第199回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2015年8月4日(火)13:00~15:07

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
  • 【説明者】
    金融庁 佐藤 総務企画局信用制度参事官
    金融庁 西尾 監督局金融会社室長
    一般社団法人日本資金決済業協会 長楽 専務理事
    一般社団法人日本資金決済業協会 永澤 事務局長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 電子マネーに関する消費者問題について
    金融庁 佐藤 総務企画局信用制度参事官
    金融庁 西尾 監督局金融会社室長
    一般社団法人日本資金決済業協会 長楽 専務理事
    一般社団法人日本資金決済業協会 永澤 事務局長
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。

皆さんお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第199回本会議」を開催いたします。

また、本日は所用によりまして、山本委員が若干遅れて御出席の予定になっております。

それでは、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 事務局でございます。

資料1といたしまして、金融庁提出の説明資料。

資料2といたしまして、日本資金決済業協会の説明資料ということになっております。

お手元に追加で、落丁があったようで、決済業協会の説明資料の5ページの部分「前払式支払手段の例」ということで、追加で配付させていただいております。

同じく、協会のほうの御提供資料で各種のパンフレット等をとじております資料をクリップ留めで配付しておりますので、御確認ください。よろしくお願いいたします。


≪2.電子マネーに関する消費者問題について≫

○河上委員長 それでは、最初の議題ですけれども、「電子マネーに関する消費者問題について」ということでございます。

インターネットによる取引の拡大に伴いまして、クレジットカードあるいは電子マネーなど、多様な支払手段が利用されるようになりました。電子マネーはほかの支払手段と比較しても歴史が浅いのでありますけれども、発行額は年々増加しておりまして、利便性の高い支払手段として今後も利用の拡大が見込まれております。

一方で、電子マネーにかかわる消費者被害も発生しております。相談事例を見ますと、加盟店の悪質な行為が原因で生じる被害、電子マネーのIDが詐取される被害などが発生しており、電子マネーの健全な市場が形成されているとは言えない状況にございます。消費者が安心して電子マネーを利用できる環境の整備が必要でありまして、これが現状では十分ではないというように考えられます。

本日は、このような現状を踏まえまして、電子マネーに関する消費者被害の実態と、求められる対策などについて関係省庁、関係団体へのヒアリングを行うということにいたしました。本日は、金融庁から総務企画局の信用制度参事官、佐藤則夫様。監督局金融会社室長、西尾勲様。一般社団法人日本資金決済業協会から、専務理事の長楽高志様、事務局長の永澤修様にお越しいただいております。皆様方におかれましては、お忙しいところ、加えて暑い中お越しいただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、皆様から電子マネーに関する現行制度の課題や消費者トラブルを防止するための取組等について順に御説明をいただいて、その後、意見交換をお願いできればと考えております。

それでは、最初に金融庁から、電子マネーに関する消費者問題の課題、取組あるいは意見等について、15分程度で恐縮ですけれども、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○金融庁佐藤総務企画局信用制度参事官 改めまして、金融庁総務企画局信用制度参事官の佐藤でございます。

まず担当としまして、私のほうが法令制度などを担当しております。西尾のほうが業者の監督を担当しております。

本日、資料1-1に沿いまして、まず委員の皆様方の御承知のところも多々あろうかと思いますが、前払式支払手段、プリペイドカードに関する制度の全体の概要と、あと加盟店管理などについて制度がどうなっているのか、さらに、監督の立場から、監督の目線あるいは発行額の推移等について御説明をしたいと思っております。

資料1-1、まず表紙を1枚おめくりください。

「前払式支払手段に関する制度の概要」と書いております。この前払式支払手段につきましては、「資金決済に関する法律」という法律で規制されております。

最初に「『前払式支払手段』の定義」と書いております。「予め『対価を得て』発行される『証票等又は番号、記号その他の符号』(コンピューター・サーバ等にその価値が記録されるものも含む。)であって、その発行者等から物品の購入・借受等々に利用できるもの」とございます。

大きく紙型、IC型、サーバ型がございまして、概念図を3ページに記載をしております。

左上のところに紙型とありますが、伝統的な、いわゆる商品券のイメージをしていただければよろしいかと思います。この券面に額が記載されている、あるいは磁気ストライプによって残高を読み取ることによって加盟店で利用ができるというものでございます。

もう一つ、IC型という、テクノロジーの進化に従い、だんだん新しいものが出てきて、カードにICチップが埋め込まれているものを御承知かと思います。このICチップに残高の情報が記録されており、支払のときには、このICチップからその情報を読み取ることによって加盟店の端末で利用することができるというものでございます。

もう一つ、サーバ型というものがございます。このサーバ型の説明に入ります前に、以前は、サーバ型というものは規制の対象になっておりませんでした。それが平成21年にサーバ型がテクノロジーの進化によって登場してきたことを踏まえて、サーバ型も規制の対象に加えたということで、平成22年4月に新しい法律が施行され、それ以降、サーバ型も規制の対象となることになりました。

サーバ型は、カードあり、カードなしと2種類記載しております。カードがあるほうは、カードにID番号が記録されており、ただ、残高の情報がカードには何も記載されていない。全て中央のサーバで管理をされているものでございます。

もう一つ、カードがないというものがございます。カードがなく、左下に使い切り型、再チャージ型とありますが、お金を払ってID番号を入手し、このID番号を入力することによって、加盟店で利用することができるというものでございます。

ざっくりと言いまして、このような類型のものがございます。

もう一度、2ページにお戻りいただきまして、1の定義の三つ目の丸に書いておりますが、こういう紙かICかという類型以外にも、自家型と第三者型がございます。自家型は発行者への支払にのみ利用できるもので、第三者型は加盟店などへの支払にも利用できるものでございます。自家型というのは、例えば私が商店として、私の店だけで利用できる商品券のようなものは自家型と称しております。第三者型としましては、例えば最近交通系のプリペイドカードなどが多く出てきておりますが、電車に乗るだけではなしに、その駅の構内の売店などでも利用できたり、そういう発行した人だけではない、その発行者と契約しているような別店舗でも使えるものを第三者型と称しております。

2番目に「登録・届出」とございますが、第三者型前払式支払手段の発行者は、財務局への登録が必要となっております。

自家型前払式支払手段の発行者につきましては、一定の基準日がございまして、毎年3月末あるいは9月末の2回設けておりまして、この時点での未使用発行残高が1,000万円を超えた場合には、財務局に対して届出が必要となっております。したがいまして、少額のとき、例えば商店街のようなところで、お祭りだけに使うような商品券などがありますが、ああいったものは基準額の一定額を超えないので、それは届出の対象となっていないものでございます。

三つ目に行為規制とあります。この前払式支払手段を発行する方に対するものとして、大きく二つここに書いております。一つは資産保全ということでございます。発行された方は、基準日、先ほど申しました3月末と9月末の年2回ですが、基準日の未使用発行残高が1,000万円という基準額を超える場合には、未使用分の2分の1以上の額の発行保証金を供託するなどして資産の保全を義務付けております。すなわち、利用の可能性がありますので、その分の資産を保全しなければならないということでございます。

また、利用者への払戻しということについては、前払式支払手段の利用者への払戻しは原則禁止し、ただ、廃業するような場合には、利用者への払戻しを義務付けているということになっております。

3ページは先ほど御説明しましたので、4ページをお開きください。法律の規定を抜粋しております。「(登録の拒否)」という要件がございまして、「内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書などに虚偽の記載があるような場合、その登録を拒否しなければならない、とございまして、この第10条第1項第3号に、前払式支払手段により購入若しくは借り受けを行い、若しくは給付を受けることができる物品又は提供を受けることができる役務が、公の秩序又は善良の風俗を害し、又は害するおそれがあるものでないことを確保するために必要な措置を講じていないような法人、こういう法人は登録の拒否の対象となっているということでございます。

これが登録をする、いわゆる最初の段階の審査でございます。

もう一つ、この下のところに、第27条というものがございまして、内閣総理大臣は、第三者型発行者が次の各号のいずれかに該当するときは、登録の取消しあるいは業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる、とございまして、この第27条第1項第1号に、第10条第1項各号に該当することとなったとき、すなわち、登録の最初にはきちんと、公の秩序、善良の風俗を害するような商品でないということを見極める体制が講じられていても、その後、そういう体制が講じられなくなったような場合、このときには、登録の取消しですとか、あるいは業務の停止という処分の対象となるということでございます。

まず法律の制度はそういうことになっておりまして、次のページ以降は監督の目線などを記載しておりますので、西尾から御説明を申し上げます。

○金融庁西尾監督局金融会社室長 監督局金融会社室長の西尾でございます。よろしくお願いいたします。

引き続きまして、監督サイドの観点から、事務ガイドラインというものを5ページと6ページに掲載させていただいておりますけれども、今の加盟店管理というのを実際の業者のモニタリングの中で、我々、行政官がどういう目線で行うのかということが事務ガイドラインでありまして、いわば監督者の手引という位置付けのものと考えていただければと思います。

その中では、業者の加盟店管理、これは先ほど佐藤から説明を申し上げましたように、自家型の場合は発行者自らの範囲内でしか使えないということで、加盟店がいるということは基本的にはそれ以外のところのことになりますので、第三者型発行者のみということになりますけれども、その法律の先ほどの登録拒否要件等々にまず当たらないかということを日頃のモニタリングにおいても「加盟店が販売・提供する物品・役務の内容について、公序良俗に反するようなものでないことを確認する必要がある」ということです。

さらに、「また」のところは、加盟店に対する支払を適切に行う措置を講じる必要がある。これは加盟店に対して既に発行者が前払式支払手段の対価として得ているものですから、加盟店からの支払の要望に対してはしっかりこたえられないとそのサービスを提供したことにならないということですので、そういう体制がとられているかどうかということを事務ガイドラインに確認的に載せているということでございます。

