第5回 成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2016年11月8日(火)16:00から18:20

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
樋口座長、池本座長代理、河上委員長、大森委員、増田委員
【オブザーバー】
後藤専門委員
【説明者】
日本訪問販売協会 大森常務理事
日本エステティック機構 高橋事務局長
日本貸金業協会 菅沼事務局長、遠藤業務企画部部長
【消費者庁】
福岡審議官、河内消費者政策課長
【法務省】
中辻参事官
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 関係団体からのヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻となりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ」第5回会合を開催いたします。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お配りしております資料につきましては、議事次第下部に配付資料一覧を記載しております。

不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけいただきますようよろしくお願いいたします。

それでは、以降の議事進行のほう、樋口座長、よろしくお願いします。


≪2.関係団体からのヒアリング≫

(1)日本訪問販売協会からのヒアリング

○樋口座長 それでは、早速本日の議題に入らせていただきます。

本日は、新たに成年となる者の消費者被害の防止・救済のための対応策について検討するため、各業界の方々に来ていただきまして、若年消費者の被害防止等、若年のための取組の現状や対策をお伺いしたいと思います。

関係団体からのヒアリングとして、公益社団法人日本訪問販売協会、特定非営利活動法人日本エステティック機構、日本貸金業協会の計3団体からヒアリングを行います。

それでは、まず、公益社団法人日本訪問販売協会からのヒアリングを始めさせていただきます。

本日は、公益社団法人日本訪問販売協会から、同協会の常務理事、事務局長でいらっしゃいます、大森俊一様に御出席いただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、恐縮ですが、御説明をお願いしたいと思います。

○日本訪問販売協会大森常務理事 大森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、私から資料1-1と資料1-2に基づいてお話をさせていただきたいと思います。大体10分から15分と御指示を受けておりますので、割愛すべきところはしていきたいと思っております。後で御質問を受けて、それを補充できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

資料1-1、訪販協の自主的取組ということで、まず2ページ、設立の時期、1980年の4月1日に協会ができました。目的は、定款にも書いてありますけれども、商業倫理の確立等を通じて、取引を公正にして、購入者、役務の提供を受ける者の利益を擁護し、増進するとともに、訪問販売の事業の健全な発展に資する事業を行い、もって国民経済の健全な発展に寄与するということがあります。現在の会員数は144社、9月30日現在でございますけれども、正会員が121社で賛助会員が23社、団体が含まれます。

3ページ、主な活動として、イ.自主行動基準の作成と実践について。協会では、訪問販売企業の自主行動基準というものを定めています。この基準は、会員に対して、自社の実情に合わせた基準づくりと、その実践を呼びかけています。訪販協が作った自主行動基準に基づいて、各社にそれぞれの実情に合ったものを作っていただき、会員は社会的信用を高める努力をして、消費者から寄せられる個々の苦情の事例の解決に当たっての判断基準とします。

趣旨につきましては、もとより事業者は、特商法の遵守が求められ、違反した場合は、刑事上、行政上、私法上の制裁が加えられることで、当該法令の遵守が担保されています。

4ページ、これに対して、基準は、主に法令に定めのない事項に関して自主的に定めたもので、制裁を直接の目的とはしておりません。業法の刑事的なルールのように要件構成を厳格にしているものではありません。

しかしながら、この基準の違反の内容、つまり、質や量によっては協会の中にある倫理審査委員会の審査案件となって、改善勧告や正会員の権利の停止の措置がとられ、結果として、それが協会の制裁措置ということになります。

この基準には、細則として、商品別の禁止事項や、通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安がございます。本日は「訪問販売企業の自主行動基準」のみ添付してございます。

5ページ、苦情対応業務でございます。協会では、訪問販売ホットラインというものを設けております。訪問販売に関する消費者等からの苦情相談に応じて、助言、調査、あっせんの業務を行っています。訪問販売ホットラインで解決できない事案は、その上に消費者苦情検討会、さらに、解決がつかない場合は消費者紛争処理委員会のあっせんにかけます。いずれの場合も、全てあっせんで交渉をすることになります。検討会には弁護士さんがお一人控えている状況になっていまして、委員会には消費者団体の方や大学の先生、弁護士の方たちが入って、最終的なあっせんをかけていくことになります。

先ほど話したハ.倫理審査委員会でございますけれども、これも第三者委員会でありますが、学識経験者で構成されていまして、正会員が行った不当な訪問販売に対して、改善勧告、会員権利の停止、そして、除名勧告の措置を判断しております。

このほか、平成20年改正のときに、特商法の中に位置づけられている訪販協の自主機能として、過怠金の徴収を定款の中に定めるという規定がありました。不当な販売を行った者には、過怠金を取る。これは実際は会員の会費の何倍ということが規約上決まっていまして、そういったものを取ることについて、金額を委員会が助言する形になっております。

ニ.販売員教育でございますが、JDSA教育登録制度というものがございまして、これは教育を通じて販売員の資質の向上を図って、取引の公正・適正化に資することに目的があります。会員は、当協会の標準教育カリキュラムに基づき作成した教育計画書に沿って教育を実施し、試験に合格した販売員に対して、当協会から登録証を発行いたします。28年3月末の登録者数は43万6,125人であります。ちょっと見えづらいかも分かりませんけれども、左側に書いてありますのが、登録証の表面です。裏面に訪販協の名前が入っております。この件に関しましては、カリキュラムに基づいて、各社から教育計画書を上げていただきますので、例えばどういう教材を使って、どういう試験をして、年間どういう計画書を立てていくのかを、全て私どもが作ったカリキュラムに基づいて協会に上げていただき、我々がチェックして、よければそれで担当者、責任者に基づいて教育をしていただくことになります。

7ページ、この登録証の広報について、左側にあるのが、これはステッカーでございます。現物はB5判程度の大きさなのですが、このシールの左下のほうですけれども、「JDSAが発行する販売員の登録証をお持ちですか?」というのは、これはめくれるのです。めくれてシール状態になっています。したがって、消費者のお宅の玄関に、来訪者の目につくところに貼っていただくというものになっております。ちなみに、大分前でございますけれども、このシールの効果について、ある新聞社と協力して、名古屋方面を中心にして調査をしたところ、9割近くの方が何らかの効果を感じている。残りの1割は何も感じなかった。例えば効果があったというところで例も申し上げますと、販売員のマナーがよくなったとか、名前を告げるようになったとか、中には販売員が全く来なくなってしまったなどというのもあります。もう一つ言えば、悪質な販売員が来なくなったという例もございます。ちなみに、これは平成27年度で1万9,547部を配っております。業者から配るということは一切ございません。自治会とか老人会、婦人会、もしくは地方自治体から配ることになっています。見本を1枚配りまして、発注があったら必要なところに必要な部数だけお配りするというものでございます。右側はポスターでございます。これはA3判、それと、もう一回り大きいものがありますけれども、これは平成25年、26年あたりに集中的に配ったものなのですが、消費者センターさんに貼っていただく、もしくは会員の企業の部屋に貼っていただくようなものでございます。26年度で6,000枚ほど配っております。

8ページ、これは先ほどJDSAの認定教育登録証は、企業に教育と試験をお任せしておりますけれども、この登録販売員の教育を責任を持ってやっていただくための資格者については、一元的に協会が教育をして、試験を実施しております。特商法のことや指導管理者に必要な事項について教育をしまして、その後に試験を行います。制度発足以来、累積ですけれども、3,877名の方がこれを持っております。ちなみに、別にこの資格試験で落とすわけではありませんけれども、大変試験の内容は難しいものとなっています。特商法については、ほぼ100%正答でないと取れないような形になっております。

9ページ、これも平成20年改正のときに、協会の機能の一つに、消費者の救済基金というものを作って、定款に載せております。特商法の29条2の規定に基づき、消費者の救済業務を遂行するため、消費者救済基金を設けています。

基金の原資は正会員の拠出金によります。そのときにいた正会員の皆さんで割りましたので、1社60万ぐらいの金額になります。以後、入会してくる方たちも、60万の負担をして中に入ってくるということになります。

基金は、正会員企業が行う訪問販売の業務により締結した契約について、特商法の9条、クーリングオフですね。9条の2は過量販売、9条の3については契約の取消し、これらの規定に基づき解除又は取消しがされたときに、当該企業が、解約等には応じるけれども、既払い金が返還できない場合に、それを協会の基金で返還するという仕組みでございます。ただし、この返金補償の判断は、事務局が勝手にやるのではなくて、消費者救済に係る審査委員会というものがございまして、そこで事案ごとに審査が行われます。

10ページにその他事業者向け啓発活動がございます。コンプライアンスセミナーというものがありまして、特商法や自主行動基準の遵守、そして、苦情対応の重要性などをテーマに、毎年、東京や大阪、福岡の地区で開催を進めております。苦情対応に特化した理念や適切な解決の在り方などをテーマにして、毎年年に4回、定例開催しているものでございます。

そのほか、各種の研究会として、商品等の販促印刷物やウエブサイトの適正な広告表示の在り方を研究する広告表示研究会のほか、特商法の訪問販売以外の他の商取引の規制遵守を目的とする研究会、適正取引を推進するための太陽光発電等の各種商品の懇談会などを設置しております。

11ページ、これは事業者向けの啓発物を一部載せたものでございますが、左側が特商法をダイジェスト版にした形で、販売員教育に使っていただくようなものとして発行しております。右側が消費者苦情に対応するときの理念だとか、解決の姿勢だとか、そういったものについて解説したものでございます。

12ページ、これが登録販売員の教育に使っていただくように当協会が作ったものでございますけれども、専門カリキュラムの教材と、標準カリキュラムの教材と、2種類のものを発行しております。

13ページ、事業者向けの啓発パンフレットとして、これはA4判の3つ折りで、6ページのものでございます。先ほど御説明した特商法の「訪問販売は、正しい知識から」というのは、これは冊子になっているのですけれども、パンフレットとして学校に配布する、2万2,000部と書いてありますけれども、昨年度の特商法専門調査会で求められている業界の自主規制の強化の一環として、手前どもの協会でこういうものを作ったのは初めてだと思うのですけれども、消費者向けのパンフレットは多種類あるのですが、事業者向けに、訪問販売を行う場合には、あなたたちには特商法を守る義務があるのですということを知っていただくために、こういったものを作りました。特に、行政処分を受けるところ、苦情の多いところでは、瓦のいわゆるアウトロー的な活動をしているような人たち、違法でかつ何回も繰り返して問題を起こすような人たち、もちろん、その人たちに配っても余り効果がない。むしろ、その人たちをくくっている組合さん、団体さんに、ぜひそういったことを知っていただきたいということで、こういうものを頒布いたしました。

14ページ、ト.消費者啓発の分野のものでございます。もちろん、この中には未成年者の方たちも入っているのですが、主体的には、やはり高齢者向けということにならざるを得ません。特にこういうように自治体さんから要請があって、私どもが出ていくということになりますと、集まる方はどちらかというと高齢者の方が多いのかなというようになります。平成25年度から当年度28年度の11月1日現在のものを書いてございます。啓発資料と先ほどのステッカーの配布枚数なども付記してございます。

