第366回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2022年2月18日(金)10:00~11:20

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、生駒委員、受田委員長代理、大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員
  • 【説明者】
    消費者庁吉村消費者教育推進課長
    (消費者庁吉村消費者教育推進課長の「吉」は、正しくは「土の下に口」)
    消費者庁消費者教育推進課田中食品ロス削減推進室長
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(エシカル消費の普及啓発)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、第366回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、私が会議室にて出席、受田委員長代理、青木委員、飯島委員、大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員がテレビ会議システムにて出席です。

星野委員は御欠席です。

生駒委員は御出席の予定ですけれども、遅れているようであります。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

配付資料は議事次第に記載のとおりです。お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願い申し上げます。

以上でございます。


《2.消費者基本計画の検証・評価・監視(エシカル消費の普及啓発)》

○後藤委員長 本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、エシカル消費について御審議いただきます。

2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)は、各国で取組が進められている重要な目標であり、我が国においても関係行政機関のみならず、企業、団体、個人など様々な方々がその取組を進めていると承知しています。

SDGsの達成に向けては、消費者一人一人の行動が極めて重要です。消費者庁が取組を進めるエシカル消費は、SDGsのゴール12「つくる責任つかう責任」に特に関係が深い取組で、当委員会としても関心を寄せているテーマです。

消費者庁におかれましては、2015年からエシカル消費の普及啓発に取り組むとともに、2019年に成立した食品ロス削減推進法に基づき、関係省庁と連携して食品ロス削減に向けた取組を行っているところと承知しております。

また、昨年8月には原材料調達から生産、使用、廃棄の各段階での環境負荷等の課題が指摘されております衣服について関係省庁連絡会議を立ち上げ、サステナブルファッションの取組を開始されたと伺っております。

そこで、本日は新たな取組も含め、エシカル消費の取組状況について御報告を頂きたいと思います。

本日は、御説明者として、消費者庁消費者教育推進課の吉村課長に御出席いただいております。本日はありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 ただいま御紹介いただきました消費者庁消費者教育推進課の吉村と申します。本日はよろしくお願いいたします。

それでは、私から配付資料に基づきまして御説明をさせていただきます。「エシカル消費の取組について」という資料です。右下にページ番号を振っておりますので、そのページ番号に触れながら御説明をさせていただきます。

1枚めくっていただきまして、2ページ目を御覧ください。まず、エシカル消費全体についてでございます。エシカル消費につきましては、平成27年5月から平成29年3月まで倫理的消費調査研究会を開催させていただいておりまして、そちらの中でどういった取組が必要か、また、エシカル消費とはどういったものが含まれてくるのかといったことについて御議論いただいたものでございます。

平成29年4月に調査研究会としての取りまとめをしていただいておりまして、その取りまとめに基づいて、現在、消費者庁で様々な取組をしているところでございます。

3ページ目を御覧ください。「エシカル消費を定義すると」というものでございますけれども、消費者基本計画も考慮しながら、研究会では、3ページ目の下でございますけれども、消費者それぞれが、社会的課題の解決を考慮したり、そういった課題に取り組む事業者を応援したりしながら消費活動を行うことをエシカル消費と言うのではないかということで整理をいただいております。

ただ、これだけですといろいろなものが入ってくるということで、なかなか具体的なイメージがしづらいのではないかということで、4ページ目は消費者庁で作っておりますパンフレットの中の一つの記述を抜粋してきているものでございます。エシカル消費も様々なものが含まれておりますが、大きく整理をさせていただくと、左側の「今だけ」「ここだけ」「自分だけ」という消費を少し変えていくことで、持続可能な社会につながっていくのではないかということを考えて整理をしております。「今だけ」「ここだけ」「自分だけ」というところから、未来を考える、地域・世界を考える、あるいはみんなに優しい社会を考える、そうした消費行動を少しでも取っていただくことで、より良い社会につながっていくのではないかということを呼び掛けているところでございます。

具体的な例といたしましては、右側にエコ商品、フェアトレード商品、ユニバーサルデザインといったいろいろなものが入っておりますということを御紹介させていただきまして、ふだんの生活の中でも少し気を配っていただくことでできることがあるのではないですかということを呼び掛けているところでございます。

5ページ目以降は、具体的に消費者の皆様に御説明をする際に活用している資材でございまして、5ページ目が「エシカル消費のリーフレット」ということで、表裏1枚のものを作っております。

もう少し詳しいものといたしましては、6ページ目のエシカル消費のパンフレットというA5サイズの少し小さい12ページのものを作っておりまして、エシカル消費の必要性など、具体的にエシカル消費に資するようなものを考えたときに、認証ラベルというものも一つのヒントになりますよというようなことを御紹介させていただいております。

7ページ目でございますけれども、紙媒体のものだけではなくて、子供が勉強される際に使えるような動画も作成しておりまして、アニメーションと映像を活用しながら、エシカル消費の必要性や、具体的にどういったものがエシカル消費につながるのかといったことを、買物を例に取りながら御紹介するような動画を作成して、活用を促しているところでございます。

8ページ目につきましては、教材ということで小学校中学年以上の方を想定しておりますけれども、学校でエシカル消費について学ぶことができるように、先ほど御紹介いたしました動画も使いながら、学校で授業としても使える形での教材を作って公表させていただいております。

9ページ目につきましては、一般の方により広くエシカル消費について御紹介させていただくという観点で、エシカル消費の特設サイトを開設しておりまして、そちらの中でいろいろな有識者の方のコラム的なもの、あるいは事業者の取組、更には地方公共団体の取組を集めてまいりまして、御紹介をするような取組を行っております。

10ページ目を御覧ください。エシカル消費につきましては、先ほども申し上げましたように、範囲としては幅広い領域のものが含まれていると考えておりますので、消費者庁だけで全てをやることはなかなか難しいのかなと思っております。

