第5回 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 議事録
日時
2016年1月7日(木)16:56から18:38
場所
消費者委員会会議室
出席者
- 【委員】
- 寺本座長、梅垣座長代理、迫委員、中村委員、野々山委員、原委員、矢吹委員、唯根委員、吉田委員
- 【オブザーバー】
- 消費者委員会 阿久澤委員、国民生活センター 宗林理事
- 【消費者委員会】
- 黒木事務局長、丸山参事官
議事次第
- 開会
- 特定保健用食品の制度・運用について(規格基準型に関する補足説明)
- 特定保健用食品の制度・運用について(申請内容の情報開示について)
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:60KB)
- 【資料1】 特定保健用食品の情報公開に関する取り組み(梅垣委員提出資料)
- 【資料2】 管理栄養士・栄養士が要望する特定保健用食品の情報公開について(迫委員提出資料)(PDF形式:439KB)
- 【参考資料1】 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会議事録(平成21年5月29日)(PDF形式:261KB)
- 【参考資料2】 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会におけるヒアリングおよび質疑内容に関する補足説明(矢吹委員提出資料)(PDF形式:338KB)
- 【参考資料3】 食品の機能性表示制度について(消費者庁提出資料)(第4回特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会資料1より一部抜粋)(PDF形式:85KB)
≪1.開会≫
○丸山参事官 それでは、定刻よりも若干早いですけれども、委員の皆様方お集まりでございますので、始めさせていただきたいと思います。
本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」第5回を開催いたします。
本日は、所用により清水委員が御欠席ということで、9名の方に御出席をいただいております。
また、オブザーバーといたしまして、独立行政法人国民生活センター宗林理事、消費者委員会阿久澤委員が御出席です。
では、まず配付資料の確認をさせていただきます。お手元、議事次第の下部に記載されております。
資料1、資料2、参考資料といたしましては1から3となっております。
このほか、メーンテーブルにのみ第2回会議で御確認いただきました検討事項と審議スケジュールの資料を参考として置かせていただいております。不足がございましたら事務局にお申しつけください。
それでは、以降の審議進行は寺本座長によろしくお願いいたします。
≪2.特定保健用食品の制度・運用について(規格基準型に関する補足説明)≫
○寺本座長 それでは、皆様どうも明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いしたいと思います。
それでは、早速議事に入りたいと思います。本日、第4回会議に引き続きまして、特定保健用食品の制度運用について議論を行いたいと思います。本日は初めに、前回、事務局に確認をお願いいたしました規格基準型に移行する際の判断基準について確認を行いたいと思います。事務局の説明の後に、規格基準型に関して矢吹委員から補足資料が提出されておりますので、参考資料2について簡単に御説明いただきたいと思います。その後、本日の説明に関する質疑とあわせて規格基準型に関する御意見をいただきたいと思います。
なお、規格基準型について前回にも議論しておりますので、説明と議論の時間を合わせて都合上30分程度ということでお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
本日はその後、今回の主なテーマであります特定保健用食品の情報公開について議論を行います。特保の情報公開については既に前回までの議論で多くの委員から、もっと公開していくべきとの御意見を頂戴しております。このため、特保の情報公開をより一層行う必要があるということについては、ある程度コンセンサスがとれていると思いますので、本日はどういった情報を、どういった形で情報公開をしていくのがよいかという点について議論を深めたいと思います。この議論のため、本日は梅垣座長代理から、国立健康・栄養研究所で行われておられる特保の情報開示状況についてお話をいただいて、その後に迫委員から、栄養士の立場で開示が必要と感じられている点について御意見を頂戴したいと思います。お二人の御意見に対する質疑は、御発言の後にそれぞれ時間を設けさせていただき、その後、委員、オブザーバー間の議論に移りたいと思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
まず、現在の規格基準型を決定した際の判断基準確認から始めたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。これも10分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○事務局 では、御説明させていただきます。前回、規格基準型に関し御議論いただいた際に、「許可件数が100件を超えていること、かつ、最初に許可されてから6年以上経過していて、健康障害が出ておらず、かつ複数の企業が許可を取っていること」という判断基準が保健の用途ごとの基準なのか、それとも関与成分ごとの基準なのかということを確認するよう御指示を頂戴いたしました。その点につきまして御報告させていただきます。
厚生労働省のホームページを確認いたしましたところ、平成21年に規格基準型を追加した際の審議会の議事録がございました。参考資料1としてお配りしておりますけれども、その議事録によりますと、当時の所管省庁である厚生労働省の説明が載っておりまして、議事録の9ページの中ほど、マーカーをつけてございます。「血糖値と血圧とコレステロールとございまして、私どもの規格基準型の設定を考える上で100件を超えている。それから、6年を経過している。複数企業といったようなことで考えますと、既にこの表で100件を超えているというのはおわかりだと思うんですが、血糖値と血圧とコレステロールで、これにつきましては規格基準型の対象になり得るものではないかと考えたところ」という説明が出ております。これによりまして「100件を超えている」ということの要件は、血糖値といった「保健の用途」に関して適用されていることがわかります。
一方、「最初の許可から6年以上」という要件につきましては10ページでございますけれども、一番下にマーカーを引いてございまして、「資料8で書いてある血糖値は許可件数127と書いてあります。ただ、資料10を見ていただいたときに、デキストリンは104となっております。数字が違うのではないかというような御指摘をいただくかもしれないのですが、資料8の血糖値の127から104を引いた残りの23というのは(デキストリン以外の)別の成分のものでございますが、この別の成分というのは、まだ6年を経過していないということですのでこの表の中には入れておりません」。こういう説明がされております。これにより6年経過という要件は、関与成分ごとに考えているということがわかります。
また、その要件を満たせば即、規格基準型とするのかという点につきましては、9ページの下のほうにマーカーをつけておりまして、「ではこの3つの要件に該当すれば即座に規格基準型に移っていいのか。やはりもう少し専門の先生方の御意見を聞いた方がいいだろう」という説明がございます。要件を満たすことが規格基準型への移行検討の第一歩と考えていたことがわかります。
この理由というのは8ページのマーカー部分でございますけれども、規格基準型についての説明がしてありまして、「安全性はしっかりと見なければいけないという大前提ではあるが、一方でできるだけ早く国民の選択に資する商品がたくさん並んでいった方がいいだろうということで、手続きの迅速化を目的に、既に科学的根拠が蓄積したものはできるだけ早く迅速に、個別の審査をせずに世に出ていくようにしていくことが国民にとってプラスではないかということで、17年の見直しからこの規格基準型ができた」という説明がされております。
したがいまして、この「安全性はしっかりとみなければいけない」という大前提を満たすために、3つの要件を満たしたものについて規格基準型に移行すべきか、専門家に当時意見を聞くという方法だと考えられまして、この基準の原案を作成した委員からも、3つの要件はスクリーニングのための基礎条件であるという発言が記録されています。
この検討を行った平成21年当時、100件を超えているといった要件を満たしておりましたのは、血糖値と血圧とコレステロールの3つでございました。これに専門家の評価を加味した結果、最終的に規格基準型とされたのは、難消化性デキストリンを区分とした血糖値のみという状況でございました。
本日の資料に参考資料3として、前回、消費者庁が提出いたしました前回の規格基準型の関与成分の表をつけてございます。その表の一番下にございます難消化性デキストリンを区分とした血糖値が平成21年に規格基準型に追加されたものでございます。
なお、先ほど御紹介した議事録には、要件が100件を超えることですとか、許可から6年以上とした理由も記録されておりましたので、御紹介させていただきたいと思います。
まず、100件につきましては、議事録にお戻りいただきまして13ページの上でございますけれども、「100件も特定の用途についての申請が出てきて審査すれば、それに関わる作用機序のメカニズムについてはある程度網羅できている。経験は積んでいる。それで、そういうメカニズムに基づいて作用するものについてもある程度の情報が集まっているので、それについての議論は十分できている。それを踏まえて、事務局で安全性なり有効性を審査すればよろしいんじゃないかと理解した」という御発言がされておりまして、他の委員からも同意をされたという状況でございました。
