消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(2018年11月15日)

日時

2018年11月15日(木)9:58~12:00

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
高委員長(「高」は、正しくは「はしごだか」)、池本委員長代理、受田委員、大森委員、長田委員、樋口委員
【説明者】
特定非営利活動法人消費者支援かながわ
   上村 政行 副理事長
   山内 潔  事務局員
特定非営利活動法人消費者支援群馬ひまわりの会
   樋口 和彦 理事長
特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海
   野澤 厚美 事務局長
特定非営利活動法人消費者支援機構関西
   五條 操  差止検討委員長
一般社団法人全国消費者団体連絡会
   浦郷 由季 事務局長
   小林 真一郎 事務局次長
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者団体ほか関係団体等との意見交換
    公正な市場に向けて
    適格消費者団体に期待される役割に係る現状と課題等について
     特定非営利活動法人消費者支援かながわ
    上村 政行 副理事長
    山内 潔 事務局員
     特定非営利活動法人消費者支援群馬ひまわりの会
    樋口 和彦 理事長
     特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海
    野澤 厚美 事務局長
     特定非営利活動法人消費者支援機構関西
    五條 操 差止検討委員長
     一般社団法人全国消費者団体連絡会
    浦郷 由季 事務局長
    小林 真一郎 事務局次長
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 おはようございます。まだ、若干早いのですけれども、全員お集まりのようですので、ただいまから「消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催させていただきます。

最初に、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

○坂田参事官 配付資料は、お手元の議事次第に記載のとおり、資料1から資料5となっております。不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。

以上です。

○高委員長 ありがとうございます。


≪2.消費者団体ほか関係団体等との意見交換≫

○高委員長 それでは、議事に入ります。

消費者委員会では、委員会の運営改善などの参考とすることを目的といたしまして、消費者団体を初めとした関係団体等の皆様より御意見、御要望をお伺いするとともに、委員との意見交換を行っております。

本日は、特定非営利活動法人消費者支援かながわより副理事長の上村政行様、事務局員の山内潔様、特定非営利活動法人消費者支援群馬ひまわりの会より理事長の樋口和彦様、特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海より事務局長の野澤厚美様、特定非営利活動法人消費者支援機構関西より差止検討委員長の五條操様、一般社団法人全国消費者団体連絡会より事務局長の浦郷由季様、事務局次長の小林真一郎様にお越しいただいております。皆様におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

本日の意見交換会のテーマといたしましては、「公正な市場の実現に向けて適格消費者団体に期待される役割に係る現状と課題等について」を上げさせていただいておりますので、適格消費者団体として御活躍されておられる団体や、全国の消費者団体を代表する団体の皆様より、忌憚のない御意見をいただきたく思っております。

まずは、御参加いただいた団体の皆様より、本日用意していただきました資料を用いまして御説明をいただきまして、その後、委員との意見交換をさせていただきたいと思っております。

本日は多くの団体にお越しいただいておりますので、大変恐縮ではございますけれども、説明は各々10分程度でお願いしたいと考えております。

それでは、最初に消費者支援かながわより御説明をお願いいたします。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ上村副理事長 皆さん、おはようございます。消費者支援かながわで副理事長をやっています上村といいます。

まず、私たちのほうからお話をさせていただきたいと思います。おおむね10分ということなので、資料を出させていただきましたけれども、これを全部読んでいると、とてもではないけれども、10分では終わりませんので、少しはしょりながらお話をさせていただきます。

当初御依頼いただきました出席団体へのヒアリング事項のうち、私のほうから特に適格消費者団体の設立促進・活動維持に向けた課題について話してくれということでしたので、そこを重点的に話したいと思いますが、まず順番にお話をさせていただきます。

差止請求(申入れ)についてということですが、私たちが出させてもらった資料の2ページに差止請求について書かせていただいております。我々は適格消費者団体になりましてから、本当に間もないところですけれども、もう3年ぐらい前になりますか、NPO法人になって活動を始めたところで、割と当初からコンスタントに申入れの事項をやってまいりました。

ここに書かせていただきましたように、認定前の申入れに関しては12件ありまして、その中で改善をしていただきましたのが6件、現在交渉中であるところが2件、回答をいただけなかったところが3件程度ありました。それから、ほかのところとかぶったところなどで取り下げたというのが1件でございます。

ここの改善されないケースにおいて我々としてネックになっている点ということで、認定後に申し入れたというケースが、これから出てきますが、今のところはまだありませんので、現時点については特に申入れ活動の中で不都合だなと感じる点はございません。

認定前はまだ適格ということではありませんので、事業者のほうも、それでもほかの適格消費者団体の皆様が活動されているということで、割と申入れに関しては好意的に向こうも捉えて、どちらかというときちっと真摯にお答えをいただいているなという感じがしております。

事業者との連携についてですけれども、これについては私たちはまだ何も行っていないというのが現状でございますので、それだけの報告にとどめさせていただきたいと思います。

行政との連携については、県、市から割と御協力をいただいています。これについては山内のほうから詳しくお話をさせていただきたいと思います。

山内さん、お願いします。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ山内事務局員 おはようございます。山内です。よろしくお願いいたします。

県の窓口は消費生活課になりますけれども、これは神奈川県生協連と消団連あたりが日常的に非常にいい関係をつくってきていたという流れの中で私どもが設立された環境もありまして、設立当時、準備会の段階から県の消費生活課の方が1名ないし2名参加いただいたりして、大分御理解をいただくことができていたのかなと思っております。

実際に、現在どのような形で支援をいただいているかということでございますけれども、神奈川県の場合、一つは助成金の関係です。これは私どもNPOの設立に向けて、適格消費者団体の全国の交流会が姫路であったときに初めて参加させていただき、そこで、助成金を行政から受けることができるというお話を聞いたものですから、持ち帰って早速県と相談をしました。結果、適格消費者団体の認定に向けて御支援いただくということになりました。

2015年から毎年、基本的には100万円前後ぐらいの支援をいただいておりますけれども、私どもがNPOを設立した当時は、神奈川県生協連の中に私どもの事務所を置いておいたのですが、適格を目指すに当たっては、県生協連と一体となった事務所ではだめだというか、県生協連としても専用のスペースを作ることは、スペース的に狭いということで、継続してそこで事務をやることはできないということで、事務所探しをいたしました。

事務所を移るということになりますと、テーブルとか、コピー機とか、いろいろな機器が必要になります。認定に向けて事務所を移転したわけですが、事務所の間仕切りの費用を含めそのときの費用が333万円とかなり高額ですが、助成金をいただきました。

それから、広報支援なんかも大分積極的にやっていただいていまして、私どもがつくっておりますリーフレットとか、あるいは年に2回発行しておりますニュースとか、こういったものも配架をしていただいりして、私どもの活動について積極的に支援をいただいています。

それから、8月3日に私どもは適格消費者団体の認定を受けたわけですけれども、認定を受けたことについても、ホームページ、横浜FM、ツイッター等でも情報を流していただいています。

それと、神奈川県が30年4月に条例改定されて施行されていまして、この中に私ども適格消費者団体に対する支援について盛り込まれております。

こういう形で、県からかなり前向きな、積極的な支援をいただいています。

横浜市との関係ですが、これも神奈川県生協連と横浜市の日ごろの関係の中で出てきたことかなと思うのですけれども、私どもの活動に対しても御理解をいただいて、当時、事務所が必要だといったときに、横浜市の消費生活センターの一部に商品検査室があるのですけれども、そこが広くて、余り使っていないということもあり、そこを間仕切りして使ってはどうかという話になりまして、そこに事務所を構えたということでございます。

協定を結ばせていただきまして、その協定の結果、家賃は認定を受ける前は50%減免、認定を受けたら100%免除という形で支援をいただいています。ただ、管理費と水光熱費はお支払いするという内容になっております。

このような形で、私どもはたまたま恵まれた環境といいますか、特に事務所に関しては横浜市さんとの関係がいい関係でできたのかなと思っております。

今後のことですが、私どもの財政基盤は非常に小さなものですから、会費だけですと100万前後ぐらいしかない中で、これから差止めとかいろいろやろうとすると当然お金が必要になり、財政的に非常に厳しい状況です。私どもは受託事業はやっておりません。やってはどうかという話もありますけれども、まだ体制的にやれる状況ではありません。そうした中で、今後いろいろ活動していく上ではお金が必要になるということから、ぜひ行政からも引き続き支援をいただきたいということと、これから適格消費者団体の認定を申請する団体は非常に小さな団体さんだと思いますので私たち以上に厳しいのではないでしょうか。そういったところが新たに事務所を実際に独自に構えるということになると、これも人の問題、お金の問題を含めて大変かと思いますので、その辺も含めた形で引き続き支援をいただけるといいなと思っております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

引き続きまして、消費者支援群馬ひまわりの会より御説明をお願いいたします。

○特定非営利活動法人消費者支援群馬ひまわりの会樋口理事長 おはようございます。群馬ひまわりの会の樋口と申します。よろしくお願いします。

資料にあるとおりですが、私は2年前に弁護士をリタイアしまして、そのままアメリカの大学へ行ったので、つい最近、理事長になったということで、詳しくはわからないので、書面で報告をさせていただきましたけれども、おおよそは事務局につくってもらったものでありまして、細かいところまでは把握していないということを御承知おきください。

説明を申し上げます。まず、差止請求(申入れ)に対する事業者の対応状況ですが、認定になる前と認定になった後では目に見えて違うなという気がします。例えば、ある教育関係、大学関係の入学金の問題で、返還しないよということになっていまして、申入れをしたところ、まともな返事をしてこないという対応がありました。

その事案に関しては、実際には悔しいから、私はオンブズマンという活動もやっていましたので、県の補助金が行っているはずだということで、情報公開請求で確かに行っていると。ならば、監査請求と住民訴訟でもやっちまおうかということをやっていたのですが、先ほど申し上げたように、その後、私がいなくなったということで、そこで終わっている。そういう対応が必ずしもよくなかった。

ところが、今年2月に認定を受けてからはかなり対応がよくなってきまして、まだ申入れ段階までは行っていないのですが、照会に対して成果があると言っていいと思える回答が幾つも出ています。必要なことを直しますが、わからないところがありますので聞かせてください、御意見くださいというような対応になっているということで、認定の力は強かったかなと思います。

次に、事業者との連携についてですけれども、ここに書いてあるとおりですが、事業者との連携も必要かな、一方で危険かなというところがありまして、時には敵対しなければならないところとどういう結びつきをするのかということが難しいところでありまして、今、例えば商工会議所等に連携を模索して、いろいろと接触したりしております。

