第354回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2021年10月14日(木)11:00~12:10

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、生駒委員、受田委員長代理、大石委員、木村委員、清水委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁吉村消費者教育推進課長
    (消費者庁吉村消費者教育推進課長の「吉」は、正しくは「土の下に口」)
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 成年年齢引下げについて(成年年齢引下げへの取組に関するヒアリング)
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから第354回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、私が会議室で出席、青木委員、飯島委員、生駒委員、受田委員長代理、大石委員、木村委員、清水委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。黒木委員は御欠席です。

開催に当たり会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○太田参事官 おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足等がございましたら事務局までお申し出くださいますようお願い申し上げます。

以上でございます。


《2.成年年齢引下げについて(成年年齢引下げへの取組に関するヒアリング)》

○後藤委員長 本日の議題は「成年年齢引下げについて」です。

平成30年6月に成立した成年年齢を18歳に引き下げること等を内容とする改正民法が来年4月より施行されることになっておりますが、近年、デジタル化の進展によりインターネットを介した取引が増加したことなどを背景として、若年者をターゲットにした消費者被害が多発しており、成年年齢の引下げにより消費者被害が更に増加することも懸念されております。消費者委員会としても、平成28年9月より「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ」を開催し、平成29年1月に報告書を取りまとめるなど、この問題に高い関心を持ってきたところですが、来年4月の制度の施行まで半年を切ったこのタイミングを捉え、若年者への消費者教育の推進をはじめとする政府の取組状況等について御説明いただき、その後、質疑応答や意見交換を行いたいと考えております。

本日の御説明者として、消費者庁消費者教育推進課吉村課長にお越しいただいております。お忙しいところ、ありがとうございます。それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁消費者庁吉村消費者教育推進課長 消費者庁消費者教育推進課の吉村と申します。本日はよろしくお願いいたします。

私からは、成年年齢引下げに向けた消費者教育の取組について説明をしてほしいと伺っておりますので、消費者教育の取組につきまして資料に基づきまして御説明をさせていただきます。

まず、右肩に資料番号を振っておりますけれども、資料1-1を御覧ください。

「若年者への消費者教育の推進」と書いてある資料でございます。先ほど委員長からもお話がございましたけれども、成年年齢を引き下げる民法の改正というのが平成30年6月に国会で成立をいたしまして、施行が来年の4月からということになっております。皆様重々御承知かと思いますけれども、成年年齢が20歳から18歳に変わるということでございますので、未成年に認められておりました未成年者取消権というのが行使できる年齢が20歳未満から18歳未満に変わるということで、取消権が行使できる方の年齢が引き下がるということになっております。そうした中で消費者被害の拡大が懸念されるということがございますので、真ん中の下辺りにございますけれども「対応した施策」で消費者教育の充実というところ、あるいは制度整備、相談窓口の充実・周知というところで消費者庁としては取り組んでおるところでございますけれども、私では消費者教育の充実というところをやっておりますので、その点について御説明をさせていただきます。

資料1-2を御覧ください。「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」についてでございます。

民法の改正を想定いたしまして、平成30年2月に若年者への消費者教育の推進に関する4省庁の局長級の会議で決定をしたものでございます。関係省庁といたしましては、消費者庁、文部科学省、法務省、金融庁でございますけれども、この4省庁が連携をいたしまして若年者に向けた消費者教育を一生懸命やっていこうということで、2018年度から2020年度までの3年間を集中強化期間と定めまして、実践的な消費者教育の実施というのを推進してきたところでございます。

中心的な部分といたしましては、左側にございます高等学校等における消費者教育の推進というところでございます。特に真ん中右辺りに黄色い四角囲いがございますけれども「社会への扉」を活用した授業の推進や消費者教育コーディネーターの配置といったところを推進しているところでございます。

続きまして、資料1-3を御覧ください。「『若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム』の進捗状況等について」という資料でございます。

先ほど御説明いたしましたアクションプログラムの進捗状況につきまして、2020年度、直近の状況まで把握をしたものでございます。

高等学校等で「社会への扉」等を活用いたしました授業の実施状況でございます。2018年度は38パーセントでございましたけれども、昨年度、2020年度につきましては86パーセントになってきているというところでございます。

しかしながら内訳を見てみますと、国公立と私立でやはり少し取組状況に差が出ているというところでございます。引き続き今年度も100パーセントの実施を目指して働き掛けなどを実施していく予定でございます。

また、下の「今後の対応方針」というところでございますけれども、先ほど申し上げました働き掛けに加えまして、外部講師を活用いたしまして、私立や特別支援学校向けの出前講座というところも消費者庁として今取り組んでいるところでございます。

続きまして、資料1-4を御覧ください。「高校生向け消費者教育教材『社会への扉』」でございます。

先ほど申し上げました「社会への扉」というものの教材のイメージでございまして、12のクイズというものを御用意させていただいておりまして、それに答えながら契約に関する基本的な考え方など契約に伴う責任、こういったものを理解していただくような教材となっているものでございます。

続きまして、資料1-5を御覧ください。「『成年年齢引下げに伴う消費者教育全力』キャンペーンの概要」という資料でございます。

先ほどアクションプログラムについて御説明をいたしましたけれども、アクションプログラムにつきましては、2018年から2020年までの3年間を集中強化期間という形で定めておりましたので、2021年度の取組につきましては、新しく成年年齢引下げ前の最後の1年ということで、関係省庁で議論をいたしまして、「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力」キャンペーンという形で取り組んでいこうということで現在取り組んでいるところでございます。

