第60回 公共料金等専門調査会 議事録
日時
2020年2月17日(月)10:00~12:34
場所
消費者委員会会議室
出席者
- 【専門委員】
- 野村座長、若林座長代理、浦郷委員、古賀委員、寺田委員、林委員、松村委員
- 【消費者委員会担当委員】
- 大石委員、新川委員
- 【説明者】
- 一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会 佐藤副会長
- 一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会 藤原副会長
- 一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会 西澤経営委員長
- 一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会 太田広報委員長
- 資源エネルギー庁 下村電力産業・市場室長
- 電力・ガス取引監視等委員会事務局 田中ネットワーク事業監視課長
- 【消費者庁】
- 高島審議官、大森参事官
- 【事務局】
- 二之宮事務局長、金子参事官
議事次第
- 開会
- 東京都特別区・武三地区のタクシー運賃組替えの事後検証に関する事業者団体へのヒアリング
- 電力託送料金等に関する関係省庁へのヒアリング
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:95KB)
- 【資料1】 東京のタクシー運賃組替え案についてのヒアリング資料(一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会 提出資料)(PDF形式:1657KB)
- 【資料2】 送配電網等の強靭化や再エネの導入拡大に向けた託送料金制度改革等の検討状況について(資源エネルギー庁 提出資料)
- 【資料3】 電力託送料金の審査方法等について(電力・ガス取引監視等委員会 提出資料)(PDF形式:1042KB)
- 【資料4】 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 持続可能な電力システム構築小委員会 中間取りまとめ(案)(2019年12月)(資源エネルギー庁 提出資料)
※資料4は経済産業省 資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/#system_kouchiku">https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/#system_kouchiku)の 持続可能な電力システム構築小委員会 令和元年12月26日 持続可能な電力システム構築小委員会 中間取りまとめ(案)(PDF形式:2,524KB) (https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/system_kouchiku/pdf/report_001.pdf) を御参照ください。
≪1.開会≫
○金子参事官 本日は、皆様お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第60回公共料金等専門調査会」を開催いたします。
本日は、所用により、白山委員が御欠席との連絡をいただいております。
議事に入る前に資料の確認をいたします。
本日は、iPadを使ったペーパーレス会議を行いますので、資料は机上配付資料を除いてiPadに格納してございます。
iPadの操作についてでございますけれども、画面上部に「共有」という表示があると思いますが、それを押していただくと説明者の操作と連動して資料が動くようになります。今動かしてみましたけれども、このように動きます。個人で別のページを見たいというときには「個人」のボタンを押していただきますと、各自で操作をすることができます。御説明者の方は「発言者」というボタンがございますけれども、そこを押していただきますと、スライドの操作ができるようになります。
御不明な点がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても後日公開することとしております。
それでは、野村座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
≪2.東京都特別区・武三地区のタクシー運賃組替えの事後検証に関する事業者団体へのヒアリングについて≫
○野村座長 それでは、議事に入らせていただきます。
本日最初の議題は、「東京都特別区・武三地区のタクシー運賃組替えの事後検証に関する事業者団体へのヒアリング」ということになっております。
前回は国土交通省へのヒアリングを実施したところですが、今回はより現場に近い事業者団体の視点から、運賃組替え後の状況やその他の取組についてのヒアリングを実施することになりました。
本日、消費者庁から高島審議官、大森調査・物価等担当参事官にお越しいただいております。
また、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会から佐藤副会長様、藤原副会長様、西澤経営委員長様、太田広報委員長様にお越しいただいております。御多忙のところ御協力くださり誠にありがとうございます。
それでは、東京ハイヤー・タクシー協会様から、およそ20分程度ということで御説明をよろしくお願いいたします。
○東京ハイヤー・タクシー協会佐藤副会長 東京ハイヤー・タクシー協会の佐藤でございます。よろしくお願いいたします。御紹介いただきました4人で今日は御対応させていただきます。
まず、資料のほうを西澤経営委員長、太田広報委員長から御説明させていただきます。その後、頂いている質問について御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 それでは、私のほうから、お配りしております資料について御説明をさせていただきます。
資料の2ページになりますが、なぜ、初乗距離短縮運賃を我々が導入していったかというところを最初に御説明させていただきます。
初乗距離短縮運賃を新設した背景と期待される効果というところで、まずは少子高齢化社会への対応ということでございます。東京の生産年齢人口と高齢者の人口構成の変化への対応。それから、高齢者の近距離移動ニーズに対応するための運賃設計がこれから必要であろうというところが一つでございます。
続きまして、初乗距離短縮運賃の距離による公平性というところでございます。初乗距離を以前は2キロメートル730円でやっておりましたが、その2キロメートルの初乗りのお客様が一体どれだけの距離をお乗りになっているのかというのを調べたプロットがこちらでございます。実際は、2キロメートルのところに対しまして、1.4キロメートルが平均の御乗車される距離であったというものでございます。
続きまして、観光立国、正に今年でございますが、2020年オリンピック・パラリンピックの対応というところでございます。ニューヨークは東京に比べて安いというところは分かっておるのですが、距離が長くなればなるほど、ロンドンとのかい離は出てくるわけでございます。しかしながら、初乗りが730円、ロンドンは420円と、初乗りのところだけが高く、距離が長くなれば諸外国ももっと高いところはありますが、初乗りが高い分、東京のタクシーは高いというイメージを持たれているところを払拭したいということでございます。
もう一つ、顧客の利便性の向上をなお一層していって、ライドシェアに対抗しようというところも一つの効果であります。ライドシェアにおきましては、我々が考えるには、事故等の危険、事故等の補償がない、旅客を勝手に選定する、社会保険料や税金を払っていないではないかという、我々の白タク行為であるという認識の下に、タクシーとしてお客様の利便性向上を図ってライドシェア対策というところの目的でもあります。
初乗距離短縮を行うに当たって、実際に初乗距離がどうなっているか、回数に対する収入を調べたのがこちらでございます。全営業回数のうち、初乗距離をお乗りになっていたお客様は27パーセントいらっしゃいます。それに対して、その27パーセントの方がお支払いいただいた金額は全体の営業収入の11.3パーセントであったというところでございます。
前提条件としまして、組替え後の運賃と以前の730円の運賃、これが運送収入として同等となるように設定をし、組替え後、2キロメートル時点で以前の730円を超えないという通達が出ております。それから、先ほど申し上げましたように、初乗りの平均乗車距離は1.4キロメートル、これ以下にしなければお客様の利便向上にはならないというところで、今回の410円、じ後80円をモデルケースとして考えていったというところでございます。
初乗距離短縮を始めるに当たりまして、利用者等からどのような意見聴取を行ったかというところで、初乗距離短縮を始める前に、以下のように、消費者団体4団体や利用者代表という方々に御説明申し上げ、進めていったところでございます。そのときに出た意見としましては、深夜や荷物が多いとき、雨の日などになるので、初乗りが下がるというところは非常に乗りやすくてありがたいという反面、距離短縮が増えた場合、サービスの低下が心配というのがあったり、学生のサービスをしており、学生の観点でヒアリングしますと、料金の高さでは乗らないという実態があったりというところの御意見を頂戴したところでございます。
私からは以上で、続きまして、太田のほうから御説明申し上げます。
○東京ハイヤー・タクシー協会太田広報委員長 では、10ページからは私のほうから、御利用の皆様への周知方法と御利用の皆様からの反応等について御説明をさせていただきます。
まず、前提となるアンケート調査報告書についてというところで、若干これは見にくいのですが、こちらは毎年、当協会で行っております1万人を対象としたアンケートでございます。平成29年、距離短縮運賃が実施された年のアンケート調査内容なのですが、平成29年7月の20日間をかけて1万人を対象にアンケートをいたしました。
回答率としては7.9パーセントということで、こちらの数字が次の11ページに出ております。こちらでアンケートの項目として、今回の距離短縮運賃についてどのように思われるか、また、頻度はどのように変化したかというところの結果が出ております。こちらは先ほど申し上げたように、1月30日に実施した距離短縮運賃を受けてのアンケートということで、比較的フレッシュな数字が出ているかと思われます。
これを見ますと「非常に良い」また「良い」を合わせて64.2パーセント、「どちらとも言えない」を入れますと90パーセント以上ということで、比較的肯定的な御意見をいただいているのではないかと思われます。
また、利用の回数について、こちらは「ほとんど変わらない」という項目が多かったのですが、それにプラスして1~2回利用が増えたよという数字が10パーセント弱ございました。
それともう一つ、これは当協会ではないのですが、12ページのところ、公益財団法人東京タクシーセンターによる「タクシー利用者モニター調査」というのも並行して行われております。こちらは利用者200名をモニターとして委嘱いたしまして、複数回御乗車いただいて、これは個人タクシーも含まれますが、タクシーのサービスがどうなったかというところを調査してもらうといったものでございます。おおむね28年、29年、30年と、3,000件以上のモニターが集まっているところでございます。
次の13ページに行きますと、東京タクシーセンターにおける利用者モニター調査結果概要ということで、ちょうど距離短縮運賃の実施前、そして実施後に、お客様にとってどのような変化があったかというところを調査いただいております。これを見ますと、おおむね上昇している部分というのが、乗車時の挨拶であったり、行き先の確認、コースの確認、また、忘れ物確認、降車時の挨拶、こういったところが比較的上昇しているというのが見られました。恐らく距離短縮運賃を実施するに当たって、タクシー乗務員のサービスが悪くなったのではないかという御懸念があったかとも思われますが、この傾向を見る限り、比較的サービスは向上しているのではないかと思われます。
また、横ばいの数字に関しましては、こちらはもともと数字が高かった。おおむね9割以上のところで御満足いただいているという数値の項目でございます。ですから、もともと比較的水準が高かった部分に更に距離短縮実施後、サービスが向上したと受けとめることができると思われます。
次の14ページは、距離短縮運賃実施についてのお客様への周知方法について説明があります。社内掲出用タクシーニュースの設置、PRチラシ入りマスクを4万部、リーフレット5万部を配布いたしました。また、タクシー乗り場へのポスター・看板を設置いたしております。ウェブ上では、協会ホームページでの利用者向けQ&Aページ設置やユーチューブでの紹介動画などもリリースいたしまして、利用者への周知を図りました。
15ページは事前に御質問いただいていた項目に答える形での資料になるのですが、配車アプリ・都内タクシー乗り場についての御紹介を簡単にさせていただいております。
平成30年度の都内アプリ・無線配車回数が約1900万回。こちらは平成21年度と比較すると約200パーセントの伸びとなっております。これは具体的には各グループの電話回線の強化と並び、今話題であります各配車アプリの充実が貢献していると思われます。総輸送回数2億500万回、これは直近の数字ですので、大体、総輸送回数の9.2パーセントがアプリ若しくは電話での配車ということが推測されます。
また、都内のタクシー乗り場についてなのですが、大きく分けてこちらは東京タクシーセンター管理の乗り場、こちらは一般的な駅ですとか公共施設の乗り場ですね。それにプラスして各グループ管理による乗り場、こちらは病院であったりとか、比較的民間の施設に多いという傾向がございます。それぞれ何か所かというところが数字で出ております。東京タクシーセンターの管理乗り場が295か所、うち15か所は優良マークがついた優良事業者の車両のみ乗り入れられる優良乗り場になっております。各グループ管理による乗り場が約70か所ございます。日本交通、国際、東京無線、チェッカー等、独自で管理している乗り場というところになります。
簡単でございますが、以上が御説明でございます。
○野村座長 ありがとうございました。
そうしましたら、これからヒアリングということで、意見を委員のほうから出させていただきます。挙手若しくは名札でお知らせください。
では、寺田委員、お願いいたします。
