第318回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2020年3月27日(金)14:00~18:10

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    山本委員長、片山委員長代理、生駒委員、受田委員、大石委員、柄澤委員、木村委員、清水委員、新川委員、丸山委員
  • 【説明者】
    総務省総合通信基盤局電気通信事業部大村料金サービス課長
    総務省総合通信基盤局電気通信事業部梅村消費者行政第一課長
    消費者庁内藤消費者政策課長
    消費者庁澤野企画調整官
    消費者庁笹路取引対策課長
    警察庁生活安全局山口生活経済対策管理官
    消費者庁加納消費者制度課長
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 「モバイル市場の競争環境に関する研究会最終報告書」及び「電気通信サービスに係る消費者保護ルールに関する最近の取組」について
  3. 第4期消費者基本計画案について
  4. 「いわゆる「販売預託商法」に関する消費者問題についての建議」に係る実施状況について
  5. 公益通報者保護法の一部を改正する法律案について
  6. その他
  7. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○山本委員長 それでは、時間になりましたので、ただいまから「消費者委員会」第318回本会議を開催いたします。

本日は新型コロナウイルスの関係で御多忙のところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いをいたします。

○金子参事官 配付資料につきましては、議事次第に記載のとおりでございます。

もし、不足等ございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。


《2.「モバイル市場の競争環境に関する研究会最終報告書」及び「電気通信サービスに係る消費者保護ルールに関する最近の取組」について》

○山本委員長 それでは、本日の最初の議題です。「『モバイル市場の競争環境に関する研究会最終報告書』及び『電気通信サービスに係る消費者保護ルールに関する最近の取組』について」です。

本件につきましては、昨年4月の第295回委員会において、「モバイル市場の競争環境に関する研究会」及び「ICTサービス安心・安全研究会消費者保護ルールの検証に関するWG」の中間取りまとめについてヒアリングを行ったところです。

その後、総務省において取りまとめに向けて更に検討が進められるとともに、この間、昨年10月からは改正電気通信事業法も施行されました。

本日は、先般公表された、当該研究会、ワーキンググループ、それぞれの最終報告書の内容等につきまして、総務省より御説明をいただき、意見交換を行いたいと思います。

本日は総務省総合通信基盤局電気通信事業部大村料金サービス課長、梅村消費者行政第一課長にお越しいただいております。

お忙しいところをお越しいただきまして、ありがとうございます。

それでは、大変恐縮ですけれども、合わせて25分程度で御説明をお願いいたします。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部大村料金サービス課長 総務省の料金サービス課、大村と申します。

まず、私から2つの議題のうちの前半、「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の最終報告書の概要について御説明をさせていただきます。

資料1-1ですけれども、1ページから3ページまでに最終報告書及び研究会の概要を簡単にまとめさせていただいています。4ページ以降にそれぞれの提言に関する参考資料を載せさせていただいています。かなりモバイル市場の関係は多岐にわたる検討をしたこともありまして、幅広く議題が並んでおりますので、今日はかいつまんで、利用者保護関係に強く関係しそうなところについて御説明をさせていただきたいと思います。基本的には1ページから3ページまでで御説明をさせていただいて、若干行ったり来たりさせていただくことになると思いますが、後ろの資料に関係のところを随時触れさせていただくという形にさせていただきたいと思います。

まず、ちょっと飛んでいただいて、3ページを御覧ください。「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の構成ですけれども、座長が明治大学の名誉教授である新美先生であり、そのほかこういう構成員の方々に御参画いただきました。

議論の経緯、一昨年、2018年10月に第1回の研究会を開催し、1年半弱の間に24回ほど会合を開催いたしまして、今年の2月18日に最終報告書を取りまとめたという経緯になっております。途中御紹介いただきましたように、11回と書いてあるところですが、中間報告書をまとめておりまして、こちらについて御説明のお時間をいただいたということであります。また、6回のところですが、昨年の1月17日に緊急提言というものを出しておりまして、この緊急提言に基づきまして、先ほど御紹介いただいた電気通信事業法の改正を行ったという経緯になっているところであります。

1ページにお戻りください。今の緊急提言、中間報告書、最終取りまとめという経緯が上に枠で囲ってあるところですけれども、この検討に当たってどういうふうに行ってきたのかというのがその下です。まず、検討に当たって左下ですけれども、3つの基本的視点を設定いたしました。利用者ニーズに合ったサービス・端末の選択を確保すること。左下の、事業者間の公正な競争の促進によって利用者利益を確保していくということ。さらに、技術進歩の成果を利用者が享受できる環境を確保していくこと。この3つの視点を設定した上で、具体的には右側ですけれども、「『利用者料金等』に関する事項」と「『事業者間の競争条件』に関する事項」、この大きく2つに分けて検討を進めさせていただきました。

この検討の結果、取りまとめた最終報告書の概要が2ページであります。大きく分けて、左側が論点の大きな1つ目、利用者料金その他の提供条件に関する事項、右側が事業者間の競争条件に関する事項であります。本日は主として左側の利用者料金その他の提供条件に関する事項について御説明をさせていただきます。

まず、左側マル1、改正電気通信事業法の施行であります。この改正電気通信事業法ですけれども、ちょっと資料を飛んでいただきまして、7ページを御覧ください。モバイル市場の競争の促進、電気通信市場の環境の変化に対応した利用者利益の保護を図るために電気通信事業法を一部改正したもので、昨年5月に公布され、昨年10月から施行されているものです。大きく3つの改正事項がありまして、モバイル市場の競争の促進、代理店への届出制度の導入、事業者・代理店の勧誘の適正化です。このうちの左端、モバイル市場の競争の促進というのが、「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の主として関係するところであります。これは内容的には中間報告書の御説明のときにも御説明させていただいたものと思いますので、簡単にだけ触れさせていただきますと、事業者間の競争が不十分なことによって、通信料金、端末代金を一体化して利用者に分かりづらく不公平になっている。このような状況を改善するために、競争を促進するための基本的なルールの整備、すなわち通信料金と端末代金の完全分離、期間拘束などの行き過ぎた囲い込みを是正するための制度を整備したものということになります。

8ページが、これは細かいので説明はほぼ割愛させていただきますが、この法律の規定に基づきまして、具体的なルールというのは省令で定めております。通信料金と端末代金の分離として、例えばセット販売のときの端末の値引き上限を2万円にするなど、また、行き過ぎた囲い込みの禁止として右側ですけれども、期間拘束の期間の上限を2年にし、また、違約金の上限を1,000円とする等々というルールを定めたところであります。

お戻りいただきまして2ページですけれども、このような改正電気通信事業法のルールを定め、それを施行しているわけですが、提言としては、この新しいルールについて違反するような事案が出てきた場合に迅速かつ適切な措置を進めていく必要があるのではないかということで、こちらにつきましては、実際に初期の混乱というのがありまして、昨年10月に施行された後、やはりぽろぽろと間違ってしまって違反するような事案が出てきていまして、そういうものは適宜、私どもでいろいろな形でですけれども、口頭で指導したり、文書で指導したりということを行ってきているところであります。

また、新しい改正法のルールは10月1日以降に締結する契約から適用されるということにさせていただいています。しかしながら、マル1の2ポツですけれども、旧来の既往の契約を締結している方の中でも、新法に適合した契約に移ったほうが端的に言って得になるユーザーもいるということで、こういう方について移行を促していく必要があるのではないかということで、これは各事業者に移行を促すための取組を行っていただいています。こういう辺りの移行の促進、実際どういうふうに進んできているのかという状況を確認していく必要があるのではないかということは提言としていただいています。

マル1の3ポツ、代理店の手数料体系、これは販売代理店、キャリアのショップというのは、事業者さんとは別の主体が運営しているわけですけれども、そこに対して手数料を支払う形で運営されているのですけれども、この手数料体系によっては様々な問題が起きるのではないかということで、代理店のあるべき姿ということを考え、また、その中で手数料体系の見直しの必要性についても検討していく必要があるのではないかという提言をいただいています。

マル1の4ポツが残された課題ということになるのですけれども、今回の改正電気通信事業法では、モバイルの通信契約と端末のセット販売について規律を設けさせていただいたのですけれども、光などの固定通信サービスのセット販売なども、必ずしも問題がないわけではないのではないかということで、この辺りについても状況をきちんと注視して、必要な対応をしていくべきではないかという提言をいただいたところで、それがマル1の点です。

マル2が「行き過ぎた囲い込みの是正」です。これは改正電気通信事業法で講じた行き過ぎた囲い込みの是正のほかに、さらに、SIMロック解除、モバイル・ナンバー・ポータビリティーのウェブ手続の簡素化などなどを行っているところであります。

具体的には、SIMロック解除については15ページを御覧いただければと思います。これは改正法が施行された10月の後、SIMロック解除ガイドラインというものを改正しております。このSIMロックというのは、SIMカードというものがスマホには差されているのですけれども、このSIMカードというのは事業者ごとに異なるものなのですが、特定の事業者のSIMカードを装着した場合だけ当該端末が動作をするというようなSIMロックというものが今、行われていることが多いのですけれども、これは事業者を変更するときに解除してもらわないとほかの事業者で使えないということになってしまうということで、不当な囲い込みにつながるものではないかという観点から、SIMロック解除ガイドラインというものを総務省で作成して、その運用をしてきているのですが、このSIMロック解除ガイドラインについて、更に一段の規律を強化するための改正を昨年11月に行ったところです。

具体的には、下の絵にありますとおり、端末を一括で購入した場合、この場合は代金を全部支払っていますので、当初からSIMロックなしで販売しましょうということにしています。ここで手数料が従来店頭で3,000円かかっていたのですけれども、オンラインはただだったのですが、この店頭で3,000円というのを無料にすべきではないかということでガイドラインを改正しています。また、割賦で買う場合、こちらについては割賦の踏み倒しのリスクがあるということで、購入から100日についてはSIMロック解除ができないということになっていたのですけれども、これについて、踏み倒しのリスクがないような信用確認措置を行った場合には、100日までであってもSIMロック解除が受けられるようにすべきであるということで、SIMロック解除が受けられる場面を拡大し、また、当初購入時の店頭での手数料を無料にするという改正を行ったところです。これの全面適用がこの4月6日から行われることになっていますので、今、各事業者が準備をしているところであります。

モバイル・ナンバー・ポータビリティーにつきましては、こちらは事業者を移るときに電話番号をそのまま持っていけるようにしましょう、電話番号を変わらずに移れるようにしましょうという手続なのですけれども、この手続について、なかなかウェブで手続しようとしてもすごく分かりづらいところにある。また、時間も掛かるみたいなことがありまして、この辺りの改善を今後図っていく必要があるのではないかということで、提言としては、現状をきちんと把握して、これから検討を進めていくべきということで課題をいただいているところであります。

マル3が「端末市場の活性化」です。こちらは通信料金と端末代金が分離されていくことによって、通信市場では通信市場の中での競争が進み、端末市場ではその市場の中での競争が進んでいくということが期待をされているところであります。

この端末側なのですけれども、今まではある程度高い端末がゼロ円ではないですけれども安く購入できていた、実際は、そのように見えていたということなのですけれども、この状況がだんだん変わっていくのではないか。実際、ユーザーが自らのニーズに即して、それにマッチした端末を選んでいくようになるのではないか。すなわち、ここに書いていますように、中低価格帯あるいは中古端末の流通が拡大していくのではないかということを考えております。

こちらについては、実際、11ページを御覧いただければと思うのですが、これもぱっとだけ御覧いただければなのですけれども、2018年下半期と2019年下半期、1年間、間を置いて見たものなのですけれども、各事業者が発売した端末の価格帯を並べたものです。傾向として、例えばドコモを御覧いただきますと、2018年の下半期、左端ですけれども、こちらは比較的高い端末が多く、また、価格帯のバリエーションもそれほど多くなかったのですけれども、2019年下半期になりますと、価格帯が大分ばらけてきており、しかも2万円以下、3万円以下という端末も出てきているということで、ユーザーの選択の幅が広がってきているというのが見てとれようかと思います。古端末というよりは新品が好きなのか、なかなか国内の中古市場が育っていません。これはニーズがあるのかないのか、鶏と卵というところもあるのかなと考えています。すなわち、中古端末を安心して取引できるのだろうかというような懸念がユーザーの方にあるのではないかということで、この辺りを払拭していくための取組が求められているのではないかと考えています。

具体的には18ページですけれども、こちらはRMJ、リユースモバイルジャパンという民間の団体が、ユーザーの方々が安心して中古端末の売買をできるようにするための自主的なガイドラインというものを作成しております。左側、リユースモバイルガイドラインです。初版を昨年3月に公表し、中古端末の外装についての格付基準、また、端末内の利用者情報をちゃんと消しますというような利用者情報の消去についての取決めをしています。また、左下、昨年11月にバッテリー状態の確認などについての改訂を行っています。

右側ですけれども、そのガイドラインに準拠して業務を行っているかどうかについての認証制度というものを創設して、開始をしようとしています。こちらの取組、2ページでは認証制度を今年の2月から開始予定と書いているのですけれども、若干遅れていまして、4月から開始をする予定に今なっているということであります。

また、マル3の3ポツのMVNO・個人間取引を含む中古端末の流通促進方策の検討ですけれども、こちらについては17ページを御覧いただければと思います。中古端末ですけれども、我が国で流通している中古端末、一番上、MNO3社、ドコモ、KDDI、ソフトバンクが下取りをしている端末が圧倒的に多くて640万台。また、リサイクルに回される端末531万台。一方で、先ほど御覧いただいた18ページの中古端末取扱い事業者、RMJなどが取り扱っているものは200万台弱。これぐらいのことになっているのですけれども、一番下のC2Cプラットフォーム、ちょっと具体的な名前を出すのはよろしくないと思いますので、個人間取引を仲介するようなサイトですけれども、こちらでもかなりの量を取り扱われているということがあります。一方で、個人間の取引ですので、ちゃんと電話帳の情報を消したのかとか、そういう辺りについて事業者さんが扱うより更に懸念があるのではないかということで、プラットフォームの方々において、取引をする利用者に対して注意喚起をしていただくというような取組が考えられるのではないかという形で提言をいただいていまして、こちらについては今、プラットフォーム事業者に投げ掛けをしているという状態であります。

2ページにお戻りいただきまして、以上、マル1、マル2、マル3と左側を御説明させていただきましたが、マル4、「通信料金と端末代金の総額表示」、マル5、「広告表示の適正化」、こちらにつきましては、次の消費者保護ルールの検討で中心的に行っていますので、説明を割愛させていただきます。

左側、最後にマル6ですけれども、改正法施行後の状況の評価・検証ということで、こちらにつきましては、一番下に書いてありますように、総務省、私どもで市場検証会議という会議を行っています。市場の状況を正にチェックしていこうという会議なのですけれども、これは改正法施行後の市場の評価・検証を行っていきましょうということですので、そちらの場がより適切なのではないかということで、この市場検証会議に場を移して、改正法施行前後の改善状況の評価検証を行っていきたいと考えているところであります。

これに当たりましては、24ページを御覧ください。初めて行うものなので、やり方は今検討しているところですが、左側、書いてあるような定量的なデータでしたり、あるいは個別に調査を行うこと、更に利用者にアンケート調査をし、関係事業者にヒアリングをする、そのような多角的なソースに基づいて、右側にありますように、施行前、施行後の関連の市場の状況について評価検証を行っていきたいと考えているところであります。

2ページにお戻りください。こちらは触れるだけ触れさせていただきますが、事業者間の競争条件についても提言をいただいていまして、これはモバイルの市場、基地局等を設置して、サービス提供しているMNOと言われるドコモ、KDDI、ソフトバンクのような事業者と、そこから回線を借りてサービスを提供しているIIJさんですとかオプテージさんのようなMVNOという事業者がおります。このMNOとMVNOの間での回線の貸し借りの接続料についての定め方のルール、ここが議論になっています。大きく言って、5G導入当初、また本格的な5G時代になったときにそれらをどうしていくのか。また、eSIMがこれから普及していくとなったときに、MNOだけではなくてMVNOも類似のサービスを迅速に提供できるようにすべきではないか。そういう辺りの議論がございまして、関係の提言をいただいているところでございます。

非常に駆け足でしたが、私からの説明は以上です。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部梅村消費者行政第一課長 続きまして、資料1-2をお願いいたします。総務省消費者行政第一課長、梅村でございます。よろしくお願いいたします。

タイトルにございますように、消費者保護ルールの検証に関するワーキンググループなどを踏まえた取組の紹介ということですが、まず1ページ目からは、「電気通信サービスに係る消費者保護ルールの現状等」につきまして、説明させていただきます。

2ページにございますように、これまで電気通信事業法における消費者保護ルールについては、数次の改定を行ってきたところでございます。まず、2003年度に事業者の自由な事業展開を可能とするため、料金等の事前規制を原則撤廃する一方で、消費者保護ルールを整備したということで、最初は「提供条件の説明義務」、「苦情等の処理義務」、「事業の休廃止に関する周知義務」が設けられております。

その後、2015年には、この料金プランやサービスの複雑化、不適切な勧誘活動の増加を背景といたしまして、また、苦情・相談の件数が大幅に増加したことを踏まえまして、事業法を改正しまして、消費者保護ルールを更に充実・強化したところでございます。

「説明義務の充実」、「契約書面の交付義務」、「初期契約解除制度」、「不実告知等の禁止」、「勧誘継続行為の禁止」、「代理店への指導等措置義務」、こういったものを設けたものでございます。

そして、2018年、「業務の休廃止に関する事前届出制度の導入・周知義務の強化」、また、後ほど詳しく説明いたしますが、2019年には「販売代理店の届出制度の導入」、「自己の名称等を告げずに勧誘する行為の禁止」、こういったものの規律を設けたところでございます。

3ページ、4ページにつきましては、説明は割愛させていただきます。

5ページでございますが、消費者保護ルール実施状況のモニタリングでございます。法執行を適切に実施し、制度の実効性を確保するために、総務省、関係者の間で実施状況について共有・評価する「モニタリング定期会合」というのを開催してございます。中ほどにございますように、現状把握としましては、苦情等の傾向分析、こちらは総務省に寄せられた苦情相談のほか、PIO-NETに登録された苦情相談についても併せて分析をしております。また、毎年度の定期調査といたしましては、店舗に対して覆面調査を行って、説明義務が果たされているか、こういったことなどを中心に行ってきております。あと、個別事案、消費者保護ルールに違反しているような事案が見受けられた場合は随時に調査をして、必要な行政指導などを行っているところでございます。

こういう現状把握を踏まえて、この定期会合におきましては、中ほどにありますように、改善すべき点や優良事例も含めて関係者間で共有・評価をいたしまして、事業者の自主的な取組の促進、そして、必要に応じた制度の見直しにつなげているところでございます。

6ページに参りまして、「『消費者保護ルールの検証に関するWG』を踏まえた取組」ということでございます。7ページに2018年10月から電気通信分野の競争ルールの包括検証の一環として、特に2015年改正法による消費者保護ルールの施行状況及び効果を検証するとともに、今後の消費者保護ルールの在り方について検討を行うために設けたものでございます。

