第291回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2019年2月14日(木)14:00~17:31

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁内藤消費者政策課長
    消費者庁澤野消費者政策課企画調整官
    消費者庁小泉消費者政策課財産被害対策室長
    消費者庁消費者政策課担当者
    一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長
    一般社団法人全国消費者団体連絡会担当者
    東洋大学国際学部国際地域学科沼尾教授
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画工程表の改定素案について
  3. 消費者安全法に基づく法執行(財産事案)の状況等について
  4. 都道府県消費者行政調査について
  5. 地方消費者行政を取り巻く状況について
  6. その他
  7. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間となりましたので、ただいまから「消費者委員会第291回本会議」を開催いたします。

皆様、お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は、樋口委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○坂田参事官 議事次第に配付資料一覧を記載しております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

以上です。


≪2.消費者基本計画工程表の改定素案について≫

○高委員長 ありがとうございます。

最初の議題は「消費者基本計画工程表の改定素案について」でございます。

消費者基本計画の工程表については、昨年の7月に一度その改定が行われて以降、委員会では、これまで当委員会が発出してきた建議などや最近の消費者被害の実態なども踏まえてヒアリングを行うなど、調査審議を進めてまいりました。それらの結果を踏まえ、計画の実施状況に関する検証・評価において、特に留意すべき事項や計画工程表の見直しに向けて具体的に検討すべき課題について、昨年12月に委員会として意見表明を行ったところでございます。

その後、消費者庁を初めとする関係府省庁等では、この意見も踏まえつつ、工程表の検証・評価及び見直し作業を行い、この度工程表の改定素案がまとめられたというところでございます。

本日は、工程表の改定素案の内容について、消費者庁から御説明をいただき、意見交換を行いたく思います。消費者庁内藤消費者政策課長、澤野企画調整官にお越しいただいております。お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、恐縮でございますが、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者政策課長の内藤でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、資料1-1、概要に基づいて御説明を申し上げたいと存じます。

表紙をおめくりいただきますと、工程表についてということでございます。委員の皆様も御存じかと思いますが、恐縮ですが、念のためにこの位置付けについて改めて御説明申し上げます。

1つ目の○でございますけれども、この工程表でございますが、消費者基本計画に基づいて各府省が講ずべき具体的施策についての取組予定等を示すものでございます。マル1にございますように消費者基本計画というのが企業で言うところの中期計画でございまして、いわゆる5カ年の計画を消費者行政についてまとめたものという位置付けになってございます。例えが良いかどうか分かりませんが、工程表といいますのはこれの各論、年次計画に当たるという形になっているところでございます。現在、3期目の基本計画が動いている状況でございまして、これは2019年度、来年度までということでございます。先月御説明申し上げた有識者検討会報告書は第4期、次の基本計画について盛り込むべき内容ということでございましたが、本日御説明申し上げますのは、現行、第3期の最後の年次計画という位置付けになってくるということでございます。

先に予定だけ、1ページ目の左下に書いてございますけれども、消費者委員会への御説明、本日させていただいておりますが、この後、パブリックコメントをいたしまして、6月頃に改めて消費者委員会へ諮問、それから、答申をいただいた上で、消費者政策会議の決定によりまして、正式に内容が改定されるというスケジュール感で準備を進めているところでございます。

2ページ目、こちらにつきましては、工程表の改定の大枠を示してございます。下半分にいろいろ書いてございますが、大項目と括弧の数字でいろいろな項目が書いてございますが、工程表の目次になっているわけでございますが、こちらは第3期の基本計画の目次項目と同一のものとなってございます。今回の改定で少し変えておりますのは、右下、黄色くなっていると思います。情報化の関係につきまして、既存の目次では少し収まり切れない部分を参考という形で新たに書き出してございます。これも含めまして、今回の改定で新しい項目、施策のレベルですけれども、これを5つ追加いたしました。それが黄色い枠で●で5つほど書いているものでございます。私の足し算が間違っていなければ、これで全部で162個の施策が工程表の中に盛り込まれたという形になっていくということでございます。

本体の詳細につきましては、事前に目を通していただいているかと思いますけれども、その162個のうち、162個全て重要な施策だと考えておるのですが、あえてポイントをまとめたものがこの3ページ目になってございます。これはちなみにという話でございますが、元々の最初の第3期の工程表は83ページでございました。今回、250ページほどになっていると思いますので、分量的には3倍ぐらいになってございます。これは施策の後ろにこれまでの実績ですね。取組内容等々を追加していくということが、ページ数が増えている大きな原因でございます。あわせまして、当初143個だった施策が今回で162個ということですので、少し施策の数も増えている状況になってございます。

改めましてこの3ページを御覧いただきますと、私どもが考えているポイント、柱立てを5つにしてございます。柱立ての数や中身については昨年とはほぼ変えてございませんが、唯一3というものが右の真ん中にございます。こちらは元々情報化社会の実施についての項目にしておったのですけれども、今回はその中でも特にデータというものに注目いたしまして、データの利活用というところを柱立てとして新たに書き換えた形になっているということでございます。

大変恐縮でございますが、詳細な説明は時間の関係で省略をさせていただきまして、このポイントの概要、私どもが売りだと思っているところを中心に御紹介をさせていただきたいと思います。

4ページ目、こちら、SDGsの関係でございます。SDGsにつきましては、一昨年、2つ前の改定のときにはまだ最近のトピックということで一項目として紹介させていただいていたのですが、昨年から柱立てに昇格しております。消費者政策というのがSDGsに通じるということで、先月御説明申し上げました有識者検討会でも、SDGs自体は消費者政策の基本理念に通じるものという位置付けになってございました。そうしたようなことも踏まえて、日本のSDGsモデルに貢献するために消費者政策を推進するということで柱立てにしているということでございます。17の目標のどれに該当するのかは、タグ付けがよく行われるわけですけれども、そういうことに捉われず、17の目標に貢献できる消費者政策、消費者施策はどういうものなのかということで、それに関連するものを幅広くここでは紹介させていただいているということでございます。

内容につきましては飛ばさせていただきまして、9ページ目まで飛んでいただければと思います。2のところは最近のトピックに該当するわけでございます。ここに3つ紹介しているうちの新しく付け加えましたのがこの9ページ目の3つ目、在留外国人の増加への対応というところでございます。在留外国人、訪日在留外国人問題につきましては、これまでもいろいろと取組がなされております。「背景・現状」のところにございますように、いわゆる観光ビジョンで、訪日外国人の目標数が設定されているということ。それから、昨年に入りまして、いわゆる外国人材の受入れあるいは共生ということで、そのための総合的な対策というのが了承されたところでございます。

これを踏まえまして、消費者政策としてそういう訪日在留外国人が抱える消費者問題、消費者トラブルに対応するということでございまして、少しだけ事例を申し上げますと、右上にポスターを付けてございますけれども、昨年の12月から国民生活センターで、こちらは訪日観光客を主なターゲットといたしまして、消費者ホットラインを設けて運用を開始しているところでございます。

10ページ目、データの利活用の関係でございます。これも消費者保護といわゆるビジネスといったものをバランスよく進めるという観点から幾つかの事例を書いてございます。これは若干分かりにくくて恐縮ですが、前半に書いてございますのは、「背景・現状」の1.にございますけれども、個人の関与の下でデータ流通・活用を進める仕組みの構築ということで、データの当事者の方が自分でしっかり管理できるための情報信託機能、いわゆる情報銀行と言われているものの関係でございます。これの制度整備と実際の運用を開始したということを工程表で記載しているということでございます

「背景・現状」で言うと3、4に当たってきますけれども、こちらは医療ビッグデータと言われているものでございます。患者のレセプト情報、病歴といったものは、いわゆる医療の研究に非常に貢献するということでございます。当然個人情報の管理の問題はございますので、匿名にした上でそれを医療研究等に役立てるということで、次世代医療基盤法というものが成立してございます。これに基づいての取組ということ、この2点について、これは全く新たに新規で工程表に追加したということになってございます。

情報のデータの関係は次の11ページで、消費者行政に直接関わる部分についても少し紹介をさせていただこうと思ってございます。消費者行政におけるデータの活用ということでございまして、2つほど左下に新たに書いたものを書いてございますけれども、まず2.のところでございます。SNS、ツイッター等々の文言、このテキストを分析するいわゆるテキストマイニングという手法を使いまして、消費生活トラブルの種というのでしょうか。そういうものを見付け出す取組を新たに始めてございます。

それから、これも消費生活トラブルの端緒を見付けるといった意味で、全国の消費生活センターで使用されております情報システムPIO‐NETにつきまして、AIあるいは音声認識、こういった新しい技術を活用することも含めたシステムの刷新といったことも新たに盛り込んでいるということになってございます。

15ページまで飛んでいただければと思います。こちらは5の安全・安心に関する取組ということで、昨年7月にまとめました架空請求対策パッケージの関係でございます。こちらに基づきまして、帯表の青字になっているところでございますけれども、架空請求のはがきに記載された番号に直接電話をしてみる、あるいは実際にお金をだまし取られる場面によくなっているようなコンビニの端末に注意喚起の表示をしていただくというような関係業界への取組といったことを新たに記載しているということでございます。

私どもが申し上げたいようなポイントは今、申し上げたところでございますけれども、資料1-2でございますが、こちらは委員長から先ほど御紹介がございましたけれども、昨年の12月に工程表の改定についての意見ということでいただいてございます。こちらも非常に細かくなります。事前にお目通しいただいているかと思いますので、詳細な説明は省略をさせていただきたいと思いますけれども、いただきました御意見につきましては、今回の工程表の改定の中で可能な限り反映をさせていただいた形になっているところでございます。

若干説明が短くなりましたが、私どもからは以上でございます。

○高委員長 御説明ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問がございましたら、御発言ください。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 ただいまの御説明というよりも工程表の中で確認したいことが幾つかあったのですけれども、まず、今、レオパレスで手抜き工事のことがすごく問題になっていて、以前に基礎ぐいのことがありましたね。住宅を買うとか家を買うとかは一般消費者はどういう工事をされているのか判断しようがないので、専門家による第三者機関がきっちり確認するというようなことをやっていただいたかと思うのですけれども、これはフォローアップのことなどを工程表には書いていらっしゃるのですね。

例えばこの本文の10ページの一番下のところで、フォローアップする仕組みになっていると2行ほど※で書いていらっしゃいますし、107ページでも下のところで基礎ぐい問題云々ということで情報開示の在り方についてということで、本文ではきっちりと触れられているのですけれども、帯表の中で3ページの中を見ますと、一番幅の太い当たりに、フォローアップと2017年の直前で切れた格好になっていて、その後どういう対応があるのかは全然触れられていなくて、消費者としては家を買ったりとか、今回の場合だったらそういう事業に乗り出す場合、財産の大半をつぎ込んで買物をするわけで、この辺り、きっちり安心して物が買える仕組みはしっかり動いているのかなと。この工程表で不安になったので確認させていただきます。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 今、基礎ぐいのお話を頂戴したかと思います。10ページの実績の上の部分でございますけれども、施工ルールの対象となる工事について、業界のルールを受けたフォローアップという記述がございます。ここの部分なのですが、実績の部分の中でちょうど1段落目、建設会社が基礎ぐい工事に際して云々、施工ルールである云々と。それの周知をしたという形の中で、業界団体ルールを定めた上でそれが個社においてどう扱われているかということでありまして、基本的には業界団体に御所属の事業者全社において、ルールが自社の施工プロセスに反映されていることが確認をされ、きちんと定着しているという認識の下、帯表としてはその年度で切れているということであります。

ただ、建築士の方の定期講習においてきちんとコマを設けておくということは継続してやっていく必要がございますので、そこの部分が帯表の3ページのところで、下に細長い矢印が継続して伸びているものがあろうかと思うのですけれども、そこの部分については、今年度も含めて帯がずっと長く続いていて、実績の部分も10ページの一番下、ちょうど※印部分を先ほど御指摘いただいたわけですが、その直前でございます。いわゆる定期講習の実施状況で御参加いただいている建築士の方の数について、引き続きウオッチをしていただいている形でございます。

事業者の施工のレベルでは企業ごとにきちんとルールが反映されているよということと、担い手の方への定着については研修を継続して実施しているよということでの2段構えで取組を進めていただいているという形で理解してございます。そういう意味では、実務の定着が建設業界においてきちんとワークしているということであろうと理解しています。

○大森委員 基礎ぐい問題を受けていろいろ手当てしていただいたことは重々分かっていまして、いろいろなルールもできたことは分かっているのですけれども、また何か今回のような事件が起きてくると、これで良いのかな、十分なのかなという気がするのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 レオパレスの関係については、ちょうど2月7日、国土交通省の住宅局で、レオパレスに対して5項目の指示を出しております。それから、いわゆるサブリース問題という観点からも、顧客である入居者の方、あるいはオーナーを含めて適切に対応するようにということで、国土交通省からレオパレスに対して指導がされていると承知をしております。そこの状況も踏まえてという形になろうかと思っております。

両面の関係があろうかと思っておるのですけれども、いわゆる工事の施工の不適正の問題については、今、個々の特定行政庁で状況を具体に確認している段階かと思いますし、また、サブリース事業としての対応の丁寧さの関係でいえば、国土交通省の告示に基づく登録を受けての業者としての有り様というところが、国土交通省の指導を受けてこれから改善がされるのだろうと理解してございます。私どもとしてもサブリースについては金融庁、国交省、それから当庁で不断に啓発や注意喚起を実施してございますので、そこを繰り返しやらせていただきながら、類似のトラブルの回避ということと、オーナーにおいて多面的な理解をしていただくというところの重層的な対応を今後も継続していければと考えております。

○大森委員 何か進展とか具体的に進める内容があれば、随時帯表の中に入れていただけるということでよろしいでしょうか。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 そこはその理解で結構ですし、手近なところで申し上げれば107ページ、マル13のところでございまして、「民間賃貸住宅の賃貸借における消費者保護」という中で、家賃債務保証のところとサブリース、いわゆる住宅管理業の話をちょうど2段構えで書いてあるところなのですけれども、実績のところの加筆部分が107ページの上のところにございます。いわゆる啓発の関係、オーナー、入居者に向けて、特にサブリースの契約関係のところを中心に注意喚起してございますので、そういった実績を記載させていただいているところでございます。事案の規模に応じて、概要あるいは本文にも記載をしていくというところについては、状況を注視しながら対応したいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

先ほどのレオパレスの話は最近出た話なので、具体的に書き込むことは難しいかもしれませんけれども、そうすると、こういった問題への対応は3ページの表の中で読み込んでいけば良いということですか。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 基準法の関係という意味合いでいえば、ここはあくまでも基礎ぐいを受けてのルールの話ということになります。今回のような一般的な建築確認に対する不適正な事例があった場合は個別の対応になるのですね。今回、レオパレス21のブランドによって集中的に生じたので非常に規模が大きく見えるのですけれども、個々の建築物について偶然といったら語弊があるのですが、アドホックに生じてしまった違法建築の場合であっても、最終的に建築確認部局において適切に是正の状況等を確認していく手順になるので、そういう趣旨の内容がこの工程表の中でどこかに明示されているかというと、特段明示しているところはないのではないかという理解でおります。

○高委員長 分かりました。

そうしますと、3ページの辺りの記載は、基本的に業界全体として問題があったときに、ガイドラインの策定・周知とか、教育・啓発というものを書き込むことになっているということですね。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 そうですね。過去の基礎ぐいの問題の発生規模を受けての、施工手順のところについて言及した箇所という形で理解しております。

○高委員長 では、今回の界壁でしたか。それについては個々の会社の問題だということで、この段階では、当然最近の話ですから対応できないでしょうけれども、また今後業界全体に広がるような話になれば、大森委員が指摘したような対応も可能ということですね。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 要は、個別の建築物に対する違法性のお話という形になるので、そこの取扱いについて、今の段階では建築基準法の中で枠組みとして適正性を回復していくという個別の扱いということになります。今後の展開次第ということでは、先生のおっしゃったとおりということかと思います。

消費者問題としては、今、地方公共団体の消費者部局に対しても丁寧に対応するように私どもからも事務連絡を出させていただいたりはしているのですけれども、工程表に書くまでの大きな話という形ではないかと理解しております。

