消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(2024年1月30日)

日時

2024年1月30日(火)13:00~15:50

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、柿沼委員、原田委員、星野委員
    【説明者】
    主婦連合会 河村会長
    一般社団法人北海道消費者協会 武野専務理事
    公益社団法人消費者関連専門家会議 村井理事長
    公益社団法人消費者関連専門家会議 佐藤理事、企画委員会委員長
    日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会 浅田委員長
    日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会 川戸委員
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 次期消費者基本計画における重点課題
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

  • 【参考資料1】消費者基本計画
  • 【参考資料2】消費者基本計画工程表
    ※参考資料1、2は消費者庁ウェブサイト(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/basic_plan/index.html#basic_plan_for_consumers)を御参照ください。

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、お忙しいところ、お集まりいただき、誠にありがとうございます。

定刻になりましたので、ただいまから、消費者委員会と消費者団体ほか関係団体様との意見交換会を開催いたしたいと思います。

本日は、黒木委員長代理、小野委員、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。また、今村委員、大澤委員、柿沼委員、原田委員、星野委員が、テレビ会議システムにて出席されております。

なお、山本委員は本日御欠席ということであります。

また、所用のため、原田委員は14時50分頃御退出、また、星野委員は15時20分頃御退出の予定だと伺っております。

それでは、本日の意見交換会の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 次期消費者基本計画における重点課題》

○鹿野委員長 消費者委員会では、調査審議の参考とするため、消費者団体を始めとした関係団体等の皆様より、直接御意見や御要望をお伺いし、意見交換などを行っております。

現在、消費者委員会では、次期消費者基本計画の策定に向けて、政府全体として取り組む必要がある課題を取り上げ、関連する施策の状況等について、消費者の視点から点検し、調査審議を行っております。本日は、その一環として、消費者団体を始めとした関係団体等の皆様より、次期消費者基本計画における重点事項と考えられる課題のほか、消費者委員会に求めることなどについて、忌憚のない御意見を頂戴し、また、意見交換ができればと考えております。

本日の御出席者について紹介させていただきます。本日は、主婦連合会会長の河村様、公益社団法人消費者関連専門家会議理事長の村井様、理事、企画委員会委員長の佐藤様に、会議室にて御出席いただいております。また、オンラインにおいて、日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会委員長の浅田様、委員の川戸様、一般社団法人北海道消費者協会専務理事の武野様に御出席いただいております。皆様、お忙しいところ、誠にありがとうございます。

本日の進め方ですが、まず、主婦連合会、次に、北海道消費者協会、続いて、消費者関連専門家会議、日本司法書士会連合会の順に、それぞれ15分程度で御発表いただき、その後、全体としての質疑応答と意見交換を、目安としては70分程度、行うことを予定しております。

それでは、早速ですが、まず最初に、主婦連合会の河村様、よろしくお願いします。

○主婦連合会河村会長 主婦連合会会長の河村でございます。主婦連合会というのは多分日本で一番古い消費者団体でございまして、75周年を迎える団体でございます。台所の声を政治にというのがスローガンなんですけれども、生活の中からの声を政治に、政策に活かしていこう、消費者の目線を政治に活かしていこうということを75年間やっている団体でございます。

お時間もないことですので、15分ということで、発表を進めたいと思います。簡単なメモ書き程度の資料しか出しておりませんので、口頭で膨らませます。本当は言いたいことはたくさんあるのですけれども、今日はテーマ出しというぐらいの程度なのかなと思いながらお話しさせていただきます。

次期消費者基本計画における重点課題ということについて、脆弱な消費者を悪質な勧誘から守るということを1番目に書かせていただきました。これには時代の変化に即した対応が必要で、特に特定商取引法に関しましては、私たちは、連携団体をつくり、不招請勧誘規制の導入、通信販売における、以前にはなかった形態、SNSを使った勧誘を組み合わせて法的には今のところ通信販売類型になってしまうという、今の法律ではカバーできない範囲の取引形態、また、ここには書きませんでしたが、若者たちが被害を受け続けているマルチ商法、若者たちだけではないですけれども、若者を中心に被害が広まっているマルチ商法について、私たちは大きな運動テーマに掲げてやっております。消費者基本計画は恐らく来年4月からの計画ですので、私たちの運動では抜本改正は今年手をつけ始めてくれぐらいに思っていますので、来年の計画の重点にこれが入るのは遅いと言いますか、もうそれを確認していくぐらいのことが目標なのですけれども、その辺りはぼかしながら言わせていただきます。訪問販売法ができたのは1976年です。これは特商法の前身の前身みたいな形ですけれども、そのときの高齢化率は全人口の7パーセントだったのですよね。今、47年経過して、2023年時点で高齢化率は29パーセントです。4倍になっていますし、一人暮らしとか高齢者2人世帯も増加の一途ですよ。細かい改正はありましたけれども、訪問販売法ができたときの世界と、世の中は全く違うのに、訪問販売、電話勧誘における規制が、非常に高齢化が進み、単身世帯が増えているということに追いついていない。人は徐々に認知症になっていく。認知症はある日突然なるわけではないのですが、判断力の衰えた人が1人で家にいることがとても多いにもかかわらず、そういうことに対応できるルールがないのですよね。御存じのとおり、どのような主体が行ったアンケートでも、訪問販売、電話勧誘販売は受けたくないというのは、ほぼ95パーセントから98パーセントの間ぐらいです。それが長年放置されてきたことは非常に問題があると思っています。今、政府を挙げて、投資をしろとか、老後に備えろと言っているにもかかわらず、そういう資金を、あっという間に、訪問販売によるリフォーム詐欺で、何百万、ひどいときは1,000万と被害に遭うわけです。老後の資金を失っていくわけですから、社会的にも損失が大変大きいということです。不招請勧誘規制を早く入れていく、いろいろな工夫をしながら入れていけばいいと思います。様々な事業者団体の反対もあるかもしれませんが、そこはいろいろな工夫を凝らしていく。今現在も大きな災害が起きていますけれども、その現場では、正に屋根修理の悪質商法、ブルーシート詐欺みたいなものが既に報告されているとニュースになっていますから、これは本当に必要なことだと思っています。電話勧誘販売も同様です。

ほかの機会にいろいろと発言していますし、時間もないので先に行きたいと思いますけれども、一点、後追いのような形を見直すべきということで、消費者法体制の見直しの考え方について消費者庁から示されましたが、私に言わせれば、後追いは良くないですが、後追いすらできていない。もう置いてきぼりにされているルールですから、これは後追いが良いの悪いのではなくて、後追いすらできていないところはすぐに規制を入れていくべきだと考えています。言い足りないのですけれども、次に進みます。

2番目の四角ですけれども、デジタル社会における消費者の権利確立ということで、これもこのテーマで言えることはたくさんあるのですけれども、まずは、デジタル社会において、ITの世界で、消費者の権利という側面が非常に置いてきぼりになっていると感じています。ここには例えばということで外部送信と書きましたけれども、1、2年前ですか、総務省で議論もありましたけれども、私たちがインターネットを使っているときに、知らず知らずに、自分が取引している相手ではない別の第三者にも、かなりだだ漏れの状態で、私たち消費者が例えば入力フォーマットのところに記入したもの、検索窓であったり、何か買い物をするときの情報であったり、あらゆるものが外部送信されているのですね。消費者からはよく分からないところに外部送信されてだだ漏れになっている。それが匿名性になっているのかどうか。これは個人を特定しているのではなくて匿名の記号のようなものと紐付けて情報を得ているのではないかと総務省に聞いてみたのですが、これはもう様々なケースがあって全く分からないという総務省のお答えでした。それは会議の場ではありませんでしたけれども、恐らく個人を特定できるものとそれらの情報がドッキングしている場合も多々あるだろうと。それで規制が入ったのですけれども、総務省がやったことは、その規制対象の事業者の範囲が非常に狭いのです。大きな情報通信事業者に網をかけたということで、いわゆる大手ではなくインターネットの中で物を売っている事業者さんなどには網がかからない仕組みになっています。ここでは外部送信というキーワードだけを出しましたけれども、デジタル社会、IT社会、AIなどが生活に入ってくる中で、今後、来年から5年間の計画でしたら、そういうところに消費者の権利はどうあるべきかということを必ず入れていただきたいと思います。この範囲で言いますと、ヨーロッパは進んでいます。プライバシーの保護ですとか、消費者の権利、事業者の振る舞いの透明性、自分自身の情報に対する知る権利などに基づく取組がかなり進んでいます。是非この視点を計画に入れていただきたいと思います。

3番目の身体・生命の安全に行きます。これに関しては、最近、経産省が規制強化の方向でかなり踏み込んだものを打ち出しています。グローバルなネット取引における不安全な製品の流通への対応は、まだ日本はやり始めたばかりですし、事業者の任意の取組に頼っている面もありますので、そこは一層、取組の強化が必要です。事故情報データバンクは入っていない情報が多く、今でも一元的に集まっているとは到底言えない状態になっています。これまで、集めるルール・仕組みを見直すということが大きくはなされていないので、事故情報データバンクの収集ルール・仕組みについては抜本的に見直してもいいのではないかと思っています。消費者安全調査委員会も、私は委員をやっておりますけれども、人員の面、予算の面、規模の面とかでやれないことがたくさんあるように思いますので、そこも強化・見直しも必要だと思います。

与えられた時間はあと5分なので、次のエシカル消費の項に移ります。消費者にエシカル消費をしろということは、消費者庁を挙げて、あるいは消費者委員会も取り組んでいらっしゃるのかもしれませんが、盛んに言われているわけです。私の今日の意見の根拠は、ISOでエシカルクレイムの、エシカルクレイムとはエシカルな主張という意味なのですけれども、そのエシカルな主張への要求事項をISO化するという提案があったときに、主婦連合会がそれに対応する国内委員会事務局機能を引き受けたのです。結論から言いますと、ISOの標準にはならなかったのですけれども、その1つか2段階下の技術仕様書という段階、つまり、標準にするには時期尚早だということだったと思うのですけれども、TSと呼ばれる技術仕様書になったものなのですけれども、そのエシカルクレイムについての意見です。その中には、要するに、エシカルな主張や表示に従って、私たちはエシカル消費をするわけですが、そこの情報の正しさということについて、意外と消費者庁も何も取り組んでいるようには見えないのです。そのときの議論を引用しますと、正確で誤解を招かない、信頼性、透明性、関連のデータが参照できる、きちんと裏付けがある、公正で公平であるといった言葉が並んでいます。要するに事業者さんがするエシカルな主張に対する要求事項を決めようとしたわけです。今、ISOのTSとして発行されています。これに関して、私は消費者庁の景品表示法の担当課に電話をかけてみまして、質問したことがあるのです。エシカル消費に関する表示、例えば、簡単な例で言えば、環境に負荷をかけませんとかと書いてあることが虚偽だった場合、景表法に触れるのですかと聞いてみたら、少しお考えになった挙げ句に、法律の中に、誤認させてはいけないこととして優良、有利、あと「その他」というものがあるそうなのですが、その「その他」に引っ掛かるのではないかと言われました。私はそこもハテナなのですね。つまり、「児童労働を使わないでこのコーヒー豆は収穫されています」と書いてあるとして、それはコーヒーの味や品質そのものには直接関係しないのです。品質には直接関係ない。そういうものについて、虚偽について、どういう根拠でそういうものを公正にさせていくかということに取り組まないと、エシカル消費は消費者が踊らされるだけになります。特に環境にこんなに良いですよと謳うのは、ISOの議論のときも言われたのですが、トレードオフなことがとても多いのです。良いことばかり言うけれども、それをやろうとするとどこかで別の観点で環境に負荷をかけている。つまり、良いところだけスポットライトを当てて、高いけどエシカルだから買え、エシカル消費をしろとなってはいけないと、不利な情報も出せというのがこのISOのときの議論でした。つまり、きちんとネガティブ情報もポジティブ情報も出して、消費者が選ぶ。消費者の権利の基本ですよね。きちんと情報を得て選ぶことがエシカル消費においてできないと、このまま進めていくと、とにかく消費者が踊らされるだけ、高いものを買わされるだけということになりかねないのです。SDGs商法と言いたいぐらいでございます。

主婦連合会としてとても大事な食品表示の適正化のところに時間がほとんどなくなってしまったのですけれども、消費者の選択の権利が実現できる表示制度ということで、まだまだ改善の余地があるかと。原料原産地表示も見直しが始まるようですけれども、きちんと選択に資するものになるように、健康食品に関係するものもそうです。表示のことだけ書きましたが、食品安全につきましても、最近、主婦連合会は、ネオニコチノイド系農薬についての新たな知見が出てきているから、諸外国はもう始めている規制に関して日本はとても遅れているという意見書を出しました。安全についても、新しい知見、あるいはフードテックのようなものがこれから出てくるわけです。来年から5年を見ていくと、フードテックがますます私たちの食生活の中に入ってくるとしたら、まずは安全性の確認をし、それを、先ほどのエシカルクレイムではないですが、いかに透明な情報をきちんと開示して見せて、それを納得して消費者が買えるという形にするか。それを選ぶか選ばないかは私たちの自由なわけですから、安全なのだから何も心配しないで食べろというのではなくて、それぞれの多様性の中で、価値で選んでいけるということにしてほしいと思います。