具体的な根拠によって100件と区切ったというわけではございませんで、その程度の数を確認すればという一種のメルクマールとして設定されたと思われます。
一方、最初の許可から6年以上という年数に関する基準については、医薬品の有効性、安全性、品質を再確認する再審査というものがあるのですが、平成17年当時は製造販売許可後6年とされていたことに準拠しているという記録がございました。
なお、規格基準型とする条件をどのようにすべきかという見解を、現在、制度を所管しております消費者庁に改めて問い合わせさせていただきましたが、精査中ということでございました。昨年6月に閣議決定されました規制改革実施計画におきまして、規格基準型の要件見直しを平成28年度上期までに行うことを求められているため、引き続き検討していくということでございます。
説明は以上でございます。
○寺本座長 どうもありがとうございました。
続きまして、矢吹委員から参考資料2について御説明をいただきたいと思います。10分程度でよろしくお願いいたします。
○矢吹委員 それでは、私から参考資料2について説明させていただきます。
先ほどの事務局の説明とダブるところもあるかと思いますが、私なりに調査いたしました結果について報告させていただきます。
まず1なのですが、これは前回の資料の4ページに記載したルール1と2の出典につきまして、確認ということで載せております。このような形で厚生労働省の平成17年2月28日付の新開発食品保健対策室長通知のQ&Aの部分に載っています。
2番目に、資料の2ページ目になりますけれども、前回、議論となりましたルール1における100件の考え方に関連いたしまして、平成17年に規格基準化されました保健の用途、区分、関与成分の当時の許可件数の実績を、表でまとめたものを示しております。
ここに示した数字につきましては、規格基準型特保制度の発足によって規格化された関与成分などについて、公表されていた許可実績の表から協会の特保技術部会で検索し、まとめたものでして、失効品目の関係で多少数字がずれている可能性がありますけれども、先ほどの100件ルールの内容を検討することについては十分可能と考えております。
また、許可件数の数字につきましては、ここに規格基準型に関連する項目のみの件数を示しておりますので、表中には記載していない、これ以外のその他の区分や関与成分も別途あるために、数としては積算しただけでは合わないという形になるかと思います。
ここに示しておりますように、ルール1の許可件数が100件を超えている保健の用途に関する関与成分における100件というのは、先ほどの説明にもありましたように、明らかにおなかの調子という保健の用途を示しておりまして、議論にありました関与成分ではありません。構造の全く異なる関与成分であっても、おなかの調子に含まれる場合には、最初の許可から6年経過して、健康被害が認められない場合には、たとえその許可件数が2件であっても規格基準化されているという状況になっております。
また、食物繊維やオリゴ糖といった関与成分のグループである区分についても100件には届いておりませんので、保健の用途という形になるかと思います。
次に、先ほど説明がありました平成21年度のことにつきましては、先ほどと同じ内容ですので省略いたします。
最後に3ページ目のところで、前回、協会の提案の案について再確認という形で説明をさせていただきますと、あくまでも協会から出させていただいた案というのは、これまでルール化されたもののうち、複数企業が許可を取得するというのを複数のヒト試験で許可取得へという変更だけでして、その趣旨につきましてはここに記載してありますように、例えば難消化性デキストリンの例を記載しておりますが、科学的な根拠データ重視の観点から複数企業が許可取得ではなくて、複数ヒト試験で許可取得とすべきではないかということで提案しております。
前回の協会の提案において最もお伝えしたかったことは、許可件数はかなり右肩上がりに増加していく中で、調査会及び調査部会の審査に係る負担の軽減及び事業者の申請に係る負担軽減のために、規格基準型特保の拡充を行うという観点から、一定のルールをつくって、一定のルールに合致する関与成分については、速やかに規格基準化が検討できるシステムをつくっていただきたいということでして、やみくもに規格基準型とするためにルール変更を意図したというつもりはありません。あくまでも提示しました検討スキームやルールについては一例として示しておりますので、今後の御検討をよろしくお願いいたします。
以上です。
○寺本座長 どうもありがとうございました。
それでは、今のお二人の説明に対する御質問、もしくは本日の説明を聞いた上での規格基準型に関する御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どなたかございませんでしょうか。
○野々山委員 2点あります。1点目は、この100件の要件が保健の用途ごと、そして6年経過の要件が関与成分ごとだということは議事録でわかるのですが、これはたくさんの案件があって、そして、それが一定の期間、被害や事故がなかったということから規格基準化されるということだと思うのです。けれども、保健の用途ごとで100件あればたくさんということで、おなかの調子を整える、あるいは血圧というもので100件あれば、いろいろな関与成分がある中で、これでたくさんだということがなぜ言えるのかが、素朴に私は疑問があるというのが1点であります。
もう一つは、この規格基準型はこの要件だけで決まるわけではなくて、この要件は基礎条件であるという御説明でした。それはそうかなと思うのですが、具体的にさまざまな関与成分が規格基準型になるシステム、誰がどうやって、どういう基準で決定しているのか。この2つをお聞きしたいと思っています。
○寺本座長 いかがでしょうか。これは事務局のほうからでよろしいですか。
○事務局 本日、消費者庁が同席しておりませんので、回答できる範囲でとなってしまいますけれども、今、委員から御質問があった2つ目から回答させていただくと、誰がというのは当時の議事録を確認すると、当時も委託調査が出ておりまして、この3件について専門家に見ていただくために厚生労働省が研究をしてほしいということで栄養研に委託しておりまして、梅垣座長代理が当時、その評価にかかわったという記録がございました。ですので厚生労働省、今で言えば消費者庁以外の学識経験者がその内容について確認をした上で意見を述べて、それを行政が判断資料として取り入れた結果、血糖値だけ当時は規格基準型にしたという状況です。それが制度化されているかどうかという点については制度化されておりませんで、行政側の当時の判断としてそういうスキームをとったということだと思います。
もう一点については、事務局からなかなかお答えしづらいのですが。
○寺本座長 よろしいですか。
○野々山委員 わからなければどうしようもないです。
○寺本座長 梅垣座長代理、お願いします。
○梅垣座長代理 当時の調査は、それまでに許可されている製品を全部見て、安全性が重要だということから、関与成分の難消化性デキストリンについては、保健の用途が違っても多くの製品に入れられているので問題ないだろうと考えていました。許可品は百幾つありました。ただし、個別の要件、例えば血糖値とかコレステロールというものだとそれほどなく、40品目ぐらいであったと記憶しています。その報告書で記載したのは、安易に許可をするのはどうかという点です。何でもいいと言っているわけではありません。重要なポイントは、薬と勘違いされると問題があるので、やはり慎重になるべきだということを報告書では書いています。
もう一点、誰が評価するかというのに関係するのですけれども、当時は厚生労働省に医系の人もいますし、薬系の人もいますし、栄養系の人、複数の人で事務局が成り立っていたのです。ですから、例えば薬と誤認するというところのチェックもかなりしていました。今の体制は恐らく当時とは違うので、当時のままの条件を適用するというのは慎重になったほうがいいと考えています。
○寺本座長 よろしいでしょうか。ほかに何かございますか。
○消費者委員会阿久澤委員 矢吹委員から前回の補足説明としていただいた中で、調査部会の負担軽減、そして、事務処理期間を短縮できるように規格基準型特保の拡充をするために一定のルールに従い、そのルールに合致する関与成分ということですが、前回の御説明ですと、合致すると思われる関与成分にかなり幅があった中での合致と受け取れたのですけれども、今回はこの辺についての御説明がありませんでしたが、どのように考えたらよろしいでしょうか。合致する関与成分というところです。
○矢吹委員 あくまでも1つのルールで、それで可能性があるものについては、まず議論の俎上に置いた上で、議論した上で規格基準型にするか否かは、それは専門家で評価するのか、それともそれもルールで事務局の中でするのかというのは、この方法でなければならないというものではないと思っています。
ただ、1つのルールである一定の要件を満たしたものについては、規格基準化の検討をある時期行っていただきたい。そういうシステムの上でしないと、今の状態というのは先ほども少しお話がありましたように、ルールにある程度パスしていても、評価をする場がないのでいつまでも置いておかれたままになってしまっているという状況にあるという意味で、その上で1つの例えばたたき台としては、こういうスキームもあり得ますという意味で前回は提出させていただいたということです。
個々の関与成分の安全性や、そういうものについては非常に重要なので、そこで評価をした上で、当然のことながら確実にその安全性や有効性が保証できるような規格を設定した上で、規格基準化するのが当然だと思っています。
○寺本座長 ほかはよろしいですか。どうぞ。
○野々山委員 今の矢吹委員のお話にもありましたけれども、基礎条件を今、議論しているわけですが、もっと大事なのは基礎条件をクリアしたものに対して実際に規格基準化してもいいと言えるスクリーニングのシステム、それから、その基準、そして体制です。そういうものがないと幾ら基礎条件の間口を広げたとしても、実際には機能してこないと思われます。
