第48回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2018年6月1日(金)9:58~11:46

場所

消費者委員会会議室

出席者

【専門委員】
古城座長、井手座長代理、小浦委員、古賀委員、陶山委員
【消費者庁】
福岡審議官、澤井消費者調査課長
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しに関するヒアリング
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間になりましたので会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会 第48回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、白山委員、松村委員、山内委員、消費者委員会担当委員の蟹瀬委員、長田委員が御欠席となっております。

なお、古城座長につきましては遅れて出席の予定です。このため、座長出席までの間、井手座長代理が議事進行を務めます。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。もし不足がございましたら事務局までお申出ください。

なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても後日、公開することといたします。

それでは、井手座長代理、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.NTT東西のプライスキャップ制度の基準料金指数の見直しに関するヒアリング≫

○井手座長代理 それでは、本日の議題はNTT東日本・西日本のプライスキャップ制度の基準料金指数の見直しに関するヒアリングでございます。

御承知のとおり、NTT東日本・西日本については、加入電話について平成12年10月からプライスキャップ規制というものを導入しております。プライスキャップの場合は、御承知のとおり料金の上限を決めるわけですけれども、そのときの基準料金の指数というものを総務省が設定することになっております。その場合にX値と言われていますけれども、生産性向上率あるいは生産性向上の見込率というものを3年ごとに見直すことになっております。

今回、NTT東日本・西日本のいわゆる特定電気通信役務加入電話、公衆電話、ISDNの料金に関する基準料金指数の算定方法の設定及び変更の場合には、物価問題に関する関係閣僚会議に付議するといった公共料金等になっております。付議するに当たって、消費者庁より消費者委員会に意見を求められております。

本日は、基準料金指数の見直しに関するヒアリングということで、神奈川大学の関口先生に御報告いただくことになっております。

初めに、今、御報告したように神奈川大学経営学部関口教授より、情報通信をめぐる最近の状況ということについて御説明をお願いしたいと思います。20分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○神奈川大学経済学部関口教授 おはようございます。ただ今井手座長代理から御紹介を賜りました、神奈川大学の関口でございます。

本日は、プライスキャップ関連ということでお話をさせていただくのですが、実はこの後、1時間後に料金サービス課の藤野課長、竹中課長補佐、お二方がお見えになって、詳しい話はそちらで、キャップの話はされるということでもありますので、キャップそのものの話はさらりとこちらはスルーをして、通信全般に関する最近の状況についてざっくりとしたお話をさせていただくということで、丸山参事官から先日そんな趣旨で構わないということでお伺いいたしましたので、本日は資料1で私のお話をさせていただきたいと思っております。

資料2、資料3は、1時間後にやってくるであろう料金サービス課の課長と課長補佐からのお話になります。私も上限価格方式の運用に関する研究会というところの構成メンバーではありますので、そこで辻正次神戸国際大学経済学部教授の座長の下でずっと作業はしてまいりましたが、細かな話については課長のほうがむしろ精通されていますので、私は前座を務めるという意味で少し概略的なお話をさせていただく予定でございます。

資料1なのですけれども、1枚おめくりいただくと目次が書いてあります。まずはメタル回線、銅線についての状況を1としました。次に、光回線の状況について2といたしまして、最後にモバイルの状況についてお話をさせていただくというような、大きく3つに分けてお話をいたしますので、1つ5分で15分という形で少しお話をしたいと思います。

1枚おめくりいただきたいと思います。3枚目、NTTはメタルケーブルについては、有姿除却というものを昨年度決算で行いました。これは鵜浦社長のお話をロイターが拾ったものですけれども、営業利益1兆3,195億円の内訳として、メタルケーブルを現状のまま除却処理する有姿除却で1,250億円の損失が生じたものの云々という形で、メタルケーブルを有姿除却というものを行った。

参考までに、下に国税庁の発行した法人税法基本通達7-7-2をそのまま転載しております。通常、企業会計上、経費だとか費用だとか言っているのは、税法上、損金という概念になるのですが、この損金処理をするというときに例えば本などの場合には、裁断しないと損失計上できないようになっていて、形が残っている限り在庫として計上しなければいけないのです。メタルケーブルを今後不要になったという判断をしたときに、税法上もこれを認めるかどうかというのは7-7-2というのが効いてまいります。

メタルケーブルを使わないのだったら引っこ抜いて売り払ったらどうだという話もいっぱいあったのですが、抜くのに結構お金がかかって、売却代金よりも引っこ抜くコストのほうがかかってしまうので、埋め殺しと称して光ファイバーを隣に引いて、メタル回線をそのまま置いた状態にして使わないようになるということなのですけれども、この7-7-2にあるように、たとえ破砕したり粉砕したり撤去したりということをしなくても、もう使わないということが明らかであるというような場合、時代が変わってしまった金型なんていうのは典型的ですけれども、そういったことが明らかであることが認められるケースにおいては、有姿除却というものが認められていて、今回はこれを適用したということであります。事実上の減損と御理解いただいていいと思います。つまり、これで電電公社時代、全国津々浦々にめぐらせた銅線の世界は、ある意味でNTT側にとってみると終焉を迎えつつあるということが象徴的だと思うのです。

そのことが具体的に通話料収入等でどのように反映されているかというか、その減少がどうなっているかというのが、その次のところの「1.2稼働率低下の状況」です。基本料収入はピーク時、これは平成12年の時代ですけれども、15年たってみると65%減になった。そして通話料収入に至っては、15年たってみると95%減少と20分の1になってしまったという実態なのです。ですからNTTからしてみると、メタル回線というのはほとんど稼働しないに等しいと理解してもいいような状況だと思っていただければいいと思います。

次のところが音声市場の現状という形で、これは移動体通信がずっと伸びて、固定系がずっと落ち込んでくるということを示したもので、全体に音離れというのはメタル回線以外、光を含めても変わりつつあるという意味では、音声中心の時代からデータ通信が中心の時代へと明らかに移ってきているということもお分かりいただけると思います。

そういう中でキャップはメタルについてかけているものでありまして、対象規制というのは下の特定電気通信役務というオレンジ色の規制のところが規制対象役務でありまして、NTT東日本・西日本の加入電話、ISDN、公衆電話、この3つにかかっているということであります。

それについては1枚めくった下のところでNTT東日本、もう一枚めくっていただいてNTT西日本の指定電気通信役務の損益明細表を貼り付けてありますけれども、ここを御覧いただきますと基本料が189億9,100万円の赤字。通話料は21億円の黒字になっておりますが、公衆電話も28億円の赤字という形で、通話料は細々としながら何とか黒字を保っているとはいうものの、基本料、公衆電話では真っ赤という状況で、これは西も同じような状況です。

実は後ほど藤野課長と竹中補佐から具体的なX値の値、キャップの値等については説明があるので、ここは省略しますが、現実的にはキャップの値は今、値上げも可という状況になっているのです。ただ、次にお示しいたしますメタルIP電話に移行していくことを2025年に想定しておりまして、これはメタルIP電話を一番下の足回りのところの家庭宅の電話だけは従来の黒電話を維持しながら、途中から光ファイバーケーブルに電話をつなぎ込むというプランニングでありまして、途中の交換機を集線機能だけ残して事実上、使わなくなるというふうにプランニングをしております。

これはシスコシステムズから買っていた電話交換機がもはや製造中止になって、交換部品もなくなってしまうということが想定されて移行政策を打ったということなのですけれども、ここについてキャップ対象のサービスについて赤字でありながら、値上げは可能なのになぜ値上げをしないのかというのが1つ疑問として残ると思うのですけれども、10ページに書きましたように、現行のプライスキャップ規制の下では値上げは可能だと言いながらも、次のメタルIP電話のマイグレーションを優先するという形で、ここの赤字というのはBフレッツ、光ファイバーのほうで補填をする形で全体の収支を賄っていくという政策を採っていると理解をする。これは私の判断ですけれども、そのことを数字で明らかになるのが今、見ていただいた東日本、西日本の特定電気通信役務の下の枠、特定電気通信役務以外の指定電気通信役務というところのFTTHアクセスサービス、これがBフレッツと光卸の収支になるわけですが、ここで1,457億円のプラスになっており、光ファイバーサービスがこの数年、黒字転換をして特定電気通信役務の赤を埋めるに足るということになってもいるので、今回のキャップの規制についても料金体系については特に値上げを選択しないということになったのだろうと推測されます。

11ページ、1.5メタルIP電話への移行。ここも既に会議を相当数重ねて審議を尽くしております。具体的に今、電気通信事業法の改正にまで至っておりまして、着々と2025年初頭には切替え完了に向けて作業を開始しております。

