第72回 消費者委員会 議事録

日時

2011年10月27日(木)14:00~16:13

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  黒田消費者政策課長
片桐表示対策課長
原嶋消費生活情報課長
地方協力課担当者
 総務省  玉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長
 経済産業省  商務情報政策局消費経済企画室担当者
 厚生労働省  深澤老健局高齢者支援課長 他
老健局振興課担当者
 人事院  森川人材局研修調整課研修企画官
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
○説明者: 消費者庁  黒田消費者政策課長
片桐表示対策課長
原嶋消費生活情報課長
地方協力課担当者
総務省  玉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長
経済産業省  商務情報政策局消費経済企画室担当者
厚生労働省  深澤老健局高齢者支援課長 他
老健局振興課担当者
人事院  森川人材局研修調整課研修企画官
3.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策及び施策におけるヒアリング項目(PDF形式:24KB)
【資料2】 消費者基本計画(施策番号153-2)関連資料(消費者庁提出資料) 【資料3】 消費者基本計画(施策番号153-2, 84, 155, 160, 161)関連資料(総務省提出資料)(PDF形式:159KB)
【資料4】 消費者基本計画(施策番号106)関連資料(厚生労働省提出資料)(PDF形式:270KB)
【資料5】 消費者基本計画(施策番号121, 122, 123)関連資料(消費者庁提出資料)
(資料5-1) 「地方消費者行政活性化基金」の活用状況等について(PDF形式:69KB)
(資料5-2) 放射性物質検査機器の貸与等について(PDF形式:17KB)
(資料5-3) 放射性物質検査機器貸与の第1次申請状況(10月11日(火)締切)(PDF形式:53KB)
(資料5-4) 放射性物質検査機器の貸与等にかかる今後の予定(PDF形式:88KB)
(資料5-5) 消費者庁 平成24年度予算概算要求・機構定員要求について(PDF形式:169KB)
(資料5-6) “集中育成・強化期間”後の地方消費者行政の充実・強化に向けた取組の検討状況について(PDF形式:163KB)
(資料5-7) ”集中育成・強化期間”後の地方消費者行政の充実・強化に向けた取組み(工程表)(PDF形式:155KB)
(資料5-8) 「消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会」について(PDF形式:79KB)
(資料5-9) 「相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会」委員名簿(PDF形式:62KB)
(資料5-10) 消費者ホットライン(PDF形式:396KB)
(資料5-11) 消費者ホットライン実施状況について(PDF形式:72KB)
【資料6】 消費者基本計画(施策番号135)関連資料(消費者庁・人事院提出資料)(PDF形式:24KB)
【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:16KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
ただいまから「消費者委員会」の第72回会合を開催いたします。
なお、本日は所用により、川戸委員、村井委員が御欠席、田島委員が若干遅れて御出席の予定となっております。
また、本日は審議の関係で16時30分ごろの終了を予定しておりますので、お伝えいたします。
最初に、配付資料の確認を事務局の方からお願いいたします。

○原事務局長 事務局です。配付資料ですけれども、第72回消費者委員会議事次第と書かれたものの後ろに配付資料の一覧をお付けしています。
資料1といたしまして、本日予定しております消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策とヒアリング項目を並べております。前回は別々の形にしておりましたけれども、今回は施策を並べて、その下にこちらからお願いしておりますヒアリング項目を付けた形としております。
それから、資料2といたしまして、施策番号153-2の関連資料といたしまして、消費者庁から御提出いただいた資料。
それから、資料3といたしまして、同じく施策番号153-2、それ以外にたくさん項目がございますけれども、総務省から御提出いただいた資料です。
それから、資料4といたしましては、施策番号106に関連いたしまして、厚生労働省から御提出いただいております。
資料5といたしまして、施策番号121、122、123という地方消費者行政関連の資料で、消費者庁から御提出していただいた資料。
それから、資料6といたしまして、施策番号135番の関連ということで、消費者庁、それから人事院、共同でお出しいただいている資料です。
それから、参考資料といたしまして、委員間打ち合わせを10月24日に開いておりますので、主な打ち合わせの内容をこちらに記載させていただいております。
不足の資料がございましたら、また審議の途中でもお申し出をいただければと思います。
事務局からは以上です。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 それでは、審議に入ります。
本日の議題は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」です。消費者基本計画の検証・評価・監視につきましては、消費者委員会として重要課題と考える項目の今年度の施策の実施状況等について、前回の委員会からヒアリングを行っているところです。
本日は、その2回目といたしまして、資料1にありますように、IT・情報通信に関連する施策として、153-2番、84番、155番、160番、161番。次に、地方消費者行政等に関連する施策である106番、121番~123番、135番について、それぞれ関係省庁においていただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。
ヒアリングの進め方といたしまして、初めに153-2番、84番、155番、160番、161番について、これらは関連する施策ですので、あわせて御説明いただき、その後、質疑に入りたいと思います。その後、106番について、更に121番、122番、123番について行い、最後に135番について、同様にヒアリング、質疑を行いたいと思います。
なお、資料1にございますように、委員会であらかじめお伺いしたいと考えている内容をヒアリング項目としてまとめておりますので、これはあらかじめ各省庁にお伝えしております。したがって、こちらも念頭に置いて、逐一、1番について、2番についてという御回答でなくても結構ですから、このヒアリングとして聞きたいという問題意識を前提にして御説明をいただければと思います。
それから、傍聴人の方から、時々マイクが聞こえにくいということを御意見として伺っておりますので、説明される方はマイクに向かってゆっくり、はっきりとお話いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
初めに、IT、それから情報通信に関連する153-2番、84番、155番、160番、161番の施策についてです。本日は、消費者庁、総務省、経済産業省においでいただいております。初めにまとめて御説明いただきまして、その後まとめて質疑を行いたいと考えております。
それでは、消費者庁の方から御説明をお願いいたします。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の黒田と申します。よろしくお願いします。
いただいた御質問のうち、Q1、昨年度のインターネット消費者取引研究会における検討結果の要点。その中で具体的に、例えば2は、決済代行業者の話と、3のインターネット消費者取引連絡会。あと、Q5では、インターネット消費者取引そのものへの対応についてというのが全体をカバーしていると思います。あと、Q6の成功体験が宣伝に当たるのではないかという話、この辺をまとめて最初に説明させていただければと思います。
お手元の資料2-1から2-5までが関連する資料ですけれども、まずインターネット消費者取引研究会そのものについては、飛びますが、2-2に全体の概要がございまして、一番最後の裏をめくっていただきますと、どういったスケジュールで開催されたかというのがございまして、昨年8月から今年3月の間、議論いたしまして、研究会のメンバーになっていただいた方は、その前のページに載っております。
では、要点は何かというのは、資料2-1です。
まず、要点を全部で5つほど掲げております。決済代行業者の名称、連絡先などのわかりやすい表示の仕組みをつくる。(2)として、インターネット取引に係る表示について事業者が守るべき事項を提示する。(3)は、広告表示に対するネット上の監視活動を強化する。(4)として、越境取引に関する消費者トラブルの解決に向けて各国消費者相談窓口間のネットワークをつくる。(5)として、関係事業者、消費者団体等の参加を得て「インターネット取引連絡会」を運営するということでございます。
その他、いろいろほかにもあるものは概要に書いてありますけれども、それぞれの中身について申します。
まず、登録制度について。
もともとインターネットの取引というのは、画面を見ている限りでは、自分が取引をやっている相手方が、だれが、どこまで関与しているかがわかりづらい。特に、決済を伴っている場合に、代行業者が絡んでいた場合には、何かトラブルがあったときには一体どこに持っていけばいいのかわからないといった問題がございました。
では、その代行業者が名称、連絡先などをわかりやすく表示するにはどうすればいいかということを議論いたしまして、まずは任意の登録制度というのを試行的にやってはどうかということで、モバイル・コンテンツ・フォーラムという一般社団法人の御協力をいただきまして、この登録制度の運用を開始してございます。資料については、2-3に具体的に公表しておりますが、今年6月16日に公表して、7月1日からこの運用を開始しております。
更に2-4として、実際の代行業者登録制度サイトということで、登録業者のリストを載せております。これまで13の事業者の名称、クリックしていただきますと連絡先が登録されておりまして、引き続き事業者の登録を呼び掛けていきたいと考えております。
登録していること自体で、この事業者が関与する事業すべてが適法だと保障するものではないのですけれども、この連絡先とか会社の情報、基本的な情報についての透明性を高めることによりまして、どこと交渉すればいいのか、交渉の見える化が進むことによって、結果的に事業者の運営上の規律が高まれば、消費者トラブルの抑止に一定の役割を果たすのではないか。
だれが関わっているかわからないとか、どこに行っていいかわからないということもなくなりますし、常に見られているということで、事業者の方も規律が働くのではないか。
これについては、義務化すべきではないかとか、いろいろ議論もございましたけれども、まずはできるところから素早くやっていくことが大事ではないかということで、任意の登録、しかも民間事業者団体による登録制度を試行するということで、2年をめどに実際にどれだけこれがワークするのかを消費者庁として調査しております。その結果を踏まえてしっかり検証して、どこが足らないのか、これでいいのか、更にやるべきことはないかということを検討していきたいと考えております。それがまず1点目でございます。
2点目、インターネット取引に係る表示について、事業者守るべき事項を提示するということです。
表示のみをみて契約を締結してしまうという性質がございまして、表示の中身がどれだけ信頼できるかというのが非常に大きなポイントですけれども、なかなかわかりづらいとか、無料と書いていながら、いろいろやっていくと実際にはお金がかかってしまうとか、書いてあること、それぞれを見ていくと、趣旨がずれたものになっているとか、あと、ここの質問事項にもありますように、掲示板的な話がいろいろ書いてありますけれども、これはサクラではないかとか、そういった表示があって、実際に消費者はどれを信じていいのかという問題もございます。
そこで、消費者庁といたしましては、平成23年度の上半期において、わかりやすい手法を用いて、これを提示するということで作業を進めておりまして、実は明日、具体的な成果について公表する予定でございますが、今日は担当の片桐課長の方から簡単に内容を紹介させていただきたいと思います。