○高委員長 分かりました。御懸念はあろうかと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○大森委員 建築基準法が守られていない物件が出回っているということは、消費者にとってはとても不安な状況だと思うのです。一生かけて家を買うという消費者がほとんどなので、国交省がやっているだろうという形ではなく、消費者を守る消費者庁が消費者の一番大きな買物について安全性を担保できるように目を光らせていただきたいと思います。お願いします。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 引き続き状況は注視してまいりたいと思います。ありがとうございます。

○高委員長 他、いかがでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 今のことについて関連なのですけれども、建物自体のことの他に、与信の問題が大きいこともあると思うのです。スルガ銀行のこともありましたけれども、家賃保証などの契約をした場合に、その契約者が消費者であるのかどうかという判断も必要になってきますし、その場合、消費者契約法の適用がどうかという議論も必ず出てきて、現場ではなかなか取組ができない状況です。これまでに消費生活相談の現場では、金融庁でどういう評価をしているのかということは疑問に思っておりました。消費生活相談の現場の、S銀行の評価が違っていたわけですね。それが情報として届いていなかったことによって今にまでつながっていたと相談現場では思っております。過去にも弁護団が立ち上がっているのに、どうして伝わっていなかったのかなと思っています。

家賃保証をしてくれるというので大きな買物をしたという今回のレオパレスのこともそうですけれども、消費者に対する啓発が非常に重要です。そこの会社が未来永劫大丈夫な会社かどうかなどは分からないわけで、その辺りの見極めをきちんとしなさいということとか、消費者契約法の適用をしていただきたいということや、金融庁との連携ですね。情報をきちんと伝えて、両方での対処などをしていただきたいと思っております。今回の基本計画にどう盛り込むかという話とは少し違うかと思いますけれども、そういう視点も必要ではないかと考えています。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 いわゆるサブリース問題の関係ということで、特に2点お答えさせていただければと思います。啓発の関係につきましては、先ほど大森委員から御指摘いただいた辺りの中で、107ページの上でいわゆる注意喚起のお話を書かせていただいているところなのですけれども、今年の年初以来の案件の関係のような業態では働き世代の方が被害に遭われており、従来からの大手業者ではどちらかというと土地持ちの方が相続税の関係で活用されるケースが多いという形で、いろいろな世代の方がいろいろな個別的な御事情で投資をされてという形になっております。そのため、いろいろな世代で使っていただけるように種類も分けて啓発資料も作らせていただいて公表もさせていただいているところです。継続して、実は昨年末に、司法書士の連合会などに横展開をお願いさせていただいたり、いろいろな方々の接点になりそうな実務関係者の方々にも御協力をお願いして取り組んでいるところなので、そこは地道にやっていければというのが啓発の関係でございます。

消費者庁の所管法令との関係でございますけれども、いろいろと御意見と御指摘はあろうかと思うのですが、消費者契約法の部分においては入り口のところの反復・継続というところの中で、月決めで家賃が入ってくる状態について、そもそも反復・継続の状況にあると評価する理解のほうが有力なのかと認識しているところでありまして、そこの部分は直ちに適用しますという形でお答え申し上げるには厳しいものと理解しています。

個別の事象において、必ずしも消費者契約法の適用が争点にならなかった裁判例なども若干はあるものですから、それを踏まえて私どもも啓発については少なくともさせていただいていて、入り口において、一連の報道などで言われているようなリスク、借上げ保証、家賃保証、30年一括というようなキーワードにただ踊らされないような形で慎重に判断してほしいということは、オーナーになろうとされる方において吟味していただきたいと私どもとしても認識しているところでございます。

啓発については不断に力を入れてやっていければと思います。ありがとうございます。

○高委員長 ありがとうございました。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

本冊で言いますと、234ページの地域の見守りネットワークの構築の課題と232ページの地方消費者行政の充実・強化の課題、この2つについて質問させていただきます。

まず、地域の見守りネットワークのことでは、233ページから234ページにもありますが、見守りネットワーク、安全確保地域協議会の設置が、昨年10月時点でも人口5万人以上が87市区町であると。これは540くらいの対象自治体ということからすると、まだ2割にも満たないという意味で、非常に危惧しているところです。

これを広げていく方策ということで、234ページには、以前は2016年に取組事例の集約、公表、2017年4月にも先進事例の収集、事例集の公表ということがあったのですが、この1年間のところでは、徳島県の市町村における設置事例の取組事例集が公表されています。徳島は非常に頑張っておられるし、その事例集も拝見しましたが、どういうところを工夫したかとか、どういう苦労をしたかということも書いてあって、それはそれで参考になるところです。元々、実績の上のところにも書いてありますが、徳島県の事例を含め、先進事例の収集、共有に取り組むことで、目標達成に向けた都道府県の取組を支援、促進するとなっております。

そこで質問なのですが、2つあります。一つは、市町村レベルでの設置事例は、2017年4月以降もこの2年間にも全国的に頑張って作って特徴的なところとかはあるかと思うのですが、徳島以外のところの市区町村の設置についての事例集や徳島の事例集のような工夫や苦労したことも含めた、そういう事例を集めるというのは計画として考えておられるのかどうか。

もう一点は、実はまだ市区町村がどうするかという気持ちの一歩前で、都道府県が市区町村に対して、こういうことで意義がある、こういうふうに作ったら良いという働き掛けが十分できていないところが少なくないのではないか。なぜなら、都道府県で見ていっても本当にまだ1つかゼロかというところもあります。そうすると、都道府県の取組を支援、促進するために、都道府県がどういう形で市区町村に働き掛けているのかというところも具体例を紹介していただく必要があるかと思うのですが、その辺りについては今後どうするのか。あるいは、そういうところも含めてこれから1年間、何しろこの強化作戦で言えばあと1年間が目標で、5万人以上のところで全体へという政策目標になっているわけですから、その辺りの今後の取組、あるいはこれまでの事例収集との兼ね合いでどのように検討されているのか。これをまずお伺いしたいと思います。

併せて232ページ、これは主に財政的な支援のことが中心になっているかと思います。推進交付金から強化交付金に代わったというところ、推進交付金の活用の継続の問題と強化交付金の措置について進めていくということが記載されております。併せて、これはいろいろなところでも議論があるかと思うのですが、自主財源がほとんど増えていないということについても、最終的には各自治体が自主財源で措置して消費者行政を強化するという独自の政策判断をしてもらわなければいけないと思うのですが、そこに向けた取組が全然促進されていないというところについて、これからどういうことをしようとされるのか。あるいは、強化交付金に代わったことで使途もかなり絞られたし、補助率も変わり、非常に使い勝手がうまくないという自治体からは困惑の声が聞こえているのですが、その辺りの情報を収集し、あるいはもっと使い勝手の良いものに変えていくことについての取組はどのようにされるのか。この工程表の中でその辺りは何か反映をされているのか。交付金に関する対策のことと自主財源についての対策のことについてお伺いしたいと思います。

○高委員長 よろしいですか。4点ありましたけれども、良いですか。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 お答え申し上げます。

最初の2点、見守りネットワークの関係でございます。御指摘をるるいただいたように、本体の234ページ、実績部分で徳島の関係を書かせていただいてございますけれども、何ページかお戻りいただいて、228ページをお開きいただければと思うのですが、帯表の中のみで書いてしまって恐縮だったのですけれども、ちょうど協議会に向けた課題解決の先進事例集の作成・公表というところが徳島の関係でございます。そしてその下に2つポツがあって、真ん中のところなのですが、協議会設置のためのマニュアルの作成・公表という形で、今、ちょうど担当課である消費者教育・地方協力課でマニュアルの作成に向けて鋭意編さん作業を進めているという形でございます。池本先生から今し方いただいたような御指摘を踏まえて編集がされるようにまたフィードバックさせていただきながら、こういったものが充実した中身になるように取り組んでいければという理解をしております。最初に2つ、100%のお答えになっておらず恐縮なのですが、そういった形でまた都道府県への働き掛けも含めて整理できるようなものにしていけるように努めてまいりたいと思います。

残りの2つの関係でございますが、232ページの最後のところにキャラバン隊の話を書かせていただいているところでございまして、その後ということも含めて御指摘をいただいたのだと思っておるのですけれども、まずは首長を含めて私どもとしての問題意識をきちんとお伝えするという取組を通じて、御認識を明確に持っていただき、それぞれの地方公共団体における経営判断の優先順位が動態論としても上がっていくことを期待したいと理解しているところでございます。

その後の関係につきましては、先生には釈迦に説法になってしまいますけれども、交付金がどうしても初動対応としての位置付けだったというところもあって、今、こういった形で推進の部分の枠と国としての重要課題への地方消費者行政での対応力の強化の枠になっている状況にあって、どうしても前半の推進の部分の枠は経過措置的な部分がある中で、継続して地方公共団体の方々への理解を求めていく形になるのかなと考えてございます。キャラバン隊についてはスピード感を持ってやらせていただきながら、いろいろとまた御指導もいただくこともありながら進めていければと考えています。

使い勝手の関係でございますけれども、いわゆる交付金に関するKPIとして、227ページでございますが、強化の枠の関係の部分の事業のメニュー数、あるいは国が指定する研修へ参加いただいている延べ人数については指標として整理させていただいているところなのですけれども、消費者教育・地方協力課で秋口に毎年やっているブロック会議などの場も含めて地方消費者行政の現場の方々と消費者庁との間でコミュニケーションを密に取っているという理解をしております。そういったコミュニケーションも経ながらメニューの面での臨機応変な対応については継続していければと考えております。

以上でございます。

○池本委員長代理 ありがとうございます。

一言意見を申し添えますと、このマニュアル作成はできるだけ早く作成し、また、これも公表していただければ、消費者庁から都道府県や区市町村にただこれを送付して使ってくださいということだけではなくて、地域の住民、消費者団体などからも作ってほしいという働き掛けを進めていくための道具にもなるのではないかと思います。

同じ意味で、先ほどの全国キャラバンで、政務の方も含めて幹部職員によって都道府県に訪問されていると。忙しい中で非常に努力しておられると思うのですが、こういうことも行政の中でトップが3カ月間でこれだけ動きましたという結果だけではなくて、もし30分でも時間があれば来週どこどこに行く、その前か後ろか20から30分でも地元の消費者団体の人ともお話をして、今回こういう要請をしてきた、地元でもまたそういうことを議論してほしいというように、地域の官民挙げて政策としての位置付けを推進するというように声掛けをしていただくと、より効果的なのかなと思います。これは検討課題ということで、参考にしていただければと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

他、ございますでしょうか。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 御説明ありがとうございました。

昨年12月19日付で消費者委員会から提案をさせていただいた意見に関して、特に資料1-2の5ページ、4.の食品表示について、真摯に御対応いただいていると感じております。特に食品表示に関する啓発についてこれまでも取り組んでいただいているところではございますけれども、更に一歩進んで理解度に関してKPIを設定するようという、その要望に対して、この資料1-3の中でも具体的にKPIを意向調査に基づいて書き込んでいただいたというところについては、非常に大きな改善ではないかと思っているところでございます。

そこは感想なのですけれども、一方で、例えば今回SDGsの観点がしっかりと盛り込まれているということで、食品関係においても農産物についてGAPに注目するということで、トレーサビリティとかフードチェーンに対するこの消費者基本計画における重点が新たに盛り込まれたところでございます。ここはSDGsにおいては15番の「陸の豊かさも守ろう」というところで、極めてそこに関連しているとは思うのですけれども、一方で、これが書き込まれることによって、14番の「海の豊かさを守ろう」というところが、この消費者基本計画の工程表の中では逆に薄くなっているような印象がございます。これを改善するためにはどうしたら良いかというと、陸の豊かさを守るところにGAPが関連するとすれば、海の豊かさに関連するトレーサビリティとか認証マーク、こういったものの重要性をこの工程表の中に訴求をしていくということ。これが一つの方策ではないかと感じたところです。

実際には水産物の場合、これは海外の認証マークではあるのかもしれませんが、MSC、また、国内の水産関連団体が認証するMEL、また、トレーサビリティに関してはよく水産物について、COCという言葉、略語ばかりで恐縮ですけれども、Chain of Custodyとかという言葉を使っているかと思うのですが、そういった水産物に関するトレーサビリティとか認証マークの推奨をこの中にどこか盛り込んでおく必要があるのではないかと思うのですけれども、その点についてはどのようにお感じになりますでしょうか。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 お答え申し上げます。

本体で言うところの4の(5)のマル3、ページをつまびらかにしておらず恐縮なのですけれども、循環型社会のところで、海洋プラスチックの関係は今回プラスチックスマート運動の関係を書かせていただいて、ちょうど先生のおっしゃっていただいた辺りの鏑矢になる話なのかなという理解ではあるのですけれども、もう一歩、具体の認証の関係もということかと理解しておりますので、また持ち帰らせていただきまして、今日配付させていただいている資料でパブリックコメントを実務的には開始させていただければと思っておりますので、その期間も活用しながら、それこそ農水省の方々とも調整をして、検討させていただければと思います。ありがとうございます。

○受田委員 是非よろしくお願いします。ただ、海洋プラスチックの問題と水産物におけるトレーサビリティであったり漁獲方法に関する認証というのは、性格を異にすると思います。すなわち、人為的インパクトという点では共通しているかもしれませんけれども、そういう意味で私自身は、その点は入っていても盛り込みは不十分かと思っています。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 より具体的の話、すなわち、工法というのですか、そういったところに属する部分もということかと思いますので、時間をいただければと思います。恐縮でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

他、ございますでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 50ページのところに公正な取引のことが書いてありまして、余り記述もない感じなのですけれども、実は公正取引協議会に対するアンケートを消費者団体の方が行われて、消費者委員会にもその結果を報告してくださったのですが、公正マークがうまく機能していないという情報提供でした。会員事業者への適切な指導が行われていないということを教えていただきましたので、これは希望なのですけれども、是非公正マークの運用ということをもう少し書き込んでいただけたらと。今、取引であっても、商品であっても、一般の消費者が見てこれは良いか悪いかなかなか判断しにくい、この事業者は安心かどうかというのも判断しにくいときに、マークというのは消費者が取引する上での大切なよりどころであるので、そのマークが全然機能していないというのは反対にデメリットになってしまうので、非常に消費者庁としては重大な部分かと思います。

この辺りを考えていただきたいということと、ADRなのですけれども、いろいろADRのことをまとめて書いていらっしゃるところがありました。193ページの辺りです。今、プラットフォーム取引とか、シェアリングエコノミーとか、今までのように消費者と事業者という形ではなくてC to Cとか、事業者か消費者かよく分からないような相手とか、新たな取引が出てきたときに、そういうものに対することを相談というか、処理するADRはどこが担当するのかというところが、日本の社会では余り明確にはなっていないと思うのです。ADRとして身近にあって最も信頼のある消費生活センターは基本は、消費者間の取引は扱わないので、このままネット取引がどんどん進んでくると、これはセンターに相談して良いのか駄目なのかとか、そういうことばかりに時間が取られるというのもまずいので、そういう取引に関してはどこが責任を持って扱うかという辺りも未来を見据えて動き出さないと間に合わないかと思っておりますので、その2点、何か追記していただけたらと思います。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 お答え申し上げます。

最初の公正マークの関係については、公正マーク自体、この関係を担当し始めて2サイクル目でありますけれども、初めて御指摘を頂戴したところでもありますので、公正取引委員会ともパブコメ期間中に意見交換させていただいて、検討させていただければと思います。

後段なのですけれども、デジタルプラットフォーマーに関する問題、最近いろいろな観点から、競争政策の観点であったり、あるいはそれこそ消費者委員会でも御議論いただいていてという状況にありますが、従来のB to Cの枠をはみ出すところの取扱いを含むという中で、どう位置付けていくか。消費者基本計画に基づく施策の実施についての工程表という中で、位置付けるべきなのかどうかも含めて若干整理を要するだろうというところもございます。今までこの時間の中でいただいている御指摘の中でもかなりハードルが高いほうかと理解しておりまして、今回可能かどうかというところはあるのですが、また4期の計画の弾込めの中になってしまうかもしれませんが、整理していければと思います。ありがとうございます。

