第10回 消費者委員会 議事録

日時

2009年12月14日(月)10:00~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、櫻井委員、佐野委員、
下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
消費者庁 羽藤審議官、成田企画課長、丸山取引・物価対策課長

【事務局】
齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.「地方消費者行政の充実強化に向けて(案)」のとりまとめ
3.消費者基本計画に関する現状報告
4.改正特定商取引法と訪問販売お断りシールについて
5.公益通報者保護制度専門調査会設置・運営規程(案)について
6.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 地方消費者行政の充実強化に向けて(案) (PDF形式:22KB)
【資料2】 新たな「消費者基本計画」の策定について (PDF形式:92KB) 【資料3】 改正特定商取引法関連資料 【資料4】 公益通報者保護法の見直しについて (PDF形式:160KB)
【資料5】 公益通報者保護専門調査会設置・運営規程(案) (PDF形式:44KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。時間になりましたので、第10回の「消費者委員会」を始めたいと思います。
カメラの方は、申し訳ございませんが、ここまでということで退室をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○原事務局長 それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、第10回の「消費者委員会」ということになりますが、最初に、前回の委員会の際に、事務局より報告がありました地方消費者行政の実態調査報告書の件につきまして、事務局から発言があるとのことですので、どうぞお願いいたします。

○齋藤審議官 事務局の齋藤でございます。
前回の委員会で事務局が実施しました実態調査につきまして、東京都のデータが入っていなかったことに関しまして、御協力がいただけなかったと発言しましたが、正確に申し上げますと、事前の意思疎通の段階で御協力が困難であると当方として判断し、調査表を送りませんでした。東京都の真意を十分確認しなかったことにつきましては、当方として至らない点があり、申し訳なく思います。事務局としましても、改めまして、東京都に協力依頼をしたところです。
これを受けまして、実態調査報告につきましては、東京都も含めた形で、また、他の道府県の市町村につきましても、締切り後届いたデータも含め、より完全な形で改めて報告したいと考えております。

○松本委員長 ありがとうございました。

≪2.「地方消費者行政の充実強化に向けて(案)」のとりまとめ≫

○松本委員長 それでは、本来の議題に入りたいと思います。
前回の委員会におきまして、地方消費者行政の充実強化について、今後委員会として議論していくべき論点のとりまとめに向けての議論を行いましたが、その際に出されました委員からの意見等も踏まえて、とりまとめ案を作成いたしました。本日は、このとりまとめ案について議論を行いたいと思います。
まず、中村委員長代理から、とりまとめ案の御説明をお願いいたします。

○中村委員長代理 おはようございます。中村です。
前回12月8日に、資料3として「消費者委員会有志」というタイトルで「地方消費者行政の充実強化に向けて」というペーパーを出しまして、この委員会において、皆様からの御意見をいただきました。それらを踏まえて修正し、今日12月14日付の資料1を消費者委員会としての(案)として御提案するものであります。
中身については、大幅に変わったところは余りないのですけれども、表現、その他御意見をいただいたものを十分踏まえて、修文したところがあります。
今回、これを私どもがまとめた趣旨というのは、御存じのように、国会において議論された経過の中で、地方消費者行政の問題の重要性が国民に認識させられたと思うのですが、それに当たって、当面3年間の措置はいろいろ一定程度なされておりますが、この3年を過ぎた後の地方消費者行政がどうなるかについてのプラン、見通し等について十分示されていない。そこの部分が国会の附帯決議で当委員会に課せられた宿題でありまして、そこをやろうという作業の論点整理をしたものであります。
1ページ目に書きましたように、平成22年度末をめどに、私どもはこの検討結果をまとめたいと考えております。そうしないと24年度以降の施策がきちんと実行できないのではないかと思っております。
論点として整理したものが「(ローマ数字の)2.検討されるべき論点」であります。
「1.消費者行政における国と地方の役割分担のあり方」の点は、非常に大きなスタートとなる議論でありまして、そこにつきましては、前回、櫻井委員、松本委員長からあった御意見を踏まえて、冒頭にかなりしっかりとした位置づけをしようということにいたしました。特に地方自治や地方分権と消費者行政がどう関係するのか。国の関与の在り方について、まず十分議論して、方向性を総論的に固めた上で、もろもろの各論的な課題に入りたいと考えております。
特にその際、問題になる財政基盤の在り方が、ここでは大変重要かと思います。さきの国会で議論された経過を踏まえて、この財政問題について、引き続き検討をしていただきたいと思っております。
活性化基金の後の24年度以降の財政支援は、特に当面する問題でありまして、ここが一番の課題かと思っております。
「2.国と地方のネットワークのあり方」の点は、消費生活センター・相談窓口の整備の問題、地方自治体相互のネットワークの問題、国民生活センターのネットワークの機能向上はどういう役割を果たすかという当たりを3つの柱にして議論していただきたいと思っております。
「3.消費生活相談員制度及び相談員への支援のあり方」は、前回6番目か何かの課題であったものを3に移動しまして、相談員や相談体制支援の在り方、相談員の処遇というものの改善をどうしたらいいか、国民生活センターによる相談員の教育・研修、支援はどうあるかという辺りを十分議論していただきたいと思っております。
「4.情報(相談情報・事故情報を含む。)の収集・分析及び情報提供のあり方」は、PIO-NETがまだ全国に必ずしも網羅的に設置されていない現状を踏まえて、今後情報の収集体制をどのように充実させるか、適切な分析のシステムはどうあるべきか、それを更に消費者に提供するためにどうすべきかという辺りを柱に議論していただきたいと思います。
「5.商品テストの位置づけ・各機関のあり方」は、商品テストというのは、そもそもどういう機能が求められるか、その辺から整理していただいて、どういう位置を占めるべきか。国民生活センターやNITEなどのテスト機関をどう活用するかということも併せてここで議論していただきたい。その他のテスト機関の相互の連携、役割分担についても検討していただきたいと思っております。
「6.地方自治体による法執行のあり方」は、大変具体的な話です。
国による法執行と地方自治体による法執行は重なっている部分が結構ありまして、その関係をどのように組み立てるか。特に地方自治との関係を含めて整理してもらいたいと思っております。
特定商取引法や景品表示法等を都道府県で、あるいは連携して適切・迅速に執行していくためにどのような体制づくりが必要か。
国の機関との連携・協力体制の在り方。
法執行関連の研修の充実をどう図るかという問題等を含めて議論をしていただきたいと思います。
「7.行政と消費者、事業者などの協働及び消費者の声を政策決定などに反映させるシステム構築のあり方」ということで、まさに国民全体で消費者行政を担うという参加型の消費者行政を目指して、地方自治体と消費者団体、事業者団体及び各専門家、研究機関との連携体制をどうするか。
地方自体と消費者被害の情報収集、啓発などを行う消費者団体との連携や自治体による支援をどう進めるか。これも国会の附帯決議などで掲げられている課題の1つでもあります。
消費者及び高齢者、障害者、子どもなど社会的弱者の声を地方自治体の消費者行政に反映させるシステムをどうするか。
地方消費者行政の基盤として消費者の自立を支援するための消費者教育、啓発をどう進めるかという問題であります。
「8.地方消費者行政の充実強化に向けた組織体制と人材育成のあり方」であります。
地方の消費者行政を推進する体制をどうつくっていくかという問題。
消費者行政に携わる行政官の人材育成及び意欲喚起をどうやっていくかという問題に視点を置いて検討していただきたいと思っております。
このように、一応前回の議論を踏まえてとりまとめましたので、皆さん方のさらなる御意見をいただきたいと思います。

○松本委員長 ありがとうございました。ただいま御説明いただきましたとりまとめ案につきまして、どうぞ御意見をお出しください。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 確認したいことですが、2ページの「3.消費生活相談員制度及び相談員への支援のあり方」というところですが、「制度」になっておりますので、ここの中に文言として入っておりませんが、資格についても何らか検討をされるということではないかと思いますが、それは各自で読み取るということでしょうか。そこのところをわかりやすくしてほしいです。
今、3つの相談員の資格と言われておりますが、確固たるものではありませんし、それぞれの行政によりまして、相談員の採用に際しまして、3つの資格が入っているところもあれば、ないところもあるということです。
行政の消費生活相談員の在り方ということを考えるならば、何らか資格についてもこの中で検討されるべきことではないかなと思っております。

○松本委員長 前回の(案)では、たしか「消費生活相談員制度」の「制度」という言葉は入っていなかったんですね。それが今回加えられたということの趣旨は、今、おっしゃったようなことも含めて考えましょうということだったと理解しております。

