第73回 消費者委員会 議事録(修正版)

日時

2011年11月11日(金)16:00~18:38

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、
 川戸委員、田島委員、夏目委員、細川委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  黒田消費者政策課長
原嶋消費生活情報課長
前内消費者安全課企画官
金田消費者安全課企画官
 警察庁  世取山生活安全局生活経済対策管理官
池田刑事局捜査第二課特殊詐欺対策室長
生活安全局生活安全企画課担当者
刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止管理官付担当者
 金融庁  黒澤総務企画局企画課長
増田総務企画局市場課市場機能強化室長
横尾総務企画局市場課企画官
櫻井総務企画局企画課信用制度参事官室企画調整官
原田監督局証券課証券監督調整官
外崎証券取引等監視委員会事務局証券検査課長
 食品安全委員会事務局   新本リスクコミュニケーション官
 厚生労働省  木村食品安全部企画情報課大臣官房参事官
 農林水産省  強谷消費・安全局消費・安全政策課長
消費・安全局消費者情報官担当者
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
○説明者: 消費者庁  黒田消費者政策課長
原嶋消費生活情報課長
前内消費者安全課企画官
金田消費者安全課企画官
  警察庁  世取山生活安全局生活経済対策管理官
池田刑事局捜査第二課特殊詐欺対策室長
生活安全局生活安全企画課担当者
刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止管理官付担当者
  金融庁  黒澤総務企画局企画課長
増田総務企画局市場課市場機能強化室長
横尾総務企画局市場課企画官
櫻井総務企画局企画課信用制度参事官室企画調整官
原田監督局証券課証券監督調整官
外崎証券取引等監視委員会事務局証券検査課長
  食品安全委員会事務局  新本リスクコミュニケーション官
  厚生労働省  木村医薬食品局食品安全部企画情報課大臣官房参事官
  農林水産省  強谷消費・安全局消費・安全政策課長
消費・安全局消費者情報官担当者
3.貴金属等の訪問買取りについて
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:9KB)PDFを別ウインドウで開きます
【資料1】 消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策及び施策におけるヒアリング項目(PDF形式:27KB)PDFを別ウインドウで開きます
【資料2】 消費者基本計画(施策番号60, 46)関連資料(消費者庁提出資料)
(資料2-1) 未公開株等の取引を利用した詐欺的商法に対する取組状況(PDF形式:157KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料2-2) 金融機関に対する犯罪利用預金口座等に関する情報提供の迅速かつ確実な実施について(PDF形式:437KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料2-3) ワールド・リソースコミュニケーション株式会社の発行する社債を巡る消費者事故等に係る情報提供及び注意喚起(PDF形式:106KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料2-4) 「温泉付有料老人ホームの利用権」の勧誘に関する注意喚起(PDF形式:210KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料2-5) 「鉱山の採掘」や「鉱物」に関する権利の勧誘に関する注意喚起(PDF形式:214KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料2-6) 「鉱山の採掘」や「鉱物」に関する権利の勧誘に関する注意喚起(第2報)(PDF形式:234KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料2-7) 多重債務問題改善プログラム(PDF形式:231KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料2-8) クレジットカード現金化について(PDF形式:21KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料2-9) クレジットカード現金化について(消費者庁HP)(PDF形式:364KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料2-10) クレジットカード現金化について(チラシ)(PDF形式:358KB)PDFを別ウインドウで開きます
【資料3】 消費者基本計画(施策番号62, 48)関連資料(金融庁提出資料) 【資料4】 消費者基本計画(施策番号60, 46, 50, 51, 52, 44-2)関連資料(警察庁提出資料) 【資料5】 消費者基本計画(施策番号67)関連資料(消費者庁提出資料)(PDF形式:252KB)PDFを別ウインドウで開きます
【資料6】 消費者基本計画(施策番号21)関連資料(消費者庁提出資料)
(資料6-1) 意見交換会の開催についてのお知らせ(PDF形式:687KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料6-2) 「食品と放射能」の問題に関する消費者庁の取組(PDF形式:105KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料6-3) 放射性物質検査機器の第1次配分について(PDF形式:86KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料6-4) 放射性物質検査機器貸与の第1次申請状況(PDF形式:76KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料6-5) 空間線量率(PDF形式:299KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料6-6) 放射性物質検査機器の貸与に係る第2次申請の受付等について(PDF形式:76KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料6-7) 東日本大震災についてのお知らせ(消費者庁HP)(PDF形式:263KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料6-8) 食品と放射能Q&A (資料6-9) 個体識別番号一覧(福島県内農家出荷分)(昇順)(PDF形式:699KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料6-10) 個体識別番号一覧(福島県以外農家出荷分)(昇順)(PDF形式:718KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料6-11) 意見交換会の開催についてのお知らせ(PDF形式:513KB)PDFを別ウインドウで開きます
(資料6-12) 放射性物質による食品への影響に係るリスクコミュニケーション等の活動について(お願いとお知らせ)(PDF形式:292KB)PDFを別ウインドウで開きます
【資料7】 消費者基本計画(施策番号21, 22)関連資料(厚生労働省提出資料) 【資料8】 消費者基本計画(施策番号21, 22)関連資料(農林水産省提出資料) 【資料9】 貴金属等の訪問買取り被害抑止と特定商取引法改正についての提言(案)(PDF形式:81KB)PDFを別ウインドウで開きます
【参考資料1】 新開発食品調査部会関連資料(PDF形式:114KB)PDFを別ウインドウで開きます
【参考資料2】 食品表示部会関連資料(PDF形式:17KB)PDFを別ウインドウで開きます
【参考資料3】 特定保健用食品の表示許可に係る答申関連(PDF形式:96KB)PDFを別ウインドウで開きます
【参考資料4】 食品衛生法施行規則の改正に係る答申関連(PDF形式:32KB)PDFを別ウインドウで開きます
【参考資料5】 委員間打合せ概要(PDF形式:17KB)PDFを別ウインドウで開きます
【追加資料】 食品安全委員会パンフレット(http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3486501/www.fsc.go.jp/sonota/pamphlet/2010/pamphlet2010_jap.html)
※この資料は、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP(http://warp.da.ndl.go.jp/)に保存されております。

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから、「消費者委員会(第73回)」の会合を開催いたします。
なお、本日は、所用により村井委員が御欠席、川戸委員が若干遅れて御出席の予定となっております。
また、前回に引き続きまして、本日は、審議の関係で18時30分ごろの終了を予定しておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
初めに、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○原事務局長 「消費者委員会(第73回)議事次第」と書かれた裏面に配付資料の一覧を載せております。
資料1といたしまして、本日お願いしております、消費者基本計画の検証・評価・監視に係るヒアリング対象の実施の施策と、施策におけるヒアリング項目です。
資料2~資料8につきましては、それぞれの施策についての関連資料ということで関係する省庁から提出していただいている資料で、その都度の紹介ということで割愛させていただきます。
資料9といたしまして、「貴金属等の訪問買取り被害抑止と特定商取引法改正についての提言(案)」をお付けしております。
参考資料1~4につきましては、新開発食品調査部会、食品表示部会についての関連資料になります。
最後に参考資料5としておりますのは、11月4日に委員間打合せを実施しておりますので、その概要をお付けしております。
資料の不足がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
事務局からは以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 それでは、早速、議題に入りたいと思います。
本日は、当初予定しておりました「消費者基本計画の検証・評価・監視について」に加えまして、「貴金属等の訪問買取りについて」を議題として取り上げたいと思います。
最初に、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」でございます。これについては消費者委員会として、重要課題と考える項目の今年度の施策の実施状況等について、第71回の委員会からヒアリングを行っているところであります。本日は、その第3回目といたしまして、資料1にありますように、取引の適正化に関する施策である60、62、48、46、50、51、52、44-2、公共料金に関する施策である67、食品の安全に関する施策である21、22番について、それぞれ関係省庁においでいただいておりますので、これについてヒアリングを行いたいと思います。
ヒアリングの進め方ですけれども、最初に取引の適正化に関する施策について、これはすべて関連する施策でもありますので、合わせて御説明をいただいて、その後、質疑を行いたいということでございます。引き続き、公共料金等に関する施策、最後に、食品の安全に関する施策についてヒアリングを行いたいと思います。
なお、資料1にありますように、委員会でお伺いしたい内容をヒアリング項目としてまとめまして、あらかじめ各省庁にお伝えしておりますので、こちらを念頭に御説明をいただければありがたいと思います。
初めに、取引の適正化に関連する施策ですけれども、本日は、消費者庁、金融庁、警察庁においでいただいております。消費者庁、警察庁、金融庁の順で関連する施策について御説明をいただき、その後、まとめて質疑を行いたいと思います。
それでは、消費者庁から説明をお願いいたします。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長でございます。
お手元にあります資料2のグループを、一気にまとめて説明したいと思います。事前にいただいた御質問で言いますと、60のQ1、Q2、Q4、46に関連する中身でございます。
まず、資料2-1ですが、「未公開株等の取引を利用した詐欺的商法に対する取組状況」ということで、最近の相談件数をフォローした数字が、1の「現状」でございます。未公開株、例えば公社債、ファンド型それぞれについて、依然、相談件数が残念ながら増えていることは事実としてございます。特に今年度について言えば、未公開株、公社債、今の傾向を単純に伸ばすと、両者合わせて昨年と同じくらい、1万5,000件くらいになるのではないかというペースで今年度も推移しております。
中身を少しだけ見ますと、そもそもこういう業者は怪しいのではないかとか、これはどういうことかとか、いろいろな相談が含まれますけれども、実際にお金を払ってしまった人たちというのは、傾向的に比率として見れば、一応減ってはきているということです。注意喚起等をしているので、通報とかそういったことも増えているのではないかと思います。ただ、例えば未公開株とか公社債については、実際にこの中でお金を支払われた人たちは4割を切るぐらいまで下がってはきていますけれども、件数で見ると、絶対数で言えば数は増えてきているということなので、相談状況を見ながらしっかり対応していかなければいけないというふうに考えております。
何度もこの場で説明させていただいてはいますけれども、そういった状況を踏まえまして、関係省庁と連携しまして、「新たな手口による詐欺的商法に関する対策チーム」というのを置いて、22年3月に、大きく言えば以下の3つの対策を取りまとめております。「情報集約から取締りまでを一貫的かつ迅速に行う体制の構築」「注意喚起、普及啓発の強化」「被害の抑止・回復の迅速化等に向けた制度の運用・整備の在り方の検討」ということでございます。
資料の2枚目以降に、それぞれ具体的にどういった施策を講じてきたかというのを書いております。これは関係省庁がまとめたペーパーになっておりますので、説明については、それぞれの省庁からということで省略させていただきたいと思います。
資料2-2について見ますと、特に御関心の点で、「口座凍結制度の積極的運用が重要と思われる」ということで、マニュアル等をつくるなどして周知する必要があるということですけれども、政府全体としても「消費生活侵害事犯対策ワーキングチーム」で申し合わせて、積極的に使っていきましょう、呼びかけましょうということで、実際その申合せに基づきまして、消費者庁としては、関係都道府県の消費者行政担当部長宛てに情報提供の迅速かつ確実な実施について、お願いをしているところでございます。
2-2の別添1はその申合せでありまして、別添2を見ていただきますと、こういったフォーマットで送ってはいかがですかというようなフォーマットも併せて送っております。実際にこのフォーマットを送ったのは22年7月です。運用状況を見ますと、これまでは実質的に例えば消費生活センターからの通報は余りカウントもしていなかったのですけれども、百数十件ほど提供件数もあって、それなりに利用されている、着実に成果は上がっているとは思いますが、現場の声を聞きますと、実際にどういう基準で通報するかわからないとか、情報提供をしてもその後どうなるかわからないとか、自分たちだけで提供していいものだろうかとか、そういった声も実際に消費生活センターの方から上がってきましたので、私どもの方でそういった声に応える形でQ&Aを作成して、各消費生活センター、自治体に配布して、口座凍結についてよくある質問について配っております。それを活用しつつ取り組んでいただきたいという文書を出したのが、資料の2-2でございます。すみません、資料の説明の順番が前後しましたが、22年7月に別添2を出した上で、資料2-2の文書を今年の9月にQ&Aと一緒に配布しておりまして、委員の皆さんの問題意識に沿うような形で運用を図るようにしております。
このQ&A自身はかなり実務的で、細かいQ&Aとして作成しておりますので、この場で配付するには余りふさわしくないと思いましたので、配付は省略しておりますけれども、各相談員さんの手元で、例えばどこまで事実関係について調べればいいかとか、実際に間違っていた場合はどうしようとか、相談員の方が感じがちな疑問点について答える形でQ&Aをつくって配付させていただいております。
それについては以上でございまして、具体的に消費者庁として、利殖商法等についてどういう取組みをしているかということについてです。金商法とかいろいろな法律がありますけれども、それに必ずしも当てはめにくいものについて取り組む法律としては、消費者安全法という法律を消費者庁は所管しておりまして、それに基づいて、事業者名を挙げながら、資料2-32-42-52-6にありますような形で、消費者の方々に対して実際にそういう商法を展開している事業者名を挙げながら、そういった事業者の商品には手を出さないようにという形で注意喚起を行ってきております。
現状では件数はこの程度でございますが、実態を把握して、その事業者が実際に悪質な勧誘なり、そういうことを行っているというのを、書面等や被害者の方から聞き取った上で注意喚起を出しているということです。更に、実名公表だけではなく、有効な行政的措置ができるかどうかということについては、引き続き庁内で検討しているところでございます。
取引面については以上ですけれども、資料2-7として、「多重債務問題改善プログラム」ということでお手元にお配りしております。これが、多重債務問題についてのいわゆる借り手対策といいますか、多重債務者対策本部という関係省庁がメンバーになっている本部で決定したプログラムでありまして、これを実行していくということであります。
簡単に概要を説明させていただきますと、2ページ目にあるのが、まず柱としては、「丁寧に事情を聞いてアドバイスを行う相談窓口の整備・強化」、窓口を整備・強化するという話。先に進んでいただきまして、6ページ辺りが生活再建に関連してくると思いますけれども、「借りられなくなった人に対する顔の見えるセーフティネット貸付けの提供」ということでございます。ここに考え方がございますが、自己破産・個人再生等の債務整理と併せて、問題解決の一つの選択肢として、セーフティネット貸付けの提供についても検討が必要だということで幾つか施策を掲げております。実際にセーフティネット貸付けについて、7ページ以降、厚生労働省等が取り組むということになっておりますし、8ページには、生活保護制度・最低賃金制度、こういった取組みも併せて行うということです。9ページの「金融経済教育の強化」、11ページの「ヤミ金の撲滅に向けた取締りの強化」といったのが主な柱でございまして、これをしっかり政府全体で推進していくということでございます。
クレジットカード現金化について特に言及がありましたので、その取組みについて紹介させていただきますと、資料2-8でございます。クレジットカードの現金化というのは、商品やサービスを後払いで購入するために設定されているショッピングの枠を、現金を入手することを目的として利用している。キャッシュバック方式といって、ネットなどを通じて、実際の商品、事実上、例えばビー玉とか、ほとんど金額に見合う価値がないと思われる商品を販売したことにして、すぐネット銀行などを通じて預金口座に振り込まれるやり方と、実際に買った商品を買い取る業者に持っていってそこで現金を受け取る、そういったやり方で現金化が行われております。
これは私どもとしては、結局は債務を増やして支払い困難が起きかねないこともありますので、根本的な解決には全くならないという観点から、消費者の方々に対して、こういった利用をしないようにということで注意を呼びかけ、キャンペーンなども行うことで取り組んできております。消費者庁自身は、直接こういうのを取り締まる法律を所管しているわけではないので、具体的にアクションをとる術もないのですけれども、ただ、こういう債務の問題にも加えて、カードのショッピング枠を現金化するのは、カード規約自体にそういうことはしてはいけないと、規約違反と位置づけられております。消費者の利益を不当に害する勧誘が平気で行われている状況というのは、債務問題に加えて、消費者問題としても問題があるのではないかというふうに思っております。そういったこともあって、具体的にそういう勧誘なども相談状況を見ながらフォローして、何か必要な対応がとれるかどうかというのは引き続き検討していきたいと考えております。
駆け足ではございますが、消費者庁からは以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
続きまして、警察庁にお願いいたします。

