消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(2017年11月15日)

日時

2017年11月15日(水)10:00~12:01

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
高委員長(「高」は、正しくは「はしごだか」)、池本委員長代理、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、増田委員
【消費者団体ほか関係団体】
NPO法人青森県消費者協会
大塚 和則 理事長
小笠原 勤 副理事長
東京消費者団体連絡センター
小浦 道子 事務局長
事務局 池田 京子
NPO法人京都消費者契約ネットワーク
野々山 宏 弁護士/理事長
長野 浩三 弁護士/理事・事務局長
NPO法人えひめ消費者ネット
野垣 康之 弁護士/理事
池田 誠治 司法書士/理事
NPO法人佐賀消費者フォーラム
喜多 裕彦 理事
NPO法人消費者市民ネットワークおきなわ
三宅 俊司 弁護士/理事長
横井 理人 弁護士/理事
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者団体ほか関係団体等との意見交換について
    NPO法人青森県消費者協会
    大塚 和則 理事長
    小笠原 勤 副理事長
    東京消費者団体連絡センター
    小浦 道子 事務局長
    事務局 池田 京子
    NPO法人京都消費者契約ネットワーク
    野々山 宏 弁護士/理事長
    長野 浩三 弁護士/理事・事務局長
    NPO法人えひめ消費者ネット
    野垣 康之 弁護士/理事
    池田 誠治 司法書士/理事
    NPO法人佐賀消費者フォーラム
    喜多 裕彦 理事
    NPO法人消費者市民ネットワークおきなわ
    三宅 俊司 弁護士/理事長
    横井 理人 弁護士/理事
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長  皆様、おはようございます。

本日は全国津々浦々からここに御出席いただきまして、ありがとうございます。

これから「消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催させていただきます。

本日は、所用によりまして消費者委員会側は受田委員、大森委員、山本委員が欠席となっております。

まず初めに配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○丸山参事官  お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。

資料1から6となっております。

もし不足がございましたら事務局までお申出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.消費者団体ほか関係団体等との意見交換について≫

○高委員長  それでは、議事に入らせていただきます。

本消費者委員会は、委員会の運営改善などの参考とすることを目的にしまして、適宜消費者団体を初めとした関係団体等の皆様より御意見、御要望をお伺いするとともに、委員との意見交換を行っております。

本日は6つの団体の皆様にお越しいただいております。私のほうからまず簡単に紹介をさせていただきます。

NPO法人青森県消費者協会より、理事長の大塚和則様、副理事長の小笠原勤様。

東京消費者団体連絡センターより、事務局長の小浦道子様、事務局の池田京子様。

NPO法人京都消費者契約ネットワークより、理事長で弁護士の野々山宏様、理事・事務局長で弁護士の長野浩三様。

NPO法人えひめ消費者ネットより、理事で弁護士の野垣康之様、理事で司法書士の池田誠治様。

NPO法人佐賀消費者フォーラムより、理事の喜多裕彦様。

NPO法人消費者市民ネットワークおきなわより、理事長で弁護士の三宅俊司様、理事で弁護士の横井理人様。

皆様におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、改めて御礼を申し上げます。

本日の意見交換会のテーマとしまして、「消費者基本計画工程表改定に向けた要望等」のテーマを挙げさせていただいております。御出席いただいております皆様から、忌憚のない御意見をいただきたいと思います。

最初に、御参加いただいた団体の皆様より説明、御意見をお伺いし、その後、まとめて委員との意見交換の場を設けたいと思っております。

それでは、最初に青森県消費者協会より御説明をお願いいたします。なお、本日は多くの団体様にお越しいただいておりますので、恐れ入りますけれども、説明は各々10分程度でお願いしたいということでございます。よろしくお願いいたします。

○青森県消費者協会大塚理事長  青森県の大塚でございます。

今日は小笠原と一緒に参りました。説明については私と小笠原から分担して説明させていただきます。

まず最初に、このような場を設けていただきまして、消費者庁の皆さん、委員会の皆さん、本当にありがとうございます。

それでは、書き物に沿って説明をさせていただきます。

青森県の消費者協会でございますが、昭和40年6月に全国で8番目に設立されました。一昨年、50周年を迎えまして、ささやかですが、50周年の記念事業をさせていただいたほかに、記念誌も発行させていただきました。

設立当時は、どこもそうだろうと思いますが、経済団体がこういう組織を作りまして、経済団体のほうに、商工会議所でございますが、そこに事務局を置いてしばらく活動しておりました。その後、県のほうで消費者行政担当課ができましたので、そちらに事務局を置いていただいて、細々とずっとやってきた。その後、消費者団体が各市町村にできまして、それを契機に活動の輪が広がっていきました。

平成14年にNPO法人を取得いたしまして、平成16年に県から消費者相談センターの委託を受けまして、本県の特徴だと思いますが、センターの事務と県から受けた様々な教育に関する活動を、私どもの一番の特徴は、県から受けて事業を展開していることの、そういう活動の場が広がっているということだと思っています。

現在は81名の会員がございまして、高齢化とともに減少傾向にありまして、会員を増やすということが非常に重要な課題になっております。1つは経済団体を取り込んで事業者を取り込んで支援をしていただいて、その中で活動していくことが一番いい方法だろうなと思っておりますが、なかなかそれも進まないということで、これからも活動を広げていきたい。

2点目、次のページでございますが、適格消費者団体設立に関する見通しについてでございます。実は県からの委託事業で平成25年に適格団体について検討することを様々調査したり、活動したり、ある程度その内容をまとめて、そういう活動をしてまいりました。その中でも京都にも出かけさせていただいて、実際に活動されている団体の設置状況などについていろいろ伺った次第でございます。

その中で私どもとしては今、弁護士と活動を続けておるのでございますが、委員会なるものを立ち上げた。これはセンターの中に弁護士さん、司法書士さん、大学の先生方を集めて勉強会を今でもやっておるのですが、その中で様々な議題を拾ってきまして、この前、お問合せというものを実はいたしました。そうしたところ、業者のほうが全然こちらの話に対して、そうなんですかということで、すごく改善の方向に向かったということで、私どもとしては非常によかったなと思っております。

その中でも課題というのが、弁護士さんとかそういう専門家に来ていただく。今の委員会というのは無償ボランティアでやってもらっているのですが、そこら辺が非常に課題だということと、適格団体になるために専門の職員を置くということと、多少のお金が必要だということと、ある程度の実績がないと認めていただけないということで、それが大きな課題になっております。そこら辺のところのいろいろなお考えをお聞かせいただきたい。

3点目でございますが、消費生活相談員の資格と処遇についてでございます。御案内のとおり、国家資格ということで相談員がそういう位置づけになったわけでございますが、実は私どもの相談員では3人しか国家資格を持っておりません。今、従前の資格と申しますか、アドバイザーとか、そういう資格で十分足りるという考え方もございますし、そこら辺、消費者庁さんのほうでは国家資格についてどういうお考えなのか。

それから、私どもは業務を委託しておりますが、相談員の待遇改善が非常に大きな課題になっております。県のほうと青森市と五所川原市というのがあるのですが、そちらの相談業務を私どものほうで委託を受けております。相談員というのはどこの県もそうでしょうけれども、非常に高度な専門的知識を有しますので、今、実際に直営で県なりでやっているセンターであっても、恐らく相談員は非常勤なりパートなり、正規の職員ではないと思います。その中で処遇改善というのが、私どもは県のほうからは非常にいろいろ努力していただいているのですが、どうも優秀な人材を確保するという意味から言っても、どうも十分な相談員の手当が出せていないというのが実情でございます。その中で国家資格を与えた中で、国のほうで例えば地方交付税なりで措置をしていただくと、従前の法律の中ではそういう附帯決議があったようでございますが、そこら辺は消費者庁事務局になるのかと思いますが、そういうところを受けながら、できれば待遇改善を国家資格と同時に図っていただければ、我々としても今後の相談員の処遇につながるだろうと思っています。

では、次の点について。

○青森県消費者協会小笠原副理事長  消費者教育の将来展望についてお話をしたいと思います。

私どもの方では、平成25年に青森市から若者を対象とした消費者教育の事業を受託し、それを機縁に関係の大学等とも調整して、高校・大学を対象にモデル事業をやってきました。その関連で一昨年から県内の大学3校と連携協定を結んでいますが、特に弘前大学ではモデルとしてシラバスを作成して、15コマぐらいの授業を行ってきました。こういった活動を今後どのように展開していけばいいのか、委員会の場で御意見等を伺いたいと思っているところです。

消費者教育については、3つの課題といいますか、これからの方策について考えています。1つは小中高校、及び大学並びに社会人を対象とした教育、今理事長がおっしゃいましたが、当協会では3消費生活センターの苦情相談事業を受託して、併せて消費者教育についても、主に悪質商法に対する消費者啓発といった分野ですが取り組んでいます。ここを拠点として今後大学連携を柱に小中高の教育等を進めていきたい。そのためには人材がどうしても必要です。実際のところ消費者への啓発については主に消費生活相談員が担っている訳で、そういった方々の研修を充実させていきたい。その他の担い手として消費者行政や消費者教育を経験した方や、弁護士や司法書士、薬剤師、保健師、栄養士等いろいろな専門家がおりますが、そういった方々、あと消費者窓口の業務を経験している企業等の人材、これらの人たちの人材バンクを形成しながらネットワークを構築していてきたいと考えています。

次に、福祉団体、関係団体との連携について、当協会は県民福祉プラザというところに入居していて、そこに県の消費生活センターも置いてあるわけですが、そのメリットを生かして、そちらの団体の人たちともネットワークを進めております。ただ、消費生活相談についてはネットワークができていますが、消費者教育という面でいけばまだまだ課題がありますので、そちらについてもより効率的に、継続的にやっていけないかなと思っています。

もう一つは消費者教育に関連するものとして食育、環境、国際理解教育等いろいろな分野がありますが、これらについても横断的に取り組んでいく必要があると思います。それぞれお互いに活動をしているわけですが、横の連携等を図りながら限られた人材を有効に生かしていきたい。青森県は少子高齢化、過疎化が進んでいます。人材の活用、財政の問題等課題はありますが、ここをどう乗り越えていけばいいのか、これから考えていきたいと思っています。

