第1回 消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会議事録

日時

2017年12月21日(木)10:00~12:10

場所

消費者行政新未来創造オフィス消費者庁会議室
消費者庁記者会見室<TV会議>

出席者

  • 飯泉知事
  • 【委員】
    樋口座長、新川座長代理、岩崎委員、内田委員、木田委員、遠山委員、野口委員、野々山委員、萩原委員、唯根委員
  • 【オブザーバー】
    池本委員長代理
  • 【説明者】
    消費者庁小野審議官
    消費者庁福岡審議官
    消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官
    消費者庁消費者政策課河内課長
    独立行政法人国民生活センター宗林理事
    独立行政法人国民生活センター教育研修部青木部長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者行政新未来創造プロジェクトに関するヒアリング
  3. 本専門調査会における今後の審議の観点について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 定刻よりも若干早いですけれども、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会 消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会」第1回会合を開催いたします。

私は消費者委員会事務局の丸山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、公務御多忙中のところ、飯泉徳島県知事にお越しいただいておりますので、一言、御挨拶をいただければと思います。それでは、知事、よろしくお願いいたします。

○徳島県飯泉知事 ただいま御紹介をいただきました、徳島県知事の飯泉嘉門でございます。

樋口座長を初めといたします消費者委員会消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会の皆様、ようこそ徳島にお越しをいただきました。心から歓迎を申し上げますとともに、第1回のこの会合をこうして開いていただきましたこと、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。本当にどうもありがとうございます。

さて、平成27年、5年に一度の全国一斉人口調査、国勢調査が行われました。実は大変ショッキングなデータが2つ出てまいりました。1つはこの調査は大正9年から行っておりまして、一度も人口が減ったことのない大阪府がとうとう人口減少になりました。その一方で東京を中心とする千葉、神奈川、埼玉、いわゆる東京圏は何と5年間で51万人も人口が増えてしまったのです。正に東京一極集中是正待ったなし。そうした意味では平成26年の9月3日、地方創生だ、そして、知恵は地方にあり。この言葉とともに新しい地方への人の流れ、地方回帰を国が地方創生の名の下に打ち出されたところであります。そうした意味ではより強力にこの施策を展開していかなければ、この国から地方というところがなくなってしまう。このように言われ、そして我々は今、国、地方を挙げて地方創生本格展開、そして総合戦略の今年はちょうど中間年になりますので、加速の年と位置付けをさせていただいているところであります。

また、具体的に地方への新しい人の流れを作り上げていく意味で、まち・ひと・しごと創生本部におきましては、やはりその一番の原因となっている様々な有名な企業の本社が東京にほとんどと言っていいほど集まっている。これを様々なメリット・システムで地方へ展開をしたところが、なかなか移らない。それもそのはず、明治改革以来、この国の統治機構と言われる○○省、○○庁は全て霞が関、東京に集中しているからだと。この流れを変えなければいけないということで、平成26年12月27日に閣議決定をして、政府関係機関を手挙げ方式で地方へ移転してはどうだろうか。このような提案がなされました。

徳島におきましては、その創設に関わりました消費者庁、そして消費者委員会、さらには国民生活センターの移転の手を挙げさせていただきました。そして、昨年度の業務試験あるいは試験移転を経る形で、今年7月24日、いよいよ消費者行政新未来創造オフィスが50名を超える規模で徳島県庁の10階に展開をされたところであります。江崎大臣もちょうど1カ月後の、8月24日には御視察にお越しをいただきました。また、ただ単に徳島においでをいただくというだけではなくて、消費者庁がこれまでフィールドを持っていなかった様々な施策を、徳島を、四国を、また、関西広域連合の地を活用していただいて実証していただく。そしてこの実証モデルを具現化して日本全体へ広げていただく。新しい、正に新次元での消費者行政の展開を今、強力に御協力をさせていただいているところであります。

では一体、何が新次元の消費者行政になるのか。まずは消費者庁の皆さん方が掲げているのが大きく2つございます。1つは高齢者あるいは障害者の皆様方の見守りネットワーク。こちらを今、徳島県は24市町村あるわけでありますが、既に板野町と上板町では地域協議会が立ち上がっているところではありますが、まだまだ全体には広がっていないところがあり、これを平成31年度までは24全市町村でネットワークを構築しようと。昨日はそのバックアップ機関の立ち上げもさせていただいたところであります。

もう一つは少子化といった観点で、子供の安全対策であります。この子供さんたちにつきましても本県では民間事業者が中心となって立ち上げました「おぎゃっと」を5月3日、4日の2日間、アスティ徳島5,000人の会場で展開をされ、はぐくみネットなど、保育などに関わる皆さん方と、そして子育て世代の皆様方が一堂に会する。ここで実は子供の安全対策、このブースを消費者庁の皆さん方にお立ち上げをいただきまして、正に県民目線、現場主義で対応を行っていただいているところであります。

また、さらには企業の皆さん方にも消費者志向経営にしっかりと取り組んでいただく必要があるだろうということで、事業者団体、また、消費者団体の皆さん方とともに、地方版としては初となる消費者志向経営推進組織が立ち上がったところであります。

また、もう一方であります消費者教育につきましても、消費者庁の皆さん方が作られました教材である『社会への扉』を活用して、公立高校の1年生で既に授業が展開を全国初、行われたところであり、ただ単に授業を行うだけでなく、非常に消費者教育、エシカルに、センシティブである世代である高校生の皆さん方にしっかりと取組を進めていただこうと、自主的な対応ということでエシカルクラブを3年間で全公立高校に展開する運びとなり、既にリーディングハイスクールを2校指定させていただいているところであります。また、このエシカルの中で今、世界中で課題となっているのがフェアトレードであります。よく言われるのがコーヒー、チョコレート、これらの原産国がアフリカ、中南米、日本では考えられない未就学児が非常に劣悪な労働環境の中で、言わば搾取されていると言っても過言でない状況であるわけで、しかし、これらが安く先進国に入り、高い値段で加工され販売をされる。この仕組みを変えるべきではないか。その点についても実は日本のモデル、徳島の高校生が既に打ち立てていただいているところであります。

徳島商業高校の皆さん方はカンボジアの日本友好学園と交流を進めており、実はカンボジア側の高校生からSOSが入りました。それは日本友好学園で先生を3名雇うだけのお金がなくなってしまう。大変なことになった。学校は大丈夫だろうか。この声に彼らが、彼女たちが立ち上がりました。そこでカンボジアでのドライフルーツを活用して「ふれんじゅう」というおまんじゅうを作り、これを徳島のちょうど新町川沿いに行われるとくしまマルシェで売り、その収益でこの3名の先生方を雇い留めることができるようになりました。

この活動にJICAの皆さん方が注目をいただきまして、じゃあいっそのこと工場を作ったらどうだろうか。既にうちの教育長が起工式にも立ち会いました。カンボジアでスイーツの工場が今、建設されているところであり、年が明けますとこれがいよいよ竣工になる。日本カンボジア友好学園の経営はもとより、カンボジアの皆さん方の新たな雇用の場となり、さらにはフェアトレード商品として海外へ輸出をされていく。こうした新しい正に扉が今、開こうとしているところであり、先般はカンボジアの上級大臣がもちろん安倍首相に会いに来られたわけでありますが、その後、徳島の徳島商業高校を見たいということで私のところにもお越しをいただき、今、カンボジアを挙げてこのことが非常に話題になっている。国を挙げて感謝をしている。こうしたお言葉も頂戴したところであります。

こうした形で徳島をフィールドとして消費者庁の皆様方、また、国民生活センターの皆さん方には大いに御活用いただき、そして新次元の消費者行政、消費者教育を展開していただければと。その意味で消費者委員会の専門調査会の皆様方には是非こうした点について御調査をいただきまして、我々としてもそうした御示唆をいただきながら消費者庁の皆さん方とともに、更にその次元を高めていければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

○丸山参事官 ありがとうございました。

飯泉知事におかれましては公務の御都合がございますので、ここで退席となります。

(飯泉知事退室)

○丸山参事官 それでは、議事の進行を続けさせていただきます。

まず配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第下部に配付資料一覧を記しております。もし不足がございましたら事務局までお申出いただけますよう、よろしくお願いいたします。

本検証専門調査会につきましては、本日が発足後、初めての会合となります。お手元の参考資料1に委員名簿をお付けしておりますので、御確認ください。

また、本日は欠席でございますけれども、オブザーバーといたしまして消費者委員会の本委員から大森委員に本専門調査会に御参加いただくことになっております。

また、本日は消費者庁のテレビ会議システムを使用させていただき、東京と中継でつながっております。こちらにつきましては消費者委員会の本委員から池本委員に出席をいただいております。

本専門調査会の座長についてであります。座長につきましては、去る11月17日に消費者委員会の高委員長から指名をされました樋口一清委員に務めていただくこととなりました。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、ここからは樋口座長、議事進行をよろしくお願いいたします。

○樋口座長 消費者委員会の高委員長から指名を受け、この専門調査会の座長を務めることとなりました。どうぞよろしくお願いいたします。

この専門調査会はかなり難しい使命を負っているという感じがいたします。たまたま少し早く来て、今日はこの会議室だけではなくてオフィスのほうも若干拝見する機会がありましたけれども、消費者庁が新しいプロジェクトを進めておられる。国民生活センターも新しいプロジェクトを進めておられるということで、今日は天気も非常に清々しいですが、新しい息吹を感じることができました。そういうことで、しっかり我々は消費者行政の未来像を検証していかなければいけないと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は第1回会合ですので、最初に本専門調査会を消費者委員会に置くことになった経緯について、事務局より御説明をお願いします。

○丸山参事官 それでは、本専門調査会が設置されることとなった経緯などについて、私から説明させていただきます。

お手元の配付資料の資料2を御覧ください。消費者委員会におきましては、平成28年9月1日のまち・ひと・しごと創生本部の決定であります「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」におきまして、消費者庁や国民生活センターの徳島県での取組につき、消費者行政の進化等の観点から成果を検証し、提言・助言を行う。その際、徳島県にて専門調査会を開催するなど、地方の現場の視点が反映されるような取組を行う。3年後目途の検証・見直しに当たって、消費者行政の進化等の観点から意見を述べることが求められております。

消費者庁におきましては、本年7月、本徳島県庁舎内で消費者行政新未来創造オフィスを開設し、分析、研究、実証実験等のプロジェクトを実施しております。また、国民生活センターにおいても徳島県において研修、商品テストを実施しているところです。

そこで消費者委員会におきましては、第259回の消費者委員会の本会議におきまして、お手元の参考資料2にありますとおり、消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会の設置・運営規程が決定されまして、消費者委員会の下に本専門調査会を設置することといたしました。その後、本日お集まりの皆様の委員としての任命など所要の手続を進め、本日、第1回の会議を開くこととなった次第です。委員の皆様におかれましては、これからの審議をどうぞよろしくお願いいたします。

説明については以上です。

○樋口座長 続きまして、座長代理について本専門調査会の設置・運営規程第2条第4項では、座長があらかじめ座長代理を指名することとなっております。私といたしましては、同志社大学大学院総合政策科学研究科教授の新川達郎委員にお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