構成員は、明治大学の新美名誉教授を主査といたしまして、以下のメンバーでございます。

議論の経緯でございますが、20回にわたり議論を行っておりまして、昨年12月に報告書を取りまとめたところでございます。

8ページが報告書の内容になっております。概要・経緯のところにございますように、昨年1月にモバイルの研究会との合同で緊急提言を取りまとめ、また、4月に中間報告を取りまとめて、これについては昨年紹介させていただいたところです。更に検討を深めて、12月に報告書を取りまとめたものでございます。構成といたしましては、まず、2015年消費者保護ルールの実施状況と評価ということで、こちらについては制度導入以降、苦情相談の減少あるいは初期契約解除の実施など、制度導入の一定の効果が認められる一方で、FTTHの電話勧誘あるいは携帯電話の店舗に起因する苦情が依然として高い水準にあるなど、更なる取組が必要だとされまして、それが大きく分けて2つございまして緊急提言、そして個別の論点としての提言がされております。

緊急提言につきましては、先ほども紹介がございました、シンプルで分かりやすい携帯電話に係る料金プランの実現、販売代理店の業務の適正性の確保といった内容でございまして、右にございますように電気通信事業法の改正、昨年度10月に施行しておりますが、そこにつなげたものでございます。

また、個別の論点につきましては、携帯電話契約の理解促進と負担軽減。不適切な代理店への事業者による指導の強化。保護の強化が必要な利用者への対応。2030年を見据えた消費者保護の在り方ということで、こちらについては今後の取り組むべき事項をまとめて、引き続きフォローアップをしていくこととしております。

それでは、上の電気通信事業法の改正に係る部分につきまして、次ページから御紹介させていただきます。

9ページでございまして、競争の促進、そして利用者の利益の保護を図ることを目的に、電気通信事業法の一部を改正いたしました。一番左は先ほど大村課長から紹介のあったものでして、右2つが消費者保護などに関わってくる部分でございます。まずマル1として「販売代理店への届出制度の導入」。マル2としまして「事業者・販売代理店の勧誘の適正化」ということでの規律でございます。

詳しくは10ページ以降でございます。

まず、販売代理店の届出制度でございますが、販売代理店の指導というのは一義的にはこの法律ができる前までは事業者に委ねられておりまして、行政の現状把握が不十分でございました。そこで、改正法によりまして、この販売代理店の業務の適正性を図るために、行政が販売代理店を直接把握するための制度を整備するというものでございまして、一定の通信サービス、具体的には携帯電話、FTTHサービス、ISPサービス、電話サービス等の一般向けのサービスの契約締結の媒介等の業務を行う販売代理店について、総務大臣に対する事前届出制度を導入したというものでございます。

11ページに参りまして、販売代理店の届出制度に関連する施策も同時に並行して行っております。今回施行から半年を迎えましたので、1つ目が、苦情・相談の原因となりました販売代理店の特定を容易とし、苦情・相談の円滑な処理等に資するため、令和2年4月1日から販売代理店が利用者に対する提供条件の説明に用いる書面に届出番号を記載する義務を課すことといたしました。電気通信事業者が販売代理店を使わずに提供条件の説明を行う場合にも、当該電気通信事業者の届出番号を説明書面に記載する義務が課されるものでございます。

(2)でございますが、(1)の開始に先立ちまして、今週3月24日に総務省のホームページにおきまして、届出を行いました販売代理店の名称、届出番号、届出年月日、法人番号を公表したところでございます。こちらは昨年10月から2月末までに届出が行われて、処理が完了した代理店の総数でございますが、2万4739件あったところでございます。

続きまして、12ページ、販売代理店の届出に関しまして、こういう届出番号などを周知することで、これは消費生活センターさん、国民生活センターさんなど、消費者団体にも周知しておりますが、苦情相談の際にこういった番号をお伝えいただくことで、苦情のひもづけがしやすくなる、そういったことなども期待しているものでございます。

12ページでございまして、「事業者・販売代理店の勧誘の適正化」でございます。こちらにつきましては、左側にございますように、利用者からの苦情相談は高い件数で推移しておりますけれども、既存の利用者保護規律で対応できない行為がございました。勧誘主体について誤解を与える勧誘、勧誘目的であることを明示しない勧誘。これは大手通信事業者からの電話だと思って契約したら別の事業者だったと、このような苦情・相談が多かったことに対して、右側にございますように、自己の氏名、名称または勧誘である旨を告げずに勧誘する行為を禁止するというものでございます。

続きまして、13ページでございます。先ほどの報告書の全体像の下の部分になります。個別の論点でございます。こちらは緊急提言のほかに、中長期的に取り組んでいくべき個別の論点を整理したものでございます。今後、消費者保護ワーキンググループ、こちらにつきましては少し名称などを変えて継続する予定としておりますので、そこで更に検討を深めてフォローアップをしていきたいと考えております。

内容につきましては、その下にございますように、大きく、「携帯電話契約の理解促進と負担軽減」、「不適切な代理店への事業者による指導の強化」、「保護の強化が必要な利用者への対応」、「2030年を見据えた消費者保護の在り方」と分かれてございます。

1つ目の「携帯電話契約の理解促進と負担軽減」につきましては、「携帯電話の料金プランの理解促進」ということで、主なものといたしましては、拘束期間、これは期間拘束、違約金などがあるようなサービスの場合の拘束期間全体における支払総額の目安の提示義務というのを消費者保護ガイドラインに規定して、10月から運用したところでございます。これによりまして、利用者の各社サービスの比較・検討などがしやすくなるというものでございます。

こちらにつきましては、既にドコモ、KDDIは総額の目安の提示を行っておりまして、また、ソフトバンクは拘束なしのプランになりましたので、これについてはこの提示義務がかからないということでございます。また、旧契約につきましては、それぞれ義務がかかりますので、ドコモにつきましては対応済み、その他の2社については今後実施していくということで取組を注視していくこととしております。

マル2の「手続時間の長さへの対応」でございます。こちらは来店予約の拡大ですとか待ち時間の有効活用。これは動画によって説明内容を事前確認しておいていただいて、説明の時間を適切に省略するというものでございますが、こういった取組。また、初期設定の専門スタッフを配置する。こういった取組が行われておりますので、こういったものを周知・共有していくこと。そして、携帯電話事業者が手続時間等の削減の効果を数値で提示することなどを求めているものでございます。

マル3でございますが、「広告表示の適正化」でございます。こちらは景表法に係る消費者庁の見解も踏まえまして、消費者の誤認を招くような店頭広告表示とならないように、携帯電話事業者の自主チェックを強化するとともに、事業者団体におきまして自主基準の改定を促したものでございます。実際に2月に自主基準が改定されたところでございます。

また、不適切な広告に関しては、総務省で通報窓口を設けまして、この寄せられた情報を踏まえて事業者と連携していくこととしてございます。

右側に参りまして、不適切な営業を行う販売代理店等への対策でございますが、こちらは先ほどの改正法によります販売代理店の届出制度の施行を踏まえました実態把握、業務の適切性の確保を進めていくというものでございます。

また、マル5、マル6、マル7でございますが、「高齢者のトラブルへの対応」ということで、業界団体作成の高齢者向けの対応マニュアル、説明ツールの活用の徹底ですとか、あるいはICT及び契約に係るリテラシー向上に向けた好事例の拡大、周知の徹底、また、マル6の「法人契約者のトラブルへの対応」につきましては、この消費者保護ルールが個人事業主や小規模法人に適用され得る旨を周知徹底しているところでございます。

また、「その他」としまして、成年年齢引下げに対応した消費者教育の推進、青少年フィルタリングの利用促進及びフォローアップ、また、在留外国人による携帯電話の契約、利用の円滑化、こういったところも提言をしております。

最後に、2030年を見据えました消費者保護ということで、IoTサービスの進展と消費者保護についても扱ってございます。今後、更なる進展が予想されるIoTサービスにつきましては、総務省において国内外の実態あるいは市場動向の調査研究を実施し、その成果等をもとに消費者保護ルールの適用の要否などを検討・分析していくこととしてございます。

14ページ以降がここに書かれたものの個票を付けてございます。こちらの説明は割愛させていただきます。

いずれにしましても、これらの論点も引き続きフォローアップして取り組んでいきたいと思います。

説明は以上でございます。

○山本委員長 それでは、ただいまの御説明の内容につきまして、御質問、御意見のある方はお願いいたします。いかがでしょうか。

それでは、丸山委員、お願いします。

○丸山委員 契約の適正化と競争の促進という両面に着目した検討を短期間に集中的に行っていただいたと思います。

資料1-1の8ページに関連して2点ほど確認させてください。

まず、MVNOの中の利用者の割合が0.7パーセントを超える者というのが規制の対象となるという枠組みが設定されているのですけれども、この部分を拝見したときに、一方では0.7パーセントを超えない部分で従来型の消費者問題が発生しないのかという点。他方では、0.7パーセントを超えないというインセンティブが働いてしまって、競争力が付かないような業者というのが残ってしまい、結局大手に吸収されないであろうかといった懸念がないのかという点が気になりました。

いずれにしましても、これも事後評価的にモニタリングなどで検証されていく対象となると思うのですけれども、そういった観点で見ていくことを考えていらっしゃるのかどうかというところが第1点の質問でございます。

第2点目は、教えていただければというところなのですけれども、今回、違約金の上限を制限という形で設定しております。恐らく政策的な判断をされたのであろうと思っているのですけれども、この額を考えたときに着目した点について、額の合理性というところに着目したのか、それとも顧客の乗り換えを妨げない程度の違約金みたいな、そちらに着目したのかという点です。この辺りは回答が可能であれば教えていただければと思いました。

以上でございます。

○山本委員長 若干まとめて御質問に対するお答えをいただこうかと思うのですけれども、ほかにいかがでしょうか。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 まず、モバイル市場ですけれども、2ページ、改正事業法の施行のところで、固定通信サービス等のセット販売等の動向を注視というところなのですが、これはお願いです。電気、ガス、ウォーターサーバー等のセット販売の問題は、消費生活センターの相談をしておりますが、まだなお多いですので、引き続き御検討をお願いしたいというのが1つでございます。

もう一つは、電気通信サービスの保護ルールですが、こちらは13ページ、「携帯電話契約の理解促進と負担軽減」ということのマル2ですが、「手続時間等の長さへの対応」ということで、こちらも消費生活センターで相談を受けていますと、携帯電話事業者の御努力により、以前より予約待ち時間の苦情が激減しております。ネットで事前に来店予約ができる事業者も増えましたし、ショップに行きますと、受付を専門にやるスタッフの配置がかなり多く設定されていまして、この部分の苦情は激減しております。

しかしながら、その後、実際に機種変更だとかの時間になりますと1時間、2時間、これは法律に基づいた説明ですので必要なのですけれども、高齢者にとっては長時間苦痛ということで、頭が真っ白になってしまってよく分からなかったという苦情がまだあります。大手携帯電話会社はいろいろな説明のツールの工夫はされていますが、引き続き説明のところ、高齢者に向けた、また障害者に向けた説明を分かりやすくしていただきたいというのが1つでございます。

もう一つは、マル6の法人契約者のトラブルへの対応です。こちらの消費者保護ルールが個人事業主や小規模法人に適用されるということがなかなか周知徹底されておりません。事業者相談は消費生活センターでは受けていないのですが、消費生活センターに相談していただいた場合には、個人事業主の方にもきちんと説明したり、また、地元の総合通信局にも聞いてみたらというような案内をしています。ここも引き続き強化が必要かと思われますので、お願いです。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、受田委員、お願いします。

○受田委員 電気通信サービスに係る消費者保護ルール、こちらの点について質問でございます。

高齢者のトラブルへの対応、要はぜい弱な消費者の典型として高齢者に対するトラブルをいかに低減していくか。これが課題であるということは言うまでもないと承知しております。

前回も多分、中間の時期にここの点は質問をさせていただいた記憶があるのですけれども、特に地域における高齢者のリテラシー向上のために、例えばデジタル活用支援員(仮称)、こういった方を活用していくというような検討が進められている。この点について、総務省の有識者会議ではどういう検討がその後進んでいるのか。

それから、もう一点、高齢者のリテラシー向上ということで、国、事業者、地域の連携を推進していくことが適当である。それは言うまでもないのですけれども、実際にステークホルダーとして高齢者に対するリテラシーを向上するのみならず、一般的にこういった地域における高齢者にとっての電気通信サービスあるいはモバイルを活用した生活の支援というのは、今後の地域における生活の支えになっていくということが考えられるわけです。

例えば、健康福祉の面において、独居高齢者の方々の情報をいかに迅速に得ていくかというようなことは極めて重要であるということなのですけれども、そういう点で考えていったときに、国、事業者、地域の連携、もっとステークホルダーとして広く考えていく必要があるのではないかと思うのですけれども、この事業者というのは一体どういう範囲を想定しているのか。あるいは地域というのは、例えば一般的には行政という意味合いで取ることもあるのですけれども、具体的にどういうプレーヤーを考えているのか。この辺りの議論を少し伺えればと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お答えをいただけますでしょうか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部大村料金サービス課長 ありがとうございます。順次お答えをさせていただきます。

まず、資料1-1の8ページの関係で、上の枠の中の0.7パーセントのところです。そもそも何で0.7にしたのか。これは非常に半端な数次で分かりづらいのですが、考え方としては、利用者数がおおむね100万人以上、これを計算するとその時点で0.7パーセントであったということで、0.7パーセントという基準を設けたものであります。

御質問についてですけれども、ここに書いていますように、大手携帯電話事業者、MNOとその関係会社、関連会社、MNOの特定関係法人というのは全て対象にした上で、いわゆる独立系のMVNOについては大手のみ入れるということにしております。こちらについては、競争上の観点というのもかなりありまして、MNO、その関連会社、また大手MVNOがかなり市場で競争していますので、こちらの競争環境を整えるという観点で規律を加えようとしたものであります。

また、MVNOの小さいところと言うとあれですけれども、100万まで持っていないようなところについては、利用している方々はかなりリテラシー高くよく分かっている方々が多いのではないかというふうに考えていたところもあります。ただ、御指摘のように、それで本当に問題が起こらないのかというのは分かりませんので、この0.7パーセントの基準も含めて、市場の状況を今後きちんと検証していきたいと考えているところであります。

2番目に、8ページの右側の「行き過ぎた囲い込みの禁止」の2番目の1,000円のところですけれども、こちらは左側の2万円と同様に、この具体的な水準を定めるに当たってかなり議論がありました。私どもにとっては結構厳しい議論があったところなのですけれども、端的に言って、こういう数字を決めるに当たってどういう考え方なのかということを議論したのですけれども、先ほど御指摘いただいたように、積み上げで額が一意に決まるか、額の合理性があるのかというと、こちらについてはいろいろな考え方があり、いろいろな合理的な額があり得るところだと思っています。それがゆえに、これを定めるときにもかなり御議論いただいたのだと思っています。

私どもとしてはいろいろと御説明し、また、批判はされつつアンケート調査などもして決めたのですけれども、結論としては、額は決めなければいけない。その額については、一定の政策的な判断もあって決めるということは理解をすると。今回の場合にあっては、1,000円については乗換えを促進するように、スイッチングコストを下げるように。また、2万円にあっては、通信市場と端末市場の分離というのをより促進するようにという政策的な意図を持って、最後は若干議論があったよりは低めに定めるということをさせていただきました。

一方で、そういう決め方をしているので、その選択した基準に基づく市場の状況の変化、動向はきちんと注視をしなさいという提言をこれまた先ほどのモバイル研究会でいただきまして、結論として、先ほどの提言の6番目にあったとおり、評価検証をきちんと行っていくようにということで、これまた提言をいただいて、市場検証会議で継続的にチェックをしていきたいということを考えているものであります。

次に、2ページ目の左側のマル1の4つ目のポツの固定サービス等とのセット販売の動向注視のところで、電気、ガス、ウォーターサーバーという問題があることを御指摘いただきました。これは認識しておりまして、それだけではなくて、市場の中で言うと家族割の影響がどうなのかとか、ちょっと隣接市場で言うとコンテンツとのバンドルがどうなのかとか、あと決済手段、カードなどとのセットでの割引がどうなのか。様々なセットでの割引などがあることは認識していますので、こういうものの、当然企業努力で競争上行っていて問題ない範囲というのもあると思うのですけれども、それが市場に悪影響を与えるような状況になっていないのかというのは、それらセット販売全て並べた上で検討、検証をしていきたいと考えております。今後検討していきたいと思っています。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、お願いします。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部梅村消費者行政第一課長 まず、資料1-2の16ページ、手続時間の長さの関係でございます。御指摘いただきましたように、待ち時間については相当短縮しているところもあろうかと思います。また、手続は、おっしゃっていただきました問題は認識してございます。確かに手続時間というと、説明義務の法律に基づきました説明のほか、やはりサービスであったり端末の説明、プランの説明、あるいはシステムへのデータ投入ですとか初期設定とか様々なものがございますが、そういったところを総合的にどう見直していくか。特に説明のところにつきましては、先ほども待ち時間の有効活用という話も申し上げましたが、ネットでの予約時に説明の動画を御覧いただいておいて、省略が可能な方は省略いただく。そういった取組なども進めてきておりますので、今後も事業者と工夫して、高齢者が困らないような形になるように取り組んでいきたいと思います。

2つ目、法人の契約者の関係でございますが、御指摘のとおり、消費者保護ルール、法人などが通常、事業、職務の用に供するために契約を締結する場合というのは法人契約として適用除外になるのが原則でございますが、この契約主体が法人などの名義にあった場合でも、個人の家庭用としてサービスが用いられている場合というのは法人契約ではなく消費者保護ルールが適用されるということもございます。こういったところは、より周知をしっかり行っていくことが我々も必要だと思っておりますので、事業者を通じて消費者に周知するのみならず、先般全商連という中小の会社の団体などにも説明しておりますけれども、そういったところとも連携して、広く周知をしていきたいと思っております。

また、高齢者の関係でございますけれども、総務省で当方とは別の担当部局になりますが、デジタル活用支援員という取組を検討している部局がありますが、これについてはその後も検討が進んでいまして、この令和2年度につきましては、実証の事業として地域、団体と連携して、デジタル活用支援員の仕組みというものを実証していくこととしております。そういったものを踏まえて、どのように全国的な体制を作っていくのか、仕組みを作っていくのかというのを検討しているところでございます。

また、ここに触れられていました国、事業者、地域の連携を推進していくことは適当ということで、リテラシー向上の取組をということでございます。こちらの具体的な取組の一つは、今、安心協という団体がございまして、事業者ですとか有識者の方々、あとPTAにも関与していただいている団体がございますが、そういったところで高齢者リテラシーの実証事業なども進めています。そういったところの取組を支援していくことも念頭に置いておりますし、一方で、いろいろな地域でのお取組がありまして、総務省もできる範囲でそういったものに対して後援をしていくとか、そういったところでも応援していきたいと思っているところでございます。

リテラシーと言いますと、どうしても青少年のリテラシーの部分での重要性というのが認識されておりますけれども、高齢者の部分についてもしっかり配意して取り組んでいくようにしたいと思います。

