第9回 成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2016年11月29日(火)16:00から19:15

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
樋口座長、池本座長代理、河上委員長、大森委員、増田委員
【オブザーバー】
後藤専門委員
【説明者】
金融庁総務企画局政策課 大畠政策管理官
金融広報中央委員会事務局 岡崎金融教育プラザリーダー
全国消費者団体連絡会 河野事務局長(共同代表)
日本経済団体連合会 小畑経済基盤本部長
日本司法書士会連合会 小澤常任理事
日本弁護士連合会 岩渕副会長
日本弁護士連合会消費者問題対策委員会 瀬戸委員長
日本弁護士連合会消費者問題対策委員会 坂副委員長
日本弁護士連合会消費者問題対策委員会 中村副委員長
日本弁護士連合会消費者問題対策委員会 平澤成年年齢引下げ問題PT座長
法務省 中保大臣官房司法制部付
【消費者庁】
福岡審議官、河内消費者政策課長
【法務省】
中辻参事官
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 関係省庁・関係団体からの報告
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官  それでは、時間になりましたので、会議を始めさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところ、集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ」第9回会合を開催いたします。

議事に入ります前に、配布資料の確認をさせていただきます。

お配りしております資料につきまして、議事次第下部に配布資料一覧を記載しております。不足の資料がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。

それでは、樋口座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.関係省庁・関係団体からの報告≫

(1)金融庁

○樋口座長  それでは、早速、本日の議題に入らせていただきます。

本日は、新たに成年となる者の消費者被害の防止・救済のための対応策について検討するために、関係省庁、関係団体の方々にお越しいただきまして、法教育や金融教育における取組、成年年齢の引下げに関する各団体のお考えについて、お伺いしたいと思います。

関係省庁、関係団体からの報告として、金融庁、金融広報中央委員会、全国消費者団体連絡会、日本経済団体連合会、日本司法書士会連合会、日本弁護士連合会、法務省の7つの省庁、団体から御報告いただきます。

それでは、まず金融庁から、金融教育に関する取組について、御報告をお願いいたします。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  金融庁総務企画局政策課の大畠と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、金融経済教育の状況と、その中でも、若者向けの活動につきまして、御報告をさせていただきたいと思います。

それでは、早速ではございますが、お手元の資料の1ページ目を御覧いただければと思います。

まず現在の金融経済教育にかかる取組の基となった動きから、御説明をさせていただきたいと思います。

金融経済教育につきましては、日本も含めまして、もともと各国で行われておりましたけれども、今から約9年前に、サブプライム問題という問題がアメリカで発生いたしまして、この問題を契機といたしまして、リーマン・ショックなど、世界的な金融危機が発生をいたしましたが、このときの教訓の1つといたしまして、健全な金融システムを維持するためには、金融機関を規制するだけではなくて、金融機関や金融商品を利用する方々にも、金融について、必要な知識を身に付けていただくことが重要であるということが、世界各国で再認識されまして、G20といった場におきましても、この金融経済教育の重要性についての議論が行われました。

こうした国際的な動向も踏まえまして、金融庁の金融研究センターに有識者の方々、関係省庁、関係団体をメンバーとする、金融経済教育研究会というものを設置いたしました。これは、約4年前のことでございます。

ここの1ページ目に書いておりますのは、その報告書のポイントでございますけれども、まず金融経済教育の意義・目的として、3つ挙げております。

金融経済教育を行うことで、金融リテラシーが向上すれば、1つ目、生活スキルを身に付けることができますし、また、2つ目、健全で質の高い金融商品の供給が促され、そして、3つ目、日本の家計金融資産の有効活用にもつながると考えております。

そして、金融経済教育をどう進めていくのかということにつきましては、4点挙げられております。

例えば1.身に付けるべき金融リテラシー、つまり金融について、身に付けるべき知識や判断力ということですが、その部分を御覧いただければと思います。

まず、(1)行動面の重視と書かれておりますが、現代の社会では、どなたであっても、様々な金融商品、例えば貯蓄、住宅ローン、保険、資産運用のための商品など、様々な金融商品を生涯にわたって、御利用になるわけでございまして、金融とのかかわりを持つことは、どなたであっても避けられませんので、生活スキルとしての金融リテラシーを身に付けていただくことが重要である。つまり金融とか、経済についての知識だけではなくて、例えば家計の管理ですとか、将来、必要となる資金を確保するために、長期的な生活設計を考える習慣といったものを身に付けていただくことが重要と書かれております。

ほかにも幾つか進め方が挙げられておりますが、この金融経済教育には、様々な関係者が取り組んでおられます。例えば本日、私の後で報告される金融広報中央委員会ですとか、もちろん学校、あるいは業界団体、これは全国銀行協会といった団体がございますけれども、そうした業界団体、そして、それぞれの金融機関ですとか、NPO団体など、金融庁も含めまして、様々な関係者が金融経済教育を行っております。

一方で、学校ですとか、社会人や高齢者の方々も、金融経済教育に充てることができる時間には、限りがございますので、どうすれば効率的、効果的に進めていけるだろうかということについても、この研究会で検討したわけです。

その結果は、まず最低限身に付けるべき金融リテラシーというものに、焦点を絞りまして、それを関係者で共有しながら、連携して取り組んでいってはどうか。その際には、金融広報中央委員会のネットワークを活用して、金融経済教育推進会議というものを設置してはどうかということになりました。少し長くなりましたが、4ポツの部分に、今、申し上げたことが書かれております。この金融経済教育推進会議で取り組むべき課題に、最低限身に付けるべき金融リテラシーを、金融経済教育を行っている関係者が教えやすいように、年代別に整理して、体系化して、具体化することということが課題として挙げられました。

2ページ目を御覧いただければと思いますが、今、御説明いたしました、金融経済教育推進会議は、平成25年6月に金融広報中央委員会の中に設置されまして、最低限身に付けるべき金融リテラシーというものを、年齢層別に具体化、体系化した、金融リテラシー・マップというものを作りました。こういうものでございますけれども、これを平成26年6月に作りました。このマップを策定したことによりまして、皆さんに身に付けていただく金融リテラシーの内容が明確となりましたので、より効果的、効率的に金融経済教育を推進することが可能になったのではないかと考えております。

金融経済教育に関しまして、具体的にどのような取組が行われているのかということについて、御説明をいたします。

3ページ目を御覧いただければと思います。先ほども少し申し上げましたが、様々な関係者が金融経済教育を行っております。この3ページ目に書いてございますのは、様々な関係者の取組を幾つかのカテゴリーに分けてみたものでございます。これらのうち、若年者向けの取組について、幾つか御紹介したいと思います。

まず左上の教材提供の部分を御覧いただきますと、学校で使用できる学習教材ですとか、小学生など、各年齢層を対象としたガイドブックの提供など、これは若年者だけというわけではございませんが、若年者向けも含めて、様々な教材が提供されております。

講師派遣の部分ですが、学校への講師派遣にも取り組んでおりますし、その下に、土曜学習応援団という取組がございます。これは、文部科学省が推進しているものでございまして、地元の企業ですとか、団体、大学など、土曜学習応援団に賛同したところが土曜日、あるいは平日の放課後に、学校に出向いて、授業を行うというものでございます。この応援団には、金融機関も登録しておりまして、金融に関する授業も、土曜日なり、放課後に提供したりしております。

右上のイベントを御覧いただければと思いますが、親子で一緒に参加できるよう、工夫されているイベントなども行われております。

その下のコンクールですが、小学生、中学生、高校生を対象とした、作文コンクールですとか、中学生から大学生を対象とした、株式学習コンテストというものも行われております。

今、御紹介いたしましたのは、様々な関係者による取組でございますが、次にその中で金融庁が何をしているのかということにつきましても、簡単に御説明したいと思います。

4ページを御覧いただければと思いますが、金融庁も教材の提供ですとか、講師の派遣というものを行っておりまして、まず教材ですけれども、1つ例をお示ししたいと思います。

5ページを御覧いただければと思いますが、これは金融庁で作成しております『基礎から学べる金融ガイド』という冊子で、こういうものをガイドブックとして作っておりますけれども、5ページでお示ししているのは、その抜粋でございますが、右の方に書かれている目次を御覧いただければと思います。見開きでA3のところをA4にしておりますので、文字が小さくて恐縮ですけれども、家計管理から始まりまして、生活設計、預貯金、保険といった金融商品、外部知見の活用と並べております。これは先ほど御紹介いたしました、金融リテラシー・マップの体系と同じ順番に並べて、作成しております。

6ページですけれども、そのうち、これは生活設計に関する部分ですが、人生に必要なお金がどれだけかかるのかということを、1つの例として見ていただきながら、こうした資金を計画的に備えていくということの重要性をお示ししております。

申し訳ございません。ここで、また4ページに戻っていただければと思います。金融庁の取組の部分ですけれども、教材提供の次の講師派遣ですが、2つ目のポツのところで、関係団体と連携し、大学での授業をオムニバス形式で実施、大学連携講座と書いておりますが、これは金融経済教育推進会議の一員としての取組でございます。この推進会議の事務局を務めていただいております、金融広報中央委員会の御尽力のもと、金融庁も協力いたしまして、全国銀行協会、日本証券業協会、FP協会といった、様々な関係団体とも連携しながら、1つの大学に15コマの講座を提供しております。

内容は、ほんの1例ですけれども、御紹介いたしますと、例えば人生にかかるお金の意味、ライフデザインの重要性、働くことの意味、ライフプランを描くこと、お金を借りること、増やすこと、保険でリスクに備えること、トラブルの未然防止といったことにつきまして、順を追って、理解できるような講座の内容としております。

ここで1ページ戻っていただきまして、3ページの講師派遣のところを御覧いただきますと、3つ目のポツに、今、申し上げました、大学連携講座の話を記載しております。金融庁では、このほかにも、先ほど御紹介いたしました土曜学習応援団、これは大学連携講座の1つ上に挙げておりますが、土曜学習応援団につきまして、金融経済教育推進会議の場を活用いたしまして、文部科学省の取組を紹介しています。

このページの右側に、コンクールとありますが、金融広報中央委員会が実施している作文コンクールに、金融庁も審査員としてかかわっています。

その下のポツに、株式学習コンテストとありますが、具体的には日経STOCKリーグという、日本経済新聞社が主催するコンテストがございますけれども、これにも、金融庁から審査員として、かかわったりしております。

4ページに目を向けていただければと思いますが、金融庁の取組としてもう一つ、右上に事前相談と書いておりますけれども、金融庁には、金融サービス利用者相談室という組織が10年以上前にできまして、一般の方々からの様々な御相談を、この金融サービス利用者相談室がワンストップでお受けしております。

この相談室では、例えば金融機関との間で生じた個別のトラブルに関する御相談ですとか、金融行政に関する御意見、御要望といったようなお話をお聞きしておりますけれども、そうした内容だけではなくて、相談室には、例えば、金融商品について契約する際の留意点を教えてほしいというような、トラブルが発生しないように事前に備えておきたいといった御相談、御要望もございまして、そうしたお問い合わせにもお答えしてまいりました。

このように、金融サービスを利用しようとする場合には、トラブルの発生を未然に防ぐということもとても大事でございますので、一昨年の5月から、この金融サービス利用者相談室に、事前相談の窓口というものも新たに設けまして、トラブルの予防にも努めているところでございます。

以上、ここ3から4年の取組について、御報告をいたしましたが、最後に金融庁の最新の取組について、御紹介したいと思います。

7ページを御覧いただければと思います。金融庁では、今年の10月に、平成28事務年度の金融行政方針を公表いたしました。これは、昨年に続いて、2回目の公表となります。それ以前は、金融機関の検査ですとか、監督を行っていく上での方針というものを毎年公表しておりましたが、金融行政全体の方針というものを出したのは、昨年が初めてでございました。今年が2回目ということになります。

これは、金融行政が何を目指して、どのような方針で行政を行っていくのかということを、明確にしたものでございますけれども、幾つかある方針の1つに、安定的な資産形成の実現というものを挙げております。日本には、1,700兆円を超える家計金融資産ですとか、200兆円の年金資産などが蓄積されております。皆さん御承知のとおり、日本は、人口の減少ですとか、高齢化の進展といった問題に直面しているところでございますが、老後の資金をいかに確保するか、勤労者の方々の資産形成をいかに進めていくのかということは、非常に重大な課題であると考えておりまして、これまでに蓄積されてきた国民の富、金融資産を安定的に増大させていくことは極めて重要であると考えております。

こうした中、家計が安定的な資産形成を行うために、金融庁としても、取り組んでいるところでございますけれども、家計自らが資産形成に向けて、適切な判断を行うということも重要であると考えております。そのため、7ページの真ん中あたりの少し下のところにも書いてございますように、特に投資の初心者を中心として、実践的な投資教育というものを、様々な方法ですとか、チャネルを通じて、推進することとしております。

私からの説明は、以上でございます。

○樋口座長  御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は、御発言をお願いいたします。

増田委員、お願いします。

○増田委員  生活設計であるとか、将来設計について、幼少の頃から考えていくというのは、非常に重要なことで、現在、年金も少なくなり、高齢者の貧困も言われている状況の中で、自らの蓄えをきちんと確保していくということは、この教育にかかっているのだろうと思います。

反面、そういう年金が少なくなってくるところを、投資というところで、資産を自らの力で、増やすことを目指されているように見えるのですけれども、投資のリスクを、自分で判断して、リスクも承知の上でやっていくということについては、今の状況においては、難しいだろうと思っているのです。

現実、若い方たちがネット上の投資をして、トラブルが多発している状況があるということについて、懸念をしているわけなのですけれども、金融行政方針というものも既に出されているのですが、その辺について、現状との乖離があるのではないかと思いますが、どういうふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  ありがとうございます。

リスクなどについての理解が不十分なまま投資を行っている方々がいる点について、私どもも十分認識しているつもりではございまして、そうした点も含めて金融経済教育に取り組んでおります。説明資料の最後のページで申し上げておりますのは、特に投資初心者の方々、投資に関心のある方々に、リスクというものはどういうものかということなどを、しっかり御理解いただかなければいけないと考えておりまして、今、検討中なのですが、そうした初心者の方々に向けた教材のようなものを、本当に分かりやすく、そうしたリスクなりがありますというところから始まって、丁寧に、よく理解できるようなものを作って、広めていきたいと考えているところでございます。

○樋口座長  池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理  池本でございます。

今の増田委員の質問とも、根底は共通かもしれないのですが、私も、人生全体の生活設計をにらんで家計管理ができるようにしていく、そういう全体像をしっかり理解し、あるいは実践できる教育というのは、非常に大事なことだと思います。

ただ、それを若年者に向けて、今、何を伝えていくかということでいえば、投資信託のリスクがどうのこうのというよりは、そういうお金を余り持っていない人を顧客にどう取り込むかの話よりは、例えばキャッシュレス社会で、クレジットカードに、プリペイドカードに、最近は仮想通貨とか、あるいはデビットカードとか、要するに収支家計の管理をするということそのものが見えにくくなっている。

こういう社会に若者がおかれて、それこそスマホ、携帯をかざせば、もうお金を払っていくし、払っていくのは現金でチャージしたお金ではなくて、クレジット、キャッシング、ローンにすり替わっているとか、そういうあたりの現状を前提にしたものではなくて、理念としてはよろしいと思うのですが、それが金融資産の利用、運用というところへ着地してしまっているのではないか。これは相談員の方、複数の人からそういう話を聞くので、気を悪くされないでいただきたいのですが、現場では、そういうふうに言われている。そういったあたり、この金融教育というものを、金融商品教育ではなくて、まさに生活設計教育という形で、もっと大きくシフトしていく必要があるのではないかという問題意識なのですが、いかがでしょうか。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  説明資料に「投資初心者を主な対象とした実践的な投資教育の促進」という、本事務年度の金融行政方針の一部をつけ加えておりますので、申し訳ございません、やや誤解を招いてしまっているのではないかと懸念しているのですが、これは、本日のテーマに関連するものとして用意したというよりも、最新の取組の一つを御参考までにお示ししているものでございます。金融庁といたしましては、小学生から高齢者まで幅広い方々に、金融経済教育を通じて金融リテラシー、つまり金融に関する知識や判断力を身に付けていただくことが重要と考えておりまして、金融庁や関係団体から構成される「金融経済教育推進会議」等におきまして、金融リテラシーの向上に向けて様々な取組を推進しているところでございます。

