第6回 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 議事録
日時
2016年2月4日(木)16:58から19:37
場所
消費者委員会会議室
出席者
- 【委員】
- 寺本座長、梅垣座長代理、迫委員、中村委員、野々山委員、原委員、矢吹委員、唯根委員、吉田委員
- 【オブザーバー】
- 消費者委員会 阿久澤委員、国民生活センター 宗林理事
- 【説明者】
- (株)東北新社 中島信也氏
- 【消費者委員会】
- 黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官
議事次第
- 開会
- 特定保健用食品等の表示・広告について
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:50KB)
- 【資料1】 特定保健用食品に関する消費者の意識について(PDF形式:363KB)
- 【資料2】 健康食品の広告・表示の規制に関する意見(野々山委員提出資料)(PDF形式:361KB)
- 【参考資料1】 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会で挙げられた表示・広告に関する意見(PDF形式:105KB)
- 【参考資料2】 第1回特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 表示・広告に関する報告概要(第2回特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会資料1-3)(PDF形式:121KB)
- 【参考資料3】 第2回特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 表示・広告に関する報告概要(PDF形式:193KB)
≪1.開会≫
○丸山参事官 それでは、定刻よりも若干早いですけれども、皆様おそろいですので、始めさせていただきたいと思います。
本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」第6回を開催いたします。
本日は、清水委員が御欠席で、9名の方に御出席をいただいております。
また、オブザーバーといたしまして、独立行政法人国民生活センター宗林理事、消費者委員会阿久澤委員が御出席です。
また、本日は参考人といたしまして、株式会社東北新社取締役上席専務執行役員で、CMディレクターの中島信也氏にお越しいただいております。後ほど、広告制作側からの表示・広告に関する御意見をいただく予定です。よろしくお願いいたします。
では、まず配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の下部に一覧がございます。資料1、資料2、参考資料といたしましては1から3となっております。
このほか、メーンテーブルにのみ第2回会議にて御確認いただきました検討事項と審議スケジュールの資料、今回、事務局より御説明させていただきます特保の消費者意識調査の補足資料を参考として置かせていただいております。不足がありましたら、事務局のほうまでお申しつけください。
それでは、以降の審議進行は寺本座長によろしくお願いいたします。
≪2.特定保健用食品等の表示・広告について≫
○寺本座長 それでは、議事に入りたいと思います。本日は、特定保健用食品等の表示・広告について、ほぼ最終的な議論ということになろうかと思います。
初めに、先ほど事務局から紹介のありました中島信也氏に広告作成者側からの御意見をいただきたいと思います。その後、事務局から「特定保健用食品に関する消費者の意識調査」の調査結果について報告をいただき、続いて野々山委員から本日提出されている意見書に基づき御発言をいただきたいと思います。
各意見に対する質疑応答は、意見をいただいた後、それぞれ時間を設けさせていただき、3件の意見・報告が終了した後、委員・オブザーバー間で表示・広告に関する最終的な議論を行いたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、中島さんからの御意見をいただきたいと思います。
まず、中島さんのプロフィールについて、事務局から御紹介をお願いしたいと思います。
○丸山参事官 中島信也氏について御紹介させていただきます。
中島さんは、現在、株式会社東北新社取締役上席専務執行役員でいらっしゃいますが、長年にわたりまして、東北新社グループのクリエイティブの中心的存在として、数々のCMを演出されてこられました。食品メーカーのCMで、「カンヌ国際CMフェスティバル」のグランプリを受賞されたほか、東京アートディレクターズクラブ賞のグランプリ、全日本CM放送連盟賞のグランプリを受賞されるなど、数多くの作品で高い評価を受けておられます。
また、武蔵野美術大学や金沢工業大学で客員教授を務められているほか、コピーライターの養成講座の講師も務められるなど、後進の育成にも携わっていらっしゃいます。
御紹介は以上です。
なお、傍聴の方々へのお願いですが、この後、中島さんの御発言の際、プロジェクターで説明資料を投影いたします。恐縮ですが、その投影内容については撮影を御遠慮いただきますよう、よろしくお願いいたします。
○寺本座長 ありがとうございました。
では、中島さんから20分程度で御意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○(株)東北新社中島信也氏 初めまして。中島と申します。よろしくお願いします。
私は実際にCMの映像をつくるという現場にいる人間でございまして、広告における特保の表現について、本来でしたら企画そのものを作っておられる広告会社のクリエーターの皆さんにお話をお伺いするのが一番リアルなところかと思いますけれども、常に広告主さんと生々しいやりとりをされておられている中で、そこはなかなか御発言しにくいのかなと。私は32年間ずっと「CMの演出」という仕事をしてきておりますが、そのうえで自分なりに考えていることがございまして、それを軸に特保の表現について、御参考までにお話をさせていただきたいと思います。
まず、広告の果たす役割というところで、たとえば商品広告ですと、商品を売る、販売促進に寄与する、最終的に広告主さんに利益をもたらすというのが広告の使命ではあるのですが、では、私は広告主さんの利益の促進のためだけにやっているのかというと、それだけではないんじゃないか、と考えています。広告によって広告主さんに利益をもたらす、それはもちろん全うしなければいけない目標の一つではありますけれども、私がやっております特にテレビのようなものを使ったマス広告というのはもう少し大きな責任があるのではないかと、ふだん考えております。
まず、生活者がいます。生活者を取り巻く環境について考えますと、自然と人は当然一つの大きな環境です。もう一つは公共機関という環境がございます。そして、もう一つの環境として、民間企業。非常にざっくりとした分け方ですが、資本主義社会においては、この三者が自分たちの生活環境になっているのだと思います。
私は、公共機関のCMをつくる場合もございますけれども、主に民間企業さんと生活者さんとの間を結んでいく仕事をしている。ここで広告の役割としまして、私が目指すところは「よりよいコミュニケーションをつくっていく」ということです。
高度経済成長の時代ですと、民間企業、生産者から消費者に向けて一方通行の発信であっても何とかなったのですけれども、もはやそんな時代ではなくて、生活者たちが企業に対して一体どのような思いを抱くかということも考えた上でコミュニケーションをつくっていかなければならない。理想を申し上げますと、その結果、広告の送り手と受け手の間になんらかの信頼関係が結べたらいいなという、夢物語のようなことを描いてやっております。
夢物語といいますのは、民間企業、いわゆる広告主さんのほうがそのつもりでおられないとすると、私がどんなに頑張っても生活者さんとはいい関係はつくっていけないわけで、実際にはそういう理想を描く余裕のない企業もいっぱいあるからなのです。私がおつき合いさせていただいている広告主さんは、幸いにして何とか国民の生活をよくしていこうという思いをどこかに持っておられて、かつ、物も売っていかなければ生活ができないということで、いろいろと苦労されておられます。私が個人的に、ここはすごくいい会社だな、これはすごくいい製品だなというものをいいコミュニケーションをつくることによって生活者にちゃんと理解していただいて、いい関係を結んでいくということができないかなというのが私の仕事についての思いです。
広告主と消費者という関係の中で、この広告主の広告物というのは「情報」でございまして、何らかの情報を消費者に伝えていくというのが広告活動です。昔は4大マスメディアがその受け渡しの担い手だったのですけれども、マスメディアとともに非マスと言われているところですね、インターネットであるとか、あるいは口コミも含めてでございますけれども、こういった情報の伝達の方法も最近は非常に大きくなってきている。その中で情報を伝えていくわけですが、先ほど申し上げました広告主さんと消費者、生活者とのよりよい関係、信頼関係を結ぶ意味においては、このマスメディアの役割はものすごく大きいのです。
20年前まででしょうか、テレビでやっているのだから大丈夫だろうというような、そういう一つの感覚というものが消費者のほうにございました。というのも、やはりテレビでオンエアしていくものについては、考査が非常に厳しゅうございまして、この考査をパスできたものだけがオンエアされている。考査は何のためにあるのかというと、あくまでも視聴者たちを余計な誤解から遠ざける。つまり、視聴者たちを守っていくために、視聴者に成りかわって局が一つの基準をつくっているわけです。その基準をクリアしているということで、テレビでオンエアされるだけで一定のブランドイメージが築けるわけです。ただ、ここへ来て景気の関係でしょうか、テレビでも、「こんなのコマーシャルしてもいいのかな」というものも流されるようになってきてはいますが、いぜん大きなメディアとしての価値は損なわれていないと思います。
特にインターネットのような、これは言ってみれば無法地帯のように何を言っても許されるような世界が生活の中に大きく入り込んできている中で、そうだからこそ、やはり大きなマスメディアの果たすべき責任というのも、消費者との信頼関係を結んでいく上においては非常に重要だと考えております。
さて、広告制作は、「企画」という一つの側面がございます。
消費者へ情報を伝えていくときに、マスメディアを広告主さんとつなげているのが広告代理店さん、広告会社というところです。この広告会社さんは非マスメディアも含めてメディア計画を広告主さんに提案しています。さらに、「どんな広告をつくるのか」という「企画」をやっておられます。
その「企画」ですが、今回の特保の問題に非常に関係する点として、「伝えるべき情報の情報力」というものがあります。1つは非常に情報力が強いもの。例えば電話ができるおにぎりというものがあったとしますと、めちゃくちゃ情報量が強いわけですね。ですから、これはもうメッセージを優先して、このおにぎりで電話がかけられるよというメッセージをストレートに強く打ち出す企画になっていく。一方、まあ、どこの製品を買っても大差ないような種類の品物、実際はこちらのほうが多いと思いますが、そういった「情報力の弱い」ものも存在します。
情報量が弱いものについては、ストレートなメッセージだけでは他商品との差別化がはかりにくいのでそれ以外のイメージを付加していかなければいけないというところで、クリエーターの方々は苦労してアイデアを練っています。
さて「特保」というのは、非常に情報力の強いキーワードになると思います。こういう情報力の強いものは大きな企画の手掛かりになっていきますので、これを強調して表現したいという思いは、これは広告主さんも持たれるでしょうし、作り手の企画者たちも持たれるのだと思います。
さて、「企画」のあとのプロセスを簡単にご説明しますと、CM制作会社、これは私がおります東北新社もそうなのですが、広告会社の方がつくられた企画をどうやってつくるのかということをプロデュースということで考えていく。私がこのプロデューサーに声を掛けられて演出ということをやっていくのですが、演出というのは映像の中身を考えていく仕事です。情報をどんなメッセージで伝えるのか、という企画が決定したら、演出の仕事としては、それをどういうふうにつくるのかを考えるのですけれども、このときに私がいつも思うことは、そのメッセージが、消費者の皆さんにどういう形で届いていくのだろうかということなのです。
私は自分の責任において、テレビを見る人がどう思うのかということを思いっきり意識して、演出という作業をやってまいります。
例えば、「新しいな」ということを思っていただく。「かわいい」ということを思っていただく。「美しいな」ということを思っていただく。「格好いいな」ということを思っていただいたり、「納得できるな」、「感動するな」、「楽しいな」、といったように、単に情報をそのままストレートに投げる一方通行的なコミュニケーションではなくて、受け取る側の心が何らかのプラスに動くようなものにしていくのが演出の仕事であろうと考えているわけですね。
そこで、先ほど申し上げた私のドリームでございますけれども、ここでプラスのイメージを持っていただくことによって、この会社は信用できるのではないかな、この商品は信用できるのではないかなとかいうことを感じていただければと思うのです。さらに、そういった人の心をプラスにさせるテレビというメディアにもいい印象を持ってもらえないかな、と思ってほしいのです。最終的にはその商品、これは広告主さんも広告会社さんも、常に買う買わない、売れる売れないという物差しで見られますけれども、売れる売れない以前に、私はまず心にプラスになるようなことをプレゼントして、ごひいきとして見ていただく。この会社をごひいきに入れていただく。あるいは、自分のお気に入りの商品にしていただくということがまず広告表現において必要だなと思っておりまして、そういうことによって結果として、緩やかな、ほのかな信頼関係のようなものを結んでいただくお手伝いができれば、というのが、私が考える広告というものの理想的な姿になっているわけですね。
ここで大事なのは、信用できる会社であるなとか、信用できる商品だなということを何が担保するのかというと、あくまでも我々作り手たちが広告主さんとつき合っている中で、ユーザーさんに届ける上において、自分たちの生活者としての目線で見られるかどうかということにかかっていると思うのですね。
ところが、広告主さんも自分たちの大事なお金を使ってやる広告ですから、やりたいことをどうしてもやりたいんだということで意志を持たれることが多いわけです。それに対して、それは言い過ぎではないですかということを言えるかどうかが一つのポイントになってきます。
あるいは、私が最初に申し上げたように、広告というのは会社と生活者を結んでいく、言ってみれば国民生活のインフラと関係している非常に重要なものであるということを広告主さんにも認識していただくということはものすごく重要なポイントだと思います。
