第320回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年5月13日(水)9:30~11:30

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

  • 【委員】
    山本委員長、片山委員長代理、受田委員、大石委員、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    消費者庁内藤消費者政策課長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画工程表の素案について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 それでは、お集まりいただいておりますので、テレビ会議システムで開始をしたいと思います。

本日の進行についてですけれども、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、委員長代理に、委員長代理の回線も併せて切れた場合は事務局に、それぞれ進行をお願いいたします。

それでは、ただいまから消費者委員会第320回本会議を開催いたします。

本日は生駒委員が御欠席です。

まず、会議に先立ちまして、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、私も含めまして、御出席の委員の皆様にはテレビ会議システムで会議に参加していただいており、また、感染拡大防止の観点から、引き続き一般傍聴者の方には入っていただかない形で開催をいたします。議事録につきましては、後日、消費者委員会のホームページに掲載をいたしますけれども、議事録が掲載されるまでは本日の会議の様子を5月14日木曜日の15時からホームページで動画配信をいたします。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○金子参事官 事務局の金子でございます。

配付資料の確認でございますけれども、議事次第の下部に書いてございます配付資料の一覧のとおりでございます。テレビ会議ではございますけれども、もしお手元の資料等に不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようにお願いいたします。

以上でございます。


《2.消費者基本計画工程表の素案について》

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、本日の議題に入ります。本日は「消費者基本計画工程表の素案について」です。

工程表につきましては、第4期消費者基本計画が昨年度末に策定されたことを受けまして、具体的な施策について、年次計画である工程表を定めることとされております。具体的には工程表におきまして、基本計画対象期間中の取組内容及びKPI、すなわち重要業績評価指標を明示し、国民の意見を反映させるための取組を進めるとともに、消費者委員会の意見を聴取した上で策定されるものとされております。

去る4月28日の委員間打合せにおきまして、消費者庁から消費者委員会に対しまして、工程表素案について説明があったところです。また、消費者庁におきましては、消費者委員会での説明を踏まえ、4月30日にパブリックコメントを開始し、5月29日まで国民から幅広く意見を公募している段階と承知しております。本日の本会議では、消費者基本計画工程表素案について、基本計画に沿った具体的な施策や関係府省庁が講ずべき具体的施策のポイントについて御説明をお願いしたいと思います。

本日は、消費者庁消費者政策課の内藤課長にお越しいただいております。内藤課長におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、ありがとうございます。それでは、大変恐縮ですけれども、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者庁の内藤でございます。よろしくお願いいたします。

基本計画が3月31日に閣議決定されたところでございます。これを受けまして、本日はその年次計画に当たります工程表の素案を作成し、パブコメをしているところでございますので、その内容について改めて御説明を申し上げたいと思います。

資料1-2をお手元に御用意いただければと思います。表紙をおめくりいただきますと、基本計画の枠組みについてポンチ絵をつけてございます。改めての説明で恐縮ですが、基本計画自体は、上の囲みのとおり、今年度2020年度から5か年の計画期間とする消費者政策の推進に関する大綱というものでございまして、これの年次計画に当たるものが本日御説明する工程表でございます。

その構成につきましては、1-2の最後のページをご確認いただければと思います。11ページには、基本計画工程表の枠組みにつきまして、基本計画本体の第5章の構成に沿って、5本の柱に分けて具体的な施策を位置付けております。現在、148の施策を登録しているところでございます。中身の詳細につきましては、かなり大部でございますので、資料1-1にて御説明をさせていただきたいと思います。

1-1でございますけれども、都合上、1月30日に消費者委員会から御意見をいただいています御指摘事項をベースに御説明させていただきたいと思います。全体の構成といたしまして、各項目のうち、SDGsに関連する項目は、その旨を本体には明記しているところでございます。

左側の柱の1番目から順に御説明をさせていただきます。最初の柱が消費者被害の防止でございまして、意見として(1)のマル2消費者事故の関係を御指摘いただております。こちらにつきましては、マル2のア、事故情報の収集、公表及び注意喚起、工程表本体は10ページに、事故情報のデータバンクの入力データの質の向上、あるいは関係機関への情報提供、データの活用の働きかけといった取組を記載してございます。

マル4食品の安全性の関係でも委員会から御指摘をいただいております。マル4のク、食品のトレーサビリティの関係で御指摘をいただいております。本体は34ページでございますが、こちらに食品のトレーサビリティを記載しているところでございます。

(2)でございます。取引の関係でマル1のア、特定商取引法の執行強化という項目がございます。預託法の見直しについて御指摘をいただいた部分につきまして、本体38ページに記載をしてございます。

1-1ウでございます。消費者契約法の見直しに向けた対応、本体は41ページに明記しているところでございます。

(2)マル2のキ、安全・安心なクレジットカード利用環境の整備につきましては、1月の委員会で与信の関係での御指摘をいただいております。割販法の見直しの関係でございまして、その旨をこちらに明記しております。なお、割販法の改正案につきましては、3月に閣議決定をし、現在、国会で審議が行われています。

1-1マル5、食品表示の関係でア、食品表示制度の適切な運用という項目がございます。こちらについても御指摘をいただきました。栄養成分表示の関係等々の食品表示法に基づく新しい食品表示制度が今年度から全面施行されるということで、その関係の取組あるいは遺伝子組換えの食品表示制度について、工程表に明記するという御指摘を1月の委員会意見としていただいております。この関係は、本体73ページに記載してございますので、後ほど御覧いただければと思います。

マル6のサ、被害回復、救済に向けた取組で意見をいただいている部分でございまして、本体の93ページに当たります。振り込め詐欺救済法に基づく被害者の救済支援といった項目を盛り込んでおります。

1-1マル9のキ、個人情報保護法の適切な運用についてございます。1月の委員会意見では、パーソナルデータを含むビッグデータの適切な管理と効果的な活用という項目の中で、個人情報保護の管理について御指摘をいただきました。今回、個人情報保護法、法律の改正案を国会に提出しているため、本体106ページのキのところで、場合によっては少し現行化をしながら記載をしていくことにしてございます。

1番目の柱、最後でございますが、(4)のマル1消費者団体訴訟制度の整備について本体119ページになります。こちらにつきましては、1月の委員会意見では、裁判手続特例法の見直しを含めた取組について明記するように御意見をいただき、記載をしております。

1-1の1ページ目にお戻りいただければと思います。2つ目の柱のところにも幾つか項目がございます。

申し遅れましたが、黄色のマーカーで塗っている部分が、先ほど申し上げた15の新しく追加した項目でございます。食品ロス等々は新規項目となります。

(2)の環境保全の関係で1月に御意見をいただきました。循環型社会あるいは脱炭素社会の実現に向けた消費者への情報提供、普及啓発などについての取組を明記するようにという御意見をいただいております。脱炭素については(2)のマル1、本体136ページ、それから、循環型社会につきましてはマル3、本体139ページに記載しております。

(3)消費者志向経営の取組につきまして、御指摘をいただいてございます。本体の149ページに消費者志向経営の推進について記載をしてございます。

2つ目の柱は以上でございまして、3つ目の柱でございます。(1)マル1のイのデジタル・プラットフォームの関係の取組でございまして、1月の委員会意見では、プラットフォームが介在する取引の在り方について、関係省庁の取組を明記するようにという御意見をいただきました。本体の157ページにその関連の記載を事項として盛り込んでおります。

次の項目マル2のア、データ駆動社会、マル2では情報信託機能の社会実装等々書いてございますが、消費者委員会からは、情報銀行の取組、今後の在り方について明記するようにと御指摘をいただいております。アのところ、本体159ページに記載を盛り込んでおります。

3つ目の柱は以上でございます。4つ目の柱は、消費者教育の関係でございます。こちらにつきましては、幅広く消費者教育の関係の取組をしっかり記載するようにと御意見をいただき、本体171ページ以降に記載が盛り込まれております。

