第242回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年1月31日(火)14:00~15:26

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、増田委員
  • 【説明者】
    消費者庁佐藤取引対策課長
    消費者庁取引対策課担当者
    金融庁島村総務企画局企画課信用機構企画室長
    資源エネルギー庁藤本電力・ガス事業部ガス市場整備室長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 特定商取引法施行令の一部改正について
  3. 消費者基本計画工程表の改定に向けた意見について
  4. 身元保証等高齢者サポート事業について
  5. その他
  6. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。

皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただ今から「消費者委員会 第242回本会議」を開催いたします。

本日は中原委員が御欠席となっております。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記載しております。資料1-1~1-4につきましては特定商取引法施行令の一部改正についての関連資料。資料2が消費者基本計画工程表の改定に向けた意見の関連資料。資料3-1~3-3が身元保証等高齢者サポート事業についての関連資料。参考資料1~4となっております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.特定商取引法施行令の一部改正について≫

○河上委員長 最初の議題は「特定商取引法施行令の一部改正について」です。本件につきましては、資金決済法の改正に伴うものとして資料1-1のとおり、ガス事業法の改正に伴うものとして資料1-2のとおり、それぞれ本年1月30日に内閣総理大臣から特定商取引法における適用除外に関する政令の改正についての諮問がございました。

本日は、これらの諮問事項について、消費者庁、金融庁及び資源エネルギー庁からヒアリングを行い、審議を行った上で、委員会としての判断を示すこととしたいと思います。

消費者庁、金融庁、資源エネルギー庁におかれましては、お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、施行令改正の概要についてでございますけれども、合わせて15分程度で説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁佐藤取引対策課長 消費者庁取引対策課長の佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、お手元の資料1-3と1-4に基づきまして御説明させていただきますので、まず、1-3を御覧いただければと思います。

1-3は、今、河上委員長からお話しいただきましたとおり、資金決済法の改正によりまして、仮想通貨交換業に関する規制が新たに導入されたことに伴いまして、特商法の施行令を改正することが適当かどうかという話でございます。

まず「1.諮問の必要性」を御覧ください。そこにありますように、資金決済法が改正されまして、仮想通貨の売買などを行う「仮想通貨交換業」に対して新たに規制が整備されたところでございます。

御案内のとおり、私どもの特定商取引法に関しましては、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の3類型につきましては、ほかの法律の規定によって消費者の利益が保護できると認められる場合には適用除外とするという整理になってございます。

こういう整理に基づきまして、今般の資金決済法の改正に伴いまして、政令を改正する必要があるかどうかについて御意見を賜りたいということでございます。

次に「2.諮問事項」でございますけれども、この特商法の適用除外に関しましては、ほかの法律におきまして主務大臣が消費者保護を目的とした是正措置を行うことが可能とされているものを適用除外として措置するという考え方になっておりまして、この資金決済法について申し上げますと、既に現行の法令におきまして、前払式支払手段発行者、資金移動業者等が行う商品の販売又は役務の提供について、特商法の適用除外という整理にされております。

今般、改正されました資金決済法では、利用者保護の観点から、仮想通貨交換業者に対する誤認防止のための説明、契約の内容についての情報提供等の措置を講ずる義務、利用者財産の分別管理の義務などが規定されております。その上で、利用者の保護のために、必要があれば内閣総理大臣が業務改善命令、更には業務停止命令等を発出することができるという規定が新たに導入されております。したがいまして、改正資金決済法が規定します仮想通貨交換業につきましては、主務大臣である内閣総理大臣が消費者保護を目的とした是正措置を行うことが可能であると言えるのではないかと考えております。

結論といたしましては、改正資金決済法に規定します仮想通貨交換業は、特商法の適用除外とする旨、施行令の改正を行うことが適当であると私どもとしては考えておりますところ、委員会の御意見を伺いたいと考えております。

続きまして、ガス事業法の改正によりますガス小売全面自由化に伴う措置について、御説明申し上げます。資料1-4を御覧ください。

まず「1.諮問の趣旨」でございますけれども、特商法は訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の3類型について「契約の締結後速やかに提供されない場合には、その提供を受ける者の利益を著しく害する恐れがある役務として政令で定める役務の提供」につきましては、いわゆるクーリング・オフ規定の適用除外としております。これに基づきまして、特商法の施行令におきまして、ガス事業法に規定されております一般ガス事業者及び簡易ガス事業者が適用除外の対象とされております。これは日常生活において必要不可欠なガスの供給について、事業者がクーリング・オフ期間の役務提供を控えることによって、かえって供給を受ける消費者の利益が害されることがないように、こういう制度にされているというところでございます。

それと裏腹の関係でございますけれども、ガス事業法におきましては、同様に供給を受ける者の利益を害することがないように、一般ガス事業、簡易ガス事業に該当する役務の提供に供給義務が課されているということでございます。

今般、ガス事業法が改正されまして、ガスの小売業参入の全面自由化が実施されることになりまして、それに伴いまして、従来の事業類型を変更するという改正が行われることになります。

これに伴いまして、特商法の施行令について所要の改正を行う必要があるのではないかと考えております。

次の2ページ目を御覧ください。改正ガス事業法につきましては、従来の一般ガス事業者、簡易ガス事業者といった区分を廃止いたしまして、事業類型を変更するという改正が行われました。

具体的には、下の参考の図を御覧いただければと思いますけれども、このようにガスの生成から需要家への供給に至るまでの流通段階に応じて事業を区分するという改正が行われております。

需要家に対してガスを供給する契約を締結することとなるガスの小売事業者につきましては、一般的には供給義務は課されるものではなくなるということなのですけれども、小売事業者が経営破綻などして、消費者がガスの供給を一切受けられなくなるということが生じると困りますので、その上流にいます一般ガス導管事業者は最終保障供給として、ガスの供給を拒んではならないという、一種の供給義務が課されるという整理になっております。

以上を踏まえまして、3ポツを御覧いただければと思いますけれども、このように、ガス小売事業者には供給義務が課されていないことから、ガスの小売業者が訪問販売などで消費者とガス供給契約を締結した場合には、クーリング・オフの対象にするということが消費者利益の保護に資するものと考えております。

他方、改正法における一般ガス導管事業者の最終保障供給につきましては、供給されないと、消費者の生活に支障を来すガスの供給でございますので、特商法の26条3項第2号にいうところの契約の締結後速やかに提供されない場合にはその提供を受ける者の利益を著しく害するものに該当すると考えております。

