第430回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2024年4月15日(月)10:00~11:27
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
-
- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、柿沼委員、中田委員
- (テレビ会議)今村委員、大澤委員、原田委員、星野委員
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官
議事次第
- 消費者基本計画の検証・評価・監視(次期消費者基本計画策定に向けた意見素案について)
- その他
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:161KB)
- 【資料1】 次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見(素案)(PDF形式:614KB)
- 【資料2】 次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見(添付資料1~7)(素案)(PDF形式:1614KB)
- 【資料3】 次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見(概要)(素案)(PDF形式:457KB)
- 【参考資料1】 消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等一覧(3月分)(PDF形式:222KB)
- 【参考資料2】 国民生活センター記者公表案件一覧(1月分~3月分)(PDF形式:137KB)
- 【参考資料3】 委員間打合せ概要メモ(PDF形式:127KB)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、第430回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理、小野委員、柿沼委員、中田委員、そして私、鹿野が会議室にて出席しております。また、今村委員、大澤委員、原田委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。星野委員は少し遅れての御参加になると思います。山本委員は本日所用のため御欠席と伺っております。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(次期消費者基本計画策定に向けた意見素案について)》
○鹿野委員長 本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、次期消費者基本計画策定に向けた意見素案について御議論をいただきます。消費者基本法においては、消費者基本計画の案を作成しようとするときには消費者委員会の意見を聴かなければならないとされております。これまで当委員会においては、次期基本計画に盛り込むべき中長期的な課題等について調査審議を行うとともに、消費者団体ほか関係団体等との意見交換を行ってまいりました。そして、先日開催した第429回消費者委員会本会議においては、次期消費者基本計画の策定に向けた当委員会意見の骨子案について意見交換を行ったところでございます。これらを踏まえて、本日は、次期消費者基本計画に対する当委員会としての意見の素案を作成いたしましたので、こちらについて意見交換を行うこととしたいと思います。
それでは、事務局より約20分で御説明をお願いします。
○友行参事官 それでは、本日の資料でございますけれども、配付資料として、資料1として消費者委員会意見の素案、資料2として添付資料の1~7まで、資料3として意見の概要を資料としております。御説明につきましては、意見の素案、資料1に従いまして御説明申し上げます。
それでは、資料1の1ページ目でございますが、こちらは目次となっております。
ずっとおめくりいただきまして、5ページになりますでしょうか。「はじめに」というところからでございます。まず、第1として「我が国をとりまく状況」について記載しております。
「1 人口減少と高齢者等の増加」です。
(1)として総人口の減少、人口に占める高齢者の割合の増加、独居高齢者の増加を指摘しています。
(2)では、地方においても人口減少の進展や高齢化が進展していくということを記載しております。
次に参りまして、(3)でございます。こうしたことを背景に、認知機能が低下した高齢者が増加していくことが見込まれます。
(4)障害者等要支援消費者に係る消費生活相談は増加しています。
「2 デジタル社会の進展」です。
(1)インターネット取引は増加を続けています。
また、(2)として、デジタル空間における消費者問題は複雑化しています。
また、(3)として、ICT活用のためのリテラシー向上に関する検討は総務省などで行われています。
次に「3 消費者に不利益をもたらし得るビジネスモデル」が存在しています。
(1)PIO-NETの相談件数ですが、直近15年程度、ほぼ横ばいが続いています。
次に参りまして、(2)消費者に不利益をもたらし得るビジネスモデルが存在しています。定期購入や、消費者に一方的にリスクを負わせ、消費者に不利益をもたらす、最近ではエステサービスに関する相談が急増しています。これは高額の前払金を支払う長期契約となっています。さらに、いわゆる業法のない商取引も存在しています。
「4 AI技術の進展」です。
(1)消費者のAIに対する不安です。意識調査によれば、生成AIの普及の期待と不安について、期待が40パーセント、不安は59パーセントとなっています。
(2)AI技術がもたらす消費者問題です。アテンション・エコノミー、フィルターバブル、エコーチェンバーといったリアルの世界では実現されにくい環境を容易にもたらしています。また、人間の心や意思決定過程に介入する可能性も指摘されています。
次に参りまして、(3)AI事業者ガイドラインが公表されています。
さらには、(4)AIセーフティ・インスティテュートなどが設置されています。
(5)消費者のAIリテラシー向上に関する取組が重要となっています。
「5 取引の国際化」です。
国際化を背景に、(1)取引の国際化の進展に伴う越境取引に係る消費者トラブルは増加しています。
「6 決済のキャッシュレス化」です。
(1)決済サービスの多様化と法制度のすき間が存在しています。
(2)消費者被害の増加です。クレジットカードの不正利用被害額は、2023年は約541億円となり、悪化しています。
「7 生命・身体に関する事故の状況」です。
(1)生命・身体事故は増加しています。
(2)依然として子どもの事故は多くなっています。
(3)こども家庭庁が2023年4月に設置されています。
(4)製品安全4法の改正の動きがあります。具体的には、インターネット取引の拡大への対応、玩具等の子供用の製品の安全確保への対応という内容となっています。
「8 特定保健用食品・機能性表示食品の状況」です。
(1)特保の許可件数は伸び悩み、機能性表示食品の届出件数は増加しています。
(2)機能性表示食品に関する消費者問題が生じています。誇大な広告や表示、また、直近では機能性表示食品による健康被害も生じています。
次に、「第2 次期消費者基本計画における重点事項」となります。