次に、お手元の参考資料2を御覧いただきたいと思います。本専門調査会の設置・運営規程となっております。また、参考資料3として、平成26年7月8日の消費者委員会本会議で決定された下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせを付けております。本専門調査会につきましては、これらの規程及び申し合わせに沿って運営してまいりたいと思います。これらの内容につき、もし何か、御質問等ございましたら、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、ここでまず専門調査会委員の皆様方に簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。

まず初めに新川座長代理からお願いし、その後は岩崎委員からお席の順番にお一人1分程度でお願いしたいと思います。

それでは、新川座長代理、よろしくお願いします。

○新川委員 改めまして、おはようございます。ただいま御紹介をいただきました新川でございます。また、樋口座長からは座長代理ということで御指名をいただきました。これからしばらくの間、よろしくお願いいたします。

専門分野は行政学、公共政策といったような分野をずっと専門にしておりました。特に消費者行政あるいはこの分野の政策に詳しいというわけではございませんけれども、しっかりと勉強させていただきまして、キャッチアップをしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○岩崎委員 経団連の岩崎でございます。よろしくお願いいたします。

経団連におきましては、消費者政策委員会というものがございまして、その事務局を務めさせていただいております。

経団連では現在、消費者庁が積極的に推進しておられる消費者志向経営というものに方向性として全面的に賛同をしておりまして、これを各企業あるいは地方も含めて広げていくために取り組んでいるところでございます。よろしくお願いいたします。

○内田委員 内田と申します。今の仕事は消費者の分野と全く関係ございませんで、地方を拠点に活動をしている中小の建設会社、それから、下請けと言われる専門の工事会社、こういうところの経営の改善等を指導するという仕事です。この場に御指名いただいたのは、消費者庁ができたときの長官をしていたということで御指名をいただいたと思っております。

消費者庁ができたときには、実は新規の定員はたった2名でございまして、他は全部関係の各省から定員と人をそのまま分けていただいて作ったという状況でした。俗な言葉で言えば寄せ集めでございます。ただ、皆さんとても士気が高かったなと思っております。私が担当したのは1年でございましたけれども、1つの組織にしていくこと、それから、ちょうど基本計画を作らせていただきましたが、これからのブループリントを作ること。そんなことで日々追われている1年だったと思います。

昨日、私はこのオフィスを拝見させていただきまして、たった2名で出発した消費者庁がこのように外にちゃんと拠点を設けることができるまで来たなということ。それから、聞いておりまして消費者庁から来られた方に加えて近隣の各県、県内の各市町からも人が出て、本当にハイブリッドな構成になっておりまして、きっと何か面白いことができるのだろうなということを感じながら昨日拝見しておりました。

この会でどのようにお役に立てるのかよく分かりませんけれども、新しい消費者行政の在り方、どちらに方向にあるのか、そのようなことが私自身も勉強できればいいかなと思っております。よろしくお願いいたします。

○木田委員 チャイルドハートの木田と申します。

関西を中心に自社の保育園もあるのですけれども、企業様の保育園を委託運営しておりまして、保育園を作っているというよりも、女性がいかに働きやすく、安心して子供を預けて働けるかという仕組み作りにまい進しておりまして、日本で初めて保育園の中にウエブカメラを導入しまして、保育の見える化、安心・安全、情報開示を追求しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○遠山委員 愛媛からまいりました、えひめ消費者ねっとの遠山と申します。よろしくお願い申し上げます。

四国は適格消費者団体の最後の空白地域と言われておりまして、四国で初めて愛媛県でえひめ消費者ネットが今年度、名乗りを上げる予定でございます。

本業といたしましては、愛媛県と高知県の境にあります3町、小さな町なのですけれども、鬼北町、松野町、愛南町という町で掛け持ちで消費生活相談員をしております。その一方で地元の高校、今年度は7校ですけれども、卒業を迎えていろいろなトラブルに遭わないようにというような啓発講座ですとか、またはPTAとか、高齢者とか民生委員対象の啓発講座をしております。そういったようなことで日々忙しくしておりますが、今回この場に呼ばれた意味は何なのだろうと考えたときに、小さな相談窓口の相談員の現場の声を伝えることが私の使命ではないかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○野口委員 一橋大学法学部の野口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

専攻は行政法という法律学でございまして、行政法も多分野にわたるのですけれども、中でも最近興味を持っておりますのが安全・安心の行政法とも言える、警察行政であるとか入管行政といった、行政法の中では周辺的と言える分野を勉強しております。

消費者行政との関わりという点で申しますと、現在、消費者庁に設置されている消費者安全調査委員会の臨時委員として、関連する仕事に関わらせていただいております。消費者行政というのも安全と安心という言葉と関わる行政領域として大切に勉強していきたい領域であると思っておりますので、今回このような重要な会議に参加させていただけますことを大変幸せに、感謝をしております。

新しい行政執行の在り方とかスタイルに挑戦しているという、徳島における最先端の取組を評価するというお仕事ということで、大変に緊張をしておりますが、先生方の力をお借りしながら務めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○野々山委員 野々山と申します。

私は京都で弁護士をしております。京都産業大学で民法と消費者法の実務家教員として教えている立場であります。ここに呼ばれたのは、前の国民生活センターの理事長を務めさせていただいたことからだと考えています。消費者行政の中の実践機関に一部携わりましたことから消費者行政新未来創造オフィスの取組について意見を述べさせていただきます。

今、消費者基本法の中で消費者の権利の擁護、そして自立支援が消費者行政の基本理念になっております。これは国民の生活の安心・安全を実現していくための基本理念でありまして、そういう観点からも私はこの取組、消費者行政新未来創造オフィスの取組についても意見を述べていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

○萩原委員 立教大学社会学部の萩原なつ子と申します。よろしくお願いいたします。

専門は環境社会学、消費者教育、NPO、男女共同参画と多岐にわたっておりますが、消費者行政には全て関わってくると思っております。消費者問題に関しましては、現在、文部科学省の消費者教育推進委員会の委員として、大学教育あるいは社会教育における消費者教育に関わっております。今回は消費者教育の視点からこの検証に関わらせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○唯根委員 一般財団法人日本消費者協会専務理事の唯根妙子です。よろしくお願いいたします。

私どもの協会は設立56年目、消費者庁ができる以前から消費者教育につきましても、消費者運動に関しましても、消費生活コンサルタントを養成する協会として、また、徳島の消費者協会とは全国消費者協会連合会の会員になっていただく形で、私どもの協会がその事務局もさせていただいているということで、消費者団体としての長年の経験を踏まえて、また私が3年前に消費者委員会、第3次委員として徳島でのシンポジウムを担当し、徳島の新しい取組を目の当たりにさせていただいたことも踏まえて御指名いただいたと思います。今回の消費者行政の進化をどう評価するかというとても難題を考えさせていただく一員に選んでいただけたことを光栄に思っております。消費者団体として今までの取組を生かして是非意見を述べさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○樋口座長 委員の皆様、どうもありがとうございました。


≪2.消費者行政新未来創造プロジェクトに関するヒアリング≫

○樋口座長 それでは、本日の議事に入らせていただきます。本日は消費者行政新未来創造プロジェクトの内容について御説明をいただくために、消費者行政新未来創造オフィスより日下部参事官にお越しいただいておりますので、各プロジェクトの内容について御説明をいただき、その後に説明内容についての質疑応答を行いたいと思います。

なお、本日はヒアリングの補足説明のために、テレビ会議にて東京の消費者庁より小野審議官、福岡審議官、河内消費者政策課長。独立行政法人国民生活センターより宗林理事、青木教育研修部長にお越しいただいております。

それでは、消費者庁から御説明を20分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 それでは、説明させていただきます。消費者庁参事官の日下部でございます。このオフィスを預かる身という立場でございます。

資料1でございますけれども、1枚めくっていただきまして右下に1ページと書いてあるページから御説明したいと思います。

このオフィスができたのが、右上の赤い箱の中に書いてありますけれども、平成29年、今年の7月24日に県庁10階北側、ここもそのオフィスの一部でございますが、できております。職員については50名程度でございますが、消費者庁、自治体、国民生活センター、その他からいろいろ集まっておりますけれども、消費者庁部分が客員の研究員を除くと大体三十数名で、国民生活センターが8名、それ以外に互いの客員の先生方が合わせると十数名いるというのが全体の体制でございます。

このオフィスでやっていることでございますけれども、真ん中の青い部分で書いておりますが、実証に基づいた政策の分析・研究機能をベースとした消費者行政の発展・創造の拠点ということでございます。大きく消費者庁側は2つやっております。1つは理論的・先進的な調査・研究。もう一つは全国展開を見据えたモデルプロジェクト、この2つが大きな柱となっております。国民生活センターについては研修とテストの一部を行っているということになっております。

では、それぞれの事業についての御紹介ですけれども、一つ一つ簡単に説明させていただきますと、めくっていただいて2ページでございます。若年者向けの消費者教育の取組ということがございまして、これは実証プロジェクトでございますが、実証のフィールドとして徳島県を活用している。そのフィールドで何をしているかということでございますけれども、全ての高校で高校1年生を対象に「社会への扉」という消費者庁が作成した消費者教育教材を活用した授業を行っているということで、今年度中に主に高校1年生、徳島県内に高校が約50強あるわけですが、そこで授業を行うことになっていまして、これは我々から見れば非常に画期的なことでございまして、全国に「社会への扉」を活用して消費者教育の授業を行ってくれと言ってもなかなか難しかったのですけれども、徳島では全ての高校で行う。支援学校も含めてということでございますので、非常に画期的な取組だと思っておりまして、それによって教材のブラッシュアップから教員の育成の仕方、実践の授業例、こういったものがいろいろ経験とか知見として手に入る。それを全国展開でいかしていこうと考えてございます。

3ページは見守りネットワークの構築。高齢者の消費者被害防止のためには高齢者を見守ることが非常に大事なわけですけれども、そこで見守りネットワークの構築を消費者庁としては全国的に進めているということでございますが、消費者庁は人口5万人以上の全市町にネットワークを設置してほしいという目標を掲げておりますけれども、徳島ではもう一歩進みまして全県的にネットワークを作るということで、市町村も含めて全ての二十数個の自治体においてネットワークを作るという目標を掲げております。3年以内で作るという目標を掲げて現在、それに対して準備をしているということでございます。

現時点では、今のところ板野町と上板町の2つで既にできているわけですけれども、残りのところで3年以内で作ろうと。当然ネットワークを作ろうとすると、既に似たようなネットワークがあるので、それに消費者問題を加えるだけですねということで非常に話が早いところもあれば、消費者問題ですか、どこの課がそもそもやるのですかねというような、ネットワークを担当しているのが福祉だとすると、見守りを福祉部局が行っていると、それに消費者問題の担当課が絡もうとするといやいやいやという、それはいろいろな組織によって苦労があるわけですけれども、そういう苦労を乗り越えてできるということは、これまた全国でも同じような苦労を皆さんされているわけですから、非常にいい知見が得られるだろうということで県と力を合わせて、徳島県内の各自治体にネットワークを作ってもらうということで力を入れてございます。