○大森委員 すぐ書き込める内容でないことは分かっているのですけれども、この時代の進展のスピードを考えて、何も触れずに置いておくとか余裕を持って対応されていたら間に合わないかなと思って言わせていただきました。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 ありがとうございます。恐縮でございます。

○高委員長 他にいかがですか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 ありがとうございました。

まず、SDGsの大きな枠の中で動き出していただいてありがとうございます。日本だけではなくて世界を見ながら、世界で一緒にやっていかなければいけないものがたくさんありますので、随分前から声を大にして消費者委員会から申し上げておりましたけれども、第一歩かと思います。

それから、今の大森委員の発言に関連するのですけれども、電子商取引を50%以上の方が使われるようになってきたこの世の中で、昨日もエニタイムズという人と人をつないでサービスをしていくという方のお話を伺ったのですが、シェアリングなのですね。人の能力、自分の余った時間を、他の人のために料理に行ってあげますよみたいなものを人と人がメルカリのようにやっていく。間に人が立たないのですね。ですから、メルカリの人版、アメリカではやっている車の人版みたいな話で、今、物と物のメルカリなどで問題が起こっていることもあるのですけれども、今度は人と人ということになってきますと、見え方はとても良いのですけれども、問題が起こってくる可能性も大変多くなってきていますね。そうすると、その辺りのところに消費者が守っていく立場としてはきちんと目を向けていかなければいけないかなというのが、私の一つの意見です。

もう一つは、ここにたくさん具体的に電子商取引も含めて適正な取引の中に、安全・安心なクレジットカードの利用環境の整備ですとか偽造のキャッシュカードとかと書いてあるのですが、実はもうクレジットカードを使わなくなってきているキャッシュレスの世界に入ってきている。そうすると、まだクレジットカードだけで止まっているというので本当に良いのでしょうかというところがあって、国を挙げてキャッシュレス化を進めている、その中において例えばスマートフォン一つの中に自分のクレジットカードをいっぱい入れて、PayPayですとか、そういうところを通って支払いができるようになってきている。

こういう世の中になってきたときに、もう少し具体的に、例えば117ページの工程表を見ていくと2022年までただ研究しますみたいな棒があったりするのですけれども、他のところのページと同じようにもう少し具体的に取り組むことを書いていただけないのか。それは速度の問題だと思うのです。早くに取り上げてこういうことをやろうよと言うか言わないかということだと思うのですけれども、国の施策に合わせて皆がキャッシュレス化になっていたり、電器屋、一番お金を皆が落としていく食品を扱っているところ、あるいはレストラン、そこをキャッシュレス化するために国を挙げて補助金を出しているわけですね。

そういうことが実際に起こってくる世の中で、消費者としてどうやって自分の身を守っていくかということを知らされていないわけですから、その辺りの観点からもう少し例えばキャッシュレス化で起こる問題をこの辺りから取り上げていくとか、そういうことが具体的に挙がっていくことが、速度の問題ではないかと。起こってから考えるというのが今までのスタンスだったかもしれないのですけれども、起こる前に考えましょうよということができないかというのがお願いでございます。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 キャッシュレスの関係なのですけれども、先生には釈迦に説法になってしまうと思うのですが、昨年、いわゆるキャッシュレス推進協議会が、民間の大手事業者の方やベンチャー系の方も含めて立ち上がったところは御承知かと思います。ちょうど昨年度来の経産省におけるキャッシュレス・ビジョンの取りまとめ内容の実施をしていくために発足しており、どうしても、基本的には民間主導でという形になっているところがあって、閣議決定上の消費者基本計画の位置付けが、政府の施策を整理して工程表を管理していくという形になっているものですから、なかなか書きづらいねというところも実務としては正直あったところでございます。

他方で、先生がおっしゃるように、キャッシュレスの話について時宜を得ている話というところもございますので、少なくとも消費者にキャッシュレスの利便が負の形で生じないようにしていく中では、104ページをお開きいただければと思うのですが、PayPayの古くひもづいてしまっていたクレジットカードの情報が流出してしまった事案について、セキュリティーの確保に関わる課題を解決していくための取組については記載しようということでございまして、今、安全・安心なクレジットカードのところは主に割賦販売法の話について本文のところでは記載しているところなのですけれども、実績のところで可能な範囲で書こうということで、ここはお願いを経産省にさせていただいて、キャッシュレス推進協議会の方々における検討ではあるのですけれども、そこについては記載しているところでございます。

先生からはこれまでもキャッシュレスの関係とか電子商取引に関していろいろとリスクもある中で慎重にという観点も御指摘をいただいているかと思うのですけれども、概要では16ページでございますが、私どもの消費者庁の取組になってしまって恐縮なのですが、景品表示法の解釈を分かりやすく示す一環としてのスマートフォンの打消し表示の関係などを進めております。このようなものについては深度ある理解を利用者の方にしていただく必要があるので、その辺りは繰り返しやらせていただいているところでもあります。今回、概要においても、どちらかというと電子商取引とかオンライン化について真正面から扱っていない構成になってしまっていたところではあるのですが、そういったところを拾わせていただいて、少し絵も入れて強調するように努めているところでございます。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 2つあります。一つは先ほどお伺いした地方消費者行政の関係でもう一点、職員の確保や人材確保、あるいは資質の向上ということが特に今、重要になってきている。先ほどの地域の見守りネットワークの構築などもむしろ職員のコーディネート力が重要だと思うのですが、職員の資質向上、人材確保という辺りがどうもこの工程表上見えにくいように思います。例えば237ページは国民生活センターの研修というのが相談員、職員と書いてあるのですが、具体的な実績のところはくくってあるだけで内訳も見えていませんし、法執行の強化のところは法執行担当職員のことが235ページにはあるのですが、むしろそれ以外の消費者施策、今のようなコーディネートをしていく消費者行政職員の資質向上をどう進めていくのかがもう一見出しあっても良いのではないかと感じています。それによって計画的な推進ができるのではないかと思いますので、御検討ください。

もう一点は、これは特定商品預託取引法、一昨年ジャパンライフの摘発の問題もありましたが、その項目が見当たらないのです。私の見落としなのでしょうか。目次で見ても見当たらないのですが、あれは数年に1回それを使って処分したり発生するものはありますけれども、気が付いたときにはそれこそ何百億とか何千億とかとんでもない被害になっているということで、それは消費者庁の所管の法律の中でも本当に常に注視していかなければいけない課題として位置付けて、例えば最近も連鎖販売取引で処分したWILLというところ、あれは中身を見ると預託商法なのです。ただ、政令指定商品ではないからそれに基づく処分ができていないのですが、預託取引をきちんとウオッチしながら、それで使えるのか使えないのかということも継続的に見ていただくという意味で、ちゃんと位置付けをしていただければと思います。

以上2点です。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 特に後半についてはハードルの高い課題ではありますので預からせていただいて、パブコメ期間中に調整が付くかどうかは確約できませんけれども、検討させていただければと思います。

前半につきましては、いわゆるKPI関係で記載していくべきなのか、あるいは本文でアクセントを付けていくのか、確定した方針は持っておりませんが、また御指摘を整理させていただいて、対応を検討させていただければと思います。ありがとうございます。

○高委員長 他、いかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 一つは、232ページの地方消費者行政のところなのですけれども、実績の上のところの最後の段落「また、2018年度は」で始まっているところなのですが、「2018年度は」で「引き続き支援を行う」と読むのでしょうか。2019年度以降のことを本来書くべきで、それを見て思ったのですが、ここに書いてあるのは全国的に推進しますということ、交付金を使いますということと、自主財源のことしか結果的に書いていないようにも読めるのです。今までやってきたことです。自主財源を高める働き掛けをやっていらっしゃるということは一番下のところにも書いてあるわけですが、本来、それだけで本当に良いのかということはきちんと考えていくべきだと。とても大切なことだと思うのですが、今までやってきたことと地方のことは自治事務だから自主財源を高めれば良いのだということの、この1枚はそのようにとても読めまして非常に残念に思っていて、もう少しきちんと分析して書いていただくべきではないかと思いました。

172ページは公益通報の保護法のところの法改正をどう書いてあるのかというところなのですけれども、真ん中の辺りに赤で書いてあるところで「関係者からの意見募集など法改正も視野に更なる検討を行う」、この表現では納得がいかない。消費者委員会としてはせめて臨時国会ではというお話を申し上げているところにこの表現で良いのかというところは、こちらに向かってですけれども、皆さんいかがでしょうかと呼びかけたいと思っております。

以上です。

○高委員長 お答えできますか。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 後半についてははお答えするのにふさわしいのかどうかは何とも言えませんが、まず、いわゆる地方消費者行政の関係でございます。少なくとも交付金の措置の関係については措置年度が2018年度だったという理解でありまして、長田委員御案内のとおりで、今年度の補正であったりあるいは来年度当初の政府予算案であったりという中で、所要額を付けさせていただいているところではございますので、そこは引き続き取り組んでまいるという理解でお読みいただければと思います。

それ以外の事項について内容の記載を深めるべきではないかというところでございますけれども、この工程表については、計画の推進を図る取組要件を示しながら、具体的な細目を書いていくという理解からすると、いただいた御指摘なども考慮に入れながら次期の計画を検討してまいるように努めるという理解なのかと考えております。

○長田委員 だから、「自主財源に裏づけられた予算の確保を促進する」と書いてあるのですけれども、促進しても結果がどうなのだという話について検証するとか、せめてそのくらい書くとか、それはまだ2019年度の予定だとしても書けるのではないか。前も申し上げたのですけれども、キャラバンをやっていらっしゃって、回っていて、結果、どうなのだという話は2019年は是非示していただきたいと思っているところでして、そうこうしているうちに本当に地方の消費者行政は駄目になってしまうのではないかという危機感が皆あるわけですね。だから、次期は2020年度からですね。そこで間に合うのかという危機感もあるので、もうちょっと検討していただければと思います。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 御意見については、また検討を深めてまいりたいと思います。

公益通報者保護の関係でございますけれども、公益通報者保護制度の担当課である消費者制度課ではございませんので理解が浅いのかもしれませんが、消費者委員会から頂戴した御報告の関係において、技術的な検討等々の記載をいただいているところもあるのかなと承知をしているところでございます。そういった点も含めて更なる検討を行うという形で、現時点として法改正等々について早々軽々にスケジュール感をお示しできる形でもないものですから、こういった形の記述になっているということで御理解を賜りたいと思います。

○高委員長 よろしいですか。確かに明確には予定は示せないということですね。でも、その方向で努力はしていただけると我々は期待しておりますので、是非よろしくお願いいたします。

他、よろしいですか。

どうぞ。

○蟹瀬委員 最後に済みません。経産省の先ほどのキャッシュレス推進協議会、これはキャッシュレスをいかに進めるかを一生懸命研究する企業が入って産官民でやっているところだと思うのですが、それと並行して消費者庁はそれによって何が起こるのだということを研究していかなければいけないのではないかと思うのです。ですから、視点が全く違う。キャッシュレスを進めていこうとする人たちが、それが起こったときに消費者にどんな問題が起こるかは考えていない。どうやって広げていくかを考えるのが推進協議会ですから。

ですから、私もいろいろなところの推進協議会に入っていますけれども、そこはどうやってそれを広げていったら良いかという視点で物事を考えていますので、消費者視点で考える消費者庁の場合は、そういうことが起こったときにどんな問題が、起こらなければ手を付けないというやり方があるのかもしれないですけれども、これからどういう問題が起こってきて、キャッシュレスとは何なのだと消費者が分かっているのかなというのも含めて、ある時点でちゃんと課題にしていかなければいけないのではないかと私は思っています。

先ほどのお答えに私は盾を突くようなのですけれども、推進協議会がやっているから良いのではないか、それはもう官民でやっているから、経産省がやってくださっていることであって、それはすごく大事なことで、政府も旗を振っていますからそれは大事なのですけれども、消費者庁の役割はその中で消費者がどんな問題に出くわして何を被ってくるのだということを検討するところであり、そういうものに対していろいろな法律を決めたり提案したりするところなので、そこのところは早目に手立てをしていただけると良いかなと。特に50%のシニアが増える前に、もう増えつつあるのですけれども、是非早目に課題にしていただくと良いかなと思っています。

一言希望を述べさせていただきました。

○高委員長 ありがとうございました。

委員からいろいろ意見が出ましたけれども、基本は最初に説明がありましたが、施策の数が140本ぐらいだったものが今は162本になって、工程表素案も今は250ページにまで膨らんでいる。それから、我々が昨年12月に出させてもらいました意見にも基本的にきちんと対応していただいているという印象を持っております。ありがとうございます。

その上でいろいろ意見を申し上げさせていただきましたけれども、特に大きなものについては、これは、既に第4期の基本計画の中でも、消費者庁として示唆されていることだと思います。消費者問題を考えるときには、情報とか交渉力の格差に着目して対応していかなければいけないという、いわゆるC to Cとか、先ほどのサブリースの話ですか。反復・継続的に取引を行っている人をどう位置付けるか。こういう考え方を取り入れていくことを第4期では考えているという説明を以前いただきましたので、もちろん第4期からでも良いでしょうけれども、これを前倒しでできることがあれば、その議論もこの工程表の素案に盛り込むことも可能ではないかと思いました。

それから、地方消費者行政のところについては、これはたくさん意見がございまして、実は今日、この後、地方消費者行政に関するヒアリングをやらせていただく予定でございます。その中で、具体的に自主財源を確保するのにはどうしたら良いのか、あるいは連携について具体的にどう進めたら良いのかといった議論が出てくると思いますので、我々としても、具体的なアイデアが出ましたら、また今後いろいろ機会があるかと思いますので、これに関し意見を表明させていただければと思っております。

以上で御報告とそれに関する意見交換を終了させていただきます。どうもお忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございました。

(消費者庁消費者政策課退室)

(消費者庁消費者政策課財産被害対策室入室)

≪3.消費者安全法に基づく法執行(財産事案)の状況等について≫

○高委員長 次の議題は「消費者安全法に基づく法執行(財産事案)の状況等について」でございます。

財産事案について消費者庁が事業者に対する措置を行うことができる規定などを盛り込んだ改正消費者安全法が平成25年4月1日から施行されているところでございますが、その附則第3条において「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」と規定されております。

昨年3月31日をもって施行後5年を経過したことから、消費者庁において、法施行の状況について整理し、何らかの措置を講ずる必要があるか等、検討が行われたと聞いております。

本日は、消費者庁における検討結果について御報告いただき意見交換を行いたく思います。

本日は、消費者庁消費者政策課小泉財産被害対策室長にお越しいただいております。お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、恐縮でございますが、10分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁小泉消費者政策課財産被害対策室長 財産被害対策室長の小泉です。よろしくお願いいたします。

それでは、1枚の概要版の資料に基づいて説明をさせていただきたいと思います。「1.検討の経緯」については委員長から御説明がありましたので、そちらの部分については割愛させていただきまして、「2.執行状況」についてから説明させていただきたいと思います。

改正後の執行状況でございますけれども、この改正法によって導入された規定は、資料に記載してあります2点でございます。まず(1)の部分でありますが、関係機関等への情報提供ということで、消費者安全法第38条第2項に追加されたものでございます。それまでは消費者安全法第38条第1項に注意喚起をした場合に都道府県並びに市町村に対して情報提供をする規定が盛り込まれていたところ、新たに消費者被害の発生・拡大の防止に資する情報を関係機関等に対し提供する規定が盛り込まれたところであります。これにつきましては、そちらに記載してありますとおり、それまでの都道府県や市町村に加えて、関係府省庁や金融機関、決済代行業者など、民間にも情報提供ができるようになったものでございます。その実績につきましては、過去5年間の平成25年度から29年度までで164件でございます。各年度の件数につきましては、別の資料の3ページの中段辺りの「4.施行状況」で一覧にお示ししてございます。そちらで各年度ごとの提供件数を記載させていただいております。

