第38回 消費者委員会 議事録

日時

2010年11月12日(金)15:00~17:32

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、佐野委員、
 下谷内委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
稲継裕昭 地方消費者行政専門調査会座長
厚生労働省   水津老健局高齢者支援課長
  老健局高齢者支援課
国土交通省   住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室長
財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター 小椋リフォーム相談部長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政専門調査会の中間報告について
  ○出席者: 稲継裕昭 地方消費者行政専門調査会座長
3.消費者基本計画の検証・評価・監視について
  ○説明者: 厚生労働省 水津老健局高齢者支援課長 他
国土交通省 住本住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室長 他
財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター 小椋リフォーム相談部長
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:15KB)
【資料1】 地方消費者行政専門調査会の中間報告関連資料 (PDF形式:111KB)
【資料2】 消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策及びヒアリング項目について (PDF形式:24KB)
【資料3】 消費者基本計画(施策番号58、106)関連資料(厚生労働省提出資料)
(資料3-1) 消費者基本計画 工程表(施策番号58、106) (PDF形式:15KB)
(資料3-2) 消費者基本計画(施策番号58、106)関連資料 
【資料4】 消費者基本計画(施策番号55、56、117)関連資料(国土交通省提出資料)
(資料4-1) 既存住宅流通・リフォームに係る消費者保護策
【資料5】 JAS法の規定に基づく品質表示基準の改正に係る答申関連 (PDF形式:234KB)
【参考資料1】 委員間打合せ概要 (PDF形式:11KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、おそろいになりましたので、始めさせていただきたいと思います。
お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
ただいまから、「消費者委員会(第38回)」の会合を開催いたします。
川戸委員は、お仕事の関係で遅れて来られるということですので、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入らせていただきます。

≪2.地方消費者行政専門調査会の中間報告について≫

○松本委員長 まず初めに、「地方消費者行政専門調査会の中間報告について」です。
地方消費者行政専門調査会につきましては、本年4月に第1回の専門調査会を開催して以降、これまでに7回にわたって御審議をいただいております。本日は、中間報告といたしましてこれまでの審議の状況等について御報告をいただき、意見交換を行いたいと思います。
本日は、この専門調査会の稲継座長にお越しいただいておりますので、初めに、地方消費者行政専門調査会のこれまでの審議状況等につきまして御報告をお願いいたしたいと思います。

○稲継座長 稲継でございます。地方消費者行政専門調査会、本年4月の第1回会合以来、片山座長の下に9月まで6回会合を重ねてきましたが、片山座長が総務大臣に就任されたことに伴いまして、座長代理でございました私が、座長を10月から引き受けることになりました。10月に第7回の会合を開いたところでございます。
それぞれの7回の会合は、この消費者委員会からお示しいただきました「検討されるべき論点」に沿って一つずつ議論を進めてまいりました。10月に開かれた第7回の専門調査会では、沼尾委員から「地方消費者行政における経費負担」についての説明及び質疑応答が行われております。その後、この第7回会合において、過去6回までの地方消費者行政専門調査会の議論の中間的な整理を行ったところでございます。専門調査会における議論の概要は事務局から後ほど説明していただきますけれども、特に大きなポイントとなる点で意見が分かれている点について、私から紹介させていただきます。
まず、相談窓口や消費生活センターの設置の義務づけにかかわる議論に関しまして、「消費生活センターの設置は市町村については努力義務にとどまっている。市町村についても設置を義務づける。そのかわり零細で小規模な市町村については、単独では設置が困難であろうから、広域連合なり、いろいろなメニュー、手法を用意して、それぞれが実情に応じて消費生活センターを設置できるようなものを提案していくべき」、このような提案が文書でなされました。
これを受けて非常に活発な議論がございました。分権改革の流れの中で、新たな義務づけについては非常に消極的な意見があります。他方で、窓口のない市町村は全国に400もあるので最低限の基準づくりが必要という意見もございます。これは、地方消費者行政専門調査会の委員の中で議論が分かれているところでございます。また、実態に応じた多様な対応が重要であって、一律の義務づけに懐疑的な意見がある一方で、市町村に窓口があれば市町村レベルで多様な対応が可能との意見もございます。
次に、PIO-NETの端末入力の負担について、これはほとんどが国のための仕事となっているので、これを自治体が全額負担するのは適切ではなく、国が費用を出すべきとの意見が強く出されました。PIO-NETの入力については、情報ネットワークに関するため国が全国的にやらなければいけないものだけれども、実際には地方にやってもらっているということで、事務の整理を行い、そのための費用として国が費用を負担することは可能性としてはあり得るとしつつも、人件費や事務所経費は一般財源化の流れがありますので、実際どこまで負担金や補助金が手当できるのか厳しいのではないかとの意見もございます。
最後に、全体の議論の前提として、義務づけや国の財政負担が行われなければならないことを裏づける実態やニーズを説得的に示す必要があるという意見が、これは複数の委員から出されていることを紹介しておきます。
今後、残る論点を議論しつつ、報告書のとりまとめに向けて専門調査会の審議を進めてまいりたいと思います。その過程で、必要とあれば委員会にお諮りすることも考えたいと思います。
それでは、専門調査会のこれまでの議論状況を事務局から御説明させていただきます。

○齋藤審議官 事務局の齋藤です。
まず、資料1-1に沿いまして御説明したいと思います。資料1-1は、下の脚注にございますように、この専門調査会第1回から第6回までの議論の主な論点を要約・集約して示したものでございます。より詳しいものは資料1-3という横長の資料がございまして、そちらの方に更に詳しい議論の概要が示されています。
資料1-1にお戻りいただきまして、まず、「1 消費者行政における国と地方の在り方について」ということで、ここでは2つ挙げております。1つ目は、相談業務が自治事務であって、市町村が創意工夫を凝らして、実態に合った行政サービスを提供すべきものであるが、自治体の認識がついてきていない実態が問題。
次に、地方自治体の人事、財政、組織の力学を考慮し、4年後以降の国から出るお金がきちんと回る仕組みをどうしたらよいのか、パラダイム転換の発想で審議すべきという議論がございました。
2に移っていただきまして、「国と地方の相談ネットワークのあり方について」ということです。(1)で、市町村が相談業務を行う上に都道府県も行う意義は何か。二重行政とならないかという論点がございました。それにつきましては、最初のポツ、2つ目のポツにもありますように、住民に民間な市町村が一次的な窓口となる。都道府県はそのバックアップということで、専門的な案件あるいは窓口のない市町村住民からの案件を受け付ける補完的な役割を担うべきという御議論でございました。また、最後のポツにありますように、国センも含めた3者の役割分担を考える必要があるということもございました。
2ページ目をごらんいただきたいと思います。「(2)消費生活センター・相談窓口の整備を進めていくためには、何らかの設置基準を設けるべきか。国はどのような支援を行うべきか」という論点でございます。最初のポツにございますのは、国の関与の度合いといいますか、レベル感といいますか、設置基準のあるなしと、財政措置のあるなしということで、関与の在り方、強弱の程度があるわけですけれども、どの程度の関与の在り方を目指すのか。そういう議論をすべきではないかという御意見でございます。
2つ目のポツは、警察、児童相談所、その他、いろいろな制度の仕組み方がありますので、国の関与の仕方として、基準を設定するなり財政的な負担をするなり、既存のいろいろな制度がありますので、どの辺を目指していくのか、そういう議論をすべきではないかという議論がございました。
3つ目と4つ目は、かなり特徴的な意見ということで2つ出されているものでございます。消費者がどこにいても同じ水準の消費者行政サービスを受けられるよう市町村に相談員のいる窓口の設置を義務化する。独自でできない場合は、広域対応もあり得る。国はモデルを示してほしいというものでございます。
それとやや対照的な御意見としては、相談に関する事務は市町村が創意工夫を凝らして実態に合ったサービスを提供するべきで、こういうものは全国津々浦々に同じ基準を張りめぐらす問題ではないという御意見がございます。
その次にありますのは、今の制度の立て方。市町村は消費生活センターを、これは努力義務となっていますけれども、それを設置するためには相談業務を週4日以上行うことになっておりまして、それもある種の義務づけではないか、そういう義務づけは必要なのかという御意見もございました。
更に、国から支援という場合は国センの役割も見逃せない。研修、その他、国センが行っている業務も考えていく必要があるという御意見でございます。
次に(3)ですが、「単独で消費生活センターを設置できない小規模の地方公共団体はどのような対応をなすべきか」ということで、最初のポツにありますように、広域的な事業の促進が必要である。そのためのいろいろな工夫を考える必要があるのではないか。他方で、各市町村に窓口があることをおろそかにすべきではない。市町村における総合的な対応能力を活用する必要がある。そういう趣旨の御意見がございました。
また、最後のポツにありますけれども、自治体間の内部組織の共同設置ということ。これも新しく法律をつくって可能になるような方向で、今、議論が進んでいるようでございますけれども、そういう連携手法を開発してサポートする、そういう考え方もあるのではないかいう御指摘がございました。
次のページに移りまして、「消費生活相談員制度及び相談員の支援のあり方について」という論点に関しましては、(1)では、相談員の方に求められる資質はどういうものかという論点でしたけれども、最初のポツにありますように、さまざまな能力が求められている、総合的な能力が必要であるという御指摘がございました。
また、消費者関連法は毎年改正されておりますので、日々研鑽が必要であるという御指摘がございましたし、その次のポツにありますように、弁護士とかいろいろな専門家のサポートも必要になってくる。そういうサポートがあれば、相談員の方の負担感も大分変わってくるという御指摘がございました。
(2)の「相談員の多様な働き方に応じて制度的な選択肢を用意すべきではないか」ということに関しましては、ほとんどの方は非常勤職員という扱いになっていますが、そうだとしても、雇い止めということは適切ではないことをアピールする必要があるという御意見がございました。
制度上、任期付短時間勤務職員制度というものがございますけれども、その要件が非常に使いにくいものになっている。その緩和を行うべきであるという御指摘がありましたが、他方で、この制度も必ずしも今の消費生活相談の実態に適したものとは言えないので、もう少し別の制度を考えるべきではないかという御指摘もございました。
更に、任期の定めのない専門職として採用する、そういう制度も考えられるのではないかという御議論もありましたが、それについては、今でも技術系の一般職という形で専門職の常勤職員を雇うことは可能である。ただ、その場合はいろいろ人事上の配慮が必要であるという御指摘がございました。
(3)に移りますが、「非常勤職員制度の中で、専門性や経験を適切に評価し、待遇に反映する仕組みが必要ではないか」。これについては、専門性を評価して、相談員についてだけ単価を増やすという自治体も増えているという御指摘がありました。
それから、非常勤ということでひとくくりにするのではなく、その業務内容を細分化して、難易度の高い仕事は評価を高くする、そういう工夫もできるのではないか。そうすれば処遇改善はある程度は予算措置だけでも可能だ、そういう御指摘もございました。また、はっきりした資格が必要である。国家資格として資格のある人が相談業務を担当すべきという御意見もございました。
(4)でございますけれども、「相談員の事務のうち、PIO-NETへの相談情報の入力などにより国の情報収集に協力している事務について国が人件費支援を行うことをどう考えるか」ということでございます。最初のポツにありますように、非常に膨大な業務であるという御指摘。2つ目のポツにありますように、これは被害情報を国が集約して活用する意義があるため、国の事務の性質を持つ。その意味で、3つ目のポツにありますように、一定割合を負担する。そのために地方財政法10条にそのような経費を規定したらどうかという御意見もございました。
他方、第一次分権改革で国の事務、自治体の事務を切り分けた経緯に照らして考えると、相談員の事務というのは自治体の事務として位置づけられているので、それを国の事務と言うのはどうかという御意見もありました。
それから議論の立て方として、メルクマールに合致すれば、自治事務だけれども、国は義務づけることができる。その中で財政的な支援というのが結びつき得るということですので、そういう議論の立て方をした方がよいのではないかという御指摘がありました。
更に、入力事務というものが自治体の事務の中で必ずしもしっかりとした位置づけが与えられていない。その点をしっかり自治体として整理する必要があるのではないかという御意見もございました。
4ポツでございますが、「地方の消費者行政の充実・強化のための情報の収集・分析及び情報提供の在り方について」ということで、(1)に挙げていますのは、情報共有をもっと双方向で進めるべきではないかということで、地方からいろいろな相談に関する情報を国の方に集めているわけですけれども、国からも地方に対してさまざまな情報を流していく。そういう双方向性が重要ではないかという議論が行われました。
次のページに移りまして、(2)でございます。「PIO-NETの活用範囲が拡大しているが、これに応じて設置の基準についても見直していく必要がないか」という論点であります。PIO-NETの役割は当初の相談処理の支援から、法執行への活用、消費者行政の企画・立案へ拡大しているわけですが、これを承認して、更に促進してよいのではないかという方向での御議論もありましたが、その一方で、PIO-NETの設置は、入力等の負担に対する支援ということで、入力と切り離すことができないという御議論もございました。
また、今は週4日以上ということで基準が定められておりますので、週3日以内の開設の窓口では配備されていない。そういったところの相談件数が反映されていないという問題があるという御指摘がありましたが、その一方で、基準を満たしているはずの4日以上開設の窓口で未設置のところがある、これは人的体制がないためそういうことになっているので、人的体制のバックアップが必要だという御指摘がございました。
5ポツに移りまして、「地方における商品テストのあり方、人材の確保について」というところでございます。まず(1)で、施設、人材面で制約のある地方において、みずから商品テストを行う意義はどういうところに求められるのかということに関しましては、苦情テストが大事であるという御議論もありましたし、それから、簡易なテストでいいけれども、消費者啓発を重視すべきだという御意見もありました。
(2)に移りまして、そういういろいろな制約を考えますと、地方公共団体内部の資源の共同活用を地方公共団体間の協力を進める必要がある。その点に関して、一つには、都道府県でかなり体制が縮小している中で復活させることは難しいということで、ブロックごとに新たな拠点をつくるべきという御意見がありました。他方で、むしろ今ある機関を活用しつつ、地方公共団体間の協力を進める方向で考えるべき。そのために、いろいろな機器の配置状況をデータベース化して総合利用を進めていったらどうかという御意見もございました。
また、最後にありますように、工業試験場、食品加工研究所ですとか、都道府県が持つ他の機関との連携をスムーズに行えば、同じ県の中でも対応できるのではないか、そういった御意見もございました。
以上が資料1-1で、第1回から第6回までの議論の概要でございます。
資料1-2に移っていただきまして、「第7回地方消費者行政専門調査会における主な論点」で、第7回は第6回までの御議論を再度見直してもう一度御議論いただいたということでありますが、冒頭、稲継座長から簡単な御説明がございましたように、主に2つのことについての御議論が行われました。
1つ目は「相談窓口の設置を市町村に義務づけることについて」ということで、こういう御提案が文書であったわけですけれども、それにつきましては、まず、分権改革の流れとの関係で、形式的に窓口が整備されても、本当に必要な相談体制の整備になっているかどうか。実態に応じた対応が重要であって、法令に基づいた仕組みをつくればそれでよいということにはならないだろうという御意見がありました。
また、これまでの分権改革の流れの中で、義務づけとか、枠づけとか、そういう見直しの方向性がありますので、ハードな義務づけ、あるいはその度合いを強めていくのはかなり難しい面があるのではないかという御指摘がありました。
消費者行政についてはほかの行政分野と異なって、これまで余り中央の統制はなかった。これから何らかの義務づけをつくり上げていかなければいけないという議論は、やや極端ではないかという御指摘がありました。
他方、これは国が率先して画一化を図ろうという問題ではない。現状でも相談窓口のないところが400もある。全国のレベルを上げていくという意味の均質化ととらえれば、決して否定的にとらえるべきものではない。また、市町村に相談窓口があれば、実態に応じた多様な対応が可能であるという御意見がございました。
また、消費者行政というのは、他の分野と比べて、いわば周回遅れの行政であって、最低限の嵩上げを行う必要があるという御意見もございました。
(2)でございますが、国の財政負担につきましては、最低限の基盤づくりは国が一定の方向づけをして財政措置をする必要がある。
2つ目に、越境型の苦情相談があるということで、当該地域の住民からの苦情を受けても、苦情の相手方の事業者はその地域の外にある。そういう越境型の苦情は国が応分の負担をすべきである、そういう議論もございました。
その下の方にございますけれども、仮に法令に基づいた事務として位置づけたとしても、必ずしも十分な財源が国から来るわけではないという御指摘もありました。
仮に地方財政法第10条で、国の利害にかかわるものとして国が負担すべきものとして位置づけたとしても、その場合には、地方消費者行政の事務が何なのかというところをしっかり考える必要があるし、現状を考えると、なかなかそういう位置づけは難しいのではないかという御指摘がございました。
(3)は実態、ニーズについてということですけれども、そもそもどれだけ消費者行政に対してニーズがあるのか、そういうものを再度調べる必要があるのではないか。その際、消費生活センターが新しく設置されてどの程度役に立っているのか。市民の評価が高いのか。その辺の実態を報告してほしいという御要望もございました。
2つ目の論点でございますが、PIO-NET入力経費を国が負担することにつきましては、ほとんどこれは国のための仕事になっている。国がもう少し経費面で負担すべきではないかという御意見がございました。
3つ目のマルはそれについての若干理屈づけでございますけれども、こういう仕事は全国的な仕組みとして画一的にやる可能性があるのではないか。画一的なネットワークとして情報を集める。それを地方にやってもらう。それを国が負担する、そういう考え方はあり得るのではないかという御議論がございました。
ただ、そうは言っても分権改革の流れの中で、運営経費とか人件費は一般財源化していくのが今の流れになっている。あるいは、PIO-NET入力のところだけ違う事務に位置づけて、そこに国がいろいろ指示をしてくることになると、その事務に手が取られるという問題もあるのではないかという御指摘もございました。
また、別の角度からの御指摘ですけれども、入力事務について、ロー・コスト・オペレーション、技術的に手間をかけない対応が考えられるのではないか、そういう御指摘がございました。
以上が過去7回の専門調査会の議論の概要でございます。
最後でございますが、資料1-4が今後のスケジュールでございます。これまで7回の議論を積み重ねてまいりましたけれども、第8回が11月に開かれまして、第9回が12月、その後、1月から3月にかけて報告書のとりまとめに向けた議論が行われる予定となっております。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの中間的な論点整理につきまして、どうぞ、御意見、御質問がありましたらお出しください。