○警察庁世取山生活安全局生活経済対策管理官 警察庁の生活経済対策管理官、世取山と申します。よろしくお願いいたします。
警察庁の関係は、私から概略、全体像を御説明を申し上げて、更に一部、他の担当者から補足を申し上げたいと考えております。
まず、利殖勧誘事犯の摘発状況でございます。既に都道府県警察から報告を受けている範囲でということで申し上げますと、本年、未公開株関係、1月1日以降でございますけれども、7事件35名を検挙、社債関係は8事件33名を検挙、ファンドが16事件45名を検挙。最近では、水資源の開発権ですとか、二酸化炭素の排出権の取引ですとか、鉱物の採掘権ですとか、実態不明あるいは架空の権利の売買を装うものもありますけれども、これが3事件29名の検挙。過去の投資被害の救済を装う手口というのもございまして、これが5事件33名を検挙しております。全体として、摘発事件数、摘発された被疑者数が前年同期と比べて増加しているところでございます。
犯罪利用口座の凍結状況は、1月から9月末までの数字ということで御理解をいただきたいと思いますけれども、今、説明申し上げたような未公開株、社債、ファンド、怪しげな権利、投資被害の救済を装うもの等々を利殖勧誘事犯と称しておりますけれども、これが合計で2,331件。これは、口座凍結を求めて金融機関に情報提供した情報の件数2,331でございます。ヤミ金融事犯が1万5,798件、振り込め詐欺の関係が5,760件でございます。いずれの累計でも、昨年よりも提供件数が増加しているという状況でございます。
今後の利殖勧誘事犯対策でございますけれども、6点を申し上げたいと思います。うち最初の2点は、前回5月のヒアリング以降新たに始めたことということで御理解をいただきたいと思います。
1点目は、法人名義の預貯金口座の開設時審査の厳格化を、全国銀行協会と株式会社ゆうちょ銀行に私のほうから申し入れました。この背景といたしましては、先ほど黒田課長から御紹介がありましたけれども、利殖勧誘事犯の被害が残念ながら高止まりの状況にあるということでございまして、その中身を私どもなりに分析をしたところ、この利殖勧誘事犯において法人名義の口座が悪用されている。利殖勧誘事犯に悪用されている口座というのは法人名義の口座が圧倒的に多い。ほとんどすべてであるということが判明しております。これは、ヤミ金融や振り込め詐欺に悪用される口座が個人名義口座が中心であるのと比べて、非常に対照的でございます。こういった分析結果を踏まえまして、先ほど申し上げたように申入れを行った。
その概要でございますけれども、開設の申込みがあったときに審査期間をきちんと確保していただきたい。それから、来店者の本人確認資料は基本的にコピーをとっていただきたい。コピーをとらないで筆写して保管する方法も法的には認められておりますけれども、これでは誤記のおそれ、判読が困難になるおそれ、あるいは偽造文書を行使されたときに、誤記をしたのか、あるいは偽造文書を行使されたから実在しない番号の身分証明書になっているのかが、事後的に判別がつかない。中には法人名義の口座を開設しようとして来店しているにもかかわらず、例えば自分の運転免許証のような身分証明書のコピーを嫌がる方がいる。これは非常に不審ではないか。不審かどうかを見分ける一つのチェックポイントとして使えるのではないか、ということでこの点を申し入れております。
法人名義の口座で犯罪に利用された疑いがあるということで、私どもが凍結を求めたものの名義人たる法人の所在地について調べましたところ、バーチャルオフィスに所在しているものがかなりの数にのぼることも、我々の分析の結果、判明しております。バーチャルオフィスの場所というのは、多くの場合、ウェブサイト上で所在地が公表されておりますので、申込者たる法人の所在地と公表されているバーチャルオフィスの所在地、これは簡単に照合することができます。勿論、バーチャルオフィスを使っていたら必ず悪いとか、全部断れとか、そういうことを言っているわけではありませんけれども、バーチャルオフィスを利用しているにもかかわらず、そのことを秘して口座を開設しようという場合には、やはりそれは慎重な審査が必要であろう。それを見極めるためには、そういった照合であれば比較的簡単に誰でもできるということで、金融機関にはその点の申入れをしているところでございます。
今日、配付させていただいた資料の4-1を御参照いただきますと、これを受けてゆうちょ銀行におきましては、11月1日から、ここに記載のとおり審査の厳格化を開始していただいているところでございます。他の金融機関よりも踏み込んだ内容で、私どもとしては非常に評価できる内容であると考えているところでございます。今後は、金融機関ごとに、私どもが犯罪に利用されたという疑いで凍結を求める件数とか、あるいは相談苦情にどこの金融機関の口座が名指しされているのかといった数を、モニターを引き続き継続いたしまして、増えているとか、減っていないとか、減り方が鈍いといった金融機関については、別途、原因を私どもなりに分析して、更なる対策を求めていくことを考えているところでございます。それが1点目でございます。
2点目としては、資料4-2の裏側をごらんいただきたいと思いますが、これは、犯罪対策閣僚会議の下に設けられた、「消費生活侵害事犯対策ワーキングチーム」ということで、私もメンバーになっておりますけれども、ここにおいてこの申合せをしたところでございます。関係省庁の窓口に寄せられるさまざまな相談があるわけですけれども、その中には、犯罪被害、利殖勧誘事犯等の被害に遭ったという内容のものも少なからず含まれているというふうに承知しております。それが必ずしも私どもに御提供いただけていない状況もあったことから、勿論、これは相談者の同意が大前提でございますけれども、同意を得ていただいた上で、そういう疑いがあるものについては私どもに御連絡をいただく。霞が関レベルでは私のところに御連絡をいただき、都道府県においても、それぞれの自治体から所在する都道府県警察に提報いただく枠組みを構築しようという申合せでございます。
実際、これに基づきまして、金融庁からは4月以降、3,500件以上の情報の提供をいただいているところでございます。今後は金融庁以外の省庁からも提供されることになると思いますけれども、その数と中身をモニターして、申合せが遵守されているかを検証していきたいというふうに思います。それが2点目でございます。
あとの点はいずれも継続実施中でございますけれども、3点目といたしまして、私どもは生活経済事犯と呼んでおりますが、いろいろな事件の捜査というか、摘発を行っているわけでございます。例えば偽ブランド品ですとか、海賊版ですとか、ごみの不法投棄、食品の表示の偽装、あるいは無承認医薬品の広告・販売等々、非常に多岐にわたります。こういった中で利殖勧誘事犯は被害が高止まりの状況にあるということですから、体制の制約はありますけれども、私どもが扱う生活経済事犯の中で利殖勧誘事犯を最優先で取り締まっていこう。捜査力をそこに最優先で投入していこうということを、今年、警察内部の全国の会議あるいは通達において、繰り返しそれを求めているところでございます。
4点目といたしまして、利殖勧誘事犯に悪用された口座の凍結を金融機関に求めてきているわけでございます。7月以降、警察内部の数字としても大幅にこの件数が増えているわけでございまして、永遠に右肩上がりの増加というのは無理ですが、更なるスピードアップ、あるいは量の増加を図ってまいりたいと思います。
5点目といたしましては、口座凍結のための情報提供というのは警察だけが行うべきものではない。例えば全国の消費生活センターには、警察に寄せられる情報をはるかに上回る相談が寄せられていると承知しておりますので、全国の消費生活センターから更に情報提供をしていただくことも、いろいろな機会をとらえてお願いをしているところでございます。また、日本弁護士連合会に対しましても、極めて熱心にやっていただいている方がいらっしゃる一方で、全体として更にこれをやっていただく必要があるということで、私の方から日弁連に対しても、犯罪利用口座の凍結の強化をお願いしているところでございます。その関係で資料を付けさせていただきましたけれども、後ほど資料4-4をごらんいただければと思います。
6点目でございますけれども、国民に対する注意喚起ということで、これはほかの役所でもやっていると思いますが、資料4-5をごらんいただければというふうに思います。
以上が、利殖勧誘事犯対策、今後どうやっていくのかという点でございます。
それから、多重債務者対策でどんなことをやっているのかということでございますけれども、一つの例を御紹介申し上げます。これは、沖縄県警で私どもがやってほしいということで申し入れまして、やってくれていることですけれども、警察が摘発したヤミ金の事件がございまして、その過程で、ヤミ金から借りている借り手の方が一定数把握できることがあるわけで、事件の摘発をしっ放しではなく、借り手の方々に対する支援相談会というものを、沖縄県の知事部局、地元の司法書士の方、県警と3者で開催してお手伝いをしている。例えば昨年は、貸金業法違反、無登録の貸金業で被疑者を10月に検挙したわけでございますけれども、それを受けて12月24日には支援相談会を実施した。借り手の方が32名ほど、沖縄県の男女共同参画センター「てぃるる」というところの会議室にお越しいただいた。今年の6月28日には、同様の別の事件の借り手の方15名に対して支援相談会を実施したということで、多重債務者対策を進めているところでございます。
クレジットカードのショッピング枠の現金化、これは報道等で御存じかもしれませんけれども、今年の8月5日に警視庁におきまして、被疑者1名を、出資法が禁ずる高金利の脱法行為で検挙しているところでございます。また、これも1件でございますけれども、インターネット上の違法広告、クレジットカードのショッピング枠の現金化の広告を、今年の5月2日に私の方から削除要請をして、この広告はもう削除されているということでございます。
また、先ほど御紹介した事件の摘発を受けて、9月には、警視庁から日本クレジット協会に、加盟店審査の強化とクレジットカード会員への啓蒙、こういうものを利用しないでほしいということを申し入れておりますし、広告関係の業界団体には、インターネット広告からの排除を申し入れているところでございます。その他、別の対策も検討中でございます。
バーチャルオフィスの悪用対策というのは、先ほど御紹介したとおりでございまして、金融機関に対して法人名義の口座開設審査の際に、公表されているバーチャルオフィスの所在地と照合するなどして、該当する場合には法人の実態について慎重に調査するようにということをお願いしているところでございます。それを受けて、ゆうちょ銀行では、既に審査を厳格化したということも先ほど申し上げたとおりでございます。
それから、分析・研究に基づく態勢の充実ということでございます。これは人的な体制というよりも、新たにどういうことをやっているか。先ほど申し上げたように、いろいろな犯罪の実態の分析を通じて、例えば法人名義口座対策を金融機関に働きかけたりしております。
インターネットの違法広告の削除について申し上げますと、若干範囲は広くなりますけれども、インターネット広告というのは、否定的な意味においてでございますけれども、一部の生活経済事犯で非常に重要な役割を果たしているということで、例えば無登録の貸金業の広告は貸金業法で禁止されておりますけれども、これについて昨年の10月から継続して削除の要請をしているところでございます。また、無承認医薬品の広告も薬事法違反でございますから、これの広告の削除を昨年の10月から進めているところでございます。偽ブランド品の広告は、商標法に違反するものも多々ございますので、これについても広告の削除を進めているところでございます。
私からは以上でございます。

