第304回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2019年8月1日(木)14:00~15:48

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    国民生活センター相談情報部福井相談第2課長
    国民生活センター相談情報部相談第2課担当者
    消費者庁内藤消費者政策課長
    消費者庁澤野消費者政策課企画調整官
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 預託等取引契約に関する消費者問題について
  3. 第4期消費者基本計画策定に向けた検討状況について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間となりましたので、第304回「消費者委員会本会議」を開催させていただきます。

お忙しい中、皆様、御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は、蟹瀬委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○金子参事官 配付資料でございますけれども、議事次第の下部に一覧が記載されております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、お願いいたします。よろしいでしょうか。

○高委員長 ありがとうございました。


≪2.預託等取引契約に関する消費者問題について≫

○高委員長 本日の最初の議題は「預託等取引契約に関する消費者問題について」でございます。

我が国では、物品・権利を販売すると同時に、当該物品等を預かり、第三者に貸し出すなどの事業を行うとして、利益の還元や、物品などの一定価格での買い取りを行う商法を悪用し、多数の消費者に高額かつ深刻な被害をもたらす事案が繰り返し発生しております。消費者委員会では、平成30年8月の第284回委員会において、ジャパンライフ事件の被害実態と預託法の問題点などについて、本年6月から7月においては、有識者からヒアリングを行うなど、様々な観点から検討を進めてまいりました。

本日は、ジャパンライフに係る消費生活相談の傾向について、国民生活センターからヒアリングを行い、意見交換を行いたいと思っております。

本日は、国民生活センターより、相談情報部相談第2課の福井課長と御担当者の方にお越しいただいております。お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、大変恐縮でございますけれども、20分程度で御説明をお願いいたします。

○国民生活センター相談情報部福井相談第2課長 独立行政法人国民生活センター相談情報部相談第2課の福井と申します。

本日は、御説明の機会をいただき、誠にありがとうございます。

同席させていただいておりますのは、担当の飯田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、ジャパンライフに関する消費生活相談の傾向につきまして、事前に御依頼いただいておりました内容に基づいて、資料を基に御説明をさせていただきます。

1ページ、おめくりいただければと思います。1ページですが、PIO-NETに登録されたジャパンライフに関する消費生活相談について、2016年1月から2018年4月までの期間について、月別の相談件数を見ております。

2016年1月から2017年10月までの月別の相談件数を見ますと、2017年6月に54件と少し多くなった月もございますけれども、毎月、大体10から20件台の相談が消費生活センターに寄せられておりました。

この図にはございませんけれども、2016年1月より前、2015年12月以前を見てみますと、毎月、一桁から10件台の相談が寄せられておりました。その後、後でまた御説明いたしますけれども、2017年11月に40件と相談が増え始めて、2017年12月は500件近く、2018年1月に800件以上、831件の相談が寄せられております。その後、また減少し始めて、徐々に減少しておりまして、このグラフにはない2018年5月以降は、一桁から10件台の相談の件数となっております。

2ページに移らせていただきます。週別に見たものが2ページのグラフになります。ここでの週のとり方は、日曜日から土曜日までの1週間で見ております。また、期間は、2016年12月4日の週から2018年4月22日の週までの73週間分を記載しております。

この前後、例えば2016年12月4日の週より左側とか、その後の一番右側の2018年4月22日の週以降を見てみますと、件数的にはそんなに多くはなくて、先ほどお話したとおりの月別で見ても、一桁から10件台という少ない数字ですので、細かい数値となっております。

このグラフでは、消費者庁の4回の行政処分の日付と、事実上の倒産という報道がされた12月26日を吹き出しで記載をさせていただいております。

週別に相談件数を見ると、2017年11月12日の週、真ん中より少し右側のところなのですけれども、その前の週まで見ると、ほとんどの週が一桁の件数でした。ただ、途中で2017年6月4日の週とか、その次の週で少し相談が増えているのですけれども、これは後ほど説明をさせていただきます。

2017年11月12日とか、11月19日の週のころになると、相談件数が増えてきておりますけれども、これは解約時の返金とか、その後、配当金の遅れなどについての相談が増えたことから、毎週、30件弱の相談が寄せられました。

2017年12月24日の週ですけれども、これは12月26日に事実上の倒産という報道がございましたので、その週が非常に増えていて、373件、その翌週、2017年12月31日、年末から年始にかけての週ですけれども、401件の相談が寄せられました。その後はまた減少して、2018年3月18日の週ぐらいからは、一桁の件数となっています。

この次のページから、具体的にどういう相談内容があったのかを見ていくのですけれども、3つの期間に区切っていまして、1つ目は、1回目の消費者庁の行政処分がある前まで、どういう相談があったか。

2つ目は、その行政処分があってから倒産報道がされるまでの期間です。

最後に、倒産報道後にどういう相談が寄せられたかというところを御説明したいと思います。

3ページ目は、1回目の行政処分の前までの相談の内容です。相談事例ですと、3つ、代表的なものを載せております。

母が業者に大金を振り込んでいるのでやめさせたいとか、親類が500万円を投資したけれども、会社の信用性について知りたい。また、知人から勧誘されて契約したのだけれども、それで解約したのですが、返金されるか不安といったような、特徴としては、契約者の家族による相談、また、事業者の信用性に関する相談が多く見られています。

事業者の担当者から直接勧誘を受けたというケースの他には、親類、知人から誘われるマルチ的な勧誘も多く見られたことが特徴です。

次のページは、1回目の行政処分から12月26日の倒産報道の前までの相談を見ています。この期間は、先ほど御説明したような家族からの相談とか、信用性に関する相談に加えて、事例に挙げているような3つのパターンの相談が寄せられています。

1つは、行政処分の関連の相談ですけれども、知人に勧められ契約をした事業者が行政処分された。解約したほうが良いか、教えてほしいという相談です。これは特徴の1つ目のポツになりますけれども、行政処分直後には、関連する相談が寄せられておりまして、1回目、2回目の行政処分後の1週間の相談を見てみると、それぞれ10件程度は、行政処分を受けたと聞いたけれどもという相談が寄せられておりました。

事例の2つ目は、事業者から書面が届き、サインして返送してほしいと記載されているが、どうすれば良いかというものです。これは2回目の消費者庁の行政処分のときに、外部監査を受けた会社計算書類を顧客に通知させるなどの措置命令がなされておりまして、そこで、その後、ジャパンライフから独立監査法人による監査結果等のお知らせという書面が届きました。その関連で、2017年6月上旬、6月4日の週のころなのですけれども、相談が多く寄せられました。先ほどの2ページ目を見ていただいたところの2017年6月4日の週で、少し相談が増えているのが今の御説明したところの状況になります。

4ページ目のスライドに戻っていただければと思うのですけれども、3つ目は、高配当が得られると言われ購入した磁気治療器を解約したが、約束の日に返金されなかったというもので、2017年11月中旬から、解約の際の返金が遅れている、解約したけれども、約束の日に返金されなかったという相談が見られ始め、12月の初めごろから毎月の配当金の支払いがなされない、遅れているといった相談が見られるようになってきて、相談が徐々に増えてきたという印象でございます。

次のページをおめくりください。倒産報道がされた直後の相談ですけれども、内容としては、倒産した業者に投資をしていたけれども、返金を求めることはできるだろうか。今後、どうしたら良いか。また、知人から紹介されたレンタルオーナーの契約について、報道前に返金手続をしているのだけれども、返金されるのかとか、返金を求めたのですが、返答がない。今後、どうしたら良いかといった相談が多く寄せられております。

その後ですけれども、2018年3月に破産手続開始決定がされて、5月中旬から破産手続開始に関する通知書が発送されると、こうした破産手続に関する相談が見られたり、その他は、消費者がジャパンライフから購入した商品代金の支払いに関して、未払い金があるというケースがございまして、そのときに、破産管財人から債権回収会社を通じて書類が送付されておりまして、そのことに関しての相談も見られております。

以上が相談の内容の傾向です。

次からは、データ的な内容の御紹介をさせていただきます。6ページ目は、契約当事者の年齢の件数と割合を示したものですけれども、70歳代の方が36%、80歳以上が34%、60歳代が16%ということで、高齢な方の契約が多く見られます。

次のページは、相談を受け付けた日のベースになってしまうのですけれども、四半期でその傾向の変化を見たものですが、これは時期的に傾向の違いはそれほどありませんで、どの時期も70歳代、80歳以上が多いとなっております。