○寺本座長 恐らくその体制づくりは必要なのだろうと思うので、それは私もそう思いますけれども、いずれにしましても、この前、言われていた100件とか6年というルールというのは、あくまでもスクリーニングであって、矢吹委員もおっしゃったように議論の俎上に載せるという考え方で、100件というのも完全な100件という意味ではなくて、ある意味、非常に多くのものがあればそういうことだという、その辺はちょっと曖昧な感じだと思うのですけれども、確かに100件以上あればかなりその辺はある。ただ、結局最終的にこの前のときも難消化性デキストリンという形で関与成分の1つに絞られてきたというところもあるので、そういう経緯を考えるとやはりそういうものになっていくのかなという感じはしないでもない。安全性が非常に重要なので、そこが1つの大きなポイントかなという気がいたします。
○迫委員 今まさに座長がおっしゃられたところと重なる話で、1点は議事録の13ページのところに、先ほどお示しいただいた黄色のマーカーの下のほうのところに、なぜ難消化性デキストリンだけを移すのかというところが記載をされていて、血糖値に関しても100件を超えているにもかかわらず、全体を移すわけではない。つまり関与成分の数が少ないものについては外されるということが、一応ここでも書かれているわけです。そうすると、先ほどの消費者委員会の説明では100件というのが非常に大きな数字として示されていましたが、関与成分も含めて、その両方を勘案して検討していくというような基準にもともとのスクリーニングの基準がなっているのではないかと思います。
○寺本座長 ほかはいかがでございましょうか。あくまでも特保ですので、安全性が非常に重要で、これを満たせば即オーケーという形に持っていくことはできなくて、あくまでも議論の俎上に載せる。逆に言えばそういう議論をする場をつくるという、そういうルールと、その場をつくるという体制をつくることが重要かなというところかなと。
いかがでしょうか。ほかに何か。
○梅垣座長代理 矢吹委員の参考資料2の一番最後に書いてある、国民の健康の維持増進に役立てていただきたいとの一念です、ということは誰もが思っていることで、ここが一番重要だと思うのです。だから検討するときは、本当に国民のためになるかどうかということを考えて検討すれば、それなりの方向性は出てくるのではないかと思います。
○寺本座長 いかがでしょうか。それでは、この前も大分御議論をいただいて、大体整理させていただいて、また、前回お願いいたしました以前の議論についてもきょうは補足していただいたということでございます。この規格基準型につきましては、安全性、有効性の確認が十分にされれば、現在、要件を満たしているというものを規格基準型とすることは可能だろうという結論だと思います。
先ほど事務局から説明がありましたように、過去の決定に当たっては安全性が確認されているということが拡充を決める大前提とされておりまして、そのことは今後の決定に当たっても、きょうの議論もそうだと思いますけれども、変えてはならないという方向だろうと思います。
その上で、前回の議論で出されたように、有効性という面で科学的進歩をどのように反映していくのか、有効性の確認をどのように担保していくのかという点も今後は大変重要な問題になってくると思います。
制度を所管する消費者庁が今後、規格基準型の拡充について具体的に検討を行っていくということですが、その際には実際の申請で出されている査読つき論文などの状況などを十分に踏まえて、これは本来そのとおりなのですけれども、どのようにすれば現状に即して安全性、有効性を担保できるのかということを見きわめ、専門家の意見も聞きながら規格基準型を拡充してもらいたいと考えます。
事務局としては、前回ときょうの議論を踏まえまして報告書として、きょう申し上げたように体制の問題であるとか、ルールの問題とか、そういったことについておまとめいただきたいと思います。
≪3.特定保健用食品の制度・運用について(申請内容の情報開示について)≫
○寺本座長 それでは、次のテーマに移っていきたいと思います。次は特保の情報公開についてであります。これにつきましてはまず梅垣座長代理から、現在の栄養研における特保の情報公開の状況について御説明いただきたいと思います。これも10分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○梅垣座長代理 それでは、資料1をごらんください。特定保健用食品の情報公開に研究所がどう取り組んできたかという説明です。
まず、この特定保健用食品の情報は、研究所が運営しています「健康食品」の安全性・有効性情報のホームページで出しています。このホームページは2004年7月から運営しているのですが、当初、特保の情報は入れていませんでした。他の情報を公開しているときに栄養士の方から、特保、特保といろいろ巷で言っているのだけれども、どういう根拠があって、どう使ったらいいのか情報がわからないからぜひ載せてほしい、特に病院などで使っている人がいるのだけれども、資料がないので掲載してほしいという要望がありました。そういう要望を受けて特保情報を載せるスペースをつくって、情報を2005年4月から出し始めました。
この情報は、基本的には製造業者の方に、記載のフォーマットをお送りして、書いていただいて、研究所である程度細かいチェックというか、どちらかというと形式的なチェックをして、それを企業の方に返して、それで了解を得られたら公開するという方法で掲載しています。当初、ほとんどの特保の取得企業の方に情報を掲載するので協力してほしいと依頼したのですけれども、なかなかお引き受けいただけないところもあって、賛同していただいたところから、提供された情報を載せていきました。
説明資料の1ページの下が「健康食品」の安全性・有効性情報の一般公開ページです。特保の情報は基礎知識というところにもあります。ここ、特保をどうやったら正しくというか、適切に利用できるかという、その使い方の情報を載せています。というのは、例えばこの特保をとれば運動も普段の食事も何も気をつけてなくていいと誤認している方がいらっしゃいますので、どうやって使えばいいかというところを基礎知識情報として出しています。実際に企業の方に協力していただいて出している個別製品の情報は、話題の食品成分という項目にあります。ここに特定保健用食品の情報を出しています。2015年12月22日のデータで282件あります。特保は1,000件以上許可されているのに、なぜ200幾つなのだという指摘をよく受けるのですけれども、終売になったり、現在は売られていなかったり、それから、まだ売る前の製品といったことはあります。そのような製品情報を出すと企業の方が問い合わせとかの対応が大変なので、それは待ってほしいという要望がありまして、そういう製品については情報を出していません。そのような理由があり、実際に載せているのは282件ということになっています。
次のページを見てください。これが実際の情報掲載のイメージです。製品の画像があって、食品名があって、形状、含有量、製造者、問い合わせ先、許可された実際の表示、許可年月日、適切な利用方法、利用上の注意事項という内容を掲載しています。それから、科学的なデータとして、関与成分に関する解説、安全性に関する評価、論文を引用して安全性とか説明されていますから、その情報をヒトと動物と分けて掲載しています。有効性はヒトと動物で分けて表示していて、出典を必ず書いています。出典を書かないで記載するとその元のデータにたどれないという問題がありますから、必ず記述のところには出典を書いてくださいとお願いしています。
企業の方に情報をつくっていただき、最終チェックをして頂く必要があります。そのまま公開はできません。この「健康食品」の安全性・有効性情報のページには、一般公開ページと、登録制の会員ページの2つがあります。会員ページへは、一般公開ページの右上のところに、ユーザー名とパスワードを入力して移動できます。
資料の2ページ目の下は現在の情報掲載のステップです。消費者庁が許可されたときに担当の方から、こういう許可製品が出ましたという連絡をいただいています。その情報をもとにして、こちらから企業の担当者に既定の記載フォーマットをお送りして、掲載情報の作成を依頼しています。企業から作成された情報が届きますと、形式的な確認をします。記述がわかりにくいとか、出典が明確でないときは修正をお願いして、研究所で修正の対応をした情報を企業の方に再度確認を依頼しています。同意が得られれば掲載情報を一般に公開しています。
3ページは会員ページを示したものです。会員ページにはシステム上、公開とか非公開、審議中というマークがついています。審議中というのはまだ同意が得られていない情報で、企業の方から同意が得られたら公開に変えます。それから、公開しないでください、あるいは一旦中止という連絡があったときは、再度、非公開にするというシステムになっています。
この会員ページについてもう少し御紹介をします。見た目は一般公開ページと全く同じですけれども、交流広場というものが画面右上にあります。これは専門職間でいろいろな情報交換できるところです。最初は結構使われていました。今は簡単にSNSなど、スマホなんかで書き込みとかできますので、余りこの会員ページに入って書き込みはされないようになってしまいました。今は余り動いていないという状態です。
資料の4ページ目は特定保健用食品の情報を含めて、研究所が情報提供において注意している事項です。まず1番目は記載内容の出典を明確にするということです。誰かが確認して、これは少し違うのではないかという指摘を受けることはあります。そういう外部の方がチェックできるようにするため、記載の出典を明確にしています。
