第32回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2017年4月5日(水)13:59から16:14

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、古賀委員、白山委員、陶山委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
長田委員
【説明者】
田久保 憲彦 資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課LPガス担当企画官
高野 史広 資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課長補佐(正しくは「はしご高」)
【消費者庁】
澤井消費者調査課長
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 北海道電力、東北電力、関西電力、四国電力及び九州電力による電気料金値上げ後のフォローアップに関する専門調査会意見(案)について
  3. LPガスの取引適正化に向けた取組についてのヒアリング
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻より若干早いですけれども、委員はおそろいですので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第32回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、松村委員、山内委員、消費者委員会担当委員の蟹瀬委員が御欠席となっております。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第下部のほうに配付資料一覧を記載しております。もしお手元の資料に不足がございましたら、事務局までお知らせいただきますよう、よろしくお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても後日公開することといたします。

それでは、古城座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.北海道電力、東北電力、関西電力、四国電力及び九州電力による電気料金値上げ後のフォローアップに関する専門調査会意見(案)について≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。

最初の議題は「北海道電力、東北電力、関西電力、四国電力及び九州電力による電気料金値上げ後のフォローアップに関する専門調査会意見(案)について」です。

当専門委員会では、電力会社5社による電気料金値上げの事後評価について、消費者庁から消費者委員会への意見の求めがあったことを受け、2回に分けて、電力会社及び電力・ガス取引監視等委員会からのヒアリングを行ってまいりました。

本日は、ヒアリングの結果を踏まえ、専門調査会としての意見の取りまとめに向けて議論を行いたいと思います。

初めに、お手元の案文について事務局から説明があります。

それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元に、右肩に「資料1」と振らせていただいております資料があるかと思います。専門調査会の意見(案)ということで、事務局でまとめさせていただきました。

まず、構成でございますけれども、初めの部分については柱書きということで、ヒアリング等の経緯について述べてございます。先ほど古城座長からお話がありましたように、消費者庁から5社に関する原価算定期間終了後の事後評価について付議を受けたということ。それから、当専門調査会において、3月17日に北電、関電、23日に東北電力、四国電力、九電ということでヒアリングを行うとともに、両日ともに電力・ガス取引監視等委員会から各社に対する事後評価の聴取を行った旨を書いてございます。その上で、以下ですけれども、意見ということで整理をさせていただいております。

構成といたしましては、「1.全体的な評価」、「2.個別項目」、「3.今後の課題」という形で整理させていただいております。

まず、「1.全体的な評価」でございますけれども、初めに、監視等委員会による事後評価ということで述べてございます。こちらは、電力会社5社に対する原価算定期間後の事後評価について、消費者基本計画工程表等に基づいて、当専門調査会での事後評価に先立って、監視等委員会において2月1日から3月1日にかけて評価を行ったという旨を述べてございます。

同会合におきましては、料金の値上げ認可申請に関する従前出させていただいておりました消費者庁からの意見等を踏まえて、料金原価と実績費用の差異、規制部門と自由化部門の利益率の差異、経営効率化への取組等について検証されている旨を述べてございます。

その上で、前年の東京電力の際の事後評価の検証と比較いたしまして、今般の監視等委員会の取組といたしましては、会合において消費者からの意見を求めるなど、より消費者の視点も取り入れた検証の取組がうかがわれる点ですとか、あるいは電力各社が経営効率化の取組状況につき、新たに修繕費等の緊急的な支出抑制とか繰延べの額を明示するなど、分かりやすい分析が行われている点について積極的に評価ということで述べてございます。

その上で、2ページ目でございますけれども、現行料金の妥当性ということで結論を述べてございます。こちらにつきまして、まず原価算定期間における実績値について、いわゆる想定原価と比較をすると、特に燃料費、修繕費、購入電力量の費目において、比較的大きな差異が発生した例が多く見られたと述べてございます。

しかしながら、以下「2.個別項目」のところで述べるとおり、想定原価と実績値の差異については、燃料費に代表されるように原発再稼働の遅れに多く起因するものであり、事業者の裁量の範囲を超える部分が多いものと見られることから、当該差異の発生をもって直ちに現行の料金原価の見直しを求める状況にはないと考えられるということで述べてございます。

他方で、今後、原子力発電所の再稼働の進展に伴って、原子力利用率の回復がなされ、燃料費等が低下した場合には、料金原価削減の余地は十分に考えられるということで述べてございます。

その上で、次のポツですが、昨年4月以降、電力小売全面自由化がなされているものの、現状では既存の規制料金(経過措置料金)で電力サービスの提供を受けていらっしゃる消費者が大部分を占めている状況にあります。こうしたことから、上記のような状況変化が生じた場合、電力各社におかれては、競争圧力にさらされている自由料金の引下げのみならず、消費者利益還元の均霑(きんてん)を図る観点からも、規制料金(経過措置料金)の引下げに向けて、料金原価について見直しを速やかに行うべきであると。その際、修繕費の削減部分を一部恒久化するなどのさらなる経営効率化の反映を含め、料金原価についての見直しを速やかに行うべきであるということを述べてございます。

続きまして、「2.個別項目」でございます。こちらについては、燃料費及び購入電力料と、人件費、修繕費、利益使途ということで整理をしてございます。

まず、燃料費及び購入電力料でございますけれども、まず、事実関係でございますが、燃料費については、北海道電力を除く4社で実績値が想定原価を上回っていた。それから、購入電力料については、東北電力を除く4社で実績値が想定原価を上回っていたということです。これらは、我が国の原子力発電所の再稼働が料金改定時の想定よりも遅れ、料金原価の前提としての原子力利用率が改定時の想定と比べ低くとどまったことを主な背景とするものであると述べてございます。

その上で、まず、購入電力料についてですけれども、東北電力を除く4社が実績値は想定原価を上回っているが、超過幅は4から70%と各社様々という結果となっている。これについては、電力各社における原子力以外の自社発電能力など、電源調達の置かれた状況が異なることにより生じるものであると述べてございます。

その上で、昨年4月に全面自由化された小売部門のみならず、発電部門でも競争が活発化するということとともに、卸取引市場の整備など電源調達の多様な手段の整備も予定されているところ、電力各社は自社発電のみならず多様な電源市場の動向を注目した上で、収益改善につながる最適な調達手段の選定とか、料金交渉の強化等をさらに進めて、安値での調達に引き続き努力すべきであるということで指摘をしております。

2番目に人件費でございますけれども、北海道電力を除く4社において人件費が想定原価を上回ったと。電力各社は人材の質の確保とかモチベーションの維持に考慮しつつも、料金原価の対象から除かれた出向者への給与負担等の項目を中心に、可能な限り人件費の効率化努力を行うべきであるということで述べてございます。

3番目、修繕費でございますけれども、修繕費については、5社いずれにおいても実績値が想定原価を大きく下回ったということです。これは主に燃料費等の高止まりに伴う営業費用の増加分を相殺するため、修繕工事の緊急避難的な繰延べが数多く行われたことによるものと考えられるということで述べてございます。

ただ、そういったことを行った上で、緊急避難的ではあるものの、こうした繰延べが行われたということは、当該費目については削減の余地が大きいことが明らかになったということも述べてございます。電力各社は、安全の確保を最優先にしつつ、今回行われた修繕費の効率化の取組を可能な限り恒久化するよう努めるであるということで述べてございます。

それから、2番目でございますけれども、その際、経営効率化目標の達成等の経営目的により、電力の安定供給等の側面から、必要以上の削減圧力がかかることのないよう、繰延べに伴ういわゆる設備面のリスク判断について、計画段階のみならず、事後においても継続的に社内において第三者委員会などの独立的な観点からモニタリングを行う仕組みを構築することも有効であるということで述べてございます。

なお、電力各社は修繕費を含むコスト削減の見通しを消費者に対して分かりやすく情報提供及び説明を行うべきであるということも付言しております。

個別項目の最後でございますけれども、利益使途ということで整理しています。これは、平成24年4月の有識者会議の報告において、料金改定を行わない場合には、これまでの利益使途について具体的に事業者により説明がなされることが料金の妥当性評価のために適当である旨、述べているということがあります。必要以上の内部留保の積み増しとか、株主配当により料金引下げへの取組が後退しているのではないかという懸念を払拭するためにも、各社は利益使途やその必要性について消費者の理解を得るよう具体的な説明を行うべきであるということで整理をしてございます。

最後、「3.今後の課題」でございますが、2点述べてございます。前述のとおりですが、規制料金(経過措置料金)の利用の継続を希望する消費者も多い中、各社における経営効率化とか、あるいは原子力発電所の再稼働に伴う費用の低減というのが、規制料金メニューにも適切に反映されるよう、今後の監視等委員会において毎年度実施される審査において、継続的に監視が行われることが重要であるという点。

もう一点といたしましては、基本計画においては来年度においても値上げのフォローアップということで定められておりますが、その際、監視等委員会においても、各電力会社の原価算定期間後の事後評価が実施される際には、本意見の趣旨を踏まえて厳正な審査が行われることが必要であると述べているということでございます。

意見(案)については、説明は以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、意見(案)について、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 少し多いのですけれども、5点ぐらいあるかなと思いますけれども、順次。

○古城座長 途中で適宜区切ってください。

○矢野委員 最初に、全体的な評価のところについてです。私は今回、この文章をかなりショッキングに受けとめました。というのは、最初の1ページの「○」の2段目ですけれども、「前年の東京電力の事後検証と比較して」という段落ですが、これをそのまま続けて読むと、「前年の東京電力の事後検証と比較して、会合において消費者からの意見を求めるなど」、この文章を読む限り、前年の東京電力の事後検証においては、会合において消費者からの意見を求めなかったと受け取られかねない内容になっておりますし、前年の東京電力の事後検証においては2人の消費者委員がオブザーバー参加をしてしっかり意見を述べ、その意見の一部はきちんと経産省側のまとめの中に取り込まれています。そういったことがあるにもかかわらず、今回初めて消費者からの意見を求めるというようなことが書かれていることは、かなりショックを受けました。

ここは改めて、「東京電力の事後検証と比較して」という文章をむしろ削除したほうがいいのではないかと思います。東京電力の事後検証の後に、当専門調査会及び消費者庁でフォローアップの意見を出しました。むしろそのフォローアップに関する専門調査会意見と、それを踏まえた消費者庁意見が経産省のところで十分生かされて、それに基づいて電力各社が今回のような、例えば修繕費等の緊急的な支出抑制や繰延べの額を明示するなど、分かりやすい分析等につながったのではないかと思いますので、入れるとすれば、私どもの専門調査会の前回の意見、それから消費者庁の意見が生かされたという文言を入れながら、ここを構成していったほうがいいのではないかというところが1点目です。

