第185回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2015年3月3日(火)15:00~18:10
場所
消費者委員会大会議室1
出席者
- 【委員】
- 河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
- 【説明者】
- 消費者庁 鈴木 消費者政策課長
- 中村 消費者政策課企画調整官
- 消費者政策課担当者
- 山田 取引対策課長
- 厚生労働省 岩瀬 労働基準局監督課調査官
- 消費者機構日本 磯辺 専務理事
- 宮城 理事・弁護士
- 事務局担当者
- 国民生活センター 鈴木 相談情報部長
- 浦川 相談情報部相談第2課長
- 公益社団法人日本美容医療協会 西山 広告のあり方委員会委員長
- 【事務局】
- 黒木事務局長、大貫参事官
議事次第
- 開会
- 消費者基本計画の検証・評価・監視について
- 消費者庁
- 鈴木 消費者政策課長
- 中村 消費者政策課企画調整官
- 消費者政策課担当者
- 特定商取引法施行令の改正について
- 消費者庁
- 山田 取引対策課長
- 厚生労働省
- 岩瀬 労働基準局監督課調査官
- 美容医療についてのヒアリング
- 消費者機構日本
- 磯辺 専務理事
- 宮城 理事・弁護士
- 事務局担当者
- 国民生活センター
- 鈴木 相談情報部長
- 浦川 相談情報部相談第2課長
- 公益社団法人日本美容医療協会
- 西山 広告のあり方委員会委員長
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:175KB)
- 【資料1】 消費者基本計画の検証・評価・監視関連資料(消費者庁提出資料)
- 【資料2】 特定商取引法施行令の改正関連資料
- 【資料2-1】 特定商取引に関する法律施行令の改正に係る消費者委員会への諮問について(消費者庁提出資料)(PDF形式:182KB)
- 【資料2-1別紙1】 特商法条文(PDF形式:265KB)
- 【資料2-1別紙2】 特商法政令新旧対照表(PDF形式:97KB)
- 【資料2-1別紙3】 社労士法新旧対照表(抜粋)(PDF形式:108KB)
- 【資料2-1参考資料】 社会保険労務士法の改正について(PDF形式:163KB)
- 【資料2-2-1】 全国社会保険労務士会連合会会則(抄)(厚生労働省提出資料)(PDF形式:141KB)
- 【資料2-2-2】 都道府県社会保険労務士会における苦情処理のフロー(厚生労働省提出資料)(PDF形式:78KB)
- 【資料2-2-3】 社会保険労務士の不正行為に対する厚生労働大臣の懲戒処分について(厚生労働省提出資料)(PDF形式:166KB)
- 【資料2-1】 特定商取引に関する法律施行令の改正に係る消費者委員会への諮問について(消費者庁提出資料)(PDF形式:182KB)
- 【資料3】 美容医療関連資料
- 【参考資料1】 特定商取引に関する法律施行令の一部改正について(諮問)(PDF形式:103KB)
- 【参考資料2】 医療広告ガイドライン、医療機関ホームページガイドライン
- 【参考資料3】 委員間打合せ概要(PDF形式:143KB)
- 【追加資料】 特商法施行令改正答申(社会保険労務士法改正関係)(案)
(PDF形式:195KB)
≪1.開会≫
○河上委員長 それでは、始めさせていただきます。本日は皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、消費者委員会第185回本会議を開催いたします。
本日は所用によりまして、山本委員が若干遅れて御出席の予定となっております。
それでは、配付資料の確認をお願いいたします。
○大貫参事官 議事次第の下にございます配付資料のとおりでございますが、資料1が1-1から1-3まで。資料1-4と資料1-5は委員のみ配付をさせていただいております。資料2でございますが、資料2-1及び別紙1から3と参考資料がございます。資料2-2-1から2-2-3まで。資料3でございますが、資料3-1から3-3と添付1、添付2というものがございます。その後、参考資料1、参考資料2が2-1と2-2の2つございます。参考資料3でございます。
以上でございます。不足のものがございましたらば、事務局までお申し出いただきますよう、お願いいたします。
≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫
○河上委員長 続きまして、消費者基本計画の検証・評価・監視についてであります。
消費者基本法においては、消費者政策会議が行う消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの検討結果の取りまとめを行うとする際は、消費者委員会の意見を聞かなければならないと規定されております。このため、当委員会においては今月17日の第184回委員会における審議を踏まえ、同日付で次期消費者基本計画の素案等に対する意見を取りまとめ、関係省庁宛てに発出いたしました。
現在、消費者庁を初めとする関係省庁等においては、本意見やパブリックコメント等を踏まえて、原案の策定に向けて所要の修正作業を行っていると承知しております。本日は原案の策定状況についてヒアリングを行いたいと思います。それでは、消費者庁から説明をお願いいたします。説明時間は短くて恐縮ですけれども、15分程度でお願いいたします。
○消費者庁鈴木消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
資料は資料1-1から1-3までございますが、最初に資料1-3につきまして簡単に御説明させていただきます。次期「消費者基本計画(素案)」に対する意見の概要でございます。
まず意見募集の概要ということで、1月29日から2月19日までの3週間行いまして、報道発表のほか、ウェブサイトへの掲載とかTwitterあるいは自治体、消費者団体等へのメールによりまして、意見募集をしておりますということを御案内しました。電子メール、ファックスで受け付けまして、寄せられた意見の概要でございますが、意見を提出いただきました方、団体の数としては、個人の方が23名、団体、事業者、法人の方が30ということでございまして、内訳はそこにありますように消費者団体から16団体、事業者・事業者団体が11団体・事業者、その他の団体が3団体ということでございます。
意見の内訳ですが、2ページ目以降、意見を項目別に並べ替えた表をつけてございますが、時間の関係もありますのでここでは御紹介いたしません。1枚目の下のところだけ御説明させていただきます。
基本計画素案の章立てに沿いまして、それぞれの項目にどれぐらい意見があったかということでございまして、工程表の意見につきましては、第4章のそれぞれの項目のところにあわせて記載をしている合計数でございます。全体で487件。1つのシートに複数の意見を書いておられる方とかいらっしゃいましたので、そういうようなものはそれぞれの項目に分けておりますが、1つの御意見をこことここに該当ということで、1枚のシートに書かれているようなものは、注のところにございますように、最初に出てきた項目に計上ということで、487件でございます。
基本計画・工程表全体については21件で、内容的には、KPIのあり方とか、過去5年間の振り返りなどについての記述の充実を求めるものが多かったということでございます。あとのところはそれぞれの章の項目に対する御意見でございます。
時間が限られておりますので申しわけございませんが、資料1-1と資料1-2の御説明に入ります。今、委員長から御発言がありましたように、まだ調整中のものでございまして、ぎりぎりまで作業をしておりまして、委員の皆様に見ていただくのはこの場で見ていただくのが初めてということになります。申しわけございません。
表紙に「素案の改訂案(調整中)」と書いてございますが、全体についてまだ調整中でございまして、各省がまだ検討していて回答が来ていないとか、消費者庁と各省で調整しているということで入っていないものもありますし、現在、書いているものについても細部の表現ですとか、記述の並びとか位置については、まだ変更が入る可能性があるものということで御理解いただければと思います。
素案からの変更点につきましては、編集的な並べ替えとか言葉を補足するということまで示しますと非常に見にくくなってしまいますので、委員会からの御意見、パブコメの意見を踏まえまして修正した部分について下線を引いております。その部分を中心に御説明をさせていただきます。
1ページ目の真ん中、「第1章 はじめに」の、これまでの5年間の振り返りのところですけれども、委員会からありました、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの連携についての記述を入れるようにという御意見への対応が下線を引いている部分の前半部分でございまして、そのほかに、パブコメで過去5年間の振り返りについてもっと充実させるようにという御意見がございましたので、下線を引いているところの後半部分はそういう観点で書いてございます。
2ページ目の初めのところですが、現在の課題について、執行体制の充実、執行力の強化ということで幾つかパブコメで御意見をいただいておりますので、そういうことを追記してございます。
3ページ目は下線を引いていないのですが、第2章の1番目の項目の項目名でございまして、前回の委員会で齋藤委員から項目名が抽象的でわかりにくいという御指摘もありましたので、ここは内容に即しまして「経済の好循環と消費者の安全・安心」というふうに項目名を修正しております。
5ページ目に行っていただきまして、「高齢化、独居化」の項目の最後でございますが、独居化のことで話が終わっておりまして、これにつきまして、パブコメで見守りをすることが必要だということを書くべきという御意見がございましたので、そういうことを後とのつながりの意味も含めて書いてございます。
6ページの真ん中のところ、「高度情報通信社会の進展」のところでございますが、個人情報の保護の関係を書いてございます。もともとは8ページ、7番目の項目の「消費者行動・意識の変化」の最後のところに、プライバシー意識の高まりというような観点で書いてございましたが、パブコメの御意見で、意識の問題だけではなくて、客観的にリスクが高まっていることを書くようにという御意見がございましたので、そういう客観的な情勢の変更を含めて書き直しまして、高度情報通信社会の進展の項目に記述を移しております。
その2行下の下線のところですが、これはデジタルデバイド、高齢者の方に情報伝達しにくいとか、情報機器が使いにくいという問題があることの御指摘がございましたので、そういう情報リテラシーに応じた適切な対応が必要ということで追記をさせていただいております。
7ページ、「東日本大震災後の社会・意識の変化」のところで、東日本大震災発生後の風評被害という言葉がありましたが、風評被害が原発事故に伴うものであることを明確に書くべきという御意見がありましたので、そこを追記してございます。
8ページ、「消費者政策の推進により目指すべき姿」の最初のところで、「勧誘を受けるかどうか」というところに線を引いてございまして、ここは素案の段階で(P)がついておりまして、委員会、パブコメでも意見をいただいており、要は「勧誘を受けるかどうか」という記述は残すべきであるという御意見でありまして、ここはその記述は入っているということでございます。
10ページ、「省庁横断的な施策の推進、行政、消費者、事業者の連携」の項目でございますが、委員会から、総合調整権限が消費者庁に来た後、それを積極的に使っていくことをもう少し明確に書くようにという御意見がございましたので、記述を修正しております。
その2行下の下線は、行政と消費者・消費者団体、事業者・事業者団体の連携が一方向的なイメージがあるとか、1対1的な対応関係の連携になっている、三者が連携することをわかるようにしてほしいというパブコメの御意見がありましたので、「相互の連携」という表現にしてございます。
12ページ、「新たに生じる消費者問題への機動的な対応」というところで、事業者・事業者団体との連携のことを書いておりましたが、関係府省庁もあわせて連携するようにということで「関係府省庁や」という表現を追記してございます。
13ページ、ここから「取り組むべき施策の内容」の項目に入ります。まずは事故の未然防止のための危険性のある物質、商品、サービスの情報提供の関係で、警告表示が情報提供の中にあることを明確にしてほしいというパブコメ意見です。それから、これもパブコメ意見ですが、製造過程を含めた事業者の安全確保の取組も重要だということで、そういうことを書いてほしいということ。次は4行ほど線を引いてございますが、これもパブコメの意見でございまして、ここには素案では家庭用品と危険ドラッグの取組と書いてありますが、家庭用品と危険ドラッグの危険性というのは全然性質が違うものではないか。そこの考え方を整理するようにという御意見がございましたので、物質、商品、サービスの危険性については適正に設計、製造、提供、使用されれば危険ではないが、それらの適正性に欠ければ事故が起こるというものと、それ自体が生命、身体に危害を及ぼすものがあって、それぞれの対策が必要という整理をしまして、前者として家庭用品、後者として危険ドラッグがあるという整理をいたしました。
また、パブコメ意見で、前者の例に当たると思うのですが、住宅工事や宅地造成に関する安全性についても記述が必要ではないかという御意見をいただきましたので、前者の取組として追記してございます。
14ページですが、これは委員会の御意見でございますが、事故情報の収集の関係で注意喚起だけではなくて、注意喚起以外の取組も行うようにということでございまして、事業者への勧告等の措置を必要に応じて適切に講じるということで記載をしてございます。
14ページのところですが、ここはリコール情報がちゃんと消費者の方に届くようにというパブコメの意見がございまして、製造輸入業者とか、サプライチェーン全体による取組、あるいは関係行政機関の有する各種情報伝達手段を活用するということで記載を充実させております。
次は15ページの下のところでございます。食品の安全性の確保でございますが、関係者間でのリスクコミュニケーションを推進することを書くべきという(パブコメ)意見がございましたので、それについて入れてございます。
17ページ、不当表示、景表法の関係でございますが、まずパブコメ意見で普及啓発に当たってどういう事例が問題になるのか明確に示してほしいということで「具体的な違反事例の周知等を含め」という文言を追記してございます。次は委員会の御意見でございますが、事業者団体による自主基準の作成などを積極的に支援するということを入れてございます。
18ページは委員会の御意見への対応で、美容医療の関係で医療機関の広告のガイドラインについて単に周知をするだけではなくて、実態を把握して検証をすることと、それ以外の規制のあり方について検討することで、こういう形で記述が入ってございます。
18ページは食品表示の関係ですけれども、まず真ん中のところは個別課題の検討ということで、素案の段階ではインターネット販売における食品表示だけが例示として挙がっていたのですが、それ以外にも検討課題があるはずということで、これはパブコメの御意見ですけれども、加工食品の原料原産地表示を含め、それ以外の課題も書きました。
その次の下線が5行ほど入っているところは、ここは委員会の御意見の関係で、機能性表示の関係は3点御意見をいただいておりまして、1つは食品の安全性の項目でいただいていた御意見ですけれども、食安委の知見の活用ですとか、届出事業者から事故が起こったときに報告が行われるようにという話。それから、食品表示制度の届出後に根拠がないことが判明した場合の行政処分などの執行の話と、特保も含めた表示・広告の適正化ということで御意見をいただいておりましたが、ここにつきましては、機能性表示につきまして、残された検討課題についても施行後速やかに検討に着手する、その際に幅広い関係者の意見も十分に活用するということ。それから、表示・広告につきまして、いわゆる健康食品を含めた食品ということで、機能性表示と健康食品だけではない食品全体につきまして、表示・広告の法令違反に厳正な対処、執行体制の整備ということで記載を入れてございます。
19ページですが、ここは、厳正な法執行の前に関係法令を周知してほしいというパブコメ意見で追記をしたところでございます。
20ページは商品・サービスに応じた取引の適正化のところで、これは委員会の御意見ですけれども、ICT関係のところについて研究会報告書にあった内容をより具体的に盛り込むようにということで、苦情・相談処理体制とか期間拘束付き契約に関する取組の検証、推進ということで入れてございます。
21ページの真ん中のところは商品先物取引の関係で、不招請勧誘による被害防止のための取組を徹底する。著しく委託者の保護に欠ける事態が発生した場合には、速やかに所要の措置を講じるということで入っています。
その2行下は、パブコメの意見ですけれども、賃貸住宅に関する注意喚起が誰への何に関する注意喚起かということで追記してございます。
21ページの下のところは、美容医療サービスのインフォームド・コンセントの指針の関係で、素案の段階では周知となってございましたが、相談件数の把握、検証、新たな取組の検討ということで入ってございます。
22ページ、これはパブコメの意見で、いろいろなサービスについて監督官庁だけではなく、消費者庁も注意喚起を行うようにという意見がございましたので、仕組みが複雑であるとか、内容がわかにくいというようなリスクの高い取引については、所管省庁の取組に加え、必要に応じ、消費者庁においても国民生活センターと連携して、被害の未然防止の観点から注意喚起を行うということで追記をしてございます。