その中で、特に投資の初心者、初心者というのは、必ずしも若い方というわけではなく、少しお年を召された方でも投資をこれから始めようとする方もいらっしゃいますけれども、そういった投資にこれから入っていこうとする方々に対する取組も必要なのではないかということをここに書いております。

当然、子供の頃から、家計管理についてもしっかりと身に付けていかなければいけない、そういうことを学んでいかなければいけない、人生を生きていくに当たって、どれだけお金がかかるのかということを、自分で理解しながら、よく生活設計というものを自分で考えていかなければいけないということの教育に、引き続きしっかりと取り組んでいるところです。その中で、そういった投資というか、資産形成していくための商品にも様々なものがございますから、そうした商品を自分で理解すること、自分が理解できないような金融商品は契約したらいけない、理解できるまでは契約しないようにしましょうということもガイドブックに書いておりますし、実際にも話したりということで、教育、知識の普及、行動面の改善に努めているつもりではございます。

○池本座長代理  何も金融商品を適切に選択できる目を養っていくことが要らないと言っているわけではなくて、もちろんそれはそれで重要なことだと思うのですが、例えば5ページの『基礎から学べる金融ガイド』のところでも、生命保険/損害保険、クレジット/ローンというものが1つありますが、株式/債権/投資信託という文脈が、金融商品の選択というところに着地しているようにうかがえるわけです。

同じ金融庁の中でも、今、キャッシュレス社会の中での電子決済の問題ということのほうが、若者にとっても、何倍も直接生活を取り巻く環境に、今、なってしまっているというあたりが、十分反映されていないのではないかという問題意識で申し上げたわけです。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  申し訳ございません、その点につきましては、これで十分かどうかは、御判断はお任せしたいと思いますが、例えばガイドブックの「生活設計」の前のページで「家計管理」について説明しておりまして、その中で、まさに見えにくくなっているお金の使い過ぎにも注意しましょうという注意喚起をしています。クレジットカード、プリペイドカード、電子マネーについて、注意して使いましょうということも、ガイドブックの中では少しかもしれませんが、触れております。そういったところも認識して進めているつもりではおりますけれども、そこは引き続き、注意深く心にとどめながら、進めていきたいと考えています。

○樋口座長  大森委員、お願いします。

○大森委員  2点質問があります。

まず1点なのですが、4ページに、事前相談ということを開始されたということなのですけれども、具体的にどのような形でされているのか、銀行とかでちょっと聞こうかと思ったら、そこに人がいるようなスタイルなのかとか、具体的なことを聞きたいということが1つです。

金融リテラシーマップというものを策定されて、年齢にあわせて、具体的、体系的にということで、内容は、5ページの家計管理、生活設計と書いているものと同じですという御説明だったのですけれども、小学生あたりには、どのような形でお伝えするのかと思って、ちょっと難しい内容ではないかと思ったので、具体的にマップの内容を教えていただけたらと思います。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  まず事前相談につきましては、金融庁の中に、事前相談という窓口を設けておりまして、そちらで電話なり、ファックス、ウェブサイト、文書で受け付けさせていただいております。外部に事前相談の窓口を設けているわけではなく、金融庁の中に事前相談という窓口を設けて、対応をさせていただいているということでございます。

もう一点、マップについてですが、その前に、まず5ページでお示ししているガイドブックは、高校を卒業する方、あるいは大学生、これから社会人になるような方を対象に作成しているものでございます。マップの中で、小学生に向けて何が書かれているのかと申しますと、例えば「家計管理」というところでは、必要なものと欲しいものを区別して、計画を立てて、買物ができること、ニーズとウォンツとよく言っておりますが、そういったことを、小学生に理解してもらったほうがいいでしょうという話ですとか、「生活設計」の部分では、働くことを通してお金を得ること及び将来を考え金銭を計画的に使うことの大切さを理解し、貯蓄する態度を身に付けるといったことが書かれております。今御紹介したのは、概要でございますけれども、様々な内容がございますが、例えば小学生向けという意味では、今のような内容が書かれております。

あと、「金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択」というところの、例えば「ローン、クレジット」というところでは、子供同士でお金の貸し借りはしないようにするといったことを、マップの中に位置付けております。

○大森委員  このマップは、ホームページか何かからとれますか。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  はい。金融広報中央委員会のホームページからとれるようになっております。

○大森委員  先ほどの事前相談の件なのですけれども、金融庁の窓口に設置されているということですが、広報はどのような形でされていますか。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  広報は、金融庁のホームページで紹介しているのと、出前講座やシンポジウムでトラブル防止のお話などをさせていただく際に、金融庁では、こういった相談室を設けておりますけれども、トラブルに遭う前の御相談も受け付けていますので御連絡くださいといったような形で、広報をさせていただいております。

何か大々的に広報しているのかと申しますと、そこまで大々的ではないかもしれませんが、機会があるときに、皆さんにお伝えしておりまして、活用していただければと考えております。

○大森委員  できれば実際にこれからそういうお金を使って、何かしようかと思ったときに、目が触れるような形で、また今後検討していただけたらと思います。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  ありがとうございます。

○樋口座長  後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員  資料の3ページの講師派遣というところについて、お尋ねしたいのですけれども、消費者教育を充実するためには、講師の派遣ということは、非常に重要な手段だと思うのですが、これがどの程度うまくいっているかということをお尋ねしたいのですが、講師を派遣するというと、その派遣先ということもあるものですから、学校とか、市民講座とか、あるいは土曜学習応援団とか、大学との連携講座とか、そういうものは、現時点で数として十分ということなのでしょうか、現時点での講師派遣で、教育としては、十分に行われているということなのか。

そうではなくて、例えば講師派遣のところで、4ページで、大学連携講座を拝見しますと、26年、27年、28年という形で増えてきて、開拓というのでしょうか、なさっていると思うのですけれども、現在、まだ派遣先が少ないので、力を入れて開拓しているということなのでしょうか。もし開拓しているということであれば、その開拓というのは、結構難渋するようなことなのでしょうか。そうではなくて、割と円滑に開拓できるという状況なのでしょうか。今後、消費者教育を充実するという場合、こういう講師派遣などがどの程度現実に機能するのかという観点からお尋ねしたいのですが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  まず講師の派遣が十分かという点につきましては、いま把握している数字を申し上げますと、金融経済教育推進会議に所属している団体が行っている講師派遣の数ですが、2015年度の実績で申し上げますと、小学校、中学校、高校など、児童・生徒に対する講師派遣は1,749回行っております。

これは、金融庁とか、金融広報中央委員会とか、全国銀行協会とか、金融経済教育推進会議に所属している団体が行っている数でございまして、それ以外に行われている講師派遣についての数は把握していないのですが、各金融機関でも、銀行とか、証券会社とかというところが派遣したり、大学に講座を持ったり、講師派遣というかどうかは分かりませんけれども、銀行の窓口の業務を体験してみましょうといった形で、地元の小学生を銀行なりに招いて、仕事を体験してもらうという取組を、金融機関としてはしています。

数は把握できていないのですが、それで十分かと言われますと、そこは私どもとしては、引き続き、増加させるように取り組んでいるところです。例えば2015年度で1,749回と申し上げましたが、これは前年度と比べて25%増加しております。更に土曜学習という形で、もっと皆さん土曜日なり放課後の学習活動に取り組んでみてはいかがでしょうかと、金融経済教育推進会議の皆さんにお話をして、更に取り組んでいただいております。また、金融庁の地方機関で財務局という組織がありますが、そこでも金融経済教育に積極的に取り組むようにはしているのですけれども、取組の方向としては、もっとできる限り、増やしていったほうがいいと考えております。

一方で、先ほど大学の連携講座の話がございましたが、1コマ90分の授業をするのですが、講師を派遣するリソースの問題もございまして、もっとたくさん増やせるかというと、物理的になかなか難しい面はあるのだろうと思いますが、更に開拓しようということで、金融広報中央委員会と金融庁で連携しながら、大学に当たってみたりしているところではございます。

難渋するかどうかというのは、大学のスタンスなり、そういうことに取り組んでいただける先生を見つけなければいけないということもございますので、そこはすんなりいくことが多いとは言えませんが、どちらかというと、苦労しながら進めているというところでございます。

こうした講師派遣について、効果があるのかということですが、これはまた金融広報中央委員会のお話を、私が申し上げていいかどうか分からないのですけれども、金融リテラシー調査というものを金融広報中央委員会で実施いたしまして、その結果を見ますと、金融教育を受けた人は、問題の正答率も高いし、望ましい行動、例えば資金運用、借入れ、生命保険の加入時に他の金融機関や商品と比較して選んでいるかどうかという行動面についても、金融教育を受けた人は、ちゃんと望ましい行動をとっている人が多いという結果が出ていますので、座学というのでしょうか、講師を派遣して、実際に面と向かって金融教育をやるということについては、効果はあるのではないかと考えております。

○樋口座長  どうもありがとうございました。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長  本日のヒアリングの趣旨から少し離れてしまいますが、金融庁の基本的なスタンスを知りたいのです。昔は、私などは、小学校で月々100円とか、200円の貯金をするということをやらされて、銀行の人が来て、貯金などをしていたのです。欲しいものはそうやって自分でお金を貯めて、楽しみは、先取りするのではなくて、そうやって貯めたお金で手に入れるようにしましょうという教育を受けてきました。

今でも学生たちには、いつもにこにこ現金払いということで、お金が欲しいときには、自分にとって、一番大事なものを質に出して、それが流れてしまうかもしれないと思って、お金を借りて使いなさいということをずっと話をしていたのです。ところが、前に投資セミナーみたいなものが開かれたときに呼ばれて行ったら、今は、預金も金利が低いし、このままだといけないので、投資にどんどんお金を出しましょう、それで増やしましょうという話をしていたのです。実際問題としては、投資に、つまり金融商品に対して、お金を出すということは、場合によっては、リターンがあることもあるけれども、リスクもあるということで、個人資産、とくに将来の生活用の「いのち金」のようなお金を、そういうリスクにさらすというのが本当にいいのかということが、どうしても気になるのです。

昔は、間にある金融機関が最もよい投資先を見つけて投資をし、それで企業が頑張ると、それだけ金融機関の利益が上がって、それが利息になって、貯蓄した人に返ってくる。ところが、今は、金融機関がリスクテイクをしないで、個人にリスクテイクをさせ、その間を取り持つ機関は、手数料を稼ぐという仕掛けです。こういう仕掛けで、世の中の金融商品が動いていくということが本当に金融庁の考えている日本の国のいわばお金の流れ方として、国民性に合っているのかどうかということは大いに疑問です。根本的なところで、いま一つ理解ができない部分があって、その辺のお考えを伺わせていただければありがたいと思うのです。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  投資といったときに、御承知かもしれませんけれども、何か多額のお金をまとめて投資しなければいけないと思われている方は、非常に多いのです。金融庁としても、生活用のお金を投資にと言っているわけではなく、例えば、金融商品でお金を運用する際には、生活に無理のないお金で始めることが大事とガイドブックに書いて、お話をしています。投資のやり方としては、少額からでもできますし、一般に、投資については、投資対象を分散させることでリターンがより安定する効果が得られることが指摘されています。当然、投資する、しないというのは、御本人の御判断なのですが、資産形成に当たっては、そういったやり方もありますということでございまして、そのときに、何でも多額のお金を投資してくださいなどと言うつもりは、毛頭ございません。

そこは、こういった選択肢もありますと、その際には、5,000円からでも、1万円からでもできますと、ただ、そのときに、5,000円、1万円というお金が、少ない、多いという価値観の問題はあるのかもしれませんけれども、もっと大きなお金を投資しなければいけないのではないかと思われている方もいらっしゃいますので、その点は、少額からでもできます、投資対象を分散させることでリターンがより安定する効果が得られるという指摘もありますということをお話させていただいているところではあるのです。

また、手数料という観点からは、当然、金融庁としても問題意識を持っていまして、金融商品・サービスに係る手数料の開示の促進に取り組んでいるところです。今、金融審議会で議論をしていただいております。金融行政方針のうち、ほんの一部だけしか説明資料には書いていないのですけれども、金融行政方針の中には、顧客本位の業務運営が金融機関の側においても行われることが重要、ということも書いてございます。

○河上委員長  本当にそういう投資をすることによって、もうかるのであれば、金融機関がそうしたリスク分散をして、きちんとした投資をして、その利益を顧客である預金者に戻すという、本来の銀行の役目を果たすべきであって、リスクテイクをしないで、顧客にリスクを担わせて、投資の原資を得ようという発想はいかがなものでしょうか。

現に中国では、投資熱が盛んで、若い頃から投資をするということがよくやられているらしいのですけれども、おかげで自己破産をするような人が、かなりの数出ているということが言われています。

アメリカでも、投資は盛んに行われているけれども、ドイツ人の友人には、何でそんなに喜びを先取りするようなことばかりするのだと発言された方もいます。いわゆる国民性の問題もあると思うのですが、今までの日本人の持っている資産の形成の仕方ということを考えたときに、そういう金融リテラシーを高めるということは、いいことではあるのですけれども、そういうものに余り力点を置いていくのが、金融庁の本来の在り方ではないのではないかという気がしたのです。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  そこは、先ほど申し上げたことの繰り返しになってしまうかもしれませんが、説明資料の最後に、投資初心者を主な対象とした実践的な投資教育の促進という、今事務年度の金融行政方針の一部をつけているため、ここに向けて金融経済教育を行っているかのように誤解をされているのではないかという気がするのですが、まさに先ほど御紹介したマップにも書かれておりますように、例えば、子供に対しては貯蓄をしましょうとか、そういったことをしっかり言うようにしております。一方、老後の資金や勤労者の方々の資産形成ということを考えたときに、その手段として、そのような投資という手段もありますと、資産形成をしていくような手段としては、このようなものもありますという選択肢をお示ししていくことも大事なことなのではないかと思うのですが、何か国民の皆様の資産をリスクにさらそうと考えているわけではないのですけれども、うまくお伝えできていないかもしれません。

○樋口座長  よろしいですか。

○大畠金融庁総務企画局政策課政策管理官  あくまでも国民の皆さんの資産形成を考えたときに、どうしたらいいだろうかということで、手数料についても、金融機関が取っている手数料がもっと明らかになれば、国民のための、皆さんのための良質な金融商品というものが提供されていくのではないかということで、金融機関に臨んでいるところではございます。

○樋口座長  ありがとうございます。

それでは、金融庁からの御報告は、このあたりにさせていただければと思います。

(2)金融広報中央委員会

○樋口座長  次に、金融広報中央委員会事務局の金融教育プラザリーダーの岡崎竜子様から、若者の消費者トラブル防止への取組、現状と今後の可能性について、御報告をお願いいたします。

恐縮ですが、説明は10分程度でお願いできればと思います。

○岡崎金融広報中央委員会事務局金融教育プラザリーダー  金融広報中央委員会の岡崎と申します。

金融広報中央委員会は、金融経済団体、報道関係の団体、婦人青年団体、学識経験者による委員会組織でございまして、任意団体として、政府、日本銀行、地方自治体などと連携しながら、中立・公正の立場から、金融経済情報の提供と金融経済学習の支援を行っております。

昭和27年の当委員会の発足以来、ほぼ同時期にできました、都道府県ごとの金融広報委員会とともに活動を進めております。

児童生徒向けの活動につきましては、先ほど委員よりお話のございました、子供銀行に発端を有します活動といたしまして、昭和40年代より、金銭教育として取り組んでおります。金銭教育は、物やお金を大切にすることと、勤労を尊ぶ精神を養うことを重んじておりましたけれども、平成15年より、世の中の変化にあわせまして、もう少し金融経済の理解を広げる、深めるということを観点に加えまして、金融教育として取り組んでおります。

前置きが長くなりましたが、スライド3ページで、私の資料の1ページにスライドを掲載しておりますので、2ページ目の金融教育とはというところを御覧いただければと存じます。

