消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(2月18日)

日時

2014年2月18日(火)16:00~16:55

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、唯根委員
【参加団体】
京都消費者契約ネットワーク 長野浩三理事・事務局長
ひょうご消費者ネット 清水巖 理事長、山﨑省吾 副理事長
全国消費生活相談員協会 吉川萬里子理事長、増田悦子専務理事
【事務局】
小田事務局長、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者委員会の活動状況等に関する意見交換
    • 京都消費者契約ネットワーク 長野浩三 理事・事務局長
    • ひょうご消費者ネット 清水巖 理事長
    • ひょうご消費者ネット 山﨑省吾 副理事長
    • 全国消費生活相談員協会 吉川萬里子 理事長
    • 全国消費生活相談員協会 増田悦子 専務理事
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたします。
 まず最初に、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

○大貫参事官 本日は、議事概要に記載の資料1から6をお配りしております。このうち1から3が各団体の資料でございまして、委員の皆様には昨日配付して、よく読んでおいていただいたと認識しております。
 不足がございましたらば、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。
 以上です。

≪2.消費者委員会の活動状況等に関する意見交換≫

○河上委員長 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 消費者委員会では、今後の運営改善等の参考にするために、消費者団体ほか関係団体から御意見を伺うとともに、委員との意見交換会を今年も開催していきたいと考えております。本日は、適格消費者団体の京都消費者契約ネットワークから長野浩三理事・事務局長、ひょうご消費者ネットから清水巖理事長、山﨑省吾副理事長、全国消費生活相談員協会から吉川萬里子理事長、増田悦子専務理事にお越しいただいております。皆様方におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まず、皆様のほうから、最近の関心事とか消費者委員会の活動への評価あるいは要望等についてお伺いし、その後委員との意見交換をさせていただくことにしたいと思います。
 初めに、京都消費者契約ネットワークから御説明をお願いしたいと思います。時間も限られておりますので、申しわけございませんが、説明は5分程度ということでお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○京都消費者契約ネットワーク長野理事・事務局長 皆さん、こんにちは。京都消費者契約ネットワーク事務局長・理事の長野でございます。きょうは、資料1に基づいて御説明させていただきたいと思います。
 まず最初に、当団体の概要ですけれども、当団体は4番目に認定された適格消費者団体でございます。主に京都で活動している団体です。消費者団体訴訟制度ができる前の2002年から、事業者等に対する不当行為中止の申し入れ活動を先駆的に行っておりました。2007年12月に4番目の適格消費者団体として認定を受けております。
 第2の最近の具体的な活動事例ですけれども、携帯電話の解約料条項使用差止請求ということで、いわゆる2年縛りの9,975円の解約料が携帯電話に付されておりますけれども、この9,975円について不当な拘束だということで差止請求をしております。一審のKDDIについては差止めが認められましたけれども、高裁段階では現時点では全部負けております。現在最高裁に係属中です。
 冠婚葬祭互助会の解約金条項の使用差止請求事件については、これは高裁段階まで差止めが認められております。今現在、最高裁に継続中です。
 結婚式場の解約金条項使用差止請求事件ですけれども、これも1件については一審で敗訴しておりまして、今、高裁の判決待ちです。もう一件は、一審の審理中でございます。
 次のいわゆる健康食品の広告差止請求ですが、これはサン・クロレラ販売株式会社という京都の会社が事業者名とか商品名を出さずに、がんに効くとか脊柱管狭窄症が治るとかいうビラを配っておりまして、それについて差止請求している事案です。ついこの間、1月に提訴した段階です。
 光通信の解約料条項使用差止請求事件は、現在検討しております。これは、いわゆる光回線の解約料でして、高額な、約3万円の違約料が取られていまして、非常にトラブルも多いと認識しております。いずれも消費者からのクレームがありますけれども、消費者個人がなかなか声を挙げられない事件について、我々が差止請求に取り組んでいると認識しております。
 続きまして、内閣府消費者委員会の活動への要望について、次のページからかいつまんで御説明させていただきたいと思います。