○寺田委員 前に運賃組替え後の2キロメートル以下の運賃帯別の収入、利用者比率というのですか。それはいただいているのですけれども、先ほど3ページの距離別の利用者数があって、これは運賃改定前のものですよね。運賃改定後に2キロメートル以下の特にどのあたりが増えたということを、もしつかんでおられれば教えていただきたいと思うのですけれども、お願いします。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 お答えさせていただきます。
2017年の4月から8月までの5か月間のデータなのですが、同じように調べましたところ、初乗距離の回数が先ほど27パーセントあったわけですけれども、それが28.6パーセントまで伸びたというところが分かっております。距離としましては、1.4キロメートルだったものが150メートルぐらい縮まったというところでございます。営業収入は先ほど11.幾つというところだったのですが、410円に下げたことで、収入における割合は8.9パーセントまで下がっています。それでよろしいでしょうか。
○寺田委員 初乗りというのは、改定後は730円以下という意味ですよね。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 おっしゃるとおり、2キロメートル以下ということです。
○寺田委員 ありがとうございます。
○野村座長 ほかにいかがでしょうか。
では、私から、アンケートに関しては平成29年に1万人対象にされたと理解しました。そのときに近距離の意見を言う方がほとんどだったと思うのですが、逆に中長距離に関する不満等を把握されているかどうか。もし把握されていたら、どういう意見が出たのかも参考までにお教えいただければと思います。よろしくお願いします。
○東京ハイヤー・タクシー協会太田広報委員長 私のほうでお答えさせていただきます。
こちらのアンケートに関しては、長距離に関するところについての項目を、実はこれ以前も以降も設けておりません。ですので、アンケート結果としてそこが追跡できていないというのが現状でございます。
○東京ハイヤー・タクシー協会藤原副会長 補足があります。
○東京ハイヤー・タクシー協会佐藤副会長 先ほどの導入1年後の5か月間のデータの中で、それだけで見ますと、4,000円から5,000円というのが導入前は2.4パーセント、5,000円超が5.6パーセントという全体の収入の中の比率でございました。それが1年後も全く同じ2.4パーセント、5.6パーセントと、これは回数の比率なのですが、回数的には全く変わっていませんでしたので、中長距離のお客様が乗控えというところは、この数字だけでは確認できておりません。
○野村座長 ありがとうございます。
○東京ハイヤー・タクシー協会藤原副会長 補足でよろしいですか。1万人調査に関しましては、8月5日をタクシーの日と定めておるのですけれども、その前後にタクシー乗り場において実際に乗るお客様にアンケート用紙を配布するという形をとっております。そのために、中長距離が多い深夜の時間帯とかを除いて、できる限り昼間に御利用になっている方を対象にしておりますので、どうしても近距離の方が多い。そしてまた、ロングのお客さん、中長距離を乗るお客様は無線などを利用して呼んでいるお客さんが多いということで、協会で毎年行っているのですけれども、1万人アンケートに関してはどうしても近距離のお客様が中心になってしまうというのが正直なところだと思います。
○野村座長 お願いします
○消費者委員会大石委員 御説明ありがとうございました。
今の近距離と中距離の料金についてですが、4ページの海外との比較を見ますと、確かに近距離は今回の値下げでほかの国よりもかなりお得にもなったように見えます。しかしこのグラフでは5キロメートルまでしか出ていないので、この先の中長距離まで伸ばした場合、限りなくほかの国よりも高くなっていくのではないかなと思うのです。その意味で、中長距離の利用者の声を、これからもきちんと拾っていく必要があると思います。そのような予定はあるのでしょうか。
○野村座長 お願いします。
○東京ハイヤー・タクシー協会太田広報委員長 こちらは今年度以降のアンケート項目に一つ加えて調査をしていきたいと考えております。先ほど藤原副会長からも申し上げたのですが、1万人対象アンケート毎年行っておりますので、中長距離のお客様の御利用の御意向については、協会としては積極的に追跡調査していきたいと思います。
併せて、アンケートの配布方法も昼間の時間帯だけではなくて、中長距離のお客様の御利用が多い時間帯の配付であったりとか、場合によってはウェブ上の調査であったりとか、そういったところ、前向きに検討していきたいと思います。
○野村座長 今のお話で、回数でも収益でもいいのですが、中長距離の比率はそう大きく変わっていないように聞こえました。そうすると、初乗運賃を改定されたことでの収益全体への影響に関しては、どういうふうに変化があったと判断したらいいですか。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 先ほど申しましたように、中長距離のお客様の数は変わっていないと。今回の運賃組替えですので、回数が全く変わらなければ、我々は増収でも減収でもないというのを前提に組替えをさせていただきました。先ほど出ましたけれども、2キロメートル以下のお客様の収入がぐっと減っておりますので、その分、若干高くなった中長距離で増減収ゼロとなっております。
○野村座長 分かりました。そうすると、中長距離のお客様がそのように内部相互補助的に需要層で収益が動いていることに不満を漏らされる方が出てくるのかというのが一つ懸念です。しかし、同一人物が初乗りで乗っているときもあるのだから、それは堪えてくださいというような言い方をするのか、そこは透明度を上げて御説明されるほうがよいのかなという気がしました。感想ですので、お答えいただかなくて結構です。
大石委員、どうぞ。
○消費者委員会大石委員 ありがとうございます。
加えて、その収益という面で申しますと、最近気になるのが、タクシーに乗りますと必ず座席の前にテレビがあり、広告が流れていることです。結構な割合で広告画面を見ますので、あの広告の収益というのはどのようになっているのでしょうか。今回、初乗運賃を下げて中長距離料金が上がったこととは別に、どのような収益として換算されているのか、分かれば教えていただきたいと思います。
○野村座長 どうぞ。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 あの収益は、各無線グループ等々によって収入の差もあるでしょうし、使われ方も各無線グループによって違うと認識しております。一つは、割賦販売法が改正になりまして、この3月にクレジットのIC化対応等々をしなければならないといったようなところで機器の購入等に充てていくものだという認識は一つの案としてあります。
○野村座長 よろしいでしょうか。
○東京ハイヤー・タクシー協会藤原副会長 そのほかにも、今、アプリ配車というものがかなり広まってきました。このアプリを維持するのに相当な費用がかかる。開発にもかかるということで、我々のグループでは、その費用をアプリの開発のほうに向けているというのが現状なので、実際に広告会社からアプリ会社に行っているということで、事業者には余り入ってきていないというのが現状なのかなと思います。西澤委員長がおっしゃるとおり、各無線協組によって、この広告料の使い方というのはかなり差があるなと認識をしております。
○野村座長 その機器にかかったコストが運賃に直接今のところ跳ね返っていないという理解をしてよろしいですか。広告会社とアプリ会社のレベルで終わっているという理解でよろしいですか。
○東京ハイヤー・タクシー協会藤原副会長 その理解で正しいと思います。
○野村座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○浦郷委員 御説明ありがとうございました。
今回は組替え後の事後検証ということで、以前と今回とで全体の収入的には余り変わりがないというお話でしたが、それはそれでいいのかと思うのですけれども、今、お話が出た広告とかアプリというところで収入があったり、コストがかかったりということもありますので、やはりきちんと原価計算した料金を作っていかなければいけないのかなというのは感じました。
もう一つ、今回、組替えの背景に一つ、高齢化ということで、高齢者の短距離のニーズを掘り起こしたいということで、このような組替えに至ったと思うのですけれども、アンケートのところで、組替えしたことによって以前より乗る回数が増えたという方はそんなに多くはない。ほとんどの方、半分ぐらいの方は変わらないというところです。どこが増えているかというと、買い物とか帰宅のときという方が増えているということで、高齢者のニーズを掘り起こしになっているのかなというのも、ちょっと分からないところなのです。
消費者の皆さんには十分に情報発信していると思いますけれども、そこら辺、高齢者の方ももっと使いやすいような工夫とかをされていったほうが、せっかく初乗りが安くなって、私なんかも使いやすくなったなと思っています。
どちらかというと消費者は、料金を比較するときに電車やバスと比較しますので、そうするとタクシーはすごく割高な感じで、本当に特別なときしか使わないというようなイメージがあったのですけれども、今回初乗りが安くなったことで少し使いやすくなったのかなというところがありますので、そういう消費者のニーズに応えられるように、もうちょっと情報発信が必要なのかなと思います。
○野村座長 いかがでしょうか。
○東京ハイヤー・タクシー協会太田広報委員長 ありがとうございます。
正直申し上げて、高齢者の方に関するアンケートの追跡というのもできていないのが現状でございます。ただ、高齢者の方に御利用いただけるような体制作りという面では、やはり高齢者の方はアプリを使いこなすことがなかなか難しいというのが現状でございます。ですので、先ほど申し上げたように、まずは電話で配車できるというところの電話回線の強化。それと、アプリを使う方はなるべくアプリを御利用いただくようにして、そちらの電話での配車の数を減らして、その分御高齢の方が電話での配車をしやすくなるような、そういった体制作りは各グループで行っております。
それと、こちらのアンケート結果のところで、高齢者の方にという部分ではないのですが、どのような目的で御利用されることが多いですかという項目がございます。こちらは今回の資料には入っておりません。私の手持ちのアンケート結果というところで御説明をさせていただくのですが、これでいきますと、現状では、距離短縮運賃実施前と実施後で、それほど大きな、通院目的が増えているですとか、そういったところの動きは正直ございません。割合としては、通院目的といったところ、いわゆる比較的高齢者が想定される部分での数字の変化は余りないのかなというのが現状でございます。ただ、先ほど申し上げたように、協会としてこういったところの調査もやっていきたいと考えております。
○野村座長 よろしいでしょうか。
では、古賀委員、お願いします。
○古賀委員 御説明ありがとうございました。
3点ほどお尋ねしたいのですけれども、一つは消費者の利便性の向上のためということで、今タクシーも大変乗りやすくなってきていると言っていいと思うのですけれども、今の大石委員が質問された広告収入の件をもう少し詳しくお尋ねしたいのです。実は私も昨日夜10時頃、タクシーに乗りましたら、目の前に広告のパッドがありまして、非常に疲れているときにがんがん広告が来ると、乗る者にとっては結構辛いかなと感じました。あれは画面を消せるし、音量も消せるようになっているのですけれども、何となくそれをやると運転手さんに申し訳ないかなと思ってそのままにしていました。広告収入の考え方というのはちょっと気になっているのですけれども、そもそも原価についてはかなり簡易な方式での計算方法を認められていると思います。広告収入は、先ほど運送収入とは切り離されて考えられているということだったのですけれども、原価計算の中にはどういう形で入っているのですか。付随してですが、新しい機器を入れたりアプリを入れたりする場合、機器の購入については車両購入費の中に入るのでしょうか。
○野村座長 質問を三つともしてもらってからで。
○古賀委員 一つずつにしてください。全然違うことなので。
○野村座長 では、お願いいたします。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 今の運賃の部分でいうと、平成19年にコストを計算して、それ以後、それを我々としては変えていない部分です。広告という部分で、あの機器はほんのここ1~2年の話でございますし、それから各協組、アプリのグループだったり無線のグループだったりするわけですけれども、その中では、あの機器はただで置いてくれていたり、その代わり広告収入はこれだけですよとか、買ってくださいとか、いろいろなパターンがあると思われますので、一概にそれが原価計算にどう反映するのかというのは、これからのことになってくるのかなと思っております。現状、各グループでどのようになっているのかというのは、全部把握できておりません。
○野村座長 よろしいですか。二つ目に進んでください。
○古賀委員 二つ目ですけれども、3年前に組替えの議論があって導入されたわけなのですが、全体的な収入で、短距離は増えたけれども、収入的にはそこの部分はもともとの単価が低いので、そんなに上がっていないということはよく分かるのですけれども、先ほどから出ている中距離の部分については、今後、そのあたりの料金の改定をするような心づもりはあるのかということ。
それから、3点目ですけれども、この組替えの方向性というのは、各地方にも少しずつ波及しているのですが、逆に、かえって地方で乗ったりすると分かりにくかったりするのですね。実際に乗ってみると、組み替えたところが非常に割高な感じがしたりすることも多いので、このあたりの、全体的に今回の組替えで、いわゆる「ちょい乗りのタクシー」を導入して、タクシー協会さんとしては、このやり方の全体的な評価をどのようにされていらっしゃるのかということを教えてください。
○野村座長 お願いします。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 中長距離についてだけの運賃改定というところでは、全体の総収入の改定をしなければならないときに、その辺はもう1回考えていきたいと思っております。
それから、今回、東京都特別区・武三地区での御説明だったものですから、地方、全国で96の運賃ブロックがあります。それぞれ各種各様に計算しておりますので、全国ベースでの話はちょっとお話しできないところが、各ブロックは理解しておりません。