したがいまして、この最終保障供給によって提供される役務についてはクーリング・オフ規定の適用除外とするように、特商法の政令を改正することが適当ではないかと考えておるところでございます。

最後、3ページ、この改正ガス事業法の附則におきましては、経過措置ということで、旧一般ガスみなしガス小売事業者、旧簡易ガスみなしガス小売事業者が行います改正前のガス事業法と同様にガスを供給することが義務とされる役務、これらについては、消費者にとって供給されないと生活に支障を来すガスの供給ということが言えるということでございますので、これらについても、クーリング・オフ規定の適用除外として規定することが適当であると考えておるところでございます。

なお、御参考までに同様の趣旨の改正を昨年の電気事業について手当てをしたところでございまして、本質的には同じような改正かと考えておりますけれども、このような施行令の改正を行うことについて、消費者委員会の御意見を頂ければと考えております。

以上、簡単ですけれども、私からの御説明とさせていただきます。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 ガス事業法に対しては、変更に伴って、小売業者に対してクーリング・オフを入れていただき、最終保障供給のあるところにはクーリング・オフの適用除外とすると、現状に合わせた合理的な改正かと思います。

もう一点のほうです。資金決済法の仮想通貨の件ですけれども、これはほかの業法できっちりした規制があるものは適用除外になるというルールですから、これ自体はきっちりと財産の分別管理とかが施されているし、きっちりした改善命令とかも出せるということで、今までのルールからいうと、適用除外となるということは当然なのかなと思います。

今後のお願いですけれども、なかなか消費者教育が進んでいません。進んでいない中でも、クーリング・オフという言葉は割合周知されています。でも、十分時間がとれないので、訪問販売だったら全てクーリング・オフできると考える消費者がとても多くて、実は別の事業法があって、そちらで適用除外になっていたということで、被害が出て、クーリング・オフに代わるような制度が導入されたということもございますので、今後、いろんな商品が販売されるようになったり、販売方法が多様化されたときに、迅速に対応するのがかなり難しいのではないかと思います。なので、今後、できるだけ適用除外ということは入れない方向で考えていただけると、一般消費者にとってはとてもわかりやすいのではないかと思います。これは私個人のお願いです。

○河上委員長 この辺はいかがでしょうか。

○消費者庁佐藤取引対策課長 私どもとしては当然のこととして、特商法の適用除外にするということは、他法令において十分な消費者保護、利用者保護が図られるということが前提になっていると考えておりますので、今の御指摘も踏まえて、消費者保護に支障を来すことがないように、金融庁をはじめ、関係省庁ともよく連携をして、新たな見直しの必要性が生じた場合には、よく相談して慎重に検討していきたいと考えております。

○大森委員 あと一点御質問ですけれども、一般消費者が適用除外になっているものは、消費者庁のホームページとかで簡単に一覧表みたいな感じで見られるのでしょうか。もしそういうものがあると、消費者としても、今は出力したり、見たりすると、すごくわかりやすいと思うのです。なかなか行政のホームページというのは難しくて、見たいもの、得たいものが簡単にとれないことが多いので、可能でありましたら、今後、印刷物を配布するといったことだったらとても費用がかかりますけれども、ホームページ等で適用除外になっているものはこういうものがありますよと、一覧表でわかりやすく提示されていて、それが出力できるということがあると、一般消費者にも非常にわかりやすいのではないかと思います。

○消費者庁佐藤取引対策課長 ありがとうございます。

私どもも、特商法をはじめ、消費者保護に関連しますいろいろな制度、法律の周知広報というのは非常に重要だと考えておりまして、特商法につきましても、例えば消費者庁のホームページの中に、特商法ガイドという専門のコーナーを設けまして、できるだけわかりやすい形で規制の内容でございますとか、執行の実績が、一般の方にもわかりやすく御覧いただけるような努力をしているところでございますので、今、委員から頂いた御指摘も踏まえまして、一層わかりやすい内容になるように、引き続き努力していきたいと思います。

○大森委員 ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 資金決済法の改正に伴う措置として、特商法のことについては了解いたしました。ただ、適用除外ということに伴う話ですが、資金決済法のほうでは、民事的な効果というものはないわけですから、登録を受け付ける際の確認であるとか、何かあったときに速やかに情報収集して、それに従った処分あるいは指導などをしていただくことが重要と思います。そこが迅速に行われないと、ほかの法令で消費者保護が図られているとは言えないのではないかと思いますので、そこのところは是非引き続きお願いしたいと思います。

○河上委員長 それはよろしいですか。

金融庁、お願いします。

○金融庁島村総務企画局企画課信用機構企画室長 どうもありがとうございます。

正に今回の法律は、施行までにしっかりとした体制を整えていくということで、監督部局も含めまして、十分な増員も含めて、今、措置すべく対応しているところでございますので、増田委員のおっしゃるような十分な消費者保護の観点が図れるような体制整備を監督部局を含めまして、全庁で対応しておりますので、是非その旨は御理解いただけますと幸いでございます。

○河上委員長 池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

まず、ガス小売自由化の関係については、私も全く異論はありません。義務的供給以外はむしろ特商法で解除できるという形ですので、異論はありません。

資金決済法、仮想通貨の関係ですが、基本的な方向としては、これまでの前払式支払手段発行者とか資金移動業者等と同じような水準できちんと監督していただけるものと期待しているのですが、資金決済法は、省令に義務の内容が記入される形になっているので、念のため、そこの中身についてどういうものを規定しようとされているのかという点、これは金融庁のほうで可能な範囲で要点を紹介していただければと思います。それが1点。

この仮想通貨交換業というのが、取引形態としては主として、これまであるいはこれからどういうものを想定されているのか。例えば通信販売形態だけなのか、あるいは訪問販売とか電話勧誘販売についても想定されるということなのか。

それと、交換業の関連会社というか、その下に代理店のようなものが付くことは想定されないのか。そういう場合には、仮想通貨交換業者から代理店なり、それに対する監督なり指導なり、この辺りはどういうことを想定されているのか。

以上、3点、お伺いできればと思います。

○河上委員長 お願いします。

○金融庁島村総務企画局企画課信用機構企画室長 池本委員、どうもありがとうございます。

御指摘の点については、現在、政令、府令につきましてパブリックコメントをかけております。

正に委員がおっしゃるとおり、特に具体的な利用者への情報提供義務、法律の63条の10で規定しているところでございますけれども、ここについては、例えば情報提供する内容として、まずは事業者名を明示しないといけない。登録番号も提供しないといけない。こういったことを府令の第17条で想定しております。

