第46回 消費者委員会 議事録

日時

2011年2月4日(金)15:01~17:03

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
 消費者庁 金児消費者情報課首席情報分析官
坂田消費者安全課長
黒田政策調整課長
林地方協力課長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.こんにゃく入りゼリー事故について
○説明者:消費者庁 金児消費者情報課首席情報分析官
3.リコール制度の在り方について
○説明者:消費者庁 坂田消費者安全課長
黒田政策調整課長
4.国民生活センターの在り方の見直しについて
○説明者:消費者庁 林地方協力課長
5.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:79KB)
【資料1】こんにゃく入りゼリー等の物性・形状等改善に関する研究会報告及び消費者庁の対応(消費者庁提出資料)
【資料2】リコールに係る情報提供の進捗状況(消費者庁提出資料)
【資料3】国民生活センターの在り方見直しに係るヒアリング項目について(PDF形式:98KB)
【資料4】国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォースについて(消費者庁提出資料)
【参考資料1】 消費者の安全・安心の確保に向けた総合的な取組の推進について(意見)(平成21年7月30日 国民生活審議会)(抜粋)(PDF形式:340KB)
【参考資料2】 委員間打合せ概要(PDF形式:43KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第46回)」の会合を開催いたします。
では、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思います。

≪2.こんにゃく入りゼリー事故について≫

○松本委員長 始めは、「こんにゃく入りゼリー事故について」です。こんにゃく入りゼリー事故につきましては、これまで消費者委員会において議論を重ねており、昨年7月に「こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び商品の形状・物性面での安全性についての法整備に関する提言」をとりまとめたところですが、昨年12月、消費者庁におきまして、「こんにゃく入りゼリー等の物性・形状等改善に関する研究会」の報告書をとりまとめたということですので、本日はこれについて御報告をいただきたいと思います。
それでは、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 それでは、お手元に配付しております資料1-1「こんにゃく入りゼリー等の物性・形状等改善に関する研究会報告及び消費者庁の対応」と資料1-2、これが報告書の本体になりますけれども、この2つの資料を使いまして御説明させていただきます。
まず、資料1-1の1枚紙をご覧いただきたいと思います。左上の「検討経過」ですけれども、昨年7月までに行われた「食品SOS対応プロジェクト」において、「多くのこんにゃく入りゼリーのような食品については、製品の物性、形状に踏み込んだ改善を講ずることが望ましい」という結論が得られました。
これを踏まえまして、こんにゃく入りゼリーやそれに類する食品等の物性・形状等の改善につながる「参照指標」作成等について調査研究を本研究会で行い、報告書を昨年12月22日に公表させていただきました。
この研究会のメンバーでございますけれども、資料1-2の最後のページに名簿が出ております。医学、口腔衛生学、食品物性、安全工学の分野の専門家の方々に調査研究いただきました。
資料1-1に戻っていただきまして、「2.検討内容」でございますけれども、(1)といたしまして、重篤な窒息事故につながり得る食品側のリスク要因の詳細分析を行いました。まず、閉塞実験というものを行ったのですけれども、このペーパーの左下の方に小児用喉頭モデルの写真が出ています。これを使いまして、さまざまな力学特性を有するゲルのサンプルをつくって、閉塞が起こりやすいか否かを測定する試験を行いました。
具体的には、資料1-2の後ろから5枚目の別紙1をご覧いただければと思います。力学特性改善効果を見るために、サンプルの変形・破断等の挙動が喉頭の閉塞状況に影響し、力学特性により気管内圧が変化したことがこの試験からわかりました。また、喉頭閉塞の程度は、食品の破断応力及び破断ひずみ、この2つが大きいほど気管内圧が高くなり、喉頭閉塞を起こす傾向が観察されました。破断応力といいますのは下のグラフの縦軸ですが、硬さです。破断ひずみはグラフの横軸ですけれども、こちらは弾力性を測るものです。
このグラフの中の赤いところが200mmHg以上、そういったもののサンプルでございまして、右の上の方に分布していることがわかると思います。
測定結果の解釈です。資料1-1に戻っていただきまして、(1)の下のポツに書いてございますけれども、破断応力、破断ひずみが大きい場合は、そのままのサイズで下咽頭に入ると喉頭閉塞を起こす可能性があり、吸い込むことが想定される一口サイズでは、窒息事故リスクが高くなる。破断応力、破断ひずみが小さくなると、豆腐のような力学特性を有する場合も想定されますけれども、上記の力学特性との中間に位置する場合は、窒息事故リスクが高くなる場合も想定されるというふうに解釈しております。
その右下の絵を見ていただきますと、右上の赤いところは窒息事故リスクが高くなる、左下はリスクが低くなる、こういったことをイメージとしてここに示しております。
次に、検討内容の(2)でございますけれども、こんにゃく入りゼリー等の力学特性の測定方法についても検討いたしました。これは、資料1-2の別紙2、3つ目のマルを見ていただきますと、関連事業者等が窒息事故リスク低減に取り組む際に有用となる、再現性や汎用性が高く、統一的に実施可能な力学特性の測定方法を検討いたしました。この測定法はそこに書いてあるとおりでございます。こういったものを使いまして、関連事業者が測定することも可能になるようにということで検討いたしました。この測定結果を、今回の閉塞実験にも活用いたしました。
1枚めくっていただきまして、別紙3でございますけれども、こんにゃく入りゼリーに関する販売実態調査も行いました。ミニカップ型こんにゃく入りゼリーについて、全国1,000店舗を対象に販売実態調査を行いました。その結果ですけれども、左側のチャートにありますように、主な販売場所といたしましては、約半分が菓子売場で販売されている。右側のグラフですけれども、焼菓子やゼリー類と一緒に販売されていることが多く、菓子以外が販売されているのは12%にとどまることがわかります。また、右下の店側による警告表示の有無のところですけれども、約7割の店舗では店頭での警告表示が未実施ということもわかりました。
次のページ、別紙4でございますけれども、食品による窒息事故等に関する消費者意識調査を行いました。上の左のチャートですけれども、「最も危険だと感じている子どもの事故はどれか」という質問に対しまして、交通事故と答える方が一番多く、食品による窒息事故と答えた方は9%しかおりませんでした。
こんにゃく入りゼリーに表示されている注意喚起につきまして、それを認識しているという状況はわかりましたけれども、その右側のチャートを見ますと、自ら摂食する場合は、約4割が子どもにも食べさせているという状況でございます。
以上が検討の内容でございます。
もう一度、資料1-1に戻っていただきまして、3のところ、「窒息事故リスク低減の考え方の整理」ということで、これを参照指標としてまとめてございます。
まず、力学特性でございます。2の(1)で指摘したとおり、破断応力、破断ひずみとも大きい場合は、子どもが吸引する可能性がある一口サイズの容器で販売する場合には、弾力性が小さく、破断されやすいものへの改善、あるいは咀嚼が必要となるような、容器を吸引できない大きさや構造等へ改善することが望まれるとしております。破断応力、破断ひずみが小さくなれば、一口サイズで販売するに際しては、個包装の警告表示や注意喚起の徹底を図るとともに、必要に応じ砕けやすさにも配慮した力学特性の改善を検討することが重要としております。
また、右側の大きさのところでございます。破断応力、破断ひずみの大きい力学特性を有する食品は、子どもが必ず咀嚼を必要とするような窒息事故リスクを低減するための配慮が不可欠である。具体的には、そこに3つ書いてございますけれども、子どもの気を引く型やイラスト等を避け、形状を大きくし、口で吸引できなくする、または、そのまま飲み込めないようにする。あるいは気管の大きさ(内径約1cm)よりも小さくすることなどが考えられるとしております。
次に(2)でございますけれども、販売方法の改善ということで、消費者への注意喚起や販売方法の改善等に係る取組みについても改善の余地が認められたとしております。
次に(3)でございますけれども、関連事業者による自主改善・関係機関等による連携協力として、事業者や事業者団体において、上記の具体的な指摘を踏まえた、実質的、実際的な改善が図られることを期待。それに併せて力学特性の測定等を支援する体制構築の検討着手を望みたいとしております。
以上が研究会報告の概要でございますけれども、4として、これを踏まえた消費者庁の対応を書いてございます。本報告書で示された窒息事故リスク低減に向けての考え方に基づいて、以下の対応を実施します。1つ目は、製造・輸入事業者等に対して、より安全性の高い食品が製造されるように改善要請をする。製造・輸入事業者、販売・流通事業者等に対して、販売や表示の改善について要請する。この2つは昨年末に既に要請を行いました。
また、改善への取組みが見られない場合には、消費者安全法に基づく注意喚起。これは、消費者安全法15条に基づいた、社名を挙げての注意喚起を想定しておりますけれども、そういったものを検討したいと考えております。
このほか、消費者に対して、食べ物による窒息事故に関する注意喚起を行っていくことなどを検討しております。
私からの報告は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、お出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 御説明ありがとうございました。この調査をしてから既に1か月以上たっていますけれども、その後のフォローアップはどうなっているのか教えていただきたいということと、「4.消費者庁の対応について」の4番目、「改善への取組みが見られない場合には、消費者安全法に基づく注意喚起等を検討」というのは、注意喚起をするのではなく、何かが起きたら、これからまた検討しますという意味なのか、教えていただきたいと思います。
この御報告の中で、私が一番気になったのはやはり消費者の意識調査です。ここではっきりわかるのが、表示だけではきちんと対応できないということで、本体にある危険性を取り除かないと、やはりこの事故はなくならないと思います。
それから、いつも消費者庁さんは事故がない、事故がないとおっしゃっていました。ところが、ここでは「窒息事故を起こしても行政機関に相談する保護者は皆無」と書いてあるわけで、待っていたのでは事故が上がってくるはずがないと思います。この調査結果からも、私はやはり何らかの規制が必要ではないかと思います。
というのが私の意見です。質問にお答えください。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 まず、フォローアップですけれども、今、それぞれの業者さんから、どういう検討しているかというところをヒアリングという形で伺っているところです。それぞれ検討状況はまちまちだということは、わかっております。
それから、表示だけではだめだ、本体のところを何とかしなければいけないということですけれども、まさにそのために今回、このような要請を関係の業者等に行っているというふうに理解しております。
事故の情報が上がってこないということにつきましては、一つは、先ほどの消費者への注意喚起ですけれども、こういった食品の窒息の危険性について、私どもはリーフレットを作成して、小さい子どもを持つ親などを中心に配布することを検討しております。
それから、先ほどの注意喚起というのは消費者向けの注意喚起でございまして、事故が起こったときということではなく、事業者の改善の取組みが見られない場合に、「こういう業者は改善していない」ということを、業者の名前を挙げて注意喚起することを想定しております。

