第415回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年11月8日(水)10:00~11:32

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、中田委員、星野委員
    (テレビ会議)今村委員、柿沼委員、原田委員
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 委員からのプレゼンテーション③
  2. 消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の設置について
  3. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日も御参集いただき、ありがとうございます。

ただいまから、第415回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、小野委員、中田委員、星野委員、そして私、鹿野が会議室にて出席しております。

今村委員、柿沼委員、原田委員がテレビ会議システムにおいて出席されております。

大澤委員、山本委員は、本日、御欠席ということです。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。


《2. 委員からのプレゼンテーション》

○鹿野委員長 本日、最初は委員からのプレゼンテーションです。前々回、前回とそれぞれ3名の委員に、御自身の専門分野や関心事項等についてプレゼンテーションをしていただきました。

本日は、その最終回になります。本日は、今村委員、小野委員、中田委員の3名に御発表をお願いしております。それぞれ15分程度で御発表いただき、全ての発表が終了したところで、全体としての質疑応答、意見交換の時間を約25分程度取らせていただきたいと思います。

それでは、まず、最初に今村委員、お願いします。

○今村委員 では、発表を始めさせていただきます。奈良医大の今村です。

消費者委員会での関心事項というか問題点について、私は食品問題を中心にお話をさせていただきたいと思っていまして、特に食品の機能と安全性の問題について、話をしていきたいと思います。

まず、自分の経歴を少し共有させてもらおうと思うのですが、私、大変変わった経歴を持っていまして、まず普通に、最初は医者を5年ぐらいやっていたのですけれども、その後、厚生省で10年ぐらい役人をやっていまして、その後、東大病院で病院の経営をやって、15年ほど前から奈良医大で公衆衛生をやっております。

私、大変な事件屋でございまして、私が担当すると事件が起きるのです。例えば、救命センターですと、私が当直すると救急車が2倍ですし、今まで主だった食品の事件というのは、ほとんど経験があるのです。例えば、文部省のとき、O157事件というのが給食で起こっておりますし、このときは、阪神・淡路大震災などもあって、そのほか、薬害エイズの和解などもさせていただきまして、食品で、保健所長も3年ぐらいやっていまして、そして、厚生省で食品保健の担当と、このとき特に表示は、自分が担当していたもので、アレルギー表示とか、遺伝子組換え食品の表示とかというのは、私が担当しました。

そのほか、様々な食品事件のその後の処理、例えば、カネミ油症事件とか、森永ヒ素ミルク事件とかの事後対応をやっておりましたし、この間、たくさんの被告もやっておりましたので、事件が起こった後、どんなことが起きるかということをよく知っている人であります。

その上で、食品にずっと今まで関わってきたわけですけれども、この食品のリスクということを世の中が忘れてしまっているということに、私は大変な危惧を持っています。例えば、トウモロコシは何で食べて安全かと、皆さん、考えたことがあるでしょうか。

これは、食べて安全だという保障などは全くないのです。1000年間食べてきて、死んだ人が少なかったからという理由以上のものは何もないです。

普段食べているもの、例えば、タマネギは、普通の人は5個を生で食べたら死ぬ量、LD50という量になるのです。ジャガイモの青芽とか、毒だということは、皆さん御存じと思いますけれども、どれぐらいで致死量か御存じないと思うので、男爵イモだと大体5個ぐらいでLD50、致死量になると思います。

タマネギ5個と、ジャガイモ5個なんて冷蔵庫に普通に入っているものですから、冷蔵庫に入っているもので2人殺せるというものだと思います。

特にタマネギなどは、犬が食べたら死にますので、犬が食べて死ぬようなものを我々は食べているということが前提なのですね。

そのほか、社会をにぎわしていた内分泌撹乱物質というのは、大変な問題ですけれども、内分泌撹乱作用だと、大豆のほうがよっぽど強いです。ですから、大豆に含まれているイソフラボンというのは、エストロゲン作用そのものですから、豆腐を食べる勇気があれば、内分泌撹乱作用を恐れる理由はないように思います。

それとか、コーヒーも皆さん飲んでいますけれども、あれは結構毒性が強いです。それは、初めて飲んだときに夜眠れなくなった人も多いと思いますし、コーヒーを飲んだら胃が荒れるという人も多いと思います。

そういうものを普段食べていて、これが食品のリスクで、非常にリスクのあるものを食べていることを知っていただく必要がある。

その中で、特に今日は健康食品に関する部分なのですけれども、食べて誰でも健康になるような食品なんてないのに、健康食品として世の中に売られているということに非常に危惧を覚えます。

今日の話というのは、健康食品を中心にしますので、食品表示の話なのですけれども、この食品表示は、2015年に制度が変わって食品表示法という一本化された法律になっています。

すると、それまでどうだったかというと、まず、食品衛生法、食品の安全の確保の意味で表示していただく部分と、JAS法、食品の品質保証のために表示していただく部分と、そして、栄養機能として健康増進のために書く部分と、この3つが重なっていて、この3つがばらばらの法律なのがややこしいということで、この食品表示法に一本化されて、消費者庁に、この法律の所管が譲られ、そして、その監視を消費者委員会が預かっているという関係だと思います。

ただ、あくまで表示というのは表面に出てくるもので、要するに食品衛生法にしろ、JAS法にしろ、そこで規格基準が決まって、その最終方法としての保存方法とかを表示するという関係で、規格基準とは、もともと切っても切れないようなものだと思います。

これが最終的な表示ですけれども、1枚の中に原材料表示というJAS表示があったり、アレルギー表示で大豆を含んだり、遺伝子組換えが入っているかどうかとか、そういう表示が一手に入っていて、見る人は一本化できるようになっていると。その中でも、安全に係る部分の特化したものとしては、アレルギー表示などが代表的だと。

その上で、ここに健康に良いとか、血圧の高めの方にというのを書ける、書けないというところが、今日の話の本質なのですけれども、食品の中でそういう健康機能が書ける食品のことを、保健機能食品といいます。

それで、実際に血圧が下がると書いてしまうと、それは、効能そのものなので、医薬品とか医薬部外品、薬事法の世界に入っていきます。

それに対して、病気に効きますということではなくて、一般の食品の中で血圧の高めの方に向いていますとかというのは、この特定保健用食品という世界に入っていきます。

そのほかに、栄養機能食品、機能性表示食品というこの3つの概念があります。

これをもう少し深掘りさせてもらいますと、トクホと言われているものですけれども、これは国が審査を行って、消費者庁長官が許可する。今、国の審査は、この消費者委員会でも行われていますけれども、この審査が行われて、コレステロールの吸収を抑えるということの科学的根拠の確認を国がしているものです。

栄養機能食品で、例えば、ビタミンなど、誰でも効能の知っているものについては、自由に書いていいですよということが、栄養機能食品の主なもので、今日大きな問題として考えているのは、この機能性表示食品です。これは事業者の責任で科学的根拠があると思ったら書けるというもので、消費者庁長官の個別の許可を受けるのではなくて、届出でいいというものなのです。

トクホの場合は、許可を得るもので、この機能性表示食品は、自分で証拠を揃えたと思えば、届出でいいというものなのです。

医薬品とトクホの関係を横に並べてみると、効能のあるものは医薬品、効能に近いもので国が審査するものはトクホです。

今日お話しするのは、この機能性表示食品と、いわゆる健康食品、届出のないもので健康食品として売られているもの、ダイエットに最適とかというのは健康食品なのです。

その上で、今日2つ問題提起をさせてもらいたいと思っているのですけれども、1つは、いわゆる健康食品による健康被害、もう1つは、この機能性表示食品、今から7年ほど前につくられた新しい制度ですけれども、これが世の中に罪悪があるのではないかという問題提起です。