つまり、広告の役割というのは、私は情報を伝えて買ってもらうこと以前に、広告主と消費者の間によき関係をつくることなのではないかと思っているのですね。先ほど言いました信頼関係を築いていく。
これは私の個人的な考えですけれども、資本主義社会において、この会社は私は好きだな、この会社の製品は安心して買えるな、というような会社が自分の周りに幾つもある社会というのは、これは生活者にとっては、ひとつの豊かさなのではないか、と思うのです。全部ではないです。例えば公共機関が充実していないといけないであるとか、自然環境がよくないとだめであるとか、いろいろな問題がございますけれども、自分たちを取り巻く生活環境としての企業さんの中に、自分が信じられるような、ごひいきとしていけるような会社があるというのは、これは大変幸せなことのうちの一つなのではないかなと私は考えております。
こんな考えの中での特保の問題ですけれども、先日、消費者委員会の事務局の方々とお話をさせていただくまで、特保というものがどんなものであるのか、ということについてほとんど理解しておりませんでした。自分では直接は特保の商品というのは扱っておりませんけれども、私もまさに、いわゆる国のお墨付きでもってその効果・効能が保証されているかのごとく受け取りをしていました。ところがお話をお聞きして、実は特保というのは非常に高い「志」なのではないかなということを私は感じました。結局、国民の健康増進・食生活改善への志がこの特保というマークには込められている。
今まで、健康食品というざっくりしたくくりの中で、怪しげなもの、効くか効かないかわからないものだけではなくて、もしかしたら人の健康を害するようなものが健康食品というくくりの中で世の中に行き渡っている中で、ちゃんとした成分がきっちりと認められるようなものについて、その効果・効能ではなくて、これ自体はちゃんとしたものであるぞというところが特保であるということを初めてお聞きしたわけです。
これは非常に高い「志」のマークじゃないかと。
特保本来の志をどれだけ認識しているのか。これは今の広告業界の中でほとんど共有できていないな、と感じました。もしかしたら特保を扱っておられる広告会社であったり、広告主さんは、そこについてのこういった国民の健康増進・食生活改善の増進ということで、非常に志の高いマークとして大事に育てていかなければいけないんだぞということを思っておられる方もいるかもしれないのですけれども、ほとんどが「これさえついていれば売り上げが伸びるんだ」みたいなマークとして捉えているのではないのか、と思いました。
これは認識しておくべきだろうと。認識すべきであるという責任がどこにあるのかということで考えてみたところ、先ほど御説明申し上げましたけれども、まず、広告主さんには認識すべき責任は当然あります。あと、企画をされる方にも当然ここは認識しておかなければいけないと思います。あとは、機能性食品とまた違って特保はあるわけですけれども、この特保についてメディアは、医薬品と違うというところで、どれだけのある種の基準を設けているのか、これもちゃんと認識しておかなければいけない。
私は志として認識するのが大事だと思うのですけれども、私にもしも特保の商品の仕事が来て「とにかく特保を強烈に目立たせれば商品が売れるんだよ。こんなデータがあるんだよ。中島君、だから特保、特保と言ってくれ」と言われたときに、果たして私が「違うんじゃないですか。特保というのはこういうような意味があるので、特保自体のブランド、特保自体の地位を下げるような特保の使い方はいけないのではないですか」みたいなことをきちんと言えるのかどうか。言わなくてはいけない。あと、ユーザーの側も、特保というのはこういうことよということをちゃんと知っておかなければいけない。
広告主さんも、消費者も、メディアも、広告の企画者も、広告の制作者、演出家も、もう一回特保が持っている本来の志を認識すべきであると、私は今回改めて勉強して、この発表に及びまして思っているわけでございます。
私はこのように広告を通じた企業と生活者の信頼関係、いい信頼関係ができる国は私はいい国だと思っています。またメディアと生活者の信頼関係、ちゃんとしたメディアがある国というのは私はいい国だと思っていますので、この信頼関係を築くためにも「志」を認識していくべき責任を果たすことが大事だろうなと思います。
シンプルなことですけれども、特保というものは何かということを、広告にかかわる全ての立場の人がもう一回理解して、認識することが必要だと思います。そうだったんだと思う方も結構いると思うんですね。もうひとり歩きしているようなマークになっていますので、「うちはこの商品は特保がとれなくて不利なんだよ」的な考えでしかないというのは、やはりまだまだで、できれば特保の志をみんなで共有したい。
もう一つ、これは勉強会みたいなものをやったらいいのではないかと私は思います。
それと、一般の方々に対しても、多分一般の方々は広告を通じて特保というものを理解していくので、特保がついていたら、「これは2倍効くんだ」的な人もいっぱいいると思うのですが、特保というのはそうではなくて、いかがわしい製品の中でちゃんとしたものにつけられるマークであって、効く効かないということとはまた違った話なんだよということがどれだけ伝えていけるか。
「特保」とは何かということを改めて、20年ということですけれども、世間一般に喧伝すべき時に来ているのではないかと私は思いました。
私が今回改めて学習させていただいたことを踏まえての意見として、以上をもって発表を終わりたいと思います。
○寺本座長 どうもありがとうございました。御自身の体験に基づいて、いろいろとお話をいただいたように思います。
ただいまの御発言に対して、御質問等々がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
○国民生活センター宗林理事 その広告を依頼した事業者さんではなくて、広告をつくられた立場からということで、大変関心高く聞かせていただいたのですが、つくったものがどういうふうに消費者に受け取られているか、信頼関係ができているか、結果について検証されたことはありますでしょうか。
○(株)東北新社中島信也氏 我々制作者にとっては、『CM INDEX』という無作為抽出で、1,000人、2,000人規模で調べているものが、一体どこに反応したのかということで、これは表現上のデータをとることはございますけれども、広告主さんの間では、さまざまな調査機関を使って、主に売り上げに寄与したかというまなざしで見られていることはデータとしてとられているのではないかと思います。
ただ、私はもう本当に生活者としての肌感覚として、この会社はみんなに愛されているなとか、自分自身、私はこの会社をどう思っているのかな、という感じも、大事な感覚としてあると思います。広告制作者の間で話し合う中で、ここの会社はいま一つみんなから好かれていないよねと、そういう推測をもとにした話、生活者としての肌感覚で捉えていくなかで計っていると。広告主さんが、売り上げデータのように数値化し正確に把握されているかどうかについては、私は存じ上げておりません。
○国民生活センター宗林理事 私が、広告をつくられる立場の方にお聞きしたかったのは、演出というところが適切な程度なのかどうか、消費者にとって間違ってとられることはないのかなというようなところについて、何か調査されたことがあるのかと思いましたので。
○(株)東北新社中島信也氏 ありますね。そこのせめぎ合いが一番厳しいポイントなのですけれども、例えば一生活者としてテレビの表現を見たときに、「これはやり過ぎなんじゃないかなと思って、ちょっと抑えましたが」というような提案をさせていただいて、「いや、中島さん、うちはそれどころじゃなくて、もうこれいかないとやばいんですよ」「そうですか。じゃあ、これぐらい盛りますかね」「いや、これぐらい盛っておいていただかないと」と。
私が危惧するのは、むしろその会社のイメージが悪くなるということ以前に、今、テレビ自身が見られ方が大分変わってきていますので、広告自体をパスすることが非常に多いのですね。だから、そこで視聴者に対してのある種の思いやりというか、見る人に対しての気持ちを持っていないと、一方的なメッセージであったり、一方的な強い発言というのはすぐにスルーされてしまうという危機がございますので、ここまで言うと見てくれませんよというような論点で見ていっていることが多いです。
○寺本座長 どうぞ、阿久澤委員。
○消費者委員会阿久澤委員 今のお話ですが、情報を提供するに当たっていろいろなやりとりがあるというお話ですが、科学的な根拠というのをどの程度把握してその交渉に臨んでいらっしゃるのか、教えてください。
○(株)東北新社中島信也氏 科学的な根拠というのは、例えば成分についてなどですか。
○消費者委員会阿久澤委員 表現です。
○(株)東北新社中島信也氏 表現については、全く科学的な根拠に基づくものではないですね。自分がテレビを見る人間としてどれだけ見られるかということでございますね。
医薬品の広告については基準がはっきりございますので、これはもうルールどおりにきっちりと、何秒以上これを入れなければいけないとか、文字の表示はこれぐらい必要である、こういう表現は必ず必要であるということがもう細かく定められておりまして、そこについてはルールがございますけれども、さて、これ以上やったら押しつけがましいというところは、うそ発見器みたいなものがあるわけではございませんで、非常に直感に頼っている。
ただ、私はすぐれたクリエーターの皆さんとお仕事をさせていただいているので、あるいは広告主の皆さんも送り手側として一緒になってそこについては見ていきますので、「これはさすがにやり過ぎですよね」とか、「これは嫌われちゃいますよね」というところは、みんなで話し合って決めていくということです。全く科学的でなくて申しわけないのですが。
○消費者委員会阿久澤委員 印象的な情報ということですね。
○(株)東北新社中島信也氏 そうです。
○寺本座長 ほかにいかがでございますか。どうぞ。
○迫委員 まだ質問が整理し切れなくて申しわけないですが、二、三伺いたいと思っています。最初のスライドの中で、生活者と民間企業との間での信頼関係を構築していくと。これに関しましては、中島さん御自身の言葉の中で、なかなか難しいとか、そうでないというお言葉があったわけで、多分それが現実なのだろうなと思います。民間企業と生活者が対立関係にあるべきとは思っていらっしゃらない。相互関係の中で信頼関係があるべきだと。そういう関係を構築できている事業者が一体全体どの程度いるのか。これは多分数字は出てこない。その辺の印象はまずどうなのかというのが1点お伺いしたいところです。
もう一つ、広告する側というのは売りたい、販売促進だと、これもわからないわけではない。実際、そういう方々と、代理店、プロデュースする方々、演出、そしてマスメディアと、さまざまなところに責任が分散することによって、どこが最終的に広告の責任を持つのか。そこが分業によって不明確になっているのではないかという気がするのですが、その辺についてどう考えられていくのか。
○(株)東北新社中島信也氏 信頼関係というのも、もしかしたら正確なものではないのかもしれないのですけれども、イメージでしかないのかもしれませんけれども、例えば私が中学生、高校生のときに好きだった電機メーカーがございました。この会社が日本の国にあるというのはすごくいいことだな、いい製品が買えてうれしいな、という感覚です。その感覚が広告によっても増幅されていく、という関係。これは幸せな関係だと思います。近ごろですと、私も愛用していますあるコンピュータメーカーの製品や広告があって、やはりほかと違うユーザーとの関係を築こうとしているなという意図が見えるんです。私がやらせていただいている会社にしても、そういうふうにあってほしいなという会社は幾つもございます。
例えば、私が担当させていただいている広告主さんで、当然製品も良質だと思うのですが、コミュニケーションについてものすごく神経を使っておられる会社があります。受け手の人がわからないようなことをやってはだめだよということを広告主さんのほうから言ってこられる。これはなかなかすごい。そういうことに全く関心のない会社も結構ございますので、やはりこういう会社がいい物をつくってくださって、安くいい物をみんなに提供するような、本当にナショナルカンパニーであったら、そういう会社がある国は私は幸せだなと思っております。
消費者とメーカーが対立関係にあったのは、メーカーが強かったときなのではないかと思います。メーカーが強いと消費者に対して上の立場に立てた。消費者はメーカーに対して自己防衛が必要でした。今はメーカーはそんなに強くないのではないでしょうか。できれば対等の関係であって、互いに幸せな関係が結べたらいいなと、夢かもしれませんけれども、思っております。
もう一つの質問です。広告の責任の分散ということですが、これはもう明らかにはっきりと責任をとられているのは広告主さんです。私がつくった広告表現に何かまずい部分があったとしても、クレームは広告主さんに行きます。ですから、ユーザーの皆さんからクレームをお受けになっているのは必ず広告主さんですので、ある種、お金を出して発信元であるところの広告主さんに、出稿自体の責任は存在していると思います。
ただ、特保のような問題というのは、どういうふうに特保をお互いの中で共有していくか、ユーザーの皆さんとどうコミュニケーションをとっていくか、ということは、広告主さん一人が分かっていてもだめだと思うのです。我々作り手も理解していないと,伝えていくうちに、「これを入れればいいんでしょう」的なことになっていって、面倒くさいなということになっていく。そうではなくて、「特保」って私の言葉ですけれども、「志の高いマーク」なんだということを、作り手も意識をしていく必要があると思います。
○寺本座長 どうぞ。
○矢吹委員 先ほどのお話で、食品の場合には余り基準がなくて、イメージでつくられているというお話で、医薬品はきちんとした基準があるというお話だったのですが、それは今までの御経験の中で、特保についてということなのでしょうか。それとも、一般の食品についてということなのでしょうか。
○(株)東北新社中島信也氏 一般の食品でございます。私も特保の製品を出されている企業さんのCMをやっておりますけれども、私自身は特保というものをうたった製品の担当はしたことがなくて、もしかしたらその現場では結構きっちりルールが定められているのかもしれません。そこについてはお答えでなくて申しわけないのですが。
○寺本座長 ほかはいかがですか。どうぞ。
○唯根委員 最初にマスメディアと非マスメディアを分けていらっしゃいましたけれども、CMディレクターでいらっしゃって、インターネットのホームページ、企業さんだけでなく、ポータルサイトさんも手がけていらっしゃるのでしょうか。
○(株)東北新社中島信也氏 私は映像の専門でございますけれども、わざわざインターネットのために広告をつくるということも結構出てきていますね。そこが今グレーゾーンでして、テレビでは流せないようなものも流せるということがございまして、逆に言うと、刺激的な表現みたいなことをとられる広告主さんもいますけれども、きっちりホームページを展開されていて、その中で自社の広告なんかも載せておられるような会社においては、そこはやはり余りゲリラ的なことはやらずに。多分品格が傷ついていくということが分かっておられるのだと思います。