この提供することによってどのような効果があるかということで、利用実績ということで記載させていただいておりますが、例えば悪質事業者の口座を把握した場合に、銀行にその口座の情報を提供したところ、銀行でその口座の凍結、あるいは悪質事業者の情報を決済代行業者に提供しましたところ、クレジットカードの決済機能の停止、あるいは悪質事業者がホームページなどで広告をしているわけですけれども、そういった情報をドメインの取得代行業者に提供したところ、ホームページを閉鎖してくれたりと非常に効果があるというところであります。

ですから、右に記載させていただきましたけれども、評価というところで、過去5年間で164件の情報提供は一定の効果がある、実績を挙げている、消費者庁としてはこの制度は十分に活用されて機能していると評価しているところでございます。

続いて「(2)事業者に対する措置」というところで、消費者安全法第40条第4項、第5項が加わった部分でございます。これにつきましては、それまでは生命・身体事案に対して勧告や命令というのはあったのですけれども、改正で財産事案に対しても勧告、命令が加わったものでございます。勧告につきましてはマル1というところで、事業者に対して、被害を生じさせている取引の取りやめその他必要な措置を求めるものということで、この勧告に従わない場合は命令というところで、事業者が正当な理由なく勧告に従わない場合、事業者に対して勧告に従うことを求めるものというところで、命令違反に対しては罰則付きというところであります。

この実績につきましては、過去5年間で2件ということになります。年度の執行状況につきましては、先ほどと同じ資料の3ページの表に記載してございます。ただ、2件というところで少ないのではないかというところでありますけれども、その他に注意喚起ということをやっております。それにつきましても表に記載のとおり、毎年大体10件前後の注意喚起をしているところであります。

なぜ勧告が少ないかというところで、右に記載させていただいておりますけれども、赤字の部分でありますが、消費者庁の調査あるいは注意喚起をした場合に事業者が自主的にそういった行為を取りやめるケースが多くて勧告の必要性が低くなっているという部分と、黒字の真ん中辺りでありますけれども、過去の注意喚起では事業者の実体が判明しないものが非常に多かったという部分がございます。実体が判明しないという典型的な事案は、架空請求というような相手になかなかたどり着かないという部分が多くて、勧告のしようがない部分がありまして、勧告が少なくなっている原因の一つでもあります。ただ、事業者が自主的に取りやめるということにつきましては、勧告や命令という制度が導入されたことによって、うちのほうで注意喚起をした後でもまだ事業を続けるということになれば、この勧告、命令を打てるというところで抑止効果があるのだろうと。そういった部分で、自主的に止めているのではなかろうかと評価しているところでございます。

というところで、最後でありますけれども「3.結論」ということで、勧告2件と少ない件数ではありますけれども、消費者への注意喚起の実績等を踏まえると、法令を改正する必要はないのではなかろうか。

とはいえ、関係機関等への情報提供に関しましては、情報提供先の情報の利用実績等を、これまでは向こうからの報告を待っていたのですけれども、こちらで確認するなどしてもっと効果的に活用できる部分があるのではないかという検証もする必要があろうかと考えておりますので、そういったこともやっていきたいと考えているところであります。

また、うちの職員の知識の共有とか、より充実した調査マニュアルの作成等により、職員の調査能力の向上も図る必要があろうと考えているところであります。ここに来て事業者の手口も悪質・巧妙化している部分もありますので、そういった部分で職員の能力の向上にも努めていきたいと考えているところであります。

最後でありますけれども、財産事案に関する消費者被害に関して、他省庁だけではなくて消費者庁内の担当執行課とも今後とも密接に連携を図って、消費者被害の拡大、発生防止に努めてまいりたいと考えているところであります。

説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関しまして御質問がございましたら、どうぞ。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 御説明ありがとうございました。

この安全法に基づく執行、特に多数消費者財産被害事態というのは、正に財産被害、悪質商法の中ですき間事案をきちんと捕捉していくという意味では非常に期待されてきた制度だと思います。先ほど勧告まで至ったのは平成25年度2件だけで後は注意喚起であるということで、法令を改正する必要はないという結論となっていたのですが、法令改正まで必要なのかどうかは私も十分検討し切れていないのですが、執行の実際として本当に足りているのだろうかというところに不安があるわけです。

と申しますのが、まずこの財産被害対策室というのは、スタッフとしては何人でやっておられるのか。それは例えば特商法であれば取引対策課、景表法であれば表示対策課、それぞれかなりのスタッフを抱えていますが、それに比べて財産被害対策室というものの体制は決定的に不十分なのではないか。あるいは、この課題はむしろ取引対策課や表示対策課などという正に執行部隊の中の一角で必要に応じて一緒に動いていくくらいの位置付けである必要もあるのではないかということを感じるわけです。具体例も申し上げたいと思うのですが、特にその関係で、基礎的な事実で、この5年間で報告徴収、立入検査という権限がありますが、これを実施したというのは、報告徴収、立入検査それぞれ何件なのか。それから、特商法とか景表法にはある合理的根拠資料の提出要求、それが提出されない場合には商品の品質、効能、効果などについては不当表示、不実告知とみなすというのがありますね。その規定がないように思うのですが、その辺りでもう一歩先に踏み込めないということはなかったであろうかということをお伺いしたいと思います。

それがまず基礎的な事実関係なのですが、もう一つ、このすき間事案に対する対処ということで、すき間事案をどう解釈するかというところについて確認したいと思います。テキストも拝見しているのですが、それぞれの法律の中でそもそも適用対象になっていない正にすき間だと思うのですが、ある法律の取引の仕組みとしてはそこに入りそうだけれども、政令指定商品に指定されていないので当たらないと。それもすき間事案だと解説書にもありました。そういう理解でよろしいのかどうか。

仮にそうだとすると、最近、これはもう行政処分になった事案ですが、連鎖販売取引で行政処分になったWILLという会社。テレビ電話装置のアプリケーションソフトのUSBを販売して、それを預かって、レンタルする商法だけれども、処分事例の公表資料を見ると契約件数で合わせると53万件くらい商品がなければいけないのに、9,000件ぐらいしかない。2%もない。これは現物まがい商法ですね。しかし、政令指定商品になっていないから預託法での処分はなかったわけです。こういうものは正に安全法上のすき間事案に当たるのではないか。その場合、連鎖販売取引で処分があったから預託については触れる必要はないということなのか、あるいは2つの部署で連名で一緒にやっていくことが必要な事案になるのかどうか。その辺りの考え方をどう見れば良いのだろうかというところについてお伺いしたいと思います。

○高委員長 よろしいですか。

○消費者庁小泉消費者政策課財産被害対策室長 スタッフにつきましては、私以下13名になっております。

報告徴収あるいは立入検査の件数につきましてはオープンにしていない部分でありますけれども、注意喚起するに当たっては必ず報告徴収を求めておりますので、資料の提出を制度の中で定めていただいていますので、そういった制度を活用して資料の提出をいただいております。ですから、四十何件やっておりますけれども、報告徴収は全てやっているものと認識していただいて結構だと思います。

この消費者安全法には確かに合理的な根拠の提出制度みたいなものはございません。ただ、ないからといって注意喚起ができなかったというのは、私はまだ1年なのですけれども、そういった記憶は私が来てからは経験はございません。

すき間事案の解釈の部分については、後ほど補佐から細かく説明をさせたいと思いますけれども、他との連携という部分で特商法の部分と消費者安全法の部分で両方でできる部分があれば一緒にやるべきという御意見もありましたが、それについては取引対策課と一緒にやった過去もございますし、今後も一緒にやっていくという考えも持っております。ですから、連携してやっていく部分については横の壁を取り除いて協力しながらやっているところであります。

WILLの部分につきましても、そういったことで、どこの法律だからという部分でできないというわけではなくて連携しながらやっている部分で、特商法で打っていれば、その事業者に対してその後もまた消費者安全法で注意喚起するというよりも、私の考えとしては、その余力があるのであれば別な事業者、被害を受けている事業者がありますので、私どもとしてはそちらの事業者への調査を開始して注意喚起をして消費者被害を防ぐほうがより効率的なのかなと考えているところでございます。

私からは以上です。

では、すき間事案のほうを。

○消費者庁消費者政策課担当者 財産被害対策室の藤野と申します。よろしくお願いします。

簡単に補足をさせていただきますと、不実証規制に関して御質問があったかと思いますけれども、当方の室長の説明のとおり、消費者安全法には明示的な不実証規制の規定はございません。ただ、そこは我々が行う措置において不実告知とかそういうものを認定するに当たって、法律上求められる立証水準がどこまであるかということであって、本当に不実証規制という規定が必要かどうかはまた別の議論なのだと思います。

そういった中で一つの参考になるかと思いますけれども、正に昨日、我々が注意喚起の公表をしてございます。株式会社トップという会社でございます。この事案に関しましては、調査の段階で彼らのホームページでは、こういうようなお金をもうけた人がいます、経験者がいますということでうたっていたものですから、では、立証しろといったところで、実際にはかなり時間をかけて、そんな資料は出してこなかったのです。ただ、そういう人はいるのだと。いるけれども、ちょっと待ってくれ、待ってくれでずっと引き延ばしていって、我々の認定としては、実際はそこまで引き延ばすということはもう根拠がないからなのだろうというところで、不実告知を認定したところでございます。実際は運用の問題でして、そういう形で、我々の調査の中で、注意喚起というものであればそういう実績もございますということを簡単に説明させていただきました。

すき間事案の御質問がございました。具体的にWILLの話を挙げていただきまして御質問いただいたのですけれども、個別の事案ということですので、詳細につきましては御説明を控えさせていただきたいと思います。先ほど、例えば預託法の特定商品の話がございまして、実際にそれにないものであればすき間になるかならないかということがこちらの逐条解説に書いてありますということでしたけれども、その考え方に関しましては、我々もそのとおりでございますというところになります。実際、WILLの事案は当方の取引対策課で特商法に基づき行政処分をしましたということですので、例えば連鎖販売でなかった場合とか、そういう仮定の話になってしまうと、個別案件ということとあわせましてなかなかお答えは難しいところでございます。

いずれにしましても、当方室長から説明のあったとおり、どのような事案に関しましても、いわゆる財産被害に対する執行担当課、表示対策課とか取引対策課と我々も含めて、常に個別案件に関しましては情報交換しておりますし、いずれの法律に落ちるものもございますし、その辺りは行政効率も含め考えて対応しておりますので、御理解いただければと思っております。

以上になります。

○高委員長 どうぞ。

○池本委員長代理 御説明ありがとうございます。

今のWILLの案件は連鎖販売取引での処分なので、業務停止命令という最も強い処分なので、勧告よりはずっとそちらのほうが実効性があるということかもしれませんが、仮にそこが連鎖はやめて店舗販売に変えるとか、訪問販売に変えれば特商法はありますけれども、特商法が及ばない方法、あるいは通信販売の中でやっていくことで表示だけの問題では足りないということになると、あるいはこちらが出てくるのか。それとも、通販の表示規制があるのだからもう出てこないということになるのか。そこの辺りが分からないのです。

先ほどの昨日公表された注意喚起のトップ、これは在宅スマホの副業だというのでネットで何かやっていたようなのですが、ネットでやっているとなると、その画面表示で通販になる可能性、もしくは景表法に当たる可能性もあるのかなと。その辺りは、安全法を厳密に解釈していくと、景表法とはまず間違いなく重なることが多いと思うのですが、その辺りはどう見ていくのか。むしろ重なるように見えてまだ解明できていなければまず安全法でいけるとなるのか、あるいは在宅スマホの副業が業務提供誘引販売取引というところまで解明できれば特商法だけれども、そこまでいかなくてもこの勧誘の仕方は安全法でいけるとなっていくのか。要するに、実態解明の度合いによって少しでも早くやっていけるものになるのかどうかという辺り、微妙な話になるのかもしれませんが、お伺いできればと思います。

○消費者庁小泉消費者政策課財産被害対策室長 昨日のトップにつきましても、池本委員長代理の御指摘のとおり、景表法とか特商法に関わる部分があるのではないかということでありますけれども、うちで調査して一番早くできるのがこの消費者安全法での注意喚起と判断してやっております。なおかつ、今回のトップにつきましては、既にうちの調査の開始もありまして会社は解散手続をしております。ですから、事業としてはもうやっていない部分でありますので、今後何かを打つということは基本的にはないのだろうと考えております。ですから、消費者被害の拡大防止のためには一番何が良いのかというところも景表法あるいは特商法、そういった部分を持っているところとも情報交換をやって、どれでいくのが一番消費者被害の拡大防止につながるのかというところでどこで打つのかをやっておりますので、御理解いただければと思います。

○池本委員長代理 注意喚起については、こちらの解説書も拝見するとそれほど他との重複、他の法令にあるものを除くという余り厳密な扱いではないので比較的柔軟にできると思うのですが、勧告まで進むとなると通販でいけるのか、景表法でいけるのかということをぎりぎりやっていかなければいけないのか、それとも勧告についても現時点での実態解明の範囲で景表法や通販で踏み込むということになかなかなりにくい、現時点の情報の範囲だけでいけると見ていくのか。その辺り、運用の問題としてある程度方向づけをしておかないと、そこを余り尻込みしてしまうと結局破綻するまでどちらも手を付けなかったとなっては困ると思いますので、多少意見も含めてですが、御検討いただければと思います。

○高委員長 他、ございますでしょうか。よろしいですか。

今日の説明を聞きまして、関係機関への情報提供などを行うことで、銀行による預金口座の凍結、クレジットカードの決済機能の停止など、被害の発生・拡大防止に資する一定の成果があることがよく分かりました。

ただ、一方で、事業者に対する勧告は過去5年間で2件ということであり、また、その要因としては、先ほど説明がありましたとおり、事業者の実体がないとか、あるいは事業者が自主的に問題行為を取りやめたということでございました。比較的うまく機能しているということなのですけれども、注意喚起が1年で10件ということで、委員会の立場から考えてみますと、決してその数は多いとは言えないと思っております。財産事案に関する消費者被害に関しては個別法を所管する他省庁、それから、先ほど消費者庁内でもいろいろ連携を図っておられるということでございますけれども、外から見ていてよく分からないところがございまして、縦割り組織になっていて、なかなか連携がうまくいっていないのではないかとも感じておりました。ただ、今日の説明であれば、これも比較的うまくいっていると理解いたしました。これに満足することなく、今後も、被害の発生・拡大防止に向けて積極的に連携強化して取り組んでいただければと思います。

消費者安全法の執行状況については以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(消費者庁消費者政策課財産被害対策室退室)

○高委員長 委員の方々、疲れておられますね。10分ほど休憩させていただいてよろしいですか。

では、50分から始めます。

(休憩)

≪4.都道府県消費者行政調査について≫

○高委員長 それでは、再開させていただきます。次の議題は「都道府県消費者行政調査について」でございます。

地方消費者行政の充実については、昨年12月に発出しました「消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画工程表の改定に向けての意見」を初め、これまでも累次指摘しているところでございます。

全国消費者団体連絡会においては、昨年6月から7月にかけて地方消費者行政の取組の現状を把握するため、地方公共団体に対してアンケートを行い、その結果が昨年9月に公表されております。

本日は、その内容について御説明いただいた上で、意見交換を行いたく思います。消団連より小林事務局次長、大出様においでいただいております。消団連におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

恐縮ですけれども、15分ぐらいで説明いただけますでしょうか。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 全国消費者団体連絡会の小林と申します。本日は御報告の機会をいただき、ありがとうございます。

全国消費者団体連絡会では、地方消費者行政の充実・強化を重点課題の一つとしておりまして、各消費者団体や弁護士などをメンバーとして、地方消費者行政プロジェクトというチームを設けて、地方消費者行政の調査活動ですとか提言活動を行っているところです。今回は、今、御紹介いただいた都道府県消費者行政調査について御報告をさせていただきたいと思います。

では、担当の大出より御説明いたします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会担当者 全国消団連の大出です。私から都道府県の消費者行政の調査の報告をさせていただきます。

最初に、調査を行った経過についてお話をさせていただきます。全国消団連では2001年より2009年まで、都道府県の消費者行政について同じような調査を行っておりました。そのデータを基にして、消費者庁の設立や地方消費者行政への国の支援、自治体における消費者行政の位置付けを引き上げるための運動に生かしてきました。2009年の消費者庁発足後は、自治体の消費者行政の概要は、消費者庁が調査を行われ、公表されるようになったことから、全国消団連の調査は終了することになりました。