 第1としては、団体の支援等に関する要望事項として、新しく消費者裁判手続き特例法で想定されております特定適格消費者団体の財政について、有効な支援策に関する御提言をぜひいただきたいと思っております。適格消費者団体は、財政が非常に厳しい中で活動しております。しかも差止請求は、性質上、赤字事業でございますので、今度の新しくできた被害救済制度については、ぜひ財政上の手当てができるように御提言いただければと思います。
 それと関連しますけれども、2番目として、この消費者裁判手続き特例法による新制度の報酬基準の設定について、消費者被害救済事業を持続可能なものにする御提言をいただくよう、よろしくお願いします。消費者裁判手続き特例法では、特定適格消費者団体が受ける報酬についてもガイドラインが設けられる等のことを聞いておりますので、この点、ぜひ御留意いただいて適切な御提言をいただければと思います。
 第2に、景表法の課徴金制度導入に関する要望事項です。
 まず、景表法の課徴金制度の導入を消費者委員会でも検討していただいているようですけれども、これはぜひ早期に入れていただきたいと思います。
 その上で2番目ですけれども、この課徴金の使途について、適格消費者団体による差止請求、特定適格消費者団体の集団的消費者被害回復制度のための訴訟制度を遂行する費用として利用できる制度枠組みをぜひ御検討いただき、御提言いただければと思います。これは、もともと消費者全体が被害者であるものですので、消費者のために活動する適格消費者団体の活動費用にできるように御提言いただければと思います。
 3番目ですけれども、これは適格消費者団体等が不当表示の存在を消費者庁または都道府県に対して申し入れた場合に、当該消費者庁、都道府県が一定期間内にこれに対する評価と応答をしなければならないとする制度,イギリスなどで見られるスーパーコンプレインツ制度をぜひ導入していただければと思います。
 第3の食品表示法の消費者団体訴訟制度の活用に関する要望事項ですけれども、1番目としては、適格消費者団体が、国や独立行政法人の検査機関を無償利用できる制度について御提言いただければと思います。特に、科学的な分野については、景表法等でも問題となることが多いですし、食品表示法でも恐らく問題となることが多いと思いますけれども、適格消費者団体自体では専門的な検査をする体制が全くありませんので、ぜひこの点の手当てをお願いしたいと思います。
 2番目に、食品表示法の差止要件であります「著しく事実に相違する表示」という要件ですけれども、この「著しく」がくせものでして、これをどのように解するかによって、適格消費者団体が食品表示法上の差止権限を行使できるかどうかが変わってきますので、ぜひこの点、具体的な御提言をいただければと思います。
 3番目としては、食品表示法上の差止請求に関して、事業者が合理的根拠を示す資料を提出しない場合は、違反があったものとみなす立証責任軽減措置をぜひ置いていただければと思います。これは、特定商取引法とか景品表示法上、行政庁に認められている権限でありますけれども、これをぜひ食品表示法上も適格消費者団体に認めていただければと思います。
 次のページの4番目の地方自治体の食品表示部門や警察との連携を進めることについて御提言をいただければと思います。我々も京都府の食品表示の規制部門と交流しましたけれども、やり方が警察と行政とでそれぞれ微妙に違っておるようでして、さらに適格消費者団体が今回、差止権限を持ちますので、そこの連携をどのようにするかについて、京都でも実践的に連携はつくっていこうと思っておりますけれども、消費者委員会のほうでもこういった連携についての御提言をぜひいただければと思います。
 5番目としては、品質表示基準を見直して、より消費者の安全に配慮し、適正なものとすることについて御提言をいただければと思います。
 第4として、差止請求の立証責任に関する要望事項ですけれども、これは先ほどの食品表示法でも出てきましたけれども、特定商取引法、景品表示法の差止請求について、特商法6条の2、景表法4条2項の合理的な根拠を示す資料の提出がない場合のみなし規定に準じた立証責任の転換規定を設けることについて御提言をいただければと思います。特に、科学的な事項等については、これがないと事実上、適格消費者団体が差止権限を行使することはできないと思います。他方、事業者のほうはこういった資料が当然あってしかるべきものでありますので、ぜひこの規定を設けていただければと思います。
 第5としては、消費者契約法の実体法に関する要望事項でして、これについては消費者委員会のほうでも、河上委員長を中心として取り組みを進めていただいているところでありますけれども、早急な実体法改正をよろしくお願いします。中でも、我々が適格消費者団体の差止請求を行っていて一番感じるのは、9条1号、損害賠償の予定条項の立証責任がこちらにあることによって、差し止めが非常に困難になっていくことを痛感しているところですので、この点については、ぜひ手当てをお願いしたいと思います。
 以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
 続きまして、ひょうご消費者ネットから説明をお願いいたします。説明は5分程度でお願いします。