○山本委員長 ありがとうございました。

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

資料1-1の中で御質問させていただきます。中古の端末の流通経路について17ページ、18ページに書いてあります、特に17ページの下のところに個人間の取引と書いてあり、先ほどお話があったと思います。

個人間で取引するとき、データが消去されているかなど個人情報の心配もありますけれども、その中古機種自体が本当に使えるものかどうかということについて気になります。買ってはみたけれども、結局、電池が古くなっていて、充電しても駄目で使えない、ということもあるかもしれないと考えますと、その下の18ページにあるリユースモバイルのガイドラインの中の、例えば改訂版に書いてあるバッテリー状態の確認などは重要かと考えます。特に最近の機種は高額のものが多いので、それが正常に取引できるためには、やはりこの辺りを認証制度なども利用して、きちんとやっていくことが重要ではないかと思った次第です。リユースが進めば、携帯に使われている金属資源の無駄もなくなりますし、資源も循環しやすくなるのではないかと思うのですけれども、これが今どのくらい進んでいるものなのか、是非進めていただきたいと思っておりますので、分かる範囲で教えていただきたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ほかにございますか。

それでは、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

電気通信サービスに関わる資料で13ページなのですけれども、2030年を見据えた消費者保護の在り方について少し御質問したいと思います。今やキャッシュレス、フィンテックなどが普及し、携帯が単なる通信機器という存在を超えて、お財布になってしまったり、リモコン代わりになったり、私たちからすると信じられないぐらいのスピードで多くの機能を備えてしまっています。と同時に個人情報を搭載する、ある意味本当にいまだかつてないメディアというか、プラットフォームというか、携帯が通信機器という枠を超えていく存在になりつつあるなと感じています。

このIoTサービスの進展によっていろいろ予測されるところの消費者保護について、今、これからいろいろ研究会などの立ち上げを検討中かなと思うのですけれども、そういった展望についてお伺いできればと思います。

○山本委員長 ほかによろしいでしょうか。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 私は委員として参画していた部分もあるので、こうしてまとめていただいて大変感慨深いものがあります。とは言うものの、やはり御説明にあったとおり、積み残した課題も多いと思います。5Gの提供が始まったりですとか、6Gの検討もされているということで、今後様々なものが通信につながっていくということから、新たな課題もいろいろ出てくると思いますので、引き続き安全・安心に通信を利用できるようにしていただきたいと思うのですが、1点質問なのですけれども、資料1-1の2ページの一番下に「施行後の状況の評価・検証」というところで、市場検証会議の下で実施予定となるのですが、これの詳しい説明が24ページということで、もし決まっていれば、いつからどのような頻度で行うのかという検討の概要を教えていただければと思うのですが、よろしくお願いします。

○山本委員長 よろしいでしょうか。

それでは、お答えをお願いします。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部大村料金サービス課長 ありがとうございます。

まず、中古端末の関係、資料1-1の17ページ、18ページです。こちらの御指摘はなかなか難しいところありまして、正に課題でどうしようと、我々だけではなくて実際に事業者も言っているところなのです。まず、ちょっと細かい話に入ってしまうのですが、バッテリーの問題というのは非常に大きくて、これはバッテリーが使えるか、へたっているかへたっていないかを確認するというのはある程度できるのですけれども、その確認が本当に信じられるのかどうなのか。継続した段階では、例えば80パーセント大丈夫みたいな数字が出ていても、実際にはあっという間に減ってしまうみたいなことが起こらないではないという、そういう状態の中で、それでも一定の、OSの機能なんかで最近できますので、計測して表示をするということに取り組んでみようと言っているのが現状です。

そこから先にいくと、交換用のバッテリーの補給をどこまで受けられるのか。それによって交換していくということがどこまできるのか。昔と違って、スマホになると簡単にバッテリーを変えられないということがあるので、そういう辺りをどうしていくのかなどなど、かなりバッテリー回りというのは課題が残っているものと思っています。

そういう中でも、繰り返しですけれども、事業者が扱っているところについては、中古端末販売取扱事業者ができる範囲の取組をし、また、そういう取組をしている事業者であるということを消費者の方々に分かるような認証制度、マークと付けていこうということを行っているのですけれども、現状、4月から始めるということで、まだ取組が始まりつつあるところということであります。

一方で、C2Cの関係については、こちらはプラットフォームを提供している事業者さんがある程度、出品者ガイドラインみたいなものを作って注意喚起をし、また、事業者によってはエスクローみたいなサービスをすることによって、トラブルがあったときにお金を戻すようなことができるように。また、出品者側でもこういうことをきちんと表示するということで、トラブルを未然に防ごうみたいな取組を行っている。正確に言うと行い始めているところなのですけれども、こちらの取組についても更に改善すべきところがあるのかということをこれから考えていきたい。一緒に考えていきたいと総務省としては思っているということで、進捗度で言うと、正に始まりつつあるところですという状況かなと思っています。いろいろ御指摘いただきながら取り組んでいきたいと思っています。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部梅村消費者行政第一課長 IoTサービスのお尋ねについてでございます。資料1-2の22ページにございますように、左下にいろいろ例を書いてございます。事業者にヒアリングも行ったところ、例えばこの見守りカメラ、通信端末を搭載して撮影した映像をサーバー経由でスマホなどから視聴可能なサービスとか、あるいはペットロボットでペットの目にカメラがあって、その映像をサーバー経由でスマホから見られるとか、翻訳機のような機能。こういったものは、名前こそ翻訳機とかペットロボットですけれども、通信サービスが組み込まれている、こういったものがいろいろ出てくるということと認識しております。

消費者保護ワーキンググループでは、こういった例を見つつ、また、今までの消費者保護ルールというのがこれまでの携帯電話とか固定電話とか従来型の通信サービスを念頭に置いて課されているものなので、そのまま適用することはそぐわない場合なども想定されるだろうと。あるいは上乗せが必要なものもあるだろうということで、そのためにはまずIoTサービスの実態ですとか市場の動向、これは海外の状況も踏まえてまず調査すべきだろうという結論をいただいています。今年度そういった調査研究をして、その結果に基づき、IoTサービスの内容、形態に着目した分類を行い、それを踏まえて、ルールの適用の要否なども検討していきたいと考えているところでございます。

以上です。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部大村料金サービス課長 最後に、資料1-1の2ページの左側一番下にある「施行後の状況の評価・検証」、市場検証会議の下で実施予定、こちらについて準備状況はどうなのだということでありますけれども、現状においては、まだ開催の開始時期は決まっておりません。具体的には24ページで、こういうデータ等に基づいて評価・検証を行っていきますということを示させていただいているのですけれども、定量的なデータの中で契約数の状況ですとか、端末販売台数の状況ですとか、こういう数値というのは、データですので若干遅れて集計されてくるということがあります。今の段階で、大体10月から12月までの数字というのはまとまりつつあり、年明けの数字も何となく市場の状況が速報値では分かっているということなのですけれども、それらのデータがそろうのには大体2か月遅れとかでやってきますので、そういうものがある程度まとまった段階で開始したいと考えておりました。

大分数字が出てきつつあるところですので、早ければ4月にというか、4月には開催したいと思って準備を進めつつあるところなのですけれども、具体的に本当に4月に開けるのかというのは、様々な状況が、予期しない状況も発生してしまっているので、まだ決め切れていないということであります。

ただ、それほど遅くなく開始はしたいと考えておりますので、また開始が決まりましたら、きちんと公表していきたいと思っておりますので、お願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

昨年の4月にヒアリングを行いまして、それ以後、ワーキンググループ、研究会ともに非常に精力的に御検討いただいたということがよく分かりました。消費者委員会の場でも、それ以前からしばしばヒアリングを行い、また、それ以前からずっと取り組んでいただいていると認識をしております。従来から契約の内容の問題、すなわちセットとかパッケージとかバンドリングの在り方の問題、料金体系の問題。他方で広告・説明の問題、とりわけ代理店における問題についても継続的に取り組んでいただいているのですけれども、今日御指摘がございましたし、既にお話しいただいたのですけれども、依然としていろいろな問題が残されており、また、新たな問題としてIoTサービスへの対応、あるいは、中古端末はそれほど新しい問題なのか分かりませんけれども、今後更に取り組んでいかなくてはいけない問題が生じているということかと思います。

今後もこの報告書に基づいて取組を進めていただきたいと思いますし、また、関係の事業者等においても取組を進めていただきたいと思います。消費者委員会としても、そういった取組の状況について、これからも随時御説明をいただき、また意見交換をしていくことができればと考えております。

総務省におかれましては、大変お忙しいところをありがとうございました。

どうぞ。

○清水委員 時間がないところ、もう1点だけお願いします。資料1-2の12ページなのですけれども、改正法の措置で勧誘であることを告げないとか、自己の氏名を告げないというところを強化していただいて有り難いのですが、まだ施行され半年ですが、現場では代理店の名前や代理店の担当者の名前は徹底されて告げていますが、問題の電気通信事業者の名前が分からない。問い合わせをしたくてもどこに電話をしたら良いか分からないという相談は依然多いです。また、契約中の大手電話会社のサービスが安くなるという勧誘トークで、販売目的を告げていないというのも多いので、引き続き注視していただきたいのと、あと、代理店が法律違反をした場合の業務改善命令というのも是非強化をお願いします。時間がないところをすみません。

○山本委員長 それでは、その点はどうかよろしくお願いいたします。

それでは、本日はありがとうございました。

(総務省総合通信基盤局電気通信事業部大村料金サービス課長、
総務省総合通信基盤局電気通信事業部梅村消費者行政第一課長退室)

(消費者庁内藤消費者政策課長、消費者庁澤野企画調整官入室)


《3.第4期消費者基本計画案について》

○山本委員長 次の議題ですけれども、第4期消費者基本計画案についてです。

消費者基本法におきましては、消費者基本計画の検証・評価・監視につきまして、検討結果の取りまとめを行おうとする際には、消費者委員会の意見を聞かなければならないと規定されております。

次期消費者基本計画につきましては、平成30年9月に発出をした次期消費者基本計画策定に向けた「基本的な考え方についての意見」を始めといたしまして、次期計画策定に向けての課題、留意すべき視点について累次委員会として指摘をし、消費者庁から随時検討状況についてヒアリングを重ねてまいりました。

また、昨年12月から個別施策についてもヒアリングを行うとともに、12月25日の消費者委員会本会議におきまして、次期計画案について消費者庁からヒアリングを行い、本年1月の第315回委員会におきまして、「次期消費者基本計画案(令和元年12月)及び工程表策定に向けての意見」を発出したところです。

その後、消費者庁及び関係省庁におきましては、昨年12月から本年1月にかけて行ったパブリックコメントの結果も含めて計画案の修正作業を行い、このたび次期計画の原案を取りまとめたと聞いております。なお、本案につきましては、本日3月27日付の文書で、内閣総理大臣から当委員会に対して意見が求められております。

以上が今までの経緯でございますけれども、本日は、次期消費者基本計画の原案の内容につきまして、素案段階からの変更点を中心に御説明いただき、次期計画の原案に対する答申を取りまとめることとしたいと思います。

本日は消費者庁内藤消費者政策課長、澤野企画調整官にお越しいただいております。お忙しいところ御出席いただきましてどうもありがとうございます。

それでは、大変恐縮ですけれども、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者庁の消費者政策課長でございます。よろしくお願いいたします。

今日は消費者基本計画の原案を御説明に参りました。山本委員長からお話がございましたとおり、昨年12月25日の本会議で素案について御説明をさせていただきまして、パブコメを1月23日まで実施していたところでございます。その結果につきましては、資料2-6に一覧表を付けてございますが、84の個人・団体から延べで519件の御意見をいただきました。

その後、消費者委員会からの意見書を1月30日にいただいております。これにつきましては、資料2-8に19項目に、これは私どもで整理をさせていただいてございます。後ほど紹介申し上げます。

その後、非公開で委員間打合せを2回ほど意見交換させていただいておりまして、そうしたこと等々を踏まえて修正いたしましたのが、お手元にございます資料2-4、こちらが溶け込み版になっているところでございます。

それから、資料2-5がパブコメ版からの修正箇所を見え消しにしたものでございます。

念のため、もう一度消費者基本計画の概要について御説明したいと思います。資料2-2の1枚紙がございます。こちらをお手元に御用意いただければと思います。

全体5章構成になっておりまして、第1章が前書き、前文でございます。2章が現状認識でございまして、大きく2つ、ぜい弱な消費者の増加などといった消費者の多様化の話、それから、2.といたしまして社会情勢の変化を現状認識として記述してございます。

3章が、4期に当たっての基本方針でございます。1.で目指すべき社会の姿等に触れた後、2.のところでございますが、今後5年間の政策の基本的方向といたしまして5本柱で記載してございます。(1)消費者被害の防止、(2)消費者の自立と事業者の自主的取組の加速、(3)といたしまして協働、これは事業者と消費者が協働することによる豊かな社会の実現。(4)がデジタル化・国際化に伴う新しい課題への対応。最後が災害・感染症拡大などの緊急時対応という形になっております。

5章が各論でございます。いわゆる年次計画として今後工程表を定めるわけでございますけれども、その主要施策の頭出しを第5章でさせていただいておりますが、その前に一番下、第4章でございますけれども、行政基盤、行政インフラの整備をする必要があるであろうということで、情報、人材、財政、法令といった行政インフラの整備の必要性に触れているということでございます。

以上が今回の消費者基本計画の構成になってございまして、主な修正箇所については、見え消し版でございます資料2-5と、消費者委員会からの意見書を踏まえた修正の話もさせていただこうと思いますので資料2-8、この2つをお手元に御用意いただきたく存じます。よろしいでしょうか。

2-8では全部で19項目いただいております。恐縮ですが少しはしょって御説明申し上げますけれども、1つ目、ナンバー1、2と振ってございますけれども、こちらについては2-5の3ページをお開きいただければと思います。意見書の2については2行目、最初の項目につきましては16行目の辺りに消費者委員会のこれまでの歩みについて触れているところでございます。

それから、2-8の3つ目、「消費者のぜい弱化に関する意見」と中分類で書いてございますけれども、消費者が全体的にぜい弱化しているように取られかねないという懸念が前回示されたところでございますが、資料2-8の5ページでございますけれども、ぜい弱な消費者の増加など、消費者の多様化という言い方に変えているところでございます。

それから、2-8の4つ目でSDGsの関係について御意見を頂戴いたしました。こちらにつきましては、2-5の9ページ目に触れてございます。18行目で「誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会」と書いてございますけれども、「SDGsの目標達成のためには全ての関係者が役割を果たすことが重要であり、例えば」と、ポイントは「例えば」というところでございまして、以前の書きぶりですと、消費者政策はSDGsの12番目しかやらないように取られかねないところがございましたので、ここで「例えば」という形で入れた上で、37行目で、「消費者政策を推進するに当たってもSDGsの目指す理念を踏まえることが重要」といった形の修正を加えてございます。

それから、2-8の5つ目、消費者事故の防止の関係で、意見をいただいております。こちらは2-5の25ページの3行目、「事故の原因究明と再発防止」というマル3の項目のところでございますが、「被害者及びその家族又は遺族の心情に十分配慮しつつ、的確かつ迅速に調査を行い、効果的な周知の方法について随時検討を行う」というような形で追記をしてございます。

意見書の一覧に戻っていただきまして、食の安全の関係でございます。6つ目については、見え消し版の25ページ、下のところ、トレーサビリティについて記述を追記してございます。

意見項目の7と8、被害者救済の関係で2つ御意見を頂戴しております。こちらは見え消し版の32ページの(4)から33ページの1行目の辺り。必要に応じて制度の見直しの検討を進めるとの記述を追記してございます。

それから、意見書の9つ目の項目、消費者教育について御意見をいただきました。見え消し版の39ページで、地域における消費者教育の推進の話を10行目において書かせていただいております。

2-8の2ページ目にお進みいただきまして、意見項目の10、消費者志向経営について御意見をいただいております。見え消し版の34ページにお進みいただきまして、消費者志向経営の自主宣言後のフォローアップの関係につきまして、33行目から記載を追記しているところでございます。

それから、意見としては11個目、協働の関係でございます。連携、協働の取組について、具体的に記載されたいという御意見を頂戴いたしました。これについては、連携・協働の意味の使い分けがうまくできていないところがございました。御指摘を踏まえまして、例えば見え消し版を御覧いただければと思いますけれども、10ページの4行目、マル3の後ですけれども、「消費者と事業者とが共通の目標の実現に向けて協力して取り組むこと」、協働。ここでしっかり協働というものの意味を明確化しまして、連携という言葉と協働という言葉の使い分けを図っているところでございます。

12番目、個人情報の保護の関係でございます。見え消し版の36ページの24行目に、利用者を含む関係者の意見を適切に把握しというような形で記述を追記してございます。

13番目の意見でございますけれども、情報基盤の整備というところで、PIOの整備、運用を誰がやるのかがよく分からないとの御意見をいただいておりました。これにつきましては、見え消し版の19ページの14行目から(1)情報という記述がございますけれども、ここに主語が、国なのか、国民生活センターであるのかを明記しております。

14番目が見守りネットワークの関係でございまして、見守りネットワークにおける消費者団体の役割の話を記述すべしという御意見をいただきました。こちらについては見え消し版、17ページの9行目に記述を追記しているところでございます。

15番目の御意見、これは地方における基盤の強化ということで御意見をいただいてございますが、こちらについては、見え消し版の21ページ、8行目から財政というところがございますが、9行目、10行目辺りに地方における行政の基盤強化の必要性を追記してございます。

2-8はそのまま次の3ページ目にお進みいただければと思います。16番目が専門人材の確保ということで、専門人材のプレゼンスの向上といったようなことで御意見をいただいております。見え消し版の20ページの10行目に「消費生活相談員の処遇改善、社会的プレゼンスの向上を図る」といった記述を追記しております。

2-8の17番目、消費者庁の司令塔機能の発揮という励ましの御意見をいただいてございます。こちらにつきましては、見え消し版の21ページ、24行目以降に法令の話を書いてございますが、その下に消費者庁の司令機能ということで、すき間事案への対応といった記述を追記しております。

2-8の18番目はコミュニティーの形成における公助の必要性についての御意見をいただきました。見え消し版の13ページをお開きいただければと思いますが、こちらの12行目に行政が公助として積極的な役割を果たすということを記載してございます。

最後、19番目でございますけれども、いわゆる普及啓発の強化というようなことで、基本的な方向性、目標について記載すべしという御意見をいただきました。

見え消し版の39ページの36行目辺りです。消費者庁としての取組戦略を明確にした上で啓発内容が分かりやすく届くように工夫するといったような記述、記載を追記しているところでございます。

意見書を踏まえた修正は以上でございますけれども、これ以外に主な修正箇所を紹介させていただこうと思います。

パブリックコメントで特に強い御意見をいただいていましたのが、およそ3つございます。まず、着実な法整備について御意見をいただいております。これは骨子案の段階で法整備の話を書いておったのですが、素案の段階で、その法整備という言葉がなくなったということを踏まえての御意見だと思います。

13ページをお開きください。こちらの18行目辺りからですけれども、厳格な法執行のマル1のタイトルの下でございますが、昨今の消費者を取り巻く状況を踏まえて厳格な法執行、それから、必要に応じた法整備等の制度整備ということで、「法整備」という言葉を明記しております。