以上でございます。

○高委員長  ありがとうございました。

続きまして、東京消費者団体連絡センターより御説明をお願いいたします。

○東京消費者団体連絡センター小浦事務局長  おはようございます。本日はこういう場にお呼びいただきまして、ありがとうございます。

まず東京消費者団体連絡センターについて、ざっと説明をさせていただきたいと思います。資料2となっております。

会員数は現在17団体で構成しております。活動分野は消費者行政、消費生活問題全般についてやっております。発足は1985年、昭和60年でして、今年で32年目を迎えております。

活動の経緯及び内容といたしましては、当連絡センターは消費者のいのちとくらしを守り、消費者の権利を確立するために都内消費者団体の日常的連携を強め、東京における消費者運動を前進させることを目的に活動している消費者団体のネットワーク組織でございます。

主な活動といたしまして、消費者行政の充実・強化を求めてという活動。それから、東京都への予算要望。毎年東京都と都議会の会派へ行っております。それから、国や都の施策に対する意見の提出。消費者問題についての学習や運動等を行っているところです。

2のところです。本日テーマをいただいております消費者基本計画工程表改定に向けた要望等ということで、今年度の改定に向けたところに対して提出した意見を後ろにもつけておりますけれども、ざっと項目としては7項目、大きなものがございます。

1枚おめくりいただきまして意見をつけておりますけれども、主なところをざっと説明させていただきますと、健康食品、今、健康への関心が高く、機能性表示食品の需要が伸びておりますが、消費者の選択に資する表示、広告の適正化に向け、さらに監視を強化してほしいということです。それから、民間団体等で機能性表示食品の機能をチェックしておりますけれども、こういったデータを生かしてほしいということを要望しております。また、9月から加工食品の原料原産地表示が義務化されておりますけれども、こちらについても消費者団体からは、分かりづらい表示になっているということですので、これは早急にもっと消費者に分かりやすい表示になるように見直しを進めてもらいたいということを、あわせて来年度の工程表のところでも意見を出していきたいと思っております。

また、安心・安全なクレジットカードの利用環境の整備なのですけれども、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、このクレジットカートのセキュリティーの環境整備が急がれておりますが、主にクレジットカードの決済端末のIC化が喫緊の課題だと思っております。買い物の際にクレジットカードで支払いをすることがありますが、なかなかIC化が進んでいないように思っておりますので、さらに進めていただきたいということです。

4月から都市ガスの小売事業の自由化も始まりましたけれども、電気・ガス合わせての小売の競争が主に都市部で激化しております。不正な勧誘行為もいろいろ問題が聞こえてきておりますので、こちらの取締りもよろしくお願いしたいと思っています。

4番目の消費者契約法の見直しです。消費者委員会で取りまとめが出されましたが、私ども全面支持をいたしたパブコメを提出したところです。民法の成年年齢の引下げもだんだん見えてきておりますので、18歳から消費者被害が増加することが懸念されておりますので、ぜひそちらの環境整備が必要だと思っております。

あと7番のところです。消費者行政の充実・強化に向けた地方公共団体の支援というところですが、先ほども出ておりましたけれども、消費生活相談員さんの処遇のこともございます。私どもは東京の53区市町村で、消費者行政調査活動を行って8年目なのですが、今ちょうどそのアンケートをもとに各区市町村を、訪問して懇談しておりますけれども、交付金の使い道に関しては消費生活相談員さんの研修、手当に充てているところがほとんどでございますので、来年度、消費者庁も交付金に関して少し予算取りをしているとも聞いておりますが、限定した使い道ではなく、それぞれの自治体が使いやすくなるように、そこをぜひ要望したいと思っております。

地域の見守りネットワークの構築ですけれども、こちらも各行政なかなか進んでいないところですが、福祉部門との連携をもとに進めていこうと思っているところがほとんどでございます。ネットワークの推進をより進めやすくなるように、もう少し国からの支援も必要ではないかと思っています。

3番目の今後の喫緊の課題と考えているところなのですけれども、受動喫煙の防止対策法です。東京都では、オリンピックの開催地ということもありますので、パブコメも行われ、これから条例ができるところなのですが、全国的な制度が必要だと思っております。それから、公益通報者保護法の改正も急いでいただきたいところです。このところ大企業による不正の事件の報道が続いておりますけれども、消費者から見えないところでの不正を公にするには、公益通報者の保護が何よりも大切だと思っております。

最後のインターネット広告の適正化ということに関しましては、東京都で消費者被害救済委員会というものが行われております。そちらに委員として参加しております池田のほうから、こちらについては説明をさせていただきます。

○東京都消費者団体連絡センター事務局池田氏  東京都消費者被害救済委員会に委員としてかかわっておりますので、意見を述べさせていただきます。

私は「いわゆる健康食品の定期購入に係る紛争」という案件にかかわりました。この概要ですけれども、4人の申立人の方がスマートフォンを見て500円のサプリメントをお試しだと思って注文したところ、2回目の商品が送られてきてびっくりして、それが6か月の定期購入であり、解約もできない、解約するなら違約金が発生するというようなものでした。申立人の皆さんは、2回目以降は払いたくないというお申出でしたので、救済委員会としては最初の1個500円のみの契約が成立するということであっせんを行いまして、無事解決に至りました。

なぜ今回このように6回の定期購入契約であるということではなく、お試しだと消費者が思ったのかということを考えますと、スマートフォンという非常に小さな画面をスクロールしながら購入するかどうかを判断するのに、契約内容などの大切なところの文字のポイントが大変小さくて分かりづらい。そして限定何百名とかいうお得感とか、効果・効能など、そういうところだけをいっぱい目立たせて、繰り返し画面に表示して、買いたいという気持ちにさせるというような手法に乗せられたのかなと思いました。

販売事業者に聞いたところ、自分たちは定期購入であることをちゃんと記載していることを主張しました。

私がこの案件を通して思ったことは、消費者もよく注意して契約しないといけないと思いますけれども、やはり事業者に対して消費者が明確に認識できるような分かりやすい表示というもの、それから、トラブルへの対応などに対して法的な規制とか、行政指導がもっと強くあったらいいのではないかと感じました。

このような相談は、全国ではたくさん消費生活センターなどに寄せられていると聞きます。相談せずに泣き寝入りしている人が、私たちが思っている以上にいると私も感じています。ですので横断的な法令の厳正な執行、見直しを消費者庁が関係する省庁に働きかけて、早急に進めていただきたいと思います。

同時に、今はスマホも小学生から持っている時代です。成年年齢も引き下げられます。学校教育現場での消費者教育もますます必要と考えます。これも文部科学省などとも連携していただいて、時代に対応した消費者教育を進めていただきたいと思います。

以上です。

○高委員長  ありがとうございました。

続きまして、京都消費者契約ネットワークより御説明をお願いいたします。

○京都消費者契約ネットワーク長野弁護士/理事・事務局長  京都消費者契約ネットワークの長野です。

資料は3を御覧ください。最初の2枚がレジュメでして、その後ろの通し番号が振ってあるものが資料になります。レジュメに沿って御説明したいと思います。

まずKCCNの概要ですが、京都を中心として活動する適格消費者団体です。2007年12月に4番目の適格消費者団体としての認定を受けております。KCCNは全国の消費者団体の中で一番多くの差止訴訟を行っている団体でして、全体の約3分の1の訴訟を担当しております。地元の京都新聞では、全国で最も戦闘的と言われる適格消費者団体として紹介されたこともあります。

KCCNの差止請求活動ですけれども、マル1のクロレラチラシ配布差止請求事件があります。この件はサン・クロレラ社という会社が「日本クロレラ療法研究会」という名称を用いて、クロレラなどについてがんに効くなどとする新聞折り込みチラシを配布していたものです。この件については一審の京都地裁では差止めと公告の全面勝訴の判決を勝ち取りましたが、控訴審では事業者がチラシの配布を中止したことから、差止めの必要性がない、さらには消費者契約法の勧誘にはチラシなどは含まれないということで取り消され、当団体が最高裁に上告したところ、最高裁は差止め自体は必要性がないということで請求は棄却したものの、消費者契約法の「勧誘」要件については不特定多数の消費者に向けられたものであっても含まれ得るという、消費者庁の見解を真っ向から否定する画期的な判決を勝ち取りました。その後、消費者庁は解説を改訂しております。

マル2のインターネット接続サービス契約解約料条項使用差止請求事件ですけれども、これはインターネット接続サービスの解約料が高額なものであるとして差止請求したもので、全面勝訴しております。

マル3の健康食品お試し価格表示差止請求事件。これは先ほどの東京都のセンターの方々が詳細を御説明したとおりの内容ですが、これについても当団体では差止訴訟を提起しまして、事業者が980円という表示自体を削除したため和解で解決しております。

マル4の冠婚葬祭互助会の解約金条項の使用差止請求事件も、これも勝訴で解決しております。これと同種の契約は全国で2,000万件あると言われておりまして、社会的影響力が大きかったものです。

その他、結婚式場の差止請求事件とか、携帯電話、マンション賃貸借契約条項などの差止請求事件を担当しております。

3のKCCNの最近の意見書等に移ります。KCCNの最近の意見書は消費者契約法、特定商取引法等の法改正に関するもの、それから、地方消費者行政の充実強化を求めるものなどがありますが、添付書類にありますので、また詳細は御確認いただければと思います。

4の工程表に対する意見その1に移らせていただきます。その1は私が申し上げまして、その2を野々山理事長から御説明します。

その1のマル1ですけれども、不当な表示に係る事案に対する景品表示法の厳正な執行についてということであります。先ほど申し上げたとおり、KCCNは健康食品などのお試し商法について差止請求をしておりますが、これについては結局、業者はやめることはやめるのですが、また新たに同じような商法が出てきている状況ですので、消費者庁において措置命令を含む厳しい対応が必要だと考えております。これについては声明を出しておりまして、資料の25ページ以下にありますので、また後ほど御確認ください。

さらに水素水について、アフィリエイトサイトでの医薬品的効能を表示するような表示の差止請求もしております。これについても差止請求すると業者というかアフィリエイトもやめるのですけれども、また別のサイトを立ち上げてやっているような状況がずっと続いておりまして、消費者被害も非常にたくさん生じている状況ですので、これについても適格消費者団体がちまちま差止請求しても全くなりません。ちまちまではないのですけれども、一生懸命やっているのですが、やってもなかなかなくなりませんので、消費者庁のほうできちんと措置命令、それから、その行為に対する罰則の適用等の厳しい対応をしていただく必要があると思います。

特に消費者庁における措置命令の件数については、消費者庁移管前と比べたら若干減っていると思いますし、平成27年度はかなり減っていたと思いますので、この執行体制の強化は工程表云々ではなくて、すぐやっていただかなければいけない問題だと思っています。