金融教育につきましては、平成19年に発行いたしました『金融教育プログラム』で定義をいたしまして、こちらの定義で活動を進めております。

お金や金融の働きを理解し、暮らしや社会について考え、生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会作りに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育と考えております。

こちらに定義をいたしまして、より具体的な内容でございますけれども『金融教育プログラム』という本なのですが、こちらを発行いたしまして、全国の学校教育委員会にお届けしております。高等学校以下の金融教育の内容につきましての基本書としております。

その中に、次のページの5番目のスライドに、タイトルを書いておりますが、学校における金融教育の年齢層別目標というものを載せております。大きく4分野に分けまして、詳しい内容を記載しておりますものです。4分野でございますが、4枚目のスライドに、4色の絵を描いておりますけれども、こちらのようになります。

本日のテーマに関係が深いのは、赤い丸で囲みました、消費生活・金融トラブル防止に関する分野と考えておりますが、ほかに生活設計・家計管理に関する分野、金融や経済の仕組みに関する分野、キャリア教育に関する分野を設けておりまして、4分野としております。

消費生活・金融トラブル防止に関する分野で、特に関係の深い目標をカウントして見ますと、本日のテーマに関係の深い中学生、高校生の目標では、中学生が6項目、高校生が9項目設けさせていただいております。

5番目のスライドに、高校生の目標から、3点ほど、抜粋をいたしました。

1つ目が契約の意味と留意点及び契約の伴う責任について理解し、内容をよく確認して契約する態度を身に付ける。

2つ目が契約や消費者信用などに関する消費者問題が生じる背景について理解し、問題の発生を回避する態度を身に付ける。

3つ目に挙げさせていただきましたのは、ローンの金利とローン返済額との関係及び金利負担について、具体例を通して理解し、適切に行動する態度を身に付けるというものです。

項目の数は、先ほど申し上げたとおりですので、ほかにもございますが、特に関係が深そうなものを挙げさせていただいたところです。

具体的な周知の方法ですけれども、教材・実践事例集の提供、その他を行っておりますので、順に御説明をさせていただきます。

教材につきましては、まず高校生用教材といたしまして『これであなたもひとり立ち』を発行しております。スライドに表紙を掲げさせていただきましたが、15のワークで、生活にまつわるお金や金融経済の問題を扱ったワークブック、そして、教師用の指導書を作っております。2003年から提供させていただいておりまして、何年かに一度、全国の高等学校にお送りし、無償で御請求いただく形で提供しております。

文部科学省から、推薦の文書を出していただいたこともございます。2015年度の発行部数は、約13万部となっております。本日のテーマに関連の深い内容といたしましては、悪質商法への対応、クレジットカード、借入金利の高さなどを取り上げております。

このほかに『きみはリッチ?―多重債務に陥らないために―』という教材も発行しております。こちらも2003年から発行しておりまして、年間の請求部数は3万部程度となっております。契約とはどのようなものか、複利の意味合い、多重債務の被害、自己破産などについて、取り上げております。

続いて、実践事例集でございますが、『金融教育ガイドブック』『はじめての金融教育』といった、実践事例集を提供しております。全国に研究校がございます。常時100校余り委嘱させていただいておりまして、小中高を通じまして優れた取組をいただいておりますので、よい事例を集めまして、事例集を編さんしております。

この中で、消費者トラブル、金融トラブル防止に関するものといたしましては『金融教育ガイドブック』で、中学校1事例、高校4事例、『はじめての金融教育』では、中学校2事例、高校1事例などを提供しております。

次のページを御覧いただきますように、先生方向けのセミナーを開催しております。当委員会では、夏に2回開催いたしますほか、金融教育フェスタという複合イベントの中で、地方都市で2回開催をいたしております。小学校、中学校、高等学校の先生、大学の先生や大学生、大学院生の方を対象としたセミナーとして開催し、合計280名程度の方に御参加いただいております。

このうち東京で開催するセミナーでは、社会科、家庭科などを中心に、教科別の分科会も設けております。

また、都道府県金融広報委員会が全国の都道府県ごとにございます。そちらでも教員向けのセミナーを開催していただくよう奨励し、サポートをいたしております。

続きまして、8枚目のスライドですが、大学における講義、こちらは、先ほど金融庁から御説明いただきましたので、重複しますので、ポイントだけ申し上げます。

具体的に、本日のテーマに関連いたしますコマのタイトルを写し書きしてまいりましたので、御紹介申し上げます。

15コマの中の第7回お金を借りるマル1(クレジットカード・消費者ローンの仕組みと利用上の留意点など)は、全国銀行協会から講師を派遣していただいています。また、15コマのうちの第13回トラブルに強くなる(学生や若手社会人が陥りやすい悪徳商法・金融商品詐欺と予防策など)に関しましては、消費生活センター、または金融庁から御登壇いただいております。

ここまで、現在の取組を御紹介させていただきましたが、御参考までに、先ほど金融庁からお話がありました、金融リテラシー調査より、関係のあるデータがございましたので、若干追加の分析をいたしまして、お示しさせていただきます。

9枚目のスライドですけれども、赤い文字で書いておりますところ、18歳から19歳という年齢層の数字を集計してまいりました。いろいろな設問があるのですが、問14というところが契約締結時の適切でない対応とはどのようなものかという設問になっておりまして、「3.契約書は後でゆっくり読む」という選択肢があります。契約をするときに、契約書を自分でよくゆっくり読んで理解をするのではなく、勧められるままに契約を結んでしまって、後でゆっくり読むというのは、好ましい態度ではありません。しかし、これが「適切ではない」と答えた方が、18歳以上の高齢者まで含めました、全体の平均では66.2%の方が正答されているのに対し、18歳から19歳のみを抽出いたしますと、これが48.1%であり、正答している方が少ないという状況になっています。また、どのような態度が適切でないかが分からない方が、全体平均では15.3%でしたが、18歳から19歳のみを取り出してみますと、37.3%となっておりました。

この後は、今後の取組で、どのようなことが考えられるのかということも、事務局から事前にお問いかけがあったように思いましたので、少し書いてみましたけれども、教材の改訂等としております。『これであなたもひとり立ち』や『きみはリッチ?』につきましては、ただいま申し上げましたように、高等学校でお使いいただいている教材でございますので、成年年齢の引下げといったことが決まりまして、今後、そのようなことが起こってくるという場合には、現在、提供している教材の内容を改訂し、早目に知らせていく必要があると考えております。

実践事例集に関しましては、具体的な実践が深められませんと、なかなか収録していくことができないわけですけれども、非常に重要な問題ですので、研究校などにまた御相談してみるということも考えてみたく存じますし、そのような取組をされている学校がないか、広く情報収集してまいりたいと考えています。

私どもでできるかどうか分かりませんけれども、本件の問題を周知するパンフレットなども、早目に作る必要があるのではないかと考えています。

『これであなたもひとり立ち』とか『きみはリッチ?』のような60ページ、70ページもあるような教材ですと、作り上げるのに2年ぐらいはかかってしまいます。成年年齢の引下げということであれば、コンパクトに必要最低限の情報を凝縮し、かつ授業で使っていただけるようなものを作る必要があるのではないかと思っています。

先生方向けのセミナーにつきましては、時宜を得たテーマで開催するよう努めておりますほか、実践事例のよいものを集めて、実践発表とワークショップによって、先生方にその後の教育指導の手がかりを得ていただいているところです。こちらのテーマといたしましても、取り上げていく必要があるのではないかと感じているところでございます。

このほか、当委員会のホームページに、様々な情報を提供しておりますけれども、その中にも取り上げていく必要があるのではないかと感じています。

最後のページでございますけれども、もし、そのようなことが決まりました場合には、マスコミを通じた周知、政府広報なども含めて、ローラー作戦というか、誰の目にも触れるような強力な周知が必要ではないかと思います。

また、可能かどうか分かりませんが、学習指導要領にも含まれることが望ましいと思います。本年度末には、小学校、中学校の新しい学習指導要領が告示され、来年度末には、高等学校の学習指導要領が告示されることになっております。その中に盛り込まれることが必要なのではないかと感じております。全ての高校生に、非常に深刻な影響のある問題でございますので、私どもの教材によりできる限りの周知に努めたとしても到底十分とはいえないと思います。私どもの教材の発行部数は、年間13万部ということで、1学年100万人といわれる高校生に対しまして、3学年で13万部ですので、5%に達しないというところだと思っております。手を尽くして、周知をしているところですが、そのような副教材でございますので、私どもが全力を尽くしたとしても、そのような到達率ではないかと思っておりまして、全ての学校教育で取り扱うことが必要と定められております、学習指導要領で明記されるのが、最も望ましいのではないかと思います。

そして、学習指導要領に基づきまして、教科書に記載をされるということが望ましいと思いますが、学習指導要領に明記されていない内容でも、教科書に発展的な学習内容として記載されることもございますし、学習指導要領やその解説に書かれていることに基づきまして、教科書が書かれるということもございます。教科書に書かれ、遅くとも高校2年までの履修を目指して、取り入れられることが必要ではないかと思います。

3点目は、私どももそうですけれども、教育委員会や消費生活センターの開催される教員研修で、テーマとして取り上げることが必要ではないかと思います。

また、家庭科の免許更新の研修も義務づけられております。それらやあるいは教員養成課程、大学生の方々が学ぶ課程の中に含めること、教員団体も、例えば高等学校の家庭科部会などの教科団体の研修で取り上げていただく必要があるのではないかと思います。もしかすると、中学校で取り上げていただく必要があるのではないかとも思います。そういった教員団体での研修会、校長会での周知などが必要ではないかと思います。

十分な周知期間が必要であり、私どもでは法律的なことは専門ではございませんけれども、悪質商法とか、高額な取引、高金利などについては、未成年者の取消権を継続するなども必要などではないか、周知にはなかなか限界があるのではないかと感じているところでございます。

以上です。

○樋口座長  御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方、よろしくお願いいたします。

大森委員、お願いします。

○大森委員  教材のことなのですけれども、ちょっとボリュームが大き過ぎるので、もうちょっとダイエットした、簡易に使われるようなものを今後進めていきたいというお話でしたけれども、小学校とか、中学生向けの教材というのはないのでしょうか。

○岡崎金融広報中央委員会事務局金融教育プラザリーダー  小学生向け、中学生向けの教材もございます。

○大森委員  ありますか。

○岡崎金融広報中央委員会事務局金融教育プラザリーダー  ダイエットしていきたいというのは、現在、発行しているものを、スリム化したいということを申し上げたのではなく、成年年齢の引下げがもし決まりました場合に、その点を周知する重点的な教材を作るとすれば、数ページ程度のかなりコンパクトなものを作って、全国の学校に配るとか、更に数年に亘り毎年配るとか、そういった機動的な対応が必要なのではないかと申し上げたところです。

小中学校の教材なのですけれども、小学生に対しましては、小遣い帳でありますとか、漫画で学ぶもの、中学生に関しましては、消費生活上の事例について、エピソードと用語集で学ぶものを作って、提供させていただいております。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理  『きみはリッチ?』とか『あなたもひとり立ち』といった、しっかりとしたパンフレットを作って、消費生活センターなどでも、ちょくちょく拝見していて、そういう意味では、我が国全体の中でも、重要な教材の作成、配布をしていただいているだろうと思います。それだけに、その中身作りについては、現代の問題をしっかり受けとめていただきたいと思います。中身の議論は、先ほどしたことにとどめたいと思うのですが、むしろ今後、若年者、18から19歳の人にどうやって伝えていくのかということについて、質問したいと思います。

最後のページに、教員研修というものが幾つか出ています。なかなか教員に向けて、情報をどう伝えていくか、これまで中央委員会でも、いろんな場でセミナーを開いたり、やっておられると思うのですが、これを更に飛躍的に広げていく上で、どこが動かないと、なかなか広がっていかない、あるいはセミナーを開く上で、これまで経験されているところで、どういうところで動いてほしいというところ、その辺を広げるためのポイントは、どこかというところをお伺いしたいというのが1点です。

それから、最後のページに、十分な周知期間という記載があります。これは、具体的にはどのくらいをイメージしておられるのか、あるいはその後に、悪質商法とか、高額取引、高金利については、未成年者の取消権を継続するようなことはどうかと、1つの考え方として、お示しになっていると思うのですが、具体的にはどういう分野のものを対象にということは、何かお考えがあるのか、そのあたりをお伺いできればと思います。

○岡崎金融広報中央委員会事務局金融教育プラザリーダー  セミナーを広げる工夫につきましては、文部科学省の本格的な取組というものを期待しております。私どもでも、長年お願いをしているところでございますけれども、例えば『金融教育プログラム』の初版を作りました年には、文部科学省で開催されます指導主事会議という、教育委員会の指導主事の方が600名ほど集まられる会議でお配りいただいたこともございます。文部科学省にお願いをいたしますと、教育委員会は独立であるということとか、教育委員会に対して、学校も独立であるということを仰せになりますけれども、やはり指導主事の方々に御理解をいただき、学校を指導されるということは大きいと思います。それから、教育委員会直下の教員研修に、初年度研修、10年目研修、あるいは中堅研修とおっしゃる場合もあるのかもしれませんけれども、こういったもの、それから、教科別の研修、家庭科研修、生活指導研修というものもおありになります。そういったところで、網羅的にお取り上げいただくように希望するところです。

私どもでも、各地の教育委員会を私自身、あるいは都道府県金融広報委員会の者も一緒にお訪ねしまして、教員研修に取り入れていただけないかとお願いを申し上げることも、しばしばございますけれども、私どもでは、無力でございますので、文部科学省から、これは取り入れるべきであるということをおっしゃっていただきましたり、あるいは消費者庁から、これは本当に必須のものである、不可避なものであるということを強くおっしゃっていただくことが必要ではないかと感じております。

次に、十分な周知期間でございますけれども、私の知識では、大変不十分でございますが、一般的な法令で、3年程度で施行されることが多いと聞いております。ただいまのセミナーなどによる広げる工夫とか、教科書に取り入れられるかどうかといったところとも関係してくると思いますが、実感といたしましては、その程度では十分に周知されるとは思えず、非常に多くの被害が起こってくるのではないかということを、強く危惧するところでございます。

どのような種類をという、最後の項目につきましてですけれども、こちらも知識が不十分でございますが、現在、仕送りを受けているとか、小遣い程度である、金額5万円とか、仕送りを受けて10万円程度の金額等であれば、未成年でも処分ができるわけですが、それを超えたような金額につきましては、ひとり暮らしを始めるので、賃貸契約をしなければならないといった事情がある場合など、非常に必然性が高いもの以外につきましては、取消しができるようにするべきではないかと思うところです。

○樋口座長  後藤専門委員、お願いいたします。

○後藤専門委員  今、池本座長代理が御質問になったところと、同じ箇所について、お聞きしたいのですけれども、スライドの11番目の一番下のところの一定の取引については、未成年者の取消権を継続する、こういうお考えのところなのですが、この提案について、私は、興味、関心を持ったのですが、池本座長代理と少し観点が違っているのかもしれませんけれども、どの分野ということよりも、むしろ分野横断的に、悪質商法とか、高額取引につき取消権を継続する、ただ、高金利というと、分野は限定されますが、これを拝見して、分野横断的な御提案と感じました。

そういう考え方を仮にとるとすると、先ほど高額取引というのは、10万円程度とか、そういうお話がありましたけれども、それ以外に、具体的にこういう観点からの提案として、もう少し考えていらっしゃることがあれば、教えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○岡崎金融広報中央委員会事務局金融教育プラザリーダー  マルチ商法などが、ただいま大学生の間で蔓延していると言われておりまして、私どもが講義に伺ったりした際にも、この大学でもありますとか、被害に遭いましたとか、友達が被害に遭いそうですという話を伺っております。成年年齢が18歳に下がりますと、高校3年生の4月、つまり学年の最初からもう18歳になる方が出てまいりますので、そういった年齢の方々にも、被害が及んでくるというところがイメージされます。

