消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(10月27日)

日時

2015年10月27日(火)9:57~12:05

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、池本委員長代理、大森委員、鹿野委員、長田委員、中原委員、樋口委員
【説明者】
消費者関連専門家会議
長谷川公彦専務理事
清水きよみ事務局長
全国消費者団体連絡会
松岡萬里野代表理事
板谷伸彦事務局次長
全国消費生活相談員協会
吉川萬里子理事長
鈴木春代週末相談室長
日本経済団体連合会
斎藤仁政治・社会本部長
三ツ石將嗣経済基盤本部主幹
日本司法書士会連合会
小澤吉徳企画担当常任理事
吉田善礼消費者問題対策委員会委員長
日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
青山理恵子代表理事・副会長
日本ヒーブ協議会
川口徳子代表理事
宮木由貴子副代表理事
日本弁護士連合会
中村新造消費者問題対策委員会副委員長
【事務局】
黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者団体ほか関係団体等との意見交換について
    消費者関連専門家会議
    長谷川 公彦 専務理事
    清水 きよみ 事務局長
    全国消費者団体連絡会
    松岡 萬里野 代表理事
    板谷 伸彦 事務局次長
    全国消費生活相談員協会
    吉川 萬里子 理事長
    鈴木 春代 週末相談室長
    日本経済団体連合会
    斎藤  仁 政治・社会本部長
    三ツ石 將嗣 経済基盤本部主幹
    日本司法書士会連合会
    小澤 吉徳 企画担当常任理事
    吉田 善礼 消費者問題対策委員会委員長
    日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
    青山 理恵子 代表理事・副会長
    日本ヒーブ協議会
    川口 徳子 代表理事
    宮木 由貴子 副代表理事
    日本弁護士連合会
    中村 新造 消費者問題対策委員会副委員長
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

  • ※消費者庁消費者政策『消費者基本計画等』別ウィンドウで開きますへのリンクとなります。新しいウィンドウで開きます。
    【参考資料1】 消費者基本計画
    【参考資料2】 消費者基本計画工程表

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたします。

また、本日は所用によりまして、阿久澤委員、蟹瀬委員、増田委員が御欠席です。

申しおくれましたけれども、私は第4次の消費者委員会の委員長を拝命しております、河上と申します。よろしくお願いいたします。

今、こちら側にいるのが第4次の委員です。私の横が池本委員長代理です。

御承知のように、消費者委員会というところは、審議会的な機能と、もう一つは、政府の消費者政策の監視という機能を持っておりますけれども、同時に、消費者の皆様との間のパイプ役の機能を果たす任務があるものと考えておりまして、こういう形での意見交換会というのは極めて我々にとっても重要な機会と認識しておるところです。

きょうは忌憚のない御意見を頂戴して、消費者委員会のこれからの活動のためにいろいろとお教えをいただければと思います。

まず初めに、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 事務局でございます。

お手元の資料の議事次第の裏側のページに資料一覧を掲載しております。

資料1といたしまして、消費者関連専門家会議、ACAPさん提出資料。

資料2といたしまして、全国消費者団体連絡会さん提出資料。

資料3といたしまいて、全国消費生活相談員協会さんの提出資料

資料4といたしまして、日本経済団体連合会さん提出資料。

資料5といたしまして、日本司法書士会連合会さん提出資料。

資料6といたしまして、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会さん提出資料。

資料7といたしまして、日本ヒーブ協議会さん提出資料。

資料8といたしまして、日弁連さん提出資料ということになっております。

参考1といたしまして、平成27年3月に閣議決定されました消費者基本計画。

参考2といたしまして、同基本計画の工程表を配布しております。

また、全国消団連さんから補足資料、ACAPさんからも補足資料ということで提出されました資料につきましては机の上のみ配付させていただいております。

もし、不足がございましたら、事務局のほうまでお申しつけいただきますよう、お願いいたします。

≪2.消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体との意見交換について≫

○河上委員長 それでは、議事に入りたいと思います。

本日は、先ほど資料のところでも団体のお名前を挙げさせていただきましたけれども、消費者関連専門家会議の長谷川公彦専務理事、清水きよみ事務局長。

全国消費者団体連絡会からは松岡萬里野代表理事、板谷伸彦事務局次長。

全国消費生活相談員協会からは吉川萬里子理事長、鈴木春代週末相談室長。

日本経済団体連合会からは斎藤仁政治・社会本部長、三ツ石將嗣経済基盤本部主幹。

日本司法書士会連合会から小澤吉徳企画担当常任理事、吉田善礼消費者問題対策委員会委員長。

日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会からは青山理恵子代表理事・副会長。

日本ヒーブ協議会からは川口徳子代表理事、宮木由貴子副代表理事。

日本弁護士連合会消費者問題対策委員会から中村新造副委員長の皆様にお越しいただいております。本当にお忙しいところ、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

まず、皆様から9月1日に新たに発足しました第4次の消費者委員会に対する御意見あるいは御要望を含めて、それぞれ短い時間で大変恐縮ですけれども、7分程度で御発言をいただき、その後、委員との意見交換をさせていただきたいと思います。

それでは、初めに、消費者関連専門家会議さんから御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者関連専門家会議長谷川専務理事 皆さん、おはようございます。消費者関連専門家会議、ACAPでございます。

本日は、この意見交換会にお招きいただきまして、まことにありがとうございました。

本日、ここにお見えの皆様には、私どもACAPのことは既に存じ上げていただいていると思いますので、活動、組織についての説明はお手元にお届けしてあります資料にて代替させていただきたいと思います。

簡潔に申し上げますと、私どもは企業、事業者団体の消費者対応部門に所属する責任者、担当者が会員となっている組織です。消費者と企業の信頼関係の向上と、自分たちが所属します企業あるいは団体の消費者志向の活動を強化しようということで、外部の団体とも連携しつつ取り組んでいます。

きょうは、第4次の消費者委員会の皆様への御要望ということで、数点まとめてきましたので、事務局長の清水より御説明申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

○消費者関連専門家会議清水事務局長 清水でございます。

「消費者委員会活動への要望」ということで、4点まとめさせていただきました。

まず「1.健全な消費社会の実現に向け、建設的な機能発揮を期待する」ということ。

第4次の委員の方々が選ばれまして、委員構成のバランスなどにつきましては、立場によって見方も異なりますけれども、選ばれた10名の方たちで多岐にわたるテーマを推進していただく。そのときには、消費者、事業者、また関係者等の状況を正確に把握して、公正で偏りのない議論、判断が行われることを希望いたします。

特に、部会などの下部組織がたくさんつくられると思いますがそういった中では、メンバー構成に十分な配慮をいただき、良識ある事業者、事業者団体などの意見も取り入れていただけるようにと望んでおります。

「2.広報とフィードバック機能の充実を望む」。

先ほど、河上委員長より消費者とのパイプ機能も大事な役割であるというお話がございましたが、消費者委員会では、建議ですとか提言などの報告をホームページなどで多数拝見することができます。しかし、一般の消費者や事業者が、忙しい時間の中で簡単に読んですぐ理解するかという意味でも、平易な説明などの工夫をしていただきたいと思います。そうすることにより、消費者委員会の機能や役割がどの程度果たされたのかということが外の人にもわかりますので、そういう積み重ねによって、さらに理解を進めることができるのではないかと思います。

建議や提言等を行った結果につきましても、ホームページを拝見しますと、主な成果という欄に、関係省庁が○○をやりましたという記載はあることはあり、何行かずつ書いてありますが、実感を持って伝わるものではないので、具体的にわかりやすく発信していただきたい。年に数回、地方消費者委員会ということで、各地でシンポジウムのような形でやっていらっしゃいます。お忙しい中、地方まで出向くのも大変と思いますが、PRという意味におきましても、先ほどのパイプ機能ということでも大変重要な役割だと思っております。

そのほか、いろいろな意見収集などを行った成果のアウトプットなども適宜情報発信をしていっていただきたい。中立、公正でありながら、コミュニケーション活動を行ったり、積極的な周知をすることは重要であり、消費者委員会の存在価値も高まっていくのではないかと思います。

「3.消費者基本計画の行政施策の確実な遂行のためのチェック、フォローを望む」。

これは、工程表やKPIなども出ていますが、こういったものが絵に描いた餅にならないように、チェック、フォロー機能を望むということです。

基本計画に関して特に3点申し上げます。1つ目が消費者教育に関してです。消費者教育推進法ができて数年たち、一歩ずつ進んできていますが、まだまだというところがたくさんあります。確実に進めるためにもっとフォローをしっかりしていただきたい。消費者庁でも、消費者基本計画に掲載の倫理的消費の検討会なども始まりましたが、消費者市民社会の実現にむけてはエシカルな消費であるとか、次の(2)に書きましたが、事業者の消費者志向経営ですとか、そういったものを両輪としながら進めていく必要があり、そのかなめは、消費者教育です。消費者市民社会に向けて消費者教育が確実に進むように後押しをしていただくことをお願いしたいと思います。

2つ目が、事業者における消費者志向経営の普及、啓発に向けた施策の推進ですが、今回の消費者基本計画で、事業者における「消費者志向経営」の推進が掲げられました。私どもACAPのミッションとしても取り組んでおり、消費者庁の消費者志向経営の検討会のメンバーにもなっています。我々としては一層取り組みを強化していきたいと思いますが、ACAPの会員企業は600社弱でございます。ACAPとして会員の資質向上、会員企業の経営層への働きかけ、社内への浸透のほか、会員企業以外に消費者志向経営の輪を広げていくという活動を進めているところではありますが、やはり600社しかいませんので、地方や中小企業など、全国に広めて底上げをはかり、消費者志向経営を力強く進めていくためには、後押しなどぜひ支援いただきたいと思います。

3つ目、「消費社会が抱える今日的課題の解決」と書いてございますが、高齢化やグローバル化、高度情報通信社会など、消費者基本計画や白書にページを割いているようなもろもろの事柄についてです。問題が起きてからモグラたたきのように後追いでやることも当然しなければいけませんが、その時には素早い対応をする、また臨機応変な対応や問題が起きないように、いろいろな施策が進むようなフォローをしていただきたいと思います。

最後に、「4.中長期視点での問題解決に向けて」と書かせていただきました。

消費者基本計画は5年ごとの作成で、中長期的な視点が持ちにくい面があると思います。消費者委員会の中に設置されました部会や専門調査会、発信した建議を拝見しますと、必要なものから順次やっているということだと思いますが、ある意味、偏っていると言えば偏っています。世の中の消費者関連の問題は多数ございますので、消費者委員の人の数もパワーにも限りはあるとは思いますが、目先の各論に精力を使い過ぎて、大きな絵を描くというところの全体感が薄くなったり、後回しにならないようにと思います。

そんな中で、第3次消費者委員会が最後の8月に中長期視点から消費者行政のあり方を検討するということで、「消費者行政における新たな官民連携の在り方の検討」の報告を発表しました。委員の中からも中長期的な視点が必要だということで始まったのだと推察しますが、単発ではなく、その後もしっかりフォローしていただくとか、実現に向けて中長期的な視点での活動をしていっていただきたいと思います。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

