第433回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年5月13日(月)10:00~10:49

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁新未来創造戦略本部 相本次長
    消費者庁新未来創造戦略本部 大友総括室長
    消費者庁表示対策課 高居課長
    消費者庁表示対策課 佐藤課長補佐
    経済産業省製造産業局生活製品課 石川課長補佐
    経済産業省産業技術環境局国際標準課 小川課長補佐
    一般社団法人繊維評価技術協議会 太田専務理事
    株式会社阿波銀行小松島支店 久保副支店長
    明治安田生命保険相互会社徳島支社 八木市場統括室長
    明治安田生命保険相互会社徳島支社 森脇市場開発スタッフ
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 家庭用品品質表示法について(繊維製品品質表示規程の改正)
  2. 新未来創造戦略本部の取組について

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから、第433回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。原田委員、山本委員は、本日、所用のため、御欠席と伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2. 家庭用品品質表示法について(繊維製品品質表示規程の改正)》

○鹿野委員長 ありがとうございました。

本日の最初の議題は「家庭用品品質表示法について」です。家庭用品品質表示法は、消費者が商品を購入する際に適切な情報提供を受けることができるよう、消費者が日常使用する家庭用品を対象に商品の品質について、事業者が表示すべき事項や表示方法を定めております。

同法第3条第1項及び第5項において、内閣総理大臣が表示の標準となるべき事項を定め、または変更することとされており、その際には、第11条に基づき、消費者委員会に諮問することとなっております。

今回、資料1-1のとおり、本年4月23日に内閣総理大臣から消費者委員会に対して諮問がございました。

この諮問事項について、本日、消費者庁、経済産業省、一般社団法人繊維評価技術協議会からヒアリングを行い、審議を行った上で、委員会としての判断を示すことにしたいと思います。

本日は、消費者庁表示対策課の高居課長、佐藤課長補佐、経済産業省製造産業局生活製品課の石川課長補佐、経済産業省産業技術環境局国際標準課の小川課長補佐、一般社団法人繊維評価技術協議会専務理事の太田様に会議室にて御出席いただいております。本日は、お忙しいところ誠にありがとうございます。

それでは、繊維製品品質表示規程の改正案の概要につきまして、10分程度で御説明をお願いします。

○消費者庁表示対策課高居課長 消費者庁表示対策課長の高居と申します。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。

本日は、先ほど委員長から御紹介がございました、諮問事項としてお願いしております、家庭用品品質表示法に基づく告示の一部改正について、御審議をお願い申し上げます。

まず、私、消費者庁のほうから今回の改正概要を御説明いたしまして、その後、経済産業省から、このJISの改正内容について説明をしていただきたいと考えております。

では、まず、改正概要でございますけれども、資料の1-2を御覧いただければと思います。

家庭用品品質表示法の概要でございますけれども、こちらは、先ほど委員長から詳しく御紹介いただいたとおりでございますが、一般消費者が商品を購入するに際しまして、製品を選びやすいようにということで、その表示事項を定めているというものでございます。

続きまして、次の2.の改正事項でございます。

本年8月に、JISのほうで定めておられます、洗濯記号の改正が行われる見込みでございまして、これに伴いまして、家庭用品品質表示法の告示も改正しようとするものでございます。

ただ、これは、非常に法技術的な内容でございまして、通常こういった一定の事項の改正を行う際には、事業者にとって準備が必要になりますので、例えばいろいろ在庫も抱えていらっしゃることがございますので、通常こういうときは経過措置を設けることになっております。

ただ、今の家庭用品品質表示法の告示の立てつけは、JISの規格をそのまま使っているということでございますので、実は、改正はしなくても新しい洗濯記号が、今度の家庭用品品質表示法に基づく表示事項として、そのまま規制としてはスムーズに行ってしまうということがございまして、そのために、経過措置を設ける際の本体の改正がないということになってしまいます。

ということで、今回の改正内容の3.に書いてございますように、現在、JISのL0001となっているものが、このまま中身が変わってしまうということになりまして、この記号を変えることによって、この経過措置を設けるという、若干、本末転倒的なところがございますけれども、今回告示を改正しまして、JISのL0001に今年の年号の2024を加えると、こういう改正を行いまして、この改正に経過措置を設けることによって、この移行がスムーズに行くようにしたいという内容でございます。

今後の予定でございますけれども、現在のJISの動きに合わせまして、今年の8月20日、こちらをその改正のタイミングにしたいと考えております。

それに合わせて、パブリックコメント等の必要な手続を行いたいと考えておりますが、現時点での予定でございますので、今後の動向次第によっては、少し後ずれする可能性もあるということは申し添えておきたいと思います。

このJISの改正の内容については、この後、経済産業省のほうから御説明をいただくことになりますけれども、我々としましては、この移行がスムーズに行われるように、消費者への周知広報というものを経済産業省と一緒に、リーフレットの作成であるとか、ホームページによる周知であるとか、こういったことを積極的に行ってまいりたいと考えております。

消費者庁としての説明は以上でございます。

○鹿野委員長 続きまして、経済産業省様からお願いします。

○経済産業省製造産業局生活製品課石川課長補佐 経済産業省生活製品課で、繊維製品の担当補佐をしております、石川と申します。どうぞよろしくお願いします。

続きまして、私どものほうから、今回のJIS改定の具体的な中身について御説明をさせていただきます。

資料1-5を御覧ください。

こちらで「JISL0001(洗濯表示)の改正に伴う繊維製品品質表示規程の改正について」というタイトルでございますが、今回、繊維製品等に表示されるケアラベルであります国際規格ISOの3758というものがございまして、こちらが昨年の12月に改正されまして、これに伴い国内規格、これに対応しておりますJIS規格であるJISのL0001というものがございまして、こちらを整合させるために、JIS規格を改正するという趣旨のものでございます。

3ポツ目は、経過措置期間をということを書いてございますが、こちらは、先ほど御説明があったところでございます。

では、具体的に洗濯表示とはどのようなものかということで御説明させていただきます。

洗濯表示は、5つの基本記号がございまして、それに取扱いの強さですとか、温度ですとか、あるいは禁止あるいは取扱いの場合に、温度表示であれば数字等を付加しまして、どのように取り扱えばいいかということを表示しているものでございます。

それを組み合わせたものが、具体的にどういうものかというのが、資料の1-6に添付してございますので、こちらを御参照いただければと思います。

それらのラベルを組み合わせてどのようなものになるかというのが、下の右側に表示例ということで表示してございます。

このように、ラベルを組み合わせて、取扱いの程度というものを表示するものでございます。

では、今回の具体的な改正という内容でございますが、裏面を御参照ください。

JISL0001の改正概要というものでございまして、まず最初に、記号の追加というものがございます。

まず、手洗い表示の追加でございます。こちらは30度限度とした手洗いによる洗濯処理ができるというものを追加したところでございます。

次に、その次の2番の意味の変更とも関係するのですが、底面温度120度を限度として、スチームをなしでアイロン仕上げ処理ができるという表示が追加されるものでございます。

温度関係で取扱いがデリケートな繊維による製品ですとか、そういったものに対する洗濯表示を丁寧に表示できることになるということで、消費者の皆様には利便性が増すものと考えております。

次に2番で、意味の変更でございます。

こちらは、主に温度表示の変更でございまして、従来、高、中、低とございまして、こちらが、それぞれ200度、150度、110度を限度としてアイロン処理ができるという意味のものでございましたが、こちらは10度上がりまして、それぞれ210度、160度、120度、それから低のものに関しては、従前は「スチームなしで」となっておりましたが「スチームなしで」という文言が消えて、スチームが可というものになっておりまして、これでスチームなしの場合は、1で追加した記号を使っていただくということになります。

次に3番、記号の微修正でございます。

こちらは、手洗い表示のマークでございますが、上のほうは、手の形が微妙に変わったというものでございます。

次に、漂白処理のマークでございますが、これは禁止記号が少し上に移動したという改正になっております。

最後に、意味の追加でございます。

こちらは、ドライクリーニングの表示でございますが、溶剤の追加ということになっております。ジブトキシメタンという溶剤が追加されたものでございます。

それから、石油系溶剤のほうは、デカメチルペンタシクロシロキサンという溶剤が追加されたという改正になります。

今回の改正は以上でございます。

私からは以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明につきまして、質疑応答と意見交換を行いたいと思います。時間は10分程度でお願いします。いかがでしょうか。

今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。御説明ありがとうございました。

今回の改正は、ISOの3758の改正を受けて改正されるということですけれども、実際にISOの規格を決める際に、そこに日本国としてどれだけ関与があって、これが決まっているのかというのを、もう少し詳しく説明してほしいのですけれども、いかがでしょうか。

○鹿野委員長 この点は、太田様からお願いいたします。

○一般社団法人繊維評価技術協議会太田専務理事 一般社団法人繊維評価技術協議会の太田と申します。よろしくお願いします。

弊会は、いろいろ繊維分野のISO、JISなどの原案を作成させていただいておりまして、今回のJISL0001につきましても、対応させていただいております。私のほうから状況について御説明させていただきます。よろしくお願いします。

今般、ISO3758が改正されるに当たりまして、このISOのワーキングのほうにも、私どものほうから参加させていただいて、情報収集をしながら、また、必要に応じて投票にも参加させていただいております。

先ほど、例えば、資料の1-5の中で、1番の記号の追加もありましたけれども、この1番の記号の追加は、特に30度を限度とする手洗いマークなどは、繊細な製品を処理する上で非常に重要なマークということで、これに関しましては、特に反対もしておりません。むしろ、日本としても賛成かなという次第でありました。

一方で、低温120度限度で、スチームなしのアイロン仕上げ処理、これに関しましては、海外のほうから、要するに、低温だとアイロンから水垂れがしてしまうという懸念があり、新たにこのマークが追加されたものであります。

これに関しましては、日本のほうでも検証試験を行って、実際、日本のアイロンは、基本的に水垂れがないということと、あとは具体的に、水垂れの影響のある生地も使いまして、例えば、スチームがあった場合の実際の状況も、生地の状況を確認しましたけれども、大きく問題は生じていなかったということで、これも反対はしていない状況です。最終的には、JISのほうに反映させている状況でございます。