○東京ハイヤー・タクシー協会佐藤副会長 補足です。東京で初乗距離短縮をするに当たって、東京、千葉、埼玉、神奈川は初乗り2キロメートルというのをずっと維持してきたわけなのですが、実は全国を見ると、もう初乗り2キロメートルというところは少なくて、既に2キロメートル以下に初乗距離が短縮されていた地域がかなり多くあったわけで、東京がそれに遅れてというか、初乗りの距離を短縮する意味というのは先ほど御説明しましたが、対応したということでございます。
また、御存じのとおり、全国からしますと、この2月1日に運賃改定がされている地域がたくさんありますが、その地域においては更にまた初乗りを下げて東京と同じような効果を狙った地域もあるので、その効果については、今後どのような結果が出るかと。始まったばかりですので、それも全国の流れとしてどういうふうになっていくのかと。また、それはお客様にとってどういった利便性向上になっているのかというところは全国の評価が出てくると思います。
○野村座長 よろしいでしょうか。
では、お願いします。
○若林座長代理 1点質問と1点感想を申し上げたいと思うのですが、4ページのところに、観光、外国人の利用も期待できるというようなことが述べられていまして、実際、数字は取っていらっしゃらないかもしれないのですけれども、実感はどうかということをお伺いしたいと思いますね。といいますのは、この数字自体を拝見すると、それほどニューヨークとかロンドンとかと変わらない感じに見えるのですけれども、最近のいろいろな物価で、例えば日本の食事がすごく安くなっているという中で、タクシーはそんなに安くないよねという感想が出ていないだろうかと思っていまして、影響はどうなのかなと思ったところです。
もう1点は、感想ですけれども、アプリの利用を進めていらっしゃるということで、迎車の料金について、前々からここの場では明確でないというような指摘があったかと思うのですけれども、そのあたりをアプリの中ではっきりと事前に見せるというようなことは考えていらっしゃるのか。各社さんによっても違うと思いますので、そこが選択の一つの手がかりにもなるかと思いますので、そのあたりをどうなのかなというふうな、そこは感想というか、できれば明らかにしてほしいと思っておりますということです。
○野村座長 お願いします。
○東京ハイヤー・タクシー協会太田広報委員長 まず、外国人の旅行者の方への対応について御説明いたします。
外国人の方の御利用がどれぐらいあるかという数値としては、追い切れていないというのが実情でございます。ですので、私から、ちょっと論点がずれるのですが、外国人のお客様にどういった対応を準備しているかというところを包括してお話をさせていただきます。
まず、外国語対応タクシー、外国語で対応できる乗務員の育成を現在進めております。これはホスピタリティータクシーと呼んでいるものなのですが、現在この認定ドライバーが1万人を超えております。ですので、都内のタクシー乗務員の約6分の1が外国語対応できる乗務員だという形になっております。
さらに、少数精鋭なのですが、「TSTiE(タスティー)」というドライバー認定制度を作っておりまして、こちらは英語で、更に一歩進んで英語のガイドができる乗務員の認定制度を進めておりまして、こちらが今300人。数は少ないのですが、本当にプロフェッショナルな英語スキルを持った乗務員というところで御用意しております。
あと、こちらは運賃組替え前の数字なのですが、トリップアドバイザーという旅行サイトでのアンケートで、東京のタクシーは世界一の評価をいただいております。これは東京オリンピックの招致の際にも滝川クリステルさんからお話があったように、東京は世界に誇るべきサービスというところでは、実情として、数値として出ているというのが現状でございます。
以上でございます。
○野村座長 ありがとうございます。
補足で西澤さん、お願いします。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 アプリの部分につきまして、現状、どのアプリでも、御注文をなさるときに迎車料金が幾らかかりますという表示はなされております。それが1点。
それから、もう一つでございますが、閑散期には迎車料金を安くしたり、需要が急激に増えたときなどに迎車料金を若干上げさせていただくというような、ダイナミックプライシング的な変動迎車料金というものの実験も昨年やっておりまして、本格的な制度に向けての通達等々、国交省のほうから出てくれば、それに対応した迎車料金の設定も行っていく予定でございます。
もう一つですが、事前確定運賃というものが去年10月末から始まっておりまして、これはアプリ上だけではございますけれども、A地点からB地点、事前に確定した運賃で、お時間がかかろうとも同じ運賃でいきますというものがスタートしております。今のところ100社、1万車両でやっております。
あと一つ、4ページの諸外国との表でございますけれども、これが日本とちょっと違うのは、諸外国のほうはこれプラス、チップが入ってくるのだろう思っております。ですから、そのチップがどれぐらいというのは分かりませんけれども、ニューヨークなどですと、若干差は縮まっていくのかなと認識しております。
以上です。
○野村座長 よろしいですか。
○若林座長代理 そうすると、迎車のところは私の認識が違ったのかもしれないのですけれども、それぞれ会社によって幾らというのが出てくるということですか。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 おっしゃるとおりです。
○若林座長代理 そうですか。では、私が見られなかっただけですね。ありがとうございました。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 見やすくさせていただきます。
○野村座長 林委員、お願いします。
○林委員 私が一番心配だった料金変更後の消費者の反応については、アンケート等で細かく説明していただいて、本当にありがとうございます。
常日頃、消費者相談をやっている中で、特にタクシーについての苦情というのがあるわけではないのですが、利用しやすい料金になったということの反面、今度、タクシーを利用したいときに利用できなくなるのではないかという不安があったものですから、そういう消費者の声がないのかなと思ったので、その辺をちょっと追いかけていただければなと思っています。通院等で必要な人が困らないような状況というのが必要なのかなと思います。
私も結構タクシーはヘビーユーザーのほうなのかもしれないのですが、住んでいる地区が違うので、初乗りの安い運賃を体験していないのですね。相変わらず700円代のところで乗っておりまして、そういう恩恵があればいいなと思っております。本当に必要なときに利用できないと、通院ですとか、そういうときに使えるような配慮があればいいなと思っています。
それから、今後、消費者の声がもっと反映されるような仕組みをお作りいただいて、本音ですね。真実の声を把握していただければなと思っております。
以上です。
○野村座長 特にお答えいただかなくてよろしいですか。実験的にされていることですし、先ほどのお話にもありましたように、地方への波及効果というのもとても大きいので、そういうことも意識していただければと思っております。
古賀委員が言われたところで、スライドの4番で私も気になっていまして、組替えを更に変更するのか、総洗替えでいくのか、いろいろ検討されているかと思うのですが、410円プラス80円ですか。現状を見られていて、収益への影響とか、あるいはそのアプリの会社との開発の経費とかに鑑みて、今後どうしたいかというような検討はされているのでしょうか。
要するに、ロンドンやニューヨークと比較して410円に設定されたというふうにも見えるわけですが、走ってみて、お客様の声と社の収益を見て、どういうふうに変えるべきだというような検討をされているのかどうかがありましたら、教えてください。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 確かに410円という数字だけ見ますと、ロンドン、ニューヨークを目指したというところではおっしゃるとおりかもしれませんが、お客様の実際の利用距離1.4キロメートル、これを下回らないとお客様のなお一層の利便向上にはならないという距離と、それから、2キロメートルになったときに730円を超えてはいけないという通達等々、いろいろな制約の中で数字を追っていきますと、これぐらいの数字になってしまったというところが現状でございます。
今後につきまして、原価計算の原価の構成が平成19年から大分変わってきております。そういう意味では、東京都特別区・武三地区でも運賃改定をしていかなければいけないと認識をしております。その際にこの初乗距離短縮がどうなっていくかというところでは、更なる距離を短縮していくのか、この3年後、4年後のお客様のニーズ。現状のお客様が何キロメートル、どれぐらいお乗りになっているのか、どういう距離でお乗りになっているのかを精査しまして、今後の運賃改定をやっていきたいなと思っております。
○東京ハイヤー・タクシー協会佐藤副会長 補足です。高齢者やインバウンドの対応、より乗りやすくするということについては、初乗距離短縮のこの運賃、それから、やはりいろいろな新しい仕組み、工夫というものが必要だと思っていまして、先ほど幾つか御説明しました定額運賃ですとか、それから今後、相乗り制度ですとか、そういったもので、例えば乗りにくい時間帯に相乗りをどんどん使っていただくだとか、そういった工夫も必要かと思います。
それから、今後の運賃について、今、委員長から説明がありましたとおりなのですが、利用者様にとって利用しやすい運賃ということは第一なのですが、もう一つ、運賃については労働者の賃金に直結しているものですから、しっかりと労働者の賃金を確保するということも、今後しっかりやっていかないといけない。それは、やはり安全・安心な運行を安定的・継続的に提供していくためには、しっかりとしたタクシードライバーの確保というものが必要になってくるので、それは運賃に頼るところが非常に大きいというところでございます。
三つ目は、安定的に地域の公共交通としてタクシーを安定的に維持していくためには、やはり健全な経営というものも必要になってくると思っておりますので、そういった3点から運賃については我々としてもしっかりと検討していきたいなと思っております。
○野村座長 ありがとうございます。
古賀委員。お願いします。
○古賀委員 何度も失礼します。
今日頂いた2017年のアンケートの資料なのですけれども、ここ1~2年の貴協議会などでいろいろな意見が出ていると思うのですが、全体的にこの組替え後についての意見は主にどんなものが出ているのかを紹介していただきたいのと、それから、ここ3年ぐらいでLP料金が上がっているのと、タクシーの運転手さんの数自体が大変減っているというデータがあるのです。タクシーの運転手さんの人件費とかそういったものは、福利厚生も含めて、やはり今、人材確保の意味では大事だと思うので、そのあたりの御事情も教えていただけますでしょうか。
○野村座長 お願いします。
○東京ハイヤー・タクシー協会太田広報委員長 私のほうからアンケートに関して、ここのパートについて御説明いたします。
実は、こちらのアンケートは毎年行っているものなのですが、29年のときのみ距離短縮運賃に関する項目を設けました。その後、30年、令和元年といったところでは、こちらの追跡調査の項目、いわゆる距離短縮運賃についてどう思いますかという項目は設けておりません。あくまでも今回、29年に距離短縮運賃が実施されてどうなったかというところをスポット的に調べたという姿勢になっておりますので、こちらは御指摘のとおり、改めて経過した後、今年のアンケートに反映して、距離短縮運賃についてどう思うかというところは、利用者の皆様に問いたいと考えております。ですので、結論から言うと、継続調査ができていないというところでございます。
その他の項目は西澤委員長のほうから。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 おっしゃるとおり、非常なる人材不足でございます。全体の数字でございますが、ここ2~3年で全体の車の稼働率が4~5パーセント落ちているのが現状です。
先ほどから申していますように、お客様の総数は、我々は変わっていないと思っておりますので、それを少ない稼働でお乗せしているものですから、乗務員の個人個人の営業収入は若干上昇傾向だと思っております。ただし、会社全体、東京都全体で申しますと、総収入というところでは若干下がっている傾向ではございますし、各社、広告宣伝費等々で非常に経営を圧迫されているというところは事実でございます。
以上です。
○野村座長 あと、LPの話が出たのですが、燃料費等々またデータを把握していただきたいですし、EVのほうも増えているかと思います。車両入替えもかなりサービス向上の一環で進められているかと思うので、そのあたりも今後どのように原価に跳ね返っているのか、あるいは吸収しているのかというのは、我々としては関心を持っておりますということでお伝えしておきます。
では、寺田委員、ちょっと手短にお願いいたします。
○寺田委員 短く。運賃と賃金の関係、すなわち歩合率のお話が今、出ていますけれども、一般の運賃改定だと歩合率が変わるケースと変わらないケースとあると思います。今回それは変わっていないということですか。あるいは短距離の回数が増えた運転士への報奨金みたいな、ボーナスみたいなものを、会社によっては支給しているのでしょうか。
○東京ハイヤー・タクシー協会西澤経営委員長 全体で言いますと、変わっていないというのが現状だと思います。ただし、私が聞いたことがあるのは、初乗りの410円が何回以上だと、報奨金なのか何かは忘れましたけれども、当時、手当てのようなものを支払っていた会社を幾つか聞いたことがあります。
○寺田委員 ありがとうございます。
○野村座長 ほかに御発言はよろしいでしょうか。
そうしましたら、おおよそ予定していた時間になりましたので、これにてヒアリングを終了させていただきたいと思います。
本日は朝から東京ハイヤー・タクシー協会様にお越しいただきまして、御協力いただき、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
それでは、一旦御退席のほどよろしくお願いいたします。
(東京ハイヤー・タクシー協会退室)
○野村座長 そうしましたら、5分程度の休憩ということでよろしいでしょうか。再開は11時5分ということでよろしくお願いいたします。
(休憩)
≪3.電力託送料金等に関する関係省庁へのヒアリングについて≫
○野村座長 それでは、時間になりましたので、再開させていただきます。