一昨年、関係省庁とも連携するような体制を作ろうということで、生活者・消費者教育に関する関係府省連絡推進会議を関係省庁と一緒に立ち上げることにいたしました。その中でもエシカル消費の部分につきましては、右側の下側ですけれども、持続可能な社会の実現のための教育を消費者庁以外の関係省庁でも取り組んでおられますので、そういったものとの連携を深めていけないかということで、「自分で考える」教育分科会というところで議論させていただいているところでございます。

11ページ目ですけれども、この関係省庁連携推進会議の議論を基に、第一歩といたしまして、先ほど申し上げましたような持続可能な社会の実現のための教育の中で各省庁が様々な取組を行っておられますので、そういった情報を一元的に集約させていただきまして、そういった情報について一覧化するような取組を始めております。

11ページ目に具体的なテーマがございますけれども、それぞれの省庁で取り組んでおられます持続可能な社会の実現のための教育の分野につきまして、リンクを御提供いただくことによって、それぞれ御関心のある分野に取組を進めていこうといったときの参考情報を集約するような形にしております。

12ページ目を御覧ください。サステナブルファッションの関係につきまして、エシカル消費の中でも取組を進めているということで、御紹介をさせていただいております。

冒頭、委員長からもお話がございましたけれども、生産・流通、廃棄・循環までの各段階、それぞれ事業者の方あるいは消費者の方に向けて取組ができることはないかということで、当然消費者庁だけではできませんので、経済産業省、環境省とも連携をして働き掛けを強めていきましょうということで、昨年8月に体制を作ったというものでございます。

生産・流通、購入・使用、廃棄・循環といったところにおきまして、事業者あるいは消費者の方向けの取組を進めていく、例えば環境配慮設計や透明性の向上、消費者の方もこれまでの行動を少し変えられるところは変えていただいて、よりサステナブルな消費行動をしていただく。更に廃棄の問題もございますので、衣服の廃棄を減らすといったところにつなげられないかということで取組をしているところでございます。

13ページ目以降につきましては、ファッション関係の消費者庁の取組について簡単に御説明させていただいております。

消費者庁におきましては、主に消費者の方に、より持続可能な形での衣服の購入、使用、廃棄に取り組んでいただけないかということで働き掛けをしていきたいと思っておりまして、まず、サステナブルファッションにつきまして特設ページを開設させていただいております。

その中で、消費者の方に少し気を配って取り組んでいただくことで、よりサステナブルな衣服の購入、使用、廃棄につながるものがございますよということを消費者行動18のヒントという形で整理させていただいて、公表をしております。

13ページの下にございますけれども、買うとき・選ぶとき、日々使われる際のお手入れや洗濯時、最後に処分する際、更にはその他ということで、大きく4つの段階に分けまして、更にその中でも18の行動という形で具体的なものを掲載させていただいております。

14ページ目を御覧ください。もちろんこういった行動がございますということを御紹介はしておりますけれども、具体的にそういったものをどこで購入あるいは使用することができるかといったところもあろうかと思いますので、事業者とも連携をさせていただいておりまして、より持続可能な形での衣服の製造や使用といったところを促しておられるような事業者の取組も、御協力いただいて動画という形で御紹介させていただくような取組も今年に入ってから開始させていただいております。

15ページ目を御覧ください。消費者庁から直接情報発信するだけでは弱いところがございますので、著名人の方、有識者の方にサポーターという形で御協力をいただく、更にはエシカル消費全般につきましてはエシカルライフスタイルSDGsアンバサダーという形で御協力いただいている冨永さん、こういった方々に御協力いただきまして、情報発信も進めていこうという取組を開始したところでございます。

16ページ目を御覧ください。サステナブルなファッションにつきまして、一般消費者の方に向けて、課題あるいは取り組むことができることを知っていただくような機会といたしまして、昨年2回ほどイベントも開催させていただいております。ここには先ほど御紹介いたしましたサポーターという形で御協力をお願いした鎌田さんやeriさんといった方にも御出席いただきながら、ディスカッションなどをしていただいて、消費者の方向けの働き掛けも開始しているところでございます。

17ページ目を御覧ください。こういった取組をしている中でのKPIでございます。左側を御覧いただきますと、消費者基本計画の工程表におきます概要ということで、エシカル消費の普及啓発ということが記載されております。消費者一人一人の方が、今、自分というだけではなくて、未来、地域・世界といったものを大切にする消費へ促していこうということを掲げておりまして、左下でございますけれども、KPIといたしましてはエシカル消費の認知度を掲げておりまして、令和4年の30パーセントを目標にしております。直近で申し上げますと、令和2年2月としては12パーセントの方に認知していただいている状況でございます。

17ページ目の右側につきましては直近の調査の結果でございまして、物価モニター調査におきまして、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、エシカル消費に関する関心の度合いが高まりましたか、変わりませんか、低くなりましたかということをお伺いいたしました。

結果を見ますと、感染拡大前と比較して関心が高まった方が22.7パーセントほどおられるということで、少し関心は高まってきているのかなと思っておりますし、17ページ目の右下でございますけれども、取組につきましても実践の機会が増えたという方が2割弱おられるということで、関心や取組の高まりを感じているところでございます。

18ページ目からは、食品ロス削減につきまして重点的に取り組んでおりますので、その状況について御説明をさせていただいております。

冒頭、18ページ目につきましては、食品ロスの量といたしますと、令和元年度の推計といたしましては570万トンということで、多くの食料がまだ食べられるにもかかわらず廃棄されているということでございます。1人当たりの年間に換算いたしますと45キログラムということで、お米の消費量にほぼ近い量が捨てられているという状況にございます。

19ページ目を御覧ください。食品ロスの量につきましては毎年度調査をしておりまして2000年の980万トンがございましたけれども、徐々に減ってきておりまして、2019年につきましては570万トンまで削減している、目標といたしましては、2030年度の489万トンを掲げて取組を進めているところでございます。