これによって様々な経験が得られるので、それも全国展開に非常に使えるかなと思っている次第でございます。

続きまして4ページでございます。倫理的消費の普及と先ほど知事のお話にもありましたけれども、徳島県は非常に倫理的消費、エシカル消費に力を入れている。正直言うと消費者庁よりももっと力を入れているくらいのところでございます。

倫理的消費につきましては細かく説明はしませんけれども、児童労働とかそういう搾取みたいな形で作っているような製品を買う、買わないは自由です。けれども、そういう製品がなぜ安いのかとか、裏にあることを考えて買いましょうという運動かなと私は思っておりますが、そういうことに徳島県は非常に力を入れているということです。消費者行政新未来創造オフィスで行っているのは、まず関係者、消費者、事業者、行政などにヒアリングを行うとか、あとは地域版プラットフォームとの連携を図るということです。それぞれの事業者とか行政、消費者が入ったようなプラットフォームを作ることによって、様々な主体による倫理的消費の概念の普及のムーブメントを作り上げているとか、それ以外に昨年もイベントとして徳島でエシカル・ラボを行って、今年は鳥取でも行いましたけれども、3月にはまた徳島でもう一回エシカル・ラボを行いたいという話もありますので、名称はどうなるか分かりませんが、そのようなイベントも行うということで非常に力を入れているということで、徳島でこのエシカル消費が普及していけば、その経験をいかして、また全国展開に結び付けていこうと考えているところでございます。

5ページは食品ロスの削減ということでございます。この食品ロスの削減でございますけれども、食品ロスというのは家庭とレストランで出るものが非常に話題になっているわけですが、特に家庭の食品ロスをいかに減らしていくかということの取組を今回ここでしていこうと思っております。実証のフィールドとしては、モニター家庭を対象とした食品ロス削減に資する取組の実証を行うということで、100世帯のモニター家庭を選んで、そこで実際に取組をしてもらおう。最初に約1カ月行っていただくわけですけれども、最初の2週間は全員に計測してもらう。残りの2週間なのですけれども、100世帯のうち約半分の世帯についてはずっと単に記録していただく。残りの50世帯についてはいろいろ取組をしていただくということで、取組をした家庭としていない家庭を比べて実際にどう変わったのか。あるいは取組をする前とした後でどのような効果があったのか。こういうものを測定しようということを行っています。

これを徳島県で行う意義としては、モニター家庭の選定というものが大変で消費者庁はただ100世帯、日本全国から選んできなさいというのはなかなか難しいわけですけれども、県にお願いするといろいろ地域分布とかいろいろなことを考えて100世帯を選んでいただけるということで、我々としては大変助かっているというのが実情でございます。策定していろいろ効果が分かれば、今後の施策を推進するに当たって非常に役立っていくのではないかと考えているところでございます。

6ページ、子供の事故防止事業でございます。子供の事故防止も消費者庁にとって重要な業務の1つでございますけれども、今までただ子供の事故のイベントなり、紙を配ったり、そういう取組もしてきたわけです。今回は、少し啓発活動みたいなものを県に行っていただいた場を活用して、いろいろアンケートなどを配って、その効果を測定しようということを考えてございまして、まだ行っている最中でございますけれども、例えばお母さん方は非常によく理解しているが、お父さん方の理解は大変少ないとか、そのようなことが分かってくれば面白いなと思って今取り組んでいるところでございます。そういった効果測定をして、ある程度そういう特徴が出れば、それを今後の政策にいかしていくことができるかと思っております。

7ページは栄養成分表示等の活用に向けた消費者教育でございます。ここの栄養成分表示については、平成27年度から全ての加工食品に対して義務化されているということでございますけれども、徳島においてはそれについての消費者教育をやっていこうと思っております。具体的には、子供が生まれるような世代やら若者の若年女性、それから、子供がある程度大きくなっている中高年者、子供がいなくなった高齢者家庭、この3つの分野、3つのカテゴリーに分けてそれぞれのプログラムと呼んでいますけれども、教材的なものを作成しているところでございまして、そこの作成をするとともに検証事業を行っていこうということで、ここは実は徳島大学の栄養学科に委託しているということで、今そちらのほうで詳細を検討していますが、徳島大学と今、連携して行っているということでございます。徳島市内の郊外の町で少し実際に消費者教育に取り組んでみようということで今、準備をしているということでございます。実際に徳島大学が絡むというだけではなくて、徳島の一部の地区を使って実際にそういう教育をする。その効果を測定していくことは、徳島だからできることかなと考えているところでございます。

8ページ、消費者志向経営の推進ということでございます。消費者志向経営でございますけれども、東京ではかなり大きな事業者たちが消費者志向宣言を既にしていて、消費者のことを向いた経営をするという宣言をし、やがてそれをフォローアップしていくという流れに今なっているところでございますが、実は地方の企業で宣言した例は今までなかったということでございます。

そこで今回は消費者庁としては徳島県と協力して、徳島の地方の地元の企業に宣言していただこうということを準備しておりまして、恐らく1月ぐらいになるかと思いますけれども、10社になるか20社になるか分かりませんが、それぐらいの数の事業者が宣言していただけるのではないかと思っているところでございまして、県と一生懸命働きかけているところでございます。その母体となる地方版の消費者志向経営の推進組織としてプラットフォームを作りまして、徳島の消費者団体、事業者団体、行政機関が入っているものを作って、そういうところにお願いしてそれぞれの事業者にどうですかと働きかけているところでございまして、恐らくそれなりの数の宣言をする社が出てくるかなと思っているところでございます。これで出てくれば地方の企業としては初めての宣言になる予定でございます。

9ページ、公益通報受付窓口及び内部通報制度の整備促進ということでございますけれども、公益通報制度の整備も消費者庁の非常に重要な業務の1つでございますが、徳島県は既に我々がここに来ることが決まった4月から準備を始めまして、10月ぐらいに至っては窓口の設置率としては日本で最高レベルになったという状況でございます。全ての県内の市町において受付窓口ができている。しかもその窓口というのは内部職員が通報する窓口も整備されていますし、あるいは外部労働者が市町に対して言いたいという窓口も全て整備されたという点で、両方整備されているという点では日本最高レベルになったということでございます。現在はさらに、自分の住んでいる市町には言いたくないという人もいるでしょうから、そこは県内の共通窓口みたいなものも作ろうということで、そういう窓口も準備しているところでございます。

ただ、事業者側に対しても窓口を作ってくれということを働きかけているわけでございますけれども、当然、事業者の場合はそう簡単にはいかないというのが現状でございますが、事業者団体に窓口を作ってもらうことをお願いなどしておりまして、そうするとそこの団体の中で入っている事業者は、自分の会社ではないけれども、団体にできている窓口に通報できるということもありますので、そこはまた県がいろいろ協力をして、団体の窓口みたいな形で整備をしようと今している最中でございまして、またこれが整備されれば大きく対外的に発表していこうと考えているところでございます。この公益通報窓口というのは徳島県では我々が来ると決まって4月ぐらいから準備を始めて、10月ぐらいには全国最高水準になったのは大変評価できるかなと思っているところでございます。

10ページからは、今度は実証フィールドではなくて調査研究ということでございます。調査研究については東京でも本当はいろいろやりたいところがあったのですけれども、なかなか十分な体制も組めないこともあって、今回、徳島でこういう調査研究もやろうということで、1つの大きな柱にしているところでございます。

特に1つ目の行動経済学を活用した消費行動の分析研究というのは、かなり力を入れて行っているところでございます。この行動経済学は、この間ノーベル経済学賞を取った方もいるような最近ホットな話題でありまして、そもそも行動経済学とは何ぞやと言われると座長が大変お詳しいかと思いますが、人間の行動は必ずしも合理的ではない。経済学の今までの教科書では人間は合理的に動くと言われているけれども、実際はそんなに合理的ではない。かといってめちゃくちゃに動いているわけでもないということで、その間にあるだろうということで、そういう人間を対象に実際にいろいろ実験をしてみて、それによって人間の行動をもう少し分析していこうという、簡単に言えばそういう学問かと理解しているところでございますけれども、今回はそこの行動経済学を活用した研究を少しやっていこうと。ただ、消費者庁の中の職員で急に非常にこの分野に詳しいという者がいるわけではございませんので、客員研究主幹として京都大学の依田先生という行動経済学の日本の第一人者の先生方に御協力をいただき、あと、その先生と縁のある若い研究者にも協力いただきまして、プロジェクトを組んでいるということでございます。

今回は結局何をやろうかといろいろ検討したわけですけれども、ここに書いてあるとおり、とくしま生協の協力を得て健康と生活に関する社会実験を行っていこうということで、会員の中で希望者にモニターになっていただいて、そのモニターの方にいろいろ情報をお流しして、その流した結果として彼らの行動がどう変わるのかというものを調べていこうと。そうするとどういう情報を流すと人々の行動はどう変わるのかということが非常に分かりますので、今後の政策の一つの基礎的な材料になるかなと思っているところでございます。

とくしま生協は会員がそれなりに多くて、徳島県内では相当たくさんの会員を抱えているということと、丁寧に配達をされるので非常にこういう調査に向いているかなと思って御協力をいただいてございます。これについてはすぐに結論が出るというよりは、この事務所がある少なくとも3年ぐらいをかけてゆっくりやっていこうと考えているところでございまして、まずモニターを選定し、それから少し実験を行っていくというタイムスパンで考えているところでございます。

続きまして、障害者の消費行動と消費者トラブルに関する調査でございます。11ページですけれども、障害者につきましては障害者の消費行動とか消費者トラブルについて今回調べようと思っているわけですが、障害者はそもそもどのようにして物を買っているのか。自分で買っているのか、買ってもらっているのか、ネットで買っているのか、付き添われてどこかに行って買っているのか、あるいは1人で行って買っているのか。これは障害の程度とか種類とかによって全く異なってくるかと思いますけれども、そういうものを調べたことがかつてないということで、障害者の有識者に聞いても障害者の消費行動を調査した例は多分ないだろうということでございますので、我々としてはこれができれば初めての誰も行ったことのない調査になるかなと今、思っているところでございます。

さらに消費者トラブルで、障害者の消費者トラブルというのは相談員の方々に聞いても大変重篤な問題だと承知しておりますけれども、そういった消費者トラブルについても少し調べていこうと考えているところでございます。

この実証フィールドとしては、徳島県とか岡山県です。岡山県にも入っていただいていますけれども、その障害者団体とか障害者、障害者を見守っている方々に対してアンケートとかヒアリングを行っていこうということで、消費者行動について主なアンケートをすると少し見えてくるかなと思っているところでございます。そういうことで行っておりますので、今後恐らく少なくとも消費行動については誰も行ったことがないものができるのではないかと期待しているところでございます。

