第64回 消費者委員会 議事録

日時

2011年8月5日(金)15:00~17:35

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、川戸委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 消費者庁  福嶋長官
黒田消費者政策課長
林地方協力課長
畑野取引対策課長
片桐表示対策課長
 独立行政法人国民生活センター  野々山理事長、山形理事
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.国民生活センターの在り方について
○説明者: 消費者庁 福嶋長官、黒田消費者政策課長、林地方協力課長
独立行政法人国民生活センター 野々山理事長、山形理事
3.地方消費者行政の活性化に向けた対応策について
○説明者: 消費者庁 林地方協力課長、畑野取引対策課長、片桐表示対策課長
4.東日本大震災に関連する対応について
○説明者: 消費者庁 林地方協力課長、黒田消費者政策課長
5.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 国民生活センターの「貴金属等の買い取りサービス」に関する情報提供に関するご質問(中村委員提出資料)(PDF形式:13KB)
【資料2】 国民生活センターの在り方について(消費者庁提出資料) 【資料3】 「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ(案)」についての考え方(案)(PDF形式:314KB)
【資料4】 “集中育成・強化期間”後の地方消費者行政の充実・強化に向けた取組の検討状況について(消費者庁提出資料) 【資料5】 東日本大震災に関連する対応について(消費者庁提出資料)
(資料5-1) 専門家派遣事業のスキーム(PDF形式:41KB)
(資料5-2) 被災地への専門家の派遣状況について(PDF形式:57KB)
(資料5-3) 被災地への専門家の派遣先(PDF形式:68KB)
(資料5-4) 「震災に関連する悪質商法110番」の受付状況-開設後3カ月のまとめ-(PDF形式:543KB)
(資料5-5) 被災地域から寄せられた震災に関連する相談の概況(PDF形式:164KB)
(資料5-6) 東日本大震災についてのお知らせ(PDF形式:615KB)
(資料5-7) 食品と放射能Q&A
(資料5-8) 意見交換会の開催についてのお知らせ(PDF形式:355KB)
(資料5-9) 個体識別番号一覧
(資料5-9-1) 福島県内農家出荷分(昇順)
(資料5-9-2) 福島県以外の農家出荷分(昇順)
(資料5-10) 「地方消費者行政活性化基金」の活用について(お願い)(PDF形式:83KB)
【資料6】 食品衛生法施行規則及びJAS法の規定に基づく品質表示基準の改正に係る答申関連(PDF形式:179KB)
【参考資料1】 「貴金属等の買い取りサービス」に関する情報提供関連資料 【参考資料2】 地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議(PDF形式:16KB)
【参考資料3】 委員間打合せ概要(PDF形式:10KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、どうもありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第64回)」の会合を開催いたします。
それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

≪2.国民生活センターの在り方について≫

○松本委員長 それでは、議題に入ります。
まず初めに、「国民生活センターの在り方について」です。国民生活センターの在り方につきましては、これまで当委員会といたしまして、第58回、第59回、第60回及び前々回に当たります第62回の委員会におきまして、消費者庁、国民生活センターにおいでいただいて議論を行ってまいりました。本日も、引き続き、消費者庁から福嶋長官、国民生活センターから野々山理事長においでいただいておりますので、議論を行いたいと思います。
第62回の委員会におきまして、具体的な事案について、時間の都合で審議ができなかった案件がございました。本日は、まず初めにこの件について議論を行いたいと思います。その後で、7月21日に開催されました、「第14回国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」におきまして取りまとめ(案)を示されたと聞いておりますので、これを含めまして、本日までの動きについて御説明をいただき、消費者委員会としての考え方についても検討していきたいと考えております。
初めに、資料1につきまして、第62回委員会で配付いたしましたものと同じものになりますが、委員から消費者庁、国民生活センター宛ての質問を事前にお渡ししております。この質問に対する回答につきまして、消費者庁、国民生活センターより御説明をお願いいたしたいと思います。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長資料1の質問書に基づいて説明します。まず質問の1についてです。当初国民生活センターが作成した情報提供の内容は参考資料1-1に書いてあるところであります。これは、相談事例から見る問題点として、貴金属等の買い取りサービスは、貴金属の市場価格と買い取り価格の差額の手数料を得る現金化サービス、すなわちこれは役務提供取引であるととらえたものです。手数料取引だととらえればこれは特商法の適用対象になり得るという判断もありましたので、そういう考え方もあるが、外形的にはそうではないということで、クーリングオフが難しいということの内容となっております。そういう内容で出させてもらったのが最初の情報だということであります。
このケースには2つ問題がありまして、まず特商法の問題として2点、古物法の問題として1点ある。この取引についてはこの2法律がかかわってくると考えておりました。まず、販売行為のみが特商法の対象であって、事業者の購入行為については同法に当たらないという解釈があったので、そのことをとらえてクーリングオフが難しいということを記載したいと考えていたのですが、その段階で、これは記載すべきではないのではないかというやり取りがありました。その理由は、クーリングオフが難しいということを言うとむしろ事業者に有利に働くのではないかという理由だったわけです。しかし、特商法が当たらないということについてはきちんと書くべきだという議論になって、それは残ったということがあります。
もう一つは、参考資料1-1の下線が引いてある部分です。これは、当たらないという解釈よりも、当たるという解釈も成り立つのではないかということで国センの方で考えた考え方であります。私自身は一つの考え方ではあると考えておりますけれども、これが社会的に通用する解釈かどうかについて消費者庁と議論がありまして、結局、どこにも文献があるわけでもなく、判例で確立していている考え方でもないということで、最終的にはこれは買い取りであって、消費者から事業者への販売として評価されるものであるので、法文上は国センの掲示した特商法は適用されるという考え方については、社会的には十分な理解を得られる解釈ではないということで落とした、こういう経緯であります。
古物法の関係につきましては、これについての指摘もしたわけですけれども、古物法というのは法の趣旨が違うということがありまして、その関係でその指摘については落としたということであります。
以上です。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁の消費者政策課長でございます。
2のやり取りは、今、理事長がおっしゃったとおりなので省略いたしまして、4についてでございます。「関係法令との関係についての問題提起について、消費者庁におけるその後のフォローの有無」ということですけれども、6月24日に「貴金属等の訪問買い取りに関する研究会」の設置を公表いたしまして、7月以降、今までに2回、同研究会を開いておりまして、貴金属等の訪問買い取りのトラブルの実態把握、分析、また、解決のための法的措置を含めた規制の在り方について、今、検討を行っているところでございます。
5の月別の推移は、参考資料1-4を御覧いただければと思います。3月に大幅に増えておりまして、直近は低い傾向にあるので、減少傾向と見ていただくとミスリーディングになりますけれども、依然、高水準で相談件数が推移しているということだと思います。
以上、簡単ではございますが、説明を終わります。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 質問を出した中村雅人です。
私の方では7月1日に既に参考資料1-2のとおり、私の考え方と、国センの在り方を検討する際には、抽象的な文言のやり取りではなく、具体的なケースでどうだったか、それが一元化されたらどうなるのかということを具体的に検証したいと思って、たまたま貴金属買い取り商法を取り上げたということで、もう1か月以上前にこの内容は予告させていただいた。審議の関係で今日になったわけですけれども、今、御報告をいただいて、私がもうちょっとお聞きしたいのは、参考資料1-1のとおり、12月の初めには協議が始まって、意見照会履歴と書いてありますが、一定の国センと消費者庁内での協議があって12月21日の公表に至っている、こういうふうに見られるわけです。このときに法律との関係が非常に問題があって、今、御説明いただいたように、特商法の適用は難しいんだということをお出しになった。
このアナウンスが国センから公表されて消費者庁からも出ていますが、これだけで被害がおさまるのか、被害者が救済されるのかというと、私はここでストップしてしまっていいのかという率直な疑問を持つわけです。実際に被害を受けた消費者、あるいは相談を受けた相談員がどういう回答をし、どういう解決方法をとれるかというところまで持っていかないと本当の意味がないと思います。特商法に該当しないということだけで、やられた施策というか、御検討の内容は、ここでストップだったのですか。公表したらこれで終わりということだったのですか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 私どもとしましては、特商法で難しければ、次は消費者契約法等の問題ととらえています。まず一つは、不退去の適用があることについては、勿論、各都道府県のセンターには伝えているということ。もう一つは、この相談においては、買った者に対する返金もあるのですけれども、古物法の関係で、御承知かと思いますが、古物法というのは、盗品を古物商のところに持ち込むことに対して一定の予防策をとるということがありますので、売る方に氏名とかさまざまな個人情報を出すことになっています。個人情報を出すことに対する不安があったので、それに対しては、まず来た古物商そのものがだれなのかを確認するよう伝えています。このケースは、特商法のすき間になっていることについては問題提起の指摘の中でアナウンスをしたつもりでありますので、あとはこれをどうするかは政策判断であるという考え方をとっております。

○中村委員長代理 政策判断を中心に。

○消費者庁黒田消費者政策課長 政策判断といいますか、この貴金属の報告を受けた後、規制仕分けでも取り上げられまして、そこで、「貴金属等の買い取り業者による自宅への強引な訪問買い取りから消費者を保護するため、被害実態を早急に把握の上、消費者の注意喚起等現行制度上可能な措置を講じる」ということを決定しております。警察は警察で、各地の訪問買い取りでおかしな事業者があればどんどん立ち入りを強化するとか、そういった取組みをしておりますし、消費者庁は消費者庁で個別の事故通知の中身を詳細に分析をしております。
結局、最終的には注意喚起という形にはなりますけれども、相談内容が例えば消費者安全法上、勧誘の仕方などに問題がないか、キャンセルができないとかいう記述があったりするものですから、今、そういったことについて調査をしております。また、消費者に対して、最終的にサインするのにいかなる場合もキャンセルできないとか、そういった記述がある場合には慎重に対応するようにとか、そういったことを呼びかけていきたいと思っております。いろいろ申し上げましたが、その場で国民生活センターが公表すればそれで終わりではなく、今、こういう被害を減らすよう取り組んでいるところでございます。

○中村委員長代理 今、引用された行政刷新会議の議事は参考資料1-3で出ていまして、今年の3月7日に、規制仕分けの一つとしてこの買い取り商法の問題がまさに議論されて、消費者庁もいろいろお答えになっています。やはりここでも言っているのは、先ほどグラフを示されましたけれども、昨年の12月に国センから情報提供をしたときの相談件数は290件という数字が出ていますが、その後、逆にどんどん増えていて、注意喚起だけでは何の効果もないということが数字上、出てくる。それで、3月に行政刷新会議でまた指摘され、3月の時点では586件という数字が出ています。その後、そこで行ったことは取り締りの強化と注意喚起という黒田さんの説明でしたが、4、5、6の3か月は入力がまだ間に合っていないために件数が減るのは当然だと言われまして、ほぼ横ばいと言われました。
そうすると、消費者庁でやっていること、国センでやっていることによって、被害、相談件数が全然減らないということだと思います。そして一方では、法的な問題提起が指摘されている。それでは次にどうするか、ということなのです。立法措置を何かしなければこの被害は減らないのではないですか。6月の末に研究会を設置して、7月1日と8月2日に検討されたということでしたが、遅過ぎるのではないですか。これだけ12月に言っていて、立法上の穴を指摘されていながら、7月にようやく研究会が動き出してこれからということでは、被害がこの間ますます増えている。こういう状態を放置しておいていいのか。消費者庁に期待されているのは、まさにそういう事実があったら、企画・立案、立法改正などの措置をどんどんやるべきではないか。そういうことが必要だと思います。その辺、少し取組みが遅かったと思いませんか。

○消費者庁黒田消費者政策課長 政府においてそういう取組みをやる場合には、常にそういった御指摘を受けることが多いことでございますので、私どもは、できるだけ早く対応するように努力はしているところですけれども、全体に取組みが遅いと言われれば、我々は心して、今後、しっかり検討するように取り組んでいきたいと思います。

○消費者庁福嶋長官 遅いということでのその意味は、多分2つおっしゃっているのかなと思いますが、一つは、規制仕分けをした後の対応という話と、国民生活センターの注意喚起から規制仕分けまでの間の期間と両方言われている。どちらかに重点があるのかもしれませんが、規制仕分けの後の対応というのは、ようやく研究会が始まりましたから、規制仕分けをやってそこからまた時間がかかっているという御指摘もあるかもしれませんが、規制仕分けを受けて、消費者庁としてはそこからすぐ動き始めているということではあります。
もう一つ、国民生活センターが注意喚起してから直ちに動いていないのではないかという御指摘、むしろそちらの方が主かなというふうに思うのですが、前にもここでお話したかもしれませんが、規制仕分けというのは事業仕分けと違って、攻める側と守る側という形ではなく、一緒になってやっていますので、規制仕分けに至る過程でも、消費者庁は国民生活センターの注意喚起、問題提起を踏まえて、規制仕分けの中でこういうものを課題にしていきたい、一緒になって考えていこうという対応をしています。ただし、国民生活センターが注意喚起して直ちに動いていないということはそのとおりで、これを直ちに動ける体制にしていくことが必要だろうと思っています。そういうことを一元化の中では、是非、体制としてつくっていきたいと考えているということです。