4番目の柱の(2)が普及啓発の関係でございます。こちらにつきましても、1月の委員会意見で、啓発の戦略について基本的な方向性について記載するようにという御意見をいただきました。本体の185ページにその関連の記載を盛り込んでおります。

今回、1月の御意見を踏まえての取組内容を御説明させていただきましたけれども、1点、意見の中で入っていない項目がございます。具体的には身元保証等高齢者サポート事業は、項目としては盛り込んでおりません。こちらはサポート事業の調査やその対策が一定程度取られたという判断の下、今回の基本計画工程表には盛り込まないという判断をさせていただきました。

私からの説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、委員の皆様から御意見を伺いますけれども、まず、前回委員間打合せで御欠席でありました片山委員長代理、それから、柄澤委員、清水委員に御意見を伺って、その後でほかの委員から御意見を伺うという順番にしたいと思いますけれども、片山委員長代理からお願いできますでしょうか。

○片山委員長代理 ありがとうございます。

皆さんの委員間打合せにおける意見を大体拝見させていただいたのですが、私も全体的に施策内容、KPIともにもう少し具体性があればと感じるところが多々ありました。

個別の問題としては、いろいろな項目において消費者への情報提供という施策が挙げられています。安全であれば14ページ、その他の項目でも随所にありますが、いつもお願いするように、情報を必要としている消費者の視点に立って、どういう内容を伝えれば消費者に理解され伝わるのか、更に確実に伝達する方法として、どういう方法があるのかを明確にして実施していくことが施策として重要です。今、多様なツールができていますが、そのような方法を使うことで消費者の理解や意識というものが変わっていく。そういう伝え方の抜本的な改善、改革というものが、もう何年も言われ続けているにもかかわらずできていないので、その点を工程表の中にも是非とも盛り込んでいただきたいと思います。消費者への情報提供という言葉だけで終わらせず、具体的にどのような改善をするのかを工程表に記載する工夫をしていただきたいと思います。

消費者安全調査委員会の報告書の公表も同じで、報告書の公表と施策では挙げられていますが、むしろ関連省庁へ伝えることがメインのイメージを受けました。そうではなくて、被害に遭う消費者自身に伝えるという観点も工程表の中にも盛り込んでいただきたいと思います。

違う分野ですが、事業活動におけるコンプライアンス向上のところで、今回の公益通報の体制整備についていろいろ書かれています。今後作成される指針の中で細かくいろいろ書かれるのだろうとは思いますが、この施策、工程表の中にも、公益通報で重要なのは、一般的な周知啓発だけではなくて従業員が本当にその窓口を信頼して使えるかどうかという消費者意識も含めた意味でのKPIを充実させてほしい。法の認知度、あるいは窓口の設置状況だけがKPIに挙がっていますけれども、本当に従業員に伝わっているかどうかもKPIとして取り入れていただきたいと思います。

コロナのところは、まだこれからいろいろと施策が出てくるのだと思いますが、できる限り、この工程表の中に具体的な取組を盛り込んでいただきたいと思います。

とりあえず以上です。ありがとうございました。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、柄澤委員、お願いできますでしょうか。

○柄澤委員 まず、全体として、第4期の基本計画の内容に沿って網羅的に項目がカバーされていると感じました。まずは消費者庁の丁寧な作業に敬意を表したいと思います。

その上で、2つの点を述べたいと思います。全体として取組と目標が明確であって、その目標を達成するための適正なKPIが設定されているものも多く見られますけれども、一方で、取組と目標が明確なのですが、KPIがアウトプット型となっているもの、例えば目標が制度の周知徹底であって、KPIが会合の開催の回数を示しているもの。あるいは目標とKPIが混在しているもの、例えて言えば、目標が消費者保護ルールの実効性を確保することでKPIが消費者保護制度の運用状況となっているなど、取組と目標というものが正しくひもづいていれば、その取組の進捗を図るKPIも明確になると思われ、担当省庁にはまずそこをしっかり見てもらいたいと思います。

一方で、取組は法令の見直しやガイドラインの策定などの場合に、策定後のKPIが重要であって、法改正や策定そのものにはKPIがなじまないということも承知しております。全ての項目において目標が明確でアウトカム型のKPIを設定することは困難であることは理解するけれども、工程表作成に当たっての各府省庁共通の物差しのようなものがあってもよいのではないかと思います。1月30日の消費者委員会意見のとおり、現状のKPIの検証を行った上で、このような物差しを検討すればよいのではないかと思います。

もう一点、消費者行政について若干御意見というか、要望を申し上げたいと思います。消費者行政には、もう少し想像力を働かせる必要があると感じております。技術の進展や消費者の意識の変化など、社会の変化によりまして、消費者被害の形態は多様化してきているということを念頭に置いておく必要があると思います。今回の新型コロナウイルス感染症でのマスクの問題で、有事の際にも消費者被害が発生することを強く認識することになりましたが、今回、新たに示された新しい生活様式、通販あるいはデリバリー、テイクアウト等々が生活様式の中で定着してくると思いますけれども、このような点においてもどのような消費者被害が想定されるのか、想像力を働かせて備えていくことが必要だと思います。

対症療法だけではなく、いわゆるフォワードルッキングな対応も必要だと思います。同時に、スピード感も求められると思っておりまして、消費者基本計画には取り上げられていない項目でも消費者被害が急速に拡大することもあり得るということで、他省庁の領域にまたがる課題にこそ消費者庁の存在意義あるいは出番があると考えられておりますので、難しいところはあると思いますけれども、消費者被害の拡大スピードに遅れることなく、是非ちゅうちょせず対応していただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 御説明ありがとうございました。削除された身元保証についてですが、相談の現場ですと、ここ1年ぐらい相談があまりないです。ですから、今回載せなかったということは理解できます。

ほかの点、あと2点なのですが、工程表の38ページの法執行のところです。今年の1月ぐらいから消費者庁が実名公表や注意喚起を、今まで過去にないスピードで数多く実名公表していただきました。現場ではとても有り難かったので、引き続き、この勢いで実名公表をお願いしたいと思います。法律の改正を望むところでございますが、今、スピード感を持ってやらないといけないとなると、法改正よりも実名公表、その実名公表をいかに一人一人の国民に伝えるかが必要だと思います。

消費者庁の伊藤消費者庁長官が、4月30日に記者会見をしています。国が待てる買物は通販でというような10のポイントを示して、インターネットの闇の部分のトラブルが多いことを注意喚起していただきました。しかし、残念ながら、これを例えば東京都の小池知事のような定例記者会見でワイドショーが映したりだとか、ニュース報道したりということがなかったのです。私たち相談員が日頃思っていること、また、一人一人の相談があった場合に注意喚起していることが網羅されていた発言だったと思います。できればこういう会見内容をいかに一人一人の国民に伝えるかの広報の在り方をもう少し工夫して頂きたいと思います。

もう1点なのですが、新型コロナウイルスの感染対策です。170ページ、こちらは現在進行形なので、今後改定される中で書き加えられると思いますが、相談体制については不十分だということが露呈しています。私は、名古屋市消費生活センターに勤務しておりますが、今、全員出勤をしております。相談が急増しているので、そのために、当初は半分ずつの勤務で感染防止、全滅を避ける対策をしていましたが、とても市民の要望に応えられないということで、ゴールデンウイーク明けから全員出勤しております。これで良いかどうかは別として、市民の不安に応える最後のとりでの消費生活センターはそのような対応でやらざるを得ないということから、体制については今後考えていく必要があります。

相談の中で、キャンセルの相談が非常に急増しています。しかし、これは新型コロナの問題もありますけれども、もともと、例えばブライダル約款のような業界の標準約款自体が問題であるというところで、適格消費者団体が頑張ってはいるのですが、現状、そういう根本的なところがありますので、それは別途、消費者契約法の議論の中で進めていかれると思いますので、期待しております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、内藤課長から何かございましたらお願いしたいのですけれども、いかがでしょう。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者庁でございます。