後半の議題は、「電力託送料金等に関する関係省庁へのヒアリング」ということでございます。
本日、資源エネルギー庁より電力・ガス事業部政策課電力産業・市場室下村室長様にお越しいただいております。
また、電力・ガス取引監視等委員会事務局よりネットワーク事業監視課田中課長様にお越しいただいております。
御多忙のところお越しいただき、ありがとうございます。
それでは、まず、事務局のほうから簡単に説明をお願いいたします。
○金子参事官 それでは、事務局から、本日のヒアリングの趣旨について御説明をしたいと思います。
送配電事業を行う電力会社の託送料金については、平成28年5月に消費者委員会が内閣総理大臣から諮問を受けまして、下部組織として公共料金等専門調査会の下に電力託送料金に関する調査会を設置し、同調査会の報告を受けて、平成28年7月に、資料としては参考資料として配付してございますけれども、内閣総理大臣への答申を取りまとめたということでございます。
当時の消費者及び食品安全担当の内閣府特命担当大臣は、上記答申を受けて、当時の経済産業大臣に対して、速やかに当該答申の内容に対応することを要請する意見を発出したということでございます。
それが平成28年のときの経緯でございますけれども、このたび、昨年12月に資源エネルギー庁さんのほうで持続可能な電力システム構築小委員会の「中間取りまとめ(案)」を取りまとめられたということで、パブリックコメントも行われているところでございます。この中間取りまとめ案においては、電力託送料金改革や、新たな配電事業ライセンスの導入等が提案されるとともに、託送料金の変動を小売経過措置料金に機動的に反映するような仕組みの導入についても言及されているところでございまして、消費者委員会においてフォローアップをすべき事項ではないかと考えているところでございます。
それで、ここの専門調査会におきまして、資源エネルギー庁さんで取りまとめられた中間取りまとめ案について、資源エネルギー庁さんと電力・ガス取引監視等委員会事務局さん、それぞれをお呼びしまして、ヒアリングを実施したいと考えているところでございます。
以上です。
○野村座長 ありがとうございます。
そうしましたら、これから資源エネルギー庁様と電力・ガス取引監視等委員会事務局様、お二方の御説明、おおよそ30分程度と想定しておりますので、御協力いただきたいと思います。まず、資源エネルギー庁様のほうから御説明いただきたいと思います。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 資源エネルギー庁の下村でございます。このたびは貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
お手元の資料の2を御覧いただければと思います。「送配電網等の強じん化や再エネの導入拡大に向けた託送料金制度改革等の検討状況について」ということで、先ほど事務局からも御紹介がございましたけれども、現在、エネ庁で検討中の内容について御説明させていただければと考えてございます。
スライド2でございますけれども、昨今、非常に自然災害が頻発をしているところでございます。この四つのスライドがございますけれども、右上のところでは、一昨年の関西の集中豪雨ということで、関西で約240万軒の停電が発生をいたしまして、電柱は1,000本以上倒壊ということで、復旧までに長期間を要したといったことが生じてございます。
また、左下、北海道胆振東部地震におきましては、ブラックアウトということを我々は経験いたしました。
昨年は、記憶に新しい千葉の停電が発生いたしまして、東電管内で最大約90万戸が停電をいたしまして、千葉県内では最大64万軒に及ぶ停電が発生し、停電解消までには約2週間を要したということでございます。右下の絵にございますように、鉄塔の倒壊ですとか、こちらでも配電網がかなりやられまして、1,996本の電柱が倒壊をしたということでございます。
こうした度重なる災害を受けまして、政府においても検証が行われてございます。経産省でもやってございますし、下のほうを御覧いただきますと、内閣府で編成されました検証チームの検証レポートにおきましては、もちろんすごくたくさんの検証項目があったわけでございますけれども、その中でも送配電網のハード対策といたしましては、鉄塔の計画的な更新あるいは無電柱化を含めた送配電設備への必要な投資を適切に行うための託送料金制度の見直しといった対応策の提言がなされてございます。
ネットワークの強じん化ということでございますけれども、スライド5にございますとおり、こちらは鉄塔でございますが、いつ建てられた鉄塔が今の日本に存在しているのかといったものを示したグラフでございまして、高度経済成長期の1970年代に設立された鉄塔が非常に多くございます。鉄塔の法定耐用年数は36年でございまして、だからといって36年で更新しなければならないというものではございませんので、古くは1910年代に作られたものもまだ、ちゃんとメンテナンスを行うこと、あるいは立地条件の良さによって、今でも使っているものもあるわけでございますけれども、こうしたものはいつか更新をしていく必要がある。今後、1970年に作られたものは今、50歳という年齢を迎えているわけでございますけれども、こうしたものの計画的更新をやっていかなければならない。こうした課題に直面しているわけでございます。
それから、こういう災害対策のみならず、再エネのためにも送配電網の増強というのは極めて重要でございます。私ども、エネルギー基本計画の中でも、再生可能エネルギーの主力電源化といったものを目指してございます。そのためには、発電コストを下げる、事業環境を整えるといったことにもう一つ加えまして、系統制約を克服する。遅い、高い、つながらないと、かなり系統のところがボトルネックとなって再エネ導入促進への支障が生じていると。こうした課題に対しまして、再エネ大量導入を支える次世代ネットワークをどうやって作っていくのかといったことも非常に大きな課題となってございます。
こうしたことを受けまして、現在、我々はエネルギー基本計画をエネルギー政策の基本的な指針としているわけでございますけれども、平成30年7月に閣議決定をされました基本計画におきましても、こうしたネットワークへの転換のためには、国民負担を抑制しつつ、系統増強等の必要な投資が行われるための予見性確保等の環境整備が必要であるとされています。発電コストを低減させるとともに、既存ネットワークコストの削減を図ることで、全体としてのコスト低減を図ることを基本方針とするといったことが記載されているところでございます。
これを模式的に示したのがこちらの図でございまして、電源側のコストは緑色にあるように下げていき、既存のネットワークコストもしっかりと効率化を促していく。一方で、レジリエンスあるいは再エネ等、必要な費用というのはやはりあるわけでございます。こうしたものは、必要なところについてはしっかり投資を行いつつ、最大限コストの抑制を図っていく。このトータルとして、電力システム全体としてのコスト低減を図っていきたい、目指していきたいと。こうしたものが大きなコンセプトかと考えてございます。
こうした検討は様々な場で行ってきてございまして、一番左側では、新しい技術をどうやって取り込んでいくのかといった観点から、こうした制度について検討を行ってきてございました。それから、真ん中二つはレジリエンス、あるいは脱酸素化社会に向けたレジリエンスという形で、こうした制度の在り方というのを検討してきてございます。
特に直近では、千葉県の台風の災害時の検証を受けまして、その制度の具体化が必要ということで一番右側、持続可能な電力システム構築小委員会というもので検討を重ねてきてまいりまして、今もお手元に中間取りまとめ案というものを配付させていただいてございますけれども、こうしたアウトプットを公表させていただいていて、ちょうど今、意見募集を行ったところというステータスにあるところでございます。
もう一つの環境変化といたしましては、発送電分離がございます。これはネットワーク部門の一層の中立性確保を目的として、電力システム改革をこれまでやってきてございます。2020年4月1日に全ての会社で法的分離という形で、送配電会社が別会社化されるというスケジュールで現在、進んできてございます。これまでの一体会社では、本当に中立的な運用がなされているのかといった問題事例があったことから、これを分社化して、一層の中立化を図っていこうという狙いがあるわけでございます。現在、各社、全ての旧一般電気事業者は、新しく設立する送配電会社の名前あるいはロゴマークというものも決定をいたしまして、1か月半後に迫っている法的分離に備えた準備が進んでいるところでございます。
なお、この電力システム改革におきましては、2016年に小売の全面自由化が行われてございます。その結果として、足元では、約14.4パーセントが新電力と呼ばれる旧一般電気事業者以外の事業者による供給が行われているということでございます。
それから、この緑色のラインが低圧、いわゆる家庭等のマーケットシェアでございます。これは2015年まではずっとゼロ、まだ自由化されていなかったわけでございますけれども、2016年に初めて自由化がされまして、ここに新規参入というのがだんだん入ってまいりました。ここを契機として、かなり新規参入者が増えているという様子を御覧いただけるかと思いますけれども、低圧でも今、足元まで見ますと14パーセントぐらいが新規参入の占める割合になってきてございまして、2016年以降、かなり競争が進んできているという状況が御覧いただけるかと思います。
それから、家庭等のスイッチングということで、事業者、あるいは料金メニューの切換えを行った家庭需要家の件数を示したものでございます。左側が大手電力会社から新電力等に切換えを行われた家庭の件数でございまして、約1170万件。右側が大手電力のままなのだけれども、規制料金メニューから自由料金メニューに切り換えた需要家の件数ということで676万件の需要家の皆様が切換えを行われているということでございます。
それから、料金規制は2016年に原則として全て撤廃をしてございまして、全ての需要家の皆様が自由な事業者、自由な料金メニューを選んでいただけるという状況になってございます。さりとて、まだ競争が十分でない中で、こういう規制を完全に取ってしまうと、それで料金が上がるのではないかしらといった懸念もあることから、現在は経過措置という形で料金規制が存続をしているという状況にございます。したがって、需要家の皆様から見ますと、規制料金メニューと自由料金メニューのいずれも好きなほうを選択することができる事業環境となってございまして、現在、それでもなお規制メニューを選んでいる需要家は全体の15.3パーセントといったのが足元の数字でございます。
以上が、今回の託送料金制度改革の検討の背景・経緯でございます。
続きまして、その中身の概要について御説明させていただきたいと思います。
現在の託送料金制度は、いわゆる総括原価方式というものでございまして、送配電事業者から申請があった場合に国が審査を行って、申請費用が適切かどうか、ちゃんと効率化が行われているかどうかといったことの査定を行って、認可を行う仕組みでございます。この仕組みのもとでは、事業者が値上げを必要とする場合には、非常にそこで国の審査が厳しく行われる。その一方で、申請がなければ、原則そのまま価格が維持されるということで、こういう費用増が発生した場合の機動性、あるいは事業者自らの効率化インセンティブの面で課題があると。これは冒頭、事務局から御指摘のございました御提言の中でも、こうした仕組みというのは改めるべきだということで御提言をいただいたところでございます。
こうしたことも踏まえまして、送配電事業者に対して必要な投資をちゃんと実施させるとともに、コスト効率化を促すという観点から、欧州の制度も参考といたしまして、国が一定期間ごとに収入上限を承認することによって送配電事業の適切性あるいは効率性を定期的に厳格に審査するとともに、事業者自らの効率化インセンティブを促す。併せて、新規電源接続のための送配電設備の増設あるいは調整力の変動など、一般送配電事業者から見ると、自分の努力の及ばない外生的要因による費用増あるいは費用減については、機動的に収入上限に反映する仕組みとして、新たな託送料金制度を導入することとしてはどうかと、こういった検討を進めているところでございます。
また、この料金制度は、例えば、そういう投資を行うことによって、レジリエンスの向上による停電率の減少ですとか、あるいは再エネの導入拡大によるCO2の削減、更には広域メリットオーダーの拡大、先端技術の活用によるコスト効率化など、システム全体の便益にどうつながるのかといったことをコンセプトとして、その便益とそれに必要な費用を評価する。こういった形のコンセプトで新たな料金制度を導入することができないかといったことを考えてございます。
17スライド目が、日本の制度と欧州制度の比較をしたものでございます。左下が日本の基本スキームでございまして、今は、上げのときには認可、下げのときには届出といった仕組みになってございます。
こうした仕組みのもとで、仮に事業者が非常に効率化を進めますと、超過利潤が大きくなってまいります。超過利潤が一定の水準を超えますと、経産大臣の変更命令により料金の引下げを求められるということで、事業者から見ると、必ずしも効率化のインセンティブとして働かないといった御意見があったところでございます。
この点、欧米で取られているレベニューキャップ制度と呼ばれたりしますけれども、規制当局が一定期間ごとに査定を行うわけでございますが、一方で、その間の効率的な事業運営につきましては、一定の事業者がその収入の上限内で利益として留保することが可能となるといった仕組みが導入されているところでございます。こうした仕組みとすることによりまして、事業者の創意工夫による効率化が促される仕組みとして評価をされているところでございます。
それから、基本コンセプトということを申し上げましたけれども、例えば、これは北本連系線の増強に係る費用対便益分析の概略でございます。北本連系線を30万キロメートル増加しようということで既に決定したところでございますけれども、そのための費用としては、工事費約600億円という費用が見積もられてございました。
これに対しまして、この北本連系線の増強が行われると、約1000億円の価格の低下が見込まれるということでございます。これは北海道域内の例えば石炭火力発電所ですとか、もちろん再エネもそうなのですけれども、こうした限界費用の安い電源から生まれた電気が北本連系線の増強によって本州のほうによりたくさん流れることができる。これによって、相対的に限界費用の高い火力発電の炊き減らしの効果が期待できるがゆえに、全体のコスト削減が期待できる。