○警察庁池田刑事局捜査第二課特殊詐欺対策室長 続きまして、警察庁の捜査二課特殊詐欺対策室から、IP電話の関係と告訴・告発の関係について御説明したいと思います。
IP電話ですが、警察官などを語ってキャッシュカードをだまし取る詐欺事件で使われていることが確認されております。IP電話の電話番号については、総務省のウェブサイトにおいて公表されている電気通信番号の指定の状況から、国内のIP電話事業者に指定した番号であることが判明しております。しかし、この事業者自身が、こちらから照会を行う契約者情報などを保有していないという状況にあります。したがいまして、国際捜査共助要請によりまして、このサービス自体を提供している海外の事業者からユーザーIDなどの契約者情報を現在入手しているという状況です。捜査機関、我々からの照会に対してより迅速に回答が得られるように、国内のIP電話事業者に対して、ユーザーIDなどの契約者情報を保有できますよう、このサービス自体を提供している海外事業者と交渉を行うよう働きかけを行ってきました。また、総務省に対しても、同じく同様の働きかけを実施するように要請しているところであります。
続きまして、告訴・告発の関係についてでございます。告訴・告発につきましては、犯人処罰を求める意思が明確であるのか、犯罪事実が特定されているのか、この2つを検討を行った上で告訴・告発の受理の適否を判断しております。したがいまして、告訴などの内容によっては告訴人から更に詳細な説明を行ってもらったり、追加の資料を提出してもらうなどの必要がある場合もございます。
また、告訴・告発の受理や不受理の判断はだれが行うかということでございますが、刑事訴訟法上は、検察官または司法警察職員がその受理に当たることとされていますが、このほかに特段の定めはございません。しかし、現在の警察では、告訴・告発が国民から警察に対して直接犯人の処罰を求めるという重要な手続でありますので、その取扱いに適正を期するため、警察署長などの指揮を受けながら、刑事課長などの幹部が告訴・告発の受理・不受理について判断をしているところでございます。

○警察庁生活安全局生活安全企画課 続きまして、貴金属の訪問買取りの問題について、警察庁生活安全企画課から御説明させていただきます。
この問題につきましては、金の価格の高騰と、これらの行為を直接的に規制する法律がないということも受けまして、問題がまだ収束していないということで、我々といたしましても喫緊に対応しなければならないということで、2点、消費者への注意喚起と、現行法上でき得る限りの取締りを推進しております。今年の6月に、各都道府県警察に対しまして厳正な対応と広報啓発の推進について指示をいたしました。広報・啓発につきましては、被害者となられる方が高齢で、昼間、家にいらっしゃる女性の方が多いということで、そういった方たちの手元に届くような形での広報・啓発を、例えば老人会であるとか、スーパーに買い物に来る方にチラシを配るといったような、機微にわたる広報・啓発をしていただいているところです。
取締りにつきましては、こういった問題を規制する法律がないというところで、何とかでき得る限りの法律を適用しての取締りを推進しておりまして、今年に入りまして、窃盗事件で3件。これは、訪問買取りですといって来ながら、実際にはお金を払うことなく、見せられた貴金属をそのまま奪ってしまったという事件について3件。また、訪問買取りの過程でつきまといを行ったということで、軽犯罪法で1件、検挙をしておりますとともに、各県警察におきましては、立入検査等を集中的に実施いたしまして、そこで判明した違反行為について処分を行うなどしているところでございます。
また、警察庁といたしましても、消費者庁で行っております「貴金属等の訪問買取りに関する研究会」に引き続き参加をさせていただきまして、協力してまいりたいと思っております。

○河上委員長 それでは、金融庁の説明をお願いいたします。

○金融庁黒澤総務企画局企画課長 金融庁の企画課長の黒澤でございます。よろしくお願いいたします。
消費者委員会の先生方には、常日頃より、金融行政に御理解、御協力を賜っております。この場を借りて御礼申し上げます。
本日、金融庁及び監視委員会関係について多岐にわたる御質問をいただいておりますので、いただいた質問の順に従いまして、各担当部局より順にお答えさせていただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

○金融庁櫻井総務企画局企画課信用制度参事官室企画調整官 信用制度参事官室の櫻井と申します。よろしくお願いします。
私からは、施策番号46、多重債務問題について御説明させていただきたいと思います。金融庁の施策といたしましては、2点ほど御説明いたします。
1点目は、多重債務者相談強化キャンペーンでございます。これは、平成20年度から毎年9月~12月にかけて実施しているものでございまして、都道府県、各都道府県の弁護士会、司法書士会、中小企業団体、財務局、これらが共同で消費者、事業者の無料相談会を実施しております。これまでは通常の多重債務相談を実施していたのですが、今年はそれに加えまして、相談窓口における家計相談、セーフティネット制度等の相談、更にはヤミ金やクレジットカードの現金化の利用防止に係る周知・広報、これらを新たに実施しております。
もう1点は、各自治体の相談窓口に「多重債務者相談マニュアル」というものを配布して、相談を円滑に行うようにしているのですが、この相談マニュアルを、今般、大幅に改訂いたしまして、「手引き」という形で新たに作成して各相談窓口に配布しております。
大きく変わった点は4点ほどございまして、1点目は、「生活再建のためのセーフティネット貸付」を手引きに盛り込んでおります。2点目が「心のケアへの対応」も盛り込んでおります。3点目は、「クレジットカードの現金化やソフトヤミ金等の最新手口、対応方法」を記載しております。最後に4点目でございますが、関係部門等と相談窓口の連携を円滑に進められるように手順等を示しております。
以上でございます。

○金融庁外崎証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 証券取引等監視委員会の証券検査課長の外崎でございます。
私からは、施策番号62につきまして御説明させていただきます。施策番号62は、金融商品取引法違反行為を行う者に対する裁判所への差止命令の申立て及びそのための調査の活用の状況についてでございます。
これに関して御質問を2ついただいております。1つは、改正金融商品取引法の成立・施行や施策の実施体制の整備を踏まえ、その後の運用状況の概要について。もう1点、無登録業者等に係る情報収集にあたって、情報源としてどのような分野が有用であり、活用が考えられるかということを御質問いただいていますので、それを含めて御説明させていただきたいと思います。資料を準備しておりますので、資料3-1をごらんいただきたいと思います。
無登録業者に対する裁判所への禁止命令の申立てにつきましては、以前、5月のこの場でも御説明してあると思いますけれども、改めて、全体の概要と最近の金商法改正の状況も含めて御説明させていただきます。
まず、この制度、法律自体は、金商法192条におきまして、「裁判所は、緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要があると認めるときは、内閣総理大臣等(この権限が監視委員会に委任されております)の申立てにより、金商法に違反する行為の禁止又は停止を命ずることができる」、こういう法令上の規定に基づいて行っているところでございます。
この法令に関する最近の金商法の改正の経緯につきましては、この絵の中の青い吹出しのところに記載しております。時系列で申し上げますと、この権限はもともと金融庁まで委任された権限でございましたが、20年12月に施行された金商法改正によりまして、監視委員会にも権限が委任されたということでございます。
それから、禁止命令・停止命令が出た場合、その違反の罰則は、以前は個人にのみ課されていたのでございますが、22年6月の金商法改正で新たに法人に対しても罰則、実質的には両罰規定でございますが、これが課せられたということでございます。
今般の金商法改正で、今月の24日施行予定で、現状では裁判管轄は被申立て人の住所地でございましたが、今度新たに違反行為が行われた地も裁判管轄に加えられたということでございます。登録業者が例えば地方に拠点があったとしても、東京とか大阪とかそういう大都会で行為が行われる場合が多いので、実務的には、今回こういう改正をしていただいたというのは非常にありがたいと考えております。
改めまして、このスキームでございますが、簡単に御説明いたします。ポンチ絵の1のところでございますが、監視委員会・財務局が違反行為者に対して調査を行います。その調査の結果、禁止・停止命令の申立てが相当と考えた場合は、2にありますように、裁判所に対して申立てを行います。裁判所では審問を行いまして違反行為者から事情を聞いた上で、妥当と考えた場合に禁止・停止の命令が発出される。そういう流れになっております。
資料3-2をごらんいただきたいと思います。監視委員会におきましては、平成22年の11月が最初でございますが、これまで4件の申立てを実施しておりまして、いずれも申し立てどおり裁判所の命令が発令されているということでございます。
内容は、ここに書いているとおりでございますが、簡単に御説明しますと、1番の案件は、無登録で未公開株式等の取得勧誘を行っていた「(株)大経」というところにつきまして、東京地裁に申し立てを行った事案でございます。
2番目は、1番目に関連しておりまして、この大経が扱っていた未公開株の発行会社が「(株)生物化学研究所」でございます。(株)生物化学研究所は、本来必要な有価証券届出書を提出せずに、自社の株式を自ら取得勧誘、あるいは(株)大経をして取得勧誘を行っていたということでございます。
ちなみに1番と2番の事案合わせて総額1億円程度の資金を、100名弱の投資家から集めていたということでございます。2番の事案についてもここに記載のとおり、申立てどおり命令が発令されております。
3番目の事案は、「ジャパンリアライズ(株)」の事案でございます。この会社は、金商法上の適格機関投資家等特例業務の届出を行っております。ちょっと細かいのでございますが、適格機関投資家1名以上及び一般投資家49名以下の出資でなければならないというのが、この適格機関投資家等特例業務の要件でございます。実際には約140名の投資家から総額約6億円を集めていたということで、これにつきましても無登録金商業の禁止の命令を申し立てをし、裁判所の方で発令していただいているということでございます。
4番目が「(株)ベネフィットアロー」の事案でございます。ここも3番の会社と同様に、適格機関投資家等特例業務の届出を出しておりましたが、約600名の投資家から総額20億円程度の資金を集めていたという事例でございます。この会社につきましても東京地裁に申立てを行いまして、申立てどおりに命令が発令されているところでございます。
監視委員会といたしましては、投資者保護等の観点から、今後も関係省庁と連携して、金商法上の権限を活用して無登録業者に対して適切に対応していきたいと考えております。
もう1点、情報収集についての御質問がありましたので、その状況についても御説明させていただきます。
まず、無登録業者に対する調査におきましては、やはり情報というのが最も重要です。これは、登録会社ではないので定型的な情報というのは全くございませんので、情報が非常に重要だということで、この御質問はまさに当を得た御質問だと思っております。実態といたしましては、監視委員会や、全国の財務局の監視官部門がございますので、そこに直接寄せられた情報、そのほか、金融庁本庁、消費生活センターあるいは日本証券業協会、そういったところに寄せられた情報、苦情・相談等、それを収集・分析して無登録業者等への対応に活用しているところでございます。
どういった情報が活用できるかということを申し上げますと、無登録業者については全くと言っていいほど基本的な情報がございませんので、できるだけ詳細な情報が必要でございます。したがいまして、先ほど申し上げた機関も含めて、情報提供元に関しては可能な限り具体的な情報を入手いただく。場合によっては、一度いただいた情報について、情報提供者の同意があれば更に詳しい情報をお聞きすることをお願いする場合もございます。こういったことで、今後とも情報を提供していただいている各機関と緊密に連携して、できるだけ具体的かつ詳細な情報をいただくようにお願いしていきたいと思っております。
私からは以上でございます。