それで、まず、いわゆる健康食品の健康被害ですけれども、健康被害が後を絶たないと考えています。

一つは、買った人の理解不足でたくさん食べてしまうということがあると思うのですけれども、いや、そうではなくて、本来、普通に食べても毒性があるものが健康食品として売られているという実態があります。

そもそも誰もが食べて健康になる食品というのはありませんで、カルシウムを例に取りますと、カルシウムが日本人全体で不足しているので、カルシウムは一般的に健康食品として売られていますけれども、カルシウムを十分に摂っている人にとっては、カルシウムの追加摂取は過剰摂取でしかないのです。ですから、全てが役に立つような健康食品というのはないのです。

特に健康食品として売られているダイエット食品、痩せることを効能としていますけれども、一般の生物に何もせずに何かを食べて体重が減るという現象を、我々医学界では、それは毒物と呼んでいるものなのです。ですから、何もせずに体重が落ちるというのは、生物にとっては毒性なのですよ。

というような中で、この健康食品と言われているものの中には、毒性のあるものが結構あります。消費者保護の観点から見ても、この毒性による健康被害が多発していることを懸念しますし、実際にもう多く起こってしまっていることで、これをどうやって防いでいくのかというのは、大きな問題点だと思っています。

もう一つ、機能性表示食品が、2015年に新設されて、効果がある証拠を企業が提示すれば、食への表示が許される。これは許可ではなくて届出です。この効果がある証拠は極めて怪しいものが含まれていて、疑念が多々残ります。

実際にトクホで審査が通らなかった食品で、機能性表示食品として販売されているものもあって、それでいいのですかということを問い掛けたいと思っています。

さらに、効能があるかどうかということの証拠も怪しいのですけれども、有害かどうかという証拠も怪しいのです。すなわち効能があれば、それはすぐに有害になるということを意味します。血圧の薬は、血圧が高い人が飲むというのは、お医者さんの管理の下で飲むから安全に飲めるのですけれども、例えば、血圧を下げる効能があるということであれば、低血圧の人には間違いなく有害なのです。それだけでなく、効能には個人差があって、効く人、効かない人がいるということです。高めの人でも、効能が効き過ぎて血圧を下げ過ぎるというのは、医薬品の世界では当たり前にあります。

効能をうたう以上は、用量に合わせた安全性の評価がなされている必要があるのですけれども、事実上、機能性表示食品にはそれがないのです。ですから、どんな健康被害が起こっているかというのは、誰も把握できていない状況があると思います。

少なくとも特定保健用食品では、効果と安全性と両方とも見てきた経緯があります。ただ、トクホは書類作成が煩雑だということで、承認に時間がかかることで人気がどんどんなくなっていて、今、新規申請というのは、ほんの少ししかない状態です。

それに対して、この効果、安全性が不安定な機能性表示食品というのはどんどん増えていって、もう何千何万というオーダーになりつつあります。

これは、効能、安全性を一定程度国が保障しているものから、企業側の科学的知識と良心に委ねられる食品に移行しているということで、ほとんどの企業は良心的にやっているのだと思うのですけれども、全ての企業が良心的とは言えないのです。社会全体を見れば、5パーセントぐらいの方は、相当良心に呵責を感じない人がいる可能性がありまして、1万あれば、500ぐらいはそういうのが出てくるということです。これが、消費者被害の大きなものを生むのではないかということを懸念しています。

私としては、消費者委員会で今後テーマとして、健康食品による健康被害の詳細な紹介を、是非していただきたいと思います。実際に健康被害があるということであれば、保健所に通知してもらって、保健所で食品事件として対応しているはずなので、それがどれぐらいあって、どんな対応を保健所がしたかというのは、是非教えてもらいたい。

また、保健所の対応が難しいケースが多々あると思うのですけれども、その問題点を洗い出すということと、本当にこのままでいいのかということの検討をしていただきたいと思います。

もう一つ、トクホから機能性表示食品に食品業界が移行しつつありますので、その実態把握と問題点の検討を、是非してほしいと思います。

特にトクホで審査が承認されていなかったようなもので、機能性表示食品として流通している食品が結構ありますので、そういったものの現在の動向を教えてもらいたいと思いますし、また、ミカンなどが、普通のミカンが機能性表示食品として売られているという状況があって、これは、優良誤認の可能性がありますねということがあります。

いずれにしろ、機能性表示食品は、このままで本当にいいのですかということは、是非御検討いただきたいと思います。

あと、ここの資料には出していないのですけれども、来年4月から厚生省の食品の基準審査課が消費者庁に移るということを聞いています。私はここにものすごく疑念を持っていて、もともと食品の基準と監視というのは厚生省が持っていた。その中で、今回、感染症の機能強化のためにこれをするという話なのですが、O157もノロも感染症の面が非常に強いです。例えば、ノロなどですと、ウイルス感染症そのものです。あれは食中毒として扱われますけれども、人から人に移って行くので、対策はほとんどインフルエンザとかと変わらないものだと思いますし、O157などは、感染症でいうと3類感染症、コロナは2類と5類ですけれども、その間の感染症というものを、それをわざわざ厚生省から抜き取って、消費者庁に持っていって2つに分けるということにものすごい疑念を持ちますし、基準と監視を分けることのデメリット、特に微生物に関しては、それが強く出ることを懸念しています。

そういったことも、今後、消費者委員会で考えていただければと思います。

今村からの発表は以上です。御清聴ありがとうございました。

○鹿野委員長 今村委員、ありがとうございました。

それでは、続きまして、小野委員、よろしくお願いします。

○小野委員 小野でございます。資料の共有をさせていただきます。

私の問題関心といたしまして、まず、消費者教育、そして支援の必要な消費者とは誰か、続きまして、地域社会におけるサポートの体制の大切さですとか、金融経済教育についてお話をさせていただきます。

消費者教育のターニングポイントとしまして、2000年以降で弾みとなったものが3つあるかと思いますが、まず2004年です。消費者保護基本法から消費者基本法へ改正をしたところで、法律の上でも消費者教育を受けることは消費者の権利の1つであるということが明記されています。

また、2012年の消費者教育推進法を受けまして、消費者は保護されるだけの立場から自立して、そして主体的に消費者市民社会へ参画をするということが確認されたと思います。

さらに、民法の改正に伴いまして、成年年齢の引下げを契機に、18歳になる前の高校2年生までに家庭科や公民科などの授業で消費者教育が実施されるようになっております。

消費者庁の消費者教育推進会議では、消費者力を3つで整理しておりまして、1つ目が、消費者自身が実践する力ということで気付く力、断る力、相談する力。2つ目が周囲をサポートする力ということで気付く力、そして働き掛ける力です。最後に、社会へ働き掛ける力という意味で言いますと、参画とか協働といったものも目指されているところでございます。

今日では、だまされないとか、賢い消費者になるためだけの消費者教育では、余りに狭い意味で捉えられるということで、主体的に課題解決のために行動を取ることができる消費者、そして、自らの行動がどのようなインパクトを社会に与え得るかを具体的にイメージができる、そんな学習のカリキュラムが充実してきており、知識だけではなくて、知恵あるいは技術や行動へのつながりも大切になるということです。

一方で、届けたい人に届かないというジレンマも、消費者教育、消費者行政全般に言えると思いますが、それについて、少し次のスライドで説明いたします。

消費者の中には、いろいろな方がいらっしゃるわけですけれども、消費生活に課題を抱える人々を指す用語といたしまして、国内外の消費者政策では、被害に遭いやすい消費者である脆弱な消費者について議論をされ、その合理的配慮が求められているところです。

