関係団体等との意見交換会 議事録(2025年10月6日)

日時

2025年10月6日(月)15:00~18:25

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、中田委員
    (テレビ会議)黒木委員長代理、小野委員、柿沼委員、善如委員、原田委員
    【説明者】
    一般社団法人全国消費者団体連絡会 郷野事務局長
    特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道
    道尻副理事長・弁護士
    特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道
    原専務理事・弁護士
    特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道
    大嶋理事・事務局長
    適格消費者団体NPO法人京都消費者契約ネットワーク
    増田理事・事務局長
    公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
    樋口副会長
    主婦連合会 河村会長
  • 【事務局】
    小林事務局長、吉田審議官、友行参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 第9次消費者委員会への要望について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

定刻になりましたので、ただいまから消費者委員会と関係団体様との意見交換会を開催いたします。

本日は、中田委員と私、鹿野が会議室にて出席しており、黒木委員長代理、小野委員、柿沼委員、善如委員、原田委員がテレビ会議システムにて御出席です。なお、一部の委員は少し遅れての御出席と伺っております。

今村委員、大澤委員、山本委員は、本日御欠席との連絡をいただいておりますが、大澤委員はもしかしたら遅れて参加できる可能性もあると伺っているところです。

それでは、本日の意見交換会の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 第9次消費者委員会への要望について》

○鹿野委員長 消費者委員会では、調査審議の参考とするため、関係団体等の皆様から直接御意見や御要望をお伺いし、意見交換を行っております。第8次委員会で取りまとめられた「次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項」においても、様々な団体等との意見交換会の開催を通じて、消費者問題の現場との結びつきの強化を継続的に図るとともに、そうした声を行政に届けていくということが重要であるとされております。この趣旨を踏まえて、第9次委員会においても、引き続き関係団体等との意見交換の場を積極的に設けてまいりたいと考えております。

本日は、「第9次消費者委員会への要望について」を全体のテーマとして、関係団体の皆様との意見交換を行いたいと思います。消費者問題の現状や関係団体の皆様の問題意識を伺い、第9次委員会の今後の調査審議に活かしていきたいと考えております。皆様より忌憚のない御意見を頂戴できることを期待しております。

限られた時間ではございますが、有意義な意見交換となりますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

改めて御紹介させていただきます。

本日は、会議室において、主婦連合会の河村会長に御出席いただいております。

また、オンラインにおいて、一般社団法人全国消費者団体連絡会の郷野事務局長、特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道、いわゆるホクネットさんから、道尻副理事長・弁護士、原専務理事・弁護士、そして大嶋理事・事務局長に御出席いただいております。

また、適格消費者団体NPO法人京都消費者契約ネットワークから、増田理事・事務局長。

そして、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、いわゆるNACSさんから、樋口副会長に御出席いただいております。

皆様、本日はお忙しいところありがとうございます。

本日の進め方ですが、全国消費者団体連絡会、消費者支援ネット北海道、京都消費者契約ネットワーク、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、主婦連合会という順に、それぞれ15分程度で御発表をまずはいただき、その後、全体としての質疑応答と意見交換を70分程度行いたいと考えております。

それでは、最初に全国消費者団体連絡会の郷野事務局長、よろしくお願いします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会郷野事務局長 全国消費者団体連絡会の郷野です。

まず初めに、簡単に全国消団連の御紹介をいたします。

全国消団連は、1956年に設立された消費者団体の全国的な組織です。消費者の権利の実現と暮らしの向上、消費者団体活動の活性化と消費者運動の発展に寄与することを目的に活動しております。会員団体で緩やかにつながりながら、暮らしに関わる様々なテーマについて消費者の立場から意見発信を進めています。

本日はどうぞよろしくお願いいたします。

本日は、初めに全国消団連の重点課題のうち、「消費者が安全で安心できるくらしの確保について」お伝えしたいと思います。

「(1)消費者基本計画への対応」では、第5期消費者基本計画の進捗検証と学習に取り組みます。

「(2)地方消費者行政の充実・強化」では、2026年度国家予算化を目指しての地方消費者行政の充実強化のための国の施策強化に向けた国会等への要請活動の実施、地方消費者行政プロジェクトによる都道府県消費者行政調査の実施と結果の活用、社会への発信、地方団体の調査支援のため、市区町村向け調査項目見本作成、消費者庁による全国の消費者団体の実態調査再開を求めます。

「(3)特定商取引法改正など消費者関連法の強化」では、特商法の改正に向けて、「特商法の抜本的改正を求める全国連絡会」を中心とした全国的な改正運動を継続して、地方で活動する会員団体と共に地方議会請願活動を進め、繰り返しての国会議員要請行動の実施、消費者契約法の抜本見直しに係る学習と改正運動の検討、PLオンブズ会議と連携しての製造物責任法改正の推進、取引DPF消費者保護法に基づく官民協議会への参加と取引の適正化進捗の把握、若者の消費者被害防止のため、SNSなどを活用しながら広く情報発信、景品表示法及びステルスマーケティング対策の施行について、問題の発生などに応じて必要な取組の推進、実効性を高めるための法改正を目指して、「市民のための公益通報者保護法の抜本的改正を求める全国連絡会」に結集しての活動に取り組みます。

「(4)社会のデジタル化に関する対応」では、個人情報保護法改正、デジタル化に関する各課題、消費者の権利擁護を大前提としたデジタル社会の在り方に取り組みます。

「(5)食品安全・表示に関する対応」では、食品表示制度に関わる問題、改正食料・農業・農村基本法、食をめぐる最新技術と消費者への情報提供の在り方、食品ロス削減推進法改正、米の安定供給に向けた実態調査の実施、その他の食品価格と供給に関する状況の把握などに取り組みます。

「(6)環境・エネルギー問題に関する対応」では、第7次エネルギー基本計画確定内容の進捗の確認、GX実行会議の基本政策、電力システム改革の検証や再生可能エネルギー主力電源化の課題などの論点の動向を注視していきます。LPガス問題の取引適正化、料金透明化の改善に向けた改正省令について、業界や行政の取組を中心とした実効性の確認と、消費者への周知・啓発の推進、気候変動対策の理解と消費者が取るべき行動の啓発、COPに関係しての日本の2035年目標に向けた進捗の注視、プラスチックごみや容器・包装などの諸課題について、消費者の行動につながる啓発などに取り組みます。

「(7)その他課題」として、地方公共交通の空白解消政策、物価問題全般などにも注視していきたいと思っています。

この中で喫緊の課題だと思うものとして、「(4)社会のデジタル化に関する対応」について、2024年度の情勢の振り返りと全国消団連の課題認識についてお伝えしたいと思います。

通底する問題意識として、消費者を取り巻く社会のデジタル化については、国の機関がそれぞれの守備範囲からの発想で対応策等をまとめていますが、その内容が多岐にわたり過ぎてほとんどの消費者にとって理解できる限度を超えています。国としての交通整理が必要だと思います。

デジタルプラットフォームと製品安全誓約、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律の施行以降、官民協議会が立ち上げられ、年2回の意見交換が行われてきました。取引DPFを語る偽サイトによるフィッシング詐欺は増加し続け、引き続き対応が課題となっています。2023年に開始したインターネットモール事業者の自主的取組である「製品安全誓約」により、2024年の年間累計で、安全でない製品として561件が削除されました。その一方で、石綿つき製品がデジタルプラットフォーム上で販売され、厚生労働省が注意喚起を行い、プラットフォーム側も対応しましたが、そもそも石綿つき製品は労働安全衛生法が取締りの根拠であり、製品安全誓約の対象ではないことが明らかになっております。

デジタル空間の安全な情報流通について、総務省は生成AIやメタバース等の新たな技術・サービスの出現により、デジタル空間が更に拡大・深化し、また、デジタル空間におけるステークホルダーが多様化しつつある中、実空間に影響を及ぼす新たな課題の発生に対して、当該課題と多様化するステークホルダーによる対応等の現状を分析し、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた今後の対応方針と具体的な方策について検討することを目的として、デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会を立ち上げ、偽・誤情報の流通に対する報告書を取りまとめました。その上で、制度整備を含むその対処の在り方等を検討するため、デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会を開催しています。

消費者委員会では、消費者法制をめぐるパラダイムシフトの検討を行う中で、深掘りする課題として、消費者をエンパワーするためのデジタル技術について専門調査会を立ち上げ、報告書を取りまとめました。

安全と競争については、アプリの配信や決済システムなどで指定事業者が他社の参入を妨害することを禁ずるための法律として、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律が国会で可決成立。スマホ使用におけるユーザーの安全性確保と公正な競争環境を整備して消費者の利便性を向上させるという論点に係る法律でもあり、法執行については注意が必要となっているところです。

ちょっと飛ばしていただいて、AI新法について、国は、国民生活の向上や経済社会の発展の実現にAIによるイノベーション促進とリスク対応を両立させることが重要と考え、2025年2月28日に「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案」、いわゆる「AI法案」を閣議決定し、2025年通常国会に提出することとしました。法案は、AI政策の司令塔機能強化、内閣総理大臣を本部長とする「AI戦略本部」設置、政府が推進すべきAI政策の基本的な方針等を示す「AI基本計画」策定、AIの適正性確保のための国際規範に即した「指針」整備、AIの動向に関する情報収集や国民の権利利益を侵害する事案の調査などを規定していますが、違反者への罰則などが定められていません。

個人情報保護法では、2022年の4月から全面施行された改正法について、個人情報保護委員会では、「いわゆる3年後見直し検討会」を立ち上げ、初めて消費者団体をステークホルダーとして検討会のメンバーに位置付けました。検討会自体は経済団体の抵抗によりなかなか進展を見ず、最終報告書は違反事業者への課徴金、適格消費者団体による差止請求と被害回復制度などの必要性について焦点を当てるにとどまりました。個人の権利擁護を前提とした法改正について更なる検討が必要となっていると考えております。

特にAIに関しまして、AIが作成した文書や情報の裏づけの確認、AIをうのみにしない、AIは間違えるというような認識の周知や、AIが作成した動画や画像の著作権や肖像権など、新たな課題が出てきているように思います。便利な一方で、正しい使い方についての検討・周知が必要になっていると考えているところです。

次に、第9次消費者委員会活動への要望についてです。

令和7年8月27日に出されました「次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項」につきまして、異論はございません。ここに示された事項に留意して、着実に調査審議を行っていただくことを期待しております。

その上で、以下、要望を申し上げます。

1つ目、消費者委員会の運営についてです。

消費者委員会が独立して消費者行政全般について監視機能を十分に果たし、積極的に建議・意見等を発出することは重要であると考えます。消費者委員会における議論の透明性を向上させるという点で、委員会や専門調査会の審議をユーチューブ配信やアーカイブ配信で傍聴することができるという取組は今後も続けていただきたいと思っています。

それから、消費者委員会の活動やその成果等の認知度を向上させるための広報の取組については、オリジナルキャラクターの起用や親しみやすい文字のフォントなど、発信内容や表現方法等について工夫が感じられます。引き続き、若年層から高齢者まで幅広い世代に届く情報発信の工夫を続けてください。

あわせまして、地方の消費者団体が消費者委員会をより身近に感じられるよう、地方消費者委員会の再開を希望いたします。

2番目、下部組織の運営について。

専門的な事項を調査審議するための下部組織の設置は必要だと考えます。その上で、公共料金等専門調査会においては、各省庁が所管する公共料金等について、決定過程の透明性及び料金の適正性を調査審議するだけではなく、消費者参画の機会として幅広い消費者の声を反映させることが必要です。その後、消費者の暮らしにどのような影響があったか、利便性は向上したか、逆に不便を感じることはないかなど、真に消費者の利益につながっているのか、フォローアップや進捗の確認などが必要だと考えます。

その他。

消費者委員会事務局においては、消費者委員会の活動の周知、若者世代への注意喚起、消費者問題解決に係る人材育成などを目的として、大学生(消費者関連法学や社会学、家政学などを選考している)への活動説明や意見交換を行うことを要望します。次世代との意見交換は若者が直面する消費者問題を知る機会にもなり、貴重な場になり得ると考えております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、消費者支援ネット北海道の原専務理事・弁護士から御発表をお願いします。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道原専務理事・弁護士 原でございます。

このたびは、貴重な機会をいただいてありがとうございます。

当法人の内容につきましては、お送りしました資料のとおりでございます。2007年に法人設立された後、2010年に適格消費者団体の認定、2021年に特定適格消費者団体の認定を受けております。現在、個人会員285名、団体会員18名で構成されている団体でございます。

私どもは昨年度、意見としまして、地方消費者行政に係る財政措置の継続・拡充を求める意見書、令和6年11月に適格消費者団体等への経済的支援を求める要望書、また令和6年12月には、北海道の消費生活基本計画に対する意見を述べて、道の消費生活基本計画において当法人との連携等の記載をいただいたところでございます。主にこういった観点から御意見を申し上げたいと考えております。

まず、「差止請求訴訟・集団的被害回復訴訟に対する支援の拡充」について、ぜひ第9次消費者委員会でも御議論をいただきたいと考えております。

差止請求訴訟は、不当契約条項や不当勧誘あるいは不当広告も含みますが、それに対する是正を行うものでございまして、当法人では、令和6年度で継続中も含んで14事業者への申入れ活動を行ったところでございます。

さらに、特定適格消費者団体は、集団的被害回復手続といって、消費者の集団的な財産的被害の回復につながる手続を行うことができるわけですが、こちらは令和6年度、継続中も含んで4事業者への申入れ活動を行い、本年度、共通義務確認訴訟の提訴を行ったところでございます。

こういった差止請求訴訟や集団的被害回復手続の訴訟というのは、消費者全体の利益に関わる訴訟でございます。そして、事業者の皆様にとっても、社会的な影響の大きな、つまりこういった訴訟を提訴すること、あるいはこの応訴において社会的な影響が及ぶ、そういった訴訟でございます。ですので、こういった訴訟である以上、事前にしっかりとした調査や証拠収集を団体ができるようにすること、そういったものによって事業者への訴訟というものも少なくなれば、それはそれで一つの効果として重要だと思われるのですが、この事前の調査や証拠収集に関する制度が脆弱あるいは硬直的な運用になっているということをお伝えしたいと思います。

例えば、消費者裁判手続特例法96条に基づいて、特定適格消費者団体は消費者庁から資料提供を受けることができます。ただ、この資料提供、実際にこの制度を利用してみますと、消費者庁から開示されるのは、ほかの調査手段でも特定適格消費者団体が開示を受けることができる資料のみ開示されるということでして、これではこの手続を創設した意義そのものが問われるようなものではないかと考えています。

さらに、消費者契約法12条の3から5において、適格消費者団体は事業者に対し、契約条項の開示等を求める、あるいは説明を求める、こういった制度がございます。ただし、こういった制度について、事業者が誠実に開示に応じないということが起きています。

例えば当団体で経験したこととしましては、実際、メールで書類の案が送られてきて、それに対して書面で正式に御開示くださいと申し上げても、なかなか開示していただけないというようなことがございました。

さらに、この制度は義務を課す関係もあって、相当程度、消費者契約法に違反している疑いがある相当な理由があることを求めているわけですが、例えば契約条項の開示を求める際に、こちらは平均的損害との関係で問題視しているけれども、どういう解約の内容になっているかですとか、契約条項全体を見て私どもとして判断をしたいというときに、その開示を求めるにあたって、この要件が使える、当てはまるのだろうかですとか、要件が制限的ではないのかと感じる場面がございました。