あと、②の意味の変更のところで、温度がそれぞれ10度上がっております。これにつきましても、もともと日本は、210度、160度、120度という温度設定が、実はJISL0001の前の段階のJISでは、日本国内で取り扱われておりまして、ISOの3758ができたときに、逆に日本全体のアイロンの温度を10度下げております。

したがいまして、今回また元に戻ったということで、日本国内からすると、大きく問題はないという理解をしておりました。

あと、記号の微修正に関しましては、これは、ISOの記号の書き方にルールがありまして、それに基づくものなので、特に反対等もないものであります。

あと、④の意味の追加、これに関しましては、欧州等のほうで、より安全で、環境に優しいといいますか、そういう溶剤の提案がありまして、これに関しましては、私どものほうで特に反対をしていません。特に国内では、あまり使われていないのが実情でございまして、これについても反対していないという状況で、基本的にこれに関しては、私どもは特に大きな反対をせずに、投票の中で、こういう結果になった次第でございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

今、ISOのワーキングへの参加と、それから日本として反対をされなかった理由等についても、具体的に御説明いただきましたが、今村委員、追加で何かございませんか。

○今村委員 ありがとうございます。

少なくともISOの議論にちゃんと日本政府として参加してもらって、日本の現状とISOの間にそごがないことを確認して投票が行われたものを日本に導入するという、その状況は理解いたしました。

今までも多く日本の主張がISOに通らずに、日本がそれを採用するかどうかということが起こってきたと思うので、そういう不幸なことではなく、ちゃんと日本の議論が反映された上でISOが決まっているということであれば、今回の改正は、よく理解できましたので、特に申し上げることはございません。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ほかに、御質問、御意見等ございませんでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 高居様、石川様、御説明ありがとうございます。

今回の繊維製品品質表示規程の改正に関する背景と趣旨について、十分理解できました。

その上で、私からはコミュニケーションという観点から、コメントを述べさせていただければと思います。

資料の1-6にございましたように、私は今回、従来の洗濯表示記号についても、こういった形でしっかり拝見をさせていただいた中で、やはり一般の消費者の皆様の中には、今回の変更だけではなくて、従来のものについても、目にしたことはあるけれども、自分ごととして捉えられたことがないという方は、結構いらっしゃるのではないかと思います。

そんな中で、消費者庁のホームページのほうで、こういった変更の告知について行っていくというお話ではあったのですが、やはり若い方々は、デジタルを利用していらっしゃるということで、ホームページに置いておくというプル型のコミュニケーションもあると思うのですけれども、ぜひ生活の中で目にするようなプッシュ型のコミュニケーション、例えばSNS等の利用等も検討していただければと思います。

その際には、今回の変更だけではなくて、従来の洗濯表示記号も含めて、なぜこういった表示が大事なのかという、なぜのところを納得していただくことで消費者の方々が、皆さん自分ごととして、それを行動に移すという形になっていくのではないかと思いますので、ぜひその辺りのコミュニケーションのさらなる工夫といったところもお願いしたいと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

今の御発言は、お願いと意見ということですが、何かございますか。

○消費者庁表示対策課高居課長 ありがとうございます。

御指摘のように、ホームページで従来型の、それだけでは少し不十分ではないかというところは、我々も痛感しておりますので、御指摘も踏まえまして、経済産業省や、この業界団体とも連携しながら、例えば、消費者庁もSNSを持っておりますので、そういったところを使うであるとか、あとは、いかにしてそういう若い人に訴求していくか、知っていただくかというところは、連携して工夫をして広報に取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。よろしくお願いします。

それでは、大澤委員、お願いします。

○大澤委員 大澤です。

実は、今、中田委員がおっしゃったことと、私は、ほぼほぼ同じことを申し上げようと思っていましたので、1点だけ追加いたしますと、この記号に関しては、たしかですけれども、あまり記憶が定かではないのですが、5、6年前に、そもそも海外の記号に合わせて変えたのではなかったかというのが記憶しているところなのです。間違っていたら申し訳ないのですが、そのときに、私、一消費者の目線から見ても、少し分かりにくくなったなという印象を持っていました。結構さっぱりした記号というか、あまり御説明がなくて、例えば、温度だったら30と書いているだけだったりとか、少し分かりにくくなったなという印象を当時持った記憶があります。

海外は、確かに洋服だと同じような記号を使っているので、国際的に合わせたという話だったと思うのですが、そもそも昔から本当に、何十年も前から洗濯記号を見ている消費者にとっても分かりにくくなっていて、かつ今回また変更されるという印象を持っています。

今、中田委員は、若者向けということをおっしゃっていましたけれども、若者はもちろん大事なのですが、もちろん普通の高齢者だったり、若者ではない消費者向けにも、SNSもそうですが、例えばテレビなどと連携したりとか、NHKとかいろいろ放送局を使ったりしながらでも、今回の変更についても周知をしていったほうがいいのではないかというのが私の意見です。

あと、実際には、クリーニングに関する部分に関しては、当然のことながら、クリーニング業者にも周知するのだと理解をしております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

今のも周知に関する御意見でした。従来からの表示も含めた周知ということにつき、先ほどは中田委員からお話がありましたが、今回の改正についても、幅広い層について、若者もそうですが、より幅広い層についてあるいは事業者に対しても周知に努めていただきたいということでございました。

何か一言ございますか。

○消費者庁表示対策課高居課長 ありがとうございます。

まさに御指摘のとおりでございますので、我々も経済産業省や、業界団体とも連携して、工夫をぜひしていきたいと思います。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいですか。それでは、議論はここまでとし、これからテレビ会議システムの画面上に答申案を表示いたしますので御覧ください。少々お待ちください。

(答申案の表示及び配付)

○鹿野委員長 ただいま、会議室にお越しの方には、追加資料として紙で配付しました。

オンラインで御参加の方につきましては、オンラインの画面上に表示されていると思います。

この答申案は、令和6年4月23日付で内閣総理大臣から当委員会に諮問のあった事項について、家庭用品品質表示法の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申するというものでございます。

これについて、同意の場合もしくは修正意見がある場合、チャット等でお知らせいただきたく存じます。いかがでしょうか。

会議室に御参加の方は、口頭でお願いします。

(「異議なし」と声あり)

○鹿野委員長 会議室の方は、異論なしということですが、オンラインで御参加の方、いかがでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○鹿野委員長 全員から同意していただきました。

御了解をいただきましたから、この内容で答申をさせていただきたいと思います。

本日御出席いただきました皆様におかれましては、お忙しいところ御対応いただき、誠にありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(消費者庁、経済産業省、繊維評価技術協議会 退室)


《3. 新未来創造戦略本部の取組について》

○鹿野委員長 続いての議題に移りたいと思います。

次の議題は「新未来創造戦略本部の取組について」でございます。

消費者庁の新未来創造戦略本部における取組については、消費者行政の発展や新たな課題の解決にも資するものとして、委員会としても期待をしながら、定期的にその進捗状況について確認をしてまいりました。

新未来創造戦略本部では、数多くのプロジェクトが実施されていますが、本日は、令和5年度に行われた取組のうち、インターネット通販における表示内容と消費者の心理的特性等に関する調査、消費者教育に関する取組、見守りネットワークのさらなる活用、製品事故救済に係る民事法制に関する国際研究等について、御説明をいただきたいと思います。

本日は、会議室にて消費者庁新未来創造戦略本部の相本次長にお越しいただいております。

また、オンラインにて、大友総括室長に御出席いただいております。

また、見守りネットワークのさらなる活用に関する質疑対応として、オンラインにて株式会社阿波銀行小松島支店の久保副支店長に御出席いただいており、また、明治安田生命保険相互会社徳島支社の八木市場総括室長、森脇市場開発スタッフに御出席いただいております。皆様、本日はありがとうございます。

それでは、30分程度で御説明をお願いします。

○消費者庁新未来創造戦略本部相本次長 消費者庁審議官、新未来創造戦略本部次長を務めております、相本と申します。

本日は、消費者委員会の皆様に新未来創造戦略本部、通称未来本部と呼んでございますけれども、この取組につきまして御説明をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。

徳島に拠点を置きます未来本部では、先駆的な取組の試行、検証のためのモデルプロジェクト、デジタル化などの社会情勢の変化による新しい課題に関する消費者政策研究などを推進しております。

本日、あらかじめ消費者委員会事務局より御指定いただきました5つのプロジェクトについて、御紹介をさせていただきます。

また、併せまして、未来本部のほうで実施しております、新未来ビジョン・フォーラムの報告書、これが先月公表されましたけれども、これについても概要を御紹介させていただきます。

いずれも未来本部職員一同、熱心に取り組んだ成果として、興味深い内容となっているものと考えております。

それでは、早速、徳島にある未来本部の総括室長の大友のほうからプロジェクトについて、順に御説明をさせていただきます。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 徳島にございます、新未来創造戦略本部総括室長の大友と申します。本日は、このような機会を頂戴し、誠にどうもありがとうございます。早速、資料に沿いまして御説明をさせていただきます。

まず、簡単に私ども新未来創造戦略本部の概要について、少しだけ御説明をさせていただきます。

2017年の7月に徳島に消費者行政新未来創造オフィスという形で、今よりも大分小さい規模でオフィスを設置いたしまして、その後、数年間試行を行い、2020年の7月に恒常的な拠点として新未来創造戦略本部を設置しております。

それ以降、全国展開を見据えたモデルプロジェクト、消費者政策研究、新たな国際業務の拠点としての活動、また、非常時のバックアップ機能、消費者庁の働き方改革の拠点、そういった取組を行っております。

新未来創造戦略本部は、消費者庁の職員だけではなくて、国の他の機関、地方自治体、企業、学術機関などからも人材を招へいしておりまして、非常に多様性に富んだ組織となっております。

先ほど少々働き方改革の拠点ということを申し上げましたけれども、2017年当時から、フリーアドレス制の採用、すなわち固定席を設けずに、毎朝くじ引きをして、その出た目のところに座り、それによって職員間のコミュニケーションの活性化を図るというような工夫も行っております。