○中村委員長代理 今回の貴金属の買い取り商法の対応については、一部反省の弁もあったので、それは十分反省していただきたいと思うのですが、大阪弁護士会から7月6日に「特定商取引法に関する法律の改正を求める意見書」というのが出ています。長官、これは見ておられますか。

○消費者庁福嶋長官 来ていると思いますが、いろいろな申し入れを常にいただいているものですから、今、手元にないと、正確にここで説明するということはできませんけれども、いただいた申し入れは目は通しています。

○中村委員長代理 それから、日本弁護士連合会も7月29日に同様の意見を言って、長官宛てにも出しています。今の特定商取引法は、先ほど国センの理事長が言われたように、買わせられる側、要するに提供側の問題だけを見ているのですが、買い取り商法というのはそうではないので、規制の仕方として、売り買い両方を含めた有償取引すべてを法改正によって特商法の中に入れるというアイデアがあるということを、大阪弁護士会などは言っているわけで、こういうものをやはり参考にする。本当はよそから言われる前に消費者庁自ら考えて、立法案をどんどん積み上げていってほしいのですけれども、そういうことこそ企画・立案を旨とする消費者庁にみんなが期待しているわけです。規制仕分けの話も先ほど言われたけれども、規制仕分けに言われる前に本当はやってほしかったなというのが我々率直なところです。
そういうところが、国センを一元化したらその辺ができると抽象的に言われたけれども、私どもには、基本となる消費者庁が今までこの問題について対応してきている状況を見ると、そして国センが、監督される側として消費者庁から言われればいろいろなアイデアを引っ込めているという経過を見ますと、一元化によって果たして本当にうまくいくのかというその疑問がまだぬぐえないのです。その辺については、お二人の方で、こうこうこういう理由があるから大丈夫だという説明でもできるのだったら、していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山口委員 先ほど話に出た、規制仕分けの参考資料1-3の議事録がございます。その中の10ページに消費者庁が説明されているのですが、それによると、買い取り商法が問題になった、「問題事案として認識したというのは去年の秋くらいからでございます」というから、去年の秋ぐらいには消費者庁としても、買い取り商法の問題があるということはもう認識されていたということだと思います。11ページの下から6行目辺りには、消費者庁の説明で、「直ちに着手が遅れている、作業が遅い、そういった御批判はあるかもしれませんが、これからやろうとしている」ということをおっしゃっています。消費者庁としてこういう手口があると察知して、対策の検討が始まったのは半年以上たってからですね。こういう遅い体制が、一元化して本当に是正されるのだろうかということについては、国民生活センターの現状も私は決して迅速とは思いませんけれども、国民生活センターが消費者庁のこの遅いモードに染まってしまうのではないかと非常に心配をしているわけです。その辺について、中村委員が言ったことと併せて、一元化したらこうなるんだという御説明をいただけるならばと思いますが。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 金の買い取りの問題については、把握し始めたのが10月ぐらいというのは我々も同じだと思います。それから1か月ぐらいして、これは一つの問題だということで、「見守り新鮮情報」、これはホームページで出すメルマガで、何の解説もない手口だけですが、こういう事例が最近ありますよというものをまず出しました。それは、いろいろな問題点の分析をしているわけではありません。しかも、全国からいろいろなものを集めているわけではなく、一部の、特にこれは関西で起こってきたことなんですね。関西で起こってきた、関西版のニュース的なものとして出してきたわけです。その後、我々の方では全国的な状況を調べて各事例を集めて、それを検討して問題点を切り取って、それから消費者へのアドバイスをやってきた。それをやっていたら1か月くらいは、かかるわけです。10月ごろ見つけて、ニュース的に出して、12月の21日を目指して問題点の指摘を含めた公表を準備をしていったということであります。
お手元にはないかもしれませんが、実際に出した公表物は、いわゆる消費者へのアドバイスで終わっている。我々から見れば、手口公表の種類のものとしてとらえています。こういう事例があります、これはこういう問題点があります、そして消費者へのアドバイスということで、そこで完結しておりまして、情報提供先として、消費者庁の政策調整課と警察庁生活安全課・生活安全企画課へ出していった。これは、要望とかそういうことではなくて情報提供であります。これで完結している。これは、さきに取りまとめ(案)で出させていただいたものの中では、施設等機関がやると言っている手口公表の部類に入るもの、まさにそのものであります。このときもそうですが、国センとしては一つの仕事としてはこれで終わりになるわけです、現状では。それを、今の提案させてもらっている取りまとめ(案)の中では、更にここから警察庁に対していろいろ言ってきましたが、警察庁は、古物法というのは趣旨が全く違うということで、これに触れることすらなかったわけですけれども、それを調整しているとものすごく時間がかかるわけです。ですから、それをオミットして出していったという経過があります。
今度は、古物法を更にどうしていったらいいのか、あるいは特商法をどうしていったらいいかについても、内部部局と議論をして次に進めていく。更には特商法の改正については、政策レビュー会議でどうしていくかについてまでやれる、そういう道筋はこの中でできていくだろうと私は思っています。国センとしては従来はこの公表で完結させた形になっていますし、もう少し時間があれば、これを政策的な形で問題提起、第二弾として出していくことも考えたわけですけれども、一応規制仕分けの材料にのったということで、そちらの方にお任せしたということになるわけです。そういう形で、今、まさに中村委員がおっしゃっていた、政策にまでつなげる一つの道筋ができてくる可能性があるのではないかと私自身は思っております。

○消費者庁福嶋長官 一言だけつけ加えれば、野々山理事長がお話しましたように、政策レビュー会議というものがまさにそういうことをちゃんと取り上げる。相談現場からずっとフォローしてきた人と、消費者庁の内部部局の法律を担当している人間や、政策を担当している人間が、一緒になって議論をして決める場という理解をしています。その前に情報発信チームの作業というものもあり得ますけれども、政策レビュー会議というのがまさにそういう場だと理解しています。

○中村委員長代理 今、情報発信チームのことに触れられたけれども、それは今回の事例で言うと、国センと消費者庁が協議して、発表の仕方を検討してまとめて12月21日の発信になっている。この様子というのは、こちらで言っておられる一元化の中の情報発信チームの作業とほとんど同じと見ていいんですね。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 私は、違うというふうに認識しています。この間での公表作業はどういう作業かといいますと、全部国センがやりまして、公表する文章を投げているだけです。消費者庁がその文章をチェックして、その文章を見た人が、今度は警察庁との協議が要りますので、文章を見て警察庁との間の協議をやっていく、これが今の状況です。原則は、こういうのを出します、こういう情報提供をさせてもらいますということの各省庁との調整は消費者庁が全部やっています。
ただし、この事例では、消費者庁がやっていたのがうまくいかなかったので、こちらの方に戻ってきまして、私どもも警察庁と協議をしまして、結局、両方ともだめでしたけれども、やりました。ただ、協議のときには我々が投げた書面をもってやる。今、考えている調整チームというのは、書面を見るだけではなく、実態そのものの段階から資料も見てもらう。政策的な対応までするということであれば、その中身まで見ていくと理解を私はしています。単に書面チェックをして、書面上で理解したものについて各省庁との調整をするのではなくて、実態の中身まで一定踏み込んで、担当者が決まる。そういうような理解を私はしておりますので、その点でこれまでの流れとは違ってくると私は認識しています。

○中村委員長代理 むしろ聞きたいのはそのスピード感なんですけれども、中身まで踏み込んで両方が協議し出すと、逆に時間がかかるような気がするのですが。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 案件の最初の選定において、手口公表だけやるということであればほとんど国民生活センターだけでやっていく。しかも、国民生活センターだけでも出していくという理解をしていますし、それから、取りまとめ(案)の末尾にある図1の「手口公表のみの場合」については、本当はそうではないのですが、もしこれでしたら、手口公表の注意喚起で終わらせる案件であるということです。昨日か一昨日やった仏像のあれなどはそういう類いのものでありますけれども、注意喚起で終わらせるものについては施設等機関だけで全部やっていく。こういうのをやりますという情報共有はしますけれども、作成して、施設等機関だけの決裁で出していく。調整も施設等機関で行ってやっていく、こういう理解をしています。
ただ、案件の中で政策的なものまで含めてやる、氏名公表とかそういうことも念頭に置いてやるということになれば、このものでは下になっていって、一緒になってやっていくというパターンになりますので、一緒になってやると手間はかかります。手間はかかると思いますけれども、その段階でも手口公表だけ先にやろうということになれば、それは1番に戻って手口公表だけ先にやるということになります。ただ、政策的な対応までスムーズに行く。今までは分断していた、注意喚起だけで終わっていて、政策的対応は遅れていくというものについては、そこは継続してできる。そのためには、最初から絡んでこないとそれは結局できないというふうに私は思っておりますので、案件の中でこれは政策的な対応まで行くというものについては、最初から行った方がむしろ早いというふうに私は思っております。

○松本委員長 議論が、取りまとめ(案)そのものの中身に入っておりますので、取りまとめ(案)について御説明をいただいて、その上で今の具体例を議論した方が生産的かと思います。申し訳ございませんけれども、本日までの動きにつきまして、どうぞ、タスクフォースの取りまとめ(案)についても含めて御説明をお願いしたいと思います。

○消費者庁林地方協力課長 それでは私の方から、資料2-1、2-2、2-3に基づきまして説明をさせていただきたいと思います。
それから、資料2-4として、一元化で目指すものということで1枚紙のポイントをまとめたものと、資料2-5として、お尋ねの7月15日以降といいますか、取りまとめ(案)以後の動きを御紹介したものをお配りしております。
既に中間整理については御報告し、御説明をさせていただいておりますので、今日は、資料2-2として配らせていただいております「『中間整理』からの主な変更点」を主に御説明させていただきたいと思います。順次、2-1として配らせていただいております概要紙や本体も見ていただきながら、御説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料2-2の「主な変更点」の1点目ですけれども、名称の件については「消費者庁国民生活センター」という形にさせていただいたということでございます。
2点目、3点目は関連するものでありますけれども、情報提供・注意喚起の一層の迅速化のための工夫、政策的対応や執行の強化のための工夫というものを、既に御議論にのぼっておりますけれども、今回の取りまとめ(案)の中でさまざまな御指摘を踏まえて入れさせていただいたというものでございます。
情報提供・注意喚起の一層の迅速化という点につきましては、現在、相談情報、あるいはPIO-NETに基づく各地の消費生活センターの相談情報、こういったものが国民生活センターに集約されてきております。これに加えて、消費者庁に通知としてまいっております、財産事案に係る消費者安全法に基づく通知情報も施設等機関に情報を集約する。これについて施設等機関による分析の上で、手口や問題点の指摘、消費者へのアドバイスという、いわゆる手口公表については施設等機関が迅速に公表をしていく。更に相談解決テストの結果通知、テストのまとめの公表も、施設等機関が迅速に実施することにしたいと思っております。
政策的対応や執行の強化という点では、迅速な注意喚起を施設等機関で担っていただく一方で、内部部局については、他省庁への働きかけや事業者団体に協力を求めたり、あるいは、制度的な見直しをする必要があるといった政策的な対応を要する案件に集中する。これによって執行強化をしていきたいと思っております。また、政策的な対応を要する案件については、内部部局の職員と施設等機関の職員で、案件ごとに形成します「情報発信チーム」を通じて共同で作業を行って、消費者庁としての意思決定手続を経て注意喚起を実施していく。
また、支援相談を担う施設等機関の職員については、政策的な対応を要する案件も含めて、消費者庁の注意喚起や情報発信のすべての過程に関与をしていただくということでございまして、取りまとめ(案)本体の最後から1枚目、2枚目に、財産事案、生命・身体事案、商品テストに関係する手続の流れをつけさせていただいております。情報の集約や迅速な情報提供、あるいは政策的な対応に係るものの流れを示させていただいておりますので、御参考にごらんいただければと思います。
次に、商品テストでございます。消費生活センターからの依頼に基づいて実施しております相談解決テストに加えて、消費者庁が自ら実施する商品群テストの実施は施設等機関に担っていただく。その際に、商品群テストの実施に当たっては、新たに創設を予定しております「事故調査機関」の関与。案件の選定やテストの要否、テスト手法の選定の過程、最後、報告書の取りまとめに当たっての内容の審査といったようなことを事故調査機関で審議をいただいて、透明性や客観性を確保する手続を設けたいということでございます。これは、取りまとめ(案)の最終ページに載せております手続でございます。
5点目、ADRに関しては、消費者庁に第三者組織を設けてADRを実施していく。実際の和解の仲介や仲裁は、第三者組織の委員が行っていただいた上で、事務局機能は施設等機関が担うという形にさせていただいた上で、ADR部門と法執行部門との間で情報の取り扱いについてのファイアーウォールを設けることとしたいということでございます。
6点目として、相談現場の情報を政策に直結する仕組みとして、長官をヘッドに管理職で構成いたします意思決定機関としての「消費者政策レビュー会議」というのを設けて、法執行の在り方の検討、政策の企画・立案、他省庁への要望やそのフォローをまとめる場としたい。このことによって相談現場の情報を政策形成に反映する流れも、併せて法的にも担保していきたいと思っております。
次に、見直しの効果に係る部分でございます。7点目の消費者行政の人的体制の充実という点につきましては、一元化をした後、消費者庁に現在いる職員も勿論のことですけれども、施設等機関の職員の方々についても、施設等機関だけに限らず内部部局双方の業務に携わっていただく。そういった人事運用を行うことで経験を積んでいただいて、消費者目線を育てながら、人的体制を充実していく。更に、一元化後に継続的に職員をプロパー採用していくことによって、プロパー比率を高めていくといったことも行ってまいりたいと思っております。
8点目に、一元化を生かした消費者行政全体の機能強化の取組みということで、一元化によって活用可能になる人材を重要な政策課題に振り向けることで、全体の機能強化を図っていきたいということで3点挙げさせていただいております。
1点目が、事故調査機関の創設、2点目が、悪質商法対策の強化ということで、業種横断的な行政処分の創設や調査権限の拡充、3点目に、地方消費者行政との連携の強化ということで、自治体との窓口の一本化も実現していきたいというふうに思っております。
9点目は、消費者庁全体での共通認識の醸成ということで、これは国民生活センターから御提案をいただいた点であります。消費者問題の現場、情報発信における柔軟性・機動性や問題点の指摘・政策提言、消費者目線に立った対応、それぞれについての重要性について組織として再認識をしていくということでございます。
10点目として、改めて平日バックアップ相談の位置づけを明確にさせていただいた。土日祝日相談に加えてホットラインを通じたバックアップ相談を実施することで、直接に相談に対応する機会を確保していきたいと思っております。
この後の動きについては、資料2-5をごらんいただきたいと思います。7月21日のタスクフォースで「取りまとめ(案)」を取りまとめいたしまして、7月23日に名古屋で、31日に札幌で、昨日、東京の日本学術会議講堂で3回にわたって、委員長にもお越しいただいて、消費者団体の皆さんや弁護士会の皆さん等に参加をいただいた上で、この取りまとめ(案)についての意見交換を行ってまいりました。また、今後も関西方面でのシンポジウムの実施も検討いたしております。更に議論を深めていきたいと思っております。
私からは以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、ただいま御報告のありました「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ(案)」につきまして、委員会としてどのように考えるかについて、資料3に基づいて山口委員より御説明をお願いいたします。