○山口委員 ありがとうございます。私も担当の委員として毎回出席させていただいておりますが、先ほど稲継座長がおっしゃったように、センターの義務づけの可否、PIO-NETの経費負担のあり方等につきまして、現場の担当者あるいはそれに詳しい人、それから、地方消費者行政ではなく地方自治の権限強化の観点から、専門家の学者の先生方の御意見とがかなり対立している感じがございまして、これをどう収れんさせていくか、非常に心配しております。勿論、学者の先生方も、地方消費者行政がそれなりの合理性を持って強化されていくことについて異論はないわけでして、それを今の予算やその他の制限がある中で、どう充実させていく理屈なり理論立てができるかというところに御苦心されているように伺っています。
是非、両論併記という形ではなく、去年の9月にスタートした段階から消費者委員会に附則として付託されているものは、国が地方消費者行政に支援することは前提として、どういう形で支援したらいいのか。その理論づけをどうするのか。その辺をきちんと議論して、委員会の方でまとめて出して、具体化する手立ての一つの基礎づけをしてほしいという趣旨に附則はなっていると思います。そういう観点から、稲継先生、大変だと思いますが、両論併記にとどまらない、両方の意見が上手にマッチして地方消費者行政の強化につながるような答申を是非お願いしたいと思います。また、私どもも、是非その点についてお手伝いさせていただければと思います。
先ほど話が出ていました地方分権改革推進委員会の答申でも、確かに自治体の自主性に委ねていくということも出ていますが、他方で、PIO-NET等の地方の情報と国の情報とを交流するといいますか、一元化していくための体制の構築については、なすべきこととして前提になっています。それから、消費者安全法の8条2項には、市町村が住民の相談を受け、相談を受けてあっせんをし、あるいは被害情報等について情報を提供することは、やるべきこととして義務づけされております。その辺を前提にすればおのずから方向が出てくるかと思いますので、是非よろしくお願いします。
先ほど、7回目の質疑のところで報告がございました。これは、座長に聞くというよりも事務局に聞くべきことかもしれませんが、必要性あるいは立法事実を具体的に裏づけていくためには、消費者行政の充実のための基金を使って、現実に消費生活センターの新しい設置あるいは充実等の施策が各自治体でなされているわけですが、その評価がどうなのか。現実に各自治体でどのような評価をしているのか、あるいは住民がどういうふうにそれを受けとめているのか。是非その辺の実態を調査して報告に生かすべきだと思うのですが、今、どういう作業工程になっているのか、その辺も話していただければと思います。

○齋藤審議官 実態調査のところにつきまして、事務局からお答えしたいと思います。
地方の消費者行政に関する実態調査ということでは、昨年の秋に実施いたしまして、昨年の末、それから今年の初めに御報告したものがございます。今、山口委員がおっしゃいましたように、基金が実施に移されて1年半くらいになりますので、その効果もだんだん見える状態になってきているのではないかと思います。基金を使って新しい窓口をつくる、新しいセンターをつくる、あるいは相談員を増やす、窓口の開設時間を増やすといった形で体制の充実・強化を図ったところも出てきております。
強化を図ったことの効果が、例えば相談の件数が増えているのか、あるいは相談の内容がレベルアップした、より消費者にとって好ましい方向に変わった、処理の内容がよくなった、あるいは地方の消費者行政全般に何らかのプラスの効果があらわれているとか、どういうふうに効果があらわれているかということを何らかの形で調べる必要があるだろうと考えております。まだ具体的にこうだというところまでは申せる段階にはございませんけれども、何らかそういうことがわかるような調査を検討していきたいと考えております。