3名の委員の先生方から御意見をいただきました。順番にコメントを差し上げたいと存じます。

まず、片山代理からの御指摘でございます。施策の具体性につきましては、もう少し関係省庁と議論をしながら中身の精緻化に努めてまいりたいと思っております。

情報提供の関係で消費者の視点に立つ、それから、分かりやすいようにいろいろな手法を活用すると御指摘をいただきました。現在、デジタル化の関係で消費者が留意すべき事項の理解促進について、本体161ページですが、普及啓発の関係なども含めた情報発信の在り方について、検討会で議論をしているところでございます。その報告書の提言なども踏まえながら、情報発信の在り方、強化については取組を進めていきたいと思っております。

公益通報につきましては、現在、国会で改正案が議論される予定でございますので、そちらでの質疑などの内容も見ながら取組を進めてまいります。

コロナについても、まだ終息しておりませんので、工程表には取組の状況についてはもう少し進捗状況、取組の状況も含めて更新をしていきたいと考えております。

続きまして、柄澤委員からの御指摘でございます。目標とKPIが混在している、アウトカムではなくアウトプットになっているという御指摘をいただいてございます。ここは御指摘のとおりで、毎年御指摘をいただいている課題になっているところではございます。私どもから具体的に関係省庁に対して提案をするなどして、少しでも良いKPI、数値指標になるように努力をしていきたいと思っております。

2点目、特にコロナの関係で、後追いではなく、ある程度予測、予想した上で取組を前もって考えておくべきではないか、スピード感を持って対応すべきではないかという御指摘をいただいております。これにつきましては今回マスクの関係で品不足、あるいはいわゆるデマの関係でSNSを通じて不確かな情報が拡散して、マーケットから物がなくなったということがございました。こういったことについては、実際そのときどういう消費者の認識、行動があったのかを改めて分析をした上で、今後の教訓として対策についても検討していきたいと考えております。

清水委員から3点いただきまして、身元保証の件が1点目でございました。

2点目、法執行の関係でございます。これも私どもは引き続きしっかりやっていきたいと思っておりますけれども、公表内容をうまく取り上げられないという課題がございます。先ほども申し上げた検討会では、PRの方法について相手にどのように取り上げてほしいか、相手がどのように取り上げたいか考えながら、リリースなどを工夫すべきという指摘をいただいており、PRの方法を工夫しながら今後考えていきたいと思っております。

清水委員の3点目、コロナへの体制について御意見をいただいております。体制については、全国の相談員の方にも大変御苦労をお掛けしているところでございまして、私どもとしても相談体制の強化については、取組を考えたいと思っているところでございます。キャンセルの御指摘もございました。ブライダル関係のキャンセルの話というのは報道等でもされておりまして、判例の問題とそもそもの約款の内容の問題がありまして、個別に判断するしかなく、一律の基準をお示しできないため、非常に悩ましいところでございます。問題意識は担当の部署とも共有はしていますので、本日いただいた意見を改めて担当の部署にもお伝えしたいと思います。

私からは以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、ほかの委員の方、いかがでしょうか。あるいは、今、お答えいただいて、更に先ほど御発言いただいた委員から追加して何かあるということであればお願いできればと思いますけれども、いかがでしょうか。

それでは、丸山委員、木村委員の順にお願いします。

○丸山委員 それでは、資料で言いますと、資料1-3の工程表本体の55ページ、56ページの賃貸借の辺りになります。担当省庁が国交省となっている部分なのですけれども、家賃保証の問題について、消費者庁はどう考えているのかが気になったところでございます。どういうことかと言いますと、家賃保証というのは、現在、消費者に資力があっても、親族等が保証人になってくれる場合でも、加入が強制されるような物件が増えてきている印象があります。このような家賃保証システムというのは、借家と抱き合わせになっている点で問題があると考えますし、保証業者が既に選定されているという点で、保証料について競争も働かないという点で、消費者利益の観点から少し問題をはらんでいるように思います。

国交省の取組としまして、保証業者の登録、情報提供というものをやっているというのは分かっているのですけれども、消費者利益という観点から、消費者庁では、こういった取引に問題があるのかないのかというのは問題意識としてあるのか、何か検討する予定は全くないのかという辺りが質問の第1点ということになります。

第2点目としましては、既に皆様から指摘されている新型コロナウイルスの感染拡大の関係なのですけれども、問題の状況に応じて迅速な対応が要求されていると思いますので、気になっている点としましては、除菌剤などを結構消費者は使うようになっているのですけれども、その安全性という観点から問題がないのかどうかということも見ていく必要があるような商品が通販で出回っているのではないかと思いました。

また、キャンセル料については、既に指摘されているところではございますけれども、今回のような状況の場合は、自己都合のキャンセルとは言いにくいようなケースも場所と状況によっては含まれていたと思いますので、時期としては遅きに過ぎるということになるのかもしれませんけれども、そういった自己都合と言い切れないようなキャンセルについては、一定の配慮を求めるような対応があっても良かったのではないかという印象を有しております。

ただ、今後の問題としては、そういった時期や理由によっては、徴収が適切ではなかったキャンセル料として、事後的な訴訟の問題とならざるを得ないときに、消費者契約法の9条1号や、場合によっては10条の解釈というものが重要となっていくと思います。消費者契約法の9条1号については、今、消費者契約法の検討会でも検討されているところだと思いますので、こういった状況も踏まえながら検討を深めていただければと思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。よろしくお願いいたします。

全体に関してなのですけれども、素案の段階だからということもあるのかもしれないのですが、工程表の取組予定の表が何年度までに何をという具体的な予定が分かりにくいものが多くて、5年間ずっと同じという場合は良いのですけれども、そうではない場合は、もう少し具体的に何年まで何ということが記載される施策がなければいけないのではないのかと思います。

次に、KPIについて、例えば18ページなのですけれども、数も大事だと思うのですが、質の評価をどう担保するのかというところが私は疑問に感じております。

また、20ページ、これは例えばなのですけれども、100パーセントという場合は確かに割合では達成しましたねということになると思うのですが、母数は幾つなのかが分からないと、それは片手落ちではないのかと感じているので、この辺の消費者庁としての見解をお願いしたいと思います。

次に、49ページになると思うのですが、87ページも関連するのですけれども、コロナによる不況で詐欺的被害が今後ますます拡大するおそれがありまして、例えば最近ですと、給料ファクタリングという問題がございます。たしかこれは金融庁がヤミ金であるという判断を下したと私は聞いているのですけれども、消費者から見ますと、ヤミ金とは思わないということで利用してしまうということがあります。資金が不足したときには公的な窓口の利用を進めるなど、そういう観点が必要ではないのかと思いました。

次に、先ほど他の委員からも御指摘がございましたけれども、レンタルやキャンセルについてです。契約そのものが消費者に不利益となっているものもあると思うのです。例えば成人式の晴れ着のレンタルの場合ですと、利用が2年先であってもキャンセル料がすごく高額であるという問題がありますので、この点はきちんと今後検討していくことを施策の中に入れていただければと思います。これは私からも重ねてお願いいたします。

新型コロナウイルスについてなのですけれども、現在はコロナウイルスの件が主なのですが、170ページに記載されているとおり、今後もこのような緊急事態の対応は不可欠だと思いますので、備えるという意味でも、消費者庁としてもう少し重要なことを具体的に書き込めないかなと思っております。例えば、この状況で地震が起きたら避難所はどうなるのか。民放の報道などで時々そういう観点で報道はされていますけれども、政府として、消費者庁としてどのようなことができるのかということも重要だと思います。