23ページ、これは委員会の御意見への対応で、模倣品取引の被害防止のための取締り強化ということで入れてございます。
24ページでございますが、まず構成の変更でございまして、「4 消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成」は5つの括弧数字の項目がございましたが、委員会の御意見で「消費者政策の透明性の確保と消費者の意見の反映」を最初に持ってくるべきであるということでございましたので、構成を変更いたしまして、そういう形にしてございます。
審議会への消費者の意見を代表する委員の選任について、実績を検証するようにという御意見でございまして、ここについてはパブコメでも幾つか意見をいただいており、消費者の意見を代表する委員の範囲の考え方を整理し、これまでの選任実績を検証するということで入れてございます。
25ページは、消費者教育の推進のところで、消費者教育の中で消費者が主体的に消費者市民社会の形成に参画するという位置づけをきちんと書いてほしいということ、また、国、地方公共団体などを含めた多様な主体の連携・協働が必要ということで、いずれもパブコメ意見ですが、入れてございます。
その下、消費者教育ポータルサイトについて、教材を最新のいいものにするようにということで、パブコメ意見でございますが、入れてございます。
26ページ、学校教育の関係で大学の教員養成課程とかについての検討。26ページの真ん中のところは、地方の消費者教育推進計画の策定とか協議会の支援、促進について、いずれもパブコメ意見への対応でございます。
その下のところは、事業者による消費者教育のことについて書いてほしいというパブコメ意見への対応。それから、リコール情報が確実に届く仕組みについてここにも入れてございます。
26ページの下のところもパブコメ意見でございますが、消費者が情報発信などで加害者になることもあるということで、情報発信のモラルのことなどについて、消費者教育の中で留意をするということ。26ページの最後の行は、委員会の御意見の関係ですが、インターネット取引等において模倣品を選択して被害に遭うことのないよう消費者教育をするようにということで入れてございます。
27ページですが、これは委員会の御意見でフェアトレードの啓発がございましたので、消費者教育の中で位置づけることを入れてございます。
28ページは、パブコメ意見でございまして、消費者志向経営の位置づけを明確にし、もう少し整理をしてほしいということと、その推進方策をもう少し書いてほしいということ。それから、2つ目のパラグラフのところは委員会の御意見とパブコメの意見と合わせてでございますが、公益通報制度が会社の話だけではなくて、消費者の安全・安心や取引とか表示の適正化などにも資するものだという制度の位置づけ。消費者委員会からの御意見で、消費者教育の中でもやっていくようにということで、消費者教育の場も活用して周知啓発を行うということ。それから、これも消費者委員会の御意見を受けたもので、制度の見直しを含む必要な措置の検討を早急に行って、検討結果を踏まえて必要な措置を実施ということで入れてございます。
29ページ、環境保全のところで、ここは文章のつながりがおかしいというパブコメ意見がございましたので、少し文章のつくりを変えたということでございます。
30ページ、上のところは最近の1つの課題としてユニバーサルサービス、生活を支えるのに必要なサービスについて、人口減少とか高齢化が進行する中でもあまねく地方でも提供できるようにというのが課題になっているという、問題認識として書いてほしいという(パブコメ)意見がございましたので、ここに入れてございます。
次は真ん中のところですが、これは消費者委員会の御意見の消費者庁設置法附則5条の関係です。適格消費者団体に対する支援のあり方について見直しを行い、必要な施策を実施する。次のところはパブコメ意見で目標を何か明確化、具体化できないのかということで、1つの目標として適格消費者団体がないブロックについての設立を支援するということ。その次は委員会の御意見で、不当な収益の剥奪の検討について記述を入れております。
30ページの一番下のところは、消費者委員会の御意見への対応でございまして、もともと安全の項目にあった製造物責任法の判例の公表ですが、単に公表するだけではなくて、それを分析・収集して必要な措置を講ずることを記載し、こちらの項目に移しております。
31ページは、消費者団体がやっているADRもあることを明確にしてほしいということで記述を入れ、民間ADRの例が金融や商品先物になっていたのですが、それ以外にもPLセンターがあるという(パブコメ)意見で記述を追加しております。
31ページの下のところは、青少年のインターネット利用環境整備のための取組内容についてもう少し具体的に書いてほしいというパブコメ意見で、書いてございます。
32ページは消費者委員会の御意見でございまして、名簿屋対策について、名簿屋について実態を踏まえ必要な対策を検討するということで入れてございます。
33ページ、これは、パブコメ意見の目標を明確にできないのかということの関係で、とりあえず現時点では地域の体制に関する目標ということで、相談体制の空白地域解消とか、消費生活センターの設置促進などについての自治体の取組を支援するというフレーズで入れてございます。
34ページ、これも消費者委員会の御意見で、交付金化したこととの関係で、地方における消費者行政の計画的・安定的な取組についての記述。次も目標関係で、多くの地方公共団体で消費者安全確保協議会、見守りネットワークの協議会をつくることを目指すということ。
それから、ここはパブコメ意見で、雇い止めの見直しを含めて相談員の人材、処遇の確保。次は委員会の御意見で、自治体における消費者行政部門が司令塔的役割を果たせるような支援。次はパブコメの意見で、見守り活動の担い手として地方の消費者団体が活動できるような支援。相談を委託したときに質が低下することがないような取組。次もパブコメの意見ですが、消費者ホットラインの3桁化につきまして、3桁化したことの周知、それに伴う相談体制の充実。3桁化につきましては、今、「188」ということで予定しておりますので、そのことを記載しております。また、相談の研修の充実ということで、パブコメ意見ですが、相模原の活用ということで入れてございます。
35ページ、委員会の御意見の最後で、評価・検証のところでKPIも含めて評価・検証するという御意見があったので入れております。時間15分というのが大幅に超過しているのですが、もう少し御説明を。
工程表はお時間の関係で説明しませんが、文章のほうは直しがあっても見え消しにはしておりませんで、図のほうで修正が入ったところで赤を入れております。区切りを多くつくるというのが余りできなかったところもあるのですけれども、※印で、テーマ設定を状況に応じてするものについてはそういうことを、あるいは調査項目を毎年見直すとかいうことを入れているものが幾つかございます。それから、新しい取組を入れたところについて帯が増えているところもあります。
委員会の御意見についてはかなり盛り込み、パブコメ意見も委員会の御意見と重なっているものが結構ありましたので、それなりに対応できているのではないかと思っておりますが、委員会の御意見でまだ残っているかなと思っているところは、高齢者向け住まいの関係、まつ毛のエクステンション、インターネット上のトラブルなど、いくつかありまして、これはまだ検討中で出ていないものと、消費者庁と調整中の部分などがあるという状況です。
消費者教育の部分につきましては、学校教育に関して、パブコメ意見で学習指導要領における消費者教育の位置づけの見直しとか、学校教育における消費者教育の実行強化などの意見があることを踏まえて、そういうところについてさらに充実できないかということを今、文科省と調整をしているところでございます。
政策目標は地方における体制整備ということで、今、御説明したような形の文章で入ってございますが、もう少し具体的に書けないかということを、これは各省との調整も必要でございまして、今、調整を始めたところという状況でございます。
時間を大幅に超過して申しわけございません。よろしくお願いいたします。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
たくさんの項目を短時間で説明していただいて、お礼申し上げます。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
○石戸谷委員長代理 御説明ありがとうございました。
個別の点に入る前の全体的なことですけれども、パブコメを実施して意見が23名、30団体ということで出たということで、それを反映して直しを入れていただいたことは結構だと思います。
ただし、2009年の5年計画のときのデータを振り返ってみますと、そのときはパブコメを2回やっておりまして、第1回目が82名というか団体でありまして、件数的には数え方は同じなのかどうかまだ全然見られていないのでわからないのですけれども、665件ということで、2度目にパブコメを、これは素案そのものに対するパブコメの段階ですが、このときは75名・団体ということで、総論は113件で各論、具体的施策の部分が787件出ておりまして、若干今回たびたびで恐縮ですが、検討時間がかなりない中で頑張って出していったということだと思いますので、意見の反映のあり方については今後、留意をお願いしたいと思います。
というのは、消費者行政は多省庁にまたがりまして非常に範囲が広いということで、各方面の意見を聞くことはいろいろな分野に特化した活動をやっている団体が幅広くありますので、問題の所在をいち早く把握するということと、それに対する対応策というものを考えるときに、選択肢として多様なものがあるというのが検討として望ましいということと、まとめた段階でそれを推進していくというときに、意見をつくり上げて施策を決めて実施していくという推進力にも大いに影響することになると思いますので、その点については今後、十分御考慮をいただきたいと思います。
それとの絡みでもあるのですが、意見を出しやすくということからすると、ある程度のわかりやすさというものが大事になってくると思うのですが、特に系統的にずっとテーマを追いかけている団体がたくさんあるわけですけれども、最初の5年間の計画と今回の素案との対応がなかなかつかみ切れないということがあって、先ほども御説明の中にもありましたが、1つの項目が機能性表示のほうで言えば安全性のほうだとか表示の広告のほうだとか、美容医療でいけば広告のほうと取引の適正化に飛び飛びになってしまうことがあるので、ある施策について全体としてどういう具合の取組かということを何かしら後ろのほうにまとめてもいいのですけれども、別表でもいいですが、特に重点的なところについてはあると大変わかりやすいなと思って、今ちょっとそういう作業をやる時間的余裕はないと思いますが、最終的な段階で工夫いただければ大変結構ではないかと思います。全般については以上です。
○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 随分、意見を反映していただいたという印象を受けております。
昨年末に委員会から建議しました件について、これがどう織り込まれているかという点をチェックしました。先ほど課長からもう少し手を加えるという説明が最後のところであったと思います。それと重複することになるかもしれませんが、念のために申し上げます。
教育保育施設等における事故情報の収集及び活用に関する建議を昨年末に行ったところです。これがどういうふうに反映されているかを見ていきますと、素案の14ページの上から3行目から4行目にかけて、段落がまたがりますけれども、教育保育施設等における事故情報の的確な収集などにより、発生時の端緒情報が速やかに収集されるよう収集体制を充実する。その情報を踏まえて発生の動向等を的確に把握した上で、啓発活動を行っていくことになるような記述があります。
問題はそこで、事故の原因を検査する仕組みがこの間にあるはずだと思って工程表を読んだところ、工程表の4ページには収集・公表は消費者庁と関係省庁が行う、となっています。注意喚起等を実施ということについては消費者庁だけがやることになっている。恐らくこの上のほうの収集・公表の中に当然、原因分析の仕組みが入っていて、そこで原因が分析された上で、必要な公表・注意喚起が行われることになると思うのです。しかし、この記述のままだと、集めたものをそのまま流すことになりかねず、それではいけません。念のため、収集した上で必要な事故原因を分析する仕組み、検証する仕組みを構築することをきちんと書いていただければ、誤解は生じないと思います。これについてはいかがでしょうか。
○消費者庁鈴木消費者政策課長 最初にお話しましたが、全体としてまだ調整中で、各省でまだ検討をしているということで、回答が全部出そろっていない部分と、各省と調整している部分があるというお話をしましたが、ここの部分もまだ整理し切れていない部分ですので、引き続き調整をしていきます。
○齋藤委員 ぜひはっきりわかるようにして下さい。関係省庁も内閣府、厚生労働省、文部科学省、消費者庁と、いろいろ出てくるので、きちんと書き込むようにお願いしたい。
○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。夏目委員、どうぞ。
○夏目委員 KPIについてお尋ねしたいと思います。
パブコメのほうにもたくさんKPIについて全体的な御意見等ございました。今、お示ししました工程表の中には、KPIのところに大分新たに書き込んでいただいたものがございますけれども、基本計画の素案そのもののKPIには変更した項目は1項目も記載されておりませんが、これは今後、見直しをして修正する可能性があるということでございましょうか。
例えば今、御発言がありました消費者事故等の情報収集及び発生拡大防止のKPIを見ましても、例えば工程表の4ページの最後に法令等の見直し状況というものがKPIに新しく盛り込まれておりますけれども、素案のほうには入っておりません。そういった項目と精査をしていただいて、見直しをするというようなお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。パブコメでは随分関心が集まっていたかと存じます。
○河上委員長 一般的な回答で結構です。
○消費者庁鈴木消費者政策課長 工程表のKPIについて、なるべくその施策内容に即したものにするようにというのは委員会から、あるいはパブコメでもいただいておりまして、十分かどうかはありますが、見直しをしております。
本文のほうのKPIは、基本的に各項目横断的に一定の抽象度で書くことにしておりまして、法令の整備、見直しの状況は基本的に全ての項目に横断的に入れております。今、御指摘のあった子どもの事故情報は、13ページから14ページにかけてのところになりますけれども、「消費者事故の情報収集、発生拡大防止」の項目のKPIとして、14ページの下のところですが、「社会経済の変化に対応した法令ガイドライン等の整備、見直しの状況」ということで、情報収集の制度などの状況は、KPIとしては入っているということでございます。
○夏目委員 例に挙げたのは例でありまして、パブコメで大変関心か寄せられている内容を素案のほうに反映する。もう十分に反映されていると消費者庁は御判断されて、修正の可能性はないということかどうかということを確認させていただいたのです。
○消費者庁鈴木消費者政策課長 基本計画本体のKPIについて、今、具体的に直そうということで検討しているところはありません。
○夏目委員 そうですか。
○河上委員長 夏目委員、よろしいですか。
○夏目委員 確認をさせていただきます。
○河上委員 橋本委員、どうぞ。
○橋本委員 素案の本体の24ページの消費者が主役となって選択、行動できる社会の形成の真ん中あたりに、公共料金の適正性を確保することが必要であるという記述があります。工程表にはもう少しこれについて、特に電気の小売料金全面自由化に向けて、決定過程の透明性の確保及び消費者参加の機会の確保について検討するというものが工程表にあるのですけれども、私も公共料金の担当なものですから、パブコメを見ますとかなりそのことについて言及しているパブコメの内容もありますので、電気、ガスの自由化に向けてのことを工程表だけではなくて、本文のほうに移すことはできないものでしょうか。かなり消費者の方の関心度が高いというところがパブコメを見てもわかるものですから、その辺ちょっと考慮していただければなと。今日御回答でなくてもよろしいので、その辺、御配慮いただきたいと思っております。以上でございます。
○河上委員長 岩田委員、どうぞ。
○岩田委員 私も橋本さんと同じで公共料金の専門調査会を担当しているのですけれども、今日のパブコメを見ますと、56ページから57ページにかけて公共料金についてたくさんの意見が出されています。これらを本文と工程表の両方に反映していただきたいと思うのですが、反映していただきたい視点は3つあると思うのです。
1つは公共料金、電力関係が代表的なものだと思いますけれども、これから5カ年の計画の間に自由料金というふうに仕組みが変わっていくことがあると思うのですが、そのときに行政は全く関与しなくていいのかどうかということについて、どういう仕組みが必要なのか。例えば御意見の380番だと情報開示、苦情処理、物価のモニタリング、行政による事後チェック等いろいろ書いてあるのですけれども、計画立案の段階で何をやるか決められないと思うのですが、公共料金ということの定義の見直しも含めて、行政はどういうふうに関与すべきかということについて検討する段階かなと思います。それが1つです。