また、グラフの中で濃い緑と薄い緑があろうかと思います。これにつきましては事業系で出ている廃棄される食品の量と家庭で出ている廃棄される食品の量でございます。2019年で申し上げますと309万トンが事業系、261万トンが家庭系でございまして、おおむね同じような量が事業、家庭の両方から出ているということでございますので、それぞれへの働き掛けが必要だということで取組を進めております。

20ページ目を御覧ください。委員長からも冒頭にお話がございましたけれども、令和元年5月に食品ロスの削減の推進に関する法律ができまして、国としても食品ロスの削減について取組をしっかり進めていこうということが法律の中で掲げられているところでございます。

左側、法律の主な内容といたしましては、例えば食品ロス削減月間を10月に定めまして、国民の方の理解と関心を深めていきましょうなど、政府、国で食品ロスの削減の推進に関する基本方針を作っていきましょうと。都道府県、市町村につきましては、国の基本方針を踏まえまして、推進計画をそれぞれ作っていただけないでしょうかということを定めております。

右側でございますけれども、基本的な施策といたしまして、消費者、事業者それぞれに対する教育や普及啓発をやっていく、更には事業者の方への取組の支援、表彰、それから調査、情報提供、更にはフードバンク活動の支援といったことが掲げられているところでございます。

21ページ目を御覧ください。基本的な方針ということで、法律に基づいて政府のほうで基本方針を定めることになっておりますので、令和2年3月に閣議決定した基本的な方針でございます。

下側に、具体的にどういったことをやっていくかが掲げられております。左下の消費者につきましては、日々の生活の中でできることを行動に移していただくということ、真ん中の農林漁業者・食品関連事業者につきましては、食品ロスを把握いたしまして、商慣習も含めた見直しに取り組んでいただくということ、右の国・地方公共団体につきましては、普及啓発や事業者の支援、情報の収集・提供、更には未利用食品の提供の支援といったところが掲げられているところでございます。

22ページ目を御覧ください。食品ロスの削減につきましては、当然消費者庁だけで進めていくことはできませんので、関係省庁と連携しながら取り組んでいるということで、真ん中にございますけれども、主に6省庁と連携しながら取組を進めております。

また、取組を進めていくための体制といたしまして、22ページ目の下側でございますけれども、食品ロス削減推進会議を設けておりまして、そちらで議論をしながら取組を進めているところでございます。

23ページ目以降は、具体的にどういったことをしているかの御紹介でございます。

23ページ目につきましては、法律で10月は食品ロス削減月間、10月30日は食品ロス削減の日となっておりますので、その機会に、ポスターを作って周知啓発をさせていただいているところでございます。

24ページ目を御覧ください。食品の有効活用という観点で、国で取組をしているものでございます。国の各省庁におきましては、災害に備えて食品を備蓄しております。しかしながら、賞味期限が来たものにつきましてはもう備蓄食品としての役割が終わるということで、これまでは主に廃棄をしておりました。そういったものを有効活用できないかということで、各省庁で申合せをしたということでございます。

内容といたしましては、賞味期限までの期間がおおむね2か月以内になったものにつきましてはもう売り払うことができないということで、フードバンク団体などに提供しましょうということを申し合わせさせていただいております。

右側にございますけれども、各省庁で順次、賞味期限が来る備蓄食品が出てまいります。農林水産省にポータルサイトを作っていただいておりますので、そちらで情報提供させていただいて、そういった食料を活用したいと言われるフードバンク団体から御連絡をいただいて、提供させていただくという取組を進めております。

25ページ目は普及啓発のための取組の具体例でございます。買物をされる際に、買ってすぐに食べられるものであれば、販売期限が迫っているものであっても特段問題はないというところがございますので、手前から取っていただいて早めに食べていただくと言う「てまえどり」ということを事業者と連携しながら働き掛けをさせていただいておりまして、昨年6月につきましては、コンビニエンスストアに御協力いただいて啓発キャンペーンを進めておりました。

26ページ目を御覧ください。食品ロス削減推進法に基づいて、食品ロス削減の推進に資するような取組を行っておられる方々を表彰するということを始めております。令和3年度につきましては、左側でございますけれども、日本アクセスなどを表彰させていただいております。10月に食品ロス削減推進月間がございまして、その中で食品ロス削減全国大会をやっておりますので、その中で表彰させていただいております。

27ページ目を御覧ください。一般の方々が食品ロス削減に向けて、理解するだけではなくて、行動に移すことを働き掛ける一つの方法といたしまして、食品ロス削減に資するような川柳を考えていただけないかということで呼び掛けをいたしました。

その結果、審査員の方に審査をいただいて、良いものにつきましては大臣なり長官から表彰させていただくということをやりまして、大臣賞を取った「冷蔵庫 開けて地球を のぞき込む」といったようなものを表彰させていただきました。これからはこういった川柳も使いながら周知をやっていこうと考えております。

最後に28ページ目を御覧ください。食品ロス削減に関するKPIでございます。別の閣議決定で2030年度までには2000年度比で食品ロス量を半減するということを掲げておりますので、これを目標に取り組んでいるところでございます。

左下のKPIといたしましては、食品ロス削減のために何らかの行動をしている国民の割合を80パーセント以上にしていこうということを目標に掲げております。令和元年度では76.5パーセントの方が何らかの取組をしているところでございます。

右側が直近の状況でございまして、令和3年に行っております調査の結果ですと76.6パーセントということで、取り組んでおられる方の割合が若干高まっている状況でございます。

こちらからの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 ありがとうございます。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は40分程度でお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

説明ありがとうございました。エシカルの知名度が徐々に上がっているということですが、現場の報告もしたいと思います。

昨年、研修で徳島に行ったときに、行政が主導して地場の証券会社や地方銀行との取組が進んでいて、良かったなと思いました。

先日、名古屋市消費生活センターでも、大学へのエシカルの普及促進事業として、受託事業として行われた行事があったのですけれども、そこで各企業とのコラボレーションという報告がありました。イベント型も知名度を上げるのには良いなと思いましたが、地方の中小企業の方と大学生がコラボレーションしてやっていくというのが良いなと思いました。特に豊橋にある中小企業のつくだ煮屋と名古屋市内の栄養学部があるような女子大がコラボして、エシカルも同じですよね、SDGsの視点から見直してやったという事例発表がありました。

