第383回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2022年11月9日(水)10:00~12:02

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、大石委員
    (テレビ会議)飯島委員、生駒委員、木村委員、黒木委員、清水委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁尾原消費者政策課長
    消費者庁消費者政策課大木政策企画専門官
    消費者庁大森消費者安全課長
    消費者庁消費者安全課池田事故調査室長
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(消費者委員会附帯意見への対応について)
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(消費者安全について)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから第383回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、大石委員、私が会議室にて出席、飯島委員、生駒委員、木村委員、黒木委員、清水委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

受田委員長代理、青木委員が御欠席です。

開催に当たり、会議の進め方等について事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 事務局でございます。

本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりです。もし、お手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.消費者基本計画の検証・評価・監視(消費者委員会附帯意見への対応について)》

○後藤委員長 本日の最初の議題は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、「消費者委員会附帯意見への対応」についてです。

当委員会は、参考資料1のとおり、前回の工程表改定の際、消費者基本法に基づく諮問に対する答申において、附帯意見を付し、次回以降の工程表改定に当たっては、次期計画の策定を見据え、重点的に検証等を行う施策の設定や、必要に応じた施策の統廃合などの重点化・効率化を図った上で、重点施策に係るKPIの設定や、進捗状況の分析を充実させることを検討すべき等の意見を述べたところです。

本日は、本年度の消費者基本計画の検証・評価・監視を開始するに当たり、附帯意見を踏まえた消費者庁の対応方針について御説明を頂き、意見交換を行いたいと思います。

本日は、消費者庁消費者政策課、尾原課長に御出席いただいております。本日は、ありがとうございます。

それでは、15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の尾原です。

この度は、御説明の機会を頂きまして、ありがとうございます。

お手元の資料1の「消費者基本計画及び消費者基本計画工程表について」の資料で御説明をさせていただきます。

表紙をおめくりいただいて、1ページでございます。

「消費者行政の変遷」というところを御覧ください。消費者基本計画、これは、2004年の消費者基本法の制定後、2005年から5年ずつで、今、第4期まで来ています。第1期が2005年から始まっております。そして、今、第4期につきましては2020年から2024年度までの5年間を対象にしております。

消費者政策の変遷を見ますと、この図にありますように、従来、この消費者基本計画が始まった当初から、やはりその対象となるものも大きく変わっておりますし、また、我々消費者を取り巻く環境も大きく変わっていると思います。

例えば、消費者基本計画が出た第1期の頃といいますと、やはり消費者の安全の話、消費者被害をどう防止するかというところが、大変重要な課題であったと思います。

もちろん、この消費者の安全を確保するというのは、当然ながら消費者政策を進める上で重要な課題であることは変わらないのですが、それ以降も、例えば、第2期から第3期のときに、消費者教育の推進の基本法が制定され、その下で消費者教育が推進されるようになる。

そうしますと、消費者教育推進法の中で掲げられている被害に遭わないというだけではなくて、持続可能な社会を目指す、そのためには、合理的な判断ができるだけではなくて、その合理的な判断というのは、今だけの話ではなくて、将来も含めて、未来に向けて、持続可能な社会を作っていくために、どのような学びをするかという辺りまで含めて、その消費者教育の射程も大きく明確化されていたと理解をしております。

さらには、SDGsの流れの中で、協働というものが大変重要なキーワードになってきております。消費者政策の分野であると、ここに掲げております、事業者・消費者との協働という形でありますけれども、この中で従来であれば、事業者と消費者の関係、ともすれば、20世紀型で行けば、対立する関係と捉えられた時期もあるかと思いますけれども、もちろん、消費者保護の観点から、悪質な事業者について規制をしていくのは当然でありますけれども、同時に、多くの普通の事業者とどのように良質な市場を作っていくか、より良い社会を作っていくか、最終的には、どうしたら消費者が主役となる社会を作れるかというところが大きな課題となってきている。ここが、今、第4期目に来ているところだと思います。

また、さらに、赤字で書いておりますけれども、このコロナも、2020年からもう3年目に突入しているわけですけれども、コロナの前と後では大きく生活様式も変わってきております。その中で、我々はその環境変化にどう応じていくかということで、第4期基本計画の5年ではありますけれども、その途中で、あまりにも大きく社会情勢が変わったということで、計画そのものを変更しております。

そのようなことをしながら、消費者基本計画というのは、今、3年目、2022年まで来ているわけですけれども、今ちょうど折り返し地点に来ております。

私としては、毎年度消費者基本計画というのは、工程表を策定して、それを関係者の皆様と一緒になって作業していくと。それで、毎年6月を目途で公表しているわけですけれども、ちょうど3年が終わった、この折り返し点に当たって、今回、消費者委員会の皆様から附帯意見という形でコメントを頂いている、それを踏まえて、今日はどのように対応をしていくかについて、我々としての基本的な考え方を御説明させていただければと思います。

では、ちょっと概要については飛ばさせていただきまして、具体的に4ページ、消費者基本計画工程表の構成について、見ていただいてもよろしいでしょうか。

構成を見ていただくと、大きく、今、毎年度策定している工程表の改定作業は、5つの柱で見ております。

この柱自身は、とても基本的な考えのところになりますものですから、それに基づいて、その毎年度どこを重点化するかという作業になってくるかと思います。

まず、1でございます。消費者被害の防止についてというところでございます。

やはり消費者政策の基本は、消費者の安全というところは基本になるかと思います。消費者の安全、通常有すべき安全性が保たれる社会をどのように作っていくか。

そういう意味では、消費者の安全を守るというのは、当然ながら、この安全確保、その被害の防止、あるいはその被害が起きた後の救済もあるわけですけれども、消費者の安全をどう確保するかというのは大変重要な課題でございます。

それに当たりましては、当然時代によって変わってくるかと思います。後々 3のところにも関わってきますけれども、例えば(3)のぜい弱性を抱える消費者というところ、ここも大きく社会情勢が変わってきています。例えば、高齢化社会というのは、ずっと、それこそ、今言われている話ではなくて、30年ぐらい前から、これからそういう社会に突入すると、人口は当然右肩上がりから、今度は、右肩下がりになる。と同時に、高齢化社会が急速に進みますと、その当時から言われておったわけですけれども、いよいよそれが更に進展していくという状況の中で、ぜい弱性を抱えられる消費者の方も当然増えてきています。

例えば、その中で、どのようにぜい弱性を抱えた消費者の方の被害を防いでいくか、こういう仕組みというところが、今後、体制論としての4、Vに関わってくる重要な課題だと思っています。

それは、消費者庁だけではなくて、やはりオール霞が関といいますか、あるいは消費者庁を霞が関の枠にとらわれず、どういうふうに関係者を巻き込んで、ぜい弱性を抱えている消費者を支援するか、そういう仕組みづくりも含めて考えていく必要があると考えております。

2でございます。

ここは、キーワードは、やはり持続可能、SDGsの考え方ですね、持続可能な社会を作っていく、誰一人取り残されない社会を作っていくというところで、どのような協働ができるかというところがポイントになってくるかと思います。

総論的には、SDGsの考え方、特にそのSDGsの12番「つくる責任、つかう責任」のところだと思います。それを含めて、事業者、消費者と、どのような協働ができるかというところがあるかと思います。

各論としては、当然、食品ロスを始めとする取組、また、環境保全に関する消費者と事業者、事業者だけではなくて、もちろんステークホルダーというのは幅広に、その事業者と消費者だけかといえば、当然行政も入ってくるでしょうし、もっと分類していくと、多分、様々な利害関係者が入ってくるかと思いますが、基本は、市場で需要者である消費者、それから供給者である事業者と、どのようにより良質な市場を作っていくか、その持続可能な社会を作っていくかと。よくエシカル消費のときに、今だけ、ここだけ、私だけという言葉が、よくこれまでの20世紀型と、それが21世紀型になると、将来に向けて、そして、ここだけではなくて、その社会に向けて、地域に対して、そして私だけではなくて、あるいは地域の人々、もっといえば、世界の人々に対してどのような消費行動をしていくか、消費を基軸にして、どんな社会を作っていくかというところが、これからの計画を進めるに当たって、1つのキーワードになっていくと思っております。

続いて 3でございます。やはり社会は変わります。消費者政策自身で、内なるところ、我々のところでやれる範囲と、やはりその外的要因も大きく変わってきます。

例えば、この新しい生活様式ということは、コロナの前と後で大きく変わったと。正に生活様式そのものが変わったというのが、端的に表している言葉だと思いますけれども、当然、その潮流的なものからすれば、先ほども申し上げましたけれども、超高齢化が進んでいるというところで、やはりぜい弱な消費者というところがあります。

また、デジタル社会における、この消費者利益の擁護・増進の両立というのを(2)で書いてありますけれども、デジタル社会というのは、別に消費者政策の施策の推進に関わらず、外的な要因として大きく社会を変えています。その社会が変わっていく中で、どう変化に対応していくか、やはり政策としてどう取り組むかというところがあります。

ここでのキーワードは、デジタル社会自身は、当然メリットもあります。と同時に、やはり誰もがぜい弱性にさらされるリスクもある。当然、プラスもあればマイナスもある。その中で、プラス面はどのように関係者の間に伸ばしていくかというところはありますし、ぜい弱性については、関係者との協働で、ぜい弱性を防ぐところもあれば、悪質な事業者についてはどのように規制するかというところがポイントになってくるかと思います。

また、国際化、ここは、特にデジタル化とも関連しますけれども、バーチャルな世界なというか、電子商取引の世界というのは当然急激に進んでいます。これは、私がそれこそ社会人になった1990年代から30年間を俯瞰すると、本当に大きく進んでいると思います。80年代というと、どちらかというと、ビジネス取引だったものが90年代になってインターネットが一般化すると。特にその1995年というところで、やはりWindows95というものが出てくる。そうすると、本当に人々の間で使うものが、インターネットを通じてアクセスしやすくなるということがあります。