○消費者庁片桐表示対策課長 それでは、表示対策課長の片桐でございます。私、事業者が守るべき事項ということで、明日公表を考えておりますものについて、ポイントを概略、御紹介させていただきたいと思います。
インターネットの取引でございますけれども、インターネットサービスの5つの類型について、景品表示法上の問題点、それから留意事項という形でとりまとめを考えているということでございます。
検討事項として想定されている表示の例ということで6つ挙がってございますけれども、留意事項として明日公表するものの最初が、フリーミアムにおける正確でない「無料」といった表示に相当するものでございます。これは、無料の基本的なサービスで、有料の付加的なサービスに購入を誘引するというビジネスモデルですけれども、景品表示法上の問題点としては、付加的なサービスも含めて、あたかも全部無料で利用できるような誤認を一般消費者に与える場合には、景品表示法上の問題になる。
留意事項といたしましては、無料で利用できるサービスの具体的内容、範囲を正確かつ明瞭に表示する必要があるのではないかということでございます。
2つ目の行為類型、サービス類型として、ちょっと飛びますけれども、検討事項として表示される例で言いますと、3つ目の口コミサイトでございます。
サクラ記事など、広告主から報酬を得ていることが明示されない書き込み等と書かれておりますけれども、インターネット上のサイトで、いわゆる口コミ情報というものが流れているということでございます。これは、商品・サービスを提供する事業者が口コミサイトに自ら掲載する。あるいは、第三者に依頼をして掲載される場合には、その商品・サービスの内容について不当表示があれば景品表示法上の問題になるという整理でございます。
したがって、口コミ情報の対象となった商品・サービスの内容、取引条件について、留意事項としては、自ら掲載し、第三者に依頼して掲載する場合ですけれども、一般消費者に誤認されるような不当表示にならないように留意する必要があるということでございます。
3つ目のサービス類型ですけれども、共同購入などのフラッシュマーケティングでございます。
これは、商品・サービスの価格を割り引くという特典付きのクーポンを一定数量、期間限定で販売するビジネスモデルということで、一部例外はありますけれども、通常価格と割引価格を並べて表示して二重価格表示を行うというビジネスモデルでございます。二重価格表示が行われるということですので、景品表示法上の問題点としては、例えば比較対象価格である通常価格について販売実績が全くない場合ですと、この二重価格について有利誤認ということで不当表示の問題になってくるということでございます。
こういったフラッシュマーケティングの留意事項といたしましては、最近、相当期間に販売された価格であるものを比較対象価格に用いる。あるいは、そうでない価格を用いる場合には、どういう価格なのかというのを具体的に表示する必要があるということです。
それから、クーポン発行会社、サイトの運営会社ですけれども、こちらは直接の商品・サービスを提供する者ではございませんけれども、自社が運営するサイトに商品・サービスの広告表示を掲載する際には、こういった不当な二重価格表示を招くようなことがないように、クーポンサイト以外での販売実績をチェックするとかして、販売実績がないものについては掲載をやめるといった注意が必要ではないかといったことでございます。
次は、アフィリエイトによる第三者による不適切な表示ということでございます。
ブログ、その他のウェブサイト、アフィリエイトサイトの運営者、アフィリエーターですが、広告主が供給する商品・サービスのバナー広告を自分のサイトに張っているということでございます。そのバナー広告の内容について、不当表示、有料誤認があると景品表示法上の問題になってくるということでございます。
例えばバナー広告において留意事項といたしましては、商品・サービスの効能・効果を標榜する場合には、広告主はということでございますけれども、十分な根拠なく効果・効能があるように対象者に誤認されるような表示を行ってはならないということでございます。
5つ目が、2ページに個人たる販売者による不適切な表示とありますけれども、これに相当する、明日のものでは、ドロップシッピングというインターネットのサービス類型としてまとめております。
ドロップシッピングにつきましては、ネット上の商品取引のサイトを通じて消費者が商品を購入するビジネスモデルでございますけれども、サイトの運営者、ドロップシッパーということになりますけれども、在庫を持ったり配送したり、自分はしないということで、製造元、卸売元が在庫を持って発送を行うビジネス形態でございます。
そのドロップシッパーになるのは、個人の者が多いということでございまして、こういった個人を含むドロップシッパーというのは、個人事業者も含めまして景品表示法に定める事業者に相当するということでございますので、ドロップシッピングショップで販売される商品について、その表示で景品表示法上の問題がある場合には、個人を含むドロップシッパーが不当表示の問題について責任を問われるということを明確にしております。
これが景品表示法上の問題点ですけれども、留意事項といたしましては、そのドロップシッパーの個人も含めて、ショップで商品を供給するに際しまして、その商品の内容について客観的事実に基づいて、正確かつ明瞭に表示を行う必要があるのではないかという留意事項でございます。
以上、手元に詳しいペーパーがなくて恐縮でございますけれども、私の方からの話は以上でございます。

○消費者庁黒田消費者政策課長 再び資料2-1にお戻りいただきまして、3ページに行きます。
広告表示に対するネットの監視活動というのは、実際、予算措置をして人を張り付けて監視する人を整備したということでございます。
(4)越境取引に関する窓口間のネットワークということですけれども、これは来月から、実際、窓口間のネットワークを、実証調査として消費者庁越境消費者センターという名前で、海外での消費者トラブルを受け付ける窓口を開設するということで実施する。近日中にこれも公表したいと考えております。
実際、海外の特にインターネットショッピングを利用された方のうちの2割ぐらいの方は、納期が遅れたとか違う商品が届いたといったトラブルに遭遇したことがあると回答されております。ただ、そういった方のうちの約3割の方は、言葉の問題とか相手の事業者の連絡先がよくわからないといったことで、いわば泣き寝入りに近い状況にあるという調査結果がございます。
では、それをどうしていくかということですけれども、国内であれば、それこそ消費生活センターに御相談いただいて、国内の事業者と国内の取引であれば、センターがあっせんすることができるのですけれども、事業者が海外の越境取引である場合には、消費者の方が身近な消費生活センターに御相談されても、そのセンターの方から、時差とか言葉の問題があって、なかなか国内事業者相手のように間をあっせんすることはできないということがございます。
海外にそれに相応するような組織が幾つかございますので、相手国政府なり関係機関を通じて、消費者庁なりを介して、相談を受け付けたところから、ネットワークを介して相手の国の事業者と接していただく機関、その消費者のトラブルの解決をしていただく機関との間を結び付けて、現地で事業者と対応していただいて、その結果をフィードバックしながら、やりとりして何とか問題を解決していく仕組みをつくる。
そういう仕組みで、今後実際に問題があれば受け付けてみて、どれだけワークするのか。連携に当たって、どういうことを今後強化していく必要があるのかということを、まさに試行で実証調査を行って、本格的な仕組みづくりに持っていきたいということで、消費者庁越境消費者センターを来月から運営することにしております。
最後、インターネット取引連絡会ということで、御質問の趣旨は、組織が大がかりで機動的に開催できるのかというのは、お配りしている資料の中で、これに関する資料は2-5の第1回目の連絡会の議事要旨で、参考ということで、一番最後の紙に出席者一覧ということで、消費者庁、関係行政機関、事業者団体、消費者相談関係団体、オブザーバーとある。私なりの解釈ですと、人数が多過ぎて日程調整もなかなか大変なのではないかという点を御心配いただいているのかなと思ったりしています。
この会議自体は、ごらんになっておわかりのとおり、政策的な考え方を意見交換して、何か文章をまとめていくといった性質の会議ではなくて、今、実際に起こっている問題とか、それぞれの機関が抱えている悩みとか、これはこうしたらいいのではないかというアイデアを持ち寄って、意見交換し合うことによって、そこでまた何かアイデアが生まれることを期待して、実際にこういった解決ができるのではないか、相談を実際に受けられる方もいらっしゃっていますし、最近、こういう問題が起こって、多いのだという生の声を聞いて、更にその情報をまた持ち帰って、それぞれの機関で事業を遂行していくという性質の会議でございますので、特に主体者の非常に自由な議論とかを重視して、それぞれの役割のもとで責任を持って自分たちのやるべきことに取り組んでいくという性質の会議だと御理解いただければと思います。
2回目も既に開催されておりまして、近日中にホームページにその模様は掲載したいと思っております。2回目は9月28日に開催しておりまして、2か月に1回ぐらいのペースでやりたいと思っております。ちなみに何を議論したかというと、出会い系サイトについて、今どういう問題が起こっているかということです。
ゲストもここに書いてあるメンバーにとらわれずに、その問題に応じて専門家の方に来てもらうことも考えておりまして、9月の会議におきましては、この出会い系サイトの被害者救済に非常に取り組んでいらっしゃる弁護士の方にいらっしゃっていただきまして、現場の話を聞かせていただきました。
委員の中には、ふだん、なかなか議論を一緒にできない人たちと議論できて有意義だったということをツイッターで紹介していただいている方もいらっしゃいます。そういう意味では、中身も、取り上げる話題も、開催のあり方も、今後機動的にやっていきたいなと考えております。
消費者庁からは以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
続いて、総務省の方から御説明をお願いいたします。