学生が、本来つくだ煮なんか食べないのに、何でそういう企業と結び付けることを考えたかと聞いたら、やはり先生だったのです。先生が伝統食品を何とかPRしたいという一面と、そういった中小企業の方々はまだまだSDGs的な取組が遅れているというところを何とか掘り起こそうということで発表したところが良かったかなと思いました。

学生が言っていたことが印象的だったのですが、そういった活動の中で企業と話合いをして、例えばパッケージを見直すとかをしていく中で、大学生は「報連相」の必要性を感じたと言うのです。これは教育というか就職に役立つなと。「報連相」は報告、連絡、相談ということだと思うのですが、それがすごく良かったということと、客観的に考えることができたと。正しく先ほど自分事で考える教育ということだったのですが、行政がプッシュしていくことでこういった取組ができたのかなと思いますので、このイベントの報告でも、答えは現場にある、そして産官学が一緒に考えることによってエシカルが進むのだ、育てていかなければいけないということで締めくくられたのですが、正しく今はそういうときかなと思います。連携が大事だと思っています。

消費者庁もやっていますけれども、またそういった事例や良い例を紹介していくということを引き続きよろしくお願いします。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

消費者庁からコメントはございますか。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 清水委員、ありがとうございました。

おっしゃるとおり、なかなか消費者庁だけでこの動きを広めていくことは難しいところでありますし、事業者の方との連携も大事だと思っております。また、学生が企業の取組を知っていくことで、御自身の学びにもつながりますし、その後の行動にもつながっていくというところがあるのかなと思っております。

こういったことにつきましては、例えば昨年度モデル事業という形で、静岡県で企業の見学をするような形で若い方が学んでいくような取組をさせていただきまして、その結果につきましては公表させていただくような取組をさせていただいております。

それだけではなくて、各地域で取り組んでおられる例がございますので、そういったものにつきましては引き続きこちらでも収集をして、いろいろな地域で取り組もうと思われる際の参考になるものを提供していくことを続けていきたいと思っております。

○清水委員 ありがとうございます。

中小企業の方も、今、全世代の中でも学生がエシカルなどをよく理解しているので、学生からこうあるべきではないですかなど、省エネをもっとやったほうが良いですとか言われて、中小としては予算的なこともあってなかなか一歩を踏み出せないでいたのですが、若い人たちから、このようにすれば物を買うよと言われてやる気になったという企業側のメリットも言っていらっしゃいました。

大手の大企業は進んでやっていますけれども、今回の事業では、つくだ煮屋は勉強させられたと。それでやりましたということもありましたので、そういう効果もあるかと思いました。

引き続きよろしくお願いします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

エシカル消費の取組について現状を整理していただいて、大変分かりやすく、また、精力的に進めておられることがよく分かりました。

現在の取組に関しては、特に生産の現場と販売の現場をしっかりつなげていくということで、認証ラベル等を活用していく仕組みを整備されている。今後もここに更に力を入れていただきたいと思います。

一方で、こうなってくると抜けているところが極めて際立ってきたなという印象です。それは流通です。例えば6ページにエシカル消費に関して認証ラベルをという絵がございます。私も関わっているのですけれども、水産のエコラベル、海のエコラベル、MSCというものがあります。御存じのとおり、MSCを海の現場で取得しても、それは販売まで到達しません。流通でCtoCという仕組みが更にあって、そのCtoCの仕組みを取得した流通業者が介入しない限り、生産と消費の現場がつながらないのです。今、抜け落ちているのは、こういった流通ではないかと思います。

昨今、アサリの産地偽装は相当大きく取り上げられましたけれども、結果、消費者は販売の現場しか見ていなくて、これを食品表示上の文字として見ているにすぎません。生産の現場が偽装すると、生産と販売のかい離が起こるのです。情報の非対称と言うことができます。これを埋めるには、やはり流通が深く介入し、消費者にそれを見せる必要が絶対にあるのではないかと思います。

この点を、フードロスなど、恐らくこれがカーボンニュートラルにつながっていくということはもう紛れもないのですけれども、更に連動させていく上では不可避というか絶対に欠けてはいけない部分ではないかと思うのですが、その点に関してのお考えを是非お聞かせいただきたいと思います。

以上です。

○後藤委員長 よろしくお願いします。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 受田委員長代理、ありがとうございます。

もちろん我々は特に消費者への働き掛けを中心にやっているところでございますけれども、事業者は生産もあれば販売もあろうかと思いますが、それぞれの段階においてどういった形で作られて、売られているかといったところの情報がないと、消費者としてもどういったものを選んで良いかが分からないというところはあろうかと思いますので、その辺りの情報の提供をより一層やっていただくように促していくことも大事なところではないかと思っております。

また、販売の現場での御協力といったところで、消費者の方と直接接せられるところがあろうかと思います。そういったところは大事ではないかということで、特に食品ロスの関係ではございますけれども、販売関係の事業者との連携も進めさせていただいておりまして、先ほど御紹介させていただいたような「てまえどり」のキャンペーンということで、すぐに食べられるような場合であれば、賞味期限なり消費期限が迫っているものでも手前から取っていただくような働き掛けを販売業者の御協力をいただきながらやっていたり、あるいはポスターの掲示も御協力いただいているところでございますので、販売の観点も意識しながら、引き続き取組を進めていきたいと思っております。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

フードチェーンという考え方を是非重視していただければと思います。

ありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 大石です。御説明ありがとうございました。

私からは、意見と、それから質問を幾つか述べさせていただきます。

まず、意見ですが、消費者庁ではエシカル消費に関して精力的に活動いただいておりますこと、本当にすばらしいなと思っております。今、主流は食品ロス、それから新たにエシカルファッションとなっておりますが、欧米に比べて日本が一番遅れているのは動物福祉、アニマルウェルフェアのところで、情報も不足しているのではないかと思っております。今後、順次ということだとは思いますが、是非この辺りに注力いただきたいと思っております。