○佐野委員 そうすると、この4番は「消費者安全法に基づく注意喚起を行う」でいいのではないかなと思います。「等を検討」、これから検討されるのでしょうかというところはどうなのですか。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 細かく言いますと、改善が見られないかどうかを確認するとか、そういった意味も含めて「検討」と言っているということです。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今のところは、昨年12月22日の報告書の発表の後に末松副大臣が記者会見ではっきり言っておられますよ。従わないところがあったら、ちゃんと社名も出して国民一般に注意喚起として知らせるということをはっきりおっしゃっているので(参照:「これからこれに対して非協力的な事業者に対しましては、それはもう私ども、消費者安全法第22条に基づいて、もしそれを全く無視して従わないところがあれば、報告等を求めまして、その結果、何ら改善がなされていないという話になった場合には、消費者安全法第15条に基づいて、社名を挙げて注意喚起していくということでございます。」)、これから検討するのではなく、もうそれは既定の方針ではっきりしていることでしょう。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 そのとおりでございます。

○中村委員長代理 それから、今回、こういう参照指標を出して何らかの規制に入るのかと我々は考えておりました。例えば、せっかく硬さとか大きさについて数値を出された。韓国は、まさにその数値に基づく製造販売の中止をはっきりと行政的に手を打っているわけです。今回はそうではなく、12月28日に消費者庁長官から業界団体に通知を出されましたね。あの通知は非常に抽象的で、せっかくこれだけの数値を研究会で出したのに長官からの通知には全然数値が入っていない。これから硬さとか大きさ、形状についても、より安全なものにするように検討してくださいという抽象的な言葉しか、28日付の通知には書いていないのです。どうしてこういうふうにトーンダウンしてしまったのですか。せっかく「SOS」の方でこれだけのところまで詰めているのに、業界に伝えるときにはそれが数値として伝わっていない。ここのところを私は非常に疑問に思います。
業者の実名を公表するとか何とかおっしゃっているけれども、長官名で通知を出すに当たって、きちっとその辺はわかりやすく言っておかないと、業者の人も困るだろうし、一体この規制はどういう規制なのか、非常に国民にわかりにくかったのです。そういう印象を持っておりますので、昨年暮れの28日付の長官通知というのは、もう少し具体的に書くべきではなかったのでしょうか。

○松本委員長 それと関連して、私も根本的疑問があります。ここで参照指標と書かれているから、私は中村委員と全く逆で、数字が出てくるのかと思ったら、この報告書には数字が出ていないわけです。出ているのは「内径1cm」ということだけです。私が誤解しているのか、中村委員が誤解しているのか、どっちですか。これは数字が出ていない報告書でしょう。破断応力が幾らであれば危険だとか、そういう基準値を示した報告書ではないですね。そういうふうに私は読んだのですが、そういうガイドライン的な数字がこの報告書の中に含まれているのですか。

参照指標というのは、別途、この報告書に基づいて消費者庁がつくって、ガイドラインとして出して事業者に対して指針を示すのだと思っていたのですが、これっきりで終わっている。こういう方向で事業者さんそれぞれ適切な数値とか形状をお考えくださいという意味であれば、今、中村委員が紹介された、長官の業界団体に対するお願いというのはそれ以外言いようがないわけだから、それでおかしくないと思いますが、いかがですか。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 まず、この業界団体等への通知にはこの報告書を付けております。また、業界、事業者とお話し合いはさせていただいております。
それから、数字ですけれども、確かに1cm、数字としてはそういうもの、あるいは外国の事例、そういったものになっております。

○松本委員長 外国の事例は外国の事例であって、日本も外国どおりやりますということをここで書いているわけではないのだから、それを投げられても、事業者さんは困るだけですよ。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 そうおっしゃられればそうかもしれませんけれども、そこはこの研究会では、下の方の数字は1cmですが、どこまで大きくすればいいのかということについては、詰め切れなかったというのが事実でございます。

○松本委員長 この報告書は、数値を出して何か基準を示したというたぐいのものではなく、危険性の考え方を示した報告書としか読めないのです。つまり、この報告書の参照指標に従っていないことを評価する場合に、スパッと、数値がこれを満たしていないということで評価できるたぐいのものではない、というふうに思えるのですけれども、いかがですか。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 確かに力学特性のところについては、スパッとは評価できにくいものだと思います。しかし、測定の仕方については、先ほど別紙2で示しましたし、破断応力と破断ひずみを使って測ると、そういうことは示しておりますので、今後、これを使って評価していきたいと思っております。

○松本委員長 どうぞ。

○中村委員長代理 こんにゃく入りゼリー問題は消費者庁国会のときから大変中心話題としてやってきたのですが、昨年末のこの報告書と長官通知をもって、これは一応終わりという認識でおられるのですか。私どもとしては、例えば食品衛生法上の規格基準として明確なものを定めていただいて、それに違反するものの製造販売を禁止するということを、厚生労働大臣にきちっと言っていただくとか、その辺まで届かないと終わりにならないような気がするのですが、いかがですか。これで終わりなのですか。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 終わりというか、まずは一たんここまでやるわけですから、様子を見る、これが効くかどうかを見るという考えでございます。これが効かないのであれば、また別途の段階に入るかというふうに考えております。

○中村委員長代理 いつごろまで見るのですか。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 そこはまだ今の段階では明確に申し上げられませんけれども、業者さんは、製品の開発に1年ぐらいはかかるとおっしゃっているところもあります。それまでではなく、その途中の、開発をどういう方向でするのかということは、もっと早い段階でチェックしていきたいと考えております。

○山口委員 そうしますと、あえて業者の名前は言いませんが、一番大手の業者は、1年ぐらいかけて検討するという回答なのですか。それとも、今年の春ぐらいからこれに従った商品の製造販売に変更しますという回答なのか、その辺はどうですか。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 個別の業者について言及は差し控えますけれども、前向きに検討しているところもあると認識しております。そういう業者さんもいると認識しております。

○松本委員長 どうぞ、下谷内委員。

○下谷内委員 御説明ありがとうございます。確認させていただきたいのですが、この報告書を拝見いたしますと、それに合わせて消費者庁の対応というのが資料1-1の4番に書かれています。これを見ますと、先ほど中村委員からもありましたが、改善への取組みが見られない場合、注意喚起を事業者に対して行うということをおっしゃられたと思います。もう一方で、この報告書の6~7ページ、「消費者への注意喚起・啓発」というところにおきまして、具体的にわかりやすいというのは、先ほどおっしゃられたパンフレットのことを指していらっしゃって、この3ポツ目については、事業者に対しても注意喚起のみであって、ほかの委員が言っているように、一歩先に進むことはお考えになっていらっしゃらないということでしょうか。そこだけ確認します。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 そこに掲げてある「消費者安全法に基づく注意喚起」というのは、事業者名を挙げての消費者向けの注意喚起ということでございます。

○下谷内委員 そこまでということですね。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 そうです。今の段階では、ということです。

○下谷内委員 では、今後あり得るというふうに考えてもいいですか。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 そこはちょっと、今、私からは申し上げられません。

○松本委員長 もう一度、私の最初の疑問に戻りますけれども、改善への取組みが見られない場合という評価を、何を基準にしてやるのか。大きさが1cmという数字が出ている分は比較的わかりやすいですし、子どもの気を引く型やイラスト、こういうのもわかるだろう。しかし、破断応力、破断ひずみが大きいと危険。では、どれぐらいまで小さくすれば、改善したというふうに評価してもらえるのかというところが、ここからは必ずしもわからない。現状の商品よりは変えました、ということでよろしいのか。それとも、何か絶対的な数値があって、これ以下にならない程度の改善努力では消費者庁としては認めないと、何かそういうものがあるのか。評価基準がきちんとあるのかというところなのですが、努力をしていればそれで自主的なものだからいいですよ、というのも一つのやり方だと思いますが、それ以上の何かございますか。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 努力していればいいと、そういうものではないと思います。力学特性と形状、その両方を見なければ評価できないと思いますので、力学特性は、本当に左下のそこにあればそれはいいでしょうけれども、右上の方にあっても、大きさが大きくてスプーンですくえるタイプであればいいと。そういった判断もあると思いますので、そこは実際の開発製品を見て、研究会の先生方に相談して判断していくことになろうかと思います。

○松本委員長 わかりました。そういった点を総合的に考慮して、改善が図られたかどうかを評価されるということですね。

○消費者庁消費者情報課金児首席情報分析官 はい。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
ありがとうございました。消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございます。