○中村委員長代理 ちょっと表現がわかりにくかったですかね。

○下谷内委員 確認だけでしたので、ありがとうございます。

○松本委員長 どこかに資格をという用語を入れますか。
(1)の括弧書きの「特に」というところに幾つか個別の項目の列挙があるので、ここに資格というのも1つ入れて「(情報提供、研修、専門家による支援、資格などのあり方)」として明記するという形で修文したいと思います。
櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 私は距離を持ってこれを見ていたものですから、基本的なところで確認させていただきたいのですが、論点整理ということですが、この話は、もともとは大臣から地方消費者行政について議論してほしいという御要請があって、それを受ける形でまとめられたものと理解しています。
この文章の性格ですが、私はもう少し文章化するのかなと思っていたので、随分簡単だなというのが全体についての感想なのですが、論点整理なら論点整理として、これはこれとして、本日とりまとめをするということですけれども、今後これをどのように実現していくのかという工程表的なことと、今日は資料を持ってこなかったんですが、消費者庁の方でも同じテーマで問題が投げかけられていて、それなりにプランが出てきていたと思うんですが、それと比較しますと、独自性がどこにあるのかという点がよくわからない。項目だけざっと見た印象では、例えば商品テストについては、たしか明言はされていなかったかなと思います。
法執行の議論も、あちらの方では大きなテーマにはなっていなかったのかなという印象もあります。ただ、いずれにしても、全体としてそれほど違わないのではないかという気がしていて、どこに独自性があるのかということを私が聞くのも申し訳ないんですが、そうであればむしろ一緒にやっていった方がいいのではないかというところも随分あって、分けてあるということの意味がどこにあるのかということについて、自問自答ということでもありますけれども、委員長ないしとりまとめられた方の御意見を伺えればと思っております。
それから、今後の進め方について、コメントだけ言うと、最初の1の地方分権云々との関係で、国がどういうふうに関与したらいいのかという場合には、やはりかぎになるのは総務省の動向でございまして、本当は自治行政局と自治財政局の議論を乗り越えることができるかどうかということがポイントになるので、もしやるんだったら、そこからちゃんとヒアリングをするなどの形で問題を投げていくことが重要だろうと思っています。
3ページ目の法執行のところは、特商法や景表法等が出てきますけれども、こういう議論を本当にするとしますと、これはやはり消費者庁の方で基本的には考えていただかざるを得ないというか、そちらの方に適性があると考えられるので、そうすると最初の話に戻りますけれども、消費者委員会と消費者庁との関係をどういうふうに協働歩調をとっていくのかという辺りの問題をある程度意識しておかないと、うまく進められないのではないかと思っております。
以上でございます。

○松本委員長 この文書の性格についてですが、年内に地方消費者行政の充実強化に向けての一定の考え方を示すようにという大臣からの要請がございまして、消費者庁は今すぐやることといいましょうか、これから2、3年内にやることを中心にプランを考えておられて、消費者委員会としては、2年、3年後を射程に置いて、主として考えるという分担で行っていると理解しております。
大きな意味では、当然重なっているわけで、地方消費者行政について、委員会と消費者庁で全く違った方向を向いて走り出すということはあり得ないので、同じ方向で基本的に協力し合いながら、しかし、見ている期間が委員会の方が少し先を見るという方向での提言になるのではないかということで、論点が重なってくるのは当然だと思います。
ただ、消費者庁は恐らく1.の部分は余り議論をしにくい立場にあると思いますから、1.の議論というのは、まさに消費者委員会が一番独自に議論できる部分かなと思います。
あとの部分は、たしかに消費者庁もそれぞれ考えておられることですから、協力し合いながら、今後は検討していくことになるかと思います。
消費者委員会といたしましては、このとりまとめを御承認いただければ、これが言わば一種の仕様書という形になって、これを基に来年1月以降、専門調査会を設置して、もっと地方消費者行政に詳しい方にたくさん入っていただいて、これらの論点について議論を重ねていっていただいて、22年度末にはきちんとした報告書を出して、3年間の期間が切れた時点以降にきちんとした国としての政策が打ち出せるような基礎をつくりたいと考えておる次第です。

○櫻井委員 そうすると、専門調査会をつくるためのメモみたいな感じで理解しておけばよろしいのでしょうか。余り中期的という感じも必ずしもしないのですけれどもね。
あと、もし専門調査会を立ち上げるのであれば、今、委員長がおっしゃられましたように、むしろ消費者庁と合同してやっていってもいいと思うし、そういうことはお考えになっておられないということなのでしょうか。

○松本委員長 合同してということの意味は、わかりにくいところがあるんですが、消費者委員会の中に組織をつくって、当然そこに消費者庁からも情報等を出していただいて、議論に参加していただくということになると思うんです。委員会と庁が一緒になって、委員会でもない、庁でもない第三の組織をつくるということが果たしていいのかどうかは、私は判断しかねますが、委員会の中でいいのではないかと思っています。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 これを作成するに当たって、その前提としてあったのは、今、松本委員長がおっしゃったように、3年間については消費者庁の方で緊急に対策を講じて、具体的な措置を講じておられるということで、4年目以降の中長期的な地方消費者行政の在り方も含めた問題について、どういう論点が考えられ、またどういう点について検討する必要があるのかということを議論して、整理したつもりです。
したがいまして、来年1月から、できれば早くスタートしていただきたいと思うんですが、専門調査会においては、かなりの広い分野で、つまり地方自治と消費者行政の在り方、地方財政と地方消費者行政に係る費用の在り方、商品テストの組織の在り方、先ほど話が出た消費生活相談員の資格や支援の在り方、特商法や景表法の法執行の具体的な在り方、地方消費者行政に携わる行政官の意欲や専門性の向上のためにどうしたらいいのかなど、一つひとつの論点が全部それぞれ専門調査会をつくって、検討しなければいけないぐらいの大問題であります。これを調査会でやる担当は大変だろうなと思いつつも、やはりこれは地方消費者行政が今後どうあるべきかという中長期的なことを考える上では避けられない、いずれも重要な論点だということです。現段階での10人の消費者委員がコンセンサスを得て、こういう点について、これから1年間かけてきちんと議論して、一定の方向性を出すべきだと考える消費者委員会としての自らの課題セットというぐらいのつもりです。そういう意味では、我々の大きな責任をこの問題についてちゃんと考えて、答えを出さなければいけないよと自分たちでも思っている。我々の責任をここで確認するという意味合いもあるのかなと思っています。

○櫻井委員 責任はいいんですけれども、やはりできることではないと責任を持ってやるとは言えないので、その辺りが少し心配であるということですね。
だから、今回はこのペーパーがそういう意味では委員会として、独自にまとめられたということで、必ずしも行政の方に頼らないでやったということではあるので、それはそれで意義がないわけでは勿論ないんですけれども、やはり一般的な行政がつくっている文章との比較でいいますと、密度が薄いかなという感じはするし、その辺りは試行錯誤でやっていくということかもしれません。
そういう意味でいうと、マンパワーにしても、いろんな知見であるにしても、消費者庁の方に比較的多くありますので、そこは十二分に御協力をいただいて、助けていただくべきところは率直に助けを乞うて、しかしながら、自分たちなりの自覚を持って検討していくということで、そこは余り突っ張ってもしようがないので、できることをやることが一番重要ではないかと思っております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 少し混乱しているのではないかということで、この表紙の基本的視点で書かれてありますように、現在消費者庁では3年間の強化プランが策定されつつあるわけですけれども、4年目以降については何も考えられていないわけです。4年目以降、ですから24年度以降の地方消費者行政の充実強化の在り方について、消費者委員会として1年間かけて先行して提案をしていこう。その提案文をつくりましょう。その提案文をつくるに当たっての視点、議論されるべき論点は何かということになると、こういう論点があるのではないかということで、論点をまとめた。これに従って議論をしていって、先行して4年目以降の地方消費者行政の在り方について、消費者委員会として提言をしていくという位置づけだと受け止めておりますが、それでいいのですね。

○松本委員長 そういう趣旨でつくっておりますから、ここに上がっている論点は、方向性は出していないで、論点を挙げるだけにとどめているのは、一定の方向性を出すほどの議論を今まで我々は短期間にはできていないということにあります。
したがって、1.の国と地方の役割分担は大変大きな問題で、これが本当にやれるのか。櫻井委員がおっしゃることは、ここに一番関わってくるかと思うんですが、ここでどれぐらいのことを実際にできるという状況で打ち出せるのかということが大きな課題だろうと思います。
ほかに御意見ございませんか。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 先ほど下谷内委員から指摘のあった相談員の資格制度の問題ですが、参議院の附帯決議の24項の表現をそのまま使わせてもらって、相談員の資格の在り方についても十分配慮することという表現がありますので、これを先ほどの3番の(1)の後ろの方の括弧の中の「専門家による支援」の後にもう一つ「相談員の資格の在り方」を加えて、「などのあり方」と続けたいと思います。よろしいでしょうか。

○下谷内委員 文章の成り立ちを言っているだけなんですが、最初に「相談員、相談員体制への支援はどうあるべきか」となっていますので、先に入れていただくことも。

○中村委員長代理 括弧の中にですか。

○下谷内委員 括弧の中にです。この支援はどうあるべきかという後の括弧は、相談体制の中に資格が入るのか難しいんですけれども、今おっしゃられたのは「専門家による相談員制度」ということでしょうか。関わるのは、自治体による相談員、相談員制度と2つ別々の文章に見えるので、そうであるならば、先に入れるのかなと思ったんです。
後からでも読めないことはないのですが、体制への支援についてということであればいいのですが、だけど体制の支援ではない。

○松本委員長 括弧は後ろのことだけではなくて、相談員、相談員体制への支援はどうあるべきかということの具体的な例示として上がっています。

○下谷内委員 理解しました。ありがとうございます。
もう一つ、先ほどのことに戻っていいですか。

○松本委員長 どうぞ。

○下谷内委員 私が理解しているのは、消費者委員会で充実強化に向けての(案)を出しましたのは、先ほど来から言われておりますように、委員会としての4年目以降の役割。それは私たちに一番課せられている権利、勧告というものがありましたので、その権利のところから入っていくということで理解しておりますが、いかがでしょうか。そういう形でやるならば、やはり消費者委員会はやるべきこと。
だから、消費者庁と、先ほど委員長がおっしゃられたように、ヒアリングをしたり、いろんな形のことはあるかと思いますが、消費者委員会は消費者委員会として建議していくという形で、これがされるべきではないかなと思います。

