第44回 食品表示部会 議事録

日時

2018年6月6日(水)9:59~12:08

場所

TKPガーデンシティ竹橋 大ホール(東京都千代田区一ツ橋1-2-2 住友商事竹橋ビル2階)

出席者

【委員】
受田部会長、樋口部会長代理、安達委員、今村委員、岸委員、澤木委員、下浦委員、菅委員、宗林委員、夏目委員、松永委員、渡邊委員
【説明者】
消費者庁 赤崎食品表示企画課長、阿部食品表示対策室長、食品表示企画課
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 食品表示基準の一部改正(無菌充填豆腐、防かび剤(フルジオキソニル)及びボロニアソーセージ(Mortadella Bologna(モルタデッラボローニャ)の一般的な名称))に係る審議
  3. 新たな加工食品の原料原産地表示制度に係る答申への対応について
  4. 遺伝子組換え表示制度に関する検討会報告書について
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会食品表示部会」第44回会合を開催させていただきます。

議事に入ります前に、消費者委員会事務局長の黒木より一言、御挨拶を申し上げます。

○黒木事務局長 御挨拶させていただきます。

このたびはお忙しい中、皆様、食品表示部会の委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。

当部会は、食品表示基準の改正が行われる際、内閣総理大臣により諮問を受け、その内容に関し御議論をいただくことを主な所掌としております。

食品表示は、消費者、事業者どちらの方々も大きな関心を持っておられる分野でございます。個々の審議ではいろいろな角度から御意見をいただきまして、消費者にとってより使いやすい食品表示となっていくよう、御高配を賜りたくよろしくお願いを申し上げます。

○丸山参事官 それでは、議事を続けさせていただきます。

本日は、第5次消費者委員会発足後、初めての食品表示部会でございます。

お手元の参考資料1といたしまして、本部会の委員の名簿をおつけしております。御確認ください。

本日は池戸委員、戸部委員、松嵜委員、宮崎委員、4名の方が所用により御欠席となっておりますが、過半数に達しておりまして、定足数を満たしていることを御報告させていただきます。

本部会の部会長ですが、第256回の消費者委員会におきまして、受田浩之委員が高委員長から指名を受けております。よろしくお願いいたします。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

ただいまお配りしております資料につきましては、議事次第の下部に記載をしております。資料1~4、参考資料1~5となっております。不足の資料がございましたら事務局のほうまでお申しつけいただければと思います。

本日も多くの傍聴の方がお越しいただいておりますので、御発言の際におきましては、恐縮ですけれども、マイクを近づけて御発言をいただきますようよろしくお願いいたします。

それでは、受田部会長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。

○受田部会長 皆さん、おはようございます。

先ほど御紹介をいただきましたように、消費者委員会の高委員長の御指名によりまして、今期より食品表示部会の部会長を拝命いたしました受田浩之と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

食品表示に関しましては、当然のごとく国民の皆さんの関心の高い内容でございます。国民にとりまして、よりよい食品表示としていけるように、委員の皆様と活発な議論を展開して、その意見を取りまとめてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、続けさせていだきます。

部会長代理を指名させていただきます。部会長代理につきましては、消費者委員会令により部会長が指名することになっております。第5次の部会長代理については、第4次に引き続きまして、消費者委員会委員の樋口一清委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、本日、第5次の1回目ということでございますので、御出席の委員の皆様から一言ずつ御挨拶を賜りたいと思います。

まず樋口部会長代理からお願いをして、その後は五十音順で指名をさせていただきます。

樋口部会長代理、よろしくお願いいたします。

○樋口部会長代理 樋口でございます。

ただいま部会長からもお話がありましたけれども、第4次に続きまして、この部会で審議をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○受田部会長 それでは、あいうえお順で安達委員から順番によろしくお願いいたします。

○安達委員 国立医薬品食品衛生研究所の安達でございます。

前期の食品表示部会に引き続きまして、今回も務めさせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。

私は厚労省の研究所におりますけれども、業務といたしましては加工食品における食物アレルゲンの表示制度を監視するための検査法の開発あるいは改良といったところを担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○今村委員 奈良医大の今村でございます。

私は前期に引き続きまして、2回目の委員を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

専門分野は公衆衛生でございまして、食品保健とか食の安全とかの分野を担当しております。また、昔、食品表示を実際に行政で担当したこともございまして、そういった分野で御協力できればと思います。よろしくお願いいたします。

○岸委員 チェーンストア協会の岸でございます。

イオンで品質管理部長をやっております。私も第4次に続いての委員になります。

流通の立場から御意見を言わせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○澤木委員 全国消費生活相談員協会の澤木と申します。

私も前期に引き続き、務めさせていただきます。

全国消費生活相談員協会というのは、全国の消費生活センターの相談員で成り立っておりまして、私も消費生活センターの相談員をやっております。消費者目線で意見を述べていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○下浦委員 日本栄養士会の常務理事をしております下浦と申します。よろしくお願いいたします。

今期初めてこちらの部会に参加させていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

私は前職はずっと病院に勤めておりまして、その関係で特に食品表示の部分等については、患者様に対するいろいろなアドバイス等々で非常に苦労したこともございますので、何らかの形で皆さんと御意見を交わしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○菅委員 大阪で弁護士をしております菅聡一郎と申します。よろしくお願いいたします。

私も前期、第4次の食品表示部会のメンバーに加えていただいたのが初めてで、2期目になります。

日弁連消費者問題対策委員会食品安全部会の委員もしてはおりますが、私としては、あくまで一消費者としての素朴な疑問や視点というものを大事にして意見を述べていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○宗林委員 国民生活センターの宗林と申します。

私も引き続きの委員となりますが、国民生活センターは消費者の声に結構近いところでいろいろな情報が集まってきますのでこれからもそういった面からも発言していきたいと思いますけれども、私自身、食品表示は消費者にとってとても大事なことでありますが、正確であり、わかりやすい。わかりやすいというのには誤認を招かないような、そして消費者が勉強しないとわからないような表示をなるべく避けて、本当にシンプルな形で正確なものと思っております。どうぞよろしくお願いします。

○夏目委員 全国地域婦人団体連絡協議会の夏目でございます。

今期、委員に就任させていただきました。消費者の立場から発言をさせていただきたいと思っております。

表示の拡大は、消費者は大変望むところでございますけれども、拡大された表示が使い勝手がいいかどうか、わかりやすいかというと、また別の問題を含んでいると思います。消費者側の責任ももちろんあるかと思いますけれども、これからできるだけ消費者側としても拡大を求めながら、そして、使えるように頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

○松永委員 科学ジャーナリストをしております松永和紀と申します。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

今回、第5次から委員のメンバーに入らせていただきました。

私は食の安全とか機能性を主なフィールドにして取材、執筆をしております。書く媒体が経済誌から生協の広報紙までいろいろですので、事業者のお声もお聞きし、消費者の意見も耳に入ってきます。両方を橋渡しするというのを常に意識して仕事をしていますので、今回もこの場でもそういう観点から意見を述べさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○渡邊委員 食品産業センター、そして今、日本ミネラルウォーター協会におります渡邊と申します。

前期に引き続きなのですけれども、業界とか事業者の意見を言われる方が少ないですので、そういう観点でも言いたいですし、自分自身も消費者の一人ですので、何かおかしいことがあったら意見をしっかり言いたいなと思っております。よろしくお願いいたします。

○受田部会長 ありがとうございました。委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

本日、第5次発足後、初めてということなので、まず当部会の規定について簡単に事務局から冒頭、説明をいただきたいと存じます。

○丸山参事官 お手元の配付資料の中に、参考資料2といたしまして「食品表示部会設置・運営規程」がございます。こちらをごらんください。

こちらの中身につきまして、ポイントを3点ほどに絞って簡単に御説明させていただきます。

まず1ページ目の第3条のところですけれども、本部会、食品表示部会につきましての所掌についての記載がございます。

次のページでございますけれども、2点目でございます。第6条でございます。こちらで審議の公開についての記載がございます。第6条第2項におきまして、部会は会議を公開することにより、当事者もしくは第三者の権利もしくは利益または公共の利益を害するおそれがある場合、その他の部会長が非公開とすることを必要と認めた場合を除き公開するとなっております。原則公開ということで、非公開とすべき事由が終了したときには、公開するものとなっております。

また、同じく同条の第3項におきましては、前項の規定により部会長が会議を非公開とすることを認めた場合は、部会はその理由を公表するとなっております。

続きまして、同条第5項ですけれども、第2項の規定により部会長が会議を非公開とすることを必要と認めた場合には、議事要旨を速やかに作成し、公表することとなっております。非公開の部分についても議事要旨を作成することとなっております。

3点目でございますけれども、第7条でございます。こちらは部会の議決について規定をしております。部会の議決におきましては、委員長の同意を得て消費者委員会の議決とすることができるとされております。

また、参考資料3「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」が当委員会においてはなされております。こちらにつきましては時間の都合上、御紹介だけにとどめさせていただきます。

事務局からの説明は以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

ただいま御説明のございました規定に沿って審議を進めてまいりたいと存じます。委員の皆様、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

≪2.食品表示基準の一部改正に係る審議≫

○受田部会長 それでは、本日の議題に入ってまいります。

まず1つ目の議題として、5月30日に諮問を受けました食品表示基準の一部改正について、議論に入りたいと思います。こちらの資料の説明をまず消費者庁よりお願いいたします。

なお、本日は消費者庁赤崎食品表示企画課長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、恐れ入ります。御説明は20分程度でよろしくお願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 消費者庁食品表示企画課長でございます。

それでは、お手元の資料1-1「食品表示基準の一部改正について」に沿って、簡単に御説明させていただきます。

1ページに目次があります。1から4まで項立てしていますが、今回、具体的な改正を考えているのは3点です。2の無菌充填豆腐、3の防かび剤(フルジオキソニル)、4のボロニアソーセージになります。

全体の改正概要は2ページのとおりですが、まず食品表示基準とは、食品表示法に基づき定められる内閣府令のことであり、実際に事業者に遵守していただく具体的なルールを書き込んでいます。冒頭、黒木事務局長からお話がありましたように、食品表示基準の改正に当たっては消費者委員会の意見を伺うとなっていますので、その関係で5月30日付で諮問をいたしております。

具体的な改正概要が2ページにございますが、時間の関係で3ページ以下で順次、御説明させていただきます。

まず無菌充填豆腐です。今回の改正の背景事情について、4ページで御説明させていただきます。ちなみに無菌充填豆腐については、まず厚生労働省による食品衛生上のルール見直しがあって、今回それに伴って表示ルールの改正を検討するという流れになります。