では、引き続きまして、全国消費者団体連絡会さんから御説明をお願いいたします。

○全国消費者団体連絡会松岡代表理事 全国消費者団体連絡会の代表理事をしております松岡萬里野と申します。

お手元の資料の2と、申しわけないのですけれども、補足資料が後ろのほうについていると思いますので、あわせてごらんいただきたいと思います。

全国消団連と略して言っておりますけれども、補足資料のほうにメンバー構成と役員構成などがついておりますので、後ほどごらんいただけたらと思います。非常にたくさんの団体の連絡会になっております。

きょう、4次消費者委員会にお願いしたいことを5項目、比較的具体的なテーマでお話ししたいと思います。

まず、先ほど委員長もおっしゃいましたように、消費者委員会の消費者の声を行政に届けるパイプ機能というのが、特に我々消費者側には期待されております。この期待に応えるために、昨年7月には「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」を確認されていらっしゃいます。その方針に従って、部会とか専門調査会、ワーキング・グループなど、下部組織の仕組みを積極的に活用していただきたいと思います。必要に応じて消費者がどういう生活をしているのか、問題意識を持っているのか、そういうことの意識調査を実施して、消費者の動向を把握していただきたいと思います。

それから、消費者参加の促進という形で受け皿をつくっていただけたら、全国消費者団体連絡会とその会員団体も積極的に参加して、協力していきたいと思っておりますので、ぜひ、そういう仕組みもつくっていただけたらと思います。

続きまして、具体的に、全国消費者団体連絡会といたしましては、意見書の提出とか、パブリックコメントに対応するということを今、活発にやっております。その一つに、2番目にあります消費者契約法とか、特定商取引法の、専門調査会にありました中間取りまとめに対する意見書をかなり丁寧に出しております。具体的には細かくなりますので、しかも、意見書を出しておりますので、それをごらんいただけたらと思いますけれども、とにかく消費者被害というのがなかなか歯どめがかからないでおります。産業に配慮するというのは大事なことですが、やはり被害を防止するということを、要するに、よい企業には活動していただきたいのですけれども、悪質な行動をする事業者の規制をちゃんとできるような仕組みをつくっていただきたいと思っております。

とにかく消費者の高齢化というのが非常に進んでおりますし、また、新しい仕組みとか、IT関係の技術革新というのもたくさんありまして、一般の消費者にそれが情報としてしっかり伝わっていかないのが実態です。ですから、そういうものに惑わされるというか、わからないので、一定の情報を流されるとそれに応じてしまうというリスクを抱えているわけです。そういうことが社会的な状況の変化としてありますので、ぜひそれを視野におさめて、消費者契約法とか特定商取引法の改正を進めていっていただきたいと思います。

3番目にその問題も続けてあるわけですが、電力小売自由化と、それに引き続きまして都市ガスの自由化もその次の年にスタートするわけです。それが小売の仕方、販売方法も自由化されていきます。現在、既にセット販売をするということで、電子通信事業などのセット販売がはっきり見えてきておりますし、そのほかにポイントの付加とか、さまざまなサービス形態がエネルギーの自由販売にくっついてくるという、どちらが主になるかわからない状況になる恐れがあります。非常に問題になりますのは、現在、業法で電気事業も、ガスのほうも、特定商取引法の除外の業種になっております。そのために、特定商取引法などで定められているルールが、これからスタートする電気の小売自由化に際して効かなくなるわけです。ですから、我々消費者団体といたしましては、非常にその点を不安に思っております。電気が自由化されるということすらなかなか一般に浸透しない。情報と販売のテクニックによっては混乱するおそれがあるところへ、セット販売が加わっていきますので、本当に一般の人たちにはわからない状況になってくるだろうと思っております。そのために、特定商取引法の規制の範囲にできるだけ入れていただきたいと思いますし、とにかく契約のルールだとか、契約様式の見本というようなものを明確に消費者行政の中で打ち出していただきたいと思っております。

電気の自由化については電力取引監視委員会が監視するということになっておりますし、苦情受け付けもする形になっておりますが、セット販売されるほうに対しては何の監視機能ももつことになっておりません。ですから、ぜひこの点を厳しくウオッチングしていただき、できるだけ早い時点で消費者委員会としての建議を出していただけたらと思っております。

エネルギーの自由化というのは全国民に対して影響を及ぼすものですし、大変な市場にもなります。しかも、いろんな利用のされ方、例えば個人情報の問題だとか、さまざまなことが同時に引き起こされる可能性がありますので、セット販売される体制に対してルールをつくり、マニュアル化をしたり、書式を決めたりということを消費者委員会から忠告として建議をしていただきたいと思っております。

ぜひよろしくお願いいたします。

それから、「健康食品」制度と書いてありますけれども、食品表示が一元化されたのは大変いいことではありますが、同時に、機能性表示食品制度というものが登場して、大変消費者にはわかりにくい制度になってしまいました。表示をする食品群が3つあるわけで、3制度、それから、従来から問題になっていました、いわゆる「健康食品」というのはそのまま放置されておりまして、一般の人たちには何が何だかわからない。広告、宣伝、表示を見てもよくわからないという状況に陥っています。それから、健康を気にする人たちが今、高齢化に伴って多くなっているわけですから、その人たちにきちんとした情報提供ができるというような制度の見直しをしていただきたい。消費者がどう見るのかということを観点に進めていただきたいと思っております。このことは、基本計画の中に盛り込まれていないために、ぜひこの制度改善に向けて課題設定を促すような意見を消費者委員会のほうから出していただきたいと思っております。

今、消費者団体が非常に危惧しておりますのは、2番目の消費者契約法とか、特定商取引法の問題と、エネルギーの小売の自由化に伴う混乱と、食品表示に伴う混乱というのが非常に危惧している喫緊の課題であります。

それから、もう一つ、5番目に、私たちの意見のほうにも緊急に入った問題なのですが、現在、内閣府で検討されているまち・ひと・しごと創生の会議の中で、国民生活センターと消費者庁を徳島県が招聘するという形で提案されているところです。確かに東京に官庁が一極集中しているということがいいことだとは思いませんけれども、消費者行政というものがどういう形になるかということを、やはり消費者委員会も人ごとではなくなると思いますので、ぜひ消費者行政がきちんと行われる体制という観点のもとで、意見を出していただきたいと思います。非常にこのことも消費者団体のほうでは不安を感じているわけです。徳島へ行ってしまったら、なかなか私たちもこのように意見を言いにいったりということが難しくなってきますし、消費者行政自体が余り一般的な社会でそれほど重要視されていないかもしれませんけれども、やっとスタートした消費者庁、消費者委員会の形というのが徳島で発展することができるのかということを考えていただきたいと思いますので、ぜひこの点についても消費者委員会のほうで意見を強く出していただきたいと思っております。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

次は全国消費生活相談員協会さん、よろしくお願いいたします。

説明は7分以内でお願いいたします。

○全国消費生活相談員協会吉川理事長 全国消費生活相談員協会の吉川と申します。

私どもの協会は地方自治体の消費生活相談窓口で相談業務とか啓発とかを主に担っている人たちが会員となって組織しております。

ただ、本協会の活動としては、ここに報告させていただいていますように、会員は地方自治体の相談現場で働いてはいますが、私どもは自前でいろいろな意見を言う、あるいは状況把握をするには自前で相談事例を収集しなければいけないというのが、私どもの協会の設立以来の活動の基本になっておりまして、週末電話相談というものを東京と関西と北海道事務所で行っています。後でちょっとその内容については報告を室長からさせていただきますが、それ以外に、例えば昨年度は電話相談110番、老人ホームトラブル110番というものをしています。あるいは団体訴訟室を持っておりまして、適格消費者団体としても活動しており、これらが私たちの主な活動です。

ということで、まず、1つ目の週末電話相談室から、簡単に昨年度の報告をしてください。

○全国消費生活相談員協会鈴木週末相談室長 全国消費生活相談員協会の週末電話相談室の室長をやっております鈴木です。おくれまして済みません。

週末電話相談室担当ということで、1ページ目に東京本部、関西、北海道で受け付けをやっておりまして、延べこれだけの人数の相談員が担っております。

東京本部の場合は延べ436名と発表されていますけれども、ここに携わっている相談員は約100名近い登録相談員がおりまして、土日は1日4人体制で、それ以外に平日も1日担当しており、継続処理などをやっております。

このような状況の中で、次のページのグラフが平成11年度から昨年度までの推移をあらわしたグラフになっております。受け付け状況を見ていただきますと、まず、東京本部、関西事務所、北海道支部、おのおの昨年に比べてアップしております。ほかの行政の相談室でも同じように少しずつアップしていますので全く同じようなカーブを描いていると思っております。その中で去年を精査しましたところ、インターネット絡み、アダルトサイト、出会い系サイト関係、海外からの通信販売関係がここ二、三年多かったのですが、昨年も多いまま推移している状況です。

ことしも、実を言いますと、4月から9月の集計を今、しております。その中で、昨年度とちょっと変わってきた傾向が出て、アダルト系につきましては金額がアップしています。今までは3万コースとか、8万コースとか、10万円以下が多かったのですが、なぜか20万、30万。それがなぜなのか、これからもうちょっと細かく分析しなくてはいけないのですが、支払い方法が銀行振り込みではない。コンビニに行って、プリペイドカードを買わせて、その番号を通知させる。それを何回も何回も繰り返すがゆえに、6万から倍々にいっているという状況で、それも24時間土日もコンビニはやっていますので、それができる状況の中で、精神的に追い詰められ、払わなければいけないと思わされた方が、このような支払い方法に移っているというのがまず一つありまして、金額が本当にアップしております。

それと、アダルト系ではなくて、私たちの分類でいいますと、Vという分類になるのですが、サービス契約がふえています。それは何かというと、びっくりした人がインターネットで探偵事務所とか、消費者センターと名乗る、何か助けてくれるところにアクセスしてしまって、そこと契約をしてしまう。バックは何なのかというと、弁護士名のときもありますし、司法書士のところもありますし、あと探偵、最近多いかなと思っております。アダルト系が減ってはいないところに二次的な被害が起きているというのが最近の状況ではないかと思っております。

ということで、まだ中間ですが、相談は昨年度半期を比べてもふえているのが最近の状況です。

○全国消費生活相談員協会吉川理事長 では、次に、電話相談110番を昨年度いたしましたが、その結果は載せさせていただいておりますので、お読みください。

ただ、ここから見えてきたことについて、「有料老人ホーム等の契約・サービス内容について」ということを書かせていただいております。有料老人ホームについては、解約時に初期消化の部分が高くて、返金トラブルが絶えないということで、私どもの協会では以前からいろいろと問題視をして、提言等をしてきて、かなり改善されたとは思っているのですが、昨年度110番をしましたところ、やはり問題が残っているということを確認しましたので、今後はそれについてはいろいろと要望等をしております。

それと同時に、特に高齢社会で昨今、新聞とかで老人ホームのいろんなサービス内容についての事件等の報道があります。みんなが安心して暮らせるように、老人ホームの契約とサービス等について、消費者委員会として取り組んでいただきたいと思っています。

