第22回 地方消費者行政専門調査会 議事録

日時

2019年7月31日(水)10:00~13:21

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【委員】
新川座長、山本座長代理、伊集委員、大森委員、尾嶋委員、首藤委員、西田委員
【消費者委員会】
池本委員長代理、長田委員、樋口委員
【説明者】
適格消費者団体消費者市民ネットとうほく 鈴木理事
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. ヒアリング(2)
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○新川座長 それでは、定刻になりましたので、本日の「第22回地方消費者行政専門調査会」を開催いたしたいと存じます。

本日も、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。所用によりまして、八木委員、山田委員が御欠席という御連絡をいただいております。

最初に、配付資料の確認をさせていただきます。

資料はお手元のiPadに全て収納されております。1ページ目、iPadの多分一番上に出ているかと思いますが、そこの議事次第のページの下のほうに配付資料が表題として出ております。以下、このiPadの中に収納されておりますので、御覧いただければと思います。

操作につきましては、御不明な点がございましたらお近くの事務局の方に聞いていただければと思っております。

本日の議事に入ります前に、今日初めて御出席されます首藤委員においでいただいてございますので、簡単に自己紹介をいただけますでしょうか。

よろしくお願いいたします。

○首藤委員 千葉県生活協同組合連合会の首藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

生協は、消費者団体ということで、地域の見守りとか地域のコミュニティー作りを進めておりますので、そういったところでいろいろ発信をさせていただければと思っております。

また、千葉県の適格消費者団体「消費者市民サポートちば」、後ほど本日の報告で触れさせていただきますけれども「消費者行政充実ネットちば」、という地域の消費者のネットワークにも参加しております。

どうぞよろしくお願いいたします。

○新川座長 よろしくお願いいたします。


≪2.ヒアリング(2)≫

○新川座長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。

本日は、前回も御案内をさせていただきましたとおり、伊集委員、尾嶋委員、首藤委員から、各委員の御専門分野に関しましてお話をお伺いし、その後、意見交換をそれぞれ進めてまいりたいと思います。なお、そのお三方が終わった後、もう一つ、適格消費者団体「消費者市民ネットとうほく」の鈴木理事様においでいただきまして、地方消費者行政に関する課題あるいは適格消費者団体についてのお話をいただきたいと考えてございます。こちらも意見交換の時間をとってございますので、よろしくお願いしたいと思います。

それでは、本日の議事次第に従いまして、順次進めてまいりたいと思います。

各委員からまずは御意見をいただき、その後、若干の質疑応答、意見交換の時間を置くという順序で順次進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

最初に、恐縮ですが、伊集委員から、20分程度で、御説明、お話をお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

○伊集委員 よろしくお願いします。横浜国立大学の伊集でございます。

本日は、お手元の資料にありますように、「日本の財政の現状と今後」というタイトルで報告させていただきたいと思いますが、財政の比較的基本的なところから掘り起こして話をしてもらいたいという課題をいただきました。報告の順番としては、国の財政状況、その次に地方の財政状況を割とマクロ的な視点でお話しした後、本来であれば、そこから地方消費者行政に落とし込んでいく必要があるのですが、まだ具体的に地方消費者行政との地方財政の中での関わりのところの検討が十分に進められていないところもありますので、本日は最後に地方消費者行政に関連する予備的な検討内容を御紹介させていただきたいと考えております。

最初に、財政の非常に大きなところからお話しさせていただきたいと思うのですけれども、皆さんも御案内のとおり、今、日本の財政は非常に大きな赤字を抱えていることはよく知られているところであります。2枚目のスライドに、一般政府債務残高の国際比較ということでOECDの先進諸国との比較を示しております。一般政府は、国に地方と社会保障も含めた全体なのですけれども、現状で赤い折れ線グラフで見られるように、日本の総債務残高が非常に突出して、GDPの200%を超える大きな規模になっていることはよく知られているところであります。それだけ非常に債務が大きいので、返済するお金も毎年多くかかっている状況があります。ただ、現状において、特に90年代後半以降、非常に増えているというのは視覚的に確認できるかと思うのですが、一つ注意していただきたいと考えているのは、日本の債務問題はバブルが崩壊した90年代以降に大きくなったのはそうなのですが、ただし、日本の財政赤字の問題はかなり早い段階からありまして、特にこのグラフで見ていただきますと、1970年の時点では日本の債務残高は諸国と比べて一番低い水準にあったわけですが、それが1970年代後半からかなり速いテンポで増えてきているということがあります。特に高度成長が終わった1970年代後半、1980年代以降は、先進諸国はどこでも財政赤字の問題が大きくなってくるわけなのですが、そこにおきまして、特に1990年代、先進諸国ではその財政赤字に対して歳出削減あるいは増税を組み合わせながら財政再建を行っておりますし、特に日本以外の国を見ていただきますと、1990年代後半から2000年代にかけて債務残高が下がっていくという傾向が確認できるかと思います。そういう財政再建の取組をしているのですが、一方で、日本の場合は、いろいろな要素はあるのですけれども、一貫して増えていってしまっているというところがあります。特に日本の財政再建に関しては、増税ということを避けながら、とにかく歳出削減1本で何とか財政再建やろうとしてきた特徴があるわけなのですが、そのもとでなかなかうまくいってこなかったということがあります。特に消費税が1989年に導入され、1997年に税率引き上げがあったわけなのですが、こういうときでも、消費税の導入に際しては所得税と法人税の減税が組み合わされたり、1997年の税率引上の際には、所得税、住民税を先行減税したり、必ず減税と組み合わせているので実質的に税収が伸びないという問題を抱えてきたわけです。

次のスライドを見ていただきますと、こちらには今年度の国の一般会計の歳入と歳出を円グラフで財務省の資料で示しておりますが、財政赤字は、単年度で、歳入と歳出のバランスで、右側の歳入の色が濃い赤になっているところが税収その他で賄い切れず借入をしているところになるわけなのですね。これが財政赤字と定義されるわけなのですが、更に一方で、左側の歳出を見ていただくと、色の濃い青、水色のところは、国債費といいまして、これは毎年借金を返していっている部分があるわけですね。この濃い青で返している額が借りている額より多ければ債務は減っていくのですが、日本の場合、今、100兆円のうちの25%程度を毎年返していっている、返済のお金に充てているのですが、それ以上に借りてしまっているという状況で、これがいわゆるプライマリーバランスの赤字ということになり、こうすると債務残高が増えていってしまう状況にあるわけです。こういう財政赤字を見ていただきますと、国の一般会計でも、100兆の規模があっても、実際に政策に使えるお金は残りの部分になってしまう。70兆か80兆ぐらいしか使えないということになるわけですね。これが財政の硬直化といわれる問題を生むところになります。さらに、財務省のホームページなどではマル1からマル4のような財政赤字の問題点が指摘されております。ここもいろいろ議論があるところですが、1つはこの財政の硬直化が起こることがあります。次に、今借りていってしまうと将来世代に負担を付け回してしまうという議論があり、それは決して間違いではないのですが、ちょっと注意しないといけないのは、日本の国の借金、国債の特徴は、例えば、ギリシャなどと違うのは、全て内国債で発行している。つまり、円建て、国内でお金を調達している、政府の借金のお金を調達しているということですね。しかも国内での保有率も95%程度と非常に高いということです。財務省のホームページなどですと、例えば、2018年度末に債務残高は883兆円あるので、これを国民1人当たりに直すと約700万円の借金をしていることになるのですよと、それだけ規模が大きいのですよと説明して、これは分かりやすく理解してもらうという意味合いがあると思うのですが、内国債で政府が調達しているということを、今いる国民1人当たりで直すのであれば、これは同時に1人当たり700万円に近い金額の資産を国民が持っているということでもあるわけですね。つまり、政府が税を調達して返済するということは、国民にお金が返ってくるということでもあるわけです。内国債とはそういうものだということを御理解いただきたいと思います。そうすると、問題は何かというと、将来世代に負担が付け回しになっていくというよりも、将来に政府が借金を返すと将来世代でまたお金が返ってくるという話ではあるのですが、問題はその返すお金を税としてどう調達するか。そのときの税制の仕組み、制度の設計いかんによっては、非常に不公平な所得分配が起こってしまうということがある。そういうところが将来的に非常に大きな問題になってくるところだということを指摘したいと思います。

次のスライドです。ちょっと分量が多いので簡単にまとめたいと思いますが、ちょっと大きな話にはなりますが、私たちの民主主義という社会における政府の財政の役割について、財政学的にはいろいろな整理があります。特に私たちが個人として尊重されると憲法にも書かれていますが、そのもとで国民の個人としての生活を支えていくものとして、政府は様々な公共サービスの供給が求められておりますが、一方で、その負担は民主主義社会においては国民自身が負担をしていかないといけないということが民主主義の基本になるわけです。政府が担う公共サービスの範囲は、財産の保護として、警察や消防とか司法とかがありますが、それから、インフラ整備、道路とか、橋とか、さらには教育・医療・福祉などの対人社会サービス。時代とともに非常に大きく拡大してきたわけなのですが、ただし、政府がどれだけのサービスを担うべきかというのは、別に一義的に何か決まった客観的な正解があるわけではなく、これは我々国民がどの程度のサービスを政府あるいは地方自治体に要求し、それをやってもらうかというのは我々で決めていかなければならないというのが民主主義、あるいは財政民主主義の基本になるということです。例えば、その下に書いていますが、同じ民主主義社会においても、アメリカのような社会であれば、ちょっと簡潔にまとめましたが、人々の個人の自由は当然重視されるわけですけれども、そのためには、政府はできるだけ個人の領域には介入すべきではないという考え方、価値観が強いわけですね。そうすると、市場の役割を重視するし、そのもとで、政府は所得の低い人や高齢者に対象を限定する形で特に福祉サービスなどを提供する。選別主義と言われるようなやり方ですが、こういうやり方をとれば政府の規模は小さくなりますし、当然税負担は低くなるという関係になります。一方で、北欧の国などに代表されるような社会民主主義の価値感が強いところでは、同じく個人が大事なのだけれども、その個人の自由を保障するためにはそのための条件を政府が積極的に整備すべきだという考え方が強いわけですね。そうすると、お金を持っている、持っていないにかかわらず、教育や医療や福祉が無償、タダを基本にしつつ提供するということをやりますので、そうすると政府の支出の規模は大きくなります。大きな政府になるし、当然その分高い税負担になっていくわけであります。

そういう形で、国民がどれだけのサービスを政府に期待するか、要求するかということで政府の形も違っていくわけですが、次のスライドで、2015年時点での政府の支出規模をOECD諸国で見ていただきますと、日本はOECD諸国の中では政府支出は低いわけですね。小さい図で恐縮ですけれども、真ん中の緑色がOECD平均ですが、それよりも右側の赤い棒グラフが日本になります。そういうところを考えますと、日本の財政赤字は、先ほども見ていただきましたように突出して大きいのですけれども、それはイメージとしてはいろいろお金がかかり過ぎていて無駄遣いが多いのでそれに税収が足りていないのだというイメージで、例えば、授業などで学生に聞いてもそういう答えが返ってくるのですけれども、無駄がないとは言えないのですが、こういうふうに諸外国と比べた場合に日本の政府が行っている仕事の量は決して高いわけではないということです。それにもかかわらず赤字は突出して大きいというのが日本の財政の問題の特徴であって、この問題は、国民が政府に求める公共サービス、サービスを求めて支出をしてもらう、そのために国民自身が税で負担するということをやるわけなのですが、そのための財源調達、税の調達というためにどういう税でどれだけ取りましょうかという合意形成に失敗してきたという面があるのだと思います。そういう意味では、日本の財政赤字は決して経済的な意味だけではなくて民主主義あるいは政治的な問題と捉えるべきところでもあります。今、日本の支出はOECD諸国の中では平均以下という現状を見ていただいていますが、右側に並べているものが公的社会支出、これは主に社会保障関係のお金になりますが、これはこの30年ぐらいでかなり変わってきておりまして、上のほうの1990年では日本の社会保障にかかってくるお金はかなり小さかったわけですが、この30年の間で、社会保障、公的社会支出に関しては、OECDの平均を超える水準まで上がってきております。更にこの拡大傾向は続いていくことが見込まれているわけですね。そういう変化の中にあるということも一つ重要な点かと思います。

次のスライドを見ていただきますと、支出はそこまで大きいわけではないが、それが税で賄われていないので、税負担はOECDの中でも結構低いほうではあるわけですね。左側の棒グラフが並んでいて、赤い囲みに日本の租税負担率があるわけなのです。私はスウェーデンを中心として北欧の財政の研究をしているので、比較として載せたのですが、上側に黄緑色で囲みを入れているものが、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーなどの北欧諸国なのですけれども、こういうところは、先ほども簡単に紹介しましたが、非常に政府のサービスが大きいので、支出が大きく、当然、その分、税負担も高いという関係になるわけなのですね。こういうふうに税負担の差があるわけなのですが、一方で、ISSPの社会調査、これはちょっと前のもの、2006年のものになりますが、これによって各国の国民の税に対する意識を調査して、いろいろな項目があるのでこれだけを抜き出すのが妥当かということはあるのですが、一つ参考までにですが、この質問は、あなたにとってではなくて、あなたの国の中間層に対する税負担はどの程度ですかという質問をすると、左から、非常に高過ぎるとか、高過ぎるとか、妥当とか、低過ぎるという回答があるのですが、この中で日本は非常に高過ぎるあるいは高過ぎるという回答が60%を超える程度になっている。比較的高いほうに入っているのですね。逆に、比較のために載せました緑の囲みの北欧諸国はむしろそれより低くなっている。つまり、GDPで見た租税負担率は確かに高いのだけれども、そのことに対してその国の国民が高いと感じているかどうかというとここで逆転が起きているというのが、少し面白いというか、重要なところで、客観的に見ると税負担は低いはずなのに国民の感覚としては非常に高いと感じているというところに、実際の税の負担と、一方で負担感とでも申し上げましょうか、主観的に感じる税の高さが、日本人は非常に高いと感じているという状況があるというところですね。このあたりに、税負担とそれに対応して国民自身がちゃんとサービスを受けられているという実感があるのかというところのつながりの問題が出てくるのではないかと思います。

税負担と公共サービスの関係ということで、次のスライドを御覧いただきたいと思いますが、私の研究しているスウェーデンの例を簡単に挙げますと、左の棒グラフで見ていただくと分かるように、租税負担率は、スウェーデン、フランスなどは非常に高いわけなのですけれども、具体的に見ると、スウェーデンの税負担は、日本でいう消費税、付加価値税は標準税率で25%ですね。そのほかに軽減税率が12%と6%がありますけれども、標準税率が非常に高く、ヨーロッパでは一般的に高いわけです。そのほかに、日本でいう個人住民税、地方の所得税が税率31%でかかっていまして、その上に国の累進税がかかっているというもので、左のグラフでいうと青い部分、所得税の負担も結構高いわけですね。一方で、法人税率は結構低いわけなのですが、一方で、日本でいうと労使折半を基本にする社会保険料負担はスウェーデンの場合、8割は雇用主負担をしている。そういう意味で、個人のレベルで消費税や所得税で高い負担を持ちつつ、一方で、法人は、法人税に加えて社会保険料でかなりの負担をしているというものが組み合わせられることで高い税負担になっているわけなのです。一方で、サービスは教育・医療・福祉などの対人社会サービスを基本的に無償あるいはかなり低額の自己負担で供給しているということですね。あちらでは子育てする、あるいは子供が学校に通うということに基本的にお金はかからないという形、それが高い税を払っていることの便益ということですし、一方で、企業も特に社会保障負担をかなりしているわけなのですが、その中で失業者に対する職業訓練や新たな産業への雇用転換を公的な職業訓練で担う。あるいは、失業者を企業で試用期間として雇うような場合の賃金は国が保障するという形で、そういう便益も企業は受けているので、それに対する負担をしているという関係があるということになるわけです。日本の場合、つい先日、選挙もありましたけれども、最近でもいろいろ税に関する議論は尽きないわけですが、雑駁な書き方になってしまっておりますが、例えば、消費税に関しても最近は非常に議論が多いわけですが、庶民の暮らしを直撃してしまう、消費税率引き上げで景気を悪化させてしまう、国内消費を減退させてしまう、なので、税率は上げるべきではない、あるいは消費税を廃止すべきだという議論もありますし、むしろ高所得者や企業にも当然払ってもらうべきだという議論はあります。一方で、高所得者に税負担をしてもらうと、特に資本所得などの税負担を高めると投資が減ってしまうので経済成長に悪影響を及ぼしますよという向きもある。さらに、日本は企業に対する税負担が高いという議論が多いわけなのですが、そうすると、国内産業の空洞化であったり、あるいは海外からの投資が弱まってしまう。これも経済成長に悪影響をもたらすというところで、そういう議論があるわけです。これらの主張はそれぞれに正しいというか、決して間違っていないわけですね。こういう税をかけることによって、こういう悪影響は当然あるわけだと。ただ、その結果として、その分、合意を調達できないために、税はとれない、結局、それが財政赤字になっていくというのが今の日本の現状になっているのではないか。この状況をどのように変えていけるのかというのが非常に大きな課題ではないかと思います。特にこの点は、どうやって民主主義あるいは財政民主主義の機能を強化していくかということが重要な点ではないかと思いますが、参考までに、左に、先ほど見ていただいた一般政府の債務残高に対して、イギリスのエコノミスト誌の調査部門が毎年出しているDemocracy Indexというものを並べてその相関をとったものなのですが、いろいろ議論があるところではあるのですが、これを見ると、民主主義指標は0から10でとって、10に行くほど成熟度が高いという仕様になっているのですが、民主主義の成熟度が高い国ほど債務残高が低いという負の相関関係が一定程度見られるというところです。ここの具体的な因果関係はあるのかどうかというのはより丁寧な分析が必要かと思いますけれども、こういう関係もある。その中で、日本は非常に民主主義の機能が弱いところと債務残高の高さが見えているというところですね。こういう問題をどうクリアしていくのかというのが非常に大きな課題になってくるかと思います。