専門的なことは分からないのですが、教材の販売であるとか、そういったことで、マルチ商法が大学生に入ってきているということです。50万円とか、そういうものについて、先輩に勧められたとか、いろいろだまされたような感じで契約してしまうということなのですが、大学生ですら、到底返せるような金額ではない契約をしてしまっています。高校生も収入もありませんし、返済できるわけではありませんので、それを契約することができてしまって、取り消せないというのは、問題なのかと思っているところです。

○後藤専門委員  ありがとうございました。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長  どうもありがとうございました。

教育に関して、賛成したい御指摘がたくさんあるのですけれども、ただ、一方で、これだけ教えたのにだまされたというときは、自業自得ですという話になるのか、それとも18、19の若年者に関して言うと、一方で、消費者教育を徹底していくということと、セーフティーネットを張って、ある程度通常の成人よりも、これまでの手厚い方法をするということを一緒にやらないとだめだということになるのか、教育をすると、どうしてもそれだけ成果が上がっていないと、ということになると思うのですけれども、その辺の制度設計の考え方はいかがですか。

○岡崎金融広報中央委員会事務局金融教育プラザリーダー  消費者教育推進法もできましたし、いろいろな面で力を注いでいただいている先生も多いわけなのですけれども、高等学校の消費者教育は、主に家庭科で行われておりまして、家庭基礎という科目を履修させる学校が多くございます。非常に時間が足りないと、多くの家庭科の先生からお伺いしておりまして、衣食住、保育、そして、消費者教育というものが、2単位の中で行われるわけなのですが、とても時間が足りないということです。また、家庭科の先生方が、衣食住、保育の専門の方が多く、消費者教育を専門とされたり、熱心に研究されている方は、数が限られています。

私どもで、全国家庭科教育協会という、全国横断の中高の家庭科の先生方の個人で加盟していらっしゃる団体と、金融教育のセミナーを共催したことがございます。何とか魅力を高めようということで工夫をして開催いたしましたけれども、全国に募集させていただきまして、30名の方が集まられたという状況でした。毎年の夏のセミナーでも、高校の家庭科の先生に魅力を感じていただけるようなセミナーを心がけて開催していますけれども、さほど多くの方が参加してくださっているわけではないところです。

つまり周知に全力を尽くしていますけれども、全てのお子さんたちが享受されるような形で、充実した消費者教育が行われているわけではないところでありますので、そこのところには、限界があると考えられ、その努力は、より一層文部科学省の御協力をいただくなどの下で、できる限りのことを、これまでとは違うフェーズでやっていく必要があります。それでもなお、全てのお子さんがその年齢に達するまでに、その教育を受けることができる可能性はないと思っておりますので、そういう意味で、かなりの方がまだそういった教育には出会っていませんという状況で、18歳を迎えられると考えられるために、救済措置というのは必要ではないかと思うところです。

○樋口座長  いかがでしょうか。よろしいですか。

ありがとうございました。

それでは、金融広報中央委員会からの御報告は、ここまでにさせていただきます。

(3)全国消費者団体連絡会

○樋口座長  引き続きまして、全国消費者団体連絡会事務局長(共同代表)の河野康子様から、民法の成年年齢引下げに伴う消費者課題について、御報告をお願いいたします。

時間は10分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○河野全国消費者団体連絡会事務局長(共同代表)  皆様、こんにちは。全国消費者団体連絡会事務局長の河野と申します。

本日は、消費者委員会の「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ」におきまして、成年年齢引下げに関しまして、消費者として、意見を申し上げる機会を頂戴いたしましたこと、心から感謝を申し上げます。

お手元に簡単な資料を用意いたしました。プレゼン用の本資料3-1と、資料3-2としまして、この件に関して、当団体として発出しました意見書、この検討に際して、緊急に行ったアンケート結果というものを添付しております。

それでは、スライドの2ページを御覧いただければと思います。こちらは、私ども団体の概要でございます。ここは、消費者委員会でございますから、全国消団連のことを知っていると言ってくださる委員の先生方もいらっしゃると思いますが、当団体結成60年を迎える消費者団体の連絡組織でございまして、全国47の会議組織とともに、広く消費者課題というものの改善、解決に取り組んでいるところでございます。

それでは、本日の論点に移りたいと思います。次のスライドを御覧ください。

成年年齢引下げなのですけれども、消費者団体として、大変お恥ずかしい話なのですが、選挙権が18歳から行使できることとあわせて、成年年齢引下げの検討が具体化していることをはっきりと知ったのは、本年9月に、法務省が来年の通常国会に提出予定の民法改正案の手続に関するパブコメを募集したときでございます。本年度、全国消団連の活動方針に、成年年齢引下げに伴う消費者課題への対応というのは、全く入っておりませんでした。

改めて消費者視点から、この問題を考えますと、未成年者取消権がどうなるのかということは、消費者から見ますと、非常に重要な関心事でございます。国民生活センターの調査では、未成年者と比べて、現在の成人である20歳になった若者からの相談件数は、格段に多くなり、特に契約金額の高額化ですとか、サイドビジネス、マルチ取引、エステ等、とにかく複雑な契約トラブルが増えているということが公表されておりまして、社会に対する注意喚起とともに、関係省庁への対応要請が行われております。

全国消団連の会員には、消費生活相談員がたくさんいらっしゃるのですけれども、その相談員からは、今、19歳のサクラサイト被害の相談対応に、未成年者取消権を使って、何とか解決を目指しているのだが、これがないと、本当に救えないという訴えがございますし、この夏、全国消団連に6名の大学生が、インターンシップで活動をしにまいったところなのですけれども、その大学生からは、18歳というのは、受験などに追われ、大学に入ってすぐは、引っ越しなども含めて、生活環境が大きく変わり、そういうときに契約の勧誘があったら、とてもうまく対応できるか心配だという声を聞いております。

次のスライドを御覧ください。そこで、おくればせながら、この問題に対しまして、全国消団連では、学習会、意見交換会と同時に、10月末から11月中旬まで、3週間でございますけれども、緊急アンケートを実施したしました。先ほど申し上げましたように、本日の資料として、添付いたしておりますので、御参照いただければと思っております。

短期間でしたが、400名以上の方から、御回答をいただきました。そこから見えてきた状況なのですけれども、ここにアンケートにまとめたとおりでございまして、まず成年年齢引下げの動き自体が十分に知られてはいないということがございます。更には改正が実現すると、未成年者保護施策として、現在、機能している未成年者取消権が、18歳から19歳に適用できなくなることなど、消費生活に及ぼす影響ということも、余り知られていないということが明らかになってございます。

引下げへの賛否を問いましたところ、ここは、若干慎重な御意見が多かったところでございますが、成年年齢引下げに積極的な立場の方からは、早期に社会的自立を促すことは重要ではないかという御意見があり、慎重な立場の方からは、社会の受容が十分でない中で、18歳、19歳の未成年者取消権が消滅するなどは、消費者問題への対応が不十分であるという懸念が示されました。どちらにしても、最終的に成年年齢引下げに対しては、何らかの対策が早急に必要であるということが、このアンケートから見出された結果でございます。

次のスライドを御覧ください。5番です。そこで、消費者団体としまして、この論点に関するお願いというか、要望をまとめてございます。

全部で5つございまして、まず1点目でございます。法制度等の整備をお願いいたします。消費者契約法に、事業者が契約相手となる消費者の年齢や知識・経験・能力に配慮しなければならない規定を置いていただきたい。特に若年者など、今、申し上げたような知識・能力の不足という事情につけ込んで、締結した契約を取り消しできる規定というものを、ぜひ御検討いただきたいと思っております。

景表法の第31条の規定により、消費者庁長官及び公正取引委員会の認定を受けて、事業者、または事業者団体が表示、または景品類に関する事項について、自主的に設定する業界ルールである公正競争規約等に関しましても、若年成人に配慮した形で、そういったところに配慮する改定を行うなど、業界ごとに自主規制の在り方を見直して、成年年齢引下げへの対応を促進していただきたいと思います。特段、表示景品類等ではなくても、そういった対応が自主的に行われることを望みたいと思っております。

先ほどから、若年層へのというお話をしましたけれども、現在、日本の社会の中では、若年層と同様に、高齢者への目配りが必要とされていることを鑑みまして、法的な規制を考えるのであれば、ぜひ若年層とあわせて、高齢者対応も含めた、包括的な法整備を考えていただきたいと思っております。

2点目なのですけれども、若者向け、つまり若年層向けの相談機能の整備というものを、改めて御検討いただきたいと思っております。今の若い世代は、SNS等に親しんでいること、消費生活センターなど、法的機関に電話相談することなどに対する敷居の高さを感じていること。これは、インターンシップの学生との意見交流等から分かってきたことですけれども、メール相談など、現在の情報通信の実情を反映した、新たな相談方法ということも御検討いただければと思っております。

次のスライドを御覧ください。3点目は、消費者教育の充実・強化に関する要望でございます。学校教育の中に、カリキュラムとして、消費者教育が位置付けられ、現在、実施されていることは、私たち、消費者団体も十分存じております。ただ、どこまで効果が上がったかの効果測定は、実際、行われていないのではないかと思います。効果測定は難しいということは、存じていますが、やっただけで、実際、使えないということでは、いつまでたっても、実は上がらないということを感じております。

当事者である学生からは、クーリングオフなどの言葉は知っている、テストに出るから覚える、ただ、授業で聞いたことと、実生活がつながっていないという指摘を受けています。こうした状況を踏まえまして、消費者教育の効果測定を行うとともに、学校で学んだことが実生活の中で真に役立つよう、知識の習得のプロセスとしまして、アクティブラーニングですとか、ロールプレイングなど、より実践的な手法を用いていただきたいし、特に高校からでは、全く遅いと思います。小学校1年生の段階から、初等教育の段階から、系統立てて、実施していくことが大事ではないかと思います。

また、家庭教育の弱体化が言われて、久しいところでございます。18歳、19歳への消費者被害が拡大する事態を防ぐためには、親世代への情報提供と、そこへの消費者教育というものが不可欠だと思っております。改正消費者安全法においては、高齢者の見守りが位置付けられているところでございますけれども、今回の成年年齢引下げが実施された折には、新たに若年層への対応も消費者安全法等に書いていただくとともに、高齢者は、若年層を見守る世代として、現在の現役親世代を中心に、社会全体への情報提供を強める必要があると思っております。

更に多様な角度、手法で、消費者教育を進める必要性があるということから、民間の人材の登用をぜひ考えていただき、消費者教育の担い手、コーディネーターの養成と確保というものもあわせて、お願いしたいと思っております。

最後になります、スライドの7を御覧ください。4つ目となりますが、大学生協連の学生とか、そのほか、最近、全国消団連では、若い世代の方と交流する機会が数多くありました。そこで、話をしておりますと、選挙権付与に伴い、18歳、19歳の若年層の皆さん、学生だという注釈はつきますけれども、社会へ積極的に参画しようという意識改革が少しずつ始まっているという認識がございます。この機を逃さずに、教育、勤労、納税という国民の義務など、主権者としての意識向上のために、若年層自らが進んで学べる、環境整備を進める好機ととらえていただいて、周囲からの働きがけに加えまして、若年層自らが積極的に参画できるような場ですとか、仕組みですとか、ネットワーク作りのための支援を行っていただきたい。つまり消費者教育の対象ではあるのですけれども、主体として、学べるような場の設定が必要ではないかと思っております。

最後にお願いです、2009年に答申されました、法制審議会、民法の成年年齢引下げについての最終報告書では、契約年齢を引き下げた場合の問題点として、18歳、19歳の若者が悪質業者のターゲットとされるなど、消費者被害が拡大するおそれというのが、その時点で既に指摘されております。その対応としまして、引下げの法整備を行うには、若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現されることが必要と併記されていると理解しております。

現状はどうでしょう。5から6年たっておりますけれども、消費者保護施策の充実と消費者関係教育の充実のどちらとも、効果が明示的にあらわれているかといいますと、答えはノーであり、環境整備の不足は否めないと思っております。インターネットによる情報通信手段が普及し、SNS等によるコミュニケーションが主流となり、契約や決済にも、大きなグローバル化の波が押し寄せている現在を生きる若い世代に対して、ここで、今、私どもが要望いたしました方策の早期の具体化を、ぜひ進めていただきたいと思います。そして、社会経験が十分でない若い消費者が、安全で安心して暮らせる環境整備が整うまでの間は、ぜひ18歳、19歳の未成年者取消権を維持する経過措置の期間を置いていただきたいということをお願いして、私からの意見表明を終わりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○樋口座長  御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は、御発言をお願いします。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理  池本でございます。どうもありがとうございました。

2点、質問します。

別紙資料3-2の緊急アンケートですが、430人ほどの回答の中でいうと、下の賛成、反対の数字ですが、6割弱ぐらいが反対、3割ちょっとは賛成という感じですか。もっとも賛成という意見を読んでみると、権利を認めるのであれば、義務や責任を伴うのは当然とか、中ほどには、成人になる以上は、契約を結ぶ、自己責任をとらなければならない。一番下も、18歳が成年となれば、責任が発生するのは当然である。

質問との関係ですが、第3設問は、成年年齢が引き下げられると、未成年者取消権がなくなります。これについて、どうお考えですかという質問で、引き下げられる前提で、未成年者取消権をどう扱うか、という意味で読んでいる人がいるのかと思うのですが、それとは別に、そもそも引下げ自体に賛成、反対というのは、質問はとっておられなかったのかというのが1点です。

御発言の一番最後のあたりで、経過措置期間、きちんとした環境整備が整うまでの間は、未成年者取消権を維持する経過措置期間をという御意見でした。先ほど金融広報中央委員会の方は、むしろ引下げの施行そのものに、一定の猶予期間という言い方があって、これは立てつけの仕方だと思うのですが、そのきちんとした安心で安全に暮らせる環境整備が整うまでの期間というのは、どのくらいの期間のイメージでお考えなのかということで、もし御意見があれば、お伺いしたい。

以上、2点です。

○河野全国消費者団体連絡会事務局長(共同代表)  ありがとうございます。

まず1点目の御質問、そもそもの引下げに関する賛否を問わなかったかということですけれども、このアンケート用紙で御覧になっているとおり、引下げに関する賛否は問いませんでした。なぜかと申しますと、私どもの課題といたしまして、先ほど申し上げたように、法務省が来年の通常国会に引下げの法案を提出すると、そのことの手続に関するパブコメをとられたということで、この大きな流れに関しましては、そもそも現状で賛否をとるというよりは、そういった大きな流れに対して、消費者側として、どういう対処が重要であるのかというところで、いろいろな方の御意見をいただきたかったというのが意図でございます。ですから、未成年者取消権という、現在、消費者保護をしている権利に関しまして、皆さんがどう思うかというところで、具体的な方向について、質問をしたところでございます。

2点目、経過措置のことなのですけれども、あくまでも今回は、未成年者取消権にフォーカスして、これをもう少し社会環境といいましょうか、環境整備が整うまで、それがしっかりと社会の中で確認されるまでは、これを措置して、置いていただきたいというお願いなのですけれども、そのほかの課題に関しましても、法律がたとえ可決、成立した暁でも、当然のことながら、施行までには、もう十分な周知期間というのが置かれると思っております。その周知期間を更に超えて、しっかりと初等教育から、効果的な消費者教育、様々な社会に出て、本当に自分の1つの国民として、成人として、しっかりとした振る舞いができるという、確認ができるという時点までは、こういったものにおいて、何らかの救済措置というのが必要ではないかと考えたところです。具体的な期間というのは、今、頭の中には浮かびませんが、法律の周知期間よりも長い期間を置いていただければという要望はございます。

○樋口座長  増田委員、お願いします。

○増田委員  御意見、ありがとうございました。

5ページ目なのですけれども、若年層向け相談機能の整備ということで、メール機能の活用などということが書かれております。高齢者も同じなのですけれども、若年層の方も、相談するに当たって、何が消費者被害なのか、自分の身に起こったことが消費者トラブルだという認識がないという方も、数多くいらっしゃるということなので、困ったときに、ワンストップで相談を受け付けるという窓口が必要ではないかということは、最近、つくづく感じているところなのです。それがメール相談ということで、きっかけとなればいいと思うのですが、想定されていることとして、メールで完結したものではなくても、きっかけとして、その後、電話とか、面談でということでもよいとお考えなのかという点です。