いつごろ成果が出るのかということに関してはまだはっきり申し上げられませんが、年度内に出るかどうか分かりませんけれども、何かしら第1段階のものぐらいは春ぐらいに出したいと思って今、作業をしてございまして、トラブルに関してはもう少し時間がかかるかなと思っておりますが、そういう感じで作業をしているところでございます。

12ページは、若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会でございます。ここの1つのきっかけは、消費者委員会がこういう若者がマルチの被害が非常に多いということを御指摘したこともあって、少し調査してみようということで始まった検討会でございます。若者がなぜ消費者被害に遭うのかというのは、皆、非常に関心が高いということで、徳島で行っているのは主に西日本の先生方に御活躍いただいて、徳島で行っている。徳島県にお願いしていることは特にないのですけれども、西日本の先生、有識者の方にもたくさん入っていただいているというものでございます。既に2回ぐらい検討会を開いて夏ぐらいには報告書を出したいと思って今、作業をしているところでございますが、年明けには大規模なアンケートを行って、心理的な要因からの分析ができればなと思っております。座長には徳島出身の心理学の先生である西田先生という方に就任いただいて、検討会を始めているということでございます。

13ページは食品に関するリスクコミュニケーションについての調査・研究ということですけれども、リスクコミュニケーションというのを東京でも今まで結構行ってきましたが、今回、徳島でも行うことによって全国で行っているわけですが、徳島で今回行ったものに関して効果測定をしてみようということでアンケートを配ったりして、実際のリスクコミュニケーションの効果測定をして、それを今後の施策に生かしていこうということを考えてございます。

14ページは国民生活センターの事業になりますけれども、国民生活センターは研修とテストの2つの事業をここで行っているわけですが、研修事業について基本的に国民生活センターの研修は相模原に大きな施設がありますので、宿泊型の施設ですからそこで行っていて、それ以外にも全国あちこちで行っているというのが実態でございますけれども、徳島でも重点的に行ってみようということでございます。徳島で行うメリットは何かというと、徳島のほうが近いという人がいるわけです。相模原のほうが必ずしも近いわけではなくて、徳島のほうが行きやすいという方もいますので、関西、中国、四国地域の対象者を想定して、そこでない人も来ていただいて構わないのですけれども、想定した研修を行っているということでございます。

この研修場所については、鳴門市においては県に用意していただいた研修の場所があります。徳島市においては徳島にある大学の施設を借りて研修を行うということで14コース行ってございます。それから、徳島オリジナルの研修ということで、今は徳島でしかやっていない研修を1つやっているのですけれども、将来的には徳島のオフィスの成果をいかしたような研修ができればいいなと検討しているところでございまして、徳島の成果をいかした研修ということであれば、徳島でないとできないだろうということで、徳島に来て研修を受けると非常に勉強になるのではないかということも考えているところでございます。

次に商品テストでございます。商品テストについては、施設としては相模原にテスト施設があるわけですけれども、ここのテスト施設を使うというよりは、ここでそれぞれのモニター家庭を活用させていただくことを考えております。

というのは昨年、1カ月徳島で試行的滞在をしたわけですけれども、そのときに分かったことは、昨年は高齢者の家で使っているようなお風呂の椅子ですが、高さが調節できるお風呂の椅子があるわけですけれども、高さが調節できるお風呂の椅子のピンが折れて、ひっくり返ってけがをするという事件があったので、実際にどのくらい腐食が進むのだろうかというのを使いかけの椅子を集めなければいけないということになりまして、徳島県にお願いしたらそれなりの数のお風呂で使いかけの椅子が入手できまして、それを相模原に送って相模原の中でお風呂と同じような湿気た環境を作って、そこでどれぐらいピンの腐食が進むのかということを調べて、その結果としてやはり鉄みたいなのは錆びやすいから良くないとか、そういう結論が出たわけですけれども、今回もそういった経験をいかして徳島県の実証フィールドとして、今度は地震のときに電気給湯機がよくひっくり返ることがありますので、実際にちゃんと設置されているのかどうか、そういうものをまず調べようということで、それぞれの家庭に行って電気給湯機がどのように設置されているのか調べようということをやっています。

御家庭を訪問することになりますので、協力いただける家庭を選ぶというのは、なかなか消費者庁なり国民生活センターはそう簡単ではないということで、今回、徳島県にお願いしたら100世帯ぐらい御協力していただける家庭が出てくるということでございまして、今回そこの家庭にそれぞれ国民生活センターの職員が行って、実際にどうなっているのか調べるということを今行っておりまして、これが分かれば転倒の防止策という点についても気を付けなければいけないとか、いろいろ今後の注意喚起につながっていく。テストそのものは大きな意味では地震による転倒防止策の中の一環として行っているということでございます。今年はこのようなテストを行ってございます。以上のとおり、消費者庁、国民生活センターがこのオフィスで行っている主な事業を簡単に紹介させていただいたところでございます。

○樋口座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの消費者庁からの説明内容に対しまして御質問、御意見がございます方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

○野々山委員 御説明ありがとうございました。なかなか興味深い取組があると理解をしました。ただ、重要なのはいずれも報告の右下にある全国展開をどうしていくか。実証フィールドでの成果をどう全国展開していくのかということが、今のお話ではなかなか具体的に見えてこなかったと思っております。

例えば3ページの見守りネットワークは全国で取り組んでいますが、なかなかうまくいかない。これは様々な要因があると理解しております。消費者安全確保地域協議会を作って何が変わるのかとか、そういういろいろな質問が各自治体から来ているわけでありますが、この徳島での取組を具体的にどう全国展開に反映していくのか。それはいつ頃を考えているのか。成果とかそういうものをどうやって検証していこうと考えているのか。検証を我々がするのかもしれませんけれども、いつそれを全国展開して、その成果を見ていくのかということについて教えていただきたい。また、10ページに、行動経済学を活用した調査研究も消費者庁の政策の企画立案能力の向上に役立てるとありますが、これをどのような方法でいつ行い、その成果をどのような形で考えていくかということを教えていただきたい。

最後に、国民生活センターの14ページの研修についても、成果を踏まえて全国展開というのは具体的にはどういうことなのか。それをどういつ頃からやっていくと考えているのかということについて、分かる範囲で教えていただきたいと思います。

○樋口座長 見守りについては小野審議官、いかがですか。

○消費者庁小野審議官 東京の小野でございます。

見守りネットワークの全国展開について御質問いただきました。見守りネットワークにつきましては、現時点で、全国で60弱の自治体が設置している状況でございます。全国展開の目標はここにも書かれておりますとおり、人口5万人以上の全市町に設置するということを進めていきたいと思っております。ただ、それぞれ自治体ごとに違った課題がございますので、先ほど説明したように徳島県でまず全部の自治体に設置していただく。どこに設置することが難しいという問題点があるのかというのを、ここでしっかり検証して、それをどういう事例ではどうすべきか、こういう事例ではどうすべきかということを整理した上で、徳島で得られた知見を整理して、全国の設置に向けて活用していきたいということでございます。具体的なスケジュールにつきましてはまだ詳細は決まっておりませんけれども、できるだけ早く事例を整理して展開していきたいと思っております。

以上です。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 具体的には事例集を作ったり、それぞれのブロック会議なり何なりで働きかけたり、個別の県に行って働きかけたり、場合によっては徳島県の関係者も連れて行って、徳島県ではこう取り組んだという経験もお伝えしていくということも十分あり得るかなと思っているところでございます。

2つ目の御質問にあった行動経済学については、今これは始めたばかりで結論が出るのが若干先なので、具体的にというところまでなかなか言えないのですけれども、3年かけてやろうと思っているプロジェクトでございまして、今年はモニターを選定する。来年から実際に実験をやっていこうということで、恐らく最初の成果が出るのはあと1年以上かかるかなと思っておりますが、これが分かるとどういうことを、これは基礎研究ですので直ちに何か直接いかすというわけではないですけれども、期待しているのはどのような情報提供をすると人々の行動はどう変わるのかというのは多少見えてくるかなと思いますので、例えば広報とか注意喚起とか、そのようなものに関してもう少しこのように焦点を絞ったほうがいいとか、何かそういったことが分かるかなと思っていますけれども、まだモニターを選ぶ段階にも至っていないということでございますので、ふわっとした説明しか今はできないところでございます。

研修については、国センのほうから御説明いただければと思います。

○国民生活センター青木教育研修部長 国民生活センター教育研修部長の青木でございます。御説明いたします。

研修の全国展開につきましては、「徳島独自の研修」などの実施要領を全国の自治体に既にお配りしておりますので、各自治体がそれぞれ研修を実施する際、カリキュラムの立て方や講師の選定について、参考にしていただくというのが1つ。

それから、「徳島プロジェクト」でに関わられた徳島県の行政職員の方などに相模原研修施設で実施する研修に講師としておいでいただいて、全国から来られる受講者にいろいろな経験等をお話しいただくことを想定しております。このような全国展開については、来年度の研修年間計画の中でどんどん取り入れていきたいと考えております。

以上でございます。

○樋口座長 他にいかがでしょうか。

○唯根委員 今のいろいろな取組に関しての御説明の中で、モニターを徳島県内でお探しになって選んでいただいているということなのですが、それぞれのモニターの方々とか家庭とか、これは重複しないのでしょうか。それともやはりいくつかは同じ家庭なり人なりモニターの方が取組に参加される形になるのでしょうか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 恐らく県に100名選んでくださいと言っている場合は特定の地域、特定の人に負担が掛からないようにいろいろ県のほうで苦労されていると聞いておりますので、実際、1人もかぶっていないかは分かりませんけれども、その辺は県のほうでは余り特定の地域に偏らないようにとか、いろいろ苦労されていると聞いていますので、なるべく基本的にはかぶらないようにやっているとこちらは思っていますけれども、ただ、全くそういう例がないかと言われると県に確認をしないと分かりません。

例えば、先ほどの行動経済学などは恐らく生協の会員となりますので、生協の会員は徳島県では相当、数家庭に1家庭は生協の会員ぐらいですので、そこはかぶる可能性は大いに出てくると思いますけれども、そこは仕方がないと思っています。

○唯根委員 なぜそのような質問をしたかというと、どうしてもモニターの意識というか、もともとの関心が高い方でやっていただくのと、全くこういう消費生活に関心がなく関わっていない方たちに参加していただいたりするのでは、大分結果が違ってくるのではないかという、全国展開するためのデータとしてちょっとした不安があったので、お尋ねしたところです。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 御指摘はそのとおりなのですけれども、モニターも何も関心がない人は協力してくれないと思いますので、そこはなかなか悩ましくて、協力してくれるところはそもそも意識が高いだろうと言われると、そういう面はあるのですけれども、それはそういうものだと思って分析するしかないかなと考えております。

○樋口座長 木田委員、お願いします。

○木田委員 食品ロスのところで2点と、子供の事故防止のところで1点お聞きしたいのですけれども、食品ロスのほうで2週間取組をされるということなのですが、具体的に例えばどのような取組をすることが挙げられているのかということが1つと、食品ロスで今フードバンクとかいろいろあるのですが、フードバンクとの関係性はどのように考えておられるのか。それから、子供の事故防止のほうでは消費生活上の事故等により死亡しているという、どういう事故でどれぐらいの方が亡くなっているのかというような、もし表のようなものがあればより具体的に私たちも考察できると思うのですが。