それから、団体訴訟室としてその他、いろいろと申し入れをしてきていますので、その内容は、ここに書かせていただいていますので、お読みください。

消費者委員会への要望として、5ページのところに、まず、中立性の確保について、これは申し上げるまでもないのですが、ただ、最近、前期の消費者委員会の中で消費者契約法専門調査会あるいは特定商取引法に関する専門調査会の検討の中で、ややもすれば外部から見れば中立性が揺るぎかねないのではないかと心配するようなことが見受けられました。外部から見てそういう心配のない中立性の確保、厳正な活動をしていただきたい、設立目的を発揮していただき、業務を遂行していただきたい。

2番目に、地方消費者行政強化については、私どもが消費生活相談員として会員が市町村におりまして、一番切実な問題です。池本先生に常にいろいろ地方消費者行政について言及していただいているのですけれども、平成27年3月に消費者庁が26年度4月1日現在の地方消費者行政の現況調査を発表していますが、これで見ると、消費者相談とか窓口がないところは全国で「ゼロ」になったと報告しています。ですが、実質、その報告書を見せていただきますと、都道府県とか政令指定都市では専任の職員が80%ぐらいと、かなりいるのですが、地方自治体になれば、12%しか専任の人がいない。おまけに、12%以外の人たちは全部兼業である。兼業の人の職務内容を見ると、消費者行政に割いているのはわずか20%という方々が50%近くいるということは、ほとんど消費者行政に時間を割けていないのではないかと、地方自治体も大から小まで本当にたくさんあるので、全部一律にというのは難しいですが、ゼロになったということの消費者庁の発表は発表で受け入れますが、実情に合ったものについての調査等をしていただきたい。そして、消費者行政が充実するような方向に提言等をしていただけたらと思っています。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、引き続きまして、日本経済団体連合会さんから御説明をお願いいたします。

○日本経済団体連合会斎藤政治・社会本部長 経団連の政治・社会本部長をしています斎藤でございます。

本日は、せっかくの機会ですので、経団連の基本的な考え方を簡単に紹介した後、現在、消費者委員会の専門調査会のほうで検討が進められております消費者契約法と特定商取引法に対する経団連の意見について、御紹介させていただきます。

お手元の資料4をごらんください。これは、2009年9月、ちょうど消費者庁、消費者委員会が設置されたときに、私どもの基本的な考え方をまとめたものでございます。この考え方については河上先生には3回目ぐらいの説明でございますので、聞き飽きていらっしゃるかと思いますが、今回、新しく委員になられた方もいらっしゃいますので、改めて提出させていただいたということでございます。

基本的には、今もって6年前にお示ししたこの考え方は正しいと思っております。この中には、3つ考え方がございまして、まず、企業が自主的かつ積極的に取り組むことということで、企業には社会に有用な製品・サービスを提供する責任が求められ、その活動は消費者からの信頼なくしては成り立ちえないということを示しております。昨今の不祥事を見ていますと、消費者に対する視点を欠き、結果としてかなりのコストがかかるという事例も見受けられますので、やはり原点に立ち戻って、消費者の信頼というものがあって初めて企業活動が成り立つのではないかということでございます。

このことにつきましては、2ページ目から10ページ目まで、企業行動憲章と、その実行の手引きを配ってございます。本日は詳しく御説明はいたしませんけれども、まさにここに書いてある内容が、先ほどACAPさんから御説明のあった消費者志向経営のあり方そのものではないかと思っております。

それから、消費者に期待することということで、消費者市民ということで「自立した消費者」の育成を掲げております。これは企業がやるというと、何かおこがましいので、むしろ行政あるいは消費者団体と事業者団体等が一体的に取り組むべき課題ではないかと考えております。

消費者行政に求めることということは、消費者利益の増進と産業活動の発展の両立という視点を常に持っていただきたいということでございます。

さらに、消費者と企業の円滑なコミュニケーションを図るためにも、行政が仲介役をやっていただきたいと考えております。これについては先だっての消費者基本計画の改訂の際に、そのことが盛り込まれたということで評価しております。

それから、表示、規格の制定にあたりましては、TPPを言うまでもなく、国際化、グローバル化している中で、国際規格との整合性という観点も必要ではないかということでございます。

4番目は、これは何よりも消費者庁は東京にあって、司令塔機能を有しており、同じく消費者委員会も東京にありますが、やはり実際の消費者行政の現場は地方でございます。その中で、事業者のほうからも、地方の消費生活相談員の待遇改善等も含めまして、地方行政の充実というのが必要ではないかと思っております。

5番目は二重行政の解消ということで、消費者庁をつくった目的は、当然のことながら、各省庁の総合調整ということでございますが、各省庁自体も消費者マインドを持っていただくとともに、省庁間の二重行政は避けるべきではないかということで、言っております。

以上が基本的な考え方でございますが、特商法と消費者契約法について、三ツ石のほうから発言させていただきます。

○日本経済団体連合会三ツ石経済基盤本部主幹 経団連経済基盤本部の三ツ石と申します。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。

斎藤のほうから消費者行政に関する基本的な考え方については御説明申し上げましたので、私のほうからは消費者契約法、特定商取引法について、時間も限られておりますので、主な懸念事項のみ申し上げたいと思います。

特に消費者契約法につきましては、事前規制型から事後チェック型社会ということで、事業者に、消費者に利便性の高い商品・役務を創意工夫のもとに提供していくことを促す、もし、問題があったら、消費者などが被害を自力で救済できるようにしようという考え方を体現するもので、経団連もこの立法につきましては、経済団体としていち早く賛成したところでございます。

また、今般、こうした消費者ルールにつきまして、例えば情報化の進展、超高齢社会の到来、こういった経済社会の変化に合わせて見直していくということについても基本的に賛成でございます。

ただ、ルールの設定に当たっては、実態に合わせて、また、消費者、事業者にもわかりやすい、使い勝手のいいものである必要があるかと考えております。消費者契約法、特定商取引法につきましては、現在、見直しの議論が、消費者契約法につきましては中間取りまとめ、特定商取引法につきましては中間整理に至っておりますけれども、まだ消費者取引の現場からすると、混乱をもたらすのではないかという懸念があるところがございます。

お手元の資料のほうで幾つか書かせていただきましたけれども、一々資料をなぞるような御説明することは控えたいと思います。例えば消費者契約法につきましては、今回、消費者の概念から契約条項の解釈まで幅広い論点が出ております。こうした論点につきまして、それぞれ見直しが提案されているわけでございますけれども、例えば資料に書いております勧誘要件の見直し、不利益事実の不告知、第三者による不当勧誘行為についての取り扱いをどうするかといった論点をかけ合わせますと、例えばあそこの店の何々はよかったというような口コミやマスコミの報道というものを信じて消費者が誤認したという場合に、そこでその口コミとかマスコミの報道で不利益事実の不告知があった場合、これにつきましては、現在、取り消しができるかどうかということを検討しているわけです。しかし、こうした取り消しというリスク、契約の不安定な状態というのを解消したいという事業者にとってみては、自衛手段として、売り子さんが消費者に誤認していらっしゃらないでしょうかということを一々確認する必要があるのかといった問題が出てきます。また、一々確認することができる売り場ならいいですけれども、例えば無人販売であるとか、自動販売機であるとか、スーパーであるとか、そういったところで事業者が消費者の誤認を是正するチャンスがなかった場合に、それで取り消しを認めてしまうことになりましたら、相当売り場のほうでの混乱というのが生じてしまうのではないかということを懸念しております。

いろいろとそれぞれの論点につきまして、それぞれの論点では最新の学説、裁判例等を通じた提案がなされているわけですけれども、組み合わせたときにどうなるかということも含めて、ご検討いただければと思っております。

それから、特定商取引法のほうにつきましては、資料の2枚の一番下のほうに書かせていただいておりますけれども、私どものほうで懸念しておりますことは、右側のほうに3つポツを書いておりますけれども、1つは現在、導入されております再勧誘禁止行為につきましての執行が十分なのかどうかというところについて十分に検証する必要があるのではないかと考えております。

そうしませんと、例えば現在、検討・提案されております事前参入規制とか、ステッカーや登録制度が導入された場合に、これが執行が十分な状態であれば、ステッカー等を貼っていて、そこで不招請勧誘をしたという場合、ステッカーの意思に反して勧誘したという場合には合うということになるかもしれませんけれども、例えば執行が不十分だった場合に、慎重な事業者はお客様のところに行くのを控える。一方で、積極的、あるいは攻撃的な事業者については、ステッカーを無視して勧誘に行ってしまう。それで、執行が不十分だった場合には、かえって慎重な事業者とのアクセスが阻害されて、攻撃的な事業者についてはステッカーなど無視して消費者のほうにアクセスしてしまうという、かえって法律の規制の目的と反した実態が生じてしまうのではないかと思っております。

大阪府などで、ステッカー制度については導入されたという紹介もされておりますけれども、ぜひそういったところでどういった効果があったのかということも検証しながら、取引現場に混乱が生じないように、丁寧な検討をしていただきたいと思っております。

最後になりますが、消費者委員会の皆様への私からのお願いでございますけれども、今、専門調査会のほうで検討が進んでおりまして、この専門調査会で私ども経団連の代表も議論に参加させていただいておりますが、しっかりバランスのとれた議論がなされますように親委員会として見守っていただきまして、場合によっては大局的な見地から是正するようにして、繰り返しになりますけれども、実態に合わせた消費者にも事業者にも使い勝手のいいルールができるようにしていただきたいと思っております。

どうぞよろしくお願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

では、引き続きまして、日本司法書士会連合会さんから御説明をお願いいたします。

○日本司法書士会連合会小澤企画担当常任理事 日本司法書士会連合会常任理事の小澤といいます。よろしくお願いします。

御案内のとおり、平成14年、司法制度改革の一環として、司法書士には限定的ではございますけれども、簡易裁判所の代理権が付与されております。140万円という限度ではございますが、国民の司法アクセスの拡充に資するもの、そういった趣旨だと理解しておるところでございます。

一方、消費者白書を拝見いたしますと、消費生活相談の相談件数等が掲載されており、最新版ですと94万4,000件の相談があると記載されております。その内訳をみますと、商品、サービス別の既払い額、いわゆる被害額ということになるかと思いますけれども、1件当たりに換算しますと、いずれも140万以内という数字になっております。

このように考えますと、司法書士に簡易裁判所の代理権が与えられたということは、こういった被害回復に関して、司法書士に与えられた責務であると考えており、そういった認識から日本司法書士会連合会は活動をしております。

詳細については、吉田委員長のほうからよろしくお願いいたします。

○日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会吉田委員長 日本司法書士会連合会の消費者問題対策委員会の委員長をしております、吉田と申します。

私のほうからは、私どもの委員会のほうで注視して活動している4点について御説明さしあげたいと思います。資料5をごらんください。

まず、1点目が「特商法および消費者契約法に関する専門調査会について」です。現在、これら両方の改正が審議されており、その動向は私どもの委員会でも注視させていただいております。

高度情報通信社会の進展や高齢化社会の到来によって、さまざまな取引被害が発生しております。このような実態を踏まえて、両専門調査会においては、消費者の利益の保護といった各法律の目的を基礎とし、利用者が安心して利用することができる市場、あるいは契約ルールの形成に資する方向での申請を期待しております。