4ページ、資料のタイトルが「豆腐の規格基準改正に係る食品健康影響評価結果」となっておりますが、本年1月23日付で食品安全委員会委員長から出された通知の抜粋がついています。ここでいう規格基準とは、食品衛生法に基づく告示のことです。食品や添加物について事業者が遵守すべき公衆衛生上のルールを定めたものが規格基準になります。

その後ろの食品健康影響評価とは、食品安全委員会が行う食品のリスク評価のことです。その上で、要約部分の最初の2行をご覧になっていただきたいのですが、短いので読み上げさせていただきますと、「厚生労働省からの諮問を受け、豆腐の規格基準では冷蔵保存することとされている無菌充填豆腐について、その保存基準を常温保存に変更した場合の食品健康影響評価を実施した」となっています。

ここで無菌充填豆腐とありますが、これはいわゆる雑菌がない豆腐のことで、微生物が陰性である豆腐ということになります。今、豆腐については食品衛生上のルールで原則として冷蔵保存が義務づけられています。ただ、無菌充填豆腐については、冷蔵保存から常温保存に切りかえることができるのではないか。切りかえた場合に食品のリスクはどうなのかということを、厚生労働省からの諮問を受けて食品安全委員会で整理をし、本年1月23日付で通知しています。

結論の中核部分は、その下に赤字で書かれています。これも短いので読み上げさせていただきます。「現在、豆腐の規格基準に基づき冷蔵で保存されている無菌充填豆腐について、冷蔵保存から常温保存に変更した場合のリスクに差があるとは考えられない」となっております。要は今、すべからく豆腐は冷蔵保存になっていますが、無菌充填豆腐については冷蔵保存でなく、常温保存にしてもリスクに差がない、リスクは増えないということです。

以上は実際上の食品衛生のルールに関する記述ですが、表示についてもこの食品健康影響評価結果の中で言及されています。その下の赤字部分です。これも短いので読み上げさせていただきます。「冷蔵保存が必要な豆腐には冷蔵が必要である旨及び常温で保存できる豆腐には常温保存ができる旨を消費者等が明確にわかるように表示することに留意する必要がある」。要は今、豆腐については冷蔵保存しかありません。新しく常温保存が認められると、消費者が違和感を持つ可能性がありますので、表示の面で消費者がそういう違和感を持たないような統一ルールをつくるべきという問題提起が、食品安全委員会から消費者庁に出ているということです。

その次の5ページが、具体的に厚生労働省で考えている規格基準の改正案です。タイトル中に「食品衛生法第11条第1項の規定に基づく」とありまして、これは根拠法でして、食品衛生法に基づく告示が規格基準になります。

具体的な改正内容は、そこに新旧対照表がついていますので、旧の部分を御説明させていただきますと、豆腐は冷蔵するか、または十分に洗浄し、かつ、殺菌した水槽内において、冷水で絶えず換水をしながら保存しなければならないとあります。パック詰めの豆腐は水の交換ができませんので、基本的には冷蔵となります。ただ、例外があります。「ただし」の後になりますが、「移動販売に係る豆腐、成型した後、水さらしをしないで直ちに販売の用に供されることが通常である豆腐」は例外となっています。お得意様向けに自転車で荷台に積んで販売したり、できたてをその場で売るようなものを除いては、基本冷蔵となっていますが、今回の厚生労働省による規格基準の改正案によると、例外の中に無菌充填豆腐も入れる。無菌充填豆腐は冷蔵しなくていい、常温でも保存可能ということになります。

ちなみに無菌充填豆腐については、この規格基準の中に定義が置かれています。その下の※1になりますが、「連続流動式の加熱殺菌機で殺菌した豆乳」が原材料となります。それに「殺菌又は除菌された凝固剤」、いわゆる豆腐用凝固剤のことで通常、塩化マグネシウムや塩化カルシウムが使われますが、それも殺菌又は除菌されていないといけないとされています。そして、「容器包装に無菌的に充填」となっています。いわゆる成分規格でいうと微生物が陰性、入っていないということになりますので、常温で保存しても繁殖する菌がないということと理解しています。

以上が厚生労働省が考えている改正案ですが、それを踏まえ、表示をどうするかというのが我々に与えられたミッションであり、それが6ページになります。実は前例があります。いわゆるLL牛乳というものですが、それは今の食品表示基準の別表第19、これは個別的義務表示と言っておりますけれども、個々の食品についての個別の表示義務を定めたものです。その表の中の「食品」の欄に「乳」とありますが、いわゆるLL牛乳については下の「表示の方法」の欄にあるとおり、常温保存可能品の文字を表示することがルールとして定められています。

したがって、今回の無菌充填豆腐についても、ある意味、LL豆腐というものをこの食品表示基準に位置づけることになります。具体的な表示の方法については、LL牛乳と同様に常温保存可能品という文字を表示していただくことを考えています。このような統一的なルールを設けることにより、消費者が無菌充填豆腐をきちんと認識していただける。その結果、安心して買うことができるようにしたいと考えています。

以上が今回の改正の1点目です。

続きまして、2点目の防かび剤(フルジオキソニル)について御説明させていただきます。

実はこの改正についても、厚生労働省が食品衛生上のルールをまず見直し、それに伴って表示のルールを改正するというものです。

まず8ページでフルジオキソニルの御説明をさせていただきますが、用途は防かび剤になります。これは食品添加物のカテゴリーとして認められていまして、かびの発生や増殖を防止するものです。

諸外国での状況については、(1)にあるとおりWHOでも一日摂取許容量、いわゆるADIを定めていて、使うことを前提に使う場合の許容量が定められています。(2)の諸外国の使用状況にあるように、アメリカやEUでも使われています。

その下、我が国での状況のところですが、フルジオキソニルは現在我が国で使われています。まず平成8年に農薬登録をされ、収穫前の農薬として使われています。そのほかに食品添加物としても平成23年に指定され、キウィー、かんきつ類等々に使用が認められていますが、ただ、食品添加物としての使用に当たっては対象が限定されています。今回それを広げるということが厚生労働省の方針ですが、厚生労働省が考えている規格基準の改正内容については、9ページをご覧になっていただければと思います。上の囲いにあるとおり、先ほどの無菌充填豆腐と同様に食品衛生法11条1項の規定に基づいて、防かび剤(フルジオキソニル)の規格基準が定められています。それを今回、改正することになりますが、その下に新旧対照表がついています。今でもフルジオキソニルは使用できますが、旧のところにあるとおり、あんず、おうとう、かんきつ類等々以外の食品に使用してはならないとなっていますから、あんずやおうとうなどでは使っていい。ただ、ここに書いていなければ使ってはいけないとされています。

今回の規格基準の改正は、使っていいものをもっと広げる。具体的にはそこに赤字で書かれているアボカド、パイナップル、パパイヤ、ばれいしょ等々を新たに防かび剤として使えるようにするという改正を厚生労働省が考えています。こういう形で添加物を使っていい対象農産物が実態上広がるのに合わせて、今度は10ページになりますが、表示についても必要な改正を行うということを今回考えています。

現在、食品表示基準の別表24という規定があります。これは10ページの上の囲いにありますように、一般生鮮食品の個別的義務表示事項を定めたものです。10ページに別表24の改正案を載せていますが、今はあんず、おうとう、かんきつ類等々、こういう食品については添加物表示をしてください。添加物表示とは具体的に何かというと、下の「表示の方法」の欄の中でアンダーラインを引いておりますが、当該添加物の物質名及びいわゆる用途表示をしてくださいということが定められています。

用途表示については防かび剤や保存料、甘味料等々でなされていますが、原則、添加物は物質名を表示する必要がありますが、それに加えて保存料や甘味料などの言葉も入れて、この物質がどういう用途で使われているのか消費者にきちんと情報を伝えるというものです。ただ、現行の添加物表示の対象食品があんず、おうとう、かんきつ類等々と使っていいものに限定されていますので、防かび剤として使える対象が広がると、それと連動してこの別表24も改正して表示の義務をかける食品を追加で増やさないといけない。こういう事情があって、今回10ページにあるように新たに防かび剤(フルジオキソニル)を使うことが認められるアボカド等々を追加するということを考えています。

以上が2点目の改正になります。

3点目がボロニアソーセージ関係の改正になります。11ページ以降に出ていますが、ボロニアソーセージの改正については、厚生労働省の動きを起点にというものではなく、実は日EU EPA協定がきっかけとなっています。EPAというのは経済連携協定のことですが、日EU EPA協定については、たしか昨年7月に大筋合意がなされ、昨年12月に交渉そのものは妥結しています。あとは発効に向けて、様々な国内手続が進められると承知しています。

今回の具体的な改正内容については、12ページに出ています。タイトルがボロニアソーセージ、これはイタリア語ですが、Mortadella Bologna(モルタデッラボローニャ)の一般的な名称についてとなっていますが、枠囲いの上の部分だけ読み上げさせていただきますと、食品表示基準、食品表示法に基づく基準の別表第3において、基準上の用語の意義として「ボロニアソーセージ」が規定されている。いわゆるボロニアソーセージという言葉の定義を別表第3で定めています。一方でGI法の規定に基づき、このイタリア語の「Mortadella Bologna(モルタデッラボローニャ)」が保護対象とされる予定とあります。

これはどういうことかと申しますと、まずGI法は何かということを御説明させていただきますが、これは地理的表示法と言われています。例えば夕張メロンとか米沢牛という言葉を聞かれたことがあると思いますが、夕張とか米沢という地名と、一般名称であるメロンと牛、一般名称と普遍的な地名を組み合わせた夕張メロン、米沢牛という言葉を知的財産として保護をする。一定の要件を満たさないと使ってはだめだというようなもの。これがいわゆる地理的表示であり、そのルールを定めたものがGI法、地理的表示法になります。

日本でも夕張メロン、米沢牛、いろいろなものがありますが、これは勝手に使ってはだめなのですけれども、今回、日EU EPA協議の中で、日本で知的財産としてプロテクトされた夕張メロン等の名称については、EUでも保護の対象に加える。これは国が違うと当然、法律の適用というのは原則ありませんが、日本で正当に保護されたものはEUでも正当に保護しましょう。その代わりにモルタデッラボローニャ、これは要するにイタリアのボローニャ地方、イタリア半島のつけ根のポー川流域の地域になりますが、その地域でできたソーセージや、いわゆるチーズだとパルミジャーノ・レッジャーノ、いろいろありますが、そういうものを日本でも保護をする。そういう取決めが今回の日EU EPA協議の中に入っています。