○金融庁原田監督局証券課証券監督調整官 続きまして、48番について御説明させていただきます。
FX取引業者、ファンド業者に対する行政処分の状況ですが、資料3-3をごらんいただきたいと思います。まず、行政処分に至るまで、今、外崎課長からも説明がありましたけれども、一般から寄せられた情報、検査部局の検査結果、こういったものをもとに、違法行為が確認された場合には速やかに厳しい処分を行っているところであります。
21年度、22年度は表のとおりの件数になっておりまして、23年度の10月までに処分した事例について、内容を簡単に御紹介させていただきたいと思います。
まず、FX取引業者の「スター為替証券」。これは、2日間にわたりシステム障害を発生させて取引ができなかったということで、直接投資者被害が及ぶような内容ではございません。
次の「ビルウェル証券」、これは悪質な内容でして、当局に虚偽の財務内容を報告していて、真正な財務内容を算定したところ、法定で決められている純財産額、自己資本規制比率が下回っていたということで、最も厳しい登録取消の処分をしております。登録取消処分と併せて業務改善命令を発出しておりまして、速やかに顧客資産を返還するように指示をしております。このビルウェル証券については、もう既に顧客資産は返還済みとなっております。
次の「MF Global FXA証券」ですが、これは米国の親会社が経営破綻しまして、海外の関係会社に資産が流出するおそれがあるということで、国内に資産を保有する命令を出しております。ここの会社はこれに合わせて自主的に営業休止しておりまして、現在、顧客資産は返還中で、恐らく資産内容から余り問題がないのかなと思っております。
次にファンド業者ですが、「(株)エマージングアセットマネジメント」。処分事由ですが、簡単に言いますと、高値でファンドを買い取るという勧誘を行って資金を集めていた。更に、集めた資金をファンドごとに区分管理しなければいけないところをどんぶり勘定でやっていたということで、業務停止3か月、併せて業務改善命令を出しております。このエマージングアセットマネジメントは、業務停止命令がかかっているにもかかわらず営業を行っていたということで、4月28日、登録取消を行っております。現在、顧客資産については、お客さんの意向を確認しながら返還中となっております。
4月19日の「(株)ウェスコ・ジャパン」ですが、これもエマージングアセットと同じように、高値でファンドを買い取るからという勧誘を行っていたということで、業務停止3か月を下しております。
最後の「フューチャーストック(株)」、ここは登録業者ではなく届出業者なのですが、届出業者ではできない二種業の登録が必要な業務を行っていたということで、業務停止3か月をかけております。
以上が、48番の関係です。
さかのぼって申し訳ありませんが、60番のQ4の関係で、一言、付言させていただければと思います。金融庁におきましては、本年4月に、無登録業者が行う未公開株等の販売を原則として無効とする民事ルールの創設や、無登録業者に対する罰則の引上げ等を盛り込んだ改正法案を国会に提出し、5月17日に成立しておりまして、今月の24日に施行となっております。消費者庁の資料にもありましたけれども、これらの制度整備のほかに、無登録業者による被害を防止するためのリーフレットを関係先に配布しまして、国民への注意喚起、無登録業者に対する警告書の発出。警告書を発出した場合には、金融庁のホームページで公表するといった措置を講じております。こういった取組みを、引き続き最善を尽くしてやっていきたいと考えております。
以上です。

○金融庁横尾総務企画局市場課企画官 続きまして、施策番号60番のQ5について御説明させていただきます。御質問は、ファンドについてどのような内容か知るためにも、届出内容を一般にも開示するか、少なくとも出資者及びその代理人に閲覧謄写できるようにできないかという御質問でございました。ファンドの登録ではなく、届出となりますと、先ほど監視委員会から言及のありました、適格機関投資家等特例業務に係る届出のことを御指摘いただいたのではないかと理解しておりますので、その範囲で答えさせていただきます。
この届出自体は、金融当局が、適格機関投資家等特例業務の利用状況であるとか、そういった実態について把握するという行政目的を完遂するために聴取しているものでございますので、それ自体を第三者に開示することはなかなか困難であるかなと思います。ただし、届出内容のうち個人情報等に抵触しない部分においては、現在のところ、ホームページでも公表しております。例えば届出者の名称、届出年月日。あるいは、これは届出内容とは違いますけれども、監督上の状況、すなわち届出者との間で現在連絡がとれなくなっているという事実。あるいは、報告命令を出したけれどもそれに応じていないという事実。または、警告書を発出したという事実を付記して公表しております。そういった面で、我々としてもできる限りの努力をしているというふうに御理解いただければと思います。
以上です。

○金融庁総務企画局市場課市場機能強化室長 では、施策番号60番のQ6でございます。不招請勧誘制度を拡大できないかという御趣旨かと思います。不招請勧誘規制につきましては、平成22年の金商法等の一部改正に係る政令と内閣府令の改正におきまして、この4月1日に施行されたわけでございますが、個人顧客を相手方として行う店頭デリバティブ取引全般を対象に規制するとしたところでございます。
不招請勧誘規制の対象範囲を拡大することにつきましては、業者の営業の自由を制限する面がございます。また、利用者の立場から見ても、新たな金融商品、サービスへの自由なアクセスを制限する面がございます。こういった点がございまして、留意が必要という指摘もございますので、慎重に検討すべき課題であると考えております。
以上です。

○金融庁黒澤総務企画局企画課長 最後になりますが、次のQ7でございます。関係法令における「適合性原則」の拡張について何か検討をしているか、こういう御質問でございますが、結論から申し上げますと、現時点で検討しているものはございません。
補足的に現状を御説明申し上げますと、適合性原則は、御案内のとおり、金融商品を販売するに当たって、顧客の知識、経験、取引目的あるいは財産の状況を勘案しなければならないとする原則でございまして、最も明示的な形では金融商品取引法及び金融商品販売法において規定されております。当庁の所管する主だった法令すべてに、同じ趣旨の規定を導入ないしは準用する形で入れてきております。具体的には、銀行法、保険業法、信託業法、貸金業法にも入っております。したがいまして、当庁が所管する金融行政においては、ほぼ網羅的に当原則に基づく行政が展開されている状況にありまして、現時点におきましてなお、どこに穴があるというような認識は私どもは持っておりません。したがいまして、「拡張」ということは現在は特に考えていないという状況でございます。
どうも長い間、ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。
どうぞ。

○山口委員長代理 時間の関係もあると思いますので、手短に各関係省庁に一つか二つずつお聞きしたいと思います。
まず、消費者庁の関係では、先ほど警察庁の方で、いわゆるカードの現金化について出資法違反で摘発されたという説明がありましたが、実際、クレジットカードの現金化をやっている業者のインターネットサイトを見ていますと、明らかにカードで融資をいたしますということを勧誘していると思うのです。消費者庁の対応ではどうも隔靴掻痒という感じの対処になっているように思いますが、実質的にこれは出資法違反であるということで、事業者の行為の全体を通して見ると、カードで現金を融資する、しかも、それは実質的には出資法違反の金利でやっているということをとらえて、この種事業者に対して、場合によっては行政的な勧告をした上で、あるいは少なくとも消費者安全法に基づいて調査をして、その上でしかるべき措置をとることができないのか。杓子定規に形式的に解すれば、これは融資行為ではない、物品の購入を伴うものだということで言い訳は業者からも予定されているわけですが、全体の趣旨から見ると明らかに違反だというところでやれないのか、というところについてお考えをお聞きしたいと思います。
警察庁につきましては、種々努力されているのはよくわかりますし、特に昨年来の利殖商法について、犯罪関与口座の凍結を促進するということで、たしか昨年度は、数百件しかなかった口座凍結が2,000件を超える口座の凍結がなされたということは、利殖商法で口座を使うことができにくくなったということであり、犯罪抑止に実効を上げていると思います。問題なのは、消費生活センターや弁護士などが口座を凍結したときの通知を出して、実際、金融機関が凍結してくれた場合に、事業者側から逆ねじを食らわせる。何故口座を凍結したんだということで逆に訴えられることがあり得る。実際あった例も、決して多くはないのですが、ある。そのためか、ビビっている消費生活センターや弁護士がいるわけですね。これは私の感覚から言えば、これは詐欺だとか、いや、これはちょっと微妙だというのは、被害者からよく話を聞けばわかるような気もするけれども、その辺で判断をビビってしまうセンターがある。
そこで、センターの方では地元の警察に相談をする。あるいは被害者本人、相談者本人に、「警察に行ってらっしゃい」ということで警察に行くように助言する。ところが、現場のおまわりさんがよくわかっていないものだから、「これは弁護士マターだよ」とか、「警察の事件じゃないよ。契約したんでしょ? じゃあ、しょうがないじゃないの」ということで、なかなか犯罪関与口座の凍結に直結しない実情もございます。その辺の周知ですが、消費生活センターと警察との連携、特に各県警本部の、知能犯でしょうか、あるいは生活安全課でしょうか、その辺の部局との連携を強める努力を今後もお願いできないかというところであります。
3番目に、貴金属買取りの関係では、先ほどちょっと説明があったのですが、やはり現行法での対処は難しいのかというところをお聞きしたいと思います。古物営業法の関係で一定の摘発はできるのではないかという話もありますが、どうしてもこれは無理なのかどうか。無理ならば、法律をきちっと改正して対処していくしかないと思います。要するにおじいちゃん、おばあちゃんのところに訪問して、古物営業法の許可を持った事業者が不当に安く買い取る行為について、刑事的に摘発が現行法では無理なのか。その辺について、お考えを念のためにお聞きしたいと思います。
金融庁関係につきましては、一昨年から未公開株について種々お願いをし、先ほど来説明があったような法律の改正までいただいて、今年の11月から、無登録事業者による未公開株の販売について無効とする改正法の施行が恐らく相談現場で実効性を上げるだろうと思って、大変期待しているところであります。先ほどの消費者庁のデータにもありましたように、ファンドによる被害が増えています。ファンド関係は、要するに届出にすぎないというところで、実際に相談を聞いていても、おじいちゃん、おばあちゃんが一体何を買ったのかわけがわからないのです。それで聞いてみると、例えば中国に進出して人材を育成して、産業育成に寄与するんだとか何とか抽象的な話しかわかっていなくて、パンフレットもペラ1枚の極めて簡単なパンフレットということで、おじいちゃん、おばあちゃんも、あるいはその家族も、一体これは何に出資したのかがわけがわからない。問い合わせをしてみても事業者はろくに答えを返してくれないし、そのうち消えてなくなる。連絡もとれなくなるというようなことがございまして、要するに実態がわからないままファンドということで、しかも、届出が出ているから金融庁に認可されているような錯覚を起こして、それで何百万円、何千万円を出資させられているケースが多いわけです。
勿論、1億円以上の出資をしている言葉としては、適格機関投資家、これは個人情報ですから、固有名詞を開示するべきだということは決して言いませんが、しかし、それ以外のどういう内容の届出をしているのか。そのことぐらいは、連絡がとれているかどうかとか、業者名だけではなくて、事業内容についても別に見せても構わないのではないかと思うのですが、なぜ開示できないのか。ここは、件数も増えている事実も踏まえて、開示内容について再検討いただけないだろうかというところがございます。しかも、ファンドについては届出で済むということがあるものですから、何でこんなのがまかり通るのかというようなファンドが、実際開いてみるとあるという実情がある。リスクの観点から言うと、せめて不招請勧誘禁止の対象に入れられないのかと思います。これは再検討の余地がないのかという点についても、再度、御質問させていただければと思います。

○河上委員長 それでは、時間の関係もありますので、簡潔に順番にお願いいたします。
消費者庁から。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁の関連でございますが、クレジットカードの現金化をインターネットを通じて勧誘していることにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、多重債務問題に加えまして、明らかにカード規約違反のものを堂々と勧誘しているというのは問題だと思っております。ただ、そこで私がこう言って、ネットのプロバイダの方が削除してくれればこんな楽なことはないのですけれども、先ほどから山口委員が実質的に違法だという部分を、逆にしっかり申し入れるには、具体的に指摘をしなければいけないということがございます。そういったことを言えるように、当然、私どもも相談内容を見ながら、常に安全法で何かできないかということは追求しているところでございます。実際、結果が出ていないというのは、実質的に違法だと言うのはそう簡単にいかないという部分がネックになっているということでございます。何度も繰り返しますけれども、問題があるという認識にはございますので、個人的には今すぐにでも全部削除すべきではないかというふうには思っております。
聞かれてはいないのですけれども、先ほどの振り込め詐欺救済法の口座凍結に関連して、委員は、ビビっているというような表現で言われております。私どもとしては先ほど申し上げたように、必要以上にそういうふうに思わなくてもいいような形でQ&Aをつくって配布しているところでございます。
簡単ですが、以上です。