こうした各地から呼ばれて出ていったときに私どもが配るものの資料としては、一番最後のページにつけております。左側にあるのは「知っ得!!納得!?訪問販売」、これは近年、うちが積極的に配っているもので、平成26年ぐらいまでは、右側の「高齢者の方へ 訪問販売トラブルにあわないために」というものを結構大量に作って配りました。ちなみに、左の「知っ得!!納得!?訪問販売」は、平成27年度の実績で3万1,000部であります。配り方は、さっきのステッカーと同じように見本を配りまして、必要なところに必要な分だけお配りするという配り方をしています。右側は平成26年度で、ほぼもう出すのをやめようかというところで、2,145部程度のものが出ております。

以上、パワーポイントの資料は終わらせていただいて、添付してあります資料1-2の「訪問販売企業の自主行動基準」のところに簡単な御説明を加えさせていただきたいと思います。

「はじめに」と書いてあるところは、先ほどパワポの資料の中でも少し触れましたので、除きまして、1.目的のところは、事業者と消費者との間には情報の質、量、交渉力の格差が常に存するという現実を踏まえて、取引を公正にして、消費者とのトラブルの未然防止を図る。社会に受け入れられる企業として、健全発展を目指して、行動基準として作ったものでございます。

適用範囲は、本会の会員と、会員の傘下の代理店も対象になるということになります。

3.行動基準の内容というところで、2ページ、少しずつ割愛させていただきますけれども、このウのところでございますが、これは特商法の6条の2の合理的な根拠を示す資料の提出ができず、不実告知とみなされないようにするための手当てとして作ったものでございます。効能・効果をうたって、商品等の情報については、その根拠を自社で確認するか、メーカーや公平性があると認められる第三者機関のデータで取引先より把握しておくことや、商品の使用者の証言を引用する場合は、誰でもそのような結果が得られると思わせる勧誘はしないとか、資料については、一部の利用者のみを母体とした調査ではなくて、大多数を代表すると判断し得る統計的に客観性を確保するものということになります。

次のエでございますけれども、これは判断力不足に乗じるような勧誘について、手当てをしたものでございます。勧誘の開始に際して、消費者が通常の判断力を有しているのかについて注意を払い、懸念されるときは、直ちに勧誘をやめ退去するか、自主行動基準を遵守しつつ適切な対応に努めると定めました。

オ、カは抜かしていただいて、9条の2の過量販売について手当てをしたものがこのキでございます。

マル1当該契約の分量が、当協会が作った過量に当たらないと考えられる分量の目安に照らして妥当かどうかを確認して、目安の範囲内であっても、お客様の財産の状況に照らして、不適当とならない分量であることを確認しなければならない。

マル2同一商品については、自社も他社も含めて取引履歴を確認しておくということが書いてあります。

マル3仮に目安を超えた分量を勧誘するときに、消費者の意思に反するものではいけないと。その勧誘に正当な理由があったこと、必要とする特別な事情があったことについては、何か資料として残すことに努めようということになります。法律では、特別な事情については、特に紙で残すとはなっておりません。

マル4は飛ばさせていただきます。

3ページ、クの部分については、適合性原則についての手当てをした部分になっております。

マル1生活に支障を来すような不当な金額の契約を勧めない。一例として、住宅リフォームについて特に問題になっておりましたので、それを掲げて高額な契約を勧めないということを例示として挙げてございます。

マル2判断力不足を認識しながら、これに乗じたクレジット利用の販売をしないということ。

ケとコについては、これも判断力不足に乗じた勧誘の手当てでございますが、不足を認識しながら、それに乗じて勧誘活動を行ってはならない。ここで、判断力の不足している場合の例として、老人または未成年者等で判断力が不足している場合を例示として挙げてございます。その他、認知症、精神疾患、知的障害等により、判断力が不足している場合等ということにしております。

コでございますけれども、判断力不足の懸念のある消費者に対して勧誘活動を行う場合には、十分な判断力を備えた親族等の同意を得るということが書いてあります。

サにつきましては、適合性原則も含めた対応をするようにということで、次に掲げる事項に該当する契約を締結しようとする場合は、当該勧誘が適切に行われているのかを確認する仕組みを社内に設ける等、適切な対応に努める。なお、数量基準については、各会員等が関係法令と自社の実情に踏まえ、適切に定めるとする。一定の分量、金額、回数を超える契約を締結する場合、一定の年齢を超える消費者と契約を締結する場合、生活の糧を年金に頼っている消費者と契約を締結する場合ということになってございます。

私どもの協会のメンバーではないのですけれども、布団の業者で、大学3年生ですか、21歳の学生さんで下宿をしている方に、2年半の間に総額300万の布団を繰り返し売った事例がありまして、事業者にそれをヒアリングしたときに、大学生は喜んで買ったと言っているのです。断りづらいタイプのお客様だったということになります。最終的にその学生さんは消費者センターへ全契約を解除したいと言ってきたのです。こういう断りにくいタイプの方たちはいるわけですから、事業者の皆さんは、社内に販売員がとってきた契約についてチェックができるシステムを持つことがリスク回避につながるのだということを知っていただきたいということで、こういう規定を組んでおります。一例を挙げますと、そういう背景がございます。

あとは飛ばさせていただいて、(2)勧誘開始まで。ここはプロセスとして、いわゆる勧誘開始の前の事前のアポイントのところで、例えばアで、訪問の主たる目的を消費者に伝えるだとか当該電話で今、話を聞いてもらえるのかを確認するだとか、ウで、話を聞きたくない、今は都合が悪いなどと告げられた場合には、すぐに会話を終了する。明示的なお断りの表現でなくても、相手が何かを告げようとした場合には、話すのをやめて意思を確認するとかということを定めています。エは飛ばさせていただきます。

4ページ、マル2訪問に際しての第一声です。ここは3条のところでの目的を伝え、勧誘活動を始める。イとして、このまま勧誘を続けてよいか、明確に相手の意思を確認する。その際、意思を明確に示すことが得意ではない消費者が少なくないことに十分配慮していく。

ウで、勧誘活動を続けることに対して、難色を示された場合、勧誘自体を断りたいという意思か、現在のこの勧誘を中止してほしいという意思かをできるだけ明確に確認し、いずれの場合でもその時点で勧誘を中止し退居するということを定めております。

マル3特定顧客との接触でございますけれども、特徴的なところだけ申し上げます。私どもの協会は、キャッチセールスをエで禁止しています。これは私も協会に入って1年目、1980年に協会ができて、私は1981年に入ったのですけれども、その当時からキャッチセールスは禁止という状態になっていました。

(3)取扱商品の説明でございますが、これはいわゆるクロージングで、アで、常に消費者の理解度を確認して説明をする。クーリングオフができないなどということは告げてはいけない。商品がセットになっている場合には、総体が具体的に分かるように説明をする。エとして、使用方法や部品の交換に関する情報は、具体的な資料を提示する。見積りを示すことが望ましい取引に関しては、見積書等を提示し、それに基づいた説明を行う。カで、一度に商品購入、役務取引について勧誘をする場合には、内容や価格について正しく情報提供する。当たり前のことを当たり前に書いてあるのですけれども、トラブルをひっくり返しますと、どうしてもこういったことが原因ですから、これを書いておくことが必要になってくるのだろうと思います。

キとして、実現不可能な約束や、会社として認めていない特約を結ぶことはしない。

クは、いわゆる社会的弱者と考える場合は、商品等の内容が理解できるよう説明には一層の注意を払う。これは当たり前のことなのですが、例えば親族等の立ち会いを求めるなどの対応をとるように努める。

(4)契約締結の実務でございますが、ここは判断力不足に手当てをして、アで明らかに判断力が不足しているとは認識できないけれども、判断力不足の懸念のある消費者と契約を締結する際には、十分な判断力を備えた親族等の立ち会いを求めるものとする。

イは飛ばして、ウについてですけれども、クレジットを利用する場合には、商品等の購入先と支払先が別になっているという「三者間契約」、これを消費者に伝えておくということが大事なことです。大体この売買契約と支払の契約が別になっていることを理解していないまま契約をして、後でトラブルになるケースが結構あります。そういう手当てでこう書いてあります。また、明らかに判断力が不足している認識はできないけれども、判断力不足の懸念がある消費者とは、十分な判断力を備える親族等が立ち会った場合を除き、クレジットは利用しないものとするというようなことが書いてございます。

以下、カットさせていただき、(5)に社内手続があり、(6)で契約履行・アフターサービス、(7)で契約後の対応ということになっています。

6ページ、特徴的なところを申し上げますと、マル2のところでございます。クーリングオフへの対応で、特にイのところです。口頭でクーリングオフを受け付ける場合は、事業者の場合、普通にやっております。ただし、この場合は後日紛争になることがあるので、この申出があった場合には、記録を確実に残す。その上で手続をとる。bで、期間内に書面を発信するように求める。bの場合は、届いた書面の発信日が期間外であっても、電話での申出日がクーリングオフ可能な期間であったと客観的に認められる場合には、クーリングオフとして処理するというような形で規定をしております。

マル3で特に申し上げておきたいのは、これはクーリングオフ期間経過後の苦情対応なのですが、アの、解約は一切できないと相手に捉えられないような対応をぜひしていただきたいということです。「門前払い」と書いてありますけれども、分かりやすく言えば、シャッターをぱさっと閉めるような、そういうように相手にとられないような対応をきちんとしていただきたいということが書いてあります。

イからオは抜かしていただいて、カのところに、いわゆる社会的弱者を相手方とした契約に関する申出の場合は、聞き取りに一層の注意を払い、十分に状況を把握した上で判断するようにするということは書いてございます。

以上のとおり、訪問販売企業の自主行動基準は、全体的なものは定めて、その後、入り口の部分から氏名等の明示、クロージング、苦情対応というところまで、全体を流して守るべきことが書かれております。

次に、連鎖販売の自主行動基準でありますけれども、これの目的は、8ページに書いてございます。本ガイドラインは、連鎖販売取引を公正にして、商取引に不慣れな消費者等が受けることのある損害の防止を図り、消費者等の利益を保護し、適正な連鎖販売取引の推進を目的として、会員が統括者として遵守すべき事項及びそのビジネス加入者に遵守させるべき事項を定めたものである。

訪問販売協会の会員の中には、訪問販売と連鎖販売を合わせて行っている場合がありまして、訪問販売の健全な発展を狙うためには、連鎖販売取引のことについても手当てをする必要があろうということで、こういったことを補足的に定めております。全体的な説明はいたしません。特徴的なところだけ御説明したいと思います。