その中で申し上げているのは、悪徳業者がいるということは悪貨が良貨を駆逐するということであって、まともな業者の皆さんにとっても非常にマイナスなのだと。したがって、ともに闘う基礎はあるのではないか、一緒にやろうよということを言っております。その一方で、個別の会員になるよというところもちょっと危険なところがあったりするものですから、COJさんなんかでも昔そういうことがあったりしたので、ちょっと慎重に構えているというところでございます。

いずれにしても、今後、業者との連携も強めていき、今申し上げたように業者と共通の基盤があるはずだという意味で、コンプライアンス等を含めて約款その他契約書を適正なものにするために協力していくということも一つ必要かなと考えています。

3番に行政との連携ですが、我が会は以前から行政とはいろいろ協働するところもありまして、それから消費生活センター、あるいは相談員とも良好な関係がありました。したがって、割合協力は得やすいという状況の中で、つい最近、情報提供に関する県との覚書を交わしました。今後、さらに情報が入手しやすくなるだろうと期待しております。

必要な資源としては、私どもの会はかなり特殊だろうと思うのは、昭和57年、1982年ごろにできた会を基盤としています。これはクレサラの被害者の支援と生活再建を主にしていた会です。群馬県の桐生市に本部があるのですけれども、そこを基盤にして、ただし、御承知のようにサラ金問題、多重債務者問題は相当終焉してきているということで、このクレサラ対応の業務が縮小してきた中で、北関東では適格消費者団体が一つもなかったので、関東弁護士連合会というところで北関東につくろうよという活動をしていたのですけれども、なかなかできないということがありました。そこで、私どものこういう適消をつくろうよという意向と、ひまわり、つまり多重債務者の問題が収束していて業務を縮小しているという中で、言ってみれば利害が一致したということで、では一緒にやろうよということで適格消費者団体をつくる動きになりまして、今年2月に認定を受けたという関係があります。

したがいまして、物的な施設は桐生市に一軒家を借りておりまして、そこでやっているということで、関東弁護士連合会で各地を調査させてもらったときは、生協連の中に入れてもらったり、物的な意味での独立性という関係ではちょっとというところが見えたところ、我が会はその意味では完全に独立しているということがあります。

しかしながら、人的、物的、特に金銭面の問題では、他の団体も同じだろうと思いますが、非常に苦しい状況で、事務局次長が常駐でいてもらっていますけれども、その給料も今回下げさせてもらったということがあります。会費で年200万弱くらい、県からの補助等を受けてやるという状況ですけれども、その意味では会員拡大等が必須の課題となっております。

最後に、(3)適格消費者団体の設立促進・活動維持に向けた課題ということで、消費者庁に対して若干厳しい意見を出させていただいています。もっと厳しい意見だったのですけれども、私がここに出ていくのに逆批判されると嫌だからということで、これでもかなり私が緩めて書いたということでございます。いずれにしても、消費者庁の問題に関して、今、ジャパンライフの問題、それから安愚楽牧場の問題が出ておりまして、安愚楽牧場に関しては消費者庁が被告になって訴訟が係属しています。ジャパンライフも多分なるのではないかと思っています。

消費者庁が業者側の防波堤になるようなことがあってはいけない。昔、環境庁ができたときに非常に問題があったわけですけれども、その意味では消費者庁に今後さらに一生懸命頑張ってもらいたいと思っているというのが私どもの見解です。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

引き続きまして、消費者被害防止ネットワーク東海より御説明をお願いいたします。

○特定非営利活動法人消費者被害ネットワーク東海野澤事務局長 消費者被害防止ネットワーク東海の事務局長をしております野澤と申します。

資料3をつくりましたので、これに基づいて報告をさせていただきます。団体の概況のところは、3年前にこういった意見交換会をしておりますけれども、それから特段大きな変更はございませんので、ざっと見ていただければと思います。

3年間の間に大きく変化したところでいいますと、検討委員会の検討委員、弁護士ですね、この充実をこの間図っておりまして、現在19名の弁護士が検討委員会に参加しております。そのうち3名は育休・産休で女性の弁護士が休暇に入っておりますので、その補充も含めて、今年度、30代ぐらいの新しい弁護士に4名ほど加わっていただいて、非常にたくさん申入れ案件を抱えておりますので、お一人お一人の負担を軽減しようということで現在取り組んでいるというのが新しいところです。

資産の状況はこのとおり、私どもは大変弱小な団体でございまして、2017年度、私どもは1-12月決算でございますので、この年にたまたま名古屋で適格消費者団体連絡協議会を開催し、その主催団体といいますか、運営団体になりましたので、特別に愛知県のほうに90万円ほどの補助をしていただきましたので、この年の収入、支出は90万円ぐらいそれぞれ増えておりますが、実力これよりマイナス90万円ぐらいの収入、支出の活動状況になっております。

以下はヒアリング事項への回答ということで、いただいたフォーマットのままに書いてしまったのですけれども、これに基づいて報告をさせていただきます。

まず、差止請求でございますけれども、申入れに対する事業者の対応状況というのは、これは事業者によって対応はさまざまですけれども、最近は申入れに対して大変誠実に、ほぼ1カ月以内に回答書を返信してくる事業者が増えております。したがって、1、2回のやりとりの中で改善が図られて終了通知書をお送りするという事案も、最近は大変増えていると思っております。

ただ、一部期限内に回答を寄越してこない事業者もいますけれども、こちらのほうも41条書面をお送りしますとほぼ100%の事業者が回答書を送ってくるということがございます。

そのほか、さまざまな事業者への申入れをしておりますので、当然、中小の事業所の申入れもしますので、そうしますと社内に顧問弁護士とか法律の専門家等がいなくて役員自身が回答してくるのですけれども、約款の改訂に苦慮して、どうしたらいいのだろうと相談をしてくるような事業者も中にはいますけれども、当団体としてはあくまでも申入書に沿って規約・約款を改訂するように求め、必要に応じて標準約款等を参考にするように伝える等のアドバイスをする場合もあります。

後ろのほうの資料に、設立以来の差止請求事案一覧というあからさまな資料を載せてしまったのですけれども、現在、設立以来79件の申入れ活動をしております。集計がないので簡単に内訳を報告いたしますと、裁判外76件、差止請求訴訟が3件で、1件は和解をしておりますけれども、現在2件訴訟中ということになります。裁判外の76件の内訳が、46件が改善された、不調が6件。特に認定前が多く、4件ありました。中止が6件、現在交渉中が18件ということで、現在進行形の申入れ活動が18件あるという現状でございます。

改善されないケースにおいてネックとなっている点はさまざまございますけれども、一番特徴的なところは違約金条項について、違約金は平均的損害を超えた部分は無効であるという消費者契約法9条違反にかかわっての申入れをする事案が多いのですけれども、適格消費者団体が平均的損害を立証することは大変難しいということで、さらには平均的損害に逸失利益を加えるかどうかという点では裁判事例もさまざまありまして、これが申入れ段階で大変判断が難しいというのが実情としてございます。

事業者との連携は、現在のところは約款策定についても、自主規制の策定についても、事例はございません。

事業者、事業者団体との意見交換会等では、新しい事案ですけれども、Amazon Gift Cards Japanというところに申入れ活動をしておりますけれども、Amazon Gift Cards Japanとこの12月に意見交換会を持つことにしております。これはアマゾンギフトカードが詐欺に応用されているという非常に問題意識がございまして、アマゾンジャパン合同会社としても問題意識があるので、私どもの申入れについて応じていただきまして、来月に意見交換会を図ることにしております。あとは、生命保険協会の関係の意見交換会に参加しております。

行政との連携は、今までの報告の方とも同じですけれども、私どものところでは愛知県と名古屋市と覚書もしくは内規によって情報提供の確認をさせていただいていると同時に、名古屋市とは特に年3回の情報共有会議を持ちまして、名古屋市に寄せられている相談情報を提供いただくと同時に、私どものほうからは申入れ活動の事案の提供と、それから名古屋市の消費生活センターから当団体に紹介されたという事案についても報告して、すり合わせをしたり、それから名古屋市が適格消費者団体に紹介したのだけれども、逆に消費者は相談してこなかったという事案についてやっています。また情報提供はあったのだけれども、申入れに至らなかった事案についても、その理由等について情報提供して相談活動に生かしていただくということで連携をとっているということでございます。

愛知県とも、今年度から定期意見交換会をやるように、今、要請をしているところでございます。あとは、弁護士会と行政との懇談会も定期的に開催されておりますので、そこにも適格消費者団体の事務局が参加して、情報共有をしているということです。

それから、必要な支援のところも、差止対象の拡張、証拠収集手段の充実等ということで、これも以前にこういった場で御提供したかもしれませんけれども、景品表示法関連で優良誤認と思われる表示・広告について、合理的根拠を示す資料の提出を求める権限が適格消費者団体にございませんで、立証責任が適格消費者団体側にあるという現状でいきますと、実質、是正要求・差止請求ができない、あるいは断念せざるを得ないという情報がございます。

先般、健康食品会社に対して措置命令が消費者庁から出されましたけれども、適格消費者団体が優良誤認で申入れをすることは大変難しいということです。有利誤認の場合も、著しく有利という制限がかかることがありまして、その判断が難しいということがございます。

それから、差止請求の手続の権限として、消費者庁・県知事と同じように、適格消費者団体が事業者に対して証拠提出を求めることができるようになるとよろしいかなと思っております。あるいは、消費者庁・県知事のほうに証拠提出についての協力要請ができるようになるといいのかなと思っております。

愛知県と名古屋市との意見交換、情報共有の場を持っているということですが、具体的な事業者に対する申入れ情報を行政のほうからいただくということはございません。こちらからは具体的に報告しているのですけれども、行政側からは事業者の個別情報はございませんので、あくまでも匿名の事業者に対する案件の増減という報告になりますので、迅速な消費者被害防止の観点という点ではいま一歩改善が課題としてあるのではないかと考えております。

あと、適格消費者団体の設立促進、特に活動維持の件は、やはり財政的な基盤の問題が一番大きなハードルになっております。特に、来年度、私どもは3回目の認定更新ということになりますけれども、活動をする会員が100名以上という条件というのは、これを維持するのはなかなか難しくて、現在、その認定更新に向けて新たな会員拡大のほうも取り組んでいるということでございます。

