第96回 消費者委員会 議事録

日時

2012年7月24日(火)16:00~17:48

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 厚生労働省  佐々木医政局総務課保健医療技術調整官
医政局医事課担当者
健康局生活衛生課担当者
 消費者庁  金児消費者安全課企画官
片桐表示対策課長
消費生活情報課担当者
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.エステ・美容医療サービスに係る消費者問題について
○説明者: 厚生労働省  佐々木医政局総務課保健医療技術調整官
医政局医事課担当者
健康局生活衛生課担当者
消費者庁  金児消費者安全課企画官
片桐表示対策課長
3.地方消費者行政について
4.電気料金について
○説明者: 消費者庁  消費生活情報課担当者
5.その他
6.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:9KB)
【資料1】 「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」に対する実施状況報告について確認したい事項関連資料 【資料2】 医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)(案)関連資料(厚生労働省提出資料) 【資料3】 エステティックによる健康被害の相談等に対する対応等関連資料(厚生労働省提出資料) 【資料4】 「景品表示法等の執行について」関連資料(消費者庁提出資料) 【資料5】 「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」関連資料 【資料6】 東京電力の電気料金値上げ認可申請について(消費者庁提出資料)(PDF形式:113KB)
【資料7】 地方消費者委員会(名古屋)の実施報告(PDF形式:129KB)
【参考資料1】 地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた現地ヒアリング調査結果概要(PDF形式:246KB)
【参考資料2】 地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた現地ヒアリング調査の結果(PDF形式:361KB)
【参考資料3】 委員間打合せ概要(PDF形式:94KB)
【追加資料】 皆様へのメッセージ(案)(PDF形式:82KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第96回)」会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして、稲継委員が若干遅れて出席の予定となっております。
配付資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○原事務局長 議事次第と書かれた紙の後ろに配付資料の一覧をおつけしております。
資料1から資料4については、「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」の関連資料ということで、厚生労働省、消費者庁から御提出をいただいた資料になっております。
資料5が、「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議(案)」、関連資料になっております。
資料6といたしまして、東京電力の電気料金値上げ認可申請について、消費者庁から御報告をいただく際の資料です。
資料7といたしまして、地方消費者委員会を先週土曜日、名古屋で開催いたしました。その実施報告の資料をおつけしております。
参考資料1、2につきましては、地方消費者行政の建議案関係の実際の調査結果について、取りまとめたものになります。
参考資料3といたしまして、委員間打合せを7月17日に開催しておりますので、その概要をおつけしております。
不足がございましたら、審議の途中でお申出いただければと思います。
本日は委員会は5時半終了を予定しておりまして、終わりましたら、この場で記者会見を予定しております。申し訳ございませんが、傍聴の方はその段階で御退席をいただければというふう思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.エステ・美容医療サービスに係る消費者問題について≫

○河上委員長 それでは、早速、議題に入りたいと思います。
初めに、「エステ・美容医療サービスに係る消費者問題について」ということです。厚生労働省及び消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
消費者委員会では、昨年12月に「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」を、厚生労働大臣及び消費者担当大臣に対して発出いたしました。
建議事項としては4つほどございます。第1に「健康被害等に関する情報の提供と的確な対応」、第2に「エステ等を利用する消費者の安全確保のための措置」、第3に「不適切な表示(広告)の取締りの徹底」、第4に「美容医療サービスを利用する消費者への説明責任の徹底」を挙げておりまして、これらの建議事項への対応について、本年6月までにその実施状況の報告を求めることにいたしておりました。
本日は、厚生労働省及び消費者庁においでいただいておりますので、建議を踏まえたその後の実施状況等について御報告をいただいて、その後で質疑を行いたいと思います。
最初に、厚生労働省から御説明を15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○厚生労働省医政局医事課担当者 厚生労働省医政局医事課の課長補佐をしております江口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
厚生労働省の関係でございますが、建議事項マル1の(2)になります。(2)の項目は医政局の医事課と健康局の生活衛生課が関係しておりますので、順次、該当する部分について御説明をさせていただきます。
まず、平成13年に医政局医事課長名で、「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」ということで、無資格者による脱毛行為、アートメイク等の取扱いについて「通知」を出しております。内容については、都道府県に対して違反行為に関する情報に接した際には、実態を調査の上で、行政指導ですとか、悪質な場合には警察と連携を取るようにということを示しているものでございます。
今回、消費者委員会からの建議を受けまして、今年2月29日に開催いたしました全国医政関係主管課長会議と、3月23日付で発出いたしました通知において、平成13年の通知の趣旨を改めて周知いたしました。併せて、違反者に対する行政指導、警察への情報提供等による協力を重ねて依頼したところでございます。
また、3月23日付の通知においては、医師法第17条、これは医師でなければ医業をしてはならないことを規定したものでございますが、医師法第17条に係る疑義が生じた場合については、所管しております医政局医事課宛てに照会をしていただくよう依頼しております。照会の依頼と照会があった場合には、個別の事案に応じた適切な対応方法について助言をいたしますということは、この3月23日付の通知で、今回新しく示したものでございます。
今申し上げた実施状況の報告に関連いたしまして、委員の皆様から2点ほど御質問、確認をということでいただいております。
一つは、無資格者が医師でなければできない行為をやっているという情報に接した場合、担当課としてどのような対応をしているのかということでございます。まず、医師法17条に規定しております医業というものは、その行為を行うに当たりまして、医師の医学的判断や技術をもってするのでなければ、人体に危害を及ぼしたり、または及ぼすおそれのある行為、これを医行為というふうに言っておりまして、それを反復継続する意思をもって行うのが医業だというふうに整理しております。
ある行為が医行為に該当するか否かというのは、個々の事案に即して個別具体的に判断をする必要がございますので、問い合わせ等でそういう可能性があるのではないかという情報があった場合には、まずは最寄りの保健所に御相談をいただきたいという形で助言を行っております。場合によっては、担当する自治体の担当課に、厚生労働省から、こういった事案がありますということで情報提供をいたしまして、まずは実態把握を行って、必要に応じて警察との連携を図っていただきたいということをお願いする形で対応しております。
もう一つ、3月23日の通知を受けて、その後の都道府県等の対応状況について把握はしているのかという御質問ですけれども、現時点におきまして、通知発出後の都道府県等の対応については把握しておりません。医師法17条の疑義があった場合については個別具体的な相談に応じるので、その都度照会をしていただきたいという話も、3月23日の通知で併せてしたところですけれども、この点についても、今の時点ではまだ具体的な照会はないというのが現状でございます。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 健康局生活衛生課の鶏内と申します。続きまして、次の質問に答えさせていただきます。
まず、エステティックによる健康被害の相談等を受けた際の平成23年度の対応の調査結果について提出して、概要の説明ということでございます。消費者委員会の建議を受けまして、消費者行政部局と衛生主管部局との情報共有の連携、また、適切な対応等の促進に向けまして、現状の把握を行うため、各都道府県等衛生主管部局に対しまして、いわゆるエステティックによる健康被害の相談を受けた際の平成23年度の対応を確認しております。資料3-1をごらんいただけますでしょうか。こちらに調査結果の概要を示してございます。
調査の結果、エステティック等に関する健康被害の相談のうち、まつ毛エクステンションによる健康被害が194件中98件と約半数を占めており、そのうち89件につきましては営業者への指導が行われておりました。こちらの結果に関しましては、消費者委員会による都道府県に対するアンケート調査結果の当該建議事項の参考資料2で述べられていた結果でございますけれども、11件中10件が行政指導を行っており、脱毛やアートメイクに比べますと、まつ毛エクステンションの行政指導は活発に行われていたと報告されておりました結果と同様でございました。なお、まつ毛エクステンション以外の施術に関する健康被害の相談につきましては、アートメイクや痩身、脱毛や美顔等に関する相談でありました。相談への対応につきましては、店舗不明や相談者が希望しない場合など対応できない場合を除きまして、96件中84件の部分に関しましては、営業者への指導や消費者への助言、また、関係行政部局への情報提供が行われておりました。
次の質問でございます。まつ毛エクステンションについて、過去の通知を改めて周知する必要はないかということについて、説明させていただきます。
まつ毛エクステンションに関しましては、これまでも平成20年及び平成22年の通知によりまして、当該施術は美容師法に基づく美容に該当するものであり、施術により事故等の起こることのないよう営業者に対し周知徹底を図ることなどを都道府県に要請いたしまして、更に法令違反のおそれのある事案に対する指導や監督の徹底を図ることなど、対応をお願いしております。このようにまつ毛エクステンションにつきましては2度にわたり通知をしておりますが、現在、生活衛生関係営業等衛生問題検討会では、消費者への情報提供及び安全な施術の在り方について検討しております。国民に、まつ毛エクステンションによる事故実態を知らせることによって、衛生的かつ安全なまつ毛エクステンションの啓発をすることを目的といたしまして、全国の眼科医及び皮膚科医を対象にした調査を実施することが提案されました。今後、この調査結果を検討会に報告することとしておりまして、また、その進捗状況等にも応じまして、消費者や営業者に対する情報提供等周知を図りたいと考えております。
次の質問に移らせていただきます。都道府県等を通じての事例収集等、今後の対応方針についてということで説明させていただきます。
まず、エステティックにつきましては、先ほど、資料3-1を参考に平成23年度の対応ということで説明させていただきました。平成23年度の調査を行うに当たりまして、この通知におきましては、健康被害等の相談に対する対応を今般取りまとめておりますけれども、消費者部局と衛生部局との情報共有を促進することにも有益であると思われますことから、平成24年度におきましても同様のデータが得られますよう、この平成24年8月にも、生活衛生課長から都道府県等衛生主管部局長宛て通知をさせていただく方針でございます。今後、平成24年度の健康被害の報告結果を取りまとめまして、健康被害への対策や検討に役立ててまいりたいと思います。