≪3.リコール制度の在り方について≫

○松本委員長 続きまして、「リコール制度の在り方について」です。リコール情報の一元的な収集と消費者へのわかりやすい情報提供等につきましては、消費者基本計画の具体的施策第7番にも定められており、消費者委員会としても高い関心を持っているところです。
一方、消費者庁におかれましては、ブリヂストンサイクル株式会社製の自転車用幼児座席につきまして、リコール後も重傷4件を含む10件の負傷事故が発生している状況を踏まえた対応がなされていると聞いております。
本日は、消費者庁から、リコール情報の一元化と消費者へのわかりやすい周知に関する取組み等について御説明をいただき、リコール制度の在り方について議論を行いたいと思います。
なお、参考資料1といたしまして、平成21年7月に国民生活審議会がとりまとめました、「消費者の安全・安心の確保に向けた総合的な取組の推進について」より、「リコール促進の共通指針」関連部分の抜粋を配付しております。
それでは、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○消費者庁坂田消費者安全課長 消費者庁の消費者安全課長をしております坂田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、資料2-1をごらんいただきたいと思います。現状の取組みについて御説明させていただきます。
まず、2ポツの(1)でございますが、定期公表のときにリコール情報をどのように提供しているかという例を、資料2-2ということで付けさせていただいております。消費生活用製品安全法に係る毎週2回の公表の際に、重大製品事故の中にリコールの対象製品がある場合には、特記事項という形で、例えば5ページ等をごらんいただきますと、赤線を引いてある部分でございますけれども、リコール対象製品について注意喚起をしている。それから6ページにも、同様のリコール情報について周知しております。こういった取組みが定期公表の中で行われているということでございます。
「(2)個別事案の対応例」ということで、これは委員長からも御紹介のありました、企業と協力して回収を促進している例でございます。一つは、ブリヂストンサイクル社の自転車用幼児座席について、これは皆さん御案内のことかと思いますが、足乗せ部が折れて幼児の足が巻き込まれるという事故が発生しております。リコールは昨年の7月と昨年の9月、2回に分けて行われていますけれども、それ以降も実は重傷の事故が起きているということでございます。
こういった事実、それから消費者庁としては、子どもを事故から守るなどの観点から可能な協力・支援を行うため、同社に対して意見交換を求めまして、先月の24日に同社の幹部の方が来庁されたということでございます。そのときに御提示のあった資料が資料2-3、9ページになります。
ブリヂストンサイクル社では、これまでさまざまな取組みも行っているわけですけれども、更に保育園、幼稚園にポスターやチラシを送付して、リコール対象製品を使用されている可能性が高い方々に、直接リコールの周知を図りたいという意向が示されたということでございます。
それを受けて消費者庁は、同種事故の発生防止の観点から、同社の取組みに積極的に協力したいということで、1月28日に各都道府県・政令指定都市等々に、リコール実施の周知等に関する協力を要請しております。これが資料2-4、12ページになろうかと思いますが、こういった形で協力要請を行っております。17ページがリコールの周知のためのポスター、パンフレットです。それがブリヂストンサイクル社の件でございます。
2つ目の例として、ヤマトプロテックのエアゾール式簡易消火具の破裂事故のケースでございます。この破裂事故についても、平成17年7月以降、対象製品を特定して自主回収を実施してこられたということでございます。昨年の10月12日時点の段階ですと、対象製品は18万4,000本あったわけですが、このうち6万1,744本は回収または廃棄が確認されたが、残りの約12万本が未確認という状況であったということです。こういった状況を踏まえまして、昨年の10月22日付で消費者庁は、対象製品を有する消費者に対し、速やかに同社へ回収を求めるよう注意喚起を行ったということでございます。それが資料2-5、18ページになります。
また、同日に、当該製品の破裂などによる消費者の生命や身体への被害の発生の防止のために必要な措置を講じるよう事業者に対し要請いたしまして、併せて、同社の取組みについて事業者団体や地方公共団体、消費者団体などに対して周知の協力を要請しております。それが資料2-7でございます。
ヤマトプロテック社もさまざまな努力をされていて、私どもも何度か同社とその後もやり取りをしております。消費者庁からは、例えばということで、今回の場合は消火具ですので、「現場の消防署の協力を得て周知を図るといった対策が考えられるのではないか」ですとか、こういった商品はホームセンターなどで売られているケースが多いものですから、「ホームセンターの入り口などで消費者の相談に対応するなど、流通チャンネルを活用して回収を図っていってはどうか」という意見交換等もさせていただいているところでございます。
それが個別事案の例でございます。
資料2-1の2ページ、(3)でございます。ここからは調査研究という取組みでございますけれども、一つは、国内外のリコール情報の収集・周知・回収の在り方に関する調査でございます。これは請負調査になりますけれども、資料2-8、24ページにその概要について載せております。国内外においてリコール情報がどのような方法で収集・公表されているのか、リコールに基づく回収率等の向上のために、どのような手法が取り入れられているのかを調査して整理・分析することを目的としているということで、国内調査と外国調査をそれぞれ行っているということでございます。
資料2-1の3ページに移りますけれども、もう一つの調査研究ということで、リコール情報提供の調査研究でございます。製品等を購入した消費者へ当該製品のリコール情報を提供する仕組みについて調査研究するということでございますが、この詳細については資料2-9、26~27ページでございます。27ページがわかりがいいかと思いますけれども、こういったリコール周知のイメージが請負事業者元の方から提案があって、現在、これについて検討していただいているということでございます。
基本的にはバーコードで商品を区別する仕組みができていますが、これを携帯電話で取り込みまして、この情報をもとにリコール情報を消費者に実際に届ける仕組みができないか。これはまだまだ検討段階でございますけれども、こういったアイデアがあるのではないかということで、今、検討している段階のものでございます。今日、御議論いただく際の参考にということでお示ししたものでございます。
資料2-1の3ページの3ポツ、今後の取組の部分でございますが、このほか消費者庁では、リコール情報一元化及び回収率の向上プロジェクト」というものをやっております。担当しております黒田政策調整課長から、引き続き御説明させていただきます。

○消費者庁黒田政策調整課長 政策調整課長、黒田です。
リコール情報というのはいろいろな関係省庁に届出がありますけれども、それを一元的・一覧的に見ることができ、かつ、いかに消費者に届けていくかというところがポイントになっていると認識しております。ポータルサイトというのも既にあることはありますけれども、データを1か所に集めるだけではなく、それを先ほど説明のあった周知システムなどを使って、一つの大きなシステムとして消費者に届ける仕組みをつくっていこうということで、予算を7,500万円要求して、今後、それを実行していくという状況でございます。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見をどうぞお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今回の報道等を見ていて、消費生活用製品のリコール回収率が非常に悪い。特に何をイメージしているかというと、自動車などのリコールに比べるとはるかに悪い。何もチャイルドシートだけではなく、多くの製品の回収率が悪い。ここは何とかしなければいけない。ようやく検討が始まってこれから調査されるということですけれども、車の場合には、私どもが去年の8月にリコール関係の報告書に書いたように、道路運送車両法の規則で、3か月に1回、業者に回収率を報告させることを義務づけています。しかし、消費生活用製品一般にはそういうことはございません。何か業者から回収率の報告を求める根拠法令等があったら教えてもらいたいのですが、多分ないのではないか。だから回収率が高まらない。業者が本気になっていないというところが一番問題ではないか。
よく製品のメーカーさんは、自動車の場合は登録制度があるからいいね、おれたちはそういうのはないと言うけれども、そういう問題ではなく、自分のところでつくった製品が人にケガをさせたり事故を起こしているのだったら、それは重い責任を感じて必死になって集めるということをしなければいけないわけです。
かつて昭和60年代に、三洋のファンヒーターのときになかなか回収できないことが問題になって、その間にまた死亡者が出た。そのときに警察官まで使って、近所の家の住民状況等を調べるついでに三洋のファンヒーターがないか聞いてきてくれというところまでお願いして、徹底してやった。それから、松下のファンヒーターもいつまでもいつまでも回収の情報を流しております。そういう頑張っている企業は一生懸命やっている。そういうところの回収率は上がっているけれども、私は、ほかの製品でそういう熱心なのを余り感じたことがない。その辺は法律で報告を義務づけるとか、厳しいところを言っておかないと、企業も責任を持って努力しないのではないかという気がします。
もう一つ、周知システムのいろいろ研究をするというけれども、逆に製品がどこにあるかということがわかればいいわけです。今は携帯電話も、持っている人がどこにいるかというのは全部わかるわけで、位置認識システムが非常に発達しているわけですから、そういうものを製品のどこかに付ける。簡単ですよ、携帯だってできるのだから。そういう位置認識システムを危険性の高い消費生活用製品に導入する。それから農産物も、トレーサビリティシステムで、パソコンにコードを入力したら、何月何日、どこでできたかということがわかるわけですから、双方向から物がどこにあるかということを探すことは十分できると思います。あるところを見つければいいわけです。
回収できない理由の一つに、買った人と実際に使っている人が違う。プレゼントしたとか、おじいちゃんのために買ってあげたとか、そういう場合が多い。だから、物があるところがわかるような、そういう科学技術の知識を応用することをもっと早く導入してもらいたいと思います。そういうことを促進することも是非考えてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者庁坂田消費者安全課長 委員御指摘のようなことも課題としてはあると思っております。あらゆる商品について所在情報を技術的につかむことがもしできれば、そういうことがあり得るのかもしれませんが、例えば掃除機のようなケースは、消耗品があるケースもありますので、その消耗品を買われた方にリコール情報を提供する仕組みも考えられるのではないかと思っております。すべて情報を把握するのが難しいという場合、そういう機会を見つけて情報提供する仕組みも、一つ、検討課題になっているのではないかと思っております。

○中村委員長代理 法律の回収率報告義務はどうですか。

○消費者庁坂田消費者安全課長 この辺りは、消費生活用製品安全法の危害防止命令措置等の権限や、リコール対応も含めてのことかと思いますが、基本的には経済産業省が一義的に権限を有しておられると私どもは理解しております。経済産業省の方では、定期的にリコールの回収率等を事業者から聴取されているということは伺っております。