マル2の適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する支援のあり方の検討ですけれども、これについては特に財政的な支援を要請したいと思います。これについては本当に適格消費者団体の運営は、我々の団体で年百数十万円程度で、ボランティアでやっているような状況です。これについては国会の附帯決議等でもたびたび検討事項としてされていますが、有効な支援策がなされていないような状況ですので、即時の即効的な財政支援策の策定をお願いしたいと思います。また、PIO-NET端末の公費負担での設置もお願いしたいと思います。さらには適格消費者団体、特定適格消費者団体の認知度が低いため、これを早急に上げる施策も必要だと思います。

マル3の消費者裁判手続特例法の円滑な適用についてですけれども、これについてはそもそも対象となる請求権が個人情報漏えい事案、それから、有価証券報告書の虚偽記載事案などの有効に機能しうると思われる事案が除外されている点等、使い勝手が悪い点が多いため、早急な改善が必要だと考えております。国民生活センターによる立担保の立法がなされておりますが、これについても円滑な運用が必要です。

マル4の地方消費者行政の充実・強化に向けた地方公共団体への支援についてですけれども、見守りネットワークの構築については福祉分野との連携が必要であります。あと、消費生活相談員に対する処遇も改善していただきたいと思います。

以下は7月28日の意見書のとおりです。資料の5ページ以下ですので御覧いただければと思います。

以上です。

○京都消費者契約ネットワーク野々山弁護士/理事長  引き続きまして、私、野々山から御説明します。

今からお話しする中身は、詳細は添付資料の当団体からの意見書にありますので、また後ほど御覧になっていただきたいと思います。

まず第1には、工程表にもありますが、高齢者の消費者被害の防止策についての強化が喫緊の課題であると考えております。被害が非常に増えてきて、しかもその内容も多様になっていることは御承知のことだと思います。工程表には住まいや身元保証のことが記載されておりますが、もちろんこれも重要かと思いますが、それに限定することなく、被害の予防、拡大防止、被害救済のための有効な政策とか法制度が必要だと考えております。

特に予防に関しては見守りの強化がありますが、これは消費者団体や地方自治体などの消費者関連部門だけでは十分できないわけでありまして、地方自治体の福祉関連部門をはじめ、老人クラブや社会福祉協議会など、高齢者団体、地域で活動している自治連合会などの地域団体等との連携が不可欠だと考えております。

私は日弁連でもこの連携の問題についての部門を担当しております。諸機関、諸団体は各地で様々な取組をしております。先日行われた北海道でのシンポジウムの中では、北海道では地域で包括地域センターと消費生活センターが共同で事例検討会をやって対応したりしており、そういう福祉部門と消費者部門との連携というのが国のレベル、地方のレベル、民間団体のレベルでも行われる必要があると考えています。

第2は、特定商取引法の改正等で、いわゆる不招請勧誘の事前拒否登録制度を早急に実現することが、高齢者被害の予防にとっては重要であると考えております。

さらに、最近報告として私どももよく聞いている取り組みとして、金融機関のATMの高齢者振込制限措置があります。これをさらに普及する。警察庁は非常に努力しているようでありますけれども、消費者庁も含めて普及をするべきではないかと考えております。

被害救済につきましては、消費者契約法の改正の中で年齢等を原因とする判断能力不足を利用したつけ込み勧誘に対する取消権の付与や、年齢を勧誘に当たって考慮要素にするなどの改正はぜひとも今度の改正で必要だと考えております。このことは消費者委員会が答申を出した際に付言をしたことと共通する認識であるところです。

成年年齢引下げに対する対応についても同様でありますが、消費者教育は非常に重要であります。重要でありますが、消費者教育だけでは成年年齢の引下げに伴う様々な問題について対応は十分ではないと考えております。被害が生じたときの救済のための制度整備が必要です。消費者教育そのものにおいてもまだ環境が十分ではないので、現時点での引下げは私ども反対するものでありますけれども、早急にこの被害に対する対応として消費者契約法の改正を行う必要がある。判断能力の不足に乗じた不当な勧誘に対する取消権の付与を行うべきだという制度設計をするべきだと考えております。

第3番目の消費者契約法の改正につきましては、今、言ったことの繰り返しになるわけでありますけれども、高齢者あるいは成年年齢引下げに伴う若年成年の様々な消費者問題が増加すると予想される中では、年齢等を原因とする判断能力不足を利用したつけ込み勧誘に対して取消権を付与する等の改正が必要であるということは、もう一度繰り返して申し上げておきます。

もう一つ、私ども適格消費者団体が今、差止請求等の活動する上においてひとつ非常に重要な壁となっている規定があります。これが消費者契約法9条1項の平均的損害の立証責任と、そこに得べかりし利益が損害として組み込まれているという点であります。それが、本来は不当で、非常に過大なキャンセル料等々につきまして、裁判等でこれを有効であると認定される1つの原因となっております。平均的損害の立証責任を転換すること、そして未履行の分の得べかりし利益がこの平均的損害には入らないということについて改正が必要だと考えております。

その他、消費者委員会や消費者庁への要望としましては、日本のリーディングカンパニーが現在、様々な問題を起こしております。公正取引に対する姿勢に非常に問題が多く生じていると考えております。消費者法の改正に私ども携わりますと、事業者の皆さんからともすると消費者取引の公正化、消費者市場の公正化よりも経済活動の利便性を強調して、法改正に反対する傾向があるわけでありますが、公正な消費者取引の実現ということ自体、その中での取引という公正さの重要性の認識がかけているのでその重要性を、日本のリーディングカンパニーはもっと持ってもらいたいと強く思っております。その点に関する消費者庁あるいは消費者委員会の役割も十分果たしていただきたいと思っております。

以上であります。

○高委員長  ありがとうございました。

続きまして、愛媛消費者ネットより御説明をお願いいたします。

○えひめ消費者ネット池田司法書士/理事  えひめ消費者ネット理事の池田でございます。

まず、えひめ消費者ネットの団体の概要から説明をさせていただきます。資料につきましては4になるかと思いますので、それに沿ってお話させていただきます。

まずNPO法人えひめ消費者ネットは、通称ひめネットというような呼び名で活動をさせていただいております。

スタートは、平成20年6月に愛媛県知事の認証を受けて発足をいたしました。会員構成につきまして四角で囲んでありますとおり、正会員101名、賛助会員31名、資格者としまして野垣弁護士ほか12名、司法書士は私のほか7名ということで、大学の先生も中に含まれ、消費生活アドバイザー、そして消費生活専門相談員23名ということで現在、進んでおります。

まず平成20年度には愛媛県との提案型協働事業を受託しまして、悪質商法被害未然防止のためのリーダー養成講座を中心に啓発事業を行いました。この四国、特に愛媛なのですが、地域がどうしても田舎なので、悪質商法としましては情報が入ってこないせいか、非常に被害が多い。ただ、県民性なのか、なかなかそれを表立って皆さん自分が被害に遭ったということをおっしゃらないものですから、潜在的に被害が多い地域ということで問題意識を持って対応はしております。

現在、平成25年度からは適格消費者団体認定のための基盤作りといたしまして、愛媛県からの消費者団体の提案事業を活用しまして、適格消費者団体認定の申請に向けまして活動をしておるところでございます。

また、平成27年からは認定申請のための事業に向け、現在その取得に向け活動をしております。本年度も消費者庁に協議を開始しまして、何とか今年度、適格に向けて申請を行いたいと思っております。

平成20年の設立以来、消費者からの相談電話、110番活動を行っております。事業者の不当な行為に対する改善を求めるため、法律専門家等で約款等を検討して、現在も使用停止と是正を求める申入れをしているところでございます。

一番下に書いておりますとおり、四国にはまだ適格消費者団体が存在しておりませんが、消費者庁が徳島にオフィスを創設し、移転も検討することになっておりますので、四国も何とか適格を置きまして、特に四国ですので4県全てというわけにはいかないかも分かりませんが、人口が一番多い愛媛県の中で適格消費者団体を目指して活動を推進しているところでございます。

2枚目の活動の概要を説明させていただければと思います。平成28年度におきましては、検討委員会を7回開催しております。その結果、4業者から改善がなされた事例がありました。そのときには特にスポーツクラブ、ジムなんかの約款を検討いたしまして、特に施設の閉鎖の場合とか、変更もしくは利用制限する場合の免責規定に関して、会費等の原則返還をしないというような規約が多くございましたので、その是正の申入れをいたしました。そのうちジム2件から改正がされるという成果を得ました。

もう一点、これは老舗の貸し衣装屋、着物のレンタルに関するキャンセル料が非常に消費者にとって不利であるというところにつきまして改善を申し入れたところ、是正がなされ、改善がされたという成果を得ました。もう一つが自動車教習所です。これに関しても老舗の教習所であったのですが、見ますと授業料なんかの返還に関し、全額返さないというような契約になっておりましたので、その使用停止を申し入れ、改善がされました。

そのほかに、これもスポーツクラブではあったのですが、会費の返還拒否なんかがあったのですが、これに関しての改正、改善の確約を先方から、まだ契約自体は改正されたという感じではないのですが、改正するという確約を得ました。

もう一つ、継続事案としまして懸案の冠婚葬祭互助会に関してのことなのですが、これもやはり古手のところだったのですが、なかなか聞き入れてくれないということで、こちらからその会社に乗り込みまして話をしに行ったのですが、検討をするといったものの、まだ改正がなされたということはないというところです。

続きまして、去年10月29日には初めての取組ということで、これも愛媛県の提案事業を活用いたしまして、弁護士、司法書士による第1回消費者被害110番活動、そして公開講座「適格消費者団体とは?」であったりとか、洗濯の表示が変わります、スマートフォンの正しい使い方というような講座を開催させていただきました。その際、相談活動も併設をいたしまして、相談等々に対応いたしました。そのほかに赤い羽根共同募金ボランティア・NPO支援事業という事業を活用いたしまして、愛媛は東西に長くございますので、東予・中予・南予という地域に分かれておりまして、そちらで特に高齢者、障害者を悪質商法から守るというような切り口でフォーラムを開催いたしまして、延べ300人以上が御参加をいただきまして、そのメンバーと情報共有、連携を図りました。

また、先駆的プログラムの活用といたしまして、ひめネットの中に現役の消費生活相談員による啓発グループ「ひめまる」というものがあるのですが、消費者教育教材とか児童向けの紙芝居を作成いたしまして、啓発講座や授業を開催しております。