それだけであれば知的財産の話であり、食品表示法に基づく表示の一般ルールとは関係がないのですが、ここで1つ問題になったのがいわゆる名称表示です。要は皆様のお手元にミネラルウォーターがありますが、この一括表示欄を見ていただくと、品名としてナチュラルミネラルウォーターと書かれています。実はどのような食品でも、いわゆるその内容を示す一般的な名称を必ず表示しなければいけないとなっていて、よく食べるケーキだと洋菓子と書かれていたり、インスタント麺だと即席カップめんなどとで書かれています。そういう一般名称を必ず書かないといけないのですが、EUで知的財産として保護されたモルタデッラボローニャも、その言葉自体は誰でも使えるものではありませんが、それを日本で売る場合には一般名称を書かなければいけない。そのときに実はこれはソーセージなのですが、日本ではソーセージと言ってもいろいろ種類がある。その定義をはっきり定めておかないと混乱しかねないので、それでこの別表第3にありますようにボロニアソーセージの定義を今、置いています。

問題は、イタリアのモルタデッラボローニャと日本のボロニアソーセージの関係なのですが、実は日本の名称のボロニアとはイタリアのボローニャ由来でして、本来モルタデッラボローニャとしてイタリアにあったソーセージが、日本に入って一般名称化してボロニアソーセージになったというのがこれまでの経緯になります。

例えばフランクフルトソーセージというのも、ドイツのフランクフルトのソーセージが日本で一般名称化したものですし、ウインナーソーセージというのも実はオーストリアのウィーンの地名に由来して一般名称化しております。このモルタデッラボローニャを日本で知的財産として保護するのはいいのですが、一般名称を書かせるときに今のボロニアソーセージと書けないものが一部出てきてしまいます。そうすると、モルタデッラボローニャの生産者側からすると、なぜ本家本元が日本では自分の名前を名乗れないのかという話になってきますので、今回この別表第3にあるボロニアソーセージの定義規定を広げて、従前からボロニアソーセージと呼んでいたものは今後も当然ボロニアソーセージと表示することはできますが、それに加えて2号にあるようにモルタデッラボローニャまたはその翻訳名称と表示されたもの。これは正当な権利があって名乗れるものとなりますので、そういったものについては一般名称ボロニアソーセージと表示をしても構わないという趣旨の改正を今回考えています。

以上、3点が今回の改正事項になります。

この3つの改正につきましては、この方向で改正することをよしとお認めいただけるのであれば、改正に当たり公布、即施行という形で制度見直しを進めていきたいと思っております。

とりあえず当庁からの説明は以上のとおりです。

○受田部会長 ありがとうございました。

食品表示基準の改正概要について3つ、すなわち無菌充填豆腐、フルジオキソニル、ボロニアソーセージに関する概略を御紹介いただきました。

ここからただいまの御説明について、委員の皆様から御質問、御意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。3点ございますけれども、どこからでも構いません。もし御発言が集中するようであれば、順番で意見を賜っていきたいと思います。いかがでしょうか。宗林委員、お願いします。

○宗林委員 無菌充填豆腐についてでございます。

この表示自体、常温保存にすること自体は菌がゼロであれば衛生上の問題はきっとないのだろうなと思っております。けれども、お豆腐の場合はこの会議の席上なのか、企業そのもので自主的に考えていかなければいない問題なのかというのはありますが、賞味期限を決めるにあたっては、豆腐の場合は離水もあるでしょうし、テクスチュロといいますか、固さであったりとか食感が大分変わって、おいしさという観点からはこれは多分、1年とかの賞味期限となるのであれば、あれば大きく考慮しなければいない点だなと感じています。

お豆腐はお豆腐なりの日本古来のテクスチュロであったり、固さもそうですけれども、そういったものが維持されるということをどこで担保していくのかなというのが気になるところであります。

○受田部会長 ありがとうございます。無菌充填ということで、従前のお豆腐に比べて賞味期限が延びていく。それに伴って豆腐としての品質がどのように時間とともに、通常想定されるのは低下していくか。特にテクスチャー、歯ざわりといいますか、物性の部分が気になるところであるというお話でございました。恐らくこれについては十分な実績があるというふうにもお聞きしておりますけれども、消費者庁からお答えいただけますでしょうか。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの宗林委員からの御質問でございます。

まず一般的な賞味期限で申しますと、通常の冷蔵豆腐はおおむね2週間程度となっておりますが、今回、御審議いただいております無菌充填豆腐につきましては、今、受田部会長からもお話がありましたように、輸出実績が今ございますが、大体1年ぐらいの賞味期限を設定しているとメーカーからは内々聞いております。

そもそも賞味期限につきましては、その食品が本来有すべき品質がどの程度維持できるのかということがまさに基準になっておりまして、実際に個々の食品ごとに事業者が例えば微生物検査、官能試験、理化学試験により、個々の商品ごとにどれだけ歯ざわり、固さも含めた品質が担保できるのか調べた上で、適正な期限を設定されると聞いております。

豆腐につきましては、無菌充填豆腐は足が長くて1年程度のものもあると承知していますが、実際に現物もここに持ってきておるのですけれども、普通の豆腐と違って充填水は入っていなくて、まさに固形。豆腐ですから水分は9割以上ありますが、充填水は入っていない。製造の過程で無菌状態が担保できる形の品質管理がなされておりますので、その意味では歯ざわりや固さも含めて、事業者がそれぞれの製造工程、実態に応じて御判断をされて賞味期限を設定することになると思っております。

今、輸出向けは1年程度と内々聞いておりますが、実際に我が国で売られるようになると、そのときの製造実態に応じた適正な賞味期限がつくものと考えております。

○受田部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。

ほかいかがですか。夏目委員、お願いします。

○夏目委員 1つお伺いしたいのは、この無菌充填豆腐の基準が改正されますと、大変消費者にとっては大きな表示の転換になると思います。今まで豆腐は全て冷蔵であったものが冷蔵でないものもいいということになりますと、消費者の選択肢眼、見る目がなかなかそこに追いついていかないだろうと思います。今、冷蔵であるお豆腐の中にも期限表示が随分違っているものもございますし、さらにそれが1年という長い無菌充填豆腐になるわけです。そういうときに混乱をどういうふうに避けるかというところを、既にLL牛乳の実績がございますので、それを実施したときに例えば販売の現場で起こった混乱とか、消費者の誤認とか、そういうものがあるのかなかったのかということもお知らせいただきながら、これから先、同じような轍を踏まないようにしていただきたいなという希望でございます。

もう一つ、この無菌充填豆腐をすることによる消費者のメリットといいますか、それはどんなところにあるのだろうと考えました。冷蔵でなくて長期保存できるわけですから、よく災害に役に立つとか言われますけれども、ではそれ以外に消費者にとって無菌充填豆腐の価値というのはどこにあるのだろうかと考えましたときに、私は思いつきませんでした。EUでは既に販売されておりますし、アメリカでも現地生産されている。日本だけが冷蔵保存をずっとしてきたわけですから、大きな展開になろうかと思いますので、もしわかる範囲で教えていただきたいと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

まずこれによって消費者の選択の幅が広がる。もっと言うと広がり過ぎていくことに関して、どういうふうに見ていくのかという点が1つありました。現場、市場における混乱というようなところで見ていったときにLL牛乳、ロングライフ牛乳の先行事例というのが参考になるのではないか。その状況についてもし情報があればお知らせをいただきたい。これが1点でした。

もう一点は、消費者のメリットということです。私もヨーロッパに住んだことがあって、この無菌充填豆腐に大変助かったという思いがもともとあるのですけれども、消費者側のメリット、日本国内においてどういうことが挙げられるかということですが、これも消費者庁からお答えいただける範囲でお答えいただけますか。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの夏目委員からの御質問につきまして、お答えできる範囲で御説明させていただきます。

まず今回、無菌充填豆腐の表示改正に先立って、ある意味、前例という形でLL牛乳の表示規定を改正した経緯がございます。そのときに市場で混乱したかどうかにつきましては、我々いろいろな関係事業者等と話をした限り、特に大きな混乱はなく、LL牛乳の表示として常温保存可能品の用語を付けていただいて、それを消費者に訴求して買っていただくこと自体は、比較的スムーズに進んだと理解しています。ただ、LL牛乳自体がまだ余り身近でないといいますか、実際にスーパーに行かれても冷蔵の牛乳が大部分で、LL牛乳を探してもなかなか見つからないということがあるかもしれません。ただ、LL牛乳の表示に直接起因して何か消費者に迷惑をかけた、何か混乱が生じたということは、把握する限りないと考えております。

今回、LL豆腐ならぬ無菌充填豆腐が常温保存できるようになる消費者メリットにつきましては、基本的には夏目委員が言われたことに尽きますが、常温で保存できるようになると必ず冷蔵するのに比べて手間はそれだけかけずに済む。その結果になりますけれども、いわゆる賞味期限もかなり長くなりますので、冷蔵庫に置きっ放しで期限がたってしまったから捨てないといけないみたいなことも、結果的に少なくなるのかなと思っております。

基本的には今回の改正の趣旨を厚生労働省のみならず、消費者庁でも機会を見て消費者の方にきちんとお伝えさせていただいて、その良さをよくご理解いただいた上で実際に日々の買い物につなげていけるように、そういう取組も今後、消費者庁としてもやっていこうと思っていますので、お答えになっているかどうか自信がありませんが、以上、お答えできる限りで御説明をさせていただきます。

○受田部会長 ありがとうございました。フードロスの削減というか、あとはLL牛乳の場合にはチルド輸送しなくて済むので、輸送コストを削減できるとかいうのは多分、乳業界から見るとメリットであり、それがコストとかそういったところに消費者側にどのような形でメリットになるのかというのはまたあるかもしれませんけれども、いろいろメリットがあるということは伺っております。つけ加えさせていただきます。

夏目委員よろしいでしょうか。ありがとうございます。

ほかよろしいですか。無菌充填の質問が2つ出ましたけれども、ほかの2点も含めまして、下浦委員、お願いします。

○下浦委員 私も勉強不足で質問なのですけれども、ボロニアソーセージの件ですが、ボロニアソーセージは今までの分については牛腸を使用したものということで、豚とか羊の腸を使用したものは除くということになっていますね。今回のモルタデッラボローニャについては、これと天然または人工のものを使いということで、天然というのは豚腸も含まれるということでしょうか。

○受田部会長 御質問をいただきました。お願いします。

○赤崎食品表示企画課長 今、下浦委員がおっしゃられましたのは、資料の13ページにモルタデッラボローニャの要件を書いておりますが、(1)特性のところに天然または人工のものと書いているのを指して御発言があったと理解をしておりますけれども、文字どおり天然または人工ですので、ソーセージのケーシングといいますが、人工でつくったものもいいですし、あとはイタリアのモルタデッラボローニャにつきましては、豚由来の腸を使ってつくるケースもあると聞いております。