また、ペーパーレス化であるとか、テレワークの推進、固定電話の廃止ということも2017年当時から積極的に行っておりまして、業務の効率化とワーク・ライフ・バランスの実現を図るといった取組を行っております。

これは、業務を行っている執務室の様子でございますけれども、徳島県産の木材を多用した非常に温かみのある、東京の消費者庁のオフィスとは少し違った雰囲気のオフィスで、執務を行っております。

このような形でテレビ会議システムも日々多用しておりまして、東京の担当課室と緊密に連携をしながら、プロジェクトの企画立案、実施といったことを日々行っております。

早速ではございますが、あらかじめ御要望いただきました主なプロジェクトにつきまして、御説明を始めさせていただきます。

まず、1つ目でございますが「インターネット通販における表示内容と消費者の心理的特性等に関する調査」について御説明いたします。

その調査の背景でございますけれども、いろいろなところで指摘をされていることではございますが、デジタル化の進展、インターネット利用率の増加、それに伴ってインターネットを通した消費行動も増加しており、他方で、インターネット通販に関する消費生活相談件数も増加しているということでございます。

インターネットにおける契約の特徴といたしまして、デジタル技術が巧みに用いられていて、画面内の限られた情報で判断せざるを得ない、また、購入、契約の申込みが簡単にできてしまうといった特徴があるということで、合理的な判断ができないままに、十分な検討ができないままに、商品・サービスの購入、契約をしてしまって、結果として、後悔やトラブルに至ることも多いのではないかという指摘がございます。

このようなこともございまして、インターネット上でよく見られる合理的な思考が妨げられてしまうおそれのある表示内容について、どのような属性または心理的特性を持った消費者が影響を受けやすいのかということを明らかにすることで、今後の効果的な周知啓発、対応策の検討などにつなげていければということで調査を行ったものでございます。

具体的に合理的な思考が妨げられてしまうおそれのある表示ということで、今回の調査で用いたのは、右側の表にございます青字の部分でございます。

商品の大幅値下げをうたうセール表示、初回無料や初回格安であることを強調した表示、期間限定や先着順等、限定を強調する表示、効き目を強調する表示、高額サービスの無料体験やキャンペーン表示、景品や特典、キャッシュバックを強調する表示、無料解約や返金保証をうたう表示、売上、人気、満足度等のNo.1をうたう表示、そういった表示に関して、どういった属性・心理的特性を持つ消費者が影響を受けやすいかということを調査したものでございます。

その調査の過程では、私どもがかつて心理学の先生などの御知見をいただきながら作成した、だまされやすさを測るチェックリストというものも活用しております。

これは、得点が高いほど、だまされやすい傾向があるということが分かるチェックシートでございまして、この点数の高さ、高低と、影響の受けやすさみたいなことも今回は分析をしております。

調査結果でございますけれども、先ほど申し上げた8つの表示全てに関してトラブルに至りやすいということではなかったということでございます。表示をクリックした人の割合、後悔、トラブルに至った人の割合は表示内容によって異なっておりました。

例えば、クリックした経験が多かったのは商品大幅値下げをうたうセール表示、景品や特典、キャッシュバックを強調する表示などで、クリック率が高かったということが分かりました。

また、今回トラブルに至った経験としては、高額サービスの無料体験やキャンペーン表示をうたう表示、効き目を強調する表示などでトラブルに至った経験が多かったということでございます。

高額サービスの無料体験やキャンペーン表示、また、効き目を強調する表示、無料解約や返金保証をうたう表示の3種類は、商品の質に対する不満、意図しない定期購入の契約の締結といった、今回トラブルの経験率が比較的高かったということ、かつ比較的購入金額も高い傾向に見られたことから、特に注意を要するのではないかと思います。

2つ目、今回トラブルを経験しやすい人の特徴でございますが、20代男性の後悔、トラブルの経験率、それから、だまされやすさを測るチェックシートの合計点数に高い傾向が見られたという結果が得られております。

また、だまされやすさを測るチェックリストの合計得点の高い人は、全ての表示内容について、後悔、トラブルに至りやすいという傾向が見られました。

鬱傾向が高い人、喫煙者も、今回、トラブルを経験しやすい傾向がございました。

主観的に、自らが経済的、社会的に高い位置にあると認識している方、また、注意力が高い人ほど、今回トラブルを経験しづらいという傾向も見られました。

それから、ハロー効果、ある対象を評価するときに、その一部の特徴的な印象に引きずられて、全体の評価をしてしまうといった現象、そういったハロー効果の影響を受けやすい人も、今回トラブルに至りやすい傾向が見られたところでございます。

このだまされやすさを測るチェックシートの得点と、影響の受けやすさというものの相関が見られたということから、このチェックシートを活用して、消費者の皆様に自身の心理的傾向を把握していただいた上で、インターネットショッピングを行っていただくことが有効な対応策になり得るのではないかと考えられるところでございます。その結果を活用して効果的な周知広報につなげていければと思っております。

続きまして、2つ目の「若手従業員向け消費者教育研修の推進」についてでございます。

消費者庁では、令和4年度に、特に新入社員などの若手従業員を対象とする研修プログラムというものをつくっております。

この背景としましては、これまで私どもは比較的小さなお子様向け、それから成年年齢を迎える直前の高校生向けの教材などもつくっておりましたが、若手従業員の方というのは、初めてお給料をいただいて、自由に使えるお金も増えて、トラブルに遭った際の被害も大きくなる1つの境目になるということもございまして、若手従業員の方向けの研修プログラムをつくったというものでございます。

他方で、企業人として、消費者に対して商品・サービスを提供していく立場にもなりますので、企業人として消費者志向の企業活動を創造する力を身につけていただければという観点で、消費者として、それから企業人としての研修プログラムをつくったというものでございます。

研修プログラムの内容としましては、消費者トラブルへの対応、持続可能な社会の形成、製品安全の考え方、生活を支えるお金について、インターネット取引について、大きく5つのテーマに分かれておりまして、それらについて研修用ツール、講師向けのツールなどもつくっております。

令和5年度では、このつくった教材を実際に幾つかの事業者様、団体様に使っていただいて試行をし、その上で、より有効に活用していただけるためのマニュアルをつくろうということで行ったのが、令和5年度のプロジェクトでございます。

5つほどモデル研修を行ったのですけれども、幾つか受講者の方の声なども御紹介いたしますと、SDGsに触れるタイミングが学生時代から多くあったが、改めて考えるよい機会になった。消費者トラブルについても、学ぶ機会は今までなかったため知ることができてよかったであるとか、また、実施主体の声としても、教材の内容のレベル感は、若手従業員にも理解できる内容で適当だったと思う。今までSGDsについて学ぶ機会がなかったためテーマに沿った研修が開催できてよかったであるといった声がございました。

2つ目の事例の受講者からは、商品の訴求内容について誤認が発生しないよう、根拠の確認、過大な訴求をしてないかを改めて意識する必要があると思った。消費者の立場を意識して誠実な対応を心掛けたいであるといった声がありました。実施主体からは、アンケートでは「誤って認識していたことに気が付けて良かった」「消費者の立場を意識した対応を心掛けたいと思った」などの意見があり参加者の満足度も高かったため、取り入れてよかったと思ったという声をいただいております。

3つ目の事例でございますが、受講者からは個人の生活へのアドバイスとして、いろいろなことが聞けたことということがよかった。消費者トラブルの具体的な事例を挙げて説明いただき、理解しやすかったといった声がありました。実施主体の声として、「大変勉強になった、楽しかった」という声を聞いている。直近でも、研修の中で触れられていた注意点が社員の会話の中で自然に聞かれて、印象に残っているものと考えるという声があるなど、おおむね前向きな御意見をいただけております。

アンケート結果でございますが、7割以上の方から役立つという声をいただいておりますけれども、より有効に活用していただくために、今回いただいたフィードバックも踏まえまして、研修プログラム活用のためのマニュアルをつくりまして、先週公表しているところでございます。

続きまして「見守りネットワークの設置促進」について御説明をいたします。

新未来創造戦略本部では、地方協力課と連携をして、見守りネットワークの設置促進に向けた取組を行っております。

徳島県には24市町村ございますが、全ての市町村で見守りネットワークの設置が済んでおります。

そういった、我々が徳島県様と、これまで進めてきた知見やノウハウなども活用しながら、それ以外の地域へ波及させていただければということで、こういったプロジェクトを行っております。

昨年度行ったプロジェクトでございますが、都道府県が開催する市町村向け説明会への出席でございます。見守りネットワークの意義であるとか、情報について御説明させていただいたりしております。

地方公共団体へのヒアリングでございますが、これから設置をしようと、または、まだ設置していないという自治体さんにいろいろ話を伺って、阻害要因があるのかであるとかをお伺いしたり、我々がお役に立てることはないかということについてヒアリングを行っております。

見守り活動チェックリストでございますが、見守り活動を評価、見直していただくためのチェックリストなども作成して、自治体の皆様に活用していただければと考えております。

都道府県向けの説明会に関しては、このような形となっております。

自治体であるとか、もちろん弁護士会、それから大学などの協力も得て、いろいろなところで説明会を開催させていただきました。

自治体ヒアリングに関しましては、5つの県と5つの市にヒアリングを行っております。ヒアリングで得られた結果は、今後の設置促進に役立てていきたいと考えております。

先ほど申し上げました、見守り活動チェックリストでございますけれども、こちらを活用して、ネットワークのさらなる充実に向けて活用いただければと考えております。

もう一つ、見守りネットワークについてのプロジェクトの御説明でございます。

こちらは、民間企業との協働でございます。各地域の見守りネットワークには、民間企業の方にも御参画いただいており、常日頃から御協力いただいているわけではございますけれども、なかなかどう活動したらいいのか分からないというお声もあったことから、徳島県内の小松島市様の御協力も得て、昨年度から行っているのが、こちらのプロジェクトでございます。

昨年度には、民間企業の見守り活動についての現状の把握を行って、それを踏まえた上で、民間企業がより参画しやすい見守り活動の在り方について検討を行っております。

そこで得られたものとしましては、そもそも消費者トラブルについて知識が不足しているので、見守りネットワークの構成員とは言っても、どう見守っていいのか、またはどういった事案を消費生活センターにつなげばいいのか分からないといった声が多く聞かれておりました。