さらに、最近の動きから見ると、それを加速する、ある意味で契機となりましたのが、新しい生活様式ということで、コロナ禍において、やはり人々の生活様式というのは、一時的なものではなくて、コロナ前とコロナ後で大きく変わってきた。その社会の変化に対してどのように対応していくかという、そのバーチャル、インターネット、電子商取引の世界もありますれば、もう一つ、コロナで一時的に人の流れというのは止まったわけですけれども、そのコロナの前の世界でいけば、本当に数多くの方が、世界から日本にやってきたと、それをもって我が国社会も、大変経済の活性化にも資するという観点もあります。当然資するというところもあれば、当然、国内で消費される外国の方、それは旅行で来られた方もいらっしゃれば、ビジネスでいらっしゃる方もあると思います。いわゆる定住外国人の方もいらっしゃるかと思います。

そういう方も含めて、では、そういう環境変化が起こる中で、そのプラス面だけではなくて、そういう方が消費者トラブルに巻き込まれたときに、どのようにそれを防いでいくかというところも、当然政策課題として出てくるというところがございます。

ですので、国際化と言ったときは、そのバーチャルな、電子商取引の世界もあれば、リアルで人の流れがある。それで、我が国の消費者政策という観点からくると、海外からいらしたリアルの方々について消費者トラブルをどう防ぐかというところもあるかと思います。

4でございます。

消費者教育の推進ということで、ちょうど消費者教育推進法が出て、政府全体としての基本方針も、ちょうど今年が最終年度、5年目に当たってきております。

あらゆる世代に消費者教育、ライフステージに応じた消費者教育という形で進めておりますし、特に今回の消費者教育の基本方針、当面の課題という形で、この5年を見ますと、やはり成年年齢引下げというのが、1つの大きなキーワードになってくると思います。

消費者教育のところで、20歳から18歳に下がったときに、社会の入り口に立った若者が、どのように自分の力で考えて被害に遭わない、あるいは自分で行動する、あるいは消費者市民社会の中でどのように活動する、やはり、実践的な消費者教育は大事だなということで、この5年、消費者教育というのは進められてきたと思います。

もちろん、進める中で、次期の消費者教育の基本方針については、また、庁内の別の担当の所管課がありまして、それについては、また、消費者委員会の皆様と別途議論されていると聞いておりますけれども、その中で、我々としては、基盤として消費者教育をしっかりやっていく必要があるというところがございます。

それから、Vでございます。

今まで申し上げた、消費者政策が持つ基本的な視点というのか、消費者の安全、それから協働、より良い社会、良質な市場を作っていくというメカニズムの中で、あるいは社会情勢が変わっていく中で、デジタル化や国際化、高齢化も含めてだと思いますが、大きく変わっていく中で、やはり体制整備をしっかりやっていく必要があるというのがVでございます。

消費者行政を進めると言っても、国と地方自治体があります。ただ、消費者問題は、やはり現場は地域の皆さんです。今回、私もちょっと霊感商法の関係で、いろいろ担当課として、どのような取組ができるかというときに、やはり消費者庁自体は、消費者の皆様のお声を聞いているかというと、体制としては、全国各地に設けられている、地方自治体に設けられている消費生活センターを通じて、現場の相談員が丁寧な対応をしていただいて、やはり消費者被害を防ぎたいという熱い思いの中で、消費者行政というのは成り立っているなというのを改めて感じた次第でございます。

その中で、もちろん国も体制整備をしていく必要があります。また、消費者行政自体は、やはり自治事務であります。お住まいになっているところで、自らの地域をどう守っていくかという観点から進めていく必要があるというところがあるので、そこは、国と地方で一緒になって、これは誰かがやってくれれば良いという仕事、国がやってくれれば良いという話でもなければ、地方に全てお願いすれば良いという話でもないと思います。国と地方が一緒になって体制整備をやっていく必要があると。

その中で、どのようなことができるかというところが課題になっておりますし、ここの地方消費者行政については、この消費者基本計画と時期を合わせて、これまでも地方消費者行政の強化作戦という形で、今、第2期目の強化作戦、この消費者基本計画の工程表の計画と時期を合わせて、地方の体制整備というのを進めておるわけですけれども、次期に向けて、ここについても、当然、我々この2年後には、次の計画に向けて進める必要があります。その中で地方の消費者行政もどうあるべきかというのも、庁内の中で、担当課と一緒になって考えていきたいと思っております。

最後でございます。工程表自身は毎年変わっていきまして、変わっていくのですけれども、今、ここで3年過ぎました。そうしますと、残り2年をどう作っていくかというのが課題になっております。

当然残り2年も見つつ、やはり次の5年をどうするかというのも、我々は考えていく必要があります。やはり計画を作るというのは、5年間、我々として基本的な大綱を作っていく、大きな方針を示していくというところで、いきなりそういうものができるとは考えていないです。やはり5年間の計画を作るためには、毎年度こういう工程表の取組の中で何が課題なのか、やはりそれぞれ工程を見ていく中で、こういうことが全体の潮流として大事なのではないかというのが出てくると思います。そういう作業も踏まえながら、次の2年後の新しい基本計画を見据えながら、来年度の工程表を作っていくという必要があると考えております。

それを踏まえて、最終ページの5ページ目でございます。

今回、冒頭、後藤委員長からも御発言がありましたけれども、今回6月に消費者委員会の附帯意見を頂戴しております。やはり工程表も「しんか」していく必要があります。「しんか」というのは、進む化というのもあるし、深めていくというのもあるかと思います。深めていくという意味では、重点施策というのをやはり選んで、きちんとそれを取り組んでいくべきではないかと。

特に深めるときのツールとして、やはりEBPMを実践すべく、順次ロジックモデルを作っていくのが大事なのではないかということで、やはり深めていく必要もあります。また、工程表の進化、進めていく必要があります。これまでは、約170の施策について、工程表をそれぞれの施策について見ておりましたけれども、やはり行政もリソースに限りがあります。深めていけば当然、厳しいリソースの中で、あれもこれもはできないです、あれかこれかになります。重点化したときは、やはりその分だけ、どこかで工夫の余地がある。効率化もしていく必要があるというように考えております。

最後、まとめになりますけれども、やはり、この3年目まで来て、いよいよ4年目に入っていきます。その中で、単年度だけではなくて我々としては、その次の2年後にまた行う基本計画の改定も見据えながら、是非、少しでも消費者政策を関係者の皆様と進めたいと思っております。この関係者というのは、消費者庁だけではなく、もちろん、ここにいらっしゃる消費者委員会の皆さんもそうですし、この消費者政策に関係するいろいろな方々と、皆さんと一緒に作っていければ良いと思っております。

私からの説明は以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は35分程度でよろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 御説明ありがとうございました。

消費者白書と消費者基本計画の工程表が、今まで同じ記載があったので、ここで統合するというのはとても良いことだと思いました。対応方針に異論はありませんので、あとは、いかに具体的に現場で施行していっていただく、また連携していくということだと思いました。

特に消費生活センターの現場にいますと、特商法が改正されて準備が整ったと思うのですが、実際に悪質な業者が際立っています。定期購入しかり、マルチしかり、名前を変えて処分された方たちが、またやっている。情報商材、生活レスキューみたいな、ネットで調べてトップに出てくる水道あり、害虫駆除あり、レッカー車ありみたいなところがどんどん出てきます。これら、やはり特商法で処分できるものだと考えます。具体的な個別の案件の中で、執行強化と書いてありますので、是非引き続き、よろしくお願いしたいということです。

以上です。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 清水委員、御質問、御意見ありがとうございます。

やはり悪質な事業者については、厳正な法執行が基本だと思います。そこについては、我々も法執行課を持っておりますものですから、厳正な法執行に努めていきたいと思っております。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 尾原課長、どうも丁寧な御説明をありがとうございます。

言及もいただきましたけれども、本年6月に出しました意見と、それの附帯意見、これにつきましては、ほかの団体、例えば私が所属している日本弁護士連合会も、この附帯意見については、大変好意的に受け止めていただいているという感じでいます。

そして、先ほど尾原課長もおっしゃっていただきましたけれども、この工程表と、それの公開と、それに対するパブリックコメントというのは、正に消費者基本計画の進展に関して、社会との間での重大なコミュニケーションの機会だと思っております。

今回、これを私ども内閣府消費者委員会の附帯意見を踏まえて改定していただくということには、附帯意見に関して好意的な反応が多かったので、改定作業についても好意的に受け止められるだろうと思っています。

ただ、その過程において、タイムスケジュールその他もあろうと思います。できれば、先ほども課長御自身がおっしゃっておりましたけれども、関係する諸団体と、どういう方向性でやっていくのかということについて、今日の本委員会がキックオフでしょうから、ここから改定に向けての作業について、いろいろな諸団体とコミュニケーションを密に取っていただくことを希望します。より良いものを、新しい考え方に基づくより良い工程表、そして、それを踏まえた次期の基本計画と、こういう形に結び付けていっていただければ有り難いと思っております。これは、ほとんど意見でございます。要望と意見です。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 いかがでしょうか。

○消費者庁尾原消費者政策課長 黒木委員、貴重な御意見を頂きまして、どうもありがとうございます。

今日、この消費者基本計画の工程表作業のキックオフになるかと思います。今後、各論も含めて、ここの場も含めて、いろいろな皆様の御意見をしっかりと伺わせていただければと思っています。伺うだけではなくて、やはりコミュニケーションが大事という御意見を頂いたかと思いますので、その辺りも気を付けて進めていきたいと思っております。

○黒木委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村でございます。御説明ありがとうございます。

まず、ぜい弱性についてなのですけれども、常々私、デジタル化の前には皆、新しい技術の前には皆、ぜい弱性があるのだという話をさせていただいているのですけれども、今回このお話も取り入れていただいて大変良かったと思っています。

ぜい弱性というと、いろいろございますので、それをきちんと整理していただいて、それぞれの対応の仕組みづくりということをきちんとしていただければと願っております。

それから、社会情勢の変化というところで、本当にコロナでデジタル化も進みましたし、いろいろなことがあります。それで、御説明のとおり、事業者・消費者・行政の三者の協働というところで、やはり大事だとは思うのですけれども、いかんせん、やはり情報のバランスというものが取れていない部分がありますので、是非そこのバランスが取れるように、広報ですとか、いろいろなところを更に進めていただきたいと思いますし、何らかの不利益が消費者にあった場合には、きちんと対応していただくようにしていただきたいと思います。