「中間取りまとめ」及び「中間整理」については、私どもの委員会として意見を出させていただいております。

次に「高齢者の消費者被害」についてです。こちらは、PIO-NET等におきましても増加傾向にある高齢者の消費者被害ですが、独居高齢者に友人として近づき、その後、継続して店舗に呼び込み、高額の宝飾品を購入させたり、怪しげな実験を見せて大量の健康食品を購入させたりする事件や、判断能力が低下した高齢者に対する詐欺的投資勧誘事件など、多数見受けられます。

こういった事件におきましては、高齢者自身が契約過程について記憶がなかったり、明確な誤認惹起行為や威迫行為はないものの、よくわからないまま不要な契約をさせられている例などがありまして、被害救済のための法律構成に苦慮する場合が少なくございません。そこで、今後、高齢化社会の到来に向けて、高齢者被害の未然防止、解決に資する体制の構築や法律改正等の検討が急務であると考えております。

私どもの連合会としましては、この点につきまして、来年2月にシンポジウムを開催する予定にしております。

3番目に「特殊詐欺被害」についてであります。振り込め詐欺、架空請求詐欺、情報商材系及びサクラサイト詐欺などのいわゆる特殊詐欺による被害が深刻化しているところ、行政機関や民間事業者によるさまざまな被害未然防止対策や、刑事手続、民事手続と多面にわたる対策が多々練られております。

このうち、民事手続に着目しますと、相手方を特定することが困難であるために、違法な収益がその事業者に残されているという問題があると思います。

マル1相手方特定が困難という点については、例えばメールアドレスなどをもとに、情報開示を求めたとしても、プロバイダー側は、仮に裁判所の調査嘱託であってもプロバイダー責任法の発信者情報開示請求等の対象となるケースに当たらないということで、開示に応じていただけなく、加害者の特定を断念せざるを得ないケースもあります。

これらにつきましては、私どもとしては、開示の問題はもちろんプライバシー権との調整の問題でもありますので、ただただ開示せよという趣旨ではございません。今のところ、調査嘱託のような公的な第三者である裁判所のスクリーニングを経たものであれば、開示するということが、守秘義務や通信の秘密保持義務違反を構成しない、または、違法性は阻却されるというたてつけで検討できないかという問題意識を持っておりまして、当事者が特定できない困難性というものを注視しているところであります。

最後に、4点目は、ここに記載しておりませんけれども消費者被害の減少に力を入れたいと思っておりまして、それは私ども司法書士だけが頑張ってもなかなか難しいもので、やはり地元の消費生活相談員であるとか、先ほど話しました高齢者の被害について言いますと、地域で活動している地域包括支援センターの職員であるとか、そういった方々との連携が不可欠であると私どもは思っておりまして、年に2ないし3カ所の地域におきまして、そういった連携を深めるためのシンポジウムを開催させていただいているところです。

以上の報告を持ちまして、私どもの意見とさせていただきます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

では、引き続きまして日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会さんから御説明をお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会青山代表理事・副会長 NACSの青山でございます。ありがとうございます。まず、ちょっと私どもの宣伝をさせてください。お手元の資料6をめくりますと、赤い華々しい「高齢者・障がい者消費トラブルなんでも110番」のチラシを入れてございます。来月11月7日土曜日、8日日曜日、午前10時から午後4時まで「高齢者・障がい者消費者トラブルなんでも110番」を開催させていただきますので、ぜひ皆様方のお知り合い等々でこんな被害があった、ちょっと被害に遭いそうだったけれども、こうやって踏みとどまったというような、何でもよろしいですので、御相談、御指導いただければ大変ありがたいと思っております。

なぜ私どもがこの「高齢者・障がい者消費者トラブルなんでも110番」を開催しようと思うに至ったかということなのですけれども、先ほど全相協さんのほうからも御紹介がありましたように、高齢化率というのは非常に急激な勢いで伸びているという状況の中で、人口は減っていながら、高齢化は進んでいる。それに比例するような形で高齢者の方々の消費者相談というのはふえているという実態がございます。

この実態を踏まえながら、多分、後ほど申し上げますけれども、消費者委員会の特定商取引法専門調査会では、さまざまな議論がなされたのかなと思っております。ただ、その議論の中で、ちょっとその数字は一方的だとか、ちょっとそこまで言えるのとかというような内容等々があったか。それらについて、いや、消費者の生の声、現実、現場とはこうなのですよというところをぜひ数字的にバックアップしたいといいますか、冷静に御判断をいただきたいという思いがありまして、11月7日、8日というところで、この110番を開催させていただこうと思います。

特商法のいわゆる「中間取りまとめ」に至らなかった「中間整理」という段階で、ひとまず終わって、2回目がきのうか何かに始まったのでしょうかね。そういう中で、どうも事業者の方々のご協力が得られない、率直に言えば、マスコミの御協力が得られないということで、今回は全国消費者団体連絡会さんの御後援をいただいて、全参加団体さん等々にこのチラシを配布して、情報収集に当たろうと思っておりますので、きょうのこの会議に御参加いただいた方も、ぜひ、御協力をお願いしたいと思っております。

それから、次に、もう一つ、私どもの宣伝をさせていただくと、NACSの消費者教育講師派遣事業ということについて、ちょっと御紹介させていただきますけれども、消費者教育推進法ができまして、私たちの長年の思いが通ったなという感じがあるわけですけれども、私どもは設立以来27年になるのですけれども、最初から消費者教育、消費者啓発というところに力を入れてきまして、特に社会に出る以前の方々への教育、啓発というようなことを随分力を入れてまいったところです。

そういう意味では、出前の講座、テキストもつくりながら、そして、相手の学校の門をたたいたり、あるいは公民館の門をたたいたりというような形で消費者教育、講師派遣に力を入れてきたところです。

5ページにありますけれども、昨年などは特に小学校の皆さん、小学生と教師の方々や小学生とご両親の方々に携帯やスマホはこのようにルールを守って使いましょうね。お母様、お父様がしっかりと見守る中で、利用しようということで、DVDをつくりました。DVDをつくったら、かなり評判がよくて、いろんな学校や、父母会といいますか、いわゆるPTAの方からのオファー等々がございまして、増刷というより、コピーをふやしているという状況がございますので、ぜひ皆様方もよろしかったらどうぞ御注文ください。

以上が私どものちょっとした宣伝でございます。

さて、それでは消費者委員会に何を望むかということなのですけれども、最初のレジュメに戻られていただきますけれども、先ほどACAPさんのほうからお話がありました。消費者行政における新たな官民連携のあり方に対する調査報告という形で、非常に立派な報告書を拝見させていただきました。これは、日本の消費者の現状あるいは消費者団体の現状等々を非常に適切に分析していらっしゃって、さて、こういう官民連携のあり方が理想だという部分が出ていらっしゃる。そして、また、ちょっと一歩先を進んだ事例等々も出ていらっしゃる。これを参考にしながら消費者団体の皆さん、ぜひ頑張ってというメッセージが伝わるのですけれども、これだけ書いてくださった、これについて、では、私たちとしては、それをどう具体化してくのか。先進事例の方たちとどうコラボしながら、私たちは地域の中で何ができるかというようなことをするには、やはりまだまだこの消費者委員会の具体化といいますか、工程表なり、これをどうやって具体化するかということまで進めた議論を、ぜひこういうものができ上がった、教科書ができ上がったので、これの具体的な方策について、4次の皆さん方にはぜひお取り組みいただきたい。それに対して大変な期待を持っております。

それから、2番目に、消費者委員会消費者契約法専門調査会中間取りまとめが出ました。それについて多分パブリックコメントでたくさんの御意見が寄せられたかと思っています。それのどういった状況か等々をぜひお聞かせいただきたいし。そして、それによって今後どのように進めていかれるのかということを私どもは注視をしていますというところを申し上げたいと思います。

先ほど来、勧誘の問題であるとか、あるいは重要事項の説明についてとか、不当勧誘行為に対するその他の類型とか、取り消し権の行使期間とか、今、さまざまな問題点が挙げられております。それをどうやって消費者視点で結論づけていくか。これをまとめていくかということは大変重要なことと思いますので、ぜひ頑張ってこれを進めていっていただければありがたいと思います。

それから、もう一点、特商法については、中間まとめまでいかない。中間整理にとどまったということで、ちょっと私が個別具体的なことを申し上げるのは、この場ではいかがなものかという気はするのですけれども、私どもから推薦した委員、あるいは全国の消費生活相談員さんに対する、ちょっと、言葉が過ぎたら悪いのですけれども、誹謗的なお話が事業者の方からあったということで、多分、消費者団体の委員からすれば、消費者の個別の平穏な生活を阻害するような営業の自由はあるのだろうかということで、多分アイロニー的な意味合いを含めて発言したことが、どうも相談員さんは営業の自由まで知らないのみたいなところになってしまって、その当時の座長が非常にいいジャッジメントをしてくださったので、変な泥仕合になってもいけませんので、あえて私どもも意見書をお出しするまでには至りませんでしたけれども、そういう点では座長のジャッジメントは非常にありがたく思っておりますが、今後、引き続いて検討会が続けられるでしょうけれども、ぜひそういう点では全相協さんもおっしゃっていましたけれども、公正で公平な、消費者が何を求めているかということを十分認識しながら、消費者委員会の検討会なのだということをぜひわきまえて頑張っていただければありがたいと思っております。

それから、全国消団連のほうからもおっしゃいましたけれども、来年度から電力小売全面自由化がなされます。電力の自由化といっても、どうやって消費者は選択したらいいのか。そういう情報まで全然消費者には届いていないというのが実態ではないかという気がいたします。電力取引監視等委員会では、今、ファンクション9を出しております。いろいろな説明がされているのですけれども、そういう中では、これからの指針待ちとか、あるいはガイドライン待ちという部分があるだろうと思うのです。そういうところにやはり消費者委員会としては先手必勝ではないですけれども、ぜひそういう意見を持っていっていただきたいと思っています。消費者というのは電源構成の開示のあり方など、気にもしていますし、そこをどうやって信頼性を確保してくださるのかということも気にとめています。

それから、登録を受けた小売電気事業者の代理であるとか媒介、取次を行う者が多分出てくるだろうと思います。そういったところの規制はよろしいのでしょうかということも考えられます。昔といっていいのでしょうか、いわゆる新聞業界さんがA社をB社、B社をC社、C社をD社に変えたらそこで手数料をもらえるというような媒介をする事業者さんがたくさんいらした。そういうことから考えると、その二の舞をしていただきたくはないという思いがありますので、ぜひガイドラインとか指針とかというところにもきちんと、建議というのができるのでしょうか。意見をぜひ提案していっていただきたいと思います。

最後に、第4次ということですけれども、1次から3次までとても優秀な消費者委員さんがたくさんいらっしゃいました。そういう人たちがいざ委員会を離れてしまうと外野に座ってしまって、いろいろなことを、批判も賛意も含めていろんな意見をもっていらっしゃるのだろうと思うのです。だとするならば、その1次から3次の委員さんたちを活用しないことはないのではないかと思うので、そういう委員さんをまた巻き込んだ形の委員会といいますか、そういう議論をしていっていただければよろしいのではないかと思います。