それとさらに、主な着眼点ということでガイドラインに記載をしているわけですけれども、一つ目は、まさに公序良俗に照らして問題のある業務を営んでいないかということを確認しているかという点。さらに、問題がある場合、速やかに、契約の解除ができるかどうか。行政上の一般的な対応として、先ほどあったような登録取消しあるいは業務停止というような行政処分とすることは選択肢としてはあり得ますけれども、まず、それを改善する方向でそういう態勢があるかどうかということは日頃のモニタリングで確認をし、そういうことが判明した場合に、速やかに契約の解除ができるのかどうか、そういうようなことが態勢としてできているのかどうかを、日頃のモニタリングでは確認していくということでございます。

さらに、三つ目といたしましては、その物品・役務の内容に著しい変化があった場合には、加盟店からちゃんと報告をもらうというようなことであったり、あるいは発行者が提供するサービス等を把握できているかどうか、そういうような態勢をとっているかどうか。

さらに、四つ目としては、使用実績について一定期間ごとに報告を求めているかとか、あるいは使用実績を管理している部署とは別の部署等々が、受けた支払の正確性について検証する態勢となっているか。これは実際に使用実績を管理している部署と支払の正確性を検証する部署を別にすることによって検証する態勢になっている。こういった点を加盟店管理の着眼点として、監督上の日頃のモニタリングの指針としているということでございます。

次、おめくりいただきまして、さらに、いわゆる利用者の被害というようなことと直結する項目ではございますけれども、苦情処理態勢についても事務ガイドライン上に示し、それに沿った形でモニタリングをすることになってございます。主な着眼点、たくさんございますけれども、基本的に苦情によって自らの信用失墜等を招く可能性があるということを十分、いわば経営陣は認識しているのかという点、そもそも苦情に対してどういうような受付態勢をして、それに対してどのような対応をしていくのか。あるいは、それが会社、経営の中でどういうような形で報告できる態勢になっているのかというような点についても着眼点としております。また、加盟店で利用者から直接苦情を受け付ける態勢になっているかであるとか、あるいはさまざまな業務について委託先というのがございます。そういう委託先に関する苦情についても発行者が受け付けられる態勢になっているかどうかであったり、申出のあった利用者に対して十分説明ができているかという点など7項目ございますけれども、こういった点について日頃の監督の目線といいますか、着眼点として示しているところでございます。

さらに、今の実態、足元の状況につきまして、簡単に7ページから9ページまで御説明いたします。協会の資料とやや重複するところがあろうかと思いますけれども、御容赦ください。

先ほど御説明があったように、サーバ型のプリペイドカード業者が参入した平成22年以降、自家型につきましては若干増加、第三者型には若干減少傾向にあるというような状況でございます。自家型につきましては、ゲームといいますか、いわゆるウェブの中でのゲームをする、そのための例えば何かコンテンツといいますか、そういうものに対するプリペイドカードを発行するような会社というのが比較的多くなっていると聞いております。

他方、第三者型につきましては、やはりこれまで地方の商店街であったり、そういったところが商品券という形で割と地域限定とかで発行していたものが、それほどの利用が進まないということなのか、こうした業者が廃業等をしているケースがあると聞いておりまして、第三者型は、若干全体としては減っております。それが7ページでございます。

発行額につきましては、先ほど委員長からも御案内というか御紹介いただきましたように、相当程度の発行のボリュームになってございまして、平成25年度を御覧いただきますと、ほぼほぼトータルといたしまして約22兆円ということでございます。縦軸の一番右が、私ども報告をもらっていますけれども、いわゆる未使用残高ということで、これが2兆円ということで、発行に対して約9割方、この年度だけを見ればですけれども、活用がされているということと、あと22兆円のボリュームのプリペイドカードが発行されているという実態でございます。

更におめくりいただきまして、9ページ目でございますけれども、これはまさに協会の資料を拝借している形でございまして、必ずしも全体の発行額の数字とは一致しません。ただ、カバレッジはかなり高うございまして、ほぼほぼトータル約20兆円程度ございますが、御覧いただきますと、やはりIC型のプリペイドカードの発行が約12兆円強ということで大変右肩上がりで伸びているとともに、先ほどから御紹介のサーバ型の発行額につきましては約7兆円ということで、改正資金決済法の施行以降、非常に大きなボリュームの発行になっているということでございます。それに引きかえ、磁気型あるいは紙型の発行ボリュームが非常に少なく、減少傾向にあるというトレンドでございます。

それと、資料1-2に私どもの不正利用対応ということで資料は用意させていただいております。私ども業者監督という立場でございますので、先ほど委員長からお話のありました悪質加盟店であるとか、あるいは詐取されているような実態につきましては、発行業者に加盟店管理であるとか、あるいは苦情処理態勢であるとかということを必要に応じてヒアリングをし、確認、対応を促すというようなことはさせていただいております。

さらに、昨年来、相当、不正請求に関する苦情等も増えてきたということもございまして、資料2にあるような業界であったり、消費者庁、あるいは国民生活センターと連名で、入口の段階で啓発することが重要ではなかろうかと考えておりまして、「『プリペイドカードを買ってきて』は詐欺」といったチラシを当庁のホームページに掲載するであるとか、あるいは国民生活センターだとか、業界団体のホームページにも掲載をさせていただいて、そういう意味での注意喚起、啓発に努めているところでございます。

簡単でございますけれども、私からは以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、一般社団法人日本資金決済業協会から、電子マネーに関する消費者問題について、協会としての問題意識と業界の取組、今後とられる対策の予定などについて、15分程度で説明をお願いいたします。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 日本資金決済業協会の長楽と申します。

本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

お手元に資料がございますけれども、お手元の資料に基づき、御報告をさせていただきます。

1ページをお開きください。

先ほど委員長から、本協会への質問事項ということで御紹介があったわけでございますが、私から、改めて御報告させていただきます。

「電子マネー(サーバ型)」における消費者トラブルに関してということで、協会としての問題意識と業界の取組、今後とられる対策の予定、今後行政に望む対応ということで、事務局のほうからでございますけれども、以上3点について御質問がございました。順次御報告させていただきます。

2ページをお開きください。

まず、協会の問題意識とこれまでの取組及び今後協会として予定している取組につきまして御報告をさせていただきます。次に業界の取組について御報告をさせていただきます。

これまでの取組について御報告申し上げます。

アダルトサイトのワンクリック請求など不当請求の決済手段の一つとして、詐欺業者が事前に注文したインターネットで利用できるサーバ型の前払式支払手段の代金を被害者にコンビニエンスストアに設置されている情報端末を操作させて、発行された用紙をコンビニのレジに持ち込ませて現金で支払わせ、有効化して当該前払式支払手段の価値を詐取するという事件に関するマスコミ報道がいろいろありました。

また、平成26年11月に独立行政法人国民生活センターから「カード、電子マネー…等で支払ってトラブルになっていませんか?―キャッシュレス決済を悪用する業者にご用心!―」という報道発表資料の提供を受けたことを踏まえまして、詐欺被害の未然防止のために、会員に対し、同資料の相談事例等を踏まえて適切に対応するよう要請をいたしました。

また、平成26年12月に同じく国民生活センターから「速報!!『キャッシュレスでの買い物トラブル110番』の実施結果報告」という報道発表資料の提供がございました。これを踏まえまして、会員に対し、同資料の相談事例を踏まえて適切に対応するよう重ねて要請いたしました。

こうした中、国民生活センターが発表されました27年3月の報道発表資料にもございますように、関係各所の自主的な取組により、情報端末を操作させて詐取する手口による詐欺被害は急速に減少してまいりました。しかしながら、詐欺がコンビニの店内の売り場に陳列されているサーバ型前払式支払手段をレジで購入させて、そのカードに記載された番号等をメールやファクスなどの方法で詐欺業者に連絡させ詐取する手口のほうに移行してきました。こうしたことを踏まえまして、協会といたしましては詐欺被害の未然防止のためには、まずは何よりも消費者への注意喚起・啓発が重要であるとの認識のもと、国民生活センターと連携いたしまして、平成27年3月、協会のトップページに、国民生活センターの報道発表資料「プリペイドカードの購入を指示する詐欺業者にご注意!!~『購入したカードに記載された番号を教えて』は危ない!~」を掲載し、消費者向け注意喚起・啓発を行うとともに、「『プリペイドカードを買ってきて』は詐欺」と題する消費者向け注意喚起・啓発のためのポスターを掲載いたしております。

平成27年5月でございますが、国民生活センターと連携し、金融庁及び消費者庁の協賛を得まして、先ほど申し上げました「『プリペイドカードを買ってきて』は詐欺」と題するチラシを作成いたしまして、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の協力のもと、コンビニの従業員控室に同チラシを掲示し、従業員等に周知することにより、消費者への声かけなどが行われ、詐欺の未然防止や注意喚起につながるよう、全国のコンビニ約52,000店に配布させていただきました。

新聞報道等を見ますと、警察等からのいろいろな注意喚起によって未然防止につながったという事例が記事に出ております。

3ページをお開きください。平成27年5月、国民生活センターの相談情報部の担当者の方をお招きしまして、消費者トラブルにおける決済手段の多様化と題して、同センターの役割、相談対応、最近のプリカに係る詐欺事例等の相談事例、安心・安全なサービスを目指すための課題等について、会員向けのセミナーを開催させていただきました。このほか、詐欺被害の発生以降、関係する会員、金融庁との間で、詐欺被害の未然防止のための意見交換や情報共有を実施しております。

御参考としておりますが、上記の消費者への注意喚起・啓発の取組のほか、平成24年4月に国民生活センターから「詐欺的なサクラサイト商法にご用心」という報道発表資料の提供を受けました。また、5月には、当該被害の撲滅キャンペーンが実施され、7月には、新たな手口がホームページで注意喚起されていること、また、4月の報道発表資料の中で、前払式支払手段の利用者が被害に遭った事例があったこと等を踏まえまして、平成24年10月に会員に対し、より一層適切な加盟店管理態勢の整備を要請いたしました。