○中村委員長代理 法的根拠なしにやっているのですか。

○消費者庁坂田消費者安全課長 そこはちょっと、あれでございますけれども。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 ブリヂストンのチャイルドシートについて直近のものでお伺いしたいのですけれども、対象商品が約57万個あるというのですが、これは平均すると幾らぐらいの価格のものですか。
それから、資料2-3によると回収率14.5%。1月の20何日かに新聞で全ページ広告を出されましたが、これの効果がどれぐらいあるものか教えて下さい。要するに、起きたことは大変残念なことですけれども、いろいろな手を使って回収率を上げようと、消費者庁の御指導もあるでしょうが、ブリヂストンサイクル社も努力をしていると思います。それでどのような変化があるのかということを、是非時系列的にとらえてほしいと思います。そうすると、我々事業者にとりましても、どのような取り組みがどういう状況に繋がるのかという実際の例になると思うのです。これだけ大きく新聞告知を行って、どれぐらいの回収率(パーセンテージ)になるのか。
そうすると、先ほど中村委員が言われたように、周知徹底以外のことをもっと真剣に考えないとだめなのかもしれないし、直近の基礎データだと思いますので、ブリヂストンサイクル社と一緒にきちんとデータをとっていただけたら、非常に参考になる資料ではないかと私は思います。

○消費者庁坂田消費者安全課長 ありがとうございました。実際そういった全面広告を出された後に、消費者からの御連絡がどの程度あったかということを、効果との関係で見ていくのは非常に大事なことだと思っております。私ども、このブリヂストンサイクル社の件だけに限らず、広くそういったことを事業者サイドとも情報交換をしていければというふうに思っております。
それから、価格の方は済みません、今は手元にないものですから、御容赦いただければと思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 リコールというのはほとんど自主回収なので、回収率アップだけを報告するのはちょっと無理かと。それ以前に、リコールをしたときに報告することをまず義務づけて、それから回収率といかないと、なかなかうまくいかないのではないかと思います。
それから、今のブリヂストンの広告の話ですけれども、確かに一面広告をされたのですが、非常に消費者とのギャップが大きい。というのは、消費者が知りたいことは、パッと見たときにリコール回収をしているか、していないかであるのに、この広告を見た限りでは、写真がたくさんあって、ただの宣伝広告に見えるのです。リコール社告というJIS規格がせっかくできたのですから、それに沿ってきちんと「これはリコールです」と書いてくれないと、「お子様の安全のために御確認願います」では、本気かなというのがよく見えない。
私たちは、リコール社告の規格化が必要と思ったときにいろいろ調査をしたのですけれども、消費者が知りたいところと、事業者が表に出したくないというギャップが大きいわけです。リコールの場合はそれを取り除いて、とにかく消費者に知らせて、その商品を回収するんだということがわかる形でやっていただきたい。社会面の下にあるいわゆるリコール社告は、最近ではJISの規格どおりにやっている社も多くなりましたが、大きくなってしまうと全く違う。今日、ここに御提示いただいたものでも、チラシになると形が変わってしまいます。ですから、できるだけ同じような形でやっていただく方が消費者にとってはわかりやすいと思います。
今回のこのブリヂストンで非常に大変だなと思うのが、商品名とモデル名が製品自体に書いていない。書いてあるのはブリヂストンという名前か、ヤマハ。それは消費者にとっては非常にわかりにくく、お店に持っていかないと自分の持っている商品が回収されているものかどうかわからない。特にこれに関しては、待っていたのでは消費者はなかなか来ない。自ら出ていって探すような気持ちでないと、ブリヂストンの場合は非常に難しいのではないかと思います。
ブリヂストンでもう一つ、「ちょっと消費者にとっては」というのは、この製品はすごくいろんな種類があるんですね。ところが、きちんとした安全な製品に取りかえると、色も選べない、形も何も選べない。取り替えてくれたもので我慢しなさいというイメージになっている。これは、色から形からこれだけの種類のものを出したときは、もう少し配慮が必要かなというふうに思いました。
それから、電化製品などにチップをつけるというのは、一つのアイデアではありますけれども、個人情報をどうするか。我が家にあるものがすべてわかってしまうという形は非常に嫌な人も多いわけですから、その辺りの個人情報を配慮しながら、どういうシステムがいいかというのは考えなければならないかと思います。
消費者庁は、これからリコール情報を一元的に収集してポータルサイトのようなものをつくるというのですが、ここで調査しているように、本当に遊具、医薬品、食品からすべて入るのか。自治体、PLセンターとか、その情報も一元的に収集されるのかどうか。
社告を出すのも、ブリヂストンの場合は大きな会社がついているし、ナショナルの場合も大手です。もう少し小さな中小企業になると相当な負担になるわけです。その辺りは保険なり何なりに入るように勧めるのか、それとも、消費者庁がきちんと応援して何とかするのか、御検討されているのだったら教えてください。

○消費者庁黒田政策調整課長 28ページに資料がありますが、関係省庁の医薬品、食品、消費生活用製品、自動車、できるだけ幅広く取り上げていきたいと思いますし、むしろ社告等を出すのにお金がかかるからこそ、国でプラットフォームをつくって集めて、そこに行けば見られるような形にすることを目指しております。

○消費者庁坂田消費者安全課長 佐野委員の御指摘のとおりでございまして、今回の場合、製品自体に型番等が入っていないこともあって、残念ながら、外形、写真を示さないと、消費者の方はこれがリコール対象品だということがわからないこともあって、製品の宣伝のような形で、こういった広報パンフ・チラシ等をつくらざるを得なかったところが、事業者サイドからは恐らくあるのではないかと思います。そういう意味ではなかなか難しい問題があろうかということでございます。
あと、チップをつけて云々の部分でございますけれども、個人情報保護の配慮は非常に重要だと私どもも認識しております。例えば、私どもがイメージしていた27ページにあるようなアイデアも、携帯電話にバーコード情報をそのまま留め置いてマッチングするような手法も考えられないのか。データセンターに全部情報を送ってしまうのは個人情報保護の問題等もあるのではないか、ということも私どもは問題意識として持っておりますので、そういったところも含めて、今後、検討していきたいと思っております。

○佐野委員 もう一つ、回収率が非常に悪い、それはどうしてかと、消費者庁として何か認識されていらっしゃいますか。

○山口委員 回収率を高めるために、例えば、私はおもちゃ業界のことでいろいろかかわったことがありますが、自転車でもメーカーから納品する流通ルートがありますね。流通ルートの問屋さんなりスーパーなり、その他のところにきちんとフォローしてやっていけば、回収率は相当高まる。その気になれば回収率は高くできるはずだと思うけれども、その辺のことは努力されているのかどうか。その点も。

○消費者庁坂田消費者安全課長 なぜ回収率が低いのかということで、先ほどから御議論があったお話だと思いますけれども、顧客情報の把握を完全にできている商品で、そこに直接連絡して確認を取ることができるものであれば、回収率を高めることはできると思いますが、そういうものでないケースについてはかなり困難な問題が多く含まれると思います。流通ルートの関係についても、先ほどヤマトプロテックのケースで御紹介しましたけれども、その商品が売られているお店などでそういった周知をしていただく努力も、これから大事になってくるのではないかと思っております。

○消費者庁黒田政策調整課長 車だと、自分が買ったこと自体を忘れていることは余りないとは思いますが、ヤマトプロテックの例ですと、そもそも自分が買っていったこと自体、消費者の方も忘れていることがあります。そういう要素もありますから、情報が流れていても、その製品が家にあると認識していなければ消費者に届かないという面もあります。そういった面でも、情報を流す方と受け取る方でマッチさせることができないかということについて、考えていきたいと思っています。

○松本委員長 ありがとうございました。
今後も、この種のリコール問題は継続的にいろいろな製品で起こってくると思います。リコールをかけた場合に、回収率を高めるための方策について今後とも継続的に御検討いただきたいと思いますし、そこでIT技術をどう活用するのか。我々が今、考えていないようなアイデアもあるかもしれませんので、そういった点も含めてしっかり御検討いただきたいと思います。
本日は、御審議に協力いただきまして、ありがとうございました。

≪4.国民生活センターの在り方の見直しについて≫

○松本委員長 続きまして、「国民生活センターの在り方の見直しについて」です。国民生活センターの在り方の見直しにつきましては、昨年12月に閣議決定された「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」を受けて、消費者庁において、「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」が開催されております。このタスクフォースにつきましては、4月以降、中間整理をとりまとめ、これについて広く意見を聞くことにしていると伺っております。検討事項の重要性にかんがみ、消費者委員会といたしましても、中間整理の前の段階ではありますが、消費者庁より、国民生活センターの在り方の見直しについての現時点での考え方等を御説明いただき議論を行いたいと思います。
なお、資料3のとおり、事前に消費者委員会から消費者庁あてにヒアリングをしたい内容についてお伝えしておりますので、これについても御回答をお願いいたします。
それでは、どうぞ御説明をお願いいたします。