そして今年度におきましては検討委員会も既に4回開催させていただいておりまして、切り口としましては不動産の賃貸契約につきまして、愛媛の中でも非常にこの契約書が遅れているというか、不動産業界が使っているのが遅れているのではないかということで、特に無催告解除に関してのところを中心に検討して、1件は申入れを行っておりますが、更に改善申入れをしていって、消費者に寄り添うような形に進めていきたいと活動をしております。

3ページ目は要望事項としまして、今回の消費者基本計画の工程表にもあります消費者団体の支援の在り方について、特に私どものほうからも財政面に関しまして非常に困っている部分でございますので、これを何とか適格消費者団体に限らず、適格消費者団体を目指す団体についてももっと充実した支援を検討していただきたいと思っております。特に支援なのですが、継続性があるものを検討していただきたいなと考えておりますので、どうしても地方のほうですと適格を取得するというのがスタートにもかかわらず、それがゴール的になってしまう部分がありますので、それには継続的に支援があるかないかで大分違ってくるかと思いますので、それが見えるような形の施策を検討いただきたいと思っております。

もう一つが2番目で、これも工程表にあります消費者の年齢層に着目した取組にも関連をいたしますが、特に高齢者の被害なのですが、余り言われていないのかも分かりませんが、年金担保貸付の問題があるのではないかと思います。特にリフォームなんかで考えた場合、お金がある方だけではなくて、お金がなくても名前を出していいのか分かりませんけれども、福祉医療機構の年金担保貸付を使えば一時的に何百万か資金ができるわけです。それがリフォーム詐欺に使われたり、そのような形も現に相談事例としても出てきております。

あくまでも年金担保貸付というのは、この制度ができたときには、もともと高利貸しが多かった時代に悪質な業者からの借入れのほうに行くのではなくて、こちらの年金担保貸付でやったほうがいいという形で利用されていたのですが、逆にこれが悪用されてくることもありますので、これが1回使われてしまいますと、いざ特に自己破産をするときには御存じのとおりこの部分は免責にもなりませんので、日常生活をしていく上で昔と比べると今は年金の返済方法はいろいろあるわけですが、それでは生活が成り立たないといったときに、生活保護が使えるかという場面になってくると、非常に年金担保と生活保護というのはなかなか保護事例が厳しいという自治体も多くございますので、そうなってくると生活が成り立たないという深刻な問題になってきます。そういったことをもう少しこの関係機関にも周知いただきまして、この制度の改正等も必要なのではないかと思っておりますので、そういった面からも高齢者の消費者被害の防止ということで目を向けていっていただければと思っております。

私からは以上です。

○高委員長  ありがとうございました。

続きまして、佐賀消費者フォーラムからお願いいたします。

○佐賀消費者フォーラム喜多理事  佐賀消費者フォーラムの喜多と申します。

本来ならば理事長の岩本がお伺いすべきでしたが、公務の関係で私が代理的に参加をさせていただいております。

非常に簡単な資料を準備いたしまして、大変失礼しました。その資料に沿って御説明をいたします。

1点目は私どもの概要でございますが、設立の経緯はかなり以前から県内の弁護士さん、司法書士、相談員の皆さんで消費者を守ろうということで、以前からもいろいろな契約に対する申入れを事業者にやっていく、積み重ねをやった時代がございます。スタートは2003年でございました。11年にNPO法人にしておりますが、この中で県の消費者条例の改定が全面的にございましたので、そのときもかなり力を入れて役割を発揮したのではないかと思っております。

そういう積み重ねがあった関係で、16年に適格消費者団体の認定を受けました。全国で14番目でございますが、九州は8県のうち4県に既にございまして、非常に比率は高くなっておりますが、かなり苦労はしております。理事長は大学の経済法の御専門の岩本教授にやっていただいておりまして、事務局は協同組合の中に置いております。会員数は非常に団体会員が少ないということで、これは後ほどの話にも触れますが、財政的に苦労しているということでございます。したがって、個人会員もいろいろな団体があるわけでございませんので、協同組合の組合員さん個人になっていただくとか、そういう比率が高こうございまして、そういう意味での地域の特性があるかと思っています。

活動の内容は大まかに5点書かせていただいておりますが、特に特徴的なのは、理事長が大学の教鞭をとっておられますので、学生の皆さんが参加して消費者教育のテキストを既に何回も改定をさせていただいて、これはホームページにも開示しておりますので、ぜひお目通しいただいて、若者の目線で作ってもらって、それを私ども消費者フォーラムの場面でも内容について専門的な部分のアドバイス等をした上で活用いただくというふうにしております。発行部数には限界がございますので、以前、高校だとかそういうところにもお配りした部分がございますが、こういうことが安定してやれることが必要ではないかと考えております。

最近、適格になりまして不当約款の申入れ等はしてきたのですが、適格になりまして1件だけ訴訟を起こしておりまして、これは冠婚葬祭の互助会的団体が会社組織と言ったほうがいいのかもしれませんが、結果的にお葬式だとかそういうことをしなかった場合の解約の返戻金の問題が非常に少ないといいますか、結果的に負担が多いということで、似たような案件はあったようでございますが、まだ係争中でございます。それ以外にも不動産の契約の不明朗なものについての改善の要望だとかいうことを積み重ねてきたというのが中身でございます。

あと一つは、今年に入ってからでございますが、県の受託を受けて相談員養成講座の運営を開始いたしました。今、10名程度に御登録いただいて50回にわたる講座をクリアしていただかないといけないということで、最後までやり通していただくことの励ましも含めて必要なんだなということを痛感しております。

以上が活動の概況でございまして、もしこういう場で申し上げるような専門的なものではないのですが、ひとつは若者の消費者教育というのは非常に重要だなというふうに、先ほど来もほかの団体の方からもございましたが、思っております。学生の皆さんが実際に自分の周りで起こったことを疑問に持ちながらテキストを作っていく中で、想定していなかったようなことも出てくるように聞いておりますので、今後、先ほどございました成人年齢の引下げ等があった場合のことも含めると、非常に重要なことではないかと感じております。

東京のほうからもございましたが、今般ございました加工食品の原材料の原産国表示の問題については、かえって混乱を招く制度ではないかと思っております。私は通常は協同組合の役員をしておりますので、協同組合の立場からも御意見を出させていただいたのですが、かなりこれを確定して発表されても、既に県の段階で説明のパンフレットが配られているのですけれども、消費者の中ではこれについて誤解や誤った認識が広がる可能性があると思っておりますので、見直しが必要ではないかと思っております。

最後、どこからもございましたが、適格消費者団体として活動を開始しておりますが、現実に言うと財政的な問題が一番ではないかと思っております。もちろん冒頭ございました相談員の皆さんの待遇改善も含む問題でございますが、そういう財政的裏づけをしっかり地方の組織が維持できるようにしないと、消費者庁と消費者委員会ができた背景で非常に横断的なトータルの指導なり行政措置ができる中央の組織ができたことは非常に喜ばしかったわけですが、地方のところがやらないといけないことが多いということで言うと、財政的支援を形は触れておりませんが、強化していただきたいということが要望でございます。

以上でございます。

○高委員長  ありがとうございました。

最後になりますけれども、消費者市民ネットワークおきなわより御説明をお願いいたします。

○消費者市民ネットワークおきなわ三宅弁護士/理事長  消費者市民ネットワーク沖縄の三宅です。よろしくお願いします。

私たちの資料は、ほかの他府県の方と違ってフォーラムの概要とか活動についての要望の部分がまとめられていません。この意見交換会について十分な知識がなくてこういう形になってしまいましたことをおわびいたします。

私たち消費者市民ネットワークおきなわは、消費者市民という言葉を使っています。消費者市民というのは、私たちは消費者が権利としての消費者である、権利者であるということを踏まえて、あえて消費者市民という言葉を使っています。消費者市民の権利を守るための組織として立ち上げるということで私たちは考えております。

構成は、基本的には沖縄弁護士会の消費者委員会の弁護士ほぼ全員、消費者問題にかかわっている弁護士、生活相談員の人たちはNPO法人を別途立ち上げておりますので、各相談員の方たち、その人たちが作ったNPOの人たち、そういう人たちが中心になってかかわっております。実は昨年、適格消費者団体の申請をしましたけれども、事例が少ないということで一旦、取下げをしました。私たちの組織は弁護士が多いものですから、非常に理屈っぽくて1つの事件にかかわり過ぎて、なかなか進まないことがあったりして、私たちはそれがいいことだと思っているのですけれども、それが消費者対象部分でない部分についても議論をしながら、それに当てはめていくとかいろいろなことをやっていましたので、なかなか実績を上げられなくて昨年は一旦取り下げたという経験があります。

今年も再度、適格消費者団体の申請をして、きちんと訴訟手続がとれるような体制をとらないといけないと思っています。実績を繰り返す中で、訴訟まで持っていかないとNPO法人の限度では対応できない問題も出ていますので、何とか適格消費者団体の資格を取って、差止請求まではできるような体制をとっていきたいと思っています。

今回、意見書として出させてもらったのは、現在、消費者市民ネットおきなわが直面している問題の中で、特にこの辺を意見の中に入れてもらえたらということでまとめたものです。1つは学生を中心にした消費者被害が沖縄で発生しています。その問題について、今まで他府県の人たちも言われていましたけれども、低年齢から消費者教育が必要ではないのかという点。もう一点は、同じく消費者被害が出たときに、行政が持っている消費者被害についての情報の開示がなかなかできない。行政が持っている消費者被害の情報を開示できるような制度を消費者庁なりで考えてもらいたい。こういった2点を中心にして今回、意見を出しています。

詳細については横井理事から説明したいと思います。

○消費者市民ネットワークおきなわ横井弁護士/理事  理事の横井です。よろしくお願いします。

沖縄では意見・要望書ということで4点の項目にしていますが、大きく問題意識としては今、理事長がお伝えした2点であるのです。沖縄で今、本当に大きく発生した消費者被害で、これは特に全国的にも問題になるであろうという部分に絞って問題提起をしたいと思って来ました。