○河上委員長 では、警察庁、お願いします。

○警察庁世取山生活安全局生活経済対策管理官 現場の警察官に周知徹底と、消費生活センターとの協力を更に進めるようにという御指摘をいただきました。先ほど、いろいろ御紹介いたしましたけれども、警察部内の各種の会議、特に県警本部長を集めた会議あるいは県警本部の生活安全部長を集めた会議、更には、県警本部の生活経済事犯の取締りを担当する課長を集めた会議等々で、警察に利殖勧誘事犯の被害についての相談があった場合には、相談者の被害を回復できる可能性、被害が更に拡大するのを防止できる可能性から、必ず口座凍結をしなければいけないと。その可能性を追求するようにということは繰り返し指示をしているところでございます。特に、必ずしも毎日こういうことを取り扱っているわけではない警察官が相談を受けることもあるわけでございますから、その点は徹底をするようにということで、繰り返し今後とも申し入れてまいりたいと考えております。
消費生活センターから警察にというのは、私どもの見方とすると、どうも相談者御本人に「警察にも行った方がいいのではないか」というお話をされていることが多いようですが、それを受けて御本人が警察にお見えにならないケースがだいぶあるような感じがします。ですから、私どもとしてお願いをしているのは、消費生活センターの方が、その御本人がいる場で県警本部に御連絡をいただきたい。県警本部であれば専門家がおりますので、その専門家につないでいただきたいということは繰り返しお願いをしているところでございます。
また、PIO-NETに載っている既遂の被害が疑われるような情報については、すべて担当する都道府県警察に還元して、これについては、資料4-2の裏にある申合せに基づいて構築された協力関係で、PIO-NETに載る前に、消費生活センターから地元県警に御本人の同意があれば提報されているはずのものだけれども、本当に注文どおりになっているのかということも含めて確認をする。そうなっていないのであれば、協力関係が必ずしも実効あるものになっていないということで、そこを更に進めるようにということも、日々、申し入れているところでございます。

○警察庁生活安全局生活安全企画課 貴金属の訪問買取りについて、現行法のみの対処が難しいのかということですが、何を取締りの対象とするかというところでも変わってくるかと思います。不招請勧誘をやめさせるであるとか、市場価格よりもかなり安価で買い取るのをやめさせるということについては、現行法での対応は非常に難しいです。ただ、それが犯罪行為に至る、あるいは上がり込んで帰らないといったような行為については、現行法でもでき得る限りの対処はしているという現状でございます。

○河上委員長 それでは、金融庁、お願いします。

○金融庁横尾総務企画局市場課企画官 適格機関投資家等特例業務の届出の開示の件でございます。実は、金融商品取引法でその届出を求めております事項というのが極めて基本的な事項でございます。具体的に申し上げますと、称号、名称または氏名、法人である場合は資本金の額または出資の総額、法人であるときは役員の氏名または名称、使用人があるときはその者の氏名、業務の種別。この業務の種別というのは、法律上、運用行為に当たるのか、あるいは出資の募集行為をやっているのかというその区別でございます。それから、営業所または事業所の名称及び所在地、ほかに事業を行っているときはその事業の種類、その他、内閣府令で定める事項ということで、当庁に届けられた内容におきましても、委員がおっしゃっているような具体的な投資の運用の形態とか、そういうことは実は含まれておりません。ですから、それを開示することがその抑止につながるかどうか、あるいは防止につながるかどうかというのは、やや疑問であります。
我々としてはむしろ、先ほど説明にもありましたけれども、本業務は適格機関投資家が1人いるからこそ、その他49名の募集もできるという建付けになっておりますが、実態を見てみますと、適格機関投資家さえいないという事例がございますので、まず、ここをふさごうというふうに考えました。今まではどこにも適格機関投資家の名前を出せということは入っていませんけれども、昨年度の法改正で、適格機関投資家の名称を提出せよと。これは、真っ当に商売をしている人からすると、たとえ当局であっても商売相手の名前を当局に提出するというのは躊躇があるようです。業界の反発も大きゅうございました。しかしながら、被害の実態を見ると、条件を満たしていない、しかしながら金融庁に届け出たことをもって、利殖行為を勧誘することの補強材料に使われているという実態を重視いたしまして、今、申し上げたような法改正をしたということでございます。

○金融庁総務企画局市場課市場機能強化室長 先ほど、不招請勧誘のことで御質問がございました。先ほど申し上げたとおりでございますが、特にファンドに関して申し上げますと、ベンチャーファンドも含め、善良なファンドにおける投資資金の調達が困難になるという問題点もございます。慎重に考えていく必要があると考えております。

○河上委員長 ほかに、よろしゅうございますか。
夏目委員。

○夏目委員 施策番号62の無登録業者にかかわる点ですけれども、先ほどの御説明で、無登録業者等については基本的な情報がないと。当然な御回答かと思います。各関係機関を通じて寄せられた情報とか、苦情、相談、そういったものを分析しながら、今後、更に具体的な内容を収集していきたいというお話でございましたけれども、金融商品取引法の187条に、調査をするというような項目があるかと思います。その調査というのは、今、おっしゃった、各関係機関から寄せられた情報を更に踏み込んで内容を分析する、というようなことを指しているのかどうか。それとも別にその調査を、地域を限定し実施しているのかどうかということを確認させていただきたいことと、それから、集まってきた無登録業者に関しての情報は消費者にどのように提供していらっしゃるのか。また、提供していこうとされているのかという点について、お聞かせいただければありがたいと思います。

○河上委員長 いかがですか。

○金融庁外崎証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 それでは、私から御回答させていただきます。
御質問は2つあったと思いますが、前者の187条の調査の件でございます。これは、先ほど申し上げたいろいろな情報、各機関からいただいた情報の中で、我々として申立てが必要かどうかを確認すべきところを選定して、その後でこの187条の調査を行うということでございます。したがいまして、先ほど私が申し上げた具体的かつ詳細な情報が必要だというのは、その前段階で、情報というのは、例えば先ほどからお話がある国民生活センターのPIO-NETとか、何千件もありますから、そこから絞り込むためには具体的かつ詳細な情報が必要だと。それをある程度絞りまして、次の段階が187条の調査というふうに御理解いただければと思います。
それから、いただいた情報の還元というお話がございましたけれども、監視委員会自体は、まさに検査・調査をする機関でございますので、我々は、いただいた情報は我々の検査・調査に活用させていただく。我々の方から特に還元というのは、我々組織の使命からも求められているものではないと思いますので、むしろ我々も、情報は、いわば大多数は、国民生活センターさんのPIO-NETでございますので、PIO-NETの方ではある程度公表されていて、

○原事務局長 金融庁のホームページでも公表されていますか。

○金融庁外崎証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 出ておりますけれども、今のお話は、一般の人からもらった情報の還元という趣旨だと私は理解しました。我々はいろいろな情報を一般の方々からもいただいていますけれども、それはあくまで調査なり検査に使うということで、証券取引等監視委員会としては特に還元はいたしておりません。

○金融庁原田監督局証券課証券監督調整官 還元に関して、若干御説明させていただきます。我々、無登録の情報が集まりますと、それが事実かどうかということを各種情報を分析して確認いたします。その結果、無登録だという蓋然性が高い者に対しては、まず警告書というのを送付いたします。警告書を送付しますと、金融庁のウェブサイトに、警告しましたということでその業者名を公表しております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
山口委員。

○山口委員長代理 金融庁も、やっても、やっても悪質な事業者が出てくるので、お忙しいのはよくわかるのですが、ただ、消費者庁のデータを見ますと、今年だけでもファンドの被害者が9,965件の相談があるわけです。ところが、処分例としては4件しかないわけです。1万人近い被害相談があって、実際に支払わされた人はこの半分としても、5,000人からの被害者がいるのに4件しか処分例がないというのは、これは「何をやっているのか」という批判は免れないと思います。もう少し被害抑止の観点から、お忙しいのはわかるし、山ほど事業者はいるわけですからなかなか難しいとは思うけれども、迅速、的確に、連絡がとれなくなったら即処分をするとか、もう少し処分の機能的な運用を考えて、迅速に処理するという方向での運用はできないでしょうか。

○消費者庁黒田消費者政策課長 データの詳細を、私が最初にしっかり説明しなかった部分があるのかもしれません。ここのファンド型というのは、株とか公社債以外のいわゆる利殖商法、その他全部入っていたりとか、例えば最近の安愚楽牧場の件で、預託法の関係で事業の整理の状況にあるものも含んだ数字になっておりますので、全部が全部関係するものではないというのは、補足だけさせていただきたいと思います。

○金融庁外崎証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 まさに今、消費者庁から御説明がありましたように、利殖商法というのはいろんな形態がございます。私どものところで申し上げますと、あくまで金商法に違反する行為ということですので、有価証券を販売なり勧誘をしているということでございます。勿論、その形をとった詐欺といった行為もあると思いますが、そういったものについては例えば警察の方でやっていただいているとか、まさにそういうことでこういうメンバーが集まっていると思うのですけれども、やはり関係者がそれぞれ自分のところで頑張っているということでございます。我々も、金商法違反の行為についてどれだけやっていくかということで、これはちょっとこういう場であれですけれども、人員もできるだけこの関係もいただけるように、関係当局にもお願いしているところでございます。今の御指摘は我々も基本的には同じような認識でございますので、関係機関とも連携を深めながら、こういった行為をなくするように取り組んでいるということで御理解いただきたいと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
利殖商品に関する不当勧誘の被害は大変大きくて、しかも、それはどんどん増えているという現状ですから、消費者委員会としては大変関心を持って見ております。今後とも利殖商品に関してすき間に陥るようなことがないように、更に連携に努めていただきたいということと、民事の責任、行政の責任、刑事の責任、全体で悪質な事業者を追い込んでいかないといけないということで、これからも頑張っていただければありがたいと思います。
消費者庁、金融庁、警察庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
ここで、休憩をとります。

(休 憩)

○河上委員長 それでは、再開いたします。
続きまして、テーマは、公共料金等に関連する67番の施策についてでございますけれども、本日は、関係省庁として消費者庁においでいただいております。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 それでは、御説明申し上げます。
まず、公共料金の決定の仕組みについてということでございます。お手元の資料5でございますが、「公共料金等の新規設定及び変更の取扱いについて」ということで、物価担当官会議の申合せに従って扱っているということでございます。物価担当官会議とはどういうものかと申しますと、4、5枚めくっていただきますと、「物価担当官制度の設置について」という閣議決定の文章があるかと思います。これは古くは昭和41年に決定されたものでございますが、最新では平成21年の改正でございます。1ポツにございますように、関係省庁において所掌にかかる公共料金の決定について、審議官クラスの物価担当官によって会議をするという制度でございます。
2にございますように、消費者庁に物価担当官会議を設置するとしまして、消費者庁長官を長とし、各省庁の物価担当官、内閣官房内閣審議官、内閣府関係政策統括官、公正取引委員会事務総長及び消費者庁次長をもって構成するという会議でございます。
この会議で申合せということでされているものが、最初に出ています、公共料金の取扱いについての申合せでございます。これに基づいて行っているところでございます。
1ポツにございますように、重要な公共料金、別紙1に掲げられているものにつきましては、所管省庁が認可をするに当たり、事前に物価問題に関する「関係閣僚会議」に付議することが申合せになっているところでございます。物価関係に関する関係閣僚会議でございますが、資料を3枚めくっていただきますと、「閣僚会議の開催について」という紙がございます。これは平成5年に閣議口頭了解で出たものでございますが、物価安定に関する重要問題を協議することとして、閣僚会議は、2ポツにございますような関係大臣によって構成されている会議で、内閣官房長官が主宰する会議でございます。別紙の1に掲げられている公共料金に関しましては、関係閣僚会議に付議することが決められております。
それ以外の公共料金の中で別紙2で掲げられているものにつきましては、関係閣僚会議にかけるということはありませんけれども、公共料金を所管している省庁が認可するに当たって、消費者庁と事前に協議をすることが求められております。
そのほかのものにつきましては、基本的に関係省庁、所管の省庁で処理するということでございまして、事後速やかに消費者庁へ情報提供を行うというスキームになっているものが、この申合せの内容でございます。
この中で、消費者の意見がどのように反映されるかということでございますが、2枚めくっていただきましたところで、「公共料金の改定の手続き」とございます。基本的に公共料金につきましては所管の省庁で認可するものでございますが、所管省庁が認可するに当たりまして、その所管の審議会に答申をする。更に、ものによってですけれども、公聴会を開くというプロセスがございます。公聴会において消費者の声を聞く、あるいは審議会において、消費者の意見を代表する委員の方から意見を聞くということで、それぞれの公共料金について消費者の方の意見を取り入れるという仕組みが入っているところでございます。
その中で、消費者庁の役割ということでございます。申合せに従いまして協議等が行われるわけでございますが、協議が来た場合には、大臣あるいは長官等に御説明して決裁等をいただくという内部手続になるわけでございますが、どういう形で判断するかということになりますと、基本的には消費者へ与える影響、先ほど申しました審議会や公聴会で提起された消費者からの意見について、適切に反映されているかどうかという観点から確認をしているということかと思います。
それから、ちょっと順番があれですが、申合せにつきまして、平成23年3月14日に改正されたところでございます。改正の内容でございますが、一つは、消費者庁になったということがありましたので、前文の2行目にありますように、「消費者基本法第16条第2項の趣旨を踏まえ消費者に与える影響を十分に考慮すべく」ということで、消費者の観点からやるべきだという趣旨を入れた点が1点でございます。
もう一つは、1ポツ等にありますが、「新規設定」という言葉を入れたということでございます。これは、例えば鉄道などで新規路線がつくられた場合の料金とか、そういう形で、新規設定に当たってもこの申合せの内容に従ってやるようにと、その2点が主な改正された点でございます。そういう形で進めているところでございます。
それから、Q3にございますように、物価問題に関する関係閣僚会議は先ほど御説明したとおりでございますし、物価担当官会議も先ほど御説明させていただいたとおりでございます。
物価安定政策会議は、平成21年8月の閣議決定、「消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う既住の閣議決定の整理について」において、廃止とされたところであります。
関係閣僚会議等の開催実績でございますが、資料を4、5枚めくっていただきますと、過去10年ほどのそれぞれの開催実績が掲げられています。更に2、3枚めくっていただきますと、物価担当官会議の最近の開催状況がございます。例えば最近ですと、JTたばこの小売価格の改定、社会保険診療の改定等において、関係閣僚会議を開催しているということでございます。
私からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、何か御質問、御意見ございましたら、お願いします。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 最近、それほど物価が上がる時代ではないので、公共料金という問題を物価問題とイコールとしてとらえることがどうかというのが、私はちょっと疑問に思っています。特に今までですと経企庁に物価局というのがあって、そこが対応することで物価問題ということでしたけれども、今、物価局というものもなくなってしまった。今、消費者庁では消費生活情報課が担当するという、まさに消費生活についての問題だから公共料金が入っているということだと思いますので、物価という視点だけではなく、公共料金が適正なのかどうか、あるいは公共料金の決定過程プロセスが透明であるのかどうか。そういう視点での公共料金のチェックというのが、消費者委員会あるいは消費者庁時代の我々の使命ではないかというふうに思います。
そういう意味で言うと、現状の体制というのは少しおかしいかなというふうに思いますし、むしろ物価が下がってきて値下げが必要なときに、値下げが十分行われているかどうかという視点での関与は現行法ではできないです。現状の認可というのは、上限料金、上限運賃の認可で、値下げは届出でいいということになると、値下げの額とか、するかしないかというのは事業者の裁量で決めることになりますから、これは行政が関与できないということになってしまうのではないかと思います。反論でそうではないということであればお知らせいただきたいと思いますけれども、そういう意味で言うと、公共料金が適正かどうかという、消費者の権利に根ざした政策が必要ではないかなというふうに思います。