2つ目は、何らかの形で行政が関与することになったときに、その過程に消費者の団体がどういうふうに参画するかというのが2つ目です。
3つ目は、消費者がいろいろな事業者の中から選択できるようになるわけですから、環境に配慮したエネルギーを選択するなど賢い選択を消費者ができるように、消費者教育の中にいわゆる公共料金の問題をもっと入れていくべきかなと思いましたので、そういう観点から本文と工程表の両方を少し強化していただきたいと思います。
全体を通じましては、消費者委員会の意見やパブリックコメントの意見を本当に真摯に汲み上げていただいている姿勢には感謝をしたいと思います。KPIについてはまだまだです。部分的にはよくなっているところもありますけれども、パンフレットの配付枚数的なものは随分まだ残っていますので、ここはまだまだ努力をお願いしたいと思います。
○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。唯根委員、どうぞ。
○唯根委員 2点お願いをしたいと思います。
今日この後、エステ、美容医療サービスを取り上げるので、先ほど最後にまつ毛エクステのことが出たのですけれども、これは健康被害の面でも建議のほうで取り上げていたと思いますので、その後追いがどうなっているか、厚労省からの情報はなかなか出ませんので、その辺のところも追加していただけたらと思います。
もう一点は、26ページに地方における消費者教育のところで、消費者教育推進地域協議会の名称が出ていて、34ページでは地方公共団体の消費者安全法からの関係で、消費者安全確保地域協議会の名称が出てきます。この辺の名称というか役割分担というか、省庁の主張によって随分いろいろな名称を使っていて、地方自治体の現場では指示系統ですごく悩ましいというか、どこが中心になるか非常に混乱していらっしゃると聞き及んでおりますので、この辺の調整もぜひ消費者庁でしっかりお願いをしたいと思います。そういう意味では金融教育も食育も含まれて、消費者庁を中心に頑張って協議会、地方自治体の中で構築していただく動きをぜひ書き込んで、整理をしていただければと思います。以上です。
○河上委員長 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 まず、全般的な意見なのですけれども、先ほど石戸谷委員からお話があったこととも一部重なりますが、パブコメを出してほしいということで一般の消費者とか消費者グループ、団体等にも呼びかけを行ったのですけれども、とにかく期間が短いというのと読みにくい、大量である。意見を出す以前の問題として、大変皆さん困っておられるという御意見をいただきました。
確かにパソコンで読むような読みやすい形にはなっていない。印刷すると膨大な量ですし、工程表の中でも縦組みと横組みが混在しているとか、かなり具体的な読みにくさに関しての御意見をいただいております。反省点としてテイクノートしていただいて、この基本計画だけでなく、今後のパブコメの姿勢なりやり方ということで考えていただきたいと思います。このような大量のときには素案とは言え、目次をつくってそこから該当ページに飛べるようにするなど、ネット上であれば工夫は幾らでもできると思います。まずそうでないとたくさんの意見が集まらないと非常に痛感しているところでございますので、これはぜひ今後のことということで聞いておいていただきたいと思います。
2点目は、具体的なことになりますけれども、1つは消費者委員会の意見として関係省庁とヒアリングの結果を踏まえ、留意が必要な事項として特出しとしてお出ししました高齢者の住まいに関する記述です。先ほどまだ煮詰まっていないという感じの御説明もあったのですが、パブリックコメントでかなりのものが有料老人ホームとか介護サービス、サービス付高齢者住宅という具体的な名称をもって出されておりますので、こういうことにきちんと応えるような工程表をつくっていく必要があると思います。
私は電気通信サービスの担当でもあるのですけれども、そちらのほうに関してもかなりの御意見がパブリックコメントに、具体性を持って書かれております。SIMロック解除の件なども文字が見当たらないという御意見も書かれておりますが、工程表であるからには実効性がきちんと担保されるようなものをつくっていただきたい。これからの取組ということでぜひお願いしたいと思います。
○河上委員長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。石戸谷委員、どうぞ。
○石戸谷委員長代理 これまた全体的なことになるのですが、まだ精査していませんが、素案本体と工程表の中身というのは最終的には一致した形になるわけですね。例えば商品先物については先ほどの御説明で、素案本体で21ページのところで修正を加えていただいたということなのですが、工程表のほうを見ますと27ページですね。もとのままになっているのではないか。これは本文のような形で直るということでいいのですか。文章的には工程表の31ページのマル7のところで、元通りのままになっていると思うのですが、直っていくという読み方でいいのでしょうか。
○消費者庁鈴木消費者政策課長 そこは作業が追いついていない部分もありまして、引き続き調整をします。
○石戸谷委員長代理 わかりました。
○河上委員長 ほかにはよろしいでしょうか。
随分いろいろとまた注文が出ましたけれども、よろしくお願いいたします。
基本的には、以前に消費者委員会から出した意見にかなり対応していただいているということで、お礼を申し上げたいと思いますけれども、今日もたくさん出ましたが、私はメモをとっているだけでも10項目以上出てまいりました。1つは今回の計画策定のプロセスとかパブコメの意見聴取の前提といったものについて、反省点がたくさんありそうですので、その辺はこれからのこういう機会があるときの参考にしていただければということであります。
石戸谷委員からありましたけれども、これまでの5年間の計画の問題と今後の計画との関係がうまく見えないので、その対応関係がわかるような形で何か一定の重要施策とこの中身との間のひもづけをするような記述がほしいという点ですが、何か補足が考えられますか。
○消費者庁鈴木消費者政策課長 まだ作業中で、各省にチェックを依頼しているところなので、メインテーブルだけの配付とさせていただいている資料があると思うのですが、これは、委員会の御意見でも第2章の環境の変化と施策の対応がわかりにくいという御指摘があったので、1つは第2章の環境の変化の各項目に対応する施策がどれかという表。もう一つは現行計画との関係ということで、現行計画の重点施策との対照関係の表です。これは、今日は席上配付だけにさせていただいておりますけれども、最終的には第2章との関係の表は工程表に別添的な参考資料として、あと、現行計画の重点施策との対照はホームページに載せるとか、白表紙につけるとか、そういう形にしてわかるようにしたいと思っております。
○河上委員長 ありがとうございます。
そのような別表があると随分わかりやすくなるということで、まだ素案本体と工程表の内容についても調整中ということですので、これを一致させるように作業を続けていただければありがたいと思います。
個別の問題ですけれども、出てきた順に申しますと、教育・保育施設での安全の問題でして、これは14ページに書かれている部分ですが、事故原因の究明とその後の注意喚起とかフィードバックの観点というものは明示していただければありがたいと思います。
さらに、橋本委員や岩田委員からも出ましたけれども、公共料金問題で、自由化に向けた記述が少し不足しているのではないかということ、自由料金制になったときの行政の関与のあり方といいますか、適正さを担保するための仕掛けあるいは行政的関与があるとした場合の消費者の参画の問題。さらに消費者自身が賢い選択をするための消費者教育。前の意見の中ではたしかエネルギー教育といった言葉も出てきたかと思いますが、そういう観点も含めた問題についても少し書き込んでいただければありがたいと思います。
さらに唯根委員から出ましたエステ・美容医療の問題。これはエステでもまつ毛エクステとか、幾つか代表的な問題が随分ございました。まだ解決していないままになっているところがございますので、これはきちんとした形で項目というか、中に具体的例示となる単語を入れていただければありがたいと思います。
同時に唯根委員からは消費者教育の推進会議とか、いろいろな複数の協議会があるのだけれども、複数の協議会の間の役割分担というか意味が混乱しているという現場の現状があるので、その意義とか役割について明示できるようなことができないかということでございます。
さらに高橋委員からですけれども、高齢者の住まいの問題があります。特に有料老人ホームとかサ高住といったようなところでの問題に関して、これは消費者委員会からの意見等でも随分議論をさせていただいておりますので、この問題について具体的に書き込んでいただければありがたい。
また、電気通信サービスに関してのSIMロックの解除の問題。同時に委員会では試用サービスをやってはどうかといった議論もやりましたけれども、そうした検討項目を具体的に書き込んでいただければありがたいということでございます。
消費者教育の中の学校教育の問題。これは消費者庁でも重点的な課題として取り組んでおられるのですけれども、特に学習指導要領に係る部分が、確かに文章の中には見えるのですが、学習指導要領そのものにおいて消費者教育の位置づけを具体的に見直すことが求められます。例えば25ページですが、下のところに、内容が充実されたとだけ書いてあるのですけれども、その後に、学習指導要領の中で消費者教育がどういう位置づけがなされるかということについての見直しをやりながら、その中身である、消費者教育の実施を強化していくんだということをきちんと文科省に理解していただいて、書き込んでいただければありがたいと思います。
最後になりますけれども、常々、私が申し上げていることですが、地方消費者行政の問題がございます。恐らく地方自治体に向けて基本計画の中で何か物申すのは非常に難しいのだろうと想像しておりますが、せめて地方にこういう形で地方消費者行政が実現してほしいという1つの明確なモデルというか、基準のようなものを提示して、それが実現できるように消費者庁も支援すると、消費者庁に向かって書くのだったらいいのではないかという気もいたします。その辺、少し書き方を工夫しながら地方消費者行政のあり方について、体制整備に関する目標を書き込んでいただくということがあっていいのではないかと思います。
まだまだ作業がたくさんあるにもかかわらず、残された時間が少ないということで大変だということはよく理解しておりますけれども、最後の段階ですので頑張っていただければと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして誠にありがとうございました。
(消費者庁退席、消費者庁・厚生労働省着席)
≪3.特定商取引法施行令の改正について≫
○河上委員長 次の議題は特定商取引法施行令の改正についてです。消費者庁、厚生労働省にお越しいただいております。お忙しいところありがとうございます。本日、内閣総理大臣から参考資料1のとおり、特定商取引法における適用除外に関する政令の改正について諮問がございましたので、消費者庁及び厚生労働省からヒアリングを行い、審議を行った上で委員会としての判断をお示ししたいと思います。
まず、消費者庁、厚生労働省から御説明をお願いいたします。
○消費者庁山田取引対策課長 消費者庁取引対策課長の山田でございます。よろしくお願いいたします。
説明は資料2-1と書いてあります両面の1枚紙がございます。こちらを中心に御説明をさせていただきます。
まず「1.諮問の必要性」でございます。特定商取引法は訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の3類型について、ほかの法律の規定によって消費者の利益の保護ができると認められる場合は適用除外となってございます。
沿革的なことを申し上げますと、平成20年までは特定商取引法というものは指定商品・役務制というものをとってございまして、政令で指定された商品・役務以外には特商法は及ばないという規定であったところ、平成20年に大改正を行いまして、原則的に全ての商品が対象になるということで、非常に法律の適用範囲を広げたものですから、そのときにほかの法律で消費者の利益保護ができるという場合には、適用除外にするということで、このような調整をする規定が設けられたということでございます。
少し細かくはなりますけれども、特商法の法律の規定を置いてございます。別紙1の2ページにまず26条、適用除外という規定がございます。ここにずらずら1号から並んでおるわけでございますが、これのちょうど4ページに26条8号ニというものがございまして、イからハに掲げるもののほかということで、他の法律の規定によって云々かんぬんということで、結局はサービスや商品を買った人についての利益を保護することができると認められる販売または役務の提供として、政令で定めるものと書いてございます。
この政令がさらに5ページ以下にございまして、6ページの5条、法第26条1項8号ニの政令で定める販売または役務の提供は、別表2に掲げる販売・役務の提供とするということでございます。それでこの別表2というのが7ページの下段以下にあるということでございまして、本日御審議いただくのは10ページにあります26号、社会保険労務士法でございます。
こちら資料2-1に戻らせていただきます。上から2ポツ目でございますけれども、特定商取引法では64条1項の規定によりまして、この適用除外に関する政令の制定または改正に当たっては、消費者委員会への諮問をするということになっております。
3番目のポツでございます。先の秋の臨時国会におきまして、議員立法で社会保険労務士法の一部を改正する法律が成立いたしまして、社会保険労務士が行うことができる役務として、労務管理及び社会保険等に関する事項について裁判所で補佐人として訴訟代理人とともに出頭し、陳述する。こういう業務が追加されております。
また、社会保険労務士法人が同役務を受託できるという規定も追加になってございます。
今回この社会保険労務士法の業務の追加部分に関して、引き続き適用除外の規定を適用するかどうかということが諮問内容になってございます。
「2.諮問事項」にまいります。先ほど御紹介いたしました法26条1項8号ニというところでは、ほかの法律の規定によって消費者の利益を保護できることが認められる場合は適用除外ということでございます。具体的にこちらに当たるメルクマールとして、私ども2点のメルクマールで判断してございます。
1点目がこちらのマル1、消費者被害に対する是正措置が整備されているかどうかということでございます。これはそれぞれの省庁の設置法に基づく一般的な行政指導では不十分と考えてございまして、具体的には下記(i)、(ii)とございますけれども、(i)業務改善命令、指示命令、約款変更命令、懲戒等に該当する措置あるいはページをめくっていただきまして(ii)許可等の取消処分、営業停止命令など、こういうようないずれかが法律上、規定されていて、事業者の不当な勧誘や不当な広告等によって消費者被害が発生した場合に発動することが可能であり、消費者被害が発生している状況を予防、一定の強制力をもって改善することができると認められる場合を指していると書いております。これがメルクマールの1点目でございます。
もう一点目のメルクマールが、裏面にまいりましてマル2法目的との関係で消費者保護のための是正発動措置が可能であるということでございます。この2点を満たしているものについては、ほかの法律の規定によって消費者の利益を保護することができると認められるという場合に当たり得るということでございます。
次の裏面のポツにまいります。改正法の成立前の社会保険労務士法におきましても、社会保険労務士による役務というものは上記のマル1、マル2を満たすということで、既に特定商取引法の適用除外として規定されてございます。そこに細かい字で、現在、適用除外になっている社会保険労務士の役務を書き出しておりまして、その下に社会保険労務士法における消費者保護のための規制及び是正措置を紹介してございます。
具体的には4つ○が書いてございますが、社会保険労務士法の下位法令によって報酬の基準を明示する義務でありますとか、重要事項に関する不実告知、故意の事実不告知、不正・不当行為の禁止、虚偽・誇大広告の禁止。それから、社会保険労務士会及び連合会の会則を守る義務というものが定められておりまして、これらに違反した場合は、場合によっては厚労省大臣による懲戒処分などがあるということと、法目的との関係で消費者保護のための是正措置の発動が可能と理解してございます。
具体的に細かいところは厚労省の岩瀬調査官から後ほど御説明いたしますけれども、私どもとしては今回の改正法によって追加された意見についても、上記マル1、マル2を満たす社会保険労務士による消費者保護のための規制及び是正措置の適用がなされることから、今回追加された役務につきましても、特定商取引法の適用除外とする旨の施行令の改正を行うことが適当であると考えますので、ぜひ消費者委員会の御意見をお伺いしたいということでございます。
細かい説明を岩瀬調査官からお願いします。
○厚生労働省岩瀬労働基準局監督課調査官 厚生労働省労働基準局監督課の岩瀬でございます。
本日は私どもの法令の関係で貴重なお時間をありがとうございます。