ほとんど当たり前のようなことが書いてあるのですが、特に11ページ、この(4)返品(買戻し)制度でございます。ここに書いてございますのは、会員は連鎖販売業を行う場合、あるいは主宰するビジネス組織の加入者にそれを行わせる場合は、商取引に不慣れな無店舗個人を保護するため、購入商品等の返品制度を設け、以下に規定する加入者がクーリングオフ期間経過後において、当該ビジネスから離脱、脱会ですね。やめた場合に、購入した商品の返品を当該契約の相手方に書面により申し出た場合は、以下に定める基準に沿って返品の受付を済ませ、返品商品の受領日後、速やかにそれに伴う清算が完了するよう、必要な措置を講ずるとする。特商法にのっとったときには、特商法でやるのですが、特商法は90日という定めがあって、90日を1日超えたところで、中途解約・返品ルールの対応を定めたものでございます。

下のほうに、当該返品(買戻し)制度が適用されるビジネス参加者の範囲ということになっておりまして、当該ビジネスを行う資格を取得した日後1年以内の者、ここまでは返品を受ける。これは法律と考え方は同じであります。

違う点があるのですけれども、それは、返品が可能な商品の範囲でございます。販促品、サンプル等を含む全ての商品で返品申出日から遡って1年以内に契約した未使用品と書いてございますけれども、これが法制度上では、90日となっております。実は、法律ができる前から、私どもはこういう自主行動基準を持っておりました。法律では90日と定められていますけれども、その後、我々は1年以内を選択したわけです。これをやるときは事業者側から相当な意見が出たのですけれども、これを使うことでお客様の保護、事業者の健全な取引が推進できるということであれば、この1年を会員の総意でもって決めていこうということで、定めたわけでございます。

12ページ、返金される額が書いてあります。返金される額の最高10%相当まで手数料並びに当該返品の商品購入により既に受け取っているコミッション等の特定利益を差し引いた額とするということになっております。

あとは、少し飛ばさせていただいて、未成年者の取引について言及しているところがございますので、そこを見ていただきたいと思います。13ページ、6)でございます。取引の相手方として不適当と考えられる者への勧誘と書いてございます。加入者が未成年、学生、成年被後見人、被保佐人、被補助人などビジネス活動を行う者として不適当であると考えられる者への勧誘を行わないよう、周知徹底を図るものとする。未成年者と学生という言葉が言及されているのは、唯一ここの部分でございます。我々の会員につきましては、ここを遵守していただくように強く呼びかけている部分でもあります。

時間が長くかかり過ぎてしまいましたけれども、私どもの協会の自主的取組と自主行動基準、2つ御説明をいたしました。

○樋口座長 御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

大森委員、お願いいたします。

○大森委員 ありがとうございました。

苦情対応のことなのですけれども、ホットラインとか苦情検討会、紛争処理委員会、倫理審査委員がいて、厳しい罰則があるというお話でしたけれども、若者からのどういう苦情が多いか、事例があれば御紹介してください。

○日本訪問販売協会大森常務理事 私どもの相談室では、平成27年度で377件の相談を受けております。そのうち、年齢が判明しているもので、未成年者が2件でございます。その中身は訪問販売でありまして、携帯電話の契約です。これについては通信契約も入っていますので、実際に物のほうの問題ということになります。それから、自己啓発の契約でございます。

そのほか、20代についてですが、19件ほど事例が挙がっていまして、これは訪問販売の部分で言うと、給湯器のフィルター、新聞、そして、防犯装置、子供の英会話教材の契約などが含まれておりました。3件ほど連鎖販売の事案がありまして、化粧品など、例えば連鎖販売の化粧品の事例で言うと、2年前、友人の家で化粧品を使用し、よかったので愛用者登録をした。2カ月前から人に勧められるようになったけれども、親戚や家族はネズミ講なのだからやめてと言われた。信用してもらうためにどう説明したらよいかというようなものでした。訪問販売で言うと、新築マンションに居住した女性からなのですけれども、給湯器のフィルターの手入れと言って、販売員が来訪した。さびを未然に防ぐ20年保証、今日契約すれば工賃だけだと言われて、約44万円の購入契約を結んだ。クーリングオフのはがきを出したいが、本当に販社が存在するのかどうか不安だ、このことについてどう思うかという相談でございました。

事例を一つずつ挙げましたけれども、そのような内容でございます。

○樋口座長 よろしいですか。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 御説明をいただいた自主行動基準に関連して質問させていただきます。

これは会員企業の行動基準ということではありますが、今、御紹介があったように、相談が寄せられるものの中には、会員外のものがむしろ多いのではないかと思うのです。例えば最後に御紹介のあった連鎖販売取引について、学生であるという案件については解約を促す方向で、本来勧誘を行わないようにというところですから、不適当な対象者であるからということで、解約の方向で促す、というお考えで処理されているのかどうかという点が1点です。

それから、訪問販売一般のところで、資料の3ページに判断力不足である場合と、判断力不足の懸念があるということを分けておられます。判断力不足の懸念がある消費者というのは、上のところは、老人または未成年者等で判断力が不足しているということが書いてある。あるいは認知症など例示があるのですが、下のほうの例示は特にないのですが、判断力不足の懸念がある消費者というのは、どういう場合を想定しておられるのか。例えば、成年になったばかりで、まだ学生で収入がほとんどないとか、そういう場合はどう考えるのかとか、そのあたりの判断力不足の懸念がある消費者と想定される者はどういう者かというあたりについて教えていただければと思います。

以上、2点です。

○日本訪問販売協会大森常務理事 まず1つ目の連鎖販売のほうの13ページのところの御質問ですね。未成年者、学生は取引の相手方としては不適当だということにしておりますので、私も二、三社、企業の方にヒアリングをして聞いてきたのですけれども、基本的には、未成年者、学生については、取引の相手にすることはないということにしておりますので、苦情が入った場合は、解約をしていただくという方針で動かざるを得ないと思います。

2つ目、懸念するという場合、特段、これについて何か例示をしていることはないのですけれども、言葉の意味として、ここで言うと、老人または未成年者等で判断力が不足している場合というところで、ケース・バイ・ケースで懸念するに当たるのかどうかを判断していかざるを得ないということであります。

○樋口座長 よろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

周到にいろいろと行動基準の中で配慮されているというのがよく分かりました。もう少し具体的に伺いたいのですが、例えば、自宅を訪ねていって、相手が老人であったり、あるいは地方から出てきたばかりの若者であるという場合には、勧誘員は、具体的にはどういう行動をとることになるのですか。あるいは、その説明の仕方とか勧誘の仕方において、どういう配慮をすべきだという教育をされることになるのですか。

○日本訪問販売協会大森常務理事 お答えになっているのかどうか分かりませんけれども、適正な勧誘であるということを前提にした場合、例えば訪問販売企業の自主行動基準の2ページでございますけれども、エのところで、勧誘の開始に際し、消費者が通常の判断力を有しているかについては注意を払いと書いてあるのですが、言葉としてはこういう言葉ですが、実は、これは今年の10月6日の理事会で追加した部分なのです。この言葉は、追加した以外に今まで私が説明したとおり、弱者だとか、判断力の不足だとか、懸念だとか、そういう言葉がちりばめられているにもかかわらず、そういう問題が起きている。しかし、我々の会員というより、むしろ表で起きているという前提で言うと、我々の作っているこの行動基準に更に民民規制のように強くするというのはどうなのかという考え方はあるのですけれども、このエで言いたいのは、まず、販売員の皆さんたち、自分の今、目の前にいる人が、これから自分が説明することを本当に分かっていたただける方なのかどうかを見極めて販売なり勧誘をしてほしいという意図が中に入っているわけです。今、おっしゃるような高齢者の方、地方から東京に来て、大学生としてこれから新しい生活に入る方たちが、本当にこの話を分かっていただいて、意思を固めていただけるのかどうか、そういう見極めをしてほしいという思いがこの中に込められています。

○河上委員長 その思いは私は大変貴重だと思いますけれども、具体的に、例えば製品を紹介したり、あるいはそのメリット、デメリットを紹介するときに、高齢者が相手だとなれば、なかなか理解してもらえない場面が出てくるかもしれないから、言葉をゆっくりと選んではっきりとしゃべるようにするとか、若者が出てきて、まだ慣れていなくて、余り人とのコミュニケーションがうまくできないとなれば、それなりに絵を描いたり、いろいろな具体的なことをして、通常の人以上に勧誘の仕方とか表現に配慮をするというようなことが必要だということになるのでしょうか。

○日本訪問販売協会大森常務理事 おっしゃるとおりだと思います。今、河上委員長がおっしゃったようなことは中にどこか斟酌されているとは思うのですけれども、その回答に当たるかどうか分かりませんが、3ページのサなども、実際に一定の年齢を超えるというのは、各社でいろいろな対応があると思うのですけれども、販売員さんがとってきた契約については、会社でそれなりにチェックをする、そういう体制をとっていただいて、無理な契約をしたのかどうかも含めて、そういったことを会社がチェックした上で契約を成立させるかどうかを判断していただくということも必要なことかと思います。

○河上委員長 この訪問販売協会の加盟率といいますか、どの位の市場の中にいる事業者のどのくらいの割合の方がここに加盟しておられると考えてよろしいですか。

○日本訪問販売協会大森常務理事 先ほど会員の数を申し上げましたけれども、その下に大変多くの代理店さんが入っておりますので、数から言ったら相当な数、全体を通せば相当な数なのですけれども、しかしながら、例えば町の布団屋さんでも訪問販売をしているケースは結構あるわけです。先ほど申し上げた瓦の職人さんが一人で訪問販売をしている人もいるわけです。そういう一人ずつを事業者と答えたら、圧倒的に表にいる人のほうが多いと思うのです。しかしながら、うちの協会の売上高を見たときに、主として店舗を持って訪問販売をしている人たちは除きまして、例えば自動車屋さんとか、医薬品さんとか、そういうものを除き、無店舗で訪問販売をしている中での業界で見ると、我々の会員で持っているシェアというのは、8割か9割ぐらいは持っていると私たちは理解しています。

○河上委員長 最後になります。消費者の知識、経験、財産の状況に考慮してというような表現を紹介されたときに、これは適合性原則を配慮した手当てであると御説明されたのですが、適合性原則という言葉は、しばしば投資勧誘とか金融商品の中で語られることが多いのですけれども、訪問販売協会さんが今、こういう形でいろいろ配慮されているのは、もう少し広い意味での適合性原則といったものと理解してよろしいですか。

○日本訪問販売協会大森常務理事 はい。具体的に言うと、知識、経験で言えば、例えば河上委員長がおっしゃったように、非常に投機性の高いものの中では、経験と知識とお金がなければ、突然やってこられて契約をとるということは非常に難しい点があるとは思うのですけれども、我々の世界で言うと、先ほど住宅リフォームといったところ、クレジットの問題も含めて、中には非常に高額なものもあるわけです。それと、年金暮らしの方もいらっしゃいますし、そういうことを考えるとそういった問題のところまで触れていかないと対応ができないものが出てくるのだろうとは思っております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