このペースだと時間がオーバーしてしまいそうですので、特に今回はそういう大きなお話をしたかったので、その上で地方財政のところに移りたいと思うのですが、特に重要なのは、この1990年代以降、地方分権、地方に権限と財源を移譲することによって地域の問題を地域で解決していくという方向で議論が行われてきたのが大きなところだと思います。その経緯を簡単に示しております。その中で、地方分権一括法のもとで機関委任事務が廃止されて自治事務や法定受託事務に再構成されました。また、三位一体改革が行われることで国の所得税から地方の個人住民税の3兆円の税源移譲がなされるということもありました。ただ、一方で、国庫補助負担金や地方交付税が大幅に削減されたので、自治体の予算がかなり縮減していったという問題点もあります。下に書きましたように、その権限移譲や税源移譲が一定程度進展する一方で、2000年代には、国の財政難を背景に、地方への財政移転が縮小し、かなり自治体の予算が縮小する中で、厳しい財政運営が迫られる状況になっていったと思います。

次のスライドに、地方財政の動向を少しグラフで載せておりますが、濃い実線の赤と青のグラフですけれども、特に2000年代に入っていきますと、平成11年以降ぐらいから地方の歳出にかなり抑制がかかってきていることが分かると思います。分権改革の流れの中で、国からの財政移転、交付税などの移転、支出が削減されていったことと関連があるところであります。一方で、自治体は、少子高齢化を背景として、保育、介護という対人社会サービスのニーズも伸びておりますし、今後は高度成長期に整備してきたインフラの更新や維持管理にかなりのコストがかかってくることが予想されているわけなのですね。ただ、その中で、今、見ていただいているように、2000年代に入って予算が縮小していく中で、自治体は非常に財政が厳しい中で行財政改革を進めていかなければならないということになっていったわけです。その際も、国と共通するところがあるのですが、ニーズが伸びていくので、どう歳出を増やすか、場合によっては自分たちで財源を確保していくということはあり得るのですが、日本の場合は、基本的に人件費の抑制、あるいは事務の民間委託などを通じて、何とか歳出を下げていこうという方向で、つまり、それが行財政改革なのだということで進められてきたという特徴があるわけであります。

その次に、地財計画で見る自治体の主要経費で見ていただきますと、1990年代、国の経済対策の一環として地方がかなり公共事業を行ったというところで投資的経費が伸びたので、それが落ちついてきているという中で、一方で、給与関係費なども抑制されてきている。一方で、社会保障の伸びを背景にして一般行政経費は非常に大きく伸びているし、この傾向は今後も続いていくというところが見られる状況になっております。

次のグラフは総務省の資料から、地方財政の借入金残高、地方の借金の状況を示しているのですが、国と違うのは、地方全体としての債務残高は特に2000年代以降は比較的安定してきて、特に最近は減少傾向になってきているということがあるわけなのです。そういう意味では、債務の増加は地方では見られていない。比較的安定している。ただし、その中で、このグラフの中で下のほうにちょっと赤色の部分があるかと思います。臨時財政対策債の割合が上昇してきているということがあります。

この臨時財政対策債とは何かといいますと、次のスライドを御覧いただきたいと思いますが、細かいグラフで恐縮ですが、前回、沼尾先生も御紹介されていたデータになるかと思いますが、こちらは国の交付税の金額を毎年度示しているわけなのですけれども、まず、国の財政難を背景にして、本来であれば交付税として国が自治体に交付しないといけない金額が算出されるのだけれども、それが国の予算で賄いきれないので、当面の間、地方が借入を代りにしておいてもらいたいと。本来であれば国が交付税として渡すべきお金なのだけれども、足りないので、当面、その分を地方が借り入れをしておいていいですよという意味になるのが臨時財政対策債になるのですけれども、2000年代の前からその割合が多くなってきているというところがあります。地方の債務自体は安定してきているのだけれども、ただ、そこの経常的に地方の財政を回していくための一つ重要な財源として国からの地方交付税があるわけなのですが、そこは国で十分に賄い切れていないので、その部分を自治体が自分で借金をしているというところが特に2000年代に増えてきたというところがあるという状況です。ちょっと分かりにくいかもしれないのですけれども、また後で御質問いただければと思います。

次のスライドですが、自治体は歳入の中では2000年代初頭の歳出抑制がかかる中で、最近では収入も比較的戻ってきているというところがある中で、地方の一般財源も比較的上昇傾向にある。そういう意味では、地方財政全体としてみれば、財源、財政収支の面で見ると、かなり好転してきているという状況は確認できるかと思います。

次のスライドで見ていただきますと、特に以前夕張の財政破綻の問題があったように、自治体が非常に危機的な状態に陥らないようにしっかりと事前にチェックをしていこうという動きが高まっているわけなのですが、例えば、その中で、その自治体の財政の健全性を判断するような指標は幾つかあるわけなのですが、今、このグラフに示しているように、自治体で赤字の額を持っている、実質赤字を持っている団体はどれぐらいあるのか、公営企業などと連結した場合に赤字を持っている団体がどれぐらいあるのか、あるいは借金の返済のためのお金が自分たちの自治体の財政規模にどのぐらいの割合を占めているのかという実質公債費比率が18%以上ある団体はどれぐらいあるのかというところで健全化を判断するような指標を作られているわけですが、こういうものは押しなべて最近では非常に良好になってきている、こういう問題を抱える団体は現在ではほぼなくなってきているというところがあるわけでございます。そういうふうに見ると、マクロとしては非常に地方の状況は堅調に推移していっている状況なのですけれども、ただ、一つ重要なのは、財政収支が健全であることは、それが直ちに地域での住民ニーズをしっかりと充足しているということでは必ずしもないということですね。つまり、財政収支を健全化するために支出・サービスを削って黒字を出すことは可能なわけなので、つまり、財政が黒字であることと住民に対して必要なサービスが十分に行われていることとは必ずしもイコールではないということをしっかりと見ておく必要があります。その中で、少しマクロ的な状況を見ていただきましたが、最近では、社会保障を中心とする一般行政経費は、先ほども御紹介したように、今後も非常に増加していく見込みであります。さらに、インフラの維持更新や管理とか、あるいは特に上下水道や公立病院などに対する一般会計の繰り出しなども非常に高まってきているという状況があります。今後の地方財政の運営を考えていくときに、一つは、財政の健全性を維持するためにできるだけ歳出抑制をしていくということはあるのですが、一方で、地方消費者行政も含まれてきますが、住民が求めている、必要としているニーズを満たすために支出をしっかりと出す、そのために財源を調達していくという部分をしっかり機能させていくという方向もあり得るかと思います。

最後に、イメージのようなものなのですけれども、国民は同時に地方の住民でもあるわけなのですが、国に税を納め、一方で地方に税を納め、さらに、国からサービスを受け、地方からサービスを受けるということですね。日本の場合は、非常に自治体が担っているサービスの割合が大きいので、しかもそれを国に納めた税が一部補助金として回ってくるという関係があるわけなのですね。最初のほうにも御紹介しましたように、国と地方を合わせた歳出・歳入で、特に国では大きなギャップが生まれているわけなのですが、これをどう埋めていくかということが非常に大きな問題なわけです。そのときに、一方で、国の歳出の多くの部分は地方にお金を移転することが非常に大きく、実際には地方でサービスをしているところが大きいわけです。この状況において、どういうような財源の在り方を考えるかといったときに、国の地方に対する財源保障という部分を重視する場合には、国税として我々は納め、それを地方にしっかりと保障してもらうというやり方もあるし、一方で、地域ごと、地方ごとのニーズに合わせてうまくやっていくべきだという考え方をとるのであれば、むしろ地方税をしっかり自治体ごとにうまく使いながらやっていく。ちょうど茶色と赤色で少し丸を描きましたが、どちらでその財源を含めた議論を回していくかというところを両輪としてしっかり議論していかなければならないのではないかと考えております。

ちょっと時間をオーバーしてしまいました。一旦ここで報告を終わらせていただきたいと思います。

○新川座長 どうもありがとうございました。

ただいま、伊集委員からは、我が国の財政事情、国・地方を通じての財政問題、地方が直面しております財政課題について、比較的マクロな視点からお話しいただきました。

各委員から、この後、御質問、御意見をいただいてまいりたいと思いますので、どうぞ御自由に御発言いただければと思います。

よろしくお願いいたします。

○西田委員 分かりやすい解説をありがとうございました。

北欧は、負担が高いのだけれども、結構納得感があって、CS的というか、カスタマー満足度的にはいいよという話があったのですけれども、それは、日本と比較した場合に、例えば、どういう要因によって、そのような納得感に繋がっているのかというあたりはどうですかね。

○伊集委員 御質問ありがとうございます。

満足度が高いと。それとも、負担、支出ですか。

○西田委員 負担納得性が高いという感じだと思うのですけれども、日本はそんなに負担をしていないけれども結構満足していないということでギャップがあるというお話だったかと思うのですけれども、どうしてそういう差が生まれてきているのかという点を教えてください。

○伊集委員 まず、政府が担う役割が大きくなっている。北欧あるいはフランスやドイツなどの大陸ヨーロッパもそういう傾向があるのですけれども、そこは社会全体としての価値観というか、それこそ先ほども簡単に紹介しましたが、一人一人が必要になってくる教育であったり、医療であったり、福祉であったりというのは、個人の責任で自分で購入するようなものがいいのか、あるいは、みんなでお金を出し合って公共サービスとしてやったほうがいいのかというときに、ある種、社会の中でのサービスの位置付けだったり、そのための社会での連帯の在り方というときに、ヨーロッパの国、特に北欧はそこを社会で連帯して支え合いましょうという、政治的な価値観になるわけですけれども、そこが歴史的にも非常に強い、もともと社会民主主義が強い国なので、そうすると、学校では、例えば、スウェーデンでは、ヨーロッパの他の国もそうですけれども、小学校から大学院まで無償ですよね。お金は一切かからないとなっていて、個人の責任ではなく親がお金を持っていないから大学に行けないなどということはあるべきではないよねという価値のもとでそういうサービスを広げていくわけなのですけれども、そうすると、負担は高くなるのだけれども、結果として、子供がいても、学費、教育費は家庭ではかからないという受益がしっかりと得られるということになるわけです。そうすると、負担はしていて、負担は高いという自覚はあるのだけれども、でも、その分、便益を受けているよねという対応が自分で分かるので、納得しやすいということ。特にスウェーデンなどを見ますと、市町村のレベルでは教育と福祉に分かれていて、県のレベルは医療と分かれている。そうすると、つまり、私は市にこれだけの税を払っているのだけれども、それは結局教育として戻ってきている、福祉として戻ってきている、県に納めている税は医療として戻ってきているという対応関係が非常にあるので、納得を得やすいという部分、制度的な条件もあるのではないかと考えています。

○西田委員 ありがとうございました。

○新川座長 そのほか、いかがでしょうか。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 地方の財政状況の中には、ふるさと納税も含まれているのですか。

○伊集委員 このスライドですね。例えば、スライド14番などは地方自治体の歳入状況の棒グラフを示していますが、ふるさと納税は寄付金の収入になるので一番上の茶色の「その他」に入ってくることになります。

○大森委員 合意形成に失敗して、日本人は負担感だけが残ってというのは、すごく私は気持ちが分かるのですね。我が家は、子供も独立して家のローンも返しましたから、年間大体400万ぐらいで暮らせるのですね。そのうち100万ぐらいが税金とか健康保険とかの社会保障費なのです。だから、4分の1が高いか安いかという話なのですけれども、結局、年をとって自分だけで暮らせなくなったときに、今、サ高住とか、いろいろなものが出ていますけれども、そこに入れるか入れないかというのがめどになってきます。どんどん土地の価値が下がっていますから、家を売ってあとは年金でという選択肢がどんどん不安な状況になってきている中で、たくさんとられているけれども何もしてくれないのではないかという不満感を国民は持つのではないかなという気がしています。

一方、ふるさと納税なのですけれども、もっと国民が政策的なところに意見表明をしたことが納税につながる形になればよかったかなという気がありまして、国民が税金に関して自分で選択権を持てたというところでは私は大きな一歩かと思っていますし、例えば、泉佐野市などの場合は、関空の近くにりんくうタウンを誘致するという政策に失敗してすごく赤字を抱えていたので、ふるさと納税でちょっと非難を浴びるようなことをしましたけれども、その結果、小学校はプールもないしガラスが割れても交換もできなかったという状態が改善されたと聞いていますので、やり方をもう少し工夫すればよくなるのではないかという気持ちが残っているのです。

税金に対してはなかなか国民の意思が伝わらないという不満感はいつもありまして、ごまかされて増税しないけれども、このままいってどうなるのだろうかという心配を持っている国民もすごく多いので、何らかの形で合意形成をしていくようなすべを考えることと、税金に対して自分が意見をちゃんと通せるようなシステムができるといいかなと思いました。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ、池本委員。

○消費者委員会池本委員長代理 オブザーバーの池本です。

財政の本当に全体像を紹介していただき、参考になりました。

質問のポイントはかなりマニアックなところになるかと思うのですが、地方消費者行政を活性化するために、2009年、平成21年に地方交付税の基準財政需要額を、それまで90億円だったものを180億円に倍増しました。平成24年には、240億、3倍増にしました。ところが、現実には、自主財源としては100億円くらいが120億円前後で、基準財政需要額からすれば4割ちょっとしか回っていないというのが現状なのです。

お伺いしたいのは、前半のところで、地方分権一括法が1999年にあったとか、いわば地方分権になったことによって地方交付税の基本は自主財源として自治体が自由に使っていいという中で、しかし、ある行政分野についての標準的な配分として基準財政需要額というものを総務省が出しているのですが、それが現実には地方では少なくとも消費者行政の分野では機能していないのではないか。

そこでお伺いしたいのが、これは地方分権となった以上、基準財政需要額は目安であって、それが回る・回らないは縛りとしての意味はないのだと割り切らざるを得ないのか。それとも、地方の財政の中の人件費とか固定費が多くて、なかなかそこへ回そうにも回らないということなのか。あるいは、基準財政需要額というものをもっと消費者庁から地方に向けてアピールをすることによって変わり得ることなのか。どこが処方箋として可能性があるのかというところをお伺いしたいのですが。

○伊集委員 ありがとうございます。

非常に難しい課題なのですけれども、まず、一つに、分権の流れ、非常に文脈も変わってくるのですが、そもそも交付税に関して、基準財政需要額、交付税はあくまで一般財源なので、そこで歳出の中に計算があっても、そこに縛られない。制度上、そういうところであったということですね。