○総務省玉田消費者行政課長 総務省の消費者行政課長の玉田でございます。よろしくお願い申し上げます。
私の方からは、順次、取組を御説明させていただきますが、まず153-2の関連で申しますと、総務省はマル5の、今も御説明がございましたインターネット消費者取引連絡会のメンバーとして参加させていただいております。今ほど御説明にあった9月の会合におきましても、出会い系サイト絡みの消費者問題ということで、私どもの方からも関係の法令等について御説明させていただいております。
それから、160、161は消費者の取引に係る部分でございまして、まとめて御説明いたします。
その前に155ですけれども、こちらの迷惑メールに関する官民連携施策ということで、送信元プロバイダに通知することにより、プロバイダによる迷惑メール送信回線の利用停止措置等の円滑な実施ということで、継続実施の中身でございます。
私どもの関連で日本データ通信協会に、調査端末、モニター端末がございまして、こちらに着信した迷惑メールについて、そのIPアドレス等の情報をインターネットプロバイダ約160社に対して提供する形で、「迷惑メール追放支援プロジェクト」というものを実施してございます。
こうした対応により、平成22年度で、携帯電話3社について申しますと、利用停止の措置が2,699回線、それから契約の解除に至ったものが506回線という形で効果を上げていると認識してございます。
その前提としまして、私ども、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律を所管しておりますけれども、平成14年から19年にかけましては、いわゆるオプトアウト、すなわち原則電子メールを送っても構わないけれども、要らないと言った人には送ってはいけないというスタイルだったのが、平成20年からオプトインに変更になりました。すなわち、事前にメールを受け取ってもいいですよと言った方でないとメールを送ってはいけないという制度に変更になったことに伴いまして、例えばこの制度に従わないで、同意を得ないでメールを送った場合に、私どもの方で措置命令を行ったりするわけですが、その件数が、20年までは6件でありましたのが、21年以降、21件と増加して、対策を進めておる状況でございます。
ちょっと戻らせていただきまして、84、160、161の契約に絡む部分でございます。84は、広告表示に関するものであります。それから、160は勧誘に係る部分でございます。また、161は取引に係るところの情報提供の適正化、この関連であると認識しておりますが、この全体に関しまして、私ども、有識者による検討の場として、利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会というものを運営してございまして、その下に電気通信サービス利用者WGで議論を進めてまいりました。
広告表示等から御説明させていただきますが、お手元の資料3をごらんいただければと思います。「電気通信サービス利用者WG提言の概要について」という資料でございます。
1枚めくっていただきますと、まず総論というところでございます。国民生活センター、消費生活センターのPIO-NETのデータベースで言いますと、この1年間で97万件、約100万件近くの相談・苦情等があるわけですけれども、この中で電気通信サービスに関するものがどのぐらいあるかというデータを確認したところでございます。
一番左の円グラフにありますように、このうち電気通信サービスに係るものは3.4%です。そうすると、約3万4,000件余りで、全体の中ではこういった数でございます。その内訳は真ん中のグラフでございまして、電報・固定電話、移動通信サービス、インターネット通信サービスに係るものといったところが3種ございまして、一番大きいものが放送コンテンツでございました。
右の3色の部分、いわゆる情報通信サービスの部分で言いますと、2010年度と2009年度の数字が出てございます。2009年度から2010年度にかけまして、赤いところ、移動通信サービスについては、相談が減ってございます。一方でグリーンのインターネット通信サービスに係る相談等は、増加している状況にございます。具体的な中身としては、例えば光ファイバに関する契約上の相談が多いと聞いております。
こういったデータ等に基づきまして、消費者契約上の締結前の事前の情報提供の在り方とか、あるいは締結に係るところの説明の在り方、それから締結後の解除等に係る在り方というものについて検討いたしたところでございまして、2ページにその概要が出ております。
まず、広告表示につきましては、業界団体において広告表示に関する自主基準を以前より作っておりまして、それに応じて対応してきていることが一定の効果につながってはいるのですけれども、更にこれを強化すべしということで、用語集の継続的な見直し等が指摘されております。
また、勧誘につきましては、相談がいまだに多いということで、業界を挙げた取組みの強化が必要だという中身として、まず団体において勧誘の適正化を図るための自主基準を新たに作成すべきであるということ。
更に、個々の電気通信事業者においても、業界団体の自主基準の内容を踏まえながら勧誘の方針をつくっていくといったことが言われております。また、代理店での契約だからということで、いわゆる代理店だけが悪いということではなくて、電気通信事業者本体が自らの責任であることを自覚して十分な対応が必要であるということを指摘してございます。
それから、締結時の説明については、重要事項説明というものが求められておりますが、特に、電気通信事業法第26条で電気通信サービスの提供条件の概要に関する説明が求められているところでございますけれども、昨今、サービスが非常に複雑化・多様化してきている中での利用条件あるいは不利益な事実についても、十分理解できるように取組むべきであるということでございます。
1つは、業界団体におきまして、電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドラインがございますので、これを踏まえた対応、表示方法として、例えば非常に多岐にわたる重要事項についても、わかりやすく1枚から数枚にまとめたモデル例というものを用意して御説明すべきではないかということでありますし、またセット販売の場合、それぞれどの部分のサービスを自分が受けているのか、非常に理解が難しいということがありますので、図解するなどの資料を用意してはどうかということでございます。
また、適合性については、契約者が例えば高齢者であるとか、あるいは未成年であるとかによって、経験や知識に応じた説明をするのが適当ではないか。特に高齢者の場合は、サービスの内容・必要性が十分理解できるような形で説明すべきではないかということが指摘されております。
それから、契約締結後の対応ということにつきましては、いわゆる契約解除に関する問題としまして、業界を挙げた自主的な取組を更に強化すべきであるというラインでございます。すなわち、業界団体で、利用者からの申出によるところの契約の解除に関する扱いについて、自主的な取組みがどうなっているかを整理・分析する。そして、新たに自主基準を作成して業界を挙げて取り組む必要があるということが1つございます。個々の事業者についても、こういった自主基準を踏まえて契約約款に規定を設けて説明していくということであります。
ただ、こういった取組みにもかかわらず、一定の期間内に状況が改善されない場合については、例えばクーリングオフといった民事的な効力を有する規定を設けるなどの制度的な対応も検討する必要があるという指摘になっております。
次のページ、3ページでございますけれども、これ以外にも5、6、7、8という項目についても指摘しております。
簡単に申し上げますけれども、苦情処理・相談体制のあり方についても、利用者からの苦情の対応を一層充実していくという具体的な方策が記されております。
また、6つ目の関係者間の連携方策につきましても、単一の主体だけでは十分な対応ができない部分もあるということで、例えばマル2 電気通信消費者支援連絡会と書いてありますけれども、こちらは総務省、私どもの地方の総合通信局も含みますけれども、電気通信事業者、消費生活センターが協力して連絡会、情報交換、意見交換を継続して行う。今年度も既に前半、全国11か所で1回ずつ行っておりまして、また年度後半に向けて二巡を行う予定でございます。
それから、7番、利用者リテラシーの向上方策ということで、特にスマートフォンの普及など、利用者が必要なサービスを自ら選んでいくという時代になってまいりますと、利用者としてもサービスを積極的に理解し、また使いこなす力を付けていくことも大事であるという御指摘がございます。そういう意味で、電気通信事業者等による説明をしっかり聞いて理解しようとすることとともに、受け身でなく、必要な情報を自ら入手して理解に努める姿勢を持つべきことも指摘されております。
あと、安全・安心サービスの提供のあり方ということで、大規模災害時あるいはスマートフォンのセキュリティについても指摘がされているということでございます。
以上がこのワーキング・グループの検討の概要でございました。今の説明で多くの質問をカバーしている部分があろうと思いますけれども、迷惑メールの対策の関係で、クエスチョン7で御指摘いただいている部分について追加的に説明させていただきます。
先ほどデータとしては御説明いたしましたけれども、若干追加的に申しますと、現在、日本に流通している電子メールのうち、大体7割ぐらいが迷惑メールではないかとも言われておるところでございます。ただ、その発信地を見ますと、平成17年の時点では、パソコンあての6割、携帯電話あての9割が国内発でありましたけれども、今年度、23年6月現在で言いますと、パソコンあて、携帯電話あて、いずれもその9割が海外発になってきております。
もう一つ加えて言いますと、英国のセキュリティーベンダーが公表しております迷惑メールの発信国ランキングがございまして、これを見ますと、17年の段階では日本は7位だったんですけれども、今年、23年の段階では日本は45位でありまして、日本発の迷惑メールは減っている。むしろ、海外発の方へ追いやられているといいますか、日本国内の対策がそういう意味でも効果を挙げているだろうと見ております。
それから、国内は先ほどの法制度対策あるいは事業者間の対策ということがありますけれども、海外発のものが増えているということを含めまして、1つは、国際間の情報共有、情報交換による対応の強化も進めております。これは、諸外国の関係機関との間で、迷惑メール送信者のIPアドレスの情報を交換する等をして、警告等、必要な措置に資する対応をしておるところでございます。
また、技術的な対応ということで、迷惑メールを送信する場合には、送信側のプロバイダのメール送信サーバを経由せずに、受信側ISPのメールサーバの25番ポートへ直接送信するものについて、その送信を遮断するという技術的な措置がございます。
日本においては、この技術について大手を中心にプロバイダの多くが導入しており、これが迷惑メールの減少につながっているということでございますので、この技術的な対応の国際的な普及にも努めてまいるということでございます。
私の方からは以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。経済産業省は、特によろしいですか。

○経済産業省消費経済企画室担当者 はい。

○河上委員長 それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。どうぞ、山口委員。

○山口委員長代理 御説明、どうもありがとうございました。
消費者庁と総務省、双方に質問があるのですが、先ほど片桐表示対策課長の方から5類型についての考え方の御説明がありましたけれども、これはそういう類型を整理した上で、景品表示法による摘発と言いますか、行政的な指導・監督を今後強化してやっていくのだという趣旨の御説明なのか、どうなのか。類型を整理しただけではしようがないと思うので、今後この5類型についてどういう対策を消費者庁としてなさっていくつもりなのか、そこを是非伺いたいと思います。
特に今、問題になっておりますのは、例えば出会い系サイトで異性を紹介するかのように偽ってサイトの使用料を詐取するとか、あるいはペニーオークションでオークションの入札手数料名目で使用料を詐取するサイトとか、その種の不利益な事実を隠して消費者を勧誘してお金を取るという手口がかなり横行していると思うのですが、今の5類型に必ずしも当てはまらないけれども、消費者被害として出ている部分がかなりあると思いますが、その辺についてどうお考えなのか、消費者庁の方に伺いたいと思います。
それから、総務省の関係ですが、これは前回のヒアリングのときにも少し伺ったところですが、いわゆるプロバイダ責任制限法の問題であります。ワーキング・グループ等では、改正の必要はないという御議論になったように聞いているのですけれども、現段階で特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときと限定されていまして、要するに、メール自体が脅迫とか名誉棄損という場合以外には、プロバイダの責任、発信者の特定はできないシステムになっているわけです。
今の消費者被害の実情を見ますと、これが明らかに犯罪のツール、詐欺事犯のツールになっているような場合に、一体だれが発信して、こういう詐欺被害に遭ったのかを被害者側が察知さえもできないという、今のプロバイダ責任制限法の実情について、どうお考えなのか。
表現の自由があるとか、それ自体が名誉棄損ではないから、あるいは犯罪行為ではないからと言っても、明らかに犯罪のツールあるいは不法行為のツールとしてネットが使われる場合に、これをしようがないでしょうというのはどうしても納得がいかないのですが、その辺、今どういう対策をお考えなのか。
それから、もうちょっと細かく言いますと、特定電気通信については、不特定な者によって受信されることを目的とする電気通信しか想定していないようですが、特定者間の通信で消費者被害がたくさん出ているわけです。その辺についてはどういうふうにお考えなのか、それも伺いたいと思います。
それから、いわゆるネームサーバやドメイン名の登録を他人名義で行うことを代行する業者のために、相手方の特定が困難になる事態が生じていると思うのですが、他人名義によるネームサーバやドメイン名の登録を罰則付きで禁止するとか、当該業者に対して契約者を開示させるシステムを設けるとか。要するに、メールのシステムを悪用して、これは名誉毀損や脅迫だけではなく、詐欺的な行為も含めてやっている手口が横行して消費者被害が多発しているわけですが、その辺についてどういうふうにお考えなのか。
質問に答えていただいているようで、答えられていない部分もあるので、以上の3点について総務省からお考えを是非伺いたいと思います。