私からは、社会保険労務士制度の中で、このたび追加されました役務に対しましても、消費者保護を図るための措置が社会保険労務士連合会会則などで定められているということなどの資料を準備いたしましたので、御説明をさせていただきます。
資料2-2-1を御覧いただきたいと思います。こちらは全国社会保険労務士会連合会の会則でございまして、43条の3におきましては報酬等の明示でございまして、勧誘する場合、事案の委任に際して、また、業務の提供に先立って報酬等を受領する場合、それぞれ書面の明示等により明らかにするよう定めているところでございます。
下のほうの43条の4でございますが、こちらは不当勧誘等の禁止でございまして、1項では勧誘時の不実告示、故意の事実不告知。また、2項では事案を依頼しない意思表示者に対する勧誘。3項では誇大虚偽広告、宣伝。4項では相手方の承諾を得ていない電子メールによる広告送信。5項におきましては依頼人に対しまして不当な方法により依頼の撤回、解除を妨げることをそれぞれ禁止しているものでございます。このように社会保険労務士会として、それぞれ消費者保護がなされるように措置を講じているところでございまして、今、申し上げたのは全国社会保険労務士連合会の会則でございますが、個々の各都道府県における社会保険労務士会の会則におきましても同様の規定をしているところでございます。
続きまして、資料2-2-2を御覧いただきたいと思います。このような今、申し上げましたような規定がございましても、社会保険労務士が社会保険労務士法に違反する行為を行った場合、消費者被害を発生させた事実が認められた場合には、社会保険労務士会及び厚生労働大臣による処分がございます。その御説明でございます。
資料2-2-2では、中央にございます都道府県社会保険労務士会が社会保険労務士法に違反する行為を行った社会保険労務士がその事実を認めた場合に、社会保険労務士会が行う会則による処分の流れでございます。
各都道府県社会保険労務士会には、会則に基づきまして社会保険労務士に対する苦情処理相談窓口を設けております。そして、社会保険労務士が社会保険労務士法に違反する行為を行っている旨の苦情が寄せられた場合には、マル1にございますように苦情処理相談窓口でその苦情の受付を行っております。そこでマル2の受け付けた苦情につきまして、都道府県社会保険労務士会として当該社会保険労務士に対して事実確認を行うなどの調査を行いまして、その結果、社会保険労務士法や会則に違反する行為が認められる、問題がある場合には、会則に基づきまして都道府県社会保険労務士会長が処分または是正指導を行うフローとなっているものでございます。
1枚めくっていただきまして裏のほうになりますが、資料2-2-3を御覧いただきたいと思います。このような社会保険労務士会の処分が行われた事案につきましては、社会保険労務士法に基づきまして、都道府県社会保険労務士会は厚生労働大臣に対しまして当該会員の使命でありますとか非違行為の内容を通知することになってございます。そして、この通知を受けて厚生労働大臣は法に基づきまして懲戒処分を行うものでございます。
資料2-2-3は、その流れを示したものでございますけれども、一番上の箱が不正行為の把握の端緒でございまして、今、申し上げましたのはそのうちマル2でございまして、社会保険労務士会から通知をもってございます。厚生労働省では独自に出先機関等が把握するものもございますが、必要な調査を行いまして確認できた結果を踏まえまして、懲戒処分を行っているところでございます。これが厚生労働省による懲戒処分の流れでございます。このように消費者保護をしっかりと行っていきたいと考えているところでございます。以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、既に委員間で事前に検討させていただいたところですが、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。岩田委員、どうぞ。
○岩田委員 消費者保護の関係で、これまで社会保険労務士が起こした問題というか、消費者からの苦情というのはどの程度あるのかということと、それに対して今、御説明いただいたような社会保険労務士会の処分あるいは厚生労働大臣の処分というのはどの程度発動されているのか。その実態をお聞きしたいと思います。
○消費者庁山田取引対策課長 まず私から御回答申します。
私のほうでは、社会保険労務士に関して消費者からどのような苦情相談が寄せられたかというトラブルについて件数をPIO-NETで把握してございます。過去3年度の数字を申し上げますと、12年度、13年度、14年度でそれぞれ29件、49件、31件でございます。このうち、特商法の取引類型に該当するものはそれぞれ6件、13件、5件となってございます。
中身については訪問販売、通信販売が半々ぐらいの割合になってございまして、具体的な相談事例を幾つか申し上げますと、医師に紹介された社会保険労務士に障害基礎年金の申請を申し込んだが、契約書面もなく、住所も知らされない。やめたいが違約金が心配という相談でございます。
もう一つも訪問販売の事例ですが、社会保険労務士に依頼しようとしたら、まだ具体的な依頼もしていないのにお金を請求された。詐欺ではないか。
通信販売の事例でして、障害年金の手続のためにネットで見つけた社会保険労務士と契約したが、契約書の控えをくれないなど不審。解約したい。
4番目の事例も通信販売でございまして、障害年金の申請手続を社会保険労務士に依頼したが、手数料が非常に高い。広告の表示と違うという相談が寄せられてございます。
こういった相談を具体的にそれぞれの消費生活センターで、どのような形で処理をしているのかというところまでPIO-NETには情報は残っていないのですが、すみません、ここは恐らく推測ということにはなってしまいますけれども、社会保険労務士に関しては先ほど御説明がありましたように都道府県で苦情処理相談窓口がありますので、恐らくはセンターのほうからこちらの苦情相談窓口に案件が届けられて、その後、適切な処理がなされていくのではないかと理解しております。
○河上委員長 厚労省のほうではあとのことは説明いただけますか。
○厚生労働省岩瀬労働基準局監督課調査官 まず今、消費者庁の課長からお話がありましたように、私どもの先ほど申し上げました窓口のほうに来て、適切な指導が行われているものと考えているところでございます。ただ、処分の件数といいますと、懲戒処分までは至っておりませんで、ただ、当然懲戒処分はございまして、本年度途中でございますけれども、11件の懲戒処分を行っているところでございます。ですから先ほど申し上げました苦情処理相談窓口において事実確認され、指導したにもかかわらず、改善しないであるとか、余りにも悪質なものは当然しかるべき処分をし、厚生労働大臣にもその旨を通知されるものと考えております。
○河上委員長 岩田委員、よろしいですか。
ほかにはいかがでしょう。齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 念のために説明していただきたい。資料2-2-2のフロー図と、2-2-3の上の四角で囲んだところです。苦情情報がどう集まって、不正行為をどう把握するかという端緒が書かれている。2-2-3では都道府県労働局、地方厚生局が把握するもの、厚生労働大臣への通知によって把握するもの、一般の者からの通知によって把握するもの、と3つ並べられていますが、資料2-2-2には1つのルートしか書かれていない。恐らく資料2-2-3のマル1、マル2、マル3は何らかの方法で苦情やトラブルが把握され、それが間接的にこのようなルートをたどって、把握する端緒となるという絵になる、そう思えるので質問いたします。資料2-2-2の図は消費者から直接来る分だけを書いたものであって、間接的に来るものは端折っていると理解していいのですか。通常は、どこかでトラブルが発生し、それを誰かが聞き伝え、それが端緒として認識されると思うのですけれども、ひょっとすると消費者からではなくライバル関係にある者から、あのやり方はおかしいという通報で把握することがあるかもしれません。それも、もとはと言えば消費者のところで起こっている事態が何らかの形で補足され、端緒として上がってきて認識される、ということだと思うのです。説明を簡素にするために資料2-2-2のフロー図を示したという理解でいいのですか。
○厚生労働省岩瀬労働基準局監督課調査官 その苦情につきましては、誰でもできるわけでございますので、今、委員がおっしゃられたような形もあろうかと思います。
○齋藤委員 わかりました。
○河上委員長 よろしいですか。夏目委員、どうぞ。
○夏目委員 ただいまの齋藤委員の質問にも関連するのですけれども、苦情の流れにつきまして、先ほど山田課長からは過去3年間PIO-NETから拾い上げた数字、3年間で109件、特商法に関連しては過去3年間で24件というお話がございまして、なおかつ消費生活センターに寄せられましたものから推測をして、都道府県の社労士の会につながれているのではないかという話がございましたけれども、その都道府県が苦情申立者から苦情受付をする、この数字と今、PIO-NETから挙げた数字との乖離とか、そういうものはございませんでしょうか。
そういった実際のところ、先ほど懲戒処分は昨年度11件という話でございましたけれども、特商法に関連しては24件PIO-NETから推測されていて、その中で例えば昨年度は特商法に関しては5件だけでした。先ほどの御説明の中でも。でも11件の懲戒処分をしているというお話でございましたので、その辺の数字というのはどこを根拠にして御説明していただいたのか。少しPIO-NETからの数字と厚労省が把握されている数字の乖離の御説明をいただければ、苦情の流れが少しわかるのかなと思いまして、よろしくお願いいたします。
○厚生労働省岩瀬労働基準局監督課調査官 数字上の今の関係がきれいに説明できれば一番よろしかったのですけれども、私どもで都道府県社会保険労務士会が苦情を何件受け付けているかというところまでは承知してございません。ですから先ほど申しましたように苦情が入って、それを受けて指導の上、改善されているのではないかと申し上げたところでございまして、その結果、懲戒まで至ったものがトータルすれば他の端緒もございますけれども、11件ありましたということを申し上げたところでございます。すみません、数値の把握ができておりませんので、そこは説明できません。
○河上委員長 よろしいですか。
夏目委員、どうぞ。
○夏目委員 数字を把握するのは大変かと思いますけれども、消費者保護という観点のときに、どこできっちりした数字を把握するかというのはとても大事なことかと思いますので、今後一層努力していただければと思います。
○厚生労働省岩瀬労働基準局監督課調査官 かしこまりました。よく検討したいと思います。
○河上委員長 今、御発言の委員の方々に伺いますが、この諮問そのものに関してはよろしいですか。
そうしますと、特に諮問内容については御異論はなかったと思われます。私個人は特商法を全部に適用して構わないのではないかと思ったりもしておりますが、今回の諮問に関してそんな大きな話をするつもりはございません。
それでは、答申案を配付していただきます。
(答申案配付)
○河上委員長 今、追加資料が配付されているかと思いますけれども、平成27年3月3日付け消取引第114号をもって、当委員会に諮問のあった下記事項については、特定商取引に関する法律の趣旨に鑑み妥当であり、その旨を答申するということで、ここにございますように法26条1項8号ニに規定する適用除外の対象として政令で定められている商品の販売又は役務の提供に関し、別紙の業務を規定するため、特商法法律施行令、別表第二の改正を行うことについて、これをお認めする。具体的には、社会保険労務士による裁判所による補佐人業務及び社会保険労務士法人による補佐人業務の受託というものを適用除外の1つとして加えるという、ある種のハネ改正ではございますけれども、これをお認めするという答申を発出したいと思います。よろしゅうございますか。
それでは、この答申の(案)を取っていただきまして、皆様の御了解をいただいたということにいたします。
消費者庁、厚生労働省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
(消費者庁・厚生労働省退席、消費者機構日本・国民生活センター・日本美容医療協会着席)
≪4.美容医療についてのヒアリング≫
○河上委員長 少し時間が押してしまいまして申しわけございませんが、次の議題は美容医療についてであります。消費者委員会は平成23年12月にエステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議を発出しております。この建議においては、関係省庁に対して不適切な表示、広告の取り締まりの徹底や、美容医療サービスを理容する消費者への説明責任の徹底等について求めました。その後、厚生労働省による医療機関ホームページガイドラインの策定及び医療広告ガイドラインの改正等の対策がとられましたが、依然として美容医療に関するトラブルが多数発生している状況にあります。消費者委員会では、これら厚生労働省の取組の効果について十分に検証・評価を行い、十分でない点があれば法規制を含め、さらに必要な措置を講ずる必要があるということを再三指摘してきたところであります。
しかし、本年2月の消費者基本計画の検証・評価・監視の厚生労働省ヒアリングの結果、検証・評価が適切に行われていないようであり、消費者委員会は次期消費者基本計画の素案等に対する意見の中で、改めて「早急に適切な方法により検証・評価を行い、その結果を明らかにした上で十分な効果が認められない場合は法規制を含めた必要な措置を講ずるべきであり、適切な方法及び規模により検証・評価を行う時期及び、法規制を含めた措置を講ずる時期を明記されたい。」という指摘をしたところでございます。
本日はこのような経緯を踏まえまして、美容医療の広告とインフォームド・コンセントの実態と求められる対策等について、関係団体へのヒアリングを行うことといたしました。肩書なしでさんづけで恐縮ですが、本日は消費者機構日本専務理事の磯辺さん、理事の宮城さん、事務局の武田さん。国民生活センター相談情報部の鈴木さん、浦川さん。日本美容医療協会の西山さんにそれぞれお越しいただいております。
皆様方におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は皆様から美容医療、特に広告やインフォームド・コンセントに関する現行制度の課題、消費者トラブルを防止するための取組等について順に御説明をいただき、その後、意見交換をお願いできればと考えております。
なお、消費者機構日本の理事であります宮城弁護士におかれましては、所用によって17時までしかここに居られないと伺っておりますので、各団体からの御説明の後、消費者機構日本への御質問を最初にお願いしたいと思います。具体的にはインフォームド・コンセントについての御質問は、宮城弁護士がいらっしゃる間にお願いできればと思います。宮城弁護士におかれましては、議事の途中でもお時間を見計らって御退席をいただければと思います。
それでは、消費者機構日本から、美容医療広告やインフォームド・コンセントに関する現行制度の課題、消費者トラブルを防止するための取組、課題や意見等について10分程度で御説明をお願いいたします。
○消費者機構日本宮城理事・弁護士 ただいま御紹介にあずかりました、消費者機構日本の理事をさせていただいております弁護士の宮城と申します。よろしくお願いいたします。
私の報告資料は後ろのほうの資料3-1と書いてあるものでして「美容医療に関する広告上の問題点に関する当機構の意見について」ということでレジュメをつくらせていただいております。機構の意見となっておりますが、一応本日の御報告については、基本的には私の個人的意見ということで受け取っていただければと思います。
それでは、このレジュメに沿って御報告させていただきます。
まず、美容医療上の問題点ということですが、広告問題を含む美容医療における消費者被害の要因ということですが、この点については、こちらの委員会におかれても十分御承知のことかと思いますが、確認のために若干御説明させていただきます。
以下のような点が要因ではないかと考えております。
第1に、広告問題以前の問題として、美容医療の臨床現場における背景事情として、美容医療というものの本質として、そもそも傷病・疾患の治癒・回復を目指すような本来的な治療行為ではないというところがありまして、そのようなことから、施術の医学的適応(治療の必要性と相当性)の判断であるとか、治療行為の医療水準などについて、診療ガイドラインなどに基づいて必ずしも明確に確立しているわけではないのではないかと、そのような印象を受けております。
第2に、同じく背景事情ということですが、一部の美容医療機関、大手の医療機関については、高額の利益追求ばかりに走る過度の商業主義が蔓延しているのではないか。これも印象ということですが、そのような感想を持っております。
美容医療の広告について申し上げますと、インターネットのホームページ、これはバナー広告による誘導などもありますが、その他雑誌広告、タウン情報誌、チラシなどのさまざまなメディアを通じて行われておりますが、先ほど申し上げた利潤追求の姿勢の結果の一つとして、その内容は例えば客観的な医学的知見の裏づけのない施術効果が強調されている。治療実績が何万人、当院独自の技術、世界に認められた水準。効果の持続期間の過大表示・施術経験者の比較広告などなどであります。低料金の施術もあることをうたっておきながら、実際に病院に行ってみるとそれでは効果がない、より高額の施術を進められる、あるいは時に二重価格表示に当たるのではないかと思われる広告が存在する。
