消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(2021年11月25日)

日時

2021年11月25日(木)10:00~12:06

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、生駒委員、受田委員長代理、大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員
  • 【出席団体】(順不同)
    公益社団法人全国消費生活相談員協会(テレビ会議)
    坪田 郁子 専務理事
    公益財団法人消費者教育支援センター(会議室)
    柿野 成美 専務理事・首席主任研究員
    特定非営利活動法人スマセレ(テレビ会議)
    田中 喜陽 会長理事
  • 【事務局】
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 成年年齢引下げに向けた課題・取組や、それを踏まえた第7次消費者委員会への要望について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤委員長 本日は、お集まりいただきありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会と消費者団体ほか関係団体様との意見交換会を開催させていただきます。

本日は、私が会議室で出席、受田委員長代理、青木委員、飯島委員、生駒委員、大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員がテレビ会議システムにて御出席です。

星野委員は御欠席です。

配布資料について、事務局より説明をお願いいたします。

○太田参事官 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

本日はテレビ会議システムを活用して会議を進行いたします。

配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願い申し上げます。

以上でございます。


《2.成年年齢引下げに向けた課題・取組や、それを踏まえた第7次消費者委員会への要望について》

○後藤委員長 消費者委員会では審議の参考とすることを目的として、消費者団体をはじめとした関係団体等の皆様より御意見、御要望をお伺いするとともに、委員との意見交換を行っております。

本日は、来年4月に差し迫っております成年年齢の引下げに向けて、その課題やそれに対する取組のほか、私たち第7次消費者委員会への要望等をテーマにして、忌たんない意見を頂戴できればと思っております。

本日御出席いただいている方を御紹介いたします。

公益社団法人全国消費生活相談員協会専務理事の坪田郁子様がテレビ会議システムにて御出席です。

公益財団法人消費者教育支援センター専務理事の柿野成美様が会議室にて御出席です。

特定非営利活動法人スマセレ会長理事の田中喜陽様がテレビ会議システムにて御参加です。

以上でございます。

皆様、本日は大変お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、各団体様、事前に御用意いただいた資料を用いて15分程度御説明いただいた後に、15分程度委員との意見交換をさせていただきます。3団体の発表、意見交換が終了した後に、全体としての意見交換の時間を30分程度設けておりますので、3団体への共通の御質問や参加団体様から意見や他の団体への御意見、御質問などございましたら、後ほど発言をお願いいたします。

それでは、最初に公益社団法人全国消費生活相談員協会の坪田様、よろしくお願いいたします。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会坪田専務理事 公益社団法人全国消費生活相談員協会の坪田と申します。本日はこのような機会を頂きまして、どうもありがとうございました。

提出した資料に沿って、述べさせていただきます。

1ページは、私どもの団体について記載しております。

本協会は、全国の地方公共団体に勤務する消費生活相談員を主な構成員とする全国組織の団体でございます。

1977年の発足以来、地方消費者行政とともに歩んでまいりました。

1ページの中ほど「(4)活動の4つの柱」を御覧ください。まず、マル1として、東京、大阪、札幌の事務所で、行政の窓口が閉まっている週末に相談を受けております。土日相談を実施するセンターが増加していること、また、昨年度は感染症防止のために、窓口を閉めた期間があり減少していますが、2,000件程度の相談を受けております。

マル2として、相談から問題があると考えられる不当条項等に対する差止請求を適格消費者団体として行っております。

マル3消費者教育ですが、消費者教育研究所を組織内に設置し、教材の作成などしております。無料で出前講座、「全相協講座」を実施しております。また、本日いらしているスマセレ様と一緒に地域で活動したりもしております。

そのほか、週末電話相談に基づきまして、「こんな相談ありました!!」、そして、成年年齢引下げを踏まえ「契約の基本 18歳で大人になるってどんなこと?」という冊子など、教育啓発の冊子を作成して情報発信をしております。

マル4として、これらの活動から得た知見を活用しまして、相談員の育成とレベルアップを図っています。

3ページを御覧ください。上の図は4つの柱の活動の関係を示したものですが、相互に相乗効果を生むような活動となっております。

その中で、米印以下にありますように、意見表明をいたしました。

真ん中の枠ですが、以上から成年年齢引下げに対して、若者の被害防止と自立した消費者の育成には、消費者保護制度の整備と消費者教育の充実が車の両輪であると考えております。

では次に、具体的にお話をいたします。

「2ポツ本協会の取組みと『成年年齢の引下げ』に係る課題」。

まず、「(1)若年者の消費者トラブルから見える問題点と若者の特徴」です。週末電話相談に寄せられた事例とその課題を記載しております。たくさんありますので後ほどお読みいただければと思いますが、本日はこのような相談から日頃実感していることをお伝えしたいと思います。

それではページをずっと飛んでいただきまして、8ページになります。

「(2)今後18歳で『大人』になった若者の消費者被害の防止と解決に必要なこと」ということで書きました。

社会経験が乏しい若年者を下支えする仕組みが必要であると考えています。社会経験が乏しい若者の契約に至る意思決定が歪められないような消費者保護規定が必要であると考えております。デジタル化によって取引の世界にアクセスしやすくなる一方で、取引の世界はより高度、複雑化し、難度が増していると思っております。

マル1若者に理解できるような情報提供と説明。

マル2気持ちを煽り、あたかも自ら進んで契約をしているような場合に対する救済方法。

マル3いわゆるマルチ商法に関する規制の強化です。

マルチ商法は友人間で広がるため、消費生活センターに特定の大学の学生がグループで相談に来所したり、学生課から相談が入ることもあります。この状況が高校3年生のクラス内で発生することが非常に強く懸念されます。多くの若者が高校へ進学しますので、18歳の時点では本業として勤労収入を得た経験がない若者がほとんどですので、このような状況で、「(サイド)ビジネス」「副業」「サラリーマンの一生はたかが知れている。起業を!」と勧誘されても、勤労経験がなければ、勧誘された内容が仕事としてどうであるかを判断することは困難であると思います。

マルチ商法に注力するために大学を中退し、その後、もうからずに被害者となるばかりか、加害者の立場にもなり、消費生活センターに相談に来る若者も少なくありません。

連鎖販売取引に対しては、契約締結前の丁寧な情報提供、適合性の原則の観点による規制、取引可能な対象年齢等について検討が必要であると考えております。

次にマル4、「夢と不安」が混在した心理状況にあり、そこにつけ込まれた被害に対する救済方法も必要であると考えています。

マル5としまして、勧誘に問題があるなどにより、意思決定が歪められて契約を締結し、その支払いのためにクレジット決済をしたり、借金をすることを未然に防止する対策も必要と考えます。これは割賦販売法の規制の強化ということも一つあるかと思います。

マル6としまして、キャッシュレス決済に対する安全な仕組み作り。

今後、低年齢の子供たちが日常生活で利用するということも考えられます。

次に9ページに参ります。「3ポツ本協会の若者に対する消費者教育の取組み」でございます。今、以上述べました若者のトラブルの特徴を踏まえて、消費者教育を展開しております。

(1)若者の消費者教育に求められることとして、インターネット情報の過信と真に必要な情報収集の力が不足していると考えています。バーチャルなインターネット社会での取引であっても、実際の経済活動はリアルの世界であることへの認識が不足しています。摩擦を避けたいことからはっきりと断ることができない、18歳で就職、進学により一人暮らしを始める際の契約に関する知識不足、クレジットカードと借金に関する知識不足、クレジットによる分割、借金を促されて被害に遭っているという状況があります。クレジットカードで借金ということが全て問題であるわけではないですが、結果として消費者被害に結びついている点もございます。

また、キャッシュレス化の進展への対応です。これまでは具体的な貨幣を使う経験の発展として、抽象的なキャッシュレス決済であったところが、今後は幼いころから電子マネーを利用し、抽象的な価値としてのお金しかイメージできなくなっている可能性があります。

矢印の下でございます。必要なこととして、マル1情報リテラシー、適切な情報収集と正しい理解、マル2知識(契約の基本、金融教育)、マル3として、自ら判断し、意思表示をする力。「疑問点は消費生活センターに相談しよう」と、どれを自分で考え、それはどこに相談し知識を得たら良いかということを考えることも一つの力だと考えております。

自立した消費者、消費者教育に求められる範囲は大変広くありますが、成年年齢引下げを控え、喫緊の課題であり、優先される事項として、こちらの四角の中に挙げさせていただきました。

(2)として、若者の消費者教育の更なる推進のための方法として書きました。

『社会への扉』は公立高校を中心に活用が進んでいると見受けられます。

また、消費者教育の充実が特徴の一つとなった新学習指導要領が順次実施されています。これは、この10年間で大きな進展だと思います。

しかし、一方、マル1として若者の現状でございます。これは相談現場の状況や、私どもが高校や大学への出前講座などをして実感していることでございます。

契約の基本的知識の不足。大学生でも、「社会への扉」「Q2.店で商品を買ったが、使う前に不要になった。解約できるか」に関しまして誤答が多い状況です。また、クーリング・オフが特別の制度であることを理解していない若者も多くいます。ネット上の口コミ情報を頼りにしている若者が多い。インターネットショッピング、フリマサービス(CtoC)の利用も低年齢層まで拡大しています。

若者として判断力がしっかりしているようであっても、自分自身のこととなると夢と不安につけ込まれ、知識があっても、机上のものであって役に立っていない場合があると感じております。

家庭科などで学んだ消費者トラブルが、今、自分に降りかかっているトラブルと同種であることに気付いていない場合があります。消費生活センターという名前は聞いたことがあっても具体的にイメージできず、相談をすることへのハードルが高いと感じている若者がまだいます。

マル2としまして、学校の状況です。本協会では自主事業として、学校への啓発・教育をやっておりますし、また、行政からの受託事業によりましても、出前講座の開拓をかなりやっております。

その実感からでございますが、先生方は消費者教育を認識はしていらっしゃいますが、時間数などの問題から、出前講座が厳しい状況になっています。

また、学校や先生による温度差もございます。学校の年度計画に消費者教育出前講座を取り入れる場合は、前年度中に出前講座の案内をして検討を依頼する必要がありますが、どうしても行政による年度事業は4月スタートであり、実質的には5月の連休明けとなることも多く、なかなか学校で実施することが難しい現状もあります。