○山口委員資料3に基づきまして、現段階での委員会としての考え方を説明させていただきまして、御意見も承りたいと思います。
冒頭に書いておりますように、この資料は、8月5日において検討を行うために、当該取りまとめ(案)について消費者庁から説明を受ける前に準備した資料でございます。説明の都合上、2ページを見ていただきたいのですが、私ども消費者委員会としましては、両機関の目的・機能につきましては、「消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の各機関の目的は、消費者基本法の基本理念の達成という点で共通。しかし、各機関の機能は、以下のとおり、法制的に直ちに重複するものではない」という認識を持っております。この点はどうしても認識が違う点かなというところがございます。
4ページですが、あっせんと、各省庁との調整の問題につきまして、幾つか重大な懸念がございます。黄色で「?」をつけた部分が委員会として考える懸念であります。あっせん業務におきまして、消費者庁によるあっせんという関係で二重行政と受けとめられるおそれがないのか。更に、あっせんに当たって所管官庁と省庁と調整する場合、処理が遅滞することはないのか。あるいは、あっせん結果が消費者庁による行政指導と見られる懸念はないのか。他の事案の調整にも停滞等の影響を及ぼす懸念はないか。このような懸念の結果として、あっせん自体の萎縮をもたらすのではないのかという点を、私どもとしては疑問に思っております。
5ページの右側ですが、委員会としては、取りまとめ(案)では上記の懸念に配慮した対策がなお示されていないと考えております。また、消費者庁が所管する法令以外の事案に関するあっせん案の提示は、個別事案であっても行政指導と受け取られ、業界全体に影響を及ぼす可能性もあり、所管省庁との間で何らかの調整が必要になる局面が発生することは避けられないのではないかと考えておりまして、この点についての疑問がまだ解消されていないと思っております。
6ページですが、あっせんと消費者庁の法執行との関係での一元化した場合の懸念であります。まず、個別事案におけるあっせんの判断は、地方裁判所の裁判例や民法の信義則等も踏まえて柔軟に行うものだと認識しております。その判断が消費者庁の有権解釈と誤解されるおそれ、懸念がないのかという点がございます。更には、個別事案におけるあっせんの判断が法令の有権解釈と誤解される懸念はないのかという点もあります。
7ページの右側ですが、取りまとめ(案)ではこのような懸念に配慮した対策が示されていないと考えております。消費者庁の施設等機関ができてそれによるあっせんということになりますと、「多様な法解釈」が柔軟に提示されるというのですが、その中で示されるあっせん案が法令の有権解釈と誤解される懸念(事業者側の萎縮効果・相談員の誤解、逆に相談員の萎縮)が残るのではないかと考えております。
8ページのあっせん・ADR・商品テストについてでありますけれども、行政庁の立場で、個別事案について消費者側に軸足を置いたあっせんやADRが可能なのか。仮に可能な場合に、逆に、法執行権限を背景として、あっせんにおける事業者側への圧力が生じる懸念はないのか。その結果、事業者側に過度の萎縮効果が生じる懸念、また、事業者側が行政庁にあっせん・ADRでの解決を望まない、現に消費者委員会でそういう発言が事業者側からありましたが、そういう可能性があって、円滑な紛争解決が図れなくならないかという心配をしております。
更に、行政庁の立場で、従来の国民生活センターと同様に、個別事案について消費者側への訴訟追行の援助を行うことが可能なのだろうか。現実に国民生活センターでは、紛争が訴訟に発展した場合には、消費者側に訴訟追行の援助、商品テストの結果を提供したり、ADR手続資料の提供をなさっておりますが、これは消費者庁におけるADRでも可能なのだろうか。
両組織の間に情報の遮断がないために、あっせん等における事業者の対応が、法執行の判断に影響する懸念がないのだろうか。対象事案の選定や、違法性判断などで影響を及ぼさないかという点であります。
ADRについて、法執行部署との情報取り扱いルールを定めるとしておられますが、支援相談に係るあっせんについての対応は示されておりません。この点についてはどうなのでしょうか。また、ADRについて、ADR事務局と法執行部署との間の情報取り扱いルールの内容がまだ明確に示されておりません。更に、従来と同程度の消費者への訴訟援助が行われるのかについても心配がございます。
他省庁所管の法令に係る事案について、消費者庁の施設等機関がADRを行うことができるかという点についての参考例はないのではないかと考えております。
次に、10ページ、11ページ、先ほど御説明がありました分野のいわゆる事故調査機関との関係であります。11ページの右上、冒頭ですが、現段階では、事故調査機関の詳細な制度設計も不明でありまして、取りまとめ(案)の内容が適切であるかどうかは判断できないと言わざるを得ないと思います。また、消費者庁の下に置く事故調査機関は、事故発生後の原因究明を担う組織であるはずで、事故調査ではないけれども、商品群テストを実施して注意喚起等を行う案件にも関与することがいいのかどうか。あるいは妥当かどうかについても、慎重な検討が必要ではないかと思います。
例えば、事故調査機関が注意喚起にかかわった後に現実に事故発生した場合、その事故調査を、一たん注意喚起をした事故調査機関が公平な立場でできるのだろうかという問題でございます。右上の表を見ますと、事故調査機関が行政にかかわることになります。八条委員会としての事故調査機関が事案の選定やその他にかかわることの是非が問われるのではないか。
更に、11ページの右側の真ん中辺りですが、消費者庁の下に置く事故調査機関は「すき間事故」を担うものと想定されております。他方、取りまとめ(案)では、事故調査機関が施設等機関における商品群テストの要否を分野を問わず審議するようになっております。施設等機関が、従来国民生活センターが実施してきたような他省庁の所管事案も含め、さまざまな事案についてもテストを実施できるのか、この点は疑問であります。いずれにしても事故調査機関の詳細がわからない段階で、一元化したらこうなるああなるという議論が、果たして妥当なのだろうかという疑問があります。
次に、12ページの情報発信についてでありますが、これについてはさんざん議論したところでありまして、なお懸念が解消されていないと思います。一つだけ申し上げますと、「情報発信調整会議」の調整を経た内容が公表されるために、公表時期が遅くなったり、公表内容が不十分なものとなって、国民が生の情報に接することができなくなるというのは、これまでの具体的な事例についての事実経過を見てもなお懸念があると言わざるを得ないと思います。
14ページであります。これは、一元化しないで、現在の消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の関係を更に改善していけば、一元化する以上の効果が期待できるのではないかという点をまとめてみたものであります。特に重要なのは、消費者庁と国民生活センターの情報のやり取りであります。国民生活センターの法律上の守秘義務をきちんと規定した上で、PIO-NET情報以外の消費者庁に入った財産事案での事故情報なども含めて、これを適切・迅速に国民生活センターに提供して、情報内容の検討あるいは公表などを迅速にやっていく工夫をすることで、一元化以上の期待ができるのではないかと考えております。
15ページでありますが、情報発信について簡単に取りまとめてみました。タスクフォースの取りまとめ(案)では、手口公表等について、施設等機関の判断で行うことができる分、情報発信は迅速になり得るとされておりますが、その反面、内部部局との情報共有にとどまらず、実質的な調整が行われたり、案件によっては「内閣一体の原則」から他省庁との調整が必要となる等によって、公表が遅れたり、公表内容が不十分なものとなる懸念がなお払拭できません。
また、財産事案に限らず、生命・身体事案についても、完全な原因究明や政策対応が定まる前に、注意喚起のための情報提供を急いだ方がよい事案も想定し得るわけですが、簡易迅速な手続で公表できる工夫を更にすべきではないでしょうか。
なお、取りまとめ(案)と同様の効果は、先ほど言いましたように、現状の組織のままでも双方が適切に運用あるいは機能することで得ることができると考えられます。
加えて、現行体制の下では、注意喚起等の情報提供について、国民生活センターが国の機関とならないことで、かえって迅速に公表することができるという側面がございます。政策提言については、独立行政法人の責任の下で、現場感覚を反映した情報が発信されることになるため、消費者基本法2条1項の趣旨(消費者に対して適切な情報が提供され、消費者の意見が消費者政策に反映されることが保証される必要がある)に資する、というふうに考えられるところでございます。
最後の17ページですが、消費者委員会としては、国民生活センターの運営方法の見直しと消費者庁の適切な連携について意見書で述べております。もう一回言いますと、国民生活センターについて、意思決定過程の透明化、より多様かつ専門的な経験・知見に基づいた運営、外部有識者による運営チェック体制の強化、更には消費者委員会との関係についても見直す。このようなことをやることによって、国民生活センターの運営がより消費者のためになる形に改善できるのではないかと考えております。
1ページに戻っていただきます。以上を踏まえますと、消費者委員会としては、タスクフォース取りまとめ(案)について、全体を通じて中間整理から見ればやや具体化はしているものの、あっせん・ADR・商品テスト・情報発信などについて、6月に当委員会が意見書で示した懸念は余り解消されていないと考えます。
なお、情報発信については、取りまとめ(案)で示されている一元化の効果は、一元化によらずとも、現状の組織を前提にしつつ、消費者庁と国民生活センター、あるいは消費者委員会との連携を図ることで実現可能であって、より高い効果が得られるのではないかと考えられます。当委員会がこれまでに出した意見の内容を踏まえた、更に検討あるいは対応を求めたいというのが、現段階での委員会としての考え方ということになります。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの消費者庁からの御説明、あるいは、山口委員から御説明がございました委員会としての考え方の案、それぞれについて、どうぞ、御意見、御質問のある方は御発言をください。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 先ほどの買い取りと併せまして、情報提供、各地への支援について、関連して質問させていただきます。
まず、買い取りの経緯につきまして、修正意見の内容というのが国セン原案と修正意見となっております。これは、例えば地方の支援に対して国センはこれ以外に各地のセンター、相談員さんに情報を提供されていると思いますけれども、そういうものというのはあるのでしょうか。このやり方は、経済産業省の当時のやり方とそっくりなんですね、特商法に該当しないからという一言の下に。消費生活センターや相談員は、社会的・常識的に考えてこの問題はおかしいのではないかというところから発して、それが消費者目線だと思うのですが、それから何をどうすべきかということを相談の中でしっかり聞き取って、ここに問題があるのではないかということを見つけて、豊田商事事件もそうでありますし、投資の問題も先物もみんなそのような形で努力してきたわけです。そのときは国センから、こういう考えもできますよというようなことを教えていただいていたのですが、今回、これに対してどのような対応をされたのか。何か相変わらず変わりがないなというところがありまして、もし情報提供がきちんと地方のセンター、行政に届いているのであれば、また、それなりの考え方はあったかと思います。ただ、現場の相談員さんについては、これはこれで終わってしまって、では、どうしましょうと、皆さんが非常に混乱しているというのが一点です。
こういう情報の提供の仕方というのは、手口公表とかありますが、それは速やかにやっていただきたいと思います。