実は鵜浦社長のNTTのメタルIP電話への移行宣言のときには、当初、鵜浦氏はお客さんには全く気付かれないうちに切り替えますから大丈夫ですというお話をされたのです。恐らく個々の個人ユーザーにとってみると、そのような状況というのはあり得ると思います。ただし、詐欺的な変な介入だとかそういうことはいろいろ気をつけなければいけないということがあるのですが、大問題になったのはISDNのINS64というサービスで、キャッシュカードでお金をおろしたりするときに実はこのINS64というのは多用されていました。それから、FM放送なんかでもINS64は小回りが利いてとても使いやすいということで、このユーザーは非常に多く、存続を求めていらっしゃいました。NTTとしては通信の秘密に関わることでもあるので、利用状況についてそれまで全く関心がなかったというか、調べようともしなかったのです。そういったメタルIP電話への移行について事業者の方達からの御意見を多数賜って、急きょそこへの対応に追われることになり、ほぼそこについて全対応が済んだ状況であります。

もう一つは、消防庁、警察から緊急通報が切り替わるのは困るとお申し越しいただきました。これは回線保留機能という、緊急通報された方が電話を切ってしまっても、受け付けた消防あるいは警察からは、切らずにそのまま折り返し電話がつながっている状況が保てるという機能がメタル回線だけに与えられた機能で、光ファイバーではそれが保てない。一度切って、コールバックしないといけないというので、2秒ちょっとかな、数秒遅れてしまうので、そこは人命に関わるから困るというお申し越しがありました。

ただ、ここについては携帯電話が既にコールバック方式になっているということもあって、今回はコールバック方式に切り替えた上で、ついでに、携帯電話事業者はなりすまし防止のために、緊急通報ダイヤルに振られた固有番号がコールバックでかかってしまうということを110番あるいは119番という1XYの番号が表示されるように改正をお願いして、ほぼそこはMNO3社については御了解をいただいて、改修を進めていくというところまで至っている状況で、緊急通報とISDNについて少し時間をかけて対応に配慮いたしました。こんなこともあって、恐らくプライスキャップのほうはいじらない。そして、メタルIP電話についても一切、今の基本料についてはいじらないという選択をされています。

なお、通話料については距離別の料金をやめて、3分8.5円という値段でサービスをするということをNTT東日本・西日本が表明されています。

通話サービス卸については、赤枠が付いていて、X%をユーザー料金から引いたものを各事業者に卸料金で提供するという形で、これは固定費を徴収できない分だけ契約管理費を取るという、ここはまだX円ですけれども、こういう値段をつけてマイライン事業者等についてのサービスを継続してもらうことになっております。

次、光回線の状況ですが、これは光コラボレーションモデルという形でNTT東日本・西日本が最終ユーザーにBフレッツを売っていたのですが、ひどい状況の場合には冷蔵庫1個くっつけてやっと1契約をとるという状況が量販店で続いていて、さすがにNTT東日本・西日本もそろそろ自前で売るのは限界だということで、どなたにでも卸でお売りして、その方のブランドをつけて最終ユーザーに売ってもらうという選択をしたというので、B to CからB to B to Cという形に事業展開をするということで、光コラボレーションというものを打ち出して今日に至っております。

15枚目は総務省の事業政策部会の資料の4ですけれども、このような形、真ん中にある事業者が携帯電話事業者、ここはNTTドコモ、ソフトバンク等と書いてありますが、この2つで相当数売ってくれているのですけれども、それ以外にもあらゆる事業体とつなげて、そして新しいサービスを付加して最終ユーザー、一般消費者の方にサービスを提供するということなのですが、このときにバルクで売るときのディスカウントをさせないという選択をいたしております。これが16枚目の2.2大口割引を禁じた光卸というところでありまして、本来、割戻、ボリュームディスカウントですとかバルクディスカウントと言っている、たくさん買ってくれた人には値を引きますよというのが商慣行では当たり前でありますし、量販店が地域ナンバーワンの安さとかで売れるのは、このバルクディスカウントがあるからです。

ところが、これをやってしまうと20枚目を御覧いただくと分かるのですが、光コラボの契約数シェアでNTTドコモが41.2%云々と書いてあるのですが、3行目の後半から、NTTドコモとソフトバンクを合わせた携帯キャリアのシェアは7割弱まで拡大ということで、この2つの携帯事業者が7割弱を売ってくれている。ここにボリュームディスカウントをかけてしまうと他が商売にならなくなってしまうということで、割戻は禁止ということで、どんな方にも1単位から同じ値段で卸しますという約束をしたということが16枚目のところ、2.2の下のところに書いてありますように、割戻を行わないことによって光卸では必然的に価格競争は生じにくくなってしまうということは、間違いなく言えたことだと思います。

ただし、コスト低減を図るということの効果は、卸料金全体の値下げという形で実現するという形で、広く薄くその効果が広まっていくという現れ方をする。具体的には2018年4月に値下げをいたしました。そこは19枚目のところ、これはその前の資料と一緒なのですけれども、ガイドラインに書いてある今回の資料なのですが、これが当初の卸の単価で、全部委員限りですけれども、19ページから21ページに移っていく。これは4月10日の情報通信審議会電気通信事業政策部会の資料ですが、これまた枠しか分からないようになっているのですけれども、一番上のところに卸料金を値下げした。四角枠は値下げしたという事実が分かるということでありまして、このようにしてバルクディスカウントを一切行わないかわりに、卸全体の値下げという形でコスト低減効果を反映するという選択をしたということであります。

22ページ目のFTTHについては、継続的な競争というのはなかなか明示的には起きていないけれども、ピンポイントで少しずつ起きているという表です。ただ、おおむね月額5,000円という形で戸建て向けの場合の状況が書いてありますが、値下げの動きは見られないという書きぶりで市場検証会議では評価しております。

最後、数分でモバイルの状況に行きたいと思いますが、MVNO振興を今、総務省は掲げておりますが、一方で携帯3社、MNO、設備事業者についてライトユーザーが結構いらっしゃるということもあって、ライトユーザー向けのプランをお出しいただく。それから、「スマホ乞食」という名前を紹介された委員がいたのですけれども、キャッシュバックで生活ができてしまうぐらいキャッシュバックがすごかった時期が一時ありまして、そうやって電話契約をころころ変えるユーザーが得をして、長期保有ユーザーが相対的に損をしているという状況を改善したいということで、25枚目のところに大手電気事業者の長期ユーザー還元を施策として打つ。こういった利用実態に応じたサービスをMNO側にも求めるという形で事業展開を促すということを期待して、政策を総務省が打っております。

26枚目は価格比較で省略をいたします。

27枚目も時間があったら見ていただければと思いますが、主要なMVNOのレンタル事業者の料金プランであります。

28枚目も時間の都合上、省略をいたします。

29枚目、55というところで3年間のモバイル接続料は少しずつ下がる傾向に、特にデータ接続料については確実に右肩下がりがお分かりいただけると思います。特に上の灰色のソフトバンクとKDDIは2016年水準でほぼくっついた状態にある。まだドコモとの差が若干残っておりますが、大分開きが縮まってきたと言ってよろしいかと思います。

そのことの原因というのは31枚目、3.2逆ざや問題とその収束。これは長い引用をして時間があればゆっくり御説明を申し上げたかったのですけれども、実は古い記事でありまして、記事が書かれたのは2011年5月18日の日経記事で、ここで逆ざや問題というのが発生していて、ソフトバンクに対してNTTドコモが紛争処理委員会に申請を出したという状況で、ソフトバンクの接続料金の高さが原因分析を事業者同士ではしかねるということで協議がなかなかうまくいかなかった。これはマスコミでこの間、場外乱闘なんて言葉が飛び出すぐらい延々と続いたことで、なかなかこの原因分析が進まなかったのです。

その原因分析がほぼ解決したのが、32というスライドのICTサービス安心・安全研究会のモバイル接続料の自己資本利益率の算定に関するワーキングチーム報告書(案)というやたら長いものなのですが、実は自己資本利益率の算定に関して計算式がみんなまちまちだった。ところが、これは難しいことにファイナンスの理論で言うと、どれもそれなりに説明がつく。間違いではないということだったのですが、それによって出てくる数字がかけ離れ過ぎているということもあって、せめて計算式を統一したいという会議であります。それが33、34のところの資料でありまして、アンレバー・リレバーに用いる式等を1にした。3つばらばらだったものを1つにした結果、事実上、収束に向かって先ほどのような2016年数値でKDDI、ソフトバンクの値がほぼ一致するところまで落ちついたということになりました。