○山口委員 是非お願いします。

○松本委員長 ほかに御意見はございますか。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 私も担当委員ですけれども、出席が悪くて大変申し訳ございません。地方消費者行政というのは大変広範囲な問題であって、いろいろな側面を含めて、簡単にまとめられる問題ではないと思います。それをよく7回でここまで議論されたことに敬意を表します。
私は、資料1-1の1番目の文章がやはり根本を突いているのではないかと思っています。行政というのは、住民なり国民の幸福を願ってやるものが根本、基本であると思うのです。今、地方分権の流れに沿って、住民に近いところの行政のあり方が日本の置かれている環境からして非常に大事なところに来ているのではないか。この消費者庁が発足した、あるいは消費者委員会が出てきて、それを応援できる環境になったのではないかと思うのです。
ですから、一番大事なところは、地方の行政を担っている県であろうと市町村であろうと、そこの認識が変わってこないことには、どういう仕組みなりどういう義務づけをしようと、どういうお金を回そうと、それが生きたものにはなってこないというのが大前提だろうと思います。ただ、それを意識するために義務づけとか、お金を回すということも勿論必要な手段ではあると思います。ですから、手段を否定するものではないですけれども、せっかく地方消費者行政専門調査会あるいは消費者委員会として方向性を出していくならば、消費者庁発足、消費者委員会発足の目的といいますか、理念的なものがもっと地方消費者行政の部分でもきちんと出されないと、国か地方かという議論になると思うのです。
私は、両方責任があると思いますけれども、それは、モノ、コトによるのと、時間軸によって担当が違うだろうと思うのです。国全体としてのナショナルミニマムをつくる仕組みというのは、当然、国が戦略的に考えていかなければいけない方向性ではあると思いますけれども、ナショナルミニマムに基づいて地方の住民に対して地方自治体が出していくというのは、本来地方の行政の大責任である部分です。国か地方かという二者一元ではなく、やはりその辺が、住民がどういう政治家を選ぶか、どういう行政を望むかという大事なところだろうと思いますから、この資料1-1の1番目のところを、論点をまとめられていくときも、きちんともう一度ご確認いただくよう是非お願いしたいというのが私の意見であり希望であります。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明、ありがとうございました。今回、私も何回か出席させていただいたのですが、学者の先生方、現場の者、消費者の方ということで、意見が平行線で行っているものもかなり見られました。そこに参加していてもよくわかりませんものですから、報告書を出されるときに、できれば、先ほど山口委員もおっしゃられましたけれども、両論併記ではなく、何か形のあるものをつくっていただきたい。あるいは、たたき台のようなものをお示しいただくという方法もあるのではないかというふうに思っております。
先日、地方消費者行政を考える実行委員会というものを立ち上げて、シンポジウムが開かれたところでありまして、その中で東北大学大学院で研究された広域連合についてお話がありました。そういうことも含めて、何かたたき台のようなものもお示しいただければと思います。また、広域連合とかいろいろな形においては、例えば地域における連携。委託方式とか、単に自治体がお金を出し合ってやっているというのもありますので、その辺のところをきちんと精査した上で何かおつくりいただければいいのではないかと思っております。
そのためには何をしなくてはいけないかという、時間的なものもあるかと思いますけれども、是非そこにわかりやすい形で、そして、相談員が私の後ろにいっぱいおります。相談員が毎日相談を受けておりまして、地域住民の消費者の皆様からいただくお声をどのように消費者行政に反映していくか。単に一件落着でその方の御相談を終わらせるということではなく、それが国の政策にも反映されるということを御理解いただければと思っております。なかなかその辺が難しいように感じております。是非そういうことも含めてこの報告書を、たたき台を含めて何かお考えいただければいいのではないかというふうに思っております。相談員からは、何を言っていらっしゃるかわからないという意見が非常に多いものですから、是非そこのところをお願いしたいと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 消費者委員会でこれからやらなければならないミッションというのははっきりしていまして、設置法の附則の第4項では政府のやることとして、「地方公共団体の消費者政策の実施に対して国が行う支援の在り方について検討を加え、必要な措置を講ずる」と。国が自治体を支援するあり方について、支援ということがはっきり出ているのでその方向でやらなければいけない。しかも、その締め切りが決まっておりまして、消費者基本計画の122項目目では「平成22年度中に結論を得ます」ということになっているわけです。その122項の計画を見ますと、「地方消費者行政、消費生活相談体制の実態調査や消費者委員会における審議を踏まえて全般的に検討を行う」ということなのです。
私はそちらの専門調査会を前回傍聴させていただいておりまして、委員によっては、「地方によってセンターとか相談窓口の必要性のニーズが果たしてどこまであるか」という発言をなさっている方がおり、少しびっくりしたのですが、今、日本で起こっている消費者問題というのは、詐欺的商法、訪問販売、ほとんどすべてが全国区で発生しているわけです。製品の事故もそうですけれども、そういう中で、地方によって被害がないところとか、あるところとか、そういう区別はほとんどありません。そういう実態をあまり御存じないのかなと思います。消費者基本計画では、実態調査を踏まえなければいけないということになっているのですが、もう少し実態調査をした上で、委員の皆さんが共通認識を持った上で国の支援のあり方をきちっとまとめていく。そうすれば、おのずから両論併記などということはあり得なくて一つにまとまるだろうと思っています。
消費者委員会で昨年の暮れでしたか、地方消費者行政の実態調査をやっていまして、公表もしていますけれども、あれからまた1年近く経っているわけですから、特に私が希望したいのは、3年間の活性化基金で二百数十億円用意されました。既に1年半ほど過ぎています。これの効果がどう出ているか、これを是非調べてもらいたいのです。私どもは相談員に講演に行ったり、いろいろお会いする機会があります。「あの基金が来てよかった」と言っているところが結構あるわけです。今まで地方消費者行政がいかに疲弊していたか。それが活性化基金でやっと人並みに育ちつつある。分権論も確かにありますけれども、分権がいけないというわけではないけれども、分権も、そもそも各自治体が同等にそこそこの力をつけた上での分権だと思うのです。部分的に、消費者行政が非常にやせ細って10年前の予算の2分の1になっている現状のまま分権で放り出していいものか。そういうところも考えていただかなければいけないと思います。
政府が消費者庁・消費者委員会を決めてスタートさせて、地方の充実ということをやったのは、その疲弊した消費者行政をとりあえずこの3年間はしっかり充実させましょうと。人並みに太らせてというか、そういう状態にした上で、さて次にどうしましょうかというのを考えましょうということになっているので、現状のままでいいんだ、分権で放り出していいんだということではなかったはずです。政府の方針をちゃんと踏まえて、消費者委員会挙げて、地方の活性化基金が1年半使われた今日の状況をきちっと実態調査をした上で、そういうものを踏まえて、是非御意見を一本にまとめていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私も担当委員としてずっと参加させていただきました。本当に御苦労されているというのはよくわかっています。私は最終的には消費者行政は地方自治だと思っています。ただ、その最終がどこかというのがまだまだ先の話で、今、中村委員もおっしゃったように、10年間で半分になってしまった予算を何とか取り戻そうというときに、3年間の基金で私はできるはずがないと思っています。この3年間で消費者行政を何とかするというのは無理だと。そこを何とか支援をする方法を考えていただきたいと思っているわけです。それで、今、委員の皆さんがおっしゃったことを繰り返すことになりますが、何とか方向性を出していただきたい。
それから、もう一つ申し上げたいのは、今まで、相談体制とか相談員の待遇などが中心でしたけれども、今度の8回、9回は、地方自治による執行とか、消費者の声をいかに反映させるかがテーマになります。ここも非常に重要なところであって、消費者教育とか、消費者がいかに声を出せるようになるか、その声をいかに政策に反映させるかというところをきちんと検討していただきたいと思っています。
よく言われているのが、立派な消費者庁・消費者委員会ができただけでは何の役にも立たない。地方の活性化がないと消費者行政はうまくいかない、何の役にも立たない。その活性をいかにするか。この調査会は非常に大きなポイントを握っているので、是非その辺りもじっくり前向きにやっていただきたいと思います。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
多くの委員からの共通の意見としては、理念的な対立をそのまま残した両論併記ではだめだというところがあったと思います。両論併記で最終的に政治判断に委ねるというのも一つの戦略としてあるかもしれないですけれども、今の政治は、恐らくそういうことを委ねると一切何も動かない方向に決断する可能性が大きいと思います。専門調査会、委員会として、適切な方向での一つのまとまった意見として出して、政治に実現を働きかけるという戦略をとらないと現状をなかなか打破できないと思います。その辺は専門調査会の委員の皆様の知恵の出しどころだと思いますので、今後、あと回数は少ないですけれども、審議を進めていっていただきたいと思います。また、それをサポートするための地方消費者行政のこの間の変化のデータ収集についても、事務局を中心に積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。
稲継座長におかれましては、引き続き、専門調査会における審議のほどをどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

≪3.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○松本委員長 続きまして、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」でございます。消費者委員会では消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、先月開催いたしました第37回の委員会より、重点施策の実施状況と今後の工程等につきまして各省ヒアリングを行っております。
本日はその第2回目といたしまして、資料2-1にありますように、高齢化社会における消費者問題への対応に関する施策である、58番、106番の施策、及びリフォーム工事に係る悪質事案への対応に関連する施策である、55番、56番、117番の施策について、それぞれ関係省庁等においでいただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。
なお、資料2-2にありますように、それぞれの施策ごとに委員会でお伺いしたい内容をヒアリング項目としてまとめまして、あらかじめ各省庁にお伝えしておりますので、こちらも含めて御説明をいただきたいと思います。
まず初めに58番の施策について、厚生労働省より御説明をお願いいたします。