○下浦委員 ということは(2)のところに何か、そもそもボロニアソーセージというのは牛腸を使用したものという認識がもしあった場合、イタリアのものについては豚腸も使うということの表示とかは必要ないのでしょうか。その辺のところ、今後オリンピック等々でいろいろな各国の方々が来られている部分で、何か問題があるのかなと思ったのですが。

○受田部会長 いかがでしょうか。

○赤崎食品表示企画課長 現行のボロニアソーセージの定義が12ページに書かれております。下浦委員からお話がありましたように、原則として牛腸を使用したもののほかに、製品の太さが36mm以上のものであれば、豚腸、羊腸を除いたものということで、括弧書きで豚腸、羊腸を除くというのは、実は日本でも人工ケーシングが、製品の太さが36mm以上のものであれば使えるとなっておりますので、その意味では先ほどの13ページに戻ります。イタリアの本場のモルタデッラボローニャが天然または人工のケーシングを使うとありますけれども、天然、人工、両方使えるというのは今の日本でも太さの制限はありますが、そういう要件にはなっておりますので、そういう中で混乱が起きないようにいろいろな形で周知をし、普及に取り組んでまいりたいと考えております。

○下浦委員 わかりました。括弧書きのかかるところが違うということですね。ケーシングの大きさということですね。ありがとうございました。

○受田部会長 ありがとうございました。ボロニアソーセージに関する御質問をいただきました。

夏目委員、お願いします。

○夏目委員 防かび剤(フルジオキソニル)についての質問です。

今回、品目が拡大されるということです。添加物として使われるということは、収穫された後に、つまりポストハーベストとして使われる品目が拡大されたということで、消費者にとってこれっていいのかな、どうなのかなとすごく疑問に思いました。

特に、さりげなくばれいしょが入っていて、非常に身近な作物だと思います。それまでの果物類とはちょっとニュアンスが違うのかなと思っていまして、それにまでポストハーベスト剤としてフルジオキソニルが使われるということについて、この申請は事業者の御希望というふうには聞いておりますけれども、すごく品目拡大でこの品目、この品目とこんなふうに出てきていいのかなというのが消費者として非常に素朴な疑問ですし、これからもこういう形で事業者から申請があれば、拡大されていくのかどうかというところもちょっと危惧されたので、どのように、もちろんここは表示を審議するところなので、仕様そのものについて議論する場ではないというのは承知しているのですけれども、できれば消費者としてはポストハーベストとしての添加物は、できるだけ避けていただきたいというのが正直なところです。

○受田部会長 ありがとうございます。今、御意見というか質問というかいただきました。フルジオキソニルをこのような形で規格基準の一部改正に挙げている。その背景のようなところがもう少し説明されるといいのかなと伺いましたけれども、いかがでしょうか。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの夏目委員からの御指摘でございます。この資料の9ページにございますように、まずフルジオキソニルの使用対象の拡大に当たりましては、一義的には食品衛生法に基づく規格基準の改正という形で、これまで議論が行われております。上の囲いにございますように、今般、フルジオキソニルに係る食品健康影響評価結果が昨年11月に食品安全委員会委員長通知という形で出ておりまして、基本的に保健衛生上の危害は生じるおそれはないものと考えるという形で整理されております。そういうリスク評価の判断を踏まえて、厚生労働省ではリスク管理の一環として具体的に個々の農作物にどのように使っていくのか。まさに食品添加の規格基準で定めております。

フルジオキソニルにつきましては、これまで日本で使われていなかったものではありませんで、あんずやおうとうやかんきつ類等々では今でも使用が認められております。その意味では一定のADIを含めた量的制限がきちんと担保されるのであれば、要はあんずでは使えるけれども、アボカドでは使えないというのは、安全性という観点から見るとなかなか説明は難しいのかなと思っておりますが、いずれにいたしましても、これは表示の話とは別の実態上の食品の安全性の話になりますが、今の夏目委員のような御意見も踏まえて、厚生労働省はまず食品安全委員会に食品健康影響評価を出してくれという要請を出し、その結果を踏まえて改めてこの規格基準の改正案をつくられて、薬食審と言われている法定の審議会の御意見も伺い、並行してパブコメという形で一般国民の御意見も伺いながら手続を進めていると承知しておりますので、我々としては安全性のほうはそういう形で別途いろいろな審査といいますか、検討がなされた上で、使用が解禁されるのであれば表示のほうで先ほど御説明させていただいたような見直しを行いたいと考えています。

○受田部会長 ありがとうございます。

夏目委員、よろしいでしょうか。今の手続的なところについてはステップを踏んでいて、パブコメも求めてという形で、ここに挙がってきているというお話でした。

○夏目委員 背景も食品安全委員会のリスク評価もよくわかるのですけれども、こういうものがどんどん拡大されてくる必要性が消費者にとって余り伝わってこないものですから、突然このように品目を拡大しましたって単純に喜ばしいとは受けとめられないかなと思います。というのは添加物で防かび剤と表示をされていても、それが収穫された後に使われているということは多分、消費者は知らないというところがあろうかと思いますので、もう少しそこのところは啓発のところもあろうかと思いますけれども、こちらもよくメリットがわかりませんでした。

○受田部会長 御意見として消費者側からの受けとめ方の具体的な御意見ということで、この場ではそういうお話が出たということで、また今後のこういった改正に向けた話の中で、しっかり反映ができるようにという受けとめ方をさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

先に菅委員から。

○菅委員 今の点は、私も少なくとも消費者に十分周知させる取り組みが積極的になされる必要があるのではないかと思いますし、それを情報として知った上で合理的な選択を意識的に行えるようにすることが大事なのではないかと思うのですけれども、私が質問しようと思ったことは、またボロニアソーセージの話です。定め方の問題として資料1-1の12ページの赤字で書かれているところが今、審議の対象になっているのだと思うのですが、わかりにくく思うのは2号のところで、モルタデッラボローニャと「表示」されたものという定め方になっているのですが、製造上の要件を充たされたものとしてつくられたものというような「作り方」についての言及はここではなされていなくて、このように「表示」されたものはボロニアソーセージと表示してよいとしましょうというルールになっていることに若干違和感を感じます。

一定の作り方をしなければ、そもそもモルタデッラボローニャと表示できないという別途のルールがあって、それと相まって読むとこの規定で問題がないものとして読めるということなのかもしれないのですけれども、この規定だけを読んだのでは、モルタデッラボローニャと「表示」さえされていればボロニアソーセージと表示して良いというだけになって、「作り方」に対する担保がないように読めます。それはどこで担保されているのかというのを教えていただけますでしょうか。

○受田部会長 ボロニアソーセージの12ページの右側に書いてある2項の部分です。ここに関しての御質問です。消費者庁からお答えいただけますか。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの菅委員からの御質問でございます。確かにお手元の資料の12ページには表示のことしか書いておらず、製造過程のことについての言及はございませんが、実はいわゆるGI法に基づいてモルタデッラボローニャ、これは知的財産として保護に値するという別途、決定を恐らく告示ではないかと思っておりますが、農水省が別途出すことになっていますし、今、既に出されておると承知しておりますが、その中で農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項が定められておりまして、その中で単なる名称、この名前を使っているかどうかだけではなくて、つくり方を含めた実態上の要件というのも書かれております。したがって、それを満たしたものでないといわゆるGI法の保護の対象にはならず、結果、そういうものでないと、食品表示基準のボロニアソーセージの定義にも当てはまらないという形で整理されております。

○受田部会長 よろしいでしょうか。

○菅委員 端的に「モルタデッラボローニャに当たるもの」というような書きぶりにしないことの意味というのは、何かあるのでしょうか。「表示されたもの」という形でしか書きようがないのか。同じ表の他の左の部分、ソーセージの定義の定め方や上の部分、ボロニアソーセージの定義の1号の定め方と比較してみましても、2号でも「作り方」で一定、実質的にもモルタデッラボローニャに当たるものという縛りをかけようとする趣旨だと思うのですが、表示されたものとしてしまうと全くそれを充たさないものであっても、そのような表示があれば、少なくともここのルールはクリアされるかのようにも読めてしまいそうで、あえてこのように規定する必要性が余りわからないのですけれども、その点のご説明をお願いします。

○受田部会長 お願いします。

○赤崎食品表示企画課長 菅委員の御指摘でございますが、実はイタリア語のMortadella Bolognaと片仮名表記のモルタデッラボローニャにつきましては、知的財産という形で権利性が付与されますので、誰でも名乗れない。一定の生産要件等々を満たした方でないと、真正な権利者にはなり得ないということが前提としてありますので、仮に誰かが勝手にこの名前を使っていたとしましたら、それは法違反になります。したがって、それは別途取締りの対象になるということで、基本的には正当な手続を踏んで要件を満たすものとして実体法上、権利に値するものが、ここで言うところのモルタデッラボローニャに当たると整理しておりますので、実際上、誰かが勝手にこの名称を使ってその表示が認められるということは、現実にはないものと考えております。

○菅委員 ここでの「表示されたもの」とする規定ぶりの必要性については、必ずしも十分理解し切れなかったところがあるのですが、その点もよく吟味された上での規定なのだと思いますので、お任せします。

○受田部会長 ありがとうございました。

松永委員、どうぞ。

○松永委員 防かび剤に戻りますが、夏目委員が先ほど消費者は防かび剤の拡大を望んでいないとおっしゃられたので、いや、そうではない消費者もいるよということで若干の補足を、事業者が拡大を望むから消費者は受け入れるという構造でないということを若干補足したいと思いました。

防かび剤は、私は多分これから食のグローバル化というのが避けられない中では、非常に重要だと思っています。というのは、かびが収穫後でもどんどんふえますので、食品ロスにつながることもありますし、それから、かびの中には非常に強い毒性物質をつくるものとかもありますので、防かび剤を上手に使うことでむしろ食品の安全性が上がる。リスク管理ができるという1つの手法でもあるわけです。

ですので、その手法をどう使うかというところでADIの何%ぐらいかというところでリスク評価をしなければならない。今回の場合は食品安全委員会できちんとリスク評価されて、厚労省でもいいでしょうということになって、安全上は問題ないということで、こういう表示のほうも変えましょうという提案になってきているわけです。ですので、そういうことをなかなか消費者に伝える機会がなくて、情報が届かないので、どうしても表示を拡大しますと言うと事業者が一方的に押しつけて、規制緩和だと受けとめてしまいますので、もう一言、そういう狙いというか、本当のちゃんとしたリスク低減というようなところの狙いも含めてもう一言、説明しておいていただけると割とすんなり私たちも、一般の消費者の方々も理解できるのではないかと思いました。

