第197回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2015年7月14日(火)10:00~11:11

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
  • 【説明者】
    消費者庁 加納 消費者制度課長
    消費者庁 山田 取引対策課長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者裁判手続特例法の施行に伴う政令(案)、内閣府令(案)、ガイドライン(案)について
    消費者庁 加納 消費者制度課長
  3. 特定商取引に関する法律施行令の一部改正について
    消費者庁 山田 取引対策課長
    消費者庁 加納 消費者制度課長
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 定刻を過ぎてしまいまして申し訳ございません。 皆様、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第197回本会議」を開催いたします。

本日は、所用によりまして高橋委員が若干遅れて御出席という予定になっております。

それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○大貫参事官 議事次第の下に配付資料一覧がございます。

資料1が消費者裁判手続特例法の関係、資料2が特商法の施行令の関係でございますが、2-1、2-2、別紙1、2、3と分かれております。資料3が委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等。参考資料1は特商法関係の諮問でございます。参考資料2が委員間打合せの概要でございます。

不足がございましたら、事務局までお申し出ください。


≪2.消費者裁判手続特例法の施行に伴う政令(案)、内閣府令(案)、ガイドライン(案)について≫

○河上委員長 最初の議題は、「消費者裁判手続特例法の施行に伴う政令(案)、内閣府令(案)、ガイドライン(案)について」であります。

本日は、消費者庁にお越しいただいておりまして、説明をいただくことにいたしました。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

消費者裁判手続特例法は平成25年12月に公布され、消費者庁におかれては、同法の施行に向けて同法の施行令案、施行規則案、消費者契約法の施行規則の一部を改正する内閣府令案等を作成されておりまして、また本年4月に公表されました特定適格消費者団体の認定・監督に関する指針等検討会の報告書を踏まえて、特定適格消費者団体の認定、監督等に関するガイドライン案等も作成されております。

これらの案につきましては、本年6月10日から7月10日までの間でパブリックコメントが行われたと伺っております。

本日は、このガイドライン案等の内容について消費者庁から御報告をいただきまして、意見交換を行いたいと思います。

それでは、消費者庁から御説明をいただきたいと思いますが、説明時間は15分程度ということでお願いいたします。

○消費者庁加納消費者制度課長 おはようございます。消費者庁の加納でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、資料1に基づきまして御説明したいと思います。

まず、1ページ目で、現在の状況でありますけれども、先ほど河上委員長からお話があったとおりでありますが、消費者裁判手続特例法は、一昨年になりますけれども、平成25年12月11日に公布されまして、公布の日から3年を超えない範囲内で施行するとされております。

その附則の第3条というところで、いわゆる濫訴防止の措置というものをしっかり講ずるようにということが謳われておりまして、事業者、消費者その他の関係者の意見を踏まえて検討することということがあります。

それを受けまして、特定適格消費者団体の認定・監督に関する指針等検討会と呼んでおりましたけれども、それを昨年、平成26年5月から今年の3月まで、学識経験者や消費者団体関係者、事業者団体関係者などからなる検討会を行いまして、4月に報告書を取りまとめて、公表したというところであります。

それを受けまして、消費者庁において、政令・内閣府令、ガイドラインの案を策定いたしまして、6月10日から7月10日までの1か月間パブリックコメントを実施しました。ちょうどそのパブリックコメントが終わったという状況であります。

それで、パブリックコメントに付したガイドラインなどの内容ということで御説明したいと思います。が、まず資料2というのがありますけれども、2ページに「特定適格消費者団体の認定、監督等に関するガイドライン(案)【概要】」という横長の紙ですが、これに基づいて内容を御説明したいと思います。

主な内容としましては、特定適格消費者団体の認定要件に関する基準というものと、被害回復関係業務について特定適格消費者団体がしなければならないこと、あるいはしてはならないこと。とりわけ、先ほどの濫訴の防止措置というところでありまして、これは事業者サイドからこの立法過程においても懸念が示されたところでありまして、そういったところの考え方を整理して、こういった場合には監督の対象になるというものを書いているというものであります。

まず、認定要件のほうでありますけれども、(1)の活動実績から主なものを書いております。活動実績、これは現行の適格消費者団体の場合でもこういった要件が必要とされておりますが、特定適格消費者団体については、適格消費者団体の中から一定の認定要件を設けて新たな認定を受け直すということを想定しておりまして、適格消費者団体として差止請求関係業務をきちんとやっていることという要件を設けています。

それから、体制。被害回復関係業務と呼んでおりますが、新しい訴訟制度を安定的かつ継続的に行うということでありまして、必要な人員や物品の確保でありますとか、経理的基礎に関しても一定の財政基盤を有していることが必要であることを書いております。

(4)の報酬・費用でありますけれども、ここについては、特定適格消費者団体は消費者のために一生懸命仕事をしますので、それで消費者の被害が回復されたということができますと、一定の範囲で対価として報酬を受けることができるようにするという、弁護士法の特則に当たる規定をこの法律では設けております。もっとも、もともと少額被害と考えられる消費者被害の救済を図ろうということであり、報酬・費用が取り過ぎになることによって、消費者の手元にほとんど残らないということになっては本来の意味がないと思われるところでありますので、報酬・費用について一定の基準を設けて、あまり取り過ぎにならないようにするという内容を盛り込んでおります。