2番目は、情報はある時点の情報で、将来解釈が変わる可能性もあることです。新しい手法などが出れば異なる結果になります。成分が有効とか無効とか、昔は評価をしようとしていたのです。けれども、新しい論文が出てきたら1カ月ぐらいで丸っきり違う評価に変わることもあります。特保の中の関与成分についても、健康食品の安全性・有効性情報のページ中の素材情報データベースがあり、そこに論文情報があります。例えば血圧に関係するペプチドは、日本の特保では有効だという論文が引用されていますが、海外で同じ関与成分でもう少し多くの人数を対象に試験をしたら無効だというデータもあるのです。ただ、それは条件や対象者も違いますから、日本の特保の情報が間違っているとは言えない。一応そういう情報を素材情報データベースに入れていって、最終的にある時点で総合的に評価できるような状況にしています。実際にはあまり評価はしていませんが、データベースとして運用することによって、いろいろな方が使えるように考えています。
もう一つ重要なことは、情報の記載方法の基本です。研究対象は誰というところ、年齢、性別、国名です。何を摂取したか、どれだけの期間と量を摂取したか、どうなったか、そして出典を書くというパターンで記載することです。そのような記載すると、例えば安全性で余り注意しなくていい方もいらっしゃいますし、すごく注意しなければいけない方もいらっしゃいます。そういう人が拡大解釈したり、過小評価したりしないようにできる情報になるようにしています。
資料の4ページの下はデータベースを介した情報提供の考え方です。情報は消費者の方にわかりやすくというのをいつも言われるのですけれども、消費者の方にわかりやすい情報というのは誤解されたり拡大解釈されたりする可能性があるのです。そこで研究所ではデータベースをつくって、それを現場の専門職の人に見ていただく。専門職は医師、薬剤師、管理栄養士とかアドバイザリースタッフのような方です。その専門職の方が消費者の方に個別に情報提供していただく、というのがかなり正確な情報伝達手段ではないかと考えています。
一方、例えば海外である製品を使って健康被害が出たという情報は早く伝えなければいけないので、それは一般の人もすぐにアクセスして見られるようにしています。このように考えて、2つの方法で情報提供をしているところです。ちなみに、特保の情報はできるだけ栄養関係の人から、消費者とか国民の方に情報提供をしていただき、いいものはうまく利用していただきたい、悪いものは使わない、もしくは間違った使い方をしないようにしてほしいということでお願いをしています。
この情報提供において重視していることは、安全性を確保するために、まず通常の明らかな食品形態のものから摂取してくださいという、我々の基本的な考え方です。健康の保持増進の基本は栄養、身体活動、休養を含めた適切な生活習慣です。健康食品は全てよい、悪いといった両極端の判断ができません。誰がどのように使用するかというところが重要で、こういうところも消費者の方に対して、明確に専門職の人から伝えていただきたいと考えています。
最後のページですが、これは少し私個人の考え方も入っています。特保というのは健康政策とか栄養政策とか、国の政策に関係するほうがいいだろうということです。国の健康政策とか栄養政策を推進する方法の1つとして、特定保健用食品を活用する考え方もあるのではないかと考えます。生活習慣病の原因というのは生活習慣にあって、生活習慣を改善すれば疾病の予防とかリスク低減にも関係するのですけれども、生活習慣の重要性がわかっていても、大体行動が伴わないというのが実情です。ですから、国民が常に生活習慣の重要性を認識できるような取り組みをする必要がある。
その方法として、特定保健用食品の製品にそういう基本的なことを表示する。国が進めたい健康政策とか栄養政策が常に国民に認識できるような取り組みが必要で、特定保健用食品がその意識づけになるのではないかと思っています。
我々はいろいろな情報を今まで提供してきたのですけれども、なかなか一般の消費者までは伝わらない。だから企業の方の力を借りて国が情報提供をする手段として特保を位置づけたら、特保の制度は本当にいいものになるのではないかと思っています。その1つのイメージとして特保の製品に図で示したマル1とマル2という表示をするという考え方です。マル1に国の健康政策、栄養政策として国民に常に認識してほしい事項を表示する。例えばちゃんとした食事が大事ですよとかを書くということです。それから、マル2に企業の方が製品でアピールしたいことを表示する。この2つを常にセットにする。マル1が書いてあればマル2で消費者が拡大解釈は余りされないだろうと思っています。マル1がなくてマル2だけだと、これさえ飲めば何をしてもいいのだと思ってしまうのです。マル1とマル2を必ずセットにしてやれば誤解がないという私個人の考え方です。このようにできれば特保の存在意味は非常に出てくると思っています。
以上です。
○寺本座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御発言に対しまして何か御質問がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。
○国民生活センター宗林理事 梅垣先生のスライドの中の3ページのところにイメージと書いてございますが、例えば関与成分についての解説から始まって、ヒト試験のところあたりがかなり具体的に書かれているのでしょうか。というのは、企業の方に個人的に申し出ればRCTのグラフをいただけるのですが、どういう集団で、どのように、どのぐらいの差があったのかという実際の数字を最後見られることが特保の場合、なかなか難しいのだと思うのです。それは一般の国民にとって全部必要かどうかという問題もありますけれども、こういったことが公開されていれば次の企業が、次の試験設計を立てて審査を短縮していくのに、大変役に立つのではないかと思うので、それをお聞きしたいのだと思います。
それから、お答えを聞いてからもう一点だけお話したいことがございます。
○梅垣座長代理 かなり詳しくは書いてありますけれども、どこまで詳しくというと、なかなか難しいです。例えば体脂肪関係だとBMIが25以上の人を対象にし、それで効果があったと書いてあれば、やせている人はほとんど摂取しても意味がないというのも読めます。特保の安全性の試験は、BMIが普通の人で検討されています。どういう方を対象にしてどうなったかというのは書いてあります。ただ、どこまで詳しく書けばいいか、そこがバランスの問題で、余り詳しく書くと読めなくなってしまいます。ある程度基本事項を入れて書いてはいます。
○国民生活センター宗林理事 と申しますのは、今のお話はよくわかるお話なのですが、例えばウエスト周りの体脂肪表面積みたいなものについては、RCTのグラフを見ても最初ゼロから始まって、どれだけ差があるかという数字だけしか書いていないのです。差があることは12週間とかの中でわかるのですが、もともとがどのぐらいの、BMIとは違ってウエスト廻りの面積や体積がどのぐらいからどのように減ったのかというのが全くわからないと、これが自分にとって、あるいはどのぐらいの人にとって意味がある数字なのかというのがわからないという感じがいたします。
もう一点、外れることも含めて私の意見なのですけれども、もともと一番最初の会議からも少しずつお話をしておりましたけれども、次長通知の中で試験設計をするときの母集団の設定でございます。母集団の設定はこの中を見れば細かく書いてありますけれども、血圧も含めてですが、境界域だけではなくて軽度の高血圧症の領域までを含んで母集団を認めているということでございます。矢吹委員の最初にお話があったときも、血圧159までの人まで大丈夫というように具体的にそれを置きかえたら、大変な言葉になって見えたわけですけれども、基本的には150の方であればお医者さんに行ってお薬を飲まないとというように思い、この特保に頼ってお薬を飲まないというのは、ある意味、次のイベントを考えると余りよくないことではないかと思うのです。
ですから、そういうテスト開始時の状態も含めて、どういう集団で試験をしたのかがわかるようになっているかということと、もっと言えばどういう集団が試験の母集団としてオーケーなのかという次長通知の幅が、特保で言っている健常者境界域を超えたところまでが入っているというのが、制度として試験系と摂取対象者がずれているのではないかと思います。
ですから、ここは確かに差は出にくくなって、企業の方は大変かもしれませんが、そこが今ブラックボックスで消費者がわからないままに血圧に良い。というように思っていますが、実はどのような状態の効果なのかわからないわけです。ですから、次長通知の母集団を境界域までで絞るべきと思いますし、最低限どのような方が、最初どうだったのがどのように変わったのかという絶対値を加えて表現をしていくということをしないと、血圧だとまだよくわかるのですけれども、体脂肪のウエストのところなどは12平方センチ変わったといってもどのぐらいなのか、MRIでどのぐらいのものがどのように減ったのかということがわからないので、そのあたりも非常にわかりにくいところだと思います。
以上です。2点、意見もありましたけれども。
○梅垣座長代理 ちゃんとお答えできるかわかりませんけれども、試験方法で境界域というのは指定してあります。ただ、私も実験をしていますが、そういう人は影響が出にくい。例えば体脂肪でBMIが正常な人では全く影響はない。でも、それは言いかえたら普通の人には問題は起こさないということに言いかえられるのです。
データをとるとき病気の人を使うのは問題ですけれども、ある程度科学的なデータとして、本当に効果があるかというのを示すためには、私はもう少し対象を広げてもいいと思います。問題はそこから得られたデータをどう利用するかなのです。誰がどうやって特保製品を使うかというのが重要です。どういうデータをもとに許可するというのも重要ですけれども、ちゃんとしたデータがあって、それをもとにして製品をつくって、どうやって使うかというのが最も重要と考えます。1ページの下のところですけれども、特定保健用食品の利用に関する基礎知識情報で、特保をどうやって使うかという説明しています。特保だけ使っても生活習慣を改善しないと、ほとんど利用する意味がありません、とまでは書いてはいませんけれども、それに近いことは書いてあるのです。今いろいろな製品が出て、消費者の人が使っていますけれども、本当に正しく使っている人がいるのかどうか疑問です。