○樋口座長 ありがとうございました。

ほかにいかがですか。

増田委員、お願いいたします。

○増田委員 消費者が取引して、トラブルを自分で解決したいと思ったときに、訪問販売協会さんに御相談するということの周知がないと、なかなか御相談されないと思うのです。例えば、書面上、各社の相談電話番号のほかに訪問販売協会さんの連絡先を公表しているのかどうかという点。

もう一点、これは今までの御質問と重なるのですけれども、例えば数々の禁止行為が書かれているわけなのですが、それをやったかやらないか、自ら進んで名義貸しをしたのだとか、自ら進んで借金行為をしたのだなどの反論がなされ、争いになることが多いかと思うのですが、そういった場合に、通常消費生活センターなどですと、認めてもらうことが少なく、なかなか解決には至らないのです。そういう場合、内容を確認していただいて、間に入ってあっせんをする、あるいは、会員の事業者さんであれば前向きな検討をするというような、相談の傾向としてはどうなのかということをお伺いしたいです。

○日本訪問販売協会大森常務理事 2つ目の質問から先に申し上げますと、会員に限ってのことで御説明いたしますけれども、あっせんは当然やるわけです。その判断基準はもちろん法律もあれば、協会の自主行動基準も当然入るのですけれども、そういうルールがあっても、解決のつかないものはいっぱいあるのです。それは多分、御存じのことだと思うのです。どこのセンターさんも多分同じかもしれませんが、うちに言われたことというのは、蓋然性が高ければ徹底的に相手にヒアリングをして、例えば健康食品を買ったときに、お客様に対してこういうことをセールスマンが言ったのだ、それを聞いたから私は買ったのだと言ったときに、当該販売員さんは、そのようなことを言ったつもりはない。例えば、病気に効いたなどは、絶対に言ったことはありませんと言ったとしても、その販売員さんがどういう説明をしたのかは、当該企業の相談室の人たちがきっちりそこを、誤解を招いたしゃべり方をしなかったかを拾い上げていただいて、なければないということをきちんと説明していただくということはここにも書いてあるのですけれども、そこをシャットアウトするようなやり方はやめていただきたいと思っているわけです。お客様が言ったことも非常に蓋然性が高いということになれば、あなたは何か間違ったことを言ったのではないかという目で見る、そういう姿勢で拾い出していただく作業を丹念にやっていただくことが私は必要だと思うのです。その挙げ句に、それが誤解で、そういったことに近いことは余り言っていないのだということになれば、きちんとそれを消費者へ説明して、お客様に御理解をいただく作業をすることになると思います。それは懇切丁寧にやっていくことが大事だと思っております。

2つ目の周知の件なのですけれども、これは大変私どもは悩ましくて、いっときは6600件ぐらい全国から年間受けたこともあるのですが、そのときと今の周知の方法と、全然変わっていないのです。NTTのテレホンガイドというのですか、普通の電話帳ではない、別冊があるのです。それには、当該地域の公的な相談機関が載っていて、その中に、訪問販売に関する相談はということで、NTTさんの協力のもとで載せていただいているのです。大概はそれを見てかけてこられる方がいらっしゃる。それでは足りなくて、先ほどおっしゃったように、会員の皆さんの契約書等に当協会の相談番号を載せていただいて、当社の対応に不満があったら、協会の相談室に電話してくださいというやり方を広めております。となると、やはりうちに入ってくるケースもありますから、そこで問題があれば、問題指摘をさせていただくことになります。それをどんどん広げていきたいと思っております。

○樋口座長 よろしいでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 JDSA教育登録制度の件なのですけれども、すばらしいことをされていまして、特商法などはかなり丁寧にそこで学べるということだったのですが、法律をしっかり学ぶということを実際のセールスの中でどう取り入れていくのかがとても難しいと思うのです。学ぶことも多いのですけれども、その中でケーススタディーとか、ロールプレイのような、ちょっと理解力の乏しい高齢者を相手にする場合とか、社会経験の少ない若者を相手にする場合とか、そういうものを学習する機会はこの制度の中であるのでしょうか。

○日本訪問販売協会大森常務理事 今、おっしゃったような、それぞれの発生しやすい苦情に特化したものは、各社がそれぞれの判断で、それなりの教材を作っているということは聞いております。それは、うちが常に申し上げていますのは、カリキュラムの中にある既存の項目だけではなくて、実際に自社が受けた相談事例に基づいて、それを教材にして、同種の苦情が再発しないような手当てをしていただくということを常に申し上げております。再発の手当てが十分にできていないということになるとすれば、教育が不十分ということにならざるを得ないので、そこは協会として、そういったものが見つけられれば、教育の仕方についても改善をしていただきたいということになると思います。

○樋口座長 よろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、公益社団法人日本訪問販売協会へのヒアリングはこのあたりにさせていただきたいと思います。

お忙しいところ、ヒアリングに応じていただきまして、誠にありがとうございました。

(2)日本エステティック機構からのヒアリング

○樋口座長 次に、特定非営利活動法人日本エステティック機構からのヒアリングを始めさせていただきたいと思います。

本日は、同機構の事務局長でいらっしゃいます、高橋博忠様に御出席いただいております。お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、早速ですが、御説明のほうよろしくお願いいたします。

○日本エステティック機構高橋事務局長 本日はお招きいただき、ありがとうございます。

私は日本エステティック機構の事務局の責任者をやっております、高橋と申します。よろしくお願いしたいと思います。

こういう席は不慣れなものですから、非常に滑舌が悪かったり、稚拙な言葉を使ったりするかもしれませんが、お許し願いたいと思います。

まずは、レジュメの資料2-1を御覧いただきたいと思います。

資料2-1においては、エステティックサロン認証制度の未成年者の取引における対応ということで、エステティックサロン認証制度というものがございまして、それに関して未成年者に対して対応をしている部分がありますので、その御説明をさせていただきたいと思います。ちなみに、資料2-1なのですが、冒頭で大変恐縮なのですが、誤字脱字がございますので、訂正させていただきたいと思います。

まず、レジュメの3の(ア)のところなのですが、「未成年契約同意書」と書いてありますが、「未成年者契約同意書」でございます。

次の項目の5番のところの、「上記2、3」と書いてありますが、「上記3、4」の誤りでございますので、御訂正いただければと思います。

まず、レジュメに沿って御説明申し上げます。

1、エステティックサロン認証基準における未成年者への対応ということになっております。これは、資料1を御覧いただきたいのですが、エステティックサロン認証基準というものが今、作成されておりますが、まずこれに対しての御説明をさせていただきたいのです。

その前の前の話として、今、訪販協の方の御説明もありましたけれども、いわゆる特定商取引に関する法律の第41条以降に記載されております特定継続的役務契約に、エステティックサービスは該当しているということで、これは西暦2000年の特商法の改正から、それに入っております。ただ、その特商法の改正に伴って、エステティックサービスが特定継続的役務契約に指定されたのですけれども、契約書とか概要書面などが出てくるのですが、これがなかなか浸透しない状況の中で、1990年代ですか、1万件を超える苦情相談が国民生活センターに寄せられている状況も踏まえて、2003年にエステティック産業の適正化に関する報告書というものが経済産業省から発表される。要するに、これは苦情内容に関して分析をした上で、どのようにして健全化を図るか、適正化を図るかということが書いてある報告書でございます。その中に、日本エステティック機構という名前はなかったのですが、第三者機関によってコンプライアンス及び消費者保護を行っていくことがよろしいのではないかということが書かれていまして、それによって、2004年に日本エステティック機構が設立されております。

日本エステティック機構に関して少しだけ御説明させていただきますと、現在、首都大学東京大学院教授の福士政広先生に理事長をやっていただいておりまして、副理事長には元産経新聞編集長の香川東洋男先生にやっていただいている形になっております。理事の過半数を有識者が担当しており、弁護士、医師、消費者関係団体の役員ということになっております。

あとの半分に関しては、業界団体の長に入っていただいて、要するに、業界団体と、第三者というか有識者が協働して健全化を図ろうという組織になっているということになっております。

本題でございますが、エステティックサロン認証基準でございますけれども、2003年の先ほど申し上げましたエステティック産業の適正化に関する報告書に基づきまして、同じく経済産業省サービス産業課が2007年に策定したものがございまして、エステティックサロン認証基準の在り方が発表されております。実際に策定は当機構のほうでさせていただいているのですが、経済産業省の指導のもとに、これは作成させていただいているということであります。これが資料1になっております。

資料1の目次を見ていただきたいのですけれども、大項目で5項目ございます。1.サロン運営管理体制について、2.集客・広告について、3.消費者相談窓口の設置について、4.契約の適正化について、5.確認及び改善についてという、この大きな5項目で成立しております。最も課題なのは3、4でございまして、消費者相談窓口の設置、契約の適正化、これが認証基準のメインの項目になっているとお考えいただきたいと思います。

次に、基準ですが、今日は未成年者の取引に関してということなので、未成年者の取引については、この資料1の14ページに4.2未成年者契約についてというものがございます。4.2は、4.2.1と4.2.2に分かれておりまして、未成年者の年齢確認という項目と、未成年者との契約という項目になっております。

そして、内容に関しては、4.2.1未成年者の年齢確認。エステティックサロンにおいては、未成年者と思われる者との契約に当たっては、身分証明書などで年齢の確認が行われていることを記録し保管されていること。

4.2.2未成年者との契約。エステティックサロンにおいては、未成年者との契約に際しては、親権者の同席及び同意を必要とする。なお、同席が難しい場合は、同意の書面及び親権者への同意確認が行われていることを記録して保管されていることということで、定めております。

ここに趣旨が書いてあるのですが、実際にエステティックサービスに関しては非常に若年層年齢に関しては興味が高い、関心が高いということもあります。未成年者だけではなくて、20代前半の方の御利用が多いということがあって、年齢を偽って契約をするケースだとか、要するに、親に言うとやめておけと言われるから自分で来ましたという人も結構あるということがありますので、必ず未成年者と思われる人に関しては、年齢確認をすることということが決められているわけです。もちろん、未成年者ということになりましたら、これは民法上の問題もありますので、当然親権者が同席、同意した上で契約を行うことになっております。

次に資料1の12ページ、4.1.4支払能力の確認という項がございます。エステティックサロンにおいては、契約や商品の販売に当たり、消費者の支払能力を考慮した契約を行うこととし、支払能力があると判断した場合は、その理由を記録して保管されていることということになっております。つまり、1番のエステティック契約の問題においては、収入の問題が当然入ってくるわけです。消費者自体の支払能力はどうしても年齢で基本的に判断せざるを得ないというところがありますので、それによって、要するに成年者か未成年者か、あと、正規雇用なのか非正規雇用なのか、学生なのか主婦なのかとか、そういうところの大きなカテゴリーの中で設定をしていくことが必要になっていくということになります。