まず、「1 デジタル社会における安全・安心の確保」です。
(1)デジタルプラットフォームにおける消費者保護の推進です。
ア 取引DPF消費者保護法における消費者保護の取組の強化です。基本的な考え方として、デジタルプラットフォーム事業者は、当該プラットフォーム上において、利用者が安全に取引を行うことができ、合理的な選択の機会を確保できるシステムを構築する役割を担う立場にあるということでございます。
イとして、取引DPF消費者保護法の在り方を記載しています。
次に、(2)ダークパターン、アテンション・エコノミー等への対応です。
ア ダークパターン、アテンション・エコノミー等への対応。ダークパターンとは、ユーザーの自律性、意思決定または選択を破壊または損なう実質的効果をもって設計または操作されたユーザー・インターフェースのことを指しています。ユーザーを混乱させ、実際の選好とは異なる特定の行動を取らせるように意図的にデザインされたものと言えます。インターネット取引が広く行われる状況において、こうしたユーザー・インターフェースを早急に規律する必要があると記載しています。
次に、イ デジタル空間における情報流通の健全性確保です。こうした偽情報・誤情報、偽動画、偽広告が消費者にもたらす問題に取り組む必要があります。こうしたものがインターネット上に流通する背景には、利用者を偽情報等で引きつけ、インプレッションを稼ぎ、その規模に応じて偽情報を流布させた者に広告収入がもたらされるビジネスモデルがあります。
次に行きまして、(3)新たなデジタルサービスと消費者保護です。例えばメタバース空間で生じた消費者トラブルについてどのような法律が適用され、規制主体は何か、消費者トラブルについて誰がどのような責任を取り、被害回復が図られるのかといった点が関係行政機関において明らかにされることが必要です。
(4)デジタル・ジェロントロジーの達成です。人生100年時代の今日において、消費者は生まれてから最期の時を迎えるまで、デジタルと向き合うことを常に意識する必要があります。一生を通して消費者がデジタルを利活用し、社会のデジタル化に取り残されず、そのメリットを最大限享受することが必要です。
「2 AIと消費者保護の在り方」です。
(1)AIの議論の場へ消費者、消費者団体が参画する仕組みの構築が必要です。
(2)AI事業者ガイドラインの事業者・消費者への周知、適切な運用と諸外国の動向も踏まえた制度の在り方の検討が必要です。
(3)行政・事業者・消費者の総合窓口の整備が求められます。
また、(4)AIリテラシーの向上が必要です。
次に、「3 取引の国際化への対応」です。
(1)法や執行の及ばない海外事業者への対応が必要です。
また、(2)海外OTAによる消費者問題への対応も必要です。国内に営業所がなくてもオンラインだけで営業ができる現状を踏まえると、リアル店舗の所在を基準に登録を求める制度には限界があります。営業所が海外にある場合でも、オンラインで日本の消費者に広く営業活動を行っているなど、別の基準を設けて登録制度を見直すことが望まれます。また、近時の立法実務では、いわゆる立法管轄権と執行管轄権を分けて考えることが多く、立法管轄権については、サービスを受ける人が国内にいれば行使すべきとの発想に基づいた規定が置かれています。執行管轄権が行使できないから立法管轄権が行使できないというのは標準的な理解ではなく、海外OTAについて域外適用を考えるような制度改正を行うことが望まれます。
「4 複雑化、多様化する決済制度の透明化」です。
(1)規制の対象外となっている決済サービスに対する法整備が必要です。
(2)クレジットカード決済代行業者に対する規制強化が必要です。
(3)2月以内払いクレジットカード決済に関するトラブルの実態調査と法整備が必要です。
(4)クレジットカード決済システムにおけるセキュリティ対策の強化が必要です。
(5)過剰与信の実態把握と防止が必要です。
(6)横断的で整合的な決済法制の構築が必要です。
「5 食品ロスへの対応」です。
アとして食品ロスの発生抑制、イとして食品寄附に係る民事上の責任の軽減に係る検討、ウとして外食での食べ残し持ち帰り促進などが必要となります。
「6 高齢者、障害者等要支援消費者の権利擁護の充実」です。
ア 各省庁の施策ごとに設置されている地域ネットワークの見直しと連携強化です。重層的支援体制整備事業と消費者安全確保地域協議会制度との一層の連携、また、消費者安全確保地域協議会の設置率は、現状、3割に満たない状況にあることを踏まえますと、地域ネットワークの運用の見直し、ネットワークの根拠法の見直し等による簡素化・効率化に向けた措置の可能性について検討を始めることが望まれます。
イ 成年後見制度を身近なものにするための利用促進と制度改正です。成年後見制度の見直しについては、法制審議会に諮問がなされています。判断能力が不十分となっても、本人らしい生活の継続や地域社会への参加が可能となり、本人の尊厳が守られる仕組みとなることが望ましいと考えます。
ウ 成年後見制度、地域ネットワークを補完する消費者法制度の構築です。成年後見制度については、障害者権利条約との関係で、本人の自己決定権を尊重する方向での見直しが求められています。法定後見が縮小する方向であれば、成年後見制度や地域ネットワークを補完する消費者法制度の構築が望まれます。
エ 身元保証等高齢者サポート事業のガイドラインが策定された場合には、その実効性の確保が図られるべきであります。
(2)日常生活自立支援等による要支援消費者への支援の強化です。障害等のある要支援消費者は、特別支援学校等を卒業した後、社会に巣立っていきます。要支援消費者の相談の増加を踏まえ、支援学校における消費者教育の強化とともに金銭管理、家計管理に関する金融教育の強化が必要です。
(3)要支援消費者の権利擁護のための体制整備です。社会福祉協議会を地域ネットワークの中核に据え、消費生活センター等の障害者行政部門と福祉行政部門と共に活動を強化していくことも一案と考えます。
「7 生命・身体の安全の確保」です。
(1)製品安全4法の改正と事故情報の収集・分析の実効性確保が必要です。
(2)子どもの事故防止に向けた実効性のある仕組みの構築です。
ア 事故防止に向けた法制度やチャイルド・デス・レビュー等の仕組みの構築が必要です。
イ こども家庭庁の取組の強化が必要と考えます。
(3)製造物責任法の見直しです。
「8 消費者に不利益をもたらし得るビジネスモデル対策の徹底」です。
(1)悪質な定期購入やSNSを利用した勧誘への対応等、時代の変化に即した特定商取引法の在り方、ア 時代の変化に即した特商法の改正、イ 災害時における特商法の執行強化等、災害等緊急時において、地方公共団体の機能不全が見込まれる中で、災害時の消費者ホットラインの対応強化のみならず、特商法等について、災害時における悪質行為に対して国が直接法施行することも含めた執行強化策を検討することが望まれます。
(2)相手方事業者の特定が困難な課題への対応が必要です。インターネット等の消費者トラブルに、相手方事業者の特定が困難な場合が見受けられています。実態を把握した上で必要な対応を行うことが必要です。
(3)消費者トラブルの生じやすい事業形態(業法がない、前受金がある、長期契約等)への対応です。高額の前受金を支払う長期契約が多く見られています。また、規制する業法がないものもあります。さらに、レスキューサービスによる消費者問題が生じています。特商法の規制対象となる場合もありますが、こうしたビジネスモデルに対する抜本的な対応を行うことが必要です。