と言いますのは、例えば今、エシカルファッションが話題になっておりますが、衣服などのもともとの原料は、羊毛や綿花ということでして、アニマルウェルフェアと深くつながっております。エシカルのそれぞれの分野が独立しているわけではありませんので、エシカルファッションの中でアニマルウェルフェアを取り扱うことも十分可能なわけで、関連した広い視点で、是非エシカルファッションも進めていただければと思うというのが意見でございます。

もう一つはカーボンニュートラルについてです。先ほどもお話が出ましたけれども、エシカル消費の中には、2050年カーボンニュートラルに向けての私たちのエシカルな行動変容も必ず入ると思います。食品ロスの削減もエシカルファッションともつながっています。エシカルの話をする場合には、是非カーボンニュートラル、温暖化防止の辺りも入れていただけると有り難いなというのが意見の2点目になります。

今度は質問です。食品ロスの削減のところで、今日お示しいただいた資料の19ページのグラフは、家庭系と事業系の推移が書かれています。この中には入っていないと思うのですが気になるのが、生産地での食品ロスについてです。例えば農産物など、一度にたくさん生産できても、価格の維持のため、よくキャベツ畑でキャベツが収穫されず廃棄されているニュースを以前よく見ましたし、漁業でもたくさん魚は取るのだけれども、流通に乗らない雑魚などがその後どうなっているのかなど、生産地の食品ロスはどこでどのように管理しているのか、気になっております。また、それを減らすためには、先ほど流通の話がありましたけれども、流通ではどのような活動をしているのか、消費者とはどのようにつながっていけるのか、もし消費者庁で分かるようでしたら教えていただきたいというのが1点目の質問です。

2点目として、消費期限と賞味期限についてです。以前この場でも申し上げましたが、食品ロスの要因として期限という言葉があると思っておりました。消費者庁で募集して、「おいしいめやす」という新しい愛称がついて、これが食品ロス削減に大変つながっていると期待しているのですけれども、今「おいしいめやす」がどのくらい使われていて、効果はどのくらいあるのかなどがもし分かれば教えていただきたいと思います。

以上です。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 大石委員、ありがとうございました。

まず、アニマルウェルフェアの関係につきましては、おっしゃるとおりエシカル消費の一つの要素として入っていると認識をさせていただいておりまして、特設サイトでもその観点について、有識者の方のお話を取り上げさせていただいております。また、ファッションとの関係もあるというお話もあったかと思います。こちらにつきましても意識はしておりまして、事業者の取組事例といたしまして、動物の皮を使わないで、植物由来の皮を使っておられるような取組も御紹介させていただいておりますので、引き続き意識をしながらやっていきたいと思っております。

また、カーボンニュートラルについてお話がありました。これにつきましてはエシカル消費の中でもいわゆるエコといったところは当然含まれておりますし、消費者の方の認知を伺った際も、エコについては用語としては御存じで、取組もされておられるというような結果がございますので、2050年カーボンニュートラルに向けまして、こちらは環境省が中心になろうかと思いますけれども、消費者の方に向けた働き掛けといった部分で、消費者庁も連携しながら取組を進めていきたいと思っております。

生産地での食品ロスはどうなっているのかというお話がございました。これにつきましては、食品ロスの中に生産地で廃棄されているものは含まれておらず、把握していない状況だと思っております。ただ、食べられずに捨てられる食品の存在はなるべく減らしていこうということがございますので、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、応援消費というようなものが少し取り上げられておった時期があったかと思いますけれども、生産地と消費者をつなげるようなマッチングをされておられる事業者の取組は御紹介させていただいております。

また、賞味期限と消費期限につきまして、「おいしいめやす」というものを定めまして、愛称として普及させていただいているところでございますけれども、これにつきましてどれくらい使われているかといったところにつきましては、特段こちらではまだ把握しておりません。申し訳ございません。

○大石委員 分かりました。良い取組だと思うので、是非進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

それと、先ほど受田委員がおっしゃいましたけれども、産地と消費者がつながるということ、これはアサリ等の食品表示の問題だけではなく、エシカル消費にも大変重要なことだと思いますので、これも是非進めていただければと思います。

以上です。

○後藤委員長 それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。よろしくお願いします。

説明どうもありがとうございます。このエシカル消費は大変身近に私たちの生活に関わってくることなので、関心深く聞かせていただきました。そういう取組が行われていることも理解いたしました。その上で意見として言わせていただきます。

事業者が、消費者に売れないといって廃棄してしまう現状がまだまだあると思うのですけれども、そういったことがないようにしていただきたいと思っていて、そこはどのようにギャップを埋めていくことが大事なのか。食品だけではなくていろいろなことに関係してくるのでしょうけれども、無駄に廃棄しているようなものをどのように利用していくのかということが大事だと思っております。

それから、先ほどから話題に上っておりますけれども、エシカル消費に関しては、表示は大変大事だと思っております。認証ラベルだけではなくて、食品の表示に関しましてはエシカルだけではなくて、内容に関する表示についてもそうなのですけれども、商品そのものへの表示だけではなくて、ウェブなどで購入するときの表示は現在検討が進められているということなのですけれども、これは早いうちに実現して、消費者が選択できるようにすべきであると思います。見やすくて、内容がうそ偽りないように、分かりやすく消費者が選べるようにしていただく必要があると思います。これはエシカル消費にきちんとつながっていくことだと思います。

進めるに当たっては、もちろん消費者がいろいろしなければいけないということに加えて、事業者が消費者にどのように提案してくださるかがすごく重要だと思います。例えば詰め替え商品を考えてみたときに、詰め替え商品を買いたいなと思っても詰め替え商品が売っていないなど、時々ユニットプライスの考え方で単位当たり幾らかということが表示してあると思うので、それで考えることがあるのですが、よくよく見てみますと詰め替えが高かったりする場合があります。それから、詰め替えする方法が大変だったり、詰め替えしたものを廃棄するのが面倒だということもありまして、これを消費者がどのように行動しやすいようにするのかというのは、企業から、是非商品が使いやすいように提案していただきたいなと思っているところです。これもエシカル消費につながることだと思います。