そして、デジタル化、新しい生活様式というところでは、消費者の視点、利用する人の視点で進めていっていただきたいと思います。

昨今、デジタル化は良いのですけれども、利用する者にとってみたら、どうしたら良いのか分からないとか、被害があったりですとか、様々なことがありますので、そこは、きちんと、誰でも取り残されないように進めていくべきですし、そのときには、必ず利用者視点というか、消費者からはどうなのだろうという視点を入れていただきたいと思います。

それから、施策について重点的にするということは賛成でございますし、是非やっていただきたいと思うのですけれども、ただ、重点施策以外のものでも、大切なものはあると思うのです。今すぐ対応の必要がなくても、そこを削除するのではなくて保留という形で、いつでも対応できるような体制にしていただければ良いかなと、私は考えております。

以上です。よろしくお願いします。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 木村委員、御質問と御意見ありがとうございます。

特に情報のバランスにつきましては、特に注意喚起に関しては、やはり必要な人に必要な情報が届くというのは、消費者政策として大変重要な取組だと思っています。

そういうところで、やはり情報のバランスを考えたときに、もともと消費者基本法が持っている情報の格差、交渉力の格差をどう埋めるかというところが、それをやはり消費者政策がどのように対応するかという話だと思いますものですから、その辺り、必要な情報が必要な方に届くように、行政としてもしっかりやっていきたいなと思っています。

また、重点施策については、我々、重点化をしながら、そこはロジックモデルというのがありますけれども、もちろん、それ以外のところについても、我々としては、効率化を進めながらではありますけれども、逆に工程表というのが毎年度改定になります。ですので、その辺りは柔軟に、こういうものが次年度のところで課題だなということになれば、その辺りは、今後、新しい基本計画になったときにどうするかというところは、また、その仕組みも含めて、また、検討だと思いますけれども、少なくとも今の計画においては、毎年度工程表を改定と、スキームがなっておりますものですから、重点化になっていないものも当然、次年度進める中で、これは問題だねという話になれば、当然、次々年度にまた、そこの辺りを重点化するということも十分考えられるかなと思っております。

○木村委員 ありがとうございます。

是非よろしくお願いいたします。本当に社会の流れが速いので、素早い対応が必要だと思っております。ありがとうございます。

○後藤委員長 それでは、飯島委員、よろしくお願いいたします。

○飯島委員 飯島でございます。御説明いただきましてありがとうございました。

木村委員の御発言とやり取りの中にも出てきましたけれども、計画の要素として目的の提示と手段の総合性が挙げられる中で、重点化するときに総合性という部分がどうなるのか、私自身は気になっておりました。施策全体について、総合的な施策の推進というところも見えるようにしていただきたいという思いもございます。

また、6月の消費者委員会の附帯意見の中で、施策の新設のみならず、必要に応じて施策の統廃合を行うとございます。統廃合のほうがむしろ難しいと思いますが、特に重点化に伴って、どのように統廃合を進めていくのか、もし見通しをお持ちでしたら教えていただけましたら幸いでございます。よろしくお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 飯島委員、御質問ありがとうございます。

施策の重点化と私自身は見ております。もちろん重点化すると、選択と集中の話になってきますものですから、重点を置くところは、当然、EBPMなどを順次取り入れることによって深掘りをしていくと。

他方で、ほかのところは工程表で見えなくなるのではないかという御質問の中で、どういうふうにしていくかということだと思うのですけれども、基本的な考え方、ちょっと今日は、紙ではお示しはしていないのですけれども、毎年度、この消費者基本計画の工程表と併せて、消費者白書を閣議決定しております。その中で、毎年度の消費者政策の施策について記載をしているところがあります。

現状、課題としましては、今年度まであった課題としては、消費者基本計画の工程表で記載しているものと、また、白書で取り上げている過去1年間の施策の動向について、やはり重複があるのではないかというところも御指摘いただいて、課題であるなと思っておるところでございます。

その中で、統廃合というと、何か工程表の中で何かをするというイメージよりは、私自身のイメージとしては、工程表は重点化する代わりに、むしろ消費者白書で、前年度に実施された消費者施策について記載がまとめて記載されることになるので、そちらで見える化に取り組んでいくということになるかなと。

そういう意味では、私自身は統廃合、これを同じ工程表の中で施策を統合してきましたというよりは、見える化の観点からすると、むしろその消費者白書のほうで、しっかりとその辺りは書いていくと、もちろん、消費者白書自身も、今、政府全体として白書のスリム化というのも言われております。その中で、分量だけを増やすというよりは、むしろその中でどのような情報を見せていくかというのが大事かなと考えておるところでございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

1点質問といいますか、確認なのですけれども、重点的な施策の推進の中でも、消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施とありますが、これは、先週もちょっとそういうお話になったのですが、SDGsの目標達成が非常に重要であるという今、時代の中で、更にエシカル消費、SDGsを達成するためにエシカル消費も重要だという解釈だと思うのですが、ここには、SDGsですとかエシカル消費という記載はないわけですけれども、一応含まれていると解釈してよろしいのでしょうか。その辺りをちょっとお伺いしたく、御質問をさせていただきました。

○消費者庁尾原消費者政策課長 生駒委員、御質問ありがとうございます。

当然ながらエシカル消費の考え方というのは、消費者教育の中に入っております。消費者教育推進法で言うと、消費者市民社会、持続可能な社会という形で、法律事項にも入っておりまして、また、消費者教育の基本方針でも、それが記載されております。

また、エシカル消費は、消費者庁もしっかり取り組む重要な課題ということで、やはり消費者行動が社会を変えていくという、これまでの発想とは、ある意味、21世紀型の発想といいますか、生産者サイドではなくて事業者サイドが社会を変えていくという意味で、大変重要な考え方だと認識しております。ちょっと私が舌足らずで、説明が足りなかったら、お詫びして付け加えさせていただければと思います。

○生駒委員 いえいえ、この1番で、消費者被害の防止とありまして、これは、大きな目標だとは思うのですが、この間、ちょっと消費者教育について話し合いましたときに、自立した消費者を作る、育てるというのが、また、この消費者基本法の大きな目的といいますか、目標ではないかと思っておりますので、何らかそういったところも見える化していただけるような形だと良いかなと思いました。この防止するという、あるいは未然に防ぐというのもすごく重要なのですけれども、そのためにも自立して自ら考えて、選んで行動できる消費者を育てていくというのが何より大切なことではないかと思いますので、ちょっとそういった視点も是非貫いた形で進めていただければと、希望いたします。ありがとうございます。

○消費者庁尾原消費者政策課長 生駒委員、ありがとうございます。

正に、消費者基本法に掲げられている自立した消費者は、とても大事だと思います。やはり消費者力を付けていく、その中で、自分で考えて行動する消費者を増やしていくというのは、大変重要な課題だと思いますので、その辺りも意識しながら、次の工程表につなげていきたいと思っております。ありがとうございます。

○後藤委員長 それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。すみません、先ほど質問し忘れたので、もう一点なのですけれども、資料の5ページの最後のところ、重点施策のところで、ロジックモデルとあるのですが、これは順次策定を試みるということなのですけれども、これについて、もう少し詳しく、どのような考え方で進めていくのかというのをお伺いしたいと思います。

もう一つ、このことは重要なことだと思いますし、消費者委員会でも議論できるようにしていただきたいと思いますので、是非、御説明していただけますでしょうか、よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 木村委員、御質問ありがとうございます。

EBPMの考え方、まず、そのEBPM、行政が使うと、すぐエビデンスに基づく政策形成という形でいくのですけれども、結局その大前提となっている考え方は、やはり20世紀のキャッチアップ型の社会であれば、ある意味で先進国という答えとなるモデルがあって、それを目指してやっていくと。ある意味で、それが一番早かったわけですね、20世紀の成長モデルとして。それが21世紀になって、いよいよ日本が、ある意味でいろいろな政策課題も含めて先進国になったと。

その中で、EBPMの基本的な考え方は、やはり行政も完全な政策判断ができるわけではない、ある意味で無謬性の否定を前提とした考え方と私は理解しています。

その中で、EBPMをなぜ進めるかというと、毎年度の重点施策を置いたときに、これは、やはり、こういう最後目標があると。例えば、ある政策目標があったときに、それを逆算していくと、短期的にはこういう課題があると、今が見えてくると、そうすると、当然それに必要なリソースを割く必要があるという形で施策を掲載していくというプロセスになります。

それをやるときに当たって、当然、これまでの20世紀型であれば、それを組み立てれば、それが答えになっていくのですけれども、必ずしも、今、21世紀まで来ると、行政の判断が間違うこともある、要するに無謬性自体を否定するところから、このEBPMは始まっていると思っています。

ですので、これが20世紀型の発想でいくと、行政は間違ってはいけない、ある意味で、全知全能の神ではないのですけれども、間違うことはそもそもけしからぬという話になってしまうと、EBPMでは成り立たないものだと思っています。

その中で、では、消費者政策でどのように進めるかというところが御質問だと思っています。

それを見ていただくと、ちょっと資料のほうに戻っていただきますが、4ページ目でございます。工程表の構成ということで、ちょっと冒頭のところで説明させていただきましたけれども、例えば、消費者被害の防止というところであれば、当然、通常有する安全性を確保する必要があるというところが目標になると。

では、そのためには、どういう手段が使えるかというところがあると思います。今日は、後半、消費者安全について、消費者安全課長からも説明があるかと思いますけれども、1つの例でいきますと、例えば、消費者安全の世界であれば、ちょうど消費者安全の事故調査委員会が10年ということで提言を出されている。その中で言われているのは、消費者の安全を確保するために、例えば、消費者の安全のための政策として、具体的には、まずは分析力、情報収集力を付ける必要がありますねと。再発防止のために、やはりきちんと情報収集力もあれば、それから分析力も高めていくと、やはり再発防止、二度と同じような過ちをしてはいけないという形で、再発防止策もしっかりやらなくてはいけない。また、分析をまとめた後に、情報発信力も要りますねという形になります。

