第3回 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 議事録

日時

2018年6月26日(火)13:30~16:36

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【専門委員】
中田座長、早川座長代理、生貝委員、石原委員、大谷委員、沖野委員、片岡委員、城委員、西村委員、畠委員、原田委員、前田委員、森委員、山本委員
【消費者委員会担当委員】
大森委員、蟹瀬委員、増田委員
【オブザーバー】
カライスコス京都大学准教授
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. ヒアリング(2)
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○中田座長 時間になりましたので、それでは、始めさせていただきたいと思います。

お暑い中、また、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから第3回「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会」を開催したいと思います。

本日は、所用により大橋委員が御欠席となっております。若干遅れられる委員も数名おられるかもしれませんが、始めさせていただきます。

まず配布資料を確認させていただきます。お配りしております資料は、議事次第の配布資料一覧のとおりとなっております。もし不足等がございましたら事務局まで御連絡いただければと思いますが、よろしいでしょうか。


≪2.ヒアリング(2)≫

○中田座長 では、今日の議題に入っていきたいと思います。前回のヒアリングに続きまして、それを前提にした上で片岡委員、城委員、畠委員から事業者における取組の現状あるいは問題点について御説明をいただきます。質疑、意見交換はそれぞれの説明があった後に、その都度、時間を設けますので、御発言ください。

時間の制約もありますが、皆様の御意見をじっくりお聞きしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

前回、時間が押したということもありまして、それぞれのお話を聞いた後に、前回の内容についても一緒に意見交換をしたいと思います。前回は消費生活相談の状況、そして課題というところがありました。特に問題点として御指摘いただいたところもあったかなと思うのですが、例えばC to Cの問題として処理するのか、それを違う方法で処理するのか。消費生活相談の限界みたいなところも指摘されたかと思いますので、そういった点についても皆様の御意見を承ることができればと考えております。

質疑応答の時間はしっかりととりますので、それぞれの委員の報告の中でまだ十分に述べられなかったような論点がございましたら、御発言ください。その意見交換の後、少し休憩をして、カライスコス京都大学准教授から、グローバルな世界としてこのプラットフォームはパラレルに動いていますので、日本にもAmazonがあるように外国にもAmazonがあるという形で、楽天もヨーロッパで活動をしているということも聞いております。そういった観点から諸外国での動き、特にヨーロッパ中心になるかと思いますが、その状況について御説明をいただければと考えております。

それでは、片岡委員から資料1について15分程度で御説明をいただき、内容について委員の皆様の意見をお聞きしたいと思います。

それでは片岡委員、よろしくお願いします。

○片岡委員 では、早速私から説明をさせていただきます。15分しかありませんので、早口になりますけれども、御了承ください。

まずお手元の資料1を御覧いただきまして、前もって申し上げておきたいのは、本日はこの顔ぶれを見まして、やはり弊社はショッピングモールについて説明をするのがよかろうということで、ショッピングモールについて中心に御説明しますが、ほかにも様々なサービスをやっておりまして、C to Cのラクマというものもやっておりますし、メッセージアプリだとか、決済サービスだとか、いろいろなものをやっていまして、プラットフォームとは何ぞやということに立ち返ると、かなりいろいろなプラットフォームビジネスをやっております。

ただ、本日お話しするのは、1枚めくっていただきまして、プラットフォームと言っても様々なビジネスモデルがあると思います。一番左がB to C型と言われるシンプルな直販型です。弊社は直販型のものもやっておりますし、右側のC to C型と呼ばれるような消費者がやりとりをするプラットフォームもあります。本日お話しするのは真ん中の、ここでは分かりやすくB to B to C型と書いておりますが、事業者が出店して消費者にサービスを提供するプラットフォームという形の中の楽天市場、ロゴで言うと一番上のものなのですけれども、楽天市場について御説明したいと思います。

3ページ、楽天市場における取引を非常に簡略化して説明すると、こういうことになります。まず下にモール運営者として楽天がおります。楽天は出店者がお店をつくって商売ができるような場の提供をしております。システムを提供したり、決済サービスを提供したり、ポイントプログラム、広告掲載場所を提供する、会員データベースを管理する等々をやっておりますけれども、そこに楽天と出店契約を結んだ左上の出店者がお店を開いて、ページのコンテンツは基本的に自分たちで制作しなければいけない、出店者が自分たちでやるのですけれども、そこにお店を開いて物を売るというようなビジネスモデルになっております。

一方、右上の消費者は、楽天のサービスを利用している消費者となります。会員登録をした上でお買い物をすることもできますし、会員登録をしないで、その都度、名前や住所を入力して買い物をすることもできる。消費者は物を検索したり申し込んだり代金を支払ったりということをしますが、基本的にそれぞれの出店者が個別に商売をしておりますので、例えばあるA店舗で物を買い、B店舗でも物を買ったら、A店舗にはその分の支払をし、B店舗には別途またその分の支払をし、A店舗からもB店舗からも、合わせて2つ荷物が届くというような形になっておりまして、出店者は当然ながら特商法上の販売事業者という立ち位置になっておりまして、そのような表示もしてあるということです。

現在、大体4万5,000店舗ぐらい出店をしております。昔から増えておりますけれども、そんなに爆発的に数がずっと増え続けているというわけではありません。それは品質を担保する観点からかなりコントロールというか、何でもいいからとにかく増やそうという路線ではないということになります。

次のページに行きまして、ではここでトラブルが起こったときにどういう対応をするかというところなのですが、トラブルと言ってもたくさんありまして、楽天に聞いて解決するものと、基本的には店舗の行動に起因するものと両方あります。楽天に問合せが来るものだと最近、決済サービスの提供を厚めにやっておりますので、そこに関するお問合せが結構多かったりします。一方、店舗向けの問合せで多いのは、いつ届くのか、というもの。いつごろ届くのか目安を商品ページに書くように店舗には言っていますので大体書いてあるのですが、やっぱり皆様早く欲しいのです。なので、いつ届くのだろうと楽天に尋ねてきたり、店舗に問い合わせたけれども、まだ返事が来ないといったようなことがあります。

原則としては、何かトラブルがあった場合に、消費者は一番最初には出店者に連絡していただくことが多いです。なぜならば、物を送ったり受注管理をしているのは出店者なので、例えば今、私が頼んだものはどこにあるのかとか、今、私の注文はどうなっているのかというのは出店者が管理しておりますので、出店者に聞いてもらう。ただ、出店者から回答が来ない、あるいは回答に納得がいかないというような場合がありますので、そういう場合には楽天に問合せが入るということになります。

下のほうにありますが、問合せが来ると店舗に状況確認や対応依頼をして、その状況を出店者から聞いて消費者に伝達することもあれば、直接、出店者から消費者に連絡が来るということもあります。出店者と消費者との間に入って情報伝達を行うような感じになっています。あっせんまでやっているかというと、そこまでは通常の問合せではやっていないことが多いです。ただし、楽天あんしんショッピングサービスという次に説明をするものがございまして、この補償対象の場合には、その補償サービスのほうに誘導して補償対応を行うということをやっています。

次のページに行っていただきまして、楽天あんしんショッピングサービスというのは何かというと、実はこの名前での補償サービスは10年以上続けておりますが、開始当初から今にかけてだいぶ適用範囲を拡大してきております。何かというと、楽天でお買い物をしてトラブルがあった場合に、その商品代金を補償するというものなのですが、一番昔、始めたころはどちらかというと夜逃げ案件というか、注文をたくさんとったのだけれども、商品を送らずにいなくなってしまったというようなものを対象にしておりました。ところが、ショッピングモールもだんだん普及してきまして、各社がいろいろな補償サービスの充実だとか、あるいは出店者の質も上がってきて、そういったトラブルというのはそんなに起こらなくなってきています。つまり、競争するとしたらもっと上の部分で、もっとレベルの高いところで競争をしないとほかのモールに勝てないという時代になっているとショッピングモールに関しては思っていますので、適用範囲を拡大してきたということになっています。

今はどういうものが適用範囲になっているかというと、大きく3つありまして、5ページ目に書いてありますとおり未着・遅延・欠陥品、ブランド模倣品、それから、あす楽遅延というのは何かというと、明日までにお届けしますという約束を店舗がした上で掲載している商品があるのです。もちろん地域は限られていたりする場合もあるのですけれども、それが翌日に届かなかった場合の補償がございます。これらは購入金額分を最高30万円まで補償ということになっておりまして、補償回数に上限があると書いてありますが、年間5回まで適用を受けることができます。

更に細かく御説明しますと、次の6ページに行っていただきまして、典型的なものではあるのですけれども、代金を支払ったのだけれども、商品がなかなか届かないというもの。それから、お届け予定日を過ぎて商品が届いてしまって、もうこれでは意味がないというもの。例えば母の日とか、誕生日とか、その日に届くことに意味があるのに、その日を過ぎて届いてしまったというようなものです。それから、商品ページの内容と全く違うもの、又は欠陥品が届いたという場合。それから、何かトラブルがあってショップと交渉の上、返品したのだけれども、ショップがちゃんと返金対応してくれないという場合。ブランド品を購入したのだけれども、もしかして模倣品なのではという疑いを抱いているというようなトラブルに基本的には対応しています。

これはいずれも基本的には商品をお返しいただくことを条件に購入代金を補償する。購入代金は現金で銀行振り込みするか、楽天スーパーポイントで付与するかを消費者側でお選びいただけることになっています。注文日の翌日から90日以内に楽天市場に補償申請をすることになっています。ここはあんしんショッピングサービスを説明するページになっていて、ここからも申請できるのですけれども、楽天市場でお買い物をすると、「購入履歴」という自分が買ったものの注文履歴があるのですけれども、そこにも補償申請ボタンというものがついていまして、分かりやすくなっております。

ちなみに、あす楽の場合、翌日は届かなかったけれども、そこについては文句があるが、商品を返すつもりはないという場合がありますので、そういう場合には物は返さないけれども、5%相当の楽天スーパーポイントを受け取れるというような補償もございます。これらの補償は昔と比べてかなり範囲を広げていまして、消費者の御不満な点はどこにあったのかというのを丁寧に確認しながら補償を行っております。明らかに店舗に非がある場合には、店舗に費用を請求することもできるような規約にはなっているのですが、そこまで至らずに、双方の言い分が食い違うのだけれども、補償は楽天として行うというような、楽天が持ち出しで行うようなものも結構ございます。

次に行きまして、それ以外のものも含めてどのような取組を行っているかというのを簡単に御説明します。まず対出店者なのですけれども、規約・ルール・ガイドラインというものを整備しております。7ページです。このルールで特徴的なのは、2年ほど前から開始しているものとして違反点数制度というものがあります。これは何かというと、出店規約の下に様々なガイドラインがあるのですけれども、前は違反したらそのたびに注意をしたり、警告をしたり、よっぽど重いことをやると出店契約解除ということになっていたのですが、誓約書集めになるのもむなしいねという話があったりして、違反点数に応じて、それが一定期間内に累積したら一定のペナルティーを課すというような分かりやすい仕組みにしました。一番重いものが契約解除となるのですが、それ以外にも違約金を請求したりとか、あるいは一定期間、お店を閉めていただくというようなものもペナルティーの中に入っています。

それから、出店審査を行っております。様々な角度で出店審査を行うのですけれども、出店の段階で楽天銀行口座を持っていない場合は開設していただく、あるいはクレジットカード決済の導入を必須にしておりますので、銀行口座がちゃんとつくれる事業者かとか、カード審査がちゃんと通るような事業者かといった観点もあります。

あとは、後で詳しく説明しますが、法令・ルール遵守の呼びかけ、啓蒙活動などは自分たちでやるものもあれば、行政と協力してやるものもあります。自分たちでやっているものの例として、このページの下に載せていますけれども、出店時に配付している「みんなでつくる楽天市場店舗運営ガイドブック」というものがございまして、具体的にどういうところに注意しながら店舗運営をしたらいいのかというところを注意喚起していたり、右側はかつてちょっとお騒がせしたことのある価格表示とか割引表示について、どういったものがダメで、どういうふうに気をつけて価格設定をすればいいのかというものも冊子をつけて配っております。

自主的なパトロールや調査ももちろんやっていまして、これも様々な切り口でやっています。取扱商品、変なものを扱っていないかとか、価格表示がおかしくないか。広告表示がおかしくないか。昔は薬機法違反、当時の薬事法違反みたいなものを中心にやっていたのですが、かなりパトロールを強化したら薬機法違反があからさまみたいな広告は大分減りまして、今はいろいろな角度から広告表示についてパトロールしています。自主規制に違反した場合の出店者のペナルティーは先ほど御説明したとおりです。

8ページ、対消費者にはどういうことをやっているか。まずヘルプページを作っておりまして、検索して回答が見つかるという、短時間で問題解決できるような仕組みの1つとしてヘルプページを提供しています。あと、問合せ窓口を複数設置しておりまして、チャットと電話とメールで問合せができるようになっています。ちなみに問合せで終わった後に一番満足度が高いのはチャットです。それから、消費者から出店者の苦情に際して仲介。先ほどの図です。主に情報伝達のほうが多いです。それから、一部情報の出店者への開示制限。これは競争法の観点からいくと微妙になってしまう場合もあるのですけれども、メールアドレスですとかカード番号をそのまま店舗には渡さない。基本的にはそこについては開示制限をすることで安心してお客様にお買い物をしていただくことになっています。これはそれぞれ店舗のセキュリティー状況などがありますので、生のメールアドレスなどが店舗のローカルサーバーにたまってしまうとセキュリティー上、危ない場合もあるので、そういうことをしております。

あとはお買い物レビューを消費者は参考にすることが多いですので、お買い物レビューのモニタリングもやっております。不正レビューがないか、様々な切り口でモニタリングをしております。それから、お問合せを直接する方法以外に、匿名での御意見窓口も設置しておりまして、各商品ページ上に通報ボタンみたいな感じで窓口を設置しています。それから、先ほど説明した補償サービス、それから、ペイメントサービスの提供も結局、お金の流れがわかっていないと、何かトラブルがあったときに「私は支払った」ということがモール側からは分からないのです。ですのでペイメントサービスを提供し、ペイメントとして間に入ることによって、既に支払がなされているのか、既に返金がなされているのかということがわかったりしますので、決済サービスの拡充を今、進めております。

なりすましメール、サイト等の注意喚起。これはショップのトラブルとは別の観点なのですけれども、楽天を装ったサイトとか、なりすましメール、架空請求といったものが猛威を振るっておりますので、その注意喚起などをしています。後で説明しますが、他社と協力したパトロールなどもやっています。