エシカルは身近なことなので、これまで生活の知恵とされてきたものが結構あると思いますし、例えばそれ以外に新しい情報として、サステナブルファッションというのは結構知らないことが多いと思うのです。まだまだ一般の方には知られていないことだと思います。これは身近な方法で教えていただきたいということで、私が知っている範囲では、テレビの番組で特集していたり、それも分かりやすいような、バラエティーに近いような形で若者向けに特集していた番組も知っていますし、あとはSNSなどでもありますし、先ほど店頭でというお話もありましたけれども、消費者にきちんと知らせる方法がまだまだ必要だと思っております。

先ほど資料にありました、消費者庁でこんな取組をやっていますというコンテンツを見ました。確かに良いコンテンツだと思います。ただ、一般の皆さんはこれを御存じないので、どんなに良いコンテンツを作っても、知らなければもったいないので、どうやって知っていただくかということを考えていただければと思います。

最後になりますけれども、消費者庁において今も取り組んでいただいておりますが、引き続き司令塔として取組をきちんと進めていただいて、ますます情報発信していただくことを期待したいと思います。

以上です。

○後藤委員長 よろしくお願いします。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 木村委員、ありがとうございました。

最初に、事業者の方も消費者のニーズを酌み取って変わっていく必要があるのではないか、表示についてもラベルだけではなくてウェブサイトなどでの表示なり情報提供もあるのではないかというお話がございました。

これにつきましては、消費者庁として事業者にこういった商品を提供してください、あるいはしなさいといったことを言うのはなかなか難しいところはございますけれども、他方で、消費者の方のニーズを先に酌み取って、持続可能な社会につながるような取組といったことで、少しずつ取組を始めておられる企業も出てきておりますので、そういったものを御紹介させていただいて、消費者の方にもこういった選択肢が出ておりますよというようなことを、少しずつではありますけれども始めていければと思っております。

また、消費者庁のコンテンツを作っていても、あまり知られていないからなかなか広がらないのではないかという御指摘だと思います。これにつきましてはおっしゃるとおり、我々だけで単にウェブサイトに掲載をしても、一般の消費者の方に見ていただくことにはつながらないのかなというところは課題として持っているところでございます。これまで関心がない、あるいは関心を持っていてもなかなか行動につなげておられない方々にどうやって情報を届けていくかということが課題でございますので、先ほども少しお話ししましたけれども、シンポジウムのような形で知っていただくような機会、更にはSNSの活用といったところも、消費者庁でもSNSを使っておりますが、そういったところでの情報提供の中で、エシカルなり食品ロスについても取組を進めていきたいと思っております。

○木村委員 ありがとうございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 青木です。

御説明ありがとうございました。消費者の認知に向けての様々な活動をされていることもよく理解させていただきました。

エシカル消費というタイトルですけれども、もちろんSDGsと大きくつながっている消費行動になると感じております。

2点あります。1つは、今はもうSDGsが経営戦略のど真ん中に来ている企業がほとんどであるという現状は是非御理解いただきたいと思っております。循環型社会を目指していかなければいけない。そうすると消費者の方が果たす役割は非常に大きくて、使う、選ぶというだけではなく、それをどうリサイクルに持っていくかというところも含めて、産官学、消費者、全てで関わっていく大きなテーマだという認識は私もしております。それが1点目です。

2点目ですが、そういう活動なだけに、どう焦点を当てていくかという問題だと思っておりまして、19ページの食品ロスの現状、これを一つの事例として、ターゲットをどこに置くか。ロスの削減をやっていく中で、どこが一番影響が大きいのかという辺りの分析がなされていれば教えていただきたく。これは農水省のデータだと思いますけれども、このグラフを見せていただいたときに、2000年から始めていて最初の10年はかなり減っているのですけれども、この10年は頑張ってはいるけれどもあまり大きな進捗が見られないという読み方ができると思います。

例えばこのコロナの中、学校給食が停止になって、牛乳を捨てざるを得ないなど、コマツナが腐るまで山のように置かれてしまっていると。消費者の方はいうことがニュースに流れると、牛乳は1本頑張って増やしましたなど、料理にも使うようにして協力したと、本当に少しずつなのですけれどもかなりの行動が出てくる。具体的に言ってもらうと、それに賛同して、何とか自分も協力しようという消費者の方が多くおられると思います。だから、ターゲットをどこに置くかということだと思います。

消費者庁がやっておられる活動のターゲットは認知度になってしまうのですが、家庭のロスというのは一体何が一番大きくて、何が減らせられないのかというところは是非農水省に要請していただいて、具体的にターゲットを入れていってもらうと、それに向けての協力体制や呼び掛け、集中したことによる成果が上がっていくと思うのですが、農水省あるいは経産省で持っておられるKPIのところで、消費者がターゲットにしやすいようなところを消費者庁で何かつかんでおられれば、是非教えていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。19ページの特に家庭内の中で、消費者としては何に一番ターゲットを置いていかなければいけないことなのかという点でも結構です。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 青木委員、ありがとうございました。

19ページ目の数字につきましては、事業系につきましては農林水産省で、家庭系につきましては環境省でお調べいただいている数字でございます。

家庭系につきましてはたしかもう少し分析を進めていて、例えば料理をするときに食べられない部分を切ったりするかと思うのですけれども、それを取り過ぎてしまっているとか、買ってきた場合に、使わないまま冷蔵庫の中に入れていたら賞味期限が来てしまったような場合など、料理は作ったけれども作り過ぎて食べ残しをしてしまったような場合の3つに分けていたかと思います。大きいのは食べ残しの部分が45パーセントぐらいで、未開封のまま食べられず捨ててしまうというのが40パーセントぐらいといった分析がされております。おっしゃるとおり、この辺りは大きなところをターゲットにしていくというのがあろうかと思っております。