第3に、施術の副作用や術後合併症のリスク面の告知は行わないなど、さまざまな問題のある表示が乱発されている状況があるのではないか。そして、内容的には明らかに医療広告ガイドラインあるいは景品表示法上の不当表示に該当する可能性があると考えられる広告がかなり蔓延しているのではないかと考えております。その点については、このレジュメの添付資料2のほうで、例えばこのような広告が問題ではないかというところを挙げておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
来院時の問題ですが、病院に実際に行ってみると不意打ち的な勧誘が行われることが多く、最初は広告などではカウンセリングだけでもよいですよということで広告してありながら、行ってみると即座に即日の契約に誘導されて、強引な勧誘を断り切れずに高額融資を組まされて契約するというような被害事例が多い。これは国民生活センターにおける被害報告などを拝見しても、そのようなものは非常に多い。その結果、与信金額が数十万円から、高額なものは数百万円に上る場合もあると認識しております。
また、美容医療の広告については、その規制の水準としても不十分ではないかと、そのようなことを考えておりまして、また規制法令と監督官庁の担当、どちらの官庁がその広告について監督を行うのかというところ、また施術内容について監督するのかというようなところの境界線は必ずしも分明ではないというような印象を受けております。
具体的な問題点としては、マル1厚生労働省のほうがいかがかと考えると、いわゆる医療広告ガイドラインと医療ホームページガイドラインというものを出されておりますが、美容医療の多く、かなりの部分が自費診療となっておりまして、その点については以前に厚生労働省に伺ったところでは、直接の監督権限はない。また、ガイドラインに基づく直接の監督は自治事務の範囲として全国各地の保健所によって実施されるべきものというような御見解であると理解しております。しかし、それでは全国各地の保健所で取り締まっていただいているのかというところなのですが、当機構の把握しているところでは、各地の保健所で広告内容について指導が行われたというようなことは寡聞にして聞いておりません。
また、厚労省ガイドラインにおいて美容医療広告のホームページ上の表記が、バナー広告などによって誘導される一部のものについては広告とみなされているのですが、その他のホームページそれ自体についての表示内容については、「情報提供」と位置づけられて「医療広告」とは捉えられていないと理解しておりまして、これは我々の目から見ると、内容を見る限りはどう考えても医療広告以外のものではないと考えられるのですが、インターネット上には明らかにガイドライン違反と捉えられるような違法な広告が蔓延していると考えております。
現在のパソコン、スマートフォンを含むネット利用の普及から考えて、多くの新規顧客はこれらの虚偽誇大なインターネット広告によって不当に誘引されてしまって被害に遭うことが多い。その点をお考えいただく必要があるのでないかと考えます。
また、厚生労働省によるガイドラインによる規制が及ばないとしても、これらについては景表法上の不当表示に該当する可能性はあると考えられますので、そちらのほうの規制が当然可能なはずなのですが、また、この広告以外でもカウンセリングからの不意打ち勧誘であるとか、突然の高額与信の関係については、消費者取引上の問題として消費者庁及び自治体における監視が及ぼされるべきだと考えますが、当機構の知る限りにおいては、過去にそのような明確な処分事例を知りません。また、かなりの被害が出ておりますので、消費者庁としては景表法上の表示ガイドラインの策定を検討されてはいかがと考えるのですが、現時点においてはそのような動きがあるということも伺っておりません。
以上のとおり、美容医療に関しては広告問題に限らず、根本的な施策を要するさまざまな問題があると考えられますので、広告規制だけで事が全て解決するとは考えられないのですが、被害の入り口の問題として、虚偽誇大な広告、医療広告ガイドラインに反する広告、そのようなものについては排除していく必要性は高いのではないかと、それが被害抑止のために、その対応の意味は大きいと考えております。
次に、当機構における美容医療に対する是正申し入れ内容と実績ですが、今まで美容医療に関しては2つの医療機関に対して申し入れを行っております。
1つは医療機関A、包茎治療などなのですが、これは平成24年9月28日に是正申し入れをして、その後、交渉の結果、広告を改めるという合意書の作成に至っております。
医療機関B、これはフェイスアップなどですが、26年、昨年10月8日に是正申し入れ兼質問書を送っておりまして、現在に至るまでも複数回書簡上のやりとりを継続中でございます。
次に適格消費者団体、当機構が差止め請求を行う際の現状と課題。これは美容医療に限らないところまで論じております。1つは、美容医療の広告問題に限ったことではありませんが、第1に、差止めの端緒の問題がございます。現状、差止めの可否に関する検討と調査は、被害者からの被害申告、情報提供を受けて開始されるということになっておりますが、その情報提供がどのぐらいあるかというところについては、当機構に申告したところで直接的な個別の被害救済にはつながらないというところがありまして、また情報提供に当たっては個人情報の提供まであわせてしていただく必要があることがありますので、積極的な情報提供ということにはなかなかつながらないことが多く、広告を見る限りでは特定の広告内容は不当表示の疑いが強いと認識していても直ちに申し入れを開始することができないというところがございます。
第2に、そのような情報提供があって、問題の事業者に対して是正申し入れを行ったときでありましても、相手方事業者はいわばのらりくらりというような対応に終始することが多く、直ちに正面から回答しなかったり、不合理な反応を継続する、当面の間、回答を長期間保留するというような対応が多くて、結論としては、最終的には改善されるにしても、是正までには長期間を要するということが多くなっております。そして、そのような対応が長期間続いたということで、当機構はやむを得ず解決のために41条請求あるいは訴訟提起に至るということになると、すぐに直して、訴訟の提訴の意味を減殺させてしまうというような対応が多いというところが問題であります。
景表法上の優良誤認表示、これは美容医療も含んだ問題でございますが、その認定・評価においてなかなか難しいと感じておりますのは、内容は専門技術的な事柄に及ぶことが多いものですから、かつ、表示の合理的根拠資料が事業者の中だけの内部資料となっている場合が多い。そのような場合に消費者庁または都道府県、国であれば、不実証広告の規定により、所定の期間内に合理的根拠資料の提供を求めることができるわけですが、適格消費者団体にはそのような権限は付与されていないということから、なかなか事は技術的な問題に及ぶ場合には、適格消費者団体としては非常に苦労するということが多い。これについては何らかの制度的な手当てが必要ではないかと考えております。
次に、美容医療の話に戻りまして、美容医療におけるインフォームド・コンセントの現状についての当機構の認識ですが、美容医療に限らず医療においてインフォームド・コンセントがなぜ要求されるかと、説明と承諾がなぜ要求されるかということについては言うまでもなく、患者の自己決定、その施術のリスクとベネフィットを勘案して、その判断をするためにどのような術式を受けるのか、そのリスクの程度はどのようなメリットがあって、そのリスクはどの程度であるのか。そういったリスク&ベネフィットの観点を患者に対して事前によく説明し、その自己決定を得るというところに意味があるというように認識しております。
その点、まず少なくとも美容医療の広告においては、そのように広告レベルではリスク&施術の具体的内容であるとか、そのリスクや効用について、細かい適切な説明が行われているとは認識されません。また、病院に行った後の術式の説明書というのはあるのですが、その中でも、それを当機構で分析してみたことも幾度かあるのですが、その説明書面においても、施術の内容であるとか、リスクがどの程度あるのかとか、効用がどの程度であるのか、そのあたりについて詳細に正しい説明が行われているという印象を受けておりません。
また、料金などの契約条件の問題についても、一応広告などでは料金プランであるとか、オプションを含む一覧表などについて、料金については提示されてはいます。しかし、その最低額の施術についてはかなり低めの料金が示され、時にはネット上、非常に低廉価格、中には1,000円以下などというようなキャンペーンも表示されていることがあるのですが、実際のところは、そのような低廉価格で施術が行われることはほとんどなく、実際に行ってみると、あなたの場合これだけでは効果がないなどと説得されて複数の施術が組み合わされたり、オプションがつけられたりして、結局は相当に高額の契約を締結させられてしまうことが多いと認識しております。
またカウンセリング、来院して最初のカウンセリングなどの勧誘段階においては、通常であるならばインフォームド・コンセントの観点から専門医が個々の患者に対応して説明しなければいけないと思うのです。しかし、これは電話によるものですが、匿名による内部通報が当機構に寄せられたことがありましたが、その中では機関によっては専門医ではない者が、無資格者が説明をして勧誘するというような話も聞いております。ただ、匿名で終わったので、裏までは取れておりません。
美容医療の広告の適正化と、インフォームド・コンセントの徹底のために方策に関する意見ですが、美容医療のインフォームド・コンセントのあり方について、厚生労働省は25年9月27日、これも資料2としておつけしておりますが、通達を発しておられますが、現在のような美容医療における被害実態を是正するためには、必要十分な内容は評価できないと考えております。
問題点は以下の3点です。
第1に、「虚偽もしくは誇大な情報」という文言については、そのような抽象的な文言だけではなく、もう少し具体的な内容や具体例を盛り込んだものにしてはいかがかと考えます。
第2に、「実施しようとする施術に要する費用」などと「解除条件」については、単に丁寧に説明を求めるだけではなくて、その詳細、これは施術内容とリスクを含む内容とを記した説明書面の事前交付と、これに基づく時間をかけた説明承諾を求めるべきではないと考えます。
第3に、先ほど申し上げたとおり、即日施術が非常に大きな問題となっておりまして、これは可能であるならば原則禁止とするぐらいのことを書いてもよいのではないか。例えば説明書面の受領後、契約締結に至るまで一定の検討期間が確保されることなどが必要ではないかと考えております。また、各地の保健所などにおかれては、無資格者による説明により施術契約締結に至るとの実態が存在するかどうか。また、勧誘患者数のノルマが課せられたり、勧誘手数料の支払いなどにより強引な勧誘が実施されていないかどうか。各医療機関の実態について抜本的な調査をすべきではないかと考えております。
大体以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
時間との関係もございますので、最初の予定を変更して、この段階でまず宮城弁護士に対する御質問、御意見のある委員の方は御発言をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
石戸谷委員、どうぞ。
○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。特にインフォームド・コンセントの点については、宮城さんのほうにという話があったので広告のほうは後に回しまして、インフォームド・コンセントの徹底のための方策としては、通達のもう少し具体化ということになりますか。余り情報提供義務とか説明義務とかというのを明確化するように法整備すべきだという意見というのは余り聞かれないのですけれども、これは医療分野の特質があるので、当面この通達の詳細化で対応しようというような方向なのでしょうか。その辺をもう少しお尋ねできればと思います。
○消費者機構日本宮城理事・弁護士 すみません、そのあたりまでの詳しい知識は持ち合わせておりません。
○石戸谷委員長代理 美容医療に関して、これまでもたびたびヒアリングをやって、国民生活センターのほうからは相談・あっせんなどをやっても全然応じないので結局まとまらないとか、いろいろ申告なあれが出てきていて、通達を詳細にすることによって、そのような事態が改善され得るかどうかという問題なのですけれども、何かお考えがあれば。
○消費者機構日本宮城理事・弁護士 つまり、通達改定だけではどのぐらいの効果があるかどうかという観点から御質問でしょうか。
○石戸谷委員長代理 そうですね。広告については考え方というのはさまざまな意見が出ているし、ガイドラインではなくて広告と扱えばいいではないかとか、そのような意見というのはいろいろ弁護士会のほうからも出ているし、団体からも出ているというのですが、インフォームド・コンセントについて余り突っ込んだ、こういうふうにすれば解消するというものがいま一つ見えないというか。多分同じ方向、通達をもう少し具体化、明確化するというところから入るというのが多いのかなと思うのですが、その辺で事態の改善が図られるかということなのです。その辺のお考えがあればお聞かせいただければと思います。
○消費者機構日本宮城理事・弁護士 ありがとうございます。これは割と個人的な感想になるのかもしれませんけれども、被害実態から逆に考えております。現在、どのような被害が美容医療で多いのかということなのですが、1つには、国民生活センターから後ほどお話もあるのではないかと、御紹介もあるのではないかと思いますが、一番多いのが広告を見て行ってみた。そうしたら、先ほどから申し上げたとおり、あっという間にさせられて、中で見た事例についてはいつの間にか麻酔を打たれて、気がついたらもう手術が終わっていたみたいな話の冗談のような御紹介もあったりしまして、これはひどいなと。
つまり、どういうところからそういった不合理な施術を受けることになってしまうかということについては、1つは広告レベルにおいては、軽いと言っても手術ですから、ある程度の傷跡が残ったり、あと副作用が起こったり、術後合併症が起こったり、あるいは苦痛を伴ったり、そういったことは当然ある程度はどのような施術をやろうと伴うのでありますが、それが非常に簡単な施術ですよと、痛くも何ともありませんよと。切った跡も全然残りませんよというような、まず誤った情報が与えられる。そして、行ってみると、先ほどから申し上げているとおり、安くて軽い施術はだめですよと言われて、ああだこうだと説得されて、かなり強引に施術に引き込まれてしまう。そしてお金がないですよと言うと、いやいや、それはカードを組んでいただければ結構ですよと、カードをお持ちですかということで契約させられてしまう。そういった実態でありますので、1つには広告レベル。第1レベルとしては広告のレベル。そして第2レベルとしては、カウンセリングあるいは術前の説明のレベルにおいて、とにかく患者さんに判断資料となる正しい情報が与えられるということがまずは第一に重要であるのかなと考えております。
そのためには施術内容について、1つには広告なのですが、広告でもある程度の正しい情報を与えてもらいたいということと、もう一つは、カウンセリングや術前の診療を受けるときに、その施術の前に、この施術についてはこういう施術をやるのですよと、そして、それについてはこのようなリスクが伴いますよと、あるいはベネフィット。効用については、この施術を受けた場合どの程度の効果が認められ、その効果の継続期間はどの程度になるのですよということについて、本当に、リスクはどのようなことがあってというような一つ一つについて、相当程度に客観的な正しい情報が与えられれば、こんなに被害者は発生しないはずと考えられます。
そのようなことから、それで全てが解決すると思いませんけれども、まず第1段階としては、広告及び術前の事前説明において徹底して正しい情報が患者さんに与えられる、そのような環境づくりがまず第一ではないかと考えております。
○河上委員長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 5時に出て行かれるというので1つだけお伺いします。表示の話があります。景表法で摘発すればいいということだと私は思うし、そういうケースが結構あるのではないかと思うのですけれども、そういう事例は余り聞かれないということですね。
ただ、処分事例は目立った格好で挙がっていないにしても、何とかそれにアプローチしよう、摘発しようということがあれば教えていただきたいのです。関係当局は多く、消費者庁、都道府県知事などが皆一定の権限を持っています。そうすると、どこか熱心に取り組んでいるというところがあるのではないかと思うのです。あれば御紹介いただきたいのですが、いかがでしょうか。
○消費者機構日本磯辺専務理事 美容医療に限って言いますと、公表されている事例というのはないのではないかと思っています。ただ、自由診療の分野で歯の矯正ですとかといった分野で、優良誤認表示等で措置命令が出された事案はあると認識しております。
○齋藤委員 消費者庁から出たのですね。
○消費者機構日本磯辺専務理事 はい。
○河上委員長 ほかにはよろしいですか。岩田委員、どうぞ。