ほとんどお時間がなくなってしまいましたので、消費者委員会に期待することは、何度かいろいろな機会で申し上げたことはあるのですが、消費者庁、消費者委員会を一緒くたにしてしまって申し訳ないかもしれませんけれども、そもそも消費者庁をつくる運動を一生懸命やった立場から申し上げます。

当時、消費者行政のパラダイムシフトと言われて、今までずっと、明治以降、産業振興の片手間に消費者保護、消費者行政が行われていたけれども、これからは、安心・安全な市場、良質な市場、安心・安全であることや消費者の権利を擁護することと産業振興は車の両輪なのだと。パラダイムシフトなのだと。これを本当に力を入れてやるために、新しい組織として、消費者庁と消費者委員会ができた。消費者委員会はそれらを全体に監視する。霞が関全体の消費者行政を見ていくという立場なのだと思いますが、私がここで言いたかったことは、いつの間にか、消費者庁が顕著なのですが、当時消費者目線という言葉をよく使いましたけれども、消費者目線は、消費者と同じ方向を見て、同じ目線で物事を見ていくことなのですよね、いつの間にか消費者に相対して教育係みたいになっているのですね。教え諭す、導くみたいな。食品ロスをするなとか、放射能は心配ないというのが分からないのか、理解しろとか、つまり、教え諭す、導く係を霞が関の中で担っていると私はすごく思うのです。

私が言いたかったことは、バランスを取るのではないですよと。というのは、産業振興が強くなってしまい過ぎないようにつくられたのですから、それは霞が関全体の中でバランスを取ることであって、消費者庁の中でバランスを取ったり、消費者委員会の中で、消費者のことばかりではなくて事業者のあれやこれやもバランスを取らないと、とやっていると、つくった意味がないのです。そうではなくて、経済産業省、農林水産省、厚労省でもいいですけれども、そことある意味対立していいと思う。そこで頑張るためにつくったわけなので、強い消費者の権利という立場からの意見を上げてほしいということです。もちろんそれが全部通らないことだってあると思いますけれども。

消費者の応援団としてつくったということを、原点に立ち返って、忘れずにいていただければと思います。

すみません。時間を少し超過いたしました。以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、北海道消費者協会の武野様、お願いします。

○北海道消費者協会武野専務理事 発言の機会を賜り、ありがとうございます。北海道消費者協会は、今年で設立63年になります。地方の消費者協会としては多分一番古いと思いますが、北海道の中で現在62の地域消費者協会が会員となっております。

本日は、かなりランダムになりますが、10項目に絞りました。

最近、活動テーマの一つにしているものに、デジタルデバイドがあります。コロナ禍を経て、ICTの急進展に伴って、デジタル社会がものすごい勢いで押し寄せてきました。その結果、かなりのお年寄りには、「もういいよ、私たちは放っておいてくれ」と言われることが多いです。しかし、悪い人たちは押し寄せてくるわけですし、必要な情報はスマホが使えないとなかなか手に入らないということが事実です。ですから、デジタル社会に取り残されることは実は消費者問題なんだという位置付けをして、その結果、総務省のデジタル活用支援推進事業を、北海道消費者協会として受託したり、各地域の消費者協会に呼び掛けて、スマホ講座のようなことを開催してもらったりしています。北海道は、広大だということもあります。過疎地が多いということもあります。携帯ショップがない地域はたくさんあり、そういうところでは、どうやって情報にアクセスするのか、どうやって使い方を教えてもらうのか、不安があります。一方、お店の講座では、終わると、おじいちゃん、おばあちゃん、こんなものを買いませんかと、言わば販売イベントに変わってしまう。そういうこともあって、消費者協会が主催する講座は大変好評です。消費者協会の会員になると、例えば、デジタル研究会やデジタル講座に参加いただけますよと、デジタル講座を一つの売りにして会員を増やしている協会もあります。高齢者ほど諦めてはいけない、高齢者ほど、過疎地ほどデジタルの恩恵があるんだということで、国が正に掲げている旗印ですが、誰一人取り残すことがないように、デジタルの啓発に努めております。是非、消費者問題として捉えてデジタルの光が十分当たるようにしていただきたい。

2つ目は、デジタルの影の部分です。先ほど主婦連さんがおっしゃったように、SNSを通じたネット通販の勧誘は、私どもが受託している道立消費生活センターの消費生活相談の中でもものすごい勢いで増えております。御存じのように、不意打ち性が高く、個別型、劇場型、催眠商法型であるという手口は、訪問勧誘販売と何ら変わらない。インターネットというツールを使って大量に反復的に声を掛けられるところは、ビジネス側からすると、手間が掛からず、コストの安い手段であるということで、ますます増えていくでしょう。そういったときに、いつまでも通信販売扱いでクーリング・オフが適用にならない扱いでいいのでしょうか。時代が変わっているのですから、時代に合わせて、なるべくタイムラグを少なく、法規制を強化していただきたい。資料の後段に書きましたが、主婦連さんもそうですし、北海道消費者協会も特商法の抜本改正をお願いしております。北海道は、訪問販売などを規制する条例があるのですが、訪問販売お断りのステッカーをつくっています。もっと国レベルで強化していただきたいという趣旨です。最後に例示した「後出しマルチ」は、私どもの活動の中で、少年鑑別所の収容者に対する消費者教育も行っており、男性の多くは特殊詐欺に加担したような方たちで、その人たちを輩出する源の一つが、この後出しマルチのようなところで借金漬けになった人たちです。被害者であると同時に加害者になっている。そういう人たちを出さないための規制をしっかりと講じるべきだというのが主旨です。

3つ目、食料自給率の向上。食べることは当然、消費者の行為ではあるのですが、「食料自給率の向上は消費者問題なのか」と、仲間内でも、最初は論議がありました。昨年の北海道消費者大会でテーマを「食料自給率」としました。背景には、コロナ禍とウクライナ侵攻で、国際的に食料の輸出規制があり、日本の食料安全保障は非常に危ういのではないのかということがありました。僅か半世紀で食料自給率がカロリーベースで半分の38パーセントになっている。消費者大会にお招きした基調講演の方はド・ゴール元フランス大統領の言葉を引用し、「食料自給率が100パーセントない国は独立国家とは言えない」と指摘しました。正に我が意を得たりということです。にわかに100パーセントは難しいとしても、38パーセントでいつまでもいいわけじゃない。少しずつでもいい、上げていく努力を消費者としてもやっていきましょうと。そのためには何ができるか。食品ロスの削減もあります。使う量を減らし、無駄を減らしていく。一方で、エネルギーコストを下げていく。フードマイレージという考え方もありますが、遠くから取り寄せるのではなく、近くにあるものを活用しましょうと。地産地消や生産者と消費者の連携、そういったことをもっと地方レベルで盛んにしていきましょうと。JAが主張されていますが、国内で消費するものは国内で生産しましょうという「国消国産」の考え方に大いに共感したところです。

これが安全・安心の量の問題だとすると、質の問題は安全性です。見える波、見えない波がいろいろと押し寄せてきております。農水省のみどりの食料システム戦略は、評価はいろいろとあると思いますが、その中で、化学農薬の半減とか、有機農業の耕地面積を100万ヘクタールに増やすことは、環境負荷の低減、食の安全性の向上に寄与するものだと期待しております。一方で、少し古いものですが、2013年4月、農水省と環境省の局長連名で通知された、「住宅地等における農薬使用について」という通知文があります。先般、北海道庁に確認してみたのですが、市町村に対して厳格に実行させているのか、実行した成果を確認しているのかはかなり危ういものです。教育施設も予算や人手不足から、校庭の雑草をどう処理するのかといったときに、除草剤を結構使っています。グリホサート系の除草剤が、大量に市販されていますので、そういったものに頼っているところも多々あります。状況は把握してほしいというのが、私たちの認識です。もう一つ、先ほど主婦連さんがおっしゃったように、知る権利、選ぶ権利を行使するためにも、遺伝子組換えはどうなっているのか、ゲノム編集を使っているのか、表示をしっかりしてほしい。いつの間にかゲノム編集された魚がふるさと納税の返礼品にまで使われ、それを地元の人たちはよく知らない。ゲノム編集は、世界的にも、これほど市場に出回っているのは恐らく日本ぐらいではないかと思っております。詳しい方はたくさんいらっしゃると思いますけれども、狙ったターゲット以外のところまで傷付けるおそれがあるということにはまだ回答は出ておりません。このオフターゲットの問題、あるいは、抗生物質耐性遺伝子を持つ可能性があるという問題、問題は多々あると聞いておりますので、せめて消費者に選ばせてほしい。少なくとも表示は義務化してほしい。

次は有機農産品の拡大です。みどりの食料システム戦略で、有機栽培の拡大が謳われております。20から30年前ですと、日本で有機農産品はどのぐらい高くても買えますかと聞いたとき、ボリュームゾーンは1から2割だったと記憶していますが、今は、少しずつ上がってきているのは事実です。ただ、物価高で家計が痛め付けられている中では、どんなに良いものだと分かっていても、簡単に高い商品には手が出せません。価格を下げていくには、公共調達が有効な手段ではないかと思っています。例えば、地元産の有機米あるいは有機農産品を学校給食に調達していただく。そうすると、地元の生産者は経営が安定します。経営が安定すると、価格の引下げ効果も出てきます。当然、食べる子供たちあるいは家庭は、より安全なものが食べられるから喜ぶと思います。国も有機栽培を拡大しようというのであれば、是非、井戸の呼び水のように、公共調達という呼び水を投下して、市場を大きく育てる、そして、価格を安定させるということが必要なのではないかと思います。

次に、環境教育の充実です。環境教育も消費者教育の一環だと思っております。先般発表された日本の名目GDPは566兆円ありました。うち、54パーセント、307兆円が家計の最終消費支出、いわゆる個人消費です。この個人消費は、1パーセント変えただけで3兆円の巨大マーケットになる。エシカルという軸でも結構ですし、脱炭素という軸でも結構です。いろんな軸で消費者の行動変容を促していけば、マーケットが変わっていく。消費者が願うだけではものは出てこないでしょうが、消費者が志向するものが巨大化すれば、マーケットもそれに合わせて変化してくれるだろうという意味で、消費者の行動変容を促していく。それは環境のためになるし、自分の家計のためにもなるんだという環境教育をもっと進めていけないでしょうか。

次に、消費者運動の拡大です。当協会を例にすると、最盛期に78協会あった会員協会は、今、64まで減ってきております。会員数も、全部で1万9,000人いたのが8,000人ほどになっています。消費者運動が弱体化しているという見方もできると思いますが、消費者運動が多様化し、いろいろなところで活動が行われていることも事実です。ですから、私どもはそういう多様な活動をしている人たちとの連携を大事にしたいと思っています。また、小中学生の環境教育と同時に、高校生、大学生を巻き込むような消費者運動ができないか。学校であれば単位の認定とか、就職であれば企業側のいわゆる評価の格付けなどにも採用するような要請ができないでしょうか。

お時間が近付いてきました。最後の3項目は、言わずもがなと思います。消費者行政の充実・強化は、ここまで育てていただいたのですから、今ここで水を止めてしまうと、育った苗が枯れてしまうおそれは十分にあります。地方によっては、国の支援がなくなったら、劇的に消費者行政は縮小していくと思われます。是非、何らかの形で継続する仕組みをつくっていただきたい。

消費生活相談員の体制充実は、私どもが受託している道立消費生活センターも相談員の欠員が続き、道民に対し、大変心苦しい状態です。体制充実に資することをいろいろとやっていただきたい。

最後、LPガス料金の適正化と透明化の問題は、かなり唐突に見えますが、実は基本計画の中にガス・電気という項目があって、その中でLPガスは全く触れられていません。私どもは北海道でLPガスの問題に力を入れており、昨日、経産省で開かれたワーキンググループに対しても、意見を言わせていただいております。省令改正で動きが出始めるようですが、実効性があるものに変わることを期待して、引き続き意見を申し述べていきたいと思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、消費者関連専門家会議の村井様、佐藤様、よろしくお願いします。

○消費者関連専門家会議村井理事長 本日は、大変貴重な発表の時間を頂き、ありがとうございます。公益社団法人消費者関連専門家会議理事長の村井と申します。企画委員長の佐藤と出席させていただいております。どうぞよろしくお願いします。

本日は、まず、当会活動の御紹介をさせていただき、続いて、次期消費者基本計画の重点課題に関連する取組事例などを中心に御説明させていただきたいと思います。

消費者関連専門家会議は、企業・団体のお客様相談室や品質保証部など、消費者関連部門の責任者・担当者が業種を超えて会員になっており、1980年10月の創立以来、活動を行っています。なお、ここからは、日頃使わせていただいております「ACAP」という略称で説明を続けさせていただきます。正会員は644名、498社から御入会いただいております。所属企業の内訳は、製造業が約3分の2の335社と最も多く、その内訳としまして、食品関係が約半数、2割強が化学関係となっています。

2016年には、創立35周年を機に、「理念」を制定しました。会員が所属する企業・団体の消費者関連部門は消費者と企業の信頼関係の要であるという高い意識を持ち、消費者志向経営を実現していく使命を持っていると考え、ミッション、ビジョン、バリューを定めたものです。社会、経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与するという使命の下、消費者志向経営を推進し、消費者市民社会の実現を目指す消費者志向事業者団体、という目指す姿を掲げております。