それから、特別支援学校の消費者教育の必要性です。外部講師の事業、これは消費者庁からの委託で今やっておりますが、申込みのあった学校に聞き取りをしたところ、特別支援学校の先生方は、消費者教育をどうして良いかとても困っている様子がうかがえました。キャッシュレス化が急速に進むことにより、トラブルに巻き込まれる危険性が高まっています。スマホをタップすることですぐ契約が成立してしまいます。悪質事業者は断れない人をターゲットにしていることが多くあります。学校における消費者教育の中でも、特別支援学校等の消費者教育の充実が必要と感じています。

また、デジタル教育が進展しつつありますが、学校によるデジタル化の環境の違い、先生による対応への負担感の違いも感じております。

マル3として具体的な方法でございます。消費者教育は、「自分事」として捉えることができる丁寧、きめ細かな着々とした学習の充実、それと同時に、消費者教育が必要であるということを広く周知する活動、この2つが車の両輪として必要と考えております。

今、生徒や学生が直面している問題を捉えて、「自分事」としていただく。また、高校や大学など以外の専門学校や職域における若者への消費者教育も含めて推進することが必要と考えております。

オンラインゲーム、キャッシュレス決済の利用によるトラブルは小学生、中学生でも発生していることから、低年齢時からの一体的、継続的な学習が必要であると考えます。

最後にまとめでございます。成年年齢引下げを踏まえたこれからの消費者行政に求めることとして書きました。

消費者保護制度の整備です。キャッシュレス化、デジタル化が急速に進展することにより、若者は社会経験が乏しくても、あらゆる取引場面に参画できる可能性が広がります。従前の「小遣いの管理」とは異なる抽象的な金銭を扱う場面が日常になりつつあります。利便性は、「~し易さ」につながります。若者のトラブルの実態を踏まえた、消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法を、その他法制度の整備が必要であると考えております。

そして、車の両輪のもう一つ、消費者教育の推進でございます。消費者教育の推進には、現場の先生目線、生徒目線が非常に重要であり、実践的な消費者教育には消費者庁と文部科学省との連携が不可欠だと考えております。学校現場では消費者庁、文部科学省からの通知であれば、周知効果が高いのが現状です。

まず、教育現場に、成年年齢引下げによる消費者トラブルの増加に対する懸念と消費者教育の必要性を十分に御理解いただくことが大切だと考えております。

成年年齢引下げに関しては、未成年者取消権が行使できなくなるほか、例えば裁判員になることができる等もありますが、学校現場で教えることが大変多くなっています。しかし、消費生活は日々の暮らしに直結したものであり、全ての若者にとり4月1日以降は影響を受ける事項です。特に取引に係る消費者トラブルは、社会に出てすぐに安全・安心な生活を脅かすこととなります。この点からも国に対して、全国の若者に対するきめ細かな消費者教育のための支援を要望いたします。

令和4年4月1日以降の消費者、若者の消費者トラブルの状況と消費者教育の状況につきましても、今は成年年齢引下げになったらどうなるかということで考えておりますが、その後の検証につきましてもしっかりと行っていただき、若者を取り巻く状況に応じた対策を講じていただきたいと思います。

以上でございます。どうもありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの発表内容につきまして、御質問や御意見がある方は発言をお願いします。15分程度でよろしくお願いいたします。

受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 御発表ありがとうございました。

委員長代理を務めております受田と申します。よろしくお願いいたします。

本当に要点を押さえていただいて、分かりやすく御説明をいただいたので、しっかりと私自身も認識を共有しているところだと思いました。

そのような中で、高校の現場というのが鍵を握っているように特に感じました。これまでも消費者庁との情報交換など取組を伺う中で、『社会への扉』の活用が一つ鍵を握っているとも受け止めております。

そこで、公立高校を中心にというところを逆説的に言えば、私立高校の活用が進んでいないということが課題であるということも明確にお示しいただいているのではないかと思っております。今後、私立の学校の形態に対して『社会への扉』を、どのように活用していったら良いか、具体的にそういった要望・要請活動というのは進められておられるのでしょうか。質問でございます。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会坪田専務理事 ありがとうございます。

現在私どもは正に消費者庁の事業を受託いたしまして、私立高等学校を対象にした『社会への扉』を使った消費者教育をやっているところですが、あいにくコロナの状況ということも相まって、なかなか大変な状況であります。

この私立高等学校につきましては、御案内のことと思いますが、教育委員会から一斉にということができない状況でありまして、個々の私立学校の特性に応じた形になっておりますので、大変苦労をしております。この中で、今、消費者庁からの受託事業をして感じているところは、学校は年度計画が決まってしまうということがありますので、どうしても前年度から始めなければならないということがありますが、役所の年度事業ということで4月開始になってしまって、これが様々な契約関係の手続等で、おおむね早くでもゴールデンウイーク明けになってしまう。そうしますとなかなか難しい状況がありますので、これにつきましては、やはり前年度からしっかりとしたことをしていかないと大変厳しいと思っております。

それから、私立学校は個々の実情がございますので、やはり公立学校のようにはなかなかいきませんので、ここはしっかりと、より時間をかけ丁寧な対応ということを、新たに検討をしていかなくてはならないと思っています。

ただ基本的な方策としては公立も私立も同じであって、若者が置かれている境遇に対して、どこまで先生に御理解をいただき、この消費者教育ということが、現在のこの消費生活におきましては、生徒の生活全般に影響を与えることであるということも御理解をいただくことが必要だと考えております。

以上でございます。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

生徒の未来、生徒の人生が、この消費者教育によって変わっていく可能性もあるというところも含めて、当事者意識を持っていただかないといけないですね。

よく分かりました。ありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。

丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございました。

意識としましては、私どもが課題として考えていることと全く同じでして、NACSも一生懸命消費者教育を進めてはいるのですが、なかなか学校側の都合もあり、コロナでもありで出張講座などは進んでいないという同じ悩みを抱えているのだなとお聞きしていました。

2点ほど質問させていただきたいと思います。

資料の8ページでしたか、今回の成年年齢引下げに向けては、法律関係と消費者教育の両輪でというのはおっしゃるとおりだと思いますし、8ページの(2)のマル3番のマルチ商法が一番重要な点だと思うのですが、これについて大きな矢印の下に、連鎖販売取引に関しては契約締結前の丁寧な情報提供、それから適合性の原則の観点による規則、取引可能な対象年齢等について検討が必要であると書いてくださっています。具体的に、もし全相協で取引可能な対象年齢等について何か御意見のようなものがあるのでしたら、是非お聞かせいただきたいなというのが1点です。

それから、もう一点、先ほどの受田委員長代理のお話にもありましたけれども、確かに学校というのも大変重要な場所なのですが、先ほどの坪田様のお話を聞いておりまして、よく考えてみれば学校だけではなくて、例えば専門学校や学校に行けない子供たちのためのフリースクール、また高等専門学校などもありますし、今考えている公立高校や私学だけではなくて、もっと広く進めていくことを考えなければいけないのだなと気付きました。そのためには、消費者庁と文科省がもっと連携して進んでほしいというのは全くおっしゃるとおりだと思っております。その意味で、例えば、何か学校以外のところに対しての働きかけのようなものがありましたら、是非教えていただきたいと思います。

以上です。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会坪田専務理事 ありがとうございました。

まず、最初の御質問の方、マルチ商法の話でございますが、マルチ商法は確かに問題がたくさんあります。ただ、これを具体的にどういう年齢にしたら良いかということは慎重に検討する必要があるとは思っております。実際のところ、この連鎖販売取引に関する規制ができた時代と状況が変わってきていることもありますので、このあたりを含めまして更なる検討、審議が必要と考えております。

それから、フリースクール等の専門的な学校に関してということですが、すみません、大石委員、もう一度よろしいですか。

○大石委員 学校以外にも、今回対象になる若者が存在しているところが幾つかあると思うのですけれども、全相協で何かそういうところへの働きかけというのが実際にあれば教えていただきたいなと思いました。

以上です。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会坪田専務理事 ありがとうございます。

私どもの団体としてということであれば、私どもは年齢問わず、全世代に対する消費者教育啓発ということをやっております。これは相談自体を全世代から受けておりますので、そこから抽出した問題点というのをつかんで、その世代に相応な消費者教育啓発をしております。ですが、取りあえず今回は成年年齢引下げということが直近の課題となりまして、そうなればまずは公立高校からということで強く進めていただいたこともあり、公立高校は教育委員会からの流れがありましたので、非常に進んでいると私は思っております。まだ完璧とは思っておりませんが、急速にこの2から3年で済んだと思っております。

ただし私立学校がなかなかということであると思っておりますし、これは当然、専門学校、あとはそのフリースクールなどの様々なところ、それから新入社員の教育ということも含めて幅広くやっていく必要は当然あると思っております。

以上でございます。

○大石委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

○後藤委員長 黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 はじめまして、黒木と申します。

坪田専務理事におかれましては、前、消費者庁にもいらっしゃって、行政の立場でも検討されていたということでこのペーパーは非常に説得的だと思っております。

それを踏まえて、11ページの、成年年齢引下げを踏まえたこれからの消費者行政に求めることについても私は全く同意見なのですが、これを十分条件と言うのか必要条件と言うのかということは置いておいたとして、現状、これがまだ全然足りていないという御認識なのか、それとも一定程度進んでいるという御認識なのか、求めることという囲みの中に入っていらっしゃることのKPIと言ったら変ですけれども、どれぐらい実現されていらっしゃるのかということについて、率直に御意見をいただければと思います。

よろしくお願いいたします。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会坪田専務理事 大変回答が難しいと思いましたが、私も長年、消費者教育を見ておりまして、急速に進んでいるとは思っております。これがどのくらいかというのは難しいですが、半分ぐらいは行っていっているとは十分思っております。これは公立高校の方で、かなり『社会への扉』の活用が進んでおります。

ただ、細かく見ますと『社会への扉』をどのように活用しているのかということ、これは本来、既に家庭科でも十分に行われている消費者教育です。それがなかなかということであれば、いかに教育が定着していくか、実践的なものになっていくかということになります。そうなりますと、かなり進んではいるけれども、今後、実際に成年年齢が引き下げられ、また、急速なデジタル化と2つの要素で消費を取り巻く社会が大きく変わる変革期だと思っております。この中で、これがどのくらい実効性を持ったものになるかというのは注視していく必要があると思っております。

また、私立高等学校は都市部に多くて地方にいきますと少ないので、全国的な達成はどうかということは難しいのですが、都市部はやはり私立高等学校が多く、私立学校は既に独自の教育もされていて、消費者教育をしているところもあるとは思うのですけれども、それがなかなかこちらには見えないところがあります。そういった点では、しっかりと今後もやっていかなくてはいけないところがあると思っております。