また、脆弱な消費者としましては、子供や高齢者、障害者、外国人労働者とその家族などが挙げられるかと思いますが、一方で、消費者が特定の文脈・状況・環境において有する状況的脆弱性の概念に着目をした議論というのもございます。

私自身は、判断能力に問題があり、何らかの消費者トラブルを抱える判断不十分者の中でも、高齢期などの特定のライフステージに限定はされない、生涯を通じて、日常的な見守りなどの支援が必要な知的障害などのある要支援消費者を中心に検討をしているわけですけれども、これは私自身が、貸金業法が改正される前から、多重債務を抱えていたり、生活保護を受けていたり、母子世帯である方々向けの金銭管理に関する講座をお引き受けしていたという背景がございます。

仲間たちと講座をやってみて、反省をして、そして、次に向けた実践を繰り返していたわけですけれども、同じ内容の講座を実施していましても、異なる反応があったりとか、あるいは効果があったり、なかったりということがどうして起こるのかをよく議論したものでございます。

その中で、やはり足りなかったのは、受け取る力に見合った内容をお届けするという基本的なところが抜けていたということがよく分かりまして、ある意味、シンプルなことなのでございますけれども、そういったところでの改善を図りながらの取組を重ねてきました。例えば、軽度の知的障害のある方にお金との付き合い方を支援している社会福祉士の方にいろいろ教えていただく中で、自分自身もそういった講座を担当させてもらったり、あるいは特別支援学校に出向いて講座をさせてもらったり、あるいはコンテンツを開発したりと。そして、また、ニーズを探るために全国の特別支援学校の調査を実際に実施したりして、今日に至っております。

消費者白書を見ますと、判断能力に課題があって、日常的に何らかの消費者トラブルを抱える判断不十分者には、認知症の高齢者、障害のあると思われる消費者が含まれるわけですが、障害者等というくくりで見た場合、消費生活相談は、2022年に2万3,417件寄せられております。

また、特徴的なのは、一般的に相談全体で見ると、約8割の人は御本人が相談を寄せているのに対しまして、障害者等にカテゴライズされる方々の場合は約4割に、御自身での相談がとどまっているということでございますので、家族や地域の見守りをする人が相談につなげていることが分かります。相談内容も、一般的な相談と変わりありませんで、借金に関わるもの、あるいは出会い系サイトに関わるものなどが報告されております。

私自身も少し前になりますけれども、白書に報告されている以上のところを確認したくて、国民生活センターに法人文書の開示請求をいたしまして、件名と内容等キーワードというものに心身障害者関連、そして、判断不十分者契約という2つのキーワードが登録されている相談情報を分析しました。そうしますと、借金問題に関する相談が全体の3割を占めておりましたし、スマホやネットを契機にした相談は7割を占めておりました。

また、消費生活相談をする場合、割合もやはり3割程度ということを確認できました一方で、親を心配する子供が19.2パーセント、子供を心配する親も19.1パーセントとほぼ同じ割合で相談をしていたり、あるいは福祉サービスなど関係者も11パーセントで1割いたということですので、このことからも、障害のある当事者の消費者トラブルの解決には、その子供の世代と親世代、そして福祉サービスの関係者との連携が大切になるということを確認いたしました。

こうした状況を受けまして、大切になりますのは、やはり当事者の消費者トラブルを、いかに早期解決を図るかということですが、予防的支援としまして、やはり消費者教育も併せて求められると思います。

消費者教育の地域における拠点には消費生活センターがあります。特別支援学校の生徒が高等部を卒業して地域で暮らし続けるためにも重要となります。例えば、センターの活用ということでのメリットであるとか、そもそもどのようにして利用するのかといった具体的な紹介といった働き掛けをしていただいたり、あるいは就労や社会福祉の領域との連携を試みていただくというのも方法かなと思います。

学校側にとりましても、卒業を見据えた就労と社会福祉の関連機関に加えまして、やはり消費生活に関する機関として、連携先の1つにセンターを加えていただくということが、包括的な支援には大切だと思っております。

地方の消費者行政の体制整備に向けまして、消費者安全確保地域協議会が置かれるようになっておりますが、確認をさせていただきたいのは配慮を要する消費者には高齢者だけではなく、障害者も含まれるということでございます。

また、厚生労働省による重層的支援体制整備事業の相談支援には、消費者相談も含まれています。生活困窮者自立支援制度などが活用され、消費者安全確保地域協議会の対象者と重なっております。

また、社協の日常生活自立支援事業では、金銭管理支援も行われています。専門員からは、体調によってお金の使い方に波があること、ストレスで散財傾向にある当事者への対応や、キャッシュレス決済に伴う支援の困難さなどを伝え聞いております。

最後に、金融経済教育についても触れさせていただきます。

高校では、2022年度から新しい学習指導要領に基づく教科書が用いられておりまして、私自身も教科書を執筆しておりますが、キャッシュレス決済の比率が高まる中、家庭科でも金融経済教育の取扱いというものが注目されているところです。

高校生にキャッシュレス決済の普及に伴って生じる課題を聞いたりとか、あるいは地方都市部におきまして、行政担当者にヒアリングを重ねているわけですけれども、やはりネット通販の広がり、それから、コロナ禍のこともありまして生活様式の変化に伴いまして、キャッシュレス決済の促進が社会に与える影響というのは大きいと思います。

金融庁による金融商品取引法等の一部を改正する法律案につきまして、第24回金融審議会市場制度ワーキング・グループの事務局説明資料を見ますと、金融経済教育推進機構の概要としまして、金融庁や金融広報委員会に加えて民間団体の参画もイメージされています。

金融リテラシーの向上のための国家戦略で実績のあるエストニア共和国に出向いて、行政担当者や研究者にヒアリングいたしましたところ、日本と人口の規模も社会的な背景も異なりますので、単純な比較などはできませんけれども、かなり丁寧に、消費者を中心に、家庭、学校、そして行政機関、関連する業界団体との連携がなされており、また、その重要性という認識が共有されています。

また、連携先の1つである銀行の担当者へのインタビューでは、国家戦略に基づく役割分担の範囲内で活動しているというお話が大変印象的でした。申し上げたいのは、こういった業界団体の関わり方でございます。2013年の4月に金融庁がまとめました金融経済教育研究会の報告書には、金融経済教育の推進に当たりまして、業界団体、各金融機関等は重要な担い手であり、積極的な取組が引き続き期待される。他方、業界団体、各金融機関等による取組は、販売推奨との境目が不明確であるといった指摘がございます。

同報告書を受けまして、金融広報中央委員会に設置されました金融経済教育推進会議では、金融経済教育に関する議論が継続されているところです。

金融経済教育推進機構の構想を契機としまして、国民の金融リテラシーの向上を目指した国家戦略を検討し、その内容と参画の在り方についての議論が求められると考えております。

私からの報告は以上でございます。

○鹿野委員長 小野委員、ありがとうございました。

続きまして、中田委員、よろしくお願いします。

○中田委員 よろしくお願いいたします。委員の中田です。

ここまで、委員の皆様より、それぞれの御専門分野のお話と、今、正に取り組むべき様々な消費者問題の概要を伺ってきましたが、私からは少し目線を変えて、消費者問題の課題解決に向けて、消費者や企業の担当者をどのように巻き込んでいけるか、コミュニケーションの観点からお話をさせていただきます。

具体的には、消費者が消費者問題を自分ごととして考え、主体的な行動を可能にする一人一人の心に確実に届くコミュニケーションの在り方、共感力のあるコミュニケーションについてが私の関心事です。