それで、消費者事故調査委員会は、今回の10周年の提言において、やはりその3つのところ、情報分析力を高める、あるいは原因究明力を高めるための分析力を高める、あるいは情報発信力を高める、その辺りが手段としてなっていきます。それに必要なためには、どのようなリソースを割くかというところを考えていく必要があります。

ですので、EBPM的な発想からいくと、初めに政策のゴールがある。その中で、例えば、この計画であれば、計画5年間におけるミッションがあると。その中で、今年度こういうことをやっていく必要があるねというのが見えてくると。

その中で、例えば、さっきの消費者の安全の話であれば、消費者の情報収集をいかに強化するか、あるいは再発防止のために原因究明力をどのように付けるか、あるいは情報発信力、注意喚起も含めてですけれども、どのようにそれを強化するかという課題が見えてくる。

そのためには、どのような予算を付けていくかという話になっていく。こういうところを見える化する作業というのがEBPMになってくるかなと思います。

もちろん、これは消費者安全の一例ではありますけれども、基本的には、従来のように答えがあれば、それに向かっていけば良いのですけれども、こういう施策なのではないかという仮説を立てた上で、施策を進めていくというところが必要になってまいります。

具体的にどれをやりますかという話になると、まだ、今日は総論ということでキックオフになりますものですから、また、今後消費者委員会の皆様とどのような分野でやるかということがあるかと思いますけれども、大きな考え方としては、消費者安全については、やはり安全性をどのように確保するか。また、協働ということになれば、消費者と事業者、利害関係者のところで、どうしたらより良い社会ができるかという辺りについて、先ほど生駒先生からも、やはりエシカル消費が大事だねといったときに、では、どのように消費行動が社会を変えていくか、それを変えていくためには、どのようなことを、その施策としてやると、エシカル消費というものが進むかと、エシカル消費という言葉を知らなくても、どのようにその消費行動を変えていくか、その辺りをきちんと見ていく必要があるのかなと、その辺りを仮説に基づいて立てていくのがEBPMの考え方かなと理解をしております。

すみません、ちょっと長くなってしまいましたけれども、お答えになっていなかったら申し訳ありません。

○木村委員 ありがとうございます。

大変重要なことだと思いますので、やはり見える化ということは大切だと思います。

適宜、消費者委員会でも議論ができるように、できたものから委員会に出していただいて、きちんと一緒に考えていければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者政策課長 木村委員、ありがとうございます。

特にEBPMの大事なところは、作る政策者側よりも、これを見たときに関係者の方からどうブラッシュアップしていくかというのが大事かなと、個人的には思っています。

そういうときに、ある意味で、叱咤してもEBPMはうまくいかないのですね、やはり激励も必要だと思っています。

昔であれば、ある意味で政策が見える、ゴールが見えていたのですけれども、EBPMは、やはり政策担当者も間違えるという前提で作ります。仮説においては、多分うまくいかない施策も出てくると思います。そのときに、多分、これは駄目だねというだけだと、政策担当者も、やはり萎縮してしまうところもありますものですから、そこは、共同作業ということで、是非関わる皆さんも、うまくいかなかったときは一緒になって、どうやったらうまくいくかという辺りも、また、意見交換をさせていただきながら進めるのが大事かなと、個人的には思っております。

ちょっと言い過ぎた感があったら、発言は申し訳ないなと思うのですけれども、私自身は、こういうふうに考えております。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

私からは質問というより、意見といいますか、要望ということでお話をさせていただきます。

第4期の基本計画は、コロナという新しい私たちへの脅威というのがありましたので、2021年の6月に変更したということになっていますけれども、そういう意味では、年々何かしら起こっておりまして、特に今年はウクライナ情勢があり、それによるエネルギーの問題ですとか、あとは食料の問題ですとか、また新しい課題というのが浮き上がっているように思います。

そういう意味で、基本計画そのものを変えることはないのですけれども、やはり何か起きたときに、きちんとそれに都度都度対応できる状況というのがすごく必要ではないかなと思っているのが一つです。

特にコロナ禍で、やはり生活が苦しい方たちが増えている中で、やはりこの今後の物価の更なる上昇ということなどを考えますと、やはり消費者行政として、そういう守られなければいけない人といいますか、先ほどぜい弱という意味では、デジタル化の前には、みんながぜい弱であるというお話がありましたけれども、やはり本当に手を差し伸べなければいけない人たちへの手当といいますか、何を国として、していかなければいけないか、消費者行政として何をしていかなければいけないかということも、是非、今回の中で取り入れていただきたいと思います。

一方、そういう物価の上昇ですとか、エネルギー価格の上昇で、そこだけに目が行きますと、この消費者基本計画工程表の2番目にある持続可能な社会への参画という意味で、なかなか本来必要である持続可能性というところがないがしろにされてしまう、エネルギーが高くなるから、温暖化は、ある程度仕方がないねではないですけれども、そういうふうにはならない。長い目では、やはり、社会の持続可能性というのは、これは、最終的には誰一人取り残さないという意味でいろいろな方を救っていくことにもつながると思いますので、そういう短期的な本当に、今、行わなければいけない施策と、それから長い目で、やはり消費者と事業者が協働して、これからも絶対に忘れてはいけない施策というのを、両方、なかなか難しいと思いますけれども、是非入れていっていただきたいというのが、意見と要望になります。

以上です。

○消費者庁尾原消費者政策課長 大石委員、御意見、御質問ありがとうございます。

先生がおっしゃったように、やはり短期的な視点と中長期的な視点、やはり政策も対応も、やはり、それはタイムテーブルといいますか、やはり短期的に見たときに、ここが大事というところと、やはり中長期的に見たときに、これが大事だねというところがあるかと思います。

特に、中長期的に見たときに、やはり持続可能な社会は大事だねというところは押さえつつ、他方で、この短期的に見たときに、どうその消費者の合理的な選択ができるような選択ができるかという辺りから、やはり物価を見ていく必要もあると理解をしております。両方視点が大事かなという御指摘は、そのとおりだなと思っております。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、星野委員、よろしくお願いいたします。

○星野委員 御説明ありがとうございます。

今、尾原課長と、あと木村委員からお話があったところでございますが、私は、内閣官房のEBPM委員会のお仕事をさせていただいておりまして、ちょうどガイドブックが数日前に、内閣官房の行革本部から発出されまして、その作成にも、私もいろいろコメントさせていただいたところでございますが、今、まさしくおっしゃったように、無謬性とか、あとアジャイルに政策を回していくということは非常に必要になるかと思います。

ということで、ロジックモデルは、1つの在り方でございますので、作成ももちろんございますが、エビデンスを収集するだとか、あと、無謬性を恐れずにEBPMで政策に反映して、そのサイクルを回すというところまで、是非やっていただければと思います。

あと、それを実際にされる際には、やはり若手の行政官の方々が意欲的に、こういうことを無謬性を恐れずにやっていくということが、多分、消費者庁等でも必要かと思いますので、是非そのような若手の行政官が、そういったEBPMのサイクルを実際に自分たちで回していくということを推進するような形で取り組んでいただきますと、もちろん、外部の人たちにとっての透明性も重要でございますが、そこは、政策に反映する、より良いものにしていくという点では、やはり、これはガイドブックなどにも書かれておりますが、若手の方々に、是非、そういった取組をしていただけるような形で、政策を回していただくと、また、それを後押ししていただくような制度を官庁の中で作っていただくということを、是非御検討いただければと思います。ありがとうございます。

○消費者庁尾原消費者政策課長 星野先生、ありがとうございます。

消費者庁は、2009年にできて、プロパー職員もどんどん育ってきています。

私から見ていると、本当に頼もしくあると思っています。今、星野先生がおっしゃったように、やはり若手が中心になって政策を作っていく。そのときに、どうしても行政は失敗すると、たたかれやすいのですね。そういうときに温かく関係者の人で、やはり無謬性は難しい時代だねというところで、多分、100点の答えというのはなかなか出ないと思います。その中で、ある意味で、ここはうまくいかなかったから、今度こうやっていこうという形で、関係者の方からも応援いただけると、庁内のプロパー職員も、今後この先、10年先、20年先活躍していく、将来幹部になってくるときには、EBPMがある意味で標準装備された組織になっていくかなと。要するに、無謬性を恐れず、進化する組織になっていくと思いますので、是非星野先生を始め、有識者の皆様からも御指導賜れればと思っております。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

本日は、消費者庁から当委員会の附帯意見も踏まえて、次期計画を見据えた令和5年の工程表改定方針について御説明を頂きました。

消費者政策におけるEBPMの重要性について御説明いただきましたけれども、当委員会としましても、これまでにEBPMの重要性については、繰り返し述べてきたところでありまして、その方向の施策を展開していただけるということを確認いたしました。

本日、委員からは、重点施策を設定し、ロジックモデルの構築や、KPIの充実を図るとの消費者庁の取組方針について賛成である、その方向で進めていただきたいという意見が出ております。

具体的に何を重点施策とすべきか、ということに関わる委員からの質問もありましたけれども、当委員会としましても、何を重点施策とすべきか消費者庁等とも議論していきたいと考えております。

施策の重点化につきまして、工程表を重点化することによって統廃合されて、重点化施策でない施策が見えにくくなってしまうことはないのか、そういう危惧感もあるわけでありまして、どのようにして統廃合というのを進めていくのかという御質問もありましたけれども、これについて、具体的に、工程表については重点化を基本的に進めていって、消費者白書で重点化政策でない施策についても見える化を図っていくという趣旨の御回答がありました。

改定方針につきまして、短期的な視点とともに、中長期的な視点も大事だということ、そういう委員からの御意見が出ておりまして、課長からもその趣旨の御説明がございました。