この検討会の第1回目にもお話しましたけれども、生活習慣の改善に取り組んでいる人は特保を利用していい効果がある。何もしないで特保だけ使っていればいいと思っている人は、ほとんど効果がないようです。結局、普通の食品をとっているのと同じなのです。だから科学的データは必要なのですけれども、今重要なのは、特保をどう使うかというところだと思います。本当に健康にいいのはどういうことかというのを消費者が常に認識できるような取り組みをしていかないと、今の特保はいつまでたっても国民の役には立たないのではないかと考えています。
○国民生活センター宗林理事 梅垣先生のおっしゃることはそのとおりだと思います。特保はそういうようなものだと私も思っています。ですから、そういうものであることがしっかりわかることが国民への周知で大切なのですが、一方、科学的根拠となっているところのデータ取りのところが確かに差が出にくいこともわかりますし、健常者で差が出ないことが安全性の担保にもなっているということもわかるのですが、この前、矢吹委員から出てきたものを見て本当にはっとしましたが、こういう人たちに対してというように具体的にわかりやすく表現したほうがいいというときに、血圧が159までの方というように書かれてしまうと、これはとんでもなく誤解を招く表現になりますので、試験系のときに実際は150の人ですかというのがどのぐらいあるのか。かつて昔はあったと思うのです。でもWHOの正常値もだんだん下がってきたこともあって、そういうことの影響もあるかと思いますけれども、今の時点で150という母集団の設計でRCTをもしとっていたとすれば、それは特保としては不適切ではないかと思うわけです。
○矢吹委員 少し言わせていただきますと、あのときの例としましては、対象者について曖昧な単語での定義だと非常に消費者が理解しにくいので、そういう意味で数値みたいなものでわかりやすい形で述べたほうが消費者も対象者がわかりやすいのではないかということで、その例がたまたま血圧だったものであり、しかも根拠として通知に試験の対象者という範囲で記載されたものを使用した結果、あのような表現になっています。そのため、表現として境界域までの表記にとどめるということであれば、それも1つだと思います。そういう意味であくまでもあの表現を書かなければならないという話ではなくて、事例としてということで御理解いただければと思います。
○国民生活センター宗林理事 矢吹さんの表現を何とかと言っているわけではなくて、それを見てはっと気づいたという意味で使わせていただいただけでございます。ですから境界域でもいいのですが、そもそも特保の試験をいわゆる軽度の高血圧あるいはLDLコレステロールも割と高いところで、もし試験しているものがあるのかないのかも私たちには公開されていないのでわからないのです。そういったことが公開されるべきでもあると思いますし、公開されたときにいわゆる疾病に該当するようなところのもので試験をされているものが多いということは、やはり不適切ではないかと思うという意見でございます。
○寺本座長 そのときに私も一緒にいろいろ考えた者の一人なのですけれども、基本的に生活習慣病というものの考え方が、それを超えたらば例えばお薬を使うという類いのものではなくて、ある一定の正常値を超えた軽度の異常の方が生活習慣の改善をすることによって正常化していく。それが非常に重要であるということが生活習慣病という疾病群の考え方になるわけです。ですから例えばある程度軽度高血圧というものが入ったとしても、その人たちが生活習慣を改善してくれることによってお薬を使わないで済ますことができる。これが基本的な生活習慣病の我々が診療している側のスタンスなわけです。
そういった中で問題になるのは、先ほどもお話がございましたけれども、これを飲んでさえいれば下がるんだという考え方になると困るので、梅垣座長代理がおっしゃったことは非常に重要だと思うのですけれども、その前に重要なことは、塩分の制限だとか何だとかいろいろな生活習慣の改善することが前提であって、それを助けるものとして特保というものがある。私も動機づけとしてそういうものがあるという考え方というのはいいと思っていて、1つの方法論だろうと思うので、前段がなくなってしまった特保というのは非常に危険だというのはおっしゃるとおりで、問題になってしまうのだろうと思うので、その辺のところ、生活習慣の改善で抑えられるものが生活習慣病であるということをきちんと認知していただくことが重要という気がするのです。恐らくあのときもそういったような理由で、したがって、かなり高度な高血圧を扱っているわけではなく、軽症高血圧というものを扱う。そこまでが対象者で、境界型から軽症だというところがあったかと思うのですけれども、それがそのレベルになっていたのだと思うのです。ですから、それも1つの考え方だろうと思いますので、ここの議論とはまた別になりますけれども、補足だけさせていただければと思います。
○国民生活センター宗林理事 私も意見になりますので、数値が特にWHOの正常行が下がる方向で変化しているとの関係で言えばということです。
○寺本座長 そうなのです。1つだけ取り上げて、例えばその方が合併症を持っていたら大変なことになるわけなので、合併症のある方は全然別なので、その辺のところは間違いないようにしなければいけないだろうと思います。
どうぞ。
○吉田委員 発表ありがとうございました。
私がお伺いしたいのは、8ページ目のところのデータベースを介した情報伝達の考え方というところで、要は特保の情報が欲しいなといったときにこちらにアクセスをして、開示された情報を閲覧できるというところの中で、消費者が直接知りたいと思ったときに、先ほど梅垣座長代理から御説明があったように、余りわかりやすい言葉とか平易な言葉で書くと拡大解釈をされたり誤解をされたりしてしまうから、それを避けるということからすると、ここで公開されているいわゆるデータというのは、ある程度医師とか薬剤師とか管理栄養士さんのような国家資格を取った人でないと読み解けないような内容なのかなというところをお伺いしたかったのです。
○梅垣座長代理 ある程度読んで理解できるような人を想定しています。専門的な用語も若干使っているところもありますが、掲載場所によって違います。一般の人が誰でも見られるようなところというのは、割とやわらかい表現をしていますけれども、素材情報データベースという個々の成分の情報を出しているところでは、例えばRCTがどうのこうのといった専門的な用語は使っています。
○吉田委員 ありがとうございます。そうすると、ここで言う矢印がこうあって、要はここで見るものは消費者も直接同じものが見られるということでいいですね。
○梅垣座長代理 そうですね。
○吉田委員 そうすると、ずっと議論になっていると思うのですけれども、今後消費者にいわゆる特保の情報も、機能性表示のように情報開示をしていかなければいけないと言っている中で、情報開示の伝え方といいますか、その辺は余り平易なものにしてもよくないし、難しくすると今度は消費者が読み解けないという中で、かなり伝達の仕方は難しいとお考えなのでしょうか。
○梅垣座長代理 確かに難しいと思うのですけれども、専門職の人があちこちいます。医師、薬剤師、管理栄養士、保健師の人もいます。例えば特保の許可を取得している企業の方で、アドバイザリースタッフという資格を取っていらっしゃる方がいるのです。そういう人たちを全部含めて、そういう人が、身近な消費者の人にお話をされるときに、ここのデータベースの内容を使って説明をされるのがよいだろうということです。
○吉田委員 ありがとうございました。
○寺本座長 どうぞ。
○迫委員 実際に特保の製品情報、素材データベース、こちらを常に使わせていただいている立場でございます。梅垣座長代理がおっしゃったように、素材データベースのほうはかなり大量のデータがあり、特保についてはかなり整理された情報が入ってきている。私どもが実際に栄養相談等々を受けていく中で早急にデータが欲しいというときには、このような整理された情報が欲しいと思うところでございます。
1点、梅垣座長代理にお伺いしたいことがございまして、2ページの図なのですけれども、282件に実はこだわりを持っておりまして、この製品情報は事業者さんの承諾が得られたものと先ほどお話があったわけですが、この282件以外で掲載拒否という事実があるのかないのか。
もう一点は、4ページのところの同意が得られた情報公開ということなのですが、実際に不同意情報が具体的にあったのかどうかというところをお伺いできればと思います。
○梅垣座長代理 今は、不同意は余りないです。最初は協力してくれないところが多かったです。掲載にはお金などを一切いただいていないので、別に企業にとっては悪くはないと思うのですけれども、協力してくれないところが多かったのは事実です。最近はかなりの企業さんが協力してくれます。まだ販売していないとか、この製品は販売をやめたという企業さんの事情があります。その場合は、該当する情報を非公開にしてくださいという連絡があり、その都度対応しています。
掲載の不同意情報はほとんどありません。最初に依頼したときに、同意して作成していただいていますから、不同意は今までは1件もございません。
○迫委員 ありがとうございます。
○寺本座長 それでは、次に栄養士の立場からということで、迫委員から御意見を伺いたいと思います。これも10分程度でお願いしたいと思います。
○迫委員 資料2「管理栄養士・栄養士が要望する特定保健用食品の情報公開について」ということで用意をさせていただきました。
1ページ目、国民の方々が食品に関する情報、食情報をどのように得ているのかというところが左側に記載してございます黒いラインでございます。マスコミはもちろんのこと、市町村の保健センター等々自治体での情報提供、病院とか診療所、福祉施設、学校、職場等々、食が伴うような場面、さまざまなところでその対象者の方々に対しての情報提供が行われるということで、それぞれの場面に必要な情報がきちんと届くということが重要であろうと思います。