次のページは、契約当事者と相談に来られた相談者が一緒かどうか、相談者は契約者なのかというところで、相談者と別の人は、本人以外の家族などからの相談、同じ人は、本人からの相談となっています。ここで見ていただくと、相談者と同じ人、相談者本人が相談しているケースが6割で、相談者と別の人が4割です。

1ページめくっていただいて、四半期ごとの傾向を見ていただくと、少し様相が違っております。返金が遅れたり、配当金が遅れたり、倒産報道があった2017年10月-12月、特に12月が多いのですけれども、そのころは、相談者と同じ人、相談者本人が6割とか、その翌月は7割ということで、相談者本人が相談をしているのですけれども、その前の2017年4月-9月より以前を見てみると、相談者と別の人、本人以外が御相談に来られている傾向が見てとられました。

金額のところを御説明します。契約購入金額です。どの金額で契約をしたかというところなのですが、一番多いボリュームゾーンは、どういうボリュームゾーンをとるかということがあるのですけれども、1000万円超、2000万円以下が287件、また、2000万円超、5000万円以下が325件というところで、多く目立っております。

これは次のページですけれども、時期によって変化があるかというと、これもそれほど変化はございませんでした。

次が既払い金額です。実際に契約はしたけれども、まだお金を払っていないとかというケースがあるのですが、実際に支払ってしまった額を見たのが12ページのスライドになります。これは先ほどと同じで、1000万円超、2000万円以下が280件ぐらい、2000万円超、5000万円以下が320件ぐらいということで、先ほどの契約金額と同じような傾向が見てとれます。

次のスライドですけれども、これは四半期ごとで見たものですが、これも時期によって大きな変化はないところです。また、今回、見ていて、特徴的だったと思うのは、10ページのスライドと12ページのスライドの円グラフなのですけれども、大体の消費生活相談で多いのは、契約はしたのですが、まだ支払っていないとか、支払った額は少ないところなのですけれども、例えば10ページ目のスライドの契約購入金額の1000万円超、2000万円以下が287件で、それにぴったり対応するというわけではないのですけれども、既払い金額は279件。10ページのスライドの契約購入金額の2000万円超、5000万円以下の325件に対する既払い金額は319件。5000万円超は222件と208件ということで、この件数の差が非常に少ないというのは、契約をしてお金を支払ってしまっているところが見てとれます。

行き来してしまうのですが、最後、14ページ、15ページに販売購入形態、どういう形で販売されているかをまとめたものですけれども、多いのはマルチ取引、その他は、店舗購入とか、訪問販売が見られました。

四半期ごとの傾向を見てみると、どの時期もマルチ取引が多いのがあります。ただ、店舗購入での2016年の1年間は、4分の1ぐらい、25%ぐらいあったのですけれども、それ以降は減っていたりというところが少しあると思っております。

説明は以上となります。ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見がございましたら、御発言ください。池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。非常に貴重な興味深いデータの御報告をありがとうございました。

何点かあるのですが、今日、特に報告をいただいた2016年から2017年、ほとんどの期間、特に行政処分があった以降も、すぐにまた相談件数は減ってしまっている辺りは、なぜそうなのだろうかというのが、私たちはよく分からないところがあります。

それをお聞きしたいのですが、その前提として、勧誘方法のここが問題だ、こういうふうに言われた、そこが不満だというよりは、大丈夫だろうか、信用性について知りたいというのがほとんどのようにお伺いしました。

こういうケースの場合に、消費生活センターとしてはどういうことが言えるのか。特に行政処分がある以前だったらどうなのか。それから、行政処分の中でも、第1回目の処分は、たしか書面交付義務違反とか、形式的なことだったと思うのですが、第2回目の3月の行政処分、あるいはそれを受けた5月ごろの監査結果の通知の中では、大幅な赤字で商品を保有していないことが明らかになったと思うのですが、そういう情報を相談者は理解した上でどうしようかと相談に来ているのか、それとも、こんなのが来たけれども、何ですかということなのか。

その辺りの相談者の理解度と、それに対するセンターとしては、特に3月なり、5月ごろの情報が手に入った以降、何か助言の仕方として工夫されたところがあるのかどうか。もちろんPIO-NETの記録の範囲内なので、詳細は分かりかねるところがあるかもしれませんが、お分かりの範囲で教えていただければと思います。

○国民生活センター相談情報部福井相談第2課長 ありがとうございます。

まず行政処分前と行政処分後ということだと思うのですけれども、両方とも配当金が遅れるとか、解約時の返金がないとか、事実上の倒産報道があるまでは、家族の方、本人以外の相談が多いので、その場合は、両方とも家族がやっているのだけれども、大丈夫か、信用できるかというものになってくると思います。

行政処分前に相談が寄せられてきた場合は、この件が良いとか、悪いというのは、なかなか言えないものですから、類似の投資の被害について説明を差し上げたり、あるいは投資の被害でよくある、説明のときにどういうことを説明されているのか。例えば元本保証とか、損をすることはないとか、そういう説明があったのか、ないのかというところを確認させていただきながら、これまでの他の投資被害のケースなどを御紹介させていただいて、消費者の人にこれは危ない投資かもしれないということを気づいていただくということをさせていただくと思います。

行政処分後ですけれども、これもジャパンライフについて、行政処分をされたということは、家族の人が知っていても、契約者本人が知らないというケースは多かったと思います。また、その他にも、行政処分されたけれども、事例を見てみますと、営業店、店舗に確認したところ、処分されたのは、問題があった過去であって、今、問題があるわけではないですと言われていたり、また、行政処分はされているけれども、業務が継続しているから、安心してくださいといったような封書が届いたという相談もございました。

事業者の説明としては、いつでも解約できるとか、お金は預けていても、預け金は大丈夫だとか、そういった説明があったと事例からも見られまして、そうすると、消費者の人は、行政処分があったかどうかをまず知らないということと、あったと知っていても、大丈夫と言われて、そのまま続けてしまった。

また、補足になるのですけれども、やめるとお金が入らなくなってしまう。たくさんお金を預けていて、今、それをやめてしまうと、お金がもう入らなくなる、来なくなってしまうというところがあったようで、相談者の人は、それでとりあえず続けようということもあったのではないかと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ。

○池本委員長代理 関連して、今、非常にポイントになるところだと思うのですが、今のような特に行政処分の2度目以降だと、非常に問題のある商法である、要するに取引高に見合う現物がないという情報が既にセンターの中では共有されている段階でも、返金があるかないか、配当があるかないかということは、消費者が契約してしまったものとしては、自分のお金が戻ってくるかどうかにしか関心が向かなくなっていると思うのです。

そこで、よくセンターで相談があると、助言して、後は御本人で判断してもらうケースと、センターが積極的に、例えば本人が解約を希望すれば、あっせん交渉に入るということもあると思うのですが、ジャパンライフの場合、特に行政処分が行われた以降辺りで、しかも、破綻より前の期間で、アドバイスを受けて、これは早く解約したほうが良いというので、解約交渉に場合によってはいくということは、ある程度はあったのでしょうか。それとも、あまりなかったのでしょうか。

○国民生活センター相談情報部福井相談第2課長 基本的には、まずは自主交渉をしてくださいということになると思います。それでもうまくいかなかった場合に、センターがお手伝いをするということで、あっせんの交渉に入ります。

ただ、ジャパンライフの場合は、ある程度の解約とか、返金は、最後まで一定程度されておりまして、解約はできた、返金してくださいというところで、返金の約束がされるのは、最後まであったと思います。それが最後の11月ごろになって、約束されたお金が返ってこないという相談になって、ようやくもうお金が返ってこないということだったと思います。

○高委員長 他によろしいでしょうか。増田委員、どうぞ。

○増田委員 ジャパンライフの相談については、10年も前から相談が寄せられています。その当時、1000万という金額の返金交渉をして、全額を返してもらったりということがありました。ちょうど見守りに銀行などを巻き込んで、詐欺の被害を未然防止するということが始まった時代だったので、銀行から通知を受けて間に入りました。

そういうふうに発覚すれば良いのですけれども、御本人は問題だという認識がないので、相談を受けたときに、解約したいという意思が確認できないことが多くあります。しかし、契約内容は非常におかしいものです。商品価格が暴利行為といって良いぐらい非常に高額で、通常あり得ない金額のものを何個も契約しているという、売り方と商品性の問題があります。そういうことを分析して、相談がたくさんなくても、その商品性にすごく問題があったのならば、早期にそれを注意喚起するということは、国民生活センターでは難しいのでしょうか。