2点目です。2ページの現行料金の妥当性の3つ目の○の中ほどですけれども、普段なかなか使わない漢字があります。4行目の後半、「消費者利益還元の均霑(きんてん)」という言葉ですが、これはなかなか普段接しない言葉なので、各人が平等に利益を得ることというような意味ですけれども、分かりやすい、何か代わる言葉に変えていったほうがいいのではないかと思います。これが2点目です。

3点目ですが、現行料金の妥当性のところ全般についてですが、今回は基準のステップ2をクリアした電力会社は、経産省の審査では2社、東京電力と東北電力がありました。実は、ステップ1はクリアできて、かつステップ2のところで累積の利益報酬が事業報酬以上にならないと認可申請命令が出せないということになりますが、そもそもこの基準自体が本当にそういった妥当性があるのかどうか、そのことの十分な説明はなされていないし、経産省の専門会合のところでもそういった意見は消費者側から述べられましたけれども、改めてこの基準の妥当性についての説明を求めるべきではないかなというのが3点目です。

あと2つです。次の3ページの人件費です。いろいろな新しいニュースが入ってくるので、それとの関係性もあるのですが、関西電力で過去2年間、まさに算定期間中の時間外労働者の賃金未払いが2年間で約17億円、これは今年の4月の給与のところで支払いをするということですが、これは算定期間中の金額なので、こういったことが生じた場合に、改めて人件費の効率化とともに適正な人件費の支出自体はなされなくてはいけないのではないか。そういったところをどういうふうに見ていけばいいのかなというのは悩ましいところですが、その辺はどう勘案すればいいか、皆さんからも御意見を伺いたいと思います。

最後になりますけれども、今後の課題です。4ページに移りますが、2行目の最後から3行目にかけて、毎年度実施される審査においてということで、基本的には原価算定期間直後、3年が終わった直後の4年目のところで公開の審査が行われるわけですが、毎年においては事務局のところで、きちっと事業者側から出された資料に基づいてチェックが行われる。そこには、先ほどステップ1、ステップ2の基準に照らし合わせて行われるわけですが、今回のようにステップ1をクリアした場合に、東京電力のように、改めて公開の場での事後検証も行われているわけですね。そうすると、原価算定期間直後だけを公開の場とするのではなくて、そういった新たな状況が生じたときの公開の場での審査も要望すべきだと思いますし、公開の場で行われる審査であるがゆえに、様々な意見交換が行われるということで、それは消費者にもより開かれた情報提供にもなるというところで、そういった要望をしていったほうがいいのではないかなと思います。

以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

今5点出されましたけれども、いかがですか。

○丸山参事官 まず、事務局で受け止めさせていただくとともに、必要に応じて、専門調査会でもそういった指摘について、盛り込むべきかどうかということで御議論していただければと思います。

○古城座長 皆さんの意見はどうですか。第1点は1ページにありますけれども、事実認識が違うということですね。事後検証について監視等委員会は前回も努力したというのをちゃんと織り込んで書かなければだめだということですね。

○丸山参事官 少し文案を考えたいと思います。

○古城座長 よろしいでしょうか。

○矢野委員 それと、「東京電力の事後検証と比較して」は削除はオーケーでしょうか。

○古城座長 削除か、「に続き」というふうにすれば、認識としてはいいのでしょう。

○矢野委員 「事後検証に続き」。「比較して」という言葉はなしで。

○古城座長 「比較して」というと、前はだめだったというニュアンスに受け取られるということですね。

○矢野委員 存在自体が否定されていますので。

○古城座長 2番目の「均霑(きんてん)」という言葉が難しいというのも、皆さん異論はないと思うので、そこももう一度平たく書き直してください。

3番目、変更命令の基準というのですけれども、これにつきましては、基準の変更を求めていくべきだというのが御意見なのですけれども、前回のときも議論になったのですが、監視等委員会の考え方は、変更命令に合致するかどうかを検討するのがフォローアップの役割だと言っているのですけれども、消費者委員会はそれに拘束されないということで、もともとフォローアップというのは、料金を値上げしたのですけれども、値下げ要因が出たときは、普通は、あるいは一定期間が来たら料金を洗い替えして、もう一度変更命令にするという仕組みがあるのですけれども、日本の場合、それは採っていない。値下げは強制されないということになっているので、本当は値下げ要因があるのに値下げをしないということはいけないので、変更命令制度というのは入れているのです。

もう一つの質問はこうでしょう。そうすると、値下げ要因があるにもかかわらず、変更命令にも合致しないというところは値下げしなくてもいいのですかというと、それはちゃんと事業者が消費者に説明する義務はありますよと。消費者が納得されないような場合は、変更命令が仮に出なくても自主的に下げる、こういう仕組みがあるのですよという説明になっていますよね。

だから、消費者委員会のフォローアップが変更命令に該当するかどうかだけではなくて、値下げしなくてもいいという十分な説明があって、それが消費者として納得できるのですかということを確認する作業も入っているので、変更命令はもちろん修正してもらいたいと思うのですけれども、変更命令を修正しなくてもやることはやれるということだと思うのですね。

○矢野委員 基準自体を変更というよりも、むしろ基準の妥当性についての十分な説明がなされてないのではないか。それはやはり必要ではないかと思います。それを入れ込んでほしいなと思います。

○古城座長 4番目は人件費。5番目何でしたか。もう一回。

○矢野委員 5番目は、毎年の審査自体は事務局でも、直後の4年目だけではなくて、毎年その後も行われるということですけれども、それは公開の場で行われるかどうかは確約されていないということで、今回は東京電力が追加検証を公開の場で行ったわけですから、やはりステップ1がクリアされれば、そういったことも公開の場で検証していくということが必要でしょうし、ただ、これ自体は、もともとは消費者基本計画に盛られた中身に沿って、ここの専門会合でもフォローアップも行われていますので、消費者基本計画のところにそういったことは入っていないと、補足されていないと、なかなか難しいかなと。

例えば、来年のところは中部電力のみのことしか書いてなくて、今年は東京電力が書いてなかったのですね。だから、ここの専門会合では東京電力の追加検証については審議をしなかったということですけれども、ステップ1がクリアされて様々な要因があれば、経産省と同様に、ここでも一定のフォローアップなり、まず経産省のところでのそういったフォローアップが公開の場で行われるということを要望したほうがいいのではないかなということです。

○古城座長 あと、皆さん、いかがでしょうか。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 私も幾つか申し上げたいと思います。

まず1点は、前回のヒアリングのときにも、経産省の取引監視等委員会の御説明に対して申し上げた内容でもありますが、まず、事業体の借り入れ、有利子負債の増加の比率と、支払い利子の比率にかなり乖離が出てきておりまして、その点から、他人資本の報酬率が下がっていっているのではないかというふうに推測できます。当然、他人資本報酬率が下げれば報酬率が変わってきて、ここを厳格に見ていただく必要があるのではないかと思っております。ぜひとも、監視等委員会のほうで精査されるときには、この報酬率の点からもしっかり見ていただき、その結果についても情報公開をしていただきたいと思っております。

○古城座長 資本費用が下がっているのではないかということですね。

○陶山委員 そうです。その点を一つ、今後の課題というようなところにでも書き加えていただきたいと思います。

それから、情報公開、これは事業者からの情報提供についてですけれども、確かに各社、おっしゃっているように、ホームページをだんだん改善されて、価格についての情報がとりやすくはなってきております。ただ、一番身近な情報源というのは、やはり毎月配られる検針票等だろうと思いますので、そこにもう少し価格に対しての分かりやすい情報提供をしていただきたいと思っております。

例えば、託送料金等についても細かく区分して、今、各社1キロワットアワーの比率で幾らと、単価が挙がっているのではないかと思いますが、それは支払いの実数、例えば再エネ調整費のように、これだけ使ったらあなたはこれだけのお金を払っていますよというような形で、実額を載せるというところまで深めていただきたいと思っております。

それから、九州電力、四国電力等は既に原発再稼働しておりまして、九州電力玄海原発も佐賀県が認めるというような報道も出てきておりますが、その中で、特に九州電力玄海原発についてはプルサーマルになっております。ホームページを見ますと、そういったプルサーマル等に関しての情報が非常に古い情報のままになっています。5年前とか、中には7から8年前のコンテンツのままになっております。個別ではありますけれども、このあたり、消費者として非常に関心の深い内容については、常に更新して、分かりやすい情報の提供に努めていただくように、事業者のほうにも求めていっていただきたいと思います。

それから、言葉の使い方として少し気になったところが2点ありますので、申し上げたいと思います。まず3ページの「利益使途」ということですが、この内容については載せていただいてよかったなと思っておりますが、タイトルが、一般的に使われるのかどうかは分からないのですけれども、使途というより利益配分みたいなほうが感覚的にはいいかなと思っていまして、使途ではなく配分のほうが適当ではないかなと思っております。

それから、2ページ目ですが、現行料金の妥当性の2つ目の○のところ、「原子力発電所の再稼働の進展に伴って原子力利用率の回復がなされ」ということの「回復」という言葉ですが、消費者の中には、アンケートを取りましても、全体的にまだ原発再稼働については反対という意見のほうが多数でありますので、この「回復」という言葉が、何か再稼働を願っているというようなニュアンスにも取られなくもないので、「原子力利用率が高まり」等の言葉に変えていただくほうがすっと読めるのではないかと思います。

それから、原子力の利用率が高まることがすなわち価格が下がっていく、そういうふうに誤解されないというか、公共料金の調査会が原子力を利用すれば料金が下がるのだと、これまでそのようにも言われてきたのですが、補償とか賠償費のことも勘案しましたら、そのようには言い切れない状況がどんどん進んでいっていることも含めて、この表現については少し工夫をしていただいたほうがいいのではないかなと思っております。

以上です。

○古城座長 ほかはいかがでしょうか。

○丸山参事官 もしよろしければ、「利益使途」のところについては、白山委員が御専門なので、御意見をいただければ。

○白山委員 利益の使途という言い方もないわけではないのですが、制度上使われている言葉ではないので、もし「配分」と言うならば、通常、制度上は利益の処分という言い方をしますので、普通は「利益処分」ですね。

○矢野委員 私もこの件に関しては何回か意見を述べさせていただきましたけれども、経産省の資料のところでは、利益の使途という文言が使われているのです。ですから、共通語として使うということは、いろいろな言葉をまぜると、またそれが何を指すのかが分からなくなる。むしろ、これはどちらかというと、最終的には経産省に出していく意見書にもなるわけですから、そういう意味では、そのまま経産省が使っている文言を使っていったほうが、そして中身を求めていったほうがいいのではないかと思います。