○厚生労働省医政局医事課担当者 建議事項マル1の(2)の関係で、都道府県を通じての事例収集、具体的な対応等の周知という項目は、私ども医事課でも関係する部分がございます。具体的に医行為に該当する部分について、どういうふうな対応を考えているのかという点でございますが、先ほど説明がありました資料3-1、エステティックによる健康被害の相談等に対する対応、この中には、具体的に医行為に該当するようなものをやっているのではないかと疑われる事例も含まれております。私どもの方で何らかの対応をやっていて、それが全国的に他の自治体でも対応の仕方として参考になる可能性があるのではないかというところを幾つかピックアップいたしまして、現在、順次聞き取りをやっている状況でございます。
ただ、都道府県の本庁に現在問い合わせをしていますけれども、具体的な対応をやっているのは現場の保健所ということで、本庁の担当者ではなかなかわからないということが具体的な聞き取りを進めていく中でわかりました。これから、個々の実際に対応を行っている保健所に対して順次聞き取りを行っていって、事例の収集をしてそれを整理した上で、他の自治体にも参考になるものがあれば周知をしていきたいと考えているところでございます。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 続きまして、建議事項マル2について説明させていただきます。建議事項マル2では、「厚生労働省は、各施術ごとに、健康への影響等を分析し、必要に応じて各施術の技術基準や、衛生基準あるいは衛生管理のための指針を整備するなどの措置を講ずること」ということでございました。
6月に対策として回答させていただきましたところでは、まず、エステティックの衛生基準につきましては、財団法人日本エステティック研究財団により自主基準として平成8年に策定、または平成21年に改定しておりますエステティックの衛生基準というものを、広く関係団体に活用していただいており、また、eラーニングも実施してその周知を図っているところでございます。
これについての質問ということで、eラーニングにつきまして、平成22年度以降の実績について説明をさせていただきます。eラーニングにおきますテキストは、資料3-2として提出させていただいておりますエステティックの衛生基準を配布させていただいて、習得状況の評価として出題される内容につきましては、テキストを精読して、その内容すべてを理解しないと回答できないような出題構成となっております。出題数に関しましては、全50問のうち90%以上の正解を得た場合に知識を習得したものと認め、修了証が交付されるシステムとなっております。
次に、受講対象者数ですけれども、原則といたしましては、エステティックに従事している人及びこれからエステティックに従事する人が対象ではございますが、これらの人々がどれだけいるということは把握していないために対象者数はわからないところです。ただ、受験資格と受講資格というものは設けておりませんで、誰でも受講することは可能であるというものでございます。
受講者の職種につきましても、必須項目としてではないため比率はわかりませんけれども、エステティックに従事する方以外に関しましては、主に美容師や理容師あるいはエステ学校の先生などが受講しているというふうには聞いてございます。
次に、受講者数でございますけれども、平成22年度の運用開始以降、平成24年の3月31日までの修了者累計は247名でございます。
続きまして、建議に対する対応ということで、衛生基準があった上で個々の問題状況に応じて対応を行っているということで、報告させていただいたところです。その中で美顔につきましては、厚生労働科学研究でございます「エステティックにおけるフェイシャルスキンケア技術の実態把握及び身体への影響についての調査研究」ということで行っておりまして、これについての平成23年度までの調査の概要と今後のスケジュールについて、説明させていただきます。
まず、この研究に関しましては、施設の衛生管理の現状と健康被害の実態を把握すること、また、フェイシャルスキンケアを行う施術者の教育することを目的として実施されています。主な研究といたしましては、資料3-3と資料3-4をごらんいただけますでしょうか。
まず、資料3-3に関しましては、施設におきますフェイシャルスキンケアの実態調査といたしまして、民間資格を有しているエステシャンが所属する2,200施設へのアンケート調査を、資料3-3の調査票を用いて行いまして、回答は770店舗から得られています。そのうち衛生管理につきましては、資料3-2でごらんいただきましたエステティックの衛生基準の遵守状況を確認するための項目について主に調査をし、その現状を把握しております。資料の結果の概要につきましては、資料3-4にお示ししてございます。アンケート21項目のうち、80%以上の項目について実施していた施設は全体では28.4%でございました。衛生管理責任者を決めている店舗、全体の80%以上の項目を実施しているところは82.6%ございまして、また、衛生管理マニュアルのある店舗に関しましても、84.6%以上が21項目のうち80%以上の項目を実施しているということでございました。
結論といたしまして、日常的な衛生管理におきましては、衛生管理責任者の存在や衛生管理マニュアルの常備が重要であることが判明いたしました。今後、この課題の解消に向け、衛生管理を適切に実施するためのモデルとなるマニュアルやチェックリストの作成、また、その情報提供を行うことなどによりまして衛生管理の向上に役立てていきたいと考えております。
そのほかの主な研究といたしましては、国民生活センターに寄せられているエステティックに関する危害情報の分析を行っております。国民生活センターにおけるPIO-NETの情報で、2008年4月からの約2年間、危害件数1,157件の分析を行っています。美顔エステに分類された相談件数といたしましては、1,157件のうち544件、約47%を占めておりました。このうち、まつ毛エクステンションですとか、まつげパーマあるいはアートメイクといった相談件数が247件ございまして、美顔エステに分類された相談件数のうち、美顔というところに危害が報告されたところは297件と、全体の54.6%に当たるところでございました。

○山口委員長代理 今、おっしゃっているのは、資料はございますか。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 本日の資料として提出しておりません。申し訳ございません。
美顔の危害情報の内容の中で最も多かったのが、皮膚障害に関するところでございまして、美顔の中で72.7%を占めてございました。そのほか、熱傷や擦過傷、打撲などが報告されておりました。美顔における施術の中で最も相談件数の多かった皮膚障害につきまして、化粧品によると思われる接触性の皮膚炎が約半数を占めておりましたので、この結果を踏まえまして、化粧品の48時間閉塞パッチテストによる皮膚安全性の試験も行っております。こちらの試験に関しましては、原因と思われました化粧品などを含めて約22品目の化粧品の48時間閉塞パッチテストを行い、被験者といたしましては、21名の方に対して試験を行っております。
この結果は、22品目のうち3品に関しましては改善の余地がありという評価ではございましたけれども、いずれも、通常の使用でありましたら塗布後比較的短時間で拭き取るというものでございます。この試験のように48時間使用することはないことから、実際の使用には問題ないという判断はされたところでございますけれども、化粧品を使用する場合は、刺激物質の含まれた製品もあることを認識していただき、皮膚トラブルなどが起こった場合にはすぐに使用を中止していただくなど、適正に対応することが望まれました。したがいまして、化粧品など安全に使用するための知識や情報を事前にどれだけ習得して、また、把握していたかなどを調査いたしまして、平成24年度の研究といたしましては、施術者が安全に施術を行うための教育について、提言していきたいと考えております。
次の質問といたしまして、まつ毛エクステンションに関して検討会における議論の現状とスケジュールについて、また、こちらの研究につきましては、先ほど申し上げました検討会の中で、国民の方々に知らせるための消費者への健康被害の実態を把握するという、眼科医の方と皮膚科医の方を対象にする研究についても説明願いますということでございます。
まず、まつ毛エクステンションに関しましては、検討会、平成23年11月から現在まで6回行ってございます。現在は論点を具体的に整理しておりまして、その論点につきましては、資料3-5をごらんいただけますでしょうか。これらの論点につきまして、今後、取りまとめることといたしております。まずは、消費者の安全が第一であるということ、安全なサービスをどのように実施すべきかなどについて検討を行っていくところです。
この主な論点に関しましては、現状、美容師免許を義務づけて規制はしていますけれども、美容師以外に民間独自の認定制度によりまして、美容師免許を伴わない施術者により施術が行われています。また、美容師学校の多くはまつ毛エクステンションの教育を設けていないところがございました。なお、平成24年度からの美容師養成学校の教科書には、まつ毛エクステンションの項目を取り入れることとなっているため、養成学校でも教育として取り入れられる機会が増えることを期待しております。今後、美容師免許を伴わない施術者の資格の是非や、美容師免許を有する施術者に対する養成の過程の在り方ですとか、そういった点も含めた上で安全な施術の在り方を検討していくところです。
また、検討会において提案がございました、眼科医会や皮膚科医会に対する国民への健康被害の実態調査に関しましては、厚生労働科学研究の特別研究という形で本年7月から実施することになってございます。現在はアンケート調査の内容を検討しているところでございまして、今後、日本眼科医会、日本臨床皮膚科医会に所属している全国の医師約3,500名を対象にアンケート調査を行い、今年度末までには報告書をまとめる予定でございます。
次の質問でございます。エステの施設における衛生管理の実態を把握するようにというところでございますけれども、それ以外の施設に対する把握状況について説明をさせていただきます。
施設の実態調査に関しましては、平成23年度の自治体におけるエステティックに対する健康被害への対応について報告をいただいているところでございますけれども、今後、実態調査といたしまして、美顔につきましては、厚労科研で実施しているということもございまして、今年度はモデルとなる衛生管理のマニュアルやチェックリストなどの作成を行うとともに、その情報提供を行うことで衛生管理の向上に役立てていくこととしております。
まつ毛エクステンションに関しましても、今年度の厚生労働科学研究特別研究として実施してまいりますので、その結果を反映させてまた衛生管理に役立てていきたいと考えてございます。今後、個々の施術におきまして健康被害などが発生あるいは増加した場合に関しましては、必要に応じまして衛生管理の実態を把握し、その対策を検討していきたいと考えております。
また、エステティック研究財団におきましては、消費者側から見た施設に対する意識等の調査ということで、消費者の視点から見た調査を2012年1月6日~1月31日までの期間、ウェブ調査の実施を行っております。この調査に関しましては761名から回答が得られておりまして、この辺りの衛生管理にかかわる項目についても、今後の衛生管理に関するマニュアルやチェックリストに反映させていきたいと考えております。
最後の建議事項マル2に関する質問でございます。こちらも、先ほど申し上げましたように各施術ごと個々の対応をさせていただいておりますけれども、医療行為に関連しないものにつきましては、それによる健康被害への対応が必要になった場合など、その原因や健康への影響等を分析し、対策に講じていきたいと考えております。
以上でございます。