その中で、地方消費者行政に予算を割かない団体が出てくると困るというのは当然出てくると思うのですけれども、その問題にどう迫るかというときに、今回、御報告できる内容まで準備ができなかったのですが、まず、全体として、地方消費者行政予算が地方全体で170億円あるというのは前回の資料ではあったかと思いますが、100兆円の地方全体の予算規模でいうと、大体0.017%ということなのですね。今回、私が住んでいるのが横浜なので、神奈川の自治体の予算書を、ウェブ上でちゃんと細かいところまで公開していない団体もあるので、見られたのは12市なので、ちょっとサンプルが少なく、偏りもあると思いますが、0.01%から0.035%ぐらいまで結構幅があるのですね。その中でも、更にその消費者行政予算を一般財源でどの程度賄っているのか、あるいは交付金でどのぐらい賄っているのかというのも結構ばらつきがあって、自治体によっては一切交付金を受けていないところもあれば、交付金の割合が7割、8割に上るようなところもある。そこからがまた難しいので今後の検討課題にさせていただきたいのですが、消費者行政予算の予算に占める割合が少ない団体あるいは一般財源を割けていない団体が、比較的財政問題を抱えている団体なのか。例えば、公債費負担比率が高いとか、経常収支比率が高いので、なかなか毎年のお金を回せないというところが消費者行政にお金を回していないのかというと、そこには余り相関も出てこないのですよね。

だから、そこはそれぞれの団体の文脈が恐らくあって、なぜ財政状況が比較的悪いにもかかわらず地方消費者行政に比較的割と付けているのか、そういうところがなぜそういう運用をしているのかというのは多分ちゃんと見ていかないといけないですね。

こういうと言い方は悪いのですけれども、全体としても0.01%とか0.02%ということなので、方針の決定の仕方によってはかなりお金を割くことも難しくはないはずなのですよね。そんなに簡単ではないかもしれないのですけれども、ただ、意思決定があった場合にそこにお金を割くことは不可能ではない部分でもあると思うのですね。なので、現状においてそのばらつきがある中で、しかもそのばらつきも財政問題との有意な相関が余りないかもしれないという中で、どういう形で、各団体の消費者行政が企画され、予算化されているのかというのは、そこを少し踏み込んで分析してみて、そこから突破口を考えてみるというのが大事なのではないかと、今回、予備的な分析しかできなかったですけれども、そういうふうに見ております。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほか、いかがでしょうか。

どうぞ、首藤委員。

○首藤委員 ありがとうございました。

最後のシートの16ページのところなのですけれども、こちらは今後ということもあると思うのですが、赤と茶色のバランスの問題になると思うのですけれども、地方ごとのニーズはこれからますます変わっていくのと、都市と地方も変わってくると思うのですけれども、そういったときに、地方自治体での財源調達を考えるということのお話なのですけれども、それによって、格差というのですか、住民が受けるサービス自体も格差が広がっていく可能性があるのではないかと思ったのですけれども、その辺のところをどう捉えていっていいのか、もし分かりましたら教えていただきたいと思います。

○伊集委員 ありがとうございます。

非常に大事な点で、今日の御報告でも、私は特に分権化という文脈であったり、あるいは日本が根本的に抱えている財政問題の要因を考えると、しっかりと合意を調達して税を取っていくというのは、国のレベルあるいは地方のレベルで大事だと思っているのですけれども、ただ、御指摘いただいたように、それで自治体が自分たちで集めなければいけませんよねとやると、結局、自治体間の財政力であったり経済力の格差がそのまま負担の格差に結びついてしまうということが起きるわけで、つまり、財政力あるいは経済力が弱い団体は高い税金をかけないとお金が集められないということが当然出てしまうわけです。

なので、自治体が住民ニーズに応じてしっかりとその税のコントロールができるということをやろうとしたら、必ず国での財源を調整する、いわゆる交付税の役割が大事になるわけなのですね。それがないままに地方分権なのだから勝手にやってくださいとやってしまうと、財政力格差がそのまま税負担の格差になってしまうので、そういう地方自治的な機能を強めようとすると、一方で、セットで国による財源の保障をしっかりと組み合わせないといけないというのがある。先ほど御指摘もいただいたのですけれども、ふるさと納税は納税ではないのですけれども、あれがこれだけニュースになってきた。あれ自体の問題はいろいろ指摘されるところはあるのですけれども、一方で、いろいろ返礼品を充実して、寄付を集めでもしないとお金が回らない、なかなか仕事ができないという団体が生じているというのも一方で事実があるわけなのですね。

だから、そういう状況が起きていることを放置して税で勝手にやりなさいよというと、ふるさと納税を集められないところは税金を上げなければいけないではないかという話になってしまうので、ふるさと納税の問題も、国での交付税、財政調整制度といいますか、そこを中心とした自治体間の財政力の格差をまずは是正する、その上で、自治体は自分たちの住民のニーズに合わせながら、どう動かすのか、増やすのか、減らすのか、ということをセットで回さないと本当に格差が拡大するだけになってしまうというところは問題になると思います。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ、樋口先生。

○消費者委員会樋口委員 貴重なお話をありがとうございます。

私は、1つは感想ですが、1つは御質問したいと思います。

お話の中で、負担とサービスの関係、住民へのサービスの関係というところが一つのポイントになってくる。財務省のキャンペーンは別にして、北欧のデータのお話もありましたけれども、きちんとしたサービスが受けられるのであればそれに対する負担をするということについては納得がいくのですが、例えば、日本の場合は、増税をしないことによってその負担関係が非常に見えにくくなっているということがあるのかなと。例えば、これはちょっと極端な言い方なのですが、適格消費者団体というものが社会的に機能しているわけですけれども、これはいわば消費者行政の隠れ負担の部分もあるのではないかと思うのですね。海外の例に比べれば、本来は国や自治体が負担してもいい行政の部分をボランティア的な活動に委ねている。しかも、適格消費者団体が存在している地域と存在していない地域があるとすれば、実質的な住民へのサービスと負担の関係は非常に見えにくくなっているのではないかと思います。そういう意味では、これは私の感想なのですけれども、基礎的な消費者行政に関するインデックスといいますか、きちんとした評価基準を作って、例えば、小さい自治体においては当然消費者相談のサービスを十分には行われていないとか、そういう問題があるので、大きな自治体と小さな自治体を単純に割ってしまうと、答えは平均値が出てくるとしても、実態的には住民がサービスを受けにくくなっているところと住民がサービスを十分に受けているところと、そういう格差があるのかなと思いました。そういうところをうまく何か工夫して、分かりやすく示すことができないのかなということです。

もう一つは、質問なのですが、地方財政の状況として健全化判断指標の推移というものを拝見しました。これはかなりの勢いで財政健全化が指標の上では進んでいるとお見受けしたのですが、この背景にあるインセンティブというか、自治体側が、中身は別にして、財政健全化に向かわざるを得なかったのか、あるいは向かおうとしたことの背景としてどういう力関係が働いているのかなと。そこについて、1点だけご質問したい、私も素人なので、もしその辺で何か明確なことがあれば教えていただければと思います。

○伊集委員 ありがとうございます。

1点目について、私のほうでもちょっとだけコメントをさせていただくと、結局、消費者行政の内容をどこまで公的に含めてやっていくかというところは、例えば、法制化することで、そのもとで行政的にも国の役割と地方の役割を体系化していくという、法律的にちゃんと含めていって、しかもそれを正式に地方の行政に入れていくという、それをどこまで制度化していくかということと、そのときに地方での基本的な枠組みを国で法律のもとに作りつつ、地方にどのぐらいの裁量を与えるのか、幅を与えるのかというところをどうとるかという話になってくるのかなと感じました。

健全化のほうなのですけれども、何でこうよくなってきているかというと、比較的単純といいますか、スライドの12枚目を御覧いただきますと、借金、地方財政の借入金残高で、先ほど御紹介したように、今は比較的安定して推移して、ちょっと最近は微減傾向にあるのですが、これは結局増えたのは90年代なのですけれども、90年代、バブル崩壊以降の景気対策で、国が、財政赤字が既に大きい中で、日米構造協議でアメリカの圧力がある中で、いわゆる公共投資基本計画を実施するときに、地方に単独事業を通じて公共事業をやってもらったというか、やらせたというか、そこで、ある種、そういう国の経済対策に巻き込まれる中で、自治体が、下水道とか、生活道路の公共事業をばんばんやっていくことで、90年代に借金が非常に大きく拡大したということがあります。それの返済の費用に非常にお金がかかってしまったのだけれども、それが最近では落ちついて、投資的経費も2000年代以降、落ちていると思いますが、そこが落ちついてきたので、その投資的経費を中心として抑制されてきて、そこが財政の健全化の要因になっているということで、個別の団体で特にこういう取組をしたからうまくいったというよりも、そういう経済状況の変化の中で地方財政の赤字が落ちついてきたというのが一番大きな要因になっています。

○消費者委員会樋口委員 ありがとうございました。

○新川座長 そろそろ時間も押してきましたが、そのほか、よろしいでしょうか。

それでは、伊集委員からは、マクロな財政、国・地方の財政関係、地方の財政運営の現状をお話しいただきました。御質問の中も含めて、これからの地方消費者行政を考えていく上で、一つは、こうした消費者行政そのものの、言ってみれば、負担とサービスの関係を私たちはどう考えていったらよいのか。そのときに、一体誰がサービス供給者になっていくのか。そして、それに対する負担を誰がどういうふうに調達をしてサービスを支えるのか。かなり複雑な数式を解かないといけないかもしれませんけれども、こういう問題を一つこれから考えていかないといけない。そのときに、恐らく国の役割、都道府県の役割、市町村の役割、しかも都道府県や市町村についていえば経済規模の格差がございますので、それも含めてどういうふうに最適解を生み出していくのか、加えて、この解かなければならない数式は、もう一つ、公共と民間という役割分担の中で、あるいはその中間財的なものの供給も含めてになるかもしれませんが、そういう役割分担の中で、一体これをどういうふうに支えていくのかというお話もいただいたかと思います。

総じて、これから地方消費者行政というものをどう考えていくのか、根本のところはもちろん、国・地方の財政関係あるいは現在の国民経済とその中での公共部門・政府部門の役割といったことをどういうふうなバランスで考えていくのか。その中での負担を考えつつ、しかし、もう一方では、私どもが将来の地方消費者行政として少なくともどういう水準のサービスを提供し続けなければならないのか、そして、それに必要な負担あるいはそれに必要な資源をどういうふうに調達していくのか、この最適解を改めて考えないといけないので、お金の面では伊集委員に考えていただこうかなと思っているのですが、ともかくこういう課題だけは明らかになったということで、ここは収めておきたいと思います。

それでは、恐縮ですが、伊集委員の話は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

続きまして、尾嶋委員からお話をいただいて、また少し皆さんで議論ができればと思います。

よろしくお願いいたします。

○尾嶋委員 尾嶋です。

私は、公益社団法人全国消費生活相談員協会に属しておりまして、本日は、資料のタブレットのほかに、こちらの緑色の団体の紹介と「こんな相談ありました!!」という黄色の冊子を用意させていただきました。

タブレットですけれども、資料2-1と2-2があります。私にいただいたテーマとしては、「消費生活相談の現状と将来に向けた課題」ということで、特に将来に向けた課題を考えるに当たっては現在どのような消費者相談が寄せられているのかということを御理解いただいたほうがいいのかなと思いまして、資料2-2の資料も用意させていただいたのですけれども、これは消費者庁の消費者白書、最新のものなのですけれども、そこから少し抜き出してみましたので、2-2のほうを先に簡単に御説明させていただきたいと思います。

2ページ目に、全国の消費生活センターに寄せられる相談件数ですが、よく御覧になるグラフだと思います。ほぼ年間90万件から100万件の相談が全国の消費生活センターに寄せられています。最新のものが2018年と載っていますが、これが101万件なのですけれども、青い部分は架空請求の部分なのですね。昨年ぐらいから非常に多くなっているということです。

次に移りますが、そのうちの高齢者の詐欺的手口の相談件数の推移です。これは高齢者の架空請求と、詐欺的な手口における相談件数をあらわしたもので、高齢者が非常にターゲットになっているということが分かるかと思います。現在発生している架空請求は女性がほとんどで、多くが60歳以上という年齢です。

次ですが、通信サービスに関する相談の推移ですけれども、これも通信サービスに関する相談が非常に多くなっています。2015年ぐらいに非常に増加しているのですけれども、これは光回線の卸売が開始され急増したということで、今、落ちついてはいるものの、これだけ、携帯電話、モバイル、インターネット接続、そうした通信サービスに関する相談が寄せられているということです。

次に、スマートフォンに関する相談も非常に増えておりまして、スマートフォンの保有が非常に増加しているということで、年代別に分けてありますけれども、65歳以上の方の相談も多くなっているということです。

次のページですが、ネット通販では商品に関する相談が多くなっているということです。以前は、インターネットのトラブルといいますと、アダルトサイトとか、出会い系サイトとか、そういったものが多かったのですけれども、現在ではいろいろな商品をネットで買うことが多くなり、その商品に関する相談が非常に増えているという傾向にあります。

次は、SNSに関わっている相談は、全年代で増加しています。SNSは若者という印象がありますけれども、これを見ますと全世代で相談が増えているということで、SNSをきっかけに消費者被害が多く発生していることも言えると思います。

次のページですけれども、成年年齢引下げ問題があり、若者の消費者トラブルや消費者教育の重要性が指摘されています。男性・女性と分かれていますが、両方ともひとり暮らしを始める年齢で賃貸アパートの契約トラブルが多いのですけれども、女性は、赤にありますように、脱毛エステとか、健康食品。よく言われますのが、女性は美に関するものの相談が多い。一方、男性は、もうけ話の相談が多いと言われているのですけれども、このフリーローン・サラ金が多いのは、もうけ話、投資とか、そういったことで高額な契約をし、それが払えずに消費者金融に関わってしまう。これが大学生ぐらいから始まっているということで、非常に問題になっているということです。

次のページですけれども、それに関係することですが、情報商材に関する相談。情報商材とは何だろうということで、こちらの黄色の「こんな相談ありました!!」の11ページあたりに書いてあるのですが、情報商材というのは、インターネットを通して、お金のもうけ方とか、異性にもてる方法など、そういったノウハウを提供するというものでして、これが50万円とか、非常に高い金額の契約で、40代、50代も多いのですけれども、若者にも非常に多くなっているということです。

次のページ、キャッシュレス決済に関する相談の増加ということで、キャッシュレスが進んでいますので、クレジットカード、電子マネーのトラブルも非常に多くなっていると言えます。

最後の11ページですけれども、2018年度消費者被害・トラブル額推計ということで、5.4兆円が既払金ということでここに示されているということです。

以上、簡単に御説明させていただきましたが、すみませんが、また戻っていただきまして、資料2-1を見ていただきたいと思います。改めて「消費生活相談の現状と将来に向けた課題」です。

私ども、略して全相協の紹介が2ページにあります。41年前に設立しまして、会員は、全国の地方自治体の消費生活相談窓口に勤務する相談員が主な会員で、約1,900名おります。全国に7支部ありまして、事務所は東京本部事務所、関西、北海道という3カ所があります。

次のページですが、主な活動としまして4つの柱があります。週末電話相談、適格消費者団体、消費者教育研究所、消費生活相談員養成あるいは研修で、後でまた細かいお話をさせていただきたいと思います。その他に「電話相談110番」を実施したり、「消費者問題出前講座」の実施、行政機関からの委託事業なども行っており、各省庁とか業界団体との意見交換等も行っています。

次のページですが、先ほどの4つの柱の1番にあります週末電話相談ですが、協会として1998年から土日相談を東京・大阪・札幌の各事務所で行っています。先ほどの冊子「こんな相談ありました!!」は1年間の相談内容をまとめまして、それを消費者啓発とか消費者教育に役立てています。寄せられた相談の中から適格消費者団体の活動も行っております。