○消費者行政新未来創造オフィス担当者 食品ロスについて若干説明させていただきます。

食品ロスの取組といたしましては、4つのカテゴリーを検討しています。

まず1つが買い物行動、もう一つが保存、整理整頓、エコクッキング、この4つの取組をしてもらって、どのように変化が生じるかといったことを検証する予定です。フードバンクについては、当然保存のところで関係してきますので、そこはそういう取組をどんどんやってもらうことを検討しております。

○消費者行政新未来創造オフィス担当者 子供の事故防止に関しまして、具体のデータについては現在、詳細なものを用意しておりますので、後ほど御提供させていただきたいと思います。

○樋口座長 よろしいですか。それでは、他の方いかがでしょうか。

○萩原委員 いろいろな取組の中で、文科省との連携ということが書かれております。若者向け、若年者向けの消費者教育の取組のところで、高校生をもう既に全員対象にしているというのは大変重要なことです。というのは大学において消費者教育がどのぐらいされているのか、文科省でも調査をしておりますが、なかなか現実的には消費者教育そのもののズバリの教育がされているところは非常に少ない。では大学生に対してどういう消費者教育をするか、入口はどこかというと入学のときのガイダンスとかが非常に多いということで、非常に限られているということもあります。高校生の段階でしっかりやっていくというのが非常に重要ですので、この取組は是非全国に展開していっていただきたいと思います。

その際に、こちらでは鳴門教育大がございますが、いわゆる全国に教員養成の大学というのは幾つかございますので、まずはそことの連携というか、そういったことは既にされているのかしていないのかについてお聞きしたいのがまず1点です。

それから、見守りネットワークも含めいろいろなところに関係してくるところですけれども、先ほど木田委員もおっしゃっておられましたが、いろいろな取組をされているNPOなどの団体がございます。そういったところとの連携は当たり前で、連携・協働をどう進めていくかということが重要だと思いますが、ではその連携・協働を進めるときのいわゆるコーディネーターであるとか、ファシリテーターであるとか、そこはどういうところがするのか。連携・協働を進めるときに一番ネックになってくるのが庁内の部署間の連携ができていないというところなのです。ですから恐らくここをしっかりしていかないと、先ほどの御説明でもなかなかここは難しいのですとか、これはうちの業務ではないですかというふうになってしまいます。ですので、できるだけ庁内あるいは市町村における内部での部署間の連携ということも共に進めていただかないと、幾らNPO側が連携・協働と言っても内部のほうでされていないと、そこはなかなかうまくいかないということがございます。これは霞が関でも一緒で、今はいろいろな省庁が連携するようになってきたのでかなり施策が進んでいくところもありますので、その点も今どのようになっているのかについてお聞きしたいです。

もう一点は、栄養成分のところの活用に向けた消費者教育なのですが、これはリテラシーという点から言って科学コミュニケーションが非常に重要になってくるのではないかと思います。読むことはできますが、中身が一体何であるかというところまで理解しなければリテラシーにはならないわけです。その際にしっかりこの栄養素について理解するといったときに、これが一体何であるのかという、いわゆる科学コミュニケーション。つまり科学コミュニケーターの存在というのが非常に重要になってまいりますので、それも含めてのリテラシーを進めていってほしいなと思います。

もう一点、障害者のところなのですが、非常に重要な視点だと思うのですけれども、障害者と言いましても非常に広うございます。私の大学院の学生も障害者に関する調査をいろいろやっておりますが、言い方がセンシティブなので非常に難しいのですが、どういう障害に焦点を絞ってされようとしているのか、あるいは障害者の自立に際しては人が介在します。人が介在することによって起きる被害ということも想定されるわけですので、その辺りの点はどのようにされているのか、具体的な中身についてお知らせください。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 まず部署間の連携の話は、見守りネットワークでは確かにいろいろな市町村に行くと部署間の連携に苦労しているところと、さほど苦労していないところ、いろいろあるわけですけれども、我々がそのときに言っているのは、国レベルではもう福祉担当の役所、厚生労働省と消費者庁というのはそれなりに力を合わせたり、話を通じたり、幹部同士もそれなりに意見交換ができる環境が整っている。だから現場に行くと厚労省系と何とか省系といろいろ皆さん苦労を言うところもあるし、言わなくてするする行くところもいろいろあるわけですけれども、そういうところに行くと国レベルではそれなりにしっかりやっていますよというのは言うようにしています。ただ、あとは実際に今回もそういう苦労がある中、どう乗り越えて、少なくとも県としては3年以内に行うと宣言しているし、市町村も恐らく3年以内にネットワークができると思いますので、その中でいろいろそういう調整をして乗り越えるというのをみんなしていくのだろうと。だから若干もしかしたら来年にはできなくても、再来年になってしまうところもあるかもしれないけれども、ただ、3年間の間に作るということで結構頑張っていますので、そこは結果としては乗り越える。見守りネットワークに関しては間違いなく乗り越えるだろうと見ていて、その乗り越える経験を我々は知りたいと思っております。

消費者教育については、少なくとも徳島においては教育委員会と他の部局も非常にいい関係のようで、我々がこういうことをやりたいと言ったら話がするする進んで、そんなに大きな問題なく、全部の高校で行うという話になったので、他県では教育委員会等いろいろ苦労すると聞いていますけれども、徳島県ではそこはある意味、そういう経験は得られなかった。するする話が進んだのでそういうことはあるのですが、ただ、できるという実例は今回示せているので、いろいろあるかもしれないですけれども、結果としては全ての高校で「社会への扉」を活用した消費者教育の授業ができるということを今回見せることが非常に大きいと思っておりますが、そういう部署間の対立を乗り越えるということは、徳島の例は消費者教育に関しては余りないというものです。

文科省と消費者庁の連携は、昔は知りませんけれども、最近は非常によくやっていて、教材も文科省と一緒に作って、この間モデル授業も行ったわけですが、公開授業が行われたわけです。そのときも文科省の方も来ていろいろ意見を言ったり参画したりやっていますので、そこは非常にうまくいっているかなと思っているところでございます。

教員養成については、鳴門教育大学は徳島にあるので、非常に消費者教育にも熱心でいろいろ取り組んでいただいていますけれども、鳴門教育大学以外はまだということですから、まず鳴門で取り組んだものを広げていければいいと思います。鳴門教育大学は非常によく連携しているし、その先生方には客員として我々のところに来てもらったり、そこは密接に取り組んでいるところでございます。

栄養成分表示について、ちょっとこの場でお答えできる人がいないということです。

障害者の関係は、今回は買い物が全くできない、施設に入って全然動けないという重篤な方は対象から外しております。

○消費者行政新未来創造オフィス担当者 障害の種別ということですけれども、今、大きく4つに分けておりまして、身体、知的、精神、発達ということで、できるだけ多くの種別と言うとあれですが、聞くようにしております。

人が介入することによって起こるトラブルということでよろしいでしょうか。例えば身体だけの障害でしたら、全く知的に問題はないということでしたら、人とお話をして買い物をすることに関しては全く問題なくできるということで、それは単に買い物をする上で困ったことは何ですかという聞き方をして、ふだん不便に思っていることということで事例をいただいているところです。

精神だとか知的だとかいう障害がある方に関しては、店員さんのお話をするであるとか、そういったところでトラブルが起きてくることが多いようですので、そこのところで事例を集めている最中です。

○萩原委員 例えばボランティアがそこに関わってくるとか。

○消費者行政新未来創造オフィス担当者 そうですね。同行支援であるとか、ボランティアの人であるとか、はっきりしたことが言えなくて申し訳ないのですけれども、今アンケートを集めている最中でして、本当に障害の程度によって様々で、それをどうやって分けていくかというところが大きな課題でもあります。

○消費者庁小野審議官 補足です。若者向け消費者教育の話で教員養成系大学との連携というお話がございましたけれども、生徒に教えることは非常に大事なのですが、それを教える先生にも新しい知識を持ってもらうことも非常に大事ですので、現在、消費者教育推進会議という会議がございまして、その下に分科会を設けまして、先生方の教育をどうしようかという点について議論しているところでございます。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

ではお願いいたします。

○遠山委員 見守りネットワークのことについてなのですけれども、愛媛県では一応3つの地方局がありまして、地方局ごとに見守りネットワークが作られているのですが、私のおります南予地方局では、平成21年頃から見守りネットワークが構成されました。こちらの見守りネットワーク、徳島のほうなのですけれども、実際に何かトラブルがこれまでにあって、それを見守りネットワークを通して未然防止をされたとか、何かのトラブルの解決に結び付いた事例などがございましたら教えていただきたいと思います。また、ネットワーク構成員との連絡方法ですとか、緊急のことがあった場合にはどのように情報提供されるのかという辺りを教えていただきたいと思います。

以上です。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 見守りネットワークは徳島では今、2町、上板町と板野町でできたのですけれども、上板町でネットワークができたのはついおとといぐらいとか、今週でございますので、つい最近でございますので、その事例はまだないと思います。板野町については少し前にできていて、そこは経緯としてはそういうコーディネーターや頑張られた相談員の方々が、定年を迎える前にちゃんと制度化したいと言って制度化されて残ったと聞いています。板野町はそれだけではなくて全家庭への訪問とか、高齢者家庭に職員が訪問するとか、結構丁寧にされていると聞いていますので、そういった全家庭、御高齢者家庭に訪問するといえばそれなりにいろいろな未然防止とかできるのかなということで、具体的にこれができたからこんな事件が防げましたという話では、有名な事件が余りないとは聞いていますけれども、日頃からそういう丁寧な扱いをしていることは言えるのかなとは思っております。

連絡方法をどうしているのかとかは知っていますか。

○消費者行政新未来創造オフィス担当者 板野町の事例になりますけれども、何かトラブルが起きたときに緊急時にケース会議を板野町で開いている。具体的に電話での連絡なのか、メールで連絡を取られているとか、そういったことまではこちらでは把握しておりませんが、何かあったときには常に連絡が取れるような状態を作っていらっしゃると聞いています。

○樋口座長 野口委員、どうぞ。

○野口委員 私からの質問はすごくシンプルでして、絶対に答えていただける質問と認識しています。それは、1ページ目の右上の赤の四角にある体制の話なのですけれども、50名程度が参画されていて、消費者庁、自治体、国セン、非常勤と書かれているうち、この自治体と書かれているところの内訳を教えていただきたいというものです。県職員の方と基礎自治体の方の内訳で、規模感としては50名ということとの御説明をお伺いいたしましたが、その体制について今のところどのようにお感じになられているのかというお話をお伺いしたいということでございます。なぜ、そのような質問をさせていただくのかという話を少し前置きさせていただけたらと存じますが、今回、調査会のタスクは非常に難しいものと把握しております。評価に当たって、消費者行政の進化を図るというお題が付いているからです。本日の今までのお話だったり、冒頭のプロジェクトの御説明などをお伺いいたしますと、確実に消費者行政は進んでいるとは言えるはずなのですけれども、ただ、それを、進んでいるから良かった、もう少し頑張れるところは頑張りましょうと言うだけではおそらく調査会に課せられたタスクは達成できないと思うのです。消費者行政が進化したかという点をどのように調査、評価するかというところが難題であり、このための指標が必要になってくると思います。行政法的な観点から言うと、私は今回のタスクはある種の行政評価だと思っています。評価をするには指標が必要となるわけですが、その指標が何なのかを探し当てるというのが、我々が越えなければならない、まずはの大きな山と感じています。ですので、可能な限りの実態把握をしておく必要があると考えます。