○ひょうご消費者ネット清水理事長 ひょうご消費者ネット理事長の清水でございます。ひょうご消費者ネットという消費者団体は、京都消費者契約ネットワークさんから約5カ月おくれて適格消費者団体として認定されて、その後活動してきた団体であります。
 その余の紹介は、もうやめておきますけれども、これまで不当な契約条件を改善させて、事業者のほうから契約条項を明確に変更していただいた件数は、項目的に言って約12件であります。ただ、事業者の数で言うと物すごい数になります。
 例えばきょう、皆様方にお配りしています消費者団体訴訟制度のリーフレット、資料2の5ページを見ていただきますと、資格試験予備校の解約規定について。簡単に言いますと、資格試験予備校に入学した場合、一切返金を認めないとか、死亡または重大な疾病のみ解約を認めるなどの解約条項の制限があって、かなり高額な料金を払わされるのが、全国ほとんどそうだったわけですけれども、それを消費者契約法10条に反するとして、兵庫県だけじゃなくて、全国の資格試験予備校11社に申し入れを行った結果、最終的には東京に本社がある1社だけがずっと抵抗されました。そこに訴訟を起こして、下から3行目にありますように、申し入れをした11社は全て条項を改善して、自由に解約できるようになった。例えばこういう形で全国的に消費者を守る成果が出ていると思います。
 右側の電力会社の電気料金の遅延損害金というのは、最近、地域独占はなくなっていますけれども、今、東京電力を除く各地域の大きな電力会社の全てが同じ約款になっていますが、関西電力を私たちは取り上げて、それで細かい話はちょっと省略させていただきますけれども、要するに支払いの期限があって、早収期間と遅収期間というので、早くおさめる期間と遅くおさめる期間で区分して、期間の最初の20日間の早収期間におくれると一気に遅収期間になって、年率一律3%の遅延損害金を払う。たとえ1日おくれただけでも3%ということなので、真ん中のあたりに書いていますけれども、年利に換算すると1095%という金利になりますので、消費者契約法9条2号に違反するとして関西電力に申し入れをしました。
 関西電力さんは、のらりくらりと粘りながら、最終的にとにかく自分たちはこの料金制度については消費者契約法違反ではないと主張されたのですけれども、事実上は認めていただいていて、それで昨年春に料金値上げを申請したときに約款の改定が要りますので、それで、経済産業大臣に約款の改定申請をされたときに、この早収料金、遅収料金の区分を廃止しまして、私たちは違約金と考えていますが、年利1095%という異常な高利の制度を廃止されました。それで、年1095%だったのが年利10%という形になりました。関西電力に聞いたところ、こう変えたことによって関西電力の収入がどれだけ減ったかといいますと、年収で27億円減りましたとおっしゃったので、逆に27億円程度はずっと消費者契約法違反の状態でこれまで取ってきたということです。
 東京電力は、関西電力と同じようになっています。あと、全国の残りの電力会社、全て旧来のとおりで残っております。私たちもそこまでは手が回らなくて、しておりません。例えばそういう形で活動してきました。
 それでは、ちょっと時間をとってしまいましたが、きょうの消費者委員会への、これはあくまで理事長というか、清水個人の意見で、特に団体でまとめたものではありません。大前提として、消費者委員会は私は非常に迅速な建議や提言を行ってこられていると思います。過去の類似している国民生活審議会と違って、建議の権限を認められていて、それを独立した機関として本当に適切に行使しなければいけないのですけれども、全体として見ますと、私は本当によく頑張ってくださっていると思います。
 ただ、提言と建議を分けられていて、提言については建議ではありませんので、受けた側も迅速な対応がややできていないように私は思います。例えば、これはたまたま私が福岡市の消費生活審議会の会長をやっているので、そこでいろいろ問題になって、結局消費者委員会にも要望を出してもらったのですけれども、電話の電気通信事業法の規制がなくて、しかも特定商取引法の規制もないということで、電気通信事業法の契約についてのクーリングオフ制度がないままに特商法の適用も除外されていることで、全国的に若者や高齢者が契約締結において余りに被害を受けているので、その点についてのクーリングオフ制度の導入、その他をお願いしますということを出しています。
 それを受けていただいて、提言としてきちんと総務省のほうに言っていただいておりますけれども、どうもその後の総務省の動きがちょっと鈍いので、ぜひ監視していただければと思います。
 それから、適格消費者団体制度について、その発展を後押しするような形の消費者政策を推進していただきたいと思います。適格消費者団体は、基本的には、商品、サービスを供給する事業者ではありません。ほとんどがボランティアで、無料奉仕で国民全体のための活動を行っておりますが、そのために財政基盤が基本的には非常に弱いということで、活動すればするほどみんなの出費もふえれば、時間の消費もふえて、消耗していく。