また、平成24年12月「詐欺的なサクラサイト商法」の被害実態に詳しい「和の森法律事務所」の瀬戸先生をお招きしまして会員向けセミナーを開催いたしております。

以上がこれまでの協会の取組です。

次に、協会として今後予定している取組について御報告させていただきます。

国民生活センターや関係者から一層の情報収集や情報共有に努め、ネットで利用できるサーバ型前払式支払手段を中心に、紙型、磁気型、IC型も含めて、前払式支払手段に係る消費者トラブル等の未然防止や消費者啓発のため、協会ウェブサイトに消費者向け専用のページを設け、消費者が前払式支払手段を利用するに当たり注意すべき事項等につきまして掲載し、消費者向けに注意喚起・啓発を行うこととしております。

また、国民生活センターと連携いたしまして、国民生活センター主催の消費生活相談員、都道府県の地方行政職員等向けの研修会に協会から講師を派遣する予定でございます。現時点で決まっておりますのは、8月下旬から9月中旬にかけて、国民生活センターの相模原事務所研修施設で行われる4回の研修、8月下旬に大阪で行われる研修、11月上旬に北海道で行われる研修がございます。そこで国民生活センターの相談情報部の皆様方と我々協会の職員が協働して、研修の1コマではございますが、「前払式資金決済トラブルに関する相談対応」について研修を行うこととしております。

以上が協会の取組でございます。

4ページをお開きください。

それでは、会員の取組について御報告申し上げます。インターネットで利用できるサーバ型前払式支払手段が悪用され利用者の詐欺被害が発生したことを踏まえまして、協会会員である当該前払式支払手段発行者は、これらの詐欺被害の未然防止や消費者保護のため、自主的にさまざまな取組を実施してきております。

具体的にとった対策の例でございますが、協会会員からの情報に基づきまして、簡単でございますが、御報告させていただきます。

まずウェブサイトにおいて、サーバ型前払式支払手段を悪用した詐欺への注意喚起のお知らせを行い、次に、コンビニに置かれている情報端末の画面におきましても同じような形の注意喚起のお知らせを行っております。

在庫の関係でまだコンビニに出ていないと思うのですけれども、コンビニの店内に陳列されているプリペイドカードの裏面に、「プリペイドカード詐欺にご注意」という注意喚起の文言を記載するなど、自主的にさまざまな取組を行い、詐欺被害の未然防止に全力で取り組んでおります。

また、詐欺に遭った被害者への対応でございますが、当該前払式支払手段の財産的価値が残っておりまして、警察への被害届の確認ができた場合には返還対応していると聞いております。

3番目の今後行政に望む対応でございますが、特段ございません。

最後に協会からお願いをさせていただきます。消費者被害の未然防止や消費者啓発には、行政、国民生活センターなど、関係者の皆様方の御理解、御協力、御支援が不可欠でございます。引き続き協会の活動につきまして御理解いただき、御協力、御支援をお願いしたいと思います。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 すみません、報告すべき事項が一つ漏れていました。

○河上委員長 どうぞ。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 3ページをお開きください。

一番下でございます。先ほど申し上げた注意喚起のチラシと同様のデザインによるクリアファイルを作成しまして、イベントや研修会におきまして一般の消費者の方とか、消費生活相談員の方とかに配って注意喚起を行っていくこととしております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、発言をお願いします。担当委員は石戸谷委員長代理、高橋委員等々ですが、石戸谷委員長代理、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 御説明ありがとうございました。

では、まず私から協会のほうにお尋ねしたいと思います。金融庁のほうでは、かねてから苦情・紛争の迅速な解決を目指して金融トラブル連絡調整協議会を開催して運用改善、それとまた金融ADR法の整備などを行ってきているところでありまして、資金決済業協会のほうもそれに参画して議論を重ねてきているところだと認識しております。

そちらのほうに出された資料を拝見しましたところ、平成25年度の相談件数が1,681件ということになっておりまして、相当な数だなと思うわけでありますが、それとともに苦情件数のほうが平成25年で37件ということで、紛争のほうはなしになっておりますけれども、これらの内容です。どういうような相談の内容で、その処理の結果がどうなったのかといったようなことを御紹介いただけると今後の議論に大変参考になると思うのですが、どうでしょうか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 余り準備はできていないのですけれども、平成26年度ということでよろしいでしょうか。

○石戸谷委員長代理 はい。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 平成26年度について御報告申し上げます。

協会に寄せられた相談・苦情でございますが、相談が1,827件、苦情が11件、紛争は0となっております。この中で、前払式支払手段に寄せられた相談は1,398件、苦情は5件、資金移動業に寄せられた相談は196件、苦情は4件、資金決済業に関係ない苦情が2件でございます。うち、お客様相談室でございますが、相談は115件、苦情は8件、これは全体の件数の中に入っております。

相談はどんなものがあるかということでございますけれども、前払と資金移動に分けておりませんので併せて御報告をさせていただきます。資金決済法に関する一般法令相談が約4割、登録・届出関係の各種手続が約2割、資金決済法は適用されますかという法の適用の有無に関する照会が約15%、協会事業に対する照会が約4%、入退会の相談が約4%。発行保証金(未使用残高の2分の1の額以上の額の供託等の義務付け)に対する照会が約4%、前払に関する会計税務が約1%、その他が約13%です。その他は分析できておりません。

一般法令相談は何があるかということですが、払戻しに関する照会や前払式支払手段に対する規制の中で発行者名、苦情相談窓口等、法に規定する一定の事項をカードに表示する義務があるわけでございますが、その表示義務に関する照会でございます。あと前払式支払手段の場合は、有効期限がついているものとついていないものがあります。紙型の場合はついていないものが多いかもしれません。そのような有効期限についての御照会、この三つで一般法令相談の約53%を占めているということです。その他はもろもろでございます。

苦情でございますが、苦情は前払が5件ありまして、一つがコールセンターの方の説明が余り丁寧でなかったということかもしれないのですけれども、そういうコールセンターの対応への不満であります。

あと先ほど申し上げました払戻しに係る苦情、前払式支払手段は原則払戻し禁止となっています。そういうことで、未利用分の払戻しに応じないことに対する苦情でございます。

その他の苦情ですが、前払式支払手段はどこでも使えるわけではなく利用範囲が限定されております、その利用範囲の書き方が不明確という苦情でございます。

あと資金移動業でございますが、資金移動業もお話ししてよろしいでしょうか。

○石戸谷委員長代理 はい。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 資金移動業に係る苦情は4件です。私の理解ですが、資金移動業は、非常に取扱金額が伸びております。お客様からの問い合わせが非常に多くカスタマーセンターがなかなかつながらないという苦情が2件、また資金移動業はシステムに依存しているところがございまして、システムに不具合が生じサービスが停止したことについての苦情です。また、資金移動業の場合は、送金を受け付けて相手方が受け取るまでの間の資金というのは全額保全する必要があります。その履行保証金制度についての説明が不十分であったという苦情です。どちらかというとトラブルというよりは不満というものが9件の大半になっているということでございます。

以上でございます。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。

冒頭の御説明で国民生活センターの注意喚起とか情報を受けて対応されて成果を上げられたりということがあったので、国民生活センターというのは消費者問題の全分野。協会のほうは資金決済にかかわる専門的な機関として苦情を受け付けているので、そこにかなり集まっているのではないかなと思ってお尋ねしたのです。

今のお話だと、国民生活センターのほうに相談に行くようなタイプのものというのは、協会のほうにはまだ少ないということでしょうか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 協会は国民生活センターの苦情の詳細はわからないのですけれども、トラブルのお話というのは平成26年度はほとんどありません。

協会は利用者相談室を設けているわけですけれども、全国の消費生活センターの方からいろいろな照会は非常に多い、それは恐らくトラブルにつながる話だろうと思います。そういう照会が多いということはございます。ダイレクトに協会にトラブルの相談があるということは余りないということです。

○石戸谷委員長代理 わかりました。せっかく専門的な機関として協会があって、そこで苦情・紛争処理を行うということなので、周知をやっていただけると、国民生活センターに苦情・相談で行っているようなものも集まるのではないかと思われるのです。確かに資金決済法を見てみたら、法令上は苦情に関する情報は会員に周知させなければならないとなっていて、直接的には会員に対する周知となっているのですけれども、協会の事業目的を見てみると、利用者への情報提供というのはいろいろ入っていますので、幅広く周知していただいて、問題の所在を協会のほうでいち早く把握できるような態勢をとっていただけないか。例えば金融ADR機関の場合だと、四半期、半期、1年ごとに苦情相談の内容だとか、どういう内容がありました、どう処理しましたみたいなものをまとめてホームページに掲載して、ここに持っていけばこういう相談に乗ってくれてこういうようになるのだなというのがぱっとわかるようになっているわけです。ですので、協会のホームページを見てみたら、その辺の苦情の相談の内容の紹介が載っていなかったので先ほどお尋ねしたということなので、その辺のことも御検討いただけないかなと思う次第です。

集まってくると、そこを分析してどこに問題の所在があるのかというのは把握できて、それが会員に対する指導改善のほうにも役に立つという関係になるかと思いますので、そこは御検討いただけないでしょうかということです。直ちには言えないかもわからないですけれども、いかがですか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 協会のホームページに、また、説明資料の14~15ページにあると思いますけれども、利用者向けのパンフレットと同様に消費者が留意すべき事項について書いています。説明資料の16ページにお問い合わせ、お客様相談室の掲載がございます。ここにお電話いただければということで記載してございます。

17ページに、ADRを含めて苦情・紛争は、こういう形で受付をするということを掲載しております。協会としては、苦情・相談、紛争解決について窓口は十分開いているつもりです。今のところは、トラブルになってどうしようもないというものは余りない。ただ、今期は少なかったということはあるのですけれども、前期などであればトラブルというものもあったりするわけです。平成26年度は約1,800件に対して9件、平成25年度は約1,700件に対して約30件であり、苦情が少ないと言われれば少ないかもしれません。

協会としては、消費生活センターから大体年間百何十件の相談が寄せられておりますので、そういう形で十分対応しているとは思っております。なお、苦情を開示することにつきましては、苦情が年間9件ぐらいであると個別性が非常に強くなるということがあって開示がなかなか難しいところがあろうかと思います。検討はしますけれども、そう思います。