資料の2ページ目を御覧ください。

令和3年度は成年年齢引下げ施行に向けた最後の1年ということになりますので、関係4省庁で連携をしながら、地方公共団体・大学あるいは関係団体・メディアも巻き込みながら重層的な取組を行っていくということで、消費生活上の契約、家計管理に加えまして、被害防止に関する教育を実施していこうということで今取り組んでいるというものでございます。内容につきましては資料3ページ目を御覧ください。

キャンペーンで掲げられております事項につきましては、3ページ目の下の辺りに「4省庁決定事項」というものがございます。まずは地方公共団体・大学に直接働き掛けをするということもございますし、消費者団体等の関係団体を通じて知っていただく、働き掛けを行っていくということ。さらには、イベント、メディア、こういった場を活用いたしまして周知をしていくということ。また、こういった取組を行う際に当たりまして必要となるコンテンツを作って、それを活用していただくよう促す、こういった4つの柱立てに基づきまして今年度は取り組んでいこうということを定めております。また、アクションプログラムに定めております事項につきましても、引き続き今年度は取り組んでいこうということについても併せて定めているものでございます。

4ページ目を御覧ください。「地方公共団体・大学等への働き掛け」といったところでございます。

消費者庁の取組といたしましては【消費者庁】と書いてあるところでございますけれども、地方公共団体に出向いていく、あるいはオンラインでお話をさせていただいて直接的に働き掛けをするということに加えまして、出前講座などあるいは学校関係の団体にも働き掛けをするというものでございます。

また、4ページ目の下の「関係団体への働き掛け」につきましては、4省庁連携あるいは手分けをいたしまして、消費者団体あるいは日弁連、金融関係団体、こういった若年者に関連をする団体を通じまして注意喚起など情報発信の働き掛けをしているというところでございます。

資料の5ページ目を御覧ください。「イベント・メディアを通じた周知」でございます。

まず、イベントにつきましては消費者庁の取組といたしましては、地方公共団体と連携をしたシンポジウムをできないかということを考えているということなど、あるいは成人式、こういった若い方が集まる機会を活用した取組を働き掛けていくこと。さらには5月の消費者月間あるいは若い方が集まるイベントを活用した情報発信、こういったところをやっていこうと考えているというものでございます。

また、5ページ目の真ん中から下辺りに「メディアを通じた情報発信」というところがございます。消費者庁の取組といたしましては、インターネット広告やSNS広告、こういったものを通じて若い方に直接情報を伝えていくなど、あるいは消費者庁でTwitterあるいはLINEアカウント、こういったものを設けて情報発信を行い、特設サイトというのを作りまして、そこでいろいろな情報を周知しているという取組をしているものでございます。

6ページ目を御覧ください。「コンテンツの充実・活用の促進」というところでございます。

消費者庁の取組といたしましては、まずは契約、家計管理や消費者被害拡大防止、こういったものに資するような動画を作成しております。こういったものをSNSなどでの情報発信に活用するなど特設サイトに掲載をしているというのがございます。

さらには、特別支援学校の方向けに少し分かりやすい解説を加えたような教材を作成、あるいは、これは現在取り組んでいるところでございますけれども、若い方向けのアプリの教材というのを作りまして、こういったものの活用も促してしていきたいということを考えているものでございます。

7ページを御覧ください。これまでの取組で幾つか事例として御紹介をさせていただいているものでございます。

まず7ページ目につきましては、消費者庁のホームページの中に「18歳から大人」という特設サイトを開設しております。その中に教材あるいは動画、こういったものを集めて一覧性を持った形で見られるようなものを作っているというものでございます。これにつきましては法務省で作られた教材など、国民生活センターから出していただいております若い方向けの注意喚起情報というのも随時掲載をさせていただいております。

8ページ目を御覧ください。

8ページ目は「18歳から大人」ということで、Twitterのアカウントも若い方向けに開設をいたしまして、ここで情報発信を随時行っているというものでございます。

9ページ目を御覧ください。「コンテンツの作成」でございます。

ここについては幾つか取り組んできているところでございますが、具体例といたしましては、ゆりやんレトリィバァさんにお願いをいたしまして「成年年齢-大人になる君へのメッセージ-」という形で動画を制作いたしまして、こういったものを特設サイトあるいはTwitter等で情報を発信しているというものでございます。

また、9ページ目の下の部分につきましては「18歳から大人(新生活応援チラシ)」というものを4省庁連携いたしまして作成しております。

表面につきましては、18歳から大人になれば、新成人は契約をできることになりますけれども、その分未成年者取消権が使えないので取り消せなくなりますよ、だから契約で無理はせず、きちんと確認をして契約をしてくださいというようなことを書きまして、裏面の方におきましては、若い方に多いトラブルの御紹介ということで、定期購入や美容医療あるいは情報商材、マルチ商法、暗号資産といったもうけ話、こういったもののトラブル事例を掲載して周知を促しているところでございます。

こちらからの説明は以上でございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問等がある方は御発言をお願いいたします。なお、質疑応答の時間は35分間程度を予定していますので、よろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。御説明、ありがとうございました。

今の消費者庁の説明に付け加えて、私も地方の消費生活センターで相談を受けています。相談と啓発は車の両輪ということで、相談員も現場に出ていっております。これは全国統一かというと、消費生活センターの考え方により相談のみというところもありますが、私たちの基本は、相談を受け一人でも多くの方にその内容を伝えたいという思いでやっております。