 ところが、監督官庁である消費者庁は、これを有給で活動している事業者団体であるかのようにいろいろな細かい規制をしてこられておりますが、そうなると適格消費者団体というのは事業者から寄附金をもらう以外には、はっきり言いまして成り立ち得ないのです。ということは、現在、私たちは通称、清く、貧しく、美しくの昔の映画じゃありませんが、清く、貧しく、正しく行動しているつもりなのですが、その貧しい部分がいろいろと今、指摘されております。事実上、私たちと相談員協会を除いては、商品、サービスを生産し、販売しておられる生活協同組合の支援によって成り立っています。
 生活協同組合は普通の事業者と全く同じだと思っておりません。消費者団体でもあるのですけれども、事業者ですが、事実上、適格消費者団体の制度は、恐らくこれからも生活協同組合連合会ないし生活協同組合の消費者団体訴訟部ないしは消費者団体訴訟課といった位置づけで活動するしか、生き残る方法はないのかなと。これだけ支援がなければ、もうそういう形になってくると思います。私たちは、あくまでもボランティアで国民全体のために無償で、特定非営利活動法人なので営利事業はできません。もし事業者セミナーとかやるとしたら、そのための職員が要ります。それに給料を払えないとなるとどうにもならない。その点について、ぜひ支援の何かをしていただきたいのです。
 これまで、ありとあらゆる形で意見を言ってきましたけれども、お金を出すというのはどうも難しいみたいですけれども、例えば電気通信関係、情報関係の、全てパソコンを置いて、プロバイダ契約を結んで、電話契約を結んでみたいな形が全部各適格消費者団体に要求されていますので、例えば情報通信料については一定の額を出す。人件費は出せないとしても、情報通信について、消費者庁はそれを私たちに要求されているわけですから、例えば毎年10万円は生活費を削ってやっているわけです。要求されるのだったら、せめてそのぐらいは出していただければ、たとえ10万円でも違ってくる。長くなって恐縮ですが、ここだけは申し上げておきたい。
 最後のポイントで差止請求権は、京都契約ネットワークさんと基本的にはだいたい同じですが、不当な表示について、これがそもそも実際のものよりも著しく有利または優良という、実際のものというのは、そもそも私たちはテストも実験もできませんので、その把握が難しい。さらに言えば、著しく有利か、優良かという判断が非常に難しい。でも、ちまたは、御存じのとおりの虚偽表示、不当表示であふれ返っている。私たちも日々気になるのですけれども、ただ差止請求の権限を与えられただけで、これは絵に描いた餅にすぎない。
 例えて言えば、公正取引委員会でさえ、それができなかったために、今、長野さんも指摘されましたように、必要と認める場合には合理的な根拠を示す資料の提出徴求権が公正取引委員会にあって、それで何とか公取が権限行使できるようになっているのに、適格団体にこれを与えられたからといって、事実上、ほとんどできません。ですから、この点についての制度的配慮を今後検討していただきたいと思います。
 最後に1つだけ。不正競争防止法というものがありますが、これは一般的に民法ないし商法を研究している研究者は余り関心がないのですけれども、国際的に見れば、この不正競争防止法に消費者の差止請求権がない先進国はほとんどありません。例えば不正競争防止法の2条13号は、まさに現在一番問題になっている不当表示でして、ちょっとだけ読ませていただきますと、「商品若しくは役務若しくはその報告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示を」してはならない。ちょっと省略しますが、例えば品質を誤認させるような表示をすれば、それ自体をしてはならない。
 この点については、事業者は誰でも差止請求ができる。これによって利益を害されると思う競争事業者であれば誰でもできる。でも、景表法との違いは、景表法は実際のものよりも著しく有利、優良がありますが、こちらは品質を偽れば、製造法を偽れば、それだけでしてはならない行為になって差し止めの対象になります。
 ですから、一番わかりやすい例で言えば、神戸牛でないのに神戸牛と表示して売れば、牛の肉そのものは実質的にどれほど有利か、優良かというのは考えることなく、それがもし佐賀牛であれば、それだけで消費者の合理的・自主的な選択を誤らせる行為なので、してはならないということで差止請求できるわけです。国際的にはほとんどそうなっているのに、日本だけがずっと数十年おくれて、いまだに放置されていますので、どうしても著しく優良という立証責任がある。
 だから、例の高級料亭の吉兆さんは、常に神戸牛として佐賀牛を売られたのですけれども、私、九州大学の人間としては、佐賀牛は立派な肉だと思っております。全然品質が劣らないと思うのですけれども、ずっとそういう形で消費者に提供して、消費者にそういうイメージを売りつける。それを誰も差し止めできない。実質的にどれほど有利か、優良かという証明は難しい。私もお歳暮を送ってくる人が、なぜか九州なのに神戸牛と書いてあるものをずっと送ってきたのですけれども、吉兆の事件があって以来、ぴたっとなくなりました。神戸牛というのは一切なくなって、全部佐賀牛になりました。例えて言えばそういうこともあって、ぜひこの辺も検討していただきたい。
 ちょっと時間が過ぎてしまって恐縮です。どうぞよろしくお願いいたします。