最後になりますけれども、オンラインについてです。このような外出自粛の中で、急激にオンライン化が進み、学校教育についてもオンライン授業などがあると思います。116ページなどに青少年のネット利用についての記述もあるのですけれども、これは青少年を保護するという観点ですので、消費者教育に関わってくるという意味で、青少年を守るだけではなくて利用するリテラシーの向上などについての記述も必要ではないかと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、受田委員からお願いして、その後で内藤課長にお答えをいただければと思います。

それでは、受田委員、お願いします。

○受田委員 ありがとうございます。

内藤課長、御説明ありがとうございました。

私からは4点ございます。まず1つ目、例えば本体の34ページ、ここは食品のトレーサビリティの推進ということで、先ほどの御説明の中にも取り上げていただきました。この34ページの食品トレーサビリティの推進に関して、少しコメントをしたいと思います。この点は73ページ、ここは食品表示制度の適切な運用等という記述と関連いたしますので、これを関連付けてお話をさせていただきます。

まず、34ページのトレーサビリティの推進に関しては、もともと基本計画におきまして、フードチェーン全体を通じた新たな推進方策を挙げていくということを受けての工程表と理解をしております。この食品のトレーサビリティをシステムとして充実させることを目的とした問題意識としては、これまでの食品表示の在り方、すなわち、基本的には科学的検証に基づいたルールにのっとっているということが様々な現代的課題、例えば遺伝子組換え食品の在り方、あるいはゲノム編集食品の在り方等について、限界を呈しているということがございます。市場から、あるいは消費者からは、この科学的検証の限界を社会的検証と組み合わせることによってルール化していくべきであるということが背景にございました。その点で、工程表が今回具体的に示されているということかと思います。

実際に、先ほど申し上げましたように、フードチェーン全体を通じた新たな推進方策をこの工程表においてはどこが受けているのかというように見ていくと、34ページのマル3飲食料品のトレーサビリティの推進、米や牛肉に関しては義務化されておりますので、新たなということになると、このマル3がそれを受けているのではないかと拝察いたします。ところが、この飲食料品がなぜここに出てきたかは、これまでの基本計画の議論等を通じて全く不明瞭であるということを述べておきたいと思います。

そして、35ページにKPIが書かれておりますけれども、この飲食料品という具体が、KPIを書いてありますここのページ、KPIにはどれが相当するのか分かりません。したがいまして、社会的検証を消費者が求めていることを受けてのトレーサビリティの充実を、この工程表が具体的にどう受けているかという点が非常に不明瞭であると申し上げておきたいと思います。踏み込んで言えば、海外からの輸入品に頼るというような文言がもともと基本計画の中にございますけれども、どのように海外とのフードチェーンをよりシームレスにしていくのか、こういった点が新たな推進方策として求められるべきではないかというのが1点でございます。

2点目です。これは本体の73ページの食品表示制度の適切な運用等、先ほども引用させていただいたページの下でございます。ここに食品表示部会から報告書として提言をさせていただいた食品表示の全体像に関する報告書の内容を挙げていただいております。この部会からの報告書が基本計画や工程表に反映されているということについては、食品表示部会の部会長を務めた立場から、大変有り難く思っているところでございます。一方で、この報告書においては、今後のこの工程表の位置付けを念頭に置きながら、具体的に線表を提案しております。その線表が74ページに全く現時点では反映されていません。我々の思いは、ここに具体的につなげていきたいと報告書を作成いたしましたので、その思いを具体的に念頭に置いて工程表にしていただきたいという要望でございます。

3点目、これは先ほどほかの委員がおっしゃっていたこととも通じるのですけれども、アウトプットとアウトカムの関係でございます。特に指摘しておきたいのは、この工程表の様々な部分に理解度という言葉が出てまいります。この理解度がKPIの中に挙げられているのですけれども、残念ながら、ほとんどで理解度の数値目標に資する、いわゆるKPIが具体的に書かれていません。この部分は、周知啓発をPDCAとして回していく上で絶対になければならない数値でございますので、今後の作業を進めていくに当たって、この理解度に関しては、必ずKPIとして数値があるというところを何としてでも確保していただきたいという思いでございます。

なお、この後取り上げます最終の内容が146ページ、147ページ、エシカル消費の普及啓発に関してでございますが、今、申し上げた3点目の理解度に関しては、147ページに認知度という言葉で表現されているところもあります。認知度、更には理解度、これは言葉の定義は異なると思うのですけれども、この辺りの関係を消費者に分かりやすく、また、数値の徹底は再度お願いを申し上げたいと思います。

最後でございます。146ページ、ここに水産エコラベルの話を入れていただきました。本来でしたら、ここはSDGsの取組と密接に関連しているので、例えばSDGsの12番目の目標「つくる責任 つかう責任」、更には14番の「海の豊かさを守る」と関連いたしますので、明記をしていただかないといけないということが1点でございます。

実際に、全体に言えるのですけれども、このSDGsの取組を入れるというのが今回の基本計画及び基本計画工程表の大きな特徴であるという位置付けで理解をしているのですが、そうであるとするならば、この2030年に向かった国連の掲げている目標に対して、この5年間、第4期の最終年に当たるときに、どこまでそれぞれの目標に対してコミットしているかという点をもう少し明確にしていただく必要があるのではないかと思います。

本来であれば、SDGs自体は17の目標が定性的なので、これを国としてどこまで実現するかという定量的な数値に置き換えていくことが第1段にあって、それに対して2030年あるいは2025年や2024年のマイルストーンとしてここまでやるということが共有されていて、それにこの消費者基本計画工程表がどのようにコントリビュートしていくかという作りになっておかなければいけないのですけれども、残念ながら今の段階では、まるで17の目標を切り貼りしていると捉えられても仕方がないように思います。そういう意味で、SDGsへのコミットメントを、この工程表のKPIと関連付けていくという姿勢をどこかでしっかり見せていただきたいというのが要望でございます。

長くなりました。以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、内藤課長、お願いできますでしょうか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者庁でございます。

順にコメントを申し上げたく存じます。

まず、丸山委員から2点いただきました。1つ目、家賃保証の関係で、実質的に保証サービスの加入が強制されているのではないかということ、保証料に競争原理が働いていないのではないかということについて、消費者庁としての立場を御質問いただいております。家賃保証などの住宅関係のことにつきましては、昨今はサブリースの関係が非常に大きく問題になり、関係省庁間で連絡会議をして議論はしています。一方で家賃保証の部分については、現時点で特段議論になっていなかったこともありまして、私どもとして確固とした知見がございません。一度引き取らせていただいて、改めて御説明をさせていただきたいと思います。

2つ目、コロナの関係で御指摘をいただいています。除菌剤等について、コロナに効くというようなことをうたった商品が出回っており、これまで2回にわたって注意喚起をしています。それぞれ30事業者、およそ同程度以上の商品について2回注意喚起をし、これはほぼ改善をされてきているところでございます。今後も同様のものがありましたら、逐次必要に応じて対応をさせていただくことになるかと思います。

キャンセルの関係の自己都合と言い切れないのではないかという御指摘は価値観として私も共有するものではあるのですけれども、これはウィンウィンの関係であって共通的な基準を示すウィンウィン事が非常に難しいところでございます。消費者庁としてガイドラインを示せるような制度立て付けにはなっていないことについては、是非御理解をいただきたいと思います。御指摘いただいた内容につきましては、担当にきちんとお伝えをさせていただきたいと思います。

続きまして、木村委員からの御意見でございます。1点目は片山代理、柄澤委員からいただいた御指摘と同じような御意見であったかと思います。表の精緻化、KPIの質については、今後工程表を更にパブコメを踏まえて見直してまいりますので、そのプロセスの中で関係省庁と調整しながら改善をしていきたいと思っております。