まず、4.2のエビデンスに関してなのですが、資料1の20ページの次のページに「未成年者契約同意書」がございます。これは当機構でひな形として作っているものなのですが、これは同意書ということになっているのですけれども、「年齢確認方法」という欄がございます。これを何で作っているのか、本人が未成年と言えばいいではないかという話なのですけれども、要するに、未成年者と思える者に関しては年齢確認をするということでございますので、例えば20代前半と思われる方に関しても必ず確認をしてほしいということをお願いしております。だから、当然、未成年者という人の同意書に関しては、年齢確認をしているということが当たり前というか、常識になりますので、それは必ずやっておかなければいけないことになりますので、その確認方法として、何を見たのかという項目をつけているということでございます。

これは同意書でございますので、当然親権者の同意が必要だということになります。認証サロンの場合は親権者欄を2名分の欄を設けております。実際に親権者代表者という形で記載する場合もあるのですけれども、もちろん、親権者が1名の場合もあります。その場合は斜線を引いて使っていただくということで、なるべく親権者が2名いる場合には、2名に同意いただくという形を進めております。

資料3を見ていただきたいのですが、これは何かといいますと、質問票です。実は、私どもサロンの認証を行うに当たって、いわゆる書類審査、事業者審査、サロン審査の3段階に分けて審査しております。御説明が足りなかったのですが、サロン認証する場合は、当然、サロンは会社で経営されている、法人で経営されている、もしくは個人で経営されているということになりますので、いわゆる主体者に関しての審査を行うことも重要になるわけです。その場合に、最初には書類審査を行います。認証基準に基づいた指定された書類を提出いただいて、その書類審査を行います。その後に、その書類に基づいて、いわゆる事業者審査、つまり経営者、経営をしている主体者に関しての審査を行う。これはルールに関しての審査を行います。ルールがきちんとなっているのかどうかということになります。このときに、この質問票を使うわけです。

この質問票というのは、先ほど言った4.1.4の支払能力の確認ということになっているのですけれども、支払能力の確認は、右のほうを見ていただきたいのですが、「成人」「就業者」「パートアルバイト」「学生」「主婦」「無職」と書いてありまして、空欄になって、「万円」と書いてありますが、これは実は契約上限を書くようになっています。つまり、1回の契約で幾ら契約してもよろしいのかということをルールで決めてくださいということにさせていただいております。

このルールで要するに、成人、未成年ということで分かれているということになります。ただ、実質上、未成年の場合は、これほど細かく制限をすることはまずないです。本当に、例えば30万円以下とか20万円以下ということで全部くくられている場合が多い。逆に成人の場合は、就業者とかパートとか学生とかということで、細かく分けている場合が多いということになっています。これは、上限に関しては、私どもで指定することはないのです。なぜ指定をしないのかというと、独占禁止法等の問題があって、つまり、契約の上限を基本的に我々が規制することはできないので、一応、自主的な金額において記載をいただく形で考えております。ただ、100万円でもいいのか、200万円でもいいのかということになってくると、これは目安としては成人に関しては50万円程度であろうと。それ以上になった場合においては、その理由をお聞きするという形をとらせていただいています。成人の場合です。未成年の場合は、その半額程度をめどにして、それ以上になっていないかどうか。なっている場合には、理由をお聞きする形をとらせていただいているということでございます。

レジュメに戻りまして、今、審査方法に関して御説明させていただきましたけれども、もし、これに関して5番目、実施されていない場合はどうなるのかということなのですが、これは改善指摘というものを行います。改善指摘を行って、実際に策定し直していただく、もしくは策定いただいて、きちんと実施していただいた上で改善報告書を出していただいた時点で、いわゆる審査が終了するということになります。この改善報告書が提出されない限りは認証判定委員会、つまり、一番上位の決定機関には上程はされないということになります。

ただ、実際に、サロン認証制度は3年間がいわゆる認証期間になります。3年間の認証期間の間で、基本的に認証がきちんと実施されているかどうかを定期報告とサーベイランスということで毎年報告をいただいたり、こちらで調査をしたりして行っていきます。実際には書面では、定期報告とサーベイランスが各1回ですから2回。それと、直接サロンに行って調査する場合もありますので、これが全体の5%を無作為に抽出して、毎年行かせていただいて確認をするということになります。基本的に更新と新規で余り審査の内容は変わりませんが、3年経過した時点で認証が切れますので、経過する年には必ず更新審査を行う形になります。

実際に、サーベイランスだとか更新審査で、いわゆる資料が提出されなかったり、適合しない事象が見つかった場合において、それで、改善指摘を行うわけですけれども、改善報告がされない場合に関しては、認証を取り消して、公表する形になっております。

非常に雑駁だったのですが、以上、一通り御説明させていただきました。資料に関しては、概要と「エステティック認証制度ガイドブック」と言われています、これは各関係業界さんにお配りしている認証制度の説明資料でございますので、御参考に御覧いただければと思います。

以上でございます。

○樋口座長 御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。

池本座長代理、お願いいたします。

○池本座長代理 御報告ありがとうございます。

何点かに質問がわたるのですが、まず、この基準の中で未成年者について、資料で確認をするとなさっている点は非常に慎重な取扱いだと感じました。問題は、エステティックの契約は、消費生活センターへの相談件数で見ると、20歳になった途端に急に相談件数が増えて、エステティックサービスそのものが若い人対象だから、やむを得ないのかもしれないのですが、相談が急増しているところが気になっているわけです。特に、学生や収入が余りない人が契約をしているという意味では、支払能力の点の基準が、先ほど成年だと50万とありましたが、この一番最後のページの資料3では、「就業者」「パートアルバイト」「学生」「主婦」「無職」と区分があるのですが、実際には各社がそれぞれ区分を設けておられるのでしょうか。それとも先ほどおっしゃった50万というのは、各社の平均値というような趣旨だったのでしょうか。そこを教えていただきたいです。

もう一点、消費者相談の窓口を設けておられると資料の中で拝見いたしましたが、年間、例えば昨年1年間でもいいのですが、相談件数はどのくらいおありなのか。

そして、最後もう一点は、日本エステティック機構の組織は、サロンの認証数で見るのがよろしいのでしょうか。業界全体でどのくらいのシェアを占めておられるのかという点、以上についてお伺いします。

○日本エステティック機構高橋事務局長 分かりました。

まず、20代が急増している点なのですけれども、未成年の契約というのは、非常に少ない、かなり少ないと考えています。いわゆる特定継続的役務契約に関しては、先ほども申し上げたように民法上の制約がありますので、実際に親権者同意書がなければできない。ですから、そういった意味では非常に少ない。ただ、要するに、20代になった時点で急激に増える理由は、実はそれは、いわゆる信販契約ができるようになるからなのです。つまり、保証人なくして信販契約ができる。そこに、今の割賦販売法の適用でいきますと、実際に今、収入が定期的にある。なおかつ20歳になったばかりだと他の支払がほとんどない。なおかつ自宅であれば、生活維持費用も低いということになってくると、例えば年収220万の方でも、極端な話、その3分の1までは与信範囲に入っていると言われていますので、かなりの金額まで契約ができる。だけれども、実際問題として、そういう基本的な信販に関する割賦販売に関する知識がないがために、実際にいわゆる過量な役務や商品を買い込んでしまう例があるということです。

懸念することが一つだけあって、いわゆる支払がない者、つまり、例えばAさんという20歳の女性の方が初めてエステティックに行きました。そうすると、どうも同時に複数の信販会社と契約をすると、その時点では信販に対する支払は発生していないので、ゼロ円なのです。なおかつ、生活維持費用に関しても、初めて行くわけですから、これは認証サロンでは絶対にやってはいけないこととなってはいるのですけれども、例えば維持費用に関しても、自宅から通っているようにすれば、もっとたくさん組めるような話があって、そうすると、あっという間にとんでもない金額が組める状況になってしまうわけです。だから、割賦販売法との兼ね合いの問題が、20代の前半の方に対してはあると私は個人的にですが、考えております。

次が、相談窓口の件ですね。まず、業界全体のことを申し上げますと、大体エステティックサロンが1万軒と言われています。現在、認証を受けているのが、500軒弱です。ですから、認証を受けているのが5%に満たない状況になっています。国民生活センターの苦情に関しては、今、7,500件ぐらいになっていますけれども、業界団体から言うと、大体、例えば日本エステティック業協会さんなどでいくと、年間で約100件弱ぐらいということになっていまして、業界団体に苦情が行く率は非常に低いような状況になっています。そのような感じでよろしいですか。

内容に関しては、今、池本座長代理がおっしゃったとおり、20代前半の方の苦情が多くて、内容としては、中途解約ができないという御相談が多いように見受けられます。中途解約に関しては、法律上、当然無条件で応じなければいけないのですけれども、来店しなければいけないとか、実際に、これも信販との関係なのですが、分割払いをしている場合は一括して返さないと解約できませんとか、言い方としては、一括で返していただければできますがという話になって、50万一括で信販会社に支払わないと解約できないような間違った誘導をしていて、そういうようなクレームがあったりということになっている場合があると認識しております。そのような感じでよろしいですか。

○樋口座長 よろしいですか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 エステティックサロンもすごくあると思うのですけれども、ここの会員数は、先ほどの500軒というのは、会員数ということですか。

○日本エステティック機構高橋事務局長 サロン認証を行っている数が500サロンでございます。1万サロンありますので、基本的に5%ということでございます。

○増田委員 その規模というのはどのくらいなのかということと、何か一定条件はあるのでしょうか。

○日本エステティック機構高橋事務局長 規模というのは。

○増田委員 サロンの規模、会社の規模です。

○日本エステティック機構高橋事務局長 会社の規模ですと、いわゆるナショナルチェーンと言われている複数店舗、大体40店舗以上を所有している事業者に関しては、約5社ということになります。あと、リージョナルチェーンと言われている大体10店舗から20店舗というところが12社ぐらいとなっております。あとは個人サロンです。業界全体は、3,500億円と言われているのです。私どもが把握している認証サロンの売上規模は、大体500億円ぐらいは認証サロンで上げている数字であると認識していますので、売上規模としては、まずまずのシェアはとっていると考えます。

○樋口座長 よろしいですか。

後藤専門委員、お願いいたします。

○後藤専門委員 詳しい説明をどうもありがとうございました。

先ほど、未成年者のエステティックの契約はかなり少ないというお話だったのですけれども、その点に関連してお話を伺いたいのですが、まず、若い方で、一番若い方というと、どのくらいからエステティックを利用することがあるのでしょうか。

それから、品物を買うという契約と違い、直接体に作用するものですので、エステティックについての知識が乏しくて申し訳ないのですが、年齢的に個人差はあるのでしょうけれども、成熟度に応じて、余り成熟していない段階では体に負担がかかるとか、安全性上望ましくないような種類のエステティックがあるのかどうかということです。未成年者は単独で契約はできませんので、親の同意が必要ですが、未成年者の体にかかわる契約であることから親の同意が必要という側面が強いのかということです。特に、18歳、19歳で身体的に成熟度が低い場合に、危険と言うのは申し訳ないかもしれませんけれども、安全性に問題があるようなことはあるのかどうか。その辺をお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。