消費者志向経営は消費者庁でも推進されているところであり、「消費者志向自主宣言・フォローアップ活動」の趣旨に賛同し、推進組織に参加させていただいております。ACAPにおいては、消費者志向経営を記載のように定義し、取組を進めております。「消費者の権利・利益を尊重し、消費者視点に基づいた事業活動を行うとともに、持続可能な社会に貢献する経営の在り方」としております。全ての活動はそれにつながるものと考えており、5つの視点でまとめると、次のようになります。

まず最初に、消費者対応に必要な知識や技術の習得、最新の消費者行政情報や他社事例などを学ぶことによる、会員の資質向上のための活動です。様々な機会を通じ、先進的な取組や好取組事例も共有し、学ぶことにより、一人一人の会員がレベルアップするとともに、自社に持ち帰り、自社のレベルアップを図ることを企図しています。

2点目は、事例の共有や学びの取組について、所属する企業の経営層の皆様と共有し、推進していく活動です。企業経営層を対象としたセミナーの開催などを通じて理解を深めていただいております。

3点目は、幅広く多くの企業に働きかける消費者志向経営の輪の拡大のための活動です。国際規格であるISO10002、JISQ10002に準拠したお客様対応、苦情対応マネジメントシステム構築支援の講座や支援事業、消費者対応部門の新設や機能強化などの支援やアドバイスを行う事業者相談事業などを通じ、お客様に寄り添った対応、御不満への対応などを始め、消費者視点に基づいた事業活動を多くの企業と共有していく取組を進めています。

4点目は、消費者啓発活動です。商品やサービスに関する基礎知識や会員企業が進めている消費者視点の取組やその背景など、大学での単位認定講座の開催や講師派遣、消費生活展への参加などでお伝えすることを通じて、御理解の促進を図っています。

5点目は、優良な消費者志向活動の表彰です。各事業者の取組や活動にスポットを当て、優れた活動を表彰することを通じ、広く共有する取組を進めています。

ACAPでは、消費者志向経営の推進がSDGsの達成につながると考えています。企業を消費者志向経営号というバスに例えると、後輪の動力は本業を通じて社会課題を解決するという取組だと考えております。安全な運行のためには、方向性をしっかりと定めることが必要で、そのためには、消費者の皆様としっかりと視点を合わせ、消費者と事業者の双方向のコミュニケーションを深めていくことにより、消費者と事業者の共創、共に創っていくことが欠かせないと考えています。そのような動きの中では、言わばカーナビの役割を果たしたいと考えています。

2020年の創立40周年に当たり、「2030年のありたい姿」を定めました。その基礎となるのは、お客様・消費者との双方向のコミュニケーションを深めることを通じた顧客体験の向上の取組と考えています。各企業の先進的な取組事例や好取組事例を共有し、学び、取り入れて、レベルアップし、その成果をまた会員と共有していくことの繰り返しにより、お客様、消費者にとって、安心・快適な消費社会、持続可能な社会につなげていきたいと考えております。

ここからは、次期消費者基本計画において重要と考えられる課題に関するACAP及び会員企業の取組について、御紹介したいと思います。

1点目は、社会・消費、コミュニケーションのデジタル化などへの対応及びAIの活用についてです。この点において、ACAP会員企業各社では、コミュニケーションや情報伝達手段の多様化への対応が進んでおり、従来の電話や対面に加え、メールやチャットでの対応を充実する企業が増えています。また、若年層を中心に、SNS等で情報を収集し、自己解決を図られるという消費者も増加していることから、ホームページやSNSを活用した適切な情報の提供も進んでいます。SNS等でのつぶやきに公式アカウントで能動的に対応を行うアクティブサポートを行い、顧客満足度を上げている先進的な企業もあります。こういった対応に重要な視点としては、利用意向に配慮した対応も挙げられます。現在でも電話のみの対応を希望されるケースは少なくありません。一方で、メールのみ、チャットのみというケースも増えています。ただ、多くのお客様は内容によってコミュニケーション手段や情報伝達手段を選択して複数を利用されるという傾向が高まってきています。また、自己解決を優先される傾向も高まっているものと考えられます。会員企業では、これらを複合的に組み合わせた接点の拡大や融合したコミュニケーションを進めている事例もあります。人的資源に加え、デジタルツールやAIの活用は欠かせません。一方で、自社のお客様の状況を踏まえ、接点を絞り込んだ上でコミュニケーションを深めるという選択をされている事例もあります。いずれも、お客様・消費者との双方向のコミュニケーションにより、商品・サービスの適切な使用を実現し、お客様・消費者の不満やお困りごとの解決の実現を目指すものと考えております。このように、お客様・消費者の多様化が進み、それに合わせた選択肢の多様化、対応策の多様化が必要とされる中、より一層重要度が増していると考えられるものが、「お客様・消費者の声」を活かす取組です。お客様・消費者の不安やお困りごと、また、お褒めの声を、会社全体で共有し、改善策の検討やレベルアップに活かしていく取組が、多くの企業で進んでいます。御不満や苦情の再発防止のための取組はもとより、社内外への注意喚起、表示や説明資料等の改善、商品やサービスの改善・開発など、多岐にわたります。また、そういった取組や改善結果をお客様・消費者に適切に伝える取組も重要と考えております。リニューアル後の商品やサービスの提供はもちろん、内容や質の改善に加え、表示や文章、説明資料等の見やすさ・分かりやすさ、音声や映像の活用、ホームページやSNSなどの情報伝達手段の多様化など、様々な形で分かりやすく伝える工夫が図られています。個別の対応だけではなく、このような取組全体が、お客様・消費者の知識の向上、一層の御理解につながるものと考えられます。同じ目的のためでありながら、手法、アプローチは千差万別であり、しかし、通底する考え方、思想は共通するものがあります。自社では気付かなかった視点も多くあります。そこに業種を超えて事例を共有し、お互いに高め合う意義があるものと考えています。

2点目は、高齢化の進展への対応です。様々な機会で高齢者対応の事例研究や研修を実施していますが、会員企業の関心が非常に高いテーマです。高齢者の状況をより深く理解するため、高齢者体験研修やユニバーサルデザイン、ユニバーサルな対応の研修を行う企業も増えています。共通しているのは、高齢者が困られている要因に対応する取組であり、聞こえにくさ・見えにくさの緩和、英語・外来語・技術用語など、そういった言葉の言い換えや理解の補助、総合的な理解を高めるための例えなどを使った分かりやすい説明などの工夫が進められています。デジタルツールの活用が進んでいる現在、数年後には、高齢の皆様、高齢のお客様・消費者の状況も大きく変わる可能性があります。しかし、そのような場合でも、手続のデジタル化やキャッシュレス決済に象徴されるように、基盤となる社会的な仕組みや制度、機器などは常に変化していきます。その時点で、それらの理解を高めることの重要性が一層高まっていくものと考えられます。こういった状況への対応は、様々な企業や様々なステークホルダーが連携して取組を進めていくことが必要ではないかと考えております。

3点目は、国際化への対応です。国内での対応としては、自社のお客様の状況に合わせ、多言語対応の導入などを行っている取組事例などがあります。この分野については、デジタルツールやAIの活用が効果的と考えられます。先ほど御説明したとおり、ACAPでは、顧客満足向上を目的とする苦情対応マネジメントシステムである国際規格ISO10002に基づく、日本産業規格JISQ10002の導入支援を行っていますが、自己適合宣言実施企業の中には、海外拠点のお客様相談室にも展開し、定着を進めている企業もあります。国内外での国際規格の活用という視点は、今後も重要になるものと考えております。

4点目は、持続可能な社会の実現に貢献する対応です。SDGsを始め、持続可能な社会の実現に関するお客様・消費者の関心の高まりに合わせ、消費者関連部門でも、自社の取組などについて分かりやすく適切に説明する必要性は高まっています。個別対応の場面だけではなく、ACAPで行っている消費者啓発活動や様々なステークホルダーからの消費者教育の支援などにおいて、取組の背景やそこに込めた想いなども伝える取組に多くの企業は取り組んでおり、その重要性は一層高まるものと考えています。

最後に、次期消費者基本計画に期待することを述べさせていただきます。

消費者と事業者の共創をより一層進展させるためにも、これまで以上に各事業者が行う消費者志向経営の推進の取組への支援の充実を期待したいと考えます。お客様・消費者の声をしっかりと受け止め、対応するとともに、社内で幅広く共有し、それを活かして次につなげていく。そういった仕組み、体制の構築・維持のためには、人的・経済的負担が少なくありません。これまでも長く議論されてきたところではありますが、有形・無形で支援する枠組みなどの検討を期待したいと考えております。

その一環とも言えますが、お客様・消費者との双方向のコミュニケーションを持続できる環境整備の充実を期待したいと思います。デジタル化への対応、AIの活用などの施策推進への支援に加え、従業員による人的対応は欠かせないものであり、体制を担う従業員の心身の健康を維持するための仕組みづくりにも、是非関係各省と連携した取組を期待したいと思います。

それとも関係するところでありますが、お客様・消費者の皆様などの知識、情報の共有化を進めることは大変重要なことと考えます。持続可能な社会の実現や契約や取引、社会的な仕組みや制度、いろいろな分野においてでございます。大変重要なことと考えますので、様々なステークホルダーが連携した消費者教育の一層の充実に期待したいと思います。

以上のような取組を進めるためにも、最後に、消費者、消費者関連団体、行政、事業者の連携の一層の推進に期待したいと考えております。デジタル化の進展、AIの活用の普及などの例を挙げるまでもなく、社会、消費に関する環境の変化は著しく、予見することは一層困難になっています。想定できない大きな変化や新たな事象が起こることを前提に、後追いにはなるかもしれませんが、様々なステークホルダーが連携して、それぞれの立場から迅速に対処していくことが求められるものと考えております。過度な要望や規制は経済の活力を削ぐ懸念がありますが、一方で、できる限りの備えは行う必要があるものと考えます。普段から相互理解を深め、状況に応じて柔軟に対応できる仕組みづくりを期待させていただきたいと思います。

以上であります。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、日本司法書士会連合会の浅田様、川戸様、よろしくお願いします。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会浅田委員長 日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会の浅田と申します。同じ委員会からもう1人、川戸が参加しております。

まず、私の方から7から8分、前半部分を御報告させていただいて、後半を川戸から報告させていただきます。

早速、資料を画面共有させていただきます。

私たち司法書士は、消費者被害、特に財産被害の相談を受ける中で、簡易裁判所における訴訟代理権を有しておりますので、被害回復に関する業務も行っております。それらの業務を行う中で感じている事情を踏まえまして、意見を述べさせていただきます。

まず、1つ目です。次期消費者基本計画の基本的方針案にもありますとおり、昨今はデジタル化技術の革新によって、消費者被害もその手口が急速に変化しております。こうした現状において効果的な対応を行うためには、その被害の発生原因や被害そのものの原因を専門的知見によって究明するような恒常的な仕組みが必要だと考えております。例えば、生命・身体の消費者事故に関しては消費者安全調査委員会が設置されておりまして、消費者事故に関する安全対策を分析して、そういった情報を蓄積していくような機関がありますけれども、財産被害の事案でもそのような機関が必要ではないかと考えております。矢印で、シームレス・シンプルなUIと書いておりますけれども、消費者が利用するネット上の画面、ユーザーインターフェース、UIですけれども、その画面を利用していると、この商品を買いたいなと思ったら、1回クリックすれば、商品の画面が出てくる。次にクリックすれば、契約の申込みができる。次にクリックすれば、決済まで進む。あっという間に契約手続が成立してしまう。手続自体はシンプルになる一方で、取引自体は、関係当事者が複数いたり、契約関係が複数絡み合ったりするなどして複雑化しておりまして、被害が発生したとしてもその仕組みの解明が困難な場合があります。そういった取引では、役割が分業化されていますので、責任の所在が曖昧だったり、関係当事者の個々の犯罪意識が希薄化しているのではないかと考えております。こういった便利なツールを悪用している事例も見受けられますが、これについては、5の後半のところで御説明させていただきます。こういった複雑な取引に関する分析を解明していく仕組みづくりが必要ではないかということを考えております。

続いて、デジタル化の進展に伴いまして、加害者の特定が困難な事例も多く見受けられます。加害者が利用するツールを提供する事業者、例えば、ドメインの登録事業者だったり、サーバー事業者だったり、ありますけれども、そういった事業者は、利用者に対して、本人確認があまり厳格ではない。本人確認をしていたとしても、その確認資料を保存していない場合があったりします。また、加害者に関する情報を保有する事業者に対して情報を開示させる法律の制度が不十分であることも挙げられます。そういった法律、プロバイダ責任制限法、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法が考えられますけれども、そういった法律では、加害者に関する情報を開示させるのは十分ではありません。そこで、これらの加害者の特定困難な事案への対応が必要ではないかと考えております。

3番目としまして、決済手段でも、デジタル化に伴って、スマホのキャリア決済をする場合とかもあります。そういったキャリア決済でのアカウントが不正に利用されたり、電子マネーを利用する決済手段もありますけれども、その電子マネーのバリューが詐取される被害もあります。こういったアカウントやバリューそのものは、現金ではないのですけれども、デジタルデータが取られることで結局現金が詐取されているという被害もありまして、こういった行為を防止する対応も検討する必要があるのではないかと考えております。