さらに、北本連系線の送電能力を30万キロワット増やすことによって、平滑化効果がございますので、約120万キロワットの再エネ導入拡大が可能になるですとか、あるいはブラックアウトを経験したわけでございますけれども、この大規模電源の脱落に対しましても、レジリエンスの向上が期待できるなど、様々な便益が期待できると。こうしたことを評価しながら、新しい仕組みを運用していきたいとこういうことでございます。
このポイントは二つで、一つは必要な投資をしっかり確保したい。それから、コストをしっかり削減したいと、この2点について、この制度の中でしっかり運用していきたいと考えてございまして、まずは前者、必要な投資をしっかり確保していきたいというところの仕組みの概要でございます。
送配電事業者に対しましては、設備更新計画、あるいは設備増強計画の提出を求めまして、この計画が実現できるような送配電費用が託送料金の中に盛り込まれているのかといったことを審査していく仕組みを考えているところでございます。そのために必要な系統増強といったものでございますけれども、今後、電力広域機関が送配電網の新設あるいは増強について、将来の再生可能エネルギーの電源ポテンシャル、例えば秋田の洋上風力などがどんどん開発されますと、今は日本海側の基幹送電線は非常に細いものでございますので、そうしたものは今後必ず増強が必要になる。
現在の仕組みはといいますと、こうした再エネ電源を系統に接続したいといったときに、その申請に基づいて、これならこれぐらいの送配電設備を増強しなければなりませんね、では増強しましょうかというようなプロセスでやってございますので、かなり時間がかかってしまうということでございますので、これはプル型などと呼んでございますけれども、要請に応じて都度対応するというと次々に増強することとなってしまうということで、そうではなくて、そういう増強要請の前に、ポテンシャルを見据えて計画的に対応していく仕組みに改められないかと考えているところでございます。
新たな料金制度のイメージでございますけれども、こうした計画なども踏まえまして、まず、国が審査方針を提示すると、どういったアウトプットが求められるのかといったことをあらかじめ公表いたしまして、送配電事業者がこの指針も踏まえて事業計画、先ほど申し上げた設備増強計画あるいは設備更新計画の策定をしていただくと。マル3として、これらに必要な費用を見積もって、その投資に必要な収入上限について御申請をいただき、我々としてはそれを審査するというフローで考えているところでございます。
これを定期的な審査で行うわけでございますけれども、例えば、定期的な期間の途中でこういう外生的要因によって費用が増減をする可能性があるわけでございます。これらの費用につきましては、例えば2ポツにありますとおり、大規模な災害復旧、あるいは再エネ電源の新規接続急増のための増強、税制対応などが考えられるわけでございますけれども、こうした費用につきましては、何がしかの形で当期間、あるいは次期の期間というところで収入上限に織り込んでいくといった仕組みなどを考えているところでございます。
ここからが、どうやってコスト効率化を促していくのかという考え方でございます。
先ほど申し上げましたとおり、レベニューキャップ制度のもとでコスト削減分の幾ばくかは事業者の利益として認めるということで、送配電事業者の自主的な効率化のインセンティブが高まると考えてございます。例えば、現在でも託送料金の事後評価などという場では、送配電の仕様統一化ですとか、あるいは競争発注比率などをチェックしてきているところでございますけれども、やはり事業者によっては相当取組が進んでいるところ、まだまだのところ、両方ともあるわけでございます。こうしたものを、より自らの意思で進めていこうというインセンティブですとか、例えば非常に細かなセンシングをやることによりまして、メンテナンスコストを削減することができるのではないかと。送配電の点検を、ドローンを活用して人を省力化することができるのではないかといった取組が期待されるところでございます。
これが今申し上げたものの例でございます。
もう一つが、定期的な洗替えを導入したいということでございます。こういうふうに一般送配電事業者ごとに異なる取組がだんだん促されてきてまいりますと、その横比較というものが非常に意味を持ってくると考えられます。そこで、事業費用を、もちろんその地勢柄、非常に面積が広大であるとか、人口がたくさんいるのでこうした効率化が効きやすいなどといった地域的な要因もあると思いますので、そうしたものをできる限り除いた上で、単位当たりコストといったものを整理した上で、これを比較する。比較をして効率化が遅れているところについては、統計的に算出した生産性の向上見込み率などを用いた査定を行って、事業者の効率化をしっかりと促していくといったことを考えています。
すなわち、インセンティブで事業者には効率性を求めていて、定期的な洗替えでこういう横比較をすることによって、遅れているところをしっかり後押ししていく。こういったコンセプトで、こうした制度を運用していけないかと考えているところでございます。
それから、もちろん託送料金の信頼性確保は非常に重要でございます。これは指摘をいただいているとおりでございますけれども、これらの審査につきましては、引き続き公開で議論をしていきたいと考えてございます。
現行の総括原価制度で一旦認可された料金というのは、このまま維持されるというのが現行の仕組みであるわけでございますけれども、今申し上げましたように、この下の「新しい制度」とあるところのように、効率化によりコスト削減ができる。定期的な審査を行うことによって、徐々に需要家、利用者の皆様にそれを還元していく流れを考えているということでございます。
それから、託送料金と小売料金の関係でございます。この議論をする中で、特に新電力の皆様からは、仮に外生的要因によって託送料金が変動する際に、小売の経過措置料金が維持されるということになってしまうと、公平な競争の観点から問題があるという旨の意見が提起されたところでございます。この点、託送料金が上がるのに、大手電力会社の経過措置料金が維持されるというと、新電力にとっては競争条件が非常に厳しくなるといった影響が生じるということでございます。
また、託送料金が上がる場合もあれば、当然下がる場合もあるということでございまして、仮に下がる場合に、大手電力会社の経過措置料金が維持されるということは合理的ではない。更には、発送電分離が行われるということも考えてみますと、小売事業者にとっては託送料金の変動は外生的な、自分の努力の及ばない変動になります。このため、託送料金については、合理的な査定と情報開示が行われるといったことを前提に、託送料金が上がったり下がったりする場合には、小売経過措置料金についても、これを機動的に反映させる仕組みが必要ではないかと考えているところでございます。
以上が託送料金制度改革の概要でございまして、ここから配電事業ライセンスを新たに設けたいと考えてございます事業区分の概要について御説明をさせていただきます。
繰り返しですけれども、自然災害が多い中、一方で、例えば去年の台風の千葉県では、睦沢町の道の駅で、千葉県全域にまだ電気が届いていないといったときに、その道の駅の周辺の公共施設だけは、実はそこにはコジェネがあって、そのコジェネから隣接地域に電気を配っていたと。こういう運用を行うことで、そこで避難された方が、シャワーだけは浴びることができたと、こういった事例が出てきてございます。
このように、中央集権型ではなくて、分散型電源が非常に増えている中で、例えば非常時にはそうした電源を活用して、多少なりとも当座の電気を確保するというニーズが非常に高まっているところでございます。そのときのエピソードは新聞記事にもなっておりまして、非常に注目を集めたところでございます。
こうしたものは、先ほど申し上げた睦沢の例というのは、自営線を引いて、宅地開発をするときに線も一緒に引いたので、今申し上げたような運用ができたわけでございますけれども、こうした災害などが非常に増えてくるといった教訓を踏まえますと、新たに線を引くということではなくて、既存の電線があるところでも、平時は主要系統と接続をして電力供給を受けるのだけれども、災害時にはそういう緊急対応ができる、こういうマイクログリッドといったニーズが非常に高まっているところでございます。
これは国の実証事業といった形でも進めてございまして、既存の電線を使おうと思うと、一般送配電事業者の協力も必要でございますので、新たにこういうことをやりたいという方、それから一般送配電事業者、更には地域の方々とも協力をしながら実証を進めているところでございまして、こうしたものがちゃんと制度的にもやりやすいような環境整備をしていきたいというのが、この配電事業というもののコンセプトでございます。
したがいまして、例えば市町村規模ですとか、あるいは特定の街区規模、場合によっては離島というのもあるかもしれませんけれども、こういった配電用の設備を使った運用、そういった規模感を考えたものが配電事業の規模感でございます。
この配電事業ライセンスとして現在考えてございます規制内容がこちらでございまして、端的に申し上げますと、経産大臣の許可制ということで、現行、一般送配電事業者に対しても許可制を敷いているところでございますけれども、配電事業といってもやはり電力供給の根幹を担うということでございまして、基本的には一般送配電事業者と同様の内容を、この配電事業者に対しては求めていきたいと考えているところでございます。
一方で、いざという場合に配電事業者、本当にずっと供給してくれるのかしらといった心配が最後の最後にあるところでございます。したがいまして、最終保障供給義務といったもの、これは今、一般送配電事業者が担っているわけでございますけれども、この最終保障供給義務については、一般送配電事業者に引き続き担っていただくということで、最終的なラストリゾートについてはしっかり確保していきたいと、このようなことを考えているところでございます。
私の説明はこれが最後になりますけれども、配電事業者の料金の適切性の審査というのも非常に重要となってございます。このときに一番重要となるメルクマールは、その周辺の一般送配電事業者の託送料金と比較して、ちゃんと合理的なものであることといったことは最も重要かと考えてございます。それに対して非常に高い料金を設定しますと言ったら、それは一体何でなのですかと。それはどういう便益が需要家にとってあるのですかということを厳しく確認していくことが必要になると思いますし、一方で、非常に安い料金で入ってくるといったことがあっても、その場合、一体どうして安くなったのですかと。先ほど申し上げたようなドローンですとかAIとか、そういった創意工夫によって安くなるのは非常に良いことでございますけれども、一方で、特段の理由なく安い場合というのは、もしかしてその周辺地域の料金に影響が及んでしまうかもしれない。こうしたことも考えられるわけでございますので、その両方ともの観点から合理的な水準となるように確認していくことが必要であると考えているところでございます。
私からの説明は以上でございます。
○野村座長 ありがとうございます。
監視等委員会様、お願いいたします。
○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 電力・ガス取引監視等委員会事務局の田中でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、私のほうからは、現行の電力託送料金の審査方法等について御説明をさせていただきます。
託送料金認可手続についてでございますが、託送料金につきましては、電気事業法第18条の規定に基づき、一般送配電事業者から認可申請が提出された場合、経済産業大臣は、電力・ガス取引監視等委員会の意見を聞いた上で認可を行うということになってございまして、3ページの図を見ていただきますと、一般送配電事業者のほうから申請がなされて、経済産業大臣が受理をいたしますと、経済産業大臣のほうから、下の矢印にありますとおり、電力・ガス取引監視等委員会のほうに意見聴取がなされることになります。電力・ガス取引監視等委員会におきましては、その下の米印にありますとおり、料金審査専門会合というところで審査をいたしまして、意見を取りまとめ、その意見を経済産業大臣のほうに回答するということになっておりまして、経済産業大臣のほうでは、電力・ガス取引監視等委員会からの意見を踏まえ、認可を行うということになってございます。
一連のプロセスに要する期間につきましては、案件、状況等により異なるものの、申請受理後の標準処理期間は4か月となってございます。
電力・ガス取引監視等委員会についてでございますが、こちらの監視等委員会につきましては、電力・ガスシステム改革の実施に当たり、健全な競争が促されるよう、市場の監視機能を強化するため、経済産業大臣直属の組織として、平成27年9月に新たに設立されたものでございます。適正な取引が行われているか厳正な「監視」を行うほか、必要なルール作りなどに関して経済産業大臣へ「意見・建議」を行うといったことが役割となっておりまして、下の図を見ていただきますと、構成といたしましては、委員が5名、事務局が約110名ということで、本省約60名、地方局約50名という内訳になってございます。
電力・ガス取引監視等委員会事務局の監視業務イメージでございますが、委員会は、新規参入者も含めた健全な競争が確保されるよう、監査、報告徴収、立入検査などにより、厳正な監視を行うということになっておりまして、不適正な行為があった場合、委員会は自ら事業者に対して業務改善勧告を行うほか、大臣に対して事業者に業務改善命令を行うよう勧告を行うことができることとなっております。
委員長、委員の構成でございますが、委員は法律、経済、金融又は工学の専門的な知識と経験を有し、その職務に関し、公正かつ中立な判断をすることができる者のうちから経済産業大臣が任命することとなっておりまして、委員長については八田委員長ということで経済の専門家。委員長代理は稲垣委員ということで弁護士、法律の専門家。北本委員につきましては会計の専門家ということで公認会計士。林委員につきましては電気工学の専門家ということで早稲田大学大学院教授。圓尾委員につきましては金融の専門家ということでSMBC日興証券マネージングディレクターということになってございます。