昨年、大学生に啓発講座をしました。そのときに「社会への扉」のクイズをやりましたら非常につかみが良かったです。自分事で考えていただくためには、やはりワークショップが良いと思います。私も見よう見まねでやってきましたが、5から6年前からワークショップを取り入れました。自分たちが寸劇をして悪質業者になりすまして問題点を参加者に発言してもらうなど、どこで踏みとどまることができたのかの振り返りをやっています。ロールプレイングです。今こそ若い人たちに訴えるのはワークショップかなと思って、現場ではやっているところです。

相談を聞いていると、ここ1年、また一段と若者の被害、それも投資被害で、消費者金融で借りて、1日で90万円も学生が借りて支払ってしまう被害が起きています。モノなしマルチの被害回復ができないという現状があります。消費生活センターを頼って相談者はきていただけるのですが100パーセント被害回復ができない、そうすると私たちは一本の相談は啓発だと思って、二次被害にならないようにと助言しております。

そこで、今発表の中にありました「社会への扉」を使った実績ですが、私、個人的にはすごいなと思います。4から5年前、消費者推進会議の委員のときに民法の引下げがあるということになったときに、絶対にそれまでに全高校生全生徒に啓発・教育をやってほしいと言ったのですが、それは自分にも言い聞かせて、私たち現場が動かないといけないと思ってやってきたのですが、思わぬコロナ禍で苦戦を強いられままならなかったです。

しかし、やっと10月に入って動き出しまして、私たち相談員も大学等に行っています。名古屋市の場合は、コーディネーター制度がありますので、小中高はコーディネーターが行っています。相談員も大学等にできるだけ行っているのですが、一部しかできていないというのは実感しております。

今100パーセントを目指し、「社会への扉」を使ってということなのですが、全国の消費生活センターは「社会への扉」を使わずに若者の啓発をしている場合もあります。

私たちセンターで、いかに若い人たちに伝えるかということに苦慮しています。例えば消費者庁のゆりやんの動画は若者には評判がよく、私たちが現場に持ってくと「面白いね」と言われます。名古屋市消費生活センターではTwitterをやっていますので、その場でスマホを出してもらってフォローしてもらっています。消費者庁のTwitterを始められたという話なのですが、これはどのぐらいのフォロワーがありますか。もし数字が分かっているなら教えていただきたいです。最後に、現場がすべきだと思っていますので、頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

いかがでしょうか。よろしくお願いします。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 清水委員、ありがとうございます。

現場で若い方向けに実際に相談員の方が出ていってワークショップなどを行っていただいていることが、やはり若い方への啓発につながっていると思っております。

御質問いただいたTwitterのアカウントについて、でございます。このアカウントにつきましては、来年4月から成年年齢が引き下がるということを受けまして、今年の3月から開設をいたしました。直近のフォロワー数、今日現在のところまでは把握はしておりませんが、大体1,000名程度の方に今フォローをしていただいているという状況でございます。

また、資料1-3の実績のところにつきましては「『社会への扉』等」という形で書いておりまして「社会への扉」に限ったものではございませんので、各地の消費生活センターで作っておられるような啓発の資材を活用して実践的に教えていただいているような場合につきましても、実績として計上をしております。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

清水委員、よろしいでしょうか。

○清水委員 ありがとうございました。

「等」ということで、先日も山奥の特別支援学校に連絡したら、2年前に愛知県が「社会への扉」を持ってきましたと言っていました。すごいなと思いました。しかしながら、そこの学校は「生徒はもう卒業しました」と。「今度、新しい生徒をやってください」と言われたので、数年掛けてやっていかなくてはならないと思ったところです。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、受田委員長代理、お願いいたします。

○受田委員長代理 受田です。御説明、ありがとうございました。

私も今の清水委員の御指摘に関連いたしますけれども、大きく3点です。

まず、成年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーンが展開されているということ、これは是非実効力のあるキャンペーンにしていただきたいという思いを皆さんとともに持っております。そのためにはやはりPDCAをしっかり回していかないといけないのではないかと思います。

何を指標にチェック、アクションして、そして計画と実行に移していくかということですけれども、やはりアウトプットとしては、先ほどもありましたように、学校数ということとともに、それぞれの生徒のやはり理解度というのが求められるのではないかと思います。このPDCAに関して、全体の管理、これをどのように見える化をしておられるかという点が1点です。

2点目は、今、学校ごとの数字を挙げていただきました。これは、ともすれば、ある学校にアプローチをしたことをもって1とカウントされてしまうのですけれども、全生徒に行きわたっているのか、先ほどの指摘とも関連しますけれども、その全生徒に対する理解度というのがどの程度増進されているか、やはりここの定点の観測等は重要かと思います。私自身は大学に所属をしておりますけれども、消費者庁からのアプローチというのが表から見えていないという印象でございます。

それから、最後、3点目は特別支援学校に関して、です。

清水委員のコメントもありましたけれども、私ども大学に附属の特別支援学校を抱えております。特別支援の生徒さんに対するそれぞれのアプローチの仕方というのは、かなり多様であるべきだと思います。障害を持っておられる方に対する、こういった消費者教育をいかに実効性のあるものにしていくか。これは成年年齢の引下げのみならずぜい弱な消費者全体に関わる話だと思います。誰一人取り残さないという方針がどこまでアプローチとして認められるのか、この点が非常に関心のあるところでございます。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

よろしくお願いします。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 受田委員長代理、ありがとうございます。

3点ございました。まず、実効性のあるキャンペーンにしていくことが必要で、PDCAを回していくということについてございます。

これにつきましては、キャンペーンの中で定めている事項について実施をしたかどうか、あるいはどの程度の学校で実施がなされたかというようなフォローというのを今後やっていくことになろうかと思っております。また、そういったところだけではなくて、やはり生徒の理解といったところもきっちりフォローをしていくべきではないかという御指摘だったかと思います。