この事前の調査や証拠収集手続が拡充され、しっかりとしたものであるからこそ、消費者全体の利益につながる訴訟を提訴することができる、あるいは、本来必要のない訴訟に至らずに、事業者への社会的影響も少なくとどまるという両面がありますので、事前の調査や証拠収集に関する制度については、改めて検討が必要なのではないかと思われます。

さらに、差止請求訴訟、集団的被害回復訴訟手続における制度の見直し時期が来ているのではないかと考えています。例えば差止請求訴訟であれば、対象範囲の拡大や要件の明確化というのは検討されてもいいのではないかと思われます。

対象範囲の拡大というのは、例えば特商法の様々な法違反において、差止請求訴訟が使えるものというのは限られています。この辺り、もう少し拡大をしてもいいのではないか。

さらに、要件の明確化ということでは、差止請求訴訟をこれまで多くの適格消費者団体が起こしていく中で、ある程度この辺りまでは裁判例上、不当条項と言えるのではないか。こういったものについてはもう消費者契約法の中に書き込んでいくということも一つではないか。

あるいは、食品表示分野、食品表示法でも適格消費者団体は差止請求権が認められているのですが、実際に使われた例がないということがございます。こういったものは何か制度の運用として問題があるから差止請求が使われていないのではないかということも考えられます。

さらに、集団的被害回復手続においては、今後の課題として、超多数の少額被害者の救済につながらないという問題点はあるのではないかと思います。令和6年度、私どもが申入れをしたものの中で、契約数が21万件という事案がありました。21万件で少額の被害ですと、この集団的被害回復手続では、特定適格消費者団体自体が対応できないおそれがあるような制度設計になっておりまして、こういった本来救済されるべき超多数の少額被害者の案件について、集団的被害回復手続が何らか使えるようにしていくというのは、一つの視点ではないかと考えております。

さらに、「特定適格消費者団体・適格消費者団体の存続に向けた財政的支援の拡充」の検討をお願いしたいと考えております。差止請求訴訟等にかかる費用は団体の自弁でございます。他方で、その財政基盤というのは、会費の収入、寄附金、委託事業によるわけです。申入れ活動や訴訟活動、各種事業に関わってその事業を継続あるいは拡大していくためには、検討部門や事務局の人材の確保が急務です。ただ、この検討部門も事務局も、多くの団体がそうだと思うのですが、ボランティアです。かけている時間は長時間なのに、その費用をほぼ支弁できておらず、特定の熱意ある人の善意に寄りかかった制度の維持になっております。このような特定の熱意ある人の善意に寄りかかる制度というのは維持が難しい、世代交代による継承が進まない、制度が維持できなくなるおそれがあります。

近い将来、一部地域の団体の解散などになってしまえば、消費者被害防止や救済に地域差が生じかねないという問題があり、この点は喫緊の課題だと団体としては捉えております。

さらに、地方における消費者被害に関して「地方消費者行政に対する予算措置の拡充」も喫緊の課題であると考えております。地方における消費者被害の予防・救済の最前線を担うのは、地方の消費者行政部門、消費生活センター、そして適格消費者団体でございます。適格消費者団体が、地方の消費者行政部門あるいはセンターの皆さんと関わっていく中で、言わば、団体から見て、消費者行政部門、消費生活センターには3つの不足があるのではないかと考えられます。

1つは権限の不足です。調査・行政指導に係る権限、都道府県の権限もそうですし、更に市町村に対する権限の付与、あるいは援助について、これは拡充が必要なのではないかと考えます。センターにおいても、あっせんについて、事業者が協力しないということはよく相談員の皆様からも伺うお話で、こういった権限の不足は、イコール経験の不足にもつながっていきます。やったことがない、関わったことがない、こうなるとどこどこの相談窓口に行ってくださいというだけに終わってしまう。こういった権限の不足。

さらに、人の不足。関わっていらっしゃる行政職員の方、相談員の数が不足しています。特に北海道では、地方に行けば行くほど相談員の方の人数がそもそもいない、あるいは足りないということが深刻になっています。

さらに、予算の不足。消費者行政の裾野の広さに対して予算がついていない、消費生活相談員の方の地位の不安定さが問題です。

私どもでは、講師派遣事業として、北海道から委託を受けて、若年者向け消費者セミナーということで私立の学校を中心にセミナーを行っています。令和6年度だけで、私立12校、延べ1,425名の学生の皆様にセミナーを実施しました。これは予算措置の充実があれば、もっと多くの学校にリーチが可能です。私立12校というのは、そろそろここで予算が尽きるから、もうこの辺りで募集を止めようという配慮もあって12校にとどまっているので、もっと予算措置があれば、消費者教育のニーズ、現場ではニーズがあります。学校の先生方は、スマホや様々な詐欺被害に対して教育をしたいけれども、やり方が分からない、どうしたらいいか分からないということで、私どもの制度を利用いただいているということがございます。ですので、こういった予算がつけば、更にリーチは可能ではないかと思います。

この現場で起きている3つの不足について、解消を図っていくべく、消費者委員会でも御議論いただきたいと考えております。

さらに、景品表示法に関する要望事項がございます。この点は道尻副理事長のほうから御説明させていただければと思います。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道道尻副理事長・弁護士 道尻です。

今、原専務理事から説明があったお話の中で、少し具体的に景品表示法に関わる要望事項についてお話しさせていただきたいと思います。3点ございます。

1つは、消費者団体が差止訴訟を行うに当たって、優良誤認表示に関する実証手段として、事業者が合理的な根拠を示す資料を提出する義務を定めて、その団体からの求めに対して合理的な資料の提出がなければ不当表示とみなすような制度を設けていただきたいという点です。

これに関しては、行政の場合ですと事業者に対して一定期間内に合理的根拠資料の提出を求めて、その提出がされない場合には措置命令を下すことができるというような形になっている、いわゆる不実証広告規制というものがありますけれども、団体に係る権限は一切認められていないということで、裁判でも一から具体的な立証をするようにという判決も実際出ているという現状にあります。

団体としては、事業者側が独占している商品の情報について優良誤認表示を実証するというのは、戦う手段が極めて限られた状態でありまして、こういった差止請求の権限があっても、実際の活用には非常に難儀しているという実情にあります。

2つ目に行きたいと思います。2点目は、団体の要請に基づいて公的機関が検査とか分析を行ってくれるといったような制度の創設を考えていただきたいということです。事業者から合理的な資料が提示された場合、あるいは団体側が一定の証拠を入手しているというような場合でも、その科学的な根拠とか専門的な分析等々については、財政基盤の脆弱な団体がなかなか検査機関にそれを依頼して、あるいは研究機関に依頼をしてということが難しいというところがございます。それを公的な機関が行うというようなことを制度化していただければ、この差止請求のより具体的な活用につながっていくということでありまして、これは景品表示法の差止請求のほか、特商法関係あるいは食品表示法関係の差止請求にも同様のことが言えます。

次に3点目です。行政が持っている行政処分の情報に関してなのですけれども、景表法の措置命令が出された事案に対して、行政庁が持っている情報について、特定適格消費者団体がその提供を受けるという制度を創設してもらいたいということです。消費者裁判手続特例法上、特商法と預託法に基づく処分に関しては、それに関して作成した書類という規定がございます。ところが、景表法に基づく処分に関してはそういう規定が含まれていないというか、条文上それが書かれていないものですから、一般的な情報開示とかいうような形でやるしか方法がないということです。そして、事業者に照会をしてもなかなか実効性の問題がございますので、こういった点から、法律の改正をして景表法上の処分についても同様の制度を設けていただきたいということが要望でございます。

私のほうからは以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、京都消費者契約ネットワークの増田理事・事務局長から御発表をお願いします。

○適格消費者団体NPO法人京都消費者契約ネットワーク増田理事・事務局長 京都消費者契約ネットワークの理事・事務局長をしております弁護士の増田でございます。私のほうで御説明を差し上げたいと思います。

最初は当団体の説明を書いているところでして、適格消費者団体の一つでございますが、ここは読んでいただいたらと思います。

早速、中身としては、我々、京都消費者契約ネットワークが、適格消費者団体として事業者の不当な行為を差し止めるという差止請求活動を通ずる中で取り扱った問題の御報告と、それを踏まえた今後の課題への取組というところをお話ししたいと思います。

まず詐欺的な定期購入商法の問題ということですが、これは一つ当団体で取り扱った事例ですけれども、「マヌカジンセン」というサプリメントで無料と書いてあるわけでして、1袋分を無料割引で申し込むと、こういう風に書いてあるのですが、実際はその下に細かいことがいっぱい書いてあって、2回目がすぐ10日後には発送されてきて、3万9,600円の請求を受けると。意図せず高額な請求を受けるという問題です。

この事案については、差止請求書を送って、差止請求訴訟を提起してということで、最終的には、もう表示をやめるというような形での和解ということで終わってはいます。ただ、こういう事案は本当にモグラたたきみたいな状態でして、差止請求をして止めても次々に同じようなことをやってくる事業者が後を絶たないという状況です。

去年の5月15日には、こういう形で当団体からの意見書というものも出させていただいています。一つは、この問題については、特商法の改正なんかもあったわけでして、一応処分事例なんかもあるわけですけれども、やはり本質がどこにあるのかということでして、初回価格という安い価格とか無料とかというもの自体が、結局あまり意味のない数字なのです。結局そうやって切り分けて表示をすることで、消費者はその金額だけで済むと思うわけですが、実際それがどうやっても4万とか5万とかかかるのであれば、その全体の金額がしっかり表示されなければいけないわけです。切り分けてあまり意味のない数字を表示しているということ自体が本来規制されるべきではないかということです。

その裏側ですけれども、確認画面にしっかり書けというのがこれまでの法改正でも中心的な捉え方になっていたのですけれども、これは近年のダークパターンの問題なんかを見てもそうですけれども、そういう誤認が、消費者がどういうプロセスで表示を見て理解しているのかということで言うと、最初の画面の中で初回分が表示されて誤認したということになると、結局その後どれだけ確認画面で打ち消し表示があったとしても、その誤認というのは解消されない。そもそも打ち消し表示なのかということでして、そもそも低価格で終われるということを表示しているのだとすると、そうでない場合があるというのははっきりいって矛盾した表示になっているのではないかと思います。

ここは長く書いていますけれども、要するに新しい手口がどんどん出てきてはいます。とりわけ最近は、最初は定期購入ではない、初回分で終わるような契約にしておきながら、最後の画面で、今ならクーポンで割引できますということを表示して、そのクーポンを申し込むと実は定期購入条件付きにすり替わっていると。こんな形でより一層気付かないようにしていたり、あるいは画面自体がなかなか我々弁護士や消費生活相談の現場で確認しにくい、そんな手口も増えているわけです。

この事案は、訴訟になったときに、なかなか裁判所に受け入れられていないところがありまして、それは誤った理解だと思いますが、これも表示をどう見てどう購入するというプロセスが十分に理解されていないからだと思うのですけれども、書いてあるではないかということになってくるわけです。今の法改正の中で、確認画面にすごくしっかり書いていますということになると、その確認画面を見なかった消費者が悪いではないかとなるわけです。景品表示法上は一般消費者と書かれているわけですが、それが裁判例の中で、健全な常識を有する消費者だというような理解に立ち、健全な常識を有する消費者というのは、そういう誤りを犯さない消費者だというようなことになって、見ていないのが悪いでしょうみたいな話になってしまう。これは本当に誤った理解で、それは現状、裁判例がそういう風になってきているのであれば、法規範として解説やガイドラインの中で訂正していくことが必要ではないかということです。

2つ目がレスキュー商法です。これは消費者委員会のほうでも先般意見を出されているので、十分に御承知のことかと思いますが、その際、私も京都の弁護団の事務局長としてお話もさせていただきましたが、同時に、私は京都消費者契約ネットワークのほうでも取組をしておりまして、鍵のレスキュー商法、これを見ると出張0円とか、鍵開け700円からとか、非常に低額な中でできそうな広告を見て申し込むというようなことがありまして、この業者に対してはそもそも勧誘としても悪質性が高いのではないかということで、そもそもクーリングオフができない、訪問販売に当たらないというような説明については、特商法違反でしょうということでの差止請求と、クーリングオフしたい、解約したいという消費者に対して、いやいやちゃんと説明していたとかなんとか言って一向に返金に応じない、こういう対応についても差し止めると。それから同時に先ほどの表示の問題です。低額な金額で対応できるかのような表示自体を差し止めるというようなことをやっております。

これはもう消費者委員会のほうで御意見を出していただいたこともあって、広告の問題ということと、表示の問題ということと、それから今言った勧誘の問題と、いろいろな問題がありますが、今なお問題としては収まっていないと認識していますので、今後の意見後のフォローや実際の具体的な法規範の成立に向けて、より一層、委員会のほうでも取り組んでいただきたいなということでございます。

それからもう一個、専門学校の入学金問題というのを最近取り扱っていまして、これは差止請求をしたものですけれども、専門学校に対して、いわゆる入学手続をして、その後に入学をやはりやめましたということについて、入学金を返還しないということを条項の差止めという形で求めています。

もう御承知のとおりだと思いますけれども、昔は大学の授業料に関して、授業料は入学前の解除については返金しなければならないのだけれども、入学金に対しては、入学する地位の対価ということで当然無効とはならないという解釈の中で、専門学校で入学金を取っているということなのですけれども、ここの専門学校は、マッサージとかの学科がある専門学校ということなのですけれども、入学金が90万ないし80万ということなのです。授業料の7割近いという金額でして、一応ほかの準学校を調べてみても10万、高いところで40万というようなことで、それと比べても飛び抜けて高かったのです。

しかも、ここはほとんど9割以上が社会人経験者だということで、いわゆる大学入学のような、高校を卒業して、そのタイミングで浪人せずに大学に入るために、併願して滑り止めを受けておくということは考えにくいわけでして、大学のような入学し得る地位の対価というのがそもそもあるのですかという状況にもあります。

それから、この件については、改正法を使ってキャンセル料というか不返還の内訳について照会を行いましたところ、生徒の教育環境の整備、専任教職員、非常勤講師の増員、教職員の待遇改善、生徒の課外学習活動の強化及び支援、教員の研究活動の強化、経営基盤の安定を理由として、入学金の金額を引き上げたのですと言っていまして、つまり、入学にはこういう要素が入っていますということなのですが、これらの要素はまさしく授業を受けることそのものの対価ですから、本質的に授業料のものを入学金という名目で取っているということではないかということです。

ここにはまだ今、差止請求を継続的にやっているところですけれども、一旦こういう学納金訴訟の経過で一定の規範がずっと維持されてきたのですが、本当にそれが今こういう専門学校とかほかにおいても維持されるのかということです。こういったものも、ぜひ消費者委員会でも一度調査して、検討いただいたらいいのではないかなと。非常に高額の入学金を取っているという例は、全国的に見てもあり得るのではないかなと思います。

最後、その他の問題として2つほどお話ししたいのですけれども、一つはパラダイムシフトの専門調査会の件でございます。これはもう消費者委員会のほうから答申という形で返されてということでして、中身については今、各所で説明等もされておりますし、我々適格消費者団体にとっても非常に大きな影響のある、今後の改正等が絡む内容かなと思っております。

ただ、7月に報告書が出てから、現状まだそれを踏まえた次の検討会が始まっていないという状況です。もちろんいろいろな政治的な動きがあったり、消費者委員会もメンバーの交代があったりということもありますし、そもそも検討においてどういった方を検討メンバーに選ぶのかということに時間がかかったりということも当然想定されることではありますが、この点は消費者委員会が既に答申したものということですので、そこはしっかりと消費者委員会のほうでフォローしていただいて、速やかに検討会が始まらないのであれば、そこはしっかりと協議していただきたいなということでございます。