その他、消費者委員会様への要望等についても、これも先回のこういった場で出したことにもつながるのですけれども、被害回復あるいは消費者被害の未然防止・拡大防止の役割をしている適格消費者団体あるいは特定適格消費者団体について、必要な資金の確保、支援のあり方について見直しを行って、必要な施策の実施を、法律的には消費者基本計画の中に定められておりますので、その具体化についてさらに進めていただきたいと思っております。

さらには、今期の消費者委員様には、今のようなことになりますけれども、資金的な援助について具体的に検討いただきたいと思いますし、場合によっては、以前ございました消費者支援基金の設立について改めて御検討いただければと思います。

私どもからの報告は以上でございます。ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、消費者支援機構関西より御説明をお願いいたします。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西五條差止検討委員長 消費者支援機構関西の五條と申します。よろしくお願いいたします。

私のほうからは資料4に基づいて御説明いたします。組織概要についてはここに書いてあるとおりです。きょうヒアリングに来ている4つの適格団体の中では、認定を受けてから一番長い団体になります。

後の話にも関連いたしますので若干お話ししておくと、「組織概要」(1ページ)の下から2行目に団体賛助会員というのがあって47会員いますが、これはほぼ全て企業です。議決権はありませんが、企業会員を受け入れているのがKC’sの特徴と言えると思います。

次に、ヒアリング内容についてお話します。差止請求については、資料アa(1ページ)に書いてあるとおりで、現在1件、家賃保証業者に対する訴訟を行っております。近時の裁判外の差止請求としては鍵の修理業者に関するものやスポーツクラブに関するもの、結婚紹介サービス、あるいは健康食品、これはシジミを乾燥させた食品ですが、こういったものをやっています。

傾向としては、従前は契約条項が中心だったのですが、徐々に表示に関するものが増えていると実感しています。これは表示に関する検討のスキルが上がってきたということもありますが、他方で契約条項、特に消費者契約法9条、10条に関する差止請求の解決が非常に難しくなっている、特に訴訟になった場合の解決が難しくなっているということもあり、そういう傾向が出ているのではないかと分析をしております。

次にb、申入れに対する事業者の対応状況(2ページ)です。これも傾向としては大体一緒です。契約条項に関しては、付款的な条項については改善例も見られるのですが、相手方事業者のビジネスモデルの根幹にかかわる条項については非常に強い抵抗があって、そう簡単に改善されないで、訴訟になっているのもそういう事例です。

例えば家賃保証業者の例で言うと、家賃不払いの場合に家賃保証業者が賃貸借契約を解除して業者の費用負担で明け渡し訴訟までやってくれる。保証料は賃借人から得ているので、家主さんは費用負担しなくてもいいというサービスをやっています。KC’s、はこの賃貸人ではなくて家賃保証事業者が無催告で契約解除できるという条項は不当だと主張して訴訟を起こしています。事業者は条項は適法なものであると主張しておられるし、事業者としては、そういったサービスを提供して家主さん、顧客を集めているので、裁判所で適法だと判断されていないのに、そう簡単に任意に改めるということはできないのだと想像しています。

表示・広告についても同じような傾向があります。表示・広告は比較的変えやすいという特徴がありますので、改善される例は多いのですが、違法性、すなわち景表法5条に該当することを認める例は逆に非常に少ないということになっています。

勧誘の例は非常に少ないです。これは非定型的な勧誘、口頭でされるものについては立証がなかなか難しいというのがその理由だと考えています。

改善されないケースにおいてネックになっている点ですが、これはいろいろな要因があると思いますが、そもそも契約条項に関しては不当条項リストが非常に少ないというのが問題だと思います。消費者契約法9条、10条というのは、特に10条に関しては一般条項で、ぱっと条文を見ただけではこれが適法か違法かということはわかりません。当然事業者側にも言い分があります。平均的損害に関する9条1号についても、これも平均的損害が幾らだということが条文から一義的に明らかになりませんので、解決に非常に時間がかかります。

一般条項自身は必要だと考えていますし、それはそのとおりであるのですが、一方で明確に違法かそうでないかを区別できる消費者契約法8条のようなリストが余りにも少な過ぎるのが問題だと思います。

それから、消費者契約法9条1号の事例に関しては、立証責任が問題になっているというのは東海さんの御回答でもされているとおりです。平均的損害の立証の問題で、訴訟上、請求した場合でも、審理が非常に長期化する傾向があります。9月に適格団体の集まりで9条1号関連の訴訟の現状について報告があったのですが、各団体、非常に長期化しており、延々と弁論を繰り返しているといった傾向が明らかになっています。これはやはり資料に書いたように、そもそも事業者側に平均的損害を計算したり、その根拠を明らかにするようなインセンティブがない、それが問題だと思います。

あとは、差止権限がある法令違反が限定されている。実際にも事業者の側から、仮にこれが強行法規違反だったとしても、消費者契約法10条違反ではないから、適格団体に差止権限はないのではないかという主張が出ています。通常の個別訴訟、差止訴訟ではない裁判だと、強行法規違反だから無効だという主張が認められれば、それで消費者の側は勝つのですが、差止訴訟の場合、消費者契約法違反に落とし込まないといけません。仮に強行法規違反であっても消費者契約法違反ではないから権限はないよねというような主張がされたりしているということです。

それから、契約条項の開示請求権がないという問題。あるいは、差止請求対象行為を現に停止した場合に、改善されたからいいのではあるけれども、違法であることが確認されないまま事件が終わってしまうという問題があります。

勧誘に関しては、消費者契約法の改正で取り消せる対象行為は随分増えましたが、それでも一般条項的な取り消し規定がないので、ぴったり当てはまらないような事例があることも確かです。

事業者との連携に関しては、資料をおつけしていますが、KC’sとしては比較的企業と連携しながらやっているところがあり、実績はあるほうだと思います。ただ、いずれも今から10年近く前、あるいは10年以上前の事例で、最近はコラボレーションして何かするということができていない状況です。

他方で、資料の4ページに移りますが、双方向コミュニケーション研究会という、事業者あるいは学生とか、いろいろな消費者関係の利害関係がある人との間で話し合いをしながらコミュニケーションをとっていくという研究会を継続的にやっておりまして、これはかなり成果が上がっているのではないかと思います。

行政との連携に関しては、KC’sも今年覚書を締結しました。従前は情報提供申請、消費者契約法40条に基づくもので情報を得ていたのですが、覚書で大阪府のほうからも情報を得られるようになっています。

資料に書いていませんが、あとは弁護士会と消費者センターとの共同事例研究会というのが各地で行われていると思いますが、大阪ではKC’sがここにオブザーバー参加しています。

必要な支援に関しては、余り行政との連携ということに限られる話ではありませんが、ここに意見として書いてあるとおりです。まず、法改正によって差止対象の拡充が必要だろうと思います。それから、法改正によって実体法規定や手続規定を整備する必要があるのではないかと考えています。その一部については、先ほど東海さんが言われたとおりです。

もう一点挙げておくと、資料5ページ目の頭のところにありますが、消費者契約法10条前段要件というのがあります。これも、特に最近になって非常に事業者の方が争ってこられる傾向にあります。消費者契約法の立法の歴史を知っている者から言うと、10条前段要件というのは果たして本当に必要なのかという意識が常にあって、余りこれを重視すべきではないのではないかという頭があるのですが、当然のことながら法的要件なので、事業者の方はこれが当てはまらないと判断したら徹底的に争ってこられます。特に、非典型契約、民法上に規定がないようなものについては、前段要件を満たさないという判決も現に出たりしています。条項の不当性等実質的な要件に関する争いであれば、意味があることだと思うのですが、正直申し上げて、条項の実質的不当性という観点からは余り関係のない要件の判断に、ものすごく大きなリソースが費やされているというのが現状だと思います。私自身としては、立法論としては10条前段要件は削除したほうがいいのではないかと考えています。

そういったところで、もう10分になりましたので、以降はまた議論のときにお話をさせていただきます。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

最後になりますけれども、全国消費者団体連絡会より御説明をお願いいたします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会浦郷事務局長 資料5を御覧いただきたいと思います。

当会自身は適格消費者団体ではありませんので、適格消費者団体の設立促進・活動維持に向けた課題ということで意見を述べさせていただきます。

まず、適格消費者団体への財政支援についてです。本来、適格消費者団体の公益的活動に対しては国による財政支援が講じられるべきであり、当会としても従前より要望しておりますが、いまだ実現しておりません。また、このことは消費者庁及び消費者委員会設置法の附則・附帯決議や、改正消費者契約法等の附帯決議にも位置づけられているところです。

本年度、消費者庁により適格消費者団体への委託事業というのが措置されました。これは財政支援の第一歩ではありますが、適格消費者団体全体に届く措置ではありません。全国の適格消費者団体が差止請求関係業務に広く充当できる形での財政支援を求めます。

また、特定適格消費者団体の消費者裁判手続特例法に基づく訴訟についても、共通義務確認訴訟、いわゆる一段階目の訴訟で勝ったとしても、事業者が自主的に返金をしたり、相手方事業者に資力がなかったりするケースも考えられ、その場合は団体にとっては持ち出し、貸し倒れ状態になってしまいます。このような事態も見据え、特定適格消費者団体に対する財政支援も検討する必要があると思っております。

適格消費者団体や特定適格消費者団体の活動は、消費者被害の拡大防止と救済に資する公益性の高いものであり、かつ、専門性を必要としていますが、現在、多くの団体は弁護士や司法書士、消費生活相談員の皆さんによるボランタリーな活動で成り立っています。財政支援については、早急な検討を求めます。

(2)のスマイル基金についてです。国による適格消費者団体への財政支援がなかなか実現しないというところで、消費者自身も立ち上がろうということで、当理事会で約2年かけて検討し、「NPO法人消費者スマイル基金」を昨年設立しました。消費者、事業者などから寄附金をいただき、これをもとに適格消費者団体等の公益的な活動に助成をするという試みです。

設立から1年で2回、11団体に合計275万円の助成を行い、現在、3回目の助成に対する申請を受け付けているところです。しかし、消費者スマイル基金自体も安定的なスポンサーがなく、いつまで助成を続けられるか、流動的な状況であり、その活動も役員は無報酬、事務局も当会が兼務ということで、こちらも関係者によるボランタリーな活動となっております。

ページをめくっていただきまして、(3)消費者団体訴訟制度の成果の可視化です。財政支援の要望以外のところでは、消費者委員会のルール形成のあり方ワーキングの中間取りまとめの内容、権限強化や情報共有の拡充などについて当会としても同意見ですが、さらに消費者団体訴訟制度の成果の可視化への取り組みというところを消費者庁に期待いたします。これは消費者スマイル基金での活動経験から出てきたものです。