○松本委員長 自ら審議なのか、それとも大臣の要請を受けた一種の諮問としてやるのかということは、このケースの場合は余り違いがないと思いますし、消費者庁もやはり大臣から指示を受けて動いているわけなので、余り独自のことだけを強調しても意味がないかなと思います。
ただ、組織的には、消費者委員会として動く。消費者庁との協力の仕方について、ヒアリング、資料提供等で協力してもらう以外に、例えば委員会と専門調査会の委員に消費者庁からも正式に入ってもらうということも考えられなくはないと思いますし、今後も例えば総務省からも入っていただくこともあってもおかしくないとは思いますから、その辺は今後また委員会で、下部組織のメンバーに個々の行政機関から入ってもらうことの是非について議論していきたいと思います。

○櫻井委員 総務省はともかく、地域主権戦略会議にちゃんとトピックとして挙げてもらうということが1つあると思います。

○松本委員長 内閣にはいろんな会議体がございますから、その辺については、基本政策室長を兼ねておられる齋藤審議官の方にいろいろ調整をお願いしたいと思います。

○齋藤審議官 はい。

○松本委員長 ほかに御意見がございませんようでしたら、先ほど相談員の資格について、2ページの3.の(1)のところに追加するということで、御承認いただけましたでしょうか。

(「はい」と声あり)

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、来年以降の本格的な議論に期待をしたいと思います。
なお、本日の委員会の終了後、12時30分ごろから記者会見を行わせていただく予定にしておりますが、そこで委員会として、今、修正いたしました内容の文書「地方消費者行政の充実強化に向けて」を公表させていただきたいと思います。

≪3.消費者基本計画に関する現状報告≫

○松本委員長 それでは、次の議題でございます。 消費者庁では、新たな消費者基本計画の策定に向けて、計画に盛り込むべき施策を検討する段階から、国民の皆様の意見を取り入れるべく、パブリック・コメントを実施されてこられました。本日は、そのパブリック・コメントで寄せられました意見や現時点での基本計画の骨格について、消費者庁より御説明をいただき、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
それでは、消費者庁の羽藤審議官より、御説明をお願いいたします。

○羽藤審議官 お手元に資料を用意させていただいておりますけれども、今、御案内にございましたように、消費者基本法の定めに従いまして、消費者基本計画、現行のものが策定されております。
現行の計画は、平成17年からの5年間ということでございまして、消費者庁、消費者委員会設置関連法案の国会審議の際に、前回ここでも御指摘がございましたが、附帯決議では、次期計画案の策定に当たって、国会の議論や消費者委員会の意見を尊重することとされております。
一方、消費者基本法では、計画の案の作成、あるいは計画の検証、評価、監視は消費者政策会議が行うということにされていますけれども、消費者庁として、消費者政策会議の事務局の機能を担う立場にもあるわけですが、次期計画の案の策定の節目節目で、このように消費者委員会での御意見を伺って、作業に反映させていきたいということで、今日御審議をお願いいたしております。
今、委員長から御紹介がありましたように、次期計画の案の総論のスケルトンと、全体を通じた考え方の骨子と各論の柱、項目の立て方について、今日御審議をお願いいたしたいと思います。そして、その前提としまして、ここに至るまで、消費者庁として、大臣、副大臣、政務官の指示の下で、次期計画に盛り込むべき施策などについて、現行の案の策定の段階にはなかったこととして、案の策定に先だっての意見照会を行いました。
お手元の資料2を開けていただいて、資料3-1と1枚の紙を用意させていただいておりますけれども、意見募集の概要ということで、これは2週間という限られた期間でもございましたので、この期間で検討するには、限界や無理があるという御指摘も、消費者団体の関係者の方からいただきましたが、同時に方向性の段階から意見を提示する機会があることは意味があるというお声も寄せていただいております。82名の機関あるいは組織、個人、団体の方から、665項目の御意見をいただきました。これらの項目について、消費者庁として、次期計画案の策定の作業として、どのようにこれを受け止めたり、あるいは盛り込むべきかという考え方を今、整理している途中であります。
ただ、いただいたそれぞれの御意見について、すべて整理をして、お示しを申し上げるということよりも、まず、いただいたものそのものをここで御紹介をしながら、総論の全体の考え方や各論の柱、項目を固めていきたいと考えた次第であります。
お手元の資料2をごらんいただきたいと思います。「各方面から寄せられた意見等(平成21年12月14日時点)」とございます。
開けていただきますと「第1 総論」「第2 各論」ということで、全体の目次と称しておりますけれども、次期計画案として、大きなこういう柱、あるいはこういう各論の項目でこれを取り扱っていけたらどうかと考えておるわけでありますが、それに対していろいろな御意見が寄せられております。時間の制約もありますけれども、幾つか特徴的なものをざっと御紹介したいと思います。
4ページです。総論について「(1)消費者行政の新たな展開」とありますけれども、これは例えば上から4つ目の☆のところには「省庁横断的な問題についての政府一丸となった取り組み」とあり、結局どこまで可能であるのかということについて、具体的な行動計画が必要であるという御意見もいただいています。
更にその2つ下、消費者基本計画は、消費者庁と消費者委員会の役割分担にも十分な協議が必要であるという御意見もいただいています。
5ページ「イ 消費者市民社会の形成支援、地方消費者行政に対する積極的な支援」とありますが、例えば最初の☆にありますように、共生の理念をもつ概念である「消費者市民社会の実現に向けた新たな取り組み」ということを総論の上位概念として加えるべきであるという御指摘をいただいたり、その2つ下で、法制度の確立ということも視野に入れてという御指摘もあります。
「ウ 関係者との連携による施策の実施」は、例えば回収・新聞告知等費用は中小企業の存続を左右するレベルになっている。あるいは各種業界団体との密接な連携。
6ページの上にまいりますが、事業者との関係で、消費者と事業者のwin-winの関係の構築。
その下に○がございますが、意見募集で寄せられた意見は☆で書いてあります。○はそれまでにいろいろな関係の方々から個別にも、あるいは各省から事務的にも意見を求めまして、出されたものを全体として整理して、○でプロットしております。連携ということの御指摘もございます。
7ページ「(1)基本的方向性・項目立て」について、最初の☆がございますが、消費者の立場は多様であるが柱が足りないのではないかというご指摘。
4つ目の☆でありますが、わかりやすい項目の整理、テーマごとに整理をしたらどうかという趣旨の御意見もありました。「消費者の自立支援」という中で、消費者政策上重要と思われる課題の多くをまとめているけれども、この整理は無理があるのではないかという御指摘もいただいています。
更に、3つ下の☆は「良質な市場における取引の公正の確保」ということを基本的方向性に加えるべきである。
その2つ下は「政府一体となった取組み」に食品安全委員会や厚生労働省との連携。
あるいは「一元的・横断的な視点」というものは、消費行政の全体に関わることである等々御指摘をいただいております。
8ページは、特に上から2つ目でありますけれども、原案では、消費者の自立支援が強調され過ぎているのではないか。消費者の自立以前に消費者の権利の尊重を第一に掲げ、そして「消費者の権利擁護のための基盤整備」を柱の1つとすべきではないのか。そのための適正な規制や行政職員への消費者教育といった視点の御指摘もいただいております。
その次の☆では、消費者にも事業者にもわかりやすい視点とすべきであるということ。
その2つ下では、消費者の安全・安心の確保ということの関係で、消費者・事業者・消費者団体、事業者団体、行政機関、司法機関等が担うべき役割をわかりやすく説明すべきではないかという御指摘。
その次の☆は、消費者基本計画が全省庁の消費者政策の課題を幅広く網羅することが重要であって、現在の大項目というものは、主として消費者庁の重点課題の視点からの整備となっておるということで、テーマ別に項目をまとめるべきではないかという御指摘もいただいています。
また、最後の☆でありますけれども「消費者行政一元化の中の重要な視点」がこの原案の3つということでいいのかどうかという御指摘をいただいています。
9ページは、先ほどもありましたけれども、消費者の自立支援ということと、透明性に強くコミットすることが大事であるということが上から3つ目の☆でございます。
その次の☆では、当面は「消費者の安全・安心の確保」が重点であるとしても、中長期に幅広く消費者の権利の実現、充実を進めていくという視点を盛り込むべきではないか。
一番下は今のことと同種かとも思われますが「消費者の権利の尊重」と「消費者の自立の支援」と「消費者の安全・安心の確保」との関係で、やや後者が強調されている印象があるという御指摘もいただいています。
10ページ、一番上の☆は「基本的な方向性と課題」と新計画案の「基本的な方向と課題」についての体系的な再整理を求めるという御指摘もございます。
3つ目の☆は、「5年」ということについて、これは政策の5年ごとの期間計画であるので、政策の継承性も必要である。これまでの計画の実績評価や課題についての総括が必要であるという御指摘をいただいております。
4つ目の☆は、国際的な整合性、輸入品に対する安全性の確保、海外の事業者も理解しやすいルールや計画。
11ページにかけまして「自分のことは自分で守る」「地域のことは地域で守る」ということ、公正で安全・安心な社会の実現を目指すといった御指摘もいただいております。
12ページは「消費者事故の再発・拡大防止・未然防止」ということで御意見をいただいております。これは予防原則ということを明確にした施策が必要であるといった御意見などでございます。
14ページは「地方消費者行政の充実支援・環境整備」ということで、今、御議論をいただいておったところでもありますが、消費者センター相談員の充実、身分の安定化、待遇の改善といった御指摘を多々いただいております。
また、下から4つ目の☆に、消費者委員会と地域の消費生活センターの連携強化を要望するといった御指摘もいただいております。
15ページにも、引き続いて、地方版消費者庁というべき司令塔の役割を果たすような首長直轄の機関設置推進を位置づけるべきであるという御指摘もいただいています。
情報集約システムの活用の重要性も御指摘をいただいております。
16ページには「(4)被害者救済等」ということであります。
多重債務者対策、あるいは下から2番目の☆ですけれども、悪質業者から違法な収益を奪い取って「違法収益の吐き出し制度」を考える必要があるといった御指摘もいただいています。
17ページ「(5)消費者の自立支援」ということであります。
「リスクコミュニケーション」という表現が非常にわかりにくいのではないか。
消費者団体の位置づけや支援ということについて明確に定義していることが重要ではないか。
消費者の自立支援ということでありますけれども、そういう中に消費者教育ということを位置づける。
このようなことを始めとして、下から3つ目の☆ですけれども、消費者教育基本法の制定あるいは消費者教育が重要ということがございます。
19ページ「3 基本計画の実効性確保」では、最初の☆にありますように、ローリング方式とすべきである。
「目標」を盛り込んで、基本計画、年度ごとの実施計画、施策という組立てにすべきである。
このほかにも○の中で、例えば消費者行政の骨格となる大方針をつくった上で議論をしていくべきであるといった御意見もいただきました。
20ページ以降は各論になります。各論は、それぞれ文字どおり、いろいろなテーマの中で取り扱うべき項目についての御要望をいただいております。
以上、総論を中心に見ていただいたわけですけれども、資料1にお戻りいただきたいと思います。
今、いただいたこととの関係で、整理をこれからしていくわけでありますけれども、総論部分のスケルトンとして「1 『消費者基本計画』の策定の趣旨」の中で、消費者行政が新たな展開のステージに入ったということ。
新たな基本計画の策定に当たって留意した事項として、基本計画の策定については5年間ということを置きながら、その中で消費者市民社会の形成支援、地方消費者行政に対する積極的な支援、自立の支援、消費者事故等の再発・拡大防止、未然防止、関係者との連携による施策の実施。
「2 今次基本計画が目指す消費者政策の基本的方向性」ということで、消費者事故等の再発・拡大防止、未然防止、地方消費者行政、被害者救済等、消費者の自立支援。
このような項目立てで総論を語っていくということで用意をしておったものに対して、先ほどのように、いろいろな意見が寄せられてきているということでありますので、これから今日の御意見も踏まえながら、これを更に整理していきたいと考えております。
今後のスケジュールでございますけれども、年度末までにこれを定めるという方向性の中で、冒頭に申しましたように、策定の節目節目で消費者委員会の御意見を伺ってまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 ありがとうございました。
ただいま、特に総論部分中心の御説明でございましたが、委員の皆様から何か御意見、御質問はございますでしょうか。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 総論部分スケルトンのところで発言したいと思います。1ページの(2)の2つ目の○消費者市民社会の形成支援というところですが、ここにある「『消費者』のあるべき姿」とは「自主的かつ合理的に行動し」と記載されていますが、非常に違和感を覚えます。それから「自ら律する消費者」という言葉も違和感を覚えます。
消費者政策の必要性を考えますと、消費者は合理的な行動をとろうとしてもとれない。なかなかそうはできない。むしろ消費者は、合理的行動がとれないという位置づけの必要性を感じておりまして、例えば安全の分野でよく言われる予見可能な誤使用。今までは予見可能な誤使用と言わずに、消費者が合理的な行動をとれば事故は起きないだろうと言われてきましたが、最近では予見可能な誤使用というのは、やはり事業者も考えなければならないといわれております。
昨年の国民生活白書によると、消費者の行動は必ずしも合理的ではないという研究をいろいろ紹介されております。その中で、OECDなど諸外国では、消費者政策の見直しをしている。それなのに「自主的かつ合理的に行動し」と書かれているのは、今の時代に合わないのではないかなと思います。
この点も踏まえて、御説明にあった中で「消費者市民社会」という言葉が何回も出てきておりますが、消費者市民社会は何なのかということをきちんと定義づける必要があると思います。それは国民生活白書によると、消費者市民社会とは、消費者生活者が生き生きとし、自らの自己実現と社会のありようを消費者生活者の視点から望ましい社会に変えていける社会と定義づけています。この言葉には、賛同できます。
消費者は自らの自己実現と消費者視点で社会のありようを変える人という2面からとらえているという辺りをきちんと書いていただきたいと思います。
次に、1ページの最後の○も、「消費者市民社会」を構成する「自ら律する消費者」と書かれていますが、ここも前と同様、非常に違和感があります。この辺も書き方を変えていただきたいと思います。自らの自己実現だけではなく、消費者・生活者の視点から社会のありようを変えていくと位置づけると、この2面性がスケルトンの中にただ「自ら律する消費者」と書かれているだけでは十分ではないと思います。
この項目についてですが、御説明の中にありましたように「消費者の権利」という言葉が一向に出てこない。まず書いていただきたいのは「消費者の権利の尊重及び自立支援」です。消費者基本法の第3条に国の責務としてきちんと書かれている部分だと思いますが、いかがでしょうか。
もう一つ、区分の中で資料3-2の3ページの「4消費者の自立支援」の中に表示の問題が入っています。広告その他の表示の適正化とか、規格、計量などが果たして消費者の自立支援ということになるんだろうか。この辺りはもう一項目挙げるなり、もう少し工夫をしていただきたいと思います。
以上です。