○岩田委員 医療法による広告の定義というのが私はおかしいのではないかと思っているのです。ホームページはバナー広告とリンクしているものは広告だけれども、そうではない一般のホームページは広告ではないというのは前回厚生労働省から御説明いただいたのですけれども、ガイドラインの中で、広告の判断基準が誘因性と特定性と認知性という3つがあって、特に最後の認知性という、一般の人が認知できる状態にあるかどうかということでホームページは検索をずっとしていかないといけないので、認知性という条件に該当しないという説明だったのですけれども、私は本当に不自然だなと思うのです。書籍は広告になる。何が書いてあるかということによるのですけれども、広告になる。書籍だって本屋に行って探さないと見つかりませんというふうに本当に不合理だなと思うのですけれども、弁護士のお立場で見て、このあたりはどういうふうに思ってらっしゃいますか。
○消費者機構日本宮城理事・弁護士 私自身も全くおっしゃるとおりだと思っておりまして、美容医療の広告を実際にホームページ、ネット上で御覧になるとどなたでも思われると思うのですけれども、これは広告以外の何なのだという気がしております。しかも、広告の中でも余り行儀のいい広告ではなくて、こういう広告はいかがなものかというような広告がかなり非常に多数見受けられると認識しております。これは内容から見てもとても情報提供などというものではなくて広告そのものだと考えております。
○河上委員長 ほかには。では、橋本委員から。
○橋本委員 インフォームド・コンセントの取り扱いについて、厚生労働省医政局長が出した中の1番のところなのですけれども、診療情報の提供に当たっては、品位を損ねる、またはその恐れがある情報及び方法を用いて説明してはならないことという1番ですけれども、これだけ読むと、私は何を言っているのかわからないのです。こういったものが各都道府県に回されたとして、これはどういうことだと考えて指導できるのかなという疑問があるのですけれども、先生はどういうふうにこれは御解釈なさっているのかお聞きしたいのです。
○消費者機構日本宮城理事・弁護士 この点についてもおっしゃられるとおりだと思いまして、1番については、本当に使えるところは一番最後の「虚偽もしくは誇大な情報」というところだけではないのかなと。ただ、公の秩序もしくは善良の風俗というのは余りにもこれはないでしょうというようなことであれば言えるのでしょうけれども、品位とか恐れとか、そのあたりになると、これは実際規範として機能しない。監督機関の現場では、何をやればいいかわからないからと思っております。
だから、実際、機能するのは虚偽もしくは誇大な情報。だけれども、それも詳細が決められていないので、一体何をやればいいのだということに各地の保健所の現場ではなってしまうのではないかと危惧しております。
○橋本委員 ありがとうございます。
○河上委員長 唯根委員、どうぞ。
○唯根委員 今の橋本委員に近いのですけれども、宮城先生からの御指摘でカウンセリングとインフォームド・コンセント、この違いを消費者が理解できていると思われますか。それから、行政機関が事業者を指導するときに、その違いを明確に判断して行なっていると思われますか。御意見で結構です。
○消費者機構日本宮城理事・弁護士 患者さんというか行かれた消費者の方は、そのような自分には自分で決定する、自分の施術を受けるか受けないか、受けるとしてどの施術を受けるか、その費用は高いか、安いか、そのような観点から、本当は自分でそこは責任を持って判断することで自分で自分を守らなければいけないと思うのですけれども、恐らくは多くの患者さんはそこまでの意識的なものはないであろうと思います。
ただ、客観的に本当に正しい情報を必要十分に与えられる、施術前に与えられるということがあるならば、やはりこんなに高いの、これしか効果がないの、こんなに危険があるの、こんな術後合併症の危険があるのということを正しく理解したならば、そこで即日ではなくて若干考える期間を与えられるということであるならば、そのような法律的な、あるいは医学的な意味のインフォームド・コンセントという概念を理解していなくても、そこはちょっとやめておこうみたいなことになることは多いのではないかと考えます。
○唯根委員 ありがとうございます。
○河上委員長 よろしいですか。もう5時を過ぎておりますので、適当なところで退席していただいて結構です。
まず、そもそも美容医療というのはそんなに不要不急の治療というか、医療行為なのかが問題です。そもそもそういう行為が必要なのかどうかということ自身を専門家としてアドバイスするということが、インフォームド・コンセントの中のかなり大事な要素ではないかという気がするのです。それはインフォームド・コンセントの問題ではないのですか。
○消費者機構日本宮城理事・弁護士 患者さん側の要因も若干はあるなという印象を受けることもありまして、すぐ風潮として小顔になるとか、あるいは聞いているのは、別に高齢者の方が例えばフェイスアップなどをするということは、人によっては仕方がないなというようなことも、高齢者というか、ある程度お年を召された方が、そういったこともアンチエイジングということで、そういうことを選択されるということはないではないであろうというようなことはあるのですが、他方、お若い方が、別に肌つやつやと言われたって、小顔とか言われたって、若いのだからやらなくていい。客観的に見るとどこに必要があるのですかみたいな事例が多々見受けられるのです。
そういう風潮的に軽くできてしまいますよ、広告とかの印象でも簡単にできてしまいますよと、要するにプチ整形とかそんなイメージで、いわば化粧することのちょっとした延長みたいな感じで軽い気持ちで受けてしまうということが非常によろしくないのかなという感じですが、本当に客観的には人の選択として美容医療というのは昔からあって、あり得る選択だと思いますし、それ自体を否定するつもりは全くないのですけれども、余りに多くの何十万人というような人が受ける必要があることなのかということを普通の通常の病気やけがの治療のための医療行為と比べるとどうなのだろうなと。しかも、これを商業ベースに載せてばんばんやるというのが本当に世の中に社会的に必要なことなのかどうかということについては、非常に疑問を感じております。
すみません、お答えになっていますでしょうか。
○河上委員長 昔、亡くなられた唄孝一先生が、インフォームド・コンセントというのは、むしろ専門家によって合理的根拠を持った形で選択肢を相手に提示するインフォームド・チョイスでないといけないのだというようなことをしきりにおっしゃっていて、そうであるとすると、相手にとって必要であり、適合性があるということについて、きちんと専門家として根拠を持った形で情報提供すべきだというような行為規範があってしかるべきではないかとふと思ったものですから質問させていただきました。
どうもすみません。ほかの出席者の皆さんをお待たせしてしまいました。では、国民生活センターのほうからお願いしたいと思います。
○国民生活センター鈴木相談情報部長 国民生活センターの鈴木です。よろしくお願いします。
では、資料3-2に沿って御説明いたします。
美容医療サービスに関する相談の概要ということで、まず相談件数なのですが、図1を御覧ください。PIO-NETに寄せられる美容医療サービスの相談は、2009年度から2014年度までの間に1万1,005件寄せられておりまして増加傾向にあります。今年度はここにも書きましたように、1月31日までの登録分なのであと2カ月分あることになりますが、前年同期を見ますと1,636件で、今年度が1,955件になっているので、1年間を通して見れば明らかに前年度より多くなると思われます。そのうち販売方法や広告などに問題のある相談は5,758件で同様に増加傾向にあります。
以降は販売方法ですとか、広告などに問題のある5,758件を対象として御説明いたします。
2ページになりますが、契約当事者の属性等ですが、年代別では、20歳代が約40%、30歳代が20%、40歳代が約16%で平均年齢が36歳、若年層のトラブルが多く寄せられています。前回、同じく2013年、一昨年の5月21日に御説明したときの平均年齢は34.6歳でしたので若干高くなっているということが言えるかなと思います。また、性別では女性が70%超、男性が30%弱ということで、女性からの相談が男性からの相談の2倍以上でした。
続いて(3)の相談内容ですが、相談者は何を問題と考えているのかを見たもので、主な相談内容ですが、まずお金を返してほしいという「返金」が27%、料金が高いという「高価格・料金」が46%と目立っております。そのほか、インフォームド・コンセントに関するものとしては、3ページの図3とともに見ていただきたいのですが、説明が足りなかったという「説明不足」が42%で、説明にうそがあったという「虚偽説明」が12.2%で増加傾向にあります。また、勧誘方法が強引だったという「強引」も約20%で増加傾向にあります。
(4)の広告媒体ですが、これも複数回答なのですが、美容クリニックに出向くきっかけとなった広告媒体を見ますと、2013年度はホームページですとかネット広告等を見てという「電子広告」が2009年度と比較して1.5倍以上に増加しております。一方、「雑誌広告」は減少傾向にあります。
続いて4ページの(5)ですが、契約年月別にみた相談件数の推移です。この図5、図6は先ほど来話題になっておりますインフォームド・コンセントの取り扱い等についての通知、またホームページガイドライン、医療広告ガイドライン改訂の発出前後で相談傾向が変わったかについて見るために、相談者の契約した月別の相談件数の推移を見たものです。
まず、図5ですが、2013年9月のインフォームド・コンセントの取り扱いについては、厚生労働省の都道府県等宛ての通知等の発出前後では、御覧になるとおわかりのように、相談件数に大きな差は見られません。また、図6、「広告・表示」に問題があったとする相談の契約月別件数の推移ですが、これも残念ながら大きな現象は見られておりませんで、これらの実効性が余り感じられないといったところです。
続いて5ページで、これは相談事例に移りますが、事例4つをお示ししておりますが、いずれも2014年から2015年と比較的新しい相談事例です。典型的なものとして事例1と事例2を御紹介いたしますけれども、まず事例1ですが、これは30歳代の女性からの相談です。顔の脂肪とほうれい線が気になっていたので、インターネットで調べて10万円程度で脂肪溶解注射を受けようとクリニックに行ったというものです。医師に希望の施術と「ダウンタイムのない施術を受けたい」、このダウンタイムというのは注釈に書きましたけれども、施術による痛みや腫れのために通常の生活に戻るまでの時間のことですけれども、このダウンタイムのない施術を受けたいと伝えたら、リフトアップをすれば永久的に効果が持続しますと。痛みもダウンタイムもないと、約400万円の手術だけれども、モニターになれば約140万円にすると進められて、フェイスラインがきれいになった女性の写真をたくさん見せられたというものです。
当初のこの方の予算は10万円だったので、それよりはるかに高額なので悩んでいると、そのほかの治療もつけますよと付加治療についても言われて、一番お得な内容ですとお得感を強調されて契約することにしたというものです。しかし、施術内容の詳しい説明やリスク説明はなかったというものです。
この方の場合、ほかの予定もあったので手術は別の日にしたいと申し出たそうなのですけれども、予定に間に合うようにするからと医師に勧められてその日に即日施術を受けた。手術後、効果はないばかりか、こめかみやほほの痛みが強く、何も食べられない状態が続いている。内出血も引かない。事前の説明と違うので返金してほしいという内容でした。
事例2は男性からの相談です。これもインターネットの広告を見てということなのですけれども、性器にできた出来物を治療したくてインターネットですぐに手術をしてくれるクリニックを探した。クリニックのホームページには9万円からと書いてあって、無料相談を受け付けているとも書いてあったということで、やはり10万円前後で施術が受けられるのであればと思ってクリニックに出向いたところ、医師から「放っておくともっとひどくなる」と言われ、恐ろしくなるような写真をたくさん見せられた。ホームページには大体安い値段が書いてあり、このようにたくさんの治療がつけられるということで金額も高くなるということなのですが、症状によって金額が変わる、あなたの場合は治療費約60万円、再発防止のためには包茎手術もしたほうがよいと言われ、合計約90万円の契約をして施術を受けてしまった。しかし、余りにも高額な契約をしてしまったと思って、適正な金額のみを支払いたいという相談でした。
事例3と事例4も大体同様の内容です。現在のところの美容医療サービスに関する相談については以上です。
○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。
そうしたら、あとの国セン、よろしいですか。では、美容医療協会のほう、よろしくお願いいたします。
○日本美容医療協会西山広告のあり方委員会委員長 日本美容医療協会の西山です。よろしくお願いします。
医療広告ガイドラインの改正の効果と医療機関ホームページガイドラインの策定の効果についてですが、医療広告ガイドラインについては広告内容もはっきりし、罰則もはっきりした上、インターネットの発達もあり、大手出版社の女性誌の広告は違法広告が減ってきたと思います。しかし、フリーペーパーとかミニコミ誌、タウン誌などは相変わらず違法広告が目立ちます。
すみません、資料がなくて申しわけないのですけれども、インターネットの広がりもあり、インターネット上の違法広告が目につくようになり、ホームページも書きたい放題でした。厚労省は広告の定義、誘因性、特定性、認知性の3つがそろわないのでホームページは広告とみなさないと言っていましたが、平成25年9月27日、バナー広告とリンクするホームページも広告とみなすとなりました。しかし、インターネット上の広告のホームページの掲載内容の変化については、残念ながらというか、当然というか、変化があったとは言えない状況だと思われます。
幾つか例をとりますと、ネット上で二重を検索した場合ですけれども、検索した1ページ目の一番上から幾つかの医院のURLが並んでいて、簡単な広告を載せています。その文章の中に、ベテラン医師、プチ整形、症例数400万件、クリニックオープン記念価格、コンマ数ミリ、ばっちり云々という文言が載っていますが、これらは違法です。また、これらをクリックした場合、全てホームページに飛びますのでホームページも広告とみなされます。
隆鼻術で検索した場合ですと、鼻修正リピーター率ナンバーワン、レディエッセ注入、術前術後の写真、美容整形のスペシャリスト、世界最高峰の整形、すっきりと自然な、お手軽、簡単、切らないなどと、これらの文言も違法です。さらに術前、術後の写真をクリックしますと、その各医院のホームページに飛びます。
脂肪吸引で検索した場合ですけれども、超音波脂肪吸引とありますが、これは薬事を通っていない機器だと思います。そして、この超音波脂肪吸引をクリックするとホームページに飛ぶわけですけれども、ホームページの文言の中に、当院は厚生労働省のガイドラインに従い、手術前後の比較写真、体験談は一切掲載せず、正しいホームページづくりを目指していますという文章が載せてありました。いかにもきちんとやっていますよと言っているようですけれども、それにしては薬事を通っていない脂肪吸引器を堂々と載せているというちぐはぐさも目立ちます。
クリニックの評判という項目で検索しますと、あたかも口コミ紹介の形態をとりながら自分のところを紹介するという「やらせ広告」が満杯です。あるホームページの中では、包茎治療3万円からとなっているのに実際には100万円請求されたという例もあります。
医療機関でなくエステの広告ですけれども、脱毛で両脇プラスVライン、実質0円という広告もあります。このほか、電車の戸袋などに100円で脱毛などと広告を出していますけれども、このエステサロンは一番高収益を上げております。エステを取り締まる法律がないとのことですが、医療法では資格がなければ何人も医療広告ができないはずです。光による脱毛、電気針による脱毛は医療行為です。医療行為なのに医療機関でないエステサロンが堂々と医療広告をしているという実態があります。
そこで、ここに来て日本美容医療協会が出した声明ですが、大阪での某医師の裁判についてコメントしたもので、脱毛は医療行為であると判決が出ております。美容医療協会のホームページにも載せておりますが、参考までに資料3-3というところで添付させていただいております。
次に、美容医療におけるインフォームド・コンセントの現状についての認識ですけれども、我々のところに来られる患者さんに聞くところでは、ほとんどチェーン展開している美容外科または包茎専門院で医者の診察自体は非常に短く、多くはカウンセラーと称する素人が手術を勧め、金額も決めているようで、よいことしか言わず、デメリットについてはほとんど触れないか、触れても簡単な説明だったということで、さらに当日の手術を強引にさせるように仕向けるということがあります。これらについては以前と変化がないと思います。
美容医療の広告等の適正化やインフォームド・コンセントの徹底のための方策についてですが、広告のあり方についてもっと個別的というか全国の医師会や医療団体、マスコミやタクシー会社などの、いわゆる広告を出している会社団体に対して細かく通知すべきではないかと思います。何が違法で、何が違法でないか、誰でも知っていることは逆に言うと抑止作用が出るのではないかなと思っております。
タブロイド紙の成人向け雑誌には、それほど多くはないので、行政側はこれに医療広告ガイドラインの周知徹底をすることは比較的容易ではないかなと思っております。