本日、先ほどいただいた知事の、大変に熱意のあるお話を伺ったりとか、実際に徳島のオフィスがどのような場所なのかを見せていただいたりとか、今この場で繰り広げられている事務方のやり取りとか、そういうものを見ると、確かに連携は進んでいるのだなというのを実感でき、これは非常に貴重な機会であったと思っております。それに加えて、体制の実情、自治体の方の内訳でありますとか、50人という規模をどのように現場の方がお感じになられているのかをお伺いできたらという質問です。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 地方自治体から来ていただいた職員の内訳ですけれども、県内の市町から5名で、県外が6名で、県内の5名はどこかというと徳島市、吉野川市、阿波市、勝浦町、板野町の5名です。それから、県外は6名。みんな県庁です。香川県庁、高知県庁、愛媛県庁、兵庫県庁、鳥取県庁、愛知県庁。

○野口委員 どういう出自の方を、どのように選ばれたのですか。県から1人派遣してくださいという形でお願いされたのでしょうか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 我々としては事務所ができるときに、それなりの体制を取らなければいけないので、徳島県とも相談をして、徳島県もいろいろ御活躍されて、恐らく四国3県は地理的な関係で出していただいていて、鳥取県と兵庫県は関西広域連合に入っているということで。

○野口委員 申し訳ありません、質問の趣旨は、県職員の方が今までどういう仕事をされてきたのかというところまで指示があったのかどうかというものです。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 この事務所を理解していただいた上で来ていますけれども、あとはこの県の職員の方々あるいは市町の職員の方がどの業務に携わるかというのは、本人の県としての関心事項。それから、我々としてはこういうものがありますよというところのマッチングをした結果として、こういう割合が出ているということになります。

○野口委員 基本的には県で選ばれた方がいらっしゃっているということですね。県内の市町村の方はどうやって選ばれているのですか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 そこは県がそれぞれの市町村にお願いして出しています。

○野口委員 実際にいらっしゃっている方は例えば年齢であるとか、今までのキャリアとか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 一番若い方が20代で、一番上が40代ぐらいです。多いのは30前後ぐらいの職員です。

○野口委員 これから仕事をされていく方が結構多いと思うのですけれども、今までされてきた仕事の内容を見ると、統一的ではないということでしょうか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 ばらばらです。消費者関係を担当してきた方もいるし、そうでない方もいます。

○野口委員 消費者庁からは何名くらいですか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 13名です。

○野口委員 その内訳というのはどうやって決められたのですか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 プロパー職員が3名ですけれども、そこは消費者行政を担うために入ってきた人間です。それ以外はどうやって選んだのか、人事に関しては私もよく分かりませんが、少なくともオフィスに行って仕事がしたいという中から選んでいるとしか言いようがないのです。

○野口委員 あと、まだ始まって数カ月ですけれども、50人という規模についてはいかがでしょうか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 規模感は、少なくとも業務と規模というのは並行しているので、今みたいな業務であれば今ぐらいの規模感でできているので、我々としては少なくとも十分な体制でスタートできたかなと思っています。

○野口委員 いろいろなところから来ると連携が難しいという話もありましたけれども、そのような問題はない、ということでしょうか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 そこはどこの組織でもある範囲内ぐらいかなと思っていますので、もともと消費者庁も内閣府もいろいろな役所から来て成り立っているところでございますので、それはある意味、普通かなと思って見ています。

○野口委員 少ないので、人員を増やしたほうがいいという必要性も感じておられないですか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 今のところはまだそこまでいっていないです。

○野口委員 分かりました。ありがとうございます。

○樋口座長 他にいかがでしょうか。岩崎委員、お願いします。

○岩崎委員 感想なのですけれども、先ほどから消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官の御説明を聞いて、率直に言って非常に新鮮な感じで聞いておりました。いろいろな審議会、消費者政策にかかわらず、各省庁の審議会の議論を拝見する機会があるのですが、基本的には霞が関で会議が開かれて、非常に原則的なことがそこで決められて、別にこれは悪い意味で言っているのではないのですけれども、あとは各省庁とか各自治体でやってよねという感じにならざるを得ないと思うのです。

今回この資料を前に眺めているより、実際の御説明を伺ったらなるほどと思ったのですけれども、それぞれ消費者志向経営ですとか、エシカル消費ですとか、消費者教育にしても国の方針というのはこうです。そこにさらに実証フィールドということで、この徳島で、ではそれを具体的に落とし込んでいくとこういうことをやっています。消費者教育でしたら県内の高校が全部参加しているですとか、あるいはモニターの家庭がこうですよとか、そういう国の施策に関してそれがセットで説明されることは初めてなような気もしましたので、ここのオフィスで取り組んでいることというのは、非常にそういう意味では先端的あるいは非常に効果のある取組なのではないかという感想を持ちました。

2つ目の議題に関わってしまうかもしれないのですけれども、このような国の機関が地方に出てきて、現場と一緒になって国の政策とそれを地方に浸透させることに取り組んでいらっしゃること自体が消費者政策にかかわらず、行政自体の進化の1つのモデルなのではないかという感想を持ちました。

もう一つ、全国展開ということなのですけれども、これは合っているかどうか分かりませんが、日本の地方公共団体の組織というのは諸外国に比べると非常に統一感が取れているというか、県があって、その下に市町村があって、大体似たような仕組みになっているので、どこかの地方で成功例ができれば横展開というか、いい意味での横並びでそれを展開できるという、そういう国柄ではないかと思っているのです。だからそういう意味においても、なぜ徳島かとかそういうことはさておき、熱心に取り組まれているからいいと思うのですけれども、どこかの地域で具体的に国の施策を実証あるいは実施する。それを横展開していくという意味においても今回の、これまでまだ短期間ですが、やられている取組というのは非常に私としては評価させていただきたいと感じました。

○樋口座長 ありがとうございました。

他にいかがでしょうか。内田委員、お願いいたします。

○内田委員 私も感想みたいな話になるのですが、14のプロジェクトを御紹介いただきました。

恐らくそれぞれは消費者庁でも国民生活センターでもやろうと思っていることだったと思うのですけれども、こうやって14のプロジェクトに集約されると、このオフィスが何にチャレンジしようとしているのか外からも分かりやすいと感じました。それだけ取り組むほうは大変だろうなと思いますが、この14については野口委員もおっしゃったようにきっと形が出てくるのだと思うのですけれども。それを消費者行政の進化という観点からどう評価するのか。まち・ひと・しごとの事業との関係でどう評価するというのは、実はなかなか難しいなと改めて感じました。

○樋口座長 ありがとうございました。

他にいかがでしょうか。唯根委員、お願いします。

○唯根委員 説明資料の中の消費者志向経営の推進のところなのですが、このプラットフォームには3つの要素になっているのですが、先ほどの知事の御紹介でカンボジアの例だと、最初が教育機関というか学生たちから始まっていたようです。つまりこの要素の中に教育機関も実際には含まれていると思うのですが、消費者志向経営の推進ではそういったことは考えていらっしゃらないのでしょうか。私も地元で実際に取り組んでいるのですが、事業者団体と消費者団体というよりは、行政が音頭を取って、事業者団体と教育機関が先に連携を組んで、それを消費者団体が応援していくという取組をしているものですから、ここに教育機関が入ってこないのはどうしてかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○消費者行政新未来創造オフィス担当者 今なのですけれども、プラットフォームには教育機関は入っておりません。ただ、実際にこの新未来創造オフィスなのですが、プロジェクト間でもお互い職員間も連携しておりますので、プロジェクト間で今のところは、今度は教育機関あるいは若年層に講義するという話もちらほら出ている次第でございます。今のところはそういった動きでございます。

○樋口座長 よろしいですか。

○萩原委員 7ページの本当に小さいところです。栄養成分表示等の活用に向けた消費者教育のところで、若年女性と出ていて若年男性はなぜ入っていないのですか。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 栄養成分が大事なのは、恐らくこれは子供が生まれる年頃の女性という意味なので、要するに非常に食べ物が大事なのは、男性も大事なのですけれども、焦点を絞るとしたときに特に若者女性ということで絞っているということで、そういうことです。

○樋口座長 他にいかがでしょうか。

池本委員長代理、何かありますか。

○池本委員長代理 2、3質問させていただきます。

先ほど来のやり取りで、特に全国展開を見据えたモデルプロジェクトということで、それぞれ先駆的な取組を徳島で実行されているという点は非常に期待しているところなのですが、これは全国展開を見据えたものでなければいけないし、先ほど小野審議官からまだ全国展開に向けての具体的なスケジュール感もできていないような感じを受けました。

それぞれの課題をこれから3年間じっくり取り組んで、それから全国展開というのでは余りにも遅いように思うのですが、例えば5ページの倫理的消費、エシカル消費については、徳島県でプラットフォームを立ち上げておられるという素晴らしい成果があるのですが、そういうことをこの4ページで言うと左下にある徳島県のプラットフォームをモデルとして全国展開に向けた課題を検証する。これは消費者庁の仕事という位置付けと理解してよろしいのかどうか。

同じことは、例えば8ページの消費者志向経営。これもプラットフォームの設立ということで10月13日にはシンポジウムも開催されているという非常に素晴らしい取組が既に動き出していて、その下に書いてある取組結果を踏まえ、全国的に消費者志向経営を推進するための検討を行う。これは消費者庁が行うことと理解してよろしいのかどうか。

また、9ページの公益通報受付窓口。県及び市町村に通報受付窓口を整備されたというのは素晴らしい取組だと思うのですが、これもまたそういうことを他の地域への展開のための課題の把握・分析。これも消費者庁が行うことではないかと受け止めているのです。今のように3年間が終わってから全国展開を議論するのでは決してないと私は理解しているのですが、少なくとも例えば1年単位でそこまでの成果あるいは不十分な点も含めて、それを消費者庁として分析し、その段階のものをまた全国にも発信するという、この消費者庁の取組がなければ全国展開にはつながらないと思うので、その辺りのスケジュール感を含めて御説明いただきたいと思います。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 基本的に左下に四角で入っている、先ほど委員長代理のおっしゃったようなことは全て消費者庁が行うことでございますので、場合によっては県の協力を得ることはあるかもしれませんが、基本は全部、消費者庁が行うことになります。