特に私は、今後、成年年齢引下げの後がどう変化していくかということを一番気をつけていきたいと考えております。

以上です。

○黒木委員 ありがとうございました。

全く御意見でございまして、今後もこういう機会がありましたら、情報交換を是非お願いしたいと思っております。現場の声を吸い上げていかないといけないと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

○後藤委員長 それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

お話を伺っていて、若者の勤労経験というお言葉でしたけれども、それも含めた生活経理系の不足ということをすごく私も実感しているところです。

先ほど黒木委員から11ページのお話がありましたけれども、私は生活経験の不足というところで、高校生だけではなくて本当に小学生からきちんと経験を踏んでいかないといけないのかなということを懸念しております。

1点質問なのですけれども、マルチだけではないのですが、私の経験から、若者自身が被害に気がついて相談するということもあるのですけれども、周りの人、例えば親など先生が何かおかしいと思って相談してくるという事例がございます。高齢者と同様に、周りの方がそういう若者に対して、これはおかしいよなどと言ってあげられるような環境はすごく必要だと思うのですけれども。そちらの協会で、若者だけではなくて先生など、例えばPTAの親などに教育をしていただくなど、公募する機会というのは何かあるのでしょうか。教えていただけますか。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会坪田専務理事 ありがとうございます。

私どもの協会では、全世代につきましてそれぞれに応じた消費者教育・啓発を既にやっております。「全相協講座」ということで、あらゆる世代のニーズに応えております。

今回、消費者庁の事業でも高等学校に対する消費者教育、これは私立高等学校ということでやっているわけなのですけれども、このときに、生徒ではなくて教員全体、家庭科や社会科だけではなく、教員が全体でこの講座を受けたいという依頼がありました。

しかし、残念ながら消費者庁の事業は対象が高校生でしたので、これは受託事業の範囲ではないということで、私どもの「全相協講座」で対応いたしました。

ここで先生方が、社会科や家庭科の先生だけではなくて、担任の先生だったり、部活の顧問だったり、様々な先生が生徒と触れ合う中でちょっとした変化に気づく、これが非常に重要だということで、そういった機会を設けていただきましたが、そういった学校が増えることを期待しております。

また父母も御自身の大人としての消費者教育と子供への消費者教育、両方がありますので、例えば地域での消費者教育の啓発の推進、また、職場で、これが今一番進んでないところなのですけれども、職域への消費者教育の推進ということは、翻って家庭に帰った場合に子供への消費者教育にもなると思いますので、やはり全世代的にやっていかなくてはならないと非常に感じております。

以上です。

○木村委員 ありがとうございます。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。ただいま、あと青木委員、生駒委員、清水委員から御質問、御意見の御希望が出ていますけれども、後でまとめて御質問、御意見をいただく時間もありますので、今、特にここで坪田様への御質問ということでありましたら、青木委員、生駒委員、清水委員、どなたでも御発言いただきたいと思います。どうでしょうか。

後ということでよろしいですか。

それでは、申し訳ありません。時間の関係で次に進めさせていただきたいと思います。後ほどまた御発言をお願いいたします。

続きまして、公益財団法人消費者教育支援センターの柿野様、よろしくお願いいたします。

○公益財団法人消費者教育支援センター柿野専務理事・首席主任研究員 おはようございます。消費者教育支援センターで専務理事・首席主任研究員をしております柿野成美と申します。本日は、このような貴重な機会に参加させていただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、お手元の資料2、パワーポイントの資料に基づきまして、お話をさせていただきたいと思います。ページ番号が途中で消えてしまったページもございますが、順番にお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

私が所属しております消費者教育支援センターでございますけれども、1988年の国民生活審議会からの意見書「消費者教育の推進について」を受けて、1990年、平成2年に設立された団体でございます。

現在、主な活動の柱といたしましては、調査研究、研修の企画・実施、そして教材表彰などを実施しているところでございます。学校現場の先生方、地方消費者行政や教育委員会の担当者、関係団体と連携しながら、全国各地の消費者教育の実践の場を広げる中間支援の役割も果たしております。

こちらの団体に勤務いたしまして私は20年以上たちますけれども、実際に消費者教育の現場を見てきた立場から、今日は成年年齢引下げに向けた消費者教育の課題として、2つの側面からお話をさせていただきたいと思います。

スライドが少し飛びますが、3番目のスライドをご覧ください。今日お話しさせていただく内容の1番目は、学校における効果的な実践に向けた課題です。2番目としては、消費者教育の推進体制に関する課題、この2点についてお話をさせていただきたいと思います。

スライドの5枚目を御覧ください。こちらは2018年2月に、若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムが4省庁で決定し、その政策の柱の1つとして、『社会への扉』を活用した授業が進められてきたところですが、このグラフは、徳島県で実施した調査結果です。平成29年度から高校1年生に授業を実施したわけなのですけれども、その授業の前と後、そして1年後である高校2年生、高校3年生に、この『社会への扉』の12問のクイズを実施したときの正答率を表しています。授業の後には正答率が大きく伸びているのですけれども、2年後の高校3年生、18歳になる段階では、その定着率が授業実施後の半分以下になってしまっているということを示している大変貴重なデータとなっております。

このような、18歳で成人するまでに子供たちが自立した大人になっていくための教育を効果的に実践するために、2つの方向から指摘をさせていただきたいと思います。

1点目はスライドの6番です。既に昨年度から小学校で新学習指導要領がスタートし、学習指導要領の中に売買契約の基礎の内容が位置付けられております。この内容をより効果的に小学校、中学校と発達段階に応じた取組を行っていくための支援が必要だと考えております。

ちょうど6番目のスライドにありますように、『社会への扉』のクイズのうち、問1の売買契約の成立のタイミングは、売り手と買い手のお互いの承諾によって成り立つという内容と、問2の、成立した契約は、一方的にはそれを解約することはできないという内容については、小学校から学習することになっております。子供達は一般的に小学校5年生の家庭科の時間で学ぶことになっていますが、これをより効果的に行っていくための支援が必要だと考えられます。

もう一つの視点としては、スライドの7番です。18歳までに自立した消費者としての実践力を身に付けていくためには、その学び方を工夫していく必要があるということです。

こちらのスライドは文部科学省が学習指導要領改訂の方向性を示しているものですが、左下に「何を学ぶか」ということで、学習内容が位置付けられています。さらに、それを「どのように学ぶか」ということで、主体的・対話的で深い学びの視点から学習過程を改善していこうという方向性が出されておりまして、今はコロナ禍で対話そのものに難しさはあるわけなのですけれども、こういった学び方の改善が学校現場では行われています。

この学び方を工夫していくということとともに、次のスライドを御覧ください。8番目のスライドは、日本の18歳の社会参加の意識が非常に希薄であるということを示している日本財団の調査結果となります。各国の18歳に対して調査をした結果でございますけれども、日本の若者は、「自分を大人だと思う」、「自分は責任がある社会の一員だと思う」といったいずれの項目に対しても、9か国中で最も低い数値となっております。18歳で、社会の担い手となるという意識を高めていくための市民教育が非常に重要でありまして、消費者教育を通じて市民教育を実施する、正に消費者市民教育という考え方で消費者教育を実践していく必要があると考えられます。

その中で、私がかねてから非常に注目している事例が9枚目のスライドにございます。埼玉県が平成19年から実施している大学高校との連携による不当表示広告調査になります。

先週も、ちょうど埼玉県立蓮田松韻高校でこの授業が公開されて、ニュースにもなっておりましたけれども、県からの出前講座で不当表示について高校生に講義をします。その後、高校生が授業を通じて、自分のスマホやパソコンを用いて、SNSに掲載される広告などを見て、この広告はおかしいのではないかと批判的思考力を働かせながら、不当表示に該当するものをピックアップするものです。今回の蓮田松韻高校の授業では、優良誤認に関する広告を探したということでありましたけれども、広告調査をした結果、更にその中で不当表示に該当するものについては担当課が行政指導を行っているという取組です。

令和2年度では、県内の7校の高校と、1校の大学で実施いたしまして、19事業所に対して文書による行政指導を行ったということでございます。消費者教育は、机の上で知識を学ぶということだけではなくて、社会で生きて働く力を身に付けていくために、どうやって社会に参加するプログラムにしていくかという視点から、消費者教育の内容改善を行っていく必要があるのではないかと考えております。

次の話題として、消費者教育の推進体制に関する課題についてお話をさせていただきたいと思います。

文部科学省では、平成22年度、28年度、令和元年、そして令和3年度、今年度でありますけれども、教育委員会に対して、消費者教育の推進状況について調査をしています。

ここに示しましたスライドの11番目のデータは、成年年齢引下げを踏まえ、新規拡充した取組の有無を聞いています。これは公表されている最新データが令和元年度で、令和3年調査ではもう少し違った結果になっていることを期待したいところですけれども、ここで見ていただくとおり、新たに又は拡充して実施することとなった取組や、従来の内容から変更した取組はないという結果となっています。

これは全国の教育委員会、都道府県、政令市、市区町村を合わせた教育委員会に対して調査をしていますので、都道府県だけを見てみたらどうかということで文部科学省にヒアリングをいたしましたら、新たに又は拡充して実施することになった取組があると答える都道府県が最も多く29件、従来の内容を内容変更したというのが10件という、都道府県で見れば一定程度この取組をされているということが分かります。

そして、教育委員会の状況でありますが、成年年齢引下げに限らないわけですが、どのような状況にあるかということで、12枚目のスライドを御覧ください。これは消費者教育の推進における課題について聞いたものです。「貴自治体において消費者教育を推進するに当たって課題と考えていることについて教えてください」と質問した回答のグラフですが、回答で最も多く、また調査をするにつれてだんだんと増えてきている項目としては、「ほかの優先課題があり取り組めない」なんです。この項目が最も多く、そして、年々増えているというところに注目するべきだと思います。なぜこのような状況にあるのでしょうか。連携した取組の糸口を見つけるために必要なことは何なのでしょうか。

「ほかの優先課題があり取り組めない」ということですが、このような状況下でも教育委員会として消費者教育を積極的に実施していただく一つの方法として、スライド13枚目ですが、教育振興基本計画の中に消費者教育を積極的に位置付けていくことが考えられます。この状況について聞いたところ、教育全体の計画の中で消費者教育をしっかり位置付けているのは、全自治体に対して7.2パーセントしかない、というような現実もあります。