○青木委員 今ありましたように未開封で捨てるということについてはどのような人たちが、逆にKPIを取っておられる農水省や環境省に、消費者の皆さんに注目してもらうに当たって、是非ターゲットとなるようなデータの分析の細かいところを要請してもらって、出していただいて、結局は減らすということが一番のKPIだと思いますので、もう少しそういうところのKPIの捉え方、消費者庁からも目標の一つとして要請を出していっていただく、そこに集中しながら成果を上げるという事例の積み重ねをしていただければ良いなと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

私も消費者庁ではサステナブルファッションサポーターを務めさせていただいていまして、エシカルファッションの推進を行っているのと、日本エシカル推進協議会というエシカルを推進する協議会の副会長を務めています。昨年秋にはエシカル基準を策定しまして、主に中小企業様向けに、企業をエシカル化していく基準を発表させていただいている状況の中で、エシカル消費について感じております2つの御提案です。

1つは、先ほど大石委員もおっしゃったのですが、消費者と生産者の距離を縮めることが重要だと考えておりまして、作っている現場を見ることが、人生の中で消費者にとってとても貴重な体験になると思うのです。今、コロナの状況がある中では、リモート、オンラインでつなげるバーチャルトリップが考えられますね。これからの観光は「見る、遊ぶ、食べる」だけではなくて、「感じる、考える、学ぶ」旅の時代に入ると思っていまして、サイトビジットというような、作っている現場を楽しく訪ねるような旅を、観光化していくぐらいの形で、消費者が作る現場に行っていく状況を作ると良いのではないかと考えています。それが1つです。

もう一つは価格について、是非教育プログラムの中で、価格とは何なのだろう、という問いただしをする時間を設けていただきたい。ただ安いから買う、のではなくて、価格には構造、意味があるということを知る機会を作るべきだと思います。作る現場の方々に幾ら支払われているのか、その途中で商う人たちが幾ら得ているのか、価格の構造や意味、背景について、子供たちにも楽しく知ってもらいたいのです。

そう申しますのは、今、良いものを買って長く使うという発想もエシカルと言われていて、例えば1万円のものを10年使うのと、買ってすぐに捨てるのとでは、使うお金の価値は全く異なるのです。そういったことも含めて、価格の価値、意味するところも教育プログラムの中で、エシカル消費として是非含めていっていただければと思います。

2つの提案なのですが、よろしくお願いいたします。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 生駒委員、ありがとうございました。

まず、生産者と消費者の距離を縮めていくということにつきましては、消費者の方がどういった形で略歴をたどって、その商品が届けられてきているかといったところに関心を持って知っていただくというところが大事なのかなと思っております。そういった視点の大事さは引き続きお伝えさせていただきたいと思っておりますし、2点目の価格の構造といったことにもつながってくるところでございますけれども、エシカル消費につきましてお話をさせていただく中で、当然、安全・安心や品質、価格というところも大事ではございますけれども、物を作っていく過程ではいろいろな人が関わってきて、場合によっては作る過程でいろいろな課題がありますよということをお話しさせていただいておりまして、品質、安全、価格に加えまして、もう一つエシカルという観点を頭に入れていただきながら、物を買うあるいは使う際に行動していただけないかといったところは、これまでもお話しさせていただいておりますし、引き続きその辺りのところにつきましても、消費者の方向けの働き掛けをしていきたいと思っております。

ありがとうございました。

○生駒委員 子供たちにとってみると、作る現場を見るというのは単純にエシカル消費の云々だけではなくて、将来の就職先の選択肢にもなるわけです。例えば農業や林業や漁業の現場を見ることは、社会科見学の一環ではあるとしても、そこで魅力を感じた子供たちが、将来そうした現場で働いてみたいと思うきっかけにもなる。それがひいては第一次産業を支えていく人材を創出するようなことにもつながるかと思っていますので、是非そうした可能性も視野に入れて、エシカル消費のプログラムの一つとしてサイトビジットの旅を組んでいただきたい。子供たちだけではなくて、大人である私たちも作る現場を見ていくと、それが観光のように楽しく人生の中で栄養をもらえる時間になる、旅になるというような、そうしたこともエシカル消費の意識を広める、一つの旅のプログラムとしてお考えいただいて良いかと思います。ありがとうございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、飯島委員、よろしくお願いいたします。

○飯島委員 飯島でございます。

食品ロスの取組を実際にどのように進めていくかに関しまして、法律では、いわゆるトップダウン型の計画体系、すなわち政府の基本方針、都道府県計画、市町村計画という体系になっています。御質問は、地方公共団体が計画を策定して実施する意義をどこに見いだされているのかという点、とりわけ都道府県と市町村それぞれが策定することの意義はどこにあるのかということでございます。

消費者庁が令和2年度の取組状況として公表されている資料を簡単に拝見しましたところ、取り組まれた内容には大きな差はなかったとされております。確かに基本方針の中にも、地域の特性を把握して、一般廃棄物の組成調査などの現状把握をして計画を策定しましょうということは書かれていますし、消費者教育、環境、廃棄物処理、産業振興、地域作りといった意義についても触れられていますが、どこに意義を見いだすのかというところが見えないとなりますと、先ほどの資料でも、市区町村の中で7割は策定予定がないとされております。努力義務ではありますが、そういったところにも計画を策定していただいて実施するという手法が、食品ロスの取組の実効性という観点も含めて、意味があるのか、どのような見通しを持っておられるのかについて御教示いただけますと幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 飯島委員、ありがとうございました。