○松本委員長 ちょっと整理させていただきます。参考資料1-1にありますのは、国民に対する一般的な情報提供として、こういういきさつでこうなったということですが、今の下谷内委員の御質問は、そうではなくて、国民には公表されないけれども、各地の消費生活センター等に対して、国民生活センターとしてどのような情報提供をされているのか。あるいは、消費者庁としてされているのであればどうなのかという質問だったと思いますので、それについて御説明ください。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 今回、例に挙がっている貴金属の関係につきましては、国民に対して、こういう問題があるということをアピールするものであります。それと、各地のセンターの方も、これを見て何が問題なのかということについて知っていただくということであります。この中では、特商法のすき間事案であるということは示してあります。これは現実には通常の解釈です。雑誌の中の貴金属の買い取りサービスの関係の論文でも、適用がないという結論で、著名な弁護士の方とか、ほかの方も書いておりますから、そういう形が定着している。その中で私どもは一定の解釈を出しましたけれども、これ自体は、社会的な関係でどうなのかということで落としたという経緯は、先ほど説明したとおりであります。
ただ、こういうすき間事案があるときに、各地のセンターの方が、すき間事案だからあきらめなさいなどということになることはあり得ない話であります。そのことは下谷内委員もよく御存じだと思います。すき間事案であるからこそ、相談員さんたちは、どうやってこれを説得していくのかということになってくると思っております。その関係でのさまざまなアドバイスなどはこちらも工夫してやっている。
現実には、今もいろいろなところで金の買い取りのことがありますけれども、実態としては訪問販売と同じであるということで、そういう意味では信義則の問題とかあるわけです。それから、ここでも出してありますけれども、消契法の関係で攻めるところがあるならそこで話をしていく。そういうところでやっていくということは経由相談でもやっておりますし、あと、行政フォーラムとかニュースでどういうふうに出しているか、この件についてはわかりません。しかし、震災の関係ではかなりいろいろなQ&Aを出している。外に出すのと異なった、こういう説得の仕方をしなさいというQ&Aを出しています。この案件でどういうQ&Aを出しているかはわかりませんけれども、現実の問題としてはそういう形で対応をしているということであります。まさにこういうすき間こそ、相談員の皆さんがどう説得していくかということについては、我々もアドバイスをしていかなくてはいけないものだと考えております。

○下谷内委員 それは、今、一番できることであって、それが一元化されたときにできるのかどうか、支援ができるのかどうかという心配です。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 なぜそれが、一元化するとできなくなるという評価になるのでしょうか。一元化したら消費者庁の有権解釈部になりますと。施設等機関が有権解釈機関になるということであれば、今のお話はそのとおりだと思っております。しかし、施設等機関というのは、今、考えられているものは地方支援のためのものであります。経由相談についても残してやっていく。経由相談は決して有権解釈を言うところではありません。有権解釈を聞きたかったら有権解釈部に連絡をするしかないわけです。施設等機関は有権解釈を聞かれて答えるわけでも何でもないわけで、むしろ今、言ったようなことをやっていくことが任務ですから、それを施設等機関になって一元化したらたちまち有権解釈機関になると考えられるのがなぜなのか、ということは改めてお聞きしたいところです。

○松本委員長 ちょっと確認しますが、参考資料1-1の国セン原案で傍線を引かれている部分が、国民向けの公表では削除されたわけですね。しかし、今の野々山理事長の御説明だと、にもかかわらず各地の消費生活センター向けの国センからの支援、情報提供、アドバイスとしては、これを削除していない形で、こういう形で交渉することも可能ですよというアドバイスをされているのですか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 それはしていません。

○松本委員長 どうしてしないのですか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 そういう形ではしていません。今、言ったような消契法とかいろいろな形でやっている。この解釈をもってやりなさいということは、書面で出しているということはないと思います。言葉で、アドバイスの中の経由相談で言っていることはあるかもしれませんけれども、公的な国センの見解としてこれをとっているわけではありませんので、それを言っていないということです。

○松本委員長 わかりました。支援のところでも一定の影響が出てくる可能性があるということですか。それとも、それは一元化しようがしまいが、国センとしては従来そういうスタンスでやってきた。法律の厳格解釈以上の線では公的文書としては出せないんだということですか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 そういうことではないです。例えば、まだ解釈が定まっていなかった軽貨急便が特商法の業務提供誘引販売に当たるかどうかということについては、当たるという解釈でほかのセンターにも話をしています。それは事案によります。解釈の中身によります。今の解釈が本当に社会的に通用する解釈かどうかということがやはり検討されなくてはいけないと思います。何でもかんでも有利な解釈だからいいということには決してならないわけであります。これは議論の中で出てきた一つの解釈ですけれども、その解釈が社会的に評価されるかどうかについて議論をした結果、現時点では難しいという結論に議論の中で達したわけですから、落としたわけでありまして、それを、これが使えますよ、これは公的な解釈ですよということを出すわけにはいかない。しかし、これが有権解釈と違っても、社会に通用するきちんとした解釈であるということであれば、それは当然出していきます。事案による。この事案はそうだったということであります。

○松本委員長 左側の案は、いわば国セン内部で十分に検討されて提案されたわけですね。それに対して消費者庁の方から、ちょっと無理ではないかということを言われて引っ込めたというふうに私は理解をしています。結局、国民生活センターとしても消費者庁の解釈の方を採用した。しかし、それまでの段階では、いわば消費者目線のかたまりの国センがいろいろ議論をした結果として、こういう形、考え方もあり得るということをわざわざ提起をされたわけですね。それはそれなりの相談現場の方々の意見を聞いて、これしかないという意味ではなくて、一定のあり得るものであって、事業者、特にこの種の悪質事業者との対応において、こういう形で交渉することがあり得るのではないかということで盛り込まれたはずです。そうであれば、各地の相談現場においても、同じような考え方で対応すること自体は否定する必要はないのではないですか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 いろいろ新しいすき間事案が来たときにどういう解釈ができるかということについては、議論をしています。例えば今回の安愚楽牧場の中でも、契約書を見て、どういう形で対応していくか、どういう解釈をするかについても議論をしているわけです。そういう中でその議論が、全く新しい問題を新しい考え方として出していくわけですので、それが十分通用するかどうかは検証されなくてはいけないと私は思っています。何でもかんでも有利であればどんどん出していけるかというと、そうではない面もあると思っています。この件はその一つだと。こういう形で出せなくても、各地のセンターでこう解釈すべきだということを出していくことは十分あり得ますし、個別事案において、こういうふうに解釈をしてみたらということを言うことは十分考えられますけれども、この案件ではこの解釈です。まさにこれは両替と同じ、どうしてできるのかという解釈であります。両替の役務手数料が金の買い取りの差額であると。両替というのはほとんど価格が決まっている。それと同じように、金も価格が決まっているということで判断してやってきた一つの考え方ですけれども、そこが十分検証されているかどうかについて、指摘された段階で、十分でないという判断をしたということであります。

○松本委員長 どうぞ、山口委員。

○山口委員 今、情報提供の話が議論に出ています。タスクフォースの取りまとめ(案)の資料2-3、これは消費者庁と国センでつくられたものだと思いますけれども、最後のページの1枚前、図1は、一元化した後の情報提供業務の流れということで表になっています。今、野々山理事長が説明されたのでは、施設等機関における案件発掘あるいは検討と、有権解釈をする部門の解釈とは切り離されているから、別なんだとおっしゃっているけれども、このチャートを見る限り、例えばあっせん、あるいはADRの事務局は、施設等機関の案件発掘のところでマルになっています。それはそれで独自にやられるかもしれないけれども、分析については、ここにまさに書いてあるように情報共有ということで、情報を共有して合同で会議をなさるわけです。その上で一定の考え方を注意喚起として、あるいは分析としてなさるわけですから、今、野々山理事長がおっしゃったような、いわゆる事案解決のためのあっせん・ADRにおける解釈と、いわゆる有権解釈としての主務官庁としての解釈とがそう簡単に切り離されないのではないかというのが、この表からも見られるわけです。しかも、それがあっせんなりADRなり、消費者庁という名前で注意喚起がなされれば、事業者は、何にしてもこれは消費者庁の考え方なんだなというふうに受けとめますよ。受けとめられるし、それを意識してADRやあっせん、注意喚起をするということになると、どうしてもやはり遅れるのではないかという点についてはどうでしょうか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 これは私の認識ですけれども、図1のマル1の手口公表の情報共有をするのは、内部部局の情報発信部門であります。有権解釈部門と会議をしたり情報共有をしたりすることではありません。そういう形で考えておりますから、有権解釈部門が、これの有権解釈がどうなのかという問い合わせをすることはあるかもしれませんけれども、情報共有をしていくのはあくまでも情報発信を担当する部局同士の中身であります。

○山口委員 「日常的に緊密な情報提供を図る」と書いてあります。しかも、図らないといけないと思います。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 ちょっと意味がわからないのですけれども、内部部局が常に有権解釈でしか動かないという前提であればそれは大変なことです。例えば手口公表のみのときでも、有権解釈以外の問題点の指摘は一切させないとか、そういうことが大前提であるなら、それは問題だと思っておりますけれども、ここでは有権解釈部門ではないわけですので、その前提自体がどうなのかというふうに思っています。内部部局は有権解釈以外は一切何もできないという前提であれば、おっしゃることはよくわかります。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁福嶋長官 今もこの事例のように協議はしているわけですね。現実に削ることになった部分について、これは本当に消費者目線で必要なのかどうか、あるいは理事長が言われたように社会的に通用するものなのかどうか。有権解釈ではなくても、別の見解としてちゃんと言えるだけのものなのかどうかという検討をする。その議論をすること自体は別に否定することではないと思います。議論をした結果、社会的にまだ言える段階ではないから、今は言うのはよそうということになって削られたという理解をしています。
ただ、そのときに見解が違って、これは絶対に言えるんだ、言い得るんだ、言った方が消費者の利益にもなるんだということであれば、一元化したときには、施設等機関で決裁をして情報提供をする、注意喚起をするという仕組みにしていますから、それは十分やり得るという理解をしています。

○松本委員長 質問ですけれども、一元化されていない現在において、国民生活センターが原案で情報提供したいといった場合は、国民生活センター内部の決裁でできるのですか。それとも、やはり消費者庁がだめだと言うと現在でもできないのですか。一元化すれば、内部部局がだめだと言っても施設等機関の判断で最終的にはできると、今、おっしゃいましたね。そうすると、現在においてはいかがですか。

○消費者庁福嶋長官 現在においては、当然、国民生活センターの最終責任でやり得ると思います。現在できないのは、ここでお話しているように、消費者庁に法律に基づいて通知された財産事案の情報も施設等機関の方に集約して、施設等機関で幅広く、今以上にやるという仕組みは一元化になってできる仕組みだと思います。国民生活センターの判断でやるということは今の独法でも勿論できるし、施設等機関になってもそういう仕組みを維持しますということです。

○松本委員長 わかりました。今の状況と、一元化されても変わらないということがわかりました。
どうぞ。

○佐野委員 野々山理事長が何回もここでおっしゃっていたのは、今も常に消費者庁と相談をしながらやっているという話で、ちょっと今の話と違うのではないでしょうか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 決裁は私たちだけでできます。ですから、何と言われようと、やるならやれます。加圧スパッツは、最終的に消費者庁の方で自分たちは責任は持てないと言われた。責任は持てないというのはちょっと語弊がありますけれども、それは国センの責任において公表するということで、そのことで公表をさせてもらいました。今回もこちらの責任でやることは可能です。
ただ、争ってまでどこまでやるか。調整できれば一番いいわけだし、今後のこともあります。私たちの問題意識としては、貴金属の問題というのはすき間事案であって、いずれは特商法の改正につながってもらいたいし、古物の関係でもそういう問題提起をさせてもらってやっていきたい。単にこれだけ出してそれで済むわけではないわけで、こういうものを出すことの中でそういう問題意識を、主務官庁である消費者庁が持ち、かつ警察庁も持ってもらいますので、当然、そこは意見交換をしていく。相談しながらやっていく。これはやめてくれということも、その中に出てくることはあります。
この買い取りのことは、私の問題意識は、上の方の消されたことよりも、下の残ったところについても、最初にも申し上げましたが、特商法が難しくてクーリングオフができないということを指摘するのはやめてもらいたいと、過程の中で言われたことがありますけれども、それはおかしいではないかということで、これは残したという経緯があります。ただ、そういう感性は私はやはり問題があるというふうに思ってはいます。