9ページ、行政ともいろいろな協力をしております。例えば警視庁とは協定書を結んでいまして、EC不正利用犯罪対策とか、サイバー犯罪対策の協力をいろいろやっております。それから、経済産業省ですと製品安全に関する情報交換とか法執行等への協力、例えば最近こういうもので製品安全に問題があることが分かりましたという情報をいただいたら、同じ型番とか似たような商品を探して店舗に注意喚起をしたりとか、商品を下げてもらったりというようなことをしております。消費者庁も法執行の協力をしておりまして、健康増進法に基づくこの表示を改めてくださいというものがあるのですが、通常、法執行ですので直接店舗に連絡が行くわけですが、直接店舗にも連絡が行くものの、楽天側にも情報提供いただいて、楽天からもこういう連絡が来ているはずなので、ちゃんと直してくださいというようなことをやったりしています。あと、かなり長いつき合いになっている東京都薬務課さんとも、長いこと協力関係を築いていまして、毎年やっているインターネット薬事広告監視活動への協力ですとか、薬機法に関する情報交換などを行っています。国民生活センター、消費生活センターについては、意見交換とか情報交換、たまに勉強会なども実施しています。それから、国民生活センターを通じて消費生活相談員から、何か御質問があったらここに連絡してくださいというような連絡先一覧を開示したりしています。

その他、省庁についても都度であることが多いですけれども、例えば試売買調査でこの商品に問題があることが分かりましたという情報をいただいて対応することもありますし、最近こういう問題が多いのでということで注意喚起することもございます。

最後ですが、外部機関等との協力も行っております。代表的なものをここに挙げていますけれども、まずはブランド権利者・権利者団体ということで、模倣品対策というのはなかなかモールだけでは解決しないのです。やはり物が偽造品なのかどうなのかというところの確認あるいは最近の傾向といった情報交換も必要になってきますので、今、1,000以上のブランドの権利者ですとか権利者団体の方と覚書を結んだ上で、模倣品対策の協力をしております。その協力があってこそ、ブランド模倣品補償も実現しています。

それから、賃貸管理団体との協力ですが、不正注文は空き室を使って注文したりするのです。空き室に届けさせて玄関前で受け取るということがあったり、あるいはどこに置いてあるかを確認した上で、合い鍵を使って空室を開けてしまって、そこで商品を受け取るというような不正注文があったりしますので、空き室情報をデータでいただきまして、そこに対して注文が入った場合には店舗に連絡をして、その注文をとめてもらうというようなこともやっております。

セキュリティーベンダーとの協力。これはセキュリティーソフトウエアとかそういうものです。なりすましサイトの情報提供をしております。実は毎日のように楽天の偽サイトがないか検索しておりまして、目視で探しているのです。それをデータにしてセキュリティーソフトを提供しているセキュリティーベンダーに提供すると、もし万が一、セキュリティーソフトを入れたお客様がそのサイトを見ると、ここから先は危ないよという警告が出るのです。そういうことでなりすましサイトの被害を防ぐということをやっております。

最後にお問合せ窓口を書いておきましたけれども、先ほど申し上げたとおり、今チャットが一番満足度が高いのと、件数をたくさん捌くことができるということもございますので、チャット推しで問合せは表示しておりますが、チャット以外にも電話、メールでのお問合せも受け付けております。

以上です。

○中田座長 ありがとうございました。

全体の枠組み、そして紛争解決の在り方について非常に分かりやすく説明していただけたと思います。

それでは、御意見あるいは御質問がありましたらぜひ御発言いただければと思います。

○大森委員 利用したことがないので初歩的な質問をすみません。

利用する事業者とか消費者は楽天さんにどういう段階で、どの費用を支払うのですか。

○片岡委員 消費者から楽天に直接お金をお支払する機会はなかなかなくて、基本的には出店者にサービス提供をしていて、例えば決済サービスなんかも手数料はいただきますが、それは出店者からいただくという形になっています。

○中田座長 よろしいでしょうか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 よく分かりました。ありがとうございます。

3つお聞きします。1つ目は3ページの出店者の顧客データ管理と楽天側の会員データベース管理の違いを教えてください。、そのついでですが、メルマガ送付を出店者ができるという枠になっていますが、現実にそれが可能なのかどうか教えてください。あまりできないようなことをよく聞くので、それが1つです。2つ目ですが、メルマガを例えば出店者が出した場合に、どこまで楽天の方が管理をしていらっしゃるか監視をしていらっしゃるか。その辺のことをお聞きしたい。それから3つ目ですが、8ページの今、一番チャットが人気がありますということですが、対応の中で電話の場合、往々にして自動応答対応というのが長い間続いてからの対応、つまり、御用件は何ですか、何についてですかというのをずっと聞いてからでないと直接CSの人とお話ができないのが今の流れの中にあります。楽天さんはどうなっていらっしゃるか。それから、時間があればでいいのですが、6ページのトラブルの中で楽天さんが持ち出しをしなければいけなかった例。何か問題があったときにしようがないから楽天持ち出しでやりましょうということがあった、その例がもしお話ができればお話していただければと思います。

○中田座長 お願いします。

○片岡委員 まず出店者とモール運営者とのデータベース管理の違いなのですけれども、どうしてもECショッピングは商品を送らなければいけないのです。ですので名前とか住所とか電話番号がないと出店者が運営できませんので、運営に必要な個人情報というのは出店者でもきちんと持つことができるようになっています。逆にそれはきちんと管理してもらわなければいけないということになっています。ただし、一部のものは開示制限をしているということです。楽天側は楽天側でシステムを全て管理していますので、そこに入ってくる個人情報ですとか会員データベースを全て管理しているということになっています。それが違いです。

2番目のメルマガですけれども、メルマガは楽天のシステム上で同意をとって、楽天のシステム上で送るという形になっていますので、送ることは可能です。出店者がメールアドレスを見られなくても送ることは可能です。ただ、楽天のメルマガは、店舗がたくさんいますので、昔から送りすぎではないかと大変な御批判をいただくことが多くて、昔に比べるとそんなにたくさん店舗が送らないように通数を制限したりとかいうことはしています。ただ、それも消費者からの楽天のイメージが悪くなるのを防ぐためというか、そんなにたくさん送られてきても見てもらえるわけではないので、質の高いメルマガを適切に送っていただくように制限をしていたりします。ただし、メルマガの内容は事前にチェックするとかいうことではなくて、写しが楽天側にも送られてくるようになっていますけれども、それは店舗側で責任を持って書いてもらうことになっています。

○蟹瀬委員 そうすると送り側は楽天という形になりますか。

○片岡委員 楽天のシステムで各店舗が送っています。

○蟹瀬委員 システムの中に入って、例えば私の名前で行くということですね。

○片岡委員 そうです。

○蟹瀬委員 その場合は出店者側はお客様のメールアドレスは分からない。

○片岡委員 メールアドレスは分からないです。

○蟹瀬委員 分かりました。ありがとうございます。

○片岡委員 それから、電話の振り分けの部分です。これもすごく御意見はよく分かるというか、電話をかけてすぐに人と話したいというニーズはたくさんあると思うのです。ただし、これはコールセンターの効率化との兼ね合いがありまして、やはりものすごいプロフェッショナル、何でもござれみたいなスタッフをたくさん用意するのはとても難しいのです。なのでどうしても最初に振り分けをした上で、答えられる部署に転送することをやらないと、なかなかコスト高になり過ぎてしまって難しいというところがあります。ただ、どのぐらい待たせているかといった時間とかはきちんと把握できるようにしていて、それをいかに削減していくかという取組は常にやっております。

補償サービスの持ち出しの例なのですが、実は結構最近は積極的に持ち出していますので、あまり少ない事例ではない感じです。ここにこう書いてあったのに、私が届いたのはこうだったから、私はどうしても納得できない。でも店舗は、これは写真の具合の問題であってこうですと店舗としては言い分があって、消費者としても言い分があって、どっちがどっちとも言えないねという場合もあったりするのですけれども、最近は結構積極的に補償をするようにはしています。店舗も結構一生懸命やっているのです。そんなに簡単に店舗に費用をお支払してくださいと言えるわけではないところはあります。

○中田座長 ほかにいかがでしょうか。

○早川座長代理 最後のところの問合せ窓口についてお伺いしたいのですけれども、楽天様だけではなくてほかのところも含めて何か問合せをしたいときに、例えば電話だったら一体何時間僕はこの音楽を聞いたらいいのだろうかという感じでずっと待たされるようなことがあって、イライラすることがあるのですけれども、最近チャットを使っているというお話がございましたが、これは実際にどなたかがチャットの向こう側で全部打ち込んでいるのか、それともある種のパターンでbotといいますか、使っているのか。その辺はいかがなのでしょうか。

○片岡委員 チャットはbotと人と両方使っておりまして、基本的には一番最初に出てくるのはbotです。そこからbotで解決できない場合、あるいは私はオペレーターとチャットがしたいんだというボタンを押した方には、人がチャットをするという感じになっています。

○早川座長代理 そうすると、私はオペレーターと話をしたいんだということは、前提として今、話しているのはbotだということを理解していることが前提になっているのですけれども、今、私が話している一番最初のころの人はbotなんだということは、あらかじめインフォームされるのでしょうか。それとも気がつく人だけということなのでしょうか。

○片岡委員 11ページに書いてあるのが実際の画面なのですが、自動応答サービスにてお答えしますと出しています。

○早川座長代理 これがbotという意味なのですね。

○片岡委員 そうです。

○中田座長 ありがとうございます。

ほかにございませんか。山本委員、お願いします。

○山本委員 1点お伺いしたいのは、リアルなショッピングモールだと出店する場所によって恐らく契約の内容も変わってくると思うのですけれども、オンラインのショッピングモールの場合に、検索結果として表示される場所や順位の違いみたいなもの、出店契約のところだと思うのですが、違いはあるのか。それとも全く同じ契約内容なのか、そのあたり教えていただければと思います。

○片岡委員 基本的に皆さん全て同じ出店規約で出ていただいていて、どんな大手でも、どんな小さいところでも同じように勝負できるというのがネットの魅力ですので、もちろんよりよい場所の広告を買うとか、そういうことはできますけれども、お店自体で何か優劣がつくみたいなことは契約上ないです。

○中田座長 ありがとうございます。

消費者相談の現場からの問題点はございませんか。大丈夫ですか。

それでは、増田委員、お願いします。

○増田委員 例えば国民生活センターなどから危害・危険の情報提供など、違法、違反でないにしても、こういう危害があるので気をつけましょうという消費者向けの発信があるかと思うのですけれども、その場合、個別の事業者さんが勝手に売ることは、それは取り締まりが難しい場合が多いと思うのですが、プラットフォームさんの場合、そういう情報に対してどのような対応をされているのかお教えいただけますでしょうか。

○片岡委員 そういった情報をいただいた場合には、迅速に対応するようにしています。以前もマグネットボールの注意喚起があったと思うのですけれども、あのときなんかも情報をいただいてすぐに対応して、店舗に連絡をして、必要な表示をさせたりとか、物によっては本当に売るのがそもそも危険だというようなものの場合には、出品をとりやめてもらったりとか、そういうことは迅速にするようにしています。特に人体に危険が及ぶ可能性があるものは、できる限り迅速に対応するようにしています。

○中田座長 西村委員、お願いします。

○西村委員 個別案件を解決するというのも大切なことなのですが、消費者センターで相談を受けたときは被害者が拡大しないようにという観点も重要視していまして、問題があるなというショップを、できましたら休店扱いに速やかにしていただきたいなという思いもあるのですが、大体どのくらいの期間で休店決定までなさっているのか、スケジュール感を教えていただければと思います。

○片岡委員 本当にケース・バイ・ケースです。基本的に出店している事業者皆様全て真面目にやっていらっしゃって、楽天で商売を一生懸命なさっている方が多いので、ちゃんとした合理的な理由なくいきなりお店を閉めてしまうと生活に影響してしまいますので、ケース・バイ・ケースです。本当に緊急性があるものはすぐに判断をします。多少リスクをとってでも。そこは物によってです。

ただ、最近は一生懸命やっている中で例えば受注が思いのほかたくさん来てしまったとか、そういったものも時々ありますので、そういったものは店舗の対応能力などを見ながら、必要に応じて楽天も手伝いながら判断していく。いきなりお店を閉めると実はお客様はかなり混乱したりすることもあるのです。そういう場合は、お店は開けている、でもお買い物はできないようにしておくなんていうことをすることもありますし、ケース・バイ・ケースで何が一番いいのかというのをその都度判断してやっています。

○中田座長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 不審メールの件なのですが、私も楽天を愛用させていただいているので、あらゆる楽天メールがいつも来ます。時々不審メールの御連絡が来ると、今までの楽天メールはあけていいのかどうか。この不審メールって本物なのかどうかとどれが本当かどうか分からないので非常に消費者が混乱を招く時代になってきたなと思うのですが、それに対してこれは絶対にあけてはいけませんよというノーティスみたいなものは必ず出していらっしゃるのですか。

○片岡委員 これもトレンドがあって、いきなり大量にいっぱい出たなというときはあるのです。そういうときは具体的な文面とともに注意喚起をしたりしています。お問い合わせが多くない場合全部注意喚起を出しているわけではないのですが、たまに大きな波があり、「楽天なりすましキャンペーン」みたいに猛威を振るっているときがあるので、そういうときはできる限り早く実際の文面などを出しながら注意喚起をしたりしています。ただ、この問題は本当に課題です。どんどん巧妙になっていくので。

○中田座長 ありがとうございます。

お三方の報告が終わった後にまた時間を設けますので、とりあえず第1番目の報告をこのあたりで終わりたいと思います。

続きまして、城委員から資料2につきまして15分程度で御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○城委員 「株式会社メルカリ サービス概要と安心安全の取組について」という資料を御説明させていただきたいと思います。

実は私も昔は楽天で働いておりまして、今の説明を懐かしく聞いていたのですけれども、本当にしっかりしているなという印象を私は受けました。それに負けないようにメルカリとしても健全化対策に取り組んでいるところでして、その一端を本日は説明できればなと思っております。

1ページめくっていただきまして2ページですけれども、本日はこの3点についてアジェンダ、お話をさせていただきます。

3ページです。まず簡単にメルカリの説明をさせていただきます。メルカリは個人間での物の売買ができるプラットフォームになっております。このスライドにありますように、簡単に出品ができる。分かりやすい画面構成、説明を心がけることで、これまでネットで取引をしてこなかった方々にも、簡単に利用できるようなサービスになるように努力をしております。

4ページに行っていただきまして、現在メルカリはどれぐらい使われているのかというところなのですけれども、実は日に100万品程度の出品が行われておりまして、月間、個人間で300億円超の取引が行われております。

5ページ、幅広いジャンルでの取引がなされていることも特徴の1つです。

6ページに行っていただきまして、お取引の流れというところですけれども、メルカリでは取引を進めるに当たって、出品者と購入者が順番に行動していくという形になっております。出品者が出品し、購入者が購入。代金をメルカリに一旦支払っていただくのですけれども、次に出品者が発送。荷物が届いたら購入者が受取評価。最後に出品者が評価。これで取引が完了という流れになっております。