次のページに行きます。地方消費者行政における消費生活相談員の役割ということでお話ししたいと思います。赤字でありますが、「相談窓口は消費者行政の基盤、担うのは消費生活相談員」と思っております。相談員の大きな業務としましては2つありまして、相談業務と、下にあります消費者教育・啓発業務です。相談業務というのは、寄せられる個別の相談に対して助言や情報提供、もう一つ、消費者と事業者との間の消費者トラブルをあっせんによって解決しています。相談の内容によっては、行政職員とともに、自治体内の福祉部門、例えば、高齢者関連とか、あるいは生活福祉とか、そういう部署と連携して解決を図っています。相談の受付内容、処理結果などをまとめ、PIO-NETに入力していきます。このPIO-NETの入力というものは、同様の相談が寄せられたときの処理に使う場合もありますし、統計上のものとして利用することもありますが、もう一つ、大きな役目としまして、相談内容を詳細に聞き取り、丁寧なPIO-NET入力を行うことは、法執行とか法律の改正等に結びついているということです。相談内容を十分に聞き取って、結構時間がかかるのですけれども、あっせんをするということが法執行とか法律の改正に結びついている大変重要な仕事をしているということになるかと思います。2つ目が、消費者教育・啓発業務です。相談業務によって寄せられた相談をもとにして、地域の消費者に対して消費者教育とか啓発を行っています。先ほどもお話ししましたが、福祉関係者、地域包括支援センターとの連携とか、学校との連携、消費者団体と連携して、必要な情報を提供して、消費者教育を行っていることになります。

次のページです。次は、地方消費者行政における、行政職員の役割を御説明したいと思います。消費者行政の充実は、行政職員の専門性が必須ではないかと思っております。先ほどと同じように、相談業務と消費者教育・啓発業務の2つに大きく分けられます。寄せられた相談の解決のために、相談員とともに自治体内の関係部署と連携をして解決を図るという役割を持っています。そのためには、相談内容を理解するための専門性、関連部署と連携し、問題解決の力というものも必要だと。例えば、まだ余り進んでいませんけれども、消費者安全法に基づく消費者安全確保地域協議会などを立ち上げたり、運営したり、見守りネットワークを作っていく、活用していくという力が求められています。もう一つは、消費者教育・啓発業務ですけれども、地域の消費者に対して、未然防止のための消費者教育・啓発を企画・運営するということで、同じように、自治体内の関連部署とともに、あるいは消費者団体と連携して活動を進める。もう一つ、消費者教育推進法が施行され、その基本方針の中に消費生活センターは地域における消費者教育の拠点であると明記されているということで、地域における消費者教育を進めるために消費生活センターは非常に重要な役目を担っていると思っています。したがって、行政職員の役割に関していいますと、暮らしの安全・安心の視点で、自治体の消費者行政を総合的に展開・推進する。そのために、消費者問題に関する専門性が必要であるし、関係部署との連携、消費者行政を推進する力が必要であると思っております。

次のページです。ここからは課題についてお話をしていきたいと思います。まず、第1に、消費生活相談員の確保ということで、1つ目の課題に挙げさせてもらいました。相談員の確保は非常に難しい現状があります。地方では資格保有者が少ない。都市部では100%の保有ですけれども、地域によっては50%以下のところもあります。消費者庁の現況調査によりますと、この前の資料に出ておりましたけれども、全体をならすと81.4%ですが、市町村に関していいますと77.5%が平均でして、その地域によっては50%以下というところもありまして、地域による格差が大きく広がっています。都市部では、資格保有に関しては100%なのですけれども、30代、40代の女性が資格を取得しても、相談員の給料の安さとか雇用の不安定などから相談員になりたいという人は少なくなっております。専門性が非常に高いこととか、相談の内容の範囲が非常に広いこと、資格取得後も法改正とかいろいろありますので自己研さんが必要ということで、給料に見合わない仕事ではないか。あるいは、ハードクレーマーの増加で心身ともに疲れている。この辺は相談員の声なのですけれども、国家資格となったけれども、待遇はほとんど改善されていない、相談員の認知度は低い、これは今後に期待するところかと思いますが、そういった声も多く聞かれます。交付金等によって相談員数は増加したのですけれども、最近の交付金の見直しによって、一旦増えた相談員が、ある方が退職すると、その補充はされないということが結構ありまして、この交付金の減額というか、見直しは、相談体制の後退につながっているのではないかと懸念されています。相談員が高齢化している。それから、地方自治体で相談員の募集をかけるのですけれども、募集に応募する人が少なくて困っているという現状がありますので、今後は非常に危惧されることであります。

次は、こういった相談員の確保の問題がある中で、私たち、本協会としてどのような取組をしているかということをお話ししたいと思います。本協会では、消費生活相談員の資格試験の対策講座を開催しております。東京の本部事務所に当たっては、通学コースと通信コースを設けておりまして、右上にあるテキストを本協会が作りまして、それにのっとって講座を開いている。通学ができない方も多いということで通信コースも設けている。あるいは、資格試験の直前の講座も行っている。先ほどの7支部がありましたけれども、東京だけでなく各支部の対策講座も開催しているのですけれども、7支部ですのでそこに集まってくる受講者は、例えば、交通費の負担が大きいとか、そういった負担の関係で最近は受講生が減少しておりまして、今年度は7支部中4支部が開催しています。本協会では、この資格試験の対策講座のほかに、下に書いてありますように、週末電話相談で、資格試験に合格したばかりの会員とか、経験の浅い相談員を養成したりとか、あるいは、全相協セミナーを開催して賛助会員から一般の方まで消費者問題を知ってもらうためのセミナーを最近開催し始めました。もう一つ、指定講習の開催ということで、指定講習実施機関として、有期限のみなし資格を得るための指定講習を行っています。

次ですけれども、この消費生活相談員の確保のために、本協会が開催する各支部でも応募が少なくなっているということもありまして、私どもとしては、相談員の資格取得のためには都道府県の支援が必要ではないかと思っております。都道府県は、資格保有状況を把握して、特に相談員が不足している地域では資格取得のための講座を積極的に行う必要があるのではないか。資格を保有していない相談員が、例えば、取得対策講座に参加しやすくするための行政としてのいろいろなバックアップが必要ではないかということとか、合格した方がすぐに相談業務に就くということもなかなか難しいということがありまして、新人研修も行う必要があるのではないかと思っております。もう一つ、その下に書いてある行政職員も資格取得を目指す必要があるのではないかと、これは先ほどの行政職員の専門性に関連しますが、例として、国民生活センター主催の「消費者行政職員研修」、これは平成29年ですが、愛媛県では資格取得促進のための独自の取組を行っているという報告があります。県内のセンター、市町村の相談員、行政職員も含め、資格取得の受験を促している。その目的としては、県内相談員、行政職員の資格取得を促進し、県全体の相談体制の質の向上、センターの運営体制の強化と円滑化を図ることであり、これを発表した県センターの行政職員の方も、自ら受験して合格したと言っておられまして、相談員だけではなく行政職員の資格試験の受講を勧めるという取組をしているということです。もう一つ、相談員確保の対策として、相談員の待遇改善が必要ではないかと思っております。

次のページに移っていただきまして、私ども本協会が会員に対して実態調査を行った報告書からご説明したいと思います。(2018年3月)とありますが、これは(2018年10月)の間違いです。本協会の会員に対して、平成30年5月から7月に実態調査を行いました。下の(1)のところですけれども、相談員は高齢化が進んでいるという話をしましたが、50代とか60代が非常に多くなっております。(2)ですが、経験年数ですけれども、6から10年、11から15年、このあたりが多くなっています。(3)、上に行きまして、この回答は、現在消費生活センター等に勤務している人が85%、過去に勤務して今は勤務していないという方が96人で11%ほどおりました。(5)に移りまして、平日の相談員体制ということで、1人体制から10人以上というところまで様々な消費生活センター、窓口があるということです。その次ですけれども、直接関わっている職員について、(6)、(7)と聞いておりますが、2から3人の職員が多く、40%ありますけれども、そのうち専任職員は何人ですかという質問をしたところ、いない、0人というところも3割ぐらいおりました。その次に多いのは2~3人というところですけれども、専任職員がいない状況も多くあるということも特徴として言えるのではないかと思っております。これは小さな窓口に限っていると思います。

次です。もう一つ、待遇として、超過勤務があるかどうかということで、「ある」と答えた方が下の円グラフで8割です。超過勤務の手当はあるかと聞いたところ、「ある」が約4割弱です。「ない」は約3割、その間の方は、いろいろと自治体で工夫されていて、手当はないけれども代休に振りかえるとか、手当はないけれども勤務時間を調整してちょっと遅く出てもいいよという調整をしているところもありました。賃金が増加するという仕組みですけれども、加算はないという4番のところが約66%ですね。先ほどの勤務年数の質問のところで、回答があった人で11年以上勤務している人が非常に多かったという結果がありましたけれども、6割以上は加算がないと回答しています。勤務年数に加算がある、あるいは主任になると加算があるというのは、17%、12%程度にとどまっているということです。

次に移ります。課題2として消費生活センター機能の充実というところでお話ししたいと思います。質の高い相談や消費者教育を提供できる体制がまだ整っていないのではないか、と言えるかと思います。消費生活相談員の研修参加率が交付金の見直しによって減少してしまっている。次に、行政職員の研修参加率ということですが、随分前から研修率が低い。その促進を促しても、なかなか変わらない、改善されないという、これは大きな問題かと思います。これは相談内容を理解するための専門性が高まらないということにもなってくるかと思います。質の高い相談や消費者教育等が提供できるだけの人数が、相談員にプラスして職員も、確保されていないのではないかということと、それから、先ほどの1人体制の方も多くいらっしゃいましたけれども、小規模あるいは1人体制の相談窓口の相談員の環境は非常に問題が多い。例えば、研修に参加できる環境にはない。その方がいらっしゃらなかったら相談業務ができないわけで、研修には参加できないと。あるいは、1人体制ということで、以前は国とか都道府県が市町村の巡回事業などを行っていましたが、今、その制度はなくなっています。PIO-NETですけれども、下に書いてあります消費者安全法による消費生活センターの基準が、マル1、マル2、マル3とありまして、週4日以上は消費生活センターと言っているのですけれども、それ以外のところにはPIO-NETはないということで、都道府県を介して入力をしているということになるかと思います。

次は、消費生活センター機能の充実について実態調査で聞いてみました。14項目の中から3つを選んでということで集計した結果ですね。1番が自主財源の確保、相談員の処遇改善、相談員のレベルアップ、自治体のトップの消費者行政に対する意識、あるいは交付金の充実、職員の意識、こんなところが多くなっていました。財源なくして取組はなかなか困難である、財源確保には行政のトップとか職員の方の意識が重要であるということが言えるかと思います。

次ですけれども、ちょっとずれてしまっていますけれども、消費生活センター等で解決困難な案件はどこに相談しますかという質問をしたところ、一番多かったのは、ほかの相談員に相談するというものが一番多いです。次が国民生活センター、弁護士という順番です。これを右側で相談員体制ごとに1人・2人・3人というところでクロス集計をしてみますと、複数体制のところはほかの相談員に聞くというのが1番になっているのですけれども、2番は国民生活センター、1人体制のところは国民生活センターが1番なのですけれども、2番が都道府県ということで、これを考えてみますと、1人体制のところは都道府県のセンターを利用しているけれども、あとのところは余り利用していない。それよりも国民生活センターの相談部署がありますので、そこに相談するということが大方の流れになっているといった状況です。

次です。このような状況の中から、都道府県の市町村バックアップ体制の充実・強化が必要ではないかと考えておりまして、2014年に消費者安全法が改正されまして、都道府県の市町村支援が明記されています。8条1項1号ということです。もう一つ、10条の4のところに指定消費生活相談員という、都道府県は市町村に対して消費生活相談業務を援助するために、「指定消費生活相談員」を置いてその支援をするということで、今年の4月から導入しております。この辺の実態調査が必要ではないかと思っております。

次です。課題2の消費生活センターの充実のその2ということですけれども、行政職員の専門性が消費者行政の充実にとって鍵を握っているのではないかと思っておりまして、その中で、数が増加していないことと、行政職員の研修の機会が全く確保されていない、忙し過ぎて研修には参加できないという状況が続いているのではないか。先ほどの愛媛県の例にもありましたけれども、専門性ということで資格取得も必要ではないかと。もう一つ、都道府県の行政職員については法執行をするということもありますので、積極的に法執行を行ってもらうためにも専門性は非常に重要ではないかと思っています。それから、消費生活相談員の研修の確保というところですけれども、いろいろと国民生活センター等も工夫されていて、地方での研修も多くなっておりますし、webなどの研修も多くなっておりますが、更にこの辺も工夫をしていただきたい。あるいは、工夫をしていただいても、研修に参加できる体制が整っていなければ、webでも参加できないということになりますので、その辺の研修の確保のための工夫をしていただきたいと思っています。相談業務とともに、消費者教育・啓発が可能な相談員の確保も必要だと思っております。

次のページは、白書の中で消費生活センターはどのような評価を得ているのかなというところがありましたので挙げさせてもらいましたけれども、一番右のほうに、消費生活センター又は窓口は信頼できるかというもので、2012年から非常に増加しておりまして、一定の信頼度が高くなっているのかなということを思っております。その手前の消費者行政から消費者への情報提供がまだ不十分であるというものは2012年から余り変わっておらず、問題点です。

次です。今後の消費者行政を進めるに当たって広域連携が一つの大きな課題として考えなければいけないことかと思っておりまして、ここに広域連携のメリット・デメリットをまとめてみました。メリットは、見ていただければ分かるかと思いますが、先ほどあったように、1人体制のところで研修も行けないとか、そういったことのデメリットは広域連携で解消されるのではないか。この辺は非常に大きなところかと思います。ところが、デメリットのところが幾つかありますので、その辺は注意する必要があると思います。委託自治体の消費者行政を推進する意識が低下する可能性がある。委託自治体に情報が入りにくくなり、自治体の連携部署や消費者団体との連携もしにくくなる可能性がある。委託自治体の消費者教育・啓発が不十分になる可能性がある。次は分担金の調整などが必要ということなのですけれども、上の3つですけれども、大きな自治体に委託している委託自治体と書いてありますけれども、相談業務を委託してしまうと、意識が低下してしまうのではないかと。情報交換をどのようにされているのか分かりませんけれども、委託自治体に情報が入りにくくなる。それから、消費生活相談を解決するに当たって、先ほどの福祉関係のところとの連携が非常に重要になってきていますので、その辺の連携がされているのかどうか。消費者団体との連携がされているのか。その辺が大きな問題です。もう一つ、消費者教育・啓発が行われているのかどうか。この辺を下に課題としてまとめてみました。「相談窓口は消費者行政の基盤である」ことを踏まえて、委託している自治体が、住民への注意喚起・被害防止・消費者教育(啓発)・救済などを取り組めるような仕組みを整える必要がある。それから、委託している自治体が消費者行政を推進するための問題意識を持続するための仕組みを整える。3番目は、消費者団体の関与ということですね。この辺の課題を解決する仕組みを作ることが非常に必要ではないかと思っております。

次ですけれども、参考として挙げさせていただきました、「2017年度神奈川県市町村消費者行政についてのアンケートまとめ」というところから、これは「消費者会議かながわ」という消費者団体が毎年市町村に対してのアンケートを行っているものなのですけれども、ここの中で、神奈川県には5つの広域連携がありまして、一つは相互乗入方式、あとの4つが中心集約方式という形をとっているものが11自治体あるのですけれども、こういうアンケート調査の中で、町村が近隣市への委託をしている場合、自らの自治体区域内で起こっている消費者被害を把握しづらく、適時適切な施策を打つタイミングを失する可能性が高い。とりわけ、消費者行政予算の全額が委託費で占められている町村においては、この点が懸念されるというものがありまして、いろいろと予算を見てみますと、委託費が全部消費者行政予算だというところもありまして、これはちょっと大変だなと。こういうところばかりではありませんので、例えば、消費者団体と非常に連携して活発にやっているところもありますので、その辺をしっかりと、予算とか、委託先との連携、行政職員がどのように関わっているのか、委託している自治体、先ほどの福祉関係、教育関係、そういった部署との関わりというところでの詳細な調査をする必要があるのではないかと思っております。

次です。もう一つ、大きな問題としては、消費者教育・啓発の推進ですけれども、消費者教育推進法が2014年に施行されました。この当時は交付金を使っていろいろと施策を進めてきましたけれども、交付金の見直しによって、まず、真っ先に減額されているのが消費者教育の関連の予算なのですね。先ほど白書でいろいろな消費者トラブルが発生していることを紹介しましたが、消費者教育の必要性は非常に高まっている中で、今、こういうような状況になっている。消費者教育の基本方針の中には、先ほどもありましたけれども、消費生活センターが地域の消費者教育の拠点であることがうたわれてはいるのですけれども、むしろ後退してしまっているのではないかということで非常に危惧するところです。拠点化ということで、消費者教育予算を確保する。あるいは、行政職員の認識を高めること、それから、相談員が少ないと相談業務で目いっぱいということで啓発業務までの時間がないということですので、そういったことの相談員の確保も重要かなと思います。いろいろなところの連携も必要かなと思っています。