○石戸谷委員長代理 直ちにでなくて結構ですので、ぜひ御検討いただければと思います。

今の話とも関係があるとは思うのですが、自主規制規則などを拝見しますと、業務が公序良俗に照らして問題がないかどうかというようなことを一応書き込んでいるのですけれども、これは資金決済法の10条1項3号を受けた規則だと思うのですけれども、この場合の加盟店管理について業務が公序良俗に照らして問題がないかというものの運用ですが、公序良俗に照らして問題というのはどういうものがこれに当たると運用されているのか、そこのところをお聞かせいただければと思うのです。公序良俗というと非常に違法性が強いといいますか、法律用語的にはそのようなイメージの用語になるかと思うのですが、運用としてどういう具合にやっておられるかということなのです。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 公序良俗の判断ということについては、協会のところではなかなか定義づけはできないというのが実情でございます。行政上もどこまでが公序良俗に照らし問題かというような判断はなかなか難しいところがあると思います。

インターネット加盟店の場合、事業者の方がどうされているかということですが、初期審査ではいろいろな形で法令上問題がないかということを見るわけでございます。例えば景表法上の問題とか特商法上の表示の問題とか、そういうものを見るわけです。そのような法に違反しているということであれば、公序良俗の問題は出てくるのだろうと思いますけれども、協会で具体的に、これが公序良俗に反するかどうかということについて運用基準を作っていることはございません。

○石戸谷委員長代理 加盟店管理をどうやるかというのが重要なところかと思うのですけれども、そうすると、前払式発行業者のほうのそれぞれの判断に委ねるというようなことになるのでしょうか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 発行者のノウハウ等に基づき、加盟店の業種、業態、販売形態、取扱商品、サービス内容といったものをチェックし、また、いろいろなネガティブチェックを行っております。各社が自らのビジネスモデルとか、加盟店がどういうところがあるかということがございますので、発行者自らが創意工夫をして社内規程等を策定しているし、策定すべきものだと考えているということでございます。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。

それとの関連で、御説明いただいた中でも、相談事例を踏まえて適切に対応するように要請を何度かされて、それは効果を上げられていると思うのですけれども、その場合の適切に対応するようにというのは、具体的にどういうことを要請しているのでしょうか。それも各社が自主的に判断した上でという中身なのでしょうか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 ここに書いてある適切に対応ということですが、詐欺事例のところには、こういうところを注意していれば防げたのではないかとか、そういうお客様がこういうときにこうしたらいいのではないかということを書いてあるわけでございますので、そういうことを発行者自らが掲載内容を踏まえて判断して適切に対応すべきだということで、要請させていただきました。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございます。

それと苦情・紛争処理の関係ですが、資金移動については金融ADR法が適用される規定になっていますが、前払式はそうではないということで、その場合は、協会のほうの定款とか自主規制規則とか、苦情処理規則などを通じて、会員については義務になっているという理解でよろしいわけですね。非会員の場合にどういう扱いになるのか、そこをお尋ねしたいのです。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 会員でない方については我々のところではなかなか対応はできないということです。会員のために金融ADRということで東京三弁護士会と契約を締結して対応しているということでございます。会員でない方に対しては協会は対応しておりません。

前払の話でございますけれども、前払には金融ADR措置の義務付けは法令にはないわけでございますけれども、協会におきましては東京三弁護士会と契約を締結して対応できる手続としております。実績はありませんが、やれる手続はできています。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございます。

最初にお伺いすればよかったのですが、会員数が255社でしたか。ネットで見たらそうなっているのですけれども、これはどのぐらいの加入率と見ればいいのですか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 前払式支払手段発行者は、平成27年6月末現在、全国に1,820社ございます。協会に入会している前払式支払手段発行者は159社で加入率は8.7%です。

商店街とか、いろいろな組合が600から700ぐらいございます。それを除いたとしても、加入率は低いものになっています。資金移動業者ですけれども、資金移動業者は平成27年6月末現在、登録が40社ございます。38社が会員になっていただいているということで、こちらは高くなっております。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。大変参考になりました。

協会の関係は以上なのですが、よろしいですか。

○河上委員長 では、また後でお願いするとして、高橋委員、お願いします。

○高橋委員 私も関連で協会にお伺いします。

協会としての資金決済業者のカバー率を伺いたかったのですけれども、今、8.7%という数字をいただきました。そうしますと、先ほどから紛争ゼロというお話があるのですけれども、問題事業者はこちらの協会の外にあるというような認識でよろしいのかということが1点です。あるいはその中にもいらして何かして手段を講じたということがあるのであれば教えていただきたいです。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 問題事業者がどうかということは、私にはわかりませんけれども、入会率は数の上では8.7%ですが、発行額で見ますと恐らく9割は超えていると思っております。発行額で見るか、発行者数で見るか、見方はいろいろあろうかと思いますが、発行額でのシェアは高いシェアを示している、ただし、発行者数では示していないということになろうかと思います。

なぜ入会率が低いかということですが、私の勝手な推測でございますけれども、自家型の場合、社内体制の整備に関する規制はございません。協会に加入されるのはなぜかというと、第三者型の場合、社内体制を整備して登録をする必要がございます。社内体制を整備するためには、社内規程の整備が必要であり、協会が社内規程モデルを策定しており、事業者による社内規程の策定に当たりいろいろな相談に乗っているところです。そういったことで御加入いただいていると考えております。

一方、自家型は法令上、社内体制の整備に関する規定はございません。そうすると、一定の規制を遵守すれば参入できるということでございますので、そういう意味で自家型の入会は少ないと理解しております。

○高橋委員 2点目の御質問ですけれども、いろいろな御対応をされていることは御説明でよくわかったのですが、お客様相談室というのは協会の中に設けているものですね。ただ、苦情・紛争対応というのは、そもそもは協会に加盟している各社がきちんとやっていることが前提になると思うのですけれども、二百数十社は皆それぞれお客様相談室を設けているのか、お伺いしたいと思います。それとも、自分では設けていなくて、皆ここに集約している状況なのでしょうか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 協会に入会されている前払式支払手段発行者159社、資金移動業者は38社、これが資金決済法の規制の対象になると理解しています。二百数十社全部ではございません。

高橋先生がおっしゃいますように、全社がそういうお客様相談室を設けているかどうかチェックしたことはございません。協会は会員調査をすることができるものですから、会員調査に行くとお客様相談室を設けていないところはございません。設置していないところはないと思います。

○河上委員長 よろしいですか。

○高橋委員 ありがとうございます。

3点目です、これで終わりにします。資料で消費者からの相談・苦情・紛争への対応をしていると協会のパンフレットに書いておられて、本日お示しの資料にも、17ページのところに相談・苦情対応の流れが書いてあるのですが、紛争に関しては、基本的に対応するような体制はこれからと理解してよろしいのでしょうか。説明を読むと、相談・苦情について対応していますと書いてあって、紛争に関しての記載がないのです。17ページの表を見ましても、苦情の処理としての話合いとか回答とかがあって、解決か不調かとなったときに、不調は訴訟になって、そうでないものは弁護士会の仲裁センターに行くということで、弁護士会の仲裁センターのあっせんをもって紛争と理解したらよろしいのかということでございます。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 協会の役職員は6名しかおりません。協会が指定紛争機関として体制を整備するということは困難なところがございましたものですから、東京三弁護士会の仲裁センターとの間で契約を締結して紛争への対応をお願いしているということでございます。

○高橋委員 そうしますと、先ほどから紛争はゼロということなので、あっせんセンターを使わないでお客様相談室の中の苦情のあっせんという形で解決をしているという理解でよろしいでしょうか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 協会に苦情がございましたら、苦情内容から発行者に非がなく対応の必要がないというものは別にしまして、トラブルであれば基本的には会員の方にお話をして、解決を求めているということでございます。

先ほどの紛争の話でございますけれども、紛争につきましては、平成24年度に資金移動業で1件ございました。協会はこの苦情への対応をいろいろやったわけですけれども、最終的な対応といたしましては、申出人は協会を経由せずに直接三弁護士会に申立てをされました。その1件だけなのでございますが、結果的には不調に終わっております。

○河上委員長 よろしいですか。

○高橋委員 ありがとうございました。

○河上委員長 では、齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 それでは、三つあるので三つ一遍に、それぞれ誰に質問、ということでお伺いします。

まず、協会に二つあります。

一つは、この流れを追ってみると、購入者である被害者は発行業者から購入して悪者に詐欺などでとられ、その悪者が金券ショップのようなところに流して一般の人がそれを買って加盟店で使うという流れになっています。したがって、購入者である被害者のところで購入しないように、要らないものを購入しないようにするのが一番いいわけです。これができないかということです。

今、コンビニを念頭に置きますと、発券機の画面で操作して購入するときに、警告表示が、詐欺のおそれがありますとか、消費生活センターに相談してみたら、等の画面が出てきます。続いてレジで代金決済するときに、アルコールであれば20歳以上かというチェックがありますけれども、あのような画面をタッチしてワンクッション置くと、本人がまた考えるし、周りの人も見ている可能性があります。

合わせ技ですけれども、紙型とか磁気型であれば、1枚の上限があると思います。幾らかわかりませんが、5ページに1枚1,000円の絵が載っていますが、10万円購入しようとすると100枚買わなければならない。これは大変な作業だから、周りの人も変なことをしているのに多分気が付くと思うのです。このように購入段階で本人と周りの気付きを増やすことが考えられないかというのが一つです。今でもある程度行われていますけれども、もっといろいろな手段を購入段階で使うことができないか。

もう一つ、これも協会ですけれども、日本以外で同じような被害が出ているかどうか聞いたことがないでしょうか。プリペイドカードの被害では、多くは出会い系サイトとかアダルトが問題になります。そのような被害が日本以外にあるかどうか聞いたことがあるでしょうか。

3番目に金融庁ですけれども、対策ではスピードが重要だと私は思います。クレジットカードの規制を強めると、今度はプリペイドカードに行き、プリペイドカードの中で、ある種類を締めると、今度は別の種類のところに行く。多分幾らやってもいろいろな手口が出てきます。国民生活センターのほうで「『プリペイドカードを買ってきて』は詐欺」というペーパー1枚出すのにもかなり時間がかかったと思うのですけれども、対策を考えている間にまた次の手を考えるという具合でイタチごっこになる。その状況を、ネットワークというか、情報を集めたり意見交換したりできないか。次はこんなところが重点対策すべきところだというようなことについて、日常、情報収集、意見交換するようなことができないでしょうか。そうしないと、今回、これを規制してもまた別の手口が出てくるという気がします。これは金融庁にお伺いします。