○厚生労働省医政局総務課佐々木保健医療技術調整官 続きまして、「建議3.不適切な表示(広告)の取締りの徹底」というところで、医政局総務課の佐々木より御説明申し上げます。
インターネットによる特に美容医療を中心とした表示に対して、厚生労働省の実施対応状況でございます。そこにもございますように、このたび検討会を開催しまして、先月、終了したのですけれども、こちらの検討をもとにガイドラインを国において作成したところでございます。まだ案ですけれども、それにつきましては資料2-1資料2-2にございます。2-1は概要で、2-2が本体になってございまして、現在、パブリックコメントにかけて広く御意見を募集している状況でございます。パブリックコメントにつきましては、7月10日~8月9日までの間、1か月間という形で御意見を募っているところでございます。
これによりまして、インターネット上の医療機関のホームページ、これはすべて対象になるわけですけれども、その内容に関する規範を定めたところでございまして、関係団体等による自主的な取組を促すという形でさせていただきたいと思っているところでございます。
内容に入りますけれども、資料2-1の「概要」をごらんいただきたいと思います。これは、医療法の規制に基づく医療広告ガイドラインというものをモデルにしまして、ホームページの方でも転用させていただく建付けになってございます。若干違うのは、美容医療を中心とした自由診療にターゲットを絞ったというところ。ホームページに掲載すべきでない事項のほかに、逆に消費者保護の観点から、ホームページに掲載すべき事項も書くようにという形でお示ししているものでございます。
ホームページに掲載すべきでない事項は、内容が虚偽にわたるとか、比較、誇大等々ございます。それから公序良俗に反するもの、他法令で禁止されているものといった、常識の範囲のものを書かせていただいております。逆にホームページに掲載すべき事項としては、通常必要とされる治療内容や費用等に関する事項、治療等のリスク、副作用等に関する事項、こういうものを書いてくれという形でお示ししているところでございます。
ガイドラインが完成した暁には、都道府県を通じて全医療機関に周知させていただくとともに、美容医療関係の団体にもこれをお願いしまして、傘下の会員に周知を図りたいと考えております。
また、全国への広告規制に関する周知でございますけれども、資料2-3でおつけしていますように、今年の2月29日に全国医政関係主管課長会議がございました。ここで、美容医療サービスを行う医療機関等の広告について、引き続き適切な指導等の周知徹底を図らせていただいたところでございます。連携についての御指摘もございますけれども、こういった住民からの苦情は管内の消費生活センターに寄せられるということもございますので、定期的な情報交換を行って、消費者行政機関との連携に努めるように、併せて都道府県の担当者に依頼をさせていただいたところでございます。
この建議につきまして、幾つか確認したい事項ということで御指摘をいただいております。ガイドラインのスケジュールにつきましてはパブリックコメント中でございます。
2点目、ガイドラインの実効性の確保といったところでございますが、今回、ガイドラインを都道府県に通知する際に、都道府県の方から問題事例、疑義照会の事例を報告していただく仕組みを併せて設けたいと思っております。
併せて、先ほどから連携の話を申し上げてございますけれども、消費者庁や国民生活センターとも連携させていただきまして、そうした情報の収集に努めて実態把握をする。その上で、今回のガイドラインは法律に基づく規制ではございませんけれども、なかなか守られていないという実態があるのであれば、その次の段といいますか、勿論そのときは有識者の検討会を開催してという手続は踏みたいと思いますが、規制的な手段も考えていきたいというふうに思っているところでございます。
3つ目、都道府県の対応の変化というところでございます。2月に主管課長会議で御説明して、実は本年6月から7月にかけまして、全国を7ブロックに分けて、医療広告に関する都道府県等担当者会議、個別医療広告だけを取り上げて、改めてその広告規制の趣旨等に徹底を図らせていただいたところでございます。まだそういう状況でございますので、今回、ガイドラインを発出して、その状況について、その後、いろいろ報告も上がってくると思いますし、都道府県の対応の変化はあるのではないかというふうには期待しているところであります。
4つ目でございますけれども、ホームページに行き過ぎた表現があるので、医療法上の広告規制としてどうかというところでございます。御指摘につきましては、まさに医療情報のあり方検討会で、規制という手段もオプションの一つとして検討会のテーマとして挙げさせていただいたところでございます。結論から言いますと、今回はガイドラインで対応しようということになりましたけれども、理由としましては、現時点で規制という形でかけてしまいますと、インターネットがこれだけ流布している中で、患者自らが知りたいと考える情報が入手できなくなるという不利益。多数の医療機関がホームページを開設している中で、いきなり規制をかけてしまう中でその規制の実効性がどの程度上げられるかといった点。それから、一般の医療機関のホームページでは、必ずしも対患者というだけではなく、例えば医療機関間の連携といった情報の受け手、対象が非常に広範にわたっている、その内容も多岐にわたっているということでございますので、そういった情報発信としての有用性。今回の問題は、どちらかというと本質的には自由診療に根ざしたというところがございます。一律保険診療を対象にした形で規制をかけるのはどうか、そういった等々のさまざまな議論がございまして、現段階では、ガイドラインという形で実効性の把握に努めまして、実態を見ながら今後については考えていきたいというふうに考えているところでございます。
最後、消費者保護の観点から、消費者庁との連携でございます。これにつきましては、御指摘どおり、景表法を所管している消費者庁、特にインターネット上の医療機関のホームページも勿論その対象になるわけでございますので、いろいろな実態、苦情等、情報を密に連携させていただきまして、今後の対応については考えていきたいと思っております。
建議3については以上でございます。建議4について、引き続き御説明させていただきたいと思います。
建議4は「美容医療サービスを利用する消費者への説明責任の徹底」でございます。これにつきましては、美容医療サービスの関連で非常にトラブルがあるということでございますので、説明と同意を得るべき内容等を盛り込んだ指針等の整備を図り、周知を図ることという御指摘をいただいているところでございます。
これにつきましては、御承知かと思いますけれども、いわゆるインフォームドコンセント、「診療情報の提供等に関する指針」というものをお示ししてございまして、この中で、医療従事者の診療情報の提供等に関する役割や、責任の内容の明確化・具体化を図っているところでございます。
また、繰り返しになりますけれども、2月の全国医政関係主管課長会議におきましては、このインフォームドコンセントの指針に基づきまして、美容医療サービスの提供に当たっては、代替的治療法がある場合には、その内容及び利害得失を丁寧に説明しなければいけない、そういったことにつきまして、都道府県等の担当者に対して依頼を申し上げている状況でございます。
この点につきましても、確認したい事項ということで3点ほど御質問をいただいております。
まず最初の点でございますけれども、「診療情報の提供等に関する指針」の中で、キャンセル時の取扱い、施術後の副作用等、盛り込む必要がないかというお尋ねでございます。この指針というのは、医療従事者にとりまして、どのような事項に留意すれば診療情報の提供等に関する職責を全うできると考えるか、そういうことを示す趣旨でございますので、当然ながら、施術とか、それによって生じる副作用、そういったものについては丁寧に説明していただくという形でございます。ただ、キャンセル時の取扱いについては、消費者契約の観点から当然ではありますが、この指針の趣旨としては、沿うものではない。むしろ医療従事者にとって必要な観点を、盛り込ませていただいている内容だというふうに考えているところでございます。
2点目でございます。説明後、書面を渡して同意を求めることが望ましいのではないかという御指摘でございますけれども、書面によって同意を求めるとなると、それを望まない方もいらっしゃるかもしれません。もしくは、医療機関と患者との信頼関係への影響を懸念される場合もあるかもしれません。どのような手段で同意を得るかは、状況に即した適切な方法によっていただくべきではないかというふうに考えているところでございます。
3点目でございます。これは、指針の見直し等について御指摘をいただいているところでございますが、基本的にはこの指針も、診療に関する情報提供等のあり方に関する検討会で御議論いただいた内容をまとめてこのように示させていただいておりまして、基本的なところ、重要なところは十分示されているのではないかと考えておりますので、引き続き指針の周知徹底を図っていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、消費者庁から説明をお願いいたします。