○受田部会長 ありがとうございます。

今の御意見、夏目委員と松永委員、消費者を代表する両方の意見を賜ったと思います。今回は諮問に対する答申ということで、この中身に関して今、異論が出ているわけではないと理解しております。いずれにせよ、今ポストハーベストで利用していく防かび剤の1つが俎上に載って、今後こういった法改正を含めて消費者に対する周知をどういうふうに図っていき、安全性の確保と、もう一方での自主的、合理的食品の選択の機会の確保、ここの部分を両方考えていくということで、今の御意見に関しては食品表示部会も通じまして、また今後、議論をさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

ほかの件について委員の皆様いかがでしょうか。3つそれぞれに御意見や御質問も出たところではございます。そろそろ本件に関して答申をまとめるという方向でよろしいでしょうか。異論ございませんか。ありがとうございます。

ただいま3件について消費者庁から御説明をいただきました。また、その後の御質問あるいは御意見を幾つか賜ったわけでございますけれども、個別の諮問の内容に関する明確な異論というのはなかったと理解をいたします。

ということで、この諮問案を了承するということで結論とさせていただきたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。

それでは、諮問案を了承することといたしまして、事務局から答申書案及び報告書案を配付していただきたいと存じます。

今、委員の皆様並びに傍聴の皆様にお配りをしておりますので、少し時間をとりたいと思います。委員の皆様、お手元に届きましたら御確認をお願いいたします。

(資料配付)

○受田部会長 大体行き渡りましたでしょうか。そして、委員の皆様、御確認いただけましたでしょうか。御確認いただけたようなので、本件についてはこの内容で手続を進めさせていただきたいと存じます。

なお、答申書の内容は、報告書により委員長に報告をいたしまして、その同意を得た場合、消費者委員会の答申として発出させていただきます。どうもありがとうございました。

≪3.新たな加工食品の原料原産地表示制度に係る答申への対応について≫

○受田部会長 それでは、次の議題に移ってまいります。「新たな加工食品の原料原産地表示制度に係る答申への対応について」でございます。

昨年8月、皆様も御存じのとおり、加工食品の原料原産地表示制度に関して、当部会での審議を経て消費者委員会より答申が発出されました。その際、参考資料5にもございますとおり、基準案を適当とする前提といたしまして、10の条件を付してございます。答申本文の最後に「委員会は、前提条件への対応状況について確認を行う」とございますことから、今回、消費者庁よりその御報告をいただきたいと思います。

恐れ入ります。約10分で御説明をお願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 それでは、お手元の資料2-1に沿って、現在の消費者庁の取組状況について簡潔に御説明させていただきます。

先ほど受田部会長からお話がありましたように、昨年、原料原産地表示につきまして消費者委員会で御議論いただきまして、8月10日付で諮問内容を適当とするという答申をいただいておりますが、10の前提条件がそのとき付いておりました。このうち今、我々が取り組んでいるものを1ページ以下で整理しています。

まず1ページが、消費者・事業者の理解に関する目標値の設定です。これは昨年の答申だと理解度の達成目標をまず設定し、その状況を確認しながら周知を行うようにということを我々は宿題としていただいておりました。

まず経過措置期間終了時ということで、平成34年3月末、4月の時点で消費者の理解度等の達成すべき目標は50.4%としております。ここで言う理解度については、単に知っているとか聞いたことがあるではなく、ある程度表示ルールを知っていて、日々の買い物で表示を見て、正しく判断できる素地があるというのをメルクマールにしています。その意味では経過措置期間明けの時点で、消費者のおおむね2人に1人がこの制度の内容をある程度詳しく御存知で使いこなしていただけるということを目標値にしたいと思っており、この点につきまして5月31日の消費者委員会本会議でも御説明させていただいております。

また、経過措置期間終了時の事業者の理解度の達成目標は100%になります。事業者の皆様には正しく表示を理解いただかないと、表示が付けられないことになってしまいますので、以上が我々のほうで考えている理解度の達成目標になります。

2ページが消費者への普及啓発になります。これは昨年8月の答申の中では、消費者向けQ&Aの作成などの新たな手法を取り入れて行うという形で指摘をいただいております。消費者向けQ&Aにつきましては、昨年9月1日の改正された制度の施行の時点で既に公表しております。

それ以外の取り組みということで1点、御紹介させていただくのは、下の枠囲いの一番上の○になりますが、現在、消費者庁で食品表示制度セミナーを開いて、その中で原料原産地表示についても取り上げるとしております。これは単なるセミナーではないと思っています。昨年度3カ所、今年度は35カ所で開催したいと思っていますが、来ていただくのは1カ所当たり大体30~40名ぐらいの消費者の方なのですが、来られる方はそれぞれの地域で情報発信力の高い方ということで、それぞれの地域でいろいろな活動に精力的に取り組んでおられる意識の高い方をコンセプトにしています。そうしますと、そこで1回やったセミナーはそれっきりではなくて、またそれぞれの地域で情報発信の機会もあります。

加えてこのセミナーでは、我々から様々な説明をする前と後で理解度がどう変わったのかというのもアンケートをとらせていただいて、セミナーの最後には今後、推進、普及をしていく上でどういう点に注意したらいいかも含めて、幅広く意見を聞く。そういう意味で実質的なところで深く掘り下げていろいろな御意見を伺えるものとして、このセミナーを位置づけております。これを昨年度は3カ所しかできませんでしたが、今年度は35カ所行うことによって、消費者への実効的な推進、普及に取り組んでいきたいと思っております。

3ページが事業者への周知になります。これは昨年8月の答申だと中小零細事業者への配慮とか、個別相談窓口を設けるようにという御指摘をいただいておりますが、これは今、農林水産省と連携して進めております。一番上の○にありますように、農水省のほうで「新しい原料原産地表示制度~事業者向け活用マニュアル~」をつくって、その説明会を昨年度10カ所やっていただきました。今年度も会場をもっと増やしてやっていただくことになっています。この場では実践的な取り組みの指針をコンセプトに、ルールそのものは一般論として我々が出していますが、個々の業態なり現場ごとにいかに取り組むのかという虎の巻のようなものをつくりまして、実のある形で周知しております。

また、下から2つ目の○にありますように、各地方農政局、FAMIC等に相談窓口を設けていただいて、個々に相談を受け付ける体制も整えております。

4ページが事業者向けQ&Aの充実になります。これは昨年8月の答申では、わかりやすく的確な制度解説を行うこととなっておりますが、このQ&A自体は昨年9月の時点でまず出していますが、今年1月にさらに追記及び修正という形でバージョンアップをしております。いろいろなところで事業者の御意見をいただいて、広く御意見に対する考え方というものを周知したほうがいいというものについては、こういう形で随時このQ&Aの中に入れて充実強化を図っていきたいと思っております。

5ページが経過措置期間中の周知状況に関する状況把握、分析になります。要はまずマクロ目標をつくり、それに向けて推進普及をやっていくということを今、御説明しましたが、推進普及もやりっ放しだと意味がありませんので、毎年度取組状況をきちんと我々のほうでフォローして、PDCAサイクルの中でまだまだ我々の対応が弱いとなれば次年度以降、さらなる強化を図っていきますし、順調に進んでいるのであれば、それ以外のところ、少し遅れているところに注力をするとか、そういう形できちんと状況把握を行う必要があります。

これにつきましては一番上の○にありますように、消費者意向調査を毎年度行うことにしています。1万人を対象にウェブで様々な今の状況をお伺いする。その他に先ほど述べた消費者団体向けのセミナー事業も行って、やはりウェブだと広く薄くになって、なかなか掘り下げたところがわからないという事情もありますので、そこは意識の高い消費者の方々と対面でいろいろなやり取りをさせていただいて、その結果、聞き取ったことを状況把握の一環として今後に活用していく。また、事業者の状況把握につきましても、これまで同様、引き続き農水省と連携しながら、推進普及の場も使いながら取り組んでまいりたいと思っています。

6ページが監視になります。これは昨年の食品表示部会でも多くの委員からさまざまな御意見をいただいたところですが、昨年8月の答申では監視体制の一層の強化、国と地方公共団体の連携というものを我々の宿題としていただいております。

この点につきましては、上から2つ目の○にありますように、昨年9月に改正制度が施行された後、全国を9ブロックに分けて昨年12月まで順次、地方自治体の担当者を集めた研修会を開催しております。加えてその下の○になりますが、具体の運用の明確化として監視の手順書をつくりまして、各監視の関連部門に共有しております。一番下の○にありますように、今年6月末にも国と地方公共団体の連携の一環として、自治体の方をお呼びしまして研修会を予定しております。こういう形でよく連携を図りながら、いろいろな課題に一つ一つ対応していきたいと思っております。

7ページは2つありますが、まず別表第15への品目の追加基準の明確化。これは上の枠囲いになります。これはおにぎりののりが背景にあります。8ページに新しい制度概要をつけておりますが、左の中ほどにありますように、表示対象原材料は最も重い原材料としていますが、おにぎりののりにつきましては重量順位にかかわらず、のりの原料原産地表示を行うことにしています。お米と一体となったおにぎりだと重量順位1位はお米になりまして、到底のりは1位にならないのです。ただ、重量順位にかかわらず、のりには義務付けたということがあって、それでもう一回7ページに戻りますけれども、そういう一般ルールと違う制度設計をする場合は、その基準の明確化をするようにというのが御指摘の趣旨だと理解しております。

この点につきましては、昨年9月に発出したQ&Aに入れておりますが、仮に追加基準をつくる場合は、1にありますように消費者等の要望が強い。2でありますように商品選択の上で消費者から見て重要だ。3で事業者の実行可能性を確認。定性基準でありますが、これらを満たすものであれば、その下の○にあります公開での検討を経て対象に追加する。密室で決めるのではなくて多くの人の意見を聞いて、表の場できちんと議論をするというプロセスを経て、追加基準については対応していきたいと思っています。

最後、例外表示の検証ということもございました。これはいわゆる国別重量順表示とは別に、「又は表示」とか大括り表示等々の原則表示に対する例外的な表示法を認めております。それが実際にスーパーの棚等でどれぐらいの割合で例外表示がなされた食品があるのか調べるようにということでございますが、これは今年度中に何らかの形で調査を実施したいと思っております。

当方からの説明は、とりあえず以上になります。

○受田部会長 ありがとうございました。

多くの委員の皆様が第4次の食品表示部会において、この加工食品の原料原産地表示に関する制度の枠組みをかなり活発に議論をいただきました。その際に附帯したさまざまな10に及ぶ条件について、ただいま消費者庁から現在フォローアップをしている現状について、御紹介をいただいたということでございます。