○消費者庁林地方協力課長 それでは、御説明させていただきます。お配りしておりました資料4で御説明させていただきたいと思います。
まず、資料4-1でございます。これは、先ほど委員長から御紹介もいただきましたけれども、私ども消費者庁と国民生活センターとで構成しているタスクフォースの御紹介の紙でございます。昨年12月7日に閣議決定されました「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」を踏まえて、国民生活センターの在り方の見直しについて検討を行う場として、大臣とも御相談の上、このタスクフォースを設けさせていただきました。
このタスクフォースでは、基本方針の中に示されている考え方を踏まえて、機能ごとに、地方自治体への移管、民間における実施といったようなことも、現状を踏まえながら整理しつつ論点整理を行っていくことにしております。その上で、消費者庁に一元化可能な機能があるのか、ないのか。民間に移行することが可能な機能があるのか、ないのか。こういった消費者庁への一元化、民間への移行が不可能なものについて、その在り方や担い手はどうあるべきかということについて検討を行うこととしております。
検討の方法としては、機能ごとの検討に移りました段階で、随時、有識者等にもお越しいただいて意見交換を実施していきたいと思っております。
スケジュール感としては、この春を目途に中間整理をまとめて、これについて広く御意見を伺いたい。この段階で、公開ヒアリング、あるいは消費者委員会の皆さんに御意見を伺うことを予定しております。
また、当初、記者の方に傍聴いただいて公開という方法をとっておりましたけれども、第2回目のタスクフォース以降はホームページ上に映像をアップしまして、全国どこの方でもごらんいただけるように公開しております。また、御意見については随時お寄せいただけるように、やはりホームページ上に意見募集のコーナーも設けさせていただきました。
実はこの独立行政法人の在り方につきましては、そもそもの制度設計については行政刷新会議で別途検討するということで伺っておりました。一般論としての独立行政法人の在り方についての議論を踏まえ、最終的な機能の担い手や法人の在り方についての検討を行った上で、本年夏を目途にとりまとめを行っていきたいと考えております。
構成メンバーにつきましては、3にございますとおり、消費者庁、国民生活センター、それぞれ参加いたしております。消費者庁からは長官、次長、総務課長と私というメンバーで、国民生活センターについては理事長、その他の3理事に御参加いただいて議論をすることになっております。
資料4-2をごらんいただきたいと思います。この中に、いただいたヒアリング項目についてベースになる考え方が含まれておりますので、ちょっと御紹介させていただきたいと思います。
独立行政法人については、過去に行政機関から外部化されて独立行政法人になったものと、国民生活センターのように、もともと特殊法人であったものが形を変えて独立行政法人に移行したもの、この両方がございます。こういった経緯が書いてあるのが1ページ目の前段でございます。現在の政府の考え方として、こうした性質の異なるものが、一つの独立行政法人という法人形態ですから、ガバナンスの在り方も同一になるわけで、同じどんぶりの中に入っていること自体がどうなのかという問題意識が根底にあります。
一方で、事業仕分けという手法を通じて独立行政法人についても見直しが行われてまいりました。行政刷新、事業仕分けという手法の趣旨についても、ここで改めて述べられております。5つ目のパラグラフをごらんいただきますと、「行政本体のみならず独立行政法人など行政に関連する分野も含めた効率化を徹底し、より高度な行政サービスの提供を実現する」、これが行政刷新の目的だと言っております。その上で、「まず事務・事業の無駄を洗い出した上で、制度・組織の見直し、とりわけガバナンスの在り方について検討を進める」ということがうたわれております。
1枚めくっていただきますと、下から2番目のパラグラフでこれからの姿勢みたいなものが示されております。「独立行政法人改革は、行政と独立行政法人との関係の再整理を含め、『公』の新しい姿を構築するための改革である。政府が一体となってこの改革に積極的に取り組んでいく」、こういうふうにされております。
3ページ以降、後ほどの整理とも関係しますけれども、事務・事業の見直しに当たって、各機能ごとに横割り的に共通する見直しの視点が示されております。例えば国民生活センターとの関係で言いますと、3の「研修・試験関係」、5の「検査・分析関係」、7の「その他」の中にあります情報収集・提供。こういったものは国民生活センターの中でも担われている機能で、これらについては、共通の視点を持った事務・事業の見直しが求められるということでございます。この中では最終的には、それぞれの独立行政法人ごとにどういう視点で見直しをしていくのかという整理がされております。この資料の最後に、国民生活センターの公表というのがついております。
多くは、この春の事業仕分けを踏まえて、私どもと行政刷新会議の事務局あるいは行革事務局との間で議論されて、国民生活センターを含めて合意をした内容がこの中に書かれております。その後、新たに加えられたものとしては、最後の、組織の見直し、法人の在り方の見直しというところ。これが、先ほど委員長からも御指摘がありました、国民生活センターについては、必要な機能を消費者庁に一元化して法人を廃止することを含め、法人の在り方を検討することが求められております。
更に一部、相談事業についても、「消費生活センターの支援に特化することとする」とした上で、ここまでは従来からあった項目ですが、「具体的には、現行の直接相談については廃止するとともに、それ以外の土日祝日相談及び経由相談については、法人の在り方を検討する中で、法人の事業としての廃止を含めて検討を行い、平成23年夏までに結論を得る」ということが求められております。ですから、経由相談、土日祝日相談を含めて、今回、事務・事業の見直しを改めて、また、機能ごとに整理させていただいているということでございます。
その上で、今日、御提出させていただいております資料は、資料4-3として「国民生活センターの機能に関する論点」。これは、第1回目、昨年の12月に行いましたタスクフォースで、私ども消費者庁の方から、今ほどお話しいたしましたような、閣議決定の中でそれぞれの機能ごとに求められている視点に即して、こういった論点が考えられるのではないかというものを整理したものをお出しいたしました。
資料4-4として「国民生活センターとしての検討にあたっての論点」。これは、同日に国民生活センターから示された論点でございます。この中では、消費者行政強化の方向性はどうあるべきか、各機能の相互補完性や一体性を配慮すべきではないか、といったような論点が示されております。
資料4-54-64-7につきましては、1月28日に行われました第2回目のタスクフォースの中で、私ども消費者庁と国民生活センターが1回目でそれぞれ提示した論点について、この時点での考え方、事実関係も含めた整理というのを相互に示して、まずはすべての機能について議論をさせていただいたという状況でございます。
今月中旬以降、3回目、4回目、5回目と、また議論を深めていく予定にしております。3回目からは、有識者の方にも御参加いただいて意見交換をしていきたいと思っております。
いただいたヒアリング項目の中で、有識者の選定状況といったお尋ねもございました。次回は、相談、研修、ADRという3つの機能について議論を行うことを予定しております。それぞれの機能について御見識をお持ちの有識者を、今、私ども消費者庁と国民生活センターとで最終的に調整しているところでございます。今後の進め方として、各機能ごとに有識者の方をそれぞれで候補を出し合って選定していくという手続を考えております。いずれにしましても、最終的には御本人の同意を得ないと御参加いただけないといったこともありますし、また、日程上この日は無理ということもあったりして、実際には非常に限られた時間の中で候補の方を決定するのはなかなか難しいと、私ども事務方としては実感していますけれども、今、そういう状況でございます。
その上で、春には、機能ごとの有識者の方を交えた意見交換を踏まえて、一定の中間的な整理もさせていただきたいと思っております。その意味では、今日お出しいたしました、それぞれの論点に関する考え方というのが、現時点での評価というふうに認識していただければいいのではないかと思います。
いずれにしましても、私どもは、まだ事実関係を含めてわかっていない部分もあって、これからいろいろな方の意見を伺いながら、それぞれの機能についての議論を深めて検討していかなければいけない課題だと認識しております。ですから、いただいたヒアリング項目のうち個別の機能論にかかるものについては、この時点で私からお答えすることはできないのではないかと思っております。
逐次的に、いただいた紙の中でお答えさせていただくと、スケジュール感というのは今ほど申し上げたような話でございます。
タスクフォースで有識者をどう選定していくのか。これは、まさに現在進行中という状況でございます。
「消費者行政の強化について」という項目もいただいております。それぞれの機能に即してどういうふうに機能強化をしていくのか。これは、まさに今後の議論ということだと思います。ただ、共通して持たなければいけないと思っておりますのは、これは大臣からも、また、長官からも同様な指示をいただいておりますけれども、消費者の方たちにとっていかに利益になるのか、機能強化につながるのかという視点は外せない視点だろうと思っております。
それから、「独立行政法人としての問題点等」ということで幾つか御質問をいただいております。そもそも一元化とはどういうことなのか。これについてはまさにこれからなので、ある部分やある機能を取り出して、予断をもった議論を行うことは控えさせていただきたい。特に全体について言えることですけれども、閣議決定の内容の中に、消費者庁の一元化、法人の廃止といったことが例示として示されているので、どうしてもここの部分がクローズアップされるわけですが、何か先に結論を持って議論をしているわけではございませんので、まさにここはこれからの議論だと思います。
独立行政法人化の動きと消費者庁への一元化、これもあくまでも例示で示されているわけですが、どう整理するのか。これは、どちらかというと考え方の話だろうと思いますので、今の時点での私どもの整理を述べさせていただくとすると、もともと独立行政法人化の動きについての評価は、今、閣議決定された見直しの基本方針の中で御説明させていただいたとおりでして、行政の機能、必ずしも国の行政機関がやらなくてもいい機能を、独立行政法人という新しい組織に移管するという流れが過去にあったことは事実です。一方、そのときは特殊法人を独立行政法人にするという動きもあって、これを一律の形でとらえたのがよかったのかという反省もあって、行政と独立行政法人の関係も含めて再構築するというのが今回の閣議決定の基本的な方針です。
その上で消費者行政分野について言いますと、ここはほかの行政分野と最も異なるところですけれども、独立行政法人化の流れがあった後、現在までの間に、消費者庁という消費者行政の司令塔として期待された新たな行政機関ができたことも一つの大きな要因ではないかと思っております。今の独立行政法人の共通的な見直しの流れの中で、改めて考えてみるのは当然ではないかというふうに考えております。
3番目の効率性の問題とか、一元化によって不効率な部分があるとすると、どういったところが解消されるのか。これも、それぞれの機能について言うと、まさにこれから我々も勉強しながら議論していかなければいけない分野ではないかと思っております。
国民生活センターの機能について、これも4点ほど御意見をいただいております。これも、重ね重ね恐縮ですけれども、今の業務のやり方にどの程度不効率が存在するのかというのも我々だけではわからないこと。というのは、国民生活センターの実際の業務がどのような形で行われているかという詳細について、これからむしろ事実関係を含めて整理していかなければいけない。まさにこれからその評価をしていかなければいけない問題だと思います。いずれにしましても、今後、そういったデータも御提供いただきながら、両者で議論を深めていきたいと考えております。
簡単でございますけれども、私からは以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問をお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 御説明ありがとうございました。大変心配しております。最後に林課長が両者で議論を深めていきたいというふうにおっしゃったのですが、附則なり附帯決議の趣旨を見ますと、両者ではなく、消費者委員会も一緒に3者間で協議して、消費者庁と国民生活センターと消費者委員会の3つの組織の機能の分担、あるいは効率的な消費者のための行政の実現の在り方を検討しなさいというのが、国会の附則なり附帯決議の宿題だったと思います。
その意味でまずお聞きしたいのは、どうして消費者庁と国民生活センターだけでなさるのか。なぜ我々消費者委員会のメンバーも、全員とは言わないけれども、4対4でやられるなら、そこに何人か入れて一緒にやりませんかと、どうしてお声をかけていただけなかったのかというのがまずお聞きしたいです。
それから、中身について私はどうしても不安なのは、正直言いまして、私は今の国民生活センターが十分だと思いません。あるいは、消費者庁ができた後の国民生活センターの在り方と、できる前の国民生活センターは、有り様が違って当然だと思います。しかも、予算と人員を宿命的に縮減しなければいけないという、そういう組織である独立行政法人のままであっていいとはとても思えない。もっと強化しなければいけないとなると、いろいろ考えなければいけないというのはそのとおりだと思うし、是非この議論を実りある議論にして国民生活センターのたたき直しに使っていただきたい。私は本当に熱くそう願っています。
その観点で3つ、どうしても心配があります。迅速性と専門性と相談業務の関係は大丈夫なのか、この3つです。
まず、迅速性の観点で言いますと、消費者庁が大変頑張っておられるのはよくわかりますけれども、はっきり言いますと、自転車の問題です。これは、国民生活センターがブリヂストンの問題をもっと早く国民に公表しようとして、消費者庁がストップして発表が遅れた。このために実際に負傷者が増えたという話を聞いております。アフリカントラストの問題についても、これは消費者委員会でも何回も言いましたけれども、国民生活センターがその問題を取り上げて消費者に啓発して、数か月後に消費者庁の方も出された。処分権限を持っている庁としては、国民への啓発、あるいは情報を収集して気をつけましょうという啓発は遅れざるを得ない。これはもう宿命だと思います。その意味で、処分権限を持っている行政庁の情報収集、国民への啓発と、処分権限を持たないところで迅速に消費者のサイドに立って啓発をするというのは、迅速性で違ってくるのではないか。これは宿命ではないかと思いますが、その辺はどうしても心配です。
2番目が専門性です。あえて申しますと、当消費者委員会では、例えば出会い系サイト、その他の決済代行の問題について提言をいたしました。その後の反応を見ますと、「やっぱり消費者庁というのは行政庁なんだな」「経産省が本籍なのかな」というふうに思わざるを得ないような、マインドの違いを感じてしまうのですよ。どうしても消費者庁は、農水省やその他、いろんなところからおいでになっている。プロパーの職員はおられない。私は、国民生活センターで20年も30年もじっとしているのがいいとは思わないですが、しかしながら、専門性という点ではどうしても違ってくる。そこのところは、庁と一緒になった場合、あるいはどうかなった場合、心配です。これをどうお考えになるのか。
最後、これが一番重要だと思いますが、市民の立場、消費者の立場に立って相談業務をやって、そのトラブルを解決する。国民生活センターはこれが最初で最後の仕事だと思っています。地元の消費生活センターに、消費者がトラブルで何とかしてくれと来る。このときにPIO-NETの情報などに基づいて情報を収集・分析し、それを消費者に提供して、業者を呼び出して「何とかしなさい」と指導して、具体的な事件のあっせんを図る。その成果をまたほかのところにも波及させていく。私は国民生活センターは不十分だと思いますよ。しかし、その辺をある程度やってこられたことについて、行政庁がやれるのだろうか。
やはりどうしても行政庁としての立場があるから、個別の業者を呼びつけて「何とかしなさい」というのは、処分庁としては恐らくできないだろう。しかも、国センは無料でやっています。その辺のことが、私はこれは全部解決するなら、いいようにやってくれというくらい重要な肝だと思います。今、4つ質問させていただきました。消費者委員会も入れてよということと、今の3つの問題をどう考えているのか、お願いします。