○消費者庁金児消費者安全課企画官 消費者安全課から御説明させていただきます。
資料1-1の最初のところでございますけれども、建議事項の「消費者庁は、都道府県に対し、消費者相談において、健康被害に係る情報や問題があると推測される情報を得た場合には、保健所等関係部局に当該情報を提供するよう要請すること」。につきましては、この3月に都道府県・政令指定都市に要請を出しました。御質問といたしまして、その後の対応状況について把握しているのであれば説明ということでございます。
平成24年3月22日、要請を出した後から7月18日までの間、PIO-NETに登録されたエステ・美容医療の健康被害に係る情報が126件ありました。そのうち、補償や返金関係が96件あり、これを除きますと30件になるわけですけれども、そのうち半数以上については、衛生主管部局への適切な情報提供や相談窓口の案内が行われていたことは確認できました。残りの案件についても、例えば病院へ行ったほうがいいかとか、どこへ法律相談をしたらいいかとか、そういった相談でありまして、それぞれ適切な助言が行われていたと思います。
昨年、消費者委員会が行った実態調査のアンケートにおいて、消費者行政担当部局から直接衛生主管部局へ情報提供がされていないと報告があった2つの自治体について、今回、改めて確認させていただきました。そのうち1つの自治体については、衛生主管部局へ情報提供を行おうとしたところ、衛生主管部局が既に入手していたため提供には至らなかったということでありまして、実質的に担当部局間で情報提供を行う体制は整っていると考えられます。もう一つの自治体においては、消費者に対し衛生主管部局の相談窓口の紹介を行うことにより対応しているとのことでした。
(3)でございますけれども、御質問といたしましては、建議後も危害報告が少なからず報告されていて、その件数、概要、無資格者が行っている等の事例を把握していればということでございます。ここは事前に私どもの方に御質問が届いていなかったので、十分にお答えできないかもしれませんけれども、件数については申し上げたとおりでございます。無資格者が行っていることが確認できた事例は、そういった報告があったことはございません。ただ、都道府県の中での情報提供がされているといったものについては、そういった疑いがあるものは、今、見た感じでは数件あるのではないかというふうに思っております。
また、御質問として、注意喚起等を行うに当たっての判断基準はあるのか、または行う必要がないかということでございます。私どもは事故について定期的な公表を行っておりまして、建議の後、消費者安全法に基づく重大事故の事例としては4件、重大事故以外の事故としては1件の公表を行っているところでございます。事故情報データバンクにおいても、こういった事故の公表を行っております。
そのほか、定期的公表以外の注意喚起を行うときには、被害の重篤性、発生数、事故の発生の拡大可能性、こういったものを考慮して行っておりますけれども、これまでの情報では、こういった関係について改めて注意喚起を行う必要のある事案はなかったと判断しております。
以上でございます。

○消費者庁片桐表示対策課長 表示対策課でございます。
私からは、資料1-1の4ページ、終わりの方でございますけれども、消費者庁で都道府県の景表法の所管部局に対しまして、医療機関で行う広告についても法執行を徹底しようということと、消費者庁自らも適切に行うようにという建議事項でございます。
これにつきまして、都道府県に提出した資料を示した上でどのように説明しているのか、説明を願います、消費者庁自身の取組についても説明をということでございますが、資料4-1の都道府県の担当課長会議に出した資料の後ろから2枚くらいめくったところで、「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題について」と題するページがございます。こちらを使いまして、4月26日の担当課長会議で、医療機関も景表法上の事業者に含まれる。これらが行うインターネット上の広告等に不当表示の疑いありという端緒に接した場合には、積極的に調査を行うことが望まれるということを伝えておりまして、消費者庁所管の法令執行担当者研修、5月15日開催の場におきましても同様のことを伝えているものでございます。
都道府県の対応状況等についてということでございます。こちらは、恐縮でございますけれども、個別の調査に係るものということで、お答えは差し控えさせていただきたいと考えております。
消費者庁としての対応でございますけれども、医療機関が行うインターネット上の不当表示に対しまして、今のところ、景品表示法違反として行政処分を行った事例はございませんけれども、引き続き、景品表示法に違反する事実が認められた場合には厳正に対処するという方針でございます。
私からは以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対して、御質問、御意見のある方は発言願います。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。ただ、正直言いまして、厚労省の御説明については、大変不満といいますか、何をやられているのかなと非常に疑問に思うことがたくさんございます。4点、御質問、御意見を述べさせていただきまして、御回答をいただければと思います。
まず1番目に、「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」という平成13年の通達が、ほとんど実効性を発揮していないという実情が現場の医者からも私どもの方には届いております。JRなどの交通機関の車内にも当たり前のようにエステの脱毛広告が出されています。キャンペーン価格を表示して、大々的に芸能人を使った広告がこれ見よがしにまかり通っています。しかも、その宣伝はフリーペーパーでもなされています。こういう実態について美容医療のお医者さんなどは心を痛めて、なぜ放っておくのかということで、保健福祉センター等のセンター長あるいは保健所の担当者にも再三意見を述べる。担当者の方が業界の人に個別に注意警告をすると、しばらくおとなしくなるけれども、また広告がはびこるという実態がまかり通っています。
この実態を踏まえて、厚労省ではなぜ何もなさらないのか。先ほど、口頭では警察との連携とおっしゃいましたが、実際にやっていないのではないですか。交通機関、その他の現場を見ていただくと、脱毛、その他について明らかに医師法違反の広告がなされているわけです。これはやはりきちっと、一罰百戒でいいですから、医師法違反の広告は許されないということをきちんと取締りしていただきたい。これは是非お願いします。ただ連携に努めますとかいう口頭の話だけでは、もう通らない実態ではないかと思います。
2番目に、ホームページの広告です。私も参考までに、今日の段階で美容医療の現場のホームページを見てみました。失礼ですが、佐々木さん、ごらんになったことはありますか。ひどくないですか。施術前施術後の写真とか、キャンペーン中の低料金とか、業界のテレビ宣伝をしているような大手のところのホームページが、こんな広告がまかり通っていいのかというような広告ですよ。あれ以上の広告がなくて何が広告かというぐらいの広告ですよ、あれは明らかに。
それを、この審議会で何をやったか知りませんが、広告ではないと。先ほどの言葉で言うと、余りにもインターネットによる広告がまかり通っているから、今更広告ということで規制することはできないというふうに聞こえました。つまり、これまで野放しにしていて、それが広がり過ぎて今更それを規制するのは大変だから、実効性がないとかいうおっしゃり方をしましたが、先ほど数字の説明があったけれども、これによってたくさんの被害が出ているわけです。やはりこれは、厚労省としてきちんと襟を正してやるべきではないか。自主規制基準でガイドラインをつくっても、あの人たちは守りませんよ。それはもはや明らかではないですかね。先ほどの回答として、様子を見るとおっしゃいました。では、様子を見て半年後にきちっとやってください。恐らく実態として何も変わりませんから、そこは是非お願いします。
3番目に、自由診療についての説明です。先ほどの説明でも、平成15年9月12日付の診療情報の提供に関する指針があるから、これを徹底すると言わんばかりのおっしゃり方でした。この厚労省の医政局長の通知を見ると、診療情報の提供等に関する指針というのは全く雑で、これが指針たりうるのかというぐらいのものですよ。一般原則で4行書かれているだけではないですか。4行の中身は、「医療従事者等は患者等にとって理解を得やすいように懇切丁寧に診療情報を提供するよう努めなければならない」、「診療情報の提供は、1、口頭による説明、2、説明文書の交付、3、診療記録の開示など、具体的な状況に即した適切な方法により行われなければならない」、これしかないです。こんなもので指針たりうるのでしょうか。これが平成15年で、それからもう9年たっているわけで、特に私は自由診療については問題だと思います。少なくとも自由診療についてはひどい実態がありますから、早急にこの指針を見直していただきたいと思います。
最後の質問は、以上の関係で私は消費者庁にもお聞きしたいのですが、厚労省に任せていたらこれは改善されないですよ。消費者のマインドを医療の現場にもちゃんと浸透させるべきではないか。先ほどのガイドラインの審議には消費者庁の黒田課長がかかわったとおっしゃっていますが、なぜ黒田課長はこんなガイドラインで済ませることについて黙っていたのかと思いますが、ガイドラインの策定あるいは宣伝広告の在り方について、きちんと消費者庁として関与すべきであるし、診療情報の提供、インフォームドコンセントとか、その辺の契約の適正化という観点から、診療情報の提供に関する指針について、お医者さんサイドの立場だけしか考えない厚労省に任せていたら、ろくなことにならないと私は思います。消費者の視点に立った意見を、是非、診療情報の提供に関する指針の策定に当たっては、厚労省は消費者庁と協議すべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
以上、4点です。ちょっと言葉が過ぎたかもしれませんが、本当に何とかしていただきたいと思いますので、お願いします。

○河上委員長 だいぶ時間が過ぎていますので、申し訳ないですが、簡単にお答えいただけるようでしたら、お願いします。

○厚生労働省医政局医事課担当者 1点目の医師法違反の話ですけれども、医師法第17条は医師の免許を有しない者が医業をやることを禁止しているという話でして、広告を禁止したものではなく、広告規制は別の話だということを御理解いただきたいと思います。その上で、警察との連携の話が形骸化しているのではないかという話がございましたけれども、平成13年の通知で、脱毛行為等具体的に医行為に該当するものを示して、医師免許を持たない人間がそのような行為を業として行った場合には医師法違反になりますということを示しております。
そういった具体的な取り扱いを捜査機関である警察が見て、実際にこういう事例があるけれども、これは該当するのかという照会を頻繁に受けておりますし、刑事訴訟法に基づく捜査関係事項照会というのが公文で来ることもあります。具体的に照会を受けた行為について医師法第17条に違反すると判断できるものは、その旨公文で回答しており、その後は我々としてはフォローはできていませんけれども、警察の方で検挙する事案につながっているという事例もございます。そういった意味では、平成13年の通知を出したことによって、警察との連携という点で一定の成果は出ていると考えております。