○古城座長 どうぞ。

○白山委員 私も、「利益の使途」というのはそんなに違和感がある言葉ではなく、利益がどういう形で配分されて、その行き先になるのかという意味になるので、そのまま使っても別におかしい感覚はないと思っております。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。白山委員、どうぞ。

○白山委員 先ほど、矢野委員のほうからございました人件費の様々な追加の支払い等々というのは、これは別に電力会社だけではなくて、今、我が国の企業が全て直面している問題でございまして、未払い賃金、未払い残業代の支払いというのは企業が頭を痛めているところでございます。それをもし入れ込むとするならば、人件費の1行目、「想定原価を上回った。電力各社は人材の質の確保やモチベーションの維持に考慮しつつ」と、このあたりに関連させて、「モチベーションの維持に考慮しつつ、適正な人件費の支払いを確保するとともに」というような表現で、適正な人件費の支払いを確保しつつ、かつ、出向者の給与負担等の除かれた部分を含めた人件費の適正化と効率化の双方を意味するような、このあたりでおさめるのがいいのかなという感じがいたしました。

それから、修繕費のところでございますが、真ん中の○の「その際」というところで、3行目の「計画段階のみならず」以下のところですが、これは私が申し上げた意見を取り入れていただいたと思うのですが、これがために第三者委員会を設立して新たな仕組みを構築するという趣旨で言ったのではなく、このような第三者委員会のようなものを立ち上げるとまたコストがかかってしまいますし、手間もかかりますので、ここまでは求めなくてもいいのではないかと思うのです。書きぶりをどうするかはもう少し検討しなければいけないのですが、事後も含めて継続的に社内において、例えば監査役とかがいらっしゃいますので、監査役監査などの独立的な観点からモニタリングを行う仕組みを、構築するではなくて、活用するみたいな、そのくらいのレベル感でいいのではないかという気がいたしました。

以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

あとはいかがでしょうか。古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 細かいことなのですけれども、2ページ目の現行料金の妥当性の評価のところですけれども、5行目の「燃料費に代表されるように原発再稼働の遅れに多く起因するものであり、事業者の裁量の範囲を超える部分が大きいものとみられることから」ということですが、確かに原発再稼働の遅れが燃料費の増加や、購入電力料の増加などに影響はしているのですが、事業者の裁量の範囲を超える部分としては、CIF価格や為替レートの変動などもかなり大きな要素としてあったと思いますので、そのところも少し入れていただきたいと思いました。

それから、先ほど陶山委員がおっしゃられたように、「原子力利用率の回復」という言葉はやめて、「高まり」としていただきたいと思います。

それから、最初に矢野委員が、さかのぼって恐縮なのですが、最初の1ページ目の東京電力の事後検証と比較した場合の評価ですが、今回の会合では、オブザーバーとして消費者の代表の方が増えたということでしたので、「供給各エリアにわたり消費者の意見を求めるなど」というふうにしていただければ、東電のときと比較して、意見が入れられたというニュアンスが入るのではないかと思いました。

以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

あと、ほかにいかがでしょうか。陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 3ページ、修繕費のところですが、ここの最初の項のところで、「今回行われた修繕費の効率化の取組を可能な限り恒久化するよう努めるべきである」という、これが望ましいのだろうと思うのですけれども、各社お聞きしたところ、東京電力は意識的にこの取組をしているというふうに確かにおっしゃったのですが、ほかの各社のところではなかなか見えてこないということをおっしゃっていました。それでも「努めるべきである」とするだけでいいのか、疑問に思いました。やはり緊急避難的な繰延べによる経営効率化という見方については、そこは否定しつつ、それと同時に可能な限りというふうにしておいたほうがいいのではないかと思いました。

お聞きしたところ、ここが恒常的な効率化につながるかどうか分からないというようなお返事をされていましたので、そこについてはこちらとしても受け止めて含みを持たせておいたほうがいいのではないかと思います。

○古城座長 ほかはいかがでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 2ページの「2.個別項目」の燃料費及び購入電力料のところですけれども、購入電力料については、各社における電源調達の置かれた状況というのがいろいろ違うということを、地帯間の融通や、他社からの購入のことについてお聞きした結果、それぞれ電力会社の経営判断で扱いが異なっていることがよく分かったのですが、ここの文章では、「原子力以外の自社発電能力など電源調達の置かれた状況」というふうになっているのですが、ここのところは各電力会社でも、水力だったり、自然エネルギーだったり、いろいろな他電源のもの含めて調達の努力をされているし、卸取引市場の今後の活性化なども期待されると思いますので、ここの「原子力以外の」というのを除いていただいて、「電力各社における自社発電能力や電源調達の置かれた状況が異なることに」というふうに修正していただければと思いますが、いかがでしょうか。

○古城座長 どうぞ。

○丸山参事官 事務局としては、問題はありません。

○古城座長 ここは結局、原子力が止まったら、その分、自社だけで補うのだと火力燃料を焚き増して燃料費が増加すると。そうではなくて、自社で焚きませんと、ほかの会社から買ってくるという格好になるから、そこが上がるというので、自社で賄う場合は燃料費だけ、他社から応援を受ける場合は他社電力が上がる、こういう構成になっているということを言いたい。もともとは原子力が止まったことが原因だからというので、ここで残したわけですよね。

だから、古賀委員がおっしゃるように、これでは誤解がある。本当のところは、原子力ではなくて、電力をどういうふうに構成しているか、そのとおりなのですけれども、ともかく言いたいことをもう少し分かりやすくする必要がありますね。言をつづめ過ぎて分からなくなっていますよね。それはおっしゃるとおりだと思いますので、修正する必要があると思います。

私のほうからあるのですけれども、現行料金の妥当性の1つ目の○の結論は、現在のフォローアップの段階では、「現行の料金原価の見直しを求める状況にはないと考えられる」、つまり値下げしなければいけないという状況でないと認められるということでしょう。それはなぜかというと、燃料費がものすごく上がってしまっているので、普通だったら値上がりになりそうなところを、修繕の繰延べなんかで相殺して値上げを避けている状況だということですよね。そういう説明なのですけれども、燃料費が上がったのは事業者の裁量でないからというのはそのとおりなのですが、ともかく費用が上がっているのだから値下げできる状況にないということ、単純に言えばそうなので、裁量かどうかは余り関係ないと思うのです。分かりやすくそこの辺は書かないと。

今の時点では、燃料費という大きな項目はぼんと上がっていて、うんと下がっている項目は修繕の繰延べでそれを相殺しているという状態だから、総原価が下がっているということは到底言えないというのだから、値下げを求める状態ではないということだと思うのですね。

あと、2番目のところを私はもうちょっと明確にしたほうがいいと思うのですけれども、原子力がどんどん再稼働すると、今言った問題の燃料費というのが下がるわけですね。そのときは下がった分をそのまま料金の値下げに回してくださいよというのはストレートな理屈ですけれども、そのときに、いやいやほかの費用項目が上がっているのだから、全部値下げできませんよとか、値下げを勘弁してくださいよという話が出てきて、今の経産省の変更命令基準でそれを認めているわけですよね。消費者委員会はもうちょっと細かく見て、燃料費が下がって、ほかの項目が上がっているのだから勘弁してくださいよというのだったら、ほかの項目の何が上がっているのかをちゃんと説明して、消費者が納得できるようなことをしてもらうというのが必要ですということだと思いますので、2番目は、原則としてその分値下げしてもらわなければいけない。別に値下げできない理由があるのだったら、それについて十分な説明をして、その説明が妥当でなければならない、こういうふうに述べる必要があるのではないかと思っているのですね。

それから、3つ目の○もちょっと弱腰で、電力は自由化だとか大部分を占めているとかではなくて、費用が下がったのだから下げてもらう必要があると、ストレートでよろしいのではないでしょうかね。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 今のところですけれども、現在、東北電力と関西電力については、原子力再稼働した場合にもう一回やりますよということなのですが、他社については言及されてなくて、そのままいっています。

ただ、原発再稼働するということについては、いろいろな要素が大幅に変わってきますので、他社についても見直しをやっていただくことの方がいいのではないかなと思っております。もう既に九電、四国と再稼働しているのですが、そこに言及するのは難しいのでしょうか。

○古城座長 どうでしょうか。私は今のフォローアップというのは、通常の3年間を通じて、この間、燃料費が非常に上がって、本当は値上げしなければいけないのを修繕なんかの繰延べで相殺して、何とか頑張ってきましたよと。これからの状況についても基本的にはそうだということでやっていたのですけれども、原発再稼働の扱いについてはきちんとフォローアップで検討したことがないから、それは一回やってもらう必要はあると思うのです。

何しろ3年前というのは、ものすごく大幅に電気を上げて、そのときの理由は、原発が止まって燃料費がすごく上がるのだからという説明で、原発が動いたらもとに戻してもらうというのが原則だと思いますよ。そのとき、もとに戻せないというので、事情が変わったとか、いろいろな事情があるからというのでは済まないと思いますので、それは原発が動いたところはどうやって下げるのかというのをきちんと説明してもらうというのを一回やる必要があると思っています。それは消費者委員会として言ったほうがいいと思います。

○陶山委員 下がるかどうか分からないとは思うのですけれども。

○古城座長 下がるでしょう。

○陶山委員 直近では下がると思いますけれども、要素が相当変わってきていますので、もう一度。

○古城座長 要素は余り変わっていないと思うのですけどね。それぞれ3年前に厳しく査定して、人件費とかそういうのがあって、今回の3年間の査定で、燃料費と他社電力の購入は非常に費用か上がったのですけれども、人件費がちょっと超過とか、わずかな超過、いろいろな超過はあるけれども、大幅には変わっていないという答えが出ているわけですね。だから、恐らく今までの説明から見ますと、原発が動いて燃料費が減ったときになぜ下げられないかといったら、修繕費をぐっと積み増しして修繕費が非常に高くなってきて、これで相殺していくと思います。そういう話になってくると思うのですね。

井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 今の現行料金の妥当性というので、ここの1番目の○の「当該差異の発生をもって直ちに現行の料金原価の見直しを求める状況にはないと考えられる」と。これについては、私はここに注が書いていますけれども、料金変更認可申請命令の基準に達していないということで、料金を下げることは必要ないというのが監視等委員会の見解ですよね。だから、ここに注を書いていますけれども、利益率が電力会社の平均が2.幾らで、それを全部下回っているから、まず変更命令を出す必要がないという、これは私は問題で、この変更認可申請命令の基準というのがおかしいというか、みんなで利益率を下げれば、変更命令はいつまでたっても出てこないわけで、利潤率を下げようと思ったら企業というのは普通何をするかというのは、もう一般の事業者は分かっているはずで、余りにも突出した利益にならないように利益操作するわけですから、この料金変更認可申請命令の基準というのは今後検討しないといけないというか、検証する必要があると注に書いていますけれども、「料金原価の見直しを求める状況にはない」というのは、私はこの専門調査会の意見としては不満で、もう少し踏み込んでやるべきだと私は考えます。