7ページなのですけれども、これは6ページの取引の流れを図示したものになっております。メルカリが代金の支払を一旦お預かりするということで、商品未着で代金だけ取られたとか、逆に代金を払ったけれども、商品が届かないといったトラブルを防止しております。

8ページはメルカリでできる決済方法を紹介したものになっております。様々な決済方法を提供しているところです。

9ページは、個人間の取引で不安になるところの1つとして、取引の相手方に自分の住所、氏名を知られたくないという需要が結構あります。そこでメルカリでは配送会社、ヤマト運輸さんですとか郵便局と連携をしまして、お客様間では匿名での配送をすることができる仕組みを導入しております。

10ページ、先ほどの取引フローのところで最後に受取評価をするということがありましたけれども、その画面を掲載させていただいております。商品の中身をきちんと確認しましたというチェックボックスをつけていただいて、相手のことを評価する仕組みになっております。これも詐欺防止への取組として効果があると思っております。

11ページ以降、ここから本題になっていくのですけれども、安心安全の取組について御説明をさせていただきます。

12ページがまずカスタマーサポート体制ですけれども、24時間体制で問合せ対応、違反出品監視等を行っております。

次のページから、安心安全の取組としての未然防止と監視対策を中心に説明させていただきます。

13ページ、まず本人確認についてです。フリマサービスについては古物営業法の適用外ではあるのですけれども、昨年12月から自主努力として競りあっせん業者並みの本人確認を実施しておりまして、住所、氏名、生年月日と口座名義の照合を行い、同一名義の方に限ってお金をお支払するということをやっております。

14ページ、一度違反行為を行って退会になったユーザーの情報については蓄積しておいて、そのような悪質ユーザーの再利用は防止を行っております。

15ページについては、ユーザー登録の際には外部のデータベース等を用いまして反社チェック等も行っているというものです。

16ページは未成年対策ですけれども、酒ですとかたばこ、年齢制限のある商品については年齢入力をしていただいておりまして、また、もともと登録するときの年齢情報と異なる場合には、一旦、取引はストップして詳しく確認をすることとしております。

監視対応は17ページ以降ですけれども、ここに書いてあるような4つの軸で対応を行っておりまして、18ページのほうで商品監視ですけれども、監視ツールのほうで偽造品ですとか盗難品出品によく使われる表現、こちらをNGワードとして登録しておきまして、これで機械的に検知し、最後は目視でそれを確認する方法が1つ。それから、監視対応の社員がおりまして、サイト上を巡回して発見する方法が2つ目。

最後に、お客様から寄せられる通報情報を社員が目視で確認する方法のおおむね3つのやり方で監視を行っているところです。

次のページ、19ページですけれども、監視にはAIを活用し、過去の違反行為、違反出品の分析、ここに書いてあるような観点で行っております。

次のページ、番号が間違っているのですけれども、21ページが本当は20ページでして、AIの活用ということで、例えば過去に削除した商品画像や商品説明を先ほど申し上げたデータベースに取り込んでおりまして、それで類似の怪しい商品が出てきたときにAIを活用して抽出されるような活用を行っております。

次が20ページのほうになってくるコメント監視ですけれども、メルカリのメッセージというのは誰でも見られる掲示板的なものなのですが、ここで出品者の方に暴言ですとか誹謗中傷をするような方もいらっしゃるので、そういったものは先ほどと同様にツールで抽出したり、パトロールで抽出したりして、文言削除ですとか注意を行っております。

22ページは決済関係の監視になります。こちら例えば一定期間内の使用頻度が多過ぎる方ですとか、取引開始から終了までが異常に早く終わる方とか、一定期間内に高額、線を引いているのですけれども、一定金額以上の取引を行っている方などについては、取引内容を精査させていただいて、必要に応じてもう一度、本人確認書類を出していただいたり、ヒアリング等を行わせていただいております。

23ページの盗品対策ですけれども、こちらは一例ではありますが、書籍ですとかDVDとかもそうなのですけれども、盗品販売されやすいとされている商品について、例えば複数の新刊を出品されているような方については監視対象となりまして、一番下に書いてあるような入手ルートの確認ですとか、本人確認資料の提出を追加で行っていただいております。

24ページは、前回の会議でも出ていた専用出品対策というものですが、下のほうの削除となる商品というところにあるのですが、そもそも何を売ろうとしていたのか分からない。いきなり専用出品として出品されるようなものについては規約上、そういった出品は禁止しておりまして、削除対応を行うことになっております。

25ページがお客様からのトラブル解決の対応になります。こちらは現在ここ24時間と書いてありますけれども、大体12時間以内には対応を実際にはしております。問い合わせいただいた内容については事務局で内容確認の上、アドバイスをさせていただいているのですけれども、基本的には当事者間での解決を促すというか、そちらが原則なのですけれども、お互いの主張が平行線をたどる場合など、その場合には弊社のほうから解決の提案をさせていただいております。

下のほうなのですけれども、この人、問合せはないのだけれども、もしかしたらトラブルに巻き込まれているのではないかというような方、例えば受取評価が一定期間行われていないような方については、こちらからどうされましたかというような連絡をとりまして、取引完了まで困っていることがないかサポートするというようなことも行っております。

26ページなのですけれども、補償体制ということでお客様から商品の不備があったとか、破損があったと申告があった場合には、ヒアリングを行うのですが、原則としてまず初回についてはすぐに補償を行う。何度も何度もされてくる方はちょっと怪しいのではないかということで、いろいろ調査させていただきますけれども、一度目についてはその方の言い分を信じて補償は行っているところになります。

27ページ、啓発活動もいろいろやっていますよというところで、マグネットボールの出品等では、ここに書いてあるようなこともきちんと書いてくださいねと。これを書いてくれない方は出品停止、削除させていただいたり、出品者の方にその旨を御説明させていただいたりしております。

最後のパートになっていきますけれども、今までのところは自主的な安心安全な取組を説明させていただいたのですが、自分たちの努力だけでは限界があると考えておりまして、外部機関との連携にも力を入れております。

まず29ページが警察との協力関係というところですけれども、警察のほうから照会というのはいろいろ来るのですが、それへの対応だけではなく、その全国の県警向けにメルカリの仕組み等の説明をして回っておりまして、30ページにはそちらの業種、こんな形で解析実務研究会と書かれていますけれども、こういうものを全国でやらせていただいております。

31ページは権利者、ブランドさん中心ですけれども、商標権者、著作権者との連携として1,000のブランドと点検を行っております。やはり我々のほうではそのものが偽造品なのかどうか分からないことも多くありますので、そういったものの商品、写真から鑑定を行っていただいたり、物を送ってそれを見ていただいたり、さらには定期的にパトロールをしていただくブランドさんもいらっしゃいまして、そちらから監視通報をいただいたりしております。

次のページは、連携している権利者数の推移がどんどん増えてきていますよというものです。

33ページは消費生活センターとの連携です。定期的に国民生活センターとの意見交換、大体3か月に1回程度行わせていただいております。警察と同様に全国の消費生活センターも訪問させていただきまして、相談員向けの説明会を開催させていただいたりしております。

次のページは、その様子を掲載させていただいております。

最後の35ページなのですけれども、業界としての取組です。1社だけできれいにしても、別のサイトに悪いことをする人が流れてしまっては業界全体の評判が悪くなってしまいますので、業界としては横断的な対応が必要だと考えております。ここに書いてあるようなCIPP、AICJ、EC事業者協議会等、それから、個社レベルでもいろいろな意見交換も行っているのですけれども、各社共通の課題について知見を持ち寄って、業界全体としての健全化に取り組んでいるところでございます。

以上、説明させていただきました。

○中田座長 ありがとうございました。分かりやすく、また、重要な点について御説明いただいたのではないかと思います。

それでは、御意見あるいは御質問ございましたらぜひお願いいたします。大森委員、お願いします。

○大森委員 5ページの商品のジャンル別のパーセントが出ているのですが、これは出店数なのか、金額なのか、どちらでしょうか。

○城委員 こちらは取引が成立したパーセンテージになります。

○大森委員 7ページのほうでお金の流れとか、エスクロー決済を導入してということを書かれているのですけれども、個人であれば割合小さい額の取引なんかもあるかと思うのですが、支払われるときに具体的に何%引かれて、細かいものもその都度振り込まれるのか。その辺ちょっと教えてください。

○城委員 そうですね。説明が漏れていたのですけれども、弊社はどこで売り上げを得ているかといいますと、取引が成立したときに出品者様から売り上げの10%をいただくという形になっております。

具体的な弊社の受け取り方なのですが、7ページで⑤の支払というところで出品者の方に購入者から支払われた売買代金をお支払いするのですけれども、その際に手数料として10%引いた金額を、つまり出品者の方には売買代金の90%の金額をお支払するという形になっております。幾らからでも出品者の方はお受け取りいただけるのですが、出品者の方としてはまとめてお金を受け取りたいという方もいらっしゃいますので、⑤というのは自動的にメルカリから出品者の方にお支払を都度するのではなく、出品者の方が欲しいというときに口座のほうにお支払する。ただ、ずっとメルカリが持っているというのも何かあったときに危ないというのもありますので、少なくとも3か月以内には引き出していただくという、そういったルールにさせていただいております。

○大森委員 ありがとうございました。

○中田座長 ほかにありませんか。原田委員、お願いします。

○原田委員 取引のシステムで質問を2点ほどお願いしたいのですが、6から7ページで、7ページにエスクロー決済を導入と書かれていて、そこに商品を発送したのに代金が支払われないというのがトラブル防止と書いてあるのですけれども、これは上の6ページの取引の図で出品者の方が商品を発送する。発送後、アプリ内で発送通知を押すとなっていて、発送された後はらくらくメルカリ便以外の発送方法をしたものは、らくらくメルカリ便は後のほうに補償があると書いてありますけれども、要は預かっている状態のものを払い出すというものとは別に、発送の部分の補償に移行するという理解でよろしいのでしょうか。そうすると、らくらくメルカリ便以外で発送通知がなされたときに、物が届かないというトラブルが発生したときは、どういう救済になるのかというのが1点。

もう一つは、実務的な話で24ページで専用出品という前回もそういう話がありましたけれども、我々のところで伺い聞くような事例なんかのケースですと、要は受け取り評価とかをして、売主さんに払い出されてしまった後に、当事者間でやっぱり返品、返金しようかみたいな話になったときに、これを使って返金をするというような裏技をやるというユーザーさんがいらして、それで取引当事者の相手の方に何々様専用と出してやると、実際に取引しているのだかしていないのだかよく分からないという感じになるのですが、これはやはり取引の実態がないという点では一発アウトになってしまうのかどうかというような、実務的な話で申し訳ないですけれども、そこを教えていただければと思います。

○城委員 まず1点目のらくらくメルカリ便を使わない、匿名配送を使わない場合の補償なのですけれども、その場合も補償対象になります。主な補償対象として26ページ、らくらくメルカリ便によるとあるのですけれども、これは資料が誤っていまして特に限定はされておりません。らくらくメルカリ便の場合、ヤマトさんのほうがある程度補償もしてくれるというところで、うちとしては助かるところはありますけれども、お客様からすると誰が補償するかは別にして、どの方法をとっても補償はされます。

もう一点が専用出品の使い方で、返金を行う場合に専用出品というやり方を使う。これは独自ルールなのですけれども、基本的に認めておりませんので、違反行為として削除等を行います。そもそもこれを使うとまた弊社が10%手数料をとることになってしまいますので、お客様としても損をしますし、キャンセルする場合にも弊社に言っていただければ、特に10%とることなくキャンセル対応に応じますので、もし今後もそういう方がいらっしゃったら、事務局にその旨を言ってくださいと言ってくれれば損なく返金できると考えております。

○中田座長 今の点なのですけれども、いろいろなケースがあると思うのですが、例えば受け取ったときには商品がちゃんとしているものだと思ったけれども、その後、使っている間に突然壊れてしまって、これは最初から問題があったのではないかという判断ができるようなケースで、出品者にその旨を問い合わせたいと考えた場合は、どのような形で処理をされているのでしょうか。そういう受け取った後で欠陥があるとわかったときに、どういうふうにメルカリとして対処するかという点については、何かそういう情報提供ないしはトラブル解決の仕方というのは御用意されているのでしょうか。

○城委員 まず受け取った後、2週間以内ですと出品者、購入者間でのメッセージング機能が使えまして、そこを通じてお話し合いをしていただき、そこで解決されない場合はメルカリで補償するというような対応になります。

2週間を超えてしまうとメッセージング機能が一旦使えなくなってしまいますので、その場合はメルカリのほうに直接お問い合わせいただき、そこからどの出品者の方かというのを見つけ出し、メルカリのほうが間に立って連絡をさせていただき、両者の言い分から、もともとそれが不良品だったのかどうか等を、メルカリのほうで信憑性等を判断させていただいた上で、お客様同士で解決案を提案させていただくことを行っております。ただ、期間がたつとお互い本当にどうだったのかなかなか判断がつかないところになってきますので、そこに時間をかけるよりは早く不安を解消したいということで、弊社のほうで積極的にそこは補償するという対応をとっております。

○中田座長 そのあたりは購入者に対して、きちんと紛争の処理については教示しているということなのでしょうか。

○城委員 まず2週間以内についてはメッセージング機能が使えますということをガイド上で言っていまして、それ以降についてはメルカリに問い合わせくださいということは記載をしております。

○中田座長 ありがとうございます。

ほかにございませんでしょうか。お願いします。

○大谷委員 2点ほど御質問させていただきます。

まず出品者の本人確認のところなのですが、住所、氏名、年齢、生年月日の登録を必須化するとともにということと、同一名義の口座のみに引き出しが限定されているということはお聞きしましたが、本人確認のところで本人確認書類なども必須としているのかどうかというあたりを確認したいなと思います。

もう一点は、出品者ではなく利用者のほうの登録の状況の確認というのがどの程度までされているのか、これを御説明していただきたい。この2点をお願いいたします。

○城委員 まず本人確認の際に書類、免許証ですとかパスポート等の提出までは現在求めておりません。そのような書類については、先ほどの説明の中にもありましたけれども、例えば一定金額以上の取引を行っている方ですとか、怪しい行動をされる方について書類の提出を求めるという運用をとっております。

もう一点、購入者の方の本人確認については、購入者としての確認というのは現状、本人確認としては行っておらず、といいますのは多くの方がC to Cのサービスで出品者にもなり、そちらのほうで初出品時に本人確認を行っていただいておりまして、それ以上を購入者のほうではしていないのが現状です。