1点目の消費者教育拡充の必要性は、各団体で何度も出ているところです。先ほどKCCNさんからは消費者教育では足りないのだ、取消権の付与とか具体的な対策が必要なのだというお話がありしたが、それは間違いないことで、私たちはそれは両輪だと思っております。取消権の付与とかそういった部分については、もう発生してしまっている被害の風邪薬みたいなものです。何か起きたときに、それを何とかしなければいけないということで、生じた結果をどうにかしなければいけないという部分では必要ではあるのですが、ただ、多くの消費者被害の場合、これも皆さん、感じていらっしゃると思うのですけれども、被害回復というのが非常に難しい中で、ではそもそもそういう大きな消費者被害で、消費者がとんでもない不利益をこうむってしまう事態を防止するにはどうしたらいいかということで、この消費者教育拡充の必要性を挙げさせていただきました。

問題意識としては、新聞報道で御覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、この8月に沖縄で非常に大きな若者を中心とした消費者被害が発生しております。手口としては学生を狙い撃ちにして首謀者が消費者金融でお金を借りさせて、いかがわしい取引を甘言を弄してひっかけてというところで、首謀者が言うには700名ほどの被害者がいて、1人当たりが100万円ほどの被害額なので、恐らく7億円ほどの被害が生じているだろうと言われています。

先ほど理事長からも話があったのですが、我々の法人は弁護士もいっぱい抱えていまして、消費者委員会の弁護士もたくさん抱えているので、この弁護団に何人もメンバーを送り込んでいます。私もその一人です。実際に被害相談をしていても、人数が多いので電話相談も毎日やっていますし、当番で毎日回して、相談会は3回やっています。100名単位で集まった相談会もあります。私は話を聞いていて、正直、ちょっと失礼かもしれませんが、余りにも消費者教育がなされていない。大学4年生、3年生で、大学で立派な成績を修めている。話をすればとても頭のいい子なのです。全然分かっていないです。銀行と貸金業者の違いを分かっていない子もいるのです。このレベルでは、ポコポコ発生した消費者被害を一々たたいていたら切りがないです。きちんと消費者教育を徹底して、これを各団体、地方でやるのではなくて、ちゃんと国としてきちんと消費者教育をやっていくのだという姿勢、それから、それをちゃんと基準として設ける必要性を強く感じた次第です。それで今回1点目として挙げさせていただきました。

もちろんその前提の部分で取消権の付与とか、パブリックコメントも出させていただきましたし、成人年齢の引下げについても、そもそもこんな現状で引下げなんかとんでもないという意見があるのですが、ただ、現状を踏まえるとこういった消費者教育の必要性は強く感じるところですし、取消権の付与とか成人年齢の引下げの問題と別に並行して消費者教育が必要である。別に成人年齢が二十であっても、今回、被害に遭ったのは21歳、22歳、23歳ぐらいが中心ですので、これはやはり若年者に対する消費者教育というくくりでぜひ必要だろうと思料されます。

先ほどのペーパーとしては2番、3番は証券会社の勧誘規制ですとか、金融商品の調査義務の明確化という切り口にはなっているのですが、これも恐らく2年前の新聞報道で御存じだと思うのですけれども、いわゆるレセプト債問題です。これは沖縄でもおきなわ証券、今、会社はおきぎん証券と変わってはいるのですが、こちらで大変問題になりました。いろいろと被害の全容が分かってきて、実際にもう2年もたっていますので、訴訟ですとかいろいろ被害救済も始まっているところでございます。

こちらにも弁護団に当法人のメンバーも何人か入っていますが、なかなか証券会社の勧誘規制の部分で徹底されていない部分があったのではないか。新聞報道でもこれも御存じだと思うのですが、調査が徹底されていなかったというのが今回の事件の大きな原因でもあります。ふたをあけてみれば何でそんなこと調べていないのだという話かもしれませんが、証券会社の職員からしたら、そこまでやっていられないよという部分があったのかもしれませんし、また第2、第3の同じような被害が生じてからでは遅いというところであります。

それから、現実の被害救済の場面で情報がなかなか出てこない。先ほどの立証責任の問題とも絡む部分ではあると思うのですけれども、およそ枠組みとして立証責任の転換というのは絶対に必要でありますし、あとはそうでない中で情報がきちんと出てくる。裁判になった場面ですとか、被害を調査していく場面できちんと情報が出てくるというのも非常に重要かなと。特に裁判でない場面でも情報がきちんと出てくるというのは今後の被害の対策、防止策をどう検討したらいいかの部分にも非常に絡んでくるところですので、これもぜひ検討していただきたいというところで、今回、問題提起をしに来ました。

4点目、情報商材の勧誘規制強化。これは当初は入っていなかったのですが、当法人、先ほどこれもお話があったとおり相談員のメンバーが非常に多く入っていて、この方たちがかなり推進力というか、馬力を持ってやってくれる、熱意をもってやってくださっています。その方たちがぜひこれは言ってきてくれと強く要望されていました。情報商材の勧誘規制強化、情報商材自体は昔からある消費者被害で、古くはパチンコ必勝法ですとか、競馬必勝法とか、そういったものではあるのですけれども、インターネットが急速にここ5年、10年で普及してきていて、情報商材との絡みでは非常に相性がいいというか、我々にとっては悪いのですけれども、例えば動画の配信なんか1つとってみても、かつては動画をダウンロードするのに1分、2分待たなければいけなかったものが、今スマートフォンでポンとタップするとすぐ出てくるのです。こうするともうかりますよ、私はこれで1秒で何億稼ぎましたみたいな話をワーワーとするわけです。簡単にそういった情報にアクセスができて、すぐにそういったいかがわしい情報を提供することができる素地ができている。

もう一つ、SNSですとかそういったことも書いたのですけれども、これは出版でやる、紙ベースでやるのと違って、動画配信であったりとかインターネット上で全部やると、実態が全然ない形でやることが非常にやりやすいのです。相談員の皆さんが例えば相談を受けて、ではこういう申入れをしてみようか、こういう話をしてみようかと言っても実態が何もない。何を送っても届かない。行ってみてもそこに事務所がないというケースが非常に多くなってきているのです。これは別に正直、情報商材に限った話ではないのかもしれないのですが、ただ、特に情報商材にはすごくそういったケースが多く見られるというところで、ここは注意して検討する必要があるのではないかということで、問題提起してくれと強く要望があったところです。

それから、ペーパーにはないのですが、えひめさんからも先ほどほかにもお話があったとおり、地方の消費者運動の財政支援強化というのは本当に切実にお願いをしたいところです。楽にやっている団体は1つもないと私たちは考えていますし、やろうにも手元にお金も何もない状態ではどうしても限度も出てきます。事務局のスペースをどうするのか、事務局をどうするのか1つとっても、いつもいつもそこに頭を悩ませているというのは活動にとって大きな足かせになっている部分でもありますので、ぜひここはしっかりとした支援、即効性があって継続性のある支援をぜひお願いしたいと思います。

以上です。

○高委員長  ありがとうございました。

以上、皆さん方の御活動の内容と御意見を賜りましたので、これから質疑応答の時間に入らせていただきます。

まず委員の側から質問があります方、お願いいたします。

○池本委員長代理  池本でございます。それぞれ熱心な活動を紹介していただきまして、ありがとうございます。

それぞれの団体から本当に共通して出てきたのが、民間の活動についての財政支援をしっかりとしてほしいという言葉でした。特に地域における官民連携ということが近年、消費者行政の中では強く強調されていながら、現実にはボランティアベースで活動するところについての手当、財政的な支援が不十分である。特に今、話題になっている従来の推進交付金が平成25年度まで、活用期間の関係で若干延びるところがあっても、それもあと2、3年でとまるのではないかと言われ、新しい強化交付金というのも使途が限られているし、何よりも2分の1自己負担があるとか、今、非常に各地で相談体制もですし、民間の活動もだし、啓発活動もだし、非常に不安が大きくなっているというところを聞きます。

そういう中で気になるところで、先ほど沖縄で一旦申請したのに取下げをせざるを得なかった。これまでも最近なったところで、以前に比べて認定のハードル、要件が厳しくなってきているのではないかとか、そのような声を聞きます。本来であれば全国47都道府県それぞれ地元の行政と官民連携する主体が育っていく必要があると思うのですが、その認定要件のことについて沖縄あるいは現在準備中、既に認定を受けたところでもいいのですが、何かそのあたり、認定要件のハードルが今どういう実情なのかということについて教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者市民ネットワークおきなわ横井弁護士/理事  認定要件のハードルというところで、沖縄としてはハードルとの関係では、先ほど理事長からもお伝えしたのですけれども、件数の問題の指摘があったのです。我々としてじくじたる思いだったという部分としては、件数の問題であれば、もっと事前にそのあたり御指摘いただければ申請の前にいろいろと準備といいますか、やれることもまだあったところもありまして、我々の中で検討はしているけれども、例えばちょっとこれは優先順位としてはもう少し下げて、こちらを先にやろうかと。ただ、それはどうしても消費者法に直接に関係がなかったりすると、先にそちらをやっていたら認定との関係ではこれは1件にカウントされませんねと。我々としてはカウントされるのではないかなと、ちょっとグレーな部分も幾つかあったのですけれども、これはカウントされませんねというところを申請した後に指摘をされてしまうことがありました。

ここまで言っていいのかあれなのですけれども、キーワードとしてはもともと後見型の審査を今までされてきたような印象を我々は持っていて、消費者庁がきちんと適格に向けたサポートといいますか、相談に乗っていただいて、この辺が弱いからきちんとやって申請したほうがいいよという形で、それに沿ってきちんと頑張っていくという形をイメージしてはいたのですが、申請した後にはしごを外されたような印象を受けております。貢献型というよりは審査型に少しシフトしているのではないかというところがありまして、それが申請のハードルとの関係でそれが動いているのかどうかというところまでは、当然審査する側では我々はないので分からないのですが、ただ、そういったハードルの質が違ってきているのではないか。そうであればまた以前のような貢献型にすべきではないか。

というのは先ほど池本委員長代理からもお話があったとおり、全国あまねく都道府県にきちんと適格消費者団体があってしかるべきだと。地域の実情に合わせた団体の活動というものがあるはずですから、特に沖縄は九州・沖縄地区でくくられやすいのですけれども、やはり沖縄で起きている消費者問題は、お隣の佐賀とか福岡とかにあるからそちらでやってくださいというのは常識的におかしいですよね。恐らくそれは沖縄が特徴的なだけで、どこの都道府県もそうだと思うのです。例えば東北でひとくくりにされたらおかしいですよね。青森のものは仙台でやってくださいとか、そういうわけではないと思うので、各都道府県にきちんとなければいけないと思っていますので、なので消費者庁としてもきちんとそのあたりを考えていただければなという思いがあります。