○厚生労働省水津高齢者支援課長 厚生労働省老健局高齢者支援課、水津でございます。
最初に、有料老人ホーム並びに高専賃、高齢者住宅関係について御説明をさせていただきます。
資料の1ページですが、入居一時金につきまして、入居一時金を徴収している施設の割合をごらんいただきますと、このグラフで言いますと、一番下の青の部分、こちらが入居一時金なしということでございます。現状で見まして、4分の1ぐらいが入居一時金なし、逆に入居一時金を徴収しているものは残りの4分の3ぐらいということでございます。
金額的なものですけれども、金額の分布は帯グラフに示すとおりでございます。折れ線グラフの方が平均でございまして、18~19年度に開設されたホームの数字については、上の表にございますが、400万円弱。391万円が直近の時点での入居一時金の金額でございます。
2ページに移っていただきまして、こちらは、東京都の消費生活センターに寄せられました有料老人ホームに関する苦情の状況を、順番をつけて整理をしたものでございます。16~19年度の4年間ですけれども、1番、2番はいずれも、解約ないしは返金ということで、一時金に関する苦情が一番多いという状況になっております。
そのほかでございますけれども、例えば18年度、19年度、割と近いところを見てみますと、説明不足。これは恐らく事業者の方からの説明が不足しているということでしょうが、こういったものですとか、あるいは契約ないしは契約書・書面。契約にまつわる手続ないしはその中身の明瞭性、そういったものが比較的上位に来ているという状況でございます。
3ページでございますが、これは現在の老人福祉法に基づく一時金についてのルールでございます。一番上にございますように、算定根拠の明示、保全措置。これは500万円までですけれども、これについては法律上の義務として定められているということでございます。以下、その内容が2つ目以降に書いてございます。
4ページ、5ページは、ただいま申し上げました一時金の算定の基礎の明示、あるいはその保全措置についての関係条文ないしは関係通知、告示を抜粋したものですので、説明は省略させていただきます。
そのほか、償却内容、返還金の算定方法などについては法律上のルールはございません。6ページ以降、有料老人ホームの設置運営標準指導指針、通常、指導指針とかガイドラインと言っていますけれども、厚生労働省の局長から公共団体知事宛ての通知でございます。通知の性格は地方自治法による技術的な助言、アドバイスということでございます。その中でアンダーラインを引いてあるところは、ガイドラインとして定められている項目があるということでございます。
6ページで申し上げますと、(3)のキにありますように、償却年数は平均余命を勘案し定めること。次のページに移っていただきますと、上のアのところ、一時金の算定根拠を書面で明示すること。イのところは、返還金の算定方式を明らかにしておくこと。それから、いわゆる90日ルールでございますけれども、エとして、契約締結日から概ね90日以内、この契約解除につきましては返還をすること。ただし書きとして、実費、実際にかかった金額についての受領は差し支えないことは書いてあるということでございます。
8ページに移っていただきますと、ある程度重複するところはございますけれども、(2)の契約内容のアのところ、返還金の算定方法、その支払時期などがきちんと明示されていることがガイドラインに定められております。
10ページでございます。厚生労働省の方で、毎年1回、大きな補正予算などが組まれると年2回ということもありますが、大体年1回、年度末に、全国の都道府県・政令市の介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議というものを実施しております。これは平成20年の会議の際の抜粋ですけれども、今、申し上げましたガイドラインに書かれている内容につきまして、その会議の中でも周知をしているということでございます。これもアンダーラインを引いてあるとおりでございますが、個々の入居者について確実に保全される内容となっているか、実際の運用段階においてその実効性が確保されているか、こういうことを適切に事業者に対して指導をしていただきたいということ。
それから、保全義務の対象となったホーム、法律の施行前のホームもあるのですけれども、これについても、保全については努力義務でございますので、保全措置が講じられるように改めて設置者に働きかけていただきたい。こういう周知というか、お願いというか、そういうものを、地道ですけれども、やっているということでございます。
それから、東京新聞ですか、ちょっと記事があって、その記事についての説明というのは難しいところはありますが、高齢者の住宅、有料老人ホームにつきまして、法制度改正を次期通常国会で予定しております。その内容につきましては、ちょうど昨日、民主党の介護保険の制度改革のワーキングチームで説明した資料がございますので、それを中心として簡単にポイントだけ御説明させていただきます。
11ページをごらんいただきますと、総理指示とございますが、現総理でございます。8月に神戸でシルバーハウジングを視察した際に、大きな背景として、これからの時代は単身あるいは夫婦だけの高齢者の世帯が増える。そういう中で介護保険を中心として、そういう単身あるいは夫婦だけの高齢者を支える新しいサービスを提供していかなければいけない、こういう御指示をいただいております。
下の方に「新型サービス3本柱」ということで、1つは、これは介護保険のサービスの方ですけれども、24時間必要に応じて高齢者のもとを巡回して介護をする、あるいは緊急の場合には随時訪問をする。こういうサービスを提供するということ。2つ目として、高齢者向け住宅(見守り付き高齢者住宅)を整備するということ。それから認知症支援。
こういう内容が特に新型サービス3本柱として大事なので、検討するようにという御指示をいただいております。
現在、どういう検討をしているかということですが、その資料が若干遅れましたので、お手元に綴じてある資料の後ろにこういった一枚紙があるかと思います。こちらは、今の「高齢者住まい法」に則してどういう改正をするかということを、現時点で検討しているものですけれども、書いてございます。
いわゆる高専賃のほか、高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅)とか高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)とありますけれども、借家権に基づく住宅と、老人福祉法による有料老人ホームにつきまして、新制度として高齢者住まい法の改正できちんと位置づけていこうということでございます。
基本的には、医療・介護・住宅が連携した安心できる住まい、当然、バリアフリーということになりますけれども、こういうサービスと、箱モノといいますか、住まい、こちらをきちんと連携したものの供給を促進していく、これが目的でございます。特別養護老人ホームなど施設に比べてこういった高齢者向け住宅のストックが少ないのが我が国の現状ですから、その供給の改善を図る、このための制度改正という位置づけでございます。
そのための手法として、新たに都道府県知事への登録制度、これは任意ですが、サービス付き高齢者住宅制度というものを創設したいと考えております。
登録でございますので、登録の基準を例として現時点のイメージを書いてあります。ハードに関する基準として、例えば原則25平米以上であること、トイレ、洗面設備は必置であるとか、バリアフリー、加齢対応がなされているということ。
サービスに関する基準は、勿論、高齢者の生活をサポートするサービスを提供するということです。これは種々多様なサービスがありますけれども、特に安否確認、生活相談、いわゆる「見守り」と略称しておりますけれども、これは必ずつけてください、つけなければ登録はできませんということにしたいと思っております。
登録事業者の義務は、先ほど有料老人ホームのところでも幾つか御説明させていただきましたけれども、入居契約に係る措置として登録事項の情報開示とか、いわゆる重要事項説明をするということ。
賃貸借方式は、居住の安定性が当然強く担保されているわけですけれども、利用権方式、有料老人ホームに一般的に見られる場合には、居住の安定が図られるような契約内容であること。例えば、ある程度の期間入院するともう戻れないとか、そういうことはないように契約上きちんと措置されているということ。あとは返還ルール、保全措置というようなことでございます。これは登録事業者の義務ということで、最大限のチャレンジをしたいと思っておりますが、閣議決定を経て出す法案でございますので、内閣法制局の審査なりでどこまで行けるか。これから頑張りたいと思っていますが、最大限こういうチャレンジをしているということでございます。
それから、行政による指導監督がございます。報告徴収・立入検査・改善命令等。国の役所としては厚生労働省と国土交通省でございますけれども、実際には都道府県がこの法律の執行に当たりますので、福祉・住宅部局がきちんと連携をすることが大事であるということでございます。
いずれにしても、現在、老人福祉法によって法律上に位置づけられている有料老人ホームと、高齢者住まい法で法律上の位置づけが法律そのものにはない高齢者の専用賃貸住宅、こちらを合わせて、法律上、きちんと位置づけるということでございます。両方を法律に位置づけるということで、借家権に基づく住宅、それから有料老人ホームでも、ここにありますような基準を満たすものについては、極力共通のルールで必要な指導監督ができるようにしていきたい。その際には行政も連携してやっていきたいということでございます。
お戻りいただきまして、資料の12ページでございます。今、申し上げたような法律でございますけれども、特に厚生労働省の目から見てということかもしれませんが、住宅とサービスがきちんと連携して提供されることが大事かと思っております。介護保険法改正の中で、先ほど申し上げた総理の指示事項の1番目の話をきちんとやること。その結果、ハードであれ住宅とソフトであれサービスが、きちんとうまく組み合わされて広く普及することによりまして、たとえ中重度の要介護になっても施設への入所を希望しなければ、住み慣れた地域、住み慣れた住宅で安心して暮らすことができる、そういうことを目指していきたいというふうに考えております。
13ページは、それを絵でイメージとして書いたものでございます。
14ページは介護保険のサービスですけれども、24時間対応の定期巡回随時対応サービスということで、右の参考にありますように、今、有識者あるいは事業者の方で御検討いただくとともに、特別枠、政策コンテストになりますけれども、予算要求をしているところです。そういう途中状況ではありますけれども、イメージとしては左の絵にあるようなことをやりたいと思っております。
一人ひとりの高齢者のリズムに合わせて排泄、食事、その他、必要な身体的介護を24時間、必要なときに行けるように短時間で巡回するサービス、これが基本ですけれども、それと合わせて、24時間高齢者の方からの連絡コールに対応できるオペレーターを置く。実際モデル事業をやっていると、電話でお話しするだけで済む場合も多いようですが、介護なり医療が必要な場合には、訪問看護ステーション、訪問ヘルパーに指示・連絡をして高齢者のお宅にお邪魔をする。こういう必要に応じた随時対応を組み合わせたサービスを介護保険の中で新たに創設をしていきたい、こういうふうに考えております。
有料老人ホームないしは高齢者住宅についての説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問がございましたら、どうぞお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 御説明、どうもありがとうございます。また、新しい法律制度によって、より充実した高齢者施設の体制が整うように是非よろしくお願いいたします。消費者委員会としても、入居一時金の問題、安全の問題等について種々調査をしてまいりましたし、今も調査をしているところですが、幾つかございますので、御説明いただければと思います。
特に入居一時金の問題につきまして、東京都の苦情についてのデータを出していただいておりますが、全国のPIO-NETの情報もございますので、もう1けた多い数字でデータがございますので、是非それも参考にしていただければと思います。
その上で、保全の問題と、90日ルールの問題と、償却のあり方の問題と、3点ございます。
まず、保全です。今、説明をいただいたものの前提として確認ですが、恐らくこれは、平成18年以降に新しく開設した施設について保全義務を講じておられると思います。それ以前にできた施設については努力義務ということになっているかと思いますが、その確認と、一応義務づけされて、実行していないところは罰則まであるようですが、なかなか経営基盤の弱いところもあって必ずしも十分保全されていないところもあると聞きます。これは、これから出てくるリフォームの問題や新規の建物の問題などでも、瑕疵担保保険などがあります。一定の予算措置も必要になるかもしれませんが、例えば保険制度を使う等で保全を実現する手立てを講じる必要があるのではないかと思うのです。その辺は一定の措置を講じられるようには見えますが、どういうふうになっているのか。その程度の予算だと大した予算ではないのではないかと思いますが、その辺、どうなのかをひとつ教えていただければと思います。
2番目が90日ルールの問題です。7ページにありますが、これがなぜ、法律化ではなくてこのような形の指針として出されるにとどまっているのか。その経過も教えていただきたいのですが、今、トラブルで出てきておりますのは、契約から90日以内に解除する場合には全額返せとなっているのですが、例外的に原状回復費用を取られるとか、あるいは、さまざまな名目でマイナスする要素がある。しかも、例えば解約通知は60日以上前にしてくださいとか、30日以上前にしてくださいということで、実質この90日が大幅に形骸化している施設もあるように聞いておりまして、施設側の裁量の幅が大き過ぎないか。そういう点が問題として私どもの方にも苦情相談で出てきておりますので、その点はどういうふうに実態を把握して対応されるのか。
それから、償却の問題です。これは下谷内さんから指摘していただいた方がいいのかもしれませんが、全国消費生活相談員協会でまとめたデータがございます。それを見ますと、初期償却率のデータで、15%以下という施設は4割ちょっとですが、半分ぐらいが15%以上の償却を初期償却として取っているわけです。500万円の15%だったら大したことはないという評価もあるかもしれませんが、1,000万円を超えるところで、半年ぐらいで出る場合に、初期償却で15%、20%償却されてしまうのはちょっと気の毒かなという気もするのですが、その辺の基準がどうもあいまいで、施設のいいようになっている。
6ページには、償却年数につきまして、平均余命を勘案して決められていることという一応指針がございます。「勘案」というのが余りにも漠としておりますが、どうもデータを見てみますと、5年ぐらいの償却が一番多いようです。短いのは2年という施設もございますし、12年とか、あるいは入所者の年齢によって区分けしている施設もあります。これだけ高齢化社会になって80、90歳まで生きているのが当たり前というところで、70歳ぐらいで施設に入った人が、2年、3年あるいは5年で償却が当たり前というのは、いいのかなという感じがしております。
これは勿論、ガイドラインか何かで決めるのが精いっぱいだと思うのですが、償却が終わるといじめられているという話もあります。これはうがち過ぎの考え方かもしれませんが、施設にとっては、償却期間が過ぎた後の高齢者が長く生活しているというのはやはり費用負担になっているわけで、この辺はどういうふうに考えたらいいのか。非常に難しい問題ですが、その辺についてどういうふうに実態を把握してやっておられるのか、是非教えていただければと思います。消費者委員会としても、入居一時金の実態については一覧表をいただきましたけれども、保全の実情、90日ルールの実情、償却基準の実情、初期償却の実情等、実情についてきちんと掌握いただいて、来年、通常国会に提出される予定の法律改正の中でも是非生かしていただくようにお願いしたいのです。
次に、新しい法律制度の在り方について若干説明がありましたので、2点だけ伺いたいのですが、1点は、今、るる御質問させていただいた入居一時金の問題は消費者トラブルとしては多いものですから、是非忘れないでくださいと。その辺をどういうふうにこの新しい制度づくりの中でお考えなのか。
もう一つは、一定の要件を充足した施設については、サービス付き高齢者住宅という形でネーミングして差別化して、そこについてきちんとした指導をしていただくということで、これは大変期待できる制度だと思っていますが、この基準を充足しない施設が何割ぐらい出てきて、その処遇についてどうなりそうなのか。その辺、ちょっと心配しています。一定の要件を充足したサービス付き高齢者住宅の充実、あるいは、きめ細かな指導で運用していただくことは重要だと思いますし、是非お願いしたいのですが、そこから漏れた施設についての取扱いがどうなるのか、その点について御説明いただければと思います。
以上です。

○松本委員長 質問事項が大変多いですけれども、申し訳ございませんが、順次お願いいたします。

○厚生労働省水津高齢者支援課長 まず、一時金についてですけれども、これは現在把握している状況のデータをお出ししております。保全のみならず、90日ルールあるいは初期償却の関係ですけれども、我々はまだ内部で検討しているところでございます。来年の通常国会に法案を出すということになれば、当然、法案の審議に耐えられるように、事前の与党、野党の先生方への御説明にも耐えられるようにということで、並行してデータの収集あるいは整理・分析というものは進めております。また、なかなか情報管理が厳しいところがありますので、そういうものが整ってきちんとこういう場でお出しできる機会があれば、勿論、御提示させていただきたいと思っております。
特に保全措置についてどうかということでございますが、現行の保全措置は御案内のとおり、金融機関による保証、あるいは信託、保険、有料老人ホームの場合は有料老人ホーム協会による基金制度の活用等、こういったものが重立ったものとしてありますけれども、実際には協会の基金を使っているのがかなり多いのではないか、あるいは銀行の保証が多いのではないかと思っております。そのほか、保険を使うとか、信託を使うという方法は、どの程度可能なのかというのは、正直言ってまだ十分検討できていないところがあります。事業者のための制度ではないわけですけれども、いずれにしても、住宅に入る方、有料老人ホームに入居される方、こういう方の債権がきちんと保全される仕組みは考えていかなければいけないと思っております。
90日ルールは、先ほど御説明しましたように、今、法律に書けないかということでチャレンジをしているところでございます。書ければ勿論ベストですし、法律には難しいということであっても、御指摘いただいた点を含めて、例えば解約通知をかなり事前に求めるとか、原状回復費用ということでかなりの費用を持たされてしまうとか、そういうことも含めて今よりももう少し明確化できるところは明確化をしていきたい、こんなふうに思っております。
償却については、正直申し上げて、一定の年数、一定の率を一つのルールとして決めるというのは難しいと思っております。ただし、どういう償却をするかというのをきちんと住宅の賃借人、有料老人ホームであれば入居者に、客観性がある形で明示することが大事なのかなと思っております。
今度の高齢者住まい法をつくる目的は、基本的に供給を促進することですけれども、こちらの委員会との関係で申し上げれば、高齢者、入居者、あるいは消費者の方に対する情報開示をわかりやすく明確化していくということですので、特に一時金、その中でも償却につきましてはわかりやすく明確な情報開示、あるいは契約に当たっての説明がなされるように工夫をしていきたい。逆に言えば、そういうものでなければ登録、いわばお墨付きを受けた住宅にはならないようにという形にしたいと思っております。
データについては先ほど御説明したとおりで、今、収集・分析、整理を進めているところでございますので、お示しできるときにお示しをと思っております。
一時金については、新しい法律につきましても、今の老人福祉法の規定より後退することがないように基本的には対応したいと思っております。きちんと対応したいと思います。
特に最後のお尋ねの点、基準を満たさない有料老人ホーム、施設についてどれぐらいあるか、その手立てをどうするかということでございます。実際に基準に当てはめたときにどれくらいかというところまで、まだきちんとシミュレーションしておりませんが、平成18年の老人福祉法の改正で、非常に小さいものまで有料老人ホームの対象に含めましたので、基準を満たさずに老人福祉法の有料老人ホームになるものが非常に多い、そういうふうには思っております。
これらにつきましては一時金を取る場合には、少なくとも現行、あるいは新しく改正をする住まい法とのバランスで、強化できるところがあれば強化した新しい基準にのっとってきちんとやっていただくことになると思います。基本的にほとんどのものについては、一時金を取る取らない以前の問題として、まず、これは義務づけですけれども、法律の義務づけがあっても届け出ないところが相当あるわけですので、届出をきちんとしていただく。その場合に、例えば建築基準法を守っていない、消防法を守っていないということで、火事があると高齢者の方が亡くなってしまう。相当の高齢者が亡くなったりすると大きな記事になって、一時的に新聞なども書き立てますけれども、新聞はそれをずっと書いているわけにはいかないですからしょうがないですが、すぐ忘れられてしまうような感じになってしまうのですが、これは非常に大きな問題です。
それから、高齢者の虐待といったものも折々出ておりまして、届出をきちんとさせることに加えて、高齢者の生命、身体、保護の点から非常に重いものだと思いますので、こういうところをまずきちんとやっていただく。最低限果たすべき義務を果たしていただくところから始めていただかなければいけない有料老人ホームも相当あるのではないか、こんなふうに思っております。
その辺はどういうふうに法制的な手立てをしていくかというのは、高齢者住まい法等の改正ということで、当然、関係する部分の老人福祉法の規定も改正しますので、今のガイドラインの内容の見直しも含めて検討をしていきたいと思っております。
大体お答えしたつもりですけれども、もし漏れがありましたら、すみません。