○松本委員長 では、羽藤審議官お願いいたします。

○羽藤審議官 御指摘のとおり、この総論の部分で、自らの消費行動を通じて、自ら律するというところがやや目立ち過ぎる。そして、決してそういうところだけを強調しているわけではないんですけれども、文字の上でも、消費者が情報共有をして、社会のルールを変革していくという国民生活白書の中で経済主体としての消費者と社会の変革としても消費者だという議論があったということも改めて念頭に置いて、この整理を見直してみたいと思っています。
これはパブリック・コメントの中でも、この点についての指摘をいただいているのは、先ほど御紹介をしたとおりですので、この点は今の御指摘の方向性で直してまいりたいと思います。
項目についても、パブリック・コメントを引用して、今、佐野委員のお話の中にもあったわけですが、消費者の権利の尊重ということについての認識をしっかり打ち出せるように工夫をしたいと思います。
消費者の自立支援という項目の中にはたくさんのテーマが盛り込まれているということは、パブリック・コメントでもいただいておりますので、やはりこの点についても工夫をしてみたい。どのような項目立て、柱立てができるかということを考えたいと思います。
繰り返しですけれども、当初事務的に考えておりましたものに対して、柱立て、項目立ての中の適否、重点化ということを意見募集の中でもいただいておりますし、今、この場でもいただいておるので、消費者基本計画の中に反映をしていくということでの作業をしてまいりたいと思っています。ありがとうございました。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 今の議論と関わるのですけれども、この資料1の1の(1)のところで、消費者行政が新たなステージに入ったというところから書き出しが始まるわけですが、ここが非常に重要なポイントだと思うんです。
これが従前の消費者の取扱いと一線を画する大きな制度的な変更であるということになるので、どういうふうに新しいステージに入って、その新しいステージの中でどういうことを展望していくのかということが出せるといいのだろうと前提としては思うんです。
そうすると、今の(2)の2つ目の○ですが、消費者をどういうふうに描くかということです。これなどは法律論としてちょうど関心があるところで、やはり近代的な法だと、自主的かつ合理的に行動する近代的な人間像というのがもともとあって、今の法制度は、基本的にそれをベースにつくっているわけですね。
ところが、社会立法として、借地借家法であったり、労働関係の法律であったり、そうした法律群では、実は人間は合理的ではない、自立的でもなければ、合理的でもなくて、十分な情報を仮に十分与えられたとしても、合理的な判断ができるとは限らないという中で、そういう新しい法制度ができてきて、消費者の議論というのも、従前だとまさにそういうものだから、ある種の社会的弱者みたいなイメージなのかなとも思われます。そうすると、そういう人間の実態に合った形で仕組みをつくっていかないといけないということで、ある種のコンセンサスがあって、消費者法的な領域が発展し、1つの省庁として消費者庁なり消費者委員会ができたということだと思うんです。そうすると、今、まさにこれはできたわけで、消費者の視点を提供していく、あるいはそういう視点を行政の中に実現していくような仕組みができたというところから出発しますと、最終的にはそうはいっても自立しているのに越したことはないわけだから、そうだとすれば、やがてはそういう賢い消費者を目指すというのは、当然のことで、健全な発想であろうと思いますし、経済学の議論でも確かそのような議論があったかと思います。何か不祥事が起きたとき、まず事業者の倫理のようなことが最初に議論されますけれども、最終的には消費者の行動がまた事業者をして不祥事を起こさせる素地を提供しているということで、消費者自身の倫理的な行動が経済学の観点でも要求されるという議論を見たことがありますが、そんなイメージとして、展望としては書くべきなんだろうと思っています。
そうすると、新たなステージに入って、具体的に何をしていくのかということですが、2ページ目です。
1つは、是非わかりやすく書いてほしいということで申し上げるんですが、例えば2の(1)と(3)の関係を考えてみますと、従前の消費者行政というのは、私の目から見ますと、被害者の救済というのは、被害が起きてからそれを助けるという話で、民事的な救済であり、司法的な救済であるということが先行して進んだといえると思われます。
しかし重要なことは、被害の未然防止ということであり、しかも侵害されたものを100%原状回復的するというだけではなくて、6対4なり、多少でも元に戻して、あるいはそれを未然に少し利益の重点を従来の事業者側から少し消費者側に移すということが大事なので、これは行政法的な仕組みの構築ということなんです。
そうすると、(1)はまさにそこに当たるんですが、これがこれだけなのかということが1つあって、もう少し事前予防というか、そういうところで行政ができることがたくさんあるだろうということをもう少し書いていただけるといいのではないかと思います。だから、行政機関の連携だけではないんです。それぞれの個別法の中で行政が行うような対応が、例えば即時的でなければいけないとか、頻繁にそういう比較的小さい法益侵害に対して、どういうふうに円滑に対応していくかとか、そのようなことを書いていただくということがまずベースにある。 かつ関連しますけれども、3ページの4の(3)のところに消費者委員会の役割が、基本計画の実効性の確保に出てくるんですが、それだけではなくて、2のところにも多分消費者委員会の関わり方というのがあって、それも併せて書いていただけるといいのではないかと思います。
これは基本的には、消費者庁と消費者委員会の役割分担ということに関わっておりまして、多分性格決定ということで考えると、消費者庁よりは消費者委員会の方がより生の消費者に近いというところがあって、それは国よりは地方の方に近い。そうすると、そちらの方から見て、消費者委員会の方がよりアクセスがやりやすいとか、心理的敷居が低いとか、そういうことがとても重要で、そういうものを通じて、消費者庁の方は、勿論独自のパイプを持っていただいて結構だと思うんですが、消費者委員会から吸い上げた意見等を行政にそれなりに反映していただくという形での連携関係みたいなところががもう少し文章として出るとよろしいのではないかと思いました。
以上でございます。