以上です。

○高委員長  ありがとうございました。

青森県の消費者協会の方もハードルの話をされていたのですけれども。

○青森県消費者協会小笠原副理事長  実際に設立に向けていろいろな活動はしているのですが、この中にも書きましたけれども、内規みたいな要件といいますか、まずは財政的な問題では最低100から200万円ぐらいのお金が必要だと言われていて、当協会は別途、200万ぐらいの予算は確保していました。ただ、先ほど50周年事業の話をしましたけれども、そういったことにお金を取られ訴訟等への対応力といいますか、財政的に大丈夫かなと今不安になってきています。それから、会員については弁護士、司法書士のグループ、大学の先生と消費生活相談員、そういったメンバーは揃っているのですが、主要なメンバーである弁護士さんも業務運営等大変ですので、ボランティアで関わりますよという人たちが今後どれだけ増えてくるのか。メンバーの確保も課題になってきます。

事務局の問題ですが、現在うちの常務理事が事務局を引き受けています。しかし常務理事は協会全体の運営を担っていますので、適格団体の認定に向けた事務に専任できない。実際のところ関連するいろいろな情報を収集し、それをメンバーに伝える、定例会の準備をするといったこと等での事務局機能について課題があります。

事例についても、今、ホテル業界と結婚式場の契約約款について話し合いをしているところです。その他不動産業界等いろいろなケースがあると思うのですが、まだまだ沖縄さんがやっているほどにも至っていない。私自身2、3年関わってきて感じるのは、青森県という地域において今後どれだけニーズがあるのか、活動を継続的に続けていけるのかということも課題といいますか問題点として認識しているところです。

関係団体とのネットワークのことですが、私どもは「消費者機構日本」に会員として入っていますので、形としてはそちらの全国組織に加わっている訳です。それから仙台の「消費者市民ネットとうほく」ともお付き合いがあります。ただ、「消費者機構日本」は全国をカバーしていますが、実際のところ主に関東周辺を含めた地域で手一杯ですよと。「消費者市民ネットとうほく」はNPO法人として宮城県地域限定ですから、青森県含めて遠隔地にある県においてどれだけ連携できるのか。今、九州は4団体が認定されていますが東北は1つだけ。こういった圏域の問題も含めて本当に適格消費者団体がどういった形で展開していくのか、また、それだけの必要性、有用性があるのか、そのようなところで展望が見えていないという感じがします。

○高委員長  ありがとうございます。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員  今の点に関してなのですが、私も47都道府県に適格消費者団体をきちんと置く体制を作るべきではないかと思っています。私自身、長野県で今、適格消費者団体を目指してNPOをやっているものですから、当事者の立場もふまえて申し上げたいと思います。適格消費者団体の認定の際に、例えば事例の数が問題となりますが、事例が多い少ないというのは地域の状況によって違ってくると思います。沖縄の方からもお話がありましたが、私も九州に住んでいたことがあるのでよく分かるのですが、九州・沖縄ひとくくりというのは、地域の実情を反映しない可能性が非常に高いと思うのです。

そういう意味で消費者庁に対しての御提案でありますけれども、消費者庁の現在の認定制度を都道府県が中心になって運営する仕組みに切り替え、これを受けて、各都道府県は、その地域の適格消費者団体を、ただ認定するというよりは、育てていく視点に立った運用を行う。消費者問題全体のサポーターとかいろいろな体制も含めて、適格消費者団体をやっておられる方はボランティアでやっておられるわけですから、そういったボランティアの方々と地域の自治体が協力する体制を作っていくというような考え方も必要になってくるのではないかと痛感しております。消費者庁がただ法律に基づいて適格性を認めるということではなくて、もう少し地域に委ねて、地域の実情に即した体制作りをするということを、ぜひ消費者庁においても考えていただければと思います。

○高委員長  ありがとうございました。

ほかいかがですか。鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員  貴重な御意見等をいただきまして、ありがとうございました。

私から3点お伺いさせていただきたいと思います。

1つは、先ほど池本委員からも御指摘のあった財政支援等については、各団体がその問題を感じていらっしゃるということを十分に認識させていただきました。その中で、それに関連して1つなのですが、先ほど御紹介があったようにKCCNさんは、特に差止訴訟等においても全国でも最も積極的な活動をしてこられたということで、私も従来から注目していたのですが、とりわけ訴訟に至るということなると、人材もそうでしょうけれども、資金面でもいろいろと御負担が大きいのではないかと思うところであります。

そこで、KCCNさんがそのような活動をしてこられた中でどういう工夫があったのか、あるいは特別の御苦労があったのかというようなところについて、お話を伺えればと思います。

第2点ですが、これも多くの団体から、若者を中心とした消費者教育の重要性について御指摘をいただきました。この消費者委員会においてもそれについては従来から議論してきたところでありますけれども、さらにどういうふうにこれを進めていったらいいのかということを考える上で、少しさらに質問をさせていただきたいと思います。恐らく国を挙げてということは、例えば高校までの教育の中できちんと消費者教育に関するカリキュラムを組んで、それを進めるということが1つあるとは思うのです。ただ、現在でも例えば教科書とかに関連するページが多少なりともあるようですが、それがあったとしても、それをうまく教えられる、そういう教育の担い手が現場になかなかいないのではないかという問題も感じているところです。

そのようなこともあるので、将来的には教員の養成のときにどうするのかということもあると思いますけれども、現状においてそのような中で恐らくは消費者団体さんが学校等と連携をして、教育にかかわってこられたのではないかと思うのです。そこで、その学校との連携のやり方とか、あるいはそこにおける困難等がもしあれば教えていただければと思っているところです。

第3点ですが、消費者向け教育というのが重要であることは言うまでもないのですけれども、事業者にどうやって理解してもらうのかということも重要です。それを消費者団体さんにお願いするというのはお門違いだと言われるのかもしれませんけれども、せっかくいろいろな形で消費者の利益のための活動をやっていらっしゃる消費者団体さんですから、事業者との間の意見交換とか、あるいは事業者に対する教育等についても、もしやっていらっしゃることがあれば、それについて教えていただければと思います。

以上です。

○高委員長  ありがとうございます。

では3つ質問をいただきましたので、1番目は最初にKCCNさん。でもKCCNさんも財政的には厳しいとおっしゃっていましたね。その中でも活発にやっておられるということで、どのような工夫があるのか教えていただきたいということです。

○京都消費者契約ネットワーク長野弁護士/理事・事務局長  特に訴訟、差止請求案件を担当して、一番大きなものは人件費です。専門委員に対する日当であるとか、弁護士、司法書士等に対する日当であるとか、報酬であるとかいうものですけれども、これについては基本的には払っていませんので、全部ボランティアでやってもらっているということになります。特に訴訟は十数件やっていまして、これをまともに弁護士費用として換算したら、弁護団を組んでやりますし、大体5から10人ぐらいの弁護士で担当してやっていますので、全部合わせたら数千万円の弁護士費用になっていると思っているのですけれども、それは全部ただでやる。あと、一時期消費者支援基金さんからの補助があった時代がありまして、そのときには一部払っていたことがありますが、それは一部だけとなります。

ただでやる弁護士とか司法書士さんを集めるのは結構大変です。京都は幸い京都の消費者保護委員会とか、弁護士会の消費者弁護士の活動が非常に活発でして、しかも若手の弁護士も含めて、そういった公益的な活動をやろうという弁護士もまだおります。また、特に非常に我々が取り組む問題は最先端の問題でやった事件は、全部判例時報にも載りますよとか、そういった悪質商法みたいな呼び込み文句で興味をくすぐって、参加していただいているというのが実情です。

あと、クラブ活動的にやっているところもありますので、楽しくやろうよということで弁護団会議が終わったら飲みに行こうということで、私が飲みに連れていくからということも言いながら参加を募っています。昨日も別の新しい日本ライフ協会の残党の人がやっている問題がありまして、その予備会議をやっていたところ10人ぐらい弁護士さんに集まっていただいて、またひとつ活発に活動できる問題ができたなという形でやっています。

ただ、これは本当にボランティアベースの話ですので、これが本当に事業と言えるのかというのはずっと思っていまして、きちんとした予算の裏付けなしのままでいつまで続いていくのだろうと思いながら10年間ぐらいやってきたということです。特定適格消費者団体になって新制度を使って、お金を分配して報酬も得るのでペイするかということも考えましたけれども、あの制度は全然多分そんなことにならないです。もっとひどいボランティアベースになるか、下手をすると赤字になってしまう可能性があるのではないかと思っています。それは先ほど申し上げたとおりやれる事件も限定されていますし、手続が煩雑過ぎるので、我々としては今、認定申請をちゅうちょしている段階です。

とにかく具体的な財政支援が必要だと思っていまして、今までも休眠預金のこととか、休眠預金は今も制度があると思いますけれども、口座凍結した預金の残余金の活用とか、景表法の課徴金のときも一部その課徴金を適格消費者団体に寄附したらその分、減らすとかいうようないろいろな制度の検討がなされていますが、ことごとく途中で恐らく財務省だと思うのですけれども、潰されていますので、ぜひとも消費者委員会の委員の方々の強い押しで、多分、財務省に生の金を出せと言っても無理なのだと思うので、どこかの制度を特に休眠預金なんかは使いようがあるのではないかと思いますので、何とかそのあたりの予算を勝ち取っていただけばと思っています。

以上です。

○高委員長  ありがとうございました。

2点目ですけれども、若者に対する教育をどのように行っておられるのか、あるいはその場合の問題について皆さん方の御意見をいただきたいということで、いずれの団体さんもこういう活動をやっておられるかと思いますけれども、どうでしょう。皮切りにどなたか。

そうしたら、最初に消費者市民ネットワークおきなわさん、もう一回聞いてもよろしいですか。その後、皆さん方にもお聞きします。

○消費者市民ネットワークおきなわ横井弁護士/理事  方法としては恐らくいろいろあると思うのですが、先ほど鹿野委員がおっしゃっていた、恐らくそういうテキストみたいなものがあって、配って何かやってはいると思うのですという話なのですけれども、それでも全然だめだと思うのです。