4番目としまして、私たち司法書士は登記手続にも関与はしているのですけれども、昨今、経済界からの要請で、会社を簡単に設立できるようにという要請があります。それに関しては反対するものではないのですけれども、取締役兼代表取締役のような一人会社であって、資本金も10万円程度で株式会社が設立できたり、合同会社では定款認証も不要だったりして、簡単に会社組織を立ち上げることができます。こうした会社が悪質商法に関与していることもありまして、被害回復のために交渉しようとしましても、すぐに解散などをしてしまって連絡がつかなくなったり、役員の責任追及も商法上は認められておりますけれども、その責任追及をしようとしても役員の個人住所と会社の本店所在地とが同一の場合があったり、名義貸しのアルバイトが役員になっていたりして、お飾りの人物であることもあるのです。そうすると、実質的な黒幕が分かりづらいという問題があります。被害回復のためには、こういった簡単に設立するような会社で悪質商法を行っているような事業者に対しては被害回復が困難になっている事例もありますので、健全な会社への影響も考慮しつつ、こういった会社について、こういった事案についての対応も検討する必要があると考えております。

川戸にバトンタッチいたします。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会川戸委員 日本司法書士会連合会の川戸と申します。よろしくお願いいたします。

私は、提出資料の5番目のところからのお話ということになるのですけれども、その前に、4番に少し関連しまして、今回、商業登記規則の改正ということで、代表取締役の住所を行政区画などまでというところに改正が予定されているということがあります。この辺りは、訴状の送達の問題や代表者を共同不法行為で訴える場合の送達の問題で、当事者側の負担は増えないのかというところは少し懸念しているところでございます。その辺が、司法書士の観点からはございます。

次、5番目、多様な支払方法への対応というところに移らせていただきます。多様な支払方法への対応というところで、消費者取引では、今、様々なキャッシュレス決済による消費者被害が非常に多くなっておりますけれども、この中でも、特別法の適用対象から外れてしまうような支払方法が利用されるような事案も見られます。例えば中黒の3つ目のような電子マネーをクレジットカード決済で購入し、その電子マネー決済をするといった決済方法が重層化しているような事案、どんどん登場人物が増えていっているような状況かなと思うのですけれども、こういったときの消費者の決済事業者への対応などで適用する法律がなかなかなかったといったところで、難しいところがあるかと思います。このことについて、中黒の2番目で、事業者団体で自主規制のルールなどがつくられているところもあるのかと思いますけれども、それだけで全て賄っていくことは難しい、対応が十分ではないと考えられるケースなどもあるかと思います。あとは、昨今、いろいろな代金の支払手段の中で、遠隔操作アプリを利用して、中黒の4つ目のところですけれども、貸金業者からの借入れをさせるといった事案などがあります。そういったところでも、取引自体が悪質商法ということで対応できたとしても、この支払債務が残ってしまうといった問題がある。こういったところで、支払方法の多様化についての検討は必要ではないかと。例えば、販売契約でトラブルがあった場合に、その決済手段についても、例えば、割賦販売法のようなキャンセルのような形が取れるなど、そういった取引行為と決済手段との間に因果関係を持たせる、有因性のある取引という形にしていくというところはあるのかと思いますが、こういったところでコストが掛かりますと、それが消費者のほうに転嫁されていくという面もあるかと思いますので、そういった観点なども考慮しないといけないというところかと思います。

最後、6番目の事後的救済への対応というところですけれども、現状としまして、このデジタル化の進展に伴っての被害事例で、まず最初に、この消費者の意思形成に影響を及ぼす端緒になるターゲティング広告とかが表示される部分があるかと思いますが、こういったところを、実際はどういったものだったのかということを、後々、立証していくというのが、実際の表示が削除されたり改変されたりするということで、困難なケースが見られる。例えば、2番目にありますとおり、情報商材事案において、情報商材の性能・効果に関する根拠の事実などの立証責任を消費者が負担しているわけなのですが、この部分についても、証拠が事業者側に偏在をして、データを消去されたりするなどで、立証が困難になるといったところもあり得るところかと思います。例えば、これに関して、一つの方法というところでいきますと、例えば3つ目にありますとおり、事後的に紛争が生じた際に、こういったターゲティング広告のデータや事業者側が提供したデータを、いわゆるクラウドなどに保存しておいて、その保存をしたところで、何かトラブルがあったときにそれを開示するというシステム。例えば、自動車事故とかでドライブレコーダーの映像とかを証拠にしていくということがありますけれども、同じように、デジタルデータで保管・保存をする、それを第三者が保存して、開示ができるとすれば、こういった問題は1つ解決できるのではないか。もちろん中黒の4つ目にありますとおり、物理的な負担などもありますけれども、今回、パラダイムシフトというところで、抜本的な見直しで、こういった立証責任や立証の負担に対しての対応を検討すべきという時期になっている。今回、浅田委員長も申し上げましたとおり、決済手段の多様化、消費者被害の形態の多様化というものに対応していくためには、それが必要ではないかと考えるところであります。

以上で、日本司法書士会連合会からの報告を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

以上で、皆様からの御発表が終了しました。これより、全体を通しての質疑応答と意見交換を行いたいと思います。時間は約70分ということで、15時20分頃までを予定しております。いかがでしょうか。何か御質問等はございませんか。

小野委員、お願いします。

○小野委員 この度は、時間の限られた中でお話しいただきまして、大変ありがとうございました。

それぞれのお立場から、本当に受け止めることがいっぱいだったのですが、その中で、できましたら主婦連合会の河村会長に御教示いただきたいと思って、発言させていただきます。頂戴しました資料の最後にありますけれども、「消費者委員会に期待すること・要望」というところでございます。消費者委員会は、消費者行政のバランスを取るものではないということ、また、お話の中では、消費者庁は消費者の教育係のようといったお話にまで及んでいたかと思います。また、委員会には創設の理念の継承をということで、深く受け止めております。消費者行政は、支援行政と規制行政の両面があると思いますけれども、特に支援が必要なということで言いますと、私自身、消費者教育を専門にしているということもありますので、消費者も様々に背景を持っていて、問題に気が付かなかったり、あるいは、被害に遭っていることすら気が付いていないということもあるわけです。そういったことで言うと、課題の掘り起こしということでも、情報の提供、消費者の教育は大切だと思います。私自身は、消費者委員会は独自に調査をするのだろう、審議した内容について発信をするということで、またその大変さを9月以降は痛感しているわけですけれども、実際、是非消費者委員会について、恐らく時間も限られた中でのお話でございましたので、創設をされたときの理念のうち、特にここが欠けているのではないかといったところを是非具体的に御教示いただきますと、今後に活かせるかと思いまして、質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、河村様、よろしくお願いします。

○主婦連合会河村会長 私たちは消費者行政を専ら担う役所をつくろうという運動をしたわけですけれども、何度もお聞きの方もいるかもしれませんが、主婦連合会の初代会長は、消費者庁ができる約50年前に、当時参議院議員だったのですが、国会の会議場で、そのときは「生活省」という名前でしたけれども、生活省というものが必要なのではないかと発言しました。産業育成、つまり橋を架けるとか、道路を造るとかばかりをやっているけれども、子供が飲むミルクの安全とか、いろいろな生活用品の価格や表示のことなどを見る役所が必要だということで、消費者庁をつくれと運動したわけです。消費者委員会は、恐らく設置の議論の最後のほうにいろいろな政治的なすり合わせがあって、その中で生まれたものですが、消費者庁も含めた霞が関の消費者行政全体に対して、消費者の権利という観点から、物申していくということが使命だと思うのです。私たち主婦連合会や私自身が思うことは、すごく簡単な言葉なのですが、消費者の大応援団になっていただきたいわけですよね。そういう観点、そういうスタンスが見られなくなっている。私は会長の前に事務局長もやっていたのですが、私の前の事務局長の佐野真理子という事務局長が初代の消費者委員会の委員をやっていましたけれども、その頃、十何年前ですかね、消費者の応援団たるべき委員会として試みていたと思うのです。いろいろな消費者問題の専門性とかが深くなっていったり、多様化していったりすることによっての変化というのもあるのかもしれませんが、私たちに言わせれば、専門性が増していこうと、多様化していこうと、消費者の権利、消費者の大応援団というところは、私たち主婦連合会がそうであるように、変わらないと思うのです。例えば、いかに、デジタル化だ、AIだと、複雑な機器が出てきたとしても、基本は徹底した透明性が必要です。消費者に全て開示しろと。事業者は私たちの情報を取ってお金もうけをしているわけですから。私たちがただで吸い取られているものが、情報のかたまりとしてものすごい財産になるわけなのですよね。それを元に莫大なビジネスをしているわけですから、そこはヨーロッパの人たちが言っているように、完全な透明性を持って分かりやすく開示すべきです。技術を使えば幾らでもできるのに、やらないわけですよね。そういうことも含めて、徹底した消費者の応援団になるような形になっていただきたい。他に例えば食品の安全ということに関しても、消費者は、過剰に怖がり過ぎているのではないかとか、そういう言われ方をするときもあります。私たちは自分たちが決して非科学的だと思っていないのですが、先ほど来、幾つかの団体の方がおっしゃったように、結局は、これは安全か安全ではないか、最低限のラインは食品安全委員会なりが決めていきますけれども、そこから先は選択なのですよね。さっきの透明性と同じなのですけれども、選択できるような情報開示をして表示させるルールは今よりもっと細かく厳しくていいと思います。だから、バランスを取らないでと申し上げているのは、事業者さんはお金も掛けてロビー活動をやりますから、すごく力も声も大きいですけれども、消費者委員会は、消費者の応援団として、霞が関の中でも完全に消費者を応援する立場に立つということからいろいろな意見を決めていただければ、どんなに専門性が高くなって複雑化していっても、スタンスは割と単純なことなのではないかと思っています。お答えになっているかどうか、分からないのですけれども。

○鹿野委員長 小野委員、よろしいですか。

○小野委員 ありがとうございました。質問してよかったなと思いました。つまり、行政、事業者、消費者のバランスということで言うと、ややもすると事業者の方のことを見ていたところがあるのではないかという問題意識と、消費者の権利、その中でも選択ということを保障するために徹底した透明性や分かりやすさにも目配せをしないといけないと、今、いろいろと教えていただけたかと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかに御質問等はいかがでしょうか。

それでは、中田委員、お願いします。

○中田委員 皆様、御説明をありがとうございました。非常に理解が深まりました。

その中で、主婦連合会の河村会長がおっしゃられた、安全性・透明性のある情報の提供が、最終的には消費者の方が選ぶか選ばないかということを決断する上では、不可欠であるというお話を承り、とても共感いたしました。

これは皆様にお伺いしたいのですけれども、私も、今回、消費者委員会委員になりまして、もともとは事業会社におりましたもので、正直に申し上げて、事業会社での経営に携わっているときには、消費者問題に対する関心や意識が数ある事業課題の中で劣後してきたということを反省した次第でございます。消費者問題に積極的に関わっている方ではなくて、一般の消費者の方、あるいは、もしかしたら村井様の御説明にもありました事業者の経営者の中で、事業会社の中でも消費者志向の経営という議題は、もしかしたら事業効率の議論からは劣後してしまう可能性があると思うのです。そういった一般の消費者あるいは一般の経営者の方々の中で消費者問題の意識を高めていくためにできることを、できれば各団体の方からお聞かせいただきたいと思います。もちろん地道な啓発は必要だという前提で、各団体でできること、かつ消費者委員会の私たちでどのようなことができるであろうかということを伺わせていただければと思います。

○鹿野委員長 今の御質問は各団体様にということですね。それでは、発表順に、申し訳ありませんが、主婦連の河村様、まず、お願いします。

○主婦連合会河村会長 すみません。少し見失ってしまったのですけれども、事業者さんに対してということですか。

○中田委員 事業会社のところは、できれば消費者関連専門家会議の村井様からお話を伺えればと思いますので、一般消費者の方です。最終的には消費者の方がエンパワーメントされることが、消費者問題、課題の解決につながっていくと思いますので、より意識を高めていく。

○主婦連合会河村会長 消費者の意識を変えていくことですね。

私たちは、消費者団体として75年やってきたのですけれども、消費者教育は、とても大切なことだとは思いますけれども、主婦連は消費者教育に重きを置いてはきていないのです。確かに、例えば、悪質商法に引っ掛からないようにしましょうということはとても大切なことです。ただ、あれは、情けない現状があって、規制も追いついていなくて、気を付けましょうという情報みたいになるわけですけれども、そういうこととは少し異なる消費者教育を考えています。実は消費者市民社会という言葉が法律に入ってしまったことは残念だと私は思っていて、市民社会のことは市民が考え、やるべきことであって、上から言われることではないと思っているのです。消費者市民社会というのは日本だけの言葉で、元はコンシューマーシティズンシップという言葉で、消費者市民権とか、消費者市民性とか、そういうことから始まっている概念なのです。十数年前にそういうことは日本でも大切なのではないかと思って、勉強会を重ねたことがありました。その頃、平成20年だったと思いますが、消費者白書などにもその言葉が出てきた頃なのですけれども、ヨーロッパ、北欧の消費者教育を見てみますと、特に印象に残っているものは、ドイツの消費者教育などは、子供たちに、コマーシャル、広告を見抜く力、批判する力を養わせるのです。模擬的な自転車の広告、食べ物とかもあったかもしれませんが、そういうものを見せて、どこに欺瞞がありそうかとか、そういうところをきちんと見つけられて、批判する目と能力と視点をきちんと持って意見を言えるように育てる。消費者の権利の中には消費者の意見を反映させる権利というものがある。聞いてもらえる権利なのですよ。消費者が気を付ける義務とか、そういうことではないのですね。そういう能力こそ小さな頃から身に付ける。日本は割と批判精神のようなものをネガティブに捉えて、そういう力をあまり付けてもらいたくないという傾向があるのかないのか。消費者教育は、気を付けましょう、気を付けましょうばかりなのです。そうではなくて、その人が本当に自分の頭で考えられる能力が育っていくと、逆に、変なクレーマーにならないと私は信じているのです。だけれども、どうも、そこの理解が、どこなのか、政治家さんなのか分かりませんけれども、要するに、クレーマーチックな消費者を生んではいけないという誤ったブレーキが掛かって、批判的な精神や目を育まない感じになっているように感じるのですけれども、一番大事なのはそういうところです。そうすれば、おのずと非常に自律した人たちが生まれてきます。