しかし、こういった教育委員会の状況に対して、14枚目のスライドですが、昨年度には文部科学省で教員用の啓発資料を作成しました。その内容は、消費者教育は新たに取り組む内容ばかりではなく、今までやっている取組の中に「消費者の視点」を持つことによって、いろいろな教科で実施できるというものです。これを昨年度作成しておりますので、こういった資料などを使いながら、学校の中、そして学校の外との連携を深めていく、そういった研修などをこれから充実していってほしいと考えております。

最後にもう一つだけグラフを付けました。スライドの15枚目です。これは調査主体が異なるのですけれども、独立行政法人国民生活センターが2018年9月に全国の消費生活センター770か所に実施した調査です。消費者行政が何に課題を感じているかということで見ますと、学校や教育委員会等の関係機関との連携が難しいということを最大の課題として挙げています。都道府県、政令市がこの割合が高くなっていて、市町や町村というところでだんだん低くなってきているという点も注目するところかなと思います。このような課題を解決していくということで、消費者教育コーディネーターという役職、機能を消費生活センターの中に置くというような取組も進んでいるわけですけれども、今後もこの取組が一層進んでいくことを期待したいと思います。

まとめといたしまして最後のスライドですが、目前に迫った被害防止を高校生に訴える啓発は喫緊の状況としては非常に有効なわけなのですけれども、社会参加の観点から、幼児期から小学生期、中学生期、高校生期、生まれてから成人するまでという発達段階に応じて消費者教育が行われるような支援を行う必要があると考えています。これを進める体制を整えて、どこに住んでいても18歳までに自立できるということを目指して、全ての子供たちが消費者教育を受ける権利を保障していく。そのために今回、2012年に成立、施行した消費者教育推進法が来年で10年を迎えます。多角的な効果検証を行い、どこができていて、どこができていないのか、そしてこれからどんな施策を進めていくのか、総合的に検証する必要がある時期かと思います。

以上となります。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの発表内容について、御質問や御意見がある方は発言をお願いいたします。質疑応答、意見交換の時間は15分程度としたいと思います。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。

柿野さんが全国でいろいろな自治体に教育の必要性等々をおっしゃっていただいて、本当にありがとうございます。

今日の説明の中で2つ御質問があります。

学校の先生の資料ということで、指導者用の資料を多く作っていただいて、教員の先生に活用を促していただいていると思いますが、この資料の実態というか、どの程度現場で使われているか、そのような数字がもしかしたら文科省なのかもしれませんが、把握されているならば教えてほしいというのが1つです。

消費生活センターでも、学校の先生たちが、資料ありませんか、などすぐ使える分かりやすいパワーポイントはありませんかという問合せがあるので、支援センターが作っている資料を紹介させていただいているのですが、どのような活用の実態があるのかが知りたいというのが質問です。

もう一つは、消費者教育コーディネーターです。私は現場の消費生活センターにいますが、名古屋市はおかげさまで機能していますが、全国の自治体を見ますと、消費生活センターは格差がありまして、広がりがなかなか難しくなってきています。アドバイスとして、今後このようにしたら良いかなというのがありましたら、是非お願いします。

以上です。

○後藤委員長 よろしくお願いします。

○公益財団法人消費者教育支援センター柿野専務理事・首席主任研究員 御質問ありがとうございました。

作られている資料が学校現場でどの程度使われているかという御質問でありますが、この資料については一般的に自治体が作っているものなど、消費者教育の全般に関する資料という理解でよろしいでしょうか。

ありがとうございます。今、私が紹介をさせていただいた調査結果は、教育委員会に対する調査結果となっておりまして、実は学校現場で先生方が実際にどういう形で行っているのかという調査を文部科学省はしていません。ですので、各自治体では調査もされている所もあると思うのですが、今すぐにどのぐらい使われているかという数字を持ち合わせていません。正確にはお答えできないのですけれども、熱心な先生方は自分で情報を取りに行って効果的な教材も使われていると思いますが、先生によって違いが大きいというのが現実かなと感じております。

次に、コーディネーターにつきましては、今日お話をさせていただいたような教育委員会とつながりたいという課題がある地方自治体の消費者行政では、教育委員会とのつながりがある教員を人事交流で配置したり、教員OBが雇用されたり、教育委員会に勤めていた方が人事異動で消費者行政に配置されたりといった事例があります。このような教育委員会とのつながり、学校現場とのつながりがあるような方が消費者行政に入ってこないと、コーディネーターとして設置されても、つながりを持ちにくいのが現状ではないかと思います。ですので、コーディネーターを設置するときのアドバイスについては、その教育現場や教育委員会のメンバーシップを持っているような方に消費者行政側に入っていただくのが効果的ではないかと考えています。

以上です。

○清水委員 どうもありがとうございました。

資料につきましては今回、『社会への扉』の使用実態を消費者庁が調べたということもあったので、これからかなと思いました。

ありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。

○公益財団法人消費者教育支援センター柿野専務理事・首席主任研究員 よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 柿野さん、御説明いただきましてありがとうございました。

2つほど質問があるのですけれども、1つは、日本の18歳は社会参加意識が希薄であるという世界的な統計は衝撃的でございました。これは18歳に限らない現象だと思います。日本人全体の社会参加意識が低いのだなと考えさせられる統計かと思いましたが、まず、柿野さんとして、この数字を御覧になって、何が原因なのかなというのを、今の時点でお考えになるバックグラウンド、日本としての社会の背景にある原因のようなものをもしお感じになっていることがありましたら教えていただきたいということが1つ。

教育現場で消費者教育を強化していこうということが柿野さんのお仕事だと思うのですけれども、先ほども最初のところで質問もありましたが、相談するハードルが高いなど被害者意識がないといったような声がすごく多い中で、学校の教育機関以外のところで働きかけていく工夫というか、ハードルを下げていくような工夫というのをもし柿野さんがお考えであれば、教えていただきたいと思いました。

これはすごく単純な話なのですけれども、消費者教育あるいは消費者教育支援という言葉自体が硬くて、難しい印象があり、若い方々にしたら硬い門扉のように感じられるのかなと思いまして、何らかそういったそのネーミングの部分も含めて、もし、より開かれた入り口をお考えのことがありましたら、教えていただければと思いました。

よろしくお願いいたします。

○公益財団法人消費者教育支援センター柿野専務理事・首席主任研究員 御意見、御指摘ありがとうございます。

消費者教育支援という言葉が硬いということは私も常々思っておりまして、何かそれをもっと良い言葉に言い替えられないだろうかとも考えたりもしています。是非、生駒委員からも御助言を頂けたら有り難いです。

今、御質問のありました2点についてです。日本の18歳に限らず社会参加の意識が希薄であるということについて、なぜこうなっているかということですけれども、1つは教育の在り方ではないかと思っています。今回、小学校の家庭科の学習指導要領の改訂に私も関わらせていただいて、売買契約の基礎を家庭科の中に位置付けるべきだといった方向で進めてきたのですけれども、本来であれば、小学校の社会科で、例えば3から4年生ぐらいに社会参加、契約、自分の権利や義務などを教育内容にしていくべきではないかなと思っています。

数年前にスウェーデンに行ったとき、スウェーデンは非常にSDGsでも進んでいる国ですが、消費者教育を管轄しているのが教育庁で、学校教育では小学校社会科で若者の社会参加を進めていく観点も含めて非常に熱心に行われているという話を聞きました。

ですので、何か1つのということが原因でそれだけを変えれば良いという訳ではないのですが、小さい頃から社会参加を意識した教育の在り方、という方向性は非常に重要な点ではないかと思います。

それから、学校以外での取組についてです。やはり学校が1つの核になっていくという部分はあるかと思いますが、地域での学びについては、私たちも地域でどのような方法であれば消費者教育実践が広がるのかという視点から常々活動しているわけなのですけれども、そうしていくとなかなか対象がつかみにくいという難しさもあります。そこで学校を中心としながら、そこに関わる保護者や関係者の理解を深めていくというようなアプローチを取りがちなのですが、地域での学びの場、先ほどのフリースクールの話もそうですが、様々な対象や場があると思いますので、そういったところにも関心を持ってもらえるように働き掛けていく必要があると思います。

ありがとうございました。

○生駒委員 ありがとうございます。

大変重要な取組をされていると思います。ただ、今学校でもリモート教育も導入されていたりして、お子さんもタブレットを持っていて、SNSやインターネットが非常に身近な入り口になっていると思いますし、教育機関ともつながっています。そういった点でも恐らく御検討されていると思いますが、是非デジタルの入り口を作っていただくなり、ちょっとハードルを下げたような、広い門戸を作っていただけたらなと希望しております。

ありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 どうも今日はありがとうございました。

消費者庁でやっていらっしゃる「全世代における体系的な消費者教育に向けた連携に関する分科会」でもたしかヒアリングをされていてそこで、今日、消費者教育コーディネーターのことについてお話をされていると思います。本日も最後のところに少しだけ出てきた消費者教育コーディネーター制度なのですけれども、先ほど清水委員からも名古屋では非常にうまくいっているというお話を頂きました。全国的な消費者教育コーディネーター制度についての充実と言いますか、これがどうなっているのか、法的な位置付けというのもちょっとよく分からないところあるので、そのあたりも教えていただきたいと思っています。

是非よろしくお願いいたします。

○公益財団法人消費者教育支援センター柿野専務理事・首席主任研究員 御質問ありがとうございます。

消費者教育コーディネーターは、「消費者教育の推進に関する法律の基本的な方針」の中に位置付けられていることになります。

実態としましては、なかなか分かりづらさがありまして、消費者教育コーディネーターという肩書を持つ人物がいるような場合と、自治体の行政職員が消費者教育コーディネーターとしての機能を果たしているというようなケースがあるように思います。ですので、消費者庁の調査で消費者教育コーディネーターを配置している数を見ると、人的配置なのか機能的なことなのか分かりづらさがあり、定義も確固たるものではないような印象を持っています。

とは言いましても、推進法ができて10年が経過しようとしていますが、それ以前には存在しなかった「消費者教育コーディネーター」という名称を持つ人材が増えてきているのは確かです。都道府県を中心に、特に現職の教員が消費者行政の担当部局に行きまして、そこで学校とのつながりを発揮して、すごく精力的な取組をしている都道府県が幾つもあります。都道府県レベルでは、都道府県の教育委員会と都道府県消費者行政の連携は比較的やりやすくて、『社会への扉』の普及などを契機にして、共同事業となっているわけなのですけれども、それ以外のところでの広がり、先ほど清水委員が御紹介の名古屋市さんは非常に熱心でうまく機能しているケースだと私も思っているのですが、それ以外の自治体で政令市あるいは基礎自治体での取組というところに行きますと、かなり課題が大きいと感じております。