3ページ、私どもがかかわる対象者はどういう方々なのかということが、健康状態による区分とライフステージ別の区分として記載してございます。特に特保に関しましては、健常者、一次予防のところを中心にしつつ、一部、生活習慣病の予防にも視点を置きながら利用されていくべきものです。特保が三次予防にかかわるということは非常に大きな問題が発生するわけですが、これは次回の議論になろうかと思いますけれども、広告等の中では逆に三次予防に近いような表現がされていくことが大きな問題点としてあるのではないか。
ライフステージ別の対象区分の中では、何と言っても実年期、中高年期、高齢期、特に高齢期が中心になって利用しているかもしれません。その一方で学童期、思春期という比較的若い世代に関しましても利用が進んできているという、過去の状況とは変わってきていることからすると、先ほどのフィールドの中にありました学校等々で働いている管理栄養士・栄養士についても、特保の情報は重要になってくるということでございます。
次のページに、それでは実際に私どもがどのように対象者の方々とかかわってくのか。特に食生活上の問題がある方々に対して、これは4ページ目になりますが、栄養ケアプロセスの中でかかわっていくということをお示ししております。栄養ケアの過程ということでスクリーニングをした上で、栄養状態についてのアセスメントをし、その結果からどこに問題があるのか、その問題点を診断し、その問題点に対して栄養介入を行い、状況をモニタリングしていく。このような手順の中で対象者の方々とかかわっていく。
その実際のアセスメントの状況につきましては、項目が5ページのところに記載してございます。栄養ケアプロセスのアセスメント項目の中で特に特保と関連するところは、食物/栄養関連の履歴の中で、食物・栄養素摂取状況。それから、栄養補助食品がどのように使われているのか。それから、信念というところも若干かかわってくるところで、これは特保だけではなく健康食品等々も含めて、それさえとっておけばいいんだと思いがちな方々なのかそうでないのか。基本的な食生活に対する考え方等々を、この知識とか信念という中でも把握をしていき、そして実際に入手しやすさ等々も見ていくということで、それぞれの食品がどのように使われているのかということを把握していくことになります。
次のページに症例を1つ出させていただきました。日栄次郎さんという架空のお名前でございますけれども、糖尿病があって、脂肪肝があって、脂質異常症という状況の方で、コンビニの店長さんを想定しているものでございます。不規則な生活時間のために、食事は揚げ物中心の廃棄弁当などを食べている。このような揚げ物中心の弁当を食べているということは、御本人が問題点として自覚している場合には、そこに強い健康志向が発生してくる可能性がある。ですから単に廃棄弁当を食べているということではなく、それに対してそういう食品を食べることに対して本人がどのように考えているかというところもあわせて把握していくことになります。
また、あいた時間にジュースなど、絶えず何か口にしているという状況の中で、特保に限らず、機能性表示食品、健康食品等々、そのようなものがどのように口に入っているのかということも把握していくことになるわけでございます。
このようなアセスメントを経て、その次の7ページ、栄養状態の区分で6つに分けているわけですけれども、1番の適切であれば何ら問題はないわけでして、欠乏状態が2と3、4番と5番が過剰状態。この事例であれば5番の栄養素の過剰状態というところの中で、エネルギー摂取の過剰に加えて、もしかしたらビタミンその他機能性関与成分等々についての過剰状態等があり得るのかどうかというところが気になってくるわけでございます。そのようなところを判定していって、そして次のページになりますが、実際に食物・栄養を提供するという、これは病院とか福祉施設、学校等々で行われるわけですが、実際の食事提供を通じての介入。それから、栄養教育、栄養カウンセリングでは今、現実にその方がとっていらっしゃる食品に関して具体的な情報提供をしながら、よりその方の実態に合った食品、必要な食品、そしてこういうものなら変えられる。そのようなところを踏まえてカウンセリングを通じて御本人に決定していっていただく。そんなプロセスを通るわけでございます。
9ページ、そのような状況の中で特保とかさまざまな健康食品、機能性表示食品を含めて記載してございますが、現状での情報提供がどうなっているのか。容器包装での情報提供、ホームページでの情報提供を記載させていただきました。
まず一番上のグレーゾーンにつきましては、いわゆる広告の部分でこういうところに非常に大きな問題があるのではないか。ラインの太さで示させていただいておりますけれども、広告等々で問題の部分をグレーで示させていただきました。
容器包装から得られる情報は、ブルーの色で記載しております。容器包装の中で商品名、名称、原材料名、栄養成分量及び熱量等々、これは全ての食品に共通項目でございます。また、分類、関与成分とその機能性、摂取目安量、栄養機能食品にあっては表示基準値に占める割合がパッケージの中から見られるわけでございますので、このような情報は既に公開されている。表示しなければいけない情報となっているわけで、私どももきちんとそこを確認することになります。
消費者庁のホームページの中に左側の2つ、特定保健用食品に関しては関与成分、区分、許可日、許可番号等々が記載されておりますし、機能性表示食品については製品情報、科学的根拠、表示事項等々が公開されているという状況になります。
先ほど梅垣座長代理から御紹介がありました健康食品の安全性・有効性情報が、私どもにとっては非常に重要な情報になっているところでございまして、特定保健用食品の製品情報282件と被害情報、素材情報データベース、この3つを確認しながら先ほど来のアセスメントから診断、そして介入というところにつなげているわけでございます。
このような状況の中で、私どもが要望する情報といたしましては、何と言っても先ほど御紹介いただきました国立健康・栄養研究所のホームページでの特定保健用食品の製品情報の充実で、これは日本栄養士会のホームページからもリンクを張らせていただいておりまして、常に見られる状態になっています。このような情報について、先ほど製品として出されている全ての特保情報が掲載されているということでしたので、「全ての特保の情報が必要」という、ここの部分はクリアされていると考えているところでございます。最低限この情報は絶対に欲しい。
それ以外に欲しいものは一体何なのだろうかと考えたときに、関与成分に関して摂取の上限値。なぜこれを出したのかというと、機能性表示食品の中にさまざまな関与成分があって、健康志向の高い方々はそういうものを意識して選択するようになってきたときに、総合的な上限値というものはどこがお示しするのだろうか。これは絶対に欲しい情報だなと思っております。関与成分同士の相互作用、これは同一製品の中にはそのような情報があるかと思いますけれども、これも関与成分同士を客観的に評価した相互作用が示されると大変ありがたいと思いますし、医薬品との相互作用、服薬されている方々で本来こういうものは利用するべきではないのだけれども、どうしてもそういう選択をされるという方々に対して具体的にお示しできるような情報が欲しいと思うところでございます。
最後に、被害情報は時系列で出されているわけですけれども、こういうものを一つ一つ拾っていくというのは本当に大変な作業になってしまうものですから、どこかで被害情報を集約した形でその情報が見られるようなスタイルにならないだろうかと思っております。
今回、特定保健用食品の情報公開に関しての要望ということでございますけれども、そこには機能性表示食品との関連性の中で、機能性表示食品については国の審査がないものですので、全ての情報を出していただいてきっちりと見させていただく。特保に関しては国の審査があって、有効性、安全性について審査をされた上で許可されているものですから、情報公開を充実させていただくことは非常に重要だと思うのですけれども、機能性表示食品並の細かいものよりも、ざっくりまとめた的確な情報が欲しいというところでございます。
○寺本座長 どうもありがとうございました。
では、ただいまの御発言に対して何か御質問があればお伺いしたいと思います。いかがでございましょうか。
○梅垣座長代理 先ほど私がお答えしたことが少し間違っていました。全ての特保の情報をホームページに公開しているわけではありません。どことは言えませんけれども、ある企業の方は少し載せるのを躊躇しています。現在、どこの企業が製品を出している、どこの企業が製品を出していないというものを全部チェックすることができていません。本来ならば全ての情報を出すべきなのですけれども、売っているか売っていないか、その都度問い合わせをしなければ対応できません。どれぐらいの特保製品の情報が抜けているかというのは実は把握しておりません。
○迫委員 そういうことからすれば、もう一度全ての特保の情報が欲しいということですし、逆に公開しないのであれば、公開していないという情報がほしいというようになります。
○寺本座長 どうぞ。
○野々山委員 先ほどの梅垣座長代理の御報告にあったホームページ、私も見させてもらいました。結構わかりやすい内容です。梅垣座長代理の資料3ページのところで、特に私どもがよくわかるのが緑で囲った2つの枠の中の左側のほうに記載してある事項の情報です。そこの記載は割とわかりやすく書いてあって、一方右側の枠に記載してある事項の情報は読めばわかるところもありますが、専門的なところはよくわからないところがあるわけです。質問は、栄養士としてこの内容の情報でほぼ役に立つ、この内容で十分なのでしょうか。
○迫委員 関与成分に関する情報については、若干少ないと思っております。やはりこれは事業者の方が同意された情報となりますので、もう少しあってもいいかなと思う部分もございます。全ての商品ではなくて、一部そういうものがあるかと思っています。ただ、先ほども少し申し上げましたように、国が審査をして、許可をしているという重み、機能性表示食品との違いを明確に考えていけば、特保は有効性と安全性についてはきちんと審査をしていただいているという状況の中で、具体的に栄養指導をするときに必要な情報ということで見させていただいております。