もう一点は、適格消費者団体に直接ということではないのですが、我々のほうでは今、京都府のセンター等と密に連携を取って、なるべく被害が広がらないように、差止請求のみならず被害を予防していくということで、定期的な意見交換を行っています。

そうした中で、今、地方の相談の前線においては、いろいろな課題があるのですけれども、昨今、電気通信事業も携帯電話等の勧誘その他のトラブルが以前からですが非常に高止まっていると。これについてはかつて消費者委員会のほうでも、特に初期契約解除ルールができたときなんかはフォローされていたと思うのですが、昨今その辺りがどういう状況なのかなとは思っていまして、やはりかつて議論されていたようなフォロー体制での被害予防というのが、その後、少し目が向けられなくなっているのではないかなというのは現場の声としては感じております。こういった点もぜひ消費者委員会で取り上げていただきたいなと思うわけでございます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の樋口副会長から御発表をお願いします。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会樋口副会長 皆さん、こんにちは。

今、御紹介にあずかりました、大変長い名前ですが公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、通称NACSの副会長をしております樋口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、このような大変貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

まず私どもの概要でございます。

もう皆様御存じとは思いますけれども、1988年6月、当時の通産省の許可を得て設立されました。会員は、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタント、そして消費生活相談員、この主には3つの資格を持った有資格者で構成されている、我が国最大の消費生活に関する専門家団体になります。現在は、全国7支部で会員約2,000名が消費者関連活動で活躍中でございます。

近年の活動について申し上げていきたいと思います。

私どもの活動の3本柱は、消費生活相談、消費生活啓発・教育、そして企業や行政との連携ということになるのですが、その一番初めとして、まずは消費生活に関する消費者相談を受けております。これは今はそうでもないのですけれども、行政の休みが多い土日に、大阪が土曜日、東京が日曜日ということで、毎週土日に相談を電話で全国から受け付けております。

昨年の相談件数は、大阪が646件、東京が531件ということで、この結果につきましては毎年報告書を作成しまして、行政や各種団体にも提言や意見を具申しているところでございます。消費者委員会様のほうにも毎年この報告書は提出させていただいております。私もこの報告書の作成に毎年関わらせていただいております。

それから、相談のもう一つの柱としまして、「消費者トラブルなんでも110番」でございます。これは毎年10月の土日に大阪と東京で開催しております。時宜を得たテーマで開催しておりまして、昨年は「住まいの契約トラブル」ということで、いろいろな住まいのトラブル、緊急修理やレスキューやリースバック、賃貸、などを取り上げました。そして今年、2025年度は「通信販売トラブルなんでも110番」でございます。以前の2022年度、23年度も通信販売トラブル110番を設けております。といいますのも、通信販売、ネット通販、SNSを通じた勧誘などに関しての相談が毎回非常に大きなテーマになっておりまして、これも1か月間の相談件数と傾向をまとめまして分析しまして、報告書を提出させていただいております。

そうした中で、後から申しますけれども、いろいろな問題意識や、そして消費者庁や消費者行政の皆様方に申し上げたいことがいろいろございますということを認識をしてきているということになります。

それから、2番目の教育・啓発なのですけれども、小学校から大学まで啓発に行かせていただいております。これは30年以上の歴史がありまして、何万人という方を対象にしております。テーマは環境、エシカル、生活管理、契約、金銭管理、そして情報メディア、消費者市民社会、様々でございます。もちろん110番や消費者相談から出てきている問題などもテーマにしながら、私どもは人材がかなり豊富ですので、いろいろな分野、ジャンルに応じた講師を学校に派遣させていただいております。自治体や企業などにも、要請がありますので派遣しております。

そしてさらには、③としてはこうした消費生活に関する講座やセミナー、シンポジウムなどを開催しております。昨年度はNACSフォーラムで「Z世代と考える消費者問題」として、テーマは「SNSをきっかけとした消費者問題」、大学生を中心に3回ぐらいやったのですけれども、非常に問題を喚起しながらZ世代と考えていく、次期の世代に対してどういう風に私たちも接していかなければいけないかということを相互で理解共有しながらシンポジウムをしました。これに関しましても報告書を作成しております。

それから、消費生活分野の専門人材の育成でございます。2016年から消費生活アドバイザーが国家資格となりまして、消費生活相談員として勤務が可能になりましたので、企業などにたくさんいる消費生活アドバイザーの方たちが、リタイアしたり、あるいは転職で相談員になりたいという方たち、そういった方たちに対して、相談員となるべく、そういった人材の育成をしているところでございます。

それから、様々な消費生活・消費者問題に対しての提言活動を行っております。私どもは本当に幅広い分野でこういった意見書を提出させていただいております。見ていただいたとおりで、昨年もこのように6本出させていただいております。消費生活といいましても、食品ロスでありますとか、ICTでありますとか、それからエネルギー問題といった問題も含まれてまいりますので、みんなボランティアベースですけれども、こういったことに皆さん非常に尽力していただいて、NACSとしてはこういった意見発出をするということを非常に非常に重要な活動の要素と考えております。

それから、行政・企業との連携としましては、消費者志向NACS会議の開催、11月5日にも、消費者志向に関しまして、取り組むべき企業の体制づくりということで、私どもの会員である企業などを中心として、こういった会議を開催しております。

それから、勉強会、意見交換会、見学会、そして行政、消費者団体、地方自治体などへの委員派遣を盛んに行っているところでございます。

そして今、非常に私どもで力を入れているのが(2)の標準化活動でございます。これがまさにISO22458「消費者の脆弱性-包摂的なサービスの設計と提供のための要求事項とガイドライン」という、日本語に直すと非常に分かりにくく長いタイトルになるのですけれども、これのJIS化の推進を私どもが経済産業省の公募で受託しまして、このJIS開発を申請して、採択されたところでございます。私も今この委員になっておりまして、松本恒雄先生を委員長にして、あと2年か3年のうちにこれをJIS化しようということで、菅富美枝先生という法政大学の法学部の先生が今、オックスフォード大学でこれを研究されていて、イギリスなどでは非常に消費者の脆弱性というものがこれからの消費者問題の大きなポイントであるということで、私どももここが今後の一番重要なポイントになってくるのではないかということで、一生懸命取り組んでいるところでございます。

ざっと私どもの概要は以上のようなことなのですけれども、それでは大変僭越でございますが、第9次消費者委員会に期待することとしまして書かせていただきました。本当に盛んに意見書を提出されたり、建議されたりしていることは理解しているのですが、この2年間を通して見させていただいたところ、消費者安全や取引・契約関連に関しては、この2年間では0件の建議であると。そして提言・意見も、パラダイムシフトに関して出されていますけれども、それ以外は3件のみで、機能が十分に果たされているのでしょうかと、非常に高飛車に書いておりますが、疑問でございます。やはり消費者委員会というのは、建議したり意見書を提出して、消費者庁や消費者行政に対して絶えず大所高所から具申されていくということがその役割ではないかと思いますので、今後はこういったことを踏まえていただいて、多くの建議や意見の発出をしていただくことで監視機能を発揮していただきたいと思うところでございます。

それから、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の報告書についてなのですけれども、これは盛んに勉強会も行われておりますし、20回以上の審議をなされた上で発表されたということで、それこそまさに消費者は誰でもが脆弱性を有するという視点に立って、消費者法制度の抜本的な再編・拡充をすることで、ハードローのみではなくソフトローも含めた手法を取り入れていくということがうたわれているということですね。こういう観点は本当に重要であると思いますし、今後の消費者法制度の確固たる考え方の土台を示されたと思います。そして、消費者行政も大きく進展していくことが期待されるのでございますが、私どもも今、消費者の脆弱性に関して、JIS化の勉強会を開いて、欧米の脆弱性の考え方、ヴァルネラビリティーという考え方について勉強しているところでございます。

そこで、以下のことを消費者委員会がずっと過去携わってこられて、そのことがパラダイムシフトの中にどれだけ今後活かされていくのであろうかということをちょっと疑問に思ったりしたものですから、ぜひつけ込み型の取消権の創設に関して、これは本当にまさに消費者の脆弱性に関する勧誘にほかならないような問題でございますので、それを2016年、2017年、付言されて答申されてこられていますね。私、実は消費生活センターの相談員をしておりますので、非常にその論点については頼もしく思わせていただいた次第なのです。そしてまた2018年、2022年と消費者契約法は改正されていたのですけれども、判断力が著しく低下した高齢者の取消権などは見送られたということで、この辺り、昨今リースバックの制度で身ぐるみ剝がされる高齢者、大変判断力が低下して貧しい年金生活の方々が本当に大変な目に遭っている、そういった視点、そういう問題に関しても今後、法制化について消費者委員会のほうでぜひ考慮していただければと思います。

もう一つは、2022年、SNSの建議、それから23年には意見書を提出していただいて、本当にすばらしい内容だったと思われます。私、先ほど申し上げましたように、毎年提出している消費者相談、ウィークエンドテレフォンあるいは110番による報告書って、毎回同じ問題ばかりなのです。SNSを利用して、これはまさに不意打ち的な勧誘にほかならないし、本当に脆弱な消費者が若年層も通じて非常に困難なトラブルに遭っていると。ですので、これをどうにか今後の法整備の中に盛り込んでいっていただきたい。これは後で申し上げます特商法に関わるような問題ではないかと思っておりますので、こういった論点を、パラダイムシフトの見解に基づいて、消費者委員会としての整合性を示して、そしてまたしっかり消費者庁に対しても、個別の法制度をきちんとパラダイムシフトを活かして作成していただくようにお願いしたいと思います。

それから、特商法の抜本的改正についてなのですけれども、私、ここの抜本的改正の全国連絡会の代表幹事も務めております関係で、先ほどと同じことですので内容的には省きますけれども、SNS勧誘や定期購入、生活レスキュー、副業紹介、こういったものが本当に今、深刻化、それから高額化、そしてつけ込まれる消費者もどんどん増えておりますので、この法制化については、特商法の抜本的改正を求めるということでぜひお願いしていきたいと思います。

それから、先ほど京都消費者契約ネットワークの増田先生もおっしゃっていた定期購入に関してなのですけれども、これもまさに毎日毎日消費生活センターの相談で定期購入を受けない日はないというぐらいに多いのです。そして、確かに定期購入についての特商法の法改正は盛り込まれたのです。でも、先ほど増田先生も御指摘のとおり、スマホの小さい画面の中では、契約内容が離れたところに分からないような記入をされていると、ずっとスクロールしていかなければ見られない、そしてものすごく字が小さいということで、高齢者が今、スマホをどんどん使うようになっている中では、全くこの法規制は役に立っていないのです。必要もなくて効果効能も不明な商品を、法規制のない後払い決済で消費者に購入させるというのが典型的な事例なのですけれども、そうした悪質業者が膨大な利益を上げているという仕組みを放っておくということは、本当に今後の消費者行政の中では大問題になっていくと思います。

私どもの提案としましては、昔、出会い系サイトの問題が山積していたときに、電子消費者契約法で、同一画面の中に契約内容を最終画面で明確に示していなければ、それは取消しになるというような法整備だったと思うのですけれども、この同一の画面にすることを考慮していただきたいということです。幾らスマホの画面が小さいといっても、定期購入、レストランとかホテルの契約の場合、「あなたの契約はこれこれです。何日に幾らです。そしてキャンセル料は幾らです。これでよろしければオーケーに進んでください」、そういう形でぜひとも示すような最終画面を徹底していただきたいと思います。こういうことをすれば定期購入は本当に防げていくと思いますので、ぜひこういうことも検討していただきたいと思います。

3ページ目をお願いしたいのですけれども、ダークパターンは先ほど増田先生がおっしゃっていたように、欧米ではもう規制の対象になっています。それから、昨年度の消費者白書ではダークパターンが非常に取り上げられておりました。ですので、法規制の対象になるまでにはまだ時間がかかると思いますが、ぜひとも日本でもダークパターンをどのように、イラスト集は出ているのですけれども、これをどう今後法制化していかなければいけないかということを考えていっていただきたいと思います。

最後になりますけれども、地方消費者行政の充実については、地方消費者行政強化交付金がなくなる対応として、消費者庁で25.5億円を増額するということを言われておりますけれども、ただ、この予算だけではなかなか消費者相談体制や今の相談員の報酬などが全然十分ではないので、今後もこういった相談体制が維持できるような財源の確保をいただけるように、また監視、意見をしていただきたいというのが要望でございます。

以上、非常に早口になりましたけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、大変お待たせしました。主婦連合会の河村会長から御発表をお願いします。

○主婦連合会河村会長 ありがとうございます。

主婦連合会、河村でございます。

最初にごく短く主婦連合会の紹介をさせていただきたいと思います。どなたでも御存じな主婦連合会だといいのですけれども、昨今あまり主婦連を知らない方とかも残念ながらいらっしゃるので、少し紹介させてください。

資料5-2を見ていただきますと、1948年に設立されまして、今年77周年になる団体です。右のほうを見ていただきますと、1956年に完成した主婦会館、今も私たちの事務所はそこにありますが、そこにできた日用品試験室の写真を載せさせていただきました。台所の声を政治にと立ち上がった主婦たちが結成したといっても、大変力強い大先輩たちのリーダーシップがありまして、日本に消費者運動、消費者団体というものを根づかせようということで、単なる主婦の集まりということではないということを申し上げておきたいと思います。当初から、意見には科学的な根拠を持ってということで、日用品試験室をつくりましたし、多くは語る時間はありませんけれども、日本のどこにも消費者センターもない、国民生活センターもない、企業のお客様窓口もないという時代に、苦情の窓口ですとか、日用品試験室でのテストを通じて消費者政策に意見を届け、景品表示法が主婦連の活動から生まれた話も、知っている方には「またその話」となりますので省きますが、そういう活動をしてきた団体でございます。

それでは、資料5-1のほうに移らせていただきます。

今回いただいたテーマが、第9次消費者委員会への要望についてということでしたので、私たちの重点的な課題と思っていることと絡めて要望を発表していきたいと思います。

まず1番目は、いろいろな方が言及されましたけれども、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会報告書についてでございます。

何よりも第9期消費者委員会は、消費者委員会の専門調査会が出した報告書の理念を個別的各種法律などルールに反映、具体化することを使命としてほしいと考えています。非常に幅広い理念、何といっても消費者法制度のパラダイムシフトですから、そのことに関して消費者庁に答申して終わりということにしてはならないと思います。消費者庁のみならず霞が関全体の消費者行政を対象に見ていくことができる、この報告書の具体化への道筋を監視して示していけるのは消費者委員会しかいないと思っていますので、第9次だけでできるか分からないですけれども、第9次はもうまさに答申したばかりのところでございまして、この報告書について具体的なところを見ていってほしいと思います。

2つ目の矢羽根に、「「同床異夢」にならないよう」と書きましたけれども、私どもはこの報告書は評価していますけれども、あまりにも抽象的であり、読み取りようによってはいろいろな具体化ができるようにできているところが非常に懸念されるところだと思っているのです。まずベストミックスという言葉についても、何をもってベストなのか、そういうことは示されていないわけで、それは答申しただけで任せておくと、それぞれ役所の方でベストとされた具体化が、もしかしたら私たちが求めているものとは違うかもしれません。具体的な議論の中で、消費者団体も意見を挙げていきますが、消費者委員会に監視していただいて、必要に応じて意見あるいは勧告を出していただくというようなことを続けていっていただければと思います。