○古城座長 前半は賛成なのだけれども、結論はどうすればよいでしょうか。

○井手座長代理 そこで、注のところに書いているのをもう少し、「今後の利益率の動向を含めて検証する必要がある」というところを本文に持ってくることが私は必要だろうと思っています。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。

原発についてはいろいろ細かいことはあるのですけれども、関電は大きな電力会社で、非常に大きな影響があるので、原発が再稼働した段階で下がった燃料費等のコストは、その分、どのように料金を扱うのかというのは、消費者委員会としてはきちんと説明してもらうというふうにしたいと思っています。

○陶山委員 これは経産省の説明では、2度値上げしたところについては、原発再稼働したときにもう一度きちんと精査するというふうな整理をされていて、1度しか上げていないところは、もうそのままこの3年間の中でやりますよという考えなのです。

○古城座長 消費者委員会は別の立場でやってもいいのです。でも、一番関電がモデルケースで、関電で研究して、それで問題点があったら、ほかの電力会社にもちゃんと同じような立場で見直してもらうということになるのではないでしょうか。

○陶山委員 はい。ぜひ。

○矢野委員 関連していいですか。関電自体の評価で、安全性が確認された原子力プラントの再稼働が実現されれば速やかに値下げを実施したいと表明していますので、それをしっかり監視しておく必要があるかなと。関電自体はもう値下げすると言っているわけですから、それをきちっと実行に移してもらうことが必要かなと思います。

○古城座長 それだけでなくて、値下げが十分な値下げがなされるかどうかというのは、もう見解が大分違いますし、関電の値下げのとき、原則は燃料費が下がった分をもとに戻して下げてもらうということになると思うのですね。それで、そうではない、完全には戻せないというのでしたら、他の費用項目が上がっているということになると思うのですよ。他の費用項目が上がっているというのは、先ほど言いましたように、人件費が上がっているとか、そういうことは言わないと思いますので、他の費目で想定されるのは、これまで本来あるべき修繕を引き延ばしてきたので修繕をやりたいというので、その修繕費が上がるので、その分は勘弁してくださいよと、こういう議論になると思うのですね。

○井手座長代理 あと、自己資本比率、経営改善、体質改善。

○古城座長 だから、繰り延べた修繕費というのがきちんと、前に繰り延べた額と対応しているのかどうか。必要以上に膨らませているのではないか。要するに、利益が上がるとき利益を減らすのは、修繕をうんと前倒してやるという、貯金を作るというやり方がありますから、そうならないようにしていただきたいということが一つ。

2つ目は、修繕費の繰延べは、前にも言いましたように、主には大口の割合が事業以上に大きいわけですよね。大口は十分値上げできなかったからと。だから、修繕費の繰延べのうち大口が原因で修繕費の繰延べになった分は、規制料金のほうに転嫁しないでもらいたいというのはきちんと審査しなければいけないと思っているのです。この2つです。大きな宿題が本来あると思っています。

あとはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

本日、意見(案)について様々な意見をいただきましたので、事務局で一度整理した上で、再度専門調査会の場で御議論いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

それでは、次回の専門委員会でもう一度議論することにしたいと思います。

(資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官、高野石油流通課長補佐 着席)

≪3.LPガスの取引適正化に向けた取組についてのヒアリング≫

○古城座長 続いての議題は、「LPガスの取引適正化に向けた取組についてのヒアリング」です。

当専門調査会では、ガス小売全面自由化に関連するものとして、LPガスの小売市場に関する状況についても関心を持っております。

LPガスについては、本年2月に資源エネルギー庁による取引適正化ガイドラインが制定されたところですので、本日は資源エネルギー庁石油流通課の田久保憲彦LPガス担当企画官にお越しいただき、ガイドラインを含めたLPガスの取引適正化に向けた取組について説明を伺いたいと思います。

それでは、御説明をお願いいたします。30分程度でお願いいたします。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 ただいま御紹介にあずかりました資源エネルギー庁石油流通課LPG企画官をしております田久保でございます。

それでは、昨今、我々がとり進めてまいりましたガイドライン等の策定についての経緯等を御説明させていただきたいと思います。

まず、パワーポイントを御覧いただきたいと思います。1ページでございますが、「LPガスを巡る状況」でございます。皆様、御案内のとおり、約2,400万世帯で使われているということで、LPGは非常に重要なエネルギーという位置づけでございます。また、昨年、熊本震災のときにおいても、LPGの有用性が再確認されたということで、災害時の最後のとりでとなる重要な役割というものが最近また確認をされている、このような次第でございます。

下のグラフを見ていただきますと、我が国のLPGは8割が輸入でございます。遠く昔は、その輸入元はどこかというと、サウジアラビア等、中東からということでございましたが、昨今はアメリカからのシェールガス由来のLPGというものも非常に多く入ってきてございます。したがいまして、左のグラフにありますとおり、輸入価格はだんだん右肩下がりになっております。

その一方、右のグラフを見ていただきますと、輸入価格が一番下の青色のグラフになってございますが、卸売価格が赤の線、一番上が小売価格の線となってございます。小売価格は、約2万社ある販売店でございますので、その販売店ごと、また地域ごとに小売料金は非常に異なってございますが、便宜上えいやで平均を出しまして、それをプロットしたものでございます。全体として見ると、輸入価格が下がっているのに比べて、引下げはなだらかになっているということが見てとれると感じてございます。

御案内のとおり、この4月から電力に加えて都市ガスが自由化されました。そこで、自由化後のエネルギーの選択という意味においては、LPGというものも非常に重要なものでございますので、LPGというものが今後エネルギーの一つとして選択されるということが非常に重要でございます。

ただ、その中におきまして、都市ガスの議論においても、消費者団体の方々からは、LPガス料金の不透明性と取引方法に関する問題点が指摘をされるに至ってございます。その点で、エネルギーの重要な選択肢となるべく、我々としても今回、措置をとったということでございます。

2ページでございます。LPガスは各県ごとにLPガスの県協会というものがございまして、そこでお客様相談所が設置されています。その中にお客様からいろいろな相談が寄せられているわけでございますが、1年間で4,755件入ってきてございます。その内訳を見てみますと、LPガスの価格、販売店の移動ということで、こういった料金とか取引関係についての相談が多くを占めているということでございます。ただ、2,400万世帯でございますので、この5,000件がどうかというところについては、冷静に評価をしなければいけないと考えてございます。

3ページでございます。様々審議会で指摘された議論に答えるべく、昨年2月に経済産業省の審議会「液化石油ガス流通ワーキンググループ」というものを設置いたしまして、LPガス料金透明化に向けた対応策というのを審議しました。昨年5月に報告書が取りまとめられてございます。委員は、座長に橘川先生、この場でもいろいろな御説明をしていただいているものと理解しておりますが、大石委員、林委員、土佐先生、こういう方々に委員になっていただいてございます。あとは、事業者、非常に進歩的な考えを持った事業者、マルエイの社長、カナエルの社長ということで、この2つの業者を含めた委員で構成をしてございます。

次の4ページでございます。主に審議会のマンデートでございますけれども、大きく2つでございます。大きい枠で囲ってあります小売取引における料金の透明化というものが、一つの大きな枠でございます。

下に参考で2つ目のアジェンダがありますけれども、これは何かというと、需要創出のための対応ということで、今、LPGというのは鋼製容器、非常に重たくてかたい容器で供給されてございますが、それをFRP容器に変えようということで、その需要の創出に寄与できないかということが検討されてございます。そのための方策を議論したということでございます。

上の枠囲みに戻っていただきますと、料金透明化ということでございますが、いろいろな切り口から我々は料金の透明化というものを捉えてございます。まずは、契約前における料金の透明化が(1)。(2)は契約時における料金の透明化。(3)が契約後の料金の透明化。(4)が契約終了時においてのものでございます。

(1)の契約前の料金の透明化というものについては、ホームページ等を活用した標準的料金メニューの公表の加速化をどのように進めていくべきかということが議論された次第でございます。

契約時における料金の透明化については、とりわけ賃貸型集合住宅の入居者に対する料金の透明化の促進ということが議論されてございます。2つ目は14条書面。これは法律上で、供給契約、販売契約を結んだ際には、その契約の内容を記した書面を消費者に交付するということが義務づけられてございますが、そこのより適正化をどのように進めるかというところの点でございます。

契約後の消費者に対する料金透明化というのは、まず値上げ時の透明化。値上げ時にどのようにそれを事前に通知をするかということでございます。それと、料金請求時における料金透明化。要するに、請求をする際に、これまでは必ずしも請求の根拠というものが明らかにされていない実態がございましたので、それをどのように是正をしていくかというところでございます。あとは、消費者からの料金照会、苦情・相談への対応の促進ということでございます。

契約の終了時には、法律で1週間ルールというものがございまして、スイッチングの際の旧事業者と新規事業者の取り決めの条文がございます。基本的には、新事業者は消費者から契約の解除の意思があってからは1週間はとどめておいてくださいという規定がございます。これは何かというと、旧事業者と消費者との間の精算行為がございますので、そういった点から1週間は現状維持が望ましいということにさせていただいております。一方で、旧事業者は1週間たったら、基本的には速やかに撤去をしなさいということが、両方から規制をしているということでございます。この措置をめぐって、若干、消費者を巻き込んだトラブルが発生をしてございますので、そういった意味で問題点を整理して、今後の対応策ということを議論したというところでございます。

次の5ページでございます。報告書でまとめられたこのような措置を、我々は具体化するということをしました。具体的な方法としては、やはり法律になじむところと、法律上手当てできないところといろいろございますので、この3つに分けて措置をしたというところでございます。

まずは、法律の措置でございますが、省令の一部改正をいたしました。あとは、法律の解釈で措置できるところというところで、これは運用・解釈通達の一部改正というものを(2)としてやったわけでございます。最後は、なかなか法律上にはなじまないものの、ガイドラインというもので手当てしようというところで措置をさせていただきました。

6ページでございます。これから具体的に一つずつ、どのように対応していくかということを御説明をしていきたいと思ってございます。

御案内のとおり、2万社のLPガス販売事業者がありますけれども、大多数は10名以下の従業員しか擁さない中小・零細だという事情がございます。その事情もありまして、LPガス料金を公表している事業者、とりわけホームページで公表している事業者は現在ごくわずかになっているということでございます。このため、消費者の選択が制限されて、競争が働きにくい状況になっているのではないか、このように分析をされてございます。