○野々山委員 私自身の問題意識は、これらの情報は義務化する、公開を義務化することが必要であると考えています。全ての特保の情報は公開されるべきである。しかもこのホームページで公表されている内容を公開しない企業があるということはなぜなのかと思っていました。ホームページを見る限り、企業にとって特に隠すべき情報ではないように思っています。ただ、本当に専門家の方がさまざまアドバイスをしていく上において必要な要素がほかにあるのであれば、その要素は何なのか。それについては公開したくないという要請があるのかもしれないという問題意識があってお聞きしたのです。このホームページの内容であれば基本的にはそんなに企業の方が恐れる、企業秘密が漏れるということでないように思うのです。そういう意味で義務化すべきだと考えています。
○寺本座長 迫委員、どうぞ。
○迫委員 まさに今おっしゃっていただいたように、どこがというところでは客観的な立場から国立健康・栄養研究所が一番いいかと思いますけれども、これに必ず登載するという義務化をしていただきたいと思っております。
○寺本座長 梅垣座長代理、どうぞ。
○梅垣座長代理 迫委員の10ページのところに書いてあります関与成分の相互作用、医薬品との相互作用というのは非常に重要なのですけれども、食品として製造するといろいろな原材料が入ってきます。ですからこの関与成分で相互作用があるかないかというのは、研究所で情報収集が難しい。そこで必要なのは各企業の方が、被害情報の収集とか、自分のところの製品に対して本当に医薬品との相互作用があるのかないのかということを、全ての製品中の原材料を含めてチェックしていただかないと情報は記載できない。そのところは企業の方に努力していただく必要があると思っています。
○寺本座長 迫委員がおっしゃっているのは、製品ではなくて関与成分と医薬品とか、そういうことですか。
○迫委員 そうですね。今、梅垣座長代理のお話も聞いて、それも欲しいなと思いましたけれども、私が一番欲しいと思ったのは、関与成分がいろいろと出てきている中で、それが客観的に見て大丈夫なのかどうか。多品目、多量摂取という時代にこれから入っていったときに、本当にそれを食べて、飲んでいて構わないのかという、そこの部分です。
○寺本座長 我々もよく思うのは、ペプチドとかああいうものが含まれているものというのは、あるものと一緒に使うとよくないということはあるわけですから、そのような関与成分と医薬品とか、関与成分と何々ということはあってもいいのではないかという気はします。
矢吹委員、どうぞ。
○矢吹委員 先ほどの話の中で、企業が載せるのをためらっているというところがあるというのは、個別の企業の内容というのはなかなか私どもも把握できないのですけれども、少し話が出ていますのは、例えば書く内容について規格基準型とか再許可のようなものは、その製品で有効性試験をしていなかったりとか、そのような事情があるものですから、どの程度の、どのデータを、どういう形で載せていけばいいかという明確なルールがないので、なかなか書きづらくて出しにくいという話は出ています。ですから事業者としても消費者に正しい情報を伝えるという意味で情報公開は賛成なのですが、ただ、どのようなフォーマットで、どのような内容を、どう書いていくのかというのをきちんと決めた上で、先ほどのような義務化なり何なりという形にしていただけたらいいのではないかと思います。
○寺本座長 宗林理事、どうぞ。
○国民生活センター宗林理事 私も公開をしていただきたいという意見です。もともとは多分、新しい関与成分を特保にするとき、企業として大変な費用がかかったということから、その部分について細かく詳細を公開することは後発の事業者が同じ関与成分を試験するときには、逆に楽になってしまうということから、企業秘密という意味から公開されなかったと思ってきましたけれども、機能性表示食品との兼ね合いもありますし、梅垣先生のところのネットのところで押しなべて、どういう試験系でやって、どういう差があったのかという一定のフォーマットできちんとグラフなり何なりということでお示しいただくことが一番いいと思っています。
先ほども少し言いましたけれども、差がどのぐらいあったのかというのは、相対的にn数が変わるとすごく小さくても差が出たりということなので、どのぐらいの絶対値の差があったとき、被験者の状態も含めてわかるとありがたいと思います。自分はどれを参考にすればいいのか、消費者が見たときにわかりやすい数字としてそれがどのように変化したのかなということがわかる。もちろん飲み方とか運動とか、そのようなことが前提であるとしても、その科学的根拠のところは消費者がわかる形で、自分はそれを見てどのように見ればいいのかなということがわかる一定のフォーマットで載せていただくということがいいと思います。そうすると、今、審査期間を短縮というお話があるかと思いまして、安全性評価は並行的にということだと思いますけれども、有効性のほうも徐々にそういったところで収斂してきて審査期間の短縮にもつながるのではないかと思います。ですから、まずは消費者が見たときにわかりやすい形のものを、きちんと同じように載せていただくという形での公開を望みます。
○寺本座長 もう既に議論のほうにも入ってきているのですけれども、迫委員のおっしゃっていた内容に関しては恐らく皆さんこれで御理解いただいたと思いますので、全体の議論ということで進めたいと思います。
きょうの議論というのは、後ろのほうの参考にございます検討事項(16)から(18)、情報開示についての問題です。そのうちの「情報開示が不十分か」という点に関しましては、最初に申し上げましたように不十分ということで、既に皆さんのコンセンサスが得られていると思いますので、どういった情報をどのように開示していけばよいかということを具体的に議論したい。今ちょうど議論があったところなのですけれども、そのところを少し明確にしていきたいと思います。
初めに(16)にある「どのような内容を開示すべきか」ということと、(17)の「医師・薬剤師等が消費者から相談を受けた際に必要となる情報は必ず開示される方向で、検討を進める必要があるのではないか」という点についてまず御意見を伺いたいのですが、内容に関しましては今、宗林委員からも言われたように、実際に具体的などういう方が対象であるのか、どういったようなデータがあるのかということをきちんと出してほしいということで、恐らくこれがわかりやすくということなのだと思うのです。リファレンスというか論文で出ていて、それを読めというのではなかなか難しいので、わかりやすくということだろうと思うのですけれども、その辺についてはいかがですか。
○梅垣座長代理 わかりやすい情報作成というのは非常に難しく、昔から悩んでいます。わかりやすい情報は誤解されやすいし、消費者の人が私のところで公開している関与成分の情報などを読めるかというと、かなり詳しい人は読めると思いますけれども、読めない人が多いと思います。そこで特保情報の中に図を入れるということも最初は考えたのですけれども、図の書き方によって印象が全然違うのです。図を入れるときは論文からとってきますから著作権が関係してきます。そこも難しいです。なるべく簡単に情報が公開できるような方法として出典をつけて、それを専門職の人が見て出典の内容をチェックして、消費者の方から相談を受けたときに説明していただくというのがいいのだろうという考えで情報提供してきました。情報を載せるというのはかなりの人手と時間がかかります。なかなか研究所で対応するのも難しいという問題があり、できる最小限の範囲で今、対応しているという実態です。
○寺本座長 いかがでしょうか。どのような内容がというあたりに関しましては。
○野々山委員 これらの情報について必要なのが、まず1つは消費者、もう一つは専門家の方。この2つのグループに対して必要な情報が公開される必要があると思っています。その中で消費者からすると適切な使用方法と利用上の注意というものがあり、その2つがきちんとわかりやすく情報提供される必要があるのではないかと思っています。
利用上の注意を見させていただくと、過剰にとってはいけないということと、まれにこういう症状が出るということが書いたものがほとんどだったのですが、都の程度が過剰かということがよくわからないということがあります。そうなると当該商品の情報提供のところには出ないとすても、その当該製品の情報提供の関与成分の部分をクリックするとリンクで、その関与成分とはどういうものか、その関与成分の適切な量、過剰な量の問題とか、あるいはどの栄養素との関係で、あるいは関与成分同士で、また関与成分と医薬品等の関係の中でこういう問題が生じる可能性があるということがわかるような、そのような内容を示す必要があるのではないかと思っています。
あと、専門家の方向けのほうは私はよくわからないのですが、やはり漏れのないようにしておく必要があります。今、梅垣座長代理がおっしゃられたように、文献を当たれば全部わかるのであれば、その辺のところを明確にしていただいて、専門家の方がわかるようにしていくということが必要かと思います。
最後に、被害情報なのですけれども、被害情報は関与成分ごとではなくて製品についても必要ではないかと思っています。あと、お医者さんとか専門家の方が被害情報を書き込めるような何らかのシステム、欠陥車両では国交省の自動車不具合情報ホットラインに利用者の人が書き込めるようになっています。あそこまで自由にするかどうかは別にしまして、少なくとも専門家の方で、例えばお医者さんとか、そういう方が健康食品でこういう症状が生じたとかの情報がわかり、きちんと、こういう医薬品との関係で症状が出たなどがわかってくるようなシステムが必要ではないかと考えています。
○寺本座長 どうぞ。
○原委員 今、野々山委員から御指摘のあった被害情報についてですが、被害情報を特定保健用食品の個々のものに関して企業が公開するのは、事業者にとって非常に難しいと思います。それは自分たちが売っている製品を否定することになりますので。国立健康・栄養研究所のホームページには、それぞれの特保の製品について問い合わせ先が書いてあります。ですから、何か疑義があったときにはそこに電話をかけるなりメールで問い合わせれば、確実にそこの企業の担当者から回答していただけますので、私はそれで十分ではないかと考えます。