これに関して委員の皆様から御質問や御意見をいただけますでしょうか。

では今村委員、菅委員の順番でお願いいたします。

○今村委員 御説明ありがとうございます。私は監視のことについてぜひ確認をしたいことがあります。

前回のこの議論の際にも、私から監視が極めて困難ではないかということは御指摘をさせていただきました。その背景としては、今までですと品目が限定されて、どうやって表示するかわかるものに対して監視をしているわけですが、今回、全品目に対してかけているので、どのように流通されているかもわからないものに対して法だけかかっていて、それを監視するという極めて困難な監視をすることになっているので、その手順を十分に詰めていただきたいということをお願いしてきたと思います。

努力されている姿はわかるのですけれども、これは普通の監視手順で行われるものであって、今回のように複雑な制度に対して特別な対策をどういうふうなことをとっているのかというのがここからは見えないですし、実際、輸入または国産という表示がまだ余りどれだけ出てくるかわからないということではあるのですけれども、実際にそれが出てきたときに、どうやってその人たちを取り締まるのかという具体的なところが見えない。

前回の会議のときにも、このままいくと自分が間違っていましたというふうに認める人は取り締まることができるのですけれども、自分は間違っていませんと言う人を取り締まることができなくなるのではないかということを非常に危惧しておりますし、それができなくなることは監視そのものが無力化する可能性があるので、非常に危険なことだと思います。この辺のところの対策というのはどれぐらい踏み込んでおられるのかというのを追加で説明していただければと思います。

○受田部会長 ありがとうございました。6番目に監視というものが入っていて、この制度運用をしっかり確立していくことが附帯の1つに盛り込まれておりましたけれども、ここに関して説明を補足していただきたいということでございます。

○阿部食品表示対策室長 食品表示の対策室長をしております阿部と申します。よろしくお願いいたします。

今、今村委員から御指摘がありました点でございますけれども、私どもとしては先ほどの赤崎課長から説明がありました監視の部分につきまして、手順書というものを今年3月に作成し、それを各自治体に通知しております。その中の構成としては、私どもとしては実際の社会的検証で偽装であるとか、そういった根拠をきちんと確認できるような具体的な手法というか、いわゆる監視のいろはというものを中に整理しています。

さらに具体的な手法に加えまして、これまでの経緯とか経験値も含めて、円滑に行うために留意する点とかも整理しております。加えまして、具体的な違反の事例というか、その場合の処置の水準、そういったものを国と地方自治体が同じ目線で処置できるようなものを同じレベルでできるようにしています。

さらに、新たな原料原産地表示における違反事実がどの条文にきちんと該当するかどうかという考え方も整理させていただいて、それを手順書という形で出させているところでございます。

今お話のありました点につきましても、そういったことをまず各自治体の方に周知していただいて、人を育てる。そこからが必要なのではないかと思っています。それをやっていきながら、実際に移行期間は34年の3月までありますが、その時点で新しい制度の中で表示されたものが流通されてくれば、またそれを踏まえながらさらなる検討を進めていきたいと考えているところでございます。

○受田部会長 どうぞ。

○今村委員 大変努力されているのだろうということは想像がつくのですけれども、自分自身も監視を長くやっていて、これをどうやって監視するのかが想像がつかないというのが今の状況で、私はぜひこの監視の手順書を一度見せていただきたいと思っていますし、その中で今おっしゃっているようなことが本当に現実の監視の場でできるのかというのは、自分なりに考えてみたいと思うので、それぞれのお立場もあると思いますので、自分が監視する立場で手順書を見せろというのも御無体な話だというのはわかるのですけれども、自分がそれをつくるとしたら非常に困難だろうなと思うので、そういったところを非常に危惧しているということを意見表明ということでお願いします。

○受田部会長 ありがとうございました。監視のいろはを盛り込んだものをごらんになりたいというお話もありました。結局、PDCAをしっかり回していくためには現状の問題点と、制度がスタートして監視体制が社会的検証としてしっかりそれに付随しているのかどうかというところを何らかの形で可視化していかないと、どういうふうにチェックした後アクションを、改善していったらいいのかというのはなかなか見えないところかと思うのです。今、お話があったのはアウトプットとしてやりました。やってどうなったか。どうすればさらにそれが今村委員がおっしゃっているような監視体制の充実につながっていくのか。ここがまだ少し見えていない部分もあるのかなと思って今のお話を拝聴しました。

それでは、菅委員、お願いします。

○菅委員 現況への感想も入った、質問のような意見のようなものになってしまうかもしれませんが、事業者の取り組みがいろいろと大変御苦労されるところも多いかなと思うのですが、少なくとも現時点においては、具体的な表示になって既にあらわれている例というのは、まだ余り見かけないのかなと感じております。制度の普及を進めておられる中にあって実際には猶予期間はありますが、いつごろから多くの商品に表示がなされそうなのか、感触としてはどのように見ておられますかということをまず御質問したいと思っています。

それに合わせる形で消費者への周知もさらに進めていく必要があると思うのです。先日もコンビニエンスストアで見かけた納豆の表示に、「アメリカまたはカナダ」という表示があって、これは新しい制度に基づくものかと思って見てみますと、いわゆる過去使用実績等の表示はまだなくて、かわりに「表示してある原産国の大豆を適宜切りかえ、混合して使用しています。詳細は下記にお問い合わせください。」という記載がありました。要するにこれは新制度ができる前から現行で存在している「豆腐・納豆の原料大豆原産地表示に関するガイドライン」に従ったものであることがわかったのですけれども、そのこと自体が何らおかしいわけではないのですが、そこから感じたことは、新しい制度の猶予期間の間にも、こうしたもともとの自主的な取り組みから来る表示と、新しいルールに従った原則・例外表示というものが混在してくる可能性があって、新しいルールの適用された事例がまだまだ追いついていない状況の中での普及啓発であったりしますと、消費者が新しい表示を学ぶのに少しわかりにくい状況にもあるのかなと感じました。

新基準よりも不十分になってしまうような従前からの自主的な表示を行っておられたような場合には、新基準に対応していただくだけのことになるのだと思うのですけれども、もし実質的に上乗せや横出しのような意味で一歩進んだ表示をしているようなガイドライン等の例があった場合の新基準との整合性とか、対応の確認のようなことについては、消費者庁において事業者ないし事業者団体の取り組みというのも十分フォローしていただく必要もあるのかなと感じたりしているところです。

私も、消費者庁が実施される説明会等に参加させていただくこともあるのですけれども、製造地表示と生鮮原材料まで遡った原産地表示とを両方表示してはいけないのですかという事業者のご質問が出た場面をお見かけしましたし、皆さんが感じられた疑問等への答えがどんどんマニュアルの中に増えていくのかなと思います。ですのでそういった取り組みもずっと続けていただきたいのですが、なかなか現状、まだまだ新しい表示というのが見られない。純粋な意味での原則表示すらも余りまだまだ見られないように思うので、そのあたり、今後また広く周知をされていく、指導されていく上で十分御留意いただいて、取り組んでいただきたいと思います。

以上です。

○受田部会長 御意見をいただいたと思うのですが、前段の部分は今の猶予期間、移行期間において、まだまだ浸透していない印象があり、本格実施に向けていつぐらいから表示がこの原料原産地表示の義務化に向かっていくのか。その感触をお聞かせいただきたいというのが1点でございました。お願いします。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの御指摘でございます。御承知のとおり、まだ新しい表示はほとんど付いていないのが実態だと思っています。これは昨年9月に制度が施行されまして、経過期間が平成34年3月末までとなっていますから、4年半以上ありまして、今の時点から見ても平成34年3月末まではまだ4年近くございます。事業者といろいろと話をしている限りでは、この後、遺伝子組換えの検討もあるのだってとか、食品添加物表示の検討も残っているのですよねとかいろいろありまして、そこら辺がもう少し見えた時点で、できれば改版を1回でやりたいという事業者もおられます。ただ、少数ではありますけれども、いろいろな意味で消費者に情報発信をしていく新しい枠組みができているわけですから、関心を示されて、いろいろ社内で具体的な御検討をされておられるというお話も一部では聞いております。

いずれにしても、猶予期間はまだ4年近くありますので、常識的には年度期間明けが近くなればなるほど、ドライブがかかって表示が増えてくるのではないか。あと、事業者の中には、それぞれの業種ごとに大手の企業がございますから、そこの動向次第で、大手事業者がある程度付け出したら、ぱたぱたと他の事業者も付けるようになるのではないかという方々もおられます。

我々としては、確たることをもっていつ頃になれば何割ぐらい表示が付くとはなかなか申し上げることが難しいのですが、まずはできるだけ早い時期に表示していただいたほうが、消費者から見ますと目にする機会が増えて、表示を使いこなすと言ってもオン・ザ・ジョブ・トレーニングで実際の表示を見た上で行ったほうがいいという考え方もありますので、事業者からどうすればいいのかという相談をいただきましたら、我々としては積極的にお答えをして、できるだけ早く付けていただく。当分はまずは愚直にそういう取組を重ねて、実際はどれだけ表示がついているのかの調査は、先ほど御説明しましたように今年度からやっていきたいと思っておりますので、今年度、何らか結果が出れば、部会長が言われるPDCAサイクルの中でそれもきちんと入れ込んで、先々どうしていくのか、また改めて中で整理もしまして、必要がありましたらこの部会の場でもまたお話をさせていただければと思っております。

○受田部会長 ありがとうございました。猶予期間が3年の議論もあり、結果、5年先、今は実質4年強あるということでございますが、今、走り出したばかりということで、この現状、普及に向けてもしっかりと注視をしていくということでお答えをいただいたと思っております。今の御意見もぜひ参考にしていただきたいと思います。

続いて宗林委員、お願いします。

○宗林委員 私も監視の部分についてです。やはり今回の表示の改正というのは、全加工食品に及ぶことでありまして、これまでの決まったものをきちんとされているかということを監視するのとは、全く規模も質も違っているものだと思っています。ですから既存の監視体制がありますが、そこにマニュアルを流すとか、正確に伝えるということだけで果たしてできるのかどうかというようなことも危惧されるところでございます。先ほど今村先生がおっしゃっていましたけれども、体制という言葉が規模とか数とかそういうようなことも含んで、場合によっては予算が必要になるのかもしれませんが、そのような形で全加工食品に及ぶ大きな改正で、これから先の遺伝子組換え等も含めてですがしっかりと体制整備をしていただきたいなと思うことが1点。