○山口委員長代理 医者ではない人が医療行為を行いますという宣伝をすること自体は、どうなのですか。医療法上、問題ではないですか。広告は放ったらかしですか。

○厚生労働省医政局総務課佐々木保健医療技術調整官 最初の御質問とあわせてお答えします。インターネット、ホームページの広告規制について厳しい御指摘をいただいています。消費者保護の観点というのは、我々もそこは一緒でございまして、そもそも医療法の広告規制というのは、普通の景表法と比較してあれですけれども、かなり厳しい形でこれまでも規制がされた中で、ただ、規制緩和という大きな流れの中で少しずつ緩和してきた、そういう世界があります。ただ、インターネットというのはどうしても個人がアクセスをしていく、アクションが入るというところから、目に入れたくなくても入る、いわゆる看板とか、チラシとか、新聞広告とは違うという位置づけの中で、これまで広告の規制の対象にしていなかったというのは事実としてございます。
今般、その中でも、先生がおっしゃるように、情報のツールとしてはインターネットを通じて情報を入手することがある。その現状に鑑みながら、我々としては、有識者を招いての検討会を開催させていただいて今回の結論に至ったというところであります。先生はドクター側に立ったというお話をおっしゃいましたけれども、この検討会のメンバーには患者代表の方もいらっしゃいますし、そういった情報関連分野にたけた方もいらっしゃいます。しかも、インターネットをどうするかというところについては相当議論が実際にございました。簡単にスッと、いろいろな不利益とか、実効性がなかなか保てないから広告規制の対象にしませんという形で決まったものではなく、相当の議論があって、ぎりぎりのラインでこのような形に落ち着いたものです。

○山口委員長代理 消費者委員会で調査をしたら、患者さんのほとんどはインターネットとフリーペーパーで美容医療のお医者さんを選んでいますよ。

○厚生労働省医政局総務課佐々木保健医療技術調整官 フリーペーパーは広告の対象に間違いなくなると思いますけれども、そういう意味で今回初めて、インターネットについて、規制とは言わないまでも、一つの規範を示させていただくことになります。しかも、単に出しっ放しということではなくて、先ほど御説明申し上げましたように、フィードバックの仕組みを設けて、しっかりその実態も把握しながら、今後につなげていく形も視野に入れたいと思いますので、消費者保護の観点、患者保護の観点は常に持ちながら対応していきたいと思っているところでございます。
それから、インフォームドコンセントの指針についての御指摘がございました。先生は先ほど、一般原則についてのみおっしゃいましたけれども、一般原則は10も20も項目があるのも変なので、一般原則は確かに4つぐらいしかないかもしれませんが、医療従事者が丁寧に説明しなければいけない事項としては、症状・診断、予後、処置、代替的治療法がある場合には、その内容、利害得失等々項目も,その後、示させていただいてございます。基本的なところというのは、シミとかそういう細かい個別各論まで書くものではないと思います。やはり基本的な方向性を示すのが指針だと思っていますので、そういう意味では十分示されているとは考えております。

○山口委員長代理 自由診療については放っておくのですか。自由診療について、特に金額的な面でも大きいし、しかも、美容医療とかは不要不急ですよ。

○厚生労働省医政局総務課佐々木保健医療技術調整官 放っておくということではなく、これは保険診療のみならず自由診療も対象でございますので、引き続きこの周知徹底を図っていくとともに、ガイドラインの周知を図ることとあわせて、都道府県の広告規制行政といいますか、それも改めて徹底してもらうように周知したいと思っております。

○河上委員長 消費者庁の方は何かありますか。

○山口委員長代理 今の話を聞くと、何とかしなければいけないと消費者庁は思いませんか。全く、業界サイドの話ではないですか。

○消費者庁金児消費者安全課企画官 今日は黒田課長が来ていないので、申し訳ありませんけれども、伝えたいと思います。

○河上委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 今、広告というのは自然に目に入るものだと。だから、それとネットとは違う、ネットはこっちから行くとおっしゃいましたけれども、今の時代はもう全く違っていて、バナー広告、スマホを毎日見ているときにどんどん広告が入るわけです。それを広告ではないという認識そのものがおかしいと思うのです。やはりそこの認識があって、今、山口委員がおっしゃったような追及でこの場合は規制しないとおかしいと思います。

○厚生労働省医政局総務課佐々木保健医療技術調整官 細かいところですけれども、バナー広告とか目に入ってくるものというのは、インターネットであっても広告の規制対象です。

○川戸委員 でも、同じことではないかと思いますよ。バナー広告だ何だって、これだけネット人口が増えているときに。

○河上委員長 ほかによろしいですか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 時間もないので中身の話は入りませんけれども、私は本当にこれはひどいなというふうに思いました。ここで担当の方にいろいろ言うレベルではなくて、消費者委員会として今後どうするかというのは、至急考えないと、建議を受けて、納得できない、あとは頼みます、ではしょうがないわけです。この後、至急この議題について、また有識者から今日の回答について意見を聞いて、消費者委員会で再建議するとか、小宮山大臣と直接会うとか何かしないと全くこれは問題解決しないと思います。

○山口委員長代理 是非、再検討をお願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。今、お聞きのとおりでして、私も含めて、対応については不十分であるという認識でございます。一つは、医行為に限って厚生労働省が自分のテリトリーを囲ってしまって、そこから外になるとなかなか出ていかないということがございます。他方で消費者庁は、勿論、すき間に対する対応をするということはありますけれども、厚労省のテリトリーに入ることについては若干遠慮もある。そうやって、結果的にはすき間に落ちてしまうものが出てくるというのは一番よくないことでございます。医療関連行為に関しても、お互いもう少し攻めの姿勢で、必要な対応を是非とっていただきたいと思います。
それから、国センのいろいろな情報の分析をなさったということですけれども、その分析結果をできましたら後でいただければと思いますけれども、よろしいですか。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 はい。こちらに関しましては、厚生労働科学研究、平成22年に実施しておりますので、その報告書ということでは公表もしてございます。

○河上委員長 是非よろしくお願いします。そのほかにも、実効性のある対応を是非お願いしたいと思います。
先ほど来問題になっております広告に関して、佐々木さんに御説明いただいた中で4つほど、インターネットのメリットの話をされましたけれども、伺っている限りでは説得力がなかったように思います。インターネット広告を自由にさせておくことのメリットよりも、患者に対して適切な情報が伝わるというメリットの方がはるかに大きいわけでして、その限りでは、何らかの形で広告の適正化に対する積極的な対応を是非お願いしたいと思います。
インフォームドコンセントについても、通常の医療についてのインフォームドコンセントの議論は当たり前のことですので、むしろ現在は、自由診療に関して出てきている問題を前提にして、どういうインフォームドコンセントが必要かというところに踏み込んで、指針の見直しをすべき時期ではないかということで、これまでやっている対応にはもう少し検討の余地があるのではないかという気がいたしました。同じ問題だというふうにお考えかもしれないですけれども、いろいろな医療行為の中で、特に患者にとって選択の余地の大きい自由診療に関して更に考えるべき点があれば、そこはプラスして考えていただきたいということでございます。
委員会としても、必要であれば更に検討することになります。先ほど、細川委員から御提案がございましたけれども、フォローアップしながら必要な対応をしたいと思います。
関係省庁におかれましては、建議事項について、順次取り組んでいただいていることはわかりましたけれども、成果があらわれるにはまだ時間がかかりそうであります。また、その後の進捗状況について御報告をいただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。今日は、お忙しいところをありがとうございました。