ただ、やはりどこの馬の骨ともつかないような、我々が知らないような、なぞの企業がいきなりすごいことをウエブ上で始めたりするのですね。それで、ざわざわざわとなったりするのですけれども、そこが一体どうなのかというのは今後考えていかなければいけない問題だと思います。インターネットというのは原則的には自由な場で、全く制約を受けないような場に近い形ではありますが、インターネットでの広告表現について、あるルールを設けようという動きは出ていると聞いております。ただ、今のところ、一番グレーゾーンになっております。
私もネット用ということで、通常のテレビで流すものよりも尺の長いもの、1分ものであったり、2分ものであったりというものをあわせてつくるようなことはございます。
○寺本座長 ほかはいかがでしょうか。
先ほどちょっとお話が出ていた、責任の問題もあるのですけれども、志を共有するための施策という言葉をお使いになったのですけれども、例えばそういうのはある意味で言うと、今、広告主さんの責任が非常に大きいという話になると、広告主さんに対する何らかの施策、例えば勉強会ということも出てきたのですけれども、勉強会ももちろん必要ですし、そういったことを国民に対して周知するという流れは必要だと思うのですけれども、最終的に考えると、それだけでやっていくと、どうにもうまくコントロールできないということがあるとすると、やはりおっしゃったように何らかの施策が必要なのかなと思います。私たちも今、そのことがすごく頭が痛いところなのですけれども、具体的どういう、例えば広告主さんはそんなに責任が強いのだとすると、そういったところに対する施策も必要なのかなという気がするのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○(株)東北新社中島信也氏 特保については意外と微妙な問題で、私の頭の中にも2つございまして、例えば「これで痩せるわけではありません」という注意書きを入れれば、内臓脂肪をとるみたいなことも言ってもいいんだということがありますけれども、ものすごく正しくすることが本当にいいのかどうかというのを私は悩むところで、もしかしたら、プラシーボ効果もあって、夢を買っている部分なんかも食品ぐらいだったらあったりもして、これを飲んでおくといつか痩せるかもしれない、でも、どうせ広告だからそこまではいかないよなというところでのユーザーとメーカーとのコミュニケーションみたいなものもあるんじゃないかな、と。それはそれで結構高度なコミュニケーションだと思うのですね。そこまで果たして踏み込んでいくようなルールづくりみたいなものが要るのかどうかということは慎重に考えなければいけないと思うのです。デリケートな問題だと思っているのです。
ただ、あるルールを我々、例えば広告主さんと企画者、制作者で、そのルールについてきっちりと本当に、私は認識と言っていたのですけれども、本当にほかの怪しげなものからユーザーを守るためにちゃんとしていこうよというような気持ちは私は共有できるはずだと思っています。基準なり、ルール制定なり、施策が施されたとしても、そこについての理解がないと表現者たちは「またこんなのを入れるの。邪魔だよ」みたいなことになるのです。だから、私は広告関係者全員の共有が大切なのではないかなと思っているのですね。
今日は私も自分の首を絞めるようなことをいっぱい言ってます。「あなたがあのとき発言したから、これを入れることになっちゃったんだよ」みたいなことで、みんなから恨まれそうなのですけれども、にしても、私は特保というのはなかなか大事なことなのではないかなと。ある種の国民生活の環境のうちの一つとして、こういったものが強制ではないところできっちりと設けられていくというのは、私は大事なことなのではないかなと思っていまして、そこは理解した上で、納得した上で、表現に転化していくということができたら理想だなと。時間がかかると思いますけれども、最初はやはり「また、お上からのルールかよ」と必ず作り手は思うのですけれども、そこに理解というものがあるかないかというのは大きいと思います。
○寺本座長 正しい情報を知っていただくということも、特保の非常に重要な役割だと私も思っているので、そういった意味の情報発信ができるといいのではないかなと思っております。
ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
○迫委員 1つは、最初のほうのスライドで、非マスメディア、いわゆるインターネット広告の無法地帯であるという言葉を話されました。メディア広告については、企業側の品格のあるイメージの構築というところに結びつけていきたいということがあったと思います。
今のインターネットで無法な広告が流布している中で、そのような品格のある企業イメージの構築というところに本当に結びつくものなのかどうか。その辺の印象はどうなのかということが1点目。
もう一点は、広告基準というものを明確につくっていくとすれば、抵抗はすごくあるだろうけれども、そういうことを受け入れざるを得ないという状況になるのかどうか。その辺のところを、質問させていただきました。
○(株)東北新社中島信也氏 ネットにおいては、私は個人的には、ちゃんとしているところはちゃんとしているというふうに見る目は、ユーザーというか消費者のほうにあるのではないかなと思っています。本当に悪質なところ、ちゃんとしていそうに見えてやばいところが一番悪質なわけで、いかにも私たちは、実は裏企業ですみたいなところはもうはっきりわかりやすくなっていますし、ですから、そこは私たちの目が光っていると思っております。
特に、今は広告主さんと結構話していますと、ユーザーさんから直接の声が上がってくる、広告についても直接のクレームが上がってくるということで、生活者のほうからの発信というものが可能になっておりますので、特にインターネットですと返事ができるというか、自分の反応を相手に送ることができるので、テレビなんかはそれができなかった、投書ぐらいしかできなかったのですけれども、それができるようになってきているということもひとつあります。そんなユーザーのまなざしの中で、インターネット広告も良質なものが評価される、ちゃんとしたものになっていくのではないか、と私は考えています。
もう一つは、その規制というか基準みたいなのものですか。
○迫委員 医薬品は基準がありますよね。特保に関しては一般食品とは違うので、もしそういう基準があったとしたらという仮定の話です。
○(株)東北新社中島信也氏 これはそういう基準を満たしつつコミュニケーションをつくっていくのが実はクリエーターの腕の見せどころでもございまして、そこは基準を外したら何でもできるというところにはいかないと思います。そういうものが出てきたら、そのときにも先ほど申し上げましたけれども、なぜその基準が大事なのかということについての理解を丁寧に進めていかないことには、単なる「これ入れときゃいいんだね、ルールだね、こんだけの文字だね、うるさいね」ということでしかなくなります。私自身はマスメディアを使った広告の送り手というのは、それなりに社会に対する責任を果たしていくべきだと思っておりますので、そういったことについてはちゃんと理解しようと心がけるべきだと思います。それができなくて、表現的にすぐれたものを作る才能があったとしても、やはりひのき舞台であるところのテレビとかラジオなどのような、大きなメディアに乗せるものをつくる人間としての資格はちょっと足らないのではないかなと私は考えております。そこにかかわる人間としては、ちゃんとそういったことを理解すべきであると思っております。
○寺本座長 どうもありがとうございました。
それでは、中島さん、お忙しいところお越しいただきまして、どうもありがとうございました。
続きまして、事務局のほうから特定保健用食品に対する消費者の意識調査について、結果を御報告していただきたいと思います。15分程度でよろしくお願いいたします。
○事務局 では、資料1に基づきまして、特定保健用食品等に関する消費者の意識について、事務局から御報告させていただきます。
資料1の1ページに、調査概要をまとめております。今回御報告するデータでございますが、ことし1月にマイボイスコム株式会社が実施しました「特定保健用食品に関する消費者の意識調査」のデータでございます。この調査は、インターネットを利用した調査で、インターネット調査会社にモニター登録をされている方に対して実施されております。
調査対象数としては、予備調査3万人。これはモニターの登録者から男女別年齢構成別の人口比率を加味して抽出した人々となっておりまして、5年以内に特保を利用したことがあるかといった質問をその方たちにしております。
その結果、特保を利用したことがあると回答した人が、ここに記載しておりませんけれども、約1万4,000人おいでになりまして、その方々から、※印で記載しております職業上、特保に関する知識を有している可能性がある、そういった職種の方を除外して、一般的な知識を持っていると思われる方に対象を限定して本調査を実施しております。このため、今回集計を行った本調査の有効回答数7,500人。こちらにつきましては、一般的な消費者の意識に関する調査結果となっております。
2ページ目に参りまして、調査項目を記載しております。左上から参りますが、特保の利用経験について、自身の現在の健康状況、最近の運動状況、ここまでは予備調査で、3万人に対して確認をいたしました。
本調査として7,500人から有効回答を得ているのが、その下からの調査項目でございます。特保を選択した理由、利用して効果を実感したか、許可表示を確認したことがあるか、購入の決め手は何か。右に参りまして、購入時に目安量や使用方法を確認しているか、同じ製品を継続して利用しているか、どのような利用方法なら効果が期待できると思うか。また、成分の過剰摂取に関する意識ですとか、特保利用は食生活を見直すきっかけになったか、実際の食事のとり方に関する設問、最後にキャッチコピーの受けとめ方と、キャッチコピーからわかると思う効果についての調査を行われております。
本日は、これらの調査結果の中から、当専門調査会で実態調査が必要とされました事項に関連すると思われる結果を抜粋して御報告させていただきます。それ以外の集計結果につきましては、報告書に添付する予定でございます。
また、資料1の最後に、結果はつけておりませんが、この調査の設問と選択肢の詳細をつけておりますので、後ほど御参照いただければと思っております。
3ページに参りまして、当専門調査会で表示・広告関連として検討事項としている項目を再確認という意味で記載をしております。このうち(1)(2)(3)(6)について実態調査が必要という御意見を頂戴しておりました。本日は、この4つの項目に関する関連の調査結果を御報告させていただきます。
4ページ目からが調査結果でございます。まず、検討事項の(1)「消費者は製品を正しく理解した上で、健康食品を利用しているか」、(2)の「消費者は制度を理解した上で、特保製品を適切に利用しているか」、これに関する調査結果です。
1つ目のグラフは、「製品には1日の摂取目安量や、効果が期待できる使用方法が書かれていますが、利用する際に確認していますか」という質問に対する回答でございます。「従っている」が7,500人のうちの31%、「確認はするが従っていない」が25%、「確認したことはない」が22%、「書かれていることを知らなかった」が同じく22%という結果でした。
右にまとめてございますが、表示されている摂取目安量や使用方法に従って摂取している消費者は全体の3割程度、使用方法等に関する表示があることを知らないという消費者が2割程度おりました。また、半数以上の消費者が表示されている使用方法に従っていない、もしくは使用方法を確認していないということがわかっております。
なお、この資料のグラフに記載している「従っている」といった記載ですけれども、実際の調査で使用している選択肢を短縮して記載しております。正確な設問、選択肢に関しては、先ほど御紹介した資料1の最後の設問表を後ほど御確認いただければと思っております。
次のグラフに参りまして、「トクホは、どのような利用方法でとれば、効果が期待できると思いますか」という説明でございます。「同じ製品を数週間、毎日続けて摂取すれば、一定の効果が期待できる」が34%、「同じ製品を数週間、毎日でなくてもある程度続けて摂取すれば、一定の効果が期待できる」が同じく34%、「製品を1回利用するごとに、一定の効果が期待できる」が7%、「わからない」が25%となっております。
特保製品の効果でございますが、許可表示を受けた際の個別審査では、3カ月程度の摂取期間を設けたヒト試験で確認をされております。その検証方法と同じ方法で利用すれば効果が期待できると考えている消費者は、全体の3分の1程度という状況でございました。
次に5ページに参りまして、「特定保健用食品を利用する際、同じ製品を継続して利用しますか」という設問への回答です。先ほど御報告したのは、どういう利用方法ならば効果が期待できると思うかという意識に関する設問だったのですが、これは実際にどうしているかという行動に関する設問になっています。「同じ製品を数週間、毎日利用する」が16%、「同じ製品をある程度続けて利用するが、毎日は利用しない」が24%、「同じ製品を気が向いたときのみ利用する」が25%、「いろいろな製品を使い分けながら、継続して利用する」が5%、「いろいろな製品を気が向いたときのみ利用する」が30%でした。3割の方がいろいろな製品を気が向いたときにのみ利用するという回答でして、一番多い回答でございます。「同じ製品を数週間、毎日利用する」は16%にとどまっておりまして、先ほど御報告をいたしました、「どのような利用方法でとれば、効果が期待できると思いますか」という設問には、3割の方が数週間同じ製品を継続利用すればという回答をしておりましたが、実際にその摂取方法を実行しているという方は2割未満という状況でございます。
次に、特保やそれ以外の健康食品から同じ成分を過剰に摂取してしまう可能性について気にしていますかという設問でございます。「医薬品と同じような問題が起こる可能性があると思うので、気にしている」という方が12%、「食品だからそんなに強い効果がないと思うが、何となく怖いので、気にしている」という方が29%、「食品だからそんなに強い効果はないと思うので、気にしていない」という人が37%、「考えたことがない」が22%でした。食品であるという理由で、過剰摂取の可能性を気にしていない消費者が約4割いるという状況でございます。
続いて、6ページに参りまして、検討事項(3)になりますが、「広告や宣伝が消費者に過度の期待を抱かせていないか」に関連する調査結果でございます。昨今、特保製品でも言い切り型のキャッチコピーや宣伝が目立つようになってきておりますけれども、その中の一つを例示として挙げていて、言い切り型の「脂肪の吸収を抑える」という表示は、「脂肪の吸収を抑えるのを助ける」といった言い切り型でない表示と比べて、高い効果が得られることを示していると思うかという設問になっています。結果、「そう思う」が13%、「何となくそう思う」が50%で、合計で6割を超える方が言い切り型の表示は言い切り型でない表示のときより高い効果があることを示していると考えていることがわかりました。「何となくそう思わない」は15%、「そう思わない」が11%、「わからない」が11%でした。