○中村委員長代理 参考資料1-1の国セン原案との違いで、アンダーラインのところだけが削除とおっしゃいましたけれども、括弧して、「このためクーリングオフが難しい」という部分も、実際に公表された国センのホームページを見ると、「特商法の適用は難しい」という言葉しか出てこないのです。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 本文を見てください。本文の真ん中辺り。

○中村委員長代理 「相談事例から見る問題点」のところに一言も書いてないです。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 (2)で「特商法の適用は難しい」と書いて、3行目のところに、「このため、特商法によるクーリングオフを主張することは難しい」。

○中村委員長代理 そこまで書いてないですよ。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 (2)です。

○中村委員長代理 国センのホームページですが。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 ホームページの中には、概要版とPDFで書いたものとあります。

○中村委員長代理 これは簡略版の方ですか。簡略版でも、これは書いておいてもらいたい。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 それはこちらのあれですから、わかりました。簡略版でもその点の指摘をしておくべきだったかもしれません。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 例えば今のような問題が起こったときに、今の国センだったら、特定商取引法の適用の余地もあります、だから事業者側は大幅に譲歩して消費者の問題の解決に一歩踏み込みなさいということを、国民生活センターのADRなりあっせんなりで言えると思うんですね。ところが、仮に一元化して消費者庁の中の施設等機関としての国民生活センターになって、そこに買い取り商法の案件が来たときに、例えばその隣には常に法執行にかかわる有権解釈をやっているセクションがあるわけです。その隣の施設等機関の国民生活センターにおいて、特商法の適用の余地もあるから、事業者側はもう一歩踏み込んで解決しなさいというようなことは言えますか。もし言ったとしたら、事業者側は、「何だ、消費者庁はそう考えているのか」と思うだろうし、言う側は、消費者庁の発言として誤解されかねないから、一歩引かなければいけないというふうに萎縮しないかなと思います。その点、どうですか。

○消費者庁林地方協力課長 消費者委員会から御指摘をいただいているこの紙そのものもそうですけれども、今のお話も、あっせんなりADRをいかに規定するかという問題で、それはむしろ立法政策上の問題だと私は思います。要するに「あっせんとはどういうものなのか」と。それは消費者委員会でも、過去に国民生活局長から出された通知を引っ張られてそれを共通認識として持たれています。そのことが外部的にきちっと認識される、そのことが私は非常に大事なことだと思っていますので、あっせんという任務を、最終的に消費者庁の設置法を含めてどういう仕事として書くのか。
それと同時に、今日、非常に参考になる御検討をいただきましたが、あっせんについても、あっせんを担当する部局と法執行を担当する部局との情報遮断は確かに必要だと思います。今は実際上、組織が別ですので、我々消費者庁はPIO-NET等を通じてしか個別の相談情報は見られません。そのことによって逆に個人情報などは見られない形になっております。基本的には、同じ組織になっても、右から左に個人情報を含めて流れることはないと思いますけれども、そこはやはり規定上、そういうことがないように規定をしなければいけないというふうに思います。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 今の点は、もしそういうふうになれば問題だという懸念は、私はこの間の議論の中で勿論持ってきているつもりであります。今、山口委員がおっしゃったように、有権解釈よりずれてはいけないというものがあっせんであるということになったら、それは私は大反対いたします。あっせんとは何なのか、今と同じものであるということであれば、今、言ったような現象が起こるのは、他の部局であっせんをやっている人たちが、あっせんはそうではないということで限定されるか、自主規制をするかです。そういうことになることだと思いますけれども、自主規制というのは当然にして起こるのかという思いがあります。施設等機関という形でやっている中でこういう形でやっていく。あっせんとは何かというのをきちんとつくり上げて、そういう共通認識を持っていけばそれはそれでできるだろうと。おっしゃっているのは、自主規制をしてしまうと、そういうことですか。

○山口委員 私が先ほど申し上げたとおりなのですが、まさにあっせんとは何なのかというところについてタスクフォースでもう一回煮詰めていただかないと、今、林さんがおっしゃったような問題についての懸念は解消されませんね。そこは是非お願いします。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今、この問題一つとってもどれだけ時間がかかったか。昨日も4時間以上シンポジウムを延長し、結局、野々山理事長が、「ここについては並行線ですから、次のテーマ」という感じで来ているわけで、どうしたらいいのか、このままで行ったらいつまでたっても結果が出ない。私は、今日の消費者委員会が出しているこの1ページの「全体を通じて」ということに全く同感であって、6月に私たちが出した懸念に関してきちんとした答えが出ていない、解消ができていないというふうに考えています。これをどうしたらいいのかと考えたときに、前回、7月15日に消費者委員会の意見として出した、もう一度検討会をつくり直して、いろいろな方々を交えたところで議論できないものだろうか、ということを再度提案したいと思います。事故調についてもさんざん検討して相当な議論がありました。その事故調がポロンとここに出てきてしまうこと自体にも、私はすごく疑問を感じています。
ですから、もう少しきちんと丁寧に議論をするには、私たちではなく、第三者の方々にここまで積み上げたものをもとにやっていただく。それを再度返していただく。何か違う方法でやらない限り、消費者庁と国民生活センターが一つの意見を出して、それ以外の人たちがみんな、違う意見、または反対だと言っていたのでは、終わりがないと私は思います。是非、国民生活センター、消費者庁に考え直していただいて、新しい検討会をスタートしていただきたいと、再度お願いいたします。

○松本委員長 どうぞ。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 山口委員のさっきおっしゃられた「あっせんとは何か」については、たびたび出てきていますけれども、見直しに係るタスクフォースの取りまとめの14ページ、2)の※印のところに、あっせんとはこういうものだということを記載してある。これを実現していくということだと考えております。

○松本委員長 本日の議題は、あと大きなのが2つございます。国民生活センターの見直しの部分につきましては、消費者庁、国民生活センターのタスクフォースの一番新しい取りまとめ(案)について御説明いただき、それに対する消費者委員会としての考え方の案を出して、この考え方の案で消費者委員会として確認できるかどうかをお諮りするのが本日の最大のポイントでございます。山口委員が説明いただいた考え方案について、特にここがおかしいから変えろという御意見はございますか。
どうぞ。

○中村委員長代理 異論ではないのですが、11ページのところで事故調のことに触れられている。はっきり言って、事故調がどういうものかということがまずきちっと説明されないと、一体どこに、どんな人数で、どんな予算で、どんなことをやるのかということが具体化していない中で、商品テストとの関連に触れられても本当に判断できません。ですから、順番としては、まず事故調の詳細な内容を出すことだと思います。昨日までの公開シンポでも、「そこは目下検討中です」という答えしかなかった。それは私は手順前後だと思うのです。事故調のことを近々に明確に出してください。その上で、改めて我々は意見を言いたいと思います。その意味で山口さんが提案した考え方については賛成します。

○松本委員長 どうぞ、山口委員。

○山口委員 このペーパーは、今、突然お示しして説明させていただいただけなので、御意見があれば是非事務局を通していただければと思います。できるだけ煮詰めながら実りのある議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 現段階といたしましては、消費者委員会としては、山口委員が案として出された考え方を確認して、今後の議論を深めてまいりたいと思います。今までのところ、タスクフォースの方でまとめられた、一元化をすればこんなにいいことがある、それに対して消費者委員会や消費者団体から出されている、いろいろ弊害があるのではないか、デメリットがあるのではないかと。一元化の案についてのメリットとデメリットについては、かなりいろいろなところから議論がされてきたと思います。それでもまだ並行線の部分がかなりあると思いますが、かなり議論は深まっていると思います。
しかし、一元化以外の選択肢、一元化をしないで、法人格を残しつつ国民生活センターの機能をばらばらにしないでやっていく選択肢については、全く議論がされていないというふうに思います。したがいまして我々としては、別の選択肢についても十分に議論をしていただいて、その上で、一元化しかないというふうに皆さんが納得できる形で議論が進めば、大変うれしいことだと思います。その別な案についても今までと同じぐらい真剣にきちんと議論をしていただきたいと思いますし、我々もしたいと思います。国民生活センターの在り方につきましては、引き続き、消費者委員会として議論を深めてまいりたいと思います。
消費者庁、国民生活センターにおかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