2番目でございます。これもパブリックコメントで多数の御意見をいただいたのは預託商法の関係でございます。見え消し版の26ページの28行目から始まる文章で、特定商取引及び預託法について、法執行状況や有識者検討会の検討状況を踏まえ、預託商法への実効的な規制や新たな課題への対応も含め、実効的な対策を検討し、制度改正等の必要な措置を講ずると明記をしてございます。

3つ目でございますけれども、食の安全についても御意見をいただきました。こちらは29ページをお開きください。29ページの19行目から34行目辺りにかけて、アレルギーの話、ゲノム編集食品の話を追記しているということでございます。

パブリックコメント等、主な修正箇所については以上でございますけれども、先ほど2回にわたって委員間打合せで意見交換させていただいた話を申し上げましたが、この関係についても原則修正をさせていただいておりまして、その中で大きいものを1つ紹介させていただこうと思います。新型コロナウイルス感染症対策の関係でございます。

1回目の委員間打合せのときに問題点を御指摘いただきまして、それを踏まえつつ、3か所に分けて大幅に追記をしてございます。現在、消費生活相談が多数寄せられており、感染症対策自体が消費者問題だという認識のもとに今回追記しております。最初に見え消しの9ページ目をお開きください。ここは現状認識を記載した部分でございますが、そちらの9行目に新型コロナウイルス感染症の拡大の話を一段落分追記してございます。

それから、18ページまでお進みいただければと思います。ここは今後5年間の政策の基本的方向性の5本柱を書いている部分でございます。その5本目の柱として、災害・感染症拡大など緊急時対応という、委員間打合せで御指摘いただいた話をここにそのまま追記してございます。

それから、37ページでございます。37ページは5章、主要施策を記載している部分でございますが、こちらに(3)としまして、新型コロナウイルス感染症拡大・災害など緊急時対応ということで、個別施策の頭出しをしております。

以上3か所につきまして、新型コロナウイルス感染症対策などについて追記をしてございます。

もう一点申し上げます。今回の新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえ、先日、東京オリパラ競技大会の延期が発表されました。これにつきましては、現時点で状況がはっきりしていないところがございますので、どのように書くのか、表現を現在調整してございます。そこの部分については修正が入り得るということで、是非御理解賜りたいのですが、具体的な場所を申し上げますと見え消し7ページ目の4行目でございます。「また、2020年には2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が予定されていることから」と書いているところでございます。遅くとも2021年夏までにというようなことが今、言われているところでございまして、この辺りの表現は少し考えさせていただきたいと思っております。併せて、食ロスの取組について記載したところで、28ページの22行目でございます。「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」と、先ほど7ページにも同じ言葉が出てきておりますけれども、仮に21年にやる場合の名称がどうなるのかといった辺りは完全には整理ができていないと思いますので、この辺り、場合によっては修正が入り得るということで、大変恐縮ですが、御了承いただければと考えております。

時間を大変オーバーして恐縮ですが、説明は以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

最後の点は、このような緊急事態であり、また、将来の見通しが不確実な状況でありますので、今御説明いただいたような対応にならざるを得ないと思いますけれども、それでは御意見をいただきたいと思います。御質問、御意見のある方はお願いいたします。いかがでしょうか。

それでは、受田委員、お願いします。

○受田委員 御説明ありがとうございました。

これまで前期、第5次の消費者委員会においても十分議論をさせていただいて出された意見から、この最後の段階までパブリックコメントに至る様々な御意見をしっかりと受け止めていただいて、ここに至ったことにまず敬意を表したいと思います。

実際に食品関係では、最後のところで29ページにアレルギーやゲノム編集食品について、特に消費者側からの強い希望が反映されている形だと認識をしております。今後、工程表において具体的に、例えばゲノム編集食品の表示等について、これを実際にここの表現で見直すという言葉があるのですけれども、どのような見直しをしていくのか。消費者の求める方向へ見直しが図られるのかどうか、この辺りをまたしっかりと検討していただきたいという思いでございます。

1点だけ確認なのですけれども、先ほど説明の中で、見え消し版の9ページにおいて、SDGsの中で特に12番目の「つくる責任 つかう責任」、ここに関して改定がなされているというお話がありました。実際に今回、この12番目の「つくる責任 つかう責任」が食品の関係で具体的に表現されている箇所が34ページ、(3)の例えば20行目から28行目のところに事例として表現されていると考えています。特にここでは水産エコラベル、一般的にはMSCとかMEL(メル)というようなものをイメージしていることだと思うのですけれども、水産物に関して「つかう責任」、つまり認証をしっかり理解し、つくる側へフィードバックしていこう。12番のコンセプトをここに打ち込んでいるということかと思っています。

こういう具体的な水産エコラベルの話が出てきた上で、28行目に推進等を図ると書いてあるのですね。この推進等というのは、水産エコラベルに限定をされているのか、例えばこの「等」というものが包含してる内容としては、水産のみならずGAPのような農産物に関しても話が及んでいるようにも想像するのですけれども、ここの「等」というのが何を具体的に意味しているのか、その点について質問させていただきたいと思います。

○山本委員長 少しまとめてお答えいただくということでよろしいでしょうか。

ほかに御意見あるいは御質問ございますでしょうか。

それでは、お願いします。

○片山委員長代理 御説明ありがとうございました。

35ページのところで、事業活動におけるコンプライアンス構造ということで、今回の公益通報者保護法の一部改正法案のお話を追記していただいています。16行目から17行目のところで、同法案が成立した場合にあっては、その円滑な施行に向けて通報体制整備に関する指針の策定等に取り組むという表記になっているのですが、この公益通報の改正を現場で浸透させるためには、単に円滑な施行というだけではなくて、この公益通報者保護法の理念がきちんと従業員の皆さんにも浸透して、各職場で安心して通報が促進されていくよう、実際の公益通報体制の見える化がしっかりとなされることが大事だと思うのです。

どうもこの表現だと、通報窓口を作ったりという体制整備だけで終わるような書きぶりになってしまっているので、もう少し表現を、現場での浸透に向けた施策に取り組むというふうにしていただくよう希望します。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

お願いします。

○片山委員長代理 あともう一点、37ページの新型コロナウイルスのところで、33行目ぐらいのところからですが、この主語がよく分かりません。不確かな情報の発信、拡散の抑制等に向けた消費者への普及啓発等の必要な対応を進めると書かれているのは、発信者はこれは不確かな情報の発信拡散をするのは消費者だというふうに読むのでしょうかというのがまず1つ。

それから、確かに消費者がSNSを通したりして不確かな情報を発信しているというのも事実ですが、消費者側に対する普及啓発等だけではなくて、やはり国でしっかりと正確な情報の伝達を行うことによって、そういう不確かな情報の拡散を抑制するということも大事だと思いますので、その点も加筆していただいてはいかがかと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 大変充実した中身にしていただけて感心しているのですが、特に第5章で、23ページの頭出しのところでは、体系的・包括的に推進すると6行目のところでございます。中身としてはどうしても、消費者被害の防止や、あるいは体制整備のところまで、それぞれが出てくるという格好になってしまいます。改めて、この体系的・包括的というのをどういうふうに強調していったら良いのかというときに、できれば(5)の体制整備のところ辺りで省庁間の連携や(2)の消費者あるいは(4)の教育、こういったようなところとの連携も含めた包括性や体系性といったようなことへの配慮が入ってくると、この第5章の趣旨というのが一貫するのではないかという印象を受けましたので、この点だけ御指摘をさせていただきます。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、よろしいですか。お願いします。

○消費者庁澤野企画調整官 御意見いただきまして、ありがとうございます。

いただいた順にお答えを申し上げるような形で恐縮でございますけれども、まず、34ページ、水産エコラベルの関係でございますが、ここの部分、私ども、少なくとも執筆を担当していた部署としての認識としては、この「等」はほかの分野も含めてという形の理解でございます。それから、片山先生から御指摘を頂戴した35ページ、公益通報の辺りでございますけれども、単純に制度を整備しておしまいというふうにならないようにしていく、生きたルールにしていくのだというところは、変な言い方ですけれども、消費者庁のこれからの10年にとって特に重要なのだろうと思っておりますので、いただいた御指摘も踏まえて、今後また細かな部分を工程表を含めて年度単位でPDCAを回していくという中で、御指摘を踏まえて運用がちゃんと具体化していくように対応してまいりたいと考えてございます。

それから、37ページでございます。33行目以降の発信の主体というところでございますけれども、ここの部分はいわゆる不確かな情報の発信うんぬんというところについて、変な言い方ですけれども、個人だけにしているかというと、決してそういうわけでもなくて、要は情報が本当に確からしさを伴っているか、いないかというのは、別に発信者が個人か法人かというところにとらわれているわけではないのだろうと思っておりまして、いずれにしても広い意味で情報に振り回されない。それこそ今、オンゴーイングで不幸な事象が起きてしまっている新型コロナの関係でも、トイレットペーパーの関係などで消費が振り回されるような状態が発生してしまったわけなのですけれども、そういったところについて、一旦まず落ち着いてきちんとファクトを把握しようという行動を持てるというようなところを含めて対応していくことが大事なのだろうということで書かせていただいてございます。

啓発だけでなくて、正確な情報の発信というところについては、私どもに限らずでございますが、それぞれのところで政府全体として正確な情報の配信、御提供というところについては多様な媒体を使って、引き続き御指摘も踏まえながら対応してまいりたいなと考えてございます。

それから、23ページ、6行目、工程表のところの体系的、包括的というところでございますけれども、前期、年に1度工程表の改定をこの場でも御審査を賜りながら進めてまいりましたけれども、どう申し上げたら良いですかね。生きた形で動態的に工程表を運用するのはなかなか難しいなというふうに担当レベルとしても思っていたところではありますけれども、まずは私ども消費者庁として、消費者庁で所管しているものだけを承知していれば良いというわけでは決してなくて、政府全体の消費者行政のそれぞれの短冊に対してきちんと知識を持ち、それぞれに対して正確に理解をしているという状態を前提とした上で、こうした体系性・包括性を今後も担保していきたいと考えてございますので、また引き続き、御指摘も踏まえて個々にやっていければと思いますので、御審査、御指導方、よろしくお願いできればと思います。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

お願いします。

○新川委員 体系性・包括性のところで是非御検討をお願いしたいのは、もちろん各省庁連携ということもございますけれども、特に40ページ、41ページで強調されておりますように、消費者の意見と各省庁というのをどういうふうにうまくつないでいくか。それから、地方行政というのも大きく注目していただいています。国、地方と消費者、これを消費者庁がどういうふうにきちんとかじ取りをしていかれるか。この辺りがもう少しクリアに出てくると、今後の計画、あるいは工程表策定の上でも指針になるのではないか。そういう気がしたものですから、御指摘をさせていただきました。

以上です。

○山本委員長 お願いします。

○受田委員 先ほどのお答えありがとうございました。

その上で、MSCのみならず、例えばGAPのようなものを、このエシカル消費と言いますか、「つかう責任」の側から「つくる責任」をフィードバックしていく、制御していく、そういう形をイメージすると、今後の工程表をどう作り込んでいくかという姿がかなりクリアになってくるのではないかと思っています。実際にMSCとかGAPに関しては、農水省の中で消費者の理解度がどの程度あるかということを定点で観察しておりまして、これが非常に低いことがある意味、大きな問題になっています。先ほど推進等ということで推進という言葉を引き合いに出しましたけれども、よくKPIでアウトプットと言いますか、実際にこういう推進を図るということをもってKPIが実現する、達成されるという考え方が出てきますけれども、本来は理解度がKPIにあって、その理解度を具体的に5年間の工程表の中でそこまで達成していく。そのために不十分であれば具体的な推進の方法をアウトプットの工夫と言いますか、これを考えていく必要が出てくるということで、今のお答えからいくと、農水省の定点で観測をしているデータ等を最大限御活用いただく必要がありますし、そこに大いに期待をしたいと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

今の先生が御指摘された点について、何度か読み直してみたのですけれども、「等」が付く位置ですが、推進等というところよりも、MSCのマーク以外にFSCですとか、フェアトレードのマークですとか、いろいろな持続可能性に関わるマークを推進していくということであれば、水産エコラベル等の推進を図る、と入れたほうが意図が伝わるように思いました。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

そのほかに。

それでは、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 非常に細かく丁寧に書き加えたり訂正していただいて、より良いものにしていただいてありがとうございます。

コロナウイルスの書き加えられた3か所の全てには抱合されていると思うのですけれども、買占めの問題がやはりすごくインパクトがあります。今なおスーパーマーケットに行くと長蛇の列で、スパゲッティの棚が空っぽになっていたりするようなことが一瞬にして起こってしまう。買占めという極端な現象を、消費者が無意識のうちに引き起こしてしまう。我々も特に意識しないでそういう行動に走ってしまうということが一つ実証されたかなと思っていまして、これは消費者心理に即結した現象だと思うのです。

そのとき、SNSですとかあらゆるチャンネルを使って、効果的なアナウンスをすべきではないでしょうか。十分トイレットペーパーもありますから大丈夫ですよというような放送もされているのは私も存じ上げているのですけれども、なかなか追い付けない状況かもしれませんが、やはり買占めという問題に関して、もう少し消費者が冷静な行動を取れるようなアナウンスメントが必要ではないでしょうか。何かそういったことも少しこの中に含んで書いていただいても良いのかなと思いました。

○山本委員長 ありがとうございます。

ほかに。

それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 2-5の20ページの10行目ですが、「消費生活相談員の処遇改善及び社会的プレゼンスの向上を図る」というところを付け加えていただきまして、ありがとうございます。消費者庁が早速消費生活相談員の職のPRのパンフレットを初めて作りました。このパンフレットは、インターネット検索で、「消費者庁 消費生活相談員」と検索するとこのパンフレットがヒットします。非常にすばらしい書きぶりなのですが、デメリット情報の待遇が書かれていません。私たちはよくデメリット情報を事業者に出すようにと言っているのですが、このパンフレットには書いてありません。相談員がいかに社会的に役割を果たすと書いていただいているのですが、一言も会計年度職員等であることが書かれていないのが気になりました。

今後とも待遇改善、よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

何か消費者庁でコメント、お答え等ございますか。よろしいですか。

それでは、お願いします。

○消費者庁澤野企画調整官 まず、MSCとGAP等々の関係については、また工程表を作り込んでいく中で農水省ともどもコミュニケーションを取っていければと思います。

それから、生駒委員におっしゃっていただいた、いわゆる消費者心理、コロナウイルスの関係でございますけれども、私どもも日々できる限り、それこそ注意喚起資料であったりとか、今おっしゃっていただいたような物の買占めであるとか、そういった辺りを踏まえたような、つい先日も食べ物の関係を農水省、経産省とともに普及啓発の資料を作らせていただいて、ウェブサイトやSNSでも配信をしているわけなのですけれども、状況はやはり、消費生活相談を見ていても日々変わってきているのですね。ちょっと前まではマスクのお話であったり、手指消毒剤のお話が非常に多かったわけですけれども、ここのところで、それこそ送り付け商法みたいなものも少しずつ出てきているとか、状況が変化してございますので、そこは、今後も御指摘を踏まえて機敏に対応していきたいと思います。

それから、最後におっしゃっていただいた辺りは、作っている部署を含めて問題意識を共有させていただいた上で不断に対応してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

それでは、木村委員、お願いします。

○木村委員 木村です。

基本計画をいろいろとありがとうございます。消費者団体としましては、やはり消費者庁に期待することとして、司令塔機能というのがあると思うのですけれども、今回、21ページの法令等というところに書き加えてはいただいていて、確かに内容的には各省庁と連携してということで良いのですが、法令のところではなく、19ページの第4章の最初のところにと書いていただきたかったというのが正直なところでございます。

それはともかくとして、消費者が安全・安心に暮らしていくために、消費者生活には縦割りはないという認識で、消費者庁には引き続き司令塔機能を発揮していただきたいと思っております。

今回、災害のところで、消費者委員会から感染症拡大のことを追記してほしいということに対応していただいて、それは大変有り難く思っております。

今回、コロナウイルスについて注意喚起のスピードが、消費者庁からのいろいろな情報提供が以前の災害時と比べてすごく速いことを実感しております。その辺は大変工夫していらっしゃるのだろうなと思うのですが、ただ、ほかの報道で混乱をあおるようなものもございますので、そういったことをどうやって防いでいくかとか、一般の方に本当に届いているのかとか、そういったことも含めて、今後まだ混乱が続くことが予想されているのですけれども、あらゆる媒体を利用して消費者被害を未然に防ぐようにしていただければと思っております。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

種々御意見をいただきました。表現等に関しまして、若干工夫をしたほうが良いのではないかという御意見もございましたけれども、内容的には大体今回の原案に含まれており、正に今後、工程表を策定し、それを実行していく過程で、今、種々いただいた御意見を十分踏まえて取り組んでいただきたいと考えております。これは消費者庁の問題だけでなく、関係省庁等において今の様々な御意見を踏まえて積極的に取り組んでいっていただきたいと考えております。

消費者庁におかれましては、工程表の策定に向けて検討が進められていると認識をしております。工程表に反映が必要な事項、本日の委員の意見で工程表の策定に当たって反映させることが必要な事項については十分積極的に反映していただくなど、引き続き検討を進めていただければと考えております。

これは度々申し上げていることですけれども、全体といたしまして、今回の基本計画の策定に当たりましては、委員会のこれまでの意見等を非常に丹念にたどって、それを反映させて作成をしていただいたものと認識しております。直近のことで申し上げれば、委員間打合せにおいて委員から意見として出た新型コロナウイルス対策の問題についてもそうでございますけれども、それのみならず、これまでの委員会の意見等を随分織り込んでいただいていると認識していますので、今後も積極的にその点に取り組んでいただければと思います。

委員会といたしましても、工程表についてヒアリングあるいは必要に応じて意見表明等を今後も引き続き行ってまいりたいと思います。

それでは、次期消費者基本計画の原案につきまして、委員会としての答申案を配付いたします。よろしくお願いします。

(答申案配付)

○山本委員長 それでは、ただいま追加資料として配付をいたしました委員会の答申案は、「『消費者基本計画』の案については、消費者基本法の趣旨に鑑み妥当であり、その旨回答する」としております。これを委員会の答申としてよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、皆様の御了解をいただいたということで、答申としたいと思います。

消費者庁におかれましては、大変お忙しいところ、審議に御協力くださいまして、ありがとうございました。

(消費者庁内藤消費者政策課長、澤野企画調整官退室)

○山本委員長 それでは、少し長くなっておりますので、ここで10分間の休憩といたしまして、16時10分に再開ということにいたします。よろしくお願いいたします。

(休憩)


《4.「いわゆる「販売預託商法」に関する消費者問題についての建議」に係る実施状況について》

○山本委員長 それでは、16時10分になりましたので再開いたします。

次の議題は、「「いわゆる『販売預託商法』に関する消費者問題についての建議」に係る実施状況について」です。

当委員会では昨年8月に、「いわゆる『販売預託商法』に関する消費者問題についての建議」を取りまとめ、消費者担当大臣、国家公安委員会委員長に発出いたしました。

この建議では、物品等の販売から始まる預託取引、及びこれと類似の商法に係る法制度の在り方や、体制強化を含む法執行の在り方について検討を行うことや、関係機関との連携強化並びに消費者庁への情報提供について、その対応を求めております。