○国民生活センター相談情報部福井相談第2課長 ありがとうございます。

事業者の個社の特定でなければ、こういう手口があるとか、こういう契約内容が怪しいとか、そういうことはできると思っていまして、今回、レンタルオーナーについても、注意喚起を2016年9月にしております。

○高委員長 よろしいですか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 ありがとうございます。

疑問に思ったり、お聞きしたいことが幾つかあります。処分される場合は、実名で報道されるわけですね。それがどの程度一般の人たちが情報として知り得るのかという程度のことです。今、いろいろ悪質商法などもニュースでやったり、バラエティーなどでもやってくださっているので、一般消費者でもオレオレ詐欺などもすぐ分かるぐらい認知が進んでいるのですけれども、実名で4回も報道されながら、ここの会社は危ないと気づかないのは、マスコミの方とももう少し協力していただいて、一般消費者に触れるような報道の仕方ができなかったのかというのが1つです。

あと、質問なのですけれども、4回も行政処分されても、営業はし続けられるのですね。

もう一つ、最後なのですけれども、非常に高額で、しかも、手口がマルチなのですけれども、これは向こうのやり方が非常に上手というか、独特のシステム化されたやり方があるのかとか、お金持ちの名簿が手に入っているのか、その辺りの情報があったら、教えていただきたいと思います。

○国民生活センター相談情報部福井相談第2課長 ありがとうございます。

3点、御質問をいただいたと思うのですけれども、1つ目は、行政処分をされたことの消費者側の認知ですが、行政処分をして報道しているのは消費者庁なので、私どもでこうとは言えないのですけれども、一般的なお話だと、私どももいろんな注意喚起をするのです。先ほどのレンタルオーナーで気をつけてとやっても、まず課題の1つは、それが届けたい人になかなか届かないということと、届いたとしても、それが自分の話とは思わないというところがあるのではないかと思います。

もう一つは、それに補足して、先ほど池本先生から御質問があったことの繰り返しになってしまうのですけれども、行政処分があっても、事業者側が大丈夫という説明をしていたところが、1つ、消費者側がそんなに大きな問題だと思わなかったところと、お金をたくさん支払っているので、信じたいという気持ちも消費者側にはあったのではないかと思います。

2つ目は、行政処分があっても営業し続けられるかという御質問ですけれども、それも消費者庁のところになってしまうのですが、今回は、処分されたところが少しずつ形態を変えてやったところがあるのではないかと思います。

最後、名簿の存在とか、こちらでは把握しておりません。申し訳ございません。

○高委員長 ありがとうございました。

他にございますか。池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 今の大森委員の質問の延長になるのですが、業務停止命令は、特定商取引法もそうですし、預託法もそうですが新規契約締結の勧誘を禁止するということであって、既存の契約者に契約の履行、つまり配当金を払うとか、それをやめろというものではないはずです。一般の取引でいえば、契約したものについて、事業者側が義務を履行することは、むしろ一般的にいえば、それは消費者保護の意味を持つから、それはちゃんとやりなさいと、ただ、問題がある取引について、新規の契約締結を禁止することだと思うので、その意味で、配当は続ける。配当を続ければ、契約者からすれば、その配当金が入ってくることがどうしても優先になってしまうという流れだろうと思うのです。

先ほどお伺いしたところに確認的なことになるのですが、契約高に見合う商品がない、あるいは5月の監査法人によると、これは評価できない。要するに経営構造からしたら、全く評価に値しない、大赤字だということが出てきている、そういう話は、相談者には伝えられているのでしょうか。あるいはそれを伝えても、余りピンときておられないということなのでしょうか。

○国民生活センター相談情報部福井相談第2課長 2回目の処分のときの先ほどの監査結果を知らせなさいというところが消費者に届いても、相談を見ていると、消費者の人には余りぴんとはきていなかった。内容は見たけれども、難しすぎるというような、何が来たのかが分からないという相談が見られました。なので、消費生活センターに相談は寄せられておりましたが、その相談者には、こういうことですということは、説明することができた。そこはできたのだとは思うのですけれども、それ以外の方に対しては、相談してこられない方には、そこを伝える手段は、消費生活センターにはなかったと思います。

○高委員長 他はよろしいですか。

私も幾つかお聞きしたいのですけれども、こういった事件は、なかなか表に出てこなかったことが、今回は反省事項の1つだと思うのですけれども、例えば商品を販売して預けてもらう、今となっては、こういうビジネスのやり方そのものが、かなりリスクの高いものだと思うのです。仮に相談件数が少ないとしても、そのパターンにはまるようなものがあった場合には、ウォーニング(警告)が出るとかいうのでしょうか、センターとしても、これは何か大きな問題があるのではないかということを確認できるような内部手続みたいなものを考えようとされているのかどうか、その辺りをちょっと教えていただけませんか。

○国民生活センター相談情報部福井相談第2課長 1つあるというか、今回はぽこぽこと少ないながらも件数はあるのですけれども、そうではないと、他の倒産のパターンですと、返金が滞って配当金がないというのは、そのときになって、本当の問題になって、ようやくどんと相談が出てくるので、ウォーニングをどこまで出せるかというのは、件数で見るしかないのです。

ただ、問題があると、国民生活センターは、各地センターからの経由相談をやっているので、問題だという情報は集まってきたりはすることはあります。ただ、その時点でこの事業者が将来的にジャパンライフと同じように解約金の遅れとか、配当金の遅れがあったり、倒産するかどうかというところの予見までは難しいと思います。

あとは、当センターでは、相談の件数を見て、これまでと通常ではない相談件数が入ってきた場合には、それをPIO-NETの指標上でピックアップするような仕組みは設けております。そうすると、指標の上位にこれはおかしいという相談が入ってくるときはありますけれども、その場合でも、事例を見ると、配当金が遅れる状況になって、ようやく上に上がってくるのではないかと思っています。

○高委員長 ありがとうございます。

具体的なところでお聞きしたいのですけれども、例えば4ページのところに、1回目の処分の後にこういう相談事例があったということで、3つ並べていただいています。それで、こちらで3つ並んでいて、一番上のところに、解約したほうが良いか教えてほしいという、これが仮に処分の2回目の後であるとすると、要するに契約した数だけ会社の中には物がないことが明らかになって、そのことを措置命令でもって、一般の契約者の方々に通知せよということになっているわけです。

もしこの2回目の処分後であるならば、これはなかなか言いにくいのかもしれませんけれども、センターとしては言えないものなのか、他にこういう事例がありますという間接的な説明しかできないのか、それは早目に解約を御検討されたほうがよろしいのではないでしょうか、というところまで言えるものなのか、ここら辺りはどうなのですか。

○国民生活センター相談情報部福井相談第2課長 あなたの契約はこうだから、解約しなさいというのは、そこまでは言い切れないですけれども、極めてこれは危ないのではないですかという感じで説得するというか、説明はするとは思います。ただ、言い切ることは、なかなか難しいと思います。

○高委員長 分かりました。

○国民生活センター相談情報部福井相談第2課長 その反対も一緒で、この契約は安心だから続けたほうが良いというのは、他の契約でも言えないように、その反対も言いづらいのです。

○高委員長 助言される場合も限界があるということですね。

よろしいでしょうか。どうぞ。

○池本委員長代理 今の質疑に関連してですが、最終的にこの事業者が破綻するかどうかは、もちろんセンターとしては、内部情報を持っているわけではないので言えないと思いますし、消費者庁の処分も、たしかあれは取引高に見合う商品がない状態で、あるかのように装って勧誘しているのは、重要事項の不告知であると、不告知というのは、取消しができる事由だという、それは取消しができますという助言は難しいでしょうけれども、もう一歩進んで、例えばこの状態はそもそも犯罪なのだから、やってはいけない状態だというような、何かメルクマールとして消費者庁からの処分なり、情報として公表できるものがあれば、それはアドバイスでは、そのまま言えることになるのでしょうか。

○国民生活センター相談情報部福井相談第2課長 行政処分をされたケースは、全ての消費者のケースに当てはまるわけではないので、先ほど先生がおっしゃられた取消しできるか、できないかですけれども、内容がそもそも嘘でしたということであれば、交渉はしやすいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