≪3.地方消費者行政について≫

○河上委員長 それでは、だいぶ時間がオーバーしておりますけれども、続きまして、「地方消費者行政について」でございます。
消費者委員会では、地方消費者行政の実情と課題を把握するため、担当委員と事務局が複数の自治体を直接訪問してヒアリングを実施いたしますとともに、6月26日、7月10日の委員会において、有識者の方々から、地方消費者行政活性化基金を通じた取組の評価、基金終了後における必要な支援策の在り方について、ヒアリングを行ったところであります。また、6月26日の委員会では、消費者庁より、地方消費者行政の充実・強化に向けた指針の原案について、御報告をいただきましたが、同指針については、7月12日に、地方消費者行政推進会議において正式に決定がなされております。
本日は、こうした指針や、各自治体、有識者の皆様からの御意見等を踏まえまして、消費者委員会として、基金終了後における地方消費者行政への支援等に関する建議を取りまとめたいと思います。お手元に資料5といたしまして、「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議(案)」、及び関連資料を配付させていただいております。この建議案に関しまして、吉田委員から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○吉田委員 それでは、建議案の説明に先立ちまして、「集中育成・強化期間における支援策の評価と今後の展望」について述べたいと思います。資料5-2、3ページ以下をごらんください。
集中育成・強化期間における活性化基金等を通じた支援等により、地方自治体において、相談窓口の設置件数や消費生活相談員の人数が飛躍的に増加するなど、地方消費者行政の体制整備は大きく進展し、当初の政策目標の一定程度は達成されたものと考えられます。
しかし、この間、消費者行政予算は活性化基金に依存する一方、自主財源の大幅な増加は見られませんでした。また、消費者行政を担当する職員の数もほぼ横ばいとなっており、これらのことは、集中育成・強化期間終了後において、地方消費者行政を持続的に展開する上での制約となることが懸念されます。
当委員会が行った現地ヒアリング調査結果においても、現行の実施体制、今後の体制維持等について、自治体において格差が見られることから、各自治体が持続的に消費者行政に取り組み、どこに住んでいても消費者の権利が守られる体制を整備するためには、国が財政・人材・制度・情報のそれぞれの面から、新たな支援策を講じることが不可欠であると考えられます。
消費者庁が新たに策定した、地方消費者行政の充実・強化のための指針においては、「どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくり」、「法の厳正な執行と連携強化」、「地域社会の消費者問題解決力の向上」との基本的方向性の下、地方消費者行政に積極的に取り組む自治体を引き続き支援し、自治体での取組を下支えできるよう、必要な財源確保に向け、最大限の努力をしていくとしていますが、地方消費者行政に係る自主財源確保の見通しが十分に立っていない現状の下で、「積極的に取り組む自治体への支援」にとどまれば、「どこに住んでいても消費生活相談を受けられる」最低限の体制を維持する上での国からの支援策が不十分になるのではないかとの懸念が残るところであります。
これらの評価を踏まえて、集中育成・強化期間終了後における国による支援策の在り方について、建議事項を提案したいと考えておりますが、建議事項を検討するに当たっての委員会としての基本的な考え方を、次の3つに整理しました。
建議案、5ページをごらんください。
第1点目は、地方消費者行政は、本来、各地方自治体が自主的に行う「自治事務」であることから、自治体自らが予算・人員の配置に努めることにより、その充実・強化を図ることが基本であること。
第2点目として、消費生活センターを一元的な消費生活相談窓口と位置づけ、全国ネットワークを構築することは、国の政策的な要請に基づくものであり、消費者安全法において、自治体による消費生活センターの設置が法的に要請され、同法に基づく消費者事故等の国への通知義務等の法定受託事務的な要素が強い業務に係る自治体の負担が新たに発生したことに鑑みれば、国は自治体に対して応分の財政負担を行い、自治体による基礎的な取組を支えることが必要であると考えられること。
第3点目は、活性化基金を活用して新たに相談窓口を立ち上げたところなど、芽が出たばかりで十分な成果を示せていない自治体においては、基金の終了とともに、相談窓口や消費者行政担当組織の縮小・整理が進み、地方の消費者行政が急速に後退する可能性が否定できず、これを回避するためには、当面の財政支援をしっかり行うとともに、これら自治体の早期の自立を促すための施策を重点的に講じるべきであること。また、自治体間における格差を是正するための支援策についても、更に拡充すべきであること。
以上であります。
これら基本的な考え方を踏まえて、次の11の項目について、建議をすることを提案します。建議案5ページ、後段以降をごらんください。
第1、消費者庁に対する建議。「国による地方に対するこれまでの支援策に係る検証・評価」。
地方消費者行政への支援策をより効果的なものとするためには、PDCAサイクルを実践することが不可欠である。集中育成・強化期間終了後の新たな支援策を策定するためには、同期間中における支援策の検証・評価が極めて重要となる。「指針」において大まかな検証・評価は行われているが、アウトカム指標や自治体間における指標の格差に関する定量的な分析、自治体へのヒアリング結果等の定性的な分析も含めた、より詳細な検証・評価を早急に行い、国が重点的に支援を行う必要のある地域やその直面する課題等を明らかにした上で、可能な限りその結果を公表すべきである。
第2、消費者庁及び関係省庁に対する建議。「活性化基金で新設・増設した相談体制維持のための財政支援等」。
活性化基金を活用して新たに消費生活相談体制を立ち上げた地方自治体を中心に、活性化基金終了後における体制維持のために必要な予算確保の見通しが立っていないところが多いと考えられる。活性化基金終了後の新たな局面へのソフトランディングを図るため、自主財源確保が困難な自治体が行う基礎的な取組を下支えするための最低限の財政支援については確実に措置するとともに、自立に向けた道筋がつくまでの当面の間においてはそれを継続すべきである。
また、厳しい財政状況の下での相談体制の維持や、より効果的な取組を行うための体制整備を目的として、広域連携や「よろず相談窓口」化などを模索する自治体が増えると考えられる。このため、先進事例の発掘・紹介などの情報提供をさらに強化するとともに、これらの取組を円滑化するための財政支援や制度的措置を講ずることにより、自治体における自助努力を積極的に促し、これを後押しすべきである。
第3、消費者庁及び関係省庁に対する建議。「地方消費者行政に係る国からの財政負担の在り方の検討」。
消費者庁の設置以降、消費生活センター・相談窓口の設立・運営、PIO-NETの追加配備に伴う相談内容・結果等の精査と入力、消費者安全法に基づく消費者事故等の国への通知、広域的に活動する悪質事業者への法執行等、法定受託事務的な要素が強い業務に係る地方自治体の負担が増加している。これに対して、地方交付税措置の拡充による一定の手当てが講じられているが、実際にはこれに対応した予算・人員の配分が行われていないことから、各自治体の消費者行政部局において、慢性的な繁忙化や機能低下といった問題が生じている。
このような状況を是正し、地方において持続的に消費者行政を展開する上での基礎を確立するため、自治体が主に国の政策的要請に基づいて行っている業務に係る負担の実態を把握した上で、これらの業務の遂行に要する財源をより確実に消費者行政担当部局へ配分するために必要な国からの財政負担の在り方について、地方財政法第10条に規定する国庫負担金や同法第16条に規定する裁量的な補助金等を含め幅広く検討を行い、必要な措置を講じるべきである。
第4、消費者庁及び総務省に対する建議。「消費生活相談員の雇止めの抑止・処遇改善等」。
消費生活センター・相談窓口の現場を担う消費生活相談員には専門知識や経験の蓄積等が求められるにもかかわらず、そのほとんどが臨時・非常勤職員として任用されている。相談員の専門性が高まったところで雇止めとなれば、相談員や地方自治体、地域住民のそれぞれにとって大きな損失となる。雇止めの抑止に向けて、消費生活相談員について一律に任用回数の制限を設けることは適切ではないことについて、自治体に対する周知を徹底すべきである。また、雇用期間・処遇面での改善を図るための選択肢の一つとして、消費生活相談員が「任期付短時間勤務職員制度」の対象となり得ることを明確化するとともに、専門性を要する消費生活相談員の雇止めを抑止し、適切に処遇するためのより柔軟な専門職任用制度の在り方について、検討を深めるべきである。また、消費生活相談員の専門職としての評価を高めるための資格制度やその法的な位置づけの在り方についても、早期に成案を得るべきである。
なお、消費生活相談業務の民間委託や指定管理者制度の導入については、その業務特性や住民に対するサービス水準への影響等を十分に検証した上で判断されるべきである。
第5、消費者庁に対する建議。「地方消費者行政に係る自主財源・人員確保等に向けた働きかけ」。
地方消費者行政の充実・強化を図るために、地方交付税措置が大幅に拡充されたにもかかわらず、その位置づけや政策的重要性に関する認識が十分に浸透していないことから、地方自治体においてそれに対応した自主財源や担当職員が配分されていない。自治体における予算編成や人員配置においては首長によるリーダーシップや議会の後押しが重要であることから、国から自治体の首長等に対して、地方消費者行政の位置づけや政策的重要性について改めて理解を求めるとともに、自主財源・人員の確保に向けた働きかけをさらに強化すべきである。
あわせて、警察・消防・福祉・教育など自治体の関連部局間における横断的連携体制の強化等を通じて、消費者行政を総合的かつ効果的に推進することについても引き続き要請を行うべきである。
第6、消費者庁に対する建議。「消費生活センター・相談窓口機能における自治体間格差の是正」。
開設間もなく、体制整備が不十分な消費生活センター・相談窓口等においては、相談の受付日数や処理能力等の面で制約があることから、支援・バックアップ体制を更に改善・強化すべきである。また、消費生活相談員資格を有する相談員の配置には自治体間において大きな格差が存在することから、同資格をより取得しやすくするための措置を講じるべきである。
なお、東日本大震災・原発事故の被災地においては、被災者の生活支援、震災にまつわる悪質商法の排除、放射性物質に係るリスクコミュニケーション等、消費者相談へのニーズが高まっているにもかかわらず、自治体機能の制約により十分な対応が行えない場合もあることから、財政・人員面での支援を含め、格別の配慮がなされるべきである。
第7、消費者庁及び関係省庁に対する建議。「都道府県における法執行力の強化」。
悪質商法等への対策を講じるにあたっては、国とあわせて都道府県における法執行を強化することが重要であるが、その実績には各都道府県間で大きなばらつきが見られる。都道府県における法執行の強化に向けて、都道府県の執行権限、執行体制、国や関係自治体との連携、国からの人的・技術的支援等の各面における充実・強化を図るべきである。
また、一つの都道府県で処分された悪質業者が他の地域で営業をするといった例が多発していることから、当該都道府県における処分の効果を全国に及ぼすことができるような制度の在り方について検討を行うべきである。
第8、消費者庁に対する建議。「消費者行政担当職員・消費生活相談員のレベルアップのための研修の強化」。
地方自治体における消費者行政担当職員や消費生活相談員の専門能力・意識の向上を図るためには、国民生活センター等が開催する研修への参加が有効であることから、現場のニーズを踏まえた、多様な研修プログラムを提供することが重要である。その際、研修参加のための出張費用の確保が年々厳しくなってきているとの現場の声を踏まえ、できるだけ地方における開催機会を増やすとともに、多様な研修手法を提供するため、地域の消費者団体や大学との連携やeラーニング等の活用も検討すべきである。
第9、消費者庁に対する建議。「基本マニュアル・相談事例集等の体系的整備・更新と自治体への提供」。
消費生活相談員や消費者行政担当職員が、消費生活相談や法執行能力を向上するためには研修に参加することが有効であるが、地方の消費者行政・相談窓口の業務運営において共通する基本的事項や全国的に多発している消費者被害への対処方法等については、国レベルで「基本マニュアル」や「相談事例集」等を体系的に整備・更新し、定期的に各地方自治体に提供することによってもある程度代替が可能であると考えられる。特に、立ち上げ間もない自治体においては、このような基礎的資料を提供することによる効果は高いと考えられることから、国や国民生活センターにおいて、その内容や実施方法等について検討を行うべきである。
第10、消費者庁及び関係省庁に対する建議。「消費者教育・啓発の推進」。
学習指導要領への消費者教育の導入、消費者教育推進法の国会審議等の動きを踏まえ、消費者庁や文部科学省等の連携の下、学校・地域等における消費者教育を推進するための地方自治体の取組に対する支援を強化するべきである。
また、消費生活センター・相談窓口の周知や全国的な問題に対する消費者啓発等、国レベルで一元的に実施した方が効率的かつ効果的な事項については、国や国民生活センターがより積極的に実施するべきである。
第11、消費者庁に対する建議。「消費者団体の育成・支援」。
消費者団体は、消費生活に係る相談案件の掘り起しや丁寧な情報提供等の消費者啓発活動を通じて消費者行政の基盤を支えている。地方消費者行政の充実・強化に向けた取組を推進する上でも、地域の消費者団体が果たす役割は大きいと考えられることから、消費者団体の育成・支援のための取組をさらに強化すべきである。更にこの一環として、各地域における適格消費者団体の設立や機能強化のための支援を行うべきである。
以上であります。
最後に、今後の課題として、「地方消費者行政の中長期的なビジョンの策定」について述べます。建議案9ページをごらんください。
地方消費者行政の自立が十分に進まない背景の一つとして、その目的や位置づけが必ずしも明確化されていないという問題が存在します。どこに住んでいても消費生活相談や情報提供・啓発等を受けられる、ユニバーサルサービスとしての消費者行政を実現するためには、地方自治体の存在が不可欠であります。消費者基本法において、国と自治体のそれぞれが消費者政策を推進する責務を有すると規定されていることを踏まえ、国と自治体が車の両輪として連携・協力し、消費者行政の充実・強化に向けて積極的に取り組んでいくことが求められます。
また、地方消費者行政は、住民と事業者の間における個々のトラブルを助言やあっせん等を通じて解決するためのものであると同時に、消費者にとって安全・安心な市場の形成を通じて、地域を活性化するという公共目的を有しています。特に、高齢化や格差の拡大等が進む中で、消費者行政に対しては、社会的・経済的弱者が消費者トラブルに巻き込まれることを予防し、また、事後的な救済を図るためのセーフティネットとしての役割を果たすことへの期待が高まってきており、地方消費者行政を地域における消費者の権利を守るための司令塔と位置づけ、他の関連施策と一体的に推進していく必要があります。
地方消費者行政が有する以上のような意義を明らかにし、自治体における消費者行政への取組を後押しするためには、国として財政面を含めた必要な支援措置を講じるとともに、地方消費者行政の中長期的なビジョンを策定することが必要であります。具体的には、消費者庁が「指針」の見直し・改定を行う中で、地方消費者行政の目的や位置づけ、提供すべきサービス水準、必要な予算・人員の規模や内容、人材の育成・配置と処遇改善、国・都道府県・市町村間における役割分担と費用負担、自治体間における広域的な連携、警察・消防・福祉・教育など関連部局との連携、地域の消費者団体等との連携・支援等の課題について、地域主権改革の趣旨をも踏まえつつ、中長期的に目指すべき姿を明らかにすべきです。
当委員会としても、本建議のフォローアップや委員会におけるその他の調査審議を通して、このようなビジョンの明確化に貢献するとともに、地方消費者行政に係る国からの財政負担の在り方や消費生活相談員の雇止めの抑止・処遇改善等、各省庁横断的な課題への取組において、積極的に役割を果たしていくものであります。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 消費者委員会として地方自治体にヒアリングをさせていただきました。その中から明らかになってきたのは、ほとんどのところが活性化基金終了後における財源確保の目途が立っていないということでございました。確かに活性化基金というのは、基盤整備の上で一定程度成果を上げた部分もございますけれども、ただ、ようやく基盤整備が緒についたところだというふうに私どもは受けとめておりまして、まだまだこれから基盤を拡充していく必要があると考えております。
ところが、消費者庁の今回出されました指針の基本的な考え方の中では、「地方消費者行政につきましては積極的に取り組む自治体を引き続き支援し、自治体での取組を下支えできるよう、必要な財源確保に向け最大限の努力をしていきます」、こういうふうにうたわれております。ですが、ようやく基盤整備が始まったところであるならば、積極的に取り組む自治体だけを引き続き支援しては困るわけでございまして、すべての自治体の底上げをしていただかなければいけないと思っております。したがいまして、今、吉田委員が読み上げました具体的な建議事項の中では、(2)の「活性化基金で新設・増設した相談体制維持のための財政支援等」のところで、とりわけ消費者庁に対して、きちんと地方消費者行政が整備されるまで、確実に当面の間はこういった財政措置が継続的に必要であると考えているところでございます。
国、地方自治体におきましても、この夏から秋にかけて来年度の予算が決められていくときに、ここで財政基盤のことについて強いメッセージを出さないとすれば、せっかく整備されかけた地方消費者行政のサービスが一層後退してしまうという危惧を強く持っております。そういう意味では、3年間、活性化基金という国の税金を使って整備した以上、それがより有効的に拡充される方向に是非考えていただきたいというふうに思います。ですから、この建議が関係省庁に十分くみ取っていただいて施策に反映されるよう、強く期待するところでございます。