(4)消費者に不利益をもたらす商慣行の撤廃です。LPガス事業では、消費者に不利益をもたらす不透明な商慣行が存在しています。こうした商慣行を是正するため、LPガス事業者の過大な営業行為の制限、三部料金制の徹底、LPガス料金の入居希望者への事前提示等を行うべきでございます。
「9 特保・機能性表示食品の課題等への対応」です。
(1)いわゆる健康食品による健康被害の実態把握、課題への対応。
(2)特保・機能性表示食品の実態把握、課題への対応が必要です。事業者が届け出た情報を基に、消費者が商品を選択する制度であります。消費者への情報開示が十分になされるべきであります。届出の範囲を逸脱した表示・広告及び届け出た機能性の内容を誤認させる表示・広告に対しては、行政指導や景表法による措置命令を積極的に行い、消費者に対してその情報を公開するなど、景表法、健康増進法、食品表示法、薬機法等の関係法令に基づき的確に対処することが望まれます。また、消費者に対する健康被害情報の公表を食品表示法上に義務づけるということも望まれます。
直近では、機能性表示食品による健康被害が生じています。原因究明と再発防止策を早急に取るべきであります。安全上の問題が生じた場合の事業者の対応の在り方等の運用上の問題、同制度の在り方についても課題を整理し必要な対応を行うことが必要です。
(3)食品衛生基準行政の消費者庁への移管に関し適切な連携の確保が必要です。
「10 消費者教育の推進」です。
(1)消費者教育、金融教育、デジタルリテラシー強化の取組の推進です。
イとして若年者への基本的な消費者教育の強化です。インターネットの検索による副業紹介、SNSを使った巧みな勧誘による情報商材の購入や投資詐欺、ネットワークビジネスをうたうマルチ商法等、社会人を含めた若年者が被害に遭いやすいお金に関するトラブルについて消費者教育を強化すべきであるとしています。
また、ウ 高齢者への消費者教育の強化も必要です。
エ 金融教育の推進です。金融経済教育推進機構が行う金融教育については、販売推奨との境目を明確にすることが重要です。消費者教育については、学校への展開が困難であることの解決の糸口につなげるべく、教育委員会、都道府県立の校長会、私立中学高等学校協会等を巻き込み、中学校、高校、大学といった学校関係者の機構への登用を促進する取組を行うことが必要です。
オ デジタルリテラシーの向上。
(2)障害者等要支援消費者の自立のための消費者教育の強化です。日常的な見守り等の支援が必要な障害等のある要支援消費者の消費者教育を強化すべきである。こうした要支援消費者については、特別支援学校が中心となり、消費生活センター、社会福祉協議会等と協力し、それぞれ状況を把握し連携して実施することが必要であるとしています。
「11 環境変化に応じた消費者法制度の根本的・抜本的な見直し」です。
(1)消費者法制度のパラダイムシフトの検討とその実現です。
(2)消費者行政における事前規制、事後規制、自主規制の在り方の検討です。消費者法制度をめぐる問題として、規制対象となる事業者が多く、他方、行政資源が限定されていることが挙げられます。事前規制である許認可や事業者の事前届出制、事業者数の多さに比して行政資源が限定されることによる自主規制の重要性、自主規制に対する枠組み、インセンティブの在り方について検討すべきであるとしています。
「12 消費者行政におけるEBPM等の推進」です。
(1)消費者行政における政策手段の網羅的把握と政策分析の実施です。OECD諸国を中心として、消費者政策で行われている様々な政策手段やその採用に至るプロセスについて、幅広に情報収集と分析を行うことが必要です。
(2)消費者行政におけるEBPMの基盤整備・政策での活用。政府統計、行政記録情報、民間ビッグデータを活用した消費者問題の発見や政策の効果の因果関係の分析の取組を進めるべきであるとしています。PIO-NET情報のみならず、警察への相談情報、刑事・民事訴訟データも利用した消費者行政におけるEBPMの基盤整備や政策での活用が必要です。
(3)消費者行政における行動経済学・心理学の活用も必要です。
「13 消費者団体の活性化」です。
消費者団体の課題等への対応が必要です。消費者契約法に規定され、差止請求を担う適格消費者団体の年間収入は過半数の団体で500万円を下回り、1,000万円以上の団体は6団体のみとなっています。当該団体は、差止請求を行い不当な勧誘や不当条項の改善等において実績を上げています。現状を鑑みると、持続可能な状況とは言えず抜本的な対策が必要であるとしています。
(2)消費者政策における消費者団体の位置づけの検討・明確化が必要です。
「14 事業者・事業者団体による消費者志向経営の推進」です。
(1)消費者と事業者による共創、協働の実現が必要です。
「15 消費者行政の体制整備」です。
ア 消費者庁、国民生活センター、消費者委員会の体制整備です。消費者法制度の整備、特商法や景表法等の執行、隙間事案への対応、財政支援を含む地方消費者行政の充実・強化、適格消費者団体への支援を担うのは消費者庁であり、消費者庁は、消費者問題に関し、責任を負う行政機関です。これら重要政策の実現を図るためにも、消費者庁の権限、人員、予算等の体制強化を図るべきであるとしています。
イ 消費者行政部門と警察部門の連携です。
ウ 人口減少を踏まえた地方消費者行政の体制整備、消費者庁と地方消費者行政の分担の見直しです。国から地方への様々な支援を継続し、あるべき支援の姿を検討すべきであるとしています。地方における人口減少などを背景に、各地域や各部門において人手不足が生じています。消費者行政を支える消費生活相談員に対しての待遇面の改善についても、あるべき姿について検討し、必要な対応を行うべきであるとしています。また、基盤整備など、中央が一元的に取り組んだ方がよい業務を整理し、消費者庁が一元的に対応する業務の拡大可能性を検討すべきであるとしています。
エ 消費者の権利を主張できる環境の整備です。消費者庁及び消費者委員会等の行政機関は、常に消費者の意見を聴き、その内容の実現に責任を負うべきであるとしています。
(2)消費者問題における戦略的コミュニケーション設計の実現です。消費者自身が消費者問題を自分事として捉え、被害の発生・拡大を防止し、安全・安心な消費生活を可能にするため自ら考え行動することを可能にする戦略的コミュニケーション設計づくりを検討すべきです。その際、どの層に向けて、どのような内容をどのような手段で発信するかが重要です。また、周知広報、注意喚起情報が、関係行政機関からそれぞれに発信されるだけでなく、消費者問題の重要案件については、消費者庁が司令塔機能を発揮し、関係行政機関が一斉・総力的に注意喚起を行うことなどについても検討を行うべきであるとしています。
(3)地方公共団体や相談現場の意見も踏まえた消費生活相談デジタル化の推進が必要です。
最後に、「おわりに」のところでございます。本意見は、次期消費者基本計画期間中に取り組むべき消費者政策について、現時点、消費者委員会として優先的に取り組むべきと考える重点事項について取りまとめたものとなっています。十分に検討の上、次期消費者基本計画に盛り込んでいただきたいと考えます。
御説明は以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまより質疑応答と意見交換を行いたいと思います。時間は40分程度を予定しております。