○松本委員長 確認ですが、有料老人ホームは老人福祉法上、届出義務等がある。他方、高齢者住まい法は、登録制度はあるけれども登録義務ではない。したがって、高齢者を入居させる賃貸住宅を経営するからといってどこかに届け出たりしなければならない義務はない。ただ、高齢者向けの優良な住宅ですよということを言いたい、そして、それなりの税制上の優遇を受けたい場合は登録基準を満たして登録してくださいという仕組みです。サービスを提供する業者から見れば、一方はきちんと基準を満たして届出等をしなければならない。他方は、そうではなくて賃貸住宅の一種にすぎないということですね。

○厚生労働省水津高齢者支援課長 賃貸住宅、それから利用権方式の場合も含めて、一定の基準を満たすものについては高齢者住まい法で規制をする。登録をする際に基準を満たさないといけませんので、その基準は登録の時点で満たしていただくと同時に、当然、登録後も守っていただくことになろうと思います。それから、詳細は検討中ですけれども、仮に高齢者住まい法の規制で足らない部分があれば、有料老人ホームに該当するものは、高齢者住まい法の規制に加えて、例えば虐待の防止とかそういうところで必要があれば、それは老人福祉法の規制を必要に応じて必要な範囲でかけることになろうかと思います。
それから、老人福祉法は届出の義務ですが、届出をしないと営業できないということではなく、極端な言い方をすれば、いわば性悪説に立つようなところがございまして、届出をしてきちんと所在を確認した上で必要な指導・監督をするということでございます。逆に言うと、届出の義務はかかっているのですが、ルールとして、任意の登録よりは、レベルとしては余り高いところはもう義務化しているわけで、極端に高い水準にはできないというところがあるので、先ほど申し上げたように、特に最低限やっていただくことをきちんとやっていただくことが喫緊の課題なのではないか、こんなふうに思っております。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 二人の質問等に御回答いただきまして、ありがとうございました。
簡単なところでございますが、一時金の90日ルールにつきまして、法律の中に盛り込むかどうかを御検討されるということですが、単に法律の中に盛り込まれなくて明確化するということであったならば、それは、私ども消費生活相談員が受ける相談の中では非常に困難であります。ですから、できるだけ処理しやすいように、法律の中にある程度お書きいただくということをしていただければいいのではないかと思います。償却等につきましても、何かそういうものをつくられた方が、実際に対応している者にとっては使いやすいし、また、それが消費者にとっても高齢者にとっても有益なことではないかというふうに思います。
それから、90日ルールにつきましては、私どもの調査では、契約書の中には90何%皆さん書かれておりますが、が、ほとんどの御相談はどのように運用されているかという実態が抜けているということがあります。書面では書いてあるのですが、実際は全くそれが守られていない状況が多く見られます。その辺のところは、今、法案の中に含めまして調査・検討中だということでございますので、是非ていねいな調査をしていただければよろしいのではないかということが一つ。
もう一つお願いしたいのは、そういう御相談があったときの相談窓口が各事業者の中には全くないのです。ですから、それにきちんと対応できる部署、あるいは責任者の方が行っていただくということではないかと思います。
以前、御相談があった事案で、入居してすぐ亡くなられたので、最初、入居一時金を一部お返ししますというお話だったのですが、何回か話し合いをしているうちに、全く知らない方が出てこられまして、その方は一切返却するつもりはないと言われました。御身分はとお聞きしましたら、その初めて出てこられたときにパンフレットに役員の名前が出ておりました。それで、もう話し合いに応じる必要はないということで決裂してしまったのですが、その後、その方の名前はパンフレットから全く消えてしまう。一時的にそういうやり方をされるところもあるかと思います。それがいつもあるということではないと思いますけれども、そういうことがありまして、せっかくの事案の解決が非常に困難になったということがありましたので、そういう対応すべきところをきちんとしていただきたいというふうに感じております。是非そこのところも御検討をお願いしたいと思います。

○山口委員 かなり深刻な問題で重大な問題を一つ聞き忘れていましたけれども、立入調査権限の問題です。有料老人ホームの届出義務がある。先ほどお話が課長からあったように、基準法に違反、消防法違反の施設についてどうするかということもあって、各都道府県で苦慮されているのはいろいろ聞いております。ただ、届出がされていない、有料老人ホームの登録がされていない施設について、都道府県は立入権限がないわけです。そのために、いろいろ問題がありそうだということで県の担当が立ち入って調査をしようとしても、「おまえ、何の資格で来たんだ、入れない」というふうに拒否されるケースがある。恐らくこれは高専賃においても同じような問題が起こると思います。
これは実はひとり住まいのお年寄りの問題も同じことなのです。高齢者がひとりで住んでいて、あるいは夫婦で住んでいて、個人のプライバシーがあるからということで民生委員が立ち入れないという問題がある。かなり根深い問題で、高齢者の安全を守るために、必要がある場合には県なりしかるべき立場の担当者は立入権限があると、包括的に横串的な法律をつくってはどうかと私などは思うのですが、それはとりあえずとしても、登録していない施設で高齢者が居住しているものについてはすべからく立入調査権限があると。これは是非今回の法制化の中に、ちょっと趣旨は違うかもしれないけれども、考えるべきではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。

○厚生労働省水津高齢者支援課長 高齢者が独居で住まわれている住宅も含めてということになると、これは非常に大きな問題で、今、そこまでは御質問があったというふうには考えていないのですが、有料老人ホーム、老人福祉法の関係で申し上げますと、これは公共団体もときどき照会があるのですが、届出の有無にかかわらず有料老人ホームに該当すれば、立入の権限があるというのが現行法の仕組みでございます。公共団体でもときどきそういう質問があるのですが、届出はなくても有料老人ホームに該当すれば公共団体の方に調査立入権限は現行法でもございます。

○松本委員長 よろしいでしょうか。質疑でも出ましたけれども、高齢者の住宅をめぐっては、一つは、高齢者の経済的な利益をどう守るかという観点からの一連の問題があり、他方で、高齢者に必要な生活回りのサービスをどういうふうに供給していくかという観点と、2つあると思います。老人福祉法にせよ、高齢者住まい法にせよ、両方の面が絡んだ制度だということになると思いますので、双方の面における消費者の利益保護という観点から、厚生労働省あるいは国土交通省として施策を進めていっていただきたいと思います。先ほど言われました実態調査等についても、まとまりましたら、是非御報告をお願いしたいと思います。
続きまして、106番の施策について御説明をお願いいたします。

○厚生労働省水津高齢者支援課長 引き続きまして、資料の15ページからでございますが、15ページは、介護保険法にございます地域支援事業の実施について、老健局長からの通知の抜粋を載せております。
「消費者被害の防止」ということで、訪問販売によるリフォーム業者など、こういったものについて未然防止のため、消費生活センター等と定期的な情報交換を行う。また、民生委員、介護支援専門員(ケアマネ)、訪問介護員等による必要な情報提供を行う。こういうことで既に通知をしているところでございます。消費者基本計画に、こういうものを都道府県担当者会議なりできちんと周知をしなさいということになっております。
先ほども有料老人ホームの関係で少し触れましたが、全都道府県・政令市の課長の皆様方がお集まりする会議というのがそう多くはありません。予算が上がって年度末ということが多くなっております。ちなみに昨年度の例で言いますと3月5日になっていますが、必ずこういう機会が1回は年度末にあると思います。恐らく3月になると思いますけれども、そういう機会に改めて、この通知にのっとってきちんと対応していただくように各都道府県には周知、お願いをしていきたいというふうに思っております。
それから、消費者被害の防止ということでいろいろ対策は必要でしょうが、我々が考えている中で関連するものがあるかというお尋ねがありましたので、18ページをごらんいただければと思います。地域包括ケアの中で、介護、医療あるいは住まいと合わせて生活支援もしていかなければいけないと思います。生活支援は、見守り、配食、買い物とかありますけれども、特にマル4の後ろの方をごらんいただきますと、「財産管理などの権利擁護サービス」と。認知症の方などに対してのサービスというものが大事なのかなと思っております。それがすべてではないでしょうけれども、認知症の方の権利擁護サービスを講じていけば、消費者被害の防止ということでも一定の効果は発揮されるのではないかと思っております。
ちなみに、次期介護保険事業計画に向けた介護保険制度の改正について、今、非常に幅広に審議会の方で御議論をいただいております。19ページになりますが、社会保障審議会介護保険部会で御検討をいただいておりまして、その中で認知症の方への支援のあり方に関する論点が幾つか提示されております。医療、介護の観点からの論点も勿論大事でございますけれども、認知症高齢者の方が増えておりますし、今後も増えていく。そういう中で、弁護士、司法書士あるいは社会福祉士といった専門職の必要性はもとよりありますけれども、今後、身上監護に係る成年後見の必要性が高まるのではないか。まだきちんと法律上定義されている概念ではありませんけれども、市民後見人による権利擁護の推進を図っていく必要があるのではないか、こういったことが論点として提示されています。
今月、場合によると来月にずれ込むかもしれませんが、この介護保険部会の意見のとりまとめがなされますので、そういうものも踏まえて、市民後見人の養成をした上で活用することを新しい方策としてできることになれば、一定の範囲で消費者被害の防止にも資することになるのではないかと思っております。
20ページは地域包括支援センターの概要でございます。非常に幅広にやっております。ですから、情報提供等では地域包括支援センターの重要性も一定程度あるのかなというふうに思っております。
こちらからは以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。御質問、御意見、ございますでしょうか。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 どうもありがとうございました。地域包括支援センターは私は非常に重要な位置を占めていると思います。先ほども地方消費者行政の話がありましたけれども、地方消費者行政と包括センターが一体となっていかに地域の高齢者を守っていくかというところは、非常に重要だと思っています。高齢者の消費者被害の中では、契約が一つと、もう一つは安全があります。若い人は転んでもすぐ治るけれども、高齢者が一たん事故に遭ったら、もしかしたらもうそのまま寝たきりになってしまう。そういうような事故をどうやって扱っているのかということを知りたいのですが、事故情報データバンクがありますけれども、そことの連携はどう取れているのか。

○厚生労働省水津高齢者支援課長 すみません、知りません。

○佐野委員 事故情報データバンク、知らないですか。事故情報データバンクというのは、いろいろな事故情報を一元的に集めており、消費者庁が担っているわけですけれども、例えば高齢者の場合ですと、重大な事故が起きた場合は、自治体の方から即連絡しなければならないというような形になっています。事故情報の共有化をしながら、できるだけ事故を未然に防止するという役割を持っています。そこをもし御存じないのだったら、「関係は」と聞いてもしょうがないですけれども、今、すごくまだまだ縦割り行政だなというのがよくわかりました。
地域包括支援センター同士の横のつながり、情報交換はどういう形でできているのか。調べてみましたら、地域によっては、例えば東京の1つの区の中で20幾つある区とか、ほんの4つか5つのセンターしかない区とか、本当にばらばらです。その辺りの横のつながり、情報の共有化、事故の未然防止のためにどうやっているのか、そういう情報などがありましたら是非教えていただきたい。いつか、事故情報を収集するには、フォーマットがないからまだできていないというお話がありましたけれども、その辺りはどういうふうに進んでいるのか、教えていただきたいと思います。

○厚生労働省水津高齢者支援課長 すみません。私のところは住まいとか、特に施設の関係中心で、今のお話は在宅の高齢者の関係なども含めてということだと思いますので、地域包括支援センターの関係でお尋ねがありました点は、担当の方から説明できることは説明させます。
施設の事故につきましては、現在、健康増進事業という予算を使った事業ですけれども、今、お話があったようなフォーマットをつくっているところでございます。年度の予算でございますので、3月にはそれが基本的にまとまるはずでございます。まとまれば、あとはそれを普及していくという段階に移るのかなというふうに思っております。その上で情報が、いきなり一元的になるかどうかはわかりませんけれども、数でも質でも今よりもいい情報が集まるようになれば、それを分析なりした上でどういう対策ができるのか、そういう段階に移れるのかなと思っております。

○厚生労働省高齢者支援課 直接の担当ではございませんが、私、市に出向していたことがございますので、知る限りで御説明させていただきたいと思います。
地域包括支援センターは基本的に市町村がそれぞれの判断で設置することになっております。そういったことから、直営の地域包括支援センターもあれば、すべて委託の包括センターもあるというふうにかなり差があるということでございます。設置してある包括支援センターについては、その設置した市町村において責任を持って情報共有等を図っているということが、私が出向していた市においてもなされているということがございました。
しかしながら、あくまでそれは地域包括支援センターの業務の中で主にしているということがまずございます。その上で全体的な中でということになりますと、市町村を越えた範囲で、都道府県の中で情報共有をどう図っていくかということが、一つの課題になってくるのかなというふうに考えているところでございます。
以上でございます。