このことから、もともと言い切り型になっていない許可表示文言から、「脂肪の吸収を抑える」といった言い切り型にできる部分だけを切り取って表示すると、その表示によって実際に検証されている効果よりも、期待できる効果を過大に捉える消費者が少なからずいらっしゃるということが調査結果で判明しております。
また、今回の調査ですけれども、表のところでございますが、製品の何を見て利用を決めていますかという質問も行っております。許可表示を決め手としている人、これは横に見ますけれども、表の一番右の合計欄で、決め手としている人14.3%、8割弱の方は許可表示を見ていないという回答でした。
一方、キャッチコピーや広告を決め手にしている人、縦に見ますけれども、表の一番下の欄ですけれども、決め手とされる方が41.5%いらっしゃいました。このキャッチコピーや広告を決め手としている人のうちで、許可表示を決め手にしていないという方、もしくは見ていないと回答した方は合計で30.8%に上っておりまして、キャッチコピーや広告を利用の決め手としている人の7割以上が、正確な効果の内容をあらわしている許可表示を決め手としていないという結果になっております。
次に、「脂肪の吸収を抑える」という言葉から「期待できる効果」はどれだと思うかという設問への複数回答でございます。グラフで数字を明示しておらず、申しわけございません。口頭で申し上げますけれども、「体脂肪が減る(増えない)」が32.9%、「血液中の中性脂肪が減る(増えない)」が30.7%、「コレステロールが下がる(上がらなくなる)」が26.2%、「体重が減る(増えない)」が13.5%、「食事から摂取するはずのカロリーがかなり抑えられる」が11.3%、「食事から摂取するはずのカロリーが少しは抑えられる」が20.8%、「食べた食事に含まれる脂肪が体にほとんど吸収されない」が6.7%、「食べた食事に含まれる脂肪が体に吸収されるのを少しは抑える」が33.6%、「具体的にはわからないが、体に良さそうということは判る」が5.6%、製品によって効果が異なるので、「この言葉だけではどのような効果が期待できるか判らない」という方が13.1%という結果でした。
この設問に例示として使用しております「脂肪の吸収を抑える」という言葉ですけれども、許可表示から作用機序についての説明を切り出した部分でございまして、実際に期待できる効果そのものをあらわす言葉ではございません。ですので、この許可表示を確認しない消費者の場合は、その作用機序に関する言葉からどんな効果を得られるかを自分で連想しなければいけない。このため、消費者がその連想を正しく行っているかということを確認するために、この設問が入っています。
回答の選択肢には、現在確認されている根拠に基づきますと期待できる効果と言えない項目もわざと入っておりまして、具体的には「体重が減る」ですとか、「食事から摂取するはずのカロリーがかなり抑えられる」「脂肪が体にほとんど吸収されない」、こういった項目ですが、結果を見ると、こういった項目を選んだ方が実際おいでになりました。このことから、作用機序のみを切り出して表示をすると、実際にはない効果まで消費者に連想させる可能性があるということが示唆される結果となっております。
続きまして、7ページに参りまして、検討事項(6)、制度制定から20年以上がたち、特保の商品コンセプトが広がったことにより、特保は健康増進・食生活改善という本来の目的から乖離してきたのではないか。これに関する調査結果でございます。まず、健康食品の中で、特保を選んで利用した理由について複数回答をして頂いております。こちらも数字を明示しておらず、申しわけございません。口頭で申し上げます。
一番上の「国が安全性を確認していることは知っており、健康食品の中でも特に安心だから」が32.5%、次が「国が有効性を確認していることを知っており、健康食品の中でも特に効果があると思うから」が29.9%、「国が何を確認しているかは知らないが、国の許可があるのだから良い製品なのだろうと思うから」というのが13.7%、「治療や食事療法の代わりになりそうだから」が7.2%、「食事療法に併せて利用すれば効果が高くなりそうだから」が14.5%、「何となく健康によさそうだと思うから」が44.6%、「特保以外の健康食品で効果が実感できなかった経験があるから」が2.0%、「製品の味や効果、パッケージや広告が気に入って選んだら、特保だった」というのが7.9%、「その他」が1.2%となっておりました。
国が製品の内容を確認していることですとか、何となく健康によさそうだというイメージで特保を選んだ人が多いということがわかりました。また、その使用方法として明らかに間違っております、治療や食事療法のかわりと考える方が、少数ではございますが、存在することがわかっております。
次に、特保利用が食生活を見直すきっかけになったかという設問でございます。「トクホを利用したことがきっかけで、日常の食事のバランスが大事だということを意識するようになった」という方が9%、「トクホ利用がきっかけというわけではなく、以前からバランスの良い食事を摂ることは大事だと思っている」が62%、「トクホを利用している間だけ食事のバランスなどに意識が向くが、食生活の見直しには至らない」が18%、「食事のバランスに興味がなく、食生活を見直すことを考えたとはない」という方が11%おいでになりました。
もともと食生活のバランスを気にしている方が特保を利用して、6割と最も多くなっておりまして、特保利用が食生活を見直すきっかけになったという方は、結果としては少数という状況でございました。
報告は以上でございます。
○寺本座長 どうもありがとうございました。非常に規模の大きなアンケートでございますけれども、いかがでございますか。何か御質問がございましたらお願いしたいと思います。
○梅垣座長代理 問6で、「製品には1日の摂取目安量や、効果が期待できる使用方法が書かれていますが、利用する際に確認していますか」というところで、「従っている」が31%で、それ以外の人で余り確認をしないとなっています。要するに、キャッチコピーと表示枠の中にあります本当の許可表示の区別ができていないと考えていいのでしょうか。というのは、もう一つの問12に同じようなのがあって、許可表示は見ていないというのが70数%です。消費者の人がキャッチコピーと本来の許可表示の区別ができていないと理解していいのでしょうか。
○事務局 調査票の上では、許可表示はここですよというのを実は絵をつけて載せておりまして、そこは見ていませんという方が70%以上という状況でございます。
○寺本座長 いかがでしょうか。野々山委員、どうぞ。
○野々山委員 問12のところで、この質問は許可表示から一部の文言を切り取る、切り取り型の表示をした場合にどういう印象かというものですけれども、広告や宣伝というのはこういうことだけではなくて、かなりイメージ的なものも組み合わせていろいろな期待を抱かせるという広告があるのですが、そういうイメージ広告については特に調査はしていないのでしょうか。
○事務局 今回のこの調査の中では、言葉に関しての意識を確認しておりまして、広告全体をとらえてというのは調査対象に入っておりません。CMですとか、いろいろなものがあるので、例示として挙げるというのはなかなか難しいので、こういう形になっていると思います。
○矢吹委員 質問というか、半分感想なのですが、先ほどの問12で言い切り型が高い効果が得られているということを示しているかと、ここはかなり誘導的な質問になっているような気もするのですが、もう少し客観的な質問のほうがより正確に数字が出るのかなと感じました。というのは、「何となくそう思う」というのが非常に数が多いという気がするのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
○事務局 今回、過度の期待を抱かせているのではないかという点を調べることがポイントだというお話でしたので、どういう勘違いがあるのかなという目線で、これはあえて誤解をしている方がいるのではないかというところに視点が置かれた調査だと思っています。
○寺本座長 どうしても質問は、ある程度そういう誘導的なものになってくることがありますね。
○矢吹委員 誘導的な質問になっているので、結果的に「何となくそう思う」がかなり大きく出ているのかなという気がしたものですから、もう少し、普通の場合だと客観的な質問の形式のほうが多いのかなと思ったものですから、どういう意図があったのかなと思いました。
○寺本座長 どうぞ。
○迫委員 確認させていただきたいのですが、このデータは本当に有効なデータだと思います。そういう中で、対象属性別のクロスなどはする予定があるのかどうか。例えば、先ほどのキャッチコピーを誤認しているようなケースについて、どういう人たちがそうなっているのかとか、その辺の対象属性が見えてくると、今後の方向性につながってくると思うのですが、その辺はどうされますでしょうか。
○事務局 今回、クロス集計までしてお出しできればよかったのですが、そこまで時間が足りず申しわけありません。クロス集計はある程度しようと思っております。報告書を出すに当たって、そこの後ろにはつけたいと思っておりまして、これとこれのクロスをすべきということを御意見として本日いただければ、それも含めてさせていただきたいと思っております。
1点だけ、口頭で申し上げると、事務局として気になって、既にやっているところもあるのですけれども、食事療法とか治療のかわりだという方です。年代別に確認をして、偏っているか確認をしましたけれども、20代から60代まで全て7%くらいで、パーセンテージ的にはその年齢構成の中でのパーセンテージは変わりませんでした。ただ、これはもともと人口構成に合わせておりますので、高齢者の方の人口構成が今一番大きいので、そこが比率として大きいですので、人数という意味では高齢者の方でそういう誤解をされている人が多いという状況にはなっていると思います。そういったクロス集計は必要だと思っておりますので、させていただきたいと思っております。
○寺本座長 今の属性等々のクロスに関する解析というのは非常に重要な問題なので、きょうに限らず、委員の先生方からこういったことをしたらどうかということがあったら、ぜひともお寄せいただいて、まとめるときに活かしていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
ほかに何か。宗林理事、どうぞ。
○国民生活センター宗林理事 私も大変関心高く見せていただきました。こういう調査は余り見たことがなかったので、現実の利用実態についてよくわかりました。
この中では、全般として表示・広告を見ていないというのが大きな結果としてあり、その見ていないというところの中には、摂取条件といいますか、どのぐらいの、摂取の期間どういう使用方法なのかというのが3割ぐらいしか知らないとか、そういうことも含めて表示を見ていないという感じがいたしました。ですから、本来試験をして許可をしたときの状況で使われてもいないし、正しく理解してされるように表示を見ていないという感じがいたしました。
もう一方で効果のほうですけれども、今回の調査は何々を助けるということをとって言い切りにしたらどのぐらいかという調査でありますので、それだけを見て早急に結論は出せませんけれども、問13の結果を見ますと、やはりかなり期待をしているかなと。割と幅広にといいますか、先ほどの演出がどのぐらい皆さんの心に響いているのかなと思うような感じで、効果は少し過大に期待をしている実態も明らかではないかということを思いました。
以上です。
○寺本座長 この「脂肪の吸収を抑える」という言葉はどういうふうに捉えられるかというのは、我々も審査している中で非常に悩んでいて、これがいろいろな意味にとられているというのは、これは本当に見ればわかるので、ある種の誤解もあるわけですね。ですから、そういうあたりが少し大きな問題になってくる。
それから問5の、許可表示を見ていなくてキャッチコピーを見てほとんどが購入されているというのを見ると、ここはかなり大きな問題があるので、この辺がこれからの論点になるかなという気がいたします。
ほかはいかがです。どうぞ。
○梅垣座長代理 特保の審査のところに関係しているのですけれども、今、問題になっているのは、許可表示の本当の文言、つまり表示枠の中に書いてある文言からメカニズムだけ切り出されてキャッチコピーになっているのです。メカニズムというのは100%わかっていない。この製品をとったときにどういう作用機序で効果が出るかというのは、ある程度の推定です。だから、推定のものを切り出してキャッチコピーにするというと、非常に問題になると思うのです。その点を考えて、本当の許可表示を見てほしいというのと、切り出してキャッチコピーにするとしても、どこまで許容できるかというのを検討しないといけない。十分わかっていない不確かなメカニズムを切り出してきて、それが消費者に伝わって、イメージとして伝えられるというのはかなり誤認させる要因になります。そこのところは検討する必要があるのではないかと思います。だから、今回の資料は非常に重要なので、そういう意味でも分析をしていただければいいのではないかと思います。
○寺本座長 迫委員、どうぞ。
○迫委員 まさに今のところで、問13のところ、的確に期待できる効果というものを認識できている人と、できていない人。できていない人の属性といいましょうか、そういうものがわかるようにクロスしていただければありがたいと思います。
以上です。
○寺本座長 唯根委員、どうぞ。
○唯根委員 同じことなのですが、問1で特保を利用したことがある方に効果について聞いているので、ちょうど私が、意見書を出したなかで女子大生でダイエット効果や痩身を期待しているという人が多かったのですが、こちらでも28%以上と出てきているので、年代別のクロス集計をお願いしたいと思いました。
○寺本座長 よろしいですか。どうぞ。
○矢吹委員 質問というより感想ですが、先ほどからのお話に出ているように細かな許可表示文言とか試験条件とか、そういうものは確かにこのアンケート調査を見ても知られていないというところがあると思うのですが、トータルの特保に対するイメージとしては、例えば継続的な摂取が必要だという方がかなり多かったり、この13番においても、やはり一番多い回答は、食べた食事に含まれる脂肪が体に吸収されるのを少しは抑えるとか、特保がすごく効果があるというよりはある程度の効果があるものとの正しい認識を持たれている方もかなり多いのかなと、この調査を見て思ったところです。
そういう意味では、消費者の理解があるレベルには達しているだろう。ただ、具体的な、先ほど言ったような試験条件だとか、許可文言の詳しい背景、摂取法の注意というのは、余りきちんと見て利用しているわけではないので、そのあたりを情報提供も含めて教育をしていくことが重要で、消費者はそれほど何もわからなくてとんでもない方向に行っているわけではないと思いました。
○寺本座長 どうぞ。
○梅垣座長代理 質問をしたいのですけれども、問10のところに「トクホのパッケージには必ず『食生活は、主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを。』」とあります。ここの回答で、以前から食事のバランスは大事だと思っている62%というのがあります。これは、大事だと思っているけれども、実践ができていないのか、できているのか、どう解釈したらよろしいのでしょうか。