具体的な内容としては、イとウというところでありますが、二つに分けておりまして、まず手続参加のための費用負担。消費者がこの手続に参加する上では、例えば特定適格消費者団体が参加を呼びかけるために通知や公告をする費用とか、特定適格消費者団体が消費者から授権を受けて裁判所に届出をするわけですけれども、その際に裁判所に納める費用とか、一定の費用が様々かかります。

それは消費者に負担してもらう、団体は消費者から取ることができるというふうにするわけでありますけれども、その費用がどういうものでどういう金額になるのかということについて、きちんと丁寧に説明をして、納得を得られるようにする。これは後でも出てまいりますが、一定のきちんとした説明をするということを前提に、この手続参加のための費用についは取ってよいということであります。具体的にどういった説明事項が生じるかといいますと、四角の枠組みでマル1~マル6に書いてあるような事柄が考えられると整理をしております。

もう一つはウの、手続参加のための費用とはまた別に、実際にお金を取り戻すことができたという場合には、その取り戻した額から一定割合を団体の報酬・費用として取ることを認めましょうということでありますが、ここでこの報酬が過大なものになってはいけないということでありまして、一定の線を引く必要があります。

今回はこの線をどこに引くかということで、検討会の中でも様々な議論があったわけですけれども、制度導入、制度開始当初に当たっては、少なくとも回収額の50%超については消費者の取戻分とする、返してあげるというふうにするとともに、回収額が多額になる、又は参加する消費者の数が多くなるに従って、消費者の取戻分を増加させることが必要だという考え方を盛り込んでおります。

少額事件といいますのは、どうしても費用倒れになりがちでありますので、とりわけ人数が少ないと、なお一層そういう傾向が出てくるということでありますが、他方で人数がそれなりに増えてくる、あるいは額が多くなってきますと、取れる額というのがどんどん多くなってくるわけであります。それでも50%までは取ってもよいということになりますと、それをそのままスライドさせますと、団体が取り過ぎということも生じかねませんので、適切な範囲内でできるだけ消費者に返してあげるという内容の報酬・費用の基準を作成してもらうということを考えておりまして、それをガイドライン案の内容として盛り込んでおります。

(5)の業務規程でありますけれども、この業務規程といいますのは、特定適格消費者団体が業務遂行をするに当たって、骨となるといいますか、基準となるといいますか、どういう業務をするのかということを割と細かく書くというものになります。授権をした消費者の意思を確認するための措置でありますとか、情報の管理でありますとか、金銭その他の財産の管理といったことについて、業務規程の中で盛り込むということを書いております。

それから、右のほうの2の被害回復関係業務というところでありますけれども、先ほど、報酬・費用の話で申し上げたところですが、この手続は一体どういうもので、お金がどれぐらいかかって、この手続が進行するに当たってどういうことが起こるのかということについて、団体から消費者に対して丁寧に説明しましょうということでありまして、できるだけ分かりやすい説明をするということにしてあります。

その説明方法につきましては、消費者との個別の面談とか、電話とか、説明会の開催、更にはウエブサイトの閲覧など、多様なものを認めましょうというふうにしておりますが、ウエブサイトの閲覧のような場合には、消費者から問い合わせが来た場合にはきちんと対応できる体制が整備されていることが必要ということも、併せて内容として盛り込んでおります。

ここのところは、できるだけ丁寧に、消費者はなかなかこの裁判手続というのはなじみがないと思いますので、しかも一定のお金がかかるということになりますから、できるだけ分かりやすく丁寧に消費者に対して説明してあげることが必要だと思いますけれども、他方で、あまり手間暇をかけ過ぎますと、団体にとっては負担が大きいということにもなりかねませんので、そのバランスということで、ウエブサイトのような方法なども認めつつ、一定の体制が整備されていることが必要ということを盛り込んでおります。

それから、(2)の団体の責務というところでありますが、ここはいわゆる濫訴防止措置に対応するところでありまして、事業者からもこの制度が濫用されないように、きちんと監督措置を講ずるということが強く求められているところであります。

具体的には、アのところで、消費者の利益の擁護を図る目的がない場合、イとしまして、訴えの提起が却下又は、棄却されることが明らかであり、団体がこれを知りながら根拠なくあえて訴えを提起する、こういった場合を具体的に書いておりまして、事例としていくつか四角の枠の中に書いておりますが、こういった場合については監督措置の対象になるということをガイドラインにおいて明らかにするとしております。

最後、監督というところでありますけれども、書類の備置きでありますとか、不利益処分等に関していろいろな手続を選択するでありますとか、赤字で最後に書いておりますが、特に報酬・費用につきましては、これが適切なものでなければならないと、制度の目的が果たされないということになりかねませんので、これについては消費者庁がしっかりと精査をする、不適切な場合には監督措置をきちんと講ずるということを内容として盛り込んでおります。

以上がガイドラインになります。

あと、施行令案、施行規則案等につきましては3ページ以下で書いてありまして、施行令案は、ここに書いてあるとおりでありますが、一定の欠格事由でありますとか、施行規則案は、通知の内容でありますとか、説明の方法でありますとか、こういったものについて規定を設けているということであります。

あと、4ページのほうにありますけれども、現行の適格消費者団体に関する消費者契約法施行規則においても、帳簿書類のことでありますとか、経理に関する書面の記載事項でありますとか、一定の改正が必要なものがありますので、そういったところも改正するというようにしております。