それから、スケジュール感でございますけれども、当然、早く進んでいるものについては早く全国展開できるわけですから、できるものからどんどんやっていくというのが基本的な考えであります。例えば公益通報制度については、県内の自治体では相当整備がされている。あとは運用とかまだ少しあるかもしれませんが、基本的には窓口の整備という観点からほぼ達成しているわけですから、だから今は四国県内とか近隣県辺りに働きかけて、どんどんやれないかというのは既に動いています。どこの県でどうとは詳細には言いませんけれども、近隣県にはお願いして公益通報の窓口を整備してくださいよ、徳島ではこんな経験でこれだけうまくいったのですよというのは既に働きかけていますので、基本的にはできるところはどんどん働きかけるということはやっております。

当然、3年後にしかできないということはなくて、できるものについてはどんどんやりますので、エシカル消費の関係であれば例えば来年は秋田県でシンポジウムを開催するとか決まっていますし、また、見守りなどここで出た事例集などはいろいろなところで、ある程度今年度の成果が取りまとまったらそれは速やかに共有していくという形になりますので、3年たってから初めて全国展開するわけではなくて、できたものから準備が整い次第、どんどん全国展開していくというのが基本的な考えになるかと思います。もちろん実証とかもっと時間をかけてやらなければいけないものについては、すぐに全国展開に行かないので、もう少し検証ということも出てきますけれども、できるものはどんどんやっていくというのが基本的な考え方であります。

あとは小野審議官か福岡審議官から補足があれば。

○消費者庁小野審議官 先ほど参事官が申し上げましたとおり、できるものから順次取り組んでいきたいと思っております。3年待ってからということではなくて、それぞれ熟度が違っていますけれども、できるものについては次のステップに行きたいと思っています。

以上です。

○池本委員長代理 ありがとうございます。

ここから先は要望、意見ですが、全国展開を見据えたプロジェクトというのは、正に徳島で質の高いことをしっかりやっていただく。その成果を報告していただくことと、それを全国展開するために消費者庁として何をどこまで今やっているのかということを見える状態で報告していただきたい。次回以降に報告があるのだと思うのですが、徳島における取組の成果なり進捗状況、消費者庁における取組の中身、進捗状況の両方をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○樋口座長 他にいかがでしょうか。

○内田委員 全国展開は消費者庁の仕事だという意味は、新未来創造オフィスの仕事だという意味ではないと思っていいですよね。

○消費者庁消費者行政新未来創造オフィス日下部参事官 新未来創造オフィスを含めた消費者庁全体の業務なので、別に我々が北海道に行って何かするかというよりは、場合によっては東京から行くかもしれないし、それはそれぞれの担当している課の中でどういう業務配分をするかという世界になってきますので、我々は、全国展開はオフィスだけの仕事でもないし、もちろん東京だけの仕事かというと、そういうわけでもなく、そこは両方で力を合わせてやっていくことになるかなと思っています。

○内田委員 消費者行政としては池本委員長代理のおっしゃるとおり、ここでやったことが先端的なことが全国展開していってこそ完結をするというのはとてもよく分かる思想だと思うのですが、評価する側から見たときに全国展開できて初めて評価するのか、全国展開を目指したけれども、いろいろなことで遅れている、あるいはまだ進んでいないということをどう評価するのか、なかなかそこのところはどうなるのかなと疑問に思いました。

○樋口座長 なかなか難しい問題ですので、調査会でじっくりいろいろ議論していきたいと思います。今日は最初ですのでよろしいでしょうか。特にこれからまたいろいろ勉強しながら、今、内田委員からもお話がありましたけれども、専門調査会としてどういう観点で整理をしていくのかということ自体も詰めていかなければいけないと思います。

それでは、消費者庁の新未来創造オフィスの日下部参事官におかれましては、御説明、長時間ありがとうございました。

(日下部参事官退席)

≪3.本専門調査会における今後の審議の観点について≫

○樋口座長 引き続きまして、今の話に関係してくるわけでございますけれども、本専門調査会における今後の審議の観点につきまして、まず事務局より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の資料2「本専門調査会における今後の審議の観点について」を御覧いただければと思います。

冒頭、私から本専門調査会の設置の経緯のところでも申し上げましたが、平成28年9月1日、まち・ひと・しごと創生本部決定に、こちら「政府関係機関の地方移転に係る今後の取組について」というところで、消費者委員会において消費者行政の進化等の観点から本オフィスの成果を検証し、あるいは意見を述べるということでなされているところです。この専門調査会での具体的なプロジェクトの検証に当たりまして、この消費者行政の進化等についてどのように考えるべきか、委員の皆様から御議論をいただければということで考えております。

なお、資料2につきましては中段から裏面にかけまして「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」の一部抜粋についてお付けしております。

説明については以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

ただいまの事務局からの説明内容について、御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。非常に抽象的な問題提起なので、今も具体的なお話がいろいろ出ておりましたから、もちろん抽象的な議論も含めて、今回はいろいろ問題を出していただくということで御発言いただければと思います。いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

○新川委員 幾つか今後の審議でどういう議論をしたらいいのかということで少しお教えいただきたい、また、どういう観点で考えていったらよいのかということで、ここもそのような考えでいいのかどうか少し皆さんのお考えも聞きたいと思ったのですが、1つは地方移転ということとの関係で、東京ではないということについての意味みたいなものを今回の検証の中ではどのように位置付けていったらいいのだろうか。この議論をどのようにこのプロジェクト検証の中では考えたらいいのかというのは1つございました。

2つ目に、これも大雑把な議論で恐縮ですが、これまでの消費者庁ないし消費者行政の中で今回の14のプロジェクト、もちろん狙いははっきりしているのですけれども、逆に消費者政策とかそうした観点からして、これがどこまでどういう位置付けになるのかということが分からないと、私たちとしても非常に議論しにくいなということがありました。と申しますのも、結局、ただ単にプロジェクトをやって3年間こうでしたということで終わってしまう。全国展開という言い方もありましたが、しかし、それはある意味では消費者庁そのものが構造的に変わっていったり、機能的に新しい展開をしていったりするところに多分このプロジェクトの意味はあるのだろうと思っているのですけれども、逆に言うとそういう位置付けが消費者行政ないしは消費者政策全体の中できちんとできるのか、されているのか、あるいはそこも含めて評価するのかというところを少し悩みながらお話を聞いていたというのが2つ目です。

3つ目に、14のプロジェクトの検証ということですけれども、これらのプロジェクトを拝見している限りで言うと従来、進めてこられたものの延長上にありそうだなというのと、もちろん新しいものも入っています。この辺り量的に拡大をしていこうとしているようなところでいろいろなあい路がある。そういうケースをどう超えていくのかというのもありそうですし、もう少し質的に違ったある種のイノベーションのようなものを作り出そうとしているようなタイプのものもあります。ここは評価の仕方として視点を変えればいいだけのことではあるのですが、もう一方ではこれまでの施策やこれまでの展開との関係、そして、それをどこまでどういうふうにイノベーションしていくのかという視点。そして、それをこの評価の中でどのくらい議論ができるのかというのが少し気にかかっていまして、私たちが言ってみれば1つのプロジェクトを議論していくときに、過去と現在と今後という観点で恐らく質的にも量的にも議論せざるを得ない場面が出てきそうなのですが、この辺りどの程度の許容範囲というか、守備範囲で考えたらいいのだろうかというのが気になっていたというのがあります。

最後にしますが、恐らく今年度、次年度と評価をしていく中で、このプロジェクトの進展そのものに関わるような議論も恐らく出てくるだろうと思います。また、もう一方では14のプロジェクトそのものも今、拝見している限りで言えば現在進行形ですが、同時にどうもこれはそれぞれのプロジェクト内部それ自体での変化というのも年々ありそうだなというふうに、これは勝手に想像しながら見ているところがあります。少しやり方とか変えていかないと進まないかもねというようなのもありそうなので、そういうものも含めて私たちはこういう変化についてどのように考えていったらいいのだろうか。最初の段階と途中段階で見ていくのですけれども、そういうものも含めて考えろと言われれば、それはそれでいいのですが、結構ややこしくなるなという気持ちもあるのですが、こういったものは実際のプロジェクトとそれ自体の運営の仕方あるいはそこでの変化と検証委員会での議論がどのようにインタラクションしていくのが一番理想的なのか。あるいはこの検証委員会はとにかく結論だけ出せということであれば、それはそれでやりようがあるかなと思っておりますが、この辺ももしお考えがあればお教えいただければと思っております。よろしくお願いします。

○丸山参事官 まず事務方といたしましては、新川座長代理からお話がありましたような基本的にこちらで評価する観点あるいは評価の基本的なスタンスについても、この専門調査会で御議論していただければという形で考えております。

ただ、1つの材料でありますけれども、例えばこちらの消費者庁あるいは国民生活センターのプロジェクトについては、3年間という形に一応なっておりますので、新川座長代理から御指摘のあったような例えば途中の段階でこのような方向があったほうがいいのではないかということで、必要があれば時宜を捉まえて、例えば次年度の予算要求などに反映するような形で、適時な形で中間的な評価を消費者庁あるいは国民生活センターに働きかけることも選択肢としてはあろうかと思います。

○樋口座長 大変重要な職責を担わなければいけないということかと思いますが、新川座長代理から今、整理をしていただきましたけれども、それぞれについてまだ基本的な勉強が進んでおりませんので、少し勉強を深めながらそういったことについてどのように整理をしていくか、専門調査会の中でもコンセンサスを作っていければと思っております。今日この時点でというのはなかなか難しいかもしれません。そういう意味で今日は是非皆さんから御自由に発言をいただいて、こういう視点もある、こういう問題点があるのではないかということも含めて記録にとどめて事務局でもしっかりこれから考えていただいて、我々も考えていくということにしたらよいのではないかと思います。

他にいかがでしょうか。野々山委員、お願いします。

○野々山委員 今、新川座長代理からも整理がされていますが、1つは消費者庁等の地方移転との関連であります。このプロジェクトあるいはオフィスができた経緯の中では消費者庁等の地方移転がスタートだったわけでありますが、今回のプロジェクトそのものは実証フィールドで、実証的な取組をしているところの評価です。したがいまして、従前いろいろ消費者庁等の地方移転には批判というか、移転に対するいろいろな問題点等指摘されてきています。例えば、消費者庁の司令塔機能がどうなるかとか、立法機能がどうなのかとか、監視や執行機能がどうなのかという問題については、今回は検討の課題から外れるのではないかと私は思っております。したがいまして、そういう意味でそういう機能が地方へ移転するかどうかについては議論から外していいのではないかと理解しております。

その他、消費者庁には他にも消費者教育を推進していく機能、あるいは広報啓発の情報発信機能というものがありますので、こういうものが実証フィールドにおいて、どうプラスになっていくかということが重要な検討課題ではないかと思っております。

もう一つ、観点ということになると3つぐらいあるのかなと個人的には思っています。1つは今、御紹介のあったプロジェクト一つ一つの中身がどう充実しているのかどうなのかということが1点であります。