次のページの細かいのですが、授業で聞いたことと実生活がつながっていないという点についてです。消費者教育を受けた方が、そういう実感があったということですが、具体的に、どういう教育があったのかということが分かれば、お教えいただければと思います。

○河野全国消費者団体連絡会事務局長(共同代表)  ありがとうございます。

まず1点目、相談機能の整備なのですけれども、入口をウェブという形で作っていただいて、そこから先は、そこだけで完結するという相談はないと思いますので、若い世代がいろんな入口から、消費生活相談の知識のある方のところに行きつけるようにしていただきたいということでございます。そこで完結するような相談でしたら、今のように消費者被害というのは、多くないと思っております。それが1点目です。

2点目なのですけれども、実生活につながっていないということなのですが、先ほどから申し上げているように、本年は、私たち消費者団体は、高齢化しておりますので、次世代にどうやって消費者課題解決のための問題意識をつなげていくかということで、学生の団体と、数多く接触を持ちました。そこで、こうしたことを話題にしました。

そうすると、御高齢の方と違って、若年層の方は、自分は消費者被害に遭っているのではないのだろうかという自覚はかなり持っているのです。ただ、誰に言えばいいのだろう、親には、心配をかけるから言えないとか、友達にも、お前、そんなものはだめだと、友達関係において、ネガティブな発想に陥ってしまって言えない。そうすると、最終的に自分はどんな権利を持っているかがよく分からない。でも、不当な扱いを受けたのだというところは、非常にあるのです。ですから、そういったところをうまく社会に顕在化させていくというのが重要だと思います。

簡単に言いますと、例えば飲食店で、ぱっと見て、メニューを注文しました。外で見たものと出てきたものが大分違う。これはおかしいのではないか、これはついてたはずなのに、これも出てこない。普通だったら、私ですと、厚顔無恥な消費者ですから、おかしいのではないかと一言言うのですけれども、言えない、言ったら悪いかもしれない、そんな話になっているのです。ことほどさように、何かあったときに、どういうふうに自分の不利な状況、不当な取扱いを伝えたらいいかが分かっていない。

22歳の大学生の方がそこに同席していまして、それは言わなければだめだと、君がおかしいと思ったことを、ちゃんと伝えていかないと、ほかの人も同じように困るのだと、これは変だと思ったら、そのことを主張していくこと、誰でもいいから伝えること、そういったことをやっていかなければ、消費者問題は解決しないし、それがまず消費者被害の救済につながる第一歩なのだとおっしゃって、その18歳、19歳のインターンシップに来ていた若いお嬢さんでしたけれども、言ってもいいのですかと確認していました。その辺から、消費者教育というのは入っていかないといけないという自覚がございます。ですから、実生活に結びつかないというよりは、自分の陥った状況を誰かに話す、伝えるというところが重要ではないかと感じているところです。

○樋口座長  後藤専門委員、お願いいたします。

○後藤専門委員  2点、お尋ねしたいのですけれども、まず1点目は、6ページの(3)消費者教育の人材確保のところなのですが、消費者団体は、消費者問題について、造詣が深い方々が多くて、そういう意味では、消費者教育についての大きな人材供給源だと思うのですが、そういう点から、何か具体的にこういうことができるとか、こういう準備をしているとか、何か消費者団体としての人材供給という側面から、何かおっしゃっていただけることがあれば、教えていただきたいのです。

第2点目なのですけれども、次の7ページの若年層が自ら学ぶ機会と場の創出というところなのですが、若い世代と交流する機会が多くあったというお話がありまして、具体的にどういうような形で交流があったのかということで、お話を伺っていたら、先ほどインターンシップに来ている若いお嬢さんと云々というお話があったわけですけれども、この若い世代と交流する場というもので、インターンシップというやり方が1つあるということは、それで分かったのですけれども、ここでお書きになっている若年層が自ら積極的に参加できるような場、仕組み、ネットワーク作りということを、もう少し具体的に、今のインターンシップ等の御経験も踏まえて、場合によったら、行政への要望とか、そのようなこともあるかもしれませんが、仕組みとか、ネットワーク作りのところについて、詳しく教えていただけることがあれば、お話いただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

○河野全国消費者団体連絡会事務局長(共同代表)  ありがとうございます。

最初の人材育成のところなのですけれども、私は、先ほどからお話を伺っているのですが、学校教育の場では、教える方が教員免許を持っているという形で、限られてくるのではないかと思っております。

消費者教育というのは、家庭も含めて、広くあまねく社会の中で、いろんな人たちがいろんな場面で知恵を授け、経験を共有するということが大事だと思っておりますが、学校教育の場だけで、消費者教育がうまくいくかというのは、カリキュラム数も限られていますし、家庭科が主な教える場だということで、困難です。

例えば銀行業界とか、そのほか、保険業界とかが消費者教育のツールを様々作っていらっしゃいまして、ものすごくよくできているのです。それを消費者教育として、社会の中で活用しようとすると、私の聞いているところだけなのですけれども、教育委員会等の壁があって、よほど理解のある場でないと、学校教育の場で活用していただく場面には至らない。食育は、比較的入りやすいが、消費者教育はなかなか入りにくいと伺っております。ですから、ツールや人材はいるのだけれども、連携の形が不十分ではないかというところが、私の問題意識でございます。

若年層が自ら学ぶ機会と場の創出なのですけれども、今の学生は、15歳で社会に出る方もいらっしゃるので、そういった方は、そのまま消費行動が現場に出て、生きる学校に入っていくわけですが、私が思うに、今の若年層は、決定する場面に行きあってないのではないかと思うのです。自分で決定するという場がない。

これは別の場面で、こういったことに関して、レクチャーがありまして、それで、私が伺ったことなのですけれども、例えばそれほど大きな金額ではないにしても、ある金額、予算の使い方を自らプレゼンして考える。それは、例えばどんなものかと言いますと、例えば部活の活動費などを、学校で分配する。これまでは、おそらく部活の担当の先生とか、これまでの実績とか、これが足りないというので、自分たちの決定権がないところで決められていたのかもしれないけれども、そういった自分たちに、すごく身近なところの予算決定の場に、そもそもの当事者として、学生なり、生徒なりが参画する。そこで、いろいろなことに対して、自己決定というか、社会の分配とか、決定の過程を学ぶという、そういうところとか、あと、町内会ですとか、そういったところで、様々な役割分担をしてみるとか、子供会ですとか、そういったところに主体的にかかわる。親がやるのではなくて、用意するのではなくて、そういう場の設定が可能なのではないかという御意見を伺いまして、決定するというトライアンドエラーの部分をもう少しどこかに置いていくというのが重要なのではないか。今、やられているアクティブラーニングのような形というものも、一助ではないかと感じているところでございます。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長  御説明、どうもありがとうございました。

5ページ目の制度的な対応のところで、少し確認をしたいのですけれども、消費者契約法と名指しで出ておりますので、少し具体的に伺います。第一は、年齢や知識・経験・能力に配慮しなければならないという点です。もう一つは、若年者などの知識・経験・能力の不足等の事情につけ込んで、締結した契約が取り消せるようにするという提案になっています。

すぐに問題になりそうなことというのは、年齢・知識・経験・能力に事業者が配慮しなければならないのだというと、結局、年齢であるとか、学歴であるとか、いろんなことについて、事業者が一つ一つ情報を収集しないといけないのではないかという懸念が出てきます。他方で、本人も自分の学歴や生年月日を情報収集されてしまうということを嫌がるという、本人側のいわば情報を出すことに対する抵抗感というものもあるということを考えるときには、どうなのでしょう。むしろ事業者が通常の注意をもってすれば知り得るという程度でも、それでよいのだと考える。それで知れなかったときは、こういう配慮義務というところまで踏み込まないというそういう趣旨なのか、それとも、情報収集義務というのとセットで考えておられるのかというのが第1点です。

もう一つは、つけ込んだということですが、つけ込んだかどうかというのは、内心の問題なので、分かりにくい。そのような曖昧な議論で、取消権が認められたのではたまらんという御意見も、当然、出てくるだろうと思うのです。そこで、つけ込んだかどうかという点の判断で、どういうことを要素にして、判断をすればいいかということで、何かお考えになっているところがあったら、教えてください。

○河野全国消費者団体連絡会事務局長(共同代表)  ありがとうございます。

なかなか頭が痛い問題でして、法的な措置というのは、様々考え得ると思いますが、私たちの団体がここで消費者契約法と書かせていただいたのは、消費者契約法というのが、そもそも契約において、一般的に情報力も、交渉力も劣る消費者が、契約を結ぶにおいて、これだけはしっかりと守りましょうと教えてくださっているルールだと理解しておりますので、ここにこういった形で、何らかの措置を明示的に入れていただくことで、社会全体が契約においては、こういうことも考えなければいけないのではないかというところに、思い至っていただくというか、そこがまず一番大きいところです。でも、そうは言っていると、先ほど河上委員長がおっしゃった御指摘をいただいたように、いつまでたっても、これは絵に描いた餅であって、実現はしないと思ってもいるところです。

まず1点目なのですけれども、情報収集をどこまで行うかというところなのですが、これを徹底的に法律の文言に書き込んでいってしまうと、それはそれで取引において、非常に窮屈な状態になってしまうと思います。そこまでは厳密に望まないで、通常知り得るというところにおくべきだと思っておりますが、その前提として、先ほどから申し上げているように、消費者側も契約に当たって、アラートが立つような教育ですとか、知識などをしっかりと身に付けているということをおいた上で、通常知り得るというところだと思っております。

もう一点目なのですけれども、つけ込むことに対する要件なのですが、なかなか難しいと思っております。ただ、最初に申し上げたとおり、消費者契約法に何らかの形で、専門家の方のお知恵と法制局の皆さんの言葉の使い方、そのあたりにおすがりするしかないと、消費者は思っておりますが、何らかの形で、その契約のルールにおいては、消費者と一言でいっても、当然そこに一定数いるであろう、契約における弱者に対する配慮というのは、事業者においては、必須の事項であるということを、何らかの形で、ぜひ入れていただきたいと思っております。すみません、明確な答えになりません。よろしくお願いいたします。

○樋口座長  ほかにいかがですか。

ありがとうございました。

それでは、全国消費者団体連絡会からの御報告は、このあたりにさせていただきます。本日は、お忙しいところ、誠にありがとうございました。

(4)日本経済団体連合会

○樋口座長  次に、日本経済団体連合会経済基盤本部長の小畑良晴様から、成年年齢引下げへの対応に関する意見をお伺いしたいと思います。

大変恐縮ですが。10分程度で、御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○小畑日本経済団体連合会経済基盤本部長  経団連の経済基盤本部の小畑と申します。よろしくお願いいたします。

本日は、私どもの考え方をお聞きいただく機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。

それでは、早速、始めさせていただきます。

今日の資料のページを1つめくっていただきたいと思います。はじめにというところでございますけれども、経済界といたしましては、これまでも適正な消費者取引の維持・推進に向けて、消費者契約法を始めとする、消費者法制の周知を図るとともに、安全な商品・役務の開発・提供による消費者顧客の満足と信頼の獲得に努めてまいっておるところでございます。

本日は、まず経団連の消費者政策に関する取組につきまして御紹介をさせていただき、その後、民法成年年齢が引下げられた場合の対応について、現時点における考え方を述べさせていただければと思っております。

3ページ目をお開きいただければと思います。これまでの経団連の取組でございます。

当会は、かねてより民主導・自律型の活力ある豊かな経済社会の構築に、全力を挙げて取り組んでおるところでございます。そのような社会を実現するに当たっては、企業や個人が高い倫理観を持つとともに、法令遵守を超えた自らの社会的責任を認識して、様々な課題の解決に、積極的に取り組むということが必要だと考えております。

そういった考えのもとで、企業の自主的な取組を促すべく、1991年に企業行動憲章を制定しております。さらに5年後の96年には、実行の手引きというものも作成して、会員企業に徹底周知を図っているところでございます。これらにつきましては、社会経済の変化、あるいは法制等の変化を踏まえて、何回かにわたって、見直しを行って、現在に至っております。

企業行動憲章におきましては、10の原則を掲げておりますけれども、その中で、まず第一に「消費者・顧客の満足と信頼を獲得する」ということを掲げております。

各原則につきましては、企業における取組を促進するために、先ほど申し上げたように、実行の手引きにおいて、企業における基本的心構え、姿勢、具体的アクションプランというものを示しておるところでございます。

本日の資料の4ページ、5ページに、一部抜粋をつけております。例えば4ページを御覧いただければと思いますけれども、企業行動憲章の第1原則「社会的に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する」ということに対しまして、実行の手引きにおいては、4つの指針を挙げておるのですけれども、本日、この資料では、そのうちの1つを掲げておるところでございます。

さらに5ページ目では、具体的アクションプランということで、更に深堀した具体例を掲げております。

次に6ページを御覧いただければと思います。消費者志向経営の推進ということで御紹介させていただきます。経団連の中に、政策委員会として、消費者政策委員会というものを設置して、日々検討しております。

こちらにおきましては、具体的には、消費者関連専門家会議と共催で、消費者志向経営トップセミナーというものを開催したり、あるいは経団連の会合に、消費者庁長官をはじめとする、消費者庁の幹部の方をお招きして、その取組について、御説明を頂戴するとともに、意見交換を行うなど、会員企業における消費者志向経営の浸透に向けた取組を行っているところでございます。また、消費者志向経営推進組織の構成員としても、消費者志向経営の更なる普及に向けて、活動しております。

7ページを御覧いただければと思います。最近の取組事例として、今年に入ってから、当会が主催、共催したセミナー等で、代表的なものを御紹介させていただいているところでございます。これに限らず、引き続き、消費者志向経営の更なる普及に向けて、一層取り組んでまいりたいと考えております。

8ページを御覧いただければと思います。成年年齢が引き下げられた場合の対応ということでございますけれども、まずは、文科省・消費者庁・学校等が連携した、消費者教育の推進が必須ではないかと考えておるところでございます。

本年の6月の消費者委員会から御提言されました、若年者層を中心とした、消費者教育の効果的な推進に関する提言を拝見いたしますと、19歳から20歳になるタイミングだけでなく、17歳から18歳になるタイミングにおいても、相談事例が増えていることが読み取れます。未成年者契約取消しの対象であっても、就職とか、大学入学とか、こういう環境変化を捉えて、相談件数が増えるという傾向はあるということでありますので、なにはともあれ、成年年齢の引下げの有無にかかわらず、文科省、あるいは消費者庁等の皆さんが連携していただきまして、小中高における消費者教育の更なる充実を図ることが、まずもって必要ではないかと考えておるところでございます。

その際、消費者教育には、いろいろな切り口があると思いますけれども、この本ワーキング・グループにおいて、紹介された事例とか、あるいは教育現場の現状をヒアリングした上で、行われた御議論を踏まえて、現に発生している消費者トラブルを防止するということに焦点を当てて、ケーススタディー等に力を入れるなど、メリハリのある教育の強化を提言されるということも、有効ではないかと考えるところでございます。

9ページには、御参考までに、先ほど申し上げました、件数についての御紹介がされている部分を抜粋しているところでございます。

10ページでございますけれども、経済界、私どもとして、いかなる対応をするのかというところでございますけれども、若年層への消費者教育について、政府、あるいは関係業界と協力して、積極的に推進してまいりたいと考えております。

経済界では、既に各企業、あるいは業界団体が消費者教育に取り組んでおるところでございまして、私ども経団連におきましても、関係団体であります経済広報センター、こちらのホームページにおいて、学校教育関係者の皆様へというコーナーを設けております。このページでは、小中高の関係者の皆様に向けて、会員企業が提供しております出前授業、工場や施設の見学会、体験教室、教材提供など、学校教育に活用できるプログラムの情報を紹介させていただいているところでございます。これらのプログラムの中には、先ほど来、言及がございます金融教育のプログラム等消費者教育に資するものもあると存じておりますので、ぜひ御活用いただければと考えております。