○松本委員長 御意見ということですが、今のことについて何かございますか。

○羽藤審議官 先ほどの佐野委員の最初の御指摘と関係あると思うんですけれども、要するに「経済主体としての消費者」だけではなくて、「社会変革の主体としての消費者」と申し上げましたが、それと同時に、国民生活白書でいっている「やさしいまなざしを持った社会」というのが据えられていて、消費者庁ができて、「やさしいまなざしを持った社会」ということが、弱者保護の視点を持ったいろいろな社会のルール形成として具体化されていく。それが消費者像と相まって、消費者行政が新しいステージになったという位置づけをより明確にするという御指摘だと思いますし、そしてそのやさしいまなざしを持った社会の中で、それを形成していく上で、今、おっしゃられたように、例えば事前予防なら事前予防についても、行政ができることとして、連携だけではないという御指摘だったと思いますので、文章としてどのように反映していくのかということをよく工夫してみたいと思います。ありがとうございます。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 資料1の先ほどの「消費者行政は新たなステージに入った」という前の○の「消費者行政の遂行に当たっては消費者庁と消費者委員会は後者が消費者の視点で前者を監視する機能を果たしつつ両者が協力して他の省庁を主導していくという関係」という表現が、苦労された文章なんだろうけれども、両者が協力して他の省庁を主導していくということはあり得ないのではないですか。権限と責任の関係からいけば、どちらかが責任を持って主導していくということにならないとね。両方が他の省庁に関与することはわかりますけれども、行政をしていく主体は、消費者庁であるべきであって「協力して主導する」という表現は、私の感覚からするとちょっとおかしいと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○羽藤審議官 これは我々としては、とにかく消費者庁がしっかり司令塔の役割を果たすということですから、そういう意味合いで、そこに監視機能という形での消費者委員会の位置づけがあるということで、この文章をそういう視点で見直し、今の御指摘を踏まえて工夫をしてみたいと思います。

○池田委員 あえて言えば、恐らく新しい2つの組織ですから、逆に言えば、最初の消費者基本計画をやっていくこれから2、3年の間で、逆に消費者庁と消費者委員会がどうあるべきかということは、関係のありようが両方で検討する大きなテーマになってくると思います。私はそのように感じています。

○松本委員長 櫻井委員が前から盛んに指摘されている論点で、消費者庁と消費者委員会の関係がどうなのかというところが、必ずしも整理されていない結果として、こういう文章になっているという感じもいたしますが、かくあるべしという部分で完全なコンセンサスが恐らくまだとれていないんだと思うんです。消費者庁も消費者委員会も、それぞれ一生懸命やっている中で、少しずつ両者の一番いい関係というのがつくられていくのではないかと思いますから、文書で決め付けるのは、もうちょっと先になってからの方がいいかなと私個人としては思っております。
櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 一研究者として専門的な見地から言うと、現行の制度はやはり無理があって、欠陥品なんです。なので、立法論を視野に議論を立てるということは、文章は上手に丸めていただいて結構なんですけれども、それはやはりむしろ立法者の方に問題を投げかけいった方がいいと思いますので、それはそのような方向で是非御検討いただきたいと思います。

○松本委員長 ほかに御意見ございますか。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 中村ですが、資料1の3ページの「4 基本計画の実効性確保」の問題で、今回、3年後にもう一回見直しを行おうということと、毎年進捗状況を検証、評価、監視していくということを入れておられるのですが、これはこれでいいかとは思いますが、今までの基本計画を長年見ておりますと、どうも何か提案しても、関係各省庁が既に予算を固めてしまった後で、新たなものを付け加えるということがなかなかしにくいという流れが従来あったように思います。 だから、今回4の(2)のマル2に「検証・評価の結果を、次年度の具体的施策へ適切に反映する」という表現を使っておりますが、もっと具体的に言うと、予算にきちんと反映させろということなのだろうと思うのです。そこら辺は、毎年国の予算のつくり方は、もう夏までには概算要求が各省庁から出されて、固まってしまう。そこには十分反映される時期というのは、一体いつの時期にこういう検証・評価の結果を出せばいいのか。そういうスケジュール的な感覚もここに織り交ぜていただいて、本当にそれが具体的施策に反映するように、計画性を持ったこちら側の作業といいますか、そういうところをスケジュールしていくという視点を是非もう一歩強調していっていただきたいと思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 これは各論に関わるところでもあるんですが、総論のスケルトンの2枚目の2項の(1)で「『すき間事案』への対応」という言葉があります。具体的に事件に関わっている立場からしますと、これは制度的なすき間というよりも、むしろ担当省庁の目が届かない分野の問題が重大です。
具体的にいいますと、例えば無届の貸金業者によるさまざまな消費者被害。
無届の証券取引関連業者によるさまざまな被害。これは私募債、いわゆる50人未満に対して株式や社債を発行する場合には、いわゆる目論見書等の法規制がないわけですが、その法規制をくぐった形での無届の業者による被害。
健康食品に薬効をうたって、金銭的な被害あるいは命に関わる被害をもたらしているこのような分野の被害がかなりあります。
このような分野については、貸金業者に関していうと、金融庁は届け出ない貸金業者だから目が届かない。あるいは私募債等につきましても、証券業の監督関係でも目が届かない。健康食品についても、薬品として届出があればともかく、その届出がないので、厚労省では目が届かないんだという。目が届かない分野で、悪質業者によるお年寄りをターゲットにした被害が本当になくならない。ますます熾烈を極めているという現状があると思うので、当然項目として挙げられていると思うんですが、総論のところでもそこら辺を意識した形で書いていただきたいし、各論の中でも是非具体的な対応をお願いしたいと思います。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
それでは、消費者庁におかれましては、国民の皆様からパブリック・コメントで寄せられました御意見や、本日委員の中から出されました意見をしっかりと取り込んでいただいて、素案の作成をしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○羽藤審議官 どうもありがとうございます。

≪4.改正特定商取引法と訪問販売お断りシールについて≫

○松本委員長 それでは、次の議題に移りたいと思います。
先日、地方自治体等が配布する訪問販売お断りシールにつきまして、改正されました特定商取引法の解釈の関係での報道がございました。
また、前回の委員会におきまして、山口委員より、この問題を本委員会で取り上げてほしいとの御発言がございました。
そこで本日は、消費者庁より、改正特定商取引法と訪問販売お断りシールとの関係につきまして御説明をいただき、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
それでは、消費者庁の丸山取引・物価対策課長より御説明をお願いいたします。