○河上委員長 では、消費者庁の方からお願いします。

○消費者庁片桐表示対策課長 初めに、私名義の御質問でございましたので、私の方からお答え申し上げたいと思います。
初めに、インターネットの取引5類型に整理したものについて、その規制、取り締まりを強化してやっていくのか、これからの対応についてどう考えているのかということでございます。
インターネットにつきましては、この5類型に限らず、御案内かもしれませんが、今も電子商取引表示調査員ということで、80名ほど一般消費者に委嘱して、インターネットの表示について常時監視、ウオッチをしていただいております。これで監視員の方から問題とおぼしき表示の例の情報提供を多数受けておりまして、これらについて、毎年何百件という単位でございますけれども、サイトの事業者に対しまして景品表示法上の問題につながるおそれがあるということで注意喚起を行ってございます。
ある程度テーマを決めてやっているということもございまして、今後、インターネットの留意事項ということでとりまとめ、公表を予定している5類型にテーマを絞った形で、電子商取引表示調査員の方々にウオッチをしていただいて、集中的にインターネットの表示について見ていただくという取組みを考えております。
それから、この留意事項自体の普及・啓発と言いますか、これからどう進めていくのかということでございますけれども、電子商取引の取組みとは別に、事業者の方々、それからその先の一般消費者の方々にもプラスになる面が多いと考えておりますので、さまざまな機会をとらえて御紹介、普及・啓蒙ということで話を進めさせていただきたいと考えているところでございます。
それから、不表示ですね。何か表示があって、それ以外の手数料なりに誘導するということで、ペニーオークションの例も挙げられてのお尋ねでございました。
ペニーオークションにつきましては、これも山口委員、御案内かもしれませんけれども、昨年末に不当表示の事案ということで、優良誤認と有利誤認という2つの観点から、ペニーオークションの運営事業者3社に対しまして措置命令をとったということでございます。
ペニーオークションは、トップページで非常に安くパソコンとか液晶テレビが手に入るという強調表示をしていて、手数料がすごくかかるとか制限時間が延長されることもあるという注意書きはあることはあるのですけれども、非常に見にくかったり、何回もクリックしないとたどり着けないという状況でありました。
PIO-NETなども通じて苦情も非常に多かったということで、これは表示によって誤認が与えられる。必ずしも手に入るケースばかりではない。多額の手数料がかかるケースもあったという認定で、措置命令をとったということでございます。
先ほどの留意事項のところでも少し御紹介しましたけれども、例えばフリーミアムのところで、お客さんを引っ張ってきて、それで実際は一部のものというか、ゲームだったら本格的なゲームのところに行く場合には手数料が有料になる場合に、あたかも全体が無料であるという印象を持たれるということであると、これは不表示の問題ではなくて、無料とうたっている表示自体が景品表示法上の問題になってくるということでございます。
そこは、景品表示法という切り口ではございますけれども、そういった有利誤認の類型のものにつきましても、景品表示法違反ということであれば、これからそれは法にのっとって厳正に対処していきたいということでございます。

○河上委員長 総務省、お願いいたします。

○総務省玉田消費者行政課長 私の方に3点御質問をいただいていると思います。
まず、プロバイダ責任制限法に関しまして、今回、私どもの方の研究会では、法改正の必要はなく、むしろ自主的な対応を進めようという形になったわけでございます。
若干、釈迦に説法ではございますけれども、このプロバイダ責任制限法に関しましては、いわゆるインターネットのインフラを提供するプロバイダは、他人の権利を侵害するという情報が流れた場合に、それを削除した場合、あるいはしなかった場合、いずれにおいても、それぞれ発信者なり、あるいは侵害されたとする方から責めを負う可能性がございます。
そういうある意味不安定な立場にあるということでございますが、それをこういう場合であれば責めを負わないということを明らかにすることによって、いわゆるインターネットインフラの安定的な提供、また、それによって憲法上の要請でもありますところの表現の自由あるいは通信の秘密の確保に資するというつくりになっている法律でございます。
そういう意味で申しますと、刑事的な側面の法制度というよりは、民事的な損害賠償の責めを負わない要件を明らかにするつくりにすることによりまして、このプロバイダの免責のあり方について具体化するというつくりになってございます関係で、これに刑事的な側面を入れるのが適当なのかということは、問題としてはございます。
2点目としまして、このプロバイダ責任制限法は、例えばインターネットの掲示板とか、そういう不特定多数の方々がごらんになる場に係る情報流通を基本的に想定しているわけでございまして、おっしゃったように特定者間の通信、電子メール等に係る部分は、基本的には対象とはしておりません。
その理由は、不特定多数の方がごらんになる掲示板等と言いますのは、まさに不特定多数への影響が非常に大きいという側面があります。それから、電子メール等につきましては、実際問題、メールが送信されて届いた段階で通信が完了してしまうという実際的な問題も含めて、これを取り扱うことが技術的にそもそも可能なのかどうかという問題もございますことから、現在、こういうつくりになっているということでございまして、これをどう考えるかという問題があろうと思います。
3点目につきましては、ドメイン名の登録代行、それから他人名義のメールサーバのお話でございますけれども、大変恐縮ですけれども、今回の研究会のプロセスも含め、このお話は、情報として私どもはまだ十分知り得ておりませんので、少し勉強させていただきたいと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。予定時間が大体来ておりますけれども、インターネット関連では問題がまだまだ多様化して、トラブルも増えていることでもございます。これは、国民にとっては大事な情報インフラですので、その適正化のために、更に十分な検討をお願いしたいと思います。
越境トラブルの問題もちょっと出てきましたけれども、これから新しい連携ということを試みておられるようですので、その試行の成果などもまたお教えいただければと思います。
消費者庁、総務省、経済産業省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきましてありがとうございました。
続きまして、「地方自治体における後見制度等の実施による高齢者の権利擁護の推進について」ということで、106番に移らせていただきたいと思います。
この106番の施策についてでございますけれども、本日は関係省庁といたしまして厚生労働省においでいただいております。
それでは、御説明の方、お願いいたします。

○厚生労働省深澤高齢者支援課長 厚生労働省の高齢者支援課・深澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
政策番号106番の関係について御説明させていただきたいと思います。別に付いております資料4も活用しながら御説明させていただきたいと思います。いただきましたクエチスョン、6問ほどございますが、それに沿って御説明させていただきたいと思います。
まず、昨年度、平成22年度の具体的施策の中で全国の担当課長会議での周知ということがございますので、その状況だけ御報告させていただきます。
資料4の3ページをごらんいただきたいと思います。これは、その会議で使いました資料の抜粋でございます。
資料の中身については、昨年の具体的施策に書き込まれたもの、そのまま書かせていただいているところでございますけれども、いろいろな施策の中できちんと取組みをお願いしますということでやったところでございます。
なお、その会議の中では、勿論、今年度の施策として取り上げております成年後見制度の活用といったものも高齢消費者の権利擁護に非常につながるものでございますので、課長会議の中でも周知徹底を図っているものでございます。
また、それ以外に何か行っているかというものがございましたけれども、基本的に課長会議での取組みと、今年度御説明する成年後見の活用といったことにいろいろと取り組んでいるということでございます。
Q2でございますけれども、自治体において施策に反映しているかのフォローアップ調査ということのお尋ねでございます。
昨年書かせていただいた内容についてのフォローアップ調査という形では、特に行っておりませんけれども、私どもとしては、今年度の施策でございます成年後見制度の活用といった中身をより充実させていくということで、後ほど御説明いたしますけれども、市町村での認識は高まっておると認識しておりますので、そういった取組みを強化していくことが重要かなと理解しているところでございます。
Q3、今年度、23年度の具体的施策ということで取り上げたものの説明ということでございますけれども、資料4の4ページをお開きいただきたいと思います。
御承知のとおり、高齢者の中でも認知症の高齢者が非常に増えている実態がございます。これは私どもが以前行った推計のデータでございます。2010年、日常生活自立度II以上ということで、注1に書いてございますような認知症高齢者は208万人。それが2025年、中ほどでございますけれども、323万人。その後も急激に増えていくと見込まれているところでございます。その中で、成年後見制度というものは認知症高齢者の権利擁護ということで、その促進を図ることが極めて重要と認識しているところでございます。
私ども、これまでの取組みでございますけれども、費用負担の問題から、弁護士等の専門職によります成年後見制度の利用ができないといった事態に対応するために、市町村が後見人等の申し立て、その報酬などについて助成を行う事業というもの。これは、平成13年度から実施しているところでございます。
それが、資料4の4ページの下の方に書いてある事業でございます。成年後見制度利用支援事業ということでございます。
事業内容については、そこの2にございますように、広報・普及活動の実施ということでパンフレットの作成と書いてございますけれども、それ以外に、(2)後見制度の利用に係る経費に対する助成ということで、マル2をごらんいただきますと、申し立てに要します手数料、鑑定費用等及び後見人の報酬の一部について助成ができるということで、13年度から措置をしているところでございます。
また、身寄りのない高齢者の増加によって、後見人等の審判請求を行う市町村長の申し立ての必要性が高まることが考えられるところでございます。こうしたことから、弁護士等の専門職後見人のみならず、市民を含めて後見人を確保していくことが必要であるということで、今年の通常国会に法案を提出いたしまして老人福祉法を改正したところでございます。
資料4を1枚おめくりいただきまして、5ページをごらんいただければと思います。
老人福祉法の32条、市町村長が成年後見についての審判請求という規定、これはもともとございましたけれども、32条の2、第1項が市町村の努力規定を規定させていただいております。人材の育成及び活用を図るため、研修の実施あるいは家庭裁判所への推薦その他の必要な措置を講ずるよう努める。
それから、第2項が都道府県の努力義務でございますけれども、市町村と協力して助言その他の援助を行うよう努めるということを規定したところでございます。
こういった規定によりまして、市町村は市民後見人、専門職以外の後見人についての育成・活用に努める。こういった取組みを支援するために、予算も今年度から措置したところでございます。
資料4を1枚おめくりいただいて、6ページでございます。
市民後見推進事業についてと書かせていただいているところでございますけれども、今、申し上げましたようなことを実現するために、今年度の予算として1億円ほどの予算措置を講じているところでございます。
内容につきましては、下の方の3.事業内容をごらんいただきますと、市民後見人養成のための研修の実施ということ。
あと、(2)組織体制の構築。
それから、(3)でございます。ここも重要かと思いますけれども、専門職でない市民の方が後見人になった場合に、弁護士、司法書士等の専門職によって、その市民後見人が困難事例等に円滑に対応できるための支援体制の構築を図っていくということで、必要な予算措置を講じております。これは、全国で今、37市区町でモデル事業に手を挙げていただきまして、今、申し上げたような内容を実施しているところでございます。
その実施の体制を示しましたのが、1ページ戻っていただいて恐縮でございますけれども、5ページに書いたような市民後見人を活用した取組み例のイメージということで実施しているところでございます。
ちなみに、市町村がどういうところに実施を委託と言いましょうか、お願いしているかと言いますと、市町村の社会福祉協議会とかNPO法人等に委託して、今、申し上げたような研修の実施等を行っていただいているところでございます。
それでは、都道府県は何をしているか、資料4の最後のページ、7ページでございます。
今年度創設して、予算額としてはわずかでございますけれども、市町村が単独では市民後見人の養成が困難な場合などに、都道府県が広域的な観点から研修等を実施するということで、今年度はそこに書いてございます3府県でこういった取組みを実施してもらっているということでございます。
以上申し上げたような取組みの中で、お尋ねがございましたような、被害者意識が希薄であったり、自己の軽率さを恥じて被害を表に出さない潜在的被害の掘り起こしということに、直接はなかなか対応ができていないわけでございますけれども、こういった成年後見制度、市民後見人の活用も含めて取組みが進むことによって、高齢者の消費者被害というものを少しでも減らしていく方向には資するものと考えているところでございます。
それから、Q4は後見人の事務の監督ということに該当する内容でございますので、私どもの担当というよりも、家庭裁判所あるいは後見監督人が選任された場合には、その後見監督人の方のお仕事ということで、法務省、最高裁においてお答えいただく中身と考えているところでございます。
しかしながら、さっき申し上げた市民後見人に向けての養成研修の中で、当然のことではございますけれども、こういった理念面についてもきちんと時間をとって取り組んでいるところでございます。
それから、Q5で、成年後見人に財政が余りない場合云々のお尋ねでございます。これについては、資料4の中で御説明した成年後見制度利用支援事業あるいは市民後見人の活用といったことで対応しているところでございます。
最後の、昨年取り上げました地域包括支援センターを中心に高齢者の消費者被害の防止に取組むべきと思うがというお尋ねでございます。
地域包括支援センターの仕事につきましては、計画の中でも書かせていただきましたように、消費生活センター等との定期的な情報交換とか民生委員等への情報提供が、基本的な消費者保護という観点からは仕事の中心かと思います。当然、老人福祉といったものが中心の仕事でございまして、消費者保護の専門職種はいないわけでございますので、今、申し上げたような地域的な情報交換、情報提供を中心に行っていくのが地域包括支援センターの本来の仕事でございまして、そこが消費者保護施策の核となるところではないという理解をしているところでございます。
私どもからは以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方、発言を願います。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
では、私から1点だけ。コスト面でどうしても後見制度には乗りにくい高齢者の方が随分いらっしゃるかと思うのですけれども、それに対して、何か今後手当てをすることは考えていらっしゃいますか。