したがいまして、この点につきましてはガイドラインで、まずは標準的な料金メニュー、及び一般消費者等による平均的な使用量に応じた月額料金例を公表する必要があるということ。その手段としては、自社のホームページを有するものは当該ホームページに、それ以外のものは店頭の見えやすい場所に提示するということを行う必要がある。このようにしてございます。

また、販売事業者は料金メニューが非常に多岐にわたっているというのが、実はLPガス業界の特徴でございまして、それがためになかなかホームページに載せられないという事業者もいるという事情がございます。もし、ホームページに載せるに当たって、こういう料金の集約化というものをする必要があるのであれば、その間は待ってあげましょうというのが次に書かれていることでございます。ただし、1年間という限定つきでありまして、もう一方で、平均的な使用量に応じた月額料金例のほうはすぐに公表してください。このような内容になってございます。

ここで、我々ガイドラインの一つの特徴でございますが、ここで書いてありますとおり、行う必要がある、このようなガイドラインで規定をしてございます。これはガイドラインに通じる一つ大きな我々のガイドラインの特徴でございますが、電力と都市ガスにおいてのガイドラインというのは、法律上問題があるものと、そうではないものについては望ましい行為として類型化されています。

この中で、標準料金については望ましい行為というものが電気と都市ガスのほうではなっていますが、我々のほうはそうではなくて、する必要があると、このように強めの文言をとらせていただいているということでございます。

7ページ、契約時の料金の透明化というくくりでございます。そこで一つ大きな課題となっていますのが、アパート等の集合住宅に入居する消費者に対する料金の透明化ということでございます。課題を見てみますと、不動産を所有または管理するオーナーや不動産管理事業者は、あらかじめLPガス販売事業者というものを選択をするという行為が一つ入ります。

アパート等の集合住宅に入居する消費者は、その不動産オーナー等が選択した販売事業者との契約締結を余儀なくされるということでございますが、オーナー等の同意を得ず、一回入ってしまったら、事後的に事業者を切りかえることができない。このような事情がございます。

ここの問題点は、情報の非対称性というものがあるわけでございますが、加えて消費者における集合住宅の貸借契約とLPガス供給契約が別々に締結されるものでございますので、賃貸借締結時にオーナーとかLPガス販売事業者からLPガス料金の説明や料金等を記載した書面の交付を行う義務づけというものはなかなか難しいという形になってございます。

また、このアパート入居者からの苦情というものは、実は我々にも結構来てございまして、その背景には、オーナー等との合意で、ガス消費機器とかエアコン等の付随設備の設置費用をLPガス販売事業者がまず負担をして、LPガス販売事業者がそのガス料金で転嫁・回収して、そのために料金が高く設定されるという状況がございます。したがいまして、消費者からは、何でこんなに高いのだと、入る前に知りたかったという苦情が来てございます。

その苦情の具体的な例は、下に2つ例示させていただいてございます。事例1、テレビや洗濯機、電気エアコンが付属していることを売りにしている。LPガス会社からの請求が高額だと思ったので、ガス会社に問い合わせたところ、ガス会社が家主に対して各部屋に配管工事、給湯器、エアコン等を無償で設置し、その料金をガス代金に転嫁しているということが分かった。不動産仲介事業者から入居する際にプロパンガスだとの説明は受けたが、費用詳細の説明は受けていない。こういった生の苦情が寄せられているということでございます。次の事例も同じようなことですので、時間のあるときに御参考いただければと思います。

8ページでございます。私が口頭で言った仕組みが図で示されているということでございます。まず、マル1としてオーナー、不動産事業者がLPガス販売事業者と、まずはアパートへの供給の契約というのを結ぶわけでございますが、この際にオーナー等からはどういうサービスが受けられるのだということで、それに応えてLPガス販売事業者は空調等、そういったガスに関係ないものまでも無償で設置をするということでございます。

入居者は、オーナー、不動産会社との間で賃貸・売買契約を結ぶわけでございますが、その後で、ガス栓をあけるときに、そこで初めてガス販売事業者との契約関係が出てきて、そこで初めて接点が生まれる。そこで、料金が初めて明かされるという構造になっているということでございます。

9ページでございます。これについて具体的な措置でございますが、これにつきましては、まずガイドラインと通達、この2つで措置をしてございます。まずは、通達でございますが、液石法上求められている消費者に交付されることになっている14条書面の中で、まずこういったことがあるのであれば、そこを明示するということをしてございます。

具体的には、賃貸集合住宅等において、販売事業者の費用負担により、給湯設備、空調設備その他、建物に付随する設備等を設置して、当該設備等の設置費用を液化石油ガスの料金に含めて一般消費者に請求する場合には、算定方法及び算定の基礎となる項目の中で明確に記載することとしてございます。

要するに、こうすることによりまして、2つの効果があると思っています。1つは、文字どおり、消費者が自分が払っている料金について明確に理解する。あとは、販売事業者がオーナーさんとの間で供給契約を結ぶ際には、国からはこういうことが義務づけられていますということによって、オーナーに対する警告というか、そういう役目を果たす。その機能も我々としては狙っているというところでございます。

続きまして、ガイドラインの措置でございます。まず、それを説明する前に、一番下に※印で書いてありますところを御覧いただきたいと思いますが、この問題はとにかく情報の非対称性というものが問題になっているわけでございます。したがいまして、集合住宅入居予定者がLPガス料金の照会を事前に行えるように環境を整えるということが解決策であると、我々は考えてございます。国交省とも協議をしながら、国交省から不動産仲介事業者に対して、入居予定者にLPガス販売事業者の名称、連絡先を伝えるように要請をしていただいてございます。

そういうところで、消費者はそういうような情報入手を得る経路を得たわけでございますが、それに対して、我々が策定しているガイドラインでは、この上の行になりますけれども、そういう照会があったときには、料金その他の取引に係る苦情及び問い合わせに対して、適切にかつ迅速に処理する必要があると。このようにガイドラインで書かせていただいたところでございます。

10ページでございます。続きましては、これも契約時の料金の透明化でございます。14条書面の交付の実効性におきましては、我々のほうでも立入検査等をとらせていただきますが、そこでいろいろ確認をさせていただいている。

どのように確認をさせていただいているかというと、販売事業者が14条書面の写しを持っているわけでございます。そこには大体消費者も受領いたしましたというような署名がなされているわけですが、それがちゃんとなされているかどうかというものはチェックをしてございます。

その観点で、実は14条書面の交付は相当程度はされていると我々は認識してございますが、一方で消費者等からは、基本料金があることを知らなかったとか、料金について説明がないと。あと、販売契約時における消費設備の精算をめぐって、消費者と販売事業者のトラブルがあるという事情がございます。

これに対する具体的な措置でございますが、ガイドラインで次のように書かせていただいてございます。具体的には、14条書面に定める書面を交付するときには、当該書面に記載する事項のうち、次の事項について説明を行うことが必要であるということでございます。法律上は、14条書面を交付しなければならないという義務にとどまっているわけでございますが、このガイドラインでは、料金についての事項については特に説明を行う必要があるということを明記させていただいてございます。

また、そういうだけではなかなか実効性が担保できないということでございますので、●の3つ目でございますが、液化石油ガス販売事業者は、一般消費者等との間で説明を受けたかどうかをめぐってトラブルになることを防止するため、液化石油ガス販売事業者から説明を受けた旨を、一般消費者等による署名等が付された書面により確認することが必要である。このようなことの措置をさせていただいているところでございます。

11ページでございます。次は、契約後の料金透明化というところに移ります。契約した後でございましても、値上げに対して事前の説明や通知を受けていないという苦情が多く発生をしているという状況にございます。したがいまして、これについてどのように措置するかということについては、ガイドラインで明示をさせていただいてございます。

あとは、液化石油ガスの販売価格を変更する場合には、原則として変更後の販売価格の適用が開始される日の1カ月前までに消費者に対して検針票、請求書等に、変更後の販売価格、変更する理由を記載して通知するか、検針票、請求書等に変更後の販売価格、変更する理由を記載した書面を添付して通知する必要があると、このようにしてございます。これは原則でございます。

ただし、例外がございまして、例外は括弧の中でございますが、LP事業者でも長年導入されてきた彼ら独自の制度でございますが、原料調整制度というものがございます。先ほど言いましたとおり、我が国のLPGというものは8割方輸入されているということでございまして、輸入料金の多寡に応じてコストも変わっていくということでございまして、それを小売料金に反映させるという意味で、原料調整制度をとっている販売事業者というものもおります。その場合には、事前にそういう仕組みでありますよというものが消費者に伝わってございますので、それについては1カ月前までということではなくて、遅くとも変更後の販売価格の適用が開始される日の前までということにしてございます。

次の●でございますが、これは具体的にどのように通知をすればいいのかということを、一般的な観点で書いてございます。まずは、変更前の価格と変更後の価格がちゃんと比較できるように両方記載するとか、変更後の価格を記載して、変更前の価格と比べて幾らの値上げかを記載するなどして書いてくださいということにしてございます。また、通知の方法について、文字を大きくするとか、色を変えるとか、そういったことで消費者の注意喚起を促すということについても言及をしてございます。

12ページでございます。「LPガス料金請求時における料金の透明化の促進」でございますが、基本料金、従量料金を分けて算定している、2部料金制といいますが、都市ガスも大きくは同じだと思いますけれども、こういう事業者が非常に多いというのが現状でございます。ただし、請求の段階になるとそういった区別がなく、前回の検針後の使用量と請求額のみが記載されているという苦情も実は入っているということでございます。

北海道の消費者団体が調査をしたところによりますと、基本料金と従量料金とを分けて請求しているLPG販売事業者は約2割にとどまっているというのが結果として出てございます。これに対する措置でございますが、これについては法律の措置をとらせていただいてございます。

具体的には、液石法の16条の2には、販売事業者が従わなければいけない販売の基準というものが明記されてございますが、その中の基準に、次の「十五の二」というのを号立てをしまして加えています。「一般消費者等に対して液化石油ガスの供給に係る料金その他の一般消費者等の負担となるものを請求するときは、その料金その他の一般消費者等の負担となるものの算定根拠を通知すること」と、このように書いてございます。したがいまして、これは法律でございますので、これに違反すると改善命令もしくは登録の取り消しというような法律的な措置の対象になるということでございます。

これについて、次は通達ですけれども、ここでは通達ということなので、新たに規定されたものの説明でございます。これはなかなか技術的なことが書いてあるのですが、●の2つ目でございますが、これは誤解のないように、「一般消費者等に対する算定根拠の通知は、当該一般消費者等に液化石油ガスの供給に係る料金等を請求するごとに通知する必要がある」と、条文をそのまま読めば普通に分かることでございますが、これについては再確認をしたということでございます。