○丸山取引・物価対策課長 丸山です。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元の資料3をごらんいただければと思います。幾つかの資料に分かれておりますので、クリップを外してごらんいただければと思います。
今、委員長から御指摘のありました改正特商法は、12月1日から施行ということになりまして、特に今日お話として取り上げていただいているのは、再勧誘禁止の規定というものを改正法で盛り込んだということで、その関連でございます。
まず、資料3-1です。条文そのものでありますけれども、特商法としてどういうことを規定されているかということを改めて確認ということで、ごらんいただければと思います。
御案内のとおりですけれども、特商法自体でいいますと、訪問販売の禁止ということではございませんで、訪問販売というのは行われる、あるいはその過程で勧誘行為が行われるということを前提にしているわけではありますが、勧誘を行う以上、一定の行為規制はきちんと守りなさいということで、それに触れればアウトという規定の仕方になっているわけでございます。
具体的には、資料3-1に書いてあるところが関連の事項でございます。
最初に、第3条は従来からあった規定でして、例えばこの規定の中では、勧誘に先だって、相手方の消費者に対して、氏名やこれから契約締結について勧誘する販売の目的ですとか、勧誘の対象の商品といったことを明らかにしなければいけないという行為規制を課しているということで、もともとこういう規制がございました。
具体的には、次の第3条の2の規定が、今回新たに追加になったものでございます。
この中も実は2つございまして、1つが第1項で、消費者に対して勧誘を受ける意思があることを確認しなければいけないということを決めております。
第2項で、いわゆる再勧誘禁止規定の直接の規定でありますけれども、消費者側から契約を締結しない旨の意思表示があれば、再度勧誘してはいけないということを規定されているということでございます。
いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、勧誘があって、勧誘の過程の中で一定のこういう行為を守らなければいけないということで、その過程の中で、消費者側から、契約締結の意思がないんだということを言われる場合には、そこにいる相手方に対して意思表示がなされている、あるいはこちら側の消費者の方が意思表示をしている、あるいは何を断っているかという対象物品等が明らかになっているといったことで、要りません、結構ですということを言っていただければいいわけですが、個別の明示的な意思表示があったということで、この規定が発動されるということで立法したということでございます。
一部取り上げられておりますステッカーというものについては、それを張ることで勧誘に来ないようにできないかということが意図として含有されているということだと思いますが、この改正法の規定、立法の過程の中では、先ほど申し上げたような趣旨での規定を設けることはできるだろうということでの立法を行ってきたということが趣旨でございます。
その上で資料3-2でございますが、これは今の再勧誘禁止規定の全体について、どのように運用していくかということで、消費者の方に知っておいていただく必要がある分も多々ありますし、あるいは事業者側にきちんと守ってもらわなければいけないということで、関係者の方に第3条の2の運用をどうするかということを明らかにするために、法律が昨年6月に通りましたが、それ以降政令、省令、ガイドライン等々という形で運用方針を決めてきたという中での再勧誘禁止に関する指針・ガイドラインということでございます。
ちなみに、3ページの中ほどのところのかたまりですけれども、「契約を締結しない意思」について、例えばどういう表示方法をすればいいのかということで、先ほど申し上げましたが「要りません」「関心がありません」「お断りします」「結構です」といった意思表示をしていただくということで足りる話ということが書いてあります。
ちなみに、その数行下ですけれども「訪問販売お断り」という張り紙等では、十分な意思表示にはならないということで、先ほど申し上げた立法過程での議論ということをここに書かせていただいているということでございます。
ちなみに、この資料3-2の最後のところに、消費経済審議会の名簿を付けさせていただいておりますけれども、昨年6月にこの法律を国会で承認していただいてから、丸1年間、この消費経済審議会で今のような細部の運用についての議論をずっとしていただいたということで、その中で今の指針も完成させてきたということでございます。
一方で、我々として非常に大事なことと思っておりますのは、実はこれは法律の考え方として今、申し上げたようなことではあるわけでありますけれども、従来から条例で、それぞれ独自に訪問販売やそういうものの規制を各地域、自治体でおやりになってきているという実態があるわけでありまして、そうした条例に基づく取扱い、これはステッカーやシールというものに限らずでありますけれども、そういうものが行われるということについては、それぞれの自治体の御判断であり、有効であるということは、従来からそういうことで我々自身も考えてきているということでございまして、若干このステッカーの先週来の議論の過程の中で、そういうことが少し紛れていないかなということを大変心配しているところでございます。
例えば資料3-3に幾つかの条例を書かせていただいております。ここでは大阪府、滋賀県、奈良県生駒市の条例を書いておりますけれども、似たような法的な構成、建付になっていまして、大阪府の例をごらんいただきますと、最初の第16条で「不当な取引行為」については行ってはならないという禁止規定を設けています。その中で号立てになっておりまして、例えば不実告知ですとか、威迫をするなどを勧誘の中で行ってはいけないということなんですが、そうしたことが行われた場合には、第19条で指導または勧告ができる。
更に28条ですけれども、勧告に従わなければ、氏名等の公表を行うという一定の処分の規定が設けられているということであります。
なお、一番下のところでありますけれども、条例上の不当な取引行為をもう少し明らかにするという意味で規則がつくられていまして、拒絶の意思を表明している消費者に対し勧誘するような行為ということもそれに入るということで、ここに明確にステッカーとかシールということは書かれておりませんけれども、大阪府のこの条例の解釈、運用ということとしては、ステッカーというものも入るんだということで、この立法をしておられるということでございます。
ちなみに、後ろの2例についても、条例の書きぶりについては同じようなことでありますけれども、やはりこういうステッカーみたいなものを読み込めるということで解釈を立てておられると承知しております。
したがって、先ほども申し上げましたように、こういうものについては、決してステッカーに限った話ではありません。それぞれ独自の消費者保護のための規定ということがあるわけでありまして、それについては当然に有効であり、今後とも運用されてしかるべき話ということで整理をしていく必要があるということでございます。
ちなみに、資料3-4のように、今、口頭で申し上げておりますような説明と同様の趣旨のことについては、既に先週福島大臣からも御発言をいただいておりまして、その上で資料3-5にありますような、改めて今、申し上げた趣旨のことで紛れがないようにという意味で、先週、自治体に我々として周知をさせていただいたということでございます。
この中の2つ目のパラについては、先ほど申し上げた特商法の考え方を改めて書かせていただいております。
パラの3つ目「他方で」と書いたところでありますが、それぞれの取組み、あるいは条例上の規定といったものは、消費者トラブルを防ぐための有効な手段であって、特商法上の解釈ということに影響を受けるというものではなくて、特商法と相互に補完し合う関係にあるといったようなことを明らかにしております。
当然、張り紙、シール等が張ってあった場合に、事業者側はそうしたものを尊重すべきという考え方も当然とられるべきだろうと思いますので、その点についても触れさせていただいているということでございます。
いずれにしましても、こういうものを通じて、特商法の規定と条例の役割といったものが両方生きるようにということで、きちんと改めて周知をして、明らかにしていきたいと考えております。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。ただいまの丸山課長の御説明につきまして、御質問はございますでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 説明ありがとうございました。立法の過程での議論がそのようなものであることもよくわかるんですが、3つあります。第1番目には、特商法の改正に先行する商品先物取引の委託者の保護に関するガイドラインというものが、商品取引所法の施行を踏まえて、平成19年9月30日に制定、実施されております。この法律の214条5号の解釈について、ここには商品市場における取引等につき、その委託を行わない旨の意思を表示した顧客に対し、その委託を勧誘することは勧誘禁止に当たるとなっていまして、そのガイドラインの中では、いわゆる勧誘お断りの表示を戸口に掲げている場合については、顧客により事前の意思または承諾がない限り、勧誘を行うことはこの規定に反するということです。これは、今、丸山課長が説明された特商法の解釈とは矛盾するガイドラインの内容になっていると思うんです。この法律の整合性については、やはりこのまま放っておくわけにはいかぬのではないかと思います。この点をどうお考えなのかが1つ。
2番目に、第3条の2は、勿論第3条を踏まえて、第3条の2は1項、2項とあるわけですが、まず第3条の2の1項は、事業者は勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めねばならないとあるわけです。訪問販売お断りシールが門に張ってあるということになれば、これは勧誘を受ける意思がないことを一応表明していることになるのではないかと思います。
したがって、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努める場合には、もっと慎重にしないといかぬだろうと思うわけです。慎重に確認した上で、個別の勧誘があった場合に、やはり嫌だということがあった場合には、2項の提携しない旨の意思を表示したものという解釈については、やはりお断りシールがあった上で断りますといった場合と、お断りシールがないところで、ただ断りますと言った場合での解釈のありようが違うのではないかと思うんです。
その意味で3番目なんですが、もう既に先週出されたということであれば、これからどうするかということは検討いただきたいと思うんですが、資料3-5で消費者庁の取引・物価対策課の方で、自治体の方に徹底された文書の真ん中辺りで、意思表示の対象や内容表示の主体や表示時期などが必ずしも明瞭でないため、特定商取引法においては、シールを張っただけでは契約を締結しない旨の意思表示には当たらないことになるとだけ書いてあるんですが、せめて、3条の2の1項の勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならないという規定の解釈からいえば、シールがある場合には、より慎重な事業者の意思確認が求められる。その意味で、特商法の第3条の2の運用上も、このシールは全く無意味なわけではないんだということを踏まえていただく必要があるし、シールはまったく無意味だと言い切ってしまうのではなくて、一定の意味があるということも、どこかで書いていただいていいのではないかなと思うんです。
なぜ私がこれほどこだわるかといいますと、先ほどちょっと申しましたけれども、昼間この訪問販売に対応するのは、お年寄りがほとんどなんです。お年寄りが一人で住んでいるところで、親切に装った訪問販売員が来て、いろんな雑談をしながら、いろんなものを売っていくわけですけれども、やはりお年寄りは無防備です。事件を受任するに当たっても、いつも感じるところなので、勿論営業の自由というのは認められるべきなんだけれども、昼間勧誘の主たるターゲットになるのがお年寄りであることを踏まえると、この訪問販売に対する規制の在り方については、慎重に考えなければいけない部分もあると思うので、消費者庁の今回の対応について、いかにも冷たい気がしてしようがないんです。それで是非御検討をお願いしたいと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○丸山取引・物価対策課長 ありがとうございます。
まず、第1点目の商品先物の話については、訪問販売と商品先物の取引で行われている実態、あるいは被害の発生している対応といいますか、言わば立法事実の部分でそれ相応の違いがあるということなんだと思っております。
それは何かといいますと、実は今年の通常国会、従って特商法が改正された1年後ということになりますけれども、商品取引所法については、既に改正が行われておりまして、まだ施行になっておりませんが、今の改正の中では、商品取引所法上から商品先物取引法という、より広く、規制も強化された形になっております。
実はこの商品先物については、ある部分について不招請勧誘の禁止というものを既に議論された末に、改正の中で入れられておりまして、いずれそういう実態がある中で、従来、取引所法の時代から一定の解釈運用ということがあったと思いますが、それを立法措置に表していくことは必要だろうということで、そういう判断に至ったんだろうと思います。
したがって、これはそれぞれ各論ごとにどういう立法が必要になるかということの判断によるんだろうと思っておりまして、立法論として申し上げれば、改正特商法については、むしろ指定制も廃止をして、およそ原則すべての商品やサービスの訪問販売を取り締まっていくということにしてきているわけでありまして、そういう意味においては、商品先物とややそこに取扱いの違いが出ているといいますか、立法上は違う議論をし、検討して、ここに至っているという関係になっていると思っております。
それから、その後に御指摘をされた2つのことというのは、かなりリンクをしているお話を言われたと思います。例えばシールが張ってあることが我々は無意味だとは全く思っておりませんで、1つは、地方自治体の取組みとしてということで、先ほど紙に書かせていただいたということがございます。例えばこれは各論になってきますので、一律にどうこうと申し上げるのは大変難しい面ではあると思うんですが、特商法は今度改正法が施行になりましたので、それを執行していくということが大事な局面として出てくるわけでありますが、例えば本当にこの断りをしたのかどうなのかということを個別に1個1個認定していって、それに反していれば行政処分をするということが我々の務めになってくるわけですが、そういう執行の過程の中でどういう意思が表示されたのかということを見極める1つのやり方として、こういうシールが張ってあるということが、その局面において大事なポイントとして、我々として見るべきところになってくるという要素はあり得るのかなと思っています。勿論、シールだけではなく、それはいろんな要素がありますので、その中で見極めていくということでありますけれども、先ほど山口委員がおっしゃったように、それは1つの消費者側の考えを表しているという外的なものとしてとらえられるのではないかという面は、我々自身もあると思っておりまして、そういうことも含めて、実際の執行といいますか、処分に向けての調査の中ではこういうことを考えていきたいなと思っております。
他方で、ただ、これは個別にそれをどう評価できるかというのは、やはりいろんな要素が執行の中で入ってくると思うんです。シールがあったら必ずこうなるとか、こうならないということを一律に申し上げるというのは、なかなか実際は難しいのかなと思っておりまして、今、私としては、シールについてそういうことは、執行の過程の中で考慮されるべき1つの事象だということは明確に申し上げることはできると思いますが、その結果、どういう取扱いをするかというところまでは、字にするというのは難しいところがありますので、そういう御説明をしたことで、是非御理解をいただければと思っております。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 消費者被害あるいは高齢者被害を防ぐという意味では、先ほど山口さんが言われたところだと思います。
一方で、執行の部分で、今、丸山さんもるる説明されたところですが、我々事業者として、正常な訪問販売に対する営業の自由というのはきちんとあると思うんです。ですから、執行される段階によって、まともといいますか、そういうものが侵害されることのないような、一律に執行することがないような配慮をこれから個別の議論の中でいろいろ経験を積まれていくかと思いますので、そういう目線もきちんと再確認でお願いしたいと思います。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 この点は、今日の議論でも、最初に出てきた地方自治体にどういうふうに対応させるかということとも絡んでいるんですが、今の丸山課長の御説明は、極めてオーソドックスな法律論であって、それはそれとして承認できると思います。
むしろ私は報道の方に問題があったかなと思います。だから、消費者庁が一定の法律の解釈を示したからといって、新聞記事によりますとですが、自治体の方が従来のシールが拒絶の意思に当たらなくなったみたいなことを通知したという報道がありましたけれども、それがもし真実だとしますと、その対応の方が問題でして、それは法律自体を正しく理解されておられないということだと思いますし、いろんな消費生活条例を各自治体はつくっておりますけれども、これは法律と関係なくつくっている独自条例でございまして、実際には行政指導しか内容にしていないわけですから、それはそれとして、1つの独自の世界で対応しているわけですから、そこでシールをどういうふうに扱うのか、違反があれば条例上の公表の対象にするということは、まさに各自治体の判断なのであって、法律とは関係のない事柄です。
ですから、法律と条例の関係も踏まえずに、法律が変わったせいでこうなったといいうような、消費者庁が悪いという一方的な議論は、完全に間違っている議論であると言わざるを得ないのであります。
ただ、立法論として思うのは、前回も実は申し上げたんですが、特商法はほかの法分野に比べますと、国と自治体の権限分配の規定の仕方が非常にアバウトなんです。驚くほどアバウトなので、多分自治体の方がどういう形で条例をつくったらいいのか指針が読み取れない部分がある。指針がはっきりしていれば、自治体も行政指導条例にとどまらないで、もう少し法規制に踏み込んで、上乗せとか、横出しなどの規制ができるのか、できるとしてどの程度できるのかということについて対応できる可能性がある。現在は、必ずしも指針が国の方から示されておらないで、そのために一番小さいところでまとまって条例をつくっておられるというのが、多分現状なんだろうと思うんです。
そういう意味でいいますと、余り細かいことは申し上げませんけれども、国の法律の在り方としては、自治体の権限がもう少し明らかになるような形で、法律を前提とした形での条例制定に積極的に道を開くようなことを、現実問題として考えていいのではないかと思います。その点は、大変未分化な感じがするということは申し上げておきたいと思います。
以上です。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今回の事の発端は、12月7日の『朝日新聞』の夕刊の一面トップに、「訪問販売お断りシールは無効」という大きなタイトルと、「消費者庁が判断、自治体は困惑」という中見出し。これが今回の問題の発端だったのです。
今、御説明いただくと、かなりの方は丸山さんの説明は理解されると思うのですが、私が思うに、この『朝日新聞』は、800万部。夕刊だけだと半分の約400万部弱発行されている。その情報の広がりに対して、消費者庁側の今回のことは、資料3-4の大臣の記者会見要旨は、消費者庁のホームページに載っているだけですね。これでこの情報の真偽を消費者庁側が対向して説明することになり得るかというと非常に心配でして、到底情報の大きさからして負けていますので、やはり今、説明されたような正確な理解を広めるための努力をもうちょっと別の方法でやっていただきたい。この資料3-5というものは、国民一般に、『朝日新聞』に負けないほどちゃんと伝わるようにしなければいけないと思います。
そのときにもう一つ気になるのは、資料3-2の法の運用指針の中に条例のことが何も書いていないのですが、法体系全体というか、こういう訪問販売ものに対する法体系全体の中の一部でしかない。まさに条例による対応の仕方というのもあるわけで、そういうものの一部であるという、法体系全体の中での位置づけ。櫻井委員も言われたけれども、条例と法律の関係も勿論ございますけれども、そういうところも含めたアナウンスをしないと、やはり資料3-2の運用指針がひとり歩きするというか、自治体の職員の中にもそういう誤解をするというか、そういう場面があるんだと思うのです。そこら辺の正確な情報の伝え方について、もう一工夫していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 丸山課長、今の一連の御発言について何かございますか。