≪3.地方消費者行政の活性化に向けた対応策について≫

○松本委員長 続きまして、「地方消費者行政の活性化に向けた対応策について」です。消費者委員会では、本年の4月に、消費者委員会地方消費者行政専門調査会の報告を受けまして、「地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議」を消費者担当大臣宛てに提出しております。その中で、「消費者行政の司令塔たる消費者庁において、関係省庁の対応を取りまとめ、本報告書に記載された各種施策を実施するための詳細な工程表を作成し、本年7月までに報告することを求める」としております。
本日は消費者庁においでいただいておりますので、報告書に記載された各種施策を実施するための詳細な工程表について御報告をいただき、議論を行いたいと思います。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁林地方協力課長 それでは、お手元にお配りいたしております、資料4-14-2に従いまして御説明をさせていただきたいと思います。
まず、1点目でございますけれども、特に「地方消費者行政活性化基金」の効果について、検証すべしという建議をいただいております。この基金については昨年の見直しによりまして、24年度まで使用可能ということで利用期間の延長をさせていただきましたけれども、この夏から秋にかけまして、昨年の補正で措置をされた「住民生活に光をそそぐ交付金」も併せまして、その効果についての分析・検証を行ってまいりたいと思っております。
更に、消費者行政の充実に向けた体制整備の促進の取組みということで、さまざまなベストプラクティスの紹介もさせていただきたいと思っております。地方消費者行政専門調査会の中でも、特に自治体の消費者相談窓口を拡充し展開していく上での取組みとして、広域連携の取組みというのも一つの手法として議論をしていただきました。市町村を見ますと、規模別で、独自で相談窓口を設けていくことには一定の限界もある中で、それぞれの市町村がどういった取組みをしているのか。あるいは、単独で消費だけでは窓口が開けないといった状況がある中で、いわゆるよろず相談的な対応も含めて、どういう取組みが行われているのかといったことについて、事実関係を把握させていただいた上で、各地域の取組みを地方の御参考にしていただける形で御紹介をしたい。それと併せて、今後、それぞれについて消費者庁としてどういった取組みをしていくのかということについても、「地方消費者行政の充実・強化のための指針」、仮称でございますけれども、こういったものもこの冬から春にかけて作成させていただきたいと思っております。
PIO-NETについてでございます。これは、いろいろ御批判をいただいておりますタスクフォースでの取りまとめ(案)の中でも、PIO-NETの刷新、特に相談員の皆さんから見たときの使い勝手の改善という点での刷新を是非やらせていただきたい、というふうに記載させていただいております。この関係でも、相談員さん方の入力負担の軽減、あるいは検索を含めた情報分析機能の向上といった観点から抜本的な刷新に取り組んでいきたい。これについては既に国民生活センターとも議論を始めております。
もともとPIO-NETは、御存じのように2010年に刷新されております。通常のペースでいきますと、次期大幅な刷新は2015年を予定しておりましたけれども、できる限り前倒しをしてPIO-NETの刷新については取組みをさせていただきたい。その際、今回の「PIO-NET2010」についても、移行期の初期には、相談員の皆さん方から個別個別のシステムの使い勝手について、問題提起や苦情というのもいただきました。この中の一部分については、既定予算の中でマイナーチェンジの形で今のシステムに反映をさせていただいているものもあります。しかしながら、積み残しになっているものもあります。改めまして、自治体の方々、特にセンターで実際に相談業務に当たられて入力をしていただいている相談員の方々、こういった方たちにシステム刷新についての要望も含めた意見をよくお聞きして、この取組みについて進めていきたいと思っております。
消費生活相談員の処遇改善という意味で、相談員資格の法制化についても取りまとめ(案)の中で触れさせていただいております。消費生活相談員として、実際に消費生活センターで相談・あっせんに当たられている皆さんの担っている役割・任務、それに応じて求められる知識・能力について法令で明確に基準化をする。これを担保する資格試験を法制上も位置づけをしていくことが必要であろうと思っておりまして、これができれば、自治体での評価にもきちんとつなげていただけるように促していきたいと思っております。
この点につきましても、今の3つの資格制度、併存しておりますが、それぞれよってきたる由来ですとか、主たる目的といいますか、ターゲットが若干違います。ただ、今回の資格の法制化に当たりましては、今の消費者安全法の体系を考えますと、自治体の行政の現場の中で、相談・あっせんに当たられる上で必要な知識・能力を担保する資格制度が第一義的に求められると思いますので、自治体の職員の方々や相談員の皆さんとも意見交換を行いながら、また、現在の3資格の試験を行っていただいている方たちにも御意見を伺いながら、在り方についての検討を深めてまいりたいと思っております。これについては、次の国会を目指して法改正の内容として盛り込んでいきたいと思っております。
4点目でございます。都道府県の法執行強化に向けた取組みということで、特商法や景表法の執行体制の強化についての御指摘、特に一つの都道府県の行う処分についての広域的な効果の波及の問題、あるいは、景表法に係る都道府県の権限の強化といった御指摘をいただいておりました。
これについての対応ですけれども、そもそも特商法や景表法については、人材育成の観点から、執行初任者研修や専門研修を今も実施させていただいておりますし、今後も充実させていくということでございます。また、景表法に関しましては、執行関連情報の共有を図るためのネットワークの構築も、平成24年からの運用開始を目指して進めているところでございます。特商法につきましては、特商法や割販法の執行NETを通じた、執行や解釈事例の情報共有を進めていきたいと思っております。特商法については、都道府県によって処分実績にばらつきがあるといったことも現実の問題としてございます。これについては、実績の少ない県については経産局の職員が立入検査に立ち会うといったことを通じて、法執行ノウハウを伝えるということも行ってまいりたいと思っております。
次のマルは、処分の効果について御指摘をいただいたことについての対応でございます。特商法違反によって、一つの都道府県で処分された後、別の都道府県で営業を行って違反行為を繰り返す事業者については、国が責任をもって法に基づき厳正な対応を図ることで対応していきたいと思っております。景表法に関しましては、都道府県の執行権限の強化を検討するに当たりまして、各都道府県における課題についてもこの秋から聴取を進めてまいりたい。更に、公正取引委員会において景表法の業務拡大の方針が示されて、情報提供受付の積極化、事業者からの相談への対応等が実施されておりますので、引き続き、連携・協力を進めていくことにしたいと思っております。
5点目でございますけれども、消費者行政充実のための財源確保の取組みということでございます。1つ目のマルは基本的な考え方でございますけれども、今、利用可能期間は24年度まで、被災地については別途、この春から25年度まで延ばさせていただきましたが、いずれにしましても、「集中育成・強化期間」で活性化基金が終了いたします。その後の財源確保が重要な課題であると認識しております。その際に、専門調査会でもいろいろ御議論をいただきましたが、基本は、地域主権改革が進められている中で、自治体が、消費者行政も含め自らの裁量で活用可能な恒久的な財源をいかに確保していくかということが大事であると思っております。実は、まだ少し足踏み状態で、この一括交付金の議論というのは明確にはなってきておりませんけれども、経常的経費に係る「一括交付金」を消費者行政にも活用できるような政府への働きかけ、あるいは交付税措置の充実が重要だと思っております。
また、先ほど効果の検証について、光交付金も併せてというお話を申し上げました。実は先日、光交付金を主管しております地域活性化担当大臣の片山大臣が、この光交付金の執行・運用について実態から来た反省点を聞きたいということで、各担当部局の局長クラスが集められ反省会というのをやりました。この光交付金は、従来ソフト対策中心で、財政上、十分な措置がとられなかった分野に、補正ではありましたけれども、かなりの額の財政措置をしていただいた。更に、後年度でも活用可能なように基金化も認めていただいたという意味では、経常的経費に係る一括交付金の姿がなかなか見えてこない中では、過渡的な措置としては非常に大事な、意味のあったものだと思っております。
その際、私どもからは、光交付金は年末ぎりぎりになってフレームワークが決まりまして、地方自治体からしますと、余りにも計画の提出の期限が短過ぎて対応ができなかったという点と、もう一つは、昨年度でしたので、活性化基金との関係で言いますと2年目、いよいよ本格的な基金事業の実施が行われつつあった時期でしたので、基金との兼ね合いもありまして、できれば基金後にこういう制度があるとありがたいといったような声もございました。そういったことをお伝えしながら、当初予算でこの光交付金の後継となるような財政措置をやっていただきたい、ということも大臣に申し入れさせていただきました。いずれにしましても、過渡期的な対応としては財政措置についての働きかけも行ってまいりたいと思っております。
工程表については、今ほど御説明させていただいたようなスケジュール感を踏まえて表に落としたものが資料4-2でございます。必ずしも詳細なものにはなっていないかもしれませんけれども、現時点での消費者庁としての対応を整理させていただいたということでございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問をどうぞお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 2ページの相談員の問題で、上から2つ目のマルに「次期通常国会に消費者安全法の一部改正案を出す」と書かれています。消費者安全法のその改正のイメージを聞きたいのですが、今、相談員という言葉が出ているのは安全法の11条だけです。そこの定義的なものは、前の10条の消費生活センターの設置の要件の中に「専門的な知識及び経験を有する者」という書き方しかしていないのですが、これらを、どこか条文をいじって改正するというイメージですか。

○消費者庁林地方協力課長 すみません、まだ組織としてオーソライズされているわけではないので、私のイメージは、中村先生がおっしゃられた、知識・経験を有する者を置かなければならないという規定に、「ただし、以下の者を置く場合にはこの限りでない」というような規定を置いて、その中に列挙する資格の一つに今の相談員資格に相当するものを書かさせていただけないかと思っております。今の「知識・経験を有する者」というのは自治体の判断になっていて、外延だけ書いてあって、では誰なのかというのはお任せになってしまっています。それで下位法令の中をおりていくと、今の専門相談員やアドバイザー、コンサルタントはいいですということになっていて、これが一つの消費生活センターの要件になっています。基本はそういう規定の置き方をできればと思います。
もう一つは、これは今後の法制的な検討の過程でまた深めていかないといけないと思いますが、自治体の責務として相談・あっせん・情報提供というのは、センターを設置する、しないにかかわらずやらなければいけないことになっています。こことの関係でどうするのかというのも一つの論点かなと思っていまして、いずれにしても、法律レベルでこういう有資格者が要るということだけははっきりさせたいと思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 消費者委員会の中に地方消費者行政専門調査会をつくって、多くの学者の方々、その他、本当に1年間、きりきりと議論をしながらあの最終報告書を出して、それで建議をさせていただいたのですが、今日のこのお答えを見ると寂しい限りで、タスクフォースで忙しいというのはわかるけれども、もうちょっと何とかならないのかなと、正直言って思います。せっかくお三方お見えなので申し上げますけれども、一つは、前にこの委員会で松田次長がだめとおっしゃったのですが、PIO-NETの入力費用の関係で、これは国の事務的な要素もあるからというところで、東大の斎藤先生なども含めて、これは一定の予算措置を講ずることは必要であると。それもいわゆる制度的な予算措置も含めて必要だということは衆議一致いたしました。全体的にかなり激しい議論があったけれども、この分野だけは一致したんですよ。具体的な建議の中にそれを盛り込んでいるのですが、是非何らかの形で盛り込んでいただけないかというところを、もう一度、正面からではなくて横からでもいいですから、検討いただけないか。
それから、なかなか難しいというのはわかりますが、畑野課長の観点から言うと、一つの県で行政処分をした場合、それが国に自動的に効力が及ぶとか、何かの形で国にも影響が及ぶ、ほかの県にも何らかの形で効力を及ぼすような、「ちゃんとやります」だけではなく、その辺の制度的なことができないのか。
景表法の関係で言うと、消費者庁は地方に手足がないわけですから、公正取引委員会の地方局に制度的な協力を求める仕組みを工夫して強化したらどうですか、ということも建議であるわけです。その辺については何もお答えがないのですけれども、どうなっているのか。簡単で結構ですけれども、検討していただいていると思いますので、何とかならないでしょうか。

○松本委員長 では、順次、お願いできますか。

○消費者庁林地方協力課長 山口委員の御指摘の点については、専門調査会に私どもから当時出した課題という中に、事務の性格に応じて、費用負担の在り方は検討課題だというふうにお示しをさせていただきました。確かに専門調査会の中で非常に深みのある御議論をいただきました。実は私どもがそのとき期待をしていたのは、これは勝手な期待かもしれませんけれども、これが本当に自治体の事務なのか、自治事務なのかというところが、この点については非常にポイントだと私どもは思っていました。実は、そこのところに非常に期待をしていました。
しかし、残念ながら、結果的に専門調査会の結論も、事務の性格については自治事務であることを変えていないのです。このことについては、私は当時、専門調査会にも出席させていただいて御説明したかと思いますけれども、もともとPIO-NETは、それこそ今日御出席の委員の皆さんの方がよく御存じだと思いますが、端末も回線も地方のもので地方が負担する中で、それに対して国は補助金を出すという形で支援をしていました。
更にPIO-NETの入力事務について言いますと、当時は直接入力のシステムではなかったので、外注をして、その外注する経費に対して補助をするというやり方をしていました。残念ながら、三位一体改革のときに、地方から零細補助金なんて要らないと言われた。ただ、単になくしてしまったのでは地方との関係で事務を遂行することはできないということで、一たん、すべての端末、回線を国センのものにして、国センの運営費交付金を通じてすべて国費で賄うという形に切りかえました。この部分で言うと、かつての補助金よりも手厚くなっています。
一方、入力方式を外注から直接入力する方式にシステム変更をしました。そういう意味では外注費の補助がなくなった分、自ら入力する、相談員さんたちの人件費の中にとけているということなのです。相談員さんたちの人件費は、十分かどうかという議論はさておき、従前から交付税の中で単位費用で見られていて、20年度の交付税の見直しのときに、ワーキングプアではないかという指摘もあって倍額に引き上げました。そういうことで国と地方の分担関係を整理した上で、更に入力経費をまた別の理屈で負担をしようと思うと、この事務の性格が何か変わったということがないと、ここから先は極めて役人的で申し訳ないのですけれども、財務省との関係とか、財政的にすき間が見いだせないのが実態なのです。ある部分、法定受託とか国の事務とか、そういう位置づけでもできれば打開策があるのかなと思っていたんですけれども、そこのところは我々も整理がし切れなくて今に至っているというのが実態です。もう少し加えますと、PIO-NETの端末の利用料と回線使用料を全額国費で持っていることも見合いで整理がされているので、全体との関係で言うと、こっちを負担するならこっちも地方に負担させろという議論も招きかねないので、ここは、やるなら相当慎重にやらないと難しい議論になるなと思っています。済みません、説明が長くなりまして。

○下谷内委員 PIO-NETに関連して質問です。

○松本委員長 それでは、下谷内委員から。

○下谷内委員 今、おっしゃられたことは誠にそうだろうと思うんですね。ただ、PIO-NETを設置されましたときは、相談員が相談情報に生かすためにということで設置されたものであって、他の省庁とか国がそれをどう共有するかということについては考えられていなかったわけです。それが19年の活用の仕方のところにおいて、特に経済産業省さんが見たいと言われても、私は嫌だといってすごい議論があったんですけれども、そういう経緯を経て、現在、地方の経済産業局、それから公取の地方事務所に配備されています。集団的消費者被害救済制度においても、適格団体がもし原告適格を得られるというのであれば、そちらの方にもPIO-NETを配備するというようなことが書かれておりまして、私はそこも強く反対しております。
そういうようにして国ではPIO-NETをあちこちに配備するわけですね。それを実際に入力し、相談を受けているのは相談員だし、御相談するのは御相談者の方です。そこのところの視点が全く欠けて、ただ機械の中の情報を得るために、それだったら事務的には違うではないかと言われても、相談員としては理解し難いのです。今、どんな状況でここまでPIO-NETの配備をされているか、それは何のためにされたのかということをもう一度考えていただきまして、そこの部分は、音声入力なんてすることはないと思うのです。ああでもないこうでもないと言っているのに、できるわけないし、直接相談でブラインドタッチはできるわけはないのです。慎重に、相談を受けて考えながら打っていくのが相談の姿勢の在り方だと思います。
時間のコストからいって、土日相談は、時間の制限がありますけれども、15分か20分ぐらいで相談を受けて、その倍の時間で入力をされている。でも、20分以上とか30分になると、キャップの方が、長いからすぐ電話を取れというふうに指示が入ってくるんですけれども、一つの相談を受けて、最低限倍以上の時間をかけて入力する。それが百できているとは思えないし、そこに助言もしているわけです。特に土日の場合は簡単な助言になっていると思いますけれども、それだけの時間と労力をかけて、また御相談者もいらっしゃるわけです。そこのところが全く欠けていて、何か情報と機械だけのことで議論されていて、なかなかそこの負担のことについてお考えいただけないのは非常に残念だなと思います。確かに地方自治事務だということではありますが、それと今の置かれているPIO-NETの状況を考えていただきますと、そこは十分に消費者庁さん、頑張っていただけるのではないかなと思っておりますので、是非よろしくお願いします。