次の矢羽根に「消費者契約法の改正」と書きました。

この報告書は、直接的には消費者庁の消費者制度課さんに向けたと言っていいと思いますので、消費者契約法の改正のことが主に重点的に書かれているのかなとは思います。消費者契約法の改正につきましては、例えば報告書の36ページには、「新たに、「消費者の脆弱性」を事業者が利用することを問題とする規律」や、「脆弱性を有する消費者のために必要とされる規律を検討することが重要となる」と書いてあります。この消費者の脆弱性を事業者が利用するというような言葉は、つけ込み型と言われる類型を連想させるものでございます。このような報告書の言葉を実現させるための後押しといいますか、先ほどの監視、意見、勧告を必要に応じて議論していただいて、実行していただくことを期待しています。

次のポツの報告書37ページにも契約法のことが書いてあり、「消費者契約法の法目的を刷新し、「消費者の脆弱性」への対策を加えることが必要と考えられる。法目的として明示されることにより、消費者ならば誰しもが多様な脆弱性を有するという認識が明らかとなり、法解釈の指針になる」ほか云々と書かれています。これもぜひ実現させる方向で私たちは期待しているところですので、先ほど申し上げたように、委員会のほうでその後押しをしていただきたいと思います。

もちろん目的だけを改正すればいいということではあるわけはないので、具体的な規律の改正と、それに伴ってこの法律の考え方を今回付け加えるのだ、変えていくのだということで、目的の改正というのを期待しております。

次の矢羽根は刑事規制について、パラダイムシフト報告書についてが続きますが、報告書の41ページには、「「消費者の脆弱性」を正面から捉えるという観点から、から(中略)から消費者の欲得への働きかけを消費者の脆弱性への攻撃と捉え、その対策のために刑事規制をより積極的に活用することを検討すべきである」と書かれています。消費者法の中で、すぐに思い浮かぶのは特商法ということになるかもしれませんけれども、こういう刑事規制の強化について実現させるための後押しを消費者委員会に期待しています。

次のページに行きまして、「消費者法制度における実効性のある様々な規律のコーディネート」という言葉をここに書きました。コーディネートとかベストミックスとかグラデーションといった言葉がこの報告書には多用されていますが、これらのニュアンスは注意深く具体化することが重要なのではないかと考えています。この報告書の理念を具体化していくときに、具体化する人の考え方によってグラデーションとかコーディネートとかベストミックスの中身は変わっていってしまいますので、消費者の安心・安全、幸福を守る視点から、実効性のあるグラデーション、コーディネート、ベストミックスということを考えていただきたいと思います。

報告書の47ページには、法規制の尊重が期待できない場合として、「既存の枠組みに捉われることなく、消費者取引に係る消費者法制度を抜本的に再編・拡充すべきである。」。さらに続けて、「消費者法制度の目的・価値規範を共有せず、深刻な消費者被害を発生させる悪質事業者・悪質商法については、官民総力を挙げて消費者取引の市場から排除するべきである」と書かれています。これはぜひ実現させるための具体的な制度設計、実現するための後押しを消費者委員会に期待しています。

この報告書が掲げるパラダイムシフトを具体化し実現するのは大変な作業だと思いますけれども、そここそ消費者委員会の監視、意見に期待したいところでございます。

大きな2番にまいりまして、特定商取引法の改正でございます。これはもうずっと主婦連合会はじめ消費者団体、弁護士会などが言い続けているところでございまして、抜本的改正に向けた取組を期待しているわけですけれども、もう何年も要望していますが検討する場すら消費者庁にはつくられていません。今回、パラダイムシフト報告書も出たことですから、誰もが脆弱性を持っている、そんな消費者を悪質な勧誘から守る、この時代の変化に即した対応を期待します。

特商法の改正については連携運動体はじめ多くの意見書が出ていますので詳しくは申し上げませんけれども、主婦連も入っている特商法の抜本的改正を求める全国連絡会では、3本柱と言っておりまして、一つ目は不招請勧誘規制。これは今、デジタル化とかAIとか言われる一方で、極めて古典的な訪問販売で特に高齢者を中心に多額の被害を出し続けている類型の規制強化の要望でございます。放っておいていいわけがないのです。以前ここに来たときも同じことを言ったような気がしますけれども、特商法の前身である訪問販売法ができた1976年の高齢化率は65歳以上7.9パーセントだったところ、2024年、昨年は29.3パーセントです。3.7倍、もう4倍になるのも時間の問題でございます。しかも高齢者独りだけ、あるいは2人だけの世帯などがその法律ができたときと比べものにならないぐらい増えている時代において、不招請勧誘規制がこのままでいいわけがないと私どもは思っております。ここはぜひ、Do Not Knockという制度が海外にはありますし、いろいろなやり方があると思います。訪問販売の登録制を掲げている団体もあります。とにかく今のままでいいわけがない。安心して高齢者が独りで家にいることもできないような、勧誘被害で老後の蓄えた資金を失ってしまうようなことがあってはならないわけですから、ぜひここは、主婦連合会は何十年も言っていますけれども、訪問販売への不招請勧誘規制を求めます。そして電話勧誘のほうも規制導入をずっと訴えています。もう今や家の固定電話は、私の体感でも9割以上が勧誘電話でございます。そういう時代になってしまいましたけれども、諦めることなく、Do Not Call制度のようなもので規制をかけていくということは極めて大切だと思っております。

次が、NACSさんも力強く訴えていらしたSNSを使った勧誘への規制、これが連絡会が求めている3本柱の二つ目です。これは通信販売類型ではとてもカバーし切れないところに来ております。デジタル化が進む時代に、具体的な個別な法改正では間に合わないとか、できないとか、そういうことが消費者庁の取引対策課の研究会報告書には出ていましたけれども、いつまでもやらないから被害が減らないわけですから、必要な法改正はすべきです。SNSを使った勧誘への新たな規制を導入することはぜひやっていただきたいです。これは特商法の改正なのか、デジタル分野の新法制定なのか、その辺こそ消費者委員会に深めていただけたらと感じております。

特商法改正3本柱の3つ目がマルチ商法への規制強化ということで、この辺りに先ほどの刑事罰の厳罰化というようなことも関連してくるかなと考えております。

時間がなくなってしまうので3番目に行きます。個人情報保護法の改正でございます。個人情報保護法について、消費者委員会が意見を言うということができないという立てつけはないと思います。ぜひ個人情報保護法についても監視の目を、そして意見を期待したいと思っております。

今、消費者のプライバシー情報というのは、それを提供することがサービスを無料で利用することの交換条件のようになっています。ポイント制度などもそうですけれども、ありとあらゆるプライバシー情報が取られている状況です。もっと透明化が必要ですし、どういう使い方ならいいのか、どういう使い方は悪いのかということについてのルールはもっと明確にすべきなのではないか。このままだと本当に手の施しようがないところにデジタルの世界は行ってしまうので、消費者の権利という視点から、きちんとルールを整備・強化していくべきだと思っています。パラダイムシフト報告書にも、19ページに「情報法の分野を消費者法制度の対象と捉える視点も重要である」と書かれています。

それから、パラダイムシフト報告書の51ページには「海外当局・国際機関との一層の連携強化」ということも書いてありまして、これは別に情報法に限らないですけれども、ここでとりあげたのは、越境個人データの問題について、今、消費者団体が注目しているということがあります。国境を越えて私たちの個人情報が行ってしまったときに、損害が発生しても被害救済の仕組みがないことですとか、そういうことを国際的な消費者組織であるConsumers Internationalでも問題にしていまして、国際的な消費者の連携で被害救済の仕組みがつくれないかということまで話し合われていますけれども、まだまだそういう話合いが始まったばかりでございます。規制のハーモナイゼーションと書きましたけれども、日本の個人情報保護法は違反行為に対する罰則が不十分です。課徴金制度もありませんし、クラスアクションのようなものもないということで、そういうものはぜひ入れるべきだと思っています。個人情報保護法の改正は準備されているようですけれども、その辺りのことは不透明です。消費者委員会のほうで消費者目線で監視、意見をしていただけたらと思っています。

時間がなくなってしまうので、駆け足で行きます。

消費者の生命、身体の安全につきましては、制度の見直しも視野にと書きましたけれども、グローバルなネット取引における製品安全については、製品安全誓約などありますけれども、お願いベースといいますか自主的なものなので、例えば海外でリコールになって死亡事故が起きたような乳幼児用の製品が、日本のサイトで普通に売られていたりします。安全に関連する情報があっても、商品ページではなくてサイトマップの全然別のところに掲載されていたりします。改良の余地があると思っています。

あと、事故情報の収集も、事故情報データバンクで捉え切れていないものがたくさんありますから、こういう視点からも、例えば米国など海外にありますチャイルド・デス・レビューですとか、もっと細かく政策に活かすことができる情報の収集と活かし方、もちろんプライバシーを守ってということですけれども、そういうことについても意見を言っていただきたいと思います。

事故調査体制につきましては、消費者事故調が消費者庁の中の審議会のままでいいのかということは、私どもは常に思っております。そういうことも忘れないで見ていってほしいと思っております。

5番目、消費者庁が進めるエシカル消費につきましては、エシカル消費推進を支える商品・サービスのエシカルに関連する表示、これに虚偽があっては、高いお金で買わされる消費者被害とも言えますので、エシカル表示の公正さについて、景表法にできるのかできないのか、エシカルに関する表示の公正さをどうしたら担保できるのかということを視野に入れて、議論、監視、意見をしていただきたいと思います。

食品表示につきましては、ゲノム編集ですとか、培養肉ですとか、フードテックと言われるいろいろ新しい技術が出てきますけれども、安全性は必ず必要ですし、それだけではなくて消費者の選択の権利が実現できるように、表示についての制度も整備していっていただきたいと思います。

お米の表示につきましては、例えば今、複数産地のものになりますと義務表示がないに等しいのです。複数産地になりますと、生産年も生産地も、書いてもいいし書かなくてもいいというようなことになっております。その辺り、やはり消費者の選択の権利が実現できるものにしていくべきではないかと考えています。

ネット販売における食品表示においても、今はまだ義務表示になっていないという問題があります。

健康食品に関しましては、意見書等を出しておりますから主婦連の意見はお分かりかと思いますが、機能性表示食品制度の抜本的な見直しについて私たちは当初から意見を挙げておりますし、更に、サプリメント形状の食品のためのルール創設、私たちの意見は機能性表示食品制度を廃止して、サプリメント形状の食品の新しいルールをというものなのですけれども、そういうことをぜひ消費者委員会のほうで議論を深めて意見を挙げていっていただきたいと思います。

時間を超過して大変失礼いたしました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

以上で皆様からの御発表が終了いたしました。

これより全体を通しての意見交換を行いたいと思います。時間は、最初に申し上げましたように70分程度でお願いします。いかがでしょうか。

それでは、中田委員、お願いします。

○中田委員 委員の中田です。

関係団体の皆様には、消費者問題の現状や解決手段を講じる際の問題意識を共有いただき、ありがとうございます。

御説明を伺いまして、日々消費者に寄り添い、御支援いただいている状況と、消費現場、相談現場において発生している課題の解像度が大きく上がりました。

私たち消費者委員会にとっては、消費者問題の具体的な状況を把握した上で、ファクトを持って調査審議をしていくことは不可欠であると認識しておりまして、中には消費者委員会に対して厳しい御要望もございましたが、幅広い領域の有意義な情報提供にまずは感謝申し上げたいと思います。

その上で質問させてください。

地方消費者行政についてですが、NACS様においては、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタント、あと国家資格である消費生活相談員の方々が、現在、全国で約2,000名活動されているとのことですが、NACS様にお伺いしたい点としては、消費者に最も身近な地方消費者行政においては財源と人材が不足していて、今後もサステナブルに機能する地方消費者行政ではないという状況があると思うのですが、今後十分な財源を確保することができれば、消費者が求める十分な消費者相談体制が維持できるとお考えであるか、財源以外にこれらの専門職の方々を育成、増やしていく上でどのようなハードルがあるか、また、そのハードルに対して取り得る対策があるかということを1点目として御教示いただければと思います。

また、同じくホクネットさんの資料の6ページ目に、権限、人、予算の3つの不足の解消が地方消費者行政の活性化につながると書いていただきましたが、この課題を解決するためのアプローチの幅を広げるとすると、全国で同時期に起こっている共通性のある消費生活相談のデジタル化推進や広域連携促進、地域や民間の力あるいは中央省庁である消費者庁や国センの例えば刷新PIO-NETをより活用した戦略的な施策を同時に進めるということ。あるいは、一律に不足を補うのではなくて、小規模自治体の負担を増やさない、逆に減らすという考え方もあると思うのですが、このような考え方のアプローチについてお考えを伺わせてください。

○鹿野委員長 それでは、NACS様とホクネット様に御質問がございましたので、順に、まずNACS様からお答えいただけますでしょうか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会樋口副会長 ありがとうございます。

非常に重要な質問をいただきまして、ありがとうございました。

私はNACSですが、相談員をしておりますし、地方で長いこと相談員をしている立場から申させていただきますと、まず地方の消費生活センターの相談員はほぼほぼみんな会計年度任用職員という位置付けになっていまして、時給も最低のレベルに近いところでやっている人たちが多いと思います。しかも、常勤ではないので、非常勤が多いですので、私の周囲も含めてですが、大手企業の初任給にも及ばないような給与体系になっているのです。一部の東京であるとか大阪、京都、大きいところは別途違うように聞いておりますが、普通はそのようなことでございます。

となると、結局相談員のなり手がいないというのは、給与があまりにも低過ぎて、それで生活できるレベルではないのです。そもそも最初に消費生活相談員とか消費生活センターができたときは、消費生活アドバイザーができたことも、高学歴で割と収入のある主婦の方たちが、その資格を取って社会に出るための資格であるというような位置付けであったと聞いております。そのときはそれでよかったのですが、男女雇用機会均等法ももう行き渡りまして、男女も、それから高齢社会になっても働ける時代になったときに、あまりにも待遇が低過ぎるというのが根本的な原因でございます。待遇さえ上げれば資格を持って入ってくる人は幾らでもいると思います。まずそこなのです。消費生活センターの相談員は地方自治で規定されているということで、補助金をもらって、結局それが地方消費者行政強化交付金ということになるのですけれども、ただ、その分配は地方自治体に任されているわけですので、地方自治体によっては、なかなかその交付金を全部人件費などに使うということもできませんし、そもそもこの交付金も人件費に使うということの設定になっていなかったように思います。そうすると、今の地方自治体はものすごく疲弊していますので、報酬の値上げは難しいということ。

ですので、先ほどちょっと申し上げたのですけれども、私どもNACSは、消費生活アドバイザーが国家資格になって、企業に勤めていた方がリタイアした後、年金ももらいながら社会貢献したいという方がかなり増えて、また今、皆さんお若いし、それから企業で勤めていた方たちはITや非常に様々な消費者対応にたけていらっしゃる方たちですので、そういった方を消費相談センターの現場に送り込むという役割を担っているのではないかとは思っています。そうなると、あまり待遇がよくなくても、そういう方たちはやっていただけるとは思います。

ただ、新しく若い人たちをこの現場に呼び込むことができるかというと、それは難しいと思います。AI化とかデジタル化が盛んに言われているのですけれども、現場はある程度できなくはないのですが、何せ相談をしてくる人たち、60、70、80、90歳というような高齢者がデジタルに対応できるかというと、そこが本当にネックでございまして、需要と供給というか、相談をしてくる人、そして相談を受ける側がオンラインでどのようにつながれていって、きちんと適切な回答ができていくのか。私は今、ChatGPTとかそういうのを使って、クーリング・オフなど典型的な質問などに対してはデジタルが活用できるのではないかと思っています。過剰要求してくるような相談者に対しても、それを実行していただければすごくありがたいなと。そういう形の実施はありがたいなと思っているところでございます。ちょっと話があれかもしれませんが、予算に関してはそういう辺りにつけていただければありがたいかなと思います。