○日本エステティック機構高橋事務局長 まず、エステティックを使う最低年齢なのですけれども、特に経済上決められているわけではないのですが、実は今、非常に問題になっているというか、課題になっているということが正しいのかもしれないのですが、いわゆる脱毛なのです。毛が濃いといじめに遭うという話があって、小学校のときから脱毛サロンに行って脱毛してもらうということがトレンドになっているような感じがするのです。これは専門の医師、研究者などとも話はしているのですけれども、低年齢における脱毛効果は、全くないわけではないのですが、思春期を超えた場合にホルモンの関係が変わるので、本当にそれの効果が継続できるのかは、まだ分からないという状況です。ですから、そういった意味では、低年齢というと、大体小学校1年生ぐらいから来られる方もいらっしゃる。当然、それは親が一緒に来られますので、親権者というよりも、親御さんが基本的にはその施術を受けさせたいということで来られるケースがあるようです。

では、それが悪影響になるのかという問題なのですけれども、これは脱毛全般に言えるのですが、厚生労働省から基本的にはきちんと通達が出ておりまして、体の毛包幹細胞と言われている毛の幹細胞を破壊する行為はできないので、いわゆる弱める程度のことしかエステティックではできないということでやっていて、当然、やけどをするような行為は一切できないということになっております。ただ、やけどをしない行為ということは、もともと成人において基本的に試験をされているものなので、小学生だとか幼児だとか児童に関して、それが当てはまるのかどうかは、はっきり言って、不明な点があります。ですから、認証サロンにも脱毛をやっているサロンがございますので、実際には、積極的に例えば低年齢層のお子さんを誘客するような行為はしてはいけないというルールが一つあるのです。つまり、いかにも効果があるとか、やらなければいけないとかというような、お子さんをモデルにして広告をしたり、うちはお子さんでもできます、というようなことは言ってはいけないというルールに、今はしています。つまり、分からないのでそれしかできないのが実態でございます。

○樋口座長 よろしいでしょうか。

大森委員、お願いいたします。

○大森委員 今、小学生で脱毛の施術に来られるというお話をお聞きしましたけれども、あとは若い世代でどういう施術を御希望になることが多いのかと、ソースといいますか、何をきっかけでそこに見えたか。チラシだとか、インターネットの広告だとか、その辺を教えていただきたいです。

○日本エステティック機構高橋事務局長 若年層、特に20代は、先ほど言った脱毛の話がありましたけれども、脱毛と痩身と言われているボディー系のサイズダウンを目的として施術ということになります。金額的に言うと、実は20年ぐらい前は脱毛が圧倒的に単価が高かったのです。人が行う作業で、プローブという針のようなものがあって、それを毛穴の中に入れて電気を通すことによって、先ほど言った毛包幹細胞を破壊する行為をやっていたのです。これは非常に高度な技術が必要なわけです。だから、技術者の養成も大変だし、機械だとか、時間もかかるので、非常に高かった。ところが、今は先ほど言ったように機械が発達した関係があって、やけどもせずに、毛包幹細胞も破壊しないで、ある程度毛の再生を抑えられる施術ができたので、そちらに移った。そうすると、技術も機械もそれほど高くないということで、非常に安くなってきた。

逆に出てきたのが、痩身、サイズダウンの機械で、これは機械自体が体についている皮下脂肪に関してアプローチして排出を促進する作用があって、これは機械と人間がやらないと無理なのです。必ず人間が最終的にはやらないと無理なので、ここに関しては、機械自体が結構高額であること、そして、人間がやらなければいけないということなので、非常に1回の単価が高いということと、続けてやらないと意味がないということなので、最低でも四、五十万はすると言われています。ですから、ここに20代の女性がぜひサイズダウンしたいということで、契約することが多いのではないかということで考えています。アンケートをとった場合には、今、売上単価が一番高いのは痩身施術だということで、認証サロンからのデータは出ています。

媒体ですけれども、今はCMとかテレビの電波媒体はほとんど使われていませんで、インターネットです。インターネットで、いわゆる集客サイトがあります。リクルートさんがやっているホットペッパービューティーだとか、そういうところで基本的には集客をかけている例が非常に多いと聞いております。あと、独自のホームページなどでも立てていますので、いろいろなネット媒体からの集客から得ているのが大体6割ぐらいとは聞いております。

○樋口座長 河上委員長、お願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

今、広告の話が出たので確認ですけれども、インターネットやホームページで一定の情報を提供して、それを見た人が契約をしに来るという場合に、勧誘時といいますか、実際に対面した段階で、施術の具体的な内容であるとか、条件であるとか、インターネットで広告をしたものと同じものをもう一遍説明する形をとるのですか。それとも、もうインターネットで知られていることが前提になって、そうした契約をやると認識されているのか。つまり、一般の広告の問題と勧誘時の説明とでは、性質が違うのではないかという議論がしばしばあるのですけれども、その辺は機構さん自身はどう考えておられるのか。先ほどの集客・広告についての大変立派な基準があったので、余計関心があったので、その点がまず一点です。

一つずつ聞いたほうが分かりやすいですね。お願いします。

○日本エステティック機構高橋事務局長 まず、エステティックに関して、先ほど言ったように、特定継続的役務契約になるので、例えば回数とか金額だとかというような、個人の要望等によって変わるのです。だから、例えばサイズダウンを多くしたいという方だったら、金額自体が高くなるし、この程度でいいわと言ったら安くなる。なおかつ、内容に関して言えば、インターネットの広告に出ているのは、概要しか出ていなくて、例えばこういう機械を使って、脂肪をやわらかくして、こういう施術をやって、いわゆるリンパ節などに排せつします、などのようなことは書いてあるのだけれども、実際にどうやるかは体験してみないと分からないのです。ですから、エステティックの場合は、例えば広告でいった場合は、必ずトライアルというものをやります。体験をしまして、その施術が自分に合っているのかどうか、エステティシャンのほうもこの人にそれが向いているのかどうかを確認した上で、終わった後に話をします。カウンセリングと言われているのですが、そのカウンセリングを行って、お客さんもこれだったらどうも結果が出そうだ、エステティシャンのほうも、これだったら結果が出そうなので、何回ぐらい続けていただければ、これだけの結果が出るように頑張れますねと。効果は約束できないので、はっきりは言わないと思いますけれども、そういう形で基本的には決めていくということになります。だから、ネットで書いてある内容は、本当に触りしかないのです。つまり、これで私やれそうかなと思ったときに体験に行くのが正しいと思います。

○河上委員長 ネットに書いてあることは、一応契約の前提になっているという理解でよろしいですね。

○日本エステティック機構高橋事務局長 そうです。全く違うことをやる場合は、まずないです。

○河上委員長 ありがとうございます。

2つ目ですけれども、未成年と成年との境の話について、いろいろ説明の形が違っていて、未成年者取消権というものがあるので、その辺についても配慮されているのだということはよく分かったのですが、仮に現在未成年者である18歳、19歳の者が成年になったということになれば、ここで言う成年扱いということになりますね。そういう場合に、これまでどおり、成年に対する配慮と同じことでいいということになるのか、それとも、社会経験が乏しいので、若年者に対しては、もう少し手厚い配慮をするほうがいいというようにお考えなのか、未成年者に対しては随分手厚くやっていましたので、その辺の代替措置は必要ないかどうかというあたりのお考えを聞かせていただきたいのです。

○日本エステティック機構高橋事務局長 私は事務局なので、余り発言するのはあれだったのですが、実際に、例えば資料3を見ていただきますと、成人の場合、「パートアルバイト」「学生」「主婦」「無職」と書いてあります。つまり「就業者」というのは、正規雇用ということが前提で書いてあるのですけれども、要するに、若年層で経済的に不安定だということは、考慮せざるを得ないということになるのですが、例えば、今までは年齢で考慮するのではなくて、仕事の仕方によって考慮していたと思うのです。ただ、今後18歳、19歳が成人化していく中で、確かにこの分け方ではもしかしたら当面は難しいかなと思います。理由は、先ほど池本座長代理のお話にあったとおり、成人になってからすぐに購入をしたいという購入意欲のある方は、どんどんのそのことを進めていってしまうので、経済的に言うと、保護をする時期でどうしても必要になるのではないか。例えば、それは20歳になる前に関しての上限というのは、事業者としては設けたほうが、健全な消費活動に入っていって、なおかつ、消費者としてきちんとした社会生活が送れるような状況になったほうが、エステティックサービスを提供する事業者としても、今後、その人たちにずっと長く使っていただくためにも必要なのではないかということは、私は考えております。ですから、18歳、19歳に関しては、少し別途、初心者マークのような形の制限はつけたほうがいいのかもしれないと思っています。

○河上委員長 そうすると、例えば先ほど出てきた学生とか、それから、非正規雇用といったものとは別に、何か成年に準ずる者というか、未成年に毛が生えたような初心者マークのようなものがあったほうがいいのではないかというお考えですか。

○日本エステティック機構高橋事務局長 2つあって、経済的な問題がやはり大きいのではないかと。だから、18歳、19歳の所得自体が、把握は全部し切れていませんが、年収で200万円前後という数字が出てきていますので、それで、なおかつ購入意欲が高くなる可能性が高いということになってくると、どうしても、そこは社会としてそのことをある程度制限してあげたほうがいいのではないかと私は考えます。

○河上委員長 最後ですけれども、収入の問題があって、この表では収入に関して、あるいは労働態様に関しても表がありますけれども、収入の確認は具体的にはどうされるのですか。

○日本エステティック機構高橋事務局長 収入の確認は、基本的には現金でお持ちになった場合は一切できないのです。だから、例えば個別信用購入あっせん取引という形の個品割賦を組んだ時点で、信販会社が基本的には調査をかける形にしかならないのです。ですから、現金で私は100万円持っているので、100万円で買わせてと言っても、別にそれはいいのですが、ただ、店のルールでは、あなたは未成年者なのだから、25万までしか買えませんよという制限をするわけです。信販会社に行った場合でも、最初の契約金額が未成年者であれば、25万円を限度にクレジット契約をしていく形になりますので、それは通るか通らないかは、信販会社さんが決める。そのときに初めて年収を書く形になるわけです。信販契約の契約書類です。ですから、サロンにおいて年収を把握する方法が、基本はないのです。

○河上委員長 では、支払能力といっても、そこのところは事実上はクレジットとの関係で判断するということですね。

○日本エステティック機構高橋事務局長 ですから、支払能力がすごく難しかったので、要するに、成人で職別で契約の上限金額を決めるしか方法がなかったということが事実です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、特定非営利活動法人日本エステティック機構へのヒアリングはこのあたりにさせていただきたいと思います。