○山口委員 手短に一点だけ。20ページに地域包括支援センターについてイメージ図がございますが、是非この左上か右上に消費生活センターを入れていただきたいのですよ。どこに入れるかあれですが、右上にいろいろ並んでいるここに一つだと、ちょっとさびしいという感じもしますが、場合によってはそこでもしょうがない。要するに財産の問題、いわゆる安全の問題、その他、消費生活センターが地元にあって、そことつなげて全体的な面倒を見るという体制をとっていただきたいわけです。
実は15ページの通知を見ると、下から2行目に「消費者センター等」とあります。これはよく間違うのですけれども、法律用語は「消費生活センター」なのです。消費者安全法上は消費生活センターになっておりまして、法律上、県には設置が義務づけられておりますし、今、まさに議論されているところですが、かなりの自治体にも消費生活センターがございますし、情報ネットもございますので、是非そことの連携を意識づけしていただきたい。だから、18ページにもマル4の一番隅に入れておりますが、ここも消費生活センターの情報を生かして生活支援をしていく。その辺のところも意識づけをしていただければと、そこを是非お願いしたいと思います。

○佐野委員 基本計画にはきちんと書かれています。今、山口委員がおっしゃったように、ここには消費生活センターとも書かれているし、「情報提供を行い、消費者被害の防止に取り組みます」と書かれていて、それを「継続的に実施します」とも記載されています。それなのにわからないというのはちょっと納得がいかないので、ここの部分、私は非常に大事なところだと思いますので、力を入れてやっていただきたいと思います。

○松本委員長 よろしいでしょうか。最後の方で、地域包括支援センターの連携先として地方の消費生活センターもきちんと位置づけていただきたい、という意見が大変強くあったと思います。18ページのところに5弁の花びらが書いてあります。生活支援の中に消費生活センターが入る部分もあるとは思いますが、少しはみ出していくような部分、高齢者の権利を守る、安全を守るという部分は少し生活支援をはみ出しますし、介護や医療あるいは予防と重なるところもありますが、少しはみ出すところもあります。できれば、この5弁の花びらを6弁の花びらにするぐらいのイメージで今後の施策を展開していっていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
厚生労働省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして誠にありがとうございました。
続きまして、リフォーム工事に係る悪質事案への対応に関する施策のヒアリングを行いたいと思います。55番、56番、117番の施策につきまして、関連する施策ですので一括して御説明をいただき、質疑を行いたいと思います。
なお、本日は国土交通省と財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターにおいでいただいております。
それでは、御説明をお願いいたします。