また、構成員がそうしたトラブルが疑われるような事案に遭遇した際に、住民の方にお声をかけるといったときに、見守りネットワークの一員であるということが示せる何かがあると、活動がしやすいというお声が聞かれたところでございます。

そこで、今年度は構成員証というものを作成して、それを身につけて業務についていただくことにしました。また、このプロジェクトの前に、見守りネットワークに関する解説資料をお渡しして、知識を身につけていただくということもしております。

見守りネットワークに関する概要、それから、アンケートとクイズの解答と解説、それから、見守りの必要なポイント、気づきのポイントなどについてまとめた資料、それから小松島市の見守りネットワーク事務局に情報をつなぐ際の方法、それらをまとめてフローシートなどについて、事前に御覧をいただいて、このプロジェクトに参画をいただいたということでございます。

こちらが、その際につくった構成員証でございます。小松島市消費者安全確保地域協議会の一員として地域の見守り活動を行っていますという、名刺大のテンプレートのように首から提げられるものをつくっております。その裏面には、何か気づきがあった際に、迅速に情報共有していただけるように小松島市消費生活相談センターの電話番号、メールアドレス、FAX番号などを記載しております。

次のページが、実際に構成員証を着用して、見守り活動していただいた際のものでございます。

本日御参加いただいています阿波銀行様、それから明治安田生命様に多大な御協力をいただきまして、改めて感謝を申し上げます。ありがとうございました。

こちらが、このプロジェクトの参加前と参加後で、参加してくださった民間企業の従業員の皆様にアンケートを行った結果でございます。大幅にいろいろな指標で改善が見られていると思っております。

このプロジェクト前は、例えばトラブルが疑われる方を見つけたという方は、それほど多くなかったけれども、事後では増えている、対象の方に声をかけたという割合や、社外の関係機関につないだ、社内の関係者に伝えた割合が増えているのが見られます。

以前は、どのように活用すればよいかよく分からない、自分が見守りネットワークの一員であると自覚がしにくい、見守りが必要だと思われる方に、どんな異変や兆候があるのか知らない、事務局への報告の仕方が分からないという声が、プロジェクトの前には多かったのですけれども、プロジェクトの後には、改善している傾向が見られます。

小松島市様のほうでは、見守りネットワークの事務局からいろいろな情報を発信しているわけでございますが、それを、どれぐらい気にかけていますかという質問に対しても、プロジェクトの後では、気にかけている割合が増えていらっしゃるということで、一定の成果があったのではないかと思っております。

最後に「製品事故救済に係る民事法制に関する国際研究」の概要について御説明をいたします。

背景でございますけれども、2020年9月に欧州委員会から、現行の製造物責任指令、これは1985年に採択されたものだそうでございますけれども、それを改正する新しい指令案を提案したということでございます。

改正の目的は、デジタル経済における製品の性質とリスクを反映したルールを確保するということでございます。

それに関して、我々としましては、公表資料、文献調査、有識者へのヒアリングなどを行い、EUが公表した指令案の趣旨、内容の整理をし、その上でデジタル化が進む社会における消費者保護法制の今後の検討に資する基礎資料を得るということを目的として、調査を今も現在進行形で行っているものでございます。

EU指令では、デジタル化、オンラインマーケットプレイスの普及、人工知能の発展など、社会の変化に対応できるような法整備等が進められているという観点で、新指令案が提案されてございます。

見直しの内容としての製造物の定義をどうするのか、証拠の開示をどうするのか、責任主体をどうするのか、被害者の立証責任をどうするのか、そういったことに関して、現在進行形で調査をしているということでございまして、今年度中に報告書を作成できればということで、研究を進めているところでございます。

以上が、事前に御要望いただいておりましたプロジェクトについての説明でございますが、もう一つ、最近の我々未来本部の取組でございますが、「消費生活の未来に関する調査報告書」というものを公表しておりますので、こちらについて簡単に御紹介をさせていただきます。

消費者庁の新未来創造戦略本部では、先進的なモデルプロジェクトの実施や調査研究に取り組んできたわけでございますけれども、他方で、消費生活の未来に関する優れた調査研究を行っている民間のシンクタンクなどもあるところでございます。

こうしたことも踏まえまして、産学官における様々な調査研究に係る情報交換を行うことによって、消費生活の未来に関するビジョンを見据えつつ、未来の消費生活をよりよいものとしていくことに資するために、新未来ビジョン・フォーラムというフォーラムを、令和5年1月に立ち上げております。

この調査報告書は、これまでに行われたこのフォーラムでの議論、意見なども踏まえつつ、消費生活の未来に関する予想や考察を各方面から収集、整理することにより、中長期的に先を見据えた消費者政策の検討、実現等に資することを目的として、作成されたものでございます。

この表紙も含めてでございますが、この報告書で使っているイメージイラストの作成に当たっては、試行的に生成AIを活用したりしておりまして、この報告書の作成工程自体も未来を意識した形となっております。

大まかな構成でございますが、第1章で消費生活の未来の前提となる動向・潮流についての調査・整理をしております。

ここでは、社会、経済、環境に係る部分は、今後どうなるのか、技術進歩に係る動向はどうなるのか、人々の意識、価値観はどうなっていくのかという大きな流れに関して、既存の調査研究などを整理しております。

その上で、第2章では、個々の消費者の方々が直面する様々な場面について、このように変わっていくのではないかという未来予想を行っております。

4つのテーマに分けて幾つかの未来予想を御紹介している構成になっております。

第1章のところですが、人口の動態がどうなっていくのか、経済成長がどうなっていくのか、消費構造がどう変わっていくのか、気候変動がどうなっていくのか、AIの発展が今後どうなっていくのか、IoT、ビッグデータの活用がどう進展していくのか、自動運転技術または長距離移動の高速化は、3Dプリンターといった新たな技術の進化・活用は、今後はどうなっていくのか、また、人々の意識という観点では、物の豊かさから心の豊かさを重視する方向に変わっていくのではないかですとか、所有ではなくて物の利用というほうに価値観がシフトしていくのではないかといったこと。また、環境、人、社会に配慮したエシカル消費がさらに普及進展していくのではないか。人生100年時代に伴う健康への意識がより高まっていくのではないか。今後、消費の中心となるZ世代の価値観などというものについても、まとめております。これは、大きなマクロ的な社会、経済、人々の意識の動向についての第1章についての御説明でございますが、その上で個々の消費生活がどうなっていくのかというのが、この第2章でございます。

第1章での検討を踏まえますと、持続可能性や倫理性に価値を置く消費が今後進展していくのではないか。また、効率性、利便性に価値を置く消費、健康に価値を置く消費、自律性に価値を置く消費といった観点で、今後の未来の予想について整理ができるのではないかということで、この4つの観点から未来予想について整理をしております。

1つ目の観点でございますが、持続可能性、倫理性に価値を置く消費につきましては、気候変動に対する危機感の高まりや社会的課題への関心の向上により、未来においては、人、社会、環境に配慮した消費行動がより浸透していくことが予想されるのではないかということでございます。

具体的には、サーキュラーエコノミーの普及であるとか、3Dプリンターによる、個々の消費者による製品修理が普及していくのではないかという予測がされております。

それから、植物性食品、昆虫食品市場が拡大していくのではないか。また、ブロックチェーン技術によるトレーサビリティが向上していくのではないか。

2つ目の観点に関しましては、健康に価値を置く消費行動がより一層活発になってくることが予想されますけれども、例えば、完全食、クイックフーズなどが浸透していくのではないか。また、ウェアラブルデバイスが進化することによって、リアルタイムで健康状態を確認できるようになったり、病気の予防、治療、高齢者の遠隔見守りなどが普及するのではないかと予想がされております。

それから、感情認識センサーを用いたメンタルヘルスケアの普及ということで、患者の状態を認識するセンサーの活用、それから、ストレスや不安をモニタリングすることによって、より緻密な手厚い個人へのサポートが普及していくのではないかと予想されております。

また、3Dプリンターによる医療技術の革新的進歩ということでございますが、生体組織とか、臓器を3Dプリンターで作成できるようになる可能性があり、そういったものが普及していくのではないかという予想もされております。

3つ目の観点でございますが、効率性、利便性に価値を置く消費ということでございまして、AIやロボットの普及・高度化によって、消費者が時間・労力をかけることなく必要な商品・サービスが効率的・他律的に発見・提供されるような、利便性の高い消費スタイルが普及していくことが予想されるのではないかということでございます。

例えば、オケージョン、最適のレコメンデーションということで、個人の行動などから個々の状況や感情を考慮した非常に精度の高いレコメンドが可能になるのではないか、レコメンド機能の高度化によって、検索から購入利用までの時間を飛躍的に短縮することが予想されるのではないかということでございます。

また、顔認証などの生体認証を用いた決済方法の普及によって、煩わしさのない購買体験が実現していくのではないかという予想もされております。

高度な自動運転機能を搭載した乗用車、それから物流用の自動車などが、より普及していくのではないかという予想もございます。

また、ロボットなど、無機物による社会規範の維持・管理といったことも進展していくのではないかという予想がされております。

最後に4つ目の観点である自律性に価値を置く消費でございますが、先ほどのように、AIやロボットに消費行動を委ねるというスタイルが広がる一方で、各消費者が自らのこだわりを追及するタイプの消費も他方で広がっていくのではないかという予想でございます。

例えば、3Dプリンターによって、特定のニーズ、好みに合わせたカスタマイズ製品を大量生産することが可能になる。非常にニッチな個人の興味関心に応えるための技術的な環境が整備されるということで、大量生産される画一的な万人向けの商品が減少していくのではないかという予想もございます。

3Dプリンターの普及なども背景として、自ら自宅で好きなものをつくれる環境も進展していくのではないかということでございます。

また、消費者主導のプライバシーデータマネジメントということで、個人のデータを活用したレコメンドなどが普及・高度化する一方で、機械にコントロールされたくないという意向、それからプライバシー意識の高まりなどから、自身のデータが他者に利用される機会を自律的に選択しようとする動きが、一方で広がるのではないかということが予想されております。