なお、具体的な御指摘の場合には、今回文書が長いので、何ページかということを御指摘いただければ幸いでございます。いかがでしょうか。
今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。最初にコメントします。
30ページの「特保・機能性食品の課題等への対応」ということで、これはかなり踏み込んで書いてもらったつもりなのですけれども、今、実際に小林製薬の「紅麹」の事件が起こって、これでもまだまだぬるいかなというふうに思える事態になっています。基本的に、濃縮された食品を反復して食べると様々な危害が出てきて、それが健康食品のまず基本的な問題としてあると思うのです。機能性表示食品というのは機能があるので、それをどんどん奨励しましょうというところで問題があります。当然、濃縮、反復すると健康被害の可能性はそれだけ高くなるわけで、それに対して健康被害の報告や安全対策が必要になってくるという意味で、今後、消費者庁でもこの対策を検討していただくということでありますけれども、ここで書いてあることは最低限のことと考えて、今後これについてもより踏み込んだ意見を言っていく必要があるのかなと思っています。
また、これに関連して、4月1日から食品の規格基準行政が消費者庁に行っています。今までは表示だけが消費者庁だったわけですけれども、食品本体の規格基準も消費者庁に来たということで、事実上、これの全責任というのは消費者庁に移っていると思います。新しく所掌が替わるということに対して、もう少し消費者庁もそのことを対外的にも広報してほしいと思いますし、次期消費者基本計画などについてももっと盛り込んでほしいと思っています。
今村からは以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野委員 私からは2点説明をさせていただきたいのですが、初めに21ページから24ページにかけてです。こちらには、「従来からの課題への抜本的な対策」の6番目、「高齢者、障害者等要支援消費者の権利擁護の充実」ということが書かれてありますが、今、説明もありましたように、厚労省などによる重層的支援体制整備事業や、消費者庁などを中心とした消費者安全確保地域協議会制度、こういったものの一層の連携が求められると思います。高齢者の人口に占める割合は高くなっているわけですが、限りのある社会資源、制度とか人員とか予算ですけれども、そういったものを効率的に活用していくということがどの地域でも喫緊の課題となっているところです。
さらに成年後見制度や身元保証など、高齢者のサポートに合わせまして、ぜひ障害等のある支援の必要な消費者にも目を向ける必要があると思います。この本会議でも全国社会福祉協議会から御説明をいただきまして、日常生活自立支援事業について、利用者の複合的なニーズなどが指摘をされたところです。判断能力が不十分であることに加えまして、孤独や孤立の問題が重なっている消費者に対して、多機関の連携、さらにアウトリーチ、ここでは恐らく申請主義に基づいて役所で何か申出を待つのではなくて、ニーズを捉えに地域に出ていくということだと思いますが、こういった積極的な活動、さらに住民との協働といった包括的な支援体制が求められており、やはりこうしたことは消費者政策でも同様であることから、このたびの意見書にも反映されてきていると思っています。
繰り返しになりますが、こうした問題、一機関だけでは解決ができません。消費者庁だけではなくて広く消費者、生活者に関わる関係機関と共に展開をしていくことが重要だと思っています。
2つ目になりますが、31ページから33ページにかけての10番目の「消費者教育の推進」です。消費者教育は、消費者の権利の一つですけれども、消費者が社会制度を正しく利活用する、そうした力をつけるためには、学校教育だけではなくて、地域で暮らしている高齢者を含めた方々への社会教育というのがとても重要になります。若者や高齢者といった対象者別に推進をするというやり方もありますし、あるいはテーマ別、ここでは金融教育やデジタルということで今回は課題に盛り込んでいますけれども、金融教育については先ほど説明をいただいたように、今月設立をされました金融経済教育推進機構の動きが大変注目をされているところだと思います。関わっておられる方として、ぜひ教育関係者を入れていただくとさらに実効性が上がるのではないかと思います。
最後に33ページ、(2)障害者等要支援消費者の自立のための消費者教育の強化について、説明もありましたように、地域生活をしていく上では、特別支援学校と消費者行政が一層つながっていくことが求められると思います。
さらに社会福祉協議会もそうなのですが、既に以前、私が特別支援学校の先生に調査をさせていただきましたところ、高等部で卒業後の生活を見据えて、地域で暮らすためにはどのような就労や福祉との関わりで関係を持てばいいのか、計画を立てているとお聞きをしています。そういった場面で消費生活センターもその拠点として定着をしていくことが一般的になることが望ましいと思っています。
繰り返しになりますが、消費生活センターは相談機能だけではなく、地域における消費者教育の拠点としての役割が一層求められます。消費者教育コーディネーターの配置や育成のためにも、人員や予算の配置が不可欠であると考えます。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
星野委員、お願いします。
○星野委員 ありがとうございます。
何度も申し上げていることですけれども、これが重要、あれが重要と言いましても、例えば福祉が重要だし、科学技術も重要と。少子化対策も重要となりますと、予算が幾らあってもきりがございませんので、「消費者行政の体制整備」が37ページにございます。「15 消費者行政の体制整備」が重要だと。重要施策の実現を図るために、消費者庁の権限、人員、予算等の体制強化を図るべきであるとございますが、結局いろいろな方がいろいろなことが重要だと言って、それだとなかなか伝わらないと。34ページの注釈に私が入れさせていただきましたけれども、いろいろなところに飛んで申し訳ございません。87、OECD諸国では云々かんぬんと。例えば排ガスの不正広告に対して何兆円の賠償金が科される事案があるなどとございます。ですから、データに基づいて、消費者の被害額や、不正を行わない企業の逸失利益等もちゃんと計算をすることが大事だということでございまして、財務省への予算折衝の際に、消費者被害が健全な事業者の逸失利益も含めて何十兆円になっていて、消費者保護施策にたかが何十億円追加するだけで、何千億円の逸失利益を防止できるというようなロジックをちゃんと持って、そういった推計を行って予算獲得をぜひしていただきたいなと思っております。
ありがとうございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
大澤委員、お願いします。
○大澤委員 ありがとうございます。
発言の機会をいただき、ありがとうございます。
2点ございます。
1点目は、35ページから36ページの「消費者団体の活性化」というところでございます。ここに、消費者団体がいろいろな形で今、消費者保護に対して消費者政策で非常に大事な役割を果たしているということは書いてくださっていて、問題意識及び現状を書いていることは非常に重要ではないかと思っております。