それから、前回の食品表示部会の議論の中で勉強させていただきましたけれども、例外表示の割合がかなり多いという実態であると私は認識しておりますので、そのあたりをきちんと監視していけるのかどうかということで、先ほど赤崎課長からもお話があったのですが、この移行率です。新しい原料原産地表示への移行率、それから、移行していくもののうちの指導率といいますか、なかなか措置というわけではなくてアドバイスとか指導をしたというようなところをぜひ見える化していただいて、100%にどう向かっていくのかということをこの場でもいいかと思いますが、御紹介していただきたいと思います。

○受田部会長 ありがとうございました。

御意見を賜ったということかと思います。監視の部分については今村委員の御意見を踏まえつつ、実際に監視の体制や規模、これを一層充実すべきであるということ。それから、例外表示に関してはまだ猶予期間であり、その議論になりましたけれども、例外表示の割合がどれぐらいになるのか。例外が本当に例外として見なされるのかというようなニュアンスの意見が第4次の食品表示部会でも数々出ておりました。

そういったことを踏まえて今、どれぐらいの実施率か、移行率かというところもモニターをしていただきながら、追って例外の比率についてもしっかりと可視化していただくことが求められるということだったかと思います。御要望として、恐らくこれに関しても既にモニターをしていこうという動きであることも承知しておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

ほかよろしいでしょうか。澤木委員、お願いいたします。

○澤木委員 消費者への普及啓発のことで要望なのですが、既に情報発信力の高い主婦層を対象とした食品表示セミナーは、これからもされるということなのですが、広く一般の消費者への普及啓発として、たしかスーパーなどにもパンフレットを置くとか、政府広報でやるという意見も出ていたような気がします。そのあたりも消費者庁ホームページに行かないとパンフレットが見られないではなく、そこら辺のスーパーに行って手にするような普及啓発をぜひお願いしたいと思います。

あとは、実際の表示がふたをあけてみてどうなのかというところが、とても私たちも知りたいところですので、ぜひ実態調査をお願いいたします。

○受田部会長 ありがとうございました。普及啓発に関して、より一般の方がその情報を得やすい、アクセスしやすいような形、これをぜひ考慮していただきたい。実態調査というのは、原料原産地表示に向かってどこまで移行しているかというニュアンスだと思います。これについても先ほど御要望をいただいておりますので、一層お願いをしたいと思います。

意向調査の結果から見ても、一般消費者への認知度というのはまだ始まったばかりであるということをその数字が物語っている部分もございますので、一層この原料原産地表示の普及には力を入れていくべきであろうということかと思います。ありがとうございました。

ほかよろしいでしょうか。今いただいた御意見は、主に監視と普及啓発、それから、今の猶予期間における実態、移行率がどのようになっているか。これらについてしっかりとモニターをしていただきたいというお話がございました。特に監視に関しては、その制度の確立、社会的検証ということを踏まえつつ、極めて重要であるということについて再度、部会委員からのコメントがございましたので、重ねて付しておきたいと思います。

それでは、渡邊委員、お願いいたします。

○渡邊委員 前回のときも申し上げたのですけれども、すぐ監視をすごく拡大するという話ばかり出るのですけれども、事業者はそんなにいいかげんな表示をするわけではありませんので、やはり一番は事業者への周知というのが出るのが一番なので、膨大な監視体制を敷くというのが食品表示部会の統一の意見とされると困るので、そんなところにお金をかけるぐらいだったら、いわゆる周知にしっかりお金をかけていただいたほうがよっぽど実になると思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。極めて重要な御意見だと思います。

普及啓発というところに関しては、消費者基本法の考え方から見ても当然啓発をしていくと同時に、一般消費者の皆さんがいかに学んでいき、自主的、合理的な食品の選択の機会の確保ができる、そういう消費者に育っていくか、成長していけるかという部分も求められております。両輪だというところがあるということで今、渡邊委員からも御意見を賜りました。

というところで今、原料原産地表示、昨年9月1日に施行されまして、まだ1年たっておりませんけれども、現状の申し送りといいますか、附帯事項に関してはしっかりと消費者庁として取り組んでいただいているということかと思います。さらに一層、猶予期間が少しずつ短く、残りが少なくなってまいりますので、全面実施に向けて一層の消費者への啓発を中心に、そして事業者の皆さんへの啓発も含めて、さらには監視の充実というところもあわせて、ぜひお願いを申し上げたいと思います。

それでは、この原料原産地の議事に関しては、ここまでにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

≪4.遺伝子組換え表示制度に関する検討会報告書について≫

○受田部会長 続いての議題は「遺伝子組換え表示制度に関する検討会報告書について」でございます。

本年3月末、消費者庁より遺伝子組換え表示制度に関する検討会の報告書が公表されております。今後こちらで示された方針に沿って食品表示基準案が作成されることになると存じますが、それがまとまった時点で消費者委員会に諮問があり、当部会で基準案について審議を行うこととなります。

本日は、その前段階といたしまして、この報告書について内容を御説明いただき、その後、質疑を行うことで今後の審議の参考にしてまいりたいと存じます。そういう趣旨で御報告をいただくことにいたしますので、よろしくお願いいたします。

それでは、消費者庁から約20分で説明をいただきたいと思います。

○赤崎食品表示企画課長 お手元に資料3-1「『遺伝子組換え表示制度に関する検討会報告書』の概要」及び資料3-2で検討会報告書を御用意しておりますので、資料3-1の概要に沿って簡潔に御説明させていただきます。

まず遺伝子組換え表示制度に関する検討会についてですが、右の上側に書いておりますが、座長は湯川剛一郎東京海洋大学教授でして、湯川先生を含めて10名の委員にお入りいただきました。アカデミアの方、消費者の目線で御発言いただく方、事業者の御事情を述べていただく方、そういう形で10名おられます。

昨年4月から検討会を開催しまして、10回ご議論をいただき、今年3月28日に報告書が取りまとまったということでございます。

この検討会の背景は左上にございますけれども、実は今も遺伝子組換え表示制度はございます。これは平成13年4月からスタートしております。したがって、17年以上たっておりますが、その間、抜本的な制度のあり方の検討がなされていなかったということで、15年以上の間に遺伝子組換え農産物の生産流通実態も大分変わっているのではないか。あとは検証ということで、組み換えたDNAやたんぱく質が検知できるというのが制度のバックボーンになっていますが、そういう面で分析技術の進歩に伴って、それまで分析で検知できなかったものでも今はできるようになっているのではないかとか、そもそも消費者が遺伝子組換え食品にどういう意識を持っているのか。そういう状況変化も踏まえて改めて見直したものでございます。

ちょうど食品表示法ができたときに、食品表示一元化の議論がありましたときに、遺伝子組換え表示は積み残しの課題となりました。そういう背景がありまして、昨年検討をスタートしたという経緯がございます。

右上が基本的考え方でございます。各論の検討をする前の共通認識、前提になるものですが、まずはそこにありますように、日本国内で食品として流通している遺伝子組換え農産物は、厚生労働省の安全性審査を受けており、安全性は確保されている。要は表示がついているから安全だとか、表示がないからこれは疑わしいというものではなくて、基本的に安全なものしか流通していない。ここで言う厚生労働省の安全性審査を受けていない農産物や加工品は、食品衛生法で製造、輸入、販売が禁止されています。まずそれを議論のベースという形で、共通認識という形で整理しております。

したがいまして、この遺伝子組換え表示については安全性のシンボルではなくて、選択のためというのが基本的な考え方になります。2つ目の○になります。消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保。こういう観点から表示制度のあり方を考えようというものでございました。

以上が背景、基本的考え方でありますが、具体的にどのような整理がなされたのかが、その次の論点①から論点④-2になります。

まず論点①表示義務の対象品目ですが、これは今どうなっているかと申しますと、先ほどの安全性審査で安全性が確認された8つの農産物と、それを原材料とした33加工食品群が今、義務の対象となっています。この33加工食品群の扱いというのが大きな論点になりました。要はどのようにしてこの33が決まっているかと申しますと、例えば遺伝子組換え大豆でも豆腐とか納豆のようなものであれば、最終製品から組換えDNA等が検出できる。ただ、遺伝子組換え大豆からできたしょうゆとか植物油になると、科学的に検知できないという実態がございます。そこのところで間口を広げて33加工食品群以外のものも義務の対象にするかどうかが議論になりましたが、この点につきましてはその下、整理の方向性にございますように、表示の信頼性、監視可能性といった観点から、現行制度を維持することが適当という整理がなされております。

論点②が表示義務対象原材料の範囲になります。今の制度は遺伝子組換え大豆を使っていても、最終製品に占める割合がごくわずかであれば、表示の義務をかけていない。それがここで言うところの原材料の上位3位、あと、総重量に占める割合が5%以上という要件になります。

この要件についても議論になりましたけれども、そこにありますように事業者の実行可能性、表示の見やすさ、優先度等の観点から、現行制度を維持というのが検討会の報告書の結論という整理がなされております。

この論点①、論点②といいますのは、結局、表示対象のものをどうするかという客体の話になります。33加工食品群以外に広げるかどうか。あと、使われていてもごくわずかなものでも義務をかけるかどうか。物に着目した議論をいたしましたが、論点③以降はそうではなくて物は決まった上で、その物にどういう表示、日本語ですね。消費者に読んで理解いただけるような内容の情報を書き込むかという議論をいたしました。

論点③は、いわゆる不分別の扱いになります。日本の遺伝子組換え表示につきましては、遺伝子組換えと遺伝子組換えでないの2つだけでなく、分別されていなくてどちらかわからないというものがカテゴリーとして認められており、それは遺伝子組換え不分別という表示になっております。

この不分別という言葉が非常にわかりづらいと申しますか、何と何を分別するというのがなくて、遺伝子組換え不分別と書いてしまうと言葉としてもわかりづらいのではないか。あとは、そもそも表示制度自体が余り知られていない中、意識していなければ「ふーん」で終わってしまいますが、改めてしげしげと見ると一体どういう意味だろうという方々もおられるということで、不分別のあり方が大きな議論になりましたが、この点、最終的にはこの報告書の中で、実態を反映したわかりやすく誤認を招かないような表示の検討をすべきとなりました。直ちにいい代案がございませんでした。それは今から消費者庁が中心となって制度の推進、普及を図っていく際に関係者のいろいろな御意見、御要望を伺うことになりますから、そういうものも参考にしつつ、消費者庁が整理をしてQ&Aでリスト化するというのが、検討会の議論の整理であると理解しています。