まず、私は企業のマーケティングに携わってきた経験が長いのですが、消費者委員会委員の1人である以前に、私自身も日常生活で買い物をする一消費者としての目線と、商品やサービスを販売する企業のマーケターとしての目線を大事にしています。

その上で、今回消費者委員会委員に任命いただいたことで、改めて、関連情報をネットで検索したところ、この委員会や消費者庁、国民生活センターや自治体のサイトなどに、消費者トラブルの内容や注意喚起、困った場合の問い合わせ先の情報が豊富に掲載されているということに気が付きました。

また、それぞれの会議体では、将来のリスクに備えた深い議論が継続されているという認識も新たにいたしました。

ただ、残念なことに、不勉強であると言ってしまえばそれまでなのですが、消費者問題が大きな社会問題として報道されたとき以外、私自身、注意喚起情報に今まで積極的に接してはいませんでした。

消費者の皆さんが消費者問題に直面するときは、多分ほとんど1人でいらっしゃるときだと思います。そのような有事の状況下で、冷静に行動するためには、事前に誰でもそのような問題に直面するリスクがあることを認識していただいて、万が一そのようなトラブルに直面した場合でも、取れるアクションや選択肢が十分あるということを認識しておく必要があります。

消費者行政の資源も限られている状況下で、消費者問題を一人一人が自分ごととして捉えて行動できるためのコミュニケーションの一層の工夫や強化、こちらは待ったなしではないかと思います。

まず、簡単に私たちの生活環境を振り返ってみたいと思います。世の中は、魅力的な情報であふれています。

しかし、私たちが情報を友人あるいは知人との会話以外では、テレビや新聞などのメディア、そして、今、圧倒的に多くの情報は、皆さんがいつも手元に携帯されているカードサイズの小さな液晶画面のスマートフォンやPC、タブロイドから入手しています。

ただ、必ずしも消費者が必要とする情報が満遍なく入ってくるわけではありません。インターネットの検索サイトが提供するアルゴリズムで、泡ですね、バブルに包まれたように、自身の関心が顕在化している一定の情報しか画面に表示されなくなるという特性もあるため、必要な注意喚起情報がスマートフォンに表示される確率は、実際はとても低いです。

また、スマートフォンは若い方だけが使っているわけではなく、私自身も80歳を超えた母とのやり取りも、スマートフォン上のプラットフォームを使っており、高齢者の方もその使い勝手の良さから、デジタルプラットフォームを使われている好奇心旺盛な方も増えていると思います。

御存じの方も多いと思いますが、世界最高齢のプログラマーは、今、88歳になられた日本人の若宮正子さんという方で、年齢を問わず、ライフスタイルの違いで、デジタルリテラシーにも差が生じているのが現状です。

ただ傾向としては、シニア層の方に従来の情報入手手段へのこだわりのある方や、デジタルツールにどうしても馴染めないという苦手意識をお持ちの方も多いのも現実です。

ただ、それも多分デジタルの過渡期で、将来的にはデジタルを使っているという意識を感じないほどユーザビリティの良いデジタル利用環境ができてくるのではないかと期待しています。

博報堂DYメディアパートナーズが実施した、こちらは東京都在住の15歳から69歳の男女を対象にしたメディア定点調査、2023年版なのですが、1日24時間の情報入手元をデバイス別で見ると、過去17年で、このピンクとオレンジと赤のパソコン、タブレット端末、携帯/スマホを見ている時間が年々急増していて、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌という従来の4媒体を見ている時間が徐々に減っています。

スマホやパソコン、タブレットを介してどのように効果的に情報を届けるかということが、より重要になってきています。

情報インフラ環境の変化以外でも、こちらの画像を見ていただいたとおり、消費者の生活スタイルの多様化、広域化が進む中で、消費者保護、安全確保、啓蒙に必要な情報は、必要とする消費者に本当に満遍なく届いているのかと、改めて問いたいと思います。

こちらを見ていただくと、例えば若い方、結構多くの方が耳にイヤホンをして歩いているので、本当に自身が意図的に求めている情報しか入ってきていない。動き回るお子さんから片時も目を離せないお母さんがいらっしゃったり、実際、街中には旅行者以外の在日外国人の方も増えています。

前回の本会議の原田委員の発表にもありましたが、消費者と企業のシンプルな情報の非対称性以上に、消費者問題の主役である消費者像の概念の再定義、消費者が実際にどのような生活環境で、どのような意識を持って生活しているかを改めて俯瞰の鳥の目だけではなくて、虫の目、魚の目で検証し、意識することも課題解決には不可欠になっています。

もちろん、消費者庁や国民生活センター、地方自治体、そして消費者委員会からも情報発信は適宜行われております。ストック情報も豊富で、ここに被害を未然に防ぐタイムリーな情報を積極的に取りに来る方も大勢いらっしゃると思います。

ただ一方で、本当に多くの消費者は、毎日忙しい生活を送っていらっしゃいます。もちろん掲載されている情報を消費者問題の専門家の方や、課題感を強く抱いている方は、常に御覧になっていると思いますが、いつ起こるか分からないトラブルに備えて、このようなサイトを自ら検索してくる生活者は、残念ながら多くはないというのが現実だと思います。

そして、そんな忙しく生活している国民に、どのように満遍なくタイムリーな情報を届けるか、ここが課題です。

もう一つの現実は人間の持つバイアスです。被害に遭われてしまった方のニュースを報道で見ても、自分だけは大丈夫という認知バイアスは多くの方に強くあるため、無意識にトラブルを過小評価してしまうことがあります。

情報に接していても、例えば、おいしいパン屋さんの話題とか、もうかる話など、より魅力的に感じられる情報には人々のアテンションは行きがちですけれども、これは、山本委員のプレゼンテーションのアテンション・エコノミーというお話もありましたが、情報が1つの関心事のほうに流れていってしまうという状況があります。

私たち委員会を始め、啓発を進める機関が専門用語を駆使して、最新の価値ある情報を日々情報発信して伝えていると思っていても、それを受け取る消費者の皆さんが、この情報をしっかり受け止め、咀嚼しましたと感じる状態とは、往々にしてギャップがあるということを意識する必要があります。

そして、何かが起こってしまった有事に対応策を伝えようとしても遅いということです。重要なのは平時のコミュニケーションで、有事への備えや、有事にパニックに陥らずに、二次災害に陥らないための冷静な思考とアクションを可能にする知識が浸透していることです。

このフロー図は、AIDMAと言って御存じの方も多いと思いますけれども、1920年代にアメリカのサミュエル・ローランド氏という方によって提唱された、人々の商品やサービスの購買決定プロセスのフレームワークですが、これは、商品やサービスの購入時だけではなくて、消費者トラブルに備えるための気付きやマインドを浸透させて、望ましい行動に導くときの心理状態の変化フローにも適用できると思います。

一番右の購入というアクションに至るまで、まずは情報の洪水の中で、1つの商品に対して気付いてもらって、関心を持ってもらって、実際にもっと知りたいという欲求を強めてもらって、頭の中に記憶されて、最後に行動というアクションに至ります。

これが少し変わって、ネットが普及した今では、AIDMAのフローが少し変化して、こちらは電通が提唱しているAISASというモデルなのですけれども、ネット検索とか共感・共有というアクションで、共感した情報が拡散されるという状況です。

このような戦略的なコミュニケーション設計は、企業では積極的に使われていますが、情報を受け取る消費者目線で見ると、企業からの情報と行政からの情報を区別して咀嚼しているわけではないので、消費者行政も情報の受け手である消費者の心理とか感情にまで思いをはせた上でコミュニケーションを行っていく必要があります。