次に、過去の託送料金の審査についてでございますが、9ページにございますとおり、電力会社のほうから経済産業省に提出された認可申請が電気事業法等の関係法令及び審査要領に照らし、最大限の経営効率化を踏まえたものになっているかどうかについて、先ほど御説明申し上げた電気料金審査専門会合において、中立的、客観的かつ専門的な観点から検討をいたしております。直近では平成27年に実施をしておりまして、検討の経緯の下のところを御覧いただきますと、こちらは平成28年4月から小売料金の全面自由化が行われることに伴い、新たに低圧託送供給約款というものを作成する必要があったものですから、平成27年7月29日、7月31日にかけて、全10社から託送料金認可申請の提出がなされてございます。
このうち北陸電力、中国電力、沖縄電力につきましては、原価の洗替えを行う託送料金認可申請ということになってございまして、それ以外の7社につきましては、この直前に小売供給約款の変更がなされていたものですから、そのときに原価の洗替えを行っていましたので、この7社につきましては原価の洗替えではなく、制度変更に伴う変更や、低圧託送供給約款の作成といったことが主な内容となってございます。
こちらの電気料金審査専門会合における具体的な審議でございますが、下に記載のとおり、第1回、第2回と概要説明ということでありまして、第3回、第4回、第5回にかけましては、北陸、中国、沖縄のそれぞれの3社についての個別の原価、人員計画、人件費であったり、経営効率化計画であったり、設備投資関連費用であったり、あとは燃料費、その他購入・販売電力料であったりという個別の原価について、委員が3人1組となって査定方針等の作成、法案等の検討をしております。
それ以外の制度変更等に係る論点につきましては、これは調整力コストであったり、発電・送配電設備の見直しだったり、こういう制度変更等に係る論点につきましては、3社ではなく全10社を対象として審議がなされておりまして、こちらは12月2日に電気料金審査専門会合において査定方針案が取りまとめられまして、その後、12月18日に認可という流れになってございます。
10ページ、具体的な審査のポイントということでございますが、それぞれ個別費用の審査ということにつきましては、北陸、中国、沖縄電力というところが対象になっていたわけでございますが、それぞれの人件費、設備投資関連費用、減価償却費、固定資産除却費、事業報酬、修繕費、その他、購入・販売電力料、効率化計画といった項目について、ここに記載のような個別費用の審査ということがなされてございます。
この図の下半分でございますが、制度変更等に係る審査ということにつきましては、全10社対象ということでございまして、内訳としましては、調整力コストに関する項目であったり、需要地近接性評価割引、発電・送配電の設備区分見直しといったような項目について、全10社を対象として審査がなされてございます。
11ページでございますが、そのような審査結果も踏まえ、各電力会社の新たな託送供給等約款というのが経済産業大臣より、当時認可をなされておりまして、こちらの左半分が託送料金の平均単価、低圧向けのそれぞれの数字になっておりまして、この右側は、その託送料金平均単価をもとにした標準的な電気料金に占める託送料金が記載されてございます。
新制度における審査プロセスということでございますが、新制度における審査プロセスの詳細設計につきましては、今後、公開の場で検討を行う予定でありますけれども、各事業者の単位当たりコストを比較し、効率化が遅れている事業者の効率化を促す仕組みや、海外事例なども参考に、統計的に算出した生産性向上見込み率を用いた審査など、先進的な手法を導入していく予定としております。
いずれにしましても、今後の議論に当たっては、消費者庁及び消費者委員会の意見もいただきながら、適切に詳細制度設計を行ってまいりたいと考えてございます。
参考でございますが、現行の電力・ガス取引監視等委員会料金審査専門会合の委員名簿ということですけれども、こちらの下線を引いてありますとおり、消費者団体であったり、消費者庁のほうからの専門委員やオブザーバーの参加といったこともいただきながら、審査を行っているところでございます。
私からの説明は以上でございます。
○野村座長 ありがとうございます。
そうしましたら、残り時間45分から50分程度、意見交換をさせていただければと思います。途中退出を予定している委員がおられますので、できるだけ早目に質問していただければと思います。
そうしましたら、お二方の御説明のいずれに関しても質問していただいて結構です。よろしくお願いします。
では、林委員、お願いします。
○林委員 資料2のほうについてなのですが、託送料金制度改革についてということで御説明をいただきまして、ありがとうございます。16ページのところがありまして、非常に大きな制度改革だと認識していますので、消費者へのメリットの説明というのが不可欠ではないかなと考えております。レベニューキャップを設けて、事業者にインセンティブがあるからコストカットの努力をするという前提で考えていらっしゃるようなのですけれど、私がちょっと心配したのは、外生的要因によって費用が増減されるということになると、安易な値上げにつながるのではないかというのが非常に心配です。なぜならば、託送料金そのものには事業者間の競争がないので、ちょっと消費者としては信用できかねるかなと思っております。
例えば、大規模な送電網の工事が適正価格になるような担保ですとか、工事の競争入札というのを制度として入れていただきたいかなと思っております。そのような仕組みをお考えでしょうか。それから新しい骨組みを作るのであるから、消費者にも理解できるような説明の場を是非設けていただきたいかなと思っております。
それから、既に実施されている諸外国の例で、コストカットされているようなイメージの御説明だったのですけれど、これは本当にそうなのでしょうか。もし最近のデータとかがあれば、それをお示ししていただければと思います。それが第1点。
それから、27ページ、小売経過料金への託送料金の反映というところでお聞きしたいことがあって、御質問いたします。もちろん小売電気事業者間の公平性の確保から託送料金の変動が経過措置料金に反映されると御提案されていて、それはそれでうなずけるのですけれど、これはどのような仕組みで行うことが想定されているのでしょうか。経過措置料金を値上げする場合には公聴会を開くというような建前になっていたと思うのですが、消費者参画の機会がどのように考えられているかというのを教えてください。
それから、ちょっと私が印象に残った13ページ、14ページのところで、経過措置料金を選択している需要家が15.3パーセントとあるのですけれど、これは、えっと思ったのですね、これはもしかしたら電力量ベースであって、全国の少量の家庭用の消費者の中で15.3パーセントではないと思いますので、件数ベースなのでしょうか、電力量ベースなのでしょうか、どちらか教えてください。
それから、13ページのほうです。スイッチングされた方の件数は書いてあるのですけれども、これが全国の利用者の中で何パーセントに当たるのかということがここでは書かれていないので、それも教えていただければと思います。
以上2点、よろしくお願いいたします。
○野村座長 下村様でよろしいですか。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。
最後のほうからお答えさせていただきますと、まず、13ページの1170万件が全国の何パーセントかということでございますけれども、これは記憶が間違っていたら少しずれているかもしれませんが、全国6000から7000万件ぐらいございますので、そのうちの1000万件と御理解いただければ、大体のオーダー感はその程度かと思います。
2点目、14ページの15.3パーセントというのは、御指摘のとおり電力量ベースでございます。
それから、小売の経過措置料金のところについて、どのような仕組みを考えているかということでございますけれども、これは正にまだ検討中というところではございますが、例えば昨年10月には消費税の2パーセント増税があったわけでございますけれども、こうした外生的要因というのは今、小売料金は届出での反映となってございます。その場合には公聴会等がない仕組みになってございまして、ここにも書いてあるとおりでございますけれども、託送料金の審査を徹底的に公開してやっていくということを前提に、そうした仕組みが考えられないかといったことを検討しているところでございます。
それから、欧米のレベニューキャップの例でコストカットされているのかといった御質問でございますけれども、これは時代によって違っています。イギリスにせよ、ドイツにせよ、当初導入したときというのは、やはり設備の過剰感というのがあって、この制度を使ってかなり査定当局が厳しく査定を行って、コストカットが出されていた歴史があります。一方で、足元の10年ぐらいを見てみますと、むしろこうした国々では、いかに再エネを入れるために設備増強の投資をしていくのかと、そこの投資が不十分であるといった課題に直面をしたことから、逆に、投資について効率化を促しながら、しっかりその投資を支えていくという仕組みの変更が行われているところでございます。
したがって、レベニューキャップがというよりも、それをどういうふうに、あるいは何を目指して運用していくのかといった目的に照らしてその成果が変わってくるということで、非常に評価が難しいところではありますけれども、私どもは、やはり送電の設備投資、それからコスト効率化を同時に達成していかなければならないということで、それをどうやって運用するかというのは今後の詳細設計というところにもなってくるわけでございますけれども、消費者の皆様の御意見、御知見などもいただきながら、その仕組みの在り方というのをしっかり検討していきたいと考えてございます。
○野村座長 競争入札のことは制度的に義務付けられているのでしょうか。
○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 競争入札等につきましては、競争入札も含めて、我々、料金審査専門会合というところで託送料金の事後評価というものを行ってございます。そういう中で、競争入札等につきましても、各電力会社でどのように行われているのかという状況についてヒアリング、聴取や評価ということを行っているところでございまして、同じような取組につきましては、今後どうやっていくかということにつきましては、現行の取組を踏まえて、今後更に検討してまいりたいと考えております。
○野村座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
では、寺田委員、お願いします。
○寺田委員 寺田です。どうもありがとうございます。
御質問は2点なのですけれども、一つ目、ちょっとそもそも過ぎて答えにくいかもしれないのですが、新たな託送料金のスキーム自体について、あるいは呼び方についてです。設備投資とか設備の更新とかの計画の審査をされて、洗替えのときにそれを反映し、それから、外生的要因の中にも設備関係のものがあって、その計画が違っていたときにはそこでまた手当てされるのですか。計画を厳密に運用するということは、毎年の外生的要因の中では、設備に関係するものは見ないという理屈になりませんか。そこはちょっと矛盾を感じるということです。
あと、そもそもレベニューキャップという以上はプライスキャップの変形というか、物価スライドにして、その洗替え時、見直し時には厳格な総括原価ほどのコスト査定をしないという感じになるのかと思うのですが、プライスキャップ本来の要素がどうもなさそうだということも気になります。総括原価を洗替え時にもっと厳密にやるということと、レベニューキャップという言葉とちょっと合わない感じを受けます。
それから、マイナスX項というのですかね。プライスキャップだとそこが中心なのですが、今の林委員とのやりとり伺っていると。それが設けられるけれども、暗黙の運用というか、余り大きな数字を入れないというような感じにも聞こえたのです。ただ、マイナスX項というか、生産性向上ノルマを仮にゼロとするにしても、その項目を念頭に置くのと置かないのでは意味が違ってくるかなと思うので、その辺、もし決まっていることがあれば伺えればと思うというのが一つ目です。長くてすみません。
二つ目は単純な話なのですけれども、配電事業ライセンスのほうにクリームスキミング防止条項みたいなものが最後に出てきたのですが、例えば道路運送のバスですと、18年間、かなり議論をした上で制度を入れたけれども、一件も適用というか、判断がついたケースがありません。本件は恐らくもっと複雑な話になるかと思うので、絵に描いた餅というのですかね。何かちょっとその運用が無理な印象を受けました。
○野村座長 よろしくお願いします。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。
まず、後者のほうの御質問に関して言いますと、資料2の32スライド目を御覧いただければと思います。御指摘のとおり、制度を作ったら魂がこもるかというとそうではないと思ってございまして、その制度をいかに実効性あるものにしていくのかということが重要かと考えてございます。この点、私どもが着目しているのは32スライド目の12の実証事業でございまして、ここだと例えば京都ですと自治体、それからNTTといったところが一緒に実証をやって、公共施設の集積エリアで太陽光、あるいは蓄電設備を活用したモデルができないかといった御議論ですとか、北海道ですと、農協さんなどが入って木質バイオマスの周辺への展開といったことができないかとか、こういうふうに様々、正に今実証を行っているところでございます。こういうところで地域、一般電気事業者、それからエネルギーマネージメントを行う者と協力関係を築いて、これが逆に実証で終わって、金の切れ目が縁の切れ目ということにならないような形で、制度的な手当てという出口が考えられないかといったところでございまして、何を申し上げたいかというと、制度的な環境を整えるということ。それから、中身をしっかり作り上げていくということ。これを並行してしっかり進めていきたいと考えているということでございます。
それから、1点目の託送制度のところでございますけれども、計画のところで矛盾があるのではないかといった御指摘でございましたが、考えていることは、まず、定期的に洗替え審査を行いますので、その段階では、ちゃんとそのときの計画に必要な投資が織り込まれているか否か、こうしたことの審査が必要であると考えてございます。ややもすると審査のときに、計画を例えば後ろ倒すことによって、その審査のところを逃れようと、こういったことも実際にあったところでございまして、その計画というのがちゃんと計画的に実施されるのか、そうした事業費用は織り込まれているのかということはちゃんと定期的な審査のところで見ていくと。一方で、期中で当初は全く想定をしていなかった、例えば再エネの大規模投資が発生するので、ここのネットワークの増強が必要になりますとか、あるいはもっと細かく見てまいりますと、例えば調整力と申しまして、時々刻々と電力を調整するための調整力というのは毎年、需要あるいは供給の状況によって、その必要あるいは運用量というものは変わってまいります。こうしたものを期中に適切に反映させていくことが必要ではないかと考えてございまして、期初にも期中にも両方とも審査を行っていくと、こうした運用を考えているところでございます。