もう一方ということなのですが、35ページから36ページに、財政的な問題が深刻であるということで、消費者団体の中でもいわゆる差止請求を担っている適格消費者団体に光を当てる形の記述がありまして、実際のところ、最近の不当条項をめぐる判決とかを見ると、ほとんどが適格消費者団体の差止訴訟で、その意味で契約条項の適正化に当たって消費者団体は非常に大きな役割を果たしていると思います。
35~36ページのところでは、「改善等において実績を上げているが、現状を鑑みると持続可能な状況とは言えず、抜本的な対策が必要である」ということで、本当にそれはそのとおりで、この点を消費者委員会として強調するのは非常に重要だと思うのですが、もう一つ、抜本的な対策というところで具体的にどういうものがあるのだろうかというのが、なかなかイメージが湧きづらいなと思ったというのが正直な印象であることと、もう一点は、差止めのことだけを書いておりますが、もう2年前になると思いますが、改正がありました特定適格消費者団体による被害救済、被害回復のほうも認定支援法人制度を法改正でつくるなど、もちろん改善を目指した措置が取られておりますが、むしろそちらのほうも一言でよろしいかと思いますのであるとよろしいのではないかと思いました。これが1点目でございます。
2点目なのですが、消費者契約法に関して、前回の会議の中で申し上げたような記憶があるのですが、33ページに「消費者法制度のパラダイムシフトの検討とその実現」というところで、消費者契約法というのを一応入れてくださっていて、非常にありがたく思っております。この意見書全体を読みまして、とりわけ28ページのところ、要はその消費者に不利な取引慣行等とか、そういった商慣行だけではなく、例えば前受金ビジネスとかそういったトラブルが生じやすい事業形態を28ページから29ページにかけて書かれていて、それへの対応の在り方というところを書いております。ここに特に表れていることですが、若干、現実問題としては仕方がないのだと思いますが、特定商取引法に消費者委員会が力を入れているというか、そこに目をつけているかのような印象を与えるようにも思いますので、例えば28ページの「特商法の規制対象となる場合があるが」というところで、要は抜本的な対応を行うことが望まれると。ここからさらに踏み込んで書くのはなかなか現状では難しいところがあるのですが、この種のトラブルで例えば勧誘するときにきちんと値段を提示してもらえないとか、あるいはそもそも最初は低額な値段しか提示してくれない、あとは非常に執拗な勧誘を受けて消費者が断りにくいという状況もありますし、特商法の対象になっていないとそれこそ消費者契約法で対応するということも求められますので、消費者契約法という言葉をここに入れるかどうか悩ましいのですが、少し検討いただけるとありがたいと思います。
要は、全体として消費者契約法についてもパラダイムシフトも含めてまだまだ改善の余地があるということを、今後5か年間でぜひ消費者庁には意識をしていただきたいというのが私の個人的な思いです。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 3点申し上げたいと思います。
まず1つ目ですけれども、消費生活相談におけるDX化についてです。2024年3月に国民生活センターから消費生活センターにおける対応困難者への対応の現況と課題調査の報告書が出ております。ここでは、まず対応困難者が増加しているということを相談員が挙げておりまして、そのような状況ですけれども、相談員の処遇改善がいまだされていません。それから、この報告書の中に各消費生活センターの相談員の人数の記載があるのですけれども、相談を何人で行っているか。1名と回答したのが8.3パーセント、2~3名と回答したのが28.6パーセント、4~5名と回答したのが20.1パーセントと、ここまでで半数以上、57.1パーセントです。このような小規模の消費生活センターの意見をまだまだ聴いていないように思います。この小規模なセンターが今後DX化になじまないとしてDX化を辞退することになると消費者の不利益につながると思いますので、このような小規模の消費生活センターに従事する消費生活相談員の意見をぜひ聴いてほしいと思います。
それから、2つ目です。情報的健康ということで、山本委員がいらっしゃればよかったのですけれども、その言葉のとおり、多様な情報をバランスよく摂取することで、フェイクニュースなどに対する免疫を獲得している状態、これを情報的健康と言うようなのですけれども、まだまだ消費者は情報に呑み込まれてしまって、中にはゆがめられた情報を受け取って情報偏食になるということの記載もこの中にあります。このようなことがないように、消費者教育にもこの視点を入れて、一時的なものではなく、生涯において消費者教育が受けられるような機会、こちらの充実をお願いしたいです。
そして、3点目なのですけれども、健康食品についてです。先月、東京都では、健康食品の試売調査結果というものを出しておりまして、こちらを拝見したところ、都が購入した健康食品の84パーセントに不適正な表示・広告を発見したということです。中には、3製品からは医薬品成分を検出しており、医薬品が入っている場合には厚生労働大臣の承認を受けなければ製造・販売することができないのですがそのようなものも販売されているということですので、こちらは今村委員の意見のとおり、もっと踏み込んだ議論が必要なのではないかと思いました。
以上、3点です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかは。
中田委員、お願いします。
○中田委員 ありがとうございます。
私は、法整備、ガイドラインの整備が非常に重要だと思う一方で、確実に対策を執行に移すための実効性のある消費者行政の整備といったところが非常に重要ではないかと考えております。消費者行政の一部と言えるのかは分かりませんが、事業会社に関するメンションが36ページの14番にはございますが、事業者の中には消費者問題に対する意識が高く、消費者との対話もした上で対策を取っている事業者も多くあると思いますが、先日もエステ業界のお話を伺った際に感じたのですが、法整備が及んでいない業種もまだ多々あると思いますし、業界団体等も業界の中に浸透していない状況というものもあると感じました。事業会社の中でも、消費者問題に対して意識の濃淡が非常にあると思いますので、そうした中での事業会社の巻き込み、事業会社により責任を持って、消費者問題に対策をしていただくようなことは非常に重要ではないかと思います。
2つ目は、星野委員もおっしゃっていましたが、消費者問題が各省庁、事業者、消費者団体、あらゆるステークホルダーを巻き込んだ事案であるということの中で、消費者問題自体の責任はどこの省庁なのかということが非常に気になっている点ではあります。もちろん消費者庁が司令塔となってこういった問題に当たっているということは説明からも理解はできたのですが、司令塔以上に、一つ一つの消費者問題の例えば優先順位を整備して、各省庁と連携して、最終的な消費者問題に対する責任を持つ省庁となり得るのかどうかといったところは非常に気になる点ではあります。
その延長線上に、地方自治体の行政のお話も伺いましたが、非常にリソースが不足している中で、地方自治体、小さな自治体の本来であれば消費者に一番近いところである地方行政で担っていく責任は大きいのかもしれないのですけれども、そこになかなか執行の推進が期待できないという状況であるとしたら、その状況を前提として消費者行政の体制を整備していく必要があるのではないかと思います。