これにつきましては、全国という形ではございませんけれども、徳島県の高校さんをモデルといたしまして調査をさせていただいたところがございます。これにつきましては、調査をしたところ、授業の前後で、その質問に対します正答率が30ポイントほど上がったといった結果も出ておりますので、やっていく意義というところはあろうかと思いますが、引き続きどういった形でこの理解度につきまして把握をしていくことができるかというところは、こちらでも検討をしているところでございます。

また、当特別支援学校についてのお話がございました。おっしゃるとおり特別支援学校の生徒さんというのは、障害の程度も内容も人それぞれというところで、なかなか一斉に教えるというところが難しい、あるいは普通の教材を使って教えていくところが難しいというところがあろうかと思っております。

まずやっていることといたしましては、先ほども少し御説明いたしましたけれども、特別支援学校向けの教材というのを昨年度作成させていただきました。ただ、これを使ってどんな生徒にでも教えられるというものではなくて、どうしても特別支援学校の先生が生徒に応じて加工をしていく必要があろうかと思っておりますので、加工できるような形での教材というのを作って活用を促しているというところがございます。

また、こういった契約の話など被害の話というのを特別支援学校の先生にやっていただくというところは負担が大きいというところもあろうかと思います。この点につきましては消費者庁で出前講座という形で外部委託をさせていただいて、そこから専門家にお願いをいたしまして、特別支援学校の方に赴いて、あるいはオンラインで授業をさせていただくというような形で、授業の内容につきましては特別支援学校さんと打合せをしながら決めさせていただくことで、少しでもきめ細やかに状況に応じた対応をできないかということで取り組んでいるところでございますけれども、おっしゃるとおり人それぞれ違うというところの程度の差が大きいところでございますので、そういったところにつきましては、できるだけ考えて取組をしていかなければいけないと思っております。

○後藤委員長 受田委員長代理、よろしいでしょうか。

○受田委員長代理 ありがとうございました。

組織立った活動になるように是非お願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

成年年齢引下げということで、インターネットの利用が大変活発になっていますので被害の急増がますます予想されるということなのですけれども、先ほど清水委員からも話がありましたように、学生は、水の流れではないですけれども、同じように見えていても入れ替わってしまうということで、これからも引き続き若年層への消費者教育というのは必要だと思っております。

それで、受田委員、清水委員から特別支援学校の話がありましたけれども、それに加えて学校教育を受けていない人への周知と申しますか、例えば高校に進学しない方、高校を中退した方、大学に進学しない方というのは確かにたくさんいらっしゃると思うのです。そういった方に対してどうやって周知していくかということなど、こういったことに関心を持ってもらう、こういった方たちが必ずしも関心を持っていないわけではないと思うのですけれども、やはり学校教育と比較するとなかなか接する機会が少ないのではないかということを危惧しておりますので、そこは今後一層配慮が必要だと考えております。

それから、もう一点なのですけれども、主婦連にもマルチ商法の学生が被害に遭ってしまって相談があったときに、通報してこられたのは親御さんなのです。やはり成人年齢の教育はもちろん若い人たちにも大事なのですけれども、18歳、19歳は未成年じゃなくなるということを、周りの大人の方たちにもきちんと伝えていって、周りの方へも周知して、相談体制というかみんなで見守っていくという体制が必要ではないかなと思っています。それに対しては、やはり消費者センターはもちろんですけれども、各地の消費者団体と連携して、きちんと行っていく必要があると思っています。

1点質問なのですけれども、資料1-3で外部講師という話が出ていたのですけれども、例えばこういったことに関して、補助や助成など、何かそういった支援体制というのは消費者庁若しくは自治体であるのでしょうか。教えていただければと思います。

以上です。

○後藤委員長 いかがでしょうか。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 木村委員、ありがとうございます。

まず、学生さんは入って出ていくということで流れていかれるということですので、継続的に教育というのは行っていかなければいけないという話がございました。これについてはおっしゃるとおりだと思っております。他方で、学校に入っておられない、あるいは高校を卒業して働きに出られるような方、あるいは高校に行かれないような方々というところにどうやって伝えていくか、更には親御さんにもどうやって伝えていくかといったところがあろうかと思います。

ここの部分につきましては、定期的に集まっていただくような場というのがなかなかないというというところで、学校とは違ってアプローチが難しいところではございますけれども、やはりこの部分につきましては、広告、新聞、テレビなど、そういったマスメディアを使った周知といったところができないかなということで関係省庁と御相談をいたしまして、政府広報という枠組みを使ってできないかということを今検討をしているところでございます。

また、外部講師の関係につきまして御質問がございました。資料1-3の下に出前講座事業というものを実施していると書いてございますけれども、これにつきましては、消費者庁の事業として行っているものでございますので、この出前講座を受け入れる学校につきましては、費用負担が生じない形で授業を外部講師の方に来ていただいて受けていただけるというような形になっております。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

意見交換の途中ですけれども、本日御欠席の黒木委員からコメントを頂戴しております。事務局より御紹介をお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

黒木委員におかれましては本日御欠席でございますが、事前に書面でコメントをいただいております。委員の皆様には机上配付資料ということでお手元にお配りをさせていただいております。