以上がガイドライン案や施行令案等の御説明ということになります。

それから、パブリックコメントでありますけれども、ちょうど先週の10日まで期間を設けてやっていたという状況でありまして、現在それを集約して精査しているところであります。数で言いますと、大体60前後の個人・団体から御意見を頂戴したというところであります。いろいろと消費者サイド、事業者サイドそれぞれから御意見を頂戴しているところでありますので、これをよく見まして、必要な対応をとっていきたいと考えているところであります。

御説明は以上であります。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 御説明ありがとうございました。政省令、ガイドラインを定めるに際しては、いろいろな議論があってこういう内容で決まってきたということで、全体として評価できる中身だと考えております。

何点か、濫訴というか、そちらの方向からの懸念について配慮されている点についてどうかなと思う点もあるのですが、例えば通しページの72ページの事件選定に対する監督について、ここが一番大きい点かなと思いますので、そこについて述べさせていただきたいと思います。

事件の選定については、特定適格消費者団体が相談を受けて、事案を解明しながら、裁判の見通しや何かについて吟味しながら、これはやれるとか判断をしていくという作業、ちょっと難しい作業になってくると思うのですけれども、ここのところは事件の選定について十分に監督をということですけれども、ちょっと書き過ぎではないかという感じがするので、ここは書きぶりについてお考えいただけないかということです。

「過剰な報酬を目的として恣意的な事件の選定を」というのは、ちょっと考えにくいところであるのですが、それがどういう判断でというところがありますし、「十分に監督を行う」とずっとつながっていって、「改善のための必要な措置をとるべきことを命ずることとする」と、こういうふうにつながってきますと、活動について特定適格消費者団体のほうが極めてやりにくい状況といいますか、そういう事態も出てくるのではないか。

つまり、この事件はやるべきじゃないんじゃないかとか、あるいはなぜこれをやらないのかとなってくると、非常に自主性が損なわれるというか、やりづらい面が出てくると思うので、その点だけお願いしておきます。

○河上委員長 何かございますか。

○消費者庁加納消費者制度課長 石戸谷先生が御指摘の72ページの(4)のところは、既に適格消費者団体からもいろいろ意見が出されているところでありまして、ここは検討しないといけないと考えております。

それで、団体が訴訟を追行するに当たって、やはりいろいろと証拠を見たりとか、被害者からヒアリングをしたりして、できるかな、できないかなと検討して、ああだこうだと考えながら、やるべきときはやるのでしょうし、ちょっと無理だというときにはやらないというのはあり得るわけでありまして、ここはそこまで、例えば何でやったのか、やらなかったのかということを詮索するということを意図するものではまずない。

ここで言わんとしているのは、報酬・費用について、先ほど御説明したように、一定程度で取っていいのですけれども、例えば額が大きくなるときに、あるいは人数が大きくなるときに、こういう形で報酬を取りなさいという明確な基準を設けるということは難しくて、そこまでの内容は盛り込んでいないという中で、そうしますと、報酬をたくさん取りやすい事件のほうにどうしても流れてしまうという要素があるということは否定できないところであります。それは本来の制度の趣旨からしますと、やはり少額多数事件で被害回復をいかに図るかというところにありますから、そういった少額多数事件についてもしっかりと取り組んでほしいということが狙いとしてありまして、そういった本来この制度が念頭に置いている少額多数事件というものについて全くやらないという話になったときに、やらない理由が、先ほど申し上げたような証拠がないとか、そういった場合であれば、それはもうしようがないわけでありますけれども、そうでない、要するに報酬が取りにくいということでやらないという話になってきますと、それはちょっと違うのですよということはやはり言わざるを得なくて、そういう意味で事件の選定が恣意的になってはいけないということを表そうという意図で出たものでありました。

ただ、具体的にどう適用されるかというのが必ずしも明らかでないという御指摘は、これは既に適格消費者団体関係者からもいただいているところでありますので、今回のパブコメでもその種の指摘は既にあったところでありますから、ここは団体に対して不当に萎縮させるということがあっては、それはそれでまたこの制度の意味がなくなるというところでありますので、そういったことにならないように、ここは何らかの明確な書き方を工夫するとか、一定の検討をしなければいけないところではないかと思います。

○石戸谷委員長代理 よろしくお願いします。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。特によろしゅうございますか。

私から何点か確認で伺いたいのですけれども、最初の活動実績のところで、差止請求関係業務という言葉が出てきますけれども、この関係業務というのは、具体的に差止請求を裁判所に対して行っているというようなことではなくて、例えば申入れをして、任意の交渉をしながら、和解というか、その交渉の過程で実質的に一定の契約条項が修正されたり、あるいは広告活動などがやんだというような、そういう任意のものも含めて差止請求関係業務という理解でよろしいのでしょうか。

○消費者庁加納消費者制度課長 そういうことです。

○河上委員長 それからもう一つ、先ほどの事件の選定のことですけれども、一方で利益の出るものだけをつまみ食いするようなことはしてはいけないと言われ、他方で少額のものについてもしっかりやれと言うけれども、費用倒れに終わるようなことになってはいけないと言われると、そのときに一体どういうものを選定すればよいかということについて、コントロールそのものが恣意的になってしまわないかというおそれというか、懸念があるわけです。先ほどの話では、そこのところをうまく選定の基準のようなものを示したいとおっしゃっていたのですけれども、ちょっとイメージが湧かないので、もう少しふえんしていただけますか。