特にロジックモデルに関しましては、課題を発見し、途中で改善していくことに意味がありますので、無謬性にとらわれることなく取り組むということが必要だという、委員からの意見もありまして、課長からもそういう方向で取り組みたいという御説明がありました。

本日の工程表改定に関する御説明は、附帯意見に沿った取組であると評価できると考えますので、具体化に向けた今後の消費者庁や関係省庁の取組を注視していきたいと思います。

例年と同様であれば、当委員会としても、12月頃と3月頃に意見を述べていくことになると思います。委員会としても重点施策やEBPMを意識して調査審議した上で、まずは12月頃の委員会意見に結び付けたいと考えております。

消費者庁におかれましては、本日はお忙しいところ、審議に御協力いただきましてありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(消費者庁 退室)


《3.消費者基本計画の検証・評価・監視(消費者安全について)》

○後藤委員長 次は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、「消費者安全」について御審議いただきます。

委員の皆様も御存じのとおり、消費者事故への対応は、消費者庁や消費者委員会の設立のきっかけの一つであり、事故の未然防止、被害の拡大防止は、消費者行政にとって重要な課題です。

9月には、消費者安全調査委員会が設立10周年を迎え、本年は消費者安全におけるこれまでの取組を振り返り、今後の取組につなげていく良いタイミングだと考えます。

そこで本日は、消費者安全に関わる消費者庁の取組の現状と消費者安全調査委員会の活動について御説明いただき、意見交換を行いたいと思います。

本日は、消費者庁消費者安全課、大森課長、事故調査室、池田室長に御出席いただいております。本日は、ありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁大森消費者安全課長 消費者庁の安全課長をしています、大森と申します。本日は、御説明の時間を頂きましてありがとうございます。

お手元に、資料2の中で、最近の消費者安全行政というものがございます。本日は、事前に御関心事項として消費者事故の件数あるいは消費者安全確保のための取組について頂いておりますので、ざっと簡単にですが、御説明申し上げたいと思います。

まず、最初のページでございまして、事故情報の集約・活用ということでございます。これは、消費者庁設立以来、大枠は変わってございませんで、特に消費者の生命・身体に係る事故が発生した場合の流れのフローでございますけれども、関係省庁、地方公共団体、消防あるいは消費者関係の部局から消費者事故として通知を受ける、あるいは、各種の消費生活情報、PIO-NETに寄せられている消センからの情報を消費者庁で集約すると。

この消費者安全法とは別に、事業者から発火とか、製品に関する重大製品事故を認知した場合は、これもまた通知を頂くというような、これが法定の事務ということになります。

そのほか、事故情報データバンクに参加くださっている中毒センターあるいはスポーツの関係のところから頂いた情報も、情報として頂くと。医療機関ネットワークは、また出てまいりますけれども、そういったものを集約した上で、その情報を消費者安全調査委員会、いわゆる事故調が分析をすると。分析結果の概要は、また後で御説明しますけれども、その上で、定期的に毎週、事故情報として概要を公表すると同時に、目に付くものについては、消費者に対して注意喚起をしていく。ものによっては、関係省庁にも対応をお願いするというようなことをしているというのが、大枠でございます。

続きまして、2ページで最近の事故情報の傾向でございますけれども、こちらは、その中で、被害情報といえば、PIO-NETに入っている情報の推移ですけれども、あまり件数について、最近、増加傾向にあるとか減少傾向にあるといったような傾向はありません。いわゆる実際に被害を受けた危害情報と危険という、その情報の割合もあまり変わっていないところであります。大体1万件台の半ばぐらいで推移しているということがございます。

危害についての内訳ですけれども、皮膚障害、発火とか、あとは食中毒みたいな消化器の障害といったものが多くなっているというようなところでございます。

それから次のページで、危険情報ということについて申し上げると、これは、生命・身体に危険が生じていないのだけれども、言うならば、こげるとか、発火とか、異物が入っていたとか、そういったものはだんだん減ってきているというような状況にあります。

それから重大製品事故についてですけれども、こちらについては、発火が多いのですけれども、電気製品あるいはガス機器が多く、この中にはバッテリーとかが含まれておるのですけれども、そういったものと、ガス機器の発火、その他ということになっております。

それから、事故情報データバンク、このような事故情報を、4ページで、事故情報データバンクに格納してございます。

先ほど申し上げたように、スポーツ振興センターあるいは日本中毒情報センターといった、必ずしも事故通知義務を持たないところの御協力を得て情報を登録しているというようなことでございまして、こちら、事故調を始め、様々な報道関係者の方にも利用されているというところです。

年に大体2万件ぐらい登録されていて、10年ぐらい経ちますと、大体33万件ぐらいたまっているという状況にあります。

こちらは、発生日、それから発生場所などの概要も取れるのですけれども、多く使うのは、この右にあるような検索をした上で、例えば、商品別の検索あるいは時期別の検索、年齢別の検索などをして、変更を見ることができるというようなものになっております。

この事故情報の収集に関して、我々は最近何をしているかということでございますけれども、入力する質の向上という中で、やはり事故情報そのものを、多様な事故情報を通知していただくということが大事でございます。最初に、自治体や関係省庁から情報を頂くということをやってございますけれども、例えば、最近の試みとしては、特に緊急搬送、消防のところに対して、これは、2年前に医業類似行為、エステとか鍼とか灸といったような、医業類似行為の通知についての対応ということを言われたときに、そういった情報も寄せてくださいというような中において、それに合わせてもう少し対応を明確に、これは最近の事故情報を踏まえまして、特に通知していただきたい注意事項というのを、6ページに書いてございますけれども、例えば製品、あるいは製品や食品の窒息、これは、実はその前の年にカットパンの窒息が端緒としてありました。

それから、公園や商業施設の遊具による事故あるいは転倒、あるいは化粧品、あるいは、こちらの中でもスポーツ施設、あるいは医業類似行為のサービスといった、具体のものを例示した上で、具体的な事故事例も添えて、明確化しているというようなことがございます。

それから、次の自治体への発出で、先ほど申し上げたカットパンの窒息事故があったことを受けまして、カットパンの情報を収集するということから、各自治体の消センに対して、窒息、誤飲に関する状況を詳しく聞き取るといった、お願いもしているということです。

それから、先ほど申し上げました医業類似行為につきましては、消防で、例えば、緊急搬送案件などで見つかることもあるだろうということでございまして、消防本部に対しまして、医業類似行為を具体的に列挙した上で、エステ、医業類似行為についての通知を頂きたいという、分かりやすい例示をすることによって、通知する主体の方が、判断に困ることなく通知いただくというようなことをしているというのが、最近の試みでございます。

それから、9ページでございますけれども、医療機関ネットワークという事業がございます。これは、通知義務が現在掛かっているのは自治体や消センでございまして、医療機関というのは、必ずしも通知の義務対象ではないのですけれども、そういう医療機関の関係者が持っている情報から、再発防止の取組が生まれてくることも多いのではないかということで、国センとの共同事業として協力病院、10ページに30病院ございますけれども、30病院のネットワークを用いて情報収集をしているということがございます。

それで11ページが、事故情報の件数ということでございまして、昨年度、2021年度は5,400件入っていて、これをどのように活用しているかということに関して申し上げますと、12ページにありますような各種の注意喚起に、このような何らかの事例を抜き出して、あるいは端緒情報にして分析をして行っているということがございます。

特に最近では、除雪機とかあるいは吸水樹脂、水で膨らむボール状の樹脂玩具、あるいは男児用の水着のインナー生地といった注意喚起が、こういった医療機関からの情報を端緒にしているというようなことになります。

この注意喚起を、もう少し具体的にテーマとして掘り下げたものが、13ページでございまして、13ページ、食品誤嚥がございまして、こちらは、令和3年ですから、令和2年に節分のときの豆で喉を詰まらせたという案件がございまして、5歳以下の子供に食べさせないでというような注意喚起をしているという案件でございます。

それから、14ページでございまして、これは、トランポリンパークでございます。これは事故調との協力で行われた事例でございまして、トランポリンパークで、特に大規模な遊戯施設で、大きい競技用で使うようなトランポリンが置いてあるようなところにおいて、骨折あるいは捻挫といった事故が発生しているということで、事故調で原因を究明しながら、注意する点を洗い出していたのですけれども、その中で、我々としても、一般的な注意喚起、監視者がいるようなトランポリンを選ぼうとか、あるいは宙返りなどの危険な行為をやめましょうというような注意喚起をした上で、特定のてんとう虫パーク河内長野店というところで多く発生しているということを踏まえまして、この辺の端緒も、最初は医療機関からの情報提供、それから事故調の原因究明というところから入った上で、この会社に聞き取りをしたのですけれども、なかなかこの会社がやっている安全対策というものが、利用者に届いていないのではないかというような認識を持ったものですから、実名で注意喚起をしたというような事例が最近ございます。

それから、事故情報の活用をされた例としましては、特にガストーチ、先ほど申し上げた製品事故がたくさん通知されるということがございますけれども、そういった製品事故が通知されることでの1つの対応例として、事故件数が増加した場合に、このガストーチ、よくあぶり料理などで使われるものなのですけれども、そういったものが、根元から漏れたりとか、あるいは構造が悪くて発火したりするということが、漏れたりして発火することがあるので、現在、これについては経済産業省で技術基準案、規格を作ってPSマークを貼ったものを発売できるというような規格化に向けた取組がされているという例でございます。

それから、最後、子供に関することでございますけれども、子供の事故防止に関する取組は、従来、消費者庁が子供の事故防止に関する関係省庁連絡会議を担当してございまして、情報提供あるいは啓発資料の作成といったものを進めながら、関係省庁との調整をしてきているということでございます。

こちらについて、大きく左側の1番、子ども安全メール、子供につきましては、引き続き行うのでございますけれども、こども庁が来年度にできますれば、このような関係省庁を調整する機能と、それから子ども安全メール以外の啓発関係に関する事務がこども庁に移管するというような予定になってございます。

その注意喚起のツールでございますけれども、子ども安全メールといったメールマガジンあるいはツイッター、パンフレットを使って注意喚起をしているというようなことでやっているところであります。