直感的にお伝えすると、次のページの写真のように、盛りだくさんの情報を一度に見せられても食傷気味になるということもあると思う一方で、同じ伝えたいメッセージでも受け止める側が余裕を持って消化できるように、編集した情報の見せ方もあります。

消費者トラブルの注意喚起や情報は、こんな単純ではないと思われる方もいらっしゃると思いますが、次のページに参考になるような事例もあります。

これは、警視庁の警備部災害対策課の旧Twitter、Xで、開設10年で実は100万人のフォロワーがいる防災アカウントになっています。

Xでは、投稿内容に共感すると、フォロワーがいいねとクリックしてくれたり、リポストをして拡散してくれるので、それこそ何千万人もの国民が、この投稿をスマホで目にしていることになると思います。

よかったら一度警視庁のアカウントも御覧いただきたいのですが、災害用伝言ダイヤル、利用方法が分かりやすく何度も投稿されていて、これは消費者庁のホットラインの188(いやや、泣き寝入り!)番号の浸透にも効果が見込めると感じました。

画像や短尺動画、短い動画ですね、簡易な文章で書かれた身近な暮らしの知恵は、分かりやすく1日1回つぶやかれているのです。左は消火器に使用期限があるのですよということ、右側はペットボトルのランタンの応用方法です。

このペットボトルランタンは、実は最近放映された人気のテレビドラマの1シーンでもすごく象徴的に使われていました。

平時にこういったものを見ておくことによって、有事になったときに、こういった方法があったなということを考え付くことができると思います。

投稿には、警視庁ホームページに誘導するようなタイムリーな投稿もありました。そこから警視庁のホームページに行くと、文書とレイアウトがすごく目に優しく、より詳しく知りたい方はこちらで、詳しい情報も入手できるようになっているというコミュニケーションジャーニーになっています。

どうしてこんな厳格なイメージの組織、警視庁がこのような国民に寄り添ったコミュニケーションが可能になったのかと疑問に感じたところ、こんな記事に行き当たりました。

担当職員としての業務としての投稿というより、担当者一人一人が国民としての目線を持って、国民に共感してもらえるための工夫をされているということでした。

この事例は、たまたまネットとSNSを活用したコミュニケーションの例だと思いますが、同じように相手を慮るマインドを持って、例えば手に取りやすい冊子、テレビや新聞等の取材対応をしていただくことで、それをネットで見ていただく。もちろんテレビの報道で、NHKの報道で見ていただく、高齢者の方も御覧いただけると思いますし、あとは、例えば、伝えたい相手によっては、ワークショップを行ったり、セミナーを行ったり、ゲーミフィケーションを活用したり、少し影響力のある方と一緒にイベントを行うなど、様々なアプローチが可能だと思います。

次のページで、もちろん私たちが活用できるコミュニケーションはいろいろあります。

大事なことは、伝えたい相手がどんな人間かということをイメージした上でコミュニケーションをすることではないかと思います。

学生時代、ラブレターを書かれた方もいらっしゃると思いますが、相手に振り向いてもらうためには、相手がどんなことに興味がありそうか、どんなファッションが好きそうか、どんな生活をしているか、真剣に想像されたことと思います。

ですので、私たちが啓発したい、伝えたい相手に振り向いてもらうためには、どういうアクションが必要なのかということを考え、相手の気持ちや行動に思いをはせる必要があるかと思います。

消費者の保護の主役である消費者像の概念は、時代に合わせてアップデートされているかということも、定期的に見直すことも重要です。コミュニケーションの相手をより深く知り、意識することで、より共感を感じてもらえるコミュニケーションに近付くのではないかと思います。

最後に消費者問題には、現状以上に企業の業務執行担当者の巻き込みも必要であると思います。

私自身、事業会社のマーケティング担当をしておりましたが、消費者保護については、どちらかというと、法務担当者に法律改正に伴うアクションを促されて対応するという受け身の対応であったことを深く反省しております。

消費者保護と事業の成長を両立させるためには、どのようにしたら良いのかとともに議論をしていく必要があると思います。

以上が私の関心事です。消費者の脆弱性が問題視されていますが、消費者行政のリソースが有限である状況下で、消費者はデリケートで脆弱である一方で、消費者が自ら問題を回避して、課題を解決できるようにエンパワーされていくことが重要だと思います。

そのためには、消費者、事業者が、まず、消費者問題が社会のどこかで起こっている事件ではなくて、自分ごととして捉え、自ら行動を考えることができるように消費者行政がより効果的に促すことで、消費者が安全・安心な消費生活を送ることが可能になると思います。私自身も微力ながら努力をしていきたいと思います。

以上、御清聴ありがとうございました。

○鹿野委員長 中田委員、ありがとうございました。

以上で本日の3名の委員からの発表が終了しました。これより、全体を通しての質疑応答と意見交換をしたいと思います。25分程度と言っておりましたが、少し時間が押しておりまして、11時15分頃までを目処に議論をしたいと思います。

それでは、質問等いかがでしょうか。

星野委員、お願いします。

○星野委員 3委員の御発表ありがとうございました。非常に勉強になりました。

まず、今村委員、私も非常に食品表示に関して関心を持っておりまして、統計学をやっていることもございますが、トクホと機能性表示食品の誤認みたいなものは、結構あるのではないかと思っておりまして、理解度とか認知度とか、例えば、国が認可をしているとか、国が許諾を与えているみたいなものは、どうなのかとかと聞くと、もしかしたら機能性表示食品も、消費者はそのように誤認する可能性は結構あると思うのですけれども、例えば、そういった誤認に関する研究とかは、今村委員は御存じかどうか、お教えいただきたいなということ。

あと、基本的には、科学的な根拠を持って、例えば、GABAとか、特定の商材とかを申し上げましたけれども、例えばそういったものに関しての研究レビューとか、そういったものを用いて、機能があるのだということを、例えば表示するみたいなことがございますが、かなりエビデンスのシステマティックレビューみたいなものに関して、どういったエビデンスなのか、例えば、RCTがされているのかとか、対象者がどうなのかとか、そういったものに関して機能性表示食品とは、どのような形でそういった質の保障がされているのか、ちょっと勉強不足ですので、そういう点も教えていただければ幸いかと存じます。

○鹿野委員長 それでは、今村委員、お願いします。

○今村委員 ありがとうございます。核心を突く御質問を頂いて、大変感謝いたします。

まず、食品の誤認ですけれども、食品は表示部分以外に、表面に書かれている文字とか、あと、消費者の体験談とかがあって、ものすごく誤認しやすいように誘導されているという現状があると思います。

表示の部分は、嘘を書いてはいけないのですけれども、それ以外の部分は、限りなく嘘に近いことも書かれています。例えば、健康食品などですと、体験談というのは、1万人に1人が体験したことでも体験談としては書けるわけで、そういう優良誤認に誘導されていて、よくあるのが、例えば、ある食品を食べて半分の人が痩せましたと言ったら、それは、ごく自然な発生確率なのですね。体重を量るたびに増える人と減る人は半々ですから、そのようなことをあからさまに書かれているのです。それは効かないということだと、私は思うのですけれども、そうではないと取られてしまうように書かれているのです、ということが現状としてある。

それと、先ほどの機能性表示食品の証拠は、極めて脆弱なものが多いのです。GABAとかはRCTとかをされて、ある程度確認されているのですけれども、機能性表示食品の書類を見ていると、社内報に論文を載せましたとかというのがあって、いや、それは幾ら何でも駄目でしょうというレベルから、あと、商業誌に査読のない雑誌に出して、論文化していますということもあります。