本日は、データに基づいて、いろいろ説明をいただきまして、ありがとうございました。

まず少なくとも3つのことは確認させていただいたと思っています。

一番目は、倒産報道がきっかけになって、相談件数が一気に増えたということですね。

それから、2番目は、契約当事者が大半は高齢者であると、特に70代、80代の方がかなりの数を占めている。60代まで入れれば8割以上だということでございました。

そして、3番目は、被害額。これは高額になっている。これがデータに基づく説明だったと思います。

私どもとしますと、ここから推測できることはいろいろありますけれども、4つほどあるかと感じました。

一番目は、4回行政処分を行っても、相談件数が増えなかったということ、特に2ページ目の表を見ますと、現行法でとり得る手段には、かなりの限界があるということです。例えば処分の内容についても、先ほど御説明がありましたけれども、理解されていなかった契約者の方は、事業者としては、文書での説明や指示に従って対応したということでしょうけれども、その内容をほとんど理解できない状況にあったということです。その意味で、現行法には限界があると思いました。

2番目は、被害者の多く、特に契約された方で、御家族の方ではなくて、契約者ご本人は、ぎりぎりまで事業者側の説明をうのみにしていたということですね。事業者に「大丈夫」と言われたら、そのまま、これを信じていたということです。

3番目ですけれども、これは事業者側の観点で考えると、倒産までの約1年間、ある意味で、事業者側に時間的な余裕を与えてしまったということです。残念ながら、そういう結果になっているのではないかと感じました。

最後ですが、これは「たられば」の話ですが、2回目の処分を行った2017年3月、こういう処分を行う前の段階で、庁は、お客様に約束しているだけの商品がないということを把握していたことになります。確かに庁はいろいろと動いたのでしょうけれども、仮にこの段階で、警察が動けるような仕組みがあったとすれば、実際に警察が動いたのは随分後になってしまってからですが、契約しただけの数がないということが分かった段階で、警察が動けていたとすれば、被害の拡大防止は、もっと効率的にできたのではないかと、そんなことを感じました。

当委員会としては、これまでもジャパンライフの問題について、調査審議を行ってまいりましたが、本日の議論も踏まえて、何らかの形で取りまとめを行いたいと思っております。

国民生活センターにおかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、また、貴重な情報を共有していただきまして、ありがとうございました。

どうぞ御退席ください。

(国民生活センター関係者退室)

(消費者庁関係者入室)

≪3.第4期消費者基本計画策定に向けた検討状況について≫

○高委員長 次の議題は「第4期消費者基本計画策定に向けた検討状況について」でございます。

本件については、平成31年1月の第290回委員会において、第4期消費者基本計画の在り方に関する検討会報告書の内容について、ヒアリングを行ったところでございます。消費者庁においては、現在、この報告書等を踏まえて、第4期基本計画の策定に向けて、検討が進められているということでございます。本日は、その検討状況について、消費者庁からヒアリングを行い、意見交換を行いたく思っております。

本日は、消費者庁内藤消費者政策課長、澤野企画調整官にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、恐縮でございますけれども、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 改めまして、消費者政策課長の内藤でございます。着座にて失礼いたします。

現在、消費者基本計画は3期の計画を、工程表を含めて、実施中でございます。こちらの計画は、今年度いっぱいということでございますので、来年度から新しい基本計画を策定し、実施することが必要でございます。

新しい基本計画の在り方につきましては、昨年まで有識者検討会で議論が行われておりまして、今年の1月8日に報告書を公表してございます。内容につきましては、委員会の皆様にも御説明を申し上げましたけれども、年明け以降は、加えて消費者団体、あるいは経済団体等に御説明をし、意見交換を実施してきたところでございます。

そういった内容を踏まえまして、私どもといたしましては、秋ごろを目標に基本計画の素案を作成すべく、現在、作業中でございます。本日は、検討中の素案の骨子案について、御説明をさせていただきたいと思います。

お手元の資料2を御用意いただければと思います。

最初に、全体の構成でございますが、総論、各論、工程表という、現在の3期の形を維持することを前提として考えているところでございます。

内容について、順に1章から御説明を申し上げます。

1ページ目の最初、第1章でございます。基本的な考え方とございますけれども、現行3期では「はじめに」というパートに該当するところでございまして、基本計画の成り立ちなどでございます。基本法の9条に基づいて作成しているということでございます。

今年は消費者庁設置10年目ということでございます。消費者行政が新たなステージに入るタイミングですし、令和最初の消費者基本計画になってくるということですので、今後、5年ないし10年を見越した計画を策定し、状況に応じて、適時適切に中身を見直す改定をするということを考えております。

第2章は、これまでの取組とその後の情勢変化でございます。マル1の1期から3期までの計画における取組と書いておりますが、ここはこれまでの振り返りを記述するイメージでございます。色々な行政課題がこれまでございましたけれども、それに対して、効果的な対策を講じることができたかどうかということを検証してみてはどうかということでございます。

一方で、工程表に書かれている施策につきましては、毎年、消費者委員会で検証・評価をしていただいている部分でもございますので、その辺りの考え方というのは、少し整理が必要だと考えております。

マル2は、その振り返りを踏まえて、昨今の環境の変化について、消費者を取り巻く状況の変化とか、生じている新たな課題について、記述することを想定しております。

その下に具体例をいろいろ書いております。詳細は省略いたしますけれども、少子高齢化や地方の過疎化、あるいは科学技術の発展というのは、3期でも触れられている話ではございますけれども、3期に比べても、変化の度合いが加速しているようなもの、それから、国際化、自然災害の激甚化、持続可能な社会(SDGs)といったところは、3期を策定した頃からすると、新しく変化しているもの、そういったようなイメージで、具体例を挙げているところでございます。

1ページ目の一番下でございますけれども、3章、新しい期間中における政策推進の基本的な方向としましては、最後の行にございますが、社会の変化に合わせて、消費者生活を包括的かつ戦略的に推進するということにしております。

次のページにお進みいただきまして、その際のテーマ、キーワードとしては、マル1からマル3に掲げているようなものを検討中でございます。

マル1全ての消費者が等しく尊重される社会を目指してと書いておりますけれども、誰一人取り残さない、との理念自体は、消費者政策にも非常に通ずるところでございます。等しく尊重される消費者の社会の実現に向けてという、前向きなメッセージの打ち出しを考えているところでございます。

次に、Society5.0の関係でございます。現状、官民を挙げて、Society5.0実現の加速を目指しているところでございます。当然、消費生活もこの影響を受けているところですけれども、そこには、リスクが存在しているということでして、利便性との適切なバランスを図ったインフラ社会基盤を官民一体で整備することをうたってはどうかと考えているところでございます。

3つ目でございます。原点に立ち返ったと書いておりますが、原点回帰をして、いわゆる消費者問題に改めてしっかり向き合うことを打ち出してはどうかと考えているところでございます。ここでは安全・安心の確保とか、あるいは法整備と執行力の強化を掲げております。

その下、第4章ですが、政策を推進する際の視点ということで、ここでも3点を挙げておりますが、3章、4章という辺りは、今の第3期の計画では、まとめて3章になっているところを、今回、あえて分けて書いてございますけれども、しっかり取り組むべき事項として、ここでは3つ掲げてございます。地方の強化、法整備、調整機能発揮と連携強化、この3点を挙げているところでございます。

3ページ目にお進みいただければと思います。第5章でございますが、ここからが基本計画本体の各論に当たる部分とお考えいただければと思います。ここは今後各論を書いていく部分でございます。

具体的な施策イメージをいろいろ書いておりますけれども、重要そうなものを列記をしているところでございますが、念のため、マル1からマル10がそのまま各論の柱立てになるとかいうことではございませんし、重要な施策を全て網羅しているということでもございません。あくまで重要そうなものを幾つか挙げさせていただいたということでございます。

現在考えている方針としましては、1つは、できるだけ骨太の記載にしたいということでございます。これは3期の反省にも若干なっておるのですけれども、3期において、基本計画本体の各論と工程表のすみ分けが、いまいちはっきりしなかったということがございますので、計画本体に骨太のことを書いた上で、工程表の個別の施策とのすみ分けを図れないかということを考えております。

マル1からマル10は柱立てではないということを申し上げましたけれども、柱立て自体は別途しっかり立てて、現状、3期は工程表レベルで162の施策が動いてございますので、その162の施策がきっちり網羅されるようにしたいと考えております。