最後はモバイル市場の公正競争促進に関する論点(案)ということで、これは4月20日でしたでしょうか。最終会議が結審した、まだ直近の会議でありますが、この中でBWA事業者についてもう少し制度面を分析しなければいけないですとか、あるいはMNOとMVNOとの間の競争について、もう少し注視をしようというような方向性が決まっております。

すみません、少し長くなりましたが、私からの報告は以上とさせていただきます。

○井手座長代理 ありがとうございました。

それでは、ただ今の情報通信をめぐる最近の状況ということで御報告をいただきましたけれども、御質問あるいは御意見ございましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 非常に専門的ないろいろな情報をいただき、ありがとうございました。特に印象に残りましたのは、最初の3ページ目のメタルケーブル時代の終焉ということで、今回、通話が20分の1にまで少なくなっているんだということは、私自身も使わなくなったなということとあわせて全体の状況が分かったかなと思います。

こういう状況でも最後まで使われる方は将来的にも残っていくのだろうと思うのですけれども、今回のプライスキャップ、X値の変更については、基本料金もそのままでいくだろうという見通しの中で、特に消費者の利益について問題となることはないという先生のお考え、把握をされているのかなと思いますが、将来的に固定電話の利用者がどんどん少なくなっていったときに、その利用者が不利益を被るという状況は起こってくるでしょうか。来るとしたらどのようなことを注意しておけばよいのかなと、そんなことを質問させていただきたいと思います。

○神奈川大学経済学部関口教授 今、陶山委員からお話がございましたように、音声通話は全体の20分の1になっているのですけれども、今日資料を御用意していないのですが、世代間ごとに比較をすると今の20代以下はほとんど電話を使っていません。ですから20分の1もないのです。ちなみに、うちの子供が電話を1カ月に使っているのが、音声通話代が20円か40円なのです。しかも私に何だと言って電話して切ってしまうみたいな、そんな程度の使い方でありまして、お友達同士は今、音声通話はまず全く使わない状況が若い世代であります。

その意味で言うと、年代が上がれば上がるほど音に頼らざるを得ない。ですから上の方たちの場合、携帯電話はまだガラケーが生きているという世界でありまして、最後に残っていく部分、今、2,200万契約程度がNTTの固定電話の契約者として残っていらっしゃるのですけれども、私は普段固定電話については置くだけ電話とやゆをしていて、もう既に非常時以外の公衆電話って本当に置いてあるだけの存在になりつつありまして、かつては公衆電話の前で携帯電話の電話帳を見ながら電話しているという姿も一時ありましたけれども、それすらなくなってしまうという形で、固定系電話のニーズは相対的に落ちているのですが、先ほど申し上げましたように年代別に見ると、音に頼らざるを得ない世代というのは上に行けば行くほど高いわけです。今の80代以降の方たちの多くは、携帯電話すら触りたくないという方達がまだ残っていらっしゃる。その方達が生活をされる範囲において、この2,200万ユーザーの多くは生活必需品であるという面が相変わらず残っているわけです。

その意味ではキャップをかけてある一定レベル以上の値上げを禁止する。それ以上の値上げの場合には認可に戻るという制度は、一定の歯止めとして有効だと思っているのです。ですからこの範囲を超えた値上げをさせないという意味での存在というのは、これからも意義としては2,200万ユーザーが2025年以降はメタルIP電話という形に切り替わっていくものの、同じようにその影響は残っていくだろうと思われますので、メタルIP電話についても規制がプライスキャップの計算式を含めてこのままの状態で残るかどうかは別の議論としてあるかもしれませんが、一定水準以上の値上げを防止するという歯止めは最低限必要だろうと思っております。

ですから世代が変わって私もいなくなってしまう時代ぐらいになってくると、こういったことについての心配がなくなってくるかもしれないし、その時代にはもはや音って何だったのみたいなことになるのではないかと思うのです。これは例えば明治の時代に電報が必需品だったというのは分かるけれども、今、電報って何に使っていますかというと、本当に結婚式のお祝い等で、なくても済むけれども、付加的なサービス。逆に今度はそれで使用料をつけて1回2,000円もするような立派な紙で台紙に張ってあげるとか、そういうサービスの質を変えているのだけれども、「チチキトクスクカエレ」というのはなくなってしまったわけです。その意味では数十年のオーダーだけれども、時代とともにニーズが変わっていくということですが、まだ2,200万の固定電話ユーザーがいらっしゃる限りにおいては、上限価格規制というのは存在意義があると理解しております。これが最終利用者を守るという意味でセーフガードになっていると理解しています。

○井手座長代理 では、古賀委員。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。接続料や長期増分費用のことで平成12、13年頃に関口先生にはいろいろとお話をお伺いしたりしたのですけれども、私もこの問題については空白の十数年で、今こういった状況になっているということを初めて知ったのですけれども、トラフィックが減ってメタル回線が将来的にはどんどんなくなっていって光に変わっていくという状況というのは、毎年というか、スパンで見たときに、既に随分前から明らかになっていて、そのための委員会もいろいろあったと思うのですが、プライスキャップの関係で言いますと、8ページと9ページにNTTの役務のいろいろな収益費用の表がございますけれども、ここのところで公衆電話が赤字だというのは理解がしやすいのですが、基本料金が高止まりしているのではないかというのが1つ、消費者の疑問としてあります。

ここのところで189億の赤字が出ているところを、特定電気通信役務のBフレッツ等が補填しているという形になっていると思うのですが、ここについてBフレッツとか、そちらのほうを引き下げるような議論というのはこの間なくて、プライスキャップのほうはもともとの減っているところを温存する形でしておいてあるというような形であったのかどうか。それから、NTT東西で非常にいろいろな環境が違うと思うのですが、先生としてはこちらの東西の今のメタルの回線について、消費者に対する利益ということで何か矛盾点を感じていらしたら、その辺をお答えいただきたいと思います。

○神奈川大学経済学部関口教授 後段は結構難しい。今の古賀委員の御質問の中でのFTTHの値下げの議論になぜダイレクトに結び付いていかないのかという点は、このFTTHサービスはデータ通信と音声通信が、光電話はオプションですけれども、メインはデータ通信のほうなのです。これは生活必需品ですかといったときに、音だけのサービスを光ファイバーの世界でどこまで実現できているかという議論で、NTT東日本・西日本は長いこと音声電話だけのサービスはBフレッツの上では提供するつもりは全くないと言い続けていらっしゃいました。

というのは、全体のトラフィックの量でいくと、例えばこの壁までの水道管があるとすると、音声電話というのはこれにちょろちょろとこぼした程度しかないということですから、全体の投資から考えると、光ファイバーを音に使われるというのは全くコストに見合わないという主張をされていました。それはそのとおりだと思います。

今は音だけのサービスは全くないわけではなくて、東日本大震災のときの高台移転、ああいった全部流されてしまって、新しい山を崩して造成をして、波が来ないところに皆さん移転していただくときに電話回線を新たに引くというときに、今からメタル回線を引かなければいけませんかと言われたときに、そこはさすがに時代が違うから光ファイバーでいいでしょう。その代わり光ファイバーで音声のみのサービスメニューを提供するようにしてくださいというお願いをして、そういった限定されたエリアについては、光ファイバーで音声のみのサービスが選択可能になっています。ただ、その他の圧倒的な多数のサービスエリアに関して言うと、ここはデータ通信のほうがメインだということなので、ここについての生活必需品であるかどうかという分析をすると、まだまだ価格についての上限を設けたりという規制には至らないなと思っております。

なお、接続料金が今、2,000円ぐらいまで落ちてきていまして、データが入っていても今の基本より安いということになってくると、キャップの対象範囲を見直す機運はどこかで起きる可能性はあると思います。ただ、今のところはメタルIP電話という形で既存のメタルの2,200万ユーザーはそちらを引き継ぎますので、光ファイバーに混在していくとは言いながらも、別メニューで走っていますので、Bフレッツサービスについては値下げを強要するということにはつながっていかないのではないかと思われます。

それなりに光ファイバー投資は維持にも金がかかるということもありますので、値下げ競争は事業者間で起きているかというと、事実上そんなに起きていないよという先ほどの資料の競争評価のところで値下げは余り起きていないという状況。ただ、ピンポイントで言うと薄緑色のケイ・オプティコムの値下げ攻勢だとか、幾つか特に関西系では光ファイバーの競争は結構激しくなっておりますので、若干の値下げのし合いというのは生じていると思います。