大きく3つございまして、まず1つ目でございますが、民法の一部を改正する法律案に対する国会の附帯決議というものが出されております。これは平成30年6月の法案成立時に出されたものでございますが、その中に幾つか附帯決議事項というものが付されております。その一つに、知識、経験、判断力の不足など消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者から消費者を勧誘し契約を締結させた場合における消費者の取消権、いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権というものでございますが、それを創設することというものが付されているところでございますが、このつけ込み型不当勧誘取消権の創設というのはまだなされていないのではないかと。この点についてどのように考えているのかというコメントでございます。

2つ目として、若年者の消費者教育の推進に関するアクションプログラムについてということでございますが、これは本年9月末に取りまとめられました第4期消費者教育推進会議の取りまとめの中からの引用ということでございまして、アクションプログラムなど、先ほど御紹介がありました全力キャンペーン、これらについて関係省庁が連携して取り組んでいくということでございますけれども、こういったキャンペーンについては、第29回推進会議において報告され、学校現場での認知度が低いのでもっと周知を強化すべき等の意見があったということでございまして、今後とも国は必要に応じて推進会議の意見を聞きつつ成年年齢引下げを見据えた若年者への消費者教育を推進することが必要であるという取りまとめがなされているということでございますけれども、こういったものを受けまして、消費者庁として学校現場の認知度についてどのように把握しているのかと。また、その周知の強化はどうなっているのかという御質問でございます。

3つ目はアクションプログラムの進捗状況等についてでございまして、先ほど消費庁からも御紹介がございましたように、高等学校等での活用実績として、2020年度について86パーセントの実績があったということでございます。

他方、その2020年度というのは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって学校教育に大きな支障が生じたと。対面式授業などについては大幅な制約を受けたということでございますけれども、こういった中でどのような方法によって「社会への扉」等を活用した授業がなされてきたのか。また、その授業を受けた生徒等の学習効果について検証などを行っているのかという御質問でございます。

事務局からの御紹介は以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

いかがでしょうか。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 黒木委員から書面でいただいております御質問について、でございますけれども、まず1点目のつけ込み型不当勧誘取消権の関係につきましては、私が消費者教育を担当しておりまして消費者契約法の担当ではございませんので、私が伺っている範囲でございますけれども、まず消費者庁の取組といたしましては、平成30年に消費者契約法を改正いたしましたけれども、その改正の後に速やかに法制的、法律的な観点と実務的な観点からの検討を開始されて、研究会、検討会、こういったところで議論をしてきておられると承知をしております。

消費者契約に関する検討会につきましては、様々な消費者の方のぜい弱性を踏まえました取消権について検討が重ねられまして、本年の9月に検討会としての取りまとめがなされたと承知をしております。現在、この報告書につきましては意見募集を行っていて、今後、法制的な検討を進めていくという形で伺っているところでございます。

2点目の消費者教育推進会議の議論についてでございます。

こちらにつきましては、今年の5月だったかと思いますけれども、成年年齢引下げに関して、成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーンの内容につきまして、5月に御報告をさせていただいた際の委員からの御意見、御発言のところをおっしゃっているのだと思います。この点につきましては、アクションプログラムの認知ということよりも、まず学校現場できちんと「社会への扉」などを活用した実践的な消費者教育をやっていただく、そのことを若い方に伝えていっていただくというところがまず大事だろうと思っております。

その意味で申し上げますと、この5月の消費者教育推進会議の時点では、まだ2020年度のアクションプログラムの実績が取りまとまる前の段階でございましたけれども、現在、アクションプログラム2020年度の実績の取りまとめが終わっておりまして、その状況を見ますと「社会への扉」等を活用いたしました実践的な消費者教育の実績といたしましては、86パーセントの高等学校等で行われているというところがございますので、もちろん100パーセントに向けて引き続き努力はいたしますけれども、学校現場でも消費者教育についてかなり実施をしていただいてきている状況にあるのかなと思っておるところでございます。引き続きこの点につきましては、また新しい生徒さんも入ってこられるということもございますし、100パーセントを目指して取組というのを進めていきたいと思っております。

また、3点目の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の関係の影響でございます。

これにつきまして、具体的な数字として把握をしているものはございませんけれども、おっしゃるとおり、なかなか学校が開けないとかカリキュラムが後ろ倒しになっているというようなお話は伺っております。そういったことを受けまして、オンラインの授業でも活用できるような「社会への扉」の解説動画というものを、昨年度、急遽、教師用と生徒用というものを作成させていただいております。こういったものも御活用をいただきながら、学校現場で実践的な消費者教育をやっていただいた結果、86パーセントといったところにつながっているのではないかと思っております。

また、生徒等の学習効果につきましては、受田委員長代理からも御発言がございましたけれども、徳島県での調査ですと正答率が上昇したというような結果もございます。全国的な状況につきましては、引き続きどういった形で把握をしていくかというところを今検討しているところでございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。

今、黒木委員から御質問がありました点につきまして、私も高校で非常勤講師をしております関係から、少し補足して質問させていただきたいと思います。

まず、1番目のところです。こちらは法律関係になるのでなかなかすぐに実行とはいかないと思いますが、御指摘の3番目にありましたコロナにより授業を行えない状況というのは、これはおっしゃるとおり本当に切実でして、それぞれの先生方が工夫をしてはおられますが、授業時間は足りません。このような状況で、生徒たちにどうやって成年年齢引下げに関する注意情報を伝えれば良いか、教員自身も大変危惧しているところです。