自分のところで実験していると言っているのも、その実験のフレームが明らかに間違っているものもあって、それの検証ができていないのですね。その効果の検証でさえできていないのに、被害の検証などできているはずがないではないかというのが、私が最も危惧するところで、それは、消費者側からは全く見えないもので、安全なものが売られていると思っているのだけれども、実は非常に危険なものが売られている。

それに、先ほどのGABAのお話ですけれども、例えば、先ほどのミカンみたいな話は、本来ミカンにビタミンがありますというのは言っていいことだと思うのですけれども、GABAが入っているから健康に良いと機能性表示食品は書いていいのですよ。

それは、普通のミカンを売っているわけなのですけれども、それでいいのですかという優良誤認の面もあるので、その辺りのところが、この表示制度にたくさんの矛盾をはらんでいて、消費者被害もかなり生んでいるのではないかということを危惧している次第です。

お答えになっているでしょうか。

○星野委員 ありがとうございます。勉強になりました。

○鹿野委員長 ほかにいかがでしょうか。

星野委員、お願いします。

○星野委員 ないようですので、小野委員、中田委員の御発表に関しても、非常に重要かと思っておりまして、一点、これはコメントといってはあれですけれども、せっかく言っていただいていることに対してということはありますが、例えば、ファイナンシャル・リテラシー、それに関する研究は、結構膨大にあって、私も調べたことがありまして、メタ分析など、私が今手元にある資料で188個のメタ分析というのがありまして、いろいろな観点、例えば、ファイナンシャル・リテラシーがあることが、貯蓄行動に影響を与えるか、若い頃にそういったものをちゃんと理解している方が、将来ちゃんとお金を貯められたのかとか、あと、ローンで破産しなかったのかみたいな研究は、結構長期で追っているものがありまして、それを見ると、ことごとく実はあまりないという結果なのですね。

だから、消費者の知識も多分そういうことがあるかと思いまして、知識があるからといって、実際に問題に当たらないということではないというか、そこら辺がなかなか難しくて、もちろん法制度で守ったりするとかということも必要かという観点がございまして、伝えるということは非常に大事、そして教えることは大事なのですが、それと実際に問題にというのは少し別と思います。何かそこら辺に関しまして御意見がございましたら頂ければと思います。

○鹿野委員長 それでは、小野委員、お願いします。

○小野委員 星野委員、ありがとうございました。

専門家に聞くと、外国の人に聞いても一緒だなと思うのは、やはり知識があっても、それをスキルや行動、そういった習慣にまで落とし込まないと意味がないと。ですので、学校だけではなくて、生涯を通じて続けていかなくてはいけない取組なのだということをいつも気付かされるわけです。

したがいまして、教育効果を図るというよりは、やはりいろいろなところで、その知識を実際に使ってみる、経験をする場を用意するということが大切だと思います。

それから、消費者教育は、どちらかというと予防的な観点が大きいかと思っています。もちろん、それだけではないと思うのですが、何かあったときに、セーフティネットがないと、やはり失敗という経験もできないですね。そのために、やはり法律や制度も重要です。

消費者教育や法律、それから事後的な対応で特にサポートが必要な人になりますと、社会福祉との関わりも必要になりますので、やはり1つだけ取り上げて充実させればいいというわけではありません。ですので、やはりこういった取組は消費者庁だけではなくて、文部科学省も大切です。厚生労働省も必要になると思います。それから、金融教育ということになりますと、金融庁もあると思いますので、消費者委員会として、今後の金融経済教育の在り方についても、物を申していくという姿勢というのは大切かなと思っております。

すみません、お答えにはなっていないかもしれませんけれども、重要な御指摘だと受け止めております。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 3人の委員から大変興味深いお話を頂きました。

機能性表示食品の問題について、まず、今村委員にお尋ねなのですけれども、これは結局、景表法上の優良誤認になっていて、時々、今年の6月かな、1つ景表法上の措置命令が出たりとかもしているわけですけれども、機能性表示食品が、本来的に問題があるとすると、それは、そういう機能性表示食品について、消費者側がちゃんと理解して、賢い選択をするということについては、今のお話を聞いてもなかなか難しいと思うわけでして、そうすると、規制当局の側でこの番をするといいますか、機能性表示食品のうち問題のあるものについては、市場から排除するという形で対応するというシステムが、景表法以外はなかなかないのではないかなと思っているのですけれども、その辺りの制度のことについて、お尋ねしたいのが第1点です。これは今村委員です。

それから、小野委員のお話というのは、私の関心事と非常にかぶさっておりまして、脆弱な消費者の問題とか教育の問題ということで、非常に興味深く聞かせていただきました。

その中で、今、身元保証サービスの問題とかについても議論されているところがありますけれども、いわゆる脆弱な消費者について、もちろん御本人の選択の自由を確保するということは非常に必要だと思っていますけれども、同時に制度として、そういう人たちを保護、これはパターナリスティックではないかという議論が常にあるのですが、その辺りの制度として、おせっかい、例えば書かれていました消費者安全確保地域協議会とか、自立支援サポートの重層的支援体制整備事業は、行政が、ある意味、市民に関与していくというシステムなのですけれども、そういうところとの行政によるシステムとの関係ということについて、どのようにお考えなのかということについて、お話を頂ければと思います。

それから、中田委員のお話は、非常にそのとおりだと私は思っているのですけれども、これから2年間一緒にお仕事させていただく中で、消費者委員会の情報発信力というのは、非常に、こう言っては何ですけれども、今、傍聴者が一体何人いるのかと聞きたいぐらい乏しいと思っています。

だから非常に良い観点を教えていただきましたけれども、消費者委員会の今後の情報発信力というものについて、何かストラテジーといいますか、戦略的にこうしたらというのがあったら教えていただければと思います。

以上3点です。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 3名それぞれに対する御質問がありましたので、まずは、今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。機能性表示食品への対応の御質問をありがとうございます。

非常に難しいのですけれども、私はそもそもこの制度は間違っていると思っています。2015年に、強行に、これは内閣府のほうからぽんと降りてきて、つくらされた制度で、多くの反対、それは厚生省の反対だけではなくて、消費者からもかなり強い反対があった中でできた制度です。

当時は貿易摩擦の問題もあって、これを通さなければいけないという状況があってできた制度なので、非常に未成熟のまま突入しているというのが現状です。

だから逆に、景表法とかで引っ掛けない限りなかなか引っ掛けられないという、制度的に問題のあるものです。

何で反対したかというと、食品衛生法とかは、最低限保障をしているのです。最低限、ここから先は死にませんよ、大丈夫ですよというのを保障しているのですけれども、実はこの機能性表示食品は、そこを保障できていないのです。ですから、最低限保障をするような制度設計が、これをちゃんとフォローするようにしなくてはいけない。

先ほど星野委員から御質問いただいた証拠の健全性を確認できていないので、恐ろしく変なやつだけは引っ掛けていますけれども、この雑誌、ちょっと眉唾だなというのに載っていても、通さざるを得ないという状況があって、最低限、届出に出ているものについて、証拠の確実性を確認して却下できるようにするとかの制度変更が必要なのではないかなと思っていますし、できれば、やめてしまったほうがいいとは思ってはいるのですけれども、もう1万件以上出ていると思うので、もうそれは難しいかと思うので、そういう最低限保障をどうするかという話なのだと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、小野委員、お願いします。