今回、調査を再開することになったきっかけは、交付金の措置が一区切りを迎える中、消費者庁の2018年度予算案によると、継続交付金が概算要求どおりに確保できなくなったことからです。全国消団連では、2017年12月に急遽都道府県の消費者行政部門に対して、次年度事業交付金関連の予算に関するアンケートを実施して結果をまとめるとともに、意見書を提出しました。その報告のヒアリングについては、以前消費者委員会の場でも行っております。このような状況があり、地方消費者行政の取組の現状を把握する必要があるとして、2018年6月に47都道府県に向けて消費者行政調査を再開いたしました。

資料1ページ目は、調査結果から分かったポイントですので、私から設問ごとに抜粋ですけれども、説明させていただきます。

次のページをめくっていただきたいと思います。1.消費者行政の体制というところについてです。職員数なのですけれども、2009年度の以前全国消団連が調査を行ったときのデータとの比較をしております。10年間で122人減少しているということです。地方消費者行政が取り組むべき施策、課題が大幅に増大している中で、職員の増員に向けた具体的な方策を進める必要があると考えております。

次の2.消費生活相談員の雇用形態の状況です。やはりここも2009年度と比較して、10年間で52人相談員の数が減っております。次のページの上の真ん中辺りになりますけれども、消費生活相談員の資格保有率ですが、最も低い33%という県がありまして、100%のところも27県ありました。都道府県ごとに大きな差があります。消費者安全法の改正によって国家資格化して、相談員の質や量の向上を目指すことを狙いとしていますので、消費生活相談員の資格を有した相談員が100%配置されることが望まれます。地方における資格取得のためには、学習の機会も必要です。

3.の設問になります。区市町村の消費生活相談員の雇用形態を県に聞いております。ところが、そもそも区市町村の相談員の雇用形態を把握していない都道府県が多いことが分かりました。提出されたデータの中で分析したところ、区市町村における相談員の資格保有率については、都道府県以上にばらつきが多いことが分かりました。

6.2017年と2018年の消費者行政予算の比較をしております。交付金が2017年で一区切りに伴い、国としては自治体における自主財源の確保を促しておりましたけれども、次のところがこの調査で分かったことですが、都道府県の自主財源の増額分より基金・交付金の減額分が大きくなっていることが分かりました。自主財源の移行が十分行われない状況の下、消費者行政の後退を招きかねない事態ということになります。基金・交付金の削減が大きく影響していると思われるのは、研修開催費と研修参加費で、いずれも前年度比で50%近くが削減されております。

同じように交付金の影響と思われるものが、設問の7.のところの頭に書いてある部分です。消費者教育・啓発関係の事業予算を2年間で比較しますと、総額で大きく減少していることが分かりました。

9.都道府県における推進交付金メニューの活用状況になります。推進交付金の前に活性化基金というものがありましたけれども、それにより消費生活センターの整備の事業は完了度が高いと考えられます。推進交付金の事業のうち終了した事業がある一方で、未終了の事業が多く残っていることが分かりました。

それは10.の設問のところにつながるのですけれども、10.の設問で、推進交付金のメニューで2018年度、事業中止・縮小した事業について聞いております。自主財源や強化交付金で手当てができず、事業が実施できなくなっている都道府県が多いことが推測されます。

11.2018年に始まった強化交付金の強化事業メニューの活用についてです。強化交付金のメニューの中でゼロから1県しか活用されていないのは、ゼロ県だったのが「原料原産地表示の普及啓発」の事業です。それから、1県だったものが「消費者志向経営の普及・促進」「訪日、在日外国人に対する相談窓口の整備」「公益通報者保護制度の推進」でした。

また「若年者への消費者教育の推進」というのは社会的ニーズがあるにも関わらず、全ての県で活用がないということを考えると、補助率2分の1であることが大きく影響しているのではないかと考えられます。全国消団連のシンポジウムの中で、県の消費者行政担当の方に、強化交付金のメニューのことや2分の1という補助率をどのように受け止めているかを伺ったところ、市町村から強化事業の自己負担分の確保に苦慮しているという声も聞いている、また、メニューが使いづらく地方のニーズに合致していないという課題があるという報告がありました。交付金事業を組み立てるに当たっては、消費者庁は地方自治体の声をきちんと聞き、現場の要望、必要性に沿った事業メニューを組み立てることが重要であると考えております。

設問12.都道府県の消費者行政にかかる地方交付税の基準財政需要額についてお聞きしております。把握している県は3県で、ほとんどの都道府県で把握されていませんでした。また、消費者団体が行った県の区市町村の調査も行っているのですけれども、そのときの報告でもほとんど把握はしていなく、把握しているという自治体も額の正確性については疑問も残るものがありました。現状では、自主財源の拡充につながってはいません。国による更なる周知、首長への働き掛け、また、自治体ごとの地方消費者行政に係る基準財政需要額の公表など、取組が必要と考えられます。

設問13.見守りネットワーク「消費者安全確保地域協議会」の設置についてです。こちらはどこも設置が進んでいないことが分かっていたのですけれども、具体的に今後予定があるかということも聞いております。何月に設置予定ですという県も数件あったのですけれども、今後設置の予定もないというところがほとんどでした。会合の開催回数も聞いておりますが、年に1から2回ということで、見守りネットワーク活動の実効性を高めるためには、もっときちんとした取組が必要だと考えられます。ここも職員が不足していることが原因ということも考えられるのではないかと考えております。

設問の14、15、16に関しては、自由記載をいただきました。自治体名を公表しませんので、ざっくばらんに率直にお書きくださいというような設問にしましたので、生の声が集まったと思っております。

消費者行政に必要な自主財源が確保できるようになるため必要なことは何ですかという設問です。厳しい財政状況の中で、自主財源を確保するためには「庁内における消費者行政の優先度の高まり」「消費者問題に関する社会的な関心の高まり」といった回答が多くて、財政当局に理解を得るために大変苦慮している状況が伺えました。地方交付税の算定方法について明らかにすることという要望も出されています。現状では、基準財政需要額が消費者行政の自主財源確保に結びついておらず、国からも指導や助言等のアクションが欲しいという切実さが伝わってきます。

消費者庁が設立されて地方消費者行政に関わる取組が前進しましたが、一方で、地方行政改革の波によって自治体全体の予算の縮小が進んでいることが、消費者行政予算の確保にも影響を及ぼしていると考えられます。

この設問の中で、1件だけすごく具体的に書いていただいた回答がありました。財政部局に対して消費者被害救済金額等のデータを示して事業の必要性を説明して一般財源を確保したという成功事例もあったのですけれども、このような好事例を他の都道府県にも伝えて行えるようにすることが必要と考えております。

設問15.国(消費者庁)に対して要望することについてです。要望の声として、地方消費者行政強化交付金における使途の拡充や活用期間の延長、支出限度額の撤廃等制度の改善、地方の実情に即した将来にわたる柔軟な財政支援制度の創設と十分な財源の確保など、今後も交付金の継続を求めて安定的な財源確保や柔軟に活用できる財政支援を求める要望が多く見られます。また、国の補助率10割であった活性化事業、推進事業から、国2分の1の強化事業に移行の状況ですが、成年年齢引下げなど国政由来の需要に関連する経費について当然に10割補助を望む、そうでない場合、自治体により大きな格差が生じかねないという要望もありました。

相談体制の維持など、地域の実情に合わせた交付金メニューの見直し等、制度の改善やより使いやすい新たな財政措置の創設を望む声も多くあります。消費者安全法の改正や消費者行政や地方財政法第10条に位置付ける等、恒久的な国の財政負担を求める具体的な提案もありました。また、総務省や財務省に対する消費者庁の積極的な働き掛けに期待する声もありました。

交付金については、使い勝手の良い制度にして継続すること、地方自治の考え方を一部見直し、国が地方消費者行政に対し恒久的な財政支援を行える仕組みを設けることが必要と考えております。

そのようなデータや生の声を生かし、次のページにあります地方消費者行政の充実・強化のための意見ということで、10月2日に国や消費者庁に対して配信しております。

以上です。

○高委員長 御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見がございましたら、どうぞ御発言ください。

どうぞ。

○池本委員長代理 御説明ありがとうございました。

御説明の中で、自主財源の確保がなかなか実行できていない。それについて、正に財源となる地方交付税の基準財政需要額が、そもそも地方自治体の現場ではどういう評価を受けているのか、それから、ほとんどそれが認識されていないという話があったのですが、消費者庁としては何かそれを周知する取組をされているのかどうか、その辺り、お分かりであれば教えてください。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 御質問ありがとうございます。

基準財政需要額についてですが、私どもの調査結果からは、都道府県で自分の自治体について額を把握していると回答いただいたのは、わずか3県にとどまったということが分かりました。自由記入欄によりますと、今日は報告書全般はお配りしていないのですけれども、ざっくり申し上げると、基準財政需要額という措置自体は財政当局に予算要求をする上で余り足しにならないというような回答もあるなど、この間言われていますとおり、基準財政需要額をもっと自治体としては活用し自主財源を確保してほしいという消費者庁の言い分と、それに対する自治体の言い分がかみ合わないというような残念な状態になっているところです。

御質問にありました自治体ごとの基準財政需要額を公表してほしいということは全国消団連としても意見書で求めておりますし、これは以前、自民党などからも要請書が出されたと聞いておりますけれども、消費者庁としては、これは地方分権という建前もあるものだから、自治体ごとの額を開示することには至らないというのが現状と聞いております。

○池本委員長代理 今のことに関連して、消団連の中でこの基準財政需要額の計算方法をいろいろ調べて算定してみたと聞いているのですが、どんなことをなさって、結果としてはどうだったのでしょうか。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会担当者 今日の資料にはしておりませんけれども、全国消団連で、自治体ごとの基準財政需要額を試算しております。試算した結果では、消費者庁では自主財源は50%を下回っているというお話があるのですけれども、私たちの試算ですが、自主財源の比率は全国平均52%となりました。100%を超えているのは徳島県など数県にとどまっております。

以上です。

○池本委員長代理 今のは都道府県についての試算でしょうか。都道府県も市区町村も含めた全体で見て52%くらいだとおっしゃったのでしょうか。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会担当者 申し訳ないです。この52%は都道府県です。市町村も出してはいるのですけれども、まだそのところまでは精査しておりません。

以上です。

○高委員長 他、ございますでしょうか。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 御説明ありがとうございました。

今、お話をお聞きしていて、地方における消費者行政自体、看過できない現状に至っているということ、幾つかの根拠データによって私自身も地方に暮らしている立場でございますので、非常に厳しいというか、改善をしなければいけない可能性を強く感じたところでございます。

そんな中で、11番に消費者行政強化交付金の強化事業メニューの活用についてという設問があって、その実態というのを御報告いただきました。目についたのは、活用されていない項目の中で食品関係なのですけれども、原料原産地表示の普及啓発が全く活用されていないということがございました。今日、この消費者委員会本会議において消費者基本計画の工程表の議論があったところなのですけれども、そんな中で、消費者委員会側からいろいろな工程表に関する要望というか、取組状況について意見を発出しているところです。その中で、加工食品の原料原産地表示について、普及啓発も含めてこの工程表の中にしっかりと記載すべきであるという意見が盛り込まれています。

これに対して、消費者庁側から回答があったところなのですけれども、この加工食品の原料原産地表示、御承知のとおり新制度が始まっているというところで、パンフレット等の作成、配布や消費者向け及び事業者向けのQ&Aの充実を行うとともに、同年11月30日と書いてあるのですけれども、これは2017年11月30日に開催された都道府県と食品表示担当者研修を初めとして、制度施行から2018年10月末まで148件の説明会やセミナー等を開催し、消費者、事業者等に対する普及啓発を実施したと回答されているのですね。何となく消費者庁側が普及啓発をしているというアウトプットと地方の消費者行政における実態との間にかい離があって、ここをどう見たら良いのかというところが素朴な疑問として私の頭の中に出てまいりました。

国が十分やっているから、地方の消費者行政としてはこれ以上やることがないのでこうなっているという見方もあるのかもしれませんが、国として、消費者庁として強化をしていかなければいけないのだけれども、現場レベルにおいてはとても追いついていない。ここにはマンパワーの問題であったり、予算的な問題があったりというところでかみ合っていないことも想定されるのではないかと思います。ここのかい離をどう見たら良いのかというコメントをいただきたいのと、ここの部分が今後こういった予算的な強化であったり地方における消費者行政の現状の改善のところにつながっていくきっかけになるのかどうか。その点についてもコメントをいただければと思います。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 ありがとうございました。

御指摘の点ですが、地方消費者行政交付金の変遷は皆様御承知のとおりで、昨年度、強化交付金という形になり、その内容として強化事業と推進事業に分かれるというところです。強化事業の中に、今、御指摘のあったような残念ながら余り活用がされていない原料原産地表示の普及啓発であるとか消費者志向経営の普及啓発等のメニューがあったというところになっていまして、この交付金制度の変遷をたどると、年々自治体側から見ると使い勝手が窮屈になってきているところがあると思っています。

ニーズのミスマッチというところなのだと思っていますけれども、本来的には自治体の中で優先されるべき消費者行政課題というと、推進事業で活用できるような相談体制の確保の部分であったり、従来は余りメニューを限定しないで広く消費者教育や広報、啓発に活用できていたわけですから、本来はそういった自由度の高い交付金制度が自治体にとっても使い勝手が良いのだと思います。その中で自治体が創意工夫をして、今回は原料原産地表示制度のセミナーをやってみようといったように展開できる形が望ましいのだと思うのですけれども、いろいろと消費者庁と財政当局との折衝もあってかどうしても窮屈な、そして、国として取り組むべき重要消費者政策に対して支援をするという形になってしまっているものですから、自治体としては十分に使いこなせないということになってしまっていると見ておりまして、何とか改善をお願いしたいと思っています。

○受田委員 ありがとうございます。

ということは、国が強化すべき項目を挙げているのだけれども、現場はそれに応える状況ではなくてもっと幅広にやるべきことがたくさんあるので、そこの部分でのミスマッチというか、ギャップがあるという理解でよろしいのですか。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 メニュー内容の点が一つと、あとは体制の面があると思っておりまして、自治体の消費者行政は今日の御報告でも述べたとおり職員体制なども増えていないところがありまして、こういったセミナーをやろうにも体制が伴わないとなかなか具体化が難しいといった複合的な要因があると思います。

○高委員長 増田委員、どうぞ。

○増田委員 御説明ありがとうございました。

内容については、私どもが実施した会員実態調査の中身とほぼ同じ傾向を示しているものですから、非常に納得する内容であると思います。特に消費生活相談員のレベルアップ事業とか消費者教育の費用については非常に減少しているということと、先ほどおっしゃった国の重点施策といっているメニュー自体が、今、現場で必要としていることと違うものですから、自治体自体あるいは消費生活相談員が今すぐこのメニューをこなすという気持ちになっていないと思うのです。訪日外国人といっても相談自体は少ないわけですから、それよりももっと研修が必要だったり、別の窓口を設置するべき課題があると思います。そういうところに消極的になっているということもあると思います。

職員の数が少ないということと、ここにも書いてありますけれども、消費者行政について、地域の社会的な評価とか庁内の理解度は非常に重要なのですが、そこのところがまず不足していて、庁内の理解度をどう深めるかというテクニック、それから、地域住民に対する社会的な理解をしてもらうことについて具体的にどうしたら良いのかというところが今後必要なところかと思います。、本協会、私のところでもいろいろ考えてはいますけれども、消団連として何か良いお知恵があるかどうか教えていただければと思います。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 ありがとうございます。

地域住民の理解の促進というのが自治体として自主財源を確保していく上での後ろ盾になるのだということは今回の私どもの調査でも自由記入欄に多く書かれたところですので、それは大変重要だと思います。

その打ち手としては、一つには私どもの会員団体で地方消費者団体があります。その中でも従来から市町村の消費者行政調査活動をやっていらっしゃるところがありまして、それを多くの地域で広げていく。その結果を多くの住民、消費者と共有していくというのがてこになるのではないかというのが一つです。