木村委員の御指摘の2点目、コロナ関係の詐欺その他の悪質商法の事案でございます。私どももかなりの頻度でコロナ関係の相談に目を通すようにしております。たしか3月にファクタリングの関係は金融庁が注意喚起をしてございますけれども、コロナとファクタリングを結び付けた相談というのは、件数としては少なかったとは思っておりますが、いわゆるコロナの関係で資金的に厳しくなった方がいわゆるヤミ金にだまされかねないという御指摘はおっしゃるとおりでございます。今後も注意深く見守り、必要に応じて注意喚起をしていくものでございます。

コロナの関係は、現在、LINEで公式アカウントを作りまして情報発信をしています。1か月ぐらいでおよそ2万件を超えるようないわゆるフォロワーがついております。こういった方々にはプッシュ型でコロナ関係の悪質商法について注意喚起をしているところでございます。今後もしっかり取り組んでいきたいと思います。

3点目で、コロナの関係で具体的な取組を書き込めないかというお話をいただいております。現状、例えば食ロスの関係では、農林水産省と協力をしまして、給食用食材として余った食材の有効活用の話、それから、先ほどの表示のお話、あるいは食品表示の弾力化のお話、それから、広報の関係ではLINEの話ですとか、政府広報を活用したテレビCMも委員の方も御覧になったのではないかと思います。「188」に電話してくださいというテレビCMを実施しております。そうした取組を含め、170ページの内容を充実させていきたいと思っております。

4点目、消費者教育のオンライン化対応について御指摘をいただいております。これも先ほども御紹介させていただきましたが、本体の161ページの検討会で、デジタル時代の消費者教育について議論をしているところでございます。そのオンライン対応の話なども少し盛り込んでいければと思っておりますし、情報リテラシー辺りについても、重要性の御指摘、検討会の委員の方々からもいただいております。この辺につきましてもしっかり取組を進めていきたいと思っておりますが、検討会での議論を御紹介いたしますと、情報リテラシーについてはむしろ情報教育、科目としての情報科でしっかり議論されているため、もう少し家計に近いデジタルトラブルについて消費者教育をするべきではないかという御指摘もいただいております。そういう情報教育と消費者教育の適切な役割分担も含めて、検討会の提言を踏まえてしっかり対応していきたいと思っております。

受田委員から4点御意見をいただいております。トレーサビリティと食品の安全の関係で、食の表示と安全の関係は密接不可分だという御指摘もいただいております。おっしゃるとおりでございまして、遺伝子組換えの話を73ページにも書かせていただいております。安全性確保というのは、トレーサビリティの仕組みができないと十分な対策が取れないため、様々な課題への対応が限界となっている一因という御指摘はそのとおりと思っております。KPIがフードチェーン全体のトレーサビリティの仕組み構築に向けての項目とうまく対応していないのではないかという御指摘をいただいております。ここについては担当と少し相談しながら改善を図りたいと思っております。

2点目、食品表示の全体像、私どもはグランドデザインと呼んでいますが、こちらの提言内容が線表に反映されていないのではないかという御指摘でございます。これも前回委員間打合せでいただいた御意見でございますが、担当部署とよく相談をしてまいりたいと思います。

3点目、いわゆるアウトプット、アウトカム指標の理解度の数値目標について、不十分ではないかという御指摘をいただきました。全体をもう一度チェックをしまして、工夫をしてまいりたいと思います。エシカル消費は理解度の代わりに認知度という言葉になっているという御指摘もいただいておりますので、一緒にすべきなのか、使い分けをすべきなのかも含めて、少し工夫をしていきたいと思います。

4点目、水産エコラベルの関係で、SDGsに関係しているのではないかということで、これはそのとおりでございます。少し工夫をして、水産庁とよく相談をしてまいりたいと思います。

また、SDGsとの関わりについて進捗状況ともう少しひもづけができないかという御指摘をいただいているところでございます。SDGsに消費者政策としてコミットさせることについては、冒頭に申し上げましたとおり、できるだけ17の目標の中に入れ込めるように工夫をしていきたいと思っております。

SDGsの17の目標、169のターゲットとのリンクでございますが、現在、政府の中でもこれを国の目標として数値化できないかという取組は従来から取り組んでいるところではございます。食ロスのような2030年までに半減という明確な目標があるところ以外についてはなかなか数値化するのが難しく、苦戦をしているところでございます。そういった取組なども見ながら、私どもでもできることは少し取り組んでいきたいと思います。

長くなりましたが、以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、大石委員、新川委員からお願いしたいと思います。

では、新川委員からお願いしましょうか。

○新川委員 新川です。

それでは、私から先にお話をさせていただきます。

工程表の作成、本当に大部にわたるものを御苦労様でした。まず、工程表の中で少し気になりましたのが、扉、表紙のすぐ後ろにこの工程表の策定の考え方のようなことが書かれてございます。それはそのとおりなのですが、そして、特にⅡの構成についてで、補足でSDGsの関連や、あるいは補足2でICTに関わるところ、そこでの注視事例等々もいただいておりまして、これはこれで良い方向だなと思っておりますが、若干気になるのが、Ⅲの工程表のフォローアップというところでございます。せっかく様々な社会変化に対応した工程表にしていこうということで書かれているのですが、このフォローアップですと、年度ごとのフォローアップということになってしまいます。現時点で既にこの工程表そのものが今後のコロナの推移等々によりまして、まだまだ動いていくという状況にございます。ある意味では、年度内にどう機動的に対応できるかといったところ、これはもちろん施策や事業のレベルで、それぞれの行政庁の問題であると言われればそれまでなのですが、同時に、そういう事態が想定をされる以上は、この工程表の中にもそうした年度内での機動的な対応といったこと、それから、そうした即応態勢をこの工程表の中にも入れておくことがポイントとして重要なのではないか、そういうフォローアップの在り方を考えていく必要があるのではないか、これが大きな1点目でございます。

2点目に、これは各委員から既に議論になっておりますが、KPIについては重要業績指標という名前のとおり、それぞれの施策について、あるいは事業についての業績というものが、鍵になる業績がどのように設定をされているのかを示していく、そして、それを通じて、その業務がきちんと果たされたかどうかを見ていくというところにポイントがございます。したがいまして、本当に重要業績というものが掲げられているか、その選定の問題を考えざるを得ないということであります。そこを目標と定義で明確にしていただいているはずなのですが、ある意味では、通り一遍のものも目につくということもございまして、ここはそれぞれまた御担当でしっかりと御検討いただければと思います。

その際に重要なのは、数値目標を出そうとすればするほど、アウトカム的な数値目標は非常に難しくなってくるということがございます。その数値目標にこだわる必要は、もちろんこだわっていただかないと困るのですが、数値目標が出しにくいものは当然あって、とりわけ年次進行的な観点でいうと、どういう作業がどこまで進んでいくかを言葉の表現で示さなければならないようなところも出てくるのではないかと思っております。そういう点では、数字にこだわる必要は、完全にそれにこだわるということではないということは申し添えておきたいと思います。

KPIに関して、もう一点だけ、年度ごとにどこまで目標を達成するのかということが書かれているところ、それから、書かれていないところがございます。この辺りは5年間での目標達成と理解をすればよろしいということではあるのですけれども、もう一方では、工程表が工程として成り立つためには、年次での到達点がそれぞれ示されていくことが望ましいということで、ここは御検討をいただければと思っております。

次に、工程表の個別の項目について、少しお話をさせていただきたいと思います。工程表で言いますと、大分飛びますが110ページの辺りですが、ここでは認知症施策の推進ということで大きく項目名が掲げられておりますけれども、こうしたぜい弱とされているような問題について、こうした方々を支える社会の仕組みや地域での様々なサポート体制というのが、今、日本全国あちらこちらで生まれつつあります。消費者問題についても、そうした方々との連携がこれから大事になってくるのではないかということで、重層的にこうしたぜい弱問題に取り組むということが重要なので、そうした市民の活動にも注目する必要があるのではないか、そうしたところと連携を取っていく必要があるのではないかというのが1点目であります。