○丸山取引・物価対策課長 まず、池田委員がおっしゃったきちんと対応している事業者というものについての取り扱いといいますか、法律の執行の仕方についてはしっかりすべきだという御指摘だと思います。まさに冒頭に申し上げましたように、訪問販売については、トラブルが生じやすいという面があるのは、当然法規制しているわけですが、こういう規制をきちんと守ってもらうという意味においては、それはそれできちんと成り立つ業務という位置づけでありますので、おっしゃったような趣旨もきちんと踏まえて、我々は執行してまいりたいと思います。
それから、櫻井先生から、立法論としてまだまだ十分ではないのではないかという御指摘をいただきまして、これは受け止めさせていただいて、なかなか大きい宿題ではあるんですが、今後のことにきちんと生かせるようにしていきたいと思います。
最後の中村委員の、この紙を出しただけでどうかということでありますが、1つは、勿論福島大臣の会見は、ホームページにも出ておりますし、テレビ等々で流してくれたところもあるんですが、もう一つ、そういうふうに申し上げたと思いますが、資料3-5については、各自治体にこの紙を全部お配りしておりまして、消費生活センターにも届くようにお願いしているということで、そこについては間違いなく行っているだろうと思います。
ただ一方で、もっとたくさんの方が報道を読んでいるのではないかという御指摘は、そのとおりだと思いますので、すぐにこの手がいいねと思いつかないんですが、勿論、先ほど申し上げたように、ステッカーやシールの扱いだけではなくて、条例全体としていろんなことが今、各地で独自に行われておりますし、現実も悪質業者に対する執行の中で、それに基づいた執行を現にするということもどんどん行われておりますので、そういうことは当然ありなんだ、有効なんだということを我々も工夫させていただいて、改めて紛れがないように、しっかりできるようにしてまいりたいと考えております。

○松本委員長 ありがとうございました。本日出されました御意見等も参考にして、また自治体とも密接な協力関係を持って、消費者保護のために努めていただきたいと思います。ありがとうございました。

○下谷内委員 済みません、丸山課長に1つお伺いしてもよろしいですか。

○松本委員長 どうぞ。

○下谷内委員 この資料の中にこの表があるかと思うんですが、ここの中で規制の抜け穴の解消ということでいろいろされているということはわかっておりますが、特商法26条の適用除外のところです。先ほど山口委員もおっしゃったように、無登録業者と無免許業者に対して、対策をどのようにされているのか。現場の相談員が今心配していることは解釈が消費者庁と経済産業省で違いがあるということです。消費者庁としては、無登録、無免許業者に対しては、特商法が適用しないと言われたということを聞いております。
経済産業省のときはそうではないと。経済産業省の特商法の解説では、無登録業者も無免許業者にも適用があるような書き方なんですが、消費者庁が回答されたことに対して、それが筋、系統なんでしょうか。そこがちょっとわからない。

○松本委員長 問題が何か理解されない方が多いと思うので、きちんと議論していただきたいんですが、時間は若干あります。適用除外されている業種がございますね。それについて、無登録業者の場合、すなわち違法な業者についても特商法が適用除外となるのか、ならないのかという論点ですね。