このほかにも、法定通貨との誤認を防止するような説明をしないといけない。これは府令の16条を想定しております。また、取り扱う仮想通貨の概要でございますとか、取引内容、手数料の説明についても、府令の17条で説明することを義務付けております。また、損失リスクなどの重要事項説明につきましても、府令の17条5号、6号で説明すること。更に申しますと、正に重要な点でございますけれども、書面等による情報提供義務、これについても府令16条、17条といったところで規定をする予定でございます。

更に申しますと、委員がおっしゃるような、分別管理についても、府令の20条等でより詳細について規定していく。あとは、外部監査についても府令23条といったもので規定していくという考えでございます。

パブリックコメントで寄せられた意見を踏まえ、若干の修正はあるかもしれませんけれども、委員がおっしゃったような趣旨をしっかりと考えてやっていくということでございます。

2点目の訪問販売の件でございますけれども、資金決済法上は特定の取引形態を限定して解釈するものでは基本的にはないので、原則として実態を申しますと、インターネット経由の販売が多いのではないかと考えております。ただ、それ以外のものを決して排除するものではない。

あと、銀行代理業等の制度については、法令上明確に位置付けられているものではございません。

以上でございます。

○河上委員長 よろしいですか。

ほかにはいかがでしょうか。

私からも1点だけお願いしたいのですけれども、特に仮想通貨のほうですけれども、仮想通貨をある意味では投資商品のようにして、これまで訪問販売などでやってきたような手法で売ってしまうというような危険が全くないわけではありません。今回の対応では、クーリング・オフは外すということにして、民事効を否定したわけですけれども、民事効を否定したことについて、そうでなければならなかったという部分の理由を補足的に説明いただければ、理解が深まるのではないかと思いますので、お願いいたします。

○金融庁島村総務企画局企画課信用機構企画室長 委員長、どうもありがとうございます。

正におっしゃる点は我々も重要な点として認識しておるところでございます。

一方で、消費者保護の観点から、クーリング・オフ制度は非常に重要ではございますが、仮想通貨の有する機能の一つといたしまして、支払や決済としての機能がございまして、その結果として、クーリング・オフを行使することによって、実際、支払や決済が8日間全く行えない。その後の取引も全くできないということになってしまいますと、仮想通貨の支払・決済手段としての安定性が逆に全く失われてしまうという問題意識がございます。

この点につきまして、十分に考慮した結果、今回はクーリング・オフ制度の適用対象にはならないものの、ほかの先ほど申しましたような十分な消費者への説明義務を通じまして、消費者保護を十分に図っていきたいという考えでございまして、仮想通貨の有する特質でございます、支払・決済面の安定性を十分に考えて、今回はクーリング・オフの対象とはしないということで、御理解を賜りますと幸いでございます。法制的にもその点については、法制局等でも御説明させていただきまして、一定の御理解をいただいてございます。

○河上委員長 池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本です。

今の点について、これは金融庁か、あるいは消費者庁にお伺いしたほうがいいのかもしれませんが、適用除外の別表の49は、資金決済法に記載する仮想通貨交換業者が行う同条7項に規定する商品の販売、役務の提供等となっていますから、その登録をしていない別の業者がどこかの仮想通貨を、投資対象だと称して、訪問販売なり電話勧誘販売なりを利用する場合は、むしろ特商法の範疇であるという理解でよろしいでしょうか。

○消費者庁佐藤取引対策課長 そういう理解で結構です。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、議論はここまでといたしまして、答申案を配付させていただきます。

(答申案配付)

○河上委員長 お手元に答申書案が配付されているかと思いますけれども、基本的には、それぞれ特商法の趣旨に鑑みて妥当であるから、その旨答申するということで、先ほど御案内いただいたような改正について、お認めするという答申でございますけれども、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○河上委員長 この内容で答申するわけですけれども、先ほど来、例えばクーリング・オフの適用除外について消費者の誤解がないように、しっかりと適用除外に関する説明をしていただくということや、ほかの法令での執行がきちんと行われていて、消費者の保護の実質が保たれているということが前提でございますので、その辺については今後ともしっかりとお願いしたいと思います。

私どもが若干懸念しておりましたのは、代理店と称する者とか、いろいろなところが、仮想通貨に関して、これを投資対象として訪問販売などで濫用してしまう可能性がなくはないかということで、現実に被害もございました。その際にクーリング・オフがなくなってしまうことによって、消費者が不利にならないようにということを考えてございましたので、その辺に関してはきちんと監督をお願いしたいと思いますし、私どももその後の状況をちゃんと注視していきたいと思いますので、その辺はよろしくお願いいたします。

それでは、原案どおり、平成29年1月31日付け消取引第23号及び第24号をもって、当委員会に諮問のあった事項については答申どおりお認めするということにいたしたいと思います。

消費者庁、金融庁、資源エネルギー庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(消費者庁、金融庁、資源エネルギー庁退室)

≪3.消費者基本計画工程表の改定に向けた意見について≫

○河上委員長 次の議題に移らせていただきます。「消費者基本計画工程表の改定に向けた意見について」であります。

消費者基本法においては、消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする場合は、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。そのため、当委員会としては、計画の実施状況や計画に盛り込むべき新たな課題等に係る検討を調査審議の重要な柱の一つと位置付けてきております。

平成27年3月に閣議決定されました第3期の消費者基本計画においても、消費者委員会は消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮しつつ、本計画に基づく施策の実施状況について、随時確認し、KPIを含めて検証・評価・監視を行うとされております。

消費者庁においては、昨年暮れに工程表改定に向けた作業を開始したそうでありますが、本日は、最近発出した建議等の意見表明や関係省庁ヒアリングの結果等を踏まえまして、計画工程表の改定に向けた当委員会の差し当たりの意見を取りまとめたいと思います。

資料として、意見案を用意しておりますので、まずは事務局から説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元、資料2ということで、意見案を御用意させていただいております。

先ほど、委員長からお話がありました点につきましては、こちらの前文の1パラ目、2パラ目に記されているところです。

続きまして、3パラ目以降を御覧になっていただければと思いますけれども、第4次消費者委員会発足以降、調査審議を重ねて、かなりの建議ですとか意見という形で委員会として発出して実績等を積み重ねてきたところです。