以上が、第2章の御説明でございます。参考資料1に掲げているのは、この新未来ビジョン・フォーラムに御参画いただきました構成員の先生方でございますが、大学の先生ですとか、民間のシンクタンクの研究員の皆様、こういった方々に御協力をいただき、報告書を作成しております。

最後に、参考資料2としまして、未来予想に関する手法について、調査・整理をしています。幾つか手法があるようでございまして、SFプロトタイピング、スキャニング、デルファイ手法、ビジョニング手法、シナリオプランニング、シミュレーション、トランジションデザインなどと幾つかございますけれども、こういった手法に関して、簡単に御紹介しているのが参考2でございます。

こちらは、この特定の個別の施策に反映させていくという性質のものではございませんけれども、消費者、それから事業者の皆様、また、私ども消費者庁職員自らにとっても、未来を視野に入れながらいろいろなことを考えていく、行動していくきっかけとなればということで作成したものでございまして、先月下旬に公表をしております。

私からの説明は以上でございます。

○鹿野委員長 御説明ありがとうございました。

本日は、見守りネットワークのさらなる活用に関して、民間企業として御協力いただいた阿波銀行様と明治安田生命様にも、本日御参加いただいておりますが、何か追加で、実際に参加していただいてどうだったかというコメント等がございましたら、この機会に簡単にでもお話しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

○明治安田生命保険相互会社徳島支社八木市場統括室長 では、私のほうから少しお話をさせていただきます。明治安田生命の八木と申します。

もともとは見守り活動というのをやっていたのですけれども、始まりはどちらかというと、一軒一軒の家の周りを歩いていて、新聞がずっと入ったままになっていないかとか、洗濯物が干したままになっていないかとか、そんな見守り活動をしていたのですが、消費者庁と一緒にやるようになりまして、時代はどんどん過ぎていって、どちらかというと、オレオレ詐欺的なものから始まりまして、今ですと、フィッシング詐欺、特殊詐欺と言われるところに行き着くのですけれども、非常に巧妙な手口が増えてきているのだなというのは、今、実感しています。

我々も昼に職域へ訪問したり、それから一軒一軒のお宅を訪問したりという活動があるのですが、その活動の中で、その一軒一軒の家の中に大量に段ボールがあるとか、少し不審だなと思うときには、先ほどネームタグをつくっていただきましたので、その中で連絡をするという話を全体に広めていったところ、我々職員の、徳島県内は330名職員がいるのですけれども、その職員の意識が変わってきたというのが一番大きなところなのかなと。

その職員の意識が変わると、こんなことがあったのですよという話を一人一人のお客さんにすることができることによって、多少なりとも防げているのかなという部分があるかと思います。

ただ、最近は、非常に向こうも家族構成を全部知っていて、名前も知っていて電話をしてくるとかというのも、最近、結構聞きますので、いろいろなところで情報収集をされているのだというところも、皆さん、知っていただきたい部分だということも、今、言うようにはしています。

ちょうど先ほど、前はネームタグでどうのこうのという話だったのですが、私が先ほど思ったのが、ちょうど13ページに、だまされやすさ、リスキーな心理傾向を測るチェックシートというのが、消費者庁のホームページにもPDFで載っているようなのですが、ぜひともこんなのを各家庭に配ったり、または手前ども、公民館でセミナーなども行ったりしておりますので、高齢者の方と接することも多いので、こんなのを少しやってみると、少し意識も高まっていくのかなと思いますので、ますますいろいろなところでお手伝いができればと思っております。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

阿波銀行様は、よろしいですか。何かございますか。

○株式会社阿波銀行小松島支店久保副支店長 阿波銀行の小松島支店の久保と申します。よろしくお願いします。

私ども地域の金融機関として、詐欺被害に関しては、非常に毎日直面しておりまして、口座凍結の手続をして、そんな中で日々、営業とか窓口で活動する中で、直面した際に、どういった対応をするのが理想だろうかということについては、いろいろ迷いがあったと思うのですけれども、今回の取組に参加させていただいたことによって、この188番という電話番号を知るということは、非常に大きな成果だったと思います。

それで、詐欺被害に直面したり、これから直面される方にとって、この188番というのは、110番とか119番に匹敵するぐらい重要な番号だとは思っています。

ただ、これの認知度が非常に低いということで、これについては、子供でも110番と119番は知っていると思うのですね。そのレベルまでに、この188番が流布されるような活動をしていきたいと思っています。

それで、引き続きですけれども、私どもも活動終了後ですけれども、この構成員証というのは各自が身につけておりますので、なおかつ、年に2回大きな人事異動がありますから、その際には、今回の経験をした人間が、徳島県内とか、徳島県外も含めて、転勤で変わってきますので、その意味では、非常にたくさんのところに、この188番をお伝えできる機会が増えると思っていますので、非常に有効な取組だったと考えております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまから質疑応答と意見交換をお願いします。時間は30分程度でお願いします。いかがでしょうか。

それでは、今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。御説明ありがとうございました。

今年から委員になったので、この新未来創造戦略本部のことを、そんなに詳しく知っているわけではないのですが、この実際の施策に、今、戦略本部がされている内容がどう反映されているのかというのが、少し理解できない部分があったので、追加で教えてもらいたいというのが1つです。

もう1つ、少し実務的な問題として、14ページに、今回、主な調査結果の概要ということで発表してもらっている中で、鬱傾向が高い人とか、喫煙者はトラブルの傾向が見られやすいということが結果として出ているのですけれども、ちょっと私、疫学の専門家としては、単純にこの結果を受け入れ難いものがあります。

例えば、鬱の患者さんは、トラブルに巻き込まれたから鬱になっている可能性があって、卵が先か鶏が先かということが、現状の調査から、それが検証できるとは思えないということがあって、これが、どちらが先かということがありますし、喫煙者のほうも、一般的に疫学調査をすると、喫煙している人と、していない人だと、喫煙している人のほうが、病気が少ないという結果が出ます。それは、病気の人は、たばこをやめるからなのです。要は元気でない人は、詐欺の対象にさえならないのだと思うので、たばこを吸っていない人は、病気の人が入っていて、詐欺の対象になっていないとかという部分が入っていると思うのです。

それをこの調査の中で打ち消すような事前調整がされていると考えにくいので、この結果を素直に信じることは、今の段階ではできないかなと思っていますし、そういうところの検証作業というのが、ちょっと弱く思いますので、戦略本部の14ページのことについては、今の段階で分かれば、見解を教えていただければと思います。

以上、2点でお願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、消費者庁様からお願いできますか。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 御質問ありがとうございます。

1つ目でございますが、消費者庁の施策にどう生かされているのかというところでございますけれども、徳島でモデルプロジェクトを行う場合というのは、東京から隔絶した形で別途行っているわけではございませんで、東京の担当課室と、企画立案段階から密に連携を取って、ほぼ二人三脚で行っているということでございます。

その上で、地方に近い、現場で行ったほうがより有益な結果が得られそうなことについては、未来本部が分担するとか、地方自治体への普及とか、そういったものに関して我々のほうが近い立ち位置にございますので、そういったものを我々が分担するということでございまして、何か別個未来本部がやっているものがあって、それが取りまとまってから、次のステップとして東京にお返しをして、東京のほうでさらにその検討、生かし方を検討していくというものではなくて、常に一体的に行っているという形となっております。

従いまして、プロジェクトの実施自体が、既に東京のほうにも反映されていると、我々としては考えておる次第でございます。

2点目でございますけれども、御指摘のとおり、ここに因果関係があるというところは、全く我々も思っておりませんで、この調査からすると、そういう相関関係が見られたというところにとどまるものでございます。御指摘のような問題があると思いますので、打ち出し方、外部への御説明の仕方に関しては、十分に注意をしてまいりたいと考えております。御指摘どうもありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

今村委員、いかがですか。よろしいですか。

○今村委員 まず、14ページのことは、因果関係があるかのように見えるので、これは、鬱の患者さんへの偏見、差別の増強につながるような話ですし、たばこを吸っている人がだまされやすいようにも見えますから、それは、ミスリードするような結果を、このように出していくのは、私はどうかと思います。

ですので、事実関係の中でも、こういう配慮が必要なことは、ちゃんと注をつけて出すとか、それはバイアスだと割り切って出さないとかということを、ちゃんと取捨選択しないと、行政から出て行く資料ですから、そこはぜひ配慮してほしいと思います。

それで、前者のほうですけれども、消費者庁と一体的に運用しているということですが、先ほどの図にもありまして、全国展開という言葉がありますけれども、実際に全国展開された事例というのがあれば教えてもらいたいのですけれども、一緒にやっているというのはよく分かっているのですけれども、全国展開が目標であれば、それは何らかの成果としてあれば教えてほしいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 どうぞ。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 御指摘、どうもありがとうございます。

調査結果については、御指摘を踏まえて慎重に行ってまいりたいと思っております。

全国展開された事例でございますが、そのまま47都道府県に普及したという事例は、今のところない状態でございますけれども、例えば、見守りネットワークに関しては、例えば、お隣の香川県や、愛媛県ではかなり進展しており、兵庫県のほうでもかなり進展しているという形でございまして、徐々にではございますけれども、できる限り努力をして、少しでも全国展開につながるように努力をしている最中でございます。

以上でございます。

○今村委員 分かりました。ありがとうございます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、小野委員、お願いします。

○小野委員 小野でございます。御説明ありがとうございました。

私からは見守りネットワークのさらなる活用についてということで、質問をさせていただきたいと思います。

今回、阿波銀行様、明治安田生命様にも御説明いただきまして、地域社会での取組には、特に金融に関わる企業の方々の御協力が欠かせないといったことがよく分かりました。

それから、全国への働きかけということで、見守りネットワークの在り方については、例えば、阻害要因などについてヒアリングをしたり、チェックリストの作成をしたりという、いろいろな試みがされているということも分かりました。

その上で、2つ質問をさせていただきます。

まず、ヒアリングされた内容や公表について、公表の在り方や予定などについて、もう少し教えていただきたいと思います。

気になりましたのは、消費者行政に関わる部局だけがヒアリングの対象なのか、あるいは税金や福祉といった生活に関連する、ほかの領域の担当者にもお尋ねをいただいているのかが気になっております。