非常に難しい課題だと思っております。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、ホクネット様、お願いします。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道原専務理事・弁護士 所用でこの後もうちょっとしたら退室をさせていただくのですが、今、御質問の点について、私のほうから回答させていただきます。

御質問の点は、資料の6ページにある3つの不足に関する御指摘で、負担の軽減あるいはデジタル化によって、その不足を補うというか、不足の問題自体を軽減できるのではないかという御指摘であったかと存じます。

その点に関しては、ここで申し上げている3つの不足というのは言わば絶対的な不足でして、相対的な不足あるいは一律に何らかの手当てをすることによって解消される性質のものではないと考えております。確かにデジタル化ですとかそういったことによって、組織全体として対応するものに対する負担感、お一人お一人の負担感は少なくなるということはそのとおりだと思います。ただ、ここで申し上げているのは、一律のデジタル化による負担軽減の前に、そもそも対応する人材自体、基礎的な人材が足りない、あるいは権限が足りていない、人が足りていないということなのです。ファクトの観点から申し上げると、これは若干定性的な、定量的なものではないので、表現として正確な部分ではないかもしれないのですが、札幌地方裁判所の管内というのは、南は室蘭とか苫小牧とか、北は滝川とかという地域なのですが、札幌地方裁判所の管内だけで四国1つの面積がございます。そのうち例えば4,300平方メートルぐらいの管内、後志と言うのですが、この後志の管内を消費生活相談員の方数名で対応しています。そもそも都府県1つぐらいの面積があるところを数名で対応するという広域化自体が、もともと無理がある広域化なのではないのかと。

広域化にあたって、確かに人口が少ない、他地域から比べれば人口密度が少ないわけで、そこは仕方がないとしても、地方こそ消費者被害はある。北海道の場合ですと、悪い人たちが各地を地域、地域に順繰りに回って被害を起こしていくということはよくありまして、そういったときに、被害が起きたときに、点在している人口に対して広い地域をカバーして数人で何とかするということ自体がそもそも問題なのであって、絶対的な人数が足りない、ここをまず拡充した上で、さらにデジタル化や負担軽減策を取ることによって初めて問題が解決をされるのではないかなと思います。

ですので、まず絶対的な不足を解消した上で、絶対的という表現がよろしくなければ、基本的な、基礎的な、と言うのでしょうか、その体制を整備した上で、さらに広域化やデジタル化というものがあってということの順番ではないのかなと考えます。とても広いだけに、人口が点在しているだけに、至るところで被害がぽつぽつと出てきたときに、対応できる人材がやはり少ないのではないかと、あるいは予算が少ないのではないかと、そういうところを考慮いただきたいという趣旨でございます。

定量的なファクトに対する回答にはなっていないかもしれませんが、私どもが申し上げた不足の趣旨というのは、以上のような趣旨でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

大嶋様から追加で何かございますか。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道大嶋理事・事務局長 今、原専務が言われたとおり、本当に北海道は広域性というところで、本当に点在しているというところは今、現状にあります。

ただ、一つ今、ホクネットが、平成24年から、広域性のところを少しでもカバーしようというところで、北海道の例えば拠点、旭川だとか函館だとか帯広だとかそういうところに行って講座の開催、あと消費生活相談窓口の意見交換というところをやっております。担当は別にいるのですけれど、私も一緒に行って、相談窓口あるいは消費者行政の窓口の方と意見交換をします。その中で、例えば事前に事例を提供してくださいということでお願いしますが、小さい自治体というのはほとんど相談がないという現状が多々あります。実際のところ相談はあるのでしょうけれども、なかなか相談者が、小さい町とか村であれば、窓口といえば役場の窓口の方がやっておりまして、あまりにも身近な人がやっているというところで、自分の被害を知られたくないという意図がはたらき、逆に札幌にわざわざ遠くからに相談に来るという現状もあるのですよね。

ですから、広域性の人数を増やすということも一つですけれども、その辺をどうカバーするかというところも考えていかなければならないということと、たまたま昨日、相談員協会の部の交流会がございまして、そのときに相談員さんと話したところ、やはり相談員の負担が大きいことがネックになっている、例えばPIO-NETの入力をするにもやはり時間がかかることから、少しでもデジタル化にすすめ、業務の軽減化はできないのかといったようなところの声も上がっておりました。

北海道の主な消費生活センターも、本当に定員を割っていて、募集していてもなかなか応募がないというような状況の中で、相談件数は全然減っていない中で、定員割れしている人数の中で相談に対応していくというところで、一人一人の負担が大きいと。その負担感をどう軽減していかなければならないというのが喫緊の課題であります。

もう一つ、先ほどNACSの方がおっしゃられたように、北海道というのは消費生活相談窓口をほとんどの自治体が消費者協会に委託をしているのです。それはメリットもありますけれども、反面、相談員の待遇向上がなかなか進まないというところがございます。昔は生計を立てる方、御主人がいて、そして主婦がいて、その主婦のちょっとしたお小遣い稼ぎと言ったら変な言い方ですけれども、そのようなスタイルのままずっと来ているところなので、現に1人で生計を立てている人が、とても相談員だけの給料ではやっていけないから辞めていくとか、あとはダブルワークをしていくとか、そんなような状況であるところで、待遇改善、特に給料については本当に相談員を確保をするというところでは本当に喫緊の課題だと思うのです。

それと、相談の中身が非常に高度化して、なかなか対応するにも困難が伴うため、常に知識のアップデートが必要というところで、負担は大きくなる一方ではあるけれども、待遇がなかなか向上しない。そういうところで相談員の人材不足というのは恒常的に発生している、そんなような状況が北海道にもあるところでございます。

以上をもちまして私の報告とさせていただきます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

中田委員。

○中田委員 NACSさん、ホクネットさん、御説明ありがとうございます。

相談需要、特に高齢者の相談需要を予測して、そもそも基礎的な人材、権限、予算が足りていないと。その絶対的な不足を補完した上で、デジタル活用等による負担減や、広域連携等で全般的な負担軽減を行うという両輪の対策が必要であるということが理解できました。ありがとうございます。

○鹿野委員長 それでは、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。

発表を通じて、消費者支援の現場に携わる者として胸に迫るものがあり、責任の重さを改めて実感し、今後についても深く考えさせられました。御発表いただきまして感謝申し上げます。

各団体について質問をさせていただきます。

まず消団連さんです。

日本の消費者団体は、一般の方々への認知や理解が十分に広がっていない印象がありますが、こうした状況について、どのような課題や背景があるとお考えでしょうか。また、一般の消費者を巻き込んでいくような働きかけも重要かと思われます。欧州や米国などですと、消費者の声というのが非常に大きくて、その声を反映して消費者団体が成り立っているというところもお聞きするものですから、そのような消費者との接点を増やすための工夫や、より身近に感じてもらうための取組など、具体的な御経験やお考えをお聞かせいただければと思います。

2点目です。消費者団体の役割や活動について、消費者支援の観点から重要な意義を持つ一方で、事業者の方々には十分に理解されていないということの御発表がございました。こうした状況の中で、事業者と対立的な構図にならないよう配慮しつつ、団体の趣旨や取組に理解を示していただくためには、どのような働きかけが有効だとお考えでしょうか。

3点目です。地方消費者行政の充実・強化についてや抜本的見直しは、各方面から多くの要望が寄せられていると承知しておりますが、現時点で特に課題とされている点、何を改善すれば変容するのかについて、差し支えなければお考えをお聞かせいただけますと幸いです。

先ほどホクネットさん、それからNACSさんからも意見が上げられていました。広域性や、例えばネットでの相談は全国的に取るなど、どのようなことが考えられるのかについて、何かお考えがありましたらお示しいただければと思います。

次にホクネットさんです。

差止請求制度につきましては、制度の意義の深さとともに、実際の運用に当たっての御苦労や課題も多くあることを改めて理解しました。特に調査・準備の御負担や事業者との関係性の中で慎重な判断が求められる点など、現場での実践に根差したお話をお聞きし、多くの示唆をいただきました。特に検討委員の方々が手弁当で対応されている実情や、委員数の減少といった運営面での御負担については、制度の持続性にも関わる重要な課題と受け止めております。こうした状況の中で、現場ではどのような工夫や支え合いがなされているのか教えていただければと思います。

2点目です。消費生活センターの権限強化についてお話がございました。単なる制度改正にとどまらず、消費者保護の実効性を高めるための社会的な課題であると受け止めております。事業者の一定の是正の要請の権限の付与や、他機関との連携強化、相談員の専門性、処遇の向上など、制度面・運用面の両側からの改善が求められる中で、現場ではどのような課題や工夫があると感じていらっしゃいますか。また、今後の制度設計や運用の在り方について、何かお考えや御提案があれば、ぜひお聞かせいただけますと幸いです。

それから、京都消費者契約ネットワーク様、適格消費者団体として、戦闘的と積極的な取組をされていると伺い、大変心強く、すばらしい活動だと感じております。こうした姿勢にほかの適格消費者団体も追随していけるような流れが広がることを私自身も期待しているのですけれども、現在、他団体との連携や情報共有などはどのように行われているのでしょうか。

また、ほかの適格消費者団体が同様の姿勢を取りづらい背景や、活動のスタンスに差が生まれる要因について、もし把握されていることがあれば教えていただければと思います。

それから、NACSさんです。

JIS化を進める上での課題や留意点について、どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。今後より実効性のある標準化を図るためには、どのような視点や関係者間の連携が求められるとお考えか、ぜひお聞かせいただけますと幸いです。NACSさんだけではなく、他の消費者団体との連携みたいなものも私は必要性があるかと感じておりますので、御質問させていただきます。

最後に主婦連さんです。

消費者の生命、身体の安全を守る取組を行っているということですけれども、昨今、モバイルバッテリーの火災事故が多く報道されているところですが、こうした中で、現時点で特に優先して取り組むべき課題やまず着手すべき分野について、どのようにお考えでしょうか。海外から届く商品についてや、プラットフォーム事業者への働きかけの在り方についてお話がございましたが、どのような点についてまず先に取り組むべきとお考えなのか、教えていただければと思います。

たくさんの質問をさせていただきましたが、以上でございます。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

柿沼委員から、全ての本日御参加の消費者団体様に御質問がありました。

それでは、順番に、まず全国消団連様からお答えをいただきたいと思います。お願いします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会郷野事務局長 御質問ありがとうございました。

まず1点目、認知や理解がなかなか広がっていないのではないか、一般の消費者を巻き込むような工夫とか、より身近に感じられるような工夫ということだったかと思いますけれども、全国消団連としましては、消費者の関心が高いような問題ですとか、注目されているものに関して、学習会等を通じて広く消費者に伝わるような努力をしておるところです。こういったことに対して、ホームページやSNSを通じて情報発信なども進めていて、会員団体だけではなくて、そこから参加者の広がりなども感じているところなので、引き続き取り組んでいきたいと思っているところです。

2点目が、消費者団体と事業者との関係において、対立構造ではなく、どう理解を深めていくかというようなことだったかと思うのですが、その点に関しても、基本的には事業者の皆様も、最初から消費者に被害を与えようと思っているわけではないと思うので、そこは対立するのではなくて、消費者の目線に立って、同じ方向を向いて、きちんと消費者に利益がというか、消費者が被害を被らないようにということで意見発信はさせていただいております。

事業者のほうからも、意見交換をしたい、消費者団体の意見を聴きたいという御要望がありましたら、それは全て対応するようにしております。そういうことを重ねて、お互いに理解を深めて、それが消費者の利益につながることが重要ではないかと思っております。

それから、3点目の地方消費者行政につきましては、今、交付金が停止されるというところ、その辺りについての課題認識を特に重要に思っております。見守りネットワークなども進めておりますが、見守りネットワークが消費者被害を未然に防ぐためにはとても重要な取組・制度だと思っておりまして、そこには相談員さんの役割も重要であると考えていますので、先ほどからもお話がありましたけれども、相談員さんの待遇改善ですとか、成り手育成ですとか、そこに対しての強化交付金の厚みを持たせるとか、予算確保であるとか、そういうところはとても重要だと思っていますので、引き続き取り組んでいきたいと思っているところです。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、続きまして、ホクネット様、お願いします。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道大嶋理事・事務局長 道尻先生、差止請求制度の工夫というところで御報告いただけませんでしょうか。そのほかは私のほうから報告いたします。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道道尻副理事長・弁護士 では、先に大嶋さんのほうからお話しできるところをしていただいて、後で。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道大嶋理事・事務局長 分かりました。

私ども消費者団体訴訟制度の適格消費者団体がなかなか認知されないというところが悩みでございますが、ホームページとかSNSでは発信とかをやっておるのですが、先ほどお話ししたのですけれども、平成24年から、それぞれの拠点の相談窓口とか、あと各消費者行政の窓口、北海道庁の振興局に訪問して、フェース・ツー・フェースで意見交換するというところも一つ認知度を上げるという役割を果たしているなというところでございます。ホームページ、インターネットを通じての広報とともに、現地の方々との意見交換といったところも引き続きやっていきたいと思っております。

現地の消費者センターの相談員さんとかと直接意見交換することによって、例えばホクネットへの情報提供につながるという例も出てきており、引き続き両面で、インターネット空間を利用してということと、あと直接のフェース・ツー・フェースの意見交換をやっていく予定でございます。

2点目の消費者団体と事業者の対立構造です。一昨日、消費者支援機構関西、大阪の特定適格消費者団体でございますが、ここの団体で毎年双方向のコミュニケーションという交流会をやっていまして、それは適格消費者団体と事業者さんとの率直な意見交換を毎年やっていまして、今年度は消費者庁の委託事業としてそれを取り組んだということで、全国の適格消費者団体に声がかかりまして、参加いたしました。オンラインだったのですが、それぞれオンラインでブレークルームアウトを使いまして、いろいろ事業者さんが思っていらっしゃることと、私どもが思っていることを率直に意見交換することで、非常にそれぞれの思っているところのハードルが下がったという感じがありました。つまり、それはやはり対立構造ではなくて、コミュニケーションを深めて、双方とも消費者利益の向上というところを目的にしているのであるならば、ちゃんとコンプライアンスを守って消費者のことを思う事業者であれば目的は一緒だというところで、消費者志向経営促進講座とかそういったところで発信していきたいと考えているところでございます。

次に、消費者行政の促進の取組のところでございますが、先ほどから何回か言っているのですけれども、ホクネットは札幌に事務所があるのですけれども、私はちょっと札幌から離れている地方都市から通ってきております。そのときに、初めて札幌でホクネットに関わって思ったところなのですが、札幌と地方都市との差がすごく大きいと感じたのです。それはなぜかというと、札幌は札幌弁護士会で900人ぐらいの弁護士さんがいて、常に相談員が比較的弁護士さんとの距離が近くていろいろアドバイスを受けられるという非常に恵まれた状況になっている。ただ、地方都市というのはそうではないのです。なかなか弁護士さんとの接点がなくて、その中で相談員さんが苦労しながら、あと地方に行けば行くほど、これは消費生活相談というよりも法律相談かなと思われるような相談事例も寄せられて、それも対処している、対応しているというような過酷な状況が見られます。その辺のところをどうやって格差をなくすかということが課題となっています。それには、やはり交付金です。交付金の今後の予算計上というのは大事になってくると思っているところです。