以上です。

○黒木委員 ありがとうございました。

また勉強させてください。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、飯島委員、よろしくお願いいたします。

○飯島委員 飯島でございます。貴重なお話を頂きまして、どうもありがとうございました。2点教えていただきたく存じます。

1点目は、最初の御紹介のなかで、消費者教育支援センターは中間支援を行っていらっしゃるということ、また、共管法人であるということでした。そういった立ち位置としての可能性から生み出されていること、先ほど消費者教育コーディネーターの人的な交流でのアドバイスなどもございましたけれども、プラットフォームとしての役割といったことについて、御経験も踏まえて教えていただけますと幸いに存じます。

もう一点、9ページで注目しているとおっしゃった事例についてです。取引DPF法などでも「何人も」ということで申出制度なども作られているように、誰もが参加あるいは協働するという仕組みはあるかと思います。こういった注目すべき事例を横展開できるかどうかについて、何らかの見通しなり工夫なりお考えのことがありましたら、御教示いただけますとありがたく存じます。

どうぞよろしくお願いいたします。

○公益財団法人消費者教育支援センター柿野専務理事・首席主任研究員 御質問ありがとうございます。

私ども消費者教育支援センター、当時は文部省と経済企画庁の共管法人ということで設立されたものでございますけれども、現在は公益財団法人ということで、所管が内閣府ということになります。

私どもは東京に1か所しかございませんので、マンパワー的に十分な活動ができているかというと、まだまだ課題はたくさん抱えていると思っております。

ただ、私自身20年以上こちらにおりまして、非常にこの組織の可能性を感じている1人でございます。今日もお話させていただいたような、文部科学省との消費者庁の縦割りであるとか、あるいは地方の教育委員会と消費者行政の縦割り、それを乗り越えていくためのつなぎ役になれる立場ではないかと思っておりますので、私たちが地方に出向いていって、教育委員会の担当者にお話をして、そして消費者行政と一緒の取組を創造するということをこれまでもずっと重ねてきました。何かそういった機能が、私どもの組織だけではなくて、それが全国に広がっていくというような流れになっていくと、その連携の糸口というのもつかめていくのではないかなと感じています。

それから、先ほどの埼玉県の事例の横展開の話でありますけれども、これも同じ県の消費生活課の中でも、不当表示の担当の方と消費者教育の担当の方が違うわけです。すごく良い取組だなと思うのですけれども、行政の組織内での縦割りというようなものもあったりして、地方自治体のなかで消費者教育をより充実していくにはどうしたら良いかという点について、消費者行政の担当課の中でもしっかりと共有しながら、できることを形にしていただきたいという常々思っているところです。

すみません、横展開の具体的な内容にはなっていないかもしれませんが、私からは以上となります。

○飯島委員 どうもありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 柿野さん、ありがとうございました。

今日も先ほど出ておりました各国比較での社会参加の認識の低さも衝撃的ですし、一方で埼玉県の非常に良い事例も御紹介いただけた中で、消費者教育はいろいろなところで皆さん尽力されているのですが、難しさというものもまた実感させていただきました。

2点、柿野さんのお考えをお伺いしたいなと思っていることがございます。

先ほど全相協の坪田様からもあったのですが、若者たち世代の影響力のあるところについては、SNSあるいは友人、横の関係での勧誘、こういうものも非常に影響が大きいのですが、一方で、デジタルでの相談体制がまだほとんど実施されていないなというのを感じていまして、どうしても電話相談や来所相談というのが中心で、LINEやチャットなどの若者たちが一番やりやすい方法の開発がまだ遅れているなというのを感じます。

教育現場もそうなのですが、パンフレットや資料、冊子、印刷物は非常に充実してきているなと感じるのですが、デジタル教材の開発はどういう状況なのかお伺いしたいと思っております。

もう一点は、埼玉県の事例のように参加型というのがすごく大事だと思っていまして、契約についての勉強もそうなのですけれども、いろいろな契約書を勉強してみる、比較検討する、課題を探す、今回御紹介いただいた事例は広告不当表示に関する取組でしたけれども、何かこういう取組をもっと進められる手だてがないのかという、この2点について是非柿野さんの御意見を伺いたいと思っております。

よろしくお願いいたします。

○公益財団法人消費者教育支援センター柿野専務理事・首席主任研究員 御質問ありがとうございます。

デジタル教材についてですけれども、今、消費者庁も作成中かと思いますが、私どもでは「消費者教育教材資料表彰」を毎年実施しておりまして、毎年60件近くの応募があって、20件程度が優秀賞として選ばれております。行政機関、企業・業界団体、消費者団体・NPOがつくった教材を毎年募集しているので、作成される教材の傾向が見えるのですが、昨年度からデジタルコンテンツが増えてきているという印象がございます。地方自治体もデジタルにどう対応していくかということで、教材作成を開始しているというケースも聞いておりますので、これから更にデジタル教材が増えてくるのではないかというところかと思います。

それから、埼玉県のような参加型の教材、事業をどうやって増やしていくかということなのですけれども非常に難しくて、やはり時間が掛かるのです。1回の授業で、例えば出前講座をして、そこで話が終わりということであれば本当に取り入れてもらいやすいのですけれども。そして、教育委員会も優先順位があって、消費者教育だけやっているわけにはいかないというような、時間の取り合いになってしまっているので、学校現場にとってこの取組がどのような意味があるのか、どのように進めていくことが効率的かという、消費者行政サイドだけでなく、教育委員会も巻き込んでもう一歩進んだ議論をしていくべきなのではないかと思うのです。時間の取り合いではなく、子供たちが18歳になるまでにどのような学びをするべきなのかという議論の中で、消費者の自立という視点を加えていくというような観点でプログラムを組んでいかないと、法教育、主権者教育、いろいろな教育が学校に降りかかってきて、もういっぱいいっぱいという状況になってしまうので、そこをうまく整理して、一体的にできるようなモデルを示していく必要があると感じています。

以上となります。

○青木委員 ありがとうございます。

教育現場だけではなくて、地方行政を含めてそういう視点が必要かもしれないですね。ありがとうございました。

○後藤委員長 ありがとうございます。一旦ここまでとし、後ほどまた御発言をお願いいたします。

最後に、特定非営利活動法人スマセレの田中様、よろしくお願いいたします。

○特定非営利活動法人スマセレ田中会長理事 皆さん、おはようございます。NPO法人スマセレ代表の田中です。本日は貴重な機会を頂き、ありがとうございます。

お手元の資料3に基づいて、順に進めていきたいと思います。本当でしたら学生などにここに来ていただいて話をしてほしかったのですけれども、こういう場は平日ということで、それがかなわず、ちょっと今日の資料の中にはその学生からのヒアリングも含めて資料を作成させていただいています。なので、中には消費者委員会との意見交換会で言うべきでないような、的外れなものもちょっと混じっていますが、その辺りは御容赦いただければなと思います。

まず初めに、NPO法人スマセレについてということで、2016年3月に、もともと兵庫県で「くらしのヤングクリエーター」という消費者活動をしている学生を認定するという制度がありまして、そういったところに関わってきた学生が、活動の幅を広げるなど、大学外の活動、他世代、そして分野の活動をしたいということで、学生団体スマセレを設立しました。設立から1年で20大学、35名程度の団体になりました。現在、コロナなどありまして、12大学20名程度の学生と、あと、NPOということで、学生だけでなく社会人も15名ほどOBが入りまして活動しておりまして一応全員が10代、20代の団体になっています。

今、コロナ禍というのもあって、学生からの申込みはむしろ学内での活動ができないということで多くなっています。活動に当たって皆さん2時間程度、面談を個別にさせていただいているのですけれども、それが追いついていなく、なかなか補充ができていないとそういう状態です。

スマセレはスマートセレクト(賢い選択)から考えた名称で、賢い選択を通して社会貢献、それと同時に自分たちの成長、自己成長を目的として、設立後、まずは街頭での消費者啓発活動みたいなところから始まりまして、企業と連携した消費者教育ワークショップ、あとは社会人からキャリア感を学ぶキャリア教育のイベントなどを実施しまして、若者が主体的に考えて、自分事としていろいろなことを語りながら、今度は学生を卒業したらよき社会人となって、社会に出てからも社会の構成員として消費者市民社会の構成員になれるようにということを目的としている団体になります。

消費者教育をずっと学生にしてきたわけなのですけれども、ある程度経つと卒業が来て、卒業するときに、せっかく消費者教育をする若者たちが結構できているのにもったいないなということで、2018年3月にNPO法人になりまして、今は学生だけでなく社会人も一緒に活動しています。

NPO法人化後は、やはり法人ですから事業もということで、まず賢い選択は、消費者はもちろん事業者もできるということで、企業向けの研修など、あと就職相談、これは両方です。学生が就職したいという相談もあれば、企業側がなかなか若い子が採れないという相談もなど、あとは人生におけるパートナーの選択ということで、間違ったらえらいことになるということで結婚相談などもやって、そういうプラットフォームづくりなど、あとは障害者の支援などにも今は注力をしています。

昨年度までは割と兵庫県や大学生協など、もともとの「くらしのヤングクリエーター」の仕組みでのイベント企画があったのですけれども、コロナの影響で一緒にやっていた大学生協の体制が変わったことから、今年度から行政と連携したイベントはなくなって、どちらかというと中小企業などと連携したインターンシップ事業など、そういう中を通した消費者教育というように少し変わっておりまして、兵庫県の「くらしのヤングクリエーター」も過去5年で50名ぐらい推薦をしたのですけれども、これも終了となっています。

来年度以降、消費者教育には変わりないのですけれども、若い人たちがどんどん変わってきているということで、もう少し視野を幅広く、そしてもう少し先の未来も見据えたようなところでSDGsや消費者市民社会といったところをテーマに、本当に持続可能な暮らしは何なのだろうというところにフォーカスしたようなプラットフォームの活動に転換しようということで、今は転換期になっているというところです。

2つ目の成年年齢引下げに向けた取組が課題ということで、幾つかやっているのですけれども、まずはその消費者力アップイベントなど消費者啓発活動をいっぱいやっています。先ほどもありました全相協ともやっていますし、いろいろな企業と連携してイベントをしていまして、成年年齢引下げというところから、割と行政も見ているところが今まで大学生だったところが、ちょっと下がって高校生になっているというところもあって、そういう高校生のグループを大学生が育成するような形での事業展開をやっていたところでコロナになりまして、今は断念しているところです。