○河上委員長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 私も今回の建議の意味は大きく2つあると思います。既に消費者庁で指針を出しておられますが、それを一歩進めて、6ページのところですけれども、財政措置の在り方について、消費者委員会として地財法の10条の国庫で負担すべきとする項目の中に明示するとか、あるいは16条の裁量的な補助金を含めて財政措置を講じるということで、具体的なシステムを含めて建議をしたことが大きな意味だと思います。この点、夏目さんもおっしゃったとおりのところですが、幸いにも7月20日の閣議の前の消費者政策会議で、会長の野田首相から、地方消費者行政の財政措置支援をしっかりするようにという指示もあったと聞いておりまして、これを具体的にシステム化、制度化していくことについて、より実効性のある対応を消費者庁、財政当局にもお願いすべきだと思います。
もう一つは、消費生活相談員の雇止めの問題ですけれども、先般、消費者委員会の委員間打合せに総務省の公務員課の担当者にもおいでいただいて種々議論をいたしました。非常勤の職員、しかし専門性が高い、しかし臨時制ではない、恒常的な専門性を発揮して住民サービスをやっていただくべき相談員の身分をどうするかということは、なかなか難しい問題があるわけですが、6ページの下から4行目にあるように、自治体に対する周知を徹底すべきだと。形式的な雇止めといいますか、任用期間の回数制限をなすべきでないということは強く言うべきだと思いますが、消費者庁長官の名前で各自治体に、任用回数の制限や雇止めについては余りきちんとやらないでほしいということを要請しているにもかかわらず、なかなか実効性が上がっていないという実情があります。
今般、消費者委員会としては、任期付短時間勤務職員制度の対象になり得るということ、更には7ページの注15に遠慮がちに出ていますが、「任期の定めのない短時間勤務職員制度」の導入を含めて、専門職の任用制度の在り方について、更に消費者庁、総務省と協議して、処遇の改善、あるいは雇止めでせっかく慣れてきた相談員が辞めさせられてしまうことにならないようにという制度化を図ることが必要だと思われます。私は、今回の建議で特に重要な点はこの2点だと思います。