○厚生労働省深澤高齢者支援課長 コスト面とおっしゃいますが、申し立て費用とか報酬以外の面でございますか。

○河上委員長 そうですね。その問題を含みます。ただ、その支援事業は、そんなにたくさんのものをカバーできないでしょうから。

○厚生労働省深澤高齢者支援課長 今後、こういった制度の活用が進みますと、コスト面を御自身ではなかなか賄えない方がかなり増えてきます。そこのコスト面をどうするかということで、私どもが今、予算措置しているところだけで全然足りなくなってくるというのが、この制度の推進に当たって一番大きなネックになってくると思います。
果たして、それが厚生労働省だけで背負えるものなのかという点もございまして、成年後見制度を担っております法務省等々、あるいは最高裁なりの事務方等ともよく相談していかなければいけないと認識しております。では、具体的にこうやっていこうということで、何か抜本的な対策を今、持ち合わせているわけではございません。コスト面というのは、今後大きな課題になってくるという認識は、おっしゃるとおりでございます。

○河上委員長 場合によっては、後見制度以外のところで高齢者を見守れるような制度を大いに考えていただければありがたいということでございます。
どうぞ。

○山口委員長代理 今の関係で言いますと、武蔵野市が試行しているということですが、自宅は持っているけれども、キャッシュがないお年寄りについて、市区町村が抵当権を設定して資金を融資して、それをさまざまな生活費やその他に使ってもらうというシステムが一部で工夫されていると思います。その辺を国として、こういう方法もあるよということで促進していくつもりはないのかどうか。
それから、これは数字がよくわからないのですが、4ページの下の方に地域支援事業全体で641億円の年度予算を組んでいらっしゃるようですが、これと成年後見の利用支援事業の予算とはどういう関係になっているのか、御説明いただければと思います。

○厚生労働省深澤高齢者支援課長 1点目につきましては、成年後見関係の費用に限らず、私どもが担当しております介護の関係の保険料とか自己負担分、医療の関係でも同じような保険料や自己負担分の、フローの収入だけではなかなか払えない。だけれども、何らかの預貯金なり土地・住宅などの資産がある方について、抵当権というお話もございました。
言葉は適切でないかもしれませんけれども、亡くなったときにその資産でお返しいただくようなリバースモーゲージ的な考え方を、今後導入してかなければいけないという問題意識は当然持っているところでございます。どこまで普及できるか、難しい点はいろいろあろうかと思いますけれども、問題意識としては持っているところでございます。
それから、予算額の関係でございます。641億円はかなりあるように思いますけれども、全体の地域支援事業というのはほかに、さまざまなメニューがございまして、どのメニューを使うかというのは各市町村の判断にゆだねられておりますので、全体から見ますと市町村の事業の中で非常に小さくなってしまうものでございます。
今の事業をモデル的にやっている、あるいは取組みが始まった段階では、この予算で足りておりますけれども、今後、成年後見の申し立て等が増えてきますと、なかなか厳しくなるなと認識しておるところでございます。これは、全体なので、大きい数字に見えてしまいますけれども、市町村にお任せしている事業でございますので、内訳として幾らという形でお示しできるものではございません。

○河上委員長 厚生労働省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。
続きまして、「地方消費者行政支援」に関連するものとして、121番、122番、123番の施策についてでありますが、本日は関係省庁として消費者庁においでいただいております。初めに、これをまとめて御説明いただきまして、その後、まとめて質疑を行いたいと思います。それでは、説明をお願いいたします。