私からはちょっととりとめのない意見を申し上げましたけれども、以上です。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、引き続きまして、日本ヒーブ協議会さんから御説明をお願いいたします。

○日本ヒーブ協議会川口代表理事 日本ヒーブ協議会の代表理事の川口徳子です。本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

私ども日本ヒーブ協議会は企業と消費者のパイプ役として1978年に設立しました団体です。

日本ヒーブ協議会の特徴は、企業に勤務する女性の団体という点でございます。我々が重視する点は大きく2つございます。こちらはチャートの2枚目で説明させていただきます。

1つ目は、企業の中にいる女性という立場と一消費者という立場を両立させ、消費者視点に立って企業活動を考えるという点です。

2つ目は、働く女性として女性の活躍推進を行うに当たり、働き方や暮らし方を考える、いわゆるワーク・ライフ・バランスの点です。

今年、女性活躍推進法が成立し、本格的な行動がなされようとしておりますが、日本ヒーブ協議会では、この点に1978年より取り組んでまいりました。

消費者基本計画の中で、当協議会の活動とリンクするポイントとしまして、考える点をチャート3で説明させてもらいます。

まず、消費者の安全の確保です。事故の未然防止と、起きてしまった事故の情報を迅速に収集し、被害の拡大防止に努めること。これは日本ヒーブ協議会の会員が多く所属する、お客様相談センターが重要な役割を果たしております。お客様の声に耳を傾け、そこから得られる情報は、企業活動における大きなヒントとなります。事故の兆候や商品、サービスの改善のヒントとなる情報を得ることは、企業における非常に大きなミッションと考えております。

これに付随しまして、消費者の被害救済、利益保護の枠組みの整理といった観点です。これを行うに当たっても、お客様相談センターといった企業の窓口は重要な役割を担います。

初めて接するお客様と電話などの限定的な手段で正確な情報を得るには、応対者には高いコミュニケーションスキルが求められることは言うまでもございません。さらに重要なのは、消費者と企業がコミュニケーションをとることで、最終的に消費者が主役となって選択、行動できる社会の形成を目指せるという点です。そのためには、企業がお客様の声を重視しているという点を御理解いただかねばなりません。

そこで重要となってきますのが、消費者教育と消費者団体、事業者・事業者団体などの取り組みの支援促進であると考えております。

4枚目のチャートにありますように、お客様、すなわち消費者が企業に対して提供する情報や御意見は企業にとって商品・サービス改善の重要なヒントとなります。企業が商品・サービスを改善して、より良いものを提供することで、消費者にそのメリットが還元されるのです。

消費者の行動で企業が変わり、それによって社会が変わります。そうした循環が消費者市民社会の実現につながると我々は考えております。

そのためには、消費者からの情報提供とコミュニケーションが企業活動の改善に向けた重要なアクションであることを消費者の皆様にも御理解いただくことも、消費者教育の重要な一つだと考えております。

これを具現化しましたのが、チャート5にあります「お客様の声を活かした取り組み55事例」という冊子でございます。この冊子は、消費者、企業、行政のコミュニケーションツールの一助を担いたいという願いを込めて、2013年に作成したものです。会員企業に寄せられたお客様の声をもとに、実際に改善、開発を行った事例を集めて横断的に掲載しております。あえて業種、業態別ではなく、商品品質、表示、使い勝手など、6つのカテゴリー別に36社55事例をまとめさせてもらいました。現在、この冊子を消費者教育に積極的に活用させていただいております。講演や授業の機会をいただき、企業と消費者が良い関係を作ることで、消費者環境が改善できるということを訴えさせてもらっております。

○日本ヒーブ協議会宮木副代表理事 続きまして、今年の取り組みについて、副代表理事を務めております宮木より御報告させていただきます。

消費者基本計画の中にもございますように、高齢化というのが今、大きな問題の一つとなっておりますが、実際に高齢者対応は企業でも非常に苦慮いたしております。

多くの企業のお客様対応部門において、高齢者対応は早急に検討すべき課題になっております。PIO-NETのデータ情報を見ても、高齢者に関する相談は多いですが、実際に企業に寄せられている声も非常に多いというのが現状です。しかも、対応時間も非常に長時間化しているという現実がございます。ただ、高齢者対応の参考事例が少ない、そして、それによって明確な対応方針が打ち出せない、そして、アドバイスを受ける窓口等も見当たらないということで、とにかく今、企業において高齢者対応というものがどのようにしていったら良いのかという方向性が見いだせないというところから、まず、ヒーブでは実態調査による現状把握、対応の必要性を訴えていくというのを今年のプロジェクトの大きな柱としております。

具体的に申し上げますと、チャート8をご覧いただきたいのですけれども、まず、高齢者を取り巻く消費環境の実態把握ということで、こちらは消費者力支援研究所の協力をいただきまして、環境の全体像を把握しようというところをやっております。もちろん企業に寄せられる声というのは、全体の問題のごく一部にすぎませんので、実際、高齢者というものがどういう消費環境に置かれていて、どういう問題を抱えているのかというところをまず把握する。

また、ヒーブの会員企業に協力してもらい、企業においてどういった取り組みが高齢者に向けて行われているのかという実態調査を行っております。これは企業としての対応です。例えば高齢者というものを何歳から捉えているかとか、高齢者対応として特別なトレーニングを対応者に行っているかなどです。加えて、お客様相談に従事している人の現場の声も収集しております。実際にどのぐらい苦慮されているのか、そういった情報を集めております。

さらに、それらをもとにして、筑波大学の御協力をいただきまして、高齢消費者にヒアリングを行い、高齢者は実際に企業の努力をどのように捉えているのか、どのように企業の活動を考えているのかについて御意見を収集しております。

最終的に、この3本立ての調査を冊子化し、社会で共有することを考えております。日本ヒーブ協議会ではお客様対応講座というものも行っておりまして、具体的に現場で活動している対応者に対して、高齢者に対してはこのように対応していこうという情報発信を行っているのですけれども、それらを、今回の現場の声をもとに、もっと広く社会で共有していただくことを目指しております。

9枚目のチャートになりますけれども、第4次消費者委員会活動への要望といたしましては、我々企業がこういった努力をしているというところを消費者の方にご理解いただきたいというところが非常に強くございます。先ほど紹介させていただきました55事例もそうですけれども、やはり企業と消費者がコミュニケーションをして相互理解することで、もしかしたら法律や制度を整備しなくても改善していけるところがあるのかもしれない。そういうところも企業として努力していけば、より良い消費者環境というものが作れるのではないか。企業と消費者というのは対立関係ではなくて、連携・協働して消費者市民社会を構築していく関係であるべきであるというスタンスに立ち、ぜひ、消費者委員会を中心とする行政には消費者と企業の仲介となっていただきたい。消費者と行政をつなぐ、企業と行政をつなぐだけではなくて、消費者と企業をつなぐ存在として、行政の活動を行っていただきたい。

これから、企業と消費者は共生に向けていくにはグローバル視点とかエシカル視点、先ほど倫理的消費というのがございましたけれども、そうした視点というのが不可欠になってまいります。既に企業ではそういった活動を行い始めておりますけれども、それがきちんと消費者に理解されているかという点はまだ疑問が多く残るところでございますので、何とか消費者と企業が情報を同じくしていけるような活動を支援していただくことを期待しております。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、最後になりますけれども、日本弁護士連合会さんから説明をお願いいたします。

○日本弁護士連合会消費者問題対策委員中村副委員長 日本弁護士連合会、日弁連の消費者問題対策委員会から参りました、中村といいます。本日は、委員長の野々山の代理ということでお話しさせていただきます。

資料のほうは8になります。かなり量がありますので、時間内におさまるようにピックアップして適宜御説明したいと思います。

「第4次消費者委員会活動への要望について」述べさせていただきます。ここで述べる意見は、日弁連の意見を踏まえていますが、個人の見解です。

「第1 当委員会が取り組む最近の重要課題」についていくつかお話しさせてください。

「1 不招請勧誘の規制の維持、強化」の問題です。

消費者被害の温床の一つとして不招請勧誘の問題があると考えています。私生活の平穏を害して、高齢者被害のもとにもなっている不招請勧誘の規制強化については、消費者被害の予防にとって極めて重要だと思っておりまして、2つの取り組みが喫緊の課題だと思っております。

1つ目は、商品先物取引における政省令、これが2015年6月から施行される結果になっていますが、こちらの省令は速やかに廃止していただきたいと考えております。

2つ目は、特定商取引法の改正による、いわゆるDo-Not-Call、Do-Not-Knockシステムの導入を実現していただきたいと考えております。

「2 消費者の権利強化に資する消費者関連法の重要な改正」ですが、特商法、割販法、消費者契約法、公益通報者保護法など極めて重要な消費者関連の法律の改正が進んでおりますが、経済界との意見の相違がなかなか埋まらない、大きい中ではございますが、我々としては消費者保護のための法規制が市場の公正を確保したり、市場の発展に寄与するという役割を踏まえて、消費者の権利実現に向けて取り組んでいただきたいと思っております。

「3 食品表示の適正化」ですが、食品を巡る消費者の安全は最近でも重要な課題となっておりますが、食品表示法の課題とともに、いわゆる健康食品を含めた全体の表示・広告の適正化、機能性表示食品制度などでも御検討いただく必要があるかと思っております。

「4 消費者裁判手続特例法の活用」ですが、このような新しい制度の施行を前に、この制度を十分活用できるようなガイドラインや規則を制定していただくとともに、各機関や消費者の適格消費者団体との連携の実現や、そういった団体の支援制度の構築を検討していただきたい。

2ページ目「5 民法の成年年齢の引下げと消費者教育の充実」ですが、選挙年齢の引き下げに伴って、今度は民法の成年年齢の問題が出ておりますが、若年者の被害の拡大が極めて大きく懸念されております。引き下げは慎重にする必要がありまして、そのために消費者教育の充実、若年者被害への対策の構築が不可欠だと考えております。

「6 消費者の新しい環境の変化に対応する対策の構築」ですが、高齢化、情報化、国際化など、本日も多々御意見が出ているところでありますが、これに対して追いついて、変化に対応できるような行政の施策、立法の改正等を御検討いただきたいと思っております。

「7 消費者行政の充実」ですが、消費者庁、消費者委員会創設して6年が経過しておりますが、経済優先の施策や意見が依然として強い中ではありますが、今こそ実態に根ざした国と地方自治体の消費者行政の体制の拡大や予算の拡充をお願いしたいと思います。

「8 消費者のための司法の実現」ですが、消費者のための司法の実現の中の課題としましては、行政や消費者法の分野に比べて発展がおくれているのではなかろうかと考えております。実際の裁判等の紛争解決の場でも劣位に置かれている消費者の立場を向上させる証拠収集力の強化や執行力の強化について進めていただきたいと思っております。

以下、第2は個別の課題についての要望事項を時間が許す限りでピックアップして述べたいと思います。

「第2 消費者契約法改正について」ですが、これについては「中間取りまとめ」等も出ておりますが、これの検討を続けていく中に当たっては、消費者契約法の立法目的に立ち返って、常に検討していただきたいと思っております。

事業者の適切な事業活動に対する配慮は必要だと思いますが、消費者契約被害を招来するような不適切な事業活動については保護の必要がないのではないかということを前提とした議論をしていただきたい。