コロナになりましてから、割とオンラインイベントをたくさんやっています。ただ、オンラインイベントそのものが社会的に乱立している状態なので、学生からしたらオンラインに参加しても、ちょっと変なイベントがあったなどというので、たとえ主催に行政が入っていたとしても、学生からしたら、イベントに誰か友達を誘ってきてよということそのものがマルチの勧誘をしているような感じがするから嫌だということで断られるケースが結構増えて、ある意味学生の防御は割とあるのかなと思うのですけれども、一方で、なかなかそういうイベントに参加してもらえないというのが少し課題であったりします。

これは何なのかと考えたときに、今までのリアルのイベントとオンラインのイベントで若い子たちの求めているものが変わっているのではないかというのをすごく感じています。リアルなイベントであれば、内容というよりはどちらかというとそこに来る人であったりなど社会人との関わり、人とのつながりというところを結構求めてきて、その中でいろいろなことを実際に人から吸収するということが多かったのに対して、オンラインというのは物理的な距離もありますから、人から何か学ぶというよりは、本当にそこに参加することで何が得られるのか、知識であったり情報をすごく求めていまして、それを求めるという段階で、そもそも自分事として考えているというか、そういう子たちしかそういうところにそもそも参加しないみたいなところで、結構オンラインイベントは苦戦をしている状況になっています。

2つ目が高校に向けたSDGs学習会というところで啓発活動をさせてもらっています。高校の探求の授業などで出前講座などを実施しています。コロナ前ですと年間30件ほどあったのですけれども、コロナで結構減り、今年、2021年度は6割ぐらいまで回復してきましたけれども、まだまだその機会は少ないです。そういう学習会をする中で授業時間の確保というのがすごく課題で、どんなに頑張っても2コマぐらいで、2時間弱ぐらいの時間しか確保してもらえないというところで、その辺りが今、課題なのかなと感じています。

3つ目が、事業者との交流会など就職相談会の中での啓発活動ということで、社会に関われば関わるほどトラブルに巻き込まれる可能性は上がっていくということで、就活生に向けた活動もやっています。これも消費者と事業者の壁があって、お互いに情報が手に入らないみたいなところは就職前からあって、ミスマッチングなどにつながっていたと思うのですけれども、コロナでそれがますますオンライン化したことによって、情報の選択に苦しんでいる学生が多いなということを感じています。交流の場が大幅に減少したりなど、アナログ的なところからデジタルなものにどんどん変わる、そのデジタルについていけない学生がたくさんいるなというのを感じています。

デジタルの中で情報がたくさんあるのですけれども、その情報が本当なのかどうか、それを御相談できるようなアナログな関係がないというところに問題を感じています。

4つ目が障害者向け消費者トラブル調査ということで、障害者の親の会や障害者施設などと連携しまして、障害者のトラブル調査をしています。トラブルを説明すると、そこで初めてそのトラブルは実は自分が遭っていたみたいなことに気づくことが多くて、そもそもトラブルをトラブルとして認識できていないみたいなこと多々ありました。

障害をお持ちの方は特定の人間関係の中でしか自分を出せないということから、トラブルに巻き込まれていると、消費生活センターに行ってよと言われても、消費生活センターに直接会いに来てくださいみたいに言われたら、会いに行くのであれば行かないで良いみたいな話になり、警察も事件性が本当になければ取り扱わないということで、グレーゾーンというのはなかなか泣き寝入りするしかないなということを感じています。

3つ目に行きまして、要望というか、そういったものを踏まえてこれから消費者教育というところで、まず1つ目、情報があふれる社会というところで、デジタル化による様々な弊害が出てきているのかなと思っています。フェイクニュース等もそうですけれども、周りでも、コロナのワクチン一つ取ってもいろいろなフェイクニュースが流れてどうしようとなるなど、この5年ぐらいで学生の間から社会に出た学生がすごく増加しているなと感じています。企業にインターンに行くのも当たり前になり、ボランティアは絶対にしたいなど、そういう学生がすごく増えている。

一方で、そういったところに悪いことをしようとしてきている人も出てくるということで、先ほども言ったように情報の選択ができない、本当の意味で消費者教育をしていかないといけないし、情報の選択ができないからこそ結果的にSNSなどはもうすごくクローズなコミュニティーになっていまして、行政の情報が届かないなど、1人がマルチに関わったら皆関わってしまうみたいなそういう状況になっているのではないかと思います。

2つ目は、就職活動の時期が通年になるなど、方法も今はオンラインなどにどんどんなっているということです。企業もこのコロナ禍で、企業に聞いていると求める像が結構変化してきていて、今までのコミュニケーション力があったら良いというところから、どちらかというとこの伸び代があるような人材をどんどん求めるようなふうに変化してきている。

そういう中で、就活生も問題意識を持っている子と持っていない子で二極化をしていくということで、今後そういったところの、トラブルも増加していくのではないかと思います。成年年齢引下げがありますけれども、18歳だけでなく既存の若者に向けた消費者教育についても検討していきたいなと考えています。

トラブルを避けるために、少額であれば泣き寝入りをしているのは若者が多いですけれども、少額であっても許されないような社会の仕組み作りであり、生涯学習として消費者教育というところにもっと力を入れていかないといけないのではないかなと感じています。

3つ目、コロナによって教育機会がすごく減少しているということで、大学生自体も来年から成年年齢が引き下がるということを自分自身が知らないみたいなことが見受けられていまして、コロナ前など民法改正のときの社会のムードが今は全然なく、コロナコロナで埋め尽くされているような状態ですので、来年からの成年年齢引下げを前に、そこは緊急な対策が必要なのではないかと感じています。

4つ目、まだまだ消費者教育についての意識が薄い学校など生徒や学生も消費者教育が自分事になっていないということで、学校教育の中で消費者教育の位置付けというのは提言が必要ではないかと考えています。先ほどの授業時間の確保ではないですけれども、そういう消費者教育の出前講座もあるのですよと言ったら、先生はSDGsが良いですみたいな感じで断られたりもしますし、時間をもっと取れませんかと言ったら、これは2時間が精一杯であるなど、そこはお互いに意識の持ちようというところもあるのかなと感じています。

5つ目、障害者のトラブルを減らす仕組み作りということで、障害者そのものの中には金銭感覚がそもそもないなど、断れないみたいな方も結構いらっしゃいまして、それは若年層に限らず、私自身、福祉の現場にも関わらせてもらっていまして、30代から50代の方にも割と多いと感じます。成年後見人などそういう仕組みもありますけれども、親や本人からしたら、そこまでされたら困るみたいなところで、微妙なラインの障害者というのをどうやって救っていけば良いのか、そこは社会としても仕組みづくりが必要なのではないかと考えています。

最後になりますけれども、消費者被害防止というのがどうしても課題になってくるのですが、最近の若者を見ていると、少し考え方や興味を持つものが変わってきていて、先ほどのSDGsであれば出前講座ができるみたいなところもそうだと思うのですけれども、今はSDGsや持続可能な開発目標など、そういったところと歩調を合わせたような形の働きかけが必要ではないかということで、消費者や社会的に何かするというのも大切なのですけれども、個別の企業など特になかなか情報が言っていないと感じるのは中小企業だと思うのですけれども、そういったところにも間違いなく消費者教育というのは必要ではないかと考えています。

消費者被害を防止するだけではなくて、消費者市民を育成していく、そういったことがこれからますます求められてくるのでないかと感じているところです。

以上になります。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの発表内容につきまして、御質問や御意見がありましたらお出しください。質疑応答、意見交換は約15分でお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 田中さん、御無沙汰しています。御説明ありがとうございます。ますます活動が活発化されている御様子、田中さんの分身が全国に広がると良いなと思っています。

大学生が高校生を育成という話がありました。地元の椙山の東先生もそういうことやられていて、まず、名古屋市の相談員が消費者トラブルを大学生にお伝えし、その大学生たちが今度は附属の高校生に啓発しています。私たち相談員が伝えるより、若い世代が若い世代を教育するというのは良いと思います。名古屋もそのような取組があります。

また、中京大学の杉島先生のところでは、名古屋市の委託で消費者啓発チラシを作っていただいて、私たちが作るとなかなか目にとどまらないですが、大学生に作ってもらって、それを市内の大学に配付するということもやっています。やはりこういうことが、大切だとお話をお聞きし確信しました。

もう一つは、リアルとオンラインで求めているものの違いが明確化したと言われましたが、本当にこれはそうなのだと思いました。イベントをやると言うとなかなか来ないということなのですが、例えばオンラインセミナーで、投資ビジネスや副業など、FXの投資教室みたいなことをやると、目的がはっきりしています。もうかるという目的がありますし、大学生でも起業できるというキャッチフレーズで、そういうものは非常に集客がよく、私たちにとっては被害につながる場合もあるので悩ましいです。質問なのですけれども、先日、地元の大学生協に中部の大学の委員をやっている大学2から3年生の人が30名ぐらい集まったところにお邪魔してきました。土曜日の開催ということで、名古屋市消費生活センターでは土日の講師派遣はしていませんので、私が所属している全相協の出前講座を利用して、相談員の2人が行ってきました。

何をやったかというと、一方的な講義ではやはり眠たくなってしまいますし、つかみがありません。そこで、キャリア教育と一緒にして、携帯の電話ショップで、高齢者が使いたい携帯はどんなものを勧めたら良いかというワークショップをやって、今度は自分のおばあさんが携帯を持ちたいと言ったときにどうするかというようなことを2つ考えてもらって、最終的に消費者に対してどうあるべきか、就職したときは消費者の視点も考えるようにというワークショップをしました。田中さんにアドバイスをいただきたいのは、こういったキャリア教育と関連付けてやっていくというのは効果的なのでしょうか。是非御意見をお願いします。

○特定非営利活動法人スマセレ田中会長理事 清水さん、ありがとうございます。御無沙汰しております。

キャリア教育と一緒にするというのは、僕はもともと全国大学生協連の理事をしていまして、そこで学生と一緒に活動をしていたわけなのですけれども、そのときは皆さん、そこで活動するということを目的にやっていて、その中で消費者教育を展開できたというのがあったのに対して、学生団体にしたときは、それがなかなか消費者教育だけではやはり学生が集められなかったというのが事実です。なので、スマセレとしては消費者教育とその中で得られるものということでキャリア教育ということで、2本軸でやっていこうということで、実際にキャリア教育と一緒にしたことによって、今まで5年間活動ができていたかというところで言うと、キャリア教育という意味合いはあると思いますし、実際消費者教育をうちでやって卒業生の進路などを見てみますと、キャリア教育的な効果も消費者教育にはあるのだなと。お互いが補完し合う関係なのだなというところは私も感じているところであります。