○河上委員長 何かございますか。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 確かにおっしゃられるとおりかと思います。物価担当官会議の申合せの改正に当たりましても、「消費者基本法第16条第2項の趣旨を踏まえ消費者に与える影響を十分考慮すべく」ということでございますので、消費者に与える影響という観点からの確認は重要ではないかというふうに思っております。
また、引下げの場合について、現在、除くというふうになってございます。これは、この申合せにございますように、すべての公共料金を全部というわけにいかないで、非常に重要なもの、かつ国民生活に影響が大きいものということで、かなり絞った形でしております。これはリソースの関係等もあるかと思いますけれども、そういう中で、従来は、重要な公共料金でなおかつ引き上げられる場合ということでしておった観点でございます。そういうこともありましたので、どこまで対象を広げるかについては、リソースの問題等も含めて、今後、総合的に判断していく必要があるのではないかというふうに思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
小幡委員。

○小幡委員 これは、消費者庁がまだ把握なさっていないのかもしれませんけれども、2枚目の「公共料金の改定手続き」ということで、せっかく基本的な流れという図をお示しいただいたので、少しお伺いしたいと思います。現状いろいろな公共料金があって、各省で認可等していらっしゃると思いますが、審議会とか公聴会に、消費者あるいは利用者が入っているというお話だったと思いますが、制度上必ず入ることになっていて、どういう形でその声が反映されるか。法制度上、そのようなシステムになっているか、というようなことは把握なさっていますか。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 公共料金は、先ほど申しましたようにたくさんございまして、それぞれについて法律等で決まっておりますので、すべてに共通したということではないのですけれども、法律によって審議会に諮ることは義務づけられているもの、あるいは公聴会を開かなければならないものというふうな形で決まっているものもございます。ただ、法律上は特段決まっておりませんが、実行上、そういう形で聞くという形になっているものも中にはございます。かなりいっぱいありますけれども、それぞれによって必ずしも全部同じやり方ではないということでございます。

○小幡委員 その場合、審議会に諮るというのは決まっていますけれども、その審議会のメンバーの中に消費者の代表のような方が入るということが書かれている、という理解でよいですか。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 通常、審議会のメンバーは、大体、有識者とかそういう形で法律はなっているものですので、必ずしも消費者代表という形で規定されているものはございませんが、実態としては、広く国民の声をお聞きするという観点から、多くの場合において、消費者の声あるいはそれに近い方が入っている場合が多い。その辺を消費者庁では確認をしているというふうになるかと思います。

○小幡委員 確認なさっているということですか。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 はい。

○小幡委員 またできれば、資料等をお願いします。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 最近の新設料金ですぐにイメージするのは、3月12日に開設した西日本の九州新幹線の料金かなと思います。今、御説明いただいた物価担当官会議申合せは3月14日ですから、これは、JR西日本の料金が決定した後に、例えば新規設定のときには申合せのところで扱うということなので、今回の九州新幹線の料金については改定以前なので、物価担当官会議では出なかったということでしょうか。記録の中ですと、22年の後半とか、23年の初めのころに料金が決まっていたと思うのですけれども、記録がないので教えていただきたいと思います。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 物価担当官会議にはかかっていないということでございますので、その当時においてはかかっていなかったということかと思います。

○夏目委員 ということは、この新幹線が3月14日以降に料金を決めるのであったらば、かかっていたということですか。そういうふうに解釈していいということですか。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 そういうことになるかと思います。

○河上委員長 公共料金の決定の仕組みというのは余り透明度が高くないということでして、昨今、震災後の電力料金という生々しい問題もございますけれども、一般的に考えても、公共料金が適正な水準であることについては当然として、決定に当たって消費者目線での検討が、果たしてこれまで十分行われてきたかということについて、委員会として重大な関心を持っているということでございます。消費者庁におかれましても、そういった視点から更に検証をお願いできればということでございます。
本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
続きまして、食品の安全に関する21番、22番の施策についてでございます。本日は、関係省庁として、消費者庁、食品安全委員会事務局、厚生労働省、農林水産省においでいただいております。消費者庁、食品安全委員会事務局、厚生労働省、農林水産省の順に、関連する施策について御説明をいただきまして、その後、まとめて質疑を行いたいと思います。
それでは、消費者庁から説明をお願いいたします。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者政策課長の黒田でございます。
お手元の資料6のシリーズの6-2からごらんになっていただければと思います。消費者庁の取組みは、大きく言いますと、この3つです。身近なところで自治体自身が食品等の放射性物質を測定する取組みを行うという動きがございましたが、それを支援するということで、国民生活センターを通じて放射性物質検査機器の貸与を行っております。
2番目としては「消費者へのわかりやすい情報提供」ということでございまして、食品と放射能に関しては、関係する省庁の情報は多岐にわたっております。消費者庁についても特設ページを設けまして、暫定規制値を超える放射性物質が検出された食品について、それに対応した出荷制限等について、それぞれ情報発信を日々行っております。
全体像が簡単にわかるようにということで、「食品と放射能Q&A」というのを作成しまして、お手元にも配っております。資料6-8ですけれども、これを作成してホームページに載せております。ちなみにこれは、おとといまで、17万9,000件アクセスがございますし、印刷したものも、各自治体の求めに応じて2万9,000冊以上配布しております。
また、放射性物質に含まれた稲わらを給与された可能性がある牛の情報につきましても、最初のころは情報がいろいろなところに分かれて出ていたこともございまして、個体識別番号の一覧と、実際に検査をした牛で、更に暫定規制値を上回った牛がわかる表を、消費者庁がいろいろな情報をもとに、厚生労働省、農水省の協力を得ながらつくりまして、それをホームページに公表するといった取組みもやっております。これは資料6-9で、実際にお配りしております。
リスクコミュニケーションの強化ということもやっておりまして、放射線はこれまで余りなじみのなかった分野ということで、消費者の方々がそもそもよくわからないということで不安が増幅している部分もありますので、科学的な話から、実際に何が起こっているのかということも含めてコミュニケーションをしております。
その具体的内容については、消費者安全課より。

○消費者庁前内消費者安全課企画官 消費者安全課の前内と申します。よろしくお願いいたします。
Q1でいただいていました、22年度で実施したものについて報告したいと思います。資料6-1でございます。1ページはぐっていただきまして、農薬についての話であります。消費者の日常生活における身近な問題である農薬をテーマといたしまして、リスク低減ですとか、消費者への情報提供のために実際にどういったことが行われているのかという実例を紹介して、いろんな方の意見を出し合う場といたしまして、意見交換会を、東京の会場と仙台の会場で23年の2月と3月に実施してございます。
概要だけざっと御説明いたします。意見交換会の内容といたしましては、中ほどに基調講演とございますが、農薬の専門家の方から農薬のリスク評価、リスク管理について御説明いただき、生産者の方は生産現場からの御報告ということで、農薬の使用実態など。有機農業の専門家からは、有機農法とは何かということについて情報提供をいただき、ディスカッションをいただいております。食育と言われているが、自分の健康、食べ方を自分で判断して選択することを教わっていくことは大事だというのが、この意見交換会の概要でございます。
こういった消費者が求める情報を、わかりやすく伝えていくという必要性があると思いますので、このことを今後のリスクコミュニケーション活動に反映させていきたいと思っております。

○消費者庁金田消費者安全課企画官 少々補足させていただきます。資料6-12をごらんください。申し遅れましたが、消費者庁消費者安全課の金田でございます。
10月7日付で事務連絡をすべての自治体宛てに発出いたしまして、リスクコミュニケーションを積極的に行っていきますと。具体的には、消費者庁と消費者団体との共催によるリスクコミュニケーションを行う場合に当たって、一定の支援を行いますということと、地方自治体が自らシンポジウムや講演会を行うに当たっては講師を紹介いたします、という説明をしたところであります。
そういった取組みも含めまして、次ページ以降、順番が先のものから後のものになっていますけれども、今後予定されているもの、既に実施したものについて記載をしております。また、最後の「リスクコミュニケーション等(4)」のところで、先ほど当方の消費者政策課長からも話がありましたとおり、「食品と放射能Q&A」の配布等も相当数行っているという形で、さまざまな啓発活動、リスクコミュニケーションの実施を行い、消費者の皆様の御理解、そして消費者の皆様が自発的にリスクについて判断し、行動していただくための一助になるように努力しているところでございます。
以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
続きまして、食品安全委員会事務局から御説明をお願いいたします。