これらを踏まえて、今回、計画の実施状況に関する検証・評価において特に留意すべき事項ですとか、計画の工程表の見直しに向けて具体的に検討すべき課題ということで、以下、6つの点ということで、意見を述べさせていただいてはと考えております。

関係省庁におかれては、この項目において、十分に検討の上、可能な限り工程表の改定素案等に反映されたいという趣旨も記しているというところです。

なお、今後、消費者庁において策定される計画工程表の改定素案ということで、公表があるところと予想しておりますが、それに関しましては、状況に応じまして、更なる意見表明を行うことを予定しているということも記してございます。

以下、各項目、6つの点について、こちらのほうを御説明させていただきます。

まず「1.民法の成年年齢引下げに対する対応について」です。成年年齢が引き下げられた場合ということで、新たに成年となる者、18、19歳の消費者被害の防止・救済のためということで、消費者教育の充実あるいは制度整備が必要であるという旨、消費者委員会のほうでも審議の上、消費者庁に対して回答ということで、この1月、返させていただいたところです。

これを踏まえて、以下の点を工程表に明記していただきたいということで記してございます。

なお、その際、成年年齢引下げに対応する各取組については、一体的に把握できるよう、例えば各項目に関する工程表を集約するといったことなど、記載上の工夫をということも記してございます。

まず「(1)消費者契約法」に関してです。契約法の専門調査会の報告書のところで残された論点ということで、引き続き検討ということにされておりますけれども、今回の成年年齢引下げに関しまして、若年成人に対する配慮に努める義務ということですとか、つけ込み型関与を含む不当勧誘に対する取消権の検討ということで、消費者被害の防止・救済のための消費者契約法の改正作業ということで、委員会のほうでは提言させていただきました。この点につきまして、具体的な取組等の内容ですとか、スケジュール等につきまして、工程表に明記をということで書いております。

「(2)特定商取引法」の関係です。特商法の省令改正作業ですとか、あるいは違反事業者に対する処分等の執行強化ということで提言させていただきましたが、これに関して具体的な取組、スケジュール等について、工程表に明記をということで記してございます。

「(3)消費者教育の充実」ということです。まず、小中高等学校につきましては、教育推進のための人材開発、アクティブラーニングの視点からの手法の高度化や実効性確保・教材の開発、児童養護施設等での消費者教育支援に関するプログラムの検討等について、具体的な取組の内容ですとかスケジュールについて、工程表に明記をということで記しております。

大学・専門学校等につきましては、消費者教育推進のための人材開発ですとか、自治体と大学、専門学校等との被害防止のための連携枠組みの強化、学生の相談室等を通じた消費者教育・啓発の強化ですとか、専門学校等ではまずは啓発・教育の取組についての実態把握。それ以外では、マルチ商法における心理的な背景についての調査研究等についてということで提言させていただきました。これらについて具体的な取組の内容、スケジュール等を工程表に明記をということで記してございます。

また、「(4)消費者被害対応の充実」の充実ということでは、相談体制の強化・拡充等ということで、若年成人に向けた消費者被害対応の充実について、センターの周知、相談窓口の拡充、若者支援機関との連携、あるいはセンターと大学・専門学校等との間の情報交換など、具体的な取組についての内容ですとかスケジュールの工程表での明記ということで記してございます。

成年年齢引下げのところでは、最後ですけれども、「(5)若年消費者被害防止の社会的周知」ということで、引下げに伴う消費者被害の防止の社会的周知のための国民キャンペーンの実施について、具体的な取組、スケジュール等の工程表への明記ということで記してございます。

2番目といたしまして、「『健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議』への対応について」ということで書いてございます。

昨年4月、この建議について、委員会として発出させていただきましたけれども、こちらの更なる実効性ある対応の実施に向けてということで、この1月にも、この建議に関する実施の報告に対する意見ということで、更に発出させていただきました。こちらのほうに記させていただいている事項を留意の上、それぞれの取組の内容を具体的に工程表に明記をということで、記してございます。

特にでございますけれども、消費者庁が実施・検討予定とおっしゃっておりました、3ポツの「その他」について記した事項については、スケジュールも含め、必ず工程表に明記をということで記してございます。

「3.電力託送料金に関する取組について」ということです。こちらも昨年7月、当委員会のほうで送配電事業を行う電力会社の託送料金に関する査定に関して、報告書ということで、発出させていただきました。こちらの中で記してございます、資材・役務調達コスト等に係る更なる効率化の手法ですとか、コスト削減のための妥当な託送料金、算定手法の在り方等の諸論点における問題点の改善に向けた具体的取組について、それらの取組の監視についてということで、工程表に明記をということで記してございます。

「4.東京特別区・武三地区のタクシー運賃組替えについて」ということです。12月、タクシーの運賃組替えに関する消費者委員会意見ということで発出させていただきました。これを踏まえまして、運賃組替えに関する課題への具体的取組、組替え後の事後検証について、工程表に明記をということで記してございます。

5番目「医療機関のウェブサイト等の取扱いについて」です。こちらについては、昨年9月、厚生労働省におきまして、「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」で、医療機関のウェブサイト等の取扱いについてということで取りまとめが行われました。こちらの内容を踏まえまして、医療機関のウェブサイト等における情報提供の適正化を進めるための今後の取組について、具体的な取組内容を工程表にということで記してございます。

最後に「6.その他」でございます。こちらのほうについてですが、今まで申し上げました1~5の内容の工程表への記載に当たりましては、昨年、消費者基本計画に関する意見ということで、5月に委員会として発出したものがございます。

次のページ、下のほうに「第1 全体的な事項」と記しているところがございます。具体的にはKPI、Key Performance Indicatorsについてと、工程表の図についてということで、KPIにつきましては、見直しについて不断のということ、工程表の図については、具体的な取組ごとに期限を明確にということで意見を言っておりますけれども、こちらに留意の上、工程表の改定素案に反映されたいということで、申しております。

そのほか、同じく昨年5月の意見のところの「第3 今後の課題」ということで、3点ほど記してございます。具体的には、特商法の適用除外に関する執行体制の強化等、2番目、消費者教育の推進、3番目、地方消費者行政の充実・強化に向けた自治体への支援等、地域の見守りネットワークの構築ということで、記させていただいております。こちらのほうの内容についても、工程表に取組について明記を検討されたいということで記しているということです。