14ページでございます。アパートのところでも説明をさせていただきましたが、料金体系が非常に多いというのがLPガス販売事業者の特徴でございます。そのこともありまして、消費者からの料金の苦情とか問い合わせに対して適切に対応できていないという販売事業者が正直見受けられるということでございます。

これについては、ガイドラインで措置をさせていただいてございまして、先ほど申しましたとおり、「適切かつ迅速に処理する必要がある」ということで、ガイドラインで手当てをさせていただいたということでございます。

また、その具体的な実効性を担保するために、次の●でございますが、「一般消費者等から寄せられた苦情等の記録簿を作成し処理状況を管理する必要がある」ということにさせていただいてございます。

もう一つの手当てとしては、苦情窓口の設置という方法もございますが、これは先ほど言いましたとおり、ほとんどが中小・零細で人員も限られているという状況にございますので、ここには「必要な体制を整備することが望ましい」ということで、整備する必要があるというところからは一歩下げた形になっているというところでございます。

15ページは、契約終了時のトラブルの防止ということでございます。課題といたしまして、新たに顧客を獲得しようとする販売事業者、新事業者は、事業者の変更を希望する顧客との間で切りかえの委任状を確保した上で、旧事業者に切りかえ通知を行って、旧事業者と顧客との間の精算手続を待たずに、機械的に1週間たったことをもって、旧事業者が所有する供給設備を一方的に撤去してしまうという事例がございます。

実は、この事例はどのように問題が発展するかといいますと、旧事業者は顧客を相手取って裁判をするということがございます。顧客は裁判で負けるという場合もあります。ただし、この裁判に関するコストというのは非常に多くございますので、旧販売事業者も実は泣き寝入りで、こういった裁判も起こさないという事情もございます。ただ、消費者を巻き込んだ裁判というものは非常によろしくないので、ここは我々としても手当てすべきだと考えました。

具体的なルールでございますが、これは運用・通達解釈を改正して、新たに液石法の法律の考えを明確にしたということでございます。具体的には、第16号のただし書きに定める事項に該当する事由がある場合には、相当期間、上記基準は1週間でございますが、設置されている供給設備の規模や設置状況、一般消費者等による料金の精算状況等を総合的に勘案して個別に判断することになります。つまり、1週間機械的にすればいいというものではありませんよということです。したがって、16号のただし書きに定める事項に該当する事由が解消していないにもかかわらず、新たな販売事業者がみずからの判断により供給設備を一方的に撤去した場合には、これは法律違反になりますよということを明示的に書いたということでございます。

16ページでございますが、今度は逆側でございまして、旧事業者についても、スイッチング後、滞りなくするために、ここも無用な撤去の引き延ばしについては法律違反ですよと、このようにさせていただいているということでございます。

具体的には誰が判断するのかということについて、よく事業者から質問を受けますが、これは行政である我々が、ここはどういうような特殊な事情があるのかないのか、1週間ルールが適用されるべきなのかどうなのかというのを判断させていただいているということでございます。

17ページでございます。これまでのスケジュールの確認をさせていただきます。まず、昨年末に約1カ月パブリックコメントの募集をしました。126件のコメントが寄せられたということでございます。43の方々からそれぞれ複数の質問があって126件でございます。これを踏まえまして、真摯に耳を傾けまして、ガイドラインと通達を若干改正した上で、2月22日に公表させていただいています。

2月下旬以降、全国9地区で、事業者、消費者に対して説明会を開催しました。事業者においては約2万業者あるわけですけれども、大体2,000事業者はこの説明会に参加していただいているということでございます。

省令と運用通達の施行は6月1日としてございます。当初、4月1日ということでパブコメは出させていただいたのですが、事業者の方もそうなのですが、消費者団体の方からも、実は4月1日というのは拙速なのではないか、結構出ていないと混乱するのではないか、こんな意見が出ました。したがいまして、両方の意見を踏まえまして、4月1日ではなく6月1日の施行ということにしたわけでございます。

以上がパワポのものでございます。

あと、参考資料としてつけさせていただいていますのが、パブコメの126件についてまとめたものを書かせていただいているわけでございます。

消費者団体の方からも多くコメントを寄せられてございますが、総じて非常に高い評価をしていただいています。ただ、ガイドラインというような法律措置ではないものの実効性については、今後いかに実行していくべきなのかということ、それとしっかりと国がガイドラインを適用してほしい、そういった指摘が多くされてございます。

次に参考資料2と参考資料3、まず参考資料3はガイドラインそのものでございます。参考資料2は、液石法と規則、今回つけ加わった規則も踏まえたもの。それと、運用・解釈通達というのが右手に書いてございます。お時間のあるときに御覧ください。

私からの説明は以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。

この取引適正化ガイドラインでございますけれども、これは法律の運用指針として出ているのでしょうか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 違います。運用指針ではありません。運用指針はあくまでも通達ということでございます。ガイドラインは、法律の外。ガイドラインは2つあるのです。一つは法律の解釈も兼ねたガイドライン。例えば、電気と都市ガスのガイドラインは、例えばこれはやると法律上問題になりますよと、そこまで入っているものでございますが、このガイドラインはそこは全く無視して、法律の解釈でもなければ、行政としてこういうことをやっていただきたいもの、つまり法律論から言えば法律の枠外のものでございます。

○古城座長 そうすると、行政指導の基準みたいなものですか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 行政指導、まさしく指導です。

○古城座長 分かりました。

井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 9ページですけれども、価格の算定方法とか根拠というのを明確にする、これは絶対やっていただきたいことなのですけれども、第2パラグラフの「ただし」で、基本料金と従量料金でなお書きがあるところがありますけれども、これは設備の月額費用の概算額というのは、設備の耐用年数というのがございますよね。それによって年によって違うし、法律で定められた耐用年数なのか、あるいは事業者が決めている耐用年数なのか、それが終わった時点ではそれがゼロになるという認識でよろしいのでしょうか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 耐用年数等の考え方についてはいろいろな考え方かあって、それについて政府からこういう考え方にしなさいということはなかなか言えないということでございますが、もちろん基本的には事業者が決めたやり方で、もう既に減価償却が終わっているというのであれば、そこについて書かれているというものはおかしいことになりますので、それをどのように言及するかというのはなかなか難しい問題ではございますが、そういうことになろうかと思ってございます。

○井手座長代理 多分、月額で概算額を示すというのは、きちんと法定耐用年数でするのか、事業者は耐用年数というのを勝手に決めてやるということをやりかねない。したがって、月額の概算額を記載すると書いていますけれども、これはきちんとガイドラインで書かないと、絵に描いた餅のようになるのではないかというのが1点です。

もう一点、8ページにこういう図が描いてありますけれども、オーナーさんとLP事業者の間で供給契約を結んでいる、その供給契約というのは建物が存在する限りという、いわゆる期間を限っていない契約というのが一般的で、なおかつ、東北とかでもそうですけれども、LP事業者はみんな設備投資というふうに今言っているわけです。無償配管という言い方をしないで、設備の貸与、あるいは設備投資と言って、その設備投資を回収するのだから高い料金でやるのだと、何となく正当化しているので、建物が存在する限り供給者は変更できないという契約が集合住宅の場合は一般的です。

もう一つは、神奈川県とかで訴訟がありましたけれども、一戸建ての住宅を買う、そのときに重要事項説明でLP事業者は変更できないと書いているだけで、その中古住宅を買った人は、重要事項で書いてないとか書いてあるということもありますけれども、変更する場合にどういう問題が生じるかというのは全く知らないまま一戸建ての住宅を買っているというケースがあって、これも裁判になっていますよね。その辺は、変更してはいけない、継続して使うことと書いていますけれども、変更する場合にはどういうことが起こるのかというのを事前にきちんと通知すべきではないのだろうか。例えば消費設備の残存価値を買い取ることとか、そういうことが事前に分かっていればいいのですけれども、分かっていないケースもあると思うので、その辺はいかがなのでしょうか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 例えば一戸建ての場合は、消費設備の買い取りというのは法律上明記されてございまして、そこについては適正な価格で買い取るべく、そういった算定方法も示しなさいということまではちゃんと書いてあるのですね。それは、戸建ての場合は、戸建てのオーナーと消費者と一致しているわけなのですね。したがって、液石法の法律というのは、ガスの販売事業者とガスを消費する人の関係ですので、一戸建ての場合はそこは一致するのでそういうことができるのですけれども、この場合はオーナーというのは、実は液石法で言う一般消費者には当たらないのですね。実際にこの人は使っていませんから。

なので、オーナーとLPガスの販売事業者の契約は何かというと、住人に供給をするサービスを結ぶ契約、多分そんな感じなのだと思うのですけれども、そのときに、液石法上、ここはオーナーとLPガス販売事業者の契約関係に踏み込むのは結構難しいというところが正直ございます。だとすると、これは不動産売買のほうの切り口でやっていただくというのが、我々も重要だと思ってございます。

したがいまして、今回、小さな一歩ですけれども、国交省とも相談をいたしまして、まずは情報を開示してくださいということで、今回、国交省さんも一歩踏み出していただいたのですが、もしかしたら本当はそれ以上に踏み込む場合には、オーナーとの不動産取引、売買のところで、ガスというものではなくて、付随設備のあり方をどうするかという切り口で解決していただくというのが一つの手ではないのかなと、我々は思ってございます。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 今、ほぼ井手座長代理と同じ質問をしようと思っていました。8ページと9ページですが、井手座長代理がおっしゃったみたいに、減価償却が終わった後、そのままの料金がここには明確に記載するということで、そこまでしか書かれていないので、減価償却が終わった後、そのままの料金だったら、不当に上乗せがずっと継続していくということになろうかと思うのですが、それについてガイドライン等とかで一定の是正について指導するとか、そういったことは今回は全く入っていらっしゃらないと理解すべきなのですね。現状はそうなのかもしれないですが、そこをきちんと指導していただかないと、月々の費用、概算は分かりましたと。でも、設備は当然払い終わる時があるので、そこを誰がどこまで見るのかということが明確にならないと、そこは透明化というところにはなかなか行かないのではないか。まずは情報の透明化ということで御説明がありましたけれども、であればぜひ早急に対応を考えていただいたほうがいいのではないかと思います。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 あとは、一つ大きな問題は、料金の適正性を我々はどこまで言えるか、そこにかかわってくる問題だと思うのですね。LPGの料金は自由料金でございますので、その自由料金が適正かどうかというところまで、そこまでやるからには踏み込んでいかなければいけない措置だと思うのですけれども、現状、我々はそこまで踏み込むべきかどうかというのは、まだ結論は至っていないということでございます。