最後にもう一点、先ほど事業者の巻き込みと申し上げましたが、事業者以上に消費者の巻き込みが重要であると感じております。各省庁では、SNS等を使って情報を発信していらっしゃると思うのですが、ぜひメディアの方もより一層巻き込み、世論として消費者問題の意識を高めていくというようなこともやっていただきたいと思います。これは消費者委員としてももう少しPR活動を強化して、分かりやすい情報発信を強化していくということが私たちにも求められているのではないかと感じております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 ありがとうございます。
第8次の内閣府の消費者委員会は、発足して当初は各委員のプレゼンを行っていましたが、プレゼン終了後はずっと第5期消費者基本計画に関する検討を続けてきました。各省庁や消費者団体など、いろいろなところからのヒアリングをしていて、その内容について過不足なくまとめていただいているなというのがまず私の第一印象です。
その関係では、前回の委員会で配られました骨子案では、デジタル社会におけるところでは取引DPF消費者保護法だけが見直しの対象だったのですけれども、今回は別添も含めてDPF透明化法も含めた議論をしていただいていて、この点は経産省もお越しいただいたわけですので、きちんとそれを委員会で受け止めているという形で、こういう報告書がまとまったという点についてはよかったと思っております。
その関係では、15ページのデジタル空間における情報流通の健全性という問題は、DPFの今の非常にトピックな問題となっている論点です。これをどういう法体系で整理するのかというのはまた今後検討していかなければならないけれども、5年間の間にこの問題は絶対避けて通れない問題になるという提案がされているという点でも、私はこの点はいいかなと思っています。
それから、16ページから17ページに関して、AIという新しい技術についての言及があるという点も、第5期の消費者基本計画が2030年までの期間の計画になることから、この基本計画に対する考え方としては必要なことだと思います。AI事業者ガイドラインに関しても言及されている。これに関して消費者の意見も述べるべきである、行政的にもそれを対応すべきだという点は大変重要だと思っています。
それと26ページ、27ページの特商法、この点は39ページ以下の地方消費者行政とも関係すると思っておりますけれども、徳島の戦略本部をどのように位置付けるかは別として、消費者庁には地方に出先の執行機関がないわけです。そうなってくると、消費者庁が執行と企画立案という2つの機能を同じような人的配分で行っていくというのはなかなか厳しいのではないか。そうするとやはり地方の執行権限を持っている都道府県との間での役割分担とか機能の連携は非常に重要ではないかと考えています。とりわけ、27ページに書いてある災害時の問題ですけれども、恐らくいろいろな災害、特に激甚災害とかを指定されているような場合には、家屋に対する様々な損壊が生じます。このような場合に、訪問販売業者とも言えないような怪しい事業者が火事場泥棒的に活動するというのは、私は九州にいますが、熊本では2回発災がありました。その際、問題のある事業者の火事場泥棒的な活動の実態を把握しました。今後も様々な発災が考えられるこの国においては、執行力の強化という点をきちんとやっていかなければいけないという点は、重要な視点だと思っているところであります。その点では、執行力と企画立案の2つを庁はどういう形で切り分けをするのかという点も含めて、私は、今回の素案の中で言及されているという点は意味があると思っているところです。
ざっとした感想です。以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野委員 私が最初に少し発言をしたものにぜひ補足をさせていただきたいと思います。
私は2点意見を申し上げたのですが、1点目になります。意見書で言いますと24ページなのですけれども、3番目としまして「要支援消費者の権利擁護のための体制整備」というところなのですが、全国社会福祉協議会の担当の方にお越しをいただいてお話を伺ったとお話ししましたが、そうしたお話を伺っていますと、体制の整備に向けまして、実効性を持った仕事をしていただくためには、必要なことがいろいろあるなということを感じたわけです。
全社協と言われているところは民間の非営利組織です。また、都道府県のレベルや市区町村のレベルに社会福祉協議会があるわけです。今回の消費者委員会でお話をいただいたことで言うと、日常生活自立支援事業のことになります。また、1月1日にありました石川、能登地方の震災については、ボランティアの受付をするといったところで言うと、社会福祉協議会はかなり大切な拠点になります。
消費者行政もそうですし、それから、それ以外、消費者の関わることにつきまして取組をしていただくためにも、国は社会福祉協議会など関係機関の体制強化をぜひ進めていただきたい、そのことを思いまして追加の意見を申し上げました。
よろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
原田委員、いかがでしょうか。何かございますか。
○原田委員 ありがとうございます。
非常に細かな点なのですが、3点ほど申し上げようかと思います。
1つ目は19ページの注48なのですけれども、立法管轄権と執行管轄権の説明がされているところで、執行管轄権についてはこの説明でもいいような気がしますが、立法管轄権のほうは、この説明は不十分といいますか、国家が法を制定してという要素が必要なはずで、法を制定した上で適用することができるというのが立法管轄権の一般的な意味であろうと思いますので、それを書き加えたほうがいいかなと思いました。
2つ目は、34ページの(2)の最初のところなのですが、「事前規制である許認可や事業者の事前届出制、」という文章が、普通に読みますと検討の対象になっていると読めるのですが、そういう理解でよいのでしょうかということを確認できればと思います。もちろんそれでもいいと思うのですけれども、以前の議論ではそういう意味ではないようなことを言っていた気がいたしますので、この文章の表現がこれでよいかどうか御確認をいただければと思います。
最後に37ページ目の15のイなのですけれども、警察部門との連携は非常に重要なことなのですが、本当に連携しようと思うのであれば情報共有だけでは不十分で、廃棄物行政などでやっているような人的交流まで踏み込まないとなかなか実際に動かすのは難しいのではないかなという印象を持っております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
2点目について、もし事務局で今、何か趣旨について説明することがあればお願いします。
○友行参事官 34ページのところでございます。事前規制である許認可や事業者の事前届出制の後に、自主規制の重要性、自主規制に対する枠組み、インセンティブの在り方を、文章を加えたのであれかもしれないですけれども、並列して、その4つについて検討すべきであるという書き方に今の時点でしております。もし先生の御意図と違うのであれば教えていただけますでしょうか。
○鹿野委員長 原田委員、何かございますか。