以降、恐縮ですけれども、施策イメージをざっと御説明させていただきますと、マル1持続可能な社会という意味では、食ロスの話ですとか、関係者の協働といったようなことが、施策としては大事なのではないか。

消費者問題の多様化ということで、個人間取引ですとか、消費者の抱える背景も多様化しているということで、それを踏まえた丁寧な消費者トラブル防止のための取組がマル2でございます。

マル3産業のデジタル化の関係ということで、プラットフォームですとか、データ社会への対応も施策として取り上げる必要があるだろうと考えているところでございます。

その他、例えばマル4安全・安心の話ですとか、マル5取引、マル6表示といった、従来からの重点分野に加えまして、マル7以降の被害救済、紛争処理の話とか、消費者教育、地方の話、最後、民間アクターの連携強化や活性化といった関係の施策についても、取り上げてはどうかと考えているところでございます。

最後、4ページ目でございます。先ほど冒頭に申し上げましたように、工程表に基づく進捗管理と検証・評価を3期に引き続いて行う、3期と同様のことを考えてございまして、工程表については、別途、計画とは別に策定をして、しっかり施策のフォローアップを進めていってはどうかと考えているところでございます。

私からは、簡単ですが、以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問がございましたら、どうぞ御発言ください。大森委員、どうぞ。

○大森委員 立派な骨子をどうもありがとうございます。是非頑張って、しっかり筋肉をつけていただきたいと期待しているところです。

2ページのところで、政策を推進する上で考慮すべき視点という3番目のところで、調整機能の発揮という言葉が大変よく聞こえたのですけれども、私の耳には、司令塔という言葉が聞こえなかったのです。私は、消費者庁にもっと司令塔の機能を発揮してもらいたいと、常日ごろから思っておりまして、ここで聞こえなかったことがとても残念で、調整だけではなく、消費者のために司令塔の機能をもう少し頑張って発揮していただきたいと思います。

あと、3ページのところの具体的イメージの2番目ですけれども、多様化する消費者問題への対応というところですが、消費者は本当に多様化しておりまして、私が主婦を始めたころみたいに、主婦という言葉自体も死語になりつつあって、働き続ける結婚しない人もいれば、結婚しても働き続ける人とか、様変わりしております。消費者団体も高齢化して、担い手が育たないとか、大きい課題があるのですけれども、国としても、消費者の意見を聞くときに、消費者団体を通して意見をまとめるだけでは、実態をつかめないのではないかと思います。働き続ける方々とか、そういう人たちの意見とか、考えをどうやってまとめていくかというのは、今、新たな大きな課題になっていると思います。

最後ですけれども、8番目の消費者教育の戦略的推進と書かれております。この戦略的という言葉には、私は大きく期待しております。成年年齢引下げがありますので、学校教育は、学習指導要領も見直されて、学校で消費者教育をやろうということになりました。しかし、指導要領の改定と実施には時間がかかりまして、現実のすごいスピードで悪質商法とか、手口が進展する社会では、対応が難しいと思います。今、正にこういうことを学校の子供たちに伝えないといけないというところを、どう戦略的に消費者教育を実施していくか、また、契約当事者になることが一番多い現役世代への消費者教育は、全くほとんど行われていない状況だと思っておりますので、その辺りを戦略的にやっていただけるか、大いに期待しておりますので、よろしくお願いします。

○高委員長 どちらかというと、期待ですね。3点、挙げていただきましたけれども、いかがでしょうか。司令塔機能から始まります。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

司令塔の機能を発揮できるように、これも頑張っていきたいと思っております。私どもは、調整機能すらまだ十分に発揮できていないと思っておりますので、しっかり司令塔機能を果たせということを、あちらこちらから激励も込めて御指摘、御指導をいただいているところでございますので、しっかり肝に銘じてやっていきたいと考えております。

いわゆる消費者の背景等が多様化してきているということで、既存の関係の団体以外にも、いろいろと話を聞く必要があるのではないかという御指摘をいただいております。正におっしゃるとおりでございまして、特に消費者問題自体、ほとんど社会福祉問題とイコールになっているようなところもございますので、そういった分野で新しい取組をされているような方とも、何かしら連携をしていく必要があるのではないかと考えております。

最後、消費者教育の戦略的な推進の部分は、こちらもおっしゃるとおりでございます。成年年齢の引下げのところは、私どもはしっかりやっているつもりではございますが、世論調査などをやってみますと、意外と成年年齢引下げの意味がまだ十分に理解されていないという結果が出たりしておりますので、若年層に向けての取組をしっかりやるということでございます。

最後に御指摘いただいた、教育という機会のない現役社会人世代に対して、どういうふうに取り組んでいくのかといったところも、現状もそういう世代に対するマトリックスを作って、取り組んではいるところではありますが、更に御理解いただけるように、しっかり進めてまいりたいと考えております。

○高委員長 ありがとうございました。

他にございませんでしょうか。長田委員、どうぞ。

○長田委員 ありがとうございます。

まず1つは、2ページの政策を推進する上で考慮すべき視点のところに、地方消費者行政の強化と明確に書いていただいていて、その強化のために国が何をすべきなのかということを、きちんと視点の中に分かりやすく書いていただきたいと思っています。ただ、その次のページの主要施策のところで、マル9地方消費者行政の推進力向上となっているのです。

前の視点では、国が強化のために何をすべきか書かれるだろうと期待したところ、読み方によっては、地方消費者行政が頑張って推進していってと読めてしまうので、そこはきちんと国としての消費者基本計画なので、当然国としてやるべきことを書いていただけると期待していますけれども、期待どおりに頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

今後、いずれ工程表を作っていくときに、第3期のときでもずっと問題になっていたKPIをどういうふうに置いていくのかということについても、早目に議論をきちんとして、みんなで共通の理念を持って、消費者委員会もそれをきちんと評価できるようなKPIの設置のところも、一緒に議論をさせていただければ良いと思いました。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

お答えできますか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 2点、御指摘をいただきました。地方のところは、非常に厳しい御指摘でございまして、視点のところは当然必要だと思っておりますが、各論の部分、推進力向上の記述は、何となくふわっとしておりますが、地方の消費者行政はいわゆる自治体独自の義務、自治事務ということになっておりますので、そこを尊重しながら、どういうように国がプレゼンスとか、イニシアティブを発揮するのかといったところが、かなり悩ましい部分だと思っておりますけれども、自治事務ということに過度にひるむことなく、国としてもしっかり取組を進めてまいりたいと考えております。

2点目、KPIの話も非常に重要な部分でございます。3期のKPIについては、いわゆるアウトプットが主体とまではいいませんけれども、そういうものが非常に目立つ形になっておりまして、ずっと関係の部署なり、関係省庁に対しても、できるだけアウトカムでKPIを設定してくださいということをお願いしてきたわけでございます。

その辺り、全てにアウトカムを出すのは難しい話ですけれども、できるだけ主要な施策については、アウトカム指標が設定できないかといったようなことについても、しっかり検討を進めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

最初に、鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 ありがとうございます。

私から2点だけ申し上げたいと思います。

1つは、第3章の基本的な方向のところで、まず第1点として、誰一人取り残さないという理念、これを基本計画の基本方針とすると掲げられております。それ自体は、とてもすばらしいことだと思うのですけれども、ただ、すばらしい言葉だけが踊らないように、具体的にこの視点をどういうふうに具体化していくのかということが重要です。具体的な施策は、まだイメージの段階だということではありましたけれども、恐らくこの視点は多くの、ほとんど全ての施策に関わってくるのであろうと思います。それをどういう形で具体化するのかということを考えて、肉付けをやっていただければと思います。

2点目は、ちょっと具体的なところですけれども、3ページの具体的な施策イメージの中のマル3についてです。産業のデジタル化・技術革新への対応ということについては、既に今までの基本計画との関連でも申し上げてきたところですが、この間、飛躍的に技術革新が進展してまいりましたので、各省庁でもいろいろな形で取組をされているところです。消費者庁もそれと協力し、情報共有等も行われてきたとは思いますけれども、他の省庁では、どうしても経済の発展の観点が強く表れるのではないかということを、ある意味危惧しておりまして、消費者庁には、消費者の視点で、取り組んでいただきたい。もちろん消費者にとって便利なところもあり、経済発展もとても重要なことではありますけれども、半面、消費者の利益にとって危惧されるような点があるとすると、それに対して、どういうふうに対応するのかということを、この機に真剣に取り組んでいただきたいとお願いする次第です。よろしくお願いします。