入会や寄附の協力を求めて事業者や事業者団体を訪問するのですが、ほかの市民活動分野、例えば子どもの貧困などと比べると消費者分野は地味であり、一見わかりにくい。説明をすると共感していただけるのですが、その事業者が寄附をするインセンティブとして何があるかというと、それが見えてこないということで、なかなか協力いただけないというケースが多々あります。現状、消費者分野における数値的指標は、国民の消費者被害金額が年間約5兆円ということくらいしかありません。消費者団体訴訟制度の成果も数値で可視化できれば、消費者分野への寄附等の協力が集まりやすくなったり、公的財政支援の実現にも道筋をつけやすくなると考えております。

なお、適格消費者団体においても、かつて成果の可視化を試みたことがあるそうです。しかし、差止請求等により改善した消費者契約の被害者数を明らかにすることができず、頓挫したとのことです。例えば、適格消費者団体が勝訴した事案について消費者庁がPIO-NET情報を精査し、過去の被害者数を推定するということで、消費者団体訴訟制度の成果の可視化につなげることはできないものかと思っております。

次に、2番になります。適格消費者団体及び特定適格消費者団体の適正な業務運営を確保するための内閣府令及びガイドラインの改訂についてです。これについては、ある日突然改訂に向けた案というのが出て、意見募集となり、どういうことなのかという思いもありましたが、その中身も適格消費者団体に対して過剰な負荷を及ぼすものであり、よくわからないものでした。信頼性の確保は重要ですが、この提案にある団体監督の厳格化は必要ないと考え、当会は反対の意見を提出。また、ほかの団体や専門家等からも多数反対意見が出されたと聞いております。私どもとしては、財政問題をはじめ、適格消費者団体の組織運営の大変さを熟知しているはずの消費者庁がこのような提案を行ったことについては遺憾と言わざるを得ません。

消費者庁案に対して改めて整理いたしますと、消費者団体訴訟制度の信頼性を確保することは重要ですが、既に消費者契約法第13条第5項にて適格認定を受けられない事由が定められており、従来の法規制のもとで適格消費者団体の運営をめぐる問題も生じていない中、法改正という形をとらず、ガイドライン改訂という形で現行の法規制を加重するような規定を置くことは問題があると考えます。

細かく見ていきますと、ガイドライン改訂案では、過度に特定の事業者に依存することがないように留意することが必要であると加筆しようとしています。特定事業者とは事実上生協のことを言っていると思いますが、消費者団体訴訟制度自体は適格消費者団体により適切に運用されていることから、現時点でこの点を強調する必要はないと考えます。

それよりも、本来、適格消費者団体に求められる役割を果たすには、現在の事業者からの支援では不足であり、公的財政支援を拡充する中で特定事業者からの支援割合を低減させていくことが求められる姿であると思っております。現状、支援がない中、このような形で団体監督だけ厳格化しようとするのは、適格消費者団体の運営に支障を来しかねないと考えます。

役員の欠格事由に相当する規定については、法律で現状規定している内容を踏み越える内容のものをガイドラインで規定しようとしていますが、仮にこうした規制を検討するのであるのならば、国会で審議すべきと考えます。

適格消費者団体の事務所に関する規定については、仮にこの規定が発動されたら事務所移転をするケースも出てくることになり、適格消費者団体の運営や実務に大変な負荷をもたらすと思います。その場合は、事務所改修費の手当てや自治体の施設の一角を事務所としてあっせんするなど手当てが必要であると考えます。

また、内閣府令の改定案として、事業者から労務の提供を受けている場合、財務諸表の中に当該事業者の名称と総額を記載させるとなっていますが、出向している事務職員が各団体とも1、2名程度である中で、この個人情報とも言える給与金額を提出させるのは過剰な対応であると考えます。

いろいろ申し上げましたが、重要なことは消費者団体訴訟制度が確実にワークしていくことであり、今回のような消費者庁提案が規定化され厳格な運用が求められることになれば、適格消費者団体の運営に支障を及ぼしていくことが強く懸念されます。消費者庁はじめ国に対して、公正な市場の実現に向けて公益的な役割を担う適格消費者団体を育成・支援していく観点での施策を求めます。

後ろのほうに資料を添付しておりますので、適宜御覧いただければと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、この後の質疑応答に移ります。御意見、御質問がございます方は御発言をお願いいたします。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 ありがとうございます。

適格消費者団体の皆さんは、資金とかマンパワーがない中、消費者の被害防止と回復のため働いていただいて本当にありがとうございます。また、消団連の方はそういう消費者団体の御支援、本当にありがとうございます。

お話を伺っていて、私としては2点進めていただけたらいいと感じた点がございますので、検討していただけたらと思います。

まず1点目ですけれども、事業者との連携ですが、KC’sさんは企業会員も47いるということでしたけれども、なかなか適格消費者団体は企業との連携が進んでいないように思います。私としては企業との連携は絶対必要なことだと思っています。まず、話し合いの場を持つということ、そういう場所があるということがとても大事ですし、優良企業にとっては悪質な企業は敵対するものであり、その点から言うと適格消費者団体と優良企業というのは手を携えて闘える相手だと思っています。

消費者教育の推進に関しましても、契約当事者になる企業に入った社会人というのはほとんど消費者教育が行われていないところがありまして、この辺を優良企業とネットワークを組んでいって、企業の社員の被害防止と、また加害者にならないという点でやっていくということはとても大事かなと思っています。

消費者市民社会の推進ということを考えましても、消費者からいろいろ意見を聞いて、企業のほうもその意見を取り入れた商品を市場に出していくということで、優良企業が消費者の支援を受けて生き延びてくという理想的な姿が展開されるのではないかと思っています。

あと、皆さん、資金面で非常に苦しいというところがありますので、ぜひ企業のほうは、企業そのものが正しく進んで、悪質企業が減るということは、企業にとっては投資する価値もあることで、会員として会費を払うというのは当然のことだと思いますので、お金をいただいたからといってその企業にすり寄る必要は全然ないわけですから、企業会員というのは必要かなと思っています。

2点目に感じたことですけれども、横浜市の消費生活センターの横に事務所を構えることができたというお話を伺いました。適格消費者団体というのは消費者を代表する団体でありながら、専門家集団であり、一般消費者の認知というのは非常に低いように思います。私たちは直接消費者に出前講座とかに行くことがあるのですけれども、いまだに消費生活センターを御存じない消費者が圧倒的に多いので、行政の消費生活センターの横に適格消費者団体がいるということで、安心できる消費者の相談相手であり、個別の被害回復は消費生活センターにお願いするけれども、今後の被害防止には適格消費者団体に申し出るという形で、見える化をして消費者の認知を上げていく、利用していただくということが大事かなと思います。

この2点について、皆様の御意見をいただければと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

では、2点、事業者との連携と行政との連携、広く言えばそういうことになるかと思いますが、それぞれお答えいただいてもよろしいでしょうか。

どうぞ。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ山内事務局員 訂正なのですが、説明不足で申しわけございません。消費生活センターが入っているのは4階で、私どもは5階ですけれども、フロアが違うので、そういう意味で言うと、見えるかと言うと見えることではないです。済みません。

○高委員長 あとは、事業者との連携は、始まったばかりでまだそこは考えておられないということだったのですけれども、今後、事業者との連携はいかがでしょうか。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ上村副理事長 当然、当会、消費者支援かながわにおいても財政基盤を安定させていくということで、これから企業等を回りながら寄附を募っていくということは当然考えておりまして、資料を見るとKC’sさんとは桁が違うなと思います。もちろん長くやっていて、我々はまだ始まったばかりというところですので、よちよち歩きもまだしていないような、はいはいの状態のところで考えておりますけれども、やはりいろいろなところからお金をいただきたいということは、同時に我々のことを知ってくださいという宣伝活動になりますので、そういったものに関して、人もいない中、事務局も含め、我々役員も含め、手弁当でやっていくことでどこまで行けるかというのはわかりませんけれども、そういうことは当然に考えております。横浜市も割と大きな会社が結構あるものですから、そういったところに対してアプローチを続けていくことは大事なことなのかなと思っています。

それから、私は司法書士で司法書士会のほうの役員もやっているものですから、そこで法教育の重要性をよく考えております。特に成人年齢が引き下げられるというお話があって、ある意味巨大な200万人という大きな市場が4年後にどんとあらわれます。恐らく悪質業者はそれを手ぐすね引いて待っているのだろうなと。だから、そこに取り込まれないように、保護者であったり、子供たちに対する法教育の場を提供する。そこに我々が行政と連携しながら学校教育の場でもアピールして、あるいは出前講座をやっていくということを今考えているところです。

時間が長くなってしまいますから、私からはとりあえずこれぐらいでお願いいたします。

○高委員長 ありがとうございました。

もう既に説明していただいたのですけれども、先ほど消団連さんが内閣府令、ガイドラインの規制は過剰ではないかという話があって、確かにマイナスの部分もあるのですけれども、それを逆にある意味ではいい方向に持っていかれた例ではないかと思ったのですけれども、そういうふうに解釈することは無理がありますでしょうか。事務所を考えるのに、行政との連携。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ山内事務局員 たまたまですね。

○高委員長 ほかの団体さんもそういうことができるようなものではないだろうとお考えですか。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ山内事務局員 どれだけ行政の方が御理解いただけるかということと、それと最初私どもも神奈川県に、これは正確な情報ではないのではっきりしたことはわかりませんが、熊本さんが県の施設のどこかに事務所を構えたという話を当時聞いたような気がするのですが、あれは違いましたか、神奈川県に熊本の話をしたことがあるのですけれども、神奈川県は財政的に厳しくて、今まで県の施設以外に借りていた部局を、県の建物に持ってこようとしています。サポートセンター内にある会議室を、ボランティア団体等に安く貸し出している会議室を減らして、そこに県の部局を入れてきているという関係もありまして、行政も財政が厳しい中で空きスペースがないというのが実情かなと。

横浜市の場合は、商品テスト室というかなり広いスペースがありまして、現在そこを使っていないので仕切って使ってもいいのであればみたいな感じだったのです。だから、こちらからその話を持っていったわけではなくて、たまたま向こうからこういう場所があるけれどもどうだという感じだったのです。