○食品安全委員会事務局新本リスクコミュニケーション官 食品安全委員会事務局リスクコミュニケーション官の新本と申します。
資料をお手元に配付させていただいてございますけれども、施策番号21番の関係で、委員会関係ではQ1とQ2をいただいてございますので、それに関連して御説明を申し上げたいと思います。
食品安全行政における食品安全委員会の役割でございますけれども、食品健康影響評価を行うということで、お手元の資料をあけていただきますと、3ページの右上にございますけれども、食品に含まれる危害要因がどのくらいの量であればどのような人への健康影響が出るかというのを、現在の科学的知見に基づいて中立・公正に評価するというのが食品安全委員会の役割でございます。食品安全委員会のリスク評価の結果に基づきまして、食生活の状況、その他の事情を考慮して、食品の安全性の確保のための具体的な施策、例えば個別の食品の規制値を設定する施策をリスク管理官庁である各省庁が講じる仕組みになってございます。こういった仕組みの中で、リスク評価機関である食品安全委員会が行うリスクコミュニケーションと申しますのは、リスク評価の内容、考え方などについて、消費者、食品関連事業者などの関係者と意見・情報の交換を行うものでございます。具体的には、リスク評価の解説資料、あるいはQ&Aをホームページに掲載して情報提供をしたり、「食の安全ダイヤル」という形で電話相談を実施したり、また、リスク評価の案については、パブリックコメントという形で広く国民からの意見・情報を募集してございます。特に国民の関心の高いテーマにつきましては意見交換会という形で説明をいたしまして、その説明を聞いていただいた上で、パブリックコメントで意見・情報を出していただくという形でやっているところでございます。具体的には、お手元のパンフレットの8ページ、9ページに、今、申し上げたような形のものをこれまでやってきているところでございます。
リスク評価に関するリスクコミュニケーションということでございますので、まず、リスク評価の考え方、内容について、理解と情報共有を図ることが重要なわけでございますけれども、意見交換会あるいは「食の安全ダイヤル」で消費者などから出されるリスク評価に対する意見につきましては、科学的に採用されるものについては、当然、リスク評価書に反映するというスタンスでございますし、仮にリスク評価に反映できないものについては、その理由なり見解を食品安全委員会として回答する。例えばパブリックコメントをいただいたものにつきましては、それに対する回答という形でまとめて、委員会の中で審議をして最終的には公表するという形にしているところでございます。
意見交換会などの消費者からの要望について、どのような対応をしているかということでございますけれども、基本的にはリスク評価についての意見・情報について、科学的な立場で検討して回答で示しているということでございます。それ以外に、食の安全について不安であってリスク評価をやってほしいというテーマについても、意見交換会あるいは「食の安全ダイヤル」ということで意見が寄せられる場合もございます。そういったものも含めて、毎年、食品安全委員会は「自ら評価」と申しまして、関係省庁からの要請によらず、食品安全委員会として自らの判断でリスク評価をやるテーマを毎年選定してございます。そういった場面に、「食の安全ダイヤル」あるいは意見交換会で寄せられた要望、それだけではございませんけれども、そういったものを踏まえて、自ら評価のテーマの選定について検討するという取組みをやっているところでございます。
これまでの意見交換会の実績については、8ページ、9ページに全体を書いてございます。ちなみに昨年度は意見交換会につきましては27回、今年度も同程度の規模で開催することになろうかと思います。
御報告は以上でございます。

○厚生労働省木村食品安全部企画情報課大臣官房参事官 厚生労働省の食品安全担当をしております、参事官の木村でございます。
まず、施策番号21、22の中で、食品の安全性に関するリスクコミュニケーションの促進のために、意見交換会等で出された消費者の要望をどのように施策に反映させる仕組みをとっているのかということについてですが、私ども厚生労働省は、食品安全委員会の食品健康影響についての評価を受けて、その評価に基づいて食品安全に関するリスク管理を行う機関です。私どものリスク管理の一環としての食品の規格基準等の設定などにつきましては、薬事・食品衛生審議会の意見を踏まえて対応しているところでございまして、当審議会には、消費者団体からも委員として御参画をいただいているという形になっております。
資料7-1を見ていただければと思いますけれども、規格基準の設定などを行う際には、幅広い国民の方々の御意見を伺うためにパブリックコメントを実施するとともに、意見交換会を開催しているところでございます。そして、パブリックコメントなどに寄せられた意見につきましては、必要に応じて施策に反映させていただいております。
次の資料7-2を見ていただければと思います。その他の対応として、厚生労働省では、特に「国民の皆様の声」という形で、国民の御要望を電話あるいはFAXなどで随時受け付けまして、個別に対応しています。その対応状況につきましては、ホームページで速やかに公開するという取組みを行っているところでございます。こうした取組みを通じまして、国民の皆様方の御意見を伺いながら施策を進めています。
次に、Q4に当たりますけれども、原発事故に関連する、放射性物質による食品への影響や風評被害に対して行っている対策についての御質問についてでございます。これにつきましては資料7-3を見ていただければと思います。食品中の放射性物質への対応につきましては、事故後、速やかに暫定規制値を設定いたしまして、これを超える食品が市場に流通しないように出荷制限などの指示を行ってきております。また、地方公共団体による検査が円滑かつ適切に実施されるように、自治体からの依頼に基づく政府機関での検査の実施、あるいは国による買上げ調査を通じた改善を行って対応してきているところです。更に、都道府県などが実施した検査結果につきましては、暫定規制値を超えていなかったものを含めてすべて、毎日、厚生労働省で集約して、正確また迅速に公表しています。
次に、食品中の放射性物質に関する暫定規制値が示されているが、いつまで暫定なのか。また、その後の検討状況についてはどうなのかという御質問についてでございますけれども、これにつきましては資料7-4をお開きいただきたいと思います。放射性物質にかかる食品健康影響評価につきましては、10月27日に食品安全委員会から私ども厚生労働大臣宛てに答申が行われたことを踏まえまして、翌28日に厚生労働大臣から、「現在の暫定規制値に適合している食品は、健康への影響はないと一般的に評価され、安全は確保されておりますけれども、私どもとしては、より一層食品の安全と安心を確保するため、来年4月を目途に一定の経過措置を設けた上で、許容できる線量を現在の年間5ミリシーベルトから年間1ミリシーベルトに引き下げることを基本として、薬事・食品衛生審議会で規制値設定のための検討を進めていく」との基本的な考えを示させていただいたところです。
今後の検討についてですが、これにつきましては資料7-5をお開きいただきたいと思います。今後、審議会の下での放射性物質対策部会あるいは作業グループで、専門的な見地からの議論を精力的に進めていただきまして、新たな規制値案を取りまとめた上で、文部科学省の放射線審議会にも諮問し、また、対外的にWTO通報も行い、国内におけるパブリックコメントも行いまして、国民の皆様方への説明会も更にやらせていただいた上で、来年4月を目途に施行していきたい、そのように考えている次第でございます。
最後に、新規の食品添加物の指定についてですが、指定が相次いでいる根拠、また、これらについての総量規制の考え方の導入は検討されているのかどうかということにつきましては、お手元の資料7-6をお開きいただきたいと思います。食品添加物につきましては、原則として、個別の事業者からの申請を受けて行うものですが、平成14年の薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会におきまして、国際的に安全性が確認され、かつ、汎用的に用いられている添加物(これを私どもは「国際汎用添加物」と呼んでございます)につきましては、企業からの要請がなくとも、指定に向け、個別品目ごとに安全性及び必要性を検討していくとの方針が示されたことを受けまして、以後、国際汎用添加物についても、指定の可否について検討を行った上で手続を進めていくとしてきたところです。そのような観点で審議会の審議を経た上で、国民の健康への安全性が確保されていることを確認して、指定を行っていくということでやってきてございます。
そして、総量規制でございますけれども、食品添加物の使用については、食品安全委員会の食品健康影響評価で示されましたADI(一日摂取許容量)と食品からの摂取量等を勘案いたしまして、対象となる食品や最大使用量などについて、個別の食品添加物ごとに使用基準を定めています。食品安全委員会でお示しになっておりますADIは、人がある物質を毎日、一生涯にわたって摂取し続けても健康への影響がないとされる摂取量であること。また、私どもの省におきまして摂取量調査を行っておりますが、この調査結果において、添加物の実際の摂取量はADIを大きく下回っているという現状を考慮いたしますと、現在のところ、総量規制を検討する必要性はないのではないかというふうに考えているところでございます。
私からは以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、農林水産省、お願いします。

○農林水産省消費・安全局消費者情報官付 最後に、農林水産省から御説明させていただきます。農林水産省消費者情報官付、丹菊と申します。
お手元の資料8-1で御説明させていただきます。まず、施策21、農林水産省におけるリスクコミュニケーションの取組みについてです。農林水産省では、「消費者の視点に立った農林水産行政」を合言葉として、消費者の皆さんの御意見を伺うための意見交換会や説明会を開催しております。
最初は平成22年度から平成23年度の9月までに開催した意見交換会です。まず、施策に関する説明会としまして、植物検疫と動物検疫について、それぞれ空港で現地見学を含む意見交換会を行っております。平成22年度には家畜の病気が非常に問題となりましたので、口蹄疫や鳥インフルエンザについての意見交換もいたしました。
また、食品の安全性に関する理解を深めていただくことを目的といたしまして、全国各地で「食品安全セミナー」を実施しております。平成22年度は「安全な食品ってなんだろう?」と題し、農薬を例にとりまして、食品安全の基礎知識について、少人数の消費者の方に集まっていただいて、緻密な意見交換会をすることを目的にしたセミナーを開催しております。平成23年度は、腸管出血性大腸菌による事故が相次いだことを受けまして、「食中毒を防ぐために」と題しまして、やはり全国各地9か所でセミナーを行っております。平成22年度から23年9月までに都合24回の意見交換会を行いました。
これ以外に、消費者団体との方々との意見交換会も設けております。食品安全に関する情報ですとか、農林水産省のそのときどきの施策について、随時、消費者団体の皆さんへの御説明ですとか、情報提供、集まっての意見交換会というものを実施しております。本年3月の東日本大震災後は、原発の事故による農畜水産物への影響や農林水産省の対応について説明などを行いました。
これらの説明会等を通じまして、例えば動物の検疫強化や、食品安全についてより一層の情報提供が必要といった御意見をいただいております。いただいた御意見につきましては、省内で共有いたしまして、今後の施策に生かせるように努めているところであります。
また、農林水産省では各地方支部局におきましても、こぢんまりとした意見交換会や講師の派遣に積極的に取り組んでおりまして、平成22年度、23年度にそれぞれ1,000回を超える回数の意見交換会等を行っております。
3つ目は「パブリックコメントの実施」ということですが、食品安全や家畜衛生、植物防疫等に係る規制の設定又は改廃の決定に際して、パブリックコメントを行っております。平成22年度は、コメ中のカドミウム濃度低減のための実施指針や家畜伝染病予防法施行令の改正についてパブリックコメントを実施しました。寄せられた意見を踏まえて、一部データの追加や資料の修正をしております。
こういった場に出てこられない消費者の方への情報提供といたしまして、特にホームページでの情報提供に力を入れております。ウェブサイト「安全で健やかな食生活を送るために」は、消費者の方を対象といたしまして、やさしい言葉で簡単な説明をということで、食中毒や農薬、あるいは食品の表示についてといった内容について情報提供をしております。また、冊子もつくりまして、各地で行うセミナーの際にお配りしています。
本年3月の東日本大震災の後は、「東日本大震災に関する情報」「原子力発電所事故による農畜水産物への影響」というサイトを設けまして、厚生労働省から公表されている農畜水産物中の放射性物質の検査結果を、品目ごとや地域ごとにまとめて掲載したり、農水省の施策についての情報提供を行ったり、Q&Aなどを掲載しているところです。
また、メールマガジン「食品安全エクスプレス」を毎日発信しております。これは、各省庁からの食品安全に関する施策についてのプレスリリースを取りまとめて全国の皆さんに発信するもので、現在、1万5,000人の方に講読していただいています。

○農林水産省強谷消費・安全局消費・安全政策課長 続きまして、消費・安全政策課を担当しております強谷と申します。
施策番号22番の関係でございます。食品安全に関するリスク管理施策の関連での、消費者等からの意見、要望の反映について御説明いたします。資料8-2をごらんいただきたいと思います。
食品に由来する消費者の健康への悪影響を未然に防止する観点から、食品の安全性向上に取り組んでいるわけでございますけれども、まずは、食品がどの程度安全であると言えるのかということを、有害化学物質や有害微生物の含有実態データが重要でございますので、これの調査結果に基づいて、必要に応じて安全性向上対策を策定・普及しております。日ごろから、カドミウム、砒素といった有害化学物質、また、サルモネラや腸管出血性大腸菌などの有害微生物に関しまして、海外での取組み状況や国内での食中毒の情報など、いろいろ情報を収集しております。こうした情報に基づきまして、優先的に実態調査や対策、技術の開発が必要な危害要因をリストアップしまして、実態調査や国際的な議論なども踏まえまして、中期計画、年次計画を作成します。この際に「リスク管理検討会」という形で、消費者や食品事業者等の関係者の関心事項について意見をいただき、内容に反映しているものでございます。そのメンバーリストにつきましては、この資料の次のページに挙げてございます。御参照ください。
消費者からの意見を反映した例といたしましては、実際に日本人の平均的な摂取量におけるリスクは低いとは推定されているものの、非常に関心の高いトランス脂肪酸を優先度リストに入れたり、また、食中毒の原因になる腸管出血性大腸菌の実態調査、こういったものを計画に入れております。調査の結果、得られたデータにつきましては、食品に由来する健康リスクの程度の予測ですとか、対策の検討実施ですとか、この実施による効果の測定に活用いたしております。こういった取組みによりまして、消費者の健康への悪影響を未然に防止するといった取組みを行っているわけでございます。
次に、原発事故に関連する放射性物質による食品への影響や、風評被害に対して行っている対策について、御説明いたします。消費者基本計画は今回の原発事故の前に策定されたものでございますけれども、原発事故を踏まえた食品の安全確保につきましては、農水省は厚労省や都道府県と緊密に連携しながら、暫定規制値を超えるものは流通させないということを基本に取り組んできたところであります。
この取組みといたしましては、まず、安全確認について厚生労働省に全面的に協力しまして、検査の円滑な実施に努めおります。内容としましては、検査計画の策定の支援、検査のあっせん、費用負担、検査機器の整備といったものがございます。食品に関する情報提供も重要でございますので、ホームページにサイトを設けまして、暫定規制値の考え方や出荷制限の状況等の正確な情報を、関係省とも連携しまして、消費者や生産者、食品事業者等に対して幅広く提供しているということでございます。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方はお願いいたします。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 厚生労働省に食品添加物について一つお尋ねしたいのですけれども、御承知のように、本年、フルジオキソニルを防かび剤として指定されて、それを契機に、消費者団体から消費者委員会にも陳情書がたくさん参ったわけです。その趣旨は、新規の食品添加物の指定はまかりならぬというような端的な言い方になってございますけれども、一方では、食品添加物の数は必ずしも限定する必要はない、むしろ数が多い方がそれぞれの使用量が減らせて安全性は高まる、そういった議論もあるわけです。私もむしろそういった話に賛成するのですけれども、結局、消費者との話がなかなかかみ合わないというのはやはりリスクコミュニケーションが足りない。資料7-1の意見交換会の開催状況を見ても、食品添加物については一度も開かれていない。消費者は、今は放射性物質が一番の関心事ですけれども、それ以前は食品添加物が一番の関心事でした。農薬なんて余り関心を持っていないのではないかと思いますので、食品添加物については、より一層のリスクコミュニケーションを図っていただきたいと思っております。