それから、効率化をどういうふうに促していくのかということでございますけれども、このスライドの25で書かせていただきましたけれども、これをどう運用するのかという運用の進め方というのが今後、非常に重要になってくると考えてございますけれども、私ども、これまでも厳格に査定をしているつもりでありますけれども、やはり総括原価制度のもとで、申請なかりせば、なかなかそうしたところに審査の目というのは託送料金に反映する機会が限られていたわけでございますけれども、今後新たにこの仕組みが入りますと、定期的にこの審査の目というのを入れていくことができると思いますし、定期的な審査を前提とした生産性の向上見込み率といったことの設定も今後できるように、あるいはやりやすくなっていくのではないかと考えてございまして、そこにどうやって、これも魂を入れていくのかということかと思いますけれども、皆様の御知見もいただきながら、具体的にどう設定していくのがよろしいかということを是非、詳細設計の中で御議論させていただけるとありがたいと思ってございます。
○寺田委員 2点だけ確認なのですけれども、そうすると計画の問題については、基本的には、仮に見直しが8年毎だとして、需要と合わない計画だった場合は、8年後の見直しのときに、前回の計画が合わなかったので、そのことを含めて次回の計画を査定するというか、そういう感じで捉えていいのですか。
それから、生産性向上ノルマという毎年のものはつけないという理解でよろしいですか。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 25スライド目に生産性向上見込み率と書かせていただいてございまして。
○寺田委員 それは後から引くわけ。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 これを何がしか考えていきたいと考えてございます。
○寺田委員 今の電話の市内料金みたいなのとは違うということですね。
○野村座長 恐らく、プライスキャップではなくてレベニューキャップなので、X項とかK項とかいうのよりは、イギリスが採用しているようなRIIOですね。インセンティブ・イノベーション・アウトプットを考慮しながら規制を加える手法だと思います。
○寺田委員 ありがとうございます。
○野村座長 そうではないでしょうか。RIIO方式を一応念頭に置かれているのではないでしょうか。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 はい。イギリスの正にRIIO、今度RIIO-2になろうとしていますけれども、そこはかなり参考にさせていただいて、今、検討してございます。
○野村座長 ありがとうございます。
では、松村委員、お願いします。
○松村委員 細かいことですけれども、さっきの答えを戻って確認していただきたい。消費税が上がったケースでも公聴会を開かず自動転嫁ということで言われましたが、認可料金は税抜きで認可していて、したがって、消費税の増税があってこれで料金が上がるというのは原則としては認可を受けなければならない値上げ、値上げだが例外的に免除されている事象と分類されていない、はじめから届出制の範ちゅうなのではないか。念のため確認してください。
ただ、例えば今の経過措置料金でも、燃料費調整制度はあって、円安になったら自動的に上がるとか、そのような制度がついていて、これは公聴会とかはしないで価格を上げられるので、今でもそういう制度はあるというのは事実だと思います。
次に、制度が変わった後で、例えば他社と比べて効率が劣っているところにコスト低減を促すとかは現在でも既にしていると認識しています。したがって、今回の改革で、もちろんより徹底するということだと思いますが、今回の改革の場合には、値下げ届出制なので、値上げしなければずっとその横比較による査定もできない状況なのが、改革後には何年かごとにはできるようになるという意味では新たな要素だと思う。横比較すること自体は今でも当然やっていることなので、これが今回の改革ではないと思っています。少なくとも今やっているよりは後退しないよう是非お願いします。
効率化係数も、統計的なものに基づいてという制約をかけるのはもちろんのことで、無体なことを言ったら事業が継続できなくなる。今までの査定でも、ほかの会社に比べて劣っているところを査定するだけではなく、全社効率が低過ぎるのではないかというところは査定するとか、一定の効率化を織り込むという格好で今までも査定されている。値上げ申請のときには今までも査定されているはずなので、それが決して後退しないように是非お願いします。
以上です。
○野村座長 お願いということで、お答えいただかなくてもよろしいですか。
○松村委員 はい。
○野村座長 そうしましたら、浦郷委員、お願いいたします。
○浦郷委員 この託送料金は私たち消費者が確実に払っているのですけれども、その中身というのはなかなか難しくてよく分からないというところなのですが、公共料金等専門調査会で前に答申を出したところで、コスト削減された分がなかなか託送料金に反映されないということで、その算定期間をきちんと何年かごとに設けようというところで、定期的な洗替え原価の見直しというのは必要だと思います。
では、それを総括原価方式できちんとやっても別に構わないのではないかなと私は思うのですけれども、それを今回、レベニューキャップという方式を使ってやるということで、送配電会社は地域独占になりますから、コストの効率化が進まないので、それを進めるためにもこのレベニューキャップという方式がいいのではないかということで提案されていますが、そうすると一定期間は利潤が出れば自分たちのものになるので追求できるということになると、今度、コスト効率ばかり追って、必要な投資がされないのではないかと、ちょっとそんな面も思ったりして、消費者にとってこちらのほうがどういうメリットがあるのかというのがはっきり見えてこないところもあります。
それから、外生的要因により機動的に反映させるということは、例えば何かあるたび、毎年収入上限が変わるということで考えていいのでしょうか。この22スライドのところに、収入上限の上に2年目のところに反映分が来ていて、そこの部分のみ審査となっていますけれども、そのように審査されて、毎年そうやって上がっていくのか。やはり災害とかがすごく多くなってきていて、毎年そういうことが起こると、耐用年数が来ている鉄塔もそうですけれども、そういう設備をどんどん更新していかなければならない時期に来ているので、毎年どんどんその収入上限が上がっていって、託送料金に簡単にそうやってスライドできるということになると、消費者としては、そこら辺をどう考えたらいいのかというところがまだ私自身整理できていないのです。
さっき諸外国ではどうなのかなと思ったら、林さんの質問で答えていただきましたけれども、ダウンするとは限らないということになるのですね。そこら辺のメリットを消費者にもっと分かりやすく説明していただかないと、なかなか納得できないところがあるなというところです。
○野村座長 いかがでしょうか。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 まず、分かりやすく説明していくことをしっかり努めたいと思います。その上で、このお話、消費者の方々にとって一番のメリットになるのは、やはり定期的にこの審査をすることによって、透明性は少なくとも高まるのだろうと考えています。今は総括原価方式のもとで1回認可したらそのままということで、いろいろなことが起こっているのだけれども、何かよく分からないけれども認可の費用の中に入っていると。例えば上がるにしても、これはこういう要因で上がることになりますと。一方で、こういう要因で、この部分については下げることが求められていますというふうに、どうしてもしっかりコストをかけなければいけないところはかけなければいけないと。一方で、効率化しなければいけないところは効率化しなければいけないと、その両方があるわけでございまして、それがこの定期的な洗替えのもとで明らかになると、その中で今度、効率化すべきほうというところをいかに促していくのかというのが、今の仕組みですとなかなか硬直的であったところを、事業者のインセンティブ制と、今は厳格に比較してやっているところではあるわけですけれども、その定期的な洗替えの中で比較を求めて、先ほど議論になった生産性向上率みたいなものも事業者に課していくといったことで、効率化すべきところはしてもらう。ちゃんと投資すべきところはしていただくというメリハリをつけた事業運営ということ、この透明性とともに確保していくということが一番のメリットかなと考えてございます。
○野村座長 よろしいでしょうか。
災害の程度はなかなか予測不可能で、だからこそプルではなくプッシュで弾力的に制度を作って、上乗せされる部分をできるだけ抑制しておきましょうという理解かと思いますが、利用者のほうも、そういうことで上がる要素が入っていますということを学習していかなくてはいけないのかなと思います。プライスキャップとレベニューキャップの違いよりも、そもそも総括原価とレベニューキャップのメリットとか、なぜ新たな手法を採用しなくてはいけないのかというのは、本日の資料には盛り込んでいただいているのですが、利用者に御説明を政府省庁と消費者団体と我々学識者がしていくべきなのだろうなという感想を持ちました。
ほかにいかがでしょうか。
林委員。
○林委員 配電事業ライセンス制度の31ページのところで思っていることを申し上げてよろしいでしょうか。分散型グリッドの推進というのは、昨今の災害のことを考えると、私も全然反対ではないのですけれども、これも非常に新しい取組ということなので、消費者に理解してもらうためにはかなりの説明が必要なのではないかと思うのです。大体、技術的なことも消費者は分かりませんし、法的な契約がどうなっているのかなどということも全然分からないわけではないですか。幾ら丁寧な説明をしても、一人一人の消費者に理解させるというのが難しいので、少なくともこちらの例にあるように、自治体ですとか議会の審議を経て、それから地域住民への説明があって、その地域住民の中で賛同があるのかないのかということも含めた上で、慎重に検討していかなければいけないのかなと思っているので、一応配電事業者が変わるということで、何か不測の事態が起こるのではないかと私は疑っております。
○野村座長 それも実証実験の中で自治体さん、あるいは農協さんが本当に積極的にPRして、こういう効果がありますよというのは言っていただきたいなと感じます。
○林委員 それから、さっき小売経過措置料金への託送料金の反映について非常に公聴会だとかいろいろ申し上げたのですけれど、それはなぜかというと、先ほどパーセントの中で御説明していただいたのですが、決して少ない人数ではないのですよ。たかだか15パーセントと思わされてしまうところだったので、ちょっと確認させていただいたのですけれど、非常に多くの方がまだこの経過措置料金を選択していらっしゃるのですね。そういう方たちはほとんど、情報もよく分からない、現状がどうなっているかも分からないような、少なくしか電気を使っていない方が非常に多いのですね。高齢者の単身とか2人暮らし、又は若い方でも単身でお暮らしの方は、今の経過措置料金の方がはるかに有利だということなのですよ、現実に。
そういうことで、選んでいる方もいらっしゃると思うのですけれども、ほとんどの方が分からない。だから何も動いていないというのが現実かなと思うので、その方たちに関して言えば、電気料金というのが収入に占める割合も非常に高い方たちだと私は思うのです。そこに絶対に配慮が必要かなと思うので、そこをちょっと強調させていただきました。
以上です。
○野村座長 ありがとうございます。
何かお答えがありましたらお願いいたします。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 まず、配電事業のところについての住民の方々への御説明が非常に重要であることは全く御指摘のとおりでございますので、しっかり説明をさせていただいた上で、この制度の運用というのをやっていきたいと考えてございます。
それから、経過措置料金のところも御質問のとおりでございまして、12ページにあるように低圧は11.4パーセントが新規参入ですと申し上げているということは、裏側の80パーセントぐらいの方はまだ変えられていないということも御指摘のとおりでありますので、決して小売経過措置料金が重要でないということは全くありませんので、そこはしっかりその認識のもとで新たな制度設計を考えていければと思ってございます。
○野村座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
新川委員、どうぞ。
○消費者委員会新川委員 新川でございます
2点ほどお伺いしたいのですが、一つはレベニューキャップに関連して、特に投資をどう確保するのかというのは大変重要かなと思っているのですが、設備増強計画であるとか広域計画であるとかの計画をチェックされるということですけれども、特に計画と実績のかい離であるとか、あるいはそれのPDCAとか進捗管理であるとか、このあたりはどういう視点でチェックをされることになるのか。少し細かいことになるかもしれませんが、お教えいただけるとありがたいというのが1点目です。
もう一つは配電事業ライセンスのほうですが、これはこれでまだ実験段階なので今後ということになると思いますが、特に供給保障ということを考えてみたときに、逆に、新規参入に当たって障壁が高くなり過ぎないかという懸念もあって、このあたりはバランスだろうとは思っているのですが、どういう考え方で最終供給保障みたいなものを考えていかれるのか、あるいは離島保障みたいなものを考えていかれるのか、ちょっと考え方をお示しいただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。2点です。
○野村座長 お願いします。
○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 前段のほうの設備更新計画、設備増強計画に係る話でございますが、こちらは資料2の19ページにも記載がございますとおり、託送料金審査において、これらの計画の提出を求めまして、基本コンセプトやこれらの計画に照らして、期間中に達成すべきアウトプットを設定しまして、これに必要な費用、収入上限に盛り込む仕組みというのを、正にこれから検討してまいるところでございます。