論点④は2つ分かれていますが、これは裏のページの表で御説明させていただきます。横軸に国、縦軸に2つ項目がありますが、上の欄を見ていただくと遺伝子組換え表示が免除される混入率とあります。これはいわゆる意図せざる混入というものでして、遺伝子組換えでないというものであっても、やはり流通なり製造の過程で多少まじることもあり得る。その意味では遺伝子組換え表示が免除される混入率とありますが、遺伝子組換えでないと事業者の方が言われる場合、実際に調べてみて混入率が5%以下であれば、日本では遺伝子組換え表示をしなくていいということになります。

ただ、5%を超えると、それは生産流通の管理に当たって通常の注意義務を果たしておらず問題があるということになるので、5%を超えると日本は遺伝子組換えや不分別と書かないといけない。逆に言うと5%以下であれば、いわゆる消費者から見て一見ネガティブな表示が免除されるということになっています。その基準が日本は5%以下、EUは0.9%未満ということで、かなりEUが厳しい。したがって、遺伝子組換えでないという中に遺伝子組換えが1%まじっている場合、日本では遺伝子組換え表示が免除されますが、EUでは表示しないといけない。これが議論の大きなテーマになりました。

もう一度表紙に戻りますが、それが論点④-1の議論でして、整理の方向性としては引き下げるべきという強い御意見もございましたが、原材料の安定的な調達が困難となる可能性、検査に係る作業量、コストの増大などの観点から、現状維持というのが①の整理となっております。

論点④-2というのが、もう一度裏をご覧いただきますと、今度は先ほどの下の遺伝子組換えでない表示が認められる混入率のところになります。日本は5%以下とありますが、これは何を述べているかというと、日本は5%を超えたら、5%を上回ると遺伝子組換えなり不分別と書かないといけない。それが下回った場合はとなると、上の基準に照らすと遺伝子組換えという一見ネガティブ表示は免除されますが、そうでなくてポジティブに遺伝子組換えでないという、いわゆるフリー表示、これは日本で5%以下だとできてしまう。フリー表示を付ける付けないは任意です。あくまで任意表示なのですが、任意でも日本は5%を下回ると、遺伝子組換えでないという表示が今、可能となっています。ただ、諸外国では実はすき間がありまして、例えば韓国で見ますと3%を超えると遺伝子組換え表示になりますが、積極表示で遺伝子組換えでないと言いたいのであれば、実は意図せざる混入があってはいけないというルールになっています。多かれ少なかれEUもそうなっております。

検討会で議論になりましたのは、一体この表示は誰のために、何のためにあるのかということでして、遺伝子組換え食品については冒頭、述べたように安全性はしっかり審査を受けて問題がないとなっていますが、人によっては違うお考えを持たれている方もおられます。それは本人の選択、お考えの問題だと思っております。遺伝子組換えを私は食べたくないという人から見て、日本の遺伝子組換え表示というのはそれでも5%入っている。事業者が任意で入っていないと書いているにもかかわらず、入っている。ここをどう評価するかというのが大きな議論になりました。

もう一度、表のほうに戻りますが、この点につきましては先ほど述べた消費者の選択という観点から見てどうなのか。あとは諸外国の例は先ほど全て述べたとおりですが、検討会としては今の5%以下ならば、遺伝子組換えでない表示ができるという要件を厳格化して、いわゆる不検出に下げるべきという整理がなされております。不検出かどうかというのはチェックする必要があります。そのための新しい公定検査法につきましては、この検討会の委員をされておられた近藤委員という方がおられます。国立医薬品食品衛生研究所の方ですが、いわゆる国衛研で今年度以降、新しい公定検査法について御検討いただくことになっています。

以上が各論のいわゆる個別の表示の論点ごとの整理でございます。できれば資料3-2の報告書本体の13ページに「おわりに」というのがありますので、そこもぜひご覧になっていただければと思います。

表示制度の見直しということで今回、10名の委員にお集まりいただいて御議論いただきましたが、やはり100人いて、それぞれが100点満点を付けるということはなかなか食品表示の見直しの世界ではない。やはりできるだけ表示をつける。消費者の目線に立ちますとそうなりますが、それに伴って手間もかかるし、きちんと管理するコストも必要になる。そういう様々な御意見がある中で、どうやって一定の方向性を出すかということになります。

「おわりに」にございますように、まず表示とは、第1パラに書いてありますが、消費者のためにあります。消費者の立場に立って、2行目にある自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保、まさにそれに資するように消費者基本法にも同様の基本理念があります。それを踏まえて検討すべき。

ただ、一方で2パラにありますように、いろいろな生産流通実態、食品表示を取り巻く状況も考えると、事業者の実行可能性も考慮しないといけない。二律背反っぽくなっていますが、3パラにありますとおり、検討会では、これらの二面性について、様々な立場から御意見が出されました。1つの結論として取りまとめることは、相応の困難を伴うという共通認識がありましたが、さりとて少しでもより良いものにし、それは事業者から見て受入可能で、消費者から見ても今までと比べると選択のためになる。そうすれば結果として全体として見るとベネフィットが上回るということで、そういう観点から3パラの最後にあります報告書を取りまとめるに至ったという、そういう背景事情があるということはぜひ御理解いただければと思います。

最後のパラグラフ、今後以下のところに国の取組も書いておりますが、基本的にはいろいろな情報収集を消費者庁が行った上で、それをきちんと発信すべきだということになります。まず遺伝子組換え表示を含め、遺伝子組換え食品そのものが知られていない。知られていない中で実際に表示を見るといろいろな不安が増幅されるということもあるのではないか。その意味では消費者庁からの積極的な情報発信が大事だということに加え、最後になりますが、いろいろな見直しをするしないございますが、その時々の状況についてはきちんとモニタリング調査を行い、検証を行い、必要に応じた制度の見直しが必要だという問題提起もいただいております。

以上が検討会報告の概要ということで、当方からの説明は以上でございます。

○受田部会長 ありがとうございました。

ただいま赤崎課長から検討会の報告書に基づいて、これを資料3-1の形でわかりやすく、模式的にあらわしていただき、概略を御説明いただきました。

冒頭、申し上げましたとおり諮問がまず来て、その後、この食品表示部会で議論をし、答申を出すという運びでございます。現時点ではまだ諮問がこの部会に来ておりませんので、頭出しということで委員の皆様御存じかと思いますけれども、この検討会の報告書について御紹介をいただきました。

さらに資料3-2の最終ページに委員名簿がございまして、きょうも御出席をいただいております本部会の委員でもいらっしゃいます今村委員、澤木委員、夏目委員におかれましては、この検討会で議論をされたメンバーでもございます。まずそういった意味で検討会の議論も踏まえつつ、また、この報告書に基づいて本部会において諮問がまいりました後、しっかりと皆様の御意見を拝聴し、本部会としての答申をまとめさせていただきたいと思っております。

その頭出しということなのですけれども、もし何か今の段階で御質問等がありましたら、幾つかお受けしたいと思います。いかがでしょう。宗林委員、お願いします。

○宗林委員 最初の資料3-1のページで遺伝子組換えではないというものについて、不検出に厳格化をしたという御説明をいただきました。ですが、科学実験的に見ると不検出という言葉は公定法を今つくられているということですが、試料調製の段階でどのぐらいの希釈率にするのかとか、そういったことでどのようにでも調製ができるといいますか、そういったものでもありますので、この不検出は見た目はとてもきれいな形なのですが、この公定法のつくり方の過程の中でどのレベルを不検出にしていかれるのかというお考えがあれば、そのときにまた途中で御説明をいただければと思います。

○受田部会長 ありがとうございました。

御質問いただき、恐らくこれはいろいろ御意見、それに対するお答えをいただくと、かなり時間も要する内容かと思います。恐らく検討会の中でもこういった不検出あるいは定性試験において検出できないという公定法化に向けた議論と動きがあるということもお聞きしております。今後この部会の中でその進捗も伺うと同時に、不検出、検出限界をその公定法においてどういうふうに設定しておられるかも含めて、しっかり情報を理解しながら議論をしてまいりたいと思いますので、今の御質問に関してはしっかりとこの部会において書きとめておきたいと思います。ありがとうございました。

御質問をいただくと、こういう扱いになってきそうな気がするのですけれども、もし何か今後議論していく上での論点も含めて御質問をもう一つ、二ついただければと思いますが、いかがでしょうか。きょうのところはよろしいでしょうか。

そうしましたら、この件に関しては諮問がまいりましてからしっかりと議論をしていきますので、あらかじめ委員の皆様におかれましては、この検討会の報告書について一層御理解を賜りたいと存じます。

この件に関しましては、ここまでとさせていただきます。

本日用意しております議事は以上となりますけれども、今後の本食品表示部会の審議事項について事務局から御説明をさせていただきます。

○丸山参事官 お手元の資料4をごらんいただけますでしょうか。タイトルといたしまして「食品表示部会における審議事項について」ということでございます。

下半分の参考のほうをごらんください。委員の皆様方御承知のとおりですけれども、昨年8月ですが、加工食品の原料原産地表示制度に係る答申ということで発出をした際に附帯意見が出されております。下線部のところでございますけれども、ここの部分について起点ということで、消費者委員会の本会議の委員の間で検討、議論がなされました。

その結果でございますけれども、上半分をごらんいただけますでしょうか。先月31日の木曜日に開催されました本会議におきまして、食品表示を取り巻く現状等について整理をしつつ、消費者のニーズにも十分留意した上で食品表示の全体像について検討することということ。それから、2つ目の○でございますけれども、調査審議のテーマについては、例えば表示事項間の優先順位並びにインターネットを活用した表示の可能性を含むウェブ上における情報提供と従来の容器包装上の表示との組み合わせなどが考えられるけれども、食品表示の専門的知見が必要なことから、専門家がそろっている当食品表示部会において検討することということで議論がなされ、了承がなされました。これを受けまして本食品表示部会でも、その審議をこの件につきましてお願いできればということで考えている次第でございます。

事務局からの御説明は以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

先ほども消費者庁より説明のございました遺伝子組換え表示に関する基準案は、諮問に向けて準備中と伺っております。もちろん当委員会への諮問がございましたら、優先的に審議することになりますけれども、それ以外の、それに先立つ期間に関しましては、今、事務局より説明のあった件について検討してまいりたいと考えております。

議論の進め方等については、次回の本食品表示部会において御相談をさせていただきたいと思います。委員の皆様の御協力をお願い申し上げます。

≪5.閉会≫

○受田部会長 最後に、連絡事項等がございましたら事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 本日も熱心な御議論を長時間にわたりましてありがとうございました。

次回の食品表示部会でございますけれども、8月30日木曜日、13時からを予定しております。よろしくお願い申し上げます。

○受田部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

第1回目ということで、いろいろな議題が今後、食品表示部会で審議、議論されてまいります。委員の皆様におかれましては、今後ともよろしくお願いを申し上げます。

本日はお忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)