もう一つだけ言わせていただくと、そうは言っても、やはり脆弱な消費者はいなくならないのです。どんな立派な方でも必ず衰えていきますし、それが世界一多くなっていく日本の社会なのですから、どんなに頭脳明晰な方でも、どのタイミングかは分からないけれども衰えていくわけですから、教育ではカバーできないところも必ずある。

もう一つだけ、言わせてください。消費者教育ではカバーできないということの一つに、例えば、子供の事故などの場合、日本はすぐお母さんのせい、保護者のせいにするのですね。見ていなさいとか、窒息事故とかに顕著ですが、いろいろなことに関してですね。そうすると、また教育と言い始めるわけなのですけれども、子供の立場から考えると、母子家庭かもしれない、お母さんが貧困かもしれない、精神を病んでいるかもしれない、非常に危ない薬を飲んでいるかもしれない。そういうお母さんは気を付けることができないですよね。そういう意味でも、教育ではカバーできず、規制が必要だという場面はたくさんあると思っています。

長くなって、申し訳ありません。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、北海道消費者協会の武野様、今の点について、よろしくお願いします。

○北海道消費者協会武野専務理事 大変難しい問題でございます。30年ぐらい前に、国際消費者機構主催の世界消費者大会に出たときに、マレーシアだったと思うのですが、弁護士さんが、これからの消費者は消費しない消費者なんだということを言っていて、そのときはぴんと来ていなかったのですけれども、その後の30年間を考えると、そういうことを彼は言おうとしていたんだなと思っております。先ほども申しました物価高もあり、いろいろなものが氾濫する中で、消費者が翻弄されていて、デジタルも襲ってくるし、貧困もあって、所得も非常に格差ができて、その中で若い人たちは自分の人生をどうつくっていくのかということで、社会的な規範が薄れている時代。そんな中で、消費しない消費者なんだよと言っても、なかなかぴんと来ないというか、どうそれが世の中に合致していくのかというところで、非常に難しいことなんだなと思っております。

ただ、消費者と事業者は対立軸ではないというのは当然で、価値共創という言葉が最近は使われております。これは主に事業者側が言っていることですけれども、消費者がもっといろいろな形で、物を作るあるいは物を提供する側に参加していく。それによって、消費者は何を考えているのか、お金、価格の安さだけではない、クオリティの高さももちろん求めるけれども、暮らしの中でどう折り合いをつけているのかということを踏まえて一緒につくっていく。そういう価値共創の関係でありたいなと。その中では、無駄に物を消費するのではなく、長く使える物、あるいは繰り返し使える物、捨てるとしても環境負荷の少ない物をどうつくっていくのか。消費者が求めているのはそういうことなんだと自覚を持つとか、そういう相互作用があるのではないかと思っております。ですから、企業側もそういう形で手を差し伸べてくれなければいけないのですが、一方で、仕組みとして、先ほど申した学校での環境教育とか、それが社会の中でどう活かされるのか、学校でどう単位認定されるのか、就職活動でも活動・運動の取組がどう評価されるのか、そういう先行事例やモデルケースが次々に出てきて、社会に広がっていくことで少しずつ変わっていけるのかなと。そういう思いがあります。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、ACAP様、お願いします。

○消費者関連専門家会議村井理事長 御質問をありがとうございます。私の説明で不十分だったところがあるのかもしれません。お詫びを申し上げます。

経営層の皆様には、今、非常に多くの企業で、お客様の声、消費者の声の重要性を認識いただいていると思います。ACAPの会員企業の中でも、当然のことながら、定期的に経営層や経営会議に、そういったお客様の声、消費者の声を上げているというところが、ほぼ全ての企業であります。また、そういう経営層の会議で実際の声を、いろいろな形で、個人情報などを加工した形で聞かれている事例も非常にあります。そのようなこととお客様や消費者の声から改善をしていくことの重要性については、多くの経営層の皆様に認識いただいていると思いますし、あとはそれをお客様にいかに伝えていくかというところについて、私たちもしっかりと取り組んでいかなければいけないということを考えています。そのようなことをしているということ、会社を挙げてしているということについてです。

今、正にお話のありました、環境問題や人権問題という持続可能な社会に向けての取組は、消費者の皆様、お客様の関心も非常に高いところですので、いろいろなコマーシャル、テレビコマーシャルなどで、そういった点を訴えられている企業様は多くなっています。そういった観点から、一緒に持続可能な社会をつくっていくというところから、消費者の皆様・お客様の声、それをしっかりと受けて活かしていくというところを、より一層広げていきたいと考えております。それを、できれば多くの企業に、今は約500社の会員がいますけれども、より多くの企業様に加入していただければと考えています。そういった形での仲間を増やすという観点からも、その重要性について、消費者基本計画でしっかりと御支援を頂ければと思った次第であります。

回答になっていますでしょうか。よろしいでしょうか。

○中田委員 ありがとうございます。

もしよろしければ、支援といったときに私たちはどういったことをさせていただければよろしいかということがあれば。

○消費者関連専門家会議村井理事長 そのような取組を行うことの重要性をしっかりと記載いただくことと、これは先ほど申し上げましたけれども、いろいろ議論をこれまでもさせていただいているのですが、何らかの取り組んだことによるメリットのようなものがあると、非常に分かりやすいと思います。ただ、そこは非常に難しいところでもあると思いますし、あまりにそれが重視されてしまっても、また意図しない形でのこともあると思いますので、そういった仕組みの大切さとか、例えば、消費者基本法でいろいろなことが書かれているということも、私ども事業者の取組にとっては非常にサポートになっておりますので、そのような形でのサポートも一つはあるのかなと。明確な言葉がなくて、大変恐縮であります。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、日本司法書士会連合会様からお願いします。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会川戸委員 私、川戸からお話しさせていただきます。御質問の内容で、消費者や事業者の中で消費者の意識を高めるためにはということで、連合会としてというよりは私の個人的な考えということでお話しさせていただきますけれども、実際、我々司法書士は簡易裁判所の代理権で消費者被害に遭われた方の御相談をお伺いすることがありますけれども、普通に一般社会の中で暮らしておられる方が消費者被害に遭われる。実際はこういうものだったというところがあって、振り返って被害に遭ったということはもちろん御認識をされる。それすら認識がないというケースもありますけれども、認識をされる。実際に被害に遭うという流れの中でそこに気が付けないのかどうかというところは、消費者の方のそのときの意識や行動、どうやって意識を変えて高めていくか、そこを全体的にというところは、考えなくてはいけないところなのかなと思います。

我々日本司法書士会連合会としての取組ということになりますと、我々の委員会とは分野が別になるのですが、法教育、消費者教育というものをしておるところはありまして、私どもの地元は京都なのですけれども、京都司法書士会の消費者教育や法教育というものに関わらせていただいたことはありました。ただ、非常に限られた時間ではありますので、そこで学生さん向けに話をしてということであれば、どういうものは危険があるのか、どういうところに危険があるのかというところと、これは何かの問題が起こったかなというときに、きちんとした相談窓口に相談をするというところ、この2つがきちんと意識付けられるようにというところは、私、個人的には意識をして、話をしておりました。そこのところは、こういうものが問題であるとか、問題があって自分が被害を受けたかもしれないというときにきちんと声を上げて相談に行くというところは、教育の中で少しずつ培っていかないといけない。それは、単発ではなく、継続的なところで、培っていかなければならないのかなと思います。

私の個人的な意見ですけれども、何か消費者教育とかと言うと、すごく勉強チックで、大変な勉強をせなあかんのかなみたいな感じになるので、もう少し楽しく学べるようなものが考えられたらいいなとは、個人的には思っておるところでございます。

答えになっているか分からないですが、日本司法書士会連合会からは以上になります。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

中田委員、よろしいですか。

○中田委員 様々な取組、現状及び皆様の本質的なお考えをお聞きして、とても参考になりました。私たちの委員会の議論でも是非意識を新たに議論していきたいと感じました。

本当にありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

オンラインからお手が挙がっています。星野委員、大澤委員、柿沼委員から挙がっているようですので、その順番で御発言いただきたいと思います。

まず、星野委員、お願いします。

○星野委員 御説明をありがとうございました。非常に勉強になりました。

私は経済学のほうなので、いつも思いますのは、政策手段と申しますと、直接の資源の提供や法規制しかないかと思われるわけですけれども、インセンティブですね、特に補助金などを使わないでお金が掛からないような非経済的なインセンティブを与えて事業者に行動変容を促すことは非常に重要かと思っております。そこで、消費者関連専門家会議の方に伺いたいと思いますけれども、ホワイト500、健康経営という制度がございます。健康経営優良法人認定制度と申しまして、経産省と厚労省がやっている制度でございます。認定制で認定の要件がいろいろとございまして、経営者がきちんと従業員の健康維持に取り組んでいるかとか、組織体制がきちんとしているかとか、リスクマネジメントをされているとかとか、様々な要件がございます。その要件を満たして、かつ、上位500社を表彰するという制度がございます。そういったコンサルテーションをしているような会社さえ結構現れているということでございまして、現状、ESG投資において、ソーシャル要素としても評価されているかと思います。貴会議におきまして、何かこういった消費者志向経営の優良法人認定制度みたいなものを国に対して是非御提案いただけたらどうかと思いました。先ほどの日本司法書士会連合会の方がお話しされているような、例えば、コストは掛かるけれども、デジタルデータをきちんと取っておけば、消費者側のほうも安心だみたいな。これは、コストは掛かるわけですが、そういったものをきちんとやっている企業は、スタンプが付いて、これは優良だと思っていただける。コストを掛けてもそういうことをするというインセンティブが生じないとなかなかできないかなと思うわけですね。だから、積極的に、そういったダークパターン的なシステムを使っていないとか、タイムプレッシャーを与えて無理やり早めに買わせるみたいなことをしないとか、ECサイトなどはそうですけれども、そういった基準がきちんとあって、それに向けてスタンプが押されて、良ければ良いほど良い法人だと認定されて、消費者側からも、こういった法人であれば買いたいと思っていただけるとか、投資家からもソーシャル要素がきちんとあると認めていただけることは非常に大事だと思いますので、何かそのような動きはされていないでしょうか。認定制度みたいなものをつくられるとか、また、それを国に対して働きかけるみたいなことは考えられていないだろうかと。もしされていないのだとしたら、是非御検討いただいて、今後、御提案いただきたいということでございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、ACAP様、お願いします。

○消費者関連専門家会議村井理事長 ありがとうございます。

今、「消費者志向自主宣言・フォローアップ活動」という形での活動が進んでいます。その中の消費者志向経営推進組織に、私どもACAPのほうでも所属させていただいています。その中で、基本的には消費者志向自主宣言を行って、その後、期間が決まっていますけれども、フォローアップ活動ということで、実際にどのようなことをやったかということの報告をさせていただいています。報告を行うという制度ができています。それで、毎年、そういった優良事例についての表彰制度があって、表彰が行われるという仕組みがございます。そのような形で幾つか項目がありまして、それぞれ、例えば、そういったお客様の声を活かす取組などについて、記載して、私どものほうでも自主宣言という形で行っています。それについてしっかりと進めていくということが一つは重要であると思います。いろいろな形で新たな制度をというのもまた難しいとは思います。ただ、それをより広めていくためにどのような形で行うかというところは、いつも、私ども、企画委員長の佐藤も、非常に頭を悩ませているところですので、その活動の重要性、消費者、社会の皆さんにとって必要であるということについて、より一層周知を進めていただくとか、私たちも進めるように努力するということが重要なのかなと考えております。

お答えになりましたでしょうか。

○星野委員 ありがとうございます。

ホワイト500などは非常に有名で、多分厚労と経産省のホームページにも載って、いろいろな表彰制度がかなり認知されているところでございますけれども、大変恐縮ながら、私も今初めて伺ったというところがございまして、これはACAP様がつくられている制度ということになりますでしょうか。

○消費者関連専門家会議村井理事長 消費者庁、日本経済団体連合会様、あとは全国消費生活相談員協会様を始め、いろいろな消費者関連団体も推進組織に入っておりまして、一緒に推進しているという形であります。

○星野委員 ありがとうございます。

ホワイト500などは、ESG投資の指標などにもされていることを伺っていましたので、そうしますと、認知を高めていくということに対して、もう少し政策的な配慮が必要ということかと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