○原田委員 別にこのままでもいいのですけれども、並列関係に最初のものがあるのかどうかがちょっと微妙だったといいますか、事前規制がなかなか難しいので自主規制に期待するというような、もともとそういう文脈であったかと思いましたので、もちろん内容を変えるというのであれば、それで構わないと思います。
以上です。
○友行参事官 ここのところ、正確な形に文章を若干だけ修整させていただいてもよろしいでしょうか。検討させていただいて、また御提示したいと思います。
○鹿野委員長 原田委員、よろしいですか。また修文の際には御相談させていただきたいと思います。
○原田委員 分かりました。ありがとうございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかに。
友行参事官、お願いします。
○友行参事官 原田委員の今の次の御指摘のところでございます。「消費者行政部門と警察部門との連携」ということで、今は可能な範囲で情報共有ということや緊密な連携と挙げております。先生、事務的交流とおっしゃいましたでしょうか。
○鹿野委員長 人的交流。
○友行参事官 人的交流ですか。先生の言ったことを理解といいますか、分かりました。ありがとうございます。
○鹿野委員長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の意見交換等はこれまでにさせていただきたいと思います。
本日は、次期消費者基本計画策定に向けた当委員会の意見素案について、委員間での意見交換を行いました。既に事務局から先ほど御説明がありましたとおり、本日お示しした意見素案は、現時点において、消費者委員会として次期消費者基本計画期間中に優先的に取り組むべきと考える消費者政策の重点事項についてまとめたものでございます。そして、素案については、これを一覧いただけるよう、本日の資料3にいわゆるポンチ絵もついているところですが、第1にデジタル化の進展や生成AIの台頭、取引の国際化などの社会経済環境の変化によって生ずる新しい消費者問題への消費者視点からの対応、そして第2に、長年消費者が悩まされてきた従来から存在する消費者問題への抜本的な対策を掲げています。2の中には、既に先ほど御説明があったように、従来からの問題に加えてデジタル化によってさらに新しく生じた問題も含まれておりますが、基本的なくくりとしては今言ったような従来からある消費者問題への抜本的な対策の必要性を指摘しています。そして第3に、これらを推進するに当たっての消費者法制度や消費者行政体制等、消費者政策の基盤整備などについて書いているところでございます。これらのそれぞれについて、現状の課題を確認した上で、政府全体として取り組むべき具体的な方策等を盛り込んでいます。
本日、様々な観点から御意見をいただきました。全てを逐一繰り返すということはしませんが、幾つか重要な点を繰り返してまとめたいと思います。
今村委員からは、特保・機能性表示食品に関して、現在、健康被害等が問題となっている例が指摘され、今回の素案では30ページに記載があるわけなのですが、ここで書いているのは最低限のことで、委員会としてもさらに今後より踏み込んだ意見等を言っていく必要があるのだという御意見をいただき、柿沼委員からも同趣旨の御意見をいただきました。
小野委員からは、特に要支援消費者の権利擁護の充実、それについての体制整備等に関する御意見、特に社会福祉協議会その他の関係機関の連携による対応が重要であるということ、また、消費者教育の重要性ということで、特に金融経済教育推進機構が発足したわけですが、金融教育としても投資の推進に偏ったものではなく、リスクも含め消費者保護の観点からの教育の推進が重要であるという趣旨の御発言をいただきました。
星野委員からは、消費者政策の特に基盤整備との関係で、34ページの注38に関わって、予算が必要であるということについて、しっかりとロジックを持ってそれを示すことが重要であるという御指摘をいただきました。
大澤委員からは、35ページから36ページにかけて記載している消費者団体の活性化ということについて、これが重要であるという御指摘とともに、より抜本的な対策の中身について触れられるのであれば触れることが必要なのではないかという御意見とともに、特定適格消費者団体についてもここで触れておく必要があるという御意見をいただきました。また、消費者契約法について、今回の素案の33ページのパラダイムシフトのところに入れてあるのですが、消費者契約法はほかのいろいろなところにも関わるので、それを分かるような形で示したほうがよいのではないかという御趣旨の御発言もいただきました。
柿沼委員からは、以前にもいただいていたところですが、消費生活相談のDX化について、きちんと各現場の意見を聴いて進める必要があるということが改めて強調されました。それから、消費者教育についても、特にデジタル化が進んでいる中での消費者教育の在り方についての御意見もいただきました。先ほど今村委員が言われた健康食品のことについても、いわゆる健康食品において不適切な表示が非常に多いということと、それから健康被害の問題等についても触れていただいたところでございます。
中田委員からは、実効性のある消費者政策ということで、実効性を確保するためには、いろいろな主体を巻き込んだ形での推進が必要であるということ、その中でも、事業者を巻き込んでいくということの重要性と、それからまた消費者を巻き込むことの重要性などについて御指摘をいただきました。消費者を巻き込むといった場合には、やはり情報発信が必要であるということで、メディア等を介した発信ということもあり、また、私たち自身、消費者委員会としても情報発信についてさらに努める必要があるということでもありますけれども、そういう様々な形で世論をつくっていくことが重要であるということの御指摘をいただきました。それから、消費者庁の役割についても重要な御指摘をいただきましたし、地方においてなかなか執行が進んでいないという状況があるとすれば、それを前提にして、抜本的にこの政策の在り方あるいは執行の仕組みについて考えていく必要があるということについても御指摘をいただいたところでございます。
黒木委員長代理からは、デジタルプラットフォームの役割がますます重要になっているので、これについての総合的な検討が必要であるということで、消費者庁所管の取引DPF消費者保護法だけでなく、より幅広くこれを検討する必要がある。他の省庁、ここでは経産省所管の透明化法についても言及されましたけれども、そこを含め政府全体として消費者の視点からも総合的な検討が必要であるという御趣旨の御発言をいただきました。さらに、AIと消費者保護ということについて、今後5年間のうちに、非常に重要性が増してくると思われるので、これについてぜひ検討する必要があるということ、また、特商法などの執行力強化の重要性ということで、特に災害等が起こったときの状況とかも踏まえて、それを検討していく必要があるということについても御発言をいただきました。
原田委員からは、3点ほど直近で御発言をいただいたところでございます。立法管轄権の説明について追加が必要であるということだとか、あるいは37ページのところについても、人的な交流も必要だということ。あるいは、34ページの趣旨についてもやり取りがあったところです。