○松本委員長 強い要望でございますので、引き続き、御検討ください。
畑野課長、どうぞ。

○消費者庁畑野取引対策課長 2ページの法執行の中で、「一つの都道府県で処分された後、別の都道府県で営業を行い」というところでございます。これは、国、消費者庁と経済産業局の役割、都道府県の役割ということを改めて考えたというところで、こういった広域的に及ぶ事案については、私ども消費者庁、各経済産業局の方で対応を図るのが恐らくベストなやり方ではないかと。出口は悪質業者を取り締まるということでございますから、その出口との関係で言えば、2ページ目に書かせていただいたことがベストな解ではないかなというふうに思っております。
幾つかコメントさせていただきます。このような問題提起をいただいたこと、誠にありがたいと思っております。一方で、都道府県は、特定商取引法にどういう立場で事務に参画していただくかということ。これは自治事務でございますから、やはり自治事務という性格と地方消費者行政専門調査会でいただいたこととの整合性は、超えなければいけないかなり大きなハードルがあるのではないかという点がまず一点。
それから、平成20年度と平成21年度の2か年にわたりまして、都道府県の方で処分を行った事業者、これは、複数の都道府県が共同で処分したケースも勿論あります。事業者のベースで言うと約120事業者、都道府県の方で平成20年度、21年度、処分をしております。この処分を受けた事業者が、ほかの県でもその後(処分を受けた後)、同様の違法行為を繰り返しているか。それの代理変数ということでPIO-NETの相談件数がどうなのか、これは容易に調べることができます。やはり幾つかの事業者は、ほかの県でも同様の違法行為とおぼしき行為を行っていたという証は見られます。
一方で、平成22年度、国と経済産業局の方で約50件処分をしております。個別の執行にかかわる話でございますので、これ以上の詳細は申し上げることはできませんけれども、この120事業者の中でまだ問題のある行動を繰り返している事業者、数的には、昨年度50件処分をした私どもの課の実力からすれば、十分追いかけることができる程度のものと私は考えております。そこは国の方で責任を持って処理をさせていただくということで、御信頼いただければというふうにお願いしたいと思っております。
3点目でございますけれども、地方消費者行政専門調査会の議論、私もつぶさに拝見させていただきました。また、パブリックコメントなどにもすべて目を通させていただきました。ここについて申し上げると、国が責任をもって処分をしてほしいという意見、これは、途中で委員を辞任されました明治学院大学准教授の圓山先生も強くおっしゃっておられましたけれども、国で責任を持ってやるという基本に立ち返ってほしいといった意見と、専門調査会のレポートのように、都道府県の処分の効果をそのまま適用すべきだという意見、かなり拮抗していたのではないかなと思います。要するにこの問題の解決の方法は恐らくさまざまなものなのではないかという中で、消費者庁として、違法業者を取り締まるという出口との関係で申し上げれば、やはりこういった事案は経産局も含めて国が責任を持ってやるというのがベストな解であり、方法ではないかというふうに考えているところでございます。
以上でございます。

○松本委員長 それでは、片桐課長、お願いいたします。

○消費者庁片桐表示対策課長 2ページの、公正取引委員会における景品表示法の業務の拡大について、法制度的に担保といったことは考えられないかという御指摘でございました。これにつきましては、建議をいただいているお考え、地方も含めた全体としての景品表示法の法執行の強化が必要であるというふうに理解をしております。特にこの点について言えば、公正取引委員会と消費者庁との関係で、公正取引委員会が地方で、調査だけですが、委任を受けてやっているという現状があります。その点について、地方における景品表示法の執行が弱いのではないかという御懸念があるということだと思います。
これにつきましては全体的な法執行の強化ということで、ここに書いておりますように、具体的には情報提供の受付の積極化ですとか、相談対応ということで、地方でより積極的に行っていくという運用改善を図ることによって、全体としての法執行の強化、地方における景品表示法の法執行の強化が図られるということでございます。法制度的には確かに調査は地方で行う。最終的な調査結果を踏まえて法適用を行うという判断については、消費者庁で一元的に行うということでございますけれども、運用面で改善を図ることによって、全体的な法執行の強化という目的は十分前進できる。それに加えて、中央といいますか、消費者庁と、地方で実際に調査に携わっていただいている公取の地方事務所と連携・協力を図っていく。最終的な法適用も含めた、景品表示法の執行の強化を全体として図ることによって、消費者庁が発足して以来御指摘いただいていたさまざまな御懸念に対して、お応えしていくことができるのではないかというふうに公取の方で判断をしたものということでございます。

○松本委員長 日和佐委員、どうそ。

○日和佐委員 2点ほど申し上げたいと思います。
一つは、地方消費者行政強化のための財源についてです。活性化基金については、これからその効果について調査が始まることのようですけれども、ここにありますように、自らの裁量でということですが、地方消費者行政は非常に格差が大きいんですね。地方消費者行政担当者が、いかに消費者行政が重要であるかという意識を、持っているかいないかということで大きく左右されるわけで、持っているところは十分な消費者行政が、十分とは言えなくても、展開される可能性がありますけれども、その意識がなければ全くそれはだめだということになるわけで、今の段階ではまだまだ格差が存在するということです。消費者行政に使える一定の財源の確保というのは、今、まだ必要な段階だということだと思いますので、その辺りは是非配慮していただきたい。検討していただきたいと思います。
もう一つは、地方消費者行政の広域連携です。それについては何も触れられていないのですけれども、どのように考えていらっしゃるか。例えば、試験的にこの地域についてやってみるというようなお考えはないのかどうか、伺いたいです。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁林地方協力課長 まず、前段の財源の確保の問題。財源の確保の問題が大事だということはこれは私ども共通の認識です。あとはアプローチの問題だと思います。それと、なかなか申し上げにくいですけれども、地域主権改革というのはもっとスピードがついて動くのではないかと思って我々も期待しておりましたが、現実を見るとなかなか進んでいないのも事実なので、今のままでいくと、少し過渡期的な取組みはやはり必要なのではないかなと思っております。ですから、今回、あえて光交付金の後継のようなものということを書かせていただいています。今の政府が震災対策で追われていますので、そもそも財源的にどう捻出できるのか、できないのかということはありますが、いずれにしても、機会をとらえてそういう必要性というのは働きかけをしていきたいと思います。
2点目の広域連携の取組みです。これについては、私どもは、さまざまな取組みがあることはこれまでも把握をするように努めてきましたし、今後もそれは努力をしていきたいと思います。ただ、自治体の意思や思いを超えて、私どもで、「ここで広域連携でやってみないか」と言うのは若干行き過ぎかなと思っています。勿論、こういう手法がありますとメニューを並べることはできると思いますけれども、現実には、都道府県を通じて各市町村の動きを見ますと、同じ県内でも同一のやり方ではなかなかうまくいかなかったりして、皆さん非常に苦労されながら市町村に働きかけを行っているというのが事実です。さまざまなバリエーション、さまざまな背景を持った取組みというのは、できるだけ収集して御紹介するようにしたいと思いますけれども、国が先導して試験的な取組みというのはやりづらい部分もあるなと思っております。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 地方消費者行政を活性化させないと消費者行政は活性化しないということで、消費者庁ができる前から地方の消費者行政の重要性はうたわれてきました。消費者委員会でも9人のうち5人が担当として、地方消費者行政を何とかしたいと調査会にかかわってきました。消費者庁は地方協力課までつくって、室を課まで上げたわけですね。それなのに、報告書が出て今日までの間にこの工程表しかできなかったのかというのは、私は非常に残念でしょうがないんです。ちゃんと建議の5番に書いてあります。詳細な工程表を作成し7月までに見せてほしいと。これは、申し訳ないけれども、「昨日つくったの?」みたいなものです。本当に力を入れて、細かな工程表を再度おつくりいただきたいというふうにお願いします。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 お三方から説明をいただきましたけれども、全く納得できないです。先ほど下谷内委員も言ったように、PIO-NETの入力の性格は変わっているはずですし、特商法に基づき地方が執行して国が執行するまでのタイムラグの間の被害はどうするのかとか、いろいろな問題があります。また別の機会にと思います。

○松本委員長 山口委員から大変手厳しい御意見が出ておりますし、佐野委員からは、こんな漠然としたのではだめだという御意見も出ております。引き続き消費者庁におかれまして、専門調査会の報告書、消費者委員会の建議に従ってもう少し施策を具体化して、着実に進めていっていただきたいと思います。消費者委員会といたしまして、我々の任期はあと1か月を切りましたが、次期の消費者委員会がこの取組み状況についてのフォローアップを当然やると思いますので、それに向けて、消費者庁としても着実に取り組んでいっていただきたいと思います。
本日は、消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。
予定の時間を過ぎておりますが、昨日の公開シンポジウムは2時間半のところを4時間やりました。したがいまして、1時間と言わずに30分程度は延長させてもらっても罰は当たらないと思いますので、御容赦願います。

≪4.東日本大震災に関連する対応について≫

○松本委員長 続きまして、「東日本大震災に関連する対応について」です。東日本大震災に関連する対応につきましては、第55回の消費者委員会において、相談状況や対応について消費者庁及び国民生活センターから御報告をいただいているところです。本日は消費者庁においでいただいておりますので、引き続き、震災110番等の相談状況や、専門家派遣の進捗に加えまして、放射性物質と食品の安全について、消費者庁のとりわけ情報提供面での取組み等について御報告をいただきたいと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

○消費者庁林地方協力課長 それでは、私の方から、資料5-1以降について御説明をさせていただきたいと思います。
まず、専門家派遣でございます。震災発生後、まずは震災110番を始めましたけれども、その後、被災地の状況が若干落ち着く中でむしろ問題が顕在化してきました。特に今回、津波による被害が非常に甚大だったものですから、契約書面含めてすべてのものが流されて、ないという中で、法律や税務、行政的な手続についての専門的な知識を持った方の支援が必要だということもいただきましたので、1枚目はスキームをお示しさせていただきした。国民生活センターにかつて補正で措置をされました運営費交付金、これを財源として使いながら、地方のニーズのくみ上げ、各士業の団体との調整や連携については、消費者庁が現場も含めて担いながら、実際に地域に各種の専門家を派遣させていただいて、特に生活再建に伴って必要になる総合的な相談に対応できる体制支援をやらせていただいております。
基本的には、消費者庁から全国団体にまず協力要請をさせていただいた上で、各地の地域団体にも直接伺って、御協力いただけるかどうかということも確認しながら、全国団体から更に地域団体に協力要請をしていただいている。自治体で受け皿を用意していただいて、当初は消費生活相談窓口に派遣をするというのが多くございましたけれども、徐々に総合相談窓口に展開するところが増えてまいりまして、今は、消費の問題だけにかかわらない、そういう総合窓口のところに行っていただいている例が多くなっております。
資料5-2に、派遣状況の数字的なものを示させていただきました。実は今、7月末の数字を取りまとめ中でして、ちょっと古い数字で恐縮ですけれども、7月19日現在の派遣の専門家数、人日の延べと、実際に受けていただいた相談の内容が主にどういうものがあったのかという内訳をお示ししております。なお、相談内容の内訳については、派遣の頻度が地域によって異なります。毎日というところもあれば、1週間に1回というところもあるので、報告をしていただくのも無理のない範囲ということでお願いをしておりますので、この時点ではすべてを回収し切れておりません。全体の3割程度にとどまっております。ですから、派遣の専門家数が人日で言うと265人日に対して、相談対応の状況が全数で197となっているのはその理由でございます。今は岩手、宮城、福島、茨城の4県の10自治体に派遣させていただいております。
資料5-3をごらんいただきたいと思います。これは、各県どこに送っているかというものであります。岩手県が最もわかりやすいと思いますけれども、当初は宮古と大船渡のいわゆるサブセンターに弁護士を派遣しておりました。その後、それぞれ沿岸の広域振興局に総合相談窓口をつくるということで、宮古と大船渡に加えて久慈と釜石を含めて、弁護士、司法書士、建築士、土地家屋調査士、税理士といった関連の士業の方に、毎週1回程度、継続的に出向いて相談に応じていただくという体制に変わってきております。
宮城県は、地元の弁護士会の皆さんが非常に熱心に当初から活動されていて、阪神・淡路などの経験も生かしながら、関連する士の皆さんの連絡組織もあって、当初はここが広域的な展開が最も早いかなと思っておりましたけれども、今は県の消センと女川町の災害相談窓口に弁護士を派遣しているという状況です。ここはいろいろと働きかけをいたしましたけれども、民間中心といいますか、ボランティアな形の活動が中心になって行われているのではないかと思っておりまして、今後も御利用いただけるようであれば、また制度の紹介なども含めてやっていきたいと思っています。
福島は、県は県の消費生活センターに弁護士を派遣しておりますが、そのほか、県内の市町村、特に市を中心に総合相談窓口をつくる動きが徐々に出てきておりまして、こういったところに関連の士業の方に行っていただいております。特に福島は従来からいろいろ御指摘されておりますように、浜通り、中通り、会津という3地域で非常に地域性が強いものですから、各士業の団体も県の単位団体だけではなかなか調整がうまくいかなくて、それぞれの地域のブロックごとの団体に直接協力を働きかけをして、こういった体制整備を行ってきております。
以上が専門家派遣の関係でございます。