全体の説明については以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただ今の報告内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

まず、前半はこの委員会でこれまでヒアリング、その他で取り上げた課題についてということですが、その中で、成年年齢引下げの問題に関して少し補足をして申し上げたいと思います。具体的なそれぞれの提案をした課題について、具体的な取組の内容やスケジュールを工程表に明記していただくことに尽きるのですが、とりわけ、実施時期の捉え方として、今回の成年年齢引下げの法案自体が春の通常国会ではなく、その先に少し延びると聞いてはおりますが、その施行時期に合わせてそこに向けてやるという考え方ではなくて、むしろ1年でも2年でも早く環境整備、基盤整備を行って、その実施状況も極めて本体が施行されるという流れであっていただきたいと思います。これは平成21年10月の法制審議会の意見もそういうトーンでありましたし、今回も引下げの施行と関係する若年者の保護措置というのが同時では、果たしてどれだけ効果が出るかわからないということでは、非常に危惧されますので、その点も留意していただきたいということを意見として申し上げます。

関連事業者に対する自主規制対策の問題は、各行政が直接取り組むこととは違うので、項目としては挙げていないのですが、とりわけ、若年者に対するクレジット、貸金業の過剰与信にならないようにということの自主的な取組については、それぞれの監督官庁、経済産業省、金融庁が業界の自主的な取組を促していただくという意味では、行政の役割も決して少なくないと思います。そういう意味で、意見書には項目としては立てていないですが、その点も留意していただくようお願いしたいということも、意見として申し上げておきたいと思います。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかには何かございますか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 今回の意見はこれでお出しするのが適当であると考えているのですが、この後の消費者庁から改定素案が提出された後の消費者委員会としての一つの役目としては、できるだけ多くの国民の皆さんというか、大勢関心を持っていらっしゃる消費者団体や、いろいろな皆さんの議論の助けになるような情報提供というか、消費者庁からもちろんされるとは思いますけれども、消費者委員会からも是非皆さんで検討してほしいということをきちんと呼び掛けることが大切かなと思っています。

毎年、どうしても非常にタイトな中で検討しなければいけなくて、それぞれの団体にとってもなかなか大変なのですね。なので、それぞれで早めの対応を心掛けてはいるものの、なかなか難しいところがあるので、消費者委員会からも是非そういう呼び掛けができればいいかなと思います。

○河上委員長 これはパブリックコメントが行われるのが大体どのぐらいになるかというのは事務局で把握しておりますか。

○丸山参事官 例年でいけば春ぐらいだと思いますけれども、詳細につきましては、消費者庁のほうに確認の上、委員のほうに御報告したいと思います。

○河上委員長 できるだけいろんな方が意見が出せるように、パブリックコメントの時期だとか、問題点についても整理したものを情報発信ができればいいなと思います。

ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、特に異論がないということですので、ひとまずこの意見案の内容については、皆様の御了解を得たということで、原案どおり決定して、消費者庁長官宛てに発出したいと思います。改定素案が出てきましてから、もう一度素案内容に対して消費者委員会として具体的に意見を述べる機会がございますので、そのときにまた皆様から御意見を頂戴するということにしたいと思います。どうもありがとうございました。

≪4.身元保証等高齢者サポート事業について≫

○河上委員長 続きまして、身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についてです。

少子高齢化の進行によりまして、人口減少社会に突入した我が国では、単身世帯の増加や、あるいは親族の減少、更に近隣関係の希薄化といった状況を背景にしまして、ひとり暮らしの高齢者というのが増えてきたわけであります。

こうしたひとり暮らしの高齢者等を対象とした身元保証あるいは日常生活支援、死後事務等に対するサービスを提供するという新しい事業形態が生まれております。

当委員会は、身元保証等高齢者サポート事業と呼ばれているこうした事業について、昨年、公益財団法人日本ライフ協会が経営破綻したことにより、一部の消費者において契約していたサービスの提供が受けられない、預託金も返還されないといった消費者被害が発生したことに注目してまいりました。

身元保証等高齢者サポート事業につきましては、指導監督に当たる行政機関が必ずしも明確ではないわけでありまして、利用者からの苦情相談についてもほとんど把握されていないというのが実情であります。このような現状を踏まえまして、昨年、当委員会では、高齢者問題に詳しい有識者や消費生活センター、社会福祉協議会、厚生労働省などからヒアリングを実施した上で、審議・検討を行いまして、今般、建議の案を取りまとめた次第でございます。

本件の担当委員は私と鹿野委員、中原委員、増田委員でございます。

それでは、増田委員から、建議案の内容について説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○増田委員 担当委員として、私から建議案の内容について、御説明いたします。

まず、問題の背景について、河上委員長からも少し御説明がございましたが、補足して御説明いたします。

少子高齢化の進展、単身世帯の増加、親族の減少あるいは近隣関係の希薄化といった状況を背景に、近年、ひとり暮らしの高齢者等を対象とした身元保証や日常生活支援、死後事務等に関するサービスを提供する新しい事業形態が生まれています。こうしたサービスの需要は今後一層高まっていくことが予想されますが、当該事業については、指導監督に当たる行政機関が必ずしも明確ではなく、利用者からの苦情相談についても、ほとんど把握されていないのが実情です。

当委員会では、こうした状況を踏まえ、当該事業に係る消費者被害を防止するための対策を早急に講ずる必要があると考え、調査審議し、本建議に至ったものでございます。

本建議では、当該事業において提供されるサービスを総称して「身元保証等高齢者サポートサービス」といい、高齢者等に対し、それらのうち少なくとも身元保証サービス又は死後事務サービスを提供する事業を「身元保証等高齢者サポート事業」とした上で、身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題の発生状況を踏まえ、身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の取組、病院・福祉施設等への入院・入所における身元保証人等の適切な取扱い、消費者への情報提供の充実に関し、消費者担当大臣、厚生労働大臣及び国土交通大臣宛て、3つの建議事項を掲げております。

なお、身元保証等高齢者サポート事業の現状、課題の詳細につきましては、併せて資料3-3、調査報告案も御覧いただければと思います。

それでは、資料3-1、建議案の2ページを御覧ください。建議事項1は「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の取組」に関するものです。身元保証等高齢者サポートサービスの需要は今後一層高まっていくことが予想されますが、既存の公的制度だけでは対応しきれない面もあり、現に、様々な主体による民間事業として行われています。2ページの理由2のところで、身元保証等高齢者サポート事業の具体的なサービスの内容について、御説明しております。