2番目のほうで東西の違いについてということなのですけれども、相対的に西は島しょ部も多くて体力が東に比べるとついて来られないという状況がございます。したがって、西の場合は賃貸の比率が結構高かったりという形で、コスト構造から言うと相対的に言うと東のほうが有利、西がちょっと不利という状況はあると思います。ただ、接続料金等でもまだ全国一律での料金体系を求めていますので、そういった条件不利なところのコストアップを東が相対的に足して2で割ってかぶるような形で、差がないように心がけているという状況ですので、最終ユーザーにとってみると東と西の差は今のところ特定電気通信費について言うと、差はないと理解していただいてよろしいかと思います。

○井手座長代理 では、小浦委員。

○小浦委員 どうも御説明ありがとうございました。今の本当にこれからの状況を、音声からデータへ移動しているというのを本当に私自身もいろいろ日々の生活からよく分かります。

1つ、料金には直接関係ない質問で恐縮なのですが、11ページのところのメタルIP電話への移行というところで、緊急通信で警察から困ることがあるというのを言われて、携帯にもコールバック方式があるというふうに。

○神奈川大学経済学部関口教授 コールバック方式しかないです。

○小浦委員 今のメタルでしたら110番なり119番して切ったとしても、どこからかかってきたかが分かるというお話をされていて、IP電話になったときにそのことを説明していただいたのですが、聞き漏らしたところがありまして、もう一度お願いいたします。

○神奈川大学経済学部関口教授 どこから来ているかは光ファイバーと同じように分かっているのです。このテーブルを2つくっ付けたぐらいの大きなディスプレイに地図も出ているような形で緊急通報の受付台があるのですけれども、私もそこを見せていただきましたが、非常にセキュリティーが厳しい状況。桜田門の警視庁の中で見せていただいたのですが、そこでそれこそ切りつけられてしまったとか、ガス自殺を図ったとかいろいろな情報が全部入ってくる中で、回線保留機能というのは110番、119番をかけた方が、がちゃんと電話を切ってしまっても実は線がつながっている状態を保てるという機能なのです。これは銅線がないとサービスができないことになっていて、光ファイバーと携帯の場合には、一度電話をかけたユーザーが切ってしまうとかけ直さないといけないのです。その回線保留機能の代わりにコールバックして、電話番号は分かっていますので、そこに電話をし直すというのに数秒かかるということであります。ちなみに、かけ直すときに電話代がかかるのですけれども、これはNTT東日本・西日本が全部かぶるという約束をして御了解をいただいたということなのです。

○小浦委員 ありがとうございました。こういうこともユーザーには大事なことかなと思って確認させていただきました。

○神奈川大学経済学部関口教授 今後、なりすまし防止の対策をどのように機能強化していくかというのはまだ課題ではあるのですけれども、今、例えば私も電話をスマートフォンで受けたときに、登録されていない方からの電話はちゅうちょするのです。御自身、自分で110番、119番をかけたのに、ぱっとかかってきた電話が知らないところだったというと電話を受けないということがあり得るのです。かつてはそれがなりすましで、違うところから電話が来て途中から割り込んできてしまうという悪意のある人のいたずらを防止するというほうが選択肢としては勝っていたので、110番、119番から電話が来たときに、緊急通報台という受付台に振られた固定電話の番号が表示されてしまうという機能のまま今日に至っているのです。

ここについてはまず光ファイバーのほうにつなげて、メタルIP電話にするときに固定のほうからまずこれは110番、119番の表示をしますというふうにNTT東日本・西日本がお決めになったのですけれども、これはコールバックという点で言うと、携帯のほうが今、利用率がはるかに多いので、携帯も一緒に110番、119番の表示に変えられないかということを検討会を相当数開いていただいて、検討いただいて、やっと最近ほぼ合意に至ったという状況であります。

○陶山委員 先ほど古賀委員のなぜ光の利用料が下がっていかないのかという、それに関連しての御質問をさせていただきたいと思います。先ほど文脈としては光の大口割引を禁じたので、そこに価格競争が生じにくくなったというお話をいただいたのですが、今後、光回線の利用料で競争環境を作っていく要因は、どのような要因があるのでしょうかというのが1つ質問です。

もう一つは、先ほど先生の御説明はスキップされたのですが、30ページのところで様々なメニューの御紹介をいただいたのですが、ガスとか電力の自由化の中で、比較サイトの重要性というのがいろいろ消費者からも注目されております。「価格.com」などいろいろメニューの比較をしたサイトがあるのですが、こういったサイトの利用の状況をもし御存じでしたら教えていただきたいなと思います。

○神奈川大学経済学部関口教授 先に比較のほうで申し上げますと、余りこういう比較サイトって見ません。ただ、いろいろ比較広告の問題等もありますので、全てを網羅する表はなかなか出しにくいのだろうと思います。

それから、前段の御質問なのですが、大量に買った人達に割り引きますよというバルクディスカウントをさせないという選択は、結局のところ携帯2社、ドコモとソフトバンクが7割近くを売っているという現実を見ますと、ここが携帯と光ファイバーの合わせ技で、テレビと固定電話と携帯とセットでいかがですかという売り方をしていますね。ここが最強になっていくといったときに、NTTグループがますます強固になってしまうということを嫌うと、必然的にそこに競争が起きにくい結果になってしまう。どちらを選択するかなのです。それでも大量に引かれたところに安く卸して、そこが価格競争を仕掛けていくことを是認するかということになってくるのですけれども、ただ、健全な競争環境を保つという点でいくと、スーパージャイアントになってしまうことは選択としてよろしくないという判断のほうが、現時点では勝るように感じます。

その意味で言うと、接続料金の制度に近似してくるのですけれども、全体コスト、卸料金全体の中で全てに広く薄く、少ししか売れない人にも恩恵を与えるということを数年ごとに卸料金の見直しという形で反映していくという選択肢で、皆さんの利用料が増えていけばいくほど固定費の割合が減っていきますから、総体的に価格が下がってきます。その恩恵はみんなが広く薄く受けるんですよという形で、ピンポイントでも激しい競争はさせないという選択を行政として行っていると私は理解しております。

○陶山委員 お話は理解できたつもりなのですけれども、卸料金というもののほかに競争環境を作るような、他の要素はあるでしょうか。

○神奈川大学経済学部関口教授 他の要素というのは、光ファイバーの音声利用をどれだけ促進しようとしても、既に音離れが激しい現状で言うと、例えば若い人に電話しましょうと言っても、いや、いいですよということになりますよね。その意味で言うと、光ファイバーの音声利用っておのずから世代間で相当の差があって、総体的に世代が若くなればなるほど利用効率が悪くなっていくということになっていくのです。

光ファイバーはこれから何に使っていくかというとデータの転送に使っている。特にこれから携帯のユーザーが増えれば増えるほど、オフロード対策という形でデータを光に落としていく。事業者としてはシングルスター等で携帯事業者にもこの光を活用していただくという形で、利用効率を図っているという状況ですので、そういうデータを多用する時代になればなるほど、光ファイバーが隠れた重要さとして存在が光ってくるという環境にあるので、音の世界で競争を図るということは現実的ではないと思っています。

○古賀委員 基本的な質問で恐縮なのですが、29ページのところに移動系通信のモバイル接続料の推移というものを御提示いただいているのですけれども、これを見るとドコモとKDDIとソフトバンクの接続料が違うのですが、そもそも移動系の接続料というのは一定ではないのか、どういう構造になっているのか教えていただけますか。

○神奈川大学経済学部関口教授 移動系のほうもコスト+適正報酬を単位数で割っていくという形で接続料金、これはレイヤー2ですよね。そういう形になっているわけです。各事業体で事業スタイルが携帯3社は大きく異なっていて、中庸を図る会社が1社、ほとんど自前で全ての投資も賄えるような会社が1社、借金大好きで借金がないと元気が出ないという会社が1社という形で、経営形態もまるっきり違うという中で、各社のコスト構造も違うわけです。そして、報酬についても算出方法がまちまちで、それなりに筋は通っていても式そのものが違っていたという状況が、逆ざやの問題というのをずっと起こし続けていたということになると思うのです。

31枚目のところ、先ほど前半だけ少しお話しましたが、一番下のところ「…」で省略した後で、古川室長によると、彼は今は常務になっていますけれども、2007年以降で言うと収支上、290億円の支出超過。その後、ガイドラインを修正してもまだ150億円の支出超過。3桁の支出超過で、これは実はソフトバンクとKDDIも似たような状況です。この差をどうやったら埋められるのだろう。つまり分析可能で理由のある差だったらいいのだけれども、納得できない差だと両者は言っていたわけです。その分析を続けていって、ガイドラインでコストについてずっと絞り込み、そして最後に残ったのが報酬の部分だったわけです。