それから、2つ目の質問ですけれども、まず、民間企業との協働ということで、小松島市での取組についてよく分かりましたけれども、どういった市なのかということを教えていただきたいと思います。こうした取組に積極的だった背景があるのか、実はそうではなかったけれども、取り組んでみたということによって、例えば、全国展開というお話がありましたけれども、自治体様にもいろいろありますね、それから、行政組織も一枚岩ではありませんので、こうしたいという思いがあっても、それに協力いただけない別の組織がある、担当者がいるということでは進み方が異なってまいります。

そういったことで言いますと、正直、取組のニーズがあるのかとか、そのニーズの掘り起こしから始めなくてはいけないという自治体もおありだということを、よく伝え聞くもので、今回御披露いただいた小松島市の背景といいますか、そういったことを教えていただきたいと思います。

場合によっては、アウトリーチ的な取組も必要になってくるのではないかなと思っていて、見守りネットワークに実効性を持たせるためには、まだまだいろいろな検討が必要かと思います。今回、2点お尋ねをする次第です。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

2点質問がありましたので、それでは、消費者庁様、よろしくお願いします。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 御質問、どうもありがとうございます。

1点目でございますが、ヒアリングの結果につきまして、概要という形では公表しておりまして、例えば、県へのヒアリング結果は30ページにございまして、市へのヒアリング結果については次のページでまとめております。これを我々としても参考にしながら、さらなる普及につなげていきたいと思いますし、具体的にヒアリングをさせていただいた自治体の皆様との間で、より個別具体的な事案に即して、何らかの情報提供なり、御支援ができればと考えております。ヒアリング対象につきましては、基本的には、消費者行政部局の方にお尋ねをしております。

もう一つ、小松島市がどのような市かというところでございますけれども、先ほど少し申し上げましたが、徳島県内は24の市町村があって、全ての市町村に見守りネットワークを設置していただいていて、全体的に非常に積極的に取組をしていただいているのですが、その中でも小松島市様は、大分以前より、積極的に取組をしてくださっていると聞いております。

見守りネットワークの事務局の消費者行政部局の方に加えまして、消費生活相談センターの方、福祉部門の方にも入っていただくという形で、福祉部門や相談センターとの連携なども視野に入れた体制を組んでいただいているということで、非常に前向きに取り組んでいただいていると聞いております。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

小野委員、よろしいですか。

○小野委員 ありがとうございました。

どちらかというと、積極的な小松島市の方に御協力いただくというところが、多分スタートでいいと思うのですけれども、やはり今後ということで言うと、困難さを抱えるところも併せて、なかなか難しいかと思いますが、御協力をいただくような形で、少し長期戦になるかもしれませんけれども、全国はいろいろなところがありますことから、活用ができる、大切な取組になるかと思いますので、質問させていただきました。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、大澤委員、お願いします。

○大澤委員 すみません、私、あと5分ぐらいで出なくてはいけないので、1件だけ簡単に質問させてください。

御報告いただきまして、ありがとうございました。こちらの都合で慌ただしくて申し訳ないですけれども、1点だけですが、今、製造物責任指令についての調査をしているということなのですが、海外の法制度を調べたりとか、あるいはもちろん法律だけではなくて心理学とか、いろいろな学際的な観点から検討をなさっていると思うのですが、すごく端的に御質問なのですけれども、どういう観点でテーマを選んでいらっしゃるのかというのを伺いたいです。製造物責任に関しては、確かに、今、EUの指令が出ていまして、AIなどの関係もあって非常に大事だと思うのですが、例えば、プラットフォームに関しても、DSAとかいろいろありますので、もちろん、それまで調査もされていたと思うのですが、今は製造物責任指令を調査しているということですが、どのようにテーマを選定されているのか、それが、例えば消費者庁との連携があるということをおっしゃっていましたけれども、例えば消費者庁で、現在、注目している法改正等々と何か連携があるのかということを伺いたいと思います。

以上です。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 それでは、御回答をお願いします。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 御質問ありがとうございます。

私ども新未来創造戦略本部が調査研究をする場合には、基本的には、おっしゃるとおり、東京の関係課室のほうと、日々相談をしながら、東京のほうで、こういうデータがあると助かるとか、こういった調査研究の成果があると助かるという話を踏まえて、こちらのほうで進めるということが多い状況でございます。PL法関係のEU指令の研究に関しましても、東京の安全課のほうでそういったニーズがおありだということもございまして、我々のほうで調査研究を開始させていただいたというのが、背景、経緯となっております。

以上でございます。

○大澤委員 どうもありがとうございました。

すみません、もう一点だけ伺いたいのですが、今まで調査されていたものとして、例えば消費者行政と海外の消費者行政なども調査されていたことがあると思うのですが、例えば、外部の大学の教員だったりとか、外部の人に調査をしていただくという場合と、新未来本部さんが内部で独自で職員の皆さんで調査しているという場合と、2パターンあるのではないかと理解をしているのですが、こちらのメンバー、例えば調査をするメンバーの選定方法などについては、それは、やはりそれぞれのプロジェクトごとにとか、あるいは消費者庁との連携の過程で決まっているという理解でよろしいのでしょうか。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 御質問ありがとうございます。

おっしゃるとおり、特に何か特定のルールとか決まりがあるわけではございませんで、個々のテーマごとに、より効率的に調査研究を行える方法は、どういう形が適切かということを考えた上で、自前でやったほうがいいのか、より専門性のある方にお願いしたほうがいいのかということで、個々により効率的な方法を見出しながらやっているというのが実情でございます。

○大澤委員 どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、星野委員、お願いします。

○星野委員 御説明ありがとうございます。

新未来創造戦略本部の設置自体、非常にすばらしいことだと思いました。

あと、5ページにございます、国際消費者政策研究センター、依田先生は、私が行動経済学会の副会長だったときの会長でございまして、非常にお世話になっております。すばらしい先生で、ぜひ、このようなセンターで様々な研究をしていただければと思いますが、ただ、だからこそ、まだそういったものが進んでいない、取組自体が進んでいないということとはいえ、先ほど今村委員もおっしゃった、1番の調査、これは、ちょっと私としてはいただけないと思いまして、この因果関係ではなくて、相関関係だというのは、まさにそのとおりでございまして、まず、そもそも50問もある調査を一生懸命答えていただけるかどうか、例えば、過去の経験を覚えていたら、何か答えるみたいなことでございまして、そもそも問題すら感じない人は、覚えてもいないし、後悔もしないと、そういう人が取りこぼされているというタイプのものでございますので、こういう調査で何かしら議論するという、しかも消費者庁の名前で、これを公開するというのは、いかがなものかと思います。

海外ですと、例えば、日本を除く、ほぼほぼのOECD諸国では、行動経済学的に実験研究を行って、例えば来ていただいて、実際に、12ページの右側の標準内容とかを出させて、それに対してどう反応するかみたいなものを、実験的な研究で行うみたいなことをして、そこで得られた知見を基に、既に様々な法制度が各国で試行されているような段階でございますので、ぜひそのような観点で考えますと、まだ、あくまでも今回は委託して研究されたということでございますが、ぜひこういったセンターをつくられたのであれば、きちんと博士号取得者などを雇用して、海外同様にきちんとした研究を行っていただければと思います。

そして、この個人差などをいろいろ調べてというのも、これ自体もかなり私としては、納得できないものがございまして、お話をいただいた間に、海外のデータベースなどを調べましたが、国際的にもこういった研究自体、ほぼほぼないというところでございます。ちょっとこの結果は、にわかには信じ難いと思います。これを1つの民間企業が実施して、学術研究できちんと裏づけされていないようなものが、あたかも真実であるかのようになっていますので、これはかなり問題なのではないかと、取扱いに注意するというだけではなくて、この公開は、あまり望ましくないのではないかと思います。

それから、この見守りネットワークに関しましては、本日、阿波銀行様、明治安田生命様など、このような社会的な意義を御理解いただいて、企業様の御協力で実施されていることがよく分かりまして、これはすばらしいことだと思います。

だからこそ、せっかくですから、どれだけ効果があったのかということを可視化するとか、このような取組がどのように意義があったのかということに関して、実際に企業様またはその従業員様で、これに参加された方々に対して、どのようなフィードバックを消費者庁としてされているのかということについて、何かございましたら、ぜひ、お伺いできればと思います。非常に手間がかかって、企業さんにも協力をいただいているということであるのであれば、やりっ放しというのではなく、実際に、それをやったことが数値でというわけではなく、そこまででもなくても構いませんが、具体的な例として、こんな事例があって、このような形で有効だったみたいなことがちゃんと示されていると、では、やってみようということにもなりますし、ぜひ、そのようなことに関してしていただきたいと思うのですけれども、具体的にされているのかどうかに関して、教えていただきたいと思います。

資料2-2に関しまして、未来ビジョンの話、これは、非常に面白いとは思いますが、私も子供の頃、こういったものはいっぱいございまして、未来はこうなるとか言って、空を車が飛んでいるみたいなことをしているわけですが、未来予測というのは、かなり難しいかと思いまして、何を皆さんは考えないかというと、やはり経済的な制約ですね、例えば、正直、これから日本自体の国際経済事情での地位低下に伴う購買力低下みたいなこともございますし、経済安全保障などの話もございます。原材料、素材、食料とか石油だとかに関して、今後どうなるかという話がございます。国際情勢、ファイナンスと、このような観点で考えますと、例えば、この37ページの専門家というのを見ますと、そのような専門家があまりいないのではないかと思いますので、今後こういった未来に関する報告を考えていただく際には、ぜひそのようなかなり現実的な要素を踏まえた形で、議論というのをいただけると、より確実性の高い話になるかと思います。

これは、コメントでございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

御質問も含まれていましたので、それでは、消費者庁様、お願いします。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 御指摘、御質問、どうもありがとうございます。

心理的特性等に関する調査に関しましては、御指摘どうもありがとうございます。御指摘も踏まえまして、この取扱いについて、改めて検討させていただきたいと考えております。