○陶山委員 今の御説明はよく分からないのですけれども、設備費について含まれている場合は書いておきなさいよということなのですけれども、その設備は払い終わっても、ずっと続けて設備費の部分も含んで払い続けなければいけない、それについては踏み込めないという御説明ですか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 もちろん、実態として本来請求すべきものではないのに請求しているものがあるというのは、これは液石法というよりも、消費者契約法とか、そちらのほうの問題になると思うのですね。そういうことではないですか。

○陶山委員 それでは、情報提供として、もしできるとすれば、設備費についてはいつまで支払う必要があるというような期限については情報提供できるという考え方でいいですか。情報提供にとどまるということであれば。例えば減価償却の期間、何年で償却しますよとか。そうしたら、消費者としては何月まで払い終わったら、ここの部分はなくなってきますねということも、設備費が含まれているのだったら知りたいわけではないですか。そうしたら、期限については情報提供していただけるということでしょうか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 現行の通達の改正ということですが、現行の通達にも配管のみの明示はしてあるのですけれども、配管については計算方法の具体的な内容について規定をするものではないのだけれども、設置費用とか設備後の経年年数等をもとに説明可能な方法をとってくださいということは、従前の通達では書いているということでございます。そういった考えを踏まえて、こちらも運用はしようとは思っています。

○古城座長 長田委員、どうぞ。

○長田委員 ここのガイドラインに書いてあることは、新築の賃貸住宅に一斉に皆さん入り、一斉に新品のガス機器がついていて、みんなで同じようなLPガス料金を払っているというケースだけを何となく想定しておられるような気もするのですが、賃貸借だから入居者が替わっていくわけですよね。そうなったときに、今度はガス機器の価値というのも、次の住人にとっては全然変わってくるのに、ずっと同じLPガス料金で回収してもいいのだというふうに読めてしまうのですね。つまり、あなたのところについているガス機器は幾ら幾らでした、スマホの料金ではないですけれども、これを例えば2年間で払いなさいというものではなく、何となくLPガス料金にはこれが入っているのだから払ってねと言っているというか、消費者にとってみれば、全然具体的な条件が示されないまま一方的に言われてしまうということになると思うので、先ほどからおっしゃっているように、年々価値は下がっていくはずであるし、それが一体もともと何年何月に設置したものだったのかという情報があってこそ、我々の選択ができるのではないかと思うのですが、例えば今回これを受けて全国LPガス協会の販売指針が変わるとか、そういうことはないのでしょうか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 全国LPガス販売事業者販売指針は今、改定中とは聞いていますが、これについてどれだけ踏み込むかというところについては、我々は承知していないです。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 しつこいようで恐縮ですけれども、この8ページ、9ページの説明は私もよく分からないのですけれども、そもそもガスの供給契約におけるガスを日々買う契約は、対象は入居者である消費者とLPガスの販売事業者の間であると思うのですが、そもそも消費設備を一般消費者に負担させる場合は明記してあれば負担させていいという規定のあり方自体がおかしいと思うのですね。そうすると、どこにどういう契約があるかというのをもう少し明確にしていただくようなガイドラインの立て付けにしないと、苦情があった場合には迅速に処理すると言われても、結局のところ、入居者としてはある設備についての負担が前提であるということを説明されればいいということになってしまっているので、そこのところは事業者の説明責任をもう少し強化した形でガイドラインの中に入れていただくことはできませんか。消費設備が入っている場合には、その細目も含めて、基本的には消費設備の設置費用は消費者には負担させないというのが原則だと思います。まさにガスの供給との抱き合わせ販売のようになっていると思うのですけれども、そこのところをもう少し明確化してこのガイドラインに規定するということをお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 消費設備を消費者に負担させないという考えがよく分からないのです。消費設備は消費者が本来は負担するものなのです。

○古賀委員 消費設備についても所有権は貸主にあり、借主は設備の利用権があるのではないのですか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 普通は消費設備の場合は、消費設備というのはメーターから先の配管とか、もっと広く言ったら器具もあるかもしれませんけれども、そういったものは基本的には消費者側のものなのです。つまり、オーナーの場合は本当はオーナーのものなのです。オーナーが賃料の中に含めて、それを適正に回収するというのは普通だと思うのです。かといって、そこを所有している販売事業者が何でオーナーに代わってそれを回収できないかというと、どういった料金で回収するかはまた別です。本当は賃貸借の中で払うべきものだというのが私は普通だと思いますけれども、そこはオーナーが払いたくないのだということで、それはガス事業者が代理で回収してくれということなので、そうしているだけですね。それが何かの法律に違反するかというと、私はそうではないと思っているのです。

○古城座長 井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 ここの9ページの第13条の関係で、まず「液化石油ガス販売事業者の費用負担により、給湯設備、空調設備その他の建物に付随する設備等を設置し」ということを書いていること自体が私はおかしいと思います。これを認めると、これからガスの自由化のときに、地方のガス会社はみんなこういうことをやりますよ。こういうのを認めるのであれば、本来であればリース契約を結んで期間を限定するわけですね。リース契約は何年ですと。リース契約という形を採らず、料金で全部ひっくるめて取るということを役所が認めていること自体が私は問題だと思います。

これから地方のガス会社でこういうことをやったときに、LPもやっているから、地方のガス会社も独占でやれる、無償配管をやれるというふうに受け取られかねない。だから、そういうことをまずここできちんとだめというふうに言って、その上でリース契約を結ぶとか、そういうふうに本来すべきではないのでしょうか。

○資源エネルギー庁高野石油流通課長補佐 横から申し訳ありません。課長補佐をしております高野と申します。

この問題につきましては、実態上、もう既にこういう商取引、商慣行が行われているというのがまず大前提としてございます。本来、これは不動産を所有しているオーナーとLPガス事業者との間の民民の契約、取引に関する事項でございまして、ここまで現状、液化石油ガス法で民民の契約、商行為に対してまで踏み込んで規制をかけるというのは現状難しいのかなと考えております。

何もこれはLPガスだけではなくて、様々な商品、役務、こういったもののサービスを事業者間でやりとりする場合に、こういう取引というものは一般的に行われているのではないかと考えております。そういう中で、LPガスだけがだめだというのは、なかなか難しいのではないかと考えております。

○古城座長 民民で取引するというのは2通りの場合がありまして、1つは、結局、消費者の利益を改善するから、消費者にも喜んでもらえるというので、社会が改善するのを事業者が見つけて自分の利益のもとにしてやっていくというものはよい民民。もう一つは、こうやると消費者は困るぞ、しかし事業者はもうかるぞというので、お互いにやる場合もあるのですね。これは悪いものであって、民民の取引だからといいものばかりではないわけで、民民の取引だけれども、後者のようなものを政府が規制するわけですよね。ですから、この取引の評価で、これはよい取引だから規制しないというのなら分かるのですけれども、そうではなくて、民民の取引だから規制できないという理屈はないと思うのです。民民の取引でもいっぱい規制していますよ。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 これの一つの法律の切り口として、独占禁止法上の問題があって、リベートを取ったことと同じなのですね。要はリベートなのです。先生方は御承知のように、リベートは特に禁止はされていないです。では、どのようなケースでリベートの制限をかけていくかということだと思います。

独占禁止法上、例えば流通業者の競争品の取扱いを制限する効果を有するような、有力なメーカーによる占有率リベートとか、そういうものについては不公正な取引方法として違法性を認めているという考えはあります。そういう考えが今回これにも適用されるかどうかというのは、我々だけで判断できるものではなくて、公取等とも協議をしながら今後検討しなければいけないなと思っているのですが、なかなかそれを待つというよりも、まずは情報の公表と。

○古城座長 リベートの話で、リベートは2つの観点で規制される。1つは競争者を排除するためにやっている。今おっしゃった累進型リベートというのは、それで規制されるのですね。もう一つは、競争者を排除するのではないのですけれども、不公正な取引、手段が不公正な格好でリベートを使うという場合もあって、これは別の観点からまた規制されるということになって、今のこの問題は後者に当たるのではないかという議論なのです。

例えば、証券取引なんかで、有力な顧客には利益をちゃんと補填するというのは、別に競争者を排除するというのを狙っているのではないのですけれども、不公正な手段だからと規制するわけで、要するに消費者の利益を害するような効果しかないような取引というのはやはり規制すべきだということです。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 お言葉でございますが、これは消費者が所有権がないものを使おうとする場合には、誰かには対価を払わなければいけないわけでございますよね。

○古城座長 そうです。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 誰かというのが、この場合はオーナーに対価を払わないから問題だということなのでしょうか。

○古城座長 これは、普通の取引ですと、オーナーが設備をつけるのが原則ですけれども、LPガス事業者がオーナーに利便を図ってやるわけですね。うちがつけてあげますよとLPガス事業者が言うと、オーナーは喜ぶ。その代わり、そのつけは消費者のところに来る。消費者がどうなるかというと、消費者はそれが本当に分かっていたらこんな物件は借りないよというのだけれども、そういうのを不完全情報で借りてしまって、どうにもならなくなってから仕方なく高い料金を払う。

もし私が説明したようなモデルですと、これは何もいいことはないわけです。リベートを大家がもらって、そのつけを消費者が払って、消費者が損をする。何の社会の改善にもなっていないということで、もし私が言っているようなことでしたら、これはよくない取引だということです。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 実は我々もこれはいいとは思っていません。切実な問題としては、販売事業者は被害者のようなところもあるわけですね。オーナーの代わりに設置をさせられて、本当であれば、設置しました、その費用は料金で回収しませんというのはあると思うのです。それは非常に経営体力が強い事業者であればそれができますということです。ただし、そういう事業者ばかりでもない。そういった中では、オーナーに対して投資したものについては、その投資の回収は料金でしなければいけないというものがあります。それで、何で料金がこんなに高いのだという苦情が消費者からあると、その消費者は今後LPは使わなくなりますということなので、結局、オーナーさんの嫌な役回りをLP事業者が代わりにやっているということなのですね。したがって、LP事業者離れをしていく現象も起きていると我々は思っています。したがいまして、これは我々も防止したいというのはやまやまあるのですけれども、今、これを禁止するというところまでの法的根拠というのはどこにあるのかというところは、我々もまだ判断できていないという状況でございます。

したがいまして、ではその間何もしないでいいかというと、そこは急げというのはあるのですけれども、その間、何か早く措置を手当てするためには、とりあえずは情報の透明化というところで手当てをしていきましょうというのが我々の考え方でございます。