本日は、この建議への対応につきまして、その実施状況の報告をいただきたいと思います。

本日は、消費者庁笹路取引対策課長、警察庁生活安全局山口生活経済対策管理官にお越しいただいております。消費者庁、警察庁におかれましては、お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございます。

それでは、消費者庁、警察庁の順で、合わせて15分程度で説明をお願いいたします。

○消費者庁笹路取引対策課長 ありがとうございます。消費者庁の笹路でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

今日、ここの議題にございます「いわゆる『販売預託商法』に関する消費者問題についての建議」、消費者委員会の皆さんの精力的な御議論を経て、昨年の8月に出されたものを我々としては真摯に受け止めまして検討を進めております。その状況について御説明させていただきたいと思います。

お手元に、まず3-1という資料がございます。これは消費者担当大臣の衛藤大臣の名前で消費者委員会の山本委員長宛てに出させていただきました建議への対応状況の報告でございます。

表紙をめくっていただきまして、まず別紙の建議事項1から簡単に御説明させていただきます。

まず、販売預託商法については、消費者被害が深刻な状況であるということで、法制度の在り方や体制強化を含む法執行の在り方について検討を行うという建議を頂戴しております。

実施状況でございますけれども、8月22日の消費者委員会の際に、私、ここで御説明させていただいたときにも触れましたけれども、消費者委員会が今回建議に至る過程で持たれている問題意識、こうした非常に深刻な消費者被害を発生させている販売預託商法は極めて問題のある事案であるという認識を完全に共有いたしております。

8月の段階では、どういう具体的な規制を強化したり、どういう執行を早めるかというところで、実はまだ十分な検討を我々はできておりませんで、8月にこの建議をいただいてから日夜精力的に検討を重ねてまいってきております。

その結果、消費者のぜい弱性につけ込む、要はすごく利殖があるとか、リターンがあるとか、巧みに複雑な取引を装って実は高額な商品を売り付ける、販売を伴う預託商法というところで非常に問題があるし、被害が顕在化しにくいといったような特徴もあるということも踏まえまして、関連する法律、この場合は預託法とか特定商取引法になると我々は考えているわけでございますけれども、実効的な、つまりこうした法違反を行うような事業者の取締りとか、更にその前の端緒の発見とか立証、こういったものを迅速かつ効果的に行っていくような制度改正を行っていきたいということで検討を行うこととしております。

このため、本年の1月31日でございますけれども、関係の有識者の方々に集まっていただき、消費者庁に「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」を開催することを公表いたしまして、継続的に検討を行うことといたしました。

この検討委員会は、委員長を河上正二先生にお願いしておりまして、第1回目を今年の2月18日に開催し、次回第2回会合は4月の下旬に開催することを予定しております。その後も一月に1回ぐらいのペースで開催いたしまして、関係者の方、有識者の方と精力的に議論を行って検討を進めていきたいと思っております。

その具体的な内容のポイントにつきましては、後ほど触れさせていただきます。

まずは建議事項への対応状況ということで、建議事項2についても触れさせていただきます。後ほど警察庁からも御説明があるかもしれませんが、消費者庁も並んで、相互の連携を図るとともに、地方の消費者行政担当部局とも一層の連携を図るということを建議としていただいております。

消費者庁としましても、警察庁の皆さんとは常日頃から情報共有に努めております。より連携を強化して、こういった法違反によりまして消費者被害を発生させている事業者の取締りを受けまして、連携の強化を行っていきたいと思っております。

それから、消費者庁といたしましては、調査等の権限を持っております経済産業局と緊密に連携するとともに、特商法のそういった執行権限のある都道府県の消費者行政担当部局、法執行部局ともより連携を強化して、こうした事案に対処するという方針の確認をしております。

そういった意味で、こうした販売預託商法に対するオールジャパンでの対応というものをしっかり強化していきたいという方針で業務を進めているところでございます。

それから、建議事項3についてでございますけれども、消費者啓発というところにつきましてもしっかり行おうと思っております。お手元に、今、作成をしております注意喚起のリーフレット、悪質な販売預託商法によるトラブルに御注意くださいというものも今作成しておりまして、消費者庁と警察庁、国民生活センター連名で、消費者の皆さんにもできるだけ分かりやすく、注意、警告と言いますか、啓発と言いますか、御用心くださいということで訴えていきたいと思っております。

あと、消費者庁が主催する様々な行事もございます。シンポジウムや、大学などと連携したイベント、こういったところでもきちんと注意喚起を行うなど消費者啓発を行いまして、消費者教育を実施していきたいと思っております。

建議事項1に関連しまして、簡単に特商法と預託法の改正に関する検討の視点というものを御説明させていただきたいと思います。お手元の資料3-2というものがございますので、簡単に触れさせていただきます。

資料の最初は世の中の状況につきましてグラフなどを使って分析したものでございますので、後でお目を通していただければと思いますが、検討の方向性ということでスライドの12を御覧いただきたいと思います。

今回の特商法と預託法の検討委員会におきましては、2つの大きな柱で検討することにしております。1つは、グリーンの枠で書いてございます「消費者のぜい弱性につけ込む悪質商法への対策強化」、もう一つは、ブルーでございますけれども、「経済のデジタル化・国際化に対応したルール整備」ということで、消費者委員会の建議でいただきました悪質な販売預託商法に対する対策ということは、この2つの柱のうちの1つ目の柱、「消費者のぜい弱性につけ込む悪質商法への対策強化」ということで、その中の主要な検討事項の柱として検討を行うという方向を打ち出しております。

その具体的な論点でございますけれども、スライドの13ページ以降でございます。例えばスライドの15、16では、販売預託商法の手口の例というふうに整理させていただいておりまして、17ページ、18ページでは、最近行った消費者庁の行政処分の例、ジャパンライフとWILLという2社でございますけれども、書いてございます。

我々も、ジャパンライフやWILLの行政処分を行うための調査をしてきております。その過程で、この事業者の手口や、どういう悪質な方法を使って問題を生じさせているかという内容につきまして大分分析と言いますか、経験も深まってきております。それも踏まえて、是非とも専門家の皆さんに議論をしていただいて、実際の実効的な法制度の在り方に結び付けていきたいと考えております。

特に我々が考えている論点は、例えばスライドの19にございます。特にここに書いてございますように、消費者が販売預託商法について、勧誘している取引が本当に持続可能なものであるか、きちんと情報を得られる、ただ、情報を得るだけでは十分でありませんので、悪質な法違反事業者に対して取締りが迅速かつ機動的にできるような規定を整備していけたらと思っております。

ですので、この事業者が勧誘の際に告げていたり、広告に表示しているような財務や経理や運用、預託の対象となっている商品等の保有とか運用の状況など、この辺をきめ細かく対象にしまして、この辺につきまして、利殖があるとかもうかると告げているのだったら、それを裏付けるような合理的根拠を提出してくださいと。提出できない場合には、不実告知とか、虚偽の広告とか、そういった違反とみなされるような条文があっても良いのではないか、最低限それぐらいあって良いのではないかという問題意識を我々としては有しております。

それから、この検討委員会はまだ1回開催したばかりでございまして、来月にもまた行います。また、専門家の関係者の皆様からいろいろ御意見も出てくると思いますので、それ以外の様々な論点、例えば販売預託商法の中でも商品の裏付けのない極めて悪質なものについてはどうすべきなのか、禁止しても良いのではないか、あるいはそれに伴う民事効があっても良いのではないか、あるいは販売預託商法に限らず預託法でありますいろいろな商品の限定、特定商品制が取られているわけでありますけれども、19ページの下から2つ目の○にございますように、新たな商品・権利による預託商法が行われた場合に迅速に対応するには、そういう品目の制限というのは必要ないのではないかという意見もあると思います。

いずれにしましても、極めて詐欺的な特徴の高いこういった悪質な商法について、どういう実効的な制度を、それは禁止行為を更に付け加えるということもあるでしょうし、民事ルールを整備するということもあるでしょう。それから、行政庁が行う処分に向けた調査をできるだけ迅速かつ実効的にやっていくための、先ほど申し上げましたような挙証責任を転換するような規定の整備、こういった複数の対応があると思っております。

そういった意味で、今回ここに書いてあるのは議論の始まりでございますので、今後、特商法、預託法の専門家による検討委員会で是非議論を深めて、この消費者委員会での議論で問題意識を深めていただいた内容も是非形にしていくべく、しっかりとした制度改正を行っていきたいと考えているところでございます。

詳細につきましては、また検討が進みましたら、この場でも追って説明をさせていただきたいと思いますが、まずは検討を開始して論点を提示しているというところで今日御説明をさせていただけたらと思っております。

私からの説明は以上でございます。

○警察庁生活安全局山口生活経済対策管理官 建議事項2に記載されました、警察庁は悪質な「販売預託商法」事犯に対し積極的な取締りを推進することという点につきまして、警察における取組を御説明申し上げます。資料はお手元の3-3になろうかと思います。

警察庁におきましては、昨年8月30日付の本建議を受けまして、同日付で各都道府県警察に対しまして、引き続き自治体、関係機関、団体と連携を図りつつ、悪質な、いわゆる預託販売商法を含む生活経済事犯に対する積極的な取締りの推進について指示をしたところであります。

この建議の後の主要な検挙事件といたしましては、最近新聞報道等もございましたけれども、ケフィア事業振興会による出資法違反等事件というものがございます。これは警視庁におきまして摘発をしたものでございますけれども、株式会社ケフィア事業振興会成るものは、昭和60年に設立され、当初、ケフィアヨーグルト等の食品の通信販売事業を手がける一方で、平成22年頃から自社ビルに抵当権を設定し、ビルパートナー募集などと称して高利率の金銭消費貸借を行うなどの事業を開始し、24年末からはオーナー募集と称して、買戻し特約付きの売買契約による事業を展開していたというような事案でございます。その後、29年5月頃に償還金の未払いが発生いたしまして、その後も未払い金は増加の一途をたどり、平成30年9月に関連企業を含め負債総額約1000億円で破産を申し立てております。

こうした中、ケフィアの代表取締役ほか8名が平成29年4月頃から30年5月頃までの間、契約者19人から合計約1億8000万円を元本額及び所定の利息を支払うことを約して受け取り、業として預り金をしたなどとして、いわゆる出資法違反の容疑で本年2月18日、通常逮捕するなどしているところでございます。

警察庁におきましては、消費者庁における建議事項1に基づく措置状況も踏まえつつ、引き続き消費者庁との連携の強化を図るとともに、各都道府県警察と各都道府県における消費者行政部局との一層の連携の強化を図り、先ほど御紹介しました事件のように、悪質ないわゆる預託販売商法事件を含む生活経済事犯に対する積極的な取締りを今後も推進いたします。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明の内容につきまして、御質問、御意見のある方はお願いいたします。それでは、清水委員、お願いします。

○清水委員 御説明、ありがとうございます。

地方で消費者生活センターの相談員をやっています。私も17年目を迎えていますが、今思っていることは、ジャパンライフやケフィアのような事件が二度と起こらない法規制をお願いしたいと思っています。

販売預託の規制をすれば良いというよりは、もう販売預託を禁止すれば良いと思っております。何の問題もないと思っております。ここら辺はこれから検討委員会で、まだ1回終わったということなので、議論されていくものだと思いますので、期待しております。

登録制にしたり、実際、販売預託商法をやっている事業者をどうやって調べて、どうやって把握していくかというのは、相談の現場で出てきたときにはもう被害が甚大に広がっているときなのですね。そうすると、登録すれば良いかというと、行政側の人的問題、調査がどこまでやれるかと思うと、本当に禁止を願うばかりでございます。よろしくお願いします。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 この問題を私はあまり深く承知していなかったのですけれども、被害者の被害額が相当大きく、社会的問題も大きいことから、是非迅速に検討を進めていただきたい。

先ほど、コロナウイルスの件でありましたが、消費者行政というのは、イマジネーションというか、想像力みたいなものが極めて必要なのだと思います。一方で、非常に悪質な事業者は、なぜこんなことを考え付くのだろうかというくらい想像力が強い。やはり法規制のところで網をかけていくしかないのだと思う。

今、事務局からお話があったとおり、例えば預託法で対象となる物品の限定を外すとか、あるいは罰則をもっと強化するとか、こういうところは是非早く進めていただきたい。もちろん清水委員が言われるとおり完全に禁止するということが一番良いですが、恐らくこれは法律上なかなか難しいのだろうなと思うので、やはりそこをやっていただきたい。

警察当局も、現場の方々のお話を聞くと、非常に苦労して取り締まっておられる。結果として、やはり預託法とか、特定商取引法とか、あるいは出資法、そういうところに引っ掛からないように巧みにやっている中で、詐欺罪で取り締まらざるを得ないのが恐らく警察の現場の実態なのだろうと思います。詐欺罪というのは時間が掛かる。

それと、預託法の被害者というのは、被害に気が付くのだけれども、今自分で訴えてしまうと自分のお金の回収が遅くなるので、気付いているのだけれども言わない。あるいは、最初のうちはどうしてもお金をもらってしまう、というような状況にあるようですので、警察当局の取締りをしっかり応援するという意味でも、法律改正、罰則の強化みたいなものは絶対に必要だと思いますし、早くやらないとまた次の事件が起きてくるので、スピード感が非常に重要だなと思います。

それと、消費者庁は、今お話がありましたけれども、行政処分をしっかりやった上で開示して、マスコミ等も使って周知させて、こいつらは悪いやつだということを、行政処分をどのような形でやっていくのかということに関する工夫も重要なポイントになるのではないかなと思っています。是非スピード感を持った検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、もう少し御意見を伺った上でお答えをいただければと思います。

では、木村委員からお願いします。

○木村委員 御説明ありがとうございます。

消費者団体としましても、やはりこれは大変大きい問題と考えておりまして、資料の23ページに法執行を強化・迅速化と書いてあるのですが、もちろんこれは大変重要だと思うのですけれども、このような被害が起こらないためにどうしていけば良いのかという視点で法整備をきちんと進めていただきたいですし、更に申し上げますと、事業者がこんな割の合わない商売はもうしたくないと思うような、そうした施策をしていただきたいと思います。本当に高齢者の被害が大きいですので、是非迅速な対応をお願いしたいと思います。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、丸山委員、お願いします。

○丸山委員 御説明ありがとうございます。

これから議論を深められていくということですので、今後の議論次第になると思うのですけれども、やはりターゲットとしているのが悪質な預託商法ということでございますので、19ページのところでは、消費者への情報提供とか記録資料の保存みたいなことが出ていて、このような対策は必要なのですけれども、恐らく情報提供モデルでは解決できない商法であると思います。苦情が多く上がってきた時点では遅い、そういった商法というものを対象としていると思います。

参入規制についてはいろいろ問題もあるのではないかというところを聞いてはいるのですけれども、本当に参入規制できないのか。ネガティブリスト方式ということも考えられると思うのですけれども、何らかの形で参入規制的な対応ができないのか。もしこれをしないのであれば、苦情相談が上がってくる前に、現物の実態がないような悪質な商法というものを行政がどういう武器によって把握できるのかという観点を議論していただかないといけないと思いました。全面禁止もしないというのであれば、こういった商法を的確に迅速に把握していくことには困難があるのではないかという印象を受けました。

次に、27ページの辺りには、被害の救済の強化、特に破綻するような場合についての消費者被害の救済ということを書かれているのですけれども、これを本当にやろうとすると、例えば消費者の破産債権について優先権を与えるみたいな、財務省や法務省が関わるような論点も出てこざるを得なくなるのではないかと思います。その辺もこれからの議論にかかっているとは思うのですけれども、消費者庁でも議論の体制を十分に整えて、考えられ得る選択肢を議論していただければ有り難いかなと思いました。

以上です。

○山本委員長 それでは、片山委員長代理、お願いいたします。

○片山委員長代理 御説明ありがとうございました。

私も今の丸山委員と同じ点が一つ気になっています。参入規制のところでなかなか積極的にという議論になっていなかったようには聞いていますけれども、1回目の検討会の議事録を読ませていただきました。委員の皆さんの中からも、登録制というところまで踏み込んだ参入規制をという意見もかなり出ていますし、それからその必要性についても具体的な意見が出ていたと認識しています。

被害の重大性と言いますか、被害をキャッチする上で、そういう参入規制というものの必要性を私自身も個人として強く感じていますので、その点について消費者庁として現段階でどういうふうにお考えになっているか、もしお聞かせいただければというのが一つ。

それから、消費者に対しても一刻も早く、検討会が夏に意見を出す前に速やかに啓発活動をしていただきたいと思います。チラシをお作りいただいていますが、先ほども御説明をいただいていますけれども、より具体的にこういうところで啓発を進めるという点をお話しいただきたいというのが一つ。

今、コロナの関係があって、消費者を集めた事業というのができにくくなっているとは思いますけれども、そういう中でも、だからしなくて良いということではないと思いますので、どういう工夫をお考えになっているかという点をお聞かせいただきたいと思います。

もう一つですが、消費者にこの販売預託商法を理解してもらうときに、チラシはこれで良いと思うのですが、具体的にどんなふうに勧誘に来て、どういう形で消費者がこの被害に陥っていくのかというところを、実際の被害の実態を踏まえて、本当に自分事として消費者が理解できるような工夫を是非していただきたいということをお願いしておきます。よろしくお願いします。

○山本委員長 それでは、お願いできますか。

○消費者庁笹路取引対策課長 貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。

今、委員の皆さんがおっしゃった論点というのは、正に現在、特商法、預託法の検討委員会で検討している事項と思っていただいて差し支えございません。

販売預託商法、そもそも悪質なものについては禁止をすべきではないかという問題意識は当然我々も持っております。その範囲をどのように確定するのかとか、法制的には詰めなければいけませんので、それもできるだけ早く検討していきたいと思っておりますし、丸山先生がおっしゃったような民事上のいろいろな効力とか手続につきましても、できる限りのことをやっていきたいと考えています。

検討委員会での議論で出たことをまずできることからやっていきたいと思っていまして、できることは来年の制度改正も目指して改正していくのだろうなと。ただ、100点満点で全部できないと制度改正しませんというとどんどん遅れていってしまうので、まずは合意ができたところからやっていきたいと思っておりますので、そこはしっかり検討していきたいと思っております。

片山委員長代理から、参入規制についての消費者庁の考え方ということでございますけれども、我々としては悪質な商法を根絶やしにして消費者被害がなくなるというのが目標でございますので、そのために何が必要なのか、どういう法的措置を考えれば良いのかという意味においては、今、考えはオープンでございます。その中で参入規制が適切なのかというのは、いろいろ論点を考えなければいけないと思っております。今の段階で参入規制、登録制を導入しますというのは必ずしも適切ではないと思っているのですけれども、専門家の皆さんの議論を今やっているところでございますので、それについては耳を傾けながら、どういう手口が適切なのかというところは検討していきたいと思っております。