○小野委員 御質問ありがとうございます。

地域で、サポートが必要な方たちの生活を安定的にしていくための仕事の在り方という感じでしょうか、そうなりますと、私自身がお手伝いをしているのは、当事者の方のサポートを仕事としてやっている方たちがお金を扱っていることについて、やはり保証というのでしょうか、善意でやったことが、逆に訴えられてしまうことにならないようなサポートが必要ではないかと考えます。

例えばなのですけれども、燃え尽きないといった労働意欲をそがないためだけではなくて、法律上のこともサポートできるように、それはお金だけではなくて、個人情報の話もそうなのですけれども、そういう枠組みを準備できるのは行政だけではないかと思っています。

そうした専門家が当事者のために仕事をするための枠組みづくりが必要だと思っていて、それは消費者行政だけではなくて、厚労省や金融庁とか、地域行政をつかさどる方たちのための、国ができる仕事の1つかなと思っています。

それから、社会福祉の領域の専門家の方たちからは、僕のお金を何でそんなふうに言われなくてはいけないのかという、せめぎ合いみたいなものはよく聞かれます。

やはり、御本人に問題であることに気付いていただくとか、あるいは職員の方が、この場合には、こうしたほうが良いという、ベストプラクティスを積み上げていって、そこから問題解決を図り、そして、社会の制度としていくという方法もあるのかなと思っております。

個人的に、社協のお手伝いとかもしていますけれども、是非そういった情報なども少しお伝えできたらなと思っています。

先日も、ある政令指定都市の障害者支援センターの金銭管理講座という講師をさせてもらったのですが、参加者は広報を見て、御自分で応募するスタイルでした。集まった15人の方は、7年前にも同じような講座をやりましたけれども、当時は大半の方に知的障害を伴う印象がありましたが、今回は知的障害がおありの方は1人か2人かなという感じで、あとは精神障害や発達障害の方が多かったです。つまり、認知的なところというよりは、事情が違っている実感があり、私も支援の必要な消費者の対象者像というのを、やはりアップデートしていかなくてはいけないと思っております。

いずれにしても現場で何が起こっているのか情報収集をし、それに基づいて、どんなベストプラクティスがあるのか、そしてどういったことが導き出されるのかというのを整理していくというのも大切かなと思います。

○鹿野委員長 それでは、中田委員、お願いします。

○中田委員 黒木委員、御質問ありがとうございます。

消費者委員会自体の情報発信力を強化していくためには、具体的には何があるかというお話ですけれども、例えば、今日オンラインで傍聴いただいている方がいらっしゃると思います。影響力のある方もいらっしゃると思いますので、是非皆さんに、こういったことが消費者委員会で今日話されていたということを御家族で話していただいたり、お友達に話していただいたりすることで、世の中の話題になっていくということも一つあると思います。

それと同時に、メディアの方も御参加いただいております。やはりメディアの方、テレビであり、新聞であり、雑誌であり、あと若い方にリーチするためにはオンラインメディアですね、その記者の方が御取材いただき、書いていただくことのレバレッジ効果というのは本当に大きいと思います。

あと、やはり私たち消費者委員会のメンバーの人数は限られておりますので、メディアを通じて、信憑性のある情報として伝えていくということは非常に大事だと思います。

その上で、どうしたらメディアの方、それから傍聴者の方に関心を持っていただけるかといったところは、実は今日、私、今村委員のお話を伺って、そこに大きなヒントがあると感じたのですが、今村委員の実際の事例、トウモロコシは幾つまで安全に食べられるのかとか、ミカンの機能性表示のお話でありますとか、日常の私たちの生活と消費者問題がリンクされたお話を頂いたので、すごく興味を持ちやすいということがございますので、私たちも今村委員に見習って、一般の方に、消費者の方に興味を持っていただけるような情報の伝え方という工夫もできるのではないかと思いました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

予定していた時間がかなり迫っているのですが、柿沼委員からお手が挙がっていましたので、柿沼委員から御質問を頂いて、その回答をもって、今日の議論はひとまず終わりということにさせていただきたいと思います。

それでは、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。

まず、今村委員ですが、普段食している素材でも、健康被害に結び付く場合があるとのことですが、危害性があるかどうかの判断は、消費者にとっては非常に難しいと思われます。

特に健康食品の安全性、有効性に対する消費者の認識不足によって、不適切な広告、表示の氾濫がしっかりと対応されていないことも、一要因かと思われます。

こちらについてなのですが、正しい情報が十分伝わらない原因の究明について調査などがされているのか、その結果が、もしもあれば、まず教えていただきたいと思います。

次に小野委員です。支援の必要な方に、地域社会におけるサポート体制について、なり手不足が問われていると思います。

金融経済教育の御研究でエストニアに行かれたとのことですが、地域のサポート面についても、何か知った機会などがおありでしたら、教えていただきたいと思います。

最後に中田委員です。10ページ目のスライド、消費者は日々とても忙しい、この言葉がまさしくと、本当に思います。

さらに、情報が大量に氾濫していく中から、常に消費者問題についてアンテナを張っている消費者はほとんどいないと思われますし、それを求めることは難しいと思われます。こちらに目を向ける方法などにつき、もしも何かヒントがあれば、御教示いただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 柿沼委員から3名それぞれに対して御質問がありました。

それでは、まず、今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。

リスコミについて、特に食品のリスコミについての御質問です。私、食品のリスコミも15年ぐらい研究してきていて、その難しさを痛感しているところです。正しい知識を伝えれば、それをやめるということでは全くないです。実際に食中毒などで言えば、レバーの生食とか、鳥わさとかは、もう明らかに健康被害が起こっているのは分かっているのです。

ですから、鳥わさなどを食べたら、3日以内に半分ぐらいの人は、何か体調が悪くなるのです。ということを説明しているわけですよ。うちの医学部の講義で、学生たちに説明をして、分かりましたと言っている人たちが、居酒屋に行ったら、現実には鳥わさを食べて、先生の言うとおりだったのですということを言ってくるわけです。

ですから、実際に食品は、食べるときの自分の食べたいという気持ちと、自分の科学的知識を天秤にかけたときに、自分の欲望が勝つという代物なのですよ。そういうことに対してのリスコミだということを、やはり我々も理解をして、そこにどう攻め込むかというような感じでいかないと、正しい知識を伝えられていないというレベルではなく、いかにその食行動を止めるかという概念で対応していかないと、止められないものだと思っています。

そういう意味で、ある程度国が最低限保障しているものを提供していかないといけないと思うのです。

表示に関しては、全部が消費者庁と消費者委員会に来ているので、やはりここが最後の歯止めのところだと理解しています。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

小野委員、お願いします。

○小野委員 エストニアでの担い手といいますか、金融教育を中心に、しかも学校教育を中心にヒアリングをしていましたので、限られた情報にはなりますけれども、少し印象的だったのは、消費者教育は、私がざっくり分けると、学校での教育と、それから社会教育に分けられると思いますが、印象的だったのは、高校生ぐらいの年代で学校から離れる若い方はヨーロッパでは多いです。

そうした方について、それでも、よりどころということで、地域の活動として、放課後に空いている学校を拠点に成人学級のようなものがあったりして、お金だけではなく、やはりIT立国でございますので、ネットを使って何かやるという、そういったカリキュラムがあると聞きました。その素材の一つとして金融教育を入れて、そして、それをサポートするような、その辺りはコミュニティワーカーが絡んでいるような事例でございますが、そんなことを伝え聞いております。

いずれにしても、そこに専門家がいるわけではなく、気付いた人がつなげていくということと、やはり民間の団体と知恵を出しながら地域でできる貢献を試みている姿が印象的でしたが、いずれにしても小さい国でございまして、みんなでわいわい何かやるというのが、文化としてあるのだということは、財務省の担当の方がおっしゃっていました。御参考までにと思います。