こんな感じで良いでしょうか。

○清水委員 ありがとうございます。

実は30人集まったというのは、大学生協は午後からイベントがあって、無理に午前中2時間頂きました。消費生活講座だけではなかなか集まりませんが、そういう経緯がありました。今後もキャリア教育と関連付けて頑張りたいと思います。またよろしくお願いします。

どうもありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 受田です。

田中さん、御発表ありがとうございました。

私からは先ほどの2ポツのところで、成年年齢引下げに向けた課題・取組というのを挙げていただいておりますけれども、消費者力アップイベントと書かれていて、消費者力をどのように物差し化するかという点についてお考えをお聞きしたいと思います。

これは先ほど柿野様からも御発表いただきましたし、冒頭の全相協の坪田様の御発表に関して、黒木委員からKPIという御質問も聞かれたのですけれども、私も非常に関心がございます。本来であれば全ての方にお聞きしたいところではあるのですけれども、まずは田中様に、消費者力というのをどのように捉えておられるか、お考えがあればお聞きしたいと思います。

以上です。

○特定非営利活動法人スマセレ田中会長理事 ありがとうございます。

非常に難しい質問ではあるのですけれども、消費者力というのを私たちの団体では、生きるために必要な力だと捉えています。大学生においての生きるために必要な力というのは、そこで学んだことを、これから社会に出たときなど、これから日常生活の中でどれだけ生かすことができるのかというのが一つの消費者力と考えています。

実際に消費者力アップイベントと言いましても、うちではそういうのは基本的に一方通行の講義みたいなものは一切しません。ワークショップ形式など、企業などと連携して、何かをつくり上げるみたいなものです。まず、そこでどういったものがアウトプットされてくるのかというのも、1日の中でどのようなことを学んだかという基準になるかなと考えています。

それを、これから大学生活を終えたときに、そこで学んだ知識はもちろん消費者被害などそういったところにつながってくるものもありますので、その周りで困っている人がいたときに、そこに対して何をアウトプットできるのか。そして、社会に出たときに、企業人としてそこで学んだことを、どう社会にビジネスという形でアウトプットできるのか。この3点が全部そろわないと、逆に言うと学生も参加したいと思わないイベントだと思いますので、そこは学生が最終的にそういう観点から、これだったら参加したい、周りに広げたいと思うかというところでイベントづくりをして、消費者力アップイベントとしているところです。

以上です。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

○後藤委員長 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。

大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 1点だけ質問させていただければと思います。

今、受田委員長代理がおっしゃったところです。1ページの成年年齢引下げに向けた課題・取組の中で、大学生が高校生に教えるというのは大変良い取組だと思って聞いておりました。確かに、今コロナ禍で実際に教えることは難しいとは思うのですが、それこそSNSなどを使って、若者がこれは重要だなということを拡散すると言いますか、それを広げることによって同世代もしくは、若い世代に広めていただけるということはできるのかなと思っておりますが、いかがでしょうか。これは質問というより要望なのですけれども、私たちではなかなか難しいそのあたりのところを、是非担ってやっていただけると有り難いなというのが1つです。

あと、これも意見になりますけれども、学校で「消費者教育はSDGsと違う」と言っていること自体が、何か理解が間違っているのではないかなと思って聞いておりました。まさしく持続可能な目標の一つにこういう消費者問題の課題解決というのもあると思うので、是非そこは大人と言いますか私たちが理解を変えていくべきだなと思いました。

雑ぱくですけれども以上意見です。

○特定非営利活動法人スマセレ田中会長理事 御意見ありがとうございます。参考にさせていただきたいと思います。

○後藤委員長 それでは、御意見、御質問はよろしいでしょうか。

ありがとうございました。

以上で皆様からの発表が終了しました。これより皆様の発表内容やその中で出た意見を踏まえて、時間の許す限り意見交換をしたいと存じます。先ほどの時間内にできなかった質問や意見のほか、発表いただいた団体様からも何かありましたら遠慮なく御発言頂きたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。質疑応答、意見交換の時間は、25分から30分を予定しています。よろしくお願いいたします。

受田委員長代理、よろしくお願いします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

先ほどの田中様のところで個別に質問もさせていただきましたが、今、我々が共有していることは、成年年齢引下げを間近に控えて、消費者教育としての徹底した啓発を含めた準備段階が急がれるということ。また、それを強化しなければいけないということだと認識しております。一方で、どこまで行けば準備段階として整うのかというところも、よく見えていない部分があるのではないかと思います。

伺いたいことは、先ほど田中様のところで質問申し上げた消費者力といった考え方、あるいは柿野様の御発表の中では、契約に関する知識の定着ということで客観的な指標が御紹介されました。

再び、先ほど黒木委員が御質問をされた内容とも関連するのですけれども、我々がその準備としてどこまで行けば十分だと考えることができるのか、その指標的なものをどのように設定していくのかという点がポイントではないかと思います。

そういう意味で、改めて今日御発表いただいた3名の皆様に、どこまで行けばというところでお考えをお聞きできればと思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

3名の方々全員にということですね。

○受田委員長代理 はい。

○後藤委員長 それでは、坪田様からでよろしいでしょうか。よろしくお願いします。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会坪田専務理事 坪田でございます。よろしくお願いいたします。

この指標を測るのは大変難しいと感じております。まず『社会への扉』を例えば徳島県で使用していただいて、その後、これを覚えていますかというテストをしたところ、だんだん忘れてしまうという結果は御案内のとおりです。

それから、私どもも大学生への消費者教育の講座に行きますと、かなりのレベルの大学生であっても、逆にこれは家庭科という科目がどう行われていたかということにも関係するかもしれませんが、クーリング・オフという言葉は聞いたことはあるわけですが、実際、消費者力がしっかり身について実践的に活用できるかというと、そうではない。言葉だけは覚えているけれどもというのが現状です。

そうなりますと、基本的には高等学校で習ったことにつきましては、『社会への扉』でやっているような調査をした上で、どこまでそれが定着しているかということを測ることはまず一番だと思いますが、それだけでは実際使えない。実際のところ、消費者教育というのは、学校を卒業して、ふだんは忘れているのだけれども、直面したときにフラッシュバックしていくことが重要だと思っています。そうすると、細かい、例えばクーリング・オフが何日であるなど、こういったことがどうであるといういわゆる穴埋め問題的なものではなくて、自分がそのときにどういう行動を取るか、どこに相談するか、どう考えるかという、正に生きる力に直結してくると思います。そうなると、御質問の回答ですが、消費者力をどこで測るか、大変難しいですけれども、やはり消費生活センターの存在はまず一つあると思います。これは消費生活センターというよりは、それだけではなく、消費者問題が存在しているということ、自分自身が消費者問題に遭遇する可能性もあること。それについては、解決する手だてが行政サービスとしてもあるということ。これは消費者教育だけではなくて、様々な問題が起きたときに、そういった問題が世の中にあるということを認識し、更にそういった問題が起きたときに、どこに相談をすれば良いか、どう解決したら良いかということが分かるということだと思いますので、そういった幾つかの指標を中学、高校、社会人、また地域での消費者教育の中で取り入れながら、体系的にやっていくことというのが取りあえずできる方法かなとは個人的には思っております。

あまり明快な答えになっておりませんで、申し訳ございません。以上です。

○後藤委員長 それでは、柿野様、いかがでしょうか。

○公益財団法人消費者教育支援センター柿野専務理事・首席主任研究員 ただいまの御質問ですけれども、とても回答することが難しいなと感じております。

ただ、『社会への扉』については、12問の知識を問うものになっていますが、知識はだんだんと忘れていく。これは、契約の知識に限らず一般的に人間の脳の構造がそのようになっているのかなとも思うのですけれども、その知識を測るということだけではなく、与えられた情報を活用して判断しているかどうか等、行動面での変容を測る指標開発というのはできるのではないかと考えています。

例えば、大学入試センターの試験問題などでも知識だけではなくて活用能力を測るようになってきていますけれども、18歳の段階で身に付いているべき能力の測定ができるような評価指標の開発というのは今後あっても良いのかなと思っています。

ただ、非常に難しい部分はありますが、どこまで定着しているかを測っていくような物差しがないと、何をどこまでやったら良いのかを測ることは難しさもあると思いますので今お話しした点が非常に重要かと思っています。

ありがとうございます。

○後藤委員長 それでは、田中様、いかがでしょうか。

○特定非営利活動法人スマセレ田中会長理事 今の御質問に対してなのですけれども、本当に難しいなと思うのですが、まずは教育をする側とされる側の2本あるのかなと感じています。やはり消費者教育は生涯学習だと思いますので、そういう意味では終わりはどこまで行ってもないのかなと思っています。

まず、教育をする側としては、全ての高校生、高校に行っていない16歳、17歳を踏まえて、ちゃんと消費者教育の機会がちゃんと与えられているのかどうかというのが、まず、教育をする側の一つの指標になってくるのかなと。

それから、教育をされる側の指標というところで言うと、事例などを幾ら学んでもどんどん変わっていっているようなところで、事例そのものが理解できていたからといって、消費者被害に遭う、遭わないというのは言えないと思います。

例えば110番や119番であれば、そういう番号を皆さんが知っているように、消費者ホットライン、118番みたいなものを学習するほうとしては皆さん知っているかどうかみたいな、日本がまず最低ラインとして来年4月までにできていないといけないのかなということは感じます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

次の御発言として、生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 ありがとうございます。

お三方にというか、今日お伺いしまして感じたことを、御質問というよりは提案として申し上げさせていただきたいのですが、やはり18歳を中心としたこの年代の皆さんには、デジタルの発信が最も身近ではないかと思っていまして、例えば今、消費者庁で188という番号を浸透させる活動をされていますが、そういったもののアプリのようなものを作っていただいて、何か自分が疑問を持った企業名なりブランド名を検索のところに入れたら、その企業やブランドに関する情報、既に出ている情報が検索されるなど何か適切なアドバイスの機会を終えられるなど、アプリというような形ですと若い方は物すごく身近になってくると思うのです。もちろん学校での教育というのは第一だとは思います。小学校から売買取引のこともなさっているということで、本当に心強く思うと同時に、一番身近なツール、入り口であるSNSやデジタルの門戸を是非開拓していただくことを本格化していただければ、非常にまた道が開けるのかなと思います。