「中間取りまとめ」に関しましても、意見聴取があるわけですが、事業者のみならず、消費者、消費生活相談員の団体など消費者被害の防止や救済に取り組む団体等からも広く意見を聴取していただきたいですし、今日のような機会を十分にもっと拡充して設けていただきたいと思います。

また、「中間取りまとめ」においては、実例等を調査した上で検討すべきとされているものもありますが、この点について、十分な調査を踏まえたものも出されてはおりますが、早急に、国民生活センターや全国の消費生活センター等に具体的な作業要領を示した上で調査の協力依頼をするなどして、考え得る手段を尽くした調査を実施していただきたいと思っております。

また、「中間取りまとめ」では、継続検討課題と位置づけられたものもありますが、近い時期において法改正が行われるよう、取り組みを継続していただきたいと思います。

「第3 適格消費者団体など消費者団体の支援について」も、ワーキング・グループでの成果を踏まえて、引き続き現行制度に基づく支援のあり方にとどまらず、中長期的な視点からの支援策や団体訴訟制度のあり方についての検討をお願いしたい。

「第4 特定商取引法改正について」ですが、まず(1)で、先ほども申し述べました「Do-Not-Call制度」「Do-Not-Knock制度」を導入していただきたい。その他も、販売事業者等によるクレジット・借り入れ・預金引き出しを勧める行為の規制を導入すること等について意見を述べさせていただきました。細かい点はお読みください。

2番、それ以外の点についても、(1)から(6)というところまで述べさせていただきましたが、それぞれ連鎖販売における規律、電話勧誘販売における規律等、具体的に細かいものがありますので、これらについて一つ一つ精緻に検討して、消費者被害を防止する観点から、進めていただきたいと思っております。

5ページ目、「第5 金融サービスについて」ですが、まず1つ目は、商品先物取引における不招請勧誘の問題、冒頭申し述べた点ですが、この点については新しい省令が出てはおりますが、問題があると当連合会では考えているところでありまして、新しい省令が、その付則で施行後1年をめどとした施行状況の検討と、それまでの期間であっても勧誘の実態が委託者保護に欠ける状況にあると認めるときは措置を講ずるとしているので、この点についてのヒアリングや措置の検討についてお願いしたい。

「2 プロ向けファンド」についてですが、これも消費者委員会のほうから意見が出されているところですが、今後も金融庁と関係各機関からヒアリング等を行うなどして、投資者保護策が十分に図られる制度設計を目指していただきたい。

「3 クラウドファンディング」についても同じように意見が出されていますが、出された意見が、十分に制度として実現されているのか等について、定期的なフォローをお願いしたいと思います。

6ページ、「第6電子商取引について」になりますが、これもインターネット上の広告についていろいろな問題点がありますので、いろいろ施策はなされていて、消費者基本計画にも、ここに紹介したとおり書かせていただきましたが、不適切な広告が減少する兆しは見えないという現状を踏まえていただきたいと思っています。

また、消費者契約法の「勧誘」概念につきましても、「勧誘」の概念を定義し直すというようなことで大きく改善される可能性がありますし、この点については行政解釈でも可能ではないかと考えておりますので、その旨、記載させていただきました。

2番の電子マネー発行業者の問題ですが、これも2015年に建議ということで出されておりますが、電子マネー発行事業者の中に加盟店の管理を一切行おうとしないところもありますので、この点についても引き続きフォローをしていただきたい。

7ページ、「3 電気通信サービスにおける広告表示等の適正化」ですが、これも基本計画の工程表では、電気通信サービス向上推進協議会のガイドラインを踏まえた検討、検証を行うとなっていますが、どのような検証が行われているかについて、まだ我々に十分伝わっているものではないように思われますので、引き続きよろしくお願いしたい。

「4 個人情報保護法の改正」ですが、この点も個人情報保護委員会によって個人情報が適正に管理されているかについて御検討いただきたいと思います。

「第7 行政による違法収益の吐き出しの具体化について」ですが、この点は、当連合会でもいろいろ検討しておりまして、外国のほうに訪米調査なども行っているところで、これらについて報告書を公表したいと思っています。相変わらず多数の消費者被害を生む事案が多いので、行政としての違法収益の吐き出しの手法をどのように選択していくのかについて、建議につなげていただきたいと思っております。

「第8 特定保健用食品をはじめとする健康食品の在り方について」ですが、特保の食品として認めることは適切でないとの答申を行ったものについて、同じ事業者の、同じ成分を用いた別の商品について、機能性表示食品としての届け出が受理されているという事案も出ているようです。

特保と機能性表示食品という食品の機能性を表示する制度が併存してしまっていますので、先ほどもわかりづらいのではないかという御指摘があったと思いますが、当連合会としてもそのような問題点があると思っていますので、特保の健康増進という趣旨に立ち返って、制度全体の再構築も視野に入れた幅広い検討をお願いしたいと思っております。

特保に限らず、健康食品全体について、過剰な広告や過量販売が後を絶たないようでして、広告についての適切な法規制等、過量販売についても何かできるのであれば、検討をお願いしたいところであります。

「第9 消費者安全調査委員会の機能強化について」は、やはりこの点についても消費者の安全確保のために十分必要ですので、人的・物的体制をさらに整備していただくということと、関係各所になされた再発防止策の意見への対応やフォローアップを充実していただきたい。

「第10 土地・住宅問題について」ですが、若干相談件数は減少しているという話もあるのですが、訪問販売によるトラブル、これは従前ある法律で引き続きフォロー、強化していくことになりますが、訪問販売以外のトラブルについて、規制が乏しいという実態がありますので、これはきょう、読むことはいたしませんが、当連合会で2011年に出した意見書にも施策を具体的に述べている点、御考慮いただければと思っています。

2番の宅地や地盤の安全性の問題ですが、これも基本計画で出ている論点ですが、地盤に関する情報集約や法的整備、これに類する問題として、昨今出ているような問題もありますので、引き続き消費者の視点に立った御考慮をいただきたいと思います。

最後に「第11 消費者教育について」ですが、推進法ができて、これからまさに消費者教育はいろいろな側面で中心になっていくと思います。消費者基本計画の工程表の中で述べられているものの中で、例えば1番ですが、「学校」だけではなくて「地域、家庭、職域その他様々な場」で行われるとなっていますので、学校のほうはどうもいろいろ進んではいるようなのですが、それ以外のところで具体的にどう進めていくのかという問題があると思います。

2番目は、消費者教育推進地域協議会や地域計画の策定です。これもまだ全ての自治体で設置されたり、策定されたりしているわけでないようですので、国のほうでヒアリング等をして、積極的に働きかけていただきたいと思っております。

3番ですが、教育行政消費者行政の連携についても、なかなか教育行政というのは文部科学省の聖域みたいなところがあって、消費者教育がいかにしては入っていくのか、強固な協力体制を持って入っていく必要があるのではないかと思っています。

学校における消費者教育の推進についても、なかなか学校教育の現場の先生だけで新しい教育法を構築していくのは難しいところですので、外部の力、第三者の力をかりることになると思いますが、そのために外部のシンポジウムや学習会に学校の先生が積極的に出ていかれるような体制をつくっていただきたいと思います。

地域における消費者教育の推進ですが、これも先ほどのお話とかぶりますが、やはり消費生活センターへの予算・人員を充実させたりすることが必要だと思われます。

6番ですが、基本計画には金融経済、法教育、食育など、いろいろ述べられていますが、この3つのみが大切だということではなくて、生きる力そのものを養うのが消費者教育ですので、いろいろなものと総合的に連携させていくことが必要だと考えております。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

短い時間で報告をお願いしたものですから、もっとお話されたいことがたくさんあったかもしれませんけれども、お許しください。

それでは、質問、御意見のある方は発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

大森委員。

○大森委員 消費生活センターの窓口とか、企業の窓口の関係の方がいらしているので、ぜひお願いしたいことがあります。

消費者市民社会を推進していくためには、消費者の権利と責任両方学ぶ必要があるのですけれども、お客様相談室とか、消費生活センターの職員の方の対応で、すごく学ぶことが多いと思うのです。実際、消費者教育を受けなくても、そこの対応ですごく学ぶ消費者が多いと思うのです。

そこで、ちょっといろいろ耳にすることの中で、担当の方によってすごく対応が異なるということを聞いています。企業であれば、お客様からクレームが入ると、企業の評判を落としたくないということで、すぐにクレームのあった商品を差しかえたりとか、申しわけないということで菓子折りを持っていくとか、消費者自身に問題があるなしにかかわらず、ともかく穏便に穏便にという形で対応される場合もあると聞いています。

また、消費生活センターのほうも、クレーマーの対応に苦慮した余り、企業のお客様窓口にこんなクレームされているということで、逆に企業のほうに一方的に内容ではなく、対応が悪いというようにクレームを言われるということもあると聞いているのです。

やはりそれぞれ、きょう来られているような団体の方はすごくしっかりした指針を持ってやっていらっしゃると思いますけれども、末端のほうにそういう考え方が十分いきわたっていないと思うのです。お客様相談とか、消費生活相談とか、そのもの自体は真摯に受けとめ、対応する必要はもちろんあるのですけれども、その中で、消費者の権利とともに責任もきっちり伝えるような方向で対応していただけたらと思います。

よろしくお願いします。

○河上委員長 どうもありがとうございます。

ACAPさん、ヒーブ協議会さんあたりから今の点について何か御意見がございますか。

○消費者関連専門家会議長谷川専務理事 どうもありがとうございました。しっかりした方針に基づき対応する必要があるという点は、まさにおっしゃるとおりだと思います。私どものACAPの中でも、先ほど消費者志向の推進ということを申し上げましたが、そのためには消費者の方と企業の信頼関係、双方の役割と責任というものをしっかり認識した上での健全な信頼関係が必要だと思っていますし、またそれは消費者市民社会の育成にもかかわることではないかと思っています。

ただ、問題は、個々の企業の考え方によっては、ともすれば、いわゆる自社だけ事情とか、あるいはこのケースだけ特別にというような“わな”に陥る場合もなきにしもあらずと思います。私どもの会員企業では対応方針も明確にして、お互いに気を引き締めてやってはいますが、そうでない企業もやはりあると思います。地方の企業も含めた事業者の皆さんがすべからくそのような認識を共有して取り組めるような、そういう機会づくりなり働きかけを私どもとしても力を入れていかなければならないと思っています。ご指摘はそのとおりで、一生懸命頑張っていきたいと思っています。

○河上委員長 日本ヒーブ協議会さん、何かありますか。

○日本ヒーブ協議会宮木副代表理事 私自身がお客様相談に従事しているわけではないので、マクロ的なお話としてお話します。今、ネットで個人が発信できる中、そういったトラブルを消費者の側でネット上に載せてしまうというリスクに企業がいろいろ苦労しているわけなのですが、そういう中で企業が正しい対応、一貫性のある対応をとっていくということが、長期的に見て、消費者に受け入れられるか、そこではないかと思っています。

ですから、一時的に企業の評判を落としたくないとして、例えば消費者にその場限りで迎合してしまうことよりも、一貫してきちんと行動をとることのほうが、長期的に見て企業の信頼性を維持できるということは企業はわかっていると思います。