○松本委員長 どうぞお願いします。

○消費者庁林地方協力課長 十分にお答えできるかどうかわかりませんけれども、お答えさせていただくようにいたします。
消費者委員会との関係について言いますと、私どもは、別に消費者委員会で御議論いただくことを否定しているわけではなく、それはタイミングの問題だというふうに思っております。附則や附帯決議との関係でも、確かに消費者委員会として検討すべき事項の中に全体としての体制の整備といったことが入っていて、これらの検討について結論を得る過程においては消費者委員会の意見を尊重しなければいけない。こうなっておりますので、我々もそういう意味では、先ほど申し上げたようなスケジュール感の中で消費者委員会の皆さん方の御意見を伺わせていただいて、尊重していかなければいけないと思っております。
ただ、一方で、なぜ今回タスクフォースを立ち上げたのかということについては、重ねた説明になるかもしれませんが、今回の閣議決定の中で、私ども消費者庁と国民生活センターについては、特に私ども消費者庁は政府の一員でもあって、行政機関としてこの独立行政法人の見直しをやりなさいと言われていること、これが一番大きな要素でございます。
その上で、全体としての結論を出す上での期限が今年の夏というふうに切れていること。限られた時間の中でこれが最後どういう結論になるか、別に決めているわけではありません。いろいろなバリエーションがあると思いますが、例えば今の組織をある程度いじらなければいけないということになったときには、雇用問題も含めて、人員の問題、予算の問題、組織・機構の問題が出てきます。こうした問題について実務的な議論を深めていくためには、やはり実務に携わっている当事者同士で議論をしていくべきだろうというのが、当時の私ども消費者庁、国民生活センター、所管の政務三役、大臣を含めた判断で、その判断を踏まえて、今回はこのタスクフォースを立ち上げて実務的な検討をしていくことにさせていただいたというのが流れでございます。
そのほかに3点、御懸念を御質問いただきました。迅速性の点は、今後、このタスクフォースでも恐らく議論になるポイントです。私は、申し訳ありません、地方協力課長という立場なので、個別の案件について評価をしたり、事実関係を正確にすべて知っているわけではないので、個別のことについてはよくわからないところがあります。いずれにしましても、確かに処分権限がない方が、言い方が難しいですけれども、より柔軟に、迅速に、こういう注意喚起ができるのではないか。これは、後ほどごらんいただければ結構ですけれども、国民生活センターの論点に関する考え方にもそういったことは提示されております。これは今後、議論をしていかなければいけない点だと思います。
一方で、その迅速性、柔軟性というのはどういうことなのか。ここで私どもも気にしなければいけないのは、厳格な法律の解釈に縛られないということです。本当にそうかといったようなところもあるので、ここは私どもも、今後、考えていかなければいけないと思います。ただ、山口委員の御指摘の中にありましたように、迅速であるがゆえに国民に早く情報が届いて、そのことが国民の消費生活の安定につながっているということであれば、その機能は担保しなければいけないと思います。それをどういう方法で担保するのか。それは今後、本当に考えていかなければいけない問題だと思います。
それから、専門性の問題について御指摘をいただきました。何がどういう問題なのか、私にはよくわからないところもあります。要は消費者庁の動きが鈍い、そういうことなのだろうと思って伺っていたのですけれども、御指摘いただいた中で、確かに今の消費者庁は消費者庁としてまだ採用しておりませんので、プロパー職員が存在しない。これは、新しい組織なのである意味宿命的な問題であります。これは、ひとり消費者庁に限ったことではなく、省に昇格した環境省でも設立されてからかなり長い間、プロパー職員が育つまでの間、組織的には他省庁からの出向者で構成されていました。しかし、だから専門性に欠けるのか。それを担保するための人事・任用はどうあるべきなのか。
この問題は、あした解決する問題ではないですね。国民生活センターだから専門性が要求されて、消費者庁だから専門性が要求されないということも恐らくないと思います。これは私ども国の行政機関の職員共通ですけれども、どうしても人事の運用の関係で、在任期間が非常に短い間にいろいろなポストを回らなければいけないという点はあります。恐らく山口委員の言われたことは、国民生活センターは国民生活センターであるがゆえにその外に出ることはなく、そこで担っている職務に精通する可能性が高い。それが、消費者庁という別のものになったり、あるいは全然違う組織になったときに、それが担保できるのかということを御心配いただいているのだと思います。
これも仮定の話になってしまいそうなので、申し上げ方は難しいのですけれども、御指摘の点については、知識という点でも、ある種の技術といった点でも、専門性が担保できる人事・任用は考えていかなければいけないだろうと思います。これをどういう方法で解決することができるかというのは少し難しい課題だなとは思いますけれども、かつて金融庁ができましたときに多くの職員は財務省から出向いたしました。当初は片道切符と言われて、人事は遮断することになっておりました。その後、人員も増強されて任期付きの職員なども採用され、今ではかなり大きな組織になっております。
ただ、逆に人事・任用という意味では当初とられた片道切符というのは、事実上、反故になって、今や財務省と金融庁の間は出入り自由。でも、恐らく金融庁の組織としてのある種の力というのは、体制も増強され、与えられた任務に精通することによっての専門性の高まりというのはあると思います。その辺を過去の事例にもならいながら、どういうことをやっていくことによって職員の専門性を高めていくのか。これは行政機関共通の課題みたいなものですけれども、考えていかなければいけないと思います。
最後の相談の件も、実はいろいろ議論のあるところだろうと思いますし、私どものタスクフォースの中でも似たような議論がありました。いわゆる現場感覚の問題とか、かねてから言われておりますセンサー機能といった論点について、どう考えるのかということです。一つ、前提の問題として申し上げておかなければいけないのは、今、国民生活センターがやっております直接相談については、春の事業仕分けとそのフォローアップの過程で、国民生活センターと私ども消費者庁の役割分担が非常に議論になりました。その過程で、国民生活センターについては地方の消費生活センターへの支援を機能の中心に据える。その上でどういう役割を担っていくのかという議論がありまして、これについては、現行の直接相談は廃止することになっております。ですから、そこは前提にしていただきたいと思います。
その上で、それ以外に実施しております経由相談、土日祝日相談、これをどう考えていくのかということではないかと思います。確かに事例としては山口委員御指摘のように、行政が直接、言い方は悪いですが、ある特定の民・民間の契約について介入して、どっちかに軍配を上げる。これは非常にレアな事例であることは間違いありません。しかし、ゼロではありません。
私は、旧建設省に入りましたときに建設業課というポストがありました。建設業法は、元請・下請関係という典型的な契約なので、下請業者は、元請が受注倒産をして逃げたときに代金が払えないと、更に大もとの元請に、何というか、三方一両損的な仲裁をする機能というのを認めています。私はその担当をしておりました。当時はまだ景気がよかったし、元請も余り強硬な業者はいませんでしたので、本当に困った零細な下請業者が来ると、更にその元請の業者に来てもらう。