125ページになりますが、その前後に様々な裁判外での紛争処理の手続が幾つか出てまいります。これ自体、推進をそれぞれしていただくというのは重要ですし、もう一方では、それぞれの制度、それぞれの仕組みというものが独自に構成をされていて、なかなか一律にはいかないというところもあるのですが、もう一方では、こうした裁判外の紛争処理をよりスムーズに、そして、的確に進めていくこと自体は、消費者行政としても基本的な命題、テーマではないかと思っております。もう少しこれらの様々なADRを串刺しにして推進していくような、そうした観点からの議論が必要なのではないか、そうした視点を消費者庁としては持つべきではないかというのが、ここでの指摘であります。

その次に、これは既に各委員から出てきておりますが、内容についての3点目はコロナに関わるところであります。170ページで、既にこれも御指摘ばかりなので、追加をして1点だけ。こうした災害対策ということについては、今回のコロナあるいはそれに関連するような問題に限らず、今後この5年間の中でも様々な危機対応ということを考えていかなければならない。しかも、自然災害や人為的な災害が複合するような、そういう事態も想定して、その中での消費者問題への対処ということを考えていく、そういう準備をしておく。これは消費者行政としては必須なのではないかということを感じておりまして、もちろん感染症や南海トラフということだけではないのですけれども、そうした様々な危機管理をきちんと組み込んでいくべきではないかというのが、ここでのポイントであります。

大きな4点目は、消費者教育ということについて、各省庁の取組ということをいろいろいただいておりまして、それはそれぞれ充実してやっていただければと思いますし、特に学校教育は相当手厚く進められていくということで、これはこれで大変良いことだと思っておりますが、1つだけ、その中で気になりましたのは、それぞれの府省の考え方ではあるのですけれども、183ページでしょうか。法教育の推進、これは法務省の御担当ですが、ここは消費者ではなくて司法教育になってございます。もちろん、我々の暮らしの中で基本になるので、司法教育は結構なのですが、この工程表に載せる以上は、できれば消費者関連諸法についても教育をしていただきたいなというか、そういう言葉が入っていてもいいのではないかと思いました。

それから、その教育関連で、185ページに様々な団体とのネットワーキング、これによって啓発を推進する、これは大変重要だと思っておりますけれども、若干取組の内容としてどうも資料の情報の収集や発信にとどまってしまっていて、実際のネットワークづくりとか、そこでの連携の体制づくりまで踏み込めないのかなというのが気に掛かっているところでもあります。消費者庁として、この重層化の方策をもう少し打ち出していけないものだろうかということでございます。

セクションⅤのところ、大きな消費者行政に関する体制整備について少しお話をさせていただきたいと思います。まず189ページ、国の体制でありますけれども、この消費者行政の体制、取組自体、非常に分厚く進めていこうということはよく理解できるのですが、その一方では、この189ページの国の体制整備での更なる整備等の中で、各省庁との連絡会議というものが出てまいります。もちろん、こうした連絡会議そのものの価値というか、重要性は承知しているつもりではあるのですけれども、190ページにありますような、連絡会議が開かれたらそれでおしまいというような印象になってしまいます。この連絡会議、その時々の重要な争点が議論されるはずですし、それを各府省に持ち帰っていただいて、またそれについて一定のフィードバックがあるはずですので、こうしたところの連絡会議の持ち方やそこでの成果の出し方といったこと、年1回開きますというだけではない、そういう国の体制づくりを少し考えられないだろうか。なかなか各府省の足並みがそろわないと難しいところもあるので、そこはやはり消費者庁としても積極的に働きかけるべきではないか。

それから、こういう国の体制づくりでもう一つ気になりましたのが、国センの活動であります。192ページで、特に国センと各地方の消費生活センター等との連携ということについて、連携強化はそのとおりでいいのかなと思うところもあるのですが、同時にこういう国センと各消費生活センター等との連携に際して、本当に双方のニーズというものをきちんとマッチングできているのか。もちろんセンター間の関係ですから、十分に意思疎通はできているかとは思いますけれども、同時にきちんとフォローしていく必要があるのではないかと思いながら見ていたというところがございましたので、こうした点、今後センター間関係といったようなもの、これは国セン、それから、各消費生活センター、それらの横の連携ということも含めて考えていく必要があるのではないかと思っております。

国の体制づくり、それから、地方行政の体制づくりについて、194ページにも重要な情報の相談受付体制がございます。これについては既にほかの委員からも御指摘がありましたけれども、実際に情報の受付等々、多様なメディアを採用すること自体は大変重要なのですが、もう一方では、実際に情報を発信できない人たちがいるということ、これは既にほかの委員からも御指摘がありました。そうしたところに対する、言ってみれば、ちゃんと情報を探索していくような、そうした視点が次のステップでは必要になってくるのではないか。受付体制ということでは少しフォローし切れない、そういうところが出てきている、そういうぜい弱という問題を考えていく必要があるのではないかと思っております。

地方の体制整備について、少し申し上げたいと思います。195ページから196ページで、地方に対する支援モデル、いろいろと用意をしていただいていて、これはこれで充実していていいなと思っておりますが、5年後、このモデルがどうなっているのかが少し気になりました。もちろん、何件やって何自治体でこれぐらいできましたということが言えれば、それが大変良い成果で、例えば見守りネットでは地域協議会等々で人口カバー50パーセントといったものが出てございます。こういうところがより自治体のそれぞれの地方消費者行政の姿として出てくると理想的かなと思いながらここを見ていたのですが、これも相手方のあることですので、難しいことは承知しておりますけれども、御検討いただければと思っております。

198ページに地方公共団体との情報共有というものがあって、これはやはり重要だなと思って見ていたのですが、ここにはブロック単位等々での、あるいは担当者会議等々での情報共有というものがあったのですが、このところ、コロナの問題でもそうですけれども、地方六団体の御活動も活発なようであります。感染症では知事会がかなり頑張っておられますけれども、こういう地方六団体をどう位置付けたらいいのか。現時点ではそうした観点がないので、この点を少し御検討いただければと思っております。

200ページに入ってしまいますが、都道府県の法執行については、職員研修、重要なのですけれども、やはり各県の実際の法執行に当たって、行政指導まではいけるのですが、なかなか行政処分あるいはそれに近いところまで入り込もうというのは敷居が高い。それは組織の問題も資源の問題もありますが、同時に経験の問題もあって、これは知識資源とでも言ったらよいのでしょうか。そうしたところを共有できるようなことも考えていく必要があるのではないかということで、この法執行のところ、もう少し何とかならないだろうかと思いました。

最後にいたします。202ページで、いろいろな相談窓口と消費生活相談との連携、これは本当に重要だなと思っておりますが、それぞれの地域でそれぞれの自治体等々、あるいは関連する団体間でのこういう窓口相互の連携をしっかり取ってくださいという要請をするだけでは進まないかもしれないということで、ここももう少し実際にそれぞれの団体が動いていけるようなモデルをお示しになるとか、あるいは研究であるとか、そういったものが必要なのではないかと思いながら拝見をいたしました。

長い時間になって申し訳ありません。以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、大石委員にお願いし、片山委員長代理、清水委員から一言ずつあるということですので、それぞれお願いしたいと思います。

それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

もうあまり時間がないので、簡単に説明させていただきます。

まず、全体的なものとして、それぞれのページの右上に担当省庁というものが書いてあるのですけれども、確かにこれはそれぞれ重点的にやっていただきたい省庁ということだとは思うのですが、全体を見ていて、これは消費者庁も入っていないとなかなか進まないだろうと思うところが何点かあります。例えば136ページの脱炭素なのですけれども、確かに具体的にいろいろ書いてくださってはいますが、実際に消費者が消費者行動として移さないと脱炭素にはつながらないということがたくさんあって、例えば前回の3回の基本計画と違っているのは、その間に電力とガスの自由化が起こり、消費者が電力やガスを自由に選べるようになってきた。その中で再生可能エネルギーを選ぶという行動を消費者が取れば、それが具体的に脱炭素につながるということもあるので、ここは環境省だけではなくて、是非消費者庁を入れていただきたいなと。そういうところが幾つかありましたので、検討をお願いしたいということが1点目です。