○高委員長 後でまた改めて全ての消費者団体の方にお聞きします。どうぞ。

○樋口委員 今の行政との関係ですけれども、今お話を伺った中で2点ほどもしお差し支えなければ教えていただきたいのですが。横浜市の施設を利用するに当たって、当初は50%減免ということでしたが、大体で結構なのですが、どのぐらいの賃料をお支払いになったのかということと、管理費や光熱費がどのくらいかかるのか。

もう一点、2ページ目の上から5行目ぐらいのところに、理事会は、「これまで、神奈川県生協連の会議室を借りて開催していたが、消費者庁の指導(個室でないため)により、かながわ県民センターで開催」と書いてあるのですが、この事実関係を伺いたいのです。会議室を借りて開催していたということですが、会議室というのは個室のような気がするのですが、消費者庁はどういう指導をされたのか、ここのくだりはどういうことか、細かいことで恐縮ですが、お差し支えない範囲で教えていただければと思います。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ山内事務局員 後者のほうからいきますと、神奈川県生協連もこういうスペースの中にロッカーで仕切って会議スペースをつくっているのですが、上がオープンですし、それから会議をしているスペースを通って県生協連の事務スペースがあるというところだったのです。私たちは6時から理事会をやるわけですが、そのときも県生協連の職員の方がいらっしゃいますので、そうすると話している内容等が伝わるということもあって、ちょっとこれはよろしくないですねと。消費者庁のガイドラインの改定が出る前の話ですけれども、認定に向けてそういうところが問題になりました。

○樋口委員 その時点において、理事会は個室でやれという規定が何かあったわけでしょうか。そういう指導があったというのですが、どういう根拠で指導されたのか。何か根拠を上げて指導をされたのでしょうか。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ山内事務局員 いや、特にこういう根拠でということではないです。たまたま上が抜けている、すぐ隣で事務をやっているところが見える。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ上村副理事長 我々が当初NPO法人をつくったときに、事務所として置かせてもらったのが神奈川県生協連だったのです。県生協連は新横浜にあるビルの9階にあるのですけれども、そのワンフロアのところで、会議室というよりも事務所の人たちがいるところの隣にスペースがあるので、そこで会議をやっているというだけの話だったのです。そうすると、生協連と我々というのは区別が全くない場所だったのです。これは今後適格の認定を受ける上でよろしくないということなので、パーティションで区切られていて、鍵がかかって、ちゃんとキャビネットとかで情報を管理ができるようなところをきちっとつくらないといけないよという話がありましたので、それで我々が事務所をどうしましょうかねと。適格の認定を得るときに最初に考えたのは、人云々というよりも、とにかく場所をどうするかということでした。

たまたま県生協連にいる一人の方が横浜市とお話ができる方だったのと、横浜市の委員会に入っている弁護士の鈴木先生が当団体の副理事長をやっていて、割と横浜市とも顔が見えてお話ができるような体制がうちにあったのです。そんな中で、どこかないかねという話をしていたときに、たまたま横浜市の消費者センターが入っているところに商品テスト室があり、そこで商品テストをやっていたのですけれども、もう横浜市は商品テストをやらなくなっていて、ずっとあいているので使ってはとお話をいただきました。そこを全部ということになると我々としては賃料を払えないので一部を借りることになりました。

賃料は幾らでしたかね。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ山内事務局員 50%減免で、3カ月単位で更新していたのですが、3カ月で9万円ぐらいです。それが今度はなくなるということです。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ上村副理事長 横浜市で事務所を借りようと他のところを探したのですが、どうしても当時我々の財政基盤で月に出せるのが3万か4万だったか、4万円ぐらいでも借りられるところはさすがに横浜市にはないのです。

ちょっと別の話ですが、今から考えるとNPO法人をつくろうとしたときには、NPOの活動に参加している人たちの本来の活動拠点がどこかということとは別に、NPO法人の活動拠点をどこにするかということは別けても考えられることです。NPO法人の拠点をどこにするかを考えるときには事務所の家賃の問題は大きいですし、あとから事務所の所在地を変えるのは大変ですから。 そのようなときに、たまたまそのお話をいただいた。いただいてからは、割りかしとんとん拍子でした。

当初、横浜市からそこを全部どうかと言われたのですけれども、全部では家賃を払えないので、払えるところまでというので、3万ぐらいだと何とかなるからというところで、そこにちょうど落ちをつけてもらった。

県も横浜市も非常に我々に好意的というか、協力をしていただいて、そんなことで県からは助成金をいただき、市からはこうして場所を提供していただいた。

今、事務所に関しては一応きちっとスペースで。もちろん消費者センターのところに、ちゃんとうちの看板というか、名前も出ていますので、来ていただくとここに一緒にあるのだなというのはわかるようになっています。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、群馬ひまわりの会。先ほど、もう既に商工会議所との連携みたいなものも模索されておられる、事務所も既に桐生市にあるということで、特に何か御意見があればお伺いしたいのです。今後、事業者との関係をこういうふうに考えていきたい、あるいは消費生活センターとの連携とか、そういったものは。既に協定書を結んで仕事をされておられるのでしょうけれども。

○特定非営利活動法人消費者支援群馬ひまわりの会樋口理事長 事業者との関係だけ若干申し上げますと、幾つかの商工関係の団体と接触しています。それで、先ほど大森先生がおっしゃったように、共通の基盤があるのだ、悪者を退治するのだ、あなた方も犠牲者なんだよということで説明をしていて、そこはわかってくれます。わかってくれますが、では金を出すかというと、それは別の問題だと。今、こんな苦しい御時世の中で、そういうことで金を出すという業者あるいは企業はなかなか見つからないよということを率直に回答としていただいている。

したがって、企業からもっともらえよという話は非常によくわかるし、私どもも欲しい。欲しいけれども、そのためのインセンティブがもう一つ具体的にないと、これはなかなか難しいのではないか。皆さんと一緒にそこのところは考えて、前進させていく必要があろうかなと思っています。

○高委員長 ありがとうございました。

では、同じ質問ですけれども、被害防止ネットワーク東海さん、お願いできますか。

○特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海野澤事務局長 事業者との連携のところは、具体的なところは先ほどの報告にもありましたけれども、生保協会の愛知県協会、損保協会の愛知県協会が消費者との意見交換会をやっておりますので、そこに当団体も参加させていただいているということぐらいです。

あとは、事業団体あるいは事業者との連携というのは、具体的にどんなふうな形で進めていいのかというのがわからなくて、やっていないということがありますけれども、名古屋市さんとは消費者志向経営セミナーというのをこの間ずっと受託事業としてやっております。これは今年の11月にやるセミナーですけれども、今回はインターネット通販における適正表示の問題で、通販協会からも講演に来ていただいてお話をするのですが、そこに名古屋市商工会議所等の会員の方をお誘いし、名古屋市さんからアプローチしてもらうのですけれども、そこで会議というか、セミナーを通じて事業者さんとのつながりをつくろうとしておりますが、団体に直接アプローチするということはできておりません。

あと、私どもは団体賛助会員というのがございますけれども、これは一部、先ほど言った生保協会、損保協会が加入していただいていますが、そのほかは生活協同組合のお取引先の会員でございます。その企業に対してお願いをし、支援をしていただいているという形で、賛助会員になっていただいているというのが現状でございまして、具体的な事業団体へのアプローチというのは、他の団体等を参考にこれから検討したいと思っているところでございます。

施設については、最初にスタートしたときには、実は生活協同組合コープあいちという生協があるのですけれども、この単位生協の施設の中に事務所がございましたが、7、8年ぐらい前に外に出て、その後、家賃の関係でさらに引っ越しをして、今は一般の民間のアパートに間借りしておりますけれども、そういう関係が今、生活協同組合事業団体と当団体の間にあるわけでございます。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、KC’sさん、お願いします。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西五條差止検討委員長 まず事業者との連携、あるいは教育推進のことです。KC’sはこういった活動をやってはいるのですが、その立場から言うと、かなりの人的パワーが必要です。各団体、お金がない中で、あるいは差止請求だけでも手いっぱいの中で、事業の幅を広げていくのはかなり難しいのではないかと想像しています。

そういう意味では、各団体に直接的な金銭支援、団体全体で総額10億ぐらいあればいいかなと思うのですが、せめて1億ぐらいでもぽんと突っ込めば、それでかなり各団体の運営が楽になり、それぞれいろいろなことを考えられるのではないかと思いながら、今お聞きしていたところです。

事務所の場所の問題に関しては、KC’sも発足直後は大阪府の消費生活センターの一角、本当に2、3畳ぐらいですか、物すごく狭いスペースを間仕切りして、そこを借りてやっておりました。それは、費用的な問題ももちろんそうなのですが、当時はまだ10年以上前で適格団体も海のものとも山のものともつかない時代でしたので、消費者センターの一角を借りることによって、信頼を得られるという意味でも大変意味があったことだと思いますので、御紹介しておきます。

○高委員長 ありがとうございました。

消団連さんはいかがでしょうか。事業者との関係で、寄附の問題もありますので。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 小林と申します。

全国消団連としては、先ほど御紹介した消費者スマイル基金の取り組みをやっていまして、こちらのほうで事業者との連携を模索しております。

資料の後ろから2枚めくっていただいたところに、NPO法人消費者スマイル基金の会員の名簿と、次のページに寄附者の御紹介の紙をつけておりまして、会員紹介の右側、賛助会員の欄の上のほうに事業者や事業者団体の御協力をいただいている方々のお名前を載せさせていただいています。

このように、御協力いただいている企業あるいは事業者団体の方々は、おおむね皆さんCSRに御理解いただいていて、それぞれの業界のトップの企業も多いわけですけれども、業界全体をよりよくしていきたいという思考を持っていただいている方です。私どもの話もしっかりと聞いていただいて、それぞれ社内で確認していただき、スマイル基金に対しても加入いただいたり、寄附をいただいたりという協力をいただいています。

一つ事例で言うと、健康食品の大手メーカーの方に入っていただいていますが、健康食品は御承知のとおり行政処分されるような悪質な業者もいるということもあって、業界全体をよりよくしていかなければいけないという問題意識を持っていただいて、会員になっていただくだけでなくて、健康食品の業界のセミナーにスマイル基金の事務局長をパネリストで呼んでいただいたり、あるいは業界団体の会議に私どもスマイル基金を呼んでいただいて、取り組みを紹介していただいたりしていまして、そういったことをほかの業界にも広げていきたいと思っております。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。いろいろ御苦労をされているところと、非常に参考になる話、両面ありがとうございます。