○山口委員 その件よりも、件数が2けた違うんですね。

○消費者庁林地方協力課長 件数はそうですけれども、ただ、実務としてできないのかと言われるので、いや、できなくはない、やっている例はあるということを申し上げたいのです。確かに、すべてを国の機関が直接やるのがいいのかどうかというのはありますし、その上で、経由相談あるいは土日祝日相談をだれが担うのが適切なのかというのは、これからの議論だろうと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今回の国センの在り方見直しの議論を聞いておりますと、一部のマスコミではガチンコ状態だと言われているようですが、そこの根本を見ていると、現場をよく知っている人と、そうではなく、抽象論で考えておられる人のギャップが出ているだけではないかという気がします。先ほど課長は、事実について我々はまだ十分知らないので、これから勉強するとか、現場を見るというお話をしておられたのですが、実際にこの後、残された短いスケジュールの中で、事実を調査したり現場を見るというのは、どういうことを取り組もうとしているのか。あるいは、どういうスケジュールでやろうとしておられるのか。その辺を教えていただきたいのですが。

○消費者庁林地方協力課長 少し言い方が誤解を招いたかもしれませんが、数字で与えられていることは、これまでの議論の過程でいろいろデータを出していただいていますので、我々もそれは承知しています。
ただ、わからないと申し上げているのは、例えば商品テストなどについても、どういう手続、基準で選定されているのか。選定されたテスト対象に対して、そのテストの方法について、どういう手続、基準で決定されているのかといった実務の流れの詳細については、データで示せないので、国民生活センター自身に聞いてみないとわからない。あるいは、別の資料でいただかないとわからないというところがあります。ですから、そういったことは、これから個別の機能ごとにデータなども補足的に出していただいた上で議論をしていかなければいけないと思っています。今、中村委員が言われた、現場を見るといったようなことを考えているわけではなく、実務がどういうふうに行われているのかということを、私どもは国民生活センターからもう少し資料をもらわないとわからないところがあるということです。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明ありがとうございます。ちょっとお聞きしたいのですが、先ほど、山口委員から迅速性のところでお話がありました。国民生活センターは、今までも速やかに注意喚起情報を出しておりました。私の聞き違いだったら申し訳ないのですが、本当にどうかはわからないというようなことを言われました。国民生活センターは、相談で上がってきた中から、その情報を分析して、それは今、とにかく出さなくてはいけない、安全・安心を知らしめなくてはいけないと。それはリコールの問題にもかかわるかと思いますが、そういう行動をしてきて、それを権限のないところで十分やってきたわけです。国民生活センター法の範疇においてされてきたわけです。
消費者庁の方は執行権限がございます。ですから、もし何か争い事になったとき、国の責任を問われるかもしれないという思いはあると思うんです。だから、そこのところはきちんと原因究明が必要だと。多分そういうことで、本当かどうかと言われたのだろうと思いますけれども、やはり迅速に情報を提供するということは、外の機関である国民生活センターのようなところがやるべきことではないだろうかと思います。そういうことを多分、迅速性ということでおっしゃられたのだと思いますし、私もそうだと思います。本当かどうかと言われると、ちょっと、出したのがうそかもしれないと。そういたしますと、御相談した消費者、それを受けとめてきた相談員、それから職員、地方の行政の方々、そういう人たちの受けとめ方というのを、やはりきちんと考えていただきたいということは思います。
それから、経由相談、土日祝日相談のこともありました。相談については、直接相談を廃止するのはもう決まっていると言われましたが、直接相談をどのようにお考えになっていらっしゃるのかをお聞きしたいです。経由相談という言葉もありますので、直接相談の位置づけをどのように消費者庁はお考えなのでしょうか。先ほど聞いていると、単に御相談があってそれを解決するというふうにしか私にはとれなかったんですね。直接相談というのは、そういう一面もありますけれども、国センがやるということはそういうことではないと思います。ですから、そこをどのようにお考えになっていらっしゃるのかお聞きしたいので、よろしくお願いします。

○消費者庁林地方協力課長 2点お尋ねがありましたが、まず、1つ目の迅速性の話。これは、すべて私は否定するつもりは全くありません。先ほど申し上げたのは、法の厳格な解釈に縛られない、だから迅速あるいは柔軟にできる。これは本当にそうなのかということを申し上げているのです。事実として早い遅いを言っているのではありません。
というのは、私どもで承知している範囲でも、国センが自らの判断で商品テストの結果として行った注意喚起の中に、非常に客観性に欠けるものが過去にあったことも事実で、これが今のままでいいのかというのは問題意識として正直持っています。一方で、国で今と同じようなことができるのかというのは、これまた、我々の反省含めて考えていかなければいけない。
ちょっと済みません、話が脱線するかもしれませんが、国民生活センターは出した結果について責任を問われる可能性はあります。私ども行政も勿論ありますけれども、当然、あるわけです。でも、幸いにしてこれまでそのリスクは顕在化してきませんでした。私もこのポストに参りましたときに、当初、ある個別の案件で少しもめたことがあったものですから、過去にそういう係争になった事例はないのか聞いたことがありますけれども、過去に1件だけあったそうです。ただ、それは敗訴にはならずに、結論がどうなったのかよくわかりませんけれども、大ごとにはならずに済んだそうです。国民生活センターといえども独立行政法人なわけですから、テストに対する客観性を担保すると同時に、法との関係についてはきちんとした解釈・適用をやらないといけない。そういう意味で申し上げました。
それから、直接相談についての評価ですけれども、国民生活センターのやっている直接相談についてのお尋ねという意味では、そもそも国民の方、消費者の方が、日々の消費生活を通じて困っている、遭遇するトラブルに対して、相談業務を通じて解決をするというのは、今の消費者関係法の体系の中では都道府県なり市町村の事務と位置づけられています。そことの関係で言うと、国は、こういった市町村や都道府県が行う事務の支援に回るべきだというのが基本の考え方です。確かに国民生活センターであるがゆえに、国民の皆さん方の相談内容に対する期待や信頼というのは、これは否定するものではありません。
ただし、今、国民生活センターは年間1万件弱。そのうち経由相談が半分、直接相談が半分。大体そんなボリューム感です。全国でPIO-NETに登録されているのが、21年度で言いますと90万件弱。相談そのものの意味としては、正直、それほど大きなウエートではないと思います。恐らく下谷内委員は、国民生活センターは、直接相談をやっていることによって、現場感覚とかセンサー機能が維持されているのではないかということを言われたいのではないかと思います。ですから、直接相談そのものの相談としての機能・意味ということでは、本来、都道府県や市町村の消費生活センターに担っていただくべき機能だろうと我々は評価して、その意味では国民生活センターの直接相談そのものは廃止すべきではないか。
ただし、いわゆる現場の情報とか、困難な事案、都道府県や市町村では解決し得ない事案というのは当然ありますので、経由相談のような機能は引き続き残さざるを得ないだろうと思っていまして、仕分けの過程での議論でもそういう整理をさせていただいた。その上で、改めて法人としての在り方を検討しろということになったものですから、相談業務全体について、法人としての在り方の検討の中で改めて議論することにさせていただいたということでございます。

○下谷内委員 それに関連してですけれども、経由相談というのは、都道府県や市町村からの御相談を、解決困難なものについて助言したり、一緒に解決したり、引き取ったりもしております。でも、いつもセンサー機能ばかり言うではないかと言われますけれども、それをするためには、それを受ける職員、経由相談員というのはどういうことをすればできるのでしょうか。
今のお話を単に聞きますと、法律の解釈をする。法律の解釈は弁護士さんがやればいいことだと私は思うのです。何をするのでしょうか。いろんな悪質事業者がたくさんおります、と言うと語弊があるかもしれませんが、悪質事業者とどのように対峙するのか。その事案が上がってきたときに、ストレートにいかないものは消費者相談には非常に多いわけです。そのときに、斜めから、横から、後ろからと、いろいろな考え方があると思うのです。それを受けとめる直接相談の相談員さんがそれをきちんとわかっていないと、助言も何もできないわけです。そういうものをどのようなところから情報を収集したり、身をもって体験できるようになるとお考えでしょうか。

○山口委員 よろしいでしょうか。

○松本委員長 関連ですか。

○山口委員 はい。結局、相談現場にいるかどうかで何が違ってくるかというと、よく役人さんが、「引っかかる方も引っかかる方だよな」と、よくおっしゃいます。しかし、現場で引っかかったおばあちゃんたちの話、引っかかった被害者の話を何件も何件も聞いていると、これはやはり放っておけない、これは業者を呼んで何とかしなければいけないと、そういうマインドが出てくるんですよ。これは、PIO-NETの件数だけを見ていてもわからないです。被害者がどういう感覚で出会い系サイトにアプローチして、どういう感覚で引っかかっているのか。その辺は現場で見て初めて、これは何とかしなければいけない、この解決の肝はここだな、というのが見えてくるというのはあるわけです。それを、ただ役所にいて件数だけ見てそれで対応を考えるというのでは、どうにもならないところがあると思います。その辺を恐らく別の角度から下谷内委員はおっしゃったのだと思いますが、どうなのでしょうか。