○消費者庁加納消費者制度課長 選定の基準を示すというところまでは私は申し上げたつもりはなくて、それは多分、実際問題として難しいと思います。

ただ、今のお話の中で言いますと、ある程度報酬は取っていいのですけれども、それで多額多数事件というのが、費用との関係では必然的に団体にとってはやりやすい事件というふうになりますから、逆に少額少数事件というのは非常にやりにくい事件というふうになる。これはもうそうならざるを得ないわけでありまして、そういった中でどういった事件をやっているのかというのは全体として見ますということです。見た中で、例えば多額多数事件をやってもいいのですけれども、そうしますと、団体としては報酬は取りやすいというふうになりますから、取った報酬については、少額少数事件といいますか、なかなか割に合わない事件の費用に回すこと自体は構わないとしております。それはガイドラインのところでも、そういったことを書いております。

そうしますと、言うならば、多額多数事件である程度取って、それをうまく活用して少額少数事件もやってくださいねというようにして、全体として少額事件についても取り組んでくださいというのが全体の枠組みとなっておりますから、それが今回の報酬に関する基本的な考え方でありますので、その考え方に沿うようなやり方になっていますかというところは見るということであります。

逆に言うと、結果としてどういう事件をやっていて、どういう事件をやっていないのかということは見ますので、それが今申し上げたような考え方からしてどうなのかというところは見るということでありまして、制度の趣旨にあまり適合しないということがあると、それはなぜなのですかといった説明は求めることになるということであります。

○河上委員長 どういう事件を選ぶかというのは、先ほど石戸谷代理からもお話がありましたように、報酬の多寡であるとか、回収できる金銭の多寡で決まるというよりは、むしろその事件の重要性によって決まっているだろうし、場合によって差止請求をやった上での結果の見通しについての考え方といったもののほうに重きを置いて活動されるのではないかと想像しますので、最終的な利益の出方というもので問題を考えるというのとはなじまないものかなという気がしたものですから、伺わせていただきました。

もう一つ、財政基盤の話ですけれども、いろいろな適格消費者団体の方で特定認定を受けることも考えたいということをおっしゃっている方々が口をそろえておっしゃるのが、やはり訴訟を追行する上での費用ですね。例えば2段階目をやるときの提供しなければいけないお金というのが相当な額になるのだけれども、今の団体の資力ではなかなかそこまでいけないと、皆さん口をそろえておっしゃっている。何らかの形での財政的な支援を今後考えてみるということについては、加納課長のお立場で答えられることかどうか分かりませんけれども、もし何かお考えがあれば、お話しいただけますか。

○消費者庁加納消費者制度課長 財政支援というのは重要でありまして、報酬の話がずっと出ておりますけれども、今回の制度で報酬が取れるとしておりますのは、それはそれで一種の財政支援といいますか、そういうふうにも機能することを狙ったものであります。

これは冒頭にも申し上げましたけれども、弁護士法の例外として設けておりまして、消費者団体がこういった消費者団体の活動で対価として報酬を得るというのは、なかなかほかに例はないと思います。ですので、報酬・費用をきちんと取れる制度をまずきちっとやることによって、被害回復関係業務については適正な範囲内で賄えるということを狙いとしています。

先ほど、事件の選定の話でもいろいろありましたけれども、確かに何をもってどういう事件を選定するかというのは、結局その事案との見合いによりますから、必ずしも報酬・費用というわけではないと思いますけれども、実際に事件を選定するに当たっては、実際にどういう回収が見込めるのかというのもかなり大きな要素になるだろうとは思います。

例えば、普通に弁護士が訴訟をやるときでも、その事件をやって、相手方が倒産するかもしれないというときに、果たしてそれであえて訴えを提起するかというと、そこは立ち止まってよく考えるというのが一般的な実務ではないかと思います。そういったところを踏まえて、実際にこの趣旨にのっとっているかどうかというのを見ていくということではないかと思います。

ですので、ここの事件の選定の話というのはなかなか難しいところがありまして、一概にこうだと言うのが非常に難しい。個別の事案ごとに、この事案はやって、この事案はやらなかったというのは結果として出てくるわけですから、それはなぜそうしたのか、なぜそうしなかったのかということについて、きちんと説明を求めていくということで、その中で合理的な理由がはっきりしているということであれば、それはもう団体の選択としては合理的だということになるでしょうし、そうではない、何らかの別の動機があるかもしれないという話になってくると、その場合にはしっかりと根拠というか、そういうのがない限りは、この制度の趣旨からするとよくないという判断にもなり得るということではないかと思います。

○河上委員長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 ガイドラインの御説明、ありがとうございました。私の印象は、例えば濫訴を防止するとか、団体側の報酬とか費用を不当に取るとか、そういうことがないようにということで、結構具体的な基準に基づいて行政がしっかり監督をして、その中でこの団体が活動するという全体の設計になっていると思うのですね。もちろんそれは必要なことだと思います。

一方では、消費者被害を集団的に回復するための本当に画期的な仕組みだと思うのですが、それが仕組みはスタートしたけれども、実際に機能しない、実際に動かないということになりますと、非常に残念なことだと思います。

今、河上委員長が言われましたように、適格消費者団体の御意見としては、もちろん最終的には回収の見込みが十分あるものについて、事後的には回収できるのだと思いますけれども、最初に債権届出までの費用についてはどうやって負担したらいいのだろうかとか、あとは消費者被害の情報ですね、PIO‐NETにアクセスできないかという話もあったかと思いますが、情報の入手、そして最低限の取りあえずの費用の負担を支援する。私は融資でもいいのではないかと思いますけれども、そういうことをぜひ消費者庁でも工夫していただいて、せっかく立ち上がった制度が消費者のためにしっかり実績を出して動く、そういう姿をぜひ見せていただきたいと思います。