見守りネットワークに関しましては、その効果でございますが、先ほど少し御紹介をいたしましたけれども、参画いただいた民間企業の従業員の皆様の事後のアンケート結果ですと、先ほどの説明と重複しておりますけれども、新たなことに気づくようになったであるとか、いろいろな活動の仕方であるとか、構成員としての自覚に関して改善が見られるというアンケート結果が出ております。

これらに関しては、年度末に毎年本部の取組を公表している成果報告会というもので、公表もしています。個別に協力企業様にアンケート結果をフィードバックということは、まだしてはいないのですけれども、ウェブサイトでの公表は、既に行っているところでございますが、御指摘を踏まえて、さらによい形で成果を生かしていくために、さらに適切な方法を検討していきたいと思っております。御指摘、御質問どうもありがとうございます。

それから、セミナー、ビジョン・フォーラム報告書に関しましては、おっしゃるとおり、御指摘のような面はあると思っております。まずは我々としては、わくわくするような未来のビジョンについてお示しをして、今後の検討の一助としていただければという観点でつくったという面もございまして、おっしゃるような視点は薄い面があろうかと思います。今後さらに、こういった調査研究をする場合には、御指摘のような点も踏まえて進めてまいりたいと思っています。御指摘どうもありがとうございます。

○鹿野委員長 星野委員、よろしいですか。

○星野委員 ありがとうございました。

見守りネットワークに関しましては、具体的にどのようなトラブルが、このような取組によって防止されたとかというのが明確になると、前後比較でよかったとか、見守りしてよかったということよりも、具体的に役に立ったということが非常に明確になると、より企業様として、また、その従業員の方々もやってみようと思われると思いますので、そのような事例をかなり集められるとか、されているかもしれませんが、そういったものがあると非常にいいかなと思ったので、申し上げた次第でございます。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

続きまして、黒木委員長代理、その次に、柿沼委員ということでお願いします。

○黒木委員長代理 貴重な御説明ありがとうございました。特に小松島市の2つの企業からの御参加もありがたいと思っております。

その関係で、見守りネットワークに関する、まず資料2-1の設置促進、全国の働きかけのヒアリングの実施のところで、阻害要因として、福祉部局と連携済みであるため、必要性を感じない。既存の別のネットワークにおいて、見守り活動を行っている。個人情報を取り扱うことの懸念がある。

それから31ページでも、他の業務との兼ね合いで検討する時間がないとか、設置に向けた福祉部局との調整が難しい、あるいは既存ネットワークについては、福祉部門では様々なネットワークに参加あるいは福祉部局ネットワークに参画しているといったような御回答をいただいております。

この点ですけれども、令和3年10月1日付の厚生労働省と消費者庁が連名で出されている「重層的支援体制整備事業と消費者安全確保地域連絡協議会との連携について」という文書があります。この文書に基づいて、きちんと各地方自治体に対してヒアリングをしたのかという点を、まず御質問したいと思っております。質問1は、まずそこです。

○鹿野委員長 ほかにも御質問はあるけれども、まずは、1点目ということですね。

○黒木委員長代理 まず、ここが入り口です。

○鹿野委員長 はい、それでは、お願いします。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 御質問どうもありがとうございます。

御指摘の連名の資料に関しては、ヒアリングの際に示しつつ、その問題も認識していただきつつ、ヒアリングは行ってはいるという状況でございます。

以上でございます。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

そうすると、なかなか地方自治体の状況によっては、福祉部門と連携とか、それから個人情報の取扱いとか、そういったところも阻害要因として、まだあると理解させていただきたいと思います。

続きまして、小松島市の皆様方も含めての御質問なのですけれども、小松島市は、令和6年4月から重層的支援体制整備事業を始めていらっしゃる徳島の地方自治体だと認識しております。

徳島県は、令和5年度の高齢白書によると、全国平均の高齢化率が29パーセントであるところ、徳島県の高齢化率はもう35パーセントになっていて、全国平均よりも高齢化率が進んでいるということのようです。徳島県の中の小松島市は、重層的支援体制整備事業と消費者安全確保地域協議会の連携の実験フィールドとして非常に貴重であると思います。実際、令和6年4月から重層的支援整備体制事業と、それから消費者安全確保地域連絡協議会の事業がなされていると思うのですが、これがどう連携しているのかということについて、お知らせください。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 御質問ありがとうございます。

小松島市のほうから聞いている点でございますけれども、小松島市は4月から重層的支援体制整備事業を進めているということでございますが、見守りネットワークの事務局員は、今、総勢8名いるということでございまして、そのうち消費者行政担当部局4名、それから消費生活センター相談員2名、福祉担当が2名ということになっていて、福祉担当課員の2名の方は、重層的支援体制整備事業の担当者にもなっているという形で連携を図っていると伺っております。

以上でございます。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

この2つの連携をすることによって、より効果的なことができるのではないかという観点で、今度は事業者の方にもお尋ねしたいと思っております。

消費者安全確保地域協議会のメリットとして、個人情報を共有できることがあると理解しております。そこで、阿波銀行の方にお尋ねしたいのですが、全銀協では、2021年の2月18日に「金融機関の代理等に関する考え方及び銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関との連携に関する考え方」という文書を出されていて、そこでは、高齢者で認知が疑われるような人たちについて、本人なのか、あるいは親族の代理なのか、そういう人たちが預金取引をする際に、金融機関として配慮すべき点について、全銀協の指針が出ているのです。

その中で、先ほど、振り込め詐欺被害防止法に関するような話はお話しいただきましたけれども、高齢者の日常的な生活支援という意味で、高齢者の方の個人情報を一定程度共有することによって、生活に必要な預金取引といったことに関する便益が図られているといったこととか、あるいは過度な親族による預金の、ある意味では、窃取みたいなことがあることについての防止につながったとか、そういう事例というのは、御報告されているのでしょうか。

○株式会社阿波銀行小松島支店久保副支店長 阿波銀行の久保です。

高齢者の方の預金に関してですけれども、確認させていただくのは、その本人の方の意思を確認します。それがどういった方法かと言えば、来られる方法がなければ、行員が訪問しますし、それ以外の面であれば、電話等で生年月日等を確認することによって、御本人を確認させていただいた上で、引き出しのお手続をさせていただくと。ですので、その方の本人の意思なくして、御預金を出金したりすることは、まずありません。

なおかつ、頻繁にあるのですけれども、それについて御親族の方だけで来られた場合は、お答えをさせていただいております。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

とても力強いお話だったと思います。今後も、身寄りがない高齢者の話とかといった問題が全国で出てくると思われます。実際、5月7日付の朝日新聞でも「身寄りなき老後、国が支援制度」という記事が掲載されています。徳島県は高齢化率が全国平均を超えているわけですので、個人情報を消費者安全確保地域協議会で共有できるということが、独居高齢者の見守りネットワークと福祉が連携をすることによって、より高齢者の権利の擁護といったことにつながるかどうかということについて、ここは感想で結構ですので、何か一言ありましたらお知らせください。阿波銀行様と、それから明治安田生命様にもお尋ねできたらありがたいと思います。よろしくお願いします。

○株式会社阿波銀行小松島支店久保副支店長 高齢者の方については、店頭に来られたりとか、いろいろあるのですけれども、普通に会話させていただける方というのは動かれます。店頭に来られますので、意思も確認できますし、ただ、それが不可能な方というのは、基本的に窓口にも来られないのですね。そうなってきたら、銀行の手続を超えてしまうというか、私どもでお手伝いさせていただく範囲を超えてくるので、そうなってきた場合は、例えば、介護施設だったり、当然、地方の公共団体の方のお手伝いがあって、初めて次のお手続に進むということを感じておりますので、少なくともその方の個人情報については、確実に確認させていただいた上で、お手伝いをさせていただいていると思っております。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

明治安田生命様から、何かコメントがあったらありがたいと思います。

○明治安田生命保険相互会社徳島支社八木市場統括室長 手前どもの会社では、70歳以上が高齢者という定義をさせていただいておりまして、生命保険の加入に際しても70歳以上は、親族の方どなたか1名がついていただける、もしくは、いない場合には、こちらが2名体制できちんと行うと。

ですから、店頭に解約に来られる方につきましても、本人確認という形で取りますので、本人でない方の手続というのは一切行っていないという形になります。

それが、どうしても入院加療中で来られないとか、代理人である証明があるという場合を除いては、ほぼ手続はしないような形になっておりますので、あまり、今で言うフィッシング詐欺的なところで我々が関わるところは少ないのかなという気がいたします。

以上です。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

私からは以上です。

○鹿野委員長 ほかはいかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 御説明ありがとうございます。

地方創生の一環で消費者庁の一部門である、こちらの新未来本部が徳島に設置されて7年ということ、本部になってからは、もう少し短いですけれども、業務を始められて7年ということで、あえて霞が関ではなく徳島で業務をされていることで得られたもの、あるいはほかの研究機関や組織で着手したことのない何らかの実績とか、研究実績とか施策ということがあれば教えていただきたいと思います。

同時に、もし課題として感じていらっしゃることがあれば、そちらも課題とその対策についても御教示いただければと思います。

例えば、先ほど今村委員がおっしゃられた、特定のモデル事業の全国への展開ということには、まだ着手されていないということではあったのですが、そこは多分、今後やられていく上で、何らかの課題を解決しなくてはいけないのかどうかというところも教えていただければと思います。

○鹿野委員長 それでは、お願いします。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 御質問ありがとうございます。

未来本部が徳島県にあることのメリットとしましては、基本的には、徳島県内の自治体、消費生活センター、地域の消費者団体・事業者団体・教育機関・医療機関・各家庭などに協力をしていただける、非常にすばらしい実証フィールドを与えていただいているところが大きいと思います。例えば、新たな何らかの教材をつくったという場合に、県内に50以上ある高校で一斉に使っていただいて、そのフィードバックを非常に円滑に、スムーズに、迅速に行っていただけるという環境は非常にありがたいものです。そういった実証フィールドを活用して、先駆的な施策の検証、効果の検証を行い、ブラッシュアップしていくという環境があるのが、非常に大きな未来本部のメリット、強みではないかと考えております。