○古城座長 御意見は尊重しますが、私の意見は、それはよく損失補填なんかで、証券会社は強い投資家さんに負けて損失補填していたわけです。そこは規制できなかったわけですけれども、今は規制するようになっている。同じように、強い大家さんがいて、それにLPガス事業者が無理難題を言われて、どうしても商売したいので仕方なくやっているというケースもあるのはよく分かるのですけれども、結局、消費者が損をすることに協力していることは間違いないわけです。むしろそういうケースならば、そういうことはだめですよと言ったほうが、LPガス事業者を、無理難題を言う大家から保護することもできるので、プラスではないかと私は思います。担当官庁がよくよく考えてそれをやられたというのは、そういう理屈もあるのかなと思いますけれども、私の意見はちょっと違います。

○井手座長代理 今日の話で、先ほど一戸建ての場合に、供給事業者を変える場合には買い取るということを言われましたけれども、ということは、無償配管というか、設備をただでつけるということを役所は認めているということでいいのですか。ここに設備を設置すると書いているのですけれども、空調設備とか給湯設備を無償でつけているけれども、料金で取ればいいというふうに石油流通課は考えているということでしょうか。

というのは、平成11年に公正取引委員会は無償配管はやめるべきという提言を出していますよね。一方で、先ほどのように一戸建てで供給事業者を変える場合には買い取ればいいということで、そういうことは無償配管というか、設備貸与というのを認めているということでよろしいのでしょうか。

○資源エネルギー庁高野石油流通課長補佐 戸建てと集合住宅を分けて考えなければいけないのですけれども、まず戸建ての問題は、確かに井手座長代理がおっしゃるとおり、過去に無償配管という問題がございました。これの中身はどういうことかと申しますと、本来消費者が住宅に付随するものとして、消費者が所有すべきものをLPガス事業者側が所有権を明確にしないまま住宅に設置をし、事業者を切りかえるときに、実は自分の所有物なのだということを訴え出てトラブルになる。これがいわゆる無償配管の問題でございました。

そのときに、公正取引委員会からそういうお話もありまして、当時、実はある対策をしています。それは現状、この液石法の中にも規定されているのですが、例えば消費機器について、本来、先ほども田久保のほうから申し上げましたが、戸建てに住まわれる消費者側が本来設置すべきものでございますので、その費用負担で本来設置されるべきところを、これは非常に投資額もかかります。例えば給湯器にしても1機20から30万しますので、最初に消費者の方々が自分で最初にその費用を全て負担するのか、それとも一回事業者から貸与を受ける形で設置をして、月々の利用料をお支払いする、こういうケースを選択する形になっていまして、後者の場合にはきちっと所有権が事業者側にあるのだということを、これは先ほど申し上げた14条書面という法律に基づく書面の中で明確に記載をしなさいと。所有権がどちらにあるのかということをまず明らかにしなさいということをさせていただくことによって、先ほどおっしゃられたような、無償配管に関するトラブルというものを防止するような形には、現状の液石法の中ではなっております。それを業界の中では貸し付け配管という言い方をしているわけでございますけれども、この場合にはきちっと所有権が事業者にあることというのを、あらかじめ消費者に対してちゃんと示した上で、その上で費用の請求をしなさいと。

かつ、費用のお支払いがまだ続いている状況の中で、例えばお客様が事業者を変えたいといった場合には、消費配管というものは住宅に付随しているもので、取り外しができないものでございますので、当然消費者にその後は所有権を帰属させなければいけない。これはちゃんと消費者が希望しない限りは、きちんと適切な対価で消費者の方に所有権を移転させることが必要だということも液石法の中でうたわせていただいています。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 重要な問題の意見交換になりましたけれども、私のほうからは初歩的な質問をさせていただきます。主に4点です。

最初に2ページのところで、今回はほぼ4分の1の苦情が寄せられている価格について、その透明化を図っていくということで、ガイドライン作りが行われたわけですが、それと同じぐらいの割合で保安関係、その他とありますが、これらの対応についてはどのように考えていらっしゃるのか。ある程度、個々のケースで対応が可能なのか、やはり何らかの規制が必要になってくるのか、その辺についてのコメントをお願いしたいと思います。

2つ目は6ページで、「ホームページ等を活用した標準的料金メニューの公表の加速化」ということで、ホームページを持っている事業者のほうがむしろ少ないのではないかということで、それ以外のものは店頭の見えやすい場所、ただし実際に利用者、消費者はLPガス販売店の店頭に行くということはほとんどないのではないかと思います。この店頭の見えやすい場所に掲示するだけの方法でいいのか。むしろ、まさにLPガスを利用する人にその情報が届くことが非常に重要なのではないかなと思いますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

3つ目は9ページ、今、さんざん意見が出されたわけですが、私は一番下の国交省への要請済みと書いてありますけれども、これは、実効性はもう担保されているのか。国交省には要請はされたけれども、国交省はきちんとやりますとか、その後の手だてがきちんと実行されるのか、その辺の実行性についてお聞きしたいと思います。

最後になりますが、今回ガイドラインが6月から施行ということですが、実際に今後LPガスにチェンジする人もいるかもしれませんが、そうした消費者への分かりやすい情報提供を、例えば行政側から、今までの何らかの行政側から新しい取組があると、パンフレットが出たり、Q&Aが出たり、手っ取り早いのは簡単なパンフレットが出て、こういうふうに変わりましたから、こういう情報はきちんと手に入りますよとか、先ほど、例えば9ページのところで集合住宅の入居予定者が不動産業者に事前にLPガス料金の照会が行えるというような、そういった情報自体がちゃんと手に入りますよというようなお知らせみたいな簡単なパンフレットみたいなものは作成されるのか。どのように消費者に分かりやすい情報提供がなされるのか教えてください。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 まず1点目、保安への対応ということですが、保安は我々は所管外でございまして、LPガスの保安を担当しているところがございます。もちろんそういった苦情等についてはそちらとも連携を図りながら、そちらからは業者に対してはちゃんと情報が行くようになっていますので、そういう御認識でお願いいたします。

それと、店頭のみかということですけれども、もちろん店頭のみとは限りません。不特定多数の者が同じ情報にいつでもアクセスできるというものであれば、私はいいと思っています。それの最たるものがホームページだと私は思っているのですけれども、そうでない場合は、店頭以外に、しかもホームページ以外にそれに替わるような方法があれば、我々としてはそこは全然いいと思っています。その考え方については、パブコメに対する回答でもちゃんと公表はしてございます。

国交省からの業界団体への要請は、昨年の4月1日になされています。それは我々が持っていったのはガスのことなのですけれども、昨年の4月1日に何が起こったかというと、御案内のとおり電気の自由化が起こっていますということで、国交省さんは電気のほうにも、どういう電気事業者がその作業をしているかということについても情報を与えるようにということを一緒に、行政文書として事業者に通知をしているという認識しています。

ただ、その後、どういったフォローアップをされているかということについては、我々はお答えできるようなものを持ってございませんので、今回、またパブリックコメントでもさんざん御議論がありました集合住宅の件については、やはり多く質問がございました。こういったことも、また国交省さんのほうにも持っていって、こういう問題がございますということで、どういう対策が一緒にとれるかということについては連携をしていきたいと思ってございます。

PRについてでございます。我々も、今回ガイドラインとか省令とか、具体的な手当てをしたのが2月22日ですけれども、これの根本というのは、先ほど言いましたとおり、昨年5月の報告書で書いてあるものでございます。その報告書についてのPRという面においては、エルピーガス振興センターという財団がございまして、そこに我々の予算を手当てして、そこでPR資料というものをつくって、今、消費者団体等すべからく公表できるような形になってございます。

以上でございます。

○古城座長 いかがでしょうか。古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 国交省さんとのやりとりというのは、ぜひお願いいたします。

それと、6ページのところに標準料金メニューの公表の加速化ということで、取引適正化ガイドラインでいろいろなメニューを公表する必要があると書いていただいているのですけれども、先ほどの御説明で、強めの文言で、必要であるという書きぶりであるということだったのですが、これは、これをしないことが問題となる行為であるという、いわゆる義務的なものだと考えてよろしいのでしょうか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 これをしないことが法律上問題であるとは言えません。

○古賀委員 法律上問題だとは言わないけれども、要するに望ましい行為のレベルになるわけですか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 我々から、望ましい行為のレベルということを言うことによってこのガイドラインの効力がそがれるので、そこについては言いません。行政指導です。

実は、今回のパブリックコメントでも、これは義務なのか推奨なのかということが言われました。これは法律上の義務ではありませんと私は答えています。ただ、推奨というものでもございませんと。つまり、我々はこれは行政指導として役所として取り組まなければいけないと考えているものでありますという説明をさせていただいてございますので、推奨かどうかということについては、推奨ではないと私は答えさせていただいています。

○古賀委員 推奨と義務の間、努力義務のようなものだというふうに考えてよろしいのですか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 お任せいたします。

○古賀委員 任せていただいても困るのです。

そうしますと、これは当然罰則のようなものは適用されないということになるわけですね。特に、北海道の方などでこういう問題について、法制化してほしいという意見が多分パブリックコメントでもいっぱいあったと思うのですけれども、この推奨ではなく義務ではないという、そこのところはもう少しはっきり言っていただけると。それが著しく違反している場合には、法律上の違反にまで発展する可能性もあるというようなことを。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 どこまでいっても法律上の違反とはならないです。だから、古城委員がお話しされている、それは行政指導にとどまるということでございます。

○古城座長 もう一つのやり方としては、16条の販売方法の基準という形で、基準の中に織り込むということもあるのですが、これは法律上無理だという解釈なのですか。

○資源エネルギー庁田久保LPガス担当企画官 それはそういうことです。やはり液石法の立て付け上、そこまでは販売の基準としては無理でしょうという解釈があるということでございます。もちろん、我々、審議会の場でも言わせていただきましたけれども、まずは今回、若干遅きに失したというのはあるのですけれども、エネルギー自由化の中で乗り遅れないために、これも重要な選択肢の一つとするために非常に重要な時期だと我々は認識しました。したがいまして、まずは即効性というものを第一に考えたということでございます。

ただ、審議会の場でも話をさせていただきましたが、これがガイドラインであって守られないということであれば、我々はそこは法律の改正も含めて考えますということは審議会の場でも伝えてございます。法律の改正だと時間がどうしてもかかってしまうものなので、我々は今回それよりも即効的に措置するほうがまずは急務だと考えた次第でございます。

○古城座長 よろしいでしょうか。

それでは、議論は以上といたします。田久保企画官、高野課長補佐におかれましては、お忙しい中、長時間にわたって審議に御協力いただいて、本当にありがとうございました。


≪4.閉会≫

○古城座長 最後に、事務局から連絡事項などはございますでしょうか。

○丸山参事官 本日も熱心の御議論、どうもありがとうございました。次回の会合につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

○古城座長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)