○高委員長 ありがとうございます。

○消費者庁内藤消費者政策課長 2点、御指摘をいただきました。誰一人取り残さないという言葉が上滑りしないようにということは、かなり気をつけなければいけないところだと思っておりまして、SDGsで用いられている言葉ではあるのですけれども、これを消費者行政にもう一度置き換えて、きちんと目の行き届いた取組ができるのかということは、次の計画でもしっかりとやっていきたいと考えております。

デジタル化の関係で、特に他の役所と違って、消費者庁ならではで、消費者保護の取組をしっかり考えるべきだという御指摘もいただいてございます。正に昨今、ここはデジタル化と書いておりますが、Society5.0という言葉は、猫も杓子もみんな言っているような状態になってございますけれども、翻って私どもは、それに対する陰の側面は、どれぐらい分かっているのかというと、かなり心もとないところがございます。そもそもSociety5.0をちゃんと理解しているのかというところも、自信はないところではありまして、これは4期の計画策定を待たずに、きちんと勉強したほうが良いのではないかということも、職場で話しているような状況でございますので、そこをまずしっかり勉強し、4期の計画にもその成果を反映させていきたいと考えております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 今、御説明をいただいた、第5章の今後講ずるべき主要施策のところで、先ほど大森委員からも御指摘があった、消費者教育の戦略的推進の戦略的という言葉にどういう意味があるのかというところは、私自身ももう少し伺いたいという1つの質問でございます。

マル6に消費者にとって便利で分かりやすい表示対策というのがありまして、多分個別具体に言うと、食品表示もこの中に入ってくるのではないかと拝察をいたします。正に今日も食品表示部会を午前中に開催し、その中で分かりやすいとはどういうことなのか。

例えば分かりやすいというのは、見やすいということと、理解しやすいということ、その総合的な尺度であると考えることもできるのではないか。といいつつ、見やすいとはどういうことなのかと掘り下げていくと、科学的なエビデンスが見やすいという表現を1つとってみても、世の中にはないことが分かってきております。

こうやって見ていくと、分かりやすい表示対策を一言で書いても、その前段として、見やすいということの科学的エビデンスをまず確立し、プラス理解しやすいということになると、対象を明確にして、その理解度がどこまで図られているか。非常に分かりやすい表示対策を1つとっても、難しいのだろうと思うところです。

今、マル6とマル8のことを取り上げてコメントをしているのですけれども、ここの主要施策のところは、もしかすると、縦糸と横糸の関係を明確にしていただいて、例えば食品表示という1つの縦糸に対して、ここにあるマル1からマル10という横糸の部分がどういうふうに織りなされていくべきか、あるいはどうあれば、より縦糸がスムーズにつながっていくのかというところを考えていただく必要もあるのではないかと思います。

そういう意味で、マル6の食品表示に対する対策をいろいろな解決をしていかないといけない課題を明確にした上で、戦略的に理解を深めていくことをマル8と結びつけていくことによって、よりしっかりした対策、あるいはそれこそ戦略的な推進が図られていくのではないかと思うところです。

マル1からマル10は、見出しではないという内藤課長からの御説明もございましたけれども、そうであるならば、縦糸と横糸の関係を1つ、ここの中に織り込んでいくという視点も是非持っていただきたいと思います。

最後に、マル1の最後のところに協働という言葉が書かれています。この協働という言葉も非常に便利な言葉で、みんなで一緒にやれば良いのではないかと見えるのですけれども、私なりに理解している協働の意味なのですが、まずは個人が依存体質から自立へと成長することが必須のステップなのです。その自立をした個人が更に相互依存していくコミュニティーが、協働のコミュニティーだと理解をしています。

したがって、この協働を実質上展開するためには、まず消費者が依存から自立へと脱皮していかないといけないというのが大前提になっていき、そのことをもって、行政や消費者や事業者の協働が生まれていく。こういう姿を単に表面的な協働という言葉ではなく、実質的なあるべき姿を描いていただき、ここのマル1からマル10をうまくストーリー化していただくことによって、今後の工程表のKPIとも結びついた整理の仕方ができるのではないかと、期待をするところです。

質問としては、先ほどの戦略的という言葉をどういうふうに描いておられるか、もうちょっとだけ御説明いただきたいと思います。

○高委員長 よろしいですか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

御質問からまずお答え申し上げたいと思います。戦略的というところは、執筆者としての私の思いは、もうちょっとセグメントごとにアラカルトに個別の対応が必要になるのではないかということです。先ほど若年層の話と社会事務向けの教育の話をしましたけれども、若年層につきましては、現状、いわゆる『社会への扉』を高校生向けに重点的にやっておるわけでございます。これ自体は重要なわけですけれども、一方で、現在の大学生、短大生は、当たり前ですが、高校を卒業しているわけでございまして、教えておられる先生方に聞くと、うちの学生は分かっていないかもしれないみたいなことをおっしゃっているわけであります。

成年年齢引下げの関係で申し上げますと、今後、18歳になった途端に成人になる、今の高1、中3辺りの子たちには、予防的な対策を講じる必要がある一方で、今、もう20歳になっている、これから20歳になろうとしている子たちがエアポケットになってはいけないということで、若年層とはいいながらも、もう少しきちんとセグメントを分けて、きめ細かい対応をする必要があるのではないかということは、思いとしてございます。

少し違った例で申しますと、消費者トラブルにも情報化の流れが来ております。そうした情報化、ITの進展に対応した消費者教育みたいなところも、これは別の有識者会合などでも指摘をされているようですけれども、なかなか追いついていないところもございますので、そういった新しい傾向、社会の変化も取り入れた対応もしていく必要があるということで、そういったところを丁寧に拾い上げて、個別に対応するという意味で、戦略的と書いているところでございます。

長くなって恐縮ですが、表示の関係でございます。確かにサイエンス的なエビデンスはないのは、おっしゃるとおりと思いますけれども、一方で、当課で取り組んでおることとしましては、広告の見せ方とか、見る人の心理的な思いとか、そういうものに立った表示の仕方ということでございます。具体例で申し上げますと、A4の紙ですと、見る方の視線は、Zの字を描くように動くということで、この春に女性のAV出演強要問題を注意喚起するチラシを作成したのですが、それについては専門の方にアドバイスをいただいて、先ほどのより目に留まりやすい表示の仕方を取り入れたりしているところでございます。

加えまして、先ほどお話をいただいたようなITの関係ですと、理解しやすいということとともに、知ってほしい情報は、例えばQRコードを付して、そこから別のところにリンクをたどって全部見てもらうという表示のやり方も取り入れる必要があると思っておりますので、そういったようなものを含めて、かなり複合的な表示に対する取組が、今後、必要になってくるのではないかと考えているところでございます。

それから、縦糸と横糸の話は、非常に重い話でございます。3期につきましては、162がちょっと網羅できずにあふれてしまったようなところがございます。まずはしっかり網羅をさせることを念頭に考えておりますけれども、その中にどうやって横串を刺していくのかということも、非常に重要な課題でございます。どこまでできるか、正直、自信はないのですけれども、しっかり御指摘を踏まえて、取り組んでまいりたいと考えております。

長くなりましたが、以上でございます。

○高委員長 増田委員、どうぞ。

○増田委員 SDGsとか、Society5.0、国の重点施策などを中心に動くということが、非常に感じられておりまして、消費生活相談の現場から言えば、もっと現場感をきっちりと拾い出していただきたい。最近は、国の重点施策に引っ張られているのではないかという感じがすごくあります。現場というのは、まだまだ生々しく、全く改善されていないところがたくさんあります。以前からの問題は、引き続き重視していただいて、丁寧に拾い上げていただき、どこかに入れていただきたいと思います。

地方消費者行政と国の消費者行政とのすみ分けをどうするか、地方自治事務という言葉もございましたけれども、消費者庁が設立された時点で、ある意味そこのところは、少し変化があったのではないかと、私は思っております。むしろそこら辺りを踏み込むべき立場にあるのではないか、それをやっても良い時代になっているのではないかと思いますので、その辺りも含めて、書き込んでいただきたいということです。