お伺いしたい点は何点かにわたるのですが、例えば最初にかながわで、消費生活センターの施設の部屋の一角を利用されたと。恐らくこれは条例制定ということも含めて、適格団体の公益性、一般市民にとって有益であり、あるいは市場の公正さにとっても有益だというあたりをちゃんと位置づけることによって、特定の団体に対する利益供与という議論を克服したということではないかと思うのです。その意味では、条例の中にどう位置づけたのか、あるいはどういう議論があったのかというのは、きょう詳しくお話ししていただくということは難しいかもしれませんが、資料提供なども含めて詳しいものをお伺いできればと思います。あるいは、そのポイントだけでも一言お伺いできればと思います。これがまず1点です。

それから、昨年までは地方消費者行政推進交付金によって、設立支援については各自治体がその実情に応じて比較的柔軟な形で支援ができた。ただ、今年度から強化交付金になって、そういう設立支援の柔軟な使い方が難しくなっている。ただ、昨年まで実施していた継続はできるということで、かながわとしては持続できたのかもしれないのですが、設立された以降は、自治体から地元団体に対する支援という交付金としての枠がないもので非常に厳しい。そのあたりは、かながわ、あるいはひまわりの会あたりで、設立段階での支援とその後の支援の難しさというあたりがありましたらお伺いしたいところです。

特にその問題は、東海あるいは関西で、今回消費者庁が初めて委託調査で調査・分析活動についての支援を始めてくれました。もちろんこれも競争入札で、毎年安定的にではない、非常に不安定なものではあるのですが、一歩大きく踏み出したというふうに評価できると思います。

これは、訴訟提起段階は事業者と消費者の対立関係があらわになった以降だから、そこは難しいとしても、調査申入れでおおむね9割方は自主的な改善を図る。その意味では、一般の事業者にとっても、むしろ指摘を受けて改善できるということで、公正な市場をつくる上で必ずしも対立関係だけではないのだという議論の整理の上で定着したのだろうと思うのですが、この新しい制度をもし受けておられるとすれば、それの評価、あるいはそれをどう今後広げていくかということについての御意見をお伺いしたい。

3番目は、これはKC’sさんにお伺いすることかもしれませんが、事業者の賛助会員というのが47と、多数あります。先ほど、冒頭の御説明の中でも少し言葉がありましたけれども、賛助会員にするということと、事案によってはそこも含めた申入れの可能性があり得るということ、利害相反の問題もあり得るのかもしれないのですが、そのあたりは賛助会員として募るときに何か確認事項なり、留意点として文書化するのか、あるいはきちんと説明されるのか、そのあたりの賛助会員になることと申入れ対象になり得るときの対処について、どういう配慮をされているのかについてお伺いできればと思います。

○高委員長 それでは、3点いただいたので、最初のものはかながわさんのほうでよろしいですね。群馬もそうですか。

○池本委員長代理 以前と設立以降ということです。

○高委員長 そうですか。では、まずはかながわさんのほうで、活動そのものの公益性が認められたという意味で、横浜市の施設を使えることになったということで、その場合、条例の中にきちんと支援も位置づけてもらったということですけれども、その内容は例えばどういう条例の位置づけをされたのか、そのポイントだけでも教えていただければということです。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ上村副理事長 きちっと条例を調べてなくて大変申しわけないのですけれども、神奈川県のほうは、ここに書かせていただいたように、県に消費生活条例があって、それを改定することをやっていまして、結局、その条例の改定の中で、本来であれば「訪問販売お断り」というステッカーを条例の中に位置づけてもらおうとやっていたのですけれども、これは知事の一言でだめになったのです。

ただ、そのかわりかどうかわからないのですけれども、適格消費者団体に対する支援に関する条項がきちっとつくられて、県は適格消費者団体を今後も支援していくということが明確に条例でうたわれました。

○高委員長 適格消費者団体という名前が入っているのですか。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ上村副理事長 入っているのです。これは大きかったと思います。これがあるからこそ、それなりにお金のほうの話が出てくるのです。お金のほうについては山内のほうが県と折衝しているので詳しいので、お金について次年度とか、今までのものとこれからのものについての見通しをお話しいただければと思います。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ山内事務局員 条例の中で、情報提供の関係をどうするのかというようなことが少し出ていたかなと思っております。

それから、横浜市の協定は、ウイン・ウインというわけではないですけれども、それなりの場所を提供することによって横浜市としてのメリットは何なのかという部分が出てくるのだろうと思うのですが、それが私どもの資料に基本協定の締結ということで、締結内容を5項目ほど入れてありますけれども、こういう内容ということです。認定を受けたということで、また新たにもう少しきちっとしようということで、現在、情報提供に関する内容を盛り込み、改めてもう一度協定を結びましょうと横浜市との関係ですすんでいます。

財政支援の関係ですが、池本先生がおっしゃいますように、認定を受けましたので、ある種もう終わりということになるのかもしれませんけれども、今年度は85万の支援をいただき、平成35年までは、そんなに多くはならないけれども、それ前後ぐらいの金額は何とかなるのではないかという話は聞いております。

内容は何かというと、私どもはニュースを年2回発行していますので、そのニュースの発行代、それから適格消費者団体の全国の交流会、これは非常に有効であるということで、これの旅費交通費等について支援をいただいている。特に情報提供に関係する部分について、引き続き継続してということになっています。備品関係は対象外ですけど。

来年に向けても同じような金額を予定しております。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ上村副理事長 使えるお金の使い道が若干変わるのですけれども、事務所をつくるというので、事務所の備品とかに使わせてもらったのですけれども、次年度からはそういうことには使えないけれども、補助金等はできるだけ出すように努力しますと県の担当者からも話をいただいていますので、次年度も引き続き県からの支援はいただけるというお話になっています。もちろんこれがいつまで続くのかというのは、県の財政もありますので不透明なところではありますけれども、できるだけ我々としては続けていただきたいということをお願いしていくことになります。

○高委員長 ありがとうございました。

ちょっと時間がないので確認はできないかと思うのですけれども、池本委員長代理が聞きたかったのは、条例の中に適格消費者団体の支援というものを盛り込む、そこに持っていった過程が知りたいのではないですか。

○池本委員長代理 後で資料提供を。

○高委員長 では、後で資料を提供していただいて、もしほかの団体もそれを共有できれば、ぜひ利用させていただきたいと思います。

○特定非営利活動法人消費者支援かながわ上村副理事長 わかりました。

○高委員長 それから、2点目ですけれども、これは実際に御意見のある団体にお答えいただければと思います。強化交付金の形になって以降、適格消費者団体に対する、特に設立されて以降の活動については支援が難しい状況になったけれども、新たに調査・分析に対する支援というものが始まったと。ど真ん中でもって支援をいただくわけではないのですけれども、これに関して御意見があればお伺いしたいということです。どなたかありますか。東海さんか、KC’sさんと聞いておりましたけれども。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西五條差止検討委員長 では、KC’sの五條のほうからお答えします。

まだ始まったばかりなのと、私が差止関係の部門のほうにおりますので、詳細はわかってはいないのですが、基本的には従前被害回復の検討部門において検討している内容と共通性のある事業が委託の対象になっているという意味では、適格団体の本来的な活動についての支援の効果があるということになっており、それ自体は非常に意味があることだし、ありがたいことだと考えております。

○高委員長 お願いします。

○特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海野澤事務局長 東海でございます。

今回の消費者庁さんの支援事業にかかわっては、全国に19団体適格消費者団体がある中で、5団体が今回受任をされたということになります。全国6ブロックありますので、残念ながら九州、中・四国は実施されなかったということがありました。したがって、今回、1年間だけでは5団体しか対応になりませんので、ぜひ継続していただくことを消費者庁のほうにはお願いしたいと思いますし、入札の仕方についても、もう少し公平といいますか、もう少し明らかにしてやっていくという形にしないと、ブロックごとに入札価格に開きがあったという点では、委託業務の質との関係でどうなのかなということで、個人的というか、私ども団体の意見としては、消費者庁さんのほうも適格消費者団体のほうも、入札について初めてのところでなれていない、ある意味では上手ではなかったと考えておりますので、その辺の改善も進めていただきたいということがまず1点。

あと、愛知県のほうは、先ほど適格消費者団体連絡協議会にかかわって特別予算で実は90万円ほどの支援をしていただいたのですが、その後、愛知県の条例文書の中に、愛知県に特定適格消費者団体が取得できるように支援するという項目を入れていただきまして、平成29年、30年、31年の3年にわたって、これも金額的には税込み97万2000円ですけれども、消費者団体訴訟制度を県民に知らせるため、あるいは適格消費者団体の活動を県民に知らせるためのシンポジウムを県主催で開催し、それに適格消費者団体を運営団体として指定をして支援するという形で支援をいただいているということですので、これもちゃんとそういうふうに明文化されておりますけれども、そういったことが新しい次のステップに行っているのかなと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございます。

最後、KC’sさんですけれども、賛助会員が非常に多い中で利益相反の問題はあるけれども、入会されるときにどういうチェックの仕組みがあるのか。それから、実際に利益相反が起こりそうなときに、差止対象に賛助会員になっていた場合、今までないのでしょうけれども、そういう場合にどういうふうに対応されるのか、それをお聞きしたいということです。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西五條差止検討委員長 入会時は理事会で承認しているはずです。ですので、どういった企業かは見てはいますが、私の記憶ではお断りした例は今のところはなかったという記憶ですが、ちょっとうろ覚えなのではっきりしないという前提です。

それから、賛助会員そのものに対する申入れの例は、私が記憶している限りでは今まではないはずなのですが、企業というのはいろいろなおつき合いとか関連会社とか関係している先があって、賛助会員が関係しそうなところに対して申し入れていたり、あるいはもっと広く言うと、理事会の構成メンバーに関連しているような先に対して申入れをしたりということは行われています。理事会で利益相反とか、あるいはそのおそれがある人について外して議決しているということは、日常的とまでは言いませんが、そんなに珍しくなく行われているというのが実情です。

ですから、私は差止関係の検討部門の責任者という立場ですが、基本的には賛助会員だろうが、何だろうが、違法だと思ったら理事会に諮ってやるという前提なので、当然のことながら、賛助会員に入っていただいても別に差止対象にならないというわけではありません。

そこまで明示的に言っているかどうかはともかくとして、当然そういう前提で勧誘して入っていただいているものだと理解はしていますが、入会時にそうとは限りませんよというようなペーパーをお渡しするというところまでは恐らくやっていないと思います。