私どももそういったところで、札幌に事務所はあるのですけれども、北海道内の拠点都市に行って、その辺のところで私ども団体に所属している先生方も一緒に行って、講座を開いたりとか、あと事例の検討をしたりというところで、なるべく地方の消費者行政の促進、私はできる支援というところで考えて行っているところでございます。

以上でございます。

あとは道尻先生からお願いいたします。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道道尻副理事長・弁護士 差止請求に関しては、今お話のありましたように、札幌においては弁護士の数も司法書士の数もかなり多いということで、ボランティアベースでも一定数の専門家の協力が得られているということで、ホクネットの活動を続けてきているということ。

それから、大嶋事務局長を中心に、いろいろな活動の中で寄附を集めて、専門家もなるべく無償ではない、多少の経済的な対価を受けられるような形で回しているというようなこともある程度できているかなということですが、それも基本がボランティアであるということは正直変わらないというところがあって、継続性、若い人に新たに活動に参加していただくということが難しいという状況に直面をしているというのも現実ですし、全国の中で東北とか四国とか団体の数が多くないところ、あるいは既に団体はあるけれども、活動に非常に苦労されているところもあるということは御承知のとおりかと思います。この問題については、消費者庁の試算によると、1事案当たり254人が被る約2,250万円の被害を防止しているというのが差止めあるいは申入れ活動の成果と考えられているような試算もあって、私どもの町村理事の計算では、18年間で約228億円もの消費者被害の防止につながっているのではないかというようなことが研究結果として報告されていますが、そういった実態の被害防止効果に見合うような経済的な支援がもっと考えられていいのではないかと。そうしないと、団体がある地域と団体がない地域との間では格差がやはり生じているのです。団体がない地域での申入れ活動というのは、他の多い地域に比べると非常に少ないということがあって、消費者被害の防止について地域格差が生じているというのが差止めの問題でもあります。

あと、地方消費者行政についても同じような地域格差がありまして、しかも北海道は自治体の数がすごく多いものですから、最近行った町で集まった方から聞くと、年に1件、2件、相談があるかないかというようなことを消費者相談担当の方がおっしゃるというようなことです。ただ、そういう地域においても、資格のある相談員の方に相談できると。しかも、あっせんをしてもらって事案の解決に向かう活動まで含めて動いてもらえると。やはりこういう体制が取られることが望ましいということで、一つは相談窓口の広域化ということが北海道の中でも幾つかの地域で行われていますが、そういった取組、あるいは都道府県単位でそういう地域に支援体制をもっと充実させるとかということをやっていく必要がまだまだあるのではないかなと感じております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、京都消費者契約ネットワークの増田理事、お願いします。

○適格消費者団体NPO法人京都消費者契約ネットワーク増田理事・事務局長 増田でございます。

私のほうには、他団体との連携のことと、他の適格団体とのスタンスというか状況の違いということでお尋ねいただいたかと思います。

連携に関しましては、先日も連絡協議会という形で相模原で開催されたものがございまして、年に2回、特定適格あるいは適格になろうとする団体も含めてですけれども、そういう会合がありますので、そこでの情報共有をやっておりますのと、メーリングリストもございますので、メーリングリスト上でいろいろ近日中の動きであるとか、お互いの例会の紹介とか、そういったこともやっております。

また、人的にもいろいろな場面で重なり合うといいますか、必ずしも適格団体の立場でなくても顔を合わせたり意見を交換する場面がありますので、そうした中で交流しているということはございます。

当団体とほかの団体との違いというところですが、最近は、先ほどのホクネットさんもそうですし、COJとかKC’s、東京、大阪という大きいところでは差止請求、訴訟も含めて活発に取り組まれておられるなと思いますが、京都は、どちらかというと小さい地域であるにもかかわらず差止請求を積極的にやれているのは、私を含め事務局に弁護士が多数おりますので、今、事務局が6人中4人が弁護士ですので、あとは事務局弁護士以外も、京都の弁護士会の消費者保護委員会というところのメンバーには非常に理解をしていただいていて、差止請求するぞとなってお声がけすると積極的に参加していただけるということがありますので、正直、スマイル基金の援助なんかもありますけれども、基本的にはただで弁護士としての支援をいただくということになりますから、普通はなかなか難しいのかもしれませんけれども、その面では協力を得やすいということがありまして、差止請求をする段階から、いわゆる差止請求訴訟を想定しつつ、法的な分析・検討を行っていますので、もし差止請求に対して、差止請求を軽視するような対応で成果が得られないということであれば、そのまま訴訟に進むということにもなると。そういったスピード感のところで、戦闘的というふうに評価されているのかもしれません。

専門職の連携というのは、どうやって他団体、特にあまり大きな地域でない、小規模な団体においては課題になっているのかなと思います。我々のほうも、逆に常駐的に事務的活動をするというのはなかなか難しいところがありまして、昨今いろいろ受託事業をしている団体も多いと思いますけれども、私なんかも弁護士業務をしながら団体で事業運営をするというとかなり負担が大きくなってまいりますので、今、事務局も週3日、午後いるという状況ですので、差止請求業務以外の業務を受けるというのがそう簡単ではないといったところは課題になっております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、NACS様、お願いします。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会樋口副会長 御質問ありがとうございます。

ISO22458につきましては、本当に大変な作業になっております。御質問ですけれども、まず連携はどういう方たちとやっているかということなのですが、委員長は松本恒雄先生にお願いして、各消費者団体、ACAPの村井さんであるとか、今日も御参加されている主婦連の河村さん、それから消団連の郷野さんにもお越しいただいております。それ以外は消費者庁であるとか、あと関連の業界、通信販売協会であるとか、シェアリングエコノミー協会であるとか、エステティックとか、そういった関連団体含め14名の委員の方に御参加いただいております。

この目的というのは、サービス提供者と消費者との間の公正で安全な取引が確保されるようにするために、まずISO、消費者の脆弱性のガイドラインをJIS原案に作成して、そして2028年までのJIS原案の提出を目標とするということになっております。やはり皆様お忙しいですし、それから何といっても一番大変なのは、ISOの何十ページにもわたる英文での文章を全部日本語的に、内容はもちろん触ることは全くできないのですけれども、分かりやすい形で翻訳して、そして翻訳したものをもっとより分かりやすく、通用しやすい形に修正というか日本語にしていくという作業が一番大変なことになっております。11月7日にもまたこの作業が進んでおりまして、何十ページから何十ページまでの間の日本語のおかしな点をまず提案してほしいというような宿題ももらっております。

結局、今後の課題としては、関連業界における利活用がどの程度であるのかということであるとか、私どもNACSが受託しておりますので、これをどう普及啓発活動していくかということに対しまして、KPIを設定して、そして継続的にそういう調査、把握をしていきたいということです。

言うは易しなのですが、私どももなかなかこのようなことに慣れておりませんし、みんなほぼボランティアベースでやっている団体ですので、膨大な資料と格闘しながら、でも消費者の脆弱性が標準化されることを希望して、強く希求してやっているということでございます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、主婦連様、お願いします。

○主婦連合会河村会長 御質問ありがとうございます。

先ほど主婦連合会ではなくて全国消団連とおっしゃっていたようですけれども、主婦連合会と解釈いたしましたのでお答えいたします。

生命、身体の安全に関して、優先すべきことというお尋ねだったと思うのですけれども、安全側面に関しまして語り出すと私は切りがなくなるのでそれは抑えますが、今、直近で優先するべきというのであれば、いわゆるリコール漏れ、重大事故が起きてリコールになったけれども、対応がなされずにそれを使い続けて事故が起きている事例が多く起こっています。リコール品に関して、出来る限り漏れなく回収など必要な対応がなされることが重要です。企業がリコールしても、消費者に届かず、あるいは届いても理解不足なのか、消費者が使い続けてはいけないものを使い続けているということで事故が起こっています。

関連して、JIS規格のことについても各団体にというお尋ねだったので今、申し上げます。主婦連はリコール社告のJISを提案して2008年に発行されています。JIS S0104というリコール社告の記載項目及び作成方法というものです。リコール社告は2008年の頃は新聞社告がまだ主でございまして、皆さんも見たことが絶対あると思うのですけれども、小さい文字で、こんな小さい面積の中に、謹告、平素は御愛顧いただきありがとうございますみたいなのから始まり、何のリコールなのか、何をしたほうがいいのかが全然伝わらない。こんなことでは消費者の安全は守れないということで、JIS規格を主婦連が提案してつくっております。それは図示して、例えばテレビから発火するなら、テレビの製品の番号はどこを見れば書いてあるのかとか、発火するのか、爆発するのか、何が起きるのか、そういうのを今までの新聞社告では文章を読み進まないと分からない。しかも、あまりネガティブなことは書きたくない。このJIS規格ではテレビから発火のおそれなど、起きることを最初に書くこと、回収するのか、修理するのか、それも明確に書けと、消費者が取るべき行動を分かりやすく、図も付けるなど規定しました。時代に合わせて昨年改正もしております。

ただ、それでもまだなかなかリコール情報は消費者には届かないということで、これは本当に工夫を凝らすしかないのですけれども、一つには、これまで私どもがいろいろ提唱してきた中の一つではありますが、例えば今、地方消費者行政の中で見守りという言葉がよく出てきますけれども、消費者行政に絡みますとそれはほとんど取引被害、財産被害の防止がメインとなっています。そこで、高齢者が発火のおそれがあるようなリコール製品を使い続けていないか、見守りの中で見つけてあげるというのも、出来ることの一つだと思います。高齢者が大事に何十年も使い続け、見た目は何ともないけれど、もう内部的には経年劣化して、ある日発煙、発火してしまうということがありますから、リコール品の回収の支援については、いろいろ消費者委員会でもこれから議論していただければと思います。例えばデジタル技術で言えば、AIを使って、顔認証ではないですけれども、製品の写真を撮れば、これはリコールのおそれがある製品の可能性があるということを一発で教えてくれるなどが考えられます。リコール情報と突き合わせて、パソコンの製品番号を見るのも本当に容易ではないのです。製品そのものに作り込むことは古い製品にはできないわけですから、顔認証みたいな形でAIを活用できないかというのも一つの考え方かもしれません。生命身体事故に関する優先順位としては、リコール漏れをなくしていくというのが重要だと思っております。

安全に関してもう少しお話しさせていただくとしたら、事故が起きる前の問題ですけれども、ISOのGUIDE51、安全側面という国際規格、ガイドがあります。そこにはそもそも消費者の脆弱性の定義も入っていますし、よく消費者の誤使用という言葉がありますけれども、有名なところでは、合理的に予見可能な誤使用は製品の側で見るべきであると書いてあるのですが、近年はもう誤使用という言葉を使わないというところまで来ています。予見可能な使用、こんな風に使ってしまうのではないか。その中には、使うべき使い方もあるし、使うべきではない使い方もある。このものに対して消費者はこう使うのではないかと予見される使用については、製品の側で安全を担保しろということが国際規格に書かれています。

知っている方も多いと思いますが、3ステップメソッドといって、1つ目は本質安全でできるところは本質安全でやれということです。製品の危ない部分を設計段階でなくしてしまうとかが本質安全です。2つ目は安全装置といって危険部分にカバーをするとか、消費者側が保護装置を付けるとか、製品の本質ではないのですけれども、保護装置でやるのが2ステップ目で、それでも残った残留リスクは警告表示や取扱説明書で対応する。つまり、最初に警告しておけばいいとか、取扱説明書に書いてあるだろうではなくて、できることは最初に設計段階での本質安全、次に保護装置でやった上で、どうしても残ってしまう危険というのはありますから、リスクはゼロには絶対なりませんから、警告表示などで対応していくという考え方です。これももう古い問題で、知っている人は知っている事ですけれども、それが製品設計に漏れなく浸透し、活かされているかというとそんなことがありません。

あと本当に数分だけ、事故調査もきちんとすべきだということはずっと主婦連は言ってきました。主婦連合会が提案して、ISOの規格、ISO 5665 消費者事故調査というものが昨年発行されました。消費者事故調査はこうあるべきだということを私自身がコミッティマネジャーをしてドラフト作成し、PC329という委員会で議論してできたものです。あまりそういう宣伝を提出資料に書かなかったのですけれども、規格に関してはそういう活動もしています。消費者庁の消費者安全調査委員会、私も長く委員をしていましたけれども、ここは非常に小さい組織ですし、たくさんある消費者関連事故の全てを調査できるわけでは到底ないというだけではなくて、いわゆる本当の調査というのは、起きたときに現場に行って調査が始まるのですけれども、そういうタイプの調査はほぼ行われていません。運輸安全委員会は航空機、鉄道、船舶の事故では必ず現場に行きますけれども、消費者事故調が消費者事故が起きたときに現場に行って調査をするわけではないのです。その辺り、先ほども触れましたが、消費者事故調査について、消費者庁の中の小さな審議会という形ではなくて、組織の在り方から見直すべきではないかということを申し上げて終わりにします。

ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

時間も大分押してきましたが、先ほどから黒木委員長代理と小野委員からお手が挙がっておりますので、順番に、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

5つの団体から、大変貴重な意見をいただいて、感謝しています。

各団体に一言ずつ、質問などを差し上げたいと思います。

まず全国消団連様についてです。

「次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項」については異論がないということで、大変ありがたいと思って聞いていました。

意見交換の中で、地方や若年者との接点の問題を指摘いただきましたので、例えばですけれども、第9次においてオンラインなども使って若年者の人に向けてのシンポジウムなどを行うというような形を取るということについて、全国消団連様の意見を聞かせていただければと思います。

次に、ホクネット様の御発表は大変興味深く聞かせていただきました。

資料4ページの特例法96条、同施行令25条に関する事例について報告をいただきました。なかなか機能していないというお話でしたけれども、どういった点、特に施行令25条に基づく拒否に該当する、同条各号に該当するとして、開示が拒否されたのはどのような事例なのでしょうか。これをどういう風に改善したらよいのかということについて意見をいただければと思います。

同じくホクネット様の7ページの景品表示法の改正です。

ここで不実証広告規制を、団体の差止めにも入れたらどうかという提案です。これについてお尋ねです。最判の令和4年3月8日判決で、消費者庁の措置命令に関しての不実証広告規制は、憲法21条と憲法22条には違反しないという最判が出ていますが、消費者庁という行政庁と適格団体とで、その辺りの最判の読み方等の考え方に違いがあるかどうかということについての意見をお尋ねしたいと考えています。

むしろ、例えば適格団体が公正競争規約、今103件ありますけれども、そのようなことを定めている事業者団体との間で情報交換をするといったようなことを考えられないかということについての意見、これはその後のいろいろな情報の提供について、国の政策としたらどうかという点とも関わると思っています。

続きまして、京都消費者契約ネットワーク様についてです。

13ページ以下で、レスキューサービスについて様々な差止めをされているということの報告は大変興味深く伺いました。その中で、第8次の消費者委員会が本年8月にレスキューサービスに関する消費者問題についてという意見を出していますけれども、この評価についてどのようにお考えなのかということについてお尋ねしたいと思っています。

続いて、NACS様です。

NACS様からは、まず建議、意見、提言について、パラダイムシフト以外は3件しかないということなのですけれども、第8次消費者委員会では、2024年4月に次期消費者基本計画策定に向けた意見、同年7月にサプリメント食品に関する消費者問題に関する意見、同年9月に次期消費者基本計画策定に向けた意見、同年12月に消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会の意見、2025年8月にはクライミング施設における消費者安全に関する意見とレスキューサービスに関する消費者問題についての意見を発出していて、JR東日本を除いても6件あると思っているのですけれども、なぜ3件のみだと評価なさったのかということについて教えていただければありがたいと思います。