法律の構造といたしまして、国で基本方針を作って、都道府県、市町村で基本方針を踏まえながら計画を作って、取組を進めていただくという構造になっているということでございます。その意義ということで申し上げますと、国は国全体を見て、全体的な観点から大きな方針をお示しさせていただきますけれども、地方公共団体それぞれの地域におきまして、いろいろな地域差もございますし、また、地域それぞれで取組をされておられる事例も様々でございますので、そういった地域特性を踏まえまして、その地域に合った取組を進めていただくということを考えた際に、計画を作る際には当然状況の把握や課題の認識、それから具体的にどうやって進めていくかという中長期的な方策を定めてまいりますので、そういった計画的な取組を進めていただくことは一つ有効ではないかと考えております。

ただ、他方で地方公共団体ではいろいろな行政分野を担当されておられますし、食品ロス削減推進だけでやっていくことが負担だというお声もいただいております。そういった観点を踏まえますと、必ずしも食品ロス削減推進だけの計画という形ではなくて、例えば食育、あるいは廃棄物削減といった分野での計画も作っておられますので、そういったものと一体化するような形での計画を作っていただく。更には、地域特性といっても市町村のエリアが狭い部分もございますので、複数の市町村で一緒になって食品ロス削減に向けた計画を作っていただく。こういった形でうまく柔軟に取組を進めていただけるようなこともできますといったことは、こちらとしてもお伝えしていきたいと思っております。

○飯島委員 ありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

エシカル消費や食品ロスについては、もう誰も反対する方はいらっしゃらないと思うわけです。先ほど青木委員もおっしゃったとおり、事業者にとっても、これをやりませんということを言うところはどこもないと思うのですけれども、19ページの食品ロスの表を見させていただくと、事業系が2019年から2030年で約11パーセントしか食品ロスが減らないという計画になっています。これに関する農林水産省関係の過去のデータがホームページに上がっているのですけれども、食品小売業における食品ロスというのは、事業者のところで平成28年も平成30年も同じ量の食品ロスが発生しているという表が出ています。

SDGsも含めて、なんちゃってSDGs、SDGsウォッシュ、食品ロスウォッシュなど、そういうところをただやっているだけではないかという事業者も結構いらっしゃるような気がしていまして、なんちゃってSDGs、なんちゃって食品ロス削減みたいなことをやっている事業者はここだよねという形で、消費者に対して自分たちの行動を規律しましょうというのは正しいと思うのですけれども、事業者に対しても表示がおかしいようなところを何とか見付けていただくみたいな仕組みもぼちぼち考えていったほうが良いのではないかと思っています。

以上、これは意見でございます。

○後藤委員長 何かコメントはございますか。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 この事業者の取組が進んでいないとかということも、法律違反とかであれば別ですけれども、行政としてやっていくというのはなかなか難しいかと思っております。他方で、消費者の方がしっかり情報を頂いて、その頂いた情報を基に選択をしたいという御希望はあろうかと思いますし、そういった御希望に応えていくような形での情報開示あるいは情報提供といったところを消費者の方が望んでおられるので、そういったものを出していかないと、今後なかなか選択をしていただけないことにつながっていく可能性はあろうかと思います。

そういったことにつなげていくためには、消費者の方も従来の価格、品質、安全性と言うことだけではなくて、エシカルと言った観点、あるいは食品ロスの削減につながるような取組をしておられるかといった観点を重視しているのですよということを、消費行動を基に伝えていくといったところも大事かと思っておりまして、事業者、消費者それぞれがSDGsの達成、持続可能な社会の達成に向けて取り組んでいくことが大事ではないですかといったことをこちらとしてもお伝えしていければと思っております。

ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。

それでは、議論は以上にしたいと思います。御説明、御回答いただきまして、ありがとうございました。

ただいま御報告頂きましたように、消費者庁をはじめとする関係省庁が連携してエシカル消費の普及啓発に積極的に取り組んでいただいていることについては高く評価されるべきだと思います。

SDGsの達成に向けては、エシカル消費の実践を通じて、消費者一人一人の行動変容を促していくことが重要でありますが、その取組を持続的かつ実効的なものとするためには、消費者と事業者間の連携・協働を促進する仕組みとすることが必要だと考えます。

先ほど委員からも、企業にとってもSDGsの問題が経営戦略のど真ん中のテーマであるという御発言もありましたが、消費者と事業者の連携・協働を促進する仕組みを構築することが大事だと考えます。それとともに取組の成果を「見える化」するための工夫が必要だと思います。

エシカル消費の対象は多岐にわたります。本日もカーボンニュートラルの問題、アニマルウェルフェア(動物福祉)の問題なども提起されておりまして、多岐にわたるエシカル消費につきまして、消費者がより良い消費行動を取りやすくするよう、事業者団体等と連携した上で、認証ラベルの活用などを含めて、エシカルな商品・サービスの開発・提供、普及・促進を更に進めていただくとともに、消費行動の変化を通じてどのような効果があったのかを定量的に調査・分析し、公表することなども必要ではないかと考えます。

サステナブルファッションにつきましては、取組が始まったばかりですが、関係省庁が連携して事業者の取組の後押しや消費者への働き掛けを進めていただくとともに、制度面や商慣行を含めた課題の整理・検討を速やかに進めていただくようお願いいたします。

また、食品ロスの削減につきましては、2030年度までに2000年度比食品ロス数量半減という目標達成に向け、引き続き関係省庁が消費者、事業者、関係団体等と連携して積極的に取り組むとともに、基本方針の各施策の効果を調査・分析した上で、施策の改善につなげていくことが重要と考えます。

委員の方の御発言でも、食品ロスを減らすためのターゲットをどこに置くのかという観点が重要だという御発言がありましたけれども、そういう点も含めて考えていただきたいと思います。

消費者庁におかれましては、エシカル消費の更なる普及・促進やSDGsの達成に向けて、引き続き関係省庁や関係団体等と連携した上で、強力に取組を推進していただくようお願いいたします。

消費者委員会としても、本日のヒアリング結果を踏まえまして、引き続き取組状況を注視し、必要に応じて調査・審議を行ってまいりたいと存じます。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ審議に御協力いただき、ありがとうございます。どうぞ御退席ください。

(消費者庁退室)


《3.閉会》

○後藤委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日も大変御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○後藤委員長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございました。

(以上)