2022年の3月31日を境にして、その後は未成年取消権がいきなり使えなくなる子供たちに、どうやってそのことを伝えていけるのか、大変切実です。これは文科省にお願いしないといけないと思うのですけれども、例えば卒業式のときに必ず一言で良いので、学校から周知を行ってもらえるよう義務付けることも重要かと思います。12月、1月になりますと、受験や何かで学校に来なくなる生徒が大半ですので、卒業式を利用して、また、もし出席できない場合は、卒業証書を送るときに何か1枚、周知のための資料を入れて生徒に伝えていただくなど、もっと積極的に文科省から直接学校に通達を行ってもらうような取組が必要だと思います。この6か月間、12月までですと実は3か月間に授業でしっかり伝える、というのは難しい面がありますので、まずは、消費者庁から文科省にも伝えていただいて、先生を通じて生徒にきちんと伝えられるような取組を是非早急に行っていただきたいと思っております。その辺り、もし何か進んでいるようでしたら教えていただければと思います、以上です。

○後藤委員長 よろしくお願いします。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 大石委員、ありがとうございます。

御提案いただいたような形でできるかどうかというのはまた別ではございますけれども、いろいろな形を通じて生徒の方に伝えていくというところは大事だと思っておりますので、まず一番良いのは、時間を取って授業をしていただくということがあろうかと思っております。その点については引き続き働き掛けをしていく必要があろうかと思っておりますし、あとは学校を通じて、それ以外の方法でどういった形ができるのか、更には先ほどお話がございましたけれども、学校以外の手段で、直接的に若い方あるいは親御さん世代の方に伝えていくことができるか、そういった様々な手段を通じて、この制度が変わるということ、更にはそれに伴って注意をしていかなければいけないことというところをどうやって伝えていくかについて、引き続き取り組んでいきたいと思っております。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 御説明、ありがとうございます。

意見2つと御質問1つなのですけれども手短に行きます。

1つ目は、やはり情報の発信方法なのですが、テレビでの発信とも書かれているのですが、何分にもネットでの滞在時間の長い世代ですので、是非SNSの活用の強化をお願いしたいと思います。

以前、どなたかの御意見にもありましたが、ゲーム感覚で伝えていくとかTikTokのような楽しみながら学べるような工夫の部分、ゆりやんの起用というのもとても効果的だと思うのですけれども、是非その部分は強化していただければと思います。

もう一つは契約に関して、これは若年層に限らず日本人全員が苦手な分野だと思うのです。非常に弱い国民性というのがもともとあると思うのですので、若年層に限らず全年齢層の方に契約に関してのレクチャーとかエデュケーションを行っていただきたいと思いますので、今後は自立した消費者を育てていく意味でも、エシカル教育の中の一つの柱に、契約に関する項目を立てるということをこうしたことをきっかけにして御検討いただければと思います。

最後に1つ質問なのですけれども、今、若年層の方への対策というのはいろいろ取られているのですが、実際に事業者の側の方に対して何か注意喚起してく予定はありますか。18歳から20歳の方に関して契約する際の規約とか、ちょっと特別な何かルールとかアドバイスとか、あるいは若年層に向けてはキャンセルしやすくする期間を設けるとか、何か事業者に対する具体的な働き掛けというのはお考えでしょうか。それをお聞きしたいと思いました。

○後藤委員長 お願いします。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 生駒委員から御質問いただきました事業者への注意喚起というところでございます。これにつきましては、こちらから経済団体など金融機関、あるいはクレジット協会といったところに対しまして、制度が変わりますよということとその周知、あるいは契約に当たりまして若い方の資金力と言いますか資力といったようなことも考慮した形での契約、あるいは悪質情報に巻き込まれて借金を申し込んできていたりしないかといったところの配慮、協力をお願いするような働き掛けというのを今年度に入ってから取組をさせていただいております。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、飯島委員、よろしくお願いします。

○飯島委員 飯島でございます。短く発言させていただきます。

若年者への教育ということですと、主権者教育などの経験もございますけれども、現在の感染症対策においても若年者、若者に対してどのように情報発信をするのか、届けるのかということについては、若者ならではの様々な媒体を持っているということからしても非常に大きな課題になっているかと思います。

そういう意味で、先ほど流れていくという時間軸のお話がございましたけれども、横の分野間の連携といったことも含めて、4省庁の連携ということで非常に画期的だと思うのですが、根づかせていくという意味での横の連携ということも考えて、更に展開していくということがあり得るかと思っております。

以上でございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 飯島委員、ありがとうございます。

おっしゃるとおりでして、消費者教育という分野だけで消費者被害が防げるものでもございませんし、生駒委員からもございましたけれども、契約についてしっかり学んでいただくということはどちらかというと法教育といった観点もあろうかと思いますので、あるいは人生設計と言いますか、資産管理的なものを計画的にやっていくというところで金融経済教育というところもあろうかと思いますので、そういった観点からも4省庁ということで、文部科学省、消費者庁に加えまして法務省、金融庁にも御協力いただいて4省庁で取り組んでいるというところがございますので、この取組の中で出てきた連携というのは、来年4月に成年年齢が引き下がることになった後でも、うまくこの関係を維持して取組というのを進めていければと思っております。

○後藤委員長 ありがとうございました。

青木委員、よろしくお願いします。

○青木委員 青木でございます。御説明、ありがとうございました。

今、全力キャンペーンをはじめアクションについては計画どおり非常に全力でやっていただけているということは確認しておりますし、いろいろな委員から出ております、視点の追加というのは是非お願いしたいと思っています。

ただ、本質的にこの問題は、こういう対象者のトラブルを防ぐというところに関してなのですが、このキャンペーン後も含めてなのですが、何を効果として見ていくかというときに、到達度、認知度、これももちろん大事なのですが、実際にトラブルがいかに抑えられていくか、そこの指標というのを是非これから明確にしていっていただけたらと思っております。