フリーペーパーは多分違法性を確信してやっているとしか考えられないと思います。以前、広告をとりに来たフリーペーパーの営業マンに、載っている広告は医療法違反に当たると言ったことがありますが、上司を連れてきますからと言って、それっきりになってしまったことがあります。
また、あるフリーペーパーの会社と厚労省医政局に違法広告の改善の要望書を協会のほうから出しましたけれども、厚労省からの回答はなく、また、フリーペーパーの会社からは、何が違法であるかわからないという「とぼけた回答」しか得られなかったということがあります。
ネットにおけるバナー広告やスポンサーサイトといったSEOは、実際にはほとんど規制されていないと思います。これはSEOを運営している会社に対し改善を求めたほうが効果的ではないかなと思っております。インフォームド・コンセントのあり方については、最低説明事項を幾つか決めておいて、説明医師、もしくはもちろんそれは施術をする医師になるわけですけれども、説明した旨のサインをし、説明を受けた旨を患者側もサインして、医師側、患者側、両方で共有するようにしてはどうかとは思っております。
また、エステ業界の違法広告、特に医療広告についてですが、景表法違反及びエステ脱毛については厚労省から医療広告であるという通達が出されて判例もあるにもかかわらず、堂々と車内広告や雑誌広告が出されている。これらについても目を光らせる必要があると思っております。エステ脱毛については、実際に身体的な障害や経済的な損害も報告されています。
以上、医療広告とインフォームド・コンセントの実態と今後の対策について述べさせていただきました。ありがとうございました。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
○国民生活センター鈴木相談情報部長 すみません、先ほど言い忘れたことがありまして、よろしいでしょうか。
○河上委員長 はい。では発言してください。
○国民生活センター鈴木相談情報部長 申しわけありません。先ほどの補足です。インフォームド・コンセント等の通知の発出前後で相談件数に大きな差はないと申し上げまして、事例1を申し上げたところなのですけれども、この事業者と私どもであっせん交渉を行った際に、この通知にあります即日施術を強要すること等の行為は厳に慎まれるべきであることなどに関して、厚生労働省の通知がありますが、というように、その事業者、美容医療のクリニックに申し上げたところ、そんな通知は知らないということで、余りこの通知が浸透していないのではないかと思った次第です。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。石戸谷委員、どうぞ。
○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。この件は消費者委員会でもたびたびヒアリングをやっているわけなのですが、さかのぼりますと、平成24年3月に医療情報の提供のあり方等に関する検討会の取りまとめでガイドラインということになったのですが、当面、関係団体等による自主的な取組を促した改善を図る。実効性の把握に努めて改善が見られない場合には、対象を絞りつつ法規制も含めてその後の対応を検討するとなっておりまして、2012年の段階のヒアリングでは厚生労働省も委員会のヒアリングに対して実効性が十分でなければ法規制の検討をするというふうにたびたび述べておりました。最近は実効性の確認が余りできないというような話になっておりますけれども、そういう経過です。
そこで、まず実効性がどうかという点について把握しないといけないのですが、国民生活センターのほうから、苦情件数等の観点から上がっていないのではないかという御説明がありました。美容医療協会のほうから事前に実際のネットの広告の現物を出していただいて、先ほど御説明いただいたところですけれども、美容協会のほうから御覧になって、関係団体の自主的な取組の状況というところと実効性というところと、御覧になって概括的にいかがでしょうか。
○日本美容医療協会西山広告のあり方委員会委員長 ほとんど実効性がないわけですね。だから、今そのまま出ているのだと思うのですけれども、ただ、情報が本当に隅々まで行っているのかというのが1つ大きな問題があるのではないかと思うのです。
要するに、医者の仲間でもそんなのは知らないよというのは結構います。それをどうやって通知するか。例えば我々のほうの学会では、医療広告ガイドラインなりそういうものを通知して、それが守られていない場合には評議員にはなれないよとか、いろいろなことをやっているわけですけれども、実際に知らないという人は結構おられるし、大体興味がないと読みもしないという人が結構おりますから、それをどうやって一般の人にまで知らせるか。そうすると、その人たちはこの広告はおかしいのではないかと言い出す。それが逆に言うと抑制効果になるのではないかという気がするのです。
○石戸谷委員長代理 よろしいですか。ガイドラインは医療広告ガイドラインと医療機関ホームページガイドラインとあるわけですけれども、同じようにガイドラインという名前はついているのですが、医療広告ガイドラインのほうは、医療法の広告規制の解釈規定であって、実効性を伴うものであるわけですね。ところが、この医療機関ホームページガイドラインというのは、あくまでも自主的な取組を促すものだということで、そういう意味では強制力も何もないという状態なのです。
○日本美容医療協会西山広告のあり方委員会委員長 そこが曖昧なのですけれども、いわゆるネットで広告と言って出したものをクリックしてホームページに行けば、それは広告で医療広告ガイドラインに一応引っかかるわけですね。そういう意味からすれば、全く曖昧ではないのではないかなという気がするのです。それを誰が言うかという問題なのです。
例えば私たちが、お前の広告はおかしいよと、ネットで違法ではないですかといったときに、我々も同業者であるとなかなか言いにくいというのが一つあります。自分たちの会員に対しては幾らでも言えるのです。だけれども、そうでないとなかなか言いにくいという問題があるので、そうかといって変な話ですけれども、我々が都道府県とか保健所に行って、これはおかしいのではないかと言ったときに、その聞いた人たちがどれだけ動くかというのが、要するにかなりそういうことをやるということ自体にエネルギーがかなり必要だろうと思うのです。だから、それも誰かがやるだろうからと思って結果的には今までずっと来ていて、目に余って消費者委員会が動き出したというような感じではないのですか。
○河上委員長 磯辺さん、どうぞ。
○消費者機構日本磯辺専務理事 ありがとうございます。今、石戸谷委員がおっしゃったホームページガイドラインと医療広告ガイドラインの性格の違いというのは、私も厚労省に問合せをしたところそういう趣旨で説明を受けています。ホームページガイドラインにつきましてはかなり具体的に自由診療に限った規定として、「通常必要とされる治療内容や平均的な費用や治療期間、回数を掲載して、国民、患者に対して適切かつ十分な情報をわかりやすく提供するとともに、一連の基本的な施術の安いものだけを載せて実際には運用が違うということがある場合に、そのことがちゃんと伝わるようにしないといけない」ということですとか、治療のリスクについても、「国民、患者による医療の適切な選択を支援する観点からリスクや副作用などの情報に関してもわかりやすく掲載し、国民、患者に対して適切かつ十分な情報を提供すること」ということで、そのリスク部分についても広告段階からきちんと伝えなさいというのが自主的なホームページガイドラインにはあるわけです。これに法的な効力をきちんと持たせる、位置づけをはっきりさせるということは非常に重要ではないかなと思います。
25年秋に、医療広告ガイドラインが改定され、バナーとリンクしているホームページは広告規制の対象になったわけですけれども、それ以降もホームページに起因するトラブルが非常に増え続けているということは執行の問題だと思っていまして、消費者団体や事業者団体や消費者からの通知を待って執行しているだけでは足りないと、これだけトラブルが多いときに積極的に動くべきだということを強く言う必要があるのではないかと思うわけです。
あわせて、そういう対応をしているにもかかわらず減らないのであれば、やはり法規制ということをさらに何らかの形で考えるということがあってしかるべきかと思います。それは業法だけではなくて、例えば取引における規制みたいなことを少なくとも自由診療分野については立てていく。自由診療と言っても、個別に通常の診療の延長でどうしてもやむなく自由診療するという場合が含まれるとよくないと思いますけれども、広告を打って広く自由診療をやっているような事業者については、通常の取引行為と同様に、特定商取引法ですとか、どういうふうな法規制があり得るのかわかりませんけれども、取引規制についてもきちんとやって、その観点からの広告の規制のあり方についても考えるということにさらに踏み込んでいくというようなこともあってしかるべきではないかなと思います。
それと、1つ、先ほど齋藤委員からの御質問について私は間違った説明をしてしまいました。消費者庁による措置命令事案は2件ございまして、1件は歯科治療の有利誤認表示、もう1件は、あごのプレートの治療の優良誤認表示でした。今確認しましたので、すみません。
○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。岩田委員、どうぞ。
○岩田委員 国民生活センターにお尋ねしたいと思います。少なからずの苦情が来ているということなのですが、その苦情を解決するときに、クリニックといいましょうか、医療機関と直接やりとりをされるのでしょうか。そのとき、例えば医療法に基づいて保健所が権限を持っている、景表法に基づいて都道府県が権限を持っている、そういうところと連携をとられるということはないのでしょうか。そもそもそういうところは当てにならないと言うと議事録は都合が悪いかもしれませんけれども、期待ができないという状況があるのでしょうか。
○国民生活センター鈴木相談情報部長 相談処理、解決に当たってはどういうふうにするかということについては、ケース・バイ・ケースなのですけれども、もちろん美容クリニックとあっせん交渉することもありますが、消費生活センターとの交渉には一切応じないというクリニックもまだありますので、そういう場合は私どものADRがありますので、ADRですとか医療問題弁護団などを御紹介したりすることもあります。
保健所については、クリニックに問題があるときや、また広告に問題があるようなときなどには、その地元の保健所に情報提供することもあります。しかし保健所では民民の問題には立ち入らないというようなことを結構言われることがありまして、積極的にやってくださる保健所と、そうではない保健所があることも事実です。
○岩田委員 積極的にやってくれる保健所というのはあるのですか。私は施行機関として保健所というのはそもそも無理があるのかなという印象を非常に強く持っています。今おっしゃいましたように、苦情を待っていたのではこの問題はもう解決しないので、職権でやらないといけないと言われたときに、保健所というのはなじまないという。法律上は今そういうたてつけなのですけれども、そのたてつけに無理があるからうまくいかないのかなと思っているのですが、多分積極的に動いてくださる保健所はないと今お顔を見て理解しました。
○国民生活センター浦川相談情報部相談第2課長 すみません、補足させていただきます。保健所の方にヒアリングに行くこともありますが、担当の方によっては何かやりたい、問題だなということは直接消費者の方からの訴えを聞かれるということで問題意識を持ってらっしゃる方は現場ではいらっしゃるのですが、実際にこれらのガイドラインとか指針を使ってやれるかといったときに、その解釈とかで非常に悩むという話は、現場の担当者の方に聞きますと、多分あるのだろうなと思います。保健所が踏み込んでいいのかどうかという、ガイドラインをさらにもう少し解釈したようなものが例えば保健所に通知などされたりすると、もう少し動きやすい環境というのができるのではないかとそのときヒアリングに行って印象として思いました。
○河上委員長 よろしいですか。
ほかにはいかがでしょう。石戸谷委員、どうぞ。
○石戸谷委員長代理 広告の規制のあり方について議論が出たので、若干そこのところの御意見を伺いたいのですけれども、医療法の広告の規定ぶりを見てみると、広告することを限定にしている部分と、広告する場合でもこういうことをやってはいかんという部分と2本の柱になっていて、ホームページが全部広告だと載せられることが限定されてしまって何かと不都合だという理屈。それも省令で定められることになっているので、不都合であれば省令で定めればいいのではないかという気がしますけれども、一応それはさて置いたとしても、もう一本の柱で、広告する場合でもこういうことをやってはいけないというのが、例えば虚偽の広告とか、これも条文自体に書いてあるのですが、ほかに省令で書いてあるのを見ますと、特商法とか景表法の広告規制よりはもうちょっと踏み込んだ具体的な規定ぶりになっておりまして、比較広告も誇大広告も、事実であっても誤認させるようなものはだめだというような書き方になっていて、はるかにこちらのほうがいいのではないかと思うのですけれども、こういうものというのは少なくとも広告であろうが情報提供であろうが、虚偽のものを出してはいけないとか、誇大なものを出してはいけないというのは何ら支障がないのではないかと思うのです。
西山さん、そこはどうなのでしょうか。
○日本美容医療協会西山広告のあり方委員会委員長 確かに誇大なものとかそういうものを出す必要は本来ないわけですね。ああいう書き方をしているのはほとんど呼び込みのためだけですから、実際には新しいものを出したからといって誇大ということはないと思います。ただ、新しいものを出せば出すほど、逆にいうと、それの効果とデメリットと、何かをやったときの経過とか、そこでインフォームド・コンセントをきちっと出すようなものをやっておかないとだめなのではないかなと思うのです。
○石戸谷委員長代理 そうすると、虚偽の広告とか誇大な広告というのは、一応抑えとしてはよいけれども、次の段階が、また別の手当てが必要だという整理でよろしいのですか。
○日本美容医療協会西山広告のあり方委員会委員長 そうです。実際にはどこかで取り締まれるというところがあれば一番いいのだと思うのです。要するにホームページならホームページ、これを出すのだけれども、いいのかどうなのか。でも、それを出すと非常に面倒くさいし、実際には難しいのではないかなと思います。出されたものを今度はチェックするわけですね。チェックするのも、では、これは正しいのか、違法ではないのか、実際にトラブルが起きないのかというようなデータを出すとかということになりますと、今度判断するほうも結構大変になってくるだろうと思うのです。だから、当然誇大であったり、うそだというのはまずいと思います。本来は出しているほうが、これは誇大ではないし、実際こういう問題があるのだということをきちっと提出して、それで載せるか載せないかと決めるしかないのではないかと思うのです。
○石戸谷委員長代理 一応規定としては、省令のほうでも客観的事実であることが証明できない広告というのは禁止の対象になっていますね。だから、事実であることしか広告は本来的にできないわけですけれども、あと実効性のところが問題なのかなという感じがします。実効性ということからすると、取引被害をずっとやってきた者からすると、民事効を入れればいいではないかとすぐ思うわけですけれども、その辺はどうでしょうか。
○日本美容医療協会西山広告のあり方委員会委員長 今おっしゃったのは何効という。
○石戸谷委員長代理 違反の場合には損害賠償。というのは、例えば投資取引等の場合、なかなか昔は説明義務違反というのは認められなかったのです。生命、身体の被害と違って、取引なのだから、自分で注意すればいいではないかとか、要するに失敗したからクレームをつけているのではないかとかいろいろなことで、より悪質な行為でないと損害賠償は認められないとなっているのです。生命、身体より一段階低かった。
しかし、その後の経緯で、金融庁のほうは金融商品販売法というのをつくって、財産被害であっても、説明義務、損害賠償というのが推定規定つきでできてしまって運用されているわけです。逆転してしまっているのです。身体被害であるのに説明義務そのものが遅れている。取引系から見ると、実に妙な事態になっているなと素朴には思うのですけれども、その辺が医療だから、病気、けがの治療という面では特殊性があるなと思うのですけれども、美容医療の分野であれば情報提供が生命線ではないかという素朴な感じがするのです。
○日本美容医療協会西山広告のあり方委員会委員長 我々も、いわゆるインフォームド・コンセントをして、きちっと話をして、何を目的としてきたか。それによってどういう対策がとれるのか、それによってデメリットは何かとか、いわゆる薬事をとっていないものを使うときには、そのデメリットは何だよとか、そういうことを全部言うわけです。協会としては、複写式のものをつくったのです。言った、言わないを共有しようということをやっていたわけです。今までの被害事例を見ていますと、結局カルテにもほとんど何も書いていないというところが多い。後で言った言わないになってしまうということ。我々にとってそれは怖いから複写にしようという考え方がありますけれども、逆に言うと、そういうものをきちっと決めてしまえと、先ほど消費者機構の宮城先生がおっしゃっていましたけれども、やはりきちっと決めていくということはある程度必要かなという気がするのです。それによって被害をどうやって防げるかということだと思うのです。常識ではかれない動きをするものですからね。