○消費者庁地方協力課担当者 消費者庁地方協力課の中村と申します。よろしくお願いいたします。
では、資料5を用いまして説明させていただきます。
まず、121番、集中育成・強化期間中の取組みについての項目でございます。
こちらにつきまして、まずお手元の資料5-1をごらんください。
こちらの資料にありますとおり、地方消費行政活性化基金につきましては、平成21年度から23年度で、1年間、自治体さんからの延長希望があれば24年度まで利用可能な予算として御活用いただいているところでございます。また、被災4県については、更に1年、25年度まで活用可能になっております。
こちらを活用しまして、資料の中で5つほど挙げてございます。例えば平成21年度から22年度までの2年間で、消費生活センターの設置は150か所程度増加しております。また、相談窓口の設置は、130程度の自治体で増加が図られております。また、相談員さんの増員は550名程度図られているところでございます。また、相談員さんの処遇改善は180程度の自治体で報酬引き上げが図られているところでございまして、着実に効果があらわれているところでございます。
こちらは、先ほど延長可能という話をしましたけれども、現時点で36府県の延長が決定しているところでございます。
この基金につきまして、あらかじめ御質問の項目をいただいております。消費者庁の職員と現場との意見交換をどういった形で行ってきているのかといった話がございましたけれども、こちらにつきましては、22年度は163回、23年度上半期は90回となっております。それから、首長さんへの働きかけの実績でございますけれども、22年度は全国知事会等の会議に6回出席しております。こうした取組みを23年度も引き続き行っていきたいと考えているところでございます。
現場のニーズを踏まえた基金の見直しにつきましては、23年度においては見直しではございませんけれども、震災対応の一つとして、食品と放射能の問題に消費者の方の関心が高まっていることを受けまして、消費サイドで行う放射性物質の検査体制整備にも基金の活用が可能である旨を周知という形でお知らせしております。
それから、執行研修の開催実績と、それぞれの受講者数についてですけれども、22年度は特定商取引法とか景品表示法を中心にケーススタディーを充実させまして1回開催しております。こちらの受講者数は258名となっております。23年度につきましては、2度に分けて行いまして、6月の初任者研修102名、それから9月の専門研修が87名、計189名となっております。
次に御質問いただいた中で、具体的な施策の中身として挙げている中に、説明会での周知など、抽象的な記載にとどまっているけれども、例えば「住民生活に光をそそぐ交付金」について自治体に積極的に働きかけたとされているが、どのようなことを具体的にしたのか、そのことを効果を用いて説明されたいというお話がございました。
こちらにつきまして具体的に申し上げますと、長官から各都道府県・市町村の首長さんに要請文書を発出したことが1点。
また、このほかに特徴的な取組み事例を具体的に紹介しながら働きかけということで、全国説明会を開催しますとともに、個別の希望を受けた場合ですけれども、県単位ごとに県下の市町村に対して100か所、こちらから足を運びまして御説明させていただきました。この場で具体的事例を御紹介しましたけれども、こうした事例を参考にして実際に取り組まれた例もございます。そのほかに、ブロック会議等においても、機会を捉えて働きかけをしてまいりました。
こちらの効果でございますけれども、先ほど御紹介いたしました地方消費者行政活性化基金との併存期間であることを踏まえますと、積極的な活用をいただけたのではないかと評価しております。こちらの光交付金につきましては、自治体さんの方で25億円活用されておりまして、うち基金が15億円でございますけれども、積極的に御活用いただいております。
先ほど具体的な事例を挙げたところ、それに実際に取り組んでいただいたところがあると申し上げましたけれども、例えば行政と事業者の協働によって、市内の事業者においてお客様担当者を養成する取組みを紹介しましたところ、八戸の方で実際に取り組んでいただいた例もございます。
そのほかにも、自治体さんの方で取り組まれた事例としまして、地元の医師会さんや教育機関等と連携して、子どもの事故情報を収集・解析して、それを関係者間で共有することで子どもの事故を予防する取組みなどが行われております。
次に、東日本大震災で被害を受けた自治体へのバックアップ体制についてでございますけれども、被災4県、岩手、宮城、福島、茨城が非常に甚大な損害を受けておりますので、その相談体制のバックアップのために、3月27日から7月までの間、「震災に関する悪質商法110番」を開設いたしまして、約900件の受け付けをいたしました。徐々に相談体制が回復したことを受けまして、こちらについては7月をもって終了しております。
最後の方で御紹介いたしますけれども、消費者ホットラインといった相談窓口を紹介するような取組みもしておりますので、こういった取組みも活用できるということで終了した次第でございます。
そのほかにも、震災からの自立、復活、復旧ということで、消費者の方々がもとの生活に向けて戻っていけるように支援するために、被災地の相談窓口に自治体さんからの要請を受けまして、専門家、具体的に申し上げますと、弁護士さんとか司法書士さんといった方を派遣しております。9月30日現在で10自治体20か所に延べ815人の方を派遣しております。
そのほかにも、地方消費者行政活性化基金の柔軟な活用を可能とするということで、6月に出しましたけれども、震災対応緊急事業。震災によって相談体制が被害を受けた場合に、それをもとの状態に戻すときに必要となる部分につきましても基金を活用可能としたほか、県ごとの消費者行政予算の枠の中で2分の1まで充当可と、通常はしているところですけれども、先ほど申し上げました被災4県については3分の2まで充当可といたしました。
そのほか、震災復興で取り組んでいる間、既存の消費者行政の充実・強化に係る取組みが遅れることも想定されましたので、通常の自治体さんにつきましては24年度までとしているところですけれども、自治体さんからの申請があれば25年度まで延長可という取組みをしたところでございます。
次に、122番、集中育成・強化期間後の地方消費者行政支援について、お話をさせていただきたいと思います。
こちらにつきましては、こちらの委員会様の方から地方消費者行政活性化に向けた対応策についての建議をいただいております。この建議を受けまして、8月に「“集中育成・強化期間”後の地方消費者行政の充実・強化に向けた取組の検討状況について」、消費者庁から報告させていただいたところでございます。基本的には、こちらに沿って進めていきたいと考えております。
資料5-6について簡単に御紹介させていただきます。
地方消費者行政活性化基金について検証していくことと建議いただきましたけれども、現在、その検証作業の一貫としては、地方協力課の方には各地域にブロック担当という担当者を張り付けまして、担当者を通じて各自治体さんと意見交換の場を設けるとか、また会議等の場を活用しまして、基金についてどういった課題があったのか、またどういった活用がなされたのかといったことも含めて、今後に向けた施策の企画・立案に資するよう聞き取り等を行っております。
こういった取組みを初め、引き続き、先ほど申し上げました光交付金の活用状況等もあわせまして、効果について分析・検証を行ってまいりたいと思います。こうした分析・検証を受けて、2の「指針」の作成のところにございますけれども、他の自治体さんの参考となるようにベストプラクティスも収集いたしまして、それとあわせて、消費者庁として今後どういった支援をしていくのかもあわせて、指針としてとりまとめていきたいと思っております。
PIO-NETの刷新につきましては、特に相談員の皆様から見たときの使い勝手の改善をしていきたいと考えておりまして、これについては国民生活センターとも議論を始めているところでございます。
次に、3の相談員資格の取組みでございますけれども、これは後ほど詳しく御紹介させていただきたいと思いますが、一昨日、相談員さんの資格の法的位置付けの明確化に向けた検討会を発足し、第1回を開催したところでございます。
次に、4でございますけれども、こちらは当課からお答えすることは困難でございますので、5を紹介させていただきたいと思います。消費者行政充実のための財源確保の取組みということでございます。
基本的に地方の安定的な財源の確保は、非常に重要なことであると認識しております。こうした認識に立って、一方で地方主権改革が進む中で、基金終了後の財政支援については、消費者行政を含め、地方自治体自らの裁量で自由に活用することができる恒久的な財源を確保していくことが重要と考えております。
今、検討が行われておりますけれども、経常経費に係る一括交付金化の話がございます。この経常経費に係る一括交付金の中で消費者行政への活用ができるようにするとか、あとは地方交付税措置の充実を図っていくことが必要だと考えております。そういった経常経費に係る一括交付金というものが、まだ施策として実現されておりません状況の中で、いわゆるそれまでの間の過渡期の対応といたしまして、先ほど申し上げた光交付金は非常に大きな意義があったと考えております。
また、我々の取組みとしまして、平成24年度の当初予算の中で、地域における食の安全・安心に関する取組みや、多様な主体による消費者問題への取組みを支援するために、「食の安全・安心のための地方消費者活動支援交付金」を要求しているところでございます。
こちらにつきましては、資料5-5、1枚めくっていただきまして、地方消費者行政の強化という欄になりますけれども、そこの1つ目の丸、全体では7億500万円の予算でございますけれども、新規予算として、この予算を要求させていただいているところでございます。
次に、地方議会から地方消費者行政に確実に充当し得る国の財源支援を求める要望書が多数送られてきている現状を踏まえ、どうするのかということ。それから、基金と交付金後、後継措置としてどういったことをやっていくのかにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、現時点では過渡期の対応として、こうした予算要求をするとともに、経常経費に係る一括交付金化の流れもにらみながら、一括交付金の中に地方消費者行政にも使えるということで働きかけを行っていきたいと思っております。
次に、先ほど紹介を簡単に済ませてしまいましたが、相談員の処遇改善のために今後どのように取組むのかについでです。
消費者庁、それから消費者委員会設置法の附則第4項に、消費生活相談員の対応の改善について、所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講じるものとするということが書かれております。こういった規定を受けまして、消費生活相談業務の一層の質の向上と体制の整備を図るためにということもございまして、消費生活相談員の資格の法的位置付けの明確化に向けて検討を行うこととしました。
先ほど申し上げましたとおり、第1回を一昨日開催いたしまして、今後、24年春のとりまとめに向けて検討を進めていきたいと思っております。その後、この検討結果を踏まえまして、法的な整備に取り組んでいきたいと思っております。
こうした検討を進めていくことで、相談員さんの資格の法的な位置付けを明確にすることで、自治体さんの中で、能力、経験、知識を持つ専門職として適切な評価を受けられるようにしていくことが可能になると考えておりまして、こうしたことが待遇改善に資するものと考えております。
最後に、施策番号123番、ホットラインについてです。
資料5-10でございますけれども、初めて消費生活相談をされる方、要は消費者問題を抱えてお困りの方がどこに相談すればいいのかわからないというときに、最寄りの消費生活センターとか窓口に御案内するためのものでございます。
このホットラインの利用件数でございますが、22年度の上半期は11万4,000件、下半期は11万8,000件、23年上半期は12万9,000件と、こうした被害は出ている状況でございますけれども、ホットラインがあるということの周知も進みまして利用が伸びている状況でございます。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見等ございましたら、発言願います。

○稲継委員 では、1点だけ。

○河上委員長 どうぞ。

○稲継委員 資料5-6で、「取組の検討状況について」ということで御説明いただいたのですけれども、その中でPIO-NETの刷新について23年夏から取組むということで、現在、国センと議論しているということです。地方にとっては、PIO-NETの入力負担感が非常に強いということも御存じだと思いますけれども、今後、刷新についてどのように取り組まれるのか。現段階での考えで結構ですので、お聞かせ願えますでしょうか。

○消費者庁地方協力課担当者 技術的な部分での問題と。
まず、2010年に1回見直しをしておりますけれども、そのときにも相談員の方、実際に使われている方から問題点の御指摘もいただいておりまして、そういったこともできる限り対応させていただいたところでございますが、そういった積み残しもございます。
あと、改めて実際に使われている相談員さんとか関係の方にもお話を聞きながら検討を進めていきたいと考えております。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。吉田委員。

○吉田委員 地方消費者行政に関しては、私もいろいろ言いたいことがあるのですが、時間も限られていますので、2点お伺いします。
まず1点目は、PIO-NETです。
私も実際PIO-NETを使っていましたけれども、非対称性が甚だしいなと思いながら、いつもやっていたのです。つまり、入れる手間暇はすごくかかるわけですが、一方で市町村においてはあまり活用することがないという現実があると思います。それに対して、私たち、国のためにいろいろ情報を入れているという意識で使っていたのですが、そういう認識でもって消費者庁の方でPIO-NETをとらえているのかどうか。そこに常に疑問を持っていましたが、その辺がどうなのかということです。
もう一点ですけれども、真に地方消費者行政を活性化させようとしたときに、一番肝になるところは人だと思っています。
そこで、現状、非正規雇用の相談員と、数年ごとにころころ変わる正規職員との組み合わせで地方消費者行政が運営されているところが多いと思いますけれども、抜本的に変えるためには、そこをいじらないとどうしようもないのかなと。つまり、そこをいじったことによって発生する経費を、だれがどう負担するのかということが一番肝になるのではないかと考えているのです。
今、そこに対する対策として、相談員の資格化ということが進んでいるようですけれども、地方消費者行政で非正規雇用、つまり非常勤職員で雇われている限りは、幾ら資格を国家資格化したとしても、すぐさま報酬に対する影響、それから1年雇用というところが打ち破れないのではないか。つまり、処遇の改善にはすぐさまつながらないのではないかと考えているのですが、その点をどうお考えなのか、この2点についてお伺いしたいと思います。

○消費者庁地方協力課担当者 PIO-NETの位置付けにつきまして、吉田委員、御指摘のような御意見があることは承知しております。もともとのPIO-NETの性格からしますと、自治体さんの中で活用が図られていないということではございますけれども、それぞれどういった相談があるのかということを情報共有していくという中で取り組まれてきたものと承知しております。
次に、相談員さんの処遇の話でございます。確かに相談員資格の法的位置付けを明確化することは、直接的な処遇の改善につながるものではないことは承知しております。一方で、相談員さんというものが具体的にどういった業務を担われているのかということが、あまり強く認識されていない。相談員さんというものが、地域の消費者の方に対して、どういった役割を果たしていくのか。相談員さんが実際にいることでどういった効果が生まれるのかといったことがきちんと認識されていない状況もあるのかなと思います。
相談員さんの方とお話をしますと、あっせんといった形で、非常に専門的と言いますか、高い知識レベルを持ちながら、また長年の経験を生かして活躍されていらっしゃる方もいて、そういった方が地域にいらっしゃることで、消費者の方が安全・安心に過ごせるような仕組みにつながっている現実もございます。ただ、量をこなせばいいみたいな話が片方にある。相談件数ではかられてしまって、1件に深く携わろうとするとなかなか評価されないという話も聞いたことがございます。
そういった状況もございますので、具体的に相談員さん、また行政の方にもお話を聞きながら、現実の問題として、どういった状況があるのかといったことも検討の中で整理していきながら、この検討を進めていく。相談員さんが実際にどういう役割を果たしていらっしゃるのか。その役割に照らし合わせて、どういった資格制度にすればいいのか。
更に、そういった資格制度を設けた暁には、我々としても相談員さんとはこういう方たちですというアピールをしながら、専門職として適切な評価を受けられるように取り組んでいくことも重要かなと考えております。