○中田座長 ありがとうございます。

お願いします。

○片岡委員 補足になってしまうかもしれないです。弊社もC to Cをやっているのですが、購入者側は物を受け取るのに住所が必要なのです。だから物が受け取れない情報を入力しても商品が受け取れないということになるので、購入者側については商品の送付先という情報がありますので、もし何かあった場合には、もしそれこそ捜査などが必要になれば、それをもとにリーチすることができると思っています。

○城委員 実際、まさに配送先住所、決済情報、カード情報等から、その方がどんな方なのかというのが分かりますので、もし購入者の方についての情報を警察のほうから照会等を受けた場合でも、これまでのところ答えられなかったということはないのが実態です。

○中田座長 よろしいでしょうか。

○大谷委員 追加で、特に利用者なのですが、クレジットの決済の場合には利用者の名前が同一でなくてもクレジットを利用できるような状況にあると思いますけれども、その辺ですとクレジットの情報で追跡ができるというような形であっても、イコールではないケースが多いので、全くその辺の確認はされないこともあるということなのでしょうか。

○城委員 クレジットの名義と配送情報とが一致しているかどうかというのはデータベース上ですぐ分かりますので、そこが一致しないというのは、この人は怪しいのではないかということで監視対象にさせていただいております。

○中田座長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 周りでいろいろな人がメルカリを使っておりまして、上場しておめでとうございます。

過去、お金まで売っていらっしゃったことがあったかと思いますが、上場に際してかなり厳しい出品制約というのをかけていらっしゃるかどうか。それをお聞きしたい。それから、出品者の中に専門家が結構いらっしゃって、ランクを見るとその方々が結構上に上がっていらっしゃる。それは金額で上がってくるのですけれども、上がって明示されてくると、どうもこの人たちは元質屋ではないかしらとか、そのように思うときがあるのです。そうするとCEの間に専門家が入っているという認識をしがちになるのですが、その辺の管理というのはどのようになさっているか。

もう一つ、受け手のトラブルを防ぐために出品者がその商品について非常に冷静に、これは何年間使ったものですから、こういう方はお買いにならないほうがいいですと書かれている人たちが結構散見できて、非常に好意的に読ませていただいているのですが、そういう指導を出品者に対してなさっているかどうか。そうすると、今度は買い手側にはそれをちゃんと読んで買いなさいよと。でないとトラブりますよということですね。だから新品であっても、新品ですと言っても、これは4年ぐらい前に買った新品ですとはっきり言っているかどうかとか、そういったことの指導というか、C to Cの出品者と受け手側に対しての教育というか啓蒙をなさっているかどうか、お聞かせください。

○城委員 まず1点目の禁止出品につきましてですが、昨年、お金、現金が出品されてお騒がせさせたことは、誠に申し訳なく思っています。それをきっかけというわけでもないのですけれども、法律に違反するものはもちろんだめですが、それ以上に倫理的にだめなものというのは積極的に禁止をする方向で今、動いております。例えばチケットについても定価以上のものは基本的にだめとしていたり、これは日本では法律上、大丈夫なものまで、例えば象牙製品ですとかそういったものを禁止していたり、お客様がどういうふうに感じるか、不快に感じるようなものは基本的に禁止する方向で動いております。

2点目のプロの出品者がいるのではないかというところですけれども、こちらは消費者庁さん、経済産業省さんが出されていたオークション向けの業者かどうかの判断基準、一定期間内に一定商品、同一商品を販売しているとかで判断するガイドラインがありますので、そちらをベースにこの人は間違いなく業者だなという方は退場していただくようにしておりますし、実は消費者庁さんのほうともたまに情報提供をいただいたりして、この方は怪しいのではないかというところで削除対応させていただいたりしております。

最後に、出品者の方へのどういう情報を書きましょうとか、そういった啓発なのですけれども、メルカリのガイドの中に出品に当たってというところがございまして、そちらでこういった情報を入れると売れやすくなりますよという形で、提案をさせていただいているところです。やはり買う側からすると、詳しく誠実に書いてある人から買いたいというのが気持ちだと思いますので、売れる観点からそのようにいろいろ書いてくれる人が多いのではないかと思っております。

○中田座長 ありがとうございました。

では、西村委員、お願いします。

○西村委員 16ページで未成年利用者への対応ということで御説明いただいたときに、取引をストップすることもございますとおっしゃっていたので、ストップに至る流れを御説明いただければと思います。

○城委員 16ページにありますように、ここでは年齢制限のあるエアガンなのですけれども、真ん中のところで生年月日を入力していただきます。先ほど申し上げましたとおり住所、氏名、生年月日というのを出品時に入力していただいておりますので、そちらの情報との一致がなされていない場合には、そこで一旦は取引をストップするという流れになります。

○中田座長 よろしいでしょうか。

ほかにございませんか。

○蟹瀬委員 1つ、15ページの外部データを使っての監視をしていますというお話があったのですが、どういった外部データかもしお話になれるようであれば教えていただきたいのが1点。

後は2点あるのですが、匿名オーケーということで、出品者は匿名がオーケーということでこのマーケットは非常に拡大していって、成功しているところであると私は理解しています。受け手側の商品のお金を払ったけれども、届きません。ところが、ヤマトで追跡したらその人のところまで届いていますという例が私は何人かからお聞きして、結構脅しのコメントが来る。届いていないぞと言いながら脅しのコメントが逆にやってくる。つまり明らかに買う側が詐欺をしているという感じのことを何件か相談されたことがあります。そういうケースって素人さんとか、あまりビジネスをやったことがない人たちはとても怖くて、手を出せなくなってしまう状況を実はつくっているのです。ビジネスをやっている方々にとってみればよくあることなので、どういうふうに対処したらいいかよく分かるのですが、一般の若い女性たち、大学生でしたけれども、そういう方々がそのようになったときに、どのぐらいメルカリさんが問題を解決するために真剣に取り組んでいただいているのかというのをお聞かせいただければと思います。

○城委員 1点目の外部ベンダーのデータベースなのですけれども、何社か反社情報だけではないのですが、海外の悪い人の情報とかも入ったデータを提供しているベンダーがございまして、そういったところを使わせていただいております。

それから、届いたのに届いていないと言い張るようなお客様がいらっしゃった場合、望ましいのはメルカリのほうに連絡していただきましたら、メルカリのほうでヤマトさんの配送情報とかも確認して、その情報をメルカリのほうから購入者の方にこういう記録がありますけれども、本当に届いていませんかというのを出品者にかわって言わせていただいておりますので、まずメルカリのほうにお問い合わせいただくよう御案内いただければ、解決に進むのではないかと思っております。

○蟹瀬委員 メルカリさんに連絡するのは、どうやってすればいいのかというのは明快にどこかに書いてありますか。

○城委員 アプリ内から問合せフォームがありますが、今日の資料の中には入っていません。アプリの左上に3本横棒があって、そこの中にお問合せというものがすぐに見つかると思いますので、そちらからお問い合わせいただくという形になります。

○中田座長 出品するときにそういうトラブルがありますよ、そういう場合にはこちらに御連絡くださいというようなあらかじめの説明というのは別にないということですか。トラブルになったときに探すというのはなかなかあれなので、あらかじめそういうときに心構えですよね。

○城委員 お問合せですとかガイドというのはどの場面でも、購入のときでも出品のときでも左上のほうのボタンをワンタップしていただけると見られるようになっていますので、出品の途中で例えばつまずいた場合とかもここを見ていただきますし、購入方法が分からない方もこちらからとなっておりまして、お客様には結構浸透しているのではないかと私のほうでは考えております。

○中田座長 3ページのところを見ると3つだけでとりあえずは終わってしまう。そういうトラブルに対して心構えをする余裕はないのかなという気はするのですが、そうでもないのですか。

○城委員 そうですね。ここの3ページは出品のところにフォーカスして写真を撮って情報記入、出品というふうに書かせていただいておりますけれども、もちろん写真を撮る前のところでは全体も見えておりますので、そこをわかった上で出品に進んでいただいていると理解しております。

○中田座長 よろしいでしょうか。

○蟹瀬委員 商売をやっていらっしゃる以上、お客様のトラブルに対しての注意喚起というのは大変必要だと私は思っています。楽天さんの場合はチャットと電話とメールでもってすぐにできます。20分、30分かかります。3日間かかりますという提示がこのページの中にあったのですけれども、例えばそういうものを今後メルカリさんの中でも開発なさる予定というのはないのですか。ますますお客様が増えて、海外からも増えてくると思うのですけれども、トラブルに巻き込まれた人たちを救う手が今のところないという感じがしているので、その辺はいかがなのですか。

○城委員 現在のお問合せ対応については、基本的にはメールベースで行っておりまして、一部、電話対応をさせていただいております。メール対応のいいところといいますのは、文章で書いていただけるので認識間違いが起こりにくい。何が問題なのか、その証拠が残せるといいますか、お互いに後で見返して、ここがトラブルだったのかとすぐ分かる。お客様からすると、早く解決したいというところがニーズなのかなと思っておりまして、現在、遅くとも先ほど12時間というのはお伝えしたのですけれども、そこのスピードをもっと上げていくことが重要なのではないかということで、人も増やしておりますし、また、過去の問合せ事例を蓄積してノウハウをためて、すぐに回答できるようなことに努力しております。

実はチャットも検討したこともございまして、今はまだ導入はしておりませんけれども、将来的には可能性としてはそのほかのよりよいやり方があるのであれば、変えていくというのはあるのかなと思っておりますが、現時点ではこのメールのやり方を推進しているというところです。

○片岡委員 別会社ではあるのですが、補足させていただくと、最初に楽天市場の紹介をしてしまったのもあるのかなと思うのですが、楽天市場は楽天の中でも一番歴史が古くて、売り上げも大きいですし、体制も大きいですし、ノウハウもかなり蓄積していますので、手前みそなのですけれども、かなり先進事例だと思っていただけたらいいのではないかと思います。いろいろできるほどに成長、成熟してきているといろいろできる。だからこそ、ではC to Cではなくて安心して買いたいという方はB to Cで買えばいいのだと思いますし、楽天市場の取組もかなり先進事例の1つとして捉えていただければと思います。

○蟹瀬委員 それは絶対におかしい。お客さんにとって先進であろうが何であろうが、市場がある以上は市場なのです。楽天であろうが、メルカリであろうが。だからやはりお客様に迷惑がかからない方法を早くに考えて、早くにやっていく。それが長い間かかってこうなったんだという楽天さんの説明は分かるのだけれども、メルカリさんは今上場して世界に出ていって、市場を凌駕する可能性はすごくあるのです。今、要らないものをいっぱいみんな持っていて交換したいのです。そういう市場が非常に広がっている中で、もっと迅速にお互いCとCと守ってあげることを考えなくてはいけないのではないかと私は感じています。すみません、非常に現場の真ん中にいて、いろいろな人から相談を受けたりするものですから、ぜひその辺は楽天さんを追い越すぐらいの勢いで頑張っていただけたらと思います。

○城委員 本当に迅速な対応、お客様が満足していただけないと次から使っていただけなくなって困るのは弊社だと思っておりますので、どういったやり方が一番ベストなのか、お客様の満足度を損なわないようなやり方というのは、引き続き検討していきたいと思います。ありがとうございます。

○中田座長 この問題は、安全なマーケットをどうつくるかというような議論ではないかと思います。

次の報告をしていただく時間も必要ですので、このあたりで一旦、終了させていただいて、次の報告を受けた後、全体についての議論をさせていただきたいと思います。

その前に今日初めて御出席されている沖野委員について御紹介したいと思います。

○沖野委員 東京大学の沖野でございます。民法を専攻しております。

この会議は今回が第3回ですが、第1回、第2回と別件がございまして不参加であり、しかも3回目も遅れてしまい恐縮でございますけれども、議論に参加させていただければと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

○中田座長 沖野委員は消費者契約法、また、特商法の専門的な知見をぜひ生かしていただきたいと思っております。

時間が押しておりますが、次に畠委員から資料3について15分程度で御説明をお願いできればと思います。畠委員、よろしくお願いします。

○畠委員 ヤフーの畠でございます。

私からはYahoo!JAPANの取組について御説明させていただきます。Yahoo!JAPANにおいてはニュースですとか、天気ですとか、検索といった様々なサービスを提供しておりまして、今日は詳細に説明しませんが、例えば検索サービスにおいて何らか消費者トラブルに遭われた方が自分の解決策を探すために検索キーワードを入力されることがございます。ワンクリック詐欺といったものですけれども、その際に消費者庁や国民生活センターと連携をしておりまして、検索結果の一番最初に188を表示するような取組を行っております。

本日は、オークションとショッピングに焦点を当てて説明をさせていただきます。

2ページ目ですけれども、ヤフオクについて説明いたします。こちらは1999年に始めたサービスで、誰もがインターネット上で商品を販売することができるというものですけれども、買われる方としましても、自分で見きわめた金額で買えるのかどうかというところを1つの楽しみとして御利用いただいているものでございます。

3ページ目にヤフオクの利用規約を抜粋しておりますけれども、一番最初に記載しておりますように、このヤフオクというものは取引の機会を提供するサービスであるということをまず最初に示しております。我々が示しているルールのほかに、ユーザー間においても独自のルールが作られておりまして、例えばジャンク品について、これはノークレーム、ノーリターンでお願いしますといった条件をつけられる方もいますし、初めて取引をされる方はお断りをしますといった条件を付される方もいらっしゃいまして、出品される方、もしくは売る商品によって様々なルールが設けられているところでございます。扱っている商品も幅広くなっておりまして、例えば自動車や、土地・建物のような不動産についても扱われることがございます。

弊社のビジネスモデルとしましては、物によって異なりますが、商品が売れた場合に落札価格から一定の手数料をいただくというようなモデルになっております。

続いて、Yahoo!ショッピングですけれども、こちらはどちらかといいますとビジネスとして電子商取引を行っている方に物を販売する場を提供させていただいているものです。こちらも同様に5ページ目に約款を記載しておりますが、ヤフオクと同じように契約を締結する機会を提供するにすぎないとしております。この具体的な法的な意味については前回、森先生に裁判例を用いて御説明いただいたところかと思いますので、割愛させていただきます。

6ページですが、まず御利用いただくユーザーの方々に知っていただきたいことをFAQですとか護身術といった形で示しておりまして、トラブルを未然に防止するためにはお客様にこういったことを御理解いただいた上で、例えば相手方がどういう人なのかといったことを確認しながらサービスを御利用いただきたいと考えております。

7ページですが、既に御説明いただいているものと重複するところがありますので、簡単に説明します。まず最初に、弊社ではパトロールを24時間365日行っております。特にインターネットで行われる不正な行為というものが夜間に行われることが多く、一般の企業であれば営業時間外であるところを狙って何らか不適切な行為をする方がいらっしゃいますので、昼間だけでなく365日24時間体制でパトロールを行っております。また、弊社のサービス内だけではなく、SNSに書かれている情報も見ておりまして、弊社に対する不満ですとか取引相手に対する不満というものが書かれることもありますので、そういったものを発見した場合には我々のほうから積極的にそのような方々にSNSで話しかけて、トラブルの状況を伺うことも行っております。