最後に、主要施策なのですけれども、例えば個人間取引のトラブルとか、オンラインプラットフォームに関しては、非常に関連が深いものですから、先ほど縦糸、横糸の話がありましたけれども、そのようなことで関連付けて書き込んでいただくとか、オンラインプラットフォームの報告書であったり、消費者関連のルールの考え方の専門調査会であったり、公益通報など、消費者委員会で様々な報告書が出されておりますので、そちらもしっかりと取り入れたものにしていただきたいと考えております。

以上です。

○高委員長 先ほどの2番目の地方消費者行政と国のすみ分けの話のところで、「もっと踏み込むべきではないか」という意味は、国としてもっと積極的にやるべきではないかという意味ですね。

○増田委員 そうです。

○高委員長 よろしくお願いします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。3点ご指摘をいただいてございます。

1点目は、SDGs、Society5.0といった見栄えの良い言葉に余りとらわれず、もう少し現場重視すべきという御指摘ではないかと思っております。これはまったく正論でございます。しっかりやっていきたいと思います。私を含め、相談員の方への研修には、実際にいろんな新しい施策について、行っているところではありますし、現場の重要性は特に理解をしているつもりではございますけれども、そこはしっかりと肝に銘じて、基本計画の中でも反映をさせていきたいと思います。

2点目、国と地方の関係でございます。しっかりやるべきであるというところですけれども、苦しい反論だけさせていただきますと、自治事務であることが法律上明記されているところでありまして、法律に違反をするわけにもいかないというところが非常に悩ましい部分でございます。

ただ、そうはいっても、やらなければいけないというところで、その辺りの知恵の絞り方が不十分であるがゆえに、色々な御指摘を受けているのだと思っております。

現在、地方消費者行政強化作戦の改定に向けての作業は、正に取りまとめの段階にきてございますけれども、大事なところにもしっかりと国が関与していくというところは、ある程度はかけていると思いますけれども、緩むことなく、しっかりとやっていきたいと考えております。

個人間取引、C to C取引とか、オンラインプラットフォームの関係、あるいは公益通報の関係で、委員会の専門調査会の報告書等をしっかり取り入れていくべきではないかという御指摘をいただいております。本当に不勉強で恐縮なのですけれども、その辺りもしっかり勉強をして、今後の施策に参照させていきたいと考えております。

以上でございます。

○高委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

何点か申し上げます。まず第一点、冒頭にこの秋に素案を公表する予定とお伺いしました。以前からすると、素案を公表して、それに対して意見募集、パブコメをかけることがあったと思います。これは大体どのくらいの期間を想定されているのかということと、秋というのが涼しくなり始めた秋なのか、秋が深まった時期なのか、ある程度想定できれば、意見募集に対する対応は、こちらも予定が組めるので、可能な範囲で教えていただければ幸いです。

2点目として、素案を公表して、パブコメ期間ですということとは別に、今回、出た構成案の中で、特にこの辺りについては、早目に意見が欲しいということをアピールしていただいたらどうかと思います。というのは、例えば1ページ目で、第1期から第3期までの計画に対する取組の振り返りを行うというのは、非常に良い柱立てだと思うのですが、これを消費者庁の中だけでやっていくということでは、どうしても後から手前みそではないかと言われても困りますし、この辺りについても、むしろ早目に意見があれば出してほしいと、項目を具体的に挙げていかれたらどうか。

同じことが2ページ目の先ほどから話題に出ているSociety5.0への対応ですが、これも幾つかの政策を見ていくと、むしろ消費者に対しては厳しい状況を引き出す、消費者庁の施策との関係では、対立的な方向性が幾つもあると思います。これについて、消費者庁の内部だけで、政府全体の方針に対して、どこまで書けるかというと、書きづらいところもあるのではないか。むしろ早い段階で外からたくさん意見を出してもらって、そういう意見を踏まえて書いていただいたほうが良いのではないか。

同じことは、2ページの下のところに、網羅的・包括的な消費者法制の整備があります。これも中長期の課題として非常に大事だと思いつつ、どの辺りを問題意識として検討しておられるのかという辺りは、できれば早い段階で、問題意識も含めてアピールしていただいて、それに対して意見を多少ラフなものでも良いので、早い段階で出してもらうことで、問題意識がかみ合うような状態で素案が出てきて、それに対して出せるようになると良いという、これが2点目です。作業に対して、非常に重たい手間をおかけすることになりますが、それを申し上げたところです。

3点目は、参考にしていただきたいという趣旨で申し上げます。3ページの一番下で、消費者団体や企業、その他の民間アクターの連携強化・活性化という課題があります。これに関連しては、消費者委員会が6月に消費者法分野におけるルール形成の在り方等に関する意見を取りまとめて、公表しています。これも正に中長期的な課題を含めて、特に官民連携の連携すべき民間の、消費者団体、あるいは消費者市民が見えてきていない、むしろ育成して連携すべきではないかとか、あるいは行政が事業者を規制するという構図だけではない、事業者の中の積極的なコンプライアンスの推進を引き出すような働き掛けを、もっと消費者行政でやるべきではないかとか、そういう視点を提起しています。その辺りは、参考にしていただければと思います。

最後、4点目、これは既に幾つか出ている意見と重複すると思うのですが、地方消費者行政の課題です。私は本当に重要な課題だと思いますし、この10年間で見ても、交付金が継続されてきたこと自体、御努力があったことは承知していますが、現実の地方の現場がこれで独り立ちできる状況になっているかといえば、残念ながら、そうなってはいない。それが推進交付金から強化交付金に変わり、使い勝手が厳しくなったということで、たちまち地方で悲鳴が上がっている、そういうところで表れていると思います。

だとすれば、先ほど来、自治事務の課題に対して、どこまで入っていけるかという非常に悩ましい問題だとおっしゃったのですが、もうちょっと長期的に見れば、消費者庁を創設するときには、明治以来の産業の保護・育成の反射的利益の消費者保護という考え方から、地域の消費者、住民の暮らしの安心・安全こそが行政の役割だという大きな転換を柱に据えて、消費者庁を創設したはずなのですが、地方公共団体には、そういう大きな政策転換という価値観の転換に関する働き掛けはなかったのではないかという大きな捉え方で、地方公共団体の政策転換をどう促していくか。もちろん文書を出したり、法律で規定すれば決まる問題ではないと思います。それこそ地域の消費者団体と一緒になって、何を作っていくかということだと思うのですが、長期的な大きな政策転換を見据えた取組として位置付けていただけたらと、これは希望として申し上げます。

○高委員長 ありがとうございました。

お願いします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございました。大きく4点、御指摘をいただいてございます。

素案の公表のパブコメの関係のどれくらいの期間かということにつきまして、いわゆるパブコメの標準的な期間を想定しております。いわゆる1カ月間程度を考えてございますけれども、素案の時期については、秋は、どれぐらい涼しくなっているのかというのは、正直悩ましいところではございますけれども、恐らくラグビーのワールドカップは終わっているのではないかというぐらいのイメージでございます。恐縮でございますが、頑張りますということしか言えないということで、御理解賜れればと思います。

2点目、この骨子案について、外部から肉付けの前にしっかり御意見を賜るべきではないかということで、振り返りの点、Society5.0の点、法整備の点、大きく3つのところについての御指摘をいただいたと思っております。

法整備のところは、今すぐコメントを申し上げにくいのですけれども、振り返りのところに尽きましては、私どもがひとりよがりに振り返りをやってしまうのはいかがなものかという思いがございます。何かしら検討できないか、考えているところでございます。

Society5.0につきましては、先ほど私からもコメントを申し上げましたけれども、正に御指摘のような産業政策と消費者政策がぶつかるような部分もございます。その認識は私どももありますけれども、そもそもSociety5.0について、十分に理解できているのかというところは、悩ましいところでございます。そういう意味では、外部の方からもう少しいろいろと御指導いただきながら、この部分についても、取組を考えていく必要があるのであろうということでございます。

3点目としまして、3ページ目の一番下のところの民間アクターの連携について、もう少しいろんなやり方があるのではないか、そういうようなことでコメントを頂戴いたしました。この部分も悩ましいところでございまして、正に御指摘いただいた、例えば消費者団体の加入者の方が高齢化をしているとか、逆に言うと、若年者、若者層の消費者トラブルに対する関心が薄まっているというところは、私ども、一工夫する必要があるのではないかと思っております。これまでの取組と少し違うやり方が必要ではないかという思いがございますので、これも何かしらできないかということを少し考えてみたいと思っております。