3ページの理由4のところでございますが、身元保証等高齢者サポートサービスの内容は多岐にわたっており、ひとり暮らしの高齢者等が各サービスについて個別に適正な選択を行うことは困難です。多くのサービスを一括して提供する事業者も存在することから、高齢者の利便性には資するものの、契約内容が複雑になりがちであり、また、個々の費目がいずれのサービスの対価を示すのか、費用体系が明確でないものも見られます。

さらに、特に死後事務に要する費用については、生前に事業者に預託する仕組みとなる場合が多いにもかかわらず、預託金の保全措置を講じていない事業者も存在しており、実際に身元保証等高齢者サポート事業に係る事業者の経営破綻により、サービスの提供も受けられず、預託金も返還されないという事態が生じています。

身元保証等高齢者サポート事業の利用者には、ひとり暮らしの高齢者が多いと見られますが、高齢者は一般的に次第に心身ともに能力が低下していくものであるため、契約締結時には判断能力が認められる場合であっても、サービスの提供を受ける必要性が高まった状況においては、サービスが契約どおりに履行されているか、本人のみでは十分な確認ができるとは言えません。さらに、死後事務の履行については、本人には確認するすべがなく、終末期と死後の事務処理に関する問題は収入、資産の多寡を問わずひとり暮らしの高齢者全般にとって深刻な課題と言えます。

厚生労働省は、社会福祉に関する事業の発達、改善及び調整に関する事務並びに老人の福祉の増進に関する事務を所掌するとともに、所掌に係る一般消費者の利益の保護に関する事務を所掌し、消費者庁は消費者の利益の擁護及び増進に関する事務を行うことを任務とし、これに関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関する事務並びに関係行政機関の事務の調整に関する事務を所掌しています。

以上のことから、2ページの建議事項1の四角囲みのところにございますように、消費者庁に対し、身元保証等高齢者サポート事業による消費者被害を防止するため、厚生労働省その他関係行政機関と必要な調整を行うことを求めた上で、厚生労働省に対し、関係行政機関と連携して、身元保証等高齢者サポート事業に係る実態把握を行うことを求めています。そして、消費者庁及び厚生労働省に対し、関係行政機関と連携し、実態把握を踏まえて、必要な措置を講じることを求めています。

続きまして、5ページを御覧ください。建議事項2は「病院・福祉施設等への入院・入所における身元保証人等の適切な取扱い」に関するものです。

理由1のところでございますが、医師法第19条第1項は、正当な事由なく診察治療の求めを拒んではならないことを定めています。また、各介護保険施設の基準省令においても、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないことが定められており、入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは正当な理由には該当しないものと考えられます。

理由2でございますが、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートによる病院・施設等における身元保証等に関する実態調査報告書によれば、病院・施設等における身元保証人等を求める姿勢は強く、身元保証人等がない場合に、入院・入所を認めないと回答した病院・施設等が一定数存在すること、身元保証人等に対し多岐にわたる役割を求めていることなどが示されています。

そこで、5ページの建議事項2の四角囲みのところにございますように、厚生労働省に対して、高齢者が安心して病院・福祉施設等に入院・入所することができるよう、病院・介護保健施設が身元保証人等のいないことのみを理由に入院・入所等を拒む等の取扱いを行うことがないよう措置を講ずること。また、病院・福祉施設等が身元保証人等に求める役割等の実態を把握し、そうした役割の必要性やその役割に対応することが可能な既存の制度及びサービスについて、病院・福祉施設等及び都道府県等に示すこと。既存の制度やサービスがない場合には、必要な対応策を検討することを求めています。

最後に、7ページを御覧ください。建議事項3は「消費者への情報提供の充実」に関するものです。

理由1のところでございますが、身元保証等高齢者サポート事業においては、契約内容が複雑になりがちであること、サービスの履行状況の確認が困難であること、事業者に費用を預託する契約形態となることなどから、消費者被害防止のためには消費者に対してこうしたサービスを適正に選択するために十分な情報が提供されることが重要です。

また、理由2のところでございますが、身元保証等高齢者サポートサービスには、賃貸住宅に入居する際の身元保証が含まれますが、こうしたサービスが利用される背景には、賃貸住宅への入居の際にしばしば求められる身元保証人等を確保することが困難な高齢者等のニーズがあると考えられ、消費者の適正な選択に資する家賃債務保証の情報提供に関する既存の取組についても、引き続き推進していく必要があります。そのため、本建議では、消費者庁、厚生労働省及び国土交通省に対して、消費者が安心して身元保証等高齢者サポート事業を利用できるよう、サービスを選択するに当たり、有用と思われる情報提供を積極的に行うことを求めています。

以上の建議事項について、消費者担当大臣、厚生労働大臣及び国土交通大臣は着実に実施し、身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題に取り組んでいただきたいと思います。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

ただ今の御報告の内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

この問題は、昨年来様々な分野の方からヒアリングを行ってきて、ある程度実態を私たちなりに集約した上で、この建議をまとめたわけではありますが、そうはいっても、高齢者サポート事業関連の事業というのはなかなかトラブルが顕在化しにくい分野です。つまり、終末期あるいは死後の事務に関する事業ですから、不満を抱えても言い出せなかったり、あるいはもういなくなったりという分野であります。

その意味で、まずは高齢者あるいは高齢者に接する関係機関の多い厚生労働省において、関係機関、関係先にお願いして、しっかりとした実態把握をしていただきたいということがまずあります。

ただ、この問題は、厚生労働省の所管分野だけの問題ではない、様々な分野に少しずつ関係するところがあるということで、そういう意味では、消費者行政を統括する消費者庁にも頑張っていただかなければいけないということがあります。

4ページの10のところで一言申し上げたいと思います。高齢者サポート事業というものが、事業の対象としている中身自体が既存の法制度で監督体制があるかというと、それがない、いわば隙間になっている問題だと理解しています。