以上、3点です。

○河上委員長 金融庁のほうはまた後でまとめて伺う機会を持つことにしまして、最初の二つに関して、協会のほうから何かございますか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 協会はまず入口の注意喚起が必要と考えております。もちろん、対応は事業者の方はやられているわけでございますけれども、先ほど齋藤先生がおっしゃいましたように、まず発行者のホームページで注意喚起をしました。ホームページだけではだめということで、実際の入口となっている、コンビニに置いてあるMMK端末の画面に詐欺に注意ということで、こういう言葉に注意しろというものを掲示しております。

次に詐欺がMMK端末から店内の棚に置いてあるプリペイドカードに移行しましたので、棚に注意喚起の文言を掲示できないかということで関係団体と交渉が行われたわけですけれども、なかなかそれはうまくいかないということがございました。事業者の中には、8月からになると思いますけれども、棚に置かれているカードの裏面に注意喚起の文言を入れていただいている会社もございます。そういう意味では、時間がかかっているのですけれども、入口のところで気が付いていただきたい、私はだまされているのだということに気付いていただきたいと、そういう形で注意喚起をしてきたところでございます。

紙で詐欺被害何十万円というのは、今のところ聞いておりません。番号のほうが使いやすいと思います。紙で古物商に大量に転売するというのは、古物商は、盗品かどうかをチェックする必要がありますので、そのようなものは受け付けてくれないと思います。そういう詐欺の手口は使いにくいのではないかと私の個人的な意見でございますが、そう思っております。

日本以外でプリカの詐欺というものは、これは私の不勉強によるものでございますが、承知しておりません。

○河上委員長 先ほど上限額について、例えばカードの1枚についての上限を考えてみたらどうかなどということもありましたけれども、技術的には難しいのですか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 カードの上限は、ほとんどのところが最大でも10万円ぐらいかなと思っております。無制限のところもございます。上限額に関する法令上の規制ですが、上限額を画する規制はありません。上限額があれば上限額を記載することが必要です。商品設計については、利用者の利便性とか、利用者のニーズを踏まえて、お客様が使いやすいようにするというのが事業者の立場でありますので、事業者が創意工夫をして、お客様のニーズにこたえる商品を作る、消費者保護の問題がございますので、そこのところのバランスを兼ねながらやっていくということではないかと思います。消費者利便とか消費者のニーズについて十分こたえていくというのが事業者側の立場だろうと思っております。上限額に一律の規制を設けるということは、消費者ニーズにこたえるという点でなかなか難しいところがあると考えております。

○河上委員長 どうぞ。

○齋藤委員 私、Suicaを使っているのですけれども、上限が低いので落としても安心というか、損害はこれっきりということで使えます。この上限額も頭に置いていただき、この状況がずっと続くようであればそちらのほうを考えていただければありがたいです。

○河上委員長 どうぞ。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 前払式支払手段発行者の中では、齋藤先生がおっしゃられたように使い勝手の観点から、上限額を引き下げたところはございます。ただ、協会がなかなか上限額を引き下げろと言える立場にはないと思っています。

○河上委員長 協会に対して追加的に質問が今の段階であれば。

橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 御説明ありがとうございました。

今、齋藤委員が言ったように、私もお財布の中に前払式のカードがたくさんあって、本当にこれを有効に使えば生活がいろいろ便利、利便性があるということで、この業界が伸びていってほしいなと思っております。

相談の中では、先ほど言いましたように、紙ベースのものであれば、一時期有効期限がなくて急に有効期限がついた時に何でだというような御相談がたくさんあったりとかということがあったのですけれども、最近では、サーバ型のものが、サーバ型自体の苦情ではなくて、道具というか、先ほどから出ているアダルトサイトであるとか、ワンクリック詐欺であるとか、サクラサイトといったような取引の中で決済の手段として使われて、それで消費者の方が困ったという相談が多いとなっております。

紙型の場合は、今まで特に匿名性というところでは特段の問題はなかったと思うのですけれども、サーバ型、特に再チャージ型については、もしアカウントなどを取得する場合、そういった手段をとれば、こういった取引に関する被害がかなり減るのではないかと思うのですが、それについて技術的なところ、匿名性といったところでそれはビジネスには悪影響があるのではないかとか、そういうようなことがございましたら、お聞きしたいです。これは後ほど金融庁にもそれについてお聞きしたいのですけれども、今は協会のほうにお聞きしたいと思います。

これは先ほど高橋委員からも出ているのですけれども、やはり発行会社の相談窓口。今、加盟していらっしゃるところはほとんどあるということなのですけれども、加盟店の発行会社の相談窓口で本当に丁寧に説明していただきたいということを、もし何かの機会がございましたら、加盟団体のほうにぜひお知らせいただきたいというように思っております。

もう一つ、質問ですけれども、先ほど、もしそういう詐欺的なことがわかった場合には、返金に応じているというようなお話があったかに思うのですけれども、その場合、証票に戻ってくるのではなくて、現金として利用者のところに戻ってくるという理解でよろしいのでしょうか。

以上でございます。よろしくお願いいたします。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 協会は、制度の企画立案をしていらっしゃる行政府とは違いますので、協会ができることは限られているわけですけれども、協会の意見ということで答えさせていただきます。アカウント制でございますが、ネットで利用できるサーバ型前払式支払手段でございますけれども、一つは売り切り方式、もう一つはパソコンとかスマホを使ってインターネットでアカウントを設定する方式、若しくは、その両方とも販売している会社があろうかと思います。

アカウント制をとった場合に、モニタリングができるのではないかという話だろうと思いますが、確かにそういう側面はあるかもしれません。個人情報の登録は事業者によりさまざまでございます。氏名、住所、電話番号、生年月日、もっと細かい個人情報まで入れるところとか、そうではないところとか、さまざまでございます。私が何社か見たところでは各社の登録情報の内容は同じものではありません。

そういう個人情報を登録することに対して非常に慎重なお客様は当然いらっしゃいます。

また、私がお聞きした話でございますけれども、インターネットで利用できるサーバ型前払式支払手段は、パソコンとかスマホ等を使わなければできないわけでございますが、共用パソコンを使っていらっしゃる方、例えばネットカフェでいろいろ利用されている方はたくさんいらっしゃると思います。そういうところでは共用パソコンに個人情報を登録するということになりますが、個人情報を削除しなかった場合にはなりすましに遭うというリスクがございます。自分のお金がなりすましによりとられてしまうというリスクがあります。このようなことから、アカウント制を義務付けるとなると、そういう個人情報を登録することに慎重な利用者や、また、ネットカフェ等で共用パソコンを利用されていらっしゃる方にとっては利用ができないということがあろうかと思います。アカウント制の導入は、各社の経営判断になろうかと思います。利用者のニーズとか、利用者の利便とか、あとは消費者保護を踏まえてどう考えるかということでございます。アカウント制だけを義務付けるということになりますと、サーバ型前払式支払手段を利用できず、利用者利便の観点から非常に困る方が出てくるのではないかと思います。

○橋本委員 今のですが、登録する個人情報の質の問題と、一斉に全業界がやるということはできないかもしれないけれども、個々の発行会社によってはやっているところもあるし、今後もそういうことはできるのではないかという解釈でよろしいでしょうか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 各社の営業戦略とか利用者のニーズとか利用者の利便性を踏まえ、各社が経営判断で決めているというのが実態ではないかと思っております。

返金の話でございますが、会員の一部の方からお聞きした話ということで御理解いただきたいと思います。サーバ型前払式支払手段については本人特定事項の確認をやっていないわけです。サーバ型前払式支払手段に例えば5万円チャージし、詐欺者が直ちに使用したらどうしようもないのですが、使用されていなかったときにお客様が警察とか消費生活センターとか国民生活センターに相談をされ、直ちに発行者に連絡された場合には発行者は利用停止等の措置をとるかと思います。ただ、本人確認が必要でございますので、便宜的な方法ではございますけれども、警察への被害届を出していただいて、そこに番号が記載されますので、その記載番号を提示していただくことによって返還に応じていると聞いております。

現金ではなくて、原則前払式支払、前払手段で返還しており、ただ、お年寄りの方とかの場合には、全ての業者かどうかは知りませんけれども、現金で返しているところもあると聞いております。

○橋本委員 ありがとうございました。

○河上委員長 よろしいですか。

では、唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 今のお話に少しかかわるのですけれども、協会にお尋ねします。

先ほど市場シェアとしては9割で159社、会員でいらっしゃるということですが、クレジット会社でこちらの前払の会員登録もなさってらっしゃる事業者の数とかはわかりますか。

それと、いただいた資料の前払式支払手段の中に、自家発行だと思うのですが、オンラインゲームや何かの金融庁からの御説明でもあったのですけれども、こういう事業者が増えてらっしゃるということですが、この方々の会員数というのは余りおつかみになってらっしゃらないでしょうか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 クレジット会社においてサーバ型前払式支払手段を発行している社が何社あるかというのは、わかりません。

○唯根委員 グループ会社でしょうか。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 クレジットカード会社の中には、ブランドプリカを発行している会社が増えてきていることは承知しています。これはデビットカードも一緒ですけれども、クレジットカードの決済スキームを使って、グローバルで商品の購入ができるとか、サービスの提供を受けることができるというもので、そういう商品を開発して販売している事業者がクレジットカード会社の中に増えてきていることは承知しております。

2番目は何でしたか。

○唯根委員 いただいた資料の市場規模というか、事業者数で自家発行の微増の765社の内訳です。

○一般社団法人日本資金決済業協会長楽専務理事 自家発行型がどういう内訳になっているか、協会には全く情報がございません。ゲーム関係のサービス提供を行っていらっしゃる会員の方は極めて少ないと思います。数社ぐらいかなと思っております。