あとは、先ほどの消費者基本計画の議題で池本委員長代理もおっしゃっていましたけれども、消費者庁がせっかくキャラバン隊という取組を始めたということですから、せっかく消費者庁の政務三役を含めた方が地方へ行かれるのであれば、単に首長と消費生活センターを回っておしまいというだけではなくて、実際に消費者団体や住民と意見交換する場なども設けて、消費者行政の重要性であるとか、どうやって自治体の中でポジションを高めていくのかといった意見交換をするなどして、地道にそのような場を増やしていくことが大事ではないかと思います。

○高委員長 よろしいでしょうか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 今、人のことがあったので、それに関連して2つほどお伺いしたいと思います。職員がこの間全然増えていない。むしろ、消費者庁を作る以前より減ったものであるという非常に深刻なことがあります。これは自主財源が増えないということとセットなのかもしれないのですが、この辺りは消費者庁として何かこういう施策を採ってほしいというような議論はどうあるのか。人を増やす、あるいは資質を向上するということに関連してという点が一点です。

もう一点は、先ほどの行政調査そのものではないのですが、御承知のとおり、地方公共団体も特に地方へ行けば人口が減少して全ての課題を行政が担うわけにもいかないということで、官民連携を進めようと。例えば見守りネットワークもその一つかもしれないのですが、官民連携を進めるという言葉の中で、民の側、消費者団体の側の主体がこの頃どうなっているのか。特に高齢化してなかなか活発でないとも漏れ聞くのですが、その辺り、率直なところどうなのか。また、それに向けて地方の消費者行政あるいは施策全体として、消費者団体の育成あるいは連携ということについてどうお考えかお伺いできればと思います。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 御質問の1点目、職員がなかなか増えていない問題をどうするか、資質の向上をどうするかという点です。今回の調査で分かった中で危惧される点が、職員、相談員の方が財政問題の要因も相まって研修に行く機会が減少しているというところです。消費者問題の世界ですと消費者関連法の改正も多いですし、あるいは消費者安全確保地域協議会ですとか消費者教育推進地域協議会のようなこなすべき課題も増えているということもありますので、そういった情報をキャッチアップしスキルを高めていく上では、交付金制度の改善も含めて研修に行けるような環境整備が大変重要だと思います。

職員の配置問題については、国がどこまで手が打てるのかというのは確かに地方分権の兼ね合いもあるかと思うのですが、私どものところでは、10年くらい前にも地方消費者行政の提言をしている中で、相談員に関しては例えば配置基準のようなものを国として設けられないだろうかといった提言はしておったところであります。

2点目の官民連携の論点ですが、例えば消費者団体が見守りネットワークの取組に自治体と連携しながら積極的に参加している実例として、埼玉・長野・新潟といった例があると承知しております。是非そういった例を増やしていくことが大事なわけですけれども、見守りネットワークの取組を推進していく上では、消費者団体だけでも進みませんし、自治体だけでも進まないわけです。先ほどの論点との兼ね合いで言うと、コーディネートする役割として自治体職員の役回りは大変重要だと思います。

そんなこともありますから、自治体の専任職員は是非増やしていく必要があるとも思いますし、実際に見守りの担い手の確保も難しい課題ですから、これは消費者団体も一緒になって進めていくことが理想ではあるのですけれども、これを具体的にどうしたら良いのかというのはなかなか悩ましい問題で、消費者団体というのはお聞き及びのとおり、どこも多くは人材の固定化、高齢化、財政難という課題に突き当たっております。どうこの事態を打開していくかという意味でいうと、財政問題も含めてなのですが、行政と消費者団体で連携していくことが大変重要と思っているところです。

○高委員長 ありがとうございました。よろしいですか。

御説明ありがとうございました。御説明を頂き、少し気持ちが落ち込んでしまいました。職員数とか相談員の数が減少している。これは毎回言われていることですけれども、今回、数字で示していただき、それから、改めて自主財源の移行がほとんど進んでいない、基準財政需要額について把握している県もわずか3県ということでした。それから、交付金の額が減額された影響もいろいろなところにあるのでしょうけれども、教育とか啓発のところ、あるいは見守りネットワークのところで大きな影響が出てきているという、非常に厳しい現実も御説明いただきました。

それだけに、消費者団体の方々が果たす役割は依然として大きいと思います。ただ、先ほどの高齢化とか財政難という状況を考慮すると、消費者団体の方々に多くを期待するのも酷なのかとも感じております。

ただ、今日のお話の中で、自主財源を確保するために、これはアンケートの結果というよりも個別の意見でございましたけれども、優先度を高めるとか社会的な関心を高めるなどが挙げられておりました。これは確かに重要なことで、ここをどうやっていくのかを考えなければないけない。実際、消費者の利益を守ることは、重要な課題ではないですか。消費者の皆さん方の被害をいかに防いでいくか。それがなければ起こったであろう被害を回避するわけですから、その金額を数字にすればかなり大きな額になると思います。ですから、優先度を高めるためのアイデアも、今後いただけると有り難いと感じました。それから、一般財源を調達する上での好事例について紹介がありましたが、その内容がどういうものなのか分かれば、またそれを共有できれば有り難いと感じました。

課題は、今、委員会で共有させていただきましたけれども、この後、どうやっていくのかということ、具体的にどう対応するかということですので、引き続き御協力をいただければと思います。

どうぞ。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 今日の議論自体は、どちらかというと自治体としての自主財源確保をどうするかというやりとりが中心になりましたけれども、是非とも併せて、私どもの意見書の1番目に書いていますが、国としての恒久的な財政措置の確保の課題についても忘れずに取り組んでいただきたいと思っているところでして、これは車の両輪の関係だと思っています。

現状の自治体の自主財源確保が進まない一方で国の支援策が後退していること自体は、消費者にとってみれば大変困った事態であって打開しなければならないということですので、国による恒久的な財政措置の検討というのは、この間、国会の各種消費者関連法の審議であるとか附帯決議などでも位置付けられているわけですが、そちらの具体的な検討がなかなか着手しているように見えません。そちらについて、是非消費者庁などで検討に着手し、成案を早期に得ていただくことを希望したいです。

以上です。

○高委員長 分かりました。御意見を承りました。

それでは、消団連の御説明は以上といたします。ありがとうございました。

(一般社団法人全国消費者団体連絡会退室)

(東洋大学国際学部国際地域学科沼尾教授入室)

≪5.地方消費者行政を取り巻く状況について≫

○高委員長 次の議題は「地方消費者行政を取り巻く状況について」ということでございます。

消費者行政の最前線は地域であり、消費者の安全・安心の確保のためには、現場である地方消費者行政の強化が不可欠でございます。そのためには、少子高齢化、人口減少など社会情勢の変化を踏まえた自治体間における連携の在り方など、地方公共団体における対応力の強化の取組を進めていくことも重要であり、この点については、昨年9月に発出した「次期消費者基本計画策定に向けた基本的な考え方についての意見」の中でも言及したところでございます。

本日は、そういった地方消費者行政を取り巻く状況について御説明をいただいた上で、意見交換を行いたく思っております。

本日は、東洋大学国際学部国際地域学科沼尾教授にお越しいただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、済みませんけれども、20分程度で御説明をお願いできますでしょうか。

○東洋大学国際学部国際地域学科沼尾教授 ただいま御紹介にあずかりました、東洋大学の沼尾でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。

今、消費者団体連絡会のお話を後ろで拝聴しながら、私がここで発言させていただいて大丈夫かなと思ったところがございます。消費者行政については全く専門ではなく、地方財政を専門としております。ただ、数年前に設置された地方消費者行政の専門調査会に少し関わらせていただいた際に、地方消費者行政に関する財政問題について勉強させていただいたことがあるというところです。ですので、地方消費者行政が今、どういう課題を抱えているのかですとか、どういう財政需要があるのかという具体的な事柄については余り専門的な見地から申し上げることができないのですが、その点については御了解をいただければと思います。

むしろ本日は、この地方消費者行政を取り巻く状況ということで、今、自治体がどのような財政課題を抱えているのか、あるいはどのような施策や事業に取り組んでいて、その中で地方消費者行政についてどのような形で一体的に必要なサービスを自治体が提供できるのかということについて、何か手掛かりになるようなことをお話させていただきたいと思っております。

お手元にレジュメと補足資料がお配りされていると思いますので、そちらに基づいてお話をさせていただきます。

今回のこの機会をいただきまして、改めて消費者庁がまとめている地方消費者行政に関する報告書を拝見させていただきました。その中で、この間、地方消費者行政推進交付金、強化交付金の効果もありまして、消費生活相談窓口の整備も着実に進んできている。既に相談窓口未設置の自治体はゼロというところまで来ているというところはかなり驚きましたし、他方で、消費生活相談員の配置についても相談員の数あるいは有資格者の数も増えてきているということで、自治体としても相当頑張っているのだなという印象を持っております。

他方で、先ほどのお話にもございましたけれども、国の財政も厳しい中で、推進交付金から強化交付金へと変わっていく中で、自治体に配分される財源も補助率が2分の1になるとか、あるいは定額の交付金になるといった形で厳しい状況になるという実態もあると理解しております。

このように一定の成果は上がっている中でも様々な課題があるということだと思うのですけれども、ここで考えてみたいのは、本来であれば、恐らくこの地方消費者行政に関しては、どこの地域に住んでいても一定の相談や救済が受けられる環境をいかに整えるのかということが大事なのだろうと思っています。その限りにおいては、いずれの自治体も限られた人員と財源の中で、本当に困った人が駆け込んできた場合にはいかに必要な支援を提供するかについては当然放置するはずはないわけでして、ただ、それをどのような体制で、どのようなマンパワーで、あるいはどのような財源でやるのかというところで模索しながら非常に悩んでいるところが実情ではないかという印象を持っています。

その上で、どういうことを考えていけば良いかということなのですけれども、レジュメの2番目、前提条件が変化したと。ここを踏み外してはいけないと私は考えております。まず1つ目としては、人口減少が進む中でこれからの行政体制をどうしていけば良いかということが、地方消費者行政だけではなく全体的に模索をされている状況にある。他方で、先ほどの議論にもありましたとおり、国、地方ともに財政状況は非常に厳しいということがございます。さらに後で御紹介しますが、地方公務員の数も年々減少してきている中で、地方消費者行政だけに人員を増やしていくことは難しい。その辺りも含めてどのようなことを考えていけば良いのかが課題になるかと思います。

具体的には、補足資料に少し載せているのですけれども、総務省で一昨年度に自治体戦略2040構想研究会を立ち上げておりまして、これから2040年まで急激な人口減少と経済成長が一段落して非常に停滞している状況の中で、これから地域がどのような課題を抱えて、自治体が解決すべき課題はどのようなものがあるかをまとめております。

資料2ページ目ですね。学校の廃校、大学の経営破綻、医療・介護人材の需給ギャップですね。都市部には高齢者の数が激増するのだけれども、医療や介護人材の確保がままならない。他方で、地方圏ではこれから高齢者の数が減っていく中で、医療や介護をどうするかという問題が出てくる。あるいはインフラの老朽化、上下水道の利用者が減る中で公共料金が上がっていく可能性があるとか、免許返納高齢者が増加していく、所有者不明土地が増加して荒れていく、空き家をどうするか。そして、特殊詐欺が増大している状況をどうするか。労働力人口が減っていく。さらに技術革新による従来技術を使った製造業の競争力が低下する中でどうしていけば良いのかといったような課題が実際のデータとともに示されております。

資料の次のページに行っていただきますと、こうしたことを踏まえて、総務省の研究会では日本の将来を次の3つで表現しています。1つ目が若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏。2つ目が標準的な人生設計が消滅して教育や雇用の機能不全に陥る。それから、スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ。こういうことを掲げまして、これからこういう状況の中で自治体が2040年、このようにならないために自らの意思でどのように地域を戦略的に作っていけば良いか考えていかなければいけない。かつ、住民にとって実感のできる選択肢を示さなければいけない。さらに制度や組織、地域の垣根を越えて、施設や人材を賢く戦略的に活用しなければいけないことをうたっております。もう一つ、個々の市町村が行政のフルセット主義を廃して、圏域単位であるいは圏域を超えて都市・地方の自治体間で有機的に連携をしていく必要があるのではないか。こういうことをこの報告書でまとめております。

その上で、次のページのとおり、この研究会では3つのことを掲げております。まず一つは自治体間の連携ということで、行政フルセット主義から脱却して、一つの圏域単位で何かサービスを提供する体制を組めないかと。例えば人口20万人以上の市とその周辺の町村で一体となって必要なサービスを提供するような体制を組めないだろうかというようなことですね。あるいは、なかなかそういった連携が難しい、近くに大都市を持っていないような町村については、都道府県がそれを補完する、あるいは支援する仕組みが考えられないかということが掲げられております。

また、それとは別に三大都市圏、特に東京圏は本当に人口がどんどん増えているということと、急激な高齢化が進む中で、スマート自治体への転換ということを考えるとともに東京圏全体でのプラットフォームを考えていく必要があるという独自の課題があると整理しています。

もう一つ、プラットフォーム・ビルダーへの転換というのが右下にありますが、要するに、もう自治体単独で何かやろうと思ってもそれは難しい。人も限られているし財源もないので、公共私相互にプラットフォームを作って、そこで協力関係を作りながら暮らしを支えていくような仕組みを構築していくことが大事だろうと。

特にこうした議論もあるのですけれども、もう一方で、小規模な町村については、今、地域運営組織というものを作って、それぞれのコミュニティ単位で様々な見守りですとか、支え合いの仕組みを作ろうと。あるいは、何かコミュニティビジネスを立ち上げようと。こういったことへの取組も行われてきているというのが地域の実情だと思いますし、これからこういった方向に向かってどういうことが考えられるのかも検討されている。こうした状況がございます。

もちろんこの連携の議論についてはこれ自体にも課題があって、本当にこうなっていくかというところは、正に今、地方制度調査会などで検討がされているところだと理解しているわけですが、いずれにしても、こういう前提があるということでございます。

そうした中で、レジュメの2.の2)にありますとおり、行政課題自体は非常に多様化・複雑化している。これは恐らく地方消費者行政の領域においても先ほどから挙がっておりますような外国人住民が入ってくる中でどのように対応していくのかとか、詐欺被害も非常に多様化・複雑化していく中で、様々な新たな支援が必要になってくるとか、あるいはIT化に伴って新しい課題が出ているとか、いろいろなことが起こっているのだと思うのですが、それ以外の領域においても行政課題は正に多様化・複雑化しております。

その一方で、実は今、国から県、県から市町村へ様々な分野での権限移譲が行われている。地方消費者行政についても、県の職員数が減っているというお話がありましたけれども、他方で町村のところでは増えている。市町村ごとに単独でやりなさいという中で、市町村は非常に厳しい状況に置かれていると理解しております。

ただ、それは消費者行政の分野だけではなくて、例えば医療や介護の領域で地域包括ケアシステムの構築と見守りの仕組みを作らなければいけないですとか、今度の森林環境税の導入に伴って森林環境整備を市町村が担わなければいけない。そのための専門職員をどう配置するかという課題があるですとか、義務教育分野でも子供を取り巻く課題が非常に多様化していく中で、例えば副担任制度ですとか、英語を教えるALTですとか、補助教員をどうするかといったニーズも出ている。さらに、これから入管法が改正されて外国人住民が入ってくる中で、外国人への様々な行政サービスに対する周知、あるいは防災のときの対応といったような非常に多様で複雑な課題というものが起きてきている。それは消費者行政分野だけではないというところですね。だけれども、消費者行政分野においても多様化している。これらの様々な行政課題に対して、どのように限られた人員と財源で必要な支援あるいは対応を図るかというところに、今、自治体というものは直面していると言って良いのだろうと思います。

そのように考えたときに、私が本日申し上げたいのは、これを縦割りで、医療は医療、介護は介護、森林整備は森林整備、義務教育は義務教育、消費者行政は消費者行政と縦割りでそれぞれの施策や事業を市町村に下ろして、それをそれぞれの分野ごとに人員を配置して財源を確保するというのは、これからの正に人口減少と財源不足の時代になじむとは言えないのではないかということです。さはさりながら、当然消費者行政の分野においても、一定の専門職の方がいて専門的に対応しなければいけない領域もあるのだろうと。そのように考えたときに、例えば国ですとか都道府県ぐらいの規模ではある程度専門職の方を配置しておいて、何かあったらそこにつなげられるという仕組みを作っておくことは大事だと思いますが、全ての市町村で本当にフルセットの行政サービスというものを消費者行政の分野まで求めるというのは、なかなか厳しくなっているのではないかと思います。