食生活の改善のきっかけとなったというのは9%いらっしゃるわけです。その次のグループが62%で非常に多いのです。我々が調査をやったときに、特保を使うことによって生活習慣の改善ができて、いい効果があったという人がある程度はいました。それ以外の人は余り意識していないという結果でした。今回の調査の62%というのはどういう意味なのでしょうか。
○事務局 クロス集計として、机上に置かせていただきました補足の調査結果資料の問11を見ていただきたいのですけれども、今、御質問のあった問10の実際の食生活はどうですかというものとのクロス集計はしておりまして、特保利用をきっかけとして食生活を意識しましたという方について、3食食べていますかなどとのクロス集計はしているのですが、その部分でしょうか。
○梅垣座長代理 食生活が大事だというのはわかっていて、行動したのか、していなかったのかを知りたいのです。
○事務局 そういう意味では、以前から意識をしている方の69.1%が実際に朝、昼、晩ちゃんと食べていますという結果が出ていますので、以前から食生活もちゃんと整えておきつつ、特保も使っていますという方が、かなりの数になるかと思います。
○梅垣座長代理 わかりました。
○寺本座長 ある意味で、モチベーションを高めているということも言えるわけですね。
これはなかなか検討していくと、いろいろなことがわかってきそうな感じがするので、またそういうあたりでクロスの統計ということで御協力いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、野々山委員から御意見をいただきたいと思います。10分程度でよろしくお願いいたします。
○野々山委員 第1回、第2回の表示・広告に関する議論を踏まえまして、健康食品の広告・表示規制に関する意見を、資料2のレジュメにしたがって述べさせていただきます。
表示・広告につきましては、検討事項の(1)から検討事項が挙げられていますけれども、まず、この(1)から(3)についての私自身の認識について、お話をしておいて、その上で(4)以下の、対処の方向性についてお話をしたいと思っております。
まず、検討事項1つ目の「消費者は製品を正しく理解した上で、健康食品を利用しているか」ということについては、正しく理解して利用されているとは言えないと考えております。
きょうの統計にもあらわれているところでありますけれども、健康食品は、食品であり、あくまで補充的なものであることが理解されていないということや、これさえ摂取していれば大きな効能・効果があると誤解している消費者もいるということころであります。
健康食品の広告・表示においては、効果効能が強調されまして、消費者が過度な期待を持ったり、あるいは危険性が理解されないということです。本日の統計報告の問9にもそれがあらわれているかと思います。理解されていない危険性というのは、副作用であったり過剰摂取であったり、あるいは医師の治療との関係での障害の可能性、アレルギーなどがあります。実際に、いわゆる健康食品では健康被害が生じているところでもあります。
さらには、機能表示に科学的根拠が薄弱であることが多いことが認識されていない、これはいわゆる健康食品に多いと考えております。
それから、カプセル、錠剤、粉末、ドリンクの形態から医薬品的な効果を期待する消費者もいるところであります。
2つ目の検討事項の「消費者は制度を理解した上で、特保食品を適切に利用しているか」については、本日の統計が一つの調査の結果と考えております。結論として適切に利用しているとは言いがたいところがある、例えば、名前は知っていても、その意味を知らない消費者が多いし、特保の機能性を過大に評価して利用している面もあるということであります。
3つ目の検討事項の「いわゆる健康食品および特保製品の表示・広告に対する期待度は、実際の効果より過大なのではないか。広告や宣伝が消費者に過度の期待を抱かせていないか」については、そのような実態があると考えております。
表示・広告が一定の症状への機能性を強調していることが多いわけでありまして、医薬品的な効果効能を期待する傾向が見られるところであります。また、特にいわゆる健康食品の広告、第1回のときにいろいろ御報告がありましたけれども、根拠不明確な効果効能の強調、根拠不明な体験談が多く見られているということです。曖昧なイメージ広告で効果効能を誘導しているものも見られ、広告では効果効能を消費者は確認できないところであります。
検討事項(1)から(3)では、このような認識を持っておりまして、もう一つ、昨年の12月に食品安全委員会でいわゆる「健康食品」の検討に関するワーキンググループが、このいわゆる「健康食品」に関する報告書、あるいはメッセージというものを出しております。そこで「健康食品」についての19のメッセージというものを出しております。これは非常に示唆的だと考えています。
安全という観点から食品安全委員会が出しているものであります。食品についての安全性のメッセージがマル1からマル3まであります。
「健康食品」についての安全性のメッセージの中では、販売されているからといって安全ではないということ。
「天然」「自然」「ナチュラル」といううたい文句は「安全」を連想させるが、科学的な安全を意味するものではないということ。
「無承認無許可医薬品」に注意してください、あるいは通常の食品と異なる形態の「健康食品」に注意をしてください。
「健康食品」は、医薬品並みの品質管理がなされているものでありません。
とる人のとる目的についてのメッセージを出しておりまして「健康な成人」を対象としているので、高齢者、子供、妊婦、病気の人が「健康食品」をとることは注意が必要であるということ。
病気の人がとると、かえって病状を悪化させる「健康食品」があるということ。
薬を服用するときには医師・薬剤師のアドバイスを受けて「健康食品」をとることが必要だということ、薬のかわりにはならないということ等々がメッセージとして書かれているところであります。
あるいは、ダイエットの筋力的効果があったり、あるいは長生きという効果は実証されている食品はないということであります。
「健康食品」の情報についてもメッセージが挙げられまして、摂取についても、特に危険性のところです。とる際に何をいつどのくらいとったか、効果や体調の変化を記録してください。「健康食品」をとって体調が悪くなったときは、まずはとるのを中止して、因果関係を考えてください等々のメッセージをしております。
「健康食品」について安全な選択をするためにということで、5つの点を表示しております。これらは、食品安全委員会からのメッセージでありますけれども、そういうものを受けまして、表示・広告についてもきちんとした是正をしていく必要があると考えております。
このように表示・広告についてどうしていくかの検討事項(4)以降についてはこれまでさまざまなことが検討されておりまして、それについての対応策については、総合的に考えなくてはいけないと思っております。まず、マル1表示規制、それから、マル2広告規制、そして、マル3それらの違反者に対する執行、マル4ガイドライン、自主規制、マル5消費者教育について総合的に表示・広告の是正措置として対応していく必要があると思っています。その中では、ガイドラインや自主基準という是正では不十分であって、法規制の強化と違反者への執行を確実に行っていくことが必要であるというのが、私の結論であります。
まず、表示規制でありますけれども、1つには当該健康食品の危険性やデメリットが十分理解されていない現状があると考えておりまして、これらは健康被害という人の生命、身体にかかわるものでありますので、過剰摂取あるいは他の商品との組み合わせなどの危険性やデメリット、さらに、もし、そういう症状があらわれたときの対処法など、効能・効果と同じポイントの大きさできちんと示していく必要があると考えております。
2つ目では、補充的なものであることをもっと目立つところに表示するということであります。そういうものをさらに目立つところに表示することが必要と、何よりも利用する消費者にわかりやすい表現とするということがありまして、これらにつきまして、食品表示法及び内閣府令、その他の関連法規やガイドラインで示していく必要があると考えております。
次に、広告規制でありますけれども、栄養機能食品もありますが、特保食品や機能性表示食品で表示が許されている内容のみ機能性の広告ができることを徹底する必要があると思います。表示と広告の一致をはかっていく。許可表示と広告の内容がきちんと一致されることが必要であって、容器に表示できない内容は広告への掲載も禁止する、あるいは容器に表示すべき内容は、広告にも掲載するということを徹底して行っていく必要があるかと思っております。
特保食品や機能性表示食品などは、機能性の表示・広告が許されているわけでありますけれども、先ほどの表示のところでも申し上げましたが、危険性、デメリットの記載を義務づける必要があります。それだけ食して効果効能があらわれないことの明示、医薬品的効果が誤解される広告の禁止、個人の感想など、検証不能な広告は禁止すべきだと考えております。
それから、健康増進法の32条の2などを改正する必要があると考えております。具体的な改正点としましては、特保食品や栄養機能食品、機能性表示食品以外の加工製品については、暗示的なものも含めて機能性の広告はできないということを厳しくしていく、他の条文の解釈も絡んできますけれども、そういうことでこの広告規制の関係については、そのことも含めて考えていくべきだと思っております。
誇大表示・広告の規制が32条の2のメインの内容でありますけれども、健康に深くかかわるものであるので、要件として現行では「著しく」相違があると書いてありますが、この「著しく」の要件を削除すべきです。人の健康にかかわるものでありますので「著しく」ではなくとも、事実と異なる表示をすることを禁止し、「著しく」はなくとも、人が誤認する表示を禁止すべきだと考えております。ここでも個人の感想など、検証不能な広告は禁止すべきだと考えております。
全ての健康食品につきましては、医薬品的な効能・効果を含まないことの明記、事実に反する広告、効果について、科学的確証のない広告の禁止、認められた保健機能食品と紛らわしい名称や期待を与える広告の禁止を明記して徹底する必要があると考えております。
これらの表示規制、あるいは広告規制に対しまして、違反をした者に対する執行でありますけれども、これについてもきちんとできる体制が必要であります。現状の健康増進法による執行が極めて脆弱なものであります。そのために、まず、第1には健康増進法の広告規制に対して、不実証広告規制を導入して、広告に関する根拠情報の開示請求をできるようにして、その検証や執行を容易にするということが必要です。その意味で、個人の感想など検証不能な広告は禁止すべきだと考えております。
民間の執行力を活用するために、健康増進法を改正しまして、適格消費者団体による差し止め請求権を認めるべきです。これは景品表示法にはありますので、それと同様の差し止め請求権を認めるということです。さらに、消費者からの申し出制度の導入・拡充をして、消費者からの情報を生かしていくような方策が必要になると思います。そういう是正策を強化する必要があると考えております。
違反者に対する厳しい執行のための執行体制の強化というものが必要でありまして、消費者庁の中での執行体制の強化というものが必要だと考えているところであります。
続きまして、ガイドラインと自主規制、これ自体は、ガイドラインをしっかり行っていくことはとても重要なことだと思います。特に、ガイドラインを常にアップデートしていくことが必要かと考えております。
それから、消費者庁等のガイドラインの広報というのは、ホームページの掲載が主流でありますが、消費者や事業者への周知徹底にぜひ力を入れていただきたい、特に事業者への周知徹底が必要だと考えております。ガイドラインに、製造所固有記号について消費者から問い合わせがあれば答えられるように準備することが明記されているけれども、各事業者には必ずしも浸透していない、消費者からこれを問い合わせしても十分回答していないという例があるわけでありまして、そういう意味でも、ガイドライン等について、事業者への周知徹底をきちんと行っていく必要があると思います。
ガイドラインの違反者への注意喚起等の措置を十分徹底しないと有効性には欠けると思います。
自主基準もとても重要だと思っていますけれども、自主基準を定めている団体における違反者への内部的な処分などが行われなければ有効性はないと考えております。現状は、十分なそういう処分というものは行われていないと認識しておりますので、それが重要だと思っております。
また、多く存在する業界団体に入っていないアウトサイダーに対する対応には自主基準では限界がありますので、法規制が必要になってくるだろうということです。
あわせて、消費者教育というものは極めて重要だと考えております。食育との連携の強化が必要でありますし、特保食品などの意味とあくまで補助的な食品であることの理解を広めていくことが必要かと思っております。
健康食品の被害事例の教育と速やかなわかりやすい情報提供がされていく必要があるかと思っております。
以上のとおり、健康食品における表示・広告については多くの問題点があることは、これまでの議論から明らかであると思っております。これに対しては、法規制の強化が必要でありますし、それを担保する執行を強化する必要がある。ガイドライン、自主基準の充実と周知徹底、そして、消費者教育を充実させて実施していく必要があると考えているところであります。
以上であります。
○寺本座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの野々山委員の御意見に対して御質問等がございましたら、いただきたいと思います。いかがでございましょうか。
どうぞ。
○原委員 今、いただいたご意見についてですが、特定保健用食品、機能性表示食品、いわゆる健康食品と、さまざまなものに対する広告・表示の規制ということがまざっております。国の厳格な審査に基づいて許可表示を受ける特定保健用食品、企業の責任において表示ができる機能性表示食品、いわゆる健康食品、それらを全部いっしょに議論をするのは、非常に無理があると私は思います。特定保健用食品に限るとか、そういう形で意見を集約したほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○野々山委員 今回の議論は検討事項を見ましても、表示・広告については、健康食品全体について議論をするというたてつけになっていると思っております。したがいまして、特保だけについて議論をする、あるいはいわゆる健康食品だけについて議論をするというたてつけになっていないと理解しておりますので、それぞれについて議論をさせていただきました。
○原委員 その点はよくわかりました。そうだとすると、まずは特定保健用食品に関して議論をしましょう、特定保健用食品が終わったら次に、機能を言ってはいけないいわゆる健康食品について議論をしましょうとか、分けて議論をやらないと、非常に議論がしにくいと私は思います。