○消費者庁加納消費者制度課長 御指摘ありがとうございます。そのとおりでありまして、制度を作って動かさないと意味がありませんから、そういう意味で財政支援といいますか、そういった必要性はあると思いますので、これはちゃんと検討しなければいけないと考えております。

団体からは、例えば補助金のような形で、行政から直接この団体に対して財政支援をするということをしてほしいという意見は聴くのですけれども、これは様々な理由で現状ではなかなか難しいという印象を持っております。それが絶対的に不可能とまでは申し上げませんけれども、それは国の全体の予算、そういったものの考え方の中でどこまで認められるかという話ではないかと思います。

では、何をするのですかという話になりまして、これは特定適格消費者団体に限らず、適格消費者団体の時代からずっと言われ続けていることでありまして、これが唯一絶対であるというものはなかなか見いだし難いわけでありますけれども、今やっている取組としては、地方消費者行政活性化交付金の活用であります。これは適格消費者団体の設立の支援というところで、都道府県から適格消費者団体を目指す団体に対して支援するということは、現在の枠組みの中でもできるとなっておりまして、それを活用して適格消費者団体の認定を受けるに至ったという団体もいくつか出始めているというところでありますから、そういった仕組みの活用でありますとか、その枠組み自体を更に広げていくということは検討の余地があるのではないかと思います。

○河上委員長 ほかによろしいですか。どうぞ。

○石戸谷委員長代理 この問題について議論する機会もあまりないと思いますので、制度全般について一言申し上げます。

集団的被害救済のための制度創設は、長い長い検討過程を経て実現したものであり、今回の政省令、ガイドライン策定は、制度の具体的運営に向けた最終段階として位置付けられるものとなります。

そこで、この際、これまで消費者庁研究会、消費者委員会専門調査会などで制度設計に携わられた学者委員を初めとする委員の方々、そしてまた先例のない制度設計について条文化して制度を作り上げていくという難しい作業を担った方、既に消費者庁を離れた方々も含めてですけれども、深く敬意を表したいと思います。

その上で、この制度の議論で、濫訴の防止の観点であるとか、活動の促進の観点であるとか、ちょっと見方が違っている部分について、一言考えてきたことを申し上げれば、この制度をどう捉えるかというところで根底にその違いがあるのかなと思います。

さかのぼれば、司法制度改革の中の議論でこの制度が検討されたということはあるのですが、その段階では、司法アクセスの拡充という観点から捉えていた。つまり、あくまで私的権利の行使あるいは救済という捉え方をしていたために、権利行使は各人で行うのが原則であるので、やや例外的な枠組みといったような考え方につながるかと思います。

しかし、消費者問題の分野について、これの検討を深めていくうちに、公正な市場における取引の重要性というのが消費者分野については認識されてきて、平成15年5月の国民生活審議会消費者政策部会の「21世紀型の消費者政策の在り方について」では、消費者政策の理念の転換を打ち出して、市場機能の活用を重視することとしております。その中で消費者団体訴訟制度を位置付けておりまして、消費者政策の実効性確保という位置付けになっております。そして、消費者団体の役割については、消費者団体が消費者に代わって事業者の行為を監視するなど、消費者の視点に立って市場の監視者としての役割を担うことが重要であると謳っております。そのために、団体訴権を導入する、まずは差止訴訟を早急にといたしました。

これを受けて、平成16年の消費者基本法となるわけですが、そこでは16条で公正、自由な競争の促進等について、充実した書きぶりに直しまして、12条に消費者契約の適正化の条文を新設し、26条では消費者団体の自主的な活動の促進という条文を盛り込んでおります。

そして、消費者団体訴訟制度が導入されるわけですけれども、適用範囲は当初は消費者契約法でしたが、平成21年には景表法、特商法、平成25年には食品表示法にも導入されました。つまり、基本的には行政庁が行政処分などによって実効性を確保する分野において、適格消費者団体も公益的な役割を担うという位置付けで適用範囲が拡大されてきたという流れだと思います。

他方、平成20年6月閣議決定の消費者行政推進基本計画では、市場重視の施策の推進を踏まえて、安心・安全な市場、良質な市場の実現こそが新たな公共的目標と位置付けられるべきものとなったとして、それは競争の質を高め、消費者、事業者双方にとって長期的な利益をもたらす唯一の道であると謳っております。

この意味をもう少し具体的に考えますと、平成27年版の消費者白書によれば、消費者被害の推計値が6.7兆円とされておりまして、このことは市場取引をより良質、公正に構築することができれば、より健全な事業者のより良質な商品・役務に向かうことができるということを意味しておりまして、巨大な購買力が生まれるということを意味すると思います。

これはまた立派な成長戦略であると思いますし、こうした観点からも、消費者行政推進基本計画も、父権訴訟、違法収益の剥奪等も視野に入れつつ、被害救済のための法的措置の検討を進めることも重要であると閣議決定の中に明記しているところであります。

これを受けまして、消費者庁関連3法案の審議においてもこの関係の質疑が行われて、その結果として超党派合意で設置法の附則6項、そして先ほど来議論になっております適格消費者団体の支援の在り方に関する附則5項が修正で加わったという経緯であると思います。