持続可能性という点で、せっかくSDGsというものを大きな目標として掲げているのですけれども、項目によっては、先ほど受田委員がおっしゃいましたが、SDGsの目標が入っているところ、入っていないところ、様々なのですけれども、これはかなり関連している部分があるので、是非SDGsの大きな目標も入れていただきたいというのが2点目です。

それから、今回お休みになっています生駒委員が前回おっしゃったことで、とても大切だと思うので、付け加えさせていただきます。今回、自立した消費者を育てるということが消費者教育の一つの大きな目標でもあって、項目Ⅱで、SDGsによる社会の変革の中で、エシカル教育の普及啓発が提示されていて、それについては大変重要なことだと思うのですが、それが項目Ⅳの消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施の項目というものとつながっていないというのが大変残念な気がいたします。何より被害を防止するために教育が非常に重要だと思っておりますので、そういう意味できちんとひもづけていただきたいということが一つ。

それから、これは私の意見でもあるのですけれども、今回、コロナのことで皆さんいろいろと御発言なさいましたけれども、今後のことを考えますと、教育という意味では公平性ですね。リモートで教育を受けるということを考えたときに、なかなか今の日本の状況では、そこが諸外国と比べて大変遅れているということも指摘を受けますので、コロナに限らず、これからいろいろな災害が起きたときに、どうやって教育の公平性というか、受ける権利を確保できるかというところも、是非、コロナのところにも加えていただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 ありがとうございます。

1点、149ページ、消費者志向経営の推進です。これを工程表の中に入れていただいたのは大変有り難いのですが、私は推進をしていく上では、施策概要に書かれている消費者志向の取組を消費者に分かりやすく情報提供して可視化するということが極めて重要だと思っています。しかしながら、150ページのKPIには、全くその関連の指標が挙げられていません。消費者志向経営を推進するためには、消費者と事業者のお互いの理解、事業者の経済活動の現場で今何が起こっていて、どういう課題があるかをきちんと消費者も理解しないといけないし、消費者がどういう認識をしているかということを事業者も知らないといけない。そういう相互理解の必要性が、消費者と事業者の協働というものの背景にもあると思うのです。

今回の工程表の中で、消費者志向経営もそうですが、協働という言葉はたくさん出てくるのですが、具体的に協働をどういう形で促進するのかとの具体化が不十分だと思いますので、その点をもう一度見直していただきたいというのと、是非消費者志向経営の推進はKPIを見直していただきたいと思います。

以上です。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

工程表30ページです。食品中の放射性物質に関する消費者理解の促進なのですが、この「食品と放射能Q&A」というものなのですが、これは5年前にできて、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、環境省、消費者庁で作ったとても良い冊子なのですが、5年間経ってもなかなか普及していません。一部の頑張っている消費者団体はいるのですが、学校教育にも是非こういった資料で情報提供をお願いしたいということが1点です。

もう一つは46ページなのですけれども、総務省、こちらの支援連絡会議です。これは既に10年以上行っていて、今までこの10年の成果というのは法改正がすごく進んで、一定の成果があります。しかしながら、10年以上経っている今でも総務省関連の通信関連の相談は高止まりです。本当の対話がこの会議でできているか、年2回でスピード感がないということからして、見直しをするというような書きぶりがよろしいかと思います。既に地区によっては試行錯誤でいろいろなことをやっている地区もありますので、よろしくお願いします。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、内藤課長からお願いできますでしょうか。時間がもうなくなってしまっているのですけれども、お願いします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者庁でございます。

新川委員の御意見から順にコメントをさせていただきたいと思います。

1点目、まずフォローアップについて、年度ごとの見直しになっているけれども、コロナの動きなども踏まえて事情に応じた機動的な対応が必要ではないかという御指摘でございます。扉の裏だけを読むと、確かに年度ごとにしかやらないように読めてしまうところがございます。今回のコロナのような事態が年度途中に出てきた場合には、対応する必要があると思いますので、特別な事態の変化には機動的に対応するといった点について、少し表現を工夫して盛り込んでいきたいと思っております。

KPIの件は後ほどコメントをさせていただきたいと思います。

新川委員の3点目、KPIの年次目標を5年ではなく途中で示してもいいのではないかという御指摘をいただいてございます。この辺りももう一度KPIを確認して、見直しも含めて検討していきたいと思います。

4点目でございます。110ページを中心に、いわゆるぜい弱な消費者に関する問題に対するサポート体制について関係者との連携、あるいは市民活動との連携といったようなことで御指摘をいただいてございます。私どもとしてもここは新しい取組として強化をしているところでございまして、高齢者の見守りネットワークの構築ということで、福祉団体、それから、民間の宅配事業者などとの連携の枠組構築を現在進めており、依存症の関係で家族会の方と顔合わせをするといった取組も始めたところでございます。新しい消費者行政の取組としてしっかりやっていきたく、先ほどの5本柱の1つ目に「ぜい弱性」を抱える消費者を支援する小柱を立て、意気込みを示しているところでございます。

5点目、ADRの関係でございます。消費者庁としてもスムーズに進めることは消費者行政としての課題でありまして、横串の議論も必要でございます。実際には法務省、それから、内閣官房でもこの横串の議論は進んでおり、そこに消費者庁も参画していますので、引き続きしっかりウオッチしていきたいと思っております。

6点目、コロナその他災害対策の関係で、危機対応を消費者行政としても考えなければいけないのではないかという点についてでございます。何ができるのかというのはまだ整理ができていないところではございますので、御意見を受け止めて、しっかり検討してまいります。

7点目、消費者教育の法教育なのですが、これはそれぞれの施策の固有名詞として確立しているところがございまして、なかなか変えづらいところがあるのかなと思っております。一方で、消費者被害を防止する観点から、いわゆる契約の在り方ですとか家計の仕組みについては基礎的なリテラシーとして非常に重要で、法教育あるいは金融教育と密接に関係するため、既に連携して対応をしております。引き続き関係省庁とはしっかり連携して取組を進めていきたいと思っております。

8点目は団体とのネットワークづくりでございます。情報発信にとどまらず、ネットワークづくり、体制づくりについては、依存症の団体のほかにも事業者団体との枠組みづくりについて取り掛かり始めたところでございます。何か成果がありましたら、また機会をいただいて御説明をさせていただきたいと思っております。

9点目、体制整備、特に国の連絡会議の関係でございます。ここでKPIとして書いているのは全府省が参加するものでありまして、意識合わせをするために最低年1回はやっているものでございます。先ほどサブリースで国交省、金融庁の話などを申し上げましたけれども、多様な連絡会議の枠組みがございますので、そこは案件に応じて柔軟に枠組みを作って対応しているところでございます。

10点目、国センと消費生活センターとの連携でございます。比較的よく連携はされていると思っております。その他、私どもの関係部署も入れて3者間で情報交換をする場なども非公式に持っております。そういう意味で、認識のギャップはそれほどないかなとは思っておりますが、どちらかというと、現場の要望に私どもが十分応えられているかという問題があろうかと思いますので、現場のニーズをしっかり踏まえて対応していく必要があると考えております。

相談支援体制について、もう少し多様なアクセス手法などもあった方がいいのではないかという御指摘をいただきました。いわゆるホームページのユニバーサルデザイン化ですとか、相談業務そのものの障害者対応、それから、今後はSNSを活用した消費生活相談、あるいは現在のPIO-NETにつきましても、次期更改の際にチャットボットを導入するなど2020年度から新しいシステムを考えております。従来の相談の体制では拾えなかったような方々へのアクセスというのも今後は充実させていく予定でございます。