○寺本座長 私も、できればここはある程度、特保は少なくともきちんとしておいたほうがいいと思いますので、まず特保の議論をしておいたほうがよろしいかと思います。
ただ、野々山委員がおっしゃったように、これは健康食品全体にかかわる問題であることは確かなので、これはどうくくってどうやっていくかというあたりは、またこれから考えることにして、とりあえず特保の表示の問題等々に関しての御意見という形で、お捉えいただければよろしいかと私は思います。
いかがでしょうか。ほかに何か御意見、御質問はありますか。
吉田委員、どうぞ。
○吉田委員 今、御発表いただいた中で、4ページ目の「(1)表示規制」のところなのですけれども、特保に限ってということで御質問をさせていただくと、これはいわゆる1ポツの3行目のところに、いわゆる対処方法とかデメリットを効能・効果と同じポイントの大きさであらわす必要があるというお話をいただいているのですが、これはいわゆる効能・効果をうたうわけですから、機能性表示食品とか、特保とか、栄養機能食品になると思うのですけれども、これはそういったものについて、効能・効果を書いた場合デメリット表示も同じ大きさのポイントで書くべきだという理解でよろしいでしょうか。
○野々山委員 そうです。危険性についての認識が十分ではないと考えるので、それがわかるような形で効能・効果とあわせて危険性も同じようなポイントで書くべきだと考えています。
○吉田委員 ありがとうございます。
対象は効能・効果をうたえるわけですから、その3つのものについてということですね。では、これがいわゆる健康食品のようなものであった場合については、それはこういった効能・効果とデメリット表示同一ポイント記載の対象ではないという認識でよろしいのでしょうか。
○野々山委員 ここには効能・効果とあわせて書いてありますけれども、こういうデメリット等については、広告等と表示などでも、いわゆる健康食品でも書くことを義務づけるべきだと、当然考えているところであります。
○吉田委員 そういたしますと、また別のほうに広がってしまう可能性もあるのですけれども、要は、こういった効能・効果、デメリット表示をいわゆる健康食品で行うとなると、多分ラベルなので食品表示法で規制するしかないと思うのですが、全ての加工食品のデメリットを表示するわけにはいかないと思うので、デメリット表示が必要な健康食品の定義づけが必要になると思います。そうなってくると、健康食品というものについて、食品が食品衛生法で定義があるのと同じで、健康食品についてもきちんと法的な定義づけが必要だというお考えということでよろしいでしょうか。
○野々山委員 そこは難しい問題でありまして、健康食品という文言をどういう形で使っていくか、今、言われたいわゆる健康食品を、全部定義づけで健康食品としてしまっていいのかどうかという問題があるかと思います。
私は、基本的には特保とか機能性食品とか、国がある程度関与して認めたものだけを健康食品と呼ぶべきであって、その他については健康食品というものを使うことは問題があると基本的には考えております。そういう意味でいわゆる健康食品は機能性の効能・効果の表示とか、あるいはその広告などもしてはいけないということをきちんと徹底させる必要があるとむしろ私は思っております。
○吉田委員 わかりました。ありがとうございます。
○寺本座長 最初のほうで議論になった、いわゆる健康食品というのは何ぞやという話は記憶にあると思うのですけれども、このあたりもあるところで整理をしないといけないのですが、今のところは、特保と機能性表示食品が、そういった意味では一番きちんとされたものだということを認識していただいて、ほかのものとは違うことが認識されることが必要だろうと思います。
そのほか、何かございますか。
どうぞ。
○迫委員 野々山委員に質問というよりも、消費者委員会に質問させていただきたいのですが、今回の専門調査会での議論の最終的なアウトプットをどうするかという問題にもつながってくるかと思うのですが、なぜこのお話をするかというと、健康増進法の所管は厚生労働省になっていきます。この健康増進法の虚偽・誇大表示の禁止規定のところは、食品表示法には移行していないので、その辺のつくりにどうしても触れざるを得ないだろうと思うのです。いわゆる健康食品の広告の問題を議論すれば、必ずそこにいかざるを得ないし、執行等に関しても、厚生労働省の執行になっていくだろう、そうすると、その両者に対して働きかけをしていく、答申していく形になるのかどうか、この辺はやるべきことと答申の出し方にかかわってくるかと思うのです。
○事務局 今、お話のありました健康増進法の取り締まりに関するところについては、食品に関しては消費者庁で全てやっております。薬機法に関するものだけが厚労省でして、今、食品の取り締まりは全部、表示対策課がやっておりますので、誰に対して意見を出すかと消費者委員会本会議のほうでなるときには、所管省庁全てに出させていただきますが、一番中心になるのは、消費者庁だと認識はしております。
○迫委員 わかりました。
○事務局 御議論の結果については、どこの省庁に対して意見を言うなどではなくて、総論的に、相対的に御議論をいただいて、必要なところにまとめて意見を出すことになろうかと思います。
○寺本座長 それでは、少し議論に入っているかと思うのですけれども、本日の委員、オブザーバーによる議論に入っていきたいと思います。
本日お聞きした意見であるとか、事務局から報告のあった消費者の意識調査の結果を踏まえて、御議論をいただきたいと思います。この議論が、表示・広告に関する最終的な議論ということになりますので、前回までの議論内容を確認しながら検討事項別に議論を整理していきたいと思います。
これまでの本専門調査会において出された表示・広告に関する御意見については、参考資料1から3に記載されておりますので、適宜、御参照いただきたいと思います。
まず、参考に書いてある「(1)消費者は製品を正しく理解した上で、健康食品を利用しているか」「(2)消費者は制度を理解した上で、特保食品を適切に利用しているか」について、まとめて御意見を伺いたいのですが、いかがでしょうか。
(1)の健康食品全般に関する理解度については、まだ正しく理解していない人が多いという御意見が出されております。また(2)の特保食品の利用状況については、本日報告された調査を見ますと、適切に利用していない人も多い状況でございます。そういったことを踏まえまして、委員の方々の御意見を伺いたいと思います。いかがでございましょうか。
どうぞ。
○野々山委員 私は、きょうの報告でもありましたけれども、使用の仕方によっては危険になるのだということ、その辺のことが非常に重要ではないかと思っています。その意味で、理解や適切性というものは十分でなく、考えなくてはいけない問題ではないかと思っています。
○寺本座長 どうぞ。
○梅垣座長代理 前に言ったかもしれませんけれども、特保というのは表示の制度です。表示は消費者のための制度であるべきで、消費者が製品を選択するときに参考にするものです。でも、今の状態では、どうも販売者が物を売るための制度のような印象を受けます。それを考えると、あくまでも制度は消費者の目線でつくるべきだし、運用するべきだと考えれば、正しく理解しているかどうか、そういう問題が改善できるのではないかと思います。
○寺本座長 どうぞ。
○矢吹委員 先ほども申し上げたのですが、このアンケートの結果を見ていますと、継続使用もそうですし、治療や食事療法などの代替になるかというのもかなり少ないですし、特に、この治療の代わりについていえば、食事療法と治療をもし別々に聞くと、治療の代わりになりそうとの回答はもっと少ないのではないかと思われるのです。そういうことも含めると、全体的な特保のイメージというか、効果であったり、使い方みたいなものについて、ある程度理解されているような気がするのです。
先ほど言いましたように、細かな条件については、もちろんいろいろ問題はあると思うのですけれども、そういう意味で、消費者教育なり、いろいろな情報伝達をどうしていくかということは議論をして対策を立てなければならないと思うのですが、根本的な問題としては、それを受け入れる素地は消費者にはあるのかなとは思っております。
○寺本座長 宗林理事、どうぞ。
○国民生活センター宗林理事 まず、(1)の健康食品を利用しているかという健康食品自体が曖昧でございまして、この専門調査会の最初の回のほうでも、先ほど野々山委員がおっしゃったように、今、機能性表示食品というものが事業者の責任で表示ができるようになったというところですので、それ以外のものについて、健康食品の範疇に曖昧なまま入れていくのかというと、そこは一つ、考えどころではないかという気がいたします。それ以外は、機能性にかかわるような表示はしないという考え方があるのではないかということです。
(2)については、特保制度は第3者による審議評価を受けているもので信頼性が高い制度ですので、先ほどの結果などを踏まえまして、もう少し理解を高めるための何らかの仕組み、消費者教育の場の強化なのか、わかりませんけれども、今の時点では利用方法を正しく理解していただき促進するという結論だと思います。
○寺本座長 ほか、いかがでしょうか。
迫委員、どうぞ。
○迫委員 いわゆる健康食品を、ここに「等」という言葉の中で、特定保健用食品「等」の在り方に関する調査会ということで、そこに含んで検討していくという形は望ましいのだろうと思います。実際に表示・広告のあり方の中では、野々山委員がおっしゃっていたように、この脆弱な機能表示、または機能表示まがいのもの、これがまかり通っているいわゆる健康食品のありようというのは、一番問題になってくるだろうと。製品を正しく理解した上でそれを利用しているかというと、特保、機能性表示食品、栄養機能食品も含めて、そして、いわゆる健康食品と、ここの明確な区別がどの程度できているのかというところあたりを、きちんと調査の結果の中で示していただければと思います。
(2)と関連してくるのですが、先ほども医療との関係というところが出てきているのですが、医療を受けているからこそ食事療法のかわりとなると思っているケースが、前に消費者庁でしたか、消費者委委員会のほうでしたか、お示しいただいた資料の中にもそういうデータがあったかと思います。今回のデータもそういう形でクロスしていくと、数は少ないかもしれないのですけれども、医療を受けている人が食事療法のかわりになっているともし解釈している人がいたとすれば、これは完全に危ない誤認という形になりますので、その辺は注意をしなければいけないと思います。
以上です。
○寺本座長 どうもありがとうございます。
ほかには、いかがでしょうか。
唯根委員、どうぞ。
○唯根委員 今までの皆さんの意見と重複いたしますけれども、危険性やデメリットについて、効果や機能と同じように表示をしていただくことで、消費者が誤認をしなくなり、理解しやすくなると思います。そういう意味で、きょうの野々山委員の御意見に賛成します。
また、きょうの広告業界のお話で、先ほどガイドラインや自主規制について、事業者側のことでの野々山委員の御発言があったのですが、製造者などだけではなくて、流通業界とか広告業界等の関連の方々にも、こういうガイドラインとか自主基準については、認知をしていただくような啓発や広報も必要なのではないかと思いました。
○寺本座長 私は、少なくとも製品を正しく理解した上で健康食品を利用しているかというと、必ずしもそうでない方がいらっしゃるということと、制度を理解した上でというのは、恐らく特保という制度に関しては、ある程度理解しているので買っていらっしゃるのだろうと思うので、それを適切に利用しているかどうかというと大分怪しいというのが先ほどのデータかという印象を持ったのですけれども、これに関して、ほかに御意見はございますか。
その次の問題で「(3)いわゆる健康食品および特保製品の表示・広告に対する消費者の期待度は、実際の効果より過大なのではないか。広告や宣伝が消費者に過度の期待を抱かせていないか」「(4)製品の実態と消費者の期待感に格差があるとすれば、どのような手段で是正できるか」「(5)特保や健康食品に関する消費者教育が十分とはいえないのではないか」の3点をまとめて御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
これは、先ほど野々山委員から総括的に、事業者に対しても消費者に対しても、いろいろな面から建設的な御意見をいただいたところですが、ほかの先生方で何かそういったことに対して御意見はございますか。
矢吹委員、どうぞ。
○矢吹委員 先ほどの表示・広告でミスリードというお話に関連して、全般的に見ると、それでもかなり限定された効果を持っていると思っている方が多いのかなとは思います。ただ、もちろん一部の方についてはそういう誤解につながっている例もあるのかもしれませんけれども、多くの消費者としては、受け取り方としては、それほど大きな乖離がないのではないかと考えます。
○寺本座長 どうぞ。
○野々山委員 きょうの統計の御報告は、特保に関しての意識ということでありまして、特保に関しては、一定の割合の方がそれほど効果はないと思っている。ただ、そうでない方もおられるということであります。一方、その他のそういう国の一定の制度に載っていない、いわゆる健康食品については、かなり広告等が過剰になって、それに対する期待を持ったりする方は結構いるのではないかと逆に思ったりも私はしています。
そういう意味では、広告規制というのはいわゆる健康食品と言われる分野について、きちんとやる必要が高いのではないかと認識をしています。
○寺本座長 ほかはよろしいですか。
迫委員、どうぞ。
○迫委員 まさにそこの部分なのですけれども、保健機能食品については機能表示が認められている。いわゆる健康食品に関しては、機能表示は当然認められていない。認められていないはずなのだけれども、それを暗示してそういう認識をさせて、多種類多量摂取に現状ではつながりかねないという危険性も出てきているということからすると、表示と広告というよりも、ここはまさに暗示広告のありようという問題で、それは必ず抜け道という形が出てきたりして、先ほど冒頭の説明の中にもありましたけれども、イメージ広告のところを本当に規制できるのかどうかというところとかかわってくる話だと思います。
○寺本座長 ほかはどうでしょうか。
梅垣座長代理、どうぞ。
○梅垣座長代理 今の御意見と関連するのですけれども、規制は必要なのですが、規制はどうしても抜け道があります。健康食品の場合は、実際にはあり得ないような宣伝や広告がありますから、そういう実態を消費者の人に認識してもらう消費者教育が必要です。悪質な製品は買わないようにとか、変な広告をしている業者はどこかを、消費者に伝えていくことによって改善できると思うのです。
要するに、悪質な製品が売れるのは買う人がいるからなのです。だから、悪質な製品は買わないように消費者に伝えていくことが、規制とは別の対応方法になるのではないかと思います。
○寺本座長 どうぞ。
○唯根委員 消費者教育と言われるのですけれども、現在の多くの高齢者、こういうものを年代的に見ても利用されている方々は教育の場面がないわけで、どちらかというと先ほどのコマーシャルや広告から持つイメージ、正しい知識ではなくて、そこから受ける印象で、先ほど矢吹委員が、意外と認識は間違っていないのではないかとおっしゃられた事も含めてですけれども、そういうイメージで利用している消費者が多いのではないかと思うのです。