こういう流れを見ますと、本制度は被害者救済のための制度であるとともに、良質な市場においてその機能を発揮させるための公的な役割を担う重要な意義を持つものと考えます。適格消費者団体の財政支援、附則5項の意味合いもこういった意味から検討されるべきであると思います。

先ほどの消費者行政推進基本計画は閣議決定されているものでありますが、政府全体としてその意義というのを十分共通認識といいますか、認識が深まるということが求められているのだと考えております。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。理念的なところで御説明をいただいたところでございます。もしほかになければ、ここまでということにしたいと思います。

パブリックコメントの募集が終わって、まだ集約はされていないと伺っておりますけれども、そこで出てきた様々な意見、内容を踏まえて、更に検討を進めていただいて、消費者裁判手続特例法により導入されることとなる集団的消費者被害回復に係る訴訟制度という新しい画期的な制度が、適切に運用されるようにしていただけることを期待しております。

また、本日も意見がございましたけれども、特定適格消費者団体の認定・監督に関する指針等検討会の報告書にも記載されておりました適格消費者団体、特定適格消費者団体への財政面、情報面での支援についても、今後、本施行に向けて速やかに取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきましてまことにありがとうございました。

なお、次の議題も消費者裁判手続特例法に関連するものでございますので、加納消費者制度課長には引き続き御臨席をいただくことをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(消費者庁山田取引対策課長 着席)

≪3.特定商取引に関する法律施行令の一部改正について≫

○河上委員長 次の議題は、「特定商取引に関する法律施行令の一部改正について」であります。本議題についても、消費者庁から御説明をいただくこととしたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ御臨席いただきまして、まことにありがとうございます。

本件につきましては、本年7月10日、内閣総理大臣から、参考資料1のとおり、特定商取引法における適用除外に関する政令の改正について諮問がございましたので、消費者庁からヒアリングを行いまして、審議を行った上、委員会としての判断を示すということにしたいと思います。

それでは、消費者庁から御説明をいただきたいと思います。説明時間は15分ほどでお願いいたします。

○消費者庁山田取引対策課長 それでは、資料2-1、横長のパワーポイントの紙と、資料2-2を御覧ください。

まず、資料2-2から御説明を始めます。「1.諮問の必要性」でございます。特定商取引法については、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の3類型について、ほかの法律の規定によって消費者の利益の保護ができると認められる場合は適用除外という規定が26条にございます。

それで、ここの適用除外に関する政令の制定又は改正に当たっては、消費者委員会及び経済産業省の消費経済審議会へ諮問することとなってございます。今回お諮りいたしたいのが、さきの臨時国会で成立しました裁判手続特例法でございます。

資料2-1を御覧ください。裁判手続特例法では、1段階目の手続で共通義務確認訴訟ということで、金銭支払い義務をまず確定させた後に2段階目の手続に移るということで、個別消費者に対して呼びかけるということで、消費者への通知・公告という手続が規定されてございます。このような特定適格消費者団体が行います被害回復関係業務というものが今回裁判手続特例法で追加をされているわけでございます。

この被害回復関係業務について、消費者に契約の締結を呼びかけて契約を締結するという、この行為自体が、訪問販売、電話勧誘販売、そして通信販売に概念的には該当する可能性があるということでございまして、今回、適用除外の検討をお願いしているということでございます。

2-2の1ページ目の一番下のところでございます。「特に」とございますけれども、裁判手続特例法で、知れている消費者に対して個別に被害回復裁判手続に関する情報を通知しなければならないということで、これは電子メール送信などによって行われることが想定されておりますけれども、特商法では電子メール広告規制で非常に厳しいオプトインの規制が設けられているわけでございまして、あらかじめ消費者が承諾していない限りは原則として送信を禁止されてしまうということでございまして、これがそのまま適用されると、裁判手続特例法の目的が達成できないおそれがあるということでございます。

2-2を1枚おめくりいただきまして、「2.諮問事項」でございます。特商法で、ほかの法律の規定によって消費者の利益を保護することができると認められる場合か否かというのは、コンメンタールで次の2点を満たすことがその条件だということを解釈上お示ししているところでございます。

まず、マル1消費者被害に対する是正措置が整備されていることというのが一つ目の要件でございます。これは、よく設置法でいいじゃないかというような議論もあるわけでございますけれども、設置法に基づく一般的な行政指導などでは不十分だと私どもは理解しておりまして、具体的には下の(i)、(ii)のいずれかが法律上規定されており、事業者の不当な勧誘や不当な広告等によって消費者被害が発生した際に発動することが可能であり、消費者被害が発生している状況を予防、一定の強制力をもって改善することができると認められる場合を指すと理解をしてございます。

(i)は、業務改善命令、指示命令、約款変更命令、懲戒等に該当する措置でございます。

(ii)は、許可等の取消処分、それから営業停止処分等ということでございます。

それから、メルクマールの2番目はマル2でございまして、法目的との関係で消費者保護のための是正措置の発動が可能であること、この二つの要件を判断基準としてございます。

これを裁判手続特例法の被害回復関係業務について見てみた場合ですけれども、まずマル1について、特定適格消費者団体が被害回復関係業務を行う際には、消費者の授権に先立ちまして、被害回復裁判手続の概要を記載した書面等を交付して説明を行う義務がございますし、消費者から支払いを受ける報酬又は費用がある場合は、その額や算定方法について必要な事項を定め、これが消費者利益の擁護の見地から不当なものでないことにする必要があるということが定められてございます。