すみません、質問ではないのですけれども、私の希望をお伝えさせていただきました。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 お三方の中で今の御意見に関してコメントがありましたら、どなたでもお願いいたします。よろしいでしょうか。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会坪田専務理事 坪田でございます。

今の御意見は正にそのとおりだと思いますので、また考えていきたいと思います。

ただし、デジタルでアプリ等の開発ということもよく分かるのですが、今、情報があふれています。そのあふれている中で、では、適切な情報が何であるかということを届けるのは非常に大変なところがあると思います。こういったところ、やはり信用性ある情報というのが、民間の力も非常に重要だと思いますが、一方、消費者行政の力も重要だと思いますので、このあふれる情報の中で、どういう発信をして道筋を立てるかということは、今後また国にも御検討いただいて、官民そろえてやっていきたいなと思いました。

感想でございます。ありがとうございました。

○生駒委員 ありがとうございます。非常におっしゃるとおりだと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、柿野様、田中様、いかがでしょうか。何かコメントはございますか。よろしいでしょうか。

それでは、清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 ありがとうございます。

私は名古屋市消費生活センターにいますが、全国の消費生活センターの相談員の意見を聞く機会もあります。そんな中で全国の消費生活センターは、できることはやっています。例えばPTAの会合にお邪魔する、民生児童委員に講座をする、高校の演劇部にシナリオを書いてもらって演じてもらって、それをイベントでPRする等々やっておりますが、いかんせん広がりません。予算的に大掛りなPRができないという事情もあります。

全相協からも来年4月1日以降、若者のトラブルについて進捗状況の検証を行い、若者を取り巻く状況・対策すべきという提案も出ております。是非消費者委員会では、今後これを注視して検証していく、また、全国的なPRをしたいです。啓発、教育をやり続けても相談件数に反映しにくいです。私たちが啓発・教育をやっていても、また新しい相談がどんどん入ってきますから、それに追いつくように、本当は追い抜く教育をしたいと思っていますが、なかなかできません。是非消費者委員会では周知という形で消費者行政を応援していく何かをやっていけたらなと思いました。

以上です。

○後藤委員長 清水委員、ただいまの御発言は御意見ということでよろしいですか。

○清水委員 そうです。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 今日は本当にありがとうございました。

実は昨日、委員の皆様方には福岡県弁護士会の会長声明というのが情報提供で流れていたと思いますけれども、私はこれから弁護士会の立場で発言させていただきます。弁護士会としては、先ほど言いましたけれども、成年年齢引下げに伴って未成年者取消権が2歳繰り下がることのデメリットはもの凄く大きいものがあるのに、これについての危機意識が国民、市民の中に醸成されていなくて、せいぜい成人式をどうしようなど、そんな話ばかりになっている。

これは非常に由々しき問題であって、スマセレでも、消費者トラブルに対しての緊急対策をしてほしいと書かれており、全く同感ですが、恐らく消費者委員会としてもこれはできない、国としてもできないというままに来年の4月1日を迎えるだろうと思っています。

そうなると、1回被害に遭ってしまうと、特にぜい弱というか18歳や19歳など、非常に大きなダメージを被ることも考えられて、そういうことも含めて、今後もこのような形で現場の方々と我々は密接な関係を持ちながら、この4月1日でどのような事象が起こったかということを直ちに把握して、意見、提言、建議など、いろいろな形が発言できるような形でずっと続けていっていただきたいというのは私のお願いです。

これは多分、4月1日に向けてシートベルトを締めて嵐に突っ込むみたいな感じになるだろうなと思っていますので、本当にそこだけお願いしたいというのが私の意見でございます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村でございます。いろいろ御説明ありがとうございます。

説明をお伺いしていて、私は学校教育と同時に家庭教育が大変大事であると。親も含めてこういう教育が必要であるということは更に実感いたしました。

質問なのですけれども、もちろん被害を防ぐことは重要ですし広報などにこれから力を入れていかなければいけないのですけれども、被害に遭ってしまった若者のフォローについてどのようなお考えをお持ちなのかをお伺いしたいと思います。ちょっと雑駁なのですけれども、例えば被害を受けました。その後、どんな感じでフォロー体制があるのか、ないのかというのを教えていただければと思います。お願いします。

○後藤委員長 木村委員、ただいまの御質問はお三方への御質問ということでよろしいですか。

○木村委員 お三方でお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、坪田様からよろしくお願いします。

○公益社団法人全国消費生活相談員協会坪田専務理事 ありがとうございます。

被害を受けた際の解決に関しましては、消費生活センターに御相談いただくというのがまず入り口になります。しかし、その消費生活センターがまだまだ知れ渡っていないという現状があります。

また、知っていても、これは相談をして良いのか分からない、相談をするのは、何か大人の人に対して話すことが慣れていない。更には今、電話というのが若い方には使われていません。そういったことで、現在国でもSNSの試みが始まっておりまして、私どももSNSの相談事業も今、受託をしてやっているところですし、自治体によっては既に少し始めているところもあります。こういった形で、若者に対する様々な相談先、情報収集先をしっかりと伝えることが一番重要だと思っています。

それと同時に、たくさんの入り口にたくさんの情報があるということは良いのですけれども、その情報の入り口が本当に正しい入り口かどうか、ますます悩むことも出てきます。また、どの入り口に入ったならば何ができるかということが分からないと、またそこで迷子になってしまうことがありますので、今、私どもは従来型の電話、それから来所プラスSNSやチャットボットという動きがありますので、それに対してはいろいろと考えているところがありますが、その中でしっかりと受け止める側としての整理をして、それをどう伝えるかということが重要だと思っています。様々なツールによって相談を受けて、しかもどういう解決が良いか、これも様々な道筋があると思いますので、消費生活センターでできるもの、ADRが適しているもの、訴訟が良いもの、集団訴訟が良いものなどいろいろありますから、そういった様々な被害救済のための関係者が、より一層連携することによって、迅速、隙間ない対応ができるような組織、これはかなり大掛りな国の消費者行政全般的に影響することだと思いますが、それを目指していくことがよろしいのではないかと、非常に抽象的で大きな話でございますが考えております。

以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

それでは、柿野様、よろしくお願いいたします。

○公益財団法人消費者教育支援センター柿野専務理事・首席主任研究員 この件については、大学での相談窓口をより拡充していくことが重要ではないかなと考えています。今日、調査結果は出しませんでしたけれども、文部科学省は教育委員会と同時に、全国の全大学に対して調査を実施しており、その中で、今は正確な数字は分かりませんが、相談窓口を設置している大学がどのぐらいあるかということを調査しています。消費生活センターに相談して欲しいというのはあるのですけれども、いろいろな問題が複雑に絡み合っているようなケースもあると思いますので、その入り口としての大学での相談窓口の充実ということも非常に重要ではないかと思います。

○後藤委員長 ただいま音声が途切れてしまったそうですので、柿野様の御発言、繰り返しになりますが最初からということで、申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

○公益財団法人消費者教育支援センター柿野専務理事・首席主任研究員 私からは、大学での相談窓口の充実という点も重要ではないかということで指摘させていただきたいと思います。文部科学省の調査は今日、教育委員会の調査を御紹介させていただきましたが、同じタイミングで全国の大学にも調査をかけておりまして、相談窓口の設置数がどのぐらいあるのかということで聞いております。今日は数字を持っていないので分かりませんが、消費生活相談は消費生活センターに相談していただくというのが一番なのですけれども、いろいろな問題が絡んでいる可能性もありますので、まず身近な大学や専門学校、18歳になったばっかり、19歳の子供たちに対して、そういった窓口を充実していくということは非常に重要ではないかと考えております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、田中様、よろしくお願いいたします。

○特定非営利活動法人スマセレ田中会長理事 被害に遭った後のフォローということで、現実的にそうフォローと言うとやはり被害金額をどう減らせるかなど、あとは被害に遭ったことをどう次につなげていくかというところを同じような、大学生だったら大学生という立場からフォローするのが一番なのかなと感じています。もちろんそこでは限界がありますので、そういったところは消費生活センターなど専門の方につないでいく。そもそも被害に遭ったことに気付いていない方も多いと思うのですけれども、被害に遭ったのに気づいた後はそういったことしかできないと思うので、そもそも被害に遭わないようなフォローというのは必要ではないかと思います。

以上です。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

○木村委員 ありがとうございます。

被害に遭ったときに、二次被害や加害者になってしまうなど、生活をドロップアウトしてしまうということが本当に懸念されますので、是非フォローもよろしくお願いいたします。

○清水委員 清水ですけれども、今の関連でよろしいでしょうか。

○後藤委員長 お願いいたします。

○清水委員 ありがとうございます。

消費生活センターでは、被害に遭った方の被害回復が一番ですが、その後のフォローというのはすごく気にしています。ゲーム依存症になってしまった若者の両親からの相談でも、ゲーム依存症の施設や回復の方法までつなげています。また、精神的に弱っている方などは、保健所や精神保健センターの自立支援も紹介しています。就労支援も、場合によっては副業でなぜだまされてしまったのかということで、最後、被害回復したときに、今後就労支援でこういう施設がありますと。特に市町村では同じフロワーでワンストップサービスをしていますので、福祉につなげています。ボランティアのセンターも紹介しています。

現場の状況です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。


《3.閉会》

○後藤委員長 それでは、お時間となりましたので本日の意見交換会は以上にしたいと思います。

本日御出席いただきました全国消費生活相談員協会様、消費者教育支援センター様、スマセレ様の皆様におかれましては、成年年齢引下げに伴う消費者教育の課題や重要性など、貴重な御意見をお述べいただきましたこと、誠にありがとうございました。消費者委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。

成年年齢が引き下げられますと若年層の消費者被害が一層頻発することが懸念されますが、本日は各団体の皆様から非常に重要な問題意識をいただきました。

来年4月の施行に向けて、関係省庁による合同の「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力」キャンペーンが展開されておりますが、本日皆様から意見が出ましたように、若年者の消費者被害防止や自立した消費者の育成に向けてまだ課題がございます。

委員会として、本日頂戴した御意見を踏まえて関係省庁の取組をフォローし、必要に応じてその取組を後押しできるよう、調査審議を進めてまいります。

以上をもちまして、本日は終了としたいと思います。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)