○河上委員長 吉川理事長、先ほどから手を挙げていただいて、済みません。

○全国消費生活相談員協会吉川理事長 私は消費者相談の現場にいたということ、また、会員もいますということですので、今、御発言のあったことは、ACAPさんとヒーブさんがそのとおりですと言われたのですが、相談窓口にいたら双方の立場をちゃんと聞き分けてとするのが消費生活相談だと思っていますし、企業の方もそんなにやすやすと何でもかんでも聞くという時代ではもうないということ、ACAPさんがそうですと言われたので、私はそうなのかと、それはそれで受けとめる必要はあると思ったのですけれども、現場にいる感覚としては決してそうではないと思っています。それが必要なことであり、これからの社会に。

それと、私は、消費者教育の最前線に立たれているのは企業の、あるいは窓口の方だといつも思っています。商品を、あるいはサービスを売られる中で消費者教育を皆さんが担っておられるのだから、十分商品の説明もしていただきたいし、対応もきっちりしていただきたいということは、常に申し上げていますし、そのように対応していただいていると、一部いろんな問題が起きるときに、それは困ったなと思うことはありますけれども、決して言われるようなことばかりではないということが1点。

それから、消費生活センターの窓口も、中立ということを行政の窓口は掲げておりますし、それが外れたら存在の意義がありませんので、確かに十分聞かずに何か消費者のことばかりを聞いてということが多々というのか、あった場合もあるかもわかりませんけれども、それは相談をしていく中で、消費者の人も必ずしも興奮して来られるので、十分に聞き取れないということも当初あるかもわかりませんけれども、相談現場では決してそこをうのみにするのではなくて、双方の言い分を聞きながら、あるいは現場の状況を確認しながら進めていくので、少なくとも相談員が何もかもうのみにしてというような現場は決してないというのは、あるいは事業者の方もわかっていただくのではないかと思っていますので、誤解のないようにお願いしたいと思います。

それと同時に、確かに相談員協会あるいはNACSさんについても、相談員の資質の向上ということについては非常に心を砕いております。ですから、そういうことがあった場合であれば、それについてはちゃんと真摯に受けとめて、また相談員の研修でちゃんと伝えていきたいと思いますので、どうぞ誤解のないように、特に相談現場はそういうことをしていたのでは仕事は務まらないということを御理解いただきたいと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

○全国消費生活相談員協会鈴木週末相談室長 1つ補足で、大森委員のほうから、相談現場は相談を受け付けて処理するだけではないのです。実は、ある行政では、消費者相談の前に消費者教育相談ということで、相談を受けるとともに来た人に教育、すばらしいことができるわけなので、それも相談員の役目として私たちは研修のなかで、なるべく声をかけています。

○河上委員長 では、青山理事。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会青山代表理事・副会長 済みません、一言だけ。

私どももウイークエンドテレホンといって、土日に消費生活相談を受けていますけれども、その相談員さんは消費生活センターで勤務をしていらっしゃる相談員さんがボランタリーな活動ということで、土日相談をやっていただいているのですけれども、昨今、一件一件の相談時間が非常に長いです。というのは、やはり消費者の方もちょっとエゴ的かなという部分もあって、やはり社会の風潮なのでしょうか、自己主張が強い部分が出てきているということで、非常に一件一件納得いただくのに時間がかかるということです、あなたの主張についてはこういう理由でそこはおかしいですよという点はきちんと申し上げている。ですから、今、吉川理事長がおっしゃったように、私たちは消費者保護という大前提はあるものの、公正、公平、中立な場面でしっかりと相談を承っているということは、申し上げたいと思います。よろしくどうぞ。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

池本委員、お願いします。

○池本委員長代理 池本です。

各団体からの御意見の中で、これはACAPさんとNACSさんですかね。第3次の委員会で公表した官民連携のあり方についての報告ということで注目していただいたというのは非常にありがたいことだと思います。

それぞれ今後の実現に向けて具体的な検討を期待したいとか、あるいは、工程表という要望まであるのですが、私たちも総論としての方向性をどういう形で今後具体化していけばいいかということが大事なポイントだと理解しているつもりなのですが、問題は、そういう御意見があるとか、例えばこういう分野で、こういうところを掘り下げていったらどうかという何かヒントなり御意見なりがあれば、あるいは、その2団体に限らずほかの団体からでも結構なのですが、その官民連携のあり方の基本の総論の考え方をどういうところでさらに具体化したものがあるといいということ、もし、意見があればお伺いしたいと思います。

○河上委員長 ありがとうございます。

いかがでしょうか。

清水事務局長。

○消費者関連専門家会議清水事務局長 具体的ということではないのですが、まず、あの報告書が出されたときに、第3次の委員の方々の卒業論文なのかなと思いました。その後、間もなくほとんどの委員の方が変わられたわけですから、あの報告書の先がどうなるのか、さっぱりわかりませんでした。ですから、単発で論文を出しただけで終わるということではなく、新たな委員の中でどのようにそれを持っていくべきか、同じようなことを継続するべきかなどの方向性について、委員の方々でもんで発信いただければ、それに対してこちら側も申し上げたいことは次々出てくると思いますのでよろしくお願いいたします。

○河上委員長 あれは別に卒業論文のつもりで書いたわけではなくて、私などは留年しておりますけれども、一定の方針は中長期的に持ちたいということがあって、やり始めたのです。課題の持つ重要性は4次でも同じように感じております。あの報告書はまだ非常に抽象度の高いものですけれども、もう少し各論的な、具体的な調査と検討をして、それぞれについてさらに議論を深めていきたいということは、4次の委員の間でも確認をしております。

ですから、池本委員がおっしゃったみたいに、どのあたりから具体的に切り込んでいったらいいかというお知恵があれば、またいろいろと教えていただきたいということです。

青山理事。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会青山代表理事・副会長 委員長から今、これから各論的なものをという御発言があったので、大変そうですねと申し上げたいのですけれども、改正消費者安全法の中では、地域協議会、地域のネットワークづくりが大切ですよと、消費生活センターを核とするとか、あるいは消費者支援の団体とかということで、核づくりをしながらネットワークをつくりましょうということが標榜されています。

そういう中で、例えばこの報告書の中で、新潟のネットワークであるとか、大学生への消費者教育の事例であるとか、京都府の弁護士会との事例とか、多々先進的な事例があるわけでして、それをどのように皆さんと共有しながら、あなたのところはこういうところが連携できたり、考えられますねということを、もうちょっとぽつぽつとした事例を少し線にしてみるとか、面にしてみるとかという部分をぜひ具体化していただければと思います。

本当にいい案があるわけではないのですけれども、非常にいい事例を載せていらっしゃるので、そういうところをちょっと考えていただければと思います。

以上です。

○河上委員長 地方はそれぞれ一定の特殊な要因もあったりもしますので、一般化は難しいのですけれども、できるだけいい事例を紹介して、全体としてどういうことができるかということについてもぜひ考えさせていただければと思います。

池本委員、よろしいですか。

三ツ石主幹、どうぞ。

○日本経済団体連合会三ツ石経済基盤本部主幹 委員長、ありがとうございます。

私から御説明することでもないかと思うのですけれども、消費者庁のほうで消費者団体訴訟制度の実効的な運用に資する支援の在り方に関する検討会というものがこの間から立ち上がっておりまして、消費者団体の中でも特定の消費者団体にはなりますけれども、そこで消費者行政における新たな官民連携の在り方ワーキング・グループの報告書で示された論点も含めて検討がなされるやに聞いております。

どちらかというと、消費者庁の検討会のほうは限られた期間の中で具体的な支援策について検討するというたてつけになっているようで、委員のほうからはワーキング・グループの報告書も踏まえた中長期的な消費者団体のあり方についても検討すべきではないかという意見が出ておりましたので、御参考までに御紹介いたします。

○河上委員長 ありがとうございました。

吉川理事長、お願いします。

○全国消費生活相談員協会吉川理事長 今のお話の続きというのか、地域の消費者の安全確保のために安全法の改正で消費者安全確保地域協議会がそれぞれ5万人以上の都市には設置することを促進することが明示されているのですが、それが今、できかねている状態。

できたとしても、私は懸念するのは、こういう協議会はつくるのに一生懸命で、行政は、つくることに力を注いでしまって、育っていないということを懸念しています。ぜひこの辺のところは検証をしていただくと同時に、それと、地方の消費者行政の人がどう機能させていいのかということもなかなか分からないというのが現状で、行政職員が実は苦慮している状況もありますので、そのあたりの現状を踏まえて、つくる以上に、つくった以上はそれが機能するような形での検証をぜひお願いしたいと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

斎藤本部長、どうぞ。

○日本経済団体連合会斎藤政治・社会本部長 この議論については、片や事業者、消費者、行政等々が一緒になってやろうという意見と、各論になると、先ほどの特商法等々で異なる意見が出でおります。たとえば、地方の高齢者見守りネットワークなどの例だと、事業者にぜひ見守りに協力してほしいという声が結構あります。例えば保険会社や、運送業者や、宅配業者でありますが、ただ、それと、先ほどの不招請勧誘でノックするなという話との整合性との関係で、高齢化が進み、お年寄りが多くなる中で、その辺をどうするのという問題があると思います。悪い人を排除するという法律の問題の話と、社会全体が協力して、一緒に見守っていこうという話をうまく調和しないと、変な結果になってしまうのではないかということを私はかなり懸念しております。例えば個人情報保護の話も、余りにも個人情報の保護ということを強調してしまうと、肝心なときに弱者の方の情報が入ってこず、お年寄りが孤独死してしまうとか、そういった事例は結構あるのではないかと思います。その辺の整合性の話をぜひ消費者委員会という高い立場で、バランスのとれた議論をしたほうがいいのかなと思います。

あと、もう一つ、地方消費フォーラムの中で、消費者団体と事業者団体に加えて、地方に詳しいNPOとかNGO等の方々にも参加いただいて、持続可能な消費の話等をされていました。例えばワークショップのやり方一つをとってみても、彼らのほうが得意な部分もあるので、そういった関係者との連携というのも今後必要ではないかと思っております。

単なる意見ですけれども、ちょっと、今、気がついたものですので発言いたしました。

○河上委員長 ありがとうございます。地方消費者委員会では、いつも大体事業者の方にも、長谷川さんにも来ていただいたことがありますけれども、事業者の方にも議論に参加していただいて、情報共有をしたいと思っております。

その意味では、おっしゃったように、事業者と消費者が対立している状態で何かを議論するというのは決して生産的ではないので、お互いにどういうことをできるかということを議論できるような場というのが必要なのだろうと、私も考えております。

何かほかにいかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 済みません、遅刻しました。

まず、一つは、日弁連さんからの御質問の中にあった、電気通信事業の広告表示の件ですが、一応ガイドラインに基づいてのチェックというのは電気通信事業者で構成している電気通信サービス向上推進協議会の第三者委員会で今、実施をしています。消費者団体や弁護士さんや国民生活センターや消費者団体、広告の専門家などが入った形で、まず、そのある時期、四半期ごとですけれども、まとめてテレビ広告と新聞、これはまだ残念なのですが、一面広告だけしかチェックできないのですけれども、それぞれの協会から提出してもらったものを全員で見て、チェックをして、それをまたその上の第三者委員会でガイドラインに照らしてどうかというのをもう一度チェックして、それぞれの協会に返すという形に一応しているのですが、多分委員のメンバーとかが伏せられているので、わかりにくいのかなとは思いました。