○唯根委員 ありがとうございます。

○河上委員長 よろしいですか。

それでは、岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 私はむしろ金融庁にお尋ねしたいのです。

○河上委員長 金融庁にお尋ねしたいことがあれば。

それでは、先ほど齋藤委員と橋本委員からも若干話が出そうになったところもあったので、岩田委員からの質問と、もし補足的に齋藤委員、橋本委員、ありましたらお願いします。

○岩田委員 ありがとうございます。

二、三、御説明をお願いしたいと思います。

一つは、この業界をどういうように発展させようとしていらっしゃるかということなのです。電子マネー業界は近年非常に伸びていると伺っています。成長戦略の中などに位置付けて、どういう政策で伸ばそうとしてらっしゃるかということをまず第1点目にお聞きしたいと思います。

伸ばしていくという自体はもちろん日本経済にとっていいことだと思いますが、そうすると、もう一つの車の両輪のほうとして、消費者からの相談というのがまた急増している。詐欺的な事件もたくさん出ているということもありますので、健全な業界にするために何を、今までと同じでいいかどうかということもあると思うのです。1点目としては、成長戦略としてどういうように見てらっしゃるかということです。

2番目は、事務ガイドラインの御説明をいただいたのですけれども、一つは、金融庁監督局の職員の皆さんが監督するときの事務的な内部のガイドラインと理解いたしまして、事業者を直接規制するガイドラインではない。それを協会のほうでほぼ同じものを自主ガイドラインとして作っていらして、それで協会のほうで周知、普及をされているということだと思います。資金量としては9割カバーされていらっしゃるということのお話がありましたが、事業者の数では8.7%ですか。これは多分登録とか届出をしている事業者の中の比率だと思いますから、本来、登録、届出をすべきであって、していないという方、あるいは未使用金額が基準に満たないので届出を登録していないという事業者も多いと思いますので、そうすると、多分その外側には、たくさんの事業者がいて、そのことを考えると、自主的なガイドラインだけでは難しいのではないかということで、ここを少し強化するというお考えはあるのかどうかということが2点目です。

3点目は、2点目ともつながっているのですけれども、ガイドラインを仮に事業者の法律上の義務として、法律の体系を整理していただいたとしても、今のままでは詐欺的な業者というのは防止できないと思うのです。公序良俗に違反するような商品やサービスを提供しているかどうかということとか、あと、苦情処理の態勢を作りなさいということだと思うのですが、今のガイドラインを仮に法律に根拠があるような事業主を規制するようなものにしたとしても、今の詐欺的な被害というのは無視できないですから、その規制内容自体はもう一工夫要るのではないかという感じが私はしておりますので、その点についてどうかということをお尋ねしたいと思います。

以上です。

○河上委員長 先ほどはイタチごっこの話が出ましたけれども、先ほどの3点目と重複するのかも知れません。

では、橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 先ほどと同じ質問をお聞きしたいのと、サーバ型のところですが、先ほどの説明の中で平成21年からサーバ型がここに入ったということですけれども、サーバ型を前払式に組み入れた時の経緯について教えていただきたいというように思います。

それと、その数ですが、多分平成21年度以前もこの上に上積み部分はあったと思うのですが、サーバ型について、もしわかればでいいのですけれども、どのぐらいの時からサーバ型というのが増えてきたのかというのがわかれば教えていただきたいなというように思います。

やはり岩田委員と同じくガイドラインについてですけれども、クレジットカードでもそうですが、悪質な加盟店をどのように取り除くかというのが必要ではないかと言われているのですけれども、このガイドラインだけで本当に実効性が上がっているのかどうか。特にガイドラインですので罰則規定というのはないですね。そういったことで、自主的な発行会社の取組になっていると思うのですが、もしそういった加盟店管理のところで発覚したときには、直ちに加盟店をやめさせているようだというような情報がありましたら教えていただきたいのです。

以上です。

○河上委員長 それでは、今の点、お願いできますか。

○金融庁佐藤総務企画局信用制度参事官 幾つか御質問いただきました。多岐にわたる内容で、申し訳ありません。もし私が言い漏らしているところがあったら遠慮なく御指摘いただければと思います。

まず最初に、齋藤委員からお話のございました、世の中がスピーディーに動いていて、対象もスピーディーに変わっている。何か規制すると、また次のもの、次のものへと移っていく中で、日常、意見交換あるいは情報の流通ということについて考えられるところはないかという御質問だったと認識しております。

この点は、まず非常に難しい問題ではあって、ただ、我々も悩みながら取り組んでいる状況でございます。と申しますのは、我々、業者あるいは利用者からのトラブルの情報を得るツールとして幾つかのものがあります。

まず、我々金融庁として、日常的に各個別の業者あるいは協会などと話していく中で、最近こういう問題が出てきているという情報が来ることはあります。さらに、我々金融庁の中でも利用者相談を設けていまして、電話などによって相談が来るものがあり、そういうものは来たら随時関係の部署に回付をして、情報が流通するようになって、その中で我々として、やはりこれは業者に注意を促すか、あるいはむしろ業者としてこういうものをちゃんとしっかりと対応してくださいというような監督のツールとして使うこともございます。

さらに、今、金融庁と申しましたけれども、東京に当然存在するわけですが、地方は各財務局が我々の地方の支分部局としてあり、そこでもいろいろな利用者相談を受け付けております。そこから上がってくるものですとか、あるいは国民生活センターから来るものとかというものを取り扱っておりまして、その中で必要なものは関係の部署に、先ほど申しました注意ということで促したり、あるいは業者としての姿勢としてこういうものは正すべきだということは監督として使っているところがございます。

冒頭に難しいなと言ったのは、もう一つは、個別の情報については非常に匿名性というか、個別名が出ているような個人情報に関するようなところもあったりとか、あるいは場合によっては捜査に発展したりとか、民事紛争、訴訟に関係するようなところもあり、そこの取扱いは非常に難しい中で、できるだけ匿名性を維持しながら、本当に一番重要な肝になるようなところを関係の部署に回付し、一方で、これももう一つ難しいなと日常思っているのは、悪いことをする人は、恐らく裏をかこうとするであろうと、そうすると、むやみに手の内を明らかにすることが果たしていいのか、そこは非常に悩ましいところであろうなと思っています。

ただ、そういう日常の中で上がってくる情報を我々なりに分析したり、あるいはこれはすぐに対応すべきだということであれば、そういう関係の部署に情報管理し、対応し、さらに、例えば金融トラブル連絡協議会とか、そういう定期的にやっている中で、それはオープンな場ではありますけれども、またお互いに意見交換をしながら対応とか情報の交換をしているというところでございます。

したがいまして、余り回答になっていないかもしれませんが、我々も、随時悩みながら、どういう効果的な対応がいいのかというのは、悩みつつ、毎日の起こることに更にちゃんと対応できるようにということで、日々工夫しながらやっているということがまず現状でございます。1点目が、齋藤委員の御質問については以上でございます。

次に、岩田委員から御質問いただきました。この業界をどういうように発展させようとしているのか。例えば成長戦略などでどういうように位置付けているのかということを御質問としていただきました。

まず、成長戦略などでは、例えばプリペイドカードについてこうだという、私の知る限りで明示的な記述はなかったと思います。ただ、決済の手段一般として、それはプリペイドカードも含み、あるいはクレジットカードなども含み、今、テクノロジーが進展する中で決済の高度化についてよく検討していこうということは成長戦略の中に確か記述がなされていたと記憶しております。もちろん、この業界の健全な発展というものは、経済活動を健全に発展させるためには、当然、不正利用をいかにして防ぐかということは重要な問題であると思っております。

一方で、これは私の個人的な見解が相当入るかもしれないのですが、具体的にケースをもう少し分けて考える必要もあるのかなと思っております。ケースを分けて考える必要があるのかなというのは、例えばプリペイドカードを発行する発行者がいて、加盟店がいて、サクラサイトのような加盟店が悪いというようなケース、こういうものをどうするのかということと、加盟店とか発行業者は、別に不正行為をしていなくて、いわゆるだましとる場合、先ほど出ていましたIDカードを詐取するというように、悪い人にこれが使われてしまうというケースをどうやって防ぐかということと、その両方は少し分けて考える必要があるのかなと思っております。

前者につきましては、これもガイドラインの位置付けをどうするのかという御質問もございましたが、いかにして発行者を通じた加盟店管理を適正に行っていくのか。そこは重要な課題であり、一方で、加盟店ではなくて悪い人が入ってこない、悪い人に利用されないためにどう防ぐのかということについては、これもいろいろな話が今この議論の中でも出ていたと思うのですが、多分悪い人というのは犯罪捜査か何かでないと直接捕まえようがなく、この人は業者ではないと。こういう人を防ぐために、恐らくいろいろなツールを合わせ技で考えていかなくてはいけないのではないか。例えば、消費者に対する注意喚起もそうですし、注意喚起というのは一般的なポスターを張るような注意喚起もそうであれば、先ほど話に出てきました、画面にぼんと大きく出るような注意喚起、個別性を狙った注意喚起というのもそうですし、あるいは場合によっては、その上限金額について限度を設けて不正利用を防ぐというようなこともあるでしょうし、そういうことをいろいろと考えながらやっていかなくてはいけないのかなというような感じを持っております。

もう一つ、ガイドラインを法律的な体系に組み込むということについて言いますと、確かに、いろいろな法令において、必要なことは法令で書く必要があると思います。一方で、実際に法令を作っている立場として、日々これも悩んでいるところではあるのですけれども、先ほど石戸谷先生のお話にもございました公序良俗とは何かということになりますと、最後は線引きが難しい領域がいろいろと出てくるのも確かであります。公序良俗ということで線引きをするとか、あるいはちょっと違った例ではありますけれども、反社会的勢力への対応、反社会的勢力は何だというのは非常に線引きが難しいところであります。場合によっては、自分は、そういう反社会的勢力ではないと主張する人がいて、あるいは公序良俗に自分は反していないと思うという人もおり、公序良俗とか、あるいは善良な風俗というのは昔からもよく刑法などの議論でも出ていましたけれども、時代のすう勢に伴って変わるようなところもあって、最終的に時代の流れに沿った常識で判断せざるを得ないところがあり、そういうものを法令にどう落とし込んで書いていくかというのはいつも非常に悩んでいるところではあります。