というのは、私はたまたま子供の権利の関係も弁護士として活動しているのですけれども、例えばいじめの問題は文科省が音頭をとって、ばんばん各学校とか教育委員会に強く強くプレッシャーをかけているのです。例えば今年はどれぐらいいじめに関しての道徳教育をやったのだとか、報告書をちゃんと出してくださいねとか、そういったものをちゃんとやっていて、そうすると徐々に学校側が動くのですけれども、学校の先生方は普段忙しいので、テキストを作ったのでこれを使ってよろしくと言うと、多分絶対に何もやらないです。なので、これは文科省に働きかけないと動かない話だと思うのですが、消費者教育についてどれぐらいのことをやっているのか、まずは調査してくださいと言うだけで、何もやっていないという話になるとやっていないではないかという突き上げが来てしまうので、まずそういう調査をやってください。何をやっていますか。テキストを作っていますよであれば、これを使って何コマやっているのですかとか、これは誰が講師を担当しているのですかとか、そういったものをちゃんと調査して報告するところからまずやらないといけない。というかそれぐらいまだ何もやっていないのだと思うのです。そこから始めないといけないのではないかという印象があります。

学校にもよくお邪魔するので、この辺の話を聞いてみたら、何もやっていませんよというのが現場、これは高校の先生のレベルで、大学とか専門学校のレベルで言っても、なかなかそういった機会がなくて、今回の事件を名義貸し事件と沖縄では呼んでいるのですけれども、この名義貸し事件で学校の学生支援課ですとかそういったところと話をしてみても、全く何もやっていない。言われてもいないしやっていないという状態なので、管轄している文科省に突き上げてもらうしかないと思うのですが、そういう全国的にやりましょうねという基準をまず作っていかないと、個別に各団体にぱらぱらと、例えば沖縄でも沖縄弁護士会の消費者委員会にぱらぱらと学校単位でたまに消費者教育をやってください、こんな感じでやってくださいというのが来るのですけれども、それだと全然、やってはいてもたまたまそこで出会った100人、200人に話ができるだけなので、それでは全然実効性はないと思うのです。なのでそんなにまとまった意見ではないのですが、まず私の肌で感じた現状としてはその程度で、今から始めるぐらいの意識でやらなければいけないのではないかと感じています。

○青森県消費者協会小笠原副理事長  実際に消費者教育の推進活動に携わってきて感じているのは、学校教育というところをまずターゲットにしなければいけない。そうすると当然文科省、都道府県教育委員会といったところ、それから小中高等学校の校長等管理職の人たちの理解、これらをもっと深めていけるよう徹底していかなければならないなということです。

小中高校の校長先生と面談した際感じたのは、まず消費者教育を理解していない。環境教育についてはる程度分かってくれています。ところが、消費者教育については、公民とか家庭科とかでやっていますねという話になるのですが、家庭科なんかは年間のコマ数も少ないし、それさえ他のイベントや授業等で潰されて、3月期にまとめてやりますという「こなし」の教育レベルになってしまっている。形としてはやっているけれども、しっかりしたカリキュラムを組んでやれないでいます。公民の先生もどれだけこういったテーマについて教材を作りながら体系づけてやっているのかというと、疑問を持たざるを得ない。

先ほども言いましたけれども、弘前大学でモデルとして15コマやるということについて、企画立案から参画し自ら講師も引き受けてやってきていますが、大学の先生と話し合う際にも、どういう教材を使って、どのようにカリキュラムを組むかという段階から始めなければいけない。コマの内容例えば契約トラブルや、倫理的消費の問題、あるいは、食品安全等のテーマについて体系づけていく必要がある。それに合わせて担う人材をどのように確保するか。

先ほど人材バンクの話をしましたけれども、弘前大学では民間の人材を活用したオムニバス方式でやっています。オムニバスですからいろいろな得意な分野の人をスカウトしてボランティアだけれどもやってくれと。一応、大学では報酬も出していただいていますが、そういったスカウティングから始めました。今やっとネットワークが少しずつできてきて、他の大学でもコンソーシアム方式を取り入れてやっていけないかという話も一部の先生方と話し合っています。大学と連携協定を結んだのですが、そこは意義のあることで、うちの協会は消費生活センター等の事業を持っていますので消費者契約トラブル等いろいろな相談の実例も持っていて、そういったところの人材を生かしてやっていので何とかなっていますが、本当にこれを体系づけるためには文科省のバックアップが絶対に必要だと思います。

都道府県、市町村が実施している消費者啓発というレベルでは限界があると思うのです。教育というきちんと体系づけたものでないと身についていかない。学生を教えてみて本当に実感しています。現代史をほとんど知りません。ですから消費者トラブルで様々な問題が起きていますよ、戦後70年の間にこういった事件が起きて、消費者がこういう被害を受けているのですよというようなことを話してもチンプンカンプンです。人文社会科学部の3年生に話をしているのですが、この分野に関してはもう少し基本に立ち返って教えていかなければ、進んでいかないのではないかと思います。

○東京消費者団体連絡センター小浦事務局長  消費者団体とどういうふうに連携しているかということなのですけれども、私どもが聞いている話では、自分たちのスキルを伝えたいというときに、一番ネックになっているのは教育委員会で、カリキュラムがいっぱいで時間的に余裕がないと断られるということです。しかし、幾つかの自治体では、校長会と話ができ、小学校や中学校でお話をさせていたけたという実例があります。でもそれはまず校長会で話ができたからであって、センターとかに話を持っていきましても、やはり教育委員会がねという話です。消費者団体や事業者で作る協会は専門的な話をする準備はできていますので、学校と協働して消費者教育を進めていくような仕組みづくりが必要だと思います。

担い手の話もありましたけれども、東京都でも教員向けの研修もしていますが、数字は手元にないのであれなのですが、参加の人数は少ない。各自治体でも担い手の研修をしてほしいとは言うのですけれども、なかなかそこは腰が引けているといいますか、もっと大きなところでの体制が必要ではないかと思っています。

○高委員長  ありがとうございます。できれば比較的うまくいっている事例みたいなものはございませんでしょうか。お願いします。

○京都消費者契約ネットワーク野々山弁護士/理事長  私どもの団体が直接そういう若者向けの消費者教育をやっているわけではありませんけれども、私どもの構成団体である京都消団連、コンシューマーズ京都が実施し、私どもも協力している事例があります。大学の講座なのですが、京都市とコンシューマーズ京都が連携をして、大学コンソーシアム京都の単位互換科目を設けて消費者問題も取り上げているのです。京都の連携している大学で、その科目を受講すると単位を認定する。講座を設けて消費者問題等に関する講座を半年か1年間だったかな、ずっと設けてやっていくわけです。キャンパスプラザという京都中の大学の人が集まる施設が京都駅のすぐそばにあるのですけれども、そこで講義を連続して行い、私ども適格消費者団体も講師として、1限担当してやっていく。結構たくさんの学生の方が京都中からいろいろな大学から来て受講するということをやっております。これは京都市がお金を出しているのだと思います。京都市と消費者団体との連携事業だと聞いております。それがどう効果を表したかは私も分かりませんが、1つの大学ではそういう講座は持てないものについて、連携をして工夫してやっております。

○えひめ消費者ネット池田司法書士/理事  活動状況のところでも御説明をさせていただきましたが、先駆的プログラムの活用としまして、小学生向けの教材ということで紙芝居を作成しまして、小学校に7校ぐらいでしたか、出向いて啓発講座という形でしております。先ほど来ありますとおり、高校向けとか、これはひめネットに限らず弁護士会もそうでしょうし、司法書士会も法教育という形でいろいろと話に行くのですが、カリキュラムの時間的な問題という形でなかなか中に入り込めないという実態があろうかと思います。

もう一つ、愛媛の中で考えているのが、高校でも児童養護施設の子供さんの問題がありまして、18歳になって社会に出て、すぐ悪質商法等にひっかかってしまってということが愛媛県内でも問題になっておりまして、そのあたりの手当てをどうしていくのかということを、これは多分、行政、愛媛県とまた別途話していくようになるのかなということで今、考えております。

以上です。

○佐賀消費者フォーラム喜多理事  私どもは理事長が先ほど申し上げましたように、大学の講座の中で消費者教育の部分を担っておりますので、その情報を生かしながら、それを外にどう広げられるかというぐらいを私どもの団体としてやっている部分でございまして、私は生活協同組合におりますので最近、生活協同組合の中でお母さんが組合員でいらっしゃいます。そうすると子供たちに携帯のいろいろなトラブルをどう教えたらいいのか、とかいうことを学びたいということがあって、自発的にそういうことを広げていくというのは何回か手がけたことがございます。

お金のことについて関心を持ってもらうということで、お子さんに銀行に来てもらって世の中のお金がどう動いていて、銀行ってどんな役割をしていて、自分の生活にどんなかかわりがあるのかというのは、地元の地銀さんとか大蔵省、日銀さんが入れていただくのですけれども、そういうイベントをやると、お母さん方もおこづかい帳をどうつけるかとかいうことから含めて、最初のとっかかりだよねということで、特に夏休みとかそういうときにやりますので、これはプログラムに非常に人気があって抽選でやらざるを得ないとか、今、高校生だとかも直面して被害に遭っているという以前の問題として、小さなうちから消費にかかわるようなこと、経済にかかわるようなことでどのような意識を持たせるのかなというのは、協同組合としてはお母さん方に情報を提供することによって何かをやっていくことは、一定程度、間接的にやられている部分はあるのかもしれないと思う程度でございます。

○高委員長  ありがとうございます。

もう一点なのですけれども、事業者に消費者のほうを向いた事業経営をやってもらうために、それを促すために何らかの意見交換とか、あるいは教育の場を設けているとか、そういった活動はございますでしょうか。

○京都消費者契約ネットワーク野々山弁護士/理事長  私どもは訴訟をしたり申出をすることによって教育と言うか知ってもらうというのが方針なのですが、関西には、KC's、消費者支援機構関西という適格消費者団体があります。これは大阪にあります。そこでは定期的に事業者セミナーというものをやっております。双方向コミュニケーションセミナーということで、消費者と事業者との間のコミュニケーションを保つために消費者側と事業者の方に来てもらって、いろいろな意見交換をしていく。信頼って何なのかということ、情報提供のあり方についてお互いで意見交換をするなどして、それぞれの立場の意見をやりとりしています。

それから、少し以前でありましたけれども、KC'sでは事業者から依頼を受けて、例えば生命保険会社から依頼を受けてパンフレットを消費者視点で作るとか、そのような活動をしております。

○東京消費者団体連絡センター小浦事務局長  こちらからの要請ではなくて、事業者団体さんからガスとか電力、冷凍食品関係とか、そういうところから意見交換会に参加してほしいということがありますので、積極的に参加をして消費者からの要望等を伝えるようにしております。