お忙しいところ、ヒアリングに応じていただきまして、誠にありがとうございました。

○日本エステティック機構高橋事務局長 ありがとうございました。

(3)日本貸金業協会からのヒアリング

○樋口座長 次に、日本貸金業協会からのヒアリングを始めさせていただきたいと思います。

本日は、同協会の事務局長でいらっしゃいます菅沼國雄様、業務企画部部長でいらっしゃいます遠藤清一様に御出席いただいております。

お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、御説明のほうよろしくお願いいたします。

○日本貸金業協会菅沼事務局長 日本貸金業協会の事務局長をしております、菅沼でございます。

本日は隣におります業務企画部の遠藤部長ともども、ワーキング・グループに当協会の取組を御説明させていただきます機会を頂戴いたしまして、深く御礼を申し上げたいと思ってございます。

私どもの協会でございますけれども、2007年、平成19年でございますが、12月19日に発足して、9年目となってございます。設立当初でございますが、貸金業界を取り巻く情勢といたしまして、貸金業者の行き過ぎた融資、それによりまして発生したと言われております返済能力を無視した多額の借入れでございますとか、生活が破綻する方が非常に多くなったという、いわゆる三悪でございますが、すなわち高金利、過剰貸付け、苛酷な取り立て、こういう行為が社会的な問題となったわけでございます。このため、国が法律の全面的な改正を行ったところは皆様御承知だと思いますけれども、改正されました貸金業法で、当協会、日本貸金業協会の設置が行われたわけでございます。その結果といたしまして、自主的な行為規制あるいはコンプライアンスの確立、これを日本貸金業協会に行わせるというところでございました。このことによりまして、速やかな効果、あるいは国が直接的に予算の負担をなしに行うことができる自主規制というものが実現した。この整備が整えられたところでございます。

当協会は、貸金業法の第25条の規定によりまして、資金需要者の利益の保護を図り、貸金業の適正な運営に資することを目的としてございまして、同法の26条の規定によりまして、内閣総理大臣の認可を得て設立されました認可法人でございます。

お手元に資料を配付してございまして、資料3-1と資料3-2がございますが、先に3-2にございますローン・キャッシングというところの見開きを御覧いただければと思ってございます。

事前に協会の御案内等を御用意させていただければよろしかったのですが、本日、消費者教育、啓蒙活動ということで中心に御説明をするという事前の事務局からのお話を頂戴しておりましたものですから、消費者教育に関連しての資料をお付けしてございます。その中で、この資料の「はじめに」というところで、私が申し上げましたような協会の設立に至る経緯というものを御説明させていただいてございます。

ちょうどその資料の中段でございますが、当協会の役割でございます。貸金業界の自主規制機関として、貸金業者の業務の適正化による貸金業界の健全化を図るとともに、資金需要者、これは利用者の方でございますが、この方々の利益の保護を図るということを目的として活動してございます。

具体的には、まず1つ目でございますが、協会員、当協会の会員でございますが、貸金業者、現在金融庁の統計でございますと、登録業者が約1,900弱でございます。その中で、当協会の会員が1,160強でございまして、約61%の協会の加入率となってございます。この協会員に対しまして、貸金業法などの法令遵守の徹底をするというのが、当協会の役割になってございます。その経過といたしまして、利用者の皆様に信頼され、安心して御利用いただけるように、協会員の指導、監督に取り組んでいるという状況でございます。

協会の役割の中に、例えば協会員の皆様に対する監査でございますとか、あるいは法令違反等、あるいは自主規制ルール等の違反がありました協会員に対しての処分をするという機能も持たされております。

2つ目でございますが、これも国から指定紛争解決機関、ADRとしての指定を受けてございまして、裁判によらない紛争解決に取り組んでおりますとともに、多重債務問題、あるいは金融トラブルに対して、貸金業相談・紛争解決センターを運営してございます。相談や苦情を受け付けているというところでございます。また、そのほか、今日御説明申し上げます金融知識の教育啓発及び違法業者に対する注意喚起の広報、こういったものも積極的に推進しているというところでございます。

当協会発足のときに、日本証券業協会さんをモデルにして貸金業界の自主規制機関として、資金需要者の利益の保護、あるいは貸金業の適切な運営に資することを目的として設立したという立て付けになってございまして、現在運営に当たります理事は12名おりますが、公益の立場から御意見をいただきますために、日本消費者協会の唯根専務理事、学識経験者といたしましては、池尾慶應義塾大学教授、あるいは山本一橋大学大学院教授、法曹界からは、田島弁護士、経済界からは、平本BS-TBS会長に御就任を頂戴してございまして、運営に当たりましてのさまざまな御意見を頂戴している状況でございます。

協会は、その業務の中で資金需要者への金融知識の啓発を行うことを協会の定款により定めてございまして、協会の定款第5条の第1項第9に「金融に係る知識の普及及び啓発を図ること」というものが盛り込まれてございまして、この定款に基づきまして、当協会はこの消費者教育というものを担当させていただいてございます。

本日、当協会が具体的にどのような場で、どのような資料によりまして、資金需要者の皆様に啓蒙活動を行っているのかということを御報告させていただきたいと考えてございます。

お手元の資料の3-1を御用意させていただいているところでございます。「日本貸金業協会の消費者啓発活動について」という1枚紙と、それに続きます「平成28年度上半期の消費者啓発活動について」というものを御覧いただければと思ってございます。

まず、1枚紙のほうの出前講座・講師派遣等の推進というところでございますが、こちらにつきましては、当協会が、今、申し上げました消費者啓発活動を行うに当たりまして、皆様に講座を開設させていただいておりますということをお知らせする資料になってございます。協会は先ほど定款に基づいて消費者啓発活動を行っておりますと申し上げましたが、消費者教育の推進に関する法律、推進法の規定によりまして、事業者団体として、努力義務を課せられているところもございます。こういったものもありまして、消費者力の向上のために、金銭管理あるいは金融トラブルに対する教育機会の充実のために行政機関あるいは教育機関との連携促進を図っているところでございます。

先ほど御覧いただきました、資料3-2のローン・キャッシングという資料でございます。実際の協会が作っておりますものも御参考に御用意してございます。これの半分くらいの資料になってございますけれども、この資料につきましては、年間16万部ほど作成してございます。当協会が行います出前講座というカテゴリーがございますが、その際の教材に使わせておりますほか、各公共団体からの御要望をいただきまして、成人式に必要な部数をお届けして、新成人にお配りをしております資料でございます。この資料が、当協会の消費者啓発活動のメイン教材となります。細かいところにつきましては、御高覧を賜ればと思います。

また、本資料の監修に当たりましては、全国消費者生活相談員協会様に多大な御協力を頂戴してございまして、本ワーキング・グループの増田委員にも、監修に御尽力をいただいてございます。この場をお借りいたしまして、改めて御礼を申し上げたいと思ってございます。

金銭教育につきましては、他の金融団体等も積極的に取り組んでおられるところだと思いますが、成人前の教育機関であります高校、中学等への御説明というのは、なかなか銀行さんですとかというところには数多くあるのかもしれませんが、当協会につきましては、中学時点の教育機関で講座を持ちましたものはなかなか少のうございます。

お手元の資料3-1を1枚おめくりいただきました、28年度の上半期の消費者啓発活動というところでございますけれども、1ページの一番下のところに、平成28年度上半期の出前講座・講師派遣の実施状況を御案内してございます。この中の出前講座で、マル1のカテゴリー、一般・消費者・学生向け講座というものを開催してございますが、御覧いただきまして、6月9日に日本大学の商学部さん、6月24日に明治大学の方々に講座を持たせていただいてございます。このカテゴリーでは6件、上半期では409人の方に講座を設けさせていただいておりますほか、協会員向けの講座でございますとか、あるいは消費者センターの相談員の方への講座も開設してございまして、28年度の合計でございますと、21件、約800名の方に御参加をいただいているという実績を上げてございます。

また、先ほど中学校以前の教育機関はなかなか取組ができないと申し上げましたが、この5年間の中でございますと、過去、小学校の家庭科の先生に対して講座を持った実績がございます。

これも資料としては御用意してございませんけれども、この5年間で、先ほど一般あるいは学生向けの講座を御案内してございますが、この5年間で、大学については27校、高校については13校、これは重複しておりますけれども、合計40校の教育機関で学生向けの講座を行ってございまして、先ほど御覧いただきました「要注意 知っていますか!?ローン・キャッシングQ&ABOOK」という資料を基に御説明をさせていただいているところでございます。

当協会の業態の特徴というところかもしれません。いわゆる20歳になって初めて、先ほど成人式にお配りした資料というところ、あるいは民法の中で、その契約行為が成立する20歳過ぎというところからスタートするというところが、業界の中の常識になってございますので、高校からの御要請は、今、年に1件か2件ある状況でございます。一方で、大学についてはこの業界がある意味で、就職先の御案内にもなるということもあり得るということでございますので、数校、この講座を御要望する方がいらっしゃる状況になってございます。

当協会は、先ほど申し上げましたように、非常に多岐な業務を行ってございますが、消費者啓発の活動というところの一端をお示ししたというところでございます。また、協会の中の広報活動等につきましては、先ほどの資料3-1の3ページ以降のところでございますが、この「要注意 知っていますか!?ローン・キャッシングQ&ABOOK」のほかに、いろいろなパンフレット、リーフレットを御用意させていただいておりまして、講座あるいは活用をいただいているところでございます。

また、ヤミ金融防止の合同キャンペーンへの参加、あるいは啓発ポスター、リーフレットの掲示、配布ということもしてございますし、また、協会のホームページを活用いたしました消費者啓発活動を行っていることを、資料として御案内させていただきたいと思ってございます。

非常に簡単な御説明でございますが、当協会が行っております消費者啓発活動の一端を御紹介申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

御清聴ありがとうございました。

○樋口座長 ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 どうも御報告ありがとうございました。

貸金業法は、冒頭御紹介がありましたように、多重債務の問題を防止するために、例えば年収の3分の1以上の与信を規制するとか、あるいは50万以上の場合は収入の資料を確認するという、与信に関する審査を慎重にやるという記述はありますが、今回議論する20歳前後の若年者、こういう方の場合には、単に支払能力が客観的にあるかないかだけではなくて、社会経験が未熟で、ついつい大丈夫だろうという感じで使ってしまうというような、そういう知識や社会経験の未熟なところをどう配慮していくのかという違った切り口の問題意識を持っております。

そこで、2つお伺いしたいのですが、1つ目は、貴協会全体としてのデータあるいは事業者の中の一部分のデータとして、例えば未成年、18歳、19歳、あるいは17歳という年齢層、あるいは20歳、21歳、22歳といった若年者、そのあたりについて、年齢別あるいは年代の枠でもいいのですが、与信残高のデータはあるのでしょうか。もしそういうものがあれば非常に議論の参考になるのですが、もしあれば教えていただきたいという点が1つ目です。