○下谷内委員 はい。

○松本委員長 では、お願いいたします。

○丸山取引・物価対策課長 例を挙げて申し上げた方がいいかもしれませんけれども、例えば貸金業、ヤミ金が無登録で行われる場合というのは、貸金業法では当然直罰はあります。したがって、警察の出番としては十分あるわけですが、行政処分はないわけです。これは登録制をとった反対側の面として、そういうものはない。
したがって、行政処分がない世界についていうと、特商法が出ていく余地はあります。ただ、ヤミ金に書面を出せとか、一定の行為を求めるというのは、どこまで実効性が上がるのかという議論は、また別途あるかもしれませんけれども、法的な建付としては、そういうものに一定の行政処分の対象にするといいますか、規制が特商法で押し及ぼされているということになる場合はあると思います。
他方で、どんなものでもすべからく特商法でいけるのかというと、これは特商法の対象にしているものは商品や役務という規定がございますので、そういう中で、例えば全部の金融商品がそこに入ってくるのかどうかというのは、やはり個別に当てはめてみないと、なかなかすべて特商法の予定にしている商品や役務に入ってくるのかという議論は、勿論細かくはあると思うんです。ただ、無登録業者になったら全部外れるとか、そんな解釈は従来からしていませんし、今も申し上げたように、1つのわかりやすい例で申し上げれば、ヤミ金業者については、こちら側の多分サービス提供という中に入ってくる可能性は高いと思いますので、そういう中で行政処分の対象に法的にはなし得るということだと思っています。

○下谷内委員 わかりました。非常に紛らわしいような事ですので、要するに26条の適用除外のところは、金取法、宅建業法と旅行業法、その他となっておりますので、これらの法で違法であるならば、その範疇でこれらの法律が適用されるということ。一方、無登録業者、無免許業者については、先ほど一定のということをおっしゃられたので、すべてであるわけではないということですね。

○丸山取引・物価対策課長 先ほど申し上げたように、例えば金融商品というのは、次から次にいろんな商品が出てきて、どんどん変わっていくわけです。それについて、こちらの特商法で予定している商品とか役務という中で、どこまで読み込めるかというのは、1個1個判断していく必要がありますので、例えば他方で無登録で行われているものが出てきたときに、それはすべて特商法で本当に拾い切れるかどうかというところは、ちゃんと1個1個判断していく必要があると思います。
したがって、今、一律に全部OKとか、全部だめという議論というのは全然なくて、それから、先ほどもヤミ金の例で申し上げましたように、明らかにそれは入るだろうと思われる例というのは当然あるわけですね。
したがって、そこまではお答えできるんですが、そこから先は、個別に1個1個何を念頭に特商法に入るか、入らないかという議論というのは、個別に考えないと、しっかり議論をして決めていかないといけないのかなと思います。

○松本委員長 これは資料なしでやっても、あまり議論ができないのでやめましょう。今後新たな論点として、もし必要であれば、きちんと条文とか関係法令を根拠にして議論をすることにいたしましょう。ありがとうございました。

○丸山取引・物価対策課長 ありがとうございました。

≪5.公益通報者保護制度専門調査会設置・運営規程(案)について≫

○松本委員長 それでは、最後の議題でございます。公益通報者保護の専門調査会の設置・運営規程(案)について審議を行いたいと思います。
公益通報者保護法には、見直し規定というものがございまして、委員会でこの見直しのための検討を行う必要がございます。
まずは消費者庁より、経緯について御説明をお願いいたします。

○成田企画課長 消費者庁企画課の成田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
資料4でございます。公益通報者保護法でございますが、御案内のとおり、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効など、並びに公益通報に関して、事業者及び行政機関が採るべき措置を定めることによって、公益通報者の保護などを図ることを内容とした法律でございます。
この法律は、平成18年4月に施行されておりますけれども、今、委員長からもお話がありましたように、この法律の附則において、施行後5年、これが平成23年4月になりますが、このときをめどに見直しを行うこととされております。
このため、内閣府国民生活局において、例えば民間事業者や労働者の方に対するアンケート調査を実施いたしましたり、今年の夏に、有識者の方にお集まりいただいた懇談会において、法律の施行の状況や問題点の整理などを行っていただいたところでございます。
内閣府の調査を踏まえました公益通報者保護制度の運用の状況につきましては、2.で簡単に御紹介をさせていただいておりますけれども、例えば1つ目の○で、公益通報者保護法などの認知状況につきましては、事業者の認知状況については、業種や規模でかなりばらつきがございますし、労働者の方にこの制度を御存じですかとお伺いしますと、3割弱の方が御存じだという状況でございます。
通報の件数につきましては、行政機関に対しましては、年間約5,000件ございますが、労働基準監督署に対するものがかなりの部分を占めているということでございます。また、民間事業者において内部通報制度を導入しているかどうかということにつきましては、規模が小さくなりますと導入している業者が少なくなっているという状況がございます。そういったようなことで、中小企業や市区町村では導入がなかなか進んでいないという状況がございます。
こういった中で、今後、制度の見直しを、どうやって進めていくかということについて、この委員会の場で御検討いただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○松本委員長 ありがとうございました。施行後5年を目途に再検討ということでございますので、委員会として下部組織を設けて、検討を始めたいと思います。 事務局より、公益通報者保護専門調査会の規程(案)について御説明をお願いいたします。

○齋藤審議官 事務局の方から御説明いたします。資料5という紙をごらんください。「消費者委員会 公益通報者保護専門調査会 設置・運営規程(案)」となっております。
その中の第3条で、専門調査会の所掌ということで規程をしております。 「専門調査会は、公益通報者の保護に関する基本的な政策に関する事項について、委員会の求めに応じて、調査審議する」ということで、この規程ぶりにつきましては、1枚めくっていただきまして、消費者庁及び消費者委員会設置法の第六条第2項一号のホに規定しております委員会の調査審議事項の規定ぶりを受けた形にしております。
ただいま企画課長からも御説明がありましたように、この法律の施行後5年の見直しに向けた調査審議を、第3条の規定を受けたような形で行えるようにするということでございます。
その他の条文等につきましては、これまで設けてきました専門調査会の規定ぶりと同様でございますので、御説明は省略いたします。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。ただいまの設置・運営規程(案)の御説明につきまして、御意見、御質問はございますでしょうか。
ございませんようでしたら、この内容で調査会を設置して、年明けとともに活動を始めることにしたいと思います。

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○松本委員長 なお、最後ですが、先週9日に消費者庁より、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令第4条第1項に基づきまして、特定保健用食品の表示許可申請に関して、2件の諮問がございまして、合計56品目について、委員会としての意見を求められております。
諮問があった事項につきましては、いずれも部会で審議することが適当な案件でございますので、新開発食品調査部会設置運営規程に基づき、部会で処理していただくこととしたいと思います。
部会での審議の過程におきまして、部会長として、委員会で審議すべき事項があると思われる場合には、田島部会長より、私の方に御相談いただくこととしたいと思います。
なお、今後このような個別品目に関する同様の諮問がなされた場合には、委員会の場で部会に審議をお願いすることについて、個別にお諮りすることはしないで、部会で審議をしていただき、必要に応じて、部会長から私の方に御相談いただくというやり方で進めていただきたいと思います。
これで本日の予定は終わりましたが、山口委員、どうぞ。

○山口委員 いわゆる追い出し屋対策について、社会資本整備審議会で今、検討中で、それなりの案ができつつあるということを聞いております。この審議会には、櫻井さんや原さんなども参加しておられると聞いていまして、期待しているところです。実は1つ問題だなと思っていますのは、いわゆる不良賃借人のデータベースを全国賃貸保証業協会がつくって、対策を講ずるということを計画されていると聞いています。それは事業者の自主的な活動ですから、どうこうということではないのかもしれませんが、ただ、これはいわゆる貸金業者の消費者のデータベースとは違いまして、ここに一旦不良な賃借り人としてデータベースに乗っかってしまうと、今後ほかに住まいを探そうと思ったときに住めないという人権問題に関わってくるのではないかと思います。この問題について、審議会の状況を聞いていると、事業者がやっていることだからしようがないのではないかという方向だと聞くんですが、住まいを失う立場の者からすると、そのままでいいんだろうかという気もいたします。
非常に難しい問題だと思うんですが、社会資本審議会での議論状況がどのような状況になっているのかというところは、法律ができてしまった後、消費者委員会として意見を述べても遅かりしということになりますので、もし可能であれば、審議会の審議状況を簡単にお聞きして、委員会として言うべきことがあれば、意見を述べる機会を持っていただいたらどうかとも思うんですが、いかがでしょうか。

○松本委員長 委員として出ておられる原事務局長、櫻井委員、何か御意見ございますか。

○櫻井委員 実は、今日まさにその最終とりまとめをしておるところです。データベースに関しては、私も問題があると思っておりますが、国土交通省の方も、こういう消費者行政的な問題の扱いの難しさということを今、まさに実感しておられるというところだと思っておりまして、適宜意見は述べておるところでございます。

○松本委員長 原事務局長、どうぞ。

○原事務局長 私は不動産部会の方に所属しておりまして、当初、不動産部会でやっていたのですが、大変大きい問題だということで、また新たに検討のための部会、これは櫻井先生が入っておられるということになりますので、国土交通省の住宅関連の方々には、一度事務局には来ていただいて、お話はお聞きしたところです。
ですから、お願いをすればお話を聞くことは可能かと思いますが、ただ、ここの場ということになるのかどうかということについては、また改めて検討させていただけたらと思います。

○松本委員長 それでは、この件につきましては、今後の委員打ち合わせ等で、取り扱いについて検討したいと思います。

○山口委員 この法案はいつごろ提出されて、どうなる予定なのか、そこら辺だけお願いします。

○櫻井委員 今日最終とりまとめということになっています。それこそ大臣の御指示があって、要するに追い出し屋対策をするという方向での答申を出すということではありまして、その1つのトピックとしてデータベースの問題が出てきているという文脈になると思います。

○山口委員 まだ間に合いますか。

○櫻井委員 そう思います。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
それでは、本日はこれで一応予定した議題、その他等すべて審議は終了いたしましたので、閉会とさせていただきます。
次回の会議は、12月21日月曜日午前10時から行う予定にしております。
お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

≪6.閉会≫

(以上)