清水委員からの御報告がありましたが、そこにつきましては、もう既に若年者の契約に関するトラブルというのがベースにあって、そこに今回の成年年齢引下げで増加してしまうという懸念の中で全力キャンペーンも進んでいるわけなのですが、既にある若年者の契約に関するトラブル状況、あるいはここを一つのモニタリングの指標として、今後そこをどうしていくか、それと、成年年齢が引き下げられて、対象者だけではなくもともとある若年者のところの契約問題、こういう辺りで、是非消費者庁としては実際のトラブルの状況、ここを一つの指標として活動の成果あるいは追加施策、こういうところも追っていただきたいと思っておりますが、その辺りはいかがお考えでございましょうか。

○後藤委員長 ありがとうございました。

いかがでしょうか。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 青木委員、ありがとうございます。

おっしゃるとおり最終的なゴールといたしましては、若い方のトラブルを少なくしていくかというところがございます。おっしゃるとおり、若い方に起きているトラブルがどういったものがあるのか、あるいはどういったものが増えているのかといったところにつきましては、全国の消費生活相談で寄せられております情報というのも見ながら、随時、増えているようなものにつきましては注意喚起をするなどして、最終的にはそういったものが減っていくような取組というのを引き続きやっていかなければいけないと、そういったところを見据えて取組というのはやっていかなければいけないと思っております。

○青木委員 ありがとうございます。

PIO-NET等の利用も含めて、次のステージ、そこのところは国民生活センターも含めて是非指標化していっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

星野委員、よろしくお願いいたします。

○星野委員 御説明、ありがとうございました。

受田委員がおっしゃったPDCAに関連しますけど、まず、先ほど教育プログラムで正答率が30パーセント上がったとかと御説明がありましたが、では、どこの要素が具体的に、例えば取消しなのか、リスクとリターン、トレードオフなのか、例えばどこに相談できるのかみたいな各要素が結構あると思うのです。この内容に。この要素のどこが事前テストで駄目で、どこが改善しなかったのか、また、どこが改善できないのかという事細かく見ていかないと、やはりなかなかPDCAとして、プログラム、改善するということはできませんので、やはり教育のプログラム、コンテンツ改善、細かいですけれどもそういったことをやっていくということで、具体的に、私も民間でありますが、共同研究、スタディサプリなどをやっておりましたけれども、数学ができないというだけではなくて、具体的にはどこができないのかということを見ていかないと、そこを改善できないと思いますので、細かくはなりますが、要素に分けて、特にどこができないのか、どこを直すべきなのかということを是非やっていただきたいと。

関連して、これはコミュニケーションの話にもつながると思うのですけれども、どうも政府側の教育は、総花として、こちらは伝えたいことはいっぱいありますので、これを全部伝えようとするわけですが、当然ながら受け手側はほかのこともやっておりますので、そういったことが何も残らなくなってしまうということになってしまいますので、やはりどの部分、どの要素を重点的にコミュニケーションするのかということは、先ほどのものにも関連しますけれども、やはりピンポイントで、まずは特に問題なっているところを見分けて、そこに関して広報するということができると、さらなる改善につながると思いますので、是非御検討いただければと思います。

○後藤委員長 ありがとうございました。

いかがでしょうか。

○消費者庁吉村消費者教育推進課長 星野委員、ありがとうございます。

「社会への扉」を使った授業の効果といたしまして、正答率が上がったということについて、要素ごとに見ていく必要があろうというところはおっしゃるとおりだと思っておりまして、やはり正答率の各質問ごとの状況を見てみますと、「必ずもうかる投資はない」といったところの質問についてはかなり正答率が高いものの、一度成立した契約は解約できないといったところ、あるいは金利が複利で借りた場合の返済額がどれぐらいになるかといったところの回答率があまり上がっていないというのがございますので、そこも踏まえながら、今後、教材の開発とか授業の実践事例とかを御紹介をしていくということ。

さらには、今後もいろいろな消費者トラブルというのがもちろん出てくる可能性がございますので、そういった最新のトラブル状況を踏まえた注意喚起といったところも併せてやっていかなければいけないのかなと思っております。

○後藤委員長 ありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

熱心に御議論をいただきまして、ありがとうございました。平成30年6月に改正民法が成立してから3年あまりが経過し、いよいよ来年4月から新たに18歳、19歳が成人扱いとなります。この間、消費者庁をはじめとする関係省庁においては、若年層への消費者教育の推進に関するアクションプログラムや成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーンの実施を通じて高等学校等における実践的な消費者教育や、地方公共団体、大学、関係団体、メディア等を巻き込んだ重層的取組を精力的に推進していただいているところであります。関係者の御尽力に心より敬意を表したいと思います。

しかし、本日、委員から出された意見にもございますように、若年者の消費者被害防止や自立した消費者の育成に向けては残された課題も多く、来年4月に向けて取組を更に加速する必要があると思われます。今後取り組むべき具体的な課題としまして、委員からたくさんの御指摘を受けましたけれども、私立高等学校や特別支援学校における「社会への扉」の利用促進、アウトカム指標による成果の把握、具体的には授業内容の理解度、定着度、若年者における消費者被害の状況等の把握、社会全体としての認知度向上に向けた周知、広報活動の強化、具体的には政府広報を活用した大規模キャンペーンの実施と来年4月以降の取組強化の策定具体化等が課題になると思われます。