報酬については少なくとも各社の借金漬けのバランスシートなのか、ほとんど無借金のバランスシートなのか、中庸なのかという資本構成が全然違うわけです。だから各社が全部同じ値になるようにという選択をせずに、計算式はどういたしましょうという形にいたしました。その結果、ソフトバンクとKDDIは2016年水準でほとんど差がなくなったというところまで追いついたわけです。ただし、ドコモについては一定の幅で乖離が残っていて、現実問題としてはドコモが一番安く、その結果、MVNOもNTTドコモに大宗が寄っていくという、安ければいい場合にはNTTドコモを選択するという結果になっております。

ただ、こういう計算式を統一化するという形で3社が合意をしてくださったことによって、逆ざや問題は事実上、解消いたしましたので、10年戦争が終わったと言ってよろしいかと思います。ですから結果としての数値を必ず一致させろということにはなっておりません。

○古賀委員 最初、要するにメタルの有姿除却の話なのですが、最初の3ページのところですけれども、これは税法を改正してこういうことを認めたんだと思うのですけれども、違いますか。以前からありましたか。

○神奈川大学経済学部関口教授 それはずっと昔からあって、例えばここの例示にありますように、(1)その使用を廃止して、今後、通常の方法によっては事業の用に供する可能性がない。金型のスタイルが時代の流れによって変わってしまい、もう二度と使わないけれども、捨てるのも大変だというような場合は、そのままほっといてもいいですよという規定ですので、これは電気通信に限定したものではなくて、全事業に対して適用されるものでありまして、メタル回線がここに該当するかどうかという点で、再度利用する可能性はないと税法上も判断してもらえているということから、ここで適用できると選択したことになります。

○古賀委員 ただ、物理的にはメタル回線等を使わなくなっても、交換機とかそういったものは土中とかに残っていくわけですか。

○神奈川大学経済学部関口教授 最終ユーザーの小口のところのメタルは残っています。これは有姿除却の対象ではなくて、主としてコア設備のほうで混在していたところでメタルをどんどん光ファイバーに変えていっていますよね。そういったところについての有姿除却をしたということで、メタルIP電話が2025年からスタートしますが、宅内から途中のつなぎ込むところまではメタルが残っておりまして、ここはまだ有姿除却の対象になっていないはずです。

○古賀委員 分かりました。

蛇足ですけれども、原発なども廃炉になると、こういう会計処理される可能性というのは、先生はあるとお考えですか。

○神奈川大学経済学部関口教授 いや、それはないと思います。必ず再稼働を期待しているわけです。

○古賀委員 分かりました。

○井手座長代理 今の点ですけれども、ソフトバンクの光の道構想のときに、メタル回線を引っこ抜いて光ファイバーを敷設しろという話のときに、一緒にあると影響し合うということが言われていて、メタルは抜かなければいけないんだとNTTがそういう意見を言っていた記憶があるのですけれども、それはどうなのですか。

○神奈川大学経済学部関口教授 技術のことはよく分かりませんけれども、そこは何らかの解消策があったということではないでしょうか。本当は大丈夫だったということかもしれません。

○井手座長代理 それでは、予定した時間がまいりましたので、御質問がなければ質疑応答は以上とさせていただきます。関口先生におかれましては、大変お忙しい中、御審議に御協力いただきましてありがとうございました。

(神奈川大学経済学部関口教授退席)

(総務省総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課藤野課長着席)

○井手座長代理 それでは、古城座長も見えられましたので、以下の議事進行は古城座長にお願いしたいと思います。

○古城座長 それでは、総務省総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課の藤野課長及び担当者の方より、NTT東日本・西日本プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しの概要について御説明いただきます。

それでは、御説明をお願いします。大体20分ぐらいでお願いします。

○藤野課長 総務省の藤野でございます。よろしくお願いいたします。

ただ今御紹介いただきましたように、NTT東日本、NTT西日本のプライスキャップ制度の関係でございますけれども、特定電気通信役務の基準料金指数の設定について御説明させていただきたいと思います。

最初に1枚の資料がございます。こちら背景、制度の概要、設定内容、概略を御説明させていただいておりますけれども、もう少し敷延して御説明したものとしてパワーポイントの資料を御用意させていただいております。こちらに基づいてお話させていただきます。

表紙をめくっていただきますと、まず制度の経緯を1ページ目で御説明させていただいております。この制度は平成10年、1998年の電気通信事業法の改正で導入したものでございまして、それまで当時、第一種電気通信事業者といっておりましたが、電気通信回線設備を設置している事業者の料金は認可制になってございました。これを届出制に移行する際に、特に特定電気通信役務、後で内容を御説明いたしますけれども、この料金についてはプライスキャップ制というものを導入することになりまして、実際の運用が平成12年、2000年10月から行われたというものでございます。

いろいろな役務の概念を2ページで比較して御説明してございます。プライスキャップの適用対象となるのは、2ページの表で言いますと一番下の特定電気通信役務でございます。似たようなものとして一番上、基礎的電気通信役務、これはいわゆるユニバーサルサービスといっておりますが、一律の提供条件、契約約款というものを作っていただいて、サービスを提供していただくというもので、電話、公衆電話等がここに入ってございます。

真ん中、指定電気通信役務というものがございます。これは実際上、競争的に提供が十分になされていないもの、つまりNTT東日本・西日本以外の電気通信事業者で必ずしも代替的なサービスが十分提供されていないものというものをこちらで決めてございます。これは保障契約約款を作成するというルールになってございます。

この指定電気通信役務の中で特に利用者の利益に及ぼす影響が大きいものということで、端的に申しますと加入電話、ISDN、公衆電話といったものですけれども、これを特定電気通信役務としてプライスキャップ規制の対象としてございます。

こういった御説明だけでは分かりにくいと思いますので、3ページで関係を図示してございます。緑の枠の中がいわゆるユニバーサルサービス、基礎的電気通信役務。これは電話が中心になってございますけれども、NTT東日本・西日本だけではなくて、同じようなサービスを競争事業者が行う場合も同じように対象になってございまして、そういったグルーピングとなってございます。

青色の枠の中が指定電気通信役務、それから、その内数である特定電気通信役務はNTT東日本・西日本によるサービスをここで対象としてございます。オレンジ色の枠の中が特定電気通信役務でございまして、対象としましてはNTT東日本・西日本の加入電話、第一種公衆電話。この加入電話のうちいわゆる基本料となっているもの、月額の定額となっている加入者回線アクセスの部分、こういったものがプライスキャップに入ってございまして、それから、基礎的役務にもなっているものでございます。ユニバーサルサービスではないけれども、プライスキャップの規制となっているのがその下側でございますが、加入電話のうちの市内通話とかそういった通話料の部分。それから、ISDN、公衆電話でも第一種公衆電話というのは一定のエリア内に1台ずつ設置するということで設けられたものでございますが、それ以外の公衆電話も含めてプライスキャップの対象となってございます。今、申し上げましたのがプライスキャップの枠組みの対象となっているサービスでございました。

4ページ、このプライスキャップのルール自体についての御説明でございます。一番上のほう、上限価格方式とはとございますけれども、端的に言いますと料金水準、上限価格というものを指数の形で設定いたしまして、それ以下であれば料金設定を自由にできるということで、コスト削減が十分できれば、その分、自分の利潤となるということですので、そういった意味でのインセンティブ規制のやり方ということで作られているものでございます。

導入の経緯が真ん中にございますが、先ほど申し上げましたようにNTT東日本・西日本以外の事業者でのサービスの提供が十分に行われているもののうちから、利用者の利益に及ぼす影響が大きいというものでその対象が決まるというものでございます。

具体的なもの、対象サービスというところで表が書いてございますが、音声伝送バスケット全体の中で加入電話、ISDN、これは市内と県内市外通話料を含むわけですけれども、それから公衆電話、番号案内といったものが入っておりまして、特にその中で基本料、施設設置負担金というアクセス回線、これは各利用者の方々に一本一本引かれる線のところでございますけれども、この費用負担をするような料金については、サブバスケットを特に設けているという構成になってございます。

制度の概要は一番下のところでございますけれども、端的に申し上げると、この基準料金指数を下回る限りにおいては、届出だけで料金設定はできる。ただ、指数を超えてしまう場合には個別の認可が必要になる。そういった立て付けになってございます。