○高委員長 ありがとうございました。あわせて、スマイル基金のほうでも会員を募る場合の手続がございましたら説明いただけますか。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 スマイル基金のほうは、入会については理事会で確認するということになっています。特段、業者、業態に関しての決め事としましては、やはり消費者関連という性格上、事業者さんに関しては口頭で確認をして、連鎖販売はやっていないということを前提にお入りいただくというような決め事をしているというところです。

○高委員長 ありがとうございました。

ほかに御質問はございますでしょうか。長田委員。

○長田委員 ありがとうございました。

最後に消団連さんのほうから見える化の話があったかと思うのですが、皆さんの御努力の申入れの結果などがそれぞれのホームページなどで御紹介されていても、それがいわゆる普通の消費者にとってぱっと自分の身近に感じにくいというか、そこまで見に行っていないし、見ても、正確に書いてあるので何かよくわからないとか、いろいろな課題があると思うのですが、見える化という、それぞれ皆さん努力していらっしゃるところで何か具体的にこういう工夫をしていますというのがあったら教えていただきたいし、共通の見える化の仕組みみたいなものがもし持てればいいのかなと思ったりするので、アイデアがあったら教えていただきたいと思います。

○高委員長 既に何らかのアイデアをお持ちの団体。こう言われてもないかもしれませんけれども、なかなか難しい問題ですけれども、見える化というのは、御指摘いただいたように非常に重要でして、寄附を募る場合でもその数字があれば協力もいただけるという話でございましたので、我々の活動が公益という意味で市民にどれぐらい貢献しているのかということを数字化するとするならば、何か具体的なアイデアがあれば幾つか御意見をいただけませんでしょうか。

難しいですね。

○長田委員 数字にあらわすのも魅力だけれども、もう一つそれ以外にほかの工夫もあれば。

○高委員長 そうですね。どうぞ、KC’sさん。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西五條差止検討委員長 そのものということではないのですが、資料の4ページにも書いているのですが、寄附の話です。団体そのものの努力というよりは、マスコミに報道されたりすることによって一時的に注目が非常に集まったりするケースがあります。最近で言うと、東海さんのジャニーズの例がそうだったと思います。そうなったときに、こういう団体を支援したいという人は必ずいると思うのですが、そのときに支援を受けとめるようなシステム、具体的には匿名で寄附できるようなものがあればお金は集まると思うのです。

ちょっと分野は違いますが、私は弁護士ですが、例えば弁護士が社会的に意義があると思われる訴訟をするのに伴ってカンパを集めたりしています。最近の例で言うと、きのう大阪高裁判決が出た、タトゥーを入れるのが刑事罰に当たるかどうかという事件で活動資金を集めておられましたが、あれは恐らく数百万円単位でカンパが集まっているはずです。そういうふうに、報道されて社会的意味があるものについて寄附したいという人はいると思うのですが、今の制度でなかなか難しいところがあるのではないかと思いました。

では、そのものの注目を集めるためにどうするかというのはなかなか難しいところで、注目を集めるような事案をやるというのも一つで、それは受け狙いではないかという御意見もあると思うのですが、受け狙いというのは一般消費者の人が関心を持ってくれる、要するに消費者が利害関係を感じてくれるような事案だということなので、必ずしもそれが悪いことではないのではないかと思ったりします。かつてやっていた携帯電話の2年縛りの訴訟も随分注目を集めたと思います。そういう意味では、私は差止請求の部門にいますから、そういう事件で注目を集めていくような方向を考えていくし、成果が出たものをなるべくわかりやすく発信していきたいと考えています。

発信に関する御指摘は、私もそういった場で、一般消費者が見てもわからないよということを指摘してはいるのですが、しょせん素人と言っては何なのですが、団体の中にかつて広告業界におられた人とかがいるわけではないので、つくっても一般の皆さんからはなかなかわかりにくいと言われて、ううんと考えているというのが実情です。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 適格消費者団体自身が取り組みをわかりやすく伝える努力というのは大事で、最近SNSを活用されている団体としてKC’sさんとかホクネットさんがツイッターなどで積極的に発信をして、これが多くの一般の方にリツイートされたりといった形で取り組みの内容が伝わっていくということがとてもいい流れだなと思っています。そういったSNSの活用のようなことが一つあり得るのではないか。

あと、私どものきょうの資料1の(3)に書いていますが、行政としても適格消費者団体の動きを後押しするようなことを仕組みとして何かできないだろうかということで、ここでは例えば数値化のようなことができないかということと、下2行に書いておりますけれども、消費者庁がせっかく消費者志向経営自主宣言企業の取り組みをしていらっしゃるわけですので、この事業者の消費者志向経営の指標とか評価基準の一つに、こういった適格消費者団体だとか、あるいはスマイル基金に対しての寄附実績とか協力ぶりといったものを入れるようなこともあってもいいのではないかと思っております。

○高委員長 ありがとうございます。

池本委員長代理。

○池本委員長代理 今、最後に御発言があった、基金に対しての支援を国の側でもっとやるべきではないかということに関連して補足してお伺いしたいのですが、環境基金、環境関係の活動に向けての基金というのが非常に規模の大きなものがあって、これはスタートの時点では国からも一定額を拠出し、しかもいろいろな企業、団体などにも国も相当な働きかけをして財源を確保し、それが日本中のいろいろな環境関係の取り組みを支援するというふうに動いてきていると聞いております。

今のスマイル基金を設立したことについて、例えば消費者庁がいろいろな事業者団体に向けて何か働きかけをする、呼びかけをする、あるいは国としてのそこへ財源の組み入れについて何か検討をするということがあったのかどうか、あるいはそれについて何か御意見があればお伺いしたいと思います。

○高委員長 どうぞ。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 これまでで言いますと、消費者庁が発行しているリーフレット等がありますが、消費者団体訴訟制度のリーフレットとか、今、改訂を検討中のようですが、改正消費者契約法についてのリーフレットの中で、Q&Aの一つとして消費者スマイル基金とは、というようなことで一項触れていただくぐらいの範囲の支援をしていただいているといったところです。

それ以上に踏み込んで、消費者庁として、事業者団体向けに消費者スマイル基金というものがあるからこれに協力しましょうといったようなことまでは、残念ながらしていただけていないかなと思います。

○高委員長 わかりました。

どうぞ、受田委員。

○受田委員 食品関係の話が東海さんと関西さんでございましたので、その点についてさらに伺いたいと思います。

まず、東海さんのお話の中では、優良誤認と思われる表示・広告について、合理的根拠を示す資料の提出を求める権限が適格消費者団体にはないと。その点がネックになって、実質的な是正要求、差止請求ができていない、もしくは断念せざるを得ないという具体的なお話がございました。

一方で、関西さんのお話の中で、これは具体的なお話でしたけれども、シジミ濃縮物についての健康食品の表示・広告が景品表示法に抵触するのではないかという優良誤認のお話がございました。

今、東海さんが言われている合理的根拠を示す資料の提出を求める権限がない点を、まずは関西さんはどういうふうに対応しておられるのか。それから、具体的に東海さんの側ではこうやって断念せざるを得ない状況は、その次、例えば消費者庁に対するつなぎであったり、さまざまな他の組織あるいは行政との関連によって対応することをしておられないのか、その点を伺いたい。

さらに、関西さんのお話では、例えばそうやって優良誤認の可能性のある事業者側からの資料が提出された場合に、科学的な吟味が必要になる、そこに調査が求められるという点に関して、行政機関との連携手段が確保されていることが望ましいと書いておられます。今、2つ目の東海さんにさせていただいた質問と関連して、この行政機関の連携の具体を伺いたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

幾つか分けて整理したほうがいいと思います。まず、優良誤認の判断ということに関しては、合理的根拠資料の提出権限がないから諦めざるを得ない、これは東海さんがおっしゃった話ですけれども、その場合にそこで諦めるのではなくて、例えば消費者庁あるいは県との連携で提出をお願いするというようなこともできないものなのかというのが1つですね。

それから、KC’sさんは、多分同じような問題を抱えているとは思うのですけれども、仮に提出を受けた場合に、その資料の分析をやるときに外の検査機関との連携がなかなか難しいのではないかという御指摘があった。

以上の2つかと思いますので、まず東海さんのほうからお願いできますでしょうか。

○特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海野澤事務局長 景品表示法の優良誤認の部分は、実は今私どもでやっております健康食品通販会社に対しては有利誤認ということで、これはお試しと思ったら定期購入という事業者でございまして、定期購入であるにもかかわらず、4回分必ず利用しなければいけないにもかかわらず、初回を大変お値打ちにしているだけで客を誘引する中で、本来、冷静に利用しなければいけない消費者をある意味では陥れているのではないかということで、この表示について申入れをしているのですが、これは有利誤認ということになります。

ただ、同じ事業者のサイトをよく見ますと、痩身効果があるかのような微妙な表現がたくさんある。そのことについて、実は消費者が有利誤認だけではなくて優良誤認的な表示でアフィリエイト、最近多いのですけれども、そういう表示もある。事実、最近、シエルという別の健康食品通販会社が措置命令を受け、課徴金も命令されたということですけれども、かなり近い表現を今私どもが差止請求訴訟を行っている事業者もやっているのです。そのことを消費者の方は見て、なぜこの事業者に対して優良誤認で申入れ、差止請求ができないのか、そういう点で非常に不満であるという御意見をいただいていることは事実です。

ただ、私どもの検討委員会で検討するのですけれども、そのことを適格消費者団体として証明するというか、申入れをするのは、科学的な根拠を向こうに提出させるという権限がございませんのでなかなか難しいかなと。

行政との連携も、その部分で今名古屋市さんとか愛知県さんとうまく連携できるというような状態ではないし、消費者庁さんのほうにもそのことについて今のところ何かアクションをしているということはないのが現状でございます。そのことを書かせていただいたということです。

○高委員長 KC’sさん、お願いします。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西五條差止検討委員長 KC’sも資料の提出の責任に関しては問題意識はほぼ一緒だと思います。現在、KC’sが申入れ活動をしている相手方事業者は、テレビコマーシャルをしたり、規模が比較的大きいところが多いので、資料を出してくださいと言ったら資料を返してくるという関係が、十分かどうかはともかくとして一応できているので、それなりに申入れ活動ができている。

あとは、案件を裁判外で解決しているからだと思います。仮に相手方事業者が徹底的にその根拠について争って、自分たちのやっていることには根拠があるのだと言ってさらに訴訟になった場合に、資料の提出責任も何もない丸腰の状態で訴訟に持ち込んで、果たしてそれを立証し切れるかというと、それはそれほど容易ではないだろうと思います。