次のページですけれども、本協会でも、消費者教育に関するいろいろな取組をしておりますので、こういった冊子とか出前講座をやっているということで、これは御理解いただきたいと思います。

もう一つ、最後になりますが、消費生活相談員の活用ということで、これも実態調査からですけれども、先ほどお話ししましたように、100人ほど、現在勤務していないけれども過去に消費生活センターの相談員だったという方が96人ぐらいおりまして、その方に、今、何をやっているのか、今後、どうしていくのかという希望などを書いてもらいました。そうしましたら、これまでの経験を生かして、消費者団体に属しているという方が結構多くいらっしゃいました。あるいは、高齢者の講座には、御自分たち、高齢化した方の力が非常に必要ではないかという声もありました。

まとめになりますけれども、消費生活相談員は、勤務以外にもいろいろと様々なところで活動をしています。協会の活動はもちろんですけれども、地域での消費者団体と一緒に活動している。適格消費者団体の活動もしている。退職後も、その経験を生かして地域で啓発活動をしているということで、いろいろな活動をしておりまして、高齢になっても相談員の活用が行われるといいのではないかと思いますが、前回、大森委員からありましたように、消費者団体に入っている方あるいは相談員で活動している方がだんだん少なくなっているというところが消費者団体としての共通の課題ではないかと思っております。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

ただいま尾嶋委員からは、消費生活相談員、その相談の最近の大きな動き、相談内容の変化、本当に多様な問題が発生をしていて、様々な世代が関わってきて、もちろん若い方に特有のものもありますが、それらに対して消費者行政でどのように展開していったらよいのか。具体的な問題解決への道も幾つかお示しいただきながら、これからの消費生活相談員の在り方や、あるいは国・地方を含めたセンターの役割、機能の在り方、また、そこでの相談窓口、人の在り方、組織体制の在り方、様々な観点で貴重な御指摘をいただきました。

各委員からいろいろと聞いてみたいことがおありかと思います。御質問、御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

どうぞ、大森委員、よろしくお願いします。

○大森委員 私も相談員協会のメンバーなのですけれども、一回も相談員として勤務したことがなくて、NPOで消費者教育をやっているところです。

そこで、消費者教育研究所のことをもう少しお聞きしたいと思っております。消費者教育支援センターもありますし、関西では関西消費者協会とか、全国的な組織ではNACSとか、いろいろ消費者教育をやっている団体がありまして、入札のときのライバルになったりもしているわけですが、消費者教育に携わる人間も減っておりますし、財源も減っているというところで、何か連携してもう少し大きな力になれたらいいのではないかと、ふだんから考えているところがあるのですけれども、この消費者教育研究所の目指すところとか、予算規模とか、メンバーとか、その辺をもう少し教えていただけたらと思います。

○新川座長 よろしくお願いします。

○尾嶋委員 2017年、2年ぐらい前に設立しました。消費者教育推進法が施行され、そして、全相協の消費者教育をもう一回見直してみますと、体系的に行われていないということがありました。

それで、私たち全相協の会員というのは主に相談員でして、やはり相談をしている中で、これは消費者教育として必要ではないかなど消費生活現場から見た消費者教育に関する必要性を、私たちが発信しなければいけないという思いがありまして、消費者庁も消費者教育のイメージマップなどを作っておりますけれども、協会として体系的にもう少しやっていく必要があるのかなと思っていることと、それから、7支部ありますので、いろいろな地域によってその差があります。その辺の状況とか、声とか、そういうことを集約することもこれまで少なかったので、そういったことでいろいろな地域の実情を知りながら、消費者教育を協会としてどういう方向に行ったらいいのか考えたいということがあります。

それから、規模とか予算は非常に少ないので、余り言えるものではございません。

メンバーですが、各支部から最低1人ぐらいずつ出て情報交換をしています。そして、学校における教材とか出前講座、あるいは地域におけるというようなことで、様々なところの教材を作り、講座をやっていきたいと考えております。

○新川座長 伊集委員、どうぞ。

○伊集委員 どうもありがとうございました。

2点簡単にお伺いしたいのですけれども、全体の通し番号で言うと31ページ、1つ目の報告資料の13枚目になるのでしょうか。参考として消費生活センターの機能の充実、本協会会員実態調査報告書というところに、機能充実のために必要と思うことの選択肢のアンケートで、一番高いところに自主財源の確保というのがあったと思うのですが、この自主財源というのはセンターとしての自主財源という意味なのですか。それとも自治体のほうの。

○尾嶋委員 自治体のです。

○伊集委員 自治体の自主財源ということでいいのですね。分かりました。

それと、先に御報告いただいた2つ目の資料のほうで、これまでの消費生活センターに寄せられる相談件数の推移などが2枚目にありまして、そのほか高齢者に対する詐欺だとか、若者に対するとかいろいろある中で、非常に幅広く問題というのはあると思うのですけれども、自分の今日の報告の準備でも気になったのですが、地域的な特徴というか、地域差みたいなものは結構見られるのか。例えば、それこそ振り込め詐欺みたいな問題だと、かなり都市的な問題、都市のほうに多く見られる問題なのかなというような印象もあるのです。あるいは若者の、例えばそれこそひとり暮らしに関連するものも結構都市だったりするかもしれないですし、そういうふうに問題があって、それに対する相談件数が地域によって偏りがあったり、あるいはこういう地域だとこういう問題が多いとか、そのような地域的な特徴はあったりするのでしょうかというのをお伺いさせていただければと思います。

○尾嶋委員 振り込め詐欺というものは、どちらかというと警察のほうのお話なので、なかなか消費生活相談の中で振り込め詐欺というのは、情報として入ってきますけれども、集計はできていないのかなと思います。

相談の地域的な特徴ですが、通信販売が多くなりましたので、地域的にここはこういうものが多いとかいうものは次第になくなってきたというのが、一つ大きな問題かと思います。強いて言えば、例えば都市部ではモデルさんとか、そういうところのキャッチセールスはあるけれども、地方に行くとそんなものはないよという、その程度のものはあるのですが、だんだん地域差というものはなくなってきたのかなと思っております。

○伊集委員 ありがとうございます。

○新川座長 そのほかいかがでしょうか。

西田委員、どうぞ。

○西田委員 今、伊集委員から質問があった件と関係するのですけれども、私も自主財源という言葉は気になったのですが、今、自治体のほうでの財源確保という話だったのですが、センターのほうでやっていいことと、これはやってはいけないよというような、そういう業務の規定みたいなものはあるのですか。自主財源というのをちょっと拡大解釈して、先ほど入札でとってくるような話があったのですけれども、自主的に何か事業をとってくることがどれぐらい許されているのかという点を知りたいと思っています。私は余り把握できていないのですけれども、そういう縛りはあるのでしょうか。

○尾嶋委員 行政のその辺は把握しておりません。

○大森委員 入札をやっているのはセンター規模ではなくて、相談員協会とC・キッズ・ネットワークとか、そういうNPOなどの団体規模で、行政の中で相談員とか相談部署が自主的に企画して財源をとってくるというのは非常にまれです。でも、ないことはなくて、私たちが連携している大阪の大きい市ですけれども、そこは最初、消費者教育推進のために地方に予算がついたときに、これは一過性のもので、なくなってはいけないということで、外部ではなくて行政の中で同じ規模のものをとってきて、同時進行でやるというようなことがありました。でも、それは外部にとりに行くのではなくて、行政の中でとってきたということではあります。

あと、仕事をやってはいけない、やっていいという行政の格差なのですけれども、私たちのメンバーの中に相談員をしている者も何人かいるのです。その相談員をしているところの上の方針で、C・キッズ・ネットワークの活動は別にどんどんやってくれたらいいよというところと、そういうことをやってもらったら困りますというところがあるのです。

今、相談員の人数が少なくて、消費者啓発までなかなかいけないというような事情があるわけですから、行政で勤務している間は相談員の業務であっても、そこで得た情報をNPOの活動に使って啓発するというような連携が、もうちょっと理解があって進むといいなと思っています。

○尾嶋委員 先ほどの自主財源について加えさせていただきますと、各自治体の中で独自の消費者行政に関する予算が自主財源でありまして、交付金等により自主財源にプラスされ多く使われるようになったのですね。交付金は呼び水として自主財源を増やすようにということだったのですけれども結果として自主財源は増えていないというようなことなのですね。

なので、相談員数、あるいは消費者教育に関して影響が出ており、会員調査では、自主財源を増やすことが消費者行政の充実につながるのだという回答が多くあったということです。

○西田委員 ありがとうございました。

ちょっと補足なのですけれども、お聞きした意図としては、相談員さんの業務の社会的な価値を高めるというか、その一つとして、いろいろな有料ではないサービスがたくさんあったりもするので、例えばコンサルティングをしていいのかとか、啓発の教育業務をしていいのかとか、そういうことをするといろいろ社会的に回る仕組みになるのかなと思いまして、どれぐらい自由度があるのかなというのをお聞きしたくて質問させていただきました。

今のお答えですと、相談員としてやるものと、違う活動としてやるものを分ければ、一応可能性はあるという回答だったかと思います。ありがとうございました。

○尾嶋委員 ただ、来年度から会計年度の職員制度が導入されますと、その身分がまた変わってきたりしまして、縛りがあるところもあるということです。来年度からなので、その辺がまだ自治体からはっきり言われていないというところがありますので、来年度また変わるのではないかと思っております。

○新川座長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 私も相談員の方の地位向上とか、収入の確保とかは前からすごく悩んでいて、学生時代にすごく勉強されて、啓発とかそういうことに興味を持った方も、やはり生活のことを考えると相談員では食べていけないということで一般企業に就職する方も何人か見てきています。一方私は一般企業に勤務したのですけれども、そのとき同時に入社した人で、歯科衛生士の人は、私たちの給料プラス特別技術代みたいな感じで余分にもらっていました。相談員の方は専門の知識とか経験とか勉強を積んでいらっしゃるのですから、普通の公務員よりもプラス特別な手当があってしかるべきだと思うところが一般の職員より低く抑えられていて、一般の職員の方はいろいろなところに異動されるので相談現場の経験を積むことがないという現状です。センターにとって有用な人が低い賃金に抑えられているというような、ちょっと納得のできない状況になってるのです。

消費生活センターのセンター長とかの考え方で、世の中変わるのですね。啓発が進んだり、進まなかったり。そのセンターのトップになる方は、やはり相談員がなってほしいなと常日頃思っているのですけれども、公務員は年功序列とか、勤務が何年とかで自動的にセンター長になって、何年かされてやめていくというケースが非常に多くて、これでは全然機能しないなと。むしろ相談員の方が今までの経験を生かしてセンター長になって采配を振るってほしいと常日頃考えているところです。そういうしがらみになるような制度とか、公務員の資格とか、その辺をクリアにできるといいなと思っています。

○新川座長 ありがとうございました。

すみません。大分時間が押しておりますので、そろそろ、特になければ尾嶋委員のお話はこのくらいにしたいと思いますが、これからの地方消費者行政を考えていく上で大切な論点を幾つかいただきました。特に消費生活相談員の資格や処遇、その働き方というのを我々の社会の中でどのように位置付け直していくのか。ただ単に自治体の消費生活センターの相談窓口の担当者などというような位置付けだけではどうも済まないだろう。そのようなお話もいただきました。このあたりも含めまして、これからの相談、そして、ただ単に相談だけではなくて教育や啓発、そうしたところでの人材確保や仕組みの在り方、これは今後の地方消費者行政を考えていく上での鍵になりますので、また今後、皆様方と御一緒にしっかり考えていければと思います。

尾嶋委員、どうもありがとうございました。

引き続きまして、首藤委員からお話をいただきまして、また、皆様方から御意見をいただいていければと思います。首藤委員、よろしくお願いいたします。

○首藤委員 首藤です。よろしくお願いいたします。

私のところは、高齢者見守りの現状と課題というテーマと、それから、消費者問題に関するネットワーク構築に向けてということでテーマをいただいております。

高齢者見守りの現状につきましては、私ども生協の事業インフラを使った地域の安全・安心、それでは、問題に特化ということではなくて、地域全体を見守っていく事例ということでお話をさせていただきたいということと、やはり見守りは多様な課題が出てくると思いますので、そういった地域の課題に取り組んでいる地域コミュニティーとの連携による見守りということでお話をさせていただきます。2つ目は、千葉県内の消費者ネットワークの事例について御紹介をさせていただきたいと思います。

スライドの3ページ目ですけれども、生活協同組合ということで、皆様、コープというので耳にされたことがあると思いますが、まず初めに、生協とはどういうものかということでお話をさせていただきたいと思います。

左側の四角にございますけれども、生協は、消費生活協同組合法という法律に基づいて作られています、協同組合という組織になります。ここでは商品・サービスを利用する方を組合員と呼んでおりますけれども、この方たちが出資をして、生協の運営等に参加していくということになっております。

事業的なところにつきましては、宅配、店舗、その他医療・福祉関係ということで幾つかの事業を行っておりますけれども、こちらの3つ目に「組合員組織として」というのがあります。まず、組合員同士がそれぞれ助け合って地域の中で安心・安全に暮らしていくという様々な取組を自主的に行っているということが特徴になるかと思っております。

4ページ目ですが、私どもの助け合い、見守りのところは、事業のインフラを使ってというところが一つ大きな点なのですけれども、まず事業の中身なのですが、全国の規模のところはこちらを御覧いただければと思います。下に4つの事業が書いてあります。宅配、店舗、共済、福祉となっておりますけれども、主に事業の中心となりますのは宅配というものになりまして、組合員の方から注文を受けて商品を個人のお宅を中心にしてお届けするという事業を展開しているところになります。

次のスライドですけれども、事業の状況はそうなのですが、組合員さんがどういう状態かということが、こちらは全国の状況を示した地図になっております。先ほど申し上げた、主に宅配と店舗を展開するところを地域生協と呼んでおりますけれども、見守り事例を推進しておりますのは、こちらの地域生協が中心になってまいります。現在、世帯に占める地域生協の加入率が37%となっております。多いところは右側の点線の四角の枠にありますけれども、50%、45%を超える加入率になってきております。ここは加入率が高まれば高まるほど、組合員と地域住民の方の課題が大きく重なってくるということですので、組合員の課題をいろいろ取り組みながらも、地域の安全・安心を守る取組につながっていくというような状況になっているのではないかと考えております。

こちらが、私がおります千葉県の生活協同組合連合会の状況になります。千葉県の中でも地域生協の世帯加入率、今、50%を超えているところが8市という状況になっておりますので、この点においても、先ほど申し上げた地域課題との取組のつながりというのが見ていただけるかと思っています。

次の7ページ目のスライドになりますけれども、事業を通じてそれぞれの各地域の暮らしを支えるということで、ふだんの暮らしを支えるインフラとして地域貢献をしているというのが一つの大きな特徴になります。

その中心になりますのが宅配の配達の形態になりますけれども、2番のところを御覧いただくと、宅配の配送車の台数、これは1日に全国を回っているトラックの台数ですが、約2万5000台となります。それぞれに当然配達員が乗っておりますので、この配達員が地域の目として地域を見守っていく役割を担っていきたいということで、後ほどの事例になっております。

四角の下のところになりますが、先ほど組合員活動もというお話をしましたけれども、事業のインフラ、事業の展開とあわせまして、組合員活動というところでも地域の諸団体、それから行政の方と一緒に、地域課題の解決に幾つものグループが参加をしているという状況になっております。

8ページですが、先ほどの宅配事業のインフラを活用した見守り事例ということで御紹介をさせていただきます。こちらは全国99の生協が各自治体と地域見守り協定を結びまして、見守りの活動を進めてきております。現在の全市町村の65.4%、人口カバー率で75%ということの協定の状況になっておりますけれども、先ほど申し上げたトラックの事業インフラを生かして、地域の見守りを行っているということになります。それぞれ配達員が個別のお宅にお邪魔したときに何か異常があって、それを察知した場合に専門機関につないでいくというような見守りの事例になっておりますけれども、それを配達員が進めていくために、職員の教育ということも必要になっておりますので、生協の全体のところでは、認知症のサポーター養成講座ということで、見守っていくためのスキルも構築をしているという状況になります。