そもそも素朴な問題意識としてですけれども、やはり正業がないようなもの、ほとんど禁止すべきようなもののビジネスについて、事前の許認可、登録制を作るというのも法的に整合性がつきにくいところもあったりしまして、もしかすると、登録制とか届出制をおっしゃっている方は、端緒をどうつかむかというところ、消費者被害が発生する前に事業者をどう捉えるかというところを重視されている御意見だと承知しているのですけれども、そう考えると、ある意味端緒情報をいかに収集するかというところが大事なような気もしていまして、逆に言うと、本当に悪い人だと無登録とか無許可、無認可みたいなことでやる場合もあったりするわけで、端緒情報をどう取るかというところはよく考えていかなければいけないのではないかと思っております。

それから、法執行についてスピード感を持ってやれという御指摘は全くそのとおりだと思っておりまして、消費者庁の行政処分によって社名公表をしたり、警察ともよく連携しながら取締りを行ったり、そういったところは果敢に行っていきたいと思います。あと、木村委員からもありました、法執行の迅速・強化とともに、いろいろな法制度の整備ということで、これは恐らく禁止行為などのことをおっしゃっているのだと思いますけれども、当然その部分も考えていきたいと思います。法執行の迅速処理で挙証責任を転換するというのも法律事項でございますので、法制度の改正が必要になってきます。そういった意味においては、法律改正を具体的に念頭に置いた複数のタマでプロアクティブなアクションを起こしていきたい。言ってみれば、こういった行政側の武器をより増やしていきたい。こういう悪質事業者に対するものについては、真剣に考えていきたいと考えております。

それから、片山委員からあった啓蒙、啓発とか、あと具体的な事例もちゃんと伝えながらという御指摘は全くそのとおりでございますので、我々も行政処分をしたときにこういう具体的な手口で事件が起こったのですよという事例紹介をさせていただいたりしているのですけれども、正に御指摘のように、消費者の一人一人にできるだけ伝わるような形で、チラシやリーフレットだけではなくて、効果的な発信をいろいろな場でやっていきたいと思っております。メディアなんかも活用しながら、どういったことができるのかというのをこれから積極的に考えていきたいと思っております。

私からは以上でございます。

○山本委員長 それではお願いします。

○警察庁生活安全局山口生活経済対策管理官 既にこれまでお話ししているとおり、いかに消費者の被害というものを警察としても早く認知をし、また被害拡大の抑止のために行政当局と連携をし、悪質なものについては早期に事件化をするというスタンスで引き続き臨んでまいりたいと思っております。

また、消費者庁と警察の間では、人的な交流も含めて非常に密に連携させていただいておりまして、そうした情報共有の体制と言いますか、連携をしっかりと取りながら今後も対応に当たってまいりたいと考えております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、順番に大石委員からお願いできますか。

○大石委員 ありがとうございます。

やはりこの件の一番大きな問題点は被害額がすごく大きいということ、それから高齢者に被害が多いということだと思っています。

もう一つ、消費者の側は気が付くのが遅れると言いますか、仮に少しおかしいなと思ったとしても、自分にお金が入っている間は被害届を出さない場合が多いのではないか、そしてその間に、更に被害が広がってしまうということが一番の問題ではないかと思っています。そう考えますと、消費者側に期待するよりも、本当に事業者そのものをどうやって規制するかというところがこういう事件を防ぐことの要ではないかと思っています。

そういう意味で、今までいろいろな事件があったと思うのですけれども、具体的に現在、そういう販売預託商法をやっている事業者がどのくらいいるのかということは、消費者庁では把握していらっしゃるのかどうかということを分かれば教えていただきたいのが一つです

あと、このチラシのことも、先ほど片山委員もおっしゃいましたけれども、これは一体誰をターゲットにしているかということです。字は確かに大きいのですけれども、高齢者がこれを読んで、今自分が勧誘されていることと、この啓発内容がつながるかというと、被害に遭うかもしれないとつなげて考えるのは少し難しいかもしれないと思いました。逆に、高齢者の家族に伝えるということであれば、もしかしたらこのような形でも良いかもしれませんし、実際にどんな被害が起きて、どんな大変なことになっているのかを具体例として出すほうが、もっとインパクトがあるのかもしれないと思いました。対象を誰にするか、分けて考えて作成するほうが良いのでは、というのが感想です。

以上です。

○山本委員長 それでは、受田委員、お願いします。

○受田委員 消費者庁、警察庁において、建議を受けて対策を講じていただいているというところについては感謝を申し上げたいと思います。その一方で、これだけの被害が何度も起きているにもかかわらず、現在、検討委員会を立ち上げられて、そして1度議論をしたというこの動きに関してはスピード感が欠けているのではないかと思わざるを得ません。

お伺いしたいのは、この夏までに一定の結論を得るということですけれども、これは法整備をしっかり講じていただいて、これまでの販売預託商法のいろいろな被害を未然に防ぐ万全のシステムというか、制度を作っていただかないといけないのですけれども、それはいつまでを目指してやろうとしているのかというのが1点です。

それから、もしその法整備において時間が必要であるとすれば、先ほど大石委員もおっしゃったように、端緒情報等に基づいて、販売預託商法として第二、第三、第四の被害を出さないために、その未然の対策を講じていただく必要があると思います。これが現実どれぐらいあるのかは私も大変興味があるところですけれども、もしそれがあるとすれば、そこをいかに被害をくい止める措置を短期的に講じることができるか、ここがポイントになっていくと思います。ここは恐らく警察庁の役割が非常に大きいと思いますので、建議に対する対応として積極的な取締りの推進を指示したとは言われていますけれども、具体的に端緒情報に基づいて、それを今どういうふうに未然に食い止めようとされているのかというのがもう一点です。

最後に、建議の3つ目に関して消費者庁からのお答えで、正に啓発を実際にもっと活発にやっていこうという趣旨はよく分かります。これも対象を明確にすること、これは大石委員と同じなのですけれども、その中で大学等と連携を行うというような文言がありまして、これはスピード感からいくと、私も大学に所属しているので、大学が関わるとスピード感が十分に発揮できないケースがあり、よくお叱りを受けるのですけれども、これはどれぐらいの実効性のある啓発の手段として考えておられるのか。その点についてお答えいただければと思います。

○山本委員長 それでは、生駒委員、お願いします。

○生駒委員 先ほど大石委員も触れられたのですが、悪質な販売預託商法とありますが、良質な販売預託商法というのがもしあるのだとするならば、数的にどのぐらいの割合が悪質で、機能している販売委託商法が実際にあるのであれば、それが本当に消費者に利益をもたらすものなのか。もしほとんどの預託商法が悪質なのであれば、全面禁止という考え方もあると思うのですが、そうでなければ健全に機能している預託商法がある限りは、消費者庁なのか、警察庁なのか、ちゃんと認可を取ったところだけがその預託商法を手がけることができるといったようなフィルターを設けるべきだと思うのです。

ここまで被害の状況が深刻である、しかも、先ほど大石委員もおっしゃったのですが、消費者にその判断を任せるというのは不可能だと思うのですね。しかも、単独で判子を押してしまったりしたら。これは5人が認めないと駄目ですとか、複数の人たちの目を通して、フィルターを通して、あるいは相談所に行ってちゃんと聞いて初めて契約できるとか、何らかハードルを設けない限りは無理だと思うのです。その点について、状況をもし把握していらっしゃいましたら教えていただけますでしょうか。

○新川委員 関連しますので、併せてお答えいただければと思います。

先ほど大石委員、受田委員からもありましたが、端緒情報が重要だということで、執行強化の中でも注目しておられると思いますけれども、ある意味では端緒が具体的な構成要件を満たさないまでも、警報あるいはアラート情報として扱うという可能性は当然あり得るかなと思っております。逆に言うと、都道府県公安委員会、あるいは各府県の行政当局、また消費生活センター等々でのアラートのようなものを受け止めて、そして全国でそれに対する注意喚起ができる。国民生活センターもよくやっておられるところがあるのですけれども、むしろこうした悪質な商法についてのそうした仕組みが、法改正は少し時間が掛かるようであれば、急ぐ必要があるのではないかということを感じておりまして、この辺り、警察庁あるいは消費者庁として積極的に取り組んでいかれるということがあれば大変有り難いなと思っていました。

もし既にそういう仕組みが働いていますということであれば結構ですが、御質問と意見というふうに聞いていただければと思います。

以上です。

○山本委員長 それではお願いできますでしょうか。

○消費者庁笹路取引対策課長 ありがとうございます。

御指摘いただいたことのうち、特に販売預託商法の違反事業者というのは被害額が巨大であったり、高齢者被害があったり、非常に問題だと思っておりまして、迅速な対応が必要だというところは委員の皆さんの御指摘を踏まえてしっかり対応していかなければいけないと思っております。

その中で、預託業者がどれぐらいの程度いるかということですけれども、我々は特定商取引法とか預託法に反するかという観点から常に情報は集めております。それが実は何社あってというのは、事件の調査と関係があるのではっきり申し上げられないのですけれども、数え切れないほどいっぱいいるということではないのですね。ターゲットは大分絞られるし、我々としては常にヴィジラントにウォッチしていきたいと思っておりまして、そういった意味では数え切れないほどいっぱいいるという感じではないぐらいのイメージでいただけると良いと思うのです。その中で、御指摘のとおり端緒情報をきちんとつかんで、迅速に処理していくことが重要だということは御指摘のとおりだと思います。

生駒委員から、良い販売預託商法と悪い販売預託商法の話があったのですが、実を言うと、その辺もいろいろ内部で分析したり調査しているのですけれども、そんなに正業の人はあまりいないと言って良いものなのではないかなと。

そもそも物を預かって運用する、それ自体は投資の運用みたいな話なのですけれども、その前提で、販売預託商法というのは消費者に物を売って預かるというものなのですね。例えば、物を持って貸し出して運用する、これは普通のいろいろなビジネスとしてあるのです。レンタカーだってそうですし、ほかにもいろいろなものがあるかもしれません。でも、普通、貸し出す車とかそういうものは自分で資金調達をするわけですよね。社債を発行したり、あるいは金融機関の融資かもしれない。今は金利も低いわけですよね。そういうところからお金を調達して設備投資して、車などを備えてレンタルする。これは正業のビジネスで成り立つ世界。それを最初の車を買うという行為、商品を買うという行為を、消費者に売って預かるというのは、消費者に何で売るのかなというところで、しかも今までの事件を見ると、磁気ベストや磁気のブレスレット・ネックレスなど非常に高額なものを多数売り付けたり、この間処分したWILLという会社は、USBメモリだったり、そういったものが50数万するとか、何で消費者に売り付けるのかなと。それは、要は消費者に高額な物を売り付けることがむしろ目的で、それを預かって運用する、そういうビジネスモデルをとっているということにしているのですけれども、それは言ってみれば複雑な取引を装って、ほとんど詐欺的な、消費者をだますことが目的の取引にほかならないのではないかなと。

そう考えると、さっき御意見で出た禁止すべきではないかというところは説得力を持つことになるのですね。そこをどこまでできるのかということも法律上詰めたいと思っていますし、そういった厳しい禁止行為も含む規制をやはり導入すべきではないかという、消費者委員会からも建議ともう一つ意見もいただいていまして、その中にも含まれているわけですけれども、それも含めてこの夏までには結論を出していきたいと思っております。

それで、受田委員から夏までにという、スピードが遅いということでお叱りはしっかり受けようと思っていまして、頑張って検討はしていきたいと思っています。

あと、新川委員の法改正のスケジュールとか、その辺もそうなのですけれども、できるだけ早く改正はしたいと思っております。

委員会で夏に結論が出て、秋口に詰めて、国会を通さなければいけませんので、通常国会というのは来年の1月からもございますので、できるだけ早く法律改正ができるようにリソースを総動員してやっていきたいなと思っております。

あと、啓発のリーフレットの表現方法など、その辺はよく工夫していきたいと思います。やはり消費者に伝わらなければいけないですし、消費者も高齢者の方がいたり、学生がいたり、いろいろレイヤーがありますので、御指摘も踏まえて、きちんと消費者教育、啓発もやっていかなければいけませんし、そのときに消費者の皆さんに伝わる際のスピード感や、いかにきちんと心に響くように注意喚起ができるかというところも、よく工夫しながら進めなければいけないと思っていまして、今日の御指摘も踏まえてやり方を工夫していきたいと思っているところであります。

○山本委員長 それではお願いします。どうぞ。

○警察庁生活安全局山口生活経済対策管理官 警察の取締りというのは、基本的には事件化ということになるのですけれども、事件化には、例えばどういった法令を適用することが必要なのかと。まず、そもそも実態がどうなっていて、それは刑事罰を与えるだけの証拠の収集ができるのか。被害者の協力がどの程度得られるのか、様々な問題があり、事件によっては非常に時間が掛かることもあるというところでございます。

他方で、こういったことが世の中で起きていることについての情報の端緒入手ということについて申し上げると、警察独自にも、例えば交番に相談に来るとか、警察署にこんな話があってというような形で相談が寄せられることもございます。

こうしたもののうち、やはりこれは注意を要するなというものがあれば、そこは警察としても、例えば周辺の住民にこういったものが手口として最近はやっているので気を付けてくださいねというような、例えば交番だよりみたいな形で広報をしたり、あるいは消費者行政というものを所管している担当部局と連携をした上で、行政指導とか立入調査といったような行政権の発動を、お願いする、検討を依頼するというような取組もございまして、警察が認知した情報についてはそういった形で正に連携をしていくことが大事なのかなと考えているところです。

逆に、消費者行政担当部局、消費者生活センターもそうですし、そういったところで入手された情報についても、同一の業者が繰り返し行っているような状況や、相談が多数寄せられているというような情報があれば、それは警察に現在提供いただいているところでございまして、そういった情報を基に事件捜査の端緒として捜査を始めるということもございます。先ほど申し上げたようないろいろな問題もある中で、できるだけ早く対応したいと考えております。

以上でございます。

○山本委員長 ありがとうございます。

どうぞ。

○片山委員長代理 先ほど、結局は端緒情報の取り方の問題だというお話がありました。そのとおりだと思うのですが、ある意味、消費者がこれはおかしいと気が付くというのも物すごく大きな端緒情報になると思います。

私は現場にいて、いろいろな消費者と接していますと、そんなに悪いというか、そんなおかしな話を商売にしているはずがないと、普通の消費者はみんな善意で思っています。ビジネスだと言って持ってこられている以上は、それが成り立つものだと消費者は信じてしまうところがありますので、そうではない、とんでもない、現物がないのにそれを貸してもうけるということを平気で消費者に勧めてくるという商売をしている人がいるのだという実態をどれだけ消費者に分からせて、来たときに、これがそうなのだ、消費者センターなり警察に行かなきゃと、そうした消費者行動をどれだけ引き出せるかというのが重要な端緒情報の一つだと思います。

本来は適正な事業として成り立たないものについて登録制をとるのはどうかとおっしゃるのは理論としては分かりますけれども、禁止もしないで登録制もしなかったら、放置しているということにしかならないわけで、何らかの選択をしないといけないのではないかと改めて思います。よろしくお願いします。

○消費者庁笹路取引対策課長 御意見、きっちり頭に入れました。ありがとうございます。

○山本委員長 ありがとうございました。

この件に関しましては、制度の問題については現在正に検討委員会で検討されているということですので、現段階で具体的なことまではなかなか議論をしづらいところもあるのですけれども、本日の意見交換を聞いておりますと、問題意識と言いますか、方向性は現在の委員会と消費者庁において共通しているのではないかという感じがいたしました。

これは消費者委員会の建議、意見の中でも書いていることですけれども、およそ健全なビジネスモデルとしては成り立たないことをやっている事業者ですから、それに対しては何か一つの手段で対応できるものではなく、いろいろな手段を総動員し、正に複数の玉を用意しないと対応ができないと思います。

特にこの場でも端的に事業の禁止をするという議論が出ましたし、それから参入規制の問題についてはいろいろな意見があるのですが、消費者委員会で参入規制と言っているのは、あくまで情報をつかむという趣旨であり、それに限られるわけで、通常の場合であれば行政調査の制度、報告徴収等を行う仕組みがありますけれども、それを一律にかけていくといったイメージに近く、健全なビジネスモデルがその中に含まれていて、それを多かれ少なかれ促進していくという趣旨はおよそ含まれない参入規制を、消費者委員会として言っているわけですので、それも含めて今後検討していただければ大変有り難いと思います。

警察庁、消費者庁、共通ですけれども、スピード感というお話もありましたので、そういった制度の検討についてはスピード感を持ってやっていただきたいと思います。とはいえ、やはり全て一気にというのが難しければ、できるところからやっていただきたいと思います。それから、まずは現行制度の下での執行、啓発を、今日もいろいろ御意見がございましたけれども、それも踏まえて今後とも消費者庁、警察庁が連携してやっていっていただければと思います。

消費者委員会といたしましても、引き続きその取組を注視するとともに、必要に応じて意見交換、ヒアリングを行うなどして検討してまいりたいと思います。本当にこういうことは二度と起きてはいけないという案件ですので、是非今後とも連携をしてやっていっていただきたいと思いますし、消費者委員会としても十分注視をしてまいりたいと思います。

それでは、消費者庁、警察庁におかれましては、お忙しいところ、どうもありがとうございました。

(消費者庁笹路取引対策課長、警察庁生活安全局山口生活経済対策管理官退室)


(消費者庁加納消費者制度課長入室)

《5.公益通報者保護法の一部を改正する法律案について》

○山本委員長 次の議題は、「公益通報者保護法の一部を改正する法律案について」です。

公益通報者保護法に関しましては、平成30年1月15日付で内閣総理大臣から当消費者委員会に、「同法の施行状況を踏まえ、事業者におけるコンプライアンス経営、国民の安全・安心の確保に向けた取組の重要性の高まりをはじめとした社会経済状況の変化への対応等の観点から、公益通報者の保護及び国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、規律の在り方や行政の果たすべき役割等に係る方策を検討すること」を求める諮問が行われまして、平成30年12月に当委員会から答申を行いました。それを受けまして、消費者庁において法制化に向けた検討が行われ、「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」が3月6日に閣議決定され、国会に提出されました。

本日は、その法律案の内容につきまして消費者庁から御説明をいただいた上で、意見交換を行いたいと思います。消費者庁加納消費者制度課長に説明をお願いしたいと思います。

お忙しいところありがとうございます。恐縮ですけれども、15分程度で説明をお願いいたします。

○消費者庁加納消費者制度課長 消費者庁の加納です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

資料といたしまして、4-1以下をお付けしております。4-1は、ポンチ絵がありますが、概要でありまして、4-4に新旧対照表がありますので、こちらも適宜御参照いただくような形で御紹介したいと思います。

経緯等は、今、御紹介があったとおりでありますが、消費者委員会におきましても専門調査会が開かれまして、そこで報告書が取りまとめられ、その報告書に沿った形で答申がされたのを受け、消費者庁において法制化作業を検討してきたという状況であります。

概要、4-1を御覧いただきますと、問題意識としては、一番上の四角の枠にありますような、いわゆる企業不祥事が後を絶たない中で、通報を端緒としてそういった企業不祥事が発覚することが多い。そういうものをいかに早期に違法行為の是正につなげていくかというのが問題意識でありまして、通報者の保護を適切に図りつつ、違法行為の是正につなげていくような枠組みを作っていくことが重要であるという問題意識であります。