○河上委員長 もし何かありましたら。

○厚生労働省木村食品安全部企画情報課大臣官房参事官 御指摘、もっともでございます。私どもも、なるべくそのとき、そのときの国民が一番関心の高いテーマを選んでリスクコミュニケーションをやってきているところでございますけれども、今のテーマについても、今後、しっかり配慮しながら取り組んでいきたいと思います。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 食品安全委員会と厚労省にお聞きしたいのですが、放射能汚染食品の関係です。先般、食品安全委員会に委員間打合せにおいでいただいて、年間100ミリシーベルトとした科学的な根拠等について少し御説明いただいたわけですけれども、その際も感じましたし、今、いろいろマスコミ報道等に接する中で、あるいはこの問題を心配している人と話す中で痛感するのですが、例えば、今日の資料7-4には、年間5ミリシーベルトだったものを、「年間1ミリシーベルトに引き下げることを基本として、検討」と書いてあるわけです。
問題は、例えば福島県に住んでいらっしゃる方、その一帯に住んでいる方からすると、内部被曝だけではなくて外部被曝があるわけです。そうすると、生涯100ミリシーベルトまで大丈夫だと思いますとか、年間1ミリシーベルト以下だったら大丈夫だと思いますと言われても、外部被曝との関係でどうなのかということが総合的に示されないと、何の役にも立たないのではないか。生活者の不安の解消とか、生活をどうしていくのかということの指針にもならないのではないかと思いますが、その辺を食品安全委員会なり厚労省はどういうお考えで消費者にこの情報を提供されようとしているのか。外部被曝と内部被曝の問題について、いろいろ科学的に難しいことはよくわかりますが、どういうふうに考えて今後対処しようとされているのか。その辺をお話しいただければと思います。

○食品安全委員会事務局新本リスクコミュニケーション官 このたびの評価結果は、生涯で累積線量でおおよそ100ミリシーベルト以上になると、健康影響が見いだせるという評価でございます。追加の被曝については食品からのみという前提で、これは、食品安全基本法に基づく食品安全委員会の役割が、食品中の危害要因による健康影響を評価するということでございますので、そういうものとして出させていただいたものでございます。
おっしゃいますとおり、地域によっては外部被曝があるという状況でございますが、まずは食品からの被曝線量が実態としてどうなのかというところをきちんと押さえた上で、この件については考えるべき問題であろうというふうに考えます。外部被曝も含めた政府全体としての対応につきましては、現在、内閣府官房に「低線量被曝のリスク管理に関するワーキンググループ」というものも設けられまして、さまざまな科学的な知見や評価を踏まえて具体的な対応について議論する場がございますので、そういった場を通じてこの問題については対応されていくものであろうと考えてございます。

○河上委員長 厚生労働省から何かありますか。

○厚生労働省木村食品安全部企画情報課大臣官房参事官 私ども厚生労働省としましては、食品安全委員会のこのような評価が出されましたので、それに基づいて対応していくわけですけれども、これにつきましては内閣官房に対策室が設けられてございますので、関係省庁と連携を密に図りながら、今後の対応を考えていきたいと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。よろしいですか。
ありがとうございました。
「食の安全」は消費生活の基本の基本なので、その意味ではしっかりと安全の確保
をお願いしたいと思います。消費者にとっては、いろいろな情報が錯綜しているというのは非常に不安なものですから、とにかく信頼できる情報を一元的に示していただきたいということと、日常生活で使えるような形で情報を出していただけるとありがたいということでございます。先ほどの内部被曝、外部被曝の問題もありますけれども、それぞれのところできちんとやっていただくということは言うまでもなく、全体として消費生活の中でどうなるのかということについても、それが落ちてしまわないように、是非、全体の中で互いの情報を組み合わせる努力をしていただければありがたい。これはリスクコミュニケーションの問題かとも思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
本日は、お忙しいところをありがとうございました。

≪3.貴金属等の訪問買取りについて≫

○河上委員長 続きまして、「貴金属等の訪問買取りについて」というテーマについてでございます。最近、増加しております貴金属の訪問買取りに関するトラブルに関しまして、消費者委員会におきましては、第70回委員会で大阪弁護士会からの聞き取り、第71回委員会において、消費者庁から聞き取りの作業を行いました。また、先ほどの消費者基本計画の検証・評価・監視の中でも、警察庁からヒアリングを行ってきたわけでございます。本日は、これまでの議論を踏まえまして、消費者委員会としての意見を取りまとめていきたいと考えております。
それでは、山口委員から、「提言(案)」につきまして御説明をお願いいたします。

○山口委員長代理 今、委員長がお話しになった審議経過を踏まえて、委員間打合せで何回か協議した結果として、資料9としてお配りしている案でいかがかということで、提案させていただきます。
3項目ございまして、第1項は、「消費者庁は本年9月、『貴金属等の訪問買取りに係るトラブルに対する法的措置について(案)』を公表し、多くの高齢者が貴金属等のいわゆる『押し買い』の被害を被っている現状に、法律を改正するなどして対処する方針を打ち出した。貴金属のいわゆる『押し買い』による被害は広汎かつ深刻であり、急拡大していることから、できる限り早期に被害抑止を図ることが必要である。消費者庁では、現在、『貴金属等の訪問買取りに関する研究会』において検討を行っているが、具体的な法的措置の内容を迅速に示すとともに、その実現に向けて対応を急ぐべきである」ということで、この研究会の検討を踏まえて、早急に貴金属の訪問買取りに関するトラブル防止の法的措置を講ずるべきであるということで、現在、消費者庁が行っている法改正作業について消費者委員会としても全面的に支持を表明し、是非これの実現をしていただきたいという趣旨であります。
第2項は、「深刻な消費者被害は、決して『貴金属の買取り』にとどまるものではない。イラク・ディナールやスーダン・ポンド等の外貨との交換を勧誘することによる被害も多発している。また、老人ホーム入居権などさまざまな権利を有利な投資と誤認させて売りつける手口も多数発生しており、特定商取引法の指定権利制のスキが狙われている現実もある。将来的にも、新しい販売手口や商法・取引形態が生み出され、新たな消費者トラブルが引き起こされることも十分予想されるところである」ということで、現在、消費者庁が進められている、貴金属の訪問買取りにとどまらない、特定商取引法周辺のさまざまな集団的な被害が発生している事実を踏まえるべきであると指摘しているところであります。
第3項は、「このような状況を踏まえると、今回の対応は、『貴金属等の訪問買取りに係るトラブルに対する法的措置』に主眼を置くものであり、その点についての法的措置が急務であることは言うまでもないが、今後の課題としては、将来、さまざまな商品や役務についての多様な取引行為が不意打ち的ないし強圧的な勧誘の目的とされた場合にも、すき間事案に陥って後追い的となることなく、迅速に対応できる体制を整えておくことが肝要である。例えば、特定商取引法の規制の枠外とされている『権利』についても見直しを行い、また、被害が生じている取引に関して、『販売』や『役務の提供』という枠組みにとらわれることなく、迅速な対応をとることができる法的仕組みを整備していくことが考えられる。消費者委員会はこのような取組みを通じて、消費者被害の効果的抑止が実現できるよう、消費者庁により一層の努力を求めるものである」ということで、特定商取引法の全般的な見直しを図ることを消費者庁に期待したいという意思表示であります。
以上、提案させていただきます。

○河上委員長 ありがとうございました。
では、この内容に関して、御意見のある方はお願いいたします。
よろしいですか。特にございませんようでしたら、この提言の案につきましては、皆様の御了解をいただいたということで、このとおり委員会として取りまとめることにしたいと思います。

≪4.閉会≫

○河上委員長 本日の議題はこれにてすべて終了いたしましたけれども、新開発食品調査部会、食品表示部会について、部会長の指名等を行いたいと思います。両部会につきましては、第69回消費者委員会におきまして、それぞれ設置・運営規程に沿って運用することと、その上で臨時委員等の任命手続を行うことについて御確認をいただき、去る11月8日に、その構成員となる臨時委員の方々につきまして発令されているところでございます。
今回、発令された臨時委員等の方々を含めまして、新開発食品調査部会、新開発食品評価第一・第二調査会についてはお手元の参考資料1の名簿の方々に、食品表示部会については参考資料2の名簿の方々に、それぞれ部会及び調査会の構成員として審議に御参加いただきたいと考えております。
部会の部会長については、消費者委員会令第1条第3項の規定により、当該部会に属する委員のうちから委員長が指名することとなっておりますので、新開発食品調査部会及び食品表示部会の両部会の部会長につきましては、第一次消費者委員会から引き続き、田島眞委員にお願いしたいと思います。
併せまして、新開発食品調査部会設置・運営規程第4条第4項の規定により、委員長が調査会の座長を指名することになっておりますので、こちらも第一次から引き継ぎになりますが、新開発食品評価第一調査会については寺本民生氏に、新開発食品評価第二調査会については山田和彦氏にそれぞれお願いしたいと思います。
続きまして、去る8月下旬に行われました、新開発食品調査部会及び食品表示部会の審議結果の報告につきまして、本日、部会長の指名を行いましたので、御報告をいただきたいと思います。
初めに、8月24日に新開発食品調査部会の第6回会合が開催されておりますので、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条2項の規定に基づきまして、その審議結果の報告をいただきたいと思います。
それでは、田島部会長からよろしくお願いいたします。

○田島委員 御報告申し上げます。
平成23年8月24日に開催いたしました、第6回新開発食品調査部会の議決について。新開発食品調査部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、平成23年8月30日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。答申書は参考資料3にございます。内閣総理大臣より諮問を受けて、今回の部会においては、11品目の安全性及び効果について審議を行いました。審議の結果、すべての品目について、特定保健用食品として認めることとして差し支えないとされました。資料2枚目に、答申を行った11品目の一覧表を添付しております。
私からの報告は以上になります。

○河上委員長 ありがとうございました。
続きまして、同じく8月24日に食品表示部会第13回会合が開催されておりますので、食品表示部会設置・運営規程第8条2項の規定に基づき、その審議結果の報告をいただきたいと思います。
引き続き、田島部会長からお願いいたします。

○田島委員 御報告申し上げます。
食品衛生法施行規則に生食用食肉の表示基準を追加することについて、8月24日に開催いたしました食品表示部会の議決について、食品表示部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、8月31日付で内閣総理大臣へ参考資料4のとおり答申を行いました。
食品表示部会におきましては、本年4月に、富山県等で発生した腸管出血性大腸菌による集団食中毒を受けて、厚生労働省において進めていた、生食用食肉の規格及び基準の設定に合わせて生食用食肉の表示基準を設定することとの検討を行い、その結果は参考資料4の別添のとおり、改正することが適当であるとされたところでございます。
私からの報告は以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
最後に、事務局から、今後の予定等についての説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間、どうもありがとうございました。
本日、この委員会終了後5分後辺りをメドに、消費者庁の記者会見室において委員長記者会見を行う予定です。
次回の委員会につきましては、11月24日(木曜日)14時からを予定しております。
議題としては、引き続き、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」を予定しており、法執行、消費者教育に関連する施策の関係省庁ヒアリングを行う予定です。
事務局からは以上です。

○河上委員長 参加の方との懇談はよろしいですか。

○原事務局長 今日、ぎりぎりなので、次回、11月24日にアナウンスをしたいと思います。消費者団体、一般傍聴者の方々との懇談の場を是非持ちたいと考えております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)