特に千葉県では、高齢者孤立化防止活動ということでSSKというプロジェクトがあるのですけれども、こちらにも地域生協が参加をして、見守り活動を進めているということです。現在、千葉では54市町村ございますけれども、こちらとそれぞれの生協が、各市町村と地域の見守り協定を結んでいるという状況になっております。

次のスライドになりますけれども、その見守りがどのように運用されているかということになりますが、左側が個人の宅配にお邪魔する生協の配達員のところになります。個人のところにお邪魔したときに、真ん中のところで、何かいつもと違う様子があればということですが、こちらに気がついたときに、この後、それぞれ消防・警察ですとか地域包括、専門分野のところに連携をしていくという枠組みでこの見守りを担っているところでございます。

この自治体との協定につきましては、自治体がリーダーシップをとって協定を結んで、この運用を推進しているところですので、なかなか企業単体でやるというところはできない取組かと思っておりますので、こういったところでは行政との連携というのが非常に大事になってくるかと思います。

スライドの10ページ目になりますけれども、先ほど申し上げた宅配の担当者がどうして気付くことができるのかということなのですが、ここに私どもの事業の特徴があります。生協の宅配は基本的に毎週同じ曜日、同じ時間、ほぼ同じ担当者が商品をお届けするということを行っております。このことから、地域のことをよく知って、それぞれの方と信頼関係を築いているということになりますので、ここから小さな変化に気付くことができるという状況になります。

先ほども申し上げましたけれども、この気付くということをどうやって養っていくかというような認知症サポーターの講座ですとか、業務マニュアルの作成ですとか、そういった取組を進めてきているということで、役割を担っていくための教育研修ということも進めてきております。

実際にどういう事例があるのかということで、11ページを御覧いただきたいのですが、これは主に東京・千葉のほんの限られた事例になります。後ほどお読み取りいただければと思うのですが、ほとんど福祉的な、命につながる事例の通報ということになっております。

一番下に赤くございますのは、消費者問題に関する事例だったということなのですけれども、実際にお邪魔をしたところで不審な電話があって、組合員さんが困惑をしていたので、ジェスチャーで電話を切るように伝えたということで、後ほど番号を検索したら詐欺グループの番号だったことが分かったという事例です。これはなかなか日常的なつながりがないと、こういったところまで対応するのは難しいかと思いますが、見守りというふうになった場合は、なかなか消費者問題につながる事例が少ないというのが現状ではございます。

12ページですけれども、真ん中の3つ目のポツの項目を見ていただきたいのですが、それぞれ自治体によって、見守り事例のネットワーク強化をする取組の中身というのは違ってきておりますけれども、この見守り事例をやることによって幾つかのいい点が見えたかなと思っております。特に2つ目ですけれども、先ほど専門機関との連携というお話を申し上げましたが、地域包括等の関係者、それから専門機関との関係作りが大事になってきて、それが進んできているということと、見守り協定に参加しているのは生協だけではございませんので、様々なこういった見守りをやっている民間同士のネットワーク、こちらも広がってきているということにつながっているのではないかと考えております。

ここからは、見守り協定ではなくて、地域コミュニティーによるつながりによって、地域の見守りを進めていくという取組の御紹介になりますが、これは東千葉にあります「地域の和・輪・環の会」というコミュニティーを作っているネットワークの事例になっております。必ずしも、こちらも何か一つの地域課題を解決するためにみんなが集まるというような中身ではありません。それぞれの地域の方がどういった問題を抱えているのか、それを解決するためにどういう方たちとネットワークを組んでいくのか。そこに公的財源をどのように活用できるように行政と連携していったらいいのか。あとは専門機関をどのように巻き込んでいったらいいのかというようなことを考えながら、地域の方が中心になってコミュニティー作りをしているという取組になっております。

ここは1番のところに書いておりますけれども、まず、住民が主体となっているのですが、地域ニーズ実現のために専門機関、それから行政を巻き込んできたということと公的財源ですね。持続可能なコミュニティー作りをやっていくためには財源の確保というのが非常に大事になってきますので、行政を巻き込んで財源の確保をしたというような造りをしてきていらっしゃいます。ここはどんどん要望が増えてきておりますので、こういったところで、できれば参加している方たちに消費者問題の情報ということで関わっていくことも一つの方向性ではないかと思っております。

14ページは生協の取組の中でということになっておりますけれども、生協の中でも、先ほど組合員さんが取組をされていると言いましたが、テーマは様々です。環境問題、高齢者対策、居場所作り、参加の場作りというような様々な学習の場ですとか居場所作りというのを取り組んできておりますので、こういったテーマと、それから消費者の問題、消費者課題を連携させて情報提供していくとか、そういった枠組みでネットワーク作りを進めていくことができればよいのではないかと思っております。

実際に左側に写真がありますけれども、生協のそういった活動を推進する、地域の方と組合員をコーディネートするリーダーがいるのですが、そのリーダーが集まったところで消費者課題、こちらは相談員の方に来ていただいているのですけれども、そういった課題を学習していく。この方たちはリーダーですので、地域に戻ったときにまたそれを広げていくというような取組をされています。

見守りの事例から分かることということで、15ページにありますが、ここまでも申し上げましたけれども、1つは、自治体が中心となって民間と連携する見守りを推進するために、自治体が連携をコーディネートしていくことが必要ではないかと思っております。

あとは、民間と民間がつながることで、それをコーディネートすることで、関係者が課題共有するというようなことで、具体的な課題の取組につながっているということが言えると思います。

16ページになりますけれども、こちらは官民連携をコーディネートした場合に、集まった地域課題を専門人材に横断的につなげるということが必ず必要になってくると思いますので、そういったことをコーディネートする、もしくはそういったことを権限を持って自治体のところで解決していく機能が必要になるのではないかと考えております。

そういう意味で、17ページ、先ほどの事例はほとんど福祉の事例だとお話ししましたけれども、こういった福祉的な取組をされているところに関わっていくことが地方消費者行政の課題でもあるかなと思っていますので、先ほど尾嶋委員の話にもありましたけれども、行政による支援がここに必要になってくる。専門人材の育成が必要になってくる。そこに財政が必要になってくる。そういったことが必要になるのではないかと思っております。

2つ目になりますが、消費者問題に関するネットワークの方策ということになります。こちらは千葉県で取り組んだ事例となりますけれども、「消費者行政充実ネットちば」という団体がございまして、この団体自体が、スライド18の右側にございます17の団体が集まって、ネットワークを作っております。それぞれの団体はもちろんそれぞれの課題を持っているのですけれども、一つの共通の目的ということで、千葉県下の消費者行政の充実・強化をしていこうということで活動をしている団体になります。

19ページ、その団体の取組ということで、まず、個別の市町村で消費者被害の要望ですとか、そういったところへのシンポジウムを開催しようというのを一つの具体的な取組ということで掲げております。

アプローチの仕方なのですけれども、先ほどの17の団体、それぞれ自分たちの課題を解決するために様々なネットワークを持っておりますので、そのネットワークから、この行政と連携をしていけばシンポジウムが開催できそうだぞというようなアプローチをかけていこうよというような情報を交換し合っていきます。そのアプローチをかけるところが決まりますと、行政にまず働きかけをして、実行委員会を作っていただくという取組をしています。ここも「消費者行政充実ネットちば」が何かをするということではなくて、地域で持続可能な取組にしていくということでは、現地の方が進めていくというのを大事にしてきているところですけれども、そうすると、19ページの右側の吹き出しにあるような、既存の地域でもネットワークを持っていらっしゃるところですね。地縁の組織であったりとか、地域包括支援センターですとか、中核支援センターですとか、既に活躍されている方たちが実行委員会の中に参加していただくという取組になってきております。

一番下のところに、こちらまでの実績が書いてありますけれども、それぞれアプローチをした結果として、それぞれの実行委員会を作っていただいて、市町村と一緒にシンポジウムを開催してきております。

ここも取組として、20ページのところにそれぞれの役割が書いてございますけれども、現地で実行委員会を作っていただくということが非常に大きなネットワーク作りになっているかと思います。行政がまず働きかけるのですけれども、ここで既に福祉分野との連携をして、1つの個別の分野だけでは解決が不可能ですので、福祉分野にも横断的に呼びかけをしていく。その中から日常的に活動していらっしゃる方たちが集まって、また更に大きなネットワークにつながっていくというような流れになっているかと思います。

それぞれ地域組織の方が集まってくるところで、大きな広がりというか、どの団体がどういう課題を持っているのか、地域で何が起こっているのかというようなこともだんだんお互いに見えてくる。その中の一つの取組として、消費者被害の防止だとか、そういったことを考えていくにはどうしていったらいいのかということを具体的に進めてきたという状況になります。

21ページのところは、今申し上げました取組の特徴を書いておりますので、御覧いただきたいのですが、6番のところだけ少し御説明したいと思います。

実行委員会を作るときに、首長に積極的に参加してくださいということと、首長に向けた提言をこの中で作っていくというような取組をしております。大体の首長さんは参加をしてくださるのですけれども、やはり首長さんが出てくるということで、そこでどういう取組の本気度があるかというようなことも、それぞれの中で伝わっていくということがポイントでもあるかと思っております。

23ページを御覧いただきたいのですけれども、ここの取組をしてくる中で見えてきたということですけれども、1つは、福祉系の諸課題に取り組むところと消費者行政が寄り添っていくことが大事ということですが、このときに核になっていただいたところが相談員さんでございました。日ごろ専門的な情報を持っていらっしゃる相談員さんと一緒にネットワーク作りをしたということは大きかったかと思っております。

24ページになりますが、水平展開に向けての課題ということで、こういった取組がそれぞれの自治体のところで進めばいいなと思いますけれども、先ほど来お話がありましたように、行政の人員は不足をしているということですので、広域連携の問題もあろうかと思いますが、専門体制は課題を解決するには必要だと思いますので、広域連携等で体制の格差を解消していくことが必要なのと、ネットワーク作りはやはりそれをコーディネートしていく人材というのが必要だと思いますので、その育成をしていくのが大事ではないかと思っております。

さらに、専門性を持続するための位置付けということをきちんとできるような財政支援を考えていただくことが必要になってくるのかなと思います。

ここまで事例をもとにということでございましたけれども、経験した中からということで報告をさせていただきました。

○新川座長 ありがとうございました。

生協でのお取組、その中で見守りを中心にして、様々な消費生活問題に対処してこられる可能性が広がっているということ。それを更にネットワーク化して、いろいろな団体の連携のもとで進めていこうという試み、これが特に消費者問題についても、その目標を達成していく上で有効に働きそうな、いろいろな可能性をお示しいただいたかと思います。千葉の事例が日本全国にどのぐらい広がるかというのは、私たちがこれをどれくらいちゃんと理解して取り入れられるかということにもかかっているかもしれません。

それでは、限られた時間ですけれども、御質問や御意見、是非いただいていければと思います。よろしくお願いいたします。

池本委員、どうぞ。

○消費者委員会池本委員長代理 池本でございます。

全国の生協が認知症サポーター4万2000人、市区町村の65%で協定を結んでいるというのは、本当に非常に心強いネットワークでの見守りの体制だと思います。しかも、非常に冷静に分析しておられたのが、消費者被害の問題についてはなかなか取り上げ切れていないということをおっしゃったと思います。高齢者の命や健康の問題は認知症サポーターの研修をやることで、外から見て異常を発見し、何かあれば通報していただくということで進んでいくと思うのですが、消費者問題は外から見ても見えないのですね。恥ずかしいから言いたくないという感じなのです。むしろ積極的に話題提供していく中で、実はという言葉が出るかどうか。あるいは話題提供していけば被害防止にもつながるという非常に地道な作業になるし、話題提供するためには、そこを回るドライバーさんが知識を時々補充しなければいけないという意味で、非常に大変なことになると思うのです。

お伺いしたい点は、今のドライバーさんが見守りをしていくということについて、千葉であれ、あるいはほかの地域でもいいのですが、それぞれの自治体の消費生活センターなどが、例えば職員さんの集まる場へ10分でも15分でも出かけていって、見守る人に向けた情報提供、出前講座のようなことがあるのかどうか。そのあたり、実情がもしお分かりであれば、教えていただきたいと思います。

○首藤委員 それぞれの生協で状況が違うかと思いますけれども、継続的にではありませんが、単発的に配達のリーダーを集めて学習をしていくというようなことは行ってきております。

もう一つ、夕食宅配ということで、高齢者の方に夕食のお弁当を、これはほぼ毎日お届けしているのですけれども、そのときにお弁当と一緒に情報提供ですね。今、どういった消費者被害が起きているのかとか、そういうチラシを一緒にセットさせていただいたり、それから、配達の担当者は業務がたくさんある中で個別のアプローチはなかなか難しいので、生協が持っております広報媒体、千葉で言いますと行政のほうから記事を提供していただいて、広報紙を使って情報提供していくといったような取組をさせていただいております。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

伊集委員、どうぞ。

○伊集委員 どうもありがとうございました。

前半のほうで御紹介いただいた地域見守り活動で自治体と協定を締結して活動する場合に、その協定を結ぶことで活動に対する予算措置のようなものがとられるのですか。自治体のほうからそれに対してお金が付けられるということですか。

○首藤委員 予算のことは特に聞いておりませんので、これは特に予算が付いているということはないと認識しております。

○伊集委員 では、ふだんの活動の中にそういう見守りを入れていく。

○首藤委員 そうですね。

○伊集委員 では、その分負担はある意味増えているのだけれども、そこに対する費用の面は特に増えてはいないというところがあるわけですね。

○首藤委員 そうですね。もともと商品を届けるだけではなくて、組合員の暮らしの向上ということがもう一つの役割でもありますので、そういった視点から進めているというふうに御理解いただければと思います。

○伊集委員 もう一つ。組合のほうでのこういう様々な活動を展開していく上での人材の確保というような点でお伺いしたいのですが、実は私も身内が生協の理事をやったりしているので、いろいろ話を聞いたりするのですけれども、配達をしたり、店舗で働く職員、あるいは組合員であったり、もうちょっと活動の内容を企画したり、消費財を提案したりみたいな理事の人たちがやっているような活動で、職員にも幅があると思うのですけれども、これは間違っていたら指摘してほしいのですが、生協は割と女性が中心で、しかも、主婦ではないかもしれないけれども、平日の昼に時間があって活動に参加しやすい人というような、割とそういう人が参加しているイメージを私は持っているのです。

今、全体として世帯所得が減っていって、女性もフルタイムというか外で働く必要が出てきたときに、生協の運営モデルが実はそこと少しずれてきていて、今後それを担っていく、比較的所得が高くて時間がある女性が担ってきたという生協の運営モデルが、結構人材面で問題を抱えてしまうのではないかと。いろいろ話を聞いていると、そのような印象を持ったこともあるのですけれども、人材の確保とか運営面でそういうことを議論されたりしていることはありますか。

○首藤委員 まさにこれからの大きな課題ということになっております。

御指摘のとおり、活動はほとんど女性の方が参加されているところなのですけれども、課題認識としては、その方たちが先ほど言われたようにお仕事に出ていかれて、それであっても活動に参加してもらうにはどうしたらいいのかということで、土日にいろいろな取組をするとか、男性の方にも是非参加していただきたいということで、男性の方が参加しやすいのはどういうものなのだろうかということで、いろいろな学ぶ場ですね。大学的なところとか、そういったところにも参加をしていただけないかという取組は進めてきているところなのですけれども、先ほどおっしゃったような体系で進めてきた歴史が長いだけに、解決策はこれというのがなかなか浮かばない状況ではございます。ただ、大事な課題として取り組んでいきたいと思います。

○伊集委員 ありがとうございます。

○新川座長 それでは、大森委員、どうぞ。

○大森委員 どこも予算が限られている中で、何とか地域のためにということで、消費生活センターも啓発の予算は限られているけれども、印刷代だったら何とかなるので、啓発のチラシを印刷したものを宅配のお弁当に入れてもらうとか、いろいろな工夫を聞いています。

私たちの地域は本当に生協さんがよく頑張ってくださっていて、宅配以外に移動店舗もありますし、あと、「買い物イコカ―」といって個別におうちまでお迎えに来てくれて、おうちまで送り届けてくださるというようなシステムがあって、そのときに、この間あそこに泥棒が入ったのよとか、そういう地域の情報交換などもできているので、見た目以上のいろいろな効果があって、本当に生協さんの力はすごいなと思っています。