実際に自治体の方々に話を聞いても、消費者行政の領域はかなり他の分野の施策や事業と重複したり、似通ったものも多い。ですので、消費者行政単独として本当に専従スタッフがいて何かをやっているということではないのだけれども、それぞれの別の領域のところで必要な支援や施策をカバーしながら、何か困ったことがあったら、例えば県あるいは国センにつなぐということで対応している実態もあるのではないかと私は理解しています。

そうだとすると、むしろ本当にどこに住んでいても質の高い相談や救済が受けられるような体制整備を実現するためには、実際に今、地方消費者行政の必要な支援やサービスがどのような体制の下で行われているのかということを、ある種、棚卸ししていくということをやってみたらどうかと思うわけです。むしろ現場の実態を把握するとともに課題を整理していく。例えば消費者教育の分野では学校やコミュニティなどではどの程度どのような対応が図られているのか、図られていないのか。そこには本当に専門の消費者教育を行うスタッフが必要なのか、ある程度学校やコミュニティ等で、例えば本当に専門の人が学校やコミュニティに対応することでうまくカバーできるのか、あるいは消費生活相談についても困ったら必要な支援につなぐというところがどう機能しているかをもう少し実態レベルで調査されたらどうかという印象を持っています。

実際によろず相談窓口のようなものを設けているところ、すなわちコミュニティのプラットフォームがその役割を担っているとか、あるいは今ですと中山間地域などで買物支援で軽トラで回ったりしているケースがあって、高齢者の方のところにいろいろなものを配達しながら、何か困ったことはないと聞き、必要な支援につなげるというふうに対応している自治体もあるやに聞いております。

あるいは、アウトリーチや掘り起こしなどについても、地域包括ケアシステムと連携をしていくとか、子供のネウボラですね。包括ケアシステムとしてのネウボラの仕組みと連携していくとか、あるいは生活困窮者支援などは、多重債務者などもおられるということで、事実上、消費生活相談とかなり被っている部分もあると聞いております。実際にこの間もある自治体で、消費者行政に関する財源確保がなかなかうまくいかなかった場合に、むしろ生活困窮者支援の予算で何かそこをカバーしていくような財源の融通を一体的に考えていく仕組みもあって良いのではないかという話も出ているそうですし、もちろん逆もあると思うのですけれども、そのような形で、いわば垣根を越えた形で必要な人員と財源を確保しつつ、サービスの実を取っていくというところを考えていくことも大切なのではないかと思っております。

また、商品テストについては、今、都道府県はかなり撤退をしていて、むしろ国センが中心になっていると理解していますが、これを県が手放していくことについて、これをどう考えるのかということも再整理が必要かと思っております。

そのように考えていきますと、自治体の内部での庁内連携ですとか情報伝達、あるいは広域連携としての県と市町村の連携ですね。あるいは委託や指定管理の状況なども含めて改めて整理しつつ、何が課題なのかを把握していくことが大切なのではないかと私は思っております。

もちろん、それぞれ縦割りで単独でやれればそれにこしたことはないのですが、補足資料の3枚目、スライド5番を見ていただくと分かりますとおり、今、国も非常に財政が厳しい状況で、今年度も当初予算で30兆円規模の新規国債を発行している。公債残高の規模も今年度末883兆円を突破する見込みという状況ですし、更にめくっていただきますと、地方交付税の総額についても、今、全国ベースでほぼほぼ16兆円という規模になっていますが、これがいつまで維持できるのかというのはなかなか厳しいところがございます。

と申しますのは、次のページにありますとおり、毎年社会保障給付費が増大をしている。これが年間で1兆円ベースで全国で増えておりまして、そのうちの約半分が年金なのですけれども、あとの半分が医療、福祉その他ですね。介護ですとか、生活保護ですとか、生活困窮者支援あるいは子供・子育てといったところも含めた対応に財政支出が膨らんでいる。ここの部分の財源をどのように確保するのかが大きな課題になっている中で、消費者行政に関する財源確保をどう考えていくのかを見ると、なかなか厳しいところもあるのではないかという印象を持っています。

次に補足資料をおめくりいただきますと、介護給付費と介護保険料の推移ということで、今のままの保険制度で行った場合に、このままで言うと、2025年には全国の65歳以上の高齢者の月額標準保険料が8,165円になるという試算も出ておりまして、これも含めてどのように考えていくのかが問われるだろうと。

こうした中で、実際に今度は消費税の8%から10%への引上げが実現するのかしないのかというところも非常にだんだんまた不安な話も出てきていますが、限られた財源の中で、これを縦割りでやっていくのはかなり厳しいのではないかと思っています。

それから、10ページ目にある補足資料のグラフですけれども、地方公務員数が年々削減されてきております。近年は横ばいぐらいにはなってきているのですけれども、他方で、行政課題は年々多様化・複雑化している中で、これまでの職員数で本当に賄えるのかといった課題もあるという実情がございます。

次のページに行っていただきますと、対人社会サービスにおける地方単独事業というものを挙げております。これは全国市長会と日本都市センターが行った都市自治体に対するアンケート調査の結果なのですけれども、学校教員でも、通常の正規の教員については義務教育費、国庫負担金で文部科学省からきちんと負担金が出されるので、きちんとした財源の保障がされているわけですけれども、補助教員であるとか、英語を教えるALTの教員ですとか、用務員ですとか、つまり、そうした標準的なサービスに付加されるものについては、ここにありますとおりニーズが非常に高まっておりますので9割近い自治体が導入しているのですけれども、これらは単独事業として自治体の支出ということで地方税または地方交付税等で賄われている実情がございます。

また、その普及状況について見ますと、財政力の高いところほど普及率が高くて、低いところほどなかなか普及しづらいところもございます。ただ、これも議論があって、小規模町村の場合は、むしろ小規模でやっているので補助教員がいなくてもコミュニティで子供を見守っているのではないかといった議論もあるので、実際の需要があるかどうかという点は確認が必要なのですけれども、こういう実情の中で、それぞれの対人サービス分野で人が足りないという話が出てきているときに、地方消費者行政に対する優先順位をそれぞれの自治体がどう考えるのかというところをもう一度考えていく必要があると思います。

ただ、先ほどの議論にもありましたとおり、これは当然消費者の方々が被害に遭うというのはあってはならないことで、被害を防止する、あるいは被害に遭った場合にそれを支える仕組みは非常に重要だと。ただ、それを消費者行政という特別な形で住民がサービスとして必要としているのか、介護や見守りなど、それぞれの分野で支援を行いながら、必要があったときに支援できる体制として消費者行政をどう位置付けるかという観点から実を取っていくという考え方もあっても良いのではないかと思っています。

12ページ目に地方財政計画額の推移を載せております。これは総務省で地方自治体の財政支出がどのぐらいになるかというものを、それこそ補助事業、単独事業は関係なく総額として示しているものなのですけれども、左側のグラフの一番上の折れ線グラフで見ていただくと分かるとおり、給与関係経費というのは年々減少傾向にあります。それに対して右肩上がりになっている折れ線が一般行政経費の補助でして、これは例えば児童手当ですとか、あるいは保育や教育の無償化とか、そういった部分で増えてきているところがございます。そのように考えたときに、一般行政経費の単独事業というのはほぼほぼ横ばいで、この中でどのように財源確保していけば良いのかというときに、それぞれの自治体の判断になるのだろうと思います。

それから、先ほど地方交付税の普通交付税の話が出ていましたが、そこの右側に高齢者の保健福祉費の職員配置と基準財政需要額の標準団体のケースを載せております。実際にはこれは2011年から2017年度までの間で要介護者とか要支援者の数というのは、表の一番下の段にありますとおり年々増えているということですね。1.2倍ぐらい増えているわけですけれども、それに対して交付税の基準財政需要額を見ていただくと、それに対応する職員の給与費ですとか需用費ですね。実際の事務的な経費については、7年間でこの2つを合計していただくと、ほぼほぼ変わっておりません。むしろ実際のサービスの給付費のところに財源が充てられているということで、これは消費者行政に関わらず、こうしたいずれの対人社会サービス分野においても実際の財政措置を見ますと、サービスの給付そのものについては実額で付けていくのですけれども、職員数ですとか事務所の運営経費みたいなものについては非常に厳しい状況があることを御紹介しておきたいと思います。そのような状況だということですね。

そうした上で、それぞれの自治体ではどういうことを考えているのかというと、むしろ地域の中で必要な支援を提供していく仕組みをもうちょっとコミュニティ単位でできないか。こういう話が出てきております。具体的に地域運営組織というものをそれぞれの地区で立ち上げつつ、それを行政がサポートするという位置付けですけれども、地域包括ケアについてもこうした枠組みの中で地域づくりのプラットフォームを作ろうという話が出ています。それぞれの地区ごとに、地域で今、どういう課題があるのかを知ったり、地域のニーズが何なのかを把握しつつ、そこに専門家の方を入れて勉強会をやったりしながら、住民で見守りをしたりサポートをしたり支え合いをしようという仕組みづくりがあります。

実はこうした話を全国各地で聞くのですけれども、こうしたところでなかなか地方消費者行政の分野が入っているという話を聞く機会がなくて、実際には詐欺被害をどう防ぐかといった勉強会をやったりということが単発で入ったりすることはあるのですけれども、是非こういうコミュニティの中での見守りや支援の仕組みの中で、実際に消費者相談とか何かに関わるような情報提供だとか支援が入るような連携を考えていくことが大事なのではないかと思っています。

そういう意味では、社会保障の分野では既に全方位型の地域包括ケアシステムということを言っております。14ページ目にコミュニティをつなぐということで書かれていますけれども、2013年の社会保障制度改革国民会議の報告書の中では、医療や介護の提供体制の再構築と、住み慣れた地域の中で生活全般に関わる支援をしましょうということで、垣根を取ろうという話が出てきています。

更におめくりいただきますと、2015年の厚労省のビジョンの中では「福祉」から発想するのはやめて「地域」から発想しようということで、誰が支援をして誰が支援されるということではなくて、地域で見守りをしながら必要な助け合いの仕組みを作ろうではないかという方向に舵を切るような取組が始まってきております。

また、2016年のニッポン一億総活躍プランの中でも地域共生社会の実現ということが言われて、子供・高齢者・障害者を含め全ての人々が暮らしと生きがいをともに作り、高め合える地域社会ということをうたわれて、厚労省では「我が事・丸ごと」の地域共生社会実現本部というものが設置されています。

次のページに行っていただきますと、厚労省によるポンチ絵ですけれども、地域の中では様々な担い手がいて、様々な課題がある。これを地区の中で話をしながら、何か困ったことがあったときには行政あるいは専門機関に相談をして、それをバックアップしていく。こういう仕組みを作っていくことが大事だということがうたわれています。

悲しいかな、この中に消費者行政あるいは消費者という言葉が入ってきていない。ですけれども、実際に幾つかの自治体で話を聞くと、確かにこのポンチ絵には入っていないのだけれども、うちの町では消費生活相談など、困ったことがあった場合にはそこも加えてやっていますですとか、この地区の中での勉強会の中でだまされないようなとか消費者詐欺を防ぐにはどうすれば良いかということに取り組んでいるところもあって、実態としては地区の中では当然課題があってニーズがあればそれに対応する取組は行われている。ここにうまく行政体制としても消費者行政を入れていくことが大事ではないかと思っています。

資料の18.19ページなのですけれども、これは実際に私が愛媛県の松前町でワークショップをやったときのものなのですが、例えば高齢者を取り巻く地域課題の例を介護事業所の職員ですとか、自治体の各課の職員に話を聞くと、それぞれの課が課題を抱えていて、その中で消費者被害の話ですとか、ごみ屋敷の話だとか、様々なことが出てきていて、消費生活ということと市民の暮らし、住民の暮らしというものは欠かせないと。こうしたところにうまくつながりを付けていくことが大事ではないかと思っています。

資料の最後ですけれども、これは国交省の資料を持ってきているものなのですが、今、日常生活圏が非常に広域化して、大都市に買物に行くという中で、消費者被害の形も非常に広域的になっている可能性がある。あるいは、更にインターネットなどの取引も含めて多様化しているとすると、それぞれの窓口を市町村で用意することも大事なのですけれども、こうした観点からも広域的な対応を考えていく必要がある、あるいは自治体間の連携という仕組みも考えていくことが大事なのではないかと思っています。

レジュメの最後、4番のところになるのですけれども、もう一つはIT化の話がございます。自治体はIT環境整備というところがなかなか進んでいない。一つは情報の取扱いというところでの課題ですね。今、国では経産省を初めとして行政が持っている情報を民間の事業者とか企業に提供することで、そこからAIなども含めてそれらの情報を生かして新しいサービスを作れないかというようなことが言われている反面で、個人情報保護が課題となっているところがございます。

ですので、自治体の中でも、例えばどこのおうちに子育て支援のニーズがあるのかということを地図でプロットしていくですとか、あるいはこれからですと、公共交通が厳しくなる中でバス路線をどうするかというときに、例えばどこに何歳の人がどういうふうに住んでいるという情報が提供されると、バス路線をどう作っていけば良いのかということがAIなどで作れる。そういったところも含めて情報をある種提供したほうが良いという世界と、その提供した情報がどう取り扱われるか分からない。他方で個人情報保護の観点から守らなければいけないというところもあって、行政として情報をオープンにするところと保護するというところをどうするかがこれから課題になってくるのだろうと思っています。

そこで、例えば行政がある種の情報を出していることで、そこから消費者被害が起きてしまったりということも将来起こってこないとは言えないかもしれないということを考えたときに、IT環境整備の話と消費者行政の話ですね。これが行政の中での、つまり、IT環境をどうするかというところと実は密接に関わる可能性もある。なかなか自治体にはITの専門職の方を雇っているところは少ないのですけれども、こうした視点から消費者行政について考えてみるということももう一方で必要なのかなと思っています。

以上、まとめますと、とにかく限られた人員と財源で効率的・効果的な支援を行うためには、まず消費者行政がやっている事務の棚卸しをしつつ、実態を把握することが必要であろうということです。

もう一つは、三大都市圏と中心地と周辺から成る連携中枢都市圏あるいは中山間地域、それぞれの事情が異なる中で、それぞれの対応した連携の形というものを消費者行政分野についても考えていく必要があるだろうということ。

それから、情報の取扱いの話も含めて、連絡相談体制の構築ですとか、行政が情報をどこまで出すか出さないかというところも含めた仕組みを自治体が考えていくというところについても今後対応が必要なのではないかということが、本日申し上げたかったことでございます。

若干時間をオーバーしましたが、私からの報告は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問がございましたら、どうぞ。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 今日、前段のところで消費者庁の消費者基本計画の話が出ていて、その中の自主財源を増やすように各自治体の首長をキャラバン隊で回っているのだという消費者庁の御報告は、率直にどう思われるでしょうか。効果があると思われますか。

○東洋大学国際学部国際地域学科沼尾教授 先ほどの消費者団体連絡会のお話を途中から伺っていたのですけれども、私は逆に、47都道府県のうち3県が地方消費者行政に関する基準財政需要額の額を知っていたということに驚きました。そのぐらい地方交付税の算定基準がそのまま実額として予算で配分されることはないので、ある意味、標準的な行政サービスをフルセットでやるうえで幾ら必要かということを積み上げて、個別の自治体に幾ら出すかということの配分額を決める際の指標にする。つまり、これだけのことを自治体に担ってもらうに当たって、これだけ地方の財源が必要で、一方で補助金では来ない部分について一般財源として確保するのが幾らだということを積み上げ、必要な財源を国から配分する際の基準を決めるという意味での需要額の積み上げだと思っていますので、それぞれの自治体で需要額が積み上げられた、例えば地方消費者行政で幾らと出てきたものがそのまま地方消費者行政の予算になるとは考えないほうが良いと思います。実際に地方交付税として配分できる国税収入一定割合が足りなければ、交付税が全体として圧縮されて、例えば本当は100配らなければいけないものを財源がないので全部95%にしますということも十分あり得ます。