また、出品時の本人確認ですけれども、古くから行われているのが宅配業者と連携したものです。宅配業者の方にお願いして何らか商品を出品したいという方の御自宅に行っていただいて、そこで身分証明書等を見せていただいて、本人かどうかを確認するといった手続になります。

次の不正利用検知モデルですけれども、何か悪いことをする方においては何らかその特徴が見られることがありまして、過去のトラブル事例等を蓄積しておいて、もしかしたら不正な利用を行っているかもしれないということが分かる仕組みを構築しております。また、例えば、商品を販売する際に、セール価格といった本来の価格から安くなるような形で記載されている方がよくいますけれども、実際に弊社の中で安くなっているかどうかを検知するために、過去の金額等も残しておいて、それと照らし合わせるような形でセール価格がいわゆる景表法上の二重価格に該当するかどうかを検知できるような仕組みを設けております。

また、不正に利用された方の再登録を制限するという仕組みですとか、商品が届かなかったという方にお見舞金をお支払するものですとか、あんしん補償といったものも提供をしております。

続いて8ページですけれども、弊社においても専門的な領域においては独自に判断することが難しいということがありますので、それぞれ専門の方々の御知見もいただきながら対策を行っているところであります。1つ目がインターネット知的財産権侵害品流通防止協議会(CIPP)ですけれども、ブランド品の偽物を権利者の方から御連絡をいただいて、パトロールに生かすということ等を行っております。

2つ目が、最近プレスリリースで発表したものですけれども、全国万引犯罪防止機構と連携して、例えばこの機構に入っている大手書店の方から高額な書籍が盗まれたといった情報をいただいて、それがヤフオクに売られているかどうかといったことを検知するために情報交換等を行うことを予定しているものでございます。

また、モール間でも情報交換を行うためにEC事業者協議会を設置したり、行政とも連携をしております。特に先ほど楽天からもお話がありましたように、生命、身体に危険が生じるものについては、速やかに対応することにしております。また、行政のほうで持っている他のモールでのトラブル事例等も共有いただいて、弊社でのパトロール等に生かすといった取組も行っているところでございます。

続いて9ページですけれども、こちらは出品の禁止物等となっておりますが、ここでお伝えしたいのは細かなルールを定めていたとしても、新たなトラブルや問題が発生してきてしまうということです。

例えば10ページを御覧いただきたいのですけれども、左側が福袋などの出品についてですが、もともと何を売っているのか明確にしてくださいねということで、ルールを示しているのですけれども、福袋の中に本来入っていると思っていたものが入っていなかったというような形でトラブルになることがありますので、福袋を販売するときには中に何が入っているのかというのをちゃんと示した上で販売してくださいというようなルールを明確化したというケースでございます。

右側が化粧品の出品ルールの追加についてですけれども、最近になって増えてきたものなのですが、化粧品を小さな100円ショップ等で売っているびんに詰めかえた上で、小分けをして販売をするというようなことが行われております。そして、それが薬機法上は新たな化粧品の製造販売に当たるのではないかということで、違法な行為になってしまうということで新たにルールを追加したということでございます。

このようなルールの明確化ですとか、ルールの追加というものは状況に応じて日々変化してくるものですので、我々のほうでも柔軟に対応しなければいけないと思っているところでございます。

11ページ目にモール運営者の裁量に基づく対応ということで、ユニオン・デ・ファブリカンというところのQ&Aを掲載しております。こちらの団体は1800年代後半にフランスで設立された有名ブランドが集まっている団体だと御理解いただければと思いますが、先ほどのCIPPというところを弊社と一緒に幹事社として運営いただいているところでございます。そのQ&Aの中に偽ブランドの見分け方を教えてくださいという項目があるのですが、この団体としましても偽物かどうかというような情報は一切公開していない。それを公開してしまうとむしろ偽物の製造販売につながってしまうので、公開できませんということになっています。

弊社のモールでも偽物を販売することはもちろん禁止しているのですけれども、何が偽物に当たるかを理由とともに示すことは難しく、そういうのもモール側に一定程度の裁量が必要なのではないかと考えております。

消費者契約法の改正の議論がなされる際に、例えば解釈権限付与条項ですとか、決定権限付与条項あるいは契約条項の一方的な変更というものが不当条項なのではないかという形で議論されることがありますけれども、モールとして適切に場を仕切るためには一定程度の裁量が必要なのではないかと考えておりますので、このあたりも御認識いただければと思っております。

私からの説明は以上になります。ありがとうございました。

○中田座長 ありがとうございました。

それでは、皆さんからの御意見あるいは御質問等ございませんでしょうか。その際に前回、消費者相談員の方々からの報告を受けましたので、それについてももし御意見がございましたらお聞きしたいと思います。とりあえずまず畠委員の御説明について何かございませんでしょうか。

今日まだ御発言になっていない委員の方もおられると思いますので、ぜひ御意見をいただければと思います。

西村委員、お願いします。

○西村委員 4ページに書いてあるYahoo!ショッピングのほうなのですが、事業者出品と個人出品というのがありまして、個人出品のトラブルが消費者センターに入ってくることが多いのですが、その比率とか、事業者なのか消費者なのかというアイコンがついているのですけれども、ちょっと見づらいところがありますので、個人の出品だということを強調していただくと助かるなという話も含めてお願いいたします。

○畠委員 比率は今、承知していないのですけれども、個人か事業者かのアイコン等についての御指摘は参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○中田座長 ほかに何か。原田委員、お願いします。

○原田委員 ヤフオクで3月あたりからYahoo!かんたん決済という仕組みが導入されていたかと思うのですけれども、これは14日間だけ保留期間があって、それは当事者で話し合っている間、何があっても14日を過ぎると強制的に相手に払い出されるという非常に不評が来るのですけれども、絶対に14日過ぎたら相手に払い出されて、当事者が幾らとめてくれと言っても一切、融通が利かないものなのでしょうか。

○畠委員 恐らく今はそうなってしまっていると思うのですが、お客様の御利用状況等を見ながら適宜改善をしていきたいと思っていますので、参考にさせていただきます。

○原田委員 というのは、偽物か何かの補償に先ほどのメルカリさんはどちらにしろCIPPとかユニオン・デ・ファブリカンさんと提携しているというのは、大手さんはみんなそんな感じなので、偽物か否かの判断基準とかいうところに心配はないのですが、例えば偽物でしたという判断がそういった外部の団体からあったときに、メルカリさんは補償があると書いてあるのですが、ヤフオクさんは個人間取引には多分補償がないと思うのです。そうすると補償はないわ、偽物が届いたといって当事者トラブルしても14日間で強制的に払い出されるとなると、そういう人たちは多分メルカリで商売していたとしたら、みんなヤフオクに流れてきますよねみたいな、ごめんなさい、システムを突いてくる悪いやつらというのはそういうところを誰よりもよく知っているので、そういう懸念かなみたいなところをちょっと教えていただければと。

○畠委員 弊社の対応をコメントするのは難しいのですけれども、今、御指摘のあったとおりで、何らか悪いことをしようと思う人たちはルールの穴を突いてくるということがありますので、弊社のモールがそういった場所として狙われないよう注意をしていきたいと思っております。

○中田座長 最近多くなっているトラブルであったりとか、解決しなければいけない問題がありましたら、ぜひお話しいただけるとありがたのですが、いかがでしょうか。システムとして完全にうまくいっているのであれば、それはいいのですが、もしこういうことをみんなで考えて解決してほしいということがございましたらぜひお願いいたします。

○畠委員 先ほどの化粧品が1つの例だと思うのですけれども、消費者の方々が何か商品を販売するうちに、知らず知らずの間に法律に違反してしまうことがあります。東京都とは連携していて、個人の方が化粧品もしくは医薬品を販売する際のルールというものを公表していただいているのですけれども、素人としての消費者が理解しやすい形で行政からもルールを出していただけると、そのような法律に知らず知らずのうちに違反してしまう例ですとか、トラブルを防げるのではないかと考えております。

○中田座長 いかがでしょうか。お願いします。

○城委員 今、座長からこんなふうになっていったらいいのではないかみたいな話がちょっとあったので、うちが考えているところをお話させていただくと、まさに今、出ていたとおりルールの穴というか、悪い人って緩いところに流れる傾向があって、業界内を転々としていくと思うのです。そういった方々のブラックリストというか共通情報化、データベースみたいなものを何らかつくれると、そこにこの人、怪しいんですけれどもみたいな照会を各事業者がかければ、この人は危ない人ですみたいなことが返ってくるとか、そういう仕組みができると個社として歴史が浅いところも、ほかの会社のノウハウを使えるというところでいいのではないかと思っていまして、個人情報の話とかいろいろあって進まないのかなと思うのですけれども、こういったところは何か行政のほうでも考えていただけると非常にありがたいなと思ったりします。

○中田座長 例えば多重債務者問題が出てきたときには、そういった信用情報を統一的に把握するような機関を設けるとか、そういう議論もできたと思いますけれども、個人情報の問題になるかもしれません。

○早川座長代理 今のに関連する問題だと思うのですけれども、以前、製品安全の問題についての研究をする委員会をある官庁の中でやっていた際には、危険なものを売っているサイトなり法人なりを消費者に対して告知するということが個人情報との関係で大丈夫なのかというのが問題になりまして、ネガティブなのです。ですけれども、製品名とかは、この製品は例えば日本のJIS規格に合っていないですとか、この製品についてはこういう危険性がありますということについて言うのは大丈夫だろうというような話がそのときあったかのように記憶しております。ですので、一方で個人情報の問題とかを考えなければいけないので、ブラックリストというものを行政が集めるということがどれだけできるのかについては、もしかしたら慎重な対応が必要なのかもしれませんが、もう少し違う形で例えば悪質な業者が扱いやすそうな物品のようなものについては、リスト化して消費者に対して警告をしていくというのは可能なのか。あるいは事業者間でこの製品については危険なので、これを取り扱っている方についての出品あるいは出店、お店においての販売みたいなものについては気をつけるようにというのは、もしかしたら情報共有できるかもしれないので、その辺は個人情報の問題が非常にかかわってくるのだと思いますけれども、そのような議論がかつてあったということは記憶しております。

○中田座長 いかがでしょうか。蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 さっきの化粧品の小分けなのですが、メルカリさんでも小分けではないのですが、口紅を半分使っていますみたいなものが流通しております。小分け自体はPL法というかProduct Liabilityで企業が非常に真剣にやっているものを、今度は企業の手から離れて、そして個人が売った、それが途中で細菌が入って肌トラブルが起こった。では誰が責任を持つのか。そのメーカーに責任を押しつけられても、メーカーはきちんとした対応をしていた商品を売っていたのにもかかわらず、お客様のほうが勝手に小分けしてしまった、あるいはクリームも半分使ったものを高いから売ってしまいました。ところが、1回あけると手の脂だ、細菌だ、いろいろなものがつくので、いろいろなことが起こってくる。そういうものが化粧品に限らず、これから市場に起こってくるということが考えられます。

そうしたときにプラットフォームを提供していらっしゃる側と商品を提供しているメーカーさんが、どうやって、責任をとっていったらいいのか、つまり、お客様に対して誰が責任をとるのかということを一度、ここの会でもんでいただいて、法律化しなければいけないものは法律化していくよう、今後、考えていかなければいけないかなと思っていますので、一言、言わせていただきました。

○中田座長 マーケットに出してはいけない商品があるのではないかという議論ですね。

ほかにございませんか。生貝委員、お願いします。

○生貝委員 今のお話と少し論点が違うところなのですけれども、特にB to Cというところで片岡様か畠様に教えていただければと思うのですが、B to B to Cのショッピングモールで、例えばビールですとか水、枕などを検索したときに、検索順序というのが出てくるといったときに、様々オプションがあって安い順、高い順とかそういうものがある中で、大体デフォルトというのが決まっていますよね。おすすめ順であったり。もしかすると後半のカライスコス先生のお話にも関連するところが出てくるかもしれないのですけれども、最近消費者法の文脈でも検索結果のパラメーターというのは、ある程度消費者に分かりやすく伝える必要があるのではないかという議論が出てきていると認識しているのですが、日本のモール様ですと例えばコンバージョン率のようなものがかかわっているのかですとか、そういったような情報を出すようなプラクティスはあるのかなというのがまず1つ。

もう一つは、それに関係して、ああいった検索結果とかで個人情報を閲覧履歴ですとか、購買履歴とかそういうものを使って検索結果を変えるといったようなことも一般的になされているのかいないのかということが、もしわかれば教えていただければというところでございます。

○中田座長 いかがでしょうか。発表順にお聞きしてよろしいでしょうか。

○片岡委員 まず検索結果の標準のもののパラメーターですけれども、基本的には開示はしていなくて、社内でも知っている人はかなり限られているという、かなり機密事項になっています。ただ、いろいろなものを反映しているというのは聞いていまして、個人情報は違うと思うのですけれども、見る人によって検索順位が違ったりすることはあるというのは聞いています。

ただ、広告として買ってもらう、キーワード広告とかそういうものははっきり広告と分かるように載せるようにはしています。あと、結構チューニングはよくしているので、決まった検索ロジックが明確に常に出せるものがあるかどうかというと、難しいのかもしれないと思います。

○畠委員 検索順位なのですけれども、ちょうど1年ぐらい前だと思うのですが、あるメディアの方から取材をいただいて記事にもなっているのですが、弊社のYahoo!ショッピングという場のビジネスモデルがいわゆる広告収益モデルになっておりまして、出店時とか、もしくは月額のお金はもらわずに、自分の売りたい商品を目立たせるときに広告費としていただいているというような形で成り立っている場です。現在においては、「おすすめ順とは」というロゴみたいなものを検索順位の近しいところに置いて、そこをクリックすると、お店の方が支払ったものも検索順位を決める上で1つの要素として使っていますよといった形で御説明する形にはなっています。

先ほど御指摘のあった購買履歴については、順位には扱っていないと思います。

○生貝委員 では今はだんだん自主的な透明化の取組として、少し基準をお示ししたり始めているといったような段階という理解でいいですか。

○畠委員 そうです。そのとおりです。

○生貝委員 ありがとうございます。

○中田座長 いかがでしょうか。

○早川座長代理 もしも繰り返しの質問になったら大変恐縮なのですけれども、前回こちらではターゲット広告が非常に議論になりまして、それに関してどういう対応をしているのかについて各社お聞きしたいなと思っておりました。基本的に購買をすると何かを買うわけですから、その買う履歴というのは当然残るわけでして、その人は当然、次も似たような商品を買ったりとか、あるいはそれに関連する商品を買ったりする可能性があるので、そこの蓄積されてきたデータというのは非常に貴重なものでしょうし、個人を超えてある種のビッグデータとして、今このときにどういうものが売れ筋でとかいうものも、これ別にネットショッピングだけではなくて、いわゆるコンビニでのPOSシステムを通じても集約されていくわけですけれども、そういうデータが集まってまいります。

