説明の中にも7ページ辺りのところに、インフォメーションアイコンについての御説明がございました。

まず1つ目が、アド表示の変更に関して、プラットフォームの会員登録を行い、ログインしなければ変更できない場合があり、消費者の選択肢や権利を制限していると感じます。この仕組みについて、どのような課題があるでしょうか。

2つ目でございます。

アイコンをクリックして得られる情報が限定的であったり、複雑なページへの遷移によって必要な情報を見つけるのが難しい場合があります。

このような状況では、消費者がアイコンを活用する意欲を失う恐れがあります。表示方法について、よりユーザーが利用しやすい仕組みを実現するためには、どのような課題があると思われますか。

3つ目でございます。

海外の広告主に関してですが、インフォメーションアイコンを通じて問題表示などの情報を送信することに、どのような意義があると考えられるでしょうか。また、その情報が実際に適切に活用される仕組みが整っているのかについても教えてください。

以上3点でございます。

○一般社団法人日本アフィリエイト協議会笠井代表理事 ありがとうございます。

柿沼委員、貴重な御質問を、特に深掘りいただいた質問をいただいて、大変ありがたく思います。

まず、この3つの質問全て、インフォメーションアイコンに関わるものと理解しておりますが、大前提として、すみません、最初に共有しておくべきだったのですが、このインフォメーションアイコンのプログラムというのは、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会さん、JIAAさんというインターネット上の広告の大手企業を中心に300社以上でつくられている業界団体がありまして、そこが、このインフォメーションアイコンの、国内外いろいろとやり取りをしながら決めてガイドラインをつくり、適正化に向けた取組をされている団体がありますので、このインフォメーションアイコンに特化したお話であれば、JIAAさんに、事務局の方々もすごい熱意のある方々ですので、こう思うのだけれどもどうかという提案や相談をされることを、まずは、推奨をさせていただければと思います。

その上で、ネット広告の専門家の立場でいただいた質問に回答させていただきますと、私個人の見解になりますが、まず1番目の、この会員登録を行いログインしなければ、こういったインフォメーションアイコンの機能を使えない部分、これに関しては、私個人としては、むしろ無料の会員登録をすることで、自分に適切な広告のカスタマイズや見たくない広告の排除ができる機能を用意してくれていると捉えていますので、この機能自体は、もちろん会員登録しなくてはできないのはダークパターンではないかという言い方もあるかと思いますが、個人的にネットを活用する人間としては、こういった機能が無料で提供されていることは非常にありがたいですし、先ほどのお話にも少しあったような消費者教育の分野で、このインフォメーションアイコンをクリックして、広告のターゲティングの設定を変えていくことで、自分が見たくない広告をなくしていくことができる、その選択権が消費者に与えられているのだということを広めるきっかけにもなるので、これは使い方次第というところもあるかと思いますし、提供している事業者によって違いもあるかもしれませんが、基本的に、私は、これは良い仕組みではないかなと考えております。

2つ目、ユーザーが利用しやすい仕組みを実現するためにどうすべきかというところに関しては、ぜひこのテーマは、きっとJIAAさんも聞きたがっているポイントだと思いますので、相談の現場におられる方々から、今、広告の中で、こういった情報を把握するときに、こういった情報がもっとインフォメーションアイコンをクリックしたら盛り込まれていたら、事業者と消費者の利益の共存共栄につながるのではないかとか、そういった御提案とかをしていただくと、現場の声を非常にJIAAの事務局の方々もちゃんと尊重して聞いてくださるので、良い取組につながるのではないかなと、2番は思います。

3番、海外の広告主、特に違法な、明らかな、例えば著名人なりすまし詐欺広告であったりとか、偽のセキュリティ広告であったりとか、あとレスキュー商法も、日本の事業者が海外の代理店を使って日本に出すみたいなことも行っているのです。

その問題のある広告を私も見つけるたびに、このアイマークをクリックして通報というのをやっているのですけれども、意義はあると信じたいです。その取組をすることによってデータが蓄えられ、デジタル広告プラットフォームが適正化に向けた取組を行ってくれていると、私は、広告に携わる人間として信じたいと思っています。