私たちの地域では、「買い物イコカ―」とか、移動店舗の交渉はリタイアした地域の男性がやっておりますので、そういう人と生協さんの協力でかなり動いているのかなと思っています。

私も財源のほうのことで質問がありまして、「地域の和・輪・環の会」というのは財源が付いているということでしたので、どこからどの程度の規模の財源があるのかお聞きしたいのと、あと、「消費者行政充実ネットちば」のほうは、財源が全くなく、その地域の判断でシンポの開催費などを出してくださっているのか、そのあたりを教えていただきたいです。

○首藤委員 すみません。「地域の和・輪・環の会」の詳細は、今日は分かりかねますので、また後ほどお知らせをさせていただきたいと思います。

「消費者行政充実ネットちば」のところなのですけれども、もともと交付金で、県の受託事業ということも含めまして、こういった取組を進めてきております。ただ、なかなかその財源が全予算とれるかというようなところもあるのですが、そこは地方自治体のところでどれだけ財源を出せるかというようなことと見合わせまして、先ほど申し上げた県の受託事業の予算と地方で出せる予算とをあわせまして、進めてきております。交付金が減っているという問題もありまして、今後の取組をどのように進めていくかというところは、一つの課題かなと思っております。

○新川座長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

尾嶋委員、どうぞ。

○尾嶋委員 1つお聞きしたいのですが、「消費者行政充実ネットちば」に関して、いろいろな市町村、12市町で実施されているということですが、自治体によって消費者団体への支援とか意識はかなり違うと思うのですけれども、そういう中でたくさんの自治体が協力してくださったというのは非常に御努力が大きかったのかなと思います。その中で、首長への働きかけはどのようにされたのかあるいは消費者行政を担当している消費生活センターを通しての働きかけなのか、その辺をお聞きしたいです。

○首藤委員 私も全てに関わったわけではないのですが、私が関わったところでは、自治体の行政担当の方がアプローチをされて、首長に登壇してもらったというような流れを作っておりました。それぞれ地域によって、おっしゃるように関わり方が違いますので、アプローチの仕方は実行委員会の中のいろいろなつてもあると思いますので、そういったものを使っていくということも必要になるのかなと思っています。

○尾嶋委員 ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございました。

山本委員、どうぞ。

○山本座長代理 1つだけ確認をしたいのですけれども、8ページに先ほど少し出た協定の話が出ておりまして、県内の全市町村と協定が締結されているところがあるということなのですが、こういった事例では県も何らかの働きかけをしているのかということと、それから、福祉・子育て・まち作りなど包括的な連携協定を締結することもあるということなのですが、この場合には生協と自治体だけの協定なのか、あるいは何かほかのアクターも入ってくるのかということをお伺いしたいと思います。

○首藤委員 この54市町村のところは、あくまで協定の締結先は市町村になりますので、そういったところで、県がというところは特には聞いておりません。

ただ、この上段にあります千葉県の「SSKプロジェクト」に関しましては、これは県が積極的に企業に働きかけをして行っているという流れになっております。

あと、包括協定のところにつきましては、これは生協単体ということで進めているかと思います。先ほどの見守り協定については、市町村がそれぞれ生協だけではなく、いろいろな企業と包括協定を結んできております。協定の在り方としては1対1だと思うのですけれども、行政のところで複数の相手先とやっているといった状況かと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

首藤委員からは、生協の取組の中から特に福祉の分野との連携の重要性、そして、生協の活動の中で、こうした様々な消費者問題についても関連性を広げていく、そういう可能性をお話しいただきました。

それにしましても、いろいろな団体、いろいろな専門性、そうしたところとのネットワーク作りがなければ十分に機能しませんし、恐らく生協組合員の方々も、また、生協で働く従業員の方々もそうですけれども、こうした方々が消費者問題、そしてまた、福祉の問題についても共通の認識を持って活動を進めていただくというのが、福祉の問題も消費者問題もあわせて解決できることになります。そんなモデルが示される可能性が出てきたかなということで、今後の地方消費者行政に大いに役に立つ情報をたくさんいただいたのではないかと思っております。

それでは、首藤委員のお話は、恐縮ですが以上にさせていただきます。

残り時間、最初は1時までというお約束でおいでいただく予定でございましたが、発表の時間20分でお願いしていたのですが、もう20分で1時になってしまいます。

鈴木先生には、わざわざ遠くからおいでいただいて恐縮でございますけれども、1時を過ぎても構いませんか。

○鈴木理事 一応大丈夫です。

○新川座長 すみません。質疑の時間があるとどうしても超えてしまうと思いますので。

各委員には大変申しわけございません。当初、1時までということでございましたので、もしお急ぎの方、御用の方がいらっしゃれば、そこまでということで中座というか、本来の業務は終わっていますので御退席いただければと思っております。

それでは、適格消費者団体のヒアリングということで、本日は、「消費者市民ネットとうほく」の理事をしておられます弁護士の鈴木先生においでいただいてございますので、その御活動につきまして、また、消費者行政に関わります問題、あるいは適格消費者団体の在り方につきまして、お話しいただければと思っております。

鈴木先生、それでは、よろしくお願いいたします。それから、お待たせして申しわけありませんでした。

○鈴木理事 本日は貴重な機会を与えていただき、ありがとうございました。

御依頼事項は、適格消費者団体という立場での報告や意見ということだったのですが、私は地方在住の弁護士として地方消費者行政問題に長く関わってきていることから、地方消費者行政全般についてもちょっと問題意識や意見を述べさせていただきたいと考えております。

ということで、お配りしている資料の2ページから3ページに目次ということで全体像を書いております。第1で地方消費者行政全般に関する問題意識をお話しし、第2で適格消費者団体の機能や活動の紹介、第3で問題意識に対して適格消費者団体ができること、課題について述べさせていただきたいと考えております。第4はその他の消費者行政に関する意見ですが、与えられた時間は20分ということですので、主に第1、第2、第3を中心に話したいと思います。

まず、4ページを開いてください。第1の1のところ、尾嶋委員からもいろいろお話がありましたが、地方消費者行政の機能について、ちょっと振り返りを。

4つの柱ということで、消費者行政は、相談(あっせん解決)、啓発・消費者教育など被害予防、それと法執行、具体的には違反事業者への行政処分や行政指導などです。あとは消費者被害情報の集約、これはいわゆるPIO-NET入力のことです。ほかに事故情報の消費者庁への報告、この4つの柱があるかと思っております。

PIO-NET情報集約の重要性については、先ほど尾嶋委員からも御報告があったとおりです。

あっせんというのは、御存じの方もおられると思いますが、消費生活センターが消費者と事業者の間に入って合意により紛争解決を行うことです。相談員が消費者から事情を丁寧に聞き取って、粘り強く事業者を説得して合意解決を目指すというもので、相談員に経験と大変な根気の要る仕事です。

御承知のとおり、消費生活相談も高度化、国際化、複雑化しております。被害の後追いでどんどん変わる法律や制度にも対応しなければなりません。法律がどんどん変わっていくことについて、記載のとおりです。

増加する高齢者被害や成年年齢引き下げによる若年層の被害、ほかにもSDGsへの取組など新しい課題もめじろ押しとなっています。どんなトラブルを処理しているのか、先ほど尾嶋委員からの御報告にも詳しくありましたので、説明は省略いたします。

地方消費者行政の事務は、専門性や経験が必要なのだということをここで御理解いただきたいと思います。

5ページから6ページに移ってください。ここで、地方消費者行政の現状分析と問題意識と、あくまで私の問題意識ですが、5点記載しています。

1点目として行政職員の問題です。これは尾嶋委員の御報告にもあったように、行政職員も相談事案の問題点を理解し、消費者教育や法執行に対応できる専門性が必要なのですが、行政職員数はここ10年間増えていません。平成21年から平成30年で5,200人程度で増えておりません。福祉部署等との連携に力を発揮できる職員育成も進んでいないという認識です。

第2点目として、消費生活相談員のなり手不足です。これも尾嶋委員から御報告がありましたが、現在、地方の相談・啓発業務を支えているのは主として消費生活相談員です。相談窓口の質の向上、相談員の資格取得率アップが国の達成目標とされて、平成28年度から国家資格化したものの、資格取得者が増えていない。そもそも受験希望者が減っている。それはどうしてか。尾嶋委員の御報告にもありましたが、大きな原因は相談員の待遇の悪さです。一生の仕事として見合わないのです。このままでは近い将来、地方の相談員、特に資格者不足が深刻になることは明らかです。のみならず、それは消費者団体等の活動力の低下の要因にもなる。

これが、次に書いてある3点目の問題意識、官民連携の主体となり得る消費者団体等の減少です。消費生活相談員は、消費者問題に関わる各種団体の活動を支えてきた中核的人材でした。さきに御報告いただいた「C・キッズ・ネットワーク」さんにおいても、相談員が重要な会員供給源だったとお聞きしました。適格消費者団体の活動にも消費生活相談員は不可欠です。

6ページに進んでください。4点目の問題意識は、消費者行政部局の他部局等との連携力不足です。消費者安全確保地域協議会の設置や福祉部局の地域見守りネットワークとの連携・協同もなかなか進まないのが現状だと思っております。消費者行政部局と他部局との連携力不足の解消が必要だと考えております。

5点目ですが、「公・共・私の取組」がこれからの課題であることはそのとおりですが、それが安易な民間外しとならないかとの危惧を持っております。消費者行政の効率化は、専門性の維持と相談等の質の確保を大前提にして考えられるべきだと思っております。

7ページ目に進んでください。ここからは適格消費者団体についてです。適格消費者団体・特定適格消費者団体、御存じの方もおられると思いますが、ちょっと御説明させていただきます。

一言で言うと、内閣総理大臣の認定を受けて、事業者の不当な行為に対する差止請求権、被害の回復請求権を与えられた団体です。1)のところ、消費者にかわって是正申し入れや差止請求訴訟を行うことができるのが適格消費者団体です。差止請求は、被害発生のもととなった条項や不当行為をやめさせるので、行政によらずに民間団体が違法業者の排除に一躍買うという機能を有しています。

2)のところ、消費者にかわって事業者に対する被害の回復請求、損害賠償請求を行うことができるのが特定適格消費者団体です。被害に遭った個々の消費者が事業者に損害賠償請求するのは難しい。特定適格消費者団体が先に賠償請求権があることを認めさせて、請求しやすくするという制度です。事業者のやり得を許さないことによる市場の公正の確保という機能を有しております。つまり、特定適格消費者団体とは、市場の監視者の役割、消費者庁や都道府県の法執行の補完的機能を担っている公的な団体と言えるかと思います。

2項のところ、適格消費者団体の認定要件と専門性について。マル1、マル2、マル3と書いたような要件があるのですが、そのうちマル3は、差止請求検討部門に弁護士とか法律の専門家に加えて、消費生活の専門家、すなわち有資格者たる消費生活相談員等を置くことを求めています。適格消費者団体の業務遂行に、消費者被害や紛争解決に関する相談員の知識・経験が必須だということだと考えております。

8ページ目に進んでください。現在、全国で適格消費者団体は21団体、特定適格消費者団体は3団体が認定されております。その分布についてお話ししたくて机上配付の政府オンラインというペーパーを配付していただいたのですが、これを御覧ください。

これの6ページ目に全国の適格消費者団体の分布図が載っております。御覧になれたでしょうか。見ていただきたいのは、東北6県の中には、我が「消費者市民ネットとうほく」のみだということです。

特定適格消費者団体は9ページ目の地図にあります。今、全国で、東京の「消費者機構日本」、大阪の「消費者支援機構関西」、埼玉の「埼玉消費者被害をなくす会」の3団体ということになっております。

次に、「消費者市民ネットとうほく」を御紹介します。

所在地は宮城県仙台市ですが、現時点で東北唯一の適格消費者団体として、宮城県以外での活動も予定して設立しました。そのため、差止請求検討部門である検討委員会も、宮城県以外の委員を含めて構成されています。弁護士委員16名中2名が山形県の弁護士であり、学識者委員8名中6名が福島、岩手、山形、青森の大学の研究者です。

「消費者市民ネットとうほく」特有の活動として、「消費者被害事例ラボ」という研究会を開催しています。東北の研究者が検討委員会や消ラボで実務に触れたり問題研究を深め、それらを大学における教育にいかすことにより、東北全体の消費者力アップに寄与し得ると考えております。

9ページに進んでください。「消費者市民ネットとうほく」の地方自治体との連携協力について、3つほど書いてあります。宮城県と仙台市とは、被害情報の提供を受けるための覚書を締結して連携しております。差止請求権の行使についても、県下で多数被害を発生させて、県と市の消費生活センターが手を焼いていた消火器リース業者がいるのですが、そこに不当条項、不当勧誘行為の差止訴訟を提起中です。

3番目は、仙台市から委託事業や補助金も受けていますが、ずっと継続される保証はないので、財政不安がつきまとっています。

以上、「消費者市民ネットとうほく」としては、これらの活動を通じて、今後も東北全体の広域連携を模索したいと考えております。

5というところで、適格消費者団体の運営上の悩み・課題を申し上げております。最大の悩みは財政事情です。適格消費者団体の活動は、理事、検討委員等ボランティアと会員団体による無償支援で支えられているというのが実情です。この多大な労力を可視化できないかということで、別紙4-2に「消費者市民ネットとうほく会議の回数と時間」という表を作ってみました。時間がないところなのですが、数だけ集計してみると、会議だけで年間50時間なっている。そのほかにもいろいろな労力がかかっていることを気にとめていただきたいと思います。

10ページに進んでください。1項目めは、現在行われている地方消費者行政に関わる活動、適格消費者団体の活動です。

(1)は本来的機能に関するもの、つまり差止請求権の行使の数ですが、平成30年10月1日時点で583件と報告されています。

2つ目の

○にその具体例が記載されています。幾つかあるのですが、社会的に注目を集めたものとして、冠婚葬祭互助会契約の解約手数料とか、クロレラ健康食品の新聞折り込みチラシ広告、これは最高裁の判決も出ました。マル3の携帯電話のいわゆる2年縛りの中途解約違約金条項の問題などがあります。マル1は、実は適格消費者団体が勝訴したものと敗訴したものがあり、マル3は敗訴しているのですが、社会的に大きな影響を与えたり、問題提起に寄与しました。それ以外にマル4からマル8のような身近な契約の不当条項の差しとめをされているということで参照してください。

11ページに進んでください。特定適格消費者団体の被害回復請求に関する申し入れと訴訟例です。マル1の例は、葛の花由来イソフラボンによる痩身効果をうたって景品表示法違反で処分を受けた機能性食品表示について、消費者支援機構関西が消費者に返金することなどを申し入れしたもので、報告された、任意に返金された返金者数は2019年3月31日現在、1万6,472名となっております。

マル2の例は、医学部の入試試験で浪人生・女性を不利に扱ったという東京医科大学について、消費者機構日本が入学検定料等の返金を求める訴訟を提起したというものです。

マル3は最近なのですが、工事請負契約の申込金を契約が不成立になっても返還していなかった、大東建託という会社の事案です。消費者機構日本の申し入れに対して、返還しないという条項の修正には応じましたが、申込金の返金は当初拒みました。ところが、被害回復請求権を行使する構えを見せたところ、一転して返金することを表明しました。このように、まだ件数は少ないのですが、やり得を許さない、市場の公正確保の機能が実践されていると考えております。

12ページに進んでください。ここが地方消費者行政に関わる活動の例です。細かく説明する時間は余りありませんが、記載のようないろいろな活動が現時点でも適格消費者団体によってなされています。啓発講座やシンポのほかに、相談員養成講座、レベルアップ講座や消費生活サポーターの養成、さらに、活動支援の事業、高齢者見守り促進や消費者安全確保地域協議会の設置についての支援などを受託して行っているところもあります。事業者とのコミュニケーション研究やセミナーなども取り組まれています。

13ページに進んでください。時間が迫ってきましたが、適格消費者団体に期待されること・取組課題・問題点と、本当はここが本日の本題です。

(1)にマル1、マル2、マル3と3つの取組課題を列挙しました。マル1の「消費者市民」の育成がその第1点目です。前述した地方消費者行政の問題点の一つが、官民連携の主体となり得る消費者団体等の弱体化・減少です。消費者団体の活動の中核を担ってきた相談員のなり手不足も大きく影響していると考えております。