その上限をどうやって決めているのかというところでございますが、それは5ページのところの御説明でございます。基準料金指数というものを設けておりまして、これは平成12年からこういった基準料金指数を設定してございますので、これを設定するときには前までの期間における基準料金指数にCPI分の値上げというのはあり得るだろう。しかし、単純にそういうものではなくて生産性向上が見込まれるもの、これはX値というところでその率が出てくるわけですが、その生産性向上分を下げていただく。あとはこのほかに端的に言いますと消費税のような税金の部分で外生的要因があれば、その部分は値上げがあり得るといった形で基準料金指数の考え方がとられてございます。

CPI、外生的要因というのはある程度客観的に見られるわけですけれども、X値というのは一定の考え方で設定しなくてはなりません。これは3年ごとに算定するとなってございまして、それは真ん中のほうで御紹介してございます。

まず現在のX値はちょうど3年前に適用されまして、適用期間が今年9月までとなってございますので、その次、今年10月からの3年間、適用するX値を検討してまいりました。

具体的な算定のやり方、一番下のところで書いてございますけれども、特に一番下ですね。3年間で見ますので、X値というのは消費者物価指数の変動率、これは見込みです。予想値。それから、費用、適正報酬額、利益対応税額、収入それぞれの予測値を見て算定するという考え方をここで御紹介してございます。

X値の検討につきましてですけれども、6ページに進みますが、総務省において上限価格方式の運用に関する研究会を開催いたしました。神戸国際大学の経済学部の辻先生に座長を務めていただきまして、先ほど御講演いただいておりました関口先生を初めとした先生方を構成員として開催してまいりました。その結果に基づきまして、今回、新しいX値を設定しようということでやってございます。

具体的な考え方は7ページで御紹介してございます。先ほど御覧いただいた式の中の各要素をどのように決めているかでございますけれども、それを御紹介してございます。3乗根の式の中に費用、収入の予測というものがまずございますが、これらについてはまず収入のほうについては固定電話回線数というものがこれからどれぐらい維持されるのかという観点から、ある種の楽観シナリオ、悲観シナリオの2通りの予測というものを立てていただいてございます。費用も同じようなシナリオに基づいて費用予測をやっておりますけれども、それに加えて経営効率性分析、後で御紹介いたしますが、これによって効率化の要素があるのではないかということを見て、それを反映した形で費用予測をここで立ててございます。適正報酬額でございますが、これも後で御紹介いたしますけれども、この予測も立ててございます。消費者物価指数変動率については、政府機関を初めとした各種の公表されている予測値を見て予測を作るという形でやってございます。

こういった形でいわゆるミックス生産性準拠方式と呼ばれている形を基本的にとってございますが、参考値としてフル生産性準拠方式というものもございまして、これは参考とさせていただいておりますけれども、こちら算出方法は必ずしも確立がされていない部分があるということで、基本はミックス生産性準拠方式で算定をやっているものでございます。

各々の要素について、さらに次のページから御紹介させていただきます。8ページでございます。収入予測のところでございますが、先ほど申し上げました楽観シナリオのパターンA、悲観シナリオのパターンB、それぞれは加入電話の需要が光のサービスあるいは携帯電話とかアプリケーションのサービスへの移行の影響をどう見るか。これが必ずしも大きくなっていかない、縮小していくだろうというのを想定しているのがパターンA、それが拡大していくのではないかというのがパターンBでございます。それぞれに基づいて収入の予測をNTT東日本・西日本で作っているのがこちらの表でございます。

同じように費用の予測です。これもパターンA、パターンBを見てございます。メタルのアクセス回線の関係では有姿除却というものをこのたびNTT東日本・西日本で行いました。これについても、この費用予測においては反映が織り込まれてございます。

9ページ、この費用のところについてパターンA、パターンBによる予測というのも先ほど申し上げました。これは一番上のほうで御紹介していますけれども、これだけではなくて、更に効率化ができる部分があるのではないかというのを見たのが次のところでございます。マル3でDEA分析、包絡分析法と呼ばれているものです。Data Envelopment Analysisというものですけれども、これに基づいて見込まれる非効率性要素というものを見まして、結論から申しますと、そこで見られるものを全て効率化した場合の費用という形で、予測として今回のX値の計算に使っております。

このDEA分析の考え方ですが、これは言うなれば同じ企業内ですけれども、各支店間で効率化の度合いに違いがあるのではないか。その競争をやって一番効率的にやった支店どおりに他の支店も頑張れば、もっと効率化できるではないかという見方をしているものでございます。

NTT東日本・西日本の支店は現在12支店ございまして、模式的に右側にグラフを書いてございますけれども、投入と産出を見るわけです。投入は人件費とか償却費といったものに対して、どれぐらいの収入を得ているか、産出を得ているかというものをプロットいたしまして、この表でいいますと支店bと書いてございますが、これに一番効率的であると見られるわけですので、そうすると支店bに倣って他の支店もみんな効率的にやると、どれぐらい効率化が更に見込まれるかという考え方をとってございます。これによりまして試算結果と書いてございますが、更に302億円ぐらい効率化が可能ではないか。そういうことをここで分析しているものでございます。

これ以外にSFA分析あるいはTFP分析といわれるものもやってございまして、こちらでも試算結果が出ておりますが、それぞれ弱点があります。SFA分析では支店のサンプル数が少ないとか、TFP分析では算出方法において必ずしも確立した見方がとられていないということでございますが、これも参考のためにこういった試算も全部やってございます。

結果としては結局、DEA分析でやる分、これにおける非効率性が結局一番大きかったということですけれども、このDEA分析に基づいた効率化を想定した形をとってございます。

10ページ、適正報酬額・利益対応税の予測でございますが、適正報酬額はレートベースと言われておりますが、電気通信事業の事業に使っているような資産がどれぐらいの、これに率を掛けて出すものですが、報酬率の考え方ですが、真ん中マル2に報酬率と書いてございます。他人資本を得るのにそのための利払いが要るわけですので利払いの利子分、それから、自己資本による場合の自己資本利益というものを織り込んで考えるところですけれども、他人資本利子は大体どれぐらいの利子を払えばいいのかというのを見込めるわけですが、自己資本比率はどう考えるかということでございます。これについては上限として主要企業の自己資本利益率の実際のデータというものがございますが、こういったものを上限として一番下限はゼロと見る。その間でとるのではないかということで、今般の考え方の中では中間値をとるという考え方をとってございます。考え方としては、消費者利益と事業者利益のバランスを勘案するということで中間値を採用しているものでございます。

これは先ほど関口先生の御紹介をいただいたような接続料金の考え方では、β値というものを採ったりしてございます。NTT東日本・西日本の場合は0.6という値をとっていますけれども、あるいは携帯電話の各会社、NTTドコモなどですと0.7台になりますが、これらは株価の変化に対して、それは企業の株価の感応度なんかを見ているわけです。主要企業のそういった動向に比べて、ある程度こういったリスクの少ない事業というのはもっと少ないだろう。こちらのプライスキャップのほうでは、主要企業ほどリスクは高くないだろうということですけれども、半分にとっているという形でとってございます。

一番下、消費者物価指数変動率について、29年分は実績がございますので、この物価指数をとってございますが、30年度、31年度については政府の経済見通し、日銀の予測、日本経済研究センター様の予測、これらを平均する形で1.1という数字をこちらでは採用してございます。

11ページ、今、申し上げましたような考え方をそれぞれ例えば収入予測、費用予測、楽観シナリオか悲観シナリオかと申し上げましたが、過去3年のトレンドからすると、パターンAというのはよく過去3年については説明できているので、今後についてもパターンAのほうが近いのではないかということで、こちらを採用してございます。

X値は、先ほど申し上げましたようなDEA分析の結果を踏まえた非効率分を全部投入して0.2%という数字を結果として採用してございます。

一番下の表でございますが、音声伝送バスケット、加入者回線のサブバスケット、それぞれ現行94.1と101.6となってございますけれども、これにやや近い水準ですけれども、94.4、101.9ということになるだろうということで、こちらを採用してはどうかと考えているところでございます。

過去の経緯を御覧いただこうと思ってグラフを用意してございまして、12ページが音声伝送バスケット全体のところでございます。13ページは加入者回線サブバスケットでございます。平成12年4月、2000年4月に最初これが設定されまして、そこが100となってございます。それから、その次の年からそれに比べてCPIがどうなっている、X値がどうなっているということ等を見て設定されているわけでございますが、一旦、下がってきた後、それから、平成24年10月からの基準料金指数、これはアベノミクスの影響もあって若干上がって、あとはこういった形で経過しているというところでございます。