それから、先ほどの貸金業法では、特に年齢、世代を考慮した基準はないと思うのですが、業界内での自主的なルールなり、あるいは事業者の中で、若年者の熟慮に欠ける借入れ、行動に対して配慮するようなルールを自主的に作っておられるものがあるかどうかというあたりで、何か情報をお持ちであれば教えていただきたい。以上の2点です。

○日本貸金業協会菅沼事務局長 ありがとうございます。

池本座長代理から御質問のありました内容でございますが、協会としては、実は年代別のデータは持ってございません。日本信用情報機構のJICCさんですとか、CICさん、こういったところに恐らくデータが集積されているものと思ってございます。協会として、年代別のデータと申しますのは、協会で独自にアンケートを展開してございまして、これは全世代に対して、これで2万6,000件ぐらいのデータの中から2,000人ぐらいを抽出いたしまして、貸金業に対するいろいろな御意見ですとか、あるいはその情報を頂戴するアンケートを行ってございます。その中で、20代以上というくくりになってございまして、20代以下についてのデータは実は協会としては持ってございません。また、このアンケートに関しては、学生は除かれてございます。その意味では、貸金業界として、その年代層に対しての与信というのは、非常に慎重かつ、本来あるべきではないという認識がまずあると理解してございます。

当協会の中の2,000人程度のアンケートの中で、年代層で見てまいりますと、12%から13%がたしか20代だと記憶してございます。これは協会のホームページ等にアンケートの結果を貼らせていただいてございますので、御覧いただけるものになっていると記憶してございます。

もう一つ、極めて重要な御指摘でございますが、いわゆる年代層の若い方、あるいはその熟慮される年代の方、あるいは逆に高齢で判断基準が衰えている方々に対するというところにつきまして、明確な自主規制ルールは確かなかったと記憶してございます。こちらにつきましては、当然のことながら、与信行為の中で、本来、これは余り露骨に言うべき話でもないのかもしれませんが、お金を貸す以上、当然返していただくことが前提になるわけでございますので、その当てがない先あるいはそれが非常に疑わしい先に対しての与信は基本的に行わないというところがまず原則としてあると理解してございます。

大変雑駁な回答でございますが、以上でございます。

○樋口座長 よろしいでしょうか。

増田委員、お願いいたします。

○増田委員 基本的に学生には貸付けをしないという方向を今、お伺いしたところなのですが、現実には、学ロンと言われる学生専門のローン会社があって、そこで未成年者であれば10万円までとか、制限をある程度設けて貸付けをされていると思うのですけれども、そういう未成年者もしくは学生に対する貸付けの制限というか、上限を何か設けているのか。

あと、借入れの目的の確認方法ですね。何のために借りますかということをお聞きされていると思うのですけれども、そうしたときのマニュアルのようなものがあるのかとか、各社にお任せなのですか。その辺をお伺いしたいと思います。

○日本貸金業協会菅沼事務局長 今、増田委員から御指摘のございました内容につきましては、確かに学生向けのローンがあるのも事実でございます。また、これにつきましては、当然未成年者につきましては、親御さんの御承認が必要になるということであろうと思っております。貸金業というくくりではございませんけれども、最近いわゆる学生証とクレジットの機能を持つカードを合わせたものが非常に出てきている。これは大学のほうからすれば、学生証を作る経費を事業者の方に負担していただいて、事業者のほうからすれば、クレジットなりあるいはそのきっかけとして利用いただけるというところが売りとしてあるということなのだろうと思いますが、こういったものにつきまして、当貸金業協会の中で何か明確な基準があるかということになりますと、実はございません。ただ、当然、先ほど申しました学生に対して10万という歯止めがまずございますし、さらに、返ってくることに対しての審査、あるいはその使用目的につきましては、借入申込書の段階で非常に厳密なチェックが行われるという立て付けになってございます。これは自主規制のルールの中で、借入れを行う方に対してはまず契約の前の段階で御説明をさせていただく。さらに、その契約を締結した際に、また御署名、御捺印をいただくという非常に手続を踏むハードルがございます。

この業界は、平成19年にできる以前は、非常に乱雑な業界だったということは先ほど申し上げましたけれども、そういったことを踏まえまして、非常に厳密な与信審査をやる状況になってございます。ある意味では、言葉としては妥当ではないかもしれませんけれども、貸金業のスタートは、まさに小口で短期で無担保で、さらにその上で借りやすいという一つの売り文句がございましたけれども、小口、短期、無担保というところは変わっていないにしても、借りやすいということに関して申し上げますと、厳しくなっている。今、非常に他の業態の中でいわゆる与信行為の行われる業態もあるということでございます。協会といたしますと、非常に痛しかゆしの部分が実はあることもあるのですけれども、この貸金業の市場が、特に消費者金融の部分でいきますと、小さくなっている状況がございます。

余談になりますが、先ほど協会の加入の数、約1,160と申し上げましたけれども、業法が施行されました当時は、約4,000ございました。業界は、この9年間でございますが、3分の1になってございます。一方で、業界全体、金融庁あるいは各都道府県の登録業者の数というところで言いますと、貸金業法の施行当時、約1万社ございましたのが、今、2,000社を割ってございます。こちらは5分の1になっている状況でございます。ある意味で、協会員の減り方、これはまさにどちらがどちらというところではありますけれども、非常に堅実な業者が残ってきて、結果として協会発足当時、加入率40%でございましたが、今は61%になってきた。分子分母もございますけれども、今の業界にいらっしゃる業者さんは、非常にしっかりした業者さんが残っているということが言えるかと思ってございます。

○樋口座長 よろしいですか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 3点お聞きしたいのですけれども、1つ目は、若者の借入れの理由です。どういうお金が欲しいからお金を借りるのか、代表的なもの、こういうものが多いですというものをお聞かせいただきたい。

2つ目は、それでも上手に返して暮らしている人もいるわけですけれども、中には多重債務者になる人がいますね。そういう多重債務になるケース、どういう場合が多重債務に陥っていくか。

3つ目が、借金を重ねていく人は、その都度相談してお金を整理するだけでは、なかなか同じことを繰り返すだけになると思うのですけれども、その生活習慣を見直すようなカウンセリングのような事業をされているのか、この3点をお聞かせください。

○日本貸金業協会菅沼事務局長 今、大森委員から御指摘のございました3点でございますが、まず1つ目、借入れの理由でございますけれども、直近で協会が公表させていただきましたアンケートの結果等を見てまいりますと、一番多いのは娯楽でございます。特に、協会は先ほど申しましたように、アンケートについては20代から上の方を対象としてしかアンケートをとっておりませんと申し上げましたが、20代の方々の主な使用理由は、何と申しましても娯楽が多かったと記憶してございます。

レジャー、娯楽のほかでございますと、趣味でございますとか、これは若干かぶる部分がございますけれども、年代別に、20代でいきますと「趣味/娯楽(レジャー、旅行を含む)費用」というものが借入れの理由の約4割でございます。次に多いのは「家賃の支払」というものがございます。さらに、次に多いのが「食費」というところ、この辺が20代の方のいわゆる借入れ理由の上位になってございます。

2つ目でございますけれども、上手に借り入れられずに、多重債務になる方の理由の一つの例といたしまして、実は、協会が本日平成28年度の上期の苦情紛争解決の受付状況をホームページに載せてございますが、その中で、生活再建支援カウンセリングの事例の中で挙げられてございますのは、20代の方で債務者本人からの相談がございまして、先輩に誘われてパチンコにはまってしまった。それ以来、借金をするほどのめり込んでしまって、自分の借金を親が肩がわりする状況に陥っている。趣味が高じて、ある意味では歯止めがきかなくなると報告されているケースがございます。

3つ目でございますが、借金をされた方のカウンセリングというのは、今、手前どもはADRの機関として、相談・苦情受付のセンターを設けてございまして、その中で、生活再建支援のカウンセリングをやってございます。また、これは協会発足当時から取り組んでございますけれども、ある意味で、お金を借りること自体に過度に依存する方がいらっしゃいます。これは御本人がどれだけ頑張ってみようと思っても、どうしてもやすきについてしまうことがございますので、貸付自粛制度がこの協会の中で取り組まれてございます。これは借入れの債務者本人あるいはその債務者の御家族から申出のあられた方については、JICC等との連携をしまして、お金を貸せない、自分から申告して、もう私には貸さないでくださいという制度を実は作ってございました。こういったものの取組についても、当協会の窓口の業務として非常に重い業務になってございます。

よろしゅうございますでしょうか。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長 今日はどうもありがとうございました。

借入れとか、無担保でいろいろお金を借りていくというところの問題もあるとは思うのですけれども、この消費者問題として考えていったときには、先ほどエステの方からも、本人の支払能力を知り得るのは、クレジットの審査に依存せざるを得ないのだというお話がありました。訪問販売でのトラブルなどの場合でも、クレジットを組むことができるから、けしからぬ事業者によって被害が大きくなるのは、クレジットを組まされて、大変な額の被害が出るということが今まで経験的には知られております。

それは、安易な貸付けとか、クレジットが組める状況が結果として問題商法の展開を可能にしているのだということにならざるを得ないわけで、そうした被害の防止のために、今もお話の中にありましたが、口座を設けるとか、クレジットが組めるようになるための審査を厳格にされているというお話でした。これは、一方では余り審査を厳格にしてしまうと、お客さんを失ってしまう可能性もあるのですけれども、特に社会に出たての人たち、あるいは学生などがクレジットを組めるというときに、そういう人たちに対する与信枠を与えるときの審査の仕方について、何か今後少し工夫をする余地はないものかというあたりについてはいかがでしょうか。

○日本貸金業協会菅沼事務局長 今、河上委員長から御指摘のございました点、もちろん、当協会としても重く受けとめさせていただいてございます。御案内のとおり、先ほど池本座長代理からもございましたとおり、貸金業法でございますが、基本的にお借入れをいただくときに収入を拝見するというところでございますと、当然のことながら、源泉徴収票等に代表されます、収入が証明される資料を必ずお付けいただいた上での審査ということになってございます。例えば未成年者でございますと、親御さんのいわゆる御承諾を得たということになりますと、今度はそちらのほうの御返済をいただける能力があるのかの審査ということになります。

これから成年年齢が下がるということに対しての取組に対しては、非常に重い思いを持って、いろいろ正す思いで、こういったところに対しての啓蒙活動等をやらせていただく、あるいは、当然のことながら審査等についても慎重を期すということになってまいると思ってございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、日本貸金業協会へのヒアリングはこのあたりにさせていただきたいと思います。

お忙しいところ、長時間、ヒアリングに応じていただきまして、誠にありがとうございました。

○日本貸金業協会菅沼事務局長 本日はどうもありがとうございました。

○樋口座長 本日の議事は以上でございます。

大変長時間にわたりまして、皆様に委員会に参加していただきまして、ありがとうございました。

最後に事務局から、事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回は来週11月15日火曜日、16時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○樋口座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)