せっかく良い制度があるので、消費者に広く知ってもらって、消費者による評価などにつなげていくことが重要だと改めて感じました。

○消費者関連専門家会議村井理事長 本日、バッジも付けさせていただいています。

○鹿野委員長 続きまして、大澤委員、お願いします。

○大澤委員 大澤です。質問が2点あります。限られた時間で御報告いただいたということで、最初に御礼を申し上げます。

まず、1点目なのですが、主婦連合会様に特に伺いたいのですが、あるいはほかの団体様からでも是非伺いたいのですけれども、エシカル消費についてお話が出ておりました。エシカル消費について、要は、消費者にきちんと、エシカル消費とはそもそも何か、あるいは、そもそもどういうことを消費者はすればいいのかということが伝わっていないのではないかという趣旨だと理解して、私も全く共感いたします。それについて、むしろ、今後、例えば、消費者庁のほうで、私はもう少し消費者庁のほうがいろいろと消費者への情報提供を行うことが必要ではないかと、消費者庁だけではなく、例えば、地方公共団体の消費生活センターとか、いろいろな手段はあると思うのですが、こういう消費者向けの情報提供あるいは啓発に関しては、むしろ消費者団体さんのほうが昔からいろいろと工夫をされていると思うのですが、エシカル消費に関して、例えば、主婦連合会様あるいはほかの団体様で、例えば、先ほどは消費者教育と言っているけれども、楽しく分かりやすい、特に子供向けとか、そういう話もありましたが、何か工夫していることがあるとか、あるいは、例えば、現にこういう講習会を開いているとか、そういうものがありましたら参考になるのではないかと思うので、よろしくお願いしますということが1点目です。

2点目は、日本司法書士会連合会様に伺いたいことなのですが、デジタル化ということで、今回、どの団体様からもこのデジタル化が必ず指摘されていましたが、私は、今日、非常に目からうろこというか、非常に勉強になりましたのが、デジタル化で消費者への意思表示にどういう影響があったかとか、そういうことの証拠が残りにくいというか、そもそもどうやって証明するのか、難しいのではないかということで、それも、非常に、なるほどというか、あまり今までそういえばあまり考えていなかったなということが分かりました。こちらについて、パラダイム転換ということで、例えば、今後、別にこの問題に限らず、消費者契約法の平均的損害とか、証拠立証責任転換とか、そういったことの話は常に出てくるわけですが、他方で、証明に関しては、もちろん消費者契約法の平均的損害のように、9条1項のように、立証責任が誰にあるかということが、基本的には民事訴訟法の原則に従って行われていると思いますし、証明に関しては、民事訴訟法のルールでやっていますということが現状だと思います。そのパラダイム転換といいますのは、例えば、証拠法というか、証明に関しても、消費者契約法あるいは別の法律に立証責任の転換あるいは証明をもう少し簡単にするような工夫を、民訴法の原則に乗るのではなくて、何か別の法律、消費者契約法が一番思い浮かぶのかもしれませんが、そういったことで考えていってもいいのではないかというところまで含意をされているということなのかどうか、これは個人的な関心ですが、興味がありまして、伺いたい次第です。そういう方向性だとしたら、それは私も共感いたします。

以上です。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 2点、御質問がありました。

まず、1点目について、主婦連の河村様、よろしくお願いします。

○主婦連合会河村会長 ありがとうございます。

私の早口の発表で趣旨が伝わっていなかったのかなと反省したのですけれども、私がエシカル消費のところで申し上げたかったのは、消費者庁が中心になって、消費者に向かって、エシカル消費をしろと呼び掛けることをものすごくしているわけなのですけれども、そのエシカル消費をする選択をするための情報の正しさということを誰もケアしようとしていない。食品表示であるならば、食品表示法に関わるところとか、いろいろなルールがありますけれども、エシカルに関しては、今は言った者勝ちみたいになっているところにメスを入れてくれという趣旨でございました。ですから、消費者に啓発するとしたら、ネガティブかもしれませんが、丸ごと信じないほうがいいですよというぐらいのことでございます。私が求めているのは、その公正さをどこかで担保しないと、本当にお金を掛けて努力している事業者が報われないのですね。そこをきちんとやらないと、エシカル消費しろと消費者に言うばかりになってしまって、あらゆるものに、環境に良い、何とかに良い、SDGsの何番だと、売り場に書いてある状態になってしまっていくのです。私の趣旨は、それが景表法なのかは分からないけれども、きちんと消費者に誤認させない表示をさせる。誤認させないことと、裏付け情報をきちんと用意しろと。表示には書けなかったとしても、ホームページに行けば、その裏付け情報を見ることができるぐらいのものにしろという趣旨でございました。

消費者に言いたいとすれば、全員の消費者は無理かもしれませんが、先ほどの消費者教育のところでも思ったのですけれども、全員は無理かもしれません、コンシューマーシティズンシップという団体の会長さん、ノルウェーの方だったと思いますが、来日したとき、おっしゃっていましたけれども、消費者市民に全員がなれというのは無理だけれども、濃淡があるけれども、一部の消費者が率先していくのでもいいと。例えばすごく興味のある大学生でもいいのですけれども、どんどん調べていく。これは本当に環境のためになっているのかとか、データを集めて学生さんなりに調査研究してみるとか、消費者団体もやってみるとか、そういうことが大切だと思っています。そういう素地を、これから消費者基本計画の中に入れてもいいと思います。主婦連はそのような啓発活動はあまりしていませんけれども、基本的には消費することは投票行動みたいなものだと言われています。100円玉を持っていたらあなたはどう使いますかと。自動販売機でペットボトルの水を買うのか、それをどうするのかとか、そういうことがエシカル消費の基本だと思っています。

というわけで、私の今日の発表の趣旨は、エシカル消費を支えるエシカルな主張の裏付けをもっときちんと見ていかないと大変なことになりますということだったので、あまり大澤委員のお答えになっていないかもしれません。申し訳ありません。

○大澤委員 どうもありがとうございました。

私のほうこそ、的を射ないというか、要領を得ない質問で、大変失礼しました。問題意識は共感いたします。

例えば、ヨーロッパでも、私が特に勉強しているのはフランスですが、いわゆる医療機器や美容商品があまりに街にあふれ返っているのだけれども、その美容がどういう意味で良いのかとか、あるいは、そもそも本当に美容なのかということで、むしろ消費者が若干疑いを持ち始めている。もちろん値段が高くて今はインフレで避けられていることもあるのですが、同じような問題があるようです。他方で、その美容製品にしても、例えば、そのマークの制度をつくったり、そういうことも行われているようなので、正にそのエシカルの公正性を担保するものは、法律レベルでも、あるいは、消費者庁が先頭を切ってやったほうが良いと私も思っています。

その上で、これは個人的な意見なのですが、エシカルはまだ実態がよく分からないので、どうしても、ネガティブに、例えば、いろいろときちんと皆さんでもっと勉強してからエシカルをやってくださいという感じにもなるかもしれないのですが、他方で、これは消費者庁に頑張ってもらわなければいけないとは思うのですけれども、例えば、先ほどの例で出されていましたプラスチックの問題にしても、消費者庁もそうでしょうし、私も含め、私は大学で教員をしていますが、例えば、ペットボトルを減らすために皆さんで水筒を持っていくという生活もあり得ますよとか、そういう形で、はっきりしているところから情報提供というか、そういう形はできるように思いますし、そういうやり方もあり得るのかなという感じは、個人的な感触としては、持っております。

いずれにしても、私の質問の趣旨もよろしくなくて、大変失礼いたしました。ありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、2番目の御質問について、日本司法書士会連合会様、お願いします。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会川戸委員 日本司法書士会連合会の川戸から、大澤先生の御質問、2つ目のところに御回答させていただきます。

うちの提出資料の6番のところ、事後的救済への対応のところでの御質問ということですけれども、確かに、先生がおっしゃったように、立証責任の問題については、私も民事訴訟のルール・原則というところは、法改正で、位置付けにして、立証責任の転換とか、消費者側の立証責任の負担の軽減というところが図れればいいというところは私どもも考えるところでありますが、例えば、もう少し技術的なところで、この事業者側が、主婦連の河村さんもおっしゃったように、情報開示を十分にすればいいところだと思うのです。それがこういった悪質事業者であれば、それこそ、会社、法人組織自体からすぐ畳んでしまってなくなってしまうとかはありますし、実際、証拠となるべき意思形成の端緒になるような広告内容とかが全く後々で確認が取れないケースは多くあるかなと。そこについては、例えば、そこの情報が、客観的な正確性が担保されたような状態で、どこかにそれこそデータで保存される、少し事例は違うかもしれないのですが、先ほど申し上げたドライブレコーダーのような形で、客観的に公正な状態で、担保された状態で、保存をされて、事後的に消費者側がそこにアクセスをして、どういったものであったかということを見ることができるという仕組みを考えていくということであれば、法律というところではないですし、どんなシステムかというのはまだ細かく詰められているわけではなく、我々もこれからもっと考えていかないといけないところではありますけれども、そういうものができないかなというところを考えていきたいということになります。先生の質問の回答になっているかはあれですけれども、そういったところになります。

以上です。

○大澤委員 どうもありがとうございました。

御趣旨はよく分かりました。そういったものを、事実上、例えば、進めていくこともありますが、将来的には民訴法との兼ね合いで、そういった証拠とかの使い方で、新しい方法を、今の民事訴訟法あるいは消費者契約法でどう位置付けていくかということが、将来的には課題になるよなと、個人的には、伺っていて思いました。

○鹿野委員長 続きまして、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。ごめんなさい。少し長くなってしまうのですけれども、御発表いただきまして、ありがとうございました。

私の質問ですが、北海道協会さん、ACAPさんに質問がございます。また、全ての消費者団体の皆様に、2点、質問がございます。

まず、北海道協会さんなのですけれども、総務省のデジタル活用支援に参加して、高齢者などに講座を展開されているということです。一人も取りこぼさないということで、積極的に行われているということについて、敬服いたします。こちらの活用支援事業ですけれども、教える内容がかなり限定的であり、また、内容についても、電源を入れる、電話をかける、インターネットやメールの利用方法など、操作が中心で、講座内容も総務省のほうである程度決まっているものを教えるだけと認識しております。初めの一歩としては当然必要かと思うのですけれども、巧妙な消費者問題にこれだけでは太刀打ちできないのではないかと思います。ある程度のリテラシーや継続的な取組などについても必要と認識しておりますが、貴協会で支援事業を行う上で気を付けていることなどについて、ありましたら、まず、教えていただければと思います。これが1点です。

それから、ACAPさんに教えていただきたい内容です。かなり細かいのですけれども、会員企業様が消費者志向で御対応をされているということについて、御説明がありました。また、いろいろなチャネルがあることについても理解できました。デジタル化の話が今回はメインで多く出てきたところではあるのですけれども、相談現場では、お客様窓口に電話で問合せをしたくても、メールやチャットなどだけになってしまい、電話での対応が全くなくて困っているという方や、電話が混み合っていてつながらない、音声ガイダンスが聞こえない、選択ボタンを押す前に、ボタンを押す制限時間が来てしまい、また何番を押してくださいということで、結局問合せができず、諦めてしまったという相談もあります。ACAPさんの会員企業が、全て電話での対応は残しているという認識でよろしいのでしょうかということと、また、耳が遠い高齢者、聴覚障害者など、配慮対応を行われているのかについて、教えていただければと思います。

全ての消費者団体さんにお聞きしたい2点なのですけれども、北海道協会さんの資料にもございましたが、消費者団体さんの会員数の減少や若者が会員にならないということが言われています。若者が参加をしないことによって、消費者団体に弊害がないか。弊害がある場合、どのような弊害があるのか。また、若者が参加するように取り組んでいることがあれば教えていただければと思います。

2点目ですけれども、消費者団体として困っていることがあれば教えてください。その困っていることについて、消費者委員会としてできることがあれば教えていただければと思います。

以上です。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 まず、第1点につきまして、北海道消費者協会様、お願いします。

○北海道消費者協会武野専務理事 御質問をありがとうございます。

総務省のデジ活は、おっしゃるとおり、初歩の初歩というメニューです。電源の入れ方から始まって、画面をスクロールする、大きくするといった本当の初歩です。2回に分け、1講座が午前と午後になります。時間的に言うと、高齢者には結構ハードですが、それほど中身を詰め込めないという隘路はあります。その程度で巧妙なデジタルのオオカミたちに立ち向かうことができるのかということは、正にそのとおりです。先ほど北海道消費者大会の話をしましたけれども、一昨年はデジタルをテーマにしました。若宮正子さんという86歳のデジタルエバンジェリストと言われている方を招き、その人から「デジタルを始めるのに遅いということはない」ということをおっしゃっていただいたことが、活動の後押しになりました。冒頭に申したように、「デジタルなんて誰かほかの人がやればいい」と思う方が多い中で、「いや、そんなことはないよ。これをやれば、カメラも撮れる、電話もできる、メールもできて、孫たちとビデオチャットもできますよ。」と、そういうことをインセンティブとして、講座を開くと、「こんなに面白いのだったらもっと早くやればよかった。」という人が多いです。その次は、分かっている人、知っている人が教え合うのだと。総務省のデジ活が終わったら、教え合いという講座を設け、これを消費者協会のインセンティブにして、入会してくださる方も確かにいます。それとは別に、教え合うことによって、こういうことをやったら危ないとか、買い物をしたいのだけれども、どうしたらいいのみたいな教え合いですね。誰かが情報を上からシャワーのごとく降らせるのではなく、横でつながっていくのが一番確実だと思います。デジタルの伝授に関しては、水平型を心掛け、各協会にもそういう形で可能なら取り組んでくださいと要請しております。