ですので、今、委員のほうに御指摘いただいたような視点も踏まえまして、これから正にそういった仕組みを検討してまいりたいと考えてございます。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 それから、2点目の最終保障供給などが新規参入障壁になるのではないかと、正にこうした議論が実際にありまして、私どもの検討会の中でも一般電気事業者側からは、最終保障供給義務は新規参入者側に課すべきであるという御議論があったわけでございますけれども、それを全部賄うために措置をすると、どうしてもコストが高くなるというものを配電事業者に任せるのが適切かどうかといった御議論がございまして、今でもその最終保障というのは、あるいは離島供給もそうですが、エリア全体で広く薄くという形でのコスト負担を行っているわけでございます。そうしたことができる一般送配電事業者側が、最終保障供給義務であったり、あるいは離島供給義務は課すべきであると、こういったこと今考えてございますので、そのことが配電事業者の参入障壁にはならないですし、最後は一般送配電事業者が供給を担っていただけるという形で、制度の方向性として検討できればと思ってございます。
○野村座長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
お願いします。
○消費者委員会大石委員 御説明ありがとうございました。
今、新川先生がおっしゃったこととの関連ですが、資料2の19ページにある、必要な投資確保の仕組みということについてです。今回、設備更新計画をきちんと策定して行っていくということはとても重要なことだと思います。逆に、今までこのような計画が出されていなかったということのほうが驚きですけれども、託送の中できちんと策定をして、レジリエンス対策も含めて、今後系統をきちんと運営していくということは国民にとっても必要なことだと思います。ただ、その内容については、皆様が心配されているように、本当にきちんと計画を提出し、実際に実行されるのかというところは、やはり監視等委員会できちんと監督していただきたいというのが1点です。
それから、新規の配電事業者さんのことについて、まだこれからの法改正ということですが、そういう方たちにも、今回出されている設備更新計画のような内容も考えていただくのか。新規参入の障壁になってはいけないとも思いますが、やはり託送料金と同じ仕組みだと考えると、責任感を持って参入していただくためにも、今後検討したうえで要求していく必要も出てくるのかなと思いました。
感想です、以上です。
○野村座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
古賀委員、お願いいたします。
○古賀委員 どうも御説明ありがとうございました。
レベニューキャップ方式に移行するということなのですが、その算定期間は今のところどれぐらいを予定されているのかということと、審査に関しては、今までとはどこが変わるのかというのをもう少し簡単に御説明ください。何かというと、26ページの御説明いただいた現行制度と新しい制度との比較を見ると、レベニューキャップにしても上限の金額がかなり高止まりしていると、この図のとおりにはならないのではないかなということを単純に考えたものですから。
○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 御指摘のところでございますが、レベニューキャップ制度における収入上限の審査につきましては、正にこれまでの料金審査プロセスと変わりなく、電力・ガス取引等監視委員会が厳正に審査をしたものが認可をされるという仕組みは維持されますので、そこについては基本的にこれまでと変わりなく、厳正に審査をしていくといったことで考えております。
○古賀委員 ありがとうございました。
それで、そのとき外生的要因を考慮していくと思うのですが、この外生的要因というのは、具体的に定義づけるということはあるのでしょうか。災害とかそういうこと以外に。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 22スライド目を御覧いただければと思うのですけれども、まず、この審査の期間でございますが、22スライド目の米印に書いてございますとおり、ドイツでは5年、イギリスでは今8年であるのを2021年度からRIIO-2になるのに際して5年に見直すといったことが行われてございまして、こうしたものを参考に、日本でも今後考えていきたいと思ってございます。
それから、外生的要因といたしましては、22ページの2ポツにありますように、大規模な災害復旧、あるいは再エネ電源の新規接続の急増のために系統の増強が必要になったとか、税制等の制度変更のために対応が必要になったとか、あるいは調達すべき調整力、価格の増減があったとか、想定需要と実績需要にかい離があったとか、こうしたものを想定してございまして、こうしたものは今後具体的に検討して、何がしかの形で明らかにしていくということを考えてございます。
○野村座長 私個人もRIIOの算出方法とかを調べていますけれども、意外とROR、総括原価をベースにやっているものですから、幅は出て審査しやすいのだけれども、それが明確なフォーミュラに基づいているかというと、なかなかそれが説明しづらい。事業者側は算定し、規制者側もそれを審査していくわけですが、実はなかなか難しい。だから、用語から見ても、イノベーションとかアウトプットとかいう言葉で説明されていて、非常に動かしやすくはなるのだけれども、審査するときにどうなのでしょうという疑問は感じておりますので、消費者に分かる程度の説明方法を使っていただきたいなと感じています。これも感想ですので、よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。
○古賀委員 系統の増強のために、かなり大きな費用が出てくると思うのですが、当然いろいろなところでもどう対応するか議論されていらっしゃると思うのですけれども、固定費における託送の配賦基準とかそういったもの自体も見直していくということは今後あるのでしょうか。先ほど、審査基準とか審査の方法は見直さないというお答えだったのですけれども。
○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 先ほど申し上げたところにつきましては、どちらかというと正に原価を積み上げていくところの話でございまして、そちらの査定については現行と同様に、引き続き監視等委員会で厳正に行っていくということを申し上げたものでございまして、委員御質問のことにつきましては、むしろ報告書のほうで提言のあった固定費配賦の在り方のところについてということでございますが、そちらについては、固定費の配分基準は様々な指標があって、それぞれに有利不利、家庭用、産業用にとって有利不利があるため、現在のこれらのバランスを考えた配分基準というのが採用されていると考えております。
このため、現在の配分方法が直ちに問題があるとは考えてはいないのですけれども、今後、託送料金制度改革の詳細設計におきまして、固定費負担の在り方についても、家庭用、産業用を含め、全ての需要者間の公平さを勘案しながら検討してまいりたいと考えてございます。
○古賀委員 ありがとうございます。
もう一つ、マイクログリッドの構築している補助事業についてお尋ねしたいのですが、今回配電事業ライセンスの制度を入れるというのはすごく画期的で、利用の効率とかを含めて期待されるところだと思うのですけれども、現実にはこういった配電事業ライセンス、32ページ、住友電気工業さんとかいろいろ実証実験をされているのですけれども、こちらのほうは補助金事業として関わっていらっしゃるとか、あるいは他省庁で地方創生との絡みでするとかいうことがあるのかということと、あと、分散型の小規模電源というのがあると思うのですけれども、そういったところの事業者がこの配電事業ライセンスを取得して、有機的にこの制度を活用していくというような方向も想定されていらっしゃるのかということを教えてください。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 32スライド目でございますけれども、これ自身はエネ庁の補助事業、マスタープラン構築事業というのでやってございます。もちろん他省庁さんでもこうした地域でエネルギー供給を賄っていこうといった事業があると思いますので、そうしたものも考えられるかと思います。
それから、分散電源を運用している方がこうした新しいライセンスを使う可能性があるのかというと、あると思います。一方で、住民の方から見るとよく分からないから不安だわという声もあるかと思いますので、34スライド目にあるとおり、例えば周波数維持義務とか、こうしたものを一般送配電事業者に対して課しているわけでございますけれども、新たに入ってきていただく方にも、そういう供給のために必要な品質については確保していただくことをお願いすることになります。したがって、そうした義務を履行できるような事業者であれば、こうしたライセンスを活用した事業運営が可能となる可能性があるということかと思います。
○古賀委員 かなりハードルが高いと思うのですけれども、調整力とかそういう調整価格に関して、今後、この制度を入れることによって見直すというようなこともあるのでしょうか。
○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 そこはむしろ、新しく入ってきてくださる側の創意工夫によるところがあるかなと思っています。例えば、蓄電池などを活用してそういうマネジメントができるとか、正にそうした工夫が期待されるところだと思います。
○野村座長 需要密度が違っているところで、一緒のレベルで判定していっていいのかということも気になっております。新川委員が言われたように、離島のようなレベルの話なのか、あるいは昨年、一昨年の関西、関東の災害を受けたような都市部でこういう進め方をしていくのかというのはかなり違ってくるかと思いますので、その切り分けも必要なのかなと。そうすると料金の動き方も、上がるのか下がるのか、ちょっと読めないのですが、いろいろなパターンが出てくるのかなという気がします。
ほかにいかがでしょう。
どうぞ。
○浦郷委員 一つだけ、固定費の配分のことでお伺いしたいのですけれども、家庭向けに過大な配分となっている懸念があるので見直してほしいということで出ていたと思うのですが、今のお答えでは、現在の配分が適当で問題ないということなので、これは見直した結果、そうなったということなのでしょうか。
○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 そこにつきましては、あくまで現在の配分基準というものを見たときに、様々な指標があるものですから、それぞれ有利不利が家庭用、産業用にとってあるものですから、現在はそれらのバランスを考えた配分基準がなされていると考えているといったことでございます。ですので、今後の託送料金制度改革の詳細設計において、固定費負担、2対1対1以外にもいろいろな話がございますので、そういったことも含めまして、家庭用、産業用を含めた全ての需要家間の公平性というのも勘案しながら検討してまいりたいといった趣旨でございます。
○野村座長 おおよその時間は過ぎておりますが、よろしいでしょうか。
昨年、一昨年の台風被害というのもかなり問題になりましたし、一昨年の第5次エネルギー基本計画にのっとって、いろいろな改革を想定されていると思います。それを実行する段階に入ってきまして、安定供給、コスト効率化の両面から考慮した改革に着手されている時に、託送料金と配電ライセンスのところを中心に説明していただきました。
本調査会としましても、電力託送料金に関する調査会報告書の趣旨を踏まえて御検討いただいたものだと考えております。今後、制度の枠組みが提案されてまいりますが、やはり料金の決定過程の透明性、それから、消費者の参画の機会が具体的にどういう形で実現できるのか。そういう適正性の確保がなされるということを考慮していただきたいと思っております。
レベニューキャップも新しい手法として弾力的ではありますが、本当にそれがコスト効率化につながり、最終的な小売料金にどう反映されるのかというプロセスも明確になるようにしていただきたいと思っております。何よりも消費者が不合理な料金を受けるという形だけは避けていただきたいということで、我々も学習しなくてはいけないということを先ほど申し上げたのですが、エネ庁さんの側でも、必ずそれは公平な、適正なものであるということを御説明していただきたいと思っております。
配電ライセンスに関しましては、実験がどういう形で進んでいくのかというのが、私もそうなのですが、委員の皆様も恐らくイメージがまだ湧いてこないものですから、スライド32の実証実験の結果等も、またお教えいただければありがたいです。
本日の議論も参考にしていただいて、それから、かつての電力託送料金に関する調査会報告書も踏まえて、今後の改革に入っていただきたいと思っております。
消費者団体等の消費者の意見を代表する主体、消費者庁の意見、消費者委員会の考え方を反映するということを是非とも今後も継続して御検討いただきたいと願っております。
制度の運用が開始されるということになりますが、その状況も踏まえまして、事後検証するような場、それから制度を見直すことがありましたら、そういうところにもこの調査会も是非とも意見を出せるような形にしていただきたいと思っております。
必要に応じて今後もヒアリングに来ていただくことも多いかと思いますが、こういう形で意見交換させていただくことを我々としては希望しておりますので、申し添えさせていただきます。
長時間にわたりヒアリングに応じていただきましたが、委員の皆様、よろしいでしょうか。追加事項はございませんでしょうか。
本日は長時間にわたり御協力いただきまして、どうもありがとうございました。
≪4.閉会≫
○野村座長 それでは、一旦退室していただいて、事務局から事務連絡があればお願いします。
○金子参事官 本日は長時間にわたり御議論いただきましてありがとうございました。次回の会合については、日程確定次第、また御連絡をさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○野村座長 これにて調査会を閉会したいと思います。どうもありがとうございました。
(以上)