実態上は、法令で書けるところは書いて、あと法令で明確にし切れないところは先ほどありましたガイドラインのような、いわゆる解釈の指針のようなもので示すことによって、実際上、個別の事件あるいは業者に対する対応ということで、これはさすがにちょっとおかしいよと。したがって、業務のあり方を見直してくれというような業者に対する指導とか、それでも従わない場合は業務改善命令とかということで個別に対応することによって対応しようとしているということでございます。

もう一つ、橋本委員からお話のございました上限金額のところでございます。上限金額も多分いろいろな見方があると思っておりまして、例えば上限金額、高額のものをもし利用したいと思う人が世の中に存在するとするならば、あなた、これは高額のものはだめよと言うには、それ相応の理屈も必要でございます。今、実際に、世の中で起こっているのは、先ほどの御説明にもありました、業者にとっては不正に利用されるというのは、相当自分の会社のレピュテーションにかかわるというところがございまして、したがって、なるべく不正に利用されないように、実際、売る額の1枚当たりの上限とかを限定することによって、それでそういう不正利用を防止しようという個別の取組がございます。

したがいまして、いわゆる一律に上限を設けるのが果たしていいのか、適当なのか、あるいは個別に問題が生じているようなところについて、対応を行政側からも要請しつつ対応していくのがいいのか、そこは難しい問題があると考えております。

もう一つ、橋本委員からお話のございましたサーバ型が導入された経緯ということについてです。これは先ほど私の説明があやふやだったかもしれませんが、サーバ型に規制が入ったのは平成22年4月からです。法律が平成21年に国会で成立しまして、施行されたのが平成22年4月ということで、約5年前ということです。

導入された経緯は、それ以前の法律は、そもそも商品券のようなものから発展していたので、サーバ型のようなものが登場することについては、はっきり言って余り想定していなかったというのが実態であります。結局、インターネットが登場し、さらに、高容量のいろいろな通信回線が割と安く使えるようになって、そのサーバにため込むような情報量も増えたことによって、したがって、サーバ型が実際上、世の中に出現するようになって、そこについて明確なトラブルがあったと私は認識していないのですが、ただ、恐らく、そういうサーバ型がだんだん量も増していくであろうという中にあって、紙ベースのものだけを規制して、サーバ型のほうは規制が何もないというのは片手落ちではないかという認識がありまして、それで平成20年ぐらいだったと思うのですが、金融庁の中でいろいろと審議会でも議論をしまして、サーバ型にも規制を導入することが望ましいのではないかということで法改正をして導入したということでございます。

規制前のサーバ型の量とかはわからないですね、すみません。それ以前、規制されていなかったので、具体的に額的なところは存じ上げておりません。

○河上委員長 今の点はよろしいですか。

○橋本委員 あと先ほど協会の方にもお聞きしたのですけれども、サーバ型の中で匿名性というところで悪質な加盟店等に使われているのではないかというようなことがございますので、例えば今後そういったことで一定の先ほど上限のことをおっしゃっていましたけれども、これ以上であればどこか、再チャージのように再度繰り返すようなところについては、何らかの、先ほど個人情報があるので難しいというお話でしたけれども、最低限連絡先とか、そういうものだけでも登録の対象にするといったようなことはいかがお考えになっているのかということをお聞きしたいということ。

あともう1点がガイドライン。先ほど岩田委員の質問の回答でほとんど網羅していると思いますけれども、もし付け足すところがありましたらお願いいたします。

○金融庁佐藤総務企画局信用制度参事官 まず、匿名性のところにつきまして、先ほど長楽専務理事からお話がありました個人情報とかをどう取り扱うのかというところは、実際上、実行するとなるといろいろ考えなくてはいけないところなのだろうと思っております。

もう一つ、仮に、これは要請のような形でするのか、あるいは規制として一律こういうようにしなければならないのだということになりますと、規制なり義務を課するということになりますので、それ相応の必要性というものを考えなくてはいけないのだと思っております。

必要性ということで、例えば今、私の知るところ、一度そういうアカウントにチャージするというような詐欺の類型が登場し、だんだん、アカウントに登録せずに直接IDの番号だけ盗んでしまって、それを転売するというような類型にも移ってきたりとか、いろいろな詐欺の類型がある中で、どういう問題を対応するためにどういう手段が合理的であるのか。ほかにもとり得る手段があるのではないか、そういうことも考える必要があるのだと思っております。

もう一つ、利便性といいましょうか、額の大小とか形態いかんを問わずして、全部本人確認のようものを要求するとなると、いわゆる全体の消費者、トラブルの起きていない消費者の利便性を損なう可能性もあるということもあって、その辺りのバランスのとれたあり方というのがどうなのかというのは、私も答えは出ていないところでありますが、今、申し上げたようなところは、よく考えて検討する必要があるのではないかと思っております。

ガイドラインのところは、先ほど大体申し上げたつもりでありまして、もし不足と思われるところがありましたら、御質問いただければと思います。

○橋本委員 具体的にそういうような事例とかがあったのかどうかという点について、よろしいですか。

○金融庁西尾監督局金融会社室長 個別の事例について、こういう場で御紹介するのは適当ではないと思うのですけれども、過去にさまざま悪質な代理店ということで報道があったり、あるいは国民生活センターで注意喚起しているようなケースにおいて、ガイドラインというのは、私ども監督局だけではなくて、実際の事務は登録をしている財務局でございますので、そういう登録官庁との連絡調整もしつつ、加盟店管理について、その実態について確認をしたようなことはございます。

そこで、加盟店管理という観点、ガイドラインに書かれている幾つかの項目等々に照らして、その実態を財務局、金融庁でタイアップしながら確認をし、やや行き届いていない点、この辺はなかなかつまびらかにできないのですけれども、適切な対応を促すというような監督上の対応はやったことはもちろんございます。

○河上委員長 よろしいですか。

齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 イタチごっこの件で質問して、いろいろ難しいということを伺いました。難しいと言って話が終わっているのです。それは理解しますが、悪者以上にスピード感を持って抑え込まなければならないと思っているという決意表明というか、そういう意識があるということをお聞きしたい。

○金融庁佐藤総務企画局信用制度参事官 もちろん、そういうことはしっかりとやる必要があると思っております。

同じですね。

○金融庁西尾監督局金融会社室長 同じです。

○河上委員長 関係することでしょうか。では、岩田委員と、高橋委員。

○岩田委員 行政処分の件数というのはありますか。

○金融庁西尾監督局金融会社室長 今、手元にはございませんが、それは持ち帰り、事務局経由でも、いわゆる前払式支払手段発行者に対する行政処分ということであれば。

○岩田委員 ガイドラインに違反しているような事例で処分したようなケースです。

○金融庁西尾監督局金融会社室長 発行保証金の関係で行政処分したことはあるということです。

○河上委員長 行政処分したものについての情報をまた後で提出してください。

○金融庁西尾監督局金融会社室長 わかりました。事務局経由でよろしければ後ほど。

○河上委員長 では、高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 金融庁にお伺いしたいと思います。

今、齋藤委員からのお話もあって、機動的な対応もこれから考えてくださるということですけれども、いろいろ手を変え、品を変えということになってくることを思いますと、やはり消費者に対する情報提供、消費者教育のようなものが大切になってくると思います。

以前は金融庁のホームページでも金融教育に関してバナーが出ていたりしたのですが、今、拝見すると、重複を避けたのだと思いますけれども、「知るぽると」のホームページに飛ぶようになっています。「知るぽると」のホームページで電子マネーをどの程度扱っているのかというのを私なりに調べてみたのですが、2010年にサーバ型が組み込まれたときに、あちらで出している冊子で、トラブルにも気を付けましょうということが記事として出ているのですけれども、それ以降、電子マネーに関しての記載が見当たらないのです。金融庁のホームページで金融教育ガイド等々も拝見したのですけれども、トラブルに関するものは「はじめての金融ガイド」で振り込め詐欺とか、偽造、盗難、キャッシュカード、多重債務、この3本柱でDVDまで作って注意喚起してらっしゃるのですけれども、それに匹敵するぐらい、プリカ詐欺についても今後注目して何か手を打っていただく必要があるのではないかと思います。

私、中央教育審議会の委員もしていたことがあり、金融教育をどういうように取り入れるかという議論があり、現在、高等学校の学習指導要領の解説で商業編とか家庭編のところで電子マネーなど決済の手段と仕組みについてきちんと理解を図ることが書かれているわけですけれども、それに関連して、金融庁のほうで何か具体的な取組とか課題としての御認識とかをお伺いできたらと思います。

○金融庁佐藤総務企画局信用制度参事官 まず、確かに金融庁として行き届いていないところはあろうかと思います。ただ、言い訳がましいように聞こえるかもしれないですが、全く何もやっていないかというわけではなく、プリカのものは記載をしております。言い訳がましくなるかと思ったのは、一つは、我々、金融教育は非常に難しい話だと思っています。何で非常に難しいかというと、ターゲットをどういうように絞って、どう効果的に教育するのかというのが、そこが一番難しいと思っております。

今、高橋委員のお話にございました「知るぽると」、金融広報中央委員会でやっている広報とか出前講座みたいなものもやっていますし、その中で我々としてどういうところができるのか、そこはよく十分に考えていきたいと思っております。

もう一つ難しさがあるのは、予算の制約というところも正直言ってございます。これはうそを言いようがなくて、いわばこういうチラシとかも各戸全部に配れれば一番いいのですけれども、実際上そうはなかなかできない。したがって、どういうところに効果的に情報提供するのかというところをいつも悩んでおります。金融教育のところも先ほど申しました幅広い中で、中学生に対する教育、高校生に対する教育、これから社会人になろうとする大学生に対する教育というのは、やはり内容も変えてやっていこうということも考えながら行っております。

なおかつ、いろいろなパンフレットなども作成して、あるいは金融庁本庁もそうですし、財務局でもいろいろなところに行って講演などもやっておりますので、すみません、足りないところはあったかと思いますが、プリペイドカードのことについてもどういうようにうまくできるのか、そこはよく検討させていただければと思っております。