この問題対策としては、ここに記載したように、官民連携の主体となる消費者団体・専門家集団を作り、育てること、そのための裾野を広げることだと考えております。

裾野を広げるためには、そこに書いておきましたが、消費者問題だけでなく、環境問題や食の安全、高齢者対策や個人情報問題など、地域社会における安全・安心に関わる問題に関心を持ち、消費や環境問題、地域の活性化等、いろいろなことに影響を及ぼそうと意欲する市民層、これを消費者市民層と私は言っておりますが、消費者市民層を育てることであり、消費者市民層が厚くなることにより、相談員などの専門家を目指す者、消費者団体の活動に参加したり、地域の見守りネットワークに係る人材が生まれると考えております。

そして、適格消費者団体は地域における消費者市民社会のプラットフォームになり得る存在だと思っております。

具体策ですが、適格消費者団体の活動例として紹介したようなサポーター養成や活動支援による消費者市民層育成なども、例えば自治体からの継続的な事業受託等があれば、各地で実現が可能となるのではないでしょうか。

14ページに進んでください。さらに、さきに御紹介したように、高齢者見守りネットワークの構築支援や、消費者安全確保地域協議会の設置を働きかける委託事業などを行っている適格消費者団体もあります。マル2の地域ネットワーク作りの支援・協力も、適格消費者団体が担うことが可能な取組だと思います。

マル3について、地方消費者行政の充実のためには、その地域の住民がそれを求める声を上げて、首長を動かすことが必要です。適格消費者団体は地域の消費者団体として、地元自治体の消費者行政を評価したり、地方消費者行政強化を求める役割を担う必要があると考えています。

(2)は、このような役割を担うに当たって適格消費者団体が抱える問題点についてです。マル1のところ、差止請求は財政不足から訴訟できる件数が実は各団体で限られています。被害回復請求権も今のところ適格消費者団体の費用負担が非常に重うございます。消費者団体の自助努力によって消費者スマイル基金が創設されていますが、寄附金の獲得に苦戦しています。本来的機能を十分果たすためにも国の支援策が検討されるべきです。

マル2のところ、「行政だけに頼らない消費者行政、担い手のベストミックス」を考える上においては、地方の適格消費者団体は、地域の消費者団体として様々な場面で担い手となり得る存在です。しかし、地方の適格消費者団体の財政的基盤は脆弱で、ボランタリーに頼った活動が実態です。財政的な裏付けのないままウイングを広げるのは困難であり、適格消費者団体が官民連携の安定的な担い手になるためには、国の支援の検討が必要であることを御理解いただきたいと思っております。

時間がなくなってきましたが、15ページ、16ページについて触れさせていただきます。

15ページ、第4は、第1で述べたような問題意識に関わるその他の意見です。

1で申し述べたいのは、連携行政の構築とこれに対応できる専門人材の育成が必要だということです。実は、第二次の専門調査会報告を受けた消費者委員会の平成25年8月6日付の建議にはこのような話が出てきます。消費者行政部局が庁内連携、民間連携のハブとしての役割を果たすことが必要であり、そのための職員育成が必要だということが提言されているのです。この提言が実現化、具体化されるべきであると考えます。

第2には、都道府県と市町村の役割分担の見直しが検討されるべきだと思っております。消費者安全法と消費者基本法の条文を配付していただきましたが、これの条文だけを見ると、市町村が消費生活相談を受け、都道府県は市町村の援助というような言い方になっていますが、都道府県が後方支援ではなく、都道府県がもっと前に出て市町村の広域的バックアップ体制を築くということが必要だと考えています。

市町村の相談でも、都道府県が対応する対応をとり、むしろ基礎自治体の消費者行政部局は、自治体の各種行政機能を活用して住民の総合的安全を守る役割を担うというような役割分担が考えられないかと思っております。

このように考えるのは、16ページの頭にも書きましたが、長年私が多重債務問題に関わってきたという経験からも来ています。多重債務問題や契約被害は、借金整理やその事案だけの解決では終わらない、原因を探り福祉部署につなぐ、生活困窮者自立支援法に基づく相談機関につなぐ、高齢者については包括支援センターと連携することが必要です。この似たような取組が貸金業法改正がなされた折の多重債務問題改善プログラムのもとで、地方の消費生活センターにおいて実践されていました。その発展形態が滋賀県野洲市の例です。

第3に、相談の「質の均一化」及び官民連携に向けた担い手作りのためにも、相談員のなり手を増やす取組が必要だと考えます。そのためには、相談員の地位・位置付けの見直し、処遇改善や都道府県で資格取得講座を開催するなど、地方における資格取得支援が検討されるべきです。この相談員の処遇問題は、長年指摘されながら解決できなかった課題です。このままだと10年後、20年後の相談現場がどうなっているか、どうあるべきか、この専門調査会で是非御議論いただきたいと思っております。

以上、早口で申しわけありませんでしたが、私の報告を終わります.どうもありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。

限られた時間に本当に的確にお話しいただきました。前段では、地方消費者行政の役割、そしてその中での課題ということについて、中身としては後段でお話をいただいた適格消費者団体が直面をしている諸問題とつながるところも多かったのではないかと思いますが、最後のほうでおまとめいただいたように、これから本当にどういう連携体制や、そしてその中で専門性を上手に組み合わせていくのかという課題、さらには府県の新しい役割をどのように考えていったらよろしいのかという問題があります。その中で必要な資源を的確に、人的な資源も含めて、また、財源的な資源も含めてどう調達をしていくのか。本当に大きな課題の御指摘をいただいたかと思います。

重要なところをたくさんいただきました。もう1時を過ぎてしまいましたが、この機会ですので、是非時間の許す限り、と言っても底も天井もない状態で進むと大変になるかもしれませんので、10分ないし15分程度の時間、お許しいただきまして、質疑できればと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。是非、この機会ですので、鈴木先生からいろいろ御示唆をいただければと思っておりますので、各委員から御質問や御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

樋口先生、どうぞ。

○消費者委員会樋口委員 鈴木先生、ありがとうございます。十数年前は大変お世話になりました。

適格消費者団体を今、運営しておられるということで、特に御提案の中で適格消費者団体が地域の消費者団体として中核的な存在になっていくべきだという点については、私もまさにおっしゃるとおりではないかと思います。特に今、適格消費者団体というのが地方消費者行政の中で必ずしも明確な位置付けを与えられないまま、先ほど隠れ負担と申し上げましたが、行政の役割の一部をかなり担っているという現状から考えると、更にその機能を強化して明確な位置付けのもとで活動していただくことが大事ではないかと思います。

例えば、私も今、長野で適格消費者団体を目指して団体に取り組んでいるのですが、行政の評価とか、あるいはADRということに関しては、実は各県にそういう機能が存在しているのですが、必ずしもうまく活用されてこなかったと。鈴木先生のお話を伺っていて、これは消費者庁設立時の消費者委員会の機能にも係るのですが、例えば適格消費者団体がもう少し、一歩更に機能強化して、オンブズマン的な機能を持って消費者行政を評価するとか、あるいはADR的な機能を更に発揮していくとか、そういう可能性もあるのではないかというふうに個人的に考えた次第です。

そうした方向の前提として御質問したい点がありまして、財政状況は大変厳しい折なのですが、今、東北の6県で仙台に適格消費者団体を置かれているということですが、私どもとしては、できれば各県に消費者団体の基礎となる適格消費者団体を置いていきたいと思うのです。そういう意味で私たちも努力はしているのですが、東北ブロックの場合に各県に適格消費者団体を置くということが可能かどうかということについての今の状況を伺えればと。

私どもで言うと、会員数とか予算の問題、あるいは支援体制とか、そういうところにいろいろ課題があって、まだ各県全てにというところまでなかなか踏み切れないのが実情です。先ほどのお話では、東北では、今は非常に広域的な団体として、岩手とか青森からも委員が参加してやっておられるということです。もし地域の消費者団体として中核的な役割を担うのならば、そんなことを言っては何なのですが、仙台まで出ないと議論できないというのではなくて、やはりそれぞれの地域で団体があるというのが望ましいようにも思うのですが、この辺の見通しといいますか、状況はいかがでしょうか。

○鈴木理事 本当に各県にあることが望ましいのはそのとおりです。実は東北でも、宮城で検討したときに、岩手と青森でも適格消費者団体を立ち上げようという動きがございました。視察にお見えになったり、意見交換をしたのですが、なかなかそれが実現できなかったのは、一つには、例えば検討委員会というものがあって、事案の検討をして差止請求訴訟などをするのに、やはりきちんと対応できる弁護士を確保できないと難しいのですね。ボランティアではありますけれども、かなりの負担が来ますので、そういうことの活動をできる人材というか、委員を確保できるかという問題がございます。

例えば青森などだと、何か所かに支部で分かれていて、弁護士がしょっちゅう集まること自体がなかなか難しいということもございます。やはり東北地方ですと弁護士の数も限られる。その意味で、宮城県は今400人ほどおりますので、東北では一番の大きな弁護士会を抱えているということで人も集めやすい。人材の確保、ボランティアでかなりの負担がある仕事をできる人材を確保することは難しいということで、青森と岩手も立ち上げたいということで動きましたが、そこには至っておりません。

ただ、そういうことが解消していって、行政との連携等ができていって、もっと動きやすくなれば、活動しやすくなる状況になれば違うのかなと思っていますし、東北で各県目指したいというふうに恐らく思っておられると思いますので、是非ともそのような方向になるように、いろいろな議論を進めていただきたいと思います。

○消費者委員会樋口委員 ありがとうございました。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほか、いかがでしょうか。

池本委員、どうぞ。

○消費者委員会池本委員長代理 池本でございます。

非常に密度の濃い報告をありがとうございました。

私も、適格消費者団体というのが事業者の違法行為を差し止めるという本体業務だけではなくて、地域の消費者被害の防止、あるいは地域のネットワークを広げる拠点になるということが適格消費者団体の存在意義のより大きな存在価値だと思います。だからこそ、先ほど樋口委員からも発言がありましたように、各都道府県に最低1つあれば、地元の消費者行政あるいは消費生活センターの機能の向上にもつながると思うのですが、なかなか人材の問題に直結して思うように広がっていかないということがあるのだろうと思います。

ただ、人材といっても、ボランティアベースでなおかつ毎月集まってやっていくとなると、なかなか難しいですが、ある程度の財政支援のもとで業務として位置付けていけば、決してできないことではないのではないかと思います。そのあたりについて、御意見を後でお伺いしたい点が一つです。

もう一つは、消費生活相談員の人材不足という前半でおっしゃったところ、これも適格消費者団体を作るときには構成員として必須ですし、相談員が個別の相談を受けるだけではなくて、地域に出かけて被害防止の啓発活動をするとなると、もっともっと人員を配置しなければいけないけれども、それができていない。これは尾嶋委員の報告にもありましたが、地方で募集しても来ないだけではなくて、そもそも都市部でも、私は埼玉ですが、地元の埼玉でも、あるいは都内の複数のセンターでも聞いているのは、募集しても以前は5人、10人応募があったけれども、最近は2から3人しか来ない。しかも、相談員としての適性というか、相談業務をやっていくというよりは、出前講座などがあればやってみたいというような感じの人で、なかなか募集のニーズに合っていないという非常に深刻な事態が今、出てきています。

相談員の有資格者を増やしていくことについて、少なくともこういう施策が必要だというあたりについて、先ほどもちょっと駆け足で触れられたかと思うのですが、そのあたりについて何か具体策を教えていただければ幸いです。

○鈴木理事 最後に述べたところで、当面地方の資格取得者を増やすという意味では、今、資格取得講座というのが各地では地方でやられていないのです。消費者協会というところが前はあちこちでやっていたようですが、あとは国民生活センターが東京でやっていたということで、そこまで出てきて講座を受講するのはなかなか難しい。

全相協さんは資格取得講座をやっておられるのですが、一応あれは民間団体がやっているということで有料というか、費用がかかるはずなのです。だから、そこを利用するのもなかなか難しい場合もあり、東北地域で資格取得講座を全相協さんがやっておられたのですが、東北支部はどうも受講者が集まらないので赤字だということでやめてしまいました。そういうことで、資格取得講座などを受ける機会もなかなか、地方の相談員さんになりたい希望者にはないということがあります。一番身近なというか、とりあえずとるべきことは、そういう資格取得講座を都道府県単位で開催し、御報告にもあったように、職員さんも含めて、相談員さん、職員さんがそれを受けるようにということを都道府県が推奨して、支援してくださるということが一つかなと思っております。

あとは根本的な問題は、最初の尾嶋委員の話にもあったように、相談員の待遇が非常勤といいますか、そういうことで非常に劣悪であり、実は宮城県はまだ雇い止めをやっているのです。幾ら言ってもこれを自治体がやめません。なかなかやめない。国と地方の言い分が違うということのようですけれども、将来的な10年、20年後の消費者行政を語るために、どのような人材をどう育成していったらいいかということを考え直さなければならない。相談員さんの位置付けと、処遇をどうするかということを是非もう一度、一から考え直していただきたいと思っております。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

尾嶋委員、どうぞ。

○尾嶋委員 いろいろと相談員のことについてお話しくださって、ありがとうございました。

資格に関しては、先ほども申し上げましたように、受講者の負担も考えると、いろいろな面からやはり都道府県の役割、支援というのは非常に大切ではないかと思うのです。愛媛県の例にあるように、愛媛県だけではなく幾つかの都道府県であのような取組が進んでおりますけれども、そもそも全国消団連でアンケート調査をしたときに、県は市町村の相談員がどういう資格を持っているのか、持っていないのかというところの把握が十分できているのか非常に疑問になったところですので、都道府県としての市町村把握を十分して頂き、それに向けて講座をしたほうがいいのかどうなのかとか、そういったこともお考えいただければと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 同じテーマなのですけれども、私たちも「コープこうべ」と連携して受験対策講座とかいろいろ開催していたのですが、人が集まらなくなったのです。結局、その資格を取っても余りメリットがないというか、その資格があるからお給料が上がるとかそういうことがないという、普通の一般主婦の判断が定着してきたのかなという気がします。

そこで、やはり消費生活センターには有資格者を規模に応じて一定数置かないといけないとか、企業であれば消費生活アドバイザー及び相談員の有資格者を、これぐらいの規模であれば何人置かないといけないというようなルールを作って、専門職にはそれなりに給料的にもほかの一般職より手厚くする。そのような抜本的なやり方をしないと、幾ら開催しても集まらないという現状は変わらないのではないかと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

鈴木先生には本当に時間オーバーをして、的確にいろいろ御教示いただきました。本当にありがとうございました。今日お話しいただきました地方消費者行政、とりわけこれからの中での相談の充実や教育啓発、さらにはその中での専門性をどのようにこれから確保していくのか。相談員の問題もありますし、それ以外の様々な分野の専門家、今日は弁護士の先生においでいただいていますけれども、こうした法律専門家との連携もどう考えていくのか。それに付けてもこうした人材を的確に活用していくためには、そのための制度的な枠組みや保障も必要ではないかということでも御意見をいただきました。その際に、地方で何がどこまでできるか、特に今日は適格消費者団体の役割と、それから都道府県の役割というところに少し焦点が当たったような気がします。このあたりが今後、どういう形でよりよい地方消費者行政の進展のための基盤を作れるか、非常に重要な御示唆をいただいたのではないかと思っております。

鈴木先生には、今日は本当に時間オーバーをしていろいろお教えいただきましたこと、改めて感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして、意見交換のところを終わりたいと思います。

本来の予定ですと、この後、私どもの全体の意見交換を少ししようと思っていたのですが、もうとっくに予定の時間を大分オーバーしてしまいましたので、これは残念ながら次回回しということで、恐縮ですが、また事務局のほうと調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

それでは、本日は本当に長い時間にわたり御審議をいただきましたが、各委員から、もし何か最後にこれだけはということがあればお伺いして終わりたいと思いますが、今日のところはいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

ありがとうございました。


≪3.閉会≫

○新川座長 それでは、本日は本当に長い時間にわたりまして熱心に御議論いただきました。ありがとうございました。以上をもちまして、閉会とさせていただきます。

最後に、時間をオーバーしましたこと、改めておわびを申し上げまして、閉じさせていただきます。どうも御苦労さまでございました。

(以上)