他方で購買行動というのがある種、個人の情報と結びついてしまうと、この人は一体どういう病気にかかっているかということもわかろうと思えばわかってしまうわけでございますけれども、この辺が前回かなり議論されたわけですが、それについて情報管理のポリシーみたいなものはどうなっているのか、差し支えない範囲で教えていただければと思うのですが。

○畠委員 ターゲティング広告については、数年前の消費者委員会の別の会合でも議論されていたのではないかと思うのですけれども、恐らくそこでの結論が正しいのではないかと思っています。現時点においては、ある特定の1人に何らか意思決定に影響を与えるようなターゲティング広告ができていなくて、興味関心を持っている一定の層に対して効率よくその広告を見せるということが行われているものと認識しています。そうだとすると、そこでの例も書いてあったのですが、例えばバナナを食べたいと思っている人に、ある広告を見せるというときに、テレビのCMで見るときとインターネット広告で見るときに、意思決定に与える影響というものがあるのかというと、恐らくないのだと思っていて、興味がありそうだという人をどれだけ広く見せるのか、絞って見せるのかの差でしかないのだと思っています。何らかルールをその観点で作るときに、今はまだ全く同じ情報を見たときに取扱いを区別するまでの状況にはなっていないのではないかと考えています。

○早川座長代理 一般的なルールメーキングの話よりも、むしろ社内における情報管理の体制みたいなことをお聞きしたつもりだったのですが。

○畠委員 弊社ではプライバシーポリシーでもちろん定めていまして、その定めているルールに従って扱ってはいるのですけれども、情報のルールというかセキュリティーの観点で御質問されているのか、何とお答えしたらいいのか。

○片岡委員 弊社はよくビッグデータと言っておりまして、どういうふうに活用していったらいいのかというのもまだいろいろ研究しているところなのですが、実際の既にビジネスになっているところで言うと、ある程度の区分けをしたターゲティング広告などはしていますけれども、「気持ち悪い」と言われるところまでやっているかというと、そこまではやっていなくて、社内でも私はどちらかというと守り側なので、たとえ個人情報保護方針の中であっても、気持ち悪いと思われたらサービスから離れてしまうので、どう消費者の立場に立って気持ちよくサービスを使ってもらえるかというところを大事にしてほしいというのは社内ではよく言っています。たくさんデータはあるのだけれども、それをいかにサービスを使い続けていただきながら、どう使っていこうかというところは、まだまだ研究をしていかなければいけないところなのかなと思います。

○中田座長 いろいろなデータがあるのですけれども、これは見たくない、もうこれ1回買ったから二度とこの広告は見たくないというような指定は現状ではできないですよね。

○片岡委員 閲覧したものが広告に出てほしくなかったら閲覧履歴を消してという話でして、そこをクリアしてもらうようにしています。あまり細かく指定とかは今はできていないです。他社ですけれども、Amazonさんとかは結構そういうものが細かくできたりしてすごいなと思ったりするのですが、弊社はそこまでいっていないです。

○中田座長 情報リテラシー不足の私はそういうこともちゃんとわかっていないという、消費者として恥ずかしいかもしれませんが、メルカリさんはどのように対応されているのでしょうか。

○城委員 弊社もポリシーとしてやっていないのですけれども、うちのポリシーとしてはリアルなドン・キホーテ的な、そこに行ってみたらおもしろいものがあって買ってしまうというようなポリシーで、なので基本的に新しい出品があったらそれが上から下にどんどん流れてくるという掲載のポリシーなので、特に今のところ何かターゲティング広告等はやっていることはないです。

○中田座長 それでは、5分ほど休憩を入れさせていただいて、35分から再開させていただきたいと思います。

(休憩)

○中田座長 それでは、時間になりましたので、再開をさせていただきます。

今日はちょっと長時間にわたりますが、今からカライスコス先生に貴重な情報として、海外のルールの形成について御報告をいただきたいと思います。

資料4を御覧いただきながら、15分でお話しをいただくのですが、、恐らく報告の中でそのすべてを御紹介いただくことは難しいと思いますので、適宜この後、いろいろな局面で御発言いただくことを前提にしながら、今日のところは全体像を御紹介いただければと思っております。

それでは、カライスコスオブザーバー、よろしくお願いいたします。

○カライスコス京都大学准教授 皆様初めまして。ただいま御紹介に預かりました、京都大学のカライスコスと申します。

皆様お疲れのときに難しい話をすることになり、大変恐縮しております。

今もお話がありましたように、15分で全体を御紹介するのは難しいかと思いますので、概要を御紹介した上で、今後の議論の中で必要に応じて、また詳細を御紹介していくという形をとりたいと思っています。

まず全体的な構造ですが、資料の1ページを御覧いただきますと、第1として加盟国レベルでのルール形成の概要を掲載しております。その後、資料の4ページですが、第2においてEUレベルでのルール形成について記述しております。大きく分けてこの2つの部に分けることができます。

こちらの資料、そして私の報告の内容ですが、オンラインプラットフォーム取引について、どのようなルールが提示されてきているのかをEUに絞って御紹介したいと考えております。

まず加盟国レベルですが、資料の1ページの第1の1、デンマークですが、2015年5月1日にユーザーレビューの公開に関するガイドラインが、消費者オンブズマンによって公表されています。この内容については資料の2ページ、内容の概要というところでそれぞれの項目を示しております。主にユーザーによるレビューの適正性を保障するためのものとなっています。

2がイタリアですが、こちらは2016年1月にシェアリングエコノミーに関する立法提案が行われています。御存じの方が多いかと思いますが、イタリアは現在政治的に不安定な状態にあり、こちらは、その中で残念ながら議論がとまってしまったところですが、一応このような立法提案があったということを条文の概要とともに示しております。例えば3条を御確認いただきますと、競争市場保護委員会に権限を付与するなどという内容となっていました。

次に、資料の3ページのフランスですが、一般的にヨーロッパ、EUではフランスが一番進んでいるとされることが多いですが、2016年10月7日の法律、通称デジタル共和国法と呼ばれるものですが、これによって消費法典などにオンラインプラットフォームに関する規定が挿入されています。観光法典にも規定が挿入されていますが、こちらの資料では省略をしております。消費法典の規定を御覧いただきますと、オンラインプラットフォーム運営者の定義が置いてあったり、オンラインプラットフォーム運営者に対し適切な情報を提供する義務を課していたり、あるいはその下のL.111‐7‐1条というところですが、大規模なオンラインプラットフォーム運営者に対しては、その義務が強化されています。また、レビューの収集や公開などを行う場合において、それに関する透明な情報を提供する義務などが課されています。

さらにフランスの(2)のところですが、フランス規格協会という団体があり、こちらが2013年7月に消費者によるオンラインレビューについて、その収集、適正化及び公開に関する原則及び要求事項を定める標準を公表しています。私的な団体による標準ではありますが、このようにルールとしての形で提示されています。

さらに、その下の※にあるISOの部分ですが、国際標準化機構においても2018年6月、ちょうど今月にオンライン消費者レビューの収集、適正化及び公開に関する原則及び要求事項を定める標準が公表されています。

この資料では、全ての法令などについて脚注で、オンラインでどこでそれを閲覧やダウンロードできるのかを挙げておりますが、これら2つの標準については挙げておりません。その理由は、ウエブサイトがあるのですが、閲覧等をするために支払いをしなければならない形となっているからです。

第2のEUレベルでのルール形成というところですが、こちらは加盟国レベルではなく、EUレベルでどのような動きがあるのかを御紹介しております。資料の4ページ、1が学術的プロジェクトで、資料の6ページ、2が公式のプロジェクトです。

学術的なプロジェクトのところですが、(1)のヨーロッパ法研究所という機関があります。これは2011年に独立機関として設立されたもので、ヨーロッパ法研究所、ELIと呼ばれています。学術的な性質を持つ機関ではありますが、その主な目的がヨーロッパ法の質を改善することであり、EUの機関もその提言などにはそれなりに目を向けています。その中の特別関心活動グループの1つとしてデジタル法に関するものがあり、更にそのサブグループとしてオンライン仲介プラットフォームに関するものがあります。そのオンライン仲介プラットフォームに関するサブグループが(2)にあるように2016年8月にオンライン仲介プラットフォームに関する指令のための討議草案というものを公表しています。討議草案という名称は、これを受けてEUの機関や利害関係人などと更に討議を重ねて、草案として成長させていくという趣旨のものです。

その下に条文の概要を示しておりますが、資料の5ページを御覧いただきますと、ELIの討議草案では完全平準化指令、つまり加盟国がそれ以上の水準あるいはそれ以下の水準を設けることはできない指令として想定されています。第2章の総則を見ていただきますと、基本的に提供する情報の明確性や透明性を確保しなければならないことが中心です。6条においては先ほど生貝先生からもお話がありましたリスティングの透明性、そして8条は評判(レピュテーション)フィードバックシステム、さらに9条はユーザーを保護するプラットフォーム運営者の義務などについて、規定が置かれています。

その後、第3章と第4章を見ていただきますと、第3章のタイトルが顧客に対するプラットフォーム運営者の義務、そして第4章が供給者に対するプラットフォーム運営者の義務となっていますので、プラットフォームの性質を反映する形で、2つの方向性に対して義務を定めるという形がとられています。さらには第5章においてプラットフォーム運営者の責任に関する規定、第6章には救済に関する規定が置かれています。

次に資料の6ページ、公式のプロジェクトに入りたいと思います。先ほど御紹介をしましたELIのプロジェクトは、このELIによる討議草案が公表された2016年8月の段階では、まだEUレベルでの動きがなかったということを受けて、ELIがそこを補足するという形がとられたわけですが、その後、EUレベルでの正式な動きが見られています。

より具体的には(1)にありますように、御存じかと思いますが、2015年5月にはデジタル単一市場戦略が採択され、それを受ける形で、(2)ですが、2016年5月にはオンラインプラットフォーム及びデジタル単一市場に関する政策文書(Communication)が公表されています。その中でもオンラインプラットフォームに対して言及されており、(3)2017年5月にはデジタル単一市場戦略の実施についての中期的見直しに関する政策文書が公表されましたが、資料の7ページに入ります、そこにおいてオンラインプラットフォームに関する2つのフォローアップアクションについて言及されており、2017年の欧州委員会委員長のジャン=クロード・ユンケルによる一般教書演説においても、それを受ける形で言及がされています。

より具体的な動きとしては、(4)ですが、今年3月に違法なオンラインコンテンツに効果的に対応するための措置に関する勧告が公表されています。これは勧告ですので拘束力はありませんが、このような内容のものが公表されており、その下の矢印のところに主な内容を示しております。

本資料の主な内容に入りますが、(5)のオンライン仲介サービスに関する規則提案というものです。資料の8ページに入ります。こちらは今年4月に欧州委員会によって提案されたものです。規則に関する提案ですので、御存じのとおり規則は加盟国による国内法化の措置などを要することなく、採択されればということではありますが、EU全体においてそのまま国内法として適用されることになります。個人的な見解ですが、先般のGDPRなども規則という形で採択されており、世界中に影響を与えていますので、こちらも内容は今後まだ変わっていく可能性が高いですが、その影響力は否めないところかと思います。

条文の概要ですが、1条から資料の9ページの15条まであります。1条が規律対象及び適用範囲ということで、ビジネスユーザーとコーポレートウエブサイトユーザーという概念を用いて、これらのユーザーに救済手段を提供することを主な目的としています。次の段落の適用範囲が非常に重要かと思いますが、こちらは1か所修正があり、EU域内「に」拠点を置くですが、ビジネスユーザーやコーポレートウエブサイトユーザーがEU域内に拠点を置いていて、かつ、これらのユーザーが物品や役務を提供する消費者がEU域内に拠点を置いていれば適用されるということになっていますので、かなり適用範囲が広いものとして想定されています。それが先ほどGDPR並みの影響力を持つことになるのではないかと申し上げた主な理由です。

2条には10個の定義規定が置かれていまして、3条には利用規約の明確性、アクセス可能性変更に関する要求事項が定められています。4条にはサービス提供者がユーザーによる利用の停止や終了する場合について、その理由書を提示する義務を課しています。5条が同じく先ほど話が出たランキングに関する話ですが、そのランキングを決定する主なパラメーターなどについて、利用規約への記載義務を課すものとなっています。

6条の異なる扱いというのは、サービス提供者が直接又は間接的に提供する物品や役務について、ほかの提供者が提供するものとは異なる取り扱いをする場合について、同じく利用規約への記載義務を課すものとなっております。

資料9ページの7条はデータへのアクセスですが、ビジネスユーザーが個人情報などのデータに対するアクセス権を持っているのかどうかについて、利用規約に記載しなければならないという義務を課しています。また、8条ですが、ビジネスユーザーが他の例えばウエブサイトなどにおいて、消費者に対して例えばよりよい条件を提供することについて制限を受けるような場合には、同じく利用規約に記載しなければならないこととされています。

9条、10条、11条は、紛争解決に関するもので、9条が内部苦情処理システムを設ける義務を課すものです。10条、11条はメディエーション、これは調停と同じようなものなのですが、これについて一定の定めを置き、利用規約でそれを示すとともに、欧州委員会側からもメディエーション機関の設立などを奨励するという内容となっています。

12条はほかの指令や規則にも見られる内容ですが、消費者団体などに対してオンライン仲介サービス提供者が違反行為を行った場合についても差止請求権を認める内容のものとなっています。

13条は欧州委員会が自主行動基準の設定などを奨励するという内容となっていて、14条、15条はほかの指令や規則にも見られる内容ですが、この規則の見直しや発行に関する規定となっています。

資料7ページに戻っていただきますと、この規則提案の内容は(5)のアとして示していて、イは何なのかといいますと、資料9ページの下のほうですが、Observatory、監視所と和訳をしておりますが、今年4月に欧州委員会がオンラインプラットフォームエコノミーに関する監視所のための専門家グループを立ち上げる決定を行ったということです。

最後に(6)、先ほどの議論で少しアルゴリズムの話が出たかと思いますが、これについても透明性を確保する必要があるということで、今、欧州委員会がその透明性や信頼性に関する分析を行っています。