○吉田委員 すみません、今お答えいただいたことについて、2点感想と言いますか、述べたいのですけれども、まずPIO-NETについては、国と地方が対等の立場という前提で考えれば、地方が情報を収集して、それをPIO-NETという機械を通じて国に情報提供していることに対して、国から何らか対価がもらえないだろうかということを、私も現場で常々感じていたところですが、その点について御検討されていないように感じているのですけれども、どう考えていらっしゃるのかということと。
それから、まさにおっしゃったとおりで、相談員に関しては、専門職なのに非正規雇用である。これが処遇の改善につながらないという一番の原因ですから、そこはまさに地方がどうするか考えればよいという立場でいらっしゃると思いますけれども、大きく変えなければいけない。ただ、地方自治体において、非正規雇用から正規雇用にすると、職員定数の問題、国もそうだと思いますが、そこに必ず問題が行き当たって、何人も職員定数を増やせない。消費者行政を増やすのであれば、どこかを減らさなければいけないという仕掛けになっていますから、正規雇用化がなかなかできない。
そういうジレンマに今、陥っているわけですけれども、国のレベルで何かいじらないと、地方だけにそれを任せたのでは、いつまでも処遇改善につながりませんし。繰り返し言いますけれども、非正規雇用の相談員、プラス正規雇用の職員という組み合わせが、そもそもいいのかという議論が今まで薄かったのではないかと感じていますので、その辺も今後何らか取り上げていただければありがたいと思います。御回答は特に要りませんが、私の感想ということで述べたいと思います。
以上です。

○消費者庁地方協力課担当者 PIO-NETについては、8月5日に当課の課長の林が建議を受けて報告したときにも、そのような話をさせていただいたかと記憶しています。そもそもPIO-NETというものがどういう位置付けなのかを整理した上での議論も必要なのかなと感じているところでございます。
もう一つ、非正規雇用の相談員さんと、正規でありながらも短期で異動していく行政本課の職員という組み合わせでどうなのかというお話です。
確かにそういった組み合わせによる問題点ということで、地方の方から話を聞くことも私自身、ございます。非正規雇用という雇用形態としての問題点にさかのぼるのかなと思っております。
非正規だから能力発揮ができないと制限されているところもあるかと思いますけれども、そもそも多様な働き方の一つとしての非正規雇用という形、要は短時間勤務という形を選ばれている方もいらっしゃる中で、国から非正規だからまずいと決め付けていくと言うと言い方が悪いかもしれないですけれども、型にはめていくのは、現実の問題として難しいのかなということは正直感じているところでございます。
一方で、委員がおっしゃられたとおり、例えば2年間で契約が終わってしまうのではないかと不安定な中で過ごされている方もいらっしゃる。また、勤務日数、勤務時間が限られることで、一件一件の相談に深く対応していくことができないという問題点も聞いております。雇用形態の問題もございますけれども、一件一件に深く携わっていくときに、どういったやり方があり得るのかということも、自治体さんのお話を聞きながらやれることも考えていかなければいけないのかなと考えているところです。
また、行政本課の中で、短期でくるくる変わってしまう。これは、国の我々職員も同じで、そういった話もございます。地方消費者行政の中で非常にノウハウを持っていらっしゃる行政本課の方もいらっしゃいますし、自治体さんの中の御判断に最後はなってくるところではございます。いずれにしても、消費者行政というものの重要性をきちんと首長さんの方に認識していただきながら進めていくことによって、我々としてもできることは最大限取り組んでいきたいと思っております。

○吉田委員 ありがとうございました。既成概念にとらわれずにやらないと、なかなかうまくいかないなというのは私も実感しているところですので、今後また意見交換を是非させていただければと思います。ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。夏目委員。

○夏目委員 御説明ありがとうございます。
123でございますけれども、消費者ホットラインの利用者は今年も増加してきていて、国民の間にその窓口、ホットラインの周知が広がっていったというお話で、大変いいなと思っているわけでございますけれども、その後半の国民生活センターの消費者ホットラインのバックアップについてでございます。
既に開催されております国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議の席上でも、直接相談が廃止された影響と平日のバックアップ状況について御議論され、直接相談が減った影響というのは否定できないし、特に国民生活センター自身がそのセンサー機能を失いつつあるという御回答が先ほどあったと思うのですけれども、まず、国民生活センターのセンター機能を今後、例えば消費者庁がどのように確保していこうと思っていらっしゃるのかということを伺いたい点が1点。
それから、平日のバックアップ相談を増やしていくためは、ホームページに掲載しただけでは、その効果がそんなに広くあるわけではないので、どのように具体的な施策を考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

○消費者庁地方協力課担当者 国民生活センターのバックアップ相談の話につきましては、今まさに検証会議の方で話が進んでいるところでございますので、基本的なスタンスとしましては、いずれにしても消費者行政のために重要なこととして何があるのかといった観点から、今、検討が進められているところでございます。
検証会議の場でもそういった立場に立ちながら議論を深めていくことになるのではないかと思っておりまして、こちらの場でその検討状況を待たずして御回答することがふさわしいかということもございますので、ここまでの回答にさせていただければと思います。

○河上委員長 ほかにいかがでしょう。小幡委員。

○小幡委員 資料5-2でございますが、東日本大震災での被害のバックアップという御説明であったかと思います。
5-2、5-3、5-4、一連だと思いますけれども、今、貸与希望台数が169ある。これは、第1次受付終了ということですが、169のストックは消費者庁はおありなのか、それはすぐ貸し出せる状況なのかということがまず1点目です。
それから、検査機器というのは、どういうものが一番よいのかということが消費者の方はわからないと思いますし、現実に放射線レベルとして発表されるものがどういう検査機器ではかられているのかという情報も、本来消費者としては欲しい情報ではないかと思うのです。今回、貸し出されるもの以外に自治体が自ら持っていらっしゃるものも当然あって、それを使ってこれまで発表していらっしゃっていると思います。
資料5-2の3の自治体へのサポート体制の構築というところで、検査機器の操作というのは、当然、貸し出した検査機器の操作のことだろうと思いますけれども、結果の取り扱いとか公表方法についての助言等を行う体制を構築とありますが、これは非常に大事なことだと思います。どのような機器で測って結果を出して、そしてその結果をどういうふうに公表していくかということを含めて、この助言を行う体制ということでお考えなのでしょうか。

○消費者庁地方協力課担当者 まず、1点目の169件の要望をいただいている状況に対して、今後どのように取り組んでいくかでございます。
初めに、どのような機器を貸与させていただくかということでございますが、現在、具体的な機器について調達しているところでございますけれども、一般的には食品の検査につきましては、簡易な検査と言いましても、かなり精密な機器でございます。そちらで暫定規制値に対して、どの程度のレベルなのかをはかるのが1番簡易な検査としてございます。そこで、暫定規制値に対して明らかに低いと言えない場合には、ゲルマニウム検出器という、2,000万円ぐらいする大型の機械がありますけれども、そちらでかなり精密な計算をして出すような形になっております。
今回貸し出しをいたしますのは、そのスクリーニングに使う機器でございまして、自治体さんの方で量をこなして安全性を確かめていく場面で使っていただくことを想定しております。かざしてやるようなガイガーカウンターといったものではなくて、食材を刻んでパックの中に入れて、検査機器の中に検体を入れてはかる形になっているものですけれども、そういった機器をお貸ししようと思っております。
そういった機器につきまして、今、非常に在庫が限られている状況でございまして、調達していくのはなかなか難しいということで、第1次については、資料5-4にございますけれども、左から3番目の列に第1回目の貸与等とあります。ここは24台と記載しておりますが、その次、第2回目も予定しておりまして、現在、追加的と言いますと変ですけれども、調達をまた別にかけているところでございますけれども、25台を予定しております。
また、第3回目の貸与でございますけれども、いずれにしてもどの程度の在庫が入ってくるのかというのも見ながら、できれば100台程度調達して貸与していきたいと思っておりますし、具体的に第2回の募集をしていきますけれども、全体のニーズも踏まえながら、今後の調達も検討していきたいと思っております。
あとは、自治体へのサポート体制についてでございますけれども、委員がおっしゃられましたように、消費サイドの検査というのは、ただ単にデータだけ出せばいいというものではございませんで、その検査結果を受けて消費者の方が安心していただけるような情報の提供の仕方をしていかなければいけないということを考えております。いずれにしても、自治体さんの方もなかなか先行する事例がない中でやっていらっしゃいますので、先行事例とかも消費者庁であれば入ってきますので、そういった情報提供もしながら、また行政としてどういった判断をすべき点があるのかということも助言させていただきながら、自治体の方の相談に乗れればと考えております。
公表につきましても、消費サイドでスクリーニング、1段階目の検査をしたときに、例えば500Bq/kgなどが規制値になっていますけれども、それに対して、例えば400Bq出た。その場合、最終的な検査に持ち込みますけれども、それで規制値以下という判断が出ればよし。
一方で、例えばの話ですけれども、505Bq出ました。そうしたときに、実ははかり間違えて350Bqでしたというケースもあるかと思います。仮にスクリーニングの段階で505Bqが出たときに、そのまま公表してしまった場合、生産サイドへの風評被害も出てくるかと思いますので、公表の仕方についてもポイントになってくるかと思います。そういった公表の仕方についても、自治体さんの御相談、悩みに答えていけるような形で対応していければと考えております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。山口委員。

○山口委員長代理 資料5-6の2ページの一番下の行に、持続的な消費者行政の充実に向けて、「活性化基金」終了後の財源確保が課題とあります。まさにそのとおりだと思うんですよ。
ところが、1枚めくって2つ目の丸には、「一括交付金」の消費者行政への活用や「地方交付金税措置」の充実を図っていくということで、特に地方消費者行政の充実・強化のための財政措置ではなくて、一般的な自治の拡大あるいは自治主権の充実で、あとは自治体にお任せするという視線になっていると思います。
現状について、例えば日弁連でも1,000近い自治体の実情についてアンケート調査をしたところ、基金の年限が限られているために、人員増とか処遇改善など恒常的に支出が必要になるところにはなかなか回せないので、機械を買ったり、広報をしたり、あるいは教育・研修等に使うことが多くて。先ほど吉田委員が言ったような人の充実とか、勿論教育・研修は人の充実の一環ですが、人員を増やすとか処遇を改善するところに結び付いていない現状が、かなり如実です。
しかも、基金の後、どうなるのだろう。つまり、平成25年度以降、どうしたらいいのだろうと戸惑っている自治体が多い中で、単に消費者庁が先ほど読んだように、基金終了後の財源確保が課題とだけ書かれても自治体は困ると思うのです。終了後の財源の充実を図ると決意を書かれて、そのためにこれをする、あれをすると書いてあると、なるほどやっていただけるのだったら、地方でも少し人を増やそうか、あるいは処遇を改善しようかとなると思います。
その辺について、大変難しい局面だというのはよくわかった上で聞いているのですが、どういうふうにお考えで、この財源確保を図られることになっているのか、ちょっとお話いただければと思います。

○消費者庁地方協力課担当者 まず現時点では、期限の延長がございますので、それとの併存期間になります。先ほど御紹介しましたとおり、まず足掛かりとしまして、来年度予算の中で、「食の安全・安心のための地域消費者活動支援交付金」というものを要求させていただいております。
この交付金の中では、基金の中で対応できていない部分、地域の多様な団体との連携の部分でございますけれども、多様な活動に対して自治体さんが支援されていく、そういった自治体さんの取組みを支援していくことが今、基金ではできておりません。そういった基金で対応できていない部分、けれども、地域からのニーズが大きい部分について、まず対応を図ろうとしているところでございます。
基金が併存している期間でございますので、まず足掛かりとしてこういった予算要求をしておりますけれども、今後、一括交付金化の動きもきちんとにらみながら、地方自治体の方が継続的な取組みができるように、しっかりとした対応をとっていきたいと思っております。