○河上委員長 ほかには。齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 私の考え方も含めて、2つあります。
1つは、こういう考え方がある、というコメントをいただければありがたい。医療関係の現場に携わる立場からの意見を伺いたい。インフォームド・コンセントとの関係ですけれども、美容医療というのは緊急性がさほどない、1週間、2週間ぐらい遅れても大して人体には影響がないことが多いと私は思うのです。インフォームド・コンセントと同時期に日本でも定着してきたのが、セカンドオピニオンを求めるということ。がんなど重篤な場合に定着してきていると思います。美容医療の分野でセカンドオピニオンを求めるということが、社会常識というか、診療や治療を受ける側の常識として定着することが考えられないか、そのための消費者啓発のようなことが考えられないかということがまず第1点。
第2点ですが、国民生活センターのADRで美容医療分野の案件の和解が成立することがあります。余りにも悪質で、事業者名、診療機関名を公表せざるを得ないとADR委員会が判断する場合、つまり同じ医療機関において再発が十分に考えられる場合は、機関名を公表することになります。そういう話になってくると和解が成立するのです。先ほど民事効の話が出ましたけれども、損害賠償という以前に、悪評が立つ、あそこの診療機関はちょっと怖い、誇大広告をしている、という悪評が立つほうが経営上の影響は大きいと思うのです。美容医療分野にも景品表示法を適用できると私は考えているのですけれども、その調査がどうも始まったようだという評判が立つようになると、悪質な医療機関も一遍に大人しくなるのではないか。その寸前で是正することも考えられます。そういう期待はできないものかどうか。現場に近いところでどう感じておられるかお聞かせいただきたい。
○日本美容医療協会西山広告のあり方委員会委員長 1つのインフォームドの場合、セカンドオピニオンということですけれども、これは患者さんのほうでもセカンドオピニオンということを言って来られる方は結構おられます。我々協会のほうでも、例えば相談室であろうと何であろうと、要するに2、3件回りなさいと、それで自分に合ったところがなければまた紹介しますからというような形でやっておりますから、セカンドオピニオンに対してはある意味では当然だろうという。それで次第に定着していく。ただ、トラブルを起こしているところは、その日にやれというものが多いですから、要するに逃げられたら困るというわけですね。それをどうやって日にちをずらしながらやらせるかということを考えなければいけないかなというのが1つあると思うのです。
悪評が立つというのはやはりよくないだろうと。逆にいうと、インターネットの世界というのは悪評が立ったら一遍にわっと広がってしまいますから、やはりその評判ということはある程度気にしていかないと。ということは、逆にそれを利用してある程度正常化していくと言ったら変ですけれども、そういう考え方はあると思います。
○河上委員長 よろしいですか。鈴木さん、どうぞ。
○国民生活センター鈴木相談情報部長 先ほどの岩田委員の御質問に対して言葉足らずの面があったので、センターでどのように解決するかということで、もちろんケース・バイ・ケースであっせんには一切応じないというクリニックがあるのもそのとおりなのですけれども、ただ、以前は消費生活センターのほうでも、医療だからということで、関わらないというところが多かったのですが、最近は取引関係の部分のトラブルも多くなってきましたので、あっせんに乗り出すセンターも多くなってきましたし、美容クリニックのほうもだんだん消費生活センターに慣れてきたというか、そういうことであっせんに応じるクリニックも結構出てきたのもありますので、以前よりは数は少ないですが、消費生活センターでの解決も多くなっていると思います。
○河上委員長 橋本委員、どうぞ。
○橋本委員 先ほど三者の方からお話を聞きますと、執行体制に問題があるのではないかというようなお話だったのですが、例えば執行体制を抜きにしまして、このガイドライン、指針は先ほどもよくわからない部分があると言いましたけれども、それも含めて即日の手術にはきちんと対応しなさいというようなそういうところが今のガイドライン、指針がきちんと図られれば、今のような問題は少なくなるとお思いでしょうか。その辺、三者の方にお聞きしたいです。
○河上委員長 どうぞ。
○日本美容医療協会西山広告のあり方委員会委員長 ガイドラインが守られるとある程度はよくなるかなという気はします。ただ、例えば即日手術をしますよというのはだめですよと、だけれども、患者さんがそこのクリニックに行って一応説明を受ける。では、いつやりますかという話になる。それが、では、ここに予約を入れましょうねと言ったときに、その予約金をとられる可能性があるということまで考えないといけないのかなと思っていたのです。だから、どこまでえげつなくやるかというのは、どうも病院によってはあるのではないかなという気がするのです。
○河上委員長 国民生活センターさんはいかがですか。
○国民生活センター鈴木相談情報部長 現在、効果は上がっていないのですけれども、これが徹底されれば、例えば医療広告ガイドラインは積極的な指導とか処分によって実効性を上げることもできると思いますし、ホームページも行政指導はできることになっているので、それをやっていただければ効果は上がるのではないかと思います。それでも実効力が上がらなかった場合は、ホームページを医療広告に加えるなど、そういうことも考えられるかなとは思います。
○河上委員長 磯辺さん、どうぞ。
○消費者機構日本磯辺専務理事 医療広告ガイドラインが徹底されれば、今よりもよくなる。その誘引となる広告がかなり減じられるのでよくなるとは思います。ですから、本当に徹底してほしいなと思いますけれども、ただ、あわせて、先ほどもお話ししましたけれども、広告で宣伝するような自由診療部分。例えば、必ずしも治療目的ではないような分野。もしくは治療目的だったとしても、まだ評価が定まっていない治療方法であるが、広告で積極的に患者を集めているような分野というのは、広告だけの規制では十分ではないのではないかと。やはり消費者の契約被害の回復に資する法制度ということが何らかの形で整備されるべきではないかなと思います。
○河上委員長 橋本委員、どうぞ。
○橋本委員 ありがとうございます。今のお話を聞きますと、せめて今あるガイドラインや指針がきちんと守られればある程度は抑えられるかもしれないですけれども、やはりこれだけでは足りないというところで三者とも一致と考えてよろしいですね。
それと、もう一点よろしいでしょうか。先ほど宮城さんのほうから、広告の差止め請求等はできても個人の被害というのはなかなか担保されないというようなお話があったのですけれども、それについてどういうような制度があればいいかなというようなことがあればお聞きしたいのです。
○消費者機構日本磯辺専務理事 なかなか難しいのですけれども、現在はそれぞれ契約トラブルの被害についてはセンターを御紹介し、身体被害等の拡大損害等も対象になるようなものについては医療問題弁護団を御紹介しということで、そちらであっせん解決や訴訟による解決ということをしてはどうですかということで御紹介しているという対応になります。
契約トラブルに限って言いますと、例えば2年後、12月までに施行されます集団的消費者被害回復訴訟制度というのが適用できる可能性もあるかという気はしますけれども、そこはまだきちんと検討したことはありません。
○橋本委員 ありがとうございます。
○河上委員長 ほかにはいかがでしょう。石戸谷委員、どうぞ。
○石戸谷委員長代理 国民生活センターさんのほうにお伺いしたいのですけれども、先ほど来特商法の話が出ておりますが、仮に特定継続的役務提供の枠組みで考えると、現在の特役の要件でエステと横並びにした場合には、提供期間が1カ月を超えるというのと、支払い金額が5万円を超えるという2つの要件があるわけですけれども、苦情全体から見て、この要件でおさまるのがどこかで3割ぐらいではないかとか読んだような気がするのですけれども、何で見たのだったかちょっとあれなのですが、大体そのような感じですか。
○国民生活センター鈴木相談情報部長 統計上はお答えできないのですが、特定継続的役務に加えられたとしても要件に当てはまらない苦情は一定数あるとみております。
○河上委員長 というのは、施術とかいろんなものが1回で終わってしまうというものが相当数あるのですか。
○国民生活センター鈴木相談情報部長 そうですね。即日施術というのが多い。その場で手術されるというものも多分多いと思います。
○河上委員長 磯辺さん、どうぞ。
○消費者機構日本磯辺専務理事 特定継続的役務に指定するということで、最初にお金を払ったりして一定期間施術をするというタイプのものもあります。例えば美白のためにレーザーを当てる施術を一定期間やるとか、あと歯科診療になりますけれども、インプラントについて、先払いして一定期間やるとか。ですから、そういったものは特定継続的役務に自由診療を入れるのだということになれば一定効くのかなと思います。
もう一つは、これは今でも適用が実は可能ではないかと思うのですけれども、勧誘の形態で例えばアポイントメントセールスに該当するのではないかということで、訪販の規制をかけるということがあり得るのでないかと思っています。その伝達の手法が、電子的な手法は電子メールだけが政令で限定されていて、ホームページは一般的な情報なので、そこは入っていないのです。例えばそれがSNSだとかターゲッティング広告でばっと出てくるというものだとか、上位に来るバナー広告だとかが誘因になったこともアポイントメントセールスになるのだということになれば、かなり訪問販売に係る規制の適用というのもあり得るのではないかなという気がします。
○河上委員長 ほかにはいかがですか。齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 これは消費者機構さんに伺います。景品表示法を念頭に置くと、普通、表示をもう少し厳格で整然としたものにすべきだと思う。誤解を生じる表示を排除するという観点から、公正取引協議会を特定の業界でつくり、自分たちの仲間内で一定の基準を決めて規約をつくる。世界一・日本一と呼ぶのはやめようなどのルールをつくって運営する。そして、それがきちんと運用されているかどうかを事後チェックする、ということが広く行われている。
ところが、今日のテーマである美容医療業界を中心に自由診療を含む業界は、それと全く逆で、自分たちでファジーなルールをつくり、それに従っているからいいのだということを私たち消費者に押しつけているように思われる。今日読ませていただいた資料では日本美容医療協会さんのほうでは少し厳しい物差しを持っていて、この物差しに照らすと、今業界で放置状態のルールを厳格にして厳格に取り締まるべきではないかという考え方に至る。すると、もう一つ、第2の団体のようなものを存在させて「本当のあるべきルールはこれだ」というものを示し、それを世間が評価コンペするようなことができれば、うまく進むのかとも思う。2つの団体が存在して、ルールのコンペを行うのは技術的には難しいかもしれません。しかし、私たちが求めているのは多分そのようなことではないかと思うのです。そこで、公正取引協議会に匹敵するような団体が考えられないかという質問です。この場で正解が出るとは思いませんが、そういう検討を行う可能性がありそうか、なさそうか。今の感想をお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
○消費者機構日本磯辺専務理事 公正取引協議会ができれば一定ワークするというのはそうでしょうけれども、どの公正取引協議会も悩んでいるのはアウトサイダー問題でして、公正取引協議会に入っていないところがある意味野放図に広告をやってしまうということの対応に頭を悩ませる。そういう意味で言いますと、自主的な組織として公正取引協議会をつくってもそこのアウトサイダー分野をどうするかということがあわせてないと、外枠の法規制が相当きちんとして執行されていないと、公正取引協議会自体がワークしないという不十分なものになってしまうということを心配しています。
○齋藤委員 次をいいですか。
○河上委員長 どうぞ。
○齋藤委員 そうすると、そこのところをきちんとカバーするというか、ある程度の水準に抑え込むことをすれば、厚生労働省に期待できる、ということになるわけですか。
○消費者機構日本磯辺専務理事 厚生労働省にはきちんとやってほしい、今のガイドラインでも適用すれば相当効果があると思うのでちゃんとやってほしいのですけれども、あわせて、執行の体制等で難しいのではないかというお話があるようです。今日のお話を伺ってもそういうことを聞きますと、やはり景品表示法で消費者庁が既に事例もありますので、もっと積極的にこの分野を取り組むという外枠があって、景品表示法の考え方でずっと実例が積み重なって、その中で公正取引協議会のルールがさらにそれを上乗せするものとしてできるということで初めてワークするのではないでしょうか。
○齋藤委員 はい。
○河上委員長 いかがでしょうか。ほかに何かございますか。石戸谷委員、どうぞ。
○石戸谷委員長代理 磯辺さんのほうの考え方というのは、特商法を広く適用するようにしてやっていったらどうかということですか。医療法でいくと厚生労働省自体は執行権限がなくて自治体に現実問題としてなるわけですね。特商法でいくと、消費者庁もあるけれども、基本的には自治体がやるということで、基本自治体になるのですけれども、その場合の広告の方面は医療法でいくわけですか。ややこしくならないかということで、自治体でも担当部局は違うという問題が生じますね。何かお考えがあれば。
○消費者機構日本磯辺専務理事 ややこしくなると思いますけれども、しかし、医療法の規制をきちんとワークさせるということは、ある意味、自由診療に特化した規制を上乗せするのかどうかというのはまだはっきりしないところがあって、医療広告ガイドラインは全ての医療広告に対して適用されるということです。
そうすると、ある程度マイルドなものにならざるを得ないと思うのですが、先ほどお話ししたのは、広告等で誘引をする、かつ自由診療だというようなことで、かなり通常の商行為と類似しているという特性で少し区切って、その部分を特定商取引法だと訪販だとか、特定継続的役務提供だとかで対応が一定できるのではないかという、まだ生煮えのアイデアですが、区分けするとそういうところかなと。
もちろん、自由診療についてもっと上乗せの厳しい規制を厚労省がやるとまで踏み込んでくれれば、行政規制としてかなり具体的なものが出てくるでしょうから、それと民事効をどういうふうにくっつけるかというのも確かに魅力的な選択肢かもしれないのですけれども、ただ、そんな流れには全然ないのではないかなという気がしていて、そうすると、非常にトラブルが多い分野でもありますし、特に広告をして集める自由診療で心配しているのは、美容医療に限らず広がっているのです。そういうことでいうと、やはり広告で誘引して行う自由診療、それが一定定型化して商業ベースに乗っているみたいなものを何とかうまく特定して取引行為の規制みたいなことをやらないとまずいのではないかという印象を持っています。それで特商法がうまくはまるかどうか。
○河上委員長 いかがでしょうか。制度的には幾つか選択肢が考えられることは考えられますけれどもね。消費者契約法などというのは、もともと医療行為を含むということを前提でつくられていますから広いところからかぶせていくという手はあるのでしょうけれども、特商法になると恐らく役務で一部を捉えるか、場合によっては、そういう特定の美容医療行為を特出しして訪問買い取りみたいに新しい業態として一定のルールに付せしめるというやり方になる。そこまで大がかりなことをしないのであれば、特定継続的役務の中でやれるところまでやって、あとは医療法でもって残りの部分に対して対応してもらうように働きかける。幾つか選択肢があって、どれが今最も現実的かというようなことも含めて考えていかないといけないのだろうと思います。
大分時間も経過しましたので、このあたりで閉めたいと思いますけれども、美容医療の広告とかインフォームド・コンセントに関する深刻なトラブルというのは依然として多いわけで、厚生労働省の対策が決して効果をあらわしているとは言えない現状にあるということは本日のお話からもよくわかりました。この問題に対してどういう形で今後対応していくかということについては、さらに踏み込んだ検討が必要でありまして、消費者委員会としても引き続き、今日のお話も参考にさせていただきながら審議をして、何らかの形で意見をまとめていきたいと考えております。またお力添えをいただくかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
本日の議題は以上でございます。消費者機構日本、国民生活センター、日本美容医療協会におかれましては、お忙しい中を審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
≪5.閉会≫
○河上委員長 最後に事務局から今後の予定等について説明をお願いいたします。
○大貫参事官 次回の本会議につきましては、3月10日火曜日に開催を予定しております。開催時間や議題等、詳細については確定次第、委員会のホームページで御案内させていただきます。
なお、この後、委員間打合わせを開催しますので、委員の皆様におかれましては委員室のほうに御移動いただきますようお願いいたします。
○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)