ツイッターやメールマガジンについては、こども庁移管後も残していくというような形で考えております。

ざっと安全課からは、以上でございます。

○消費者庁消費者安全課池田事故調査室長 引き続きまして、消費者安全調査委員会の事務局を担当しております、事故調査室長の池田でございます。

消費者安全調査委員会につきましては、御承知のとおり、本年10月に設立してから10周年を迎えました。

本年9月に任期を迎えた第5期委員会では、これまで10年間の消費者安全調査委員会の活動を検証・評価いただくとともに、今後の社会経済環境の変化を見据えつつ、本年10月から始まった第6期以降の委員会に求められる役割及び機能を整理した報告書を提言いただいております。

報告書の具体的な内容につきましては、本日の資料の参考配付しております報告書本体を御覧いただければと思います。

本日は、簡単に報告書の概要を御説明いたします。

それでは、資料の18と19を御覧ください。本日は18と19で御説明したいと思います。

まず、18ページに、これまで10年間の活動実績の評価を整理しておりますが、総論としまして、上段のところ、消費者事故全般を対象として原因調査を行いまして、再発防止策まで提言するという困難な組織モデルを、課題はあるものの、おおむね実現できたのではと、評価を頂いております。

また、実際の活動状況につきましては、本日の本題であります、消費者基本計画工程表のKPIに紐付けながら申し上げますと、まず1つ目、報告書、評価書の公表件数については、ボックスの1つ目のポツのところを御覧ください。ここにありますとおり、10年間で進行中案件を含めれば、23件の調査を実施しております。年平均にしますと、2件程度の報告書を公表しております。

また、2番目としまして、勧告、意見件数につきましては、飛びますが、4つ目のポツを御覧ください。ここに記載してありますとおり、192項目に及ぶ意見具申を関係大臣に対して行っております。

3つ目としまして、フォローアップ実施数、主な実施状況につきましては、戻りまして、2つ目のポツ、意見具申後、随時のタイミングでフォローアップを実施することで、意見具申の実効性を担保するとともに、報告書公表後の類似事故の発生を受けた追加意見の実施など、消費者事故の防止に向けた取組を進めてきたところです。

それから、最後に4つ目としまして、効果的な周知につきましては、5番目のポツにありますとおり、委員会の発信力強化に向けた考え方の取りまとめに基づきまして、映像データの積極的公開など、発信力の強化に向けた取組を、引き続き進めております。

なお、これらの具体的なデータにつきましては、これも参考配付しております報告書の参考資料というところで整理しておりますので、そちらを御確認いただければ幸いです。

このように消費者安全調査委員会は、その設立時の目的をおおむね達成していると評価いただいたところでありますが、次に、19ページを御覧ください。

19ページの上段の右のボックスにも記載してありますとおり、一定の課題も残されております。

具体的には第1に、事故現場の検証などの初動調査、これが機動的にできていないという指摘がありまして、この点については、もっと積極的に現地調査をすべきではないかという御指摘がございます。

2番目としまして、事務局の体制を含めた専門人材の育成に課題があるとの御指摘がございます。

消費者事故の調査に当たりましては、消費者事故の専門家という人がいるわけではありませんので、多様な分野の専門家を訪ね歩いて、知恵を借りながら原因調査をするという特性があります。

このため、専門人材の確保が非常に難しくなっているという実態がございます。人材の育成確保が課題として指摘されているところでございます。

それから、第3の課題としまして、これは、消費者安全調査委員会のその後の課題ではございませんが、重要な事故情報が届かないということもありまして、事故情報の収集体制を整備し、事故調査をする大前提である情報の目詰まりをなくすことが、引き続きの課題であるとの御指摘がございます。

これらの御指摘を踏まえた上で、今後の消費者安全調査委員会に求められる役割及び機能として提言いただいた内容について、この19ページの下段に整理しております。

具体的には、先ほどの課題への対応としまして、左のボックスの1ポツと、最後のポツ、5番目のポツに記載のとおり、現地調査のルール化、それから事務局体制の強化、事故の端緒情報の収集に努めることを提言として頂いております。

また、これまでの消費者安全調査委員会の活動を進化させるだけではなく、今度は右側の丸の中ですが、右に整理しましたように、社会経済環境の変化や消費者行動から留意すべき事故類型などを念頭に置きながら、事業者を含めた多くの関係者と、安全な社会の創造を目指すこと等により、事故の起こり始めの段階で事故を防止し、様々な関係者と安全な社会の共創を図るなど、消費者の安全の確保のための更なる取組を進めることが求められると提言を頂いております。

我々事故調査室としましては、これらの提言を踏まえて、引き続き、消費者安全調査委員会の審議を支えるとともに、各種の事故の再発防止、未然防止に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

以上、簡単ではございますが、私からの御説明といたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は40分程度でお願いいたします。いかがでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

やはり消費者安全というのは、一番の消費者行政の基本だと思っておりますので、今回、状況をいろいろ御説明いただき、ありがとうございました。

私からは、ちょっと1点、お聞きしたいのが、最後に御説明いただいた検証の骨子のポイントの18ページ、19ページの19ページのほうです。課題について御説明いただきました。ここに書いてある課題は、どれも重要だと思うのですが、特に3番目の端緒情報となる事故情報収集体制に課題があるということで、これは、直接はこちらではないというお話だったのですけれども、具体的にこの課題の内容というか、どこに問題があり、今、事故の情報収集体制が問題だと言われているのかということを、もう少し詳しく教えていただければと思います。お願いいたします。

○消費者庁消費者安全課池田事故調査室長 事故情報データバンク、医療機関ネットワークが主に情報源となると思うのですけれども、PIO-NETには全ての事故情報が寄せられているわけではないと。医療機関ネットワークにつきましても、提携している医療機関からの事故情報に限られてしまうと。それ以外、我々が情報を瞬時にキャッチする方法としましては、やはりニュースですとか、SNSですとか、そういうのを我々が職員自ら、ふだん収集に努めなければいけないと、そういう情報も、よりどんどん集約されてくるようになってくれますと、事故の収集体制も整ってくると思います。

また、我々の業務ではないということですけれども、やはり、提携している医療機関ネットワークの皆様に、やはり病院からの情報が大事になりますので、事故情報を詳細に、消費者庁に、医療機関ネットワークに上げていただくなど、そういうようなことを進めていったら良いと思っております。

○大石委員 ありがとうございます。

医療機関からは、直接それぞれ情報を頂くことになっているのですか。

○消費者庁大森消費者安全課長 これは幾つかあって、医療機関ネットワークから参考的に情報をもらうこともありますし、例えば医療機関、個別のお医者様が、それでは、問題があると思うということで、国民生活センターにドクターメール箱というものがございまして、そちらに事故情報として提供することもございます。その場合は、国民生活センターで、それが消費者事故に当たるかどうかというものを判断した上で、消費者庁に事故通知を送るという経路も考えられます。

○大石委員 消費者自身から、例えば、ちょっとこれは事故につながりそうだと思ったということで、連絡が入ったりすることがあるのかというのと、あとは、その保険会社とか、もっと事故が起きた後になると思いますけれども、保険会社からこういう事故があって、こういう支払いがあって、それは何か今後問題になるのではないかみたいな、そういう情報とかは来るのか、その2つを教えてください。

○消費者庁大森消費者安全課長 消費者御自身は、恐らくPIO-NETで消費生活相談窓口に電話すれば、それが相談事例としてカウントされて、事故情報データバンクで掲載されるというような経路がございます。

保険会社については、明示的には、そこは、保険会社から通知ということを法的に規定しているものはないのでございますが、そこは、例えば、保険会社が、消センに電話をすればあり得るのですが、あるいは、そういった事故が発生したという情報をメーカーに伝えて、メーカーが製品事故として認識したりするという経路は考えられますけれども、それが具体的にどういうドライブが働いているかということは、ちょっとよく、そこはまだ分からない状態ですね。

○大石委員 ありがとうございます。

可能性として、あらゆるもの、やはりまずは、なるべく事故が起きる前に防ぐことを考えなければいけないと思うので、そういう意味で、本当にあらゆる情報を総合的に、大変だと思いますけれども、集めて事故の防止に是非努めていただければと。以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

まず、1つ目としまして、いろいろなところに事故情報を集めるということで、自治体ですとか、いろいろなところに発出文書を出しているということなのですけれども、1点質問なのですが、この事故を通知するのは良いのですけれども、何かフォーマットみたいな、何か共通で、これとこれとこれをちゃんと知らせてくださいねみたいな、そういったものはあるのかということを、ちょっと1点お伺いしたいと思います。

と申しますのは、事故情報を収集するときに、それぞれフォーマットがないと、ばらばらだと困るのではないかなと思ったのですが、その説明がなかったので、どういう感じで収集されてまとめられているのかというのが、ちょっと疑問に思ったのでお伺いしました。

まず、これで、1点目をお聞かせいただけますか。

○消費者庁大森消費者安全課長 実際問題としては既存の業務に負担を更に増加させるようなことが、なかなか難しいということがございまして、消費者庁ができる前から、消費生活相談を受け付けていたりとか、あるいはできる前から様々なデータバンクに自主的に参加するところは、自らの情報のやり方をやってきたということがございます。

したがいまして、そういったところにまで全部こういう形で、この相談情報、こういうことにしなさいとは、なかなか難しいのですけれども、基本的な時点、あるいは相手といった情報というのは載るようにしているところであります。

マニュアル化するということに関して、例えばですけれども、その中でも通知の仕方とか、それに関しては、自治体あるいは事故情報としてもらう際には、マニュアルみたいなものを示しておって、フォーマットを、消防とかには示してはいるのですけれども、それを全部、消費生活センターあるいはその他に一律で適用するという状況には、まだなっていないという状況であります。

○木村委員 分かりました。

ただ、デジタル化の社会ですので、そういったところからこそデジタル化をして、きちんと収集して分析しやすいようにしていくのが望ましいのではないかなと思うところです。

と申しますのは、せっかく収集してもそのフォーマットがばらばらですと、今度それを誰がきちんと整理して分析するのかなというのは、やはり大変手間暇が掛かると思いますので、そういうことも、是非今後検討していただきたいと思います。