○高橋委員 ありがとうございます。

このチラシについては御尽力されたと思うのですが、やはり対症療法だけではなくて、根本的なところでトラブルに巻き込まれない消費者を作っていくことが大切だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

○河上委員長 最初は協会に対する質問で石戸谷代理の質問を止めてしまいました。金融庁に対する質問がありましたら、石戸谷代理、お願いします。

○石戸谷委員長代理 今までいろいろ出ていたのですけれども、私の理解が間違っていたら御指摘いただきたいのです。

ガイドラインの話が出てきておりますけれども、加盟店管理と苦情処理の両方でガイドラインが取り上げられていると思うのですが、まず苦情処理のほうですが、資金移動のほうは資金決済法上の手当てがあるので、これは問題ないとして、前払式支払のほうは、協会の会員である場合には自主規制規則を経由して義務になっている。非会員の場合には、自主規制規則の適用は直ちにはないわけなので、ここは事務ガイドラインの苦情処理の問題かということで、そこに着目して事務ガイドラインだけではという話が出ているのだと思うのです。ここの事務ガイドラインについては、法令上の直接的な根拠といいますか、苦情処理、苦情紛争処理についての業者の直接的な義務は置かれていない。したがって、事務ガイドラインだけではないかということで、そうではなくて法令上に位置付けたほうがいいのではないかという話が出ているのだと思います。それが一つ。

それと資金決済法上に書き込まないところはガイドラインでという話が出ておりますけれども、加盟店管理の関係でいきますと、登録拒否事由、資金決済法の10条1項3号の公序良俗という規定ぶりと、資料で出していただいている事務ガイドラインの第三分冊のII-3-3、ここの加盟店管理の規定ぶりは、やはり公序良俗で同じであって、法令上の書きぶりを更に具体化したという関係になっていないので、そこをもう少し実効性ある形で加盟店管理が回るような工夫ができないかという話だと思うのです。

この公序良俗というのがなかなか難しいところだとなってきますと、実際には各社判断が非常にまちまちになるし、それ自体、実務的に考えるとかなり高度で、現在起こっているような苦情などに対応できる中身になっているかという問題があると思うので、そこを御検討いただきたいという話だと理解しております。

時間の関係もありますので率直に申し上げますと、悪質な業者というのは支払方法に別にこだわるものではなくて、クレジットでもいいし、電子マネーでもいいという。現に国民生活センターのほうの情報によれば、1人の被害者がいろいろな支払手段でやられているという。一方、割販のほうは7月3日に審議会の報告が出まして、オアフス取引が一般化している状態の中で、それに対応できる加盟店管理責任ということで、アクワイアラー、それと決済代行業者を含めた全体としての悪質業者を排除するスキームというのを考えてまとめているわけでして、そうなってくると、そちらのほうが加盟店管理がきっちりなってくると、電子マネーのほうがこちらはそれに比べると緩やかだというのでどどっと大きくなっていくのではないかということが懸念されるので、それとの関係で加盟店管理というのはもう少し実効性のある形にするような御検討をいただけないかという趣旨でいろいろ先ほど来話が出ているのだと思いますので、総括的になってしまいましたけれども、よろしくお願いします。

○河上委員長 何か今ので御感想がありましたら、お願いします。

○金融庁佐藤総務企画局信用制度参事官 御趣旨はよく理解いたしました。一方で、制度の見直しということについては、また、十分にいろいろな考慮要素を考えて検討する必要があるとは思っておりまして、したがって、私が今ここで何か申し上げることはできないのですが、御趣旨はよく理解したつもりであります。

1点だけ、極めてさ末なところですが、苦情処理のところについては、今の前払式支払手段については、いわゆる苦情処理の協会でやっているようなところというのは、資金移動とは違ってないのですが、ただ、資金決済法第13条第1項第4号というところで、「前払式支払手段の発行及び利用に関する利用者からの苦情又は相談に応ずる営業所又は事務所の所在地及び連絡先」、これを表示しなければいけないという規定はございます。ただ、もちろん、これが必要にして十分なのか否かというところはあろうかと思いますが、さ末なところで1点だけ補足させていただきます。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。

○河上委員長 大体予定していた時間が来てしまいました。

では、夏目委員、短目にお願いします。

○夏目委員 1点、金融庁にお伺いしたいと思います。

先ほど、岩田委員の御質問の中で、成長戦略の中に前払式電子マネーの話は載っていないけれどもとおっしゃいましたが、日本再興戦略の中で2020年にオリンピック・パラリンピックが開かれて、キャッシュレス決済のさまざまな普及というところが挙げられていると思うのです。利便性、効率性の向上を図るということは記載されていると思います。

そうしますと、海外からお見えになる方々は、むしろ日本人以上にキャッシュレス決済ということに慣れていらっしゃるというか、特に欧米の方々は多いかと思いますけれども、これから2020年又はその先に向けてキャッシュレス決済の普及というところでどんな対策をおとりになっているか。また、情報収集というものについて、どんなようにお考えかということをお聞きしたいと思います。

以上でございます。

○金融庁佐藤総務企画局信用制度参事官 このキャッシュレス決済というのは、いろいろなツールがまずございます。プリペイドカードもあり、クレジットカードもあり、あるいはデビットカードもありということでございます。恐らくプリペイドカードの中でもキャッシュレスと言いながら紙があるのか、あるいはカードがあるのか、あるいは本当に携帯のスマホの中で対応できるのか、いろいろなものがあり、その中でどう対応していくかということですが、2020年に向けて、いわゆるオリンピックに向けて、海外から来た方でもキャッシュレスが容易にできるようにということで、私も全て把握しているわけではないのですが、自分の知っている限りで申しますと、例えばATMで海外で発行されたキャッシュカードを使えるようにという取組を今、進めております。これは日本国内のATMで、海外で発行されたものが使えるところと使えないものがあります。使えないところは結構あります。それを大都市圏中心に、あるいは観光地中心に、海外に発行されたキャッシュカードを使えるようにということで、ATMを順次そういう海外仕様のものに変えているという取組があります。

それ以外に、例えば海外から日本にやってきて、クレジットカードを使ってキャッシングを受けたというようなとき。これは、場合によってはキャッシング、すなわち借り入れ、貸し付けになりますので、果たして日本国内で貸し付けが行われたのか、いわゆる貸金業の登録が必要なのか否かというやや不明確なゾーンがございました。これはこの間、政令を改正することによって、海外で発行されたクレジットカードを海外の人がたまたま日本に来て使うとき、それは貸金業法の登録が必要ではないだろうというところで規定の明確化などをしました。

あとは例えば海外からやってきた人が日本国内で、交通系のプリペイドカードを買ったが、海外に帰る時に余ってしまう。これは払戻しを受けられるのかどうかというのもグレーになっていたところがありまして、今、従前の資金決済法の法令の中では、やむを得ない場合には払戻しが可能だという規定があって、では、やむを得ない場合に該当するのかどうかという、そこの解釈が必ずしも明確ではなかったところがあります。

そこについては、海外の観光客が帰る時の払戻しはオーケーなのだと、やむを得ない場合に含まれるのだというのは明確化したというようなことがあります。恐らく私も知らないような細かいところはいろいろな問題があって、そういうところを一つずつ潰していって、全体としてのレベルアップを図っていくということが求められているのかなと考えております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

予定した時間を超えてしまいまして、申し訳ございません。本日は、皆様から御説明をいただきまして、ありがとうございました。実情が大変よくわかりました。

決済の高度化とか、対応ということに関して、業界の健全な発展も含めてきちんとした安全な環境を作るということは、とても重要でございます。とは言え、電子マネーを利用した消費者被害の防止あるいは被害回復のために電子マネー発行業者における加盟店の管理、苦情処理態勢の整備といったようなことについて、現状ではなかなか限界もあるというようなこともよくわかりました。

問題は、アウトサイダーに対する監督をどういうように広げていくかということや、セキュリティーの確保ですね。番号を盗み取られるというようなことになれば、そういう問題もある。ただ、問題の現れ方は一様ではないということも指摘されました。先ほど「合わせ技」でいかないといけないとおっしゃっていましたが、まさにそのとおりだと思います。

販売店と連携した被害予防については、今、懸命に取り組んでくださっているということですけれども、まだまだ改善の余地があるのかなという感じがいたします。先ほど来、上限額の規制というようなことも出てまいりました。問題はあるけれども、現に日本の通貨で1万円以上はないわけで、その意味で言うと、10万円より以上の匿名のプリカを使わないといけないというのは、かなり例外的な事態であるので、それを規制するときに正当化理由を出さないといけないというのも理解しづらいなという感想をいだきました。

いろいろな問題はありますけれども、金融庁としても一層市場の健全化への取組を進めていただければと思います。

協会には、きょうは、本当にありがとうございました。伺っていますと、加盟会社に対するものについては、しっかりやっていただいているということですけれども、加盟店以外のものにも何らかの影響を与えていただけるかどうか。また、窓口での整備ですけれども、協会のところまで来る前に、各加盟店のところに例えば苦情相談窓口があるのかないのかとか、どんな相談が集まっているかというような情報が、なかなか協会まで上がってきていない部分があるのではないかとの印象を受けました。

それぞれの各加盟発行会社の中で相談に対する対応がしっかり行われるように、影響力を発揮していただければありがたいと思います。苦情相談の中身についても、各発行会社に任せているということだったのですけれども、もし情報がうまく整理できるようでしたら、協会において集約をしていただき、金融庁とも協力して、よりよい環境づくりに取り組んでいただければありがたいと思いました。

委員会としては、本日のヒアリングを通じまして、この問題に対して、更に踏み込んだ対策が必要ではないかという認識を深めたところでございまして、引き続き審議をし、何らかの形で意見表明をしたいと思います。その場合には、また御協力をお願いします。

金融庁、一般社団法人日本資金決済業協会におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。


≪3.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上でございます。最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程、議題につきまして、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせいたします。

この後、委員間打合せを開催いたしますので、委員の皆様におかれましては、委員室のほうに御移動いただきますようお願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)