○消費者庁林地方協力課長 直接相談によって得られるノウハウは、それこそ事実の把握としてのスピード性みたいなものと、直接的にトラブルを解決することによって得られるスキル、これらを総じて現場感覚と言われているのだろうと思いますけれども、今後、直接相談をなくしたときにそれをどういうふうに養っていくのか、それがなくていいのかという問いかけなのだと思います。ここは、現場に対する知識、現場に対する感覚を、何をもって養うのかということの議論だと思います。
我々の認識としては、一つにはPIO-NETの活用といいますか、今のシステム的な限界も、更に改善していくことによってリカバーできる部分もあるのではないかと考えております。どういうことかというと、これは実はほかの行政機関からも随分言われていることですけれども、PIO-NETの配備先を拡大しましたときに、現場のセンターの相談員さん以外のところでは、相談概要までということにして、処理結果を見られないようにいたしました。だから、事案の最終的な中身というのはわからなくなっています。ここのところは少なくとも情報共有できるようにすべきではないかということで、我々も検討を進めております。
それと同時に、今は直接相談と経由相談と土日祝日相談というのをやっております。土日祝日相談については、皆さんも御存じのように全相協に委託してやらせていただいております。土日祝日相談については、この御提出させていただいた資料を見ても御理解いただけると思いますが、私どもと国センとの間で理解の相違はありません。基本的には力をつければ地方にお任せする。その上で当面の間は、今、土日両日開設している地方の消費生活センターは少数ですので、国としても支援をしていかざるを得ない。そういう意味では現場の声をつかむ機会というのは、土日祝日相談でも代替できる部分があるだろうと思っております。こういったことも含めて、全体としてどういうふうに考えていくのかということかと思います。

○松本委員長 各論の話に入っていくときりがないし、今は各論をやる場ではないと思いますから、もう少し消費者庁の基本的な考え方等について確認する方がいいかと思います。そこで1点ですが、設置法の附則3項というのがさっきから挙げられております。そこでは、3年内に、消費者の利益の擁護及び増進を図る観点から、3つの組織の業務及び組織等の体制の更なる整備を図る観点から検討を加える、と書いてあるわけです。これは全会一致で成立したという重みのある法律です。
他方、行政刷新会議の評価に基づく閣議決定がその後になされて、現在の消費者庁による国民生活センターの業務の見直しは、その閣議決定に基づいて行われているということです。そうしますと、附則3項に基づく作業は行っていないということなのか。附則3項に求められていることを、今、消費者庁は行っているという御理解なのか、いずれなのでしょうか。

○消費者庁林地方協力課長 まず一つには、今、委員長から御指摘がありましたように、附則3項では、消費者庁、消費者委員会の所掌事務及び組織、それと独立行政法人国民生活センターの業務及び組織、これらを例示として、消費者行政に係る体制の更なる整備を図る観点から、消費者の利益及び増進に関する法律について検討を加えるということになっております。一つには、消費者行政の体制の更なる整備を図る観点から検討を加えるということですので、目的として、方向感としてこれに矛盾はしていないだろう。ある意味、この方向でやっていることは間違いないだろうと認識しています。
では、附則3項に基づく検討なのかということについて言いますと、あくまでも消費者庁と国民生活センター、この重複感を前提に、消費者庁への機能の一元化を含めて国民生活センターの在り方についての見直しをやっておりますので、附則3項そのものかと言われると、多分それは違うだろうと思います。

○松本委員長 消費者行政に係る体制の更なる整備、あるいは消費者の利益の擁護及び増進を図るという観点から考えますと、現在、消費者庁が行っていること、国民生活センターが行っていること、消費者委員会が行っていること、この3つの組織が行っていることの総体が、現在における消費者の利益の擁護、増進を図る業務です。その中でことさら国民生活センターのみを取り上げて、その中のこれは無駄だとか、これは民間でもできるという形で整理する。一部は消費者庁が直接やる方がいいということで消費者庁に移すことは、消費者庁だけについての現在の業務内容から見れば、体制強化になるというのは明らかですが、消費者庁、国民生活センター、更に消費者委員会も加えた3つの組織からなるブロックという観点から考えると、それがマイナスにならないかという懸念があるわけです。消費者庁は強化される。それだけでいいのかと。

○消費者庁林地方協力課長 ちょっと御質問の趣旨がよくわからないのですけれども、この附則は、あくまでも消費者行政に係る体制の更なる整備を言っていて、どこのパーツと言っていないと思うのです。

○松本委員長 言いたいのは、今、消費者庁、国セン、消費者委員会等が一生懸命いろいろなことをやっています。それが、とりあえずは現在やっていることである。それを更に強化しろというのがこの附則の趣旨だとすると、全体としてプラスにならないことをやるのは、附則の趣旨に反するのではないかという趣旨です。つまり、国民生活センターの機能を消費者庁に100%統合したとしても、現状と同じですね。統合によってマイナスが出てくれば、現状よりマイナスになる。そういうことにならないかという趣旨です。

○消費者庁林地方協力課長 仮定についてはお答えできないのですが、冒頭に申し上げたとおり、私どもは大臣から、消費者行政全体の機能強化を図る観点から検討しろと言われています。そういう意味での検証・評価というのは、私ども自身の検討についても必要だと思っています。ですから、委員長が言われるように、結果的に寄せて、それでプラスにならない場合はどうするんだと。この「プラスにならない」というのがどういうことを言われているのかよくわかりませんけれども、基本的には機能は強化される方向で検討すべきだと思っていますし、そういうふうに我々は目的を与えられていると認識しています。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 例えば老人ホームの問題、あるいはインターネットによる取引被害の問題、その他、いろいろな問題が起こります。消費者委員会や国民生活センターは、主務官庁どうのこうのは関係なしに、被害の実態があって何とかすべきだと思えば取り組んでやれます。しかしながら、老人ホームの問題であれば、消費者庁は厚労省なり国交省なりと相談して、そことの調和を図った上でないと外に出せないと思います。あるいはインターネットの問題であれば、総務省と調整した上でないと外に意見を出せないと思います。その辺は宿命的な遅れとか、庁としての宿命があると思うのです。その辺は足し算引き算の問題ではなく、仮に国センの機能の一部を消費者庁に持ってきた場合には遅れるだろうと。委員長がお話しになったのはその辺のことも含めてだと思いますが、責任を持ってその辺はちゃんとやってくれるのでしょうね。

○消費者庁林地方協力課長 それは、そういうことだと思っております。

○松本委員長 どうぞ。

○佐野委員 今日のお話もそうですけれども、タスクフォースも傍聴させていただきました。これから、6つの事業を一つずつヒアリングしながら検討していくということですけれども、私がこの間、傍聴させていただいたり、今日のお話を聞いていても、もう消費者庁の行き先は決まっているようなイメージがあって、本当に聞く耳を持っていらっしゃるのかなというところは非常に疑問に思っています。国民生活センターは独法の中でも非常によく知られている、国民にとっては大切なところです。その辺り、先ほどから消費者行政強化、強化とおっしゃいますけれども、この間の傍聴した限りでは、何だか両方ともかみ合っていなくて、消費者、国民はそっちのけ。消費者行政強化のために本当に意見を戦わせているのかというと、そうでもないようなイメージが非常にありまして、私はすごく危惧しております。
これから徐々に勉強しながらとおっしゃいましたけれども、これから検討されていく中で是非考えていただきたいのは、最初におっしゃったように、国民、消費者のため、消費者行政を強化するためというところを忘れずに、そして、6つの事業をどういうふうにばらばらにするのか、一緒にした方がいいのか、そこまできちんと考えながら検討していただきたい。私が危惧しているのは、もう決まっているようなイメージが非常に強いというところです。感想です。

○下谷内委員 1点だけ。時間がないのに申し訳ないですが、誤解を招かないために、一言、土日祝日相談について説明しておきます。先ほど、全相協が委託事業を受けていると。確かにそうです。でも、受けているのはあくまでも当日の御相談の電話だけです。その後の解決等については一切やっておりません。それは国民生活センターの方でチョイスされて、やるかどうか。でも、実際に相談員協会が受けているのはそこだけのことです。もしもそれを直接相談とつなげられるということであれば、土日祝日相談というのは、市町村が頑張れば将来的にはなくなることだろうと思います。
それから、今のようなやり方であれば、直接、相談員さんがその事案について最初から聞いているわけで、もう一回聞き直すだけのことになりますので、やはりその点は非常に難しい。もしそれを活用されるのであれば、やり方を考えていただければいいのではないか。単なる相談しか受けておりませんので、そこのところだけ誤解のないようにお願いいたします。

○日和佐委員 一言、いいでしょうか。

○松本委員長 どうぞ。

○日和佐委員 消費者行政の機能強化をすることが最終的な目的だとおっしゃっていらっしゃいましたけれども、その裏には、消費者庁に一本化することがイコール機能強化であるというように、どうしても受けとめられてしまうんですね。そうではなくて、行政庁ではない、違った性格を持っている組織がある方が幅が広がります。当然です、これは常識です。広がっている方が、私は消費者行政の強化ということが言えると思っております。余り予断にとらわれないで議論していくと最初におっしゃいましたから、それを守って是非やっていただきたいと思います。

○松本委員長 ありがとうございました。まだまだ議論は続くかもしれませんけれども、本日の消費者庁からのヒアリングとしてはこの程度にとどめたいと思います。今後とも、消費者委員会としてはこの問題に関心を持って審議を続けていきたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。

≪5.閉会≫

○松本委員長 最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 どうも御協力ありがとうございました。
次回の委員会ですけれども、2週が11日でお休みということもありまして、第3週、2月18日(金曜日)の15時からを予定しております。
議題としましては、今の段階では「公益通報者保護専門調査会」からの報告などを予定しております。また、改めて御案内をさせていただきます。
以上です。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)