具体的な改正項目としましては、マル1からマル3までありますが、大きく分けると3つの柱から成っております。マル1でありますけれども、事業者自らが不正を是正しやすくするとともに、安心して通報を行いやすくするための環境を整えるということであります。具体的には、事業者に対し、内部通報に適切に対応するために必要な体制の整備を義務付ける。その具体的な中身としましては、括弧の中にありますような窓口の設定から調査及び是正措置、こういった一連の対応をとるべき体制をとっていただくというものであります。

その具体的な内容としましては、指針を別途定めるということを想定しておりまして、その指針をまた検討して作るということでございますが、第十一条と書いてございます。条文の新旧対照表を先ほど御紹介いたしましたけれども、4-4を開いていただきますと、11ページでありますが、第十一条というのがありまして、第一項において、「事業者は、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報を受け」、第三条第一号が労働者からの通報、第六条第一号が役員からの通報でありますが、「並びに当該公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務」、これを「公益通報対応業務」とこの法律では言いますが、「に従事する者」、これを「公益通報対応業務従事者」と言いますけれども、「を定めなければならない。」と。

併せて、第二項でありますが、「前項に定めるもののほか、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報の内容の活用により国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない」。これはいずれも義務付けでありますが、こういうものを定めるというものであります。

第三項で300人以下の事業者に関する努力義務の読替規定、第四項で内閣総理大臣が指針を定めるといったものを書いております。

こういった義務に関しまして、その実効性確保の観点から行政措置を導入するというものでありまして、4-1に戻っていただきますと、マル1の2つ目の○でありますが、行政措置として助言・指導、勧告及び勧告に従わない場合の公表を導入するというものであります。

さらに、3つ目の○でありますが、ここは今回非常に重要な改正眼目でありますけれども、内部調査等に従事する者に対し、通報者を特定させる情報の守秘を義務付ける、いわゆる守秘義務を導入するというものであります。

これは新旧対照表で御覧いただきますと、先ほど第十一条の第一項というのがありまして、通報対応業務、通報対応業務従事者を定めるというふうになりましたが、第十二条が12ページの終わりに、その通報対応業務従事者の義務としまして、「公益通報対応業務従事者又は公益通報対応業務従事者であった者は、正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らしてはならない」という守秘義務規定を導入する。

守秘義務、第十二条の違反につきましては刑事罰をもって臨むというものでありまして、それが15ページの第二十一条でありますけれども、「第十二条の規定に違反して同条に規定する事項を漏らした者には、三十万円以下の罰金」という規定を設けるというものであります。

この守秘義務でありますが、いわゆる体制整備義務というのを企業においてとっていただく、それを義務付けるという発想に立っておりますけれども、その中でも特に、通報者が誰であるかというのが安易に漏らされるというのは通報者の不利益に至る最大の原因であるとともに、その体制整備の中でも最も重要なものであるという位置付けをしておりまして、この守秘義務をきちっと明確化し、それを遵守してもらう。違反する場合には、刑事罰をもって臨むという発想であります。

これは今回の改正眼目の中でも非常に重要なポイントでありまして、体制整備義務と相まって通報者の保護を徹底するとともに、その通報を端緒として法令遵守を図ることを目指すというものであります。

以上が守秘義務の導入というところでありまして、この点は消費者委員会の専門調査会の報告書では、必要に応じて検討するというふうにとどまっていたものでありますが、その後の法制化作業、あるいは与党における御議論などを踏まえて、今回閣議決定した法案の中に盛り込むというふうにしたものであります。

以上がマル1であります。

それから、概要で申し上げますと、マル2の「行政機関等への通報を行いやすく」ということでありまして、いわゆる通報者の保護要件の問題でありますが、1つ目の○を御覧いただきますと、権限を有する行政機関への通報の条件としまして、現行では、信ずるに足りる相当の理由がある場合の通報ということで、いわゆる真実相当性と申しますが、曖昧な通報であっては困るということでありまして、それなりに根拠を持った通報、信ずるに足りる通報対象事実がある、信ずるに足りる相当な理由がある場合の通報を保護の要件としております。

どういう場合が真実相当性の要件を満たすのかという点において、通報者にとっては見えにくいところがある。それがゆえに通報をちゅうちょするということもあり得るということでありまして、ここをできるだけ具体的に明確なものとして、通報をちゅうちょさせないという目的に基づきまして、改正項目でありますが、氏名等を記載した書面を提出する場合の通報を保護の対象として追加するというものであります。

これは今の新旧対照表で申し上げますと第三条第二号でありますが、4ページから5ページにかけてのところであります。御覧いただきますと、4ページの末尾の辺りで第三条の第二号というのがありまして、読みますと、「通報対象事実が生じ、若しくは正に生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合」、これは先ほど申し上げました真実相当性がある場合ですが、「又は」という形で加えまして、「通報対象事実が生じ、若しくは正に生じようとしていると思料し、かつ、次に掲げる事項を記載した書面を提出する場合」ということで、イ、ロ、ハとありますが、例えばイであれば氏名、ロであれば通報対象事実の内容、ハであれば通報対象事実が生じようとしていると思料する理由、そういったことを書面化して出していただくという場合であれば、真実相当性が必ずしもない場合であっても保護の対象とするということでありまして、どういう場合が行政機関に対する通報として保護されるのかというのを具体的に明確化することによって、通報をちゅうちょさせないという目的であります。

概要に戻っていただきますと、マル2の2つ目の○でありますが、報道機関等への通報ということで、3号通報と言われることもありますが、これにつきまして改正をしております。1つ目は、現行で、いわゆる生命・身体に対する危害が差し迫っている場合というのは、報道機関等に対する通報であっても保護されるとなっておりますが、必ずしも生命・身体に対する危害が生じる場合でなくても、具体的には財産に対する損害であっても、一定の場合においては保護の対象にしていこうというものであります。

2つ目が、現行制度では規定がありませんが、先ほど御紹介しました守秘義務と同じような考え方で、通報者を特定させる情報が漏れる可能性が高い場合は、報道機関等に対する通報が保護されるものとして位置付けるというものであります。

新旧対照表条文で言いますと、先ほど第二号について申しましたが、5ページの第三号で、1点目はハ、守秘義務の関係でありますが、第一号に、これは企業の内部通報でありますけれども、「第一号に定める公益通報をすれば、役務提供先が、当該公益通報者について知り得た事項を、当該公益通報者を特定させるものであることを知りながら、正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当な理由がある場合」というのを加えております。

それから、イロハニのヘでありますけれども、これは財産に関するものでありますが、現行制度では個人の生命又は身体に対する危害というものでありますけれども、それに加えまして、個人の財産に対する損害、括弧して「回復することができない損害又は著しく多数の個人における多額の損害であって、当該通報対象事実を直接の原因とするもの」としておりますけれども、こういったもの。回復することができない損害としましては、具体的には破綻必至商法のようなものが想定されます。早く対応して当該商法自体をやめさせるべき場合が想定されるわけでありますが、そういう場合でありますとか、あるいは著しく多数の個人における多額の損害というものがありますけれども、これは昨今の事例で言いますと、かんぽ生命のような何千人規模の消費者に対して不適切な保険の販売をするというようなケースがありましたけれども、あの事案も通報が発覚の端緒であると言われておりますが、そういった事案について早期の是正を促すという観点から保護の対象として加えるというものであります。

以上が3号通報であります。

概要に戻っていただきますと、マル2の行政機関への通報の3つ目の○としまして、行政機関における通報への対応の体制整備というものも行政機関に対して義務付けるというものでありまして、残念ながら行政機関において通報を放置するといった事例もあったところであります。権限のある行政機関において責任を持った対応をとるということから、こういった体制の整備を義務付けるというものであります。

マル3でありますけれども、「通報者がより保護されやすく」ということで3点、保護される人、保護される通報、保護の内容について、それぞれ手当てを講じております。

1点目がまず保護される人というところでありまして、現行では労働者、しかも現職の労働者が保護の対象となっているところでありますが、これに加えまして、退職者、役員を保護の対象として加えようというものであります。

退職者につきましては、条文で申し上げますと、3ページでありますが、これは第二条の条文でありますけれども、第二条第1項の第一号というところで「労働者」というのがありますが、「又は労働者であった者」と。退職者のことを「労働者であった者」と言っております。「当該労働者又は労働者であった者を自ら使用し、又は当該通報の日前1年以内に自ら使用していた事業者」ということで、1年以内と期間を区切っておりますが、こういった形で保護の対象にするというものであります。

この点、消費者委員会の専門調査会の報告書では、退職者については期間制限を設けないのが望ましいとされたところであります。この点は、専門調査会の報告書とは若干違うところでありますが、この間いろいろと私どもで検討いたしましたけれども、退職者について、退職してからかなり長期間経過した者が通報されたとしましても、企業においては対応に苦慮することもあるだろうという点と、むしろ早期の通報を促すことによって違法行為の早期の是正につなげるほうが望ましいのではないかという観点から、退職後1年ということで期間を区切ったというところであります。

なぜ1年かというところにつきましては、おおむね退職者が通報したことによって退職者の保護が問題になった事案というのを見ますと、大体1年以内の通報のケースが多いのではないかと見られるというところでありまして、そういったところから期間としては1年としたところであります。

それから、役員でありますが、こちらにつきましては、まず条文で言いますと2ページの第二条のところで「役員」というのを加えておりまして、前から6行目ぐらいですけれども、括弧しまして「法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法令の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く。)をいう」と、ここで位置付けております。

この役員につきましては、条文がちょっと飛びますけれども、第六条がありまして、7ページでありますが、第六条を読んでいただきますと、役員である公益通報者は、次の各号に捧げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として解任された場合には、事業者に対して解任によって生じた損害の賠償を請求することができるというものでありまして、第一号は企業内部に対する通報でありますけれども、第二号を御覧いただきますと、行政機関に対する通報でありますが、イ、ロという形でありまして、イが原則でありますけれども、「調査是正措置(善良な管理者と同一の注意をもって行う通報対象事実の調査及びその是正のために必要な措置をいう。次号イにおいて同じ。)をとることに努めたにもかかわらず、なお当該通報対象事実が生じ、又は正に生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合」という形にしておりますが、役員は労働者と立ち位置がやはり異なるでしょうと。むしろ、違法行為があるというのであれば、その違法行為の是正をすべき責任があるということでありまして、まずはそういった調査是正措置をとることに努めて、努めたにもかかわらずいかんともし難いという場合は、それは通報したとしても保護されてしかるべきであろうというものでありまして、こういった形で調査是正措置というのをするということを原則としております。

ただし、ロにありますように、一定の場合には必ずしも調査是正措置がない通報であっても保護の対象にするということでありまして、先ほど申し上げました、生命若しくは身体、あるいは一定の財産に対する損害が発生するおそれがある場合というのを、そういったものに位置付けております。

この役員につきましては、第六条を御覧いただきますと、損害賠償請求をすることができるとしておりまして、この点で解雇の無効などを定める労働者とは保護の態様が異なっております。これは、例えば会社法などにおきましては、役員は株主総会において選任、解任が自由にできる、あの人は嫌いだといって解任するのでもオーケーというのが会社法の立て付けであります。そういった会社法においては、解任によって損害を被った取締役などは、損害賠償請求をすることによって保護されるという位置付けでありまして、それとの平そくも合わせて損害賠償の請求をすることができるという形での保護を図るというものであります。

以上が役員であります。

概要に戻っていただきまして、マル3の2つ目としては、保護される通報として、現行では刑事罰の対象となる違法行為、何々法違反ということでいろいろな法律がありますけれども、最終的には刑事罰の担保がある違法行為が通報対象事実として保護の対象になるというものでありますが、それに行政罰、いわゆる過料でありますけれども、それを加えるというものであります。

この点で、条文で御紹介いたしますと、4ページでありますけれども、第二条の第三項で、その第一号というところにありますが、終わりから3行目辺りですけれども、「犯罪行為の事実又はこの法律及び同表に掲げる法律に規定する過料の理由とされている事実」と書いていますが、この過料というのが行政罰のことであります。

この点につきまして、消費者委員会の専門調査会の報告書では、行政罰の対象となる事実のほか、単に行政処分があって、過料もなければ刑事罰もないという裸の行政処分のようなものについても保護の対象としてはどうかという取りまとめがされましたが、今回の法案ではそれは盛り込むこととはしておりません。

その理由でありますけれども、この法律で保護の対象とする通報対象事実というのは、一定の明確性を図るということでやってきております。刑事罰とか過料もそうでありますが、そういう場合であれば刑事罰の有無ということで一目瞭然となるわけでありますけれども、行政処分の場合は、その行為が行政処分なのかどうか、処分性があるかどうかというのを一義的に仕分けるのが非常に難しい。例えば条文で何々を命ずるという形で規定されたとしても、それが行政処分として例えば取消訴訟などの対象になるのか、そうでないのか。あるいは、命ずるといった言葉以外にどこまで入るのか入らないのかという点について、明確に線を引くのが困難であるという状況でありまして、そこの仕切りを明確にしない限りは対象とするのは難しいのでないかと考えたものであります。

以上が通報対象事実の問題であります。

最後、マル3の保護の内容という点でありますけれども、現行制度では規定がないわけですが、通報した場合に、それを理由とする損害賠償請求がされることがあるということでありますが、それについては、正当な公益通報である以上は、そういった損害賠償請求からは免除されるという規定を設けるということによって通報者の保護を図るというものであります。これも条文を設けております。

おおむね以上が今回の改正法の御紹介になります。

あと2点補足いたしますと、1点目は施行日でありまして、概要の枠の下のところに※で書いておりますが、公布から起算して2年を超えない範囲内で政令で定める日という形で時間をとっております。

この2年とした理由でありますけれども、制度の周知をすることは当然必要なのですが、施行準備として特に重要なのがマル1の指針の策定でありまして、これは事業者においてどういう体制をとっていただくかというのを事細かく盛り込むということを想定しております。先ほどの守秘義務とかそういうことも含めてであります。これは企業の実務を踏まえて、企業の実務に悪影響のないような形で、しかも他方でしっかりと体制の整備はとっていただく必要がありますので、経済界の御意見なども踏まえてしっかりと検討する必要があるだろうと考えておりまして、その一定の期間を要した上で策定し、それをしっかり周知する時間をとる必要があるということから、2年を超えない範囲内としております。

もう一点、消費者委員会の専門調査会の報告書で盛り込まれていて今回盛り込まれていないものがありまして、それが不利益取扱いをした場合の行政措置として、例えば勧告や公表などの措置を行うというものであります。

これは専門調査会では、違法な不利益取扱いに対する抑止を図る観点から、重大、悪質な事案について勧告や公表などをすべきと取りまとめがされているものでありますが、そこで言う抑止というのはどういう手法が適切なのかと。例えば今回、私どもとしては体制の整備、刑事罰付きの守秘義務ということで、原因を根本から断つというところに軸足を置いた立て付けとして今回の法案を仕上げてきております。そちらの抑止を図るというのであれば、まずは体制の整備や守秘義務をきちっと定めて、それを運用するというのがまず根本的なところに手当てをするという観点では重要ではないかと考えられるということ。

さらには、そこで言う抑止の方策として、勧告、公表をするというのがありますけれども、重大、悪質な事案として勧告、公表が有効に機能する場合というのはどういう場合なのか。そういった事案の整理と、その手法が適切なのかどうかといった整理も必要と思われます。

他方で、専門調査会の報告書でも勧告、公表について取りまとめがされましたが、公表については慎重な意見が留保されていました。これは経済界の御意見を反映したものと理解をしておりますけれども、その意図するところは、安易な事実認定により勧告、公表されることによって企業に風評の打撃が与えられるということについては、経済界としては困るという御意見と理解しておりますが、違法な不利益取扱いがされたという場合に、その不利益取扱いの理由が通報なのか、あるいは勤務成績の不良、あるいは勤務態度が良くない、その他の事情があるのか。それら双方が主張された場合に、その理由は一体何なのか、因果関係をどうやって認定するのか。

これは、例えば通常の訴訟であれば、当事者双方の主張、立証を踏まえ、裁判所が因果関係の事実認定をするというものでありますけれども、それをどういった手続で行政が行うのか、手続保障をどうとるのか、その体制をどういうふうにとるのかといった点について、なお詰めるべき点があるという状況でありますので、この点については今回の法案では直ちに盛り込むのではなく、先ほど申し上げたような体制整備と守秘義務をまずは導入して、これをしっかり運用していくことによって、不利益取扱いの原因を根本から断つということに軸足を置くという判断をしたものであります。そういう観点から、今回の法案の中では不利益取扱いに対する行政措置については盛り込むこととはしておりません。

他方で、違法な不利益取扱いの抑止を図るということの重要性は、それ自体は理解できるものであります。不利益取扱いをされてしまった通報者の方の生の声を聞く限りは、不利益取扱いを受けたことによって長期間裁判を余儀なくされたことで大変な思いをした、つらかったという声には耳を傾ける必要があると思います。

ですので、抑止策として何が本当に効果的であり、必要なのか、しっかりした事実認定を踏まえた上での抑止策として何が良いのかということにつきましては、経済界の懸念にも配慮しつつ、通報者の声にも添うという検討が必要だと思われまして、そういった点につきましては課題として受け止めつつ、引き続きの検討課題としてまいりたいと考えておりまして、資料で言いますと4-3でありますけれども、条文の附則というところがありますが、その検討条項の第五条というところで、今申し上げました不利益な取扱いの是正に関する措置の在り方というのを明記しまして、この点につきましては引き続きの検討課題とさせていただいたところであります。

以上が法案の概要の御紹介でありまして、消費者委員会の専門調査会の報告書と比較しますと、専門調査会の報告書では必ずしも直ちに盛り込むとされていなかったものを盛り込むとしたものもあれば、盛り込むべきとされていたが盛り込まなかったものもありますが、理由は今申し上げたとおりであります。それ以外のところにつきましては、おおむね専門調査会の報告書を尊重した形で法案を策定できたのではないかと考えているところであります。

説明は以上であります。

○山本委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

柄澤委員、お願いします。

○柄澤委員 私どものグループは、従業員は5万人ぐらい、そのうち海外が1万人ぐらいいるのですけれども、こういう内部通報制度、我々はスピークアップ制度と呼んでいますが、この制度についてアンケートをとっていまして、こういう制度を知っているかという問いには、9割ぐらいが「知っている」と答えるところまで来ているのですけれども、もし何かそういう事実が発生したときに、通報をためらうと回答した人が25パーセントぐらいおります。その理由の大半は、秘密が保持されるか、あるいは自分自身が保護されるか、その不安があるからだということでございます。今回の法律改正については、私ども企業の自浄作用を図るためにも、こういう制度が極めて重要だと思っておりますので、適切なのではないかと思います。一方で、これは実効性を図るためには、活用しやすいような指針の具体的な策定作業も非常に重要だと思っていますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