その他、恐らく他の委員も感じていらっしゃるでしょうけれども、私も、細かな表現ぶりによって趣旨がうまく伝わっていないように感じられるところもございます。今回の意見交換では、そのような細かな点については必ずしも御発言がたくさんあったというわけではありませんけれども、これらの点についても再度見直して、さらに検討をしてまいりたいと思っております。
本日いただいた様々な御意見を踏まえつつ、次期消費者基本計画策定に向けた当委員会の意見の取りまとめに向けて引き続き検討してまいりたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。
《3. その他》
○鹿野委員長 それでは、以上でこの件については終わりというふうにしまして、続きまして「その他」の事項として、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要につきまして、事務局から説明をお願いします。
○友行参事官 それでは、参考資料1をまず御覧いただけますでしょうか。「消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等一覧(3月分)」でございます。
最初から御覧いただきますと、まず「オンライン詐欺に関わるCI声明について」ということで、右側にございますが、国際消費者機構のことをCIと言っておりますけれども、そこが提唱している世界的声明に賛同したということであります。オンライン詐欺が世界的な問題であることを踏まえて、社会的なアプローチが必要である消費者保護の観点から、オンライン詐欺撲滅に向けた取組の強化というような声明について賛同するということであります。
次に、「電子商取引共同声明イニシアチブ」に関する声明ということでございます。右側の意見書のポイントのところを御覧いただきますと、国境を越えたデータの移転に関する話でございます。それについて規制することの必要性は各国から要求が掲げられておりました。協議を重ねる中で、自由なデータ移転についての重要性が改めて米国なども含めて確認されたというような内容でございます。
3つ目が特商法の改正を求める会長声明でございます。デジタル化・SNS・スマートフォンの普及などを背景に策定された意見でございまして、訪問販売については、消費者が契約を締結しない旨を意思表示した場合には勧誘を規制するといったこと。通信販売について、クーリングオフなどの導入をすること。連鎖販売については、開業規制を設けることなどとなっております。
次の意見でございますけれども、「電力システム改革の検証に関する意見」ということで、委員会のほうにも参考送付されております。
また、「LPガス問題についての意見書」について、消費者委員会のほうにも参考送付されております。
そして、小林製薬「紅麹」関連ということでございますが、その関連についての意見書についてもいただいております。
それから、消費者行政の在り方ということでございまして、「「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」の動画配信を求めます」という、消費者委員会に対する会議の持ち方についての御意見もいただきました。現状、本会議につきましては、冒頭申しておりますようにリアルタイムでWebexで動画を撮りまして、議事録が掲載されるまでの間はホームページに掲載するという形を原則取っております。下部組織については、現状は、やはり同じくリアルタイムでの動画配信はしておりますけれども、その後は、いわゆる議事録が掲載されるまでホームページに載せるということは今までしておりませんでした。ただ、今、こういった要望もあることなどを踏まえまして、順次、その場でリアルで傍聴などができなくても、議事録が出るまで何も情報が分からないということにしないように、何らかの方法で動画を撮りまして、議事録が掲載されるまでの間はそれを見ることができるというような形に徐々にしていきたいという方向性を持っておりますので、この意見書についてもそのような形で対応していければと考えております。
その他についても意見書を2本いただいております。御覧いただければと思います。
また、消費者委員会には団体からだけでなく個人の方々からも意見をお寄せいただいております。3月については16件の意見書をいただきまして、取引・契約関係が7件、表示関係が3件、その他6件となっております。
そして今月は、国民生活センターから公表された記者公表案件についても御紹介いたします。参考資料2となっております。幾つか御紹介いたします。
一番上は能登半島地震関連の消費者ホットラインの開設について、どのような相談が寄せられていたかというものを国センのほうでまとめられたものでございます。災害が起こりますと、主な相談事例としては、災害に便乗した消費者トラブル、屋根の工事を解約したら、契約前に行われたブルーシートの設置代金を請求されたとか、無料の屋根点検の電話を受けて来訪を承諾してしまったけれども、断りたいが連絡先が分からないといったような相談が寄せられているといったことでございました。
その次の御紹介ですけれども、2月に「給湯器の点検にご注意ください-70歳以上の高齢者を中心にトラブル急増!-」というものが挙げられています。給湯器の点検商法と言われるような形でございまして、電話口で自治体から委託を受けたとか、契約中のガス会社から依頼されたなどと身分を偽ってアクセスしてきまして、トラブルになっています。契約当事者の7割以上が70歳以上、特に高齢者に注意してほしいトラブルですと国センのほうでまとめています。前年に比べまして相談件数は2023年度に約3倍に急増しているということでございます。
それから、もう一つ、最後にいたしますが、先ほども少しお話のありました「消費生活センターにおける対応困難者への対応の現況と課題調査」調査報告というものが国センから出されております。国センのほうで実際に消費生活センターにアンケート調査を取りまして、どのような現状になっているかというような結果が報告されております。調査報告は分量がとても多いものになっております。各センターにおける1か月当たりの対応困難事例は、5件未満が80パーセント程度を占めているけれども、対応困難事例は生じているということで、具体的には過剰要求や無理な対応を強要するとか、長時間あるいは執拗な電話や主張を続ける。大声、暴言、詰問など言葉による攻撃を受けるなどが主な事柄となっております。
事務局からの御説明は以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
委員から何か御意見等がありましたらお願いします。
黒木委員長代理。
○黒木委員長代理 ウォッチねっとからの意見書なのですけれども、私もパラダイムシフト専門調査会はオンライン傍聴しておりますが、ぜひそういった方向でユーザーフレンドリーというか、非常に関心の高い専門調査会ですので、公開の方法については事務局のほうで御検討いただきますようにお願いしたいと思います。
以上です。
○鹿野委員長 これについては御検討いただけるということで、よろしくお願いします。
ほかによろしいでしょうか。
毎回ですが、貴重な御意見をいただきありがとうございました。これらの意見書等については、必要に応じて改めて消費者委員会の調査審議において取り上げることといたしたいと思います。
《4. 閉会》
○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。
最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)