○河上委員長 特に修正補充ということではないですね。

○山口委員長代理 はい。

○河上委員長 ほかにいかがですか。

○吉田委員 個人的意見だけ何点か申し上げたいのですけれども、まず第1点目、今後の課題のところにも書いてありますが、地方消費者行政というのは、地域住民の暮らしと安全を守るセーフティネットだという位置づけを明確にしていく必要があると思っています。消防、警察、病院のように、なくてはならないものだという認識を広げていく。そういう努力が活性化につながっていくと思われますから、委員会、消費者庁においてはそういう努力が必要だろうと思います。
2点目は、消費者行政は人が命だというふうに思っておりまして、優秀で熱意のある推進役となる人材をどう安定的に確保し育てていくか、それに必要な予算をいかに恒常的に確保するか。すなわち、骨格となる部分をきちんとつくっていくところが充実・強化のカギになるというところを、特に強調しておきたいと思います。
3点目として、消費者行政をどう活性化するかという、まさに行政の縦割りの中でどうするかということのみにとらわれずに、場合によっては抜本的な組織体制の見直しや改革をしていくという大胆な発想も取り入れて、地方消費者行政を活性化していかなければいけないと思います。アイデアはいろいろありますので、今後、中長期ビジョンの中にそれらを盛り込めたらいいなと個人的に思っております。
最後に、今回は地方消費者行政ということでの建議ではありますけれども、地域においては、消費者団体とか、市民だとか、そういう市民の力と行政の総合力をあわせて進めていく必要があるだろうと思っております。消費者行政をどうするかという狭い議論にとどまらず、例えば地域において消費者を主役とする地域づくりをどう充実・強化させていくのかという前提、主眼を拡張するような議論が必要かと思います。その中に消費者行政が推進役としてどう位置づけられて、どう充実・強化されていくのかということを、今後、国あるいは地方と協力して、考えて進めていく必要があるのではないかと考えております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
ほかにはよろしゅうございますか。
それでは、ただいま、特に皆様から修正の御意見まではいただいておりませんので、この建議案で御了解をいただいたということで、消費者担当大臣及び総務大臣等関係各大臣に宛てて建議を発出したいと思います。この建議につきましては、委員会終了後、この会場で私から記者会見をさせていただくことにしたいと思います。

追加資料配付)

○河上委員長 もう一つ、この機会に提案でございますけれども、実は地方消費者行政というのはいろいろな消費者行政の基盤になるということで、第1次委員会から消費者委員会では非常に重要な課題として取り組んできました。特に、各省庁の方に対して建議を発出して頑張っていただくということだけではなく、広く消費者問題に取り組んでおられる方々、とくに、地方の消費者行政に取り組んでおられる地方自治体の首長さんをはじめとする行政職員の方々、相談員、消費者団体の方、広く国民の皆様に対して、地方消費者行政は今、ターニングポイントにあって、下手をするとそれがだめになってしまうかもしれないという非常に重要な時期だということを御認識いただきたい。そこで、委員会としても、この建議と併せる形で「皆様」に対してもメッセージを発出できないかと考えております。
基本的には、ただいまの建議案、お認めいただきましたら建議になりますが、建議の内容を前提としたものでありますけれども、活性化基金終了後に、既に量的にはある程度拡充した消費者行政体制を維持するとともに、質的にもそれを充実・向上させていくことが大事だということ。せっかく芽が出た地方消費者行政について、基金等による支援がある前の状態に逆戻りすることは何としても避けたいということで、国として、是非とも安定した財源確保に向けた消費者支援策を講じることが不可欠だという認識を、皆様に対してももう一度強くメッセージとして送りたいということでございます。
今、紙でお配りしたものですけれども、その最後の辺りをごらんください。消費者庁・消費者委員会設置以降、約3年にわたって試行錯誤を行ってきた今こそ、消費者庁を設置し、全国ネットワークを拡充した意義を再確認するべきときである。また、本年7月に開催された消費者政策会議において、野田総理御自身も、「現場である地方消費者行政への、しっかりとした支援にあたっていただきたい」、そういう御指示もいただいたところでございます。この時期こそ、5年先、10年先の消費者行政の将来を見定めて、今一度、皆様の経験・知恵・創意工夫を結集し、一層の努力をすべきときであると考えていることをお伝えしたいと思います。消費者委員会として、これで終わりというわけではございませんので、今後、さまざまな機会をとらえてこの問題に取り組んで、地方消費者行政の更なる充実・強化に向けて全力を尽くしたい、こういうことでございます。こういう形でメッセージを建議の上に一つつけて、これを発出することをお認めいただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 文面については特に問題はなく、大変いいと思いますが、素朴な疑問で、「皆様へのメッセージ」の「皆様」というのは何なのかなという気がしますが、地方消費者行政にかかわる皆様ではなくて、国民の皆様ですか。

○河上委員長 国民の皆様も含めてということになります。ただ、とりあえずは、まさに消費者団体であったり、消費者行政の担当者であったり、自治体の担当者、あるいは相談員の方々というのが一番縁の深い方ではあるので、そうした人たちを念頭に置いてメッセージを送ったつもりではあります。けれども、国民はみんな消費者ですから、その意味では「皆様に」ということにもなります。よろしいですか。もっとパンチのきいた宛て先がありましたら考え直しますが。

○山口委員長代理 結構です。

○河上委員長 では、これも追加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

≪4.電気料金について≫

○河上委員長 次は、電気料金に関してです。

○原事務局長 事務局から、恐縮ですけれども、50分に松原大臣のところに先ほどの建議を手渡すということで移動しなければいけないので、意見交換も含め48分終了というところでお願いいたします。

○河上委員長 では、申し訳ございませんが、そのようにお願いいたします。

○消費者庁消費生活情報課担当者 本来、課長の長谷川が対応するところですが、国会の関係で、補佐の斎藤が対応させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
資料6、東京電力の電気料金値上げ認可申請ということで、結果についての御報告でございます。委員会からいただいた意見を踏まえまして、人件費、調達、事業報酬等々結果はこのような形になっております。
まず、人件費でございますけれども、管理職の方々について、3年間各年における年収を震災前と比較して3割超引下げ、また、法定福利厚生費のうちの健康保険料の企業負担割合を、50%に引下げとなっております。加えて、本社・支店の社員食堂に係る原価の控除等により、一般福利厚生費を震災前と比べて3割超を引き下げるとなっております。
2つ目、調達について、東京電力から表明していただきました「競争入札の導入比率を5年で60%を達成する」ことに対して、更なる前倒しを求めるとなっております。また、競争入札の導入状況について、一定期間ごとに公開を求めるとなっております。
3つ目、事業報酬でございますが、事業報酬から得た利益について、人件費への流入などが行われず、最大限特別負担金に充てることを確保すべく、主務大臣が確認することとしているとなっております。
4つ目、減価償却費、安定化維持費用、賠償対応費用について、消費者委員会からいただいた意見とは若干異なりますが、賠償、原子炉廃止措置、電気の安定供給の同時達成に支障が生じないようにするべきという説明が経済産業大臣より行われたことを踏まえ、こちらについては料金原価に算入するとなっております。
5つ目、燃料費と購入電力料について、日本原電からの購入電力料については、人件費と安全対策を除く修繕費、委託費等を削減し、約37億を削減するとなっております。
6つ目、規制部門と自由化部門の関係について、今後検討を進め、収益構造の適正化を確保する仕組みを作るとなっております。
値上げ時期については、消費者への十分な周知と夏の需要期を避けるため、9月1日となっております。
8つ目、フォローアップ審査について、規制部門と自由化部門のレートメークに関する検証を行うため、1kWh当たりの原価構成を含む情報開示を行うこととするなど適切な情報開示の在り方を検討し、実施するとなっております。
9つ目、制度改革と料金の在り方の消費者の参画について、検討内容に応じて、消費者代表を正規の委員とするなど適切な消費者の参画の拡大を図るとなっております。
以上を踏まえまして、これによって値上げ幅、東京電力が申請した10.28%から8.47%程度に圧縮されております。
手短ですけれども、以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
余り時間がございませんので、議論をする余裕はありませんけれども、これだけはという御意見がございましたら、お願いします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 消費者庁・消費者委員会としてどこまで役割を果せたかいうことについては、主観的にはそれなりにやったと思っていますが、8.47%というのは、率直なところ、残念、遺憾と言うほか個人的にはないと思っています。松原大臣は、7月13日の私どもとの会合では、私どもの意見は100%正しいけれども、それを貫いた場合には東電の経営が成り立たなくなって、電気安定供給ができなくなった場合、どうなるのかも考える必要があるということを言われまして、8.47%よりも低く下げた場合、東電の経営が成り立たなくなって、もっといろいろな費用がかかってしまうという御心配をなさっていました。
個人的には、6%でも十分東電は経営が成り立つと思ってはいたのですが、それだけのことをきちっと大臣に御説明するだけの資料や情報分析能力が消費者委員会にはなかったということかと思います。今回の教訓を生かして、消費者の声をよりきちっと反映させるための制度づくりといいますか、今回の教訓を生かしていく努力が必要だと思います。その意味では、そこそこ頑張ったけれども、ほろ苦い結果だったね、と個人的には言わざるを得ないと思っています。

○河上委員長 大臣自身は、新聞などでも報道されていましたけれども、委員会の意見をかなり正面から受けとめてくださって、一生懸命頑張って努力されたというふうには認識しております。現に、委員会の意見を取り入れていただいた部分はかなりあるわけですけれども、本丸であったところの事業報酬とか、福島の原発に関する減価償却費の扱いとか、いろいろなところについての結果はかなり厳しいものがあって、委員会として納得のできる形でなかったことは事実でございます。将来の課題として幾つか挙げられておりますけれども、この辺は経産省でまたしっかり対応されるという回答もいただいたと認識しておりますので、消費者委員会として、今後、その対応ぶりに対してモニターをし、しっかりと検証を続けていきたいと考えているところでございます。
今日はどうもありがとうございました。
それでは、時間との関係がございますので、本日の議題は以上にさせていただきます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉会≫

○河上委員長 事務局から、今後の予定をお願いします。

○原事務局長 次回の委員会ですけれども、8月7日(火曜日)の16時からを予定しております。
それでは、委員長と担当委員は、松原大臣に建議を手渡すということで移動していただきたいと思います。
記者会見ですけれども、大臣の手交が終わった段階でまたこちらに戻って、委員長はほかの会議もございますので、冒頭のみ出席いたしますけれども、その後、担当委員とで記者会見をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

(以上)