○国土交通省住宅生産課住本住宅瑕疵担保対策室長 住宅局の住本でございます。どうぞよろしくお願いします。
では、資料4-1に従いまして、一括して説明をさせていただきたいと思います。
資料4-1、「既存住宅流通・リフォームに係る消費者保護策」でございます。1ページをお開きください。そこに、今、委員長がおっしゃいました、55、56、117について掲示されているものでございます。
2ページをお開きください。「新成長戦略」、本年の6月18日に閣議決定された中に、中古住宅の流通活性化、リフォーム市場の拡大が重点施策として位置づけられております。結論を申し上げますと、現在、リフォーム市場が6兆円、中古住宅市場が約4兆円あるとされています。両方合わせて10兆円でございますが、これを10年間で2倍、20兆円の市場規模に拡大するというものでございます。
そのために、前後して大変恐縮ですけれども、「消費者が安心して適切なリフォームを行える市場環境の整備を図る」。市場拡大のために消費者の方々がリフォームに投資をしていただく、お金を使っていただくためには、今、悪質リフォームなどの問題がございますので、安心して消費者の方々がリフォームを頼める市場環境整備が、市場拡大のためには必要だということでございます。
次のページをお開きください。3ページでございます。ここは国土交通省としての成長戦略です。先ほど申し上げました、中古住宅流通・リフォームの促進のための部分をもう少し細かく書いてございます。倍にするということで、住宅投資の現在GDPに占める割合は約3%弱でございますが、これを10年間で約5%まで増やす。そのための具体的な施策が下に書いてございます。
特に早期の実現を目指すものでございますが、インスペクション、いわゆる建物検査ですけれども、検査が行われる瑕疵保険付きのリフォームや中古住宅購入への支援を行う。具体的には「併せて」と書いてございますように、リフォーム瑕疵保険による保険、または中古住宅の売買瑕疵保険を実現する。更に保険法人によるリフォーム事業者に関する情報提供、具体的にはリフォーム事業者名や瑕疵保険加入実績の開示などを行うということ。更にリフォーム見積もりに係る相談体制の整備、中小工務店のリフォーム技術力向上のための支援ということで、先ほど御指摘がありました、消費者基本計画の工程表に載っている内容が国土交通省の成長戦略の中にも位置づけられているものでございます。
次のページ、4ページをお開きください。住宅リフォームの現状を御説明申し上げます。ポイントに書かせていただきましたが、狭義、いわゆる狭い意味でのリフォーム市場規模は6兆円と我々は推計しておりますが、例えばエクステリア、外構、その他もろもろの広義のリフォームを含めますと、民間シンクタンクの調査では7~8兆円の市場規模が現在でもあるという調査結果が出ています。
ただ、最近年の住宅リフォーム市場の推移をその上に書いてございますように、正直言って伸び悩んでおります。住宅のストックが平成20年で約5,760万戸でございます。それに対して世帯数が約5,000万戸でございますから、御案内のとおり、既に世帯数を上回る住宅ストックになってございます。したがいまして、かなり以前から、ストック活用、リフォームの市場拡大という中でなかなかリフォーム市場が拡大していないという現状がありますが、その原因として、リフォームに対する消費者の不安が一つの大きな要素になっているのではないかと我々は考えております。
なお、御質問事項の一つに触れさせていただきますが、年間何件ぐらいのリフォーム件数があるのかということでございます。総務省の統計調査などから分析いたしますと、年間170万戸の住宅に対してリフォーム工事が行われている。勿論、リフォーム工事についてはいろいろな定義がございますが、いわゆるリフォーム工事とお考えいただければいいと思います。
4ページの下の方でございますが、今まで日本の住宅政策は、簡単に申し上げますと、新しいものをつくっては壊す、もしくは壊してはつくるということでございました。それまで年間100万戸の住宅着工がございましたが、昨年の住宅着工は80万戸を割る事態になりまして、今後の人口減少、高齢化の時代を見ますと、再度100万戸に届くことはまずないだろうということは皆様も御推測されているとおりでございます。
次々にストックが古くなっていく中で、当然、リフォーム市場は拡大していくだろうと。国際比較の図が4ページの下に書いてございますが、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカなどもこのぐらいの割合を持っていると推計しておりますが、日本の場合は27%、まだまだ低いということで、この潜在的に眠っているリフォーム市場を拡大させていく。そのためには消費者支援をしないと、本格的なリフォーム市場の拡大はないだろうと考えているものでございます。
次のページをお開きください。5ページでございます。そういった中で、今回、我々が施策として行おうとしておりますのが、リフォーム瑕疵保険、リフォームの無料の見積もり相談制度、そして、弁護士会に行っていただいております対面のリフォーム専門家相談制度、この3つでございます。まず、5ページで現在のリフォーム相談の状況について御説明申し上げます。
ここに「住まいるダイヤル」と書いてございます。これは正式には財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターという、住宅品質確保促進法に基づいて住宅に関する相談や苦情の処理を行う機関として指定されている法人でございますが、余りにも名前が長くてなかなかPRが行き届かないということで、今年度から「「住まいるダイヤル」という愛称を使いPRしているものでございます。「住まいるダイヤル」では、従来から無料でさまざまな住宅に関する相談を受け付けてまいりました。そのデータが下にございますが、特に2009年をごらんいただきますと、非常に件数が増大しております。
要因が2つございまして、1つは、実は昨年、住宅瑕疵担保履行法、いわゆる新築住宅に関しまして、姉歯事件の教訓を受け強制保険または供託という義務づけがされたものですので、その瑕疵担保履行法に関する問い合わせ。そして、今年の1月から始まった住宅エコポイントの相談もございますので、一気に増えてございます。それを差し引いたとしても、リフォームの関連相談は5,755件となっていますが、そういったほかの要素、住宅版エコポイントの相談なども除いて、純粋なリフォーム相談の件数だけでも3,252件。ここに書いてございませんが、昨年、3,252件ということで、2005年、これは悪質リフォームが非常に跋扈したといいますか、問題になった時期に匹敵する件数となってございます。更に2010年度でございますが、これは10月8日現在の件数で既に3,909件になってございまして、今年度は過去最高のリフォーム関連相談件数になる見込みでございます。
この背景としまして、我々も正確なところは把握しきれていないところもございますが、住宅版エコポイント、それから、太陽光パネルなどの発売が非常に好調であるということと、新築住宅がかなり落ち込んでおりますので、各住宅産業がリフォームにシフトし始めています。そういったリフォームの市場開拓もしくは拡大の流れの中で、リフォームの市場自体が拡大している中でリフォーム相談も増えているのではないか。もう一つは、消費生活センターや日弁連の御協力も得て、「住まいるダイヤル」のPRを盛んにやっておりますので、「住まいるダイヤル」の存在が知られてきたこともあるのではないかと推測しております。
次のページ、6ページでございます。消費者支援策の3点セット、リフォーム瑕疵保険、見積もり相談、専門家相談のうちの1つ目、リフォーム瑕疵保険制度でございます。このリフォーム瑕疵保険制度は、昨年施行された新築住宅に対しましては、強制保険制度として瑕疵担保保険制度が義務づけられました。そこの住宅瑕疵担保責任保険制度を運営するのは、6ページの真ん中にございます住宅瑕疵担保責任保険法人という、住宅専門の保険法人を指定しております。現在6社ございますが、住宅瑕疵担保責任保険法人は住宅瑕疵担保履行法に基づきまして、新築のみならず、任意の保険制度として、現行法上、リフォームや中古住宅売買の瑕疵保険についても保険業務を行えることになってございます。それに基づきまして、任意の制度でございますから、リフォーム瑕疵保険を国土交通大臣が認可したものでございます。
そこにポイントを書いてございますが、基本的にリフォーム工事を実施したすべての部品にかかるものを対象にしています。したがいまして、く体は勿論のこと内装工事なども対象になってございますが、例えばキッチンを入れたときに、キッチン自体についてはもともとメーカー保証がついてございますので、施工に関する瑕疵を対象にしているものです。保険期間でございますが、く体に関するものは5年、その他のものについては1年でございます。
下の図をごらんください。ここの仕組みは、基本的に新築の瑕疵担保保険と同じですが、リフォーム事業者が保険に登録し加入する。そうしますと、工事におきましてく体をいじる場合には、施工中と完了時の2回、その他の場合には完成時の1回、保険法人から委託された検査員、これは建築士でございますが、建築士が検査に行き、検査に合格した場合には保険に加入できるというものでございます。
保険加入、そしてリフォーム工事が終了後、もし瑕疵が起きた場合、リフォーム事業者が何か補修工事をして支出した場合には、その費用のうちの8割を事業者が保険法人から受け取ることができる。100%になってございませんのは、モラルハザードを防ぐという意味でございます。ただし、事業者が不幸にして倒産してしまった、もしくは行方不明になってしまった場合には、消費者が直接保険法人から100%の補修費を受け取ることができるという仕組みになっております。したがいましてこの保険の特徴としまして、検査が入る、そして保証が受けられ、何かというときに保険金が支払われる、という特徴をもって消費者保護に資するものだと考えております。
真ん中に「保険金の支払い対象となる費用」とございますが、修補費用、調査費用、転居・仮住まい費用ということでございます。(2)に故意または重過失について記述がございますが、これは、事業者がみずから保険金を請求する場合、故意、重過失の場合にはモラルハザードの観点から支払いはしませんが、事業者が倒産してしまった場合は、消費者が請求する場合には故意、重過失であっても保険金が支払われるという仕組みを設けまして、やはりこれも消費者保護に資するシステムになってございます。
そして一番下、「リフォーム事業者登録」ということで、リフォーム瑕疵保険に入るための事業者は一定の要件がございます。建設許可業者であること、または建設業者でなくても入れるのでございますが、2年間に3件以上のリフォーム工事を行った実績があるということで、建設業者のみならず建設業者以外でもリフォーム瑕疵保険に入れるシステムを講じまして、消費者保護が広く行き渡るようにしています。
実際にリフォーム事業者を登録した場合には、登録内容、どういった事業者がリフォーム瑕疵保険に加入しているかというものにつきましては、ホームページから閲覧できるようにしております。現在4,530事業者が登録していますが、次の7ページをごらんください。実際にホームページの内容について抜粋してございますが、6社のそれぞれの保険法人をめくると大変ですので、それを統合した形で保険法人協会においてこういうシステムを設けておりまして、例えば東京都に住んでいる方であれば東京都の部分をクリックいたします。クリックいたしますと、東京都においてリフォーム瑕疵保険に登録している業者について一覧が出てきます。
非常に見づらくて恐縮でございますが、これはコピーのコピーで、真ん中の「検索結果画面マル3一覧の中から事業者名をクリック」の右側の方に数字が入ってございますのは、個別の工事ごとに更に保険に入る必要はございますが、登録だけして実際の個別の工事の場合には保険に入らない。要は保険料を浮かしたいがために保険に入らない事業者が出てくるのを防ぐために、実際に何件の保険に入ったかという実績をここに示すことになってございます。これを見ますと、やはり実績が多ければ多いほど実際に瑕疵保険に入っている。もしくは、工事実績があることが消費者の方にわかるようにしてございます。更に事業者情報を載せてございますが、こういった内容を更に充実させることによって、リフォーム事業者を消費者が選ぶことに資するシステムを構築したいということで出発しているものでございます。
8ページでございますが、実際のリフォーム瑕疵保険の内容でございます。保険金額それぞれ上限額、300万円、1,000万円等がございます。料金は3万円~7万円程度ということになってございます。
保険申込状況は、4月から開始してそれぞれ保険法人の認可を受けているものですが、申込時期と保険証券発行件数がちょっとずれてございますのは、保険証券は工事が終わって引き渡しが終了すると発行されますので、着工前に申し込みをして工事期間のタイムラグが生じているものでございます。7、8、9、10と件数が一定程度伸びている。
ただ、ここには背景がございます。リフォーム瑕疵保険に入ったリフォーム事業につきましては、一定の補助を行うという補助事業をしておりますので、件数が伸びてございます。課題としまして、リフォーム瑕疵保険の料金がリフォームの代金に比べると相対的に高い。といいますのは、新築の瑕疵保険の場合であっても、7万円~8万円と比べますと、3万円とか4万円はなかなか高いのではないかということで、現在、保険法人と協議をしまして、事故率を増やさない、要は事故を増やさない範囲で何とか料金を下げて、このリフォーム瑕疵保険を更に広げることができないかという検討を行っているところでございます。これがリフォーム瑕疵保険の内容でございます。
次に9ページをごらんください。大規模修繕工事瑕疵保険ということで、マンションのいわゆる大規模修繕に関する保険でございます。マンションの共用部分を10年に1回ぐらい修繕するときの保険で、システムとしては同じですが、10ページをごらんください。右側でございますけれども、工事の規模が大きいものですので、保険金額が6,000万円や1億円になってございます。また、依頼をする発注者は管理組合になります。10ページの下に書いてございます33とか17という数字は棟単位です。この場合のマンションの大規模修繕は棟単位でございまして、大規模修繕瑕疵保険については補助は全く行っておりませんので、ビジネスベースという形でこの保険は伸びている。
といいますのは、マンションの大規模修繕につきましては、管理組合の役員の方々が選ぶわけでございますが、ボランティアでやっている関係上、後で問題が起きると怖いということで、今までは比較的大きなゼネコンに頼む傾向がございました。そうしますと、相対的に料金が高くなってしまっていたということで、料金の安い専門工事業者もしくは中小の工事業者に頼むことが難しかったのでございますが、大規模修繕瑕疵保険が入ることによって、検査と保険、何かあったときの補償が受けられるということで、管理組合にとっては、大規模修繕瑕疵保険が業者を選ぶ資格要件として徐々に広まり、件数が広がりつつあるというものでございます。
次のページ、11ページをごらんください。今度は中古住宅の売買の瑕疵保険でございます。ここにございますように、中古住宅につきましても同じようなシステムで瑕疵保険を認可しております。構造耐力上主要な部分が基本的に対象ですが、保険期間は5年になってございます。
2つのタイプがございます。宅建業者がみずから買って売る再販タイプ、2番目が個人間売買用タイプでございます。先ほどリフォーム瑕疵保険のところでちょっと失念いたしましたが、瑕疵保険のもう一つのメリットは、瑕疵保険は賠償責任保険ですので、民法上の瑕疵担保責任が前提となってございます。その場合、リフォーム瑕疵保険も中古住宅売買瑕疵保険も、業者の方に、保険に合わせて5年間の瑕疵担保責任を負っていただくという特約を結んでいただきます。保証書を発行していただいています。したがいまして、リフォーム瑕疵保険につきましては?体部分は5年、それ以外の部分は1年という瑕疵担保責任を負うことが明確になるということでございます。
中古住宅につきましても、宅建業法上、宅建業者がみずから売るときは2年間の瑕疵担保責任がございますが、この場合の中古瑕疵保険に入りますと、5年間の瑕疵担保責任を負うことになります。更に個人間売買の場合には、通常個人の方ですので、場合によっては現状有姿ということで全くの免責というものも多くなってございます。この場合に瑕疵保険に入った場合には、売り主の代わりに検査機関が保証者となり瑕疵担保責任を負うものでございますが、やはり5年という期間になりますので、現在の瑕疵担保責任保証期間が大幅に延びるという効用も秘めているものでございます。それと同時に、先ほど申し上げましたように検査と補償が受けられるというのが保険の持っている機能でございます。
12ページでございますが、既存住宅売買瑕疵保険でございます。料金は上のとおりでございますが、申込状況としまして、宅建業者の売買瑕疵保険はかなりペースが上がってございます。これでも上がってございまして、ただ、まだ宅建業者の方々に十分知られていない、もしくは消費者の方々に十分知られていないということで、今、盛んにPRをしております。
宅建業界の方々も非常にリスクヘッジができる。中古住宅を仮に宅建業者の人が再販する場合でも、買った住宅に雨漏りがあるかどうかわからない。仮に瑕疵担保期間、2年間の間に雨漏りが生じてしまうと大損になってしまうので、業者にとってもリスクヘッジができるので非常にいい。もしくは検査が受けられるので、中古住宅の物件を探すときに検査に合格したものだけを買えばいいので、これは業界、業者にとってもメリットがあるということで、徐々に件数として増えていくものと思われていまして、実際に実績として上がりつつございます。
次の13ページが第2弾でございまして、無料のリフォーム見積相談でございます。リフォームにつきましては、消費者のアンケートをとりますと3つの項目が不安要素として必ず上がってきます。1つ目が価格が不透明。示された価格が本当に正しいかどうか、適正かどうかわからない。2つ目がリフォーム事業者を選ぶ基準がわからない。どういった事業者が信頼できるかわからない。3つ目が品質について何か瑕疵があったときにどうしたらいいか不安がある。この3つでございます。この3つの消費者の不安に直接応えようとしたものが今回の3つの支援策ですが、その2つ目としまして、無料のリフォーム見積もり相談を「住まいるダイヤル」(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)で開始しております。
実際に見積もりについて相談を受けるということでございまして、相談の流れについては、最初は、消費者の方に電話の前に自分が手に入れた見積書を置いていただきまして、それをもとにアドバイスをしていく。まず形式として、「見積もりの項目はどうですか」「金額についてどうですか」ということがありますが、それでも不安が解決されない場合には、見積もりについてFAXをしていただきまして、それについて具体的にアドバイスをする。価格について非常に極端な高額ではないか、もしくは項目が不透明ではないかというようなアドバイスをしているものでございます。
実施件数は、4月から始めていますが、今まで266件になってございます。実はもっとものすごい件数が来るのではないかと思っていました。十分知られていないということもございますが、今、一生懸命PRしているところでございます。この無料リフォーム見積相談の前に一般的なリフォーム相談のところで、実はかなり見積もりについての御相談も受けておりますので、そこで解決しているということもあろうかと推測しております。
次の14ページでございますが、「住まいるダイヤル」の無料リフォーム見積相談の結果でございます。詳細は省略させていただきますが、お話を聞いてみると、見積書の金額ということで相談を受けましたが、御相談を細かく受けて例えばFAXをさせていただきますと、そもそも金額以前の話と。リフォームをしようとする方の希望に沿ったそもそも工事内容になっていない、全くすれ違った工事をされようとしているというような内容が多くて、そういったことに対してのアドバイスをしているのが実態でございます。
次の15ページをお開きください。最後の3つ目でございますが、弁護士と建築士による無料の専門家相談制度でございます。これは、日弁連住宅紛争処理運営委員会と消費者問題対策委員会の御協力を得まして、4月から一部、東京3会で始めまして、現在では全国の30都道府県の弁護士会で相談をしていただいていますが、具体的にはリフォームについて対面の相談を無料で弁護士会でしていただいております。弁護士と建築士お二人によって対応していただきまして、対面の相談をしていただいている。トラブルになる前であっても、何か相談したいという場合には受け付けております。
ただ、一括して「住まいるダイヤル」にまず相談をいただきまして、そこで各地の弁護士会にお願いをしております。15ページの下にございますように、リフォームについての相談、それと併せまして、新築につきましては瑕疵保険制度、住宅性能表示制度というものがございまして、これについては、既に弁護士会において住宅紛争審査会ということで専門のADRを開いていただいています。それに関連して保険付き住宅と評価付き住宅につきましても、リフォーム専門家相談と併せて同じように専門家相談を開始させていただいています。既にリフォームに関するだけで152件、これは10月いっぱいでございますが、11月に入っても件数は次々に増えております。また、各地の弁護士会でも、年度内にはほぼ全国の弁護士会で専門家相談を開始していただく予定になってございますので、今のところ、年度内で500件を超える対面の専門家相談が実施される予定でございます。来年度におきましては、恐らく1,000件程度の無料の対面の専門家相談が実施される見込みでございます。こういうことによりまして、事前にトラブルの防止もしくは解決に、弁護士会の御協力を得て支援をしているわけでございます。
16ページでございますが、こういったいろいろな施策をやっていても、消費者の方に知られていなければ全く意味がございませんので、PR活動をやってございます。一番上でございますが、消費者向けのイベントということで、全国のホームセンターや家電量販店などでリフォームのイベントを実施しまして、今、申し上げた3つの消費者支援策をPRしております。ただ、それだけですと見ている方が退屈してしまいますので、左側の写真にございますように、劇団員の方に頼みまして、実際に悪質業者の相談を受けた事例をもとに、だまされる主婦役の方とだます悪質業者役の方で寸劇を実施していただきます。それにつきまして、国土交通省の職員が土日、このホームセンターに行きまして、講師役としてどういう点に注意すればよかったかということを実演しているものでございます。
同時に、地方誌とタイアップしまして、今、申し上げたような3点の支援策をPRして、全国の47都道府県で夏から実施しまして、第一弾は既に終了しました。第二弾として年末から年明けにかけて、今度は家具量販店やドラッグストアなど消費者の方が集まるところにできるだけ出向いていって、直接消費者の方にPRをしていこうという予定になってございます。そして、「住まいるダイヤル」のわかりやすいリーフレットを配付させていただきました。
こういったPRをしておりますが、従来から住宅リフォーム・紛争処理支援センターは特に消費者庁、消費生活センターの全面的な御協力、連携を得て、しております。実際にリフォーム相談のうち一定割合は、消費生活センターから御紹介を受けているものが多うございます。そのためには消費生活センターに知っていただくことが重要でございますので、9月には消費者庁の御協力を得て、消費者庁と連名で全国の消費生活センターの相談員に周知していただくとともに、ここに書いてございませんが、紛争処理支援センターの役員、我々国土交通省の職員も、できるだけ消費生活センターに直接出向いて御説明を申し上げています。そうしますと相談員の方々は、特に専門的なもの、見積もりについての技術的な相談、瑕疵についての技術的な相談は、なかなか人員が足りないので、紹介させていただきますという御回答をいただいております。
(2)にございますように、国民生活センターにおきまして、10月21日付けで、再び悪質リフォームが増え始めたという広報をしていただきました。その際に紛争処理支援センターの相談事例についても同時に発表させていただきまして、国民生活センターとの連携も図っているところでございます。
(3)でございますが、都道府県の消費者相談担当者の方々向けに、紛争処理支援センターの職員が講師としてお話をさせていただいているものでございます。
最後、17ページでございますが、これは日弁連と協議をしている中でつくらせていただいた資料でございます。ここで申し上げたいのは、建築実務、相談、ADR、調停(裁判調停)、訴訟ということで、一連の流れの中から、できるだけ前の段階でトラブルを防止していく。トラブルがあると何でもかんでも訴訟に持ち込まれて長期化している、もしくは消費者の救済が遅れるという傾向にございますので、訴訟で問題になっているところからフィードバックしまして、関係書類が十分になるように例えば保険制度の中でちゃんと書類を整備する。そして相談につきまして、瑕疵判断がなかなか困難なので技術的な基準をつくる。
特にこの相談につきましては、更にこれを分類しまして、一般的な相談と、弁護士・建築士による専門家相談によって、ここで、かなりの部分が解決に向かうという事例も出ております。そして、弁護士会に設けさせていただきます住宅紛争審査会(ADR)、ここで更に争点も整理していただいて、仮に訴訟に持ち込まれたとしても、争点がかなり整理・集約された中で最後の手段として訴訟に持ち込まれていけば、解決の迅速化、紛争の予防になるのではないかということで、日弁連とこういう内容で協議をさせていただいているものでございます。
私からは以上でございます。