○鹿野委員長 それでは、中田委員、お願いします。

○中田委員 柿沼委員、ありがとうございます。

忙しい消費者に関心を持ってもらうためにという魔法はありません。ただ、やはり情報に複数回接触することです。同じ情報に、例えば、テレビでそういう報道を見ました。その後、例えば、行政の窓口に行ったときに注意喚起をされました。例えば、自治会のよく知っている方が、こういうことを話題にしていました。家族も話題にしていました。という形で、複数接触があることで、やはり自分の中の、先ほど星野委員のお話にもありましたけれども、知識が行動に移るということに徐々になっていくことがあり得ると思いますので、情報を多面的に発信し続けることが非常に大事ではないかと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

まだまだ御質問等あろうかと思いますけれども、予定していた時間も経過しましたので、本日の意見交換は、これで終わらせていただきたいと思います。

本日御発表いただきました、今村委員、小野委員、中田委員におかれましては、それぞれの御専門分野から、とても興味深く、かつ、重要な御指摘を頂きました。ありがとうございます。

これら御発表いただいた点につきましては、委員どうしでも認識の共有ができたと思いますが、また、それを踏まえて改めて、今後、関係する調査審議などで生かしていくことができればと思っているところです。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

それでは、次の議題に移りたいと思います。

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《3. 消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の設置について》

○鹿野委員長 次の議題は、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の設置についてです。参考資料1のとおり、本年11月7日付けで内閣総理大臣から当委員会に対して諮問がございました。

内容は、超高齢化やデジタル化の進展等、消費者を取り巻く取引環境の変化に対応するため、消費者の脆弱性への対策を基軸とし、生活者としての消費者が関わる取引を幅広く規律する、消費者法制度のパラダイムシフトについて検討されたいというものでございます。

消費者庁においては、令和4年8月より、「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会」を開催し、その議論の整理については、本委員会の第410回の本会議でも御説明いただいたところでございます。

今回の諮問を受けて、当委員会において諮問事項について検討を行っていくということが必要となります。

つきましては、専門性を確保する観点等を考慮し、また、委員会における調査審議体制を強化するためにも、下部組織として、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会を設置し、諮問内容の検討に当たりたいと考えております。

お手元に資料2として、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会設置・運営規程の案を配付しておりますので、これについて、まず、事務局から御説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、資料2を御覧いただけますでしょうか。

委員長から、今、御紹介がありましたように、消費者委員会消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の設置・運営規程でございます。

最初の総則のところから始まっておりますけれども、総則や専門調査会の設置のところは、ほかの下部組織と変わりはございません。

第三条の専門調査会の所掌のところでございますけれども、諮問内容に鑑みまして、専門調査会は令和5年11月7日付けをもって内閣総理大臣より委員会に諮問のあった超高齢化やデジタル化の進展など、消費者を取り巻く取引環境の変化に対応するため、消費者の脆弱性への対策を基軸とし、生活者としての消費者が関わる取引を幅広く規律する消費者法制度のパラダイムシフトについて、委員会の求めに応じて、調査審議するという形にしております。

四条以下につきましては、他の下部組織の専門調査会の形と変わるところはない状況でございます。

設置・運営規程についての御説明は、以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、この点について御質問、御意見等ございますか。よろしいでしょうか。

それでは、特に御意見等ないということで、この点、御承認いただいたものと理解させていただきます。

ということで、消費者委員会に消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会を設置することとし、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会設置・運営規程を、先ほど御説明いただいた、この内容で決定したいと思います。ありがとうございました。


《4. その他》

○鹿野委員長 続きまして、その他の事項といたしまして、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要につきまして、事務局から御説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、参考資料の2でございます。

9月の1か月間に消費者委員会に寄せられました、意見書、要望書などの一覧となっております。こちらを見ていただきますと、最初のところは安全関係でございます。

移香実証実験についての情報提供、実証実験を求める要望書となっております。移香、香りの害に苦しめられていて、その結果、頭痛や吐き気などはするという状況がありますと。それに対して、国民生活センターなどにおいて、各種実証実験を実施してほしいという要望内容となっております。

その次が、取引・契約関係に入りますが、最初の欄の9月6日付けで受け付けました御意見は、特商法の改正に関して、訪問販売や通信販売、連鎖販売についての具体的な改正の要望となっております。

これまで幾つか委員会のほうにも特商法改正についての要望書を頂いておりますが、その内容と近しいものとなっております。

9月15日付けの御意見、要望書についてもほぼ同様の内容となっております。

それから、9月21日付けで日弁連から頂いている意見書でございますが、インターネット上の詐欺的な定期購入、商法被害の激増への対処を求める意見書となっております。

こちらにつきまして、若干御説明いたしますと、定期購入のトラブルについては、特商法の改正が2022年の6月にございました。その後、一旦は定期購入に関するトラブルは減ったのですけれども、その後、逆にまた増えてきているという状況が生じております。規制強化したにもかかわらず、また増えているということの背景には、非常に手口が巧妙化していて、規制された部分をすり抜けて、消費者が定期購入のほうに契約してしまうというような新たなサイトの見せ方というものが増えてきていることが背景にございます。

それに対しての意見書でございますので、右側のところの具体的な要望書・意見書の内容を御覧いただきますと、そこに書いてあるとおりでございますが、とても細かなところを規制してほしいという内容になっております。

その背景としては、今、申し上げたように、規制したところをすり抜けて、悪質事業者がサイトを表示させるという手口が広がっているということが、バックグラウンドとしてございます。

続きまして、9月22日の意見書も特商法に関することでございます。

最後、食品関係でございますけれども、人工甘味料についての申入れということになっております。

人工甘味料として使われているものの中に、発がん性があるのではないかという御意見でございまして、それについて再評価などを要望しますという御意見の内容となっております。

今、御紹介いたしましたのは、団体から寄せられた意見でございますけれども、このほかに個人の方からも8件の意見書が寄せられております。内訳としては安全関係が4件、取引・契約関係が1件、その他3件となっております。

これら全てにつきまして、寄せられた御意見などについては、消費者委員会が今後調査審議を行う上で参考とさせていただきたいところでございます。

説明は以上です。

○鹿野委員長 御説明ありがとうございました。

委員から、これについて何か御意見等はございますか。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 9月21日の日弁連の意見書ですけれども、これは今、友行参事官がおっしゃったとおりで、ブラックリストを作ったために、事業者が、グレーリストがいっぱい分かってしまったと。それで、逆に言うと、グレーリストになれば大丈夫だとなってしまったという問題でして、中には、これは明らかにダークパターンとして考えなければならないような人の認知を誤らせる、例えば、タイムセールというのがぽっと出て、そのタイムセールを押してしまうと定期購入販売になるといったことをさせるとか、そういうことをしておりまして、先ほどのパラダイムシフトの専門調査会の中でも、そういった問題も、多分、取り扱われることになると思いますので、もちろん日弁連の意見書としては、これは、ブラックリストをもっと広げていけば、ちゃんと規制できるでしょうということで、非常に細かくなっていますけれども、同時に、今度のパラダイムシフトの中でも、こういうようなダークパターンとか、そういう人の認知を誤らせる、この前の山本委員で言うと、システム1をハックするとおっしゃっていましたけれども、こういったものについても検討していただきたいと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかに御意見等ありますか。

よろしいでしょうか。ありがとうございます。

これらの意見書等については、当委員会で参考にさせていただき、必要に応じて、より具体的な形で、当委員会の調査審議において取り上げることにいたしたいと思います。


《5. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定等について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)