ただ、残念ながら今のところ、私が通報した広告は消えずにいまだに残っているものが大半なので、だからこそ、やはり、今日のお話にまた戻るのですが、法整備をして、こういった通報があって明らかな違法な広告であったりとか、外部から情報提供があったり、社内の審査で落とすような広告は、ちゃんと適切に対応するようなことを、こういったインフォメーションアイコンの仕組みとかも活用しながらやりなさいということを法整備の中で盛り込んでいく、もしくは、そういった関係の文章をつくっていくといったことも有効ではないかなと、個人的には考えています。

以上です。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかはよろしいでしょうか。

それでは、御説明、御回答いただき、ありがとうございました。

予定の時間が、既に超過しておりますので、今回の議論は以上とさせていただきたいと思います。

笠井様、何か。

○一般社団法人日本アフィリエイト協議会笠井代表理事 超過しているところ申し訳ないのですが、30秒だけ、一言だけ言ってもいいですか、もしあれだったら終わってからでもいいのですけれども。

○鹿野委員長 お願いします。

○一般社団法人日本アフィリエイト協議会笠井代表理事 ありがとうございます。

いろいろとワーキンググループであったり、会議に参加させていただいてきたのですが、本会議に参加させていただくのは、今回が初めてなので、すみません、今日の本題と外れるのですが、1個、個人的にお願いしたいことがあって、消費者委員会の皆さんや、あとは、消費者行政や消費者被害をなくすために戦ってくださっている皆さんに、個人的なお願いが1個あって、ぜひ発言であったり、資料であったり、レポートであったり報告書の中で、消費者被害をなくすという言葉を使っていただけないでしょうか。今までいろいろな議事録とか、会議とかを傍聴や視聴をさせていただくと、どうすれば減らせるかとか、被害に遭った人の被害回復をどうするかといった議論も時々上がったりするのです。

ただ、発表が終わった後、分かりました、では、次へと淡々と流れていってしまうことも、時間の関係もあるので仕方ないのかなと思うのですが、やはり個人的には、私は長年26年消費者被害をなくすために、減らすためではなくて、なくすために活動してきているので、消費者委員会の皆さんや消費者相談の現場に携わる皆さんも、ぜひこういった場では、笠井さん、消費者被害をなくすためにどんな対策があると思いますかとか、始めるときとかも、今日も消費者委員会を始めるけれども、ぜひ消費者被害をなくすために、このレスキュー商法の消費者被害をなくすために、専門家の方から意見を聞いていきましょうと、このなくすという単語をぜひ可能であれば、可能な範囲で使っていただけると、一消費者被害をなくすために戦っている人間としては、心強く思います。

すみません、すごく時間のない中、勝手なお願いになりますが、最後に一言お伝えさせていただきました。お時間いただき、ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

本日は、レスキュー商法被害対策に取り組んでいらっしゃる京都弁護団の増田弁護士様から、そのお立場で被害の実態と、それから、訴訟等を通じて、取り組んで来られたこと、あるいはそれを踏まえた御意見等をお聞かせいただきました。

また、アフィリエイト協議会の笠井様からは、特にリスティング広告の仕組み、これは我々、やはりなかなか分かりにくいところがございましたが、これについて非常に詳しい御説明をいただくとともに、長年このような分野で活躍をして来られた立場から御意見をいただきました。最後にも、消費者被害をなくすということが重要なのだということで、その言葉を使う必要があるという御指摘もいただいたところです。

それから、東京大学の宍戸教授からは、情プラ法の内容等も含めて、問題点を明確に整理していただきましたし、それから、現在の情プラ法でどこまでできるのかということを明確にしていただき、それから、さらに次のステップとして、取り組むべき課題、これは、情プラ法においてということだけでは必ずしもないかもしれませんけれども、ほかも含めて取り組むべき課題について御指摘をいただいたと思います。

特に宍戸先生からの御指摘の中で、基準の明確性と当てはめの明確性、これがないとうまく機能しないという御指摘をいただいて、私たちとしても、その点も踏まえて今後も考えていきたいと思ったところです。

皆様には、貴重な御発表をいただき、ありがとうございました。本日の議論を踏まえて、引き続き当委員会では、調査審議を行っていきたいと考えております。

御出席いただいた皆様、お忙しいところありがとうございます。どうぞ御退室ください。

(増田弁護士、笠井代表理事、宍戸教授 退室)