○河上委員長 ありがとうございました。
 それでは、最後になりましたけれども、全国消費生活相談員協会から御説明をお願いいたします。

○全国消費生活相談員協会吉川理事長 全国消費生活相談員協会の吉川と申します。黄色いパンフレットを配布させていただいております。協会の概要としてごらんいただければと思います。
 私どもの協会は、適格消費者団体とはいえ、他の適格消費者団体とは、成立からして、内容あるいは活動方針が少し異なっていると思っております。と言いますのは、本協会は国民生活センターによる消費生活相談員養成講座修了者の会として1977年に発足して以来、いろいろな活動をしてきました。会員数が現在約2,100人。国民生活センターの養成による消費生活相談員を母体としているだけに、全国の自治体で消費者相談をしている者を主な構成員としております。
 全国に7支部あり、それぞれの支部でいろいろな活動をしております。活動は、通常は自治体で消費生活相談を行っていますので、会員の活動は余った時間というか、夜とか土日とか休日を利用して時間を割いて消費者問題に取り組んでいるということです。
 主な活動として、消費生活電話相談業務を行っております。消費生活電話相談業務の中には、それぞれテーマを決めて110番という電話相談をしたり、東京、大阪、札幌で週末電話相談をやっております。そこで年間2,500件ほどの相談を受けております。相談の内容は、ほかの消費生活センターとほぼ同じです。
 2,500件というのはどれぐらいの規模の自治体の相談なのかといいますと、人口が20万人前後の自治体が月曜から金曜日までずっとあけて相談している数と、そんなに変わらない件数を土日だけの電話相談で受けております。土曜と日曜で1日十七、八件ぐらいの電話相談を受けています。
 東京では、その中であっせんも週1日やっております。これは、私どもの協会の全くのボランティア活動として実施しております。そこで得た情報をもとに、ブックレットや啓発用リーフレットを作成する。あるいは、適格消費者団体として、電話相談に寄せられた情報が貴重な情報源になっていると考えていただいたらと思います。
 それと、活動としては消費生活相談員の養成講座などの研修を各支部でやっております。
 さらに、先ほども言いましたように、週末相談とか110番で得た情報をもとにブックレットを作成したり、啓発リーフレットを作成したり、あるいは出前講座の啓発事業なども会員が全国で行っております。
 消費者団体訴訟活動業務は、ほかの団体とは異なって、本体は消費生活相談員として発足していますので、いろいろな活動をしている中で消費者団体訴訟活動も2007年からやっております。ということが活動の主な内容です。
 ということですので、ほかの団体とは活動の中心が、団体訴訟制度についても非常に重要だとは考えていますが異なります。最近の関心事といいますと、消費者安全法の改正です。相談員の職が法定化されようとしております。相談員が今まで職として法律にどこにも書かれていなかったのですが、今回明記されることによって、例えば消費者からも信頼を得、事業者からも法律に書かれた消費生活相談員が職として当たっているのだなと信頼を得られるようになる。
 それから、行政の中でも理解していただけるようになる。相談員の職というのが法律のどこにも書かれていなかったので、業務としてかなり過酷なことをしておりましたが、身分の確保がなかなか得られなかったということもありまして、今後法定化されれば、安定した地位及び職として認められていき、それがひいては消費者行政の底上げにつながっていくと思っています。
 関心事の二つ目は、「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続きの特例に関する法律」の成立後、本協会が特定適格消費者団体に移行するのか、あるいはできるのか。そういうことを今、検討しているところです。と言いますのは、私どもは本来の活動がさまざまありまして、その中の一つとして団体訴訟制度を今までやってきました。
 ただし、先ほどひょうご消費者ネットの方も言われましたように、私ども、いろいろなことをやっているので、ほかの適格消費者団体よりは財政規模から言いますと財政的に豊かなように見えるのですが、実はそれは私たちの本来の活動をするのに事務所が要り、職員が要りということでの費用です。適格消費者団体に割ける費用は、ひょうご消費者ネットさんと本協会だけが純粋に自前でやっている。本協会が昔から営々としてやってきたものがあるというだけで、経営的にそれが持ちこたえられるかどうかをまず判断しないといけないということがあります。
 それから、もともと消費生活相談員が母体になっていますので、今度、訴訟制度となりますと、今までは差しとめとかを申し入れするということで、弁護士の先生ももちろん検討特別委員をしていただいていますし、その助言、あるいはいろいろな活動を一緒にしていただいていますが、これからはさらに弁護士の先生が中心になってしていっていただかないと、相談員だけでは基本的なことをするのがとても大変という意味もありまして、特定適格消費者団体になれるのか、あるいはなるのかということを、これから検討していくというのが私どもの今の関心事。
 それから、順番がごちゃごちゃで申しわけありませんが、(3)のところに、最近、冠婚葬祭互助会110番を実施しました。私どもの電話相談110番事業は設立以来、毎年何かテーマを決めて実施してきましたが、今はあちこちで110番をされていますし、私ども協会自身が恒常的に週末相談もしていますので、特に110番と銘打って今年はしないでもいいのではないかということにしていたのですが、各支部長から冠婚葬祭互助会は結構苦情があるから、110番をしてみたらどうかということが提案され急遽実施が決まり、今年の1月11、12日にしました。増田のほうから簡単に、その結果を速報として御報告させていただきます。
 それから、消費生活相談員ですから、地方消費者行政の充実についても非常に興味のあること、関心のあることです。
 それから、消費者の安全・安心確保のための見守りネットワークの構築とか、そういう地方の消費者行政あるいは地方の消費者問題に、いかに安心・安全で暮らせるためのネットワークをつくっていくかということも、消費生活相談員として非常に関心事として持っております。
 それから、内閣府消費者委員会の活動への評価は、これまでいろいろな提言とか建議をされてきたことについては、非常に高く評価させていただきたいと思います。資料4で入れていただいている今後の建議・提言等についても、ぜひ内容のあるものを時宜にかなったものとして提出していただきたいと思っております。
 私どもの活動について報告させていただきました。110番の報告をさせていただきます。

○全国消費生活相談員協会増田専務理事 簡単にお伝えします。資料3-1をごらんいただければいいかと思いますが、200件の相談が入りました。そのうちの129件が冠婚葬祭互助会に関する御相談です。
 経済産業省のほうで報告書が昨年末に出されましたけれども、内容は解約手数料について検討されておりましたが、私どもの110番の中で見えたものは解約手数料だけの問題ではなく、友人・知人あるいは同僚等からの勧誘により説明不足であったり、義理人情により契約したということから、説明不足のまま、契約内容を理解しないままに契約したということをもとにした、今に至るまでの不満ということと、それから、解約できることを知らなかった、解約手数料がかかることを知らなかったなど、根本的な問題をはらんでおります。
 今、冠婚葬祭の形式が非常に多様化している中、解約手数料だけの問題ではなく、各事業者あるいは行政のほうに、私どものほうからこれから要望書等を出していきたいと考えているところです。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、残りは20分ほどですけれども、きょう本会議が5時からということなので、それまでには終わりたいと思います。限られた時間ですが、皆さんから自由に御質問、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。山﨑副理事長。