NTT東日本・西日本の実際の料金につきましては、アクセス回線、ドライカッパの開放ということを総務省で政策としてやってございました。それを受けて競争事業者が一旦出てきたところがございまして、平成17年、そういった競争事業者への対抗があったと思いますけれども、基本料、施設設置負担金をNTT東日本・西日本は下げるということがございました。そこで1回大きく下がっているのです。その後はいろいろな要素、ユニバーサルサービス料の設定・変動、通話のトラフィックも大分減って、基本料部分の比率が相対的に大きくなることがございまして、NTT東日本・西日本の実際料金指数の水準としては、若干上がっているという推移がございますけれども、こういった経過になっているということでございます。

残念ながらドライカッパの開放を受けて参入してきた競争事業者というのは、その後、大分いなくなってしまっておりまして、今後といいますか、現状においては競争が進んでいない状況でございますので、こういった形で急激な値上げはできないような形のルールとなっているものでございます。

13ページは、先ほど申しました加入者回線のサブバスケットです。こちらは基本料と施設設置負担金が対象でございますけれども、そういった経過でございます。

以上でございます。よろしく御審議お願いいたします。

○古城座長 どうもありがとうございました。

皆さん御意見ある方の順に御発言ください。名札を立てた上でよろしくお願いいたします。

○井手座長代理 1点、御質問させていただきたいのですけれども、プライスキャップを設定して、先ほど説明がありましたけれども、12ページ、13ページで基準料金指数というのは平成27年から上げているわけですね。にもかかわらず、実際の料金は上げていない。一方で収支はというとずっと赤字が続いているわけで、そのときのプライスキャップの役割って何なのですか。というのは、プライスキャップはコスト削減をして利益を上げればそれが事業者の報酬になるという、自由に処分していいという話ですけれども、ずっと赤字で値上げをしないでこういうものを続けていくことの意味というのは、どういうところにあるのでしょうか。

○藤野課長 御質問ありがとうございます。

実際に赤字になった要因については、プライスキャップをやる前というのは実際には基本料、公衆電話、番号案内の値上げなどがあったわけですが、実際にこのルールを導入した後、このルールがあったということもあるかもしれませんが、あとは先ほど申し上げましたような競争というのがある程度、部分的に始まったというのを反映したのだと思いますけれども、料金の値下げ、特に施設設置負担金を半額にしたというのは大きかったかと思いますが、御指摘いただいたようにキャップのところと実際の料金の水準に差がある。それによって、どれぐらいの経営の収支状況かというと、正に御指摘いただいているように赤字になっているということです。ですので、その後いろいろな諸般の事情、社会的な状況を考えられているのかもしれません。値上げしていないというのはおっしゃるとおりでございますが、こういった中で値上げしないと見ていいのかということが1つあるのかなと思います。

それから、仮にNTT東日本・西日本が値上げをしませんでした、けれども、他に代替手段があるからいいと考えられればいいわけですが、こういった例えば基本料1,700円で電話をかけられるというのはなかなかないわけです。そういった影響度を考えると、NTT東日本・西日本が将来的にあるかもしれないような行動について、セーフガードを付けておくという意味はあるのかなと考えております。

○古城座長 他いかがですか。

プライスキャップの設定の経緯とか内容についてはよく分かったのですけれども、最後のところ、井手座長代理の質問に関連するのですが、プライスキャップより実際料金指数がずっと低い。大きく下がったときの経緯についてはお話を伺ったのですけれども、ずっと低い。赤字でもずっと低いというのはどういうことなのでしょうか。

○藤野課長 NTT東日本・西日本のマインドを推測するのはなかなかできないのですけれども、それなりの社会的な影響というのは考えられているのかなと思います。

○古城座長 ちょっと厳しく見ますと、参入のときに競争者が出たから下げた。それが結局、撤退した。ずっと下げているというと、これはコスト割れでやっていると不当廉売に当たるのではないかという考え方も出ますが、これはいかがなのですか。

○藤野課長 NTT東日本・西日本が平成17年のときに引き下げたから他の事業者が撤退したという図式でもないかもしれないなと思っています。例えば一番大きな事業者とかの撤退時期というのはかなり遅いのです。むしろそういったNTT東日本・西日本以外の事業者のマインドとしては、むしろブロードバンドとか、そういったところに経営資源を注力するという選択をされてきているのかなと思います。

一番いいのは、そういったブロードバンドの環境の中でこれまでやってきた電話のサービスよりも低廉な料金で同じようなサービスを提供されるようになって、代替してくるのだとまだいいのですけれども、必ずしもそうなっていないという現状がございますので、必ずしもNTT東日本・西日本がほかの事業者を駆逐してこうなったというわけではないと思いますが、ただ、こういったサービスを維持していくというのは現在、実際に加入者はまだ多数ございますし、こういったサービスをこういった条件で受けられるというのは、他にまだありませんので、そういった中でこういったルールの運用は考えていかなければいけないかなと考えております。

○古城座長 井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 今の点で赤字でも続けられるというのは不当廉売かもしれませんし、赤字でも続けられるというのは他のサービスからの内部補填という、これがあるわけで、それ以外のサービスの人が高い料金を払っているという理解でよろしいのですか。

○藤野課長 例えば都市部とか、競合的な部分がもしかしたらある可能性もありますけれども、かなりの部分は地域のネットワークとサービスを維持するところでかかっているのではないかと思います。そういった意味ではユニバーサルサービスとしての特に事業の提供を維持するときにかかる赤字について、競争中立的な手段によってこれを埋めていこうという制度も設けて、これはユニバーサルサービスの交付金でございますけれども、そういったこともやってございますが、トータルとして考えていかなければいけないかなと思っています。

御指摘のように、これが競争上ライバルを駆逐して行ってきたということであれば、それはいかがかなと思うのですけれども、必ずしもそうではない部分で現行のサービス維持を特に重点を置いてやってこられている結果が今の形かなと思ってございますので、そういった視点からルールのあり方も考えていこうかなと思ってございます。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。

今の質問の確認なのですが、要するに消費者にとって使っていない固定電話といったものにいつまでも、ある程度一定のお金を払い続けているという現状は基本的に素朴に納得できないのですけれども、ドライカッパを開放しても新規参入者が結局、撤退してしまって、その後も新規の参入者が入ってこないという根本的な理由は、先ほどおっしゃられたブロードバンドに業者が事業を移行してしまったせいだということでよろしいのでしょうか。

○藤野課長 まだこういったサービスをやっている会社もあるので、完全に移行したということではないと思いますけれども、重点の置き方はそうなってきているのかなと思います。

○古賀委員 もう一点なのですが、プライスキャップの一番疑問というかよく分からない点がX値の設定にあると思うのですが、御説明いただいた9ページのところでDEA分析で行われていらっしゃるということなのですが、支店の抽出というのに何か選択の基準というのがあるのでしょうか。

それとSFA分析のほうですと、前回の試算と比べて随分効率性の点で非効率性の額が下がっているのですけれども、その点も踏まえてDEA分析というものが非常に今、正当であるというのを先ほど御説明いただいたのですが、もう少し詳しく御説明いただけますか。

○藤野課長 説明を割愛してしまっていて申し訳なかったのですけれども、これはNTT東日本・西日本の全ての支店です。現在、12の支店がございまして、この全ての支店で比較した結果を分析してございます。

○古賀委員 その12の支店はどういう基準で選ばれているのですか。

○藤野課長 全部です。NTT東日本・西日本の全ての支店です。選んでいないのです。

○古賀委員 12支店しかないわけですね。分かりました。

○藤野課長 非効率性の部分ですけれども、確かに額的に減っている部分がございますが、これは費用が全体減っているところが影響しているのかなと思いまして、非効率性は前回6.0%で今回7.9%となっていますので、比率的には多いのです。ですので、非効率性が減じたというよりは、その逆ではないかという感じはします。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 素朴な質問なのですが、キャップが上がっていくことで、今かなり実質の料金とは差があって、これを超えるということにはならないのだろうなとは思いますけれども、実質の支払う料金が今後上がっていくというような要素については今、行政としてはどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。

○藤野課長 これはかなり事業体のマインドによるので、どれぐらい上がる見込みがある、あるいはないというのをなかなか断定的に申し上げることはできないのですけれども、ルールとしては御指摘いただいているように幾らか上げる余地がある部分がございますが、今のところはいろいろな社会的な影響などを考慮しているからこそ、料金を上げてこなかった部分があるのではないかと思うのです。そこについて今、変わってきたという情報を私たちも得ているわけではございません。