消費者庁におかれましては、法務省や文部科学省、金融庁をはじめとする関係省庁と十分連携した上で、これらの課題にしっかり取り組んでいただくようお願いいたします。

消費者委員会としては本件の重要性に鑑み、引き続き調査・審議を行い、関係省庁による取組をフォローしてまいりたいと考えております。

消費者庁におかれましては、本日はお忙しいところ審議に御協力いただき、ありがとうございました。

(消費者庁退室)

《3.その他》

○後藤委員長 続きまして、その他事項といたしまして、消費者委員会に寄せられた意見等の概要につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

参考資料の1を御覧ください。

表題といたしましては「消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等一覧(7月分から9月分)」ということでございます。

こちらの資料でございますが、消費者委員会には、消費者団体や弁護士会など関係団体から様々な意見書等を頂戴しているところでございまして、そういった意見書等につきましてはその都度、委員の皆様にお送りしているところでございますが、四半期に1回、そのポイントを整理した上で委員会に御報告し、御議論いただいた上で、それを今後の委員会の調査審議に反映していくというような趣旨で行っているものでございます。

7月から9月の3か月間、計10件の意見書等を頂戴してございます。

その内訳を御紹介いたしますと、まず、取引契約関係ということで6件頂戴してございます。内容といたしましては、特商法・預託法の改正に関わる御意見を3件いただいています。1ページ目の1番上と3番目、それから、最後の6番目のところでございます。

その具体的な内容といたしましては、契約書面の電子化の問題について2件御意見を頂戴しておりまして、書面交付の電子化により消費者保護の機能が失われないようにしっかりと制度設計していくべきだというような御意見でございます。

それから、3番目については消費者支援機構関西から御意見を頂戴いたしておりますけれども、特商法改正に関しまして、不招請勧誘対策など年齢配慮義務の明確化といった残された課題があるので、そういったことも今後議論していく必要があるのではないかという御意見でございます。

それから、2番目、4番目、5番目でございますが、本日も御議論いただきました成年年齢引下げに関わる御意見も頂戴してございます。

いずれも地方の弁護士会からいただいており、内容的にも同様となっておりますけれども、民報の一部を改正する法律に対する国会の附帯決議、資料にございますように①から⑥のような附帯決議というのがなされているということでございますけれども、それらが必ずしも十分に実施されているとは言えないのではないかと。今後しっかりそういったものに取り組んでいく必要があるのではないかというような御意見でございます。

それから、2ページ目でございますが「集団的消費者被害救済制度」ということで1件いただいております。これは日本弁護士連合会からいただいてございます。

詐欺的商法の一種であるポンジ・スキームに関わる消費者被害を回復する制度を検討すべきではないかということで、具体的には違法収益吐出型や破産型といったような形で、行政が関与する形で、そういった消費者被害を救済する制度を検討していくべきべきではないかというような御意見でございます。

それから、その他といたしまして3件いただいておりまして、1つ目は、デジタル社会に対応したPL法の改正を行うべきではないかというようなことで、デジタル・プラットフォーム事業者の責任など、消費者安全の確保といった観点からも位置付けていくべきではないかというような御意見でございます。

それから、コロナのワクチンなど薬害の関連で2つほど御意見を頂戴しているところでございます。

事務局からの御説明は以上でございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

委員の皆さんから何か意見等はございますか。

受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

いろいろな消費者委員会に対する要望や御意見が寄せられている中で、特にその他にある、内容的には厚生労働省所管であると思われる案件が、このように時々出てまいります。特に、新型コロナウイルスの感染に伴って、最後にあるアビガンのような非常に期待される薬の開発、治験というところは大きな関心と同時に、今後のこの感染をどのように解決していくかという非常に重要なポイントだと思うのですけれども、一方でこういう指摘がなされていることは看過できないのではないかなと思うところです。

それで、申し上げたいことは、こうやって何回も来ているものが、多分厚労省マターになるのだろうと思いつつ、ほかの省庁にも多分同時に意見が寄せられていると思うのですけれども、そういう各担当のところでどういう動きがあるのかというのを、更に消費者委員会としてもウオッチしておく必要があるのではないかと感じるところです。是非問題提起ということで受け止めていただければ幸いです。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

では、事務局、よろしくお願いします。

○太田参事官 受田委員長代理の御指摘を踏まえまして、事務局としてもこういった意見の取扱いについてしっかりフォローするようにいたしたいと思います。

他方、冒頭御指摘がございましたように、ワクチンなど薬害関係の御意見というのは、専ら厚労省に宛てられた御意見ということで、当委員会に対しては参考送付というような形で送られてきているものも多いということでございまして、主体としては厚労省ということになろうかと思いますが、関連するものについては、しっかり事務局としてもフォローするようにしたいと思います。

以上でございます。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。

先ほどの発言にもつながるのですけれども、今回、黒木委員から御提出いただいた意見の最初の部分と同じような御意見が地方の弁護士会から出されておりました。今度の消費者契約法の改正にもしかしたらこれはつながることではないかなと思いますので、今回は消費者庁の消費者教育の推進課からのお話で、その辺りの詳しいお話が聞けなかったのですが、実際の法改正では、どのようなことが進められているのかということを、是非機会があればお聞きしてみたいと思いました。また来年の4月に向けて、少しでもできることは進められればと思いますので、御検討いただければありがたいです。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

これらの意見書につきましては、今後の動向に応じて消費者委員会としての対応が必要なことも生ずるかと思います。


《4.閉会》

○後藤委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○太田参事官 大変御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の本会議につきましては10月18日月曜日13時の開催を予定しております。会場は本日と同様、消費者委員会会議室及びテレビ会議で行いたいということでございます。詳細につきましては消費者委員会のホームページを御覧いただければと思います。

以上でございます。

○後藤委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)