また、先ほども申しましたが、自治体によっては、例えば生活困窮者自立支援と地方消費者行政と一体的にやっているケースもあると思うので、むしろこの需要額自体をきっちり予算として確保するということにはなりにくいのではないかと私は思っています。

キャラバン隊の件ですけれども、どうなのでしょう。先ほども申しましたが、市町村の側の印象としては、地方消費者行政単独でというよりも困った住民が駆け込んできたときにどのような手を使ってでも支援をできる、そのチャンネルがきちんと用意されていることが大事だと。特に住民に身近な市町村であればあるほど考えるので、その中で実を取るということを限られた予算と人員で考えるのだと思うのです。そのときにそれを差配する側が地方消費者行政に関して知っていることが大事だ。あるいは介護だったり、子育てだったり、生活困窮支援をしている職員の方、あるいはそれに関わっている方たちが地方消費者行政の現状だとか消費生活相談のこととか、そこに関わる専門的な知識についても勉強しておくことが必要だという意味で、勉強のための研修費は必要ですねということは言えると思うのですけれども、例えば必要な窓口を置いて事務職員を配置し、そのための財源を確保することについて理解を求めるというのは、自治体の規模が5万人以下のところに関してはかなり厳しいのではないかと思います。

政令指定都市や都道府県などの場合には、むしろ専門的に非常に大きい数の中で、ある種専門的な分野として周辺町村もサポートしながら必要な支援を確保していかなければいけないということはあると思うので、そこについては一定の体制をどう作るかについて予算を確保してほしいということを言うというのはありだと思うのです。ただ、先ほど申しましたとおり、今、自治体が抱えている行政課題は様々なので、その中でどういう説得力を持って説明していくのかということによるのではないかと思います。

以上です。

○高委員長 受田委員、どうぞ。

○受田委員 どうも御説明ありがとうございました。

実は私は高知県に住んでおりまして、地方においては課題先進県と自らも称しておりますし、その課題をどうやって解決していくか、課題解決先進県に導いていかないといけないという立場で今の沼尾先生のお話、非常にリアリティを持って拝聴させていただきました。

その中で、連携中枢都市圏の構想というお話もございました。ここも私は定住自立圏構想とか連携中枢都市圏の構想も正にど真ん中に関わっていて、高知県は実は全県一つの連携中枢都市圏を構成していて、私自身がビジョン懇談会の会長をやって企画から今、推進をやっています。私もいろいろ感じるところはあるのですけれども、この連携中枢都市圏の基というのは、先生も御存じのとおり人口ビジョンがあり、まち・ひと・しごと創生推進というのが基盤になっていて、ここは結局基本目標1、2、3、4で人口はどうするかという攻めの姿勢を連携の下で工夫しながらシナジーを発揮していきましょうという、そんなトーンが非常に強いのです。一方で、基本目標の3とか4は、若干生活基盤であったり、守りといったら語弊があるかもしれませんけれども、生活を支えていく基盤の部分を更に連携でというところは入っているのですが、弱いのです。ここをもう少ししっかりと見据えて、これは攻めの部分で工夫していくという他力本願ではなくて自力でやらないといけない。

そこは重要であり、国も5年間の4年目が走っていて、来年が5年間の見直しになるタイミングで、これまでの政策、施策が十分だったかを振り返る時期に来ているので、この基盤の部分をもうちょっと支えなければ地方都市の維持は立ち行かなくなるのではないかというのを全体で、地方がこの地方消費者行政も含めて、あとは厚労省管轄になりますけれども、地域包括ケアも含めて、あるいは小さな拠点などの話も含めて一体的に新しい、よく国は政策パッケージという言葉を使いますけれども、そういう部分で基盤を支えるところの政策パッケージを充実させていくことこそが最終的には地方創生につながっていくのだというトーンで、皆で声を合わせていく。その中に必ず脆弱な消費者の保護とかというところから基本的な消費者行政への今の危機感を脱していく端緒が見えていくのではないかと、今のお話を本当にリアリティを持って拝聴した次第です。感想になりました。

○東洋大学国際学部国際地域学科沼尾教授 ありがとうございます。

全く同感です。そういう意味で、高知県は県が本当に腹をくくって地域支援企画員も含めてマンパワーとしての職員をそれぞれの地域に出していますし、変な話ですけれども、市町村よりもよっぽどコミュニティに入っているケースもあって、本当に頭が下がります。そういう意味でいうと、それぞれの地区でコミュニティを維持するための取組を総力戦でやっておられて、それを本当に下支えすることを県として取り組まれている。恐らくその中で、これは例えば消費者被害が出てきた場合には、その情報も上手にくみ上げながら県として必要な専門家とつなぐといったところも横串でやっておられるのではないかという印象を持っているのですが、そうでもないのでしょうか。

○受田委員 前段は本当に地域支援企画員、先生御存じのとおりで70名体制ぐらいでやっているのですけれども、まだ十分でない。コミュニティの中のそれこそフルセットでどこまで担えるのかというところに課題は抱えています。私も今、こうやって消費者委員会の委員のメンバーを務めている関係があって、消費者行政としてどこまでそこに入り込んでいるかという部分は少しずつヒアリングをしたりして理解をしようとしているのですけれども、まだそこまで十分には行き着いていない。温度差というか、濃度差もかなりあるようには聞いているのです。もしかするとそういうところにグッドプラクティスがあって、当然、そのグッドプラクティスから政策を打って、予算を付けて、政策誘導していくというステージに入っていくと、今、問題になっている解決策が見えるのかもしれないですね。

○東洋大学国際学部国際地域学科沼尾教授 ありがとうございます。

おっしゃるとおりでして、私が先ほど申しました棚卸しというのは正にそういう話でして、一つはそれぞれの業務がどのように他の業務と連携しているのかということですけれども、もう一つには、県と現場の市町村との連携ですとか、あるいは先ほどおっしゃった連携中枢都市圏をどう考えるかという議論がある。実際にインフラの整備ですとか施設を整備するときには中心市に一つ作れば良いのですけれども、対人サービスで何か施設で必要な支援を担うという場合に、当然中心となる大きい市でも困っている人もいるし、周辺にも困っている人がいるといったときに、その財政負担だとか、どこの人を優先にするのかとか、特に対人社会サービス分野で本当に連携中枢都市圏で効率的なことがやれているのか、やれていないのかといったことも含めて、どういう連携の形が望ましくて、そこで消費生活相談も含めた消費者行政が担っている業務がどういう実態にあるのかというところを是非丁寧に調べて、実態把握による課題整理を行っていくことが消費者委員会としてはとても大切ではないかと思っています。

それが出てくれば、例えば広域圏で連携と言われているけれども、ここの部分は限界があるからきちんと財源を入れていかなければいけないとか、人をもうちょっと整備して入れていかなければいけないとか、そういう話がより具体的にできるのだと思うのです。今は漠然としていて、実際に現場では他のサービスと連携してやれているところもあるし、予算もうまくやれているところもあれば、ただ単独で地方消費者行政といっても自治体の中では優先順位が後ろになってしまうけれども、実際に消費生活相談は非常に大きなイシューでもある。そこのところを丁寧な実態把握をしていくことで、これだけの財政需要があるとか、国民の暮らしの安全・安心を守るためにはこういう支援が必要だというところが説得力を持って要求できるようになるのではないかと思いました。ありがとうございました。

○高委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 御説明をお伺いして、特にこの補足資料の13ページ、14ページ辺りの地域づくりプラットフォーム構築、あるいはその次のページもありますが、正に地域のコミュニティをどう作っていって、そこを機能させていくかが課題だというところを全体像の中で示していただいたという意味では本当に参考になりました。

消費者行政で言うと、我が国は世界的に見ても早い段階から消費生活センターが整備されて、トラブルに遭った人は直接行政に相談に行きなさいと。行政に情報が全部集まって、行政が住民に対して情報を発信する、あるいは悪質業者は行政が取り締まるとなっていて、例えば消費者団体とか地域のコミュニティの中で、横で注意し合う感じではない。それはそれで悪質業者の取締りというところで情報が集約されている良い面もあったのかもしれないのですが、行政をこれ以上膨らませることが難しくなった時代で、そこが非常に悩ましい課題になっているのだと思うのです。

その意味で、今、高齢者について見守りネットワークを構築しようというのを消費者庁が3年前から言い出して、ただ、見守りネットワークといっても消費者分野で地域でそれに参画する人、消費者団体の基盤がないので専ら高齢者福祉の分野の人たちにお願いする。高齢者福祉の分野の地域包括とか民生委員とか社協の方というのは福祉分野だけではなく、例えば災害のときにも見守りとか、いろいろな分野から行政から頼まれて、もうかなり苦しい状況にあるのだろうと思います。

私は今日御説明いただいた中で、行政全体が行政だけでは担えない地域のプラットフォームあるいは地域コミュニティをどう作っていくかということで言うと、実は一つ手掛かりになるのは、これは消費者庁が集約しているものですが、消費者部門でも消費生活サポーターとかいろいろな名前の、消費生活センターなどが単に気を付けましょうという啓発活動だけではなくて、サポーター育成をやっているというのです。都道府県レベルで30、市町村レベルで120幾つだったと思います。ただ、聞いてみると、何となく1回講習をやって地域で頑張ってください、さようならみたいな感じで、もったいない感じがするのですが、そういうところがもう少し継続的につながりを作って、場合によってはそれが一つのグループとして行政とも連携しながら自主的にも活動する。ある意味では、新たに地域の中のコミュニティあるいは消費者グループ、消費者団体を作るくらいの、今が最後のチャンスではないか。そういう人たちを育成して連携をする、行政だけではできないところを育成して連携するところが活路ではないかと。

そのためにも、実はこの総務省の資料などで、先ほども先生がおっしゃった消費という問題の位置付けがそもそもない。でも、考えてみると、暮らしの中で消費というのは非常に大きな分野だし、消費者被害が消費生活センターに寄せられる相談だけでも年間90万件、金額で5000億円、消費者庁の推計によると5兆円が潜在的な被害額だという本当にとんでもない数字がある。そういう問題も、今、やっている暮らし全体の中の地域コミュニティやプラットフォームというところへ、消費というものをここに位置付けてもらうところから働き掛けていかなければいけないのかなと。感想ばかりですが、そのように感じました。

○高委員長 ありがとうございました。よろしいですか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 いつも勉強させていただいて、ありがとうございます。

私は自治体自体がいろいろなことをやるのは大変だなと思っているのですが、最近、全然違うところでシェアリングの事業をやっていらっしゃる方たち、シェアリングが空間だったり、時間だったり、物だったり、お金だったりする中で、人の能力のシェアリングをやり始めた青年たちがいて、地方自治体に行って、佐賀でマッチングをさせるプログラムを持っているのです。

そのプログラムを持っていると、片方は、私はこんなことができます、例えば小さい話ですけれども、私は犬の散歩ができます、買物に行ってあげられます、3時間ぐらい、あるいは料理をしてあげられますというのを言う人たちがいる。もう一方では、自分はこういう人が欲しい、こういうことをしてほしいと。これは両方プログラムに実はなっていまして、かなりフィルターがかかってちゃんと登録制になっています。

それがおもしろいというので東京で始まったのですけれども、佐賀だったと思うのですが、地方の方が呼んで、シニアの人たちを助ける、あるいはシニアが誰かを助ける。シニアはお風呂に入れてほしいとか、ありますね。そうするとなれた方が来て、1時間500円とか1,000円で3時間あいているからボランティアでやるよということがあったり、もう一方では私はトンカチがうまいとか、組み立てがうまいとか、電球を替えるのをやってあげるよというシニアがいて、それで1回500円とか、そんなのでやるよというのがあるのです。

それを使えるのは実はまだシニアではなくて若者たちなので、それをどうやって使わせていこうかということを地方で全然違うところから始まって、メルカリの人材バンクみたいなところなのですけれども、今、地方がおもしろいといってやり出しているというのがある。確かにいろいろな意味で人が足りないとか、いろいろなことがあるのですけれども、皆を巻き込んでいく。今、先生から提示されていますコンシェルジュ的な素晴らしいアイデアがあるかと思うのですけれども、例えば今だけにとどまるのではなくて、新しく始まったものをもっともっと取り入れていくために国から助成金をもらうとか、そのようなことも今後考えていけるとおもしろいかなと。

これも余談なのですが、白金の図書館に行くとお弁当を持ったシニアがいっぱいいるのです。その方は理系なのですね。理系で、行くところがない。そこで弁当を食べて図書館で勉強するという人たちを実は雇った人がいるのです。そこに目を付けて、若者たちにプログラミングを教えてくださいと雇った人たちがいるのですね。喜んで、1時間800円でも500円でも、要らないとかという人もいるらしいです。

そうすると、マッチングというのをそのようにアナログで探していく手とデジタルで探していく手が出てきているので、是非沼尾先生も一緒にそういうことも考えていただけると、地方が非常に困っている人、物、金というのがあるのかもしれないのですけれども、そのところのどこかの突破口になるのではないかと思ってお話をさせていただきました。

○高委員長 ありがとうございました。よろしいですか。

沼尾先生、ありがとうございました。先生のお話を伺う前に全国消団連の方の説明をいただきまして、最後に小林事務局次長が国の財政的な支援を何とか確保していただきたいとおっしゃられました。確かに、それは一方でやらなければいけないと思うのですけれども、それと同時に、そこだけに注力していては、地方消費者行政はやがて行き詰まるなということを、御説明を聞いてしっかり自覚できました。

今まで連携、連携という言葉を幾度も使ってきましたが、具体的にどういう連携があり得るのか。しかも、三大都市圏の話の議論と地方に分けた先ほどの二層制ですか。こういった仕組みにした場合に、どういうネットワークの作り方があるのかとか、あるいは事業者も取り込んでいかなければいけないと思うのですが、その方法にどのようなものがあるのかなど、今後真剣に議論しないといけないと思いました。財源を確保するという議論は併せてやりたいのですけれども、こちらの議論も同時に進めていかなければいけないということを強く感じました。

それから、情報の扱いですね。支援するために個人情報をどうやって扱うのか。ここの議論も進めていかなければいけないということがよく分かりました。

今後、私どもの議論の中に、先生から御説明いただきましたいろいろなポイントを反映させていくことができればと思っております。引き続き御協力をいただければと思います。本日は、多くの示唆を頂き、ありがとうございました。

(東洋大学国際学部国際地域学科沼尾教授退室)

≪6.その他≫

○高委員長 所用があり、ぽつりぽつりと委員が抜けているのですけれども、あと少しでございますので、よろしくお願いいたします。

最後、議題「その他」といたしまして、地方消費者行政専門調査会の議論の再開とその趣旨、設置・運営規程の改正について、事務局より説明をお願いいたします。

○友行企画官 それでは、お手元の資料の参考資料1になります。地方消費者行政につきましては、第1次の消費者委員会でございますとか、第2次の消費者委員会におきまして、専門委員の方が任命され、テーマはそれぞれ違いましたけれども、調査審議を行っていただきまして、報告書などが提出され、それを受けまして本委員会から意見表明をされたということがございます。現在、期は代わっておりますけれども、より御専門的な調査審議を行っていただくために地方消費者行政に係ります専門調査会を立ち上げて、再開いたしまして、調査審議を行っていただければと思います。

資料につきましては、参考資料1に設置・運営規程がございます。こちらの中身は、後ろに赤字で変更点というところが付いておりますけれども、基本的には消費者委員会の下に置かれておりますそのほかの専門調査会とつくりは同じでございます。

御説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま説明いただきました事務局の案に関しまして、御同意いただけますでしょうか。これでよろしいですか。

それでは、事務局提案どおりの規程で異議がないということですので、地方消費者行政専門調査会設置・運営規程を改正し、併せて新たに専門調査会を再開することにいたします。


≪7.閉会≫

本日の議題は以上となります。

最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○坂田参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。

以上です。

○高委員長 本日はこれにて閉会といたします。

どうもありがとうございました。

(以上)