では、次なのですけれども、先ほどちょっと消費者庁の別の説明のほうでも質問をしたのですけれども、消費者安全のほうは、やはり、大変重要な課題だと思いますので、消費者基本計画の工程表の重点施策にも位置付けていただきたいと思いますし、そのときに、消費者基本計画の議題のところに、EBPMですとか、ロジックモデルの話があったのですけれども、今回のKPIというのは、やはり注意喚起というのではなくて、注意喚起の結果、事故件数がどのぐらい減ったかというアウトカムというのが重要ではないかなと考えているところです。

今回、分かる範囲で結構なのですけれども、注意喚起の結果、製品の改善ですとか、基準の策定につながった件数がどのぐらいあるのかというのは、なかなか難しいと思いますが、そういった視点で検討すべきだと考えております。これは、意見になります。

それから、もう一点なのですけれども、事故調の報告書によりますと、法規制の対応を求めるものですとか、規格とか基準の策定を求めるなどと表現されているのですけれども、結果の把握というのは、どういうふうに行われているのか、お聞かせいただけますか。

また、安全課では、このような視点での状況把握はされているのかということをお聞かせいただけますでしょうか。よろしくお願いします。

○消費者庁大森消費者安全課長 事故調が、提言したもののフォローアップというものがございまして、特に制度的な面について、各省に依頼しているところについては、1年後をめどにフォローアップして確認をしていくというようなことがございます。

注意喚起のところで、制度的なものとして、我々安全本課のほうに行くと、注意喚起で情報提供していくという中において、それについて、例えば、子供の例でいくと、検証以前に繰り返し情報提供をやっていかなくてはいけないというところを、親御さんたちも変わっていくので、結果もさることながら、子ども安全メールもそうですけれども、同じことを何度も何度も言わなくてはいけないというところが、特徴としてはあるのではないかなと思っております。

逆に注意喚起をしなくなって、注意喚起する対象が入れ替わって、また事故が増えるということがないように、我々としては行いたいと思っています。現状の役割分担というわけではないのですけれども、どうしても、かなり専門的な方を多く揃えて、専門的な知見から原因分析をした上で、かなり骨太なことを提言する事故調と、あるいは、そこまでいかなくても消費者に情報提供するような安全課、なかなかその辺の、現状においては、制度的に決まっているわけではないのですけれども、傾向に違いがあるというような状況にはあります。

○木村委員 分かりました。特に子供に関しては、繰り返し繰り返し、例えば、大人が気を付ければ防げるような、幼稚園バスの中に取り残されて亡くなってしまったですとか、こういったことが、本当に繰り返し繰り返し起こる中で、どうしたら防げるのかというところが本当に悩ましいところと感じますので、是非今後とも検討をよろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、飯島委員、よろしくお願いいたします。

○飯島委員 飯島でございます。

直接の御説明はなかったにもかかわらず恐縮ですが、消費者安全調査委員会の報告書を大変興味深く拝読いたしまして、2点、質問させていただきたくお願いいたします。

1点目は、活動実績の中で、調査対象23件、うち申出制度を契機としたものが13件という御説明がございました。累計の申出件数は493件というデータをお示しいただいていて、数字だけを見ますと、493件のうち13件ということになります。もともとの在り方検討会で被害者等に向き合う調査の実施という趣旨で設けられた、この申出制度について、どのようにお考えになっているのか。報告書にも書いてありますとおり、理由を示して申出者には通知しているとのことですが、不選定となったものについて、何らかの分析を加えたりして生かしていらっしゃるのか。もう少し広く、取り上げたものについて、最近の消費者事故の傾向などにきちんと沿っているかという検証を行っておられるのか。事故の選定については6項目の指針に基づいてなさっているとのことですが、それが社会事象の課題に対応しているのか、お伺いしたいと存じます。

2点目は、消費者安全調査委員会の権限として、隙間事故、他機関の行った事故調査の評価が、運輸安全委員会との相違点として重要視されていると思います。例えば、他機関の行った事故調査の中で、エレベーター事故やエスカレーター事故については、国土交通省の昇降機等事故調査部会において専門的な調査、検討が行われ、更に消費者安全調査委員会で調査を重ねて、しかも非常に長期にわたってなさっているという報告がございます。こういった取り上げ方も重要だとは思いますものの、しかし、課題の中でも、事務局体制、専門的人材の確保という簡単には解決できない制約がある中で、どこに重点を置いていくのか、どこに重点を置けば、消費者安全調査委員会の活動の効率性や有効性に結び付いていくのか。豊かな展望を描いていらっしゃることに感銘を受けつつも、同時に、ここまでできるのだろうかという思いもございます。この10年を踏まえて今後の活動をどう展望されていくのか、現段階でのお考えをお聞かせいただきましたら幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○消費者庁大森消費者安全課長 今、御指摘いただいた、正にこの話をするときに、委員の中でもかなり議論があった点でございます。

案件の選定・不選定に関しては、個別の事例を申し上げませんけれども、1件1件来たものについて、事務局で選定・不選定にする、先ほどおっしゃった6項目について、該当する・しないということについて見た上で、専門委員などにもお話も聞いて、その上で、1件1件各委員で、委員会の場で議論を頂いているということになります。

もちろんマンパワーの関係もあり全てを取り上げるわけにはいかないということで、6項目のものを選定しているということなのですけれども、それを見ていく中においても、委員の中から、最近、社会経済状況の変化、特に、ある委員が言っていたことなのですけれども、エレベーターの案件であってすら、ファクターが単なる製品の安全にとどまらず、点検保守、それから点検保守に至るまでの社会構造の変化で、保守業者の実態あるいは、点検をコストとしてどう認知していくのかというような社会、住民の受け止め、その他、様々な論点がある中において、単に製品だけ扱っていれば良いというようなものではないというところから、更に広がっていって、輸入製品がどんどんグローバル化して入ってきたりとか、あるいは消費者自身が、例えば、その保守あるいは製品仕様ですら、決めることができる時代になりつつある、そういったものについて、どのように見れば良いのかという、製品ですらサービス化しているのではないかというような指摘も一部委員からあって、そういうようなところにどう向き合っていけば良いのかということについて、10年の問題意識としては非常に指摘されているところであるというところです。

その中において、隙間案件というのがございましたけれども、例えば、隙間といっても、例えばエア遊具、あるいはトランポリンのように直接現状において安全をつかさどる安全基準がないようなものについて、やはり見ていかなくてはいけないのではないかというようなこともありますし、他機関が行う調査については、そこは人的な資源制約があるにしても、これも全ての案件ではありませんが、そういう評価を行うべきだというような意見もあり、それについても真摯な意見を交わしているというようなところだと思います。

なかなか私は各委員を支える立場からここで申し上げることが僣越なのかもしれませんが、そういう中で、あえて私から、委員がこう考えているであろうということを申し上げるとするならば、その中において、やはり事務局も含めて、委員、それから事務局を含めた専門性の確保と、それなりの人員のロット。あるいは過去の消費者安全行政あるいは消費者安全調査委員会ができる、消費者庁ができる、事故調ができるきっかけになった、パロマのガス器具の話であるとかエレベーター事件とか、そういった経緯、そういった思いをどのようにして引き継いで発展させていけば良いのかということについて、強い問題関心を示す委員もいらっしゃいました。

我々としては、事務局としては、支える側としては、そういった方の思いが反映されるような体制を組んでいきたいという目標を持っておるのですけれども、それについては、当然、庁全体の問題の中での課題設定ということになりますので、できるところから進めていくというようなところで、こういうような報告書の文言になったというところでございます。

すみません、なかなか僭越なコメントになってしまったかもしれませんけれども、そういうところだと理解しています。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

先ほどの木村委員の話に戻って恐縮なのですが、私は20年前から相談員をやっているのですが、フォーマットの話がありましたが、PIO-NETの刷新の度に、フォーマットは出来上がっていると思っております。ほかの医療の参画医療機関からの情報というのは、忙しい医療機関からもらうというのは、なかなか難しいとは思いますが、この10年、消費生活センターからPIO-NET情報に上げるというのは、相当フォーマットが決まっていまして、ここを入れたほうが良いというのも、国民生活センターから指示が来ておりますので、相談員としては、すごく見ていただいているのかなと思っています。少し前に、高齢者専用の住宅で、廊下の手すりで事故をして、1か月以上のけがをしたという相談を受けました。丁寧に聞き取って、あっせんをしようと思っていたのですが、相談者が、もうここまでで良いと、事故情報として、きちんと記録してほしいと言われたのでPIO-NETに入力をしました。

そうしたら、しばらくしたら、消費者庁から、ここはどうだったかと、聞かれたのですね。こういう対話が必要で、PIO-NETに私たちは書いているのですが、やはり生々しい情報をお伝えすることもできないので、逆に消費者庁から聞かれたという経緯もありました。

最近では、ここ2年ぐらいハイフという超音波のリストアップの機械で、事故も多くありまして、消費者庁から、PIO-NETを見ただけではちょっと分からないからという問い合わせもありました。

少しずつ改善されて、また、次回のPIO-NETの刷新では、4年後に改善されると思いますけれども、PIO-NETもカーシスという仕組みになりますが、きちんとフォーマットが整ってきているのかなと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

よろしいですか。

それでは、星野委員、よろしくお願いいたします。

○星野委員 御説明ありがとうございました。

EBPMということで、先ほどの木村委員のお話にもございました。あと、消費者コミュニケーションという観点でちょっと意見をさせていただければと思います。

例えば、よく知られていることですけれども、自動車事故と飛行機事故はどっちのほうがリスクが高いかみたいなのは、どうしても直感的に飛行機のほうが怖いと思うのですけれども、圧倒的に、30倍ぐらい死亡率は低いというわけですね。