2点目の若者の参加では、確かに若者が参加しないことによるデメリットはいっぱいあります。例えば、今、申したようなIT力が弱い。コロナが始まった2020年頃に、各協会とメールで情報伝達をしたいということで調査しました。当時、メールができるところが3割ぐらいしかありませんでした。それが3年ちょっとの間に8割以上になっていますが、非常に遅々たるものです。ホームページを持っているところはほとんどなく、SNSもほとんどありません。ある学生さんと話をしたとき、「僕らはそんなことは簡単なのだけれどね。」と言っていました。片側にできる人、片側にやってほしい人、それをマッチングさせることができれば、もっと面白いことができる。先ほど申した、そういうことが学校の単位認定で評価される、あるいは、就活で評価される、オーソライズされていければ、若者の参加も広げていけるのではないかという気がします。

○鹿野委員長 それでは、2点目の御質問について、ACAP様、お願いします。

○消費者関連専門家会議村井理事長 御質問をありがとうございます。

まず、2点目の質問の1点目、電話がかかりづらいという状況について、多くの会員企業が一番留意しているところでありまして、基本的には電話をしっかりと受けさせていただくというところが前提になります。ただ、状況によりまして、例えば、何か事象が発生したときですとか、一時期、特定日に集中したりなどということで、かかりづらくなっているという状況はあります。そういったことをどうやって改善するか、どのように対応していくかということは、正に会員間の情報交換の中で非常に話題になるところで、日々改善に取り組んでいるということだと思います。先ほどのように、いろいろな形で、どうしても経営効率も考えなければいけないので、メッセージを選択する企業の方もいらっしゃいますけれども、それについてはお客様から御不満の声などもありますので、どのようにしたらいいかというのは常に改善を検討しているところかと思います。

2点目の電話受付をしていない企業があるかどうかですが、これは明確には取っておりません。

○消費者関連専門家会議佐藤理事・企画委員会委員長 補足していいですか。

電話の受電率は、ACAPの会員企業ですが、2021年の調査で96.2パーセントの企業では電話を受電していますので、ほとんどの企業で電話対応はしております。昨今の対応ですと、Eメールが86.1パーセント、チャットボットが17.1パーセントですので、現状においては、電話を中心に、メールを含めて対応しているということです。少しデータ的な補足をさせていただきます。

○消費者関連専門家会議村井理事長 ありがとうございました。助かりました。そういった状況であります。

障害者、御高齢の社会的に配慮が必要な皆様への対応は、各社が課題として取り組んでいるところです。先ほど申し上げましたように、聞きづらいとか、見えにくいということは、逆に言いますと、そういった聴覚又は視覚に障害のある方にとっても同じ話になりますので、そういったことの対応はしっかりと取り組んでおります。そこはどのように取り組むかということには濃淡がありますけれども、そういった形で、例えば、直近の事例では、オペレーター、受けるほうで、お話の声をお客様に聞きやすい形に変換していると。聞きやすいように変換するシステムを導入されている企業もあります。各社で、ユニバーサルデザイン、ユニバーサルな対応ということについては、取組を進められているところが多くありますので、そういった情報は常にいろいろな機会に話題に上がって共有するような形になっております。

先ほどの佐藤委員長の話にもありましたように、電話の受電件数は全体的には減少傾向にあって、メールやチャット、その他のところを、お客様・消費者も選択されるケースが増えているという傾向は全体としてありますので、方向性としてはそういったいろいろな選択にどのように応えていくかということを企業として検討していく方向にあると考えております。

以上です。よろしいでしょうか。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、柿沼委員の3点目の御質問は全ての団体に伺いたいということで、2点、頂きました。一言で言うと、若者等の参加という問題と、各団体で困っていらっしゃること、ということでよかったですかね。それでは、順番に、これも主婦連様からお願いします。

○主婦連合会河村会長 2点御質問いただきまして、会員の減少あるいは若者の参加が少ないことと弊害という点ですね。会員数ということですが、世の中の消費者運動全体として、世界的に、1960年代、1970年代、ラルフ・ネーダーとかが活躍していた頃に盛り上がって、日本もその頃はすごく元気でした。高度経済成長の時代が終わり、全体に消費者団体を構成する人たちの人数は減っていったと思います。私は割と国際会議とかも行く機会も多いのですが、世界的にそうなのですね。例えばアメリカの消費者団体代表で出てくる方も非常に高齢だったりします。そういう傾向があるのかなと思っています。主婦連合会のことで言えば、「主婦」という名前は、今や私たちの名前の固有名詞みたいなもので、主婦が集まっているわけではないですけれども、当時、職業を持たない専業主婦の人たちで、割と意識の高い、社会参加して政策に物を言っていこうという人たちが集まるという場をつくった。団体を持たない一人一人の女性が、団体というものに所属して、ロビー活動の力を得たという形になるわけです。現状、会員数が減少していることは間違いないですし、高齢化もしています。

弊害とおっしゃったのですけれども、意外とIT関係は主婦連合会は強いので、自分たちでZoomをホストをして国際会議もいたしますし、そういうことに弱くて困っているということはないのですが、多分、言うまでもないですけれども、消費者としての若者の意見の吸い上げが不十分という点は、弊害かもしれません。ただ、私の意見ですが、一つ一つの団体で、高齢化している、若者がいないということよりも、私は若い人たちの消費者活動をするグループがもっと出てくればいいと思います。主婦連合会に入ってくれというよりも、任意団体ですので、もちろん私たちも新しい会員を増やしていきたいという活動もしますけれども、多様な団体が生まれてくることのほうが大事で、若い人たちの消費者活動、消費者グループが、大学生なのか何なのか、できてくればいいと思っています。ですから、一様に評価して、高齢化率が高いとか、そういうことではなくて、もっと多様な団体が出てくることに消費者委員会も支援をなさったらどうかとは思います。

団体として困っていることも考えてみたのですが、予算という面で見ると、主婦連合会は、過去、1,000人ぐらいのアンケートは何回もやっていて、報告書もつくってきました。それに限らず、例えば、玩具を試買して、100円ショップで売っているようなものとかも買ってきて、たくさんはできないですけれども、試験機関に出して、有害な重金属が入っていないかとか、例えば子供用のアクセサリーの中にないかとかとやってみたら鉛が入っていた例とかもありました。そのように落ち着いて時間を掛けて、少し予算を掛けてやるような研究に予算の支援があるといいと思います。消費者委員会がということではないにしても、消費者委員会が消費者庁に言うなりして、先ほどは安全性の調査のことを言いましたけれども、消費者問題の国際比較の調査研究とか、先ほどの外部送信、デジタル社会における消費者の権利がどう侵害されているか、そういった調査研究をある程度お金と時間を掛けて、消費者団体なりにするというときの支援の仕組みをつくるべきではないかと消費者庁に言ってくれるとか、内閣府に言ってくれるとか、そういうことがあってもいいのかなとは感じております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

北海道消費者協会様、先ほど一部既にお答えいただいたところもありますが、改めてお願いします。

○北海道消費者協会武野専務理事 ありがとうございます。

消費者運動が下火になっているのではないかという印象は、確かにありますが、一方で、今、主婦連さんがおっしゃったように、消費者の課題はいっぱいあって、例えば、食の安全性に関しては、「北海道食といのちの会」という組織をつくって、横の広がりを持たせています。あるいは、特定適格消費者団体の消費者支援ネット北海道との連携とか、先ほども触れたLPガスに関しては、「LPガス問題を考える会」をつくっています。フードドライブは、私たちは集めることができてもデリバリーはできないので、フードバンク的な組織との連携もしています。つまり、自己完結型でなく、横に広がりを持たせて、専門性のある運動をしている組織とつながっていく。そうすることによって、幅を広げていけるのではないかと思っています。

ただ、それにしても、手をつないでいくだけのマンパワーが乏しくなってきている気はします。北海道から指定管理で受託している道立消費生活センターの業務量が大きく、北海道消費者協会としての活動に手が回りにくくなってきていることは、確かにあります。もう一つ、困っていることでいくと、先ほども触れた、時代に合わせた、いわゆるネット力が弱く、会員協会への情報伝達に、ようやくメールの利用が8割を超えたという状況です。地域協会も週に1回しか事務局が開かれないところもざらにあって、事務局員が何人もいるところと週に1回しか開かれないところを全部合わせて運動体として進めていかなければいけない。それを束ねるためのネットの活用が弱いのかなという気はしています。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、ACAP様、立場はまた違うかもしれませんけれども、お願いします。

○消費者関連専門家会議村井理事長 ありがとうございます。

若者の参加のところについては、私どもは企業の担当者が担いますので、範囲が違うかと思うのですが、非常に最近感じておりますのは、学校の教育でSDGsなどをいろいろと学んで、大学でもいろいろな形でそれを学んでいる学生の皆様がどんどん企業に入られてきています。その中で、自社の取組などについて、いろいろな形でお考えも持っていると思いますし、いろいろな意見もお持ちだと思います。そのような中で、私たちが消費者視点ということで、日々の活動の中で、新しい発見でありますのは、企業で働いていますと自社の商品・サービスはよく分かりますし、自社の商品・サービスのお客様、消費者は分かるのですが、一歩引いて、他業種のお話を聞きますと、非常に大きないろいろな形での発見があります。そんな中で、そういったことで感じたことを社内に返していって、多くの人と共有し、経営層と共有して、しっかりと改善していきたいと、会議の中でもいつも話しています。そういった機会を、会員企業の若い社員の皆様にも提供できればいいなということを、将来的な課題ではありますが、考えているところであります。

2点目は、困っていることですが、先ほどの答えに追加することがございまして、障害者の皆様への対応ということで、聴覚障害の皆様は電話対応だと一番不便を感じられると思いますので、そういった手話サービスを自社で御用意されたり、電話リレーサービスを活用されたりといった取組も進んでいますし、しっかりとそういったことの情報提供をACAPの中でも行っております。そのような取組をしていきたい、どんどん進めていきたいと思うのですが、そういったことで困っていることと言いますと、いろいろなことを、お客様のため、消費者のためということでやっていきますと、どうしても、いろいろな形で、財政的なこともそうですし、人的な点でも非常に掛かりますので、そことのバランスが難しいということであります。できれば、私たちのほうでも多くの企業の方に会員になっていただくということを引き続きやっていきたいと考えています。各企業におかれましても、同じような形だと思います。その点についての支援というか、支援支援とねだるような形ばかりになってしまいますけれども、そういうものもしていただければと考えている次第です。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、日本司法書士会連合会様、お願いします。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会浅田委員長 日本司法書士会連合会の浅田と申します。

今回の意見交換会に、消費者団体の一つとして認識していただいて、お声掛けいただいて、報告の時間を頂きまして、ありがとうございました。ただ、日本司法書士会連合会としては、消費者団体というものではなくて、法律の専門家集団と認識しておりますので、今回の御質問に関しての回答は御容赦いただければと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

今回の会は消費者団体等との意見交換会ということで、全ての団体様が消費者団体とこちらで認識しているわけではございません。

今の質問について、ACAP様にも振らせていただきましたように、もしそれぞれのお立場からそのことについて何かお考え等があれば、お聞かせいただきたいということでございました。特にないということでよろしいですかね。

それでは、時間もかなり押していますが、河村様、何か追加がありますか。

○主婦連合会河村会長 すみません。私が言葉足らずで、幾つか誤解を招きそうだったところ、2点ぐらい、短く補足しようかなと思ったのですが、もし御質問とかが続くようでしたら、最後に1分か30秒だけ頂ければと。

○鹿野委員長 それでは、先ほどから黒木委員長代理から手が挙がっていますので、お願いします。

○黒木委員長代理 まず、最初の質問は、河村様とACAPさんなのですけれども、このSDGsは2030年がゴールなので、第5期消費者基本計画を来年2025年から5年間ということですので、正に2030年のゴールに向かっての消費者基本計画ということになりますと、その観点で、先ほど河村様がおっしゃっていましたけれども、このSDGsに関するいわゆるグリーンウォッシュ、ブルーウォッシュについて、景表法上は、これは対応できないと考えられているのではないかと。いわゆる広告に関して、グリーンウォッシュ、ブルーウォッシュをしている広告があったとしても、景表法上は、商品の性質や品質とかに関係しなければ、グリーンウォッシュやブルーウォッシュは規制できないのではないかということが問題ではないかと御指摘いただいていて、それは私も法律家としてはそうかなと思っているところです。その認識が正しいかということについて。

ACAP様のほうでは、正にこのSDGsについて、車の絵がありまして、ACAPはカーナビの役割だということで、SDGsの実現の貢献ということが、先ほどのプレゼンの資料にあった。そうすると、確かに直ちに景表法は難しいかもしれませんけれども、ACAPの構成企業の中で、公正競争規約をつくっていって、このブルーウォッシュ、グリーンウォッシュにならないような公正規約をつくっていく形で、消費者に正しい情報を与えるということを考えることはないのか。正に基本計画の5年後は2030年ですので、それに向かってそういう企業としての取組を考えていらっしゃるのかというのが、お2人に対して。

次は、法律家同士の話みたいになって申し訳ないのですけれども、日本司法書士会連合会に対してです。日本司法書士会連合会の5、多様な支払方法への対応は、正にこの委員会でも、2023年11月14日、第416回の本会議で決済制度の透明化という題で議論したところであります。その関係で、この問題について、決済代行業者をどのように取り扱っていくのかということが一つの焦点となりました。その辺りについて、5、多様な支払方法への対応、あるいは、もしかすると3や2のところにも出てくるのかもしれませんけれども、その辺りのところについて、決済代行業者をどのように考えていくのかということについて、もしも日本司法書士会連合会様のお考えがありましたら教えてください。