その意味では、実態把握を踏まえて、一定の措置が必要ではないかと考えるのですが、ただ、これは実態把握をもっと丁寧にしてみなければなりませんから、何も第10項に書いてある項目全てを盛り込んだ措置を採るべきだということを申し上げているわけではないのですが、終末期あるいは死後の事務で、対象者御本人ではなかなか選択できない、あるいはチェックができない、あるいは性質上前払になるということですから、ここに書いてあるような契約内容の適正化や費用体系の明確化だけではない、預託金をどうするのか、あるいは第三者がチェックできるような体制とか、ここに挙げたようなところを最終的に法制度で盛り込むのか、あるいはほかの方法によるのか、などを含めて、検討の視点としては、十分配慮していただきたいと思います。

消費者庁が、これ以外の周辺部分について、何をどういうことが必要なのかというのはまだ建議の理由の文書の中でも、私たちも十分見極めることができていないところで、場合によっては実態把握の調査が終わった時点で、それも拝見して、必要に応じて私たちも検討して、追加の意見を出すとか、そういう形で少しでも有効な手立てができるように協力していく必要があるのかなと思っています。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

今日は中原委員はいらっしゃいませんが、鹿野委員はご担当でしたので、何かありましたらお願いします。

○鹿野委員 鹿野でございます。

繰り返しになるのですけれども、身元保証等高齢者サポート事業というのは、高齢化等に伴う社会の変化に伴って、必要とされる事業ではあると思うのですけれども、ただ、新しく出てきたので、対応が追いついていません。一つ細かなところを切り取ると、所管するところがある部分もあるかもしれないけれども、このサービスが複合的な形でセットになっているときに、隙間もありますし、どこがこれを全体として把握し、きちんと監視していくかというと、そこが非常に不明確な状態です。サービスの性質上表面化しにくいということもありますけれども、一番中心となってこれを見ていかなければいけない主体というものが不明確なために、実態が十分に把握できていなかったというところがあるのだと思います。

そこで、建議案では、厚生労働省には実態把握にまず努めていただきたいということ、それから、何よりも消費者の利益に関わるものですから、消費者庁に関係各行政機関と連携しながら、対応を考えていただきたいということをお願いするものです。

ただ、池本委員が今、おっしゃったように、この問題はかなりいろいろなところに関連してくると思われます。私たちのヒアリング等でもどういうところが問題になり得るかという予測というか、ある程度イメージがつかめてきたところではありますけれども、きちんとした実態把握がされ、具体的に更に問題が整理される中で、どことどういう形で連携していただくかということが、よりはっきりしてくるのではないかと思います。

今回のものは、現時点においての建議案ということでありまして、更に今後、実態把握が進んだ段階で、より具体的な形で作業が進められることを期待していますし、私たちとしてもまた考えていきたいと思っております。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

いかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 建議事項の2のところに当たる、病院・福祉施設等への入院・入所における身元保証人の問題ですが、一般に身元保証人を立てなければいけないと思っている方々がほとんどなのだと思います。そうではないのだということをきちんとお知らせすることによって、今、この世の中が現状抱えている様々な課題が浮き上がってくるのではないかと思います。

今回のこの調査は、病院等に対しての実態調査はなさったのだと思うのですが、患者や入所している側からしたときに、かなり遠縁の人を探し出しても保証人を付けていらっしゃる方とか、いろいろな方がいらっしゃると思いますので、そういう作業もこちらから是非して、課題を浮き上がらせるというのも大切かなと思いました。

○河上委員長 実際問題としては、6ページに書いてありますけれども、入院料金の支払についても保証が欲しいとか、場合によっては亡くなったときの遺体の引取りであるとか、居室などの明渡しとか、原状回復といった作業、一体誰がやるのですかということは病院の方々にとってみても深刻な問題ではあるわけですね。ですから、その意味では、こうしたニーズが出てくるということも理解できるわけで、それが治療の拒否事由には当たらないかもしれないけれども、実態として見るとそういう需要があるということを前提とすれば、それに代わるような手当を考えないといけないのかなという感じもいたします。

いずれにしても、問題はそう単純なものではないことは確かではあるのですけれども、まずはどういうトラブルがどこで起きているのかということについての問題状況をしっかりと把握して、その上で具体的な対応策を考えていくという手順をとっていかないといけないということで、この建議は言ってみればスタートラインに立った段階ということになります。具体的な更に今後の措置については、また消費者委員会としても関係省庁と協力して、一緒に考えないといけないわけですけれども、まずはこういう形で建議を発出したいということです。

今、頂いた御意見については、特にこの建議そのものに対して修正を求めるものではございませんでしたので、この建議案の内容については、ひとまず皆様の御了解を得たということで、原案どおり建議として、消費者担当大臣、厚生労働大臣及び国土交通大臣宛てに発出したいと思います。建議にありますとおり、身元保証等高齢者サポート事業の実態把握を行っていただくと、これによって関係する行政機関や講ずべき措置が明らかになってくるものと思いますので、その際、消費者庁にも司令塔として頑張っていただくことになりますけれども、当委員会としても、この問題について引き続き注視をし、場合によっては消費者庁を支援するような形で具体的な対応を行っていきたいと思います。

それでは、この「(案)」を取らせていただきます。どうもありがとうございました。

≪5.その他≫

○河上委員長 最後に「その他」といたしまして、まず「子ども向け広告の在り方について考えるシンポジウム」の開催のお知らせであります。既に当委員会のウェブサイトで御紹介しているので、御存じの方もいらっしゃるかと思いますけれども、本年2月18日土曜日、13時半から、合同庁舎4号館、この建物において「子ども向け広告の在り方について考えるシンポジウム」を開催いたします。

このシンポジウムについては、この資料の中にチラシがあるかと思いますので、御参照いただければと思います。

このシンポジウムを通じまして、子供向けの広告について、学識経験者あるいは事業者などの関係者の皆様に議論を深めていただき、我が国における子供向け広告の在り方について、広く発信していければと考えているところでございます。御関心をお持ちの方は、どなたでも参加できますので、多くのご参加をお待ちしております。詳しいことはチラシにも書いておりますし、当委員会のウェブサイトの中にもございまして、参加の手続などについてもそこで明らかにしておりますので、是非御覧になって、多数御参加いただければと思います。

続きまして、新開発食品調査部会及び新開発食品評価第一、第二調査会が担当しております特定保健用食品の個別審議について、平成27年12月に標準処理期間を設定したことに伴いまして、過去1年間の審議における処理期間の実績について、事務局のほうから報告をいただければと思います。