ですから、人々が感じるようなリスクと、実際のリスクは結構違っていて、多分メディアなどだと、どちらかというとセンセーショナルな事例みたいなものだと、かなり報道されるのですけれども、そうではない事例に関してスルーされるという、かつ、多く起きている事案に関しては、スルーされるということがありまして、やはりセンセーショナルなところは、もちろんメディアがやっていただけるかもしれませんけれども、やはりそうではないような、かつ重要な事案に関して広報いただくというのは、やはり国民の安全に関して非常に重要だと思うのですけれども、そういったものをお考えになって、公表とか、例えばSNSなどで情報提供するとかといったことを結構されているのかと思いますが、流通は、あまりしないけれども、実は重要な事故情報みたいなものに着目されて、コミュニケーションをされるということは、結構必要かと思うのですが、そういったことをお考えになっているのかということが1点。

あと、もう1点、全然違った観点で、事故情報データバンクのシステムを、今、私も見させていただきまして、ちょっと死亡事故などに限定して見させていただきましたけれども、例えば商品名と型番とか事業者名とかが入っているやつもあれば、入っていないやつもあるのですね。

ものによっては、例えば入っているものでも、全く原因不明で調査終了というやつもあれば、明らかに、例えば報道などで出てきているような、バスに子供が取り残されたみたいなところでは、事業者名などは入っていないわけですよ。

そういうものを、情報を入れる際にどのようにお考えになって、事業者とか型番とかという情報を入れられているのかというところに関して伺えればと思います。

○消費者庁大森消費者安全課長 まず、後段から御説明申し上げます。

これは、現在の業務フローになっているので、最初の1ページ目を見ていただければと思いますけれども、消費生活用製品安全法の、業者から自ら申出を行う事例について、例えば、原因が、その会社の製品であるとはっきり分析できたものについては、製品安全法の枠内で、事業者名を明らかにして、データバンクに入れるというようなことになっています。

一方で、消費者安全法に基づく通知の場合であれば、そこまで因果関係の確定に至っていないものも多くあります。

現実において、これについて原因が分かったかどうかということについて、日々年間に来る通知の数も増えている状況の中で、まず名前を出して良いぐらいにまで因果関係が取れているかどうかということについてまで、公表までに調べが付くものがなかなかないというような実態がございます。

したがいまして、それに応じて、名前がある・ないの区別の差ができてきているというようなことでございまして、実態の運用としては、そうなってきているというのが一つ。

それから、もう一個、SNSを使った、特にリスクの文化というのがありますので、ここは悩ましいところでございまして、製品事故の分野においては、例えばR-MapというのをNITEが作っていらっしゃったりして、製品において何万分の1の確率で事故が発生しているとか、そういったことについて、割と大きいロットで調べて、それについて数が多いから、リコールを求めていくと、その中の1つの情報として、我々が事故情報として入力していく情報が生きてくることもあるのですけれども、それに相当するものとして、このような傾向が来ていますといった傾向値を、最初にお出ししたような危険情報の件数の形で見せるということもあると思うのですけれども、そういったのと、あとは、一方で、なかなか端緒として、例えば事故調にしても我々にしても、注意喚起あるいは調査選定に行くような要素となるのは、その1件1件の判断、ここはちょっと生命・身体と、それから財産権に大きな違いになるのですけれども、ある程度私見を交えて申し上げれば、相談情報にしても、事故情報にしても、財産案件の数は、生命・身体の10倍以上あるわけでございます。

我々はその中で、日々来る情報の中で、数は比較的少ない、多いのですけれども、中でどのようなものが新しい新規性があるのか、あるいはどのようなものが隙間っぽくなっていって対応しなくてはいけないかというのを、まず見ていくというのが我々の中で1つ、業務としてやっていかなくてはいけないというところになってまいります。

その観点がニュースに出るか、出ないか、大きな案件なのか、そういったリスクがあるものを見た上で取り上げていくかどうかを決めるということになってきていて、これは、ここの部分を、ノウハウを自動作業あるいは計算できるかということについては、なかなかこれは、よくいろいろ指摘も受けるのですけれども、これも担当者が目検をすると、目検という言葉になってしまうのですが、これは、事故調も恐らく変わらないと思うのですけれども、そのようなことで対応しているのが実態でございます。

そこの部分にどのようにして、SNSの感情分析に入れていけるかどうかというのは、ヤフーの感情分析で検索することがあるのは承知しておりますけれども、そこら辺は、まだ少し事故調の10年にも書かれておりますけれども、そこは課題としては残っているというようなところであります。

○星野委員 すみません、感情情報というより、通常、センセーショナルな情報ばっかり見てしまうので、そうではないような、通常よく起きるような事故は結構あります。そういったものに関しても、是非、消費者に対してコミュニケーションを取っていただくようなやり方を考えていただければと思って申し上げたところでございます。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 黒木です。御説明ありがとうございます。

第7次の消費者委員会で、この消費者安全の問題について、お時間を頂いて審議をするのは初めてになると思います。この関係で少し的外れな質問になっているのかもしれませんけれども、消費者委員会の消費者安全専門調査会が平成29年8月8日に、事故情報の活用等の在り方についてという報告書を出されていると思うのです。

その報告書と、今回の御説明との関係がどうなっているのかということについて、ちょっと御質問をさせていただければと思っております。

その報告書では、特に入力データ、事故の未然防止等のための事故情報の更なる活用に向けた分析という項目がありまして、そこでは、事故情報をどう分析、専門委員における分析とか、それから、事故情報データの品質向上に向けてといったこととか、事故情報の活用の在り方についてといったような形で、それから事故情報データの分析という形の項目が分けられて、いろいろ議論がされているようです。まだ、ちょっと私も全てを理解できているわけではありません。しかし、この中で、事故情報のデータに登録されている事故情報に関して、収録されている項目や分類の状況を確認することにより、データの品質を検証するということで、検証結果として、データ品質に関して、項目の収録状況については、空白が非常に多かったり、研究者、利用者のニーズ等を把握して、入力を推奨する項目を明確にすべきだとされています。また、収録の形式についても収録形式が不統一なもののままがあるとか、自由記載の扱いが多いといったようなことで、検証結果を出されています。そして、それについての方策として、情報提供元における定義の違いを考慮した上で、自由記載の分からのアクターコードの検討あるいは措置状況等、現状では実質的に利用できない空白が多い項目について利用者ニーズに応じて情報提供の検討などをすべきだという形の報告が出ていると理解しているところです。この辺りは、平成29年の報告書以降、何か進展とかがありましたらお知らせいただければと思います。

以上です。

○消費者庁大森消費者安全課長 この平成29年の、頂いた提言について、一旦、成果として対応をこれは、消費者委員会にお出ししている、主な成果として整理したものを出してございますので、そこで消費者庁として、例えば、当時のことからすれば、入力方法の整理についての関係省庁の働き掛けを行ったりとか、あるいはマニュアルについて、消費者事故の通知の運用マニュアルを配付したりとか、あるいはデータ分析の活用に関しては、まだ予算、人員の体制がなかなかできていないので、試験的な実証が検討課題であるというところとか、というような回答をお出ししているところであります。

それ以降につきましては、今、私も資料を見ている中においてですけれども、どちらかというと、そういったマニュアルに関するものは、引き続き、30年、31年度にやったものを、マニュアルで適切に運用しつつ、総体として申し上げれば、事故情報を幅広く頂くという形の方向で、今日御報告したようなことでやっていっているというような流れになってございます。ちょっとお時間の関係もあって、正確になっていないかもしれませんけれども、そのような形で、一応主な成果という形で、消費者委員会のホームページから出た報告資料は、これは一応あるというところであります。

○黒木委員 ありがとうございました。

ちょっとその辺りまで、まだ、この消費者安全のことについては、勉強不足なものですから、教えていただきましてありがとうございました。

○後藤委員長 ありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

御説明、御回答を頂きましてありがとうございました。

消費者庁において消費者事故情報の集約・分析を行い、その結果を活用するなどして、消費者の生命・身体の安全確保のために取り組んでいることについて御説明を頂きました。

消費者事故情報の集約については、消費者委員会としましても、先ほど委員からも御発言がありましたけれども、平成29年8月に事故情報の更なる活用に向けた提言を出すなど非常に関心を持ってきたところです。

本日、この平成29年8月の提言後の状況ということも含めて、御説明を頂いたところでございます。

本日は、最近の消費者事故の傾向や医療機関ネットワーク事業の状況、事故情報を活用した注意喚起などについてもお話がありました。

事故情報の収集に関しては、委員から事故情報を集めるフォーマットがあるか、収集についてのマニュアル化がされているか、それからデジタル化の利便性を活用した収集・分析が重要であることの御指摘など、収集・分析の質の向上という観点についての御意見がありました。

集約した情報の分析・活用という観点では、必要とされる消費者に情報を伝えるための広報、周知啓発について工夫が必要であるという御意見と御回答がありました。

さらに、子供の事故についての御意見もありました。

次に、消費者安全調査委員会の設立10周年の活動報告書についてですけれども、成果や課題について御説明を頂きました。

委員からは、調査対象事案の選定をどのようにするか、どこに重点を置けば消費者安全調査委員会の活動を効率的・効果的に運営できるか、そういう観点からの御意見がありまして、御説明を頂きました。

消費生活において生じた生命・身体に関わる事項に関する情報は、消費者庁に一元的に集約され、消費者に対する注意喚起や事故情報の分析に活用されています。消費者庁においては、収集した事故情報の分析の質を一層高め、より事故の未然防止に資する注意喚起や製品の改良等につながる対応等を実施することに、更に努めていただきたいと思います。

消費者安全行政は、消費者の生命・身体を脅かす消費者事故の再発・被害の拡大を防止するという、消費者行政の中でも極めて重要な課題を担う分野です。消費者庁におかれましては、行政全体として隙間のない対応に留意しつつ、引き続き、消費者安全行政に着実に取り組んでいただきたいと考えております。

消費者庁におかれましては、本日は、お忙しいところ、審議に御協力いただきましてありがとうございます。どうぞ御退席ください。

(消費者庁 退室)


《4.閉会》

○後藤委員長 本日の議題は、以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○事務局 事務局でございます。

次回の本会議の日程と議題については、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上でございます。

○後藤委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)