ちなみに11ページには、今、申し上げた、経済広報センターのホームページを載せております。大学関係者に向けた「企業人派遣講座」等も御紹介しておりますので、ぜひ一度見ていただければと考えております。

最後に12ページでございますけれども、今後の検討に向けての留意点ということで、書かせていただいております。現時点では、まだ成年年齢が引き下げられていない、そういう状況でございますので、引下げの影響については、なかなか具体的に測り切れないと考えております。しかしながら、そこで手をこまねいているわけにもいきませんので、まずは消費者教育を一層充実していくということが必要である。それによって、若年者が消費者被害から身を守るために必要な知識等を習得するということを徹底していくことが必要であると考えております。

しかしながら、消費者教育に加えて、更なる施策が必要かどうかについては、慎重に検討すべきと考えております。法制審議会の最終報告書においては「取引の場面など、私法の領域においても、自己の判断と責任において自立した活動をすることができるよう、特段の弊害のない限り、民法成年年齢を18歳に引き下げるのが適当である」とされているところでございます。自己の判断だけでなくて、自己の責任において、自立した活動が期待されているということでありますので、その考え方が没却されないということが重要であると考えております。今後の検討に当たっては、健全な事業活動と健全な若年者層の消費活動両方を阻害しないという観点が必要と考えておるところでございます。

簡単ではございますけれども、私からは以上とさせていただければと思います。どうもありがとうございます。

○樋口座長  御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は、お願いしたいと思います。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理  御説明ありがとうございました。

消費者教育の面と今後の施策の面と、2点、質問させていただきます。

消費者教育の面で、小中高に向けて、関係団体、あるいは会員企業でも、様々な取組をして、情報を紹介しておられるということは、非常に貴重な活動であろうと思いますが、特に今回の一連のヒアリングの中でもお伺いしているのが、18歳、19歳、つまり高校卒業した後、大学であったり、専門学校であったり、あるいは就職した方々となると、学習指導要領も及ばないし、大学や専門学校は、個別の分野の授業しかないというところで、18歳、19歳の方に対して、消費者教育をどう届けていくかということが非常に悩ましい課題になっていますが、そのあたりについて、お考えがあれば、お伺いしたいという点が、まず1点です。

2点目、最後の12ページのところに関連してですが、法制審議会で、成年年齢18歳に引き上げることが適当であるという文脈とともに、その最終報告書では、成年年齢の引下げの法整備を行うには、若年者の自立を促すような施策や、消費者被害の拡大のおそれ等の問題の解決に資する施策が実現されることが必要であるということも、一緒に書いてあったと思います。つまり消費者被害の拡大のおそれがあるというのは、法制審の中でも、そのことが審議され、それが必要条件として提示されていたと思うのです。先ほどの御説明では、消費者教育を充実して、更なる施策が必要かどうかについては、その効果を見極めた上で、慎重に検討すべきであるとすると、読み方によっては、消費者教育で一旦やって、被害が増えたら、それから検討すると、被害の後追いになってしまわないかということが危惧されます。そのあたりについて、どうお考えなのか。

例えば一律の未成年者の取消しではないけれども、違法の勧誘行為があった契約については、取り消すとか、その要件立てを提示することによって、保護すべき条件の場合には、取消権を付与するということが必要ではないか。法制審議会の最終報告にも、いくつか考え方が出ていたと思うのですが、そのあたりについて、どうお考えか、お伺いしたいと思います。

○小畑日本経済団体連合会経済基盤本部長  御質問ありがとうございます。

第1の御質問でございますけれども、確かに18歳、19歳という年代に対する直接的な教育というものは、なかなか手立てがないということは、現状だと思っております。その1つの在り方として、私どもの取組として大学関係者に向けた企業人派遣講座というものを、先ほど11ページで御紹介させていただいたところでございます。こういったものも、1つのツールとしてあると思っております。

ただ、18歳、19歳に教育をしても、既に手遅れなのではないかと思っておりまして、むしろ小学生の頃から、しっかりと消費者教育を叩き込むということが後々に役立つのではないかと思っております。小中高と順を追って、しっかりと消費者教育をやっていくという、非常に地道な努力なのではありますけれども、そういうことが重要になってくるのではないかと考えておるところでございます。

2点目の御質問でございますけれども、確かに自立を促す施策とか、消費者被害にどう対処していくかという施策、こちらも非常に重要だということは認識しております。これにつきましては、仮にその年齢に下がった場合に、18歳、19歳という年代に特化した取消権などを別途措置してしまうと、結局、成年年齢を引き下げないのと同じことになってしまうのではないかと考えております。そこは先ほど池本先生から御指摘のように、一般的な違法行為によって被害を受けた、こういった場合にどう対処するかということを検討するのが第一ではないかと考えております。

ただ、現行制度で、消費者契約法等々、様々な制度が既にございます。その中で、相当程度、そういったものに対する措置というものは講じられていると認識しておりまして、更にそれ以上の措置が必要なのかどうかについては、別途よく検討する必要があるのではないかと考えておるところでございます。

○樋口座長  よろしいですか。どうぞ。

○池本座長代理  一番最後のところですが、違法な行為が行われたときというのは、現在の消費者契約法なり、特定商取引法なりというもので規定されているものでは不十分ではないか、被害が増大するのではないか、そういうおそれがあるから、もう一歩、若年者、もちろん18歳、19歳には限定しなくても、判断力が不足している、そういうものに対する不適正な行為を一定の違法類型を作って、取り消したり、保護するというのが、法制審議会の報告書の中に、幾つか考え方が出ていたと思うのですが、そういうものを引下げと並行して、検討していくということについて、どうお考えかということなのです。それは、施行した後、結果を見てからということになるのか、並行して審議するということかという、順序の問題としていかがでしょうか。

○小畑日本経済団体連合会経済基盤本部長  現時点で、そこまで年齢に特化した検討がどこまで必要なのかということについては、事例等もどこまであるのか、なかなか分からないところでもございまして、現時点では判断できないと考えております。

○樋口座長  ほかにいかがですか。

大森委員、お願いします。

○大森委員  2点、質問があります。

企業行動憲章及び企業行動憲章実行の手引きというものを作られていまして、初めて作られたときは、随分感動したものですけれども、今後、成人年齢が引き下げた場合に、内容を修正したりとか、加筆するような計画があるかどうかということが1点です。

あと、成人年齢引下げとは直接関係はないのですけれども、企業にも若い学生、大学を卒業してすぐの新入社員の方がいらっしゃると思うのですが、なかなか企業に入ってからの消費者教育というものが進まないのですが、会員企業では、進んでいるのかどうか、その辺のことをお聞かせください。

○小畑日本経済団体連合会経営基盤本部長  御質問いただきまして、ありがとうございます。

まず今後、成人年齢引下げに伴う企業行動憲章の改訂があるやなしやという点でございますけれども、前回の企業行動憲章の改訂からも、かなり日が経っておりますので、成年年齢引下げのみならず、様々な法制度が相当程度変わっております。そういったことも踏まえまして、適切な時期に改訂をするということになると考えておるところでございます。

その次に、企業における新入社員教育の中で、消費者教育というのはどうなのかという点につきましては、私どもとしても、そこのところは調査したことがございません。なかなか何とも言えないのですけれども、そういったことも必要なことだと思っておるところでございます。

○樋口座長  よろしいですか。

○大森委員  ぜひよろしくお願いします。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

私からも1つお伺いしたいのですが、12ページの最後のところに、健全な若年層の消費活動とありますが、健全でない消費活動が、いろいろな意味で問題になってくるわけです。そういったことについては、当然、そういったものに対する消費者保護なり、対応というのは、必要になってくるのではないかと思うのですが、その辺はいかがお考えでしょうか。

○小畑日本経済団体連合会経営基盤本部長  もちろん健全でない、問題のある取引については、しっかり対処していく必要があると考えておりまして、それは若年層であろうと、高齢者であろうと、それ以外の年代であろうと、どういう年代においても、しっかりと対応するということが必要ではないかと考えております。

○樋口座長  ありがとうございました。

ほかによろしいですか。

どうもありがとうございました。

それでは、本日は、お忙しいところ、ありがとうございました。

(5)日本司法書士会連合会

○樋口座長  次に、日本司法書士会連合会常任理事の小澤吉徳様から、成年年齢の引下げに伴う消費者被害への対応について、御報告をお願いいたします。

○小澤日本司法書士会連合会常任理事  ただいま御紹介いただきました、日本司法書士会連合会常任理事の小澤といいます。よろしくお願いします。

本日は、このような貴重な機会をいただき、ありがとうございます。

時間がないようですので、簡潔にいたします。

日本司法書士会連合会では、今日の資料とはしていませんが、意見書というものも出しております。

現状認識としては、未成年者であるか否かにより、その取引において、取扱いに差異を設けている場合が少なくないということ、そして、現在の消費者トラブルの実態を見ると、20歳になると、相談件数が増加する傾向が見られている。そのように考えております。

より具体的に言いますと、20歳代前半の若者について、先ほども出ておりましたけれども、大学等で蔓延するマルチ商法の事案であるとか、消費者金融からの借入れを強要されるケースであるとか、アダルトサイトの架空請求事案であるとか、多額の金銭を詐取されるプリカ詐欺であるとか、訪問販売による勧誘を断り切れずに締結に至るケースなど、多様な取引機会が発生していると認識しており、一方、13歳から18歳程度の未成年者についても、親権者のクレジットカードを無断で利用して、インターネット上で高額決済をしてしまうケースなどのトラブル事案が見られる認識しているところでございます。

このような現状を踏まえますと、未成年者であるか否かの線引きというのは、取消権に加え、若者取引被害を未然に防止するセーフティーネット効果があるものと考えております一方で、成年に達したことを境として、一気にこのようなセーフティーネットの外に置かれるということで、多様な消費者被害に巻き込まれる事態となるということが考えられると思いますので、以上からすれば、成年年齢を18歳に引き下げる場合は、既に指摘がなされているように、18歳に達した若者の消費者被害が増加することを容易に想起できると考えているところでございます。

問題の本質は何かということで考えますと、上記のような若者の当事者とする消費者被害が発生する要因としては、若者の知識・経験・交渉力・判断力の不足が考えられまして、成年年齢に達した時点を境に、取引耐性の脆弱な若者が、いわば丸腰で市場に送り出されるという点にあると考えておりますので、未成年者であるか否かの基準とは別に、このような本質を踏まえた対応が必要になるのではないかと考えているところでございます。すなわち、成年者も含む若者に対する法律上の手当ての必要性を感じています。

そこで、ここに一案ということで書かせていただいております。消費者基本法において、事業者の責務として、消費者との取引に際して、消費者の知識・経験及び財産状況等に配慮することが書かれております。これを根拠としまして、事業者につき、具体的に若者の判断力の不足に乗じて、契約を締結させること及びその知識・経験・資力に適合しない契約を締結させることを禁止するであるとか、あるいはこうした事態を回避するための注意義務を規律することなどが考えられるのではないかと思います。もちろん、これは、個別の取引類型に応じた特別法における規律とするのか、あるいは消費者契約法における規律とするのか、様々な検討が十分には必要だと考えているところではございます。

また、このような規律のみでは、不十分と考えられる取引類型につきましては、行為規制に加え、民事規定、例えば上記注意義務違反を根拠とする一種の撤回権の創設などを設けることも考えられるのではないかと思います。

消費者教育については、先ほど来、様々な意見が出ておりますので、日本司法書士会連合会につきましても、当然、活動を強化し継続していく所存であります。

以上でございます。

○樋口座長  御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は、御発言をお願いいたします。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理  御説明ありがとうございました。

様々な問題を当事者から直接お聞きになっておられるというところで、これまでにも国民生活センターとか、消費生活センターなどで、ヒアリングの中でもでてきていたのですが、御説明の前半にありました、未成年者取消権が未成年者の被害防止の機能があるということ。それが18歳、19歳にあることによって、被害が減っているのではないかということで、例えばどういう面で、現在でいえば、19歳までと20歳以降の比較ということになると思うのですが、どういう面でそういうことが示されているのかということがもしあれば、具体的にあれば、教えていただきたいと思います。

○小澤日本司法書士会連合会常任理事  具体的な事例ということですか。

○池本座長代理  細かい事例でなくて結構ですが、それが1点です。

法制度の問題と、消費者教育の問題ということが説明されましたが、仮に成年年齢引下げとなる場合に、その施行までのタイミングとか、周知期間、あるいは施行までの期間というのは、どのくらいが必要であるとお考えか、御意見があれば、お伺いしたいと思います。

○小澤日本司法書士会連合会常任理事 分かりました。

1点目ですけれども、大学等でのマルチ商法的なものが多いのではないかと考えているところでございます。

2点目につきましては、今日、資料では出しておりませんけれども、連合会の意見書の中では、5年程度という意見を出しているところでございます。

○樋口座長  よろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。

増田委員、お願いします。

○増田委員  司法書士会は、古くから多重債務問題に取り組んでいらっしゃると思うのですけれども、若年層の多重債務の御相談の傾向と、未成年者の場合の取消しができるといっても、現実にはなかなか応じていただけないケースがほとんどなのですが、それについての御意見とかありましたら、教えてください。

○小澤日本司法書士会連合会常任理事  若年層の多重債務の相談は、本日、資料を持ちあわせていないので、申し訳ないのですが、記憶で申し上げますと、一定程度、常にそういった相談が寄せられております。全国に司法書士会の総合センターが158か所あるのですが、そこには多重債務の相談、こういった消費者被害の相談が多数寄せられておりまして、そこには、若年層の多重債務被害であるとか、未成年者の契約トラブルというのが一定程度、常に寄せられていると認識しています。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。

後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員  2ページの冒頭の1行目のところで、問題の本質は何かというところで、若者の後に(未成年者及び成人に達して間もない20歳代前半の者)とお書きになっている部分について、私も深く賛同するところでありまして、若者の知識・経験・交渉力・判断力等の不足が考えられるという部分の知識・経験・交渉力・判断力等の不足というのは、何も未成年者だけではなくて、現在の規定でいうと、20歳を過ぎても、何歳までというのは一律には言えませんけれども、判断力等が問題であるという人たちがいるというのは確かですので、そういう人たちを法的な救済の対象にする。そういう方向性というのは、大事だと思うのです。

一方、未成年者以外でも、この判断力等の不足ということがある人としては、高齢者もそうですし、場合によっては、障がい者とか、そういう人たちも、判断力等の不足というのがあるわけですので、ここで知識・経験・交渉力・判断力等の不足という観点から考えると、むしろ何らかの規定をする場合に、若者ということだけではなくて、高齢者とか、あるいは障がい者とか、そういう人も含めた意味での規定を設けるというのも、1つの方法だと思うのですが、今日は、タイトルとして、成年年齢の引下げに伴う消費者被害への対応についてということで、御意見をいただいたものですから、たまたま若者ということに絞って、こういう意見をしていただいたのかもしれませんが、その辺、むしろお考えになっていることは、若者だけではなくて、ほかの高齢者とか、障がい者ということを含めての御提言という趣旨も含んでいるのかということを、あるいは若者だけという形で規律するほうが望ましいと考えているということであれば、そういう御意見も含めて、お教えいただくとありがたいのですが、よろしくお願いします。

○小澤日本司法書士会連合会常任理事  ありがとうございます。

連合会の消費者問題対策委員会では、かつて消費者契約法の改正試案の中で、高齢者に独自の取消権を与えてはどうかという議論もなされているところでございますので、今回は、若者問題でありましたので、このような記述になっておりますけれども、基本的なスタンスとしては、障がい者の方、あるいは高齢者の方で、判断能力が低下されている方については、同様にそのような権利を与えるべきであろうと考えています。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、日本司法書士会連合会からの御報告は、このあたりにさせていただきます。

本日は、お忙しいところ、誠にありがとうございました。

(6)日本弁護士連合会

○樋口座長  次に、日本弁護士連合会の副会長の岩渕健彦様、消費者問題対策委員会の委員長の瀬戸和宏様、副委員長の坂勇一郎様、同じく副委員長の中村新造様、成年年齢引下げ問題プロジェクトチーム座長の平澤慎一様から、成年年齢の引下げに関する御意見について、お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