また、電気事業者協会さんからも意見交換の場に、参加してほしいということがあります。そういうところに積極的に参加をしているというところでございます。

○青森県消費者協会小笠原副理事長  消費者教育のところに関係するのですけれども、新採用の職員研修を事業者団体がやっていますね。青森市委託のモデル事業で社会人対象の教育を行うに当たって、そういった研修の場を活用させていただいたのですが、あのときに感じたのは、そういう角度からもう少し体系的にお互いが連携して組めないかなという実感はしました。これまでも事業者団体と我々は接点が弱いなというのは正直実感していましたので、そこをもう少し生かせないかなという気はしています。

それから、神戸市では、いわゆる消費者教育の研修を修了した人たちを、学いろいろな場面に活用していくというシステムを作っていて、私もあそこはさすがだなと思いましたす。それをもう少しうまく組み立ててやれれば、学校、事業者も含めて地域社会で、担い手の人材バンク及びネットワークが作れるのではないか。ただ、ボランティアでないとできないので、そこに行政支援といいますか、財政的な支援をいただければもう少し定着するのではないかという気がしました。

○えひめ消費者ネット池田司法書士/理事  愛媛の中でもこの事業者とのつき合い方を考えるところがありまして、例えば会員さんにその事業者が入ってくるというのはいかがなものなのかという考えもあろうかと思います。そこでうまく話し合いを持ってやんわりと解決していく方法もあるのだろうなと思うのですが、そのあたりは問題意識として持っておりますので、またいろいろと各団体さんの意見も聞いてみたいなと思っております。特に会員に入れてもいいものなのかどうなのか、うかがいたいなと思っています。

○高委員長  ありがとうございました。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員  今の意見の事業者を入れるか入れないかという話なのですが、実は消費者委員会の中で事業をやっているのは私だけなのです。ほかの方は消費者問題の専門家の方です。

消費者委員会の委員になって3年目になりますけれども、こうやって入れていただくと非常に対話ができるといいますか、こういうことが起こっているのだということと、消費者に対してこういうふうにしてあげようと思っているところの対話が非常に聞けるのです。そうすると事業として何をしなければいけないかとか、消費者視点で物を考えていらっしゃる企業もたくさんあるわけですから、情報がきちんと流れてくるということがとても大事で、消費者教育ということだけではなくて、企業内教育といいますか、こんな問題が消費者に起こっていますよ、それに対してこういうことをしなければいけないと考えていますよということが情報として入ってくることによって、企業の姿勢が変わってくる。それから、消費者だけが正しいというわけではないことがたくさん起こってきますので、消費者教育の在り方も変わってくるという、両者の姿勢が変わってくると思うのです。

ですから壁というのは人でできていますので、人は話せば分かるという意味ではちゃんとお話をなされる機会があれば、私はここで9人が専門家で、私は事業側として消費者志向というのはどういうことかというのをやっていますけれども、そういう意味では何となく少し壁を払ってしまうという意味で、京都さんがなさっているものが京都の経済同友会、KC'sさんでなさっているところも大変企業と一緒になってということをなさっていると思うので、そういう成功事例を共有していただいて、考えていただくというのもいいかなと思います。

お聞きしたいのが2つありまして、まずは支援の問題なのですが、財政支援に関して各団体様が具体的な数字を挙げてお話をなさったことがあるかどうかということです。去年もおととしも同じように支援をというお話があったのですが、こちら側からどういうサポートをしてさしあげられるのだろうというのが、非常に具体的でないがゆえに分からないのです。ただ支援してくださいと言うのは簡単なのですけれども、では10万あげたから支援しましたと言われればそうなのかなと思うし、そうではなくてもっと200万、300万、1,000万の単位で支援してほしいのですとおっしゃっているのか。そしてそれは何に使われるのか、ということもあります。例えば電気代だって事務所代だってかかるわけですから、人間、生きていればいろいろなものがかかってきます。それをいつまでもボランティアだけでは済ませられないということがあると思います。

ですから、それを数字で具体的に出していただくことがいいことか悪いことか分からないのですけれども、単純に普通の生活の中でも子供が「お金をちょうだい」と言ったときより、「100円ちょうだい」と言ったときのほうが親も出しやすいということもありますので、せっかく皆さん集まっていらっしゃるので、地域性もありますでしょうけれども、これは私の意見なのですが、そういう数字が見えてくると見えやすいかなという気もしております。もしそういうことがあればお教えいただきたいということです。

もう一つ、最近は子供の教育をアプリでするというのが結構ありまして、アプリだと子供たちは見るのです。アプリで消費者教育、だまされちゃだめですよとか、泣き寝入りしないでねというアプリがあると、それはどういうことなのだといって、困ったらここに来なさいねというようなものが本当はあると、それを全国区で、皆さんで共有したり、これは消費者庁がやることかもしれないのですけれども、そういうことがあると、割とネットで子供たちは見ていきますので、生の教育の場においての消費者教育と、子供たちが寝るまで離さないスマホというものを使っての教育というのと、最近はいろいろなところで行われ始めているかもしれないのですが、そういうものはいかがなものかというので、どのように考えていらっしゃるのか、どなたかにお返事いただければと思います。

○青森県消費者協会大塚理事長  今、財政的支援の関係で数字で示していただきたいというお話がありましたけれども、私どもでは今、出ていた支援の問題は、要するに相談員の人件費の問題、もう一つはいろいろな活動をしている、適格団体として活動をしている団体、あるいは消費者問題について様々な活動をしている団体に国のほうで支援していただける、この3つだと思うのですが、私が今、申し上げたいのは相談員の人件費の問題について。これについては非常にシビアな問題だと思っています。

それはなぜかというと、我々みたいに県から受託している、市から受託しているのは、日々毎年予算要求はやっております。でも、その中で県なり市の財政的な問題があるわけです。我々が単にこれだけのものを欲しいと言ってもなかなかそれは今どこの県も、どこの市も財政が厳しい状況にある。国のほうもそうだろうと思うのです。

でもその中で、唯一国のほうでできるのは地方交付税だと思います。地方交付税の中に相談員というものの人件費をしっかり乗せていただく。これは入っているかどうか私は理解していませんが、そういうものでもって措置をする。地方交付税で措置をすると県なり市の財政担当が、それは交付税だからその中で地方団体に任せられているわけです。それを明確にすることが、これは相談員としての人件費相当分だということを明確にしていただいて、財政的な支援、こういうことが具体に申し上げればそういうことが言いたいのであって、これを消費者庁でも非常に国との折衝というのは難しい。

事業費の問題についてもなかなか難しいと思いますが、先ほど申しましたけれども、地方交付税でもって財政的な支援をするというものは、附帯決議としてなされているというお話をしましたが、そういうことでもって私どものほうではお願いしたい。ただ、県が悪いのではなくて、県も厳しい。その中で国としてしっかりした形で明確にそういう位置づけをしていただけると、県なり市町村でつけやすいのではないかということを申し上げたいということです。

○高委員長  ありがとうございました。

まだまだいろいろ質問等あろうかと思いますけれども、時間となりましたので私のほうで整理をさせていただきます。

今日皆さん方から基本計画工程表改定に関していろいろ御意見をいただきまして、我々も今、委員会として工程表の改定に関して意見をまとめているところなのですけれども、今日いただきました皆さん方の意見をできるだけ反映したいと思っているところでございます。

今日いただいたいろいろな意見がございますが、4つぐらいに整理されるのかなと思っています。

1番目は、いずれの団体さんもおっしゃっておられましたけれども、財政支援の問題です。団体に対する支援という話と、相談員の方々の処遇改善とか、あるいは適格消費者団体を目指す団体に対する財政支援等のそういった問題も検討をしてもらえないか。一回限りではなくて継続的な支援というものも検討してもらいたいという御意見をいただいたと思っております。

2番目は法制度的な問題あるいは執行の問題、これに関して貴重な御意見をいただきました。消費者契約法の改正の話あるいは景表法については執行をもう少しきちんとやるべきではないか。悪質な事業者については手を替え、品を替え、場所を替え、幾らやっても切りがないという意味で厳格な執行をお願いしたいということ。これとあわせて被害情報の開示ということも考えてもいいのではないか。あるいは勧誘規制も積極的に考えてもらいたい。これとあわせて特商法の改正ということもあると思う。さらには消費者被害の集団的回復制度、訴訟制度については全く使い勝手が悪いという御指摘がありますので、どこまでやれるか分かりませんけれども、そういったことも我々は検討していきたいと思っております。

表示については健康食品、原材料、原産地表示、こういった問題も全然きちんと改善されていない。消費者にはやさしいものになっていない。ここを考えてもらいたいという御指摘を受けました。そういう制度的な問題、これも我々委員の間で共有させていただきたいと思います。

3番目は特に高齢者の方々の被害をどうやって防ぐか、あるいは被害の拡大をどうやって防止するか、あるいは救済という話につながるのでしょうけれども、ネットワーク作り、見守りネットワーク、こういった福祉分野との連携をやりたいのだけれども、より進めやすくなるような工夫をしてもらいたいという御意見もいただきましたので、そういった内容を工程表の改定の中にも含み込むような形で検討したいと思います。

最後は教育ですけれども、とりわけ成年に対する教育のところが喫緊の課題だという認識を得ました。教育を充実していく上で特に文科省と教育委員会のところのアクションがなければ、まず事が変化してこないだろう。とりわけ実態をまず調査せよという貴重な御意見をいただきました。その他もろもろ公益通報の話とか、人材バンクとかいろいろ細かく具体的なものをいただきましたけれども、あるいは公正取引の実現というものは大企業でもいろいろな問題が起こっているではないかというところで、これも考えるべきではないかという御意見もいただきました。そういった点については、既に4つの点とあわせて消費者行政の全体のグランドデザインを考えるべきではないかということを今、委員の間でも議論しているところでございます。直面する課題の問題と全体的なグランドデザインの問題を今後、委員会のほうで考えていきたいと思っております。

以上のような整理をしまして若干、漏れがあるかもしれませんけれども、しっかり私のほうでもメモをとらせていただいておりますので、今後、対応させていただきたいと思います。

皆様におかれましては本日、お忙しい中、御出席をいただきまして、貴重な御意見ありがとうございました。この御意見、御要望につきましては、委員会運営の参考にさせていただきたいと思います。


≪3.閉会≫

○高委員長  本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ皆様にお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)