○丸山参事官 今、委員長からお話がありましたように、消費者委員会におきましては、内閣総理大臣の諮問を受けまして、特定保健用食品の表示許可に関わる個別審査を行っております。一昨年、平成27年12月18日に個別審査に係る標準処理期間を定めまして、1年に1度諮問から答申までにかかった日数につきまして公表するということとしたことから、今回、過去1年の実績についての御報告ということでございます。

参考資料2を御覧になっていただければと思います。この資料につきましては、標準処理期間を定めました平成27年12月18日以降に諮問を受けました審議品目の審議状況について取りまとめをしたものでございます。今期間中につきまして、答申まで至った品目につきましては5品目ということで、この5品目に係る平均処理期間につきましては、上のほうに書いてございますように、76日、約2か月半ということでございました。一昨年定めました消費者委員会における特定保健用食品の審査に係る標準処理期間につきましては、上部を御覧になっていただければと思いますけれども、平成27年12月18日決定の下のところ、消費者委員会が内閣総理大臣から諮問を受けた日の翌日から6か月以内に、当該諮問に対する答申を発出するよう努めるものとするということになっておりますので、この定められた範囲内で終了しているということになっております。

なお、その下の部分「ただし」以下を御覧になっていただければと思いますが、この期間の算定に当たりましては、資料不足等が判明し、消費者庁が当該追加資料を提出するために要した期間ですとか、食品安全委員会での当該品目に関する安全性審査期間は除外することとしておりまして、今回の5品目の審査に関しましても、こうした追加資料の提出を求めた期間があったということですので、記載している品目ごとの諮問から答申日までの日数の平均と、平均処理期間76日ということで、御報告したものについては一致しておりませんので、こちらのほうを御報告させていただきます。

また、参考ではございますけれども、参考資料2の下部に記してございますけれども、この期間中に諮問を受けて、現在も審議が続いている申請品ということで、4品目ございます。こちらについては、いずれも追加資料の提出を待っている状況となっているということでございます。

資料の説明については以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

本件について、何か委員からコメントがありますでしょうか。あれば簡潔にお願いいたします。よろしいですか。

特にないようですので、今の御報告を受けたということにしたいと思います。

部会のほうにも同じく報告があると聞いておりますので、よろしくお願いします。

最後に、消費者委員会に寄せられました意見等の概況について、事務局から報告をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の参考資料3を御覧になっていただければと思います。こちらのほうでございますけれども、昨年10月1日から12月31日までの間に委員会に寄せられました要望書、意見書、声明文等の一覧となっております。この間寄せられました意見書等につきましては40件ということになっております。

1ページ目、まず「取引・契約関係」は16件ということになっております。民法の成年年齢引下げに関わる意見が中心となっております。

それから、6ページ目「食品表示関係」ということで、13件となっております。具体的には加工食品の原料原産地関連についての意見が多くなっております。

続きまして、13ページ目「地方消費者行政」の関係で1件、その下ですけれども「料金・物価関係」で4件ということになっております。

15ページ「その他」ということで6件となっております。

概要については以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

この委員会に寄せられた意見書、要望書等については今後とも全委員で情報を共有するとともに、定期的に委員間で意見交換を行う機会を作っていきたいと考えております。

この機会に何かここにありますような御意見について、意見がある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 成年年齢引下げに関して、いろいろな方々からたくさん御意見を頂いていまして、いろいろ違う意見もあるのですけれども、共通していることは、消費者教育を進めていかないといけないということはどなたも一緒でした。特に事業者の方もそういう御意見を頂いているので、是非新入社員研修とか、そういうところで消費者教育できるように協力、連携できたらといいと思います。学校以外のところで消費者教育を進めることがなかなか難しいので、消費者教育を進めないといけないということで、全員が同じ意見を頂けたということは、私としてはとてもよかったかなと思っています。

○河上委員長 ありがとうございます。

ほかにはいかがでしょうか。

制度整備の部分に関しては、消費者団体の方の意見と事業者団体の方の意見がかなり対立した状態にございます。その意味では、事業者の方の事業活動を阻害しないようにという配慮は大事なのだろうと思います。他方で、18、19歳の若者の経験の未熟さであるとか、知識の不足といったものにつけ込んで不当な利益を上げるといった悪質な事業者の不当勧誘行為に対しては、今の消費者契約法だけでは十分には対応できないのではないかというのが、ワーキング・グループでの意見でありまして、これはむしろ真っ当な事業者の活動そのものを支援することにもなるという認識を持っております。その意味では、消費者契約法の専門調査会できちんとまた議論していただくことではありますけれども、この辺については事業者の方に十分御理解をいただかないといけないという感じはしているところでございます。

何かほかに意見に関して。

阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 食品表示関係の意見が13件と、非常に多くありますが、特にこれから加工食品の原料原産地表示の件につきましては諮問を受け、部会での審議に入っていくことかと思います。先ほど委員長からも、委員会の中で情報を共有してというお言葉があったように、この件につきましては私から委員会に部会での進捗等を報告し、是非情報を共有していただき、皆さんからも意見を頂きながら、部会運営を進めていければと思っております。

○河上委員長 加工食品の原料原産地問題に関しては、部会ではいつ頃から本格審議が始まることになりますか。

○阿久澤委員 その辺、まだ明確にはされておりませんが、消費者庁のほうの委員会での中間取りまとめがありまして、その内容につきましては、部会にて委員の方々から多くの意見を頂いておりますので、それら意見を参考にしていただき消費者庁のほうで諮問案について検討していただいていることと思います。その諮問がいつということはわかりませんが、近いうちに来ると思っております。

○河上委員長 消費者庁には是非丁寧な説明をいただいて、恐らく利害がかなり対立するといいますか、意見が分かれるところではあろうかと思うので、それだけに問題の実態がどこにあるのかということと、いろんな利益を考量する上で、消費者庁がどういう形で議論の前提となる事実を出してくれるのかというのはかなり大事なことだろうと思います。また、本委員会でも阿久澤委員からの御報告を受けて、必要があれば議論をさせていただこうと思います。

ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

こうやって頂く御意見、大変貴重でして、私ども、一つ一つ丁寧に読ませていただいて、できればこの要望書、意見書を参考にして、我々も充実した議論を続けていきたいと思います。

今後も、先ほど申しましたけれども、定期的に委員間でこうした意見書、要望書について意見交換を行う機会を是非持っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


≪6.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

また、本日の17時をめどに報道機関の皆様を対象とする委員長記者会見を予定しておりますので、併せてお知らせいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)