これが定められている条項では、適格消費者団体の認定基準が定められておりまして、適格消費者団体が基準に適合しなくなったときには、内閣総理大臣による適合命令又は改善命令の対象となるほか、特定認定の取消しもできる旨規定されておりまして、消費者被害に対する是正措置は整備されていると言えるかと思います。

それから、マル2でございます。法目的との関係でございますけれども、裁判特例法の法目的は、消費者契約に関して多数の消費者に生じた財産的被害について、その被害を集団的に回復するために、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を追行することができることとすることにより消費者利益の擁護を図るということでございまして、法目的の関係でも是正措置の発動が可能と言えると考えております。

したがいまして、裁判手続特例法に規定する被害関係回復業務につきまして、特商法の適用除外とする旨の特商法の施行令の改正を行うことが適当であると考えておりますので、よろしく御審議のほど、お願いいたします。

条文の案を少しお示ししております。別紙3が付いているかと思います。資料2-2とは別のつづりでございますけれども、このような形で別表に書き込んでいきたいということでございますけれども、これ自体はまだ法制局の審査を受けているところでございますけれども、おおむねこのようなイメージになるかと思います。

以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、御意見、御質問のある方は発言をお願いいたします。

特によろしゅうございますか。そもそも、特定とか適格消費者団体の法によって定められた公益目的での被害回復関係業務と言われるものが、果たして商取引なのかということ自体、根本的に疑問がないではないのですけれども、文言上、その可能性があるということで、念のためということだろうと思いますけれども、特に今の御説明で御異論はなかったと思われますので、答申案を配付していただけますでしょうか。

(答申案配付)

○河上委員長 ただいま追加資料として配付いただいたものでございます。答申書の内容は、「平成27年7月10日付け消取引第1030号をもって当委員会に諮問のあった下記事項については、特定商取引に関する法律の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申する。」という案でございます。これは表裏ございますが、以上のような内容で、これを委員会としての答申としてよろしゅうございましょうか。

それでは、この答申案については、「(案)」を取っていただいて、皆様の御了承をいただいたということで答申したいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきましてありがとうございました。

(消費者庁加納消費者制度課長、消費者庁山田取引対策課長 退席)

≪4.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題のその他としまして、消費者委員会に寄せられた意見等の概況について、事務局より御報告をいただきまして、若干ですけれども、委員間で意見交換を行いたいと思います。よろしくお願いします。

○大貫参事官 資料3でございます。本年4月から6月までに委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧になります。こちらは定期的に公表している資料になります。

この間、委員会に寄せられた意見書・要望書等は合計で35件でございます。最も多かったのが8件でございまして、特定商取引法についてでございます。次が6件でございまして、商品先物取引の不招請勧誘に関して。続きまして、4件、食品の機能性表示について。続いて3件、電力システム改革について。2件が三つございまして、薬害関係、特定適格消費者団体のガイドラインについて、消費者契約法について。あと1件のものがいくつかございますが、プロ向けファンド、民法の改正、電気通信事業法、食品表示、旅行業法、そして消費者委員会の委員と事務局の構成についてという意見書がございました。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

いろいろな意見がございまして、それぞれ意見をいただくたびに、委員の皆様とはその意見書の内容については情報共有をしているところではございますけれども、きょうの段階でもし何か御意見がございましたら発言をしていただければと思いますが、いかがでしょうか。

石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 いただいた意見のうち集団的被害救済制度については、先ほどテーマになりました問題で、こういった意見も参考にして考えさせていただきました。

それと、特商法、消費者契約法の関係については、専門調査会で今まさに審議しているところですので、ここでは私のほうとしては意見は差し控えたいと思います。以上を前提にしまして3点です。

まず、商品先物の不招請勧誘の緩和問題ですけれども、これも53番、55番、61番、63番、67番、70番、78番というふうに多くの意見が寄せられておりまして、6月1日施行を前に、施行することなく廃止すべきだという意見で共通しておりまして、その趣旨に強く共感するところであります。この点については、これまでいろいろ述べてきておりますので、それ以上は繰り返しません。

2点目が、機能性表示食品について実施段階に入りまして、これについて57番、69番、76番、80番というふうに意見が出ております。いずれもこの制度の問題点を指摘して、制度の整備とか見直しを求める内容となっております。

当委員会の昨年12月9日付答申においても、前提条件として9点を指摘しているところでありまして、その中でも2点目の安全性の確保、3点目の科学的根拠の点、8番目の制度の法的脆弱性の補強・整備がとりわけ重要と思います。特に制度の問題については、各団体の意見書についても指摘しているところであって、とりわけ重要であると考えますので、速やかに対応すべきではないかと考えております。

3点目が電力システム改革の問題で、54番、83番、87番と意見が出ております。中身の問題については様々ではありますが、発電源の情報については、消費者の電源供給の契約先を選択する場合に重要なもので、情報の提供を義務づけるべきだという点においては共通しております。私としてもそうあるべきだと考えますので、これらの意見に共感するものです。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 今三つあったうちの一つ、電力システム改革の件については、1年ぐらい前の委員会の内部の打合せの時、情報の提供をどうするかということも含めて、その仕組みの推移を、当時はまだ時期尚早だったので、見守ろうと話したことがありました。それがだんだん機が熟してきつつあると思います。委員会としても、内部でもいいですから、まず情報の整理をして、何がなされるべきか検討事項を1回整理してはどうかと思っております。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 私は56番と58番に出ておりますトランス脂肪酸の表示のことにつきまして、少しコメントをさせていただきたいと思います。