続いて、発出した建議が0件であるという点は、指摘のとおりなのですけれども、第8次の消費者委員会は、消費者基本法9条に基づく消費者基本計画の閣議決定のための手続として同法27条3項で、消費者委員会に意見を求めなければならないという点を重大なものとして捉え、それに基づいて意見書を先ほど申しましたように2件発出して、最終的に第5期消費者基本計画の閣議決定に至っています。

そもそも消費者委員会の建議は消費者庁及び消費者委員会設置法に基づき、必要と認められる事項を内閣総理大臣、関係各大臣又は長官に建議するという権原です。それに対して、消費者基本法に基づいて閣議決定をされる消費者基本計画の策定に関して、消費者委員会が関与していた場合、単に建議の数がゼロということだけで、貢献をしていないとなるのかということについてのNACS様の意見を伺いたいと思います。

それから、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会報告書についてです。つけ込み型取消権について、棚上げをされていると評価なさっていますけれども、そもそもこの全体の専門調査会報告書について、各法制を一つ一つ決めなければならないというようなものだとお考えなのか、それとも、今後の改正のプロセスを示す大きな論点を提示されたというものなのか、どういう風にNACS様がこれを読んでいるのかということについてお尋ねしたい。

あわせて、資料2②のところで言及されているSNSやチャットを利用した意見書ですけれども、これについて、パラダイムシフト専門調査会報告書の第2のところでは、デジタル化について、プロファイリングあるいはパーソナライズド・プライシングについても意見を述べられていまして、これはSNSを介した取引と関係するものではないかと思いますけれども、その辺りのところについての評価をいただければありがたいと思います。

続きまして、主婦連様です。

主婦連様についても、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会報告書をかなり詳しく分析していただいています。その中では、消費者庁のみならず、霞が関全体の消費者行政を対象に、この報告書の具体化の道筋を示せるのは消費者委員会だけではないかという言及をいただいています。この方法についてですけれども、主婦連様において消費者委員会に後押しを期待するという言葉がたくさんあります。具体的に第9次においてどのような活動をすると、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の意見書の実現について委員会が後押しできるのか、それについての示唆等をいただければありがたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

各消費者団体様への御質問をいただきました。

それでは、まず全国消団連様、お願いします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会郷野事務局長 御質問どうもありがとうございました。

まず、全国消団連に対しては、地方や若年層への働きかけについてということだったかと思いますが、オンラインでの交流とかシンポジウムも有効かと思いますが、やはり対面で、地方が抱えている課題や、若年層が抱えている課題などについて、深く聞き取りをすることが重要ではないかと思っております。全国的に広くということが難しいようでしたら、ピンポイントでまずは近い大学の学生と交流をして話を聞く、学園祭シーズンでもありますので、そういうところへの出展など、出向いて意見を聞いてくるということも有効ではないかと思っております。

あわせて、委員の皆様だけではなくて、事務局の皆様も若年層の問題に関しては、若年層の方々と意見交換をすることで課題が見えてくるかと思いますので、その辺りは重要ではないかと考えているところです。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、ホクネット様、お願いします。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道道尻副理事長・弁護士 ホクネットの道尻です。

まず特例法96条の資料提供に関してなのですけれども、我々として、行政だからこそ得られるような資料が出てくるのではないかなということで期待したわけですけれども、レジュメにありましたとおり、ほかの手段で開示を受けられるようなもののみが開示されたということでありまして、ここについては我々もやってみたところがありますけれども、実際活用されている事例としてどういった資料が出てきているのか、あるいは出てきていないのかということを確認して、それに基づいて必要な資料が出てくるような活用の方法を考えるということで、そういう事例をまず明らかにしていって、制度の問題点を考えていけばいいのではないかなと思っています。

それから、不実証広告の点についてですけれども、我々としては、行政が行う処分と、それから我々の差止請求の活動と、本質的な違いはないと思っておりますけれども、裁判では、先ほど広島高裁の岡山支部の令和5年12月7日判決が紹介されていましたが、適格消費者団体の連絡協議会で、これによれば行政と適格消費者団体が行う差止めとは本質的に違うわけで、適格消費者団体の差止めにおいては一から主張を立証しなければならないということですから、この考え方については別な考え方もあり得るところだと思いますけれども、立法的に解決をしないと、もともと専門家の協力あるいは財政的な基盤に難を抱えている団体が裁判で戦っていくときに、それをきちんとバックアップできるような制度がきちんと整っていくことが望ましいと。権限を与える以上は、それに見合った武器、戦うための手段というものも明確に備えていただきたいと思うところです。

それから、もう一点あったかと思うのですけれども、景表法の関係で、協定とか規約の関係のお話だったかなと理解しましたが、それについては私どものほうであまり考えたことがなく、団体の差止請求とどれほど接点がある話なのかなというのは、あまり認識していないところです。

以上です。

○黒木委員長代理 最後の点ですけれども、公正競争規約を定めている事業者団体からすると、アウトサイダーとなっている事業者団体が景表法違反をしているという場合に、適格団体の差止請求権をうまく使えば、アウトサイダー事業者に対する威嚇力になるのではないかという意識から問題をお尋ねしたところです。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道道尻副理事長・弁護士 分かりました。

表示の問題に限らず、そういう業界団体からの情報で、まさにアウトサイダー的事業者が問題だというような情報をもらって、差止活動をしたという経験はホクネットにもあります。ですから、そういう活動をする上で、端緒といいますか、活動に取りかかる情報としてあり得るのではないかなと思いますが、団体の今の実情からしますと、県に入ってくる情報を処理していくというところで、なかなか人的に、専門家も事務局もかなり苦労しているところがありまして、何らかのきっかけがあれば別だと思うのですけれども、一般的に事業者団体に対して何かないですかみたいな感じで声をかけてやるということの余裕はあるのかなというのが我々の経験上感じるところであります。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、京都消費者契約ネットワーク様、お願いします。

○適格消費者団体NPO法人京都消費者契約ネットワーク増田理事・事務局長 私のほうには、レスキュー商法の検証の受け止めについてのお尋ねだったかと思います。

まず消費者委員会のほうで意見書を出していただいたことは大変ありがたいと思っておりまして、とりわけ広告の裁判例なんかも踏まえつつ、広告プラットフォーマーの問題というところを御指摘されていたところは、この問題に関する大きな一歩ではないかと思っています。

すなわち、レスキュー商法は、私自身はほとんど詐欺だと思っています。最初から高額な費用を請求しようというつもりで、それを見せずに訪問するということですから、非常に悪質な詐欺だと思っていますが、そういった詐欺を行う業者からお金を取り戻すというのはなかなか難しい。これはほかの手口でも同じですが、その中で、リスティング広告のような、言わば真っ当な広告ツールが悪用されているという状況が間違いなくあるわけですので、それに対して規制、手当てが必要であるということを触れていただいたということで、非常に大きな意見書かなと思っています。

ただ、あえて申し上げますと、ではどこの省庁がどういった対応を具体的に取るべきなのか、そこまで踏み込みが難しかったということではないかと思っていまして、この意見が出ただけでは当然何の救済にもならないわけでして、実際の施策につながっていかなければならないということですので、ここは消費者委員会のほうで更に一歩進んで、消費者庁はもちろんですけれども、他省庁とも連携を取ってそういった検討を更に進めていただけると大変ありがたいかなと、このように受け止めております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、NACS様、お願いします。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会樋口副会長 御質問ありがとうございます。

建議と意見の件ですけれども、そこの最初のところに、消費者安全関係と取引・契約関連に関してと書かせていただいているので、そうするとパラダイムシフト以外はこの件数になるのかなと思うのですけれども、違っていますでしょうか。ほかの物価とか行政の在り方、基本計画、消費者教育推進、食品表示、個人情報保護とか、もちろんそういった本当に大事なところではいろいろ意見を出されているのですが、私、消費者問題に特化しているものですから、特に消費者センターの相談、あるいは110番、日常のウィークエンドテレフォンなどで消費者安全関係と取引・契約関係というところが結構重いものになるのではないかなというところがありまして、あえてそこだけ突出して書かせていただいたということでございます。

○黒木委員長代理 分かりました。

こちらとすると、かなりその辺りのところを含めたものがこの6件の中に入っていると思っていますけれども、そこは読み方なのでしょうね。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会樋口副会長 そうですね。誤解を招くような書き方、すみません。レスキューサービスに関する意見は大変時宜に富んだもので、大変有用なものであったというのは本当に理解しております。ほかのものに関しましても非常に時宜に富んではいるのですけれども、私としてはその件だけを申し上げたかったということでございます。

あとは、建議、提言、意見の違いについてということでございましたか。ごめんなさい、理解が。

○黒木委員長代理 建議が出ていないということの評価と、これから閣議決定をする消費者基本計画に対して、消費者委員会の活動として2件消費者基本計画に対する意見を出すことによって、閣議決定されている中身がかなり変わる可能性がありました。そうすると建議がゼロであるということから、消費者被害の発生に一層の貢献をしていただきたいという結論につながるのでしょうかという質問です。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会樋口副会長 もちろんです。基本計画に関しましては当然というか、非常に練ったものを閣議決定していただいているので、そういうことについては当然評価はさせていただいております。建議がゼロというのは、あくまでも最初に申し上げた分野のことだけを言っているわけでございます。

○黒木委員長代理 建議が発出されること、消費者基本計画という閣議決定されることが考えなくてはいけないときの消費者委員会の評価が変わるのでしょうかということですが、根本的な疑問として、建議の数だけが消費者委員会の存在意義でしょうかというところも実はお尋ねしたいなと思っています。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会樋口副会長 もちろんそれだけではございません。特に基本計画であるとか、パラダイムシフトの発出とか、本当に大変な作業や事業を推進されていることは重々承知の上で申し上げていただけで、ただ、建議が少ないのではないか。これはうちの理事である石戸谷先生にも確認させていただいて、確かにそういうことは言えるかもしれないねということで書かせていただいたので、基本計画をきちんと国会で審議されるまで持っていかれたということに関しては大変ありがたく評価しております。

そういうことでよろしいでしょうか。

それから、パラダイムシフトの件なのですけれども、もうおっしゃっていらっしゃるとおりで、パラダイムシフトに関しましては、そこに書かせていただいたとおり、大きな体系的な考え方を消費者法の中に持ち込んでいただいたと思っております。本当に私なんかにとっては読ませていただいてもなかなか理解が進まなくて大変難しいのですけれども、基本的には消費者の脆弱性を非常にきちんと規定をしていただいて、それからハードローのみではなく、事業者や教育いろいろなことも含めて、ソフトローを含めた手法を取り入れていくことが重要ということも本当にそのとおりだと思っております。

だから、現場にいる者としては、この脆弱性を認めていただいた中で、今後はこれをどのように個別の法律に活かしていくのかということを消費者庁に進言していただきたいなという思いなのです。だから、消費者委員会に対してどうのこうのということではないのですけれども、そして先ほどのつけ込み型の取消権のことなのですけれども、2016年、2017年と消費者委員会で非常に論議していただいて、とても現場からするとすばらしい内容だったと思っているのです。ただ、これはまさに脆弱性の主たることになっていくのではないかと思うのですけれども、こういった内容が今後、パラダイムシフトの脆弱性があるということから、どういう風に個別に扱われていくのかなという辺りを消費者委員会がしっかり個別化の場合に支援していただきたいなということを書かせていただいたのです。

それから、SNSに関してなのですけれども、先ほどおっしゃっていただいたパーソナライズド・プライシングとかターゲティング広告、こういうことをきちんと取り上げていただいていることはもう重々承知しているのですけれども、先ほど主婦連の河村さんとかもおっしゃっていたように、SNSが関係してくる相談というのは非常に今、主流になっていまして、消費者委員会のほうでも、2022年、23年と非常にすばらしい内容の報告書、意見書を出されているので、こういった内容がもう少し論議の中に個別に扱われているとよりよかったのではないかなという意見でございます。

特に私どもNACSでは、何度も申し上げますが、ウィークエンドテレフォンであるとか110番事業で通信販売を扱っていると、こればかりが出てくるような本当に中心的な問題になってきますので、これが今後個別に法制化されていくことに対して、パラダイムシフトの中にも何らか言及されて、デジタル化ということでは言及されているのですけれども、今後もこれを支援していただければよかったかなというような思いでいるということでございます。

○黒木委員長代理 分かりました。

最後の主婦連様の今後活動を我々は何をしたらいいかというところと連携すると思いますけれども、いずれにしろ消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の報告書の読み方、位置付けが個別の論点について取り扱っていないということについて、NACSさんとしては御意見があるとお伺いさせていただきました。

ありがとうございました。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会樋口副会長 個別でないということはもちろん理解しておりますので、これがどう個別に活かされていくかということを今後望んでいきたいということでございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、主婦連様、お願いします。

○友行参事官 事務局から発言をしてもよろしいでしょうか。

○鹿野委員長 はい。

○友行参事官 途中に入って申し訳ありません。

今日、大分時間が延びておりまして、ホクネット様がもう退室されてしまうと。御回答いただいた中で発言を補足したいというような御連絡をいただいております。もし差し支えなければ、ホクネット様に御発言の機会をお願いできればと思います。

○鹿野委員長 失礼しました。

それでは、ホクネット様、追加があるということでお願いします。

○特定適格消費者団体NPO法人消費者支援ネット北海道大嶋理事・事務局長 すみません。

柿沼様のほうから、消費生活センターの権限強化という要望がなされたところで、先ほど私の回答が漏れていたので、申し訳ございません。

消費者センターの権限というよりは、行政の事業者指導の部門なのです。特に政令指定都市の事業者指導をする部門のところは、よく行政の職員がおっしゃるには、なかなか私どもには権限がないということをよくおっしゃられるのです。事実、事業者に話を聞きたいから来てくださいというような話をしてもなかなか来ないとか、電話しても今は担当者がいないからまた後からみたいな、その後、電話が来るかというと来なかったとか、特に悪質と思われる事業者というのはそういう態度を取るというところで、そのような事業者に対しては事業者名公表、条例上ではそれが最後の手段である。たまたま同じ事業者に対してホクネットが申入れをしたのです。そうするとその事業者のほうからすぐ改善しますという回答がきました。そういう面では行政の指導よりも差止請求権をもつホクネットが効果があると言われた経過がございました。なかなか事業者指導の効果について十分に果たしていないものかなと感じていたところです。そういったところがございまして、原先生の資料で権限強化と記載したと認識しているところでございます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

大分おっしゃっているところがクリアになったと思います。ありがとうございます。

それでは、お待たせしました。主婦連様、お願いします。

○主婦連合会河村会長 主婦連合会です。

まず霞が関全体を対象に何をどうしてほしいというのだという御質問だと思うのですけれども、その前に、言わせてください。パラダイムシフトの専門調査会は二十何回開かれて報告書作成に至ったと思うのですけれども、具体的な個別の法改正について触れているわけではないからこそ、これが消費者庁に答申されて、何なら制度課が受け取って、消費者契約法の改正に活かされるであろうと期待しますけれども、放っておいたらそれ以外のことにどうやってこの壮大なパラダイムシフト理念は活かされるのでしょうか。それは消費者委員会しかフォローできないのではないですか、ということが最初にあります。

それで、霞が関全体といっても、丸ごと全体ではないかもしれませんけれども、私が思いつく限りにおいても、この中でも触れました個人情報保護法は消費者庁ではないですし、あるいは経産省の割販法ですとか、金融庁の分野ですとか、パラダイムシフトがカバーしている範囲には、消費者庁ではない役所のものがあります。そういう意味で、どこかで消費者に関連する法律が改正されるというときに、放っておいたら絶対にパラダイムシフトなど起きません。ですから、そういうフォローをすることを消費者委員会に期待するということが大前提でございます。