○ひょうご消費者ネット山﨑副理事長 清水理事長が上品にお話申し上げたのですが、私はやや上品じゃなく、はっきりと申し上げたいと思います。
 まずは消費者委員会についての評価ですが、我がひょうご消費者ネットが昨年提唱し始めた高齢者に対する消費者被害の救済問題をさらに消費者委員会でも取り上げていただいたことを感謝いたします。河上委員長にもお骨折りいただきました。留任していただいて、さらに高齢者問題を含む課題に取り組んでいただけるとのことで感謝いたします。くわえて私は先物取引被害全国研究会の前代表幹事でもあり、その立場からみても、不招請勧誘禁止規制についての貴委員会の活動についても、まことに感謝するべき点が多いと思っています。
 同じ立場から、私は詐欺的被害の撲滅に対峙していますが、その立場から、ことに未公開株・未公開社債等の詐欺的投資被害についても、日弁連消費者問題対策委員会の金融サービス部会に所属しておりますので、同じ部会に所属している消費者委員会の石戸谷委員長代理とは問題意識を共有しております。そこで、ことに適格機関投資家等特例業務の見直しなどについて、消費者委員会の活動に期待するところが大きいのです。その他、この間の消費者委員会の活動については文句をつけがたいと思っています。
これに対して、消費者庁については文句を言っておきたいと思います。
そもそも、消費者庁は消費者団体を育成する立場にあると思っています。この点、先代の消費者委員長であった松本恒雄教授が私どもにご教示されていた消費者被害救済の歴史的経緯が想起されます。まず、行政的取締りの時代でこれは行政が取り締まってきた、それが司法の時代になり、裁判所での救済の時代になる。それが現在は市場において救済されるソフトローの時代になってきたという。つまり、消費者被害を生み出した事業者は民間からコストという形でツケを払わされて、悪質行為がそれによって規制される、今はそういう世の中になってきた、と仰っていました。市場による規制の主体が我々適格消費者団体による差止め請求や集団的消費者被害救済制度だとすると、これが機能するためには我々適格消費者団体は十分な「底力」を持つ必要がある。それを育成するのが消費者庁である、そう認識しておりました。松本恒雄先生のいう「ソフトローの時代」とはそういうものを指すのだということで、われわれもその担い手になると思ってきました。
ところが、こともあろうに、ひょうご消費者ネットは、今、適格消費者団体としての更新が困難な局面に入っているようです。この5月末に適格消費者団体の認定が更新されないと法人としては解散もあり得ます。そうなると、少なくとも兵庫県の消費者にとっては大きなダメージになります。
その様な困難な局面になっているのは、どちらかというと書類の備付けの不備や事務局に人がいないなど、そういうごくごく形式的な問題が原因とのことです。しかし、これらは、実はこのひょうご消費者ネットの経済的基盤が極めて脆弱であることこそが、その主たる理由なのです。経済的基盤が脆弱なまま放置されているのは政府としての助成がないからです。適格消費者団体について会費と有志からの寄付のみでその余はボランティアで対応しろというのはかなり無理があります。
 実は、適格消費者団体として我がひょうご消費者ネットはかなり独自な活動をしてきました。他の適格消費者団体とは全く異なるような、また、他の適格消費者団体が考えつかないような問題点の指摘をしてきたつもりです。それゆえに内閣総理大臣表彰をいただいたのです。
それを担うのが、優秀な弁護士・司法書士の実務家と清水理事長と圓山茂夫検討委員らの力です。それ以外のメンバーもまことに努力してくれています。理事の中には、不肖私山﨑省吾のほか。平田元秀・日弁連消費者問題対策委員会副委員長(違法収益吐き出し部会部会長)や鈴木尉久・現兵庫県弁護士会会長、亀井尚也関西学院大教授兼弁護士、神戸の大規模消費者被害のいくつもの弁護団長を兼任して保険法に詳しい内橋一郎弁護士、クレサラ問題に詳しい辰巳祐規弁護士、蔭山倫理・現兵庫県司法書士会長らがいるのです。他にも、上田孝治弁護士も検討委員として活躍している。北村純子弁護士、山根良一弁護士らメンバーには錚々たる方々がいて、きたるべき集団的消費者被害救済制度の実施にあたってはおそらく大きな力を発揮すると思います。
圓山茂夫・明治学院大学准教授は、割賦販売法・特定商取引法の権威です。
 これだけのメンバーが揃っているのに、手続的なことが理由で、ひょうご消費者ネットが今無くなろうとしているのです。
消費者庁は、「事務局が脆弱である、事務局長がいない、あるいは書類の整理ができていない。」このことを何度も指摘してきて、改善命令に従わなかったら罰金だ、更新しない、というのです。しかし、現在、これらの点は全て改善し、ないし改善されることが確実です。
 確かに、手続的なことすら出来ていないところに集団的消費者被害救済制度を委ねることが出来ないというのかもしれません。しかし、これだけ財政的な基盤が乏しい団体で、出張費用も人件費も出せず、理事など中心者のボランティアと善意と使命感だけに頼るようでは、団体の実力など発揮できません。
消費者庁は、このひょうご消費者ネットをまるで悪質業者同様に取り締まろうとしているのです。しかし、我々は悪質業者ではない。我々を取り締まって潰すようなことがあれば、かえって悪質業者が野放しになり消費者の利益に反するのです。どうすれば、我々のような弱小の消費者団体が諸外国の消費者団体らと肩を並べるほどの実力を持ちうるか、取り締まるよりも力強く育成する、経済的にも自立させるようなビジョンを提供する、そういうことをしっかりと考えていただきたいのです。その意味で、消費者庁には、われわれをいじめるな、といいたいのです。
こういうことで、われわれ適格消費者団体に対して、全く助成せずに、我々の体制についてのあら探しをするというのでは、決して「ソフトローの時代」やら「市場による統制の時代」など夢のまた夢になると思います。これを言いたくて参りました。