若い方たちにこれから教育をしていって、10年、20年先にしっかり理解できて利用する、選別できる消費者になるとは思うのですが、現状、イメージでキャッチコピーで利用している方々に、正しい広告と誇大広告の境もわからないというか、区別もつかない方たちをどう守るか、救うかというところも考えていただきたいと切に思うのです。
○寺本座長 どうぞ。
○梅垣座長代理 情報に対して余りアクセスできない人にどう情報を渡すかというのは、非常に難しいところです。研究などもしなければいけない分野です。ある県で、食生活改善推進委員という人がいて、そういう人に健康食品の話をして、そういう人が身近な人に広めるという取り組みをされています。そういう取り組みを推進するような動きをしていけば、消費者が悪質な製品は買わなくなります。例えば、送りつけ商法などで買う人がいらっしゃいます。明らかにおかしいとわかっていても、買う人がいる。いかに情報にアクセスできない人に情報を正しく伝えるかについて、何らかの方法を考えていかなければいけない。私は消費者団体の人が一緒になって、全国的な対応をされるのも一つの方法と思います。
○唯根委員 キャンペーンですか。
○梅垣座長代理 そういうものをやっていけば、大分変わると思います。
○寺本座長 唯根委員、どうぞ。
○唯根委員 運動をやりたくても広告の種類も多くて表示の変更も早くて、一番いいのは不買運動のようなことだと思うのですけれども、その目安になるような指標なり、こういう表示は買っちゃダメ、やめましょうと、こういう表示を見たら買わないようにという判断できる基準が欲しいと思います。
○寺本座長 どうぞ。
○梅垣座長代理 厚生労働省は「健康食品の正しい利用法」というパンフレットをつくっています。私の所属する研究所では、それを誰でもダウンロードできるように公開していいます。そういうものを使って、正しい情報を広めていただくというのが一番効率的です。それぞれの団体が、いろいろなパンフレットをつくって広められると、いろいろな解釈があり、消費者の人は混乱する。だから、できるだけ行政機関が使ったもの、その同じものを消費者団体の人が使って、いろいろなところで広めていただくというのは、私は一つの方法だと思っています。
○寺本座長 宗林理事、どうぞ。
○国民生活センター宗林理事 消費者教育と執行は、両輪だと思います。消費者教育一本ではとてもかなわないところがありますので、執行しつつ、その中で消費者教育もやっていくという両輪が必要なのではないでしょうか。
○寺本座長 迫委員、どうぞ。
○迫委員 消費者教育の関連の中では、高齢者の特性に特化した教育、働きかけが必要です。テレビのコマーシャル等でずっとそれを見ている中で、焦らせ商法ではないですけれども、30分以内にとか、定期購入に誘導して何十万円もそこに支払っている。その分、実際の食事を食べてほしいと思うわけですが、低栄養になっている事例がいっぱいあるわけですので、そういうことからすれば、高齢者に特化した教育が必要なのではないかと思います。
○寺本座長 阿久澤委員、どうぞ。
○消費者委員会阿久澤委員 関連で、消費者教育なのですけれども、現在それが十分か十分でないかといえば、十分でないということになるのですが、それは皆さん承知なのですけれども、誰がどこでどのようにしたらいいかということがとても難しくて、それに至っていないということだと思うのです。
まずは、実際にやっている栄養教育とか食育などといった中で賢く食べる、すなわち食選択をどのようにしたらその中で健康が維持できるのだという、本当にベーシックなことを着実に伝えていくことによって、その中に特保や機能性表示食品を上手に利用していくということが育っていくのではないかと考えられるかと思います。
○寺本座長 吉田委員、どうぞ。
○吉田委員 消費者教育もすごく大事なことだと思うのですけれども、事業者の方もきちんと法律を学んでいただいて展開していくことが大事なのかと思っておりまして、私たちのところに来る広告・表示の苦情についても、事業者の方に何でこのような表示をしたのかという問いかけに対して、いろいろな事業者の方がいるなかで、明らかに法律のことを知悉してグレーゾーンで表示してくるところもあれば、本当に何も知らないで広告をおこなっている事業者の方もおります。
それは特に、先ほど中島さんのお話でも出ましたように、ネットは非常に参入が簡単なものですから、パソコン1台あれば事業ができてしまうということですので、そういった方たちが新たに自分たちも商売を始めようということでネット事業へ参入したときに、広告主から来る文言、これに加えて自分たちでより売れるために、いろいろな機能性であり、効能・効果の表示をする。それに対して、それが薬機法であり、景品表示法であり、健康増進法であり、そういったもろもろの法律に抵触することを本当に知らない事業者もいて、びっくりして慌ててそのようなものがあったのですかと言ってくる人もいれば、ネットですから、参入も簡単なら引き揚げるのも簡単なので、すぐ消してやめてしまわれる事業者もいたりといったこともあります。もちろん悪質な事業者さんとは別に、全くビジネスとしてやったことがない、食品事業について参入する方たちについてもきっちりと教育を、こういったものは法律に抵触する表示だということをわからせるようなことも同時に必要なのかと。そもそもそういった違法な広告がなければ、誤認が生じないわけですから、消費者教育も大事ですけれども、事業者にもしっかり広告の表示について学んでいただいて、きちんと根元から断つというやり方も必要なのかなと思います。
○寺本座長 消費者に対すること、事業者に対する問題、それから、恐らく広告主も先ほどのお話ではかなり重要なポイントだと思うので、それに対する教育と同時に、先ほど宗林理事がおっしゃったように執行、そういったこととある程度両立していかないとなかなか難しいのかという気はするのですけれども、執行ということに関していかがですか。
どうぞ。
○中村委員 執行という話になりますと、基準が明確ではないというところが一番問題だと思うのです。基準がシンプルでないと、なかなか執行するほうも難しい。先ほど野々山委員からもありましたけれども、健康増進法につきましては、どうしても行政側が実証しなければいけないというところがネックになっているところです。ですから、基準をしっかりしてもらって、実証は、事業者ができなければもう執行できるという体制が必要なのかと思っています。
もう一つ、健康増進法につきましての執行につきましては、都道府県に4月から移譲されるのです。ですから、それが本当にいいことなのかどうなのか、基準が非常にぴっちりしていれば多分、ぶれはないと思います。ただ、自治体に行ったときに、ぶれをどうするのかという問題はあると思うので、その辺は国のほうである程度リードしていってもらわなければいけないのかとは思っています。
○寺本座長 よろしいですか。
唯根委員、どうぞ。
○唯根委員 これも野々山委員からの意見書の中にあったように、消費者からの申し出制度の導入ということで、今、おっしゃられたように基準とか、啓発のときに見つけたら申し出ができるというのも一つ、消費者側からすると効果的な関心の持ち方になるかもしれないと思いますので、その辺の制度についてはぜひ設けていただけたらいいと思います。
○寺本座長 ほか、よろしいですか。
どうぞ。
○野々山委員 繰り返しになるのですが、第2回でしたか、消費者庁からの執行の状況報告の中で、景品表示法では執行はできるけれども、健康増進法ではできていなかったということがあります。それは先ほども申し上げましたとおり、不実証広告の制度、これがないということが非常に重要なポイントでありますので、ぜひ実現をしていく必要があるのではないかと思っております。
○寺本座長 どうぞ。
○迫委員 ぜひ、それは入れていただきたいと思います。苦労した覚えがございますので、よろしくお願いいたします。
○寺本座長 この辺は行政にもいろいろとお願いしなければいけないところがあるのではないかと思いますけれども、そのほかよろしゅうございますか。
どうぞ。
○野々山委員 これも繰り返しですけれども、要件できっちりということで、今は「著しく」というファジーな要件があって、それが執行等を行うに対しても問題性を持っているので「著しく」は取ってしまう。健康の関係ですから、事実と異なっていれば、それは問題であるという問題意識で対処すべきではないかと思っております。
○寺本座長 先ほどの言い切りがどうなのかという言葉、要するに、あるところだけ切り出していいのかどうかなどというあたりも、恐らくそれに近いような話になるのではないかと思うのです。
次の問題でございます。「(6)制度制定から20年以上が経ち、特保の商品コンセプトが広がったことにより、特保は『健康増進・食生活改善』という本来の目的からかい離してきたのではないか」「(7)制度発足時と比較して、特保に対する企業側の姿勢が変化してきているのではないか」ということについてまとめて、またこれも御意見をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
迫委員、どうぞ。
○迫委員 ここの部分は、まさに機能性表示食品との関係で揺らいできている部分ではないかと思っております。確かに商品コンセプトが広がったということで、乖離してきた可能性というものはあるわけですけれども、逆にそういう健康増進や食生活改善という本来の目的に戻していくという動かし方が必要なのではないかと思います。
○寺本座長 そのほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○梅垣座長代理 同じ意見なのですけれども、健康の保持・増進、これが特保の一番の重要なところだと思うのです。特保のデータを見ると、例えば3カ月ある飲料をとって1キロか2キロしか痩せなかったというのがあります。本当に消費者に伝えるべき内容が、それだとものすごくわかりやすいのです。3カ月たっても1キロ、2キロしか痩せませんよと言ったら、大したことはないと判断されるので、なかなかそのようには書けない。でも、特保というのはいわゆる健康食品よりはしっかりしたデータがとられている。それが重要で、根拠もないのに表示するというのは問題になると思うのです。
でも、特保をとるだけで健康にはならないので、特保をとって、日々の生活習慣が大事だというのを国民に認識してもらう。それが、国がやるべき健康政策や栄養政策なのです。そのようになれば、恐らく医療費は削減できるはずです。そういう考えのもとに特保の制度を運用すれば、特保はものすごくいい制度になると思うのです。
現状では、いわゆる健康食品との違いの認識という意味しかないと思うのですけれども、もう少し踏み込んで、どう健康の保持・増進に特保が活用できるかというところを、企業の人にも考えていただく。そこのところを考えていけば、特保は非常にいい制度になり、機能性表示食品とは明らかに違うものになると認識していいと思います。
○寺本座長 宗林理事、どうぞ。
○国民生活センター宗林理事 セルフメディケーションではないですが、自分で選択をしていろいろなもの、例えばOTCの医薬品がありますね。そういったものの中で、特保の中でウェイトが大きくなっている生活習慣病に対応する分野ですが、一方、お薬のほうでは、処方箋薬はもちろんありますけれども、OTC化は極めて高いハードルになっていまして、診断と薬の選択は医師のもとでないといけない。というところのハードルが非常に高い状態なのです。そういう中で、時間もなく、ちょっとチェックが入ったような人間ドックの結果を持った人が、この特保というものに、すごく期待をする傾向があるのではないかと思うのです。
ですから、それをもう一つ引き戻して、本来の目的である健康の保持・増進のために、食品の形をしているわけですから、補助的に食生活の中に取り入れて、ほかのこともしながらこれを取り入れていく位置づけで、どのぐらいの期待度であるのかということをしっかりと位置づけるということ、だけれども、その位置づけは第三者がしっかりと有識者がきちんと判断をしているということを、セットできちんと理解していただく形に位置づけるということが大切ではないかと思います。
○寺本座長 ほかに、この件に関しては、よろしゅうございますか。
本来の健康増進、食生活改善ということにもう一回目を戻してもらうという、ある意味で、方法論が非常に問題になってくるかという気はするので、そのこと自体は当然のことなのですけれども、あとはどうでしょうか。企業側の状態に関しては、何か御意見はございますか。
どうぞ。
○原委員 特定保健用食品に対する企業の姿勢が変化してきているのではないかについて、全ての企業が同じ意見を持っているかどうかわかりませんが、特定保健用食品は安全性と有効性がきちんと評価されて、国に認められた機能性が表示できるわけですから、特定保健用食品に対して非常に信頼はあると思います。ただ、機能性表示食品というものが制度化されたことによって、同じ機能性を表示するのでも、特定保健用食品と機能性表示食品はやり方が異なりますので、特定保健用食品の位置付けが若干揺らいでいると、個人的には感じます。
○寺本座長 矢吹委員、どうぞ。
○矢吹委員 この特保の制度が発足して以来の変化という意味では、当初の特保が許可された基準よりも、その後の通知改正などを経て試験条件はかなり厳しくなっています。企業としてはそういう意味で厳密な試験が必要となり、試験費用などもかなり増えているのではないか、観点は違うかもしれませんけれども、そのあたりが違っているところなのかと考えます。
ただ、先ほどから出ているように、そういう厳しくなった試験条件でどういう結果が出ているかというのが、消費者にどこまで伝わっているかというのはそのデータを出す機会も少ないので、なかなか伝わっていないのではないかと考えます。そういう意味では、前回にも出ているような情報開示をどうしていくかとか、正しい試験条件を認識した上でどう摂取してもらえるのかということを少し考えていったらどうかと思います。
○寺本座長 情報開示はものすごく重要で、消費者がわかる形の、これも以前議論したとおりですけれども、内容を少しわかるような形にして開示していくことも必要だと思うのですが、もう一つ、今、矢吹委員がおっしゃったように、特保の試験というのはかなり厳しくなってきているのは事実ですね。ですから、企業としての努力もかなりしていらっしゃるのでしょうけれども、その中で、今度は逆にどう広告していくか、売らなければいけないわけでしょうから、その辺のところで大きな問題が起こっているというのが今の状況で、こういった議論になっているのではないかと思うのです。
次の問題に進みたいと思います。次に「(8)『健康増進・食生活改善』という特保の本来の目的を、表示や広告でもっと分かりやすく表現すべきではないか」ということに関して、今もいろいろな情報開示ということもございましたけれども、そのほか、この件に関して何かございますでしょうか。
どうぞ。
○梅垣座長代理 前回、お話ししたのですけれども、生活習慣、食生活が重要だというのはみんなわかっているのです。わかっているけれども、忘れてしまうのです。だから、常にそういうことが意識できる状況にするのが必要です。国がいろいろなメッセージを広告などで出しても、限界がある。だから、私は企業の力をかりて、特保の製品に当たり前のことを印字して、消費者の人が特保を使うことによってその重要性が常に認識できるという体制が必要だと思うのです。