2つ目は、それが徳島で行われている、地方で行われていることの意義、意味が私はあると思うのですが、それをきちんと考えていく。

3つ目は、これを全国展開していくということ。これがこの検討委員会の最中に各プロジェクトが完結しない場合も考えられますので、検討が最終的にできるかどうか、実証フィールドの結果の全国展開を検証することができるかどうか分かりませんが、可能性も含めてそのことを考えていく必要があるのではないかと思っています。

第1点目のマル1のところは、実は消費者庁の政策評価における事前分析表がありますね。それから、消費者基本計画の工程表など指標がいろいろあるわけでございます。ただ、それが検証の指標としてこれに合っているかどうか分かりませんが、一つ一つの分野についてはそういう1つの指標があるわけであります。ただ、その指標が本当に正しいかどうかについて我々のほうでも14のプロジェクトできちんと考えていく必要があるかと思います。ただ、それ以外の第2点、第3点の検討の観点の指標について、つまり、徳島で行うことの意味、地方で行うことの意義、それから、全国展開をしていく意義を新たに我々は考えていかなければいけない指標ではないかと考えております。

○樋口座長 ありがとうございます。

○野口委員 自由に発言していいという回なので、発言させていただきやすいことを感謝しつつ、発言したいことを言わせていただきます。こういう場において、行政法的な視点を強く持ち出すことには、アウェーな感覚もあるのですが、行政法では、行政目的を達成するために施策があると考えます。行政目的とその達成という観点から、それでは、消費者行政を進化させる目的とは何なのかと、これをずっと考えてきたのですが、現状では答えが見つからずにおりまして、仮に、とても抽象的なのですが、消費者行政の進化の目的は、やはり消費者の幸せの実現という、そういうところに行政目的があるとは言えないだろうかと思っています。

もう少し申しますと、消費者行政とは、本当に、あらゆる行政分野と言えるのです。考えてみれば、消費者というのは我々全員、国民全員、市民全員なのであって、行政分野は全て消費者行政であると言ってもよいのではないかと、本日の御説明を伺いながら思っておりました。それはさておき、消費者行政の目的とは何かが設定可能であるとして、その目的を実現するための政策として、今、徳島のプロジェクトで立てられているものが具体的な14のプロジェクトであると位置付けるとすると、評価の枠組みも考えられるように思います。一つは今、野々山委員のお話にもあったのですけれども、体制の話です。徳島に置かれた組織の体制、働く人の構成、組織規模についての体制評価があり得ると思います。第二が施策内容の評価ですが、これは更に2段階に分けられるように思います。第一は、そもそも総論として、行政目的の達成のために、個別の14のプロジェクトを立てられているわけですが、その14でいいのかという総論的な評価。第二に、今、遂行されている14のそれぞれのプロジェクトの個別評価という各論的な視点です。本日のこれまでのお話を伺っていて、そんな印象を覚えています。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。

他にいかがでしょうか。木田委員、お願いします。

○木田委員 私は今日初めてお伺いして、本当に進化している。以前、5年ぐらい前に内閣府のこういう調査委員で、内閣府でお話をさせていただいたことがあったのですけれども、あの頃すごく閉塞感があったような。ではみんなでお話してまとまって、それで終わり。それが結果。話合いが結果ということで実証とか現場に返すというのが5年たってもまだ見えていないなというところがあって、今日ここにお伺いして、まず1つがスピード感はどうなのか。例えば東京でするからスピード感があって決まったことがすぐ動けるのか。それとも徳島だから決まったことがスピード感を持ってできるのかというのが1つ。

2つ目はネットワークがすごくて、いろいろな県やいろいろな市町村の方が来られているので、例えば保育もそうなのですけれども、地域によって全く子育ての仕方とかも違うのです。例えば危ないことだって、東京で危ないことが徳島で危ないかといったらそうではなくて、本当にその地域によって違うので、それはいろいろな市町村、いろいろな県の方が来られているので、そういう話も網羅されてのネットワーク感がどうなのかということ。

最後3番目は、やはりこうやって話し合うからには、現実に効果を結果として見える化していただくというのが一番、この3つが私もお手伝いをさせていただきたいなと思うところです。

○樋口座長 ありがとうございます。

他にいかがでしょうか。

○内田委員 今回の調査の視点になり得るかどうか全く自信がないのですが、消費者庁の仕事をしているときにずっと持っていた問題意識が1つあります。それは安全と安心、野口委員が御専門だとおっしゃったのですが、いつもセットで使われるのですが、よくよく考えてみると安全というのはエビデンスがあって確率で話せて、科学の概念だと思うのです。安心というのはエビデンスが必要なくて、確率もなくて、要するにゼロか百か。安全は専門家が構築していく概念。安心は一人一人の世界で、これがいつもセットで使われるのだけれども、これが常に同じ方向を向いているという保証は全くないのだと思うのです。真逆の方向を向いていることもある。安全と安心が同じ方向を向いているかどうか、向けるかどうか安全を呈示する専門家への信頼があるかどうかに関わってくると思います。消費者行政で言うと、特に食品のところは新しい分野がどんどん出てきていて、もしかしたらまだ十分な専門家もいないかもしれない。エビデンスも十分に見つけられていないかもしれないこともあり、恐らく専門家への信頼が十分できていない世界だと思っています。この分野で専門家への信頼をどうやって作っていくのかということは消費者行政にとって重要な課題だと思います。専門家の信頼をつなぎ止められるプロジェクトであるのか。言葉を変えれば安全と安心が常に同じところにある状況を作れるのかどうか、こうした視点で今回の評価の視点になり得るのか考えてみたいと思います。

専門家への信頼が薄くなっているというのは食品行政だけではなくて日本全体様々な分野で起きていることでもあります。そういう中でとても大事な問題だと思うのですが、この14のプロジェクトあるいは今回のオフィスの評価の中で入れ込めるかどうか、一考を要すると思っています。

○樋口座長 お願いします。

○萩原委員 先ほど私がサイエンスコミュニケーションと申し上げたのは正にそこのところで、安全というところに対して消費者、市民にとってみるとそれは安心につながっていかない部分。そこで専門家の言葉をかみ砕いて説明する。それによって理解を深めていく。これが非常に重要なポイントになってくるかと思います。今の御指摘は非常に重要なので、それぞれのプロジェクトにそういう視点が入っていくことを期待したいと思います。安心・安全なのか安全・安心なのかというのは常に議論になっていて、本当にそこがベースでいいのか。どう安心感につなげていくのか。それが先ほどおっしゃられた消費者の幸せにどうつながっていくのかというところにも大きく関連してくることではないかと思います。

先ほど新川座長代理がおっしゃっていたスケールアウトの問題でも量的な拡大なのか質的拡大なのか。もちろん両方必要になってくるかと思いますけれども、まずは全国展開といったときにはまず四国に広がって面になっていく。それと同時に質も担保されていくという両方のところはどのように評価していくのか。インパクト評価ということもかなり言われるようになっておりますが、いろいろな評価手法が今、出ておりますので、それをまとめながら、ここを評価するときに一体何が、どれがいいのかというところも議論していく必要があるのかなと思いました。

ただ、全体を見ていったときに私は文部科学省の消費者教育の委員会の中で、世界共通語のSDGsの中に目標12が入っておりますが、どうこれを位置付けていくのかということが大きな枠組みの中で重要だと思いますので、そこをどこか入れていくといいのではないかと思います。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。

お願いいたします。

○遠山委員 先生方おっしゃいましたようにSDGsもすごく大切だと思います。先ほど野口委員がおっしゃいましたように14でいいのかというところ辺りだと思うのですけれども、消費者行政というと本当に全てをカバーするぐらいの大きなフィールドで、14以外のところを押さえていくことになるととてもすごい、膨大な量のことをしないといけなくて、とても会の中でまとまるような量ではないかなと危惧するのですが、ですので14例に限って、その中身は別にしまして14に限って検証していくのか、それとも、それ以外の部分も含めて消費者行政の進化を議論していくのかという辺りは、決めておいたほうがいいのではないかという気持ちもあります。

○樋口座長 次回までにはその辺、検討の対象といいますか、どういう範囲の検討をしていくのかというのをもう少し絞り込む必要があると思いますけれども。今回は皆様からいろいろな視点での問題提起をいただきました。他にいかがでしょうか。池本委員長代理はよろしいですか。

○池本委員長代理 資料2の確認の中に、今回の取組のスタートであるまち・ひと・しごと創生本部の決定の文章があります。そのマル1に未来創造オフィスで徳島県の協力を得た上で実証実験のプロジェクトを集中的に実施する。例えばエシカル消費のようにもう既に先駆的に取り組んでおられる、あるいは地域での協力が得られるということで、正に全国最先端の取組がモデルとしてできそうな課題をピックアップしてスタートしたと理解しております。ですから、その中身が更に本当に質の高いものになるために皆さんから意見を出していただいて、モデル事業がより高度なものになっていくということが第1の目的だと思います。

ただ、その後ろに長官を初め消費者庁幹部が定期的に滞在し、同オフィスの成果を消費者行政全体の発展につなげる。ここで言う全体というのが例の全国展開を図るということを意味している。これは野口委員の御発言に重ねますと、最終的な行政目的は全国の消費者行政が進化していくことです。そのために地域の現場で現実に質の高い取組をモデルとしてやっていただいて、それを全国にどう展開するか。全国に展開するためには他の地区と徳島との違いも含めて分析・検討が必要ですから、それは消費者庁が各地の実情も比較検討しながらやっていかなければいけない。実はそういう問題意識が先ほどの質問のときに申し上げた、徳島での取組そのものについての質疑も大いにやり、それを全国展開として何をどうやっているのかを報告していただき、そこに対しても皆さんの知恵を出していただきたい。その意味では二兎を追う話になりますが、是非両方を視野に入れていただきたいと思います。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。

他にいかがでしょうか。それでは、そろそろ予定の時間になりましたので、今日の議論はこのくらいにとどめたいと思います。今日いろいろな御指摘があったと思います。委員の皆様の御指摘の中には全体の調査会の進め方、そして、枠組みといいますか、どういう形で検討していくのかという問題提起もありました。また、検討の内容についても14プロジェクト個々のものについても、いろいろ具体的に御指摘をいただきました。また、例えば、全国展開と簡単に書いてありますけれども、ここの部分というのは継ぎ目の部分で非常に難しい議論かと思いますが、そういうことも含めていろいろ各委員から御意見をいただきましたので、次回以降、今回の議論を踏まえまして、たたき台といいますか、進め方をしっかり整理していきたいと思っております。

それでは、本日の議論はこの辺りとさせていただきたいと思います。

最後に事務局から事務連絡をお願いしたいと思います。


≪4.閉会≫

○丸山参事官 本日も熱心な御議論どうもありがとうございました。

お手元に資料3ということで、今後のスケジュールについてこちらにお示ししております。本日第1回目の専門調査会以降でございますけれども、年度内にもう一回この専門調査会を開催させていただければと考えております。次年度以降につきましては、2から3カ月に1回程度の頻度で調査会を開催ということを考えております。

次回の具体的な日程につきましては、追って御連絡という形でさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○樋口座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)