この御意見をいただきましたのは4月の段階でございまして、まだこの時期は食品表示部会で受け食品ワーキング・グループでこのトランス脂肪酸につきまして検討をしていて、まだまとめている最中でございました。5月に、食品ワーキング・グループ、つまり消費者委員会としてトランス脂肪酸に関する考え方を発出しました。

そこのところでは、トランス脂肪酸だけではなく、つまり体に悪影響を与えるリスクの多い食品というのは様々なものがあって、何よりも一つの要素に偏ることなく、とらないほうがいいことは確かなのですけれども、バランスのいい食事をとることによって、様々なリスクは低減されていくというようなことを伝えたつもりです。

その後、6月16日に、アメリカでトランス脂肪酸を禁止するという大きなニュースが流れまして、よくその情報を読みますと、そんなに心配することではなくて、トランス脂肪酸全てを否定したわけではなくて、工業化する段階でのトランス脂肪酸が今回3年の猶予をもって禁止されるというものであったのですけれども、情報の提供の在り方を見ていますと、例えばメディアの報道もそうですけれども、あたかもトランス脂肪酸全てが禁止されたような受け止めを消費者がするおそれがあるような情報提供であったような気がします。

ですから、こういう新しい情報が出ましたときには、メディアはもちろんのことですけれども、リスクの管理措置をしている様々な省庁が正しい情報を消費者に伝えるということがなお必要ではないかということを、今回のアメリカのトランス脂肪酸の禁止について改めて思ったところでございます。

引き続き日本におきましても、トランス脂肪酸をとり過ぎる人たちがいないではないというのは事実でございますので、正しい情報をきちんと提供していくということは、これはリスク管理措置をする省庁の義務ではないかということを改めて感じたところでございます。

以上でございます。

○河上委員長 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 食品表示関係の意見が8件ということで、石戸谷委員からも機能性表示食品、そして今、夏目委員のほうからトランス脂肪酸に関連することで御意見がありました。私のほうからも、まずトランス脂肪酸のことですけれども、本委員会のワーキング・グループにおいて検討してきまして、事業者の自主的な取組とリスク管理機関によるチェックを継続的に実施することで、私個人的には低減していくと考えております。低減への傾向を維持していくためには、その動向を引き続き注視していくということと同時に、問題となる若年層、女性の摂食状況についても、引き続きチェック、注視していく必要があろうと考えております。

それと機能性表示食品制度ですけれども、これも石戸谷委員からの発言の中にもあったように、本委員会でも問題点を指摘しているところですが、その問題点が4月以降の実施によって少しずつ顕在化してきているように思います。

また、この意見書の中にもありましたが、生鮮食品の扱いについてですが、私も提出されている意見に共感するものでして、生鮮食品の本制度への適用は当初よりなじまない、難しいなと感じていたところです。難しいということは、結果、消費者にとって分かりにくいということにもなりますので、このような状況があることから、機能性表示食品のみでなくて、特定保健用食品も含め、健康への寄与を標榜する食品全体の制度見直し、検討が必要であるのではないかと考えております。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。ほかには。

岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 ほかの委員の皆さんと重なりますので、ごく簡単に。関心がありますのが二つありまして、一つは機能性表示食品で、皆様おっしゃったとおりですが、当委員会として意見を付して答申したという経緯もございますので、実際に商品が市場に出てきましたけれども、しかるべきタイミングで当委員会としても制度の実施状況を把握するということが大事かと思います。

もう一つは電力改革との関係ですけれども、電源の構成を消費者が分かるようにしてほしいという御意見が複数ありますけれども、私も個人としては同意見でありますので、これについても、どういうことが可能なのか、委員会としてしかるべきタイミングで議論をしてみたいテーマの一つだと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。よろしゅうございますか。

第3次の委員会は残り任期がわずかということではありますけれども、課題となるべきものをしっかりと整理して、やれることをやっていくということになろうと思います。

食品の話ですけれども、実は先週の週末、沖縄で「消費者問題シンポジウムin浦添」というのをやらせていただきまして、消費者被害の回復に向けたシンポジウムを石戸谷委員が司会をしてくださって、大変温かい真剣な議論が行われたということで、私も感動いたしました。

ただ、沖縄はずっと長寿県だったのですね。全国的に見て長寿の県だったのですけれども、それが今非常に順番が落ちている。その原因は何かというと、食文化の変化だったらしいのです。食の欧米化が進んで、沖縄の人たちに肥満が増えたりして、長寿県から転落して、沖縄ショックというのがあったという話を伺いました。

やはり食べ物について、バランスのいい食事をきちんとしていくというのが大事なことで、今回、機能性食品とかいろいろな問題が出てきていますけれども、やはり消費者委員会としてもきっちりと監視していかないといけないなということを改めて痛感させられました。また、この意見書等々について委員間で議論しながら、少しでも効率的な形で消費者委員会の活動を進めていくということをやりたいと思います。


≪5.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上になりますが、最後に事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○大貫参事官 次回の本会議の日程、議題については、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせいたします。

この後、委員間打合せを開催いたしますので、委員の皆様におかれましては、委員室のほうに御移動いただくようお願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)