資料10ページにありますように、こちらは欧州議会の要請によって開始されたパイロットプロジェクトで、今年3月から16か月にわたって行われる予定です。

時間的な制約で若干早口になりましたが、私からは以上です。

○中田座長 ありがとうございました。

それでは、少し時間をとって内容について御質問等があれば御意見いただければと思います。山本委員、お願いします。

○山本委員 ありがとうございました。大変貴重な情報をいただいたと思います。

1つは単純に私のほうが理解できなかったので教えていただきたいことなのですが、9ページの8条の他の手段を通じて異なる条件を提供すること。これは具体的にどういうものなのかということを教えていただきたい。

もう一つは、欧州では、先ほど生貝委員からもあったいわゆるリスティングというか、検索表示のいわばアルゴリズムをなるべく透明化にせよという方向を示していると感じました。これは、消費者に対しても情報開示や提供をすべきだという趣旨であるようにも思いましたが、こういう規定が入り込む背景を教えていただきたい。また、検索ランキングのアリゴリズムですが、先ほど片岡委員からそういうものはある種、企業秘密というか、企業側からするとこういうものは出したくないというところもあろうかと思うのですが、同じような反対の意見、立法過程の中でそういうものがあったのかどうか教えていただければと思います。

○カライスコス京都大学准教授 御質問ありがとうございます。

まず資料9ページの8条のところですが、EUの立法の文言が若干複雑でして、私の和訳が適切ではない部分もあるかと思いますが、例えば特定のオンライン仲介サービスのウエブサイトの中で商品を提供している供給者に対して、ほかのウエブサイトにおいてより低い価格で同じ商品を提供してはいけないなどという制限がかけられている場合に関するものだと理解しております。そういう制限をかける場合には、理由などについて利用規約に明記しなければならないという義務を課すものと理解しております。

もう一つの御質問のアルゴリズムに関しましては、以前にELIのこのグループの中でリーダー的な役割を果たされているドイツの先生が来日され、講演をされて、私がそのときの原稿の翻訳と通訳を行ったのですが、少なくともその先生から伺った話では、アルゴリズムには2つの側面があります。それは、一方では消費者を保護する。どのような理由で自分が検索をかけた場合にそのような検索結果となっているのかなどという話です。そして、他方では企業を保護する、どうしてほかの企業が自分の企業よりも上に表示されるのかなどという、2つの側面があると伺っています。

御指摘のとおり、その先生も同じことをおっしゃられていて、このアルゴリズムに関連する大部分が秘密の情報に当たるのだが、それでもそれに触れない限度において何らかの形で消費者及び企業側にそのアルゴリズムがどのような設計のものとなっているのかということは、恐らく説明できるだろうという趣旨の御説明でした。

○山本委員 アルゴリズムをどの範囲で開示すべきかというのは、GDPRの22条でも問題になるところだと思うのですが、この辺のさじ加減はどうなのでしょうか。恐らくアルゴリズムをそのまま数式で開示しても消費者にとっては無意味だと思いますし、企業側の利益とのバランスを踏まえて、どの範囲の開示が妥当なのか。もし欧州で具体的な議論があれば教えていただければと。

○カライスコス京都大学准教授 資料9ページの末尾と10ページの初めのほうに挙げている部分ですが、今年3月から始まったプロジェクトで、今後16か月間にわたってこれが展開されていきますので、私が調べた限りでは、まだ公の文書などという形では示されている情報はない、あるいは非常に少ないという状況です。

ただし、9ページの下にありますように、欧州委員会の公式の立場としては、透明性と信頼性を2つの柱として明記していますので、御指摘のとおり確かに数式を示されても理解できないので、少なくともどのような要素を考慮しているのか、あるいはどれに特に重点を置いているのかという部分で透明性。そして後は金銭的な授受など、その他、利害関係がどの程度反映されるのかという部分での信頼性ということなのではないかと思います。

○中田座長 森委員、どうぞ。

○森委員 重要な情報を共有していただきまして、誠にありがとうございました。大変勉強になりました。

今、お示しいただいた、最後の理事会規則のところなのですけれども、全体としてはどちらかというと特に前半部分、4条のサービス停止、5条のランキング、6条の取り扱い、それから先ほど山本先生のおっしゃいました、外での自前の店舗での商品サービスの提供の制限。そういったことからしますと、前半部分ではモールを前提にしますと店を出す店舗の保護であったりとか、競争環境、店舗とプラットフォームの間での競争というのもありますし、そこに結構重点が置かれていて、消費者についての言及もあるにはありますけれども、基本的には情報提供とか開示に関することに終始しているようにお見受けしたのですが、そんな理解でよろしいでしょうか。

○カライスコス京都大学准教授 御質問ありがとうございます。御指摘の点については資料の8ページの上のほうに、時間的な制約との関係で省略したところですが、御存じのとおり規則や指令を採択する際には、その法的根拠という形で、EU基本条約の何条に基づいてこれを採択するのかを示す必要があります。この規則提案については114条が法的根拠となっていて、内容は省略しておりますが、基本的に域内市場を形成して充実させるための手段として示されています。つまり、EUが何らかの立法を行う際には、どうしても権限上の制約がかかってきます。したがいまして、今回は域内市場の形成及び充実を法的根拠としていますので、御指摘のとおり店舗の保護や競争の促進を通じて域内市場を形成していくということになります。法的根拠や権限の制約との関係でEUにできることにどうしても限界といいますか、制限が出てくる部分なのではないかと思います。

○森委員 ありがとうございました。

○中田座長 早川委員、お願いします。

○早川座長代理 規則提案について御質問させていただきたいのですけれども、お話の中にもありましたが、GDPRの場合においては現在、日本企業がなかなか対応できていなくて苦慮しているのが実際で、日本企業で対応しなければいけないことが求められているものは、ヨーロッパの中に拠点を置いているところだけではなくて、拠点を仮に置いていないとしてもヨーロッパの消費者なり市場に対して製品を提供したり、サービスを提供しているものが対応になっていると理解しておりますが、他方でこちらの規則の1条を見ると、原文も見ていたのですが、確かにbusiness users and corporate website users, respectively, that have their place of establishment or residence in the Union and thatでつながっていまして、拠点があるということがどうも要請されているようなのですが、しかし、最近のGDPRの思想等からすると、オンライン上で何かのサービスをヨーロッパの消費者に対して提供するというようなときには、会社が拠点を置いているか置いていないかというのは実はほとんど差がないと考えることもできて、その精神から今のGDPRの域外適用の規定というものはある種の合理的な説明ができるのですが、他方でこちらはある種、謙抑的な形にも見えている。そこがいまひとつ整合性がとれなくて不思議に思ったので御質問した次第です。

あるいはplace of establishmentのところに何か、あるいはresidenceで秘密があって、結局は適用されるようなことになるのか。特に例えばヨーロッパに対してでも、日本に対してもそうだと思いますけれども、拠点を置くことなくサービスを展開している例えばアメリカの検索エンジンですとか、あるいはここで言うところのintermediation servicesというのはあるように思えて、そうするとそこは適用対象から外れて、どちらかというとアメリカに比べれば弱いです。ヨーロッパのほうだけが規制が大きくかかるようなことにならないのか。その辺がどうも規制のバランスの整合性がいまひとつ腑に落ちないので、もし何か御存じだったら教えていただければと思います。

○カライスコス京都大学准教授 それぞれの条文の内容の詳細やその裏にある理由などについては、まだ詰め切れていない部分もありますが、1条の原文を見ながら御説明をしますと、今、読んでいただいた部分は2項かと思いますが、三角関係になっていて、一方ではオンライン仲介サービス、原文ですとonline intermediation servicesがあり、他方でビジネスユーザーなど、原文もbusiness usersになっていますが、これがいわゆるウエブサイト、モールを想定しますと、モールの中で出店しているユーザーであると私は理解しております。

そして三角関係の3つ目のアクターとしましては、消費者、この条文の中にもconsumersと出てきています。域内市場、EUとの関連性が求められる部分が、日本で言うところの店舗、ビジネスユーザーと消費者、購入者でして、オンライン仲介サービスについては関連性は求められませんので、例えば日本にあるオンライン仲介サービス提供者であっても、そのウエブサイト上でEUに拠点を置いている企業などが商品を提供していて、それをEUにいる消費者が購入できるという形がとられれば、私の理解が誤っていなければ適用されますので、御指摘のとおり狭いと言えば狭いのかもしれませんが、広いというふうに見ることもそれなりにできるのではないかと思っています。

○早川座長代理 私が読み間違えていたことがよく分かりまして、拠点を置かなければいけないのは消費者であって、intermediaryについては拠点は要らないという理解ですね。そうすると整合性がとれる。よく分かりました。

そうしますと、これはかなり、つまりヨーロッパ域内ではなくて全世界に、例えば日本の今、業者の方々来ていらっしゃいますけれども、ヨーロッパからでも買えるとなると、この規則に従わなくてはいけないという可能性が出てくるという理解でよろしいでしょうか。

○カライスコス京都大学准教授 はい。私はそのように理解しておりまして、それもありまして報告の中でGDPRとの関連性を示したのですが、御存じのとおりGDPRもEUの規則ではありながら、例えばアメリカに拠点を主に置いているFacebookなどがそれに従うということを表明したり、EUを越えた影響を与えているということは過去に例がありますので、私はこの規則が採択されれば、同じような影響力を持つのではないかと考えております。

○中田座長 片岡委員、どうぞ。

○片岡委員 これについては弊社でもいろいろ調査をしているのですけれども、B to Cに置きかえた場合には、日本のモールの中にEU域内に拠点を置く出店者を出店させたような場合には影響があると考えています。恐らく物を売る場合だとそういうふうに分かりやすいのですが、物を売るのと関係ないプラットフォームは、もっと広く影響してくるのではないかと思っています。

○中田座長 具体的にはどのような感じになるのか説明していただけるとありがたいのですが。

○片岡委員 物を売るショッピングモールのようなプラットフォームだと、EU域内に拠点を持つ売主を日本のサービスにも出店させるような場合には関わってくると思います。そうしない限り、日本の事業者からEUの消費者が買うような場合は今回、対象には入っていないので、出店させる事業者がどこの国かというのを気をつければいいということになっていますが、物を売らない場合だと、よりボーダレスでプラットフォームサービスは提供されていると思いますので、そういう場合には気をつけないとかなり範囲が事業者としては広くなる、プラットフォームとしては広くなるということだと思います。

○カライスコス京都大学准教授 御指摘のとおりの文言となっていまして、私の中で特に影響力が大きくなるであろうと考えるもう一つの要素としましては、先ほどお話がありましたが、日本の企業でも、EUでも活動していたり、アメリカで活動しているパターンもありまして、その際に、今後、企業としてどう対応していくのかという難しさがありまして、日本に関連する部分については従来のとおりやっていくけれども、EUに関連する部分についてはこのような規則に従うという方針をとるのか、それとも一括してこのスタンダードを全体として適用するのかということかと思います。そこは今後、検討が必要な部分かとは思います。

○中田座長 ほかに御質問ございませんでしょうか。

○山本委員 先ほど森委員から御質問があったことと関連するのですけれども、今回の規則提案がどういう根拠に基づいているのかというところで、確かに7ページの下から8ページの上にかけてビジネスユーザーのために、というようなことが書かれているように見えるのですが、先ほどのお話を伺うと消費者保護という側面もあるのかなと。検索結果表示のロジック開示は、消費者保護にも関連すると思いますのは、例えば、今までの閲覧履歴から、この人はどうも青色の商品を買いやすいということがわかれば、例えば青色の商品を上の方にこそっと表示することもありうる。それを分からずそういう画面を見ますと、ある種の誘導が効いて思わず買ってしまうということも考えられます。そういう意味では消費者保護という観点も、特にランキング、リスティングに関して言えば少なくともあるのかなと思ったわけですが、そういう目的が公式な文書の中で書かれているところがあったりとか、議論の中で出てくるところがあったりしたのか、うかがいたく思います。

○カライスコス京都大学准教授 今、規則提案の前文等に検索をかけてみましたところ、一応consumer protectionという言葉は出てくるですが、この規則はそれには影響しないという文脈で出てきています。そうしますと、少なくとも明示的に消費者保護を目的としているという姿勢はとられてはいませんが、私の研究テーマでもある消費者像などとの関連性で申し上げますと、EUがとっている姿勢は、先ほど申し上げたように域内市場を形成していくことを中心としています。そのためにはルールの統一が必要なのですが、消費者がいわゆる域内市場を信頼して活動することが必要です。つまり、消費者がほかの加盟国から購入することをためらったりする場合には域内市場として機能しませんので、この域内市場の活性化には、もう一つの側面として、消費者が、自分が一定程度の保護を受け、信頼をすることができるということが前提になります。恐らくそれが御指摘いただいた、この規則提案の中には、消費者保護に関する部分も含まれていることの理由なのではないかと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

生貝委員、お願いします。

○生貝委員 大変貴重なお話ありがとうございました。

今、山本委員からございましたとおり、これは消費者保護なのかB to Bなのかというときに、B to Bにこれは焦点を当てているところではあるのですが、私の理解だと4月11日にA New Deal for ConsumersというEUの消費者法全体を改正する形での新しいディレクティブの案が出ていて、それはConsumer Right Directiveを改正する形で、まさしくランキングのパラメーターを消費者に対して伝えなければならないという大事な条項も入っているところ、Consumer ProtectionとB to Bのprotectionから同じことを攻めていっているのかなといったような考えを私自身は持っているところです。

その上で御質問をしたいのですけれども、やはり内容としてはどちらでも使えるものが多いといったときに、これは例えばこの中ですとランキングにしても、あるいは異なる取り扱いにしても、データのアクセスその他にしても、利用規約への記載義務を課すといったような形での規律の仕方が多いところになっているのですが、これ全体としてその利用規約というのは一般に公開されることを前提とした利用規約でしょうか。それともプラットフォームとビジネスユーザーという二者間の関係の中だけでこの内容が明らかにされればよろしいものだというのか、どちら向きで想定されているのかについてもしわかれば。

○カライスコス京都大学准教授 そこはまだ確認していなかったのですが、定義規定を今簡単に確認したところ、資料8ページの定義規定2条の10番目、最後の定義規定が、英語の原文ですとterms and conditionsになっています。今英文を見ながら和訳していますが、こちらがプロバイダーとユーザーとの間の契約関係を規律するあらゆるものであって、かつ、プロバイダー側によって一方的に定められたものとして定義されていますので、日本で言うところの約款、つまりユーザーがウエブサイトを利用する際に同意することになる約款としての利用規約ですので、私の認識では恐らく秘密のものではなく、一般に開示されているものかと思います。

○生貝委員 となるとここで定められた条項というのは、かなり一般の人々からもアクセスできるようになることを恐らくは想定されているということですか。

○カライスコス京都大学准教授 そうですね。この定義を見た限りではそうですし、さらに透明性という言葉が繰り返しこの流れの中で出ていますので、この部分に透明性を持たせないと恐らく機能しない規則提案なのではないかと思っています。