2つ目は、ほかの研究機関でやっていない研究という意味で申しますと、消費者問題、消費者政策に関する専門の研究機関というものは、少なくとも承知をしていないということでございますので、我々がやっていることは、比較的すべからく新規性があるのかなと、手前みそではございますけれども、考えております。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 もう一つ、すみません、全国展開に向けた課題というところでございますが、全国展開に着手をしていないわけではございませんで、一足飛びに47都道府県では、なかなか難しいということを先ほど申し上げさせていただきまして、例えば、香川とか、兵庫、愛媛とかの近隣の県では、見守りネットワークに関する取組も進んでいたりとか、また、別の分野では、公益通報の受付窓口の設置などもかなり進んでいるとか、そういったことで、少しずつではございますけれども、全国展開に向けて、まずは徳島から近いエリアで、今、積極的に現在進行形で頑張らせていただいている状況でございます。

課題という面では、特にそれほど明確なものは認識していませんけれども、精一杯与えられたリソースの中で、引き続き頑張っていきたいと考えております。

以上でございます。

○中田委員 では一言、御説明ありがとうございます。

実証フィールドに近い環境があるということで、そこでトライアンドエラーでいろいろ具体的な施策ができる環境があるということで御説明いただきましたので、例えば、リソースも限られている中であれば、そういったことを活用したテーマについて、より深い研究、実証をしていくということは1つあるのかなと感じました。

先ほどの大澤委員からも、どういった形でテーマを選ばれていますかという御質問があったかと思うのですが、やはり立地の強みを生かされたテーマを、ぜひこれからも深く研究し、最終的には施策に生かしていただくというところまで、それが全国展開になるような形にしていただければ、理想的だと感じております。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

順番が前後しましたが、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。2つ御質問をさせてください。

1つ目が、インターネット通販における表示内容と、消費者の心理的特性に関する調査の14ページ目になります。

ここでは、だまされやすさは、このチェックシートを用いて、自身を把握することが有効な対応策になり得ると考えるということなのですけれども、このチェックシートを行うだけで、有効な対策になり得るとは、私は思わないのです。これは、実際にこのシートを使った上で、どういう効果があり、どういう結果が出たということを、何かエビデンスみたいなものがあるのかなということと、あと、この内容については、今後も研究を続けていく予定がおありなのかということを、まず、1つ目の質問といたします。

それから、28ページ、都道府県に対して見守りネットワークの説明会を行ったということなのですけれども、出席した自治体数がかなり少ないと思います。見守りネットワークは、とても大切なことではあるのですけれども、地方自治体としては、見守りネットワークをなぜ設置しないのかという理由みたいなものは、何度か調査を行っていると思うのです。ですけれども、それでも設置を行わないということであれば、その辺りについて検証を行ったりする必要があると思いますし、重層的支援または福祉行政が行っている同じような支援をうまく融合するようにするには、どうすればよいかなどといったお考えみたいなものはおありなのかどうか、ずっとこのまま設置数が、地方によって増えないという状況において、消費者庁としてはどのようにお考えになっているのかということも含めて、教えていただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、2点御質問がありましたので、お願いします。

○消費者庁新未来創造戦略本部大友総括室長 ありがとうございます。

心理等特性調査に関しまして、先ほども先生方から様々御指摘をいただきましたので、今後の取扱いについては、慎重に検討したいと思っております。

また、だまされやすさを測るチェックシートの活用に関しても、御指摘のとおり、これをするだけで全て解決するとは、我々も思っておりませんので、1つの指標、参考として御活用いただければという趣旨でございましたけれども、この辺も含めまして検討したいと思っております。ありがとうございます。

見守りネットワークに関しましては、昨年度行った説明会というのは、先方から説明に来ていただきたいと要望があったところにお伺いをしたという形でございます。おっしゃるとおり、進めていくためには、いろいろな課題があるところでございますけれども、また、既存のネットワークをうまく活用する方法を御提案いただきましたが、おっしゃるとおりだと思いますので、そのために我々ができることは何かということも考えながら、有効な手助けといいますか、情報提供ができるように今後努めてまいりたいと思っております。今後も御指導いただきたく、よろしくお願いいたします。

○柿沼委員 御説明いただき、ありがとうございます。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。かなり委員の関心が高くて、いろいろな観点からの御意見、御質問等をいただきました。

以上で質疑応答は一応終えまして、簡単にまとめをさせていただきたいと思います。

本日は、新未来創造戦略本部の様々な活動について御説明をいただき、誠にありがとうございました。

新未来創造戦略本部は、大きく、モデルプロジェクトと国際消費者政策研究を2つの柱として取り組まれているということでありまして、その中でも本日は具体的なプロジェクトとして、最初に5つについて御紹介をいただき、さらに後半で「消費生活の未来に関する調査報告書」について、詳細な御説明をいただきました。

加えて、本日は具体的なプロジェクトのうちの4番目に御紹介いただいた、見守りネットワークのさらなる活用の取組について、見守り活動に従事された阿波銀行様、そして、明治安田生命様からも直接お話を伺うことができました。御対応に感謝申し上げたいと思います。

ここから、全てというわけではないですけれども、委員から出された御意見等を踏まえて、簡単に確認をさせていただきたいと思います。

まず、具体的に御紹介があったプロジェクトについて、幾つかの指摘がなされました。例えば、特にインターネット通販における表示内容と消費者の心理的特性等に関する調査については、今村委員から鬱傾向が高い人や喫煙者は、後悔、トラブルを経験しやすい傾向が見られたとの推論に関して、因果関係を直接記載しているわけではないという御説明もあったものの、かなりミスリーディングな記載であるという御指摘もいただいたところであります。

さらに、この調査に関しては、この調査項目等に関しても、さらなる工夫等が必要ではないかという観点からの御指摘もいただきましたし、さらにはその分析についても、今村委員の先ほどの御指摘とも重なりますが、星野委員からも、より正確な専門的な研究が必要であるという御指摘もあったところでございます。

それから、見守りネットワークについては、これも関心が高いところでございまして、いろいろな質疑応答等がございました。これを一々確認するということはしませんけれども、この問題に関しましては、今まで政府レベルあるいは民間レベルでいろいろな取組が行われてきたところでもございます。そこで、それがどのように踏まえられているのか、あるいはまだ問題があるところはここだということを、しっかりと押さえた上で、さらにそれを突破するような、さらなる深い研究や取組をすることが必要になるのではないかと思います。

それから、小野委員からも関連する御指摘がありましたが、地域等によっても状況が異なるところでもございますので、実証フィールドで確認すること自体はよろしいと思うのですが、異なる地域の課題をどうやって乗り越えていくのかということに関する分析とか、検討も必要なのではないかと思います。

さらに、これは全体にも関わるところですが、せっかくモデルプロジェクトをやっていらっしゃり、その目的は、これを全国に広げていくということにある、それが重要な使命ということになっていると思いますが、今のところ近隣には広まっているという御説明はあったものの、どうやって全国展開をさせていくのかということの視点が若干弱いような気もしました。そのような点も今後の取組においては、御配慮をいただければと思います。

さらに、具体的なところでは、御紹介いただいた「消費生活の未来に関する調査報告書」に関連して、星野委員からは、明るい未来が描かれているのは、それはそれで1つではあるけれども、特に経済関連の重要な要因も含めて、視点が欠けているところがあるのではないか、そういうところを入れないと、現実的な未来予測ということにもならないのではないかという御趣旨の御意見もあったところでございます。その点も含めて、今後、御検討いただければと思います。

さらに、より大きな点を申し上げますと、そもそもこの徳島の新未来創造戦略本部で、いろいろな検討をやってこられているわけなのですが、どういう観点でテーマを選んでいらっしゃるのかというところが見えにくいという指摘がございました。御説明の中では、中央との連携などを図りながらテーマを選んでいるのだということではございましたが、それがどのような政策的な考えからテーマ選択がなされているのかというところも見えにくいところがございますし、さらには、せっかく調査研究をしたということであれば、それがどういう形で成果につながっていくのか、つまり、今後の政策にどのように役立てていこうとしているのかというところが、やはり重要だと思うのですが、その点がなかなか見えにくい。委員からの御指摘もありましたけれども、私自身もそのように感じるところでございます。

さらに、成果に関しましては、やはりこれを可視化する必要があるのではないかという御指摘もあり、フィードバックが必要であるということについても御発言をいただいたところでございます。

そのような点、今の点は、具体的なこのプロジェクトに限ってということではないのですが、今後のテーマ選定、それから成果公表というか、報告書の公表等において、ぜひ御配慮いただければと思います。

それから、その関連ですけれども、長期的なビジョンというのがあるとすると、個々のテーマがどこにどのように位置づけられるのかも見えにくいということがあります。

ちょうどこのところ、次期基本計画策定に向けて、私ども委員会としてもいろいろな検討をしてきたわけなのですが、それを思い返しても中長期的な観点から取り組むべき政策課題がかなり多くあるように思いますが、徳島において、せっかくモデル事業とか、あるいは海外の状況も含めた調査研究などを行っていらっしゃるというときに、それがどのような位置づけなのかというところが分かったほうが、消費者全体との関係でも有益だと思いますし、また、当委員会としては、そのようなビジョンを持って、調査研究に取り組んでいただきたいと考えているところでございます。

それから、先ほど見守りネットワークについて少し触れましたけれども、やはり実証フィールドを活用した実証プロジェクト、モデルプロジェクトということに関しては、見守りの問題だけではなくて、ほかのテーマに関しても、やはり同じように全国展開を見据えた戦略というのが必要なのではないかと感じた次第でございます。

すぐに対応するには難しい課題もあるかもしれませんけれども、ぜひとも、そのような大きな視点も忘れずに、今後も御研究等に取り組んでいただければと思います。

消費者委員会としましては、今後も新未来創造戦略本部の取組を注視した上で、必要に応じて調査審議を行ってまいりたいと思います。

今は注文ばかり言いましたけれども、とても期待しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

消費者庁未来創造戦略本部におかれましては、本日はお忙しいところ、審議に御協力いただきましてありがとうございました。

また、阿波銀行様、明治安田生命様におかれましても、どうもありがとうございました。


《4. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)