以上です。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

お願いします。

○消費者庁加納消費者制度課長 御指摘、どうもありがとうございます。

通報制度ですけれども、企業にとっても、企業価値の向上につながる制度として活用していただけるものになれば良いのではないかというのが私どもとしての考え方でありまして、こういう通報制度について、会社において面倒くさいとか、そういう受け止めも今までなくはなかったのかもしれませんけれども、むしろ企業の自浄作用を発揮していくのだという観点から積極的に捉えていただくというような考え方が、最近は経済界においてもかなり定着してきているのではないかと思います。

そういうことで、私どもにとっては非常に有り難い話でありまして、そういう経済界のお考えと添うような形で、私どもとしてもこの制度を運用していきたい。通報があったとして、それが企業の自浄作用の向上につながるような形でしっかり運用していきたい。そのための指針を作りたいと考えております。

○山本委員長 そのほかに。

それでは、片山委員長代理、お願いします。

○片山委員長代理 御説明ありがとうございました。大変よく分かりました。

私も指針の内容に大変興味を持っております。幾つかの組織の通報制度等を見てきていますが、先ほど柄澤委員がおっしゃったように、従業員のアンケートをとると、通報した後、どういう事態が起こるのか、どういう調査が行われるのか、その結果として本当に是正につながるのか、そこのところが従業員からしたら見えないという不安がとても大きいというのがアンケートなどでよく出てくるところだと思います。

そういう意味で、指針というのは、従業員の側から見ても、通報した後、こういうふうに調査がなされる、そういう体制が組まれていて必ず是正につながる、そういう法律になっているのだということが分かれば、より一層、従業員からしても通報につながっていくということが言えると思います。

そういう意味では、会社にとっても、従業員にとっても、指針でいかに分かりやすく、どういうイメージをもってこの通報制度を受け止めることができるかというのが一番重要なところだと思いますので、是非、双方が納得のいく指針づくりを御検討いただきたいと思います。それが一つと、大体いつ頃指針が見えてくるのかというのもお教えいただければと思います。

○山本委員長 それではお願いします。

○消費者庁加納消費者制度課長 ありがとうございます。

指針は非常に重要なものになりますから、しっかり作っていきたいと思っております。

今、私どもが、法律に基づくものではないのですけれども、ガイドラインということで任意にベストプラクティスのようなものを付けたような形で作って公表もしておりますが、経済界とかでも御紹介をして、そのガイドラインに沿って会社の運用を変えていただくとか、そういうふうな話もありますが、一つはそのガイドラインを一つのたたき台としつつ、他方で今回新たにいろいろな法律上の規定を設けますから、その規定の趣旨を踏まえて指針をしっかり作っていくということになろうかと思います。

具体的に、どういう通報をどういうふうにしないといけないのかとか、例えば先ほども守秘義務と言いますか、そういった話が出ましたが、自分が通報してばれるのではないか、仕返しされるのではないか、どうせ通報しても無駄ではないのか、そういうところで皆さんはもう通報する気がなくなるわけですけれども、通報したらこういうフローで処理します、その処理したことについてはこういう形でフィードバックします、通報した情報の共有はこの範囲にします、共有の仕方はこういう仕方でやります、例えば本人を特定しない形でしますといったことなどを書き下ろすというような想定であります。他方で、あまり細々書き始めますと、箸の上げ下げまで縛るのかという話になりますから、企業の裁量と言いますか、実情に応じて柔軟に対応していただくということはもちろん可能なようにする必要はあろうかと思いますけれども、根本的な原則などは押さえていくことが必要かと思います。

時期については、消費者委員会の御意見も頂戴しながらということになっていますので、現時点でははっきりしたことは申し上げられませんが、法案が成立いたしましたら、できるだけ早いタイミングで企業の皆様の御意見もいただくような検討をした上で、消費者委員会の意見もいただきながら策定をして、公表していきたいと考えております。

○山本委員長 ありがとうございます。

それでは、新川委員、お願いします。

○新川委員 今の指針と関わるのですが、事業者の義務としてとるべき措置を第十一条1項、2項で定めておられます。併せて、今度は恐らくそうした措置が適切にとられていないというふうに見たときに、第十五条の事業者に対して報告を求め、または助言、指導という、できる規定が置かれています。実際にはこれがうまく機能していくためには、事業者側の対応の中身を客観的に確認ができる状態、そしてそれが確実に施行されているかどうかということがチェックできるということが前提になろうかと思いますが、この十五条の実際にこの措置が発動される要件みたいなものについても併せて指針とともに検討される、そういう理解でよろしいのでしょうか。

それから、同時に、この十五条について言えば、二十二条のところで過料ということで、報告形態等々についての規定が置かれておりますので、特に20万円以下ということについて、これは他の法令とのバランスもあろうかと思いますが、これで確保できるという考え方でこうされているのだろうと思うのですが、もし御説明があればお願いしたいと思ったのですが、いかがでしょうか。

○消費者庁加納消費者制度課長 まず、第十一条のこの規定の遵守をどうやって確保していくのかということでありますが、指針は定めて、公表して、それに沿って事業者に対応していただくというのが基本線になるわけでありまして、それに違反しているのではないかと思われるような何らかの端緒を得たということがあれば、この第十五条の規定で報告の徴収とかいろいろあるわけですけれども、そういったことで、どうしてなのですかとか、そういう話をお聞きしながら、助言や指導、勧告等をしていく。

具体的にどういう事案でどうするかというのは、証拠などに照らしてやるという話に多分なるでしょうから、一概にこうだというのはなかなか言いにくいところがありますので、指針で定めるという話ではないのだろうと思います。個別の事案で、何か体制整備が図られていない、例えば、秘密が漏えいされましたということがあって、それはどうしてなのですかという話をいろいろと調べていく中で、実はこういう体制がそもそもとれていなかったとか、運用がずさんであったということが出てきて、それに応じてこういった助言、指導、勧告をとるということになるのが通常ではないかと思います。指針で何か定めるという話ではないのだろうなと思います。

それから、過料の20万円が高いのか安いのかというのは、それは評価がいろいろあると思いますけれども、これは類例とかに並べてやるというところであります。確信犯は20万を無視するということだってあるかもしれませんが、ではこれを2億円にしましょうかという話は、いろいろと法律的な壁があってできませんということでありますので、今回は報告徴収や助言、指導という形のものでありますが、やろうとしていることに見合った過料の金額として20万円と。これは類例との並びというところであります。

○山本委員長 どうぞ。

○新川委員 少し気になったのは、特に第十一条の2項のところで、「必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない」という規定が置かれている以上、もちろん大企業だけですが、これにどう抵触するかという判断はしないといけないのだろうなとなったときに、どういう判断基準を指針等の中でお示しできるかというのがポイントになるかなと思ったものでお聞きしたということであります。

○山本委員長 お願いします。

○消費者庁加納消費者制度課長 判断基準となるべき指針は定めます。先ほど申し上げましたように、どういう体制をとらなければいけないのかというのは指針で書くわけですから、それに沿ってやっていますかというのは見るわけですね。だから、それは指針に沿ってやる。それは基準になります。

あと、具体的にどういう事案でどういうふうに報告徴収などをやっていくのかと言いますと、報告徴収をするまでもなく、はっきりと事実関係が分かっているケースもあれば、もっと突っ込んで聞かないと分からないというケースもいろいろあるわけで、その事案で、何を確定させなければいけないのか、その確定をするためにはどういうツールを使うのが最も効率的なのかといったことによって使い分けるのではないかと思われます。

○山本委員長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、受田委員、大石委員、順番に。

○受田委員 内容的には大体理解をしているつもりですけれども、1つだけ素朴な疑問としてお答えいただければと思うのが役員のことです。恐らく役員のこともかなり議論をされて、保護される人として位置付けられたと思うのですけれども、もともと会社法の中では、役員においては善管注意義務があったり、同じ取締役、役員に対する監視義務もあると承知しております。社内的に不正が働き、その不正自体がどなたかの役員の所掌業務に入ってくるというのが一般的には会社で広くとられているマネジメントですので、そもそもこういうふうに役員が対象になっているというのは、会社法における役員の義務を果たしていないという前提でこの話が進んでいる、そんな理解でよろしいのですか。

○山本委員長 お願いします。

○消費者庁加納消費者制度課長 そこは必ずしもそうではなくて、会社法は会社法で、おっしゃるように役員は善管注意義務とか忠実義務、いろいろな義務があります。それで、委員がおっしゃったように、取締役会が設けられている場合には相互監視のような形でやるというのもあろうかと思います。

今回、この法律で役員を保護の対象にしようとしましたのは、役員の通報が違法行為の端緒になるというケースで、その役員が不利益取扱いを被るというケースがある。労働者に比べてどこまで多いのかという議論はあるかもしれませんが、メインステージはやはり労働者だと思いますけれども、役員についてもそういった点で保護の必要性があるのではないか。

それを前提にしたときに、その役員に対してどういう保護の与え方をするのかとなった場合に、冒頭で私が申し上げましたように、会社法制との兼ね合いでありますとか、役員の立ち位置、むしろ会社経営に責任を負うべき立場にありますので、善管注意義務を果たさなければいけないということでありまして、そういう意味では労働者と同列に保護をするというわけではないという整理をした上で、こういった形の保護にしたと。

ですから、会社法制は会社法制としてあって、それは全く無関係とは申しませんけれども、公益通報者保護法というのは、通報者を保護して、通報をちゅうちょさせずに違法行為の是正につなげたいという発想に立っておりますから、そこは会社法制とは違う規律なのではないかなと思います。

○山本委員長 よろしいですか。

それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

この法律の改正については、これまでなかなか進まなかったものが、今回ここまで進んだということについては、とても良かったと思っています。けれども、先ほど御説明いただいた中で、会社名の公表については、どこまでが勧告でどこまで公表かという仕分けができないため、今はすぐには行えないというお話だったと思います。そもそも公益通報者保護法というのは、社会のためになること、公益につながることについて通報してくれた人なのだから保護する必要がある、という話なのだと思っています。通報者を保護することもということは、もちろん大事なのですけれども、社会のためになる、公益になることの事例を社会に向けて公表するという意味は大きいと考えます。多分企業側としては、とても嫌がるだろうと思いますが、社会のためにはその事例を他企業への抑止効果としてだけでなく、企業が社会的責任を果たすという意味でも公表する意義があるのではないかというのが率直な感想です。ですから、今すぐにということではありませんが、そういう意味では今後勧告なり、公表なりしていくという方向生で、是非考えていただけたら有り難いなと思います。

以上です。

○山本委員長 お願いします。

○消費者庁加納消費者制度課長 問題意識がちょっと違っていまして、勧告、公表ですけれども、専門調査会で取りまとめられたときに、公表の導入については反対する意見があったというのが専門調査会の報告書で明記されております。これは主に経済界からの御意見と承知しています。

理由は、不利益取扱いが通報を理由とするものであったら、それはしてはいけないわけですけれども、そうではなくて、成績不良だとか、勤務態度が悪いとか、そういうのがあったら会社は当然不利益取扱いができるわけですね。どっちなのかが分からないという場合に、どうやってそれを判断するのですかと。それを例えば消費者庁が公表するとします。消費者庁が公表したのだけれども、仮に間違っていたと。不利益取扱いは通報が理由だと考えて消費者庁が公表したのだけれども、その後、会社が訴訟で争ったら違う結論が出たという場合にどうしてくれるのですかということです。

ですので、企業としては安易な事実認定に基づく公表というのは困るというのがこの専門調査会の取りまとめで出された意見と理解しておりまして、委員がおっしゃったところとは問題意識が違います。事実認定をどうやって適正に図るのかというところが問題の所在であります。

○大石委員 ということは、安易な事実認定にならないよう、きちんとした認定ができる仕組みが消費者庁に整えば、それは可能だと考えてよいでしょうか。

○消費者庁加納消費者制度課長 それはもう訴訟そのものですね。企業として、例えば消費者庁が公表した、それに企業としては不服があるという場合には、最終的に訴訟で争うわけですけれども、そこで実はその不利益取扱いの理由が違うという可能性もあるわけです。それをどういうふうに抑止してくれるのですかというのが企業の御懸念の本質だと思います。

○山本委員長 よろしいですか。

生駒委員。

○生駒委員 通報者を特定させる情報の守秘を義務付けるという、先ほどから皆さんからお話がありましたが、通報することで自分が解雇されたり、不利な立場に行かされる恐怖心で皆さんなかなか通報できないというのがあったことから考えますと、すごく良い改正になると思っています。

改正された後に、派遣社員の方も含めて労働者の方の耳に、こういう法律ができたのだよということが届くような工夫をどういうふうに考えていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。

○山本委員長 お願いします。

○消費者庁加納消費者制度課長 一番重要な御指摘でありまして、制度を作って、それをいかに運用していくかというと、こういう通報者を保護して、違法行為を是正していくような制度があるのだとして、それをどういうふうに社会に定着させていくかというのが非常に重要でありまして、そこはまだまだ私どもとしてはやっていく必要がある。

この公益通報者保護法自体ができたのが平成16年でして、18年から施行しておりますから十数年たっておりますけれども、立法時は通報というのが後ろ暗い、密告だとかチクリという言葉があったわけであります。そういう時代に比べると、かなり変わってきたのではないか。先ほど柄澤委員の御発言もありましたけれども、スピークアップだというお話がありまして、そういう風土、社会が変わってきたというのは私どもにとっては非常に有り難い話であると思っておりますが、他方で意識をもっと定着させていく必要がある。

先ほど片山委員とかがおっしゃった中で、体制整備をとって指針を作って、しっかりと反映して安心できる通報をするというのがありますけれども、私どもがいろいろ調べている中で、通報というのは良いことだ、通報者の保護を図ってほしいということについては、結構多数の方が「はい、そうです」とお答えになりますが、自分が通報しますかというと、「したくない」と答える人が多い。隣に座っている人が通報してくれることは歓迎するというのが多いのです。これを私どもは重たく受け止めなければいけない。本音はそこにあるのだろうと思います。誰かが通報してほしい。自分は嫌だと。

ただ、それを変えていかなくてはいけない。これは非常に難しいことだなと私は思います。意識を変えていっていただく。企業にあれをやれ、これをやれと言うだけでは足りません。私どもとしてもいろいろやっていく必要がある。通報者の方の意識も変えていただく必要があるだろう。社会全体がこの問題について受け止めていただく必要があるのではないかと思います。

○山本委員長 それでは、丸山委員、お願いします。

○丸山委員 私の知識不足なのだと思いますが、公益通報者保護法における公益通報をされるということは、何らかの違法行為を行っているということで、その法律を所管している行政庁が別にあることがあり得るわけですね。警察とか厚労省など。消費者庁に通報に関しその情報が上がってきたときに、関連行政庁と情報共有をしていくような仕組みとなっているのか、教えていただければと思います。

○山本委員長 お願いします。

○消費者庁加納消費者制度課長 そこは当然、連携、協力はしなければいけなくて、例えば他省庁が所管している法令に違反するような通報があったとすると、例えばそれが間違って消費者庁に来た場合には、それは別の省庁ですよという形で誘導してあげないといけませんし、また、違法な不利益取扱いについて判断するといった場合があれば、その前提となる通報対象事実に該当するのかどうかということについては、それぞれの法律を所管している省庁との連携などもとっていかなくてはいけない。

今回の改正の中では、関連するものといたしまして、また後で条文を御覧いただければと思いますが、第十七条というのがありまして、関係省庁への照会、協力を求めるという規定がありまして、これはいろいろと関係省庁に対して問い合わせをして協力を求めるという規定でありますけれども、こういった規定なども活用して連携体制をとっていく必要があろうかと思います。

○山本委員長 そのほかにいかがでしょうか。

よろしいですか。

ありがとうございました。今般の公益通報者保護法の一部を改正する法律案につきましては、先ほどお話がありましたように、消費者委員会の専門調査会の検討結果をおおむね反映する形で立案をいただき法案が閣議決定されたとのことで、その御尽力に感謝を申し上げたいと思います。

内容に関しましては、守秘義務につきましては専門調査会では今後の検討課題とされたものが盛り込まれたということです。この点につきましては専門調査会ではむしろ、事業者の体制整備義務の問題として考えるのがメインではないか、担当者個人に関しては、現在でも民事の不法行為になる可能性はあり、刑事罰まで付けるのは、逆に担当者個人に対するプレッシャーが非常に大きくなるのではないかという観点から、そこまでは付けなかったのですけれども、今回、恐らく種々検討され、要件として正当な理由がある場合は除くと定めて、そこのところは切り分けていただいたと考えております。

それから、不利益取扱いに対する行政措置に関しましては、これも専門調査会で種々議論がありまして、抑止効果が大きい制度を作ろうといたしますと、当然のことながらそれに対する手続も重くなる。そういたしますと、国の側の体制をかなり大がかりに作らなければいけなくなるという問題がある。

そういうことから、刑事罰を定めることについては、やはり難しいだろうという反対が非常に強かった。公表についてもやはり反対があり、しかし、勧告というところまでは何とか合意が形成されたと思いますが、それでも国の側でそれについて事実認定をする体制が本当にできるだろうかという懸念があり、そうしたことを踏まえて、今回は附則の第五条の中で、3年後に、特にこの不利益取扱いに対する措置の問題について検討するという形で、かなり強く書いていただいたと認識をしております。

公益通報者保護法はいろいろな問題が指摘されながら、ここまで改正をされないままでおりましたけれども、今回、この改正法案が作成され国会に提出されたということで、これが早期に成立することを期待したいと考えております。

消費者庁におかれましては、この法律が成立後は、消費者被害の防止のため、現行法及び改正法の内容について、消費者、事業者への周知等、これは先ほどからも御指摘がございましたけれども、こういったことについて一層御尽力いただきたいと考えております。

消費者委員会といたしましても、先ほど指針の策定ということが具体的に出ておりましたけれども、それも含めて今後も取組または注視をしてまいりたいと考えております。

消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきましてありがとうございました。

(消費者庁加納消費者制度課長退室)


《6.その他》

○山本委員長 最後ですけれども、「その他」といたしまして、「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」の施行等に伴う特商法施行令の改正のための手続について御報告があります。

短く言ってしまいますと特商法の施行令ですが、この改正に関する諮問・答申の要否等につきましては、形式的な改正と思われる場合でありましても、その都度、委員会として手続の省略を可とするか否とするかという点について判断をいただくという形で進めてまいりましたけれども、この間、今般の状況等に鑑みまして、本会議が開催できなかった一方、手続には一定の時間の制約があったということがございまして、委員間打合せにおきまして、改正の内容について確認をし、本件につきましては形式的な改正であることから諮問・答申手続を省略することについて委員の皆様から御了解をいただきました。その旨をここで御報告いたします。

改正内容等の詳細につきましては、資料にて御確認をいただければと思います。

今回につきましては、あくまで日程等の関係での例外的な措置でありまして、今後もこれまでどおり本会議の場で諮問の要否を判断いただくということで進めてまいりたいと思います。あくまで今回は例外的な措置ということでございます。


《7.閉会》

○山本委員長 本日の議題は以上になります。最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○金子参事官 次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会のウェブページを通じてお知らせいたします。

なお、この後、連絡事項がございますので、委員の皆様におかれましては委員室にお集まりいただければと思います。

以上です。

○山本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)