それから、クロレラ事件のように健康食品の表示が訴訟対象になっている事例はあるのですが、あの事件も、クロレラそのものに効果があるのかどうかについては直接的な判断が必要ないような法的構成をとっておられます。本当に某健康食品に効果があるのかないのかということが徹底的に争いになると、立証はそれほど容易ではないという認識を持っています。

事業者とのやりとりでは、相手から外国語の論文が出てきたりしますので、それなりにKC’sでも科学者の方と連携をして、協力していただいたりはしているのですが、それもあくまでボランタリーベースでやっていただいているので、何でもかんでもお願いするというわけにもいきませんし、具体的に検査が必要な場面になってきた場合に、国の持っている国センとか、そういったものの検査部門が使えないのかなということを考えて資料の記載になったということです。

○受田委員 ありがとうございます。

そういう意味で、最後に全国消費者団体連絡会の御説明もございましたけれども、保健機能食品制度というれっきとした制度が既に運用されていますので、それに対応していわゆる健康食品と言われるものを淘汰していく、この動きが加速していかないといけないというのは皆様御認識のとおりだと思います。

その上で、適格消費者団体の皆様が今必要な支援ということで求められている、合理的根拠を示す資料を提出するという権限が与えられることがあるとしたら、その動きに対して、求めに対して大きなうねりになっていくというふうに認識をしてよろしいでしょうか。

○高委員長 KC’sさんと東海さんでいいですか。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西五條差止検討委員長 表示関係、特に科学的知見が関係するような表示について活動している団体は、資料の提出責任を法定をしてほしいということは恐らく共通して言っていることだと思います。当然こちらもお願いしていますし、過去、意見書等でもそういった要望を出しているところです。

○特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海野澤事務局長 同じでございます。

○受田委員 わかりました。そうしましたら、その提出された資料に関して、科学的根拠あるいは妥当性というものをよりスムーズに評価・検証ができるような仕組みをそこに合わせ持たせることによって、よりスムーズな活動に展開できるという理解でよろしいですね。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西五條差止検討委員長 はい。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

先ほど東海さんからの御発言の中で、ネット広告の話が出たかと思います。恐らく各団体、インターネット上の不当表示などについて取り上げるというのが最近増えているというのは共通ではないかと思うのですが、こういう問題は現実場面としてどうあるのか、あるいはどう今後改善するのかということです。

ネット広告というのは、それこそ毎月のようにちょこちょこ変わってしまう。例えば適格団体が何らかの申入れをすると、申入れをきちんと受けとめた全面改訂ではないけれども、ちょこっとあちこちを変えて、元のものと申入れの中身が違ってきている。十分改善されていないようにも思えるけれども、以前と違うのでまた申入れをしなければいけないというような、ネット広告特有の短期間の改訂のために差止め請求がなかなか組み立てにくいというようなことが現場でどう起きているのか。

その関係で、景品表示法は行政庁による処分の措置命令のときには、その不当表示を中止した場合においても行うことができるというのが明示的に入っていて、これはむしろそれを誤認した消費者に対しての注意喚起にもなるし、あるいは同種のことが市場で行われないための警告の意味もあると理解しております。

適格団体の場合、差止め請求という言葉だけからすると、現にやっていないと差止めできないというのは先般の最高裁判決でも出ているのですが、市場における違法行為を排除するという広い意味で言うと、そこも何らかの検討対象にする必要があるのではないかという気がするのですが、まず現場でそういう問題がどれほど起きているのかというところと、それから今後のあり方について御意見があればお伺いしたいと思います。これはそういう案件にかかわられたところがあるところは、いずれの団体からでも結構です。

○高委員長 それでは、最初にKC’sさん。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西五條差止検討委員長 KC’sの五條です。

表示に関してもころころ変わるという問題が1点。それで、ころころ変わった場合に、抽象化をしてこういう表示をやめろということを文書で表現して差止請求するということも可能ですが、この表示内容を抽象化するということに関しても、実際に訴訟になるとかなり難しいです。今我々がやっている訴訟は契約条項に関するものですが、それでは特定されていないという指摘が被告から来て、相当長期間請求対象の特定の作業をやっています。実際の条項であるとか表示そのものを差止めることは請求の特定としては簡単なのですが、それを抽象化しようとすると要素の抽出がかなり難しいという問題があります。

表示の問題に関しては、ちょっと忘れましたので、後ほど整理してお答えします。一旦私からは以上です。

○特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海野澤事務局長 私どもが今差止請求訴訟をしているインターネット通販の健康食品会社もまさにそのとおりでございまして、同社のところでは、例えばモニター募集とか、あるいは30日間返金保証とか、いろいろな問題となる表示をしているのですけれども、差止請求の申入れ書を送るたびに、その都度変更されてきておりまして、最終的には訴訟として今やっているのは、それでも初回の値段をとにかく不当に安くするということは消費者が誤認をするおそれがあるということについては変わらないので、その点にかなり絞って訴訟を起こしているのですけれども、表示そのものはインターネットの広告の場合は本当に頻繁に変更しますので、これ以外の会社のところでも昨日まであった表示がなくなってしまっているとか、勝手に規約も変えてしまっているとか、こういったことも含めて発生しておりますので、現時点という形での、あるいは前の表示で起きた被害にかかわっては何らこちらとしては申入れもできませんので、その点では消費者庁の行政処分のほうに委ねざるを得ないのかなと思っております。

○高委員長 ほかの団体は。どうぞ、KC’sさん。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西五條差止検討委員長 表示をやめた場合のいわゆるおそれの要件の問題があるのは確かで、申入れをするたびにやめるというケースもあれば、41条書面を送って提訴して、第1回期日が来て、答弁書が出てくるまでにやめて、やめました、だから請求棄却だよというような反応が出たりします。やめてくれること自体はいいことなのですが、その場合、事業者は違法だと認めることはまずないので、結局対象行為の違法性についてはあやふやなまま、やめたという事実だけがあって、そうすると我々も違法であることが裁判所で認められましたということを全面的に打ち出すことが難しいところがあって、同じようなことをやっている他の業者に改善が波及していかないというところがあると思います。

○高委員長 ありがとうございました。

ほかはよろしいでしょうか。

長い時間、いろいろ御意見をいただきましてありがとうございました。幾つか整理させていただきますと、4点になるかなと思っております。

まず、認定を受けることの効果は確かにあるという御説明をいただきました。事業者側からの協力もいただけるようになったということで、そういう意味では適格消費者団体を全国にさらにふやしていかなければいけないと感じた次第です。

2点目は、活動を始めてある程度の歴史のある団体さんになってきますと、例えば東海さんのリストなんかも見せてもらいますと、かなり持ち越しで長期間特定の仕事にかかわっていくことが多くなってくる。それは何を意味しているかというと、現在の法規制の中ではどうしても決着がつかないような問題があるという意味で、法改正をにらんだような検討も必要なのではないかという御提案をいただいたと思います。

消費者契約法の8条のリストの追加云々という御指摘があったのですが、一方で我々も余り契約法そのものを具体的に書き込んでいくことの合理性があるのかということで悩んでいるところです。

それから、10条の前段部分については削除が必要ではないか。それから、9条の1号についても非常に難しい問題があるということでした。いろいろと細かい本文上の問題も挙げていただきましたが、それは、ある程度年数を積んで活動をしてくると、そういったものがネックになっているという御指摘だったと思います。それから、ネット広告の話もそうですね。差止めをやったところで、相手側はころころと表示を変えるだけでなかなか成果が上がらないという御指摘をいただいて、我々、今後の対応を考えなければいけないと思いました。

3点目が行政との連携。これは非常にうまくいっているなという印象を受けました。ただ、一方で景表法の合理的根拠資料の提出云々というときに、適格消費者団体はそういった権限がないということ。もちろん権限が与えるための法改正をやればいいのだという話でしょうけれども、これもかなり難しいと思います。そういう意味では、この権限の行使を行政等に依頼するという形も、他方で考えられるのではないかと思った次第です。

最後は財政支援の問題で、いずれの団体さんもほとんどボランタリーベースでこの公益的な仕事をやっておられることに対して、国が何らかの形で支援をしないというのは問題だと我々も感じております。

それから、消団連さんが御指摘されましたけれども、内閣府令とかガイドラインというのは非常に厳しくなってきています。ただ、その問題の根源を辿れば、特定の事業者団体に依存せざるを得ないという状況がある、財政的に厳しい状況にあるということです。したがって、規制の話と財政支援の話というのはセットで考えていかなければいけないと思いました。

もう一点、これは財政支援とかかわってきますけれども、成果の可視化というのは難しいというのはわかるのですけれども、いろいろ知恵を絞っていきたいと感じました。いろいろな方の協力をいただくためにも、寄附をいただくためにも、理解をいただくためにも、数値化だけではなくて、マスコミとかSNS等を使ってこの活動の意義を伝えていくということも重要であると感じた次第です。

皆様におかれましては、忙しいところ御出席をいただきまして、貴重な御意見をありがとうございました。本日いただきました御意見、御要望につきましては、今後の委員会運営の参考にさせていただきたいと思います。

どうぞ。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会小林事務局次長 消費者委員会への要望が1点ありまして、先ほど触れていただきましたが、適格消費者団体のガイドライン問題についてですけれども、そもそも今回、不適切な適格団体の権限行使なども起こっていないのにこのような提案が出てきたこと自体が非常に遺憾だと思っているわけです。

消費者庁のスタンスでとても残念なのが、代案もなくこのような案を提案してきているというところにありまして、つまり、特定の事業者に依存するべからずと言いながら国による財政支援等は何ら講じられていないとか、あるいは先ほど出た事務所の移転問題なども、かながわに関してはたまたま結果オーライと受けとめましたけれども、これを一般化すべきではないのではないかと思いますし、仮に事務所移転のような話が出てくるのであれば、公共施設の一角をあっせんするような対応であるとか、あるいは先ほど出た地方消費者行政推進交付金を充当してよしとするとか、そういった施策とセットで考えてほしいと思います。

現時点でこの問題がどう決着するかというのはまだわからない状況ですけれども、ぜひ消費者委員会としても、今後この件について意見等の対応を御検討いただければと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございます。

御指摘は非常に重く受けとめておりまして、我々もこれは注視、検討していかなければいけないと思っております。


≪3.閉会≫

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところを御参集いただきましてありがとうございました。

(以上)