例えば、減塩とか、当たり前ですね。でも、なかなかできない。でも、いろいろな商品に減塩しましょうと書いてあったら、その重要性が常に認識できる。そうすると、国はお金をかけて宣伝をしなくていい。企業の力をかりて、消費者に正しい情報を伝えることができる。そういう考え方で特保制度を運用すれば、特保はすごく意味がある。また、そういう表示をしている企業さんは評価をしてあげましょうと言えば、企業も協力してもらえると思うのです。私はそういうやり方が、今後の特保の一つの考え方だと思います。
○寺本座長 どうぞ。
○矢吹委員 先ほどから少し出ているキャッチコピーのことなのですけれども、キャッチコピーというのは確かに一部を切り取って、それが消費者に誤認を与えるようなものというのは非常に問題だと思うのですけれども、誤認を与えない範囲のものであれば、逆に消費者に短いセンテンスで正しい知識を持ってもらう、認識してもらうきっかけにもなると思うのです。
キャッチコピーだけではなく、当然、許可表示全体をどう理解していただくかというのがセットにはなると思うのですけれども、ただ、キャッチコピーも一つの広告手段として自由競争の中で許されているものなので、そういう意味で、キャッチコピーだから悪いのだということではないと思います。どのように消費者にわかりやすく理解できるような形で短くして伝えていくのかということを考えれば、キャッチコピー自身を使うことは問題ないのではないかとは思うのです。
○寺本座長 恐らく、キャッチコピー全体がだめだと言っているのではないのだろうと思うのです。基本的にはキャッチコピーで、どこかだけぽっと取り出して、これでいいですという雰囲気になるといけないというのが先ほどのお話ではないかと思うので、キャッチコピーのあり方というものが必要になってくるのではないかという気がするのです。
どうぞ。
○消費者委員会阿久澤委員 表示や広告、もっとわかりやすくということで、この辺については以前に梅垣先生もおっしゃっていたと思いますが、わかりやすくすると正確性を欠く、要するに、正確な表現とわかりやすいは相反するところがあるということかと思います。これはその通りで難しい問題だと思います。ですから、この特定保健用食品の本来の目的を広告などの表現によって正確に伝えることは難しいことです。先ほどの中島さんのお話にもありましたけれども、広告制作に科学的根拠はあまり考えない。したがって広告主、要するに事業主が倫理観をもっと持って、広告や表示内容を決定することが何より重要なことではないかと思います。
そこで、その倫理観をはかることができれば一番いいことかと思います。消費者がそこを評価する仕組みができると、広告主も製品を正確に伝える表現をせざるを得なくなるということになるのではないかと思います。
○寺本座長 その辺の仕組みがなかなか難しいのかと思うので、その辺のところがうまくいくと、先ほど梅垣委員がおっしゃったようにとにかく例えば健康増進とか、そういった食生活が重要なのだということがわかるようなことがあれば、そういった企業に対して表彰するとか、そういうことがあってもいいとか、逆の意味です。そういったことも考えてもいいのかという気は、私もしたのです。何らかの形でそういう具体性を持たせないと、実際の問題として動かないのかという気はするのです。
どうぞ。
○梅垣座長代理 キャッチコピーの話ですけれども、審査をしていると、食生活は主食、主菜、それが一番重要だと私たちは思っているのですが、コレステロールを下げるとか、そちらのほうが表示の文字が大きいのです。だから、それを必ず併記する。食生活は主食、主菜という当たり前のことの下に、別のことが書いてあったらおかしい表示と認識できます。そういう表示の方法というものを考えてもいいのではないかと思います。
○寺本座長 私も全く同意見で、まずはそこがありきという表現が、どうしても必要なのではないかという気はしているのです。その後に、いろいろな効能・効果というものがあってもいいかという気はするのです。
吉田委員、どうぞ。
○吉田委員 キャッチコピーのお話につけ足しみたいな形になるのですけれども、結局今回のアンケートの中で、消費者が選択をする場合には、何で特保を健康食品の中で選んだという中で、国が安全性を確認しているとか、国が有効性を確認しているから、これを選んだ人たちが非常に多い数字で出ている上に、何だかよくわからないけれども、国が許可しているからというのもあったりなどするので、特保は国が担保しているものだから、大きく言ってしまえば、割と盲従的に消費者は、選択をして購入をしているのかなということからすると、キャッチコピーも余り安直にはつけられないのだというのが、今回のアンケートをもって非常に認識が高まりましたので、こういったものも含めて、事業者さんのほうでもこういったことを認識しながら、キャッチコピーを考えていく必要があるのかなというのは、強く感じました。
○寺本座長 迫委員、どうぞ。
○迫委員 ありがとうございます。
キャッチコピーが問題になるわけではなくて、許可表示事項を逸脱したキャッチコピーがあり得る、そのくらいだったら、国の許可を受けている旨、許可表示事項、もう一つ、主食、主菜、副菜、これを3点セットで必ず同じ場所に表示しなければならない形になってしまえば、すっきりするなと単純に思いまして、何より問題なのは、暗示広告だと思っておりますので、そちらはキャッチコピー以上に問題なのではないかと思います。
○寺本座長 暗示広告をどのようにして取り締まるかというは、これもまた難しい問題だろうと思うのですけれども、恐らく皆さん大体共通した認識で、キャッチコピーとか暗示的なものが多くなってきているという事業者側の問題もかなりあるのではないかと、これは広告業者なのかもしれないのですが、ですから、ある意味で、事業者並びに広告業者もある程度視野に入れた形の規制は、必要なのかもしれないという気はしております。
最後の「(9)違法な表示・広告に対する対応は、執行機関によってどのように担保されているか」ということでありますが、第2回の会合において、消費者庁の表示対策課から現状に関するヒアリングを行いました。消費者庁のヒアリング概要は、参考資料3の4ページに記載されております。また、本日、野々山委員からも御意見が出されております。これらの内容も踏まえた上で、表示・広告の規制、今まで、いろいろと話が出ておりますけれども、不足しているかどうか、また、不足しているのであれば、どういった方策で対応すべきかという点について、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
野々山委員はもう、執行すべきであると。
○野々山委員 もちろん、先ほども出ておりましたけれども、消費者教育においても、この事例については執行したということがわかれば、どういう健康食品が問題なのかということが具体的にわかるわけです。ですから、執行というのはとても大事だと思います。それから、執行事例は事業者の皆さんに対してもこういうものをしてはいけないのだということをきちんと示していくという意味で、非常に重要だと思っておりますので、違反しているものに対しては執行しやすくする、そして、そういう執行体制をきちんと構築していくことが大事だと思っています。
○寺本座長 教育の一つにもなるということだと思います。
宗林理事、どうぞ。
○国民生活センター宗林理事 健康増進法で消費者庁が定期的に調査しているものもありますし、東京都さんなども実名は出てませんけれども、公表しているようなものもありますが、共通して、一向に減らないというところがあるのだと思うのです。その場で、その方には注意しますけれども、実名が出されていないので消費者にはわからないということが一点です。
一定数をやっても、2回やれば2回だけ、2回が3回になれば、数が増えて出てくるだけという状態ですので、これはこの健康増進法の本来の精神である、より健康に見せかける表示というものに対しての執行の脆弱さというか、実際のきちんとした執行というものはなかなかないので、注意とか、そういったところで終わっている。
最終的には景表法を目指すのかどうかはわかりませんけれども、より少しずつ終息してくるというか、減ってくるということで、この表現はだめですということから例示をしたもので、トータル的に減ってくる仕組みづくりがないと、一向になかなか減らないという現実ではないかと思うのです。ですから、それを担保するために今、野々山委員がおっしゃったことも一つだろうと思いますし、もっと問題だった表現とか事業者などというのを、公表を思い切りするとか、そういう幾つかの方策が考えられるのではないかと思います。
○寺本座長 中村委員、どうぞ。
○中村委員 ここも特保といわゆる健康食品を分けて考えないといけないのです。特保はほとんど問題ないのです。多分特保で健康増進法でやられたというものはないと思うのです。ですから、いわゆる健康食品の、特にイメージ広告、それをどうするか。逆に言えば、先ほどの3点セットみたいな表示というお話がありましたけれども、特保を厳しくすれば、結局安きに流れるではないですけれども、イメージ広告みたいなほうに流れていく可能性もあるので、そちらをまずとめないと、なかなか制度的にはうまくいかないのかと、両輪でいくしかないのかと思います。
○寺本座長 ほか、いかがですか。
迫委員、どうぞ。
○迫委員 先ほど中村委員がおっしゃったように、健康増進法の執行の部分が都道府県に移管されていく形になっていくと、ここは本当に明確な区分が必要になってくる、基準が必要になってくる、それと同時に景表法、薬機法、3法の連携体制というものがものすごく大事になってくるのだけれども、執行機関が違ってくるということも含めて、組織づくりを考えなければいないのではないかと思いました。
○寺本座長 なかなか大きな問題になってくるかと。
中村委員、どうぞ。
○中村委員 おっしゃるとおりで、法律が違うと所管が違ってしまうので、そこをどうするかは、これから各自治体で問題になってくるということで、うちの場合は協議会をつくって、試売調査などで商品を買ってくると、協議会で全部見てそれぞれ対応するということをやっています。
ただ、そういう中でも最終的に措置するとなりますと、それぞれの所管がやりますので、その結果の共有とか、結果が出てきて、それの情報共有をどうするかとか、いろいろと難しい問題は出てくると思うので、そのようなことも含めて、ある程度ガイドラインみたいなものがあるといいのかとは思っています。
○寺本座長 どうぞ。
○梅垣座長代理 私は、中村委員が言われたことは非常に重要だと思います。特保をものすごく悪いものだとしてしまうと、いわゆる健康食品というものに流れていく。健康食品というのは、定義はないのですけれども、特保と栄養機能食品と機能性表示食品といわゆる健康食品、それぞれ特徴はあるのです。国のルールに従って、表示をしている製品が保健機能食品で、それに従っていないのが、いわゆる健康食品です。最近、機能性表示食品をかなり問題視する意見はあるのですけれども、いわゆる健康食品よりはずっとましという見方もあります。だから、健康食品という全体像を考えて、それぞれの食品名の製品がどういう位置にあるのかを、消費者の人に認識してもらわないと、特保だけが悪いというと、それは間違いだと思うのです。
健康効果を標榜した食品の全体像をしっかり理解してもらって、どういう位置に特保があるかを考えていかないといけない。何かこういう議論をすると、特保ばかりに注目してしまい、特保はだめなのだといったほうに流れていく。そこは注意したほうがいいと思います。
○寺本座長 中村委員、どうぞ。
○中村委員 それと同時に、やはり事業者サイドに立てば、特保を開発するといいますか、やる意味でのインセンティブがないとなかなか、ですから、特保だったら例えばイメージ広告がある程度認められるとか、そういうものがないとインセンティブは働かないのかという気はします。
○寺本座長 どうぞ。
○原委員 今、中村委員がおっしゃったように、いわゆる健康食品は機能性を何も言えませんので、機能性の宣伝のしようがありません。ただ、悪徳な業者はいろいろなことをやってインターネットで変なことを宣伝して売り逃げしています。それなりの投資をして機能性データを取得して機能性表示をしたい場合、機能性表示食品あるいは特定保健用食品として機能性を表示することになります。特定保健用食品、機能性表示食品にはそれぞれのよさがあるわけですから、それらのよさをもっと良くしていけばいいと思います。特定保健用食品は特定保健用食品のよいところをもっとよくしていく、機能性表示食品にいわゆる健康食品をどんどん取り込んでいく。その結果として、いわゆる健康食品がぐっと減ってくれば、これは非常に健全な方向に私は進むのではないかと思います。
○寺本座長 ほか、よろしいですか。
どうぞ。
○野々山委員 繰り返しになりますけれども、そのためには、違反者に対しての執行をきちんとやらないとそうはなっていかないですね。違反しても放置されているのならみんな違反しますから、そこはきちんと執行というものは担保されないと、今、言った流れにはなっていかないだろうと思います。
○寺本座長 恐らく、違反というものをどう定義するかというかなり大きな問題もありますので、そのようなところも少し考え、違反に対して執行をするという一つの方法論というものはあるので、それに対してはきちんと裏づけをしていかないといけないかなという気はします。
どうぞ。
○野々山委員 ただ、同じような表示がいわゆる健康食品であってもできるということではいけないわけでありまして、特定保健用食品や機能性表示食品など一定の審査なり手続をとったものについては一定の広告ができて、それ以外のところはできないということをきちんとやっていかなくてはいけないと私は思います。そういう位置づけをした上で、執行もちゃんとやっていくということです。イメージ広告などの実質的にどうなのかという判断をしなくてはいけませんし、そのためには推定規定であるとか、ガイドラインとか、そういうものを使ってその辺の仕組み、あるいは不実証広告制度、そういうものをやっていくことが不可欠ではないかと思っています。
○寺本座長 執行という問題になると大きな重い課題になるわけですけれども、その辺のところも少し考えていこうということであります。よろしゅうございますか。
それでは、本日はいろいろと御意見が出されておりますけれども、本日の審議はここまでとさせていただきたいと思います。
きょうの議論を事務局でまとめていただいて、当専門調査会の報告書原案の作成をお願いしたいと思います。
次回の会合では、昨年8月以降の議論内容をまとめていただいた報告書案を事務局から報告してもらい、その内容について確認と議論を行いたいと思います。
事務局から、何か連絡事項はございますでしょうか。
○丸山参事官 本日も、長時間にわたり御審議をありがとうございました。
次回会合ですけれども、3月3日、木曜日、17時からを予定しております。よろしくお願いいたします。
○寺本座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。どうもお忙しいところ、また、遅くまでありがとうございました。
≪3.閉会≫
(以上)