○消費者庁黒田消費者政策課長資料5-4に移りたいと思います。「震災110番」等の相談の状況です。震災110番は3月27日に国センに創設され、消費生活センター自体が被害を受けて相談を実施できない地域もあるということで、それをバックアップするために開設されております。悪質商法に限らず、震災に関連した消費者トラブルへの相談対応を実施してきておりまして、当初、対象は岩手、宮城、福島、4月からは茨城も含めて受け付けたということでございます。
5-4の1枚目を見ていただきますと、相談件数は開設当初が一番多く、1日当たり19件ほど寄せられていましたけれども、6月末ぐらいになると、1日当たり5件ぐらいまで減少してきたということでございます。その内容も、後の説明とも重複しますが、工事・建築、修理サービスといった、現場により近い窓口や対面での対応が必要となる案件が多くなってきたことも踏まえまして、7月29日に終了いたしまして、全体で919件受け付けたということでございます。ただし、消費者ホットラインを通じまして、土日相談、平日バックアップ相談などを通じて、引き続き、状況をウォッチしていくことにしております。
相談の全体の傾向でございますが、資料5-5と併せてグラフを見ていただければと思います。特に5-5はPIO-NETも含めた全体の傾向でございまして、3月11日から7月29日までのPIO-NETの状況と直近の受付の50件です。簡単に申しますと、震災発生当初は、ガソリン不足とか、水が足りないとか、生活関連物資に関する相談が多かったということですけれども、一定期間が経過した後につきましては、賃貸アパートの契約とか、住宅などの修繕、生活資金が不足していわゆる二重ローンの話、中には、住宅修繕の高額請求など悪質商法と思われる相談も寄せられたという内容で推移しております。これらの相談をもとに、資料には特にないのですが、例えば3月半ば、まず最初の方では、義捐金に対する義捐金詐欺について注意喚起をしたり、住宅修理工事に便乗した悪質商法について注意喚起をしたり、温泉付き有料老人ホームの利用権をめぐる勧誘などもあったものですから、これについては、消費者安全法15条に基づいて社名も公表して、注意喚起を実施したということでございます。
以上、資料5-4、5-5についての説明は終わりでございます。
次に、放射性物質と食品の安全について、資料5-6で説明をしたいのですが、1ページ目の裏にあります、「食の安全に関する情報」ということで、消費者庁としては、消費者の方々に、今、起こっていることについての全体像をわかりやすく伝えていこうと。ネットを検索すれば、各省庁、いろいろな団体、いろいろな情報があふれておりますけれども、できる限りコンパクトに全体像がわかるように情報提供をしていくという基本的な考え方で、ホームページを通じて情報を提供しているところでございます。
特に話題になっております牛肉の件につきましては、出荷制限が実施されていることに加えまして、ちょっと飛びますが、資料5-9-15-9-2とあります。現在、放射性物質に汚染された稲わらを食べた牛が流通しているというのが問題になっております。毎日毎日、どの牛が出たというたびに個体識別番号が公表されていますけれども、今、厚生労働省でそれを名寄せして番号順に並べて、一覧でわかりやすくしています。家畜改良センターでも、例えばネットや携帯に個体識別番号を入力すればすぐわかるシステムがありますけれども、そういうことに加えて全体の一覧もできる表もつくっています。上に色づけとありますが、うまくカラーコピーが出なくて表現できていないのですけれども、消費者庁では更に、単に番号を公表するだけではなく、実際にこれは稲わらを食べましたという情報です。更に、食べた牛の肉を検査したら暫定規制値を超えた、もしくは暫定規制値を超えていなかったという情報を色づけしております。よろしければ、別途色のついたものをお配りしたいと思いますけれども、例えば5-9-1で見ていただきますと、左のナンバーのところをずっと下がっていただいて、1-7・2011年5月9日という日付のところで、12526-29391とありますが、その次からまた数字が戻っています。ここまでが、例えば14頭を発見してクロだった、つまり、暫定規制値を超えた放射性物質がお肉から出たということがわかるようになっております。例えば家庭で、パックに入っていればすぐわかるような形で公表しておりますし、流通業者もいろいろなところに順次、毎日公表されるけれども、パッと見て自分が持っているのはどれかすぐわかるようにというニーズもあったと伺っておりまして、そういうことで厚生労働省の作業に消費者庁が更に付加して公表している数字でございます。
またホームページに戻っていただきますと、牛の情報以外にも、その他の食品についてまだ出荷制限がかかっているものもございますので、それについて最新情報等をすぐリンクできるようにしております。
お手元の資料5-7、「食品と放射能Q&A」をお配りしております。これは、消費者団体の方々にも御意見を伺いながら、いろいろな情報をわかりやすくコンパクトにまとめるということで、暫定規制値の意味とか、そもそも放射線、放射能、放射性物質の違いとか、体にどういう影響があるのかといったことについて、わかりやすく解説した資料を作成しております。これも必要に応じて順次改訂してきております。
(4)に「消費者担当大臣のメッセージ」ということで、原子力発電所の事故に伴う食品の出荷制限ということは有史以来なかったということでございまして、そういった状況に対応して、わかりやすく、その意味について当時の蓮舫消費者担当大臣名によるメッセージを発して、国民に対して対応を呼びかけたということでございます。
放射線のリスクというのは、必ずしも皆さん知識としてお持ちでない方もいらっしゃいますし、漠然と不安がある方もまだまだいらっしゃると思います。資料5-8でございますけれども、リスクコミュニケーションを推進するということで、放射性物質の健康への影響をテーマとして、意見交換会を横浜と大宮で開催することとしております。それぞれ定員になり次第締切りということですけれども、私が先ほど確認したところ、それぞれ100名程度の応募ということで、特に横浜の方についてはまだまだ余裕がございます。是非、御応募いただいて御参加いただければというふうに思います。
最後に資料5-10ということで、地方自治体の中では、野菜、牛肉などの食品から暫定規制値を上回る放射性物質が検出された事態を受けて、それぞれ独自にさまざまな取組みをされる動きもございます。独自の検査を行うといった動きもございますので、そういったことに対応して、地方消費者行政活性化基金につきましても、例えば検査機器の整備、検査の委託、検査を行う専門家の活用といったことについて基金を御利用いただけるという通知を、つい先週、金曜日にしたところでございます。
以上、簡単ではございますが、消費者庁の取組みについて御紹介させていただきました。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問がございましたら、お出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 5-7のパンフレットですが、消費者問題というよりも、放射性物質の問題に取り組んでいる方々から非常に評判がよくないんですね。これは消費者庁がつくったものなのに、何で安全だ、安全だ、心配する必要はありませんと、全体がそういう口調で書いてあるわけです。この道の素人が見ても、例えば16ページ、17ページ辺りでコーデックスの指標があって、コーデックスの指標に比べると日本の指標は甘々なわけです。「こんなので大丈夫なのか」と、ちょっと敏感な方だったら思うわけです。何の説明もなく、ただ大丈夫ですと。コーデックスは数字が違いますと書いてあるだけで、なぜ大丈夫なのかがさっぱりわからない。
あるいは18ページの、暫定規制値を超える食品を食べても大丈夫なのか、健康に被害はありませんと書いてあるだけで、どう注意すればいいのかとか、今、どんどん問題になっているようなことについて何の消費者目線の指摘もない。例えば36ページに、肉や卵に放射性ヨウ素云々の規制値はないのか。何かわからないけれども、「定められています」と書いてある。大丈夫なのかどうなのか、何のコメントもない。この一冊で片づけようとするからこうなってしまうのかもしれませんが、特に幼児や子どもさんを抱えた主婦向けに、もう少しわかりやすく工夫をして説明するとかできないのでしょうか。さすが消費者庁、消費者のことを考えているなと。あるいは消費者の方も、いたずらに不安になるのもよくないけれども、かといって何もわからないまま危険なところで遊んでいる、それを放っておくというのも消費者庁としてはあるまじきことだと思うので、その辺はもう少し工夫ができないのかなと思います。

○消費者庁黒田消費者政策課長 「食品と放射能Q&A」をつくるに当たりましては、いろいろな機関が出されているQ&Aを参考にいたしました。実際調べるとこのぐらいの厚さになりまして、かなりいろいろな情報があふれている中で、一体どれを見ればいいんだろうかという声もあったことを踏まえまして、まずは入門編としてコンパクトにまとめてみたということでございます。更に詳しく専門的にお知りになりたい方には、一番後ろの方に、どこを見ればいいかということも載せさせていただいております。
表現の仕方については、いろいろ御意見も伺っておりますので、今後、順次改訂していくときに参考にさせていただきたいと思っておりますが、山口委員がおっしゃるほど、そこにもかしこにも安全、安全という表現があるのかなというふうに思います。そういう問題意識ではなく、私どもの問題意識としては、つい最近、食品安全委員会から暫定規制値についての考え方、今、パブリックコメントにかかっておりますけれども、科学的な知見をもってしても、この分野は実はわからないことがまだまだ多いということでございます。いずれにせよ、言い切って書くこと自体が科学的にも言いづらい分野だということでございます。そういったこと自体が、むしろ消費者にどんどん伝わるようにしていければと思います。全く怖がるなということは無理だと思いますし、かといって先ほど委員もおっしゃったように、いたずらに怖がらせるというのもいかがなものかと思いますので、正しく注意して怖がっていただくということが基本的な考え方ではないかと思います。そういった考え方に基づいて、できる限り私どもの趣旨が伝わるような表現は今後も引き続き追求していきたいと思います。

○松本委員長 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。
震災復興の方は少しずつ動き出していると思いますが、放射能の方はまだまだ新しい事態が発生する可能性もあると思います。消費者庁におかれましては、引き続き、そういう相談支援、情報提供に向けて積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。
本日は、消費者庁におかれましては、消費者委員会の審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございますが、7月27日に、委員会の下部組織である「食品表示部会」の第12回会合が開催されております。本日は、食品表示部会設置・運営規程第8条第2項の規定に基づき、その審議結果の報告をいただきたいと思います。
それでは、田島部会長からよろしくお願いいたします。

○田島委員 食品表示部会部会長の田島でございます。
7月27日に開催いたしました食品表示部会の議決について、食品表示部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、8月5日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。
遺伝子組換え農産物に関しましては、これまで、食品衛生法に基づき厚生労働省で安全性審査の手続が終了したものについて、順次、表示対象品目としてその対象品目を拡充していたところではございますが、パパイヤ、パパイヤを主な原材料とするものについて、食品衛生法施行規則及びJAS法に基づく品質表示基準の改正により、遺伝子組換え表示の義務の対象として拡充することを検討を行ったところです。
パパイヤ加工品といたしましては、例えば缶詰、漬物、乾燥パパイヤ、パパイヤジャム、ジュースなどが想定されております。なお、パパイヤ茶にはパパイヤ果実及びパパイヤの葉で製造されたものがございます。また、容器・包装に入っていない青果物のパパイヤについては、生鮮食品品質表示基準に基づき青果物自体に表示を行う、あるいは、青果物から見やすい場所にPOP等という形で表示を行うことが義務づけられておりますが、ハワイ産遺伝子組換えパパイヤに関しましては、青果物で市場に流通する初めてのケースでございますので、ハワイ現地で、日本語による遺伝子組換えである旨がわかるシールを添付することを行う旨の回答をいただいているところでございます。
本日は、同条第2項の規定に基づき、決定事項を委員会に御報告するものでございます。資料6の答申書をごらんいただきたいと思います。今回の部会では、平成22年3月18日付け消食表第79号をもって諮問のあったことのうち、食品衛生法施行規則並びに遺伝子組換えに関する表示に係る加工食品品質表示基準第7条第1項及び生鮮食品品質表示基準第7条第1項の規定に基づく農林水産大臣の定める基準の改正について、審議の結果、資料6の別添資料1のとおり、それぞれ改正することが適当であるとされました。
私からの報告は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、最後に事務局より、今後の予定等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 どうも長時間、ありがとうございました。お疲れさまでした。
次回の委員会は来週、8月12日(金曜日)の15時から行う予定にしております。
議題につきましては、決まり次第お知らせしたいと思います。
以上です。

○松本委員長 本日は予定を約35分超過してしまいまして、誠に申し訳ございませんでした。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)