時間が10分ということになっておりますので、どうぞよろしくお願いします。

○岩渕日本弁護士会連合会副会長  副会長の岩渕でございます。

御説明させていただきます。

初めに資料でございますが、資料6-1から大変多くございますが、基本的には、資料6-1と資料6-3、資料6-1の青色基調のものと、資料6-3の緑色基調のものを御覧いただければと思います。

なお、資料6-3の2枚目以降を御覧いただきたいのですが、説明が少し消えておりますので、初めに御説明します。資料6-3の通しの2ページから通しの4ページは、日弁連の消費者問題対策委員会の委員に対するアンケートでありまして、5ページ以降は、それ以外、日弁連の会員一般に対するアンケートであります。途中で引用する関係があるものですから、初めに御説明いたしますが、2ページないし4ページが委員に対するものであり、5ページ以降は、それ以外の会員に対するものになっております。

それでは、お話します。

2009年に取りまとめられました、法制審議会の民法の成年年齢の引下げについての最終報告書は、若年者の自立を促す施策、消費者被害の拡大のおそれ等への施策が実現され、その効果が十分に発揮された段階において、成年年齢の引下げを行うべきであるとしております。よって、上記施策が実現されていない現段階においては、拙速な成年年齢の引下げは、行われるべきではありません。当連合会は、上記施策の実現を先行して行うべきであるということを、申し上げたいと思います。

最終報告書は、消費者保護施策の一層の充実と、消費者教育の充実が必要としております。当連合会も、成年年齢の引下げに当たっては、若年者の消費者被害防止のための施策と、消費者教育の充実は必要不可欠であると考えています。

まず若年者の消費者被害防止のための施策について、御説明します。若年者は社会経験が少ないことや、18歳、19歳が人生において重要な時期であること、消費者被害に遭ったときには、進学や就職に影響するなど、後の人生に重大な影響を及ぼすことが懸念されますので、実効性のある若年消費者保護施策を設けることは、必要不可欠であります。

そして、その検討に当たっては、現状における若年者の消費者被害の実態を踏まえることが求められます。そのような観点から、3点、意見を申し上げたいと思います。

第一に、若年者の消費者被害の実態を見ますと、社会経験が乏しいことなどから、社会的な抵抗力が弱く、弱さにつけ込んで、消費者被害やトラブルに巻き込まれるといった事例が大きくあります。このような事案としては、いわゆる恋人商法、霊感商法等、不安心理を助長する商法、雇用関係等の関係を利用する商法等がございます。

今、申し上げたのは、資料6-3の通し番号の2ページないし6ページのうち、つまり委員会へのアンケートですが、このうちの8番、13番、18番、これらは被害内容を見ていただければ分かりますが、全てつけ込み型と言われるものに関する事例であります。

このようなつけ込み型に対応するためには、消費者契約法の見直しの中で議論されております、つけ込み型不当勧誘の取消しの導入が有効であります。つけ込み型不当勧誘とは、合理的な判断を行うことができない事情を利用して、不必要な契約を締結させるものです。つけ込み型不当勧誘の取消権は、若年者だけの問題ではありませんが、成年年齢の引下げによる消費者被害増大への対策の一つとしても、早期の導入が望まれるものであります。

第二に、若年者の消費者被害には、訪問販売、電話勧誘販売、通信販売、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売、連鎖販売取引等の特定商取引に関するものが多く見られます。例えば訪問販売では、投資用DVD等の被害が生じていますし、特定継続的役務提供では、エステ等のトラブルや被害が多数発生しており、また、学生間や先輩・後輩間を利用したマルチ商法による被害も多数発生しております。

資料6-3のうち、通しの2ページ以下の9番と11番、また、通しの5ページ以降の1番と12番は、今、申し上げた被害に該当するものであります。

これらの事案に対応するためには、若年者の特定商取引について、原則として、取消権を認める制度が検討課題になります。

第三に、若年者の消費者被害事例では、その資金は、借入れ、またはクレジットによるものが多数を占めます。消費者被害やトラブルに巻き込まれ、若年者が多額の債務を抱えることは、若年者には酷であります。結局、親が負担を負う例も少なくないと見られています。

また、資料6-3ですが、この中の通しの2ページないし5ページにおいては、2番、6番、18番、5ページ以降では10番が、比較的金額が大きいものとなっております。

割販法においては、支払可能見込額を超えるクレジットは、禁止されております。

また、貸金業法においては、個人への貸付額は、年収の3分の1までとされております。

若年者の多くが学生であることを鑑みますと、かかる規制が徹底されれば、被害やトラブルは相当程度抑止できるはずであります。しかしながら、問題業者、悪質業者は言葉たくみに、若年者に借入れやクレジット契約をさせ、若年者も社会経験の不足などから、これに巻き込まれてしまう例が少なくありません。問題業者、悪質業者が相当プロ化している実態があることも踏まえる必要がございます。こうした規制の実効性を図ることも検討課題であります。この点については、法制審の最終報告書においても、資力要件の確認に公的書類を求めるべきであるという意見も紹介されております。

次に消費者教育について、御説明します。

日本では、18歳という年齢は、特別な意味を持っていると言えます。すなわち、大学、専修学校への進学率が90%を超える日本においては、多くの若年者にとって、18歳とは、高等学校を卒業し、大学等への進学や就職等という、新しいスタートラインに立つところとなっております。このスタートラインにつく際には、それまでになかった様々な契約、例えばアパートの賃貸借、家電の購入等々、様々な契約の適用が迫られる場面に、突如直面することになります。従来、高校等を卒業した18歳の若年者は、契約を締結する際、親権者の同意を得る過程で、大人からのアドバイスを受ける機会を有しておりました。18歳から20歳までの2年間をそのような状態で生活する中で、親権者のアドバイスを受けながら、契約締結を体験し、契約の意味を学習する機会を有していたと言えるところであります。

しかし、成年年齢が引き下げられますと、18歳の若年者が上記スタートラインに立った時点においては、既に大人として単独で契約できる状態であることになり、上記のような親権者のアドバイスを受けながら、契約締結を体験したり、その意味を学習したりする機会を経ないまま、突如市場に登場することになりかねません。

以上を踏まえますと、消費者教育は、これまでの18歳、19歳の若年者が有していた契約締結の体験や学習の機会に代替するものでなければならず、質的にも、量的にも、相当な充実を図ることが不可欠と言えます。

消費者教育の充実に関する具体的な内容については、様々なものが考えられますが、少なくとも以下のようなものは、対応が必要であると考えられます。

第一には、知識の伝達教育であります。例えば消費者教育に関する教材、教員システム、授業時間数など、学校教育現場における消費者教育をより一層充実させる。実際に若年者が巻き込まれた消費者被害の実例を授業等で紹介する。消費生活相談員や弁護士による出前授業を取り入れる。SNSやツイッターなどの若年者になじみが深いツールで啓発する。18歳の誕生日に受講するDVDの教材を作成する等も考えられると思います。もっとも限られた授業時間数の中での消費者教育には、限界がありますので、各教科において、それぞれ消費者教育につながる部分について、常に機会を見て、教育をすることが重要であると考えています。

また、高校に過重な負担が課され、知識偏重に逆戻りするおそれがありますので、小中高を通じた長期的なプログラムを構築することで、生徒に習得させることが有益であると考えます。

また、意思決定や交渉力、断る力を習得させるためには、金融の仕組みや契約の意味を知る必要があるため、消費者教育、金融教育、法教育を有機的に連携させることも有益と考えます。

第二に、参加型教育についてです。消費者教育とは、日々の生活に根差したものであり、かつ1つとは限らないものでありますので、座学や知識を蓄積するだけでは足りず、異なる立場の考え方があることを学びつつ、実際に行動に移せる制度にまで理解を深める必要があり、参加型教育のカリキュラムを取り入れる意義は大きいと考えます。例えばゼミ形式のディスカッション、ワークショップのような、生徒の積極的な参加を呼びかける指導方法の導入・充実が考えられます。

第三に、体験型学習についてであります。先にも述べましたとおり、これまでの若年者は、18歳、19歳という年齢時に、親権者のアドバイスを受けながら契約締結を体験し、その意味を学習する機会を有していました。そこで、仮に成年年齢が引き下げられた場合には、これに代替するものを学校教育の現場で行うことが必要となります。

例えばひとり暮らしを始めるための買い物を体験できるバーチャルソフトを用いた授業であったり、ロールプレイ、広告表示を体験するプログラム、買物や借入れについてのプログラム等も考えられると思います。このような体験型授業を通じて、お金を使うこと、お金を借りること、お金を稼ぐこと等について、その有意性だけではなく、失敗したときのリスクも含めて教育することが必要です。このような体験型学習において、小さな失敗を体験しておくことで、より大きな失敗を防ぐことができると考えられます。

第四に、救済手続の詳細な教育についてであります。仮に成年年齢が引き下げられますと、18歳に達した若年者は、直ちにいや応なく市場に参入させられることになります。どれだけ消費者教育を充実させたとしても、残念ながら、18歳、19歳の若年者のうち、相当数が悪質商法にだまされたり、多重債務に陥ったりすることは不可避であると思われます。その際、どこに相談すればよいのか、どのような救済手続があるのかを知らなければ、被害が放置され、進学を断念するケースも出る可能性があります。

そこで、そのような場合に備えて、あらかじめ救済手続の詳細を知識として伝達しておく必要があります。具体的には、地方公共団体の相談窓口、弁護士会の相談窓口、ADR、調停、訴訟等の仕組みについてでありますが、当然のことながら、そのような手続を教えるだけではなくて、利用する際の費用についても、教えていく必要があると考えられます。

第五に、大人として扱われる18歳、19歳の若年者に対する教育についてであります。これまでの施策は、主に中学校、高校、専修学校を念頭に置いておりましたが、仮に成年年齢が引き下げられた場合には、大人として扱われる18歳、19歳の若年者に対する教育を実施する必要があります。大学、職場、地域等において、これまで述べてきた点に配慮した教育を継続して実施する必要があります。もっとも中学校、高校、専修学校のように、毎日同じ教室に通学するわけではなくなるため、そもそも消費者教育の現場に足を向けさせる方法から考えなければならず、ハードルはより高いものと考えられます。

第六に、高齢者に対する消費者教育、啓発活動の応用の必要性が挙げられます。これまで様々な施策について述べてきましたが、効果的な消費者教育を検討する際には、これまで高齢者に対して行ってきた、消費者教育の方法、効果を丁寧に検証し、適宜若年者に応用することが有益であると考えられます。

以上でございますが、最後に、成年年齢の引下げに先立って、まず実効ある施策が先行して行われるべきであるということを申し上げた上で、個々の施策について、実りある議論をお願いしたいと考えております。

以上です。

○樋口座長  御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は、御発言をお願いいたします。

増田委員、お願いします。

○増田委員  先生方には、常日頃、いろいろな場面で御協力いただいていまして、ありがとうございます。

若者の場合、高齢者と違って蓄えがないものですから、クレジットと貸金は切っても切れない、取引をするに当たって必要不可欠であると同時に、ある意味、そこがストッパーになる可能性もあるのではないかと思っております。今後、割販法とか、貸金業法の中で、ストッパーとして機能するように、何らかの手当をしていただくことが必要ではないかと考えているところなのですけれども、本人の収入確認であるとか、資力要件であるとか、そういうことについて、更に厳格化するに当たって、具体的にはどのようなお考えがあるかということが1点と、それから、成立した場合、施行までの期間を、先生方としてはどのようにお考えかという、その2点について、お教えいただけますでしょうか。

○岩渕日本弁護士会連合会副会長  私から初めに申し上げますが、第一の質問に関しては、日弁連という組織として、まだ具体的にその辺についての明確な意見は述べておりませんので、本日、そこは個人の意見になると思います。この点については、後で平澤座長からお話したいと思います。

期間については、議論が少しされておりまして、明確な数字はまだ出ておりませんが、長期間が必要だろう。例えば5年という数字を議論しております。5年という数字を、今、挙げているところでございます。

もしあれば、お願いします。

○平澤日本弁護士会連合会消費者問題対策委員会成年年齢引下げ問題PT座長  1番目のほうです。資力要件を確認する書類については、厳格に定めるべきだと思っております。

支払可能見込額について、ある程度下げるとか、そのあたりは、具体的に決めていく必要があると思います。

それから、公的書類を求めるべきということですので、例えば源泉徴収票とか、そのあたりについては、厳格に書類を求めて、審査してもらう形にして、そういう形をとれば、ある程度大きい被害については、防止できるのではないかと考えております。

○樋口座長  よろしいですか。

○増田委員  はい。

○樋口座長  大森委員、お願いします。

○大森委員  資料6-2の上の段に、赤い矢印で書かれているところなのですけれども、若年者の自立の遅れという近年の傾向から、国は、まず若年者の自立を支えていく仕組み作りを先行させるべきと書いていらっしゃるのですが、とても大切なことだと思うのですけれども、何か具体的なアイデアなどはお持ちでしょうか。

○岩渕日本弁護士会連合会副会長  これは、中村先生、お願いします。

○中村日本弁護士会連合会消費者問題対策委員会副委員長  中村です。

御質問ありがとうございました。

この点、若年者の自立の遅れという前提自体は、法制審の最終報告書でも指摘されているところでして、これを何とかしなければいけないということが共通のテーマではないかと思っています。

自立を支えていく仕組み作りの最も大きなものは、この分野では、消費者教育ということになってくると思っています。先ほども口頭で副会長から申しましたとおり、抽象的にいろんなことを教えていこうというだけではなくて、現在、18歳、19歳の若年者が体験しているようなことを、具体的にどういうふうに教えていくのか、体験させていくのかということで、あえて参加型教育とは別に、体験型教育ということで、意見を述べさせていただいた次第です。

もう一つは、制度設計です。若年者の自立を支えるというか、保護ということになるのかもしれませんけれども、自立していく過程を支えていかなければいけないので、そこには一定の取消権であるとか、貸金に対する規制なども入ってくると考えています。

以上です。

○樋口座長  よろしいですか。

○大森委員  はい。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員  御説明どうもありがとうございました。

資料6-1ですけれども、若年者の消費者保護に関する適切な施策の充実が必要であるということで、4つ提案なさっていますが、この4つは、全部実行すべきだということなのでしょうか。特に個人的に関心があるのは、消費者契約法の改正と特定商取引法の改正のどちらのほうが望ましいかということなのですけれども、その辺も含めて、この4つの御提案について、優先順位等、何かコメントがありましたら、お教えいただきたく思います。よろしくお願いします。

○岩渕日本弁護士会連合会副会長  現時点においては、濃淡はございません。この4つを、今、検討課題として挙げておりますので、ただ、今後、早急に、我々でも、そういった点について、検討したいと考えています。

○後藤専門委員  ありがとうございました。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、日本弁護士連合会からの御報告は、このあたりにさせていただきたいと思います。本日は、お忙しいところ、誠にありがとうございました。

(7)法務省

○樋口座長  それでは、最後に、法務省から法教育に関する取組について、御報告をお願いしたいと思います。

○中保法務省大臣官房司法法制部付  法務省でございます。

法務省の大臣官房というところで、司法法制部付をしております、中保と申します。よろしくお願いいたします。

本日は、法務省が推進しております、法教育の取組状況について、主として、消費者教育との関連に重点を置いて、御説明させていただきたいと思います。

本日の説明に際しましては、3点の資料のほか、参考資料といたしまして、今、配布していただいております、リーフレットと、法務省が作成しております、法教育教材2点がございますので、適宜、御参照いただければと思います。

それでは、早速、御説明させていただければと思います。

資料7-1を御覧ください。「法教育の概要」と題する資料でございます。

法教育の内容につきましては、これを推進している法務省としましては、法律の専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解し、法的なものの考え方を身に付けるための教育と位置付けているところでございます。つまり法曹養成のための法学教育とは異なりまして、法律専門家ではない一般の人々が対象であること、法律や条文といったものを覚える知識型の教育ではございませんで、法やルールの背景にある価値観や司法制度の機能、意義を考える思考型の教育であることに、大きな特色があると考えているところでございます。