○河上委員長 燃えている山﨑さんの発言は、しかと受けとめました。
 ほかにいかがでしょうか。委員のほうから御質問あるいは意見がありましたら、お願いいたします。石戸谷委員。

○石戸谷委員長代理 今の山﨑さんの話はちょっとびっくりましたけれども、消費者委員会のほうでできることというのは、審議会の機能と監視の機能と提言あたりはできるのですけれども、個別事案云々ではなくて、適格消費者団体に対する運用とか法に基づいて、こういう点に改善すべき点があるのであれば、その点についてどうかという形で提起してもらえば、こちらで見られますけれども、個別事案について、これがいじめであるかどうかという形で言われると、ちょっと困る。

○ひょうご消費者ネット山﨑副理事長 姿勢の問題として、育成の姿勢ではなくて、取り締まりの姿勢であるということは非常に問題なので、そういう形で一般化できるかなと思っております。

○石戸谷委員長代理 今、ぱっと言われたので、中身がいま一つよくわからないので、ちょっと具体的に出してもらえればと思います。今でなくていいのですけれどもね。

○ひょうご消費者ネット山﨑副理事長 具体的に出します。

○河上委員長 では、そのようにお願いします。ほかにいかがでしょうか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 お伺いして、適格消費者団体の活動基盤の整備が、それぞれにちょっとずつ思いが違うけれども、共通して必要と思っている。その規模とかお金がどうだ、人的な数がどうだというのは、活動の範囲によってちょっとずつ違うような気もしますけれども、最低限のものはある程度要るのではないかという気はするので、その辺は必要かと思いました。
 もう一つは、不正競争防止法の話がございました。できてから大分経つので、不正競争防止法を1回棚卸しをしてみて、今どういう問題を抱えているのかを考えるのは価値があるという気がします。というのは、基本的には不正の競争なので、事業者間の競争を規律する法律になっています。消費者には直接反映されるものではないということです。私も経験した中に、営業秘密が漏れるときに、外国の公務員を通じて外国に漏れると、競争相手ではないので取り締まれなかったことがあります。おかしいじゃないかということで法改正に動いたこともあります。
 したがって、そういう観点で、この法が大分幅広く使われるようになってきているので、このあたりで1回、我々も整理して勉強してみる価値があるかと、先ほどの話を伺って考えました。

○ひょうご消費者ネット清水理事長 ありがとうございました。特に私は2条13号の部分を、不正競争防止法の中でも少し別の扱いができれば、全然違ってくるかなと。ミートホープの事件も、これを根拠にして処罰されたわけですけれども、中国産、国産と言っていても、中国産の品質がいいかもしれないし、悪いかもしれないのだけれども、とにかく消費者をだます形で売ろうというのは、ほとんど差しとめできないですね。でも、不正競争防止法はそれだけでできるわけです。原産国を偽っているという理由だけで、やめてくださいと言えるわけなので、せめてやめてくださいとまで言えてもいいのではないか。
 損害賠償を請求するとか、そういうことは別になくても、中国が悪いとか国産がいいという話じゃなくて、いい場合も悪い場合もあると思うのですけれども、中国産をいつも国産と表示して、ほかのところが真面目に中国産とか何とか産とか書いてあるのに、そこだけは常に国産と言って例えばスーパーが売る。それで消費者がだまされて、国産なのに安いよと、お客さんはそっちのほうのスーパーにいつも行っているわけで、知らずに高いお金を払わされているのですから。
 消費者の目から見たら、選択を偽らせるという意味で言うと、原産国を偽るというのは、つまり消費者をだまして、できたら売上高をより上げたいという意図でないと、わざわざ書く必要はないわけですから、そういう意図でやっているわけですから、せめて差しとめができるようにしてもらうと、一挙に違ってきます。ありがとうございます。委員長の許可をとらずにしゃべってしまいました。済みません。

○河上委員長 今、齋藤委員がおっしゃったように、不正競争防止法という法律は、競争事業者との関係で市場の公正を守ることに特化した法律と位置づけられていること自体がそもそも問題で、独禁法も含めて、その背後には消費者保護の理念があるのだということをもう一度確認して、棚卸しをしてみるというのは、私も賛成でございます。
 ほかに何かございますか。唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 京都消費者契約ネットワークに伺いたいのですが、御意見の中の第2の不当景品類及び不当表示防止法の課徴金制度の中の2で、課徴金の使途について利用できる制度の枠組みの御検討をという御意見を頂戴したのですけれども、当初、適格消費者団体が差止請求するときに、正式名称は済みません、忘れてしまったのですが、基金ができていたと思うのですが、ああいうものをイメージされたりしていらっしゃるのでしょうか。