ニューディールについても補足いただき、ありがとうございます。私もちょうど今いろいろ調べているところで、御指摘のとおりニューディールの中で従来の指令を見直すという流れがあり、他方でこちらのデジタル単一市場の中での動きがあるという二本柱として進んでいるという認識で私もおります。

○森委員 今の利用規約ですけれども、全くおっしゃるとおりだと思います。私はこの利用規約というのは、重要なのはプラットフォーマーと店舗の間の利用規約であって、消費者との間のものではないということは重要だと思います。

○早川座長代理 欧州委員会の中は幾つかDGに分かれていますけれども、これはインターナルマーケットDGが提案したものでしょうか。そうだとするとコンシューマーDGではないので、この問題がB to Bでここのところだけを射程に置いているというのは非常に理解できるのですが、そこのバックグラウンドはいかがでしょうか。

○カライスコス京都大学准教授 すみません、そこは未確認でしたが、法的根拠については申し上げたとおりです。どのDGかというのは押さえていなかったので、また後日、確認したいと思います。申し訳ありません。

○中田座長 では、沖野委員、お願いします。

○沖野委員 今、そちらのほうは議論になっていないのですけれども、学術的プロジェクトのほうについて教えていただいてよろしいでしょうか。資料の5ページに内容が書かれていまして、その中をみますと、1つは9条にユーザーを保護するプラットフォーム運営者の義務、それから、3章が顧客に対するプラットフォーム運営者の義務、4章が供給者に対するプラットフォーム運営者の義務ということで、ユーザーと顧客と供給者というのがどういう関係なのか、やや分からない感じがするのですけれども、それぞれの当事者というか、まさに利用者として登場していく幾つかの層に対して、プラットフォーム運営者がいずれに対しても義務を負うということが想定されているようなのですが、一方で公のプロジェクトのほうではむしろ専らビジネスユーザーとして想定される者との関係ですが、学術プロジェクトのほうはもう少し多面的なことが考えられているように思うのですが、そういう理解でよろしいのかということと、ユーザー、顧客、供給者というのをどういうイメージで持ったらいいかというのを改めて確認させていただければと思います。

○カライスコス京都大学准教授 御指摘のとおり、こちらの学術的プロジェクトについては実行可能性という制約がそれほどかからない部分でもあり、学術的に、理論的に、体系的に整ったものを提案するというスタンスから作業を行ったと御本人から伺っております。したがって、御指摘のとおり、より範囲の広いものであって、この三角関係の全ての側面に配慮したものとなっています。

その9条ですが、英文ではduty to protect usersと書いてありまして、このuserという言葉には供給者と顧客が双方含まれているようです。例えば供給者などが刑事的に処罰されるような行為を行っていることについて、ある程度信頼できる証拠を得た場合に適切な措置をとらなければならないなどというものとなっております。

これに対して3章のcustomerですが、こちらがまさに供給者、サプライヤー側から何かを購入する者として想定されているようです。個々のサプライヤー、供給者と個別に契約を締結する顧客ということです。

最後の4章のsupplierというところですが、日本で言うところの店舗、モールの場合であれば店舗に該当すると思うのですが、オンラインプラットフォームを通じて物品や役務を提供する者ということになります。ですので三角関係の主な当事者としては、プラットフォーム運営者がいて、サプライヤー、販売をする供給者がいて、カスタマー、顧客がいるわけですが、時々ユーザーという形でカスタマーと供給者、顧客と供給者を組み合わせて用いている場合も出てきているようです。

○早川座長代理 今の御質問でようやく全貌が理解できたのですが、要は学術のプロジェクトというのは先ほどの三者全てを射程に置いているのに対して、今回のものは多分、昔で言うインターナルDGが提案したものだと思いますけれども、シングルマーケットのためにビジネスを守っている。そのビジネスというのは何かというと、まさにEU内に拠点があって、EUの消費者に提供をしているものと、制限のないまさにintermediation servicesをやっているものという形なので、そうだとするとGDPRとの整合性もとれると理解いたします。

それとは別に消費者のものをまた別に用意されているということで、それが合わさると3面全部が対象としてなる。それがどうなるかというのはこれからの議論もあるということですね。ようやく理解できました。ありがとうございました。

○カライスコス京都大学准教授 ありがとうございます。まさに御指摘のとおりでして、したがいまして規則提案との関係で申し上げますと、適用範囲で一定の条件が課せられている部分がユーザーの部分、ビジネスユーザーなので、学術的なプロジェクトで言うところの供給者、そしてさらには消費者なので学術的プロジェクトで言うところの顧客の、この2つのアクターについてはEU域内に拠点を置かなければならないという制限がかかっていますが、もう一つの当事者であるオンライン仲介サービス提供者については、特にEU域内に拠点を置いていなければならないという制限は設けられていないということです。

○中田座長 ありがとうございます。

畠委員、どうぞ。

○畠委員 規則提案について質問なのですけれども、日本の場合、海外の事業者に対してどうやって法律を守らせるか。守らなかったらどうやって執行するかということがよく問題になるのですけれども、この規則提案においては、その点についてどのような工夫がされているのでしょうか。

○中田座長 ありがとうございます。

○カライスコス京都大学准教授 こちらも先ほどお話をしました資料8ページに関連するものなのですが、上のほうにありますように、先ほど申し上げたように、EUには権限との関係での制約がかかっていますが、規則や指令の執行についてはEUに直接の権限は設けられていませんので、原則として加盟国に委ねることになっています。ただし、欧州連合司法裁判所などによって展開されてきた効率的な執行の原則などがありますので、例えばこの規則が採択された際に加盟国法の内容に実効性を持たせないために執行しないということはまず考えられませんが、基本的にその判断を加盟国に委ねています。先ほど生貝先生からお話がありました消費者のためのニューディールですが、まさに執行の部分で若干のばらつきが見られるということで、今後、EUとして執行にフォーカスし、そこを中心的に取り扱っていくというものです。

さらにニューディールについて補足しますと、加盟国における執行という部分と、さらには団体訴訟についても強化していくことが2つが柱となっていますので、執行についてはまた別のところで手当がされているという理解でよいと思います。

○中田座長 EU各国は様々な執行方法、刑事であったりとか民事であったりとか、それぞれ差があるので、そのあたりどうするかというのはEU内部でも問題になっているところだと思います。

前田委員、どうぞ。

○前田委員 7ページからのオンライン仲介サービス、今まさに話があった規則提案のところで、最初にお話があったように規則という話になったときは、多分、三者で合意がなされるというプロセスを経ないといけなくて、GDPRのときも相当長い時間がかかっていたかと思うのですが、議論の成熟度合いというか、、GDPRのときは、欧州委員会から提案があって、その後ほかの二者でも議論を行い、さらにその間でも欧州委員会の提案とかも何回か変わってというプロセスがあったのですけれども、今の規則提案は欧州委員会による第1次提案がされた状況なのか、今どういうスケジュール感か、今どの状況にいるのか御教示いただけるとありがたいです。

○カライスコス京都大学准教授 ありがとうございます。それについても詳細は調べ切れていないのですが、資料7ページの末尾にありますように、4月末に提案された1次提案ということにはなります。ただし、若干の特徴として個人的に感じているところですが、(5)で規則提案を御紹介しているわけですが、そこに至るまでの流れとしては、資料4ページの(1)からのものがあったわけで、学術的プロジェクトについても欧州議会の公式文書で言及されているということを確認しております。また、単一市場戦略、政策文書見直し、更に勧告に至った上での規則提案ですので、1次提案ではありますが、何か突如あらわれたもので利害関係人が驚いているような状況では少なくともなく、この一連の流れを酌んだものです。ただし、御指摘のとおり今後、内容が大幅に変わっていく可能性は否めないところではあります。

○早川座長代理 先ほど畠委員から御質問があったところというのは、実際に制裁や損害賠償を執行するときには、EUの域外にある企業だったりすると、そこに対して物理的に行使してくるのが実際には国際法上の原則上、難しいという問題が御質問の趣旨だったと思うのですけれども、そこは多分ほかのGDPRも含めていろいろな問題で共通して出てくる問題で、残念ながら今のある程度の規模の企業はグローバルに展開しているので、何らかの形でEU域内においての行動ですとか資産ですとかいろいろなものを持たざるを得なくなってくると、そうするとそこに結局、制裁をかけていけるので、結果的にはよほど小さいところは問題外になるかもしれませんけれども、ある程度の規模になると、もう今の時代では逃げられないという状況だと私は認識しております。

○中田座長 この中に差止請求権というものが明確に入っていますね。

○カライスコス京都大学准教授 はい。御質問の趣旨を誤って理解しており、申し訳ありませんでした。補足いただきありがとうございます。

座長御指摘の差止請求は、12条に入っています。

○中田座長 これは当然行使できる制裁としてあるわけですね。

○カライスコス京都大学准教授 そうです。これは過去の指令にも見られるものでして、特に目新しいものではないのですが、加盟国によって代表団体として消費者団体にそのような請求権を付与するのか、あるいは公的機関として行政当局にそのような権限を付与するのかを選ぶことができます。例えば私が前に調べていたほかの指令の場合ですと、フランスであれば両方とも設け、消費者団体にも権限を付与し、行政当局も権限を行使できるという場合もありますし、ドイツだとほとんどの場合、行政当局にはそのような権限を認めずに消費者団体のレベルなどで行使してもらうというように、先ほど御指摘があったように加盟国によってばらつきが見られる部分です。

○早川座長代理 ただ、今の差止請求も畠委員の問題意識からすると、差止請求されたけれども、それに従わない企業がいたときに、ではそれをどう従わせるかというと先ほどの問題になってきて、ではそれは通常の場合、制裁か何かを課すことによって実効化あらしめるわけですけれども、その制裁は国境を越えられないのでという話になるのかなと思っております。

○中田座長 大分時間が過ぎてきたのですけれども、もし石原委員のほうで何かございましたら。

○石原委員 私はシェアリングエコノミーに関してISOに絡んでいる関係で、4ページのISO 20488、オンライン消費者レビュー等々についてのISOと先ほど御説明いただいた規則提案の関係について御質問をさせていただきたいのですが、時系列的にISOになっているということは恐らく3年、4年という形で議論がされているものだと思うのですけれども、これが規則提案の5条のランキング等に絡み得るところなのかなと思うのですが、この関係性というか、そこら辺について何か御示唆があればお伺いしたいと思います。

○カライスコス京都大学准教授 まず規則提案、資料8ページの5条ですが、これについては利用規約への記載義務を課すというものになっていますので、このランキングの発生のさせ方といいますか、プロセスに対する透明性を確保するものになっています。それに対し、資料3ページの下のほうにあるフランス規格協会のオンラインレビューに関する基準あるいは資料4ページの国際標準化機構の部分ですが、こちらは自主的なもので、ほかのISOなどと同様の機能を有するものです。先ほど申し上げたELIのプロジェクトを主導されている先生に昨年お会いしたときにお話を伺ったのですが、この国際標準化機構の作業にも委員として参加されていたということで、私も同じような疑問を抱いて伺ったところ、少なくともその先生の認識の中では、レビューについては技術的な部分も多いので、例えばELIの将来の提案では、このような機構が設けた標準に従っていれば適切なランキング等の仕方を行っているという形で、そういう標準と規則などを結びつけて用いるのがよいのではないかと、少なくともその方は思っておられたようです。

○石原委員 ありがとうございました。

○中田座長 ほかに御質問等ございませんでしょうか。全体を通じて何か一言ございましたら、いかがでしょうか。

○早川座長代理 最後のISOの話がそう結びつくとは驚きましたけれども、ISOはもともとは日本のJIS規格のようなもので、鉛筆の長さだとか形や大きさなんか、あるいはねじとかそういうものをやっていたところ、だんだんそれが見方によっては肥大化してきて、環境についての取組について一定のものをやればという中に、更に苦情処理というのが何年か前からそういうISOもできまして、その延長線上にオンライン消費者レビューの収集についてのISOというのがあるんだと思います。ただ、これは一体誰が使うのかなと思っていたのですけれども、そうしたらこういう例えばレギュレーションの中でこれを評価するのに、このISOにかなっていればここは一応オーケーみたいなふうにつながってくると、このISOも使われ始める。このISOも基本的にはヨーロッパ主導でつくられていますので、なるほどというふうに思いました。

以上です。

○カライスコス京都大学准教授 1点だけ補足があります。資料8ページの5条の部分はランキングですので、これはあくまでも例えば消費者が検索をしたときに、どのような順番でビジネスユーザーが表示されるのかというものですので、先ほどこれを資料4ページの国際標準化機構と結びつけるという印象を与えるような話をしましたが、この条文自体との結びつきではなく、将来的な指令や規則の中で、オンライン消費者レビューについて定める際に、このような標準との関連性がどのようなものになるのかという話です。ありがとうございます。

○中田座長 ありがとうございます。

そのほかいかがでしょうか。

○蟹瀬委員 現場の立場として申し上げますと、ジャン=クロード・ユンケルさんがおっしゃったオンラインエコノミー、つまりオンラインエコノミーに対するとても早いルール作りへの取組がヨーロッパでは始まっていると理解ができるのですが、日本はまだまだそこにたくさんプラットフォーマーもいらっしゃるし、ECサイトで物を実店舗だけではなくて売っていこうという企業も非常に増えた中で、まずフォーマーに対してのルールをつくらなければいけないのに日本はとても遅れていると思うのです。ここが安心してつくられない限りは、消費者問題だけ守ろうとしてもむずかしいと思います。順次するにしてもどちらにしてもいいのですけれども、この議論を次に日本に持ってくる必要があると、そういう感じで私は受け取ったのですが、いかがでしょう。

○カライスコス京都大学准教授 個人的な見解ですと、繰り返しにはなってしまいますが、先般のGDPRでEUが主導権を握って、適用範囲に対する制限などがあるものの、結局は世界規模で影響を与えていることには間違いないというところですので、御指摘のとおりEU等といったほかのところで設けられた基準に、その後実質的に従わざるを得ない状況に持っていかれるのか、それとも主導的に自ら、自分の国の経済に合った基準を設けるのかというところとの関連性があるのではないかと思います。


≪3.閉会≫

○中田座長 よろしいでしょうか。

それでは、大分時間が過ぎましたので、今日はオンラインプラットフォームの全体構造を丁寧に御説明いただき、そのフレームワークを理解することができたのではないかと思います。他方でそれに伴って問題点が指摘されたということもあるのではないか。そういった問題あるいは構造をどういうふうに捉えるかということで、ヨーロッパでの取組というものがある。個人的には、それもかなり我々の議論の中で使えるようなところがあるのではないかという認識を持ちました。

今日は以上の議論をもちまして閉会とさせていただきたいと思います。お忙しいところどうもお集まりいただき、ありがとうございました。次回も楽しみにしております。よろしくお願いいたします。

(以上)