もう一つ、日本司法書士会連合会さんに対する質問としては、加害者の特定困難事業案件が出てきておりまして、これは非常に重要な問題だと思っています。この関係で、発信者情報開示やプロ責の問題が出てきていましたけれども、SNSになってくると、そもそもどうやって発信者を特定し、開示をするのかということ自体について、今、具体的な法制度を検討していかなければならないのかもしれませんけれども、それについて、ここで対応が必要ではないかと書かれているところの問題意識は一緒なのですけれども、何か具体的な方策とか、もう少し突っ込んだものがありましたら教えてください。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、第1の質問について、順に、主婦連様とACAP様にお願いします。

○主婦連合会河村会長 ありがとうございます。

このエシカルの表示については、私は答えを持っていないのですけれども、消費者庁の担当課に聞いたら、できないとは答えなかったのです。「その他」という言葉が法律にあるから、確かに間違った表示であるならば、事実ではないのであるならば、景表法でできないとはおっしゃらなかったという意味です。ただ、それはそういう刀を抜くかどうかで、できるかできないかは法律家さんの考えることかもしれません。私も、全くできないわけではないけれども、やられていないと思います。その刀を抜くのか、抜かないのか。これからはそういうことが大切だという視点を消費者委員会の方にも持っていただいて、景表法なのか、ほかの方法なのかということを申し上げたかったということです。もう少し付け足しますと、私は本当は標準化について発言したかったのです。主婦連合会はISOやJIS規格に消費者提案などもしていますし、私は今ISOのコミッティーマネージャーもしているのですけれども、国際標準化の世界では、御存じと思いますが、グリーンやSDGs関連はビジネス戦略そのものです。ごまかしが利かない、ある意味真剣な戦いを国際標準の世界ではやっています。日本はその世界では弱いところがあるのですけれども、彼らは認証ビジネスとセットにして、つまり、間違った情報では駄目だと、きちんと裏付けをして、認証して、そういう事業に投資をしてみたいなとなるような、そういう循環づくりをやっているので、ツールとしては、標準化とか認証とセットにした規格基準は、このエシカル消費の関連で有効なのではないかと思っています。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、ACAP様、お願いします。

○消費者関連専門家会議村井理事長 ありがとうございます。

私どもACAPで、各企業の消費者関連部門の担当者ということで、カーナビという表現を使わせていただきましたけれども、その基本となるデータは、お客様・消費者の声だと考えています。ですので、しっかりとそういったお客様・消費者の声をお伺いして、実際に自社の取組がどうであるかということをそれぞれの企業がしっかりと判断してやっていくことが前提になるかと思います。お客様の声や消費者の声、いろいろな法令に関して、自社がどうであるかということは考えておりますけれども、例えば、客観的なルールとか、そういったものを私どもACAPでつくれるかというと、なかなかそこは難しいのではないかと、私個人的には、考えています。今まで考えたことがないジャンルのお話でございました。このカーナビはそういう形でありまして、お客様・消費者の皆様と視点をしっかりと合わせてコミュニケーションを深めていくことで、方向性を誤らない。そういう意味では、SDGs、その先の持続可能な社会に向けて、誤りなく進んでいけるのではないかと考えております。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、日本司法書士会連合会様、2つ御質問がありましたので、お願いします。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会川戸委員 日本司法書士会連合会の川戸から、黒木先生からありました多様な支払手段の中の決済代行業者への考え方です。すみません。今、日本司法書士会連合会として何かというところはありません。確かに、この決済代行会社が介在するということで、悪質な業者がこういった様々な支払手段を利用しやすくなっている実態、当事者の特定が困難になっている実態、この決済代行業者の責任を追及していくというところはなかなか難しいという実態があるということは、先生ももちろん御認識のところかと思いますけれども、あります。例えば、登録制度、任意のものがあったかと思いますけれども、なかなか進んでいないところで、こちらも、今、日本司法書士会連合会として何かというところはないところです。すみません。今、具体的な回答は難しいというところで、申し訳ありません。

○黒木委員長代理 了解いたしました。

もう一つ、行為者の特定。確かに、この問題は、プロ責法では追いかけられない。なぜなら、これは投稿内容自体が名誉とかを傷付けるものではないということで、プロ責ではいかない。そうすると、いろいろな形の任意の開示に頼らなくてはならないのだけれども、その辺りのところについて、壁がいろいろなところであるという問題があるので、それについて、司法書士会として、具体的な構想、これらの問題の対応が必要ではないかと書いてあるので、何かこれに関するアンサーがあるのかなという質問です。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会川戸委員 具体的なアンサーはこれから検討していかないといけないというところかと思うのですけれども、例えば、サインツールで本人確認をしっかりとしていくところは必要かと。犯収法とかはまだその辺によるずれがあるので、その辺の法整備も必要ではないかと。この辺のところは考えているところですが、具体的な方策は、今、考えているところでは、まだ委員会のほうでは具体的にはないというところでございます。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 質疑応答はそろそろ終わりたいと思いますが、柿沼委員から、1つ、今までの議論についてコメントがあるということなので、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。

チャットのほうに入れさせていただいたのですけれども、コメントといたしまして、エシカル消費、エシカルのマークについてです。エシカルのマークを取得するには多額の費用が掛かるという認識をしております。そうしますと、結局は大企業だけが取得するマークになってしまい、懸念を感じております。ですので、小さな企業に対してもエシカルであるということを分かるような取組も必要なのではないかということです。グリーンウォッシュやブルーウォッシュなどもありますけれども、その辺りについても、1点、コメントとして入れさせていただきました。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

議事進行の不手際で時間をオーバーしてしまいましたが、質疑応答についてはこれで終わらせていただきたいと思います。

本日は、次期消費者基本計画における重要事項や課題等について、各団体の皆様から非常に貴重な御指摘等を頂き、また、有意義な意見交換を行うことができました。

ここで、本日の各団体の御意見や委員の御発言の概要について、簡単に確認をさせていただきたいと思います。

まず、全体としましては、社会の変化に即した対応が必要であるということでした。特に社会の変化としても、高齢化、デジタル化の進展、国際化、持続可能な社会に関する課題の重要性が増していること、それらだけではないかもしれませんけれども、そのような時代の変化に対応した消費者関連の取組が必要であるということが、御指摘され、確認されたと思います。

より具体的な項目といたしましては、順不同で申しますが、第1に、悪質商法への対策あるいは脆弱な消費者を悪質な勧誘等から守るということについて、御指摘がありました。その中でも、特に特定商取引法の抜本改正については複数の御意見を頂いたところでございます。具体的には、訪問販売や電話勧誘販売における不招請勧誘規制に関する見直しの必要性が指摘されました。

連鎖販売取引についても、規制を抜本的に見直す必要があるのではないかということも御指摘いただきました。

インターネットを通じた通信販売における勧誘行為規制やクーリング・オフの適用などについても、御指摘いただいたところでございます。

また、悪質商法という単語にぴったりかどうかは分かりませんけれども、LPガス業界の例なども挙げて、消費者に不利益をもたらす悪しき商慣行の是正の問題について取り組むべきだという御指摘もありました。

第2に、デジタル社会の進展への対応ということについて、多くの皆様から御指摘がありました。デジタル化に伴う新たな消費者被害の原因究明を行う恒常的な仕組みづくりや、加害者の特定、事後的な救済に資するための方策の検討が喫緊の課題であるということでございます。先週、ちょうど本会議で、デジタルプラットフォームについて議論をさせていただきましたが、これとも一部関わるところもあると思います。インターネットを利用した勧誘が、従来型の通信販売とは違って、不意打ち的、攻撃的な形での勧誘が行われているということで、これが先ほど言いました特定商取引法の抜本改正と関連する問題として、デジタル化の関連でも指摘されたところでございます。

今の御指摘とも関連しますけれども、デジタル化に伴う新たな消費者被害の未然防止、被害救済のための消費者法制度の在り方の見直しということについても、御指摘を頂きました。これは、御承知のとおり、昨年末から、消費者委員会においてパラダイムシフト専門調査会を設置して、そちらでも御議論いただいているところでございますが、今日、改めてそのような御指摘を頂き、受け止めた次第でございます。

デジタルデバイドの解消のための消費者教育、啓発の充実についても、御指摘いただきました。取組の例としては、互いに教え合うという北海道の例なども御教示いただきました。

デジタルにも関連して、複雑化・多様化する決済手段への対応が指摘されました。これについては、先ほど黒木委員長代理からも言及があったように、私どもとしましても、重要な問題と認識して、昨年11月の消費者委員会本会議で決済制度の透明化について議論をしたところでございます。改めて御指摘いただき、ありがとうございます。

さらに、消費者のプライバシー保護のための仕組みづくりも、デジタルに関わる大きな問題だということで、御指摘いただきました。

3番目に、消費者の生命・身体の安全の確保ということでも御指摘を頂きました。これは、当然、一丁目一番地の重要なところだと思いますが、まずは事故情報の収集・調査の仕組みの強化・見直しが必要であると思いますし、今、言及したところの、デジタル化とも関連するようなところで、グローバルなネット取引における製品安全の確保のための取組なども御指摘いただき、重要な点であると認識しているところでございます。

4番目に、いわゆるエシカル消費に関する御指摘や御議論を頂きました。まずは、エシカルというのがかなり日本でも認識が高まってきているところではございますが、エシカル消費を促すための消費者教育の充実もあると思いますし、消費者の行動変容を促すことが重要であるということですが、もう一つ、エシカル表示については、真実性、透明性、公正性を確保するということが重要であり、例えば、標準化あるいは認証の制度など、具体的な方策については更に検討する必要があるかもしれませんが、何らかの方策によってこれを確保することを検討すべきであるという御指摘がありました。御議論の中でもあったように、これについては、世界の中で、とりわけヨーロッパのほうではかなり議論が進んでいると認識しているところです。この問題だけではないですけれども、日本でかなり遅れていて、世界では議論が進み、あるいは、法整備が進んでいるという問題もございますので、海外の動向等も参考にしながら、このような問題を考えていく必要があるのではないかと考えた次第でございます。

5番目に、食品表示、食の安全性の確保、食品ロスへの対応ということについても、御指摘いただきました。特に新しい技術に基づく食品ということで、例えば、ゲノム編集の問題等が指摘されましたが、これらについての表示制度の在り方、表示の義務化を図るべきではないかという御指摘がありました。食品表示の透明性を確保するということが重要であるという御指摘を賜ったところでございます。

食の安全という観点からは、さらに、有機農産品の拡大へ向けた取組、あるいは、さらにさっきのエシカル消費にも関わるところかもしれませんけれども、食品ロスの削減、地産地消の推進等に関しても、御指摘を頂きました。

6番目に、消費者団体あるいは消費者運動の活性化についても御指摘いただいたところでございます。特にこれは日本だけではないという御指摘もあったのですが、若い世代が消費者団体に関わらないようになってきているという状況の中で、若者にも消費者問題について関心を持ってもらい、積極的に発言をするような、そういう情報提供や交流の場をどうやって確保していくのかということ、若者は今後の社会を築いていく重要な存在ですから、それは大きな課題であると思いました。

ただ、個別の消費者団体というだけではなくて、いろいろな形での活動も広がっているという御紹介もあったところです。そのような例も参考にしながら、何ができるのかを検討していくことが重要であると感じました。

7つ目に、地方消費者行政の体制整備やその強化ということについても、指摘していただいたところでございます。財政支援にしても、期間限定で出したら終わりというものではなく、継続的に支援する仕組みが必要なのではないかということ、あるいは、消費生活相談員の体制充実のための方策についても御指摘を頂いたところでございます。

8番目に、消費者と事業者の共創の実現について、特にACAP様からいろいろな形で御指摘を頂きました。これについては、双方向のコミュニケーションを持続するような環境整備、事業者における消費者志向経営推進の取組の充実をどうやって支援していくのかということで、本日も、幾つか、具体的な知恵というか、こういうことが考えられるのではないかという意見交換がありましたが、効果的な支援づくりについて、更に検討する必要があるという御指摘だったと思います。

様々なステークホルダーのコミュニケーションが大切であって、消費者教育も含めて、消費者、事業者、行政の連携の一層の推進が重要だということも、御指摘を頂いたところです。

今、触れなかったところについても、御議論等があったと思いますけれども、あまりまとめが長くなると申し訳ありませんので、これぐらいにしたいと思います。

さらに、最後に一言、冒頭の主婦連様の御発表において、消費者委員会に期待することとして、委員会創設時の理念の継承、理念をしっかり押さえるようにとの御意見を頂き、委員会として受け止めさせていただきました。

次期消費者基本計画の策定に向けた消費者委員会意見を取りまとめるに当たっては、本日頂戴した御意見を踏まえ、また、来月以降も消費者団体や関係団体の皆様との意見交換を開催して、より多くの消費者の声が反映されたような形で意見を委員会から発出できるよう、調査審議を進めてまいりたいと思います。

本日御出席いただいた皆様からは、大変貴重な御意見を頂き、また、質問に対して対応いただきまして、ありがとうございました。消費者委員会を代表しまして、厚く御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。


《3. 閉会》

○鹿野委員長 それでは、以上をもちまして、本日の会議は終了したいと思いますが、事務局から何かございますか。ないですか。

それでは、皆様、どうもありがとうございました。

(以上)