法教育が目指すものでございますが、資料7-1の「法教育が目指すもの」というところに書かせていただいておりますが、自由で公正な社会を支える法的なものの考え方を育てるというところにあると考えおります。これにより、自由で公正な社会の担い手として、公共的な事柄に参加する責任感や法を守らなければならないという規範意識を育むことにつながるものと考えております。

続きまして「法教育の主な内容」という欄を御覧いただければと思います。3段目でございます。法教育で取り扱う主な内容としましては、大きく4つの分野があります。

そして、この中で2番目の○でございますが、日常生活における身近な問題を題材に合意形成のルールを理解させるというものがございますが、この点が、消費者教育と特に関係する部分であると考えております。

法教育につきましては、これを受ける子供の成長・発達に応じて、小中高校を通じた法教育を行うことが重要であると考えているところでございますが、本日、配布させていただいております、法務省作成の法教育教材においても、子供の成長・発達段階に応じた身近な事例を使って、ロールプレイやグループディスカッションなどを行って、法やルールに基づいて考え、話し合い、公正な解決を導くという体験をしていただいて、法的なものの考え方を身に付けるための授業ができるよう、その内容や構成に工夫を図っているところでございます。

なお、平成23年度から全面実施されております、現行の学習指導要領におきましても、下の枠囲いの「法教育の学習指導要領における位置付け」に書かせていただいておりますとおり、法教育に関連する内容が盛り込まれておりまして、契約の重要性といった、消費者教育に関係する私法の分野にも力が入れられているところでございます。

続きまして、資料7-2の「法教育の普及・推進に向けた法務省の取組」を御覧いただければと思います。

法務省としましては、本日、配布しております、法教育教材の作成や、学校や地域の集まりに、法務省職員等を講師として派遣して行う法教育授業、いわゆる出前授業などを実施しているところでございます。詳しくは、消費者教育との関連で、後ほど御説明させていただければと思っております。

ただいま御説明をした取組の内容につきましては、本日、参考配布させていただきましたリーフレットにも、簡単な内容が記載されているところでございます。今日は、御説明の時間も限られておりますので、お時間があるときに、御覧いただけますと、幸いでございます。

続きまして「法教育と消費者教育」と題する、資料7-3を御覧いただければと思います。

法教育と消費者教育との関係につきましては、平成25年6月28日に閣議決定をされました、消費者教育の推進に関する基本的な方針で取り上げられているところでございます。この決定では、法教育の内容の一部として、日常生活を支える私法の基本的な考え方を実感として理解し、身に付けることが挙げられるとした上で、国民の一人一人が自立した消費生活を営むためには、消費活動の前提となる身近な法律である私法の基本的な考え方、いわゆる契約自由の原則、私的自治の原則などを理解している必要があるとされているところでございます。この意味で、法教育は、選択し、契約することの理解と考える態度を身に付け、消費者契約の適正化を目指す、消費者教育と整合するとされているところでございます。

すなわち、法教育により、そもそも契約はどんなものなのか、契約とは何なのかとか、なぜ契約を守らなければいけないのか、あるいは例外的に契約を解消できる場合は、どんな場面なのかということを、まずきちんと理解していただければ、消費者として、適切な行動をとってトラブルを避けたり、トラブルを適切に解決することができるものと考えているところでございます。

続きまして、法務省が行っている法教育に関する取組のうち、特に消費者教育に関連するものについて、御説明させていただきます。「消費者教育に関連した法務省における取組」の欄を御覧いただければと思います。

まず法教育教材の作成との関係では、消費者教育に関連する分野を取り上げさせていただいております。

本日、お配りしている、法教育教材を御覧ください。「ホウリス君」という法教育のマスコットキャラクターが表紙に書いてあるものが、中学生向けの教材でございまして、もう一つのほうが、小学生向けの教材でございます。

小学生向けの教材で、32ページ以降でございますが、「約束をすること、守ること」という単元がございます。インターネット等でも教材を公開しております。

中学生向けの法教育教材につきましては、46ページ以降に、「私法と消費者保護」という単元を、消費者教育との関係で取り上げさせていただいているところでございます。

これらの教材ですが、小学生向け法教育教材につきましては、全国の2万816校の小学校のほか、教育関係機関に、中学生向けの法教育教材につきましても、全国1万493校の中学校のほか、教育関係機関にそれぞれ配布しているところでございます。

小学生向けの法教育教材にある、「約束をすること、守ること」という単元では、子供たちの間で物の貸し借りをめぐる問題が起きていることも踏まえ、約束をすることも、しないことも自由であること、約束は、原則として守らなければならないことなどについて、実感として理解させることを目指すものでして、契約にかかわることなく、社会生活を営むことはできないことについて、気付かせることも目的としているところでございます。

また、中学生向けの法教育教材にある、「私法と消費者保護」という単元では、日常生活における身近な問題を題材にするなど、工夫をしておりまして、契約自由の原則、私的自治の原則など、私法の基本的な考え方について理解をしていただくとともに、企業活動や消費者保護などの経済活動に関する問題が、法と深くかかわっていることを認識していただくことを目指すものでございます。

これらの教材につきましては、先ほど御説明させていただきましたが、法務省のホームページでも公開しており、誰でも自由に利用することができるものでございます。

最後に、出前授業でございますが、資料7-3に書かせていただいておりますが、全国の法務局の職員が中心となって、学校へ出向いて、法教育授業を行っているところでございます。平成26年度の実施回数は139回、参加人数は7,424人、27年度は実施回数が46回、参加人数は1,942人でございます。

出前授業では、小学生、中学生、高校生はもちろんのこと、社会人を含めた一般の方に対しても、契約についてや、身の回りにある法律問題といったテーマで授業を行っておりまして、消費生活に関する法教育の普及・推進に大きな役割を果たしていると考えております。

行われた具体的な授業例につきましては、資料7-3の一番下に書かせていただいておりますが、「約束をすること、守ること」というところでは、物の貸し借りを題材に、「約束をすること、守ること」の意義について考えさせたり、理解を深める授業を行っております。

また、「契約って何だろう」というテーマでは、売買契約等の契約類型を学び、契約の成立や解除等について学ぶ授業を、「身の回りにある法律的な問題」というテーマでは、契約類型について学んだ上で、契約トラブルの類型についても、それぞれの考え方を学ぶ授業を行っているところでございます。

法務省としましては、今後とも、消費者庁や文科省を始めとする関係機関と連携しまして、法教育の普及・推進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

御説明は、以上でございます。

○樋口座長  御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は、御発言をお願いします。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理  御説明ありがとうございました。

全国の法務局からそれぞれのところへ出かけいって、しっかりと取り組んでおられることや、この冊子はホームページでも前に見たのですが、非常によく作っておられると感心しています。

文科省として、学校の小中高の授業の中で、学習指導要領に基づいて組み立てていくものと、こちらでは、法教育あるいは法教育の観点も含めた消費者教育ということで、両者の相互関係、あるいは特徴をどういうふうに位置付けておられるのかという点をお伺いしたいことが1点。

それから、仮に成年年齢の引下げということが、具体化していくと、これはまさに社会人になっていこうとする人たちにとって、非常に大きな節目となる重要な課題で、法教育の問題をもっと広げていく必要があると思うのですが、気がかりなのは、資料7-3で、平成26年度の実施回数、参加人数から、27年度の実施回数、参加人数が減っているところが気になります。これは何か特段の事情があって減ったのか、今後増やしていける素地、条件はあるのか、あるいは今後もっと大幅に増やしていくとした場合に、何か制度的な、あるいは関係機関の連携などで、課題となることがあるのかというあたりについて、お伺いしたいと思います。

○中保法務省大臣官房司法法制部付  御質問ありがとうございます。

また、法教育教材について、お褒めの言葉をいただきまして、ありがとうございます。

1点目の消費者教育、文科省及び消費者庁の取組との連携というところで、お話をいただいたところだと思います。法務省としましては、小中高生を対象にした法教育授業という点につきましては、文科省の学習指導要領や、文科省との連携が非常に大事になってくると考えているところでございます。その関係では、法務省で法教育の推進のために立ち上げております、法教育推進協議会というところに、文科省の職員にも入っていただきまして、法教育の普及・推進に向けた取組について、貴重な御意見をいただきながら、御検討をいただいているところでございます。その観点で、今までも法教育の普及については、文科省と連携をとってやっているところではございますが、主権者教育や成年年齢の引下げの議論があるところでございますので、より一層、文科省との連携を密にして、法教育の普及・推進を図っていきたいと考えております。

また、消費者庁との連携でございますが、法務省の取組としましては、先ほど御説明させていただきましたように、消費者として責任を持った行動をするための前提として、法的なものの考え方を身に付けるというのが、大事になってくると思っております。消費者庁が進められている取組、法務省が進めている取組、どういうことをそれぞれやっているのかということは、その景色を同じく見させていただいて、これからも消費者庁と連携をとって、法教育の普及・推進を進めていきたいと考えております。

学校教育に関係する部分でも、文科省を中心にかかわる部分もあれば、消費者庁に関係する部分もありますし、学校教育外のところでも、文科省とは生涯学習という意味でもかかわってきますし、消費者庁も関係してきますので、場面場面に応じ、適宜適切に関係機関と連携をとって、法教育の推進を進めていかないといけないと考えているところでございます。

2点目につきましては、残念ながら、平成27年度の法教育授業の実施回数というものが減っております。「法教育の普及・推進に向けた主な取組」というところの上から3つ目の○のところでございますが、平成27年度で、消費者教育に限定しない法教育の実施回数も減少しているところでございます。この理由について、我々は、詳細な分析をしているわけではないのですけれども、その増加に向け、例えば各都道府県の教員研修の場に法務省の職員が行かせていただきまして、法教育についての取組ですとか、こういう教材がございます、なので、学校で展開してもらえませんかという、地道な取組をさせていただいているところでございますし、それ以外にも、現在、高校生向けの法教育教材を作成するよう、準備を進めているところでございます。

また、小中学生向けの教材について、今、紙媒体しかないところでございますが、これにリンクしたような形の視聴覚教材を作るということも、今、計画して、準備を進めているところでございます。こういう取組をすることを通じまして、法教育授業の実施件数や、出前授業の件数を増やしていければと考えているところでございます。

御説明は、以上でございます。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。後藤専門委員、お願いいたします。

○後藤専門委員  御説明どうもありがとうございました。

資料7-1の「法教育の学習指導要領における位置付け」なのですが、小学校は平成23年度、中学校は平成24年度から全面実施、高等学校は平成25年度の入学生から実施になっていますが、このような新しい試みの場合には、特にノウハウとか、成果の蓄積とか、あるいは効果の検証とか、そういうことが重要になってくると思うのですが、現時点で、成果の蓄積等について、こういうことを行っているということがあれば、教えていただきたいと思います。

○中保法務省大臣官房司法法制部付  御質問ありがとうございます。

資料7-2に「法教育の普及・推進に向けた主な取組」がございますとおり、法教育の実践状況調査として、小学校、中学校、高等学校等で、法教育がどれぐらい実施されているのかというところの実践状況の調査をさせていただいているところでございます。

また、先ほど御説明させていただきました、法教育推進協議会では、例えば東京都の先生などにも御参加いただいているところでございますので、今、実際、現場で法教育の普及・推進に、どんな障害があるのかとか、どういう取組がされているのかというところを、推進協議会等の場でフィードバックしていただいているところでございます。

先ほど説明されました、日弁連等の先生も推進協議会に入っておりますので、それら関係団体の取組につきましても、常日頃からフィードバックいただいておりまして、それを活かして、法務省の法教育の推進について、どういう取組が必要なのかということを、推進協議会等で御検討いただいているところでございます。

○後藤専門委員  どうもありがとうございました。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。増田委員、お願いします。

○増田委員  法務省の職員の方が、わざわざ出前講座にいくというのは、すごいことだと思います。例えば小中学校などで、法教育をすることの意味というのは、その人の生活を守るだけではなくて、悪い人にならない、悪い事業者にならないことの基礎を学ぶ場だとも思います。それを法務省がやることについては、非常に意義があるのですが、それでも地道な活動をしないと、消費者教育自体がなかなかできないという、受け入れ側の問題がここでもあると感じました。それを解消するためにどうしてほしいということは、具体的にありますでしょうか。

○中保法務省大臣官房司法法制部付  御質問ありがとうございます。

また、法教育について、お褒めの言葉をいただきまして、ありがとうございます。

受け入れ側の問題という点で、御指摘いただいたところでございます。直接の答えになっているかどうかは分からないのですけれども、我々としましては、やはり法教育と一般の方が聞かれたときに『六法全書』を見なければいけないような難しい教育なのではないかと思われる方がいて、学校の先生方も二の足を踏まれる方が多いのですが、実際、こういう教材等を拝見いただくと、やってみたいとか、手に取りたいとか、子供たちの普段の学校生活に役立つものなのではないかと思っていただけるところが、多々あると思っております。そういう意味では、法教育という言葉で、少し毛嫌いというか、より好みされてしまっている面があると思っております。

そういう意味では、学校の先生に法教育教材を手に取っていただいて、実際、授業をしていただくというところが、一番大事だと思っておりますので、教員研修に足を運んだり、視聴覚教材の作成等、我々のほうも、法教育が受け入れてもらえるように、努力していかなければいけないと思っておりますし、受け入れていただくような発表の機会を、今後も頻繁にもっていきたいと思っているところでございます。

○樋口座長  河上委員長、お願いします。

○河上委員長  成年年齢の引下げというのは、まさに法務省の所管する民法が変わることになるわけで、そうなったときに、法律が変更することによって、いろんな問題が起きる可能性がある、対応しないといけないものがあるということになると、引下げに伴う、例えば未成年者取消権が18歳まで下がるとか、親権から外れる年齢が変わるとか、いろんな問題が出てまいります。法教育の教材の問題として、今回の成年年齢が引下げになることに伴った教材を、法務省が中心になってまとめるというような計画はありましょうか。

例えば先ほどの金融リテラシーの話などは、金融庁がかなり徹底した形で教材を作っておられるということなので、そうした年齢が引下げになることに伴って生ずる、様々な法的リスクも含めて、法務省のほうで、そういう教材を例えば文科省と協力して作るというような計画はありますでしょうか。

○中保法務省大臣官房司法法制部付  御質問ありがとうございます。

今日、私は、法教育に関する担当として来させていただいたところでございますが、成年年齢引下げの環境整備として、政府としても、様々な施策を打っているところでございまして、法務省としては、環境整備の一環として、法教育の推進等をこれまでやらせていただいたところでございます。

その関係で、例えば主権者教育というところで、総務省と文科省が中心になって、主権者教育に関しての教材を発表されておりますし、消費者庁も消費者教育に関して、様々な教材を作られているところでございます。我々も成年年齢の引下げが、今後、具体化する中で、それを意識した、法教育教材を作っていかなければいけないと思っております。

今、現に作っております、高校生向けの教材につきましては、そのような議論をきちんと見ながら、どういうものが適切なのかということを考えていく必要があると思います。教材の学習を通じ、私法の基本的な原則に基づいて、消費者として活動してもらう、消費者教育の前提としての私的自治、私法の基本的な考え方を御理解いただくのは、非常に意味があることだと思いますので、どういうふうに教えるとインパクトがあるのか、意味があるのかというところを、今後とも法務省としてきちんと考えていきたいと思っております。

○河上委員長  ぜひよろしくお願いします。

先ほど法教育の教材名を見ましたら、「私法と消費者保護」というものがテーマに挙がっていたのを見つけましたので、これだったら、今回の問題についても、改訂版をすぐに出していただけるのではないかと期待しました。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、法務省からの御報告は、このあたりにさせていただきます。本日は、ありがとうございました。

○中保法務省大臣官房司法法制部付  ありがとうございました。

○樋口座長  本日の議事は、以上です。

最後に、事務局から、事務連絡をお願いしたいと思います。


≪3.閉会≫

○丸山参事官  本日も長時間にわたりまして、熱心な御議論のほど、どうもありがとうございました。

次回は、12月6日火曜日、午前10時からの開催を予定しております。よろしくお願いいたします。

○樋口座長  それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)