最後、地方の話をもう少し大きな視野で国と地方の在り方とか、地方消費者行政のひとり立ちについて、考えるべきではないかという御趣旨で、御意見を頂戴したと思います。ここも恐縮ですが、おっしゃるとおりでして、自治事務である点は、尊重するということで、1月から3月にかけて、大臣をはじめ、幹部が各都道府県の首長さんのところに行って、消費者行政にしっかりとお金をつけ、取組をやってくださいということをお願いに回っております。そういう自治体の自主的な取組を国として直接会って促すような、ある意味泥臭い仕事であってもいとわずにやっていこうということで、取組を進めてきたところでございます。いきなり法律を変えて、自治体に何でもやらせるようにするということではなく、まずしっかりと現場、自治体の方とお話をし、対話をした上で、国として何をやるべきなのかということをしっかり考えていきたいと思います。

特に4点目については、答えになっていなくて恐縮なのですけれども、私からは以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

他はございますか。山本委員、どうぞ。

○山本委員 時間がないのですが、ただ、先ほどから自治事務という話が出ておりますので、私の考えを述べたいと思います。

当然のことですけれども、現行法上、自治事務と法定受託事務の区別は、かつての機関委任事務と自治事務の区別と違いまして、いずれも自治体の事務について、国がどれだけ関与することを認められるかという、ある意味程度の差になったというところがございますので、まずそれが前提としてあります。

その上で、全体的に地方自治の理念が分権改革以来、非常に強調されるようになったことから、それを尊重しなくてはいけないという御趣旨だと思います。それは全く一般論としては、そのとおりであると思います。

ただ、他方で、最近、むしろ言われるようになっていることは、あらゆる自治体があらゆる事柄を同様に全て自分でできるのかというと、それは現実の資源の制約等の関係から難しいということで、そういった現実を見た場合に、自治体間の連携であるとか、あるいは都道府県がもっと積極的に市町村の補完機能を果たすべきであるといったことが強調されるようになっています。

さらに言えば、例えば同じ事務の中でも、事柄によっては、国等が積極的に関与すべきである、あるいは関与しないと、自治体独自でやっていけないのではないかといったこともあります。例えば情報技術への対応等に関しては、自治体がばらばらに取り組んでいたのでは、現在の情報技術の発展等についていけないといったことがあります。そうすると、そこのところは、国がある程度積極的に関与するべきではないかということがありますので、分権を尊重していただく必要はあると思いますけれども、他方で、そういったいろいろな最近の動き等々も見ながら、きめ細かく対応していただければと思います。

今日、いただいたものは、まだ他にもいろいろイメージが膨らむ骨子案で、申し上げたいことがございますけれども、時間もございますので、これぐらいにしておきたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

いいですか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 どうもありがとうございます。

先生からいただいた自治体の連携とか、都道府県が基礎自治体の機能を一部補完するみたいなところは、正に私どもがある意味つけ込める隙がないかと考えているところでございまして、今後、予算要求なども含めて、何かしら頑張れるところがないか、しっかりと検討してまいりたいと思っております。御意見を頂戴しまして、どうもありがとうございました。

○高委員長 他によろしいですか。

それでは、皆さんの発言そのもので終わりにしてもよろしいかと思うのですけれども、とりあえず私が整理をさせてもらいます。

まず大森委員からは、既にメモをとっておられると思いますけれども、司令塔機能をもっと発揮してもらいたいという御指摘がございました。

多様化する社会の中では、いろんな意見を吸い上げなければいけないわけですが、既存のネットワークだけでは不十分なので、もっと知恵を出していただきたいということでした。

戦略的な教育のお話で、推進のところですけれども、若年層への対応は、当然進めなければいけないのですが、現役世代の問題もあるという御指摘をもらいました。

長田委員からは、地方消費者行政に関して御意見をいただきました。地方自治事務という問題があって、思い切ったことができないという御回答に対しては、最後に山本委員から、貴重な意見をいただきましたので、地方の消費者行政問題により柔軟に対応していただければと思います。

長田委員のその他の御指摘としては、いろいろあったのですけれども、例えば、工程表のKPIについては、更に一段と工夫してもらいたい。特に消費者委員会として、毎年、工程表を使って評価を行うわけですが、できるだけ評価をやりやすいよう、指標を考えていただければとの指摘でした。特に主要施策については、アウトカム指標をうまく考えていただけるということでしたので、是非その方向でお願いいたく思います。

鹿野委員からは、いろいろスローガンが上がっているのだけれども、それをいかに具体的に展開していくかというところまで考えていかなければいけない。今回は、そこまでの内容を紹介するものではなかったのですけれども、今後の進展、素案については、具体的な内容を見ていきたいと思います。

産業デジタル化、これは他の方からも出ておりましたけれども、Society5.0とか、そういった政府全体としての推進の方向、施策の方向は、否定するものではないのですが、これに伴って消費者問題も発生してくる。ここのところにしっかり焦点を当てた計画を立てていただきたいという御指摘でした。

受田委員の御指摘は、内容が深く、私自身、しっかりと把握できておりませんが、一番おっしゃりたかったのは、各論のところの柱をずらっと並べていただいたのですけれども、とりあえず今回は体系性はなくて、それなりに並べたということですが、ここをもう少し整理すべきではないか、その際の知恵として、縦、横のマトリックスなどの発想を持って行ってみてはどうかという御指摘でした。

もう一つは、例えば連携と協働という言葉も出てくるけれども、もう少し取組の流れの中で、例えば、最初に個人の自立、それを踏まえた上での協働というように、ストーリーを作った上で、ここにある、マル10までの取組内容を整理してみてはどうかという御指摘をいただいたと思います。

増田委員からは、SDGsとSociety5.0、こういったことに対する方向は、決して否定はしないけれども、もっと現場に重要な問題があること、それを忘れないでいただきたいということでした。

地方消費者行政、国のすみ分けの話は、先ほど申し上げましたので、省略いたします。

主要施策がいろいろ挙がっているのですけれども、池本委員長代理からも御意見をいただきましたが、当委員会として、これは委員会の報告書を宣伝するわけではありませんが、使えるものは、既に何本も出させていただいております。例えばオンラインプラットフォームの報告書にしましても、それから、消費者法分野におけるルール形成の報告書にしましても、公益通報の答申にしましても、使えるものはかなりそろっております。ですから、そういったものを是非ともマル1からマル10の取組の中で、いかしてもらいたいとの意見をいただきました。

最後、池本委員長代理ですけれども、これは特に手続の話が前半にあったと思います。素案の段階までで意見を募集することもありますが、現在の骨子案そのものについても、意見募集をするという方法もあるのではないかという御指摘をいただきました。

以上です。

私の意見も1つだけ言わせてもらいますと、今回は、とりあえず骨子だけだということだったのですけれども、消費者行政を考えた場合、経常的にやるべきものと、時代の変化に応じて、ここは5年間集中的にやらなければならない非経常的なもの、これらを分けて整理しておく必要があります。今回の報告書の2章のところにいろんな変化を挙げているわけです。ですから、多分この変化に応じて、どういう施策を講じていくべきかということをきちんと整理していく、これを各論で展開すること。これは、当然やるべきことと考えます。

それと同時に、その時代時代の要請に追われるのではなくて、経常的にやるべきことは、いつまでたってもやらなければいけない。そうした経常的な課題があるわけですので、非経常的なものとは別の柱をきちんと立てて、整理していただければという印象を持ちました。

消費者庁におかれましては、今後、更に検討が進められると思っておりますけれども、より多くの方々から、先ほどありました骨子案に対する意見募集もあって良いのではないかという意見もありましたけれども、そういった意見を聞く機会を設けるなど、基本計画の策定に向けて、取組が加速されることを期待しております。

当委員会としましても、その取組を注視しますとともに、今後も必要に応じて、ヒアリングや意見表明などを行っていきたいと思っております。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ、進捗の説明と審議に御協力をいただきまして、ありがとうございます。

どうぞ御退席ください。ありがとうございました。

(消費者庁関係者退室)


≪4.閉会≫

○高委員長 本日の議題は、以上になります。

最後に、事務局より、今後の予定について、説明をお願いいたします。

○金子参事官 次回の本会議でございますけれども、8月8日木曜日、14時からを予定しております。詳細につきましては、委員会のホームページを御参照いただければと思います。

また、この後、委員会打合せを行いますので、委員の皆様におかれましては、委員室にお集まりいただければと思います。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

本日は、これにて閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

(以上)