そうはいっても、そうそう何でもかんでもできないでしょうということだと思うのですけれども、まずは消費者契約法はもちろんですよね。これは改正の議論が近い将来始まるだろうと期待しているわけですけれども、改正の議論が始まったときには、それはもうぜひ注視していただいて、お任せせずに、軌道修正すべきところが出てきたりとか、あるいは事業者と消費者の間での対立とかが出てきたときに、具体的ルール形成において消費者委員会としての意見の出番なのではないかと思っています。

次に特商法です。特商法に関しては、まずは改正の議論を注視するというよりも、改正がなされないことに対して、消費者委員会には動くことを期待しています。過去に、消費者委員会が意見を上げたりしてきたことで残念ながら達成できなかったことが私どもの3本が主柱の中に2つ含まれています。不招請勧誘規制もそうですし、SNSもそうです。改正の動きがない、検討すら始まらないことに対してまず動いていただきたいですし、幸いにも改正の議論が始まったときには、その内容を消費者委員会としてフォローしていってほしい。つまり、このパラダイムシフトの理念を活かすべきであるのに、異なる方向で法改正が霞が関のどこかで行われているならば、そこをフォローしてほしいということです。何でもかんでもやれと言われてもできないとおっしゃっているかもしれませんけれども、このような報告書を作成した委員会として、そこはフォローしていただきたいという意味でございます。

お答えになっていればいいのですけれども。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、小野委員、お願いします。

○小野委員 小野でございます。

このたびは、貴重な御意見、御提案をいただきまして、ありがとうございました。

委員会への御要望などにつきまして身の引き締まる思いをしながら聞いておりました。

時間も迫っておりますので私からのコメントは控えさせていただいて、お取組についておありだったら教えていただきたいということで、早速質問をさせていただきます。

NACSの樋口様と主婦連合会の河村様にお尋ねできればありがたいと思っています。それは消費者の脆弱性、あるいは脆弱な消費者についてです。アプローチしたい層に届かないというのはいつも感じるジレンマなのですが、そこをブレークスルーするためには、団体間といいますか、全体として問題の共有をする必要があると思っています。

例えばNACSの樋口様には、ISOに関連するお取組や今後の事業の御予定などをお聞かせいただきました。また、主婦連合会の河村様からは、予見可能な誤使用とか製品安全との関連で御教示をいただいたわけですけれども、教えていただきたいのは、ほかの関係団体様も含めてこうした消費者の脆弱性とか、脆弱な消費者を主なテーマに意見交換をする場があるのかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。

といいますのは、私も大切な観点だと思いまして個人的に研究や活動をしておりますし、委員会でもこうしたポイントは、省庁を横断することを前提に共有し続けたいと考えております。そうした視点でお尋ねをする次第です。

時間が限られている中すみませんが、御教示をよろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、NACS様、お願いします。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会樋口副会長 御質問ありがとうございます。

脆弱性につきましては、既に2年前から取り組んでおりまして、講演会をもう2度ほどしております。主には菅富美枝先生、法政大学の教授なのですけれども、今はオックスフォード大学で消費者の脆弱性についての研究をされていまして、イギリスと結んでというような形でも勉強会を2回ほどさせていただいております。

それから、JIS開発の委員会には、先ほど申し上げたような消費者団体、事業者、もちろん経産省が主催ですので経産省、それから消費者庁の制度課の方々も交えて委員会を4回ほどはしましたが、これは公開にはなっていません。ただ、報告書なり議事録は毎回NACSに上げているとは思うのですが、ごめんなさい。私、議事録に関して公的にどこに上がっているかということを把握していませんので、またできるだけ情報は開示させていただくようにしたいと思っていますが、今のところそういう感じでございます。

○小野委員 ありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、主婦連様、お願いします。

○主婦連合会河村会長 連携についてでしょうか。

○小野委員 そうですね。

○鹿野委員長 団体間で、脆弱性について連携ないし意見交換をするような場がありますかという御質問だったように伺いました。

○主婦連合会河村会長 脆弱性に関してという意見交換は、なかなかピンポイントで主婦連でやった機会はないと思いますけれども、私共は連携運動体を作り、参加しています。私で言うと全国消費者行政ウォッチねっとの代表もしていますし、特商法改正の連絡会もそうですし、いろいろな連携運動体というのがあって、そこは非常に活発な意見交換なり情報共有、情報交換の場になりますから、私たちは相談員の団体ではないですが、そういう連携運動の幹事会では、相談員さんがいて、弁護士さんがいて、司法書士さんがいてということで、意見交換ができています。

お尋ねのお答えになっていないかもしれませんけれども、脆弱性ということで言いますと、NACSさんが今、ISOのJIS化ということで国内委員会事務局をして、頑張っていらっしゃるところですけれども、そのJIS化の元になっているISO、何番というのが今言えないのですが、脆弱消費者の脆弱性に関するISO標準は、ISOの中の理事会直下にある消費者政策委員会という委員会がISOにありまして、それの略称がCOPOLCOというのですけれども、そのCOPOLCOでつくられたISO、つまり産業界から出てきた規格ではなくて、ISOの消費者政策委員会というところから提案された規格になります。

私が申し上げたいことは、標準化政策は今、経済産業省が持っていて、JISC、日本産業標準調査会が所管しているわけですけれども、私が思いますに、こういう消費者関連の標準化に関しては、消費者庁の国際を扱っているところがありますよね。たしか徳島にあったと思いますが、そういうところですとか、消費者委員会のほうでも国際、国内問わずカバー範囲に入れていただいて、意見を言ったり議論していただけたらいいなと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

小野委員、よろしいですか。

○小野委員 ありがとうございました。

いかに日本にローカライズするかということ、それから海外との関係で説明がつくようにやっていくことも必要だなということを改めて感じました。

どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

今までお手が挙がっていた委員は以上ですが、善如委員が先ほど所用により時間が来て退室されたのですが、善如委員からコメントが送られているということなので、事務局から代読させていただきます。

○友行参事官 今、委員長から御指摘がございましたように、善如委員からコメントをお預かりしております。それから、原田委員からも御質問をお預かりしております。

それでは、先に善如委員からのコメントを御紹介いたします。

プラットフォームデジタル経済の観点から、2つの印象を持ちましたということでございます。

1つ目、全国消費者団体連絡会の国としての交通整理が必要という指摘について、個人的にも賛同しました。石綿つき製品の事例も大変興味深かったです。プラットフォーム事業者による自主的取組である製品安全誓約はもちろん歓迎すべき動きですが、これだけでは足りなかったことを裏づけるケースだと感じました。国としての交通整理が不十分だと、このような自主的取組の効果も限定的になってしまいます。国としての交通整理は、乱立している個別のプラットフォームデジタル規制の効果を最大化する意味でも、事業者により自主的取組の効果を引き上げるためにも重要な検討課題だと感じました。

2つ目でございます。地方消費者行政に関する意見も多数上がっており、これらに関して、プラットフォームデジタルの観点からも重要な検討課題だと感じました。例えばインターネットショッピングのようなサービスは、特に地方の消費者にとって有用な選択肢です。しかし、サービスの設計については、需要のボリュームゾーンである大都市圏の消費者が念頭に置かれている可能性が高いです。その結果、最もサービスを需要しているはずの地方の消費者に不都合が生じる懸念があります。例えば配送料金の視認性・透明性などです。このようなミスマッチを埋め、地方消費者を保護するための視点は、現状のプラットフォームデジタル規制には抜け落ちているところかと思いますので、十分検討の価値があると感じました。

以上が善如委員のコメントでございます。

それから、もう一つ、原田委員より、本日御出席の適格消費者団体の方に、個人情報保護法改正の関係で御質問がございました。

これにつきましては、もう既に適格消費者団体の方、本日御出席いただきました方におかれましては退室されていらっしゃる方もいらっしゃいますので、別途事務局のほうから個別に適格消費者団体様のほうに御質問をお投げいたしまして、また後ほどの機会に御発表、共有するということにさせていただければと思います。それではいかがでしょうか。

○鹿野委員長 分かりました。それでは、そのように。

○友行参事官 それでは、質問内容につきましては以下でございます。

個人情報保護法改正で、適格消費者団体の差止請求権を付与することや、特定適格消費者団体に損害賠償請求に関する特例法と同様の役割を認めることが検討されています。これらの方向性で改正がなされた場合に、個人情報保護法に基づく団体訴訟を積極的に提起することは考えられますか。また、もしそれが難しい場合には、どのような条件が整えば団体訴訟の活用が可能だと思われますか。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、原田委員からの今の御質問については、もう既に退席された特に該当すると思われる消費者団体様がいらっしゃると思うので、回答は後ほどということで事務局からお伝えいただければと思います。

ほかにはよろしいでしょうか。

それでは、意見交換は以上とさせていただきたいと思います。

本日は、各団体の皆様から、その活動内容について御紹介いただくとともに、第9次消費者委員会に対する要望として、非常に重要な御示唆、御意見をいただき、有意義な意見交換を行うことができました。

多様な御意見をいただいたので、全てを繰り返すということはしませんけれども、簡単に振り返りたいと思います。

順不同なのですけれども、第1に、消費者法制度のパラダイムシフトについて御指摘等がございました。消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の報告書については、重要な指摘を含んでいるという一定の評価をいただいたのですが、やはりその内容が抽象度の高いものですので、そこで示された考え方の具体化が必要だということ、答申して終わりではなく、消費者委員会として、消費者契約法をはじめとする各種の消費者立法においてこれが適切に具体化されるよう、監視するようにというような御意見をいただいたところでございます。特にこれは複数、例えば京都消費者契約ネットワーク様、NACS様、主婦連様などから御意見をいただきました。私どももこの点はとても重要だと思っております。

それから、特定商取引法関連でも御意見をいただきました。特定商取引法の抜本的な改正に向けた取組について、消費者委員会が後押しするようにということで、とりわけ定期購入規制とか、あるいは不招請勧誘規制、SNS勧誘規制、あるいはマルチ商法規制の強化に関して御指摘をいただいたところでございます。

これも従来から非常に重要な問題であると指摘され、また、既に御紹介いただきましたように、過去の消費者委員会でも、その幾つかについては意見等を出してきたところですけれども、消費者庁等における取組について、きちんと監視をしていく必要があると思っているところです。

それから、デジタル化に関する課題についても御指摘をいただきました。今の特商法にも関わるところでもございますが、ダークパターンについて、監視しあるいは建議等を出す必要があるのではないかということだとか、あるいはデジタルプラットフォームに関する問題についても御指摘をいただきました。また、デジタルプラットフォームなどについて、今日では複数の法律があるわけなのですが、国としての交通整理が必要であるというような視点もいただき、これも重要であると思っております。

それから、デジタルプラットフォーム関連では、個人情報に関わるところもありまして、個人情報の保護についても消費者視点からきちんと監視、検討すべきだということについても主婦連様から御指摘いただいたところでございます。これも重く受け止めたいと思っております。

それから、京都消費者契約ネットワーク様からは、今言った特商法絡みの問題もあるのですが、具体的に詐欺的な定期購入商法、レスキュー商法、専門学校の入学金などの個別問題について御指摘いただいたところです。特商法については、先ほども申しましたが、景表法にも関わるところもありますし、さらには情報社会に関わるもっと広い視野からの検討も必要なのかもしれません。これらについて、消費者委員会としても引き続き検討していく必要があると思っているところでございます。

それから、特に主婦連様からは、生命、身体の安全というところについて幾つかの御指摘をいただきました。グローバルなネット取引における製品安全の問題とか、事故情報収集の仕組み、あるいは事故調査体制の抜本的な強化などについても御指摘いただきました。それから、意見交換の中では、リコール製品の回収・修理の確実な実施の必要性や、安全確保の考え方についての御指摘もいただいたところでございます。生命、身体の安全というのは、消費者行政で言うと一丁目一番地のとても重要な問題でございますので、これについて引き続き取り組んでまいりたいと思います。

それから、食品表示の適正化ということについても御指摘をいただきました。同じく主婦連様から、食品の安全性の確保というのはもちろんであるけれども、消費者の選択の権利を実現するために、食品表示制度というものをきちんと検討する必要があるということと、特に機能性表示食品制度の見直しとか、あるいはサプリメント形状食品の規制などについても御指摘をいただいたところでございます。

第8次の消費者委員会におきましてもこの問題について検討いたしまして、意見という形で一たび出したのですが、さらにその後に消費者行政として取組がどのように行われていくのかということを注視して、必要に応じて、更なる次の手を打っていかなければならないと、今期の消費者委員会においても思っているところでございます。

それから、エシカル消費ということについても御指摘をいただきました。特にエシカル表示の公正性確保の取組などについても御指摘をいただきまして、この点も、今後の消費者問題でもエシカルというのは非常に重要な項目となっておりますので、心していきたいと思います。

それから、話が前後したかもしれませんが、消費者に関わる標準化政策ということについても主婦連様から御意見をいただきました。標準化ということの重要性を指摘されたうえ、経産省で取り扱っているものがあるけれども、消費者に関わる点については、消費者委員会もそれをきちんと注視し、検討すべきではないかという御趣旨だったかと思っております。ありがとうございます。

それから、消費者団体訴訟制度に関する御意見、御要望を特にホクネット様から様々いただきました。差止請求制度や、消費者裁判手続特例法によるところの集団的消費者被害回復制度が設けられたところでございますし、それらの制度に基づいて、適格消費者団体、特定適格消費者団体の御尽力により、広く消費者の利益が図られてきたところではあります。しかし、団体が将来においても持続的にその目的にかなった活動を続ける、あるいは更に発展させるためには、団体への財政支援や制度の見直し等が必要であるということで、具体的な制度の問題点なども含めて指摘をしていただきました。これについても意見交換もあったところですけれども、また改めて考えてみたいと思います。

それから、地方消費者行政の現状を踏まえた検討の必要性ということについても、特にNACS様、ホクネット様などから御意見をいただいたところでございます。ホクネット様からは、3つの不足という形で、人の不足、予算の不足のほか、権限の不足というところについても御指摘をいただきました。

地方消費者行政についても、御指摘のとおり、かなり厳しい状況にあるということで、私たちとしても、これをどのようにしていったらいいのかということを、今までも意見交換することが多かったのですが、今回いただいた御意見も踏まえて、更に検討をしていきたいと思っております。

それから、消費者委員会の運営に関して、特に全国消団連様及びNACS様、ほかからもいただきましたけれども、貴重な御意見をいただいたところでございます。監視機能をきちんと発揮して、積極的な建議、意見等を発出するようにということだとか、あるいは審議の透明性向上に努めるようにということだとか、また情報発信をきちんとしていく必要があるということを御指摘いただきました。

最後の情報発信等については、第8次も少しは進めたつもりではございますが、なおやはり委員会としての広報等に十分とは言えないところもあることも自覚しているところでございます。本日いただいた御意見を踏まえて、また何らか対応できるところがないか検討してまいりたいと思います。

以上、かいつまんで振り返りを行いましたが、本日頂戴した御意見を含め、第9次委員会における調査審議を着実に進めてまいりたいと考えております。

本日御出席いただいた皆様からは、大変貴重な御意見をいただきました。消費者委員会を代表して、厚く御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。


《3. 閉会》

○鹿野委員長 大分時間が押してしまい、大変申し訳ありません。それでは、以上をもちまして本日の意見交換会は終了したいと思います。

お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)