○河上委員長 よろしいでしょうか。
地方消費者行政の強化は、第1次消費者委員会以来の当委員会でのかなり大きな課題でして、第2次委員会も非常に重要な問題だと受けとめております。いろいろ予算面でも頑張っておられることは理解しておりますが、それでも、必ずしも今までの施策が十分な効果を挙げているかどうかについては疑問がないではない。ですから、その辺の検証をしっかりやっていただいて、もし問題があるのであれば、そこは大胆に見直していただくことも必要だろうと思います。
お金の出し方はいろいろあるでしょうけれども、国民から見てみれば、地方税なのか、国税なのかは同じことなのです。いずれにしても必要なところには必要な形でお金をきちんと出せるような工夫を是非していただきたいということで、今後とも頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
今日はこれで締めにいたします。消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきましてありがとうございました。
それでは、最後になりますけれども、「消費者行政に関する研修」の135番でございます。これについては、関係省庁といたしまして、消費者庁、人事院においでいただいております。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 それでは、昇任時相談窓口等体験研修について御説明申し上げます。
目的は、消費者・生活者を主役とする行政を担う国家公務員の意識改革でございまして、構成は、事前研修、業務体験研修、事後研修の3つのステップを踏んで行われております。事前研修は、参加者全員が参加する形で全体で1回。業務体験研修と事後研修は、参加者を2つのグループに分けまして、それぞれ2回に分けて実施しておるところでございます。
本年度の事前研修は、10月14日に行われたところでございます。業務体験研修と事後研修は、第1グループは10月17日~11月11日の間に1人につき1日、事後研修を11月17日に予定してございます。第2グループは、1月10日~1月27日の間の1日をしていただいて、2月2日に事後研修を予定しているところでございます。
研修の対象者は、平成22年8月1日から23年7月31日までの間に本府省審議官級に昇任した職員を対象としているところでございます。
研修内容としましては、まず事前研修は参加者全員に集まっていただきまして、消費者問題に造詣の深い有識者の方から体験等を話していただき、基調講演をいただくとともに、その後、質疑応答、意見交換を行うということでございまして、本年度は岡田ヒロミ先生に来ていただいたということでございます。
業務体験研修は、期間、それぞれ1人につき1日でございますけれども、東京都内及び東京近郊の、下に書いてありますような窓口、消費生活センターとか行政相談所等の窓口に派遣しまして、そこで実体験と言いますか、窓口の実務を体験していただくということでございます。
事後研修は、業務体験研修終了後に行政や公務員のあり方について考えたことのレポートを作成していただきまして、それを基に討議していただくとともに、また幹部行政官のOBの方に講話をいただいて意見交換を実施するという内容でございます。
参考指標についてでございますけれども、アンケートによりますと、この研修の有益度について、22年度上半期では、100%、22年度下半期では90.4%という非常に高い数字をもらっているところでございます。また、満足度についても、22年度上半期では100%、22年度下半期では96.2%ということで、これも高い数字をもらっていると認識しているところでございます。
説明は以上でございます。

○河上委員長 人事院はよろしいですか。何か補足説明がありましたら。

○人事院森川研修企画官 いえ、特にございません。

○河上委員長 それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

○稲継委員 質問を。

○河上委員長 どうぞ。

○稲継委員 御説明、ありがとうございました。
対象が審議官級に昇任された幹部職員ということでございますが、これは平成22年8月1日から7月31日まで、今年度の研修に限って言いますと、審議官級に昇任された方は何人いらっしゃって、そのうち何名がこの研修を受講されたか、数字を教えてください。
それから、業務体験研修に消費生活センターが入っているわけですが、受講された方のうち何名がこの消費生活センターに行かれたか、数字を教えてください。

○人事院森川研修企画官 昨年度ということでしょうか。

○稲継委員 昨年度でも結構です。どこかの1年度をとっていただいて。

○人事院森川研修企画官 わかりました。まず昨年度でございますけれども、66名の方がこの研修を受講いたしました。対象者となった昇任者の方は80名でございます。

○稲継委員 うち、消費生活センターに行かれた方は。

○人事院森川研修企画官 31名でございます。

○稲継委員 ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。細川委員。

○細川委員 こういう制度ができて、消費者・生活者の声に触れる機会を昇任時に持てるというのはすばらしい制度だと思います。逆に言うと、まだ宣伝が足りないかな。国民も余り知らないと思いますし、知られて、こういうことをやっていることが有意義だという社会になれば、受ける方もやる気が起きると思いますので、もっと積極的に広報していただきたいなと思います。
次は、これは直接関係ない話ですけれども、要はこういう制度をなぜつくったかと言えば、それは消費者とか国民目線で行政を行うということが必要だから、この制度ができたわけですね。これは福田元総理が消費者庁構想を公にしたときに強く言われていたところで、人が大事だと。人が、官僚が、公務員が消費者・国民目線で仕事をしなければ、結局消費者行政というのはうまくいかない。その一つとして、今回は施策番号135でこれが挙がっていると思うのです。
そういう意味で言うと、私が関心があるのは、昇任時にこういう制度を設けるのはいいけれども、もっと言えば、国民目線、消費者目線で本当に仕事をした人が偉くなるような昇進制度をつくってほしいのです。偉くなってからこういうのをやるというのではなくて。
そういう意味で、人事権というのは各省庁の大臣にあるのだと思いますけれども、そういう公務員を昇進させるときの基準とかに対して、人事院というのは何らかのガイドラインを示す権限があるのか。
また、こういう消費者行政が重要だと言われる時代に、その辺の基準が、もし人事院が何らかの関与をしているとすれば、時代の流れの中でそういうものを変更するとか。あるいは、今までなかったけれども、新たにこういう目線が必要ですよということを人事院が各省庁に通達なりガイドラインみたいなものをつくる動きがあるのか。
直接、今日のこれとは関係ありませんけれども、教えていただければと思います。

○人事院森川研修企画官 私からお答えできる範囲で答えさせていただきたいと思います。
まず、公務員の昇任とか昇格といったものは、一昨年から新しく導入されました人事評価制度というものの結果に基づいて、一定の期間にきちんと良好な成績・評価を得た者でなければ昇任・昇格ができない仕組みになっております。人事評価制度そのものの運用の担当は総務省の人事・恩給局の方になっておりまして、その人事評価の結果を実際の昇任・昇格に反映させる基準を定めるのが人事院という形になっています。
人事評価の項目の中にも倫理という項目があって、当然その中で国民全体の奉仕者としての倫理観を持って職務に臨んでいるかどうかということが能力評価で評価される仕組みになっておりますので、直接的に消費者目線という形にはなっていないかもしれませんが、国民の目線に立った仕事の仕方をきちんとしているかどうかということが、その能力評価によってはかられるような仕組みになっているのではないかと考えております。

○原事務局長 ちょっと私から。

○河上委員長 どうぞ。

○原事務局長 すみません、事務局で大変恐縮ですが、この制度を導入してほしいと提案した者なので、そのときの経緯もちょっとお話したいと思います。
実際には、審議官級のところから始めるということだったのですが、実は今、細川委員がおっしゃられたとおり、そういう少人数にとどまらずにどんどん広げていってほしいと提案しております。審議官のところにとどまって、結構満足度が高いというのも私も知ってはいるのですけれども、もっと広げる工夫を是非始めていただきたいと思います。これは、質問というよりは、是非お願いしたいという意見で、事務局ではありますけれども、お願いしたいと思います。

○河上委員長 今のは、事務局の方からの期待を込めた情報提供だったわけですが、どうですか、例えば国の審議官の昇任以外で、何かもう少し広げてやってみようかという計画はあるのですか。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 今のところ具体的な計画等はございませんが、この場合、体験研修でございますので、受入機関の方とも調整しなければならないこともございますので、関係者、受け入れる方も負担になる部分もありますので、そこは相談しながら検討していきたいと考えております。

○河上委員長 前の地方消費者行政の強化の話でもございましたけれども、実は一括交付金をひも付きで出すのは難しいこととの関連があって、要は地方の執行部の方々の意識を十分に高めていただく必要がある。国の人たちもそうですが、地方の公務員の人たちも含めて、そういう機会をどんどんつくっていけるよう、消費者庁の方からも働きかけていただければと思いますけれども、課題としてお受けとめいただければありがたいです。

○細川委員 時間、大丈夫ですか。

○河上委員長 大丈夫です。

○細川委員 私は、研修も重要ですけれども、こういうことをやったがゆえに、これだけ国民のためになったとか消費者に貢献したという事例集みたいなものをつくることもいいのではないかと思います。例えば景品表示法というものがありますけれども、これは1匹のハエがつくったとよく言われますね。
昔、牛肉の缶詰めにハエが入っていたという苦情が東京都に持ち込まれて、担当者がそれを見たときに、ハエが入っているのは問題だけれども、その担当者が肉質を見て、牛缶と言っていながら、どうも牛肉ではないようだということで、自ら調査してみたいと言って調査してみたら鯨を使って。

○原事務局長 馬肉。

○細川委員 馬肉でしたか。馬肉だったということで、それでいろいろ調べたら全くにせものがあって、それがきっかけで景表法が生まれた。だから、ハエがきっかけだけれども、職員1人のこれはおかしいと思う気持ちがそれにつながったということもあります。まさに、ただ決められたことをやればいいというだけではなくて、何が必要かとか、何がここで重要なのだ、何が自分にできるのだということを考えて行動するという一つの例だと思います。
そういったものを集めることによって、より国民、消費者のためになる公務員のあり方みたいなことを示していただくこともいいのではないかと思いましたので、すみません、意見です。

○河上委員長 それでは、ほかになければ、これで終わりとします。消費者庁、人事院におかれましては、忙しい中、審議に御協力いただきまして誠にありがとうございました。

≪3.閉会≫

○河上委員長 本日の議題はこれで一応すべて終了いたしましたけれども、事務局の方から今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 ちょっと4時を過ぎました。お疲れさまでした。
次回の委員会ですが、11月11日金曜日の16時からを予定しております。議題としては、引き続き消費者基本計画の検証・評価・監視についてを予定しており、金融、融資金詐欺、投資詐欺、公共料金、食品の安全、食品表示一元化に関連する施策の関係省庁ヒアリングを予定しております。
それで、盛りだくさんなので、多分また2時間で終わらずに2時間半ぐらいお願いすることになるかと思います。
事務局からは以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)