○河上委員長 いかがですか。

○京都消費者契約ネットワーク長野理事・事務局長 京都の長野ですけれども、消費者基金の現状については、当初あれはNPO企業責任フォーラムが管理して、たしか高先生が中心になって、日本ハムでしたか、偽装問題があったところから2,000万円、それから麗澤大学から500万円、2,500万円ぐらいの資金があったのですが、適格消費者団体の訴訟活動等について、1件当たり50万円着手金を払うときに8割払ってくれるということで、40万円ぐらいの補助をしてくれていたのですね。
 ただ、あれも資金が底を尽きかけているらしくて、我々が何年か前に申請した段階では資金がないので、新しいところに資金援助したいので、今まで資金援助したところからの申請はもう受け付けないということで、途中から我々も基金をもらえなくなっていて、今は多分もらったことのある適格消費者団体はもらえていないと思います。現在、どのぐらい基金が残っているかというのはチェックしていませんけれども、たしかあれはホームページとかであると思いますので、見ればわかると思いますが、現状はそういう形で利用できるような状況にはありません。
 この第2の2の制度は、むしろ振り込め詐欺救済法の残余金が預金保険機構に移管されて、日本財団か何かが犯罪被害者の援助のための基金として、たしか運用している、補助しているのだと思うのですけれども、ああいった形。本当は適格消費者団体の支援にあのお金も使ってほしかったのですけれども、今は法律上、振り込め詐欺救済法の20条か何かで犯罪被害者のために使うとたしか定められたと思います。ああいう形で、この課徴金を適格消費者団体の活動に使うと。まさにこれは消費者全体の被害でして、それが適切に消費者自身に返還するのがなかなか難しい事案が、表示の場合は結構多いと思いますので、まさに消費者全体のために活動する適格消費者団体に補助として使えるような形の基金にしていただきたいというのが趣旨です。
 恐らく、犯罪被害者の場合は預金保険機構がやるのはなかなか難しいので、日本財団かどこかに多分委託しているのだと思うのですけれども、消費者庁はこの適格消費者団体の事情もよくわかっていますので、消費者庁が交付先とかを決めるような制度でいいのではないかと思いますけれども、ぜひそのあたりの具体的な提言をしていただければと思います。これは、消費者庁も多分やる気になっているのではないかと思いますので、ぜひ後押ししていただければと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。石戸谷委員。

○石戸谷委員長代理 きょうの3団体で共通して出ている財政的な問題、ひょうごの理事長、副理事長から深刻な問題提起がありました。副理事長が言われているのも、結局、財政的な基盤と絡んでいる話じゃないかと、さっき聞いていて感じたわけですが、消費者庁国会の審議のときにずっと傍聴に入っていたわけですけれども、適格消費者団体に対する支援のあり方について検討して必要な措置を講ずるという附則が設置法5条に入っていますけれども、ここが余りきちんとできていないなと前から気になっていたのですが、今の話というのはそことも大いに関連する話であるなと、ますます思いました。
 それと、課徴金の使途の問題については、長野さんからお話が出ているようなことでありまして、きちんとした根拠というか、ものが打ち立てられれば、それはそれとして通用する話だと思いますので、具体的中身の意見があることについてはどしどし出していただくという形でいけば結構じゃないか。課徴金の議論がありまして、ずっと進んでいきますので、それにあわせて出していただければと思います。
 あと、全般的にきょう、具体的な重いテーマがいろいろと出まして、もちろん具体的に差止訴訟や何かの活動をやっていて、実務的にこうだという皮膚感覚でわかる話がさまざまあると思いますので、そこの部分は余りかっちりした形でなくて結構なのですけれども、情報としてぜひ具体的な話を出していただけると、こちらで考えるのに参考になると思いますので、こういう形でやるだけが意見交換じゃないので、ぜひその辺はもうちょっと情報交流がうまくいくような形でお考えいただければと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょう。よろしいですか。

○河上委員長 短い時間で大変恐縮でしたけれども、本当に有益な御意見をありがとうございました。
 最初のほうで、消費者委員会からの建議ではなくて提言になっているときには対応が甘いのではないかというお話もありましたけれども、個人的にはそんな感じは受けておりませんで、それぞれ意見であろうが、提言であろうが、関係省庁はかなり深刻に受けとめてくれてはおります。ただ、放っておくと緩みますので、フォローアップ等々を通じてしっかりと検証を行って、建議や提言等がちゃんと配慮されているかどうか監視を続けたいと思います。
 それから、適格消費者団体の財政基盤に関しては、皆様から御意見を伺っておりまして、これは消費者委員会としても対応しないといけない問題だということは認識しております。消費者基金とか、いろいろな方法があろうかと思いますけれども、皆様からもアイデアをいただきながら、消費者委員会として何が提言できるか真剣に考えてみたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
 本日いただいた御意見等についてはさらに検討して、消費者委員会としての活動の改善につなげていきたいと思います。これからもいろいろな形で御意見とか御提言を委員会のほうに出していただいて、また我々の活動に対しても御支援をいただければありがたいと思います。

≪3.閉会≫

○河上委員長 短い時間で大変恐縮ではありましたけれども、今日は本当にありがとうございました。
 引き続きまして、17時から143回消費者委員会本会議を開催いたしますので、御用意をお願いいたします。

(以上)