地方支援で、5年後、これで大丈夫なのかという御指摘をいただいていたかと思います。この強化作戦につきましては、これは消費者庁が定めるものでございます。そういう意味では、かなり柔軟に中身も変更することができますので、御指摘をいただいたように、状況を踏まえて逐次見直しをしていくことになろうかと思います。

その次でございます。地方六団体も含めて、ブロック単位の情報共有の在り方についても少し考えるべきではないかという御指摘をいただきました。個別に自治体の首長のところに消費者庁の幹部が回りまして情報交換をする、いわゆるキャラバン活動を現在取り組んでいるところではございます。自治体レベルでの消費者行政はどうしても福祉部局、産業部局、総務部局といったように、環境部局も含めて、部署がかなり異なるところがございます。そのため、いわゆる消費者行政を担当している部局に来てもらう方が効率的だという理由で現在、消費者行政の部局を招いての枠組みを作っているわけですが、先ほど申し上げたキャラバン活動のような首長とトップ同士でしっかり情報を伝えていく取組を通して自治体との情報共有を更に強化していきたいと思っております。

また、法執行の関係で、経験や知識の問題で対応に差があるというお話があったかと思います。東京など一部の都市部においては法執行について知見もノウハウも持ち合わせているような自治体がある一方で、地方では実際に執行を行うのは厳しいという自治体もございます。そのため、最近はそういう自治体を中心に研修などを強化しており、今後、自治体レベルでの法執行の実績アップにつながればと思っております。

相談窓口の連携が要請だけでは進まないのではないかという点について、これも御指摘のとおりでございます。10万円の特別定額給付金については、総務省、警察庁と積極的に連携をしまして相談窓口を一覧で示す取組をしているところでございます。また、ギャンブル依存症の関係では、消費生活相談員にマニュアルを配りまして、地方ごとに地元自治体の窓口を紹介するといった取組もしておりまして、御指摘をいただいたような取組を今後しっかり進めていきたいと思います。

続きまして、大石委員のコメントでございます。前回申し上げましたが、担当省庁につきましては、例えば脱炭素について、国民運動ということで、関係省庁が全部入ってくるという項目もございます。私どもとしては担当省庁をしっかり決めておくことで、より真摯に取り組んでいただけるため、担当省庁をできるだけ絞った形で明記をしたいと考えていることについては御理解をいただきたいと思います。

2点目、SDGsの関係で、目標はできるだけ入れるよう、御指摘を踏まえて対応していきたいと思います。政府の施策とSDGsの結び付きというのは、外務省を中心にSDGsの実行戦略というものを作っているのですが、そこに登録されている項目が、政府としてはどの施策がSDGsの何番に結び付いているのかの基準になります。そういう意味で、私どももそれに準拠しながら今回の工程表に盛り込まれている施策についてひもづけしていきたいと思っています。

前回、生駒委員から、消費者教育はいろいろな施策にリンクしているのでそこは工夫すべきではないかと御指摘をいただきましたが、これは例えば消費者教育に再掲をするなど、少し工夫をさせていただきたいと思います。

続きまして、片山代理から消費者志向経営の関係での御指摘をいただきました。可視化をすることが推進に当たって重要であり、そもそもそこのKPIがきちんと定まっていないのは問題ではないかという御指摘であったかと思います。この点、担当も取組には工夫をしようと苦慮していますが、御指摘のあったことについては担当にもしっかりお伝えをしたいと思います。

協働の部分につきましては、計画本体でも申し上げましたが、同じ目標に消費者、事業者が向いて、価値観を共有して取り組むとことを協働と位置付けております。具体的な施策としては、食ロス以外になかなか新しい項目が出てこないということがございますので、施策を追加していく観点から、今後取組を強化していきたいと思っております。

最後に、清水委員から2点いただきました。まず、放射性と食品の関係の理解促進のためにQ&Aを5年前に作っており、この普及について、従来の取組以外に学校の教育現場にも情報提供をというお話をいただいております。この点についても問題意識を担当にしっかり伝えていきたいと思います。

46ページ、総務省の取組で、相談件数が高止まりしているのを注視しております。総務省側でもしっかり取組はしていると思うのですが、昨年来総務省が取り組んでいるスマホの問題については、有識者検討会の取組状況が報道されるにつれまして、相談件数が目に見えて減ったということがありました。そういう意味では、今年度、どういう数字が出てくるのかというのは個人的にも注目はしております。スマホ以外に、いわゆる光回線のトラブルについても若干減っているのではないかという感覚がございますので、今年度の数字を見ながら減少傾向が見られないようであれば、この辺りはしっかり総務省側にも問題提起をしていきたいと考えております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、本日、委員の皆様から御意見をいただいておりますので、そういったことを踏まえまして、消費者委員会としても意見案のたたき台をまとめたいと思います。既に基本計画案について1月30日に意見を発出しており、その際に工程表策定についても言及をしておりますので、その点につきましても、更に加えて消費者委員会として意見案のたたき台をまとめたいと思います。例えば事故情報の収集、注意喚起等の点、あるいは、今日は清水委員から相談件数が最近は減っているというお話がございましたけれども、身元保証等高齢者サポート事業に関する件につきましても意見を出しておりますので、消費者委員会として意見案のたたき台をまとめたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところを御説明いただき、どうもありがとうございました。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございました。

《3.その他》

○山本委員長 続きまして「その他」の事項でございますけれども、消費者委員会に寄せられた意見等の概況につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○金子参事官 それでは、事務局の金子より、参考資料1に基づきまして御報告をいたします。

今回の報告対象は、今年の1月1日から3月末までの計26件ということでございます。内訳を見ますと、取引・契約関係に関わるものが14件ということでございまして、冒頭のもの、販売預託商法に関しまして、法整備等の検討を求めるというものが類似のものを含めて6件ございます。

その2つ下、かんぽ生命の不適切な契約に関するもの、類似のものを含めて3件。

その2つ下、お試し・定期購入に関するようなものに対する対応の意見。

2ページ目に移ってもらって、冒頭のものですけれども、AIを活用した与信審査手法に関するもの。

その2つ下で、横断的な金融サービスの仲介制度の創設に関わるものが、趣旨の異なるものも含めて2件。

その1つ下で、LPガスの料金の透明化に関するものが含まれてございます。

3ページ目に移っていただきまして、消費者の安全関係のもの、これは医薬品の安全に関わるものですけれども、3件ございます。

その下で、個人情報の保護制度に関するものが1件。

4ページ目に移っていただきまして、公益通報者保護制度に関するものが4件。

その他の中で、消費者トラブルの防止に関するもの、基本計画に関するもの、著作権法改正に関するものが合計で4件ということでございます。

説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明につきまして、御意見等がある方はお願いいたします。いかがでしょうか。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

取引・契約関係の上から5行目、1月24日の京都消費者契約ネットワークの意見書、これについて、消費者庁の整理がされているのですが、打ち消し表示の部分は、いまだ非常に問題が多くて、新型コロナの相談に埋もれてはいますが、件数が減っているのはほかの相談が増えている関係だと思いますが、依然、問題意識があります。適格消費者団体だけの活動では根絶は無理かと思いますので、引き続き、注意喚起や実名公表が必要かと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

ほかはよろしいですか。

委員会に寄せられた意見書・要望書等につきましては、今後とも全委員で情報共有をするとともに、定期的に委員間で意見交換を行う機会を作っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。


《4.閉会》

○山本委員長 それでは、本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 次回の本会議でございますけれども、日程が決まったところで委員会のウェブサイト等でお知らせをいたします。

なお、本日、この後、連絡事項がございますので、委員の皆様におかれましては、事務局の準備が整うまで今しばらく端末の前で待機をお願いしたいと思います。

以上です。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをどうもありがとうございました。

(以上)