○松本委員長 大変詳細な御説明をありがとうございました。
予定の時間を15分ほど超過しておりますが、せっかくここまで御説明いただきましたので、委員の皆様から、追加的質問とか御意見がございましたら、どうぞお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 御説明、ありがとうございました。この「住まいるダイヤル」とリフォームにかかわる瑕疵担保は必ずしも知られていないと思いますので、是非今後も広報をしていただくようにお願いいたします。
私の質問は、「住まいるダイヤル」の相談の表が出されていますが、ここに出ている相談の傾向とPIO-NET、御存じかと思いますが、国民生活センターに集約されているリフォームに関する相談の状況とはかなり顕著な違いがございます。
それは何かといいますと、PIO-NETに出ている相談は、2008年、2009年と年間5,000件を超えていますが、例えば2009年の相談者を見ますと、66%が60歳以上です。70歳代が20%、80歳代以上が21%を占めております。つまり、意思能力に問題がありそうなお年寄りまでが、住宅リフォームのトラブルの巻き添えになっているという実態がございます。リフォーム業務を拡大していく上でも、こういう悪質業者の駆除、あるいは高齢者が不当なリフォームに引っかからないようにするための徹底が必要ではないかと思います。
その観点で是非伺いたいのは、一つは、建設業者について建設業法第3条第1項で、リフォーム工事のみを請け負う業者については500万円未満は建築等の許可が要らないということになっております。これを100万円ぐらいに下げたらどうかという議論があるのですが、役所の仕事が増えてたまらんから、なかなか下げにくいという実情は聞いておりますけれども、この辺はどうなのかが一つです。
それから、第28条第2項に都道府県知事による許可不要業者への指示、あるいは、第28条の第3項には許可不要業者に対する営業停止処分ができるという条文がございます。ところが、どうも具体的な運用実績が少ないようでして、手が回らないのかなというふうに推察はするのですが、現実に神奈川県辺りでは営業停止処分をした例もございますので、この第28条の第2項、第3項を積極的に運用することを是非お願いしたいと思います。
ただ、第28条の第3項を見ますと、処分の条件として、「特定商取引法における指示あるいは業務停止処分があった場合は、建設業法における指示、営業停止処分を行うものとする」という条文になっておりまして、特定商取引法の処分が前提になっているわけです。ところが、消費者庁でも担当しておりますが、特定商取引法を担当する各都道府県の行政処分担当セクションは、リフォームが本当に必要だったかどうかという専門知識がありません。そのために、各自治体の建設業の監督セクションと、消費者行政をつかさどる特定商取引法の摘発あるいは検査を行うセクションとが、定期協議などをして、現場に一緒に行って必要なリフォームかどうかをチェックして、悪質な事業者を直ちに処分するというそこの体制を整える必要があると思うのです。
その辺について是非整えていただきたいと同時に、今後も消費者委員会の事務局からもいろいろ調査をお願いするかと思いますが、是非御協力をお願いしたいと思います。答えられる範囲でお答えいただければと思います。

○国土交通省住宅生産課住本住宅瑕疵担保対策室長 おっしゃるように、今、建設業課とも連携・協議をしておりますので、御指摘の点を踏まえて随時、消費者保護を更に強化していきたいと思っております。

○松本委員長 下谷内委員、簡単にお願いします。

○下谷内委員 質問事項の4番目のところで、平成17年の事件がありまして、悪質リフォーム対策検討委員会というのが3回ぐらい開かれております。確かにこの平成17年というのは非常に大きな問題があったのですけれども、先ほど山口委員からも申し上げましたように、「住まいるダイヤル」における相談というのは、悪質事業者ということではないだろうと思うのです。普通一般のリフォーム業者だと理解できるような相談内容になっております。私たちが一番問題にしているのは、高齢者の人たちもそうですが、悪質事業者の対策についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

○国土交通省住宅生産課住本住宅瑕疵担保対策室長 山口委員と同じ趣旨だと思うのでございますが、おっしゃるように、本来は建設業において徹底した指導を行うのが原則でございます。実は前回の悪質リフォームの後、建設業許可を受けていなくても建設業を営む者に対しては処分できるということは法律上明記して、また通知をしておりますが、実効性がどこまで上がっているのかというものについては、日弁連を中心に疑問もしくは意見をいただいております。
そういった中でこの「住まいるダイヤル」につきましても、リフォームする前にすぐ電話してくださいということでPRをすると同時に、リフォーム瑕疵保険のような民事的な救済、もしくは民事的な事前の予防措置を前提とした上で、悪質事業者が出た場合には建設業の処分を行うという措置をとりませんと、先ほど山口委員から御指摘いただきましたように、今のマンパワーで、建設業許可業者に対する監督でさえ十分行われているのかという御指摘をいただいている中で、リフォーム事業者に十分手が回っていないという状態もございます。新しくつくったこの3点セットを前面に出しつつも、悪質な事業者に対してはやはり行政上の処分をしていくという組み合わせで、消費者保護を進めていきたいと考えております。

○下谷内委員 最近、建設業界も不況になりまして、地方に行きますと、板金屋さんとか、外壁屋さんとか、大工さんが御自分たち何人かでグループをつくって、リフォームの訪問販売の営業をされております。そういう実態があります。そういう方たちは、今、考えていらっしゃる「住まいるダイヤル」とか、3点セット等については何も御存じないんですね。訪問販売をやっているということ自体もおわかりになっていない。ただ営業しているという感じでして、勿論、クーリングオフなどのことも全然御存じない。
今、この不況の時代に、そういう方たちがこれから増えるのではないかと思うのです。その人たちに指示と言われても、その実態を把握されていなければできないと思います。そういう実態の把握というのは、個別の事業者とか事業者団体を通じて何か手立てがあるのでしょうか。

○国土交通省住宅生産課住本住宅瑕疵担保対策室長 まず、実態の把握でございますが、紛争処理支援センターの方でいろいろな相談を受けてございますし、また、地方の消費生活センターを我々が訪問したときにそのお話を聞いたりしております。更に事業者についてのPRでございますが、例えば住宅版エコポイントや、いろいろな助成制度の事業者団体説明会というのがございます。よく全国で一斉に開きます。そのときに合わせてこの3点セットを説明するようにいたしております。補助事業ですと事業者はやはり聞きたがるものですから、そのときに合わせてこの3点セットについてもPRして、特にリフォーム瑕疵保険を使ってくださいというPRを同時にしております。
したがいまして、できるだけ地方津々浦々まで、こういった制度があることを事業者みずからに徹底することは現在もやっておりますし、更に強化していきたいと思っております。

○山口委員 その観点で、東京都内もそうですし、地方でもそうだけれども、ひとり住まい、ふたり住まいのお年寄りのところに悪質業者が軒並み歩いていって、あそこの屋根が危ないですよとか、ここを補修しますよとか、セールスに歩いているわけです。そういう業者はほとんど保険なんか使いません。だから、事業者に対する周知も必要だけれども、是非お年寄りに、住宅リフォーム保険というのがあるから、「保険に入らないリフォーム業者は危ない」ぐらいのキャンペーンをもう少し強力にやっていただきたい。
住宅リフォームは100万、200万、あるいは50万円の工事だからということで、みんな一々保険なんて入らないですね。ところが、そこで引っかかるわけですけれども、もう少しその辺は周知していただかないと、都市部あるいは田舎も含めて、お年寄りはこんな住宅リフォームの保険は知らないですよ。是非よろしくお願いします。

○松本委員長 中村委員、簡単にお願いします。

○中村委員長代理 今回の施策番号に入っていなかった104番という消費者基本計画の施策の中に、「消費者が適切な選択を行うことができるように、消費者向け講習会や関係団体のウェブサイトを通じリフォーム事業者等に関する情報提供の充実を図ります」と。これは国交省が担当省庁で、実施時期は「継続的に実施します」となっていますが、消費者団体等の関係団体に対するウェブサイトを通じての啓発といいますか、この業者はこうだとかああだとか、そういう情報提供の現状を簡単に教えてください。

○国土交通省住宅生産課住本住宅瑕疵担保対策室長 今、おっしゃったのは「リフォネット」と言われるウェブサイトのことだと思います。先ほど申し忘れましたが、「リフォネット」につきましては、従来から紛争処理支援センターでウェブサイトを通じて登録事業者の情報を提供していましたが、先ほど御説明させていただいた、保険に登録している事業者についての情報提供に切りかえさせていただく予定でございます。
といいますのは、「リフォネット」につきましては実は事業者みずからの申請主義に基づいてPRしていたものですから、十分なチェックがされていたかどうかというのは実は疑問がございまして、また、そこに瑕疵が生じたとしても救済策がない。それに比べますと、今回の保険法人協会といいますか、リフォーム瑕疵保険を通じた登録事業者であれば保険に入ってございますので、何かあったときに直接的に消費者を救済できるということで、保険登録制度を通じたPR制度に切りかえると。更にホームページにつきましては、保険法人協会のみならず、今、国土交通省のホームページにも載ってございますが、更にもっとほかのところからアクセスできる工夫を、今、検討しているところでございます。

○松本委員長 ありがとうございました。国土交通省として住宅リフォームでもって産業振興を図るという施策をとられており、そのためには消費者の信頼をかち取る必要があると、これはそのとおりだと思います。しかし、他方で、山口委員が盛んに言っておられるように、悪質業者がリフォームを必要としない人のところに行って高額な工事をだまし取るというタイプのものは、かなり性格が違うものです。国土交通省が進めようとしている、リフォームをしたいと思っている人が、きちんとした事業者に適正な価格で発注できる仕組みにするにはどうすればいいかという施策だけでは、ちょっと覆いきれないところがあるかと思いますから、後者の悪質勧誘対策も含めて、その両面を積極的に進めていただきたいと思います。
本日は、国土交通省におかれましては、お忙しいところを審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪4.閉会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございますが、10月4日に、委員会の下部組織であります「食品表示部会」の第4回会合が開催されております。本日は、食品表示部会設置・運営規程第8条第2項の規程に基づきまして、その審議結果の報告をいただきたいと思います。
本日は田島部会長が欠席でございますので、日和佐部会長代理より御報告をお願いいたします。

○日和佐委員 「食品表示部会」部会長代理の日和佐でございます。
10月4日に開催いたしました食品表示部会の議決について、食品表示部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、10月15日付けで内閣総理大臣へ答申を行いました。
JAS規格はJAS法の中で5年以内に一度は見直しをすることになっておりまして、チルドハンバーグステーキ品質表示基準及びチルドミートボール品質表示基準の改正につきましても、前回の改正から見直し時期が来たということで規格改正の検討を行ったところでございます。本日は、同上第2項の規程に基づきまして決定事項を委員会に御報告いたします。
資料5-1が答申書でございますので、御覧いただきたいと思います。今回の部会では、平成22年3月18日付けで消食表第79号をもって諮問のあったことのうち、チルドハンバーグステーキ品質表示基準及びチルドミートボール品質表示基準の改正について審議の結果、チルドハンバーグステーキ品質表示基準は、資料5-1の別添を御覧いただきたいと思いますが、別添のとおりでございます。それから、チルドミートボール品質表示基準は資料5-2のとおり、それぞれ改正することが適当であるとされました。
資料別添と資料5-2ですけれども、左側が改正案、右側が現行となっておりまして、それぞれアンダーラインが引いてあるところが現行から改正されたところですので、御確認をいただきたいと思います。
私からの報告は以上です。

○松本委員長 どうもありがとうございました。
最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間、ありがとうございました。
次回の消費者委員会は、11月26日(金曜日)の15時から行う予定にしております。
なお、次回の委員会におきましても「消費者基本計画の検証・評価・監視」の作業を続けたいと思っておりまして、貸金業法改正が全面施行されました。それから「未公開株取引について」、こちらは提言を出しておりますけれども、こういった問題など、消費者取引の適正化について審議をしていきたいと思っております。

○松本委員長 本日は、各省庁側、委員側、ともに熱心な発言が続きました結果、30分も超過してしまいましたことをおわび申し上げます。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)