もう一つ、消団連からの意見に出ている消費者庁、国民生活センターの地方移転について、何か皆様、ほかの団体からも御意見がもしおありでしたら、お聞かせいただければと思います。

○河上委員長 どれぐらいあれが具体的な話なのかもまだわからないところですが。

○長田委員 11月ぐらいにはある程度の方針とかも聞いておりますので。

○河上委員長 何かほかの団体の方、御意見ございますか。

長谷川さん。

○消費者関連専門家会議長谷川専務理事 これを拝見しまして、一体何を考えているのかなというのが率直な感想です。もちろん、地方移転して、一極集中を解消するという視点での検討などをしていると思うのですが、やはり機能が最大限有効に発揮できることが行政機構においても大事なはずで、そのためロケーションはどうあるべきなのかという観点からもしっかり論議がされ、消費者団体や我々事業者団体の意見もしっかり聞いていただいた上で決められるのがよろしいのではないかと思います。

○河上委員長 ありがとうございます。

ほかには何か。

吉川理事長。

○全国消費生活相談員協会吉川理事長 私は大阪の人間ですので、大阪から6年前にこちらに出てきて、情報量の多さにはやはりびっくりしました。そういう意味からすれば、地方も情報が欲しい、あるいは地方との結びつきがいかに大切かというのはわかりますけれども、それが徳島ということになると、とても無理があるのではないか。徐々に何かを移す、あるいは、例えば地方が困っている国民生活センターが1つしかないから関西にテスト機関をもって移転するとか、そういう部分的に移転は考えてもいいと思いますけれども、機能そのものというのは、幾ら何でも情報の伝達がまずできないだろうと思いますので、賛成しかねるという状況です。

○河上委員長 中村さん、今、手を挙げられましたか。

○日本弁護士連合会消費者問題対策委員中村副委員長 中村です。

長田委員から御報告いただきまして、ありがとうございました。会に持ち帰って御報告したいと思います。

2点ありまして、徳島の問題については、確かに徳島はとてもいいところだと思いますけれども、会議というのは、私たちもそうなのですが、裁判もなかなか直接面と面を合わせてやるということが時には重要かなと思っていまして、このような会議も同様ではないかと思っていますので、全てをインターネットとか電話で代替できるかというと、なかなかそれは難しい。先ほどの消費者の方との相談もそうでしたけれども、消費者相談とかを電話でやったら、多分絶対に成立しなくて、メールとかでも多分ものすごい量のメールが来るのでしょうけれども、直接会うことで少し説得をしたり、なだらかに気分を落ちつかせたりということもあるので、やはりこういった機会を設けるということでは、いきなり徳島というのは唐突なのではないかと私自身も思っております。

もう一点は、先ほどから出ている消費者教育と事業者の方との連携ということですが、これはなかなかナイーブな問題かなと思っております。うまくいけばいいのでしょうけれども、うまくいくためにはなかなか道のりを経る必要がある。例えば私は地方の視察なども行っていますけれども、確かに地方では人材がいなくて、見守りネットワークの中に新聞の勧誘とか宅配の業者さんとか、何かそういうところを活用できないかというのもあります。ただし、それをやっている方々というのは、新聞の勧誘だろうが、宅配だろうが、それはまた地域にまた住んでいる人だったりする場合には、見守りということができるのだと思いますけれども、一方で、地域に居住せず、ものを宅配するというだけの人と、勧誘をするということになると、消費者の財産との間で若干利益相反の問題も出てくるので、そういった方に見守りをしていただくことについては、やはりよくよく検討しなくてはいけない。事業者の方に見守りをお願いしたいという気持ちの中に、本当にそれがベストの選択として言われていることなのか、もう少し福祉とか、行政のほう、警察のほうでやってほしいのだけれども、やってくれないのだから、事業者の方ということなのか、それとも、高度の利便性があって、それを上手に活用することで、豊かな社会がつくれるのかというあたり、いずれかなのかということも見きわめながら、上手に消費者教育と事業者の方の連携を進めていく必要があるというのは感じております。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございます。

事業者の方を見守りネットワークの中でどのように位置づけていくかということは、これからまた議論しないといけないと思うのですけれども、少なくとも飛び込み勧誘と日常的見守りとはかなり性格が違うものですから、そこはうまく切り分けられるのではないかと個人的には思っております。

ほかにはいかがでしょうか。

板谷事務局次長、どうぞ。

○全国消費者団体連絡会板谷事務局次長 消団連の意見の中に、急遽5つ目、徳島の話を入れさせていただいています。これについては私も少し前まで笑い話のように受け止めていたのですけれども、実はかなり進んでいるような話が聞こえてきていまして、もし、これが本当になったら、消費者行政のこれまでの積み上げというのが一気に崩れる可能性があります。公表されている資料によると、決定までにそんなに時間も無く、年末ごろには方向性が固まってきて、年度末、3月ごろには政府内で決まってしまうスケジュールです。これは国会に出るような話ではなくて、政府内の決定で決まってしまう話ですし、行政改革大臣と消費者担当大臣が同じであることや、参議院選挙前ということも作用して、ちょっとした「はずみ」で決まってしまうかもしれないという懸念を急速に高めているところです。もし、決まってしまったら大変なことになるという意味では、少し消費者委員会のところで何か動いていただいたほうがいいのかなと思っております。

○河上委員長 ありがとうございました。

三ツ石さん、どうぞ。

○日本経済団体連合会三ツ石経済基盤本部主幹 ありがとうございます。

先ほど、お話が出ました消費者団体のところなのですけれども、私どものほうで若干懸念しておりますのは、消費者団体への支援につきまして、一律に消費者団体に国なり行政が支援するということをしてしまったときに、生まれかけた苗を無理に引っ張って伸ばして、かえって枯らしてしまうということにならないのだろうかということです。

各団体の置かれた状況というのも、地方とか、あるいは全国ネットワークとか、違うと思いますし、各団体の実態も踏まえた上で、その団体が求めるニーズというのは何かということ、それから、連携先である現場の消費生活センターの現場とか、あるいは企業の相談の現場とか、そういった連携先の意見はどうなのかということも丁寧に聞き取って、消費者団体の支援ということを考えていく必要があるのではないかと思っています。

また、消費者契約法のほうでは、団体の認定の基準として、経理的基礎と書いてありますので、そういった意味でも、消費者契約法の精神との整合性というのも、十分に検討していく必要があるのではないかと思っています。また、安易に国からの財政的な支援、情報の支援に団体が頼ってしまわないか。そうしたときに、官民連携というところの連携先としての民間の消費者団体としての正統性とか、あるいは民の知恵を生かす良さというものを殺してしまわないかといったことを懸念しておりますので、消費者庁のほうでこれから検討が進んでいくと思いますけれども、消費者委員会としても、フォローをしていただければと思います。

ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

中村副委員長、どうぞ。

○日本弁護士連合会消費者問題対策委員中村副委員長 手短に終わらせます。

きょうも少し意見させていただきましたが、消費者教育だけからの問題点だけでなくて、民法の成年年齢の引き下げの問題というのが自民党のほうからも出ていまして、少なくとも消費者教育の観点からすると、もう少し議論を十分にしなければいけないと思いますし、消費者問題以外の観点からの議論も不十分だと思いますので、その点も御指摘したいと思います。

○河上委員長 ありがとうございます。

実は、消費者教育の問題は第4次の委員の間ではかなり大きなウエートを占めておりまして、特にその中でも成人年齢の引き下げということとの関連で、若年消費者の、特に加害者になったりする場合もありますけれども、被害者救済のための一定の情報共有の問題などを、検討したいということは議論しておりますので、ぜひまたお力をおかりできればと思います。

私のほうの不手際で、もっともっと議論をしたいことがあるのですけれども、大体予定していた時間が来てしまいました。

中長期的に見て、地方消費者行政の活性化に向けて、どのように支援していけるかということについて、消費者委員会としてもさらに勉強して、意見を述べていきたいと考えております。

下部組織に関していろいろ御注文がございました。見方によっては消費者委員会がぶれているのではないかとか、あるいは、消費者に寄りすぎているのではないか。全く逆の見方をされることもありますけれども、消費者委員会としては公正で中立的な立場で委員会としての活動を淡々とやっていくというつもりでおりまして、どちらにぶれるということは全くございませんので、ご安心いただければと思います。

ただ、経団連のほうから少しお話がありましたように消費者委員会の下部組織としての専門調査会なのだからということはどうしてもございまして、消費者目線を大切にしつつ公正、公平なルールのあり方を考えざるを得ません。もちろん、そのときに事業者の方々の真っ当な事業活動を阻害するようなことはないようにという、そこの調整は絶対やらないといけないことでして、そうでないと法律も通りません。その意味ではその辺のバランスは十分に確保して、議論をやっていきたいと思います。

先ほどちょっと情報が欲しいとおっしゃっていたスケジュール感の話ですけれども、今、意見書が物すごい勢いで事務局のほうに来ました。それはありがたいことではあるのですけれども、大変な量でありまして、少し調整に手間取っております。ただ、事業者の方の意見には若干誤解も含まれているような部分があります。提案そのものが、例えば、解除権という言葉があったときに、債務が不履行になったときの解除権を念頭に置いているのに、任意解除権を前提にして、そんなことをしたら定期預金なんかつくれないなどということをおっしゃるのですけれども、そんなことはないのです。

ですから、そこら辺は説明がきちんとなされていない部分がありそうですので、正確に理解していただくためにさらに説明をきちんとやっていきたいと思っているところです。

スケジュール感としては、一応消費者基本計画で、今年度中に一定の準備をして、来年の通常国会に出せるように頑張りましょうという工程表になっておりますから、一生懸命、できるだけ早目にやっていきたいと考えております。

特商法は少しおくれてスタートしておりますので、場合によってはもうちょっと伸びるかもしれませんけれども、できれば消費者契約法に余りおくれをとらないようにやっていきたいと思います。それにしても議論はちゃんとやらないといけませんので、そのあたりを焦ってやるということは考えていないということは、お話ししておきたいと思います。

きょう、来ていただいた方々は、それぞれの窓口で御活躍をされている方で、その意味ではこれからの消費者行政のための、言ってみれば最前線で議論してくださっている方々ですので、これからもいろいろとお力添えをいただきたいと思います。先ほどちょっと大森委員からも出ましたけれども、窓口というのは消費者教育の最前線だというのは、その通りだと思います。消費者に面して何かを議論しないといけないところで、窓口の方々の持っている凛とした消費者教育に対する姿勢といいますか、考え方というのが、消費者に対する最大の教育・啓発にもなると思いますので、その意味でも皆様方のこれからの御活躍を大いに期待しているところでございます。

≪3.閉会≫

○河上委員長 またこういう機会をつくって、いろいろな問題についてお話ししたり、意見交換をする機会をぜひ持ちたいと思いますので、そのときにはよろしくお願いいたします。

きょうは本当にありがとうございました。

(以上)