○古城座長 8ページなのですが、収支のシナリオ分析のところでパターンAとパターンBがありまして、パターンBは悲観シナリオということなのですけれども、悲観シナリオの場合に収入が減るというのはよく分かるのですが、そのとき費用も減るという分析になっていますね。費用が減るところのメカニズムというか、これはどのように捉えていらっしゃるのですか。

○藤野課長 こちら主に費用削減となっているのは施設保全費などです。結局、需要が多いとそれに対応する施設があって、それに貼り付く人が出てきて、その費用がかかる。逆だとその分、人を減らしたりできてしまうわけです。これが費用減に反映されているのではないかと思います。

○古城座長 電気でも同じような問題があるのですけれども、固定費だから簡単に収入が減ってもやれないと言っているのですが、電気通信ではどういうロジックでこれをやることを説明しているのですか。

○藤野課長 それはある種の硬直性みたいなものは確かに現実にあるのかもしれませんが、こちらの予測だからということでもないですが、ある程度、回線数減少に見合った費用減少はあるのでしょうといったことを、それなりに割り切って予測していただいたと思います。

○古城座長 分かりました。

あといかがでしょうか。陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 9ページのスライドで、経営効率化したときの試算で300億ぐらいはもう少し効率化できるのではないかという試算なのですが、これは東西合わせての数字と理解してよろしいですか。

○藤野課長 合計です。

○陶山委員 そうすると、この経営効率化してもプラスにはならない。この単一の事業だけ言えば。

○藤野課長 ここは費用予測なので、そこのところは減になっているということですけれども、おっしゃったのは収入増もあるのではないかということでしょうか。

○陶山委員 今プライスキャップをかけている事業領域の中の収支としては、効率化をしてもプラスにはならないと理解していいですか。

○藤野課長 赤字がなくなるのではないかという御指摘ですか。試算ですが、これを織り込んだ形でも、まだ赤字が続くという計算結果になってございます。

○陶山委員 ですよね。分かりました。

○古城座長 井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 X値のことですけれども、これは2025年を目途にマイグレーションがどんどん進んでいくというときに、X値を見直しますというのが最後の検討の課題のところに書かれているのですが、実際にこういうプライスキャップというのが実勢価格とどんどん乖離している。それから、マイグレーションというのを優先させていくことになると、実際にプライスキャップは形骸化しているということで、もうやめてもいいという話にはならないですか。

○藤野課長 端的に申し上げますと、値上げをして国民、消費者の皆様の影響がないと言って大丈夫かということだと思うのです。そういったところはまだ我々も心配があるかなということではないかと思います。他に採る代替手段のサービスが今ないというところも懸念しております。

○古城座長 今の位置付けは、念のためにちゃんと維持しておくということですね。

小浦委員、どうぞ。

○小浦委員 私もX値の算定に必要なデータということで、8ページのところなのですけれども、パターンAとパターンBと考えられていて、最終的にはパターンAを選んでいるということなのですが、2011年度から2017年度までのデータからのトレンドの予測だと思うのですけれども、計算をするときにAでいく場合には、Bでの計算はされないわけですか。そこを確認させてください。

○藤野課長 Bでやった場合にどうなったかということも計算していますかということですよね。それも一緒に計算して、パターンAの結果が採用されました。パターンBではX値はマイナスになってしまうような結論になっていたかと思います。

○小浦委員 最終的なプライスキャップを出すときに、いろいろな複雑な計算があるのですけれども、先ほどもいろいろ出ていますが、プライスキャップと実際の12ページの価格のところの乖離が大きいので、もしパターンBにした場合どのくらいの、乖離が少しでも少なくなるのかどうなのか、大きくなるのか。

○藤野課長 大きくなります。

○小浦委員 逆に大きくなる。

○藤野課長 そうです。ある種、一番厳しく見たのが今回のものです。

○小浦委員 そうなのですね。分かりました。

続けて申し訳ないのですけれども、こういうプライスキャップになり、総務省としてはNTTのほうへ、もっと企業努力をすれば利益のほうに回るとか、そういうことはお話をされていると思うのですが、基本料金をもっと下げて、ユーザーのほうにもっと有利になるようなという動きは今のところはないのですか。

○藤野課長 料金自体を下げてくださいというやり方というのは、小売料金はまず事業者でのいろいろな努力を促していくという形なので、幾ら下げてくださいという直接的なお願いをしているわけではございませんが、基本料とか電話の料金については、今日はこのように御説明しているのはプライスキャップの話ですけれども、このほかに先ほど御紹介したのは赤字を補填するユニバーサルサービスの交付金というものがございます。交付金を交付しているという関係上、経営の効率化、コストリダクションというのはお願いしていて、それがサービスの提供状況の改善に効けば一番いいのですけれども、そういったことを別途お願いしてございまして、毎年、計画と結果を御報告いただいてございます。おおむね毎年7%ずつコストを下げるような形でこれまで経過してございます。

○古城座長 他ございませんでしょうか。古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 14ページの今後の検討課題ということで、今後、インフレ傾向が続く見通しであると書いてあるのですけれども、確かに非常に低金利で株価自体は上がっているのですが、その辺りインフレ傾向が続くというのはどの程度のインフレ傾向が続くと考えていらして、それがX値とかいろいろな一番問題な適正報酬額に対して、どのような影響があるかというふうに簡単にお示しいただければと思います。

○藤野課長 CPIの増というのはキャップに直接影響してしまうものでございまして、そういったところを見るとキャップ、この10月からのキャップ自体は音声伝送バスケットですと94.4としていますけれども、その後の年度についてはCPIが上ってしまうと、現在の見込みというか予測なんかを拝見していると、例えば1点何%という予測もあるわけですが、そうするとこの94.4というのが95とか96に上がっていく可能性はあるわけでございます。

X値というのは、そういった中でも効率化がこれだけ図られるでしょうということで算定したのですが、今後、余りこういう傾向が仮に続くようですと、そういった算定の在り方についても検討する余地はあるかもしれない。そのような感じでここは書かせていただいております。

○古城座長 あといかがでしょうか。他にございませんか。

質問もないようですので、質疑応答は以上といたします。総務省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきましてありがとうございました。

(説明者退室)

≪3.その他≫

○古城座長 それでは、最後に消費者委員会事務局より、4月26日の第45回公共料金等専門委員会にて報告のあった「電力・ガス小売自由化に関する消費者の意識について」に関して説明がございます。5分程度でお願いいたします。

○丸山参事官 4月26日の第45回の公共料金専門調査会におきまして、事務局提出資料ということで電力・ガス小売自由化に関する消費者の意識についてということで、アンケート調査結果について御報告させていただきました。

具体的に資料といたしまして参考資料2、参考資料3でございますけれども、こちら参考資料3の中身について一部誤りがあったということで、参考資料3につきましては正しいものに直したもの。参考資料2については正誤表という形で提出させていただいております。

具体的には参考資料2の正誤表を御覧になっていただければと思うのですが、2ページ目のところ、誤りのところで報告書の27ページの箇所で、比較サイトの利用経験等ということで回答された方の比率ということで、地域別でこちら記載しているところがあるのですが、これについてのn数、パーセンテージ数が誤っていたということです。

下段についてですけれども、シミュレーションができることを知らなかったというところについてもn数、パーセンテージについては誤っておりました。

3ページに正しいn数、パーセンテージについて記してございます。

なお、こちら誤りがありましたけれども、右のコメントについては修正の必要はないということでございます。

同じく4ページ目のところでございますけれども、こちら報告書の29ページでございます。下段のガスのところでございますが、比較サイトのところについて使用してよかった点、また、仕様に当たって期待する点ということで選択をということで、こちらについてもパーセンテージについて誤ってございました。正しい数字につきましては、5ページ下段のパーセンテージが正しいものになっております。

右のところにつきましては、料金がどの程度安くなるかを把握できるというのが、従前におきましては8割強となっておりましたけれども、正しい数字に基づきますと8割弱となってございます。大変申し訳ございませんでした。ただ、これに基づきましてこちらのほうフォローアップをまとめた結果につきましては、影響を受けるものではございません。

なお、5月31日付で当委員会のホームページにて当該修正箇所等につきまして差しかえたものにつきまして、正しいものとあわせて公表させていただいております。

御報告については以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

委員の皆様から何かありますでしょうか。

それでは、本日の議論は以上といたします。


≪4.閉会≫

○古城座長 最後に事務局から連絡事項はございますか。

○丸山参事官 本日も熱心な御議論どうもありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきます。

○古城座長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)