《3. その他》

○鹿野委員長 それでは、時間の関係で、このまま続けさせていただきますが、続きまして、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要につきまして、事務局から説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、まず、参考資料の1-1を御覧いただけますでしょうか。

3月に消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文の一覧となっております。

まず1つ目が、公益通報者保護法の一部改正についての意見でございます。

右側の要望書・意見書等のポイントのところを見ていただけますか。上から2行目、3行目辺りのところで、現在、こちらは国会で審議をされておりますけれども、早期にこの法改正が実現することを期待するということ、その上で「ただし」というところが3行目からございます。配置転換や人事権行使としての降格については、その立証責任の転換の規定が盛り込まれておらず、いまだ不十分であるといったこと。

それから、次の段落の「また」のところでございます。必要な資料収集や持出行為に対する民事上・刑事上の免責規定、それから、解雇、懲戒処分以外の不利益取扱いに対する刑事罰の導入等々について、これらについても、まだ、大事な重要な論点として十分な検討がなされることを求めるといった御意見でございます。

それから、地方消費者行政に関することについての御意見を多くの団体様からいただいており、6件いただいております。

主な意見でございますが、まとめて御紹介いたしますと、1つ目が、地方消費者行政を安定的に推進させるための恒久的な財源措置というのが1つでございます。

2つ目ですが、自治体が実施する消費者行政に係る事務のうち、国全体の消費者被害防止の意義を有する事務として、円滑な運営を推進する必要があるというものについては、恒久的に国がその経費の全部または相当部分について、財政負担をするということを考えてほしいというのが2つ目でございます。

3つ目として、現在、令和8年度を目途として、その移行が進められている消費生活相談のデジタル化において、地方公共団体が負担するとされているシステムの運営費の経費については、全額国が負担してほしい、負担すべきであるといった内容になっております。

それから、意見書では、その他として3つ、ほかにもいただいております。薬機法改正による条件付承認制度の拡大等に反対する意見。主食である米の需給及び価格の安定確保を求めますといった意見。それから、HPVワクチンの積極的接種勧奨再開に関する、そのことについての要望書となっております。

さらに、団体から寄せられた意見のほかに、個人の方から2件の意見書も寄せられております。内訳といたしましては、公益通報者保護法制度に関するものが1件、地方消費者行政に関するものが1件となっております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

委員から、これについて何か御意見等がございましたら、お願いします。いかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

どうぞ。

○友行参事官 事務局でございます。

すみません、説明が漏れましたけれども、今期は、参考資料1-2として国民生活センターの記者公表案件についての一覧も公表させていただいております。

時間の関係もありまして、御説明は簡単にさせていただきますが、今期公表された案件の中で、真ん中辺りに、未成年者の消費者トラブルについての現況調査報告書というのが出されております。

これについてですが、未成年者の相談状況について、小学生、中学生、高校生の相談とする年度別相談件数ということについて、アンケートを取って国民生活センターが公表しております。

全体の傾向といたしましては、2018年度から2020年度にかけて、健康食品、それから化粧品に関する相談が増えております。ただ、2020年度をピークに、足元では、件数が全体的に下がってきているという状態になっております。

相談内容としては、インターネットゲームに関することや、先ほど申しましたような健康食品、化粧品、洋服、運動靴等のネット通販に関するトラブルの相談が多いという状況となっております。

相談内容としては、インターネットゲームに関することや、先ほど申しましたような健康食品、化粧品、洋服、運動靴等のネット通販に関するトラブルの相談が多いという状況となっております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

この点も含めてよろしいでしょうか。

ありがとうございます。意見書等を寄せてくださった皆様には、どうもありがとうございます。

当委員会でも公益通報者保護法については重要な問題と捉えており、過日、ここでの議論もさせていただいたところです。

それから、地方消費者行政の充実強化、そして、そのための財源の確保ということについても、非常に重要な課題であると認識して指摘してきたところでございます。

これらの意見書等につきましては、必要に応じて、改めて消費者委員会の調査審議において取り上げることといたしたいと思います。


《4. 閉会》

○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。

最後に、事務局より、今後の予定等について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)