あと、個別の特保製品の公開する内容についていろいろな議論がありますが、梅垣先生のかなりの御尽力もあり、国立健康・栄養研究所のデータベースにいろいろな情報が入れられています。今の段階でほぼこれでいいのではないか。全ての特保製品がデータベースに載っていないというのは今後の課題として、私は今のやり方で十分ではないかと思います。
○寺本座長 どうぞ。
○国民生活センター宗林理事 先ほど消費者と専門家というお話がありましたけれども、機能性表示食品も一応、文献類等がついていて、それは一般の消費者はさらっと見てもわからないわけですけれども、載っていればそれを読み解く人がまた伝達もできるということだと思うのです。今、特保のわからない、難しいから専門家を経て伝達。それも重要なのですが、その基となるものがどこかにきちんと載っている。それを読み解ける人を介してでもきちんと伝えるという、そういうステップが必要なのではないかと思います。
○寺本座長 どうぞ。
○唯根委員 消費者ですので、今、宗林理事がおっしゃったとおりだと思います。やはり正確な情報が載っているところがあって、プラス消費者にわかりやすい、それは国立健康・栄養研究所ではない第三者になるかもしれないですけれども、読み解くなり理解しやすくしていただくなり、それはメーカー、事業者さんになるかもしれませんけれども、その2段階があってもいいと思いますので、特保の情報はきちんとどこかに公開していただきたいと思います。
○寺本座長 いかがでしょうか。恐らく今までおっしゃっていることは、わかるわからないは別として情報は全て公開していただきたいということだろうと思います。もう一つ重要なことは、それをわかりやすく整理していただくということが必要で、安全性に関してはこういう論文があるし、有効性に関してはこんな論文があって、基本的な要約の部分がわかるような形にしておくというようにすれば、ある程度のことは読み解けるのだろうと思うので、それは恐らくある程度、でも形として大体そのようにつくってあるわけです。だから今の形をもう少し、もし迫委員が必要とされるようなことがあれば、もう少し考えていただくことにして、それはこれを拡充していけば、ある程度できるのかなという気がします。
もう一つの問題は、これを義務化、要するにいわゆる特保として認められた場合に、これを公開することを義務化するという方向に持っていくかどうかということについてですが、これはいかがでしょうか。
○唯根委員 機能性表示食品自体が情報開示を全部しているわけですから、特保についても逆に公開することでこれだけの作用機序から始まって、事業者さんの苦労も含めてわかるわけですから、義務化したほうが皆さん従っていただけるのではないかと思います。
○寺本座長 恐らく特保のときの議論のときにいつも問題になるのは、特許というか会社自身が持っている特別な手法とか、そういったものに関しては伏せておきたいということです。これは恐らく当然のことだろうと思うので、そこまで恐らく皆さんが情報として必要かどうかというと、それはまた別かと思います。恐らく議論する側としては必要かもしれないけれども、国民がそこまでする必要はない。そうすると、どの枠組みだけがわかればいいということを定めれば、義務化に関して問題はないのではないかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
○矢吹委員 先ほど申し上げましたように、おっしゃれるとおり品質の部分とか原材料や製法などの問題とか、安全性、有効性に直接的にはかかわらないようなところの情報については、一部そういうことはあるかもしれませんけれども、通常のいわゆる有効性、安全性、使用上の注意とか、そういうものについては本来、開示するべき内容ですので、それは制度をきちんと決めて義務化という形になれば、それは事業者としてやぶさかではないと思います。先ほどから出ていますように機能性表示食品もある程度開示されているので、それが必要だという事業者さんもかなり多くいると思います。現実にいます。
○寺本座長 ルールとしても、これはそういうものだとしていただければ、恐らくここら辺の議論はかなりすっきりするのではないかと思うのですが、義務として出していただく内容に関しては、中身を少し決める必要があると思うのですけれども、そのような方向でいかがですか。特にそこは問題ございませんか。
では、一応そのようなことにして、これは例えば梅垣座長代理で今やっていただいているのですけれども、先ほどそことは別のところで説明ということがあったのですが、なかなかそれを今からやるのは恐らく難しいと思うので、梅垣座長代理のところでやっていらっしゃるこれをどこまで先生方に見ていただいて、例えばこういったことがもう少しわかりやすくなるほうがいいですよということがあれば、そこを少し改定していただくのがいいかなという気がするのですけれども、いかがでしょうでしょうか。
○唯根委員 お願いできれば、そのほうが一番信頼性が高いと思います。
○寺本座長 いかがですか。
○梅垣座長代理 それはいいと思うのですけれども、それをするためには予算が必要です。人を雇ってそういう作業、コンピューターで入力したり、データを消したり、企業とのやりとりの事務的なところで、かなりの人件費がかかります。今の研究所の状態ではちょっと難しいと思います。
○寺本座長 (16)の開示主体に関しての所管するところが行政機関である必要があるかということなのですけれども、本来であれば行政機関がやってもいいような気がするのですが、むしろそれを国立健康・栄養研究所なりがサポートするという形でいいかなという気がするのです。
迫委員、どうぞ。
○迫委員 まさにそのとおりだと思います。ぜひとも義務化というところは行政機関が定めていただき、フォーマットも定めていただく。それに対して事業委託という形で国立健康・栄養研究所に資金を含めて委託をしていただくという方法をお願いしたいと思います。
○寺本座長 我々というか、恐らく多くの方はそう思っているのではないかと思うのですけれども、そういうお願いをしたいと思っております。
いかがでございましょうか。開示のことに関しては、先生方が大体のところは一致している内容だろうと思いますし、先ほどの迫委員も大分まとめていただいてございますので、大体こういう内容ということも恐らくよろしいのかなという気がするのですけれども、もしつけ加えることがなければ。
○野々山委員 私は専門家でないのでよくわからないのですが、情報提供として関与成分が記載されまして、適切な含有量などが記載されまして、そして安全性に関する評価が書かれているわけですが、この関与成分を、この特保の食品ではなくて、別の通常の食品からとるということが可能であれば、こういうものに含まれているという情報もあっていいのかなと、我々が使うときに、そのように思います。
○寺本座長 通常、特保というのは食経験のあるものとなっているので、もともと恐らくそういうものが記載されて、作成する場合のもとにあるのだろうと思うので、そういう情報もあればそのとおりだと思います。ですから健康を保つためにはこういうものを食することが望ましいということがわかるようなことであれば、食育につながると思うので、それはすごく重要なことだと思います。
○梅垣座長代理 関与成分のことでおっしゃったことはすごく重要なところです。今、難消化性デキストリンというものが機能性表示食品にも入っているし、特保にもいろいろな食品にも入っているのです。各企業の方は自社製品に対して、例えば3倍量の過剰摂取試験とか、摂取したときに問題がなかったということを検討されています。けれども、難消化性デキストリンに関してはかなりの商品に含まれているので、それを摂取する人は認識できるような状況にしなければいけないです。そのときに重要なのは、表示の中に同じような難消化性デキストリンを含む製品がありますとかいう文章を書かないと、消費者の人はわからない。今後、特保の規格基準のなどでどんどん製品が出てきたときに、かなり注意していかなければいけない。そういうものを迫委員が言われたようなところに入れるというのは、非常に意味があると思います。
○寺本座長 どうぞ。
○迫委員 まさにそこの部分でございまして、例えば栄養機能食品であれば、栄養素基準値に対する摂取割合に対するパーセントで示されています。この機能性の関与成分に関しては、そういうもとの上限値が明確でないものが多いし、そういう研究がこれからされていく可能性はあるかと思っているのですが、まさに難消化性デキストリンに関しては非常に危惧をしているところですし、それに対して何%この製品でとれるのかというあたりが具体的に数値またはグラフで見られれば、消費者の選択には非常に資するものになる。そのように思います。
○寺本座長 よろしいでしょうか。大体そのようなところでよろしいかと思いますけれども、それでは、本日の審議はここまでとさせていただきたいと思います。事務局のほうで本日の議論状況をまとめていただいて、当専門調査会の報告書原案の作成をお願いしたいと思います。
次回は特保の表示・広告について最終的な議論をしていただく予定となります。議論に当たっては消費者委員会事務局が実施している特保に関する意識調査の結果に基づきまして、消費者の特保に関する受けとめについて確認を行いたいと思います。また、コマーシャル、CMのつくり手の方を参考人としてお招きして、制作側から見た御意見というものを伺いたいと考えております。
あと事務局から連絡などはございますでしょうか。
○丸山参事官 本日も長時間にわたりまして御審議ありがとうございました。
次回会議につきましては2月4日木曜日、17時からを予定しております。よろしくお願いいたします。
○寺本座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところどうもお集まりいただきまして、ありがとうございました。
≪4.閉会≫
(以上)